衆議院

メインへスキップ



第11号 令和4年4月28日(木曜日)

会議録本文へ
令和四年四月二十八日(木曜日)

    午後一時四十一分開議

 出席委員

   会長 森  英介君

   幹事 井上 貴博君 幹事 加藤 勝信君

   幹事 上川 陽子君 幹事 柴山 昌彦君

   幹事 新藤 義孝君 幹事 奥野総一郎君

   幹事 道下 大樹君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 北側 一雄君

      秋葉 賢也君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    伊藤信太郎君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      稲田 朋美君    岩屋  毅君

      大串 正樹君    國場幸之助君

      塩崎 彰久君    下村 博文君

      高見 康裕君    中西 健治君

      西村 康稔君    古屋 圭司君

      細野 豪志君    松本 剛明君

      山下 貴司君    山田 賢司君

      山本 有二君    新垣 邦男君

      近藤 昭一君    櫻井  周君

      中川 正春君    野田 佳彦君

      太  栄志君    本庄 知史君

      谷田川 元君    吉田はるみ君

      足立 康史君    小野 泰輔君

      三木 圭恵君    國重  徹君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      玉木雄一郎君    赤嶺 政賢君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   議員           逢沢 一郎君

   議員           加藤 勝信君

   議員           上川 陽子君

   議員           新藤 義孝君

   議員           馬場 伸幸君

   議員           北側 一雄君

   議員           北神 圭朗君

   衆議院憲法審査会事務局長 神崎 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     高見 康裕君

  越智 隆雄君     塩崎 彰久君

  船田  元君     五十嵐 清君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     船田  元君

  塩崎 彰久君     越智 隆雄君

  高見 康裕君     井野 俊郎君

    ―――――――――――――

四月二十八日

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(新藤義孝君外六名提出、衆法第三四号)

は本憲法審査会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(新藤義孝君外六名提出、衆法第三四号)

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題(特に、国民投票法について))


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

森会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題、特に、国民投票法について討議を行います。

 この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。

 それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。

 発言時間は七分以内といたします。

 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。

 国民投票法に関する討議は先々週より行い、先週は、民放連においでをいただいて、CM規制についての参考人質疑を行いました。

 本日は、これまでの議論について、私なりに中間整理として論点の確認をしたい、このように思います。

 国民投票法において整備すべきとされているのは、一つは、CM規制などの投票の質に関する事項であります。もう一つは、投票の環境整備に関する事項です。

 投票の質に関する事項につきましては、CM規制などに、自由な国民投票運動と公平公正な国民投票のバランスをどう取っていくか、これが重要になるわけであります。第一に、受け手である民放連、放送事業者による自主規制、第二に、出し手である我々政党側の自主的取組、そして第三に、国会に設置される広報協議会による賛否平等を定めた法的枠組み、これに基づく広報活動という、この三者の取組を総合的に考えて整理することがポイントになると申し上げてまいりました。

 受け手である民放連の放送事業者による自主規制につきましては、先週の参考人質疑の結果、一定の整理ができたと考えています。すなわち、放送事業者には、放送法の要請により、三条で番組編集の自由、四条で政治的公平性が規定をされ、これを踏まえた五条で、自主規制として、各放送事業者それぞれの番組基準を定めることが要求されています。これを踏まえて、民放連は、憲法改正国民投票における特別の自主規制として、考査ガイドラインなどを発表しております。

 この考査ガイドラインによる自主規制のポイントについて、参考人からは、法的規制がなされている勧誘CMと同様に、意見表明CMについても投票日の十四日前から取り扱わない、きちんとした広告主のものでなければ出稿の要請を受け付けない、すなわち、ネット上のフェイク広告はテレビ、ラジオのCMでは放送されることはない、特定の広告主のCMが一部の時間帯に集中して放送されることがないように特に留意することも明記している、そういう説明がございました。

 私からもお伺いをいたしました。民放連は、量に特化した自主規制ではなく、量も考慮要素の一つとした自主規制をもう既に準備していると理解したが、それでよいか、この質問をいたしましたが、参考人からは、今の整理のとおりです、非常によく簡潔に私どもの言いたいことをまとめていただいたなと思っておりますとの答弁もありました。

 以上を踏まえれば、受け手である民放連、放送事業者の自主規制は、量的なものも含めて準備が進んでいると理解をいたしました。したがって、今後議論を進めるべきは、出し手である私たち政党側の自主的取組と、法律で国会に設置される国民投票広報協議会による賛否平等の広報活動であり、今後はこれらの議論を深めていきたい、このように考えているわけであります。

 また、国民投票をめぐる広告規制については、討議の中で、規制する媒体はテレビとラジオだけでよいのかという指摘もありました。

 ネット広告は、テレビ広告の三分の一程度だった平成十九年の国民投票法制定時から、令和三年には、新聞、雑誌、ラジオ、テレビのマスコミ四媒体の広告費を上回るほどになっております。そして、フェイク広告や偽情報を流しているのは事業者団体に属さない膨大なアウトサイダーであることが多く、ネット広告に関する実効性のある規制は容易ではないことが指摘をされました。

 これを根拠に、参考人からは、テレビ、ラジオ広告の規制を強化することは逆効果にならないかとの意見も述べられました。

 私からは、例えば、国民がこれはフェイク広告ではないかと疑いを持ったときに、放送法で公平公正を求められる放送CMによりフェイクかどうかの判断をすることができるという効果も期待できるため、自主規制された放送CMの役割は大きいのではと申し上げたところであります。

 さらに、こうしたネット上に流れるCMや情報の問題は、国民投票運動におけるCM規制にとどまらず、個人情報の取扱いや民主主義社会のルール全体に関わる問題ではないかとの意見もありました。

 最後に、国民投票における投票環境の整備について申し上げます。

 本日、国民投票法改正案が当審査会に付託をされました。内容は、開票立会人の選任要件緩和、投票立会人の選任要件緩和、ラジオ広報にAMに加えFM放送を追加する、この三項目であります。これらは、既に倫選特において全会一致で成立した公職選挙法の規定を国民投票法に反映させるものであり、既に内容は審議済みのものであります。

 先々週及び先週の審査会においても、投票環境整備については社会的情勢の変化に応じて随時行われるべきであり、公選法を参照することは一つの合理的な選択肢という御意見や、公選法改正に伴う投票環境の整備については速やかに改正を行うべきといった御意見が出されています。中には、倫選特において全会一致で成立した公選法改正と同内容のものは、会長提案により速やかに国民投票法に反映させるべきとの御意見もありました。

 そもそも、投票環境の整備は、昨年成立した国民投票法いわゆる七項目案の附則に定められた検討条項第一号であり、必要な措置を講ずべきことが求められている事項であります。内容について異論のないものは、速やかに手続を進めるべきと考えております。

 憲法審査会は、毎週安定的に開催をされ、憲法の本体論議と国民投票法に関する議論が活発に繰り広げられていることは誠に喜ばしいことだと考えております。私といたしましては、今後の運営につきましても、与野党の筆頭間を始め、しっかりと協議をしながら進めてまいりたいと思います。委員各位の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 私からは以上です。

森会長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野でございます。

 今ほど新藤筆頭から話がございましたけれども、国民投票法改正案三項目ですけれども、先ほど、我が党の反対を押し切って、CM規制等が含まれない国民投票法改正案が、議院運営委員会で多数決によってこの憲法審査会に付託をされました。また、先ほどの幹事会では、多数意見ということで同法案の趣旨説明が決められました。強く抗議をいたしたいと思います。

 昨年成立した、これは私が立法に携わりましたけれども、国民投票法附則四条では、施行後三年を目途として、投票環境向上のための措置だけではなく、公平公正確保のためのCM規制、国民投票運動等の資金規制等について、必要な法制上の措置その他の措置を講ずることを求めているものであります。

 今回の今御説明があった与党法案は、投票環境の向上のための措置だけを手当てするものであり、CM規制等公平公正を確保するための措置は含まれておりません。また、投票環境向上のための措置は、何も公職選挙法並びだけのものにとどまりません。なぜ今回、公職選挙法に平仄を合わせるだけの三項目改正を優先させるのでしょうか。これで発議の準備ができた、そういうアリバイづくり、パフォーマンスではないんでしょうか。

 再三申し上げていますが、附則四条が設けられた趣旨から、一号、二号が求めている全てについて検討を行って、何らかの法制上の措置その他の措置が講じられるまでは、憲法改正発議は当然できません。今回、一号の一部の措置だけを講ずることの意味は全くないのでありまして、なぜ今日このタイミングでやるのかということは、私は意味がないと思います。強く抗議を申し上げます。

 かつて中山太郎先生が、これは毎回申し上げていますが、この憲法審査会をつくる際に、憲法論議のあるべき姿として、憲法論議は内閣ではなく国会の責務、権限であるべきこと、それは、政権を争う与野党対峙の論戦とは一線を画した、全国民代表としての論議であるべきこと、そして、憲法論議は、自己の理想の憲法像の主張にとどまるのではなく、最終的には三分の二以上の多数派形成に向けた超党派的論議、いわば偉大なる妥協を目指した議論であるべきということでございますと述べて、みんなで考え、みんなで議論し、みんなでつくるという姿勢を訴えておられます。

 これまでは、こういう姿勢がずっと守られてきたというふうに思います。これからもこういう姿勢をしっかり続けていかねばならないのですが、今回のやり方は、こうした審査会の精神を踏みにじるものではないでしょうか。

 後ほど説明する、我が党が準備している国民投票法改正案、これは主として二号に係るものでありますが、併せて議論を行い、しっかりとした、民意が反映される国民投票法にすべきであります。今回の三項目先行について、重ねて抗議をいたします。

 引き続き先週の議論について少し申し上げますが、先週の質疑の中で、民放連、永原専務理事は、時に感情に訴える、扇情的な影響力を持つとおっしゃる動画広告が、配信サービスを通じて大量に流れて、SNSを通じて大量に拡散される、そういう状況が、果たして国民投票法百五条が期待した、国民が冷静に判断できる投票環境と言えるのでしょうかと、現在の状況が制定時の状況と異なっていることをお認めになられています。

 そして、SNSやネットでの動画広告の拡散を止めなければ、テレビやラジオのCMを法律で禁止する、その期間を国民投票運動期間中全てに拡大、これは我々の言っていることでありますが、したとしても実効性が乏しいという趣旨を述べられた上で、ネット規制について、問題は、本当に規制できるのだろうかという点であろうと思いますと述べています。

 そして、結論として、国民投票運動の全ての期間において、インターネット広告を含めて、言論に対しては言論で対処する、言論の自由市場で淘汰されることに任せればよいということに尽きますとおっしゃられています。

 私には、いささか乱暴に思えます。このままでは、資金の多寡が憲法改正国民投票の結果に影響を与える。例えば、外国政府がお金をつぎ込んで我が国の憲法改正を妨害してきたら、どうなるんでしょうか。そうした場合は、みすみす放置することになってしまいます。

 私から質問させていただきましたが、先週、資金の多寡により憲法改正の結果が左右されかねないが、それでも言論の自由市場の淘汰に任せるべきと考えているのかと伺いましたが、逆にCMの出し手側の自主規制の話を持ち出されました。これは新藤筆頭もおっしゃっていますが。しかし、CMを出すのは政党だけではありません。様々な団体がCMを発注します。永原専務自身が、例えば、自民党を支援する国民会議とか、立憲民主党を勝手に応援する市民連合だとか、いろいろなところのネット上の動画が出るということもおっしゃっておられました。ということは、やはり民放連自身も、政党だけの自主規制では不十分だと認めておられるんですね。

 したがって、何らかの法的な措置が私は必要だと思います。立憲民主党は、国民投票が主権者たる国民が投票人団としての国家の重大な意思決定に関与する行為であることを踏まえて、表現の自由と国民投票の公平公正とのバランスが図られるよう検討を重ね、新たな法律案を取りまとめています。連休明けには国会に提出しようと思っています。

 是非、玉木代表、国民民主党にも御賛同いただきたいと思っていますが、その我々の法案では、具体的には、国民投票運動、すなわち憲法改正案に対する賛否の勧誘のための放送広告は、主体を問わず、全期間にわたって禁止をしています。

 その上で、政党については、賛否の勧誘だけではなく、賛否の意見表明、そしてインターネットの有料広告についても禁止の対象としています。

 なお、禁止の対象となる政党とは、国民投票広報協議会が行う放送において意見広告の枠を有する政党としていることから、意見表明の機会、その枠でのCMは公平に保障されています。

 こうした案についてまず御議論いただきたいということで、会長、お願いをいたします。

 そして、ネット広告規制については、先週、公明党北側幹事が、少なくともネット広告については、ネットを通じて広告しようというならば、広告だということの明示、広告主の明示、問合せ先のアドレスの明示が大事だと述べられて、事業者団体でそういうことを決められないかという提案をなされていたかと思います。全く同感でありまして、我々の法案の中にも、そうした表示義務や、事業者への、特にプラットフォーマーになると思われますが、そうした掲載基準の策定の努力義務を規定しているところであります。問題意識は同じだと思うんですね。

 この審査会でも法制局から紹介があったとおり、諸外国でも対応を検討しており、ドイツではネットワーク執行法、フランスでも同様の法案が制定されています。EUは、プラットフォーマーへ署名を求め、行動規範に基づく自主取組を推進されていますが、それらが不十分な場合は、法的な規制についても取り組む可能性を明示しているわけであります。

 ですから、法的な規制についてもしっかり検討していかなければなりませんし、それだけでもなかなか不十分だというのは私も理解をしていますので、資金規制ですね、これは新藤筆頭がまとめられたメモにもありますが、運動資金規制をやってはどうでしょうか。

 我々の法案の中では、運動資金が特定の者や外国人に依存することを防ぐように、一人当たりの寄附の上限額、あるいは外国人寄附の受領禁止などの規制を規定してあります。資金の多寡で投票結果を左右させない、とりわけ外国政府に干渉させない、そうした公平公正な国民投票を実施するためには絶対に必要な措置ではないでしょうか。運動資金規制についても集中討議を、あるいは参考人質疑を求めていきたいと思っております。

 いずれにしても、この一号、投票環境の向上だけに絞って議論をするというのは私は拙速だと思いますし、全体として、パッケージできちんと議論をして、いいものをつくっていくべきだと思います。パフォーマンスで進めていくべきではないということを申し上げて、強く抗議をして、私の発言といたします。

 以上です。

森会長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 我が党のCM規制等についての基本的な考え方を述べさせていただきます。

 民放連は、冷静な判断を行うための環境整備を確保するため、賛否の意見表明のための広告放送についても投票十四日前から取り扱わないとの基本姿勢を示しており、既に考査ガイドラインも公表されているところでございます。賛否の投票の勧誘である国民投票運動のための広告放送は、主体を問わず、全期間禁止されているのは言うまでもございません。

 この民放連の自主的取組に加え、広告の出し手である政党の紳士協定、広報協議会による公営放送の充実や指針の策定などで、対応としては十分ではないか。仮に、政党等に賛否の意見表明までも一律に禁止することとなれば、表現の自由を侵害すると考えます。

 ネット広告について規制をかけることは、非常に難しいことです。ネット業者の自主的取組や指針の策定でも全てに網をかけられないというのは、先日の民放連の永原参考人からの意見陳述にもございました。玉石混交のネット広告の真偽を国民自身が取捨選択するためにも、テレビ、ラジオなどによる多角的論点の提示が必要ではないか、この御意見も永原参考人からございました。

 ネットの動画広告は、テレビ、ラジオと同様に、感情に訴える、扇情的な影響力を持つ広告であると考えられますが、政党以外のものは賛否の投票の勧誘のためのネット広告が禁止されておらず、広告放送とバランスを失することが懸念されているところでございます。そのため、テレビ、ラジオに規制をかけることは、ネット広告に規制がかけられないことと連動して考える必要があると考えます。片方は規制をしているのに片方は規制ができないということは、公平性の観点から非常に問題です。

 よって、テレビ、ラジオに、民放連が示している、今の放送法の中で最大限の努力をされて策定された考査ガイドライン以上の規制を行うことは必要ないのではないかと考えます。

 フェイクについても、情報があふれて、次から次へと雪崩のように押し寄せてくるネットの環境では、法規制ではなく、自律的な取組を通じた誤情報の自然淘汰に委ねるべきではないかと考えます。また、ファクトチェックを自発的に行う民間サイトなども出てきています。そういったサイトを運営する民間企業と広報協議会が連携することは、方策としてあり得るのではないでしょうか。

 また、情報リテラシーとして、小学生の頃から、教育現場でも、ネットの情報は玉石混交であることをきっちりと教えることが大切になってくると考えられます。

 資金規制についてです。

 どの範囲のものまで規制の対象とするかが課題となっていると考えます。政党等については規制の対象とすべきとも考えられますが、既に政治資金規正法で透明化されています。

 一方、民間の団体や個人についてまで資金規制の対象とする必要があるかということは、事務の煩雑化により潜脱的な支出等が行われ、かえって不透明化するのではないかとの懸念がございます。実際に国民投票が行われるとなれば、政党等以外の団体は多数に上ると予想され、一団体当たりの上限額を設けたとしても、団体数が制限できない限り無意味となるので、その意義が乏しいと考えます。また、個人についてまで資金規制の対象とする必要があるかどうかは、事務の煩雑化により、過度な事務負担が生じることとなります。

 団体にしても個人にしても、収支報告書の作成や公表は国民投票の期日後に行われるため、投票結果に影響を与えづらいので、過度な事務負担が生じる割に意義が乏しいと考えられます。よって、資金規制については、その意義は乏しく、無駄に煩雑な事務作業を増やすだけと考えられますので、必要ないと考えます。仮に広告規制や資金規制を設けるとしても、それらの違反行為には違反者の罰則等で対応するということには検討の余地があると考えます。

 国民投票と国政選挙は同時に行うべきではないとの考え方もありますが、法律で一律に禁止すると、例えば、技術上の改正で高い投票率を期待し難いような場合、国民の関心の薄いもの、例えば憲法七十九条や八十九条の改正などの場合には、同時実施により投票率の向上を期することができなくなり、硬直的になってしまいます。

 そもそも、最高裁判所の裁判官の審査は衆議院と同時に行っているということは、二つの審査、投票を同時に行えるという実績であるとも言えます。また、特に衆議院の解散との関係で、既に設定されていた国民投票の期日を機械的に延期することとなれば、多大な影響と混乱が生じることになります。また、投票に係る経費を大幅に節約することができる利点もあります。

 国民投票と国政選挙の同時実施の可能性を法律で排除することは柔軟な運用を阻害すると考えますので、そのような考え方には反対でございます。

 次に、国民投票法改正案について、二月十日に奥野幹事より配付された資料を基に述べさせていただきます。

 立憲案、先ほど奥野幹事の方からもございました。誰も意見を述べないのは失礼と思いますので、日本維新の会から述べさせていただきます。

 立憲案では、まず、1の(1)、(2)に、国民投票運動のための広告放送の全面禁止とあります。これは、賛否の投票の勧誘である国民投票運動のための広告放送において、主体を問わず全期間禁止され、また、政党等は賛否の意見表明でも一律に禁止となっています。これこそ、表現の自由を侵害し、憲法違反のおそれがあるのではないでしょうか。また、国会の発議に至る議論の当事者である政党による放送を通じた情報提供を一律に規制することは、国民の議論、判断の重要な資料を奪うことにつながります。

 次に、2の国民投票運動のためのネット等の利用に係る規制について、ネット動画広告は、テレビ、ラジオと同様に、感情に訴える、扇情的な影響力を持つ広告であると考えられますが、立憲案のように政党等による有料広告を禁止してしまうと、政党等以外のものは賛否の投票の勧誘のための有料ネット広告が禁止されていないため、テレビ、ラジオの広告放送とバランスを失します。

 規制を設ける事項の中で、ネット有料広告に係る事業者等の取組、括弧、掲載基準の策定とございますが、ネット広告は出し手や方法に限定がなく、実効性ある規制を設けることは困難であります。また、自主的取組や指針の策定をしたとしても、全てに網はかけられません。

 そのような中で、政党等のみを対象に規制を設けてしまうと、言論空間のゆがみを是正するどころか、かえってゆがみを拡大させるおそれがあるのではないでしょうか。それがたとえ努力義務であったとしても、事業者が恣意的運用をすれば、表現の自由への過度な制約となり得ます。

 次に、国民投票運動に関する支出が一千万円超の団体の届出制及び収支報告書の提出等とありますが、団体の支出が一千万円を超えるかどうかを把握することは困難でございます。また、一千万円を超す団体の数が多数に上ると、広報協議会や中央選管、都道府県選管に過度な事務の負担が生じます。さきにも述べましたが、収支報告書の公表は国民投票の期日後に行われるため、その意義が乏しいと考えます。つまり、選挙の場合は当選取消しなどがございますが、国民投票で結果を覆すようなことは考えられないため、後日の公表は意義が薄いと考えます。

 支出限度の設定については五億円とありますが、複数の団体に分けて支出すると容易に規制を潜脱することができてしまい、実効性に乏しいと考えます。

 外国人等からの寄附の受領の禁止等とありますが、外国人にも政治活動の自由は保障されており、公選法上、外国人の政治活動だけでなく、選挙運動も規制はされておりません。政治資金規正法上、政治活動に関する寄附を受けることは禁止されておりますが、それ以外の外国人等からの寄附については規制がないことを考えると、選挙制度における取扱いと整合性が図られていないのではないかと考えます。

 無効事由についても、国民投票が無効になる場合として三つの事項、明らかな虚偽や、規制に重大な違反があった、支出、寄附行為につき重大違反があったということを挙げておられますが、それがどれぐらい国民の投票判断に影響を及ぼしたかを定量的に測ることは不可能でございます。それにもかかわらず、国民代表機関である国会と主権者たる国民の判断が明確に示されたにもかかわらず、司法判断で事後的に国民投票の結果が容易に覆ることは適切ではないと考えます。そのため、無効訴訟における無効事由をむやみに拡大すべきではないと考えます。

 選挙運動期間と国民投票運動の重複の回避とございますが、それはさきに述べましたので省略いたします。

 また、SNSのプラットフォームに対する課題は、憲法の国民投票だけに関わる問題ではないと思いますので、もっと高所大所から論点を整理していただいて御議論いただくことをお願い申し上げます。

 いつまでもCM規制の件で国民投票法案が膠着状態のままなのは問題でございます。このことを理由に本体議論ができないということは本末転倒でございます。論点も整理されてきていることと思いますので、早急に結論を出すことをお願い申し上げまして、私の意見表明といたします。

森会長 次に、北側一雄君。

北側委員 公明党の北側一雄です。

 国民投票法をめぐる諸課題、特にCM規制について私の意見を述べたいと思います。

 時代がどう変化しようと、表現の自由と国民の知る権利の保障は民主主義の基盤であり、その制約は必要最小限度のものでなければなりません。これは民主主義国家としての不変の理念であり、表現の自由に対する過度な法規制は許されないことをまず確認したいと思います。

 現行のCM規制については、国民投票法百五条で、何人も、国民投票の期日前十四日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることはできないと規定されています。主体は何人も、禁止対象は国民投票運動のための広告放送、すなわちテレビ、ラジオでございます。禁止期間は投票期日前十四日間でございます。

 なぜ、テレビ、ラジオの放送メディアだけにこのような法規制が設けられたのか。憲法改正に向けての国民投票運動は、賛成、反対を問わず、憲法制定権者である国民の意思表明で、できる限り自由な国民投票運動を保障すべきであり、その制約は必要最小限でなければなりません。

 しかしながら、テレビ等の放送メディアは、国民の感情に直接訴えて、扇情的な影響力を持ちやすく、また資金量の多寡がCMの量に影響し、投票の公平公正を阻害するおそれがあると考えられたからです。

 表現の自由の保障と投票の公平公正の確保とのバランスを取るという観点から、最終的に、言論の自由市場で淘汰する時間的余裕がない投票期日直前十四日間、これは期日前投票の期間にも当たりますが、国民投票運動のための広告放送を禁止するとしたものでございます。

 ちなみに、国民投票運動のための広告放送について、法律で全面禁止するなど、更に放送、CM規制を強化すべきとの意見があります。国民投票期日は、国会による憲法改正の発議の日から六十日以後百八十日以内で決められますが、この全期間、何人も広告放送を全面的に禁止されるというのは、国民投票運動の自由、表現の自由に対する余りに過度な法規制と言わざるを得ません。

 法律による規制というのは、要するに、国家権力による表現の自由に対する規制でございます。慎重でなければいけないと私は考えます。放送広告について、現行の国民投票法百五条を超える法規制には、私は慎重でなければならないと考えます。これ以上の規制をやろうとするならば、それは業界団体や放送事業者の自主規制、自主ルールにできる限り委ねられるべきと考えます。

 一方、メディアをめぐる環境は激変しています。デジタル化が急速に進展し、多様化、複雑化しています。国民投票法制定時とは状況が一変し、国民の感情や世論に対する影響度も全く異なってきています。

 国民投票法が審議、制定された二〇〇六年、二〇〇七年当時、インターネット広告は、テレビ広告の四分の一程度の規模しかありませんでした。ところが、二〇一九年の日本の広告費は、インターネット広告費が二兆円を超え、テレビメディア広告費を上回りました。また、屋外広告や交通機関などでのデジタルサイネージ広告と呼ばれる新形態も、ラジオ広告の規模を大きく超え、急成長しています。

 国民投票法百五条でテレビ、ラジオの放送広告だけが規制された理由は、さきに述べたとおり、放送メディアが扇情的な影響力を持っていること、また、資金量の多寡がCM量に影響するということでございました。インターネット広告は、今や放送広告の量を凌駕し、扇情的な影響力という意味では、はるかに強い影響力を持っているとも言えます。投票の公平公正を確保するためというなら、放送広告だけではなく、インターネット広告についても同様の法規制の必要があるのではないでしょうか。

 以前にも申し上げましたが、テレビ、ラジオの放送広告だけを法規制している現行の国民投票法百五条は、いわばアナログ時代の広告規制と言わざるを得ません。インターネットを利用した国民投票運動ももちろん表現の自由として保障されなければなりませんが、投票の公平公正を確保するため一定の広告規制をするというのであれば、放送と通信は質的に異なるとはいいましても、できる限りイコールフッティングでないといけないと思われます。

 デジタル技術の進展に伴いまして、メディアは急速に多様化し、複雑化し、これからも大きく変化していくものと思われます。これに対応していくためには、広告主である政党側で自主規制のルールを適切に決める方が、より柔軟に実効的な規制ができると思われます。

 例えば、日本たばこ協会は、テレビ、ラジオに加え、インターネット等についても製品広告は行わない旨、決めています。また、日本貸金業協会は、テレビCMの月間上限本数を決めています。

 一方、広告の事業者団体側でも自主的な取組が始められております。例えば、放送分野では、民放連が、二〇一九年三月二十日に、国民投票運動CMなどの取り扱いに関する考査ガイドラインを策定しました。政党、政治団体が出稿するCMは、原則、党首又は政治団体の代表のみが出席できる、また、国民投票運動CMはその旨を、意見表明CMは意見広告である旨を明示する、さらに、CMには広告主名と連絡先を視聴者が確認できる形で明示するなど、実質自主規制とも評価できる具体的な内容を取り決めています。

 さらには、インターネット広告の事業者団体でも同様の自主的な取組がなされることが期待されます。もちろん、ネット広告事業者の全てを掌握することは不可能だと思いますが、事業者団体で一定のルールが決められたにもかかわらずそれを遵守しないネット広告は、国民から見て情報の信頼性を欠くと見られるのではないでしょうか。

 このように、広告主である政党側の自主規制と事業者側の自主的な取組を併せて推進することによって、直接の法規制をしなくても、表現の自由の保障と投票の公平公正の確保のバランスが図られるものと考えます。

 政党の自主規制ルールの策定については、憲法審査会の幹事、会長、幹事会の下で政党間の協議を行うべきと改めて提案したいと思います。

 国民への情報提供を十分に確保するため、また政党側で実効的な自主規制ルールを設けるためにも、広報活動全般について賛否平等が法定されている国民投票広報協議会の役割が極めて重要です。国民投票広報協議会の機能を充実強化すべきと考えます。

 デジタル社会の急速な進展は、企業の生産性を高め、また日常生活の利便性を向上させるなど、経済や社会の姿を大きく変革しています。社会のデジタル化は避けることはできないし、進めていかねばなりません。

 一方で、ビッグデータやAIなど、デジタル技術の著しい進歩がプライバシーの保護や健全な民主主義の発展などの憲法価値を損なっている側面も指摘されています。国民投票運動としてのインターネットによる広告規制の課題とも関わるところです。急速に進展するデジタル社会にあって、人権の保障や健全な民主主義の発展という憲法価値をどう守るのか、大きな課題と言わなければなりません。

 EUではデジタルサービス法やデジタル市場法など法規制を進めていますが、こうした海外の動向なども参考にしながら、憲法上の位置づけや規制の在り方について、憲法審査会で今後論議を進めるべきテーマと考えております。

 以上、私の意見表明といたします。

森会長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 昨日提出された国民投票法改正案の内容については、公選法を踏まえた技術的な改正であって、国民民主党としても賛成をします。

 ただ、提出後、自民党の参議院の幹部から、残りの会期で改正案を仕上げることは参議院ではあり得ないと異論を唱えておられます。提出するのはいいんですけれども、よく党内ですり合わせていただきたいし、せっかく円満に進んできた憲法改正に向けた当審査会の運営にマイナスにならないように、重々注意をしていただきたいと思います。

 さて、国民投票法改正については憲法本体の議論と並行して行うべきだとの立場でありますけれども、一方で、令和三年改正法の検討条項にあるもう一つの課題、すなわち、国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限、資金に係る規制、インターネット等の適正な利用の確保を図る方策についても併せて議論を行い、早期に結論を得るべきだと考えます。

 特に、私たちは、旧国民民主党時代に改正法案を提出しており、そのうち特に重要な三点について早期に改正が必要だと考えています。

 改正案を策定する際に考慮に入れたのが二〇一六年のアメリカ大統領選挙であって、改めて紹介したいと思います。

 もう何度もこの審査会でも紹介しておりますけれども、二〇一六年のアメリカ大統領選挙では、二つの疑惑が問題となりました。一つは、これも何度も紹介しましたケンブリッジ・アナリティカ事件であります。ビッグデータを活用したマイクロターゲティングによる投票を操作した疑惑です。もう一つは、ロシアが大統領選挙に介入したという疑惑であって、フェイスブック上で、ロシアが背後にいると見られる偽りのアカウントが政治広告を掲載し、世論を誘導しようとした疑惑であります。

 これらの疑惑は民主主義の根幹を揺るがす事態であって、私たちは、国の最高法規である憲法の国民投票においても、同様のマイクロターゲティング広告を活用した投票の操作や外国勢力からの介入に対抗する適切な対応を取らなければいけないと考えました。その結果、インターネット広告規制や国民投票運動に対する外国からの寄附規制を盛り込んでおります。

 現在の国民投票法には、インターネット広告に対する規制が何ら存在していません。制定当時の議事録を読むと、例えば、誹謗中傷があっても、インターネットを使って逆の情報発信というのも自由にできる、だから問題ないといった趣旨の発言もあって、随分のどかな議論が当時は行われています。しかし、現在は、フェイクニュースの問題や心理学を利用したマイクロターゲティング広告の発達など、プリミティブなインターネット空間では想像し得なかった課題が出てきています。

 しかし、我が国においては、インターネット事業者の業界団体の自主規制もありません。また、外国人からの寄附についても何ら法律では規定されておらず、また、先日の民放連のヒアリングを聞いても、基本、各社が考えることになりますと述べておられ、各社の判断に委ねられているのが現状です。外国人広告主を排除する明確なルールは、法律上もガイドラインもありません。

 ケンブリッジ・アナリティカによる投票操作やロシアの大統領選挙への介入疑惑を踏まえれば、当時と比べてもより高度化したデジタル社会において、外国勢力がSNS等を活用して、我が国における選挙や憲法の国民投票の結果に影響を与えることは可能になっていると考えます。これは民主主義に対する脅威であり、民主主義はハックされ得る前提で対策を講じるべき時代になっていると考えます。健全な民主主義を守るためには、何らかの法規制が必要だと考えます。

 なお、EU離脱を決めた英国の国民投票においては、EU離脱を支持する組織からフェイクニュースが発信、拡散されたことが投票結果に影響を与えたと指摘されています。特に、離脱派から、EUへの拠出金が週三億五千万ポンドに達するとのフェイクニュースが拡散され、離脱派の勝利につながったとされています。

 そこで、当時、国民民主党は、以下のようなインターネット規制を盛り込んだ改正案を提出しました。

 まず、テレビのスポットCMと同様に、政党による有料インターネット広告は禁止し、国民投票広報協議会が行うもののみとすること。

 一千万円を超える支出を行い、インターネット広告による国民投票運動を行う団体に届出義務と収支報告の義務を課して、透明化を図ることとしたこと。また、支出の上限を五億円とする資金規制を導入したこと。実は、これはイギリスにおける国民投票における認定運動者に対する規制を参考に、人口が二倍であること、運動期間が約三倍であることを踏まえて、約六倍として設定をしております。

 インターネットを利用して文書図画を頒布する者は、電子メールアドレス等を文書図画に表示しなければならないこと。

 また、インターネットを利用して国民投票運動を行う者は、いわゆるフェイクニュースなどを流すことのないよう、適正な利用に努めなくてはならないこと。

 国民投票広報協議会はインターネットの適正利用のためのガイドラインを作成することとし、国民投票広報協議会の役割の強化も盛り込んでおります。

 また、外国人寄附規制に関しては、特定国民投票運動団体は、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から寄附を受けてはならないと規定しております。

 もう一つ論点として提起したいのが、選挙運動期間と国民投票運動の期間が重なることを回避するための措置の導入であります。

 これは、私は行きませんでしたけれども、海外視察をされたときに、特にイタリアで聞いたというふうに伺っておりますけれども、冷静な環境の中で国民投票を行うためには大型国政選挙とは分けてやった方がいいという、海外のそういった指摘も踏まえての規制の導入でありますけれども、いずれにしても、国民投票が政権に対する信任投票とかぶりがちだという指摘もあり、選挙運動期間と国民投票運動の一定の期間が重なることを回避する措置も導入をしております。

 いずれにしても、インターネット規制については、国民投票法だけの問題ではなく、より広範な議論が必要ではありますけれども、その際、表現の自由に最大限の配慮を行うことは当然のことであります。特に、表現の自由は、日本国憲法が保障する人権カタログの中でも優越的地位を占めており、その制限にはより慎重でなくてはならないと考えます。

 一方で、インターネットを取り巻く環境が大きく変化する中で、インターネット、とりわけSNS上の表現を放置した場合、民主主義が機能不全に陥る可能性があるとすれば、その自由を確保する義務を国家が負っているとも考えられます。

 表現の自由とは、国家の介入を排除するという個々の表現主体の権利だけではなく、表現空間に多様な情報が流通することを国家が確保する義務も含まれていると考えます。国家からの自由とともに、巨大なプラットフォーマーと膨大なデータを前に、国家による自由の確保も必要になってきているのではないかということを改めて問題提起をしておきたいと思います。

 最後に、現場を踏まえた適切な規制を議論するためにも、ケンブリッジ・アナリティカ事件に関与したブリタニー・カイザー氏を、オンラインでもいいので、当審査会に参考人として招致することを改めて求めたいと思います。森会長の取り計らいをよろしくお願いします。

 以上です。

森会長 今の御提案の件につきましては、幹事会で協議をいたします。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私たちは、二〇〇七年の国民投票法制定の国会審議のときから、国民が憲法改正を望んでいない下で、改憲のための手続法を作る必要はないと主張してきました。にもかかわらず、当時の安倍首相が、九条改憲を明言し、国民投票法の成立を強く期待すると述べる下で、与党が強行成立させました。

 私たちは、国民投票法が改憲作業と地続きのものだと指摘し、反対しました。この立場は今も変わりません。どの世論調査を見ても、国民が改憲を政治の優先課題とは考えていない下で、投票法を性急に整備する必要は全くありません。

 同時に、私たちは、現行の国民投票法には幾つもの欠陥があると指摘してきました。

 十四日の審査会で、私は、具体的に、最低投票率の規定がないこと、公務員の国民投票運動を禁止するなど、国民の自由な意見表明を不当に制限していること、改憲案に対する広告や賛否の意見表明の仕組みが公正公平なものとなっていないこと、以上三つの点について不備を指摘しました。

 今、こうした欠陥を放置したまま、新たな公選法並びの改定案が与党から提出されています。この後すぐに趣旨説明を行うという提案までされております。投票法を形だけ整えて、いつでも動かせるようにしておき、次は憲法本体の議論に進もうというものであることは明らかです。

 これまで繰り返し指摘してきたように、今やるべきは、憲法に反する現実を正す議論です。この間、私は特に二つの問題について言及してきました。

 一つは、憲法五十三条の問題です。

 政府・与党は、憲法五十三条に基づく臨時国会召集要求を再三にわたり無視し続けてきました。憲法をじゅうりんしている政府・与党の姿勢こそ極めて重大であり、徹底的に議論し、正すべきです。憲法を守っていない者が憲法を変えることを主張するなど、言語道断であります。

 二つ目が、日本国憲法と矛盾する沖縄の実態です。

 今日、四月二十八日は、サンフランシスコ講和条約第三条によって沖縄が本土から切り離され、米軍の統治下に取り残された屈辱の日です。私は、改めて沖縄の歴史と憲法について指摘したいと思います。

 沖縄は、さきの大戦で、住民を巻き込んだ地上戦の場となりました。ありったけの地獄を集めたと言われる凄惨な地上戦で、県民の四人に一人が犠牲になりました。沖縄に上陸した米軍は、住民を強制的に収容所に入れ、その間に、民有地、公有地を問わず一方的に接収し、基地を造りました。

 一九四七年五月三日に施行された日本国憲法は沖縄には適用されず、米軍による無法な事件、事故が繰り返されました。県民は、平和憲法を持つ日本への復帰を渇望していました。しかし、日本政府は、サンフランシスコ講和条約によって沖縄を日本から切り離したのであります。沖縄は引き続き米軍の施政下に置かれ、県民は耐え難い苦しみを背負わされました。米軍は銃剣とブルドーザーによって基地を拡張し、県民は虫けらのように扱われました。

 一九七二年に沖縄は本土に復帰しましたが、このとき県民が願ったのは、平和憲法の下に帰ること、基地のない平和の島として復帰することでした。しかし、復帰後も、日米安保条約に基づき、占領下で構築された基地は、ほとんどそのまま温存されることになったのです。

 その下で、今なお、米軍関係者による事件、事故、米軍機の墜落と昼夜を分かたぬ爆音、実弾射撃訓練に伴う流弾、原野火災、有機フッ素化合物などによる環境汚染により、県民の命と暮らしは脅かされ続けています。サ条約から七十年、復帰から五十年たっても、沖縄の実態は変わっていません。この現実にこそ向き合うべきであります。

 本日の本会議で可決された沖縄の本土復帰五十年に関する決議は、県民の願いに反した米軍基地を存続させた政府の責任を明らかにしないばかりか、基地の整理縮小や地位協定の改定に一切触れていません。沖縄がたどってきた歴史と現状、県民の願いに全く向き合うものではありません。

 憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある沖縄の現実を変えることこそ今やるべきだと改めて強く指摘して、発言を終わります。

森会長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会、北神圭朗です。

 まず、前回の参考人質疑の内容からして、一部疑義のあった広告量の自主規制について、民放連が可能な限り対応するとの方針が明らかになったと捉えています。少なくとも、インターネットで予想される広告などに比べて、民放連がそれなりに実効力のある自主規制を実施する用意ができていることを確認いたしました。

 逆に、インターネットに対して取るべき方針について、私自身、意を強くしました。すなわち、これは前々回申し上げましたが、やはり、政党関係の広告などを大量に流すことにより、言論市場で悪貨が良貨を駆逐しないように努めることが、最も言論の自由を圧迫せずに、公平性、公正性を確保する方法だということです。

 ただ、インターネット規制全体につきましては、ホスト事業者などの専門家の意見を聞かなければ、正直、私自身、確信を持てません。立憲民主党さんの言う全面規制も、言論の自由との関係のみならず、技術的に規制が難しいのではないかと思われます。のみならず、様々な広告や意見が氾濫する中で、いわゆる公正な意見がかすんでしまう可能性が高い。せいぜいホスト事業者に協力をお願いして、例えば新型コロナ関係で、ユーチューブ上、最新情報については内閣官房ホームページを御参照くださいといった表示が出ますが、憲法改正項目について、例えば国民投票広報協議会のサイトを表示してもらうことぐらいかなと考えます。

 こうしたことから、やはり国民投票広報協議会の役割が大きいように思います。責任ある政党によって構成されるこの協議会に対する予算や人材を充実させて、ネットや公共のメディアを通して、賛否共々、広告を大量にかつ公平に発信するとともに、疑いがある情報等については事実関係を明らかにする、こうした役割を担うべきだと考えます。

 このほかにもインターネットの論点はありますが、事は容易ではありません。問題意識だけ申し上げますと、ネット広告の出し手やホスト事業者と一概に言っても、グーグルとかフェイスブックなどは協力の余地があっても、小規模の広告代理店やコンサルタントが表に出ずに関わることも想定すべきです。

 しかも、海外では、これらが直接に政治広告という形ではなく、市場調査や商品の広告などの体裁で有権者を誘導することも見受けられます。こうした業者を、規制どころか、そもそも把握できるのか。

 また、広告の出し手に規制をかけたとしても、実効性があるのか。例えば、外国に根拠を置くサイトなどから発信された場合は、我が政府の監視や規制が及びません。

 また、一部の有権者層に絞って誘導的な情報を流すホスト事業者に対して、どこまで把握できるのか。以前、フェイスブックの従業者が、サイト上、保守的な意見が普及しないための取組をしてきたという証言がありました。しかし、こうしたサイトでどのような手法で情報を収集し、整理し、公開していること自体が不透明となっています。こうした証言を裏づけるのにも一苦労です。

 さらに、オンライン上、個人の全てのコメント、会話、ポストが記録され、政治利用されることも重大な問題です。個人情報のプライバシーは、表現の自由や結社、集会の自由などの基本的人権と密接不可分だからです。つまり、自分の政治的意見が誰かに見られ、利用されていることを意識すれば、自分の主張を明らかにしたり、他者との政治的連携を図ることをちゅうちょし、萎縮する効果があります。

 しかし、これらの課題は国民投票運動に限定されません。公職選挙法や基本的人権、さらにはデジタル基本権の在り方など、憲法改正を含めた大がかりな検討が必要です。

 加えて、これまで余り議論が進んでいないサイバー攻撃対策についても、政府は公職選挙法との関係でさえ全くと言っていいほど検討が進んでいないように思います。幾らここで論じようとしても、そもそも、サイバー攻撃に対応できる人材や技術等、我が政府の体制ができ上がっているのかということです。

 こうしたことから、本審査会で議論ができること、できないことを分けた方がよいと思います。そういう意味では、国民投票法改正法案につきましては、本審査会の土俵を超えたインターネット規制の議論とは別に、淡々と審議に入るべきだと提案します。既に令和元年に公職選挙法で取られている投票環境整備のための項目を並びで国民投票に盛り込む改正であることを考量すると、なおさらそう思います。

 一方で、憲法改正本体の議論も待ったなしです。つい数日前に、起業家イーロン・マスク氏が、ツイッターの買収に成功すれば、これまでの言論に関する自主規制を一切取っ払うという発言をし、これを受けて、米国の民主党議員のフォロワーが大幅に減少し、自由主義的傾向の強い共和党のそれが大幅に増加しました。デジタル領域の目まぐるしい変化の中で、本審査会で対応可能なことは結論を得ながらも、一方で、緊急事態など国家の危機管理に関わる憲法論議も同時並行的に進めるべきだと申し上げまして、私の意見といたします。

    ―――――――――――――

森会長 次に、委員各位による発言に入ります。

 発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 発言が終わりましたら、名札は戻していただくようにお願いいたします。

 また、幹事会の協議に基づき、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。質疑を行う場合は、一回当たりの発言時間は答弁時間を含めて五分程度といたします。委員各位の御協力をお願い申し上げます。

 発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。

柴山委員 会長、発言の機会をありがとうございます。

 国民投票をめぐる環境ですけれども、先ほど奥野幹事から附則四条についての言及がありました。確かに、公平公正な制度を実現するための法整備は極めて重要だと思いますけれども、この質の確保の法整備を行うのは、何も、その前提となる投票環境の向上のための様々な課題を先行して議論し、あるいは可決をすることを妨げる理由にはなりません。むしろ、国民投票一般について、それぞれ採決に熟したものを一つ一つ可決、成立をさせていくことが、議論を混乱させず、そして一歩一歩法律を完成に近づけるために重要なステップだと私は考えております。

 次に、CM規制等、質の議論をどのように考えるかということについて意見を申し上げたいと思います。

 かつて、船田元委員が憲法調査会の幹事であったとき、表現の自由は極めて重要であり、国民投票運動も極力自由を確保するべきだという発言がありました。

 かつてメディア規制を議論したときに、我々は情報の受け手であって、マスメディアが情報を寡占化しているというような議論が、憲法学でも一世を風靡したことがあります。

 しかし、時代は大きく変わっております。我々一人一人の個人の情報発信であっても、それがSNSなどを通じて瞬く間に膨大な影響力を持って拡散することも、今の時代、決して珍しいことではありません。

 そのような時代にあって、では、そうしたSNSも含めたネットの規制をどのように行うかということは極めて重大な関心事、テーマでありますけれども、先ほど少しお話があったように、これが国境も越えた形で伝播をしていくということを考えると、それが日本の法規制にどれほどなじむのかということはよくよく慎重に考える必要が私はあると思っております。

 先ほどお話があったように、広告の発注団体について、例えば規模、国籍、あるいは資金量に応じた規制をするということは容易に潜脱をされる可能性があるという指摘がありましたが、全くそのとおりだと思っております。

 とすれば、むしろ、その意見あるいは意見の出し手にしっかりとした透明性、そして、広告主である表示と、それから追跡可能性を担保する、そして、それに対する反論をしっかりと自由を確保して行っていくという方向の規制がまずは穏当であるし、プロバイダーあるいは様々なプラットフォーマーにそういった説明責任や透明性確保のための環境整備を求めていくということが、規制というよりはむしろ現実的なのかなという気がしております。

 そして、そのような膨大なインターネットの空間にあって、放送の持つ役割というものが極めて重要だと感じております。

 これも先ほどお話があったとおりでありまして、現行法上、放送の内容の公正が四条で求められている放送業界については、一定の、放送の、意見表明も含めた形の規制というものを行ってもらう。ただ、それは権力による介入ではなく、むしろ自主規制によってそれを確保することによって、例えばSNSなどについても、しっかりとした反論あるいは是正のための意見なども表明をしてもらうということが大切であろうと思っております。

 いずれにせよ、現行法を超える形の放送メディアに対する法規制も、やはり現在私たちは慎重に考えなければいけないと考えており、この業界の皆様の考査ガイドライン、あるいはその一層の充実というものをしっかりと関係者が集まって協議をしてもらうということに、私は現実的な解決策があるというように考えております。

 いずれにいたしましても、放送の、あるいは意見表明のための質の確保というものは、こういう形で、それぞれに携わる者たちが現実的な形で磨きをかけていく、それは法律とは別のレベルで磨きをかけていくということが現実的であるので、冒頭申し上げたように、今回の国民投票法は速やかに可決をし、そして次のステージに入っていくことを強く期待をし、私からの意見表明とさせていただきます。

 以上です。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。

 我が立憲民主党は、国民投票広報協議会が行う放送を除いて、憲法改正案に対する賛否の勧誘のための放送広告はその主体を問わず全期間にわたって禁止し、その上で、特に政党による放送広告については、賛否の勧誘だけでなく、賛否の意見表明も含みます。そして、インターネット有料広告についても規制の対象とする案を考えております。

 そもそも、我が国の統治制度は間接民主制を原則とし、直接民主制は極めて例外的にしか採用しておりません。それは、直接民主制の実現が物理的に困難という理由だけではなく、熱狂と歓声の中、ムードに流されて投票が行われる危険があるからであります。そのようなムードの醸成に直結し、非常に重要な役割を果たしている放送広告、インターネット有料広告に何ら規制を加えることなく放置すべきだとの考えは甚だ疑問であります。我が党の奥野議員がこの審査会で発言したように、メディアが働きかけて意思決定の自由を侵害してしまう危険は可能な限り排除されるべきです。

 諸外国の例を見ても、イギリスでは、二〇〇三年通信法において政治的宣伝が一般的に禁止されており、当然、民間商業放送においては投票運動としての広告放送が禁止されると解されています。フランスでは、一九八六年の情報伝達の自由に関する法律において政治的性格を有する広告放送を流すことが全面的に禁止されているため、国民投票に関する広告放送をテレビ、ラジオで流すことも当然に禁止されるほか、カナダ、スイス、アイルランド等でも同様の規制がなされています。

 一方、我が国では、政党には国民投票広報協議会が行う放送において意見広告の枠を公平に配分されることとなっています。それにより、政党の意見表明の機会が保障されています。先日、民放連の永原参考人が、政党広告を全面禁止してしまうと、ネット上でフェイクなものが紛れ込んだときに、どれが真正なCMかというのが分からなくなってしまうという懸念を表明されましたが、国民投票広報協議会が行う放送でそれが解消できると考えます。

 さらに、我が党は、国民投票運動等に関する支出金額が一千万円を超える団体には収支報告を義務づけるとともに、五億円の支出限度額を設けて、また、運動資金が特定の者や外国人に依存することを防ぐために、一人当たり寄附の上限額の設定、外国人寄附の受領禁止など、寄附規制を定める案を考えております。これは、資金の多寡によって国民投票の結果が左右されることがあってはならないからであります。

 およそ人権とは、人間が人間であるという、ただそれだけで認められるものであり、人間としての価値は、年齢、性別、社会的身分等、ましてや資金力、経済力により差別されるものではありません。憲法改正が、資金量や外国人の影響といった国民主権原理と何ら関係ない、あるいは反する要素により投票結果がゆがめられるならば、これは国家百年の悔いが残ることになるでしょう。よって、一定程度の規制をかけることが必要であると考えます。

 この審査会の議論を通じて様々な論点が出されていますが、国権の最高機関である国会の責任で、公正で納得のいく国民投票の仕組みをつくっていくことが最も優先度が高い項目であることを改めて申し上げ、私の意見といたします。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 会長、発言の機会を賜りましたこと、感謝申し上げます。

 先ほど我が党の北側幹事から、表現の自由の尊重ということについてお話を始められました。この表現の自由というもの、時代がどう変化しようと、表現の自由と国民の知る権利の保障は民主主義の基盤であるということからお話をされた。実は、先週の永原参考人に対する意見、また質問についてもこのお話からされております。

 私も、くどいようですが、この点からちょっと申し上げたいと思っておりまして、それはなぜかといいますと、この表現の自由というものの規制は、経済的自由権に対する規制であれば、自由な表現活動によって、その過ちというものをちゃんと民主制の過程で修復ができる。

 しかし、表現の自由を規制してしまうと、それが過度であれば、この表現の自由そのものが自由に行えないというふうなことの下、その不都合な結論というものが民主制の過程で修正できないというふうなところから、表現の自由というものに対する規制というものは必要最小限度のものであって、過度に規制をしてはならないというふうなことが、これは恐らく裁判規範でもあると思いますし、そのような位置づけであるというふうなことからスタートされていると思っております。

 そして、この表現の自由の対象というもの、様々な分野があると思いますが、私は、様々な分野においてでも、規制の目的との関係性の上で、必要最小限度というふうな規制、その最小限度性というものは常に求められなければならないのであろうと思っております。

 そのことを踏まえて、まず私から申し上げたいことは、CM規制について、現行法の国民投票法百五条については、非常に先輩方のとても大変な御努力の結果があって、必要最小限度性というのはもう既に有しているというふうに思っておりますので、この点についての議論というのは、私は落ち着かせてもいいのではないのかというふうな気がしております。

 一方で、様々これまで委員から御指摘がありましたが、インターネット上の規制というものについては非常に難しい問題をはらんでいるということが、この審査会でももう様々お話が出てきているとおりでございます。

 一方で、先ほどの北側幹事からもありましたとおり、国民投票法百五条とイコールフッティングの規制というものが目指されるべきであると私は思っております。その一端として、ネットに関して、その広告が広告ですよという明示、それから広告主は誰ですかという明示、疑問があったら問い合わせることができる発信者のアドレス等を明示するというようなことは非常に傾聴に値するお話であろうと思っております。

 一方で、先ほど北神委員からもお話がありましたが、このことを実現するための様々な障害、難しさということも現実問題としてあるのかなというふうに思っておりますので、私は、これからのこの審査会については、ネット規制について集中的にお話をする時間をいただければというふうに希望したいと思います。

 その上で、先週行われた、永原参考人から、この分野に関しては是非インターネット事業者の方に聞いていただきたいと思いますという御意見も賜ったところでございますので、是非、会長、インターネット事業者の方にどなたか参考人としてこの審査会へ来ていただき、それから集中的に審査をするというふうなことも幹事会の中で諮っていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 また、先ほど来話がありますけれども、国民投票広報協議会の機能強化ということには大いに賛成でございます。フェイク情報あふれるインターネットの世界の中で、どの情報が真に正しいことを伝えているのか、様々な形態はあると思いますけれども、まさに全てにわたってオーソライズされているものがこの国民投票広報協議会の内容であるというふうに私は思っておりますので、この点については、また別の機会に是非この審議充実を図っていただければと思っております。

 最後に、先ほど三木委員からもお話がありましたけれども、教育の分野における、情報リテラシーの教育については、これは是非、何か別の機会でも構いませんので、憲法審査会の内容に重複するようなことはないかもしれませんけれども、また意見を述べさせていただく機会をいただければ幸いでございます。

 私からは以上でございます。

森会長 吉田君の御要請につきましては、幹事会で協議をいたしたいと思います。

小野委員 会長、ありがとうございます。

 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 私の方から二点申し述べたいと思います。

 まず一点目は、私ども日本維新の会、松井代表もかねてより申し上げていることではございますが、憲法改正の国民投票と国政選挙、これを同時実施するということを主張いたしております。

 これについては、ずっと以前からのこの憲法審査会での御議論でも、なかなか難しいんじゃないかというような御意見が大勢を占めているようであります。

 しかし、私どもは、憲法において、九十六条に、まさに国政選挙と同時に国民投票が行えるというようなことも規定されているわけですし、これを妨げるような理由はない。もちろん、実施上、非常に難しい問題があります。国政選挙と憲法改正国民投票の運動期間が異なったり、規制の内容が異なるといったこと、こういったことがあるので、なかなか、国民の方も混乱してしまうであろうというようなことも言われておりますけれども、しかし、プロの政治家側は、それをしっかり、公職選挙法も守りながらやっていくというようなことも徹底をすべきだというふうにも思っておりますし、そもそも、憲法上できると規定しているものを排除すべきではないというふうに思っています。

 そして、何より、国民投票運動が最大で半年間にもわたる期間続けられることから、国政選挙の補欠選挙や地方自治体の首長又は議会選挙が必ずどこかで行われるということには、必ず直面するわけでございます。そういう状況の中でも、憲法改正国民投票とほかの選挙が円滑に行われる仕組みづくりというものは必要になるわけでございまして、そのことから目をそらすべきではないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、二点目につきましては、先ほど来御議論のある、ネットにおける国民投票運動のCM規制という問題でございます。

 しかし、ここで毎週同じような議論をするより前に、やはり我々は、現実的に、技術的にできるのかという話と、それから、その規制自体がそもそも意味があるのかということを常に念頭に置いて議論しなければ、本当にこれは生産的な議論にはならないというふうに思います。

 先ほど吉田委員もおっしゃったように、そういった専門家の方々を呼んでおくということは非常に大事だというふうにも思いますし、そして、意味があるのかということについて言えば、これは前回私も申し上げたことでございますけれども、CM以外にも、コンテンツという形で、広告費を事業者に、媒体に払わずに、ネットの場合には自分で自主的に無料でアップできるという世界にもう行ってしまっているわけですね。ですから、我々が、CM、CMというふうにネットの方も言っておりますけれども、果たしてそれだけで十分な質的なコントロールができるのかというと、非常に難しい問題がございます。

 私の子供たちもユーチューブを毎日のように見ていますけれども、それは、ユーチューバーと呼ばれる人たちが自主的に制作をし、そしてアップをしている。これは、CMを使ってその動画に誘導するようなことがなくて、その動画がネット上で話題を呼んで、そして、自動的な検索システムにひっかかってどんどんビューが増しているというようなことによって多くの人たちに見られている、そういう構造なわけでございます。

 ですから、今、政党のインターネットの広告を禁止しようというような御発言もありましたけれども、そのことが果たしてどれだけの意味を持つのかということについても、技術的に、そして効果的に、専門家からも意見を聞いて、そして、この憲法審査会でしっかりと議論している内容が、果たして憲法改正、あるいは、私はこれは憲法改正の問題だけではないということも前回申し上げましたけれども、民主主義の合理的な意思決定をしっかり支えるための仕組みづくりとして有効に機能するかということを、この場でしっかりと議論すべきだというふうに思っています。

 そういう意味では、もし、このCM規制、特にインターネットにおいてどのようにすべきなのかということを議論し続けるのであれば、やはり、大手のインターネット事業者を始め、業界団体を呼んで、そして議論するということをやらなければ、全く意味のある議論にはならないというふうに思いますので、是非、森会長、そして両筆頭にもそのことも御認識をいただいて、この問題を進めるのであれば、是非その点、御協議をいただきたいと思います。

 以上でございます。

森会長 まだ御発言の御希望もあるようでございますが、予定した時間が経過いたしました。

 この討議の取扱いについては、ただいま与野党の筆頭間で協議をいたしておりますので、今後については、これを踏まえ、幹事会等において対応をいたしたいと存じます。

 これにて討議は終了いたしました。

     ――――◇―――――

森会長 次に、本日付託になりました新藤義孝君外六名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者が所定の席に着席するまで、しばらくお待ちください。(発言する者あり)

 御静粛に願います。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。新藤義孝君。

    ―――――――――――――

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤議員 ただいま議題となりました自由民主党、日本維新の会、公明党及び有志の会の共同提案による日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 いわゆる憲法改正国民投票法につきましては、投票環境整備に関する事項は公選法並びとの考え方にのっとり、公選法の改正により行われた投票環境整備と同様の規定の整備を行う、いわゆる七項目改正が、昨年、成立したところでございます。

 その際、附則において、令和元年の公選法の改正により行われた投票環境整備のための二項目について、国民投票法においても同様の規定の整備を行うよう、検討を加えて必要な法制上の措置等を講ずる旨の規定が設けられました。

 加えて、本年には、更に一項目について、投票環境整備のための公選法改正が成立しております。

 本法律案は、このような既に措置されている三項目について、公選法と同様の規定の整備を、国民投票法においても行うものであります。

 次に、本法案の主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、平成二十九年の衆議院議員総選挙において、悪天候により離島から投票箱を運べなかった事例を踏まえ、安全かつ迅速な開票の観点から、開票日に近接して現地で開票所を設ける場合の開票立会人の選任に係る規定の整備を行うものとしております。

 第二に、投票所の円滑な設置及び運営を図るため、投票立会人の選任要件を緩和するものとしております。

 第三に、現在、AM放送の放送設備により行うこととされているラジオ放送による憲法改正案の広報のための放送について、基幹放送事業者におけるAM放送のFM放送への転換に伴い、FM放送の放送設備によっても行うことができるものとしております。

 なお、この法律は、第一と第二の開票立会人及び投票立会人の選任に関する規定については、公布の日から起算して三月を経過した日から、第三のFM放送に関する規定については、二年を超えない範囲内において政令で定める日から、それぞれ施行することとしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

森会長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.