衆議院

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第14号 令和5年6月8日(木曜日)

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令和五年六月八日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   会長 森  英介君

   幹事 伊藤信太郎君 幹事 上川 陽子君

   幹事 柴山 昌彦君 幹事 新藤 義孝君

   幹事 山下 貴司君 幹事 階   猛君

   幹事 中川 正春君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 北側 一雄君

      青山 周平君    伊藤 達也君

      石破  茂君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    神田 憲次君

      熊田 裕通君    小林 鷹之君

      國場幸之助君    下村 博文君

      田野瀬太道君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中西 健治君

      船田  元君    古川 禎久君

      古屋 圭司君    細野 豪志君

      本田 太郎君    務台 俊介君

      山本 有二君    新垣 邦男君

      大島  敦君    奥野総一郎君

      城井  崇君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    本庄 知史君

      谷田川 元君    吉田はるみ君

      岩谷 良平君    小野 泰輔君

      三木 圭恵君    國重  徹君

      浜地 雅一君    吉田 宣弘君

      玉木雄一郎君    赤嶺 政賢君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   衆議院憲法審査会事務局長 神崎 一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     本田 太郎君

  渡辺 孝一君     冨樫 博之君

同日

 辞任         補欠選任

  冨樫 博之君     渡辺 孝一君

  本田 太郎君     小林 鷹之君

    ―――――――――――――

六月五日

 憲法改悪を許さないことに関する請願(笠井亮君紹介)(第一四四六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一四七一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四七二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四七四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四七五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一四七六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四七七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四七八号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四七九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四八〇号)

は本憲法審査会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題(特に、国民投票を中心として))


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     ――――◇―――――

森会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題、特に、国民投票を中心として討議を行います。

 この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。

 それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。

 発言時間は七分以内といたします。

 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。

 本日は、国民投票法に関する幾つかの論点について意見を述べます。

 二〇二一年六月に成立した国民投票法改正の附則四条では、第一号で投票の外形的事項である投票環境の向上について、第二号で投票の質に関する事項であるCM規制などについて検討条項が設けられています。

 まず、第一号で規定されております投票の外形的事項につきましては、自民、維新、公明、有志の四会派が昨年四月に、いわゆる三項目案を提出し、趣旨説明済みでございます。その内容については、公選法で既に設置されている事項であり、審議でも異論はなかったものです。趣旨説明済みの法案を審議するのは国会の当然の責務ですが、提出以来、立憲民主党と共産党の理解を得ることができず、一年以上審議が行われていません。速やかに審議を行い、採決すべきということを改めて申し上げます。

 次に、附則四条二号に規定されている投票の質に関するCM規制の問題に関しては、まず、国民投票法制定時の基本的な考え方を確認しておく必要がございます。

 法制定時の国民投票運動に関する基本的な考え方は、国民投票は国民主権最大の発露の場であり、国民投票運動はできるだけ自由にというものです。これは当時の民主党自身が強く主張したものであり、その結果、CM規制は法的な規制をできるだけ避け、自主的な規制によって国民投票の公平公正を確保するとの整理がなされ、放送CMについては期日前投票が始まる二週間前からの禁止に落ち着いたという経緯があります。

 これに対して、放送CMの規制に関し、勧誘CMは個人、団体、政党等を問わずに全期間禁止、政党については意見表明CMも禁止といった法規制を導入すべきという意見があります。しかし、これらの点は、国民投票運動はできるだけ自由にという基本原則に照らし、問題があると思われます。

 そもそも、政治的な表現活動である放送CMに関しあらゆる主体について禁止するというのは、憲法で保障された表現の自由に対する必要以上の制約になるおそれがあります。また、発議された憲法改正案について、国会における議論を一番よく把握しているはずの政党に対して意見表明CMまでも禁止することは、国民が判断する際の議論の経緯や内容に関する重要な材料を奪ってしまうことにもなりかねません。慎重な議論が必要と考えているわけです。

 さらに、近年、市場規模において放送CMを上回っているネットCMについて、政党による有料ネットCMを禁止すべきとの意見もあります。しかし、放送CMはあらゆる主体について禁止とする一方、ネットCMは政党のみ禁止とする政策判断の合理的な説明、これまた困難と思われます。

 なお、ネットCMのみならず、ネット空間における表現活動全般については、フェイクニュース、マイクロターゲティング、フィルターバブルなど様々な課題が指摘されております。これらは、国民投票に限った課題ではなく、むしろ頻繁に行われている一般選挙において検討が必要な課題であり、倫選特における議論や情報通信分野、その他の社会的課題全般として、総務委員会やデジタル社会形成に関する特別委員会における議論も必要と考えています。

 また、国民投票運動に係る資金規制に関し、支出が一千万円を超える団体の届出、支出金額の上限の設定、収支報告書の提出の義務づけなどの法的規制を行うべきとの意見があります。

 団体の届出制の導入については、そもそも国民投票運動を行っている団体の支出が一千万円を超えるかどうかを判断することは、団体の実態を把握できることが前提と思われますが、これを正確に把握することは困難ではないでしょうか。加えて、国民投票運動とその他の活動を行っている団体については、国民投票運動に関する支出だけを切り分けて把握する必要が発生しますが、実態の把握は更に困難と考えます。

 次に、支出金額の上限規制については、一つの団体の上限を規制しても、資金提供者は複数の団体に支出できることから、総括的な資金提供の上限規制を担保することは、これまた困難であります。

 さらに、届出団体の数が多数に上る場合、それをチェックするのは国民投票広報協議会ですが、全ての事務を広報協議会が行うことは無理があり、実質的には中央選管や都道府県選管などに事務的支援を依頼することになると思います。その場合には、この中央選管、都道府県選管などに過度な事務負担が生じるおそれが出てくるわけであります。

 そもそも、収支報告書の提出や公表は、国民投票運動期間が終了した投票期日後とならざるを得ないことから、収支報告書のチェックは事後的なものとなり、資金規制の実効性は低いものになると言わざるを得ません。

 以上、国民投票運動に関する団体の活動や資金について法的規制を行うことには様々な問題があり、困難が伴うと思われます。

 とはいえ、国民投票運動に関わる政党や団体の活動に対しては、公平公正を確保するための何らかの措置が必要とも考えており、厳密な法的規制は難しくても、例えば、政党間の申合せによる自主的な取組などについて検討してはどうかと考えております。放送CMの受け手である民放連及び民間放送事業者の自主的規制ガイドラインが、量的なものを含め既に準備されているように、放送CMの出し手である我々政党側の自主的取組についても、今後議論を深める必要があると思っております。

 また、これとは別に、国民投票法では、正確な情報を提供するための取組として、国民投票広報協議会を設置することが定められています。憲法改正案の国民への周知、広報を行うこの協議会がどのような活動をするのか、公平公正をどう確保しようとするのか、協議会の内容を詰めることは、我々政党側の取組と密接な関連があります。協議会は憲法改正を発議した賛成、反対の政党から構成されており、この協議会がどのような活動をどの程度行うかということは、それぞれの政党が独自に展開する国民投票運動にも大きな影響を及ぼすからであります。そうした観点からも、広報協議会の内容を速やかに詰めるべきと考えています。

 そのため、広報協議会規程、事務局規程、放送及び新聞広告規程と、国会職員法、国会職員育児休業法などの関連法律の改正が必要となってくるわけであります。これらは事務的な法整備であり、まずは、規程案や改正案についてのたたき台の作成を法制局及び事務局に依頼し、審査会として、広報協議会規程の整備に向けた具体的な作業の促進を図るべきではと考えております。

 会長におかれましては、こうしたたたき台の作成について事務方へ要請いただきますよう、お取り計らいのほど、お願いいたします。

 最後に、緊急事態条項についても意見を述べます。

 審査会が現在のように毎週開かれるようになった昨年の常会以降、緊急事態条項についてはかなりの議論が積み重ねられ、今国会においても、参議院の緊急集会の位置づけを始め、緊急事態条項全般についての議論が更に深められております。ここまで議論が積み重ねられた現状を踏まえれば、各会派委員の意見の概要を事務的に取りまとめるため、法制局に客観的な論点整理資料を作成してもらい、今後の討議に生かしてはと考えております。

 既に複数の会派、委員からも会長に対し要請がなされておりますが、改めて私からも会長に要請をさせていただきます。お取り計らいのほど、よろしくお願いいたします。

 今朝の幹事会におきましては、来週十五日に審査会を開催し、緊急事態条項についての論点整理資料の説明を法制局より聴取し、これを踏まえた討議を行ってはと提案をしております。今後も憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い論議が行われるよう、委員各位の御理解と御協力をお願いして、私の発言といたします。

森会長 ただいまの御発言の中での要請につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党、奥野総一郎でございます。

 本日は、国民投票法の改正について述べます。

 二〇二一年、国民投票法改正の際、附則四条の趣旨説明で、私は、CMの扇情的な影響力や、インターネット広告も含めCMに投じる資金の多寡が投票結果に与える影響等を踏まえると、CMや運動資金などについて一定の規制が設けられなければ、公平公正な国民投票の実施は期待できません、このような積み残しの課題についても、早急に具体的な検討を開始し、一定の結論を得る必要があると考え、本修正案を提出しましたと述べました。

 運動資金規制によりCMへの支出も抑制されることになり、間接的にCM規制にもなり得ます。また、外国政府の干渉も防ぐことができます。運動資金規制こそ最優先に導入すべき問題であります。

 ところが、これまでほとんど議論が行われていません。先日も述べましたが、実際に国民投票が行われたイギリスなどの国々を参考に、それらの問題点も含めて早急に運動資金規制を議論して、国民投票法を改正すべきであります。イギリスなどは、期間中に収入報告、投票日前でも収入についてはしっかり報告させることにしています。こういった点も参考にすべきであります。

 運動資金規制について、集中討議及び参考人質疑を求めます。

 一方、CM規制については、これまで一定の議論が積み重ねられてきました。放送CMについては、民放連の考査ガイドラインにより、投票期日十四日以内についてでありますけれども、意見表明CMについても取り扱わないこととする自主規制が導入されることになったなど、評価できる点もあります。

 しかし、発議後から投票期日十五日前までは、賛否の勧誘のためのCMも意見表明CMも自由に放送ができ、先ほど申し上げたような、運動資金の多寡や外国政府の介入で投票結果が左右される可能性がいまだあります。この期間は政党が紳士協定を結び、CMの出稿を抑えるという議論もされていますが、CMを出稿するのは政党だけではありません。政党関連の政治団体、外国政府のダミー団体などが自由にCMを出稿できるとすれば、自主規制の意味は乏しいと言えます。

 また、国民投票法第百四条は、放送事業者は、国民投票に関する放送について、放送番組の政治的公平性を定めている放送法第四条第一項の趣旨に留意することを定めています。つまり、この規定によれば、発議後全ての期間において放送の量的な公平が求められていると解することもできます。

 ところが、民放連は量的に自主規制ができないと途中で明言をしており、制定時と異なって、国民投票法百四条に触れる可能性が出てきているわけであります。自主規制ができないのであれば、放送の政治的な公平を維持するため、我々の案にあるように、国民投票運動の全ての期間について賛否勧誘のためのCMを禁止し、また、意見表明CMについても政党は全期間を禁止して、全て国民投票広報協議会の広報放送に委ねるべきではないでしょうか。

 イギリス、ブレグジットの際のイギリスの国民投票は、政治目的の広告放送の原則禁止と、通信庁の規則による賛成、反対双方への公平な割当てが行われました。我が国も同様の仕組みを取るのが国民投票法百四条の趣旨にかなうと言えます。

 一方で、放送に規制をかけることは、ネットCM等に規制がかけられないことを念頭に、慎重であるべきとの意見があります。民放連の永原参考人は、審査会の場で、玉石混交のネット広告の真偽を国民自身が取捨選択するという観点からは、放送CMの規制は逆効果ではないかと指摘をされました。

 我々は、放送と同様、政党等によるインターネットCMを禁止し、この部分についても広報協議会によるインターネットを利用した広報に委ねる案を持っています。さらに、政党以外の主体によるネットCMについては、広告主体に表示義務を課すこととしています。この表示義務規制については、イギリスでも近年法制化されており、十分実現も可能だと思われます。

 CM規制については、今述べたように、広報協議会の広報を活用することは必須となってきます。放送広告については、いまだ、期間、時間、回数等、何も決まっていません。

 また、国民投票広報協議会によるインターネットを利用した広報については、玉木委員も指摘したように、具体的な法整備が必要となります。先日、新藤筆頭からも提案がありましたが、こうした観点から、法制度の整備とセットで広報協議会の規定を整備することを急ぐべきだ、この点については同意をします、と考えます。

 その上で、なお残された課題もあります。政治的中立性等をプラットフォーマーに求めるのか、もう少し言えば、これも玉木委員が指摘されたように、放送法四条のような一般ルールを課すのか、あるいはフェイクニュース対策をどうするのか、我が方の案はファクトチェックを行う民間団体と広報協議会との連携を求めていますが、これで本当に十分と言えるのか。

 ネット規制については、表現の自由、検閲の問題もあり、諸外国でも内容規制には及び腰であります。こうした整理の困難な部分については、表現の自由、公職選挙法との関係で、総務委員会や倫選特とも連携をして議論を進めていくことを提案いたします。

 最後に、選挙困難事態について少し申し述べます。

 定足数を満たさなくなるような選挙困難事態が長期にわたる場合をどう捉えるのかという問題です。

 現行憲法を改正せず、国家緊急権を発動して、緊急集会を長期にわたり続けるのか。それとも、憲法を改正して備えるのか。この場合、選挙困難事態の認定を厳格に行う、期間、要件を厳格にした上、そういう仕組みをつくった上で、一つは議員任期の延長を図る、あるいは、七十日間以上緊急集会が開会できることを前提として、緊急集会の権限を広げるような憲法改正というのも選択肢となり得ます。いずれを取るかは、選挙困難事態がどの程度起こり得るか、いずれを取るかというのは国家緊急権を発動するかどうかという問題ですが、どの程度選挙困難事態が起こり得るかということだと思います。

 例えば、「シン・ゴジラ」という映画がありましたが、あれはゴジラが国会を襲って、放射能を吐いて、首相がやられてしまうんですね。そういう事態が、国会が壊滅する、政府も国会も壊滅するような事態が起きれば、これは国家緊急権を発動して、残った人間で超法規的に戦うということになると思います。これは国家緊急権だと思います。

 私は、立憲主義の立場からは、想定し得ることは、権力抑制の観点、分立の観点から、憲法にあらかじめきちんと規定しておくべきだと考えています。そして、それは、民主的な正統性の観点から、よりふさわしい制度であるべき、議員任期の延長でいくのか、あるいは緊急集会でいくのか、どっちが民主的正統性があるのかということから検討すべきであります。この問題は、純粋に制度論として論じて結論を得る必要があります。論点についても、こうした観点から公平に論点を整理するべきだというふうに思います。

 以上であります。

森会長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔です。

 会期末も迫ってきましたので、私は今後の進め方について二点申し上げたいと思います。

 まず一点目ですけれども、緊急事態における国会議員の任期延長の取りまとめを会期末に向けて行っていただきたいということであります。

 既にかなりの議論が行われ、論点も出尽くしており、細かい詰めや決めの段階に来ていると思います。大きな論点であった参議院の緊急集会を有事に活用することについても、参考人質疑も行い、検討を行ってきましたが、緊急事態においては、完全とは言えない民主的正統性の中、二院制の原則の維持や選挙困難事態の長期化の可能性、さらには、緊急集会の限定的な権能からすると、その活用には一定の限界があるということは大方の会派が一致した見解を示しております。

 先週は、自民党の新藤幹事から、参議院の緊急集会についての参考人質疑の論点整理を表にまとめていただきましたが、他の論点も含めた緊急事態条項に関するこれまでの議論を当審査会として取りまとめを行い、今後議論していくべき項目について詰める、決めるという作業を行っていく羅針盤を作っていくべきだと思います。

 事務局には大変な負担をお願いしますけれども、秋の臨時国会に向けて、議論をスタートダッシュするために必要なことと考えておりますので、森会長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。

 二点目は、国民投票広報協議会の規定について、具体的な内容を詰める作業を行っていくべきであると思います。

 これも自民党の新藤幹事が五月二十五日に資料を提示されましたが、広報協議会の組織とその権限、そして、それをサポートする事務局についての規程や関連法律の改正など、具体的に定めるべきことを整理いただいています。まずはこれらの項目について規程の整備を進め、その内容の確認作業を行うとともに、他の検討すべき事項についても規定の充実を図っていくというプロセスを取っていくべきだと思います。

 これも大変な作業となりますけれども、今通常国会が閉会した後、臨時国会召集までの間で、是非、事務局には夏休みの宿題として、たたき台の作成作業を進めていただきますよう、森会長、よろしくお願い申し上げます。

 しかしながら、事務局が規程のたたき台を作っていくに当たっては、今国会の会期末までに、定めるべき内容について具体的な項目出しをできるだけ行っておく必要もあると考えております。

 そこで、決して網羅的ではないとは思うものの、考え得る限り、国民投票広報協議会の規定として備えるべき項目について私の意見を申し述べます。

 新藤幹事が五月二十五日に配付された資料に沿って進めていきたいというふうに思います、お手元にないかもしれませんが。

 まず、一の「組織」については、委員や会長の選任方法や議事の手続など、事務的に案の作成は進められるものと思っております。

 次に、二の「権限」ですが、放送や新聞における広報や広告に関する規程については、公職選挙法で定められている内容に沿って、まずは作成を行うことができるものと考えております。

 しかしながら、通常の国政選挙と憲法改正国民投票で大きく異なる点があり、この点に留意しながら制度設計していく必要があると思います。

 一点目として、憲法改正の場合には、複数の条項に関する改正案が発議され得るということであります。

 例えば、政党等が行う新聞紙上での広告については、新聞の寸法や掲載回数などを、条項ごとに賛成側と反対側とで平等に分けて割り当てていくことになると思いますが、そもそも当該憲法改正の国民投票において、トータルで何項目の改正が提案されているのかなどが示され、さらに、それぞれの項目について各政党などの賛否がどうなっているのかについてマル・バツの一覧表で示すサマリーを設ける旨定めておくなど、国民にとって分かりやすく、混乱を防ぐ、そういった取組も非常に重要かもしれません。

 また、複数の条項の改正案に関する賛否の広告のスペースは同一の寸法でなければならないのは当然ですが、複数の条項間においては国民の関心や賛否の主張の熱量が異なることが考えられるので、協議会の中で、スペースを十分に割くべき条項や少なめにする条項を協議の上定めることができるなどの規定を備えておくべきと考えます。

 また、二点目ですが、国民投票法百六条六項において、同条一項で定める憲法改正案の広報のための放送を行うに当たり、「憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の時間数及び同等の時間帯を与える等同等の利便を提供しなければならない。」と定めています。

 通常の国政選挙の場合は、小選挙区の場合には各候補者ごと、比例代表の場合には政党ごとに公平に時間が与えられているので混乱は生じにくいですが、憲法改正国民投票の場合には、賛成派また反対派の中で、それぞれ広報する内容をどうするかや、政党ごとに持ち時間を配分するのかなどをめぐって、調整が難航することも想定されます。一方が既に広報の内容が固まっているのに、他方がまだ調整できていないために広報が行えないようでは、準備が終わっている側の広報の機会を奪うことになる反面、調整できていない側への配慮が欠如していれば、広報の平等性が失われることとなります。

 そこで、広報の作成に要する一定の期間をあらかじめ規程で定めた上で、その期限が過ぎたら相手方の内容の作成が完了していなくても広報を開始するなどのルールを明確に定めておく必要があると考えます。

 これ以外にも規定すべき点があろうと思います。新藤幹事の資料の三の「事務局」に関する項目として、事務局規程の制定や国会職員法等の改正が挙げられていますが、これらは森会長からの御指示があれば事務的に作業を進めることができると思います。

 新藤幹事の資料には掲載されていませんでしたが、ネット広告における国民投票広報協議会の役割などの詳細の規定についても、これまで各委員が提言した内容を参考に、たたき台を作成すべきだというふうに考えます。森会長、よろしくお願いいたします。

 最後に、新藤幹事にお願いです。

 今国会の最後の審査会において、来年九月の岸田総理の総裁任期を期限とした憲法改正国民投票の実施を見据えた工程表をそろそろお示しいただきたいと思います。我々が毎週集まって議論しているのは、議論だけをするということのためではありません。時代に適応した憲法を国民の手で作るための一大プロジェクトを成功させるためには、ゴールから逆算したロードマップを作るべきだと考えます。改正項目の検討と条文案の作成、国民投票法の改正及び手続の整備など、憲法改正に必要な事項について進捗状況を管理しながらやっていかなければ、岸田総理の国民に対する約束も果たすことは難しいと考えます。

 会期末まで残る検討課題について具体的な成果を追求するため、ぎりぎりまで当審査会を開催することを求め、私の発言を終わります。

森会長 ただいまの御要請につきましては、幹事会等で協議をいたします。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘です。

 本日も意見表明の機会をいただきましたことに、会長を始め皆様に感謝を申し上げます。

 国民投票法について意見表明を行います。

 まず、国民投票法改正附則四条一号に規定されている投票環境の向上についてでございます。

 この点、昨年四月に本審査会に付託されております三項目の国民投票法改正案は、投票環境の向上、有権者の利便性向上に資するものであり、公職選挙法にも既に措置されている内容でありますので、内容においていささかも問題はなく、速やかに成立をお図りいただきたく、私からもまずお願い申し上げたいと存じます。

 次に、附則四条第二号に規定されているCM規制について申し述べさせていただきますが、その前提として、偽情報ないしは誤情報に対してどのように対応していくべきかについて申し述べたいと存じます。偽情報ないしは誤情報を野放しにしてはならないことは言うまでもないことですが、国民投票に限らず、以下に述べる点に留意をすることが必要であると考えます。

 一つ目は、偽情報、誤情報に対して公権力が直接介入することは好ましくないと考えている点です。

 偽情報、誤情報、これらフェイクニュースとも呼ばれるものといえども表現行為であり、それに先立ち、公権力がその内容を事前に審査し、不適当と認める場合にその表現行為を禁止してしまうことになれば、最悪、その公権力の介入は、憲法二十一条二項が禁ずる検閲に当たりかねないからです。表現の自由は最大限尊重されなければならず、まずはデジタルプラットフォームの自主規制が基本となると考えます。

 二つ目は、昨年六月二日に憲法審査会に参考人として御出席いただいた楊井人文参考人がお述べになられたとおり、複数のファクトチェック団体が活動している状態をいかにつくり出していくのかという点です。

 複数必要であるという理由は、ファクトチェックそれ自体が価値判断に基づくものであり、二つの価値が対立している場面では、どちらの価値に重心を置くかで結論が異なってくると考えるからです。

 楊井参考人によると、世界では活発に行われているファクトチェックが日本ではまだまだのようでございますが、報道によりますと、日本ファクトチェックセンター、JFCは、先月三十一日に、楊井参考人も紹介された誤情報対策の分野で世界的に影響力がある国際ファクトチェック・ネットワーク、IFCNの加盟団体として認証されたとのことでございます。憲法審査会としてもこれからの動きに注視していくべきと考えます。

 三つ目には、正しい情報をいかに多く発信していくかという点です。

 悪貨は良貨を駆逐するというグレシャムの法則、ここに、グレシャムの法則とは、一つの社会で、名目上価値が等しく、実質上の価値が異なる貨幣が同時に流通すると、良貨はしまい込まれて市場から姿を消し、悪貨だけが流通するという法則ですが、この法則の逆のトレンドをいかに形成していくかということです。この点、国民投票広報協議会の存在が重要になると考えますが、後述します。

 四つ目は、五月二十五日の憲法審査会において我が党の國重委員の主張にもございましたが、国民のリテラシー能力の向上をどのように図るかという点で、これも重要です。私は、この点においても国民投票広報協議会がやはり重要になってくると考えております。

 そして、今申し上げた四つの偽情報ないしは誤情報対策のポイントは、国民投票についてネットの場面における公平公正を検討するに当たっても共通するように思います。まずは、国民投票における適正なネットCMの在り方や偽情報、誤情報対策を検討する際には、業界団体、事業者側や、広告主である政党などによる自主的な取組に委ねることを基本とすべきと考えます。その上で、国民投票広報協議会の在り方が極めて重要であると考えます。

 国民投票広報協議会の役割や権能につきましては、五月二十五日の新藤筆頭の意見表明の中で詳細に説明されましたので重複は避けますが、一言で申し上げれば、憲法改正に対する少数意見、反対意見と言ってもいいかと思いますが、反対意見についても実に公平公正に配慮されている点に注目したいと存じます。

 特に、国民投票広報協議会による、一、公報の原稿の作成、二、放送及び新聞広告、加えて、その他憲法改正案の広報に関する事務、これにはネットCMも含まれなければならないと考えますが、これらが賛成、反対共に公平公正に行われますので、先ほど申し上げた正しい情報の提供の観点、国民のリテラシーの観点から、大変に重要な意義を有していると考えるわけです。

 繰り返しですが、国民広報協議会の行う広報活動の役割が極めて重要です。そこで、できれば、事務方によるたたき台の案を作成していただき、その在り方を具体的に検討し、規程等の策定の議論を前に進めていただくように、森会長を始め幹事会の皆様に御要望申し上げたいと存じます。

 次に、国会図書館が作成しているレポートを参考に、立憲民主党から、欧州各国が国民投票においてオンライン広告規制を実施していることを強調する主張がなされております。しかし、この点については留意が必要であると考えます。一見すると、各国が国民投票において強度のオンライン広告規制を実施しているように見えます。しかし、レポートの掲載国は、選挙における規定を国民投票に準用するというように、選挙においても国民投票においても同様の規制を行っている国が多いように見受けられます。

 我が国は、箸の上げ下ろしまで規制すると言われるほどに強度な選挙運動規制を行うのに対し、国民投票運動は原則自由という点が特徴であり、諸外国とはベースが異なると考えます。各国で強度のオンライン広告規制を実施しているという事実だけを強調するのではなく、基礎となる仕組みが異なっていることや、各国では選挙運動と国民投票運動を同等に規制しているなどを踏まえて検討する必要があるのではないかと申し上げて、私からの意見表明とさせていただきます。

森会長 御発言の中での御要請につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 現在の憲法改正手続法には、インターネットを利用して行う国民投票広報協議会による広報についての規定や、協議会の費用で行う政党のインターネット広告についての明文の規定がありません。インターネットがこれだけ影響力のあるメディアになっている以上、協議会がインターネットを利用した広報や禁止期間における政党等の広告を行うための法整備が必要だと考えます。

 協議会がインターネットを利用した広報、広告に関して何がどこまでできるかを明らかにしないまま政党等のインターネット広告を禁止してしまうと、過度な規制になり、国民は正確な情報に接する機会を失い、政党等の広告の禁止期間中、国民はフェイクニュースばかりにさらされることにもなりかねません。

 さらに、テレビ広告と異なり、個人がSNS等で発信する意見については規制は困難だと考えます。そして、個人の発信を制限できない以上、膨大なフェイクニュース情報の発信が予想され、そうしたフェイクニュースの嵐に対して、協議会の発信だけで果たして対抗できるのかといった検証も必要です。

 例えば、前回も言いましたが、国民民主党の緊急事態条項はナチス時代の緊急事態条項と同じだといったフェイクニュースが流布した場合に、それを防止したり停止するために有効な対策は打てるのでしょうか。協議会から正しい情報を大量に出すようなカウンター攻撃も一案ですが、同時に、協議会に何らかのファクトチェック機能や是正措置の機能を持たせることも検討すべきです。

 例えば、フランスには、VIGINUMという政府組織が二〇二一年七月に創設され、外国勢力を含むプラットフォーム上の虚偽又は敵対的なコンテンツの伝播を監視し検出する組織を創設しています。ただし、この機関は国民投票の公正性の確保のためだけの組織ではなく、広く外国からの虚偽情報によるデジタル干渉に対抗する機関であり、国家安全保障部局の一部に位置づけられています。

 次に、フェイクニュース対応に関するプラットフォーム事業者への規制の在り方について一言申し上げます。

 フランスでは、投票日の三か月前に、偽りの情報、フェイクニュースが拡散されている場合、検察官、候補者等、利害関係者から求めを受けた裁判官はプラットフォーム事業者に対して送信停止を命じることができ、裁判官は申立てから四十八時間以内に停止に関する判断を行わなければならないとされています。

 その一方で、EU全体としては、欧州委員会は、デジタルサービス法、DSAにおいてもその位置づけが確認された偽情報に関する行動規範、ザ・コード・オブ・プラクティス・オン・ディスインフォメーションを更新し、事業者の自主規制に委ねています。署名者は計三十四者となり、今年の二月には、メタ、グーグル、マイクロソフト、ティックトックなどを含む三十の署名者が、署名後、初のレポートを提出しています。

 我が国においても、自主規制と公的規制を適切に組み合わせていくことが現実的なアプローチだと考えます。例えば、二〇二〇年に成立したデジタルプラットフォーム透明化法のような、間接規制の枠組みは参考になると思います。同法の規制の枠組みは、特定デジタルプラットフォーム提供者に対して自主的な体制整備を自己評価した報告書の提出を義務づけ、それを行政庁がレビューする仕組みです。規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主規制に委ねる共同規制、これを英語で言うとコー・レギュラトリー・アグリーメンツ、の手法を採用し、国の関与や規制を必要最小限のものにしています。これは参考になると思います。

 いずれにしても、誰でもどこからでも発信者になれるインターネット空間においては、テレビと全く同じ規制は現実的ではないと思われますので、インターネットの特性を生かした規制とすべきであり、その際、プラットフォーム事業者に対する規制の在り方をどのようにするのかという大枠についての合意を当審査会でも得ることが必要だと思います。

 その上で、今後の当審査会の運営について三つ提案したいと思います。

 まず、インターネットを使った広報、広告に関する規定やファクトチェック機能の創設なども含む、国民投票広報協議会の具体的な役割について定めた国民投票広報協議会の規程案の作成を是非、事務局にお願いしたいと思います。

 次に、次回が今国会最後の憲法審査会であると思われますので、これまで議論を積み上げてきた緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長などについて、改めて各党各会派の意見をまとめた論点整理を行い、今国会における衆議院憲法審査会としての意見の集約を図るべきです。事務局への作業の指示、森会長の取り計らいをお願いしたいと思います。

 最後に、緊急集会の在り方については、参議院の意見も重要だと思います。ですから、国会法百二条の八に規定する参議院との合同審査会を是非開催して、合意形成を図っていくべきだと考えます。しかし、同法三項で、合同審査会を開催するためには、両議院の決議によって合同審査会規則を定めることになっていますが、この規則が空振りになっています。ですので、この規則案の策定についても、森会長から事務局に案の策定を指示していただきたいと思います。

 次回は今国会最後の憲法審査会です。せっかくこれだけの時間をかけて議論を積み上げてきたわけですから、言いっ放しではなく、緊急事態条項について改めて論点を整理し、合意を確認し、成果を一つ一つピン留めすることを改めてお願いしたいと思います。

 私はこの点に関して、前回の階委員からの指摘は全くそのとおりだと思います。選挙ができないような事態に備える改憲を議論しているわけですから、次の総選挙前に緊急事態条項の発議や改憲が間に合うようなスケジュールでの審査会運営を行うべきだと思います。

 憲法審査会規程の八条では、実はこの審査会は、国会の開会、閉会に関係なく、いつでも開会できると規定されています。ですから、事務局に夏休みの宿題をお願いするだけでなくて、我々も働いて、しっかりと議論を前に進めて、いつ起こるか分からない緊急事態に対する備えを万全にすることを我々自体やるべきであることを申し上げて、発言を終わりたいと思います。

森会長 御要請のあった件につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 初めに、国民投票法について発言します。

 私は、現行の国民投票法については、国民の民意を酌み尽くし正確に反映させるという点で、重大な欠陥があると述べてきました。

 具体的には、最低投票率の規定がないこと、公務員や教育に携わる者の投票運動を不当に制限していること、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていないことの三点を指摘してきました。

 自民、公明、維新、有志の四会派が提出した公選法並びの改正案を速やかに処理すべきとの主張が行われていますが、こうした投票法の根本的欠陥を放置したまま拙速に結論を出すことは許されないということをまず指摘しておきたいと思います。

 そもそも、国民投票法は、改憲作業と地続きのものです。私たちは、二〇〇七年の制定当時から、国民が憲法改正を望んでいない下で、改憲のための手続法を作る必要はないと主張してきました。今の改憲議論は、安倍元首相が二〇二〇年と期限を区切って九条改憲を提示したことが発端です。しかし、国民の間に改憲を求める声は広がらず、安倍首相自身が、辞任会見で、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと認めざるを得なかったことは、この間指摘してきたとおりです。

 五月三日の憲法記念日に合わせて共同通信が行った世論調査でも、改憲機運は高まっていないと答えた人が七割を超えています。毎日新聞の調査でも、岸田首相の在任中の改憲に反対が四七%で、賛成の三五%を上回っています。

 国民が改憲を政治の優先課題と考えていない下で、改憲のための議論を行う必要はありません。憲法審査会は動かすべきではないのであります。

 今、政治が行うべきは、憲法を変えるための議論ではなく、憲法から乖離した現実を正すための議論です。

 その最大の問題の一つは、沖縄の米軍基地問題です。

 日米両政府が普天間基地の全面返還に合意してから二十七年が経過しました。普天間の危険性は何も変わっていません。放置されています。二〇〇四年に同基地所属の大型ヘリが沖縄国際大学に墜落し、二〇一六年にはオスプレイが名護市に墜落しました。二〇一七年には、基地周辺の保育園や小学校にヘリが部品を落下させました。

 ところが、日本政府は、事故原因も明らかになっていないのに、米軍による飛行再開を次々と容認してきたものであります。しかも、軟弱地盤が見つかり、辺野古の基地の完成には政府の試算でも十二年を要することが分かっているのに、それまで普天間の使用を認めるというのが日本政府の態度です。深夜、早朝の米軍機の飛行を規制する騒音防止協定があるにもかかわらず、それを守らせるためのまともな交渉も行っていません。

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物、PFASが高濃度で検出されているにもかかわらず、汚染源を特定するための県の立入調査は、米軍が応じないとして、実現しないままです。問題の大本にある屈辱的な日米地位協定は、アメリカ政府に改定を提起すらしようとしません。政府の対米従属姿勢の下で、県民の人権は脅かされ続けているのであります。

 そもそも、沖縄県民は、選挙や県民投票で、辺野古新基地建設に反対の意思を何度も表明してきました。民主主義の国の政府というのであれば、民意を受け止め、計画を再検討するのが当然のことです。

 ところが、政府は、アメリカとの合意を優先し、辺野古が唯一の解決策と繰り返し、県民の民意を踏みにじって埋立工事を強行しているのであります。沖縄県は、公有水面埋立法に基づき、沖縄防衛局が提出した設計変更申請を不承認としました。普天間の早期返還につながらず、十分な調査さえ行っていなかったからです。ところが、政府は、またしても行政不服審査制度を濫用し、同じ政府機関による自作自演で県の決定を取り消しました。このようなことがまかり通れば、憲法が保障する地方自治は破壊されてしまいます。

 沖縄だけではありません。今国会では、まるで原発事故などなかったかのように、福島県民を置き去りにして、原発推進にかじを切る関連五法が強行されました。保険証情報の誤登録などが相次いで発覚したにもかかわらず、医療事故を招きかねない重大問題を放置して、健康保険証を廃止するマイナンバー法も強行されました。非人道的な入管難民行政を改めず、難民申請中でも三回目以降は送還を可能にする入管法の改悪も押し通そうとしています。憲法がないがしろにされる、こうした現実を改めることこそ、政治が最優先で取り組むべき課題だということを強調いたします。

 最後に、先ほどから、次期憲法審査会について、緊急事態についての論点整理を行う、このような主張が展開されておりますが、今国会は多岐にわたる自由討議が行われ、論点は緊急事態条項だけではありませんでした。論点整理は行うべきではないということを主張し、発言を終わります。

森会長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 本日、私からも、国民投票法について発言をしたいと思います。

 まず、前提として、国民投票法改正附則四条の検討条項について、私なりの整理をしたいと思います。

 立法意思については、これは当事者間でも何か意見が異なっているようなので、ひとまず触れません。むしろ、法的にこの条文を見ますと、まず一つは、「施行後三年を目途」とあるので、きっちり三年を期限と考える必要はない。二つ目は、「必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」とありますので、当然、検討の結果、必要なものがなければ、措置も要らない。また、「法制上の措置その他の措置」と法制上の措置があくまで例示となっていますので、法改正に限ることではないと理解しています。

 こうしたことから、少なくとも国民投票法上、法的に措置する必要性があるのかどうかについては、本審査会でそれなりの広い合意が必要だというふうに思います。

 私は、これまで発言しているとおり、外国人の資金については規制をすべきだと考えています。これは法改正を必要とするものですが、ただ、議員や政党という限定されたものに対する規制とは異なり、一般人への資金提供を把握することは困難が予想されます。こうした実務面の課題を含めて引き続き検討をしなければいけないと提言をしたいと思います。

 次に、立憲民主党さんから、放送CMの規制に関し、勧誘CMは主体を問わず全期間禁止、意見表明CMは政党等について禁止すべきだという意見が出ています。また、ネットCMについては、政党等による有料広告も禁止とされています。

 これらも法的措置を伴う話ですが、以前から申し上げているとおり、このように規制を加えてしまいますと、国民投票運動の自由と国民の判断形成に係る公平公正性との均衡、また表現の自由等への配慮からも、やはり慎重にならざるを得ません。むしろ憂慮するのは、政治活動までが制限されますと、逆に偽情報がどんどん蔓延をし、悪貨が良貨を駆逐するおそれが生じることです。

 この点については、先日の本審査会でも、可能な限り民間団体による事実確認、ファクトチェックで対応することが望ましいと申し上げました。ただし、同時に、民間団体といっても、我が国の場合は体制、能力面で必ずしも十分ではなく、また、数も少ないため多様性も確保されないことも明らかにしたつもりであります。

 他方で、諸外国ではこの偽情報対策に政府そのものが取り組んでいることを、ドイツで内務省の連邦選挙管理委員会が選挙過程全般に関してファクトチェックの権限を持っている例を挙げながら指摘をしました。

 本件について、二〇一九年に、東京海上日動リスクコンサルティングというコンサルタント会社が「現代の選挙介入と日本での備え」という報告書を出しています。

 一部を引用すると、選挙介入は、個人、犯罪集団、テロリスト、インターネット上のアナーキスト集団等が実行できるが、選挙介入を行う最大の脅威は国家である。国家には、他国の国政選挙に介入する政治的、戦略的動機がある。また、国家、具体的には軍、情報機関、治安機関は自ら選挙介入を行うが、同時に、国家は選挙介入の際、代理人を使うことで関与を否定できると記述しています。

 実際、二〇一六年の英国におけるEU離脱の是非を問う国民投票、二〇一六年及び二〇二〇年の米国大統領選挙、二〇一九年のオーストラリア連邦議会選挙や二〇二〇年の台湾総統選挙等は、外国政府による選挙介入があったと明らかにされています。我が国も人ごとでは済まされないのではないでしょうか。

 また、同文書は、備えとして、選挙介入対策のための超党派委員会の設置、外国人による選挙活動を規制するための公職選挙法改正、そしてプラットフォーマーに対する規制等を提言しています。

 超党派委員会については、外国政府による選挙介入が行われた場合や疑われる場合、委員会が選挙介入の事実関係等を調査する権限を与えるべきだとしています。この点については、国民投票広報協議会の在り方にも示唆に富んでいるのではないかと思います。

 また、公選法の改正や新たな立法等を通じて、外国政府等による選挙活動、選挙介入を明示的に禁止し、取り締まるべきであるとも提言しています。

 民主主義の根幹である選挙において国民の自律的な意思が外国によって阻害されないためにも、我々も責任を持って積極的な姿勢で臨むべきではないでしょうか。

 最後に、先日、新藤幹事より、国民投票広報協議会の課題として三つの規程制定についての御提案がありました。広報協議会規程、放送及び新聞広告に関する規程、事務局規程の制定です。

 これらの整備は、検討条項を待つまでもなく当然やらなければなりません。閉会中に、先ほどからお話がありますように、事務局にたたき台を作っていただき、速やかに議論ができるように会長に采配をお願いしたいというふうに思います。その際、今申し上げたファクトチェック体制の整備を含め、広報協議会の事務局体制を充実したものにすることが重要だと考えます。

 なお、緊急事態条項に関しても一言申し上げます。

 これについては、本審査会で幾度となく議論が行われ、論点もおおむね出そろったというふうに思います。来週は本審査会におけるこれまでの論点整理がなされることも会長にお願いをして、私の意見とします。

 以上です。

森会長 御要請につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

    ―――――――――――――

森会長 次に、委員各位による発言に入ります。

 発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。

 また、幹事会の協議に基づき、一回当たりの発言時間は五分以内といたします。質疑を行う場合は、一回当たりの発言時間は答弁時間を含めて五分程度といたします。委員各位の御協力をお願い申し上げます。

 発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。

小林(鷹)委員 自由民主党の小林鷹之です。

 本日は、私からは、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関し発言をさせていただきます。

 まず、これまでの討議を経て、参議院の緊急集会は、その名称に緊急とあるために誤解されることがありますが、あくまでも一定期間内に衆議院の総選挙が実施されることを前提にした平時の制度であることが明らかになったと考えます。参議院の緊急集会の緊急とは、過去の実例がそうであったように、衆議院解散中に国会同意人事を取る必要が発生したような、急ぎの必要があるときという意味にすぎません。

 そもそも、日本国憲法は、衆議院の総選挙を実施できない、いつできるか見通しが立たないというような、文字どおりの緊急事態は全く想定しておりません。そのような事態が発生した場合において、どのように国民の生命、権利、財産を守り抜くかという規定が欠落しております。

 参議院の緊急集会について、場面の限定や期間の限定を緩和して、国会権限全般を代行する真の緊急事態に対応できる機関として運用すればよいとの発言もありました。すなわち、衆議院の解散の場面だけでなく任期満了の場面にも緊急集会を類推適用すればよい、あるいは、憲法五十四条が規定している総選挙までの四十日、特別会召集までの三十日を超過したとしても、緊急の場合には、法は不可能を強いるものではないので、参議院の緊急集会で対応すればよいといった主張です。

 しかし、任期満了にも類推適用する、また七十日を超えても臨機応変に緊急集会で対応するというような、憲法の明文規定に反するような重大な判断を、一体、誰がどのようにして行うのでしょうか。そのとき衆議院は既に存在しておりませんから、参議院が自ら決めるのでしょうか。それとも、緊急集会を求める立場の内閣が自分の都合で決めてよいのでしょうか。

 二院制国会の例外的措置として短期間かつ権限が限定された機関として設けられている緊急集会を、長期間かつ権限限定が緩和された強力な組織とすることの判断権を内閣あるいは参議院にのみ与えてしまうことは、極めて重大な問題を引き起こしてしまうのではないでしょうか。しかも、そのときの内閣は、総理を始め多くの閣僚が衆議院議員の身分を失った職務執行内閣にすぎません。やはり、明確な要件の下で憲法に議員任期延長の規定を設けて、衆議院、参議院の二院制国会が内閣の行政権行使をチェックするといった憲法が想定しているとおりの仕組みをつくることが、憲法の趣旨にかなうのではないでしょうか。

 また、現行の公選法に規定されている繰延べ投票を活用すればよいという主張がなされるときもあります。しかし、肝腎の被災地の選挙について、今週はこの選挙区、来週はあの選挙区と五月雨式に選挙が行われることの違和感につきましては、既に複数の委員から発言があったとおりです。

 参議院の緊急集会において、選挙期日全体を先送りする特別法を制定すればよいと主張されることもあります。衆議院が事後にチェックするからよいのだというのかもしれませんが、そのような立法が行われてしまった後で、仮に衆議院が不同意とした場合、どのようなことになるのでしょうか。その効力を遡及させれば、その法律の下で行われた選挙は無効になって大混乱を引き起こすでしょう。そもそも、不同意議決をした衆議院議員自身が無効な存在とならざるを得ないといった矛盾、自己否定に陥ってしまいます。他方、その不同意の効力は将来に向かってのみ生ずるとすれば、結局、参議院一院の議決のみで重大な事項が決定された事実を衆議院は追認するしかないことになります。いずれにしても、大問題だと考えます。

 なお、議員任期延長などの手当てをしたとしても国会権能を維持できない究極の事態についても想定しておくことが必要です。我が党の新藤筆頭、柴山幹事からも既に指摘があったとおり、いかなる場合であっても超法規的な政策判断が行われることがないよう、緊急政令や緊急財産処分の在り方についても制度化しておくことを私は検討すべきと考えます。

 最後に、会長にお願いをいたします。

 本日も既に何名かの委員から御発言がありましたけれども、ここまで討議が深まってきたことに鑑みまして、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関し、衆議院法制局により総括的な論点整理を行うことをお願いしたいと思います。

 以上申し上げて、私の発言を終わります。

森会長 ただいまの御要請につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 今回は、国民投票におけるインターネット広告規制について、諸外国の実例を紹介しつつ、我が国の国民投票法においても導入する必要があることを申し述べます。

 ネット広告規制については、諸外国の制度に関する報告書をまとめた国立国会図書館の参考人招致を私から求めていますが、残念ながら、いまだに実現していません。

 そこで、今回は、その報告書を基にした資料を配付して、これを参照しつつお話をいたします。

 なお、諸外国ではオンライン広告という表現が一般的ですが、ここでは、我が国の立法例等に倣い、ネット広告と表現します。

 初めに、資料の一のとおり、諸外国のネット広告規制の内容を概観すると、規制の内容は、国によって幅がありますが、透明性表示、アーカイブ設置、支出規制、外国人等規制、偽情報等拡散規制、ターゲティング等規制、商業広告禁止といったものがあります。未施行、審議中のものも含まれていますが、十分参考になる内容です。

 なお、各国では国民投票と選挙で一体の規制となっていることには留意が必要です。

 今回は、代表的なものとして、表示義務、支出規制、偽情報・誤情報などの拡散規制、商業広告禁止を取り上げます。

 まず、資料の二、表示義務です。

 これは透明性の確保を目的とする規制であり、英国やニュージーランドでは広告者等に対して名前及び住所の表示義務を課しています。また、アイルランド、米国カリフォルニア州、EUの規制案でも同趣旨の規制が設けられています。このように、表示義務はネット広告規制の手段として一般的なものと言えます。ネット広告の適正利用を確保するために非常に効果的な規制手段であり、我が国においても導入すべきです。

 次に、資料の三、支出規制です。

 これは公平性の確保を目的とする規制です。英国やニュージーランドに限られているようですが、この両国では支出額の上限を設けています。具体的な上限額等の制度の詳細は国によって異なりますが、資金力の大小によって広告量に格差が生じることを防ぎ、公平性を確保するために、支出金額の上限を設定し、報告等の義務を課すという手法は合理的なものと評価されています。我が国においても、国民投票法に支出規制を盛り込むべきです。

 次に、資料の四、偽情報・誤情報などの拡散規制、いわゆるフェイクニュース対策です。

 フランスでは、不正確あるいは誤解させる主張や批判については急速審理裁判官が配信を中止させるための措置を命ずることができます。また、アイルランドでは、選挙委員会が偽情報、誤情報の監視、調査を行い、オンラインプラットフォーム等に対し削除通知等を発することができます。もちろん、この問題は言論の自由と密接に関わるものであり、公権力による直接的な内容規制には極めて注意が必要です。

 先ほど奥野委員からも言及がありましたように、立憲民主党から提案をしている広報協議会とファクトチェック団体との連携を実現していくのとともに、表現の自由や公職選挙法との関係を整理する点からも、総務委員会並びに政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会等とも連携した集中的な議論を行うことを森会長に求めます。

 最後に、資料の五、商業広告、すなわちネット広告の規制です。

 フランスでは、国民投票が行われる月の初日前六か月間及び投票日までの期間、インターネットを用いた商業広告を、国民投票に関する宣伝を目的として利用することが禁止されています。このような外国の例を踏まえると、政党等によるネット有料広告を禁止するという立憲民主党からの提案は、ネット広告規制の手法として合理的だと考えられる一方、政党等以外によるネット有料広告の禁止については更なる検討が必要だというふうに考えます。

 以上の諸外国の実例を踏まえ、ネット環境の変化に対応した実効的な規制は可能かつ必要であることを訴えて、私の発言といたします。

森会長 ただいまの御要請につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

三木委員 森会長、ありがとうございます。

 日本維新の会の三木圭恵です。

 毎週安定的に開かれてきた衆議院憲法審査会も、会期が延長なく終われば、残すところ来週のみとなりましたが、残念ながら、著しく前進したとは言い難いのではないでしょうか。

 緊急事態条項の国会機能維持において、国会議員の任期を延長することについては、参議院の緊急集会の範疇や期間について、七十日以内の平時の制度であるという主張と、平時のみならず緊急時には七十日を超えて適用しても構わないのだという主張があり、参考人を招致して御意見もお聞きしましたが、結局、結論は持ち越されています。

 国民投票に関しては、CMの規制に関して、この課題が解決するまでは国民投票ができないとの主張をされる党もあります。また、令和四年四月二十七日に提出されました三項目については、その内容が、開票立会人の選任に係る規定整備、投票立会人の選任要件緩和、ラジオによる政見放送にFM放送を追加という案件でさえ、審議に入ることすら、いまだなされていません。

 九条についても、言いっ放しの状態です。

 この憲法審査会で、議論の題目が、緊急事態条項の国会機能維持、九条、国民投票と、一つ一つ結論を見るのではなく、焦点が移り変わってしまったことは残念でなりません。

 一巡目で小野委員の方から、緊急事態条項の取りまとめを法制局で行うこと、国民投票広報協議会の制度設計を行うこと、この二点について提案がありましたが、私からも重ねて要望をいたします。森会長、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 憲法改正手続に関して、衆議院憲法調査会の報告書では、高見勝利参考人の意見として、金森国務大臣は、第九十回帝国議会において、九十六条の規定する国民投票制度について、憲法制定権を保持するのは国民であり、また、憲法制定権と国会によって行使される立法権とは、観念的に区別されるものであることから、国の制度の一番基本的なものについては、国民が直接にその意思を表明することによって決するのが妥当であると考えられ、したがって、国会が憲法改正案を発議し、国民が投票でこれを決めるという方式を採用したのであるという趣旨の説明をしていると記されています。

 つまり、日本国民は、憲法制定権を所持しながら、戦後一度もこの権利を行使したことがないという状態が続いていると言えます。世論が高まっていないとの御意見もございますが、実際に国会が真摯に課題を提示し、国民の憲法制定権をお示しすることによって、世論の喚起は起こると考えております。国民の皆様に、発議を通して、現在ある課題を様々な憲法改正原案としてお示ししてこなかったことも、世論の高まりを引き起こさない要因の一つであるのではないでしょうか。

 日本国民の中には、この憲法制定権を行使したい、自分も国民投票で一票を投じたいと切に願っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そういった方々から見れば、現状が憲法と合致していない、又は憲法に加えるべき項目が発生しているのに加えられていないということは、国会が憲法改正案を発議していないからで、我々国会議員が国会の責務を果たしていないということになるでしょう。

 議論の取りまとめもしない、憲法審査会も開くべきではない、絶対に憲法改正をしないという御意見は、現在の実情を顧みて、必要なものまで排除していることになりはしないのか。冷静に判断することが必要ではないでしょうか。

 また、憲法審査会では多数決は適さないのでなるべく意見の一致を見るまで議論を続けるのだということが、延々と堂々巡りをしている状態を引き起こしているのではないでしょうか。

 あと残り一回ですが、このような状況を打開すべく、先ほど小野委員の発言にもございましたが、次の国会の憲法審査会に向けて、今後の進め方、スケジュールなど、幹事会で御検討いただき、この審査会でお示しいただきますように、また、先ほど玉木委員の方からもございましたけれども、閉会中もこの憲法審査会、開くことは可能だということでございますので、できれば、法制局の方にだけ夏休みの宿題ということではなくて、私たちも夏休みに一生懸命、夏期講習という形で議論を深めることも可能であるというふうに思いますので、森会長にお取り計らいをお願い申し上げまして、私の発言を終わります。

 ありがとうございます。

森会長 ただいまの御要請につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

國重委員 公明党の國重徹です。

 本日は、国民投票法のCM規制につきまして、立憲民主党の階幹事あるいは中川幹事に御質問をさせていただければと思います。

 立憲民主党のお考えは、政党について、まず、放送CMについて、勧誘CMのみならず意見表明CMも禁止をする、また、ネットCMについても、勧誘CM及び意見表明CMを禁止する、こういったお考えであると承知をしております。

 まず、放送CMの規制についてですが、政党については勧誘CMのみならず意見表明CMまで禁止していることにつきましては、選挙の場面で政党による政治活動CMは禁止されていない、このことを踏まえますと、国民投票について、選挙以上に規制するものであるように思われます。規制の厳しさが逆転してしまっており、これは、国民投票運動は原則自由であるという基本的な理念、考え方に反するものではないでしょうか。

 また、仮に、特に政党について放送CMを規制すべきという理由があるのであれば、政党間で申合せをして、例えばその上限を定めるといった、より緩やかな方法も取り得るのではないでしょうか。

 以上について、改めて御見解をいただければと思います。

 もし、今お考え中だったら、あと一問、先に言った方がよろしいでしょうか。

森会長 では、続けて二問。

國重委員 はい。済みません。突然、通告もなしで質問していますので、できる範囲で結構です。

 次に、政党のみのネットCM禁止についてお伺いしたいと思います。

 政党のみネットCMを禁止するという点についてですが、政党以外はネットCMを自由に行えることから、ネットCMにおける情報発信の内容に偏りが生じて、かえって言論空間がゆがめられる危険性があるのではないかという懸念があるように思われます。この点につきましては、五月二十五日の憲法審査会におきまして私も指摘をさせていただいたところでありますが、この点についてのお考えも併せてお伺いさせていただければと思います。

 以上です。

森会長 またの機会に整理して答弁するそうでございますので、続けてください。

國重委員 済みません、私、答えの時間も合わせて五分ということで予定していましたので、特にこれ以上はないんですけれども、仮に広報協議会でこれが代替できるというのであれば、選挙にも公営の政見放送がありますし、また、こういった広報協議会の枠があることが選挙運動と国民投票運動の規制の厳しさの逆転現象事態を許容するのかといった点については検討の必要があると思いますので、この点も踏まえて、また是非、御意見をいただければと思います。

 以上です。

森会長 それでは、以上の点も含めて、次の機会に御答弁願います。

田野瀬委員 自由民主党の田野瀬太道です。

 発言の機会をありがとうございます。

 本日は、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関して発言させていただきたいと思います。

 まず、先週六月一日、審査会での立憲民主党の階幹事の御発言についてコメントをさせていただきます。

 階幹事は、緊急時における議員任期延長の措置が必要と本気で考えているならば、衆議院解散中に選挙困難事態が生じても二院制国会が機能するための措置を講じてから解散するのが筋だと述べられました。その上で、現時点で衆議院を解散することを容認する方々は、選挙困難事態には緊急集会で対応すればよいとする我々のような立場か、そもそも選挙困難事態は起こり得ないという、いわゆるお花畑の立場か、いずれかであると指摘しておきますと発言されました。

 階幹事、だからこそ我々は、憲法を改正して、憲法の明確な要件の下に発動される議員任期延長などの措置を講ずることは一刻の猶予もならないと主張させていただいているのであって、そのことが、そもそも解散中に選挙困難事態は起こり得ないというお花畑の立場とされるのは、いささか乱暴であると思います。

 階幹事御本人の意図と反して、憲法改正による議員任期延長を主張するならば憲法改正が実現しない限り衆議院解散はできないはずという誤ったメッセージと受け止められかねず、心配をいたしておるものでございます。是非、引き続き、真摯で建設的な議論をこれからも一緒に進めてまいりたいと思っております。

 さて、立憲主義は、憲法によって国家権力を縛り、恣意的な権力行使を防ぐことが本質であることは確かですけれども、その前提といたしまして、国家機関に適切に権限を分配するということも本質であることを忘れてはならないと思います。だからこそ、両院同時活動の原則の重大な例外である参議院の緊急集会についても、一、内閣が案件を決めて集会を求め、二、参議院が審議、決定し、三、事後に衆議院が同意するとして、三つの国家機関に権限を分配することにより単独の国家機関への権限集中を防ぐ仕組みになっているわけであります。

 憲法が予定する七十日を超えて、さらに、権限も拡大して参議院の緊急集会でいつまでも対応するというのは、憲法が衆議院、参議院、内閣に分配した権限のバランスを崩し、その結果、権限行使に対するコントロールが不十分になり、国民の権利、自由が不当に侵害されることにもなりかねません。

 また、なるべく選挙を早く実施すべしというのはそのとおりです。しかし、緊急事態発生時には選挙人名簿が作れるかどうかも分からず、選挙活動もできず、選挙公報を発行できるかどうかも分からず、ポスターも印刷することができず、投票日当日に投票のみを行うという選挙になるかもしれません。このような選挙で、有権者が自分の思いを託す一票を投じたということが言えるのでしょうか。

 実際、二〇二〇年四月二十六日、新型コロナウイルス感染症のために緊急事態宣言下で行われた静岡四区の補欠選挙では、投票率が三四・一%となり、二〇一七年の衆議院選に比べて約二〇ポイント低下いたしておるわけでございます。

 そうであるならば、憲法上の明確な要件に基づいて議員任期延長を行い、参議院一院ではなく、職務執行内閣でもなく、衆参両院と内閣がそろった状態で緊急事態対応を行い、平常時に戻った時点で可及的速やかにきちんとした形で選挙を行うということの方が国民の権利を守ることにつながるものと私は考えるものであります。

 最後に、先ほど来各委員もおっしゃっておりましたけれども、森会長に、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関しまして、衆議院法制局によります総括的な論点整理を行うことを私からもお願い申し上げて、発言を終わります。

 ありがとうございました。

森会長 ただいまの御要請につきましては、幹事懇等で協議をいたします。

吉田(は)委員 会長、ありがとうございます。

 立憲民主党の吉田はるみです。

 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 国民投票の意義は、国民が分かりやすく賛否を表明するものであります。二〇一六年六月に行われたイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票、レファレンダムの際も、この一点を問うものでした。

 一方で、国会法の第六十八条の三には、こう規定されています。「前条の憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。」。つまり、各事項ごとに国会で採決をし、そして、その各事項がそのまま国民投票に付されることになります。この事項が複数になると、そもそも論点が多過ぎて判断が難しいです。

 例を挙げます。憲法改正案に九条とそれ以外の複数の各項が含まれるが、国民投票時の広告は、九条の改憲案に集中して広告が展開されたとします。ここで懸念されるのが、憲法改正案の九条以外の項目に目が向けられなくなり、結果、ほかの条項でも考慮すべきことが隠れてしまいます。このような憲法改正案、パッケージの国民投票の賛否は、果たして国民の意思が反映される公正な国民投票と言えるのでしょうか。

 加えて、日本国憲法の改正手続に関する法律によると、変更する事項ごとに一枚ずつ、投票用紙の賛成、反対欄に丸をつけます。一回一回、投票用紙をもらって、賛成又は反対に丸をつけて投票箱に入れます。事項が複数になれば、この、用紙を受け取り、ブースで投票用紙に記載し、そして投票箱に行くという往復を何度も繰り返すことになり、混乱する人も多く発生します。一回の国民投票の機会に賛否を判断する事項の数の制限について、論点を整理すべきです。

 また、内容において関連する事項であれば一度の投票しか許されないことも問題です。

 例えば、緊急事態条項に関する憲法改正案が、議員任期延長や緊急政令、自由権の制限など、改正事項のたくさん盛り込まれた改正案であるならば、その憲法改正案全体への賛否ということになり、変更又は新設される各事項ごとの賛否は問えなくなります。この場合、国民の意思が十分に反映されなくなり、極めて問題です。

 このような重要論点が多数盛り込まれた案全体に対する賛否を一度に問うような十把一からげのやり方は、絶対してはならないと思います。国会法六十八の三の「内容において関連する事項」が過度に広がらないよう、その明確な定義を設けるべきです。

 もし、このままの憲法審査会の運営の仕方で仮に憲法改正発議が行われて国民投票に付されたなら、国民にしたら唐突感が否めません。であるからこそ、この憲法審査会の議論を国民に広く開き、伝える必要があります。

 四月二十日の憲法審査会で、私はNHK中継を要求しましたところ、森会長は、幹事会等で協議しますとお答えいただきました。協議はされましたでしょうか。お伺いいたします。

 また、このとき馬場筆頭も、NHK中継、大きくうなずいて御同意いただきました。今も大きくうなずいていただいて、変わらぬお気持ちでいらっしゃるということで、是非、国民の皆様に伝える努力、これなしに、私は、この憲法の議論は深まっていかないというふうに思います。

 国会が最大限の努力をして国民に伝える行動なくしてこのままの議論が継続されるのであれば、それは、国民に伝える熱意のない、責任感のない、伝わらないことをむしろ好都合と考える権力者や改憲派が恣意的に憲法改正をもくろんでいると理解されても仕方がないということを厳しく指摘させていただき、私の発言を終わります。

 森会長、是非、幹事会での結果を教えてください。

森会長 ただいまの御指摘の件につきましては、引き続き協議をいたします。

吉田(は)委員 協議はしていただいて、また引き続き……。

森会長 一義的にはNHKが決めることでございます。

吉田(は)委員 憲法審査会からは、そういったリクエストは上げられないということでしょうか。

森会長 それにつきましては、引き続き協議をいたします。

吉田(は)委員 はい。会長、よろしくお願いします。

 ちょっと最後につけ加えさせていただきます。

 もし仮にNHK中継が駄目であるなら、ほかのやり方でも、もしあれば、先生方各位から、何をもって国民に伝えられるのか、ツール、メディア、そういったものを考えて、やはり国民に伝える努力、その行動をすべきというふうに私は考えますので、是非この議論も深めさせていただければと思います。

 以上です。

森会長 御趣旨については十分理解しまして、引き続き協議をいたします。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

船田委員 会長、ありがとうございます。

 自民党の船田でございます。

 去る五月二十五日に新藤筆頭幹事から、広報協議会の役割について極めて分かりやすいペーパーを出していただきまして、ありがとうございました。

 私ども、平成十九年に国民投票法のオリジナルを作ったメンバーでありましたので、その辺の議論をうまくまとめていただいたかなというふうに思って、感謝をいたしております。

 しかしながら、やはり、広報協議会の運営の規程であるとか、それから、どのメディアを使うか、あるいは政党の無料枠をどのようにするのか、広告における具体的な規程、あるいは事務局そのものの規程というのもまだ決まっておりませんので、これはできるだけ早く規程を整備するということで是非お願いをしたいというふうに思っております。

 それから、今日、多くの方々から、広告規制の在り方について様々な御意見がありました。

 ただ、私はやはり、平成十九年に加わった一人として、制度設計としまして、国民投票運動、これは、人を選ぶ、あるいは政党を選ぶ、そういう選挙ではなくて、政策を選ぶレファレンダムである、こういうふうに思っておりますので、できる限り投票運動については自由であるべきということで設計をさせていただきました。したがって、同時に、広告につきましても、できるだけ原則は自由でやるべきだというのが基本の原則ではないかというふうに思っております。

 ただ、全く規制なしということでも困る部分がございますので、そこはやはり広報協議会の役割というのをもう少し拡大をして、あるいはつけ加えて、様々な懸念に対応することは私はできると思っておりますので、是非御検討いただければと思っております。

 例えば、テレビのCMにつきましては、民放連からは、CM考査というところで、かなり、賛否の分量、バランスの調整はある程度できるということ、あるいは放送時間帯についてもうまく整理をすることができるのではないか、総量規制は難しいけれども、一定のバランスを取るということについては放送局のCM考査でできるという御返事をいただいておりますので、それに広報協議会がきちんと関与して、それをまた監視をする、あるいは監督をする、こういったことによって公平公正なテレビCMができる可能性は私はあると思っています。

 それから、ネット広告あるいはSNSを通じた意見発表、意見開陳、この問題については、大変難しい問題があると思いますけれども、私は、これだけのボリュームで行われている様々なネットの活動、これを制限するということは本来難しいことだと思っております。

 したがって、広報協議会においては、例えば、制限はできないけれども、先ほど来出ております、フェイクニュースを見出して、それに規制を加える、これについては、ファクトチェックをする機関が既にでき上がっておりますので、しかも複数ありますので、そこと広報協議会が連携をするということは極めて重要な手段であると思っております。それから、外国勢力の侵入など様々なことにつきましても、広報協議会がしっかり監視をし、場合によっては勧告権を持つということも考えておく必要がある。こういうことで、この広報協議会の役割の拡大、これを是非私は進めていただきたいと思っております。

 以上でございます。

森会長 予定した時間が経過いたしました。

 この討議の取扱いについては、ただいま与野党の筆頭間で協議をいたしておりますので、今後については、これを踏まえ、幹事会等において対応をいたしたいと存じます。

 これにて討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十一分散会


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