衆議院

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第3号 令和2年5月19日(火曜日)

会議録本文へ
令和二年五月十九日(火曜日)

    午後一時二十一分開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 津島  淳君

   理事 中村 裕之君 理事 細田 健一君

   理事 松野 博一君 理事 荒井  聰君

   理事 斉木 武志君 理事 伊佐 進一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      城内  実君    齋藤  健君

      鈴木 淳司君    西田 昭二君

      野中  厚君    福山  守君

      古田 圭一君    星野 剛士君

      堀井  学君    三谷 英弘君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      簗  和生君    山際大志郎君

      浅野  哲君    逢坂 誠二君

      玄葉光一郎君    田嶋  要君

      日吉 雄太君    本多 平直君

      松原  仁君    宮川  伸君

      岡本 三成君    高木美智代君

      藤野 保史君    足立 康史君

    …………………………………

   復興副大臣        横山 信一君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 十時 憲司君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     石田  優君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小山  智君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           千原 由幸君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     三谷 英弘君

  浅野  哲君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     山際大志郎君

  玄葉光一郎君     浅野  哲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官十時憲司君、復興庁統括官石田優君、復興庁統括官小山智君、文部科学省大臣官房審議官千原由幸君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、原子力規制庁次長片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君及び原子力規制庁長官官房審議官金子修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古田圭一君。

古田委員 自由民主党、中国ブロック比例の古田圭一でございます。

 初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、原子力発電所の運転期間四十年制限ルールについてですけれども、前回のこの委員会でも宗清委員も質問されておられましたが、それに関連してお伺いさせていただきたいと思います。

 原発の運転期間は、原子炉等規制法に基づいて、原則四十年とされ、原子力規制委員会の認可を受ければ、一回に限り、二十年を超えない期間で延長することができるとされております。この四十年という数字は、暦の上での年数であり、原子炉の運転停止期間も含むものとなっております。

 これまで、原子炉の運転停止期間について、現実として審査期間が長期化している状況にあって、原子炉の中性子照射による脆化の状況はさまざまである中で、四十年の年数のカウントから運転停止期間を除外すべきではないかという議論がこれまでありました。

 この点につきまして、更田委員長は、「この運転期間四十年というのは、立法時の国会審議において、技術的見地のみならず幅広い観点から議論が重ねられた上で法制化されたものと認識しておりまして、同法の定める年数並びにそのカウントの仕方そのものに関して、原子力規制委員会において議論できる範囲は限られている」という認識を示されつつも、経年劣化という観点では、「原子力発電所の安全性を維持できる期間は、さまざまな経年劣化事象を評価した結果として、各種設備の安全機能が維持できるかどうかという観点から定まるものであって、四十年又は六十年と一律に定まるものではないというふうに考えております。」と答弁されておられます。

 その上で、原子炉圧力容器の照射脆化など運転することによって劣化が進むものがある一方で、ケーブルの絶縁低下など運転をしなくても劣化が進むものもあるなど、さまざまな観点からの議論が必要であるとの認識を示されておられます。

 こうした中で、原子炉の経年劣化管理に係る原子力エネルギー協議会との実務レベルでの技術的意見交換会が三月から開催されていると承知をしております。この意見交換の結果につきましては、報告書が五月をめどに取りまとめられ、原子力規制委員会に報告される予定だったと承知しておりますけれども、コロナの関係でこれもどうなったか、その辺を含めて現在の議論の状況について伺います。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力エネルギー協議会、いわゆるATENAとの実務者レベルの技術的意見交換会につきましては、新型コロナウイルス感染症が拡大するという中で、四月二十七日のテレビ会議の開催を含めまして、これまで二回開催をいたしております。その中で、長期停止期間中に考慮が必要な経年劣化事象、製造中止品等への事業者側の対応、それから、旧式化した設計技術への対応に係る基本的な考え方などにつきまして、ATENAの取組について説明を受けたところでございます。これらを踏まえまして、第三回の会合でございますが、五月二十二日にテレビ会議により開催する予定といたしております。

 今後の見通しについてでございますけれども、当初、本年五月をめどに、事務局において報告書を取りまとめ、規制委員会に報告するという予定としておりましたけれども、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた対応というのがございまして、当初の予定より少し時間がかかっておりまして、六月も引き続き技術的意見交換会を行う予定としてございます。

 事務局といたしましては、技術的意見交換会の議論がまとまり次第、報告書を取りまとめ、原子力規制委員会に報告したい、こういうふうに考えているところでございます。

古田委員 ありがとうございます。

 原子力規制委員会は、高経年化技術評価、運転期間延長認可申請の審査に活用、反映することを念頭に、電気・計装設備の健全性評価、それから、炉内構造物の健全性評価、原子炉圧力容器の健全性評価に関する知見蓄積、材料劣化等の高経年化対策技術に係る継続的な情報収集のため、実機材料等を活用した経年劣化評価、検証を本年度から実施していると承知をしております。

 こうした事業や原子力エネルギー協会との意見交換会の原子力規制委員会への報告を踏まえて、運転期間の考え方につきまして、科学的な検証に基づいて議論を行い、原子力規制委員会からの技術的な観点に基づいて対応を検討すべきと考えますけれども、更田委員長の御見解を伺いたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力発電所の高経年化、いわゆる経年劣化につきましては、これは運転期間のみならず、運転開始から年数のたった原子炉をいかに安全に保っていくかという観点からも重要なものであります。

 そういった意味で、御質問の中にもありましたけれども、圧力容器鋼材の照射脆化、これは試験方法等やその成分の分析等に関しましても技術は進歩しておりますので、こういったものに向けての検討はより進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、ちょっと前後しますけれども、事業者というよりは産業界の意見も十分に聴取することは必要であると考えて、先ほどの御答弁にもありましたように、ATENAを相手として、現在、技術的な意見交換を進めているところでありますので、まずこの報告を待って、さらに、高経年化というものに関して総合的にどう考えるべきかというような議論は今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。

古田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、先月から本格的に運用されている新しい検査制度について伺います。

 この新検査制度は、検査の実効性を高めるための検査制度見直しなど、平成二十八年のIAEAからの勧告、助言を受けたもので、平成二十九年の第百九十三回国会におきまして原子炉等規制法の改正法が成立し、原子力事業者等が主体的に安全確保の水準の維持向上に取り組んで、原子力規制委員会が事業者等の保全活動全般につきまして常時チェックできる仕組みに見直されて、スムーズな検査の導入に向けて、平成三十年十月から本年三月末まで試運用が重ねられてきたものと承知をしております。

 本格施行された新しい検査制度では、緊張感のある検査ができるよう、検査官がいつでも自由に敷地内を回って立入検査ができるよう、フリーアクセス方式への転換が図られています。検査官がいつでも集中的に調べられるため、柔軟で効率的な検査が期待をされております。

 新検査制度の本格運用によりまして緊張感のある検査に臨めるようになった分、検査官は今後は起こり得る事故への影響という新たな視点で検査に臨む必要があり、検査官の力量やこれまでの経験が更に問われることになります。

 そこで、実効性のある検査としていくためにも、今後も検査官の育成について継続的に見直しを行って改善を図っていく必要があると考えますけれども、新検査制度に対応したこれまでの教育訓練の開発の取組とあわせて、今後の方針について更田委員長の見解をお聞かせください。

更田政府特別補佐人 新しい検査制度の実施に当たりましては、御質問にありましたように、検査官の力量を確保し、また、継続的な向上を図っていくということは大変重要なことでありまして、米国原子力規制委員会の研修プログラムを参考にして研修を拡充し、また、検査官の資格認定制度も構築をして検査官の力量向上に努めてきたところであります。

 具体的には、原子炉運転シミュレーター研修や検査官のウオークダウン研修、それから、十八カ月にわたる試運用の実施と各検査官の経験の共有等により検査官の力量の向上を図っているところでございます。

 今後とも、検査官と事業者の円滑なコミュニケーション、検査指摘事項の重要度評価などに係る力量の向上に不断の努力を続けてまいりたいと考えております。

古田委員 今やられていることとあわせまして、事業者側での対応も必要かと思います。

 新しい制度では、事業者側の主体的な改善措置活動や、現場の気づきを幅広く拾い上げるなど、気づき事項の報告が重要となるのではないかというふうに思います。気づき事項の報告を得た情報から改善点を抽出して、発電所の弱点を把握する重要なプロセスがありますけれども、これまでの試運用においては必ずしも十分に確立できていないとの指摘もあると承知をしております。

 そこで、現場でのわずかな変化を気づき事項として意識すること、それから、ささいな気づきを拾い上げやすい風土、文化を築いていく取組が事業者側にとっても不可欠であるというふうに考えますけれども、新たな検査制度における報告する文化の醸成の必要性について、原子力規制庁の見解を伺います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力事業者におきましては、新検査制度の開始に合わせまして、今御指摘の改善措置活動、いわゆるみずから気づいたことを望ましい状態につなげる取組でございますが、これを導入しまして、原子力安全に直接関係しないようなささいなふぐあいも含めて、原子力施設でのさまざまな気づきを把握し、その重要性を評価した上で、これに応じた対策を講じる取組に力を入れていると承知しています。

 原子力規制委員会としては、このような事業者の取組が現場に浸透するということこそ、原子力施設の安全に一義的な責任を有する事業者の風土、文化のあらわれとして重要なものと認識をしております。

 このため、新しい検査においても、原子力規制事務所の検査官が日常的に事業者の改善措置活動の運用状況を確認することに加えまして、本庁で専門的知見を有する検査官が、一年に一度、制度の運用を重点的に確認するような検査も行うこととしております。

 こうした監視を通じまして、事業者の改善措置活動が現場に根づくことを促し、まさに御指摘の気づき事項を報告する文化が醸成されるように万全を期してまいりたいと考えております。

古田委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、東京電力福島第一原子力発電所の処理水問題について伺います。

 福島第一原子力発電所で発生する汚染水等に対しまして、現在の東京電力のタンク増設計画の範囲では、二年後の令和四年夏ごろにはタンクが満杯になる見通しとなり、それ以上のタンク増設が可能な敷地は限定的であるというふうにされております。また、東京電力は、放出するとすれば、汚染水を多核種除去設備等によって処理した処理水の放出の準備に二年ほどかかる、さらに、トリチウム濃度を国の基準の四十分の一に希釈して、三十年程度かけて放出するなどとしております。

 本年二月、政府の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会によりまして、多核種除去設備による処理水の処分方法について、実績のある水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢であることなどを内容とする報告書が取りまとめられました。

 これをもとに、現在、経済産業省が福島の地元自治体や業界団体への意見聴取会を開催しておりまして、さまざまな意見が述べられていますけれども、特に福島県沿岸では現在でも水産物の水揚げ量が震災前の一四%にとどまっていることなどから、農林水産業者を中心に風評の拡大を懸念する反対意見が多くあるような状況であります。

 その点につきましては、ALPS小委員会の報告書では、地元を始めとした幅広い関係者の意見を丁寧に聞きながら、処分方法だけでなく風評被害への対策を含めた方針を決定することとされておりまして、政府には風評被害対策の策定が求められています。先週の意見聴取会の会合の中では、風評被害への懸念や丁寧な情報発信を求める声とともに、風評対策の具体的な提案もなされたと承知をしております。

 処理水の処分方法につきまして、地元を始めとした幅広い関係者の意見を丁寧に聞くことは大事ですけれども、それだけではなく、処理水の処分によって生じる風評被害に対する具体的な補償策を示さなければ地元からの理解は得られないと考えますけれども、具体的な補償策を示す必要性につきまして、経済産業省の見解を伺います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 二月十日に公表されましたALPS小委員会の報告書では、処分方法の選択肢の絞り込みや、風評被害対策を徹底的に行う必要があることが盛り込まれております。その上で、御指摘ございましたけれども、今後、関係者の御意見を伺いながら、政府としての方針を決定すべきとされております。

 報告書におきましては、まず、風評への影響を抑えるために、人々が少しでも安心できるような処分方法を検討することが重要、次に、風評被害を最小限に抑えるべく、消費者の懸念や不安の解消のため、情報を正確に伝えるリスクコミュニケーションの取組を行うべきこと、さらに、販路の回復を促進するため、新規販路開拓に資する地元産品の展示スペースを常設化するなど、風評被害対策を拡充強化していくべきと指摘されております。

 現在は、まずは関係者からの御意見を伺っているところでございます。その中で、風評被害対策についても種々御意見をいただいております。このいただいた御意見を踏まえまして、ALPS処理水の取扱いについて、政府として責任を持って結論を出してまいります。

古田委員 ありがとうございます。

 東京電力の公表した処理水を海洋放出した場合の予測につきましては、トリチウム濃度が周辺海域より高くなると想定される原発周辺でもWHOの飲料水基準を大きく下回るとされておりまして、このようなデータやトリチウムに関する情報をわかりやすく積極的に国民に対して発信していくことが非常に重要だと考えます。

 しかしながら、現在保管されている処理水の七割にトリチウム以外の放射性物質が国の基準を超えて残っておりまして、再浄化により適切に除去されるのかという不安の声も多いと聞いております。

 処理水の処分に際しまして、東京電力の示すデータだけではなく、原子力規制委員会におきまして、排出時にトリチウム以外の放射性物質が国の基準未満であることや、トリチウム濃度が適切に希釈されていることをモニタリングする必要性、またモニタリング結果の公表方法について、更田原子力規制委員長の見解を伺います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 いわゆる処理済み水、ALPSで処理を終えた水の処分につきましては、その具体的な方法について、現在、御意見を伺うプロセスも含め、議論が継続しているところではありますけれども、この処理済み水の処分の具体的な方法が東京電力から、これは具体的には東京電力から廃炉作業の実施計画の一環として申請がなされます。その際には、規制当局としまして、この実施計画の審査を通じて、希釈を含めた処分方法が妥当なものであるかどうかについて厳正な審査を行ってまいります。

 その上で、今度は実行の、実施のプロセスに移った場合については、希釈であるとか、それからトリチウム以外の放射性物質の除去等につきまして、規制当局が何をどのように確認をしたのか、具体的に確認をしているその内容について、ホームページ等を通じて情報公開に努めてまいりたいというふうに考えております。

古田委員 風評被害を防止するには正しい情報を公開することが重要で、排出される処理水が基準を満たしているかどうか、第三者がきちんとチェックして公開する仕組みが大変重要であります。また、復興のためにも、処理された水が環境に影響を与えないということを新聞やテレビでも積極的に報道していただいて、風評被害を防いでいただきたいというふうに思っております。

 次に、大学における原子力教育の現状等についてお伺いしたいと思います。

 文部科学省の資料によりますと、昭和三十二年以降、国立大学、大学院を中心に、原子力工学や原子核工学等という名称を付した学科や専攻が設置されてきましたけれども、平成に入ってからは、これらの学科、専攻の多くは改称、改組されてきております。私が入学した大学も、入学当時は原子力工学科がありまして、私の高校のときの同級生も入ったんですけれども、現在は改称、改組されております。

 また、原子力関連学科、専攻に入学する学生の数は、東京電力福島第一原子力発電所の事故前の平成二十二年度調査では三百十七人であったのに対して、事故後の平成二十四年では二百六十九人と減少しております。その後、平成三十年度の調査でも二百六十二人となっておりまして、減少が続いているようであります。

 また、教員につきましては、文部科学省の原子力人材育成作業部会が平成二十八年八月に発表した中間取りまとめによりますと、原子力分野を専門とする大学教員の数は平成十六年度の四百三十八人から平成二十五年度の三百四十五人となっておりますけれども、大学教育におきましては指導教員の存在は非常に重要であります。

 そこで、原子力関連学科を有する大学及び入学者の現状について、また原子力分野を専門とする大学教員の現状などについて、文部科学省に伺います。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の点でございますが、まず、原子力の名前を冠する大学の学科、大学院の専攻につきましては、三十年前は十学科、十専攻でございましたが、組織の改組等によりまして学科を中心に減少し、令和元年度時点では三学科、八専攻となっております。

 また、原子力関係学科、専攻への入学者数でございますが、御指摘のとおり、福島第一原子力発電所の事故以降で減少しておりまして、直近の令和元年度入学者数は二百五十名で、御指摘の震災直前の三百十七人の水準には至っていない状況でございます。また、原子力関係の教員につきましても、減少するとともに、高齢化の傾向にある状況でございます。

 さらに、原子力分野の人材育成や研究開発の基盤を担う試験研究炉につきましても、高経年化や新規制基準の対応等により、これまでどおりの運用が困難な状況になったことを踏まえ、多くの施設が廃止の方針となっております。具体的には、平成十五年時点で大学や研究機関等で十六施設が運転しておりましたものが、震災後、現在までに運転再開したものが四施設、今後の運転を予定しているものを含めて八施設と減少しているところでございます。

 このように、原子力分野の人材育成を支える基盤が我が国全体として脆弱化してきている状況と認識しております。

古田委員 ありがとうございます。

 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉には、今後、少なくとも三十年程度は要する見込みでありまして、その他にも多数の原子力発電所の廃炉作業が進行中であります。また、新増設の見通しにつきましてはまだ不透明でありますけれども、再稼働させた原子力発電所を運転していくためにも、今後も原子力分野の人材は必要不可欠であります。

 他の分野と同様に、原子力分野でも人材育成には実習が欠かせません。しかしながら、実験や実習に使われる試験研究炉は、先ほどありましたように減少してきております。また、現在、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、大学における事業や研究ができない状況にありますけれども、研究炉を用いた実験、実習は欠かせないというふうに思います。

 発電用原子炉の新増設が見込まれず、稼働している研究炉が限られている我が国におきまして、学生のみならず、教員の研究の場という点からも大変厳しい状況にあると考えられます。原子力分野に進もうとする人材を確保することは重要でありますし、優秀な人材に育て上げる大学教員の確保も重要であります。加えて、研究炉、それから教育研究の環境確保も重要であります。

 安全に廃炉を進めるためにも、また、使用済み核燃料の処分問題を解決するためにも、原子力分野を担う人材の育成は不可欠で、学生や教員の人材確保、また教育や研究の環境確保などについて、今後の大学における原子力研究の取組につきまして文部科学省にお伺いいたします。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力の安全確保、向上に寄与するためには、今御指摘ございましたように、福島原子力第一発電所の廃炉を始め、長期にわたる課題解決に必要な人材を育成していくことが重要でございまして、原子力に関する教員の質を高めていくとともに、原子力分野を専攻する学生を一定数確保することが必要であると考えております。これにつきまして、文部科学省では、国際原子力人材育成イニシアティブ事業を通じ、これまで原子力に関する教育の高度化等の取組を支援してまいりました。

 さらに、今後は、先ほど御答弁申し上げました人材育成の基盤の脆弱化を踏まえ、我が国全体としての人材育成機能を充実するために、個別の大学等の取組を支援するのみならず、大学や研究機関等が組織的に連携し、共通基盤的な教育機能を補い合うことで、拠点として一体的に人材を育成する体制を構築する取組を支援し、促すよう、事業の改善を図っているところでございます。

 引き続き、原子力の基盤と安全を支えるため、我が国全体としての原子力分野における人材育成機能の維持、充実を図ってまいります。

古田委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 原子力発電は重要なベースロード電源ですけれども、使用済み核燃料をどう処分するかが大変重要な課題となっております。

 日本原燃の六ケ所再処理工場につきまして、先週、新規制基準を満たすと認められまして、稼働に向けて前進しましたけれども、原子力発電所の稼働が限られている中で、プルトニウムの利用がどれくらい進むかは不透明だと思います。

 使用済み核燃料の高レベル放射性廃棄物の処理につきまして、放射能を減らす核変換の研究も行われているということですけれども、高レベル放射性廃棄物の処理、半減期が短く、毒性の低い物質に変えることができれば、将来の世代にツケを回さずに済みます。核変換の実用化にはかなり高いハードルがあるとは思いますけれども、実用化できれば使用済み核燃料の処理も進むというふうに思います。

 また、国際プロジェクトとして、高レベル放射性廃棄物を生み出す放射性物質を燃料としない、また、爆発やメルトダウンのリスクのない核融合エネルギーの研究開発も実施をされております。実用化には、放射能を浴びる中で高温に連続して何年も耐えられる炉壁の開発など、結構時間のかかる研究開発が必要などの課題もありますけれども、これらの研究開発に研究者や技術者が夢を持って課題に取り組むことができるような環境整備を進めてもらいたいというふうに思っております。

 次に、新型コロナウイルス感染症による影響について伺います。

 先月八日、原子力規制委員会は、毎週開いてきた定例会合を隔週での実施に変更して、審査会合はテレビ会議や電話会議で行うなど、新型コロナウイルス感染症による影響は原子力分野にも及んでおります。

 また、先月十五日、九州電力は、玄海原発でテロ対策施設の建設に携わっている作業員の感染が判明したと発表して、濃厚接触者約三百人の出勤が停止となる対応がとられております。

 現在、廃炉作業中の東京電力福島第一原子力発電所につきましては、感染者は発生していないものの、検温の徹底やオンライン会議の活用といった対策がとられていることと承知をしております。しかし、防護服の不足により、敷地内の移動に使われるカバーオールを代用しているとか、休憩所では作業員が密集しており、感染のリスクがあるなどという報道もありまして、汚染検査にひっかかる作業員もいるとのことです。

 政府は、原子力発電所は我が国のベースロード電源としており、新型コロナウイルス感染症による作業員の不足によりまして、電力供給に影響が出ることは避けなければなりません。また、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業につきましても、一刻も早く福島の復興をなし遂げるために、廃炉作業におくれがあってはなりません。

 電力会社は、それぞれが新型コロナウイルス感染症対策を講じているとは思いますけれども、各電力会社の取組についての評価を更田委員長にお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力事業者は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定する指定公共機関として、あらかじめ感染防止対策に関する業務計画を作成しておりまして、中央制御室への入室制限、机上業務の職場における組織的な在宅勤務の推進、他の都道府県から移動した者は二週間待機するなど、これらの対策がとられているものと理解をしております。

 感染者が発生した場合には、接触の可能性が考えられる従業員を二週間自宅待機とし、さらに、関連する工事を中断するなど、極めて慎重な体制をとっていると認識をしております。

古田委員 また、今回の新型コロナウイルスを始めとしたさまざまな感染症の発生も考えられますし、これらを用いたテロがないとは言えません。想定していることを開示するのは危機管理上できないとは思いますけれども、あらゆる想定をしているかどうか、検討はしっかりとされているかどうかについてお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、感染症対策としましては、原子力規制委員会が認可した保安規定におきまして、運転であるとか施設の保全、さらには、緊急時対策のために必要な要員の人数を規定をしております。この人数に欠員が生じた場合には速やかに補充を行うこと、さらに、その補充ができない場合には運転中の原子炉を停止することとされております。

 さらに、テロ関連の対策ですが、この点につきましては、セキュリティーの観点からお答えすることは差し控えさせていただきます。

古田委員 それでは、ちょっと質問の順番を変えまして、最後に通告している質問をさせていただきます。

 エネルギー供給における原子力発電の位置づけについてお伺いしたいと思います。

 バランスのとれた電源構成によりまして、エネルギーの安定供給、脱炭素化による地球温暖化対策、また経済性の確保を同時に達成していくことがエネルギー政策の要諦であります。パリ協定の目標を達成するためにも、安全確保を大前提に、原子力を重要な選択肢として活用していく必要があるというふうに考えております。

 自然エネルギー、太陽光発電は、昼と夜では発電量が全く異なりますし、昼でも天候によって発電量は大きく左右をされてしまいます。風力発電も、その発電量は天候に大きく影響を受けます。自然エネルギーは、昼と夜、天候によって大きく発電量が変動するのが欠点であり、電力会社も、天候を予測しながら発電量を調整したり、揚水発電等を行ったりしております。

 再生可能エネルギーの比率を高めるには、発電量の変動を吸収できるように、高性能な蓄電池や、電気分解で水素を製造するなど、さまざまな対策が欠かせないと思いますけれども、高性能な大容量の電気を蓄えることのできる蓄電池につきましてはまだ開発途上ですし、現状では、再生可能エネルギーに過度に依存し過ぎるのは問題があると考えております。

 現在、原子力発電所は廃炉が進んでおりまして、既存の原子炉だけでは中長期的には電源構成で一定比率を維持できなくなることが懸念されます。また、最近、熱中症対策で、小中学校に、各教室にエアコンの整備が進んでおりますけれども、学習時間の確保、それから学力の向上のために夏休みにも登校するということになりますと、夏の電力需要も増加するのではないかというふうに思います。また、石油や天然ガスは輸入に頼っておりますけれども、紛争等が生じれば、輸入に不安が生じます。

 安定して電力を供給する上では、原子力発電というのは重要な選択肢であると考えております。十年先、二十年先にも原子力の電源構成を一定比率維持していくとしますと、新増設やリプレースがおのずと必要になるのではないかというふうに考えられます。来年に見込まれておりますエネルギー基本計画の見直しに当たって、その議論は避けて通れないと考えますけれども、認識を伺います。

中野大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、政府と原子力事業者が注力すべきことは、安全最優先の姿勢で真摯に再稼働に対応していくことであると考えておりまして、現時点におきまして、原発の新増設、リプレースは想定していないところでございます。

 その上で、資源に乏しい日本にとりまして、原子力は、安全確保を大前提とした上で、安定的かつ安価な電気の供給、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、責任あるエネルギー政策を実行するためには欠かすことができないと考えております。

 こうした中で、まずは、二〇三〇年のエネルギーミックスにおける原子力比率二〇%から二二%の実現に向け、安全最優先の再稼働を進めていくことが必要と考えております。

 次期エネルギー基本計画につきましても御質問がございました。

 次期エネルギー基本計画の検討は来年を予定しております。あるべきエネルギーの姿について、しっかり検討してまいるという決意でございます。

古田委員 あらゆる角度から検討していただきまして、エネルギー供給に支障がないようにお願いしたいと思います。

 もう少し時間があるようですので、飛ばした問題をさせていただきます。

 原発の廃炉に伴う放射性廃棄物の処理につきましてですけれども、中深度処分、これは、原子力発電所の廃炉に伴って発生する放射性廃棄物のうち、制御棒や核燃料を入れていた箱が該当して、比較的放射能レベルが高いレベル1廃棄物を処分する方法で、厳しい管理が求められているんですけれども、規制基準がまだできていないということです。

 更田委員長は、ことしじゅうをめどに中深度処分に関する許可基準規則などを策定したい考えを示されたとされておりますけれども、中深度処分の規制基準の策定の見通しにつきまして伺いたいと思います。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 炉内構造物等の比較的放射能レベルが高い廃棄物、いわゆるL1の基準に関しましては、本年一月の十五日に原子力規制委員会におきまして、この処分の規制基準、それから審査ガイドの策定方針案については了承をされております。

 この策定方針案で示しました規制基準等の項目それから内容につきまして、本年二月十九日の原子力規制委員会におきまして、電気事業連合会から特段の意見がないということを確認したところでございます。

 原子力規制委員会といたしましては、本年中を目途に規制基準等の策定を行うということで、所要の作業を進めているという状況にございます。

古田委員 御説明ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

江渡委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、汚染水問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 政府は、福島第一原発を、二〇四一年から五一年までに廃炉を目指して取組をしていただいておりますけれども、ALPS処理水、いわゆる汚染水が最大の問題の一つになっているというふうに認識をしています。

 現在、敷地の中の汚染水タンクは九百九十基ありまして、このままのペースでためていきますと、用意している敷地が満杯になりますのが二〇二二年の夏ごろ、あと二年しかありません。千四十七基で満杯の予定であります。

 このため、小委員会では二月に報告書をまとめていただいておりまして、有力な処分方法として二つ、一つは薄めて海洋放出をする、もう一つは蒸発させて大気放出をするということをまとめていただいております。そしてその後、四月に福島県内の主要な自治体の首長や漁協の関連の方々、また五月には東京都内で経済団体とも三回ヒアリングを実施していただいておりますけれども、そのヒアリングの中で懸念の声や意見表明があったというふうに伺っております。

 ヒアリングには、政府関係者、いろいろ出ておりますけれども、代表して、きょうは経産省、復興庁から、どのような意見が出て、それをどのように受けとめて、今後どのように対応していくのかという基本的な方向についてお答えをいただければと思います。

中野大臣政務官 岡本委員の質問にお答え申し上げます。

 これまでに実施をいたしました三回の御意見を伺う場に参加をいただいた関係者の皆様には、それぞれの立場から、今後の検討に向けて貴重な御示唆をいただいたというふうに認識をしております。

 例えばでございますけれども、処分の安全性に係る理解促進を図るため、わかりやすく正確な情報発信を繰り返し行うこと、あるいは、それでもなお風評被害が発生することを想定し、十分に対策を行っていくこと、関係者の意見を聞いた上で国が責任を持って決断すること、こういった御指摘をいただいているところでございます。

 今後、さらに幅広い関係者から御意見を伺った上で、ALPS処理水の取扱いにつきまして、風評被害対策も含めて、政府として責任を持って結論を出してまいります。

岡本(三)委員 現在検討いただいております汚染水の処理方法、代表的な有力な二つ、薄めて海洋に放出するか蒸発させるかということに対して、反対されている主な理由って三つあると思うんですね。

 一つは、処理水であるけれども、トリチウム等をまだ十分に取り切れていないので健康被害があるんじゃないかという不安、二つ目には、農産物や水産物、風評被害がやはり怖いということ、三つ目には、トリチウム等を完全に取り切れるような技術開発も今行われておりますので、もうちょっと待って、それまで地上に、陸上保存していいではないかというふうな可能性を議論している等々、さまざま反対されている理由があるわけですけれども、政府として、これらの反対、懸念に対してどういうふうな御意見を今持っていらっしゃるかということをお聞かせください。

金子政府参考人 まず、御指摘の健康への不安の点についてお答え申し上げます。

 私どもとしては、規制基準を満足する形で処理済み水を環境中に放出するのであれば、科学的、技術的観点から、人の健康や環境への影響は考えられないと考えております。

 そのような認識に立って、規制委員会といたしましては、東京電力が処理済み水の具体的な処分方法を示した場合には、規制当局として、審査等においてその安全性を厳正に確認してまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 そうなんですよね、安全なんですよね。けれども、やはり、残念なことに、この安全と安心の間に大きな隔たりがあるがゆえに、政府の努力を更に積み重ねていただきたいと思っているんです。

 その意味で、最大の問題の一つは、やはり風評被害ではないかというふうに思っています。

 原発事故以来、福島県を中心に深刻な風評被害、九年たった今も続いているわけですけれども、まず、政府として、これまでの九年間、風評被害があったことというのはいろいろなところでお認めをいただいているんですが、実質的な経済規模の損害としてこの風評被害がどれぐらいの金額になっているというふうにまず認識をされていらっしゃるんでしょうか。そして加えまして、今後もこのような風評被害が続いていく危険性、十分にあるわけですけれども、この風評被害を払拭していくために具体的にどういう対策を行っていこうとお考えかということをお聞かせください。

小山政府参考人 お答えいたします。

 風評被害額につきましては、幾つかの研究、調査が行われているのは承知しておりますが、その調査ごとに、どのような産業のどの減少額を風評被害の対象とするか等によりまして推計金額がかなり変わってきておりますため、なかなか一概に申し上げるのは困難であるということは御理解いただきたいと存じます。

 ただ、全体として見ますと、福島県の域内総生産額につきましては、震災直後に大きく減少いたしましたが、その後徐々に回復し、現在では震災前の水準を超えている状況にございます。

 しかしながら一方で、福島県では、現在も農林水産業における産出額が震災前の水準に戻らず、かつ、ほかの地域より低調であること。また、観光業においても、外国人延べ宿泊数の伸びが他地域と比べて小さく、教育旅行も震災前の水準に残念ながら戻っていないということなどから、農林水産業や観光業等で原子力災害による風評被害が根強く残っている状況ではないかというふうに考えております。

岡本(三)委員 被害額の総額を分析していくのは非常に難しいのはよくわかるんですけれども、民間でもいろいろな分析が出ておりますし、少なくとも、この分野においてはこれぐらいの被害があるというようなことを積み上げて認識していくことによって、被災された方々の苦しみを、経済的な苦しみも含めて、よく理解できているというメッセージにもなると思っておりますので、可能な限り、被害額がどれぐらいかというのは常に分析、積算をお願いしたいなというふうに思っています。

 年間排出量の制限の問題についてちょっと伺っておきたいんですけれども、震災前は、年間に放出できるトリチウム量の上限、管理目標値、これは二十二兆ベクレルに置いていたわけです。今はその規定はありません。この処理済みの汚染水、これを全部集めますと、その濃度、量は約千兆ベクレル。つまり、仮にこの年間二十二兆ベクレルのペースで海洋放出をしたとしますと、千兆ベクレルありますので、単純計算で割りますと、四十五年要することになります。つまり、四十五年間ずっと風評被害が続いていくような危険性もあります。

 仮に海上放出をする場合に、どれぐらいの期間で放出をすることが望ましいと考えていらっしゃるかということを、もし政府内で御意見があるのであればお聞かせください。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 ALPS処理水の取扱いについては、ALPS小委員会の報告書において、風評への影響を抑えるために、処分の開始時期、処分量、処分期間、処分の際の濃度などについては、関係者の御意見も踏まえて適切に決定することが重要であると指摘されております。

 現在、まさに関係者の御意見を伺っているところでございまして、こういった御意見も踏まえまして、今後、政府として方針を決定していく予定でございます。

岡本(三)委員 先ほど申し上げたように、風評被害、国内外に広がっておりまして、残念ながら、周辺国の態様も非常に注視をしなければいけない状況だと思っています。とりわけ韓国では今も日本の水産物の輸入制限をしております。また、最近、この汚染水の海洋放出の検討をメディアが報道いたしますと、韓国国内は大変神経質になっているようなカウンターの報道も見受けられます。いずれの処分方法をとるにしても、国際社会の理解を得ていくための努力というのは不可欠だと思うんですね。

 仮に敷地内に保管されているこの処理済みの汚染水を一年間で全部海洋放出をしても、科学的な数値によれば、近隣住民の方々の被曝は、自然界から受ける年間放射線量の二・一ミリシーベルトの千分の一以下。仮に一年間で全部放出したって、普通に生活しているときに私たちが受けている放射線量の千分の一以下というのが科学的なファクトなんですね。しかも、他国は、過去四十年以上にわたって、この基準範囲内のトリチウムを含む汚染水を原発から海洋に放出をしております。それが大きく問題になったことは、私は一件も記憶をしておりません。それが安全性の科学的な事実だと思うんです。

 ただ一方で、先ほど申し上げたように、安全と安心の間に大きな隔たりが残念ながらある以上、どうやってこの安全のファクトをしっかりと世界に示しながら安心を、地域住民の方をまず初めに、そして世界からもかち取るかということが重要だと思うんですね。

 その意味で、私は、IAEAを中心とした国際機関との連携というのは何より重要だと思っています。IAEAは、日本政府が処分方法を決定した場合には、処分の前、処分している最中、処分の後の放射線安全にかかわる支援のフレームワークを日本政府と協力して構築する用意があると言っていますけれども、私は、風評被害の払拭にこそIAEA、又はより大きなオーソリティーがあればそういう国際機関でもいいんですけれども、ぜひ活用をさせていただきたいと思っているんです。

 要は、震災が起こった日本が幾ら言っても、当事者ですから相手はなかなか信用しません。なので、第三者で、しかも世界的に評価をされてオーソリティーのあるところが、世界の皆さん、わかっていますか、日本の今の状態というのは科学的にめちゃめちゃ安全なんです、これを不安に思っていらっしゃるということは現実の数字に向き合っていないということなんです、皆さん、よく冷静に判断してくださいというような、風評被害を払拭するための最大の、最強のパートナーとして、IAEAを中心とした国際機関ともっと協力をして、地元の地域住民の方、周辺自治体の方、さらには国際社会に十分な理解が得られるように、もうきょうからでも更に巻きを入れて御対応いただきたいと思っているんですけれども、政府の御見解をお聞かせください。

中野大臣政務官 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおりでございまして、原子力の国際的な専門機関でありますIAEAによるレビューあるいは情報発信が極めて重要であるというふうに考えております。

 直近では、本年二月十日に公表されましたALPS小委員会の報告書とALPS処理水の管理に関する進捗状況を対象といたしまして、IAEAにレビューをいただいております。四月二日に報告書が公表されたところでございます。

 一部委員にも御紹介していただきましたけれども、この報告書には、例えばALPS処理水の処分方法について、海洋放出や水蒸気放出の二つの方法は技術的に実行可能であるとの所見、あるいは、ALPS処理水の処分方針につきまして、安全性を考慮しつつ、全てのステークホルダーの関与を得ながら、喫緊に決定されるべきとの助言、あるいは、先ほど御紹介ございました、日本政府が処分方法を決定した際には、IAEAは、処分の前、処分中、処分後の放射線安全に係る支援のフレームワークを日本政府と協力して構築する用意があること等が記載をされております。

 今後も、透明性確保の観点から、福島第一原子力発電所の廃炉の進捗につきまして、適切なタイミングでIAEAのレビューを受けていくなど、第三者機関の関与を得ながら進めていく予定であります。

 引き続き、地元住民、周辺自治体、さらには、海外へ情報発信をしっかりと行うとともに、幅広い関係者から御意見を伺った上で、ALPS処理水の取扱いについて、政府として責任を持って結論を出してまいります。

岡本(三)委員 ぜひ巻きを入れてお願いしたいと思っているんです。

 要は、日本国内もそうです、世界各国も、一人一人の市民、消費者という意味では、皆さんいろいろな不安を抱えながら、より安全な方、安全な方というふうに、必要以上にバイアスがかかって消費行動に起きてきているところはあると思います。

 ただ、少なくとも、国のレベルで諸外国を考えたときに、科学的な知見、事実に基づかず、何となくなイメージの中で、この福島を中心とした日本の被災地に対して不適切な行動、対応をしているのは本当に許しがたいので、日本が直接言っても、やはり当事者同士になっちゃうんです。ですから、第三者の力を、しっかりと科学的知見も示しながら、世界に共有をすることによって、例えば韓国にも他の国にも、国として、この数値というのは国際基準から見ても非常に安全だということを確認をしましたというぐらいに宣言をしてもらって、その結果、国内の消費者の方々にも安心感を持っていただくような努力をぜひ国際機関とともに行っていただきたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、ちょっと今後のスケジュールについて確認をさせていただきたいんですね。

 初めに申し上げましたように、今のペースでALPSの処理水を敷地内に積んでいきますと、あと二年、二〇二二年の夏で満杯になってしまいます。そうすると、二〇二二年に満杯になる前に何かの行動を起こそうと思うと、それまでにやらなきゃいけないことは、具体的な取扱いの決定、原子力委員会の認可、準備の工事の実施スケジュールの確定等々、それだけで二年ぐらいを有するんではないかというふうに言われております。逆算すると、もうことしの夏ぐらいには処分方針を決めないと、最後は、汚染水が出てきたけれども保管するところがなくなってしまいましたみたいな残念な結果になりかねません。

 政府として、なかなか今断言するのは難しいと思うんですけれども、何月ぐらいをめどに、又は、どういう方向性でその決断を下していき、最終的に、処理水が行き場がなくて、更に今以上に福島の方々に心配をかけることがないように、どのタイミングでこの決定をしていくのかということを御答弁いただきたいと思います。

中野大臣政務官 お答え申し上げます。

 現在、政府として、小委員会の報告書を踏まえまして、幅広い関係者の御意見というのを丁寧にまさにお伺いをしている、そういうところでございます。

 引き続き、この御意見を伺う場、幅広い関係者の皆様に伺うというのは、引き続き伺っていく、そういう状況でもございます。

 他方で、まさに委員御指摘のとおり、敷地が逼迫する中で、汚染水が毎日発生をしていること、あるいは、実際の処分には準備等に二年程度を要すること、これを踏まえれば、いつまでも方針を決めずに先送りをする時間はなくなってきているというふうにも思っております。

 そうした中で、幅広い御意見を伺いつつ、しっかりと検討を進め、国として責任を持って、ALPS処理水の取扱いについては結論を出してまいりたい、このように考えております。

岡本(三)委員 先ほど議論の中で明らかになりましたように、福島、周辺地域の皆さんの御懸念というのは、科学的知見に基づくと安心できることが納得できつつあるけれども、そのことをもとに実際に行動をとってしまって、処理水を処分するような行動が起こされると、今以上に多くの風評被害となり、地域住民の方は、ある意味差別もされ、そこで産業でなりわいを立てていらっしゃる方は生活が立ち行かないようになるという、不安が助長されるような形で皆さんのところに、政府にお声が行き、決定がなかなかできないというような状況なのかもしれません。

 ただ、十分にというところまで皆さんが意見を聞いたというふうに判断したら、速やかに行動を起こしていただいて、この福島の地域で今生活を実際に営んでいらっしゃる方々が安心して住み続けられる、その地域で仕事をしながら食っていけるという状況をつくっていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直でございます。

 会派を代表して質問をさせていただきます。この委員会では初めての質問になります。

 若干、私、この委員会に来て、皆さんの議論を聞いていて、ショックでございました。四十年ルールを見直せとか、白昼堂々、原発の規制を緩めろということを委員長に迫る委員の方もいて、本当にそれでいいのかなという、非常に疑問を持ちながら議論を聞いていました。

 これだけ電力会社や自民党の皆さんからプレッシャーをかけられているんだから、更田委員長は頑張っているんだろうなと一瞬思いそうになったんですが、世の中それほど単純じゃないということが今回明らかになっています。国会として、しっかりとチェック機能を果たそうと思いますので、質問をさせていただきます。

 鳥取県の大山の噴火量が約十倍になるということ、それは皆さんの、委員会の努力もあって新たに発見をされました。そこで、関電の高浜や大飯に降り積もる火山灰の量は約二倍になるかもしれない、こういう状況でございます。

 さてどうしようかというときに委員会がとった対応、ここに非常にまず不透明かつ不十分なものがあったのではないかと私は考えています。そうした観点で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この過程です。これは既に前回の委員会で斉木委員、日吉委員も質問をさせていただきましたけれども、まだまだ私は納得がいきません。

 委員長は、事前会議は打合せだとかブレーンストーミングだとかおっしゃっていますが、まさかテープが出てくるなんてことは思わなかったんでしょう、ずっとそういうことを記者会見でも国会でも言い続けました。テープが出た後もはっきりしないんですが、そもそも、テープが出る前には国会で事実と異なる答弁を残念ながらされているわけです。

 例えば、三月十日、参議院内閣委員会杉尾委員の質問に対しては、当該文書が、当該文書は今資料でおつけをしていますが、写真の次のページの二つの資料です、裏側と、一案と二案を比較したもの、そして規制委員会本体に出す案をつくったもの、当該資料が委員との打合せ等で示されるということは到底考えられないというような発言をされていますけれども、結果として事実ではなかったわけです。

 このことを、まず我々国会との信頼関係をきちんと回復するためにも、この間、まあ、テープが出てくるなんてことは想像しないで記者会見や委員会で、いや、そんなものはあるはずがないとか言ってきたこと、この資料に基づいて事前の打合せ、ブレーンストーミングはされたわけなので、結果として、国会で事実と反する、事実と違うことを言ったということに関しては、きちんと謝罪をして、訂正をしていただければと思うんですが、いかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず申し上げますが、大山生竹テフラの噴出規模見直しは、原子力規制委員会が二〇一五年からみずから安全研究として見直しを進め、二〇一七年六月に、安全研究の結果を踏まえて規制対応の報告を受けてから、関西電力との意見交換を二回、現地調査を一回行うなどして、二〇一八年十一月に新知見として認定した上で、翌十二月の委員会で再評価命令を決定するという長い経緯を経たものでありまして、十二月六日のブレーンストーミングだけを切り取って見るのではなく、全体の流れ、本質を捉えていただきたいと考えております。

 その上で、これまでの国会答弁や記者会見で一貫して申し上げてきたのは、原子力規制委員会の意思決定は全て公開の委員会の場で行っていること、十二月六日のブレーンストーミングは委員会の会議以外の場で意思決定をしていないということ、あの場で意思決定はしておりません。したがいまして、国会答弁や記者会見で事実と異なる発言をしたという認識は持っておりません。

本多委員 私の質問時間、委員長、二十分しかないんです、質問に答えてください。

 あの場で意思決定をしたなんて言っていません。この資料に基づいて議論したということに対して、杉尾さんには、到底考えられないと言っているんですよ。それが結果として事実じゃなかったということを正式に認めてくださいよ。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御答弁の際に、その議論、ブレーンストーミングを行った時点で資料というものを記憶をしていなかったぐらい、あの場でのブレーンストーミングは紙に基づいて行ったものではありません。したがって、事実と異なる発言をしたという認識は持っておりません。

本多委員 このテープを聞くと、資料のポイントをしながら示しています。結果として違っていたわけです。

 三月十日の杉尾委員とのやりとりのときに委員長がわざと虚偽を言ったのかどうかは私はわかりません。これは永久に委員長の内心の問題です。結果として杉尾委員に間違った答弁をしたわけですよ、資料に基づいて議論しているんですから。それを認めてくださいと言っているだけです。

更田政府特別補佐人 繰り返しお答えいたしますけれども、十二月の六日に行いましたのはブレーンストーミングであって、資料に基づいて、あるいは資料に対する打合せといった類いのものではございません。

本多委員 わかりました。委員長がこの、総体の話じゃないですよ、一個、一番私は委員長の発言で、私から言えばですよ、記者会見だろうが国会だろうが、相当しらばっくれていたんですよ、テープが出るまで、その中でも一番、これはさすがに、資料、当該文書が委員との打合せ等で示されるということは到底考えられないと言っていて、示されていたんですよね。その事実は認めるんですね。

更田政府特別補佐人 資料ですけれども、委員会に提出される資料の原案のようなものが、情報公開請求が行われた時点でそういった資料というものが中間資料としてあったことは、その時点で認識をいたしました。ただし、その場に出席した出席者全員がそのバージョンの資料について記憶をしておりません。さらに、そのブレーンストーミングの内容、録音を聞く前も、録音を聞いた後もそうですけれども、あれこそまさにブレーンストーミングであって、その場において資料に基づいた検討を行ったという認識は持っておりません。

本多委員 とんでもない話だと思います。

 私はチャンスをつくっているつもりです。結果として事実と違う発言をしたということを言って、私はこの委員会と規制委員会の信頼関係を取り戻したいと、今後も頑張っていただきたいことがあるんですよ、委員会には。だからこそ、今回、こういうふうに出たことを、しっかりとけじめをつけて次に進もうということで、一点に絞って、全部悪うございました、反省しましたとまでは言えないかもしれないけれども、ここは間違えました、杉尾委員への発言は確かに結果として事実と異なりました、このぐらい言ってくださいということを言っているのも答えない。

 非常に、これはほかの、大臣と一緒なんですよ、委員長は、大問題になるようなことを今平気で答えているということで、私は、じゃ、そういう態度なら、そういう姿勢で厳しく質問していきたいと思います、更に。全く納得がいきません。杉尾委員には虚偽の答弁を結果としてしている、これは明らかな事実です。

 斉木議員とのやりとりで、いろいろいろいろ言いわけしたあげく、文書管理は今後改善するとおっしゃいました。委員長の言うとおり何にも問題ないんだったら、改善する必要ないじゃないですか。何が問題だから何を改善するんですか。

更田政府特別補佐人 現在の文書管理に特段の問題があるというふうに認識はしておりません。しかしながら、何事においても継続的な改善を進めるというのが原子力規制委員会の業務に対する姿勢であります。

本多委員 よくわかりました。斉木委員に言ったこともその場限りの言い逃れ。日常的に業務を見直すのはどんな組織でも当たり前です。この間のところで、じゃ、文書管理にも何も問題がなかったと。

 事実上の意思決定ではないんですよ。意思決定とは私は言っていませんからね。意思決定したのは本委員会に決まっているんですよ、法律的に。こんな事前会議で意思決定なんかできるわけないんですから。意思決定の過程も書類は残さなきゃいけないんですよ。そういう答弁するんだったら、私、これは公文書管理に明らかに違反している、この観点からも今後も追及をしていきます。

 じゃ、中身です。実はきょう、毎日新聞さんが入手をして、毎日新聞さんのホームページに載っている委員長のこの事前会議での発言を持ってきました。ちょっとうちのミスで一番最初の一番大事なところが抜けちゃったんで、私、もう一回読ませていただきます。

 一案と二案、一案は箸にも棒にもかからない、念のためのブレストで出しただけだと言っていますが、その一に対して委員長はこう発言をされています。これは皆さんの資料に行っていないので、私がゆっくり読みます。

 僕なんか、これ、ぱっと見たときに一の方がすごくすっきりする。すっきりするんだけれども、法務上難しいんだろうなということは私にもわかるので、そこをまずそちら、これは規制庁ですよね、規制庁の担当者に見解を聞かないとと言っているんですね。

 これ、一案、二案、事務局から出てきて、すっきりすると。すっきりするというのは、どういう意味なんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 そのすっきりするが具体的に何を指しているか、今この場でお答えすることは、具体的に思い当たるものがありませんけれども、まさにブレーンストーミングでありますから、これまでの御答弁でもお答えしているように、電力側の考え方、関西電力の見通しの立て方、さまざまな立場に立って発言をしている、そのブレーンストーミングの中の断片だけにすぎないというふうに認識をしています。

本多委員 私にとってはすっきりするんですよ。

 裏面をごらんください、委員長。一案と二案があって、一案がなぜすっきりするかというのは、規制委員会はもう既に、火山灰が二倍降り積もると、この大飯と高浜に。それで、一番、その黄色の線、私が引きました、ここが違うんですよ。関電がどういう態度だからどっちをとろうかというのは、それは情勢的にいろいろあるかもしれないけれども、一番の違いは、一案だと、現在の状態が基準に適合していないというポジション、二は、もうあした噴火するかもしれないんですよ、規制委員会は基準の適合性について判断はしていないというポジション、ここじゃないですか。だから委員長はすっきりするとおっしゃったんじゃないんですか。

更田政府特別補佐人 推測でお答えするのはふさわしくないかもしれませんが、この文字の数だけを見ても一の方がすっきりはしているのかと思います。

 しかしながら、この時点において噴出量の想定が変わるということはわかっていましたけれども、恐らくは当該発電所で降り積もる火山灰の厚さが変わるのではないかと思ったからこそ、私たちは報告徴収命令をかけて関西電力に再評価を、この時点で関西電力は基準の不適合状態であるとか層厚が変わるということに関して意見を一つにしておりませんで、そのあらがう関西電力に対してどう足元をすくわれないように改善に向かおうかという議論であります。

 これ以上、このときのブレーンストーミングについて、さまざまな立場に立ってさまざまな議論をいたします、その断片だけを切り取られてこうではないかと言われても、お答えのしようがありません。

本多委員 自民党さんはこれでよしとおっしゃっていますけれども、見ていただきたいんですね、断片だけと言われるので、きょう、ちゃんとずっと1から7まで、そしてその後の、わざわざ関電への命令文までこの会議でやっているときの委員長の発言。

 いいですか、2のところでは、原発稼働の差止め訴訟ということが出ているんですよ。差止め訴訟なんかだと基準に不適合という論理を生みやすいと。これ、どう考えても、公平ですか、こんなこと言って。

 それから最後にも、8、印象としては限りなくね、そういうことをすると不適合状態を連想させるんですよと。不適合なんじゃないんですか、この時点で。何でこんなことを言っているんですか、裏の会議で。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 裏の会議では決してございません。原子力規制委員会では日常的に行っているブレーンストーミングの一つであります。

 繰り返しお答えをいたしますけれども、ブレーンストーミングの中では、さまざまな立場に立って出方を考えますので、発言もいたします。

 それから、この時点で、不適合状態を認めさせるためには、改めて関西電力に、噴出量の変化を前提とした降り積もる火山灰の層厚を評価させる必要がありました。この評価結果が出る前に不適合とすることは手続上できないことは、これは、このブレーンストーミングの前の会見でも、改めて評価を求めていくことになると会見の場で申し上げておりまして、評価前の時点に当たって不適合を認定する、私たちは科学的、技術的なデータに基づいて適合か不適合かを決めますので、この時点で適合ないし不適合を決めることはできない時点にあります。

本多委員 これは一案をとったら不適合ということに、不適合状態になりますよね。

更田政府特別補佐人 したがいまして、この時点で一案がとれない、とり得ようがない案であることは全員理解した上で、その上でなお欠けのないように、足元をすくわれることのないように、そのためのブレーンストーミングでもあります。

本多委員 私は、一案がとれない理由、全く今納得していません。事務方からは、関電のずっと態度がこの何年か悪かったので、こんな指導をしたって出してこないから命令をかけたんだと。一見、二の方が厳しそうなんですけれどもね。だけれども、違うんですよ。関電の状況に基づいて、科学的じゃないんですよ、全く。勝手に、関電の状況があるから。

 しかし、委員長、私がもし規制委員会に、委員長だけじゃないですよね、あと四人、委員いらっしゃいますよね。この議論、聞きたかったんじゃないんですか。一案と二案をちゃんと比較して、一案にはこういう問題点がありますという議論を、何で委員長ともう一人の委員だけでやっているんですか。これ、ほかの委員もこの議論をきちんと、私がもし委員だったら怒りますよ、こんなことをやっていたら。

更田政府特別補佐人 委員会五名の意思決定、それぞれ個々の委員としての意見はそれぞれで形成されます。したがいまして、この大山生竹テフラに限らず、こういったブレーンストーミングというのは、委員の求め、ないしは事務方の求めに応じて個々の委員がやっているものと考えております。それぞれがそれぞれでブレーンストーミングはしているでしょうし、みずからの意思を決めるための議論はいろんな形でやっていると考えております。

 これは、お答えになりませんでしょうか。

本多委員 じゃ、これは、原案はほかの委員からも出せるんですか、ちゃんと。

更田政府特別補佐人 実情、現実的なあり方から考えると、こういった委員会資料そのものを個別の委員が提案するということはないと思います。今までもなかったように思っています。

 したがいまして、あくまで表現であるとかそういったものに関しては事務局の作成した文書が土台になります。

本多委員 そうならわかるんですよ。ところが、事務局の会議に石渡委員と委員長だけ入って事前に修文しているから問題だと私は言っているんですよ。

 だから、私がほかの委員だったら、全員に案を見せないでその場でぼんと見せられるか、全員に一案も事前に話して、ああ、委員長と石渡さん、だめだと言われたとやらないと、全くほかの委員に対してこれは不公平。議決もすることがあり得るわけですからね。これは極めて委員会の運営としておかしいと思うので、考えていただきたいと思います。

 それで、もう時間がないので、私、この問題、本当にもう、委員長、全然姿勢を直していただけないんですけれども、そもそも、これは一案、二案だけなんですか、選択肢は。日吉委員も言っていましたけれども、基準を満たしていない時点で、これは停止というチョイスでさえあり得るんじゃないんですか、ゼロ案として。私だったらそうしますけれども。

更田政府特別補佐人 案の数は一案、二案にとどまらないと思います。それこそ、三案どころか、幾つもあろうかと思います。その中で、科学的、技術的に考えて、また、一般のリスクを、許容できないレベルのリスクの高い状態をつくらないための手順は幾つもあると思います。

 ただし、この時点では大山の噴出量の評価が変わった時点であって、さらに、大山が活火山でない、これは、この判断というのは、規制委員会の判断の前にさまざまな機関でそういった判断がされております。さらに言えば、火山灰の層厚に関しても、もとの設置許可の時点で大きな裕度をとった評価がなされていることを考えて、そういった意味で、最も適正で、また、繰り返しますけれども、足元をすくわれない策をとる必要があったというのがこの時点であったというふうに考えております。

本多委員 ありがとうございます。

 私が提案したゼロ案さえあるんですよ。皆さんには、法律で、いきなり停止というのすらあるんです。

 しかし、委員長は、これまでそういう方法を、私、委員長、何でそんなに自信を持って発言するのかといったら、過去の、三・一一以前の、業者から圧力をかけてとか、業者をおもんぱかってというつもりでやっていないところまでは何となくわかってあげたいと思うんですよ。ただ、自分の中で勝手に、共産党の笠井委員への答弁なんかで、何かバックフィットには猶予が要るんだ、猶予がないでいきなりやると結局原子力の安全を阻害するというような変な哲学をお持ちで、その哲学が当たることもあるかもしれないけれども、はっきり言って、火山なんていつ噴火するかわからないんですよ。

 こんな、今回、三・一一の反省を踏まえて大きな改正をして入れた火山の規制の根本のところで、ゼロ案も審議しない、一案を落とすのも秘密会議、これじゃ、全然私は説得力がないんですよ。今後ともこのことをしっかりと議論していきたいと思いますので、姿勢を改めていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 差し迫った危険、即座にとめるような、停止を命じなければならないような危険が認定された場合は、原子力規制委員会はちゅうちょなく原子炉の停止を命じます。

 ですから、先生のおっしゃるような選択肢も、そのときの状態による判断によるものだというふうに考えております。

本多委員 そのことについても、何か、たった、いつもはたくさん火山について資料をつけて、この火山はすぐ噴火しないからすぐはとめないと、まあ、それ自体、私は反対ですけれども、そういう資料がついてくるのに、今回は、活火山じゃないから大丈夫だろうと、たった二行でその判断をしているんですよ。

 だから、このことは大問題ということを申し上げて、私の質問を終わります。

江渡委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 きょうは、副大臣、核燃料サイクルについて話を聞かせてください。

 私は、核燃料サイクルは即刻やめるべきだと思っています。その理由は、経済性の観点、経済性、これが全くないということ。それから、技術的に見ても十分に確立されたものではない。これから技術の確立をしたとしても、実用上、それがきちんと使えるかどうか、この点、非常に問題もある。それからまた、継続性の観点からいっても、核燃料サイクルをやっても、例えば使用済み核燃料の処理、これに資するかといえば、使用済み核燃料の処理にプラスにはならない。

 そういったもろもろのことを考えてみて、私は、核燃料サイクルをやめるべきだ、そう思っているんですが、副大臣、どうお考えでしょうか。

牧原副大臣 政府としましては、これまで逢坂委員からもたびたび専門性の深い御質問をいただいておりますけれども、その際にも繰り返し答弁させていただいたように、核燃料サイクルは継続してやっていくというスタンスでございます。

逢坂委員 核燃料サイクルを継続してやる。

 核燃料サイクルの経済性についてはいかがですか。核燃料サイクルで発電した電気とそれ以外の手法で発電した電気、どっちが高いんですか、どっちが安いんですか。

牧原副大臣 核燃料サイクルコストを含む、原子力の発電のコストという話と、それから核燃料の使用済み燃料を使うという話があると思いますけれども、まず、原子力については、核燃料サイクル費や追加安全対策費なども全て算入した上での試算で、キロワットアワー十・一円以上、そして核燃料サイクル費は一・五円という結果になっているところでございます。そして、これは、使用済み燃料を直接処分する場合より、キロワットアワー当たりでいえば〇・五円はコストが高くなるという試算でございます。

 〇・五円が大きい、小さいという判断はあるかもしれませんけれども、我々としては、高レベル放射性廃棄物の量が減少すること、そして放射能レベルの低減があること、また資源の有効利用ができることなどのメリットがあることから、エネルギー基本計画では核燃料サイクルを推進するという方針を、コスト面も勘案しても維持しているということでございます。

逢坂委員 核燃料サイクルの発電の方が高い、ただ、〇・五円ぐらいしか高くないから、それは問題がないんだというような発言ですけれども、その認識でよろしいんですか。

牧原副大臣 もちろんコストが高いというのは問題で、それ自体は通常は問題でありますけれども、今申し上げたようなメリットもあるということを勘案して、これは推進すべきという立場に立っているということでございます。

逢坂委員 核燃料サイクルによって、どんなメリットがあるのか。一つは、使用済み核燃料、これをもう一度使うことができるんだということがメリットだというふうに説明をよくされることがありますが、これは本当にメリットですか。

牧原副大臣 我が国は資源がございませんので、この使用済みのものをそのまま使用済みとして使わないよりは、この使用済み燃料を使ってサイクルをして、新たに一割から二割の燃料をつくるということはメリットであると考えております。

逢坂委員 それは、原子力発電をどうしてもやり続けなければならないという点においては、そういう見方もできるかもしれませんが、政府の立場は、原子力の使用は極力減らしていくという立場のはずなんですよ。それなのに、何でその使用済み核燃料の使用にこだわるんですか。

 しかも、使用済み核燃料を使わなくても、ウラン燃料の価格は最近下がっている。あえて使用済み燃料を使う必要はない。なぜ使用済み燃料の使用にこだわるんですか。

牧原副大臣 今御指摘にあった再使用できるという面だけではなくて、いずれにしても、高レベル放射性廃棄物というものが出てきているわけでありますけれども、その量を四分の一に減少させることができるということ、それから、高レベル放射性廃棄物の有害度が十万年から八千年までに短くなるということ、こうしたことを勘案をして、今のスタンスを維持しているということであります。

逢坂委員 その観点でいえば、使用済み核燃料をそのまま使わずに置いておくこと、いわゆるワンスルー、それとMOX燃料に再加工して新たな燃料として使う、これはどっちの方が有利なんですか。お金はどっちが有利ですか、どっちが安いんですか。

牧原副大臣 先ほど申し上げたように、コスト自体は、キロワットアワーで見れば〇・五円ぐらい高くなるというふうに試算をさせていただいておりますけれども、しかし、今申し上げたように、コストだけではなくて、高レベル放射性廃棄物、これはどこかに処理しなきゃいけないわけですが、これの量が四分の一に減る、そして、これの有害度が十万年から八千年まで短くなるということ、こういうことを勘案をすれば、推進すべき理由がある、こう考えているわけであります。

逢坂委員 四分の一に減る高レベル放射性廃棄物というのは、一体何なんですか。

牧原副大臣 これは、原子力発電を行えば、必ず高レベル放射性の廃棄物というのが出てくるということになる。それについて、それを単に廃棄物ではなくて、MOX燃料に加工をして再利用をすることができる、こういう話でございます。

逢坂委員 だから、そこで言っている高レベル放射性廃棄物って、一体何なんですか。

牧原副大臣 ガラス固化体のことです。

逢坂委員 ガラス固化体をもう一回MOX燃料にするという答弁を先ほどしていたように聞こえるんですけれども、高レベル放射性廃棄物をもう一回MOX燃料にするという答弁だったと思うんですが、そういう答弁なんですか。全く違うと思いますよ。

牧原副大臣 済みません。どう言ったらいいんでしょうか。使用済みのMOX燃料を、再処理してつくったMOX燃料を、MOX燃料を使用した後に発生するものでありますけれども、それをやると、いわゆる高レベル廃棄物、要するにガラス固化体になるものなんですけれども、それが四分の一になるということであります。

逢坂委員 だから、使用済み核燃料を再処理してMOX燃料を使わない方が何も出ないんですよ。使用済み核燃料をそのままにしておいた方が余計なものは出ないんじゃないですか。使用済み核燃料をMOX燃料にして再発電をすればまた新たな廃棄物が出てくる、そうなりませんか。

牧原副大臣 ですから、そのまま使って出てくる高レベルの廃棄物が、そのMOX燃料をやれば四分の一で済むということになりますので、量は減るということになります。

逢坂委員 今の答弁、私はこれ以上詰める気はありませんけれども、別に副大臣のことを個人的にどうこう思っているわけじゃないので、繰り返して言いますけれども、コストの面からいっても核燃料サイクルは決して有利ではないというのは、例えばアメリカに行ってもドイツに行っても常識だと思いますよ。〇・五円しか違わないからそれは大したことないんだというような認識では、私は後々道を誤ると思いますよ。

 それじゃ、もう一回聞きますけれども、今の使用済み核燃料をそのまま放置をしておく、ワンスルーという方式で保管をすることと、MOX燃料にして、再処理をしてもう一回燃料として使って最終的に使用済み核燃料の問題を解決しようとしたときに、どっちの方がコストは安いんですか。

牧原副大臣 それは、コストだけを考えればワンスルーの方が安いということになりますけれども、先ほどから繰り返しになりますが、結局、出てくる高レベルの廃棄物の体積とか、あるいは高レベル放射性廃棄物の有害度とかを考えると、コストだけではないメリットがあるということであります。

逢坂委員 それじゃ、使用済みMOX燃料の処理方法というのは具体的に決まっているんですか。

牧原副大臣 現時点においては、技術的なことも含めて、研究開発によって技術的課題や解決策についての検討が進んでいるということでありますけれども、日本でもあるいはフランスとかでも試験的に再処理を行った実績もあることですから、この再処理は技術的に十分可能であるというふうに考えております。

 その具体的な方策につきましては、この使用済みMOX燃料の発生状況、そして保管状況、さらには再処理技術の動向、そして関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き研究開発に取り組みつつ、検討を進めていきたいと考えております。

逢坂委員 使用済みMOX燃料の処理方法というのは、実験室的には、技術的には、論理的にはそれは可能だというレベルだと私も承知していますし、事実、幾つか処理をした事例があることも承知しています。

 ただ、実用上の技術としてそれがきちんと実施できるのかどうかということは今の段階ではわからない、そういうものなんじゃないんですか。

牧原副大臣 今委員にも御指摘いただいたとおり、全く試験的にも成功したことがないということではなくて、これまでの研究開発、国内外で試験的にやったことの中で再処理を行った実績がありますので、技術的にも十分可能であるというふうに考えております。

逢坂委員 技術的に可能だと言い切っていいんですね。

牧原副大臣 言い切るというか、我々は、そういう実績も含めて、このことは技術的には十分可能であるというふうには考えております。

 その上で、技術的な検討については、通常の使用済み燃料との性質の違いというのを踏まえる必要があるということは、我々もいろんな技術的な課題があるということは認識をしております。

 例えば、使用済みMOX燃料は通常の使用済み燃料に比べて白金族元素を多く含み、これはガラス溶融炉中で沈殿しやすくて、溶融炉の運転を阻害する原因になるということがわかっております。こういうような課題についても基礎的研究を進めておりまして、こうしたことを一つ一つ取り組んでいければ可能である、こういうふうに考えているわけです。

逢坂委員 使用済みMOX燃料を再加工して新たな燃料にするという工場が日本にはあるんですか。

牧原副大臣 今はありません。

逢坂委員 そういう観点からいうと、きょうは、もう時間もありませんのでこれ以上言いませんが、何もかにも決まっていない、そう言わざるを得ないんじゃないですか。

 使用済みMOX燃料の再処理の方法もまだ技術的には明らかではない。更にまたそれを再加工して新たな燃料にする、サイクルにするためにはそれを新たな燃料にしなければなりませんので。新たな燃料にする工場もない。新たな燃料にするための技術もまだ十分には、実用上の技術としてはまだ見通しも立たない。

 今回、規制委員会が審査を一応了としようとしている六ケ所村の再処理工場、これだって、当初の計画から見てずっと稼働がおくれおくれ、当初の予算よりもどんどんどんどん予算もふえふえ、こういう状況の中ですよ。通常の使用済み核燃料の再処理すらうまくいっていない状況の中で、MOX燃料の再処理まで頭に置いて、これはサイクルであるというようなことを言って、メリットだ、メリットだと言っているのは、少し私はおめでたいんじゃないかと思いますよ。

 どうしてこれをやめられないんですか。メリットなんてほとんどないじゃないですか。いかがですか。

牧原副大臣 委員が御指摘をいただいている点を私たちも十分認識をしているところでございまして、課題は大きいということは事実だ、こう思います。

 他方で、この核燃料サイクルを含んだエネルギーの計画というのは、昭和三十年代から先人たちが我が国に、資源もない、そしてオイルショックなども経験をする、先生の御地元の北海道でも例えば泊原発があったりするわけですけれども、こうしたことが我が国の産業の発展等を支えてきた面もございます。

 その最初の段階から将来的に核燃料サイクルはやっていくんだということで、これまでもさまざまな研究開発を重ねてきて、そして、決して我が国はほかの国においてもこうした技術面で引けをとらない、むしろリードする中にいるわけでございます。

 したがって、先ほど申し上げた、もう既に原子力発電はあるわけですし、そこから使用済みの燃料が出て、そして、今は海外に委託していますけれども、それをMOX燃料に加工してプルサーマルという形で使う、ここまでは完成をしているわけでございまして、これをこの後、国内で再処理をし、そして、MOX燃料に加工をし、国内でそれが回せるようにしていけば海外に委託をすることも済まなくなるし、我が国のエネルギー政策上もこうしたことが重要である、こういうことを考えているわけであります。

逢坂委員 日本のこの分野における技術がすぐれているとか、日本はこの分野が進んでいるという認識はお捨てになった方がいいですよ。六ケ所の再処理工場のモデルってどこか御存じですか。日本国内が独自につくったものではありませんよ。例えばフランスのラ・アーグのような再処理工場、ああいうものを頭に置きながらやっているんじゃないですか。日本の独自の技術なんですか、あれが。この分野で進んでいるなんという認識は私は違っていると思いますよ。この認識は改めた方がいいと思います。

 最後に、この核燃料サイクルから撤退をするというのを決めることができるのは一体誰なんですか、今の法令上の仕組みで。

牧原副大臣 これは仕組みとしてあるわけではありませんで、基本的に核燃料サイクルを進めているのは民間の会社ということになります。それを国もこの大きなエネルギー基本計画の中で支えてきたということでございます。したがって、撤退をするということは全く考えておりませんし、撤退をするのは誰が決めるかというような仮定の質問もお答えをすることができないことになります。

逢坂委員 それじゃ、撤退をするルールがないということですか。民間の事業だけれども、民間がやめると言ってもやめられないんだ、そういう理解でよろしいですか。

牧原副大臣 今のところ、今のところというか、要するに、撤退するということは全く検討の中に入っておりませんので、課題があれば一つ一つそれを検討してやっていくということでございます。

 なので、こういう人が決めれば撤退するというようなことが全く考えられているわけでないということです。

逢坂委員 唖然として何の言葉もございません。終わります。

江渡委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 立国社の会派に所属をしております。

 きょうは、限られた時間でありますけれども、F1、東京電力福島第一原発の廃炉の状況、さらには、可能なら核燃サイクルについて議論したいと思います。

 F1、これはもう、この着実な、かつ安定的な廃炉というのは、福島の復興はもちろんですけれども、日本国にとっても最大の課題、大命題だというふうに思います。この状況をしっかり監視をするというのは、原子力規制委員会の極めて大切な役割だと思いますし、私たち国会議員もしっかり監視をしなきゃいけないと思います。そういうチェックが働かなかったから、あの未曽有の、人類史上初と申し上げてもいい大事故が起きたということだと思いますので、私もできる限り定期的に現場に行ったり、あるいは地元の現場の内部の声も含めて吸い上げる努力をしているところであります。

 せんだってというか、この特別委員会に私も質問に立たせていただいたときに、更田委員長が再三指摘をされてこられた人員不足について、私もそうなのではないかということを申し上げてまいりました。東京電力は、結果としてそれを認めて、九十人、本社から社員を移したということでありまして、私はその点について一定の評価をしたいというふうに思います。

 あわせて、ほかにも実は懸念の声がいろいろと私のところには届いていて、質問通告の紙にも書かせていただきましたけれども、一つは、技術力のあるマンパワーが不足してきているんじゃないかということを指摘する方々が実は結構いるんですね。わかりやすく言うと、東電でも東芝でも日立でも、すごく熟練の技術力のあった人を六十歳でやめさせちゃって、もったいないという周りの声があるんですけれども、実は本当に現場から去っていくということが起きていて、大丈夫なのかという声が私のところには届いています。

 さらに、あわせてもう一つ関連して申し上げると、ゼネコンのプロジェクトには結構予算がつきやすいらしいんですけれども、例えば、別に私、東芝、日立の応援をしているわけじゃないんですが、そういったプラントメーカーのプロジェクトには余り予算がつかないので、どうも現場対応に魅力を感じていないのではないかということが、実際の廃炉現場にいる人たちが心配しているのですけれども、こういった声、ぜひ更田委員長に私届けたいなと思っていたのですが、委員長はどういうふうにお考えでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、三つのことについてお答えをしたいと思います。

 一つは、これは人手不足と先般申し上げたことでありますけれども、人手が足りていないのではないかということに危機感を持っているというふうにお答えをいたしました。そして、現時点でもまだなお安心したわけではありません。

 御質問の中にもありましたように、東京電力は、人材のシフトでありますとか、あるいはOB等の活用といった提案はしておりまして、これが本当にうまく働くかどうかは今後ともしっかり見ていかなきゃならない、本当に人材不足は解消されるのかというのはきっちり見ていかなきゃならないと思っております。

 それから、適材適所といいますか、人材、実力のある人がきちんと配置されているかどうか。これはなかなかに難しいと思いますし、私たちは一定の、それこそ、同じ言葉になりますけれども、危機感を持って臨まなければならないのではないか。

 と申しますのは、産業としてそもそも原子力が、相対的な魅力という点において、技術力の高い人を配置させようとする動機づけを民間企業にきちんとできる状況にあるかというと、これは率直に申し上げてなかなかに難しい状況にあると思いますので、やはり廃炉作業、これを決して、実際としては起こしてしまった災害への対処ではあるんですけれども、技術屋に対しては、後ろ向きだけとは捉えずに、さまざまな技術開発を通じて、魅力あるという言葉はちょっとなかなか使いにくいですけれども、できるだけ技術力の高い方々、また若い方々にチャレンジしていただけるような状況というのは、これは東京電力がまず考えることだと思いますけれども、私たち規制当局としてもこういったところには関心を持たざるを得ないだろうと思っております。

 それから、具体的な固有名詞に関して、私たちは常に関心を持っております。やはり、枢要部署にはふさわしい人についてもらうように、東京電力はこの福島第一原子力発電所の廃炉だけをやっているわけではありませんので、できるだけ東京電力に、ふさわしい人物をこの廃炉作業に配置するように、これはしっかりと見てまいりたいと思います。

 それから、もう既にちょっとお答えしてしまったかもしれませんけれども、人がその作業に加わる上での魅力といったもの、これは政策側、推進側の懸念でもありますでしょうし、また私たちにとっても、先ほど新しい検査制度について御質問がありましたけれども、規制する側にとっても、人材の育成や高い技術を持った人の活用というのは大きな問題でありますので、特にこの東京電力福島第一原子力発電所の廃炉についてはしっかりと見てまいりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

玄葉委員 ありがとうございます。

 更田委員長の言葉の中にあった、チャレンジする、魅力ある廃炉現場というか、そういうことも本当に留意しないと、結局人材が行かなくなっちゃうんじゃないかということを実際に現場にいる人たちから聞くんですね。ぜひこれは、委員長、意識をしていただきたい、そして事業者側と話をしてもらいたいと思っています。

 あわせて、時間がないので別のジャンルのことを一緒に聞いちゃいますけれども、これも耳に入れておきたいのは、やや細かな話のように聞こえるかもしれませんけれども、格納容器ですね。あの三・一一のときのPCVという格納容器、これが少なくとも一定程度守られたということは本当に大きなことだったと思いますけれども、どうも、この格納容器、火災の可能性があるんじゃないかということを心配する向きがあります。ぜひこのことも耳に入れておきたい。

 それはどういうことかというと、窒素ガスの発生器で酸素濃度をコントロールしているんだけれども、その建屋の外からの長い配管でその発生器ができていて、かつ、PCVの中、つまり格納容器の中は通電されていて、モニターもどうも老朽化しているという指摘が私のところに届いていまして、これは委員長の耳にも入れておいた方がいいなということで、この場で申し上げたいと思います。

 あわせて、ジャンルは違いますけれども、ただいまも話になった核燃サイクルの問題ですが、先般、六ケ所の施設を審査をした際に、更田委員長は、経済産業大臣宛ての意見聴取の中で、この六ケ所の再処理施設の運転がエネルギー基本計画に沿ったものであるのかどうか、改めて確認しておきたい、こういうふうにおっしゃっておられて、これはやはり何かしら懸念を感じているからこういうことをおっしゃったのかということをお尋ねをしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、東京電力福島第一原子力発電所。

 格納容器だけに限らず、非常に高い放射性物質がたまっている廃棄物建屋ですとか、そういった建屋について、火災というのは、確かに、先生御指摘のとおり、非常に注意しなければならない高いリスクの一つだというふうに考えております。御指摘ありがとうございます。

 それから、日本原燃再処理施設の審査書案を取りまとめるに当たって、経済産業大臣に対して、エネルギー基本計画にのっとったもの、沿ったものであるかどうかというのを改めてお伺いをしたのは、これは、そもそも、その事業の正当化といいますか、その事業を行うことを正当化するプロセスというのは、規制の前段階として、一番最初の段階としてあるものです。

 再処理施設というのは、使用済み燃料を切断をしますし、通常時にあっても、他の施設に比べると多くの放射性物質を環境に放出をいたします。このような事業が政府の政策としてきちんと正当化されているのかどうかということについて、こういったサイクル施設の、大きなサイクル施設の審査としては規制委員会としては初めてになることですので、改めて経済産業大臣に確認をさせていただくという趣旨で加えた文言でございます。

玄葉委員 もう時間が来たので終わりますけれども、廃炉現場のことは、私は専門外なので、逃げるわけではありませんけれども、更田委員長の方でよくよくチェックをしていただきたいというふうに改めて申し上げたいと思います。

 そして、核燃サイクルは、私は、一言で申し上げると、やはり思考停止になっていると思っているんです、この政策そのものについて。ですから、非常に気になります。

 田中さんという前委員長は、もうはっきり最近はインタビューなどにも答えるようになっていて、明らかに間違っているということをおっしゃって、先ほど逢坂さんとの議論の中で……

江渡委員長 申合せの時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

玄葉委員 はい。荒井さんときちっと連携していますから、心配ありません。迷惑はかけません。

 そういうことがあって、逢坂さんとの議論の中でもありましたように、やはり直接処分の方がよいのではないかという議論があるということでございますので、規制する立場でなかなか言いにくいということだと思いますが、これについて何かしらコメントがあれば最後におっしゃっていただいて、終わりたいと思います。

更田政府特別補佐人 原子力規制委員会設置の際に国会でさまざまな議論が行われたものと承知をしております。

 その中で最も大事な教訓というのが規制と推進の分離でありました。政策側、推進側は規制に介入するべきではない、同時に、規制側は政策側に介入するべきではないと考えております。規制がいたずらに政策側に介入すると、これは政策側からの介入を招いてしまう結果にもなりかねませんので、そういった意味で、規制と推進というものの分離というのは私たちにとって鉄則でありますので、政策についてのコメントを差し上げるのは控えさせていただきます。

玄葉委員 終わります。

江渡委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 立憲民主党の衆議院議員の荒井聰です。

 更田さん、御苦労さまです。本多さんの厳しい質問に誠意を持って答えていただいたというふうに私は思っています。

 規制と推進を分ける。これは、アメリカの規制当局が日本に対してずっと言い続けてきたことなんですよね。日本の原子力政策がどうしてもすっきりいかないというのは、保安院という規制当局が経産省の中、通産省の中にあったということが大きな障害になっているということ、それは世界各国が指摘していたのにかかわらず、日本はそこを分離できなかった。民主党政権になって、あの福島の原発事故が起きて初めて、一緒にしたんですね。

 ところが、もう一つ、原子力政策を、中身を見ていきますと、地方自治体との間で、あるところは物すごく癒着しているし、あるところは非常に火花を散らしているといったようなことが見られます。

 きょう、私は、先ほど玄葉さんが質問をされていましたけれども、玄葉さんの義理のお父さんというのは福島県の知事をやられていた佐藤栄佐久さんでありますけれども、その方が、日本の原子力政策の問題について、さまざまな形で検討を深めれば深めるほど、国との間のさまざまなコンフリクトというか、そういうものが生じてきた。その経緯をこの「知事抹殺」という本の中で克明に書いています。

 今度の関西電力の不祥事についても、地方自治体との間のあれは癒着といった方がいいのかもしれませんけれども、そういうものだと思いますけれども、そのほかに、この福島の佐藤栄佐久知事は、どういうわけか、何かわけのわからない事件に巻き込まれて、収賄罪で起訴され、収賄額ゼロ円というまことに不思議な裁判で知事をやめざるを得ませんでした。そのほかに、新潟の知事も、二代にわたって、何かわけのわからない事件に巻き込まれて、これもまた辞職をしている。

 私は、先ほど岡本さんが汚染水について極めて的確な質問をしていたと思うんですけれども、結果的に、汚染水の処理をどういう形でするに当たっても、地方自治体の全面的な信頼がなければできっこないんだと思うんですよ。

 しかし、この間、特に福島においては、地方自治体、福島県との間の本当の意味の信頼関係というのは、私はできていないんじゃないかと。あれだけの事故を起こしたわけですから、それを払拭するのはなかなか難しいと思うんですけれども、しかし、その努力を電力会社及び国の方は本当に誠意を持ってしているのかということに関しては、私は疑念を抱かざるを得ないんですけれども、このあたり、更田さん、どう思われますか。

更田政府特別補佐人 特に東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業を進めること、さらに、その中でも特に廃棄物をどのように扱っていくかについて、これらのことに関しては、御地元だけではなくて、それぞれの地方自治体との関係というのは、今後の廃炉作業が円滑に進むかどうかということを分ける大きなポイントであるというふうに認識をしております。

荒井委員 今コロナ対策で地方自治体の首長さんが、非常に際立った行政手腕を発揮している知事さんがかなり出てきております。国の方はいささか、がたがたしているというか、スピーディー感に乏しいのに反して地方自治体の方がよくやっているなというふうに思うところがあるんですけれども、その地方自治体の方たちが、この原子力政策についても、随分、いろんなチームをつくったり、勉強会をやって技術力を高めていますよね。その人たちを巻き込んでいかないと、先ほども技術者が少なくなっているんじゃないかという話がありましたけれども、そういう地方で育っている人たちを積極的に原子力政策の中で活用していくということが必要だし、それが効果的だというふうに思います。

 話は全然違いますけれども、私は、あの事故の後、子ども・被災者支援法という法律の立案に携わりました。これは唯一の被災者に対する支援対策の基礎になっている法案です。この法案は、二十ミリシーベルトというのを基準にして避難した方、とどまった方、そういうものを仕分けていったんですけれども、あのときは、二十ミリシーベルトというのは過大過ぎる、もっと下げるべきだということを主張したんですけれども、残念ながら、政権がかわってそのままになってしまっています。

 自主避難した人たちが今どういう生活実態なのかということはずっと悉皆調査をするべきだということを復興庁に言っているんですけれども、どうもそれはできていないようなんです。

 この自主避難した人たちは、生活、経済的にも相当困窮をしている、あるいは、離婚をしたとかそういうような例もあったりしていて、メンタル的にも非常に厳しい状況に置かれている。

 来年で十年ですから、この十年をめどにいろんな対策がどうなったんだという評価が行われると思うんですけれども、そのときに今の政府がこの十年間やってきたことは評価に値するのかどうかということが問われると思うんですけれども、そこはどうでしょうか、復興庁。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

横山副大臣 お答えをいたします。

 来年で発災から十年を迎えることになります。今御指摘のあった避難者の実態につきましては、全国に設置をしております生活再建支援拠点によって相談対応等を通じて把握をしております。生活、住宅、健康など、その相談内容は多岐にわたるわけでありますけれども、さまざまな課題について関係機関と協力をし、解決につながるように努めているところでございます。

 御指摘のあった生活の実態の調査ということでありますけれども、引き続き、福島県、関係団体と連携をして、避難者の実態把握や生活再建の支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 いや、できていないんでしょう、それをやるべきですよ。

 大体一万人近くいるんじゃないかと思うんですけれども、その人たちの実態がどうなっているのか。これは、国策で自分のふるさとを追われた人たちですよ、あるいは、ふるさとの中でも会津とかそういうところで、放射線が少ないところで避難した人たち、仮宿舎にいるだけなんですよね。そういう人たちが今どういう状態になっているのかということを調べるのは、私は国の責務だと思います。

 そこで、そういう人たちから国に対していろんな不満が今積もっていますよね、東京電力が一番大きいですけれども、国に対しても不満を持っています。そういう人たちが訴訟を起こしています。今訴訟の状態というのは一体どういうふうになっていますか。これは経産省だったかな。経産省、参考人が来ておられますよね。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 国が被告となって係属している福島第一原発の損害賠償請求訴訟について御答弁申し上げたいと思います。

 係属している事件の数は合計で八十七件でございます。ただ、事件が併合され、通常は判決が一本で出されるものを一件とカウントした場合には、全体で三十四件が係属してございます。原告の数は総勢で約一万一千人の方が原告となっておられます。

 この三十四件のうち十一件につきましては地裁の判決が出ておりまして、そのうち、国の規制権限不行使の違法性を認め、原告らの請求を一部認容した判決は七件、国の規制権限不行使は違法でないと判示し、原告らの請求を棄却した判決は四件でございます。ただ、いずれの判決も控訴され、未確定となってございます。

 また、残りの二十三件については地裁で係属中ということになってございます。

荒井委員 裁判ですから、しかも被告人は国の方ということですので、厳正な裁判を望むわけです。

 しかし、私はどちらかというと、原告側の方がこの場合非常に苦労している、その人たちに寄り添うような、そういう対応を国はするべきだというふうに思っておりますので、そのことを申し述べたいと思います。

 ところで、汚染水処理、これも汚染水の処理の話はされていましたけれども、汚染水処理の実態について、凍土壁工法をずっと、これは経産省中心なんでしょうか、あるいは官邸が中心なのかもしれませんね、凍土壁工法で対応しているんですけれども、全体としては地下水の浸入水の三分の二しか防げていない。三分の一はじゃあじゃあ入っているんでしょうね。この程度の効果ならば、ほかの土木的な効果、あるいはそういう手法を用いた方が、私は、安定しているし、結果的には安上がりだと思いますよ。凍土壁だと毎日毎日電気代がかかっているわけですから、その電気代を捻出するだけでも、あるいは凍土壁の壁をちゃんと守っていくだけでも相当なメンテナンス経費がかかると思うんですよね。鉄扉で防水、鉄扉というんですか、くい打ちといいますか、そういうもので十分、そのぐらいのものだったらできるんじゃないだろうか、あるいは地下ダムという工法もあります。そういう安定した工法に私は切りかえた方がいいのではないかというふうに思います。

 それから、ALPSの処理水ですけれども、これは風評被害がいつまでたっても私はなくならないと思いますね。それはなぜかというと、政府の間、あるいは東京電力との間に本当の意味の信頼関係がつくれないからですよ。そういう状況の中で、風評被害を超えていくということはできないのではないか。

 新しい技術開発をするなり、あるいは、今の東京電力の外側に、大熊町やあるいは双葉町ですか、そこに人がまだまだ住めない土地があるわけですから、町と打合せをして、そこを買収して貯水槽を構築できるような、そういうことを考える時期なのではないだろうか。今、敷地内でもうためるところがなくなっていると言っていますけれども、それは敷地を拡大すればいいわけですよね。そういうことを考えてはどうだろうかというふうに思いますけれども、この考えはどうですか。規制庁なのかな、それとも経産省かな。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

中野大臣政務官 荒井委員の御質問にお答え申し上げます。

 ALPS処理水の取扱いについて御質問がございました。

 多核種除去設備、いわゆるALPS等で浄化処理しました水の取扱いにつきましては、技術的な観点に加え、風評など社会的な影響も含めた総合的な検討を国の小委員会で行ってきたところであります。約三年にわたる議論の末、二月十日に報告書が公表されたという状況でございます。

 現在、政府として、小委員会の報告書を踏まえ、地元自治体や農林水産関係者を始めとした幅広い関係者の御意見を伺う場を開催をしておりまして、これまで地元関係者や経済、観光、流通に関係する全国団体から貴重な御意見を伺ったところでございます。

 他方、敷地が逼迫する中で汚染水が毎日発生をしていること、実際の処分には準備等に二年程度を要することを踏まえれば、いつまでも方針を決めずに先送りする時間はなくなってきているとも考えております。

 今後、更に幅広い関係者から御意見を承った上で、しっかりと検討を進めまして、政府として責任を持ってALPS処理水の取扱いについて結論を出してまいります。

荒井委員 今の回答の中でも、敷地面積を拡大するとか、あるいは外側に何かをする、そういう考え方はほとんど経産省は持っていないということがわかりましたけれども、私はやるべきだと思いますよ。それが一番現実的なのではないかというふうに思います。

 ところで、ここからは更田委員長にまたお聞きしたいんですけれども、つい先ごろ六ケ所村の再処理工場の審査を終了いたしました。その終了した際に、航空機がぶつかっていく、B5bの審査はされたんでしょうか。

 それから、経産大臣に質問をされています。これなどは今までからいえば異例中の異例のことだと思いますけれども、それだけに委員長には思いがあるんじゃないかと思うんですけれども、そのあたりをお聞かせください。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず一点目ですが、日本原燃株式会社の再処理工場の審査におきましては、航空機の落下、衝突についての審査をしております。またさらに、これに加えて航空機落下に伴う火災についても審査をしているところでございます。

 それから二つ目、これは先ほども御答弁したところではありますけれども、やはり、大きなサイクル施設の審査としては初めてのものになりますので、その正当化という意味を含めて、経済産業大臣に、エネルギー基本計画にのっとっているかどうかの確認をさせていただいたところでございます。

荒井委員 これはまさしく通産省から保安院を分離した、そのことがあって初めてできた話なんだろうというふうに思いますよね。

 ところで、結果的には、核燃料サイクルの是非をきょうも私どもの党の中からさまざまな方が議論を出していたんですけれども、私は、核燃料サイクルはもう限界に来ている、どこかで決断を出す時期だと。本当は九年前のあの事故の後、民主党政権のときに、この核燃料サイクルをやめるべきだという意見が非常に盛り上がって、私などもその議論を主導した一人だったんですけれども、残念ながら、それはそういかなくなりました。

 核燃料サイクルの核は「もんじゅ」と大間の処理施設だったんですけれども、「もんじゅ」はもう廃炉にしましたので、そうすると、この再処理工場をどうするのかということ。どうするかということは、結果的にはプルトニウムの減量をどうするのかということです。今、日本はプルトニウム四十六トンで、国内に多分十トンぐらいあるんだと思うんですけれども、その十トンをどうやって減少させるのか。加えて、今動いている原発から出てくるプルトニウムをどう処理するのか。

 二〇一八年に日米原子力協定が結ばれました。その日米原子力協定の中で、日本はプルトニウムを現状よりもふやさない、そういう約束をしているはずです。そうすると、四十六トンのプルトニウム、現有四十六トンですから、それをふやさないということですから。しかし、六ケ所村のこれを動かせば、更にフル活動すれば年間七トンか八トンぐらい出てくると思うんですけれども、それがどんどん出てくるということになりますので、それは処理するのはもう不可能じゃないか、既存の十トンをMOX燃料を燃やして消費を進めていくというのが精いっぱいである。

 現在、プルサーマルで動かしているのは四基か五基ですよね。そのあたり全体の計画というのは一体どうなっているのか。多分、更田委員長もそのことを通産省に聞きたかったんだろうと思うんです。それについて、通産省、どうお考えですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今、日本が保有しておりますプルトニウムは、今御指摘いただきましたとおり、二〇一八年末時点で約四十五・七トン、約四十六トンになります。

 プルトニウムにつきましては、エネルギー基本計画におきまして、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を持っております。また、そこのエネルギー基本計画の中で、保有量の削減に取り組む、こういうようにもなっているところでございます。したがいまして、実際今あるプルトニウムを燃やしていかなければいけないということでございます。

 今御指摘いただきましたとおり、現時点で動いているプルサーマル炉は高浜原発三、四号機と玄海など四基でございます。これによって、年間二・三トン、プルトニウムを消費できることになります。また、今六基が原子力規制委員会の審査を受けてございます。この六基が仮にプルサーマルにできる状況になりますと、プラス三・七トンとなります。計十基で六トンの消費ができるということになるわけでございます。

 一方で、現時点で事業者が持っておりますプルサーマル利用計画というのがございまして、これは十六基から十八基のプルサーマル炉を持っていくという計画になってございまして、これが稼働しますと年間八・五トンから十トン消費ができるということになるわけでございます。

 では一方で、六ケ所がフルに稼働をいたしますとどれだけのプルトニウムが出てくるかといいますと、これは、竣工してもすぐにはピークの生産はいたしませんが、数年たったところで六・六トンということになってくるわけでございます。

 したがいまして、事業者の持っているプルサーマル利用計画に沿っていけば、生産されるもの以上に消費をし、今あるストックも、時間をかけてということになりますが、消費ができるということになるわけでございます。

荒井委員 私は、その計画自体が非常に非現実的だと思いますね。

 まず、十六基から十八基動かす、今そういう状況じゃないですよね。それから、原発の耐用年数が四十年という限定をしていますから、三十年を超えている原発はたくさんありますよね。あと十年ぐらいで限界に来るということを考えれば、十年間のうちにこの現在持っている四十六トンを消費するのだけでも不可能ですよ。そしてさらに、六ケ所村の使用済み再処理工場を動かせば、そこから出てくるプルトニウムというのは余剰プルトニウムとなって、国際公約を守れないということになると思います。

 先ほど、経産省の副大臣から、価格としてはもはや劣後だという話をされていますから、経済的ではないということはもうわかっているわけですよね。そうするならば、どこかで政治的な決断をする、そういう時期に来ているのではないかということを思います。これをずるずるずるずるやっていけば、担当者も、あるいはそれを担う政治家も、苦労に苦労を重ねるというふうに思います。そのことを申し述べておきます。

 ところで、この著書の中で出てくるんですけれども、一九九九年に福島の第一原発において実際の事故が起きていたのを隠していたという内部告発があったというんですね。その内部告発の内容が、当時の通産省の保安院に内部告発としてなされたんだけれども、そのことが適正に扱われなかったということが出てきます。結果的に、それは公になって、当時の東京電力の社長やあるいは会長まで辞職をせざるを得なかったということが出てくるんですけれども、恐らく事実だったんだろうと思うんです。

 その後、そういう内部告発のような話というのはちゃんと適正に処理されているんでしょうか。この本の中では、この内部告発の中身を、保安院は、東京電力にその告発者の名前も明かして、こういうようなことがあったんだけれどもどうなんだということを聞いたというんですね。それじゃ内部告発にならないですよね。

 内部告発というのは、日本の社会の中では、日本の文化というか社会文化の中では、自分の組織を裏切るみたいな、そんな思いがあって、なかなかうまくいかないところもあるんですけれども、私は、しかし、内部告発がちゃんと機能していれば、いろんな組織が健全化する大きな機能を果たすんだろうと思うんです。

 その意味では、原子力村と言いますけれども、原子力の部門では、そういうものが、いろんなところで事故が起きているんですけれども、その事故が起きるときには必ず何かが起きているはずなんですよね。そういうことが、内部告発の形でちゃんと受けとめていれば、私は相当しのげたんじゃないかと思うんです。

 一番適切なというかどうかわからないんですが、関西電力が、あの事件が何十年も前から行われていた。それは、関係者は恐らく知っていたと思いますよ。多分、内部告発に近いようなことが通産省なりあるいは保安院に行っていたんじゃないかと思うんですけれども、そういう件に関して、最後の質問ですけれども、更田さんにお聞きしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会では、原子力規制委員会発足の当初から、原子力施設安全情報に係る申告制度、いわゆる内部告発を受けとめる制度を運用しております。

 この制度では、事業者と雇用関係にある労働者のほかに、協力企業の労働者等も含めて広く声を受けとめることとしておりまして、また、受け付けた情報提供については、外部の有識者で構成する原子力施設安全情報申告調査委員会を設置し、その監督のもと、申告者の保護に注意を払いつつ、できるだけ早期に処理し、運用状況を公表することとしております。

 現時点での運用状況は、処理中がゼロ件、処理済みが五件となっております。

 また、これは仮にでありますけれども、関西電力の金品授受問題のような告発、申告があった場合には、これは、原子炉等規制法や放射性同位元素等規制法などの守備範囲とするものではありませんけれども、こういった申告があった場合は、事業を所管する省庁等に情報を提供することになろうかと思います。

荒井委員 ありがとうございました。

 本多さんの質問は非常に厳しい質問だったようですけれども、これからも誠意を持って質問にお答えいただくように私からもお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私、北陸信越ブロックというところから選んでいただいておりまして、新潟の柏崎刈羽原発、石川の志賀原発、そして福井の若狭の原発群というものが地元にあります。原子炉の数でいえば、日本の原子炉の約半分が集中するのが私の地域になります。

 今、ここの、関電高浜原発、そして大飯原発の工事が、あるいは定期検査が行われておりまして、これが新型コロナとの関係で地元で大きな不安を呼んでおります。限られた地域に非常に多くの作業員が集中するからであります。

 まず、経産省に確認したいんですが、高浜、大飯、美浜、それぞれの原発で平均何人が働いていらっしゃるでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の各原子力発電所への入構者数につきましては、関西電力から聞いているところ、本年四月の平均値でお答えさせていただきますと、美浜発電所が約三千名、高浜発電所が約四千五百名、大飯発電所が約一千八百名となってございます。

藤野委員 大飯原発は、今後、定期検査が再開したら更に千八百人ふえて合計三千六百人になると聞いております。極めて多数になるわけですね。

 現地の方々からお話を聞いてまいりました。そうしますと、今のチェック体制というのは、入構する、発電所に入る二週間前にチェックシートにいろんなことを記入されるんですが、これは全部自己申告だということであります。第三者がチェックできるのは、この書かれたチェック表と、あと、放射線管理区域に入る際のサーモグラフィー、温度ですね、あれだけと。

 原発構内の作業は、御存じのように三密そのものである。しかも、原発に行くときの、皆さんも御存じだと思うんですけれども、バスも三密ですし、車で行かれる作業員の方もたくさんいらっしゃいます。そういう意味では、そういう問題が内在されているわけですね、原発というのは。実際、新潟では、柏崎刈羽原発で働いている、勤務する社員四人の方が新型コロナ陽性ということで、うち一名の方は御家族にも陽性の方が出られたということが実際に起こっている。

 経産省にお聞きします。これも確認ですが、福井の県外から来ている作業員については、いつ、どこから、何人来ているというふうに、これは詳細に把握されているんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 福井県外から来ている作業員の比率でございますけれども、御指摘の点につきまして、関西電力から、各原子力発電所への事前の入構登録について、登録者の居住地及び入構予定期間を確認しているか、あわせて伺っておりますけれども、県外者の割合は、本年三月末の入構登録者ベースで、美浜発電所が約四割、それから、高浜発電所が約四割、大飯発電所が約五割と聞いているところでございます。

 先ほど御指摘のあった作業員の健康状態は、必ずしも自己申告だけではなくて、健康状態の把握を徹底するために、毎朝、作業責任者が聞き取りを行うといったこと、それから、バスも、運用者の専用バスというものを用意して、専用バスは三密にならない状態で運用者を移動させるとか、又は、入構者に対しては全て検温を実施をして、把握された体調不良者が出てくれば、これは自宅待機を徹底するですとか、ハンドマイクでコミュニケーションをとるといったような形で、三密を最大限下げながらやっているというように報告は受けてございます。

藤野委員 いろんな御努力をされているというのは私も認識しているんですが、やはりそれが追いついていないというのが地元の皆さんの不安の大もとにあるわけですね。

 事前にお聞きしたら、美浜で四割、高浜で四割、大飯で五割の、つまり数千人単位で県外から作業員の方がいらっしゃっているわけですね。この方々が地元で買物をしたり食事をされたりしている姿をもう見ているわけですよね。実際どうなるんだということで、今おっしゃったようなこともあるんですけれども、それ以上に今いろんな問題が地元では心配されている。

 厚労省にお聞きしたいのは、嶺南地域の感染病床数というのは何床あるのか、そして、ホテルのような軽病者対策の施設というのは何床確保されているんでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 福井県では、風評被害等の観点から、新型コロナウイルス感染症に対応可能な個別の医療機関名及び病床数、また地域ごとの病床数について公表していないため、お尋ねの点につきましてはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、福井県全体で申し上げますと、新型コロナウイルス感染症による入院患者の受入れのために確保している病床数として、五月八日現在で百三十一床、また、宿泊療養施設につきまして、これも五月八日現在でありますが、百十五床と承知してございます。

藤野委員 県全体も必要ですけれども、私がお聞きしたのは、何か今、個別のを公表していないとおっしゃいましたが、例えば嶺南地域、小浜市とか敦賀市が市としては大きいんですけれども、それぞれの個別自治体ごとで幾つなのかというのを教えていただけますか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますが、地域ごとの数字につきまして福井県が公表してございませんので、お答えにつきましては、先ほど申し上げたとおり、県全体の数字で御容赦いただければと考えてございます。

藤野委員 私には、事前のレクでは、個別名は挙げませんけれども、十床とか二床とか、そういうレベルなんですね。何千人も作業員はいらっしゃるんだけれども、例えば、そういう大きな市でも、小浜市とか敦賀市とか大きなところでも、十とか二とか、そういう状況ですし、伺ったのは、ある病院では、もともと原発があるところですから、原発の事故が起きた場合の放射線防護、この施設はあるというお話を伺ったんですが、そういうところもあるわけですね。一般論で結構です。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 嶺南地域におきましては、感染症の医療施設が三施設ございます。それで、最低限の数としては、委員御指摘のような数字になるかと思いますが、現時点でコロナに対応する病床として県が確保しているものはそれだけではございませんので、先ほど申し上げたとおり、県全体の数字で、その中で福井県の方で調整を行っていくということで承知しているところでございます。

藤野委員 地元の方が一番心配されているのは、ほかの県でも起きているわけですけれども、複数陽性者が出た場合に、一体どこに、医療機関に入るのか、どういう段取りになっているのかということなんです。

 例えば、原発で作業されていた方で、そこがクラスターになってしまった場合、そういう場合の対応というのは何か方針はお持ちなんですか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の作業員の方で入院を要するような陽性の方が出た場合というお尋ねでございますが、これは、その他の感染者、普通の、原発の作業員以外の方と同様でございますけれども、その感染者の状況に応じまして、都道府県などが入院の調整を行うという形になってございます。

 そういう意味で、もちろん、その近くにあいている病床があればそちらにということになるかもしれませんけれども、一義的には、福井県内におきまして病床を調整するということを福井県が行うということと考えてございます。

藤野委員 ですから、全く人ごとなんですね。

 いわゆる原発は経産省が進めているわけですけれども、その進めているもとで、非常に三密の状態で働かざるを得ないことについて、この新型のコロナの対応については何も省としては方針を持っていない、全て自治体にお任せ、これでは、本当に自治体の不安というのは解消されないと思います。

 九州電力の川内原発というのは、次回の定期検査が実はあしたからなんですね。

 東京電力は、先ほど言ったように四名の陽性者が出たこともあり、原発の再稼働に向けた工事を劇的に減らしました。六百件工事件数があったのが百二十件に減らし、作業員も四千名から千三百名まで減らしたということであります。

 関西電力も、初めは延期しなかったんですけれども、いろんな私どももレクとかをして、地元の方も申入れをして、そういう中で大飯原発三号機の定期検査を延期するという決断をされたんですね。これは一つの決断だと私は思います。

 東海第二原発についても、オンライン署名というのが今広がっておりまして、三密の作業をやめろということで。本当に、やはり地元のどこでもそういう声が広がっているというのが実態であります。

 ところが、この間、九州電力に、本当にやるんですか、やるんですかと何度聞いてもやると言うんですね。東電も関電もやめているのに、九電はあしたから始めると。伺ったところでは、三千名の方が今回の定期検査に携わり、うち県外が約千人に上ると伺っております。

 これは本当にやるんですか。これは規制委員長にお聞きしたいんですけれども、東電とか関電は、コロナ感染拡大防止、これ以上感染拡大させないということで停止とか延期とかしているわけですね、工事数を減らすとか。九電は全くこのままやろうとしているんですけれども、これは何も言わなくていいんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 川内原子力発電所二号機の定期事業者検査の開始時期やその後の検査の工程ですけれども、これはあくまでやはり事業者である九州電力が、作業要員の確保も含めて判断すべきものであろうと考えております。

 ちなみに、九州電力からは、現時点までに、川内原子力発電所二号機の定期事業者検査について延期するとの報告は受けておりませんので、五月二十日、明日に開始するものと承知をしております。

藤野委員 いや、だから、そこが問題なんじゃないかと言っているわけです。東電や関電、もうやめている。

 この間、地元で、関電では、死亡労災事故を始め、労災が相次いでおります。高浜では実に四件、死亡や重傷事故が起きている。この背景には、私は、やはり通常の原発の運転でも三密などで大変なのに、今、再稼働に向けたテロ対策などの工事、そして定期検査、あるいは廃炉作業など、複数の作業が複合的に進行している。これは今まで電力事業者が経験したことのない事情であります。

 つまり、こういういろんな作業や工程が同時並行で進んでいく、こういうオペレーションを今まで電力事業者はやったことがない。そのもとでコロナが起きているということで、やはり本当に大変なもとで、そういう死亡事故を始めとした労災がこの二年間ふえてきているわけですね。

 ですから、こういう新しい新型コロナという知見を得たわけですから、この原発という最も三密な組織における作業、あるいはオペレーション、あるいはチェック体制、こういうものも総合的に見直していく、そういうことが求められているというふうに思います。

 ちょっと時間の関係で先に行きますけれども、これは定期検査だけの問題ではなくて、避難計画の問題も全くこの新型コロナを想定していないといいますか、もともと複合災害という観点は弱いわけですけれども、感染症という部分については、全く今の広域避難計画にも原子力災害対策指針にも書かれておりません。

 ですから、新型コロナに限らず、今後、集団感染というものの予防や発生した場合の対応というものも前もって検討して、前もって避難計画やこういう原子力災害対策指針にも盛り込んでいかなければならないというふうに思うんですが、委員長、この点はどのような御認識でしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 もとより原子力災害を考える場合には、一般の、地震であるとか津波であるとかといった自然災害と重なり合うということを十分に意識をしておかなきゃならない。今回、未曽有の事態でありますけれども、新型コロナの感染症という事態に至って、原子力災害、自然災害、それから感染症の蔓延、重なったときの対処を考えておく必要がある。

 それには、それぞれの特性がありますので、原子力災害に対しては原子力災害対策指針、自然災害に対しては防災基本計画、それから感染症の蔓延に対しては新型コロナウイルス感染症の基本的な対処方針等があります。それぞれがそれぞれの特性に応じた対応についてきちんと検討して定めておくことの重要性と、それから、先生御指摘のように、その間の連携を、重なり合ったときの連携をどうとるかというのは、これは基本的な考え方として重要なことであろうと思います。

 今般、原子力災害対策指針の以前に、地域防災計画の中で、それぞれの、蔓延の状況がどういうインパクトを与えるのか、さらに、どういう考慮を重ねなければならないかということに関しては、確かに、御指摘のように、必要なことであろうと思います。

 現在私が承知しておりますのは、内閣府の原子力防災担当において、避難計画等のさらなる具体化、充実化を念頭に、基本的な方向性について検討を進めているものというふうに聞いているところであります。

藤野委員 複合的な災害を想定したものは必要だということですので、ぜひつくっていただきたいと思います。

 今答弁あったように、内閣府は現在、そうした住民避難などをめぐる新型ウイルス感染症の検討を始めたということを私も認識をしております。そして、なるべく早く検討を進めると言っているそうなんですが、これはもう既に起こっているわけですから急いでいただきたいのと、あと、私は実効性が何よりも大事だと思うんですね。現在の避難計画の実効性、これも本当にあるのかという話があるわけで、それに加えた複合的な災害に対する実効性をどのように確保するかということを今後もしっかりと見ていきたいというふうに思います。

 そして、最後になりますけれども、先ほど荒井委員も、そして逢坂委員も玄葉委員も指摘されましたが、十三日に原子力規制委員会が、六ケ所村の再処理工場について、事業変更許可申請書に関する審査書案を了承した。つまり、基本的な部分はオーケーを出したということであります。

 しかし、もう相次いで指摘もされましたけれども、プルトニウムを再利用するという核燃料政策は行き詰まっているわけですね。ですから、それを再処理しようというこの工場の必要性そのものが問われている状況です。立地から三十五年たって、着工から二十七年たっても未完成。建設費は当初の四倍の約三兆円に達しております。それなのに、肝心かなめの、現在、必要性そのものが大きく揺らいでいるわけです。

 先ほど指摘もありましたが、高速増殖炉「もんじゅ」が、もう政府もやめると、廃炉に取りかかっていると。それにかわるものとして、フランスの実証炉、ASTRIDというのが、日本も計画に参加しようとしていたんですけれども、これも縮小、これも断念とも言われている。

 ですから、委員長にお聞きしたいんですが、再処理工場の必要性がなくなっているわけで、今後、いわゆる詳細設計に当たる設計及び工事の計画の認可とか、あるいは使用前検査というのは予定され、要するに、更に審査は続くわけですけれども、しかし、もう核燃料サイクルは破綻して、必要性そのものがなくなった施設のさらなる審査に、これ以上、人と労力と金とをつぎ込むというのは私はやめるべきじゃないかと思うんですが、この点、どのようにお考えですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 当該施設が必要なものであるか必要なものでないか、これは原子力政策側、推進側の議論であります。

 繰り返しお答えしておりますけれども、規制と推進というのはそれぞれ独立してあるべきであって、政策を左右する手段として規制を使ってはならないというふうに考えております。

藤野委員 そもそも、いわゆる行政手続法では、「遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、」とは書いているんですけれども、それを実際どこまでやるのかというのは書かれていないわけですね。

 ですから、やはり規制と推進の分離ということではなくて、そもそもこれは必要性がなくなっているわけですから、審査するべきじゃないと私は思います。

 複合災害の検討など、やるべきことをやるべきであって、そういうことはやらずに、必要性が失われたものの審査にもう既に六年かけている。これはもう規制委員会の存在意義が問われる事態ですし、この再処理にかかるコストは最終的には電気料金に上乗せをされます。破綻したもののツケを国民に回すのは許されない。

 破綻という事実を見詰めて、認めて、審査もやめるべきだということを主張して、質問を終わります。

江渡委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 本多先生が隣にいらっしゃいますけれども。きょう本多委員が、これは本多さんのやつですよね、いろいろ資料を出して大変失礼なことをおっしゃっていましたが、その大宗はちょっと言いがかりですので、私も相当丁寧にこれを拝見しましたが、そんな、委員会で声を荒げて誹謗中傷するようなことではないと思いますので、委員長、よく我慢していただいて対応していただいていますが、味方も国会にはいるということでぜひ我慢していただきたい、こう思います。

 さて、私が更田委員長にぜひお願いしたいのは、新型コロナなんですね。全く関係ありません。全く関係ありませんが、危機対応という意味では、原子力規制委員会が、あるいは福島第一原発事故を経て日本が蓄積してきたシビアアクシデント、要は危機対応、国の行政がどういうふうに危機対応していくかということについては、私は、原子力で培ってきた危機対応の知見というものが新型コロナにも生かせると思うんですね。危機対応のマネジメントというのは普遍性があると思います。

 だから、私は本当は、新型コロナの諮問会議に誰か福島第一原発事故を十分に精査してきた有識者が一人ぐらい入ってもいい、それぐらいの思いでおりますが。

 更田委員長、いろいろお忙しい中ですが、これだけ大変な事態になっている新型コロナ、一人の国民として、あるいは一人の科学者として、いろいろごらんになっていてお気づきのことがあれば教えていただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先生の御質問の中にあった、いわゆる科学の専門家、科学者と、それから政治家の方々との関係というのは、幾分かの類似点というのは見出し得るだろうというふうには思っております。

 例えば、ある危機に対してどう対処すべきかという具体的な方策に関しては、これは科学者の意見が尊重されるべきであると思いますけれども、一方で、実際に例えば原子力災害の例などをとりますと、放射線を避けるため、被曝を避けるためにとる手段と、それから、その手段そのものが与えてしまう危険性をはかりにかけて、どちらをとるんだというような決断があります。

 科学だけではどうしても届かない領域があり、そして、人を守るための行動を正当化するような最終的な判断というのは、特に原子力の場合は、サイトの外に対する判断については、これは政治の判断によらなければならないところがあるだろうというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに、専門家、新型コロナでも専門家会議が設置をされているわけでありますが、見方によっては、コロナの専門家会議については、報道では、迷走しているんだとか、あるいは独立性がなくて曖昧な組織だとか、いろんな議論がある。あるいは、西浦先生というのがいらっしゃるけれども、西浦の乱とか、いろいろ喧伝をされています。

 私は、科学者、専門家と政治との関係については大変重要なテーマだと思っているし、この原子力問題調査特別委員会が果たし得る役割はあると思っていまして、きょうは、そういう問題意識、原子力は原子力、感染症は感染症といって縦割りで議論する面ももちろんありますが、共通する危機対応マネジメント、こういうことについては政府としても議論していくべきだと思うし、我々国会としてもこれは議論をしていくべきだと指摘をしておきたいと思います。

 さて、きょうはいろんな先生方からも議論が出ました。私もこの委員会でも何度となく、海洋放出、東電福島第一原発事故の原発の処理水の海洋放出に向けていろんな議論をしてきました。ただ、やはり私は、政府の姿勢、これは経産省になるのかな。済みません、いつも。やはりちょっと、ちゃんとやっていないと思いますね。

 実は、事前に、いつもお世話になっている部下の方から資料をちょっといただいていますが、要は、問題は風評被害ですよね。風評被害って何で起こるかといったら、要は、消費者がそれを理解しないから風評被害が起こるわけですよ。漁協は理解していると思いますよ。あるいは地元の人たちは僕は理解していると思う。

 ところが、いただいたんですよ。一体政府は、この風評被害に対する、ALPS処理水や廃炉に係る情報発信、これをどうやってやってきているんですかと聞くと、一応ちょっとメールでいただいていて、いろいろホームページにスペシャルコンテンツを第一弾から第六弾まで載せている。経産省のツイッター、三十万フォロワーぐらいいらっしゃるようですが、ツイッターでいろいろやっています。パンフレット「廃炉の大切な話」、パンフレットをつくっています。

 それから、一番私が違和感あるのは説明会ですね。これが地元への説明会なんです。説明会を、昨年からことしにかけてだけでも、一月十一日から始まって十数回、ことしに入っても、二月の八日、九日、二月十五日、三月以降、いろいろあるのは聞いています。でも、福島の皆様に説明するんじゃないんですよ、私が求めているのは。福島の方々あるいはその風評被害で被害を既にこうむっている、あるいは、これからまた海洋放出するとその被害を懸念されている漁協の皆様ではないと思うんですよ、私は。そうじゃなくて、一般国民にちゃんと説明しないから風評被害が絶えない、こう思いますが、いかがですか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 ALPS処理水の取扱い、先生御指摘のとおり、地元の皆様の不安の払拭というのはもちろんでございますけれども、国内外の理解を得られるように情報発信、説明を重ねることが重要と思っております。

 したがいまして、今も御紹介がありましたけれども、私ども、広く国内外に発信するということで、スペシャルコンテンツという形で、処理水に関する解説の文章あるいは廃炉の進捗に関する動画をSNSあるいはホームページで発信をしております。広く国民の皆様にわかりやすい情報発信に努めていきたいというふうに思っています。

 また、国際社会も大事だと思っておりまして、外務省や農林水産省など関係省庁と連携をして、各国の在京大使館あるいは海外プレス向けの説明会、あるいはIAEAや国際会議での説明の実施、それから、経産省のホームページでの発信も多言語での発信などを行っております。そして、風評被害のもととなります諸外国の輸入規制の撤廃、こういったようなことに向けても働きかけを行っております。

 御指摘のとおり、全国に向けての発信が必要だと思いますので、今行っております意見を伺う場でも、例えば流通の皆様ですとか観光関係の皆様という方々からこの前御意見をお伺いいたしましたけれども、今おっしゃられたような視点を大切にしながら、しっかり情報発信をしていきたいと思っております。

足立委員 ちょうど今の内閣が要は改造したときに、原田前環境大臣がいろいろ問題提起をされた。ところが、その後に小泉大臣が何か逆噴射をされまして、せっかく原田大臣が問題提起してくださったのに、それを何か打ち消すかのような、しようもない、政治家にあるまじき発信をされました。

 その後、小泉環境大臣が一体何の仕事をしているのかよく見えませんが、小泉さんこそ、本当は、発信力を買われて大臣になったんだから、こういう問題はちゃんとやってほしい、こういまだずっと私は思い続けています。

 先ほども、公明党の岡本先生も大変すばらしい質疑をされていました。野党はもうとにかくやめろやめろと、維新以外の野党はね。やめろやめろと言うけれども、彼らは無責任ですから。やはり、責任政党である公明党の岡本先生が中野さんに先ほど質問されていましたが、ああいう議論をもっともっと僕はやるべきだと思いますね。

 先ほど、その際にも、中野政務官がおっしゃっていたように、もうこの夏にも、ああ、岡本さんが言っていたのかな、この夏にも判断しないと、もういっぱいになるんだから、だから、この海洋放出の話は早くちゃんと政治が政治の責任を果たすべきだと指摘をしておきたい、こう思います。

 このトリチウム水ですけれども、もう再三やっていますけれども、小泉大臣が発信してくれないので、また私がここで取り上げますが、ちょうど議論になっている日本原燃の再処理工場、六ケ所村。これは、フル稼働すると年間どの程度のトリチウム水が海洋放出されるんですか。それと、今、福島第一原発に、タンクにたまっている処理水の規模、これをあわせて御答弁いただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 六ケ所再処理工場における年間の最大処理量であります八百トンの使用済み燃料を再処理した場合におけるトリチウムの推定海洋放出量は、約一京八千兆ベクレルと承知してございます。

 一方、もう一点御質問いただきました、福島第一原発に貯蔵されている、いわゆるALPS処理水に含まれるトリチウムは約八百六十兆ベクレルと推計されておりますので、単純計算では二十倍ということになります。

 なお、トリチウムを含む放射性物質の放出による六ケ所再処理工場の敷地外における人体への推定被曝量は最大で年間〇・〇二二ミリシーベルトでございまして、規制基準である年間一ミリシーベルトよりもはるかに低い水準となってございます。

足立委員 今、村瀬部長が御答弁くださったように、二十分の一ですよ。今御答弁いただいた六ケ所村の話は、これは年間ですよね、年間。要は、福島第一原発に係る処理水、タンクにたまっている、何か大問題だといって維新以外の野党が騒いでいる、これは、一年間で海洋放出を全てしても六ケ所村の二十分の一ですよ。何で騒いでいるの。ねえ、岡本先生。

 だから、科学的に、いや、もちろん科学だけでし切れないのもわかりますよ。でも、だから、政府広報というか、ちゃんと小泉大臣が仕事したらいいんじゃないですか。そうやって科学に基づいて政治が政治の責任を果たせば、こんなもの問題じゃないのに、何を、コストをかけて、ばたばた、維新以外の野党にいろいろ勝手なことを言われないといけないのか。

 ちょうど今、復興特委でも福島の話をしています。それも何か、附帯決議で慎重にやれと書いてあるんですよ、附帯決議に、この放出は。それで、僕、今、内閣委の担当の同僚に、ちょっととめろ、その附帯決議と言って今闘っているんですけれども。大体、その附帯決議も、自民党も公明党さんも多分かかわっていると思うんだけれども、これは今調整中です。きょうの夕方までに野党で調整して、与党に投げますから。

 だから、ぜひ与党は、きょうの夕方、復興特委の附帯決議、自民党、公明党、受け取ったら、ぼけと言って、その維新以外の野党が言っているやつをたたき落としてくださいよ。我々は、そうじゃない、早くやれという文章を今投げ込むようにしていますから、ちょうど今やっています。ぜひ、政府・与党もこの点はしっかりとお願いをしたいと思います。

 これはぜひ、この二十倍というのをやはりマスコミも報道した方がいいですよ、なぜしないのかね。マスコミも何か、あれですか、マスコミが立憲民主党とか共産党に気を使うの、裏でつながっているのかな。まあ、やめておきますけれども。

 そういうことで、時間があと五分。

 プルトニウムの話は、これだけは維新以外の野党が言っていることと同感です。政府・与党、ちゃんとやってもらわないとね。とにかく、日経新聞が十三日の社説で、思考停止だといってなじっています、思考停止だと。これは誰に通告しているのかな。一応、経産省に一義的には答えていただける。

 村瀬部長、部長からしたら、それは政治家の問題だと。ちょっと、政府・与党の政治家をなじってください、ちゃんと仕事しろ、俺たちはちゃんとやりたいんだ、でも、政治家が決めないから村瀬部長も苦労しているんだと。政府・与党、しっかりやれと、ちょっと言ってください。同期なので、よろしくお願いします。(発言する者あり)

江渡委員長 不規則発言はやめてください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員よく御存じのとおり、エネルギー基本計画におきまして、サイクル政策は廃棄物の減容化、有害度低減等ということで政府としてしっかり取り組んでいくという方針を持ってございまして、我々としても、思考停止などには陥らないように、現下の状況の変化をしっかり捉えながら、その必要性を常に見直しつつも、しっかりとこのエネルギー計画に沿ってしっかり進めてまいりたいと考えてございます。

足立委員 きょう、一応、プルトニウムのことですから、内閣府にも来ていただいています。

 ちょっともう既に、きょう私が外している間にあったかもしれませんが、一応、内閣府からプルトニウムの現状と見通しみたいなものを紹介してください。よろしくお願いします。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 日本原燃の再処理工場が稼働した場合のプルトニウムの扱いにつきましては、平成三十年七月に原子力委員会において決定いたしました「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」、これにおきましてその取組方針を示しているところでございます。

 この基本的な考え方に基づきまして、再処理等の計画の認可に当たりましては、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ再処理が実施されるよう、経済産業大臣が認可を行うこととなっております。その上で、生産されたMOX燃料が確実に消費されるよう、事業者に経済産業大臣が指導を行い、それを経済産業大臣及び原子力委員会が確認することとしておりまして、プルトニウムの扱い、管理についてしっかり取り組んでいくということになってございます。

足立委員 ありがとうございます。

 村瀬さんはちょっと、同期だからいろいろ申し上げましたが、十時さんは先輩なので、これ以上申し上げないようにしますが。

 ただ、本当に、この原子力は、経産省、私も在籍していたときにも役所を揺るがすような大議論をしてきたテーマです。だから、本件を理由に役所を去った人たちもいたぐらい重たい課題でありますので、私も、ちょっと冗談めかして申し上げましたが、真剣に考えています。考えていますが、やはり、いずれにせよ、これは政治の責任で道を決めていく、つくっていかねばならない、こう覚悟しておりますので。ちょうど齋藤先輩もいらっしゃいます。大体、私が名前を出すと、みんな、頼むから出さないでくれと後で言われるんですが。

 とにかく、自民党、公明党、最近、改めて認識しています、やはり責任政党は自民党、公明党、維新の会だ、こう思っていますので、維新以外の野党はおいておいて、ぜひ自公、維新で頑張ってまいりましょう。よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

江渡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十分散会


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