衆議院

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第3号 令和3年5月6日(木曜日)

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令和三年五月六日(木曜日)

    午前十一時十四分開議

 出席委員

   会長 細田 博之君

   幹事 岩屋  毅君 幹事 江渡 聡徳君

   幹事 小林 鷹之君 幹事 齋藤  健君

   幹事 新藤 義孝君 幹事 中谷  元君

   幹事 奥野総一郎君 幹事 山花 郁夫君

   幹事 北側 一雄君

      秋葉 賢也君    井野 俊郎君

      石破  茂君    稲田 朋美君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      鬼木  誠君    門山 宏哲君

      城内  実君    黄川田仁志君

      後藤田正純君    佐藤ゆかり君

      柴山 昌彦君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    長島 昭久君

      野田  毅君    福井  照君

      船田  元君    務台 俊介君

      盛山 正仁君    森  英介君

      山下 貴司君    山田 賢司君

      今井 雅人君    大串 博志君

      近藤 昭一君    中川 正春君

      長妻  昭君    広田  一君

      本多 平直君    道下 大樹君

      谷田川 元君    大口 善徳君

      國重  徹君    赤嶺 政賢君

      本村 伸子君    足立 康史君

      馬場 伸幸君    山尾志桜里君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           中谷  元君

   議員           船田  元君

   議員           北側 一雄君

   議員           馬場 伸幸君

   議員           井上 一徳君

   総務大臣         武田 良太君

   衆議院憲法審査会事務局長 神崎 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月六日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     井野 俊郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     鈴木 淳司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(逢沢一郎君外五名提出、第百九十六回国会衆法第四二号)

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法及び憲法改正国民投票法を巡る諸問題)


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     ――――◇―――――

細田会長 これより会議を開きます。

 第百九十六回国会、逢沢一郎君外五名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 この国民投票法改正案の質疑でございますが、本日で五回目でございます。この改正案の質疑を通じて、国民投票法の構成要素というものが改めて明確になったのではないかと思っております。それは、すなわち、国民投票法は、まず、投票環境整備など投開票に関わる形式的規定があるということです。それから、もう一つは、国民投票運動に係るCM規制などに代表される投票の質に関する規定、こういったもの、この二つの要素から構成されているということでございます。

 そして、この形式的な投開票を規定する部分は、公選法並びとすることが国民投票法を制定した際に明確に示されていた、さらに、投票の質を規定する部分におきましては、主権の発露である国民投票運動に関わるという観点から、公選法の選挙運動規制とは異なりまして、できるだけ自由にという形で、この基本理念の下で制度設計されていることが確認できたというふうに思っております。

 今回の七項目は、まさにこの投票環境整備など投開票に関わる形式的な規定であって、これを公選法に並べることは極めて合理的であるということがここからも分かってまいりますし、元々の国民投票法を制定したときの精神のとおりだということ、これを改めて確認をしておきたいと思います。

 この際、こういった骨格、国民投票法がどのように成立しているかということを明確にした中で、必要な投票の形式、投票環境の向上は、常に、社会状況の変化に応じてアップデートしていかなくてはなりません。また、同じく、投票の質というのは、また別の次元でしっかりとした議論が必要なことは言うをまちません。引き続きましてのアップデートをしていかなければいけない、このように思っておりますが、この点につきまして、国民投票法案の立案時から御担当いただきました船田提出者の御所見をお願いしたいと思います。

船田議員 今、新藤筆頭幹事から御指摘ありましたとおり、これまでの法案審議を通じまして、一つは、投票運動につきましてはできるだけ自由にという基本理念を掲げながら、また一方で、投開票手続に関する事項については公選法並びにする、国民投票法制定当時の制度設計の思想を維持すべきであるということでありまして、これが改めて共通の認識となっていると私は思っております。

 したがって、七項目案につきましては速やかに成立された上で、その後の公選法改正で既に措置されている二項目についても、今後アップデートしていく必要があると思っております。

 また、CM、ネット規制など、投票運動における投票の質に関わる事項に関しては、繰り返しになりますけれども、表現の自由の保障と国民投票の公平公正とのバランスをどう確保していくか、こういう観点から、慎重に、かつ鋭意議論を行っていく必要がある、このように思っております。

 以上でございます。

新藤委員 ありがとうございました。その方針に沿ってしっかりとした議論を今後も進めていきたい、このように思います。

 そして、本日は、この後に質疑終局、そして採決というものが、ただいま幹事会で合意をされました。大変喜ばしいことだ、このように思っております。

 しかし、今般の七項目案の審議に関しましては、全会派が出席の下で円満に提案理由説明を聴取して以来三年、質疑が開始されるまでに二年半かかっております。その間、憲法審の現場では、採決の合意はもう二年前からなされていたわけであります。しかし、政局的な観点から、国会対策という理由で合意の履行が長期にわたって引き延ばされてきたことは誠に遺憾であって、与野党合意の下での運営ばかりを主張して、政局から離れて国民のための議論を行うという憲法審査会の精神をないがしろにしてきた一部野党の一部の皆様には猛省を促したい、このように思います。さはさりながら、ここに至るまでの与野党幹事会メンバーの努力と辛抱には改めて敬意を表したい、このように思います。

 国民投票法に関する議論は、憲法改正の手続の向上を目指すものであり、憲法本体の議論あってこその手続の議論でなくてはなりません。憲法本体の論議は、既に自由討議の中で各会派の委員各位から様々な意見表明がなされておりますが、CM規制の問題など、国民投票法の次なる議論を進めていくことと併せ、憲法の本体議論を粛々と進めていくべきであることを申し述べまして、私の締めくくりの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

細田会長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党の今井雅人でございます。

 初めに申し上げておきますが、私どもは、既に国民投票法の改正案というのを提出して、これを議論してもらいたいということで言っているわけでありまして、政局でここまで延ばしてきたということでは全くありませんし、そうであれば、その議論を並行してしていただければよかったということでございますので、ただいまの新藤委員の発言には強く抗議を申し上げたいと思います。

 その上で、この国会から私はこの憲法審査会に参加させていただいて、皆さんの御意見を承ってまいりました。今議題にのっております七項目以外のところで、残された課題の二項目、あるいは広告規制の問題、それから外国人の寄附の問題、あるいはネット環境が変わったことによって国民投票法の在り方についての議論というのもあったというふうに思います。新藤委員の方からも、例えば広告に関しては四つの論点にまで今絞られているということで、かなり具体的になってきているわけですね。

 ですから、私どもは、法案も出していることもありますし、ここまで顕在化している問題があるのであれば、まずそれを一緒に解決したらどうなんですかということをずっと提案してきたわけです。今後の課題になることは、今後また議論すればいいんですが、既に顕在化している問題があるのであれば、それは一緒に議論をした方がいいんじゃないかということを申し上げてまいりましたし、今もそう思っているということをまず最初に申し上げておきたいと思います。

 その上で、提出者にちょっとお伺いをいたしたいんですけれども、今私が申し上げましたとおり、形式的に言えば、現行法でも国民投票はできますし、七項目を仮に改正したものでも国民投票を実施することは形式的には可能です。しかし、これだけ課題が残されている以上、実際上、実質上、あるいは政治的には、次の問題が解決するまで国民投票を実施するというのは私はあってはいけないということは、私の意見として申し上げておきます。

 その上でお伺いしたいんですけれども、今回、仮にこの七項目の改正がなされた場合でも、その後に積み残された課題がいろいろあるというふうに今おっしゃられました。今、船田委員が議論を深めていくというふうにおっしゃいましたけれども、私はそれは不十分だと思っておりまして、やはりまず、積み残された二項目に加えて、新藤委員いわく質的とおっしゃっている広告規制、こういうものに関しても、やはり一定の結論をしっかりと得ていくということを今後この憲法審査会でやるべきだというふうに、それをまず優先して、必ずこの問題を議論して一定の結論を得ていくということが重要ではないかなというふうに考えているんですけれども、この点についての提出者の御意見を伺いたいというふうに思います。

中谷(元)議員 今、七項目に関する改正案を審議していただいていますが、提出者としましては、まずは、既に御審議いただいているこの法案に速やかに御賛同いただけるようにお願いしたいと思います。

 そして、御発言のありました、現行の国民投票法下でも国民投票は可能であるという御指摘につきましては、いわゆる三つの宿題に関しまして、一般国民投票を検討項目として明記をしまして、十八歳投票権及び公務員による国民投票運動の一部解禁の二つを解決した平成二十六年の改正によりまして、国民投票を実施することのできる環境は整ったということは御承知のとおりであります。

 その上で、委員の御指摘の論点がこの審査会の場で提示されていることは承知をしておりまして、追加二項目のような投票環境の向上に関する事項については、不断に見直しを行っていく必要があり、また、広告規制、外国人の寄附規制のような投票の公平公正に関する事項につきましては、具体的な問題提起に応じて議論を重ねていくという必要がありますという点は、認識を共有しておりまして、憲法の本体の議論とともに、同時並行的に議論をしていくべきだと考えております。

 したがって、今後、修正案を御検討いただいているようでございますが、このような諸課題について検討するという内容であり、その内容は、新藤幹事、北側幹事のこれまでの審査会の発言と軌を一にしたものと承知をしておりまして、これらの諸課題のうち、何を、いつまでに、どのような形で解決すべきかという点につきましては、今後、審査会において与野党円満に、かつ精力的な議論がなされていくということを期待したいと思います。

今井委員 時間が参りましたので終わりますけれども、私どもは、今既にこの憲法審査会で課題だという共通認識を持っているものを解決しない限り、国民投票を実施するというのはあってはならないということだけ申し上げて、私の質問を終わります。

細田会長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 本法案、七項目の国民投票法改正案について、三年近く前、平成三十年七月五日、趣旨説明が円満に聴取され、本日で五回目の法案審議となりました。

 平成二十八年の公選法改正の際には、七項目を含む計四本の法案について、衆議院で計三回の質疑が行われ、円満に採決まで至り、全会一致して七項目の賛同が得られたことを承知しております。また、この五回にわたる質疑の内容も、七項目に関する事項は出尽くされております。また、その全てに対し、提出者から丁寧かつ明快な答弁がなされたものと認識しております。

 この経緯に照らしても、国民投票法の七項目については、その質疑時間は十分に確保されたものと考えており、速やかな採決を望むものでございます。

 七項目案について、採決に向けた環境整備に向け、両筆頭幹事、幹事、関係各位の粘り強い御努力に感謝と敬意を表する次第でございます。

 この七項目案の採決がされた場合、次の議論のステップに速やかに移るべきであります。

 国民投票法に関して言えば、テレビCMやネット規制の問題をどのように考えるのかという論点であります。

 また、憲法本体に関して言えば、前回の審査会で北側幹事から発言があったように、感染症が全国で爆発的に蔓延し、極めて深刻になった場合、巨大地震の発生で甚大な被害が生じている場合など緊急時における国会の機能の維持、具体的には、国会議員の任期の問題、本会議の定足数における出席の概念の問題など、また、デジタル時代における人権や民主主義の保障といった憲法制定時に想定し得なかった論点が提示されています。

 このような諸課題に対し、同時並行的に取り組むことこそが憲法審査会の責務であり、国民から求められていることであると考えます。

 これに関し、テレビCMやネット規制の在り方については、幹事会のメンバーを中心に検討の場を設けるなどし、論点整理を行った上で、一定の方向性に向かって議論を収れんさせていくという議論の方法論が提示されており、この方法論については、多くの委員において認識を共有しているものと考えます。

 積み残しとなっている公選法並びの二項目や郵便投票の拡大も含め、このような議論のプロセスを経る中で、今後速やかに必要な対応が取られることになるものと期待しているところであります。

 他方で、憲法本体の方の議論については、もちろん、これまでの自由討議の中で様々な議論がなされてきたことは承知しておりますが、より建設的な議論としていくために、その議論の進め方についての工夫も必要になっていくのではないかと思っております。

 この憲法本体の議論の進め方について、憲法審査会の幹事である北側提出者にお考えをお伺いしたいと思います。

北側議員 今お話ございましたように、現在審査をされております国民投票法の七項目の改正案については、もう十分に審議もなされてまいりましたので、是非、本日採決をさせていただきたいというふうに思っております。

 それで、今後の問題についてお尋ねがございました。

 残された課題というのは、一つは、まだ、投票者の投票機会の拡大、利便性の拡大のために残された課題がございます。公選法の方では二項目既に成立をされて実施されておりますし、今お話がありましたとおり、郵便投票の拡大の問題もございます。こうした残された投票する国民の皆様の利便性の拡大のための課題があります。

 さらに、この審査会でもう何度も議論されてまいりましたCM規制の問題がございます。テレビ、ラジオ等の広告規制の問題に限らず、ネット広告についてどのような規制の在り方をしていくべきなのか。これも非常に重要なテーマでございますので、今、大口委員から御指摘がございましたように、このCM規制の問題につきましては、是非とも幹事会で論点整理をしっかりさせていただいて、できるだけ早急に結論が出るようにしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 そして、三点目に、憲法本体の議論でございます。

 これは当然、国会法にも規定があるわけでございますが、憲法審査会の目的がございます。憲法審査会の目的というのは、当然のことながら、憲法の本体について、どうあるべきなのか、また、様々な事象が社会で起こっている中でそれに対応して、憲法上それをどう考えていくべきなのか。いずれにしましても、憲法本体の論議についてしっかり行っていくというのが、我々憲法審査会、国会の役割であるというふうに考えているところでございます。

 これにつきましては、これまでもこの憲法審査会で様々な御意見、御議論がございました。まずは、この憲法審査会を定例日、週に一回でございますけれども、定例日には必ず開催をしていく、そして自由闊達に憲法論議を重ねていくということがとてもとても重要であると思います。かつて、この憲法審査会でいろいろなテーマを決めて論議をしたことがございますが、論議をしていくうちに、与党、野党を問わず、その枠を超えて一定の方向性が見えてくる場面もこれまで何度かございました。是非とも、この憲法審査会で自由闊達に論議を積み重ねていくというのがとても重要でございまして、定例日にはできる限りこの審査会を開くというふうに是非させていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、幹事会で、今の三つの課題についてしっかり論議を進めていくための論点整理等をしっかりさせていただきたいと思っております。是非、皆様の御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上です。

大口委員 ありがとうございました。

細田会長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子です。

 現行の改憲手続国民投票法は、最低投票率もなく、有権者の一割台、二割台の賛成でも改憲案が通ってしまう問題や、公務員、教員の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限していること、資金力によって広告の量が左右される問題など、民意を酌み尽くす上で重大な欠陥を持っています。二〇〇七年の法成立以来指摘されてきたこうした根本的欠陥を脇に置いて、法案を採決することは許されません。

 改定案について質問をいたします。

 提案者は、公職選挙法改定と横並びで投票環境の向上のための法整備と言いますが、本当に向上するのかが問われています。

 四月十五日、提案者は、投票所の削減あるいは投票所閉鎖時刻の繰上げ等が投票環境の悪化につながらないと答弁しましたが、その根拠を具体的に示していただきたいと思います。

 赤嶺議員が指摘をされましたけれども、二〇一六年、公職選挙法改定がありました。衆議院選挙では、二〇〇〇年に五万三千四百三十四か所あった投票所が、二〇一七年には四万七千七百四十一か所へと一割以上減っています。また、閉鎖時刻を繰り上げた投票所は、二〇〇〇年、四千六百四十四か所から、二〇一七年、一万六千七百四十七か所へと増えています。

 明らかに、投票環境を悪化させ、投票機会を低下させていると考えますが、見解を伺います。

 また、提案者は、共通投票所を入れることで投票環境が向上すると言いましたが、共通投票所の実態を見てみますと、ある町では、七か所あった投票所を削減し、三つの投票所に集約をしています。これによって投票所が遠くなる有権者が生まれるなど、むしろ投票環境を悪化させています。

 共通投票所の設置を理由に、投票所を削減、集約することは、逆に投票環境の悪化にもつながりかねないと考えますが、見解を伺います。

逢沢議員 本村議員にお答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、確かに、近年、自治体によりましては、その区域の人口や職員数の減少等によって、これまでの投票所の数を維持することが現実の問題として物理的に困難な場合が生じているということは、私も承知をいたしております。

 しかし、投票権は国民の政治参加の重要な権利でありまして、その行使の機会をできる限り確保するということは大変重要なことであります。

 したがって、各選管においても、有権者にとって投票しやすい環境とは何かを考える中で、職員数や、場合によっては予算の制約等もございますけれども、可能な限り精いっぱい積極的な取組が進められていると理解をいたしております。

 投票所の削減につきましては、投票所の数が仮に減少ということになりましても、その全てを共通投票所として、例えば、駅やショッピングセンター、駐車場が充実をしていて人々が集まりやすい、そういった施設等に設置をするとともに、また、高齢者等に対する投票所までの移動支援などの措置等を組み合わせることで、投票人の利便性の向上を図る、そういった努力も多くの自治体が取り組んでいただいているところであります。

 このように、市町村選管が、一番その自治体、地域の実情をよく理解をいただいております。人の動きや流れを十分理解をし、積極的に受け止め、どこに共通投票所を設けることが最も有効であるか、そういったことに不断に取り組んでいただいているわけでありまして、こういった各自治体の選管の努力を多とし、更に努力をいただけるものと承知をいたしております。

本村委員 予算削減で、自治体任せの下で、投票環境の向上に反する事態が起きているということが問題です。

 時間がありませんので、次に質問をさせていただきます。外資規制についてお伺いをいたします。

 国民投票法の中で、政党は、無料で憲法改定案に対する賛成又は反対の意見を放送、新聞広告できるなど、国民投票運動において特別な位置づけがなされています。

 そうした政党が、株式の五〇%以上を外資が占める企業から政治献金を受領し、外国の影響を受けることは問題だと考えますが、見解を伺います。

 前回質問をいたしました政治資金規正法上の外資規制の問題について、提案者は、上場会社からの、上場審査基準があることを一つの理由として、株式の五〇%以上を外資が占める企業からの政治献金を受領しても、外国の勢力からの影響を受けても、国益を損ねることはないものと判断したと答弁いたしました。

 しかし、上場審査基準は、市場の公正な運営の問題であって、外国の経営支配を直接受けていない証明にはならないと考えます。上場基準をクリアすれば外国の影響を排除できる根拠をお示しください。

 また、株式の五〇%以上を外資が占める大手の上場企業なら外国からの影響を受けず、上場していない小さな外資企業からの献金だったら外国の影響を受けるという根拠を示していただきたいと思います。

井上(一)議員 本村委員にお答えいたします。

 前回の審査会でも答弁されておりますけれども、平成十八年の政治資金規正法改正の趣旨は、証券市場のグローバル化の進展等の社会情勢の変化を踏まえ、外国勢力からの影響の排除を制度的に担保できる日本法人である上場企業に限り、外資企業からの寄附制限を緩和するというものです。

 このような企業から寄附を受けた政党が中心となって国民投票運動を行うことについて、問題が生ずるとは考えておりません。

 上場審査におきましては、事業を公正かつ忠実に遂行していること、コーポレートガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること、企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること等が実態的に判断されることになりますので、不適切な外国の勢力からの影響が及ぶことはないものと理解をしております。

 以上です。

本村委員 説明になっていないというふうに思います。

 最後に、公職選挙法並びだからいいとは言えません。しかも、根本的な欠陥は放置されたままです。にもかかわらず、改憲手続国民投票法案について、菅首相は、改憲議論の最初の一歩と言われました。その認識は全く思慮に欠いたものと言わざるを得ません。

 まだまだ審議は尽くされておりません。審議を継続するべきだということを強調し、質問を終わります。

細田会長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 前回のこの審査会の場で、共産党の赤嶺委員が、世論が十分に盛り上がらなかったとの安倍総理の言葉を引用して、それが国民の答えだと胸を張っていらっしゃいましたが、大事なのは、その後に続く安倍前総理の言葉であります。そこには、国会で議論しなければ国民に広がらないとおっしゃっています。

 まさに国会での活発な憲法論議を抜きにして世論が形成されるものではないと考えますが、馬場伸幸提出者の考えを伺います。

馬場議員 足立康史議員の御質問にお答えをいたします。

 国民の代表機関である国会が、国民の側から沸き起こる議論に誠実に対応することは当然のことでございます。

 しかし、他方で、国会の側から、現在の日本が抱える具体的な課題を解決するため、憲法のあるべき姿について率先して論点を提示し、国民に公開されたこの憲法審査会で議論を行うことで、結果的に民意が形成されていくこともまた当然のことであり、このようなことも国会議員の重要かつ崇高な責務であると考えています。

 現在、我々の日本は多くの難題を抱えています。国会が毎週定例日に憲法審査会を開催し、憲法論議を広く展開していくことこそ民意に応えるものと確信をしているところであります。

足立委員 自民党の提出者の方々に質問します。

 今日は立憲民主党の修正案についても議論してよろしいということで幹事会でお決めいただいたそうですので、立憲民主党の修正案について、自民党に伺います。

 立憲民主党の修正案には、施行後三年という具体的な期限を設けて検討を求める内容になっておりますが、平成十九年に成立した国民投票法の附則に、いわゆるストッパー条項を含む三つの宿題が設けられていた経緯を踏まえ、平成二十六年改正においては、その期限は既に撤廃をされております。

 今ない期限をあえて新たに設けることが、憲法改正に向けた国会の発議権を制限されているとの誤解を招きかねないと私たちは考えますが、自民党の見解をお教えください。それが一点。

 もう一点は、そうした誤解を避けるためにも、憲法審査会が立憲民主党による修正案の措置が講じられるまでの間に改正案の原案の審査を行うことを妨げるものと解してはならないという修正案の修正をすべきと我が党は提案していますが、こうした修正案の修正がなくても憲法の発議権が制約されていないことが立憲民主党との間でどう担保されたのか、その経緯を御紹介ください。

 以上です。

中谷(元)議員 今日、修正案を提出されるということでありますが、この中の、「三年を目途」ということが明記されているわけでありますが、これは検討期限についてのめど、目途ということでありまして、確実に三年で結論を出さなければならないというものではありません。

 また、その内容につきましても、投票環境の整備に関する事項、そして投票の公平公正に関する事項については、「検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずる」というものでありまして、このため、憲法本体の議論や改正の発議を妨げるものではないと考えております。

 このような解釈は、他の検討条項の立法例からも明らかなものだというふうに考えております。

足立委員 中谷提案者に重ねて問いますが、今おっしゃったことについて、立憲民主党との間でその点を確認できたと承知していません、我々は。されているのであれば、いつ、どこでされたのか、お教えください。

中谷(元)議員 その点につきましては、新藤筆頭幹事と山花幹事の間で議論をされておりますので、その中で確認されていくものだと思っております。

細田会長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。

 ちょっと事前に通告した質問とは違うことになりますが、お許しください。

 立憲民主党から突然の検討条項の修正案が出てきまして、しかも、なぜかこの修正案の質疑の機会がございません。先ほどの幹事会でも、立憲民主党から、是非この修正案についてその内容、その意図するところを国民に伝えたい、だから質疑をしてくれという申出もありません。むしろ、幹事会では、自由討議を今日やらなくていいのではないかというような話も出てくる中で、極めて、この修正案について、私自身、質問したいことがたくさんございます。でも、時間の関係もありますので、二点、北側委員にお尋ねをし、もし可能であれば、自民党の側からもこの二点についてお答えいただければ幸いです。

 まず、北側委員へ。

 一点目ですけれども、今回の修正案、これは検討条項に、「国は、この法律の施行後三年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」というふうに書いてあって、その内容は、これまでの二項目、あるいはCM規制や、外国人寄附規制や、インターネットの国民投票運動などということになっています。「その他」もついています。

 お伺いをします。

 この一点目ですけれども、私自身は、この「検討を加え、」という、検討を加えるのは速やかにやるべきだと思っています。その上で、「必要な法制上の措置その他の措置を講ずる」というこの措置については、順次可能なものだというふうに思っております。

 なぜなら、この投票法の手続の問題というのは、本当に、インターネットの世界的な潮流を踏まえて、何か全部議論がし尽くされて、パッケージで全てを改正するというのは事実上難しいものだからです。繰り返し言われてきたように、本当に不断の見直しが必要なものなので、しっかりと検討した上で、解決が見えたものについては順次必要な措置、立法上の措置が必要であれば立法上の措置、運用の改善が必要であれば運用の改善、そういった措置を順次取ることが可能であるというふうに読みますけれども、その点についてのお答えを一点お願いします。

 あと、二点目なんですけれども、これは言うに値しないとは思っておりますが、この修正案が仮に成立しても、本体議論、本体の憲法議論の機会を法的にも政治的にも狭める効果を持たないし、持つべきでもないという認識ですけれども、その点もいかがでしょうか。

北側議員 山尾委員にお答えをいたします。

 まず、第一問目でございますが、全くおっしゃっているとおりでございます。

 今回の立憲民主党の方から出てまいります修正案、附則の第四条でございますが、これにつきましては、私は提出者じゃもちろんございませんけれども、その他の法律でもこのような検討条項の書き方というのはたくさんございまして、一般的に当然解釈ができるわけでございますけれども、まず二つの点について検討をすべしということで上がっております。

 一つは、投票人の投票に関する環境を整備するための事項、これについては、今すぐにでも、これは公職選挙法の方では、残された二項目について既に成立をし、実行がなされているわけでございまして、これは直ちにでも、この国民投票法の改正についてはできるというふうに思いますし、また、その後、また郵便投票の問題も、郵便投票の拡大の問題も議論がなされておりまして、これについても公選法の方で改正がなされるならば、当然、公選法並びで国民投票法も直ちに改正をしなければならないというふうに思っています。

 投票環境の向上という意味では、おっしゃっているとおり、この後もまだまだ次から次へと、投票環境を整備するためにこういうことをやりましょうというのは提案されてくるわけでございまして、その都度、当然、議論をし、公選法並びの改正をしていくべきと思います。

 それともう一つは、国民投票の公正公平を確保するための改正でございますけれども、これについては、特にCM規制の問題、このCM規制の問題については、これまでも、この三年間の間に当審査会でも様々な御意見、議論はしてまいりました。是非、これからも積極的にこのCM規制等の在り方についてしっかり憲法審査会で議論をさせていただいて、施行後三年と言わず、できるだけ早く論点も整理をして、そして一定の結論を出していきたいというふうに思っているところでございます。三年というのはあくまで目途でございまして、三年内に完了しなければならないということではありませんが、できるだけ早く政党間の合意を得て実行していきたいというふうに思います。

 二点目の御質問は、この改正案について、この改正案が通るとそもそも本体議論の機会を失うのではないか、いや、そんなことはあり得ないという御質問だと思います。全くそうでございます。

 この第四条に書いてございますのは、「検討を加え、」でございます。ですから、この憲法審査会を中心に、先ほど申し上げた事項等についてしっかり議論をする、検討を加えて、そして、必要な場合、必要というふうに判断する場合には、法制上の措置その他の措置、場合によっては法制上の措置に限らず、例えば自主規制等の法制上の措置を取らずにやる場合だってあり得るわけでございまして、そうした法制上の措置その他の措置を取っていくということでございまして、これ自体は、先ほど冒頭申し上げたとおり、ほかの法律にもこのような規定の仕方は幾らでもあるわけでございまして、この規定があることによって憲法本体の議論ができないということは、全くこれはあり得ない。憲法審査会の目的というのは、国会法の百二条の六に規定がされておりますけれども、当然、憲法本体の議論について並行してやっていくということになるかと思います。

 以上です。

中谷(元)議員 自民党側ではありますが、やはりこの憲法審査会というのは、国民投票法についても憲法改正についても、審議、同時並行でできるという審査会であります。

 修正案につきましては、二階幹事長と福山幹事長の下で協議されておりますが、二階幹事長といたしましても、検討を進めるということと、また、与野党協力の下に憲法審査会を安定的に開催をして国民のための憲法議論を粛々と進めるという発言をされております。

 したがいまして、検討条項の例示がされたわけでありますが、これをもってこの本体の議論について縛るということにつきましては、本来の発議の提案も縛られないというふうに我々は理解しております。

山尾委員 ありがとうございました。

 特に、本体の議論の機会、失うのか、いや全くあり得ない、同時並行ということで両党からいただきました。

 また、投票環境の向上については、次から次へと課題が起こるのでその都度改正すべし、投票の公正確保については、施行後三年と言わず、これはあくまでめどなので、できる限り議論をしっかりして早く解決をしようという認識をいただきましたので、大変重要な答弁をいただいたと思っております。

 以上です。

細田会長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

細田会長 この際、本案に対し、山花郁夫君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。奥野総一郎君。

    ―――――――――――――

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

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奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 ただいま議題となりました日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 原案は、平成二十八年の改正公選法による投票環境の向上を図るための措置に倣った七項目の法整備を行うものですが、令和元年の改正公選法により、投票環境に係る二項目の追加改正が行われ、既に施行されているところです。

 また、従来から申し上げているとおり、スポットCMの扇情的な影響力や、インターネット広告も含めCMに投じる資金の多寡が投票結果に与える影響等を踏まえると、CMや運動資金などについて一定の規制が設けられなければ、公平公正な国民投票の実施は期待できません。これらの点その他国民投票の公平及び公正を確保するための措置については、令和元年に旧国民民主党から提出された国民投票法改正案において、一定の措置を講ずることを定めたところですが、この法案の審議はいまだ行われていません。

 このような積み残しの課題についても、早急に具体的な検討を開始し、一定の結論を得る必要があると考え、本修正案を提出した次第であります。

 以下、本修正案の内容について御説明申し上げます。

 国は、この法律の施行後三年を目途に、追加の二項目を始めとする投票人の投票に係る環境を整備するための事項及び国民投票運動等のための広告放送やインターネット有料広告の制限、運動資金規制、インターネットの適正利用の確保を図るための方策その他の国民投票の公平及び公正を確保するための事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

細田会長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

細田会長 この際、本案について、国会法第百二条の九第一項において準用する同法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。武田総務大臣。

武田国務大臣 ただいま意見の聴取の求めがありました日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、政府としては、国会における御判断を尊重し、適切に対処してまいります。

    ―――――――――――――

細田会長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、与党提出の国民投票法改定案及び修正案に反対の討論を行います。

 与党案に反対する第一の理由は、安倍前首相が二〇二〇年と期限を区切って改憲を主張する下で、改憲議論に進む呼び水とするために提出されたものだからです。

 自民党は、四年前の安倍前首相の号令の下、改憲四項目を策定し、これを審査会に提示し、改憲原案のすり合わせをしようと画策しました。野党が安倍改憲に反対する下で、自民党は審査会を動かそうと突如与党案を持ち出してきたのです。

 しかし、この三年間、安倍政権が改憲を叫べば叫ぶほど、安倍改憲に反対する国民世論は大きくなりました。安倍氏自身が、退陣に当たって、国民的世論が十分に盛り上がらなかったと認めたとおりであります。

 にもかかわらず、菅首相がまた、国民投票法改定案の成立を改憲四項目の議論を進める一歩とすると述べていることは、看過できません。

 国民は、今、憲法改正を政治の優先課題とは考えていません。今政治がすべきは新型コロナ対策に全力を挙げることであり、改憲を優先する必要は全くありません。

 第二に、与党案は国民投票法が持つ根本的な欠陥を放置していることです。

 現行の国民投票法は、最低投票率の問題や公務員の運動を不当に制限している問題、資金力の多寡によって広告の量が左右される問題など、民意を酌み尽くし、正確に反映させるという点で重大な欠陥があります。これらの問題は、二〇〇七年の法制定時や二〇一四年の改定時にも国会の附帯決議で指摘され、与党も賛成したものであります。この根本問題にこそ真摯に向き合うべきであり、これを脇に置いたまま、七項目のみを採決することは許されません。

 さらに、この間の審議で、公選法並びで本当に民意を酌み尽くすことができるのかという問題が浮き彫りになりました。公選法も含めて、今の選挙制度に問題があるということにほかなりません。国民の意思を正確に反映する制度の在り方へと抜本的に見直すべきです。

 なお、修正案については、有料広告の在り方などの問題について三年間検討するというものですが、それをもって欠陥を放置したままの与党案を採決してよいということにはなりません。審議は続行すべきです。

 ましてや、この問題を済んだことにして、改憲四項目の議論に入ることなど、断じて認められません。安倍、菅政権による改憲策動を断固として阻止する決意を申し上げ、反対討論とします。(拍手)

細田会長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 私は、日本維新の会を代表し、立憲民主党による修正案に反対、修正部分を除く原案に賛成の立場から討論します。

 国民投票法改正案の原案については、私たち日本維新の会も提出者であり、直ちに採決し、速やかな成立を図るべきであることは再三申し述べてまいりました。そうした観点から、原案に賛成であることは言うまでもありません。

 他方、立憲民主党の修正案は、現在の国会が将来の国会に対し、施行後三年という具体的な期限を設けて検討を求める内容になっており、その間は憲法改正に向けた国会の発議権が制限されているとの誤解を招きかねません。

 そうした観点から、私たちは、立憲民主党が提案する修正案に第二項を追加し、「前項の規定は、憲法審査会が同項の措置が講ぜられるまでの間に日本国憲法の改正案の原案の審査を行うことを妨げるものと解してはならない。」とする修正案の修正を提案してまいりましたが、実現を見ておりません。

 そうした中で、先ほど与党からも、同様の検討条項はほかにも例があるということが再三述べられていますが、私たちが調査した結果、平成二十六年の改正によって国民投票法に係る期限は撤廃されており、また、ほかの法律についても、経過措置あるいは施行の状況を踏まえる等、政府が関与するもの以外に国会が国会を縛る規定は存在しません。

 そうした観点から、私たちは立憲民主党の修正案に反対するものであります。

 以上です。

細田会長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。

 私たちは、修正案に賛成、修正部分を除く原案にも賛成をいたします。

 私たちがとりわけこの修正案に賛成する理由を述べたいと思います。

 本来、不要なものです。もう繰り返し、こういった議論を続けるということは、ただただ見えない場所での口約束ではなくて、この審査会の場でしっかりと自民党にも公明党にも発言をしていただいていますし、それは議事録にしっかりと残っています。

 しかも、今回、修正案ですけれども、私は、修正案を出されるなら、先国会から突然持ち出されたあの投票所の時間帯のことを修正されるのかなと思っていました。その修正はないということなので、ちょっとよく分からないんですけれども。

 ただ、今回出てきた検討条項、突然出てきましたが、一生懸命検討させていただきました。懸念もありました。しかし、先ほど自民党、公明党からの認識で、私ども国民民主党もその認識を同じにしていますので、その認識に立って賛成をしたいと思います。

 その認識というのは、まず一点、やはり、この検討するとされた事項、そしてその他の事項については、とりわけ投票環境の向上は、次から次へと課題が起きるので、順次その都度改正すべきということ、そしてまた、CM規制等については、しっかりとこれからも速やかに議論をして、施行後三年と言わず、解決できるところからできる限り早く解決するべきだという立場に立って、これに賛成をしたいと思いますし、もう一点、言う必要もないと思いますけれども、この修正案が成立することによって、憲法審査会における憲法本体の議論の機会が何ら狭められるものでもないし、狭めるような法的な効果、そして政治的な効果を持つものでもない、こういう認識に立っております。

 最後に、余分なことを申しますけれども、今、福山幹事長の発言として、今回、二階幹事長が我が党の修正案を全面的に受け入れていただいたことに感謝申し上げ、高く評価したいとコメントをしたという紙をいただきました。

 私たちは、何か修正案を全面的に受け入れたわけではありません。正直、政局に利用したり支援者向けのパフォーマンスにうんざりしておりますけれども、やはり、憲法審査会という場を何とか建設的に、何とかこの左右の差を埋めて前に進めていくために、ぐっと我慢をしておつき合いをしているというのは、多分私どもの党だけではないというふうに思っております。

 是非、今後とも、この憲法審査会、こういった形で投票法が通るということでしたら、しっかりと建設的な議論の場にしていくということを改めて誓いを申し上げて、賛成討論とします。(拍手)

細田会長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

細田会長 これより採決に入ります。

 第百九十六回国会、逢沢一郎君外五名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山花郁夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

細田会長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

細田会長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する憲法審査会報告書の作成につきましては、会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細田会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

細田会長 次に、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法を巡る諸問題について自由討議を行います。

 この際、委員各位に申し上げます。

 発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。また、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 なお、幹事会の協議により、一回当たりの発言時間はおおむね五分といたします。委員各位の御協力をお願いいたします。

 発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立てください。

新藤委員 ただいま、この国民投票法改正案、七項目案の採決を行ったことは誠に喜ばしいことでございまして、審査会の責任を一つ果たせたという意味において、運営に当たる筆頭幹事として、与野党の幹事会メンバーの御理解と御協力に感謝を申し上げたい、このように存じます。

 そして、手続法たる国民投票法の改正案が採決されましたが、これまでも再三にわたって私自身も申し上げておりましたが、国民投票法のアップデートは常に必要です。そして、公職選挙法では二項目が既に改正されておりますので、これをどう反映されるか。これは、ただいまの立憲が出された修正案の中にもそのことを御提案いただいて、私どもが言っていることと同じことを言っていただきましたので、これを当たり前のこととして進めていく。さらには、CM規制等につきましても、これはもう再三にわたって、これまでも議論が始まっておるわけでございますから、これに検討を加えるのは当然のことだ。

 あわせて、この憲法審査会の目的でございます憲法の本体の論議、そして、その改正の手続たる国民投票法、この二つはセットであって、この憲法審査会の設置そのものです。ですから、この議論がより活発に進むこと、これを期待しますし、私も与野党が安心して議論ができるように心がけていきたいと思っております。

 そして、この自由討議は、もう本日で十回目でございます。海外視察の報告をきっかけにして、私どもは自由討議をもう十回重ねてきているわけであります。そういう中で、最近におきましては、緊急事態条項の必要性については、たくさんの方から御意見をいただくようになりました。新型コロナウイルスの感染蔓延という事態に直面している現在、改めて問題提起をしたい、このように思います。

 まず、時々聞こえてまいります、憲法に緊急事態条項がないから私権制限ができない、この点につきましては、現行憲法下におきましても、公共の福祉、これは憲法十三条でございますが、この公共の福祉のための必要かつ合理的な私権制限は可能でありまして、感染症予防法などの現行法に私権制限の規定が既に設けられていることは理解しておかなければならないと思います。

 その上で、憲法改正を論議する事項といたしましては、例えば、コロナ禍の行方によっては選挙が実施できない事態もあるわけであります。国会議員の任期延長は、憲法改正でなければ対処できません。また、衆議院議員の任期満了時に参議院の緊急集会が開会できるか否かも、解釈上の疑義があります。憲法上、参議院の緊急集会は衆議院の解散時に限定されるからであります。

 そして、本会議の定足数問題も、コロナ禍で現実味を帯びてきています。リモート出席やリモート投票が認められるかについては、なお見解が分かれており、これらは国会機能の維持の観点から早急に議論すべき論点ではないでしょうか。

 こうしたリモートなどの措置を講じた上でも、それでもなお国会が十全に機能しない場合もあり得るわけでありまして、その際の内閣が一時的に国会の立法機能を代替する仕組み、いわゆる緊急政令の制度も、整備について早急な議論が必要だと私は考えております。

 このように、緊急事態への対応は、我が国にとって極めて優先度の高い憲法改正のテーマであり、私ども自由民主党は、このことを議論のたたき台として条文イメージ案を提示しております。現在の案は、コロナ禍が発生する以前に取りまとめられたものでありまして、基本的に大規模自然災害を念頭に置いた規定でございます。感染症蔓延事態のようなこうした事態も加えた議論が必要だと考えておりますし、本会議の定足数問題などもきちんと議論をしなければなりません。

 さらには、海外の調査で明らかになりましたが、諸外国憲法の緊急事態条項においては、自国への武力侵攻への対応なども規定していること、これは明らかであります。

 いずれにしても、憲法における緊急事態条項をどうすべきかは国民の大きな関心事でありまして、最近の報道各社の意識調査では特にそれが顕著に表れるようになっております。憲法審査会としての、国民の期待に応えて様々な観点から議論を深めていかなければならない、このように考えております。

 また、日本国憲法は、占領下という主権がない状態で制定されたために、国民をどのように守るのか、誰が守るのかという主権国家の最も根幹的な役割が明確になっておりません。どのようにして国民の生命、身体、財産を守るのか、それが基本法たる憲法に規定されていない、そういう状態でございます。

 このような七十五年前に遡る特殊な歴史的経緯を背景に、現在に至るまで憲法が国民を守る規定を欠いていることは極めて不自然であって、現に保持している自衛隊という実力組織を憲法に規定することは当然のことではないか、私はそう考えております。

 この現状は、法治主義、立憲主義の観点からも大きな問題がございます。これまでの九条一項、二項は変えず、その解釈も維持した上で、自衛隊を憲法にきちんと位置づけることは、大いに意義あることではないでしょうか。

 私たちが提示している四項目はもとより、議論していくべき論点はほかにもたくさんこの自由討議の場で示されております。

 憲法審査会の設置目的を改めて申しますが、憲法本体の議論を行うこと、そして憲法改正手続である国民投票法の審査を行うこと、この目的を果たすために、与野党協力の下に憲法審査会を安定的に開催し、国民のための憲法論議、これを深めていく、その議論を進めていく、これは私たち憲法審査会に課せられた責任だ、このように考えております。

 国民投票法改正案の採決は大きな成果でありますが、一つの通過点でもあります。国民のための憲法論議を更に粛々と活発に進めていくことを改めて確認をし、そして、皆さんと一緒にこの議論をしていきましょうとお願いを申し上げまして、私の意見といたします。

 ありがとうございました。

奥野(総)委員 自由討議で発言の場をいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、いろいろ先ほど発議者のいない中で答弁を行われましたが、全然すり合わせがなされていない勝手な答弁だというふうに思います。提出者は我々、山花さんと私でありまして、提出者の意思というのがまず尊重されるべきではないでしょうか。ということで、何点か申し上げたいと思うんですよ。

 それで、まず、「施行後三年を目途に、」と言っていますが、これは、三年以内に措置を講ずるものとするですから、三年以内にきちんと検討して答えを出せ、法制上の措置が必要なものはちゃんと法律改正を三年以内にしなさい、こう国を縛っているものであります。

 国を縛る例がないと言いますが、こんなものは幾らも用例があって、法令上当たり前の措置でありますから……(発言する者あり)では、後でやりましょう。今、生殖補助医療の関係とか、いっぱいあるんですよ、こんなの。幾らでも用例があります。三年以内にやらなきゃならない、これは、法律は当たり前。法律をやったことがないからそういうことを言うんですよ。当たり前の書き方なんですね。それで、三年以内にやってくださいということであります。

 それで、速やかにという声もありましたが、速やかにというと、時期がはっきりしませんから、そのままたなざらしになるおそれがあります。ということで、三年というのは非常に合理的な期間、きっちり議論をするにはこのぐらいかかるだろうと。もちろん、議論が進めば三年以内に終わってもいいということで理解をしています。

 それから、検討事項として二つありますが、一つは投票環境の整備ですが……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。公選法並びの二項目、「その他必要な事項」ですから、例えば、まだ、今議論がされている郵便投票とか、この間、道下議員からあった、コロナ禍の投票をどうするんだとか、そういったものについても議論を加えるということになります。二項目だけじゃなくて、「その他必要な事項」ですから、例示ですから、広く議論ができるということになります。しかも、検討を加え、法制上の必要な措置ですから、一〇〇%公選法横並びでなくてもいい、こういう解釈になります。

 それから、二号の公平及び公正を確保するための事項ですが、これは、反対解釈として、少なくとも今の国民投票法、これはずっと私は言ってきたんですが、公平及び公正性が欠けているんじゃないか。例えば、資金に飽かせて大量のCMをする、お金のある人は、意見、例えば外国政府なりが投票結果を左右するんじゃないか、こういうおそれがあるわけですよ。

 だから、その欠けている公平さを確保するために措置を求めているわけですから、この措置がなされるまでは憲法改正の発議はできない、こう解するべきであります。(発言する者あり)では、不公正な結果が出てもいいんですか。公平とか公正を欠いたままで国民投票をしていいとは到底思えませんから、まずはこれをきちんとしないと発議はできないということだと思うんですね。だから、まずは議論をしっかりやっていくということであります。

 そして、この二号の中身として挙げているのは、CM規制であり、それから運動資金ですね。運動資金は、そもそも旧国民時代に玉木代表と我々が話し合って作っていただいておりまして、山尾さんもケンブリッジ・アナリティカと、ちょっと舌をかみそうだけれども、盛んにおっしゃっていますから、皆さん御賛同いただけると思います。資金の見える化とかCMの総量規制とか、こうしたものなしに国民投票は実施できませんよ。まずこれを改正する、検討をして必要なところを改正するということであります。

 ハの部分は、ネットで誹謗中傷とかはしちゃいかぬと、当たり前のことを書いてあるわけであります。

 「その他必要な事項」、これもありますから、念頭に置いているのは、我々が出している、原口さんと私が提出者になっている旧国民法案ですね。山尾さんは国民に当時いらっしゃらなくて立憲にいらっしゃって、我々は当時国民にいたんですが、そのときに出している法案。これはずっと並行審議を求めてきましたから、その中身についてやはり、これだけじゃないんですよ。投票日に運動をやっていいのかとか、衆議院の解散時に運動をやっていいのかとか、いろいろあるわけですよ。そういったことも含めて、きちんと検討して結論を出していくべきだと。余り広げるといけませんから、少なくとも我々が出している法案の論点についてはという意味で、ここに書かせていただいているところでございます。

 以上が提出者の意思ということで、重く受け止めていただきたいんですね。これをベースにこれからの議論をやっていくということだと思います。

 それから、もう一点、最後になりますが、下村政調会長が憲法記念日の三日の日に、報道を読み上げると、改憲派の集会に出席して、党改憲案の一つである緊急事態条項創設の実現を訴える中で感染症拡大を緊急事態の対象に加えるべきだと述べ、今回のコロナを、ピンチをチャンスとして捉えるべきだと語った、こう言っているんですね。

 これはちょっとひどいんじゃないですか。コロナの政治利用、火事場泥棒なんという非難が殺到していますが、ちょっとこれはひどい。是非、この発言は撤回……(発言する者あり)でも、いいと思いますか、この発言。ピンチをチャンスにって、余りにひどいじゃないですか。これをやはり、ちゃんと皆さん、撤回を政調会長にさせてくださいよ。

 正直、そこまでして強引に改憲をしたいのかということなんですよ。私権の制限には慎重であるべきだし、慎重な議論が必要ですよ。緊急政令とさっきおっしゃったけれども、そんなものはとんでもないと思いますよ。極めて慎重な議論が必要なのに、こんなことを言うのは、だから信用できないんですよ。

 それから、オンライン審議についておっしゃっていましたが、これも実はすぐできるんですよね。憲法五十六条の出席を、解釈によってオンラインでも可能だということを認めればよくて、東京大の宍戸教授もおっしゃっています。この間、日経に書いていますし、私も直接話を伺ったことがありますが、憲法には三分の一以上の出席を定足数として定めているが、同じ議場に集まることまで憲法が要求するものではないと考えることもできる、議長のコントロールが及び、会議に参加しているのが公開されていれば、本会議場にいなくても出席とみなす、議院規則で定めてもよいのではないかと。

 これをやれば、別に改正なんかしなくても、明日からでもできるんですよ。かえって……(発言する者あり)それは解釈変更すればいいじゃないですか。かえって改正することで延びるわけです。実現を妨げていると思います。改正に前のめりはよくない。

 ということで、焦って改憲の議論を進める必要はない、まずは、国民投票法の抜本改正、公平、公正性を担保する抜本改正が必要だと申し上げて、ちょっと長くなりましたが、私の発言としたいと思います。

 以上です。

國重委員 公明党の國重徹です。

 まず、修正案について、今、奥野幹事から御発言がございましたけれども、これに関して、新藤幹事にお伺いしたいと思います。

 修正案の読み方として、検討は速やかに、その上で、措置は順次その都度すべき、施行後三年と言わず、できる限り早く措置すべきということで認識をしておりますけれども、先ほど奥野幹事は、独自の見解を披露されたのか、共有の認識を発言されたのか分かりませんけれども、これについて、新藤幹事の御見解をまず一点お伺いしたいと思います。

 その上で、新型コロナの感染拡大という現状を踏まえて、今後の審査会で議論すべき点について、私見を簡潔に述べた後、山花幹事と赤嶺委員に御見解をお伺いしたいと思います。

 まず、先月十五日も述べたとおり、感染の更なる拡大によって、国会議員の多くが国会に出席できなくなるおそれもあり得ることなどから、オンラインでの国会出席の可否に関し、憲法五十六条一項の出席概念について早急に議論、整理する必要があると考えます。テレワークも含め、人の移動、接触をできる限り抑えることを国民にお願いしているにもかかわらず、立法府ではオンラインでの国会質疑が可能かどうかについてさえ議論されていないというのでは、国民に顔向けができません。

 また、衆議院議員は、憲法四十五条に任期が四年と明記されておりますので、仮に感染症の爆発的な蔓延によって国政選挙の実施が困難となった場合には、任期満了により衆議院議員はその地位を失い、不在の状態が続くことになります。この点、参議院の緊急集会の存在を指摘する意見もありますが、憲法五十四条二項で、衆議院が解散されたときに召集されるものと規定されていることから、任期満了の場合にも対応できるかは、少なくとも議論が必要です。

 このような、コロナ禍を始め国家の危機時における国会機能の維持について、先ほど新藤幹事からも発言がございましたけれども、本審査会でも、議論すべきとの意見が多く述べられております。しかし、私の知る限り、山花幹事からは、この論点を議論すべきという積極的な見解は現在のところ述べられておらず、また、赤嶺委員からは、改憲原案の作成を任務とする憲法審査会は動かすべきではない旨の見解が繰り返し述べられています。

 もちろん、国会議員として、憲法改正に対するスタンスが異なることは当然であります。しかし、最終的な憲法改正の是非は別として、コロナ禍という現状に鑑み、少なくとも、問題意識を共有し、条文の解釈を整理する議論は必要不可欠ではないでしょうか。

 感染症の蔓延その他の緊急事態によって、いつ国会が機能不全に陥ってしまうかは分かりません。そのときに、緊急事態だからということで、議論もなく超法規的に対応してしまうような態度は、立憲主義に対する挑戦としか言いようがありません。必要な議論をあらかじめ真摯にしておくことこそ、本審査会の重要な責務であり、立憲主義を守ることにつながるはずです。

 そこで、山花幹事と赤嶺委員に、実際に憲法改正につながるかどうかは別として、国会議員の出席や任期に関する条文の解釈を整理する議論を早急に開始するべきではないか、御見解をお伺いしたいと思います。

新藤委員 ただいま國重委員から御質問いただきました今回の修正案の法的解釈、また私たちの受け止めでございますが、そもそも、今回の立憲がお出しになられた修正案は、私どもがこの憲法審査会で申し上げていたことを、それを反映させた内容だ、このように思っております。

 そして、二項目については、公選法で施行済みのものを反映させるのは当たり前のことですし、CM規制はもうやりましょう。私は、CM規制の論点整理まで、メモまでお出ししているわけですから、これをやっていくのは当然であります。

 そして、大事なことは、これが附則という追加の部分の検討条項として出ているということです。ですから、これは所要の措置を講じるか否かも含めて検討していくということ、これは先ほど北側先生や皆様からも、山尾さんからも整理してもらいましたけれども、そのものであって、議論を進めましょうというものでしかないということでございます。

 それから、そもそも、修正案においては、憲法の本体論議の関係は一切書かれていないんです。憲法論議はやりませんなんて、どこにも、修正案に反映されていないんです。それから、旧国民の国民民主案についても、先ほど、どなたかお話ありましたが、これは修正案にどこにも書いていないですよ。

 ですから、あくまでこれは憲法審査会としてやるべきことをきちんと検討事項としてくれということだから、それは検討しましょうと。もちろん、何らかの必要な措置を取る、それは法制上の措置とその他の措置ですから、法制とは限らないわけです。

 そういうことをいろいろ要素を含みながら、そして私は、このことは筆頭間の打合せをするときに、この法的解釈はこういうことだねというのは私からきちんと申し上げております。山花代理、また立憲の方からは違う解釈がお話もされておりますし、先ほど、提出者の意思だと言いましたね。意思で法律は動かないですね。法律の中身はきちんと法的に解釈されて執行されるものであって、私は、ですから、議論を阻むことは一切考えていません。議論しましょうと。積極的に議論しましょう。ですから、来週も憲法審査会を開こうと言っているんです。これを開きましょうと。今日のこの自由討議も、決められたことなんですからやりましょうと。

 そのことを進めていけばいいだけのことでありまして、これは何らこのことで縛るものではありませんが、しかし、ただいま憲法審査会として優先的に議論すべきことではないんだ、国民投票の環境整備と質の向上、そして憲法の議論を深めていく、このことを整理された修正案だとするならば、それは私たちみんなで共有して議論を進めていこうじゃないか、こういう整理を私はして、合意したわけでございます。

山花委員 國重委員の御質問にお答えする前に、まず一つ、当審査会の権限ですが、憲法改正の原案について検討するという権限もございますけれども、調査権限も併せて持っております。

 この間、私どもも、例えば芸術に対する補助金交付の在り方であるとか、あるいは改ざんだとか隠蔽が続く中で国政調査の在り方等々、実際の運用について議論すべきではないかということも提起をしてきたところでございます。何か、本体の改正ということとなると皆さん元気になられるんですけれども、現行憲法がちゃんと運用されているかどうかということについて極めて消極的なのは大変残念に思います。

 さて、その上で、國重委員から、オンラインでの、オンラインでのというか、出席という概念と任期のことについて御指摘がございました。

 実は私も、かつて、憲法調査会の時代だったかと思います、任期についてはこれは憲法事項ですからということの発言があったと記憶をしております。なんですが、最近、やはり立法事実というのをちゃんと確認をしていかなければいけないという姿勢は、これは党としても共有してきたところです。

 少し違う例からお話ししたいと思います。

 先ほど総務大臣がいらっしゃいましたけれども、それこそ今まさに地方議会で、コロナが非常にはやっているのでということで、質問時間を短くしたりとか、あるいは傍聴を限定したりとかいうことが、委員の先生方の御地元でも起こっているんじゃないでしょうか。

 ただ、これは、私はこの中で気がついたんだけれども、実際の運用のことを前提にして例えば地方自治法を語ってしまっていたりであるとか、今回の話もそうなんですけれども、法律を前提にして、今の運用を前提にして憲法のことを説明してしまっていると、ちょっと論理的に逆立ちしているような気がします。

 というのも、例えば、市役所や村役場の三階や四階のあの場所が本会議場でなければならないなんということは、地方自治法には書いてありません。条例にも恐らく規定していないはずです、私が調べた限りでは。知事であるとか市長がここだと言って招集すれば、市の体育館でもできるはずなんですよ。ところが、今の運用を前提にして、いや、密になるからできないんだみたいな話をしてしまっているような気がしております。体育館であれば、傍聴人だって制限しないで、密にならないでできますし、空気を通してということもできると思います。

 今の出席の話は、まさに今の国会での運営、議運でのルールというのを前提にして、例えば今の採決方法についても、本会議場で、そのときに議題が報告をされて、委員長が報告をして、その場で採決をするという方法を前提にしているので、非常に困難に思えます。外国でオンライン等の投票ができるような例を見ますと、例えば一定の期間内に議場にいればいいであるとか、そういった工夫がされているということもございますので、そうしたことをやってもなおかなわないのかどうかということについて、私は確信が持てません。

 任期の点についても、選挙のやり方も、今のように、この日が投票日だと決めて、今は期日前、随分緩くなりましたけれども、昔はそう簡単にできませんでした。例えば郵便投票等々、今御議論がありますけれども、そういった方法などをやってもなお本当に選挙ができないのかどうか。

 つまり、今のことを前提にして語ってしまっているような気が私はいたしますので、そうした事実をちゃんと積み上げていった上で、それでもどうしてもやはり駄目なのだということであれば、それは議論のテーマにする価値はあると思いますけれども、現時点では私自身はそのような確信を持っていないということでございます。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 公明党の國重議員の質問の趣旨は、コロナ禍の中での国会の在り方、憲法の在り方、緊急事態という議論の文脈の中で出ていると思いますが、私たちはそういう文脈の下での議論は必要ないと思います。

 これには根拠がありまして、実は、四月二十六日に日経新聞が世論調査をしているんですが、トップが七一%で新型コロナウイルス対策なんですね。新型コロナウイルス対策が必要だからといって、では、それを憲法と結びつけているかというと、この調査では、憲法については僅か八%なんですよね。下位中の下位なんですよね。国民は誰もコロナ対策で改憲を求めているものではない。

 読売新聞が非常に興味深い解説を出していたんですが、読売新聞の世論調査で、憲法を改正して政府の責務や権限に関する規定を条文に明記する、五九%。非常に高いですよね。それについて読売新聞がどんな解説をしているかというと、「政府のコロナ対策への不満が、現状の対応では限界があるとの認識につながっているようだ。」政府のコロナ対策をきちんとやれば、裏を返せば、こういう数字なんか出てこないんですよ。

 大事なことは、コロナ対策をきちんとやること。医療を放棄して、そしてPCR検査も世界で国際的にも最下位の方で、こういうような事態を、コロナ対策を曖昧にして、国会議員が、憲法を変えよう、緊急事態をやろうというものでは決してない。

 したがって、自民党は、新藤議員は、あの下村発言、あの発言を是とするのか非とするのか、これは今後の憲法審査会の運営にも関わっていくことですから、明確な態度を取っていただきたいという具合に思います。

國重委員 山花幹事、ありがとうございました。また、山花幹事の言われたことも含めて、しっかり議論を深めていく必要があると思っております。

 また、赤嶺委員の方から、今、国民は新型コロナ対策を求めていると。もうそのとおりだと思います。だからこそ、やはり国会機能を維持していくということは、これはもう極めて重要なことでありまして、日本共産党の志位委員長は、先月十五日の記者会見で、感染拡大の深刻な現実を直視しない姿勢ではまともな対策が出てくるはずもない、まずこの現実を直視することがあらゆる対策の不可欠な前提だと強調されておりますので、やはり、あらゆる対策というのは、国会機能の維持についてもしっかりと検討していく。(発言する者あり)これは何もおかしいことでは、私は、これは本当に真摯に議論をしたいというようなことであくまで申し上げていることですので、今後しっかりと議論をしてまいりたいと思います。

細田会長 赤嶺政賢君、簡潔に願います。

赤嶺委員 志位委員長がコロナ対策で憲法の在り方まで言及しているというのは、私、志位委員長の下で憲法審査会に出てきているわけですが、それは曲解にもほどがある、真摯な議論ではないと。

 憲法を作るときに、憲法担当大臣の金森さんがおっしゃったのは、この憲法の民主的な枠組み、人権尊重の枠組み、これに緊急事態という考え方を入れたら憲法の基本が壊れる、そういう考え方を入れてはいけないということを憲法制定議会の中で発言しているんですね。

 ですから、まさに今、そういう憲法の基本的な枠組み自体を壊す議論として緊急事態が出されてきている、これには反対だということを強く申し上げたいと思います。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 この自由討議は、私はかねがね放談会にすべきでないということを申し上げてきたところ、先ほど幹事会で、一問一答を今日はやってよろしいということですので、山花会長代理を始め関係者に質問します。

 まず、山花会長代理には、先ほどの国民投票法改正案について、今井委員あるいは奥野幹事から、与党の先ほどの答弁を否定するような、すなわち、今回の立憲民主党による修正案、すなわち検討条項が憲法本体の議論、審査、発議を妨げるものではないという与党の答弁と異なる発言がありました。山花会長代理におかれては、そういうことはない、要は、今回の修正案には何の意味もないんだ、三年ということについても意味はないんだという与党の理解について、同意されていることを確認させてください。

山花委員 今回の修正案についての御質問ということでございますが、三年というのは、これはめどですので、もしそれよりも早くに結論が出せるということであれば、その方が望ましいと思っております。

 また、憲法の議論についてということですが、先ほど申し上げましたように、調査権限もございますので、それについてしっかりやるということはこれまでも主張してきたところです。

 その上で、ロジカルな話で、改正ができるのかできないのかということと、政治的に、これまでも申し上げてまいりましたとおり、テクニカルな改正であれば、それがあってもなくても大きな、より望ましいということにすぎないかもしれませんけれども、投票の公正性だとか公平性について疑義が生じるような状態で、これで改正が発議されたとしても、実際、結果に対する疑念というのが生じてしまうのは、決してこれは憲法にとって好ましいことではありませんので、政治的に難しいということを、今御指摘があった二人の委員から発言があったものと認識をいたしております。

足立委員 新藤筆頭、今、山花会長代理から、今井委員、奥野幹事の発言を裏書するような御発言がありました。どう受け止めていらっしゃいますか。

新藤委員 ただいまの立憲の、まさに最後、山花委員がおっしゃったように、政治的な解釈をしているということですよね。それは御自身が今おっしゃいました。それぞれ、政治的にはこうあるべきだということを御主張されています。

 私が先ほど整理しましたように、この修正案の法的整理において、何らかの制限や担保は一切ございません。ですから、この中で、しかも、この問題は議論すると私たちが再三にわたって言っていて、みんなで議論していることじゃないですか。それを検討事項として設けただけのものであって、これを基に、何かの担保や、議論に制限が加わることはあり得ません。このことははっきり申し上げております。

足立委員 新藤筆頭、今おっしゃいましたが、法的な整理と政治的な整理。すると、山花会長代理がおっしゃった政治的な整理は、与党として、幹事長同士でやっていらっしゃるわけですから、それは受け入れているんですか、受け入れていないんですか。

新藤委員 それを受け入れることはあり得ません。

 私ども、そもそも憲法審査会は、政局から離れて国民のための憲法論議をやるところなんですから、なおさらのこと、そこはきちんとした形で憲法論議を深めていくことが当たり前のことであって、立憲の皆さんがいろいろなお話をされたいのは、例えばですよ、これだけのことを言いながら、来週の自由討議は、いや、もう審査会は開かなくていいというような発言が私に聞こえてきますから、一体それはどういうことなんだということになります。

 だから、そうではなくて、きちんと議論していくという意味において、何の担保も制限もないということです。

足立委員 会長、あと一つだけ。

細田会長 簡潔に願います。

足立委員 最後に、赤嶺委員に質問します。

 さきの委員会で、安倍総理の発言の一部だけを切り出して、あたかも、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったという発言だけを切り出されて、胸を張られました。ところが、安倍総理はその後に、この憲法審査会で議論をしなければ国民的な議論は広がらないとおっしゃいました。ここが安倍総理の真意なんです。

 これについての赤嶺委員の受け止めをおっしゃっていただきたいと思います。

赤嶺委員 安倍総理の発言については、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったのは事実だと。そして、菅首相も、ニューズウィークのインタビューに答えて、我々は何度か改正を試みてきたが、現状では非常に難しいと認めなければならない、国会で可決されなければならないので、政権の考えで簡単に変えられるようなものではないという、政権の介入が間違っていたということを暗に認めているわけですよ。

 と同時に、衆参三分の二の時期があったにもかかわらず、何で改憲ができなかったか。それは、国民が改憲を望んでいないし、憲法を変えることに反対の世論が大きかったからだということを申し上げたいと思います。

細田会長 これでいいですね、赤嶺先生、本来の御発言の方は。

赤嶺委員 私の自由討議はまだですよ。

細田会長 一巡目の話もしてください。時間の関係もあるからね。やり取りばかりしていると、どんどんどんどん。

赤嶺委員 私はやり取りを始めていないですよ。足立議員が時間を超えてやり取りを求めたものですから。

細田会長 一巡目の発言、済んでいないんでしょう。だから、併せてそれをしてください。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 菅首相は五月三日の憲法記念日に、改憲派の集会に送ったビデオメッセージで、九条改憲などを盛り込んだ自民党の改憲四項目に言及し、憲法改正に関する議論を進める最初の一歩として、まずは国民投票法改正案の成立を目指していかなければなりませんと述べました。

 前回指摘したように、自民党は、安倍首相が二〇二〇年と期限を区切った改憲を主張する下で、この改憲四項目をまとめ、審査会での議論を進めようとしてきました。その呼び水として突如持ち出してきたのが七項目の国民投票法改定案でありました。

 しかし、安倍改憲に反対する国民世論はこれを許さず、安倍前首相が掲げた二〇二〇年改憲の実現を阻んだのであります。安倍氏自身が国民的世論が盛り上がらなかったと述べたように、安倍改憲が破綻したことは明白です。にもかかわらず、菅首相が改憲四項目を持ち出し、国民投票法の成立を機にその議論を推し進めようとするなど、全く国民世論を見ないものであります。

 さらに、自民党は、安倍氏を憲法改正推進本部の最高顧問に据え、旗振り役にしようとしています。結局、破綻した安倍改憲に固執しているだけではありませんか。その下で、下村博文政調会長は、改憲に向け、今回のコロナを、ピンチをチャンスにして捉えるべきだなどと言い放っています。コロナ禍で多くの国民が苦しんでいる状況を改憲へのチャンスと述べるなど、言語道断であります。憲法を語る資格は全くありません。

 次に、新型コロナと憲法についてです。

 菅首相は同じメッセージで、コロナを例に、緊急時において国民の命と安全を守るため国家や国民がどのような役割を果たし国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題ですと述べました。

 コロナ感染拡大を抑えるために必要なのは、抜本的な検査拡大、医療機関への減収補填を含めた医療体制の確保、移動自粛や営業自粛に対する十分な補償です。検査を拡大する、国民に十分な補償をするために、憲法を変える必要があるというのですか。余りにも荒唐無稽であります。

 今のコロナ感染の拡大は、安倍、菅政権が憲法に基づいてやるべきことを怠ってきたためです。国民からは、国はこの一年何をしていたのかという批判の声が上がっています。政府の失政を棚に上げ、国民の不安につけ込んで改憲議論をあおるなど、究極の火事場泥棒です。

 災害などの緊急時に必要なのは、事前の備えです。感染症対策では、平時から医療体制を確保しておくことが何よりも重要です。ところが、この間、自公政権の下で、医師や看護師、病床、保健所が削減され続けてきました。それがコロナ禍での医療危機を招いているのではありませんか。内閣に権力を集中すれば解決する問題ではありません。

 しかも、菅政権は、国民の移動を制限し、医療体制を確保するために緊急事態条項が必要だと言いながら、国内外から大勢の人が集まり、医療スタッフを大量に動員しなければならないオリンピック・パラリンピックの開催には固執し続けております。全く矛盾しているではありませんか。

 菅首相は、大会組織委員会が日本看護協会に五百人規模の看護師を派遣するよう要請したことに批判が上がっていることについて、休んでいる人も多いと聞いている、可能だと考えていると抗弁しました。これに対し、医療現場の実態を分かっているのか、医療スタッフはコロナ対応に充てるべきだという批判が出たのは当然であります。コロナ対策というなら、東京オリンピックは中止すべきです。

 今政治に求められているのは、コロナ禍で、憲法二十五条の生存権など国民の基本的人権を保障するために全力を挙げることだと強く指摘して、発言といたします。

山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。

 今日は、緊急事態条項と九条の話をしますが、一点だけ山花会長代理に質問させてください。

 先ほどの幹事会で、私も馬場委員も、この修正案、立憲に質疑をさせてほしいと要求しましたけれども、応じていただけませんでした。なぜ修正案について答弁者としてきちっと質疑に応じていただけなかったのか、理由を教えてください。

山花委員 この点につきましては、修正案について、立憲民主党と自由民主党、与党の方々とずっと協議を重ねてまいりました。現場のレベルだけではなくて、政党間でということで行ってきたところでございまして、その上で、今回の中身については合意を見ました。ということで、段取りにつきましては、今回このような手続でということで合意を見ましたのでということでございます。

 なお、後ほど、今この自由討議の中でも、御質問等々いただければと思います。

山尾委員 限られた政党間で合意していただいても、それがどういった意味を持つのか、国民に対しては全く開示されないんですね。

 でも、私、申し上げておきたいと思いますけれども、こうして修正案の提出者として、しっかりと、その修正案の質疑を通じて立法者意思、修正案の提出者としての意思を議事録に残す正当な機会があったにもかかわらず、自らそれを、応じなかったわけですから、後から自由討議で独自見解を言われても、その修正者意思の表明としての説得力は全く欠けるということを申し上げたいと思います。

 その上で、もう本体の話をさせていただきます。今日は緊急事態条項と自衛権の話をしたいです。

 憲法記念日に、改めて、やはり憲法本体の戦後の宿題にきちっと回答を出すべきときが来ているんじゃないかということを私自身は感じました。憲法に緊急事態条項がないこと、自衛権を統制する条文がないこと。やはり、現実に存在するものを憲法上ないことにしていて、だから、しかも国家の危機を統制できない社会になっている。それを実感させているのが、このコロナ禍と中国の拡張主義だというふうに思います。

 今回のコロナ禍では、必要な議論や十分な説明がないまま、本当に国民はひたすら先の見えない我慢を強いられています。せめて緊急事態宣言が国会承認事項であったら、少なくとも今より政府は、科学的な根拠を示したり、合理的な説明をしたり、そういう必要に迫られていたのではないかとも思いますし、国会議員自らが賛成、反対を問われて、そして後からそれが正しかったのかと検証を受けるわけですから、もっと緊張感を持って、自責の念も込めてですけれども、調べて、悩んで、質疑に立っていたんじゃないかというふうに思います。

 改めて、自民党の平成二十四年の改憲草案にあった緊急事態条項、ゴールデンウィークに読み返しました。宣言を出すには必ず国会承認が必要、一度出されたら百日ごとに必ず事前の承認が必要、かつ、国会には宣言解除の議決権すらある。ただし、宣言の効果として、立法権を国会から内閣に移してしまうに等しい点は、私は問題だと思っています。ただ、こういうところはきちっとみんなで改善していけばいいと思います。

 やはり、今このコロナ禍で、宣言を出せば出すほど効果に疑問符がつくような状況になっているのは、厳粛に法の根拠に基づく使い方をせず、お手軽な警戒警報のように使ってきた嫌いがあるからじゃないかと思います。そして、そんなふうに使えてしまっているのは、特措法の要件効果が多くが政令に委ねられていて、割といつでも出せる、割と何でもできる、そんな法律になってしまっているという問題点があると思います。

 緊急事態宣言というのは、何か、レインボーブリッジを赤く染めて国民を緊張させるメッセージを発するためにあるんじゃない。やはり、平時には許されないレベルの人権制約を、まさに緊急事態として一時的に可能にするための法の根拠に基づいた危機管理。国家の危機を乗り越えるために必要不可欠な力。だけど、極めて人権保障にとって危ういもろ刃の剣。だからこそ、事前に国民の意思でルールを定めておく。これが緊急事態条項であって、それを置く場所は、まさに国民の意思で権力を統制する憲法だと私は思います。

 そして、九条、自衛権の議論も結局同じです。海警法改正が象徴する中国の拡張主義が日本の安全保障にとって直接の脅威となっている今、改めて、自衛権が、日本という国家の存続、ひいては国民の生命、安全のために必要不可欠な存在です。これ以上憲法で無視し続けるには余りにも重要で、しかも、存在だけ書き込んで終わらせるには余りにも強い力だと思います。

 だからこそ、憲法に自衛権を位置づけて、そして、少なくとも基本的な枠づけを定める議論をしようと訴えてきました。自衛権が戦力であること、その行使が交戦権の一部行使にほかならないこと、それをきちっと正面から認めた上で基本的なルールを定めるべきだと思います。

 緊急事態条項にせよ、九条にせよ、危機の国家に必要不可欠な力を憲法上ないことにして無視し続けることで抑え込もうというのは、日本の法の支配にとって限界、そして有害ということだと思います。

 最後に、本体の議論として、もちろんデータ基本権の議論は大事です。緊急事態に国会の機能を維持するための出席の問題や任期の問題も極めて重要です。

 ただ、戦後七十六年が過ぎて、日本という国家の自律と法の支配を確立するための核心部分は、やはり九条であり、緊急事態条項であると思います。

 あわせて、砂川事件の最高裁判決で象徴的に傷つけられた日本の司法の独立を再構築して統治行為論から卒業するための憲法裁判所の検討も、同じ根っこを持つというふうに思っています。

 憲法審査会も変わってきていると思います。時代や国際環境が変わってきているのに、変わらない方がおかしいです。変わると一時的に非難も受けるかもしれませんが、みんなが少しずつ変わっていくことで、左右の分断を埋めていくような一人一人が石になることができたら、憲法審査会のメンバーとして本望ではないかと思っておりますので、是非今後とも建設的な議論を進めていきたいと思います。

 ありがとうございます。

細田会長 まだ御発言の御要望もありますけれども、自由討議に入りましてから一時間近くがたちました。

 この自由討議の取扱いについては、ただいま与野党の筆頭間で協議しておりますので、今後については、これを踏まえ、幹事会等において協議をいたしたいと存じます。

 これにて自由討議は終了いたしました。

 次回の審査会は、来る十三日木曜日に開会することについて筆頭間で協議しております。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時一分散会


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