衆議院

メインへスキップ



第5号 令和7年4月24日(木曜日)

会議録本文へ
令和七年四月二十四日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   会長 枝野 幸男君

   幹事 上川 陽子君 幹事 寺田  稔君

   幹事 船田  元君 幹事 山下 貴司君

   幹事 武正 公一君 幹事 津村 啓介君

   幹事 山花 郁夫君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 浅野  哲君

      井出 庸生君    稲田 朋美君

      井野 俊郎君    大野敬太郎君

      小林 鷹之君    柴山 昌彦君

      新藤 義孝君    高市 早苗君

      葉梨 康弘君    平沢 勝栄君

      古川 禎久君    古屋 圭司君

      細野 豪志君    三谷 英弘君

      森  英介君    山口  壯君

      山田 賢司君    五十嵐えり君

      岡田  悟君    奥野総一郎君

      階   猛君    篠田奈保子君

      柴田 勝之君    平岡 秀夫君

      藤原 規眞君    松尾 明弘君

      谷田川 元君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    青柳 仁士君

      阿部 圭史君    和田有一朗君

      西岡 秀子君    福田  徹君

      河西 宏一君    浜地 雅一君

      山崎 正恭君    大石あきこ君

      赤嶺 政賢君    北神 圭朗君

    …………………………………

   衆議院法制局長      橘  幸信君

   衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  米山 隆一君     篠田奈保子君

  平岩 征樹君     西岡 秀子君

  平林  晃君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田奈保子君     米山 隆一君

  西岡 秀子君     平岩 征樹君

  山崎 正恭君     平林  晃君

    ―――――――――――――

四月十六日

 憲法改悪を許さないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九六七号)

 同(志位和夫君紹介)(第九六八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九六九号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第九七〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九七一号)

 同(田村智子君紹介)(第九七二号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第九七三号)

 同(本村伸子君紹介)(第九七四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇〇四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇〇五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇〇六号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一〇〇七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇〇八号)

 同(田村智子君紹介)(第一〇〇九号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一〇一〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇一一号)

は本憲法審査会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(臨時会召集期限)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

枝野会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、臨時会召集期限について自由討議を行います。

 本日の議事について申し上げます。

 まず、幹事会の協議に基づき、衆議院法制局当局から説明を聴取し、その後、自由討議を行うことといたします。

 では、衆議院法制局当局から説明を聴取いたします。衆議院法制局橘幸信局長。

橘法制局長 衆議院法制局の橘でございます。

 枝野会長を始め幹事会の先生方の御指示により、本日は、憲法五十三条後段の規定に基づく臨時会の召集要求の制度について御報告をさせていただくことになりました。

 先生方の御議論の前提となる基本的な情報提供をするよう心がけたいと存じますので、本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速ですが、お手元配付のパワポスライド資料の表紙と目次をおめくりいただきまして、一ページを御覧ください。

 まず序論として、現行憲法における国会召集の基本的な枠組みについて御報告申し上げます。

 現行憲法においては、国会が活動を開始するには、内閣の助言と承認による召集の決定に基づいて、天皇の国事行為としての召集がなされなければなりません。他者の行為によって国会が集会しその活動を開始するこの仕組みは、他律的集会主義の原則などと呼ばれるものです。国会は自らの意思では活動を開始することができないという仕組みです。

 しかし、一旦召集がなされますと、何をどのような順番で調査審議をするのかについては、内閣の関与なく、国会が自律的に決定できますし、また、いつまで国会を開いていくのか、その活動終了の時期も、解散のような場合を除いて、国会自身で決めることができます。

 すなわち、入口は他律的だけれども中身と出口は自律的に決定できるというのが、現行憲法の定める基本的な枠組みと言うことができます。

 次の二ページ目は、参議院の緊急集会の場合についてです。

 参議院の緊急集会の場合は、入口のみならず、審議の中身も、活動終了といった出口も、若干自律性に制限がかけられているということを示した図です。

 次に、資料三ページを御覧ください。

 以上の基本的な枠組みを念頭に置いた上で、憲法五十三条後段に関する基本的な解釈論上の論点分析に入ってまいりたいと存じます。

 まずは、五十三条の条文の確認です。

 前段は、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。」と規定していますが、この部分は、他律的集会主義の原則を確認した規定と言えます。

 これに続いて、その後段で、衆参のいずれかの議院の総議員、これは法定議員数と解釈されていますから、欠員がある場合であっても、常に衆議院では四百六十五人、参議院では二百四十八人となりますが、その四分の一以上の要求、したがって、衆議院では百十七人以上、参議院では六十二人以上の要求があれば、内閣は臨時会の召集を決定しなければならないと規定されています。

 国会法の三条では、その要求の際には、連名で、議長を経由して、要求書を提出する、といった手続が定められているところです。

 次に、資料四ページを御覧ください。

 このように、国会議員側に、しかも、四分の一という少数会派でも行使可能な人数でもって臨時会召集に関する権限を与えたことは、他律的集会主義の中に自律的集会主義の要素を盛り込んだものと言えます。その趣旨については、一般的に、少数派の権利保護のためとの説明と同時に、衆議院に基礎を置く内閣とは別に、参議院に対して国会の活動開始につながる権限を付与したものとも説明されているところです。

 ただし、憲法は、その要求を受けて召集を決定する内閣に対していついつまでに召集決定を行いなさいという期限までは定めていないことをどう考えるかが問題となります。国会側に、しかも少数派に召集要求権は認めたが、いつ臨時会を召集するのかの決定権は依然として内閣に委ねられているということになっているわけです。

 そして、この両者を整合的に説明する概念として出てくるのが合理的期間論であり、憲法五十三条後段は、合理的期間内に召集しなければならないという法的義務を定めた規定、このように説かれることになるわけです。

 次に、資料五ページを御覧ください。

 この合理的期間の解釈論に入る前に、なぜ四分の一という数字なのかについて、制定経緯を眺めてみたいと思います。

 明治憲法にはなかった、国会議員による臨時会の召集要求という制度ですが、当初、日本側は三分の一といった数字でこの制度を設けようとしていました。しかし、この案は、一九四六年二月八日にGHQに提出された憲法改正要綱では削除されていました。その理由は、その直前、二月一日の閣議で、閉会中に議員が議員としての行動をすることになるから新しい制度である、その点やや問題がありやしないかとか、特に規定を設けずに実際政治の運用の上で目的を達することにしてはどうかといった反対論があったからでした。ただ、当初の案を起案した松本烝治博士は、デモクラシーの立場からすればこの規定は必要であると応答していたそうです。

 さて、GHQ側は、この臨時会召集要求の制度を設けることとし、数字は変動しますが、最終的には二〇%、すなわち五分の一の提案をしたところ、これを受けた日本側は、当初案の三分の一とGHQ提案の五分の一の間を取って四分の一とした、それがこのまま成立したという経過だったようです。

 次に、資料六ページを御覧ください。

 このようにして成立した憲法五十三条後段ですが、その法的位置づけについては、三つの論点を確認することが必要かと存じます。

 まず第一に、その法規範性ですが、政府見解、学説共に、この召集要求に応えて臨時会の召集を決定すべきことは、憲法上の法的義務であることについては一致しています。政治的責任などではございません。

 第二に、それでは、その解釈上の召集期限ともいうべき合理的期間についてですが、政府見解では、召集に当たって整理すべき諸課題によって変わるものであり、一概には言えないと述べられています。

 これに対して、学説では、閣法の提出準備などの内閣側の事情、内閣独自の立場からの臨時会召集の必要性の判断などを理由とする遅延は許されないと述べて、合理的期間は客観的に決まり得るものとされ、後ほど見ていただきますが、資料十ページの明文化のところでも議論されるところでありますけれども、せいぜい二、三週間とか、二十日以内、三十日以内といった数字を挙げる論者もいるところです。

 三つ目として、仮にそのような合理的期間内の召集義務に反すると認められた場合の内閣の責任ですが、政府は、義務違反の場合の法的効果についての規定は憲法にはないと述べるのみです。この点について、更に敷衍すれば、政治的責任か法的責任かについて申し上げることは差し控えるとの内閣法制局の答弁もあるところです。

 他方、学説においては、多数説は政治的責任が生ずるのみとしていますが、法的責任を認める少数説もございます。最高裁判決の反対意見のところで御紹介申し上げます。

 次の七ページには、過去二十年間に提出された、衆議院議員による臨時会召集要求の事例を掲載してございます。

 よく言及されるのが、第百九十三回常会閉会後の平成二十九年六月二十二日に、いわゆるモリカケ問題の真相究明を理由として提出された臨時会召集要求に対して、実際に第百九十四回臨時会が召集されたのが九十八日後、しかも、その臨時会召集当日に衆議院が解散されましたので、その総選挙後の特別会が召集されるまでの期間を入れると、召集要求後百三十二日かかったことになる事例です。これについては、合理的期間内の召集決定と言えるのかといったことが問題となりました。

 この事案については、次の資料八ページから九ページに掲げましたように、訴訟が三件提起され、既に最高裁判決も出ているところです。

 沖縄地裁に提訴された事案の原告のお一人は、本審査会の委員でもいらっしゃる赤嶺政賢先生です。私が御紹介するのも大変僭越ですが、この事案は、召集されるべき臨時会での議員活動を行う機会が奪われたことに対して、損害賠償お一人一万円を求めたものです。

 下級審判決では、地裁、高裁共に、まず、一つ、五十三条後段の規定による内閣の召集決定は憲法上の法的義務であること、二つ、その召集決定は合理的期間内にしなければならないこと、そして三つ、この合理的期間の解釈問題は法律問題であって、高度の政治性を有する行為として司法審査の対象とならない、いわゆる統治行為論などは採用しないことといった判断が述べられているところです。

 しかし、同時に、内閣の召集決定は個々の国会議員に対する義務ではなく、したがって、ここで資料の九ページに入っていただきますが、国賠法一条に言う違法とは評価できないとして、訴え自体は棄却されました。また、平成二十九年の臨時会召集の憲法適合性といった個別事案に対する判断にも踏み込みませんでした。

 最高裁判決も、内閣の臨時会召集は義務であることは認めたものの、それは個々の国会議員の臨時会召集要求に係る権利利益を保障したものではないとして、その他の憲法上の論点には踏み込むことなく、国賠法上の損害賠償請求は否定されています。

 ただし、最高裁判決では、行政法学者でもいらっしゃる宇賀克也裁判官が反対意見を述べています。そこでは、一つ、特段の事情がない限り、内閣は、合理的期間、しかも具体的に二十日以内に臨時会召集を決定する法的義務を負うこと、二つ、これは個々の国会議員に国会活動における諸権利行使のための手続的な権利を付与したものであること、三つ、したがって、特段の事情なくこれが侵害されたときは損害賠償は認められるべきであることなどが述べられています。

 次に、資料十ページを御覧ください。

 以上の解釈論を踏まえて、国会の内外で、この召集期限の明文化に関する議論が立法論として行われてまいりました。

 まず、憲法改正ではなく、法律レベルでこれを認めることができないかが問題となりました。多くの学説は、憲法五十三条後段による臨時会の召集決定は憲法上の義務であるから、それを具体化するために法律で具体的な期限を定めることは、その期間が相当なものである限り憲法に違反しないと述べています。これに対して、一部には、他律的集会主義の原則との関係で憲法構造上の問題があるだけではなくて、議院内閣制の下での国会と内閣のチェック・アンド・バランスの関係からも、内閣の裁量に制限を加えることは妥当ではない旨述べる論者もおられます。

 なお、具体的に召集期限を定める場合の課題も指摘されています。資料十一ページを御覧ください。

 例えば、会期延長が多数決で否決されて国会が閉会したその直後に臨時会の召集要求が行われた場合、自律的な国会活動の終了と、これまた自律的な集会主義がバッティングすることになりますが、これをどのように整合させるのか。これは、内閣と国会との関係ではなくて、国会多数派と国会少数派の関係であり、なかなかに難しい論点だと思われます。

 これに対しては、一定のインターバルを置いて、閉会から一定期間、あるいは、召集要求が繰り返されないようにするためには前回の召集要求から一定期間は臨時会の召集要求を禁止するなどすれば、濫用防止への対策が取れるのではないかとの御提案もございます。

 しかし、これに対しては、閉会直後に国会審議を真に必要とする新たな事態が生ずる場合もあるのだから、一定の期間といった数字による一律の禁止はかえって憲法違反の疑義を招くとの指摘もあるところです。宇賀裁判官の言うような特段の事情などを盛り込む工夫も必要かもしれません。

 これに関連して、資料十二ページを御覧ください。

 国会閉会後の国会活動の必要性への対応は、臨時会の召集でなくても、予算委員会その他の関連する委員会の閉会中審査の活用でも対応可能ではないかとの反論もなされているところです。この資料は、国会としてフルスペックの活動ができる臨時会と、個々の委員会が調査及び審査活動を行う閉会中審査について、専ら衆議院の場合を念頭に対比してみたものです。なお、参議院では継続審査という表現で呼ばれているところです。

 次に、資料の最終ページ、十三ページを御覧ください。

 以上のような議論を背景として、複数の政党、会派からは、この臨時会召集要求に対する、召集決定期限を明文化する提案が幾つかなされてまいりました。

 まず、二〇一二年、当時は野党の立場におられた自由民主党が、憲法改正案の形で、憲法五十三条後段に二十日以内との期限を設ける提案をされたことがございました。

 また、一昨年、二〇二三年には、維新、国民、有志の三会派の共同提案として、緊急時における国会機能の維持に関する総合的な憲法改正案の御提案の中の一つとして、緊急時、平時を問わずに、召集要求に基づく臨時会の召集を確実に担保し、国会機能を維持するために、同様に二十日以内の召集決定を義務づける改正案が発表されています。

 他方、その前年、二〇二二年の臨時会では、立憲、維新、共産、有志、れいわの五会派共同の衆法、衆議院における議員立法として、こちらは国会法改正案という法律レベルでの対応になりますが、二十日以内といった召集期限を明記する提案がなされているところです。

 以上、本日は、憲法五十三条後段の規定に基づく臨時会の召集要求に関して、現行の憲法規定の解釈論、その上での召集期限明文化の立法論のそれぞれについて御報告をさせていただきました。

 御清聴ありがとうございました。

枝野会長 ありがとうございました。

 以上で衆議院法制局当局からの説明聴取は終わりました。

    ―――――――――――――

枝野会長 これより自由討議に入ります。

 この自由討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。

 それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。

 発言時間は七分以内となっております。

 質問を行う場合、一度に答弁を求めることができるのは二会派までとし、一回当たりの発言時間は答弁時間を含めて七分以内となりますので、御留意願います。

 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせをいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。上川陽子さん。

上川委員 自由民主党の上川陽子です。

 私たち自民党は、結党以来、憲法の自主的改正が党是であり、党内ではこれまで、多岐にわたるテーマに関する憲法論議を行うとともに、様々な憲法改正案を作成してきました。

 本日のテーマも党内において議論がなされたことがあり、平成二十四年四月に取りまとめた日本国憲法改正草案では、臨時会の召集要求があった場合の召集期限を二十日以内と明記する改正を盛り込んでいました。

 他方で、この平成二十四年草案は、当時の議論の総括であり、これまでに様々作成されてきた憲法改正案の一つであって、その位置づけについては、草案の発表から四年が経過した平成二十八年十月に、当時の自民党憲法改正推進本部において、私が事務局長として素案を起案し、保岡興治本部長の下で出された本部長方針において、次のように整理されるに至りました。

 平成二十四年草案は、我が党の憲法論議を踏まえた上で発表した党の公式文書の一つではあるが、既に四回の国政選挙を経て議員の構成が大きく変わり、その間、内外から多くの意見もいただいてきた。それらを踏まえつつ、両院の憲法審査会の議論の状況などを見ながら、これに対応できるよう、現在の所属議員で闊達な議論を行い、党の考え方を整理する必要があると考える。したがって、二十四年草案やその一部を切り取ってそのまま審査会に提案することは考えていないとしております。

 つまり、平成二十四年草案は公式文書の中の一つではあるものの、それには固執しないとし、憲法審査会において、各会派とともに熟議を重ね、丁寧な合意形成を図っていくこととしているところであります。また、事実として、保岡本部長の発言どおり、その平成二十四年草案の条文そのものを憲法審査会に提示したことはありません。

 一方で、我々が憲法審査会で議論すべきテーマとして掲げてきたのは、平成三十年三月に公表した条文イメージたたき台素案の四項目、つまり、一、自衛隊の明記、二、緊急事態対応、三、合区解消・地方公共団体、四、教育充実であります。これらはいずれも、現在自民党として打ち出している優先的な憲法改正のテーマであり、憲法審査会における議論のたたき台として度々取り上げてきました。

 以上を踏まえた上で、憲法五十三条後段に基づく臨時会の召集について申し上げます。

 まず、自民党としては、臨時会召集期限は、先ほど申し上げた条文イメージたたき台素案の四項目とは別のテーマとして位置づけています。したがいまして、臨時会召集期限の明記については、現時点での自民党の考え方がまとまっているわけではなく、そもそも明記することの是非、明記するとして憲法と法律のどちらに位置づけるべきか、明記する場合の具体的な日数は平成二十四年草案と同じ二十日でよいか、濫用防止措置を設けるべきかの四つの主な論点について、党内にも賛否両論、様々な意見があり、党としての明確な見解を示すことができる段階ではありません。

 その上で、現時点で私なりに考えていることを申し上げます。

 まず、憲法五十三条後段に基づく臨時会召集の決定は憲法上の義務ということで政府見解も学説も一致しており、個人的には、要求から召集までの合理的期間を明文化するとかという考え方にも一理あるものと思います。

 その一方で、党内には、日本国憲法制定以降、長年にわたり築いてきた権力間のチェック・アンド・バランスの観点から、慎重に考えるべきとの意見もあります。また、内閣の権限とされる国会の召集を国会法で縛ることは憲法の趣旨に反しないか、仮に召集期限を明文化するとしてその期限は二十日でよいかなどを議論していく必要があります。

 さらに、召集期限を実際に憲法に規定するとなると、濫用に対する防止策などを慎重に設計した上でなければならないということは言うまでもありません。例えば、いわゆるインターバル規制を設けるという考え方もあります。しかし、少数派の権利保護という制度趣旨と調和する形で制度設計できるのか、また、閉会直後に臨時会開会を必要とする事態が突発的に発生した場合に支障を来さないかなど、簡単に結論を出せない論点もあります。

 このテーマに絞って議論することは、憲法審査会になって以降本日が初めてであると思いますので、各会派の意見も拝聴し、既に党内で出されている意見も念頭に置きつつ、引き続き慎重に議論を進めていきたいと考えております。

 以上です。

枝野会長 次に、松尾明弘さん。

松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。

 本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日テーマとなっております憲法五十三条後段は、臨時会の召集要求に対して内閣はその召集を決定しなければならないと定めており、これが法的義務であることは、学説上も争いはありません。さらに、二〇二三年の最高裁判決においても、憲法五十三条後段が国会と内閣との間における権限の分配という観点からの規定であり、召集決定は法的義務であると判断されています。

 しかし、実際には、憲法五十三条後段に基づく議員の四分の一以上による臨時会の召集要求があったにもかかわらず、不当に臨時会の召集が遅らせられる事例が多発しています。

 具体的な例としては、二〇一七年六月、森友、加計学園問題の真相解明のため、野党議員が憲法五十三条後段に基づいて臨時会の召集を求めました。それにもかかわらず、召集されたのは九十八日後で、その日に衆議院が解散され、参議院も同時に閉会することになりました。この召集は、実質的には憲法五十三条前段に基づく臨時会で、憲法五十三条後段に基づく臨時会の召集要求に対する拒否と言え、明白な憲法違反です。

 このほかにも、二〇二〇年、二一年、二二年の三回にわたって、四分の一超の国会議員が臨時会の召集要求を行ったにもかかわらず、内閣が臨時会を召集したのは、それぞれ、四十七日後、八十日後、四十六日後という長期間後であって、不当に召集を遅滞する憲法違反が繰り返されています。

 憲法五十三条には召集期限は具体的に書かれていません。しかし、これは内閣に広範な裁量を認める趣旨ではありません。このことは、権力分立と人権保障の原理に立つ立憲主義の考え方からしても明らかです。

 召集期限については、社会通念上合理的な期間とする見解や、召集手続のために必要な期間、すなわち国会開会の手続及び準備のために客観的に必要と見られる相当な期間内で、できるだけ早い期間とする、そういった見解が学説上有力であり、その期間を超えて内閣の裁量はないものと解されます。この見解は、三権分立の下、内閣と国会が牽制し合うことによって濫用を防ぎ、国民の権利を守るという憲法の理念にも合致するものです。

 しばしば与党が述べる、召集の必要性は感じないという発言は、五十三条後段の要請を全く理解していないものです。五十三条後段は、内閣よりも議員の意思と判断を重視するものだからです。臨時会の権能は、内閣が提出する案件の審議に限られるものではなく、議員提出法案や質疑も可能ですから、内閣がそこに案件を提出する準備ができたかどうか、その他政治的な理由で召集の必要性や時期を決定することは許されません。

 現在、憲法五十三条後段の召集義務に違反した場合であっても、政治的責任が追及され得るのみです。しかし、自民党によるこれまでの憲法違反に対して、原因の究明及び政治的責任の追及は不十分であったと言わざるを得ません。

 憲法審査会の役割には、国会法百二条の六において、憲法及びこれに密接に関係する基本法制の調査が職務に含まれていると明記されていることからも明らかなとおり、憲法改正をすべきかどうかを論じるだけではなくて、憲法違反問題を含む日本国憲法の施行、遵守の状況に関する調査を行うことも含まれています。よって、過去の不当な召集遅滞について、当時の内閣が召集をしなかった原因を究明し政治的責任を追及することは、当憲法審査会の責務であると考えています。

 憲法審査会においては、過去の憲法違反に対する政治的責任の追及自体をまずは行うべきであって、それが済んだ後に、憲法五十三条後段を無視する内閣の不当な態度を正し、同様の憲法違反が繰り返されないために、召集期限を法定すべきかどうかを議論すべきと考えます。

 この議論には、合理的期間を一定に法定することができるのかという点、そして、法定するとすれば何日程度とすべきなのかという二つの論点があります。

 検討に当たり注目すべきは、二〇二三年の最高裁判決における宇賀裁判官の反対意見です。ここでは、二十日あれば十分と述べられています。これは憲法五十四条や地方自治法など他の法制度とも整合する数字です。また、二十日の理由として、二〇一二年の自民党憲法改正草案が憲法五十三条について二十日以内に臨時会を召集しなければならないとしていることも挙げられています。

 なお、立憲民主党も、二〇二二年に、他会派と合わせて、国会法において召集期限を二十日と明記する法案を提出しており、この意見とも符合するものです。

 二〇一七年を始め繰り返し生じている臨時会召集の大幅な遅れは、憲法五十三条の趣旨に明らかに反するものであり、立憲主義や議会制民主主義に対する重大な問題です。こうした経緯を踏まえれば、やはり何らかの立法的な手当ての必要性は否定できません。その具体的な方法については、国会法改正その他様々な選択肢があり得ると考えています。

 いずれにせよ、先ほど申し上げたとおり、まずは、合理的期間とは何か、その基準を明確にするためにも、過去の憲法違反事例について、憲法審査会における徹底した原因究明と政治的責任の追及が必要です。それらを踏まえた上で、結論ありきではない建設的な議論が行われるべきことを申し述べ、私からの意見陳述といたします。

 ありがとうございました。

枝野会長 次に、和田有一朗さん。

和田委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 本日は臨時会の召集要求がテーマでありますが、国会だけではなく、実は地方議会でも、地方自治法百一条において臨時会招集要求というのがあります。この経験、実例を踏まえて発言をしたいと思います。

 実は、忘れもしないことですが、私が神戸の市会議員に初当選した一九九九年、まさにこの年に、地方自治法百一条に基づいて、議員からの要求による臨時市会の招集があり、私は市会議員としてこの臨時市会に出席した経験を持っております。

 この臨時市会は、神戸市会の当時の定数七十二のうち四分の一、十八名以上に当たる二十一人の議員の申出によって、神戸空港建設の是非を問う住民投票条例の件、神戸空港建設の着工中止を求める決議の件を議題として招集されたものです。

 実はこのとき、神戸市では神戸空港の建設の是非をめぐって市民を二分する大論争があって、とりわけ、反対を唱える特定の政党やグループ、特定の活動に関わる活動家の人たちが主導して、建設反対に持ち込むための住民投票運動が過熱をしておりました。市会議員選挙の前の、そのときの市会で住民投票条例は大混乱の中で否決はされていたんですが、市会選挙を経て、議会の構成、顔ぶれが変わったので再度議決をということで、住民投票を促進する方々の求める中で、また恐らくは、ここで決着をつけて混乱を終わらせたいという意図も与党側にもあったのかも分かりませんが、そういった流れの中で申出があって、臨時市会は開かれました。

 なぜ忘れもしなかったかというと、実は私、その日、家族でディズニーランドに行くことになっていたんです。まだ幼稚園に行くか行かないかの子供を連れて、やっと市会議員になって、一度みんなでゆっくりと家族旅行をしようと言っていたら、直前に臨時市会開催が決まって、この仕事はつくづくプライベートが制限されて大変だと思い知らされて、せっかくの家族旅行をやめることもできずに、ディズニーランドから、途中、家族を置いて一人で神戸に帰ったという経験があるので、よく覚えているんです。

 これらの議題に対して私はいずれも反対をして、神戸市会としても両議案を否決したんですけれども、目前に迫った課題に関して議会が迅速に、そして明確な意思表示をしたという意味において、印象的な出来事であったと思います。

 その後、神戸空港は建設着工され、完成し、オープン、運用され、ついに、悲願であった国際線の就航も、先週、台湾の、台北、桃園国際空港に向けて第一便は飛びました。大変感慨深いものでございました。ちなみに、市会議員から県会議員に転出したときに神戸空港は開港して、私はそのときも第一便に搭乗したことを覚えています。

 議員は絶えず地域住民とコミュニケーションを取って、常に現場のニーズを把握していることから、議員の要求に基づく臨時会の招集は非常に重要な規定であります。なお、先ほど述べた神戸市会の例では、八月二十七日に招集要求があって、九月九日、つまり要求があってから十三日後に議会が招集されているんです。当然でありますが、地方自治法に規定されているとおり、二十日以内に臨時会は招集されています。実にスピーディーに必要な事柄に対応ができているというふうに私は思います。

 翻って、我々国会の状況を見ると、憲法に議員からの臨時会召集要求の規定は置かれているものの、その召集期限を明確に規定する条文はありません。そして、今日の法制局長の説明があったように、議員からの要求があった後、相当な期間が経過した後に国会が召集されることが当たり前のようになってしまっていると感じます。国民代表である議員が早急な議会での議論を望んでいるにもかかわらず、内閣のサボタージュなどによってそれが阻害されるようなことがあっては本来はならないはずであります。

 我々は、その問題を解決するために、具体的な改革案を提案しています。それは、二〇二三年に日本維新の会が国民民主党、有志の会とともに発表した緊急事態条項であります。その憲法改正案の中では、国会機能維持策として、憲法五十三条後段に基づいて議員から臨時会召集の要求があった場合には、内閣に二十日以内の召集を規定を、義務づけているのであります。これは、国会機能維持という趣旨、目的の下、議員任期特例と並んで大きな柱になるものだと思っています。

 なお、私も賛成者に加わっておりますが、我々日本維新の会は、二〇二二年には、憲法改正案と同趣旨の国会法改正案を提出したところであります。ただし、あくまでも憲法改正により実現することが本質だと思います。

 そこで、立憲民主党の幹事の方にお伺いしたいんですが、臨時会召集期限の明記は各会派で方向性が一致していると思われるんですが、このテーマであれば立憲さんも憲法改正に賛成ということでよいのではないかと思います。また、仮に法律において臨時会召集期限を明記できるにしても、憲法改正によって同じ内容を規定するとするならば、そのような憲法改正には少なくとも反対しないということになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。お伺いします。

枝野会長 立憲民主党、どなたがお答えになりますか。

武正委員 和田委員、ありがとうございます。お答えをいたします。

 人権を保障し、権力を抑制するというのは、立憲主義を強化するための憲法論議は積極的に行うというのが立憲民主党のスタンスでありますから、臨時会の召集要求に対して内閣が法的義務を果たせない場合、つまり、権力の抑制に関するテーマでもあることから、他の論点と切り離して、臨時会の召集要求に関する問題だけということであれば、検討の余地があるものと考えます。

 ただ、仮の御質問ということも更問いとしてございましたが、憲法改正による方法、法律改正による方法については、それぞれ利害得失があるところから、多方面から議論が進められることが望ましいと考えますし、この憲法審査会では、一つだけというよりも、複数を憲法改正の案として提起をしようということで進められていると理解をしておりますので、この一つだけ出したら反対しませんねという、そうした質問にはなかなか答えるのは難しいということでございます。

枝野会長 次に、浅野哲さん。

浅野委員 国民民主党の浅野哲です。

 本日は、臨時国会の召集期限について、我が党の立場を述べさせていただきます。

 まず、憲法五十三条後段は、衆議院又は参議院の総議員の四分の一以上の要求があった場合には、内閣は臨時会の召集を決定しなければならないと定めています。

 この条文の趣旨は、国会の少数派の権利の保護にあります。議会制民主主義において、内閣による政府運営が正しく機能しているかを監視し、必要な対応を求めるためには、少数派であっても国会を開くことができる仕組みが不可欠であります。これこそが、内閣に対する議会の統制、さらには国民による統制の根幹です。

 ところが、現在、臨時国会の召集期限については、憲法上の明文規定が存在せず、合理的期間内に召集すれば足りるとの政府解釈に委ねられてきました。この合理的期間が内閣の裁量で決められる結果、召集要求から実際の召集まで百日を超えるような例も現実に存在しています。こうした状況は、少数派による行政監視という立憲主義の要請に真っ向から反するものであり、議会制民主主義を空洞化させる重大な問題です。国民民主党は、この制度的不備を放置するべきではないと考えています。

 具体的には、召集要求が出された場合には、二十日以内に臨時国会を召集することを明記すべきと考えています。この二十日という基準には、複数の合理的な根拠があります。

 第一に、地方自治法百一条第四項では、臨時議会の招集期限を二十日以内と定めています。第二に、常会、臨時会の召集に際しては、おおむね七から十日前に召集詔書が交付されているという先例があります。第三に、憲法五十四条や国会法二条の三では、任期満了選挙後の臨時会や特別会について三十日以内の召集が義務づけられていますが、これは選挙後に議員構成が大きく入れ替わるための準備期間を考慮したものと解されています。

 一方、憲法五十三条による臨時会は、既に構成されている議員による要求であり、準備期間も不要であるため、二十日以内とするというのはむしろ穏当な期間と考えられます。実際に、最高裁判所の宇賀克也裁判官も、憲法五十三条に基づく臨時会については、二十日以内の召集義務があると解することに無理はないと述べています。

 この召集期限の明記の方法については、二つの選択肢が考えられます。

 一つは、憲法改正により、憲法五十三条に二十日以内と明記する案です。これは、起案の安定性が高く、内閣による恣意的な運用変更を防止する強固な手段となります。もう一つは、国会法の改正により法律で定めるという案です。この場合、社会情勢の変化などにも柔軟に対応できるというメリットがあります。

 どちらの手法が望ましいかについては更に議論が必要ですが、重要なのは、内閣が国会の召集義務を履行するための期限を明確に規定することによって、国会の統制権能を実効性あるものにすることにあります。

 最後に、憲法制定時の議論にも触れておきます。

 金森徳次郎大臣は、第九十回帝国議会において、万年議会制度を取らなかった埋め合わせとして、議員の四分の一以上の要求があれば国会を開かなければならない、これは少数派の意思も十分に主張し得る仕組みであると述べています。この精神をないがしろにする制度運用は、憲法の理念から逸脱していると言わざるを得ません。

 法制局にお伺いします。

 議員の四分の一以上が臨時会の召集を要求した場合、憲法五十三条に基づき、内閣はその召集を決定しなければなりませんが、この召集を決定するとは、内閣のいかなる行為をもって達成されるのでしょうか。過去、要求日から召集決定されるまでに百日以上を要したケースが散見されますが、その要した期間の正当性は、いかなる理由の下、主張されてきたのでしょうか。後ほどお答えいただきたいと思います。

 国民民主党は、少数派の声を国政に反映させるための最低限度の仕組みとして、臨時国会の召集期限の明記を進めるべきであると考えています。そして、その制度設計は立憲主義と議会制民主主義の原点に立ち返ることによって導かれるべきだと強く申し上げ、私の発言といたします。

 以上です。

橘法制局長 浅野先生、御質問ありがとうございます。

 二点御質問を頂戴いたしました。

 まず一点目は、天皇の臨時会召集の国事行為に対して助言と承認を行う内閣の召集決定権がいかなる形式で行われるのかということだと存じますけれども、これについては、内閣の意思決定でございますので、当然、閣議決定の形で行われることになっております。

 次に、その召集までに要した期間の正当性あるいはその合理的理由についてですが、一般的には、質問主意書への答弁書などにおいては、臨時会で審議すべき事項等を勘案して決定した旨の説明がなされているものと存じますけれども、それ以上の理由が述べられていないか、首相官邸ホームページでアップされている近年の閣議の議事録等を拝見してみましたが、特段にそれ以上の言及はございませんでした。

 他方、記者会見等まで手を広げますと、例えば、近年の例ですと、令和三年九月二十一日に召集決定された召集要求に対する期間ですけれども、これは実際の召集まで八十日ほどかかった事例ですが、閣議決定が行われた同日の記者会見で当時の加藤勝信官房長官が次のように述べておられます。野党側の要求について、憲法の規定にのっとって、政府としてしっかり受け止めていく、ただ、時期については政府で判断する、こういう流れの中で、首班指名が必要であり、臨時国会を召集することを決定した、このような答弁を見つけることができましたが、それ以上の調査は間に合いませんでした。

 以上でございます。

枝野会長 次に、浜地雅一さん。

浜地委員 公明党の浜地雅一です。

 本日のテーマであります臨時会召集期限につきましては、冒頭の橘局長の御説明がございました。当委員会では初めてのテーマでありましたけれども、そもそも何らかの法的整備をすべきか否かという点に始まりまして、仮に一定の法的整備をする場合にも、憲法を改正すべきか、法律改正で対応すべきかなどの論点があることがよく分かりました。

 このテーマにつきましては、先ほどから、他党他会派におきましては、具体的な憲法改正条文案や国会法改正案を公表されているところでもございますが、我が公明党では、この論点について、これまで具体的な見解を示しておりません。

 そこで、先日、憲法調査会で議論をしましたが、結果は、残念ながら党の見解としてまとまるまでは至っておりませんので、本日は、党内での議論の紹介も含め、現段階では議論の途上であることを付言しまして、見解を述べたいと思います。

 まず、憲法五十三条後段に基づきます臨時会の召集要求に対する内閣の臨時会召集決定、これが憲法上の義務であることは、政府見解、学説、判例のいずれも一致をしております。公明党内でも、決定しなければならないとの文言からも、これについては異論がないという意見でございました。

 その上で、召集要求があった場合に、内閣はいつまでに国会召集をしなければならないのか、いわゆる合理的な期間の問題であります。

 この点、政府は、臨時会では、審議すべき事項なども勘案して、召集のために必要な合理的期間を超えない期間内に召集を行うことを決定しなければならないとの見解を示しております。公明党内でも、単に形式的に臨時会を召集しても、国会において充実した議論ができなければ意味がないという意見がありました。

 例えば、東日本大震災のような大規模な自然災害が発生した場合、また、新型コロナウイルスの感染症の蔓延も我々は経験をいたしました。また、直近で申し上げますと、トランプ大統領との関税をめぐる交渉が行われている場合などが考えられます。

 確かに、すぐに国会を開いて問題提起等を行う必要はございますけれども、やはり、事態の客観的な把握、又は政府の基本的な方針の決定、加えてまた、例えば予算案や法律案などについて準備ができていない段階で国会が召集されても余り意味がないのではないかという意見がございました。

 なお、国会が召集される間も、議論自体は、予算委員会を始めとする各委員会の閉会中審査において行うことは可能であります。政府が審議すべき予算や法律を準備する間に、閉会中審査を活用して、喫緊の課題に対する政府の現状の認識や基本的対処方針などは議題となり得ますので、国会審議は可能であるとの意見もございました。

 政府の召集に当たって整理すべき諸課題によって変わるものであるため一概には言えないという見解は、先ほど述べましたように、国会審議を充実したものにするための準備期間という観点からも一理あると私は思います。とはいえ、内閣による臨時会の召集決定が憲法上の義務である以上、特段の事情がないのにいつまでも召集決定を行わないとなると、憲法上の疑義が生じます。

 この点、最高裁判例におけます宇賀裁判官の反対意見では、特段の事情がない限り、合理的期間は二十日あれば十分とされております。この意見につきましては、特段の事情という形で幅を持たせている点は評価できますが、他方で、二十日という具体的な日数を明確に示す点では直ちに賛同できません。政府が二十日以内に必要な経済政策、予算や法律案を準備し、国会における議論を充実したものにできるかは疑問であることは、先ほど述べた理由からであります。

 なお、宇賀裁判官の反対意見では、二十日という日数の根拠として、衆議院総選挙後三十日以内に特別国会の召集を義務づけている憲法五十四条の規定がございます。しかし、憲法五十四条は、特別会の後、内閣総理大臣の指名という明確な目的があることを考慮して三十日以内としているのに対しまして、憲法五十三条後段による要求される臨時会は、具体的な政策課題について議論を行っていくためのものであるため、この特別会召集までの三十日を引き合いにして行うことは妥当ではないと思っております。

 その他の理由として、この三十日を引き合いとする理由として、特別会では、総選挙で議員が入れ替わる、木札などの作成など一定の時間がかかる、特別会で三十日であれば、臨時会はこのような手間が要らないので、例えば十日間を引いて二十日で十分ということであれば、これも少し趣旨が違うというふうに考えております。

 このように考えますと、結局、合理的期間は、国会審議を充実したものとするための、その時々の内閣の準備状況によるということに行き着くと思われます。

 臨時国会の召集期限を明確な数値を挙げて明記すること、特にこれを基本的な定めしか置いていない憲法で書き切ることは困難であるという意見が多くございました。そこで、個人的には、仮に臨時会の召集期限を明記するとしても、法律に明記することになると思われます。

 この点の議論に関しましても、本日の憲法審査会での議論を党内にフィードバックし、更に議論を深めることを申し上げまして、発言を終わらせていただきます。

 以上であります。

枝野会長 次に、大石あきこさん。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 本日、臨時会の召集期限がテーマであるということで、各会派から意見が出されましたが、おおむね、過去の自公政権が憲法五十三条に基づく召集をやらなかった、野党の求めに応じなかったということが、この悪事が違憲やということが言われて、それがテーマに上がったのはよかったなと思っています。

 ちょっと、この会を開くまでの予想で、自民党とかが、だからこそ改憲や、改憲しかないとかおっしゃるのかなと思っていたんですけれども、さすがにそれはなかったのはよかったなと。だから、改憲やと言ってはるのが今回まだ維新だけというのがよかったかなとは思います。

 今日、自民党からは上川幹事が御発言されて、こだわるものではないので、今日は各会派の意見も拝聴してというふうにおっしゃっていて、本日、上川委員宛てに質問要旨も出していますので、それは、今、次からする説明を終えて改めて質問いたしますので、お願いします。

 まず、今、臨時会を召集せんかったということが、どういう状況においてせんかったのかというのは、二、三触れておきたいと思うんですね。

 そもそも、自民党も、公明党も、政権の方も改憲を主張されているんですけれども、緊急事態条項を作りたいとおっしゃっているんですけれども、そういう議員の方々が、参議院緊急集会を七十日以上開けないから、国会の空白を生んだら駄目なんだ、だから衆議院の任期延長が必要なんだと主張されているけれども、だけれども、空白期間が生まれたらあかんと言っている人たちが、いかに国会の空白期間が生まれたらあかんときをつくり出してきたか、その常習犯であったかというのは、やはり言っておかなければいけなくて。

 法制局の資料にもありましたけれども、どういう文脈かというところを少し述べたいと思いますが、例えば、二〇二一年の六月十六日、通常国会が終了しました。次の臨時国会までの空白期間は百九日続きました。憲法五十三条に基づく野党からの国会召集は無視して、コロナ禍に苦しむ中小企業も国会審議を求めていたのに無視して、当時はコロナの第五波の真っただ中、医療機関はパンク、感染者は自宅で放置されていたのに無視、菅政権は国会を開かずに退陣です。自民党は、国民の苦境に見向きもせずに総裁選に明け暮れて、ようやく成立した岸田政権で十月四日に臨時国会を召集して、大した議論もなく、十日後に衆議院を解散しました。

 ほかにも、二〇二〇年、通常国会終了後、コロナ禍で、医師会などは法整備のための早期国会審議を求めていました。しかし、アベノマスク批判から逃れるためにも、安倍政権は野党の国会召集要請に応じず、空白期間は九十日間にも及びました。

 そして、二〇一七年六月十八日、安倍政権は国会を閉じましたが、これは共謀罪を強行に成立させた直後なんですけれども、次の臨時国会まで百一日間の空白。モリカケ疑惑の追及から逃げたと批判される件です。そして、安倍政権は、九月二十八日、臨時国会を開くも、途端に衆議院を解散。

 このときの解散理由が国難突破解散なんですけれども、国難は何ですかと問われたときに、これは少子化が国難なんですというふうに総理もそのとき、後に答えたんですよね、何度も。これは少子化が原因で国難を突破する必要があると言っているけれども、今、二〇二五年に何をやっているんですか。大した対策をしていないわけですけれども、異次元の少子化対策と今言っていて、つまりは、二〇一七年から、国難突破解散と言っていたけれども、具体的な対策が取られていなかったことの証拠ではないでしょうか。

 それで、上川幹事、自民の上川委員にお伺いしたいんです。

 様々、今日は、そういった自民党政権の在り方が違憲やと、違憲をこの審査会で調査しろという声も他会派からありましたけれども、このことについて、菅政権下で、令和三年七月十六日の野党議員による臨時国会召集要求書の提出から同年十月四日の臨時国会の召集まで約八十日も要した具体的理由及び事実関係を教えてほしいと事前に質問要旨を出したんですね。

 というのも、過去のこのことに関する政府答弁で、このせりふしかないんですよね。内閣の権能は、憲法上、臨時会の召集を決定することであり、こうしたことも踏まえ、菅前内閣においては、国会のことでもあるので与党とも相談した、そういう答弁しかないので、具体的な理由、事実関係というのをはっきりさせていただきたいんですよ。

 質問はその理由、事実関係なんですけれども、加えて、やはり謝罪の弁、まずかった、こんなことをやっちゃいけなかったという謝罪の弁をいただけるか。

 それから、再発防止ですね。やっちゃいけないということは言われていたわけですから、再発防止の考えとしてどうなのか。これが一番大事であると考えます。

 加えて、審査会長には、違憲審査ということで、まさにこの衆議院の審査会で開くならば、違憲審査を求めます。

 あれですよね、分数を、回答時間を残さないといけないんですよね。では、一旦これで終了します。

枝野会長 では、上川陽子さん、御答弁になりますか。

上川委員 御質問でございますが、ただいま例示をしていただいた件でございますけれども、そもそも政府は、法律案など臨時会で審議すべき事項等を勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない範囲内で適切に召集を決定したものと考えております。

枝野会長 まだ一分ぐらいありますが、どうしますか。

大石委員 そうしましたら、審査会長に、今、これは違憲審査をテーマにするべきだと考えますが、いかがでしょうか。

枝野会長 ただいまの申出については、後刻、幹事会で協議をいたします。

 よろしいでしょうか。ちょうど時間です。

大石委員 終わります。

枝野会長 次に、赤嶺政賢さん。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 憲法五十三条について意見を述べます。

 憲法五十三条後段は、臨時会について、いずれかの議院の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならないと明記しています。その目的は、国会の少数者の発言権を保障し、国民の多様な意見を国政に反映させると同時に、国会による行政監視機能を徹底させ、権力を統制するためです。

 この規定は、日本国憲法に初めて取り入れられたものです。明治憲法は、天皇主権の下で、議会は天皇と政府が必要とする場合にのみ召集され、まさに協賛機関にすぎませんでした。さらに、天皇は議会閉会中も法律に代わる勅令を出せるなど、権限を独占していました。こうした独裁体制の下で侵略戦争へと突き進んだのです。

 この反省から、日本国憲法は、国民主権の下、国会を国権の最高機関と位置づけ、国会自身に召集の自律権を与えたのであります。憲法制定議会で、金森徳次郎大臣は、憲法五十三条の意義を、少数が要求しても議会が開かれること、少数派の意思が主張し得ることだと強調しています。国民主権と議会制民主主義を徹底する上で極めて重要な規定であることは論をまちません。

 重大なことは、自民党政権が、これまで、憲法五十三条に基づく野党の臨時国会召集要求を繰り返し無視し、民主主義の土台を根底から踏みにじってきたことです。

 法制局の資料にあるように、二〇一七年六月、野党は、森友、加計学園問題の真相解明のため、憲法五十三条に基づいて臨時会の召集を内閣に要求しました。通常国会の閉会直後に加計学園問題で官邸の関与を示す文書が明らかになり、疑惑の解明は国会の責務でした。ところが、当時の安倍政権は、九十八日間にわたってこの要求に応じませんでした。さらに、九月二十八日に開いた臨時会では、その冒頭で衆議院を解散して、国会での議論を封じ、疑惑に蓋をしようとしたのであります。

 二〇二〇年七月は、コロナ感染症の拡大に対応するために臨時会の召集を要求しています。当時は、全国の感染者数が連日最多を更新し、東京都が外出自粛を呼びかけていました。ところが、政府は、国民の批判を無視して国内での旅行需要を喚起するGoToトラベル事業を強行するなど、その対応は感染拡大防止に全く逆行するものでありました。

 政府の姿勢を正し、コロナから国民の命と暮らしを守る対応を議論することが国会には強く求められていました。しかし、ここでも安倍、菅政権は、臨時国会召集要求に応じませんでした。国会での実質的な議論が四か月も行われない下で、第二波や第三波と言われる感染拡大が起きたのです。少数者の意見を切り捨て、行政監視という国会の任務を軽んじてきた自公政権の責任は極めて重大です。この問題で問われているのは、政府・与党の姿勢そのものです。

 安倍政権が臨時会召集要求に応じなかった問題が問われた裁判、先ほど橘局長から御紹介いただきましたが、私も原告になっている二〇二〇年の那覇地裁判決は、憲法五十三条後段に基づく内閣の臨時会の召集は、憲法上明文をもって規定された法的責務であって、内閣に認められる裁量の余地は極めて乏しいと断じています。

 二〇二三年の最高裁判決も、同条は政治的な責任にすぎないとする政府の主張を退けた上で、臨時会召集要求がされた場合には、内閣が臨時会を召集決定をする責務を負うと述べています。

 野党の臨時会召集要求を政府が長期間にわたって無視することなど、到底認められるはずはありません。

 その上、今、自民党は、殊更に国会機能の維持を強調して、議員任期延長のための改憲を主張しております。現実には国会の行政監視機能を無視しておきながら、国会機能維持を理由に改憲を主張するなど、言語道断であります。

 憲法を守らない者に改憲を口にする資格はないと強調して、発言を終わります。

枝野会長 次に、北神圭朗さん。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 現在、臨時会の召集期限については、憲法第五十三条後段に、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と憲法に規定されています。では、いつまでに召集を決定しないといけないかについては、通常、先ほどの説明があったとおり、合理的な期間を超えない期間内だと解釈されています。問題は、この合理的期間についての見解が与野党で一致していないということにあります。

 我々は、まず、日本維新の会、国民民主党との三会派の共同提案においては、召集期限を二十日以内と明記しております。我々の目的は、選挙困難事態などの緊急時にいかに国会を機能させつつ、行政に対して制約をかけることにあります。言い換えれば、内閣が緊急時を理由に国会をあえて召集しないことを防ぐためです。

 行政がこういうときに説明責任などを避けようとする傾向を示すことは、歴史が証明するところであります。例えば、常会の合間に緊急時が生じた際、内閣が召集を決定する合理的期間の範囲が今のように解釈に委ねられていれば、有事における国会不在のおそれが生じます。

 次に、平時の場合についてでありますが、我々の案は有事限定のものではないので、合理的期間の解釈論に終止符を打つことになります。

 平時についても、内閣としては、議案提出の準備や政治情勢への配慮から、いつ召集するかについて裁量を握っていたいのは自然だと思います。他方、召集を要求した国会側としては、一刻も早い開会を求めるのも、これもまた自然であります。こうして合理的期間の捉え方に差が出てしまうのでしょう。

 しかし、より俯瞰すれば、そもそも、臨時会の召集要求の在り方は常会の会期からも影響を受けることが分かります。

 国会法第十条は、「常会の会期は、百五十日間とする。」と規定され、大日本帝国憲法の三か月間に比べて期間が長くなってはいます。しかし、それでも、今日の行政の複雑化などによる国会の職務増大に伴って、事実上、毎年のように臨時会が開かれています。例えば、過去十年を振り返ると、一年間の平均開会日数は二百十一日間となっています。これは、常会の百五十日間に六十日間程度を加えたものとなっています。

 本来、臨時会というものは、例えば災害などにより補正予算や法律案の審議を求めるときなどに限って想定されているものですが、現実の運営は必ずしもそうなっていません。

 諸外国を見ますと、一つ、米国は、西暦奇数年の第一会期と偶数年の第二会期に分かれ、毎年一月から十一月ないしは十二月まで開催されています。英国は、複数の会期に区分されますが、常会、臨時会の区別はなく、通常、五月から約一年程度継続することになっています。ドイツは、会期制度は取られず、下院では、会議を開く週は年間二十二週間から二十四週間程度となっています。

 一見、英米は通年国会に近いように映りますが、復活祭の休暇、夏季休暇などもあり、先ほどの和田委員の、ディズニーランド行きが許されるかどうかはちょっと調査し切れていませんが、実質的な開会日数は我が国と大差はございません。

 類型化すれば、一つは、我が国のように常会に加えて臨時会を利用する方式、二つ目には、英米のように通年会期制を用いるか、常会が通年会期化する方式、三つ目には、ドイツのような万年議会制の形態を取る方式に分けることができます。

 ただし、我が国において、常会に加えて臨時会を利用する例外としては、二〇一五年の通常国会があります。この国会では、当初の百五十日間の会期が九十五日間も延長され、二百四十五日もの会期となりました。その閉会後に野党から出された臨時会の召集要求に対して、内閣はこれに応じず、翌年の常会まで国会は開会されませんでした。恐らく、内閣としては、常会の審議日数を相当程度確保すれば臨時会は必要ないとの判断をしたのだと推測されます。

 しかし、これは例外であり、過去になされた臨時会の召集要求について見ますと、臨時会召集の要求書の送付日から召集日の前日までの平均期間は、過去十年間では平均六十九日、過去二十年間では平均五十八日となっています。果たしてこれが合理的期間であるかが問われます。

 問題は、審議日程を必要十分に確保しようとすれば、臨時会の召集、さらにはその召集期間が往々にして政争の具となってしまうことであります。

 本来、憲法五十三条後段の手続にのっとった要求があれば可能な限り速やかに国会が開けるようにすることが、私は条文の趣旨にかなっていると考えます。

 ただ一方で、そもそも、常会の会期が延長可能であるとしても、百五十日間という日数でよいのかについても検討することは一案だと考えます。例えば、会期を通年に近いものにすれば、召集要求の濫用を含め、臨時会召集をめぐる争いも相当なくなっていくのではないでしょうか。

 今、我が国が激しい変動に対応しなければならない中、国会と内閣がそれぞれの権能をより高い次元で果たすことが求められています。こうした観点から、臨時会の召集決定期限を明記することは必要だと考えますが、併せて会期制度の在り方についても検討すべきであると申し上げ、私の発言を終わります。

枝野会長 各会派一巡の発言が終わりましたが、委員各位による発言に先立ち、前回の審査会の積み残しに対応したいと思います。

 前回、国民民主党の浅野幹事より自民及び立憲の両会派に対し御質問がございまして、それについては次回回答するということになっております。

 それぞれ回答をお願いいたします。まず、自民党。

船田委員 船田元でございます。

 四月十日の審査会におきまして、国民民主党浅野幹事から、思想、良心の形成過程の自由の保障について我が党に質問をいただきました。

 当審査会にかつて参考人としておいでいただいた山本龍彦慶応大学教授も、浅野先生と同様の御指摘をなされていたと記憶をしております。山本教授は、政治的マイクロターゲティングを用いれば人の感情や意思決定を容易に操作できることを指摘し、私たちの認知領域をいかに保護し、自律的な意思形成過程を守るかは今後重要な論点になるという点は、非常に重要な指摘だと思っております。

 こうした御主張を基にして、今後、ネット社会と憲法という非常に極めてセンシティブなテーマ、このことを更に議論を進めていきたいと思っております。

 以上です。

枝野会長 次に、立憲民主党。

山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。

 浅野委員の提起に対しまして、衆参の幹事のレベルでは共有させていただきましたけれども、党として公式に見解をまとめたわけではないという前提で聞いていただければと思います。

 高橋和之教授は、「表現の自由」という本の中で、インターネットに対する青少年保護という課題の脚注のところなんですけれども、人は情報を内心に取り込み、自分なりにそしゃく、消化し、時に応じてその結果を外部に表現し、それに対する反応を受け取るという過程を経ながら自己を形成、確立していく、そう考えれば、内心に受け取る情報を問題とすることは、内心の在り方を問題とすることと関わっていることが理解されよう、従来の理論では、表現を受け取る自由も表現の自由として考えてきたが、内心に取り込むことは、内心を外部に表明することよりも内心の自由により深く絡まっていることを忘れてはならないという見解を示されています。

 浅野委員は十九条からのアプローチでしたけれども、高橋先生は二十一条からのアプローチということになりますけれども、趣旨としては近いものがあるものと考えられまして、問題意識としては理解できるものと言えます。

 ただ、高橋教授は、受け取る自由の規制は、通常の表現の自由の規制より、より厳格に審査しなければならないという規範を導かれておりまして、浅野委員の問題意識とは逆の、異なる結論が導かれる可能性があるということについては留意が必要かと思います。

 その意味で、いまだ成熟した概念ではないのかなと思っておりまして、なお研究が必要ではないかと思っております。

 以上です。

枝野会長 ありがとうございます。

    ―――――――――――――

枝野会長 次に、委員各位による発言に入ります。

 発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。

 また、幹事会の協議に基づき、一回当たりの発言時間は三分以内となります。質問を行う場合、一度に答弁を求めることができるのは二会派までとし、一回当たりの発言時間は全ての答弁時間を含めて五分以内となりますので、御留意ください。

 発言時間の経過につきましては、それぞれおおむね三分経過時、五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせをいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。

稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。

 憲法五十三条後段の召集期限明記について、上川幹事の発言のとおり、自民党として一定の方針が決まっているわけではありませんが、私個人としては検討に値すると考えています。さらに、この制度の趣旨が、少数派の権利保護であり、召集決定が憲法上の義務であるとされていることから、その期限も法律ではなく憲法に明記するというのが素直な発想だと思います。

 憲法五十三条の召集要求について、内閣は、臨時会で審議すべき事項等をも勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に臨時会の召集を行うことを決定しなければならない、しかし、そこに言う合理的期間は、召集に当たって整理すべき諸課題によって変わるものであり、一概に言えないというのが政府の見解です。

 そのような中で、召集期限を憲法に明記することは、政府と国会あるいは与野党間の争いの種を減らすことにつながるだけでなく、国民にとっても分かりやすく、理解を得られるのではないでしょうか。

 ただ、その検討に当たっては、国会運営の在り方、国会改革を含めて総合的に考える必要があります。

 例えば、私自身の防衛大臣等の経験を踏まえても、大臣は開会中には国会対応に忙殺されるのが常です。もちろん、国民の代表である議員に対し、国会で大臣として説明責任を果たすべきことは当然ですが、行政の責任者として、国際会議への出席や、多国間や二国間で対面で会談等を行い、対外、国際関係に円滑に対応することも重要な職責です。

 このような状況の中で、閉会直後でも直ちに召集が義務づけられるとなると、いわば通年国会に近い状況になることも想定されます。我が国では閣僚の国会出席日数が諸外国と比較して突出しているとの調査もあることから、召集期限を設けるのであれば、大臣が国会に長時間拘束される現在の運用を含め、国会全体のデザインを考え直す必要があると思います。

 また、一律の期限を設けると、硬直的な運用や濫用を招きかねません。大規模災害が発生した場合や常会等の開会が迫っている場合など特別の事情がある場合には、例外的にこれに縛られないように、その旨を憲法に明記していくことも必要ではないでしょうか。

 さらに、必要以上に召集要求が繰り返されることのないようインターバル規制を設けることも考えられますが、国会法等でインターバルを規制することは憲法上の疑義が指摘されております。

 以上を踏まえて、召集期限を設けるとした場合における国会運営の在り方や例外措置及び濫用防止措置の必要性についてどのように考えているのか、かつて民主党政権時代に政府の要職を務められた武正幹事及び山花幹事に御所見を伺います。

枝野会長 どう答えますか。では、山花さんがまとめてお答えになるということでいいですか。

山花委員 元々、通年議会というのが憲法制定時に議論されていて、それに対して臨時会があるからいいではないかという話は、先ほど浅野委員からも御紹介がございました。

 実は、戦後すぐに刊行された「註解日本国憲法」というコンメンタールがあるんですけれども、そこには、召集決定要求が実は十分の根拠を欠く、政府に対する単なる嫌がらせであったとしても、それによって国会が国民により十分に批判されれば足りるというような趣旨が書いてあります。つまり、濫用と評価されるようなことがあっても、世論による批判がある程度抑止力になるという考え方です。

 それだけでなく、二〇一九年の九月、憲法審査会の海外派遣で、当時、森団長、私が副団長としてドイツを訪問したときのことです。フンボルト大学のメラース教授との意見交換の場であったと記憶しておりますけれども、ドイツの基本法の四十四条で、議員の四分の一の申立て、臨時会と同じ要件です、四分の一の申立てで、主として政府とか行政の汚職だとか不正調査を目的とする調査委員会を設置できるとされていることについて、私も少数会派による濫用の危険はないのかという質問をしたんですが、これに対して、調査委員会が設置されるのは政治的なスキャンダルに衆目を集めたいという場合が多い、そうすると、使い過ぎると余り効果がないので、政権が樹立されてから次の選挙があるまでの間、大体二回くらいしか設置されないという回答をいただきました。

 つまり、少数会派の意見の尊重と濫用のバランスというのは、法的なルールによるのではなくて、民主制の過程、具体的には選挙で審判を受けるということに委ねることが適切なのではないかと考えます。

五十嵐(え)委員 立憲民主党・無所属の五十嵐えりです。

 私も、特に臨時会召集については、コロナ禍、臨時会を召集しなかった政権与党である自民党、公明党の責任は極めて重大だと思っております。

 特に、二〇二〇年、二一年、二二年の夏、コロナ感染症が猛威を振るい、医療破綻など、多くの国民が命や生活の危機に直面をしておりました。野党はコロナ対策等を求めて臨時会を要求しましたが、政府は無視し続けました。もっと早く臨時会を召集していれば、もっと早く困窮している人々に給付金等を届けることができたと思います。

 例えば、住民税非課税世帯等への臨時特別給付金、一世帯十万円でしたけれども、これが成立したのは二〇二一年の十二月の臨時国会に入ってからでした。私も、当時、都議会議員をしておりましたけれども、やはり、国でそういうコロナ対策の予算を決定してもらわなければ自治体に下りてこなくて、大変本当に苦しんでいると多くの方から声をいただきまして、本当に大変な状況でございました。

 二二年三月三日、憲法審査会において、菅内閣の官房長官だった加藤勝信委員がこう述べていらっしゃいます。新型コロナへの対応において、国会の機能維持という観点からも、議員任期延長という問題を考えさせられた、昨年九月末を期限とする緊急事態宣言等の取扱いを検討する中で、十月二十一日の衆議院議員の任期到来を踏まえてどう考えていくのかという問題に直面をしたと。すなわち、コロナ禍が選挙困難事態に当たることを示唆しておりますし、ほかの委員からも同様の発言があります。

 であれば、内閣はいち早く国会機能維持のために臨時会を召集して、コロナ対策を何とかして国会で審議する必要があったのではないでしょうか。二〇一七年もそうなんですけれども、総選挙を控えたときの臨時会の召集というのが、極めて長期にわたります。与党は選挙前に国会審議で失点することを避けたかったのではないでしょうか。政府は、臨時国会召集に関しては、国会のことでもあり、与党と相談しながら対応を検討していると本会議でも述べております。

 そこで、政権与党である自民党、公明党に質問いたします。

 先ほど、二一年の臨時会の召集については適切だというような御答弁がありましたけれども、そもそも、二〇二〇年、二一年、二二年の各年において臨時会が召集されたときのコロナ禍の状況というのは、緊急事態条項に言う選挙困難事態というものに当たりますか。そうであれば、なぜこうした悲惨な状況で、四十七日、八十日、四十六日と、臨時会を召集しなかったのでしょうか。

 政府は、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を決定するというふうに政府解釈をしておりますけれども、それぞれの年において、なぜこれが召集のために必要な合理的な期間内なのかについての御説明を、詳細をお願いをいたします。

 仮に憲法を改正して選挙困難事態により国会議員の任期延長をしても、国会で審議されなければ何の意味もありません。臨時会も開かない与党が国会機能維持として国会議員の任期延長を主張すること自体矛盾そのものと指摘して、私の質問を終わります。

枝野会長 それぞれ一分程度ずつでお願いします。

船田委員 今の五十嵐委員にお答えいたしますが、新型コロナウイルスの蔓延、これは確かに我が国に大きな影響を与えたことは事実であります。

 現在我々が提案をしております、いわゆる選挙困難事態、長期性の要件、あるいは広範性の要件、これを当てはめてみた場合に、今回のコロナ禍は選挙困難事態には該当しないというふうに考えております。

 また、コロナ禍におきましても、政府としては、法律案など、臨時会で審議すべき事項を勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない範囲内で適切に召集を決定した、このように理解をしております。

浜地委員 答えます。

 二〇二〇年、二一年、二二年、コロナは蔓延を繰り返したり、状況も変わっておりますし、変異もありましたので、一つ一つの事象を取れば、その時期を取れば、もしかすると選挙困難事態、こういうときに選挙できるのかということになる可能性もあったかと思いますが、もう一つの要件であります長期性の要件でいうと、この蔓延の時期というのが、半年を超えるとか、そういった形にはなっておりませんので、厳密に言うと、ちょっと、選挙困難事態に当たったかどうかは疑義があるところだろうというふうに私は思っております。

 その上で、政府が臨時会を召集しなかった、この数十日間。あのときは、やはり、予備費も使ったり、予算も使ったり、持続化給付金もありましたけれども、これも組合せでございまして、ここも一概に、これについて評価を述べることはできないと思います。ただ、基本的な、先ほど私が申し上げましたとおり、様々な予算や法律案、これを勘案して召集をされたものであろうというふうに思っております。

 以上です。

阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史です。

 本日は、臨時会に関する審議でございますので、まず、その点について述べたいと思います。

 日本維新の会、国民民主党、有志の会の三会派がまとめた憲法改正条文案では、臨時会召集要求に係る召集期限を明記しております。そのことについては各委員が本日も述べたとおりでございます。具体的な条文を述べたいと思います。「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その要求の日から二十日以内に臨時会を召集することを、決定しなければならない。」

 これは、二十日以内の臨時会召集を内閣に義務づけるものです。これにより、平時、有事を問わず、国会側が必要と認める場合に速やかに召集されることとなります。臨時会の召集要求といった平時の国会機能維持を含めて、我々日本維新の会は、志を同じくする他会派の皆様とともに、憲法改正に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

 この臨時会の召集要求といった平時の国会機能維持を含めまして、我々日本維新の会は、憲法改正を前に進めるという観点で昨日の党首討論に臨みました。我が党の前原誠司共同代表は、日米同盟、日米安全保障条約、集団的自衛権について言及する中で、憲法改正の必要性を強く訴えました。

 昨今のアメリカのトランプ大統領による日米同盟の片務性への言及を背景に、日米安保の双務性、相互防衛義務を改めて考えるのであれば、憲法改正が必要となります。我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、このような武力攻撃事態等及び存立危機事態においては、その事態対処に従事している米軍とは集団的自衛権が発動できます。故安倍晋三総理が成し遂げた平和安全法制の重要な点でございます。しかし、我が国による米国の防衛義務を規定する場合には、憲法改正をしなければできません。

 前原共同代表は、日米同盟は、米国の日本防衛義務、日本の基地提供義務という意味では双務性が担保されているとも言えますが、相互の防衛義務という中身の観点では同じではない、非対称的であるという点では世界で唯一の同盟であり、憲法改正を念頭に、非対称的な双務性から対称的な双務性に変えていくことをすべきではないか、このように述べました。

 また、前原共同代表が、憲法改正といいながら、全く議論が進んでいない、憲法改正がまさに一番大事なテーマとして取り組むべきではありませんかと問うたところ、石破総理は次のように述べました。あらゆる法体系の頂点に立ち、国の在り方を指し示しているのが憲法であるので、憲法改正に全力で取り組まないということは、国家というものに対して全力で取り組んでいないということと全く一緒だ、このように述べていらっしゃいます。全くそのとおりだと思います。

 そこで、自民党と公明党にお伺いしたいと思います。

 まず、憲法改正の志を同じくする自民党の皆さんに、この石破総理の御発言について御見解をお伺いしたいと思います。

 また、以前、我が党は、憲法改正議論を進めるために、条文起草委員会を早期に立ち上げるための意思決定を採決で行うこと、各党の考える条文案を本審査会に提出することを採決で行うこと、この二点を提案いたしましたが、四月三日の憲法審査会において、公明党は、この憲法改正議論を進めるための提案について、ネガティブであると述べられていらっしゃいます。

 公明党の皆さんに、与党を共に構成しておられる石破総理の発言についての見解を伺いたいと思っております。

 以上です。

枝野会長 まず、本審査会は、今、幹事会でその都度テーマを決めて議論をさせていただいていますので、各党ともいろいろおっしゃりたいことがある中で、テーマに絞って御発言をされていますので、それは遵守をいただきますようお願い申し上げます。

 その上で、御質問についてお答えになりますか。

船田委員 阿部議員にお答えいたしますが、昨日の党首討論において、前原議員から石破総理に今のような質問があったということは承知をしております。また、石破総理の答弁も聞かせていただいておりますが、全体とすれば、私は、それは大変重要な指摘である、そのように思っております。憲法九条、その周辺の問題、このことは、やはり憲法改正の上においての最大のテーマだと私も考えておりますので、しっかりと対応していきたいと思っております。

枝野会長 公明党さん、どうしますか。

浜地委員 済みません、次回答えたいと思いますけれども、先ほど会長が言われたとおり、今日のテーマに関することをまずやるべしでありますし、あと、通告してください。

三谷委員 自由民主党の三谷英弘です。

 発言の機会をありがとうございます。

 憲法五十三条後段の臨時会召集に具体的期限を追加するかを議論するには、具体的な期限を設けることが臨時会の召集を求める上でどのような意味があるのかの理解が不可欠ですので、以下、その点について、個人としての理解を申し上げます。

 まず、憲法裁判所のない我が国におきましては、付随的審査制が採用されておりますので、一定期間内に内閣が臨時会を召集しなかったとしても、具体的な期限の有無にかかわらず、直接それが違憲かの判断を裁判所に求めることは当然できません。

 他方、平成二十九年六月二十二日の、最高裁判決によれば、憲法五十三条後段の規定は、個々の議員の権利利益を保障したものではなく、仮に臨時会の召集が遅れたとしても、議員個人の国賠請求は認められませんから、仮に具体的な期限を区切ったとしても、国賠が認められないとの結論は変わりません。

 さらに、詳細な判例の解説は避けますけれども、さきの最高裁判決を前提にすれば、臨時会召集を要求した後、一定程度の期間が経過してもなお国会が召集されていないという極めて限定的な場合のみ、臨時会を召集することについての確認請求の訴えの利益が認められることになりそうではあります。

 しかしながら、提訴から判決までに相当の日数を要する現行の裁判実務を前提にすれば、裁判で争っている間に通常国会の時期を迎えることも容易に想定され、具体的な期限を仮に区切ったとしても、結果的には確認の利益が否定される、事実上、結論において差異は生じないということになります。そういう意味で、法的に言えば、具体的な期限で区切るという意味というものは特段存在しないということになります。

 もちろん、他方で、何日以内と明記した場合に、事実上、その期限の中で臨時会を召集されることが多くなることは予想されます。しかしながら、ただ規定すればよいかというと、そうではありません。

 そもそも、具体的な期限として、それでは二十日がよいのか三十日がよいのか、それは正解のない議論がこれから延々と始まることになりまして、憲法改正の発議を行う上での大きなハードルとなることは必至です。また、臨時会召集権が頻繁に行使されるなど濫用された場合や、安全保障などの問題が生じて期間内に臨時会の召集が困難な事態が生じた場合など、憲法で明記することで、かえって混乱を来したり、国家の危機を招くおそれがあります。それゆえ、内閣に裁量を持たせて期限を明記しないということには意味があります。

 いずれにしても、我が国は民主主義国家です。仮に恣意的に合理的期間内に召集されなかったとしても、次の国会あるいは次の選挙において民主的統制を及ぼしていくことができますし、その方が健全だと考えております。

 大事なことは、議論を拡散させることではなく、選択と集中。真に必要な論点の整理を進めて、速やかな憲法改正につなげていただくことを切に願いまして、私の発言を終えます。

 以上です。

柴田委員 立憲民主党の柴田勝之です。

 憲法五十三条後段に基づく臨時会の召集要求があった場合、内閣ができるだけ速やかに、少なくとも合理的期間内に臨時会を召集すべきことは、明文の定めがなくても当然のことです。憲法制定の当時、そんなことをわざわざ定めなくても内閣は当然合理的期間内に召集すると考えられていたからこそ、明文で期限が定められなかったのであって、明文で期限が定められていないからといって、内閣が合理的期間内に臨時会を召集しないなどということは、憲法制定当時に誰も想像していなかったはずです。

 召集期限を明文で定める憲法改正の必要があるかなどということをこの貴重な憲法審査会の時間を使って議論しなければならなくなっていること自体、憲法を制定した先人に対しても、また今の国民に対しても顔向けできない、大変情けないことではないでしょうか。

 また、各院の四分の一という少数派に召集要求権を認めた制度の趣旨からして、その合理的期間の判断に当たっては、多数派である政府・与党側の考えや都合を考慮すべきではなく、内閣が召集の必要がないなどという理由でこれを遅延させてはならないことも当然のことです。

 最高裁判所は、平成二十九年の臨時会召集要求に関する訴訟において、内閣が召集義務を負うことの確認請求などを否定しました。しかし、これは決して内閣の行為を合憲と認めたものではなく、確認の利益など訴訟上の技術的な理由で合憲か違憲かの判断自体をしなかったというものです。

 そして、この点について裁判所が判断を示さない以上は、我々国会議員、特にこの憲法審査会において、この点に対する判断を示し、内閣の行為が違憲と判断される場合には適切に対応する責任があると言わなければなりません。

 そこで、自民党と公明党の委員の方に質問させていただきますが、平成二十九年になされた臨時会召集要求に対する内閣の対応、すなわち、要求の九十八日後まで臨時会を召集せず、しかも、その召集日に衆議院を解散したため、召集要求の理由とされた事項を議題とできた特別会が召集されたのは百三十二日後になったこと、これは明らかに憲法五十三条後段違反であると考えられますが、自民党、公明党としては、これを憲法上問題なかったとお考えなのか、問題なかったと考えているとすれば、その理由も詳しく御説明くださるようお願いいたします。

 以上です。

枝野会長 お答えになりますか。通告がないですから、次回でもいいんですが。

船田委員 次回でお願いします。

枝野会長 じゃ、次回で。公明党さんもそれで。

 では、次回に答弁をしていただくことにいたします。

柴田委員 いや、お願いしたんだけれども。

枝野会長 通告は来ていないですよ。(発言する者あり)

 では、次回にお答えをお願いいたします。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 何か、通告がないぞと怒っていらっしゃるけれども、公明党の方が。これはマストではないと確認しているし、元々なかったものを入れてくださいという話だったはずだから、ちょっと今の態度はどうかなと思います。質問は求めません。

 上川委員に通告して、質問して、回答したのはあれだけですか。それは駄目ですよ。臨時国会を召集せんかったという話で、それは国民に向かって説明責任がありますからね。何か全然、情報が不案内。何か、悪くなかったみたいなお話をされていたのかなと思いますけれども、それでは駄目です。

 上川委員よりもひどかったのは、稲田委員が、内閣経験者なわけですよね、八十日以上臨時国会の召集をせえへんかった、そういう責任側にある人が、やはり法律ではなくて憲法を変えなあかんよなとか、よくそんなことが言えますね。反省してください。

 これについては、有権者にその姿を見てもらうしかないと思いますし、もうテレビを入れてでも有権者にこの姿を是非見ていただきたいということで、これは質問はいたしません。

 質問したいのは、これは法律改正のことで、法制局の資料でいうと十三ページですけれども、れいわ新選組も含めて、さっさと法律改正をしてくださいと言っている。自民党、公明党を除いて、結局は、この部分、五十三条に基づいて、要求の日から二十日以内に臨時国会を召集することを決定するべきだというのは、この意見はほぼほぼ共通なわけで、二年ちょっと前にそういった法律案を提出して廃案となっているわけですけれども、今、与党は過半数割れですから、過半数にいけば、さっさとこの法改正ができるわけなんですよね。

 当時提出したのが立憲、維新、共産、有志、れ新と書いてあって、今日の話では、立憲、れ新、共産は、法律でやることは賛成だろうと。内容的には維新も有志も賛成なのではないかと。というか、提出者なんですけれども、その維新と有志は、当時提出したこの法案を、賛成だという態度を維持しますか。簡単なものなので、通告なしでも答えてほしいです。

 国民民主党さんはこれに交ざっていないんですけれども、やはり改憲の方で二十日以内の臨時会召集決定という提案は生かしておられるようなので、これは法改正でも、賛同されたら、その状況で過半数になるので法律改正できるんだと考えるんですけれども、国民民主党さんは乗られますか。

 以上です。

枝野会長 済みません、申合せにより、質問は二会派までという原則でお話をさせていただいておりますので……

大石委員 そうですか。維新と国民民主でお願いします。

枝野会長 じゃ、維新と国民民主、それぞれのお尋ねにお答えになれればお答えください。

青柳(仁)委員 臨時会の召集について、二十日以内に開くべきであるという法案の提出、私が実は、維新から、代表して対応させていただいておりましたので、そういった意向については当然今でも堅持しているという立場であります。

 一方で、先ほど我が党の阿部議員から申し上げたとおり、我が党としては、国民民主党、有志の会と三会派でまとめた憲法改正原案の中に、憲法改正によりこの点を措置すべきであるということを申し上げておりますので、そういった立場であるということを申し添えたいと思います。

枝野会長 国民さん、お答えになりますか。

浅野委員 我が党としては、本日の法制局資料の十三ページにも記載されておりますとおり、過去に、日本維新の会さん、有志の会さんとともに憲法改正の提案をさせていただいております。

 基本的に我が党としては、憲法改正によって召集期限については明記をすべきというふうに考えておりまして、国会法改正に対する賛否、対応の是非というものについては、本日の時点で明確なお答えを持ち合わせておりませんので、今後とも党内で協議をしたいと思います。

大石委員 ありがとうございます。

船田委員 自民党、船田元でございます。

 先ほどの大石委員からの御発言でありますが、上川幹事あるいは稲田委員に対して感情的な価値判断が入っていると私は思っております。

 私たちは、理論的に、あるいは様々な状況を踏まえて総合的に憲法改正についての議論をしているわけでありますので、感情的な判断とか発言は是非ともやめていただきたいと思っております。

 以上です。(大石委員「どこが感情的なのかは書面でいただきたいです」と呼ぶ)

枝野会長 不規則発言はおやめください。

武正委員 先ほどの稲田委員への御答弁でありますが、国会での審議で大臣が長時間の拘束などの見直しということで、どうだったか、どうですかという御質問でありますが、国会として、例えば国際会議などに総理や大臣が出席できないというようなことはないというのは、やはり与野党で、国会の在り方、真摯な対応が必要だというふうに思っております。

 事実上、二〇一二年、ロンドン五輪があったときに、当時野田総理が出席を模索したんですが、やはり開会式に出席できなかった。そういうこともあったということも付言をさせていただいた上で、外交、安保については現実的な対応が必要ですが、やはり、だからこそ国会の関わりが必要というふうに考えておりまして、今国会でも、日本とフィリピンのRAAとか、日本とイタリアのACSAとか、こういった条約が出ておりますが、それに伴う法改正は今国会限りで、以降、国会に法案は提出されないというようなことも含めて、やはり、だからこそ国会の関与が必要だということを申し述べたいと思います。

枝野会長 予定した時間が経過をいたしました。

 これにて自由討議は終了いたしました。

 次回は、来る五月八日木曜日午前九時四十分幹事会、午前十時審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.