衆議院

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第2号 令和5年3月9日(木曜日)

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令和五年三月九日(木曜日)

    午前十時五分開議

 出席委員

   会長 森  英介君

   幹事 伊藤信太郎君 幹事 上川 陽子君

   幹事 柴山 昌彦君 幹事 新藤 義孝君

   幹事 山下 貴司君 幹事 階   猛君

   幹事 中川 正春君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 北側 一雄君

      青山 周平君    伊藤 達也君

      石破  茂君    石橋林太郎君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      大塚  拓君    神田 憲次君

      熊田 裕通君    小林 鷹之君

      塩崎 彰久君    下村 博文君

      田野瀬太道君    辻  清人君

      中西 健治君    深澤 陽一君

      船田  元君    古川 直季君

      古川 禎久君    古屋 圭司君

      細野 豪志君    務台 俊介君

      山口  晋君    山本 有二君

      渡辺 孝一君    阿部 知子君

      新垣 邦男君    大島  敦君

      奥野総一郎君    城井  崇君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      本庄 知史君    谷田川 元君

      吉田はるみ君    岩谷 良平君

      小野 泰輔君    和田有一朗君

      國重  徹君    浜地 雅一君

      吉田 宣弘君    玉木雄一郎君

      赤嶺 政賢君    北神 圭朗君

    …………………………………

   衆議院憲法審査会事務局長 神崎 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     古川 直季君

  大塚  拓君     塩崎 彰久君

  國場幸之助君     石橋林太郎君

  新垣 邦男君     阿部 知子君

  三木 圭恵君     和田有一朗君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     深澤 陽一君

  塩崎 彰久君     大塚  拓君

  古川 直季君     山口  晋君

  阿部 知子君     新垣 邦男君

  和田有一朗君     三木 圭恵君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     國場幸之助君

  山口  晋君     越智 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題)


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     ――――◇―――――

森会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題について討議を行います。

 この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。

 それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。

 発言時間は七分以内といたします。

 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党の新藤義孝であります。

 本日は、緊急事態条項について、これまで各会派から述べられた意見を踏まえまして、既に共通認識が形成されている論点と、今後更に深掘りをしていく必要がある論点に区分しながら、私なりの今後の議論の方向性について述べさせていただきたいと思います。

 お手元に配付した資料を御覧いただきたいと思います。

 論点ごとに私なりの方向を述べますので、次回の審査会など、今後の討議の中で各会派の委員なりの御意見をいただき、議論をより深められれば、このように考えておるわけであります。

 まず、一の(一)、緊急事態の範囲につきましては、大規模自然災害を始めとする四つの事態、そして、その他これらに匹敵する事態を加えた五つの事態とすることについては、自民、公明、維新、国民、有志の五会派において認識はほぼ一致していると思います。

 その上で、一の(二)、五つの事態の発生により適正な選挙実施が困難な状態に陥ったとき、議員任期の延長が必要になることにつきましても、五会派の意見は一致しております。

 では、選挙困難事態の認定に関して、どの程度広範な地域で、どの程度の期間を選挙実施が困難な場合と想定するのか。こうした二点の具体的な要件について、各会派の委員なりのお考えをお聞かせいただければというふうに思うわけであります。

 次に、二の(一)、選挙困難事態の認定は内閣が行い、国会の事前承認を必要とすることについて、五会派は一致しております。

 二の(二)、国会承認の議決要件を過半数とするか三分の二以上の特別多数とするかにつきましては、公明、維新、国民、有志の委員は、三分の二以上が必要との意見を出されております。

 そもそも、議会における意思決定は、過半数の賛成で行われることが大原則であります。一方で、日本国憲法においては、出席議員あるいは総議員の三分の二以上の特別多数によることとされているのは、除名など議員の身分を失わせるとき、秘密会にするとき、衆議院が法律案の再議決をするとき、そして憲法改正発議を行うときであります。いずれも、原則や現状を変更して特別な状態をつくり出すときに三分の二以上とされていることが分かります。

 選挙困難事態の認定、承認は、まず、二院制国会の原則的形態である衆議院、参議院を維持しつつ議決するものであり、衆参両院が通常の機能を発揮する中で議決するとなれば、大原則である過半数議席で足りるということもあります。一方で、四年、六年と定められている議員任期を延長する例外として特別な状態をつくり出すための議決と位置づければ、三分の二以上の特別多数議決が必要と考えられるわけであります。

 この問題は、議員の自己都合によるお手盛り的議決を防止するというような視点ではなくて、二院制の原則なのか例外なのか、更に議論を深掘りする必要があると私は考えております。

 各会派の委員なりのお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。

 次に、議員任期の延長に関する裁判所の関与につきましては、これは三でございますね、維新は憲法裁判所の関与を、国民及び有志は最高裁判所の関与を主張しております。一方、公明はこれに対して疑問を呈しておられるわけであります。

 私は、緊急事態認定とそれに伴う議員任期延長についての国民の審判は緊急事態が解除された後に行われる国政選挙の結果によって示されると考えるならば、これこそが国民による内閣及び国会に対する最大の統制であり、あくまで、緊急事態認定とそれに伴う議員任期の延長は、その判断を裁判所に委ねるのではなく、内閣と国会が責任を持って判断すべきではないかと考えた次第であります。

 各会派の委員なりの御意見を頂戴できればというふうに思います。

 次に、四であります。任期延長期間の上限につきましては、各会派から、七十日程度、半年、一年といった考えが述べられております。

 私からは、東日本大震災のとき、地方議員の任期が最大で八か月程度延長されたこと、南海トラフなど、それ以上の事態も想定されることを念頭に置けば、任期延長期間の上限は一年とし、再延長も可能とするのが合理的ではないかと考えています。もちろん、事態が収束し、選挙が可能になった際には、速やかに延長措置を解除することにしたいと考えます。

 延長期間の上限について、これも各会派の委員なりの御意見をいただければと思います。

 次に、五であります。衆議院の解散後に選挙困難事態に陥り、総選挙の執行ができなくなった場合に、前衆議院議員の身分復活を認めるかどうかも論点になっております。

 私としては、解散権を行使した内閣が選挙困難事態を認定し国会承認を求めている状態というのは、本来であれば解散してはならない状態に陥ったことを意味する、したがって、解散による衆議院議員の失職を一時的に留保して、解散前の状態に復帰させる必要が生じたと考えるべきではないかと思っているわけであります。

 この点につきましても、是非、皆さんの御意見を頂戴したいと思います。

 次に、六、その他の国会機能の維持策、すなわち、国会が開会中の場合の閉会禁止、閉会中の場合の即時召集、衆議院解散の禁止、内閣不信任決議案の議決の禁止については、いずれも五会派が一致をしております。

 その上で、七、以上の措置を講じたとしても、どうしても国会機能を維持することが困難な場合も想定しておく必要があります。そのような場合に備えて、内閣が一時的に国会機能を代替する、緊急政令、緊急財政処分の制度を整備しておくことが必要ではないでしょうか。

 これは、内閣に権限を集中しようという発想ではなく、どうしても国会が機能不全に陥ったときに、一時的、暫定的に内閣が国会機能を代替するものです。しかも、内閣による濫用を防ぐために、国会があらかじめ法律に基づき委任した範囲内に限られること、国会機能が回復した時点で速やかな事後同意を必要とすることといった措置も併せて講じようとしております。

 このような制度がなければ、どのようにしても国会が機能できない究極的な事態に陥った場合、内閣は超法規的な行動を取らざるを得なくなる可能性があります。これは、立憲主義を維持できない状態とも言えるわけであります。

 緊急政令などの規定についても、各会派の委員なりの御意見を是非お聞かせいただきたいと思います。

 最後に、八であります。これまでの論点に対する措置の前提となっているものとして、参議院の緊急集会の位置づけがあります。

 憲法の条文上、緊急集会は、衆議院解散時に国会機能が空白になることを防ぐために設けられた制度です。そのため、解散から総選挙までの四十日間プラス総選挙から特別会までの三十日間という、最大でも七十日間の比較的短期を想定した制度と考えるのが自然です。

 そもそも、解散から四十日以内に総選挙が行われることが前提とされていること、すなわち、その期間に選挙を執行することができるという、まさに平時の制度です。緊急事態を想定したものでないことは明らかであります。

 そもそも、日本国憲法には緊急事態という概念が規定されておらず、緊急事態の発生を想定しておりません。したがって、憲法が想定していない緊急事態に平時の制度を適用することは、その本来の適用範囲を大きく逸脱するものと考えざるを得ないわけです。

 しかしながら、これは参議院の緊急集会を軽んずるものではありません。衆議院解散後四十日以内に選挙ができるような事態であれば、これまでどおり、参議院の緊急集会が機能することになります。

 この論点につきましては、参議院の憲法審査会においても、今後議論がなされる方向で協議が始まっていると伺っております。それも参考にさせていただくことは言うまでもありません。

 是非、この点につきましても、各会派の委員なりの御意見を頂戴したいと思います。

 以上、これまでの審査会で出された意見を踏まえた論点整理と、私なりの今後の議論の方向性について考えを述べました。次回の審査会など、今後の討議の中で、各会派委員との意見交換を行い、より議論を深めていきたいと考えております。

 なお、朝の幹事会におきまして、来週の定例日にも審査会を開催し、議論を継続することを提案いたしました。今後も、憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い論議が行われるよう、委員各位の御理解と御協力をお願いいたしまして、私の発言といたします。

 ありがとうございました。

森会長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 今の新藤筆頭幹事の御発言は、あくまで、論点整理は個人的な御意見、この審査会としてのまとまった意見ではないというふうに理解をしていますが、その上で、再三申し上げていますけれども、非常時でもウクライナのように国会をまず動かすべきでありまして、緊急事態条項を設けるまでもなく、現在の制度でかなりのことができるというふうに我々は考えています。

 それでもなお整理が必要とされるのは、先ほども新藤幹事が触れられましたが、参議院の緊急集会の在り方。これは、条文だけ見ても解散時しか使えないように書いてありますし、実際、ではどういうふうに使えるのかという点。これは参議院抜きには語れませんから、参議院の憲法審査会と合同で議論してはいかがでしょうか。

 それから、選挙困難事態ということについては、これはどのような場合が想定され得るのか。それを、では客観的に誰が認定するのか。お手盛りにならないようにということで、例えば、司法の関与、憲法裁判所というのも視野に入りますけれども、司法の関与、関わらせてはどうでしょうか。

 このように、いろいろな議論がまだ棚上げになっています。臨時国会の即時召集と言っていますが、これは非常時に限らず、憲法五十三条との関係も視野に入ってきますから、こうした議論もしっかりやるべきではないでしょうか。

 ということで、拙速な議論を進めることは反対でありまして、きちんと一個一個積み上げて議論を進めていくべきであります。

 次に、国民投票法についてでありますが、附則に、国は、この法律の施行後三年をめどに、インターネット等の適正な利用の確保を図るための方策やCM規制など、国民投票の公平及び公正を確保するための事項等について検討を加えて、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとするという規定をしています。

 施行後三年というのは、二〇二四年の九月になりますね。つまり、来年の通常国会までには必要な法制上の措置を講じておかなければならないということになります。

 新藤筆頭や北側幹事は、これまでの議論の中で、国民投票法を改正する必要はないという趣旨の発言をされていますが、昨年の憲法審査会で、我が党の階幹事の質問に対して山本龍彦参考人が、情報アクセス権の観点から、プラットフォームを通じて国民投票広報を展開していく必要性をお認めになられて、その点は国民投票法の改正の必要があると思うとはっきり述べられています。前回、北側幹事の発言はこの点で誤りでありますので、撤回を求めます。

 また、情報環境権の保障については、一般的な規律の制定を山本先生は述べておられますが、国民投票法にこのような趣旨の規定を盛り込むことは否定をしておられません。

 それで、私は、この附則四条の原案を作りましたが、何らかの法制上の措置その他の措置が講じられるまでは憲法改正発議ができない、要するに国民投票の公平公正性が担保できないわけですから、というふうに理解しています。

 国民投票法改正については、各党が案を持ち寄り、早急に成案を得るよう、集中討議を求めさせていただきます。

 次に、憲法九条の問題について述べたいと思います。

 岸田首相は、反撃能力について、専守防衛の範囲内で対応する、武力行使の三要件を満たさなければならないというふうに述べておられます。

 一九七二年、時の田中首相は、専守防衛について、「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行なうということ」と述べておられます。この答弁は、「誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」とする一九五六年答弁と矛盾するように見えます。

 しかし、この有名な答弁には、国連の援助もないし、また日米安全保障条約もないというような、ほかに全く援助の手段がない場合の話であり、現実の問題としては起こり難く、平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは憲法の趣旨とするところではない、つまり、実際には敵基地の攻撃を行うことはないという前提がありました。

 このように、専守防衛とは、憲法九条の解釈として、自衛隊に、旧三要件の下では、国土及びその周辺において防衛を行うという地理的な制約と、攻撃的な脅威を与える兵器を持たない、こういう制約を課すものでありました。

 しかし、専守防衛の意義は、安保法制以降、大きく変わりました。存立危機事態に際しての集団的自衛権の行使容認は、我が国が武力攻撃を受けて初めて武力行使をするという憲法九条の基本的な制約を取り払っただけではなく、地理的な制約も消し去りました。今回、反撃能力を持つことで、さらに、攻撃的な脅威を与える兵器を持たないという制約も消し去られました。従来、専守防衛を果たしてきた歯止めが全くなくなってしまったのであります。

 例えば、海外派兵については、従来の専守防衛の考え方からは、一般に、自衛のための必要最小限度を超えて違憲とされてきました。

 しかし、安保法制の審議で、当時の安倍首相は、地理的な制約を外して、海外派兵の例外として、一般にということの外に当たる例外としては、ホルムズ海峡における機雷掃海しか念頭にないと答弁をされ、海外派兵の可能性を認めました。

 さらに、今回、これは私が予算委員会で浜田大臣から答弁をいただきましたけれども、ホルムズ海峡の機雷掃海が唯一の例外ではないとの答弁もなされました。

 また、我が党の長妻委員の予算委員会の答弁で、浜田大臣は、反撃能力の行使について、スタンドオフ防衛能力を活用して、相手国の領域外から対処することが基本となるとしつつ、敵国に自衛隊が上陸をしてミサイルに対する破壊をすることも否定できない、そして、これは、武力攻撃事態において我々の取り得る行動というふうに答弁をしています。

 ということで、海外派兵ももはや例外ではないということになっているわけであります。

 となると、保持できる必要最小限度の実力については、従来は、ICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されないとされていましたが、これらも、敵基地の攻撃に使用される限りは保有できる、こういう理屈になるのではないでしょうか。

 今回、反撃能力の保有を認めたことにより、専守防衛はもはや、先制攻撃はしないという当たり前の意味しか持たないものになってしまいました。年間の防衛予算がほぼ青天井、十兆円を上回り、反撃能力を獲得した自衛隊が、陸海空その他の戦力ではないというふうに強弁できるのでしょうか。

 専守防衛を堅持するというマジックワード、これをずっと言い続けているんですが、専守防衛の中身も変わってしまいました。九条二項の空文化、まあ、もう削除と言ってもいいと思うんですが、等しい効果がこれで生まれるというふうに思います。

 そこで、憲法審査会で、憲法九条が許容する必要最小限度の実力について、新たな歯止めについて議論をして、結論を出してはどうでしょうか。森会長、新藤筆頭に、参考人質疑及び集中討議を求めます。

 最後に、この辺、今日は石破先生はおられるのかな、お詳しいので、反撃能力を持った場合の歯止めについて御意見を伺えればと思います。

 以上です。

森会長 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。

 本審査会において、緊急事態条項については、多くの党派がその必要性については一致しており、各論点について引き続き議論を前に進めていくべきと考えます。

 そこで、緊急事態条項、とりわけ議員任期延長に関する各論点について、順次、日本維新の会の考えを述べつつ、各党派の皆様にも御質問させていただきます。

 まず、議論の前提として、参議院の緊急集会との関係についてですが、日本維新の会と自民党、公明党、国民民主党、有志の会は、緊急集会の規定があっても議員任期延長は必要とのお考えだと認識しておりますが、この点、先週の本審査会において、立憲民主党の委員から、衆議院議員の任期満了の場合に緊急集会を開催できるか否か、解釈を確定する必要があること等の理由から、任期延長について改正条文を起草するのは時期尚早との趣旨の発言がありました。

 しかし、緊急集会の規定が仮に任期満了時にも適用され得るとしても、よりよい仕組みはないのかどうか、あるならば、現行憲法にこだわらず、憲法を改正して改善していくべきと考えます。そして、有事など緊急事態の際に、参議院のみが機能するよりも衆参両院が機能する方がよりよい仕組みだと考えられますので、やはり、憲法を改正し、有事の際の議員任期の延長規定を設けることが必要です。

 次に、要件についてですが、緊急事態の実体的要件としては、維新及び自民、公明、国民、有志は、大規模自然災害、テロ・内乱事態、感染症蔓延事態、国家有事・安全保障事態という四つの事態を対象とし、さらに、これらにその他の事態も対象として加えるという方向性について一致しています。この点について、その他の事態として具体的にどのような事態が想定し得るのかについて、議論を深める必要があると考えます。

 さらに、議員任期の延長については選挙実施困難要件を付加すべきとの方向性も維新、自民、公明、国民、有志は一致していますので、どのような場合に選挙実施困難と認めるのか、先ほど自民党の新藤幹事からもあったように、具体的な要件の議論、調整に入るべきだと考えます。

 続いて、手続的要件についてですが、維新、自民、公明、国民、有志は、いずれも、緊急事態の認定主体は内閣とし、国会の関与については国会の事前承認が必要という方向性で一致しています。また、その際の国会の議決要件については、維新、公明、国民、有志は、出席議員の三分の二以上の賛成が必要という点でも一致しています。自民党さんは、今、議論が必要ということでした。

 この点、議員の身分を延長する特別な場合であること、また、二分の一以上とすれば濫用に対する歯止めとして弱過ぎるので、この点からも三分の二が適正だと考えますが、いかがでしょうか。

 裁判所の関与については、維新の会は憲法裁判所による事後統制を、国民と有志は最高裁判所による事後統制を考えています。公明党は裁判所の関与について疑問ありとし、自民党さんも今、不要だということかと思います。

 この点、公明党から、詳細な事実関係について材料がない限り司法だって判断できないや、実体要件の充足の有無を緊急事態に裁判所が果たして迅速に判断できるのか等おっしゃっておられますが、行政府、立法府による緊急事態条項の明らかな濫用と言える場合に、司法が判断できないとは言えないのではないでしょうか。

 与党が国会の議席の三分の二以上を占める可能性も当然にあるので、立憲主義の観点から、内閣や国会から独立して司法が合憲性の判断を行う仕組みが必要です。特に、緊急事態においては特例的な国会権能の維持などが認められるからこそ、むしろ、その特例的な権限が立法府や行政府に濫用されることがないよう、司法による統制の必要性が一層高いと言えます。

 なお、我が党が考える憲法裁判所については、最高裁に加えて衆議院、参議院も裁判官の任命権者としており、民主的正統性にも配慮しています。

 次に、緊急事態の認定の効果についてですが、議員任期延長期間については、維新の会は、任期延長期間が六月を経過したときは憲法裁判所の職権審査が可能としています。この点についても、これまで、自民、公明、国民、有志からは、一年以下とか六月程度など、様々な御発言がありました。

 期間については、論理的に絶対的な答えは導き出せませんので、一年以下若しくは六月以下をベースに議論をして決めていけばよいと思いますが、問題は、緊急事態が継続しているか、また、選挙実施困難な状況が継続しているかのチェックをいかに行うかです。

 維新は、先ほど申し上げたとおり、憲法裁判所による職権審査を提案しておりますが、国民と有志は、選挙が可能となった時点で国会議決により任期を終了させるとおっしゃっておられます。この点、公明党さん、いかにお考えでしょうか。

 また、解散や任期満了によって議員の身分を失っていたときはその身分が復活するか否かについては、維新、公明と有志は復活させるとの方向の考えで、国民民主党もあり得ると述べておられます。この点、自民党も今、同様のことをおっしゃったのではないかと思いますが、緊急事態においても国会を正常に機能させるべきなので、議員任期延長等を可能とする緊急事態条項の新設が議論されている趣旨を踏まえると、議員の任期が満了又は解散により失われている場合も、その身分を復活させて衆参両院を機能させるべきと考えます。

 次に、緊急事態における議員任期延長や身分の復活以外の国会権能維持策として、緊急事態における国会の即時召集については、維新と公明が自動集会、自民と国民が召集義務を提案しています。一分一秒でも早く国会を開くべき状況を想定すると、自動集会とする方が迅速性という点では優れていると考えます。また、国会の閉会禁止や衆議院の解散禁止、内閣不信任決議案の議決禁止については、維新、自民、公明、国民、有志は、全て必要との認識で一致しています。

 以上のように、議員任期延長については、国会の議決要件と、裁判所の関与の有無と関与の在り方以外は、維新の会と自民党、公明党、国民民主党、有志の会の方向性に大きな違いはないため、細部について詰めの議論を行い、考え方を集約していくべきです。

 なお、維新の会と国民民主党、有志の会は、この緊急事態条項についての各論点の意見を集約すべく、実務者協議を開始したことを御報告いたします。

 なお、緊急事態全般に関するその他の緊急政令、緊急財政処分などの論点についても、引き続き議論を前に進めていくべきと考えます。

 以上で私の発言を終わります。

森会長 今の岩谷君の御発言には質問事項がいっぱいございますけれども、それは次回以降でよろしゅうございますね、答弁。(岩谷委員「はい、二巡目以降でも結構です」と呼ぶ)はい。

 それでは、次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 私からは、先ほどから多くの会派におきまして論点整理に入るべしと表明をされております、特に国会議員の任期延長について、改めて意見を述べたいと思っております。

 まず、間もなく十二回目の三月十一日を我々は迎えるわけでございますが、当時、東日本大震災の影響を受けた地域におきましては、いわゆる臨時特例法で地方議会選挙の期日を延長しました。それに伴い、地方議員の任期も法律で延長したわけでございますが、仮にあのとき国政選挙が予定をされていたとすれば、まさに今議論となっております我々国会議員の任期延長について、憲法上の問題に直面していたことをこの機に思い起こすべきだというふうにまず思います。

 約三年に及びましたコロナ禍は、来週からマスクの着用が個々人の判断に委ねられます。いよいよ終えんに向かおうとしております。当審査会で意見を交わし、一定の結論を得ました国会のオンライン出席の問題は、今般のコロナ蔓延の拡大を受け、あのときは非常に蔓延が拡大しておりましたので、このまま拡大が続けば、我々国会議員が現実に定足数を満たす出席が国会にできなくなるのではないかとの危機意識の下、オンライン出席も許容されるとの報告書が取りまとめられたわけでございます。

 また、今回のコロナ以上の感染症が蔓延した場合、国政選挙の実施が困難となることはあり得るとの現実的な危機意識の下に、我々は現在この問題を議論しているわけでございます。鉄は熱いうちに打て、喉元過ぎれば熱さ忘れるではないですが、この時期を逃しては、国会機能の維持という民主主義の根幹に関わる問題に一定の結論が出せないことになるということを私は危惧をいたしております。

 その上で、国会議員の任期延長の必要性を検討するには、まず整理されなければならないのは、私は参議院の緊急集会の権能の範囲の問題であると思っております。

 参議院の緊急集会は、衆議院の解散時のみならず任期満了選挙時にも開催できるのかがまず論点としてございますが、ここは学説が分かれておりまして、参議院の憲法審査会での議論も調べました。ここでは、参議院の解散時のみならず任期満了選挙時へも適用できるとの説が有力と言う議員さんがいらっしゃいますが、では、なぜ任期満了時まで適用できるのかという詰めた議論は行われていないというのが現状でございます。

 しかし、仮に緊急集会が衆議院の任期満了選挙時に適用されるとしても、だからといって任期延長が不要との結論に結びつくものではありません。それは、前回の当審査会において有志の会の北神委員が御指摘されましたように、現在の国会法では、参議院の緊急集会は内閣が案件を示して招集を求め、議員の権能も内閣が示した案件に限定をされておりまして、参議院の緊急集会は、通常会や臨時会のようないわゆるフルサイズの国会の権能を有していないからでございます。

 では、国会法を改正すれば、参議院の緊急集会でもいわゆるフルサイズの国会の権能を付与できるのか。憲法五十四条二項の規定は、内閣は緊急集会を求めることができるというふうに規定されておりますけれども、では、招集は内閣が求めるとしても、この緊急集会では、国会法を改正して、内閣が示した案件以外も議員は発議等をすることを許容されているのかという問題があるわけでございます。

 そこで、今日、私は一枚ペーパーを配付させていただきました。これは、衆議院の憲法審査会事務局の皆様方の御協力を得て、これまで、国会法で参議院の緊急集会の権能が内閣が示した案件に限られることになった歴史的経緯をまとめたものでございます。

 一九四六年に現憲法が公布をされまして、その翌年の一九四七年に、国会法及び参議院緊急集会規則による整備が行われました。当時は、国会法の四条で、ここでは当初、赤字で書いてありますが、内閣は請求をするという文言だけで、案件を示してという記載はございませんでした。

 しかし、その後実際に行われました二回の緊急集会、一九五二年、一九五三年は、下の参考に書いてありますとおり、中央選挙管理委員の委員の任命でありますとか、又は一般会計の暫定予算等、案件を実際に示して請求が行われたわけでございます。

 その後、一九五五年に国会法が改正されまして、このときに、国会法九十九条で、案件を示して、また、百一条では、議員はいわゆる示された案件に関連するものに限り議案を発議することができるというふうに限定がかかったわけでございます。

 このときの議論のときに、一番下の米印でございますが、昭和三十四年九月二十三日、当時の内閣憲法調査会第二委員会で海保参議院議事部長がこの趣旨を御説明されております。ここでは明確に、緊急集会を求める手続、緊急集会における議案の発議等の議員の権能についての規定を設け、九十九条、百一条のことです、はっきりと条理上緊急集会の本質と相入れないものを排除することによりましてと書いてございますので、やはり憲法五十四条自体が、条理からしますと緊急集会にフルサイズの権能を認めることはできないという趣旨の発言をされております。

 学説も調べましたけれども、一部には、小林孝輔先生等は、集会は確かに内閣にあるが、案件は限定されないということを言われている方もいらっしゃいますが、高辻正巳先生始め、元法制局長官でございますが、そもそも内閣の求めに基づいて行われる、それ以外の場合に行われることは絶対にない緊急集会でありますので、緊急集会での議員の権能は内閣が求めた事案に限定される。逆に、一般的に、無制限であれば憲法上の趣旨に反するおそれがあるというふうにおっしゃっております。

 また、佐藤功先生も、緊急集会において内閣の求める案件以外に議員が発議をしたり、これを審議したり、又は国政調査を行ったり、質疑したりすることは、内閣のみに与えられた憲法の趣旨に反すると書いてございますので、これまでの経緯又は学説の多数からよりますと、やはり、参議院の緊急集会にいわゆるフルサイズの国会の権能を与えることは、憲法五十四条二項は許容していないということがはっきりするのではないかというふうに思っております。

 参議院の議論を私も見ました。参議院の憲法審査会、どういった議論がされているか。これについては、緊急集会の権能を広げるべきという意見があるだけで、ここについては、本来、参議院の皆様方が深掘りすべきだと私は思いますけれども、ここについては、言いっ放しの議論と言ったら失礼ですけれども、なかなか深い議論はないということでございます。

 ですので、これは二院制の例外をどこまで認めるかの議論でございますので、当然、参議院の意見も聞かなきゃいけませんが、我々衆議院が先行してこのような形でしっかりと理屈を深掘りすることは、十分、参議院に失礼なことではない、むしろ必要なことであるというふうに思っております。

 いわゆる感染蔓延時、また大規模災害を我々は経験したわけでございますので、まさに二院制の原則の下、国会機能をフルサイズで行使する必要があるということを改めて我々は認識すべきだと思っております。

 改めまして、今般の東日本大震災、十二回目を迎えますし、また、今般のコロナ感染症の蔓延を契機に盛り上がった議員任期延長問題でございます。一定の結論を出すのは今であると申し述べまして、私の意見とさせていただきます。

森会長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 前回に引き続き、緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長規定について、テーマを絞って議論し、残された論点について意見を集約し、具体的な憲法改正の条文案作りに入ることを改めて提案したいと思います。

 なお、昨日、日本維新の会の皆さんと有志の会の皆さんとともに、緊急事態条項の条文案をまとめるための実務者協議をスタートさせました。できれば今月中には成案を得て、その条文案を本審査会に示し、議論の加速化に寄与していきたいと思います。

 先ほど新藤幹事から緊急事態条項に関して八つの論点が示されましたけれども、私も前回の審査会で五つの残された論点を申し上げました。

 私が示したのは、選挙実施困難要件の具体的な中身、そして任期延長期間の上限、解散時の前衆議院議員の身分の復活の在り方、そして任期延長における最高裁、司法の関与の在り方、そして参議院の緊急集会の位置づけであります。これらの論点については、今後、当審査会で各党各会派の意見も伺いながら議論を深めて合意を得ていきたいと思いますが、現時点での国民民主党の考え方を示しておきたいと思います。

 まず、選挙実施困難要件については、緊急集会では対応できないほどの長期の期間が一つの目安と考えます。例えば、憲法五十四条の規定を踏まえて、七十日間あるいは八十日間以上の長期にわたって衆議院の開会が見込めない場合には、議員任期の特例延長を認めるべきと考えます。

 二番目の延長期間の上限については、東日本大震災のときに導入された地方議員における議員任期延長の特例法の規定を参考に、例えば原則六か月とし、全国一斉の選挙の適正な実施が可能となるまでは延長できるとし、選挙が逆に実施可能になった場合には、国会の議決で任期終了できるとしてはいかがでしょうか。

 三番目の前衆議院議員の身分の復活については、解散権を行使した内閣自らが緊急事態を発することで、その判断を撤回したと考え、失われた身分を復活させることはあり得ると考えます。例えば、国民投票法十五条は、憲法改正発議に係る広報をつかさどる国民投票広報協議会は憲法改正の発議の際に議員であった者で組織するとされており、議員でなくても、一定時点で議員であった者に身分を付与するケースはあり得ると思われます。

 四の任期延長に関する司法の関与の在り方について、国民民主党案では、一番入口の、内閣が緊急事態を発令した段階で、いずれかの議院の四分の一の議員の申立てで最高裁が要件適合性を審査し、内閣と国会に勧告できるようにしています。この司法の関与を、議員任期の延長や再延長を国会が議決した際にも適用する案も考えられると考えますが、いずれにせよ、国会議員のお手盛りを防止する観点から、いずれかの段階で一定の司法の関与を盛り込むべきと考えます。

 最後に、五の緊急集会についてでありますが、国民民主党は、仮に五十四条二項の緊急集会が衆議院解散時に加えて任期満了時でも開かれると解釈するにしても、それはやはり一時的、暫定的なものでなければならないと考えます。

 まず、憲法五十四条では、解散から四十日以内に選挙を行い、選挙から三十日以内に国会を召集すること、そして、緊急集会で取られた措置は国会開会の十日以内に衆議院の同意が必要だと規定されていることを考えれば、最大七十日から八十日を超えるような長期にわたる権限の行使は憲法上想定されていないと考えるべきだと思います。

 また、前回、北神委員、そして今、浜地委員からもあったように、国会法百一条では、内閣総理大臣が示した案件に関連するものに限って議案を発議できるとされております。また、国会法百二条の二では、当該緊急の案件が議決されたときは、緊急集会は終了するものと規定されています。

 これらの規定ぶりから見ても、緊急集会は、限定された案件についてのみ取り扱うべきで、広く一般的、網羅的な案件を処理することを想定しているとは考えられません。よって、仮に任期満了時でも緊急集会で対応するにしても、あくまでその対応できる期間や取り扱える案件は限定されていると考えます。

 そこで、立憲民主党の奥野さんに質問なんですが、奥野さんから、任期満了時に選挙ができない場合は緊急集会で対応すべきという趣旨の御発言があったと思いますが、逆に、立憲民主党の考える、緊急集会が取り扱えるのは一体どれまでの期間で、どのような案件についてなら対応できると考えているのか、その考え方を伺いたいと思います。

 特に、立憲民主党が先般まとめられた中間報告では、数年にわたり選挙困難事態が継続する場合には議員任期延長によることも考えるとされておりますが、逆に言うと、一年とか二年程度であれば緊急集会で対応できるというふうに考えておられると推察されるんですが、その際、暫定予算や補正予算ではなく、当初予算についても緊急集会で対応できると考えているのか。その際、予算における衆議院の優越を定めた憲法六十条との関係をどのように整理しているのか。立憲民主党の考え方を聞かせていただきたいと思います。

 いずれにしても、こうした論点について合意を得て、当審査会では具体的な条文案の取りまとめに入ることを改めて求めたいと思います。維新の会の皆さん、有志の会の皆さん、そして我々は、改めて、今月中にも成案を得て、条文案を本審査会にお示ししたいと思います。

 最後に、国民投票法に関して、実効性あるネット広告規制をどのように盛り込むべきかを判断するに当たっての参考とするため、二名の参考人の招致を提案したいと思います。一人は、もう従来から申し上げている、二〇一六年のアメリカ大統領選挙で、フェイスブックのデータを用いて投票行動を操作したとされるケンブリッジ・アナリティカ事件の当事者であるブリタニー・カイザー氏。そして二人目は、ティックトックのCEOです。

 中国企業が運営するティックトックについては、アメリカ、カナダ、EU等でも、国家安全保障上の懸念を理由に、政府職員の端末での使用を禁止する動きが広がっています。我が党国民民主党も、昨日、議員や秘書、党職員の業務用端末でのティックトックの使用禁止を決定しました。今月二十三日には、アメリカの下院のエネルギー・商業委員会の公聴会でティックトックのCEOが証言する予定になっていますが、本審査会でも、ティックトックCEOを参考人招致し、プライバシーとセキュリティー上のリスクについて直接話を聞くことを提案したいと思いますので、森会長の取り計らいをお願いしたいと思います。

 以上です。

森会長 御提案の件につきましては、幹事会等で協議をいたします。

 なお、発言時間が終了いたしておりますけれども、特に奥野総一郎君に御質疑がございましたので、御答弁を求めます。

奥野(総)委員 我が党の国会のあり方分科会中間報告に触れておられると思いますが、あくまで中間報告でありまして、これから深掘りしていこうということであります。

 それで、極端な例として、数年にわたり選挙ができない場合というのは議員任期の延長の検討要素となり得るんじゃないかということを言っています。

 それから、その前段として、緊急集会で何ができるかというのをまずきちんと議論しなきゃいけないだろうと。先ほど浜地委員の方からかな、ございましたけれども、国会法の中に規定されていますが、緊急集会の憲法への書き方そのものも例えば検討してはどうかということも書いています。文理上はっきりしないわけですね、解散時か、任期満了時に使えるかとか、そういうことも含めて、緊急集会の規定の在り方自体も考え、その中で選挙困難事態の方も扱っていこう、こういうことであります。

 だから、予算の優越権とか先議とかそういう話については、まだ、これから緊急集会の議論の中でしていこうということになります。これは参議院も関わる話なので、ですから、先ほども、参議院も含めて緊急集会についてもう少し議論しましょう、こういうふうに申し上げたところであります。

 いずれにしても、議員任期の延長の前段として、緊急集会をどこまで使えるか、あるいは使えるようにするのかという議論が必要だということであります。

 ちょっと答えになっているかどうか。

 あと、私の方からも石破先生にちょっと先ほど質問をしたので、もしあれば取り上げていただけるとありがたいです。

森会長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、いわゆる緊急事態条項について意見を述べます。

 憲法審査会で、大規模災害や感染症の蔓延などを理由に緊急事態条項を創設すべきだという主張が繰り返されています。しかし、東日本大震災やコロナ感染症の拡大においても、緊急事態条項がなかったから対応できなかったという問題は起きていません。想定外の上に想定外のことをあれこれと仮定して改憲議論をすること自体が問題です。この審査会に参考人として出席した憲法学者や災害の専門家が、極端な事例を出して議論すれば間違う危険性が高いと繰り返し指摘したことを思い起こすべきであります。

 さらに、戦争やテロ、内乱まで挙げられていますが、その核心は、緊急事態と称して、政府に権力を集中させ、国民の権利制限を強化しようとしているものです。いついかなるときも国会の機能を維持することが必要だとも言いながら、国会の機能がどうしても維持できない事態を想定して、内閣による緊急政令や緊急財政処分を可能にするべきだという主張が繰り返し出されています。

 権力を統制するためと言いますが、その中身は人権の制限を容易にするための議論です。まさに、国会の権能を奪い、基本的人権を抑圧する憲法停止条項にほかなりません。

 その一方で、国会議員の身分だけは延長する規定を盛り込もうなど、保身のための議論も甚だしいと言わざるを得ません。

 今、私たちがすべきことは、改憲のための議論ではなく、憲法に反する現実を正し、憲法が生きる社会を実現するための議論です。

 岸田政権が集団的自衛権の下で敵基地攻撃能力が可能としたことは、憲法九条を真っ向から踏みにじる極めて重大な問題です。

 政府は、二〇一四年に、七月の閣議決定によって憲法解釈を百八十度変え、集団的自衛権の行使を容認し、二〇一五年に安保法制を強行しました。これに対し、全国各地で多くの国民が憲法を守れの声を上げ、十万人もの人が国会を包囲しました。

 この審査会でも、参考人として出席した三人の憲法学者が、集団的自衛権は違憲だと断言しました。安保法制は憲法違反という批判に対して、政府は、安保法制で認めるのは限定的な集団的自衛権だと説明してきました。集団的自衛権行使の事例として、先ほど立憲民主党の奥野先生も触れられましたが、挙げたのは、ホルムズ海峡での機雷除去だけでした。

 ところが、今回、存立危機事態と認定すれば、相手国領土へのミサイル攻撃まで可能としたのです。一旦、集団的自衛権行使に道を開いたことが、相手国領土への攻撃にまで拡大しているのです。憲法上絶対に許されない、海外での武力行使そのものです。日本が攻撃されていないにもかかわらず敵基地攻撃を行えば、相手からすれば、先制攻撃以外の何物でもありません。大規模な報復攻撃を受けることになります。まさに、日本全土を戦場にするものです。

 問題は、敵基地攻撃の判断を誰が行うのかということです。

 日米首脳会談の共同声明は、敵基地攻撃能力の開発と効果的な運用の協力を強化するとしています。米軍の指揮統制の下で日米一体に相手国を攻撃することにほかなりません。

 今行われている予算委員会でも、アメリカの軍事行動に追従して集団的自衛権を発動し、米軍の指揮の下で敵基地攻撃を行い、その結果、日本が攻撃される危険性が繰り返し指摘されています。

 衆議院の予算委員会公聴会に与党の推薦で出席した川上高司拓殖大学教授は、有事になれば米軍が指揮権を持つ、敵基地攻撃の際は米軍の戦略に基づく展開がなされると述べています。

 立場を超えて警鐘の声が上がっていることは重大です。今、国民の中から、大軍拡に反対する声が上がっています。どの世論調査でも、軍拡のための増税には反対が圧倒的です。軍事費の増額そのものにも反対が多数です。政府が長射程ミサイルの配備を計画している沖縄県では、敵基地攻撃能力の保有に反対する声が過半数を超えています。この声を正面から受け止めるべきです。

 今、大事なことは、絶対に戦争を起こさせないことです。そのために政治がやるべきは、戦争の準備をする大軍拡や改憲の議論ではありません。東アジアの平和のための徹底した外交努力です。これこそ、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう、諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存を保持するとした日本国憲法が求めていることです。この道こそ進むべきだということを強調して、発言といたします。

森会長 次に、北神圭朗君。

北神委員 緊急事態条項については、今、様々な論点の議論がありましたけれども、日本維新の会、そして国民民主党さんと、今月中に成案を、共同案をまとめるべく今鋭意やっていますので、今日は、せっかく赤嶺委員からも話があったので、憲法第九条についてお話をしたいというふうに思います。

 岸田政権の防衛力強化に対して、案の定、違憲だという批判が出ています。昔ほどではないと思いますが、相変わらず、安保政策が変わるたびに憲法論議が繰り返される。ほかの国では見られないこの現象は、なぜか。その根本の理由は、自国の防衛に自ら責任を持たなければいけない独立国家にとって、憲法第九条第二項の統制力に相当無理があるからだと考えます。

 占領時代は、国防は必然的に米軍に任せていたため、戦力を保持しないとする第二項でも問題はなかった。主権を回復したときに、本来は独立国家としてこれを改めるべきだったのを、解釈に頼って自衛隊や自衛権を認める道を選んでしまいました。しかも、日米安保という片務的な同盟の下で、ずっと盾に徹する役割に甘んずることができました。

 しかし、経済大国になり、冷戦が崩壊し、米国の国力が低下する中で、役割が拡大し、これに合わせて二項の解釈も拡大せざるを得なくなった。今や、米国の力がなお低下し、お隣の中国が現状変更を企てる中で、我が国は、もはや盾だけではなく、矛の役割を担うことが求められています。

 こうして、第九条二項の文言は一ミリメートルも変わらないまま、解釈だけで集団的自衛権、反撃能力も認められるということになりました。要は、解釈の拡大によって、憲法第九条二項の現実に対応する不備を無理に補ってきたわけであります。

 その結果、二項の条文としての統制力は、あってないようなものになっています。つまるところ、二項による自衛のための必要最小限度の実力という解釈基準は、技術進展や情勢変化に応じて、伸びたり縮んだりしています。柔軟といえば柔軟ですけれども、柔軟過ぎて、毎度、解釈をめぐって論争を呼び起こすのです。

 平成三十年五月二十二日付の衆議院議員宮川伸議員が提出をした長距離巡航ミサイルに関する再質問に対する政府の答弁書があります。そこでは、政府は、一層厳しさを増す安全保障環境、それから、諸外国の航空能力の進展が著しいといった情勢変化があったという理由だけで、長距離巡航ミサイルを保有することは自衛のための必要最小限度の実力を超えるものではないと答えています。つまり、今後、安保環境がもっと厳しくなり、極超音速ミサイルに代表されるように、諸外国の軍事技術の進展がもっと著しくなった場合、今違憲とされている攻撃型空母や長距離爆撃機なども合憲と解釈されても、論理的にはおかしくありません。

 昨日は違憲、今日は合憲。今日は違憲、明日は合憲。どっちでもいいですけれども、猫の目のように解釈が変わっています。これは一体、何の歯止めになっているのか。

 私自身は、国防を論ずるたびに、国民をいかに守るかということよりも、憲法上許されるのかという神学論争が優先される不毛な現状に終止符を打つべきだと考えています。そのためにも、また第九条の統制力の形骸化を止めるためにも、第二項を削除して、必要最小限度の実力については法律や政策で柔軟に対応することが望ましいと考えます。

 一方で、自民党案では、自衛隊を明記するが、これまでの必要最小限度の実力という解釈は変わらないとしています。多くの憲法学者や一部の政党などが自衛隊を違憲と発言する中で、自衛隊に従事する皆様の士気に関わるといった理由です。その思いは共有します。しかし、事の本質は、違憲呼ばわりされるのは、何も憲法に自衛隊という言葉が抜けているからではないと思います。むしろ、第二項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と規定されているからではないでしょうか。

 自衛隊は戦力に当たらないという外国の学者がどぎもを抜かすような解釈を施してみせてはいるものの、残念ながら、この解釈が斬新過ぎるがゆえに、一部の方々に対しては説得力に欠ける、だから、自衛隊違憲論がまかり通っているのではないでしょうか。自衛隊違憲論を鎮静したいのであれば、第九条二項という現実からかけ離れた条文を削除することです。

 また、前回、柴山委員からは、自衛隊明記は違憲の批判を退けるだけではない積極的な理由がある、それが、自衛隊の活動や内閣、国会による統制を規定できるという意見が出ました。これは確かに一理あると思いますが、こうしたいわゆる文民統制は解釈上既に認められていることで、これも、規定したところで、あくまで確認の域を出ません。

 いや、北神さん、あなたもさんざん解釈をする弊害を論じてきたじゃないかと反論されるかもしれませんけれども、二項の必要最小限度の解釈のようにころころ変わるという弊害は、私の知る限りでは、文民統制については見当たらない。また、確認するためだけに法改正をすることは、寡聞にして聞いたことがありません。いわんや憲法においてをや。本来、改正は、法的効果を変更するためになされるものであって、確認的な改正もあります、ありますけれども、これは、ひそかに、しれっとするのが通常のように思います。

 以上、憲法の統制力の形骸化に歯止めをかけ、防衛政策論議を現実に即したものにし、自衛隊違憲論を払拭する、三つの理由から第二項削減を主張して、私の意見といたします。

    ―――――――――――――

森会長 次に、委員各位による発言に入ります。

 発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。

 また、幹事会の協議に基づき、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。質疑を行う場合は、一回当たりの発言時間は答弁時間を含めて五分程度といたします。委員各位の御協力をお願い申し上げます。

 発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。

船田委員 会長、御指名ありがとうございます。自民党の船田元でございます。

 この通常国会におきましても、今後、毎週憲法審査会が行われ、様々な部分におきまして議論が煮詰まることを心から期待をいたしております。

 特に、緊急事態対応につきましては、議員任期の延長も含め、かなり煮詰まった議論になってまいりました。また、先ほど、維新、国民、そして有志の会の皆さんが原案を出してみるということで議論を続けているようでございますので、我々、大変期待をしておりますので、是非提出をお願いしたいと思います。

 私は、今日は、もう一つの懸案でございますテレビCMとネット規制について、先ほど奥野委員それから玉木委員からも言及がございましたけれども、このことについて持論を申し述べたいと思っております。

 平成十九年、これは現在の国民投票法の採決そして施行が行われたわけでありますが、そのときの取りまとめを行った当事者の一人として、いろいろと考えるところがございます。

 この憲法改正国民投票法は、元々、人や政党を選ぶ選挙と違いまして、重要な憲法という基本的な政策を選ぶ、こういうものでございますので、その運動については基本的には自由であるべきである、これが大原則としてございます。

 ただ、運動の禁止を行う場合には、多数人買収、それから検察官とか警察官、裁判官などの特定公務員、この方々には運動はできない、それから公務員や教員の地位利用による運動というのはこれもできない、この三つほどしか限定はございません。したがいまして、憲法改正に関するテレビCMも基本的には自由であると思いますけれども、ただ、テレビというのは、言うまでもなく、扇情的な、感情に訴えるような、そういうこともございまして、影響は大きいと思いますので、その当時、憲法改正国民投票が行われる前の十四日間禁止ということにいたしたわけであります。

 ただ、一方では、テレビCMを一定程度規制しなければいけないという声もございました。実は、この件につきましては、この憲法審査会でも、参考人として来られた民放連の方々、民放連としては、かつて、量的な規制については自主規制を行いますという御返事をいただいていたわけですが、その後、この自主規制ができないということになってしまいました。これは大変残念なことであります。

 何らかの法的規制ということを考えている、そういう立場の方々も多いと思いますけれども、私は、法的な規制は必要がない、そのように思っております。

 言うまでもなく、先ほど申し上げましたように、国民投票運動は基本的に自由であるということで、法的な規制はなるべく避けるべきである。ただし、例えば民放の各局におきましてはCM考査というのがかなり綿密に行われるというふうに伺っております。もちろん、公序良俗に反するものを排除するとか、これが中心でございますけれども、やはり賛否の量的なバランスにおきましても、このCM考査では一定の効果を持つものと理解をしております。

 そして、このCM考査に加えまして、憲法改正原案が発議されたと同時に国会に置かれます広報協議会、この権限を拡大をして、この二つの合わせ技ということで賛否の量のバランスを取るということができるかなと考えておりますので、広報協議会の権限の一部拡大ということがこれから議論されるべきではないかというふうに思っています。

 もう一つのネット広告でありますが、これもやはり意見表明は原則自由でありますので、これは対応については慎重に扱わなければいけないと思っております。ただ、賛否の量的なバランスの問題やフェイク広告、感情をあおる内容、それから、最近の用語にありますけれども、フィルターバブルとかアテンションエコノミー、つまり、これは、関心のある情報しかその人には入っていかなくなるというネット特有のゆがみを生じさせるおそれがある、このようなことも言われております。

 これを是正するには、憲法改正に関するネット配信を禁止するということしか方法はないのかもしれません。しかし、これでは言論の自由を侵すということになりかねません。情報の総量を増やすことにより言論の自由市場で淘汰をしていくしかないというふうに私は考えております。

 なお、政党がそのネット広告の出し手としてプレーをする場合においては、やはり、先ほど申し上げました広報協議会で扱いをきちんと議論をして、場合によっては政党間での紳士協定を結ぶ、こういったことを検討することも一案ではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、テレビCM問題、ネット規制問題も、この国会で一定の方向性が出ることを心から期待いたしております。

 以上です。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 憲法を論じるに当たって、大前提として、憲法をしっかり守れているかとの観点で二点申し上げます。

 まず、岸田総理の施政方針演説での、政治、特に政府と国会の関係に関する発言が、憲法の国民主権、議院内閣制による行政監視を否定しているのではとの憲法違反の疑義を指摘します。

 岸田総理は、施政方針演説において、政治とは、政府における議論と検討によって政府が決断した方針や予算案、法律案について、国会の場で議論をし、実行に移す、そうした営みであると発言をしました。これは、憲法の定める議会制民主主義の認識が間違っています。なぜなら、憲法にある国民主権に基づき、内閣法第一条二項には、内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員から成る国会に対して連帯して責任を負うとあり、行政権の行使に対する民主的統制の重要性を強調している趣旨に反するからです。

 国会審議を経ることなく、政府が非公開の場で議論、検討し、勝手に決議することを容認すると、議院内閣制の下での国会による行政監視が機能しなくなります。決断をした方針や予算案、法律案を、決定後、国会で議論をするからよいのだと強弁するかもしれませんが、特に、安全保障など国の大方針の変更に関わる議論について、論点を整理する段階から、事前に国会による行政監視の機能が発揮されるべきです。

 もう一つの憲法違反の疑いは、憲法五十三条にある臨時会の召集義務についてです。

 これまでも、憲法に基づく召集の要求が出されても召集がなされない、あるいは長期にわたって召集されない事例が相次いでいます。条件を満たした要求であれば、「内閣は、その召集を決定しなければならない。」と憲法五十三条にあります。

 政府は、召集時期は憲法で触れられておらず、当該時期の決定を内閣に委ねている、基本的には、臨時会で審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならない、合理的な期間内に常会の召集が見込まれる事情があれば、国会の権能は臨時会と常会とで異なるところはないため、あえて臨時会を召集しなくても憲法に違反するとは考えていないと答弁しています。

 この臨時会の召集義務について、政府の対応を憲法に照らすと、二つの問題があります。

 一つは、召集期限が明確でない問題です。合理的な期間内と言う一方、翌年には必ず召集される常会が開かれるまで待てば召集義務は果たされたと解するならば、この五十三条の臨時会召集義務の条文の効力が無力化をされてしまいます。

 もう一つは、長期にわたって召集されないことで、議員立法の提出権がある国会による内閣への関与が確保されない問題です。長谷部恭男早稲田大学教授は、令和二年六月十日那覇地裁判決の判例解説で、議員の要求によって召集される臨時会での審議事項は、内閣提出の案件に限られるわけではないことは当然のことであり、案件の内容審議のための内閣の準備不足を理由に召集を延ばすことはできないと考えられると指摘しており、傾聴に値します。

 以上を踏まえて、召集に必要な物理的な準備期間と臨時会の議案としての議員立法の提出権がある国会による内閣への関与を念頭に、召集期限の明確化が必要です。

 立憲民主党など野党四党からは、憲法五十三条に基づく要求時における二十日以内の臨時会召集を規定する議員立法を提案しています。この二十日以内は、自民党の改憲草案にも記載があり、多くの政党で方向性が一致する提案です。

 臨時会の召集義務をめぐっては、憲法に違反せず、召集期限を明確化し、国会による適切な行政監視を行うことが必要です。憲法改正の議論を言う前に、大前提として、憲法を守り、憲法の要請に応える取組を内閣や与党に強く求めます。

 以上で私の発言を終わります。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 先ほど城井委員がおっしゃったことは私たちも全く同感なんですけれども、それをおっしゃるのであれば、憲法審査会を予算委員会開催中もちゃんと応ずるということもしっかりすれば、そうすれば、ちゃんと審議の時間だって取れるわけですね。やはりそういった、ちゃんとやるべきことをやるということをしっかりやった上で、もっと憲法議論を充実させるべきというふうに考えています。

 先ほど船田委員がおっしゃいました、今ちょっといらっしゃらないので残念なんですけれども、我々維新と国民民主さん、そして有志の会さんで、早速先週から、緊急事態条項、そのうちの議員任期の延長に特に特化してワーキングチームをつくって実務者協議をしているということで、それに対して大いに期待しているというお褒めのお言葉をいただきましたけれども、でも、これは、自民党さんも公明党さんも、我々の動きに期待するではなくて、主体的にやはりどんどんどんどん、条文をまとめるということもやっていただきたいというふうに思っています。

 私たち三党の中で、大分まとまりはあるとは思うんですけれども、ただ、難しい問題もまだまだ存在しているというふうに思っています。私自身が、先ほど玉木委員の論点整理をお聞きしていて、やはり一番我が党と乖離があるなというふうに思ったのは裁判所の関与のところです。司法的にどのように統制を利かせるか。先ほど新藤幹事からも、その点については、自民党さん、大分我々と乖離しているなというふうにもまだ思っているわけなんですけれども。

 私たちは、憲法改正原案の中で、憲法裁判所というものをやはり創設するんだと。特に、議員の任期延長ですとか、あるいは緊急事態において例えば緊急政令を発出するというような場合に、これが果たして今の最高裁判所が判断するというような枠組みの中で機能するのかどうかという問題が存在しているというふうに思います。御存じのとおり、最高裁判所は、これは具体的争訟について付随的審査を行うという性格のものでありますので、やはり抽象的審査を可能とするような憲法裁判所でこそ、緊急事態において政府が判断していることについて、適切かどうかということをきっちりと判断ができるものというふうに考えておりますので。

 ただ、これはやはり三党の中でもしっかりと結論を出すということで努力しなければいけないと思っておりますので、私たちも党内議論で、憲法裁判所を、例えば、三党の中で、ではどこまで入れ込むのかということについては非常に難しい問題をはらんでおりますが、ただ、先ほど船田先生がおっしゃったように、期待もされているわけでございますので、しっかり結果を出していきたいというふうに思っています。

 今日の議論は、私は、緊急事態条項それから議員の任期延長に関しては以上なんですけれども、今日のNHKの朝のニュースでちょうどやっておりました、最高裁が大法廷を開いて参議院の一票の格差の問題についてこれから審理をしていくというようなニュースがございましたけれども、これもやはり憲法審査会でもっと議論を先にしていかなければいけない問題だというふうに思っています。

 例えば、今まで高等裁判所と高裁支部で言い渡された十六件の判決というのは、憲法違反が一件、違憲状態が八件、合憲が七件ということで、先ほど北神委員もおっしゃいましたけれども、安全保障の問題だけではなくて、参議院、あるいは衆議院もそうですが、一票の格差という民主主義の根幹に関わる問題についても、裁判所はまさにころころ結論が変わっているわけですね。

 私も憲法を勉強していた学生時代、私は余り真面目に勉強をしませんでしたので司法試験はうまくいかなかったんですけれども、ただ、その中でも、憲法を勉強していて、一票の投票価値の格差というのは、やはりこれは問題がある、民主主義においては大事にしなければいけない価値だということも学びましたが、ただ、地方行政の現場に行って、その価値観も揺らいできたということがあります。

 ここの先生方も本当に過疎地域を抱えておられる方も多いと思いますけれども、私も、そういう行政の現場で、やはり本当に一人一票の投票の価値をそのまま守ることが日本を守ることにつながるのか。特に、日本の国土や、そして食料生産を担っているような地域を、ちゃんと少ない議員で守ることができるのかということも、また違った価値観として考えなければいけないということだと思います。

 現に、自民党の憲法改正草案の中には参議院の合区解消というものが含まれているというふうに思います。それは、先ほど私が申し上げたような、地方の行政あるいは政治の現場で感じるような危機意識があるからこそだというふうに思いますけれども、ただ、私たち日本維新の会は、参議院の在り方をそのままにして、そして、合区を解消してその問題に対処するということでは済まないと思っています。

 私たち日本維新の会は、マニフェストの中でも、参議院の在り方を根本的に見直す、参議院の議員の要件も、首長も兼任することができるようなことも含めて、もっともっと抜本的な改革をしなければいけないというふうに思っておりますけれども、まさにそういったことも含めて、これは自民党さんも改正原案にも含めておられるわけですから、そのことについてももっと積極的に議論して、そして、最高裁判所の方でこれから審理をするというんですけれども、これだけ毎回毎回裁判をするときに結論が分かれているものについて、大法廷が審理して、それで一つの結論を導き出せるわけがないと思うんですね。

 やはりこれは、政治が、もちろん一人一票の価値を参議院でどう守るかという問題はすごく難しいんですけれども、先ほど私が申し上げたような、日本全体の政治や行政の機能をどうやって維持するのかという問題も含めて議論しなければいけないと思いますが、それは政治家でしか示すことができないということで、引き続き、その問題についても議論していきたいというふうに思っています。

 そして、この憲法審査会の場だけではなくて、我々三党も、もうしょっちゅう、この外でも内容を詰めて、そして皆様にもお示しをしていきたいというふうに思いますので、それに対する忌憚のない御意見もこれからも頂戴したいというふうに思います。

 以上で私の発言を終わらせていただきます。

務台委員 安全保障環境の激変により、国民の皆様の間でも、憲法に関する関心は確実に高まってきています。

 最近の各種世論調査でも、六割以上の方が憲法改正の必要性の認識を持っており、もっと憲法議論をすべきだという人は更に多くて、七割を超えています。

 私の地元でも、折に触れ憲法セミナーを開催していますが、社会環境や安全保障環境の変化に対応した憲法議論の必要性について、多くの皆様がその意識を高めているという実感を受けています。私の地元でも、自分の生きているうちに憲法改正の国民投票をさせてほしい、国会では、そのための論点を整理し、賛否の議論の差異をしっかり明らかにしてほしい、そして、そのための憲法審査会の審議の活性化を求める声が寄せられています。

 憲法改正の主役は国民です。憲法が国民投票を経た憲法改正の手続を規定し、国民が国民投票という民主主義の象徴とも言うべき手段を通じて自分たちの意思を示したいと希求しているのに、肝腎の国会がその機会を阻み、発議に至らないということは、国民の国民投票の権利行使の機会を奪っているとも言えます。こうした状態は、国民主権、民主的観点からも適当ではありません。

 憲法審査会の場でも、今の憲法がよいのだから国民の意思を聞くことは不要だ、国民は憲法改正を求めていないという一部委員の発言が頻繁に聞かれますが、その意見は、世論調査の結果から見ても、実際の国民の意識から見ても、乖離しているというふうに思います。少なくとも、実際に国民のその意思を確認せずして、そういった指摘はできないはずです。

 そうした中で、過日、米国でAIの脆弱性をチェックするロバストインテリジェンスという企業を運営している若手経営者の方から、AIの導入に向けての日米の意識の違いについて興味深い示唆を伺いました。

 その経営者は、AI導入について様々なリスクが伴う、しかし、米国はAIの導入に慎重かというと、何らかの問題が生じても、それを修正して進歩していくのがアメリカの流儀だ、日本はリスクを恐れて導入に慎重になっているのではないか、いわば、米国が攻めのガバナンスで対応するのに対して、日本は守りのガバナンスで対応する傾向がある、これでは最先端分野での社会実装の遅れが生じ、競争力に差が出てしまう、日本も攻めガバに転換すべきだという趣旨のことを語っておられました。

 この話を聞いていて、例えば、マイナンバーカード導入に向けての漠然と心配があり、ここまでマイナンバーカードの普及に時間がかかってしまった、このこともその一例ですし、制定後七十七年間、一度も改正されていない日本国憲法の現状こそが、その最たる例ではないかと感じられます。

 過日、イスラエルのサイバーセキュリティーのソリューションの紹介を受けましたが、そのイスラエルの当局者は、世界で備えが進んでいるサイバーセキュリティーの分野に対して、日本は黒船が到来してびっくりしている状態との評価が心に刺さりました。

 今の現状を何か変えると、それがどのようなマイナス効果を生むかということが気になって、現状維持の選択に傾く国民的心理状態が長い間続いてきたと思います。その状態が閾値を超えて、デジタル対応の遅れから生じたコロナ禍対応の反省、ウクライナ戦争、中国の現状変更の大胆な試みを目の当たりにして、今のままではいけないという国民意識の底流変化につながっているのではないかと感じられます。

 今の時代は、明治維新時の変革、敗戦時の変革に次ぐ、時代の大きな変革のうねりの局面に立っていると言ってもいいのではないでしょうか。新たな大失敗を経験しないとこの変革に対応できないのか、大失敗に至る前に自己変革ができるかが問われていると言えると思います。その意味では、この時代に国民の代表を務めさせていただいている我々国会議員の役割は極めて大きいと自己認識しなくてはなりません。

 昨年中に衆議院憲法審査会は二十四回開催されました。これは年間の開催回数としては過去最多でございます。参議院の憲法審査会は十二回開催され、平成二十六年に並び過去最多となりました。民意の変化に対応したすばらしい実績だとは思いますが、意外にも、野党の委員の中には、予算委員会の開会中は他の委員会の審議を行うべきではないという主張をする方もいらっしゃいました。

 こうした内向きのルールに納得する国民はどのくらいいるでしょうか。憲法審査会に大臣出席は求められていません。予算委員会開会中に憲法審査会を行ってどのような不都合が具体的に生じるのか、示す必要もあろうかと思います。先週の憲法審査会でこの旨を主張した階委員に、具体的な不都合としてどんなことを考えておられるのか、伺いたいと思います。

 安全保障に関しても、反撃能力について、相手方の発射の有無が判定できないのに反撃ができるのかという認定の問題がクローズアップされていますが、反撃能力の趣旨は、日本を攻撃したら攻撃した側にも多大の被害が生ずるというメッセージを相手方に送ることに意味があり、それにより相手方の攻撃を思いとどまらせる抑止力にこそ本質的意義があると考えるべきです。攻撃の認定などの技術的な課題は、そうした中での解決を図っていくことが可能ではないでしょうか。

 ましてや、仮に相手方に明確なミサイル発射の兆候があり、反撃をちゅうちょした結果、日本が攻撃され多大な死傷者が出た場合に、何と言って釈明するのでしょうか。日本国憲法は日本国民の生命財産を守るために存在するのであり、日本国民の安全、安心を損なう状態に置く日本国憲法の在り方は本末転倒です。

 防衛費が、今後五か年で四十三兆円とすることが政府で決定されました。その結果、自衛隊は世界有数の実力組織となります。本来であれば、そのような対応をしなくて済むにこしたことはありませんが、今、それを、その環境が許さない状況にあります。今の憲法解釈のままでいいのかは議論すべきです。

 ところで、憲法審査会の議論を聞いていて、共産党の委員の意見は護憲の立場で一貫し、なるほどと思う理屈で護憲を主張される、感心することさえあります。一方で、私の認識では、現憲法に対する対応を最も激しく変えたのは、ほかならぬ共産党であるとの思いもあります。

 一九四六年八月二十四日の衆議院本会議で、野坂参三代議士は……

森会長 務台君、時間が過ぎておりますので、結論を急いでください。

務台委員 はい。

 現在の日本にとって九条は一個の空文にすぎない、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある、それゆえにこそ我が国は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならないと演説されました。

 そこで、憲法審査会委員の赤嶺先生に伺いたいんですが、共産党が百八十度党の方針をひっくり返して護憲の立場に立った理由、そのことを伺いたいと思います。

森会長 もう時間が過ぎていますから。

務台委員 ありがとうございます。

森会長 先ほど務台君から階猛君に質問がございましたけれども、今御覧のように、大分時間が過ぎておりますので、次回以降に答弁を願います。

篠原(孝)委員 立憲民主党、略称民主党の篠原孝です。

 いろいろ言われていますので、ちょっと違った観点から御意見を申し上げたいと思います。

 我が党が憲法の議論に後ろ向きだというのをいろいろ言われていますけれども、小野さんからいろいろクレームがつきましたけれども、我々は、ルールに従ってやりましょうと言っているだけで、予算委員会開催中は開かないということ、それだけ言っているだけですし、それから、国会議員の任期延長、この議論をするのもいいんですが、これだけをとっととっとと急ぐというのは、余りにも急ぎ過ぎじゃないかということを言っているだけなんです。

 私は、船田さんとは、神宮の森を守るので共闘して今一生懸命やっているところですけれども、何か、皆さんの共闘について船田さんがお褒めになったということですけれども、私は余り褒める気にはなれません。

 選挙もできないときに国会議員が大量に欠けるというのは、やはり、憲法は、国会は国権の最高機関と言っているので、問題だと思いますよ。それを補うためのルール作りは必要だと思います。だから、憲法は、最初から緊急集会というのを認めているわけです。

 浜地さんが言われた、フルサイズのものじゃないというのは、それはそのとおりだと思います。それから、玉木さんが、何か、衆議院の予算の先議はどうなるとか、それはけちをつけたらいろいろあると思いますけれども、こういう緊急事態ぐらいは参議院に花を持たせるというのが我々衆議院の情け心じゃないかと思います。後で補えばいいんです。頭から否定するなんていうのは、私は問題だと思います。

 それで、これは前も申し上げましたけれども、国会の審議を重視するというなら、これは城井さんが言いましたし、我々立憲と維新が仲よくしているのもあるわけですよ。昨年秋に共同提出している臨時国会召集の関係の法律です。こういうことこそさっさとやるべきで、同じように、国会の審議をどんどんやるんだというなら、そっちを重視すべきだと思います。

 そして、私は、今どうもあれなのは、それを、みんなすぐ憲法改正、改正と言うので、国会改革について議論するのはいいことだと思います。ですから、今の緊急集会の、補うようなところは、今、任期延長とかいうのもそうですけれども、そういうのは、特別法で何か工夫をして、改正して、さっさとやって、そして、後でまとめて一緒に憲法改正にしていった方が私はいいんじゃないかと思います。

 重ねて申し上げますけれども、そこまで国会ないし国会議員の役割を大切にするんだったら、皆さんいろいろ触れられました、安保関連三文書ですよね、これからどうやって議論していくのかというのを。

 二〇一五年の安保法制については、参考人の人たちにも来ていただいて相当議論したわけです。しかし、今回、いろいろ問題になっている反撃能力と専守防衛の関係について、これは皆さん触れられて、北神さんなんかも非常に威勢のいい意見を言われました。私は、そういう意見はあると思います。だから、それこそここできちんと議論すべきじゃないかと私は思います。絶好の機会だと思います。

 だけれども、そればかりをまたやるとよくないので、ほかにも、LGBTの問題もありますし、何か突然、放送法と言論の自由の問題もあります、そういったことをやっていくべきだと思いますね。

 岸田総理は安保政策の大転換だと言っていられますが、それだったら、緊急事態でも何でもないのに、我々の議論を全然せずに閣議決定だけで決めてしまうというのは、やはりこれは国会軽視極まれりだと思います。やることをやってから、やっていただきたいと思う。

 このままいったら、今、こんな平和な時代にすら、国会に少しも諮ることなく政府で決めているわけです。それで、アメリカに行って、先に報告しているような感じです。ですから、赤嶺さんが指摘されましたが、緊急事態などになったら、国会は全く無視されて、今以上に行政が突っ走って、また再び同じ間違いをするんじゃないかと思います。

 新藤委員が言われた、七のところ、緊急政令、緊急財政処分、私は、これは大事なことで、こっちの方のところなんかもちゃんと、やるんだったらやっていくべきだと思いますね、そういうのを、正々堂々と。国会議員の任期延長ばかりを前面に立ててやっていくというのは、ちょっとゆがんでいるんじゃないかと思います。

 それから最後に、森審査会長にお願いですけれども、私は、この憲法審査会の進め方は気に入っています、何でも自由に言える。ちょっと自由が制約されていますけれども。

 私は、OECD代表部というところで三年間議論をしました。どうやって議論するのかというと、同じです、旗を立ててやるので。下手くそな英語ですけれども、日本人としては異例の頻度で発言したと思います。

 なぜかというと、本省から抽象的な議論について訓令が来ないんです。だけれども、どうやって議論するかというと、各国から集まって、パリに来るわけですから、じっくりやるわけです。午前三時間、午後三時間やるんです、それで三日間やるんです。私は、一時間半ぐらいでちょこちょこ終わっているというのは余りよくないので。

 名札を立ててやる。名札は何でやっているかというと、最初に所属の党を言えと言われましたけれども、この趣旨は、憲法は党派を超えて議論していくべきだと。だから、党、どこでもいいとは言いませんよ、言いませんけれども、発言時間を決めて、登録した者であるというのは、いつか決まったルールだと思いますけれども、それを取っ払って、もっと私が自由に発言できるような機会を与えていただけることをお願いいたしまして、私の発言を終わります。

森会長 篠原君の御意見は、皆さんとともに重く受け止めたいと思います。

 最後に、北側一雄君、手短にお願いいたします。

北側委員 公明党の北側一雄です。

 もう時間が来ておりますので、一言しゃべって終わりたいと思います。

 先ほど、うちの浜地委員から話がありましたが、東日本大震災から十二年たつわけでございます。この東日本大震災という巨大地震が起こったときにどういう対応をしたのかということを、もう一度よく私どもは検証した方がいいというふうに私は思っております。

 ちなみに、今大きなテーマになっております緊急事態における議員任期の延長の問題に関連するんですけれども、ちょうどその年は、今年と一緒で、四月に統一地方選挙が予定をされておりました。三・一一にそういう大きな地震が起こって、四月の統一地方選。では、この四月の統一地方選挙をどうするのかということが、当然、国会で大きな議論になったわけです。

 そこで作られた法律というのが、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律。これを国会はすぐさま通して、来るべき統一地方選挙の選挙期日を延期ができる、こういう法律を作ったんですね。

 その法律の中身なんですけれども、これはよく勉強したいと思うんですけれども、施行の日から二月ないし六月以内、この間で選挙期日の延期を政令で決めましょう、こういうふうにしたんですね。実際、選挙期日の延期をされた地域というのは、東北三県と、関東の茨城県も実を言うと選挙期日が延期をされました。

 では、選挙期日の延期をどうやって決めるか。これは地方選挙ですから、政令で決めるんですけれども、各地方団体の、地方の方の意見を聞いた上で、政令で、では、どこどこ市についてはいついつまで、いつというふうに個別に決めていきましょう、こういうやり方をしたわけなんですね。

 この選挙期日の延期と議員任期の延長の話というのは、これは不可分の話でして、選挙期日が延期された、そして、実施される選挙期日の前日まで任期の延長をするというふうに法律には書いてあるんです。ですから、まず、選挙実施困難だという事態があって、その選挙の実施を延期をする、そして、延期をした実施される選挙期日の前日まで任期を延長する、これを首長、議員についてやるというふうなことを法律で決めたわけなんですね。これは統一地方選挙です。

 問題は、国政選挙が直後にあるようなことが想定される場合にどうなのかということでして、ここはやはり、東日本大震災のようなそういう巨大地震が起こったときに、恐らく国政選挙なんてできません。私はそのとき実感しました。

 それは、単に被災地だけでできないというんじゃなくて、これはもう全国的にそんな国政選挙なんかやっているような余裕は全くないわけでございますし、かつ、国政選挙の場合の性格として、国政選挙はやはり同時に全国で実施をしていくということが大切でございまして、そういうことを考えたときに、ちょうど東日本大震災から十二年たちます。改めて、そのときにどういう対応を我々国会がしたのかということをしっかり検証して、今回のこの議員任期延長の問題についても更に詰めた議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

森会長 まだ御発言の御希望もあるようでございますが、予定した時間が経過いたしました。

 この討議の取扱いについては、ただいま与野党の筆頭間で協議をいたしておりますので、今後については、これを踏まえ、幹事会等において対応をいたしたいと思います。

 これにて討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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