衆議院

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第3号 令和元年12月5日(木曜日)

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令和元年十二月五日(木曜日)

    午後一時二十三分開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 津島  淳君

   理事 中村 裕之君 理事 細田 健一君

   理事 松野 博一君 理事 荒井  聰君

   理事 斉木 武志君 理事 伊佐 進一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      木村 哲也君    城内  実君

      齋藤  健君    鈴木 淳司君

      高木  啓君    西田 昭二君

      野中  厚君    福山  守君

      船橋 利実君    古田 圭一君

      星野 剛士君    堀井  学君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      簗  和生君    浅野  哲君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      日吉 雄太君    本多 平直君

      松原  仁君    宮川  伸君

      岡本 三成君    高木美智代君

      藤野 保史君    足立 康史君

    …………………………………

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会長)

   (政策研究大学院大学名誉教授)          黒川  清君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (政策研究大学院大学客員研究員/東京理科大学経営学研究科教授)      石橋  哲君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (拓殖大学政経学部准教授)            益田 直子君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     船橋 利実君

  日吉 雄太君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     高木  啓君

  玄葉光一郎君     日吉 雄太君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     木村 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 原子力問題に関する件(原子力規制行政の在り方)


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件、特に原子力規制行政の在り方について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、アドバイザリー・ボード会長及び会員の、政策研究大学院大学名誉教授黒川清君、政策研究大学院大学客員研究員/東京理科大学経営学研究科教授石橋哲君及び拓殖大学政経学部准教授益田直子君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に委員会を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ていただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず黒川参考人にお願いいたします。

黒川参考人 ありがとうございます。

 あの福島の事故から八年半たちました。あと一年半たつと、ちょうどあの福島の事件から十年たちます。一体、何か起こったでしょうか。それから、世界の原子力、四百四十基ありますけれども、あれをどのように共有できただろうかという責任も日本にあるんじゃないかと思います。

 そういうことでは、つい三週間前のことですけれども、私は久しぶりに浪江に行ってまいりました。浪江の人たちも、経済は調子が悪いんですけれども、それなりに皆さん明るい顔をして、パーティーもやっていただき、九十分ほどしゃべらせていただいて、楽しいひとときを過ごしたんですけれども、これは、行われた場所はJヴィレッジでありました。

 私たち国会事故調が発足したのが、もう本当にかなり前の二〇一一年の十二月八日、これを拝命いたしまして、これが発足いたしまして、憲政史上初ということで行政をチェックするというメカニズムができたんですが、それがほぼ六カ月ということで、次の年の二〇一二年の七月五日に、衆議院、参議院両院の議長に私たちの提言を提出させていただきました。

 それから、国会に頼まれてやったわけですから、国会はその後何をしていたのかという話が、この次の問題になってまいります。

 ということで、浪江に行ってまいりましたが、皆さん、それなりに楽しそうにやっておりましたけれども、あのときから皆さんの一人一人の生活は相当変わったんじゃないですかと問うたところ、非常に変わった、もう忘れたいぐらいだと。自分のうちはなくなり、家族は離散し、全く違うところで住んでいるわけですので、あれは本当に忘れられないぐらいだけれども、今のとき、あのトラウマは本当に忘れられないなとおっしゃっていましたけれども、本当にそうだろうなと思いました。それ以来、家族が離散して、本当にそういう人たちが随分多いんだなと思いました。

 そこで、この機会ですけれども、もう一回、国会事故調の提言というのがお手元の資料に出してありますけれども、これが憲政史上初ということで、行政のやることを初めて国会が、国会の中じゃなくて、独立した委員会に法律でもって調査をしろということを言われたことに対して私どもが半年かけてやったことでありまして、これは公開性と国際性、そういうプリンシプルでやりましたので。

 結論として、国会の事故調の提言は、一つ、「規制当局に対する国会の監視」ということをぜひお願いしたいということを申し上げました。それから二番目には、「政府の危機管理体制の見直し」、これについて先生方に常にチェックをしてくださいねということを申し上げました。三番目に、「被災住民に対する政府の対応」はされておりますが、それについてどのぐらい国会では議論して、フィードバックが出ているのかということであります。四番目は、「電気事業者の監視」ということで、近々でも関電のスキャンダルが出たりしておりますけれども、この辺も国権の最高機関としての国会の先生方にぜひお願いしたいということでありますし、五番目には、「新しい規制組織の要件」ということについても、新しくなったときにどうなるのだろうかということを常に国民にかわって監視をしていただきたいということでありますし、六については、「原子力法規制の見直し」、それから、「独立調査委員会の活用」ということで、このような独立した調査委員会の活動を更に使ってみるのも一つの案ではないだろうかということを申し上げたわけです。

 この中でどのぐらい実現されているかなという話をちょっと伺ってみたいなとは思っているんですけれども、いろいろな政府の案が出ています。

 最近には、先生方の委員会も公開でちょっと私もビデオで見ておりましたけれども、政府でいろいろな対応が出ていますが、それをどうやってチェックするのか。

 もちろん先生方が一人一人ではチェックするのは難しいと思いますが、常に政府の案が出たときにそれをレビューする。これも、恐らく国会の下に、ある程度似たような、独立性がある、専門性もバランスがとれた専門性があるような委員会をつくっておいて、その都度意見を聞くというような方法がいいんではないかと私も思いますが、そういうシステムをもうちょっとレギュラーに、レギュラーというか、定期的に問題については、先生方は本当にお忙しい方だし、いろいろな案件がありますけれども、独立したこのような専門委員会をつくりながら、その都度諮問をするようなことができてくると、国会としての行政に対するチェックがきちんと機能できるんじゃないだろうかということを申し上げたいなと思っております。

 つまり、三権分立では、政府をチェックするメカニズムにあるのは、司法的な、クリミナルアクトでない限りは国会が常にチェックしていなくてはいけないので、それを効果的にするためには、案件が出るたびに、ある程度の独立した委員会をつくりまして、それをまた先生たちがもんでいただくようなことをするのがいいんではないか、これが一つの前例だったんではないだろうかと思います。

 ということで、私のコメントを終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

江渡委員長 ありがとうございました。

 次に、石橋参考人にお願いいたします。

石橋参考人 失礼いたします。石橋哲と申します。

 国会事故調では、プロジェクトマネジメント機能として参画をいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

 次、お願いします。

 ちょうど一年前の今ごろでしたでしょうか、原子力問題調査特別委員会にお呼びいただいたことがございます。そのとき、私から、国会事故調に記載されている、国会に対する期待ということを御紹介をいたしました。ここに書かれているとおりでございます。読み上げます。

 七つの提言は、報告書の最も基本的なことを反映したものである。当委員会、これは国会事故調ですけれども、当委員会は、国会に対し提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定し、その進捗を国民に公表することを期待する。

 この一年間、実施計画の御議論はどこまで進みましたでしょうか。その計画の進捗はどのようになりましたでしょうか。一国民として、ぜひ御教示いただきたいというふうに思っております。

 次のスライドをお願いします。

 私、今五十五歳なんですけれども、昔、社会科の公民的分野というところで三権分立ということを習いました。ごらんいただいているこのページは、衆議院のホームページから引用しております。日本には三権分立があり、立法、行政、司法が相互に牽制し合うことという説明がなされています。歴史の教科書を見ても、この三権分立というのは民主主義の根幹であるというふうなことで習ったような記憶がございます。

 国会事故調が設立された根拠は、国会事故調法でございます。当時の衆参全会一致をもって成立したというふうにお伺いしております。先ほど黒川先生からお話があったとおり、国会事故調は、約半年の調査によって二〇一二年の七月の五日に報告書を提出させていただきました。提出させていただいたのは、衆議院、参議院の先生方に対してでございます。

 この国会事故調、立法府がみずから、三権分立の根幹である、民主主義の根幹である行政府に対する監視機能を発揮して実現をいたしました。国会に対して私は敬意を表したいと思っております。

 この立法府による行政の監視機能を、より一層、実効的かつ継続的に監視していくという観点からは、この後、益田先生から御意見を述べられるというふうに伺っております。

 次、お願いします。

 何度も繰り返し申し上げているとおりなんですけれども、私は、国会事故調報告書の肝の部分、核心部分は、これは「結論と提言」というところにある文章ですけれども、「問題解決に向けて」というところに集約されているというふうに考えております。ちょっと読み上げます。

 「問題解決に向けて」「本事故の根源的原因は「人災」であるが、この「人災」を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決策とはならず、失った国民の信頼回復は実現できない。これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組みであった。また関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思いこみ、常識)であった。」「当委員会は、事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である「組織的、制度的問題」がこのような「人災」を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である」と書いております。

 はい、お願いします。

 この趣旨は、原子力安全規制に関する規制のとりこが再び生じないようにすることが大事であるということです。すなわち、原子力安全規制行政を取り巻くさまざまな関係における透明性の確保、それを担保する公開性の確保が肝であるということでございます。

 はい、お願いします。

 先ほど、黒川先生からの話で御確認いただいたとおりですけれども、七つの提言の構造はこのようになっております。

 透明性の確保と公開性の担保を確保するために、国会事故調は、提言の一から七、特に、継続監視が必要な事項として、これもお配りさせていただいております資料にございます、付録二として、「国会による継続監視が必要な事項」として国会の先生方に対して御提言を申し上げております。

 この衆議院原子力問題調査特別委員会は、このうちの提言一に基づいて設立されたというふうにお伺いしております。

 特に、この提言一の3)と4)、ちょっと字が小さくて申しわけございませんが、ごらんください。読み上げます。

 「この委員会は、今回の事故検証で発見された多くの問題に関し、その実施・改善状況について、継続的な監視活動を行う(「国会による継続監視が必要な事項」として添付)。」と書いてあります、これが付録二でございます。「この委員会はこの事故調査報告について、今後の政府による履行状況を監視し、定期的に報告を求める。」と記載しております。

 提言一に記載している委員会は、「付録二 国会による継続監視が必要な事項」にあります、事故の検証で発見された多くの問題に関し、その実施・改善状況について、継続的な監視をし、また、提言の政府による履行状況を監視する、そのことを目的としております。

 はい、次です。

 先日、私、内閣府さんのホームページで発見したページを一部抜粋してごらんいただいております。

 行政府の一部である内閣府からは、国会事故調報告を受けて政府が講じた措置について、報告書が毎年提出されております。本年六月には、平成三十年度版からですけれども、概要の資料ということが内閣府のホームページにアップされております。

 その中に、この赤枠のところ、「提言一、提言四の一部、提言七は国会に対する提言。」であるということを、わざわざ注釈が入っております。行政府が、立法府の、国会の先生方に対して、ここの部分は国会の先生方の仕事であるということを明記しているということを御確認いただければというふうに思います。ぜひ、提言の履行をお願いしたいというふうに思います。

 はい。

 福島原発事故からもうすぐ十年でございます。この間、さまざまな状況が発生しております。

 事故調の調査は、たかだか半年でした。事故調査委員会が扱えなかった事項はたくさんございます。

 提言一に基づいたこの特別委員会、あるいは提言七で御提言させていただいております独立した調査委員会においては、取り組む事項はたくさんあると思います。

 例えば、最終処分の問題、この事故調で扱わなかった事項の2)としてあります、「使用済み核燃料処理・処分等に関する事項」に該当すると思います。放射性廃棄物の中間貯蔵の問題、汚染水の処理の問題、これは、9)にあります、事故後の状況、廃炉のプロセスに関する事項に当たると思います。また、最近では、原子力規制委員会が事故原因の調査を再開するということも報道されています。こちらは、この扱わなかった事項の3)にあります、「実地検証を必要とする事項で、当面線量が高くて実施ができない施設の検証に関する事項」というところに該当すると思います。

 まずは、喫緊の課題からお取り組みいただき始めるということが第一歩だと考えます。ぜひ、アドバイザリー・ボード、若しくは、提言七にあります独立調査委員会を御活用いただければというふうに考えております。

 はい、お願いします、次です。

 再びごらんいただいていますけれども、先日、私、福島県立福島高校で、当該高校の生徒さん若しくは先生方と、また、事故調査委員会の報告書に基づいた対話ということを行ってまいりました。

 その中で、生徒の一人から御質問をいただきました。私は、うまく答えることができませんでした。質問の内容を申し上げます。提言実施の進捗がはかばかしくないなら、その進捗を一歩でも進めるために、あなたはどんな打ち手を考えているのか。

 福島原発事故からもうすぐ十年です。この国の未来を担う彼らからの問いにきちんと正面から答えられるように、不断の努力をし続けることが、今を生きる大人の責務だというふうに私は考えます。ぜひよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。(拍手)

江渡委員長 ありがとうございました。

 次に、益田参考人にお願いいたします。

益田参考人 益田直子と申します。

 本日は、発言の機会をいただきましたことを関係者の皆様に感謝申し上げます。

 改めて、立法府による行政監視機能の重要性についてお話しすることを求められていると理解しております。本委員会において三回目の報告となりますので、前回までにお話をさせていただいた内容は簡潔に、そして最後に、少し新たなお話を加えて終えたいと考えております。

 私は、御存じのとおり、これまで、日本とアメリカの大学院で評価の影響の研究をしてまいりました。その際、ガバメント・アカウンタビリティー・オフィス、通称GAOと呼ばれる、独立した立場から政府活動の評価を行うと同時に、立法府の補佐を担うという組織の役割に関心を持ちました。

 そうした評価活動によって行政を監視する機能がアメリカの統治機構においてどのように誕生したのかという研究から明らかになった事項や、また、立法府及び行政府の評価活動に関する他国との比較研究などを踏まえて、今、日本の立法府の役割として期待される事項についてお話をしたいと考えています。

 特に、次の二点についてお話をします。

 一点目は、GAOの事例からわかる、立法府、つまり議会が、独立性の高い組織に行政活動の評価を依頼し、その結果の報告を受けるとともに、評価組織は、評価結果に基づく勧告事項が行政府によって執行されている状況をフォローアップし、公開している点についてです。

 二点目は、国際比較の視点から、日本は、評価政策については高く評価されていますが、評価文化の成熟度については課題があるという調査結果から明らかになる事項です。評価文化の成熟度をはかる測定指標は九つありますが、そのうち、他国と比べて最も評価が低いのが、議会における評価の実施と結果の利用に向けた制度化の程度です。つまり、評価の実施と結果の利用における国会の役割に大いに課題があるという結果が出ています。そして、この傾向が、国会事故調の報告書の結果の利用という側面でもあらわれていると考えられる点です。

 スライドを次にお願いします。

 まず初めに、一点目について、こちらの図は、GAOが立法府との関係と機能をともに変化させてきたということを示しています。具体的には、GAOは、行政府から立法府に近づくとともに、財務的検査から政策の効果の検査、つまり評価を行う組織に変わっていきました。

 なお、二〇一九年度のみの勧告数は千六百七件です。二〇一五年度勧告のうち四年間で執行された率は七七%です。また、未執行の勧告はデータベース化されて公開されています。

 次にスライドをお願いします。

 そして、次の二点目についてですけれども、こちらの表は、二〇一五年のジェイコブという研究者らによる評価文化の成熟度に関する調査において対象となったOECD諸国のうち十九カ国の間での日本の順位を示しています。日本は、この表においては下から六番目に位置しています。また、評価政策について、公式化されているとともに十分に確立した国、これは、一番右端の列の「評価政策 評定結果」というところで、「十分に確立した」という文字が並んでおりますけれども、その文字が並んでいる中の国の一番下、最下位に日本は成熟度では位置しております。

 評価を下げている最大の原因は、数値からも明らかなとおり、六の項目の、議会における評価の実施と結果の利用に向けた制度化の程度です。なお、点数の配点は、最も評価が低いものが〇点、高いものが二点と、〇から二の点数の幅で分析がなされておりまして、この六の項目については、〇・三という数値が当てられております。ちなみに、政府の方は二・〇となっています。ただし、参考としている論文において、日本の評価の低さの理由について明確な説明はありません。

 スライドを次にお願いします。

 しかし、他国の議会の中には、次のような三つの場合、つまり、一、議会みずからが評価を行う場合や、二、独立性の高い機関が評価を行うことを議会が求め、そのために議会が法律の策定や修正を行う場合、そして三、議会における予算審議の中で行政機関が行った評価情報を利用する場合などがあることを説明しています。ここから、日本はこれらに該当しないと判断されたと推測できます。

 では、次にお願いします。

 以上のとおり、議会における評価の実施と結果の利用に向けた制度化の程度が日本は諸外国と比べて低いという傾向は、評価制度においてのみならず、国会事故調の調査結果を国会において利用するという側面でもあらわれているように思います。

 具体的には、まず、政府は、国会事故調と政府事故調の報告書における提言に対するフォローアップ報告書を、平成二十四年度から三十年度まで毎年公表しています。

 一方、国会は、次の二点の取組はこれからという状況にあります。

 一つ目は、先ほどの石橋先生の御報告にもありましたように、国会は、国会事故調の報告書の提言一の3)において、「今回の事故検証で発見された多くの問題に関し、その実施・改善状況について、継続的な監視活動を行う」とありますが、その具体的事項である「付録二 国会による継続監視が必要な事項」に関するフォローアップはこれからです。

 そして二つ目は、国会は、国会事故調の報告書の提言一の4)において、「この事故調査報告について、今後の政府による履行状況を監視し、定期的に報告を求める。」とありますが、過去の本委員会の会議録を検索する限りにおきましては、政府によるフォローアップ報告書に関する報告を政府に求め、審議をしたという記録を見つけることはできませんでした。つまり、国会事故調の報告書の提言の実効性を高める取組はこれからと思われます。

 最後になりますが、先ほどの、他国の議会による評価活動への三つの取組のうち、スライド四だったかと思いますけれども、そのうち、本事故調査におきましては、二つ目の取組について、つまり、国会は、国会事故調を誕生させ、調査を依頼したことにより着手したと言えると思います。そうであるからこそ、国会の場でその結果を利用するということも可能なのではないかと期待せざるを得ません。

 以上となります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

江渡委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田委員 自由民主党の泉田裕彦です。

 参考人の先生方におかれましては、御多忙中、本当に貴重な御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。

 共通して訴えかけられているのは、国会の役割の重要性ということだったかなと思います。また同時に、東電福島原発事故から八年半を経過をして、少し風化が進んでいるのではないかということもお話の中で感じさせていただきました。

 東電福島原発事故におきまして、私、今でも忘れられないのが、原発が爆発をしてしまう、この映像を見たときの衝撃というのは記憶から消え去ることができません、忘れることはできません。

 振り返ってみますと、一号機、これは天井部だけ吹き飛んだ爆発でした。三号機、これはキノコ雲のような黒い雲が上空に向けて噴き上がる爆発でした。四号機は、これは火災という報告になっているんですが、どう見ても建屋全体がぼろぼろで、爆発があったんだろうということが事後的にわかったということでありました。

 一方で、現在も多くの住民の皆さんが避難を余儀なくされている原因となった放射性物質の飛散は、外見上ほとんど何も壊れていないであろう二号機のブローパネルが外れたところから飛散をしたということが言われているわけであります。これが後で判明するということになりました。

 安全と言われていた原発がなぜこのような事故を起こしたのか、この事故の教訓は何か。やはり、これを総括をして後世に伝えていく、これが国会事故調から求められた国会の役割だっただろうというふうに思います。

 原発事故の本質、これは何だったのか。津波だ、地震だ、いろいろなお話がありました。地震、津波、これはやはり引き金だっただろうというふうに思っています。

 原発事故、福島の事故の本質は、冷却の失敗、すなわち冷却材喪失事故であるというふうに受けとめています。要は、燃料棒の被覆が溶けなければ放射性物質の飛散はなかったわけです。そして、冷やすことができていれば、燃料棒が溶け落ちるということ、原発のメルトダウンは起きなかったということだと思います。つまり、ブラックアウト、仮に原発全体の停電が起きたということが生じたとしても、冷却が継続できていれば事故にならなかったということも言えるわけであります。

 福島原発事故では、残念なことに、事故を想定した準備は十分なされていませんでした。原子炉圧力容器の中に放射性物質を閉じ込めるということを最優先に、最大限の努力を払うということをしました。結果として、圧力が高まった、原子炉内の圧力が高まったので、消防からの注水が入らないというようなことで、冷却に失敗をするということになったわけであります。

 事故を想定した準備があったら、本当に福島事故は今のような大事故になっていたんだろうかということは考えさせられるということと、完全に解消はされていない疑問として残っています。

 世界に目を転じてみますと、米国において、福島原発と同型の原発、GE社製の原発、これはもともと米国で開発されたわけですけれども、米国におきまして、NRC、原子力規制委員会が、二〇〇二年に既に原発の規制強化をしていた。福島事故の前、はるか前に、冷却失敗をしたときの対応というのが、米国で規制がなされていたわけであります。

 二〇〇一年に、ナイン・イレブンの同時多発テロが起きた。二機、貿易センタービルに突っ込み、一機がペンタゴンに激突をした。四機目は一体何を狙ったのか。ホワイトハウスだったかもしれませんけれども、ひょっとすると原発だったかもしれない。こういう危機感の中でNRCはすぐ動いて、原発、航空機テロがあっても放射性物質を飛散させないような対策をとりなさいと。後にB5bと言われる規定なんですけれども、この規定をちゃんと電力事業者と規制当局に求めたということをやっているわけであります。

 もし、この規制強化が日本でも米国に見習ってちゃんとなされていたならば、ひょっとすると、亡き吉田所長はもっと打つ手をいっぱい持っていた、そして冷却をする手段を持っていたんじゃないか、福島事故はここまで大きくならなかったんじゃないかというような指摘もなされているところであります。

 二〇一一年時点で、なぜ米国でわかっていた規制が日本でできなかったんだろうか。当時の規制当局である原子力安全・保安院、実は情報を得ていました。そして、それが組織内で共有をされなかったという現実というものもあるわけです。そして、無論、一部の幹部だけで情報が共有されていましたので、テロが起きたときに、そしてまた電源が落ちて冷却ができなかったときにどうするのかというような話について、組織内で共有もしなければ、それを公に議論もしなかった、電力会社も無論それを知らなかったという状況で、あの福島の大津波を迎えてしまうということになったわけであります。

 もし、歴史にイフはないですけれども、このB5bの規制、しっかり議論した上で、そしてまた日本の原発に適用していたならば、当時クリントン長官が、政府高官及び東電の幹部にも直接電話をかけて冷却のお手伝いをしたいという申出がなされているわけですけれども、これを断っているという事態に立ち入らなかったのではないかという思いも持っております。

 そこで、疑問をもう一つ考えてみますと、当時の原子力安全・保安院は、事業者から働きかけがあったわけでもないのに、米国のテロ対策規制、これを日本で採用しないと、議論もしなかったということになっているわけです。どうしてそうなったのかということもしっかり総括をして、やはり歴史に刻むべきではないかなという思いも持っております。

 そこで、当時、国会事故調でこの議論を先導された黒川先生と石橋先生に、改めて、東京電力福島原発の事故原因、どのようなものであったとお考えでいらっしゃるのか、見解を聞かせていただければと思います。

黒川参考人 ありがとうございます。

 実際に、国会事故調の場合は証人を呼ぶ権利もありましたので、あれがあったおかげで、あのときの勝俣さんなんかでも、来なくちゃならないぞというときに、いろいろな都合が悪いという人には、じゃ証人喚問しますからねと言うと大体来てくれるようになったので、本当に助かりました。これは結構苦労したんですけれども、あれは本当に、国会事故調をつくっていただいた先生方の知恵がきちっと入っているなという気はあのときに大分しました。

 それから調べて、特にあのときの調べているときもわかったんですが、あの報告書を出してから、私は世界じゅうのいろいろなところから呼ばれまして、フランスにも行ったし、ヴァッテンフォール、北欧の方も行きましたけれども、三回、世界一周講演の旅というのをやりました。MITでもやりましたし、アメリカのコングレスでもやりましたし、そんな話をしたんですが、IAEAの人たちに聞くと、日本からもちろんIAEAに人がいますけれども、IAEAが、いろいろな事故があるたびにリコメンデーションを変えていくわけですよね。日本はそれをやっていないということを知っていましたね、みんな。日本からもちろん二番目にお金を出しているわけですが、日本の代表はMETIの人ですが、どうしてやらないのと言ったら、いや、日本では事故は起こらないことになっていますからという返事で、何言っているのかさっぱりわからぬなということを言っていました。それは「規制の虜」に書いたような気がしますけれども。

 そのほかに、B5bですね。アメリカで、本当に、ナイン・イレブンが起きたときには、次は原子炉だったんじゃないかということは当然考えるわけで、それについてはアメリカは結構がっちりやることにして、その後ちゃんと、飛行機など、例えば、ジャンボジェット機がフルタンクでぶつかってきたらどうするかというシミュレーションも考えていて、それでちゃんとアーミーを周りに入れるようにしていましたよね。それについては、日本に、こういうふうにした方がいいぞ、だんだん情勢がおかしいのでということを二回ブリーフィングしたけれども、二度とも何か無視されたということですよね。

 だから、そういうことをちゃんとやっていればあれだけの事故にはならなかった可能性が幾らでもあるなということを今でも思っておりますし、それがその後で、実際、今の日本の、再稼働するところはもう全部できているのかどうかちょっとわかりませんが、私、たまたま来週また、浜岡にちょっと見にいらっしゃいよというので、行ってこようと思っていますけれども。

 そういう世界の標準がどんどんどんどん、世の中がおかしくなってきて、それなりの対応をやっているのに、日本の少なくとも窓口は知っていたけれどもやらなかった。それについて、やはり、国会が行政の失策としては何かしなくちゃいけないんじゃないかというのが私どもの気持ちでありました。

 ありがとうございます。

石橋参考人 ありがとうございます。

 先ほど泉田先生からお言葉がありましたB5bですけれども、今、先生方のお手元に、黒川先生からお配りいただいております資料の付録二の最後のところです。十六番に、「既設プラントに対する安全性向上のための検討」というところがございます。これらの項目は、「国会による継続監視が必要な事項」として報告書で御提言させていただいているところでございます。

 この2)に、B5bについての構築ということを記載させていただいておりますので、これもちゃんとできているのかということは、国会の先生方において、国会事故調の提言に基づいて設立されている当委員会において、ぜひ継続監視をお願いしたいということを考えております。

 さて、じゃ、事故の原因は本質的には何だったのかということですけれども、冷却の失敗ということが原因だったというのはおっしゃるとおりだと思います。ただ、なぜ冷却の失敗が起こったのかということがございます。

 私、何度も、福島高校とか福島県の高校生とお話ししているという話をしましたけれども、Xデーをどのような状態で迎えるのかということが極めて本質的であるというふうに考えております。

 世の中の御議論を拝見していますと、Xデー、例えば、福島原発事故の場合は、三・一一の地震発生以降の議論がたくさん行われております。ただ、その前の事項、三・一一の十四時四十六分をどのような状態で、どのような社会の状態で私たちは迎えたのか、そこについての御議論は、私が拝見するところ、見つけることはできません。

 きょう、今この瞬間、次の事故の何日前でしょうか。

 たまたまNHKさんで、今、「パラレル東京」という非常に衝撃的な番組が行われています。一瞬後にあの状況になるかもしれません。私たちは、どのような状況でその瞬間を迎えるのかというのが非常に問われていると思います。

 そのことを議論しないまま次のXデーを迎えるかもしれない、そのことを忘れている、若しくは知らないふりをしているということが、実は事故の本質的原因なのではないかということを考えております。

 以上でございます。ありがとうございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 現在の置かれている日本の状況、災害列島、いつ地震が来るかわからない、日本列島は活動期に入ったかもしれないという中で、大変貴重な御指摘、御示唆、ありがとうございました。

 もう一点、国会事故調報告で指摘をされている中で、危機管理体制はどうだったのかという指摘もなされているところであります。

 これは、事故原因、どう評価してどう対応していくかということと、それから、万が一事故が起きたときに、住民の皆さんの生命、安全、財産をどう守るか、この観点もやはり欠いてはいけないということだと思います。

 事故調報告の四・二章だと思うんですが、「住民から見た避難指示の問題点」、これを指摘していただいております。具体的に申し上げますと、原発事故において、放射性物質が飛散をして避難しないと危ないレベルになっているということがSPEEDIの計算、それからまた実測値でわかっていた、にもかかわらず、住民に避難指示が出たのが何と、十五万人ですね、避難指示が出たのが一カ月もおくれたということが指摘をされているわけです。本来避難しなければいけないところが実際に避難するまでどうして一カ月もかかったんだろうかという点、ここのところも、御指摘のように、十分解明されたというような認識を私も持っておりません。

 そして、ここの部分というものは、まさに行政のそれぞれのメンツなのか過去からの経緯なのか、それを、同じことをさせないためにはどうしたらいいのかということをやはり考えていかないと、同じことが起きるのではないかなということを懸念をしているわけであります。

 迅速な意思決定をするため、さまざまな制度、組織を変えました。また、専門家の意見で物事が判断できるようにということで、原子力規制委員会が立ち上がって三条委員会になったというような変革もなされて、幾つか改革も進んでいるわけであります。

 一方、何で本当に一カ月も避難するまで時間がかかったのというところと今回の組織改正とどういう関係があるのか、必ずしもつながらない部分もあると思っていまして、これは先生方からごらんになって、避難指示、決断が一カ月もおくれてしまったのはなぜなのか、どういうふうにお考えなのか、そして、この間の政府の取組、どのように評価をされているのか、十一分までなので、もう時間がないので、私、聞きっ放しで終わるかと思いますけれども、参考人の先生方、お三人からコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

黒川参考人 それこそ、あの事件から日本は一体何を学んだのかということが一番大事だと思いますね。

 つまり、想定外だと言っていたかもしれないけれども、実際起こっちゃったわけだから、これから何を厳しくするかというのは、まさに、政府じゃなくて、立法府がどれだけプッシュするかだろうと思います。それで初めて国民は安心だということになるわけで、この間、柏崎刈羽もそうですけれども、ナイン・イレブンの後でちゃんと自衛隊を張りつけるのかというような話もしておかないと、それこそ半島の方が何が起こるかなんというのもそうですけれども、そういうのは当たり前ですよね。

 だから、そういう話を、あの福島の事故と今の国際的な枠組みで一体何をするのかというのは、やはり行政じゃできないんじゃないかと思いますね。ぜひ先生方の方でそれをやるという話をしていかないと、やはりこれはなかなか動かないんじゃないかと思います。

石橋参考人 ありがとうございます。

 先ほど泉田先生御指摘の避難のところ、まさに深層防護の根幹になるあたりだと思います。

 今まで、三・一一以降は、とめる、冷やす、閉じ込めるというところで安全が確保されているという御議論があったようでございますけれども、事故調の報告書に、ごらんいただきますとおり、世界では、IAEAの基準でしたけれども、深層防護のフレームワークが行われており、それは内部事象、外部事象若しくは人為的事象を含めたマトリックスがありました。日本では、内部事象の三層目までがパッチワークで行われているという報告が行われております。

 その状態をどのように確保していくのか。この国会事故調報告にあります提言二、政府の危機管理体制を見直すということの進捗がどのように確保されていくのか、これをどのように監視していくのかというのは、まさに先生方、国会事故調の報告に基づいて設立された本特別委員会において、ぜひ継続監視をしていっていただきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

益田参考人 当時の状況についていろいろ見解を述べることは難しい状況ですけれども、先ほどの石橋先生にもありましたとおり、政治家の先生たちに実施計画をつくっていただいて、その中で具体的な検討をしていただけると、住民の方々も、今後のこともありますので、安心なさるのではないかと思います。

泉田委員 危機管理に関して言いますと、実際、私、新潟県知事として、福島の避難民受入れを実施をしました。これは、バスの手配、それから物資を運ぶトラックの手配、物すごく大変だった。三十キロ圏に運転手さんは入っていただけないという現実があったわけです。

 米国であれば、いざというときに誰が助けに入るのか、あらかじめ名簿ができています。そして、御本人の同意をとった上で、そしてまた教育も受けた上で、防護服の着方も知った人たちがいざというとき必ず行くということができています。

 日本においては、まだ誰が行くかも決まっていない、そして、どんなところが上限になるのか、政府の規制も明らかでない。公衆人として年間被曝量一ミリシーベルトを超えたところに行けと言ってどれだけの人が行ってもらえるのかというところの議論もなされていないまま今日に至っている。いざXデーをきょう迎えたとすると、また福島と同じようなどたばたが生じるんじゃないかという懸念を持っております。

 きょう参考人の先生方からいただいた御意見、しっかり胸に受けとめさせていただいて、政治活動もさせていただきたいと思います。

 時間となりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

江渡委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 きょうは、黒川参考人、石橋参考人、益田参考人、それぞれありがとうございます。

 まず冒頭に、お三人から、若干言葉は違っておりますけれども、基本的には、国会事故調の提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定すること、その進捗の状況を国民に公表することと、国会が要請した国会事故調からこういう提言をいただいていて、これが十分にやれていない、そういう指摘を三人からされたわけであります。やはりこの指摘は相当重く受けとめなければいけないというふうに思いますし、三・一一という世界にもまれに見るような大事故を起こした国の国会として、私は、いまだにこの国会の中に常設でこの問題を議論する場がないというのは異常な姿だというふうに思わざるを得ないんですね。

 したがって、ただいま黒川参考人、石橋参考人、益田参考人から言われました、実施計画をつくる、進捗状況を国民に公表する、これを与党、野党の枠を超えてこの委員会がやるしかないわけですから、与党筆頭、野党筆頭、そして江渡委員長、ぜひ理事会の場でがっちり議論して、この実現に向けて動き出していただきたいと思いますが、まず最初に、委員長のお考え、聞きたいと思います。

江渡委員長 大変ありがたい御提言だと思っております。その点についてもしっかりと理事会で議論させていただきたいと思います。

逢坂委員 理事会で議論していただく、それは非常に結構なことだと思いますけれども、ただ議論するだけではなく、実現に向けて踏み出す、そういう姿勢で議論していただきたいということを委員長にはお願い申し上げたいと思います。

江渡委員長 はい、しっかり賜りました。

逢坂委員 それでは、私の方から、規制行政の中で私が問題だなと思うこと、避難計画についてちょっとお伺いをしたいと思っています。

 三・一一の事故以降、これは、原子力規制委員会、前任の田中委員長も更田委員長も、どんなに規制基準をしっかりクリアしたとしても事故は起こり得るんだということを、更田委員長も田中前委員長も言っているわけであります。

 となりますと、事故が起きたときにどうするかということが最も大事な話でありまして、先ほど石橋参考人の紹介いただいたものの中にも、「国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思いこみ、常識)であった。」ということが指摘されているわけですが、だから、事故は起こり得るわけですから、どう国民の安全を守るかということが非常に大事になる。その点において、日本のこの規制基準の中に避難計画が明確に位置づけられておらないということであります。私は、これは非常に問題ではないかと。原子力規制委員会の規制基準の外に避難計画が置かれているわけです。

 この点について、私は、規制基準の中に明確に位置づけるべきではないかというふうに思うのですが、お三人の先生方、必ずしも専門的ではない部分があるかもしれませんけれども、お考えがもしあればお聞かせいただければと思います。

黒川参考人 御指摘のとおりだと思います。

 それは、私、最近考えていることですが、失敗を隠すというのがあるんですね、どうしても。失敗から学ぶということをやらない限り賢くならないですよ。失敗というのはチャンスですから、ぜひそれを先生方で、議員立法でもいいし、そういう話をどんどんやっていくと。放っておくと、やはり政府の方じゃなかなかやらないんじゃないか。つまり、失敗を隠してしまう。

 これを、最近、私、日本の文化という話でいろいろなことを読んでいると、失敗すると、何か忘れちゃって、うん、新しくまた頑張って始めよう、こういうふうになっちゃうらしいんですね。そういう癖はちょっとまずいなと。だから、賢くならないで同じ問題を繰り返すという話になっちゃうんじゃないかと思います。先生の御指摘のとおりだと思います。

石橋参考人 ありがとうございます。

 原子力規制委員会さんは、五層目を対象外にする設置法になっているというところがきっとあると思いますので、そこは非常に、もし規制委員会さんが何かをしようと思っても、本来的な規制基準の中に入れられないということがひょっとしたらあるのかもしれないという想像をいたします。

 ただ、助言はできるという項目がどこかにあったような気はしております。原子力規制委員会さんが助言をなさるということであれば、それはそれなりの効果を発揮する余地はあるんじゃないかというふうに考えています。

 以上でございます。ありがとうございます。

益田参考人 御質問ありがとうございます。

 専門のちょっと範囲外でして、なかなか難しいですけれども、どちらかが責任を持って避難計画について扱うべきだとは思います。

 済みません。それで失礼いたします。

逢坂委員 それぞれの先生から、黒川委員から御指摘のとおりという発言をいただいたかと思うんですが、規制基準の中にやはり入れるべきだと私も思います。ただ、現実にはそうなっておらないということでありますので。

 その現実を踏まえたときに、私は、一番やはり鍵を握るのは自治体の皆さんだと思うんですね。万が一事故が起きたときに避難できるかどうか。それはやはり、もう現場で、先ほど泉田委員からも話がありましたけれども、新潟県知事として御苦労されて、避難者を受け入れるだけでも相当な御苦労がある。それじゃ、避難をしていただく自治体の方は、また更にそれ以上の苦労があるんだというふうに私は思っております。

 例えば、私の住んでいる北海道函館市などを考えてみますと、約三十万程度の人口が地域にはおります。北へ避難できる道路というのは国道五号一本しかないということです。平時でもこれは渋滞が起こるというところでありますので、避難計画のつくりようがないというのが市民の実感だというふうに思っています。

 すなわち、有効に機能する避難計画がつくれない。それであるにもかかわらず、規制基準の中に避難計画がないからといって、規制基準をクリアしたから原発を稼働していいなどということには私はならないと思うんですけれども、この点、専門家というよりは一人の国民として、お三方、どのようにお考えになるでしょうか。

黒川参考人 それは私も、私どもの報告書を出してからも気になりましたけれども、例えば川内を再稼働するというときに避難計画をどうするんだと、あのころは結構議論されていましたけれども、結局なし崩しで何となくやっているということですね。だから、それをどうやってやめさせるかというのは、やはりそういう意味では、国会というのはすごく大事なんじゃないだろうかと思います。

石橋参考人 ありがとうございます。

 なかなかお答えがまとまらないんですけれども。

 避難をどう実施するのか、どう実効的な避難をするのかというのは非常に大事な問題だというふうに考えます。

 それができないかもしれないという中で、実際問題、その三・一一までの間、若しくは事故調査委員会の中で幾つかの参考人の方がおっしゃっておられましたけれども、立地規制基準、立地審査指針ですか、そのものが、避難ができないからこそ設置できないというふうにならないように、逆算して設置基準を決めているという議論があったような記憶がございます。今、その立地規制基準というのはどうなっているのか。余り議論は進んでいないような記憶があるんですけれども、まずはそこからなんじゃないかという気がしております。

 済みません。お答えになっていないんですが、申しわけございません。

益田参考人 なかなかお答えが難しいんですけれども。

 受入れ側の自治体が原発を受け入れる際に住民の避難計画の部分をクリアしていないというところについては、やはり住民側からもなかなか納得を得るような状況にはないのかなと。さはさりながら、一方で、それに対して強制力を持たせるために規制基準の中に避難計画を入れるということは、確かに強制的な手段としてあり得ると思うんですけれども、それが入っていないということには、さまざまな、いろいろな関係者間などのしがらみといいますか、何かがあるのだろうと思います。

 ちょっと私は不勉強なので、そこは本当によくわからずにお話をしていて大変申しわけなく思いますけれども、そうしたところを一つ一つほどいていって何が一番大事なのかというふうな議論をしていかない限りは、先生がお考えのようなことはなかなか進まないのではないのかなというふうには、お聞きして感じております。

逢坂委員 日本の防災計画といいましょうか、避難計画も含む防災計画のやはりつくりというのは、私は非常に甘いというふうに思うんですね。私も自治体で二十二年仕事をしておりましたので、必ずしも十分ではないと。しかも、これは国の関与が非常に弱いわけですね。国は、自治体が避難計画をつくるときに国は支援を実施するんだということを言っていて、支援の実施って何だ、それは確認行為だという言い方をするんですね。最終的には全閣僚をメンバーとする原子力防災会議で報告をして了承を受ける、それで避難計画が一応日本の場合は成り立っているわけです。

 一方、アメリカのNRCの例を見ると、NRCでは、緊急時計画、すなわち避難計画と言ってよいと思いますが、緊急時計画に適切な防護の合理的な保証がないと認める場合には、運転の停止を含む措置をとり得るんだという明確な規定があるわけですね。

 私は、日本でもこのぐらいのことをやらなければいけないと。仮に規制委員会の規制基準の中にないとしても、実際に避難を担う自治体が、それはやれない、不可能だ、一時期に二十万人も三十万人も避難はできないんだということになると、それは原子力発電所を稼働させてはならないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

黒川参考人 それはそのとおりかと思いますが、私、最近ちょっと考えることがあって、日本人は何でこんなのが常識なのかなということをいろいろ読んでみると、岩倉使節団、それから福沢諭吉とか、いろいろあるんだけれども、結局は、鎖国のときのマインドがずっと残っているんじゃないかという気がします。でも、明治維新では、みんないろいろなところで学んできたんだけれども、形を学んできたんだけれども、そういうことになった背景の歴史とか哲学は勉強する時間がなかったんだなと思って話しています。

 そういう意味では、何かを始めるときに、今まで、経済成長をしているときはうちもあっちもと言っていたんですけれども、幾つまでやるぞという話、始めることはみんな議論するんですけれども、幾つでやめると言うことができないんですよ。それは何なのか。それこそ、それは国会の仕事なのかもしれないんですけれども、最初からどこでとめるぞという話をまず書いておかないと、日本は一旦スタートすると、とめるメカニズムがないんですね。これはどうしてなんですか。私、これは全然理解できなくて、何でなのかなということをちょっといろいろ考えているんですけれども。

 そういう意味では、まあ、いろいろな説がありますけれども、ちょっと今非常に考え中で、何で始めるときは賛成するんだけれどもやめるときはできないのか、これは非常に不思議な国だなと思っております。

石橋参考人 ありがとうございます。

 自治体さんにおいて避難できないと判断した場合はとめるということができるようなたてつけをつくるべきではないかという御質問、私はどう思うかという御質問だと思うんですけれども、まさにそのような御議論をこの委員会でやっていただければというふうに思います。それを是とするのか非とするのかというのは、未来の国民からの負託を受けた先生方の御判断であるというふうに考えます。

益田参考人 ありがとうございます。

 全国知事会など、自治体側との合意形成を図りながらお進めになると、具体的なものが見えてくるのかなというふうには感じました。

逢坂委員 では、以上で終わります。ありがとうございます。

江渡委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 共同会派に属しております玄葉光一郎です。

 三人の先生方、本日もありがとうございます。

 これまでの委員会での議事録、そして、改めて国会事故調の報告書にも目を通してまいりました。

 時間がないものですから、きょうは、黒川先生と石橋先生に一問ずつお尋ねをしたいというふうに思います。

 黒川先生とは、一年前に、朝河貫一のシンポジウムで、パネラーで御一緒をさせていただきました。私は、福島県選出の国会議員でございます。ちなみに、第一原発から四十キロに家がございます。生まれた家でもあり、今住んでいる家でもありますけれども、朝河貫一は高校の大先輩でございまして、イエールにも、その冠のシンポジウムに招かれたこともございました。

 御承知のとおり、この歴史に残る国会事故調の報告書の「はじめに」で朝河貫一が引用されています。「百年ほど前に、ある警告が福島が生んだ偉人、朝河貫一によってなされていた。朝河は、日露戦争に勝利した後の日本国家のありように警鐘を鳴らす書「日本の禍機」を著し、日露戦争以後に「変われなかった」日本が進んで行くであろう道を、正確に予測していた。」というふうに書いてございます。

 たしかシンポジウムでは、先生は朝河を引用した意味を、日本人あるいは日本がもっと相対的にならなきゃいけない、こういうようなことをおっしゃっていたと記憶しておりますけれども、改めて、先生にこの場で、この国会の場で、朝河貫一を引用した意味、さらには、報告書が提出されて七年くらいたっているんですけれども、私はますます引用した意味は大きくなっていると思いますけれども、そのことについて語っていただければと思います。

 さらに、質問しちゃいますけれども、石橋先生には、この間、毎度、今お話しいただいたように、七つの提言を紹介をされて、この国会できちっと、その後、実施計画、実行計画の議論ができているんですかという問いかけをされておられて、私も、非常に重く受けとめなきゃいけないし、委員会として真摯に受けとめなきゃいけないと思います。

 特に、大変だとは思いますけれども、委員長にぜひお願いをしたいと思うんですね。私も、僣越ながら、委員長は三回ぐらいやりましたかね、特別委員長も二回やりました。自分で申し上げるのもなんですが、特別委員長のときは、二回とも前例になかったことをやったという自負があって、それぞれの与野党の国対委員長なんかにうまく根回しをしながらやったという思いがあります。はっきり言って、委員長が本気になるかどうかだというふうに思います。

 きょう、私、石橋先生にお聞きしたいのは、ぜひ委員長の決意もお聞きしたいんですけれども、石橋先生、もちろんこの進め方とか手順については我々が考えなきゃいけない話なんですけれども、先生の中で、こういう進め方、こういう手順があるんじゃないかというのがあればお尋ねをしたいなと。

 私は、まずこの提言の中で、既に、客観的に見て、委員会が、まあこれはできたんじゃないか、ここはできていないんじゃないかということをまず委員会としてきちっと整理して、それを公表するところから始めて、未達の部分について実施計画をつくる、そういう手順かなと思っているんですけれども、一歩進んで、手順とか進め方についてアドバイスがあればいただければと思います。

 ありがとうございます。

黒川参考人 御存じかもしれませんが、私は医者なんですけれども、多くの人たちがアメリカとかイギリスに留学することが多かったわけですね。

 私も機会があってアメリカに留学して、ペンシルバニア大学に行き、その後、UCLAに移って三年、普通は三年ですけれども、そのまま何か居ついちゃったんですね。居ついちゃったらもう破門ですから帰れなくなった。それで、医者で行ったんだけれども、今度は、破門になったときの医者というと、向こうの競争相手は医者ですから、だから、三十半ばにして猛烈に頑張って、向こうの医者の免許も取り、内科の専門医の資格も取り、腎臓の専門医の資格も取り、ようやっと競争のスタートになったんですけれども、それでも、頑張ってやれば、皆、非常にフェアに扱ってくれました。

 しかし、個人の資格で、今度は、帰れないという状況でアメリカにいると日本のことが物すごく気になるんですよ、自分の国だから、かわいらしいから。そうすると、日本のいいところは皆わかると思うんですけれども、弱いところはなかなかわからないんだけれども、弱いところが非常に見えてくるんですね。レラティブに見られるんですね、強いところ、弱いところ。

 それで、こんなことじゃ日本はやばいななんということは随分ありました。ベトナム戦争が終わったとき、七五年ですけれども、ボートピープルを日本は受け入れないというから、こんな恥ずかしいことはないなというふうに思いましたけれども、勢いそうなっちゃうんですね。

 だから、そういう意味では朝河貫一もそうだったと思います。私は、朝河貫一の「日本の禍機」も前から読んでいましたけれども、やはりあの人は、二本松の出身で、高等学校を出たら、すごく勉強ができる子なので、機会があって向こうへ勉強に行って、今の高校生ですね、それからイエール大学に行き、イエール大学をちゃんと卒業した初めての日本人です。

 それで、非常に優秀な成績をおさめて帰ってくるわけですけれども、そのときに彼は同じ気持ちだったと思いますね。日本が満州に行くぞというような話をしているときに、もう明らかにこれは間違いだよということをあそこにいたから書いているわけで、こんなことはしない方がいいよ、世界から見るとアメリカはそんな生易しいところでもないということを書いて、本当に私も感動していたので、あのときにやはり、「はじめに」というのに誰かをクオートしようと思ったんですけれども、もうこれは朝河貫一だなと思いまして、ああいうふうに、外で見た日本が見られる、そういう愛国心のある人、つまり、外国人はそう見ていると思うんだけれども、国を思うその気持ちが本当に出るのはやはり個人で苦労しているからこそ出るわけなので、あの言葉は本当に身にしみたなと思いまして、引用させていただきました。

 そのときは、先生を始め福島の人には非常に喜ばれたし、私も二本松に三回ぐらいしゃべりに行きましたけれども、そういう偉い人があの時代に、百年前にいたということなんですね。だから、そういう意味では、そういう人をもっともっと日本はふやしてほしいと思います。

 今、例えば、科学者というカテゴリーの若い人も、お年の方も含めて、世界から来る、あるいは世界に出ていくという人事の流れを見ていると、日本はもう圧倒的に少ないですね。つまり、頭の中が鎖国なんですよ。そういう国だというところを十分考えておかないと、特に若い人にはとにかく休んででもいいから外に行けと言っているのは、日本をレラティブに感じるという心が出てくるので、これは入試の偏差値とは全く関係ない話なんだと言っていますけれども、その実体験はぜひさせるといいと思いますし、何か、ほとんどデューティーにしてもらいたいぐらいだなと思っております。

 ありがとうございます。

石橋参考人 ありがとうございます。

 進め方、まさに先ほど先生がおっしゃったとおりなんですけれども、ぜひ、その進め方については先生方で御議論いただきたいというふうに思います。

 ただ、事故調の体験から私が考えることがございます。先生方、非常にお忙しいです。事細かいかつ専門的なことになりますと、先生方がみずから手を動かしてなさるというのは、これは物理的に不可能なんだろうということを想像いたします。国会事故調はそのためにできた。幅広くかつ深く、いろいろな諸課題がある中に、民間人から成る第三者委員会をつくりまして、そこで委託をした、先生方は御判断をされるという機能分けということがあると非常に効果的なのかなということを体験として感じました。

 そのことに基づいて、提言七、独立した調査委員会の活用という御提言をさせていただいている次第でございます。

 ちなみに、この独立調査委員会のテーマとしては、ここの提言などに書いてある問題のほかに、事故調査委員会が取り扱わなかった事項ということがございますので、そういうところからの御議論が、まずは先生がおっしゃった課題の整理、できたところ、できていないところの整理の次にそれをやるということがあるのかなというふうに思います。

 まずは実施計画ということですけれども、計画を御議論いただくときには、期限を区切って、モニタリングがきちっとできるということをおつくりいただくのが、民間ではよく行われる話でございますので、そのような形で、特に、推進とか、何とかを検討するとか、体言どめというのはよくわからなくなりますので、実際にどこまでミートするのかということを明記していただけるとモニタリングがしやすいのかなということを想像いたします。

 以上です。

玄葉委員 時間が来ましたので終わります。ぜひ委員長、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

江渡委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。

 三人の参考人の皆様、お時間を使って国会までお越しいただきまして、ありがとうございます。

 本日、三人の皆様の御意見を拝聴するに当たって、これまで国会に来ていただいて皆様が御発言いただいた内容や外のいろいろなシンポジウム等でおっしゃっている御意見、拝読してまいりました。

 その上で、お三人、異口同音に、国会の要請を受けて事故調で七つの提言をしたのに、それを受けた国会の実施計画の責任のとり方というか、皆さんの期待値に全く届いていないということを立法府の一員として本当に申しわけなく思っております。

 せっかくお越しいただいたので、率直な言葉でお伺いをしたいと思います。

 まず、黒川参考人にお伺いをしたいんですけれども、七つの提言を受けて七年以上たつわけですけれども、お話を伺っておりますと、ある程度、行政府においては皆さんの期待値に近いような、その後の分析、評価等をしていらっしゃるようなことにも聞こえますし、加えて、立法府においては皆さんの期待値に全く届いていないというようなことにも聞こえますけれども、仮に十点満点としますと、行政府はどの程度の点数をいただけて、私たち立法府はどの程度で、その期待値と今が違う最大の要因は何だとお考えになっているかということをぜひお伺いしたいと思います。

黒川参考人 恐縮です。

 しかし、点数を言われるとわかりませんが、あれだけの歴史に残る、世界じゅうが知りたいというか、びっくりした事故ですね。世界で四百四十ありますから、中国はあと百つくろうなんて話もありますけれども、あの事故をやはりかなり公開して、何でこんなことが起こったんだと。それは恥ずかしいかもしれませんけれども、それはウオーニングでもあるわけなので、それをしたいと思って、私たちの委員会は全部公開して、英語で、同通も入れて、報告も全部それで、同通で、しかもオンラインで、ネットでも常に見られるようにしておきましたから、世界じゅうの人が非常に高く評価してくれました。

 その結果、日本で何が起こったかというのをみんな、世界もまた見ているわけですが、やはり世界じゅうで、私もその話は聞きましたけれども、少なくとも、それを利用して、よくしようという話は明らかだし、日本でもやっていると思います。だけれども、それがどこまでいけば徹底するかというのはなかなか言えないんですが。

 基本的に、国会は、どこの国でもそうですけれども、法律をつくるのは国会だし、行政府は、法律に従ってきちんとやるのが行政府ですけれども、日本はやはり何となく、企業でもそうですけれども、困るとやはりお役所に相談に行くなんというのはちょっとおかしいですよね、お上じゃないんだから。だから、やはりそういうのは政治家に決めてもらい、行政が何となくお上だなというのは明治時代の話じゃないのかなと私は思っています。

 今私がいる政策研究大学院でも、いろいろなそういうセミナーをやったり、今議論しているんですけれども、皆さん、役所の人が来ますけれども、私は、あなたたちは、少なくとも第二次戦争に入るまでは、あなたたちの先輩は天皇の役人だと思っているから私たちはあなたの話を聞いていたんだけれども、戦後は、自分たちで血を流してつくった民主主義じゃないから、今のあなたたちのことをどうもお上だと思っている節があるなんという話をしているんですけれども、それが直らないとやはりなかなか難しいんじゃないかと思います。

 そういう意味では、企業も困ったときにやはり役所に行くとかいうのではなくて、むしろ政治家がそれを決めていくという話をしないと、誰が責任をとるのかということが全然わからなくなっているというのが私の感じで、そういう意味では、三権分立ができていないという話がきょうの話で出てきているのも、そういうところじゃないんだろうかなというふうに思います。

 そういう意味では、ぜひ立法府の力を強くしていくという話は非常に大事なことだろうなと、私はいつも先生方の応援をしているつもりでございます。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 石橋先生にお伺いいたします。

 石橋先生は、御準備をいただきました資料の中に、三権分立の図まで指し示していただいて、立法府の責任がしっかりと果たされていないという厳しい御指摘をしていただきました。

 今、黒川先生に御指摘をいただきましたけれども、毎年毎年言われて、まあ、私自身が反省しなければいけないんですけれども、動いていないんです、できていないんです、本当に申しわけないと思うんですけれども。

 ここまで言われて、本当に申しわけないんですが、私たちができていない理由を何だというふうに石橋先生はお考えでしょうか。

石橋参考人 済みません、それは私が申し上げるんでしょうか。(岡本(三)委員「図をお示しいただいたので」と呼ぶ)

 それは、なぜかというと、先生方が議論をしないという選択をされているからだというふうに思います。それ以上でも以下でもないというふうに考えます。

岡本(三)委員 加えまして、石橋先生、教えてください。

 先生、八ページに国会事故調で扱わなかった事項を書いていただきました。十項目書いていただきましたけれども、もし先生の中でこの中に優先順位をつけることができるとすると、最も高い優先順位、今後国会で、事故調の皆さんのその提言の後、その枠で扱わなかった事項について、私どもが議論をすべきこと、そして実際に前に実施を進めていくべきこと、優先順位をつけることができるとしたら何がトッププライオリティーでしょうか。

石橋参考人 済みません、優先順位をどのようにされるかというのも先生方が御判断されることというふうに考えます。

 ただ一方で、これは、憲政史上初の国会事故調に基づいてできた、憲政史上初の特別委員会の、憲政史上初の私はアドバイザリー・ボードという形になりますので、なかなか取りかかるのは大変だというのは容易に想像できるところでございます。なので、議論しやすいところから手をつけるというのも一つの手だというふうに思います。

 喫緊の課題として、私が想像するのは、例えば、この2)にあります「使用済み核燃料処理・処分等に関する事項」、これも社会的合意を得るのはなかなか困難です。先生方がリードして御議論していただくとよろしいのかなということも思います。

 若しくは、明らかなのは、中間貯蔵施設の問題、若しくは汚染水の処理の問題。これも社会的な合意形成を取り付けるのはなかなか大変でございます。いろいろな方々がいろいろな局面で事態に直面されていますけれども、国会の先生方が前面に立って御議論されるというのも一つの方法かなと思います。

 また最近、先ほど申し上げましたけれども、原子力規制委員会が事故調査を再開する、線量の高いところで当面できなかったことを再開するという報道もございました。原子力規制委員会は、三条委員会といえども、行政の一環でございます。立法府としてどのような御検証をされるのかということも問われているんじゃないかというふうに思います。

 その他、この独立した調査委員会の御提言の中には国民生活にとって重要な事項ということも書いておりますので、そこも、どのような問題が重要なのかということを、先生方の御議論の中で優先順位を決めていただければよろしいのではないかというふうに考えます。

 以上でございます。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 益田参考人にお伺いいたします。

 御準備いただきました資料の三ページの中で、評価文化ということを、各項目ごとに点数化された、指数化された表をお示しをいただきました。

 益田さんの今回のお話の中で、やはりキーワードは評価の実施と結果の利用ということであったように理解をいたしましたけれども、とりわけ、この三ページで、日本においては、制度化された議会の点数がとても低くて、政府、行政府は比較的高い。一方で、この二ページを見ますと、アメリカとの対比を見ていただくために、あえてGAOを前回も今回も言及をいただいているわけですけれども、GAOにおいては、その後に執行率が七七%まで行われています。

 この違い、なぜゆえに日本はこのように低い評価になっているかという、この文化の違い、仕組みの違い、やる気の違い、違いは何だというふうにお考えでしょうか。

益田参考人 御質問ありがとうございます。

 私の理解では、御質問の内容は、日本とアメリカの比較、特に議会の役割における違いは何なのかというところであろうかと思います。

 まず、この調査結果ですけれども、アメリカとの比較もそうなんですけれども、この調査そのものは、先ほどお話をしましたように、議会はみずから評価を行うわけでもなく、国会はですね、それから、独立性の高い機関が評価を行うということを求めているわけでもなく、それから、行政機関が毎年二千件ほどの評価結果を出しているんですけれども、もちろんそれを答弁の中でお使いの先生もいらっしゃいますが、それが部分的なものであって、それほど流布しているとも思われないというような判断をなされたのではないかというふうに読み取ったわけです。

 一方で、アメリカの方はどうなのかということですけれども、アメリカでも、先ほど説明をしましたように、最初から評価を行ったわけではなくて、あくまでも、行政機関がやっている財務状況を、例えばレシートを、ちゃんとそのとおり執行しているのかとか、予定どおり執行したお金なのかとか、そんなところから始まって、徐々に政策評価を行っていくというような流れにあります。

 申し上げたいのは、じゃ、GAOがなぜ、つまりアメリカが、なぜあの独立性の高い立法補佐機関が評価を行うようになったのかというのは、まさに連邦議会側が、時は一九六〇年代の、国民の、行政活動、それからその行政活動をちゃんと監視していない議会に対する強烈なその正当性を問うような動きが出てまいりまして、そのような状況の中で、連邦議会は行政機関にのみ情報を頼っている、情報の非対称性があるがゆえに十分な行政監視が行えていない、結果、国民からその正当性が問われてしまっているということで、私たちにはいいものがあるじゃないか、GAOというものがあるねと。そのころは余り評判がよくなかったんですね、最初から評判のいい組織ではありませんでした。

 なので、そこから、じゃ、GAOの方も活用していこうということで、GAO側とそれから議会側がともに相互作用を活発化させて、今のような状況に至ったというわけであります。

 やはり、そこにも、政治家側の、連邦議会側からの意思というものが明確になされた、それを受けとめるだけの能力がGAO側にもつくられていったということかなというふうに思います。そこが大きな違いではなかろうかというふうに思います。

岡本(三)委員 三人の参考人の皆さんに若干角度を変えながら同じことをお伺いしたんですけれども、政治家としての反省と決意を込めての質問だったということでお受けとめいただければと思います。

 その上で、行政に対する監視能力をもっとしっかりとしていくべきだという御指摘を受けまして、一つちょっと個別の話を質問させてください。これは黒川先生に聞かせていただきたいんですが、先日、十一月二十八日、ことしになって、原子力規制委員会は、おくればせながら、福島二号機でベントが実施されなかったという分析結果を発表をしました。何で今だったのかという気もいたしますし、吉田所長はベントが行われたかどうかは自信がないというふうにおっしゃっていたことを考えると、もっと早くてもよかったし、すべきではなかったかというふうにも思うわけですけれども、この発表について、どういうふうにお感じになっているかということを率直にお伺いしたいと思います。

黒川参考人 いや、私も更田先生がああいうことを言われてちょっとびっくりしたんですけれども、時期とかいろいろな話でですね。だから、何のコメントもありませんが、ちょっとその前にもう一つ、今のGAOの話でよろしいでしょうか。

 GAOの議論は、この二、三年前、国会で結構あったんじゃないかと思いますね。それで、会計検査院を独立させるような議論がここであったと思います、新聞を見ていたんですけれども。このGAOももともと会計検査なんですね。ガバメントのアカウンティングオフィスなんですよ。これが、会計をするという話がもうちょっと、これは益田さんが書いた本でも書いてありますけれども、だんだんだんだん世の中を見てくると、会計検査だけじゃなくて、政府が決めた法律の政策をどれだけ行政府がやっているかというところまで今度分析を始めて、何がおかしかったのか、何が達成されなかったと、お金だけじゃなくて、その政策の効果というのを見出したんですね。

 これがだんだんだんだん立法府に寄ってきて立法府の下になって、全てのやはり政策をどんどんどんどん分析して出していますので、たくさんの、千八百ぐらい出していると言っているけれども、それをフィードバックしていると、五年以内に大体八〇%以上が行政府の方でちゃんとやっているんですね。

 だから、私は、やはり国会の先生方はお忙しいからその下に、あの議論でやっているときもガバメント・アカウンティング・オフィスがこのプロセスで、右のGAOは名前が変わっていて、ガバメント・アカウンタビリティー・オフィスになっているんですね。つまり、やることをちゃんと責任を持ってやったかというふうな指標になっているので、そういう背景があって、これは日本の国会でも非常に参考になるんじゃないかと思って、一言つけ足したいなと思いました。

 どうもありがとうございます。

岡本(三)委員 加えてもう一つ、黒川先生に別の角度のことをお伺いしたいんですが。

 これも立法府が議論をして行政府に指示をしながら決めて行っていくことなんですが、現在、スペインでCOP25が開かれておりまして、日本の火力発電所、とりわけ石炭発電に関しまして、地球環境の変動等から見ましてかなりな批判のコメントも出ております。

 エネルギーミックス、議論を進めて、ある程度目線を決めて進めていますけれども、事故調で責任者でいらっしゃって、アドバイザリー・ボードでも会長を務めていらっしゃるので、いろいろな角度で日本のエネルギー政策でこういうものが適切ではないか、世界にも認めてもらえるのではないか、日本にとってもいいのではないか、いろいろな角度で知見を持っていらっしゃると思うんですけれども、日本のエネルギーミックスのあり方についてどういうふうにお考えかということを教えていただければと思います。

黒川参考人 今度は、私は全く素人だったんですけれども、福島の原発という、立法府に独立した調査委員会をつくらなくちゃいけないよと随分やっていたのは、アメリカでやっているのは当たり前だったので先生方に随分アピールしてやっていただいたんですが。

 実はエネルギーの方もそうでして、あのときでようやっとわかったのは、何でエネルギーがああなっちゃっているのかというのは、日本の本土では九の区域に分かれていますよね、発送電がみんなモノポライズされているわけです。モノポライズされているということは、発送電をする、東電もみんなそうだけれども、つくるところが、電気というのは一番の生活と産業の基盤ですから、それが各区域でモノポライズされたら腐るに決まっているじゃないですか。

 それなんだなということがようやっとわかったので、それを先生がおっしゃるようにリニューアブルにするとかいろいろな話の抵抗があるのは、明らかに独占している発送電にしているからで、九つの間にどんどんグリッドをつくればいいわけですよ。

 それが流通できるようにすればいいわけで、たまたま洞爺湖サミットのときには、私、福田総理の顧問もしていましたので、グリッドをつくるべきだという答申を出してきたんです。それは経産省と一緒につくったんですけれども、そのときに、福田総理にこれは言った方がいいですよと出したんですけれども、そのとき、これはちゃんと東電の幹部のオーケーもとっていますからねと言ったんですけれども、それは誰と言われたので、そんなこと言えるわけないでしょうって返事したことがありますけれども。

 やはり今、日本が一番やらなくちゃならないことはグリッドをつくることですね、各部分で。つくればローカルに一番やりやすいような、リニューアブル、例えば風の強いところではウインドを外につくればいいわけだし、日の当たるところだったらソーラーをつくればいいわけだし、グリッドをつくるというのが一番大事なんですね。

 これはなかなか、みんな抵抗してやらない、お金がかかるとか言っていますけれども、やはり長期的に見ればこのグリッドをつくる投資なんてそんな大したものじゃないだろうなと思っております。

 ありがとうございます。

岡本(三)委員 あと二分ありますので、最後に益田先生、聞かせてください。

 残念ながら、関電による高浜原発に関して、関電の関係者の方と福井県職員等の方に高浜町の元助役の方から多額の金品を送られていたという問題がありました。

 これは社内コンプライアンスの観点から、いろいろ話を聞いていると、私、納得できないことが多いんですけれども、コンプライアンスの観点から、あの事案、どういうふうに受けとめていらっしゃって、今後どういうふうにああいうことが起こらないように電力会社はやっていくべきかということを、もしお考えがあればぜひ教えてください。

益田参考人 御質問ありがとうございます。

 大変ホットな話題をいただきましたけれども、コンプライアンスの観点からということですが、そうした原子力関係にはいろいろな、先ほども言いましたけれども、ちょっと言葉が平た過ぎて申しわけありませんが、関係性やしがらみというものがございます。どこかそのところだけをつついて全てが解決するようなものは何もないと思いますので、そうしたところも含めて御議論いただいて、やはりもう一回それも実施計画の中に落とし込んでいくというか、そのようなことをしない限り、何も変わらないのではないかなというふうに思っております。

 済みません。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 反省して行動することを約束して、質問を終わります。ありがとうございます。

江渡委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 きょうは、参考人の皆さん、本当にありがとうございます。

 アドバイザリーの皆さん方からまさに一様に、今までも指摘はありましたけれども、七つの提言の実施計画とその進捗状況の国民への公表という御指摘がありました。私自身も本当に改めてやらなければならないなというふうに思いましたし、私からも委員長に改めて御尽力のほどを心からお願いをしたいと思います。

 その上でちょっとお聞きしたいんですが、国会法の附則第十一項には、先ほど来御指摘あるように、政府が国会事故調の報告書を受けて講じた措置について、当分の間、国会に報告書を提出しなければならないと規定をされております。

 私もこれは二〇一二年度から七年分のその報告をちょっと読ませていただきました。いろいろ感じるところはあったんですが、一部分はやっていることもあるし、先ほど、この報告書以外にも国会による継続監視が必要な事項というものもありますが、ところどころ取り上げている問題もございます。

 ただ、やはり皆さんがおっしゃっているような計画に基づいた、期限を切った、そうした進捗の継続監視というものとは全くやはり違うなと、この報告書を読んで。各省庁がやったものをそれぞれ当てはめていったというか、そういうものが毎年報告されている、そういうものを我々がチェックをして正していかなければならないというふうに感じております。

 その上でなんですが、ちょっと幾つか具体的にお聞きしたいんですけれども、国会事故調の提言の四番目には、「電気事業者の監視」というものがございまして、こう書かれております。「東電は、電気事業者として経産省との密接な関係を基に、電事連を介して、保安院等の規制当局の意思決定過程に干渉してきた。国会は、提言一に示した規制機関の監視・監督に加えて、事業者が規制当局に不当な圧力をかけることのないように厳しく監視する必要がある。」と。

 だから、国会がいわゆる規制機関に対して監視、監督するのは、これは当委員会としても当然なんですが、それに加えて、提言の四では、「事業者が規制当局に不当な圧力をかけることのないように厳しく監視する必要がある。」というふうに指摘をされております。

 これとの関係で、二〇一八年度のこの政府の報告書を読みますと、こういう部分があるんですね。「平成三十年七月一日に、原子力産業界の連携を強化しながら、」ちょっと飛ばしますけれども、「原子力事業者に加え、メーカー及び関係団体も含めた原子力産業界の組織として、」原子力エネルギー協議会(ATENA)を設立したというのが二〇一八年の報告書に出てまいります。

 このATENAという組織は電事連の枠を超えて、原発を持つ電力会社だけじゃなくて、もともとの電事連、そしてメーカー、日本電機工業会、そして原子力産業協会、電力中央研究所から構成されておりまして、まさにこの組織が電事連のやっていた規制当局との対話を行うというふうに位置づけられているんですね。

 二〇一九年四月十七日に原子力規制委員会と主要な原子力設置者との意見交換会というのがありまして、これは規制委員会のホームページで見れるんですが、そこに配付されている資料にはこうあるんです。「今後、全ての共通的な規制課題に的確に対応していくため、これまで電事連が担ってきた規制課題の検討機能をATENAに移管する。」そして、「事業者としては、ATENAの独自のガバナンスの下、ATENAが持つ専門性を活かしながら、規制当局との対話を進めたい。」と。専門性とか対話とか、聞こえはいいんですけれども、本音は違うんですね。

 エネルギー政策研究会の旬刊EPレポートというものがあるんですが、これを見ますと、要するに、つくられた背景として、原発などの審査が長期化し、その煩雑さに事業者の不満が高まっていた、電力会社には規制行政に不満がたまっていた、そのため、業界横断的な組織が必要であるとの認識が出ていたということが紹介されております。まさに不満に応える組織なわけであります。

 もう一点紹介したいのは、このATENAというのは、アメリカの原子力エネルギー協会、これはニュークリア・エナジー・インスティテュートでNEIという組織ですが、これをモデルにつくられております。

 配付資料の一を見ていただければと思うんですが、これは総合資源エネルギー調査会に配付された資料でありますが、実は、ことしの夏、当委員会が視察を行いまして、アメリカに、私も参加させていただいて、このNEIからもお話を聞き、NRCからもお話を聞いてまいりました。

 いろいろおもしろいといいますか興味深いお話を聞いたんですけれども、例えば、NEIの年間予算が五十億円あって、それには六人のロビイストの活動費を含むとか、あるいは、さまざまな宣伝費が四〇%を占めるとか、なるほどなというお話でありましたが、印象に残っていますのは、規制当局にコモンボイスを伝えるんですというんですね。配付資料にはワンボイスと書いているんですけれども、コモンボイスを伝えると。このNEIを参考にしてATENAがつくられたということなんです。

 先ほど、石橋参考人は、規制のとりこが再び生じないようにすることが大事だということで、透明性と対話の重要性も、まあ、透明性ということをおっしゃったんですけれども、これは電事連時代のデータなんですけれども、先ほど言いました二〇一九年四月十七日の意見交換会で主要原子力施設設置者が配付した資料によりますと、二〇一七年度は、これは電事連時代ですけれども、電事連と規制庁の公開会合というのは三十七件で、非公開の面談というのが二百七十四件行われております。二〇一八年度は、公開会合は二十二件で、面談が二百三十二件ということなんですね。いずれの年も非公開の面談の方が圧倒的に多いわけであります。

 しかも、二〇一七年と二〇一八年を比べますと、全体の非公開の面談数は、二〇一七年は二百七十四件から、二〇一八年は二百三十二件に減っているんです。減っているんですけれども、その面談で何を話したんですかというテーマ、これも公表しておりまして、テーマを見ますと、検査制度見直し対応の面談というのが、二〇一七年度の六十三件から、二〇一八年度は九十四件に大幅に増加をしております。つまり、電事連自身が検査制度見直し対応に非常に力を入れていたということがわかるんですね。

 これは三人の参考人にお伺いしたいんですが、いわゆる提言四では、ここの委員会が規制機関をもちろん監督するんだけれども、事業者が不当な圧力を規制委員会に加えないようにすべきだとも提案されておりまして、それとの関係で、このATENAというのは電事連よりもはるかにスケールが大きくなっており、そして、電事連が、この間、検査制度の見直しに力を入れてきたことを、更に専門性というものを生かして強化しようとしている。これは、私は、事故調の提言四で述べられているいわゆる委員会の意思決定過程に対する干渉、これの度合いが強まる懸念があると思うんですが、この点について、三人それぞれ、どのようにお考えでしょうか。

黒川参考人 おっしゃるとおりだと思います。

 やはり数を入れると力が強くなるというのはそうですが、実を言うと、この調査のときにもアメリカに行きましたけれども、あっちは電事連みたいなのがありますよね。チェルノブイリからじゃなくて、あそこの……(藤野委員「スリーマイル」と呼ぶ)からつくりまして、あれは何をしているかというと、聞いたんですけれども、あれは公開はしていないけれども、保険会社には公開しているんですね。それは何をやっているかというと、どこかで事故が起こるぞとか、どこかで何かがちゃんとやっていないということがわかっちゃうと保険料が変わっちゃうんですよ。だから、みんな、それで、一番いいプラクティスをやろうという話でやっているんですね。

 日本はそれをまねしているんだけれども、趣旨が全然違うんですね。

 一発どこかで起きたらば、俺たちの信用ががた落ちになるから、みんないいことをやっているというのをシェアしようということをやっているんですね。しかも、それにいるのは、公開はしていないけれども、保険会社を入れているから、それで一発食らっちゃうという話でやっています。つまり、保険会社が、やっていることをみんな知っていれば、全部がいいことをしようという話のインセンティブをつけておりますね。全然発想が違うなと。日本は、何か逃げまくろうという話ですから。

 そこが、お国にオーソライズされて何か悪いことをしようと思っているので、それが、実を言うと、あの後、東電の人たちに、あなたたち、入っているのと言ったら、入っていますよと言うから、それじゃ、やり方を知っているんでしょうと言ったんですけれども、やらないですね。それがロスト・イン・トランスレーションだと思いますけれども。

 国情の違いもあって、向こうの場合、やはり業界の信頼が落ちるということが一番のガバナンスの基本だということがわかっているので、保険会社と一緒にやるという話が知恵でした。その辺が、都合のいいときだけとるんですよ、こういう話は。そこのところが一番の問題で、そういうのは法律をつくるのか規制をするのか、ちょっとわかりませんけれども。

 一番大事なことは、原子力というのはグローバルなエナジーで、CO2を出さないということでやっていますから、この失敗をいかに、これからつくっているところとも共有しようというのが日本の責任として非常に大事で、特に中国は百つくろうなんて言っていますけれども、一発起きたらまた同じことが起こるので、日本は、ぜひ、そういうのは公開の場でいろいろな人とやるのが一番いいんじゃないかな。

 MITでもそのことはしゃべったんですけれども、そのときは、ナイジェリアとか、いろいろな人が来ていたので、アフリカでもいずれ原子力をつくろうと思っているんだなということはわかりましたので、やはりなるべく日本のやり方を共有して、お互いにいいところ、悪いところがわかった上で、平準化というか、セーフティーをしなくちゃいけなくて。

 先日も、キャストさんというのが時々来ていますけれども、東電のコンサルで来ているんですけれども。彼が最初に日本に来てくれましたよね、あのときすぐに来て、セーフティーの先生ですから。でも、彼も本当にセーフティーのことは、セーフティーとずっと言っていますけれども、やはりそういうところでは、彼は本当に日本のことをあのとき救ってくれた人ですけれども、今でも年に何回も来てやっているよとおっしゃっていたので、そういうところの話も聞いてみるのが大事で。

 やはり日本の場合は、すごく問題は、日本語の壁というのがあるんですよ。やはり、みんな英語で全部同じリポートも出していると何をしているかもっとわかっちゃうんですけれども、意図的に英語を出していないところもあるのかもしれないけれども、そういう意味では、ぜひ、そういうコンソーシアムを守るんじゃなくて、世界と共有するというのが、財界でもないんじゃないのかなというのが私の懸念です。

石橋参考人 ありがとうございます。

 先ほど藤野先生御指摘の国会事故調の提言ですけれども、お手元にありますダイジェスト版の二ページ目に、提言四、「電気事業者の監視」というところがございます。御引用いただいた太字の二行目です。「国会は、提言一に示した」以下、「厳しく監視する必要がある。」とあります。この文章の主語は国会です。「事業者が規制当局に不当な圧力をかけることのないように厳しく監視する必要がある。」のは国会です。

 その具体的な内容として、提言四の4)というところがございます。「以上の施策の実効性を確保するため、電気事業者のガバナンスの健全性、安全基準、安全対策の遵守状態等を監視するために、立ち入り調査権を伴う監査体制を国会主導で構築する。」というふうに御提言をさせていただいております。ぜひ御検討いただければと思います。

 また、御質問にありました、公開の御検討と、非公開の御検討なのか意見交換なのかわかりませんが、がございましたということがございます。

 提言五に、「新しい規制組織の要件」の「2)透明性」の3というところがございます。「推進組織、事業者、政治との間の交渉折衝等に関しては、議事録を残し、原則公開する。」ということを書いております。

 これら先ほど申し上げた提言四、提言五の実施状況を監視するのは、提言一の「4)この委員会はこの事故調査報告について、今後の政府による履行状況を監視し、定期的に報告を求める。」これを監視するのはこの委員会の先生方です。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

藤野委員 これ、もう一点指摘したいのは、これを推進しているのは実は経済産業省だということなんですね。

 時系列で見ていきますと、「新たな組織の設立などメーカー等も含めた」、電事連に加えてですね、「メーカー等も含めた産業大での連携を強化」ということがエネルギー基本計画に載っている。

 その上で、世耕前経済産業大臣は、昨年五月二十三日の衆議院経産委員会などでこう言っているんですね。「産業大で」、産業全体で「信頼性向上につながる共通の課題を設定して、効果的な対策を検討、普及させていく新たな組織づくり」と。組織づくりを明確に政府が旗を振っているわけです。

 そのもとで、経済産業省の審議会の一つである総合資源エネルギー調査会の自主的安全性向上・技術・人材ワーキンググループというのがありまして、ここで、いわゆる原子力の継続的な安全性向上のための自律的システムの確立を目指す、こういう方針が出されました。

 ですから、まさに政府の方針のもとで検討が重ねられ、自主的という名のもとに、自律的、ATENAというものが設立されたというのが時系列でそうなっております。

 自主的と言うと聞こえはいいんですけれども、結局、自主的という名のもとに規制すべき当局が規制のとりこになっていったというのが、我々が最大の教訓にすべき問題だというふうに思うんです。

 そういう意味で、今度は益田参考人からお聞きしたいんですが、今回、政府主導で、こうした自主的とか、いろいろ、言葉はあれなんですけれども、そういう構造が復活させられている。石橋参考人御指摘あったようなことをもちろん我々もやらないといけないんですけれども、それを大きく乗り越えるような動きも一方で起きているという、この動きについてどのようにお感じでしょうか。

益田参考人 御質問ありがとうございます。

 政府主導でそれを乗り越えるというのは、ATENAの組織の話かというふうに理解しておりますけれども、乗り越えているのかどうかわかりませんけれども、同じ、ともに歩んでいると、ちょっと言葉が済みません、いて、なので、お話を伺っていたときに、原子力規制委員会対そのほか原子力関係の方々というような構図ができ上がっているところが、福島の事故の前と後での大きな違いなのかな、変化なのかなというふうには感じました。

 原子力の話の参考になる話として、評価の世界での話、中立的な組織がいかに独立を保ちながら有効であるか、あり続けられるのかというところからGAOの話をしたいと思いますけれども、GAOがやはり今ある影響力を持っているのは、有効な組織として理解されているのは、何も法律や制度で支えられているからというそれだけではなくて、同じ評価、専門家又はその内部監査をするような人間たちがともにガイドラインをつくって、それも定期的に更新をしているんですけれども、そのような形で、共通の倫理意識や共通規範というものをシェアして、それに基づいて私たちは一緒に仕事をしていますというような仕組みづくりをGAOが率先して行っています。

 なので、そのようなともに倫理や規範を共有するような仕組みというものを独立機関が主導してつくっていくということは、仕掛けとしては必要なのではないかなと。そういう工夫をGAOはとっているということであろうかと思います。

 まだ申し上げられるのは、あと、アメリカの場合は、ちょっと日本のケースは、もし本当に国、経済産業省と同調するような形で民間が動いているというのであれば、なかなかアメリカとの動きとも違いがあるのかもしれませんけれども。

 先ほど、評価政策と評価文化の相互作用、文化の成熟度についての表をお見せした、その論文の後半は何が書かれているかといいますと、まさに政府の方針にいろいろなロビー活動が行われていくんですけれども、その評価手法に関するロビー活動に対して学会が、それまでは巨大な学会ですのでそれほど重視してこなかったんですけれども、評価手法が、ある一つのものが、単一のものがいいという方になってはいけないということで、学会側が新たにロビー活動的なものをつくって、きちんとアカデミックなバックグラウンドから、こういうことが正しいんですというふうに政府の方に訴えていく。

 つまり、民間で新たな動きが出てくるかどうかというのが日本の民主主義と成熟度とも関係してくるんですけれども、そうしたことに期待をせざるを得ないのかなというふうに思います。

 済みません、長くなりました。

藤野委員 済みません、ちょっと時間があれですが、ちょっと黒川委員長に。

 今言った自主的な規制に干渉していく、要するに規制機関の意思決定に業界が干渉していく懸念というのが私は強まっていると思うんですが、それが政府が実は旗を振っているという点についてはどのようにお感じになるんでしょうか。

江渡委員長 黒川参考人、お時間ですので、手短にお願いします。

黒川参考人 今、世界の全体を見てみるとそうですけれども、福島が起きてからというのもそうですし、CO2、グローバルウオーミングがあるにもかかわらず、やはり脱原発へ全体が動いていますね。日本だけですよ、まだやろうやろうと言っているのは。そういうのが世界の見方なので、むしろリニューアブルにどんどんしていますから、ヨーロッパも。何で日本だけそうなのかなというのは、そこに金目のものが大分あるということですよね。だから、それをどういうふうにしてひっくり返すかというのは、政府は責任とりませんから、だからやはり国会がしっかり見ていないとまずいんじゃないですかね。世界とは全く日本は変わっている。広島、長崎、福島、それでまたやっているわけという話で、ちょっとミステリアスですね。

藤野委員 ありがとうございました。質問を終わります。

江渡委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史と申します。

 参考人の先生方、ありがとうございます。

 本当に先生方の忍耐力には心から敬意を表したいと思います。本当に、まず、このアドバイザリー・ボードを受けていただいていることにはもちろん感謝をいたしておりますが、何回かお越しをいただいていますが、この国会、大きく変わっておりません。

 これは、余り申し上げ過ぎるとまた懲罰動議が出るかもしれませんが、黒川先生、きょうもおっしゃっていただいた実施計画云々ということは、立法府への御期待、何度かおっしゃっていただいていますけれども、これは絶対できません。なぜできないかというと、見てください、この委員会室。これは教室型といいますね、こういうのを。教室型なんです。だから、例えば、その御提言について私が、自民党さんは一体どう考えているんだと聞けないんですよ。聞く場がありません。政府に対して追及する、桜を見る会とか、政府のスキャンダルについて追及する場はあるんです。というか、それしかない。政党間で、国会は本来、恐らく先生方が立法府に期待されているのは、各会派、各党派が忌憚なく日本の原子力の未来について議論する、そういうことは基本的にしたことがありませんから、我々。

 例えば、イギリスの議会、憲法審査会で視察に行きましたけれども、ヨーロッパの議会はそういうことができるようになっています。閣僚は与党のフロントベンチに座る。シャドーキャビネットが野党のフロントベンチに座って討論することになっているわけですね。ところが、日本はそういう場がないんです。それを、自由討論をやろうと私はよく言いますけれども、絶対に与野党は賛成しません。だから、議論したくないのは政府・与党だけじゃないです、野党もしたくないんです。と、また言うと、雰囲気悪いでしょう。こういうことを言うと、大体、私が質疑を終えて誰も拍手してくれません。

 せっかくの機会ですので、益田参考人にちょっとひとつ御意見を賜りたいんですが、日本には住民監査請求とか住民訴訟制度というのがあるんですが、御存じですかね。ところが、国民訴訟制度ってないんですね。ないんです。これはなぜだか御存じでしょうか。ごめんなさい、クイズみたいになっていますけれども、余り御存じないところであればスルーしていただいて、ちょっと、御存じかどうか。

益田参考人 そうしたものがないということを御議論なさっている政治学の先生の御著書は読んだことがあります。

 ただ、その後は進展していない、又は別の形ででき上がったことになっているという理解でございます。

足立委員 まさに私の著書にもそういうことが書いてあるんですが、ぜひ御一読いただきたいと思いますが、「国会という茶番劇」という本がありますので、ぜひごらんいただきたいと思いますが、「国会という茶番劇」、ワニブックスですね。どうでもいいですね。

 実は、国会でそういう議論を、私も質疑でもしています。政府に対して、私は総務委員でもありますので、総務委員会で、住民監査請求、住民訴訟制度はある、だから、地方公共団体で書類がなくなったというのはほぼありません。公文書が、行政文書がなくなったら訴えられますから、市長が、首長が。ところが、国民監査請求、国民訴訟制度というのは日本にないんです。なぜないんですかと一応政府に答弁を求めると、憲法機関として会計検査院があるからですということになるわけです。

 だから、私は、機能しない、適当にしか調査しない会計検査院があることが邪魔しているぐらいだったら、そんなものは潰して、国民監査請求制度、国民訴訟制度をつくるべきだ、こう言っているし、あるいは、きょう御議論いただいているように、日本の会計検査院を国会のもとに置くぐらいの大改革をしなければ、今の日本のガバナンス、国の統治機構は立ち行かない、こう思っています。

 黒川先生、黒川参考人にぜひ、私が申し上げた、今、立法府と、今GAOの話があったのでちょっと益田参考人に伺いましたが、そもそも立法府が機能していないということ、ぜひ黒川先生にも御理解をいただいて、だから、自由討論をしないんだったらもう来ないぞ、それぐらいの勢いで言っていただくというか、文句を言っていただかないとこの国会は変わりません。

 繰り返しになりますが、御提言について、先ほどから何かわかったような人たちが委員長と言っていますけれども、茶番ですよ。いやいや、委員長にはもちろん力はありますよ、力はありますけれども、普通は行使しません。なぜ行使しないか。与党筆頭と野党筆頭で決めているからですよ。与党筆頭と野党筆頭は談合しているんです、お互いに議論しないように。

 だから、黒川先生ぜひ、黒川先生にお願いしたいのは、アドバイザリー・ボードとかこういう茶番はもう俺は飽きた、そろそろ政党間の、日本は政党政治ですから、政党がそれぞれこの提言についてどう考えているかということを明確に意見表明しない限り二度と来ないとちょっと言っていただけませんか。

黒川参考人 そんなこととは想像もつきませんでした。申しわけありません。

 実は、今度のこともあったので、今度の委員長のところにもちょっと御挨拶に行って、どんなことをやります、やったらいいでしょうねと伺ったんですけれども、原発反対、何でもいいんだけれども、とにかく議論をよくしましょうよ、言っていることがすごく大事だねとおっしゃってくれたので、どんどん言いたいことをみんなで言いましょうという話をされていたので、まず、ぜひそこが期待の星かなと思います。

 そんなこととは全然知りませんでしたので、申しわけありませんが、ちょっと期待したいと思います。

足立委員 いや、黒川先生が謝られる必要は全くなくて、本当に、実は、国会の中で自由討論をしている唯一の機関があるんです、場所が。憲法審査会ですね。憲法審査会ができたときに初めて円卓をつくったんです。中山太郎先生のときにね。中山太郎憲法調査会会長のときに円卓をつくったんです。まだマイクがテーブルについていないので事務局がマイクを持って走っていましたよ、中山競馬場とやゆされながらね。でも、その唯一、政党間で意見を闘わせる場の憲法審査会はとまっています。

 だから、実は、日本の立法府というのは、立法府というのは名ばかりで、スキャンダル追及をするだけの生産性ゼロの場になっているということを、ぜひ、きょうお越しの参考人の先生方には、申しわけないんだけれども、それを変えなければ幾ら来ていただいても余り生産性が上がらないのが受け入れている側の私たちであるということを申し上げておきたいと思います。

 原子力にちょっと寄せて申し上げると、自民党は、とにかく、自民党で一番声が大きいのは、きょう細田健一先生もいらっしゃいますが、電力安定供給推進議連という事務局次長でいらっしゃいますが、これは、とにかく早く再稼働しろということしか言っていません。四十年ルールというのをどうやって骨抜きにするか、そればかり声高におっしゃっているところであります。

 一方の野党も、日本維新の会、我々は、原発再稼働責任法案ということで、再稼働するのであれば、国の責任、立地県の責任、それから電力消費地の責任、電力会社の責任、それら責任の体系をもう一回つくり直さないとだめだよという法案を出していますが、維新以外の野党は、原発ゼロ基本法案というのを出しています。

 じゃ、原発ゼロ基本法案と我々の、野党筆頭は野党全体の筆頭ですから、田嶋野党筆頭に、田嶋さんは偉い人なんですけれどもね、偉い人なんですけれども、やはり党の縛りがきつくて。要すれば、野党間でまず議論しようよと。原発ゼロと原発責任、原子力再稼働責任法案と原発ゼロ基本法案、これをすり合わせないと与党に向き合うことができないでしょうと。まず野党の議論をしましょうといっても、それさえできないんですよ。一度もしていません。一度もしていません。

 だから、日本にある三つの政策、政府・与党の政策、維新以外の野党の政策、維新の政策と日本には三つの原発政策があるんです。その政策をすり合わせることも、闘わすこともできないのが今の立法府であるということを、ちょっと私の演説会になってはいけないんですが。

 ぜひ、ちょっときょうは、だから、私、もう来なくていいと思うんですよ。と言うと、ちょっとまずいですね。

江渡委員長 まずいです。

足立委員 済みません。

 お呼びしているのは我々なんだけれども、でも、幾ら各委員がここで格好いいことを言っていても、言っているだけですから。裏では、だって議論しないんだから。多分、なぜ野党が原発ゼロ基本法案の議論を我々としたくないかといったら、原発ゼロ基本法案について議論したくないんですよ。

 例えば、私が議論するとしたら、こういう質問をします。原発ゼロ基本法案を胸張って出しているけれども、一番重要な高レベル放射性廃棄物の最終処分についてはどう考えているんですか。法案に確かに書いています。適切に処分すると書いてあるだけなんですよ。だから、議論したくないんです。政府・与党も議論したくない。野党も議論したくない。議論したいのは維新の会だけです、ちょっとPRしておきますけれども。

 これで終わると懲罰動議。何か、本多さんも予算委員会で格好いいことを言っていますけれども、質問は受けませんよ。だから、受ける側に回りたくないんです、みんな。だから、黒川さん、黒川さん、僕が、黒川参考人、僕がこういうことを……

江渡委員長 足立議員にお願い申し上げます。

 しっかりと質問するようにしてください。

足立委員 はい。

 僕がこういうことを言うと、反論権がないと言う。だから、自由討論をやろうというのですよ。

 委員長、きょうのこの雰囲気の悪い雰囲気をまた戻すために、ぜひ自由討論を次回開催いただくよう御検討いただけないでしょうか。

江渡委員長 後刻、理事会で検討させていただきたいと思います。

足立委員 共産党がぶつぶつ言っているんです、後ろで。格好いいことばかり表で言うけれども、後ろではぶつぶつ言っているんですよ。

江渡委員長 不穏当な発言でございますので。

足立委員 わかりました。はい。

 きょうは、ぜひ、黒川先生を始め参考人の先生方に一つだけ御意見賜りたいと思っている話があります。

 昨年の八月に福島で公聴会がありました。そこでトリチウム水の議論をしているんですね。そのときに経産省は、世界地図は出しました。韓国はこんなにトリチウム水を出している、フランスはこんなにトリチウム水を出している。でも、日本地図は出さなかったんですよ。

 実は、福島にたまっている、タンクにたまっている一千兆ベクレルの汚染水がありますが、実は、青森の六ケ所村は、一京八千兆ベクレルのトリチウム水を毎年出す計画になっているんです、最高で。十八倍ですよ。なぜ十八分の一のトリチウム水にこれだけ苦労しているんだ。僕はおかしいと思うんです。

 それは、結局、先生方が再三指摘いただいているように、経産省、政府・与党の知らしむべからず路線のせいなんです。とにかく国民はばかだから本当のことを言ったらもめる。だから、世界地図は出していいけれども、日本地図は隠しておこう。青森と茨城でどれだけのトリチウム水を出してきたかは地図上に見える化はしたくない。ホームページの奥底をたどれば数字はあるんだけれども、テーブルにのせたくないんですよ。

 だから、私は、福島第一原発事故、二〇一一年の三月十一日の事故の原因とか、その後の処理とか、後の対応とか、いろいろな議論をしたらいいですよ。でも、実は今、足元、手元で大問題が起こっているんです。海洋放出すればいいのに、リスクがあるタンクにずっとため続けている。これはまさに安全神話のなせるわざだと僕は思っていて、ぜひ、黒川先生、早く海洋放出しろと、先生にもちょっと御助言をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

黒川参考人 簡単に申しますと、実は、きょうそういうことがあればと思っていたんですけれども、今、福島からトリチウムがどんどん出ていますよね。これは世界じゅうで流しているので、これを流していることについては、六ケ所村もそうですけれども、青森も、世界じゅうが流しているんですけれども、問題は、福島の場合はほかのものも出ているわけですね、ストロンチウムとか、いろいろな話。これを、少なくとも二十年後までに、それは出さないというようなことを宣言すべきだと思っているんですよ。カリフォルニアあたり、みんな流れてくるからどうだって、向こうでは結構そういう話は話題にしていますけれども、少なくともそれをゼロにできる可能性はあるんですよ、やり方の問題で。それはもう公募してもいいんですけれども。

 だから、少なくとも福島からそういうものが出なくなるという話を二十年後には出すというような大計画を出して、それについてはこういうやり方でやりたいんだけれどもという話を世界じゅうでフィードバックをもらいながら、みんな、ああ、これならいいよねということをやって幾らかかるか、そういう話を出すべきだと思います。今のだと、ずっと垂れ流しで、全然わからないので、やはりそれはやるべきじゃないかなということをちょっと最近議論しているんですけれども、やり方ではできると思います。

足立委員 黒川参考人、ALPSという設備で基準以下まで除去できるし、既にしているし、していないものは改めてそれを除去して海洋放出するというのが例えば更田規制委員長が主張していることなので、私は、今御指摘の話はまたちょっと別のというか、もうちょっと別のレイヤーの話だと思いますが、ぜひ、そこは誤解がちょっと広がっていますので、海洋放出できるレベルにあるということは改めて私から政府にかわって申し上げておきたいと思いますが、政府にかわったらあきませんけれどもね。

 よく、福島は、要はデブリに触れているから、だから特別な水なんだと言うんだけれども、確かに原発の処理水とは違います。しかし、再処理施設の処理水は同じように燃料に触れていますから。だから、東海村、六ケ所村については、それは化学的には変わらない、化学的には変わらない処理水だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 黒川参考人から、今、私の質問、すなわち経産省の問題というのは、今の自民党政権、自公政権の問題というのは、二〇一一年の三・一一前後の問題ではなくて、今、処理水のハンドリングについても間違ったオペレーションをしているんだと私は指摘しているんですが、それは御同意いただけるでしょうか。

黒川参考人 経産省ですけれども、私は、いつまでになったらどうなるんだという話を考えろと言っているんですね。つまり、今はただだらだらやっているだけなので、大きな枠組みで考えれば、少なくとも二十年か三十年後には、あそこから海には出ない、コンテインできるぞという話のプランを出すべきですよ。それを、フィードバックをもらいながら、誰が、世界が見ても、ああ、これならできるなという話をつくるべきだと思います。

足立委員 時間の関係でちょっと黒川先生ばかりになっていますが、ごめんなさい。御容赦をいただきたいと思いますが、最後に一問だけ、黒川先生。

 今おっしゃったビジョンですけれども、私は、原子力技術は捨てるべきじゃないと思っているんです。だからこそ、原発再稼働責任法案という、ちゃんとやろうよと言っているわけですけれども、原子力技術を日本は維持するべきだと私は思いますが、黒川先生はいかがでしょうか。

黒川参考人 それはちょっと別の問題で、使うからにはちゃんと始末はしろよなという話じゃないでしょうか。

 もちろん、原子力エネルギーは非常に有用なエネルギーですから、それは国民が支持してくれればやればいいけれども、やはり、今みたいなことが起きたときにどういう対応をしたのかということがすごく大事な問題で、そのときはいいかげんなことをして、原子力というのは無責任じゃないかなと思っているだけの話でございます。

足立委員 ありがとうございました。

 失礼な発言があったことをおわびして、質問を終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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