衆議院

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第4号 令和2年6月16日(火曜日)

会議録本文へ
令和二年六月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 津島  淳君

   理事 中村 裕之君 理事 細田 健一君

   理事 松野 博一君 理事 荒井  聰君

   理事 斉木 武志君 理事 伊佐 進一君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      城内  実君    齋藤  健君

      鈴木 淳司君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    西田 昭二君

      根本 幸典君    野中  厚君

      福山  守君    藤井比早之君

      古田 圭一君    星野 剛士君

      堀井  学君    三原 朝彦君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      簗  和生君    山際大志郎君

      浅野  哲君    菅  直人君

      田嶋  要君    日吉 雄太君

      本多 平直君    松原  仁君

      宮川  伸君    岡本 三成君

      高木美智代君    藤野 保史君

      足立 康史君

    …………………………………

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小山  智君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           千原 由幸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十六日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     冨樫 博之君

  古田 圭一君     谷川 とむ君

  宮澤 博行君     根本 幸典君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     古田 圭一君

  冨樫 博之君     福山  守君

  根本 幸典君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     宮澤 博行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官佐藤暁君、復興庁統括官小山智君、文部科学省大臣官房審議官千原由幸君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官覺道崇文君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君及び環境省環境再生・資源循環局次長森山誠二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西英男君。

大西(英)委員 おはようございます。自民党の大西英男でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。しかも、与党質問としては異例の四十分ものお時間を頂戴をいたしまして、大変心強く思っている次第でございます。

 また、江渡委員長を始め理事の皆様におかれましては、先週、本来はこの委員会が開催される予定でございましたが、きょうに延びたわけでございまして、この間のいわれのなき御努力に心から感謝を申し上げる次第でございます。

 まず、私は、ALPS処理水の問題についてお聞かせをいただきたいと思います。

 これは、過日の委員会においても、我が党の古田議員、公明党の岡本議員からも質問があったわけでございます。それだけ、今、福島原発の最終的な処理、それこそ廃炉にとって大事な課題ではないかと思うわけでありまして、この処理水問題が解決しない限り、最終的な福島原発の復興である廃炉作業に臨めないという、そうした実情であります。

 これにつきまして、まず最初に、この処理水の現状について伺いたいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 まず、ALPS処理水のタンクの容量についてでございますけれども、ことしの末までに約百三十七万立米を確保する計画となっております。現在の貯水量でございますけれども、約百二十一万立米でございます。

 なお、現行のタンクの容量は、二〇二二年の夏ごろには満杯となる見込みでございます。

大西(英)委員 今日まで、この処理水につきましては、さまざまな試行錯誤を積み重ねながら、東電の努力には心から敬意を表していきたいと思うんですね。

 最初は、汚染水がどんどん流れてしまったわけでございますし、台風なんかが来た後は大変な水量が海に流れ込んでしまったわけでありますが、それについて、あらゆる科学的な知見を結集して現在の処理方式を確立して、今日まで来ているわけであります。

 考えてみますと、この九年前、九年ちょうど三カ月ぐらいになるんでしょうかね、未曽有の災害に襲われました。今までの我が日本の原子力に関する知見をはるかに超える大災害であったわけでありまして、それからの九年間、それぞれの関係者が最大限の努力をして今日を迎えてきたわけでありまして、現在、御指摘があったように、処理水はもう限界を超えつつあるわけでございまして、これを一日も早く処理をしていくということが大変大事なことであると思います。

 ALPS処理機構といいましょうか、これによって大半の放射性の物質は除去ができるわけでございますけれども、トリチウムだけは残らざるを得ない、取り除けないという現状がありますね。こうした中で、海外でも同じように原発が、おびただしい原発が稼働しています。そして、この処理水はどのような形で処理をされているのか、汚染水といいましょうかね、これについてお聞かせをいただきたいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘がございましたように、一般的に、海外の原子力発電所において、運転に発生するトリチウムを含む放射性液体廃棄物は、管理をしながら、海洋を始めとした環境中に放出されているというのが事実でございます。

大西(英)委員 そうすると、世界の原子力発電所の処理水については、トリチウムだけはやはり除かれていない。これを除く科学的な方策はまだ見つかっていない。それによって世界各国で何か問題が起きた、あるいはトリチウムによる健康被害が増大したというような情報は、私どもは伺っていないわけであります。

 したがって、我が国のこの福島の処理水の処分については、やはり万全な形で処理を進めて、トリチウムについては、福島県民、そして国民の皆さんの、あるいは世界各国の御理解をいただいて、海洋放水をしていくのがやはりベターなのではないかな。水蒸気化するというような方策もあるようですけれども、これには莫大な費用がかかりますし、年月もかかるわけでありまして、我が国としては、いよいよこの処理水を海洋放出するということについて、県民の皆さん、特に漁民の皆さんの御理解をいただいて、そろそろ決断をしなければならないときではないかと思うんですね。

 この決断は、一東電だとか民間ができるものではありません。政府が責任を持って、この処理水の処分についてタイムスケジュールを示していく。いつまでにどういう対策を講じて、いつから処理水を海洋放水していく、これをもう決めていかなければならないのが政府の責任ではないかと思うんですね。

 処理水の処分のスケジュールについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

松本副大臣 ALPS処理水の取扱いにつきましては、小委員会の報告書を踏まえまして、関係者の御意見を伺う場を開催をしてまいりました。これまで三回開催をしてきたところでありますけれども、地元関係者や農林水産業者、経済、観光、流通に関する全国団体などから貴重な御意見を伺ってきたところであります。引き続き関係者から御意見を伺ってまいりたいと存じます。

 敷地が逼迫する中で、汚染水が毎日発生していることや、また、方針決定から処分実施まで準備に二年程度を要するということを踏まえれば、いつまでも方針を決めずに先送りすることもできない課題であるというふうに認識をしております。

 また、IAEAからは、ALPS処理水の処分方法について、安全性を考慮しつつ、全てのステークホルダーの関与を得ながら、喫緊に決定されるべきとの助言をいただいているところでもあります。

 まずは関係者の御意見をしっかりと伺うことが重要ではありますが、今後のスケジュールにつきまして、今の段階で明確にお示しすることは困難でありますが、いずれにしても、さまざまな関係者の御意見をしっかりと伺いながら検討を進め、政府として責任を持ってこの処理水の処分方法の取扱いにつきまして結論を出していきたいと存じます。

大西(英)委員 松本副大臣も御承知のとおり、タイムリミットはあと二年ぐらいというのがこれは常識的な見方であるわけであります。今の御答弁によって私も勇気づいたわけでありますけれども、そうしたタイムリミットをしっかりと踏まえながら、多くの方々のコンセンサスを得て処理水の処分に当たりたい、そういう政府の不退転の決意を今受けとめさせていただきましたので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 しかし、処理水、どのように科学的な知見に基づいてトリチウムの海洋放水が安全だと言っても、福島県民の気持ちというのは相当厳しいものがあると思います。また、直接利害を受ける漁民の方々のお気持ちというのは想像に余りあるものがあります。

 かつて、あの発災直後、その地域に住むことのできない福島の方々が、全国に親戚を頼る、あるいは多くの人たちが受け入れていただいて、疎開をしていったんですね。そうすると、子供たちが学校へ行くと、放射能が来た、放射能が来たと言っていじめに遭う、あるいは県民の方々も塗炭の苦しみを受けていることは事実でございまして、こういう風評被害、これをできるだけ起こさない、そして、そういうことがないような対策を十分に、万全に整えておくということが今から求められているのではないかと思うんです。そのためには、政府もこうした風評被害が起こらないような十分な対策を続けていただきたいと思うんです。

 私、ちょうど都議会議員の時代、これはもちろん原発事故の前です、福島や新潟の原子力発電所によって首都圏のエネルギーを支えていただいている、そういう消費地の感謝を込めて交流事業を積極的にやっていたんですね。福島県産あるいは新潟県産の農産物を買う、そういった即売をする、そんな形で交流を続け、新潟でかつて地震があったときには、我々都議会議員自身も、家族も、スタッフも、地域の皆さんにも声をかけて、復興復旧のために、暑いさなかでありましたけれども、シャベルを持って泥を家屋から出す、そんな作業もしたことを覚えているわけでありまして、私どもは、そうした福島県民や新潟県民、今原子力によってさまざまな思いを抱いている方々にあらゆる支援を惜しんではならないと思うんですね。

 それこそ、現在でもそうですけれども、国税の五〇%以上は一都三県が生み出しているんですね。偏在是正や何かで、我々一都三県、特に東京は税金の収奪に遭っているわけでありますけれども、五〇%近いものを東京は国税として納めているんですね。それによってあの原発が、最盛期、五十一基動いていたんですね、全国で。これは日本の経済成長の大きな原動力になっていたわけで、そのときに生み出された富は全国にくまなく地方交付税として配られているわけでして、これはやはり、今日の日本の繁栄があるのは、福島原発や新潟原発を始めエネルギー供給地の皆さんの御努力のおかげだということを我々は肝に銘じていかなければいけないと思うんです。

 そういった観点から、風評被害の対策については、十分な、国が責任を持った予算的な措置を講ずるようにお願いをいたしたいと思いますけれども、この風評被害の対策について、心構えを、決意のほどを伺いたいと思います。

松本副大臣 まずは、大西委員がこれまで福島に大変心を寄せていただいていることに対しまして、私も原子力災害現地対策本部長を務めております関係から、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 おっしゃられましたとおり、今、福島は復興の途上にあるわけでありますけれども、まだまだ大変厳しい状況が続いているところでありまして、ぜひ、この問題を日本全国の皆さんに理解をしていただくとともに、今、大西委員から御紹介をいただきましたように、全国から福島を応援をしていく、この流れを引き続き皆様方のお力でおつくりをいただくことは、福島の皆さんにとっても大変大きな力になると思います。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 その上で、ALPS処理水の処分方法につきましてでありますけれども、もちろん、風評被害をまずは生じさせないという決意のもとで我々といたしましては検討を行っていかなければいけないと考えているところでありますが、しかし、どのような処分方法を行っても風評被害が生じ得ることは想定をいたしまして、必要な対策を講じていかなければいけないと考えております。

 ALPS小委員会の報告書におきましても、できる限り風評被害が生じないような形の処分方法を検討していくことが必要である旨が指摘をされているところでありますが、それでもなお風評への被害が生じることを前提といたしまして、被害を最小限に抑えるべく、消費者の懸念や不安の解消のため、情報を正確に伝えるリスクコミュニケーションの取組を行うべき、販路の回復を促進するため、新規販路開拓に資する地元産品の販売スペースの常設化など、風評被害対策を拡充強化していくべき、将来、現時点では想定し得ないことにより風評への影響が生じることも見据え、継続的な対応を行っていくべきであるとしているところであります。

 ALPS小委員会の御指摘をしっかりと受けとめまして、引き続き、さまざまな関係者から御意見を伺い、政府として責任を持って、ALPS処理水の取扱いについて、風評被害対策も含めた結論を出してまいりたいと存じます。

大西(英)委員 ありがとうございます。

 大変力強い御答弁をいただいて、多くの関係者も勇気をいただいているのではないかと思います。

 この風評被害というのは本当に難しいですね。今コロナで日本国じゅう風評被害が広がっています。あんなに不眠不休で命をかけて頑張っている医療関係者に対しても、御近所の皆さんがコロナが来たとかコロナがうつるとか、子供たちが学校へ通えばコロナ、コロナと騒ぐような、そんな厳しい状況もあるようでございまして、これはやはり、人間の世界の中で完全に風評を断ち切るということはできないのかもしれませんけれども。

 私は、マスコミですね、余りマスコミの報道については、まあ、これ以上言うと問題が起きるといけませんから、いろんな考え方を持っておりますけれども、この風評被害の問題についても、今コロナについてはマスコミも積極的に取り上げて、それが風評を広げない、子供たちを守る、医療関係者を守る大きな力になっているわけでして、これは政府の対策として、なかなか難しいですけれども、マスコミの協力も仰いで、しっかりとこれは風評被害をとどめて、そして、福島復興にとって、最終的に、廃炉は大きな課題です、これを克服するためにも、この処理水の処分が円滑に進みますように一層の御努力を心からお願いを申し上げたいと思います。

 次に、原子力発電の重要性というのは、今さら私が申し上げるものでもありません。

 先ほどお話しいたしましたように、一九九八年の時点で五十一基の原発が稼働していました。そしてこれは、エネルギーミックスの中で三六・八%、約四〇%近いエネルギーを生み出していたわけです。そしてその結果、日本は、かつてない高度経済成長の中で世界の経済的なリーダーとして歩み始めていたわけでありまして、まさにその原動力というのは原子力発電所によって生み出された電力によったものだと思うわけであります。

 そうした意味で、今、かつて五十一基動いていたのが、何と、再稼働が認められたのが九基、そして、現在諸事情によって原発はとまっておりまして六基しか動いていないんですね、そして、今審査中というのが十一基あります、設置変更許可も七基あるわけでございます。

 規制委員会の取組、我々、原子力を大事なエネルギーとして促進しろという立場からは、規制委員会は何をやっているんだ、何をやっているんだと言われ、一方で、原発廃止論者からは、更田委員長を始め規制委員会に対して、甘過ぎる、何をやっているんだ、もっと厳しくやれ、こんな声も飛び交っているわけでございまして、更田委員長の日ごろの御努力、心から敬意と感謝を表するわけであります。

 しかし一方で、余りにも遅いんじゃないんですか、この審査過程が。こうした大幅に遅延している再稼働審査の経過と今後の見通しについて、率直に御答弁をいただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 審査は、大前提である安全について判断を行う場であります。このため、実際に現場で直接安全の確保に当たっている申請者との間で十分な議論を行い、共通理解を得るべく納得のいくまで議論をして結論を得ることが重要であるというふうに認識をしております。

 現在、審査に時間を要している発電所につきましては、地震規模の想定や敷地内断層の選定などの審査の過程において、申請者の追加調査、追加検討が必要になり、それらに時間を要しているものであります。これらについては、事業者の対応によるところが大きいと考えております。

 いずれにしましても、審査の時間は、申請者にとってだけではなく、原子力規制委員会にとっても、より効果的、効率的に進むことが望ましいと考えておりまして、引き続き、申請者に的確な対応を求めつつ、原子力規制委員会としても、審査の予見性の確保のための取組や審査体制の強化などによって審査の効率化を図っていきたいというふうに考えております。

大西(英)委員 断層の問題だとか、あるいは特重施設、特定重大事故等対処施設、これについて、電力会社側の対応が手ぬるいというような今御指摘がありましたけれども、果たしてそうでしょうか。

 私たち素人が見ても、例えばこの断層問題というのは、素人だから断定的には言えませんけれども、十数年前の、地震があったかないか、まさに悪魔の証明をしろというような、そんなように私どもも考えざるを得ないような状況があるということは事実ではないかと思うんですね。そして、原発というのは岩盤の上に建設をするわけで、上層地層が撤去されているわけですから、そのかつての地層について証明しろということは、まさに不可能と言ってもいい、悪魔の証明をしろ、こういうことであると言っても言い過ぎではないんじゃないかと思うんですけれども、それが一点。

 もう一つは、特重施設の問題です。航空機によるテロあるいはさまざまなテロ対策、それをしっかりしろということでありまして、これは、例えば九・一一ですか、ニューヨークの旅客機による貿易センタービルに突撃をした、追突をした、ああいうことも含めて、そういうことによっても原発が影響を受けないようにしなさい、そういうことのようです。これは大変なことだと思うんですね。

 そういったときに、例えば、原発敷地内に航空機は旅客機であろうと大型機であろうと入ってこられないようなポールを立てる、そういったことによってもこれは防げるんじゃないかと我々素人考えではするわけで、それこそ金網を張るとかいろんな、笑い事じゃないんですよ、強力な金網を張ればそれは航空機だって入ってこられないわけでして、そんな、笑っている場合じゃない。やはりコストを低く考えなきゃいけませんね、青天井じゃないんですから、こういった施設、対策に対する費用というのは。

 こういった問題について、更田委員長の御見解を伺いたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、断層活動に伴う地盤の変位や地震につきましては、これは原子力発電所の安全性にとって最も守りにくい脅威の一つであると考えており、個別の発電所ごとに敷地内断層による重要施設への影響評価や活断層に起因する地震動評価を求めております。

 この審査の過程において事業者の追加調査や追加検討が必要になり、先ほど申し上げましたように時間を要している発電所もありますが、これらは安全性を判断する上での基礎となるものであり、事業者にしっかりと対応してもらう必要があるというふうに考えております。

 さらに、特定重大事故等対処施設ですが、特定重大事故等対処施設に、私たちは、例えば意図的な航空機衝突等のようなものに対して耐えるような設計を求めています。その設計の詳細、どのような形で守るかという設計は、これは事業者自身の設計によるものであります。

 さらに、その設置期限については、東京電力福島第一原子力発電所事故の重要な教訓である継続的な安全性向上を目指す上で設定したものであります。

 その上で、共通的な技術課題については、関係する事業者を集めて議論するなど審査の効率化を図っているところであります。

 いずれにしましても、原子力規制委員会としては、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、審査において妥協はせず、十分な議論を行い、厳正な判断を下すことが重要であると認識をしているところであります。

大西(英)委員 断層の問題については、私は専門家ではないですけれども、議論は避けますが、我々一般国民にも理解ができるように今後とも御検討をお願いをさせていただきたいと思います。

 そして、特重施設の問題ですけれども、これは一事業者あるいは一規制委員会で解決できるものではありません。国の責任において、例えば、今は警察官の関与しか許されていないわけですけれども、自衛隊がこうした原発をしっかり守り得るような、そうした法改正もこれは必要じゃないかと思うんですね。あらゆる角度から、原発の安全性のために政府の一層の努力をお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、これは更田委員長にとっては聞くにたえない言葉かもしれませんけれども、私どもから見ると、今、原発をとめるための規制委員会じゃないかというような感想を持っているんです。私は、原発を安全に稼働させるための規制委員会として国民の信頼を集めていただきたいなと思うんですね。

 御承知のように、今いろんな脱原発の議論がされています。そして、再生可能エネルギーによって私どものエネルギーが十分満たされるものであれば、私も、ほとんどの国民はそれを選ぶんではないかと思いますけれども、先日の我が古田委員ですかの質問や何かにつきましても、結局、安定的に供給できるエネルギーというのは、風力である、太陽であるといっても、なかなか二十四時間対応することができない、やはりベースロード電源が必要であるということは全ての人たちが理解をしているわけで、それを、今原子力がどんどん低下することによって化石燃料による発電に重きが置かれてきているわけです。

 これについてもいろいろな問題が出てきています。CO2の増大、そしてコストの増大、あるいはエネルギー安全保障の観点からも、これらの化石燃料は全てと言っていいほど輸入に頼っているわけですから、日本のエネルギー安全保障力を不安定にしていることは事実であります。

 こうした中で、原発の再稼働が一日も早く望まれているところでありまして、更田委員長、もちろん安全性が第一です、しかし、今後、そうした意味で、日本の経済を守るために、あるいは日本の経済を前に推し進めるためのエネルギーとして、原子力の再稼働についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に対する厳しい反省を踏まえて設置をされたこの原子力規制委員会の設置の目的の中の最も大事なものの一つが、原子力利用の推進と規制の分離であるというふうに考えております。

 また、原子力規制委員会は、その組織理念として、何物にもとらわれず、科学的、技術的な見地から独立して意思決定を行うことを掲げており、引き続き厳正かつ着実に規制を進めてまいりたいというふうに考えております。

大西(英)委員 なかなか規制委員長として再稼働を促進しますということは言えないと思いますけれども、お心の内では、日本人として、日本経済を前に推し進める意味で、原子力発電の重要性については十分御理解をいただいていることと認識をさせていただきたいと思います。

 どうぞ、今後とも、大変な大きな責任を負っておられるわけでございますけれども、頑張っていただきたいと思います。

 次に、原発のあり方を含めて、今後のエネルギー政策についてお尋ねをいたしたいと思います。

 日本は、不幸なことに、福島原発の事故によって原発はほとんど休止をせざるを得ないような状況にありますけれども、世界各国は、チェルノブイリだとかこの福島の原発の事故、こういったことを踏まえても、更に原発を増設しよう、そしてそれを基幹エネルギーとしてこれからも推進していこう、そういった姿勢で臨んでいるわけでありまして、原発を稼働中の世界各国の動向について教えていただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問いただきましたとおり、ドイツや韓国など一部の国では脱原発ということで方針が掲げられている一方で、気候変動問題やエネルギー安全保障などの観点から、多くの国が原発を現在活用している、若しくは今後活用していく方針を掲げているものと承知してございます。

 例えば、現在利用している国といたしましては、アメリカ、フランス、中国、ロシア、インド、カナダといったような二十カ国を超える国で活用が進められており、アメリカでは九十五基、百基近い原発が運転をしている。それから、フランスも五十七基、中国も四十八基、ロシアも三十八基といったような形で利用が進められているところでございます。

 また、現在は利用していないけれども将来的に利用していくということで、例えばアラブ首長国連邦など中東の国、それからアジアの国を含めまして、これまで原子力を利用していなかった国においても、今後、原発建設や原発利用に向けた具体的取組、検討を進めている国があるということでございます。

大西(英)委員 世界の潮流として、原発を基幹エネルギーとしてこれからも進めていこうという計画は一向に変化はない、そのように今お聞かせをいただきましたが、先進国の中では、一国、ドイツがチェルノブイリの原発事故を契機にし、福島原発が拍車をかけて、原発廃止の政策を打ち出しました。二〇二二年までには全ての原発を廃止しようという方針で今進んでいるようでありますけれども、今ドイツ国内ではCO2がどんどん増大している。結局、自然再生エネルギーではなくて、化石燃料に頼らざるを得ないような状況がますます進んでいる。

 そうした中で、先進国として、CO2の減少について責任を果たせていない、これに対して多くの疑問が出されているわけであります。

 電力コストも大変増大をしていて、これが家庭や企業のエネルギー使用について、やはり大きな危機的な要素を深めていると聞いているわけでございます。

 脱石炭か脱原発か、こんな極端な論議もドイツの国内で論議をされていると伺っておりますけれども、ドイツの脱原発の状況についてお聞かせをいただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ドイツでは脱原発が進められておりまして、二〇二二年までに全ての原子力発電所を閉鎖する予定ということになってございます。

 それと同時に、再生可能エネルギーの導入拡大が進められておりまして、再生可能エネルギーの導入は実際拡大をしてきているというような状況でございます。

 他方、その中でさまざまな課題に直面しているものも事実あると承知してございます。

 例えば、具体的には、再エネ導入に伴う負担によりまして、特に家庭用の電気料金が国際的に高水準となっているということでございまして、これは、IEAのデータをもとに見ますと、キロワットアワー当たり日本が大体二十七円、ある前提を置いていますけれども、に比べまして、ドイツは四十円といった形で、料金が国際的に高水準となっているというような実態がある。

 それから、再生可能エネルギーは増加しているんですけれども、石炭火力の発電所への依存度が低下をしておりませんで、この火力発電から出るCO2の排出によりまして、ドイツ全体で見ますと、CO2の排出量が低減していない。例えば、二〇一七年と比べますと、二〇一七年レベルの時点で見ますと、二〇〇九年と同じ水準のCO2を排出しているといったことで、再生可能エネルギーが入っているのにCO2が減らせていないといったような課題もあるというふうに承知してございます。

 こういった課題について、今どういう方向で取り組んでいくのかということで国内でも議論がされているものと承知してございます。

大西(英)委員 今後、エネルギーミックスの問題につきましても、とりわけ、原子力発電が今後どうしていくかというのが大きな議論になっていくんだと思うんです。

 既に今稼働している原発も更新せざるを得ない、あるいは新造原発をつくらざるを得ない、そういうような現実も目の前に見えてきているわけでありまして、今後のエネルギー政策において原子力発電をどうしていくのかは、日本の国運を担う重大な問題ではないかと思うんですね。

 今コロナで騒がれています。そして、コロナによって、多くのステイホームによって、デジタル化の中で電力消費もどんどんふえています。そして、子供たち、小中学生についても、文科省の英断によってタブレットを全てに配付する作業が続いているわけでありまして、これによる電力消費量の増大も大変なことがあります。そして、小中学校の冷房化、これも着々と今全国レベルで進んでいるわけでありまして、電力の消費量というのはこれからどんどん増大をしていくと思うんですね。

 そうした中で、私は、原子力は安全でなければいけないことはもとよりですけれども、スリーE、そしてワンSを確保しながら、世界一安全な原子力政策を今後とも勇気を持って進めていくのが我が国の行く末にとって大事なことではないかと思うんです。

 松本副大臣、副大臣は若くして今、経済産業政策のリーダーとして御活躍でありますし、我々同じ東京都選出ですから、これから日本の政治のリーダーとして御活躍をいただく上で大きな期待を抱かせていただいているわけでございまして、原子力問題、ひとつ、今後とも勇気を持ってお進めをいただきますようにお願いをしながら、お考え、決意の一端を伺いたいと思います。

松本副大臣 資源が乏しい日本におきましては、単一の完璧なエネルギー源がない現状を考えますと、再エネ、天然ガス、原子力などの多様なエネルギー源をバランスよく活用することが大変重要であると考えております。

 再生可能エネルギーにつきましては、これは主力電源化に向けまして、コスト低減の加速や長期安定的な事業運営の確保、系統制約の克服、出力変動の調整に用いる蓄電池のコスト低減などに取り組ませていただいております。

 他方で、安定的かつ安価な電気の供給や気候変動問題などを踏まえれば、責任あるエネルギー政策を実行するためには原子力は欠かすことができないというのが現在の政府の考え方であります。

 そのため、まずは二〇三〇年のエネルギーミックスにおける原子力比率二〇から二二%の実現に向けまして、安全を最優先とした再稼働を進めていくことが必要であると考えております。

 こうした中で、これまで九基の原子力発電所が再稼働し、更に七基が原子力規制委員会から新規制基準に適合すると認められているところでありまして、政府として、引き続き、安全確保を大前提とした上で、地元の御理解を得、また、避難計画の策定などを支援をしつつ原子力発電所の再稼働を着実に進めてまいりたいと思います。

 また、先ほど気候の話もありましたけれども、パリ協定を踏まえまして、二〇五〇年に向けて温室効果ガス八割削減に向けた対応を行うということにしているわけでありますが、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求していく必要があると考えております。

 そのため、原子力分野におきまして、人材、技術、産業基盤の強化に着手をし、安全性、経済性、機動性にすぐれた炉の追求やバックエンド問題の解決に向けた技術開発を進めてまいります。

 こうした取組を通じて、責任あるエネルギー政策を進めてまいりたいと存じます。

大西(英)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

江渡委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、冒頭取り上げたいのは、福島に関する報道について一件取り上げたいと思います。

 皆さんのお手元に資料をお配りしているかと思いますが、「福島原発の避難指示、未除染でも解除へ 国の責務に例外」というふうに書かれています。その中の記事で、「政府関係者によると、経済産業、環境、復興の三省庁は、除染抜きでも解除できるようにすることで一致。近く原子力規制委員会に未除染で解除した場合の安全性について諮る。」という報道がなされました、先日の話でありますが。

 これは、そのままぱっとタイトルだけ見ると、除染もせずに避難指示を解除しようとしているのか、国はとるべき責任をとろうとしていないんじゃないか、こういう印象を受けるような記事、報道でありました。

 まず、この記事の内容について、事実関係を確認したいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 先日報道がありました特定復興再生拠点区域外についてでございます。

 これにつきましては、昨年十二月に閣議決定された基本方針において、地域の実情や土地活用の意向や動向、地方公共団体の要望等を踏まえ、避難指示解除に向けた今後の政策の方向性について検討を進めることとされております。

 こうした中で、具体的な土地活用の意向として、飯舘村から、ふるさととのつながりの象徴となる復興公園を拠点区域外に整備し、折に触れて住民が訪れることができるよう避難指示を解除してほしいとの御要望をいただいております。

 加えて、先日、与党の復興加速化本部から、地元が要望する拠点区域外の土地活用実現に向けて、地元の強い意向がある場合には、住民の安全の確保を前提として、現状の制度等にとらわれず、拠点区域外の避難指示解除を可能にする仕組みを構築するよう申入れがございました。

 これらを踏まえ、地元の御意見、御要望を丁寧に伺いながら、避難指示解除要件の見直しも含め、今後しっかりと検討をしてまいります。

伊佐委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっているのは、復興再生拠点外の話だということですね。

 つまり、もともと福島特措法の中で六町村というのを定めて、避難指示が継続しているいわゆる帰還困難区域、この市街地については復興再生拠点というふうに指定をして、市街地ですから皆さん帰還されたいという思いもある。こういうところについては、解除の要件として三つあって、年間積算線量二十ミリシーベルト以下、あるいは、必要な生活インフラが整う、住民との協議、この三つなわけですが、これは拠点の話であって、この記事は拠点区域外の話。

 つまり、山間の地域で、人もある意味戻らない地域。ただ、二十ミリシーベルトを既に下回っているところもあるので、こういう地域については、どうせ人は戻らないんだから、生活インフラというのは関係ないだろうということで、生活インフラまでは求めないと。

 ただ、二十ミリシーベルトを下回っているところというのは、そういうところで、結構あるということでよろしいんでしたっけ。

須藤政府参考人 今お尋ねがございました復興拠点区域外での線量で二十ミリシーベルトを下回っているところがあるかということでございますけれども、原子力規制委員会がことし二月に公表いたしました航空機モニタリングの測定結果によれば、御指摘のとおり、拠点区域外においても、空間線量率から推定される年間積算線量が二十ミリシーベルトを下回る地域が存在してございます。

 なお、今回、土地活用の御要望がありました飯舘村の長泥地区においては、空間線量率から推定される年間積算線量は、おおむね二十ミリシーベルトを下回ると承知してございます。

伊佐委員 おおむね二十ミリシーベルトを既に下回っているという点で、しかも人が戻らないんだから別に生活インフラまでは必要ない。これは、復興再生拠点であったら人が戻るので生活インフラは必要ですが、ここは生活インフラは別に要らないでしょうという地元からの要望があった、それを受けて与党の方でも復興加速化本部で政府に申入れをした、現在検討中というのが事実関係です。

 今この記事をぱっと見ると、何か危険なままでもう解除しようとしている、しかも国は責任放棄しようとしているというふうな印象を受けるので、こうなると、また福島の皆さんが風評被害を受けてしまうというふうに思っております。

 そういう意味もあるので、これは、そういう風評被害にならないというために、私はあえて国会で、この場で取り上げさせていただきました。

 次に、核燃料サイクルについて伺いたいと思います。

 というのは、先日、前回のこの国会の審議、まさしくこの原子力特別委員会の場で、牧原副大臣も来ていただいて、委員の方と議論がありました。つまり、ワンスルーか再処理か、一回燃やしたごみをそのまま埋めて捨てるのか、それとも一回再処理するかという議論でした。

 少しこの場で客観的な事実を確認していきたい。この委員の皆さんは恐らく知っていらっしゃると思いますが、国民の皆さんに材料を示していくという観点で深掘りをしていきたいと思います。

 まず、コスト面。

 直接処分の方が安い、核燃料サイクルをする、再処理をするよりも直接処分の方が安い、それが一キロワットアワー当たり〇・五円違う、〇・五円再処理の方が高くつく、これを大きいと見るか小さいと見るかというのが前回の委員会での議論だったと思います。

 じゃ、そもそもこの〇・五円という差が何円のうちの〇・五円かというところが大事じゃないか。

 お伺いしたいのは、原発一キロワットアワー当たり、直接処分なら何円で、再処理なら何円で、参考までに、その他のエネルギー、石油、太陽光、風力、水力と比較してどうなのかということを伺いたいと思います。

覺道政府参考人 お答えをさせていただきます。

 まず、現在の発電コストの試算でございますけれども、二〇一五年に、経産省の総合資源エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループにおきまして、資本費、運転維持費、政策経費、社会的費用など全ての費用を含めて、建設から廃止まで、モデルプラントを用いて、それぞれの電源におけるライフサイクルのコストを計算したものでございます。

 その結果、二〇一四年のモデルプラントでの試算では、これは、原子力については使用済み燃料の再処理を行う核燃料サイクルを前提とした試算のみでございますけれども、原子力はキロワットアワー当たり十・一円以上でございます。また、石油火力は三十・六円から四十三・四円、太陽光は二十四・二円、風力は二十一・六円、水力は十一・〇円となってございます。

 原子力の発電コスト、先ほど申しましたキロワットアワー十・一円以上のうち核燃料サイクルのコストは一・五円、こういう結果になってございます。

 それで、先ほど〇・五円の差というお話がございましたけれども、直接処分をする場合のコストというのは、今申し上げた試算ではやってございませんで、二〇一一年の内閣府の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会における試算において一・〇円という試算がされているということでございます。

 したがいまして、先ほど申し上げた二〇一五年の経産省の試算の一・五円と、今申し上げた一・〇円の比較で〇・五円ということでございますが、原子力全体としては十・一円という数字でございます。

伊佐委員 直接処分だと一・〇円、核燃料サイクルだと一・五円、結構、一・五倍も違うじゃないかというような印象なんですが、実は原子力全体では大体十円かかるんです。十円の中の〇・五円というのが正しいところだと思います。

 その他、太陽光二十四円とか風力二十一円とかという話もありました。もちろん太陽光だって、太陽光パネルの値段も価格も違いますし、あるいは日照時間によっても大分これは前提条件で変わってくると思いますが、少なくとも大体の規模感というのはこういうことだと。この十円の中で〇・五円というのを大きいと見るか小さいと見るかというところが、この直接処分か再処理か。〇・五円高いんですが、じゃ、その〇・五円を上回るぐらいメリットがあるのかどうかということだと思います。

 そこで、ごみの話、高レベル放射性廃棄物がどれぐらいになるかということですが、よくこれは、ワンススルーで直接処分すると一です、ところが、再処理で回すとごみが四分の一になりますということですが、前回のこの委員会での指摘では、いやいやいや、再処理したらまたごみが出るじゃないか、またどうせ余計なごみが出るじゃないかという話でした。

 今、日本にある使用済み核燃料というのは全部で一万九千トンございます。再処理というのは、この一万九千トンの中からウランとプルトニウムを取り出すというのが再処理です。そうすると、残りがごみで、これが高レベル放射性廃棄物。FPとかMAと言われる、フィッションプロダクツとかマイナーアクチニドと言われる黒い液体が出てきます。これをガラスで固めて捨てる、ガラス固化体にすると、このごみが四分の一だ、直接捨てるのが一だということになります。

 いやいや、じゃ、ごみで、黒い水でガラス固化体四分の一だけれども、ウランとプルトニウムはどうせあるでしょう、これがどうなのかという話です。これは、最終的に、だから高レベル放射性廃棄物となり得るものがこの輪の中にあるじゃないかということなんですが。

 じゃ、お伺いします。この取り出したウランとプルトニウムはどうなるんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 取り出しましたウランやプルトニウムはいわゆる燃える燃料でございますので、取り出しましたウランとプルトニウムを混合酸化物粉末、いわゆるMOX粉末にいたしまして、これに二酸化ウラン粉末をまぜましてMOX燃料という新しい、新燃料の材料にするわけでございます。このMOX燃料をつくった上で新しい燃料を原子力発電所で利用するということでございますので、またその利用したものから使用済み燃料が出てきて、そのものの中からまた使えるものを取り出していくというものが核燃料サイクルでございます。

 その結果、ウランとプルトニウムを有効利用することで、新たに一、二割の燃料をつくることが、もともとのものと比較した約一、二割に相当する燃料をつくることができるというふうに考えてございます。

伊佐委員 今、経産省から一、二割という話がありました。これは、つまり、ごみというか、ごみから再処理してウラン、プルトニウムが出てくるんですが、このうち使えるのは、実際、一割がMOX燃料になる、一割強が回収ウラン、ウランとしてまた使える、残り八割がどこに行くかというと、これは劣化ウランとかになっていく。つまり、八割は実は低レベルの廃棄物になるんです、高レベルじゃなくなるんです。二割がそのまま使えるものとして残る。

 だから、さっき申し上げたように、直接処分だったら、ウランとかプルトニウムを含めていろんなものがまじっているのでごみとして捨てるのが一億九千万トン今あるということなんですが、これを再処理すれば、千九百万トン、一割のMOX燃料と、二千万トン少しぐらいの新しいウランに変わる、その過程で出るのは劣化ウランなどの低レベルの廃棄物ということになります。

 だから、そういう意味で、同じ発電量当たりでごみは四分の一になる。しかも、無害化されるまでの期間というのも、直接捨てれば十万年ですが、ガラス固化体は八千年になるということです。

 さらに、前の議論であったのは、いやいや、じゃ、もちろん、このMOX燃料を燃やすと、新しく再処理してできたこれを燃やすと、結局新しいごみが出るじゃないか、余計なごみが出るじゃないか、新しくつくったMOX燃料のごみですね、それはそのとおりです。新しく回せば、何度回したとしても最後は同じ量が出るんです。ただ、最後は同じ量が出るんですが、そのサイクルで回る途中は常に一じゃなくて四分の一になる。つまり、ごみの出る速度が落ちるということだと私は理解をしております。

 また、この瞬間に、じゃ、原子力を全部やめれば出ないじゃないか、余計なごみも、これもそのとおりなんですが、ただ、一定程度恐らく依存度を下げるにしても、この原発を稼働させる必要がもしあるのであるとすれば、この一億九千万トンのごみをこのままにしておくよりも多少でも減らした方がいいんじゃないかということだと、経産省、今ので理解、よろしかったですね、いいですかね。

村瀬政府参考人 委員御指摘のとおり、コストはサイクルを回した方が〇・五円高いというわけですけれども、資源の再利用、有効活用という観点と有害度の低減といったような観点から、サイクル政策を進めていくという方針でいるわけでございます。

伊佐委員 さらに、じゃ、出てきた、MOX燃料として再処理をしたそのごみ、使用済みのMOX燃料、これが果たして、再処理してつくったMOX燃料を燃やした、使用済みのMOX燃料を再処理できるのかどうか、技術的にできるのかどうかというやりとりも前回ありました。

 今、日本にはMOX燃料を燃やす炉というのは四基あります。この四基、MOX燃料を燃やす炉から出たごみ、使用済みMOX燃料を再度再処理してまた燃料をつくれるかどうかという点です。

 ここは技術的にどうかという議論ですが、これは技術的に可能だというふうに言い切っていいのかどうか、確認したいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みMOX燃料の再処理につきましては、使用済みMOX燃料を我が国では約三十トン、フランスでも約七十トン、試験的に再処理をした実績がございます。

 これまでの研究結果を踏まえても、また、今申し上げたように我が国及び海外での実績があるということを踏まえましても、再処理は技術的には可能であるというふうに承知してございます。

伊佐委員 技術的には可能である、実績もあるということでした。

 しかも、使用済みのMOX燃料というのは次に再処理しようと思うと、十五年間冷やさなきゃいけないので、いずれにしても、今すぐ必要というものではありません。しっかりと時間をかけて、しっかりとした安全性を担保しながら、使用済みのMOX燃料の再処理工場というのは取り組む時間的余裕があるというふうに思っております。

 じゃ、国際社会はどう向き合っているかですが、原子力を有する国でこの核燃料サイクルを進めている国はどういう国があるか、伺いたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、核燃料サイクルを進めることとしている国といたしましては、我が国以外にフランス、ロシア、中国、インドがございます。

伊佐委員 ちなみに、じゃ、核燃料サイクルを使用していない、つまり直接処分をしている国はどういう国がありますか。

村瀬政府参考人 例えば、北欧の国、スウェーデン、フィンランドといったような国がございます。

伊佐委員 私もいろいろ調べさせていただいて、この直接処分をしている国、さっきおっしゃったスウェーデン、フィンランド、こういうところは処分地が既に決まっています。最終処分地が決まっている国。あるいは韓国も直接処分ですが、ここはそもそも原子力協定上、再処理はできません、プルトニウムを持つことができない。

 アメリカはやめたじゃないかと。アメリカは再処理をやめて今直接処分になっています。これはカーター政権のときと伺っていますが、でもアメリカは高速炉開発を今やっているんです。二〇二五年末までに多目的試験炉の運転を開始する。高速炉を開始するということはサイクルがないとできません。だから、ある意味、将来的に再処理に戻っていく可能性も私は十分にあるというふうに思っております。

 この核燃料サイクルをする上で、今ずっとMOXの再処理の話ばかりしてきましたが、もし高速炉だったらごみは更に少なくなる、七分の一になる。有害度も三百年。三百年であれば、人類がコントロールできる、可能なレベルまで落ちてくるんじゃないかと思いますが、各国、高速炉開発を今進めておりますが、今の日本の高速炉開発の現状について確認させてください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日本におきましては、「もんじゅ」の廃炉が決まっておりますけれども、高速炉開発につきましては、二〇一八年の十二月に高速炉開発の戦略ロードマップというものを策定をしているところでございます。

 現在、この戦略ロードマップに基づいて取組を進めているところでございますが、このロードマップの中におきましては、当面五年間程度は、これまで「もんじゅ」などで培った技術、人材を最大限活用し、民間によるイノベーションの活用による多様な技術間競争を促進し、その後は、採用する可能性のある技術の絞り込みを行った上で、工程を具体化していくという方針になってございます。

 現在、JAEAなどにおきまして、シミュレーションツールなどの共通基盤技術の開発ですとか、これまでの知見をデータベース化するなどの取組を進めているところでございます。

 経産省におきましては、民間による多様な高速炉概念のフィージビリティースタディーなどを支援しているところでございます。

 また、この戦略ロードマップでは、フランスやアメリカなどと二国間及び多国間でのネットワークを活用した国際協力を活用しながら高速炉開発を進めるということにしてございまして、フランスとは二〇一九年の六月に新たな取決めに署名をしたところでございまして、ことしから、この取決めに基づきましてシミュレーションや実験に焦点を当てた協力を進めているところでございます。

 また、先ほど御指摘いただきましたアメリカとの関係では、二〇一九年六月にナトリウム冷却高速炉の試験炉であります多目的試験炉、VTRの開発協力に関する覚書に署名をしたところでございまして、現在、具体的な協力内容について実務レベルでの協議を実施しているところでございます。

 このロードマップに基づきまして、今後も高速炉開発を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

伊佐委員 ありがとうございました。

 きょうは、原子力核燃料サイクルについて取り上げさせていただきました。

 もう時間になりましたので、最後に一点だけお願いをすると、今原子力災害が起こったときに、コロナの影響下での原子力災害、防災をどうするかというところをしっかりと国も支援していただきたいというふうに思います。

 というのは、避難所を密にできないので、普通、放射性物質の被曝を避けるために原子力事故が起こったら窓を閉めるんですが、コロナの場合は逆に換気が重要とか、結構、相矛盾するところもありますので、ぜひ国の方からさまざまこの原子力防災についての支援をよろしくお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 内閣府佐藤大臣官房審議官、時間になっています、手短にお願いしたいと思います。

佐藤(暁)政府参考人 手短にお答えいたします。

 御指摘の状況下におきましては、各地域の原子力の緊急時対応等に基づく防護措置と新型インフルエンザなどの特別対策措置法に基づく行動計画による感染防止の対策を可能な限り両立させて、感染症流行下での原子力災害対策に万全を期することとしておりまして、こうした考え方につきましては関係道府県にも認識を共有しておりまして、今後、避難計画などを含む緊急時対応の取りまとめや改定の際に反映させることも含め、各地域の原子力防災体制のさらなる改善に努めてまいりたいと思います。

 以上です。

伊佐委員 終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 きょうは、地元静岡県の浜岡原発について、特にコロナの影響下における作業についてお伺いをいたします。

 まず、このコロナによってかなり作業自体にも影響が出ているのかなと思いますが、実際に浜岡原発で作業員に感染者が出たという話は聞いておりません。

 しかし、コロナの第二波を懸念される中において、今後多数の作業員に感染者が出た場合、いろいろなグループに分けてシフトをしいたりしているかと思いますけれども、その複数のチームにおいて感染者が出た、こういったような場合にどのように対応していくのか、まず教えてください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 中部電力など電気事業者は、新型インフルエンザ等対策特措法に基づく指定公共機関とされているところでございます。この指定公共機関というのは、新型コロナウイルス感染症の発生時においても安全を確保しつつ電気の安定的な供給に必要な業務を継続するため、業務計画を作成し、インフラを守り、ライフラインを維持するという責務を負った機関として位置づけられているわけでございます。

 したがいまして、この指定公共機関、ライフラインを預かる指定公共機関が策定した業務計画に基づいて中部電力は対応を実施しているという状況でございます。

 その中身でございますけれども、新型コロナが国内発生のおそれが生じた段階から、検温を含めた体調管理の徹底ですとか感染疑いのある従業員の隔離など、感染防止対策を徹底するとともに、仮に感染が拡大した場合でも、社内で四〇%程度の欠勤が想定される状況となった場合においても、発電所の運転監視、それから緊急時対応等の重要業務を継続できる要員体制を確保する、こういうことになってございます。

 これに基づきまして、浜岡原子力発電所においても、本業務計画を踏まえまして、例えば、運転監視や緊急時対応要員について、グループ分けをいたしましてそれを細分化し、同時に多発の要員が感染するリスクを回避するとともに、感染者発生時の交代要員を多重に確保するなど、具体的な対策を実行してきたものと承知してございます。

 こうした対策により、委員から御指摘いただきましたとおり、同発電所で新型コロナウイルスの罹患者は確認されておらず、また、重要業務の継続にも現時点で問題は生じていないと承知しておりますけれども、引き続き、中部電力に対してこの業務計画を踏まえた適切な業務実施を求めていきたいと考えてございます。

日吉委員 今、四〇%を想定した対応をされているということなんですけれども、仮に四〇%を超えた方が感染するような事態があったときにはどのように対応するのか。何か策はあるんでしょうか。

村瀬政府参考人 この業務計画に基づきましては、四〇%程度の欠勤が想定される事態にならないような対応を徹底していくということになってございますので、今申し上げたような指定公共機関としてライフラインを預かっている事業者として、そういう事態が起きないように徹底した対策を講じていくということと理解してございます。

日吉委員 四〇%を超えるようなことがないような対策をするということで、仮に超えた場合には現時点では対応策がない、こういうふうに理解をいたしました。

 次に、作業の内容なんですけれども、不要不急とよく言われますが、不要な作業はないと思いますけれども、不急な作業と今やらなければならない作業というのがあると思うんですけれども、どのような形でこれを切り分けて適切に対応されているのか、御説明ください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 中部電力浜岡原子力発電所におきましては、本年一月以降、新型インフルエンザ等特措法に基づく業務計画に基づきまして、国内外の感染状況ですとか政府、自治体の方針を踏まえまして感染防止対策を実施しているところでございます。

 こうした中で、四月十三日からは、事務作業に従事する職員の在宅勤務の徹底ですとか延期可能な点検作業の先送りなどにより、社員の出勤抑制を行ったというように聞いてございます。

 その後、政府の緊急事態宣言が解除され、また、発電所で新型コロナウイルスの罹患者が確認されていないという状況を踏まえまして、六月一日からは、引き続き感染防止対策を徹底した上で、在宅勤務ですとかフレックスタイムといった取組により、こうした取組も積極的に活用し、通常の業務内容に戻す中で、できる限りの業務の、作業の抑制を図っているというように承知しているところでございます。

 なお、こうした対応に当たっては、地元自治体に業務の状況ですとか感染防止対策等を説明し、御理解を得つつ進めているというように聞いてございまして、経産省といたしましては、引き続き、中部電力に対し、感染防止対策を徹底するとともに、地元にしっかりと御説明し、御理解を得ながら適切に業務を進めるよう求めていきたいと考えてございます。

日吉委員 次に、災害というのはいろいろなものが重なると思います。コロナの感染だけではなくて、そこに地震という大事故が発生した、このような複合的な状況が発生したときにどのように浜岡原発は対応するのか。その計画、対応を教えていただけますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 まず、停止中の原子炉においては、使用済み燃料の冷却が進んでおります。特に、浜岡原子力発電所のような長期間停止中の原子炉においては、長期間にわたってこの冷却が継続しておりますので、燃料から発生する発熱量は既に小さなものとなっています。

 このため、先生のおっしゃるような地震、津波、あるいはテロのような行為によって使用済み燃料が置かれている燃料プールが壊れるというような事態になった場合であっても、いわゆる事故が起きたときに必要な措置をとるための期間というのは、冷却が進んでいることにより、非常に長い時間、したがいまして時間的な余裕が十分にあります。

 その上で、緊急時における事業者の対応につきましては、浜岡原子力発電所も含めて、新型コロナウイルスへの感染防止対策を実施しながらも、原子力災害対策活動を行うための緊急時の措置として、要員や資機材の配備、そういった拡大防止を図るための措置を進めているところでございます。

日吉委員 時間的余裕があるというお話ではございますけれども、想定していないことというのがいろいろ起きることがあると思います。

 津波があって燃料プールにある燃料が拡散してしまったというようなことも考えられますし、そういった状況において、実際にどのように地元の住民が適切に避難をしていくことができるのか、そして、それは、コロナで感染者がもしもすごい多数の方が発生しているようなときに、かなり混乱しているようなときにどのように対応できるのか、防災という避難計画の観点から説明をいただけますでしょうか。

佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。

 浜岡原子力発電所に起因する原子力災害、複合災害も含めてですけれども、これに対しましては、基本的に、関係自治体の作成しております地域防災計画、避難計画や原子力災害対策指針に基づき、避難や屋内退避などの防護措置を実施することとなっております。

 その際、今般の新型コロナウイルス感染症などの感染症流行下にある場合は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく行動計画などによる感染防止策を実行することも重要でございます。放射線に対する防護措置と感染防止対策を可能な限り両立させてまいりたいと思っています。

 具体的には、避難などの過程及び避難先などにおける感染拡大を防ぐため、避難所、避難車両等における感染者とそれ以外の者との分離、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いなどの手指衛生などの感染対策を実施することとなっております。

 このような対応の考え方につきましては、静岡県を始めとして関係自治体とも認識を共有しているところでございます。

 今後、地域防災計画、避難計画の充実化などに向けて、地域原子力防災協議会、こういったものの枠組みのもと、地域の実情を熟知している関係自治体と一体となって、原子力防災体制のさらなる改善に努めてまいりたいと思っております。

日吉委員 時間が参りましたので終わりますが、想定外のことが起きる、そして、いろいろな混乱をしている中で適切に対応ができるようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。

 私も、日吉委員に続いて、原子力発電所のコロナ対策について伺いたいと思います。

 経産委員会でも取り上げさせていただいたんですが、先月の八日に、福井県のおおい町にあります関西電力大飯発電所におきまして、大飯三号機の定期検査が予定をされておりました。連休前の四月二十四日に、関西電力の文能所長がおおい町議会を訪れまして、五月八日、まあ、四月二十四日というのは内閣で緊急事態宣言を出しておりました、人間接触八割減ということを政府として国民に求めていた、その段階で、大飯発電所に千八百人作業員を増員して、定検は予定どおり、ゴールデンウイーク明け直後からやらせてもらうということを発言をいたしまして、私は地元の方から非常に多く御懸念の声をいただきました。

 当時、嶺南地域には十五基の原子力発電所が存在をしておりますが、感染者は一人しか出ておりませんでした。今も出ておりません。いわゆるセーフゾーン、クリーンゾーンです。そこに千八百人の作業員を増員し、うち九百人が県外から訪れる。三カ月間にわたって、北海道や大阪、九州などから、実家、自宅と行き来しながら、クリーンゾーンで、関西電力が三密のきわみと言われる原子炉建屋内を含めて定検を行う。

 これに対して、新しいクラスター、まさに集団感染が大飯発電所を中心にして、付近の民宿も巻き込んで発生してしまうんじゃないか、やめてくれという声が非常に多く私のもとにも寄せられまして、私、初めてですけれども、質問主意書も内閣に提出をさせていただきまして、四月三十日に提出をさせていただきました。幸いなことに、五月一日、翌日には、関西電力が、当面三カ月程度延期するということを発表に至ったわけでございます。

 ちょっとこれは政府にお聞きしたいんですけれども、なぜ、そもそも、内閣として、八割人間接触を削減しろと言っているさなかに、関西電力さんはここまでこだわって定検を実施しようとしたのか。私の質問主意書の翌日には、三カ月延期を発表したわけです。だったら、最初から三カ月程度延期すると。SARSは、夏の紫外線、そして高温多湿によって終息したという例もございます。

 五月に実施するよりも、夏まで待って、この梅雨の時期を乗り越えたら、もっとコロナは終息傾向に向かっているんじゃないかということは容易に想像できたわけでございます。そんな中に、何で、あえてリスクを冒して、関西電力さんはスケジュールどおり五月からの実施ということにこだわったのか。御所見、伺えますでしょうか。

牧原副大臣 御質問ありがとうございます。

 基本的には関西電力が判断したことでございますので、政府としては関西電力から聞いていることになりますけれども。

 今、四つの原発、大飯の三、四、高浜の三、四が動いていて、そのうち高浜の三、これは今停止中であるという状況の中、三つが動いているという状況なんですが、夏というのは非常に電力の需要が大きくなり、また秋にもかけて電力の需要が大きいときに、バランスのとれた電源構成でやっていきたい。その中において、本年秋には高浜の四、それから大飯の四、これが順次定期入りをして運転を停止することになるため、ここに定期検査が集中するということ。

 そして、今申し上げたように、需要の高まる夏において大飯の発電所の三号機が稼働するようにしたいということで、五月八日から七月までの段階に大飯の三号機の方は定期検査を終えて、夏のときには、そして秋にはこの大飯の三号機が稼働している、こういうようにしたいと考えていたというふうに聞いております。

斉木委員 今の御説明でちょっと腑に落ちないんですね。

 三カ月延期できたわけです。ですので、その分、地元住民からは、関電さんは、要は、三カ月延期することによって、火力のたき増し代とか燃料費、自社の利益が一番優先であって、コロナのリスクということを軽く考えていたのではないのかという疑問が立地地域の住民の方からは数多く私のもとに寄せられておるんです。

 利益優先、要するに金勘定ですね、そういったものを、自社のスケジュールと利益ありきで、五月、緊急事態宣言下に、町議会で予定どおりの実施を宣言するような強硬な姿勢につながったのかなということを地元の住民は心配しておるんですが、それは利益優先ではないということでしょうか。

牧原副大臣 少なくとも、私たちは関西電力からは、バランスのとれた電源を確保して、また、さっき申し上げたように、ほかの原子力発電所の、あるいは原子力発電所のほかの号機の定期検査時期を考慮して、新型コロナウイルスの感染防止を徹底してやりたいと考えてはいたけれども、委員御指摘のとおり、四月二十四日のおおい町議会においてそういう意向を説明したところ、先生が御指摘のように、大変御懸念の声があったということを真摯に受けとめて、五月一日には定期検査の実施を二、三カ月延期をするということを決めたというふうに聞いているところであります。

 利益優先だったかどうかというのは別として、もともとの、オリジナルの、さっき申し上げた、バランスのとれた、そしてほかの原子力発電所の定期検査の時期を考えて、そういう意向を持っていたけれども、説明したところ地元から大変御懸念の声があったので、それを受けてずらすことにした、こういう経緯であるというふうに理解しています。

斉木委員 私、四月二十九日でしたかね、資源エネルギー庁の職員の方をお呼びして申し上げたことと同じなんですが、資源エネルギー庁そして政府が、原子力を再稼働、推進したいことはもうよくわかっている、嶺南で、十五基あるところで今後も原子力事業を推進していきたいのであれば、絶対に今回はやめておけと強く申し上げました。クラスターが出てしまったら、要するにこれは、地域にコロナを持ち込んだまさに元凶として未来永劫にわたって関西電力は指弾されるわけです。そういうリスクをわかっているのかと。それでもわかっていなかったので、私は質問主意書を初めてですけれども提出をさせていただいた。

 それだけ地域の住民の声、懸念は強いということを、ぜひ資源エネルギー庁にも内閣にもわかっていただきたい。

 これは、私へ、関電の下請の方からもメールが入りましたよ。私は立場が弱いから関電には直接言えないけれども、先生、とめてくれ、関電を、建屋に入りたくないというんですよ。

 建屋自体、格納容器は特にですけれども、セシウム等の放射性物質を外に漏らさないために穴という穴を塞いでありますよね。多分、日本でも一番三密の空間です。おおいの民宿からバスで通勤するわけですよ。バスも三密です、窓をあけると言いましたけれどもね。民宿だって、個室で食事をとれるような構造にはなっていません。食堂で皆さんで食事をとる。

 こういった空間の構成を考えても、どうしたって一人出ればばっと広まるんじゃないか。下請作業員、下請会社からも入りたくないなんていう声が出るのは、まさにこれは、関西電力側と地域住民や地域協力会社とのコミュニケーションが全くなっていなかった、懸念を全く会社が吸い上げていなかったということの証左ですので、ぜひこれは強く、内閣そして資源エネルギー庁からも、もっと地域とのコミュニケーションをとれと。今大事な時期じゃないですか。金品受領問題からの立ち直り、新経営陣がスタートしたばかりです。

 こういった地域の声と向き合う姿勢というのをぜひ指導していただきたいんですけれども、副大臣からも御所見を伺えますか。

牧原副大臣 委員御指摘のとおり、経済産業省としては、電力会社が地元の皆様の声に真摯に耳を傾け、そして、そのことに対応していくということは極めて重要だというふうに思っておりますので、そうした先生御懸念のようなことがあるのであれば、やはり地域の皆様により一層真摯に耳を傾けていくことを求めていきたい、こう思っております。

斉木委員 この関西電力をめぐっては、きのう大きな動きがございました。

 臨時監査役会が昨日開催をされまして、岩根社長や八木元会長を始めとした金品受領問題にかかわった旧経営陣を提訴するということを監査役会で決定をし、きょうあすじゅうの提訴を目指しているということは、もう既に全国紙の報道でも各社報道しているところでございます。

 この問題に関して伺いたいんですけれども、およそ報道によりますと、今回の提訴金額、弁護士による調査費用など八億円を加えて十九億円超を八木氏や岩根氏を始めとした旧経営陣に関西電力として求めていくということなんですけれども、私、これは関西電力の失地回復のチャンスだと思っておりまして、ぜひ取り戻した金は国民に還元するということを宣言すべきだと思うんです。

 当然、八億円、これは但木さんをトップとする第三者委員会の調査経費、そして訴訟費用、かかりますよ。ただし、豊松副社長が月収四百九十万円です。皆さん、月収四百九十万ですよ、年収七千万。しかも、退職したエグゼクティブフェローに、金沢国税局に支払うべき追徴課税、本人が森山さんから袖の下をやっていた分、追徴課税を受けたお金、そして、東電の事故を受けて、福島原発の事故を受けて減額されていた役員報酬まで裏でこっそりと渡していた。百万から二百万のお金を上乗せされて、年収七千万の好待遇の退職役員をやっていた。これはとんでもない。総理大臣より高い報酬ですから。

 こういった袖の下は、全てこれは当時の関西電力地域にお住まいの電力利用者に結局付加されていたんですよ。関西電力には通貨発行権はありません。日本銀行券という通貨を発行できない以上は、どこかで豊松さんに損失補填した分、八木さんや岩根さんが森山栄治元助役から受け取っていた分、これは工事単価に反映されていますのでね。塩浜工業、吉田開発など指名停止を受けた業者がありますけれども、そういった業者が関電プラントから不当に高いお金で所内の工事を受け取っていた。これは全て、結局、関西地域の、大阪のおかんが電力料金として負担しているわけです、豊松さんが遊ぶお金を。

 これは、訴訟して豊松さんや八木さんや岩根さんから取り戻したんだったら、全部私に返してよ、それが関西地域の住民の率直な声だと思うんですが、訴訟で勝ったら、取り戻したら、関西地域の国民に還元しますよということを、関電、今言うチャンスだと思うんですよ。

 政府として、これを指導する、しっかりと、これは結局国民負担になったんだから、訴訟費用を除いて、役員から取り戻したお金は全部国民に還元しますよ、これぐらいの姿勢を見せるべきじゃないですか。政府としての御所見を伺います。

牧原副大臣 先生が御指摘の訴訟、これが起きたばかりであるということは我々も報道では承知をしておりますけれども、今後、その結果としてどういう金銭を得るか、あるいは得たかというのはまだ仮定の話でございますし、また、関西電力自身がさまざまなステークホルダーとの関係を踏まえて判断をするというふうに考えておりますので、政府として私の方からコメントすることは、済みません、差し控えさせていただきたいと思います。

斉木委員 私、その答弁は非常に残念だなと思います。

 私、経産委員会でも、電事法の、電気事業法の一部改正案、非常に重要な法案が審議をされました。電取、電力・ガス取引監視等委員会の外出し強化も提案、これは修正案を立国社として、また共産党さん、維新の会さんも賛成に回っていただいて、野党全員の総意をもって提出をさせていただいた。

 非常に、この国は電力行政というものが結局電力会社を守る電気事業法になっているけれども、一条の目的規定にある電力の利用者の保護というのは五十年間おざなりになっていたというのが、今回の関西電力の一連の金品受領問題、これを見ると、国民不在の大餅つき大会だったというのが明らかになったわけじゃないですか。

 ですので、そこで得た餅、お金、そういったものは、会社が取り戻したら、当然、国民に付加した五十年分、当時電力料を払った方はもう存命でないかもしれないけれども、国民に還元するんだよ、電力事業者よりもまず第一位は国民だという形に電力行政を立て直す契機だと思うんですよ、この訴訟というのは。

 ですので、当然、その取り得た、司法の判断に政府が口を挟むべきじゃないし、また、取り戻した果実である金銭、これをどう配るかは電力会社の勝手です。ただし、それを所管している経産大臣を始めとした経済産業省の責として、これは国民にしっかり還元をするんだよという姿勢を示していく、国民に寄り添った電力行政に変えるよというメッセージを発する絶好の好機だと思うんですよ。そういった御認識はおありですか。

牧原副大臣 先生おっしゃったように、電力料金についてはどうあるべきかというのは、国民の皆様の観点から大変重要だと思っております。

 その意味で、電気事業法では、電力会社に一定の水準を超える超過利潤が蓄積している場合というのは、経済産業大臣が規制料金の見直しを命ずることができるとされておりますので、関西電力にどの程度の値下げ余地があるのかということについては、継続的に確認をしていくこととしたいと思っております。

斉木委員 超過利潤というよりも、昔、総括原価のころは、発電会社も総括原価をやっていたころは、要するに、鉛筆をなめて数字を操作すれば、通産省に出す数字を操作すれば、百億でも二百億でもつくれたわけじゃないですか。そういった時代から、この森山さんや浜田倫三町長に対する九億円の出資、個人口座への送金ですよ、こういうむちゃくちゃなお金の流れが行われてきた。ツケは結局国民なんですよ、払わされたのは。そういう認識をぜひ内閣にも資源エネルギー庁にも持っていただきたい。

 私、非常に疑念を持っておるのが、電力・ガス取引監視等委員会のパンフレットがありますが、梶山経産大臣、代表番号が経産省にあったら垂れ込みが来ない、内部通報も来ない、今回も来なかった、だからそれから変えた方がいいと言ったら、シールだけ張りかえてきましたよ、番号。中身は一緒です。これじゃだめです。

 だから、法案の改正案を盛らせていただきました。ノーリターンルール。原子力安全・保安院はなぜ独立させたか。ノーリターンルールを伴って今の規制庁をつくったわけでしょう。同じ職員が同じ釜の飯を食った同期を処分できないでしょう。

 ですので、人事で一旦外に出たら、経産省に戻りたいな、甘い点数をつけて今回の業務改善命令のミスもなかったものにしようとか、電取と経産省がネゴシエーションしたらだめなんですよ。同じフロアにあって、番号だけ変えて、同じ経産省の職員が全て担っている、やはりこういったものではだめだから、今の規制庁のように、ノーリターンルールで、出たら戻ってこない、人事考課も別だ、国民の側に立って活躍した方が、あなた昇進できますよという人事制度に変えたらいかがですか。

牧原副大臣 委員からもたびたび御指摘がありますように、電取委については、今のノーリターンルールのあり方も含めて、既に大臣からも先生の御指摘も含めてお答えをさせていただいているとおり、今回の事案を踏まえつつ、電取委が果たしてきたこれまでの役割、問題点、そして今後の役割を含めて、総括、検討、評価をしていきたいというふうに考えております。

斉木委員 問題は関電だけじゃないんです。今月だと思いますけれども、東電管内でも、顧客との会話を、録音データ、これを改ざんして、捏造していたということが明らかになってまいりました。失った契約を取り戻すためですけれどもね。

 こういった形で、電力会社と消費者、また電力会社の中での不祥事、関電の内部不祥事に至っては監査役会があったんですよ。監視機関があったのに、外に公表しないとみんなでネゴシエーションしていたんですよ。これじゃ、会社に任せていたら、絶対、未来永劫、この不祥事は出てきませんよ。結局、共同通信の独自報道によって明らかになったんです。

 監査役会があったって出てこないこの不祥事をどうやって明らかにするか。これはエネルギーの担当の副大臣としてどう責任をお考えですか。やはり電取の強化というのは必須だと私は思うんですが。

牧原副大臣 電力会社が、委員御指摘のように、高い公共性を持って国民生活に直結しているということは間違いないことでございますので、こうした利用者、国民の皆さんから不信を持たれないように事業を適切に運営をしていくということは極めて重要であるというふうに考えております。

 関西電力については、業務改善計画を出して、そして、そこに取組をするということを言っていますので、こうしたことを速やかに実行し、組織に根づかせることが何よりも重要であり、経済産業省としてもしっかり監督していきたいと思っておりますし、ほかの電力会社についても、そうした信頼性をきちんと確保するかどうかについてしっかりと監督をしていきたい、こう思っています。

斉木委員 重要な問題ですので、今後も、当委員会また経産委員会等を通じてしっかりと御提言と監視を申し上げていくことをお誓い申し上げまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立国社の宮川伸でございます。

 きょうは六ケ所村の再処理工場の問題について、副大臣と議論したいと思います。

 前回の本委員会で、我が党の逢坂委員の方から、核燃料サイクルのコストに関して、サイクルを回すよりもワンスルーで、そのまま今のものを処理した方が安いだろうと。副大臣の方も、コストに関して、核燃料サイクル、再処理をすると高くなるということをお認めになっていたと思います。先ほども、伊佐議員との議論で、〇・五円、安いか高いかということがありますが、私は、〇・五円、十分に大きな負荷になっているというふうに思います。

 六ケ所の再処理工場を動かしていく上で、国民負担、電気料金が上がるのになぜ動かす必要があるのか、副大臣、もう一度御説明をいただけますでしょうか。

牧原副大臣 委員御指摘のとおり、キロワットアワー当たりのコストの差が〇・五円高くなるということは事実でございますけれども、核燃料サイクルをやることによって、発生する高レベル放射性廃棄物の量を四分の一に減少し、必要となる最終処分場の面積を減少させる可能性があるということ、それから、高レベル放射性廃棄物の有害度が天然ウラン並みに低減するまでにかかる期間を十万年から八千年と約十分の一に短縮をできるということ、それから、使用済み燃料を再利用して新たに一割から二割の燃料をつくることができるという特徴があって、こういうことを総合的に勘案すれば、コストを上回るメリットがあるというふうに考えているところでございます。

宮川委員 もう少しその部分をきょうは突っ込んでお話をしたいと思います。

 お配りの資料の1に今おっしゃっていたもののまとめがあるわけでありますけれども、まず、体積が四分の一になるというのが、先ほどもちょっと議論がありましたが、私は、四分の一になるというのは不正確だというふうに思っています。しっかり本当に四分の一になるのかどうかというのをきょう議論をしたいと思います。

 お配りの資料、4と左側に書いてあるのを見ていただきたいんですけれども、これは先ほどもちょっと議論がありましたが、まず最初、原発で回すと使用済みの核燃料が出てきます。これは1という赤い棒で示していますが、このまま処分すればワンスルーということでこのまま処分場に行くわけであります。後ろの方ですね、左上に4と書いてあるやつです。これで最終処分に行くわけですね、1で。

 しかし、今回、六ケ所の再処理工場をつくることで、これをもう一回回すということをやろうとします。このときに、また再処理をすると、高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体、2、青いやつが出てくるわけでありますね。これが四分の一だというふうにおっしゃっているんだと思いますが、まず一つ、上の方に書いてありますけれども、海洋と大気に放射性物質を大量に放出をするわけです。まず、この説明をしっかりしていない。

 これは経済産業委員会の方で私も質問しましたが、まず、例えば、大気に関しては、放射性希ガスは年間約三十三京ベクレル、これは九州の川内原発の四億倍の量が一年間で出るという答弁をいただいております。あるいは、先ほどもトリチウムの話がありました。今、福島第一原発のトリチウムをどうするかという話がありますが、これも前に議論をやりまして、この六ケ所再処理工場だと年間約一京八千兆ベクレル、福島第一原発で今問題となっているトリチウム水の約二十倍を毎年海洋に放出するかもしれないということです。

 こういう話を伏せて、四分の一だけ、減るんだというのはおかしいということ。プラス、先ほどの議論のとおり、六ケ所、再処理をするとMOX燃料が出てくるわけですね。このMOX燃料をプルサーマルでもう一回燃料で使うと、使用済みMOX核燃料、3が出てくるわけです。ですから、一回回すと2と3が出てくるわけです。この右下にちょっと絵を描きましたが、ワンスルーだと赤い棒が二つになりますけれども。

 高レベル放射性廃棄物は四分の一の体積になるかもしれない、だけれども、このMOXの核燃料廃棄物に関しては、温度が高いんですね。これは2のところに参考文献を書きましたが、五倍ぐらい発熱量が高いと言われていて、幅を、面積をたくさんとるという指摘があるわけです。

 だから、トータルで見たら、副大臣、再処理工場で回したら、面積がたくさん必要になっちゃうんじゃないですか。どういうふうに思われますか。

牧原副大臣 済みません、今幾つかの御指摘をいただいたんですが、最後の御指摘の面積が必要になるというところは、先生が御指摘いただいたこの参考の2の資料ですね。

 これは、当初の温度は決してMOXの使用済み燃料が高いとかいうわけではないんですけれども、確かに冷えにくいという面がありますので、今の、私たちは、使用済みのMOX燃料も更に再処理をして使うというふうに考えておりますので、この表がずっと右に続くわけではないんですけれども、もし、使用済み燃料として使うまでの間、冷却をするということを考えれば、プールに保管できる量はより距離を置かなきゃいけないというのは事実でございます。

宮川委員 今、四分の一というのが正確ではないということをおっしゃったと思います。

 もう一つ、有害度に関して八千年ということを強調されておりますけれども、右上3と書いてある資料なんですが、これをよく出されて説明を受けているわけですけれども、八千年というのは、縦軸がわかりにくい、「同じ発電電力量に対する高レベル廃棄物の放射能による潜在的影響」というふうに書いてあるわけですが、これは、縦軸をベクレルに直した場合に、この八千年というのは八千年のままなんでしょうか、お答えください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 放射能の測定の考え方として、ベクレルという放射能の単位ではかるやり方と、シーベルトという人体への影響ではかるやり方がございます。

 仮に、これはベクレル単位で見れば数万から十万年ということになりますけれども、一方で、これは直接処分の方も同様にベクレルで見ますと今度は百万年となりまして、直接処分と再処理をした場合とを比べますと、有害度の低減に要する期間はやはり十倍ぐらい違ってくるという試算になってございまして、そのことを表現をしているということでございます。

宮川委員 シーベルトですごく高い放射性レベルなんだけれども、これを、人体への吸収を考えて、シーベルトで、縦軸で八千年と。

 今ベクレルで比べてもという話がありましたけれども、もう一度、牧原副大臣、これはコストが上がるわけです。先ほど四分の一という話も、体積に関しても、これはふえるかもしれないという話ですけれども、十万年が八千年になるというのも、これは説明が不正確じゃないですか、副大臣。ちょっと副大臣に答えていただけませんか。

牧原副大臣 今の、ちょっと済みません、不正確だということがあれなんですけれども、要するに、使用済み燃料をそのまま再処理をすると、そのウランとかプルトニウムとかも入ったものを処理することになります。その場合には、有害度が天然ウラン並みに低減するまでに約十万年かかるということがあるわけですね。それと、その部分を再使用をして、そしてその有害度を比べた場合、そこは八千年になるわけですから、これとこれを比べて低減する、こういうふうに言っているわけであります。

宮川委員 放射能のレベルがすごく低いレベルの場合には、体に対しての吸収を考えて議論するのはいいと思うけれども、これは非常に高いレベルの話をしているわけだから、急性毒性を考えなきゃいけないわけで、私は、シーベルトで見るのは意味がないというふうに思います。

 それで、それプラス、先ほど4の方の絵を描きましたけれども、プルサーマルで一回回した場合に、結局、またウランやプルトニウムも出てくるわけですよね。ですから、先ほどのガラス固化体の、1と2だけを比較をして議論をされていると思いますけれども、これは3も出てくるわけでありますから、この3のものも含めて考えなきゃいけないと思いますが、3のものも含めても八千年なんですか、副大臣。

    〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕

牧原副大臣 そこの指摘はたびたびいただいているところでございまして、私たちは、この3も更に再処理をしてということを考えておりまして、それも、過去の実証実験、フランスと日本で一応成功した例もありますから、それが可能であるということで、今そこに非常に研究技術を、応援をするということに注力をしているわけでございまして、この3がそのまま使用済み燃料になるというふうに考えているわけではありませんので、そこを御理解いただきたいと思います。

宮川委員 この前の逢坂委員との議論の中で、価格は上がると。価格は上がるけれども、体積が四分の一、有害度が八千年になるから、そういう意味で、メリット、デメリットで、メリットもあるからいいんだという議論を逢坂委員とやられました。

 だけれども、今の私との議論の中で、この一回しか回さない場合、プルサーマルで一回しかやらない場合は、四分の一も、四分の一じゃないですよと。そして、この有害度も、これはもっと回さないと有害度は減りませんよと言っているわけで。ですから、価格は上がるわ、体積はふえるわ、有害度も変わらないみたいなというのは、メリットが何にもないということを今おっしゃっていると思います。

 じゃ、もう一回回す。これは一回回した場合だけですよ。じゃ、もう一回回すということを考えた場合に出てくるのが第二再処理工場の話ですけれども、第二再処理工場、今現状どういうふうになっているのか、竣工予定日を教えてください。

村瀬政府参考人 お答えを申し上げます。

 第二再処理につきましては、六ケ所再処理工場の操業終了後に必要となる再処理のあり方については、具体的に定まった方針はないという状況でございます。

宮川委員 ですから、一回回って、二回目はまだ回せるかどうかも全く計画がないという答弁です。

 副大臣、私思うんですけれども、これは、先ほど、海洋にも大気にもたくさん放射性物質を放出するわけです。それで、メリットも、価格は上がるわ、一回しか回らなければ、四分の一、体積も減らない、ふえる、そして有害度も減るわけではない、そういう状態ですよね。それであれば、何のメリットもないわけですから、第二工場が稼働するまで六ケ所の再処理工場をとめておくべきだと思いますけれども、副大臣、どう思いますか。

牧原副大臣 これは、今現実に使用済みの燃料がございます。それから、このまま原子力発電所を動かして、稼働しているのもありますから、そうすると使用済み燃料が出てくるわけですね。それをどうするかということについて、私たちはそれを、再利用できるものは再利用することによってできるだけその量を減らす、減容、減量を図っていこう、こういう考えに立っているわけで、それをそのままやる方がコストは〇・五円高くなる。

 先生は、それはやめるべきだという考え方があるのは承知しておりますけれども、私たちは、やはりそれをできるだけ減容、減量していくことが将来につながるというふうに考えているわけでございます。

 それで、第二再処理工場の話も、これは第一ですね、この第一再処理工場は来年の上期から予定になっておりまして、大体四十年ぐらいはやるということになると二〇六一年とかそういうところの後の話になりますけれども、そのぐらいのことは、私たち、そのときまで待つべきだというふうには立っていませんで、やはりこのままきちんとそうした計画にのっとって研究開発を進め、そして、正直、いろんな技術、二十年前にはなかったものがその後開発されているということはもう枚挙にいとまがないほどたくさんございます。

 こうした技術に関する研究開発をこの間しっかりと進めていって、この原子力の使用済み燃料の問題をできるだけ将来に遺恨を残さない形で解決していくことは極めて重要であるというふうに考えております。

宮川委員 改めて、第二再処理工場がめどが立つまで六ケ所再処理工場を動かすべきじゃないというふうに私は思いますので、ぜひ検討していただければと思います。

 そういう中で、プルトニウムの話に入りますが、昨年のプルトニウムの使用量と今国外にあるプルトニウムの量、そして、それを今と同じように使用していった場合に何年分の量が海外にあるか、お答えください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が保有するプルトニウム量につきましては、毎年、原子力委員会が取りまとめて公表をしてございます。

 これによりますと、最新の数値は二〇一八年のものになりますけれども、同年には約一・五トンのプルトニウムが消費されてございます。

 もう一つお尋ねをいただきました、海外にあるプルトニウム量でございますけれども、海外に保管しているプルトニウムにつきましては、二〇一八年末時点で、イギリスに約二十一・二トン、フランスに約十五・五トンとなってございますので、足すと三十六・七トン存在をしているわけでございます。

 最後に、もう一点御質問いただきました、仮にこの三十六・七トンを毎年一・五トンで割ったならば何年分になるかという御質問だったと思います。これまでと同様のプルトニウム、つまり一・五トンを毎年消費していくことは想定してございませんが、単純に計算すればということで、三十六・七を一・五で割りますと約二十四となるわけでございます。

宮川委員 今、海外にある分だけを使っていって、これからどれだけプルサーマルの原発を再稼働できるかという問題がありますが、そう簡単ではないというふうに私は思っているわけですが、今のままやっていっても二十四年分あるわけです。

 ですから、副大臣、私は、まず海外のプルトニウムを全部使い切るまで、それまで六ケ所の再処理工場を動かすべきじゃないというふうに思いますが、いかが思われますか。

牧原副大臣 委員が御指摘のとおり、これを資源として見るだけであればそういう計算が成り立つと思うんですけれども、我々は、先ほど来御説明しているように、高レベル放射性廃棄物の量を減少させる、あるいはそのレベルを、放射能のレベルを低減させる、こういうことが大切であると思っておりますので、まず、国内の今原子力発電所や再処理工場で現に保管されている使用済み燃料は約一・九万トンございます。今のところ、管理容量、ここで管理しようという、その仕切りが二・四万トンでございまして、もうその八割に達しているということになりますので、早期に再処理工場を稼働し、使用済み燃料の再処理を開始していくということが重要であるというふうに考えておりまして、こうした国内のやはり使用済み燃料、このままずっとふやすわけにいかない、こういうことを考えているわけであります。

    〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕

宮川委員 副大臣、国内の廃棄物はワンスルーで、そのまま最終処分をしていくという案をこの前も逢坂委員が言っているわけであります。

 私がお配りした最後のページをごらんいただければと思います。

 これは、経済産業委員会でも私、お示ししたものですけれども、仮定を置いて、プルトニウムの量がどうなるかということを示しているものです。六ケ所の再処理工場が二〇二一年に稼働して、今申請に出されているとおりの内容ですけれども、二五年に八百トン処理する場合、そして、四十年廃炉ルール、今ありますけれども、東海第二、美浜三、高浜一、二は六十年稼働でプルサーマルは十八基動く、こういうもので、今の予定で見た場合、プルトニウムの量は右肩上がりで上がっていってしまうんですよ。ですから、そんな、きちっと検証していない形での発言はやめていただきたいと思います。

 そういう中で、私は、六ケ所再処理工場の稼働の中期計画がこれから出てくるというふうに、使用済燃料再処理機構の方から中期計画が出てくる。この中期計画を大臣が承認することになっていると思いますが、この六ケ所をどうやって動かしていくか、中期計画と一緒に、私が今お示ししたように、プルトニウムの量がどういうふうに変わるのかというのを経産省からしっかり出していただきたい、国民に示していただきたいと思いますが、お約束いただけませんか。

牧原副大臣 今委員が御指摘になられましたこの中期計画というのは大変大切だ、こう思っております。

 エネルギー基本計画において、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を引き続き堅持し、プルトニウム保有量の削減に取り組むということにしておりまして、電気事業連合会は、そうしたことを受けて、二〇一八年の三月の原子力委員会において、六ケ所の再処理工場が竣工するまでに新たなプルトニウム利用計画を策定し、公表することを表明をしていると承知をしております。

 その上で、今後、使用済燃料再処理機構が策定する実施中期計画に基づいて日本原燃が再処理を実施することになりますけれども、この計画については、プルサーマルの着実な実施に必要な量だけ使用済み燃料の再処理が実施されるよう、経産大臣が毎年認可を行うことにしております。

 これらの取組を通じて、プルトニウムの適切な管理を、そして利用を行いながら、国民の皆様に丁寧な説明を尽くしていく、そしてまた、幅広い御理解をいただいていくということは大変重要でありますので、こうした取組をしっかりやっていきたいと思います。

宮川委員 もう一度ですが、六ケ所再処理工場を動かすのであれば、そのプランと一緒に、プルトニウムの量がどうなるのか国民にわかりやすく必ずお示しいただきたいとお願いをしたいと思います。

 そして、次、更田委員長、いらしていただいているので御質問したいんですが、原子力規制委員会の方から、六ケ所再処理工場の稼働とエネルギーの基本計画の整合性について経産大臣に意見を求めたということがあります。

 その中で、記者会見の中で、更田委員長がお話をされています。

 例えば病気の治療のために放射線を当てるということはあるわけですけれども、放射線を照射することに伴って当然危険もあるわけです。ただ、危険を治療の効果が上回る場合は、その照射が正当化されるという言い方をしますというようなことをおっしゃっています。ですから、六ケ所再処理工場の危険度、もちろん新規制基準でやっているけれども、一〇〇%ではない危険度、それとメリットと、どうなのかということを見る必要があるということを記者会見でおっしゃっていると思います。

 今、副大臣と私の議論の中で、価格は上がる、一回しか回らなければ、体積はふえる、そして有害度も変わらない。メリットはあるというふうに、一回しか回らなければメリットはないというふうに私は思います。

 私の提案は、ちゃんと少なくとも二回回る第二処理場ができるまで動かすべきじゃないというふうに考えておりますが、きょうの議論を聞いて、その危険度とメリットとデメリット、どういうふうに思われますか、更田委員長。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会が規制の対象としている施設であるとか活動といったものは、あらかじめ正当化されたものを対象としているというふうに認識をしております。これは、IAEAの安全原則の中でも、その安全原則の一つとして、原子力の活動は正当化されなければならない、この正当化は政府の高いレベルで行われるという旨の記述が安全原則にもあります。

 そして、規制と推進の分離の観点からすれば、この正当化というのは推進側が独立して行うべきものであるというふうに考えておりまして、その正当化がなされているということを前提に、私たちは、その施設が利用されるときの安全のレベルに対して必要な、必要最低限という言い方をしますけれども、必要な安全性を求めている、これが規制のあり方だというふうに認識をしております。

宮川委員 副大臣、もう一度。

 一回しか回らないときのメリットをしっかりとお示しください。一回しか回らなくてメリットがしっかり示せないんだったら、少なくとも二回目が回るところまで動かすべきではないということ。それとともに、例えば、伊方原発、火山灰の問題でとまっている。高浜の三、四号機、先ほど斉木議員からもありましたように、関西電力の大きな金品授受の問題がある。これから動くかもしれない有力な東海第二原発、周辺自治体の了解が得られるかどうか非常に不透明。そして敦賀原発、これは断層のデータを書きかえたというので大問題になっている。

 いっぱい問題がある中で本当に計画どおりいけるのかどうか、しっかりと議論をしていただきたいということをお願いをして、私の質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 共同会派の一員として、更田委員長に前回に引き続いて質問させていただきたいと思います。

 もう一度確認のために申し上げますが、私は、更田委員長、規制委員会、規制庁、よい仕事もしっかりとしていただいていると思っています。あわよくば規制を骨抜きにしよう、緩くしようという勢力が一定いろいろ言う中、しっかりと九州の川内原発、期限までにその工事が間に合わないということでとめていただいたり、これはなかなか独立性をしっかり持ってやらないとできないことであって、私は、そうした仕事の一つ一つ、高く評価をしているということをまずは申し上げたいと思います。

 今後もしっかりとその方針を貫いて頑張っていただきたいと思いますが、やはり、緩めろと言う方もいるわけですから、あの有名なジャーナリストの方もしつこく攻撃をされているようでございます。私は、でも、もっと厳しくやっていただかなきゃ困る面もある、こういう論調をしっかりと常に更田委員長に投げかけていきたいと思いますので、ぜひ議論におつき合いをいただきたいと思います。

 ちょっと順序を変えるんですが、今、宮川議員の話で六ケ所の正当性の話が出ましたので、そちらから先にいきたいと思います。

 私は、規制委員会は政策にかかわらず技術的な安全性だけを判断する、それはそれでいいんですが、今回の六ケ所の件に関しては、果たして本当にそれだけでいいのかなという疑問を感じています。

 なぜかというと、我々は、原発、厳しく見てゼロということを言っています。しかし、原発を動かせば電力という我々にとってメリットが生まれる。正当性、ベネフィットはある、リスクをどう考えるか、こういう考え方だというのは、原子力発電所については認めるんですが、実は、この六ケ所の再処理工場については正当化が果たしてできるのか。

 今、経済産業省に、大臣に意見聴取をされています。そんなもの、先ほどの牧原副大臣の答弁を聞いていたら、当然、正当化をして返ってくるというのはわかっているんです。しかし、今、宮川議員の議論のように、これには疑問を呈する声がたくさんあるんです。

 こうした中で、更田委員長、このことに触れないんだったら、私は技術を見ますから、安全だけ見ますから、政策は見ませんよと貫いていただけるんだったら、こんな質問はしなかったんです。しかし、経済産業大臣に、六ケ所の工場は動かすに値しますか、正当性がありますかと質問をし、まだ答えが返ってきていないんですよね。

 記者会見でもこういうふうにおっしゃっているんですよ、委員長は。

 正当化という言葉は、ちょっと解説になってしまいますけれども、何かをしようとするときには必ずリスクが伴うわけだけれども、そこから得られるベネフィットというか利益なり、例えば疾病の治療のために放射線を当てるということはあるわけですが、放射線を照射することに伴って当然危険もあるわけです。ただ、危険を治療の効果が上回る場合は、その照射が正当化されるという言い方をします。こういう例えもわざわざ記者にされ、正当化されない施設は当然のことながら許容されないわけですと。

 相当踏み込んで正当性についてお話をされ、経済産業大臣にも意見を聴取されているんですね。

 きょう、正当性があるとかないとか当然おっしゃらないと思います。それは経済産業大臣に聞くんですが、たくさんの意見が国会の中でも、報道の中でもあるということは御存じですよね。この六ケ所の再処理の工場の正当化について異論が非常に多くあるということは理解した上で、こういう形式的な聴取をされているんですよね。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、正当化は、私たちが規制の対象とするものの前提だと思っております。また、これは誤解があってはいけませんが、正当化を行うのは私たち自身ではないと思っています。正当化がなされているということを確認することは、その後の科学的、技術的な議論につなげていくための前提として必要なことであろうと思います。

 一方で、あたかも原子力規制委員会がこの正当化も含めて行っているかのような誤解があることも事実でありまして、そういった意味で、今回、発電所の審査を続けてまいりましたけれども、大型の再処理施設に関しては初めての判断となることから、改めて、この正当化がなされているということについて確認をさせていただいているというのが次第であります。

本多委員 それはよくわかっているんです、経済産業大臣にそれを一応確認をしようと。多分、経済産業大臣からは、これは正当であるという答えが来るんですが。

 私が今問うたのは、そういった手続論ではなくて、原発反対派の方でさえ、原発反対派、原発ゼロ派の方でさえ、原子力発電所にメリットがあることは、リスクとの勘案をされているわけです、皆さん。こんなに危ないのに電気を生むだけじゃないか、電気を生むためにこれだけのリスクが要るんじゃないかと。

 この再処理施設はそもそも回らない、正当化されない、こういう意見があることは、議論があることは認めていただけますか、その議論を知った上で審査をしていただけますかということです。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、再処理施設の審査をするところで、その際には、発電炉と比べて、注意を払うというか、非常に悩ましい部分というのは、発電炉の場合は事故の際のリスクを非常に重視しなければなりませんが、再処理施設の場合は事故のリスクに比べてむしろ通常時の放射性物質の放出が大きいというところがポイントです。今回、使用済み燃料の冷却期間を長くしたことによってこれは大分緩和をされましたけれども、通常時にいわゆるデメリットに相当するというものは、私たちも強く認識をして、その上で審査を進めたところでございます。

本多委員 委員長らしくなく、全然別なことを答えていらっしゃるんですね。まあ、いいです。

 もし、そういうふうに、この正当性について、完全に逃げ、大きな議論があるわけですよ、この核燃料サイクルについてはね。本当にうまく回るのか、回らないんじゃないかという声が政府の中にさえあるわけです。

 経済産業大臣が正当化をすればそれで全て済むものではないけれども、記者会見で、リスクを伴うけれども、そこから得られるベネフィット、これが上回る、正当化されない施設は当然のことながら許容されない、ここまでおっしゃらない方がいいと思いますよ、記者会見で、このことに触れないなら。私はそのことを指摘をしておきたいと思います。正当化について議論がある、しかし、経済産業大臣はどうなんだ、このぐらいのことは言っていただきたいということを指摘をしておきたいと思います。

 次に、原子力規制委員会が行っている保安規定処分の問題についてお聞きをしたいと思います。

 私の選挙区には泊原発がございます。ここは三十一年間にわたって、出ている放射性物質の量が約半分という間違った報告を三十一年間も続けてきました。このときの処分が、保安規定処分というのは四段階あるんですかね、違反一、違反二、違反三、そして警告ということですか、監視ということですか、この一番軽い処分に終わっているんですけれども、三十一年間放射性物質の量を半分と報告してきたという事例がこの監視でいいんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 その約半分と誤った放出量の計量をしていた放射性廃棄物処理建屋が発電所全体の気体廃棄物の放出に占める割合というのは、非常に小さなものであります。その倍半分の違いがあったとしても、発電所全体の気体廃棄物の総量に占めるその誤った部分というのはごくごく小さい部分であり、またそれから、管理目標値と比較した場合でも十万分の一程度の値でありますので全体に与える影響が非常に小さいということ、一方で、長期間にわたって誤りを見過ごしてきたということをあわせて今回の判断をしたところでございます。

本多委員 間違った数字を報告しているわけですから、これはもっと高く出ていたかもしれないわけですよ、わからないんですから、間違った数字が報告されているわけですから。

 これを見て、三十一年間という長さを勘案したら、何でもう一段階アップしていないんですか。勘案しても、結局、監視なんですよね。その三十一年間という長きにわたったというのを今勘案したと言うけれども、どこで勘案しているんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 これは、放射性気体廃棄物の放出量に占める割合が非常に小さいということもあって、本来であれば監視にすら相当しないような影響度ではあるんですが、一方、御指摘のように長期間にわたって見過ごされていたということで、監視となった次第であります。

本多委員 なるほど。今の御説明はそういうことなんだなと委員長の判断はわかりましたけれども、私、今回、この規制委員会が発足以降、七年間、七年半分の保安規定違反の一覧をいただきました。きょう、お配りすればよかったんですけれども、ちょっと間に合わなかったんですが、一番重い違反一はゼロ件、次の違反二が六件、違反三は三件で、監視五十一件、ほとんどが監視で済んでいるわけです。

 これ、違反三や違反二、違反一にすると何か電力会社に大きなペナルティーがかかるんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 これは、違反の尺度で、あくまで尺度でありまして、これによってペナルティーがかかるといったものではございません。

本多委員 そうすると、もうちょっときちんと当てはめをしていただきたいんですよ、基準が違うんじゃないかと。なぜかといいますと、累犯の発電所がたくさんあるんですね。発電所というより会社なんだと思うんですけれども、福島第二原発九回、柏崎刈羽五回、高浜五回、島根五回、伊方九回。泊なんてまだまともな方ですね、回数が少ないので。

 この九回監視を受けているとかというのは、これはわずか七年間の間に、この累積というのは評価されないんですか。監視、またやっちゃいました。これを例えば伊方原発は九回繰り返しているんですね。これを会社ごとに分けると、どの会社がとかって出てくるわけですよね。そういうことは判断をされないで、一個一個の事象を見て、ああ、監視でいいやとなっているんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず小さなあるべき姿からのずれも細かくすくうということは大事であろうと思っています。その上で、それがたび重なる累積に関しては、これはおのずと別途見ていくべきであろうとは思っています。

 であるからこそ、国会におきまして、その検査制度の改正をお認めいただいて、ことしの四月一日から新たな検査制度のもとで発電所の監視を行っております。この制度のもとでは、発電所全体の安全に対するパフォーマンスに対して評価を加えるという制度に改めているところでございます。

本多委員 この件はここまでにしたいと思いますけれども、私、こうやって累計をとってみると、やはり相当、まあ累犯と言ったら失礼ですけれども、何回も監視を、九回も受けている発電所がある。ただ、それはきちんと今後のいろんなこの保安規定を見るときにしっかりと見ていっていただきたいと思いますし、ちょっと話は違いますけれども、泊の審査、今もずっと続けていただいていますけれども、厳しく見ていただきたいということもあわせてお願いをしたいと思います。

 続きまして、六ケ所の安全性の話を少しさせていただきたいと思います。審査が今大詰めを迎えているわけですが、私はちょっときょう航空機のことに絞って質問をしたいと思っています。たくさん問題点があるんですけれどもね。

 ちょっと、ちゃんと通告していないのでわからなかったらいいんですけれども、委員長、札幌と千歳空港と羽田の間の航空路というのは世界でも一、二を争う、大きな人数が一日に動いている航空路だというのを御存じですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 移動されている方の人数という意味では承知をしておりませんでした。

本多委員 飛行数ということではどうですか。

更田政府特別補佐人 飛行数そのものも、落下確率の評価をするときにはデータとして使っておりましたけれども、現時点で私がお答えするような、その記憶なり認識を持っているわけではございません。

本多委員 私は北海道の議員で国会議員をしていますから、毎週往復をしていますが、三十分置きに、行きだけでですよ、帰りも三十分置き以上ですよ。二十分から三十分置きに三百人から五百人乗りの飛行機が飛んでいる航空路というのはここぐらいな、世界でも五指に入る航空量の、飛行機の数も、そして飛行機の大きさもある航空路なんです。

 もちろん、真上を飛ぶわけじゃありませんが、私は、北海道に戻るときは右側の窓から六ケ所が見え、そして、帰るときは右側の窓に六ケ所が見えるんですね、くっきりと。そういうところを大型旅客機が二十分に一回飛んでいるのがこの六ケ所の場所です。

 さらにもう一つ言うと、軍事基地、三沢基地が三十キロですかね、自衛隊とアメリカ空軍共用で最新鋭の戦闘機が離発着をして、事故も起きています。

 私は、この六ケ所の審査が大詰めだという話を聞いて、航空機の安全性はどうなっているのか、もう一回勉強してみました。そして、たくさん不安なことを感じてきました。

 きょう、そんなに時間があるわけじゃないので、ポイントだけまず言いますが、今の基準、皆さんが使っている基準は、故意の衝突、テロリストとかね、そういうのと普通の墜落を分けて考えている。

 私は、本当は、普通にあそこに落ちる確率というのは、それは確かに低いでしょう、委員長の言うように。それから、自民党の議員の方も先ほど言っていました。だから、本当は、九・一一、アメリカのニューヨークのテロを見た以上、やはり、テロリストとか、テロリストまでいかなくても、ちょっと精神に疾患を持ったパイロットが発生したりしたときのことというのは、決してSF映画じゃなくて、きちんと考えなきゃいけないというふうに私は思っています、九・一一を見た以降。

 ただ、今テロのことをしっかりやってくれれば、普通の墜落のこともカバーできるんですけれども、そもそも皆さんの考えているテロの話以前の普通の墜落の話、確率は出ていますよね。一千万分に一回落ちる、これ以上じゃなきゃ対策は要らないということになっている。これでいいんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、青天井の規制を行わないためにはどこかで線を引く必要があります。そういった意味で、航空機の落下確率についても、どこかで許容すべきラインを設定するべきものだというふうに認識をしております。

本多委員 それで、私は、日本の原子力発電所と六ケ所の確率を全部、一覧表で出してもらいました。済みません、配付すればよかったんですけれども。この一千万分の一を超える施設は日本にありますか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 国内ということであれば、ございません。

本多委員 そうしますと、私の直観でいうと、札幌―東京間のすごくたくさんの航空機が、二十分ごとに大型機が往復している上空、すぐそばに米軍と自衛隊の基地がある、ここでも確率を超えない。世界には、それは砂漠の真ん中もありますよ。そういうところの確率は低いからここは要らないねという議論はわかりますけれども、人口密集地に国内線の航空機がこれだけ飛び交っているこの日本で、皆さんの何かすごい難しい式を見せられましたよ。でも、全部三とか四。十になったらだめなわけですよね。でも、それは三とか四。この六ケ所でさえ、何か皆さんの数字の操作で少し下げてと。

 この日本において、この人口密集地に飛行機が飛び交っている日本において、そして、米軍の基地もある日本において、いや、五カ所は確率が高いから規制が要ります、ほかは余り飛行機が落ちる確率が少ないから規制はそんなにしなくていいです、こういう理論だったらまだわかりますよ。ところが、この日本で全部が確率論で下がるような基準というのは、基準自体が間違っているんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、航空機の落下確率を算出する際には、巡航中の民間航空機であるか、離着陸時の民間航空機、訓練空域内での自衛隊機、訓練空域外の自衛隊機、それぞれに異なった落下確率を用いています。

 さらに、その立地している発電所が訓練空域にどのくらいかかるか、かからないか、そういったものを勘案して落下確率を計算しておりますので。

 さらに、もう一つは、確率を計算する際に、どこまでの防護設計がとられているかということも勘案をしています。

 例えば、六ケ所施設の場合であれば、F16程度までは防護措置がとられているということで、それ未満のものであれば墜落しても問題を生じないということで確率から除かれていますので、防護設計との兼ね合いで決まっておりますので、必ずしも立地地点だけでその確率が得られているものではございません。

本多委員 質問に答えていただいていないんですが、委員長はわかっていると思うんですよね。この日本でどこも、一カ所も当たらないんですよ、たまたまね。昔は、だって、別に航空機の航空路とか考えてつくったわけじゃないんですよ。それでたまたま当たらないで、私から見たら非常に危険性のあるところも。

 しかし、今おっしゃったように、六ケ所の数字を下げるために使った係数は、F16の防護措置を日本原燃が独自にしているからというふうに聞きました。しかし、十年前はF16しかなかったけれども、今それより大きくて速いF35が配備されているのは御存じですね。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 F35の配備は承知をしております。

本多委員 じゃ、日本原燃がその防護措置をしていないことというのは正しいと思いますか。

更田政府特別補佐人 お答えします。

 日本原燃の六ケ所再処理施設で航空機落下の衝突に対してとられている防護措置はF16程度までのものであります。

本多委員 いや、そんな強調しなくても、私わかっているんですが、適当だと思いますか。つまり、現に飛んでいるわけですよ、F35が、自衛隊の。そして、現に残念ながら墜落事故も起こっているんですよ。きちんとF35で、私は青天井論ですよ、いいですか、私は青天井でやるべきだと思っていますよ。だけれども、青天井なんかできないから、原発ゼロにせざるを得ないということなんですよ。

 ところが、いいですか、百歩譲って、青天井なんてできないでしょう、あんた、あほじゃないですかって委員長の論に乗ったとしても、別に青天井なんて言っていないんですよ。F35が配備されているんだったらF35の防護措置をしたらどうですか、日本国内の原発何カ所かは必要だという確率論をとるべきじゃないですか。

 青天井論なんか言っていないんですよ。青天井論に立たなくても、今の規制でいいんですか、航空機の。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 F16を上回る規模のものが落下した場合、これに対して十分な防護措置がとられているわけではありません。何らかの事態が起きます。であるからこそ、F16を上回るような規模の機体が墜落する、これを確率で評価をして、その上で十分確率が低いということを判断をしているものであります。

本多委員 最後に一問だけ。

 私がいた冒頭のところで自民党の方が、ポールや金網で原発を、実は、ポールに触れただけで大きな旅客機も落ちるという例があるんですね。そのことをジャーナリストの方なんかが言って、こんな更田さんの言うみたいな大げさなものは要らないと。ポールを原発の周りに立てておけば、意外と旅客機というのはポールに触れただけでとか、金網というのは私は初めて聞いたのでちょっとびっくりしたんですけれども、ポールとか金網で防げるんですか。それからもう一つ。フランスやドイツは外壁を二重にしていますよね。これは青天井論じゃないですよね。航空機に向けて二重の殻をつくっている。この方法を日本ではとっていないのはなぜですか。二点。

更田政府特別補佐人 まず一点目ですが、特定重大事故等対処施設は、航空機の落下や飛翔物によるテロ行為だけに備えようとしているものではございません。

 ポールや金網、それらの工夫によって十分な対策、十分な能力を示す、立証できるのであれば規制委員会も許可したかもしれませんけれども、到底そのような対策によって今設計しようとしているような特定重大事故等対処施設の能力を持たすことはできませんので、現在のような設計になっております。

 二つ目は、二重格納容器は、EPRという最新型の大型原子力発電所のものですが、現在建設中のものを含めて三基、稼働しているのは台山という中国の一基だけだと思いますけれども、最新型の発電所の防護措置の一つとして採用されているものです。しかしながら、ある衝撃やある脅威に対してどのように設計で対処すべきかというディテールは、これは申請者自身が設計において対処するもので、二重格納容器もその対処の一つでありますので、必ずしも二重格納容器のみを絶対とするような、スペックを強制するような規制を行っているわけではございません。

本多委員 今後とも、しっかりと議論を続けたいと思います。終わります。

江渡委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 昨日、河野防衛大臣が、イージス・アショアの配備計画の停止を発表されまして、私も大変、これは住民の反対の声、そして参議院選挙での審判、こうしたことを受けて、この計画自体が行き詰まった結果だというふうに思っております。本当に、国民世論の力だというふうに思うわけであります。同時に、政治の決断も、やはりこうした大きな事業をとめるわけですね。ですから、大変そういう意味でも大きな動きだと思っております。

 同時に、今回の決断の検証もやはり国民の代表機関である国会で行わないといけないわけで、国会の閉会ではなくて、国会の延長も強く求めたいと思っております。

 その上で、今ほど本多委員、宮川委員、そして伊佐委員からも質問がありましたが、私からも、六ケ所そしてプルトニウム問題についてお聞きをしたいと思っております。

 原子力規制委員会は、五月十三日に、青森県の六ケ所村の再処理工場事業変更許可申請について、規制基準に適合しているという審査書案をまとめられているわけです。

 配付資料の一を見ていただきたいんですが、この審査書案の中で、十四ページに、規制委員会は、先ほど来出ているんですが、今回の再処理事業変更許可とエネルギー基本計画との整合性を含め、経済産業大臣に意見を求めております。これは異例のことであります。今まで私も、審査書案、毎回毎回見てきましたけれども、こういう、エネルギー基本計画との整合性を求めるという意見聴取は初めてだというふうに認識をしております。これに対して、六月九日に経産大臣から、同計画と整合しているという、非常に木で鼻をくくったような回答が来ているわけですけれども。

 委員長にお聞きしたいのは、今ほど来指摘があるんですが、私は、そもそも、率直に単純に、なぜ今回、今までの原発ではやってこなかったエネルギー基本計画との整合性について意見聴取を求められたんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 従来、これまでにも原子力発電所に対しては幾つかの判断をしてまいりましたけれども、今回の日本原燃再処理施設の事業変更許可申請の処分に係る判断というのは、原子力規制委員会発足後初めてと言っていい大きな核燃料サイクルにかかわる施設に係る判断であります。そのため、経済産業大臣への意見聴取では、初めての許可判断となることから、この申請とエネルギー基本計画との整合性を含めて、改めて意見を求めたところでございます。

藤野委員 初めてということなんですけれども、もうちょっとそこを聞いていきたいんですが、先ほど、本多委員に対しての答弁で、要するに、六ケ所村の場合、事故時のリスクではなくて通常時のリスクがあるんだという答弁をされておりました。

 ここで言う通常時のリスクというのは、具体的にどのようなリスクなんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先生御承知だと思いますけれども、リスクは、与える被害に確率を掛けたという形でリスクを表記いたしますけれども、事故の際には、予期せぬ非常に多くの放射性物質を環境へ放出してしまうおそれがある。その放出量は大きなものであるかわりに、発生確率は小さなものです。一方、再処理施設の場合は、通常時も燃料の切断を行いますので、通常時も一定量の放射性廃棄物の放出を続けています。そして確率は一であります。

 したがいまして、再処理施設のそれぞれの状態におけるリスクを考えると、事故のときのリスクよりも相対的に通常時のリスクというのが再処理施設は大きくなるという特徴を持っている。この特徴こそが正当化の判断の上で重要な要素であろうというふうに考えた。

 したがって、こういった施設の判断に当たっては、その前提として正当化がなされているということを確認しておく必要があるというふうに考えたものであります。

藤野委員 そうすると、わざわざエネルギー基本計画まで行く必要は私はないと思うんです。今回のエネルギー基本計画の大きな特徴は、プルトニウムを削減するということが初めて書き込まれたということなんですね。

 今回審査の対象になっている再処理工場というのは、まさにプルトニウム製造工場ともいうべき、先ほど切断のお話がありました、それも確かにリスクだと思います。しかし、今回、切断して、さまざまな再処理過程を通じてプルトニウムが出てくるというのがほかの原発とは根本的に違うところなんですね。

 今回改定されてからエネルギー基本計画で新たに書き込まれた部分というのは、プルトニウムは要するに削減していくんだという大きな方向性が、政府としてもエネルギー基本計画に書き込んだ大きな一番の違いなんですね。

 ですから、なぜ今回あえて、審査書案の中で、エネルギー基本計画との関係で整合性を意見聴取されたのかというと、そういう何か、放射能が漏れるとかそういうオペレーションの話ではなくて、それが通常に動いたとしても必ず出てくるプルトニウム、このプルトニウムが発生するということが、エネルギー基本計画で新たに書き込まれたプルトニウムを減らしていくというこのベクトルが、矛盾するのではないか、整合するのか、こういう問いじゃなかったんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほど御答弁差し上げた際にも申し上げましたけれども、一つの意図は、正当化が原子力規制委員会のもとで行われているのではないかというような誤解は非常に多く受けます、私たち。

 そういった意味で、正当化は政府の高いレベルにおいてあらかじめなされているものに対して私たちは規制を行っているんだ。この正当化をきちんと私たちの外でなされているということを確認をするべきだというのは、今回特に大きな再処理施設の審査があったので行われた。その正当化を求める際に、政策にかかわるディテールについて私たちが認識をしていたわけではありません。

 また、ちなみに、プルトニウムの保有量に関しては原子力委員会が責任を持って監視をするということを承知しております。

藤野委員 私は、委員長がリスクという言葉をあえて使われて、先ほど来指摘があるように、リスクという言葉を使われているんですね。これはやはり突き詰めるべき問題であって、六ケ所におけるリスクとは何なのか。いみじくも通常時とおっしゃいましたけれども、通常動いていたらプルトニウムが出るわけです。

 そして、紹介したいのは、二〇一八年十二月七日の当委員会で、アドバイザリー・ボードの鈴木達治郎氏がこう言っているんです、まさに六ケ所が動いたときのリスクとして、いわゆる使用済み燃料の毒性は仮に減ったとしても、再処理を通じて、毒性のある高いもの、プルトニウムという、その取り出したプルトニウムのリスクまで考えないとリスクの評価にならないというふうに。こうおっしゃっているんですね、「毒性のある高いものを、プルトニウムという。その取り出したプルトニウムのリスクまで考えないとリスクの評価にはならない。」と。

 ですから、まさに六ケ所をめぐってこういうアドバイザリーの指摘があるわけで、私は、六ケ所をめぐるリスクというのは、まさに取り出したプルトニウムのリスクというところまで考えないと評価にならないと思うんです。当然、委員長はそこも考えていらっしゃるんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 リスクという言葉の定義によりますけれども、私が先ほど使ったリスクというのは、いわゆる人の健康であるとか環境に対する影響という意味でのリスクを使っております。

 それ以外にもリスクは、例えば、政策上のリスクであるとか経済上のリスクであるとか、さまざまなリスクという使われ方をするだろうと思いますが、プルトニウムの量がふえることが安全に対するインパクトを持つといった意味でそのリスクを認識していたわけではございません。

藤野委員 そうだとすると、原子力にかかわる、ましてやその審査を担当する、そして審査を担当する長としてリスクを口にする際に、ほかの原発と違ってこの再処理工場の大きなリスクとして、プルトニウムをどうするんだというのがあるわけですね。これをリスクと捉えない、このこと自身が私は、いや、私は違うと思うんです、リスクと捉えていらっしゃると当然思って、だからこそ意見聴取という今までの原発でやってこなかったことをやられる。委員長として当然のことをやられたと私は思って、だからこそリスクの中身を今聞いているわけであります。

 もう一つ御紹介したいのは、わざわざ委員長は、委員長というか規制委員会は、配付資料の二ですけれども、原子力委員会決定まで添付されているんですね、この審査書に。「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」、これも審査書についているんです、九ページに。

 ですから、まさにここでも我が国はプルトニウム保有量を減少させるということが明記をされている。これも原子力委員会として初めて二〇一八年七月に方針を打ち出されたものなんですね。

 ですから、委員長、率直にお考えをお聞きしたいんです、本当に。こういう文書まで添付をされ、そして、その五ページ後に意見聴取をされているわけです。

 ですから、やはり、率直に言って、その再処理工場が稼働すればプルトニウムがふえる、このふえるという事態が、原子力委員会の基本的考えで言っているようなプルトニウムを減少させるということと矛盾するんじゃないですか、整合しているんですか、そこの整合性をお尋ねになったんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 プルトニウムの蓄積量が大きくなることと、それからエネルギー基本計画との間の関係において、この点を問題にして経済産業大臣に対する諮問の中にその確認を求めたものではありません。

藤野委員 だったら、何でこんな文書を添付するのかという話なんですよ。

 私は、率直に言って、こういう論の立て方といいますか、審査の際に、これはリスクだと捉えて、ちゃんと整合性があるのかと問うのは、これは、結果は確かに経産省の答えはもう既に出ていますけれども、非常に木で鼻をくくっているんですが、しかし、その問いかけをされたということ自身は決して無駄ではないし、審査に当たって大事なポイントだというふうに私も思うんです。まさにそれをリスクと捉える多くの国民がいるわけですから、そういうことをしっかりと規制委員会がやっているということなのかなと思って今回お聞きをしたわけですけれども、なかなかそうおっしゃらないんですが。

 しかし、御自分で、委員会として出されている文書にこういう減少するという文書がついているわけですから、そこは率直に経産大臣とも、こんな木で鼻をくくった答えは何だと、六月九日に出ていますけれども、そこをやり合うぐらいの、はっきり言って重みのある意見聴取だったと思いますし、これは回答が来たわけですから、また局面は変わっているので、こういう回答では納得できないということで改めてやっていただきたいと思います。

 経産省にもお聞きしたいんですが、まずちょっと確認したいんですけれども、何が聞かれたと思っているんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 原子炉等規制法第七十一条第二項に基づきまして、原子力委員会から意見聴取において、六ケ所再処理工場における事業変更許可に関する申請とエネルギー基本計画との整合性などを含めて意見を求められたというように考えてございます。

藤野委員 だから、その整合性というのはどの部分の整合性だと。私は、今ずっと言っていますけれども、プルトニウムがふえるじゃないかと。ほかの原発ではあり得ないことなんです。再処理工場だからあり得るんです。そのことが、エネルギー基本計画で初めて盛り込んだプルトニウムを減らしていく、この部分と整合するのか、こういう問いだとして、この六月九日の回答があったんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー基本計画との整合性について問われたというように考えてございます。

藤野委員 全然答えになっていないんですよ。

 ですから、委員長、問いを発した方も、何だか、せっかくこういう問いを発されているのにこういう場ではなかなかおっしゃらない、問いを返した方も、全く何について聞かれたのかもはっきり言わない。整合性はわかっています、整合性を問うと書いているんだから。

 問題は、やはりこの六ケ所というのはそういう異例の問いを発せざるを得ない、そういう施設だということなんです。これは本当にほかの原子力関連施設とは違う、極めて、まさに核燃サイクルのかなめをなす施設なわけですね。

 要するに、国会の意思も確認したいんですけれども、配付資料の三にも関係するんです、経産省にお聞きしますけれども、経産大臣は二〇一六年の四月二十日に、再処理拠出金法案の審議の際に附帯決議の趣旨を尊重すると答弁されていますが、その附帯決議の三号は何と書いていますか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 三号でございますが、「プルトニウムの需給バランスに関して、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持するとともに、政府は原子力事業者に対して、この原則を認識したうえで再処理事業を実施するよう指導し、仮にこの方針に反する再処理等事業の実施中期計画を認可法人が策定した場合には、経済産業大臣はこれを認可しないものとすること。」ということになってございます。

藤野委員 まさにそうなんですね。

 ですから、実は、この再処理拠出金の法案そのものには、プルトニウムバランスという言葉は一言も出てこなかった、含まれていないんですね。それを、審議を通じて、さまざまな指摘がある中でこうやって附帯決議に盛り込まれたという経緯があります。

 今回の計画というのは、この附帯決議の趣旨からすると、まさにプルトニウムバランスを崩すものになるんじゃないですか。

村瀬政府参考人 そのようなことはないと考えてございます。

 政府の方針といたしましては、これはエネルギー計画においても明確に書いてございますけれども、「利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、プルトニウム保有量の削減に取り組む。」ということにしてございます。

 一方、エネルギー基本計画においては、同時に、「資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。」と明示的に書いてございます。

 これに基づきまして、さらにエネルギー基本計画でも書いてございますけれども、「プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、プルサーマルの一層の推進や、二〇一六年に新たに導入した再処理等拠出金法の枠組みに基づく国の関与等によりプルトニウムの適切な管理と利用を行う。」と明記されてございまして、これに基づいて整合的に対応してまいりたいと考えてございます。

藤野委員 六ケ所がフル稼働すると、年間で六・六トンのプルトニウムが生まれるわけです。

 今おっしゃったように、何か消費をプルサーマルでするとおっしゃいますけれども、今四基が再稼働していますけれども、玄海三号、高浜三号、四号、伊方三号のうち、伊方三号は訴訟でとまっていますね。六基が審査中だとおっしゃるんですけれども、先ほども指摘がありましたけれども、泊三号は活断層の問題でとまっておりますし、敦賀二号も活断層の問題で合格の見通しがない、東海第二は住民合意の問題で見通しが立たない。女川三号は未申請ですし、志賀原発の一号は未申請ということで、計画とおっしゃるんですが、見通しがないとか申請していないとか、そういうものばかりなんですね。

 ですから、私はちょっと経産省に最後お聞きしたいんですけれども、検討ぐらいすべきじゃないですか、この機会に。六ケ所のこの審査はまだ続くわけですけれども、核燃サイクル政策について再考する。エネルギー基本計画の改定も始まっていくわけで、政策転換の検討もするつもりはないのか。この点について。

江渡委員長 村瀬電力・ガス事業部長。

 なお、申合せの時間が経過しておりますので、端的にお答えいただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 このエネルギー基本計画に明記されてございますが、「核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではなく、中長期的な対応を必要とする。また、技術の動向、エネルギー需給、国際情勢等の様々な不確実性に対応する必要があることから、対応の柔軟性を持たせることが重要である。」という上で、「高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減、資源の有効利用の観点やコスト、関係自治体の意向等も考慮しつつ、」以上のこうした要素を総合的に勘案し、「状況の進展に応じて戦略的柔軟性を持たせながら対応を進める。」と書いてございまして、エネルギー基本計画に基づいて、戦略的柔軟性を持たせながら対応を進めてまいりたいと考えてございます。

藤野委員 もう終わりますけれども、きょうの問いは、実はアドバイザリー・ボードの皆さんの問題意識を軸に質問させていただきました。

 そういう意味で、今回、大きな契機として、核燃料サイクル、たくさんの委員から質問もありました、やはり今こそ、こうした問題を先送りするのではなく、しっかりと転換を検討していくことを強く求めて、質問を終わります。

江渡委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、ほかの委員の方は、何か六ケ所の話に集中をしていました。今話題になっているからということもあると思いますが、私は大変違和感を感じました。

 きょう御質問になった委員の先生方は、とにかく六ケ所の見直しをするんだ、検討しろ、ああだこうだと言っていますが、じゃ、直接処分のために皆さんは何をやっているんですか。きょう御質問に立った方々は、じゃ、直接処分をする、高レベル放射性廃棄物の最終処分、まさにこの委員会で、与党の皆さんも、また委員長も大変問題意識を持って、いろんな取組をされてこられている。私はそれは一緒にやっていきたいと思っていますよ。

 ところが、野党の皆さんは、余りここで言うのもあれですが、決議案にも反対、そして共産党に至っては、この後委員長からある談話というか御挨拶にも注文をつける。文句は言うけれども、じゃ、これだけ、これまで原子力を推進してきたこの日本で、高レベル放射性廃棄物、どこにどうするんですか。(発言する者あり)いや、ちょっと討論しましょう、討論。

 もし、野党の皆さん、維新以外の野党の皆さんが本当に直接処分だとおっしゃるのであれば、最終処分場、早くめどをつけてくださいよ。最終処分場を、めどをつけるために働いているのは、与党が何やっているか私はよく知りませんが、維新の会はずっとやっていますよ。きょうも、その最終、要は、放射性廃棄物をどうするかという問題について、根本の根本の問題について質問させていただきたいと思います。

 例えば、高レベル放射性廃棄物以前の問題がありますね。福島第一原発事故で、さまざまな除染廃棄物が生まれている。これについて、あれは細野豪志大臣ですか、民主党政権が三十年後の県外処分って決めましたね。ねえ、本多先生。違う。細野大臣ですよ。えっ、違うの。誰が決めたの。自民党。何か自民党だと言っているけれども。あのときは、たしか、私の記憶では、細野大臣が三十年、えっ、違う、細野大臣じゃないの。違っていたらごめん。誰が教えて。しいんとしていますけれども。

 除染廃棄物ですよ、除染廃棄物の県外処分、要は県外に持っていけばいいですよ、それ。でも、私は、県外に動かす必要はないと思っています。なぜか。今、福島県内の、いわゆる除染廃棄物のあの黒い袋に入っているやつ、一千四百万立米、一千四百万個ぐらいあるわけですね。そのうちの一千三百万立米が土壌です。そのうち八割はもう既に八千ベクレル以下になっています。再使用しようと言っているんですよ。それから更に技術開発もしていく、また時間がたてば更にベクレルは低下をする。

 三十年後に、一体幾つの袋を、一千四百万個ある、一千四百万立米ある除染廃棄物のうち、三十年後、一体幾つを県外に持っていくんですか。私はもう必要ないと思うんです。いや、必要ないって、別に福島に押しつけるんじゃないですよ。かわりに処理水を全国にばらまけと言っているんです、私は。

 だから、処理水を福島沖に、福島沿岸に押しつけて、それで何か除染廃棄物は県外と言っている、そういう問題こそ問題なのであって、最終処分場のことを放置したまま再処理も反対という、もう反対のための反対の、きょうの議論はそればかり。

 規制委員長が経済産業大臣にいろいろ聞くのはいいことじゃないですか。そうやって聞いてくださるから表に、こうやって文書になるわけでしょう。とにかく、いいことばかり政府はやっているのに野党は反対反対。また言うと票が減るから、もうやめますが。

 これ、環境省ですね、森山次長、私は、なぜこんな、三十年後にはほとんど、千四百万立米というのは相当減ると思いますが、いかがですか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県内で生じました除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内に県外最終処分をするという方針は、国としての約束でありまして、法律にも規定された国の責務であり、今後ともしっかりと取り組む所存でございます。

 県外最終処分に向けては、まずは、除去土壌等の減容、再生利用により、最終処分量を低減することが重要と考えているところでございます。

 こうした方針につきましては、二〇一一年十一月に閣議決定されました放射性物質汚染対処特別措置法の基本方針等においても示されているところでありまして、環境省では、現在、除去土壌等の減容に関する技術開発や、実証事業などの再生利用の推進などを進めているところでございます。

 なお、中間貯蔵施設への輸送対象物量は、帰還困難区域から生じるものを除きまして、二〇一九年十月時点で約千四百万立方メートルでありまして、その九割以上を占める除去土壌のうち、約八割は放射線濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下と推計しているところでございます。

 今後とも、二〇一六年に策定しました技術開発戦略及び工程表に沿いまして、具体的な取組を着実に前進させていくつもりでございます。

足立委員 ごめんなさい、最初にこれを決めたのは、さっき誰も相手にしてくれなかったんだけれども、最初に決めたのは細野大臣じゃない、わかる、それ。今急に聞かれてもだめ。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げたとおり、二〇一一年十一月に閣議決定された放射性物質の基本方針に書いておりますので、二〇一一年の十一月でございます。

足立委員 まあ、民主党政権であり、細野大臣だったと私は思います。

 さて、だから、今申し上げたように、一千四百万立米は、恐らく私の推計では、推計というか、技術開発すればもっと減ると思いますが、多くても二百万立米。それを、じゃ、どこの県に持っていくんですか。聞いていらっしゃる方もわかると思うんです。こんなのあり得ないですよ、そんなこと。

 だから、私は今から予言しておきます。この除染廃棄物を三十年後県外というのは絶対実現しません。実現できる政治家がいたら手を挙げてほしいよ。絶対できません。できないけれども、先送りをしているんです。先ほどから維新以外の野党の皆さんが政府に先送り先送りと言うけれども、先送りしたのは民主党政権ですから。

 そうじゃなくて、私は、これは個人的意見ですけれども、除染廃棄物はもうこのまま福島でいいと思うんです。でも、処理水だけは、処理水はさすがに福島沿岸ではだめでしょうということを再三この委員会でも申し上げてきました。

 きょう、規制委員長には、更田委員長にはちょっと通告していませんが、適宜、聞いていただいていて、最後にもし御感想があったらお願いしたいと思います。

 さて、その処理水ですが、今議論になっている六ケ所再処理施設では三キロ沖に放出しています。福島第一の処理水についても、もっと沖合に放出するという考えはあり得ないんでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 現時点において海洋放出を決定しているわけではございませんので、御指摘の沖合からの放出を検討する段階にはございませんけれども、ALPS小委員会では、どのような処分方法であっても、できる限り風評被害が生じないような形の処分方法を検討していくことが必要であるという指摘もされております。

 政府としては、こうした報告書も踏まえながら、地元を始めとした幅広い関係者の御意見をお伺いしているところでございまして、引き続き、さまざまな関係者の御意見をしっかりお伺いをし、ALPS処理水の取扱いについて検討を進めてまいります。

足立委員 ありがとうございます。

 須藤さん、もう一言。

 例のALPS小委の報告書を見ると、沿岸に海洋放出するように見えるような図が書いてあります。だから、それを見て私は、もう沿岸と決めているのかなと思った。でも、今の話だと、風評を減らすためにやるべきことはやっていくという御答弁ですから、私は、三キロ先、いわゆる六ケ所再処理施設で三キロの沖合に放出しているのと同じような沖合放出ということが選択肢に、もちろん、いろんな議論を私も役所としていますが、試験操業している地域との関係とか、いろいろ考慮事項があるのはわかりますが、排除はしていないということでよろしいでしょうか。

須藤政府参考人 まさに現在、いろんな選択肢を議論をしているところでございますので、その中で、小委員会の報告書でもありましたように、できる限り風評被害が生じないような形の処分方法を検討していくことが必要という指摘がございますので、これを踏まえて政府として決断をしていくということでございます。

足立委員 いや、せっかく須藤さん、もう今国会最後の質疑なので、排除していないとお願いします、ちょっと。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 まさにさまざまな選択肢の中で、小委員会の報告書も踏まえながら、しっかり政府として検討、決断をしていくということでございます。

足立委員 それから、今、沖合ということを申し上げましたが、そもそも、福島県の県外から海洋放出することは考えられないのか。いわゆる処理水の移動に向けて、技術的、経済的、法的な課題があれば教えてください。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 二月十日に公表されましたALPS小委員会の報告書では、既存の敷地内で廃炉を進めることを基本としつつ、敷地外への、処理水を含め、持ち出すことについても記載がございます。

 その主なものでございますけれども、保管施設を設置する自治体や関係者等の御理解、あるいは、原子力規制委員会による設置許可が必要になること、また、運搬時の漏えい対策を含む運搬方法の検討や、運搬ルートの自治体の御理解を得ることが必要となること等、相当な調整と時間を要すると指摘されております。

 政府としては、こうした課題や関係者の御意見を踏まえながら、ALPS処理水の取扱いについて検討を進めてまいります。

足立委員 ちょっと更問いになりますが、法律改正みたいなことには及ばないと考えていいですか。

須藤政府参考人 小委員会でも指摘されておりますけれども、保管施設を設置するというのに当たりまして、今の法体系の中で、規制委員会の許認可というのが必要になってくるかというように思いますけれども、まさに新しい、これからのことでありますので、どう法を当てはめていくかというようなところも含めて検討が必要というふうに考えております。

足立委員 法の当てはめも含めて精査をせないかぬ、こういう御答弁でした。ありがとうございます。

 この通常国会で、私は、何度かこの処理水の問題を取り上げてきました。その背景には、先ほど申し上げた、そもそも処理水の問題は処理水だけの問題じゃないと思っているからです。処理水の問題さえ解決できない日本政府に、高レベル放射性廃棄物の最終処分ができるわけがありません。

 だから、この委員会で議論されていることをずっと私も聞いていますが、ほとんど、今申し上げた、与党の皆様はどちらかというと規制委員会の規制がやり過ぎだ、もう少し緩めてくれという意見が多いし、それに対して維新以外の野党はとにかく足を引っ張るだけというので、もう辟易しています。

 そうじゃなくて、本当に原子力政策を推進していくのであれば、今の安倍政権は、マクロ経済や憲法改正には人事も含めて相当なエネルギーを費やしてきましたが、この原子力には冷たい。だから、私は、安倍政権の間はもう無理だと思いますが、次の体制も視野に入れて、やはり原子力政策は根本からもう一回取り組み直さなあかんと思っています。

 そのときに一番大事なことは、今申し上げたようなリスクの問題ですよ。それを何か維新以外の人たちは、こういう今私が申し上げている処理水の問題、それから除染廃棄物の問題をほったらかしにして、それからワンススルー、いわゆる直接処分の最終処分場もほったらかしにして、そして、とにかく再処理はだめ、プルトニウムはだめ、そういう議論をしていたら、一つも国は前に進んでいきません。

 政府も問題だと思いますね。きょう、復興庁お越しをいただいています。これ、皆さんのところにも届いていますね。復興庁がつくられた「原子力災害からの復興と福島の安全・再生の歩み」ということで、「風評の払拭に向けて」という冊子です。これを刷られたというか、何回目かと思いますが、御紹介をいただけますか。

小山政府参考人 お答えいたします。

 風評を払拭するためには、科学的かつ正確な情報を効果的に発信することが何よりも重要というふうに考えております。そのため、復興庁といたしましては、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略というものに基づきまして、印刷物のほか、テレビ、ラジオ、インターネット、SNS等多くの媒体を活用して、放射線に関する正しい知識及び福島の現状等について情報発信を行っております。

 ただいま先生から御指摘のありましたパンフレット、これは議員の皆様にも配付させていただいたものでありますが、この「風評の払拭に向けて」もその一環として作成したものであります。このパンフレットは、毎年、日本語、英語、中国語など五つの言語で作成し、国内外の各種会議、イベント等で配付し、PRしているほか、輸入規制の撤廃、緩和に向けた在京大使館への働きかけなどにも活用しております。

 今後も引き続き、関係省庁及び福島県と連携を密にしながら、政府一体となって風評の払拭に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 こういう努力はもちろん多としますよ。しかし、私がこれをきょう取り上げたのは、よくやってくださっているという意味じゃなくて、こんなもの配っても意味ないですよ、意味ない。だって、大事なことを何も書いてないんだから。除染廃棄物のことを書いてない、処理水のことを書いてない。だから、維新以外の野党がこういう的外れな質問ばかりするんです。正面から政府・与党も取り組んでいないんです。

 だから、私は、しっかりと、この風評の払拭というのであれば、繰り返し申し上げているけれども、福島の処理水は問題ないんだということ、問題ないんだったら、問題ないんだから福島沿岸に海洋放出しようとしているわけです。まあ、まだ決まっていないけれども。そうであれば、全国でそれを分かち合えばいいじゃないですか。

 それに対して、三十年後、ほとんど容量的には少なくなる除染廃棄物の県外とかいうことはもう撤回をして、除染廃棄物と処理水をパッケージでソリューションを示して、そして、福島の方に、処理水は全国で引き受けるから、除染廃棄物、土壌は技術開発でやっていく、そういう説明をする以外に私はこの問題の未来はない、そういう形で正面から向き合うことによって初めて、今ずっと議論されている再処理施設の問題、高速炉の問題、最終処分の問題に解決ができると思います。

 委員長、一応そういう風評の問題、一言だけコメントをいただいて終わり、あっ、どうぞ。

森山政府参考人 先ほど、議員の御質問の中で、ひょっとしたら誤解を与えたかもしれないので確認したいと存じます。

 二〇一一年十一月の特措法の基本方針では再生利用をしながらやっていこうということが書いてございまして、県外最終処分を法律に書いているのは、二〇一四年の中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の中で書いたものでございます。

 以上でございます。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、今の話は自民党が決めたんだということだと思いますが、いずれにせよ、私は、除染廃棄物、処理水の問題、一刻も早く解決する、その意思を、委員長を始め、きょうこれからも御挨拶をいただけるというふうに承知しておりますが、こうした問題に注力をいただいている議員の先生方に敬意を表して、質問を終わります。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

江渡委員長 この際、委員長から一言申し上げたいと思います。

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から九年が経過し、十年目に入りました。

 福島の復興及び再生に向けた取組には進展が見られる一方で、事故収束に向けた取組は道半ばの状況にあり、廃炉・汚染水問題、核燃料サイクル等、原子力にかかわる諸課題は山積しております。また、緊急時の備えである原子力防災についても、不断の見直しと改善の取組とともに、その充実に向けた基盤整備が必要となっております。

 このような状況のもと、国民の関心が高まっている中、本委員会に課せられた責務はまことに重大であります。

 今国会においても、こうした解決すべき諸課題について、政府から説明を聴取し、質疑を行うとともに、今月九日にはアドバイザリー・ボード会員の方々との勉強会も開会し、活発な意見交換を行いました。

 意見交換を通じて、原子力防災への対応、いわゆるALPS処理水の取扱い、高レベル放射性廃棄物の最終処分にかかわる諸課題の解決の重要性を改めて認識したところであります。

 引き続き、有識者の専門的知見を生かしつつ、原子力に関する諸課題について、委員会として意思を示せるように議論を重ねていただきますよう切にお願いいたします。

 今後とも、委員各位の御指導、御協力を賜りながら、本委員会を運営してまいりたいと存じます。

 何とぞ皆様方の御指導、御鞭撻、よろしくお願いしたいと思います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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