第3号 令和8年4月16日(木曜日)
令和八年四月十六日(木曜日)午前十時開議
出席委員
会長 古屋 圭司君
幹事 鬼木 誠君 幹事 北神 圭朗君
幹事 新藤 義孝君 幹事 鈴木 英敬君
幹事 高階恵美子君 幹事 和田 義明君
幹事 國重 徹君 幹事 馬場 伸幸君
幹事 浅野 哲君
秋葉 賢也君 阿部 弘樹君
石井 拓君 石川 昭政君
石橋林太郎君 井出 庸生君
伊藤信太郎君 稲田 朋美君
大野敬太郎君 岡本 康宏君
加藤 勝信君 木村 次郎君
下村 博文君 高木 宏壽君
武井 俊輔君 棚橋 泰文君
田野瀬太道君 土田 慎君
寺田 稔君 中川 貴元君
中西 健治君 中山 泰秀君
葉梨 康弘君 星野 剛士君
細野 豪志君 本田 太郎君
丸川 珠代君 盛山 正仁君
保岡 宏武君 山本 左近君
若林 健太君 有田 芳生君
泉 健太君 河西 宏一君
西村智奈美君 阿部 圭史君
池畑浩太朗君 一谷勇一郎君
西田 薫君 飯泉 嘉門君
玉木雄一郎君 鈴木 美香君
和田 政宗君 古川あおい君
畑野 君枝君
…………………………………
衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君
―――――――――――――
委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 加藤 勝信君
同月十六日
辞任 補欠選任
石井 拓君 岡本 康宏君
井出 庸生君 武井 俊輔君
上川 陽子君 山本 左近君
棚橋 泰文君 中西 健治君
池畑浩太朗君 一谷勇一郎君
豊田真由子君 鈴木 美香君
同日
辞任 補欠選任
岡本 康宏君 阿部 弘樹君
同日
辞任 補欠選任
阿部 弘樹君 石井 拓君
武井 俊輔君 井出 庸生君
中西 健治君 棚橋 泰文君
山本 左近君 上川 陽子君
一谷勇一郎君 池畑浩太朗君
鈴木 美香君 豊田真由子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(憲法審査会におけるこれまでの議論を踏まえた今後の議論)
――――◇―――――
○古屋会長 これより会議を開きます。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。
本日は、憲法審査会におけるこれまでの議論を踏まえた今後の議論について討議を行います。
この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。
それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。
発言時間は七分以内といたします。
質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて七分以内といたしますので、御留意願います。
発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
発言は自席から着席のままで結構でございます。
発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。
○新藤委員 自由民主党の新藤義孝であります。
先週の審査会では、憲法審査会の今後の議論についてをテーマに、各会派から積極的な意見が述べられました。
その中で、ある程度テーマを絞って具体的に議論をピン留めしながら進めていくべきであり、緊急事態条項に関しては、選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例の創設を含む緊急事態における国会機能維持についての議論が進んでいるという御指摘がありました。また、条文起草に着手すべきではないかという意見もございましたし、さらに、いついかなる事態にあっても国民を守り抜くことを大前提としつつ、緊急時における措置が濫用されることのないよう民主的統制の観点から議論を深める必要がある、こういった意見もございました。
全体的に、緊急事態条項について更に論点を詰めていくべきではないかという声が多くあったのではないかと私は承知をしております。
そこで、本日は、それらの意見を受けまして、私なりにこれまでの緊急事態条項についての議論を改めて整理をさせていただきたい、このように思います。
まず、この論点の意義は、憲法上、衆議院議員の任期は四年、参議院議員の任期は六年とされているところ、緊急事態が発生して適正な選挙執行が行えなくなった場合に、選挙期日を延期し、それに伴って議員任期も延長することにより、いついかなる場合にも国会機能を維持しようとするところにございます。
その対象となる緊急事態の範囲につきましては、大規模自然災害に加え、テロ・内乱、感染症蔓延、国家有事・安全保障を含めた四つの事態と、その他これらに匹敵する事態とすることが適切なことについて、当時の自民党、公明党、日本維新の会、国民民主、そして有志の会の五会派の賛同をいただき、この五会派においてはおおむね意見集約がなされたわけであります。
これらの事態の発生によりまして適正な選挙実施が困難な状態に陥った場合という要件を満たしたとき、選挙期日を延期し、それに併せて議員任期も延長するというのが、私たちが提起をしている、選挙困難事態における議員任期の延長の基本的な仕組みでございます。
なお、ここに言う適正な選挙実施が困難な状態についての判断要素といたしましては、まず、日本全国で一斉に行われるべき国政選挙の一体性が害されるほどの広範な地域で選挙の適正実施が困難であるといういわゆる広範性の要件、それから、参議院の緊急集会での対応がどうしても難しいほどの長期性の要件、こういった二つで判断することになります。
したがって、今後は、この広範性と長期性という二つの要件の具体的な基準について更に議論を深化させる必要があるのではないか、このように思っているわけであります。
次に、この事態認定は内閣が行うこととし、民主的統制の観点から国会の事前承認を要することについても、おおむね意見は一致しております。
残る問題は、この国会承認の際の議決要件に関し、過半数とするか三分の二以上の多数とするかといった論点です。
これについては、現行憲法の議決要件を比較検討するなどの丁寧な議論が必要であり、この点を深掘りした論点整理については、本テーマを集中的に議論する際、改めて問題提起をしたい、このように思います。
このほかにも、選挙困難事態における議員任期の延長の濫用を防止する観点から、内閣、国会による事態認定の適正さを担保するための裁判所の関与の在り方、そして任期延長期間の上限設定などについても、具体的な制度設計の中で議論を深掘りしていく必要があるわけです。
更なる論点として、衆議院の解散後に選挙困難事態に陥り総選挙の執行ができなくなった、そうした場合における対応策が挙げられます。解散によって衆議院議員はその身分を失っておりますから、任期を延長しようにも、その基本となる身分自体がないわけです。そこで、一旦解散の効果をなくして前衆議院議員の身分を復活させることが必要になります。
衆議院議員については、戦後これまで、任期満了選挙が行われたのは一度しかございません。選挙困難事態への現実的な対応を考えた場合、解散後の緊急事態発生の際の身分復活は極めて重要な問題になるのではないでしょうか。この点についても、更に論点を絞り、具体的な検討が必要だと考えております。
これらに加えまして、緊急事態条項に関しましては、重要な論点が残っています。それは、緊急政令と緊急財政処分についてであります。
国会議員の任期延長などの措置を講じてもなお国会機能がどうしても維持できない事態、すなわち、国会を開くことができない、また議員が参集できないといった事態のことであります。そのような万が一の場合でも国家としての機能を維持し、国と国民の安全を守っていくためには、一時的に法律や予算と同様の効力を有する緊急政令の制定権や緊急財政処分の権限を内閣に付与することは、国家運営にとって死活的に重要な事項であります。もちろん、そこで取られた措置については事後的に国会承認を必要とするなど、民主的統制の制度を併せ講じることも極めて重要な事項です。
以上、本日は、緊急事態条項に関しての論点と残された課題について、その概略を申し上げました。
私としては、ここまで議論が進んでいることを踏まえれば、更に論点を深めるためにも、次回の審査会でこのテーマに関する集中的な討議を行ってはいかがかというふうに提案をしたいと思います。この取扱いにつきましては、本日まさにこれから各会派からの御意見があると思いますので、その御意見、御発言を参考にしながら筆頭間で是非御協議させていただきたい、このように思っております。
次回、審査会における緊急事態条項に関する集中的討議について、各会派の御意見を是非とも頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の発言といたします。
ありがとうございました。
○古屋会長 次に、國重徹君。
○國重委員 中道改革連合の國重徹です。
前回の審査会では、まず私たち中道改革連合の理念と憲法に対する考え方、そして憲法論議に臨む基本姿勢を申し述べました。具体的には、主として、立憲主義を政治の土台とし、権力の濫用を防ぎ、個人の尊厳と国民の権利を守ること、これが私たちの基本姿勢であること、そして、改憲それ自体を目的とする立場にも、現行憲法を固定的に捉え、時代や社会の変化に伴う新たな課題に目を閉ざす立場にも立たないこと、さらに、憲法論議において私たちが何より重んじるのは個人の尊厳と国民の権利をいかに実効的に保障するのかという点であることを述べました。
先週の審査会では、他の会派からもそれぞれ、憲法論議に臨む基本的な理念や考え方が示されました。
その中で、チームみらいの古川委員からは、国民投票法など憲法改正の手続に関する論点と個別条項の中身に関する論点を切り分けて議論を積み上げていくべきだ、また、改正内容の議論に集中できる環境を整えるためにも手続面の整備が重要であるといった意見が示されました。重要な御指摘であると受け止めています。
国民投票法は、憲法改正を国民に問うための土台です。投票環境の整備やCM規制などの手続面の整備が極めて重要であることに異論はありません。他方で、だからといって、手続面の整備が完了するまで憲法本体の議論に一切入らないというのも現実的ではありません。憲法論議は本体と手続の双方がそろって成り立つものであるからです。審査会としては、憲法本体の議論と手続法の議論をテーマごとに整理しつつ、車の両輪として並行して進めていくべきと考えます。
その上で、憲法論議を進めるに当たって、改めてお願いしたいことがあります。それは、憲法審査会においては、これまでの論議の作法にのっとり、少数会派の意見を尊重しながら議論を進めていっていただきたいということです。
先週の審査会では、緊急時における国会機能の維持について多くの意見が述べられました。例えば、参政党の和田委員からは、感染症の蔓延、パンデミックを含む緊急事態条項の創設には反対するとの意見が示されるなど、新たに審査会に加わった会派からも様々な問題提起がありました。
その一方で、既に論点は整理されている、論点は出尽くしたとした上で、条文起草委員会の設置を求める発言もありました。
確かに、これまでの議論によって論点はある程度整理されてきたのかもしれません。しかし、例えば広範性要件や長期性要件の具体的な認定基準などについては、必ずしも共通認識が得られていないように思われます。
このような中で、新しい会派や少数会派の意見を置き去りにしたまま結論ありきで条文化に進むことは、やはり慎重であるべきだと考えます。
私たち中道改革連合も新しい会派です。憲法論議に臨む基本的な姿勢は、先週、そして本日冒頭に述べたとおり明確でありますが、個別の論点については、党内で議論を重ねて党としての見解をまとめていきたいと私としては考えております。
これまでの議論の積み重ねを踏まえつつ新たな視点も取り入れていく、そうした進め方であってこそ、議論はより厚みを増したものになるはずです。是非、丁寧な議論と粘り強い合意形成をお願いしたいと思います。
また、参議院との関係も意識すべきだと考えます。
二院制の下、両院はそれぞれ独立して活動を行うのが大原則です。他方で、憲法改正の発議には、衆参両院でそれぞれ総議員の三分の二以上の賛成が必要です。さらに、最終的には国民投票で国民の審判を受けなければなりません。そうである以上、参議院で争点となり得る点も意識しながら論点の詰め方や合意形成の在り方を考えていく必要があります。国会全体として、国民への発議に堪え得るだけの議論の熟度が求められるのではないでしょうか。
個別のテーマについて申し上げます。
まず、国会機能の維持という観点からは、臨時会の召集期限も重要なテーマです。これは前回の審査会でも述べたとおり、行政監視機能を十分に機能させ、国民主権と議会制民主主義を実質化するための重要な憲法上の課題です。
このテーマについては、各党の問題意識も比較的共有されているように思います。例えば、自民党は二〇一二年草案で、憲法五十三条に二十日以内と明記することを提案されています。また、日本維新の会、国民民主、有志の会の三会派も共同で二〇二三年に、同じく憲法五十三条に二十日以内と明記する案を取りまとめ、公表されています。さらに、立憲民主党、日本維新の会、共産党、有志の会、れいわ新選組は二〇二二年に、一定の例外事由に当たる場合を除いて二十日以内の臨時会の召集決定を義務づける国会法改正案を衆議院に提出されています。
召集期限は何日がよいのか、また濫用防止策をどうするのかなど、なお議論すべき論点はありますが、幅広い合意形成を図りやすい、優先順位の高いテーマと言えるのではないでしょうか。
さらに、解散権の在り方も、国会機能の維持の観点、そして国民の選挙権を実効的に保障する観点から極めて重要なテーマです。
そもそも、内閣が解散権を行使するに当たって、事前に、その解散・総選挙で国民に何を問うのか、その具体的な争点を示すのは当然のことです。この点は、政治に携わる者であれば誰もが否定できないはずです。
各論的には、実体的制限か手続的制限か、法形式として憲法改正にまで踏み込むのかそれとも法律レベルの対応にとどめるのか、こうした基本的な論点を始め数多くの論点があり、これこそ憲法審査会で大いに議論すべきテーマと言えます。
憲法改正手続の整備も重要です。投票環境向上のためのいわゆる三項目案、放送CMやネットに関する諸問題などといった国民投票法の論点、さらに、広報協議会規程の整備を議論すべきです。この点については後ほど同僚議員から発言する予定です。
最後に、前回も述べましたが、各会派、各議員がしっかりと準備をして議論に臨むことができるよう、今後のテーマや進め方についてある程度の見通しを共有しながら審査会を運営していくことが必要であると考えます。これまでの審査会における議論を踏まえ、新たな会派の問題意識も取り入れながら国民のための充実した憲法論議を行っていく考えを申し述べ、私の発言といたします。
○古屋会長 次に、西田薫君。
○西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。
約四か月ぶりに行われた前回の実質討議を聞いておりますと、このまま言いっ放しの議論を続けていては何も決められないと率直に受け止めました。一歩前進したかと思えば、相当な空白の時間を挟むと、元に戻るどころか二歩後退する。実態は、会議は踊る、されど進まずであります。
さきの解散・総選挙に当たり、従前、改憲勢力とされていた公明党が立憲民主党と中道改革連合で合流された政局的な事情もありましょう。ゆえに、先週の本審査会で国民民主党の玉木委員が述べられたように、そして先ほど新藤幹事も引用されながら述べられましたが、ある程度テーマを絞って具体的に議論をピン留めしながら進めていく運営が不可欠です。アクセルを踏んで議論を進めていくべきは、いずれも火急のテーマである緊急事態条項創設と九条改正にほかなりません。
本審査会の定例日開催がほぼ定着したこの四年間の議論等を振り返れば、この二項目については、総論から各論に移行し、ゴールに向けた意見集約のレールに乗せてしかるべきときを迎えたと考えます。
憲法審査会事務局によると、令和四年の通常国会から先週の本審査会において持たれた実質討議と参考人質疑は都合約六十回ありました。このうち、オンライン審議の在り方を含む緊急事態条項が主なテーマになったのは、集中討議を始め三十七回を数え、全体の六割を超えました。また、安全保障を含む九条が主要テーマになったのは、集中討議を始め十八回で、全体の三割を占めました。
実質討議において、この二項目以外で複数回にわたってテーマに据えられたのは国民投票に係る課題にほぼ限られ、過去四年間の憲法の本丸をめぐる議論は緊急事態条項と九条に収れんされたことは揺るがない事実です。それは、世界で猛威を振るっていたコロナ禍やロシアのウクライナ侵略等が突きつけた教訓に本審査会が向き合い、積み上げてきた蓄積であります。
とりわけ、緊急事態条項において、国会議員の議員任期延長を始め国会機能維持条項に関しては、二回の論点整理を経た令和五年六月、自民、維新、国民民主、公明、有志の会の五会派でおおむね方向性は一致し、昨年六月には幹事会で、五会派の幹事、オブザーバーから骨子案と更なる検討課題が示されました。
なおも緊急政令、緊急財政処分と司法の関与が課題として残りますが、前者については自民、維新、国民の三会派でその必要性を共有しています。もちろん、緊急事態時には何としても国会機能を維持させていくことが大原則です。万が一それがかなわない事態に至った場合、内閣に一時的に権限を集め、緊急政令等で国民と憲法秩序を守らせる制度を法で整えておくことは、特定会派が唱える権力の暴走を防ぐという原則とは矛盾しません。
この緊急権は、国連が採択した国際人権規約、いわゆるB規約も認める世界の常識です。ちなみに、西修駒沢大名誉教授によれば、成文憲法を持つ百八十九か国のうち、緊急事態条項がないのは日本など五か国のみであり、日本が世界の常識から乖離している現実を申し添えておきます。
一方、九条に関しましても、この四年間、急激に悪化する我が国を取り巻く安全保障環境を鑑み、かつてないほどの議論の俎上にのせられたことは前進でした。時代の遺物たる九条が抱える諸課題に正面から向き合うことは当然のことです。
しかし、中身を突き詰めれば、会派ごとによる意見発表会に終始していた感は否めません。緊急事態条項に比べ、特定会派に九条を取り上げること自体への忌避感が強い上、総論では改正に前向きな会派間でも、各論となると立場の一致点が見出し難く、更に二歩、三歩と前に進めることへの支障になったものと思料します。ゆえに、本審査会での今後の討議において、九条に関する比重を一層高め、大いに議論をし、改正を是とする会派間の溝を速やかに埋めていく作業が欠かせません。
我が党は、自民党との間で緊急事態条項と九条改正について条文起草協議会を設置し、それぞれ条文案の策定に向けた議論を進めていますが、方向性を一にする他会派の御意見にもしっかりと耳を傾け、最終的に、可能な限り多くの会派とともに憲法改正原案を取りまとめたいと考えております。
残念ながら、この期に及んで、憲法改正ありきは認めないであったり、憲法に一切手を触れさせないと叫び、改憲反対ありきの姿勢を貫く会派が存在するため、全会一致は永遠に望めません。
本審査会で、我が党はこれまで、議論を重ね、機が熟したら民主的に多数決で結論を得るべきだと繰り返し主張してきましたが、自民党の高市早苗総裁は十二日の党大会での演説でこう述べられました。徹底した議論を行った後に意見の集約を図り、最後は多数決によって決断する、これが民主主義の原則であり政治の役割である、私たち政治家が国民の皆さんの負託に応えるため行うべきは決断のための議論なのです、こうおっしゃっています。全くの同感であります。この演説で高市総理はまた、来年の党大会までに憲法改正の国会発議にめどをつけたいとの強い決意を示されましたが、私たち日本維新の会はその実現のため全身全霊を傾ける所存です。
最後に、次回以降の本審査会において、先ほど新藤先生も述べられましたが、私たちは、緊急事態条項及び九条に関する議論を共に煮詰めるべく、この二項目の集中討議を順次それぞれ行っていくことを提案させていただき、私の発言を終わります。
○古屋会長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
高市総裁は四月十二日の自民党大会で、時は来ました、国会においては結論のための議論を進めてまいりましょう、そして、改正の発議について何とかめどが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたいと述べられました。私も、とっくに時は来ていると思います。そして、実際、総理のおっしゃる結論のための議論にもトライをしてきた自負がございます。サボっていたわけではありません。
実際、先ほども言及がありました、二年前の二〇二四年の通常国会末には、当時の自民党、公明党、維新、国民民主党、有志の会の五会派で選挙困難事態における国会機能の維持条項についての合意に至り、原案の国会提出直前まで至りました。しかし、当時の自民党国対からのストップがかかり、また、参議院の自民党からも異論が出たと記憶しております。
せっかく高市総理が今後のスケジュールについて言及されたので、少し具体的な話をしたいと思います。
総理のおっしゃる、来年の党大会までに何とかめどが立ったと言える状態にするためには、まず、今年の秋の臨時国会には原案を取りまとめて、国会法に基づく、衆議院百名以上の賛成、参議院五十名以上の賛成で国会に提出しないといけないと思います。その上で、当該原案を審査会に付託して、来年の通常国会で両院の総議員の三分の二の議決で発議につなげていくのが現実的なスケジュールではないでしょうか。
そして、現在、参議院では、自民党、日本維新の会だけでは過半数を割っており、公明党と我が党を入れてちょうど発議に必要な三分の二に達する程度であります。だからこそ、来年の発議にめどを立てるということであれば、現在の自民、維新、公明、そして我が党の少なくとも四党が合意できるテーマで議論を進めない限り、両院の三分の二の議員による発議には結びつきません。その最有力候補が、かつて五会派で合意した選挙困難事態における国会機能維持条項ではないかと提案をさせていただいております。
よって、もし総理がおっしゃるスケジュールで進めたいのであれば、この選挙困難事態における国会機能維持条項について、今特別国会中に起草委員会を設置し、具体的な原案作りに着手することが不可欠であります。複数のテーマを取り扱うと意気込んでも、結局、何も得ることができないといういつもの轍を踏むことになりかねません。欲張っては駄目です。あと、できるとしたら、現在、参議院の審査会で集中的な議論が行われている参議院の合区解消ぐらいではないでしょうか。
そこで、本審査会では、次回から、新藤筆頭幹事もおっしゃられたとおり、選挙困難事態における国会機能維持条項についての集中的な討議を行うことを古屋会長に求めます。特に、次回冒頭に、これまでの議論について最も詳しい法制局の橘特別参与にこれまでの各党の議論を論点ごとに説明していただくことを求めたいと思いますので、併せて会長の取り計らいをお願いしたいと思います。
ここで、この後の議論を実のあるものにするために、自民党と中道改革連合に質問をさせていただきたいと思います。今答えられるなら答えていただきたいと思いますし、今難しければ次回以降でお願いしたいと思います。
まず、新藤筆頭に伺います。選挙困難事態における国会機能維持については、衆議院では五会派で合意した経緯がありますけれども、参議院の自民党の先生方が異議を唱えておられると認識をしております。特に、議員任期の延長は不要で、参議院の緊急集会で何でもできる、私がいつも言うスーパー緊急集会、案件においても期間においても何でもできるということなので、衆議院がいなくなっても、あるいは参議院の半分がいなくなってもいいんじゃないかということなんですが、これは自民党全体として今どういう議論になっているのか、まとまっていないならまとまっていないということを教えていただければと思います。
次に、中道改革連合に教えていただきたいのは、選挙困難事態についてはこれまで何度も旧立憲のときに議論させていただきましたが、繰延べ投票でできるということを例えば前衆議院議員の本庄議員などもおっしゃっておられましたけれども、中道改革連合としては、繰延べ投票であくまで対応できると考えているのか、それとも議員任期の延長の憲法改正がやはり必要だと考えているのか、現時点における中道改革連合としての考えをお示しいただきたいと思います。決まっていなければ決まっていないということを教えていただきたいと思います。
最後に、九条改正について申し上げます。
まず、来春までに発議のめどを立てるというのであれば、九条改正に安易に手をつけない方がいいと私は思います。理由は二つあります。まず、参議院で与党で三分の二の議席がないことに加え、自民党、維新、与党の中でも意見が分かれているということ、そのため、来年春に発議のめどを立てるのはスケジュール的に難しいのではないかということ。二つ目は、前回も申し上げましたが、そもそも自民党の自衛隊明記論では九条一項、二項とその解釈を維持するので、明記した自衛隊ができることは現在の自衛隊と何も変わらないし、自衛権をめぐる違憲論も解消しないからであります。
そうした、労多くして益なしの改憲に時間を割くよりは、優先順位が高く、そして、より合意の得やすいテーマに絞った方がいいのではないでしょうか。新藤筆頭幹事のおっしゃる国防規定も私はあった方がいいと思いますが、ただ、なくても現在の自衛隊による国の守りに問題は生じていないと思います。いずれにしても、時間をかけて議論すべきテーマではないかと思います。
なお、我が党としては、九条二項を削除するか、あるいは残す場合であっても、戦力の保持を禁止した九条二項の範囲の中ではなく、その例外として自衛権の行使を位置づけることを提案しています。つまり、自衛隊を戦力として位置づけ、その軍事的公権力の行使に平和国家にふさわしい統制をどのように利かせていくのか、その統制のルールを憲法にどこまで書くのか、あるいは法令にどこまで授権するのかについて、今党内でも議論を進めておりますので、議論は議論として積極的に貢献していきたいと思いますけれども、是非優先順位を決めた議論をお願いしたいと思います。
以上です。
○古屋会長 私、審査会長にも要請がございましたので、その件については、後ほど幹事会で議論をさせていただきます。
次に、和田政宗君。
○和田(政)委員 参政党の和田政宗です。
これまでの議論と先週の議論を踏まえて、参政党の意見表明をします。
先週も申し述べましたが、参政党は、創憲、憲法を一から国民の手で作り直すことを掲げています。国民が積極的に政治に参画する参加型民主主義を提唱している参政党は、広く国民が憲法論議に参加する創憲という考えを取っています。
先週、自民党筆頭幹事は、九条について、是非、次回以降に各会派からも御意見を頂戴し、更に議論を深め、具体的な条文案の作成に入ってまいりたい、このように考えていますと述べました。これに対し、参政党の意見を申し述べます。
参政党は、九条について根本的な改正を掲げています。
そもそも九条は、さきの大戦後のGHQ占領下において、日本の武力行使の放棄とともに、米軍が日本の防衛を担い、駐留をすることをセットとして作られたものと考えられます。
だからこそ、参政党は、自民党が示す憲法改正のたたき台案のように、現行憲法に自衛隊を明記するだけでは不十分であると考えています。現状維持のまま自衛隊の存在を記すだけでは、国防体制の強化になりません。国土、国民をどんなときも必ず守るためには、自衛のための軍隊、自衛軍を保持し、自国の防衛は、他国に依存するのではなく、自らの手で行うべきです。
現状、自衛隊の行動はポジティブリスト方式でがんじがらめに制限されており、他国の国防軍のようなネガティブ方式になっていません。自衛隊のポジティブリスト、ネガティブリスト問題が解決しなければ、事前に決められたできることだけに拘束される、あくまで警察権の延長の組織でしかなく、やってはならないことを定める各国の国防軍とは大きくかけ離れた組織を憲法で担保するだけになります。これでは何も変わりません。米軍の駐留が続き、国防における米国依存は変わりません。
ですから、参政党は、根本的な国家としての国防の在り方を議論し、真に国土と国民を守れる憲法とすることの議論をまず行うべきと考えています。この根本的議論をした上でなければ、条文案作成に入ることはまだ早いと考えます。
憲法改正は、国家と国民を守るために行うものです。憲法改正をすることが目的にもなりかねない、これなら憲法改正ができるということでの各論に入り込むような議論ではなく、参政党は、真に国家国民のための憲法改正を行う、一から作り直す創憲のために、深く根本的な議論を審査会において行うべきと考えます。
なぜ創憲なのか、憲法を作り直すのか。それは、現行憲法が国民の自由な意思で作られていないことで様々な問題点を抱えているからです。国家、領土、国民を守るために、ごく当たり前のことを当たり前にできるようにしなくてはなりません。
現行憲法は、占領下におけるGHQ草案が基になっており、主権が制限されている状態の中、占領下で制定されたものであり、国民の自由な意思に基づいて作られたものではありません。参政党は、憲法改正の議論には積極的に参加してまいりますが、やはり、現行憲法の成り立ちからも、根本的な議論がなされるべきと考えます。
大日本帝国憲法は、十三年にわたって議論に議論を重ね、制定されました。制定されたときの国民の感動や一体感は非常に大きなものがありました。当時の自由民権運動を指揮してきた板垣退助は、明治四十三年に書かれた「自由党史」の中でこのようなことを述べています。現代語に訳しますと、一たび憲法が制定、発布され、立憲政体が確立されると、前日まで死をもって争っていた者も、たちまち忘れたかのように誠に和気あいあいとしている、これは、我が国、二千六百年以上続く国家観念に基づく美質がそうさせるものであると。
つまり、憲法を一から作る、根本から作り直すというのは、国民に大きなエネルギーをもたらし、完成したときには国中の思いを統一する大きな力があると考えます。
今、日本は、投票率が低下し、政治への無関心、未来が明るいとは思えないと考える人が増え、諦めに似た危機感が広がっています。もちろんこれは経済的要因も大きいと思いますが、国の在り方や未来をつくる憲法について、国民が自由に知恵やアイデアを出し合って作っていく機会が封じられてきたことにも原因があるのではないでしょうか。
さて、先週の各党意見表明で自民党筆頭幹事が、次回以降、各会派より緊急事態条項についての御意見をお聞かせいただきたいとの話がありましたので、先週も申し述べましたが、改めて申し述べます。
参政党は、憲法改正において、感染症の蔓延、パンデミックが含まれる緊急事態条項創設に反対をします。
昨年、米国ホワイトハウスは、新型コロナウイルスの起源について、武漢の研究所からの漏えいが最も可能性が高いとの見解を公表しています。今後、もし人工でウイルスが作られ、PCR検査で陽性を増やすということでパンデミックによる緊急事態が演出できるとなれば、人為的に国民の権利を制限することが可能になってしまいます。
ですから、参政党は、憲法改正において、感染症の蔓延、パンデミックが含まれる緊急事態条項創設に反対します。
自民党のたたき台案を見れば、憲法九条、緊急事態条項に加え、地方公共団体の在り方や合区、教育の充実といった項目がありますが、何を優先でやるのかという各論の議論に入る前に、真に国家国民を守るための憲法とするためにはどうするのか、どのような改正が必要なのか、制約なく、各論にとらわれず、根本的な議論をするべきと考えます。
日本が世界に冠たる真の独立国となるには、占領下のGHQ草案が基になっている憲法を、多くの課題がありながらそれを改正せず放置するのではなく、根本改正を行う、国民が制約なく議論をし、真に国家国民のための憲法とすべきであると考えます。憲法を一から作り直す創憲こそ必要です。
ですから、参政党は、憲法審査会において、根本的な国家としての国防の在り方を議論し、真に国土と国民を守れる憲法とすることの議論をまず行うべきであると考えています。
以上です。
○古屋会長 次に、古川あおい君。
○古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいです。
前回に引き続き発言の機会をいただき、ありがとうございます。
本日は三点申し上げたいと思います。
まず一点目、この審査会の運営についてでございます。
前回、玉木委員から、テーマを絞って議論をピン留めしながら進めてほしい、同じ話をぐるぐる繰り返すのはどうなのかという御発言がありました。テーマを絞って議論を行うことが重要であるという点につきまして、チームみらいとしても同意いたします。
また、前回の各会派の御発言を聞いておりまして、緊急事態条項、九条、国民投票法を始め、解散権や臨時国会の召集期限など、論点が非常に多岐にわたる中、それぞれの論点について、どのような事実認識を前提としているのか、どのような点に各会派の立場の違いがあるのか、今後どのような順序と方法で議論を進めていくのかといった見通しが共有されていない印象を受けました。
本審査会では、かつて、特定のテーマに絞って複数回にわたり集中的に議論を積み上げてきた先例があると承知しております。例えば、第二百八回国会では、憲法第五十六条第一項の「出席」の概念について、論点説明、集中討議、参考人質疑、総括討議という段階を踏んで議論を深め、衆議院議長への報告という形で結論を出しました。
今国会においても、そうした先例も踏まえ、各回で議論する論点の範囲をあらかじめ示した上で、例えば、これまでの議論の整理や各会派の提案をまとめた資料を基に具体的な論点について議論を深めるなどの運用を行うことがよいのではないかと考えます。
また、前回、私からは、手続の議論と個別条項の議論を切り分けた方がよいのではないかと申し上げました。加えて、本日申し上げたいのは、国民投票法の議論に一定の時間を確保していただきたいということです。
前回申し上げた附則第四条の検討事項、あるいは昨年十二月に議論された広告のインプリント表示やプラットフォーマーとの連携の枠組みといった論点は整理すべき点であり、昨今の選挙にまつわる環境の変化やAIの進展なども踏まえて、各会派の意見を伺いながら建設的な議論ができるテーマだと考えています。
諸外国の事例研究や関係事業者からのヒアリングなどについてはこれまで一定の蓄積があると承知しておりますが、生成AIへの対応など、新たな論点については、改めて情報収集を行うことも重要だと考えます。
また、個別条項の議論の進め方についても考えを述べさせていただきます。
この審査会では、様々な個別論点がこれまで議論されてきたと承知しております。今後の議論に当たっては、各論点について、まず、何が問題なのかという立法事実についての認識を各会派で共有し、合意できるところと合意できないところを明らかにした上で、解決策として、憲法改正が必要なのか、それとも、解釈の整理や法律の改正で対応可能なのかを検討するという二段階の進め方が有効なのではないかと考えております。
具体的には、今後の議論を実りあるものにするためには、立法事実についての認識を各会派で共有することが出発点になると考えます。各会派の立場の違いが、問題の事実認識の違いからきているのか、それとも、同じ事実認識を前提とした上での解決策の違いからきているのかを整理することで、議論がよりかみ合うようになるのではないでしょうか。各会派が共通の土台の上で議論できる状態をつくることが、結果として議論を前に進めることにつながると考えます。
最後に、この立法事実の整理という観点から、緊急事態条項について申し上げます。
議員任期の延長を含む緊急事態条項の議論はこの審査会の中心的なテーマの一つであり、条文起草に入るべきだという御意見が複数の会派から出されていることも承知しております。チームみらいとしても、この問題の重要性は認識をしております。
その上で申し上げたいのは、どのような事態に対応するための緊急事態条項なのかという出発点の整理を更に深めることが重要なのではないかという点です。
先ほど申し上げた第二百八回国会の出席概念の議論は、この審査会の好事例の一つだと考えております。緊急時に国会が機能できなくなるという問題が具体的にどのような形で生じ得るのかという事実確認から出発し、参考人質疑を経て一定の結論を得た。これは、立法事実の整理から始めるアプローチが機能した例だと考えます。
このとき審査会は解釈の整理で対応が可能だという結論を確認しましたが、その先の問いはまだ残っています。コロナの経験を踏まえた上で、次に別の想定外の事態が生じたとき国会はどのような対応をするべきなのか、その対応は現在の憲法の規定上可能なのか、対応できないとすれば、それはどのような事態で、どのような制約が生じるのか、こうした問いに対して、憲法審査会として、より具体的な検証を積み重ねることができればと考えます。
大規模な自然災害、感染症の蔓延、安全保障上の危機、それぞれの事態において選挙の実施や国会機能の維持にどのような課題が生じ得るのかを具体的に整理する、そういったことがより確かな合意形成につながるのではないでしょうか。
憲法改正を推進する立場であれ、慎重な立場であれ、どのような事態に対応するために何が必要なのかという立法事実の整理は、議論の共通の土台にもなり得るものです。手続の議論に加え、個別の論点においては、各会派とともにこの作業を進めていければと考えております。
以上でございます。
○古屋会長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
私は前回、国会議員は、改憲の議論ではなく、憲法の原理原則を現実の政治に生かすための議論こそ行うべきだと主張いたしました。とりわけ今、憲法九条の精神に基づいた外交と政治が強く求められていると申し上げました。それは、戦争と平和が今鋭く問われているからです。
アメリカとイスラエルによる無法なイラン攻撃で始まった戦争によって、イランでは、二百人以上の子供を含め、何の罪もない多くの民間人が犠牲になっています。戦争により世界中の石油市場が打撃を受け、日本でも、医療や建設の資材不足など、国民の命と暮らしが脅かされる事態になっています。戦争を終結させることが何よりも必要です。憲法九条を持つ日本政府は、そのための役割を果たすべきです。
アメリカとイランは二週間の停戦に合意しましたが、イスラエルはレバノンへの攻撃を続け、アメリカはそれを容認しています。さらに、アメリカは、ホルムズ海峡の逆封鎖を始めました。日本政府は、両国が全ての攻撃を中止し、再び攻撃しないことを保証するよう、強く求めるべきです。アメリカとイランが外交交渉によって問題を解決するよう、働きかけを強めるべきです。それこそ、絶対に戦争を許してはならないという、憲法九条が求めていることです。
ところが、日本政府は、国際法違反の先制攻撃を一切批判せず、攻撃の停止を求めていません。国際秩序を揺るがす暴挙を容認したのでは、戦争を止めることはできません。さらに、政府は、横須賀基地や沖縄などの在日米軍基地からの出撃を許しています。日本が無法な攻撃に加担するもので、極めて重大です。
高市首相は、トランプ大統領との会談で、できることとできないことがあると述べていますが、その内容については何も説明していません。
茂木外務大臣は、ホルムズ海峡の機雷掃海のために自衛隊を派遣する可能性に言及しています。国際法違反のアメリカの戦争を助けるために憲法が禁じる海外での武力行使を行おうというものであり、絶対に容認できません。
戦争を止める上で、今回のイラン戦争で何が問題なのか、二つの点を述べておきたいと思います。
まず何よりも重大なのは、今回のアメリカとイスラエルの攻撃が幾重にも国際法に違反するものだということです。これは絶対にゆるがせにできない問題です。
アメリカとイスラエルは、イランとの核協議が継続中にもかかわらず、一方的にイランに対して大規模な攻撃を開始しました。国連憲章が禁止する先制攻撃にほかなりません。いかなる理由があろうとも、独立した主権国家の最高指導者を殺害するなど、絶対に許されることではありません。トランプ大統領は、公然とイランの体制の転覆を呼びかけました。まさに力による現状変更そのものです。
アメリカとイスラエルは、軍事施設だけでなく、学校や病院など民間施設も攻撃しています。アメリカによる最初の攻撃で、女子小学校にトマホークが直撃し、百七十人以上もの子供と教師が犠牲になりました。その大多数は七歳から十二歳の少女たちです。トランプ大統領は、発電施設にも大規模な攻撃を行うとイランを脅し、一つの文明が滅びるとまで発言しました。
こうしたアメリカの無法な攻撃に対して、国内外から批判の声が上がっています。アメリカの国際法学者百七十三人が四月二日に出した声明は、アメリカの攻撃が明確に国連憲章に違反し、戦争犯罪に当たる可能性があると述べ、トランプ大統領の発言を、国際人道法を軽視するものだと批判しています。
第二に、アメリカによる国際法違反の攻撃は、世界の安全保障の土台を根底から踏みにじる点で重大です。
これまで国際社会は、一九二〇年の国際連盟規約、一九二八年のパリ不戦条約を経て、一九四五年の国連憲章に至るまで、戦争違法化の努力を続けてきました。その背景にあるのは、二度の世界大戦を防ぐことができず、無差別攻撃によって多くの民間人を犠牲にしたという痛苦の教訓です。これは、戦後の国際秩序の根幹を成すものです。だからこそ、スペインやフランスなどNATO諸国からも、アメリカの攻撃は国際法の範囲外だという批判が起き、イタリアは米軍基地の使用の拒否をしているのです。こうした世界各国の動きに目を向けるべきです。日本政府の姿勢が厳しく問われていると思います。
政治の最大の役割は、戦争を絶対に起こさないということです。軍事力の強化で平和をつくることはできません。戦争を許してはならないという憲法九条の精神に立って、争い事を話合いで解決するために知恵と力を尽くすことが必要だと申し上げて、発言を終わります。
―――――――――――――
○古屋会長 次に、委員各位による発言に入ります。
発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。
発言は自席から着席のままで結構でございます。
なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。
発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。
また、幹事会の協議に基づき、発言時間は五分以内といたします。質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて五分以内といたしますので、御留意願います。
発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。
○鬼木委員 自由民主党の鬼木誠です。
発言の機会をいただき、ありがとうございます。
私からは、先ほどの新藤筆頭幹事の御発言を受けて、緊急政令の必要性について意見を述べたいと思います。
各国の憲法には様々なスタイルがありますが、いわゆる緊急事態条項としては、国会機能を維持するための議員任期延長と、国会機能をどうしても維持できないような事態において政府が国会機能を一時的に代行する緊急政令、緊急財政処分を規定している例が多いものと理解しております。
そこで、まず、緊急政令について、我が国においても憲法に規定を設けるべきではないかとの立場から、私なりの意見を申し上げます。
まず、緊急政令とは、国会が立法機能を行使することができないような状況に陥ったり、立法措置を講ずる時間的余裕さえないような状況において、あらかじめ国会が設定した枠の範囲内で、一時的、暫定的に国会に代わって内閣が政令によって必要な措置を講ずるものです。あくまでも一時的、暫定的な国会機能の代替であり、国会機能が回復した時点で直ちに国会の承認を必要とすることによって、国会が民主的統制を果たすことは当然であります。
もちろん、想定されるあらゆる事態に関し、あらかじめ法律を制定し、緊急時に講じることができる措置を整備しておくことは当然です。
実際、現在でも、他国からの武力攻撃や大規模な自然災害、感染症の大規模な蔓延の発生等に備えて、それぞれの分野で緊急事態対応のための法律が整備されております。これらのうち、災害対策基本法、国民保護法や新型インフル等対策特措法においては、法律上の緊急政令制度が設けられており、緊急時には、これらの法律に基づき、内閣が一時的、暫定的な措置を講ぜられるようになっております。
しかしながら、これらの個別法に基づく緊急政令によって取り得る措置は、一、物資の配給、譲渡制限等、二、物価等の統制、三、モラトリアム、四、海外支援の受入れという四類型に限定されております。なお、海外支援の受入れは、阪神・淡路大震災の発災によって初めてその必要性が確認され、一九九五年法改正により災害対策基本法に追加されたものであります。
もし、緊急事態が発生し、国会が機能不全に陥った場合に、この四類型以外の立法措置が必要になったとしたらどうすればよいのでしょうか。現行憲法上、国会が機能不全に陥るほどの緊急事態が生じた場合に対処するすべは何も定められていないことから、緊急事態の法理に基づき、内閣が超法規的措置を行うほかありません。しかし、それでは、国会の事後的な承認という民主的統制も働かなくなってしまいます。
このような民主的統制の働かない内閣の超法規的措置を認めるのではなく、国会があらかじめ制定した法律の枠組みの下、内閣に一時的、暫定的に立法権を与え、事後的に国会が統制するという緊急政令制度を憲法に設けておくことこそが立憲主義にかなうものと考えます。
関東大震災などで歴史的に発出されてきた緊急勅令の内容は、現在、個別法に基づく緊急政令制度に取り込まれているからこれ以上必要ないのだという主張もありますが、海外支援の受入れが、阪神・淡路大震災においてその必要性が発見されたように、どのようなメニューが新たに必要になるかは予測不可能なのであります。
以上、今後の議論の深掘りのため、緊急政令について私なりの意見を述べさせていただきました。次週の審査会では、是非、集中的なテーマとして、緊急政令を含めた緊急事態条項の問題を取り上げていただくことを私からも提案いたします。
以上で発言を終わります。
○泉委員 中道改革連合の泉健太です。
本日は、まず、国民投票法についての意見を述べさせていただきたいと思います。
先ほどの玉木委員の繰延べ投票については、今後、適切な時期に回答させていただきたいと考えております。
まず、過去の議事録を確認いたしますと、これまでの当審査会では、国民投票法の議論は、基本的に、公選法と同様の規定となっている投開票についての規定をアップデートさせていく投票環境整備の議論、SNSの活用の問題など投票の公正、公平性を確保するための議論、そして両院の十名ずつの議員によって構成される広報協議会の規程の整備に係る議論という三つの観点から議論がされてきたと承知をしております。
まず、投票環境の整備についてですが、先週の審査会において自民党の新藤筆頭幹事からは、公選法において既に改正されている投票環境向上に係る三項目について、国民投票法の改正案を早急に再提出して整備したいとの発言がございました。国民投票は、憲法改正の是非について国民に直接意見を表明していただく重要な機会でありますので、その投票環境を整備していく必要性は私も共有をしております。
よって、私たちからは、この三項目の法改正について、各会派で合意を形成をすること、そして、放送CMやネットCMに係る議論について積み残すことなく一定の結論を得る旨が同時に何らかの形で担保されること、これを条件として議論を前に進めようと提案したいと考えております。令和三年改正法の附則四条には、まさにその放送CM、ネットCM、ネット利用の在り方についての検討が規定をされております。これに従い、是非とも各党各会派の前向きな御理解と御協力をお願いをしたいと存じます。
例えば、放送CMについては、全くルールが不要という考え方よりも、禁止を含む何らかの法規制なり自主的取組が必要という考え方が多数であったと考えております。中道も改めて党の見解を急ぎ整理したいと考えているところであります。
近年、選挙においては、ネットの影響力が増大しております。ネットCMには何らかの対応が必要との認識は共有されていると考えます。選挙におけるネット広告については、超党派で構成される選挙運動に関する各党協議会でも議論されているさなかでございます。こうした議論との内容的あるいはタイミング的な整合ということも必要となってくると思います。是非こうした議論も前に進めていきたいと考えます。
さらに、偽情報への対応、外国からの干渉などにも何らかの対応が不可避であるという点についても共通認識があると考えております。当然、表現の自由の確保には配慮しつつ、現実的で有効な対応策を審査会で見出していきたいと考えております。國重筆頭幹事が先週の審査会で発言していたように、国民投票の場面において、国民が必要かつ適切な情報に接した上で、その意思を適正かつ確実に反映できる環境をいかに整備するか、これが大事であります。
最後に、国民投票広報協議会規程の整備に関する議論です。
国民投票広報協議会は、賛成意見、反対意見を公正かつ平等に取り扱った広報を行うことが法律に規定されております。この公正かつ平等の観点から、国民投票において広報協議会の広報が非常に重要であることは論をまちません。広報協議会の公正かつ平等な広報とはいかなるものなのか、また、あまねく全国民にどのような広報を届けるのか、その在り方を具体化していきたいと考えています。こうした国民投票広報協議会の詳細を規定する規程の整備についても議論を進めていきたいと考えます。
以上、国民投票法に関して私の意見を申し上げました。三項目の法改正について、各会派の合意が形成され、また、放送CMやネットCMに係る議論を積み残さず一定の結論を得る旨が同時に何らかの手段で担保されるのであれば、是非前に進めたいと考えております。投票環境の向上と国民投票の公平公正の問題は車の両輪でありますので、是非実質的な議論を進めてまいりましょう。
以上で私の発言といたします。
○阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史です。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する我が国にとりまして、憲法改正に関する火急のテーマは、緊急事態条項と九条改正であります。
先ほど我が党の西田薫委員が述べたとおり、本審査会においても約九割の議論が緊急事態条項と九条改正で占められてきました。時は来ました、憲法改正に向け、国会においては結論のための議論を進めてまいりましょう、これは先般の自民党大会で高市総理が述べた言葉です。時は来た、まさにそのとおりだと思います。緊急事態条項と九条改正に関する論点は出尽くしており、あとは決めるだけであります。
政治家の仕事は決めることです。難解な問いに対しても何らかの答えを定め、社会を前に進めることだと考えております。それができない国会は、不作為を弄していると言うほかありません。議論を繰り返しているだけでは、国民から負託を受けた国会として、何ら社会に対して価値を具現化していない状況であるため、国民に対して極めて不誠実だと言えるのではないでしょうか。
その都度論点をピン留めし、すぐにでも条文起草に入るべきだと思います。憲法改正を発議し、国民投票を実施することは、我が国において初めて国民の手に主権を取り戻すことであるとも言えるのであります。
我が党は、昨年九月に公表した「提言 二十一世紀の国防構想と憲法改正」において、憲法九条二項削除による集団的自衛権行使の全面容認及び国防軍の創設をうたい、リアリズムの視座に立ち、正面から国際安全保障環境を見据えています。
前回の本審査会でも我が党の馬場幹事から、自衛隊明記でも解決しない重大な憲法上の瑕疵があることは明白であり、自衛隊を名実共に軍に位置づけ、国際標準の海外での活動に憂いなく道を開く九条改正議論に真剣に取り組むべきでありますと述べました。
現下の厳しい国際情勢をリアリズムの視点で捉えた場合、単に自衛隊という名称を憲法に明記するだけでは、自衛隊は我が国の平和と独立を守護するために必要十分な戦力たり得ず、我が国の安全保障にとって不十分であります。これは先ほど玉木委員からも御指摘がございました。
自民党、日本維新の会の連立政権合意書では、「日本維新の会の提言「二十一世紀の国防構想と憲法改正」を踏まえ、憲法九条改正に関する両党の条文起草協議会を設置する。」とされています。要するに、憲法九条二項削除による集団的自衛権行使の全面容認及び国防軍の創設を念頭に、憲法九条改正について両党の条文を起草することをうたっております。友党自由民主党の皆様には、二〇一二年の憲法改正草案の趣旨をいま一度想起していただくことを切に願っております。
高市総理におかれては、昨年六月五日の本審査会において、私からのそのような問いかけに対し、条文の内容も、二〇一二年四月二十七日の自民党の憲法草案がベストだと思っていると応じていただいたことを心強く感じております。
ここで、憲法改正同志である国民民主党の玉木委員にお伺いいたします。
前回の憲法審査会で玉木委員から、同じ与党の中でも九条の改正の在り方について考え方が違います、これは、単にいじる条文の考え方だけではなくて、九条二項に規定する戦力に自衛隊が当たるのか当たらないのか、もっと言うと、国際法的には軍隊なんだけれども国内法的には軍隊ではないという、ある種アクロバティックな解釈をし続けてきたことを維持するのかしないのかという本質にも関わる問題という問いかけがございました。非常に重要な本質的な御指摘だと思います。
国民民主党としては、この御指摘のアクロバティックな解釈を行う立場を取るのか、すなわち、自衛隊明記によって、自衛隊を国内法的には軍でないという立場を取り続けるのか、若しくは、御指摘のアクロバティックな解釈を行う立場を取らず、国際法的にも国内法的にも軍とするという正面から捉えた立場を取るのか、どちらのお考えを採用されるのでしょうか。先ほど一部触れておられましたが、改めてお聞かせいただければと思います。
最後に、冒頭の新藤筆頭幹事の御意見を踏まえまして、次週は緊急事態条項について集中討議を行うべきことを申し述べ、私の発言を終わります。
以上でございます。
○古屋会長 今、阿部委員から玉木委員に対して質問がありました。もうほとんど残りの時間がありませんが、簡潔にお答えいただけるなら、これを許します。
○玉木委員 先ほど私の発言の中でも申し上げましたけれども、九条二項で禁止されている戦力として位置づけるべきだというのが私たちの考えです。
その上で、やり方については、法形式上は、九条二項を削除するという御党と同じような考えと、やはり九条一項、二項はすごく思いのこもった条文なので、それは維持した上で、以前の維新案にあったような、二項の範囲内で書くのではなくて、二項の例外として位置づける実力組織として自衛隊、そしてその行使する自衛権を位置づけるというのが私たちの考えです。
ただ、戦後平和国家として歩んできたこの歩みも非常に大事なので、戦力として位置づけた上で、自衛隊が行使する自衛権がどこまでなのかという統制の在り方については、それをどこまで、統制の姿を憲法の条文として書き込むのか、あるいはそれを法令に授権するのか。その統制の形式については様々な在り方があるだろうということで党内でも今議論を重ねているところでありますけれども、位置づけとしては、九条二項で禁止されてきた戦力として位置づけた上で、そこにどういう統制をかけていくのかというのが基本的な考え方であります。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲です。
今後の憲法審査会の議論の進め方について意見を申し述べます。
まず、私たちが共通認識として持つべきものは、審査はそれ自体が目的ではないということです。憲法審査会は、日本国憲法及びこれに密接に関連する基本法制を調査し、憲法改正原案や憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するための機関です。したがって、当面の活動目的は明確です。第一に憲法改正原案の構築、第二に憲法改正手続環境の整備、この二つに絞って議論を前に進めるべきであります。
第一に、まずは選挙困難事態における国会機能維持に論点を固定し、議論を着実に前進させるべきと考えます。
大規模災害、感染症の蔓延、武力攻撃事態等により選挙が予定どおり実施できない場合にも国会機能をどう維持するのか、これはまさに憲法上の空白をどう埋めるかという問題であり、まずはこの一点に集中すべきです。論点を広げるより、まず一つ、原案の形が見えるところまで到達することが重要です。
第二に、憲法改正手続環境の整備についてです。
令和三年の国民投票法改正時には、施行後三年を目途として国民投票の公平及び公正を確保するための検討条項が追加されました。そこでは、広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限、国民投票運動等の資金に係る規制、そして国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策について検討し、必要な措置を講ずるとされています。これらについて、いつまでも検討中のままでよいはずがありません。精度の高いマイクロターゲティングや精巧な偽情報、AIを活用したエコーチェンバーの意図的な形成の容易化など、前回の改正当時には考えられなかったような手法が日々出現し、複雑化、高度化しています。この論点については早急に一定の方向性を定め、法改正に進むべきであります。
また、ネットCM規制や資金規制についても対応策の具体化が必要です。今後の審査会では、この点にも正面から向き合う必要があります。
本審査会の前身である衆議院憲法調査会は、平成十二年から十七年までの五年間に調査会六十九回、各小委員会六十二回、公聴会五回、地方公聴会九回を開催し、延べ百六名の参考人等から意見を聴取し、総開会時間は四百五十一時間五十五分に及びました。これに対し当審査会は、平成二十三年から昨年の二百十九回国会までで合計百六十七回開会され、参考人は四十名、総開会時間は二百二十時間二十一分です。憲法改正条文原案の構築や手続環境の整備という観点から見れば、なお議論の量も議論の密度も足りないと言わざるを得ません。だからこそ、私たち国民民主党は、より着実に成果を固めるための運用を求めたいと思います。
先ほどの玉木委員からの発言のとおり、まずは、選挙困難事態における国会機能維持に係る条文案の検討に集中するため、自民党や日本維新の会以外の会派も加わった条文起草委員会を設置し、与野党共同で条文起草作業を進めるべきと考えます。
ただし、本審査会の毎週木曜日とされている定例の審査枠だけでは検討の時間に限界があります。そこで、条文起草委員会をどのような形で設置するかという点についても具体的に考えるべき時期が来ていると思います。今後の審査会の中で条文起草委員会の在り方についても各会派の見解を示し、議論を前進させていくことを求めます。
憲法審査会は、議論のための議論を繰り返す場ではありません。改正原案の構築と改正手続環境の整備、この二つを当面の目標として共有し、まずは選挙困難事態の論点固定、そして国民投票法の検討条項についての結論を急ぐ、このことを通じて当審査会の責務を果たしていくべきだと申し上げ、私の発言といたします。
以上です。
○和田(義)委員 自由民主党の和田義明です。
発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
冒頭の新藤筆頭幹事からの緊急事態条項全般にわたる御発言を受け、また、先ほどの鬼木幹事からの緊急政令制度を設ける必要性などについての御発言を受け、私からは、緊急時において必要な国費の支出その他の財政上の処分を行えるようにするための緊急財政処分制度について、私なりの意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、緊急財政処分制度の前提として、憲法七章が定める財政制度の概要について申し述べます。
憲法第八十三条は、国の財政処理には国民の代表機関たる国会の決議が必要であるとし、財政民主主義の原則を示しております。これは財政全般に通ずる基本原則であります。さらに、第八十四条で、租税の賦課、変更は法律によるべきこと、第八十五条で、国費支出、国債発行は国会の決議に基づくこととされております。そして、第八十六条では、国の歳入歳出全てを編入する予算を内閣が作成し、国会が審議、議決する仕組みとなっております。その上で、第八十七条では、予見し難い予算の不足に充てるための予備費制度を設けて、内閣の責任でこれを支出することができるとする一方で、事後の国会承認を必要としております。
これらの規定により、現行憲法では、国民の代表である国会が国の財政を統制する体制が確立されております。すなわち、国が国費の支出その他の財政上の処分を行うためには例外なく予算などの国会の議決が必要であり、その範囲内でのみしか行うことができないということになっております。
平時において、国民の代表機関である国会が国の財政を統制するという憲法上の原則は極めて重要です。しかし、緊急事態に陥り、国会が機能不全に陥った場合、国家はどのように行動することになるのでしょうか。立法機能について言えば、憲法上に緊急政令制度があれば、内閣が政令により法律に代わって必要な措置を講じることができます。
しかし、必要な措置を講じる法的な根拠があったとしても、憲法第七章の規定のとおり、国の活動に必要な国費の支出その他の財政上の処分には予算の裏づけがなければなりません。この対策として予算には予備費が設けられており、予算にない新たな費目への支出の必要が生じたり、金額に不足が生じたりしたときは、予備費が支出できます。しかし、予備費で対応できない支出が必要になれば、本来補正予算を成立させなければなりませんが、国会が機能不全に陥っている状況ではそれもできません。特に、大規模自然災害やパンデミックに即座に対応するためには、大規模で迅速な国費の支出が必要になります。
こうした状況に対応するために必要になるのが緊急財政処分の制度でございます。すなわち、本来、国費の支出など財政上の処分は予算を始めとして国会の議決に基づくことが必要なところ、内閣に臨時に必要な財政上の処分を行う権限を与え、事後的に国会が承認を行うというものであります。
この財政上の処分としては、具体的には、例えば、予算に上げられた金額を超えた国費の支出、予算に上げられていない費目への国費の支出、さらには、その国費の支出に必要となる財源を調達するために予算総則に定める国債発行限度額を超えて起債することなどが挙げられます。
以上のように、いかなる緊急事態においても国民の生命財産を守り抜くために必要な措置の法的根拠となる緊急政令と、そして予算に代わって国費の支出の根拠となる緊急財政処分の制度がセットで必要であります。
本日は私の意見を申し上げましたが、次週、本審査会においてこの緊急財政処分も含めて緊急事態条項をテーマとして集中的に討議を行うことを私からも提案いたします。
以上でございます。
○秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。
御指名をいただき、ありがとうございます。
まずは、この憲法審査会、なかなか開かれないという時期もございました。今国会でこうして順調に開催できますことを関係者の皆様に心より御礼を申し上げたいと思います。
私からは、この憲法審査会の今後の進め方について一言申し上げたいと思います。
従来と変わったのは、所属の会派の構成が少し変わりました。立憲と公明さんが合併をして中道になった。そして、参政党、みらいさんからの参画もあった。こういった一定の変化はありますけれども、憲法審査会が長年にわたって積み上げてきた議論というのがございます。
そういう中で、先週と今週の議論を、各会派の御意見をお伺いしておりますと、緊急事態条項を始めとする憲法改正の本体については絞るべきじゃないか。そして、何に絞るのかということは、新藤筆頭からもありましたように、緊急事態条項の論点整理をして、一つ一つ絞って議論していくべきだという御意見がありました。
まさに、絞っていくことによって議論が加速していくのではないかという感想を持ちましたので、是非、本体の議論については、テーマを絞って、条文の起草を前提とした議論の積み上げが必要じゃないかというふうに思います。
それからもう一つは、各会派の御意見の中に、手続としての国民投票法も同時にやっていくべきだ、やはり二本立てで進むべきだというのがおおむねの会派に共通した御意見ではなかったかなと思っております。
そこで、この憲法審査会におきましても、国民投票法の改正を始めとする手続の課題の整理が一点、そして、本体については、緊急事態条項の条文起草を前提とした議論の積み上げ、この二点に絞って御議論いただくことが極めて現実的ではないかなというふうに思っておりますので、古屋会長を始め幹事の皆様に今後の進め方についてこの二方向を強く提案をさせていただいて、私の意見にさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○古屋会長 今、おおむね予定した時間が経過をいたしましたので、これにて今日の討議は終了をさせていただきます。ありがとうございました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時十八分散会

