衆議院

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第2号 平成29年11月30日(木曜日)

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平成二十九年十一月三十日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   会長 森  英介君

   幹事 伊藤 達也君 幹事 大塚  拓君

   幹事 岸  信夫君 幹事 柴山 昌彦君

   幹事 中谷  元君 幹事 根本  匠君

   幹事 船田  元君 幹事 山田 賢司君

   幹事 山花 郁夫君 幹事 古本伸一郎君

   幹事 北側 一雄君

      秋葉 賢也君    石破  茂君

      稲田 朋美君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    鬼木  誠君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤ゆかり君

      下村 博文君    関  芳弘君

      田所 嘉徳君    長尾  敬君

      野田  毅君    平沢 勝栄君

      福井  照君    松本 剛明君

      務台 俊介君    盛山 正仁君

      山本  拓君    生方 幸夫君

      近藤 昭一君    辻元 清美君

      道下 大樹君    山尾志桜里君

      今井 雅人君    源馬謙太郎君

      階   猛君    樽床 伸二君

      緑川 貴士君    國重  徹君

      遠山 清彦君    中川 正春君

      原口 一博君    赤嶺 政賢君

      足立 康史君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   参考人

   (前衆議院議員)

   (平成二十九年衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団団員)     武正 公一君

   参考人

   (前衆議院議員)

   (平成二十九年衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団団員)     大平 喜信君

   衆議院憲法審査会事務局長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  森山  裕君     柴山 昌彦君

同月十六日

 辞任         補欠選任

  小熊 慎司君     階   猛君

  佐藤 公治君     今井 雅人君

  長島 昭久君     樽床 伸二君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     岩屋  毅君

  井野 俊郎君     福井  照君

  井林 辰憲君     務台 俊介君

  池田 佳隆君     関  芳弘君

  石田 真敏君     山本  拓君

  大塚 高司君     秋葉 賢也君

  古賀  篤君     松本 剛明君

  佐々木 紀君     下村 博文君

  鈴木 隼人君     田所 嘉徳君

  園田 博之君     黄川田仁志君

  辻  清人君     盛山 正仁君

  根本 幸典君     稲田 朋美君

  福山  守君     石破  茂君

  藤井比早之君     長尾  敬君

  星野 剛士君     小林 鷹之君

同日

 辞任

  宮路 拓馬君

同日

            補欠選任

             照屋 寛徳君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     緑川 貴士君

  細野 豪志君     源馬謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  源馬謙太郎君     細野 豪志君

  緑川 貴士君     奥野総一郎君

同日

 幹事大塚高司君同月十七日委員辞任につき、その補欠として伊藤達也君が幹事に当選した。

同日

 幹事大塚拓君及び幹事岸信夫君同日幹事辞任につき、その補欠として山田賢司君及び柴山昌彦君が幹事に当選した。

    ―――――――――――――

十一月二十七日

 平和憲法の改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三九号)

 同(藤野保史君紹介)(第四〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四一号)

 同(宮本徹君紹介)(第四二号)

 同(本村伸子君紹介)(第四三号)

 憲法を生かすことに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第七五号)

 立憲主義の原則を堅持し、憲法九条を守り、生かすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一五〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第一五一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一五三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一五四号)

は本憲法審査会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 幹事の辞任及び補欠選任

 参考人出頭要求に関する件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団の調査の概要)


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     ――――◇―――――

森会長 これより会議を開きます。

 幹事の辞任の件についてお諮りいたします。

 幹事大塚拓君及び岸信夫君から、幹事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、幹事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの幹事辞任及び委員の異動に伴いまして、現在幹事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、会長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、幹事に

      伊藤 達也君    柴山 昌彦君

      山田 賢司君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

森会長 この際、御報告申し上げます。

 本日の幹事会におきまして、お手元に配付いたしております平成二十三年十一月十七日の憲法審査会幹事会における「憲法審査会の運営に関する申合せ」について確認いたしましたので、私から申し上げます。

    憲法審査会の運営に関する申合せ

  憲法調査会以来の先例を踏まえ、次のように申し合わせる。

 一 会長が会長代理を指名し、野党第一党の幹事の中から選定する。

 二 幹事の割当てのない会派の委員についても、オブザーバーとして、幹事会等における出席及び発言について、幹事と同等の扱いとする。

以上でございます。

 この際、この申し合わせに基づき、会長は、会長代理に立憲民主党・市民クラブ所属幹事山花郁夫君を指名いたします。

     ――――◇―――――

森会長 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として前衆議院議員、平成二十九年衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団団員の武正公一君及び大平喜信君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森会長 この際、衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団を代表いたしまして、御報告を申し上げます。

 私どもは、去る七月十一日から二十日まで、英国、スウェーデン及びイタリアの憲法及び国民投票制度について調査をしてまいりました。

 この調査団は、本審査会のメンバーをもって構成されたものでありますので、この際、団長を務めさせていただきました私から、調査の具体的な内容について御報告させていただき、委員各位の御参考に供したいと存じます。

 議員団の構成は、本審査会の会長である私を団長に、会長代理であった民進党・無所属クラブの武正公一君を副団長とし、自由民主党・無所属の会からは中谷元君及び上川陽子君、公明党からは北側一雄君、日本共産党からは大平喜信君、日本維新の会からは足立康史君がそれぞれ参加され、合計七名の議員をもって構成されました。

 なお、この議員団には、衆議院憲法審査会事務局、衆議院法制局及び国立国会図書館の職員が同行いたしました。

 まず、最初の訪問地である英国のロンドンでは、下院において、ヒラリー・ベン下院EU離脱委員会委員長及びレベッカ・デービース下院行政憲法委員会担当部長と相次いで意見交換をし、さらに昼食会を兼ねて英日議員連盟メンバーと懇談を行った後、デービッド・キャメロン前英国首相の個人事務所をお訪ねし、率直な意見交換をいたしました。その後、上院において、フィリップ・ノートン上院議員とも意見交換をいたしました。また、デービッド・コープ・ケンブリッジ大学教授をお招きし、長時間に及ぶ意見交換をいたしました。

 以下、その概要について御報告をいたします。

 まず、英国における国民投票について申し上げたいと思います。

 英国においては、これまでに三回、全国規模の国民投票が行われております。すなわち、最初は一九七五年のEC残留の是非を問うもの、次は二〇一一年の選択投票制の採用の是非を問うもの、そして二〇一六年のEU残留か離脱かを問うものであります。

 英国では、一九七三年のEC加盟以来、一定の反EC、EU的な政治勢力が存在しましたが、近年、強硬なEU離脱論を主張する英国独立党の存在もあり、当時のキャメロン首相は、保守党内のEU懐疑派からの圧力を封じるなどの思惑から、二〇一三年にEU残留、離脱を問う国民投票の実施を表明したと言われています。この国民投票は二〇一六年六月二十三日に実施され、離脱が残留を僅差で上回る結果となりましたことは、委員各位御承知のとおりでございます。

 この昨年の国民投票の経験を踏まえ、次の二点の重要性が異口同音に述べられました。

 第一に、国民投票というものが、時の政府への賛否の投票、すなわち信任投票になりがちであり、これを行うに当たっては慎重であるべきであるということです。

 第二に、国民投票をする場合には、国民にそれが何の事項についての投票なのかをきちんと理解して答えてもらうようにすべきであるということです。

 これらの点に鑑み、国民投票においては公平公正なプロセスが大切であり、そのためには、賛成、反対の双方の立場を公平にサポートするとともに、客観的で正確な情報が提供されることが肝要であることが強調されました。

 また、国民投票運動の際、報道内容に関連して、マスメディアに対して政治家が不満を述べることは、農家が天気に文句を言うようなものであって、文句を言うのではなく、反論のための事実を用意するなどして、きちんと対策を講じておくべきであるという意見も伺いました。

 さらに、投票者は現状維持に票を投じがちな傾向があるから、国民投票で現状を変更したい側は、過半数の賛成で安心するのではなく、少なくとも六〇%程度の賛成が得られるような状況にしておく必要があるとの指摘もありました。

 次に、英国で二〇一一年に制定された議会任期固定法についても調査いたしました。

 従来、議会解散権は、国王大権の一つとして、首相の要請に基づいて比較的自由に行使されていましたが、二〇一〇年に行われた下院総選挙の後、保守党と自由民主党間における連立政権合意に、議会の任期を五年に固定する旨の方針が記載されました。それを受けまして、二〇一一年議会任期固定法が制定されました。

 同法の制定により、五年の任期満了による自動解散を原則としつつも、例外が二つ設けられました。一つ目の例外は、下院が定数の三分の二以上の多数で繰り上げ総選挙の実施を可決したとき、すなわち自律解散です。二つ目の例外は、下院が不信任案を可決した場合において、その後十四日以内に信任案を可決しないときです。解散はこれらの場合に限って行われることとされました。

 この議会任期固定法については、政権が安定し、首相が五年間の計画を立てることができるメリットがある一方、必要なときに適宜民意を問うことができるといったようなこれまでの柔軟性がなくなってしまったというデメリットも指摘されています。

 一方、ことし五月にメイ首相の主導で行われた下院の自律解散の例を見てもわかるように、結局、政府が主導して下院が賛成すれば解散が可能である以上、議会任期固定法に意味があるのかという議論も出ており、同法の見直しも提唱されているとのことでありました。

 次の訪問地であるスウェーデンのストックホルムでは、国会において、マリア・ストックハウス国会議員と意見交換を行いました。また、マッツ・エーナション元基本法調査委員会委員をお招きして意見交換を行いました。

 以下、その概要について御報告をいたします。

 スウェーデンにおいては、統一的な憲法典は存在せず、現在は、統治法、王位継承法、出版の自由に関する法律及び表現の自由に関する基本法の四つの法律が国家の基本法として位置づけられていますが、まず、統治法の最近の大改正について申し上げたいと思います。

 統治法は、一九七四年の制定以来、幾多の部分改正を経てきましたが、二十一世紀に入って包括的な見直しが行われることとなり、超党派の国会議員を中心に構成された調査委員会における四年半にわたる調査検討を経て、制定以来の大改正が、ほぼ全ての政党の賛成を得て二〇一〇年に行われたとのことでありました。

 その際、各党の合意点の一つとして、改正に当たっては、統治の仕組みをいつまでも議論するのではなく、なるべく早く合意に達して実際の政治課題に取り組むべきであるという点が挙げられるという話を伺いました。

 次に、スウェーデンの教育無償化について申し上げたいと思います。

 スウェーデンでは、分権的な制度のもと、地方が、国の制度や方針の範囲内で、みずからの裁量に基づき、初等中等教育を中心とする教育行政を実施しています。また、スウェーデンでは、義務教育は七歳から十六歳までですが、任意で利用できるものとして、一歳児から六歳児までの就学前の幼児教育がほぼ無償で提供されており、また、高校のほか、大学などの高等教育についても、博士課程を含め、授業料は無償とされています。

 この教育無償化政策について、スウェーデンにおいては、これに反対したり、その政策上の優先度を引き下げたりしようとする政党はないとのことでありました。また、子供の就学が親の経済状況で左右されてはならないとの考え方は、憲法に明文で規定されているわけではありませんが、スウェーデン国民にとっては自明のことであって、これを憲法上規定するという議論はなされていないとのことでもありました。

 第三に、情報公開について申し上げたいと思います。

 スウェーデンでは、国民やマスメディアが政府や国会などの全ての公共機関の行動をコントロールできるようにするために、公共の文書は国民が読むことができるようにすべきとの考えが行き渡っており、これが充実した情報公開制度につながっているという話を伺いました。

 例えば、公務員には原則として非公開の情報に関して守秘義務が課されていますが、マスメディアに対して非公開情報を提供した場合、一定の場合には守秘義務違反をしても不可罰となることが憲法及び法律で定められているとのことであり、我々議員団は大きな驚きを持ってこれを受けとめましたが、スウェーデン国民は、このような仕組みに大変な誇りを持っているとのことでありました。

 最後の訪問地であるイタリアのローマでは、下院において、レナート・ブルネッタ下院フォルツァ・イタリア会派長と、首相府において、アンナ・フィノッキアーロ議会関係担当大臣と、上院において、ステファニア・ジャンニーニ前教育・大学・研究大臣と、また、下院において、アンドレア・マッツィオッティ・ディ・チェルソ下院憲法問題委員会委員長を初め委員の方々と意見交換を行うとともに、在イタリア日本国大使館にステファノ・チェッカンティ・ローマ・サピエンツァ大学教授をお招きし、意見交換をいたしました。

 以下、その概要について御報告をいたします。

 まず、イタリアでは、昨年の十二月に憲法改正の国民投票が行われましたが、そこに至るプロセスについて申し上げたいと思います。

 イタリアの二院制は、選出方法においても、任期においても、権限においても、上下両院はほぼ同じであり、これほどまでに対称的な二院制は世界に類を見ないと言われています。その結果、下院と上院で同一の多数派が形成されない場合に国政の停滞を招くことがしばしばあり、長きにわたってその改革の必要性が主張されてきました。そして、二〇一四年から二〇一六年にかけて、ついに、上院の権限を大幅に縮小し、上院を地方代表の府と位置づけ直す憲法改正案が議会を通過しました。

 この憲法改正案は、議会で三分の二の賛成こそ得られなかったものの、上下両院で可決されましたから、憲法上、必ずしも国民投票は必要ありませんでした。しかし、総選挙を経ていないレンツィ政権は、政権に対する民主的正統性を取りつけるなどの思惑から、署名を集め、あえて国民投票を行うことを選択しました。その結果として、同案は国民投票で否決され、憲法改正は失敗することとなってしまいました。

 ところで、この憲法改正の試みは、当初は、各党の間の幅広い合意形成に十分配慮したものであり、政権の枠組みとは別の、広範な憲法改正賛成の多数派が形成されていたと伺いました。また、レンツィ政権の前のレッタ政権において国民の意識調査を行い、二十万人以上の国民から回答を得ましたが、その際には、二院制改革についても、地方制度改革についても、圧倒的な支持を得ていることが確認されておりました。しかしながら、その後、各党の政局的な動きに引きずられ、また、レンツィ首相が憲法改正の成否に自分の進退をかけることを表明したこともあって、最終的には、レンツィ政権への信任投票となってしまい、これに対する国民の拒絶反応が出て、否決されてしまったとの評価でありました。

 このプロセスから得られる教訓として、以下のような指摘がありました。

 第一に、憲法改正には議会における幅広い会派の合意が必要だということです。言いかえれば、政府を支持する多数派と憲法改正を支持する多数派は別の固まりであり、その時々の政治的多数派だけに頼って憲法改正をすることは極めて危険であるということです。

 第二に、多数派が国民投票を自己の権力強化のための手段にしようとしないこと、国民に冷静な判断をしてもらうような工夫をすることが重要だということです。前者について言えば、憲法は国民の財産であるから、誰かの憲法改正であってはならないとの意見がありました。レンツィの憲法改革と認識された今回の憲法改正は、その点が大きな間違いであったと聞きました。

 なお、二〇一六年の憲法改正案は、憲法全体の三分の一にも及ぶ条項を改正しようというものでしたが、これだけ幅広い改正をしようとする場合に、通常の憲法改正手続にのっとって、しかも、国民投票で賛成か反対かという一括した形式で国民に意思表示を求めることは不適当との指摘もありました。

 例えば、戦後、イタリア憲法を新たに制定したときと同じようなやり方、すなわち、憲法制定議会のメンバーを比例代表選挙で選び、その憲法制定議会が一年と年限を限って議論して結論を出し、それを国民投票にかけるといった手続で進めることも考えられるのではないかという指摘です。

 次に、この憲法改正案における上院改革に対する上院の姿勢について付言したいと思います。

 最終的には国民投票で否決されてしまったものの、自己の定数を削減し、その権限を縮小するような改正案に上院自身が賛成したのは、私どもの感覚ではあり得ないことのように思われますが、イタリア上院の複数の関係者に伺いますと、異口同音に、国家のためには、自分たちを犠牲にしても、それが必要だと判断したから賛成したのだと答えておられました。

 いわゆる新しい人権についても話を伺いました。

 イタリア憲法は、一九四七年に制定されたものであり、国民の権利等について定める憲法第一部にプライバシー権や情報アクセス権などの権利は規定されておりません。

 このような新しい人権を憲法に追加するための改正を行うべきとの議論はあるのかという質問に対しては、憲法第一部については改正しない方がよいと一般に理解されているとのことでした。すなわち、そのようなものへの対処は、憲法改正ではなく、憲法裁判所における解釈とそれに基づく立法措置で対応していくべきであり、かつ、それで十分と考えられているのであって、憲法改正の対象となるのは、主に統治機構について定める憲法第二部であるとの回答がありました。

 振り返りますと、慌ただしく駆け足で回ってきた調査でありましたが、私は、この議員団に本審査会の多くの会派から御参加いただきましたことを大変ありがたく思うとともに、その真摯な調査への取り組みに敬意の念をあらわしたいと存じます。

 そして、政治的立場や評価は別として、欧州各国における憲法や国民投票制度の実情について、派遣議員の先生方の間で共通の認識を持つことができたのではないかと思っております。この認識をここで委員各位とともに共有しながら、今後の本審査会における憲法論議がより充実したものとなることを願っております。

 なお、先般、議長に提出した海外派遣報告書につきましては、既に委員各位の事務所に配付させていただいたところでありますが、憲法審査会ホームページにも掲載いたしておりますので、あわせて御参照いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、今回の派遣に御協力をいただきました全ての関係者の皆様に心から感謝をささげ、私の報告とさせていただきます。

 以上、このたびの海外調査の概要を御報告させていただきました。

 引き続き、調査に参加した委員及び参考人から海外派遣報告に関連しての御発言をそれぞれ七分以内でお願いいたします。

 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせします。

 なお、御発言は着席のままでお願いいたします。

 それでは、まず、中谷元君。

中谷(元)委員 自由民主党の中谷元でございます。

 まず、イギリスを訪問しまして、昨年六月、EU離脱是非の国民投票を行いましたキャメロン前首相に面会しました。

 キャメロン前首相は、国民投票を実施する場合は、政府に対する信任投票や他の政策的な問題に対する投票になってしまったりするのではなくて、国民投票の投票用紙に書かれた質問文に対する投票になるようにするために、どのようなテーマについて国民が判断を求められているのかということを国民にしっかりと理解してもらった上で投票してもらうことが大事だと述べました。

 そうするためには、大事なことは、公平公正なプロセスとは何かということであり、独立をした機関である選挙委員会、これが国民投票の質問文の文言を決めて、完全に公平公正な選挙を実施して、完全に国民投票の質問に対する投票が行われたと言えるようにすることであるということを言われました。

 また、日本の憲法改正については、自衛隊を憲法に明記したいという気持ちは十分に理解できる。日本は現代的で責任感のある、そして強くて成功した民主主義国家だと認識をしている。現在、チュニジアやアフガニスタンでテロが、日本人の犠牲者が出るような事件も認識をしているが、日本も影響を受けているのに他国とともに対処できないという状況がある。難しいと思うが、憲法改正においては、論理的な側面と感情的な側面で国民にその必要性を訴えることが必要だ。その際には、質問文の文言が非常に大切であり、九条改正については、改正反対に投票すれば戦争にならないと思わせるような文言であれば負けるだろう。逆に、強い日本は安全な日本だと思わせるようなことができれば九条改正を実現できるかもしれないと述べました。

 自衛隊を憲法で明記したいと思うのであれば、自衛隊違憲論は間違っているという理論的な議論だけではなくて、今後日本はどのような国になっていきたいのかという感情的な面での議論にも勝たなければ国民投票で勝つことはできない。国民投票においては、人々に国民投票を行うことのメリット、つまり、憲法を改正するかどうかはあなたが決めるのですということを訴えて、国民に理解してもらうことが重要だ。質問文の文言は強く印象に残るので非常に重要であると述べました。

 最後に、国民投票において一番大事なことは公平公正なプロセスをとることであり、また、そのために、賛成派、反対派、この双方を適切にサポートすることが大事だと強い口調で言われました。

 イギリスの上院憲法委員会の初代会長であったノートン上院議員からは、第一に、憲法改正の質問文について、国民が誤解をして投票することがないよう、質問の文言は単にイエスかノーで答えるような質問にしない方がよい。人々はネガティブな回答よりもポジティブな回答を好むために、質問とは関係なくイエスに投票するという傾向がある。

 第二に、国民投票において、両側が公平に同じようなことを言わなければなりませんが、資金や報道の規制、これは難しくて、EU離脱の国民投票では、ほとんどの情報が離脱派か残留派のいずれかの陣営から出されたものであって、当然偏ったものになっており、公平な立場での客観的な情報が少なかった。

 EUに残留すれば不景気になる、こんな義務があるなど、実際とは異なるキャンペーンを行うことがあったが、有権者は他の問題と関連づけて投票する傾向があり、これは規制ではどうしようもできない問題である。何を基準に判断するかは、結局、有権者が決めることであるので、国民投票において問題に焦点を当てるように強調していくしかない。有権者にそれに焦点を当てるように強制することは、これはできないことであるということを言われました。

 また、ケンブリッジ大学のコープ教授からは、EU離脱に関して、EUから英国が離脱をすれば経済的に悪影響が及ぶであろうということは一般的に皆が認めているが、EU離脱に投票したロンドン以外の地域に住む人々は、実際は経済が悪くなるのではなくて移民に問題があるからであり、この点、ロンドンと他のイングランドの地域が政治的に異なるような要素もあったということを言われました。

 また、国民投票を与党の政治的人気と切り離す上で非常に重要な点を挙げると、やはり質問の文言になる。英国はEUに残留すべきかという質問に対してイエスかノーで答えるという方法と、英国はEUを離脱すべきかという質問に対してイエスかノーかで答えるという方法が考えられるが、残留と離脱という言葉が人に与える印象というものはどういうものなのか。

 例えば、残留には受動的なイメージがある。それに対して、離脱は能動的に行動を起こすという印象がある。重要なのは、その中で迷っている人々がおって、その人々に質問文の文言が及ぼす影響、受動的か能動的か。日本の場合であれば、憲法を維持するというのは受動的であり、憲法を改正するというのは能動的なイメージを伴う。心理学としてどちらが人を引きつけるか留意するとよいのではないかということでありました。

 その後、イタリアに参りました。

 イタリアでは、昨年十二月に憲法改正のための国民投票が行われましたが、これについて、これは否決をされたわけでございます。

 まず、賛成派、これを主導したフィノッキアーロ議会関係大臣は、この原因を、支持率が低下した前首相が求心力の回復を狙って強引に憲法改正と国民投票の手続を進めたことが政治的な色合いを強めたと強調しました。

 反対派だったブルネッタ下院議員も、憲法改正ができなかったのは、レンツィ首相がみずからの多数を強引に利用しながら憲法改正を進めてきたことであり、憲法のように総合的なルールは与野党が共同して作成するものであって、国家の基本的ルールである憲法は極力幅広い多数によって改正を行うものであり、その時々の政治的な多数だけに頼るような憲法改正は不可能であり、多数派を得るには与野党を巻き込んだ幅広いコンセンサスが必要であると述べられました。

 最後に、この視察を通じて、イタリアの与野党の当事者がともに認めたことは、国民投票が純粋に憲法改正を問うものではなくて政治的駆け引きに利用されたことであり、政局的な思惑を超えた合意形成の重要性でありました。憲法改正、その本質を見失うことがなく、静かな環境で、公平公正な手続を踏んで、何をしようとしているのか、それをうまく国民に伝えないときちんとした結果が出ないということでありました。

 どのような国を目指すのか、また、そのイメージとしてこの国のグランドデザインをつくって、そこから逆算して、この国の憲法議論をしっかりとこの憲法審査会で議論しなければならないと痛感をいたした次第でございます。

 以上、このたびの欧州視察を通じて、見聞をして、感じたことを述べさせていただきました。

 御清聴どうもありがとうございました。

森会長 次に、北側一雄君。

北側委員 イタリアでの調査団に参加し、与野党の有力な政治家、学者らと意見交換をさせていただきました。

 一番の関心事は、なぜイタリアでは二〇一六年憲法改正に失敗したのかということでございます。

 イタリアでは、昨年の暮れ、二〇一六年十二月四日に憲法改正国民投票が実施されました。その憲法改正案の中心的な内容は、世界各国でも例のない上院と下院の権限が全く対等な完全二院制がとられていましたが、これを廃止し、上院の役割を抜本的に見直すというものでした。上院は国の代表ではなく地方の代表にするものとし、したがって政府の信任権限を持たず、立法権限も大幅に縮小し、さらには上院議員の定数を三百二十人から百人へと大幅に削減し、その多くを州議会議員から選出するという改正案でした。

 改正案が上下両院で可決され国民投票に至る経過については、森会長の報告にあったとおりでございます。

 私から見ても、改正案は画期的で非常に評価できる内容であったように思われます。上下両院が全く対等な権限を持つ完全二院制は、国政の意思決定を停滞もしくは遅滞させ、ひいては政治を不安定にさせているという認識が、与野党を問わず多くの政党、政治家で共有されていました。また、国民の意識調査でも、完全二院制の維持を国民が支持しているのはわずか九%と極めて低いものでした。しかしながら、国民投票の結果は賛成四〇・九%、反対五九・一%で、この憲法改正案は否決され、憲法改正案と国民投票を主導したレンツィ首相は辞任するに至りました。

 なぜ国民投票で否決をされたのか、その背景には何があったのか、私の所感を三点申し上げたいと思います。

 第一に、私たち調査団のお会いした人たちがほぼ共通して言っておりましたのは、憲法改正案の具体的な内容の是非というより、時のレンツィ政権の信任、不信任が問われる国民投票になってしまったということです。

 レンツィ首相自身が、国民投票で憲法改正案が否決された場合には首相を辞任すると言明したため、国民投票自体が政治的色彩を強く帯びるようになったと言われています。

 また、森会長の報告にもあるとおり、EU残留か離脱かを問う昨年六月のイギリスでの国民投票も同様で、時の政権への信任投票の傾向が強まり、EU残留を主張し国民投票を主導したキャメロン首相は辞任を余儀なくされました。

 国民投票というのは、本来、個別の重要政策に対する賛否を国民に問うものですが、往々にして時の政府に対する信任投票になりがちだということを知らなければなりません。

 第二に、憲法改正に向け、政党間の合意を形成し、かつ、これを維持していくということは容易ではないということです。

 イタリアでの憲法改正案は、当初は、与党である中道左派政党と野党の中道右派政党との双方の合意を得たものでした。しかし、途中から、野党の中道右派政党が支持を拒否することになります。その理由は、憲法改正の内容にかかわるものでなく、全く政治的な理由からと言われています。

 私たちがお会いしたチェッカンティ教授は次のように話しておられました。

 与党と複数の野党がある場合、憲法改正において与党と協力する一部野党というのは非常に難しい立場に置かれる。有権者から見ると、与党側が政府を支持して、同時に憲法改正に賛成している、あるいは、野党側が政府にも憲法改正にも反対するというのが一番わかりやすい構図である。逆に、政府に反対している野党でありながらも憲法改正を支持するとすれば、それをみずからの支持者に説明するのは非常に難しい。この立ち位置は、結局のところ、他の野党で憲法改正にも反対している政党に票が流れてしまうものであった。このようにお話をされておられました。

 私は、日本の政治状況と照らし合わせても、とても示唆に富む話であったと思いました。憲法改正を目指す多数政党は、できるだけ幅広い政党間の合意形成を図るとともに、政党間の合意を維持するための深い思慮が必要だと思われます。

 第三に、憲法改正に係る国民投票の内容を国民に理解してもらうことはそう簡単なことではないということです。

 有権者にとって、選挙で投票する特定の候補者もしくは特定の政党を選択することと、憲法改正に係る具体的な内容を理解し国民投票することは大きな違いがあります。

 特に、今回のイタリアでの憲法改正案は、国と地方の統治機構に係る抜本的な見直しで、憲法条項全体の三分の一以上を改正するという極めて大規模な改正案となっていました。これを一般の有権者が正確に理解し投票することはとても難しかったと想像されます。結果として、国民投票が時の政権に対する信任投票になってしまう一つの要因にもなったと思われます。

 また、国民投票は、有権者にとって、憲法改正案に賛成マルか、反対バツかという二者択一です。賛成マルを選択する人の理由はおおむね共通していても、反対バツを選択する人の理由は多様です。

 例えば、改正に積極的でも、その改正案では不十分もしくは一部に反対と考える人と、そのような改正案にはそもそも絶対反対という人も、意見は全く相対立しつつも、国民投票ではともに反対バツになることが考えられます。国民投票で改正案について過半数の賛成票を得ることは決して容易なことではないと思われます。

 以上の私の所感を踏まえまして、今後の憲法審査会で留意すべきと感じることを若干申し上げます。

 まず第一に、国民投票が政権の信任投票とならないようにするため、できるだけ多くの政党の合意を形成し、かつ、これを維持することに努めなければならないということです。

 そのため、これまで先輩方の努力で少数会派の発言の機会を保障するなど憲法調査会以来のルールをつくっていただきましたが、さらに、憲法審査会の運営、審査等のあり方について、国会のほかの委員会とは異なる特別の手法を検討しなければならないと思います。国会での与野党が、日常の政治的対立から一歩離れて、着実に憲法論議を進めることができるようにしなければならないと思います。

 第二に、改正原案の目的、内容等について、憲法審査会での当初の審査の段階から国民の理解を深めることができるように努めなければならないということです。

 両議院のそれぞれで総議員の三分の二以上の賛成を得ることも高いハードルですが、国民投票で過半数の賛成を得ることは、私はよりハードルが高いと考えるべきだと感じました。

 以上、調査団の一員としての御報告とさせていただきます。

 以上です。

森会長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会を代表して、欧州調査団に参加をさせていただきましたので、私の所感を申し述べたいと思います。

 今回の欧州調査を通して学んだ最重要事項は、憲法改正も政治である、憲法改正を政局から切り離すことはできないということであります。

 キャメロン前首相の英国でも、レンツィ前首相のイタリアでも、憲法改正等の国民投票が時の政権の人気投票になってしまい、その結果、当該政権が意図した方向とは真逆の結果になってしまったのは御承知のとおりであります。

 しかし、だからといって、時の政権が憲法改正を主導したら失敗するとか、野党の協力を得るために時間をかけるべきだ等と解釈するのは大きな間違いです。

 日本の憲法は、英国と違って成文憲法であり、イタリアのように国会の絶対多数で可決することにより国民投票を避ける方法もありません。国民投票で否決されるリスクがあるからといって国民投票自体を実施しないというのでは、結局、主権者である国民の手から憲法を奪い続けることになってしまいます。

 むしろ、英国やイタリアで実施された国民投票の結果から日本が学ぶべきは、どんなに政局にならないように努力をしても、政権の支持率は時間とともに低下し、仮に、イタリアのように、一時的に憲法改正に協力することを約束する野党があったとしても、政権の不人気にはあらがえないということ、必ず政治化するということであります。

 イタリアでは、レンツィ首相とたもとを分かつこととなったフォルツァ・イタリアの会派長らと意見交換し、イタリアの国民投票がいかに最初から最後まで政治に貫かれていたかを理解することができました。

 イタリアの憲法改正と選挙制度改革は、二〇一四年一月のナザレノ協定から始まりました。ナザレノ協定というのは、憲法改正と選挙制度改革を実現するために、レンツィ首相がベルルスコーニ党首と結んだ協定でありますが、政権が主導する憲法改正に野党が協力するには困難を伴うはずです。

 何がそうした高邁な与野党間合意を可能にしたのか。現地ローマでヒアリングをしてわかったのは、ナザレノ協定は高邁でも何でもなく、二大政党のリーダーであるレンツィとベルルスコーニが決選投票の当事者となって、それによって五つ星運動を潰す、まさに二大政党による二大政党のための政治合意であったということであります。

 そうした観点からいえば、その後、支持率を落とし、二大政党の一翼とは言えなくなったベルルスコーニ率いるフォルツァ・イタリアがナザレノ協定を破棄するのは理の当然であり、必然だったわけであります。

 森団長からの御報告では、憲法改正の国民投票が時の政権の人気投票になりがちだから慎重であるべきとの意見が紹介されていましたが、反対に、ローマで意見交換をしたチェッカンティ教授に国民投票が政治化するのを避ける方法を問うたところ、正反対の、できるだけ迅速に改正を行うことだとおっしゃられたのが示唆的でありました。

 つまり、政治化しないように慎重を期することが大事なのではなくて、政治化することを認めた上で、国民ができるだけ正面から憲法に向き合えるよう、国民投票に向き合うことができるよう環境整備に努めることが大事なのであります。

 例えばメディアであります。森団長からも御報告いただいたように、キャメロン前首相との懇談の際に、私がマスメディアに対する不満はないのかと問うたのに対し、前首相は、政治家がマスメディアに対して文句を言うのは、農家が天気に文句を言うようなものだとおっしゃいました。

 しかしながら、注意が必要なのは、このキャメロン前首相の指摘は、英国人がマスメディアの情報をころころ変わるお天気程度にしか信用していないということの裏返しでもあるということです。

 ある民間機関の調査によると、新聞やテレビといった主要メディアへの信頼度は国ごとに大きく異なっており、日中韓といったアジア諸国では高く、欧米諸国では低い、日本では国民の七割がマスメディアを信頼しているのに対し、英国ではわずか一四%にとどまるのだそうであります。

 かつての平和安全法制、最近の森友、加計問題に係るマスメディアの偏向ぶり、中でも朝日新聞の捏造、誤報、偏向報道のオンパレードを見るにつけ、マスメディアを正すか、あるいはマスメディアへの信頼度を欧米並みに引き下げるかのいずれかに取り組むことこそ、憲法改正国民投票に向けた最も重要な環境整備ではないかと考えます。

 いずれにせよ、キャメロン首相からは、EU離脱の是非を問う国民投票をやらなければよかった等の泣き言は一切出てきませんでしたが、唯一あったアドバイスは投票用紙の文言についてでありました。

 EU残留かEU離脱かを問う英国の国民投票では、当初、EU残留にイエスかノーを選択する予定でありましたが、不公平だという観点から、残留、リメーンか、離脱、リーブかを選択することとなり、否定的なノーよりも能動的なリーブの方が選好しやすくなった等の分析がなされているとのことでありました。

 確かに、日本でも、政権が言うところの平和安全法制を一部野党が戦争法と呼び、野党の言う共謀罪を政権がテロ等準備罪とするなどの政争に明け暮れてきたわけで、投票用紙に記される文言の表現が重要であるというのは十分に理解できるところであります。

 憲法改正原案を提案し、そして審査する私たち国会議員の責任は重大であると改めて強調しておきたいと存じます。

 キャメロンもレンツィも首相を辞し、一旦は身を引きましたが、本人のみならず周辺は再起を期するという前向きなエネルギーに満ちあふれていました。レンツィ前首相の言葉でありますが、全ての改革の母たる憲法改正に挑戦するのは、いずれの国にあっても国士たる政治家が背負っている避けることのできない責務であると申し上げて、私からの報告とさせていただきます。

 ありがとうございます。

森会長 次に、参考人からの御発言をお願いいたします。

 まず、武正参考人、お願いいたします。

武正参考人 民進党を代表して過日の欧州派遣団副団長として参加をいたしました武正公一でございます。

 きょう、こうした機会をいただいたことに感謝を申し上げます。

 今回の視察で特に強く感じたことは、あくまで議会が国の中心であるという自負を、ヨーロッパ各国、とりわけイギリス、強く持っておられるということであります。議員からは、政府の話、何やらそういったことは二の次、三の次、それぞれ、やはり議会がその国のさまざまな決定の最高機関であるという矜持を強く感じました。コープ教授からは、最も基本的な考えとして、英国は議会制民主主義をとっていて、議会こそが最高の機関だという考え方であるので、全てについて議会に最終決定権限があるとされていると述べております。

 今回三カ国を選んだ理由は、昨年六月、EU離脱の国民投票、また十二月に上院改革の国民投票がそれぞれ政権側の意に反して国民に否決され、内閣総辞職をしたイギリス、イタリア、新しい人権である国民の知る権利、忘れられる権利、教育を受ける権利などを実施しているスウェーデン、国と地方のあり方の見直し中のイタリア、特にコミューンに徹底的な分権を行っているスウェーデン、この三カ国を選んだところでありますが、特に、イギリスでは首相の解散権の制約、これに関心を持ちました。

 前々回の衆議院選挙後、この憲法審査会で、首相の解散権の制約が必要ではないかと私もこの場で何度となく提起をいたしました。そしてまた、今回の解散・総選挙もやはり急な解散、しかも冒頭解散、これが果たしてどこまで国民に争点を提示できたのか。投票率は若干上がりましたが、私の埼玉県、あるいは私の選挙区では戦後最低の投票率でありましたので、やはりこの首相の解散権というものは問われるのではないかという認識でございます。

 イギリスでは、二〇一一年、議会任期固定法の制定により、首相が実質的に有してきた解散権に制限が加えられました。また、それによって、従前のように首相が君主に要請して議会を解散することは不可能となり、女王大権である議会解散権も廃止をされております。キャメロン前首相は、私の質問に対して、議会任期を五年に固定することは、政権が安定し、首相が五年間の計画を立てることができるので、よいことだと思うと述べております。

 ちなみに、二〇一七年までの十九回の解散による総選挙の間隔は約四十五カ月、五年の任期に対しては七五%で、平均、解散が行われているという計算。ちなみに、日本の任期を調べてみますと、二十五回の解散、平均三十三カ月、四年の任期に対して六八%ということでありますので、イギリスに対しては約七%低いということになります。

 次に、国民投票について触れたいと思います。

 イギリスのお会いする議員は、口をそろえて、国民投票は慎重にということを何度も口にされていました。政権の賛否を問うことになってしまったことが、国民投票がなかなか難しかったということを挙げておられました。

 コープ教授は、キャメロン前首相が党の結束力を高めるためにこの国民投票に打って出たんだという指摘をされています。こうした国民投票についてのあり方がやはりイギリスでも提起をされました。

 また、九条について触れておきますと、九条に自衛隊を加えることについては、まず冒頭、最初に面会をいたしました、イギリス、ベン下院EU離脱委員会委員長から、憲法に明記されていなくても今まで自衛隊が活動できたのであれば、自衛隊が憲法に明記されていないということはそれほど大きな問題ではないように私には見受けられるという指摘がまずのっけからありましたことをお伝えさせていただきたいと思います。

 次に、スウェーデンでありますが、スウェーデンは、憲法典が四つの法律から構成されております。王位継承法、統治法そして出版自由法、表現の自由基本法の四つの法律から憲法典が構成されております。

 統治法、一九七六年改正では、新しい人権、ここに、忘れられる権利、国民の知る権利、教育を受ける権利などが規定をされております。

 特に、世界における報道自由度ランキング第二位、スウェーデン、ちなみに日本は七十二位。そのスウェーデンでは、この四つの法律のうち、今申し上げた出版自由法、表現の自由基本法が四つの憲法典のうち二つを構成しております。

 先ほども森会長から報告があったように、大変驚いたのは、公務員が内部情報をリークしてよいということでありました。もちろん制限はありますが、メディアに、文書は出せないが、こうした情報が提供できる。しかも、報酬も受け取れる、それは申告すればよい。また、上司が、誰が内部情報をリークしたかを調べてはいけない。そしてしかも、罰せられるのは当事者ではなく、メディアの長が罰せられるとすれば罰せられるということであります。

 これは大変驚きましたが、報告書百五十ページにあるように、公務員の守秘義務より情報提供権が優先されるという法体系がその背景にあるというふうに考えます。

 新聞などについては、出版の自由に関する法律第一章第一条第三項、また、出版の自由法、表現の自由基本法、公開の原則、また統治法にも統治法二章一条にそうしたことが明記をされております。

 次に、イタリアでありますが、イタリアでは、レンツィのための国民投票というようなことが指摘をされたように、フィノッキアーロ大臣、四年前には上院憲法問題委員長として面会をいたしましたが、厳しい自己反省のことを口にされておりました。

 国民投票というのは、多数派が自己の権力を強化するための手段として使ってはいけない、大きな改革をするのに当たっては、その決定権を政権から国民に引き渡すこと、これを引き受けた国民が政権創出能力のある国民として適切に改革の是非について判断することができるような環境を整える必要がある、この二点が重要であると述べたことは極めて感銘深く受けとめております。

 今回の派遣を通じまして、やはり、この審査会の目的である、憲法及び憲法に関する基本法制の調査、そして改正の発議、国民投票に関する法律等の審査、この三点がこの憲法審査会の目的であり、特に国民投票についての議論はまだまだ必要であるということを認識しております。

 両院における合同審査会の規定、あり方についてはまだ議論がございません。あるいは、国民投票広報協議会の構成について、今のままいけば、少数党がメンバーには入れません。こうしたことの議論はまだ行われておりません。また、憲法一章についての議論もさきの国会で行っておりますが、憲法及び憲法にかかわる基本法制の調査というものは、まだまだこの審査会の役割として極めて重いものがあるのではないかというふうに思います。

 私からの報告は以上とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

森会長 次に、大平参考人、お願いいたします。

大平参考人 今回、発言の機会をいただきまして、森会長を初め幹事、委員の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 私たちは、かねてから、国民の多数は改憲を求めておらず、憲法改正原案、改正の発議の審査を任務とする憲法審査会は動かすべきではないと主張をしてきました。

 今回の調査も、各国の憲法そのものと憲法をめぐる情勢などについて調査をするという立場で、また、日本には、改憲を求めていないという世論と、それを代表する政党があるということをお伝えする見地で、各国の実情について調査をしてまいりました。

 まずはイタリアです。トニネッリ下院憲法問題委員会副委員長が、憲法は国民全ての財産であり、憲法改正は誰かの改正であってはいけない、国会の勢力も含めて国民全てが共有する改革でなくてはいけないと述べたように、憲法はほかならぬ国民のものであるということが語られていたのが大変印象に残りました。多くの識者が共通して、憲法改正は幅広い合意が必要だと強調をされました。

 今の日本で、国民の皆さんから現行憲法のここを変えてほしいという声や、国民的な幅広い合意が形成されている課題などがどこにあるでしょうか。トニネッリ副委員長が言う、国民全てが共有する改革を求めている動きなどがどこにあるでしょうか。いずれも存在しないもとで、いつまでにといったスケジュールの話ばかりが出てくるような動きを国民は決して許さないと言わなければなりません。

 イギリスでは、最初に伺ったベン下院EU離脱委員会委員長から、憲法改正の必要が感じられるということだが、どのような項目についてどのように憲法を改正しようと考えているのかとの質問が寄せられました。中谷議員が、自衛隊明記が一つのテーマだと述べたのに対して、ベン委員長は、さらに、憲法に明記されていなくても今まで自衛隊が活動できたのであれば、自衛隊が憲法に明記されていないということはそれほど大きな問題ではないように私には見受けられるなどの率直な意見がありました。

 この間、安倍首相などは、ただ、存在するだけの自衛隊を書くだけで、何も変わらないなどとおっしゃいますが、何も変わらないのであれば書く必要はないのではないかという当然の疑問が寄せられたのであります。それでも書き込もうとするのは、変えようという意図があるからにほかなりません。

 ベン委員長からは、さらに、自衛隊を憲法に明記することによってどのような違いが生まれるのか、防衛だけではなく攻撃もできるようになるということかとも質問が寄せられましたが、まさに安倍政権が狙う九条改憲の本質が他国からも見抜かれていたのであります。

 改憲ありきの姿勢と九条改憲は決して許されないという国内外の世論に、今度の調査で改めて私は確信を深めました。

 スウェーデンでは、特に教育の無償化についての調査が行われました。森団長からも御報告があったとおり、子供の就学が親の経済状況で左右されてはならないとの考え方は、憲法に明文で規定されているわけではありませんが、スウェーデン国民にとっては自明のことであって、これを憲法上規定するという議論はなされていないとのことでありました。

 スウェーデンでは地方自治体の予算の五〇%を教育費に充てているとの話を驚きを持って伺いました。こうした具体的な予算措置への姿勢や取り組みこそ私たちは学ぶべきではないでしょうか。

 憲法の改正の発議をするのは国会でありますが、その議会の構成が民意を正確に反映しているのかという議論も大変印象に残りました。

 イタリアでは、多数派プレミアム制度と決選投票制度によって第一党に議席が上積みされる仕組みがありましたが、この間、憲法裁判所によって違憲判決が下され、今後はその部分が取り除かれた選挙制度のもとで選挙が行われるそうです。

 日本では、一九九四年、政治改革と称して、現行の小選挙区比例代表並立制が導入されたもとで、民意の反映が著しくゆがめられていきました。この間の総選挙では、小選挙区において第一党は四割台の得票率にもかかわらず、七割から八割もの議席を獲得するということが続き、今回の総選挙も同様に、こうした小選挙区制の根本的欠陥が浮き彫りになりました。小選挙区制度は廃止をし、民意を公正に反映する選挙制度へと抜本的に改革する必要があります。

 民意の反映をゆがめる虚構の多数のもとで国民が求めていない憲法改正の発議を行うなど何重にも許されないということも、今回の調査の中で改めて感じたところであります。

 今回の調査を通じて、私は、改めて、憲法を変える必要はない、今変えるべきは憲法を踏みにじる政治の方であるということを確信しました。

 私は、今度の総選挙で議席を失ったことは大変残念であり悔しい思いでありますが、今こそ、国民の中で現行憲法の値打ちを大いに語り合い、戦争する国には絶対にさせない、個人の尊厳が守られる日本を目指して、安倍九条改憲は断固許さないという世論と運動を広げていくために奮闘する決意を申し上げ、発言を終わります。

 ありがとうございました。

森会長 以上で調査に参加した委員及び参考人からの発言は終了しました。

    ―――――――――――――

森会長 これより自由討議を行います。

 なお、自由討議の際は、幹事会の協議に基づき、調査に参加した委員及び参考人に対して質疑も行えることといたしております。

 発言する際はその都度会長の許可を得ることとなっております。

 発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。

 発言は自席から着席のままで結構です。発言の際には、所属会派及び氏名をお述べください。

 なお、質問を行う場合は、いずれの報告者に答弁を求めるかを明示して発言するようお願いいたします。

 また、幹事会の協議により、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。質疑を行う場合は、一回当たりの発言時間は答弁時間を含めて五分程度といたします。委員各位の御協力をお願いいたします。

 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせします。

 それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立てください。

 予定の時間もございますので、この自由討議は、現在ネームプレートを立てている方までとさせていただきますので、御了承ください。

船田委員 会長、ありがとうございます。

 自由民主党の船田元でございます。

 調査議員団の皆様には大変お疲れさまでありました。報告書も拝見をいたしましたが、非常に精緻な調査を行っていただき、また私がかつて深く関与しました国民投票制度のあり方について非常に焦点を当てた調査を行っていただきまして、大変敬意を表したいと思っております。

 特に、イギリスそれからイタリア、イギリスは昨年六月、イタリアは昨年十二月、いずれも、テーマは異なりますが、国民投票が行われ、その結果によって政権が大きなダメージを受けて、キャメロン首相あるいはレンツィ首相が辞任をする、こういった事態が発生をいたしました。国民投票と政権との距離、あり方、そういったものが非常にクローズアップされたものであり、今後の私たちの憲法改正、国民投票制度を動かす場合の大いなる参考になる、このように思いました。

 そこで、森団長にまず御質問申し上げたいのでありますが、イギリスでは、過去三回国民投票が行われたわけであります。政権の立場からすると二勝一敗ということだと思っております。私どもが予想したよりもちょっと回数は少ないというふうに感じた次第でございますが、今後も英国におきましては、政権の立場を補強するということにこの国民投票を使うのかどうか、あるいは、そうではなくて、これからは、今回のことを教訓として、政権からは切り離した形で国民投票を行うことがあるのかどうか。御感想で結構でありますので、お話しをいただきたいと思っております。

森会長 お答えいたします。

 ちょっと、一回目、二回目についてはつまびらかに承知しておりませんけれども、今回の、昨年の国民投票につきましては、キャメロン首相が自分の会派の中の反対勢力を抑えるために、そういう思惑からやはり国民投票に打って出たというお話をいろいろな方から聞きました。

 でも、それは、イギリスで、必ずしもそういうみずからの都合で国民投票に出るということじゃなくて、むしろ反省材料、なぜうまくいかなかったかという反省材料の一つとして挙げられたように思います。そういうことで、むしろそういう思惑があったために違う結果になって、かつ御自身が辞任の余儀なきに至ったというふうに受けとめました。

船田委員 ありがとうございました。

 続きまして、中谷委員に御質問いたしますが、イタリアでも憲法改正のための国民投票が行われましたが、結果として、ある意味で大差で否決をされたということであります。

 一部の野党が途中で賛成から反対に回ってしまったこととか、あるいは、テーマが上院の権限を弱めること、制限をすることと、国と地方の関係を変更するというような、非常に膨大な質問を一括してイエスかノーかで問うてしまった、このことが国民にとってはよくわからないということで否決されたのではないか。

 さまざま言われておりますが、中谷委員がお考えになっているこの否決の理由というのをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

中谷(元)委員 そのいずれも理由に挙げておりました。

 この憲法改正は、イタリアは、上院、下院の完全二院制でありまして、権力を二分することで独裁政治を防ごうということは機能してきましたが、迅速な政治判断ができないということで、これは与野党ともに議論をして合意をしたことでございました。

 ところが、それをしているうちに、まず与党のベテラン議員、またベルルスコーニ氏などの首相経験者の離反、既成政治批判の五つ星運動などの反対で否決されましたが、ベルルスコーニ氏は、みずからの裁判に対して首相がそれを支持しなかったというようなことで離反をしていったということで、やはり政局的な問題もありますし、内容的にも、上院の権限をなくするということで、権力の集中化に対する批判的な意見もあったということで、御指摘のような理由で反対が多かったということであります。

船田委員 ありがとうございます。

 憲法改正につきましては、内容のこともさることながら、やはり問い方とか、あるいは運動の仕方、さらには広報のあり方、まだまだ我々としては、国民投票制度のさらなる改善といいましょうか、よりよき制度になるように今後とも議論を続けていく必要があるということを改めて痛感いたしました。

 ありがとうございました。

辻元委員 皆様どうもお疲れさまでございました。非常に意味のある報告をお聞きすることができたと思います。

 私は、今回の御報告を受けまして、私が考えていた以上に、やはり議会の多数と国民のコンセンサス、これの必要性を、御報告を受けて感じました。

 それは、裏返せば、失敗したときのリスク。例えば、イギリスの国民投票等で国論を二分するというようなことがあった、またイタリアでもそうで、やはり失敗したときのリスクも踏まえて憲法論議をしなければいけないということを改めて痛感いたしました。

 そんな中で、何名かの方も言及ありましたけれども、今、日本の中で幾つかの憲法改正の項目についても発言する方々がいらっしゃいます。

 先ほどから出ております、自衛隊の位置づけについて、憲法に自衛隊の位置づけを書こうと。先日も総理は、書いても何も変わらないんだというように答弁をされてきました。そうすると、何も変わらないことを、憲法改正という、政治的エネルギーを、大きなエネルギーを使って、今、政治課題が山積する中で取り組むべきなのか。また、この九条をめぐっては国論も二分しているという中で、リスクも非常に大きいと思うんです。

 これは、もしも否決されたとき、一体どうなるのか。何も変わらないんだから、否決をされても、自衛隊に対する国民感情であったり、社会的なコンセンサスが、否決されたときどうなるのかというリスクもあると思うんですね。

 ですから、私は、一貫して、国論を二分しているような案件、また大多数の国民のコンセンサスがとれる案件について議論をしっかりしていくべきだと申し上げてきました。

 ヨーロッパでも、そういう国民投票の失敗というような事例に即しての具体的な御意見もあったようです。

 そこで、今回の調査を踏まえまして、国民の多数のコンセンサスをとる努力であったり、それからさらにはそのときのリスクの重大性について、調査に行ってこられた方、北側幹事と武正参考人に、行く前と行った後とどのように感じ方というか認識が変わったのか、その点についてお聞きをいたしたいと思います。

北側委員 一番の問題意識は、憲法改正というのは極めて政治性が高いんですね、当然のことながら。当然のことながら。ただ、その政治性の高い課題について、いかにして日常の政党間の、与野党の政治的対立から一歩離れて冷静に論議を進めることができるのか、そこの知恵をしっかり出していかないといけないのではないかということなんですね。日常の政治的対立から一歩離れているということをどうこの憲法審査会として担保していくのかということを私はぜひ論議していかねばならないのではないかというふうに思っております。

 例えば、衆議院、参議院もそうでしょう、情報監視委員会というのが国会にはございます。この情報監視委員会というのは必ず開かれているんですね。どうあれ開かれているんです、何があろうと開いていらっしゃいます、与野党が一緒になって。そういうことはとても大事なような気がするんですね。

 特に憲法論議に当たっても、賛成であろうが反対であろうが、憲法論議、この憲法審査会をつくっているわけですから、憲法論議を進めていくためには、必ず論議は着実に進めていく、その辺のルールをどうつくっていけばいいのかなというふうにも思っております。

 あと、今回の調査団の報告にもあるんですが、先ほど森会長から御報告がございましたが、スウェーデンでは、一九七四年の制定以来、部分改正はあったけれども、包括的な見直しは行われてこなかった、ただ、二〇一〇年に包括的な改正が、見直しが行われて、これはほぼ全ての政党が賛成をしたというんですね。そのプロセスの中で、超党派の国会議員を中心に構成された調査委員会というのをつくって、そこで一定の時間、調査検討を経る、そうしたことをやってきたというんですね。私は、一つの方法かなというふうにも感じました。

 いずれにいたしましても、政治性が高いテーマであるだけに、かつ、一歩そこから離れて、論議をこの憲法審査会でどう進めていくことができるのかという知恵を、これは与野党を通じてぜひ議論していければなというふうに思っております。

武正参考人 御質問ありがとうございます。

 イタリアは、上下両院が権限が全くイコールである、これが決められない理由だということで、それについては多くの国民の方も賛成という、六割、七割近い賛成が得られていたので国会で憲法改正の案件として進めてきたものが、最終段階にあっては、レンツィの改革ということで、政局というか政権の賛否にすりかわったということがあったわけでありますので、やはり、どうやって、与野党が丁寧にテーマを選んで、そして、あと、それをどう国民の皆さんにわかりやすく伝えるかということが大変大事になってくるんじゃないかと思います。

 また、メディアについては、やはり公平公正な報道を心がけている、今回ヨーロッパでの状況ですが、日本の場合はこうしたメディアの報道というのは自由に任せられておりますので、こういったところがどういうふうになっていくのか。

 あるいは、最低投票率、設けていない国が多いんですが、これも、参議院ではやはり、附帯決議で、最低投票率についての議論、どうしようかというのがありますので、こういったところもあわせて、まだまだこの審査会での議論に付する必要があるのではないかなというふうに思います。

 以上です。

森会長 それでは、時間が過ぎましたので。

 次に、階猛君。

階委員 初めてこの委員に入りました階と申します。

 きょうは、本当に貴重な御報告をいただきまして、ありがとうございました。

 武正参考人に二つ質問をしたいと思います。

 先ほど、農家が天気に文句を言うようなものという比喩があったと思うんですけれども、これはイギリスですかね、マスメディアは、農家にとっての天気と同じようなものだということなんでしょうけれども、私は、この農家が天気に文句を言うようなものというのは、農家にとって天気というものは大事なものでありますから、雨であれ晴れであれ、大事なものであるから畏敬の念を持って接すべきだ、こういう趣旨の発言ではないかなというふうに受けとめました。

 ただ、マスメディアが、時に行き過ぎた報道あるいは事実に反するような報道が行われるということも事実だろうと思います。そういうことが起こらないようにするためにどうすればいいか。

 その一つとして、きょうの報告にもありましたように、公務員が守秘義務に違反しても、重要なことをメディアに提供した場合には守秘義務違反が免責されるということは、一つの解決策になるんだろうと思います。

 日本でも公益通報者保護制度というものがありますけれども、これが実質的には余り機能していない。一つの理由は、守秘義務違反として不可罰になるかどうかというだけではなくて、事実上の不利益が及ぶのではないかということを危惧するんだと思います。事実上の不利益というのは、昇進の不利益とか仕事上の不利益。

 そういったことも考えると、先ほどの制度、公務員の守秘義務違反が免責されるというのは多分刑事罰が免責されるということなんですけれども、事実上の不利益というのも課されないような仕組みになっているのかどうかということを教えていただきたい。それがないと機能しないという前提に立っていますけれども、そのことについて教えていただきたいと思います。

 それからもう一つは、解散権の制約について武正参考人も触れられていました。

 イギリスの例は、十九回の解散、平均任期が四十五カ月、日本は、二十五回で三十三カ月というお話でした。

 ちなみに、私は、最初の選挙が補欠選挙だということがあったんですが、十年やってきた中で、今回で五回選挙をやりました。二年に一回です。これではなかなか国民の代表として腰の落ちついた議論というのがしにくいわけでありまして、逆に、政権がそれほど頻繁に解散権を行使するということは、政権としても安定した政権運営につながるのかどうか。

 さらに、有権者の立場からすると、今回もそうでしたけれども、いきなり解散ということで、十分な判断材料もないままに、それこそ各政党の政権公約もちゃんと理解、そしゃくする時間もないままに投票を迫られる。これは、結果、選挙が終わった後に、何でもありみたいな政権運営になって、国民からすると、裏切られた、だまされたということにもつながりやすい。

 こういう、国会議員にとっても政権にとっても一般の有権者にとっても、解散権の制約というのはぜひやるべきだというふうに私は考えます。解散権の制約というよりは、私はむしろ正常化だと思っていまして、今は、内閣が自由に解散できるということ自体が憲法の規定のどこにもないわけでありまして、むしろそれを正常化して、六十九条の場合に限定するというのが本来の姿ではないかと思いますが、この点についての御見解をお願いします。

武正参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、情報提供権が守秘義務よりも優先をするという点でありますが、そうはいっても、やはり情報提供権が制限される主な情報があるということで、先ほどちょっと触れました、外交、軍事領域の機密とか、医療機関及び生活保護その他、社会保障機関における大半の個人情報とか、こういった項目が挙げられているわけであります。

 ただ、やはり、こうしたものを除いてはということでありますし、我々がヒアリングした中では、文書は出せないけれども情報は出せるというような言い方とともに、公文書の公開に関してはスウェーデンは世界で最も早く憲法に規定をしたということでありますので、こういった点は今の国会の論議には非常に参考になるのではないかと思います。

 先ほどの、処罰についてはちょっと私も承知はしておりません。

 解散権については、まさに御指摘のとおりでありまして、国民の皆さんに、政権選択あるいは政策選択、この材料をどこまで提供できたのかなといったことは、やはり今度の総選挙でも問われているのではないかなというふうに思います。

 こうした解散権の制約、今、階委員からは正常化だという話がありましたが、冒頭私が触れましたように、ヨーロッパの視察を通じて一番強く感じたのは、議会主権、特にイギリスがそうですが、議会が全てを決めるんだと。日本も、国権の最高機関とうたわれておりますが、果たしてどうなのかという問題意識を私も持っておりますが。やはり、議会が決めるということでありますので、そうした議会を、国権の最高機関である議会を首相が勝手に解散できるということはあってはならないということで、この任期制限法は、下院の三分の二以上の賛成がなければできないという制限を課し、しかも、これまでの国王大権、女王大権も廃止をしたということであったのではないかなというふうに思います。

 以上です。

森会長 ここで、先ほどの武正、大平両参考人の御発言に関連しまして、中谷君から発言を求められておりますので、許可いたします。

 手短にお願いします。

中谷(元)委員 先ほど、ベン委員長の、自衛隊は今あるからいいのではという発言を紹介されました。

 この点について、イギリスは、マグナカルタという、成文憲法がありません。また、精強な軍隊が存在をして、国際法の中で当然のこととして権利権限を行使されているという状況のある中で、このベン委員長は、日本の憲法九条で軍の不保持も書かれ、また交戦権も戦力も保持されないということを知っておられないので、なぜかということで思われたわけでありますので、そのような背景の中で出た質問であるということを御理解いただきたいと思います。

 また、海外からこういった疑問が出た場合もしっかりと答えるためにも、私は、自衛隊が憲法の中にきちんと明文された方がいいというふうに感じたわけでございます。

原口委員 無所属の会、政党は民進党でございますが、原口一博でございます。

 会長を初め皆様、大変真摯な御視察をいただいて、特に政権と国民投票との関係について多くの御示唆をいただきました。本当にありがとうございます。

 そこで、先ほど北側幹事からもお話がございましたが、どうやって冷静な舞台をつくるかということに関して申し上げると、やはり一種のパラドックスがあるのではないのかなというふうに思います。

 それは何かというと、憲法とは国民が権力を縛るものだというのが近代憲法が大前提にした立憲主義でございます。憲法という、国の形の中で、一人一人が自分の生き方を自由に選べるし、選ぶべきなのだという考え方。そうすると、縛られる側、多数派が発議をしていくということについて、一つのパラドックスを、先ほどの御視察の御報告を聞きながら感じておりました。

 私の先生で樋口陽一先生という方がおられますが、こうおっしゃっていました。もし歴史問題や人権問題に取り組みながら改憲論を進めるというのならば、私個人はそれでも改憲に賛成しないだろうが、それは尊重すべき改憲論だと思うと。

 憲法は、やはり権力は間違えるということを前提にした仕組みでございますので、まず、この憲法審査会でもう一度、立憲主義、この立憲主義についてやはりきっちり議論をしていただきたい。立憲主義をないがしろにした改憲論というのはあり得ない。憲法の個々の条文あるいは国民投票を論ずる前に、私たち、憲法九十九条、憲法の尊重擁護義務がどのように果たされているか、ぜひ会長のもとで議論、検証をしていただきたい。これがまず要望です。

 そして、質問は、中谷幹事についてでございます。特に自衛権について。

 私は、この自衛権のところは、四半世紀前、私、自由民主党に所属をさせていただいておりました、そのときの悲願は、やはり集団的自衛権、ここのところだったのではないかと思います。

 国際的に言うと、ミシン目と申しますか、集団安全保障と自衛権のところにミシン目が入っています。特に日本では、個別的自衛権はよくても集団的自衛権はだめだというふうな解釈がございますが、国際的に言うと、他国との間で自衛権を行使する集団的自衛権の方が、個別に判断をして自衛権を行使する個別的自衛権よりもよりモデレートであるというふうに解釈されているのではないかと思うのですが、私のこの解釈について中谷幹事にお尋ねをしたいのと、もう一つは北側幹事でございますが、先ほどおっしゃった、冷静に議論をしていくその基盤。

 私たちは、民主党の時代に、自民党や多くの皆さんと一緒に、安全保障についての共通のプラットホームをつくってきました。しかし、今回の平和安全法制の中でそこがやはり崩れてしまっている、そこのところは非常に残念なことだと思います。

 北側幹事に、先ほどおっしゃった、どのようにすれば広い合意をできるか、先ほど申し上げた、縛られる側が、多数派が発議をしていくというこのパラドックスにどのように答えればいいか。

 この二点について御質問申し上げたいと思います。

 以上です。

北側委員 日本の憲法では、憲法改正手続というのは非常に厳格ですよね。

 両議院でそれぞれ総議員の三分の二の賛成を得て初めて発議ができる。非常に発議する要件もハードルが高いと思います。そういう意味では、恐らく、広く政党間で合意が形成されていかないと発議そのものが多分できないんだろうと思います。

 さらに申し上げますと、私が先ほど申し上げたように、この発議要件よりも、国民投票で国民の皆様の賛成多数をとるという、国民投票の方もハードルがより高いんじゃないかというふうに、今回の調査でそのことを非常に実感いたしました。また、先ほど来御意見があったように、この国民投票には極めて重大な政治的なリスクを伴います。

 ということで、単に多数党が多数を形成しているからというだけで、そんな簡単に憲法改正の発議ができるものでは多分ないんだろうということを、恐らく参加された自民党の先生方もそのように認識をされたんじゃないのかなというふうに思っています。

 いずれにしましても、多数派だけで先行して進めていくということは、事実上それはもう不可能だと私は思っておりまして、そういう意味で、私は憲法改正を否定しているわけじゃありません、憲法の改正については、当然のことながら、必要なところは改正を目指すべきだというふうに考えますが、そこに至るプロセスの中で、やはり、日常の政治的な対立から一歩離れて、いかに多数、多くの政党の合意を形成していくのか、その辺の手法をよく考えないといけないし、また、国民投票のことを考えると、国民の皆さんに情報を公開し、さらには理解を深めていただくようなことをどうしていくのかということをしっかりと考えていかないといけないというふうに思っております。

中谷(元)委員 原口委員から、自衛権についての御質問がありました。

 今、自衛権は、国際法において、国連憲章で、国連決議が認められた場合、武力行使ができるというのが集団安全保障です。この国連憲章の規定の中に、それが及ぶまでは、個別的自衛権と集団的自衛権、これを行使できるという規定があります。したがって、加盟国はいずれも個別、集団自衛権の行使の権利は持っております。

 ところが、日本の場合は憲法がありますので、この中で集団、個別の自衛権がどういうことで行使できるかということはずっとこの七十年間議論されてきたところでございますが、自衛権という言葉も自衛隊という言葉も憲法にはありません。その中で、今日本が行使し得る自衛の措置ということは、この国の平和と安全を守るための必要最小限度の自衛の措置ということで、この範囲でこの国を守っているわけでございます。

 そういう見地で、二年前の平和安全法制も、従来のこの国を守る必要最小限度の自衛の範囲という見地で使われているわけでありますので、特に個別的自衛権、集団的自衛権がここまでだというミシン目はないわけでございますが、二年前に、自国の存立にかかわる事態において、国民の権利を根底から覆されるような場合において行使し得る自衛権としての範囲を定めたということでございます。

森会長 予定の時間が過ぎました。

 なお、ここでお諮りいたしたいと思いますけれども、既に予定の時間を過ぎております。しかしながら、各会派、少なくともお一人ずつ御発言をいただきたいと思いますので、赤嶺政賢、照屋寛徳両君の御発言をいただきまして、あと、本日はそれで打ちどめにさせていただきたいと思います。各会派からまだ札を立てている方には大変恐縮でございますが、御了解のほどお願いいたします。

 赤嶺政賢君。

赤嶺委員 どうもありがとうございます。

 海外調査の御報告もありがとうございました。報告を伺って、若干の私の感想や意見を述べさせていただきます。

 報告を受けて、示唆的だったのは、イタリアの下院憲法問題委員会副委員長が憲法は国民全ての財産であり、憲法改正は誰かの改正であってはならないと述べたことです。また、多くの識者が憲法改正は国民の幅広い合意が必要だと強調したことです。国民が求めていない中で憲法改正はやるべきでないということを、今回の調査報告で改めて認識を強めました。

 一方、日本では、大多数の国民は憲法を変えたいと思っておりません。

 安倍首相が主導して改憲を進めようとしています。安倍首相は、ことしの五月三日、突然、二〇二〇年に新憲法施行を目指すと期限を区切り、憲法九条に自衛隊の存在を書き込むと、具体的な改憲案に言及しました。改正の発議権を持つ国会の権限に介入する首相発言を受け、改憲の動きが急速に強まってきたのであります。

 憲法五十三条を無視した冒頭解散による今回の総選挙で、安倍首相は、憲法改正を自民党公約に盛り込みました。ところが、テレビ討論や政見放送、街頭演説などでほとんど改憲に触れませんでした。

 小選挙区制のもと、三割台の得票で六割台の議席を得ると、首相は、十一月一日の国会召集日に、憲法審査会に各党が改正案を持ち寄って建設的な議論をしていくことが大切だと述べて、改憲論議をあおったのであります。まさに国民置き去りの、安倍首相の憲法改正が進められようとしているのでありませんか。

 もう一つ指摘したいのは、イギリスのベン氏が、自衛隊を憲法に明記することについて、防衛だけではなく攻撃もできるようになるということかと率直に質問をしたことです。これは安倍改憲の本質をついています。安倍首相は、九条一項、二項を残しながら自衛隊を明文で書き込むと言いますが、それは、安保法制のもとで集団的自衛権の行使を可能にした自衛隊を書き込むことにほかならず、これは断じて認められるものではありません。

 九条に自衛隊を書き込む危険性はそれだけにとどまりません。現行憲法のもとでさえ、安倍政権は、武器輸出禁止三原則を撤廃し、軍事費を過去最高規模に更新し続け、軍学協同を進めています。自衛隊を憲法に明記することになれば、日本社会の軍事化を一層推し進めていくことになるのは明らかであります。これは、憲法の平和主義そのものを破壊し、二度と戦争をしないことを国の基本としてきた戦後日本社会のあり方を根底から変えることにほかなりません。

 米軍占領下の沖縄では、平和憲法のもとへ帰ろうと、基地のない沖縄を目指し、復帰運動が広がりました。しかし、復帰後も、憲法に反して、巨大な米軍基地が置かれ続け、軍事優先で県民の命と暮らしが脅かされているのが沖縄の実情です。憲法で保障された人権より日米安保が優先される現状の方こそ正さなければならないと考えます。

 最後に、国民が求めていない中で、憲法改正の発議の審査を任務とする審査会を動かすべきでないと改めて主張して、発言を終わります。(発言する者あり)

森会長 よろしゅうございますか。

 照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 調査団の皆さん、御苦労さまでした。本日は、森団長を初め調査団参加委員からの貴重な報告、意見を拝聴しました。ありがとうございます。

 与党筆頭幹事の中谷委員に尋ねます。

 私は、日本国憲法改正の国民投票法における広告宣伝のあり方に強い疑念を抱いております。

 国民投票運動は、主権者たる国民の表現の自由が最大限尊重され、同時に、報道の自由が確保されることも大事であります。だが、現行国民投票法の規定では、テレビ、ラジオ、新聞等の有料広告において、広告資金量の差、発注タイミングの差などによって世論が左右され、印象操作が進められる可能性があります。

 視察されたイギリスは、二〇〇〇年に国民投票法を制定し、二〇一六年六月二十三日にEU離脱の是非を問う国民投票が実施され、その結果、離脱が決定しました。イギリスはテレビスポットCMは全面禁止と聞いております。

 また、視察されたイタリアでは、過去六十回以上の国民投票が実施されたようです。イタリアでもテレビスポットCMは原則禁止、ローカル局で回数均等の場合のみ許可され、国営、民営放送ともに、公的に均等配分された広告時間が設けられているようです。

 翻って、現行の国民投票法には、投票運動期間中のメディアにおける広告規制がほぼ存在せず、権力を掌握し、金力にまさる改憲派に有利な制度になっていると考えますが、外国視察結果を踏まえた御意見を伺います。

中谷(元)委員 広告宣伝のあり方については、国民投票法の法案審議の際に各党で議論をされたところでございます。これについては、報道の自由は当然のことですが、できるだけ自由な活動、行動を担保するというところで、特に規制は設けておりませんでした。

 しかし、その議論の中でも、市民団体の方から、お金持ちがそういう場合、優先的に広告を出すというような懸念の御意見もあったというのは事実でございますので、さらに今後こういった点についても議論をしていく必要がございますので、私も、当審査会等でも引き続き議論を進めてまいりたいと考えています。

森会長 これにて自由討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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