衆議院

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第2号 令和2年3月26日(木曜日)

会議録本文へ
令和二年三月二十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 津島  淳君

   理事 細田 健一君 理事 松野 博一君

   理事 荒井  聰君 理事 斉木 武志君

   理事 伊佐 進一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      城内  実君    齋藤  健君

      鈴木 淳司君    西田 昭二君

      野中  厚君    福山  守君

      古田 圭一君    星野 剛士君

      堀井  学君    三原 朝彦君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    簗  和生君

      山際大志郎君    浅野  哲君

      菅  直人君    田嶋  要君

      日吉 雄太君    本多 平直君

      松原  仁君    道下 大樹君

      宮川  伸君    岡本 三成君

      高木美智代君    藤野 保史君

      足立 康史君

    …………………………………

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   内閣府大臣政務官     青山 周平君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   会計検査院事務総局第五局長            森   裕君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      山形 浩史君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  本多 平直君     道下 大樹君

同日

 辞任         補欠選任

  道下 大樹君     本多 平直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告いたします。

 第百九十三回国会、原子力問題調査特別委員会理事会の決定により、本委員会の活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。

 本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。

 以上、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

江渡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 原子力問題に関する件の調査のため、本会期中、アドバイザリー・ボード会員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

江渡委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。更田原子力規制委員会委員長。

更田政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の更田豊志でございます。

 衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。

 原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、さまざまな課題に取り組んでおります。

 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ制定した新しい規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。

 このうち、発電用原子炉については、令和二年二月二十六日の東北電力女川原子力発電所二号炉に対するものを含め、これまでに計十六基に対して設置変更許可を行いました。また、核燃料施設等については、核燃料物質の加工施設及び廃棄物管理施設に対して、これまでに六件の事業変更許可を行うとともに、試験研究炉に対して、これまでに二件の設置変更承認及び四件の設置変更許可を行いました。

 加えて、発電用原子炉の運転期間延長に関して、これまでに関西電力高浜発電所一号炉及び二号炉、美浜発電所三号炉並びに日本原子力発電東海第二発電所の計四基に対して認可を行いました。

 また、発電用原子炉について、これまで計十基に対して廃止措置計画の認可を行いました。このほか、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め計四件に対して廃止措置計画の認可を行いました。

 以上のとおり、原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。

 規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、高エネルギーアーク損傷対策、降下火砕物対策、火災防護対策などに係る改正を行い、継続的に改善を図っております。

 原子力施設等において発生した事故トラブルについては、事業者からの通報を受け、原子力規制庁本庁や現地に常駐する検査官が速やかに状況確認を行うとともに、安全上重要な事案に関しては、事業者による原因調査及び再発防止の取組を公開の会合で確認しており、今後とも引き続き適切に対応してまいります。

 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から、積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画の審査などに当たっております。

 引き続き、処理した水の処分や使用済み燃料プールからの燃料の取り出しなどの対策が適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。

 また、廃炉作業の進捗等により、事故時の放射性物質の放出経路の調査等について現場での確認作業が可能となってきていることなどを踏まえ、東京電力福島第一原子力発電所における事故のさらなる調査分析を進めてまいります。

 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。

 原子力規制委員会では、本年二月、防災訓練の結果等から見出された課題を踏まえ、緊急時活動レベルに係る原子力災害対策指針の改正を行うなど、その充実を図るとともに、基幹高度被ばく医療支援センターの機能強化など、原子力災害時における医療体制の着実な整備を進めております。

 放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置及びモニタリング資機材の配備等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。また、総合モニタリング計画に基づき、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る状況に応じた環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、関係自治体その他の国内外への情報発信にも努めています。

 また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を、継続して国際原子力機関、IAEAより得ております。

 最後に、原子力利用における安全対策の一層の強化のための制度の見直しについて申し上げます。

 第百九十三回国会において、原子力事業者等に対する検査制度の見直し、放射性同位元素の防護措置の義務化などを内容とする関係法律の改正が成立しました。原子力規制委員会としては、法改正の趣旨を実現すべく、本年四月の全面施行に向け、関係規則等を整備するとともに、さらなる組織体制の強化と人材育成に取り組むなど、新たな制度の運用が円滑に進むよう、万全を期してまいります。

 本年一月に実施されたIAEAの総合規制評価サービス、IRRSフォローアップミッションでは、二〇一六年のIRRSミッションによる勧告等を踏まえた原子力規制委員会の取組状況について改めて評価を受けたところです。原子力規制委員会としては、今後とも継続的な改善に注力してまいります。

 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。

 我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 なお、一件、大変申しわけありませんが、訂正をさせていただきたいと思います。

 五ページになりますが、「緊急時活動レベルに係る原子力災害対策指針の改正を行うなど、その充実を図るとともに、」の後に、「基幹高度被ばく医療支援センターの機能強化」、現在この名称は、高度被ばく医療センターという名称になっております。

 大変申しわけありませんでした。

江渡委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、原子力規制庁次長片山啓君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監山形浩史君、原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君及び原子力規制庁長官官房審議官金子修一君の出席を求め、説明を聴取することとし、また、会計検査院事務総局第五局長森裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宗清皇一君。

宗清委員 おはようございます。自由民主党の宗清皇一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、原子力発電の運転延長の問題を中心に質問させていただきたいと思ったんですけれども、やはり冒頭に、関西電力の幹部が長年にわたって原発の立地自治体の元助役の森山氏という人物から多額の金品などが手渡されていた問題について触れておかなければならないというふうに思います。

 関電が行った社内調査は極めて不十分であったというふうに思います。そのため、関西電力も、昨年の十月にみずから第三者委員会を設置して、金品受取問題に関する調査をしてきました。その報告書が三月十四日に公開をされています。

 この調査は、昨年の十月十三日からことしの三月十三日まで、合計十四回にわたっておりまして、調査報告書を拝見いたしましたけれども、すごい量が書かれておりまして、これだけでも問題の深刻さというのがわかるわけでございます。

 この報告書で判明してきたことは、当初の社内調査で判明した金品受領者は二十三名だったんですが、新たに五十二名、合計で七十五名の関係者が三億六千万相当の金品をいただいていたということが判明をしています。一回の受領金額が、数万円から数十万程度のケースが多いとされている一方で、五百万円を超えるような異常な額の金品が渡されていた事実が判明しています。

 これは、長年にわたって関西電力の役員らが森山氏という人物と異常な関係を断ち切れなかったこと、また、問題が発覚した後も、社内調査はしたんですけれども、公表に対しては非常に不誠実だったということですね。そして、調査の範囲も、非常に限定をしておりましたし、過去七年間しかさかのぼっていなかった、非常に不十分な調査であったと言わざるを得ません。関西電力のガバナンス上重大な問題があったと、これは厳しく批判をしておきたいというように思います。

 これら一連の問題で、ユーザー若しくは株主の信頼を失っただけではなくて、原発に協力をしてくださっている立地自治体の住民の皆さんや、真面目に一生懸命やっている関西電力の職員の皆さんの信頼も失っている、そして、今この瞬間も再稼働に向けて努力をしていただいている全ての関係者の皆様方に大きな迷惑をかけたと思います。そして、私が一番残念に思いますのは、この問題が原子力発電の信頼を失墜させたということであります。

 報告書の中を、少し言及をしたいと思いますが、森山氏は、関西電力の幹部に対して、何か意に沿わないと、これは意図的にやっているんだと思いますけれども、長時間、人前で幹部を恫喝したりもしておりますし、幹部たちに恐怖感を与えて優越的な地位をつくっていたというように思われます。金品を更に渡していくことで、自分の関係する企業への工事を発注させて、その見返りを維持しようとしていたというように思われます。

 金品の受領は、高浜町の助役を退任した直後から多くなっておりまして、特に東日本大震災以降、原発の再稼働のために多くの工事が必要となった、それに伴って工事が増加するわけでございますから、その工事を狙って、この工事を受注したいという目的が見えるわけでございます。

 関西電力の幹部も、金品の受領は不適切だという認識をしていたらしくて、金品を消費せず、同等かそれ以上のものを返していた、多くの方が返していたと書かれています。しかし、返還しようとすれば更に恫喝をしてくる、返しても返してもそれ以上のものを持ってくるということも中に書かれております。これは、受け取りたくないという相手の気持ちを十分に理解をして、それを逆手にとって弱みとして更におどしていくという構図が明らかになっています。

 不都合な事実を関電側は公表されたくない、もし公表されたら社会的な信頼は失墜する、また、上司の指示もあったと思われます、みずからの社内での地位が危なくなる、立地自治体との関係が悪くなって原発の再稼働ができなくなるんじゃないか、自分や家族の身の危険も感じたというようなことが書かれておりまして、恐怖感、不安感を与えることでこの優越的な地位をつくっていったと思われます。

 しかし、どのような理由があれ、こういったことはやはり会社としてしっかりと対処すべきだったと思いますし、受け取った金品も会社として、例えば金庫に保管しておくとか、弁護士に相談するとか、警察に相談するとか、いろんな手だてがあっただろうというように思います。

 しかし、このような問題が発覚して、原発の事業者と、全て、立地をしている全国の地元や有力者の関係で同じような構造の問題があるんじゃないか、こういう疑念を持っておられる国民の皆さんも多いと思うんですが、しかし、私はこの報告書を読んで、まさに関西電力固有の問題として、森山氏というモンスターを関電側がつくっていったんだというように思います。

 このような問題が起こって、関西電力には原子力発電を運営する資格がないという厳しい御意見もあります。地元に帰って企業を回れば、こんなお金があるんだったら電気料金をもっと安くしろよというような厳しい意見もあるわけでございます。

 しかし、こういった問題が、既におくれている原発の再稼働に悪影響があってはならない、今こそ冷静な議論が私たち国会には求められているというように感じます。規制委員会の厳しい審査を合格した発電所はやはりきちんと動かしていく、私たちは、この金品の受領の問題と再稼働、安全性については別に切り分けて議論をしていきたいというように思います。そのためには、関西電力に信頼回復に向けて徹底した再発防止策を講じていただきたいというように思います。

 そういった観点から質問させていただきますが、まず、関西電力がこのたび設置をして調査をしたこの第三者委員会はどのような位置づけだったのか、確認をしたいと思います。といいますのは、関西電力自身が設置をしていることで、この調査委員会に信憑性、信頼性がないという厳しい意見もございます。調査の方法や基準が曖昧ではないかといった意見もありますが、どういった位置づけの調査委員会なのか、まず確認をしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員の御指摘のとおり、この問題については、公益事業としての信頼を失墜させる大きな問題だと我々としても考えてございます。

 そのような観点に立ちまして、昨年、第三者委員会を立ち上げて徹底調査をするということで、この委員会は立ち上がっております。社内調査は全くもって不十分であった、関電自身の調査は不十分であったと報告書の中でも指摘されているとおり、第三者の独立した目でチェックをいただくということでこの第三者委員会は設立されたものでございます。

 この第三者委員会は、日弁連が策定する企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインに基づいて設置されたものでございまして、独立した社外弁護士のみで構成をされていることに加えまして、調査に当たっては関西電力が所有するあらゆる資料、あらゆる情報へのアクセスが保障されたものでございます。

 また、事実認定の権限は関西電力には全くございませんで、全て第三者委員会のみが有することになってございます。また、関西電力はその調査に全面的に協力する義務を負う、こういうことになっているものでございます。また、何らかの妨害行為や作用があれば、そのもの自体を報告書で報告される、こういう強い権能と独立性を有するものとして、日弁連のガイドラインに基づいて設置された性格のものでございます。

 また、トップを務めておられる但木委員長は、元検事総長としてさまざまな不祥事事件を担当した実績を持つ方でございまして、この他のメンバーの方も、但木委員長みずからが選任をし、独立した高い専門性を持つ弁護士、法曹界の方々のみから構成をされてございます。

 実際、今回の調査報告書においてはその中において、幹部の経営層に対する厳しい責任を追及する、また、関西電力の持つ内向きな体質など本質的問題を正面から批判したものであるということで、徹底的な調査結果が取りまとめられたもの、こういうふうに考えてございます。

宗清委員 ありがとうございます。

 私もこの報告書を読ませていただきましたが、もちろんですけれども、関西電力の経営陣にかなり厳しい内容となっています。

 この調査に必要な情報を得るために、関西電力のグループの役職員並びに元役員二百十四名に対して合計二百四十八回のヒアリングも行っておりますし、調査書面も六百四名の方から回答をいただいていると聞いています。そして、森山氏と関係があった民間企業側五社の役職員等にもかなり幅広くヒアリングを行っていただいていると承知しています。

 また、この調査に必要な情報が保存されている可能性のある関西電力のパソコンとかスマートフォン、これは、消えていると思われるものについては、可能な限りデータを復元して調べていただいていると書いてあります。

 また、これは、専門的な知見を補完するために、資源エネルギー庁や電力・ガス取引監視等委員会、また税などの情報は国税庁からも聞き取りを行っていただいております。

 さらに、現地を視察し、そしてホットラインも設置をして、これは事実を知っている方々が通報できる仕組みだと思いますが、そういったことも設置をして調査をしていただいております。

 調査は、捜査機関で行うような強制捜査ではありませんけれども、かなり精緻な内容となっておりまして、問題の全容が見える報告書になっていると私は評価をさせていただいておりますが、調査内容についてどのように評価をしているのか、お尋ねをしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘があったとおり、今回の第三者委員会の調査につきましては、社内調査、関電による社内調査であれば、七年間のみをさかのぼる、それから現役二十六名の社内関係者だけを調査対象とするといったような形で、独立性の非常に弱いものだったものに比べまして、この第三者委員会の調査につきましては、独立した委員、それから事務局、弁護士も二十名を超える体制をとり、一九七〇年まで過去にさかのぼって、現役のみならず退職者、OB、それから社外の関係者、今御指摘いただいたように二百名以上のヒアリング、それからメールについても、デジタルフォレンジック調査ということで、復元できるものは全て復元し、四十万件のメールもチェックをしたといったようなことの中で、本格的調査を行ったものと認識してございます。

 今回明らかになった事案、内容としましては、まず広範な役職員が金品を受領していたこと、また、事前の発注約束、それから特定の取引先に事前の情報提供を行うなど不透明な工事発注契約があったこと、また、社内調査の非公表を不適切なガバナンスのもとで決定したことなど、公益事業者としての信頼を失墜させる大きな問題が指摘されているものと考えてございます。

 かかる重要性に鑑みまして、三月十六日には電事法上の命令も発出しているところでございます。

 こういった極めて重い事実の解明が行われた調査だ、このように考えているところでございます。

宗清委員 ありがとうございます。

 この調査報告書を受けて、関西電力に対して、役職員の責任の明確化、工事発注等にかかわる業務の適正性、透明性の確保、そして法令等遵守体制の抜本的な強化、新たな経営管理体制の構築など、業務改善命令を三月十六日に出されていると思います。

 この三月末までに再発防止のための業務改善計画の提出を求められています。また、必要な取組の対応状況について、六月末までにその報告を求めて、その後も、経産省のフォローアップへの誠実な対応を求めていると聞いていますけれども、三月末までとなっていますので、そろそろこの業務改善計画が提出されるころだと思います。

 私は、国としてもしっかり関西電力に向き合って、厳しく適切に指導していくことで、二度とこのような問題を起こさない、国としての決意もお聞きをしたいと思います。そうでないと、国民の皆さんの信頼を取り戻すことはできないというように思います。

 国としての決意、そして具体的にどのように指導されていくのか、お聞きをいたしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の問題は、公益事業者としての信頼を失墜させる大きな問題だというふうに重く受けとめているところでございます。こういった認識に立ちまして、今御指摘いただきましたように、業務改善命令を三月十六日に発出しているところでございます。

 この命令の中では、役職員の責任の所在の明確化、また、指名委員会等設置会社への移行を含む外部人材を活用した実効的なガバナンス体制の再構築、コンプライアンス体制の抜本的な強化、工事発注、契約に係る業務の適切性、透明性の確保などを求めているところでございます。

 今月中にこれらの改革を含んだ業務改善計画を提出させる、こういうことの中で、この業務改善計画がきっちりと関西電力に根づくかどうか、また、これがしっかりと実行されるかどうか、これをしっかりと確認してまいりたいと考えております。

 同計画が月内に出てまいりますが、これは出た後に、実効性があるものであると、ちゃんと実施されているかということをしっかり確認をしてまいりたいと考えてございまして、六月末までにはこの実施状況につきましても報告を求めているところでございます。

 こういった報告を通じまして、我々としては、この実施状況をしっかり確認していきたいと思いますし、また、その後もフォローアップをしていきたいと思います。このフォローアップについても、経済産業省の監督に誠実に対応することを求めているところでございます。また、この中で計画への対応が不十分なものがありましたら追加的な対応もしっかり行うなど、フォローアップを責任を持って行ってまいりたいと考えてございます。

宗清委員 今の御答弁にあったように厳しく、そして、関西電力の体質だと思いますから、この体質が改善されるように国としても取り組んでいただきたいと思います。

 私は、この関電の金品受領問題が、原発を行っている事業者全てに当てはまるような構造的な問題ではない、そういうふうに信じています。しかし、多くの国民の皆さんが、原発イコールこういった利権があるんじゃないかという疑念を感じていると思います。

 経産省もこの問題が発覚して以来、他の電力会社に対して今回のような問題がなかったのか確認をされていると思いますが、実態はどうであったのか。また、電力各社に対して改めてコンプライアンスの徹底、工事発注等にかかわる適正な業務執行を含めて適正かつ公正な業務運営に取り組むよう指示したと聞いています。

 万が一にも同じようなことがほかの場所で起これば、原子力発電の信頼そのものが失墜して再稼働ができなくなるという強い危機感を持っております。国としても最大限の努力そして危機感を持って原子力行政の信頼回復に努めていただきたいと思います。

 この問題の最後に、監督官庁としての決意、そして、今後どのようにしていくのか、お尋ねをしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この問題については深刻な問題だというように捉えてございます。

 関西電力に対しては、先ほど申し上げた命令、それに基づく対応のフォローアップ、こうしたことを通じまして、内向きの企業風土を改め、ユーザー目線に立った国民に信頼される組織に生まれ変わるよう、しっかりとフォローアップ、そして監督をしてまいりたいというように考えてございます。

 それから、政策に対する信頼についても大きく損なわれているということだと思いますので、国民から、そして地元の皆様方から信頼が回復できるように関西電力が生まれ変わるということをしっかり実効性を持って担保できるよう取組をしてまいりたい、決意を持って取り組んでまいりたいと考えてございます。

宗清委員 不退転の強い決意で臨んでいただきたいと思います。

 次に、我が国エネルギー政策について問題意識を申し上げて、原子力発電の四十年運転延長について議論を進めていきたいというように思います。

 我が国のエネルギーの自給率、今や一二%を下回っていると聞いています。ほとんどを海外に依存しているわけです。原油に限っては、大部分を中東地域に依存しております。そういった現実を直視すれば、我が国のエネルギーというものがいかに脆弱な体制であるか、仮にホルムズ海峡等で有事でもあれば、これはきれいごとでは済まされません。経済も大混乱するわけですから、本当に不安でたまらないわけであります。

 東日本大震災以降、原子力発電を順次停止しました。このことによって比率が大きく低下をして、原子力の代替のための火力などの天然ガスや石油への依存度が増しているわけであります。

 もちろん、このエネルギー政策というのは、基本は、安全性を前提とした上で安定供給、そして経済的効率性によって低コストでエネルギー供給を実現することが理想だと思います。同時に、環境への適合も忘れてはなりません。

 各エネルギー源は、サプライチェーンのそれぞれの強みと弱みが当然ございます。単独のエネルギー源で安定的な、効率的なエネルギーを供給できないのが実態ですが、よって、有事の際でも、何かあった場合に安定供給ができる構造を実現するということが国の使命だと思います。エネルギー源ごとの強みが最大限発揮されて弱みが他のエネルギー源によって適切に補完される組合せ、多層的な供給構造を実現することがベストだと思います。決して特定の国や地域に依存せず、分散化かつ自給率を向上させていくことが不可欠です。

 そして、環境問題や自給率双方に最も適しているのが再エネ、そして原子力だと思います。そのことは世界が示しているというように思います。ですから、先ほどのような、電力事業者が信頼を失うことがあってはいけないと思うわけでございます。

 中国やインドなど経済成長著しい国は、やはり原発の依存度を高めています。特に中国は大型の原子力発電を今後どんどん増設するというように聞いておりますし、また、世界最大の産油国でありますサウジアラビアでさえ原発を新しくつくろうというような動きがございます。我が国の原子力政策が世界におくれをとることは決してないように心配をするわけであります。特に、おくれをとっていれば、優秀な技術者、科学者の方々が海外に流れてしまうというケースが現在もあると聞いておりまして、強い危機感を持っているわけでございます。

 他方、今の原発は、二〇一三年に新規制基準が施行されて、再稼働は九基、設置変更許可が七基、審査中が十一基、未申請が九基、そして廃炉が二十四基となっています。我が国は、二〇三〇年で自給率二五%を目指していますが、恐らく、先ほど申し上げた原発の状況を考えれば二五%を達成することは大変難しいと思います。エネルギー自給率が二五%であるためには、原子力発電の稼働が二〇%から二二%程度供給しなければならず、原発の出力規模や稼働率によって変わりますけれども、例えば稼働率を八〇%と置けば、三十基程度稼働しなければなりません。現在の審査状況では三十基が稼働するとは到底思えないわけであります。

 加えて、二〇三〇年の時点で原子力の比率を二〇から二二%達成しようと思えば、原発の四十年の運転延長の問題が一つのポイントになるだろうと思います。今、規制委員会の許可を受けて一回限り二十年延長することが認められていますが、一定の議論があって、この四十年、一回の延長の六十年ということが法制化されたと理解をしていますが、明確的な、科学的な根拠があってこの数字が決められたのではないというように理解をしています。

 日本では四十年プラス二十年しか認められていません。ですから、長期停止期間を四十年に含めるか含めるべきでない、そういった議論が今までもあったというように思います。私は、アメリカのように何度も運転延長ができる仕組みであれば、停止期間を含めるか含めないかという議論もないというように思いますし、これは自動車の車検と同じような考え方なんだろうというように思います。安全が担保されるものは動かしていいよというような議論があるんだろうと思います。

 この委員会でも多くの議員の皆さんから同じような問題提起があったと承知をしています。更田委員長も、運転期間というのは、立法時の国会審査において、技術的観点のみならず、幅広い観点から議論を重ねられた上で法制化されていますから、年数のカウントの仕方そのものも、法律の定めにこれは含まれている、また、原子力規制委員会がこの法律の定める年数のカウントの仕方そのものに議論できるということは極めて限られているという認識を示されてこられました。

 しかし、最近になって、原子力規制庁とATENAとの間で、科学的、技術的な観点から、実務者レベルでこの問題について意見交換が進められていると聞いています。

 この中で議論される項目として、長期停止期間中に考慮が必要な経年劣化現象、そして、取りかえ困難な機器・構造物の経年劣化評価と保全のポイント、長期停止を踏まえた特別な保全計画の基本的な考え方、製造中止品への事業者側の対応、旧式化した設計技術への対応にかかわる基本的な考え方、重大事故環境下におけるケーブルの絶縁特性評価にかかわる事業者側の対応などであるというように承知をしています。

 こういった客観的で科学的な観点から、長期期間停止中に考慮が必要な経年劣化現象や、長期停止を踏まえた保全計画の基本的な考え方などについて、実務者レベルで技術的な議論が進められているということは、今までの議論から考えると大きな一歩だなというように思います。

 五月をめどに、ATENAとの間でこの技術的意見交換の報告書が規制委員会の方に報告をされると承知しています。私は、その報告書を受けて、それぞれの専門家のおられる規制委員会でしっかりと議論をされて、そして、例えば、専門家の方々にしっかりとそれを見ていただく、例えば原子力安全専門審査会のようなところでもいいと思いますし、そういったところでしっかりと議論をしていただく、また、そうあるべきだというように思います。

 規制委員会として、そして、経年劣化の現象や管理、そしてまた古い原発を動かしていく人の経験や技術、万が一事故が起こったときに本当にその人で見れるのかどうか、そういったことも、課題があると思いますから、規制委員会として、そういったさまざまな課題に対して何らかの報告書みたいなものを示していただけるというように思いますが、更田委員長に、今後の議論の進め方として、かくやるべきだということがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子炉の経年劣化管理に係る原子力エネルギー協議会、ATENAとの実務者レベルの技術的意見交換につきましては、三月六日に第一回の会合を開催したところであります。

 今後、幅広くかつ活発な議論が行われることを期待しておりまして、今後数回の議論を行った後、御質問の中にもありましたように、本年五月をめどに、事務局において報告書を取りまとめ、この報告書が原子力規制委員会へ報告されるというふうに考えております。

 原子力規制委員会としましては、この事務局の報告を踏まえ、その内容を慎重に確認をし、またさらに、委員会内での議論を進めて、今後の対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

宗清委員 ぜひ、規制委員会の方でも、やはり技術的な観点から、かくあるべきだというようなしっかりしたものを示していただけることを期待をしております。

 そして、四十年の問題をもう一つ質問をいたしたいと思いますが、現在の議論というのは、先ほど申し上げたように、四十年という法律に書かれている数字から、技術的に停止期間を含めるべきか否かというようなことの議論があったというように思います。

 更田委員長に確認をさせていただきたいんですが、私は、もう最新の知見に照らして、技術的にきちんと管理さえしていれば、物理的に、これは安全面という意味で、理論的に四十年、さらには六十年で安全性が担保できないという意味での寿命が来るわけではないというように考えますけれども、技術的な観点から更田委員長の見解を聞かせていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほどの御質問の中に、一つ前の御質問の中にもございましたけれども、この運転期間四十年というのは、立法時の国会審議において、技術的見地のみならず幅広い観点から議論が重ねられた上で法制化されたものと認識しておりまして、同法の定める年数並びにそのカウントの仕方そのものに関して、原子力規制委員会において議論できる範囲は限られているものと承知をしております。

 その上で、経年劣化という点について申し上げれば、原子力発電所の安全性を維持できる期間は、さまざまな経年劣化事象を評価した結果として、各種設備の安全機能が維持できるかどうかという観点から定まるものであって、四十年又は六十年と一律に定まるものではないというふうに考えております。

 原子力発電所の経年劣化につきましては、圧力容器の照射脆化など運転することによって劣化が進むもの、ケーブルの絶縁低下など運転をしなくても劣化が進むもの、さらに言えば、設計そのものの古さなどがありますので、さまざまな観点から、丁寧かつ慎重な議論が必要であるというふうに考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 今、更田委員長がおっしゃっていただいたような幅広い観点から議論が進んでいくことを期待をいたしたいと思います。

 福島の事故後、先ほど申し上げた新しい法律ができて、運転延長のための審査と新規制基準適合審査が並行して進む特殊な状況があったというように理解していますけれども、現在、四十年超の審査を受けている原発は、停止期間と追加工事を合わせて七、八年停止したような状態でございます。四十年前後の法律で寿命ということになるんですが、七、八年とまっている原発と、当然、そうでないものと、この劣化の現象についてはさまざまな違いがあるというように思います。

 ただ、こうして違いがあるにもかかわらず四十年で切ってしまうということになりますと、残存期間の運転、これが短くなりますから、当然、投資の回収ができなくなる。投資の回収ができなくなるということは、これはユーザーの皆さんの電気代が上がるということにもなってきます。それだけではなくて、二〇三〇年に原発を二〇から二二%、これも維持できなくなるというように思います。

 今後、国会で四十年の延長の問題をぜひ議論していきたいと思いますが、停止期間を含めるか否かとか、本当に六十年で廃炉にするのか等の議論を国会の方でやはりしなければならないと思うんですが、そのときにまさに基準になる科学的な考え方がやはり必要だというように思います。私は、その四十年というカレンダー的な考え方を一律に否定するということではありません。やはり国会で、国民の皆さんの見える前で新しいルールづくりに向けて議論を進めていくことが私たちの使命だと考えます。

 そして、長期期間停止をして、かつ四十年を超えて設置許可が出ている原発が四基既にあると思います。また、長期期間停止をした原発で、かつ三十年を超えてくるものが七基あると思うんですね。これらの原発もあっという間にこの四十年というものを迎えてくるわけでございます。私たちに与えられた時間はそんなに多くないというように感じますので、こういった問題提起をさせていただきました。

 次に、最後の質問になりますけれども、先ほども更田委員長から言及がございました、二〇一六年のIAEAによります総合規制評価サービスの報告書において、規制制度の見直しが挙げられていました。この新検査制度では、二〇一八年より試験的に運用がされていますが、いよいよこの四月から全国のプラントで本格的に運用されると承知をしています。

 従来の検査制度では、安全上達成すべきパフォーマンス自体よりも規範的な事項の要求に対して規制側は確認を行って、事業者側はその要求への適合を最優先に実施することに重きが置かれていました。これは重箱の隅をつつくような規制となっているという批判もあります。

 しかし、新しい検査制度では、現場での安全上のパフォーマンスの達成が目的となりますので、規制側も事業者側も安全上重要度の高い案件に対して双方が取り組むことで原子力の安全をより高めることができると理解をしています。

 この四月から本格的に運用されることになりますけれども、当然、規制側と事業者側で意見が異なる事象が発生すると思います。逆にそこがポイントだというように思いますが、現場で双方が適切なコミュニケーションを図ることでより実効性のある検査ができると考えますけれども、更田委員長の見解を聞かせてください。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まさに、御指摘のとおりだというふうに考えております。

 新検査制度におきまして、規制側、検査官、それから事業者側、現場で保全に当たる方々、その双方の間で良好なコミュニケーションがなされることは、これは制度の狙いそのものでありますし、非常に重要であるというふうに認識をしております。そのためには、私たちのみならず、事業者も含め双方の努力が必要であるというふうに思います。

 原子力規制委員会、原子力規制庁では、検査官が対面で事業者との良好なコミュニケーションを行えるようにするためのスキルの研修なども用意をしておりまして、こうした取組を通じて、事業者との信頼関係のもと、双方が本音で語れるような状況をつくっていくということが大変重要であるというふうに認識をしております。

宗清委員 今の更田委員長の御発言、まさにそうだと思います。

 今までは、事業者側と規制側が、意思の疎通が十分に図れていたとはいえ、現場でのさまざまな問題について双方が向き合う場面がやはり少なかったんではないかというふうに思います。ですから、この新しい検査制度について、これから本格的に運用開始がされるということを本当に期待をしてやみません。

 そして、このエネルギー問題、さまざま問題提起をさせていただきました。四十年問題、六十年問題についても議論をこれから進めていきたいと思いますけれども、このエネルギーの問題というのは、国民生活、まさに今経済、コロナの影響で非常に厳しい状態にあります。

 私も、地元に帰りまして、やはり電気料金というのは、中小企業、物づくりをしている事業者側にとっては、電気料金が上がるのではないかというのは物すごく不安でありますし、関西電力のこの問題を冒頭に申し上げました、こんな悪いことをするんだったら自分たちの電気料金を少しでも下げてくれよということが本音であると思いますし、一度失った信頼を取り戻すというのは並大抵の努力ではないと思います。

 エネルギー問題、とりわけ電気料金、電気の安定、そういった問題は国民経済の根幹をなす問題だと思います。そして、国家として取り組むべき最重要課題だというように思います。そして、現下の私たちのエネルギーのあり方を考えると、先ほども申し上げましたけれども、非常にやはり脆弱である、危機的な状況であるという問題意識を共有をして国会でこれから議論を進めていきたいと思います。

 私たちは、決して、感情的な追及へ、そういうことにならないように、将来を見据えた冷静な議論が私たちには求められているというように確信をしています。仮に、事業者側がけしからぬからもう全てだめなんだという問題のすりかえ、感情的な議論に流されてしまって判断を間違えてしまえば、取り返しのつかない禍根を残す、そういったことになるのではないかという心配もしています。私たちが間違いのない判断ができるよう、しっかりこの委員会でも議論を重ねていきたいというように思います。

 きょうは、更田委員長には、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。これからも、規制委員会の方でしっかりと、先ほど私が申し上げたようなこともお願いをしたいというように思います。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

江渡委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 限られた質問の時間ではありますが、やはりこの問題、更田委員長に聞かざるを得ないというふうに思っております。通告はしておりませんが、けさほどの報道でございました。

 これまで、関西電力の求める火山灰対策の二案を一案に絞り込むという話で、三月十日の参議院の内閣委員会では、二案から一案を選ぶような意思決定はしていないというふうに答弁をされております。

 ところが、今回、音声が公開をされております。その中では、二案から一案をまさしく選ぶような、そういうような会話のやりとりがあると。

 規制庁の幹部らには指示をしていないと、ここも否定をされておりましたが、どうやら指示をされているんじゃないか、国会で委員長が虚偽の説明をしたんじゃないか、こういうような報道がなされているわけですが、委員長の見解を求めたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 報道にありました当日の会議において意思決定は行っていないということを繰り返し申し上げさせていただきます。

 その際の一案、二案というような形になっているもののうち、一つの案というのは、それまで既に会見で申し上げていた私の考えとも異なるものではありますけれども、議論のための材料とはなり得ても到底成案になり得ないものであるということは、その当日までの間にも公開の場で明らかになっております。

 ただ、私どもは、技術的なものも含めて、ブレーンストーミング、まあ、いろんな呼び方をしますけれども、そういった議論を行う際には、あえてさまざまな選択肢を挙げてみて議論を進めるということはいたします。

 そういった意味で、音声の中で、私がその挙げられた案の中に対して、これがというような自分の考えを述べるようなことはもちろん議論の中でしておりますけれども、委員会の決定はあくまで公開の委員会の席上で行われておりまして、また、私の意見というのは原子力規制委員会において五分の一の意味を持つにすぎません。

 それから、資料に対しましては、表現のわかりにくさであるとか技術的な誤りについて指摘をするようなことは、日常的にある程度行っているところではあります。

伊佐委員 ブレーンストーミングだというお話でありました。

 先ほど、冒頭、委員長の方から、この活動状況の中でも、「我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。」という言葉がございました。恐らくこの後も、いろんな先生、委員の皆さんからもここについて質問があると思います。しっかりとここは丁寧に説明を尽くしていただきたいというふうに思います。

 それでは、通告に従って質問させていただきたいと思います。

 関電の金品の授受問題について、三月十四日に第三者委員会の報告書が提出をされた。私も、先ほど宗清委員から質問がありました、同じ大阪の議員として、今回のこの問題は本当に残念でならないというふうに思っております。昨年の九月の時点で関電の調査報告書が出てきましたが、その時点でも既に、もちろん当然残念で、コンプライアンスの欠如というのはもうはっきりしているわけですが、それでも百歩譲って、事業の円滑な遂行をしていくという部分とコンプライアンスとのところで現場の悩みというものが少なからずあったんだろうなということは何となく想像ができるわけです。

 ところが、今回の第三者委員会の報告書で一番私が衝撃だったのは、処分されて役員報酬がカットされている、そこに対して補填をして、見えない形で月九十万円されているというところです。安全対策を担わなきゃいけない電力会社として、本当にこれは国民の皆さんに信頼していただけるのかという思いがいたしました。

 本当に私、憂うつな思いは、関電でも、例えば災害になると、やはり現場の皆さんが不眠不休でいろいろ支援をしていただいて、大阪でも、台風のときには、本当に私の地域でも関電の職員の皆さん必死で電力の回復に頑張っていただきました。あるいは、どこかの地域で電力に問題があったら、関電から派遣をされて、現場の皆さん必死でやっていただいているわけです。こういう方々に思いをはせると、何とも憂うつで仕方がないと思っております。

 経産省は、三月十六日に業務改善命令、もうすぐ関電の方から業務改善計画というものが上がってまいります。

 そこで、先ほど宗清委員からの質問でも答弁がありましたが、ガバナンスの強化あるいは経営管理体制の立て直し、構築をするということですが、もう少し具体的に、経産省として、このガバナンス強化という点で関電がどういう具体的に取組をしていくことを期待しているのかというところを伺いたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のとおり、今回の報告書の中でも指摘されておりますとおり、コンプライアンス違反にとどまらず、ガバナンス不全ということで多くの問題が指摘されていることにつきましては、公益事業者としての信頼を大きく失墜させる大問題だというように深刻に受けとめているところでございます。

 この報告書の中では、今御指摘いただいたガバナンス不全についても多くの問題点が指摘されているところでございますが、例えば、関西電力の内向きの企業体質が本件問題を招来した根本的原因であるといった指摘ですとか、企業体質の改善を速やかに実効性を持って行うためには、関西電力の色に染まっていない識見のある外部の有識者を積極的に登用し、人材を多様化することが効果的であるといったようなことなども指摘をされているところでございます。

 また、原子力事業本部に対するガバナンスについても指摘がされており、原子力事業本部内でも、コンプライアンスを含む管理部門をつかさどる者を事業本部長に次ぐ程度の高位に置いて、当該役職者が、社外の取締役会長と太いパイプを持つ仕組みとすることにより実効性を高めるべきであるといったような具体的指摘もされているところでございます。

 こうした取組によって、この原子力事業本部が健全な相互牽制関係の働くガバナンスのきいた組織、風通しのよい組織になることを望みたい、こういった指摘も報告書の中でされているわけでございます。

 我々は、こういった報告書の指摘も踏まえまして、関西電力に対して業務改善命令、特にガバナンス改革についても具体的な指摘をしているところでございます。

 例えば、まず、指名委員会等設置会社への移行といったことも含めて、外部人材を活用した実効的なガバナンス体制の構築、これを指摘しているところでございます。

 ここで言う指名委員会等設置会社といいますのは、御承知かもしれませんけれども、経営の監督と執行を分離する目的の制度でありまして、法定各委員会の委員の過半数が社外でなければならないといったようなことが義務づけられるなど、外の目、外部の目が経営の監督に生かされる、こういった仕組みになっているところでございまして、こういった社外の目、これまでの関西電力の風土に染まっていない外の目でのチェックが働く仕組みをしっかりと入れていっていただく必要がある、こういう指摘をしているところでございます。

 また、原子力事業本部に対する実効的なガバナンス体制の構築についても具体的な指示をしているところでございます。

 また、今回指摘されたものの一つに、監査部門が機能しなかったといった点も大きな問題として指摘されているところでございますので、監査部門の体制強化、また事務局機能の拡充といったようなことも求めているわけでございます。

 こういったことを抜本的に改める改革を通じて、内向きの企業風土を改め、報告書の中でも指摘されておりますが、まさにユーザー目線、消費者目線、利用者の立場に立った、国民に信頼される組織に生まれ変わっていただきたいと考えてございます。

伊佐委員 あと一点、ちょっと確認したいんですが、さっき私が申し上げたような役員報酬のカット、これが回り回って補填されていたという話ですが、私、ここは少なくとも返還させるべきだというふうに思います。いかがですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 全くおっしゃるとおりでございまして、この第三者委員会の報告書でも、その点につきましては、透明性、公正性を欠く形で不適切だと厳しく指摘をされているところでございます。

 経済産業省としても、このような問題は公益事業者として信頼失墜をさせる大きな問題だと認識をしておりまして、当然のことながら、当該補填の金額については全額返還することを求めてまいりたいと思っておりますし、今月中に業務改善計画の提出がありますが、その際、関西電力からこういった全額返還という点についても明確になった形で対応が示されるもの、このように考えてございます。

伊佐委員 原発は本当に今、大きな転換点だと思います。しっかりとこれは落とし前をつけていただいて、再出発できるように、経産省としてもしっかりと監督をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、コロナウイルス対策に関連した質問をさせていただきたいと思いますが、電気・ガス料金の支払いについてです。

 このコロナの影響で資金繰りが困る、収入が減る、こういう方々がいらっしゃって、電気・ガス料金の支払いを待ってほしいという方々、支払い猶予をお願いしたいという方々がいらっしゃいます。ここは柔軟に対応できるようにとお願いしておりました。昨日、二十五日から支払い猶予という制度が始まったというふうに伺っております。

 これは、じゃ、具体的にどういう要件で、どういった手続をすれば支払いが猶予されるかについて伺いたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘いただきましたように、三月十九日に、電力・ガス会社に対しまして、料金の支払いが困難な事情があられる方に対して、支払い期限をまず一カ月繰り延べて、その後においても、その方の置かれた状況に応じて柔軟に対応することなどを要請をさせていただいたところでございます。

 こうした要請を受けまして、電力・ガス会社さんにおかれまして、緊急小口資金等の貸付けを受けた旨の申出がある方を対象に、小売料金の支払い期日を一カ月繰り延べる措置を講ずるといったことで御対応いただいている状況でございます。また、その手続といたしましては、例えば緊急小口資金等の貸付けに係る証書を提示いただくことなどを想定している、このように承知してございます。

伊佐委員 この要件として、緊急小口資金というものの貸付けを受けた者ということで今御答弁いただきましたが、実は、党内のコロナの対策本部でも指摘があったんですが、この緊急小口資金の貸付申請が開始したのが二十五日、これもきのうなんです。同じくきのう始まったばかりなので、資金繰りに困っているところは、本当に、きょうあすどうするか、今週どうするかという世界なんですが、この貸付けを申し込んで、実際に緊急小口資金の貸付けが行われるまで当然時間がかかるわけです。だから、これを待っていたら支払い猶予を受けられないというような指摘もありました。

 だから、ここは柔軟な対応を検討するというふうにその対策本部ではあったと思いますが、その後、いかがですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点につきましては、今週二十三日に開催をされました御党、公明党の新型コロナウイルス感染症対策本部において御指摘があったと認識してございます。

 その御指摘を踏まえまして、経済産業省としては、電力会社、ガス会社に対して、貸付けを受けようとする方についても今回の特例措置の対象とするなど、柔軟に運用するよう追加的に要請を行わせていただきました。これを踏まえまして、昨日、二十五日には、その旨、パンフレットにおいても追加で掲載をさせていただいて、公表をさせていただいたところでございます。

 引き続き、今回の特例措置によって、一人でも多くの方に知っていただき、利用いただくことによって、お困りになっている方々の料金の支払いがそういった事情を踏まえた形で柔軟に対応され、そういった方々の不安軽減につながるように、丁寧に取り組んでまいりたいと考えてございます。

伊佐委員 柔軟な対応をしていただきまして、ありがとうございます。

 通常であれば、支払いがおくれれば利子も発生する、でも、この支払い猶予では、猶予ができて、しかも利息ももちろんつかないということでありますので、ぜひ御利用いただければというふうに思っております。

 最後のテーマに入りたいと思います。少し時間もなくなってまいりましたので、短目に、御答弁、簡潔にいただければありがたいと思いますが、福島の処理水についてです。

 百三十七万立米の今キャパシティーを考えている、このままいくと二〇二二年夏にはいっぱいであふれてしまうということで、方針が決まったとしても準備にも時間がかかるでしょうから、そんなにも時間がない。処理水をどうしていくか、喫緊な課題であるわけですが、おととい、三月二十四日、東電から発表がありました。処理水の取扱いについての検討素案というのがありました。

 この位置づけについて、どういう位置づけなのか、伺いたいと思います。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるALPS等で浄化処理した水の扱いについて、小委員会の報告書が二月十日に公表されております。

 報告書においては、幅広い関係者の御意見をお伺いした上で政府として方針を決定するよう指摘されており、これを踏まえて、関係者から御意見を伺う場を四月六日から開催する予定でございます。それに基づきまして、経産省から東京電力に対し、関係者の検討の参考となるよう、ALPS小委員会の報告書を踏まえて、処分方法の具体的、技術的な検討素案について事前に示すよう指示を行ったところでございます。

 委員御指摘の資料につきましては、こうした経産省の指示を踏まえて東京電力が公表したものでございます。

伊佐委員 この処理水、最後どうするかというのは、当然、政府が決める、経産省が決め、政府が決め、原子力災害対策本部かもしれませんが、その上で、経産省の小委員会の中で、水蒸気放出か海洋放出が実績があるので現実的だと。それを具体的にやったら、じゃ、技術的にどうなるかという検討だと思いますが、ちょっともう一点、この検討素案の中で東電が示した放出基準はどうなっていますか。

須藤政府参考人 検討素案においては、海洋放出の場合、現在、既に海洋に放出をしております地下水バイパス及びサブドレーン、井戸でございます、に適用している運用基準、これは水一リットル当たり千五百ベクレルでございますけれども、これを参考に検討するとされております。なお、水一リットル当たりのトリチウムの告示濃度限度は六万ベクレルでございます。水蒸気放出の場合は、大気中のトリチウムの告示濃度限度、空気一リットル当たり五ベクレルでございますけれども、これに対しまして、海洋放出の場合と同等程度の割合で希釈することを検討するとされております。

伊佐委員 数字を示していただきました。それがどの程度かというのはなかなか役所の方から言いにくいと思いますので、確認をさせていただくと、そもそも、水蒸気放出、海洋放出というのは、運転中、今、世界で運転している原発から既に行われているものであります。だから、今この瞬間も、このどちらかのやり方で放出がされている。そのときの濃度は、濃度基準は、国連で示されたモデルに基づいて各国がつくっていますので、大体、各国一緒のはずです。

 例えば、大気放出の場合は、日本の基準でいえば、空気一リットル中五ベクレル、これが告示濃度限度でした。今回の東電の素案というのは、更にその数百分の一というものです。かなり希釈して出していく。

 海洋放出についても、告示濃度、今、水一リットル中六万ベクレルですが、これを、今回の東電の素案は、水一リットル中千五百ベクレルに薄めますと。つまり、これまで、今もこの瞬間、世界で行われている基準よりも四十分の一で処理水を放出するという技術的な検討結果が出されております。だから、一年間この処理水を飲み続けて年間一ミリシーベルトになるのがこれまでの告示レベルですから、そこよりも四十分の一のレベルだと。

 そういう意味では、私は、もう時間がないので質問はしませんが、福島の皆様が最も恐れているのは風評被害だというふうに思っております。福島の方々というのは、処理水が危険じゃないかということのおそれというよりも、世間の方々が危険じゃないかと思うことで風評被害が発生するんだ、この点を最も懸念をされておりまして、実際に、この小委員会の公聴会でも風評被害についての懸念の声が一番多かったわけです。

 そういう意味で、処理水というのは今回こういうレベルなんだ、今世界で放出している規制レベルからも全然低いんだ、ここのところを東電また政府がしっかりと説明をしなきゃいけないのは、実は、福島の皆さんの御理解が得られたとしても、本当に説明しなきゃいけないのは、私は世間に対して、あるいは世界に対してだというふうに思っております。ここがないと風評被害の懸念はありますので、そこをこれから、経産省では副大臣が四月六日から福島に行って丁寧に説明をするということであります、もちろんここもしっかりとやっていただいた上で、世の中に対して丁寧な説明をしていただきたいというふうに思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 立国社の斉木武志でございます。

 きょうはいろいろ質問したいことがありますが、まず冒頭、毎日新聞の報道に関して、更田委員長に問わなければなりません。

 けさの報道、そして昨夜の音声動画の公開ということで、三月十日の内閣委員会、杉尾参議院議員だったと思いますが、議事録とちょっとそごが出てきておるんですね。

 更田委員長は、二〇一八年十二月六日示されたとされております文書指導案、再評価命令案のこの文書は、御指摘の文書、これは出席メンバーは誰も記憶しておらず、また、打合せに提出された記録はない、そして、更田委員長御自身も見た記憶がないというふうに御答弁されておるんですが、そのとおりでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 本件の大山火山灰に関しましてはさまざまな資料を連続して見ておりますので、当該資料がその打合せに、ブレーンストーミングに出されたものであるかどうかについて明確な記憶はございません。

斉木委員 これは要するに、記憶から欠落していたということなんでしょうか。存在はしていたということなんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 昨夜、私も音声を聞きました。音声を聞きました限り、私が指摘など議論の対象としている資料が報道された資料そのものであったかどうかは、今の時点でも定かではございません。

 ただ、私の発言等々を聞いていると、その資料がそのときの議論の対象であったとしても、これはまた不思議ではないというふうに思っております。

斉木委員 非常に記憶が曖昧であったからというような御答弁なんですけれども、随分この音声の中では具体的に指示を出していらっしゃるなというふうに思います。

 私も昨晩ざっと聞きましたが、例えば、この二案、再評価命令案に関して、表にしちゃいなさいよ、そしてさ、京都市の越畑地点等七地点におけるDNP、大山ですね、降灰層厚の分布状況って言ってさ、その分布状況を張ってということまで具体的に発言をされておるんですが、これは、紙を目の前にしながら、大山だとか越畑という固有名詞、七地点であるとか、それに分布状況を張ってということまで具体的に音声の中にはあるんですけれども、これも記憶から欠落してしまったんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まことに正直に申し上げると、記憶にはありませんが、いかにも私が言いそうなことではあります。技術的な内容について、よりわかりやすく明示するようにというようなことは日常的に行っておりますので。

 こういった打合せの類いは、それこそ一日に多いときは十件程度行っておりますので、個別の指示について、繰り返しますが、明確に記憶してはありませんけれども、繰り返すように、いかにも私が指摘しそうなことではあります。

斉木委員 ということは、御指摘の文書は、打合せに提出された記録はないというふうになっておりますが、記録にない文書に基づいて具体的にそういう指示を出したということなんでしょうか。

 そもそも、こういう打合せに出てくるものというのは公開原則ですから、この規制委員会というものは、原子力規制行政に対する透明性を高めるために。いろいろな腹案を準備して、記録もとらずに、ああだこうだ、都合のいいものを決定しているんじゃないかと国民から疑念を持たれてしまいますが、委員長としてどう責任をお感じですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほども御答弁の中で申し上げましたけれども、本当にさまざまな議論を行う中で、議論のための、議論だけのための案というものも含めて、例えば、あえてこれまでの経緯とは異なるような案を立ててみて議論をするということは、これもまた日常的に行っていることであります。

 この大山火山灰に対する原子力規制委員会の方針は、その録音されていたとする当該打合せの以前にも、私は会見で既に方向を、私の意見を会見で申し上げており、また、結果として他の委員の同意を得てその方向に定まったものでありまして、その過程において、本当にその方針が正しいのかどうかを見るために、議論する際にあえて幾つかの案を立てて議論するというのは、これは議論のやり方として日常的にとっているものであります。

 こういった議論を行う際には、それこそさまざまなレベルのもの、教科書のコピーからさまざまなものを含めて私たちは議論の対象としております。

 こういった文書の管理につきましては、原子力規制委員会、原子力規制庁としても、これまでにも、また現在も改善に努めているところでありますけれども、そのような指摘を受けるということ自体は遺憾であるというふうに考えておりまして、文書管理については今後とも改善に努めてまいりたいというふうに考えております。

斉木委員 透明性と公平性に対する疑念、規制委員会の存在そのものに対する疑義をこれは惹起してしまったなと私は懸念しておるんですね。

 きのう、ざっとかいつまんで聞いた音声の中には、大分気になる委員長の御発言がございました。

 この一案と二案を比較検討している中で、訴訟で、こういう表現をしてしまうとここは突っ込まれる、こういうことを原告側、住民側、差止めとか運転停止を求める側ですね、が論拠にして論陣を張ってくるので、要するに、訴訟で運転の支障になるようなものを取り除くかのような御発言があったと思うんですが、更田委員長、その御発言の真意はどこにあるんでしょうか。

更田政府特別補佐人 本件はいわゆるブレーンストーミングのケースでありますので、こういったときに、これも日常的なことでありますけれども、さまざまな立場に立って論点であるとか指摘というものを挙げてみるということは議論の過程で行うものであります。

 大山火山灰のバックフィットに関しては、これは安全上、厳正かつ適正な対処ができたものと考えておりますし、また、長期間にわたる公開の場での議論の過程において原子力規制委員会のとった方向というものは、おのずと明らかで、公開されたものであったというふうに考えております。

斉木委員 ちょっとずれているなと思いますね、お答えが。

 委員長が、訴訟で論点になるかもしれない、若しくは原告側の論拠になるかもしれないなというようなことを表現に対しておっしゃるのは極めて公平性を欠くと思うんですね。

 あくまで第三者委員会、この原子力規制委員長、委員会というものは、福島の反省をもとに、いかなる政治的圧力そしてコスト、こういったものも考えず、安全性のみ、技術的評価のみに立脚して判断する。それで、原告側、国民側の懸念の論拠となるようなものは、ちょっとまずいなというような疑念を抱かされないような発言をすること自体が、私は肩入れをしている、公平性を大きく毀損していると思うんですが、委員長、その御自覚はおありですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 発言の表現そのもの、これも記憶しているわけではありませんが、音声記録がありますので、その音声記録を聞く限りにおいて、多少ふさわしくない発言であったというふうには思っております。

 一方で、私たちも行政不服審査であるとか行政訴訟の対象となっておりますので、当然のことながら、私たちも、法律上の堅牢さ、また国の主張を行う上での論理の堅牢さみたいなものについては日常から配慮しているところであります。

斉木委員 多少ではないと思いますね。

 今回、委員長にはちょっと、今の現下の原子力行政をめぐる現状を御認識いただきたい。

 関電問題で、これだけ、役員、工事業者、そして高級官僚、地元町長、餅つきのように原発マネーがやりとりをされていた、自分たちの懐にばかり入れていた、原子力行政、原発マネーに対する不信感。そして、いろいろな日本原電の書きかえの問題であるとか、機構御出身なので申請側のやむを得ざる理由もよく御存じだと思いますけれども、そういった原子力事業の安全性であるとか、お金が還流しているんじゃないか、国民の疑念が高まっている中に、そういった多少という表現はないと思いますね。

 そもそも規制委員会というものは、そういったものを超越して、技術的なものに立脚して判断すべきであって、訴訟でこれが論点になるからやめておこうかみたいなことを委員長が御発言すること自体が、一定の政治的方向性すら持っていると断言せざるを得ないと思うんですが、委員長としてどう御答弁されますか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、当該大山火山灰に係るバックフィットの経緯ですが、これは、原子力規制庁の職員が文献を発見し、原子力規制委員会、規制庁がみずから調査に赴いて、火山灰を見つけて、これは噴出量の想定に変化を与えるような新しい知見ではないかということで、原子力規制委員会がみずから求めに行った知見であります。その知見に基づいて、当初、関西電力は評価の見直しに抵抗をしていたわけですけれども、原子力規制委員会みずからその基準を見直して、これを関西電力に、層厚、結果的には発電所に降灰する火山灰の厚さが変わるわけですけれども、この想定を見直して厚くするようにというふうに要求をする形になったものであります。

 したがいまして、科学的内容、技術的内容に関しまして、原子力規制委員会は、常に最新の知見を収集するだけでなくてみずから求めに行って、これに基づいて規制を適正、かつ強化すべきところは強化をしております。

 ただし、そういったものを行っていく行政上の手続の中で、不用意な、不適切な、ないしは誤解を招くような表現によって、行政訴訟等において不当に不利な立場にならないようにというふうに考えることは、これはこれでまた当然のことであろうというふうに考えております。

斉木委員 これは、原子力規制委員会、規制庁が被告として訴えられるとき、それでディフェンスをするためという御主張なんですけれども、私が申し上げたのはちょっと違うんですね。

 規制委員会はそもそも何でつくったのか。原子力安全・保安院が経済産業省、推進官庁の中にあったがゆえに、地下にバックアップ電源があったり、津波の波高であるとか、非常に過小評価されていた、穴を埋めるために外出ししたんですよ。それで、二代目の委員長としてお引受けされていると私は承知をしております。ですので、安全の守護者ですね、原子力の。技術的安全の守護神であると、私は立地地域としても理解をしております。

 まさに、当該美浜、大飯、高浜は私の地元でもありますけれども、そこの住民からすると、安全の守護者たる委員長が、住民訴訟で突っ込まれないようにとか、訴訟の、この大山の降灰に関してですよ、電力会社やそして規制委員会が常に突っ込まれないような表現を模索しているということ自体が、国民の安全をないがしろにしているのではないのかという疑念を抱かざるを得ないんですよ。いかにも突っ込んでください、どう来ても、これは客観的にやったんですよと言わなければいけないのが委員長だと私は思います。

 頭の中に訴訟対応がよぎって文言を作成しているとなると、この三条委員会としての規制委員会、規制庁の公平性そのものが全く損なわれてしまうと言わざるを得ないんですが、どうお考えでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省のもとに立った委員会であります。

 現在の例えば九州電力川内原子力発電所の現状を見ても、私たちが事業者におもねるというようなことは全くしておりません。

 また、そもそも本件の大山火山灰においても、先ほど申し上げましたように、規制委員会がみずから知見をとりに行って規制を強化し、そして、あらがう関西電力に対して評価の見直しを要求して火山灰対策の強化を求めたものであります。

 また、私どもも、私は委員長として組織を預かる身でありますので、みずからの組織が被告の立場になるということは、これは考慮の中に入れておくことというのは一定程度当然のことであろうというふうに思っております。

斉木委員 冒頭から委員の方々もお聞きのように、やはり、記憶から欠落していたであるとか、これが会議に提出された記録はないであるとか、非常に否定されるような、まさにディフェンシブな姿勢を貫いて、国会でもされております。

 実際は、これは見たということ、先ほどおっしゃったように、私が言いそうなことだということは、表を張って、DNP降灰層の分布状況って言ってさ、その分布状況を張って出せばいいじゃないか、こういう御発言をされているわけです。これは見ないと発言できないですよね。

 要するに、音声を、見て、記憶がよみがえった、そして文書はこの場にあったということでよろしいんでしょうか。内閣委員会は訂正されますでしょうか、御発言を。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 本件大山火山灰に係る私たちのアプローチや規制上の要求のあり方については、長期間にわたってさまざまな資料を見ておりますので、その当該資料が全く同一のバージョンのものであるかどうかというのは、現在においても私は確認はできません。

 しかしながら、音声記録がありますので、記憶がよみがえったというより、もとより記録があるわけですので、それを聞く限りにおきまして、先ほど申し上げましたように、そこでしている発言というのは、議論の過程においていかにも私の言いそうなことでありますし、日常的に議論の中で行っている発言そのものであります。

斉木委員 非常に、このネット中継などごらんになっている方は、原子力、私はこの三基の地元でございますので、やはり地元の方も見ていることを考えると、大丈夫かなと。安全性の判断を、更田委員長を始めとした規制委員会、安心して私もお任せしているんですけれども、非常に不安を持たざるを得ないというのが率直な立地地域としての感想です。

 当委員会の公平性、そして委員長の、裁判を念頭に案を検討する妥当性、こういったものに関しては、今後も継続してやはりウオッチをし、行政監視機能を果たさなければいけないなと意を新たにしておりますので、また折に触れて、何かございましたら御質問で取り上げさせていただきたいなというふうに思っております。

 次なる話題は、話題になっております関西電力に関してでございます。

 第三者委員会の報告書、二百ページぐらいでしょうかね、土曜日に出てまいりました。これも非常に、但木敬一委員長に本委員会に出席を求めましたが、与党側からこれは拒否ということで、与野党協議調わずということで、経済産業委員会に続いて本日の原子力規制委員会でも但木委員長にはお越しをいただけませんでした。

 私は、経産官僚の方にも来ていただいておりますが、やはり大臣や官僚の方に聞いても答えられないんですね、書いた本人ではないので。どういう意図でこれを書いたんですかと質問したいんですが、全て伝聞で、確たる答弁ができない。これはやはり、委員会として非常に問題があるなというふうに思っております。

 少なくとも、やはり、但木敬一関西電力第三者委員会委員長には出席をしていただいて、原子力問題と経産の共管の集中審議でもよろしいですので、書いた本人に、どうしてこういう表現になったんですかと、私が今後するような質問を答えていただきたいなと。

 それをぜひ、こういった集中審議の実施、当委員会としても御検討いただけますように、委員長にこの場で御提案させていただきます。

江渡委員長 理事会で協議をさせていただきたいと思います。

斉木委員 では、その中身の精査に入っていきたいというふうに思います。

 一言で申し上げますと、但木さんは関電を本当に守りたいんだなというのが率直な感想と言わざるを得ません。なぜそういう結論を申し上げているかと申しますと、私が当委員会で先般取り上げました浜田倫三高浜町長、当時ですね、森山助役そして浜田倫三氏のときに、九億円が、寄附金が町の口座に入らずに浜田氏個人口座に振り込まれたこと、これが事実認定、この第三者委員会の報告書でもされました。

 当時の資料、今、御掲示をいたしたいと思います。こちらですね、昭和五十三年八月八日に発行されました「広報たかはま」という町の広報紙、公文書でございます。その裏側に今回のものが、皆様の配付資料にも載っておりますけれども、関電から九億円もらいましたよ、一年半黙っていたので、利子が二千八百十九万一千円、浜田氏についていましたという信じがたいことなんですけれども、これは浜田氏の言い分をそっくりそのままなぞっているんです。

 これは、住民監査請求が二度にわたって住民から提訴されました。当然です。町が受け取るべき公金、寄附金が、町長の個人口座で受け取ったら、裏金になっちゃうじゃないか、個人所得になっちゃうじゃないか、誰にまいたのかも追跡できないという疑念、当然住民から湧いてきますので、二度にわたって住民監査請求が起きまして、それが否決された翌日です、八月七日に、住民監査請求は当然町側が審査しますので、町長は否決、そして、翌日にまかれたのが「広報たかはま」です。

 要するに、町長の言い分をそのまま書いてある文章なんですが、これは、漁協に三億三千万持ってきました、反対と言っていたので現金を渡して黙ってくれと言いました、残りの五億七千万円に関しては適正に使用しましたので問題ありませんという、監査報告書に、否決理由に書いてある、そのまま文章化されて、三千二百世帯、当時の高浜町全軒に配布をされております。

 この言い分をそのまま、この報告書の中でなぜかなぞっているんですね。一九七六年から七七年に合計九億円の協力金を関西電力は高浜町に対して支払っている。「この九億円の協力金については、関西電力から浜田氏名義の口座に振り込まれ、浜田氏及び森山氏と地元関係者の協議の結果を踏まえ、町道舗装や漁港整備等の地域振興対策や漁業振興対策の費用として支出された」と。まさにこの言い分をなぞっているんですけれども。

 このときに、この五億七千万円は高浜町の予算に全く計上されていなかったんですよ、四月二十日の時点で。

 不透明なまき方を、七千万円ずつ漁協にまいて、それが、あるA漁協は各戸配付で五百万、B漁協は各戸配付で五十万、C漁協は建物に使うからゼロ万円。そうなると、漁師の間でうわさになり、おまえ、幾らもらった。そして、漁業権のない町民は九割ですから、ごく一%の人だけ五百万もらって、あとの九九%の町民は一円ももらえなかった。だから、三千二百軒の高浜町でうわさになった。

 こういった、反対と言った人に七千万、各戸配付で五百万ずつ渡して、まあまあ黙ってくれよという、いわゆる実弾攻撃を関西電力の寄附金を使ってやっていたというのが本件の事案なんですが、そういう実態は全く書いてないわけです。

 まさにこういうことを、反対と言ったら、漁協がですよ、消滅していたんですよ、一、二号機の漁業権。一、二号機ができて、漁業補償を受けて、サザエ、アワビがとれなくなるから漁業権は消滅しました、お金をもらって。でも、三、四号機をつくるときに森山さんがいました。三、四号機をつくるとき、また反対というふうに高浜町の五支所は声を上げた。これは要するに、反対と言って、やはり見返り、補償が欲しいということです。それを関電、浜田さん、森山さん、そして漁協、三者で話をして、三億三千万円配付する。でも、なぜか九億円が浜田さんの個人口座に入って、そこから戸別配付された。組合長を通して戸別配付された。

 こういった、反対と言った人に対して関電が捻出したお金、裏金で黙らせる、お金を握らせて黙らせる、まさにこういう不適切な関係が明らかになってしまったら、これはまさに高浜原発の立地の経緯そのものが疑われますね。町長は、要するに自分が懐に入れたいから、九億払ったわけです、関電からもらった、これは認めました。関電もこの中で認めております。三億三千万配ったということは、五億七千万円は自分の口座にあるわけですよ。これは、ばれなければ全部浜田さんの個人所得になっていた話です。そうしたら、首長は目の色変わっちゃうじゃないですか。

 こういった、非常にわかりやすい、今回、この第三者委員会の報告書の中でも、森山氏と浜田氏が一番力を入れていたのは三、四号機の増設である、地元工作であるというのは、これは六十八ページに認められております。でも、なぜか、こういった裏金を反対派の方に握らせて黙らせていったという実態が全く書いておらず、そして、二十五ページ、これは、「本調査の過程で収集した資料からは、関西電力が森山氏との関係を維持しなければならなかった決定的な理由は明らかではなく、」というふうに書いてあるんです。これはわけがわからないですね。

 関係を維持しなければならなかったのは、まさにこういった実弾攻撃の実態をばらされたくなかったからだとしか解釈できないんですが、経産省、まあ、しようがない、但木さんは来ていませんから、何でこう書いたのか、お聞きしたいんですが、経産省、こういった、過去、本委員会でも指摘しましたね、このことは、経産委員会でも指摘しましたね。それを、全て、もらった側の浜田さんの言い分をそのままなぞって、実弾攻撃で配ったことも書かないし、そして、森山さんと関係を断ち切れなかったのはなぜだかわかりませんというような報告書、国民が信頼すると思いますか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいた点につきましては、報告書で厳しく批判をされているところでございます。

 昭和五十三年度における関西電力から高浜町への協力金支出については、本来高浜町の口座に入金されるべき九億円もの現金が町長の浜田氏名義の口座に入金されていたという事実認定もしておりますし、原子力発電所の立地や運営の過程において不適切な手法と厳しく批判をされているということだと思います。

 この調査においては、先ほどの答弁の中でも言及させていただきましたけれども、フォレンジック調査ということで、四十万件の、メールも復元して確認をいただいている。そして書類も見ている。関西電力に協力義務を課す中で、委員会において必要な書類をチェックする中で事実認定を行って、このような厳しい指摘がされている、こういうことだと認識してございます。

斉木委員 だから、全く答えられないんですよ。

 前段の事実認定はしました。でも、じゃ、九億円もらったものがどう使われていたか。適切に支出しましたよという浜田さんの言い分をなぞって、要するに、関電から直接お金を受領した、いわゆる収賄側とも言われかねない側の言い分をそのままなぞって報告書にしている。実態としては、森山さんと一緒に漁民に配っていった、それで黙らせた、そういった肝心の実態が全く書いていない。

 でも、当時の新聞記事にも、福井県の地方課長の高浜町総務課長に対する聞き取り記録もございます。そういったものを、要するに関電に不利になるようなことを全く捨象して、ネグレクトしてしまって報告書にまとめている。これは意図的操作と言わざるを得ないと思うんですが、見解はどうですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたように、不適切な手法であると厳しく批判をしておりまして、当時のガバナンスの不全、コンプライアンスの違反についても明確に指摘をしているところかと思います。

 御指摘いただいた事案については昭和五十三年のものでございまして、もちろん、報告書の中にも書いてございますけれども、古い、何十年も前もの資料が、アクセス可能なものについては全てやった、できるところまではやったということで、明確に会見の中でも但木委員長から言及がされているもの、このように認識してございます。

斉木委員 何で書いたのかというのは答えられないと思います、経産省の役所の方では。やはりこういった面、この委員の方もお聞きになって、やはり但木さんに出てもらわないとなという意を、これはもう当たり前のことだと思います。国民も、書いた本人じゃなきゃ答えられないよね、何で書いてないのと。突っ込む相手がいないんですよ、この委員会には。

 それは、やはり与党の方々もぜひともこれは、我々は、電気事業法に基づいて、この原子力事業というのは電力利用者の利益の保護を目的とすると総則の第一条に、電気事業法は書いているわけです。国民の利益を保護するのが我々じゃないですか。その立場で、まず書いた本人を呼びましょうよ。そこは、与党の方々にもぜひ理事会で真摯に議論していただきたいと思います。

 委員長にも、また御提案させていただきます。

江渡委員長 はい。理事会で協議させていただきたいと思います。

斉木委員 そして、山のようにあるんですけれども、まず、一つは、やはり今申し上げた論点は言わなければいけないと思います。

 私、今回の問題を通じまして、この国には、電気事業法の総則の第一条、皆さんもう一度ごらんになってほしいんですね。総則の目的、第一条、憲法の前文みたいなものです。この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発展を図る。これが電気事業法の目的です。要するに、目的の第一項は、電気の使用者の利益の保護なんですよ。電気の使用者の利益、要するに、国民、電力ユーザーの利益を守る仕組みがこの国には全くないんですよ、今。

 レクの過程で電取に照会しました、電力・ガス取引の監視委員会ですね。これも経産省の下にぶら下がっております。

 会計検査院は、NHKは監査の対象になっています。公共料金でいけば、受信料は監査対象、検査対象になっている。会計検査院の対象として放送法に規定されております。そして、水道。水道事業は、これは地公団体が大体行っているケースが多いです。地公団体には国から補助金も入っておりますので、そういったスキームを通じて会計検査の対象に加えることはできます。

 でも、なぜか電力は、会計検査院も監査の対象に加えていない。それは、要するに直接補助金が入っていないからという理由です。

 でも、電力の周りには、電源立地三法交付金、さまざまな交付金があります。だから、そういったものを含めて、そして、何よりも私が問題だと思うのは、この電力の業界というのは、競争原理、民間の、不祥事を起こしたら淘汰されるという論理が働いていないということが最大の問題点だというふうに思います。

 今回の、森山さん、そして、豊松さんが一億以上もらっていた、役員報酬も追徴課税分まで会社からもらっていた。信じがたい事例ですけれども、もう関電嫌やわ、こんな、豊松さんにミナミで遊ぶ金を払うぐらいだったら、私は、関電、契約を打ち切りたい、もう一銭も払いたくないという関西、大阪の人が出てきたとします。まあ、多いと思いますけれども。じゃ、大阪ガスに乗りかえました、新電力に乗りかえました。でも、関電にお金を払い続けるんですよ。

 何でかというと、託送料金です。要するに、発電事業は今自由化されています。でも、送電事業は、これは許可制ですね、電気事業法に基づく。ということは、関電にお金を払わなければ電力は使えないんですよ。関電との契約を打ち切っても、延々延々、不祥事企業は淘汰されずに国民から料金を頂戴できる。

 この状況では、私は、公的な機関をつくって、この電力、まさに料金が適正に運用されているかどうか、これは第三者的な立場で調査し、そして、経産省のような推進官庁ではなくて、電取も今経産省の中にありますからね、二〇%は原子力でやる、この国のベースロード電源だと、原子力をがんがん推進している官庁です。まさにこの規制委員会と同じじゃないですか。原子力安全・保安院は推進官庁の中にあったから、独立させて、技術的な、客観的に今審議をしているのが本委員会だと思います。

 だから、電力料金に関してこういう疑念が持たれた以上は、電取のような組織は独立をさせる、三条委員会の形で独立させる。消費者庁に置くのかわかりませんよ、消費者特へ行って議論してもいいかもしれません。やはり、国民の、電力利用者の利益の保護という視点に立って、電力料金が適正に国民に請求されているかをチェックする機能は外出しで設けざるを得ないと私は思うんですが、まず政治家の、副大臣の御見解、いかがでしょうか。

松本副大臣 まず、今回の関西電力の問題についてでありますけれども、第三者委員会の調査報告におきましてさまざまな一連の行為というものが報告をされているところでありまして、公益事業者としての信頼を失墜させる大きな問題であったというふうに考えております。

 また、御指摘の、電気の使用者の利益を確保し、及び電気事業の健全な発達を図るとする電気事業法の目的規定との関係においても、極めて不適切な行為であったということを認識をしております。

 また、電力・ガス取引監視等委員会の位置づけということでありますけれども、これは、電力やガスの取引を監視し、不適正な事案が発見された場合には、事業者に対して業務改善勧告を行い、その是正を求めること、電力やガスの取引についてのルール整備を行うこと、規制料金の審査を行うことなど、厳格な市場監視を行っているところであります。

 また、さらに、電気事業法におきまして、「委員は、独立してその職権を行う。」ということが明記をされているところでありまして、委員会は個々の職務遂行について独立をして判断を行うこととなっておりまして、そうした独立性を担保しながら、この委員会が適切に稼働しているというふうに理解をしております。

斉木委員 適切に稼働しているということなんですが、本事案に関して、電取は、何らかの調査、そして立入検査、検討会、設けましたか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 電力・ガス取引委員会は、どのような機能ということでございますが、適正な競争確保や消費者の保護の観点から電力取引の監視やルール整備を行う組織でありまして、今回の事象に関しましては電力取引には直接関係ない事項であるため、現時点では特段のアクションはとっておりません。

 とは申しましたが、会社の適切なガバナンスは適切な電力取引の確保の前提であることは事実であるというのは、まさにそうであると思っております。

 そのため、現在、関西電力は、経済産業大臣が発出した業務改善命令を受けて、業務改善計画を策定しているものと承知しております。今月中に提出ということでございますが、それが適切なガバナンスを構築するものとなっているか、まずは確認をさせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

斉木委員 事前に電取の方にも二名来ていただいてレクを実施しましたけれども、要は、我々は、今御説明あったように、BツーBの委員会なんですよと。送電部門に関して、発電、小売自由化以来、二〇一六年に設けられた委員会ですけれども、例えば、関電地域において大阪ガスが参入したい、新電力が参入したい、その大阪ガスはビッグコンペティターだから、競争相手だから、力があるから、そこの託送料金は高く請求してやれ、でも新電力の方はまあまあ低くてもいいよ、そういった新電力同士、新規参入者同士で託送料金を変えないように、不利な、不公正な競争操作を関電ができないようにするのが電取で、まさにBツーBの適正化。

 でも、BツーCがないんですよ、この国には。消費者から、大阪のおかんに応えるものがないんですよ、国民に応えるものが。そこが一番欠落しているんです。今の電取は不十分だと思いますよ。

 今、副大臣、そして官庁からもありました、これから、これから、これから。でも、五十年見抜けなかったじゃないですか。森山さんが一九八〇年代に退職されて、延々この四十年、これだけ大餅つき大会を電力業界、原子力業界の中でやって、そのツケは全部国民が四十年補填してきたわけでしょう。まさに経産省は関電にばかにされていたわけですよ。

 関電は、一年前に社内報告調査をまとめましたよね。その調査報告を受けましたか。

村瀬政府参考人 そのような報告は受けておりません。報道で明らかになった時点で、関西電力が報告に参りました。

斉木委員 これが全てですよ。これが全てです。

 報道で明らかになって、民間の、要するに、国民の目線で共同通信が九月二十七日に報道してやっと明らかになって、関電が隠していたものも全部出てきた。要するに、それまで、この国には電取もあった、経産省もあったけれども、この国民の利益の保護という、これを誰一人やってこなかった。

 経産省の四十年間の責任は問われてしかるべきだし、それを今さら言ってもというのであれば、じゃ、これから再発防止ということであれば、電取に、BツーBだけじゃなくて、あくまでCからですよ、国民の目線から見て適正かどうかの一点に立脚をして、強制捜査権を持つ委員会を立ち上げるべきではないですか。

 じゃ、副大臣、御答弁。

松本副大臣 先ほど来御答弁をさせていただいておりますとおり、電気事業法に基づく業務改善命令というものを発出をさせていただいているわけでありますけれども、これは、違反をした場合には刑事罰が適用されるなど非常に厳しい措置を今回講じさせていただいているところであります。

 また、この業務改善計画における取組がきちんと関西電力に根づくかどうかを確認をするために、同計画の実施状況を六月までに報告することに加え、その後の経済産業省の監督にも誠実に対応することを求めているところであります。

 まずは、この業務改善計画というものがしっかりと実行されるのかどうかということを私たちとしてはしっかりと見てまいりたいと思います。

斉木委員 デジャブですね、これは。福島事故の後、原子力安全・保安院の機能を外出しすべきだ、推進官庁の中に規制者を置いたらいかぬだろうと。まずそのとおりですよ。推進官庁の経産省の中に置いてきたからこそ、このCの保護、国民の利益の保護という電気事業法の根本の根本がずっとないがしろにされてきたのが、この国の電力行政ですよ。これを、このCの目線、電気事業法の第一項に書かれている電気の使用者の利益を保護、この一点に立脚をして、不利益をこうむっていないか実態を調査する委員会、これはまさに規制委員会をつくったように、規制庁をつくったように、今こそ必要ですよ。

 やはりこういった議論を、どこに置くかはわかりません、三条委員会なのか消費者庁に帰属させるのかわかりません。少なくとも、経産省に置いていた電取は何もできなかった、こういう事実が明らかになったわけです。

 行政監視機能を持っている国会として、こういった議論を私はリードしていくことをお約束申し上げまして、本日の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江渡委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 時間も余りないので、早速始めさせていただきます。

 先ほど来議論がありましたが、原子力規制委員会が非公開の事前会議で、関西電力に求める火山灰対策の二案を一案に絞り込んだという、この問題について質問をさせていただきたいと思います。昨日、音声データが公開され、そしてきょう、毎日新聞の朝刊にも出ていた問題でございます。

 配付資料がございますので、これに基づいて質問をさせていただきます。

 配付資料の4の3というのをまずごらんいただけますでしょうか。この資料は、毎日新聞さんが原子力規制庁にこういう書面があるということを確認して、原子力規制庁さんがそれを公開しているというような、開示されている資料でございますが、これは、平成三十年の十二月六日、いわゆる事前会議と言われるところでこの資料が配られて、これに基づいて規制上の取扱いについて議論され、そして、関西電力に対する書面、これの原案も議論したというふうに言われております。

 まず、この資料、その十二月六日の会議の中で配られたでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほど来御答弁を申し上げていますけれども、さまざまな資料がこの大山火山の大山生竹テフラの噴出量規模見直しにつきまして配付をされていまして、いろんなバージョンがあります。したがいまして、これがそのときに配付されたそのものであるかどうかについては、今をもって確認はできません。

日吉委員 ということは、これではないかもしれないんですけれども、何らかの資料が配られていたということはお認めになられる、こう理解しました。

 その上で、この資料4の4、これがございますが、これは実際、平成三十年十二月十二日の原子力規制委員会において添付資料として配られた資料でございます。

 この資料4の3と4の4、これを比較してみますと、幾つか修正箇所がございます。

 それで、その修正箇所をちょっと具体的に見ていきますが、先ほど斉木議員からもありましたけれども、音声データにおいて、火山灰層のある地点を表にしちゃいなよ、分布状況ってしてというような音声データがありました。4の3の一ページから五ページまで見ますと表はないんですけれども、4の4、実際に十二月十二日に使われた資料によりますと、五ページのところに表がついているわけですね。

 これは修正されたのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほども御答弁しましたけれども、表にしてわかりやすくしろというようなことは、いかにも私の言いそうなことでありまして、それが音声記録にもあらわれているというふうに承知をしております。

日吉委員 もう一つ。

 4の3の一ページ目、この二のところに「規制上の取扱いに関する対応等」というのがあります。そこの第一パラグラフの一番最後、「大山火山の噴火履歴が見直されることとなる。」こういうふうに記載がされておりました。しかし、音声データによりますと、ここの部分についても、見直されるとか云々という用語は印象として限りなく不適合状態を連想させるということで、削除を求めるような発言をされております。実際に、4の4の資料、現実に規制委員会で配られた資料ではこのくだりがなくなっています。

 これは修正されましたか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 これも記憶に基づくものではありませんけれども、経緯としてそのようなことはあり得ると考えております。

 といいますのは、十一月の二十一日に原子力規制委員会が、このバックフィットを行おうというふうに、大山生竹テフラの新しい知見に基づいて火山灰に対する規制を見直そうと意思決定をした際に、その後の記者会見の席上で、記者の方から関西電力に対するアプローチについて御質問がありまして、その際に、規制庁にその扱いについては検討するようにと指示したところなのでと申し上げた上で、さらに、それだけではちょっとそっけないのでということで、私自身の考えをその会見の席で既にお話をしています。

 というのは、これは、噴出量の再度の見直しを評価を求めて進めることになるだろうという私としての見通しを示しておりまして、それが、報道で言われている一案、二案と言われているものの二案に相当するものであります。

 私としては、その時点で個人の意見としての方向は打ち出しておりまして、その後、先ほど来申し上げましたように、ブレーンストーミングの際にはあえて成案となりようもないものも加えて議論を行ってというところが実際の経緯であります。

日吉委員 もう一つ。

 4の3の資料のところの五ページ目、ここの二のところに、二行目、「同様な方法による大山火山の」というくだりがあります。これも、4の4を見てみますと、4の4の五ページの二のところで、ここでは「同一の方法による」というふうに文言が変えられていますけれども、これは、音声データによりますと、更田委員長は、二ポツの同様の方法っていうのは何、同様じゃなく同一じゃないのと、原案の書きぶりに異を唱えたというような音声データがあったということでございます。

 このように、何らかの修正はされているのではないか。これが、修正されずに、もとの書面が実際の委員会で提出されているのであれば、例えば御自身の判断というか思いを述べたということを、それはそうだと思うんですけれども、実際に修正されたものが実際の委員会で議論されている。

 これは、明らかに修正なんじゃないですか。意思決定、この過程を、方針を決めたということになるんじゃないでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 例えば、技術的、科学的な議論を行うときに、同様なというのと同一のというのでは全く意味が異なってきます。したがって、誤解を招かないように、正確さを期するように、資料に対して私はコメントをしたんだろうと思います。そして、事実、そのコメントを受けて修正がなされたものだと思っています。

 しかしながら、こういった修正というのは意思決定を行うための材料の正確さを期するものであって、事前に意思決定を行ったというような事実はございません。

日吉委員 そういう、材料ということではなくて、明らかに修正をしているわけです。そういう指示を出しているわけですね。そういう指示は出さないと委員長は前言っていたと思うんですけれども、出したことはないと言っていました。

 これは発言を変えられるんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 例えば、二者択一であるとか三者の中の択一の一つだけをとれというような指示を出すことはありません。

 しかしながら、資料の正確さであるとかわかりやすさのために指示を出して、それに基づいて資料が修正されたというようなことはあるというふうに考えております。

日吉委員 それも、いろいろな、表を加えろというようなことというのはやはり重要な判断だと思います。それを事前にやっている、この打合せ、これもやはり意思決定に係る過程、公文書の管理法における、行政文書を残しなさい、これの趣旨からいえば残しておかなければならないことではないか、このように考えます。

 そして、二者択一という話、今出ましたけれども、そもそも、この4の2、この資料も十二月六日の事前会議で配られていたということなんですけれども、それは認められていると思うんですが、改めて、これは配られていましたね。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 これも昨日の記者会見並びに昨夜の音声のおかげでありますけれども、これは配られていたんだろうというふうに思います。

日吉委員 この資料を配られていました。

 これは、一案としては、特定指導文書により設置変更許可申請を促す場合ということ、二案として、許可の前提に変更が生じていることを規制委が認定しようとする場合ということで、いわゆる一番が指導文書案、二番が報告徴収命令案、こういうふうに言われておりますが、この二案、実際の十二月十二日の委員会で検討されていないですよね。これは明らかに、十二月六日の時点で、委員長がこの一案はとれませんよねと言ってこれを削って、本番の十二月十二日ではこの二案だけを提出した。

 これは事前に意思決定をしていたんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 十二月の六日でよろしいですか。その席において、私は私の選択であり意思を申し上げます。その選択について言いますと、それをさかのぼって十一月二十一日に、記者さんの前で私の基本的な考えの方向をお話をしております。これは記者会見でありますので、画像とともに音声も残っておりますし、速記録も残っております。そのときに、まずはシミュレーションの再評価を求めることになるんだろうと思うという旨のことを申し上げております。それがこの一案、二案のうちの二案の方に当たります。

 私自身の考えについては、十一月二十一日の時点で公に申し上げているところではありますけれども、それが本当に適正であるかというような議論を行うために、あえて成案とはなり得ないものを立てて議論するというようなやり方は、これは日常的にとっているやり方ですし、今改めてこの資料を見ましても、そういったものであろうと思います。

 といいますのは、この特定指導文書による案というのは、関西電力がまだ評価の見直しに同意していない時点ですので、そういった時点で、特定指導文書、設置変更許可申請を求めるというのは、手続として、また具体的にその相手の同意がない時点において案たり得ないものでありますので、そういった意味で、しかしながら、こういったものも流れとして書いてみて議論をするというのは、これは先ほど来お答えをしているように、原子力規制委員会において日常的に、ブレーンストーミングといいますか、議論を行う際にとっている手法ではあります。

日吉委員 今、一案はあり得ないと言いましたけれども、二案をとったとしても、関西電力は独自で設置変更申請を行うかという強制力はないわけですよ。だから、一案をまずやって、その後、それをやらなかったら、原子炉規制法の四十三条の三の二十三、この命令を出すという方法もあったはずです。そして、もう一つ、最初にいきなりこの命令を出すことも選択肢としてはあるわけです。それらを並べて議論をする、それを議事録に残す、これこそまさに意思決定の過程だと思います。規制委員会の中で案を出した上で議論をしていくということを本来しなければいけなかったんじゃないんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 私たちが、これは新知見であるというふうな認定をした、規制に参酌すべき新知見であるというのを認定したのが十一月二十一日でありますが、このときの事実というのは、大山生竹テフラというものを見つけた、これもみずから見つけに行ったものでありますが、この知見は規制に反映させるべきものであろうと。その時点ではまだ噴出量を変えたシミュレーションが行われているわけではありませんので、科学的な事実として、対象とする発電所にどれだけの量の火山灰想定が変わってくるかということが事実としてつかめているわけではありません。

 事実として、評価結果としてつかめているわけではない中で、特定指導文書の出しようがないというふうに私は理解をしております。

日吉委員 そうではなくて、音声データにありましたけれども、この二案が、一案、二案が並べられたときに、更田委員長、一案の方がすっきりするが、法務上難しいのかもしれない。それで職員の方にその見解を求めました。そうしたら、職員の方が、設備変更許可申請をするということは、災害の防止に支障があるということを外部に示すことになる、そういう意味で、二案の方が整合性があるのではないか、こう言いました。

 変更許可申請を求めるということは、許可に不備があるから直せということになる、そうすると二かなということで、基準に不適合だという判断をしてしまう一案をやめて、基準に適合するか適合しないか、この判断を先送りするこの二案、報告徴収命令案、これをとるためにこれを選んだんじゃないんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 その発言もいかにも私の言いそうなことであります。というのは、科学的事実、技術的データが確定される前に設置変更許可を要求するというのは、これは、規制委員会が、まだ大山生竹テフラの層、火山灰を見ただけで、変更の必要があるといって、これを決めつける形になります。これは、原子力規制委員会の姿勢として、科学的なアプローチをとるというのが基本的な姿勢ですから、この一案というのは科学的なアプローチとしては極めて考えにくいと思っています。

 一方、先送りというのは全く当たりません。というのは、そもそも、この大山生竹テフラの新知見というのは、原子力規制委員会がみずから見つけに行って、みずからこれは新知見じゃないかといって、そして規制に取り入れて、火山灰の降灰を強化していくものです。

 そもそも、先送りしなきゃならないものだったら、なぜ原子力規制委員会が新知見を探しに行って、火山灰対策を強化する必要があると。バックフィットさせて、そして、評価の見直しの必要はないと言っている電力に強制力を持って変更させる、その考えの中に先送りという考えが出てくるということは全くあり得ません。

日吉委員 出てこないと委員長はおっしゃいますけれども、そういうふうに皆さん思っているわけなんですよ。そういうふうに疑っているわけなんですね。だからこそ、そういったことを、そうではないという議論を委員会の公開の場でやった上で、この一案ではなくて二案をとった、いきなり命令を発出しなかったというこの過程を文書に残す、これこそが意思決定の過程であり、それが公文書管理法が求めているところなんです。

 これは、委員長、公文書管理法に違反していると思いませんか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 公文書管理法が求めているものは、意思決定の過程を文書として残すということです。原子力規制委員会にとって意思決定というのは、原子力委員会五人のメンバーの多数意見であります。これは、個々の委員が個々の委員の自分の意見を形成するプロセスまでこれを含めている、そこまでは含めているものではないというふうに解釈をしております。

 しかしながら、公文書の管理については、先ほども御答弁しましたけれども、これまでにも、また現在も改善を進めており、また、委員御指摘のような疑念を持たれること自体、これはまことに遺憾でありますので、今後とも、公文書の管理には改善に努めてまいりたいというふうに考えております。

日吉委員 疑念を持たれるからこそ、今後はもちろんやっていただきたいんですけれども、これについてもやはり議事録を、選択肢があって、その中からこの一つを選んだというその過程、一つだけを出してこれがいいかどうかという議論をするのではなくて、幾つか選択肢があったのであれば、それを並べて、それぞれの委員の人が議論をし、どういう意見があって、それで結果としてこの案をとりましたということを導いていく、それを残していく、こういう必要があると思うわけです。

 そういうことをされていなかったとこれまで答弁、意思決定はしていなかったと言っていましたけれども、事実上、意思決定をしているわけですね。だから、今までの内閣委員会での御答弁、これは虚偽答弁にならないか、どう思われますか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 あくまで意思決定は原子力規制委員会五人のうちの多数意見を形成するプロセスであって、これは公開のもとで行っております。

 私自身の、五分の一の意見を形成するための過程というのは、御指摘の部分の会議というのは一人の意見を形成するプロセスでありますので、これまで差し上げた御答弁が虚偽に当たるというふうには考えておりません。

日吉委員 時間が参りましたから終わりますけれども、一人の意思決定を形成する過程ではなくて、それが、本番の十二月十二日で六日に出された資料がそのまま出てきた上で、更田委員長の考えはこうだ、これはいいと思います。そうではなくて、資料自体が変わっているわけですから、それは意思決定が行われているわけです、事実上。それを残しておく必要がある。

 そういった意味では公文書管理法に抵触するということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立国社の宮川伸でございます。

 本日は、原発の安全性の問題と、人的要因、人的ミス、ヒューマンエラー、こういったことに関して議論ができればと思います。

 今、例えば、高い防潮堤をつくって波が抑えれる、あるいは高い耐震性の建物をつくる、こういった地震に備えるということをしたとしても、人的要因で事故が起こる可能性があるということで、この人的要因、非常に重要だと思います。

 そういった中で、敦賀原発の活断層に関するデータの書きかえが問題に上がっています。これを含めて、少しこういった人的問題に関して議論ができればと思います。

 今回は、敦賀原発、日本原電ですので、日本原電を中心に議論しようと思いますが、これは、今、関電も問題になっていますけれども、全ての電力会社にも関係すると思っております。

 最初に、平成二十年の問題ですけれども、ちょっと古い、十年ぐらい前の話、福島第一原発事故の前の話になりますが、敦賀原発の問題で、浦底断層の議論がありました。これはどのような問題だったか、簡単に御説明いただけますでしょうか。

山形政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、平成十六年三月、日本原子力発電から敦賀発電所三号炉及び四号炉の増設に係る原子炉設置変更許可申請、ここにおきまして、浦底断層の活動性については、空中写真を判読し、ボーリング調査を実施した結果、五万年前の地層には変位を与えていないことから活断層ではないというふうにされておりました。

 一方、平成十八年、当時の原子力安全委員会の耐震設計審査指針の改定に伴いまして、平成二十年二月に開催されました原子力安全委員会の検討委員会において、中田専門委員から、空中写真判読の解釈が日本原子力発電とは異なるということ、それと、ボーリング調査だけでは地層の変位はわからず、トレンチ調査が必要であることから、浦底断層が活断層である可能性は否定できないという御意見がございました。

宮川委員 今のお話ですが、日本原電が活断層じゃないと言っているところを、委員の先生方は活断層じゃないか、であると言っているということです。

 お手元に資料をお配りいたしました。1と右に書いてあるものですが、波線が引いてありますが、ある委員の方、明らかに間違い、どこからか変な力が働き、普通なら一番考えにくいことを書いてしまっているのではないかということが新聞に書かれていますし、この委員会の報告書にも同様のことが幾つも書かれています。

 更田委員長、この問題に関して、安全性と人的要因という視点から、どのようにこの問題を受けとめられますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 この浦底断層が活断層ではないという当初の日本原電の申請につきましては、これは耐震指針の改定前のもので、当時、原子力安全・保安院が審査をしていたものであります。その後、耐震指針の改定に伴って、日本原電は追加調査を行って、浦底断層は活断層と認めた、評価したというふうに承知をしております。

 現在、規制委員会としましては、浦底断層は活断層として日本原電から新規制基準に基づく申請がなされており、敦賀発電所の敷地内断層については、科学的、技術的な観点から厳格な審査を行っているところであります。

 加えて、人的な要因というふうにありますけれども、これは、この平成十六年三月の申請に対して人的な要因がどう作用したかということについては、今の時点で、私としては、ちょっと、過去のことでもありますので見解を持っておりません。

宮川委員 ぜひこの会議録を委員長も読んでいただきたいんですが、ある委員の方は、あれは明らかに間違いですよ、あれを専門家がやったとすれば犯罪に当たると思いますと、これほど重い発言を委員がされているということを、ちょっと御認識いただきたいと思います。

 ちょっと時間の関係で次に行きますが、次は、平成三十年、二年前に、東海第二原発のときに、燃料有効長頂部位置データの問題が上がりました。これはどういうものでしょうか。簡潔にお願いします。

山形政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の東海第二の有効燃料頂部の位置データの間違いでございますけれども、これは、審査の過程で当方の審査官から指摘して判明したものでございます。

 具体的には、審査資料に燃料有効頂部の位置が本来の値より五センチ低く記載されていたというものでございまして、これがその解析条件などにも誤って入力されてございました。

 データの間違いの原因につきましては、昭和四十七年当初の許可の際の燃料仕様と、その後運転開始直前に変更許可を受けた燃料仕様が異なっていたにもかかわらず、この変更が関連文書に反映されていなかったということが原因でございます。

宮川委員 これも、燃料棒の位置というのが重要だと思います。実際にある燃料棒の位置よりも低いところの数字が使われていたために、例えば水の高さ、水位計の設定がおかしくて、ですから、本当は燃料棒がちゃんと水に埋まっていると思っていたのに、実際は低くて、頭が出てしまうというような懸念もこの間違いにはあったんじゃないかと思いますが、委員長、この問題についてどのように思われていますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御質問のあります燃料有効頂部、ペレットが入っているものの一番上の位置であります。これが間違っていたというものですが、この位置というのは御質問の中にあった水位を捉えようとするときの基準点として用いられているものではありませんで、水位の基準点は、炉心の上に、セパレーター、気水分離器と、それからドライヤーという乾燥器がついておりますけれども、そのちょうど間ぐらいのところを基準点として水位をはかっております。

 したがいまして、水位を捉えるという意味でこのタグの位置の間違いというのが、また、それから燃料の有効長というのは三・七メーターありますけれども、この間違いというのはおよそ五センチ程度のものであったので、技術的な観点からは安全性に影響を与えるものではなかったというふうに考えております。

 一方で、みずからが運用する施設の資料に誤りがあって、その誤りに長期間にわたって気づかなかったということは、気づかずまた是正されてこなかったという点においては、これは日本原電にとっては品質管理の問題として重く捉えてもらいたいというふうに考えております。

宮川委員 東海第二原発も日本原電ということであります。これは、資料2に新聞の記事を載せています、水位計のことも少し書いてありますが、これも人的問題で、四十年間も放置をされていたということであります。

 次に、最近、去年あった、敦賀原発の敷地の地形、地質等に関して、問題、記載ミスがあったと思いますが、これはどのようなものか、簡潔にお願いいたします。

山形政府参考人 お答えいたします。

 令和元年八月の審査会合におきまして、日本原子力発電から、これまで提出のあった審査資料の地質関係のデータの記載に一部不備があったという報告がなされました。

 具体的には、審査会合の資料は複数の者が分担して作成するに当たりまして、作業の段階で最新のファイルを印刷してそこから数字を転記すべきところを、誤って修正途中の、少し前のファイルを印刷して転記などをしたため、九百三十一カ所の誤りが生じていたというものでございます。また、同年十月の審査会合において新たに二百九カ所の記載誤りがある、合計千百四十カ所の誤りがあったという報告がございました。

宮川委員 委員長、さっき、東海第二があった翌年に、こんな千カ所以上の誤りがあるものが出ていました。これは、安全性と人的要因というような視点からどのようにお受け取りになられていますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 日本原子力発電につきましては、まず、東海第二原子力発電所の審査、これは、私、委員長になる前に、委員の一人として審査会合にも出席し、審査に携わっておりました。この東海第二のときは、率直な印象を申し上げると、日本原子力発電というのは技術的に手応えのある会社だという印象を受けました。というのは、技術論に乗ってくるという性格を持っていて率直な意見を言うという点で、またそれから、その審査資料等にもこのような誤りは東海第二のときはなかったんです。

 一方、今度、敦賀に入った際には、先ほど山形対策監からの御答弁にもありましたけれども、多数の誤りができてきて、この審査資料に誤りがあるということは、これは審査の内容に影響を与える可能性がありますので、何度も間違いが見つかるようでは、これは事業者の品質管理について疑念を生ずることにならざるを得ないというふうに思います。

 膨大な資料に基づいて審査を行っておりますので、誤記やミスを全くないようにしろというふうに言うつもりはありませんけれども、しかしながら、技術的な判断に必要なデータに誤りがないようというのはこれはもう基本でありますので、事業者においては品質管理を徹底してもらいたいというふうに考えております。

宮川委員 では次に、今問題になっている活断層データの書きかえ問題、簡潔に御説明いただけますでしょうか。

山形政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の件でございますけれども、これは日本原子力発電から敦賀の審査会合資料として提出されたボーリング柱状図の記載が、何の説明もなく、未固結、固まっていない破砕部と記載されていたものが固結、固まっている破砕部と変更されたり、未固結の記載が削除されたり、変位センスが変更されていたものでございます。

 具体的な書きかえ箇所、これは規制庁で確認した範囲では、現時点で十八カ所でございます。

 このボーリングコア柱状図、観察事実として書きかえてはならないデータでございまして、審査資料のデータの一部が削除、変更された形で提出されると、審査の前提が崩れるなど、大きな問題と考えてございます。

宮川委員 今、このA3の4というので大きなのを出しています。ここに実際に新と旧というのが書いてありますが、左下のところにちょっと文字が潰れているので拡大したのを書いていますが、今おっしゃっていた未固結とか固結とかという書きかえの部分があります。

 委員長、この件に関してどのようにお考えでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 国会での御答弁で使う表現としてふさわしくなければ申しわけありませんけれども、ひどい話だと思っています。

 敦賀発電所のボーリング柱状図の記載が何の記載もなく削除されたり、変更されたということは、これは審査の根幹にかかわる問題だというふうに捉えております。

 本件につきまして、一回、日本原電の説明といいますか、釈明を公開の審査会合で聞いておりますけれども、その説明は、見解の違いであるとか意思疎通の欠如であるという理由になっており、これは原子力規制委員会として到底納得できるものではないと考えております。

 現在、日本原電に対し、データの削除、変更の経緯と考え方を再度説明するように求めており、今後審査の再開について判断をしていく予定であります。

宮川委員 更田委員長、もう一度、今のこのデータなんですが、固結、未固結、ちょっとなかなかわかりにくいんですが、これは、活断層があるかないか判断する上で重要なデータなのかどうか、どういう位置づけでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 あらゆる科学的データについて言えることですけれども、一つのデータだけに基づいて結論が出るわけではありませんけれども、先生御指摘のデータは判断をする上で重要なデータであるというふうに考えております。

宮川委員 今、十八カ所変えられていた、今のところ十八カ所見つけたということですが、この変えられたのは、活断層があるだろうというデータをないだろうというデータに、全部そういうふうに日本原電に有利なように書きかえた、全部そういうデータだということでよろしいんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 十八のデータ全て、変わった箇所全てについて私自身が一つ一つチェックしているわけではありませんけれども、全体として、みずからの主張に有利なように変更をされたというふうに理解をしています。

宮川委員 私も、常識から考えて、こんな書きかえはあり得ないと思うんですが、この書きかえは、きょう、今、5で日本原電の組織図をお配りしましたが、どこの部署がやったんでしょうか、お答えできますか。

山形政府参考人 お答えいたします。

 現在、日本原電に対して、ボーリング柱状図の生データの削除、変更の経緯とその考え方について、どこの部署というよりも、会社として説明するように求めております。

 今後、審査会合において事業者から説明を受けた上で、厳正に審査を行っていきたいと思います。

 なお、審査会合には、主に出席しているのは、取締役副社長、執行役員、開発計画室員、発電管理室員の職員の方たちです。

宮川委員 私のこの組織図のところに星の印で開発計画室とありますが、これは、今おっしゃっている話ですけれども、これは、会議録があるんですね。

 この会議録の中で、この原電の方が何と言っているかということですが、調査官、委員会の調査官が言われているような記載の仕方もあると思います、ただ、私たちがやっているような記載の仕方もないわけではないと思っておりますと、だから、こういうやり方もあるんだと言っております。それで、もう一つ、今副社長の話がありましたが、副社長、こういったことを意図的にやっているわけでは決してございませんで、きちんと見た結果、こうした方がよかろうと思ってやったんですが、それを御説明なくやったことは大変申しわけなく思いますと。

 副社長が述べているということは、やはり会社全体がやっているということだと思いますが、更田委員長、これは正しいですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 当該審査会合には副社長が出席をされていました。その際に、この記載の変更を行ったこと自体、副社長御自身がその時点で認識していたのかどうか少し定かではありませんでした。

 ただ、日本原電の説明はこれまでのところ納得のいくものではないのは、こういった柱状図を書きかえて、それを説明するというような手法はこのサイトだけなんです。これまで幾つものサイトについて活断層にかかわる審査をしてきましたけれども、どこのサイトにおいても生データそのものの提出を、示しています。敦賀だけがさまざまなものをまとめた形という表現ですけれども、そもそも、柱状図というのは、観察記録を観察した人のお名前とともに、こういうふうに見えたというふうに残すものですので、それがその後書きかわるというのは到底私たちの理解できるものではありません。

 したがいまして、これは、お尋ねに直接お答えすることは難しく、会社内のものであるのか、担当者のものであるかということに関しては、今の時点では私は見解を持っておりません。

宮川委員 私は、この組織図、上が東海第二で、もう一個下が敦賀、それで、今言っていた話は、この全体を見ている、トップからくっついている組織のところになります。

 もし現場が判断を誤ってやったとしても、普通は、チェックをして、いや、これはおかしいだろうと。百歩譲って、現場のものがそのまま出てきてしまったとしても、そのときの説明として、やはりこれは間違いだったという説明があってしかるべきだと思います。だけれども、この会議録で残っているように、いや、こういうやり方もありますよということを副社長まで言っているわけですから、私は、東海第二の審査も同じように書きかえがあるんじゃないかと疑ってしまいます。

 委員長、東海第二までもう一回きちっと見直すべきじゃないですか。

江渡委員長 申合せの時間が経過しておりますので、更田委員長、簡潔にお答えください。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほども御答弁差し上げましたけれども、東海第二原子力発電所の場合は、例えばこの柱状図等についても、生データがそのまま提出されて議論を行っております。そういった意味で、非常に正直に申し上げると、一連のものがちょっと敦賀特有のような印象を持っております。

宮川委員 きょうは東海第二の例も出させていただきました。人的要因での事故が起こらないようにお願いをしまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私も冒頭、今、斉木委員や日吉委員からお話もありました今回の規制委員会の問題についてお聞きをします。

 更田委員長は、きょう、所信といいますか、冒頭お述べになった中の最後に、「我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。」こうおっしゃいました。今回の問題がこの道半ばにある国民の信頼に対してどういう影響を与えるかということであります。

 私自身、この委員会でもこの関電の三原発の火山灰の問題を質問させていただきましたし、我が党でいえば、笠井議員なども質問されております。これは適合か不適合かにかかわる重大問題だから、やはり繰り返し取り上げてきたわけであります。

 ことし一月九日には、今問題になっている文書についても、私たちは文書で資料提供も求めておりますが、実際には出てこなかったわけであります。それが、今回、毎日新聞の音声データ等の報道で大きく覆ったということになります。

 これまで更田委員長は、例えば三月十日の参議院内閣委員会では、この文書について、見た記憶がないと国会に説明されておりましたし、記者会見でも、この資料をもとに説明していないんだ、議論した事実はないんだということも繰り返しおっしゃっている。やはり、こうした姿勢がこの道半ばにある信頼に対してどういう影響を与えると更田委員長は思っていらっしゃるのかなんですね。

 先ほど来、川内原発とか、今回の三原発でも、規制委員会がみずから見つけに行って、規制を強化されたという趣旨も述べられておりましたけれども、私は、ある意味、そうやって現場で頑張っているといいますか、現場で本当に汗をかいている職員の皆さんのそういう信頼回復に向けた努力についても、今回の事態がそれを大きく損なう、信頼を損なうものだ、そういう認識は委員長におありでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 疑念を持たれたこと自体は、先ほど来申し上げておりますけれども、大変遺憾だと思っております。これは、改めるべきところは改めてまいりたいというふうに思います。

 また、原子力規制に対する信頼が道半ばというのは、これはずっと掲げていくことだろうというふうに思っています。自己満足に陥ることなくというのは、これは基本的なものですので、これで信頼が回復したなどというふうに申し上げる考えはありません。

 それから、さまざまなバックフィットについても、これは、例えばバックフィットを問題とする過程について、これを、記録なり公開性を高めるというのは一つの課題であろうというふうには思っております。例えば警報なし津波等は、これは私自身のアイデアでもってバックフィットへつなげていったものでありますし、大山生竹テフラについても、先生おっしゃるように、規制委員会がみずから見つけていった新知見に基づいてバックフィットをかけたものであります。

藤野委員 今回は回復どころか信頼を損ねているというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。

 先ほど来お話ありますけれども、今回問題になったのは、二つの案のうちどっちをとったか。一つの案をとれば基準が不適合になる、そういう道に開いていくような案です。もう一つは適合になっていく、そういう案なんですね。こういうまさにぎりぎりのところで適合を選択し、不適合を選択しなかった。

 私は、今回の経緯を見ていると、国会事故調の報告書を思い出すんです。国会の事故調の報告書には、既存炉の、既存で動いている炉の運転に影響のある、そういう新知見を認識しても避けたという記述が、津波についても地震についても繰り返し繰り返し出てくるんです。まさに既存炉の運転に影響を与える、今バックフィットというお話がありましたけれども、幾らそういうことを強調されても、まさにそういうクリティカルな、ぎりぎりの局面でそういう選択が今回行われたのではないかということが音声データで浮き彫りになっているわけでありまして、本当にこれは大変な問題だと思います。

 もう一つ思い出したのは、田中前委員長がこの間、雑誌とか新聞のインタビューで、例えば、核燃料サイクルは回るんだというような、そういうことはうそだったと率直におっしゃって、原発はそういううそに基づいて推進されてきたんだという旨の発言を繰り返されております。

 関電の問題もあります。今からもさせていただきますが、今、宮川委員からもありました日本原電等々の改ざんの問題もあります。そういうことに加えて、あろうことか、規制委員会までもがこういうことをやったのではないかと。国民の信頼に対する影響というのは甚大なものがあると。

 逆に言えば、こうしないと原発というのは動かせないんだと。事業者も改ざんする、規制側もそういう選択をしていく、こうしないと原発というのは動いていかないんだということを、はしなくも、事業者も、そして規制側もみずから示したのが今回の事案ではないかと思っております。私は、こういう原発はもうやめるべきだということを改めて強く主張したいと思います。

 その上で、関電の問題について質問させていただきます。

 三月十四日に第三者委員会の報告書が出されました。これはまさに、国策で進められた原発の関連工事をめぐって、電気料金を原資とする多額の原発マネーが還流して、森山氏と関電幹部の異常な関係が温存し、拡大されてきたという実態、その一部を浮き彫りにしたものであります。

 ただ、この問題の闇は、私はまだまだ解明されていないというふうに思うんですね。報告書自身も、例えば十九ページには、わざわざ本報告書の前提、限界という章を設けて、過去における本件問題の背景事情、これらを知る上で限界があった、限界、制約等が存したというふうに明記をされております。

 我が党は全国各地に支部がありまして、高浜町にもあるんです。そして、高浜原発一号機、二号機、当初、立地当時から、まさに原発関連の工事をめぐる水増しとか空工事というのは地元で大問題になっているんですね。この問題を地元の支部の皆さんが分析してきた記録もあります。

 また、現在、高浜町議会には、七〇年代、八〇年代から活動されている渡辺孝さんという我が党の議員もいらっしゃるんですね。今回私は、こうした方々から当時の様子をお聞きして、現地も調査してまいりました。その一部について質問させていただきます。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

 配付資料の一をごらんいただければと思うんですが、これは高浜原発と大飯原発の真ん中ぐらいにある青戸入江というところの地図及びそれを拡大したものであります。

 この青戸入江で、実は、高浜原発一号機当初から、建設と時期を同じくして、入り江の水面の埋立工事というのが盛んに行われたんですね。これでいいますと、赤とか青とか黄色の陸側の部分までずっと海だったんですけれども、これがずっと埋め立てられて今のようになっているということであります。これは公有水面なんです。

 公有水面とは何かということを配付資料の二で、これは国交省のガイドラインなんですけれども、紹介させていただいております。

 公有水面というのは、国の所有に属する公共用財産であり、国民共有の財産であるということなんですね。埋立てとか用地変更とか時々あるんですけれども、用地変更というのは、そういう国民共有の財産の帰趨にかかわる重要問題だから、しっかりチェックしなきゃいけないよというのが後半に書かれておりまして、そこに、黄色で塗っていますのは、「転売される等により利権化に繋がりかねないことから慎重な判断が必要である。」というふうに国交省のガイドラインに書かれている。

 では、この青戸入江はどうだったのかということなんであります。

 配付資料の三を見ていただきますと、これは、私どもが登記簿を調べて、配付資料の一でいう安土2、3、4、そして水明という土地についての所有者の移転についてお示しをしたものであります。

 これによりますと、例えば一番上の安土2という地盤でいえば、埋立てを出願したのは若狭開発株式会社、埋立てが竣工したのは一九六九年二月、そのときは所有者が福放、これは福井放送なんですけれども、両者はいずれも代表者が同じ加藤尚氏であります。その後、余り時期を経ずに、その年あるいは翌年に関西電力に売却されております。

 安土3という土地も安土4という土地も、ちょっと時間の関係で省略しますが、ほぼ同じ構造で関電の所有物になっているということであります。

 私、青戸入江というのは何回も行ったんですが、これは、関電の社員寮とか、あるいは関電の原発訓練センターとか体育館とか、もうまさにこの地域は関電の専用の土地のような状況になっております。

 配付資料の四を見ていただきますと、これは、今回、第三者委員会の報告書で、百四十九ページ、百五十ページを抜粋させていただいております。

 「関電不動産開発による吉田開発への発注に関する問題点」というところで、関電不動産開発が、遅くとも二〇〇〇年ごろから、おおむね一年に一度、森山氏に対し、口頭又は書面により次年度に吉田開発に発注する予定の工事に関する情報の提供を行っていた、こういう指摘があります。この吉田開発に発注する予定の工事というのは、この関電不動産開発に限って言えば、ほぼ社宅や社員寮なんですね。

 配付資料の四の右側に、平成二十九年度の計画工事というのが例として挙げられていますけれども、これは平成二十九年だけなんですが、私どもが吉田開発の工事経歴書を調べたところ、この吉田開発と関電不動産開発の関係の工事の全てがこの地域にある関電関連の社宅や寮でありました。

 報告書によると、この社宅の工事に対して森山氏から、ことしは幾らくらいいけそうやというふうに聞かれて、いや、三千数百万円ですと答えたら、森山氏がもうちょっと何とかならぬかと強く要求して、それによって三千数百万円だったのが六千二百万円にふえたという生々しい記述もこの中に、報告書ではされております。

 そもそも、なぜここが関電の社宅になったのかというところに私はきょう焦点を当てたいと思っておりまして、配付資料の五を見ていただきますと、これは、一九七〇年の九月二十八日に、若狭開発株式会社の加藤尚、先ほど言いました福放の、福井放送の代表取締役でもある加藤尚氏が、福井県知事の、当時の中川平太夫知事に提出した公有水面埋立免許申請書であります。

 これによりますと、黄色で示しているところですが、「一部公益事業たる関西電力株式会社高浜原子力発電所建設の為めの従業員宿舎並に外人宿舎敷地としての強い要請に基き、公共用地として犠牲的に分譲せしにより代替地として御免許の程此の点充分御賢察賜わり度」、こういう趣旨なんです。

 配付資料一に戻っていただきますと、例えば赤で囲っている安土3、2ですけれども、安土3、ここが、犠牲的にと書かれている、若狭開発が関電に犠牲的に分譲した土地だと。

 ちなみに、外国人宿舎というのは、これは、高浜原発一、二号機の建設に協力していたウェスチングハウスの外国人技術者のことであります。

 そして、この赤の2の横にあるのが安土なんですね、青いの。この安土4というのが、このときに加藤尚氏が代替地として、つまり、赤を犠牲的に関電に渡したんだから、青を今度また新たに埋立てさせてくれという要求をしているということなんですね。結局、この青も関電の所有地になっていきます。

 この若狭開発株式会社の加藤尚氏というのは大変興味深い方でありまして、「二十世紀ふくい群像」という本によりますと、でっち奉公から大富豪になったという方なんですね。織物をもとに一代で財をなした、東京の一等地にも土地を持ち、終戦直後、全国長者番付の日本一位、福井の方なんですけれども、長者番付の一位になったという方、それぐらい大もうけされた方なんですね。

 同時に、この「二十世紀ふくい群像」などには、福井の妖怪とか怪物、政商であったというような、そういう記述もあったり、実に虚実が渦巻いた人物だったという記載がされております。

 配付資料の六を見ていただきますと、その一端なんですが、これは、加藤尚伝刊行会という委員会がつくった「評伝加藤尚 一念不動」という。米寿を祝う会というのをやったそうなんですが、開会の辞は福井銀行頭取、発起人代表が福井県知事、そして衆議院議員代表福田一さん、参議院議員代表熊谷太三郎さん、祝電披露は、内閣総理大臣中曽根康弘、郵政大臣、大蔵大臣竹下登さんと並んで外務大臣安倍晋太郎さんまで出てくる、自民党の最高顧問福田赳夫さんとか、日本民間放送連盟会長、読売新聞社社長、朝日新聞社社長など、まさに日本の政財界のトップが勢ぞろいしている。

 配付資料の七を見ていただきますと、これは同じ伝記からなんですが、加藤氏と原発のかかわりを描いた部分なんですね。彼は、この原発によって本当に発展していくんだということでこの開発に乗り出したということが赤裸々に書かれております。

 経産副大臣にお聞きしたいんですが、要するに、公共の財産、国民共有の財産である公有水面の埋立地が次々と関電のものになっていったそのプロセスに、中央財界とも、政財界とも深いつながりのあった福井財界のトップが直接深く関与していたわけですね。これは森山氏が登場する以前なんです。

 ですから、今回の調査、これはこれで一つの調査だと思いますが、しかし、やはり事の真相を明らかにしようとすれば、森山氏以前、しかも、国とか政治家の関係を含めて調べないと、これはやはり本当の真相はわからないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

松本副大臣 今委員から御指摘のありました公有水面埋立法上の取扱いに関しましては、所管外であるからコメントは差し控えたいというふうに思っております。

 一方、先ほど来御紹介をいただいておりますように、今回の第三者委員会の調査報告書におきましては、広範な役職員が金品を受領していたこと、また、事前の発注約束や特定の取引先の事前の情報提供を行うなど不透明な工事発注、契約があったこと、また、社内調査の非公表を不適切なガバナンスのもとで決定したことなど、公益事業者として信頼を失墜させる大きな問題というふうに考えているところでもありまして、これを受け、我々といたしましては、業務改善命令を発出をさせていただいているところでございます。

 法律上の罰則により担保されている業務改善計画の実効性につきまして、我々経済産業省としてもしっかりと監督をしてまいりたいと思いますが、仮に、業務改善計画を適切に実行しないなど、更に対応すべき事態になれば、追加的な措置を講ずることもあり得ると考えております。

藤野委員 同様の動きは、高浜原発三、四号機、今のは一、二号機なんですが、三、四号機のときも起こりました。というよりも、ここで森山氏の登場によってエスカレートするわけです。

 配付資料の三でいえば、水明という埋立てで、これは高浜町から関電に所有権が移っております。高浜町は、当初、この埋立ての目的として、運動公園など住民の憩いのための広場を建設するために埋立てさせてくださいというふうに説明していたんですね。ところが、これを変更するんです。

 配付資料の三を見ていただきますと、その変更許可申請書なんですが、これは、変更前は、運動場用地が一・六ヘクタールとかいろいろあるんですが、変更後は、これがまたなくなりまして、原子力保修訓練センターというふうになります。変更の理由のところを見ていただきますと、当初計画では憩いの広場造成を目的として計画しましたが、国策に協力するために原子力保修訓練センターに変更したい、こういう変更理由申請なんですね。

 このことは地元の高浜町議会でも問題になって、我が党の渡辺孝議員などは質問し、それに対して森山氏が答弁しているんです。当時、浜田倫三町長なんですが、これは報告書にも出ているんですけれども、報告書の六十九ページの注五十七にも出ているんですが、森山氏は、高浜町議会においてたびたび浜田氏、浜田町長の指名に基づき答弁しておりとありまして、つまり、この案件は森山案件として町から関電への移転というのが行われていた。だから議会でも中心的に答弁しているんですね。

 副大臣、これ、一、二号機のときは、ある意味、民間民間の話でありますが、三、四号のときのこの水明の土地は町からなんです。しかも、当初の説明は全く違うんです。当初の説明のときに、お金もどんどん町から町費として税金が使われているわけですね。それで町議会では森山さんが出てくると。つまり、町でお膳立てをして関電に売却した。しかも、その大義名分が、ここなんですが、大義名分が国策であるということなんです。国策であるということが今回の用途変更の決定打になっているわけですね。

 ですから、私は、国策が与えた影響とは何だったのか、それが、原発工事、こうした埋立工事も含めて、どういう影響を与えたのかということも含めて、国の責任もしっかり調べなければ真相は明らかになってこないと思うんですが、この点について、大臣、いかがですか。

江渡委員長 申合せの時間が経過しておりますので、松本副大臣、簡潔に御答弁お願いします。

松本副大臣 重ねての答弁になって大変恐縮でありますけれども、公有水面埋立法の運用につきましては、所管外であることからコメントを控えたいと考えております。

 また、先ほどもお話をしましたように、これらも含めまして、業務改善計画というもので指摘をさせていただいているところでありまして、まずはこの実効性について我々としても監督をしてまいりたいと思っております。

藤野委員 もう終わりますが、最後に委員長にお願いしたいのは、先ほども上げました但木委員長を呼んでの当委員会での質疑を求めたいのと同時に、この報告書は非常に新しい事実もあります。同時に限界もあるわけで、これに関する資料をぜひ、いろいろな資料が紹介はされているんですが、この資料をぜひ当委員会にも提出を御検討いただきたいと思います。

江渡委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。

藤野委員 終わります。

江渡委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、原子力ということですが、世界は今、新型コロナで大変なことになっております。我々日本維新の会も、政府・与党と協力をしながら、この新型コロナ対策に全力を挙げているところでございます。

 きょう、ちょっとパネルを持ってきました。原子力とは直接関係ありませんが、ちょうどきのう、二回目の政府・与党野党連絡協議会が開催をされまして、その場で我が党の浅田均政調会長から、政府・与党に、野党の皆様にも提案をさせていただいたものであります。

 ここには四つ枠を書かせていただいていますが、真ん中の緊急経済対策六十兆。六十兆というのは、端的に言うと、今、世界標準になりつつあるGDPの一〇%ということで、六十兆ということで財政出動、それから金融も含めて提案をさせていただいております。

 それから、終息後をにらんだ動きも、終息をにらんだテーマも当然国会としては考えていく必要がありますので、出口戦略、また社会保障。これだけ経済が、もう戦争にも匹敵する経済の事態があるわけですから、産業構造も転換をされるであろうし、都市機能も回復をしていかなければならないということで、感染症対策とあわせて提案をさせていただいています。

 ここにはちょっと書かせていただいていませんが、五ポツというのがありまして、五ポツには何が書いてあるかというと、復興五輪です。まさに、既に安倍総理が、安倍総理がというかIOCが発表されているように、来年夏までの延期ということで決まりましたが、私はかねがね、復興五輪こそ風評被害を払拭する最大のチャンスだと言ってきました。

 すなわち、世界が日本に注目をしている。特に新型コロナで大変な中で、どうやってこの新型コロナを克服をし、来年の夏までに東京オリパラを、延期となった東京オリパラを実施をしていくのか、世界が注目しているわけです。だからこそ、私はかねがね、この東京オリパラに合わせて、例えば福島第一の処理水の問題、こんなものは問題ないんだから、問題になっているのは風評だけなんだから、正しい科学的な観点から、正しい情報をしっかりと打ち出していくべきだとこの特別委員会でも訴えてきました。

 ところが、きょうも委員の皆様からあったように、東電が何かゆっくりやりますと言っているんですね。

 きょう、文挾副社長、おいでいただいています。これは、ちょっと、逃げていませんか。今までは経産省が盾になって隠れていましたが、東電として、何か三十年かけて少しずつ海洋放出しますと。あり得ないですね。一年でできる量ですよ。一年で海洋放出しても、世界標準からいえば、全く問題ないレベルの処理水です。何でこれを三十年かけるんですか。

 これは、私は、完全に東京電力がリスクコミュニケーションを行う責任から逃げていると断じざるを得ません。いかがですか。

文挾参考人 それでは、お答えさせていただきたいと思います。

 先生も御存じのとおり、国の小委員会で、海洋放出と水蒸気放出の二つの処理方法につきまして、技術的に実績があって、現実的であるという見解が示されたところであります。

 これから国が御意見を伺う場を設けさせていただいて、関係者の皆様の御意見を伺って、風評への影響を踏まえて、その上で、処分方法などについて、国から我々は大きな方針が示されるというふうに認識をしてございます。

 その上で、当社といたしましては、中長期ロードマップで示されました三十年から四十年後の廃止措置終了までには処理水の処分を終える必要があるというふうに考えてございます。風評被害を抑制するという観点も踏まえまして、廃止措置終了までの三十年から四十年の期間を有効に活用させていただければというふうに考えているところでございます。

 繰り返しになりますが、当社といたしましては、国から示されます基本的な方針を踏まえまして、年間の処理量とか処分期間につきましても適切に対応するということとともに、リスクコミュニケーションの取組を充実強化をいたしまして、風評被害の対策にもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

足立委員 結局、また国の陰に隠れて、経産省が地元で説明会か何かを六日からやる、先ほど御紹介がありました。

 先ほど、私が尊敬する伊佐、あっ、いないな。国では自民党と公明党が政権を今がっちり手を組んで、選挙でもがっちり手を組んでやっていらっしゃいますが、大阪では、十一月の大阪都構想の住民投票に向けて、維新の会と公明党ががっちり手を組んで、特に伊佐先生と私は友情で結ばれておりますので……(発言する者あり)

江渡委員長 御静粛にお願いします。

足立委員 一緒に頑張っている、その伊佐委員が先ほどおっしゃった。大事な、説明をしなければいけないのは、世界にしないといけないんです、そして全国の国民にしなければいけないんです。

 だからこそ、我が党の代表である松井大阪市長は、大阪湾で流してもいいよと。その心は、全国の国民に大丈夫だということを伝えるために言っているわけです。別に、大阪湾に流してほしいわけがない。いや、流してほしいわけがないって、流してもらってもいいんだ。

 だから、その問題提起、我々が今何と闘っているかといったら、風評と闘っているんです。でも、東電がやっていること、経産省がやっていること、風評を広げていますよ。

 経産省も来て、副大臣、ちょっと時間がないので、副大臣、大体もう言うことはわかっていますから、ちょっと飛ばしていいですか。

 規制委員長、規制委員長とはこの場でも、もう十分な時間を規制委員長にお渡しをして、この海洋放出、問題ないということをずっとここで演説をしていただいてきた規制委員長、これはちょっと経産省と、いや、これから経産省の小委員会の報告書を受けてまた政府全体で議論するのかもしれませんが、科学者として、いいかげんにしろと、ちょっと活を入れていただけないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 そもそも、処分方法の選択についても、国に委ねることなく、少なくとも東京電力は、みずからの意思、みずから、こうしたいんだ、こうするしか手段がないんだ、こうさせてくださいとみずからの意思を表明するべきだというふうに繰り返し東京電力に求めてきました。しかしながら、東京電力は一貫して、国の方でということで、国に、言葉は悪いんですけれども丸投げするような姿勢をとり続けてきたということは大変遺憾に思っております。

 したがいまして、処分方法が選択された後に具体的な方策を決めるに当たっても、東京電力は、具体的方策をうやむやにすることなく、実施者としての責任を全うしてもらいたいというふうに考えております。

足立委員 本当にこれはちゃんと、いや、松本副大臣にも、あともう一問ありますので。ただ、松本副大臣、ぜひこれはまた経産省の中でも議論してほしいんです、本当にこんなことでいいのかということは。

 私がこれになぜこだわっているかというと、復興五輪だからですよ。復興五輪というのはまさに、そういうことから逃げずに、違うよということを世界に対して発信していくこの最大のチャンスを日本政府が生かし切ることでしか実現しないですよ。延期されたわけだから、時間がちょっとできましたから、改めて、復興五輪の名にふさわしい対応を求めたいと思います。

 きょうは、内閣府、内閣官房、オリパラ担当の青山政務官、お越しをいただいています。ちょっとこのままでは復興五輪の名が泣く。しっかりやるということで、お願いします。

青山大臣政務官 お答えいたします。

 足立委員の御指摘のとおり、復興五輪の取組を進める上で、対外発信は非常に重要な点であると考えております。

 その観点から、世界の注目が集まる東京大会の機会を最大限に生かして、被災地が復興をなし遂げつつある姿を世界に発信していくことが重要と考えております。

 引き続き、IOC、また、組織委員会、経産省、復興庁、関係省庁などと連携をしながら、被災地に寄り添い、東日本大震災からの復興の後押しとなるように大会の準備を着実に進めてまいりたいと考えております。

足立委員 この問題は、ずっと規制委員長にはお世話になってきましたので、きょう規制委員長の前でこの議論をしましたが、ほかの委員会で関係大臣とも、また予算委員会で集中があれば、しっかりこの問題を、いや、復興五輪って何なんだということを私は訴え続けていくし、絶対諦めません。必ずこの東電と経産省の逃げの姿勢は正していきたい、こう思っています。

 きょうは、あと残る時間、どうしても、新型コロナとエネルギー、これをやっておかないと夜も眠れません。

 今、新型コロナのパンデミックで世界が大変なことになっている。それこそ、松本副大臣、松本副大臣でいいかな、通告は入っていますか、大丈夫ですか。

 要すれば、パンデミックの中で、私は、エネルギー源の調達、化石燃料の調達等にもやはり支障を来しかねない、これはちゃんと想定しておくべきだと思いますが、いかがですか。

松本副大臣 委員おっしゃるとおり、エネルギーというものは経済活動そして国民生活の一番の基本になるものでありますから、これを、どういう状況にあったとしてもしっかりと安定的に確保していくということは極めて重要なことであるというふうに考えております。

 現時点におきまして、石油、LNG、石炭といったエネルギー源につきましては調達に支障が出ていない状況ということで認識をしているところでありますが、引き続き、高い関心を持って、新型コロナウイルスの感染拡大の状況や、それを踏まえた資源国、また、国際マーケットの動向などを注視をいたしまして、日本のエネルギー源の調達に支障が生じないように万全を期してまいりたいと存じます。

足立委員 これはあれですか、副大臣、いや、御担当の方でもいいんだけれども、これは本当に大丈夫なのかな。

 これだけ欧米を含めて、中東がどうなっているか、ちゃんと精査を僕はできていませんが、世界じゅうがパンデミックということで、身動きというか、物流とかあるいは燃料、こういうところには、確かにそこをとめると世界が死んじゃいますから、そこは大丈夫。あっ、南さん。南さんは同期なんですよ。同期、やりにくいですね。

江渡委員長 答えてもらいますか。

足立委員 ちょっとぜひ、担当ですよね。大丈夫かどうか、ちょっと。

南政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁いたしましたように、現時点では調達に支障は出ておりません。しかしながら、資源国でも今後、生産停止や入港制限などの措置がなされて、我が国へのエネルギー調達に支障が生じる可能性というのはゼロではございませんので、他の資源国からの調達ですとか備蓄放出、そういったことも充実させて、エネルギー調達には万全を期してまいりたい、そのように思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、経産大臣、また松本副大臣、尊敬していますので、経産省、原発の処理水の問題はちょっといろいろ批判していますが、このエネルギー政策全体のハンドリングは本当に頼りにしていますので、ぜひ万全を期していただきたい、こうお願いをしておきたいと思います。

 そういう状況の中で、今、南さんから、まあ、ゼロではないという、いや、ゼロではないですよね、それは、これだけのパンデミックですから。

 そうした中で今、一方で、特重、特定重大事故等対処施設の整備の観点から、原発がどんどんこれからとまっていきます、既にとまっています。大丈夫かと。これはもう、本当に戦争をやっているわけですからね。

 いや、戦争に匹敵する重大事態に経済自体がある中で、部分最適でとめるのではなくて、エネルギー政策全体あるいは世界経済全体の全体最適の観点から、私は、ここは柔軟な発想を胸の中でも結構ですからお持ちをいただいて、経産省が、これ、やばいぞというシグナルがあれば、そういうことも含めて、規制委員長にも、何かその四十年とかなんか、そういうせこいことじゃなくて、全体最適の観点から、日本国民の生命と財産、健康を守るために必要なことを検討いただくということでよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 特定重大事故等対処施設の設置期限につきましては、これは、東京電力福島第一原子力発電所事故の重要な教訓である継続的な安全性向上を目指す上で設定したものであります。

 原子力規制委員会としましては、当該施設に関して、基準に適合しない状態となった原子炉は稼働させるべきではないと考えております。

 今般の新型コロナウイルスに係る状況に鑑みても、現時点におきましては、従来の見解を変更する必要はないものと認識をしております。

 また、先生の表現をおかりしますと、戦争に匹敵するような事態になりましたときには、例えばですけれども、経済産業大臣から御要請等を受けることになると思います。その際には、これは、規制委員会、委員会として、公開の席上で議論をしていくことになるものと承知をしております。

足立委員 ありがとうございます。

 もうすぐ時間が来ますので、あと一言私の方から申し上げて終わりにしたいと思いますが、今規制委員長からおっしゃったように、私は、福島第一原発事故の教訓、これをないがしろにしてもいいと言っているわけでは全くありません。むしろ足りないぐらいです。

 私は、私たち日本維新の会は、原発再稼働責任法案という法案をかねてから出していますが、これはどういうことかというと、福島第一原発の教訓をしっかりと踏まえて新しい原子力政策をつくり切れるのであれば再稼働はいいけれども、ちょっと今、僕は否定的ですよ、今の政府の再稼働の、というか法体系はまだ足りないと思う。地元同意の問題とか、最終処分の問題とか、いいかげんに過ぎると思っていますよ。

 だから、教訓をしっかりと踏まえることは絶対に必要なんだけれども、それとこれ、また別ですね。例えば、これ、いろいろ書かせていただいていますが、この経済対策、ここに書かせていただいていますね。これ、国民一人当たり十万円と書いています。いや、一人当たり十万円ですよ、世帯じゃないですよ。それから、先ほど申し上げた、GDPの一〇%、六十兆規模の財政出動です。これはもう最低ラインですよ。

 ただ、どうやって現金を配るんですか。党内でも悩みましたよ。配れません、今の制度。だから、日本維新の会は、かねてからマイナンバーを普及させろと言ってきたんです。きょう、夜、前法務大臣とちょっと酒を飲みますが、酒を飲むんじゃないや、懇談会をしますが。

 わかりますか。ふだんからやっておかないと戦争になったら負けるんです。だから、マイナンバーの普及、それから、今あったようなエネルギーの問題、原子力の推進体制、改めて福島第一原発の教訓を踏まえた対応を急ぐよう関係の皆様にお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

江渡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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