衆議院

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第4号 令和元年5月23日(木曜日)

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令和元年五月二十三日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 高木  毅君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 斎藤 洋明君

   理事 津島  淳君 理事 細田 健一君

   理事 吉野 正芳君 理事 阿部 知子君

   理事 浅野  哲君 理事 富田 茂之君

      井林 辰憲君    泉田 裕彦君

      岩田 和親君    大野敬太郎君

      北村 誠吾君    佐々木 紀君

      齋藤  健君    西田 昭二君

      野中  厚君    福山  守君

      古田 圭一君    星野 剛士君

      堀井  学君    松本 剛明君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      宗清 皇一君    簗  和生君

      山際大志郎君   山本ともひろ君

      渡辺 孝一君    生方 幸夫君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      田嶋  要君    宮川  伸君

      斉木 武志君    牧  義夫君

      太田 昌孝君    中野 洋昌君

      藤野 保史君    足立 康史君

      井出 庸生君

    …………………………………

   経済産業副大臣      磯崎 仁彦君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      山形 浩史君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     山本ともひろ君

  佐藤 茂樹君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    大野敬太郎君

  太田 昌孝君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官荒木真一君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長椎葉茂樹君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、原子力規制庁次長荻野徹君、原子力規制庁原子力規制技監櫻田道夫君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監山形浩史君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官青木昌浩君、原子力規制庁原子力規制部長山田知穂君及び防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井林辰憲君。

井林委員 ありがとうございます。自由民主党の井林でございます。

 きょうは、原子力問題調査特別委員会におきまして質問させていただく機会をいただきましたことを、委員長、理事始め同僚議員の皆様方に御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 私ごとですけれども、私の地元の選挙区には御前崎市の旧御前崎町部分がございまして、ですので、浜岡原発の立地はしていないんですけれども、立地市が、一部が私の選挙区だということで、非常に原子力発電というのは身近な問題でございます。

 特に、二〇一一年、平成二十三年の東日本大震災とその後の浜岡原発への停止要請というものについては、地元では非常に大きな混乱と不安を持って受けとめられましたし、その前後にさまざまな政治家の皆様が来ておっしゃった言葉というのは、やはり今でも我々は忘れられないし、脳裏に刻まれているということで、やはり一言一言、原子力というものについては、私も政治家である以上、丁寧に、そして将来に責任を持って取り組んでいかなければいけない問題だというふうに思っております。

 当選後は、環境省の政務官も拝命させていただきまして、原子力規制や原子力防災もやらせていただきまして、今では党の方でプロジェクトチームや特命委員会の事務局長もやらせていただいて、規制庁、規制委員会の皆さんとはいろいろ議論させていただいておりますけれども、きょうは、その中で幾つか気になった点について、ぜひ建設的な意見交換をさせていただければというふうに思っております。よろしくお願いします。

 私たち、さまざま議論をしている中で、正直言って、新基準適合審査の進捗が遅いのではないかという思いを持っております。私自身、福島第一原発の事故後、浜岡原発の停止要請から八年たっておりますけれども、この浜岡原発が安全か安全でないかということが技術的にまだ検証されていないということは、地元にいる一人の人間としてやはり非常に強い不安でありまして、一体いつその答えが、安全か安全じゃないかが出るんだというのが正直な思いでございます。

 規制庁、規制委員会はもちろん独立性の強い機関でありますので、個別の審査にとやかく申し上げることはありません。しかし、規制委員会や規制庁といえども行政組織の一部でありまして、行政手続法では、もうこれはいろいろなところで言われていると思いますけれども、標準処理期間二年というものがございます。もう今、二倍、三倍というようなものも出てきているのが事実でございます。

 これは、いろいろ私も事務局をやらせてもらって議論をしていると、規制庁の方から、いや、まともな資料が出てくれば、すぐそんなのは審査は終わりますよというようなことも言うんですけれども、これは、やはりCNOとかATENAというのをつくってくる一連の流れからすると、ちょっと古い、時代錯誤の考えじゃないかなというふうに思っております。

 まず、この行政手続法の標準処理期間を守れていないという厳然たる事実を目の前にして、ちょっと事務方に確認をしますが、これまでの審査会合で、行政手続法上の標準処理期間である二年を大幅に超えて審査をしていることに関して、原子力規制委員会の審査会合等で委員長始め委員から問題意識を提示されたことがあるのか。また、あれば、その事実なり回数なりを教えていただければと思います。

山田政府参考人 新規制基準適合性の審査については、委員長及び委員に当初想定していた期間より長くかかっているとの認識があることについては承知をしてございますけれども、標準処理期間である二年を意識して審査をするようにという指示を明示的に受けたことはございません。

井林委員 ありがとうございます。

 多分そうだろうなというふうに思いましたけれども、もちろん安全第一の審査は基本です、基本ですが、やはり行政機関であるという事実は事実でありますので、そこの二年というものはしっかり意識をして安全第一で議論していただくということは私は極めて重要ではないかというふうに思いますし、また、求められているというふうに思っております。

 こうした現状を踏まえまして、独立性の高い原子力規制委員会を預かる委員長として、また行政組織の責任者として、問題意識を委員長からお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御質問の中にもありましたように、まず、安全性をきちんと確保して、これを継続的に高めていくということが第一でございます。したがいまして、原子力規制委員会としては、審査においてまず規制委員会が規制庁職員にどのような指示をしているか、指導をしているか。まず第一においては、審査において妥協をするな、十分な議論を行って、申請を行っている事業者との間で共通理解を醸成して、納得のいくまで議論をして結論を得ることが何よりも重要で、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて、厳正な判断を下すことがまず第一であるというふうに認識をしております。

 その上で、原子力規制委員会としては、審査の予見性を確保するため、審査過程における主な論点や適合性審査の結果をまとめた審査書や確認事項を作成し、公表し、また、同型炉の審査が並行している場合には、当該申請の事業者だけではなくて同型炉を有する他の事業者の同席等も許すなどとして、効率的な審査を心がけております。

 事業者に審査への的確な対応を求めつつ、原子力規制委員会としても今後とも効率的な審査に努めてまいりたいと考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 なかなか難しいと思いますけれども、しかし、そうはいっても、ちょっと、できれば委員長から、標準処理期間というのもあると、念頭に置いて、しかし安全第一で効率性を求めてという一言が、行政機関を預かるトップとしてやはりこれは御発言をいただきたいなというふうに思ったところでございまして、ぜひそうした点も含めて、安全第一ということを、私、全く否定することはございません、それが何よりも大事だということは、もうこれは共通認識だと思っておりますけれども、その上でしっかりとした効率的な審査をお願いをしたいというふうに思っております。

 次に、世に言う四十年ルールというものについてちょっと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 これは、平成二十四年六月の炉規法の改正、これは議員立法でございますが、この中で四十年というものが定められました。発電用原子炉の運転をすることができる期間は、当該発電原子炉の設置の工事についてということでございまして、検査に合格した日から起算して四十年とするということでございます。その後、もう一度、原子力規制委員会の認可を受ければ一回に限り延長できるということで、それは二十年を超えてはならないというものでございまして、これは議員立法で決められて、当時さまざま議論があった中でこうした結論になったということでございます。

 いろいろな議論をしていくと、この四十年というのは必ずしも科学的、技術的な見地のみに立ったものではなくて、当時、議員立法ですから、そこにはさまざま政治的な判断、ここでひとつ決めるという、そういう政治の意思もあったんだろうというふうに思っておりますし、私自身は、アメリカの制度を非常に強く参考にしてこうしたものをつくられたんだろうというふうに思っておりますし、この四十年ということは、私は納得のできる基準だろうというふうに思っております。

 ただ、問題はございまして、それはやはり原子炉の停止の期間の評価の問題でございまして、これはいろいろなところでいろいろ議論になっています。

 もちろん、設計思想で、四十年たったら古くなる。ある程度、設計思想として寿命が来るから四十年で切るんだという考えに立てば、点検中の今停止している原子炉の停止期間も含めた評価ということでいいと思いますし、単に定期検査中の停止期間までとは言いません。しかし、現実問題として、新規制基準の審査期間が余りにも長く、正直申し上げて、行政手続法上の標準処理期間をもう倍以上超えているのもあります。であるとすれば、四十年の運転期間そのものではなくて、この期間のカウントの仕方というものについては一工夫あってもいいのではないかなというふうに思っております。

 これも、私、規制庁の方といろいろ議論すると、安全性を後退させるような議論というのはやはりできないんだ、そういうこともおっしゃるときもありました。ただ、現実には、使用前検査に合格していないんですがほぼ完成している原子炉というのも日本にはあります。それはまだ四十年の期間に入っていません。それは、今の考え方でいくと、逆にそこもしっかりと見ていかないと、安全性を後退させる議論になるんじゃないか。

 だから、単に検査に合格した日から四十年だということではなくて、やはり経緯があっての今のルールでありますので、余りにも形式的な考え方というのはどうかなというふうに思っております。

 また、このことが原子力事業者と話題になったときに、規制委員会の方からは、検討してもいいけれども相当リソースが必要だ、事業者からも相当データを出してもらう必要があるよというような、事業者の側からするとちょっと強く言われたというようなことがありました。そうしたことは聞いております。これはやはり、電力事業者と規制委員会と一緒になって今安全性を高めていこうとしてATENAとかCNO、やっていただいていますけれども、こうしたものの流れからちょっと逸脱したような考え方かなというふうに私も思っておりますし、こうした考え方は入るべきではないというふうに思っております。

 四十年ルールは、先ほど申し上げましたように議員立法なので、これは規制庁に言わせると、いや、議員立法だから変えられないと言うんですけれども、議員立法でも、その後、閣法で変えている法律もいっぱいあるんですよね。だから、議論することをとめてはいけない。また変えるときにはもちろんいろいろな議論が必要ですけれども、議論はやはり私はしていくべきだというふうに思っております。

 そこで、お伺いしますけれども、いわゆる四十年ルールにおける新規制基準適合審査期間の長期にわたる停止期間の算定に対する考え方、また、先ほどのような電力事業者に対するちょっとパートナーというような感じではないような対応について、委員長の所見と、そういう認識に基づいた対応を規制委員会、規制庁職員にどのように指導されているのか、教えていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 いわゆる四十年ルールですけれども、この期間、それから、時計の進む、カウントの仕方というふうに先生がおっしゃいましたけれども、その表現を使わせていただきますけれども、カウントの仕方そのものも、この法の定めるところに含まれているというふうに私たちは解釈をしております。

 一方で、いわゆる四十年ルールないしはその後の延長等について、時計の進み方、カウントの仕方そのものの議論というのは、規制委員会、規制庁のできる範囲というのは限られているだろうと思います。

 というのは、御質問の中にもありましたように、幅広く、政策的な御議論の末、定められたルールでありますので、その政策的な部分についてまで私たちが踏み込むことは、これは行政機関としてできないことだろうと思います。

 一方で、技術的な側面、原子力発電所が年限を経るにつれてどのような劣化があるか、どのような変化があるかというような議論については、私たちはこれを決して妨げるものではございません。

 事業者との意見交換の場で、御指摘をいただいた発言ですけれども、これは私の発言であると思っております。

 率直な意見交換の場ですので、そして、このリソース配分というのは、私たちにとっても、それから事業者にとっても大変重要な問題です。ですからこそ、決して強くというよりも、むしろ率直に、お互いのリソース配分をどう考えるかという意味で申し上げたものですし、また、こういった高経年化に係る技術的な議論というのは、現在原子力発電所の審査をしている職員たちの技術的な能力、範囲とほとんどぴったり重なりますので、現実問題として、高経年化の議論が適合性審査に影響がないかというと、これは率直に申し上げたからこそですけれども、どうしても適合性審査の進捗に影響は避けられないものであるというふうに考えております。

 いずれにしましても、私どもとしても、被規制者との間のコミュニケーションは、より効率的、かつ、お互いにとって実効的なものになるということを求めておりまして、引き続き事業者と適切なやりとりを進めてまいりたいというふうに考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 この議論、いろいろな規制庁の職員の方ともさせていただいているんですけれども、四十年という期間そのものも、これは政治が決めたから議論できないんだということではなくて、やはりこれは、そのときはそのときいろいろな判断をしたんですけれども、また違う判断が出てくるかもしれない、そのときに、やはりさまざまな資料を提供していただく、知見を我々に与えていただくのは規制委員会であり規制庁でありますので、ここは聖域なく、しっかりと見直していただきたい。

 そして、先ほど申し上げたように、検査に合格した日から四十年なんですね、今の法律では。だけれども、検査に合格する直前の原子炉も現に日本にあるので、それを、検査に合格してから四十年ですよと。では、今から二十年後に合格したら、それは、やはり安全性というものに関して、設計思想ということも含めれば非常に大きな問題があるのではないかなというふうに思いますので、ぜひここはしっかりとした検討をしていただきたいということをお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、特定重大事故等対処施設について御質問させていただきたいと思います。

 これは特重施設、特重施設というものでございますけれども、大型航空機の衝突のようなテロリズムに対しても必要な機能が損なわれないようにする、また、原子炉格納容器の破損を防止するための必要な設備と位置づけられて、安全対策のさらなる向上として位置づけられておりまして、この特重施設ですが、これは、済みません、私もいろいろ勉強させていただきまして、そういうのもあったなというふうに思って見直しているんですが、平成二十七年十一月十三日の、特定重大事故等対処施設等に関する考え方ということで、これは五年の経過措置期間がもともと与えられていたものですが、その起算点を、規制基準よりも、工事のスタート地点が、工事計画認可が行われてからを起算点としますよというふうに平成二十七年に変更されまして、このときもさまざま、起算点を変更するということでありますので議論があったということでございますが、現実に、電力事業者からは、経過措置期間内では終わらないという声がことしの四月になって、これはホームページにももう出ておりますので。主要原子力施設設置者としての特重施設についての資料というものがもうホームページにも出ております。

 委員長は、これ以上の対応は行わないという旨を表明されました。このままでいきますれば、経過措置期間内に特重施設の工事が完了しない場合は原子炉をとめるということになります。これは、官房長官も記者会見で規制委員会の考えを支持しておりますし、私も、ルールにのっとって原子力事業を行っていくということに関して反対をするものではありません。ただ、この決定に際して、ちょっと私も規制庁の皆さんと議論させていただいたんですけれども、電力事業者とのコミュニケーションがどうなのかなという思いがあります。

 これは、ことしの一月に、電力担当の副社長と議論で、特重施設は大丈夫かというふうに、これは恐らく規制委員会の方から投げかけられて、問題提起をされているんだと思います。そのときには、特段、大丈夫ですよと恐らく返事があったのか、コメントはなかったのかということだと思いますが、規制委員会の方から投げかけて、何もなかった。ただ、四月になって電力事業者が、経過措置期間内に終わらないということを申し出てきた。

 そういう認識でありますけれども、ここは私、非常に違和感を持っておりまして、私、党の委員会の方でも幾つか原子力発電所を視察をさせていただいたんですが、もう既に去年の四月には、正直、工期内で終えるのは厳しい、第一義的には事業者として工期内に終わることを全力でやるけれども、工期内で終わることは正直厳しいんだというお話をいただいています。何度かそういうことを言われたので、こういう問題があるんじゃないかということで規制庁の事務方にお伝えしましたけれども、余りはかばかしい対応というのはなかったというふうに思っております。

 これはやはり、私たちと電力事業者とのコミュニケーション、規制委員会と事業者とのコミュニケーション、それぞれ立場が違いますので、別でいいと思いますけれども、やはりこれだけ時間の差があるというのは非常に大きな問題じゃないかなというふうに思っております。

 電力発電担当の副社長会議と会議さえすればいいというのではなくて、ちゃんと会話をしてもらいたい。規制委員会の重点計画にも、さまざまな階層で会話をしていくということが位置づけられておりますので、もっと事前に事務的な打診とか話があったんだろうと私は信じたいと思っているんですけれども、あったのか。それが生かされていない現状、本当に、この四年、なければ、コミュニケーションも含めて、深刻であります。

 まずは、そのコミュニケーションというか、そういうことについての委員長の認識をお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、少し経緯についてお話をさせていただきますけれども、ことしの一月十日、これは御質問の中にもありましたけれども、意見交換の機会を持ちました。

 この際に、委員会側から、名前を挙げますけれども、原子力発電所の適合性審査を担当しております山中委員の方から、事業者の方に対して、特定重大事故等対処施設について、工事計画の認可から五年というのを期限としているけれども、これは審査や工事に必要な期間を総合的に考慮して定めたものであるけれども、その時点から期限が来てしまうと、もし工事が完成していなければ基準不適合になるので、状況を十分に認識してもらいたいと。そこで、状況の確認を求めたところ、事業者の方から、最大限の努力をずっと継続しているという状況であるので、もう少し様子を見ていただきたいという回答を得ております。

 したがいまして、その時点で、もう間に合わない云々というような表明は、私どもとしては受けておりません。

 また、設置変更許可や工事計画認可の申請を行う際には、工事計画期間というものを事業者の方が提出をいたします。その工事計画期間の申請においても、全ての特定重大事故等対処施設の申請において期限までに間に合うという計画が出されておりまして、公式的に言えば、私たちはそれを信ずるしかないということです。

 もちろん、あれだけの施設、なかなか内部の詳細について申し上げることは難しいですけれども、決して簡単な施設、小さな施設ではありませんので、私たちの方としても、工事に期間を要するということは認識をしておりまして、であるからこそ、事業者に対して、例えば、本体施設の工事計画認可を受けているにもかかわらず特定重大事故等対処施設の申請がなされていないようなケースについては、なぜまだ申請してこないのというような問いかけもしておりまして、そういった意味で、コミュニケーションを図ってきたつもりでおります。

 いずれにしましても、この特定重大事故等対処施設に限らず、さまざまなバックフィット案件等もありますので、今後とも事業者と適切なコミュニケーションに努めてまいりたいというふうに考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 何か、事前にやりとりしたので、次の質問にまで答えていただけたような感じなんですが。

 そうなんです。工事計画を出しているんですけれども、そうすると、私は、やはりその工事計画、じゃ、何で間に合わないやつを認可したんだと。これは、規制委員会、規制庁の安全第一という考え方からすれば、五年で終わらないような工事計画を認可したということは、やはりちょっと非常に大きな問題、その時点でやはりきちっと指摘をすべきじゃないかなというふうに思っております。

 経過措置期間五年ということでありますので、私、これは、計画の審査、五年やっていますので、やっているところで五年で終わるサイトが出てくるかどうかはわかりませんけれども、これは全部五年で終わると出してきて、幾つかの原子炉は幅でおさまらないというのならわかるんですけれども、そうじゃないと、やはり一体その審査そのものが何だったんだということになってしまうので、ぜひ気をつけて見ていただきたい。さっき委員長がおっしゃったように、だったら、じゃ、工事計画書を出さないで時間を稼げばいいじゃないかみたいにならないように、安全第一だということを、やはりしっかりやっていただきたいということをお願いをしたいと思います。

 ちょっと話題をかえて、いろいろ思っていることを申し上げていると時間がたってしまうので大変申しわけないんですが、先ほど申し上げましたように、私の近くに浜岡原子力発電所がございまして、久しぶりに見させてもらいました。

 特に廃炉措置の一号、二号を見たい、お願いしたいということで見させていただいたんですけれども、廃炉措置が進んでおりまして、その中で、放射性物質として扱う必要がないもの、つまりクリアランスについてチェックをしているという作業を見せてもらいました。

 今、基準でいくと、床一面に並べて測定をするということなんですが、廃炉措置が進んでおりまして、非常に多くのクリアランスのチェックを受けたいものが来ておりますので、金属の鉄のかごに入れてそういう基準を受けるようなことを今規制庁の皆さんとやっているということですが、これは今非常に、ポイントについて、いろいろと、電力事業者にどちらかというと多くの説明を求めているような体制になっているというふうにお伺いをしました。

 これは私はちょっと問題だと思いまして、何より、基準というのはやはり規制庁の職員がつくらなければいけませんし、そもそも、廃炉措置計画ももう規制庁に出していますので、ある程度、これぐらいのクリアランスが出てくる、チェックしなきゃいけないというのもわかっているはずなので、今、技術基準をつくってくれているとは聞いていて、もうすぐできるようなことも聞いていますけれども、やはり廃炉計画に沿った形できちっと、キャッチアップする形というか、リードする形で基準はつくっていただきたいというふうに思っております。

 現に今、電力事業者の力をかりてチェックをされているということでございますが、こうした現状を踏まえて、私、ぜひ、これからいろいろな廃炉措置が進んでいきます、廃炉は非常に重要ですので、しっかりと進んでいくようにお願いをしたいと思います。

 この基準をしっかり前もってつくっていくということに関しまして、委員長の御認識をお願いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力発電所の廃止措置に関して、クリアランス、これは大変重要なポイントでありまして、大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

 ただ、このクリアランスに関して、例えば測定ですとか評価の方法、これはむしろ、現時点では、規制当局が細部において、細部に至るまで定め過ぎずに、というのは、発電所において状況はそれぞれに異なるところがありますので、弾力的な確認方法ができるということが極めて重要であります。

 これは、事業者からも常に求められているのは、規制の要求というのはいわゆる性能規定であって、求める目的が達成されれば、それを達成するための方法は事業者に委ねてほしいという要望を常に聞いております。

 そういった意味で、余りに定型的な、細部に至るようなところまで規制当局が定めるよりも、むしろ、目的にかなった評価、確認ができるための手段については、事業者の裁量が委ねられるような体制をとるべきであるというふうに考えております。

 いずれにしましても、クリアランスに関しましては、今、金属ですが、今後コンクリート等々にも進めていかなければなりませんので、私たちにとっても、クリアランスに係るものは、大きな、取り組むべき非常に重要なものであるというふうには考えております。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

井林委員 ありがとうございます。

 ぜひ、廃炉措置、本当に、四十年というルールを決めた以上、必ず必要になってまいりますので、しっかりと効率的に進むように、規制をしっかりとつくっていっていただきたいというふうに思っています。

 最後に、ちょっと時間もなくなってきて、お伺いするんですが、これを見せてもらったときに、いろいろなところにクリアランスをクリアした金属が結構置いてあったんですよね、現場に。管理をされておりました。これは再利用を待っているものだというふうにそのとき説明を受けましたけれども、正直、民間事業者の力だけでこうしたものの再利用というのは厳しいというか、なかなか御理解を得るのは難しいんじゃないかなというふうに思っています。

 いろいろ調べると、旧保安院時代に、クリアランス物の再利用については、クリアランス制度が定着するまでは、まずは電力事業者が業界内で再利用を進めていく、その後、クリアランス制度が定着したかどうかについては、公の場で広く意見を伺いつつ判断していきたい、平成十七年にそういう議論になっています。

 その後十年以上経過していますが、議論の進捗と、そして、廃炉措置というのが現に始まり始めておりまして、さまざまクリアランス物が出てまいります。クリアランス物の再利用を進めるに当たって、国民や、再利用のための加工、利用にかかわる産業界の理解が必要だと思います。国も前面に立って、安全性やクリアランス物の再利用が国策であることを積極的にPRしていくべきだと思いますけれども、これは経済産業省、意見をお願いします。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、クリアランスの制度の定着、極めて重要な課題だと認識しておりまして、国も、前面に立って、しっかりとその重要性、定着に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 まず、この定着のためには、国民の皆様に信頼感を持って受けとめていただく環境をいち早く整えることが重要だと考えてございます。

 国も、実証事業などに取り組んで、実際にクリアランス物を処分容器として利用するといったようなことをやって、その結果を広く国民に御説明をさせていただくといったような形で理解活動も取り組んでまいったところでございますけれども、今後、廃炉がふえてまいります中で、更にこのクリアランス制度の定着に向けた対応を強化、促進していかなければいけないというふうに考えてございまして、先月四月にも、国の総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会で、具体的にこのクリアランスの制度の定着に向けた取組を議論させていただいているところでございます。

 その中で、今後の方向性ということを議論させていただきましたけれども、引き続き、まずは実績をつくるということで、電力業界内での再利用を進めることが重要だということでありましたけれども、これまでのようにベンチ等だけではなくて、例えば鉄塔ですとか防潮堤など、より広く社会の目に触れる機会を得やすく、かつ一定のボリュームの需要が期待できる建材などにも用途を拡大していくという方向性が確認されたところでございますので、こういった方向性に沿って、国としても対応を強化してまいりたいと考えているところでございます。

 具体的には、建材等の加工する事業者など、関係事業者の協力を国も求める形で対応いたしまして、更に再利用が具体的に進むようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

井林委員 ありがとうございます。

 平成十七年で、今、直せば平成三十一年ということですので、ちょっと空白の期間が長いんじゃないかなというふうに、私、個人的に思っておりますので、その空白の期間も埋めるように議論を進めていって、これは本当に重要なことですので、廃炉のところでクリアランスの扱いは非常に重要なところなので、ぜひスピード感を持って議論していただきたいというふうに思います。

 時間が来ましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 次に、細田健一君。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 質問の機会をいただきましたことに、改めて心から御礼を申します。

 早速質問に入らせていただきます。

 規制委員会の発足から、もう既にほぼ六年半以上が経過をいたしました。この間における更田委員長、また関係の先生方、そして規制庁の職員の皆さんの原子力安全の向上に対する真摯な取組に対して、まず改めて心から御礼を申したいというふうに思っております。

 規制委員会は、本当に非常に強い権限を持った独立した組織です。これは、福島の事故の反省を踏まえてこういう組織設計になっているわけでございますけれども、ただ一方で、強い権限を持ち、また独立した組織であるからこそ、孤立や独善に陥ることなく、また外部の意見にも謙虚に耳を傾け、そして、安全性の向上のために常に科学的、合理的な議論をしながら規制の実施に努めるというような基本的な認識、態度が必要であろうというふうに考えております。

 この認識について、更田委員長にも共有をいただけると思っておりますが、委員長の御見解はいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓に基づき設置された組織でありまして、何物にもとらわれず、科学的、技術的な見地から独立して意思決定を行うことが重要と認識をしております。

 同時に、透明で開かれた組織を目指し、孤立と独善を戒めること。何よりも、安全は霞が関や六本木一丁目で達成されるものでは決してなく、また、それぞれの施設に対する安全にかかわる理解も、最も深い理解、知識、経験を持っているはずなのは、これは事業者そのものであります。したがいまして、国内外の多くの方々の意見、特に安全の現場に立っている事業者との間のコミュニケーションというのは大変重要であるというふうに認識をしております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 共通の理解が得られていると思っております。

 ただ、委員長もよくお感じになっておられると思いますけれども、本当にどんな組織にも完璧はないわけでございまして、そういう意味では、たゆまぬ自己反省による向上がまた必要だろうというふうに思います。

 それで、これは委員長、お読みになっておられると思いますけれども、私ども自民党で、原子力安全規制・原子力防災の充実・強化等に関する提言というのを昨年の六月に出させていただきました。

 これは、例えば私も元役人でございまして、旧原子力安全委員会の事務局に勤務した経験もございますけれども、そういう私も含めて与党の専門家が相当の議論をして取りまとめたものでございまして、私自身は、この提言というのは非常によくできていると思います。この提言、原子力安全規制の透明性あるいは説明責任の向上という観点から非常に意味のある提言であるというふうに考えておりまして、できるならば本当にこの提言の中身を踏まえてまた御尽力をいただきたいと思っているところでございます。

 ただ、当然、その後この内容を踏まえてどう行動するかというのは、最終的には独立して規制委員会が判断をしていただくということでございますけれども、先ほど孤立やあるいは独善に陥ることなく謙虚に外部の意見にも耳を傾けるというふうにおっしゃっていただいたので、ぜひ参考にしていただきたいというふうに思います。

 先ほど井林委員から、適合性の審査に時間がかかり過ぎているんではないかというお話がございました。安全第一というのはよくわかりますし、また、とにかく安全性を追求するために審査は厳正に行うということは必要であろうというふうに考えておりますけれども、ただ一方で、先ほどから指摘があったように、いわゆる標準処理期間が二年という法定がされているということもございます。

 したがって、私どもとしては、申請の受け付けから二年がたったら、例えば、その残された論点、二年間事業者との間でいろいろと議論をされてこられると思うんですが、残された論点、いわゆる適合性審査におけるまだ解決されていない残された論点はどういうものか、あるいは、何が明らかになれば審査が終了するのかというようなポイントについて、規制委員会と被規制者が共有するということは、審査上非常に大きな意味があるというふうに思っております。

 したがって、この提言の中で、個々の施設ごとに審査の進捗及び審査上残された論点を示すなど、審査の状況を明らかにした中間報告を公表すべきであるというふうにされておりまして、これをぜひ、規制委員会がきちんとオーソライズした形で、個々の施設ごとに二年を超えた段階で公表していただきたいと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 いわゆる新規制基準適合性に係る審査の状況につきましては、公開の原子力規制委員会におきまして、規制庁からおおよそ半年ごとに、審査中プラントの審査状況や審査における主要な論点、課題、それに対する規制庁の考え方などの報告を受けております。また、規制委員会としても必要に応じてこれに対して議論を加えているところでございます。

 また同時に、これらの進捗状況を図表でわかりやすく取りまとめた資料を原子力規制委員会のホームページで公開をしているところであります。

 また、個々の事業者から要請があった場合には、今後の論点についても改めて審査会合において説明を加えているところであります。

 規制委員会としましては、今後とも、これらの取組を通じて透明性の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

細田(健)委員 私もその一覧表というのを拝見しているんですが、やや雑なと言うとちょっと大変恐縮なんですが、議論の骨子だけといいますか、残されたポイントは非常に大まかに示されているだけで、個々の施設の審査状況について必ずしも深くその論点について記載がされているものではありません。

 また、その適合性審査に時間がかかっているのは、事業者側の話を聞きますと、どの論点が残っているか明確でないと。残っている論点が果たして二つなのか三つなのか、あるいは十以上あるのか、そういう論点の整理がきちんと行われていないということも審査の長期化の一因になっているというお話も伺いますので、改めてお伺いしますけれども、この中間報告を規制委員会でオーソライズして出していただくということをぜひ御検討いただきたいと思いますが、改めていかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、審査に時間がかかる事情というのは、個別の審査によってそれぞれに異なるものであろうと思っております。

 そういった意味で、例えば、ある立証をするための根拠と言われていたものが、深く調査をしてみたらその根拠が見つからなかったですとか、そういった事情が審査に関しては非常に長引かせる大きな理由になっています。

 これは全くいないとは言いませんけれども、個々の事業者、申請者に対して、審査会合で極めて頻繁なやりとりをしておりますので、私としましては、事業者が残された論点を把握し切れないでいるという状況があるというふうには認識をしておりませんけれども、いずれにしましても、これは個々の申請ごとの対応が必要であろうと思っておりまして、一律に先生のおっしゃるような中間報告のようなものを制度としてつくり、また委員会としてオーソライズするというような形をとるのは、かえって効率性を損なうような側面もあるかと考えております。

 いずれにしましても、もし、先生の御指摘のように、事業者の方に論点明確化の希望があるとすれば、これは、いずれにしても、その希望を正確に把握するところからまず努めたいというふうに思います。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 逆に言いますと、仮に個々の事業者からそういう残された論点を明記していただきたいという要請があった場合は、どういう名称にするかは別として、今私が申し上げたような中間報告的なものを出していただくということに前向きであるという理解でよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 これは、まず、当事者である申請者から直接の声を聞くことが重要であろうと思いますし、また、個別個別の事例に沿った対応に心がけたいというふうに思います。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 誤解のないように申し上げたいんですが、私自身は、先ほど申し上げたように、当然審査は厳正にやっていただくということでしょうから、それが二年以上にわたっているということそのものを問題にしているわけではありません。

 ただ、長期化の要因が、どうしても、何といいますか、被規制者と規制委員会の間の、ある種、かみ合わないと言うとちょっと大変恐縮なんですけれども、例えば、今まで三つの論点があって、それについて何らか対応する、あるいは、その三つの論点を潰していけば審査を合格するのかなと思っていたところ、後から四つ目あるいは五つ目の論点が提示されるというような、これは被規制者側からの意見ですが、そういう事例もあり得るというような話も聞いておりますので、ある程度の期間が経過した段階で論点整理をきちっと行っていただくということは非常に意味があると思いますので、改めてお願いをしておきたいというふうに思います。

 先ほど、四十年ルールの部分について、技術的な議論は必ずしも避けないというお話ございましたけれども、済みません、これは質問の三の二になりますが、原子炉の停止期間中は、中性子の照射が行われないために、圧力容器の脆化は進展しないという議論がございます。これについての委員長の見解はいかがでしょうか。これは、済みません、私の問いの三の二というものです。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 基本的なメカニズムとしまして、圧力容器鋼材の脆化、照射脆化と申しますけれども、これは中性子の照射が蓄積することによって起きる現象でありますので、当然、停止中にこの脆化が進むとは考えられません。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 そういう共通の技術的理解があると思いますけれども、私どもとしては、そういう技術的な理解も踏まえて、これも先ほど井林委員の方からお話があったところでございますが、基本的には法定されている四十年という期間は変えない、四十年という期間は変えない上で、その四十年のカウントの方法については技術的な議論の余地があるのではないかというふうに考えております。

 これについては、提言の中で、運転停止期間における設備の劣化に関する技術的評価について、科学的、技術的な議論を行っていただきたいというお願いをしているわけでございますけれども、たしか炉規制法には、たしか完成検査ですか、ちょっと今正確には思い出せないんですが、たしか完成検査から起算して四十年というような起算の方法になっていたと思いますけれども、ただ、炉規制法の主管官庁である規制委員会がこの四十年の起算の方法については有権解釈権がありますから、仮に停止期間中に脆化が行われないということであれば、停止期間中はその四十年の期間から除外するということも十分に考えられるわけでございまして、私どもとしては、こういうことも含めて技術的な議論をぜひ行っていただきたいというふうに考えております。

 この点についてはいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほどお答えしましたように、圧力容器の照射脆化、これは、停止中の脆化の進行というのは、ほとんど無視できると考えて差し支えないものです。したがいまして、例えば圧力容器の脆化がどう進むかという議論をするときは、時計の針は停止中はとまると考えるのはこれは科学的に当然のことでありますので、圧力容器の脆化が使用につれてどう進むかというときのカウントの仕方については、当然、運転中の期間だけをカウントいたします。

 ただ、これと原子炉の使用期間に係る議論というのは直結するものではありませんし、また、使用に伴う劣化というのは圧力容器だけに限るものではありませんので、高経年化を考えるときには、個々の現象、先ほど井林先生の御質問にもありましたけれども、設計そのものの古さをどう考えるかといった、個々のアイテムといいますか、個々のサブジェクト、個々の議論の対象とする現象に応じて時間のカウントの仕方が異なってくるのは、これは御指摘のとおりだろうと思います。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 まさにそういう点も踏まえて、含めて技術的な議論を行っていただけないかということでございます。もちろん、高経年化には脆化だけではなくさまざまな事象が絡んできますから、当然、それだけをというふうに申し上げているつもりはなくて、まさにそういう点も含めて高経年化について、更に言いますと、その四十年の起算方法のやり方について議論を行っていただけないかということなんです。

 それで、ちょっと済みません、質問の順番を飛ばして、私の質問通告の中の五の一という質問にちょっと移りたいと思っているんですけれども、今の点も含めて、規制委員会、本当に大変だと思います。個々の施設の審査も行わなければならないですし、また、折々に基準の見直しも行わなきゃいかぬということだろうと思っております。

 ただ、今、私が見ておりますと、これは委員長、先ほど申し上げたように、私は国家公務員であったときに旧原子力安全委員会事務局総務課総括課長補佐という任にあったわけでございますけれども、そのときの経験から申し上げると、今の新しい規制委員会は、委員長も含めて五人の委員の方があらゆることを、今申し上げたような施設の審査でありますとかあるいは基準の見直しとか、それを全てその五人の規制委員会の方でこなそうとされているように、私の目から見てそういうふうに見えていて、委員長は本当に寝る暇もないぐらい今大変だろうなというふうに拝察をしておりますけれども、これがさまざまな業務のおくれにつながっているのではないかというふうにも考えているわけでございます。

 したがって、過去、私の経験でいいますと、例えば炉安審、燃安審というような場で個々の施設の審査の前さばきをする、これはいろいろなまた委員長の思いもあると思いますけれども、例えば炉安審、燃安審に委員長が信頼する専門家の方に集まっていただいて、そこで審査の前さばきをするとか、あるいは学協会、特に原子力学会に学会基準をつくっていただいて、まさに今のような高経年化に対する学協会の基準をつくっていただいて、最終的にはそれを規制委員会が審査をして、その学協会基準を規制基準として採用できるかどうかを審査するというような、外部の方の知恵を集める、衆知を集めるような体制をつくっていただけないか。私個人的な経験からいうと、旧安全委員会ではそういう形の審査が行われていたと思うんですが、ぜひその衆知を集めるような形で取り組んでいただけないかというふうに思います。

 これは、あえて申し上げると、ちょっと大変失礼な言い方になれば大変恐縮なんですが、五人の委員の方だけでやっていると、私はむしろ危ないというふうに思っていまして、むしろ、いろいろな専門家の方に集まっていただくことによって、さまざまな専門家の方からのクロスチェックが行われますし、また、英知が、それこそ学会全体の英知が、個々の施設の審査や、あるいは規制基準の作成に集めて使うことができるというふうに思っているんですけれども、この点についての委員長の御見解はいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 一般論からまず申し上げますけれども、当然のことながら、原子力規制委員会も、委員会だけで全てをさばこうとするべき、全ての判断を自分たちの知識の中だけで行うということは避けなければならないと思います。

 いわゆる新規制基準の策定時におきましても、さまざまな、これは大学の先生であるとか、あるいは研究機関の職員であるとか、外部の専門家の方々の参加をいただいて定めた基準であります。一方、審査においても、現在、旧JNESという、現在では規制庁に合流をしておりますけれども、事故前において技術支援機関であった職員はこれに合流をしておりますし、また、今後とも、これは現在はまだ進めておりませんけれども、いわゆる技術支援機関に相当するようなところのメンバーというのは、必要に応じて審査に参加を求めてもよいのではないかというふうに考えております。

 一方、原子炉安全専門審査会、燃料安全専門審査会に個別の審査に係るものを委ねられるかというと、これは、原子力規制委員会の設置の際の議論で、やはり、この設置の際の御議論には、過去の規制に対する深い反省があったというふうに理解をしております。それもあって、同法の改正において、参議院の附帯決議において、原子力規制委員会が規制に関する判断に一義的な責務を有すること、そして、原子炉安全専門審査会、核燃料安全専門審査会は、原子力規制委員会の判断を代替することなく、その判断に対する客観的な助言を行うにとどめるものとすることという附帯決議をいただいております。

 かつての規制において、原子力安全委員会は炉安審、燃安審に対して、原子力安全・保安院はさまざまな顧問会等を通じて、外部の方に最も重要な審査上の判断を委ねてしまっていたというような構造に問題があった。この反省に基づいて設置された原子力規制委員会であるからこそ、一定の明確な線引きは必要であると考えておりまして、いわゆる設置許可等の処分に関する判断というのは原子力規制委員会が責任を持って行うべきというふうに考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 やや誤解があると思うんですが、私は、当然、最終的な判断、最終的なオーソライゼーションは規制委員会でされればいいと。ただ、その前さばきといいますか、いわゆる事前に、事前審査といいますか、個々の施設であれば、まさに先ほどの論点整理も含めて、ある種の基準に合致しているかどうかということがまず判断のポイントになるわけですから、それについては、まさに委員長が信頼する専門家の方にいわゆる前さばきをお任せしてもいいのではないかというふうに思います。

 さらに、先ほどお話をしたその基準について、例えば高経年化、劣化の技術的な評価というのがあるわけなんですが、これについては、繰り返しになりますけれども、例えば原子力学会にそういう専門家を集めてある種の基準の案をつくってもらって、その基準の案を原子力規制委員会が技術基準として採用できるかどうかということを最終的に審査をすればいいのではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 一つ例でお答えをいたしますけれども、先ほど先生の御質問にあった圧力容器の照射脆化であります。

 この圧力容器の照射脆化について、監視試験片という試験片をそれぞれ原子力発電所は入れておりますので、この監視試験片の試験方法であるとか、そして、その試験を行った後のデータの整理等々、これは、圧力容器の脆化が時間の経過や照射量に伴ってどのように変化するか、こういった予測式に関しては、これは日本電気協会が中心となって、基準の議論というのも、これは随分長く続けております。

 私たちとしては、これは規制委員会発足後も、電気協会に、この圧力容器脆化の評価手法について、これまでの電気協会の定めたものに関しては、専門家の中からもさまざまな批判、御意見等があって、まだ定まっていないところがあります、これは原子力規制委員会みずから電気協会に対して促しているところでありまして、やはり、日本電気協会は、原子力規格協議会ですか、原子力学会それから機械学会、電気協会、三者がこういった規格について議論する場を持っておりまして、その中の一つでも、その圧力容器の脆化に関するものは重要な案件として取り上げられているものと承知をしております。

 少しくどいようですけれども、原子力規制委員会としては、今後とも、電気協会を始めとする学協会に十分な議論を進めることを促してまいりたいと思いますし、また、成案が得られた場合には、これを原子力規制委員会としてその妥当性を判断することに前向きであるというふうにお答えできると思います。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 結論からすると、外部の学協会の基準の採用にも積極的であるということでよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 一般論としてですけれども、すぐれた学協会規格が定められることは、これは、事業者のみならず規制当局にとっても、その効率性、有効性をはかる上で有益なことですので、ぜひ、ここでもやはりコミュニケーションが重要であるというふうに考えますけれども、学協会規格の有効活用というのは極めて重要な、一つの規制を効率化させる上での方策ではあろうと思います。

細田(健)委員 ありがとうございました。前向きな御意思を示していただいたというふうに理解をいたしました。

 そうしたら、済みません、私の質問は四の一にちょっと移りたいと思うんですけれども、先ほど申し上げた提言の中で、これはIAEAのIRRSのミッションからも指摘を受けたところでございますけれども、「規制委員会は、特にグレーデッドアプローチやバックフィットルールなど、ルールや手続きを包括的・体系的に整理し、リーガルマインドの観点からも適切な文書を作成・公表すること。」、こういう指摘がございます。

 この点について、これはまだ具体的にはなかなか大変だというふうにお伺いしておりますけれども、どういう文書をどのようなスケジュールでこの点について取り組んでいただくのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。

 特に、先ほどお話があった特重施設については、そのバックフィットルールの明確化といったようなものが大変重要になるというふうに思いますので、この点についてぜひ御見解をお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 特にバックフィットルールに関しては、これは、国際的に各国の規制を預かる者が集まって議論をしたときでも、非常に各国とも、その運用に対して慎重な議論を必要とするところであります。

 特に、日本の規制当局、原子力規制委員会は、世界でも余り類を見ない、強いバックフィットに係る権限を与えていただいていますので、このバックフィットルールに関しては、非常に慎重な議論、しっかりした議論が必要ですし、また明確なルールを定めることも、その重要性は高いと思っております。

 まず、平成二十八年に、IAEAのIRRSミッション、この報告書で、マネジメントシステムに対する等級別な扱い、グレーデッドアプローチですとか、それから組織共通のプロセスを組織内に展開するべきであるというような指摘をいただいています。

 来年一月十四日から二十一日にかけて、このIRRSのフォローアップミッションのレビューを受ける予定にしておりまして、このため、ことしの十一月四日までに自己評価書を提出することとしております。

 こうしたスケジュールを念頭に置きまして、規則やガイドの定期的な評価、改定、体系的なプロセスの構築とその文書化に鋭意取り組みたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。来年までというスケジュールを踏まえてということだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それでは、時間も少なくなってまいりました。最後の質問ですけれども、これは一方的な申立てかもしれませんけれども、私のところには被規制者の方から、規制庁の事務方と規制委員会の委員の先生方から受ける指摘が異なるですとか、あるいは、審査担当者がかわったら、今までの説明をまたゼロから説明してくれと言われて、これまでの積み上げがゼロになったとか、そういういろいろ厳しい御指摘がございます。

 これは委員長にもぜひお願いしたいところなんですが、規制委員会の委員の先生方と、また規制庁事務方のコミュニケーション、一体感のある首尾一貫した対外発信でありますとか、あるいは一体的な、一体感のある活動というのは非常に重要であるというふうに思っております。

 これについてはぜひ規制庁の皆さんにも本当に御留意をいただきたいというところでございますけれども、この点について、ぜひ改善のための強い決意をお願いしたいというふうに思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、御指摘の中にありました担当者がかわったらまたゼロからのスタートというのは、これは、私自身、申請者として経験があったところでありまして、申請者の方から見ると大変頭の痛い問題であります。

 そういったことがあってはならない、あるいは、どうしても生じてしまうことではありますけれども、なるべく緩和するための方策というのは、やはり先生がおっしゃるように、職員間のコミュニケーション、それから委員と職員との間のコミュニケーションをふだんから図っておくということが大変重要であろうというふうに思います。

 それから、審査の過程で新たな論点が浮上するというのは、これは技術的な議論を行っておりますのでどうしても避けられないところがあるということは御理解をいただきたいと思います。

 いずれにしましても、内部の意思疎通というのは、これは外部とのコミュニケーションと並んで重要なことでありますので、意思疎通の円滑化、首尾一貫した方針を維持するということに関しては、今後とも努めてまいりたいと思います。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 引き続きの御活躍を期待しております。ありがとうございます。

高木委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 きょうは、久しぶりにこの原子力特別委員会で質疑に立たせていただいております。

 まず、更田委員長の方に、きょう、毎日新聞に、ちょっと気になるというか注目すべき報道がありまして、そのことをまず少しお聞きしたいんです。

 この新聞、読まれたかもしれませんけれども、九州電力の玄海原発、これにおいて、使用済み燃料のプールに保管しているものを、リラッキングというんですか、つまりはもっとたくさん詰め込めるようにしよう、そういうことをやることについて、規制委員会としても、この報道によれば、一応了解したと。

 ただ、その中に、例えば、「この影響で核分裂反応が起きて臨界に達しないよう、収納容器をホウ素を含んだステンレス容器に変更」し、これは毎日の記事ですけれども、リラッキングしたら再臨界の危険性が高まるので、硼素を含んだステンレス容器に変更する、そういう趣旨だと思いますが、こういうことをやること自体が安全性について大丈夫なのか。

 また、この記事の中にも、本来なら乾式貯蔵の方がいいのではないかということを規制委員会の方も言っておられるようですが、なぜそうならないでこのリラッキングになっていくのか。そのあたりをちょっと、安全性も含めて教えていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 まず、このリラッキング、当然、使用済みの燃料は、稠密に詰めておくほど、それらの相対的な距離が縮まりますので、臨界の危険性というのは高まります。そのために、中性子を吸収するボロンを含んだステンレスを間に置くということで、その安全性を維持する形で稠密に置くというのがリラッキングでありますけれども、このリラッキングは、国内の他の原子力発電所で非常に多くの前例がございまして、また国外においても例がございます。

 ボロンステンレス、ボロンを含むステンレス製のラックを用いる限り、リラッキングによって使用済み燃料プールのリスクが有意に高まるとは考えておりません。

 一方、乾式貯蔵の、乾式キャスクにおける貯蔵というのは、閉じ込めという点で使用済み燃料プールよりも安全性は高いと私たちは認識をしておりまして、冷却の進んだ使用済み燃料に関しては乾式キャスクに移行するように促しているところであります。

 しかしながら、乾式キャスクに入れられる使用済み燃料というのは、使用済み燃料プールで十分な期間冷却を行った使用済み燃料のみが乾式キャスクに入れることができますので、九州電力の例でいいますと、使用後十五年経過した使用済み燃料は順次乾式キャスクに移していくというふうに表明をされています。

 したがいまして、使用済み燃料がいきなり乾式キャスクに入れられるというものではございませんで、使用済み燃料プールで一定期間冷却をした後に乾式キャスクに移していくということを原子力規制委員会は各事業者に対して推奨しているところであります。

菅(直)委員 いずれにしても、しっかりとこの安全性を確認されて判断をしていただきたいと思います。

 きょうは、東電、文挾副社長にもお出ましをいただいておりますが、少し、福島原発事故が発生して八年余りたちまして、事故発生からかなりの間、当時いろいろと発表されていたことが、現在の調査では、必ずしも正しいものでなかったということが幾つか出てきていることはもう御承知のとおりであります。

 東電福島原子力事故調査報告書は二〇一二年六月二十日に出されておりますけれども、その後、東電としては、未確認・未解明事項の調査・検討結果報告を順次ホームページ等でも出されております。

 今、皆さんのお手元に、資料A、これは規制庁のホームページに出ている一部ですが、これは、事故当日、つまり二〇一一年の三月十一日に、福島第一原発の所長の吉田所長名で、経産省、当時の原子力安全・保安院にファクスで送られた資料の写しでありますけれども、ここに書いてありますように、二十二時〇分現在の状況、一号機、TAFプラス五百五十ミリメートル。つまりは、まだ水が燃料の上五百五十ミリのところにあるというのが、二十二時、夜の十時現在でこういう形で報告が来ております。

 しかし、現在のその後の検証ではこれはかなり違ってきたと思いますが、まずこの点を確認したいと思います。現在の検証において、この一号機の状況は、どの段階でTAFがゼロになり、そしてメルトダウンが始まり、そしてメルトスルーが起きたのか、現在確認されているところを御指摘いただきたいと思います。

文挾参考人 それでは、御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、大変恐縮ですが、事実関係をちょっと説明をさせていただきたいというふうに思いますが、ただいまお話がありましたTAF、有効燃料頂部のことでございますけれども、これから五百五十ミリという原子炉水位の値というのは、これは当社の事故調査報告書にも記載してございますけれども、当時、一号機中央制御所の制御盤でございますが、これにつきましては停電をしてございました。それで、仮設バッテリーを何とかつなぎ込みまして、その復旧した制御盤で確認した原子炉水位計の値というもので、これを、得られた情報の数値というものを、原災法の第十五条の続報ということで、経産大臣と知事さん、それと大熊町の町長等にファクスで送付させていただいたというものでございます。

 今先生が御指摘ありましたように、その後の検証ということでございますが、その後の解析で申し上げますと、地震の発生後、これは地震発生が十四時四十六分でございますので、その後、約三時間後には、ですので、時間的にいきますと十八時ごろということになりますが、ころには、有効頂部、TAFまで低下をしたのではないかというふうに今評価をしてございます。

 御指摘の点につきましては、これはあくまでもその後の評価ということでございますので、そういう認識をしていただければというふうに思います。

 以上でございます。

菅(直)委員 それによって、どの段階でメルトダウンが始まり、メルトスルーが始まったのか。東電がこのメルトダウンという言葉を使われたのは、たしか相当後になってですから、現在の認識をお聞きしたいと思います。

文挾参考人 メルトダウンということでございますが、いろいろ定義はあると思いますけれども、燃料が高温になりまして溶融するという意味でお答えをさせていただきたいというふうに思いますが、これは、解析の結果から判断を申し上げますと、一号機は、三月の十一日の夜には燃料の溶融が始まったというふうに今考えてございまして……(菅(直)委員「一号機だけでいいです」と呼ぶ)はい。この解析結果は、解析後、五月の十五日に公表させていただいたという次第でございます。

 以上でございます。

菅(直)委員 メルトスルーはいつですか。

文挾参考人 メルトスルーにつきましては、その後、崩壊熱が進んだということもございますので、メルトスルーは、翌日の未明から朝にかけてメルトスルーが行われたというふうに解析では認識してございます。

 以上でございます。

菅(直)委員 いずれにしても、当時の状況で、少なくとも報道とかいろいろな形で言われたこととは非常に大きく違っていたわけです。

 それに加えて、少しお聞きしたいのは、資料Bにもちょっと添えておきましたけれども、これは東電が出された未解明調査添付資料でありますけれども、いわゆる、たしか十二日でしたか、消防車から一号機へ注水がなされた、吉田所長の判断でそれを始めたとされているわけですが、最近のこの資料Bなどを見ますと、注水したものが必ずしも全量原子炉に注入されたわけではない、そういう指摘があります。

 いろいろなほかのものでも、報道、報道といいましょうか、本なども出ておりますが、一体どの程度がつまり原子炉冷却に当たれるところに届いていたのか。現在の認識では、どのくらい入れたもののうちどのくらいがそこに届いていたかということを明確にお知らせください。

文挾参考人 ありがとうございます。お答えさせていただきたいと思います。

 済みません、先生がおっしゃられるどのぐらいという数量的なものは、大変恐縮ですが、今手元にございませんので、今の認識を御説明をさせていただければというふうに思いますが、当社は、今先生が御指摘ありました、消防車の注水が原子炉以外の経路にバイパスする、つまり、少し抜けていくということで、注水量を十分確保できなかった可能性があるというふうには分析をしてございます。

 今、さまざまな検討を実施してきておりまして、一号機につきましても、図面等からそのバイパス経路を特定をいたしまして、その条件における原子炉への注水量を今評価をしてございます。

 ただ、その量ということになりますが、そのような評価によりまして得られる注水量を仮定した場合に、格納容器の圧力等の挙動と、それと実際の測定値とがどうしても合わないということも出てきておりますので、御指摘されたとおり、これは全量が入っているということではないというふうに今認識してございますが、一号機には水がほとんど入らなかった可能性というのも確かに否定はできません。

 ということもありますので、実際の注水量がどの程度であったかにつきましては、今継続して検討をしてございますので、結果が出次第、また改めて公表させていただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

菅(直)委員 今、副社長は、ほとんど入らなかった可能性もあると。これはほかの、例えば、これはNHKスペシャルを本にしたものにも、原子炉に届いた水はほぼゼロだったという見出しがついております。

 先ほどもお聞きしたメルトダウン、つまりTAFまでゼロというときに、水が入っていればそれが戻っているはずですよね。ですから、そういうふうに、水位が急激に落ちたということを一方でわかりながら、まあ、ほとんど入っていなかった可能性という言い方もされたので、それはそれでいいのかもしれませんけれども、少なくとも、他のこういう本などの指摘では、つまり、半分入っていたとか十分の一入っていたというならまだわかるんですが、あれ、膨大に入れられていますよね、数千トン入れられていますよね、しかし、ほとんど実は冷却にも作用しなかったのではないかという指摘がほかからも出ています。

 そういう認識が十分あり得るということですね。

文挾参考人 ありがとうございます。

 そういう認識を持って、基本的にこれから解析を進めたいというふうに思ってございます。

 以上でございます。

菅(直)委員 もう一点、当時からちょっと気になっていたんですが、福島原発事故が発生したときに、現場は吉田所長が指揮をとられたことは非常にはっきりしています。

 東電本店では、原子力事故そのものについて、もちろん、原子力についての認識を持っていて、きちんとした指揮をとっておられたはずなんですが、その指揮をとっておられたのはその段階ではどなたですか。

文挾参考人 お答えさせていただきます。

 もう既に御存じのとおり、地震の発生当時、三月十一日でございますが、このときには、当時の勝俣会長と清水社長は出張中で、不在でございました。ただ、不在のときの代行者というのはきちっと決められておりまして、社内の規定に基づきまして、事前に決められております代行者が任に務めてございました。

 本店の本部の体制としては、小森当時の原子力副本部長が指揮をとってございまして、現場には、当時は副社長の武藤原子力副本部長でございますが、これが、あらかじめ定められている対応要領に基づきまして、発電所支援ということとオフサイトセンターでの対応ということで、十五時三十分ごろに本店を出発させていただいて福島へ向かったというふうに認識をしてございます。

 以上でございます。

菅(直)委員 これは、もうかなり、八年もたったことですけれども、当時のいろいろなものを私も改めて読んでおりますと、例えば、何日目でしょうか、吉田所長が一生懸命所員の車からバッテリーを取り出してつないで、何とかメーターを見ようとする。もうその時点で、当然、東京からでもほかのところからでもバッテリーなどは届けてあっておかしくない時期だったと思いますが、どうも私が見る限り、本店がきちっと現地をバックアップすることが不十分ではなかったのか。

 私も、あるところで聞いたことがあります。結局、本店は、輸送部隊を直属の社員で持っていなかった、全部下請に頼んで輸送することになっているけれども、一遍第一に入ると除染が必要になるので、なかなかそれが可能でなかった、そういう指摘をした人も当時ありました。

 そういう体制についても、やはりこういう事故が起きた後にきちっと検証しておくことが必要だと思うんです、技術的な問題だけではなくて。その点はいかがですか。

文挾参考人 お答えさせていただきます。

 先生おっしゃるとおり、当時の反省、これは大反省をして、とにかく、もう二度ととにかくこういう事故が起こらないように、起こした場合には、どういう体制をとり、あるいはどういうふうな効果的な対応をとっていくかということについては、今検証を引き続き続けております。

 安全については、当然ながら終わりはありません。ですので、安全は、改善に改善を重ねて、我々は世界トップクラスの安全を確立していきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

菅(直)委員 加えて、資料のCをごらんいただきたいんですけれども、ここに、今言われたように、つまりは、一号機に注水を行ったけれども、いろいろな検証の結果、バイパスでほかに流れてしまった、それに対して、柏崎刈羽では、以前からかその後かはわかりませんけれども、それに対する対策がとられているというふうに書いてありますが、そういう理解でいいんですか。

文挾参考人 お答えさせていただきます。

 お手元に図があると思いますが、実は、福島第一原子力発電所の場合には、ここにあります復水貯蔵槽から圧力容器に行く管がありますが、これが、逆止弁の、圧力容器側に入っていたという設計になっていたということがございますので、それを今、そういうことがないかどうかというのは全て確認をし、もしある場合には逆止弁を設置するとかという対策は既にとってございます。

 ですので、一Fの反省を生かして、全ての面で今検証を進めているということでございます。

菅(直)委員 ちょっとこれに関して規制委員長にお尋ねしたいんですが、これは同じ東電の原発ですから、柏崎がそういうことの対応をされたというのは、それはそれでもっともなことなんですが、東電以外の原発で、もし同じように注水をしなきゃいけないようなときに、こういうふうな措置はとられているんですか。いかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 当然のことながら、適合性審査におきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえた審査を行っておりまして、私たちも、あの事故のときに一号機になかなか水が入っていかなかったという認識は持っておりますので、現在、設置に対して許可を与えておりますのは、東京電力柏崎刈羽の六、七号機、それから東海第二発電所、BWRについてはこの二つでございますけれども、これらについては、事故に遭っても炉心注水が可能になるような対処、対策は要求をしており、そのように工事されているというふうに認識をしております。

菅(直)委員 ぜひそこは、どこかには書いてあるのかもしれませんが、私も少し読んでみて、資料Cはたしか先ほど言った未解明云々の膨大な資料の中にあって、柏崎については対応がされていると。ただ、東電の報告書ですから、他の社の原子炉についてはちょっと記載が私には見つからなかったものですから、それらの確認も含めて、ぜひ規制委員会の方でも、少なくとも同じような失敗を二度繰り返すことはもちろん避けなければならないので、確認をお願いしたいと思っております。

 そこで、少し話が飛びますが、資料Dを少し見ていただきたいと思います。

 実は、つい先日、経産委員会で私が世耕大臣と幾つかの問題をお話をいたしました。

 その中で、規制委員長あるいは規制委員会が、例のテロ対策の重要特定施設の完成が所定のときまでになければそれは停止をするということを明確に言われ、菅官房長官もそれを納得され、私の質問に対して、世耕大臣も、それは規制委員会の判断に委ねてあるというふうに言われました。

 それに加えて、ちょっと幾つかの議論を大臣としたんですね。

 つまり、北朝鮮が一時期、日本の領空を飛ぶ、領空といいましょうか、上空を飛ぶミサイルを発射をしたこともありまして、そういった危険性が何度か議論になったわけであります。そういったことに対して、世耕大臣は、私に対する答弁などで、少しいろいろなことが書いてありますが、最後の行の、下の方で、そういう事態に至る中で、原子力発電所については、規制委員会が、関係法令や計画に基づいて、原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命ずるという判断を行うということになるわけでありますと。そういう事態というのは、その前に書いてあるように、武力攻撃事態などに該当すればという、そういう問題です。

 私の理解では、そういう事態まで規制委員会に判断を委ねるということになっているのか、また、なるべきなのか。つまりは、これは完全な防衛問題でありますから、そういう危険性があると考えたときに、その危険性を規制委員会に判断を委ねるというふうに読める、読めるというか、世耕大臣の答弁はそうだったんですが、私はこれは少しおかしいのではないかと思っております。

 規制委員長に、ちょっとこの世耕大臣のこういう考え方についての見解を伺いたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 私たちは、政府によって事態認定がなされた場合、武力攻撃事態であるとか武力攻撃予測事態という事態認定がなされた場合に、国民保護法第四十四条に基づく警報が発令された際に、原子力規制委員会としては、国民保護法及び国民の保護に関する基本指針に基づいて、警報が発表された地域に原子力施設を設置している事業者に対して直ちに使用の停止を命じることとしております。

 事態認定そのものを原子力規制委員会が行うわけではございません。

菅(直)委員 私も、当然そのとおりだと思うんです。

 つまりは、この経産大臣の表現はややそのあたりが、そういう事態に至る中で、規制委員会に、命ずるという判断を行うと。

 つまりは、そういう事態になっているかどうかというのはちゃんと総理なりしかるべき部署が判断をして、そして直接の停止命令は規制委員会が出す。ですから、そういう、武力攻撃があるなし、あるいはその危険性が高まっているかどうかという認識を規制委員会がやるものではないという認識を、委員長、お持ちだということをちょっと確認したいと思います。

更田政府特別補佐人 繰り返し申し上げますけれども、武力攻撃に係る事態認定そのものは原子力規制委員会が行うものではございません。

菅(直)委員 大体時間になりましたのでそろそろ終わりにしますけれども、やはり八年たって、私も当時のことを思い出したり、あるいはもうかなり忘れていることも、改めて、先ほど申し上げた東電の未解明の報告が、今五回目ですか、出ておりまして、膨大な量なので全部読み込むことはできませんが、やはり、先ほどの副社長のお話もあったように、例えば、注水が冷却やそういうものに非常に効果的だったと当初思っていたのが全くそうではなかった。それにかわることをきちっと考えねばならない。

 つまり、八年たったからといって物事は終わったのではなくて、そういう人的な問題も含めて、更に安全性を高めるように事業者としても頑張っていただきたい、そのことを申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、更田委員長にまず一点お伺いしたいんですが、現在日本で稼働している原子力発電所、この中で、現行の規制基準に適合しないで動いている発電所があろうかと思うんですけれども、そういうものはないという認識でしょうか。それとも、今首をちょっとかしげられましたけれども、この点についてはいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 現在稼働中の原子力発電所で、規制基準に適合していない炉はございません。

逢坂委員 全て規制基準に適合しているという認識でしょうか。テロ対策を含め、全部規制基準に適合しているんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 テロ対策も含めて、規制基準に適合をしております。

逢坂委員 それは、法律的に言って、規制基準の中で、今現在工事をやっている、やっていて、ある一定の期間が終わったらそれで規制基準をクリアする、そういう性質のものじゃないんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先生の御質問は、特定重大事故等対処施設を念頭におっしゃっているものと思いますけれども、特定重大事故等対処施設の設置というのは、本体施設の工事計画認可日から五年を経過する日までという経過期間が設けられております。したがいまして、この経過の期限を迎えた日に特定重大事故等対処施設の工事が完了していない場合には、これはその時点で基準に適合していない状態となります。

逢坂委員 では、その点について御質問しますけれども、それじゃ、五年を経過した日にテロ対策が講じられていないとなれば、これは原発をとめる、そういう理解でよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 おっしゃるとおりです。

逢坂委員 それについて、例えば、事業者の特段の事情があるとか、事業者がこれこれこういう理由でそれはやめてくれといったような話があった場合であっても、それは、五年というものの期間の中で今まで対策を講じていたわけだから、その延長とか猶予というのはあり得ないということでよろしいですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 あり得ないと考えていただいて結構と思います。

逢坂委員 了解いたしました。明確な答弁ありがとうございました。

 それでは、次に磯崎副大臣にお伺いをしたいと思います。

 我が党は、原発ゼロ法案、これを国会に提出させていただきまして、原発ゼロ、これを目指していくんだという基本的な考え方を持っております。ただ、その前提として、事業者への対応、対策、それから雇用、今働いている方々をしっかりと守るということ、それから立地自治体ですね、こういったところへの対策、対応、立地自治体は今さまざまな交付金などを受けているわけですから、そういったことへの対応、そういったこともきちんとした上で原発ゼロということを、そういう社会を目指していく、そういう社会にすることが大事だと思っております。加えて、自然エネルギーを振興するということは地域にとっても経済的にもプラスになるだろう、そういう判断でいるわけですが、この原発ゼロ政策、原発ゼロということについて副大臣はどのようにお考えでしょうか。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今の政府の方針としましては、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組んで原発の依存度を可能な限り低減していく、これが政府の基本的な考え方でございます。

 やはり日本は資源に乏しい国でございますので、エネルギー基本計画の中でも、いわゆるスリーEプラスS、原子力につきましては、安全確保を前提とした上で、安定かつ安価な電気の供給、それから気候変動への対応、更に言えばエネルギーの海外依存度、こういったことを考えれば、やはり責任あるエネルギー政策を実行するという意味では原子力は欠かすことができない、そういう考え方でいるわけでございます。

 やはり、国としましては、国民の皆様に対して責任あるエネルギー政策をとっていくことが必要だろうというふうに考えておりますので、冒頭申し上げましたように、可能な限り依存度を低減するという考え方は持っておりますが、なかなか、現時点でゼロという考え方につきましては、政府として責任あるエネルギー政策とは言えないだろう、そういう考え方でございます。

逢坂委員 原発ゼロは責任あるエネルギー政策ではないんだという御発言でありますけれども、原子力発電所は、政府としてはいつまでお使いになるつもりでおられるんでしょうか。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 昨年改定をされました第五次のエネルギー基本計画、この中では、一つは二〇三〇年を目標に、もう一つは二〇五〇年を目標にということでエネルギーの基本計画を策定しておりまして、二〇三〇年の目標につきましては、もう委員も御存じのとおり、このエネルギーミックス、現在のエネルギーミックス、これを実現していくということでございますので、その時点では二〇から二二%、原子力という考え方でございます。

 ただ、二〇五〇年につきましては、パリ協定のもとで、温室効果ガスは八〇%削減をしていくというのも目指していくということでございますので、これを実現していくためには、今ある技術をもってしてはなかなか難しいだろうという考え方でございますので、やはり、いろいろな可能性、選択肢を残したままで二〇五〇年を見通さなければいけないということでございますので、原子力も一つの選択肢とする中で、さまざまな方策を選択肢として持っていくということでございます。

 現段階におきましては、二〇三〇年におきまして二〇から二二%、これはミックスとして明確にお示しをさせていただいているわけでございますが、その先につきましては、先ほども申し上げました、基本的にはできるだけ低減をしていくという考え方を持っているわけでございまして、それ以上の考え方は現時点におきましては持ち合わせていないということでございます。

逢坂委員 二〇五〇年時点で原発を使うか使わないか、それは今の時点では選択肢としては使う選択肢はあるけれどもわからない、そういう答弁だったというふうに承知をしました。

 そこでですけれども、現在、我が国はプルトニウムを四十七トン保有していると承知をしておりますけれども、このプルトニウム、利用目的のないプルトニウムは持たないという政府の方針だったというふうに承知しますけれども、この処理にはどれぐらいの年限がかかる、しかもどういう処理の方法を考えているのか、お知らせいただけますか。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今委員がまさにおっしゃったように、プルトニウムにつきましては、エネルギー基本計画におきましても、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を引き続き維持した上で、堅持した上で、プルトニウムの保有量の削減に取り組むということを書かせていただいております。

 このプルトニウムにつきましては、まずは、電気事業者が保有するプルトニウムにつきましては、プルサーマル、これを一層推進することによりまして量を削減していく。もう一つは、再処理等拠出金法の枠組みに基づきまして、再処理をした上でプルトニウムを回収していく。これにつきましては、経済産業大臣が、言ってみれば、計画を認定するということでコントロールをするということになっております。一つ、現行あるプルトニウムにつきましては、プルサーマルを推進していくことによって消費をして利用していく、もう一つ、再処理でふえるということにつきましては、これは、今申し上げましたような、国がしっかりと管理をすることによってしていくという、その両面からしっかりと対応していくというのが考え方でございます。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

逢坂委員 具体的に、それでは、まず四十七トンのプルトニウムについてお伺いしたいんですけれども、それは何年ぐらいで消費できると見込んでいるんですか。

磯崎副大臣 このプルトニウムの消費につきましては、現在、六ケ所の再処理工場、これが二〇二一年の上期の竣工ということを今念頭に置いておるわけでございますけれども、そういった意味では、一年間で約八百トンを利用していく、そういうことの計画を持っておりまして、これを単純に先ほど……(逢坂委員「ちょっと答弁が違うと思います。それは使用済み核燃料の話です。今、プルトニウムの話をしているんです」と呼ぶ)失礼しました。

伊藤(忠)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊藤(忠)委員長代理 速記を起こしてください。

 磯崎経済産業副大臣。

磯崎副大臣 失礼しました。

 プルトニウムと使用済み核燃料、今、混同しておりました。

 現在我が国が保有するプルトニウム、これは今、先ほど委員おっしゃったように四十七トンあるわけでございますけれども、これを仮にプルサーマルによって消費するとした場合の期間につきましては、原子力規制委員会によって安全審査に合格したプルサーマル炉の稼働の進捗によるということでございますので、現在は四基がプルサーマルの発電所としては稼働しているわけでございますが、しかも六基が今原子力規制委員会の審査を受けているということでございますので、これがどういう稼働をするかということによってこの数字は変わってくるということでございますので、一概にお答えすることは困難であるというふうに思っております。

逢坂委員 四十七トンのプルトニウムの処理、国際的にはこれは利用するんだということを日本は立場を明確にしているわけですね。だけれども、今の答弁からすれば、それはどのぐらいの年限でどう消費できるかということは明確にできない、わからないということなわけですね。それじゃ、このプルサーマルによる発電のコスト、一般の発電と比べてコストはどうなっているのかといったことも、実は事務レベルで聞いても余り明確な答えは返ってこないんですよ。

 だから、原発ゼロは無責任、責任ある政策とは言えないという話をされているんですけれども、今のまま発電を続けることの方が無責任、そういう側面はあるんじゃないですか。いかがですか。プルトニウムの消費すらわからないんですよ。四十七トンある、でもそれはどうやって消費していいかわからない、これは無責任なんじゃないですか。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 委員おっしゃるように、いろいろな課題があるというのは事実だというふうに思っております。

 その上で、政府としましては、安全最優先で再稼働していくというふうにしているわけでございますが、安全確保であるとか最終処分であるとか、さまざまな課題に直面をしております。そうした項目から私どもとしましても目を背けずに克服していくことがまさに責任ある取組であるというふうに思っておりますので、そういったことの克服こそがしっかりとした責任あるエネルギーの政策であるというふうに思っております。

逢坂委員 それじゃ、今度は一万八千トンの使用済み核燃料についてお伺いをしますけれども、一万八千トン、今、使用済み核燃料がある。六ケ所の再処理工場が稼働すれば最大で年間八百トン、これが再処理できるわけですね。それから、それから取り出したプルトニウムを使ってMOX燃料加工工場で燃料にしていくわけですが、この一万八千トンというのはどのぐらいの年限で消費できるというふうに考えているんですか。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今委員もおっしゃったように、日本原燃の現在の計画に基づきますと、最大で年間八百トンウランの使用済み燃料を再処理できるというこの仮定に立ちますと、機械的に計算をいたしますと、今、使用済み燃料が一万八千トンウランあるということでございますので、最初の何年間かはなかなか、この八百トン、フルに再処理をすることが難しいという、そのことも含めますと、全ての再処理には約二十五年かかるというふうに想定をいたしております。

 ただ、実際の再処理につきましては、先ほど少し申し上げましたように、使用済燃料再処理機構が中期計画を策定して、これを経済産業大臣が認可した上で日本原燃が実施をするということになりますので、あくまでも今は機械的な計算ということでございますので、実際とは異なる可能性は十分にあるということはお話をさせていただきたいと思います。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

逢坂委員 要するに、現行の使用済み核燃料の処理だけで二十五年かかる、最大、最速でも、八百トンの処理をフルにやったとしても。ということは、現実にはもっともっと長くかかるんだということなんだろうと思うんですね。

 それじゃ、多分これもなかなか答えにくい質問なんだろうとは思いますけれども、そこから出てきた使用済みMOX燃料を使って、どのぐらいの年限、発電する予定でいるんですか。

磯崎副大臣 今、六ケ所の再処理工場につきましては、今のスケジュールでいきますと二〇二〇年度の上期に竣工予定ということでございまして、今の計画といいますか、それによりますと、この六ケ所の再処理工場におきまして、四十年間で約三・二万トンウラン、この使用済み燃料を再処理する、そういった予定を持っているところでございます。

逢坂委員 ですから、四十年間で処理をするということであれば、これから先、何年、原子力発電所はその計算でいけば動かさなきゃいけないんですか。

磯崎副大臣 まず、現行あるのは、現行の量につきましては、先ほどお話もありましたとおり一万八千トンということでございますので、これから、そして、それを処理するのに、先ほどの機械的な計算によると約二十五年ということでございます。

 したがいまして、これからの再稼働等の状況によりまして使用済み燃料が出てくるということでございますので、三・二万トンというその数字が四十年間の、これは八百掛ける四十年間という単純なる計算でございますので、この数字ということになりますと、三・二万トン、三万二千トンから一万八千トンを引いた数字というものが、更に現在あるものから、上乗せの量ということになるだろうというふうに思っております。

逢坂委員 ということは、何年原子力発電所を動かさなければそれは消費できないんですかということについては、現時点では答えられないということでよろしいでしょうか。

磯崎副大臣 これは、今は再処理という観点での数字を申し上げたわけでございますけれども、原子力発電所をいつまで使い続けるのかという先ほどの委員の質問に恐らく戻るということになろうと思いますが、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、二〇三〇年と二〇五〇年、こういうエネルギー基本計画の中で二つのターゲットの年というのがあって、二〇三〇年につきましては、先ほど申し上げましたように、エネルギーミックスで二〇から二二、その先につきましては、八〇%削減を目指すというその中で、いろいろな選択肢を持った中で考えていかなければいけないということでございます。

 先ほど、再処理を、ある使用済み核燃料を処理するという前提に立っての数字ということでございますけれども、当然のことながら、エネルギー基本計画の中で、原子力をいつまで、どう使っていくのかということによって、当然使用済み燃料の量というのは変わってくるわけでございますので、この原子力発電所をいつまで、どのように使うかということにつきましては、先ほど申し上げたように、二〇三〇年まではターゲットの数字というものが、ターゲットといいますか、数字があるわけでございますが、その先につきましては、温暖化等々の問題で、選択肢のみ今お示しをして、いろいろな非連続のイノベーションをこれからやっていくということでございます。

逢坂委員 以前の計画によれば、まあ今もその計画はお持ちなのかもしれませんけれども、日本でプルサーマルとそれからフルMOX発電をフルに活用したとして、年間で消費できるプルトニウムの量が約四トン程度というふうに承知はしているんですけれども。これはフルにやってですよ。予定している原発全部が動いてフルにやっても、今のプルトニウムを消費するだけで十年以上かかる、フルに動いて。さらに、一万八千トンから新たなプルトニウムを取り出せば、更にプルトニウムが出てくるわけですから、そこの見通しもないままに、まだまだ原発を続けるというのは、私は、そういうのを無責任と言うんじゃないんですか。

 原発ゼロが責任ある政策だとは言えないと。そうじゃない。処理もできないようなものを社会にどんどんどんどん出していくということの方が無責任と言うんじゃないでしょうかね。原発ゼロを無責任というふうには政府の答弁では言っておりませんけれども、責任ある政策とは言えないと。そんなことないじゃないですか。今原発を進めている方が、責任ある政策と言えるんですか。

 それじゃ、もう一つ聞きましょう。

 使用済みMOX燃料の処理はどうされるんですか。使用済み核燃料が出る以上に、使用済みMOX燃料は扱いの難しいものですよ。プルサーマルを続け、フルMOXをやれば、それはどんどん出てくるんですよ。どうなっているんですか、それ。

磯崎副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 使用済みのMOX燃料につきましても、当然、使用済み燃料と成分が若干違うわけでございますけれども、基本的には、資源の有効活用、高レベル放射性廃棄物の減容化、放射線のレベルの低減といった先ほど申し上げた観点から、この使用済みのMOX燃料につきましても再処理することを基本的な方針というふうにしております。

 ただ、今お話ありましたように、使用済みMOX燃料の処分あるいはその処理の方策につきましては、使用済みMOX燃料の発生の状況、あるいはその保管の状況、更に言えば、再処理技術の動向、関係自治体等の意向を含めながら、引き続き研究開発に取り組みながら検討を進めてまいるということでございます。

逢坂委員 すなわち、現時点で、使用済みMOX燃料も再処理をすることは方針としては決めているけれども、処理の方法やその内容については全くわかっていない、白紙だというふうな答弁ですよね。その中でプルサーマルを続けたりフルMOXをやるということが責任ある政策なんですか。処理もできないものを、また更に出すんですよ。

 しかも、使用済みMOX燃料というのは、科学的に言うならば、通常の使用済み核燃料よりも扱いが難しいというふうに言われている。しかも、再処理をするために、今の六ケ所で再処理はできない、新たな再処理工場の建設すら予定されるわけですよ。予想されると言うべきでしょうか。それで責任ある政策なんですか。先にどうなるかもわからないものをどんどんどんどん出していって。責任あるとは私には思えない、その見通しを持ってやるのならまだしも。私は、見通しを持っても相当に厳しいとは思っていますけれども。責任ある政策なんですか、そういうことが。

磯崎副大臣 お答え申し上げます。

 やはり、エネルギー政策というのは、先ほども申し上げましたが、繰り返しになりますけれども、スリーEプラスS、やはりどの電源につきましても完璧というものはないということでございますので、電気の料金であるとか、CO2の排出、環境問題であるとか、あるいは安定供給、こういったものを考えて、きちんとしたエネルギー政策を示していくというのが国としての責任あるエネルギー政策だろうというふうに思っております。

 それを考えた上で、二〇三〇年におきましては、先ほどからの繰り返しになりますが、二〇から二二、やはりこれがなければ、このスリーEプラス、まあSというのは安全性でございますので、この三つの要件を満たしていくことが難しい。そういう前提に立った責任ある政策というのがこの政策であるということで、ぜひ御理解を賜ればというふうに思っております。

逢坂委員 余剰プルトニウムの処理の見通しも語れない、使用済みMOX燃料がどれぐらいの年限で使えるか、これもわからない、あるいは使用済みMOX燃料、これからどういう処理の方法をするかもわからない。これで責任ある政策と言えると私には思えないですよ。

 それから、先ほどコストの話をされましたね、コストの面もと。じゃ、そのフルMOX発電のコストというのはどれぐらいなんですか。ほかの発電と比べてどうなんですか、これは明らかにしているんですか、高いんじゃないですか。

磯崎副大臣 お答えさせていただきます。

 フルMOX発電の発電料という今御質問でございますが、各電力会社における発電の単価につきましては、競争上の問題もあるために、政府としてお答えをする立場にはないということで御理解をいただきたいと思います。

逢坂委員 各事業者が判断することで、政府として答える立場にない。だけれども、コストの問題もあるから原発をやるんだと、原発が安いということが前提になっている。論理矛盾じゃないですか。コストが幾ら幾らだ、だからこれをやるんだ、コストが安いからやるんだと言ってくれるのならまだしも、フルMOXの発電のコストもわからないのに、それじゃそれをやります、でもコストは言えませんと、説明にならないじゃないですか。そういうのは責任ある政策とは私は言えないと思うんですよ。

 きょうはもう時間が来ましたので。私、別に副大臣に個人的にどうこうという気持ちがあるわけでは全くありませんけれども、日本の原子力政策、もう完全に壁にぶち当たっている、使用済み核燃料の問題とかプルトニウムの問題を考えただけで破綻しているんじゃないですか。こういうのは責任ある政策と言えるんですか。もう一度お願いします。

磯崎副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど、使用済みのMOX燃料の再処理につきましてはこれからいろいろ検討することがあるという話をさせていただきましたが、ただ、再処理につきましては、既に我が国においても三十トン、フランスにおいても七十トン、試験的に再処理した実績もあるということでございますので、再処理は技術的に可能ということで、これから、全く今技術的に難しいということではございませんので、そういったことも含めてしっかりと対応していくというのが責任あるエネルギー政策だというふうに思っておりますし、また、いろいろな課題もあるということも我々は認識をした上で、その課題をしっかりと克服していきながら、先ほど申し上げましたスリーEプラスS、これを実現していくというのが責任あるエネルギー政策であるというふうに思っておりますので、それをしっかりと実現させていただきたいというふうに思っております。

逢坂委員 使用済みMOX燃料の再処理のコストも聞きたいところなんですが、それも多分わからないでやろうとしているんですよね。それは責任ある政策だとは言えないということを改めて申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

高木委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 国民民主党の斉木武志です。

 規制委員長、よろしくお願いいたします。

 私からは、前回経済産業委員会で御質問をさせていただきました特重施設に関して、本日も継続して審議をさせていただければというふうに思っております。

 本委員会は経済産業委員会と兼ねていらっしゃる委員も大勢いらっしゃいますけれども、簡単に、どのように前回経産委員会で議論があったかと申し上げますと、特重施設に関しては、四月の二十四日に、規制委員会として、この特重施設の完成期限の再延長は認めない、不適合状態に陥った原子力発電所に関しては運転を認めないということを四月二十四日に発表いたしました。我が国の原発は今九基稼働中でございますけれども、早ければ九州電力の川内一号機が来年三月から、稼働中の九基が順次停止していくという事態に陥ると。私の福井県でも四基稼働中ですので、地元としても非常に関心が高い。日本のエネルギー政策、特に原子力に与える影響は重大だろうというふうに考えております。

 私としては、まず率直な疑問といたしまして、この前もお聞きして、ちょっとまだ得心がいかなかった部分がございます。それが、なぜこういった事態に陥ってしまったのかという点なんですね。

 まず再確認させていただきたいんですけれども、更田委員長が、電力事業者が再延長を、完成期限の猶予を求めているという意思を持っているというふうに初めて確認されたのはいつのことだったでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 特段の措置がなければ期限までに特重施設を完成させることは難しいという発言を直接聞いたのは、その前週、たしか四月の十七日だと思いますけれども、電力各社のCNOとの意見交換の席上であります。

斉木委員 では、原子力委員会そして原子力規制庁に対して、CNO、まさに電力事業者から、そうした延長してほしいという初めて意思表示があったのが四月十七日であり、それまでは期限内にできるというふうに想定をしていたということでよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 さきの答弁でも申し上げましたけれども、各事業者から、工事計画の申請、申請の中に工事計画が含まれておりますので、各事業者から期限までに特定重大事故等対処施設の工事を終えるというのが公式に伝えられている、したがいまして、公式には各事業者とも期限までに工事を終えるというふうな申請を受けております。

 また、一方で、特定重大事故等対処施設というのは、大規模かつ工事に関してはかなりの困難を伴うものであるという認識は私たちも持っておりましたので、これは一月の意見交換の席でもそうですけれども、各事業者に対して、きちんと間に合うように工事ができるのかというような問いかけは、こちらの方からしているところであります。その際には、努力を傾けているのでもう少し様子を見てほしいという回答を事業者から得たところでございます。

斉木委員 そうすると、わずか三カ月で主張が百八十度変わったということなんですが、それは何か思い当たる節というのはありますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 これは予想でありますけれども、率直に申し上げて、工事の性質からして、三カ月で主張が大きく変わるというのは正直言って考えにくいと思っております。

斉木委員 ということは、規制委員長としても、今回の申出はちょっと想定外ということ、四月十七日の申出というのは想定外だったということでよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 今回のような申出があるとすれば、もっとずっと早い時点でなされるものと考えておりました。特段の事情として考慮してほしいと挙げられたものの中には、掘ってみたら岩盤がかたかったとか、そういったことが挙げられていますけれども、当然ああいった工事をするときには事前にボーリング等をして地盤等の状況というのは確認をいたしますので、掘ってみたらかたかったなんてそんな簡単なものではなくて、当然事業者としては工事期間の見通しは持っていたはずですので、四月になって到底間に合わないとおっしゃるのであれば、一月の時点でも十分規制委員会に伝えることができたというふうに私は認識をしております。

斉木委員 そこの事業者とのコミュニケーションの、何というか、双方向性、それぞれの現状をしっかり、懐ぐあいも含めて、そして工事の進捗状況も含めて、意思共有するような体制がとられていなかったのかなというふうに推察いたしますけれども。

 一つ、私が率直に前回の質疑でも疑問が解けなかった部分というのが、それだけ事業者にとっては、今回、非常に損失を伴う大きな計画の変更になると思います。関西電力で申し上げましても、高浜二基、この三、四号機が一年間停止をすれば一千四十億円の損失、そして大飯発電所、この三、四号機が一年間停止をすれば一千四百四十億円の損失、合計で二千五百億円の損失が出ます。

 日本では今、九基中四基が福井県で稼働しておりますので、残り五基、稼働が同じように停止を川内からしていくということであれば、我が国の電力事業者は、年間五千億円近い損失を抱えることになる。非常に大きな損失になります。

 これだけ株価も、四月、特に二十四日以降、大きく、電力事業者、軒並み株価が下がりましたけれども、それだけのマイナスのインパクトが大きいものを、なぜ電力事業者が申し出てきたのかというところなんですね。

 当初、この特重施設の建設基準を決定するときに、どれだけ電力事業者がその建設基準に、規制委員会と話し合って合意をしていたのかどうか。そして、これをもし、二〇一九年四月十五日であるとか、期限内にしっかり完工しますよという約束を守れなかったときには、これだけの、停止という、一千億円から、会社全体では五千億円近い損失につながる話ですから、事業者が本当に、規制委員会が本気でこれを求めていて、しっかりこれは、お金を出すのは事業者ですから、事業者の財政状況からもそれはつくることができて、テロ対策施設として十分な強度を持っていて、なおかつ事業者のお金でつくることができる基準にまず合意していたのかどうか。

 それと、もう一つが、しっかり期限内につくれなければ停止という非常に厳しい措置がとられる、経営上、非常に株価にもマイナスインパクトを与えるような大きな事態になる、こういったことをしっかり電力事業者が把握をしていれば、本気でつくらなきゃいけないと思っていれば、今回のような事態は起きなかったのかなというふうに思うんですけれども、そこの、まず、そもそもどれだけのものをテロ対策施設として事業者に求めるのか。

 そもそもの、今回の特重施設の基準を決定したときに、事業者側とのコミュニケーション、彼らの納得というのはどういった状況だったのか。当時の状況、更田委員長も当時委員としてかかわっていらっしゃったと思いますので、当時の状況から教えていただけますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会の設置に当たって、改正された原子炉規制法の中で、期限を設けて、いわゆる、今、新規制基準と呼んでいるものの策定が求められております。この新規制基準の策定の中で、特定重大事故等対処施設についても議論をしております。

 その際には、事業者意見の聴取も行っておりますし、また、その後、特定重大事故等対処施設にかかわる、いわゆる設置変更許可の申請があった後も、これは、テロ対策を含むという性質上、公開の審査会合ではなくて非公開の審査会合で行っておりますけれども、この審査会合を重ねて、事業者とその設計に対する共通理解を醸成しているところであります。

 また、事業者が本気でこれだけのものをつくらなければならないと考えていたのかと。これは本気だったであろうと思います。

 パブリックコメントも経て策定されて、経過期間は設けておりますけれども、期限までに策定をするということが要求をされていて、その要求を満たさなければどういうことになるかというのは、事業者はよく理解をしていたと思います。

 御質問の中にありましたように、事業者の経済的な損失が大きなものになりかねないということは私たちも理解をしております。であるからこそ、事業者は早い時点で、本当に苦しいのであれば早い時点で伝えてくるべきであったと思いますし、なぜこの時期に及んであのような表明になったかというのは、これは私の方からお答えをすることはできません。事業者の方の事情であろうとは思いますけれども、なかなか理解をしかねるところではあります。

斉木委員 委員長のおっしゃることは、私も、立地地域の住民としては全く同意をするところなんですね。

 私も、地元に帰ればUPZの住人ですので、敦賀、美浜、そして「ふげん」、「もんじゅ」と四サイト、UPZ内に居住をしております。ですので、事業者がどれだけ本気で規制基準を守らなければいけないか、遵法精神、その規制基準に対する遵法精神が本当にあるのかどうかというのを根本から疑わざるを得ないような四月十七日の申出だったなというふうには思います。

 一方で、事業者側から見ると、正直に申し上げて、今、財政のことを申し上げました。電力自由化のこの時代にあって、関西電力も大阪ガスと競争しているし、東京電力も東京ガスなどほかの新電力とも競合している。以前のように、電力事業者が欲しいと言えば金融機関が一兆円でも貸してくれたような時代はもう終わっている。なので、この特重施設に関しても、関西電力ではたしか七基で四千億円程度という見積りを公表していたと思うんですけれども、なかなか、そのお金がない中でどれだけつくれるのかなという、非常に懐ぐあいが厳しいというところはあると思うんですね。

 前回もお聞きをいたしましたけれども、関西電力の岩根社長も、この二十四日の原子力規制委員会の発表の後、この特重施設が間に合わないのであれば、かわる手段も、方策も考えて、規制委員会と話し合っていきたいというようなことを発言されたというふうに報道されておりますけれども、正直申し上げて、やはり、事業者の側にヒアリングをしておりますと、国がもっと、全て事業者に押しつけるのではなくて、テロ対策施設は当然必要だ、だけれども、国として何らか、テロ対策の防護、多重防護というところにかんでくれないのかな、お金がやはり限界があるという正直な本音も漏れ聞こえてくるところでございます。

 それに対して、これは前回もお聞きいたしましたけれども、更田委員長として、国がもっと財政的な負担を負ってテロ対策をしないと進まないのかどうかというようなことに対して御所見をお持ちでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず第一に、事業者の経済的理由によって安全に関する妥協を行うことはできません。したがいまして、継続的な改善の観点からも、期限までに特定重大事故等対処施設を設置することは、これはもう以前からの要求であり、これを満足しないと不適合な状態になるというふうに考えております。

 一方、テロ対策一般に対して、国の関与ですか、これは、ここで言う国というのは、原子力規制委員会を指しているものとはちょっと考えられません。むしろ、経済的な支援であれば、これは資源エネルギー庁等々その他の省庁の所掌されるところでありましょうし、また、テロ対策ということ全般を考えると、警備であるとか、そういった他の当局の責任に負うものとも思いますので、国の関与をというのは原子力規制委員会が預かるものではないというふうに考えております。

斉木委員 きょうは防衛省の方にも来ていただいておりますのでお聞きをしたいと思いますけれども、電力事業者側と陰に陽に話をしておりますと、やはり、諸外国では軍が原子力発電所の警備に対してかんでくれているところもあるじゃないか、ただ、日本では警察力のみに限定をされているので、やはり、火力も違うし、軍がかむようなことを、日本でいうと自衛隊ですね、がかむようなことを考えてくれてもいいんじゃないかというようなことをおっしゃる方もいます。

 諸外国の原発警備体制について、特に軍が関与しているケースというのはあるんでしょうか。

片山政府参考人 お答えをいたします。

 外国のテロ対策に関する事柄でございますので、原子力規制庁で情報収集できた範囲においてお答えをしたいと思います。

 海外では、原子力発電所の警戒警備の主体は、平時においては、事業者が委託した民間の武装警備員又は警察であることが多いのではないかというふうに承知をしております。

 ただ、緊急時には警察と軍が連携して対応する国もあるというふうに承知をしているところでございます。

斉木委員 恐らく、日本の場合にも、原発特別警備隊であるとか、県警単位で組織をされて、それぞれ対応されているんだろうというふうに思います。

 ただ、福井県からは以前に、原発が集中立地をしております、高速炉と商用炉を含めて十五基存在をしておりますので、嶺南地区に自衛隊の駐屯地を新設してほしいという、県として、県議会でも議決をした記憶がありますし、そういった、県としての要望を国に対して行ったというふうに把握をしております。

 ただ、いまだにそれは、実現は難しいというふうなことも聞こえてきておりますけれども、この福井県からの、この嶺南地域、集中立地地域に対する駐屯地の新設をという要望に対して、できるのかできないのか、できないとすればどのような背景があるのか、担当省、教えていただけますか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、委員御指摘の福井県嶺南地域を始め、原発が多数立地している地域の安全、安心を確保することは極めて重要だと考えております。

 この点、平成三十年に、鳥取県の空自美保基地内に陸自美保分屯地を開設するとともに、中部方面ヘリコプター隊第三飛行隊を新編し、輸送ヘリコプターCH47を新たに配備しており、これにより、御指摘の福井県嶺南地域を含め、日本海側の沿岸地域への陸自の展開能力が大きく向上しているところでございます。

 このような状況を踏まえ、平成三十年八月及び十一月、福井県と連携して、原子力発電所の近傍における展開基盤のあり方に係る検討の資とすることを目的として、陸自航空機や普通科部隊による展開基盤のあり方の検証を行い、これら航空機や部隊の展開態勢を確認したところでございます。

 なお、御指摘の福井県から御要望いただいている嶺南地域への自衛隊配備については、御案内のように、多額の予算と追加的な人員措置を要するため、直ちに実現することは困難な状況でございますが、防衛省としては、各種防災訓練に積極的に参加するとともに、展開態勢の検証結果等も踏まえ、福井県における原発防護や災害救援に対する自衛隊の備えを不断に検討してまいる所存でございます。

斉木委員 ということは、福井県から要望が出ていたのは、敦賀、美浜、そして大飯、高浜という立地状況、商用原発ですので、その中間点である若狭であるとか小浜であるとかに、この四サイトにしっかり制圧部隊を送り込めるような近傍施設をつくってほしい、中間点に設けてほしいというようなプランだったというふうに私は把握しております。

 ただ、そういうふうに中間点に駐屯地を設けるということは難しいということでよろしいでしょうか。

小波政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、多額の予算と人員措置等を必要とするため、現段階では直ちに対応することは難しい状況でございます。

斉木委員 今お聞きした対テロ対策というのは、恐らく陸上からの侵攻に備えてのものだと思います。

 もう一つ備えなければならないのが、特重施設でも想定されております航空機の落下等の対テロ対策でございますけれども、今、防衛省としては、対航空機であるとか対ミサイル防護というものは、私がレクでお伺いした範囲で申しますと、海上に展開しているイージス艦で捕捉をする、そして陸自で展開しているPAC3などで迎撃をする、そういった防護を考えているということなんですけれども、そういった対ミサイル、対航空機落下ということではそのような防護体制ということでよろしいでしょうか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 まず、個別具体的な部隊運用の詳細につきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で一般論として申し上げれば、テロ対策を含む国内の治安維持については、もう先ほど来委員も御指摘のように、警察機関が第一義的な対応の責任を有しておりますが、自衛隊は、発生したテロの態様等に応じて関係機関と密接に連携して対応することとなります。

 具体的には、テロ攻撃が一般の警察力をもっては治安を維持することができない緊急事態である場合等、すなわち、警察力ではなかなか、先ほど来の空からの侵攻等について、例えば対応が難しいような場合、治安出動等の発令を受け、警察機関と連携して対処することになります。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊では、いかなる事態においても、国民の生命財産を守るべく、警察機関とも密接に連携しつつ、万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

斉木委員 福井県から要望が出ていたのは、主に原発のテロを制圧する目的での中間点への駐屯地の配備ということだったと思いますが、日本国全体として、原子力発電所に対するテロを想定して人員の配置であるとか基地の配置、駐屯地の配置をした例というのはあるんでしょうか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊は、有事や災害を含む多様な事態に対処する必要があるとともに、必要に応じ部隊を機動的に展開して運用することから、特定の地域に所在する原子力発電所の防護や原子力災害への対処のみを目的として駐屯地、基地等を配置しているわけではございません。

 ただ、その上で申し上げれば、例えば、陸上自衛隊の作戦基本部隊である師団、旅団については、全国的に展開して対処する機動師団、旅団のほかに、これらが展開した後の広大な地域の防衛を担う地域配備師団、旅団があり、原子力発電所へのテロへの対処等を含め、ゲリラ、特殊部隊による攻撃に対しては、これら地域配備師団、旅団が中心となって柔軟に機動展開し、対処することになります。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、福井県嶺南地域を始め、原子力発電所が多数立地している地域の安全、安心を確保することは極めて重要だと考えており、引き続き必要な措置を検討してまいる所存でございます。

斉木委員 ありがとうございます。

 更田委員長に再びお聞きをいたします。

 前回、私との質疑の中で、このような特重施設のように、コントロールルームが建屋内に一つあって、もう一つ別に、中央制御室を二系統備えているような、日本の現行の特重施設と同じようなテロ対策を講じている施設は海外にもあるんだということの答弁があったやに記憶をしております。

 具体的に、こういった二系統のコントロールルームを持っている、日本の特重類似の施設を備えている国の例というのは、どのような国の例があるんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 今回の特定重大事故等対処施設と類似の施設といっても、これは国の規制によって、それぞれ、さまざまでありますけれども、まず、先生の御質問の中にありました制御室に関して言いますと、本体施設と離れた位置に制御室を設置して、制御システムを強化する対処をとっている国としてはイギリスが挙げられます。また、冷却それから電源ですとか、そういったものの強化に関してはスイスのものが、ある意味、規制の当局の間ではよく知られているものであります。

斉木委員 そういった、過去、当時一九七〇年代ですかね、軍用機などが非常にまだ技術が未発達で墜落をしやすかった。なので、こういった中央制御室様のものを複数設けるというような施設が、ドイツ、スイス等であったというふうに私も聞いております。

 そういったものも、歴史的なものを念頭に置かれて今回の基準を決められているんだろうというふうに思いますが、これは最初の質問にちょっと立ち戻るところもあるんですけれども、であるならば、これだけ、電力事業者も、本当にできなければ原発がとまるんだということを認識していれば、これだけの株価下落であるとか、福井県でも今大きな社会的な反響が起きておりますけれども、こういった事態に立ち至らなかったのかなというふうに思います。

 更田委員長も、なぜ一月の時点で言ってくれなかったのか。わずか三カ月、四月で、一斉にできませんというようなことを言い出したのか、ちょっと得心しかねるということだったんですけれども、ぜひ、私が思うのが、テロ対策をしっかり講じていくということと同時に、お金を出すのは事業者なので、つくれる基準で最大のものを事業者には求めていかないと、基準そのものが、やはり絵を描いても実現しないということにもなりかねません。

 そのあたりの、事業者の財政状況と求め得る基準のどこがベストの解で、今、この日本の特重施設、規制委員会で発表されている特重施設というものは、そこの事業者の財政状況、そして求め得るテロ対策として最大のもの、そこが着地点として折り合える地点になっているというふうにお考えでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 基準で要求をしている特定重大事故等対処施設の性能それから設計といったものの考慮に事業者の財政事情は入っておりません。つまり、考慮はされておりません。

斉木委員 まさに規制委員会は、政治的理由、経済的な理由は一切抜きにして、安全性を最大限追求する施設ですので、原子力委員会委員長としては、そのような答弁になるかなというふうに思います。

 一方で、原子力規制庁に同じ問いをちょっと投げてみたいと思うんですけれども、規制庁としても、この今の特重施設というものは、事業者の財政状況であるとか、求め得る安全性の基準であるとか、それはしっかりと事業者ともコミュニケーションをとった上で決められているという把握でよろしいでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 規制庁への御質問ということですので、規制庁からお答えいたしますが、基本的には、今、更田委員長がお話しされたとおり、私どもとしては、まず、原子力発電所の安全を確保するために必要なものは何かということを考え、その内容については、事業者の意見も聴取しながら基準の案を作成し、また、その経過措置を設ける際には、どのくらいの期間かかるかということを定めるために、どのくらいの期間を必要とするかということについて事業者の情報も聴取をしながら定めてきているところでございます。

 その中で、その財政面、費用面については、先ほど委員長が申し上げたとおり、どのくらいかかるのかということについては、特に私どもとしてそこを参酌して判断するということにはしていませんけれども、事業者の方から、財政負担がどうしても難しいのでできないというような声は今のところ聞いてございませんので、また、実際、これまでの申請の中で示された工事計画の必要な期間、この時期までには竣工しますというその申請の中にあらわれていることをもってしても、決して不可能なものを要求しているということではないというふうに考えてございます。

斉木委員 ありがとうございます。

 最後にお聞きしたいのが、関西電力が、今回の原子力規制委員会の発表を受けて、定期検査時期の見直しをしているという報道が、きのうのこれは夕方六時半付の日経新聞の記事なんですけれども、原発は、十三カ月内に一度、二カ月から三カ月程度の定検をしなければいけません。ですので、今回の想定される、高浜の三号機であれば来年八月、そして高浜四号機であれば来年の十月に訪れるであろう停止に備えて、テロの特重施設ができない期間にちょうど定検の時期を合わせて、停止期間のマイナスインパクト、経済的な損失を和らげようということを関電の経営陣は考えているという記事がきのう載りましたけれども、これは、要するに、定検の時期をその原発の停止命令の時期に合わせよう、ずらそうということは、原子力規制委員会としては問題ないということでよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 運転期間、いわゆる運転サイクル期間ですけれども、これは、十三カ月以内ということですので、それよりもサイクル期間を短くするのは、これは事業者の裁量の範囲であって、それを規制委員会が妨げるものではないというふうに理解をしております。

斉木委員 この問題は、費用、そして基準、非常に難しい局面に、今、日本の原子力全体としても来ているなと思いますので、また折に触れて、継続的に質疑をさせていただければと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

高木委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私からは、ことしの二月二十七日の予算委員会第六分科会、また三月二十八日の当委員会でも取り上げました火山灰の問題についてお聞きをしたいと思います。規制委員会の審査とは何かが問われるテーマだと思っております。

 関西電力の三つの原発、高浜、大飯、美浜原発について、大山が噴火した際に降り積もる火山灰の厚さ、これが、いわゆる再稼働の前提となる原子炉設置変更許可の際には十センチでありました、三原発とも。ところが、変更申請が許可された後、新たな知見が得られたということで、この新たな知見は、二十五センチではないかという知見であります。この新しい知見を受けて、規制委員会は、昨年の十二月に関電に対しまして罰則つきの報告徴収命令を出して、いわゆる再調査を命じた。ことしの三月末に関電がその結果を規制委員会に報告をしていると思います。

 規制委員会にお聞きしたいんですが、再調査の結果はどういうものだったか、また、その結果についての評価について、簡潔にお願いいたします。

山田政府参考人 関西電力は、大山生竹テフラの噴出量を十一キロ立方メートルとして、既許可の原子炉設置変更許可申請書と同じ移流拡散モデルというものを用いたシミュレーションを行った結果、各発電所における降下火砕物の最大層厚は、高浜発電所で二十一・九センチ、大飯発電所で十九・三センチ、美浜発電所で十三・五センチと報告してございます。

 原子力規制委員会は、敷地における最大層厚が、既許可の十センチメートルから、発電所によって異なりますけれども二十センチ前後の値になり得ることから、少なくとも発電所の安全機能に影響を及ぼし得る火山事象に係る基本設計方針に影響があり得るというふうに評価をしてございます。

藤野委員 今答弁いただきましたが、配付資料の一を見ていただきまして、その「まとめ」の部分にも当たります。申請許可の段階、許可を審査する段階では十センチだったものが、それぞれ二十一・九、十九・三、十三・五ということで、「少なくとも発電所の安全機能に影響を及ぼしうる火山事象に係る基本設計方針に影響があり得る」というふうに評価をされた。これは極めて重大であって、何らかの対応が必要だと思います。

 この何らかの対応との関係で、配付資料の二を、裏ですけれども見ていただきたいと思うんですが、これは、四月十七日の記者会見での更田委員長の御発言であります。

 ここにありますように、設置変更許可段階に行った議論を改めて新知見に基づいてもう一回やるわけだから、ちょっと飛ばしますが、きっちりと審査の土俵に乗せて行った方が、私としては正しいやり方だと思っているということであります。それで、何らかの変更申請を行ってもらってというふうに続くわけですが、規制委員会にお聞きしたいんですが、この委員長の発言から一カ月以上たっているわけですね。関西電力は、いわゆるこの審査の土俵に乗ってきたのか。変更申請等を行ってきたんでしょうか。

山田政府参考人 現時点におきまして、関西電力から、大山火山の大山生竹テフラの噴出量規模の見直しを踏まえての設置変更許可申請は提出されてはございません。

藤野委員 委員長がやはりきっちりと審査の土俵に乗せるべきだとおっしゃっているわけですが、関西電力はその土俵に乗ってきていないという状況であります。このまま現状を黙認、追認するということは許されないというふうに思います。

 具体的には、配付資料の三を見ていただきますと、これは、原子力委員会の第四回会合、ことし四月十七日の委員会会合での委員長の発言でありまして、ここでは、より具体的に、許認可のベースとして工事計画認可の前提となるものでもあるし、きちんと評価をやる必要があると。具体的には、その下にあるように、例えば、ディーゼル発電機等の火山灰対策は練り直してもらう必要があるし、荷重に関しても改めて評価を行って確認する必要があるというふうに委員長が指摘をされているということであります。

 規制委員会にこれも確認したいんですが、関西電力は、こうした火山灰対策の練り直しや荷重評価のやり直しというのを行っているんでしょうか。

山田政府参考人 御指摘いただきましたディーゼル発電機等の火山灰対策の練り直し、荷重に関する改めての評価とその確認について、関西電力が現時点でどの程度の検討を行っているかについては把握してございません。

藤野委員 結局、これは、新しい知見が得られたわけですね。新しい知見が得られたから、規制委員会自身が報告徴収命令を出して、再調査をしなさいと。関電がそれに基づいてみずから調査をしたら、審査時の十センチから、二十センチ前後ということが判明したということであります。この結果に基づいて、規制委員会も、これは発電所の安全機能に影響を及ぼし得る、基本設計方針に影響があり得ると認めているわけであります。

 それなのに、その判断から一カ月以上たっても、設計変更許可の申請もしないし、火山灰対策の練り直しもしないし、荷重評価のやり直しもしない。何にもしないけれども、原発の稼働だけは続けさせてもらいますよと。

 もしこれが許されれば、委員長、これは何のための審査だったのか、あるいは何のための報告徴収命令だったのかということになると思うんですが、これはいかがでしょうかね。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 四月十七日に原子力規制委員会で議論をしたときのちょっと繰り返しになりますけれども、少なくとも各発電所の安全機能に影響を及ぼし得る火山事象に係る基本設計方針に影響があり得ることから、事業者から、これはまず、私は設置変更許可の申請を受けて、審査の土俵の上に乗せて、議論をやり直して、結論を得る必要があるというふうに認識をしております。

 この点につきましては、委員会で発言したとおりで、今現在もその考えは変わっておりません。

 そこで、現時点で、基準への適合性について。これについては、まだ委員会での議論を経ているわけではありませんけれども、ところが、今、関西電力からは申請が行われていないので、申請命令というやり方があるのか、ないしは申請を促すのか、こういったものについてのアプローチをどう考えるか。これは事務的な手続によるところも大きいので、原子力規制庁に検討を指示したところであり、その答えを待っているところであります。

藤野委員 今お話あったアプローチの話はちょっと後で聞きたいんですが。

 その前に、今委員長もおっしゃいましたが、基準への適合性については、委員会でもまだ議論がされていないということであります。私、ここがポイントじゃないかと思うんですね。

 審査のときには十センチだったものが二倍になっている、これでは安全性に影響があり得る、基本方針に影響があり得るという。しかし、関電は何もやろうとしていない。一カ月以上たっている。こういう状況が基準に果たして適合しているのかどうかという点について、これはどのように考えたらいいんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、許可を受けたときの前提が十センチであった。これに対して、新しい知見が得られたら、二十センチ前後ではないかという可能性が出てきた。まあ、これは、確定したものではなくて、審査の土俵に乗せてしっかり議論する必要があると思っています。

 ただ、前提に大きな変更が必要である可能性が出てきた時点で、一概にこれをもってその時点で不適合とするわけにはいきません。ですから、前提が変わった可能性があるということで、であるからこそ、審査の土俵に乗せてきちんと議論をする必要があると思っています。

 もう一つお答えしますが、これは規制のアプローチの基本的な考え方でありますけれども、新しい知見が得られて、新しい指摘が得られて、審査の前提が覆る可能性が出てきたときに、直ちにその時点で、例えば極めて事業者が大きな不利益をこうむるような措置をすぐに行うということは、新知見があらわれてくるとか、強い提言があらわれてくるとか、現場からの改善のための提言といったものの意欲をそいでしまうことになりますので、やはり新知見が見つかったらきちんとした席で十分に議論をして、そして、これも結論によりますけれども、火山灰に対する想定が大きく変われば対策も新たにとってもらう可能性がありますけれども、その対策をとる上でも、やはり、一定の経過期間を設けて、事業者が対処できるような考え方をとっていくべきであろうと思っています。

 したがいまして、前提に変更の可能性が生じてきた現時点をもって不適合だと決めつけているものではございません。

藤野委員 いや、一定の期間をとってとおっしゃいましたが、もう一カ月以上たっているわけですね。昨年からこの問題がずっと議論されて、規制委員会自身がそういう命令も出された結果の話であります。結果が出たにもかかわらず、関電は申請もしない、何にもしない、原発だけが動いている。安全性に影響があるかもしれないというもとで、これを本当にこのまま追認していくというようなことは許されないと思うんです。

 バックフィットという考え方があると思うんですね。新たな知見が得られた場合、これを規制に取り入れていく。まさにあの三・一一の事故の教訓を経て新規制基準にも取り入れられた。

 今回、関電は、対策の必要あるいは対応の必要がわかっていながらこれをやっていないわけですね、現時点。これは、まさに東電が、あの福島における津波や地震への対策が必要なことがわかっていながらこれをやってこなかったという姿とダブってくるわけでありまして、今のこの関電の状況というものがもしそのまま黙認されるようなことになれば、これは三・一一の事故から教訓を得ていないということになってくると思うんですね。これは、私、絶対に許されないと思うんです。

 委員長は、先ほど新しいアプローチという言い方をされました。これは、関電が変更申請してこないというもとで、本来であれば、私の立場からしますと、このバックフィットという大きな権限があるわけですから、委員長自身、大きな武器という言い方もされておりましたが、これに基づけば、本来であれば、これも、こういう一カ月以上何もしないような事業者に原発を動かす資格なしという判断をするのが私は正しいと思うんですね。意欲の問題ではない、意欲を見せないわけですから。

 ただ、今、委員長の答弁からしますと、このアプローチの踏み方について検討すると。四月十七日の委員会では、しかるべき期間でステップの踏み方について検討してもらいたいという言い方をされております。しかるべき期間と。

 このしかるべき期間というのはどれぐらいなんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘のように、今のような状態がいたずらに長い期間続くということは、これは決して許されるものではないと私も考えております。

 また、バックフィットという制度のもとで、新しい知見が得られて、安全にかかわる議論の前提に対してその変更を迫る可能性が出てきた以上、これはきちんと、バックフィットも、先ほど強い武器という申し上げ方をしましたけれども、これは権限であると同時に、私たちは、これを正しく行使することは義務であるとも考えております。

 したがいまして、現在、設置変更許可申請を行う意図が見られない事業者に対してどう働きかけるかということのやり方を、原子力規制庁に対してアプローチという表現で検討を指示したところで、これが十七日でありますけれども、このとき、期限は特に縛らないという言い方を事務局に対してはしたのですけれども、もうおっしゃるように一月以上を経過しておりますので、これは近々に原子力規制庁からその検討結果を聞いて、重ねて申し上げますけれども、事業者に対して設置変更許可申請を行うように迫るといいますか、強く促す、ないしは、これが命令という形になるのかもしれませんが、これについては規制庁の検討を待ちたいと考えております。

藤野委員 これは本当に放置できない事態だというふうに思っております。

 規制委員会と事業者のあり方、関係の根本、そして、審査とは何か、与えられた権限をどのように使っていくのかというさまざまな問題が問われているというふうに思います。その点からも、こうした問題に早急に答えを出して、とめるべき原発はとめるということを強く求めて、質問を終わります。

高木委員長 次に、足立康史君。

足立委員 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 きょう、更田委員長には恐らく通告をさせていただいてないと思いますが、きょう、私からは、福島第一原発の廃炉の話と、それから高レベル放射性廃棄物の最終処分の、トイレなきマンションとよく昔はやゆされた、その出口の部分に焦点を当てて御質問申し上げますので、経産省、東電に中心に御質問させていただきますが、更田委員長にもお聞きをいただいて、また与党、野党の先生方にもお聞きをいただければと思います。文挾副社長には、お忙しいところありがとうございます。

 さて、申し上げたいというか御質問したいことは、まず、廃炉のロードマップですね。これは、大変、当事者というか、やっていただいている当事者である東電、あるいは経産省、御努力はよくわかっております。

 こういう冊子もちょっと頂戴を、「廃炉の大切な話 二〇一九」ということで、「福島第一原子力発電所の今とこれから」と、大変思いのこもった冊子も拝見をしています。ロードマップも当然拝見をしていますが、例えば、この冊子にも書いていますが、QアンドAというのがあります、廃炉QアンドA。本当に三十年から四十年で終わるのという国民の素直なというか率直な疑問に対して、それっぽいことは書いてあるわけでありますが、経産省に、ロードマップ、守れそうでしょうか、御答弁お願いします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所の廃炉につきましては、米国スリーマイル原発の事故収束例や、通常の廃止措置の標準工程等を参考に、中長期ロードマップにおいて三十年から四十年後の廃止措置完了を目標として、関係者が共通の目標を持って取り組んでいるところでございます。

 他方で、今御指摘いただきましたように、福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、世界に前例もなく、非常に困難な取組であるということは事実であると認識をしております。そのため、現場の状況に応じて柔軟に対応していく必要がございます。

 いずれにしても、引き続き、国も前面に立って、全力で取り組んでいく所存でございます。

足立委員 足を引っ張るつもりは毛頭ないというか、応援したいわけですが、新川審議官もずっとこういう分野で長いですかね、そうでもないか。あ、個別の会話をしたらいけませんね。

 御努力はよくわかっておりますが、例えばこのロードマップにある、マイルストーンといって、主要な工程、表一というのが十ページにあるんですけれども、この細かいことはいいですよ、新川さん、別に細かいことはいいんですが、これは、時期が書いてあるのは、二〇二一年度ごろまで、じゃないや、物によるんだな、だから、特にデブリの取り出しなんかは、二〇二三年度めどとか、これは一番将来でも二〇二三年度めどまでしか書いてないわけです。大阪・関西万博より前ですよ。逆に言うと、それぐらいまでしか決められないし、決めたものもおくれていますよね。ここに書いてある年限どおりやっているわけではないわけです、既に。

 だから、私は何が申し上げたいかというと、ロードマップはつくったらいいんだけれども、ロードマップをつくったのはいつだっけな、改定しているのかもしれませんが、相当早い段階でつくっていますから、その後もいろいろな変動もあるし、だから、三十年、四十年、例えばデブリの取り出しとか、デブリの取り出しの開始時期だけ書いてあるんですよ。

 デブリって、この間NHKスペシャルで何かやっていましたけれども、じゃ、取り出してどうするんだ、どうするんだ、どうするんだといって、それで取り出したものをどこに持っていくんだと、議論をすると切りがないんですけれども、これは、私の、普通の国民の感覚でこの資料をちゃんと読むと、この工程表を見ると、ロードマップを見ると、あっ、要するに、まだわからないんだなと。要は、一言で言うと、めどは立っていないんだなという感じを僕は受けます。

 だから、三十年、四十年と書いてありますけれども、国民は、じゃ、三十年、四十年で終わるのという素朴な疑問を持っているんだけれども、とりあえず三十年、四十年と言っているけれども、とりあえず言っているだけで、ほとんど根拠もなく。だって、根拠ないですよ。だって、工程表とかロードマップというのは技術的なことを中心にいろいろ議論をしているんだけれども、技術的な開発も別にめどは立っていないものもある。それについて、例えばデブリをどうするんだということについて、じゃ、国民の理解が十分になされているか、なされていない、どうするんだ、そういうことを考えると、一応つくらなあかんからつくっているけれども、私は、めどは立っていないというのが正確な理解というか正直なところだと思うんですね。

 私は、そのめどは立っていない、廃炉というのはこんなに難しいんだということこそ国民に知らせるべきだと思うんですよ。

 これ、すばらしいね。すばらしい冊子ですけれども、きのう担当の方が持ってきてくれて、つくったときの御苦労も、御苦労というか、どういう思いでつくられたということも聞きましたが、じゃ、その三十年、四十年というさっきの素朴な質問にどう答えているかと、あっ、きょうは余り時間がないんだな。(発言する者あり)済みません、急ぎます。井出先生は僕の尊敬するあれですから、ちゃんとやれということですね。

 だから、新川さん、それはめどが立っていないんだ、廃炉というのはこんなに難しいんだ、できますじゃなくて、こんなに難しいんだということこそ国民に伝えるべきだと私は思いますが、どうですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、中長期ロードマップにつきましては、一番最初、二〇一一年の十二月につくっております。現在のロードマップは平成二十九年九月につくっておりますが、第五版となっております。

 廃炉・汚染水対策という意味では、汚染水対策そのもの、それから使用済み燃料プールからの燃料の取り出し、燃料デブリの取り出し、廃棄物対策といった、大きく分けるとこういった分野に分けられることについて、それぞれマイルストーンとして当面の目標を決めて、そして、そこに向けて努力をしているところでございます。

 御指摘のように、個別の状況に応じて、この時期が達成できなかったり、若しくは達成したもの、幾つかあるという状況でございます。

 三十年から四十年というところにつきましては、先ほど申し上げましたように、アメリカのスリーマイルの事故収束例や、通常の廃止措置の標準工程等を参考に、廃止措置完了までの期間を設定したものでございます。

 御指摘のように、まだ世界にも前例のない困難な取組でございますので、三十年から四十年という数字を基本としつつ、現場で新たに判明した事象に応じて、ステップ・バイ・ステップで工程を柔軟に見直すという方針に立って作業を進めておりますが、一日も早い福島復興を目指していきたいと思っております。

 また、御指摘の、廃炉の難しさをきちんと伝えるという点につきましては、私どももしっかり考えて伝えていきたいというふうに考えております。

足立委員 今、最後におっしゃった、廃炉の難しさを伝えるということが、実はこの原子力政策、規制庁のお仕事もそうですが、僕は、最も大切な原子力特別委員会の役割だと思っているんですね。

 だから、私は、今の御答弁、一番大事なところは、まあ難しさも伝えていかないといけないね、わかっていますよというので終わっているわけです。それは東電においても、経産省においても、やはりその難しさだけでいいんですよ、国民に伝えるのは。だって、そんな難しいものはみんな読まないんだから、こんな。

 ちょっと、難しさについて一言ずつ、新川審議官とそれから東電の文挾副社長、一言ずつ、難しいんだと国民にちょっと語りかけていただけませんか。まず、どっちでもいいですよ。はい、新川さん。

新川政府参考人 福島第一原発の廃炉を完了していくためには、使用済み燃料を取り出していかなければならない、また、燃料デブリを取り出していかなければならないという非常に難しい点がございます。

 使用済み燃料プールからの燃料取り出しにつきましては、四号機については既に完了しておりますし、三号機についても開始をしたところでございますが、まだ一号機、二号機につきましては、まだ一号機は瓦れきを取っておる最中でございますし、二号機はどのように取り出すかということの検討を進めている段階でございます。

 燃料デブリにつきましても、原子炉圧力容器の真下のペデスタルというところの二号機の状況についてはおおむねわかってきて、そして接触調査もできておりますが、まだ圧力容器の内部の状況といったことはわかっていないという状況でございますので、そういったことについてしっかりと把握をし、そして、この福島第一原発の廃炉・汚染水対策をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

文挾参考人 ありがとうございます。

 具体的には今経産省の方からお話がありましたので、大変恐縮ですが、定性的となりますけれども御説明をさせていただきますと、廃炉の措置の終了までには三十年から四十年という目標観を持って今進めているところでございます。これは今後も前例のない取組が当然ながら続きまして、困難な作業が当然ながら想定をされます。これまでの取組で得られた知見とか、当然ながら経験というものもございます。それと、国内外のこれから英知を、今もそうですが、集めさせていただきまして、これを活用させていただきまして廃炉作業に取り組みたいというふうに思っています。

 いずれにしましても、事故を起こした当事者といたしまして、とにかく安全最優先に、地域の皆様、それと作業員の皆様の安全というものを最優先にいたしまして、着実に廃炉を進めてまいるように努力をしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

足立委員 私がいろいろのんびりしゃべっちゃうものですから、時間がもうなくなりつつあるんですが、村瀬部長にもお越しいただいています。ありがとうございます。経産省の同期でしたよね。同期で一番優秀な、細田先生より優秀、比べるのも申しわけないぐらい村瀬さんの方が優秀なんだけれども、まあいいや。失礼しました。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分、もっと問題です。十万年の問題です。一言、一言というか、これも私は、最終処分って、科学的特性マップができたから何かそこでどこか選んでできるのかというと、そんなものでもないでしょう。ちょっとこれも、村瀬部長、いや、これは結構難しいんだよねと、ちょっと一言、いや、十言でも結構です。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のようなことはエネルギー基本計画の中にも言及がございまして、エネルギー基本計画の中でも、一万八千トンの使用済み燃料がある、実際にある、ガラス固化体でこれは二万五千本相当であると。「しかしながら、」というふうに書いてございまして、「しかしながら、放射性廃棄物の最終処分制度を創設して以降、」この当時でございますけれども「十五年以上を経た現在も処分地選定調査に着手できていない。」、こういう厳しい状況についてエネ基で言及がございます。

 一方で、エネ基の中で、廃棄物を発生させた現世代の責任として、将来世代に負担を先送りしないように、国が前面に立って取り組む必要がある、こういうことも書いてあります。

 我々、この方針にしっかり沿って、次世代に先送りしないようにしっかり対応してまいりたいと考えてございます。

足立委員 ありがとうございます。

 きょうは原子力特委ですので、経産大臣はいないところでやっているわけですが、これは、私、きょう私がお話ししたことは新川さんや村瀬さんの問題ではないと思っています。これは政治家がしっかりリーダーシップを持って、原子力政策の推進をしていくに当たっての難しさを発信していく責任は細田先生にあるんですよ、推進ばかりじゃなくて。だから、私の責任でもあります。

 私が立候補するときに、橋下当時の代表から言われたことは、維新から出たいんだったら、維新から政治家になりたいんだったら、自分の選挙区に最終処分場を誘致すると言えと。そういう覚悟を求められたことを忘れません。

 なかなか我が党も、不祥事続きでなかなかうまくやれていませんが、しっかりとそういう政治の責任を果たしていけるように頑張っていくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

高木委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 よろしくお願いいたします。

 まず、東電の方に伺います。廃炉作業で外国人の就労を認めるかどうかの件でございます。

 当面の間見送りという話がきのうありまして、けさ報道されておりますが、当面の間というのはどのぐらいなのか。

 何か福島市で記者会見した担当の方によると、この先ずっとでは、改善した上での就労はあり得るというような御発言もあったと聞いておりますが、その件についてコメントを求めます。

文挾参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のように、五月二十一日に、厚生労働省から、福島第一原子力発電所におきます外国人労働者に対する労働安全衛生の確保の徹底に係る通達というものを受領いたしました。

 その中で、その通達にありましたとおり、働く方が外国人でございますので、日本語とか日本の労働習慣にふなれな方へその安全衛生管理体制を確立するということがやはり必要ということと、もう一つは、放射線に関する専門知識がない労働者の方が作業することに起因しました労働災害あるいは健康障害が発生するおそれがあるという課題が想定されるので、当社としましては極めて慎重に対応する必要があるということでございます。

 その中で、当面の間、発電所での特定技能外国人労働者の就労は行わないこととするということを会見をしてございます。

 では、これはいつかというのが先生の御指摘でございますが、これは、安全衛生管理体制の確立とか、リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施とか、安全衛生の教育の実施につきましては、福島第一原子力発電所の現場の状況を踏まえながら適切に行うことが重要で、それにはとにかく相当の時間を要するということですので、これが確立するまでは当然ながら採用しないということでございますので、期限を別に切っているわけではございません、こういう対策が基本的にきちっと確立された上で改めて検討するということでございます。

 以上でございます。

井出委員 法務省は、特定技能で入ってくる外国人の方が、建設分野で入ってくる方が、将来的に福島第一で作業されること、それは否定はしないというか、それは認め得るという見解は今も維持されているんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、特定技能外国人の受入れの可否は、在留諸申請に係る活動内容が特定技能として認められる分野、業務に該当するかどうかなど、所定の要件を関係省庁に確認しつつ、個々の事案ごとに個別に審査、判断するものでございます。

 その上で、仮に福島第一原発での作業に従事しようとする外国人について申請があった場合、特定技能について申請があった場合でございますが、厚生労働省の通知でございますとか東電の発表を踏まえまして、労働安全衛生上の措置が適切に講じられていることなどについて厚生労働省や東京電力に確認するなどしながら、適切に審査を行ってまいりたいと思います。

井出委員 そうすると、当初は認めるという見解をとったが、現状は凍結とか認めないとか、そんな感じなんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省としまして、一律に凍結するとか、そういうことを表明しているわけではございませんで、あくまで申請が出てきた場合に個別に判断をしていく、その観点において、特に労働安全衛生上の措置というのは非常に重要なものという観点から、確認をしながら審査をしていくことになろうというふうに考えております。

井出委員 東電の方から少しお話がありましたように、少なくとも放射線の専門知識とか、その辺の部分が問われるんじゃないかなと、作業する際に。

 新聞記事、けさの朝日新聞なんかによりますと、例えばベトナムですか、大変、特定技能、技能実習について理解のある国でございますが、放射線の地域で働くことは違法であるということが、自国の人間が外国で働くときの禁止事項として挙げているというようなこともございます。

 特定技能の建設というのは、試験を見ますと、やはり一般的な建設の試験であって、何か放射線のあるようなところで作業することは、想定しているとはなかなか言いがたい。

 ただ、それでもそこで作業していただくことが必要であるというのであれば、特定技能という建設一般で受け入れるのが果たして正しいのか。それとも、その特定技能や技能実習と別に、極めて限られた高度な知識、技術を有する、そういう在留資格の受入れというのもこれまでやってきたかと思いますが、少し、その導入の、外国人の方に仮にお手伝いをしていただくとするならば、その道筋の開き方の選択肢が現状誤っているのではないのかな、もう少し虚心坦懐に一から検討するべきでないのかなと思いますが、これはまず法務省に伺っておきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、特定技能の仕組みから申し上げますと、ある特定の業務に従事させるために、通常の特定技能外国人に求められる水準以上のレベルを設けるということでございます場合には、まずは、分野所管行政機関において、上乗せの基準を設けるかどうかということなどを、必要性を検討していただくことになるような仕組みになっているところでございます。

井出委員 現地、福島第一での作業の状況等もございますので、そうした外国人の方のお力をおかりしたいということを、全てを否定をするつもりは現状はございませんが、東電の方が答弁をされたように、また、ベトナム政府が今のところそうですが、そうした送り出す側の気持ちというものもございますので、慎重にやっていただきたいと思います。

 残りの時間で一つ、答弁で紹介だけしていただきたいと思います。

 ADRの和解の件で、通告をさせていただいた、東電の側からの拒否を理由として拒否になっているものの推移と、私が五年前に少し取り上げていたんですが、東電の御家族、関係者の申立てについて、それを全て拒否している、それ以外のものは拒否していないというような実態が平成二十六年にありまして、そこの現状を、件数の推移を教えていただきたいと思います。

文挾参考人 ありがとうございます。お答え申し上げます。

 和解拒否の経緯と件数を申し上げたいと思いますが、当社が和解案を拒否したことによりまして手続が打ち切られた件数というのは、これも公表されている数値ではございますが、ことし三月に開示されましたADRセンターの数値で見ますと、二〇一三年には十件、二〇一四年には四十二件、二〇一五年には九件、二〇一六年には七件、二〇一七年には四件、二〇一八年には四十九件というふうになってございまして、合計でいきますと百二十一件ということになります。

 その中で、東電の家族が申し立てた件数ということと、それの拒否の件数の推移というのを申し上げたいと思いますが、申立ての件数から申し上げますと、二〇一一年には一件、二〇一二年には二十六件、二〇一三年には八十九件、二〇一四年には五十九件、二〇一五年には二十七件、二〇一六年には二十一件、二〇一七年には十九件、二〇一八年には十二件となってございまして、これは合計で二百五十四件ということでございます。

 このうち、和解を拒否したことによりまして手続が打ち切られたということでございますが、これは、二〇一三年に十件、二〇一四年に四十二件、二〇一五年に九件、二〇一六年に七件、二〇一七年に四件、二〇一八年に九件というふうになってございまして、合計で八十一件ということでございます。

 以上でございます。

井出委員 じゃ、少し東電の御家族以外の方も拒否が出てきているのかなと思いますが、少し数字を精査させていただいて、また質問させていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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