衆議院

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第2号 令和元年11月28日(木曜日)

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令和元年十一月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 津島  淳君

   理事 中村 裕之君 理事 細田 健一君

   理事 松野 博一君 理事 荒井  聰君

   理事 斉木 武志君 理事 伊佐 進一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      城内  実君    齋藤  健君

      鈴木 淳司君    西田 昭二君

      野中  厚君    福山  守君

      古田 圭一君    星野 剛士君

      堀井  学君    三原 朝彦君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    簗  和生君

      山際大志郎君    浅野  哲君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      日吉 雄太君    本多 平直君

      松原  仁君    宮川  伸君

      岡本 三成君    高木美智代君

      藤野 保史君    足立 康史君

    …………………………………

   文部科学副大臣      上野 通子君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   環境副大臣        石原 宏高君

   環境大臣政務官      加藤 鮎子君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 十時 憲司君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     石田  優君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 森  源二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           千原 由幸君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  黒萩 真悟君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河本 健一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       和田 篤也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 正林 督章君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      山形 浩史君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     松野 博一君

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  日吉 雄太君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  玄葉光一郎君     日吉 雄太君

同日

 理事梶山弘志君十月二十五日委員辞任につき、その補欠として松野博一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に松野博一君を指名いたします。

     ――――◇―――――

江渡委員長 この際、御報告いたします。

 第百九十三回国会、原子力問題調査特別委員会理事会の決定により、本委員会の活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。

 本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。

 以上、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

江渡委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。更田原子力規制委員会委員長。

更田政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の更田豊志でございます。

 衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。

 原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、さまざまな課題に取り組んでおります。

 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ制定した新しい規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。

 これまでに、九州電力川内原子力発電所一号炉及び二号炉、玄海原子力発電所三号炉及び四号炉、関西電力高浜発電所一号炉、二号炉、三号炉及び四号炉、美浜発電所三号炉、大飯発電所三号炉及び四号炉、四国電力伊方発電所三号炉、東京電力柏崎刈羽原子力発電所六号炉及び七号炉並びに日本原子力発電東海第二発電所の計十五基に対して設置変更許可を行いました。東北電力女川原子力発電所二号炉については、昨日、十一月二十七日に開催した原子力規制委員会において、審査書の取りまとめ案を了承し、今後、原子力委員会及び経済産業大臣への意見の聴取並びにパブリックコメントを行うこととしております。

 また、関西電力高浜発電所一号炉及び二号炉、美浜発電所三号炉並びに日本原子力発電東海第二発電所について運転期間延長の認可を行いました。

 このほか、九州電力玄海発電所一号炉、日本原子力発電敦賀発電所一号炉、関西電力美浜発電所一号炉及び二号炉、中国電力島根原子力発電所一号炉並びに四国電力伊方発電所一号炉の計六基について、廃止措置計画の認可を行いました。

 核燃料物質の加工施設については、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、日本原燃濃縮・埋設事業所、三菱原子燃料並びに原子燃料工業東海事業所及び熊取事業所の加工事業の変更許可を行い、廃棄物管理施設については、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の大洗研究所廃棄物管理事業の変更許可を行いました。

 試験研究炉については、国立大学法人京都大学複合原子力科学研究所の臨界実験装置及び研究用原子炉の設置変更承認、近畿大学原子力研究所原子炉の設置変更許可並びに国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の定常臨界実験装置、原子炉安全性研究炉及びJRR3の設置変更許可を行いました。

 また、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構のJRR4、過渡臨界実験装置、東海再処理施設及び高速増殖原型炉「もんじゅ」について、廃止措置計画の認可を行いました。

 以上のとおり、原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。

 規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、高エネルギーアーク損傷対策、降下火砕物対策、火災防護対策等に係る改正を行い、継続的に改善を図っております。

 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から、積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画の審査などに当たっております。

 引き続き、安全上の観点からの優先順位を明確にした中期的リスクの低減目標マップを廃炉作業の進捗に応じて改定し、完了した措置と引き続き監視が必要な措置を明示するなどして、処理した水の処分や使用済み燃料プールからの燃料の取り出しなどの対策が適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。

 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。

 原子力規制委員会では、本年七月、安定沃素剤の配布、服用に関して最新の国際的知見を取り入れるなど、原子力災害対策指針の充実を図るとともに、基幹高度被ばく医療支援センターの指定など、原子力災害時における医療体制の着実な整備を進めております。

 放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置などにより、緊急時モニタリング体制の充実強化を図っております。また、総合モニタリング計画に基づき、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る状況に応じた環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、関係自治体その他の国内外への情報発信にも努めています。

 また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を、継続して国際原子力機関、IAEAより得ております。

 最後に、原子力利用における安全対策の一層の強化のための制度の見直しについて申し上げます。

 第百九十三回国会において、IAEAの総合規制評価サービス、IRRSミッションによる勧告等を踏まえた原子力事業者等に対する検査制度の見直し、放射性同位元素の防護措置の義務化などを内容とする関係法律の改正が成立しました。原子力規制委員会としては、法改正の趣旨を実現すべく、透明性を確保しつつさまざまな関係者の意見等を踏まえて関係政令、規則等を整備するとともに、新たな検査制度の試運用などを行ってきたところです。来年四月の全面施行に向け、さらなる組織体制の強化と人材育成に取り組むなど、新たな制度の運用が円滑に進むよう、万全を期してまいります。

 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。

 我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

江渡委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官十時憲司君、復興庁統括官石田優君、総務省大臣官房審議官森源二君、文部科学省大臣官房審議官千原由幸君、水産庁増殖推進部長黒萩真悟君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也君、経済産業省大臣官房審議官河本健一君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官覺道崇文君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、環境省大臣官房政策立案総括審議官和田篤也君、環境省大臣官房審議官正林督章君、環境省環境再生・資源循環局次長森山誠二君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監山形浩史君、原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君、原子力規制庁長官官房審議官金子修一君及び原子力規制庁原子力規制部長市村知也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。

西田委員 おはようございます。自由民主党の西田昭二でございます。

 きょうは、このような質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げるところでございます。

 私の選挙区は石川県の能登半島でございます。その選挙区の中には志賀町という原発立地自治体がございます。

 先日の半島振興対策促進大会での事例報告の際に、その志賀町の小泉町長からも、電気料金が日本一安く、大手電力会社十社の中では北陸電力管内の電気料金が一番安い、また、原発立地町であることから、原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業、いわゆるF補助金が活用でき、使用電力に応じて電気料金の約四〇%が払い戻しされるなどの事例報告がございました。

 もちろん、自治体として、企業誘致などに関してあらゆる努力をして企業誘致に取り組んでおられることでもありますが、こういったことも一つの大きな材料になっていると考えております。

 しかし、志賀町には志賀原子力発電所一号機と二号機があり、現在は停止をしております。

 国土交通省の白書にも記載されておりますが、人口減少による地方の町、生活へのそれぞれの影響が、雇用の機会の減少や生活利便性の低下、地域の魅力の低下を通じて、さらなる人口減少を招くという悪循環に陥らされることが指摘をされております。

 そうした悪循環を断ち切るためには、地方における産業の充実、雇用機会の増大や消費の増大は重要であり、立地地域のみならず、低廉な電気料金による企業誘致などにより地方を活性化させることは、ひいては、国家全体が経済活性化につながるものと考えております。

 また、昨日は、東北電力の女川原発二号機について、新規制基準に適合する審査書案を了承し、今後は、パブリックコメントなどを経て、その後、原子力規制委員会が審査書を正式に決定をすれば正式に合格するという報道がなされておりました。

 このような観点も踏まえて、二〇三〇年エネルギーミックス実現に向けた原子力の重要性について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、地球温暖化防止、CO2削減に向けた原子力の重要性についてでございます。

 パリ協定の発効により低炭素化に向けた機運が世界的に高まっているものの、世界のエネルギー需要は増加しており、CO2排出量も増加をしております。二〇三〇年エネルギーミックスでは、主な化石燃料、石炭、LNGによる電源構成が五割を占めることとなっております。

 石炭火力のダイベストメントの進行やLNGにおいてもCO2排出は不可避であることからも、化石燃料による発電への風当たりは世界的にもますます強くなってきております。

 こうした状況のもと、カーボンフリー電源として原子力の優位性は揺るぎのないところと考えておりますが、CO2削減に向けた原子力の重要性についてどのように捉えているのか、まずは伺いたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきましたように、エネルギー基本計画におきましても、原子力の位置づけということで、低炭素の準国産エネルギー源であり、運転時には温室効果ガスの排出もない重要な電源であると位置づけられているところでございまして、二〇三〇年のエネルギーミックスにおきましても、約二割が期待されている電源であると認識してございます。

 また、委員から御指摘いただきましたように、二〇五〇年に向けましても、パリ協定を踏まえて、気候変動問題という人類共通の課題に対して、温室効果ガス八割削減という目標を実現する上で役割が期待されているものと考えてございます。

 このように、地球温暖化問題への対応はもちろん、資源の乏しい日本にとって原子力は、安全確保を大前提とした上ではございますけれども、安定的かつ安価な電気の供給、またエネルギー海外依存度といった点を踏まえれば、欠かすことのできないものであると考えてございます。

西田委員 ありがとうございました。

 それでは、次に、原子力比率目標の達成について伺いたいと思います。

 第五次エネルギー基本計画二〇一八において原子力は重要なベースロード電源として位置づけられており、二〇三〇年度電源構成では二〇%から二二%を目標としております。しかしながら、原子力の再稼働は進まず、至近実績はわずか数%でございます。二〇三〇年までにあと十一年しかない中で、このままではエネルギーミックス実現が困難な状況であると言わざるを得ません。

 目標と現実とのギャップが本当に大きい中で原子力比率目標はどのように達成していくのか、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギーミックスにおける原発の比率は、今委員から御指摘いただきましたように、二〇から二二%となっているわけでございますけれども、これは、原子力規制委員会の審査を経て既存の原発を再稼働し、震災前の平均七割の稼働率を、八割程度まで利用率を向上させ、一部の炉については四十年を超える運転期間延長を行うことによって達成可能な水準であると考えているところでございます。

 御指摘のとおり、現時点で再稼働しているものは九基でございますけれども、設置変更許可を既に得ているものが六基、審査中のものが十二基という中で、先ほど御指摘いただきましたけれども、女川原発の審査が進むといったような進捗もある中で、再稼働九基、設置変更許可六基、審査中のもの十二基を足しますと二十七基ということでございまして、二〇から二二%を達成するためにはおおむね三十基と、再稼働が必要になってくるわけでございますけれども、こういったことは可能であるというように考えてございますし、我々政府といたしましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をして新規制基準に適合したと認めたものについては、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくという方針に立っておりますので、こういった方針に基づきまして、国も前面に立った形で、立地自治体等の関係者の理解と協力を得るよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

西田委員 今説明のあったとおり、もちろん安全第一、それは本当に大前提でありますので、でも、なお一層の取組、そしてまたスピードを上げてお願いをしたいと思っております。

 次に、再稼働に向けた立地自治体や国民全体の理解促進についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 安全性が確認された原子力は、速やかに再稼働できることが必要だと考えております。しかし、柏崎や東海第二のように、適合審査に合格してもいまだ再稼働に至っていない現状でございます。

 安全性確認後、立地自治体など関係者の理解と協力を得るよう、国が前面に出て取り組むこととされておりますが、具体的な方策などについてどのように考えているのか、伺いたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、再稼働を実現するためには、立地地域の住民の方々、それから国民の皆様の理解と御協力を得ることが重要であると考えてございますし、エネルギー基本計画においても、具体的に、「国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む。」と明確に位置づけられているところでございます。

 我々としては、このエネルギー基本計画に基づきましてしっかりと取り組んでいくという所存でございますけれども、事業者においても、事業者みずからがしっかりと地域に向き合い、信頼関係を構築していくことが重要だと考えてございます。

 国といたしましては、例えば、エネルギー政策における原子力の意義等について理解が深まるように全国で説明会やシンポジウムなどを開催しておりますが、年間百回を超えるペースでこういった説明会を開催をしているところでございますし、また、インターネットを使った広報を強化するという観点から、国民の皆様が関心のあるイシューにつきましてできるだけわかりやすい情報を週に二回のペースで発信をして、我々にとって厳しい指摘となるような論点についても正面から捉えて、わかりやすい説明のコンテンツを積極的に発信していくということで新たな取組を始めているところでございます。

 こういった取組において、更にこれまでの取組を強化をして国民の皆様方から理解を得られるよう、しっかりと丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えてございます。

西田委員 国民の皆様方のこの不安を払拭するということが本当に大切であると思いますし、今の説明で、全国でそういう機会も設けているということでありますので、本当に国民に対して不安払拭のためにこれからもスピードを持って取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、原子力技術、人材、産業の基盤維持強化について伺いたいと思います。

 日本は、原子力の不断の安全性向上や廃炉の着実な実施、国際貢献など、さまざまな課題に直面しているにもかかわらず、原子力事業の先行きが見通せず、原子力関連業務に従事する人材や原子力関連産業を志望する学生が減少していると伺っております。このままでは、原子力に携わる人材の確保や技能継承に深刻な影響が出かねない現状であるということを聞いております。

 日本がこれまで培ってきた原子力技術、人材、産業基盤維持強化に向けて具体的な方策などについてどのように考えているのか、お伺いをさせていただきます。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、原子力発電所はその安全性や信頼性を確保するため高い技術力が求められるものでございますけれども、現在、再稼働までに時間を要し、新たな建設なども進んでいない中で、現場経験を有する人材が減少している、又は高齢化が進んでいる、サプライヤーの事業が縮小したり撤退をしたりしているといったような懸念が生じていることは事実でございます。安全最優先での原子力利用を支えるためには、経験豊富な人材、高度な技術力、幅広いサプライチェーンを維持されていることが必要であると考えてございます。

 こういった認識のもとで、エネルギー基本計画においても、具体的に、人材、技術、産業基盤の強化に直ちに着手し、安全性、経済性、機動性にすぐれた炉の追求を進めていくことなど、方針が示されているところでございます。

 こういった方針に基づきまして、具体的には、例えば、軽水炉の安全性向上に資する研究開発の推進の予算を確保する、又は、現場技術の育成のための予算を確保、充実する、将来に向けて安全性等にすぐれた小型軽水炉のような革新的な技術開発支援の強化に取り組む、また、すぐれた技術を有するサプライヤーの強化のための予算を獲得するといったようなことに取り組んできているところでございますけれども、更に強化をしていくべく着手を直ちに進め、技術、産業基盤の強化に向けた取組を一層強化してまいりたいと考えてございます。

西田委員 技術や人材の確保、育成、それは本当に原子力政策にとっても切実な問題であると思っておりますので、産業の基盤強化に向けて、これからもしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、原子力の運転期間ルール、四十年であります、における発電所停止期間の取扱いについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 原発の運転期間は使用前検査に合格した日から起算して四十年とされておりますが、これは発電所の運転停止期間も含まれていますので、実稼働期間とは異なっております。

 運転停止期間における安全上重要な設備の劣化については技術的には問題ないと考えられることから、エネルギーミックス実現に向けた既存原子力の有効活用の観点からも、発電所停止期間は運転期間から除外すべきではないかとの声が多く聞かれるわけでございます。そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子炉等規制法が定める運転期間四十年は、御質問の中にもありましたように、暦の上での年数であり、原子炉の停止期間を含むものであります。

 この運転期間につきましては、同法の立法時の国会審議におきまして、技術的見地のみならず、幅広い観点から御議論が重ねられた上で法制化されたものと承知をしております。原子力規制委員会としては、同法及び同法立法時の考え方にのっとった適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

西田委員 委員長の答弁については重々承知をしているつもりでございます。

 原子炉の停止期間の評価の問題については、これまでもさまざまなところで議論されており、ただ単純に検査期間中の停止期間までということを言っているのではございません。ただ、現実的に、新規制基準の審査期間が余りにも長いのが現状でございます。四十年の運転期間そのものではなく、その期間についての考え方について工夫や見直しなどの議論をしていく必要があるのではないかと思いますので、しっかりと検討していただきたいと思いますが、更田委員長の御意見を賜りたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 運転期間につきまして、また原子炉の高経年化につきましては、原子力規制委員会は、電力事業者のCEOやあるいは原子力事業の責任者であるCNOとの意見交換を通じて、現在まさにまた議論を進めようとしているところであります。

 ただ、この運転期間の四十年というのは、時間の経過とともに劣化が進むもの、それから原子炉の運転によって劣化が進むもの、また設計そのものの古さなど、さまざまな観点から定められているものと考えております。

 したがいまして、やはり実質的かつ慎重な議論が必要であるというふうに認識をしておるところであります。

西田委員 もちろん安全は大事でありますので、しっかりといろんな工夫も込めて、スピードを持って進めていただきたいと思います。

 次に、バックフィットルールについての考え方についてお伺いをさせていただきます。

 バックフィットルールは認められた制度であり、安心、安全の観点から、その重要性は理解をできます。しかしながら、ルールにある程度の基準がなければならず、審査期間の見通しが立ちません。さらに、事業者としては経営のことも考えなければならず、事業計画にも影響を与えるものであります。

 そこで、原子力規制委員会として、どのような考え方でバックフィットルールに対応しているのか、また、バックフィットルールの基準づくりを行っているのか、その点についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 お尋ねのありましたバックフィットルールは、これは東京電力福島第一原子力発電所の事故を起こした反省の中で最も大きなものの一つ、継続的な改善が欠けていた、この視点に立って、国会によって原子炉等規制法の改正に当たってお認めいただいた制度であるというふうに認識をしております。

 バックフィットの対応につきましては、新規制基準の施行後、安全研究において得られた最新の知見、海外における最新の知見等を踏まえて、高エネルギーアーク損傷や火災感知器の設置等に係るものについて、合計十一件の対応を事業者に求めております。

 バックフィットを適用する際には、平成二十七年十一月十三日に原子力規制委員会で決定した「新たな規制基準のいわゆるバックフィットの運用に関する基本的考え方」に基づいて、安全上の重要性、被規制者が対応するために必要な期間等を総合的に勘案した運用に努めているところです。

 お尋ねのバックフィットの運用に関するルールですが、先ほど申し上げましたように、バックフィットの対象になるものには、安全上の重要度やまた緊急性、さらには事業者がその対応に要する期間等など、さまざまな要素がありますので、運用上のルールを定めるためには極めて慎重な議論が必要だと考えております。

 このため、規制委員会としては、令和二年度からの次期中期計画の骨子案において、バックフィット制度について、円滑かつ効果的な制度が運用できるよう、改善点の抽出や制度の体系化等に努める旨を掲げているところであります。

西田委員 事故の再発防止は本当に極めて重要なことでありますので、安全性を重視して、これからも速やかに進めていただきたいと思います。

 次に、検査期間の短縮についてお伺いをさせていただきます。

 原子力規制委員会は行政機関の一つであり、行政手続法によれば、おのおのの案件に対して少なくとも二年以内に答えを出さなければならないことになっていると承知をしております。

 しかしながら、三・一一以降八年半が過ぎた今の状況において稼働が認められている原発はわずか九基のみでございます。安心、安全を求めることは最も大切でありますが、余りにも時間がかかり過ぎているとも思います。そのため、原発立地自治体において予定していた税収の確保が成り立たなくなっております。

 この現状について更田原子力規制委員長はどのようにお考えなのか、また、審査期間を短縮するための努力は、これまでも十分努力してきたと思いますが、今後どのように改善を考えられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 審査は、その大前提である安全について判断を行う場であるからこそ、実際に現場で直接安全の確保に当たる申請者との間で十分な議論を行い、共通理解を得るべく納得のいくまで議論をして結論を得ることが重要と考えています。

 原子力規制委員会としては、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、厳正な判断を下すことがまず最も重要なことであるというふうに認識をしております。

 その上で、審査にかかる期間ですけれども、申請者にとってだけでなく、原子力規制委員会自身もより効率的に、効果的にこれが進むことが望ましいと考えているのはもちろんのことであります。

 審査の予見性を確保するために、審査過程における主な論点や適合性審査の結果をまとめた審査書や確認事項を作成、公表し、また、同じ形の炉の審査が並行している場合には、当該申請の申請者だけではなく他の事業者の同席も認めるなど、効率的な審査を心がけているところであります。

 いずれにしましても、審査を効率的に進めるためには、原子力規制委員会と申請者の双方の努力が重要であり、引き続き、申請者に的確な対応を求めつつ、原子力規制委員会としても、論点を早期に提示することや、わかりやすい審査書の作成、審査における確認事項の作成などによって審査の効率化を図ってまいりたいと考えております。

西田委員 ちょうど一昨日でありますけれども、地元の立地自治体の町長さんと懇談をさせていただきました。もちろん再稼働については安全第一というのは、それはもう何にもかえがたい重要な項目であります。自治体としても、審査の期間が余りにも長く先行きが見通せない、努力をして地方の振興そしてまた企業誘致などを頑張って行っている部分はあるんですけれども、現状としては地域が疲弊しているのは否めない、よくも悪くも早く進めてほしい、懇願をされたわけでございます。

 多くの再稼働を待つ立地自治体がこのような思いでありますので、スピードを持って取り組んでいくことをお願いを申し上げて、この質問を終わりとさせていただきます。

 最後に、全然また話はかわりますが、太陽光発電事業について質問させていただきたいと思います。

 太陽光発電が全国的に次々に造成されている状況であり、原子力が停止している中で、特にCO2削減に大きな役割を果たしていると思っております。近年では、平場よりも、また山間部でメガソーラーの造成が進んでいるところも聞きますが、その実情について御説明をいただきたいと思います。

覺道政府参考人 お答えをいたします。

 太陽光発電設備は、二〇一二年の固定価格買取り制度、いわゆるFIT制度の創設以降、導入が拡大をしておりまして、二〇一九年の六月末時点での事業用太陽光発電設備の導入件数は約五十九万件、導入容量は約三千九百万キロワットとなっております。

 また、御指摘のメガソーラーについても、明確な定義はないものの、例えば一メガワット以上の太陽光発電設備は六千八百件、導入容量は約一千七百万キロワットとなってございます。

 御指摘のように、山間部での設置状況につきましては、国としては網羅的には把握をしておりませんけれども、一ヘクタールを超える森林開発を行う際に必要な森林法に基づく林地開発許可処分で見ますと、太陽光発電設備、太陽光発電のための林地開発許可件数は、二〇一二年度から二〇一七年度までの合計で千百七十五件となってございます。

 これらに基づきまして、一メガワットの太陽光発電設備に必要な面積がおおむね一ヘクタールであるということも踏まえまして、機械的に試算をいたしますと、一メガワット以上の事業用太陽光発電設備の件数に占めます林地開発許可を要した件数の割合が約一七%というふうに試算をできます。

西田委員 ありがとうございます。

 太陽光発電は自然エネルギーとしても大変有効でありますが、一方で、太陽光パネルの発電能力は、十五年前後から徐々に太陽光の吸収割合が低下をしてくると伺っております。まあ二十年から三十年が寿命だと聞いておりますけれども、その後のパネルの更新、又は、事業の存続や事業が破綻した場合の対策や、事業継続ができず、そのまま放置されることが心配であります。そのようなことになっては大変心配であると思いますので、どのように指導をしているのか。

 そしてまた、近年は地球温暖化の影響で想定を超えるような自然災害が多発しておる状況であります。しっかりと指導、設置していると思いますが、太陽光パネルでの被害状況も含めた対策について伺いたいと思います。

覺道政府参考人 御指摘のとおり、太陽光パネルの中には、設置後十年から十五年以降に出力量が徐々に低下するものがあるということもございますけれども、適切な維持管理によりまして出力量が維持されているのが一般的となってございます。

 また、事業者は、FIT制度に基づきまして固定価格で電力が買い取られる二十年間は、出力量の低下も想定して事業計画を策定していると考えられること。また、国内外の多くのパネルメーカーは、経年劣化によって想定以上に出力量が低下した場合についての保証を提供していること。こうしたことから、FIT制度による買取り期間の終了前に事業が終了してしまうということは想定しにくいとは考えてございます。

 一方で、山間部に設置されたものを含めまして、発電事業が終了した太陽光発電設備について、廃棄費用の工面がされず、将来、放置や不法投棄がなされる懸念があるということは認識してございます。このため、廃棄等の費用の積立てをFIT制度上の認定事業者の遵守事項とするなど、こうした対策をとってきてまいっております。

 ただ、積立て水準や時期は事業者の判断に委ねられるため、現時点で積立てを実施している太陽光発電事業者は少ない、こうした状況にございます。

 こうした中で、廃棄等費用の積立てをより確実に担保するため、原則として、発電事業者の売電収入から廃棄等費用を源泉徴収的に差引きし、外部に積み立てる制度の詳細について、今検討を進めているところでございます。

 今後、こうした制度の導入に向けた必要な法令上の措置については、二〇二〇年度末までに行うこととされております再エネ特措法の抜本的な見直しの中で具体化し、再エネ発電事業者に対する適正な事業規律の確保に努めてまいりたいと考えてございます。

西田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 後ほど発電所の話はさせていただこうと思っておりますが、まず冒頭、少し試験研究炉について質問させていただきます。

 この試験研究炉というのは小型の研究炉でして、まさしくこの分野の日本の基礎研究を担っていくところであります。いろんな研究がありまして、もちろん、安全性の向上というものもございます。それ以外にも、例えば、放射線利用という観点で、医学のために役に立っていたりとか、あるいは物づくり、こういうところにも貢献しているというのが、この試験研究炉でございます。

 日本で今全部で八つあります。大学が持っている本当に小さなものが三つあります。それ以外、五つは誰が持っているかというと、日本原子力研究開発機構、JAEAと言われるところが持っている。

 きょうは、この五つのJAEAの研究炉の現状について伺いたいと思います。というのは、先ほど更田委員長の方から、活動状況の中で、審査が終わったものというのはいろいろと言っていただいたと思いますが、終わっていないものもあって、審査中のものもあると思いますので、まず、文科省に対して、このJAEAの五つの研究炉あるいは実験装置のうちで、再稼働の状況がどうなっているかというのを伺いたいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の原子力機構におきましては、原子力研究開発の基盤を担う五つの試験研究炉の運転再開に向けて取り組んできております。このうち、平成三十年六月には、原子炉安全性研究炉NSRRは運転の再開をいたしましたが、その他の四基、JRR3、定常臨界実験装置STACY、高温工学試験研究炉HTTR、高速実験炉常陽については運転再開には至っておらず、原子力規制委員会の審査を受けている状況と承知しております。

伊佐委員 つまり、五つある研究炉のうち、今、結局動いているのは一つだけ、四つは、震災が終わって九年間たちますが、審査中と。当然、維持費というのもかかっているわけです。震災後とまっている。

 例えば、さっき申し上げたJRR3、これは中性子を発生させる研究炉でありまして、普通、エックス線でなかなか見えないところが見れるというので、例えば、さっき申し上げた放射線治療、がん治療でありますとか、あるいは産業界とか大学が使っておりまして、動いていたときは年間二万人が利用していました。論文も年間で百八十本出ておりました。今、JRR3が使えないから、日本のこの研究炉が使えないから、どこに行っているかというと、そうした二万人の方々は海外に行っています。韓国とかオーストラリアに行っています。そこで試験研究炉を使っていると。

 こういうJRR3のように、原子力のこの分野の研究者だけじゃなくて、産業界にとっても大事な炉というのがあります。こういうのも含めて、研究炉の審査というのを着実に前に進めていただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、御質問の中で詳しいお話がありましたので、ちょっと詳しく申し上げますけれども、日本原子力研究開発機構が持っております五つのいわゆる研究炉、この五つの中で、NSRRとSTACYと呼ばれるものは安全に係る研究炉であり、それからHTTR、常陽は、それぞれ、高温ガス炉並びにナトリウム冷却高速炉といった特定の炉の開発のための炉であります。

 医療に対する応用であるとか、あるいは中性子で物を見るといったような基礎研究に使われている原子炉はJRR3のみであります。

 このJRR3につきましては、既に設置変更許可を行いまして、設計そのものの審査は終了しております。その設計どおりに工事が進められているかどうかということの確認に係る設工認という審査の二つ目の段階になっているところで、この確認をする審査を進めているところであります。

 いずれにしましても、動き出しているのは安全性に係るNSRRという原子炉一基であって、四施設が適合性に関しての審査ないしは検査を受けているというところであります。

 原子力規制委員会としては、試験研究用の原子炉施設の型式や出力、施設が周辺公衆に与える影響などの特徴を踏まえて、施設に応じた審査を迅速に進めてまいりたいというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 詳細に教えていただきました。でも、このJRR3というのは、さっき申し上げたように、現にまだ動いていない。確かに設置変更の審査は終わったけれども、設工認というのを今されていらっしゃるということで、審査も依然続いているわけですね。そういうところでもしっかりと、まあ、IAEAが、その審査の仕方としてグレーデッドアプローチというのを推奨しております。これは、合理的に達成可能な最高水準での防護、合理的に最高水準に達成せよということですので、大きな原発と研究炉というのは、当然いろいろと、その見るべきところの水準というのも違ってくるんじゃないかというふうに思っております。こういうものも加味しながら進めていただきたいというふうに思っております。

 JAEAの業務についてですが、原子力の研究開発だけじゃなくて、次世代の、さっき申し上げた原子炉の開発、こういうのもありますが、例えば廃炉の研究、あるいは福島の廃炉のための人材育成とか低レベル放射性廃棄物の処分、さまざまな業務を行っております。ところが、JAEA、これまで人員もずっと減ってきておりまして、予算も下がり続けてきております。

 こういう中で、実は私、大きな問題だと思っているのは、事業を廃止する予算がないということです。

 つまり、これ、伺うと、JAEAの今の施設、七、八十ある中で、半分ぐらい廃止すると計画上決めている。ところが、廃止をしようと思ったら、放射性物質がありますから、気圧管理もしなきゃいけないので、これは維持費が今かかっているんです。ところが、廃止するお金がないので維持費がかかり続けているというような状況を伺っております。

 だから、JAEAの予算について、今こういう季節柄でもあります、ぜひこの施設の廃止措置も含めて、必要な予算の確保、努力していただきたいと思います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力機構におきましては、エネルギー基本計画を踏まえて、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃止措置等に求められる研究開発基盤の強化、また原子力の安全性向上のための研究開発、また原子力の基礎基盤研究等に取り組んでいるところでございます。

 一方、御指摘ありましたとおり、施設の高経年化や新規制基準への対応などが求められる中、限られたリソースで、安全確保を大前提に研究開発を進めるために、原子力機構では所有する施設の約半数を廃止することといたしております。

 研究での役割を終えた施設につきましては、必要な費用の精査をしつつ、国民の皆様の御理解をいただきながら、安全確保を最優先に、廃止措置を着実に進めていくことが重要と考えております。

 文部科学省といたしましては、原子力研究開発機構の研究開発や廃止措置に必要な予算が確保できますよう、しっかりと取り組んでまいります。

伊佐委員 このJAEA、福島の廃炉の人材育成という大事な観点もありますので、しっかりとした予算措置をお願いしたいと思います。

 次に、発電所について伺います。

 活動状況の中でも、更田委員長からも説明があったとおりでございまして、今、五十七基のうち廃炉を決めたのが二十一基、残り三十六基のうち合格したのは十五基、まだ半分という状況であります。

 私、大事だと思いますのは、規制する側、規制当局と規制される側との対話、コミュニケーションも大事なのではないかというふうに思っております。もちろんこれは緊張関係が当然必要で、原子力村であったというのが大きな反省の一つではありました。ところが、今、海外から見ると、日本の規制当局と事業者の間は余りにコミュニケーションがとれていないんじゃないか、こういうような指摘もあります。

 例えば、コミュニケーション不足が原因で審査がいたずらに長引くようなことがもしあって、これが電力料金にはね返ってくる、国民の生活に影響を与えるというようなことがあっちゃいけない、その象徴的なことが特重施設の話でございました。

 特重施設というのは、航空機が墜落してきたとき、突入してきたときのテロ対策として制御する施設を今ある施設と別のところにも一応設けましょうということになっています。大きな工事になるわけですが、規制としては大事なことになっております。これは五年の施行期間、五年間猶予がありました。

 ところが、なかなか事業者も工事が進捗していなくて、五年の締切りになって、ぎりぎりになって、済みません、間に合いません、できませんという話がどっと来たというふうに伺っています。

 事業者は前から、これはちょっとどれぐらい時間がかかるかなと、常に、実は懸念がもともとあったというふうに伺っておりまして、この辺ももう少し密にコミュニケーションができていればこういった事態にならなかったんじゃないかなというふうに思っております。

 こういう点も含めて、規制当局と事業者とのとりわけ技術的な観点での意見交換、対話というものを日常からとっておく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 適切な規制を実施するためには被規制者との意思の疎通や相互の信頼感の醸成が必要だと考えており、そのためには事業者との適切なコミュニケーションが重要と認識しております。

 このために、私たちは、公開の審査会合を持つだけではなくて、事業者の経営責任者、CEOや、原子力部門の責任者、CNOとの意見交換の場を定期的に持ち、事業者の取組や安全、技術上の課題について議論を行っているところであります。

 私たちは、表で会う限り、表で議論する限り、いつでも、どれだけの頻度であっても、事業者との間のコミュニケーションを行います。一方で、バックドアといいますか、非公開の場でのいわゆるネゴシエーションは決していたしません。

 特定重大事故等対処施設に関して言いますと、先生おっしゃるように、ぎりぎりになって、経過期間がぎりぎりになってから、どうも間に合いませんと。長期間にわたる工事ですから、事業者は当然、間に合わないならば、一年なり二年なりないしは三年前にこれはどうも苦しそうだということはわかるはずですし、それから、掘ってみたら岩盤がかたかった、これは、どこに設置するかを決めるためにもともとボーリングはしていますから、岩盤がかたいなんということは数年前にわかっているはずです。

 そうした事情をなぜ表の場で言えないのか。更に言えば、工事計画認可のプロセスでいえば、彼らは、期限までに建設をしますという計画を最後のぎりぎりまで、ずっと公式には間に合うという立場をとってきた。それにもかかわらず、表の場では、ぎりぎりになるまで間に合いませんと言えない、そこに私は非常に大きな問題を、思っています。

 相互に不信感があるのであればこれを払拭していかなければなりませんし、表の場でしっかりと意思の疎通を図れる状況をつくっていきたいと思います。

 もう一つ、先生の御質問の中にありました、規制当局とそれから事業者の相互の問題となる技術的課題に関して対話を行うためには、一例ですけれども、米国のように、NEIという組織がありまして、事業者の技術的な立場を代表する組織がございます。こういった組織があることは、規制当局にとっても、話す相手、コミュニケーションを真っ先にとる相手が明確になることですので、私は、事業者が、昨年ですか、原子力エネルギー協議会、ATENAという組織をつくったということは非常によいことだと思っています。

 ただ、NEIも、技術的な評判でありますというか信用をかち得るまでに数年の期間を要しました。ATENAも今まだ助走期間にあるところだと思っています。私たちとしては、これは決して上から目線のつもりで言うわけではないですけれども、事業者と同様に、規制当局としてもATENAに育ってもらいたいと思っていますので、このATENAにCNO会議等にも参加してもらって、技術的な課題について、ないしは、規制当局に対して個々の事業者が言いにくいことがあればATENAが代表して言う、そういった組織に育ってほしいというふうに願っているところであります。

伊佐委員 ありがとうございます。

 このコミュニケーションの話は、私は、こんな問題があってわかっていて何で言ってこなかったんだ、言ってこなかった事業者が悪いじゃないか、もちろんそういう観点もあると思います。ただ、コミュニケーションというのは、やはり双方の努力によって成立していくものじゃないかというふうに思っております。結局は、それによって一番誰が損害をこうむるかというと、国民の皆さんになるわけですから、ここはどちらが悪いという話じゃなくてですね。

 とりわけ、岩盤があるどうのという話は技術的な話なんです。この技術的な話は、経営陣と話して、コミュニケーションをとっていますといっても、なかなかそこは話に出ないかもしれません。そうじゃなくて、技術論で技術者同士がきちんと話し合う場、さっきATENAというのをおっしゃっていただきました、こういう場をしっかり育てていくということが私は大事じゃないかと。

 この関連で、残り五分であと質問させていただきたいのは、さっきの四十年の運転期間、これは政府参考人で私通告しておりましたが、ちょっと委員長に、というのは、さっきの西田委員の方からも委員長に質問がありましたので、引き続き質問させていただきたいと思います。

 この四十年の運転期間、原発の運転期間というのは、炉規法上、法律上書かれています。だから、四十年を変えようと思ったら、この立法府で我々が変えないとできません。二十年、一度だけ延長できる、こういうようになっています。この解釈は、さっき委員長がおっしゃったように、暦の上での四十年なんだという点と、そもそも立法時に技術的な観点も含め幅広い観点から議論をしたんだ、こういう御答弁をさっきしておりました。

 ただ、私ちょっと思いますのは、この四十年を議論したときに、果たして九年間もとまるようなことを立法府が想定していたかということだと思います。こんなに長期間、四十年のうち九年間ですから、これを想定していたのかどうか。あるいは、劣化というのを考えたときに、原発の一番大事なところ、原子炉の部分ですが、当然、一番劣化が起こるのは中性子なんです。中性子が一番足が、劣化の速度が速いので、ここが当然、一つ四十年の根拠になっていると私は思っております。

 ただ、委員長おっしゃったように、中性子だけじゃありません、時間の劣化、もしかしたら雨風もあるかもしれない、いろんなものもあります。だから、私が申し上げたいのは、別にこうしろという話じゃないんです、こうした技術的な観点をちゃんと事業者とも話をしてほしい、対話をしてほしいということなんですが、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 それから、先ほど西田先生にお答えした答弁につきましては、繰り返して申し上げることは避けたいと思います。

 その上で、確かに、四十年ですとかその延長という問題に直接絡むものではなくて、原子炉というもの、発電所というものが時間を経るごとにどういうふうに変わってくるかということは、これは安全上重要な議論です。

 ですから、そういった意味で、先生、圧力容器の中性子脆化を例として挙げられましたけれども、このほかにさまざまな劣化のモードはあります。更に難しいのは設計そのものの古さの問題であろうと思います。

 前回ですか、CNOの会議、通常は私は出ないんですけれども、特に事業者から求めがあって参加したときに、圧力容器の中性子脆化だけに特化した高経年化に関する議論があったので、つまみ食いをしないで、全体の議論を、意見があったら示してくれというふうにお願いをしたところです。

 そこで、来週だったと思います、済みません、記憶の限りですけれども、次回のCNO会議では、さまざまな劣化モードの全体にわたる事業者の見解というのを聞くことになっておりまして、そういった意味で、ようやく技術的な議論の緒についたところだというふうに思っております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 委員長、今おっしゃっていただいたとおりだと思います。中性子だけじゃありません、いろんな観点を結局は判断しなきゃいけない。それも、まずしっかり、技術的な観点も踏まえて、最後はもちろん我々立法府の決断になると思いますが、ここはまず対話はしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。

 最後の質問になると思いますが、プルトニウムについて伺いたいと思います。

 我が国の中のプルトニウムは、国内に九トン、再処理をお願いしたイギリス、フランスに三十六・七トン、合計四十五・七トンのプルトニウムを今持っております。これは、昨年の日米原子力協定の延長の際に、いろんなアメリカからも御指摘がありました。日本は何でそんなにプルトニウムを持っているのか、そんな無駄なプルトニウムを、余剰なプルトニウムを減らしていくべきじゃないかと相当の圧力があったかと思います。もうそのとおりだと思います。

 プルトニウムに対して、これからもしMOX燃料加工施設とか再処理施設ができるのであれば、当然またプルトニウムはふえるわけですから、プルトニウムについてしっかりと減らしていくという姿勢を世界に示していくことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のプルトニウム保有量の削減に関しましては、まずは、プルサーマルの着実な推進を行うこととしております。

 加えて、平成三十年七月に原子力委員会において決定した「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」におきまして、その取組方針を示しているところでございます。

 具体的には、まず、再処理等の計画の認可に当たっては、六ケ所再処理工場等の稼働状況に応じて、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう認可を行う。その上で、生産されたMOX燃料の確実な消費について事業者に指導すること。また、事業者間の連携協力を促すこと等によりまして、海外保有分の着実な削減に取り組むこと。さらに、研究開発に利用されるプルトニウムにつきましては、情勢の変化によって機動的に対応することとしつつ、当面の使用方針が明確でない場合には、その利用又は処分等のあり方について全てのオプションを検討することなどを取組方針として掲げているところでございます。

伊佐委員 終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 立国社共同会派に所属をしております。

 福島の出身ということもあって、質問の機会をいただいたということでございます。三・一一のときは被災地の出身では唯一の閣僚でございましたので、そういう意味でも、福島の復興には重い責任があるというふうに考えております。

 限られた時間なので、答弁をできるだけ端的にお願いできればというふうに思います。聞きたいことがたくさんあるものですから、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず、最近特に気になったのは、更田さんが記者会見で、F1の、福島第一原発の廃炉の現場に人が足りているのか、こういう指摘をされたことであります。

 言うまでもないことですけれども、F1の廃炉というのが福島の復興の大前提、安定かつ着実な廃炉が大前提なわけです。実は、私もそのことはずっとこの間気になっていて、私のところにもいろんなルートから大丈夫かという話が入ってきています。東電の幹部が来室をされた際などには、足りているのかということを聞くんですけれども、足りていますと東電は言うんですね。本当なのかなというふうに、はっきり言って思っているのですよ。

 東電副社長、来てもらっていますけれども、大丈夫ですか。

文挾参考人 お答え申し上げます。

 このたび、福島第一でのミスやトラブルにつきまして御心配をおかけしておりますことにつきまして、改めておわびを申し上げたいと思います。

 現在、ミスやトラブルというものが発生してございますけれども、これは人手不足が直接的な原因ではなくて、例えば、当社が現場で確認すべき作業を書面のみでの確認で済ませてしまったということや、あるいはルールの周知徹底の現状を現場で直接確認していなかったということなどによりまして起こっているというふうに認識してございます。運営とかマネジメントの問題ではないかというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、先生御心配のとおり、当社といたしましては、そのミスやトラブルの原因究明と再発防止、それと適正な人員確保等に対しまして、改善等について更に検討してまいりたいというふうに思います。

玄葉委員 後で更田さんにも聞きたいとは思いますけれども、初歩的な管理ミスが続いているように思いますし、実は続く前から、そういう情報、結構内々から入ってきたりするんですね。本当に副社長の耳に入っているのかどうか、本当に現場の意見が。

 やはりここは、もう一回、国会で指摘されたことを受けて、あるいは更田委員長が記者会見で述べたことを受けて、足りているのかどうかというのは真摯に考えてもらいたい、本当に廃炉の現場は大事ですから。

 あわせて言うと、廃炉の現場に余り東電のコスト削減プログラムを私は持ち込んでほしくないという立場なんです。

 つまり、新々・総合特別事業計画とやらで、当然コスト改善が必要だというのは言うまでもないことです。だって、今まで資材調達とか大甘だったから、はっきり申し上げて。だから、コスト改善が必要です、だけれども、本当に削減すべきじゃないところを削減していったりすると大変なことになる。いや、削減すべきところは大いに削減してください。ただ、心配しているのは、何か、火事が続いているのに消防の水を節約しろというようなことがあってはならないということなんですね。

 これも結構、現場は、私、いろんな意味で圧力を感じていると思いますよ、そういう情報が入ってきますから。だから、こういうことにかけては、きちっとかけるところはかける。しかも、ロボットの開発とか技術の開発とかあるんですから。

 大丈夫ですか、副社長。

文挾参考人 お答えさせていただきます。

 現在、先生御指摘のとおり、当社は改善活動に取り組んでございますが、これは無駄をなくして安全と品質を向上させる活動であるというふうに認識しております。したがいまして、無理な費用削減というのは行っていないというふうに考えております。

 今後も、廃炉等積立金制度に基づきまして、廃炉に必要な費用を確保しながら、必要な投資は確実に行ってまいりたいというふうに思います。御理解の方、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

玄葉委員 要は、廃炉現場のコストについては余りけちけちしないでほしいということなんですよ。ですから、人手が現場で足りないなら十分な人手を確保してほしいし、あわせて、何といっても廃炉の現場を最優先してほしい、安定的な廃炉が大前提でありますから。

 更田委員長、一言ございますか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 私は、率直に言って、人手不足をとても心配をしております。

 ここのところ続いている東京電力のミスといったものは、もちろん、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業というのは、極めて困難な、技術的な困難なものに取り組んではいます。しかし、ここのところ起きている、続いているミスは、技術的な困難によるものではなくて、初歩的なミスや連絡ミスによるものです。現場を見に行かないで書類確認で済ませた、このこと自身、現場は忙し過ぎるんじゃないか、疲弊しているんじゃないかということの兆候と見るのが自然ではないかと思っています。

 そういった意味でこそ、私は、本当に人手が足りているのかどうか、これは、廃炉カンパニーだけの問題ではなくて、東京電力ホールディングスに問うていくべきだというふうに認識をしているところであります。

玄葉委員 すごく大事な指摘だと思うし、更田委員長がやはり声を大きくして、しっかり監視をし、指摘をしてほしい。

 私も、何か狭い世界で見ちゃっているんじゃないかという気がしてしようがない。しかも、同時に、もっと言うと、きちっと現場まで入って見ていないんじゃないかという心配をしていますので、しっかりこの機会にチェックして、素直に、足りないなら足りない、新しく確保してほしい、そう思います。

 その次、今度は、今はいわば東電に対する一種の応援でもあるんですけれども、原電支援の問題であります。私は、これは率直に申し上げて腑に落ちない。

 先月、東京電力が東海第二原発に二千二百億円の資金支援を決定した。その理由を説明してください、端的に。

文挾参考人 お答え申し上げます。

 当社の最大の使命は福島への責任の貫徹であるというふうなことは十分認識しております。そのためには、競争しながら稼いで、長期的に資金を確保していかなければいけないということが必要であります。

 東海第二からの受電というものにつきましては、お客様に低廉で安定的かつCO2の少ない電気をお届けするための競争電源であると判断をしたということでございまして、そのために、今回、資金の協力というものを決定したものでございます。

 以上でございます。

玄葉委員 本当に競争電源になるのかどうか。

 まず、再稼働、見通しは明るい、そういう判断をされているということですね、東海第二は。

文挾参考人 東海第二につきましては、今、安全対策の工事を鋭意進めているところで……(玄葉委員「再稼働ね」と呼ぶ)失礼しました、再稼働までの安全対策の工事を進めているというところでございます。

 これは、これから原電がしっかりとその工事に取り組むということでございまして、当然ながら、再稼働をするためには、地元の御理解というのが大前提でございます。この地元の御理解につきましても、原電を始め東電も協力して取り組んでございますので、それにつきましては、今後課題が出てくるかもしれませんが、鋭意取り組んでまいりたいというふうに思います。

玄葉委員 率直に言って見通せていないと思います。結果として、買う電気の料金は高くなるんじゃないかなと。これは幾らを想定していますか。

文挾参考人 それでは、お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますけれども、単価が幾らというのは、これは競争電源でございますので、競争上申し上げるわけにはいきませんが、ただ、経済性を判断するに当たりましては、将来の市場価格がどうなるのかということと、我々が現在結んでおります火力電源、相対契約の電源と差しかえてどうなるのかというのを鋭意検討いたしまして、経済性があるというふうに判断したものでございます。

 以上でございます。

玄葉委員 相当高くなるはずであります。

 だから、私が心配しているのは、きょう冒頭申し上げたように、私は福島の復興というのが一番大事だと自分で思っているので、結局、このことが結果として、廃炉のコストとか賠償とか、さらには電気料金とか、そういったことに悪影響を与えるんじゃないか、そういう心配をしているわけです。

 絶対に悪影響を与えないと、ここで断言してもらえますか。

文挾参考人 お答え申し上げます。

 東京電力は、今、新々・総合特別事業計画に基づきまして再建を進めているところでございます。

 この電源も、競争電源として、稼ぐ電源として認識しておるところでございますので、現時点では、廃炉、賠償に影響しないというふうに考えてございます。

 以上でございます。

玄葉委員 東電ばかり責めてもしようがなくて、実際は国だと思います、現実は。国が原電をどうするかという抜本的な解決策を出さないと、こういう一時しのぎというか、状況を糊塗する、そういうことが続くんだろうと思います。

 経産副大臣は、この原電支援についてはどうお考えですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 国といたしましては、東京電力に対し、これまでも、福島への責任を貫徹するということを第一に、根本に据えるように指導してきているところでございますし、また、こういった個別の経営判断についても、想定されるリスクも十分に勘案した上で判断を行うよう指導してきているところでございます。

 これを踏まえて、今回、東京電力は、低廉で安定的かつCO2の少ない電気を需要家に届けるために必要な電源ポートフォリオを実現する観点から、経済性や再稼働に向けた対応の進捗状況も総合的に勘案した上で適切に判断し、これを競争電源、相対的に有利な電源と判断したというように聞いているところでございます。

 引き続き、福島への責任を貫徹するということを第一に、しっかりと指導してまいりたいと考えてございます。

玄葉委員 結局、国の方針に事実上従ったということなんだと思うんですけれども、どこかでこの原電の問題というのは、やはり国家としてどうするかということを判断していかなきゃいけないなと。今の状況は本当に糊塗しているだけだと申し上げておきたいと思います。

 時間がなくて、最後に、本当は一番やりたかったのは処理水の問題なんですね。まあ、汚染水、原発処理水なんですけれども。

 まず、一つ確認しておきたいのは、これは千基ぐらい林立しているわけですね、F1に。更田委員長のお考えなんかも時々お聞きをしております、明確だと思いますけれども。経産省に確認をしたいのは、海洋放出とか水蒸気で放出するとかあるいは長期保管とかいろいろあるんですけれども、海洋放出の場合、福島沖以外というのはあり得るんですか。福島沖以外、よく大阪でとかいろんな議論があるんですけれども、その選択肢をとったときにどんな問題があるんですか、整理をしていただきたい。

牧原副大臣 そうした問題を含め、今、政府の小委員会で総合的に議論しておりますが、前提として、まず、廃棄物の海洋投棄を規制するロンドン条約というのがございまして、これによって、これは処理水も含むんですけれども、海洋放出というのはタンカーなどから直接海に行うということはできないということでございます。したがって、まずどこか陸上に保管施設を設置することが必要になります。こうした保管施設を置くためには、そうした自治体や関係者等の御理解や原子力規制委員会による設置許可が必要になります。

 また、タンカーやその他、パイプラインでもいいんですが、大量の処理水を移送する場合には、運搬時の漏えい対策を含む運搬方法の検討や運搬ルートの自治体の理解を得るということが必要になるという課題が示されているところでございます。

 こうした課題を含めて検討しているということです。

玄葉委員 海洋放出の場合は、結局、運搬とか保管という問題があるということをやはりはっきりさせておかないと、ちょっと幻想を抱かせちゃうので、そこはしっかり言ってほしいというふうに思います。その上で判断をしていかなきゃいけない。

 それで、きょう最後に、もう時間がないので、改めて申し上げておきますけれども、この問題に関しての全ての情報、悪い情報も含めて、絶対に隠さないで全てをテーブルに並べて判断をしないといけません、当たり前ですけれども。でも、このことがとても大事になります。議論の大前提、判断の大前提でございます。

 どうしても隠しちゃうというところがあります。トリチウム以外の核種が基準値以上で残っているなんということも、僕らは国とか東電から聞くわけじゃないわけですよね、メディアから聞くわけですよね。これはやはりよろしくないでしょう。不信感増幅になるんじゃないですか。

 絶対に悪い情報も含めて隠さないということを、経産省、約束してください、東電も約束してください。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 処理水の取扱いに関する検討を含めまして、廃炉・汚染水対策を進めるに当たっては、地元の皆様の不安を払拭し、国内外の理解を得ていくことが必要でございます。

 そのためには、御指摘のとおり、対策の検討に必要な情報、作業の進捗状況、周辺環境の情報など、あらゆる情報を適切かつタイムリーに発信していくことが重要であると認識をしております。

玄葉委員 都合の悪い情報も含めて、絶対隠さないと約束してください。

新川政府参考人 処理水の取扱いに関する検討に当たっては、政府の小委員会において、処理水の性状などさまざまな情報をオープンにしながら検討を進めております。

 また、東京電力は、ALPS処理水の濃度に関するデータについてもホームページで全てのデータを公表しております。

 今後とも、より丁寧な情報発信を意識し、廃炉・汚染水対策を進めていきたいと考えております。

玄葉委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 今、玄葉さんから、最後に処理水の話をちょっとしたんですけれども、私からも少し処理水の話で。

 凍土壁は、今の状況はどうなっているんでしょうか。あれは、凍土壁を始めるときに、水というのは浸透性が非常に高くて、水をとめるのは非常に難しい技術ですよ、それを凍土壁という状況でとめようというその試みは余りうまくいかないんじゃないですかという質問をしたことがあるんですけれども、現状はどうですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 凍土壁につきましては既に凍結を完了しており、二〇一八年三月に開催した政府の汚染水処理対策委員会においては、凍土壁による地下水の遮水効果は明確に認められ、サブドレーン等の機能とあわせ、安定的な地下水位管理が可能となり、建屋流入量の抑制効果が認められると評価をされております。

荒井委員 どのぐらいとめられましたか、全体の流入、地下水の。

新川政府参考人 汚染水発生量につきましては、二〇一四年五月の日量約五百四十トンから、二〇一八年度平均では日量約百七十トンに減少しており、凍土壁は十分に効果を発揮していると考えております。

荒井委員 五百四十トンが百四十トンに減ったというのは、凍土壁の最初の予定したそれから見れば、私は小さいというふうに思います。数百億かけて、凍土壁のこの工法が本当に効果的なのかどうかというのは、一度ちゃんと議論するべきじゃないかなというふうに思います。

 委員長との議論はちょっと最後の方にいたしまして、福島の中間貯蔵施設の現状について、今どういう状況になっているのか。

 当初は用地取得が非常に困難でしたね。地権者が江戸時代からそのまま存続しているみたいな、そんなデータもあったりしていて、用地取得が非常に困難化していた。それから、汚染土壌の受入れが膨大になって、地元対策が非常に大変なのではないかというようなことも議論されたことがありますが、それらを踏まえて、いかがでしょうか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省としましては、まず、仮置場から除去土壌等を搬出し、仮置場を早期に解消することにより、地域の皆様の安心につなげていく必要があると考えてございます。

 中間貯蔵施設の整備につきましては、これまで約七割の用地を取得しておりまして、引き続き着実に進めてまいります。

 輸送につきましては、段階的に輸送量を増加させていくこととしておりまして、二〇二一年度までに帰還困難区域を除く福島県内の除去土壌の搬入をおおむね完了させることを目指しております。

 なお、二〇一九年十一月二十一日におきまして、輸送対象物量の全体の三割を超えます約四百九十万立方メートルを中間貯蔵施設へ搬入を完了してございます。

 苦渋の思いで中間貯蔵施設を受け入れてくださった地域の皆様、大切な土地を提供してくださった皆様に心より感謝をしてございます。引き続き、安全第一を旨としまして、地域の皆様の信頼を大切にしながら取組を進めてまいります。

荒井委員 今回の台風十九号の被災で、除染廃棄物のフレコンバッグが相当流出したという新聞記事が出ていました。記事によると、六十六袋だというようなことも書いているんですけれども、そのうちのかなりの部分が中身が流出してしまって、せっかく除染して集めたのにそれが流出してしまったというような記事であります。

 これはやはり中間貯蔵施設の建設、収納がおくれたからなんだろうと思いますし、また、その管理が極めて、誰が責任をとるのかということも含めて、しっかりしていなかったということなのではないかと思うんですけれども、環境省、どうですか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 このたびの台風十九号によりまして、除去土壌等の仮置場から大型土のう袋が流出する事案が生じました。全ての除去土壌等の仮置場を点検した結果、四つの仮置場で推計九十袋の大型土のうの流出が確認されました。十一月二十六日現在で、このうち五十五袋を発見し、二十五袋は内容物の流出がない状態で、二十九袋は内容物が流出した状態で、それぞれ回収し、未回収が一袋となってございます。三十五袋は未発見でございます。引き続き、把握に努めてまいります。

 また、栃木県那須町で現場保管されていた大型土のうのうち一袋が流出し、既に回収済みでございます。

 また、仮置場や回収場所周辺におきまして、空間線量や水質への影響は確認されてございません。環境省としましては、関係自治体と連携して、引き続き、空間線量や水質の測定を実施してまいります。

 再発防止が極めて大切でございます。今回流出がありました四つの仮置場のうち、流出リスクが想定されます大型土のう袋につきましては、搬出計画を前倒しして、年内をめどに搬出する予定でございます。このうち田村市の仮置場につきましては、十一月十二日に全ての大型土のう袋の搬出が完了しました。

 加えまして、環境省としましては、今般の流出に係る原因を検証し、仮置場の管理を抜本的に強化するための対策を検討してまいります。その上で、関係自治体と連携し、仮置場における再発防止策の実施を徹底してまいります。

荒井委員 今回の災害で、災害特やあるいは国土交通委員会でも議論したんですけれども、ハザードマップの活用が余りうまくいっていなかったのではないかということも踏まえて、この仮置場とハザードマップとの関係がどうなっているのか。そういうところは当然流される可能性があるわけですから、そういうところを先に中間貯蔵施設に持っていくというような対策を講ずるべきだということを指摘しておきます。

 次に、健康管理調査について。これは福島県ではさまざまな意見が出ていて、大変な混乱状態と言ったらいいのかもしれません。

 私は、もともと、帰還困難区域あるいは避難勧告区域のような、基準が二十ミリシーベルトという基準をつくった、そこのところから大きな混乱が生じているんだろうと思います。

 二十ミリシーベルトというのは、確かに、ICRPの基準、一から二十と書いてあるので、一から二十なんでしょうけれども、それの最大のところをとっていますよね。小さな子供では大人の大体五倍ぐらいの影響力を与えるというのが、お医者さんたちの普通の考え方だそうであります。そういうようなことを、今はネット時代ですから、若いお母さんたちは非常に心配をするわけですよ。したがって、自主避難者も出てくるし、あるいは、政府が補助金を出して福島県がやったこの健康管理調査について、ちゃんとやってくれているのかということも含めて、不信感が出ていたのではないか。

 しかし、一方、どんどん健康管理の実態が出てくると、特に甲状腺の病気について、かなりの年齢になってくると、ほとんどの人が甲状腺に異常、あるいは、がんと言っていいのかどうかわかりませんけれども、そういうものがあるというような調査結果も出ていて、子供と大人とでは大分違うということもあるんでしょうけれども、チェルノブイリのような、そういうものと大分違うのではないかという調査研究が医療関係者から出ています。

 そんな中で、福島の小児科医が、甲状腺がんの調査はやめるべきだというような勧告もしたというふうに聞いていますけれども、このあたりは、環境省、どういうふうに考えておられるんですか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県の県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会によります中間取りまとめにおきましては、一つ目として、被曝による過剰発生、すなわち、実際に放射線により甲状腺がんが増加しているといった可能性につきましては完全に否定されるものではないがということで、二点目として、御指摘のような過剰診断、すなわち、受診者がもともと持っていた、生命にかかわったり症状をもたらしたりしないようながんまでも診断してしまっているといった可能性が高いと、これまでの科学的知見から指摘されていたところでございます。

 こうした情報の発信につきまして、福島県では、従来から、検査の対象者や保護者に対しまして、学校などに出張して説明を行ってきましたとともに、それに加えまして、甲状腺検査の案内文を改定し、検査のメリットやデメリットをしっかりと丁寧に説明することとしているところでございます。さらに、県民等に対しまして、福島県立医科大学におきましては、毎年、報告書を公表するとともに、シンポジウムを開催しまして、甲状腺検査の結果やその評価等の周知を図っているところでございます。

 環境省といたしましても、県民健康調査の結果や放射線の健康影響に関する科学的知見を統一的基礎資料としてまとめまして、ポータルサイト等でしっかりと広く公表しているところでございまして、今後とも、しっかりと正しい知識の発信、普及に努めてまいりたいと考えているところでございます。

荒井委員 これはなかなか定着しないというか、甲状腺がんの検査について、政府の信頼感あるいは県の信頼感が得られていないというのは、基本的に、最初のときに内部被曝のやつをやめてしまったとか、あるいは、周りの全体の被曝、放射線量がどのくらいかということを空中だけではかってしまって本当の実態がよく出てこなかったとか、当時からずっと続いている政府あるいは福島県の対応について、やはり全幅の信頼が置かれていないというところから発生しているんだと私は思うんですよね。これを取り戻すのは大変ですよ。大変だけれども、やらなければならないとは思います。

 ただ、チェルノブイリの場合には、八年以降、たしか甲状腺がんが多発するんですね。これからですよ、その実例から見ていくと。だから、今、やめるような議論があるんですけれども、特に、低線量被曝についてはまだ全く研究がなされていない、実態はなされていないわけですから、今後ともこれは続けるべきだということを指摘をしたいと思うんですけれども、どうですか。いや、政務三役がいいんじゃないですか。これは政治の話だよね。

石原副大臣 いろいろな議論がありますけれども、まず、低線被曝に対してどのように環境省が考えているかというところでございます。

 がんについて、環境省では、がん登録などの既存の統計情報を用い、福島県内外の疾病罹患動向に関する調査研究を実施しております。その結果、これまでのところ、がん全体の罹患率、死亡率は、事故の前後において大きな変化は認められていないというふうに判断をしております。

 また、福島県の県民健康調査で見つかっている甲状腺がんについては、環境省だけではなくて、国連や福島県でも開催された複数の専門家会議において、現時点で放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされているところであります。

 こうしたことを踏まえつつ、環境省としては、県民健康調査の結果やその評価に関する正しい情報の国内外への発信に力を入れております。さらに、健康不安を……(荒井委員「短くしてください」と呼ぶ)はい。健康不安を抱えられている方に向けて、車座集会等のリスクコミュニケーションの事業を通じて、丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。しっかりと調査も継続していく方向かというふうに考えています。

荒井委員 環境省においては、ぜひ継続して調査をするということを確約していただきたいと思います。

 時間がなくなりましたけれども、更田委員長、私、田中委員長とは随分議論をした覚えがありますけれども、今こうやって更田委員長と議論をしていて、田中委員長時代に築かれた規制委員会の伝統というものが着々つくられているな、そういう思いです。

 規制委員会法をつくったとき、それから炉規制法をつくったときの法制定作業者の責任者の一人でありましたので、その意義はよく理解はしていただいているなというふうに思います。

 どうして保安院から規制委員会に変えたのか、どうして三条委員会という独立性の高い委員会にしたのか。それは、国会事故調の黒川代表も述べられていますけれども、それまで日本の原子力行政というのは、規制する方と規制される方と、むしろ規制される方が強くて、実質的に、規制される方、つまり電力事業者ですね、電力事業者の意思が通っていた、そこがいろんな意味でそごが、事故が発生したんだというのが結論でした。その意味があったからこそ、三条委員会として、独立した機関として調査をしていただき、規制をする、そういうことにしたわけです。

 そして、その象徴的なのが、四十年原則とそれからバックフィットですね。このバックフィットというのは、本来、過去に政府が認めた財産権ですよ、その財産権を否定をするというか、あるいは更新しなければ認めないというのは相当な規制の概念だと思いますけれども、それを法律の中に盛り込んだということですので、その意味をぜひ、ここにおられる方みんな理解をしていただければというふうに思います。

 その意味で、バックフィット、特に航空機事故について、これは、あの事故の数年前に、アメリカのNRCが、テロ対策のためにこの基準を強化するべきだということを勧告するんですけれども、その当時の政府、自民党政府はそれを無視するんですよね。そこから私は始まっちゃった、これをちゃんとやっていればあの事故はなかったかもしれないというふうに思うんです。

 そのあたりを含めて、このバックフィットの適用、あるいは、規制委員会が設立されて八年間たつわけですけれども、その八年間を踏まえて、更田委員長の考えというのをお聞かせください。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 バックフィットは、原子力安全の継続的な改善を進める上で、極めて有効かつ強力な、私たちにとっては武器であると思っています。更に言えば、事業者自身にとっても、将来起こるかもしれない危機に対してどう投資をしていくかという非常に難しい判断に対して、規制当局との間で共通理解を醸成することで更に改善を進めていけるという意味で、これは事業者にとっても武器であろうというふうに考えております。

 バックフィットの適用状況でありますけれども、そもそも新規制基準の適用そのものが一つのバックフィットであります。過去の規制当局によって一旦許された設置許可に対して、更に新規制基準を設けてこれを適用するというのがバックフィットでありますが、これを除いて十一件のバックフィットをこれまでに適用しております。

 最新の科学的、技術的知見や海外での知見等々を取り込んだものですが、例を申し上げますと、高エネルギーアーク損傷対策、それから火災感知器の設置位置であるとか火山灰濃度に係るもの、そういったものを強化が必要であると原子力規制委員会として判断して、基準を改正したものが九つ、改正を伴わないものが二件ございます。

 今後も、新たな科学的、技術的知見を入手することに努め、バックフィットという制度を適切に活用して、厳格な審査等を通じて国民の信頼を得られるように、厳正な規制を進めてまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 最後になりますけれども、牧原副大臣も来られていますので。

 今、韓国との間が、いろんな意味でぎすぎすしている。そのことと関係するのかどうかわかりませんけれども、韓国が、福島の汚染水の海洋放出を言っているんでしょうと思いますけれども、その件に関して、国際機関に訴えたり、あるいは我が国に調査団を派遣したりというようなことがあります。福島の問題がもともと国際的な問題にもなっていたわけですけれども、そのあたりはどうお考えでしょうか。

牧原副大臣 お答えいたします。

 この処理水の取扱いにつきましては、風評被害対策というのが一番重要であって、我々、それに認識して取り組んでいるところでございますが、韓国政府の、福島第一原発の汚染水処理の問題は世界全体の生態系に影響を与えかねないといった主張は、事実関係や科学的根拠に基づかない主張であり、こうした我が国に対するいわれない風評被害を及ぼしかねないと認識しております。

 その観点から、韓国政府に対しては、事実関係及び科学的根拠に基づく対応をとるよう関係省庁一体となって強く求めていくとともに、国際社会に対しても引き続き丁寧な説明を行っていきたい、こう考えております。

荒井委員 まだ時間はありますね。

 自主避難を扱っている復興庁の担当の政務三役というのは、きょうは来ていないですか。まあ、いいです。

 自主避難者に対して冷たいじゃないか。せっかく、子ども・被災者支援法という法律、あれも超党派ですよ、全党一致でつくった法律で、その法律では、自主的に避難した人に対しても、とどまった人と同様の対策を講ずるというのが法律の趣旨なんですけれども。

 宿舎の確保等に象徴されるように、自主避難者に対する、自主避難者がどのぐらいいるのかということも踏まえて、復興庁としては自主避難者に対する対策を講ずるべきだというふうに思うんですけれども、いかがですか。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 自主避難者の方々に対しましては、我々、先ほどありました子ども・被災者支援法、この理念に基づきまして、今現在も、いわば家の確保、そして、家を確保された後の、もともとのつながり、この維持、そういった面につきまして、各種、福島県がいろいろ取り組んでおられます。それに対して、財政的支援、その他協力をして支援をさせていただいているところでございます。

 今回、復興庁、今の設置期限、十年を迎えますが、引き続き、その十一年目以降につきましても、今現在、基本方針の骨子を公表しておりますが、そういう長期避難者等の対応について引き続き進めていくことを発表させていただいているところでございます。

荒井委員 原子力政策は今大きな曲がり角にかかっていると思うんですけれども、その中の最大のものは、被災を受けた人たちに対する信頼をどういうふうに回復するか、つまり福島の復興なんですけれども、それが十分にまだなされていないのではないかというところ。F1の廃炉にしても、そこが一番の課題ではないか。

 そのために、被災者に対する丁寧な対応というものが一番大事だということを指摘して、私の質問を終わります。

江渡委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 立国社を代表いたしまして質疑をさせていただきます。

 きょうは、まず、私の地元になるんですけれども、関西電力の今回の金品受領、不正資金還流問題に関して伺いたいと思います。

 関西電力が所管する十一基の原子力発電所、美浜の一、二、三、そして、大飯の一、二、三、四、高浜の一、二、三、四号機は、全て私の地元にございまして、高浜町も地元でございます。

 今回の金品受領問題に関しては、先般、福井県の職員も受け取っていたという報道も出ました。今も大飯の三、四号機、高浜の三、四号機は稼働しておりますので、その安全性は大丈夫なんだろうかと非常に不安の声も上がっております。

 先般の、先週の経済産業委員会で、この原子力と政治と金の関係について、あるべき姿というものが、地元の立地地域の住民の方々、そして国民に広く信頼されるには、どういったその三者の関係というものを見出すべきなのか、そういった広い見地に立ってきょうは当委員会で議論をさせていただきたいな、また、規制委員長にも事実を認識していただきたいなというふうに思っております。

 まず、十一月二十日の経済産業委員会の継続なんですけれども、上野文科副大臣、きょう来ていただきまして、そのとき、真相究明をさせていただきたい、確認してお答えさせていただきたいという点が何点かございました。

 まず、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の下請企業が、本委員会の前委員長であります高木毅現議院運営委員長、そして梶山弘志現経済産業大臣の、代表を務める選挙区支部であるとか行政区支部のパーティー券を大量に購入していたり、また、選挙区支部に直接献金をしていたりということがありました。

 それ、真相究明させていただきたいということでしたので、まず、その調査の結果はいかがだったでしょうか。

上野副大臣 十一月二十日に先生から御質問いただきました、衆議院経済産業委員会での御質問を受けて、政治資金規正法と原子力機構との関係性や、また、ファミリー企業との、御指摘のあった企業への原子力機構からの再就職状況についてを確認させていただきました。

 まず、政治献金規正法と原子力機構との関係についてですが、同法第二十二条の三第二項において、国から資本金等の出資を受けている法人は、政治活動に関する寄附が制限されており、原子力機構はこの法人に該当します。一方、総務省に確認しましたところ、当該条項において政治活動に関する寄附が制限されている法人から業務を受注していることをもって同項において政治活動に関する寄附が制限されている法人に該当することにはならないと承知しております。

 また、ファミリー企業と、御指摘のあった企業、計六社だと思いますが、への再就職状況について確認しましたところ、令和元年十一月時点において、指摘のあった企業の役員や顧問などの経営層に就任している原子力機構OBは一名もいないことが確認されました。

 また、御指摘の献金やパーティー券の購入は、民間企業あるいは個人の活動として行われるものであり、また、原子力機構と当該企業との契約に係る活動ではないため、確認する立場にはなく、回答は差し控えさせていただきます。

斉木委員 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が所管する、現在、廃炉作業中の「もんじゅ」ですけれども、これも私の地元にございまして、ナトリウムを使って冷却をするという特殊な炉型ですので、その廃炉の安全性に関しても非常に市民の関心は高うございます。

 その下請を担っている企業が、敦賀市を地元とされております前委員長、高木毅現議運委員長の、当時の自民党福井県第三区支部、そして資金管理団体で、敦賀市に本社があります高速炉技術サービス、現FTECから百六十二万円、そして敦賀市にある敦賀原子力サービス、現TASから百二万円、そして茨城県ひたちなか市に本社がある原子力システム、現NESIから九十万円、収入を得ていると記載されております。

 また、地元の自民党敦賀市支部、行政区支部の方で、高速炉技術サービスから百三十二万円、敦賀原子力サービス、TASから八十三万円、そして原子力システム、NESIから四十八万円。

 計しますと、御自身が代表を務める第三選挙区支部と資金管理団体で三百五十四万円、パーティー券を購入してもらっていると。そして、居住する地元行政区支部、敦賀市支部ですね、自民党、こちらで二百六十三万円購入してもらっていると。計六百十七万円分のパーティー券等を購入してもらっております。

 追加で、高速炉技術サービス、FTECと敦賀原子力サービス、TAS、原子力システム、NESIは、それぞれ、直近の値で、一年間に原子力機構からどれだけの取引がありましたか。

上野副大臣 原子力機構と御指摘の企業における取引額について、平成三十年度における金額をお答えいたします。

 原子力機構によると、ただいま先生からお話がありました、FTECでございます、これは二十四億円、敦賀原子力サービス、TASでございます、十三億円、それからNESI、原子力システムでございます、二十五億円とお伺いしております。

斉木委員 文科省の調査の結果、三十年度、直近一年間で六十二億円の税金がこちらに渡っている、売上げが立っているということですね。

 そして、前回、梶山弘志経済産業大臣の件に関しても、御本人がおられましたので、御本人が収支報告書にあるとおりですということで三社お認めになりました。その三社の内訳というのは、御自身が代表を務められております自民党茨城県第四選挙区支部、政党支部の方で、常陽産業、現アセンドから五十万円、東海村に本社がございます、同じく東海村に本社があって、ひたちなか市に移転いたしました原子力技術、現E&Eから五十万円、寄附をこれは受け取っております、また、警備会社、東海村に本社がありますナスカから五十万円、計百五十万円の直接献金を選挙区支部の方で受けていらっしゃいます。

 この三社につきまして、原子力機構との直近の取引額、一年間で幾らでしょうか。

上野副大臣 ただいま御質問がございました茨城県関係でございますが、常陽産業、アセンドから二十四億円、原子力技術、E&Eテクノサービスから二十九億円、さらにはナスカから十九億円とのことでございます。

斉木委員 梶山弘志経産大臣の選挙区支部に直接献金をされている企業が、三十年度、一年間で七十二億円、税金から売り上げているということでございます。

 高木毅議運委員長が、六十二億円売り上げている企業から三百五十四万円パーティー券を購入していただいている。そして、梶山弘志経済産業大臣は、七十二億円、これ税金が入っている企業から百五十万円直接献金を受け取っている。これは、国民から見ると、我々も一国民として所得税や消費税を払っております。それが、原子力のまさに研究開発法人、国立の研究開発法人、文科省の研究開発予算として使われているもので百三十四億円ですよ、一年間に。百億円以上の税金から売上げを立てている企業が、またその地元選出の衆議院議員に献金をするとなると、まさにこれは税金が国会議員に還流しているというふうに言われかねない事象だと思うんですが、そのあたりはどうお考えですか。

上野副大臣 先生の御指摘の献金やパーティー券の購入は、民間企業あるいは個人の活動として行われるものであり、また、原子力機構と当該企業との契約に係る活動ではないため、確認する立場ではなく、回答は差し控えさせていただきたいと思います。

斉木委員 前回の経産委員会の議事録を今持ってまいりました。

 私も、この高木毅議員に対する三百五十四万円のパーティー券購入について、敦賀市民からその安全性に対する疑念が出てくるとは思いませんか、どうお考えでしょうかということで、上野副大臣の御答弁が、たびたびですが、一般論としましても、世間やステークホルダーの信頼を失うようなことにつながる事案ですので、先生のおっしゃることをしっかりと真相究明をしていきたいと思っておりますと。こうした、税金が入っている企業、原子力関連企業から、当該地元選出国会議員が受け取る、パーティー券の大量購入を受けるということは、世間そしてステークホルダーの信頼を失うようなことにつながる事案ですと上野副大臣は前回述べられておるんですが、これを翻すということでしょうか。

上野副大臣 十一月二十日の私の答弁に対しての今の先生の改めての質問だと思いますが、まず、先日の経産委員会で、原子力機構と業務を受注している企業について、政治家への献金が制限されているかという法的な扱いが確認できない状態でしたので、それを一般論として、世間やステークホルダーの信頼を失うことがないようにという趣旨で発言したものでございます。

斉木委員 それは、上野副大臣が、いわゆる、私が前回指摘しました、政治資金規正法の二十二条の三に、「国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をしてはならない。」と定められております、それに該当するかどうかがわからなかったのでコメントしないというのは、ちょっと今、意味がよく理解できなかったんですが、御答弁を翻される、撤回される、翻されるということでよろしいですか。

上野副大臣 もう少し詳しく御説明いたします。

 法的扱いについて確認できなかったというのは、原子力機構は、先生おっしゃいましたように、政治資金規正法第二十二条の三の第二項において政治活動に関する寄附が制限されている法人に該当します。そして、その下請企業でございますが、その下請企業については、機構から業務を受注していることをもって同項には、政治活動に関する寄附が制限される法人に該当することにはならないと承知しております。

斉木委員 特にこのくだりでは、高木毅議員が地元企業から三百五十四万円のパーティー券を買ってもらっていることに対しまして御質問をしました。そして、世間やステークホルダーの信頼を失うようなことにつながる事案だというふうにおっしゃったのは上野副大臣なんですけれども、この地元政治家が税金が入っている研究開発法人の下請企業から大量のパーティー券購入を受けることは、その地元の、まさに「もんじゅ」のあれですよ、今廃炉作業中ですので、安全に廃炉できるのかどうか、その廃炉作業にもかかわっている業者ですので、そういった業者から直接、税金を売り上げている企業から、税金が昨年で、六十二億円ですよ、この三社で、六十二億円も税金を使っている企業から三百五十四万円のパーティー券購入を受けるというのは税金還流に当たるんじゃないか、まさに世間やステークホルダーの信頼を失うようなことにつながる事案だとおっしゃったじゃないですか、上野副大臣が。それが、今お聞きすると、「もんじゅ」が、要するに、国立研究開発法人が二十二条三は適用範囲内だが、下請企業は違うので、調査いたしません、どういうことでしょうか。上野副大臣の認識は、この一週間でどう変わられたということですか。

上野副大臣 もう一度繰り返させていただきますが、法的扱いについて確認した結果、原子力機構は政治資金規正法第二十二条の三第二項において政治活動に関する寄附が制限されている法人には該当しますが、その下請企業については機構から業務を受注していることをもって同項において政治活動に関する寄附が制限される法人に該当することにはならないと承知しております。

 よって、御指摘の献金やパーティー券の購入は、民間企業あるいは個人の活動として行われるものであり、また原子力機構と当該企業との契約に係る活動ではないため、確認する立場にはなく、そして回答は差し控えさせていただきたいと思います。

斉木委員 しっかりと真相究明をしていきたいと思っております、後ほど確認してお答えさせていただきます、真相究明をさせていただくというふうに、明言を二度もされておるんですが、しないということでよろしいですか。

上野副大臣 先生の御指摘の真相究明についてお答えいたします。

 原子力機構を所管している立場として、原子力機構と機構から業務を受注している企業について政治家への献金等が制限されているかといった法的な扱い等を確認しました。これが真相究明でございます。

    〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕

斉木委員 非常に、一週間でこの、世間やステークホルダーの信頼を失うようなことにつながる事案ですので、先生のおっしゃることをしっかりと真相究明していきたいと思います。こういった、税金還流と指摘されるようなことが立地地域で行われていると、まさに立地地域の地元住民の不安につながりかねないと私申し上げて、先生も、上野副大臣も世間の信頼を失うようなことにつながる事案だとおっしゃったのを、どうも一週間で大きく認識が変わってしまったのを、私は非常に残念だなと、立地地域の、当該地域の選出議員として申し上げさせていただきます。

 そして、この政治と原子力と金の関係なんですけれども、この高浜町、今回問題になっております、森山栄治元助役から関西電力及び福井県職員に対する金品の授受があった問題ですけれども、当時、きょう委員の皆様にお配りしております配付資料をごらんいただきたいんですが、これも経産委員会の続きなんですけれども、広報紙、当時、森山栄治さんが助役をされていたときの高浜町の広報紙がございます。この「広報たかはま」という昭和五十三年八月八日発行のもので、全世帯に配布された公文書でございます。

 表面は一年間の予算額が書かれているものなんですが、裏面を見ていただくと、「関西電力よりうけた協力金九億円とその利子二千八百十九万一千円について」という文書があります。非常に読んでいただくと興味深い文書になっておるんですが。

 この当時、森山栄治さんが助役、これは規制委員長にも認識しておいていただきたい事案なんですけれども、森山栄治さんが当時助役をされていたときは、浜田倫三さんという方が五期二十年間町長をされておりまして、高浜原発の一号機の誘致から高浜三、四号機の増設まで汗をかかれた、そして、森山栄治さんを、京都府綾部市の地方公務員を退職された後、民生課長として高浜町役場に招いて、わずか七年で助役にまで引き立てた、まさに森山栄治さんの直属の上司であり、町長と助役というツートップで当時の高浜町政を担っておられました。

 その当時、現在も、関西電力から、美浜町であるとか、おおい町であるとか、高浜町であるとか、まさに立地地域の町村に対しては寄附金が折に触れて交付をされております。

 私、現行は、町の表の口座、高浜町歳入歳出現金口座であるとか、歳入歳出外現金口座であるとか、こうした公の口座に入っているのが普通だと思っていたんですが、当時、森山栄治助役そして浜田倫三町長の体制下では、全額、浜田倫三町長の個人口座に入金をされていたということがわかりまして、大変これは問題になりました。

 当時、町議会で、浜田倫三町長が全員協議会で証言されたんですけれども、この文書が出された二年前の一九七六年十月に関西電力より一億円、そして七六年十二月に一億五千万円、そして七七年六月に六億五千万円、計九億円を御自分名義の個人口座で受け取ったということを町議会の全員協議会でこれは証言をしております。福井県史にも残っております。

 ですので、私はこれが、町の表に入るべきお金が町長の個人口座に入ってしまって、この二年間ずっと自分の口座で保管していましたよという驚くべき事実が出てまいりまして、これは非常にいかがなものかなというふうに思っております。

 まず一つは、誰に配ったかというのがまずわからないという点ですね。

 このお金は、三億三千万円は、実はこの広報が出たときには使ってしまっておりました。これは、当時、高浜町には漁協の支所が五つありまして、若狭和田、高浜、小黒飯、内浦、音海と五つの支所がございました。高浜漁協に対しては五千万、そのほかの四支所に対しては七千万円ずつ町長が配付をしていきました。なので、これがばれてしまったというか、町民、こういう文書を出さなければいけなくなってしまったんですね。

 というのは、その漁協が、三千四百軒のうち漁業権を持っている、あるうちに、A漁協は五百万円ずつ配付をいたしました、一世帯。そしてB漁協は五十万円ずつ配付をいたしました。C漁協は全く配りませんでした、冷凍設備や港の設備を整えるために貯金をしておりました。

 ですので、高浜町で当時大変うわさになりました。ある家は五百万もらった、ある家は五十万だ、ある家はゼロだ。そして、九割以上、九割近い町民は漁業権を持っておりませんので、ほとんどの世帯が、三千世帯ぐらいはもらっていないわけです。

 ごく一握りのA漁協の支所に漁業権を有する家庭だけが五百万円をもらい、五十万円をもらった家もあれば、大半の町民が裨益せずに、これは誰が配ったお金なんだといううわさになりまして、町長が七千万円ずつ置いていったんだということがこのことでわかりました。

 私、規制委員長に伺いたいんですけれども、こうした、私はこれは県の聞き取りもして、高浜町にも聞き取りしているんですが、これは、寄附金というものは、高浜町民全員が裨益する形で町の表の口座に入れられなければいけないものだと思っておるんですが、規制委員長としては、電力会社、町長の個人口座に寄附金を入れてしまうという電力会社の寄附金の配り方、地元への配り方は適当だとお考えでしょうか。

    〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、関西電力の金品授受問題につきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、原子力に携わる全ての者が強い反省を胸にそれぞれの責任を果たさなければならない中で、このようなことが伝えられたということには大変驚きましたし、また、文字どおり憤りを感じているところではあります。

 また、寄附金等々の仕組み等について、これは規制当局が言及することではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、原子力に携わる者、またその関係者、それぞれはやはり後ろ指を指されることのない適正な行動に努めるということが、この事故を受けた、事故の当事国であるからこそ、なおとても重要なことであるというふうに考えております。

斉木委員 まさに後ろ指を指されないようにというのはそのとおりでございまして、当時、実は住民監査請求がこれの事案に対しては、町民側から、どうなっているんだ、実態を解明しろということが当然、二度にわたって住民監査請求が起こりました。それを町側は、浜田倫三町長側は問題なしということで退けておるんですけれども、非常に不透明なまま現在も受け継がれております。

 そのとき、私、これを関電の今回の金品受領問題が明らかになりました現在から見ると、やはり、この町長は何のために高浜一号機から四号機まで四つの原子力発電所を誘致したんだろう、その動機というのもやはり疑いの目を向けざるを得なくなってくるというふうに思います。

 町の表の口座に入るのであれば、これは、公民館であるとか、そして医療費の補助であるとか、教育費であるとか、さまざまに住民が公平に裨益する形で使われるんだろうなと想像ができます。ただし、これが個人口座に入ってしまっては誰に配ったのかわからないんですよ。町長が自己申告で、三億三千万は漁協に配っちゃいました、残り五億と二年間黙っていた間についた金利二千八百万円は後から町の口座に入れるので問題ないでしょうという、私はこれはちょっと通らないと思うんですね。

 これは、当時の、森山メモというのが今回共同通信の取材で出てまいりましたけれども、この森山栄治氏が、幾ら、金品や米ドルや小判や金杯や現金、スーツの仕立て券等々を誰に送ったかという森山メモです。これによって関西電力が会見をしたわけですけれども、金沢国税局の調査が入って。

 その当時の森山メモには、一瀬さんという方が高浜町の議長を当時されておりまして、一瀬さんの証言では、あれは九億円ではない、森山メモにこの金額も書いてあったが、二十五億円というふうに記載されていたと証言しておるんですよ。ということは、十六億円の差額は消えてしまったわけですね。

 ただ、これは非常に問題になりまして、福井県も高浜町に対して、一体どういうことなんだと聞き取り調査をいたしました。そのときに、高浜町の総務課長さんが県の調査に対して、この口座に関しては、当時、一九七八年六月一日の調査で、大竹邦実県地方課長から浦賀喜蔵高浜町総務課長への聞き取り調査を行いました。この九億円については、全て一旦、浜田倫三町長名口座に振り込まれ、町の諸収入と五漁協への振興費に振り分けて引き出したというふうに証言しております。しかし、総額幾らの協力金が口座に振り込まれたのかわからない、振り込まれた時点もわからない、口座に幾ら残っているのかわからない、金利が幾らになったのかわからないと、管理責任者ではないのでわからないと県の地方課長に対して高浜町総務課長が答弁をしております。

 ということは、要するに、浜田倫三さんの通帳に入っているので、町長の個人口座なので、県の、総務課も見ることすらできません、管理権原者ではないのでチェックできないんですよというふうに、全く、要するに、個人口座に入れてしまうと、その当人しか見ることができないお金になってしまいます。こんなことをしてしまうと、私は安全性に対する信頼なんというものは成り立たないと思うんですよね。

 じゃ、町長さんが熱心に一九六〇年代から高浜一号機から四つ原子力発電所をつくることに尽力をされて、森山栄治さんと一緒にタッグを組んでやっていらっしゃいました。それは自分の懐を肥やすためかと。九億円を受け取って、これは金利だけで年間千四百万円もついているんですよ。金利だけで町長の収入を上回る額です。二十五億なんというのは、この当時の町の予算に匹敵する年間予算額ですよ。こんなお金を電力会社から自分の個人口座に入れられたら人間が変わってしまうと私は思わざるを得ないんですけれども、この事実をお聞きになって、政治家、特にその地元首長と電力会社とのあるべきお金の流れ、私は、透明化する、少なくとも町の表の口座に入れる必要があると思うんですが、規制委員長、御見解いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 今御質問にありました政治家ないしは地方自治体と、それから原子力事業を進める事業者との間のお金の問題ですけれども、これは、そもそも原子力の安全に係る技術的、科学的な問題というよりは、むしろ、いわゆる公益事業とされる電気事業法の所管においてきっちりと監視されるものであるというふうに認識をしております。

斉木委員 まさに高浜町の地元議員としましては、やはりこういった、今後、高浜一、二号機の、きょう、所信の中で、設置許可変更をされたということも述べられております。たしか、高浜一号機に関しては、来年の初夏、五月ぐらいに再稼働を目指しているというふうに、関電からは事前に、この問題が起きる前に説明を受けております。あと、美浜の三号機も関西電力の所管で、設置変更許可がされております。

 ですので、こういった炉をつくったのは、まさに一九七〇年代に運開しておりますね、高浜一号機は。ですので、こういった炉をつくった当時、当時の安全基準でつくっているわけですから、当時の町長さんが、余りに、こうやって二十五億とか九億とか、個人口座でもらって、前のめりな姿勢でつくったのではないかという疑念が生じてきてしまうわけですけれども、きょう、経産副大臣もいらっしゃっておりますので、原子力の推進官庁としていかがお考えでしょうか。

牧原副大臣 済みません。個別の事案につきましては回答をすることは差し控えるべきだと思っておりますけれども、一般論として、公的な立場の者というのは、その公的職務に関して自己利益を得るようなことというのは問題でございますので、そうしたことは問題であるというふうに一般論としては申し上げます。

斉木委員 これは、やはり、この議論をネット中継もされておりますので、お聞きになった高浜町の町民の方であるとか日本国民の方々は、何だ、そんな金を電力会社が立地地域の町長に握らせていたのかと。三億三千万円は漁協に、まあ、漁協も当時は漁業権は消滅していた、高浜一、二号機の新設によって既に漁業権は消滅していたんですが、さらなる温排水の流入によって漁業に影響が及ぶということで三、四号機の増設に反対の姿勢を示しかけました。で、その漁協に対して、じゃということで七千万円ずつ町長が配っていく。そして、余ったお金は町長の個人口座で保管している。そして、振り込んだお金があと十六億円あったという証言も出てきている。

 こんなことをされてしまうと、これは、地元の首長さん、今、私は非常に地元の首長さんや都道府県知事というのは重い職責を担っていると思っております。それは、再稼働に対する同意というものが事実上必須、マストになっているからでございます。そういった方々の口座に対して、そういった九億、二十五億のつかみ金のようなものがどんどん入っていくという構図は、そうしたら、人間が変わってしまう、まともな再稼働判断ができるのかという現代の疑念も湧いてくるわけですが、更田委員長、現在、例えば福井県知事であるとか、高浜町長であるとか、そういった個人口座にこうお金が入ってしまったら、これは、更田委員長、お答えになれなければ経産副大臣にお伺いいたしますので、まともな判断ができるのかという、これは国民の素直な疑念が出てくるわけですが、どうお考えでしょうか。

村瀬政府参考人 まず事実関係からお答えしますと、関西電力に確認しますと、まず、現在の扱いとしては、協力金等支出に当たっては、支出先の団体の公印を捺印した振り込み依頼書の受領及び協力金の使途の確認を実施することで、個人利用を前提としないことを確認するということに当然なっているわけでございます。当然なっているわけでございます。

 当時の事案につきましても、昭和五十三年でございますが、これ、確かに、高浜町民が地方自治法に基づいて監査請求を実施してございますが、当時の高浜町の監査委員が協力金の運用は妥当なものであった等の監査結果を公表している事案で、委員御指摘のとおり、あったわけでございます。また、その後、高浜町民が町長に対して実施した損害賠償請求、これもございましたが、福井地裁から却下判決が出ている事案でございます。

 こういった中でも、確かに過去こういった経緯はございますけれども、現在において、関西電力が国民からの信頼を回復する、このことは極めて重要だというふうに考えてございますし、関西電力がみずからの襟を正し、対応していくこともこれは必要だというふうに考えてございます。

 こういったことの中で、今、第三者委員会で徹底調査をしてございますので、こういった中で事案を徹底的に究明をして、関西電力にも適切な対応を求めていくことが必要であると思いますし、当省としても適切に対処してまいりたいと考えてございます。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 私は、これも東京電力福島第一原子力発電所事故の重要な、重大な教訓の一つだと考えておりますが、規制当局はいたずらにといいますか、規制当局は地元のいわゆる了解プロセスにかかわるべきではないと考えております。

 かつての反省ですけれども、地元の同意を得るですとか、地元の方々に対して、再稼働であるとか稼働のことを規制当局が推進当局と一緒になって、あたかも説得するかのような形をとっていたということは重要な反省の一つです。

 ですから、安全規制は安全規制として独立してあるべきであるし、地元の同意プロセスは同意プロセスとして独立してあるべきだと思っております。それぞれが適正であることが重要であると考えておりまして、御指摘の問題は地元の同意プロセスに係る問題であって、規制当局が言及するものではないというふうに理解をしております。

斉木委員 まさにそのとおりだと思います。

 国民から、まさに原子力規制、本委員会というのは、私は立地地域の代表といたしましても、いかに原子力の安全性を追求していくか、規制行政はどうあるべきなのかということをまさに議論をする委員会だと私は承知しております。

 ですので、まさに再稼働という、これを再稼働するかしないか、政治的な課題でもありますけれども、少なくとも、ここにいらっしゃる委員の方々は、御地元でも、安全性は絶対に追求するんだということはお約束の上でこの場に来ていらっしゃるというふうに思っております。その安全性を、じゃ、地元、再稼働をしていくときにクリアしなければいけないのは、当然、更田委員長が先頭を切っていらっしゃいます規制委員会の審査、安全審査に適合するか否かでございます。

 私は、それを担保しておるのも、規制委員長がこういった電力会社や下請企業から一切受け取っていない本当の独立した存在で、一切の政治力、そして圧力、お金、こういったものから独立して安全性を常に希求している守護神として、私たちは立地地域としても信頼申し上げているわけです。

 ですので、これを、じゃ、地元に翻ってみますと、これから高浜の一、二号機を再稼働させるか否か、美浜の三号機を再稼働させるか否かというのは、美浜町長さんであったり、高浜町長さんの同意判断があるし、また福井県知事、杉本知事の同意も、これは法的根拠はありませんが、事実上必要とされているわけです。当然、関西電力もそれは要件として認識をしております。

 そういったまさに政治分野の方々、私は、そういった、いろいろ高木委員長や梶山先生の件も取り上げましたけれども、私は別に政治的にこれを利用しようというわけではございません。ともかく、少なくとも、地元の首長さん、町長さんであるとか立地地域の首長さん、そして都道府県知事、こうした方の個人口座に不透明な形でお金が入るようなことをされてしまっては、立地地域、福井県民としてはもう信頼できなくなってしまうのではないか、何のために再稼働を政治家の人は焦っているんだろうか、それは自分がもらっているからでしょう、安全性なんて政治家は考えていないんじゃないのというふうに思われてしまうと思うんですが、これは、経産副大臣、どういうふうにお考えですか、今後、三号機、そして、一、二号機の再稼働を目指していく立場として。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず再稼働につきましては、当然のことながら、国民の信頼を得ながら地元の住民の方々の理解と協力を得ながら実現していくものだ、こういうふうに理解してございます。

 こういった事案が発生した中で、やはり関西電力が、先ほど申し上げたように、きっちりとみずから襟を正して、信頼を回復するというのがまず重要であると考えてございまして、そのために今現在行っている第三者委員会での徹底した調査、原因究明をしっかりと進めることが大事だと考えてございます。そういった形でまず信頼回復を進めた上で取組を進めていく、こういうことだと考えてございます。

牧原副大臣 やはり信頼関係というのが一番大事でございまして、もしそうした個人の利益を図っているということがあれば、それは信頼関係の前提を崩すことになりますから、そういうことは厳正にやはり回避されるべきであるというふうに思っています。

斉木委員 こういった、やはりパーティー券であるとか、選挙区支部への献金であるとか、当時の町長の個人口座への九億円の寄附などを見てきますと、私は、立地地域としましては、今後、再稼働を議論する客観性を規制委員長と同じように担保する意味でも、立地地域の首長さんであるとか都道府県知事には、原子力事業者、関西電力を含みます、原子力事業者やその下請メンテナンス会社、今回は六社挙がりましたけれども、警備会社、建設事業者等々から、地元首長、都道府県知事には少なくとも献金をしない。政治資金パーティーの券購入を制限するであるとか、政治団体への直接献金を禁止するとか、政治資金規正法の改正というものも私はして、透明感を高めた方が、この地元同意に対する地元住民の、また国民の信頼感も高まると考えるんですが。

 更田委員長、このような客観的な枠組みづくりというのは規制側としてはどのようなお考えか。また、官庁側、経産副大臣はどのようなお考えか、所感をお伺いさせてください。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、規制当局として非常に大事なことは、のりを越えないということであると思います。原子力の安全について、科学的、技術的な観点に集中をさせて、その責務を果たすことが重要であると考えておりまして、お尋ねの件に関しては、規制当局として見解を申し述べるべきではないというふうに考えております。

牧原副大臣 大変申しわけないのですが、政治資金法は、所管外でございますので回答は差し控えます。

斉木委員 やはり副大臣も、地元同意、安全性に対する信頼感は何よりも大事だと。梶山大臣も、経産委員会でやはり、地元の信頼がなければ原子力事業は成り立たないと明言されている、所信で明言されております。

 どうやってこの福井県を始めとした立地地域の信頼を取り戻すかといえば、私はそれを、再稼働を政治側で判断する人間に不透明な、こういう九億円だ、二十五億円だが少なくとも入らないように、仕組みづくりというのも国会の責任として、政治家が集う場ですので、みずからの襟を正すという意味で検討する、これは倫選特になると思いますけれども、そういった御提言も、議法で過去なされております。こういった御提言もさせていただいて、私の質問を終わらせたいと思います。

 どうもありがとうございました。

江渡委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私も、関電の原発マネー還流問題を質問したいと思います。

 この間、高浜町や福井県がそれぞれ独自の調査結果を発表しております。十一月十五日には、高浜町が、監査委員からの特別監査実施報告を発表しております。

 これを見ますと、森山栄治元助役が取締役だった警備会社オーイング、この会社は、二〇〇〇年以降の二十年間、高浜町から五百八十三件の契約を全て随意契約で受注していたという結果であります。契約金額は約一億五千万円と報告されております。吉田開発株式会社、これも森山栄治氏と関係があるわけですが、高浜町から同じ二十年間で百三十六件、約十九億円の工事を受注していたと。

 率直に申しますと、この調査は、調査対象や調査手法、いずれも限界があるとは思うんです。ただ、調査はされている。さらに、高浜町は、この特別監査とは別に、調査委員会というのを発足させて、職員あるいは元職員に聞き取り調査を行うということも既に発表をされております。

 あわせて、十一月の二十一日には、今度は福井県が独自の調査委員会の報告書を発表されました。

 この結果は、先ほど言ったオーイングに対しては、県から、これはちょっと時期が違いますけれども、二〇一四年度から二〇一九年度までの六年間に約二億九千六百万円、工事が発注されている、吉田開発株式会社に対しては、九五年度から二〇一九年度までの二十五年間で約五十七億八千六百万円の公共事業を発注していたということが報告をされております。

 この県の調査の方も、率直に言って、調査方法、例えば、調査委員がいずれも県の顧問弁護士であるとか、調査期間がわずか一カ月間であるとか、森山氏の関連会社や森山氏の周辺の人物に直接聞いていないとか、いろいろと限界はあるなとは確かに思うんです。しかし、一応、県としても調査は行った。

 副大臣にお聞きしたいんですが、高浜町も福井県も、不十分とはいえ、一応、独自の調査を行ったわけであります。経産省としてはどのような調査を行ったんでしょうか。

村瀬政府参考人 御質問にお答えいたします。

 幾つか職員に対する関連の調査を行っております。

 まず一つ目でございますけれども、関電が昨年つくった社内報告書について職員が知っていたかどうかという点について、調査を行っております。

 大臣官房首席監察官の指揮のもとで、二〇一八年九月以降、職務上、電源立地地域と直接の接点を持つ可能性のある職員若しくはあった職員合計二百六十九名を対象としまして、高浜町の森山元助役による関西電力役職員への金品提供に関し、関西電力が二〇一八年九月にまとめた社内報告書を同社の公表前に知っていたかどうかについて、聞き取りやメール等により実施した、確認作業を行っております。

 確認の結果でございますけれども、二百六十九名全員から、関西電力の公表前には同社の社内報告書の存在は知らなかったとの回答を得ているところでございます。

藤野委員 それ以外のはまたちょっと後で聞きますが、今のことについて、二百六十九名に聞いたというんですが、誰が聞いたんでしょうか。

村瀬政府参考人 大臣官房首席監察官の指揮のもとでヒアリングを実施してございます。

藤野委員 これは高浜町も福井県も報告書をまとめているんですが、経産省は報告書にすることは考えていないんでしょうか。

村瀬政府参考人 確認の結果、そのようなことは全員から知らなかったという回答を得ているところでございまして、そのようなことは考えてございません。

藤野委員 いや、それを検証するためにも、やはり報告書は私は必要だと思うんですね。

 この間のやりとりで、そういうのをやっているというのを私も聞いて、二百六十九名と、率直に言って驚きましたよ。ただ、誰がやったかもわからないし、いつ、どういう形でやったかも検証できないわけですね。ですから、これはぜひ報告書にまとめていただきたいと思います。

 それ以外にも調査されているとおっしゃいましたが、どのような調査でしょうか。

村瀬政府参考人 先ほどですけれども、二百六十九でございます、確認まででございます。

 今の御質問にお答えさせていただきます。

 先ほど答弁したもの以外では、同様に、大臣官房首席監察官の指揮のもとで、職務上、電源立地地域と直接の接点を持つ可能性のある職員及び過去十年の間にそのような職にあった職員及び退職者として、本省及び近畿経済産業局の職員及び退職者合わせて二百二名を対象に、高浜町の森山元助役との接点の有無、接点があった場合には、金品の受領の有無について聞き取りやメールによる確認作業を実施しているところでございまして、確認の結果、十九名の退職者については連絡がとれていないものの、百八十三名の職員及び退職者から、元助役との接点はないとの回答を得ているところでございます。

藤野委員 これは、報告書はつくられるんでしょうか。

村瀬政府参考人 先ほど申し上げたとおり、確認をしたヒアリング対象者のうち百八十三名の職員及び退職者全員から、元助役との接点はないとの回答を得ているところであり、そのようなことは考えてございません。

藤野委員 いや、私はそれでは通らないと思うんですよ。

 福井県も高浜町も、不十分とはいえ、まとめて、それを報告、発表しているわけですね。

 私が経済産業省がとりわけ重要だと思うのは、この配付資料の一で紹介しているんですけれども、経済産業省から、二〇〇八年以降、今日に至るまで、四人の出向者がずっと途切れることなく経産省から送られているんですね。

 私、十月十一日の予算委員会でこの問題も質問したんですが、率直に言って、人口一万人ちょっとの、こう言ってはなんですが、小さな高浜町に、なぜ本省から、本省というか経済産業省からですね、近畿経済局ですけれども、なぜ経産省から十年以上にわたって送られるのかなと不思議に思っていたんです。

 しかし、いろいろお聞きすると、二〇一〇年に、高浜というのは、原発、プルサーマル発電を実施するということが決まっていた。ですから、その二年前から、このプルサーマルに関係する詳しい人が経産省から行っていたということなんですね。

 私の質問に対して、菅原前経済産業大臣はこう答弁しているんですね。たまたまその日村という人はプルサーマルについて詳しい方でありましたけれどもと言っているんですが、たまたまじゃないんですよ。この副町長になられた日村さんという方は、副町長に就任されたすぐ後に、プルサーマルの先進地であるフランスに出張されて、ラ・アーグとかいわゆる原発関連施設、私も行ったことがありますけれども、そこに行って、いわゆる核燃サイクル、プルサーマル、こういうものを調査して、帰ってきて、それを高浜町のシンポジウムなどで報告されているんですね。ですから、非常に重要な役割を担っていらっしゃる。

 加えて、その後に、配付資料に出ております政策推進室長になられている方もいらっしゃるんですが、この政策推進室というのもなかなか重要な役割を果たされていて、地域振興計画づくりなどにかかわって、プルサーマルをやりますと交付金が出るんですね、特別の。電源立地交付金は一階建ての土台とすれば、プルサーマルという特別のことをやったら特別の交付金を上げるよということで、交付金をもらえるわけですが、しかし、これをもらうためにはやはり地域振興計画をしっかりつくらないといけないということで、その地域振興計画づくりにこの政策推進室長の方もかかわってきていらっしゃるわけです。

 ですから、何が言いたいかというと、経産省は、まさにこの高浜町と一体になって、プルサーマルの推進、そしてプルサーマルに基づく交付金を使った町づくり、こういうのをやってきているわけです。

 私も、高浜に行きまして、その交付金を使ってつくられた建物とか見てまいりました。非常に立派な施設があるわけですね。ですから、そういうものが実際に動いて、この間ずっと来たわけです。ここに経産省が一体となってされているわけですね。ですから、私は、その調査結果というのをやはり出していただかないといけないというふうに思うんです。

 副大臣、これ、出していただきたいんですが、いかがでしょう。

村瀬政府参考人 まず、事実関係から御説明させていただきますと……(藤野委員「いや、事実関係はいいです。それを報告書で出せと言っています」と呼ぶ)はい。

 今お尋ねいただいたことにつきましては、調査の結果についても、国会でもこういった形で明らかにさせていただきますし、我々として、機会を捉えて、明らかにするべきところではしっかりと説明してまいりたいと考えております。

牧原副大臣 今のところ、問題がなかったということでお答えさせていただいておりますので、調査報告書としてまとめる予定はないです。

藤野委員 いや、問題があったかどうか、我々がチェックしなければなりません。税金が使われているわけです、プルサーマル交付金もそうですけれども。そこに経産省から出向して、本当に推進していたわけです。ですから、それはどうだったのかということを文書で確認しないといけないというふうに思うんですね。

 それに加えて、森山氏との関連もあるわけです。関係なかったとおっしゃいますけれども、森山氏というのは、もうあらゆるところに配っているわけですね、高浜町もそうだし、県にも。調査に応じた三百十三人のうち百九人ですよ、三人に一人以上。こういう方と、高浜町というまさに地元に行って、プルサーマル担当のような、副町長をやられたり政策推進室長という重要なポストにつかれて、経産省から十年以上ずっとそこにいて、プルサーマルとの関係もありますけれども、森山氏との関係も、何もなかったとおっしゃられましたが、はい、そうですかとなると思いますか。ならないんですよ。ですから、どういう聞き取りを誰に対してやったのか。

 高浜町の調査、特別監査報告書では、個人名まで出していますよ、誰に聞いたか。個人名まで出しているんですよ。だから、そうやって初めて、ああ、こういう人に聞いたのか、こういう方が聞いたのかというのを我々は納得できるわけで、これは、副大臣、調査されたわけですから、結果も今、答弁はされました。しかし、それだけでは不十分です。しっかりと報告書にまとめて国会に提出していただきたい、副大臣。

牧原副大臣 ちょっと先生の御指摘も踏まえましたが、今のところは調査報告書をつくるということの考えはないということで、繰り返させていただきます。

藤野委員 これは委員長にもお願いしたいと思うんですが、これはやはり、調査したと言っていて、しかも中身は、一応答弁し、しかも問題ないと言っている。しかし、これはチェックしないといけないと思うんです、国会として。ですから、委員会として、後ほどこの提出を求めたいというふうに思います。

 委員長、よろしくお願いします。

江渡委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきたいと思います。

藤野委員 本当にこの問題は、国も経産省も深くかかわっている問題であります。決して高浜とか福井県だけの問題ではありませんし、ましてや関電という企業だけの問題でもないというふうに思います。

 そこで、次に、地元同意との関係でちょっとお聞きをしたいと思うんです。

 今回の福井県や高浜町の調査を通じて、まさに同意のキーパーソンが、森山助役との接点があり、金品の授受があったということが浮き彫りになりました。

 高浜町の野瀬豊町長は、産経新聞の単独インタビューで、二〇一九年十月十八日付で、野瀬町長自身も森山氏から贈答品を受け取っていたということを明らかにされました。町長が二〇〇八年に当選した際に受け取って以降、二〇一六年以降はやりとりがないという報道ですけれども、逆に言えば、二〇一六年まではいろいろやっていたということであります。受け取ったのは、かずのこやそうめんだということなんですが、ちょっと実態は産経新聞の単独インタビューでしかありませんのでわかりませんが、受け取っていたということは認められているんですね。

 福井県はどうか。知事経験者でいえば、栗田幸雄元知事という方がいらっしゃいまして、この方は、一九八七年から二〇〇三年まで十六年にわたって知事をされた方でありますが、この方は、森山氏から中元やお歳暮を受け取っていたということが福井新聞で報じられております。

 その後知事になられた西川知事は受け取っていないという報道なんですが、ちょっとこれはおいておきますけれども、いずれにしろ、知事経験者、四期十六年にわたって知事をされた方が金品の授受を、あったということであります。

 高浜町の幹部職員の調査はこれからですけれども、福井県の幹部職員でいいますと、先ほど言ったように、百九人があったと認めているわけですね。金品の授受だけでなく、昼食とか夕食をともにしたと。夕食代を森山氏が払っていたケースもあったというふうに報告書に書かれております。

 これは私、深刻だと思いますのは、民民の関係じゃないんですね、公務員であります。公務員ですから、金品の受領というのは、場合によっては、ケースによっては収賄罪にも問われかねない行為にもなってくる極めて重大な事案であります。私は、ある意味、関電の幹部も重大ですけれども、この公務員の問題というのはまた異質の重大性があるというふうに思っております。

 あと、先ほど、斉木委員から寄附金のお話もありました。だから、森山ルートといいますか、森山さんからだけじゃなくて、関電から直接寄附金という形で流れているものもあるわけですね。

 これは、我が党の地元の高浜町の渡辺孝町議が町の決算書をずっと調べて分析された結果、わかっている範囲で、一九六五年から二〇一一年までに、少なくとも四十四億円が一般寄附金又は指定寄附金などの形で関電から高浜町に渡っていたということも明らかになっております。そのうち三十五億円、八割が、森山氏が助役を務めた時期に集中をしているわけですね。

 配付資料の二を紹介させていただいているんですが、ちょっと粗くて大変恐縮なんですけれども、こういうマイクロでやるとこうしかならないので申しわけないんですが。ここに森山元助役のコメントが紹介されているんですね。高浜三、四号機の総工費は三千五百億円、仮に一%をもらったとしても幾らになるか、全国的に原発立地が困難な中で、高浜町は進んで建設を認めているのだ、こういう発言をされている。

 総工費三千五百億円の一%は三十五億円なんですね。さっき言った、森山氏が助役在任中の七七年から八七年に関電から寄附された寄附金というのが三十五億円であります。くしくも一致をするわけであります。

 ちょっと時間の関係で、配付資料の三は見ていただければと思いますが、要は、いわゆるいろいろなルートでお金が渡っている、地元同意の関係者にですね。例えば、交付金という形でもルートがあります。これは地元の議会とも関係はありまして、というのは、今、高浜町の全町議の、十四人いらっしゃるんですが、十四人のうち、一人は関電の社員の方ですが、経営する会社とか働いている会社が原発関連工事を受注しているという議員の方も複数いらっしゃるわけで、そういう方もこの交付金による工事を受注されているわけですね。

 ですから、これは副大臣にお聞きしたいんですけれども、立地自治体の首長が、高浜町も福井県も森山氏から金品を受け取っていたということが明らかになっている。立地自治体の議員もその恩恵にあずかっていたということが明らかになっている。つまり、地元同意といった場合、非常に関係する高浜町長や県知事というのに原発マネーが渡っていたということが明らかになったわけで、そういうもとで、この同意の正当性といいますか、同意の根拠そのものが私は問われていると思うんです。

 そういうもとで、私は再稼働というのは県民も国民も納得しないと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、やはり再稼働を進める上では、国民の信頼、それから住民の方々の信頼、これを得ることが必要であると考えてございます。

 先ほど申し上げましたけれども、まず、関西電力が本件の事案の徹底究明をして事案を明らかにし、それを踏まえて行政としてもしっかり対応する中で、そういった信頼を獲得して取り組んでいく必要があると考えてございますので、行政としてもしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

牧原副大臣 再稼働ということは、まず、きょう更田委員長いらっしゃいますけれども、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的な審査で、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合することが大前提になっております。

 その上で、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら進めていくというのが政府の一貫した方針でございまして、やはりその地元の理解を得ながらということが大変大切であるというふうに思っております。

藤野委員 いや、その地元同意を行うトップが今疑義が持たれているわけで、これではちょっと答弁にならないと思います。

 更田委員長にもお聞きしたいんですが、やはり、先ほど来、関電の問題、問題になっているんですが、公益事業を担う会社として適切なのかというその根本が私は問われているというふうに思うんです。

 ですから、公益事業をやっていいのか、そういう会社なのかというのが問われているときに、例えば、火山灰がどうとか、あるいは細かな技術的な対策がどうとか、そういう審査を進めるのか。先ほど別だとおっしゃいましたが、私は別の面もそれはあるとは思います。思いますが、しかし、こういう会社に電気事業という公益事業を担わせていいのかという根本が問われているときに、いや、技術的審査をやります、こういう話は私は通らないと思うんですが、更田委員長、いかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 まさに公益事業を進めるものとしての適格性は、これは電気事業法のもとでしっかりと確認を受けるべきものだというふうに考えております。

 一方で、私たちは、規制当局は規制当局としての責務をしっかり果たす必要があると考えています。現に、関西電力の原子力事業、これは、運転しているか停止しているかにかかわらず、原子力施設を有する以上、関西電力にかかわる安全上の問題というのはあります。

 したがって、電気事業者、公益事業者としての適格性の議論とは離れて、やはり原子力施設の安全に対する監視という作業は常に続けていく必要があるというふうに認識をしております。

藤野委員 いや、私が聞いたのは、それはまあそうだと思いますけれども、そうではなくて、そもそも企業として公益事業を担えるのかという根本の問題の答えが出ないまま、いや、それは原発があるからとか、核燃料があるからということで、それはそれでやるんですが、再稼働に向けた審査をやるのはおかしいんじゃないですかということなんです。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、公益事業者としての適格性というのは、しっかりと電気事業法のもとで確認されるものと認識をしております。

 規制当局は、これは繰り返しになりますけれども、規制当局は規制当局としての責務を果たすことが最も重要であって、また、いたずらにのりを越えるものでもないというふうに考えております。

藤野委員 いや、ただ、根本的な会社の適格性が問われているときに、審査だけ進めますという、それは別のメッセージになるわけです。

 東電のときは、規制委員会自身が適格性というのを問題にされたんですよね。東電は事故を起こしたし、いまだ廃炉や汚染水や補償の問題で全く収束できていない、だから、原発を動かす資格があるのかということを、規制委員会自身が、新規制基準にも入っていないのに、適格性があるかという別の項目を立てて審査をされたわけです。

 今回も、まさに、電気事業を担っていいのかという適格性が問われているわけです。これはやはり考慮しないといけないんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 東京電力の場合は、これは福島第一原子力発電所事故を起こした事故の当事者であって、技術的な観点からも、これはその適格性が厳しく問われる存在でありました。

 発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力であるとか運転を適確に遂行するに足りる技術的能力、これは全て安全にかかわるものであって、東京電力は事故の当事者であるからこそ、そういった観点からの適格性を問うたものであって、金品授受のような事業者のコンプライアンスにかかわるもの、公益事業者としての適格性にかかわるような問題である関西電力の事例とは異なるものと認識をしています。

藤野委員 もう終わりますけれども、この問題の真相解明なくして再稼働というのはあり得ないということを述べて、質問を終わります。

江渡委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 我が日本維新の会は、この臨時国会で、幾つか柱を掲げて仕事を進めてまいりました。その柱の一つが、きょう改めて取り上げさせていただく東京電力福島第一原発事故に係る処理水の海洋放出についてであります。松井大阪市長・日本維新の会代表を始め、党を挙げて取り組んでいるところでございます。

 ただ、この処理水の問題ばかりやっていると、何か一部に、何でそればかりこだわるんだ、こういうことを言われることもありますが、先ほど申し上げたように、党として、柱の一つは憲法改正です、柱の一つが福島第一原発の処理水です。私たち日本維新の会は、この処理水の問題は、それぐらい原子力政策の未来にとって大変重要であり、安全神話、ゼロリスク神話といった、日本の原子力政策を侵食してきた、そうした考え方を払拭して、令和の新しい時代にふさわしい環境をつくっていきたい、こういう思いで、きょうは質問に立たせていただいております。

 ちょっと通告から順番をひっくり返していきますが、まず最初に、更田委員長にお願いをいたしたいわけでありますが、ALPS処理水の海洋放出が健康に及ぼす影響はない、さらには、経済産業省がさまざまな選択肢を議論している最中でありますが、規制委員会としては、規制委員長としては、速やかな海洋放出が必要である、こういう御発言を再三、繰り返しおっしゃっていただいてきたことについて、まず、心から敬意を申し上げたいと思います。

 今申し上げた点等について、改めて更田委員長に、私のきょうの質問時間二十五分、もう若干たちましたが、私の質問時間、残り全てを差し上げますので、更田委員長の持てる力を全て振り絞っていただいて、規制委員長として考え得る最大限の工夫をもって、国民の皆様に御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、原子力規制委員会は、いわゆるALPSの処理済み水が規制基準を満たす形で海洋に放出される限りにおいて、環境や健康に及ぼす影響はないものと認識をしております。

 では、そもそも、基準を満たす限りにおいてというその基準がどのように設定されているかですが、この基準は、この場合、東京電力福島第一原子力発電所ですから、その発電所の敷地境界にお住まいの方、実際、今、人はおられませんけれども、そこで一年間、敷地境界で生活をする人を想定をしております。

 その人は、福島第一原子力発電所から直接飛んでくる放射線も浴びつつ、また、気体廃棄物の影響も受けつつ、その上で、液体廃棄物を毎日飲み続けたと想定して、一年間に一ミリシーベルトを下回るように設定をされています。年齢に応じて多少の違いはありますけれども、放出口から出てくる水を直接ペットボトルで受けて、二リットル毎日飲み続けたというのが液体廃棄物に対する想定であります。この想定で、公衆被曝の線量限度、繰り返しますけれども、年間一ミリシーベルトに達しないように基準は設けられています。

 さらに、海洋に放出する場合は、排出口そのものの水は更に拡散し、希釈されて、濃度が下がることになります。

 原子力規制委員会としては、液体廃棄物の処分に関して、これまでの実績のある方法として、海洋放出が現実的な選択肢であるというふうに考えています。

 米国のスリーマイルアイランドで事故が起きた際にも、同じように処理済み水の問題はありましたけれども、あれは川岸に建っていたという事情もあって、米国の場合は大気放出を選びましたけれども、これは、大気放出を行うための設備を行う十分な敷地があったこと、もちろん、大気放出の場合には時間もかかりますし、予算もはるかに大きなものになりますし、また、最も問題である風評被害についても、大気放出に関しては、海洋放出と同等あるいはそれ以上の懸念があるというふうに承知をしております。

 そして、原子力規制委員会が処理済み水の処分が速やかに進められるべきと考えていますのは、仮に、あした処分方法の決断がなされたとしても、すぐに実施に移せるわけではありません。おおむね二年程度の準備期間が必要であると考えています。

 というのは、希釈するための施設、そして希釈後の確認をするための施設、さらには、海洋に向かって押し出していくわけですから、そういった施設も必要です。急いでも一年半から二年程度の期間があると、これはちょうど今のタンクで貯留し続けられる限界に、もうぎりぎりのところに来ております。

 そういった意味で、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業を文字どおり暗礁に乗り上げさせないためにも、速やかな決断が必要であるというふうに考えております。

足立委員 今、私は更に十五分ぐらいを委員長のためにあけておいたわけでありますが、まあ、余り長くてもまた国民の皆様もお時間がとれないかもしれません。まずは、きょう委員長からいただいたこの御説明を、私のユーチューブチャンネルで、あだチャンというチャンネルをつくっていますので、そこでまたアップをさせていただいて拡散をしていきたい、こう思います。

 今おっしゃっていただいたような規制委員会の、規制委員長のお考え、こうした御意見をやはり経産省も重く受けとめるべきであると私は思っています。

 今、トリチウム水タスクフォースに続いて、ALPS小委で議論されていると承知していますが、いつまとまるのか、あるいは、まとまる段階でどこまでまとめるのか。そして、その後、政府として方向性を決めていく。その政府として方向性を決めていくに当たっては、今あったような規制委員長の見識、御意見、こうしたものを十分に踏まえるべきであると考えますが、経産省、いかがでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理した水の取扱いにつきまして、原子力規制委員会の更田委員長は、科学的に規制を執行する観点から、海洋放出が唯一の現実的な解と述べておると承知をしております。また、ただいまの御説明も承ったところでございます。

 他方で、更田委員長は、事故を経た炉心を一旦通ってきた水に対して心理的な抵抗があることは当然とも述べられておりまして、風評被害を心配する声に配慮する必要性も認識されていると承知をしております。

 こうした中、政府としては、ALPS処理水の取扱いの決定に向け、技術的な観点だけではなく、風評被害など社会的な観点も含めて、政府の小委員会で総合的に議論しているところでございます。

 まずは小委員会で議論を尽くすことが重要でございます。今後、小委員会での丁寧な検討、議論を行った上で、政府としての結論を出していきたいと考えております。

足立委員 新川審議官、もう本当にお願いしますね。

 今回の判断をどういう形で、私は迅速にやるべきだと思いますが、どういう形で国民にわかるような形で方向づけをしていくかということが、この原発処理水の処理そのものだけではなくて、原子力政策の未来を私は決めていくぐらい重要な段取り、取組である、こう思っていますので、経産省を挙げてお願いをいたしたいと思います。

 今、風評という話がございました。通告でいいますと四番目にちょっと飛ばせていただきたいと思いますが、ゼロリスク神話、まさに福島第一原発事故が、このシビアアクシデントが起こった最大の背景には、私は安全神話があったと思っています。

 かねての、瓦れき、東北の瓦れきを受け入れた、これは当時の橋下大阪市長、松井知事、日本維新の会が先導してそれを受け入れさせていただいたわけでありますが、今回のこの処理水に係る風評の払拭に向けても、私たちが一番大事なことは、本当のことを言うことだと思うんです。

 どうしてもこれまでの癖があって、日本政府は今までの癖があって、できるだけ国民に伝えないように、本当のことを言わないようにしながら、時間をかけてゆっくりとやる。今さっき上でやっていた憲法改正も一緒なんですけれども、まあ、話が飛ぶからやめておきましょう。

 私は、むしろ、国民に真実を正直に伝えるとともに、伝えることによって、安全神話、ゼロリスク神話の呪縛から国民を解放することが大事だと思いますが、規制委員長、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、原子力の安全については、リスクは決してゼロにはならないという認識のもとで、残されたリスクを低減させる活動に規制当局と事業者の双方が継続的に取り組むことが重要であるという考え方を原子力規制委員会の基本姿勢としております。

 また、先ほどの処理済み水の風評被害につきましては、どのような発信が風評被害を防止することになるのか、また、どのような発信が不安をあおり、風評被害を拡大させることになるのか、これは、それぞれの組織、さらにそれぞれの個人がきちんと考えるべきことであるというふうに考えております。

足立委員 例えば、昨年の八月でしたか、福島で公聴会が開かれました。再三、私も経済産業委員会あるいはこの特別委員会で取り上げさせていただいていますが、その経済産業省に私が、やはり安全神話にとらわれているんじゃないかなと感じたのは、その公聴会で経済産業省が示したトリチウム水の排出量、世界でどれだけ排出しているかという世界地図は示されましたが、日本の地図は結局示すことがなくて、総量だけを示しました。

 日本の地図をなぜ出さなかったのかということについて、事務方とは議論してきましたし、大体本音も聞いていますが、余り言うと彼らも立場がないと思いますから申し上げませんが、やはりそれは、経済産業省自身が安全神話、ゼロリスク神話の呪縛にとらわれているからだと私は感じています。

 世界地図だけ出して日本地図は出さない、この一点、この現象、この事実一つについて、規制委員長はそう思われませんか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、個別の資料については、これは承知はしておりますけれども、コメントは差し控えたいと思います。

 ただ、情報の発信につきましては、たびたび、特に東京電力福島第一原子力発電所に関しては、情報の発信の、済みません、平たい言葉ですが、下手くそさを感じております。というのは、これを知らされていなかったという御指摘があったときに、いやいや、それは全てホームページに載っていますと。ホームページの奥へ探っていって、そこで初めてわかる情報というのは、これは確かにアリバイではあるかもしれないけれども、伝えられていない。

 そういった意味で、私たちは、発信の仕方、それも、どこまでいったら本当に発信になるのかということをきちんと考える必要があるというふうに認識をしております。

足立委員 まさに今委員長がおっしゃったとおりでありまして、私たちが、この臨時国会の衆議院の予算委員会で、馬場幹事長から、まさにその経産省が出さなかった日本地図を、政府がつくるべき日本地図を日本維新の会がつくって、もちろん、データは経産省、規制委員会からいただきました。でも、そこに載せてあるデータは確かに載っているんです、ホームページに。でも、ホームページの深いところを探り当てることは僕でもできません。もと霞が関で二十年仕事をしてきた私でも、そこにたどり着くのに大変時間がかかる。だから、私は、今委員長がおっしゃったとおりであると思います。

 あと一つ気になるのが、我が党の代表、松井一郎大阪市長が、大阪湾に放出するという発言をしました。この発言について、批判もたくさんあります。特に大阪では、私も選挙区を抱えていますが、批判があります。

 でも、日本維新の会は、国のために、福島の復興のために、あえて発言をさせていただいているし、こうして国会で活動させていただいているわけでありますが、規制委員長から見て、この松井一郎大阪市長の発言、これは風評被害の払拭に役に立ったと思われるか、やはりあれは、先ほどおっしゃった、あれも下手くそだと思われるか、いかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 報道等で、松井一郎大阪市長の御発言については承知をしております。ただ、規制委員会の委員長として、政治家の方のコメントに対して直接見解を申し上げることは差し控えたいと思いますし、また、その評価というのはなかなかに難しいものだろうというふうに思います。

 ただ、やはり、より多くの機会で、より広く議論されるということは大変重要なことであるというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 私たちも、とにかく議論することが大事だ、情報を全部出して、そして議論を深める中にしか未来はつくることができないと思って、国会でそうした中身のある議論、これを進めている立場でございます。

 きょうは、加藤鮎子環境大臣政務官にもお越しをいただいております。厚生労働委員会とかで一緒に議論させていただきましたが、私も早く与党になりたいなと、いつも政務官のお姿を拝見しながら思っておるわけでありますが。

 政務官、先日、小泉進次郎環境大臣が、実は、我が党は小さいものですから、環境委員会に席を持っておりませんで、国対を通じて、この臨時国会ではぜひ、私、足立康史を環境委員にということでお願いをしていましたが、相ならず、小泉進次郎環境大臣に質問する機会がございません。申しわけありませんが、加藤政務官にお聞きをするわけでありますが。

 先日、日中韓の環境大臣会合がございました。小泉大臣は幾つか御発言をされたと報道で承知していますが、具体的な数値を示して韓国に反論すべきだという私の指摘は、国会で何度もやっていますから御存じだと思うんだけれども、数値を示しての御反論をされたということ、されていないと思うんですが、なぜしなかったのか、御答弁いただけますか。

加藤大臣政務官 今し方、足立委員の方から、小泉大臣の方が、日中韓環境大臣会合における趙長官との対話の中で、具体的な数値での反論はしていないという話がありましたので、まず、どのような対応をしたかというところの御紹介を申し上げたいと思います。

 今月二十三から二十四日に北九州市で行われた第二十一回の日中韓環境大臣会合におきましては、趙長官の方から、我が国のこれまでの処理水に関する政策努力を理解し、日本政府の政策を信頼しているが、科学的には不確実性もあるため、今後も透明性を持って情報の共有をお願いしたいという要請があったというふうに聞いております。

 小泉大臣からは、それを受けて、以下の四点についてコメントをしました。

 処理水の取扱いにつきましては、現在、政府の小委員会で議論されている段階であること。二つ目、福島第一原発をめぐる状況については、我が国は、原則月一回実施している国際原子力機関と外交団への通報や、計百四回の在京外交団向け説明会を通じて、透明性を持って丁寧に情報提供を行ってきており、直近も、十一月二十一日に開催したこと。三つ目に、我が国としては、今後も科学的根拠に基づいた正確な情報を提供し、透明性を持って丁寧に説明していく考えであること。最後に、いずれにしても、この問題は、国際的にIAEAにおいて原子力の専門家間で議論されるべきものと考えており、日中韓環境大臣会合の場で議論することは考えていないこと等々を申し述べて、このやりとりの一往復で終わったというふうに聞いてございます。

 その段階でもって、趙長官の方から特段反論の方がなかったこともあり、しっかりと大臣としては受け答えをしたというふうに理解をしております。

 また、私自身としても、先方が、政策努力を理解しというコメント、また、日本政府の政策を信頼しているというコメントを受けて、大臣も特段、あえて数値的なデータをもとにコメントを返すということが、必要性を感じていなかったのではないかと私自身は拝察をいたしております。

足立委員 だめですね。いや、加藤政務官がだめなんじゃなくて。

 小泉大臣、何のために大臣をやっているんですかね。今の内容であれば、役人でできますよ、僕でもできますよ。いや、僕はもっとちゃんとやりますよ。もう小泉大臣、首にした方がいいんじゃないですか、首に。加藤大臣の方がいいですよ。

 とにかく、小泉進次郎環境大臣、期待の大きい中、大臣になられましたが、一切仕事していません。大変厳しい評価を国民は下していくことになるということを申し上げたいと思います。

 私がなぜ小泉さん、小泉さんと言うかといえば、韓国の情報発信がやはり風評を拡大してきたからですよ。韓国は本当にひどいデマをまき散らしてきた。私は、まさに、その韓国の発信が我々の努力を、我々の、日本の取組の大きな障害になってきたと考えるし、それを世界に、世界に正しい情報を発信するに当たっては、内閣を挙げて取り組むべきだし、小泉進次郎環境大臣への期待は私は大きかったわけであります。

 きょうは原子力問題調査特別委員会ということですので、ぜひ、更田委員長、韓国がどんな発信をしてきたか、御存じだと思います。私はまず、委員長の立場から、あの韓国の情報発信はやはり風評を拡大したと私は思うし、委員長もそういう御認識だと、まず認識が合致しないと始まりませんからね。

 韓国の情報発信は風評を拡大したという御認識と、小泉大臣への御期待を、期待があればで結構ですが、忌憚のない御意見をおっしゃっていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 私が直接触れた韓国の政府関係者というのは、韓国で規制を預かる者であります。これが、九月のIAEAの総会の際に会う機会がありまして、彼の主張をるる聞きました。その際の主張は、科学的、技術的観点だけではなくて、社会的、心理的効果も勘案してというようなものでありました。

 これが不安をあおり、風評をあおる形になったかどうか。なかなかに難しいところがあると思っているのは、このALPS処理済み水の処分の問題にスポットライトを当てる上では効果があったようにも思っています。ですので、なかなかそれは、風評そのものにどういう影響があったかというのにはっきりした認識を持っているわけではありません。

 しかしながら、私は、現在、経済産業省における小委員会並びにその後の政府の判断によって、このALPS処理済み水の処分方法が速やかに決断されることを期待をしております。その上で、処分方法が一旦決定されたらば、規制当局として、その処分方法の実行方法、具体的な実施方法等について、透明性を持って広く説明に努めてまいりたいというふうに考えております。

足立委員 時間が参りましたので終わります。

 更田委員長、加藤政務官、ありがとうございました。

     ――――◇―――――

江渡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 原子力問題に関する件、特に原子力規制行政の在り方について調査のため、来る十二月五日木曜日、参考人としてアドバイザリー・ボード会員の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二月五日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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