衆議院

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第2号 令和2年12月3日(木曜日)

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令和二年十二月三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 江渡 聡徳君

   理事 津島  淳君 理事 中村 裕之君

   理事 細田 健一君 理事 阿部 知子君

   理事 荒井  聰君 理事 斉木 武志君

   理事 山内 康一君 理事 中野 洋昌君

      井林 辰憲君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    岩田 和親君

      勝俣 孝明君    城内  実君

      北村 誠吾君    齋藤  健君

      斎藤 洋明君    土井  亨君

      西田 昭二君    野中  厚君

      深澤 陽一君    福山  守君

      古田 圭一君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      簗  和生君    吉野 正芳君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      長尾 秀樹君    日吉 雄太君

      宮川  伸君    山崎  誠君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      藤野 保史君    足立 康史君

      浅野  哲君

    …………………………………

   内閣府副大臣       堀内 詔子君

   文部科学副大臣      高橋ひなこ君

   経済産業副大臣      江島  潔君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           堀内 義規君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君

   参考人 

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任

  堀井  学君

同日

            補欠選任

             浅野  哲君

十二月三日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     勝俣 孝明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     深澤 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     城内  実君

同日

 理事荒井聰君及び斉木武志君同日理事辞任につき、その補欠として阿部知子君及び山内康一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事荒井聰君及び斉木武志君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      阿部 知子君 及び 山内 康一君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 この際、御報告いたします。

 第百九十三回国会、原子力問題調査特別委員会理事会の決定により、本委員会の活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。

 本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。

 以上、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。更田原子力規制委員会委員長。

更田政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の更田豊志でございます。

 衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。

 原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、さまざまな課題に取り組んでおります。

 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ強化した規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。

 このうち、発電用原子炉については、令和二年二月二十六日の東北電力女川原子力発電所二号炉に対するものを含め、これまでに計十六基に対して設置変更許可を行いました。また、核燃料施設等については、核燃料物質の加工施設、使用済み燃料の貯蔵施設と再処理施設及び廃棄物管理施設に対して、これまでに九件の事業変更許可を行うとともに、試験研究炉に対して、これまでに二件の設置変更承認及び五件の設置変更許可を行いました。

 発電用原子炉の運転期間延長については、これまでに関西電力高浜発電所一号炉及び二号炉、美浜発電所三号炉並びに日本原子力発電東海第二発電所の計四基に対して認可を行いました。

 発電用原子炉の廃止措置計画については、これまで計十四基に対して認可を行いました。このほか、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め計四件に対しても、廃止措置計画の認可を行いました。

 また、平成二十九年に改正された原子炉等規制法に基づき、本年四月から新たな検査制度の運用を開始し、事業者のあらゆる安全活動について監視を行っています。また、原子炉施設等で事故トラブルが発生した場合においても、速やかな状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に対応してまいります。

 以上のとおり、原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。

 規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、高エネルギーアーク損傷対策、降下火砕物対策、火災防護対策等に係る改正を行い、継続的に改善を図っております。

 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から、積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画の審査などに当たっております。

 引き続き、処理した水の処分や使用済み燃料プールからの燃料の取り出しなどの対策が適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。

 また、同発電所の事故調査については、廃炉作業を進める東京電力や関係省庁等との調整、連携のもと、現場の実情の確認作業や公開の会合での検討を重ねてきており、今後ともさらなる調査分析を進めてまいります。

 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。

 原子力規制委員会では、本年十月に原子力災害対策指針を改定し、特定重大事故等対処施設の運用開始を見据えて緊急時活動レベルを見直したほか、基幹高度被ばく医療支援センターの機能強化により、原子力災害時における医療体制の着実な整備を進めるなど、原子力災害対策の充実を図っております。

 放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置及びモニタリング資機材の配備等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。また、関係省庁及び関係機関と連携して、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る状況に応じた環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、国内外への情報発信にも努めています。

 また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を、継続して国際原子力機関、IAEAより得ております。

 最後に、本年一月に実施されたIAEAの総合規制評価サービス、IRRSフォローアップミッションでは、二〇一六年のIRRSミッションによる勧告等を踏まえた原子力規制委員会の取組状況について改めて評価を受けたところです。原子力規制委員会としては、今後とも継続的な改善に注力してまいります。

 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。

 原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官佐藤暁君、文部科学省大臣官房審議官堀内義規君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、原子力規制庁次長片山啓君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官山田知穂君、原子力規制庁長官官房審議官金子修一君及び原子力規制庁原子力規制部長市村知也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。細田健一君。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 皆様おはようございます。貴重な質問の時間をいただきましたことを、渡辺委員長を始め、理事の先生方に改めて心から御礼を申し上げます。

 また、更田委員長、お忙しいところ、本当にありがとうございます。委員長が日ごろから我が国の原子力技術の安全性の向上のために御尽力をいただいていることに、改めて心から敬意を表します。

 早速質問に入らせていただきます。

 先ほどの活動状況の報告にもございましたけれども、原子力規制委員会が発電用原子炉の新規制基準への適合性の審査を行っておられます。ただ、この審査が大幅に長期化をしておりまして、これは、安定的な電力供給を目的とするエネルギー政策、あるいはCO2の排出削減を目的とする環境政策、あるいは安価な電気を必要とする経済政策の観点からも非常に大きな問題ではないかというふうに考えております。

 具体的な状況を見てみますと、今、新規制基準への審査中の原子炉、十一基あるわけでございますけれども、例えば、北海道電力の泊発電所に関連してはこれは申請から七年経過している、電源開発の大間原子力発電所であれば申請から六年、東北電力の東通原子力発電所であれば申請から同じく六年、中部電力の浜岡原子力発電所であれば同じく六年、北陸電力の志賀原子力発電所も同じく六年、中国電力の島根原子力発電所は七年、日本原電の敦賀発電所は五年といったように、軒並み五年を超えて、大幅な年数が経過をしております。

 これは、私の理解では、行政手続法において各許認可等々の審査に係る標準処理期間というのが定められておりまして、発電用原子炉の設置変更許可であればこの標準処理期間は二年というふうにされているわけでございますけれども、この二年を大幅に超過している実態がございます。

 これは行政手続法の考え方に明らかに反していると思いますし、また、当然のことながら、行政機関は効率的に運営されるべきであるというふうに考えられるわけでございますけれども、まず、この点について、審査期間が大幅に長期化しているということについての更田委員長の御認識をお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 審査は、大前提である安全について判断を行う場であるからこそ、実際に現場で直接安全の確保に当たる申請者との間で十分な議論を行って、共通理解が得られるまで妥協することなく議論をして、結論を得ることが重要だと考えております。

 その上で、審査の時間は、申請者にとってだけでなく、原子力規制委員会にとっても効果的、効率的に進むことが望ましいと考えております。

 審査の予見性を確保するため、審査過程における主な論点や適合性審査の結果をまとめた審査書や確認事項を作成、公表し、また、同じタイプの炉の審査が並行している場合には、当該申請をしている申請者だけではなくて他の事業者の同席も認めるなど、効率的な審査を心がけているところでございます。

 いずれにしましても、審査を効率的に進めるためには、原子力規制委員会と申請者の双方の努力が重要であり、引き続き、申請者に的確な対応を求めつつ、原子力規制委員会としましても、審査の予見性の確保のための取組や審査体制の強化などによって審査の効率化を図ってまいりたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 質問通告でちょっとお話をお伝えをしてあると思いますけれども、日本の原子力規制委員会のカウンターパートであるアメリカのNRCには「良い規制の原則」というのがございます。これは、原文は英文なんですけれども、委員長、英文でお読みになったことはおありになりますか。

更田政府特別補佐人 ございます。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 この中で、エフィシェンシー、効率性という文言がございます。このNRCの「良い規制の原則」というのは、非常にいろいろな意味で参考になるわけでございますけれども、この効率性の部分にいろいろと書いてありますけれども、この最後の部分に、「規制の判断は不必要な遅れが生じないようにすべきである。」という文言がございます。

 今の委員長のお話にもございましたけれども、規制の判断には不必要なおくれが生じないようにすべきだというこの精神は、日本の原子力規制委員会にも共通して持たれているという理解でよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会が新しい原子力の規制組織として活動原則を作成する際に念頭に置きましたのは、東京電力福島第一原子力発電所事故のような教訓に学んで、二度とあのような事故を起こさないためにどのような活動をすべきか、これを第一に考えました。そのような観点から、規制機関として最も重要と思われる要素として、独立した意思決定、実効ある行動、透明で開かれた組織、向上心と責任感、緊急時対応を挙げたものであります。

 一方、先生御指摘の効率性、そして不必要なおくれは生じさせたくない、これは私たち自身も、限られた職員の資源を投入して規制を行っています観点、それから、より大事なことに、より注力するという観点からは、いたずらに長期化させたくないという思いは私たち自身も持っております。しかしながら、原則としての優先順位を考慮するに当たって、先ほど申し上げた五つの原則というものを活動原則として掲げているわけでございます。

細田(健)委員 委員長が予算や人員のさまざまな制約の中で本当に努力をしておられるということは私もよく認識をしておりますし、また改めて敬意を表したいと思っているわけでございます。

 一方で、先ほどからお話があったように、効率性についても非常に重要であるという認識を持たれているということも今確認をいたしました。

 私は別に、ただやみくもに早くしろと言っているつもりは全くございませんで、当然のことながら、規制基準に沿って必要かつ十分な審査が行われることが必要であるというふうに考えておりますけれども、ただ、繰り返しになりますけれども、標準処理期間が二年ということに照らし合わせても、ややおくれの幅が過度に、大き過ぎるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

 それで、何らか、ぜひ委員長のリーダーシップでこの状況を改善するための方策というのをとっていただきたいと思っているわけでございまして、累次、今、合格をした炉もたしか十六基あると思いますけれども、この審査の蓄積というのも相当進んできたわけでございますので、例えば、これまで蓄積してきた実績を活用して、既に積み上がった前例に沿って、既に積み上がった部分については審査を省略化するとか、あるいは、新しい部分について、その差分についてのみ審査をするという形で、過去の実績を十二分に活用して、より一層効率的な審査を行うべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、例えばですが、川内の一、二号機の場合、審査に要した時間が一年と二カ月であります。高浜三、四号機、それから伊方三号機のように、これらも審査期間は約二年でありまして、標準審査期間の中で終了しております。

 一方、審査が長期化をしているプラントについては、これはプラントごとに異なる自然ハザードに係るものが大きな論点になっています。したがいまして、他の審査の経験であるとか、それぞれのサイトにとっては、そこに置かれている地震や津波などに対するハザードは、それぞれが差分そのものでありますので、現在審査に時間を要しているプラントについては、地震の規模の想定、それから敷地内の断層、そういったものが、申請者の追加調査、追加検討が必要になっています。

 これらの調査、検討というもの、事業者によっては、並行して幾つもの調査を進めているところ、こういったところは審査が比較的には進みやすいところもありますが、そうでない事業者もあり、一つの調査が終わって、それで不十分だとわかってから、判断に時間を要して、また次の調査へ入る、こういったケースに関してはどうしても審査が長期化いたします。したがいまして、これらについては事業者の対応によるところが大きいと考えております。

 その上で、先ほど申し上げましたように、規制委員会としましても、効率的、効果的な審査を進めるために、審査内容が同じ、似ている案件については一つのチームが担当する、それから、審査実績を有効に活用できる審査体制をできるだけ構築するといったような努力を通じて、審査の効率化を図っているところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 これはちょっと質問通告にないんですけれども、前に委員長と同じ議論をさせていただいたことがあると思うんですけれども、今おっしゃったような、例えば自然現象の審査であれば基本的には石渡先生が御担当ということだと思うんですけれども、今、私が拝見していまして、例えば石渡先生がお一人で担当するということで、どうしても石渡先生の時間的、物理的な制約というのは出てくると。

 これは前々から申し上げているように、やはり、例えば燃安審、炉安審といったいわゆる規制委員会の下部にある組織を活用して、そこに委員長なりあるいは石渡先生なりが信頼する専門家の方に来ていただいて、審査の前さばきといいますか、幾つかのチームをつくって、そこで審査の前さばきをしていただいて、その上で、その評価結果を例えば規制委員会本体が審査するというような形での効率化というのは行えないのかという疑問が常にあるわけなんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 二つのことを申し上げようと思います。

 一つは、東京電力福島第一原子力発電所の反省の上に立って、新たな規制組織の行動を考えたときに、かつての規制組織において、審査の実質を、責任を負うことのない外部の有識者、先生方に委ねていたという部分が大きな反省点にあると思っています。審査はあくまで規制委員会が主体として行うべき、これは非常に重要な原則であるというふうに思っております。

 もう一点は、破砕帯会合のときにも経験はありますけれども、責任の所在と異なる実体に審査の内容を委ねた場合は、かえって時間を要することになるケースもあるというふうに考えておりまして、その点は慎重な姿勢で当たりたいというふうに思っております。

細田(健)委員 確かに、その破砕帯に関する審査についてはさまざまな議論があったわけでございますけれども、ただ一方で、今の体制だと、結局、何といいますか、こういう言い方はあれですが、例えば、石渡先生一人に過重な負担がかかり、かつ、万が一、石渡先生が間違えた場合はその誤りが補正されないというような懸念もあって、そういう意味では、いろいろな専門家を入れることによって、まさに多重チェックが行われるのではないかというふうに考えているわけでございます。この点についてはここで打ち切りますけれども、ぜひそういうことも御検討いただきたいと思っております。

 さらに、審査についてなんですけれども、例えば、標準処理期間を超える、あるいは超えそうな時点で、今審査中の案件というのは全て超えちゃっているんですけれども、超えそうな時点で、一度、中間報告といいますか、これまでの論点を整理して、今後詰めるべき課題は何かというのを明確にしていただいた上で、例えば、審査の期間の、審査が終了するめどを示していただくというような、ある程度事業者に対して予見性を持った形での中間報告を出していただくというようなことは御検討いただけないでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほど御答弁差し上げた中でも言及をいたしましたけれども、長期化しているものについては、自然ハザードに係るものが大変多うございます。

 そういった意味では、旧規制当局が確認していたものを改めて確認しようとしたら、その火山灰がなかったであるとか、あるいは、ボーリング等々あるいは露頭を見るものだと、申請者が考えていたとおりのようなストーリーにならないですとか、そういった点がありますし、さらに、日本原電敦賀二号機の審査での柱状図の書きかえのようなものもあります。そういったものが多々ありますので、期間の見通しを申し上げることは大変難しいと思っております。

 その上で、審査状況をきちんと把握をしていただくために、本年四月からは、基準適合のための設置変更許可に係る審査について、より詳しく、審査項目ごとに、進捗状況や残っている主な論点等を整理した審査状況報告、これを三カ月に一回作成をいたしまして、委員会で公表をしております。

 原子力規制委員会としては、申請者に審査への的確な対応を求めつつ、引き続き、予見性の確保のための取組や体制の強化などによって効率化を図っていきたいというふうに考えております。

細田(健)委員 今の中間報告書もぜひ本当に充実をさせていただいて、期間についての予見性の向上が図られるようにぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、次のバックフィットに関する論点に移りたいと思いますけれども、当然、特重施設の件も含めて、継続的な安全性の向上のためにバックフィットを要求する場合があるわけでございます。いろいろ今回ヒアリングをいたしましたら、バックフィットの一つである、震源を特定せず策定する地震動の経過措置について、これは、バックフィットを導入する場合に、当然、すぐ適用するというわけにはいかないので、ある程度の経過期間を置いて、事業者にその基準を満たすように要求を出すわけでございますけれども、この震源を特定せず策定する地震動の経過措置については、ATENAと意見交換を行った上で、事業者が対応に要する期間をまず検討し、また、新たな地震動の審査に要する期間が見通せないということから、最初からその対策工事完了までを一律に設定するのではなくて、まず事業者の許可申請までの期間を設定し、さらにそれ以降の期間を別途設定するという二段構えの形にしたというふうに承っております。

 これは私、非常によい事例であったと思っておりまして、今委員長からお話があったように、それぞれのサイトによってさまざまな特徴もあるでしょうから、そういう意味で、経過措置について柔軟に対応いただくという前例ができたことは非常に評価すべきことだと思っております。

 したがって、今後のバックフィット要求についても、このような事例を積み重ねていただいて、ATENAを始めとする産業界と十分なコミュニケーションをとっていただいた上で、経過期間についても柔軟に対応できるようにしていただければというふうに思いますけれども、この点についての委員長の御見解をお願いいたします。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 バックフィットにつきましては、新たに加える要求の安全上の重要度によって当然その取扱いは変わってまいります。極めて安全上の重要度が高いものであれば、もうこれは即時適用になりますし、そして、安全上の重要度が低いものであれば、これはある種努力義務のような形になることも考えられます。

 そういった意味で、バックフィットは、一つ一つの案件について、それぞれ的確な判断をしていく必要があります。言いかえると、柔軟に対応していく必要があるというふうに考えています。

 原子力規制委員会がさまざまな判断を行うに当たりましては、何といっても、現場で安全の確保に当たっているのは事業者ですので、事業者の意見を聞くことの重要性は強く認識しているところであります。

 したがいまして、バックフィットの適用に関しては、経過ですとか、即時であるのか経過期間を置くのか、努力義務とするのか、そういった点についてというのは、これはリスクを把握しようとする努力ですので、事業者とともに進めていく必要があるというふうに考えています。

 それから、今申し上げたように、バックフィットにかかわらず、現場の実態というものを生の声として聞くということに関しては、原子力規制委員会としても常に心がけようとしているところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 今の、リスクを把握する努力を事業者と一緒にやるということ、あるいは現場の実態把握のためにできるだけ現場の声を聞くようにするという姿勢、これは私も本当に高く評価をしたいというふうに考えております。ぜひ、その姿勢を保ちながら頑張っていただきたいと思います。

 次に、稼働から定期点検までの運転サイクルの期間について質問をさせていただきたいと思います。

 平成三十年十二月十七日の臨時原子力規制委員会の中で、更田委員長から、事業者からの提案があれば、規制当局としては運転サイクルの期間の柔軟化についての議論を進めたいというふうに発言をしておられます。

 これは、諸外国の例を見ますと、いわゆるリスクに応じてということでしょうけれども、例えば、新型の炉であれば運転サイクルが長いであるとか、あるいは経年すればそれを短くしていくというような、かなりリスクの状況に応じた柔軟な期間設定がなされているというふうに認識をしておりまして、これも、こういう規制の、いわゆる炉のリスクに応じて運転サイクル期間を長くしたり、あるいは当然リスクが高いと考えられるものについては短くしたりとかいうような、そういう柔軟な判断というのを事業者とともに議論をしていただきたいというふうに考えておりますけれども、この点についての委員長の御見解をお願いいたします。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御指摘の点につきましては、当時の考えに変更はございません。

 運転サイクル期間は、それを延ばすことは必ずしもリスクの増加につながるものではない。発電所の場合は、一般に起動時であるとか停止させる操作の際に一時的なリスクが高まるという傾向があって、どちらの方が望ましいというものではありません。

 それから、運転サイクル期間というのは、諸外国では一般に十六カ月ないしは十八カ月、長いところでは二十四カ月というのが例で、日本の運転サイクル期間というのは、むしろ国際的には例外的に短いと言えます。

 運転サイクル期間をどのように設定するかは事業者の判断でありますので、事業者からの提案があれば、規制当局として議論を進めてまいりたいというふうに考えております。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 あくまでもリスクに応じた評価、判断ということだと思っておりまして、この点について委員長の御見解を伺えたということは大変重要なことだと思っております。ありがとうございました。

 それでは、更に質問を続けてまいります。

 令和二年七月二十九日に、規制委員会は、運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解というものを発表されました。これは、いわゆる今の炉規制法で運転期間が四十年とされていることについての規制委員会の考え方を示されたわけでございます。

 ここの中に、いわゆる「運転期間を四十年とする定めは、このような原子力規制委員会の立場から見ると、かかる評価を行うタイミング(運転開始から一定期間経過した時点)を特定するという意味を持つものである。」とされております。

 これはさまざまな議論がございましたけれども、私の理解は、例えば、自動車なら車検というのがあります。これは三年とか五年で決まっているわけなんですけれども、ただ、例えば、車検が五年とされているから自動車の寿命が五年というわけではないわけですね。あくまでもその五年や三年というのは、安全性が満たされているかどうかを評価する、まさにそのタイミングであって、寿命とは全く別のことであるということですね。

 これを規制委員会としても、そういうことを表明されたと。つまり、原子炉そのものの寿命というのは四十年ということではなく、ある種、長期経過した原子炉の安全性を確認するタイミングとして、とりあえず炉規制法は四十年という期間を置いているという理解であるというふうに解釈されたと理解をしておりますけれども、今申し上げたように、その四十年というのは原子力発電所の原子炉の寿命を示すものではないということ、この点についての確認を委員長にお願いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会の役割は、原子炉などの劣化を考慮した上で基準に適合するか否かを科学的、技術的な観点から評価することであるというふうに考えております。

 その評価そのものは運転期間にかかわらず可能であり、運転期間を四十年とする定めについては、評価を行うタイミングを特定しているというふうに捉えております。

 その上で、運転期間のあり方は立法政策としての定めであって、原子力利用のあり方に関する政策判断の結果にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べる立場にはないというふうに考えております。

細田(健)委員 いずれにせよ、今のお話で明らかだと思うんですけれども、要すれば、原子炉というものの寿命は四十年であるということではないということですね。こういう見解を明らかにしていただいたということですね。この点については強調しておきたい、こういうふうに考えております。

 それでは、もう一点御質問させていただきますけれども、菅総理が二〇五〇カーボンニュートラルという決意を述べられて、今後、ゼロエミッション電源としての原子力発電の重要性というのはますます高まってくると考えておりますし、その意味では、その安全性を担う原子力規制委員会あるいは規制庁の皆様の役割もますます大きくなるというふうに考えております。

 私は、委員長、この前も申し上げましたけれども、規制委員会の前身の原子力安全委員会の事務局に勤務していた経験がございまして、その安全委員会のOBとしては、新しく生まれた規制委員会そして規制庁が、現場の知見を十分に備えて、現場から尊敬される、そして国際的にも本当に高く評価される組織であってほしいというふうに、本当に心から願っております。そういう意味では、私自身は規制委員会、規制庁の応援団だというふうに思っているわけでございます。

 この観点から三つほどちょっと言いたいんですけれども、一つは、現場に精通した電力のOBの方、例えば、実際に原子炉の運転管理に携わってこられたような方を積極的に中途採用できないかとか、あるいは他の先進国の規制機関やあるいは国際機関との人事交流、あるいは海外留学や研修を積極的に行う、できればこのような取組を進めるための計画策定を行うとか、あるいは中国やインドなど新興国の規制機関、これは、原子力発電所をどんどんつくると彼らは言っているわけですから、こういう規制機関との意見交換や、あるいは国際フォーラムを設定するといったような活動を、本当に限られた人員と予算の中で大変だと思いますけれども、こういう点についても目くばせをしていただいて、ぜひ頑張っていただきたいというふうに考えておりますけれども、ぜひこの点についての御見解をお願いいたします。

片山政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会では、これまでも、累次にわたる中途採用により、即戦力となることが期待される実務経験者を、電力会社でありますとか原子炉メーカーなどから確保して、体制の強化を図ってきております。

 これらの職員は、審査官や検査官としての活躍はもとより、先生から御指摘のあった炉の運転管理等の実務経験を生かして、原子炉運転シミュレーター研修の教官として御活躍をいただいている方もおられます。引き続き、職員の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

 また、規制庁の職員に海外経験を積ませるという点でございますけれども、アメリカを始めとした他国の規制機関やIAEAなどの国際機関との人事交流というのを発足当初から行っているところでございます。

 海外留学や海外研修というのも計画的に行っているところでございまして、令和二年度の規制委員会の重点計画の中でも、三名の職員を国際機関に派遣しようという目標を立ててやっております。ただ、ちょっと新型コロナウイルス感染症の関係で、人が具体的に海外に出せないという状況ではございますけれども、今後とも積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 それから……

渡辺委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

片山政府参考人 はい。

 最後に、中国との関係でございますが、日中韓三カ国の協力等の枠組みがございまして、ここの中で定期的な意見交換を行ってございます。

 その他、新興国との関係につきましても、IAEAの規制協力フォーラムという枠組みが既にございますので、そういう中で積極的に貢献をしていきたいと思ってございます。

 以上でございます。

細田(健)委員 現場からも、そして国際的にも高く評価される規制機関になることを心から願っております。

 終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、冒頭お伺いをしたいのが、新型コロナウイルス感染症の影響が引き続き大変大きい状況でございますけれども、原子力災害における感染症対策ということでお伺いをしたいと思います。特に避難計画や緊急時対応、こういったものにかかわる対策ということでございます。

 新型コロナ禍におきまして、原子力災害のみならず、通常の災害対応というものも、それ以前の対応と変えなければならないものというのは大変に多うございまして、例えば、通常の災害でありましても、やはり、今まで避難所に避難をしていたものが、三密を避けないといけない、こういうこともございます。ホテルや旅館を活用したりとか、いろいろな事例もございますし、パーティション、あるいは換気のやり方など、対応の仕方が随分変わってくるなということであります。現場の自治体も、さまざま考えながら対応していただいている状況かというふうに思います。

 これは原子力災害においても同様でございまして、特に、今稼働中の原発も含めて、避難計画あるいは緊急時対応、こういったものの見直しというのは、感染症にも対応できるようにということで、しっかりと行っていく必要があるというふうに考えております。

 これについての現状、どのような方針で進めているのか、また、進捗状況も含めて御報告をいただきたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今般の新型コロナウイルス感染症のような感染症流行下において、仮に原子力災害が発生した場合には、各地域の緊急時対応などに基づく防護措置と、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく行動計画などによる感染防止対策を可能な限り両立させ、感染症流行下での原子力災害対策に万全を期することとしております。

 このような基本的考え方について、内閣府原子力防災担当として関係府庁とも調整した上で取りまとめ、本年六月に関係道府県に説明し、認識を共有したところでございます。その後、同じ六月には女川地域、七月には大飯地域及び高浜地域において、それぞれの地域原子力防災協議会において緊急時対応の策定、改定を行ったところでございます。

 さらに、このような考え方に基づいて、感染症流行下で原子力災害が発生し、避難や屋内退避などの各種の防護措置を実施する際に留意すべき点などをまとめましたガイドライン、こちらを作成いたしまして、十一月に公表したところでございます。関係道府県においては、感染症対策を踏まえた原子力防災訓練が実施されているところでございまして、順次、緊急時対応や避難計画の見直しに向けた検討が進められているところでございます。

 引き続き、運転中である玄海地域や川内地域を含め、各地域の緊急時対応や避難計画の見直しに向けて、関係自治体と一体となって速やかに取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

中野委員 六月に方針を出し、そしてガイドラインも十一月ということで、つい先日ということではありますが、しかし、やはり、この対応というものを一刻も早く進めていただく必要がある。改定を行った地域、また、今、進行中で、検討しているというところ、作業中のところもあるかとは思いますけれども、国の方でもしっかりと連携をとりながら、この対応を万全にしていただきたいと改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 次に、ことしの四月から、今稼働中の原発等も含めて、新しい検査制度というものが導入をされております。これについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 原子力規制庁、規制委員会というのは、もちろん、今、再稼働に当たって、新規制基準に適合しているかどうかの審査というものもしっかりやっていっていただいているわけではありますけれども、稼働した原発に対しては、安全性をしっかり、運転がちゃんとできているのか、安全性が確保できるのかというのを検査をしていく、それで安全性を担保していく、これは非常に重要であります。

 私も経済産業大臣政務官もやらせていただいておりましたので、ことし、原発も視察もさせていただきました。実際どういう形で、新しい検査制度ということで、さまざま制度の改正に当たって議論もさせていただきましたので、見せていただきましたけれども、今、フリーアクセスで全ての保安活動をいつでも自由に見ることができる、こういう状況であります。それで、規制庁の職員の方がいらっしゃいますよ、会議でも何でもいつでも入っていただけますよ、実際にいらっしゃいますというふうなことで、事業者にもお話を伺いました。

 しかし、このフリーアクセスという全く今までと、そういう意味では新しい形でやっているわけでありますので、確かに、これはかなり、検査官の力量というものが非常に問われてくるなということも改めて痛感をいたしました。今までのように、決まった時期に決まったことができているかどうかをしっかりチェックするという形から、フリーアクセスで常にその状況を監視をしていくということでありますので、これはしっかりと人材育成をしていく、先ほど細田先生からの御質問でもございましたけれども、力量を上げて人材育成をしていくというのも非常に大事でございます。

 また、このコロナ禍において、この新しい検査というのがスタートしたばかりでございますけれども、どういう形で実施をできているのか、これについても確認をしないといけないと思っております。

 そこで、この新しい検査の実施状況、どうなっているかというのをまずお伺いをしたいというふうに思います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい検査制度は、十八カ月にわたる試運用の実施を経まして、ことし四月に法律が施行され、本格的に運用を開始いたしました。新型コロナ感染症の対策下ではございましたけれども、先ほど御言及のありました、現地に駐在をしている検査官が実施する日常検査は滞りなく実施をしてございます。

 一方、本庁から専門の検査官をチームを組んで派遣をする検査につきましては、一部の検査を下半期あるいは次年度に延期をするような影響が出ましたけれども、検査計画を見直して、その後は順調に進展をしてございます。

 今年度上半期に確認された改善の必要な検査指摘事項というのは、原子力発電所を中心に十件ございました。それぞれについて、安全上の重要度は最も低いレベルのものでありますけれども、事業者みずからが改善措置活動によって対処をしているところでございます。

中野委員 実施状況についてお伺いをいたしました。

 ことし始まったばかりということもありまして、どういう形でこれを更にブラッシュアップしていくかというのは、また進捗状況を見ながらということにはなろうかと思います。

 続きまして、先ほども御質問ありましたけれども、この検査官の人材の育成、どういう形で育成をして検査という作業に入っているかという、この人材育成の状況についてもお伺いをしたいというふうに思います。

片山政府参考人 お答えいたします。

 検査制度の実施に当たって検査官の力量の確保が不可欠だというのは委員御指摘のとおりだというふうに考えてございます。

 原子力規制委員会では、米国原子力規制委員会、NRCの研修プログラムを参考に、検査官を養成するための研修を拡充をいたしまして、検査官の資格認定制度を構築するなど検査官の力量向上に努めてまいりました。現在、約二百五十名の職員が検査資格を取得をしておりまして、ことし四月に開始された新検査制度におきましても、資格を取得した検査官がその職務を遂行しているところでございます。

 今後も引き続き、より多くの職員に研修機会を与えるとともに適切に資格を付与し、高い専門性を有する検査官の確保に尽力してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 これもしっかりと、この検査の状況も含めて、どういう形で検査ができていっているのかというのをまた適宜フォローアップしながら、そして、やはり先ほど答弁いただいたとおり、まさに検査官の力量を上げていくというのが原子炉の運転について安全性を担保する一番重要なことであるというふうに思いますので、この取組については更に力を入れていっていただきたいというふうに思います。

 続きまして、残りの時間で、東電の福島第一原発の廃炉につきましても御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 経済産業大臣政務官のときにも、この廃炉の仕事にかかわらせていただきました。まさに省を挙げて、また政府を挙げて、非常に重要な、最重要課題だということで取り組んでまいりましたけれども、今大きな課題となっておりますのがALPS処理水、この対応ということであります。

 トリチウムを含む水について、規制基準を満足する形で海洋放出というのは世界じゅうで行われていることでございますし、また、規制委員会からも、規制基準を満足する形でのそういう対応というのは人の健康や環境への影響も考えられない、こういうふうな答弁も過去にあったかというふうに思います。しかし、これを実際にどうやって進めていくのかというのは非常に大きな課題であります。

 ALPS小委員会で五つの方法というものが提案をされました。地層の注入、地下の埋設、海洋放出、あるいは水蒸気であるとか水素が提案をされまして、最終的に海洋放出と水蒸気放出という手段、これが、絞られているというか、そういう状況にあるというふうに理解をしております。

 まず、安全規制をつかさどる規制庁としてどう考えていくかというのを更田委員長にお伺いをしたいんですけれども、この五つの方法というのが提案されて、最終的に海洋放出と水蒸気放出という手法に絞られているということについて、そしてまた、この問題についてはさまざまな御指摘もあるんですけれども、例えば、このALPS処理水というのは炉心を通った水であるので、ほかの原発などから出ているような通常の処理水とは違うのではないか、こういう意見もあるところでございます。

 安全規制をつかさどる規制委員会としてはこの点についてどのように考えるかというのを、委員長から御答弁いただきたいというふうに思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、海洋放出とそれから水蒸気放出、先生御言及のありました二つの選択肢でありますけれども、これまで我が国では液体廃棄物を気化させて大気に放出した例はございませんので、そういった意味で、実績という観点からしまして、またそれから、放出後のモニタリング等の確認等の観点からも、海洋放出の方がより具体的かつ実効的な計画が立てられる方法であるというふうに考えております。

 また、東京電力福島原子力発電所に保管されているいわゆるALPS処理済み水ですが、これは、やはり発生する過程で損傷した炉心を経ておりますので、そういった意味で、測定が困難なほど極めて濃度は低いわけですけれども、除去が困難なトリチウム以外にも核種を含んでおりますので、他の原子力施設から排出される放射性液体廃棄物とは異なるものだというふうに考えております。

 しかしながら、必要な希釈を経た上で、規制基準を満足する形で環境中に放出する限り、科学的、技術的観点から人の健康及び環境への影響は考えられないものというふうに認識をしております。

中野委員 ありがとうございます。

 確かに、委員長おっしゃるとおり、実績という意味では海洋放出というお話がございました。そして、先ほどの、炉心を通った水であるので、確かにほかの原子力施設から排出される水とは異なるけれども、しかし、規制の基準を満足する形ということであれば、科学的、技術的には人の健康あるいは環境への影響も考えられない、こういう安全規制側からの御発言だったというふうに思います。

 しかし、大変、私もこの問題に関しまして、現地からも、いろいろな関係者の方からいろいろな御意見もお伺いもいたしましたし、安全基準としては確かに安全だ、こういうことでありますけれども、しかし他方で、じゃ、人々の不安が払拭ができるかというと、これがまた難しい別の問題だというふうに感じております。この不安が払拭できないところをどのようにアプローチをしていくのかというのは本当に難しい課題ではありますけれども、しかし、これをしっかりやっていかないといけない、こういう思いもございます。

 そして、じゃ、残りの時間がどのくらいあるのかというと、確かに、残された時間、作業等々も含めて、こういうことも余りないということも現実であります。

 その中で、政府側でも、さまざまな関係団体、いろいろな関係者の方から御意見を伺いながら、丁寧に今後どうやって進めていくのかというのをやらせていただいている、そういうことを重々承知をしておりますけれども、これはやはりしっかりと政府が責任を持った対応というものを考えていかないといけない、こういうふうに思います。

 現状の取組と対応方針につきまして、経済産業省の方から答弁をいただきたいというふうに思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 ALPS処理水の取扱いにつきましては、これまで時間をかけて丁寧に議論を積み重ねてきたところでございます。二〇一三年以降六年以上にわたりまして、社会的な観点も含めまして専門家による検討を行いまして、本年二月に科学的知見に基づく報告書が取りまとめられております。取りまとめ以降、立地自治体や農林水産業者などの関係者の方々と意見交換を重ねるとともに、書面での意見募集などの機会を通じ、国民の皆様から貴重な御意見を幅広くいただいてきました。

 例えばでございますけれども、ALPS処理水の安全性についての懸念、あるいはその処分に伴う風評への懸念をいただく一方で、立地自治体や経済団体からは、復興の進展のためにタンクの保管継続は望まない、あるいは、タンクの存在自体が風評影響の一因となるとの御意見がございました。また、国際社会あるいは消費者への科学的根拠に基づく情報発信が必要であるといったような御意見もいただいております。さまざまな御意見を頂戴したところでございます。十月二十三日には廃炉・汚染水対策チーム会合を開催いたしまして、これまでいただいた御意見について改めて整理を行ったところでございます。

 こうした整理や議論を踏まえ、先生からも御指摘ございました風評対策、あるいは国内外への情報発信のあり方などの論点について、関係省庁間で現在丁寧に議論を深めているところでございます。敷地が逼迫する中で、いつまでも方針を決めずに先送りできないというのも事実でございまして、丁寧な議論とのバランスをとりながら、適切なタイミングで政府として責任を持って結論を出してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 やはり、さまざま先ほどお話しいただいたとおり、この風評への不安というのも、私も現地で直接お声も聞いておりましたので、これは大変に強いものでございますし、そしてまた、情報発信のあり方、これも、よくよく工夫をして、そして更に強化をしていかないといけない。科学的にこういうことだということと、また人々のその不安の思いというのがなかなか一致していかないというか、こういうところも含めて、やはり情報発信のあり方というのは工夫していかないといけない、そしてまた強化していかないといけないというふうに思います。

 私も、この政策そのものにも政府の一員としてもかかわらせていただきましたので、引き続き、こういったところに、しっかりと声を受けとめて進めていけるように、私も自分の立場でまた尽力してまいりたい、このように考えております。

 ほぼ時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 私の頂戴いたしました時間は十分でございますので、少し駆け足でお尋ねをいたします。

 きょう、更田委員長から所信に当たる聴取をさせていただいて、その上での質問とさせていただきます。

 原子力発電には、それに賛成であれ反対であれ、必ずつきまとう最終処分という問題がございます。この間、処分地の選定ということで、北海道の二つの地域、寿都町と神恵内村が文献調査という形で受け入れる判断をなさったという報道がなされておりまして、実際には文献調査、始まっておるものかと思います。

 お手元の資料を見ていただきますと、文献調査の次には概要調査、ボーリングも含めた調査が参りますが、現段階で概要調査ということまでは行っておらないわけですが、しかし、概要調査になれば、当然、必要となる施設の、いわゆる原子炉等規制法にのっとった安全基準ということも示されなければならないと思います。

 委員長、現状で、いわゆる基準等々は示されておりますのかどうか、また、それはいつまでに示されるのでしょうか。御答弁お願いします。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る規制基準、これは原子炉等規制法に基づいて原子力規制委員会規則で定めることとされておりますけれども、この基準についてはまだ定めておりません。

 今後の見通しについてもお尋ねでありましたけれども、これは、文献調査、概要調査、それぞれの段階で必要となる安全要件については順次定めてまいりたいと思っておりますけれども、具体的に最終的な基準に関しましては、これは処分事業に係る具体的な設計等との進捗ともあわせて、定める期間というのを見据えてまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 ちょっと、正直よくわからなかったんですが、通常考えれば、概要調査のところでそうした一定の基準が示されるというふうになっておるかと思います。

 文献調査においてもそういうものが必要ないかどうかは別として、更田委員長に再確認ですが、少なくとも概要調査に入る段階では一定の基準というものが必要とされると認識してよいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 概要調査に入る段階で、例えば行動の設計でありますとか、全ての点に関する基準をそれまでに定めるということは、かえって得策ではないというふうに考えております。

 一方で、概要調査に入る段階では、例えば地質構造であるとか、そういったものに関する要件というのは必要となるでしょうから、必要な安全要件を順次定めていくというのが規制委員会の考え方でございます。

阿部委員 では、確認ですが、文献調査は約二年と書いてございます。その次に、概要調査に入る段階で必要なものを定めていくということであると確認をさせていただきます。現在はまだ何もないということでございましょう。

 次の質問をお願いいたします。

 二枚目の資料にお示ししましたが、先ほど、海への処理水の放出、いわゆるトリチウム問題が論じられておりましたが、実はトリチウムは、この間、大熊地域周辺、事故を起こした原子炉から、敷地があって、そこから十メートルあるいは三百メートルの地点でも一定程度のトリチウムが検出をされたという東大の研究チームの報告であります。

 六年にわたってこれをチェックをされていて、いずれも規制基準以下ではあるけれども、例えば、通常であれば一ベクレル・パー・リットル以下であるようなところが、おのおの二十あるいは三十であるということが続いておるということで、簡単に申せば、事故を起こした施設からの地下水へのトリチウム等々の影響があったのではないかと。これは、トリチウムに色とかついているわけではありませんからフォローはできませんが、通常考えれば、事故の周辺の、そして特に地下水の動向というのはなかなかわかっておりませんので、私は、一つの新たな知見だと思います。

 今までの原子炉等規制法では、炉の置かれた地域は原子炉等規制法が管理する。外は、環境省やさまざまな、汚染対処特措法等で土壌を見ているという構造ですが、ここにちょうどぽっかりと穴があいてしまって、環境省は周辺の井戸などをもうちょっと遠いところで見ておりましたが、この事実は浮かんでまいりませんでした。となると、環境と安全に何より配慮するという原子力規制行政の中でこういう事態が生じているということを、更田委員長はどのようにお考えでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、今回、東京大学などの研究チームが検出をしたトリチウムについてでございますけれども、敷地内の井戸でも、東京電力はずっとサンプルとその分析を進めております。はるかに高い濃度の、トリチウムについて言えば、はるかに高いものがそういった井戸等から検出をされておりまして、まだ、その地下水の動き等に関しては、私たちとしては、安全上の観点からは、よりそのサイト内の、そういった検出されるトリチウムの方へ関心を強く向けております。

 さらに、先生おっしゃったように、事故のときに放出されたもので残念ながら敷地の周辺も汚染されていますので、そういった意味で、サイトの中からのものなのか、事故の発生直後に外へまき散らしてしまったものなのかというのは、なかなか検出が難しいところではございます。

 その上で、原子炉等規制法は、原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射性物質が異常な水準で原子力施設の敷地外に放出されることを防止するために、所要の規制を講じているものであります。

 一方、事故由来の放射性物質による環境の汚染への対処に関しては、これは関係法令に基づいて、原子力規制委員会を含めて関係省庁が協力して適切な対応を行っており、現在のところ問題はないというふうに認識をしております。

 規制体系が異なってはおりますけれども、「原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守る」という使命を原子力規制委員会が全うできないというふうには考えておりません。

阿部委員 私は、問題があるからこういうことが他から指摘されるんだと思います。原子炉等規制法は委員長もおっしゃった原子力施設内、外の環境は他の省庁に任せる。しかし、抜け穴ができている、特に地下水の動向ということであります。このことは、恐らく、次に私が御質問したい原子力規制のあり方、さまざまな規制のあり方についても検証が必要だというふうに私は思います。

 そもそも、この特別委員会もそうですが、国会に事故調が置かれて、原子力発電所での事故について、黒川委員長を始め、さまざまな御提言がございました。七つの提言というものがなされていて、おのおの見直しの必要が言われておりますが、私は、今言ったところは提言の第六、原子力規制法の見直しということになってまいると思います。その他もろもろ、一から七まで、例えば独立調査委員会を活用して、これは今私どもが設置を決めたアドバイザリー・ボードもそのようなものと思いますが、こうしたことが非常に、改めて重要であると思います。

 委員長にお尋ねをいたしますが、事故から十年近くをたとうとしていて、このときの提言というものを私どもがまたしっかりと受けとめて、改めてこの委員会としても生かしていく、そういう役割について、委員長の御見識を伺います。

渡辺委員長 私の方の委員長ですね。

 阿部委員の思いは重く受けとめております。御指摘の点につきましては、理事会で協議をさせていただきたいと存じます。

阿部委員 アドバイザリー・ボードのますますの活用、特に、十年にかかろうとするときの見直しの御助言等々も重ねてお願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速御質問に入りたいと思います。

 日ごろは、原子力規制行政への御尽力、委員長始め委員の皆さんには心から敬意を表させていただきます。その中で、私は、幾つかやはり御指摘をしながら、行政のあり方、そして、今ある原発に対する安全の確保、高めていただきたいということで、本日質問をさせていただきます。

 まず一番目でありますが、資料の一にも、配付をいたしましたが、規制委員会の資料が不正閲覧かということで、サイバー攻撃を規制委員会のシステムが受けてしまったという記事がございました。きのう事実確認もさせていただきましたが、改めて、どんな攻撃を受けて、情報の流出の可能性、リスクについて今どのように把握をされているか、お聞きをしたいと思います。

片山政府参考人 お答えいたします。

 外部からの攻撃と思われる不正な通信を検知し調査を行った結果、原子力規制委員会ネットワークシステムの一部サーバーに侵入された痕跡、いわゆるログでございますが、これを十月の二十六日に確認してございます。

 なお、その旨を直ちに内閣サイバーセキュリティセンター、NISCへ連絡をし、外部との接続を切断するとともに、その事実を速やかに公表したところでございます。

 現在、外部からの不正侵入の経路を詳細に把握するためのログ解析などを実施しているところでございます。

山崎委員 この不正アクセス、サイバー攻撃、こういう事態が発生したときの対応は、規制委員会としてはどんな対応をルールとして決めていらっしゃるのかお聞きしたいんですが、いかがでしょう。

片山政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制庁におきまして、こういうサイバーセキュリティーについてのセキュリティーポリシーというものを定めてございます。その中で、私が規制庁としてのCSIO、最高情報セキュリティー責任者に指名をされておりまして、こういう事案が発生いたしますと、直ちに私の方に報告が参りまして、必要な対応というのを判断をするということになってございます。また、その旨は、委員長も含めて委員に御説明をしているところでございます。

 なお、こういう事案でございますので、公開の規制委員会でつまびらかに御報告するというのはなかなか難しいというふうに考えてございまして、しかるべく調査がまとまったところで、非公開の規制委員会の場で、委員会に対してはきちんと報告をしたいというふうに考えてございます。

山崎委員 調査の実態、今状況はどうなっているかをお聞きしたいんですが。どういう体制で、この調査はいつまでに終わる計画ですか。

片山政府参考人 お答えをいたします。

 現在、原子力規制庁の情報システム室におきまして、情報システムの運用会社やサイバーセキュリティーの専門会社を使いながら、外部からの不正侵入の経路を詳細に把握するためのログ解析などを実施しているところでございます。まだ調査のめどというのが立っている状況にはございません。

山崎委員 委員長、今のお話を受けて、活動状況の先ほどの報告でも、原子力規制に対して信頼回復というのがやはり大きなテーマであります。私は、やはり原子力規制委員会というのは特別な組織でありまして、行政組織の中でも特別に、核セキュリティーなどを扱う役所でありますから、例えばサイバー攻撃を簡単に受けてはいけない、もちろん難しい面はあると思いますが、そんなに簡単に受けていい役所であるとは思いません。

 きのう、説明を受けました。受けた範囲は、機密情報、高機密のところには入らなかった、高機密の情報を扱っているサーバーは別個なものだから、業務上のやりとりや、あるいはそのデータを扱うサーバーが今攻撃をされただけだから、情報が漏れたといっても深刻な事態ではないというような説明を受けましたが、私はそういう考えではまずいのではないかと思うんですが、更田委員長、どうでしょう。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 私は、これは深刻だと思っています。非常に業務に支障は出ておりますし、例えば、新型コロナ感染症対策の中で、できるだけ職員のテレワークによる在宅勤務を進めたいところ、これも滞ってしまっています。

 また、更に言えば、確かに核セキュリティーに係る機密情報は別システムになっていますから、別システムにはアタックはなかったわけですけれども、例えば審査上の資料等に関しては事業者の商業機密も含まれています。そういったものは、今回攻撃されたか、これは検証がまだ終わっておりませんので、出てはいけないものが出なかったかどうかというのはまだ確認できていませんし、また、そもそもこういった状態で、規制委員会のホームページ、これは、今はホームページ、外からはできるようになっていますけれども、規制委員会の中と外との間の連携を断ってしまうような事態に陥ったこと自体は大変みっともない事態だというふうに思っておりますし、また深刻であるというふうに私は受け取っております。

山崎委員 大変貴重な、もっともな委員長の御判断だと思いますよ。ありがとうございます。

 それで、今の調査の実態なんですが、きのうお話を聞きましたら、職員二人、外部からの委託を受けている専門家三人、五人ですよ。いつ終わるかもわからない、数カ月かかりますというログ解析ですよ。そんなことでいいんでしょうか。だって、これ、誰がアクセスしたかわからないですよ。どんな情報が抜けたかもわからない。

 今、更田委員長がおっしゃったとおりで、最高機密は入っていなかったかもしれないけれども、それに至るさまざまな議論、あるいはさまざまな情報は、当然、業務の中でやりとりが発生していると思うんですよ。直接それが最高機密に当たらないにしても、それに極めて近い情報がやりとりされている可能性はある。

 このログ解析を早急に進めて、早くこの実態を明らかにする必要があると思いますが、いかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 私自身も、そのログ解析、できるだけ早く済ませてほしいというふうに願っています。

 一方で、このシステムのあり方そのものが非常に高い機密情報ですので、急にその作業にかかわる要員をふやすわけにはなかなかまいりません。

 そして、限られた資源、予算等も含めてですけれども、確かにシステムに脆弱性があったことは事実だと思っていますけれども、これを解消し、そして、このような事態が再発しないような観点も含めてきちんと検証していくのには、どうしても時間を要してしまうというふうに考えております。

山崎委員 いかにも、五人の体制で、何カ月かかるかわからないというのは、余りにも私は危機意識が足りないんじゃないかと思います。その間にどんなことが、アクセスした側がやっているかわからないですよね。

 ぜひここは本当に力を入れていただいて、めどを持って、人員、予算などもやはり充てて、緊急対応をとっていただきたいということを強く要望させていただきます。

 それから、私は、同じようなことが電力会社の皆さんのシステムでも起こるのではないかと。きのうも、このあたりをお聞きをすると、基本的には規制委員会と同じようなシステムになっているというようなお話をお伺いしました。だから、機密情報は閉じたシステムで扱っている、それ以外は同じようなリスクにさらされているということと思いますが、そういう状況でいいのかどうか。

 この規制委員会のシステムのあり方も含めて、今後どういう改善をする予定か、あるいは必要があるとお考えか。これは、先ほど更田委員長が初めにお話しいただいたとおりの、やはり危機感を反映する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 原子力発電所に対するリスクをどうするのかというお尋ねというふうに理解をさせていただきまして、お答えをさせていただきたいと思います。

 原子力発電所の安全性に関しましては、幾つかの原子力発電所で安全を確保するための制御システムがデジタル化されてございますので、これに対してはサイバー攻撃に対して安全性を確保する必要がございます。

 このため、発電用原子炉施設及び特定核燃料物質の防護のための必要な設備又は装置の操作に係る情報システムは、電気通信回路を通じ妨害破壊行為を受けることのないよう、外部からのアクセスを遮断をしているところでございます。

 また、原子力事業者は、情報システムに対する妨害破壊行為が行われるおそれがある場合又は行われた場合において迅速かつ確実に対応できるように情報システムセキュリティ計画を作成し、必要な対策を講じているところでございます。

 これらの対策の有効性につきましては、原子力規制委員会が検査、確認をしてございます。

 引き続き、サイバーセキュリティー対策については万全を期してまいりたいと考えております。

山崎委員 ちょっとずれてしまったんですけれども、今、規制委員会が、やりとりの中でこういうサイバー攻撃が起きてしまって、情報が流出しそうだということなんですよ。同じようなことが電力会社でも起こるんじゃないかと。

 制御システムはありますよ。もちろん、そういうシステムは守られている、一応そういう認識ではおりますが、同じようなそういう貴重な情報が、電力会社の中で、あるいは規制委員会とのやりとりの中で同じようにサイバー攻撃を受ける可能性がないのかということをお聞きしました。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、このサイバーセキュリティーに対する対策というのは、電力インフラとしては非常に重要なことだと思っております。核防御、規制委員会における核セキュリティーというところももちろんあるわけでございますけれども、当然、これは電力というインフラサービスとしての、さまざまな情報に対する管理というのは非常に重要でございます。

 経済産業省としましては、電力会社と一体となりまして、各社の中でサイバーセキュリティー対策をしっかりとるようにということを、再三、この一年間指導、指示してまいりました。電力会社相互間の中におきまして会議も設立いたしまして、この実施状況、この一年の間にも何度かサイバーアタックを受けております、その都度、社内における体制の見直しをお願いし、改善策を講じ、次なる次なるという対応策を講じているところでございます。

 東京オリンピック・パラリンピックを来年に控えまして、リスクというのはよく認識して、しっかりした対応をとってまいりたいと考えてございます。

山崎委員 今回の規制委員会へのこのサイバー攻撃というものを一つのやはりきっかけにして、更に電力会社は対応を見直していただきたい。私は、同じようなレベルでやはりやっているのではないかと。今も、サイバー攻撃がたびたびあるというお話もありました。その中で、貴重な、大事な情報が漏れないその担保をしっかりととっていただきたいというふうに強く申し上げておきます。

 次の課題に行きます。

 ALPS処理水の海洋放出の問題であります。

 これは、ただ、いろいろなところで議論されておりまして、ちょっと焦点を絞ると、この処理の方法、海洋放出以外の方法もさまざまあるはずでありまして、そのための議論が十分尽くされたかどうかという点が私はやはり一番気にかかっているところであります。

 一つは、やはり地上の保管を継続をする。トリチウムについては、十二年という、半減期が比較的短いわけでありますから、これをできるだけ地上に保管しておけば、海洋放出、まあ、最終処分の方法はいろいろな方法があるにしても、リスクはどんどん減らすことができるし、環境に与える影響も小さくできるはずであります。そういった意味で、地上保管というようなことも当然議論があるし、検討もされたと思うんですが、そういったものがどこまで議論されたのか。

 例えば、敷地内はもういっぱいでタンクが建てられないというお話があります。じゃ、例えば、敷地外で可能性のある保管の場所、地域、そういったものがどうなのかと検討あるいは議論されたことがあるのかどうか、もっと言うと、地権者の皆さん、住民の皆さんとの議論がなされたのかどうか。そのあたりまで、どう検討されたかを教えてください。

江島副大臣 お答え申し上げます。

 今、委員からの御質問は、陸上保管をどれぐらい真摯に検討したのかということであろうかと思います。

 この陸上保管に関しましても、ALPS小委員会で随分と議論は重ねてきているところであります。また、あわせまして、地元自治体との対話も含めて、丁寧な議論を進めてきております。

 まず、この小委員会による二〇一八年の八月に開催された公聴会におきまして、風評被害の懸念等からタンクでの貯蔵継続を求める声というのは確かにございます。また、これも受けて、小委員会の中で議論をしているところでございます。これは、具体的には、四回にわたりまして、この小委員会で、敷地内外でのタンクでの貯蔵継続というものについて専門家が検証を行ったところであります。

 その中身でありますけれども、まず、敷地内での貯蔵継続という点に関しましては、これは廃炉作業というのが同時に今進んでいるわけでありますけれども、これを安全かつ着実に進めていくためには、燃料デブリ等の一時保管施設、あるいは廃炉作業に伴い発生する廃棄物の保管施設等に相当大きなスペースが必要とまずされており……(山崎委員「敷地外」と呼ぶ)申しわけないです、まず敷地内での貯蔵継続という点からちょっと説明させていただきます。それで、そういうことによって、今実際に増加をしている処理水でありますけれども、廃炉作業に影響を与えない形で増設をするというのは極めて限定的になってしまうということがまず一点あります。

 委員御指摘の敷地外での貯蔵継続でありますけれども、これも、その保管施設をどこか敷地外に置いたとして、まずそれを設置する自治体等の理解を得る必要がある点、それから、どこか敷地外に持っていく場合には輸送とかの問題が当然発生するわけでありますけれども、これはこれで今度は原子炉等の規制法に基づく放射性物質を扱うためのさまざまな規制に対応していかなければいけないという点もあります。

 したがいまして、こういうもろもろのことを考えますと、相当、敷地外に持っていくというのは現実的な選択肢とはならないというのが今評価として出ているところでございます。

 これぐらいでよろしゅうございますか。

山崎委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間もないので、本当はもっと議論を深くしたいんですが。

 私は、今お話しされたようなことというのはクリアできると思うんですよ。地元の皆さん、例えば、地権者の皆さん、隣にある中間貯蔵施設の土地を利用するような話になったときに、本当にそれができないのかどうか。それから、輸送の話が出ましたけれども、海洋放出しても大丈夫な水を運ぶのに、そこで危険だというのは矛盾していませんか。海洋放出しても大丈夫なんでしょう。それを運ぶのに大変だというのは矛盾していますよ。

 だから、陸上保管について、きちっと、それは規制法のいろいろな枠組みがあるでしょう、安全に処理をして海洋放出ができるものを別なところに持っていくという選択肢は十分に可能性があるし、それは検討しなきゃいけない、それが私は十分できていないんじゃないかと。例えば、地元の地権者との本当の協議をやったのか、どういう条件を提示されたのか、そういったところも含めて、ぜひ私は、今海洋放出を決めるのではなくて、他の選択肢を議論していただきたい。

 きょうの資料の二につけましたが、技術開発についてもやはり日進月歩でありまして、トリチウムの分離技術について、こういう論文なんかも出ています。これは、近大の先生、そして東洋アルミですかね、協力をして研究をされている。私が読む限り、素人ではありますけれども、やはり大変可能性のある技術が今まさに開発されているという認識であります。一六年から一八年のころの調査の結果、具体的な利用可能な技術はないというようなお話もありましたけれども、そこからまた進歩しているし、可能性はあるんですよ。

 何とか我慢して、海洋放出を延ばして、こういう技術の可能性を更に追求すべきと思いますけれども、いかがですか。

江島副大臣 今委員御指摘のトリチウムの分離技術、近大の、資料で拝見させていただきました。これも経産省としても把握をしているところでございます。

 委員は日揮の御出身ということで、こういう技術、プロセスには大変御関心を強く持っていただいているということだと。私も、私ごとですが、千代田化工の出身なもので、同じ専業エンジニアリングにいた者として、新しい技術というのは、これは私は日本の強みだと思っておりますし、こういうものはどんどん可能性としては追求していきたいと思います。

 この近大の発表の技術に関しては、担当者がこれは逐次実際に近大と接触をしております。情報交換、意見交換も行っておりますのですが、現時点では、スケール拡大等の課題がまだあって、それに向けた研究を近大も行っているということで、直ちに実用化が可能な技術ではないというふうな認識で、今、経産省としては思っています。

 ただ、研究の進捗に関しては引き続き経産省としても注視をしていきたいと思います。

山崎委員 私の経歴も御紹介いただき、ありがとうございます。

 本当に、海洋放出のインパクトというのは、環境に与える影響もわかりません、それから、社会的、経済的な影響も大きいですから、ぜひほかの可能性を最大限検討した取組を進めていただきたいとお願いをして、終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二です。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、更田委員長にお伺いします。

 先日の予算委員会それから経産委員会で、総理、梶山大臣、それぞれから同じ答弁があったんですが、しっかりとした避難計画がない中で原子力発電所の稼働が実態として進むことはない、こういう答弁を総理も経産大臣もしているんですが、更田委員長もこれは同様に考えているのか、お伺いします。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 先生御承知のとおり、地域の防災計画に関しましては、これは原子力規制委員会が所管するものではございませんけれども、原子炉の安全、そして人と環境を守るという観点からしますと、これは地域の防災計画も原子炉の安全性等々と同様に運転のための要件となるというふうに考えております。

逢坂委員 運転のための要件となると。ちょっとここはきょうは深入りしません。

 それから、もう一点。先日の経産委員会で、私が梶山大臣に、核燃料が装着されていない原発に関しては、しっかりとした避難計画ができるまでは核燃料を装着してはならないと思うがいかがかと伺ったところ、梶山大臣から、核燃料を装着するまでにはそういったものをつくる必要があるとの答弁がありました。つまり、しっかりとした避難計画ができないうちは核燃料を装着しない意味というふうに理解をしているんですが、この点についても、更田委員長、同様でしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 法律上、原子炉等規制法においては、避難計画の策定等は原子炉への燃料装荷の前提条件とはなっておりません。

逢坂委員 法律上のことは私も理解はしておりますけれども、更田委員長がこの梶山大臣の答弁を聞いて同様に考えているのかということを伺ったわけです。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 二つのことを申し上げますが、一つは、運転の計画がない段階で炉心に燃料を装荷するということのメリットはちょっと考えにくいので、事実上、運転を前提としないで燃料を装荷することはないと考えております。

 もう一方、一方、燃料を炉心に装荷するということは、必ずしもリスクの増加を伴うものではありません。炉心にある状態の方がかえって安全という考え方もできます。これは、炉心装荷がそのサイトのリスクを高めるものではないという意味で申し上げております。

逢坂委員 考え方はわかりました。この点はまた後に深めさせていただきたいと思います。

 それじゃ、次の点に移ります。

 二〇一一年以前の日本政府の立場として、原発では過酷事故、シビアアクシデントは起きない、そういう立場だったと私は認識しているんですが、更田委員長も同様の認識でしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 二〇一一年三月十一日以前、すなわち東京電力福島第一原子力発電所事故以前でありますけれども、例えば、旧原子力安全委員会がシビアアクシデント対策の考え方を決定をしておりまして、それを踏まえて、福島第一原子力発電所事故のような、ああいった環境に放射性物質をまき散らしてしまうような事故に対しては、その対策を事業者が自主的に取り組むこととされていて、そういった意味では、政府としてシビアアクシデントの発生する可能性というのは認識していたというふうに考えております。

逢坂委員 過去のさまざまな答弁をお読みいただきたいんですけれども、政府答弁は、過酷事故は起きない、シビアアクシデントは起きないという答弁を繰り返し行っているんです。

 きょうは、この点、これ以上深入りしませんが、私の経験からいっても、シビアアクシデントは起きないんだということ、私は北海道のニセコというところに暮らしておりましたので、泊原発から三十キロ圏内の自治体に暮らしておりましたので、事故は起きないんだということは繰り返し説明を受けているんですよ。だから、今の認識は私は少し違うのではないか、政府のところは、更田委員長にはこれまでの答弁をよく読み返していただきたいし、事務方にもそういうものをきちんと出していただきたいというふうに思います。

 それでは、次のお話をさせていただきますが、それじゃ、日本の原発はシビアアクシデントが発生することを想定しないで立地を進めてきたというふうに私は判断をしているんですが、そうではないということでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 これも旧原子力安全委員会が定めた指針の一つに立地指針というのがございますが、立地指針の中でも、重大事故そして仮想事故という、これは今の言葉の使い方と定義がやや異なるところがございますけれども、環境中に放射性物質が放出することを前提として考えた事故というものが想定をされており、規制当局は、当時の規制当局も、原子力安全委員会、それから原子力安全・保安院も、シビアアクシデントは起こり得るということは認識をしていたはずです。ただ、一方で、それが現実的に起きる起きないというような、そういった意味での過去の答弁はあったのであろうとは思いますけれども、仕組み上として、環境中に放射性物質を放出してしまうような事故というのは指針類の中でも定められています。

逢坂委員 更田委員長の答弁の、何というか、ある種のロジックというのはよくわかりました。

 確かに、立地指針の中でもそういうことが書かれていることは私は承知はしておりますけれども、それでは、実態として、例えば、原発を立地する、その半径三十キロ圏内の自治体にそれを説明して、シビアアクシデントも起こる可能性は想定しているので、それに対する備えをきちんとやってください、そういう上で立地は決めていたんですか、過去から。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 現在の範囲の設定とは全く異なりますけれども、東京電力福島第一事故以前にも、その敷地の周辺に係るものに関しては、防災の計画というのは存在をしています。そういった意味で、放射性物質の放出は当時から考慮はされていました。

 しかしながら、一方で、これが東京電力福島第一原子力発電所事故の最大の反省ですけれども、いわゆる安全神話というものに、さまざまな、規制当局も含めて、とらわれていた部分があると思っています。地域への御説明に際しても、安全対策は万全を期しているのでシビアアクシデントのようなことは起きないという説明がなされていたということは事実であろうと思います。

 そういった意味で、その反省のもとに立っているからこそ、原子力規制委員会は、事故は起きるものという前提の上に立った基準類を整備をして規制に努めているところであります。

逢坂委員 シビアアクシデントは想定していた、だけれども、現実のものとして起きないという説明をしていたという答弁に私は今理解したんですけれども、それじゃ、別のことを聞きますが、その想定していたシビアアクシデントに対応するような市町村の避難計画の策定、そういうことは全国の立地自治体にさせていたんですか。

更田政府特別補佐人 東京電力福島第一原子力発電所事故が発生する以前に策定されていました避難計画というのは、原子力安全委員会が策定した原子力施設等の防災対策について、いわゆる防災指針に沿って策定されていたものと認識をしております。

 しかしながら、この防災指針においては、東京電力福島第一原子力発電所事故のような規模の事故までは想定していなかったものと考えております。

逢坂委員 それじゃ、もう一度お伺いしますが、例えば、今のUPZでいうところの半径三十キロ圏内の自治体に、シビアアクシデントが起こるようなことを想定した避難計画の策定というのは義務づけていたんですか。そこはいかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 範囲ははるかに小さかったであろうと認識をしています。済みません、これは正確な距離を私は今認識をしておりませんけれども、私自身、日本原電東海第二発電所から数キロの圏内に家族とともに二十年以上住んでおりましたけれども、避難計画等については一切承知をしておりませんでしたので、その計画が対象としている範囲というのは現在に比べて極めて小さなものであったというふうに認識をしております。

逢坂委員 現在の範囲に比べて極めて小さなものだったという答弁は理解いたしました。

 そこで、もう一つ具体的な例でお伺いしたいんですが、例えば大間原発の場合、事故の影響が及ぶ範囲というのは原発の敷地内にとどまる、そういう認識のもとに立地が決定したというふうに理解をしているんですが、この点はいかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 大間原子力発電所につきましては、当時、旧原子力安全・保安院において、原子炉立地審査指針で定める重大事故及び仮想事故が発生した場合でも、非居住区域及び低人口地帯の範囲が敷地内におさまって当時の基準を満たすことなどを確認した上で、原子炉の設置を許可したというふうに承知をしております。

 現在は、もちろん新規制基準への適合性を審査中であり、当該審査におきましては、当時の重大事故や仮想事故よりも大幅に厳しい事故を想定した場合でも、新たに整備する対策によって、これが機能するかどうかというのを審査しているところでございます。

逢坂委員 大間の例もそうでありますけれども、日本の今の原子力発電所というのは全て二〇一一年より前に立地が決められておりますので、その際の被害の及ぶ範囲、あるいは住民が避難しなければならない範囲というのは、今の原子力防災指針に定めるものよりも範囲は狭かったという理解でよろしいですね。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 私もそのとおりと認識をしております。

逢坂委員 そうなれば、今度は、新しい原子力災害対策指針、これに基づいて今全国の立地自治体では避難計画をつくるわけですけれども、新しいこの原子力災害対策指針に基づいて、全ての地域の立地自治体で十分な避難計画が策定できない可能性があると私は理解するんですけれども、それはいかがですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 地域防災計画や避難計画については、地域の実情を熟知している地方自治体が策定するものと認識をしております。

 事故の想定が変わったわけですので、また、おっしゃるように、立地は事故以前に行われていますから、理屈の上では、想定された事故に対して避難計画の策定が困難になるということはあり得るというふうに認識をしております。

逢坂委員 理屈の上でという言葉の意味が私はわからないんですけれども、事実上もそういうことはあり得るんじゃないですか。

 更田委員長、私の経験を一つお話ししますと、二十数年前、私はニセコという町の町長を務めておりまして、そこの議会で、泊原発で事故があったときの防災計画をつくるべきだという質問がありまして、何度も何度もあって、それで、私が、それじゃ、防災計画をつくろうということになったんですよ。ところが、北海道庁から連絡が来まして、原発は事故が起きないことが前提になっているから、いたずらに住民の不安をあおってもらっちゃ困る、だから、慎重に対応してくれと。役所用語で慎重に対応してくれということは、つくるなということですよ。でも、さすがに私も地元の議会からいろいろありましたので、それは、計画を、一応、小さなものですけれども、つくりましたよ。こういう経験が私にあるんですよ。それは、UPZ、三十キロ圏内の自治体ですよ。

 だから、かつては、避難計画は、理論上という話じゃなくて、実態上も、つくらなくていいよということを言っていた。そこで立地を決めているわけですから、今、今度、新しい災害対策指針ができても、それに沿った計画ができるかどうかなんというのは、事実上もつくれない可能性はあるんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所事故が起こった後の反省の一つとして、深層防護に対する考え方が甘かった。この深層防護の場合、第五層である防災計画というのは、事故は起きるものとして考えるというのが前提であります。事故は起きるものとして考えるという以上は、その規模の想定というのがそれぞれ必要になってくるわけですけれども、当然、規模の想定と、さらにその地域の状況を考えれば、あるのではないですかというお尋ねですけれども、可能性としてゼロではないというふうに思います。

逢坂委員 可能性としてはゼロではない。私は、事実としても自分の実体験からしても、不可能な地域はあるというふうに思います。

 そこで、もう一つお伺いしますが、市町村の避難計画ですけれども、その避難計画を市町村の防災会議でつくっていくわけですが、最終的に、この防災計画が、原子力災害対策指針に基づいた、有効に機能するしっかりした避難計画であるか否かを判断するのは、どの場面の誰と認識をしているのか。これは規制委員長と内閣府の副大臣両方にお伺いします。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 関係する市町村の市町村防災会議が、その地域防災計画等について、原子力災害対策指針等に基づいたものであるということを確認することになるというふうに承知をしております。

堀内副大臣 関係する市町村の市町村防災会議が、その会議の場で、その地域防災計画等について、原子力災害対策指針などに基づいたものであるということを確認することになると認識しております。

逢坂委員 そうですね。市町村の防災会議でそれは最終的に決めることになるんだと思うんですが。

 そこで、内閣府に改めてお伺いするんですが、内閣府は市町村の避難計画の策定を支援する、そういうルールになっていると承知をしておりますが、その際に、市町村の防災会議の現場で、いや、どうもうちの地域は、あの原発の事故が起きた際にここの住民を全員避難させるなんてことは不可能だ、バスもないし道路もないし、いろいろなものもない、だから、これはなかなか十分に機能する計画なんかつくるのは無理だねというような状況になったときに、内閣府はそこを無理強いして、いや、大丈夫ですよとか、これはもうそのまま決定してくださいなんということをやるのかやらないのか。

 特に私が聞きたいのは、市町村の防災会議の段階で納得できる計画ができていない、これじゃだめだという段階で、今度はその計画を、地域原子力防災協議会、すなわち県も入り国も入る協議会ですけれども、そこの場へ持ち込んで計画をまとめて、そして、原子力災害対策指針に照らして具体的、合理的であるなんということを確認する作業、こういうところまで、市町村が納得していないのにやるなんということは私はやってはならないと思うんですけれども、それはいかがですか。

堀内副大臣 災害対策基本法などにおいては、市町村は、地域防災計画、避難計画を作成するという責務を有しております。市町村がこのような責務を果たせるよう、国としても、関係道府県と連携しながら、市町村の計画の具体化、実現化に向けた支援を全面的に行っていく、あくまでも支援を全面的に行っていくところでございます。

 それゆえに、市町村が、その地域防災計画が原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的でないと考えている段階で、当該計画を含む緊急対応について、地域原子力防災協議会の場において、原子力災害対策指針などに照らして具体的かつ合理的であると確認することはないものと考えております。

逢坂委員 明確な答弁、ありがとうございました。それは当然の姿勢だと思います。

 それじゃ、次、経産副大臣にお伺いしたいんですが、核燃料サイクル、私、これはメリットが全然ないと思っているんですよ。

 国は、核燃料サイクルによって使用済み核燃料が減容化される、高レベル放射性廃棄物になったらかさが四分の一になる、だから有利だというのを一つのメリットとして挙げているんですけれども、使用済み核燃料を再処理すればいっぱいいろいろなものが出る。高レベル放射性廃棄物、高レベル放射性固体廃棄物、低レベル放射性廃棄物、放射性液体廃棄物、放射性気体廃棄物、そして、更に言うと、プルトニウム、MOX燃料、使用済みMOX燃料、そしてさらに粉末ウランなども出てくるわけですよね。私、こんなものは全くメリットがないと思っているんですけれども、どこにメリットがあるんですか。

 特に、減容化されるということについて、減容化、本当にされるんですか。それは使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物だけ見れば減容化されていますよ。でも、ほかにもいっぱいいろいろなものが出る。いかがですか。

渡辺委員長 江島経済産業副大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

江島副大臣 はい、わかりました。

 まず、半世紀にわたって原子力発電を行ってきているという結果、核燃料の廃棄物が出ているわけでありまして、減容するというのは、これからも原子力発電を続けていくためには絶対に必要不可欠なものだと思っています。

 また、今御指摘の、低レベルの放射性廃棄物等々が出るという御指摘でありますけれども、これは、人体や環境に悪影響が出ないようにするという観点から原子炉等の規制法による規制が設けられているところでありまして、その性状に応じた処分方法に基づいて適切に処分をしているというふうに考えています。

 また、MOX燃料でありますけれども、これに関しては、現在、使用済みMOX燃料、これを更に再処理した実績を有しておりますので、こういう研究開発というものに今取り組んでいるところでございます。

 この核燃料サイクルそのものに御疑念を持っているようでありますけれども、これは、高レベル放射性廃棄物の有害度をまず低減をするということ、それから、その量を減らすことができるということに加えまして、資源がない日本において、資源の有効活用にも大変に有効であるという観点から、ぜひ、安全確保を最優先として、引き続き推進をしてまいりたいと考えます。

逢坂委員 全く納得できる答弁じゃないんですけれども、副大臣、大変失礼なことを言いますが、役所の書いたのをそのまま読まない方がいいですよ。大分危険ですよ。

 私はそのことだけを申し上げて、きょうは終わりたいと思います。ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。

 本日、私は、美浜三号機、そして高浜一、二号機、今、我が国で初めて四十年超えの古い原子力発電所の再稼働が政治プロセスで進んでおりますけれども、その安全性と課題について伺いたいと思います。

 まず、経産副大臣に伺います。

 関西電力は福井県に対して、使用済み核燃料は、県外に中間貯蔵施設を設けて、県外に搬出しますということを約束をしております。これは、一九九六年、栗田知事のころからの、二十年超の課題なんですけれども、いまだに示せておりません。年内というと、あと四週間しかないんですね。本当にこの四週間のうちに示せるのかどうか、これは私はまず聞かなければいけないと思います。

 きのうも、杉本福井県知事が県議会でこう発言しております。使用済み燃料中間貯蔵施設の計画地点提示は、新しい課題、これは四十年超の同意判断をいいます、四十年超の同意判断の議論を行う前提である、全ての条件に先んじるということを述べていて、要するに、示さない限り議論には入れないというぐらいきつい表現をきのうの県議会でしておるんですが、本当にあと四週間で示せるんでしょうか。

江島副大臣 まず、関電が歴代の福井県知事から県外に中間貯蔵施設を立地することを求められてきたということは私ども承知をしております。

 また、一方で、これまでに設定をした二〇一〇年、それから二〇一八年という目標時期までに候補地点が示すことができなかったというのも、これも残念ながら事実でございます。

 また、杉本知事は、この中間貯蔵の問題を信頼関係の基本の部分というふうにおっしゃっております。関西電力がこのような地元における懸念の声を真摯に受けとめてしっかりと取り組むことが必要と、経産省としてももちろんこれは考えているところであります。

 また、関電は今、二〇二〇年という目標時期を念頭にしまして、福井県外で具体的な計画地点を示すべく、社長みずからが強い覚悟を持って全力で取り組んでいるというふうに私どもとしては承知をしているところであります。

 まずは事業者による調整をしっかりと進めてもらうことが重要であると考えていますので、経産省としては、具体的な見通しや課題について現時点で言及することは差し控えさせていただきますが、必要に応じてサポートは行っていきたいと思います。

斉木委員 人ごとだなというのが端的な感想です。

 私は、非常に、県知事や県議、県関係者から憤慨の声を聞いております。資源エネルギー庁長官が、先月かな、福井県にいらっしゃって、知事、四十年超えの同意判断をよろしくお願いしますということを知事に直接言われたと私は聞いております。

 とんでもないと思いますね。県外の候補地を先に示せと言っているのに、県外候補地を示すべき、それに協力すべく、必要に応じてサポートしますとおっしゃいましたね、その役所側が、その準備、何の手土産も持たずに抜き身で行って、知事、四十年お願いしますよなんて言うのは、よく言えたものだなと。ちょっとあきれました、今の答弁は。

 国として、これは一九九六年から示せていないんですよ、福井県に対して。もう二十四年間とまっている話です。約束をずっと破られ続けた地元の県民の立場から考えれば、これは、国は、今言ったとおり、まずは関電の話だ、事業者頑張れというような姿勢では進まないというのはこの二十四年で明らかになったと思うんですが、そんな姿勢で四十年超の再稼働同意を地元に求め続けるおつもりですか。

江島副大臣 御指摘の点もごもっともでもありますが、しかし、この中間貯蔵施設の選定に関しましては、県の意向を踏まえて、まずは関西電力自身による調整をしっかりと進めてもらうことが重要だというのが経産省の認識であります。その上で、国としては、関西電力の求めに応じて具体的なサポートを行っていきたいと考えています。

 現時点では、経産省から、その具体的なものは何かと言われても、その取組内容の説明をすることは差し控えさせていただきたいと思います。

斉木委員 国は責任を持ちませんということですね、それは。そんな姿勢だから、トイレのないマンション問題と言われるこれが全く進まないんですよ。

 二十四年も裏切り続けてきていて、私、前回はすごくひどかったと思いますよ。二〇一七年、一八年の話です。あのときは、大飯三、四号機の再稼働が課題になっておりました。そのときに、当時の関電の岩根社長、今被告ですけれども、岩根社長が地元に行って、西川当時の福井県知事から同意を得るために、あと一年以内に県外候補地を示しますと言ったのが二〇一七年のこの時期です。それで、一年たったら、ごめんなさい、示せませんでした、二〇二〇年までにはお示ししますと言ったのがきょうです。延々三年も延長してきて、一八年、いや二〇年、また、あと四週間ですよ。

 国にもあきれましたけれども、この関電の姿勢も、これは、地元、発電所を受け入れていただいて燃料プールと共存している地元住民、PAZや、私もUPZの住人ですが、その地元住民の方々を軽視しているというふうにしか、私は地元住民として見えないんですが。

 関電と国としての姿勢、副大臣、司令塔としてどう自覚していらっしゃいますか。

江島副大臣 使用済み燃料の対策を含めた核燃料サイクルの推進でありますけれども、これは、第五次基本計画の中において我が国の基本的な方針として定められている問題ですから、もう本当に国家が進めているものであります。

 一方で、政府としては、このエネルギーの基本計画に基づきまして、六ケ所再処理工場の竣工、あるいは使用済み燃料対策の推進に取り組む等を行っているところであります。関電も含めて、電力各社の社長に対しまして、使用済み燃料対策を着実に進展するようにということを要請をしてきております。

 福井県外の中間貯蔵施設の選定に関しましては、先ほどから申し上げておりますけれども、県の意向を踏まえて、まずは関電の調整というものをしっかりと進めてもらうことが重要であり、また、国としても、その折に必要なサポートを行っていきたいということでございます。

斉木委員 まあ、主語は関電だから、まず関電さん、何とかしてくれという答弁をずっと維持していらっしゃいますけれども、だからだめなんですよ。

 杉本知事が、ずっと福井県知事が今言っているのは、国のスタンスを示せ、示せ、示せ。これは栗田知事のころから、一九九六年からずっと言っているんです。それを応えずに、エネ庁長官が県知事に四十年超もお願いしますよという、ついでに頼むみたいな、これはやはり、この使用済み核燃料をどうするのかということに真摯に向き合っていないと言われてもしようがないと思いますが、答弁書を見ないでお答えできませんか。

江島副大臣 政府の一員でありますので、答弁書をもとにしっかりと答弁させていただきたいと思います。

斉木委員 極めて残念な姿勢であります。

 福井県としても、再稼働すれば当然使用済み燃料は出るわけです、それを県外に持っていってくださいね、候補地を示してくださいねという約束のもとに、二〇一七年、三年前に同意したんですよ、大飯の三、四号機に関して。いまだに示せないまま、また十二月になりました。期限があと四週間です。また茶番を演じるんですかと正直思いますよ。知事の同意を得るためにできない約束をして、知事、年内はだめだったけれども、あと一年待ってください、あと一年で示しますと言ったのが三年前、二〇一七年ですよ。西川さんと岩根社長でした。また、今度は杉本さんに対して森本さんが、知事、だめだったけれども、あと一年待ってください、また一年、何とかしますからと言ってお願いするんですか。そんなたらればの話に地元を振り回さないでいただきたいと私は思います。

 やはり、中間貯蔵施設という名の最終処分地にするわけにいきません。このバックエンドの話、使用済み燃料の話というのは、まず再稼働、再起動のお願いをする前に向き合うべきだということを強く私は念を押したいと思います。

 あと、更田委員長にも伺います。

 この美浜の三、そして高浜の一、二の審査に当たっては、更田委員長がかなり主導的にやられたということを聞いておりますけれども、やはり、技術的に、古い原発を動かしても本当に安全なんだろうかということを、私含め地元の住民の方々から、本当に安心なのかということに対する疑念の声、心配が出ております。それの技術的な課題について伺いたいと思います。

 今、御承知だと思いますが、高浜三、四号機は、この一、二号機、いわゆる兄貴分ですね、より後にできた、より新しい原発ですけれども、定検中です。再起動がおくれております。

 これは、伝熱管の破損、伝熱管の減肉が発見をされました。伝熱管というのは、一基当たり一万本近く、蒸気発生器の中にわずか直径が一・三ミリぐらいの細い合金製の管が走っていて、膜厚が、〇・三ミリでしたか、非常に薄い。薄いからこそ、一次系の熱を二次系にダイレクトに伝えるために薄くしていると思います。ですので、ここはウイークポイントになっていて、現在の高浜三、四号機は、減肉、二割から四割程度、これがなぜか薄くなっていたということが発見されたので、再起動できなくなっております。

 これは、美浜二号機で事故が起きましたね。同じ三菱重工業製の伝熱管がやはり破断をして、放射能漏れを起こしてとまった。ECCS、緊急炉心冷却水も注入をされたと私は把握しております。

 私はこのことを規制庁の方にレクでお話ししたんですけれども、これが進行すれば、美浜二号機のように伝熱管が破断をし、高浜で、三、四号機で、今もう四割薄くなっています、これが破断をすることは考えなきゃいけない事故です。これがもし破断をした場合には、一次系の水がそこから漏れていきますね。たとえスクラムで制御棒が挿入をされたとしても、崩壊熱が出続けます。福島と同じ状況です。崩壊熱が出続けて、百五十から百六十気圧という非常に高圧の原子炉圧力容器になっております、そこに、ECCSが、例えば、電気がなくなって入りません、バッテリーもやられました、今、高圧ポンプ車を用意していますけれども、手動で入れるには百六十気圧は高過ぎます。これも入らない。要するに、外部から、今言われている深層防護、深層防護がPWRに対して、加圧水型原発に対して機能しなくなった場合に、これは想定しなきゃいけないと私は思っております、その場合には、シュラウドが溶けて、そしてメルトダウンに至るということも、これは起き得ないわけではないと規制庁の方はおっしゃっております。

 この伝熱管が薄くなること、高浜で今起きていることです、これが破断に至った場合、メルトダウンの可能性は否定できないということでよろしいでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、蒸気発生器の伝熱管が破損したときにどのような影響が出るかというのは、それは何本破損かということの想定にもよります。もう一つは、PWRの場合、三ループ、四ループありますけれども、そのループの幾つが事故の対処に使えるかにかかわってきます。当然、多数本の伝熱管が破損した蒸気発生器は隔離ということで切り離しますけれども、そうすると、残ったもので、原子炉を冷却する手段は幾つかありますけれども、今お話をしているのは蒸気発生器を使って冷やそうとする場合ですが、それが何ループ残っているかによって想定はまた変わってまいります。

 いずれにしましても、今先生がおっしゃったように、例えば地震であるとか電源喪失であるとか、幾つかの想定を重ねれば、炉心溶融なり炉心損傷の可能性というのは常に残ります。

斉木委員 伝熱管の減肉が実際に、高浜一、二の今お願いを関西電力及び資源エネルギー庁が福井県に対してしているわけです、再稼働の。その高浜三、四で伝熱管が薄くなっていた、これは私は起きてはいけないことだと思っております。

 どうも、聞くと、二次系の中に異物が入っていて、二次系の異物がかんかんかんかん、一次系の合金管の外側にどんどん振動で当たっていて傷が入ったり減肉をしていたようだと。でも、その二次系は、入ってはいけないところなんですよ。何で入ってしまったんですか。やはり、こういう想定外というのは起こり得るということですよね。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 今回、高浜三、四で見られている伝熱管、減肉と言うのが非常に的確な表現かどうかわかりませんけれども、一応減肉というふうに呼びますけれども、外から入ってきた、これをデブリと呼んでおりますけれども、異物が入ってきて、それがひっかかったりすることによって削れてしまう。これは比較的古くから見られていることでありまして、あってはならないことといっても、二次系の例えば洗浄のために人が入るというようなところがあって、そのときに何かを持ち込んでしまって、異物対策に遺漏があった場合、恐らく何かを残してきてしまった、あるいは製作時のばりのようなものが剥がれて流れてしまった、そういったようなことによって起こると考えております。

斉木委員 それが、私は、四十年超、非常に長い間使われている場合には、デブリであるとか、あとはさびですね、こういったものもやはり考慮しなければいけないと。

 原子炉圧力容器は、合金製だと思いますけれども、Fe、鉄分が入っていると思います。ということは、酸化をしていったりであるとか、さまざまな長期使用に伴う劣化、脆化、こういったものは考慮していかなければいけないし、若い原発に比べれば、一次系、二次系ともに、そういったさびのような物質、異物が浮遊し、ぐるぐる回っていますので、百六十気圧という高圧で、高速で伝熱管に損傷を与える可能性は高くなっていると私は考えざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 異物、いわゆるデブリ、異物の混入は、実は新設炉において非常に懸念をされるケースがあります。新しくつくって初めて動かすときというのは、先ほど申し上げたように、加工のときのばりみたいなものが残っているケースがあって、新設起動時に非常に大きな懸念があります。そういった観点もあって、何年運転が続いてきた、経過してきた炉か、いわゆる高経年化との関連はむしろ余り考えられません。

 ただ、美浜三号機、高浜一、二号機のように長い期間停止していた炉の場合、これは再起動の際に、仮に再起動するとした場合には大きな懸念になります。というのは、保管している間に配管等々も点検や保全のためにあけることがありますので、そういったときに、何といいますか、シャワーキャップみたいなものをかぶせたりして事業者は努力はするわけですけれども、やはり長い期間停止している間に異物混入の可能性は高まりますので、高経年化との関連ではなくて、長期停止との関連でこの異物対策というのは注視する必要があるだろうというふうに考えております。

斉木委員 二〇一〇年、一一年から長期停止をしている、九年ぶり、十年ぶりの再稼働の議論ですので、当然、玄海原発のトラブルがありましたけれども、やはりこういったことは考えていかなければいけないと思います。

 やはり、地元としては、申し上げましたが、動かせば使用済み燃料は出る、それに対して、候補地も示さずエネ庁長官が四十年超もよろしくお願いしますというようなことを県知事に言うということは、これは軽く見ているとしか、私は、地元の住民としても思えません。

 またこの年末にあの二〇一七年の茶番を、あと一年待ってください、一年以内にお示ししますからと言って、いまだに示せない、再稼働の同意をとるためだけの口約束というようなことは、ぜひエネ庁としても関電にさせないでいただきたいし、福井県に話をする前に、再稼働のお願いをする前に、まず県外候補地を示すということをもう一度思い出していただくことをお願いして、きょうの質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 きょうは、原発の運転期間である四十年ルールについてお聞きをします。

 配付資料の一を見ていただきますと、これは、いわゆる原子炉等規制法の四十年ルールにかかわる条文であります。四十三条の三の三十二、ここに、原子炉を運転することができる期間は、第四十三条の三の十一の三項、すなわち最初に使用前事業者検査の確認を受けた日から起算して四十年であるというふうに規定をしております。

 これは、あの三・一一東電福島第一原発事故を受けて、原発の運転期間、すなわち寿命を日本で初めて法定化したものであります。実際、この法律、規定に基づいて、先ほど更田委員長からの報告にあったように、東海第二、美浜三号、高浜一、二号について、いわゆる延長申請が、この起点を、寿命を前提にして行われてまいりました。

 規制庁に確認したいんですが、この条項に関する見解を、七月二十九日、規制委員会が発表されているんですが、この見解は何を発端として、何をきっかけとして行われたのか、端的にお願いします。

市村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘の七月二十九日の見解の文書でございますけれども、これは、原子力規制委員会としてかねてから表明してきていた考えを改めて整理したものでございます。

 お尋ねのきっかけそのものについては、平成二十九年一月に、規制委員会と主要原子力設置者の原子力部門の責任者、CNOとの意見交換というものでございますけれども、そういう場において、事業者側から、運転停止期間における安全上重要な設備の劣化については技術的に問題ないと考えられることから、バックフィットを適切に実施するための審査、工事等に関する停止期間は運転期間から除外してはどうかという提案がなされました。

 こういう経緯もありまして、原子力規制庁が、経年劣化管理に関しまして、原子力エネルギー協議会、これはATENAという団体ですけれども、ここと技術的意見交換を行いまして、その結果を規制委員会に七月二十二日に報告をいたしました。その際に、規制委員会から従来の見解を改めてまとめるように指示がありまして、これを取りまとめたものでございます。

藤野委員 今、事業者側からこうした意見交換が求められた、それをATENAと協議をしてまとめたというお話がありました。

 この意見交換を行ったATENA、原子力エネルギー協議会というのはどんな組織であって、電事連との関係はどうなっているんでしょうか。端的にお願いします。

市村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの原子力エネルギー協議会、いわゆるATENAでございますけれども、これは、昨年七月に、先ほど申し上げました原子力規制委員会とCNOとの意見交換というのがございまして、その場において事業者側から説明がございました。そこでは、ATENAというものは、原子力事業者、メーカー、関係団体が、自律的かつ継続的な安全性向上の取組を定着させていくことを目的に、原子力産業界全体の知見、リソースを効果的に活用し、規制当局等とも対話を行いながら、効果ある安全対策を立案して、原子力事業者の現場への導入を促す新たな組織として設立をしたという説明がございました。

藤野委員 つまり、このATENAというのは、昔の電事連、いわゆる電気事業者だけではなくて、三菱重工や東芝、日立といった原子炉メーカーあるいは関係団体が加わった組織であります。電事連よりも強力にロビー活動を行っているわけであります。そして、そのATENA側との意見交換を通じて、七月二十九日の見解なるものが発表された。

 配付資料の二を見ていただきますと、この見解が出ております。黄色の部分、ほかにもいろいろありますが、ポイントだと思います。三ポツのところは、「運転期間を四十年とする定めは、このような原子力規制委員会の立場から見ると、かかる評価を行うタイミング(運転開始から一定期間経過した時点)を特定するという意味を持つものである。」そして、六ポツは、「このように、現行制度における運転開始から四十年という期間そのものは、上記3.の評価を行う時期として唯一の選択肢というものではなく、発電用原子炉施設の運転期間についての立法政策として定められたものである。」

 ちょっとわかりにくいと思うんですね。なので、ちょっと配付資料三を用意させていただきました。これは、電気新聞、ことしの七月三十一日付でして、二十九日に規制委員会が見解を発表して、三十日に自民党の原子力規制に関する特別委員会が規制庁から説明を受けております。その説明を受けて、この自民党の特別委員会の委員長である井上委員長が記事で出てくるわけですね。紹介しますと、「井上委員長は「四十年」の運転期間は「寿命」ではなく、運転期間延長認可のための「身体検査」を行うタイミングとの認識を強調。規制委の文書でも同様の見解が明確化されたことを高く評価した。」

 更田委員長にお聞きしたいんですが、四十年、法律上明記されている。これは、運転期間と法律上書いてあるわけですね、運転期間、運転できる期間は四十年と。これは、しかし、寿命ではなくて身体検査を行うタイミングだ、こういう見解を規制委員会が発表したことを高く評価されているんですが、更田委員長もこの井上委員長と同じ認識ということでよろしいですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 これまで、繰り返し、四十年をどう考えるかとか、あるいは停止期間中は時計の針をとめるべきではないかとか、そういったことを盛んに原子力規制委員会は問われてきています。しかし、それは私たちが考えることでも決めることでもないんだよというのを繰り返しお答えをしておりますけれども、それがどうしても文書化しないとなかなか伝わっていかない。

 そのこともあって、またさらに、さんざんそういった見解を明らかにしていたにもかかわらず、またCNO会議、事業者との会議で、停止期間中には時計の針がとめられませんかと。それは、我々、あずかり知る話ではなくて、立法政策の場において決められるべきだということがあの見解の最大のメッセージであります。

 四十年という数字は、私たちが高経年化の評価を行うタイミングを示すもの、私たちにとってはそういうものであって、寿命であるとか期間と呼ばれているものというのは、これは政策側の議論であるということを明確にしたのがあの文書であります。

藤野委員 いや、これは本当に重大な答弁だと思います。

 法律をどう読んでも、期間と書いてあるんです、ピリオドと書いてあるんです。タイミングなんて書いてない。この四十三条の三の三十二の文言は、運転できる期間は、そして起点も示して、検査、確認した日から、起点も示して、そして四十年という期間も示しているんです。これが条文なんですよ。これを何かタイミングだとかと言うこと自体が、これはもう重大な解釈変更。当時の議事録を読みましても、まさにこの四十年は大問題になって、何で四十年なんだ、何で四十年しか運転できないんだという議論がるるされているわけです。

 だから、これは寿命であることはもう動かしようがない。これを、意見交換なのか知りませんが、タイミングだ、評価を行うピンポイントのタイミングだ、期間だったものをタイミングだと勝手に読みかえる。

 これは、本当に規制委員会が、初めおっしゃったように、ずっと述べる立場にないとおっしゃっているんですよ。配付資料でも、私はあえて青く塗らせていただいたんです。「かねてから、運転期間の在り方について意見を述べる立場にない旨を表明してきたところであるが、」と前文でおっしゃい、一ポツでも、こうした運転期間について「原子力規制委員会が関わるべき事柄ではない。」とおっしゃっている。最後の六ポツでも、最後に、「原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない。」とおっしゃっている。だから、述べなきゃいいんです。述べなきゃいいのに、三ポツとか六ポツで新たな解釈を勝手に持ち込んできているわけですよ。タイミングだと。

 自民党の特別委員長が高く評価する、ここにこの見解の一番のポイントがある。四十年というものから検査期間を除いてほしい、先ほどお話もありました。東京電力の柏崎刈羽も七年たっている。この七年を四十年に入れないでほしい。それを可能にするのはこのタイミングという言葉なんですよ。

 こういうことをもしやりたいんだったら、私は法律を変えるべきだと思う。国会で審議をして、規制委員会にこんなことを押しつけて、こういう意見を述べる立場がない組織にこんなことを言わせるのではなくて、ちゃんと法律を変える、堂々と正面から議論すべきである。そんなこともせずに、こういう見解なるものを出させてねじ曲げるというのは、私は、原子力行政、本当にゆがめると思いますよ。

 そして、これはこの間、日本学術会議とか検察庁法のところでも、現行法の解釈、確定しているものを、条文上動かしようがないものを政府内部で勝手に解釈したと問題になっています。ああいう組織、学術会議なんというのは戦前との関係で、戦前、科学者が戦争に協力させられた、それをやらないということで独立性があるわけですね。原子力規制委員会は、あの三・一一の原発事故が最大の教訓になって独立性が強化された。その組織が、事もあろうに、条文の動かしようがないこの文言を、タイミングだ、期間だったものをタイミングだと言うのは本当に許しがたいと思う。

 私、この問題を考える中で、そういった規制委員会そのものの成り立ちというのを改めて振り返ってみました。国会事故調査報告書、きょうも持ってきておりますけれども、配付資料の五をごらんいただきますと、こういう指摘があるんです。黄色く塗らせていただきましたけれども、「規制及び指針類の検討過程の実態は、」とありまして、「安全確保に必要な規制を策定するための健全なプロセスとは懸け離れたものであり、規制側も事業者側も、「既設の炉を停止しない」という条件を大前提に、体裁が整うような形で規制の落としどころを探り合うというものであった。」

 今回の四十年ルールに関する見解も、まさに規制の検討過程の話なんですね。おっしゃったように、いろいろな検討が求められた、自分がずっと言ってきたけれども、委員会として言ってきたけれども、それを何か納得しないということなんですね。それは正直におっしゃったと思うんです。

 この事故調報告、こうも続けております。「当委員会では、事業者と規制当局の関係を確認するに当たり、事業者のロビー活動に大きな役割を果たしてきた電事連を中心に調査を行った。その結果、日本の原子力業界における電気事業者と規制当局との関係は、必要な独立性及び透明性が確保されることなく、まさに「虜(とりこ)」の構造といえる状態であり、安全文化とは相いれない実態が明らかとなった。」とあるわけですね。ここで言われる「事業者のロビー活動に大きな役割を果たしてきた電事連」、これが今もっとモデルチェンジというかバージョンアップされて、電事連も含むATENAという組織になっているわけですね。

 このATENAというのは、すごいんですよ、規制委員会との会合といいますか意見交換、ヒアリングも含めて、二〇一九年四月三日以降、規制委員会からいただいた資料では、ことしの十一月二十六日までに三百四十回、意見交換を行っております。この四十年ルールについても十回以上既に行っている。

 もちろん、私たちは意見交換自体を否定するものではありません。意見交換は否定しません。しかし、意見を述べる立場にないと言い続けていた組織に対して意見交換を強いる、こんなものは意見交換と言わないと思うんです。本来であれば自由に意見を述べる、そして一定の知見を共有する、これが意見交換であって、意見を述べる立場にないんだ、意見を述べるべきでないとまで言っている、そういうところに、こういう、このテーマだけでも十回以上行っているわけですね。

 ATENA側の一番の要求は、先ほど言ったように、審査、工事等にかかった停止期間は四十年の運転期間から外してほしい、この一点です。しかし、これはやはり法律、原子炉等規制法四十三条の三の三十二には、原子炉を運転できる期間は四十年だと書いているわけです。ここをいじらない以上、どうしたって無理な議論なんです。実際、だからこそ、今まで三原発四基で、そこを起点にして延長申請もされているわけです。

 更田委員長、お聞きしますけれども、規制委員会自身が、寿命だという立場で現行法の解釈、運用を行ってきたと思うんです。それをどうしても変えたい、寿命じゃなくて身体検査のタイミングにしたいというのであれば、国会で審議をする、それが筋じゃないか。委員長の立場からおっしゃってください。

更田政府特別補佐人 まさに私たち原子力規制委員会が申し上げていることであります。四十年を変えるのは国会で御議論いただくこと、また、時計の進め方を決めるのは国会でお決めいただくことで、繰り返し、運転停止期間は時計の針をとめるべきではないかと問われてきたことに対して、それはできないと一貫して答弁をしてまいりました。まさに立法の御議論であろうというふうに認識をしております。

藤野委員 委員長、そうおっしゃるのであれば、こんな見解を出さなきゃよかったんですよ。委員長、これ、私、何回も読みました。もう委員会としての悩みが出てくるような、述べる立場にないんだと三回も出てくるんですね。にもかかわらず、運転期間については、四十年という運転期間ではなくて、タイミングだと。

 やはり、一番独立性が事業者や政府から求められている原子力規制委員会が、意見を述べるべきでない事柄について意見を述べている。この文書自身が、逃れられない、もうあれなんですよ。幾ら強弁されても、国会でやることだとおっしゃる、そのとおりだと思います、にもかかわらず、じゃ、こんな見解を何で出されるんですか。

更田政府特別補佐人 運転期間並びに時計の進み方は国会でお決めになるべきことであるというのをより明確に示すために見解を差し上げました。それが誤解を招くとすると、運転期間は私たちの知ったことではないという意味で、私たちが四十年目に評価を行っているのは、そこで高経年化の申請が出てくるからそのタイミングになった、身体検査のタイミングというのもそれに合わせて行っているという意味で、期間そのものは私たちの知ったことではないという意味でその見解は申し上げております。

藤野委員 いや、知ったことではないと言われるけれども、自民党の特別委員会の委員長からは高く評価されるわけですよ。

 その委員会は何を言っているか。(発言する者あり)いや、皆さんがそうやってやじられること自身が本当にわかりやすい反応だなと思いますよ。

 この国会事故調は何を言ったか。先ほど安全神話ともおっしゃいましたが、その安全神話を生み出した規制のとりこの構造を強調されているんです。規制のとりこ。今回のように、本来述べるべきでない分野についてまで、繰り返しATENAという電事連以上に強力な組織との意見交換なるものを通じて、こういう見解が出てきた。しかも、規制に関する中心的な問題ですね。

 これは、配付資料の六も見ていただきたいんですけれども、同じ事故調の報告書ですが、こうあるんですね。「本事故の原因が適切に対処されず、長期間放置された背景には、」「電気事業者と規制側の不健全な関係(「虜の構造」)があったことは明らかであろう。」そして、ここが大事だと思います。「こうした原子力業界の病巣の根底には、原子力業界の存続が既設炉の稼働に依存しているという問題がある。」飛びますけれども、「既設炉の停止は、「原子力業界」に関わりを持つすべての者にとって、その存在意義を脅かす事象である。」

 先ほど出た柏崎刈羽というのはもう七年たっておりまして、これは七年間、ある意味でいうと既設炉の稼働が短くなるわけですね。既設炉の停止が早まっちゃうわけです。逆に、ほかの原発でもそういう関係にある。今回の解釈変更というか、この見解というのは、少しでも長く既設炉を動かす、こういうことにつながっていく。まさに、国会事故調が言う既設炉を停止しないため、そういう動きにつながっていくと、委員長、思いませんか。

更田政府特別補佐人 停止期間中は時計の針の進行に含まれますので、停止している分だけ運転する期間は短くなります。そして、それを変える変えないは立法府の御議論であるというのが私どもの見解です。

藤野委員 いや、何でそのラインを、防衛ラインを維持されなかったのかなと、ATENAとの関係で、私は思いますよ。

 そういう意味で、この停止期間中が例えば柏崎刈羽に適用されることがあるかどうかは、これはまた別論点です。しかし、この見解が出たということは動かないんですよ。これはもう絶対動かない。何で立場上こういうものをやるべきでないと言ってきたことを動かしたのかということは、もう動かしようのない事実であります。

 これは、私は、国会事故調が懸念しているとりこの関係、とりこの構造、これに規制委員会が戻る、こういう大きな危険がある、いや、もう戻っているかもしれない、このことを指摘して、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 本日は、最初に、先ほど山崎委員が取り上げられていたサイバーセキュリティー問題を取り上げたいと思います。

 十月二十六日の午後になりますが、規制委員会の情報システムにサイバー攻撃を受け、職員の業務用端末などを管理する情報システムに侵入されたとの報道がございました。

 このシステムには、非公開会議の資料や指示文書など、規制委員会の情報セキュリティー基準でいえば四段階中の下から二番目までの機密情報なども保存されていたというふうにされておりますが、まず、当該システムへの不正侵入があったことが本当に事実なのか。そして、このシステムには事業者から提供を受けた資料は保存されているのかどうか。さらには、情報の不正閲覧や漏えいの事実はあるか、特に事業者等から提供された資料等が被害を受けた事実はあるかどうか。さらに、最後に、今回の件が起こった原因と対策、そして事業者への今後の対応方針について、まとめて質問させていただきたいと思います。

片山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、十月二十六日の午後、外部からの攻撃と思われる不正な通信を検知し、調査を行った結果、原子力規制委員会ネットワークシステムの一部サーバーに侵入された痕跡を確認しております。

 この情報システムには事業者から提供を受けた資料が保存をされているところでございます。ただし、核セキュリティーに関する機密性の高い情報は、外部と接続していない独立したシステムに保存をされているところでございます。

 外部への情報漏えいにつきましては、現時点では、機微な情報を含め、不正な閲覧や外部への情報漏えいの事実は確認されておりません。

 それから、現在、不正侵入等の詳細を把握するためのログ解析によりまして原因の追求をしておりますけれども、それが判明した後におきまして、当該原因を踏まえて再発防止策を検討しているところでございます。

 また、現在は、電話やファクス及び代替のメールを用いて審査、検査等の通常業務を継続しているところでございます。当然、従来の情報システムが使えませんので、業務効率のところはやや落ちるところはございますけれども、そういったところをなるべくカバーをいたしまして、この外部との接続の遮断、今やっておりますけれども、そういった影響が出ないように業務を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

浅野委員 状況がわかりました。ありがとうございます。

 最後の点なんですけれども、現在、サーバーがまだ外部との接続ができない状況だ、メールが使えない、またサーバーが使えない、情報にアクセスできない等、いろいろな状況下で職員の皆さんが今業務をされているということで、外部とのやりとりという点においては、これまでどおりの効率が維持できないような状況下にあるというふうに思います。

 ただ、きょう冒頭に細田委員が取り上げられていたように、審査の効率的な進行、あるいは審査の期間という観点でいえば、もちろん安全最優先だと思います、本日の委員長の答弁も含めて、私も拝聴させていただきましたが、おっしゃる点はごもっとも、地域、施設によって異なる点があり、それに時間を要する要素というのはあると思いますが、それと今回のこの件というのは全く別の話だと思っております。

 あくまでも原子力規制委員会の情報セキュリティーの問題であって、それが外部とのやりとりや業界全体の運営に影響を来してはならないというふうに思いますので、そのあたりは十分に対応をいただきたいですし、また、委員長の方もリーダーシップを発揮していただきたいと思うんですが、もし委員長から一言何かいただけたらお願いいたします。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回の不正アクセスに関しては、これが発生したこと自体、また規制委員会と外部との連絡に通信上の支障が生じていること自体は、大変みっともない、深刻な事態だというふうに考えています。また、申請者であるとか事業者に対して、審査や検査で影響が出ないように努めてはおりますけれども、それでもやはり迷惑をかけていることは事実であって、これは遺憾に思っております。

 今後とも、この脆弱性をきちんと把握をして、このようなことが起きないように万全の措置をとっていきたいというふうに考えております。

浅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、ALPS処理水の取扱いについても質問をさせていただきたいと思いますが、梶山経済産業大臣は、十月二十三日の会見の中で、処理水の取扱い方針の決定に向けて協議を継続する意向を示されました。特に風評被害への対応や国内外への情報発信のあり方について検討を進める必要性があるということでしたが、具体的に現在何が検討されているのでしょうか。

 また、この処理水の問題は、皆さんも御認識のとおり、かなりもう蓄積されている量がありまして、さらには、今後の廃炉の処分を考えたときにはいつまでも放置できない喫緊の課題であるという認識においては皆さん共通だと思いますが、いつごろを目途にこの基本的な方針というのを決定するつもりなのか。副大臣のお考えを聞きたいと思います。

江島副大臣 お答えします。

 まず、十月二十三日のことでございますが、これは、廃炉・汚染水対策チーム会合として、これまでいただいた御意見を真摯に受けとめて、改めて整理を行ったところでございます。現在は、そこでの整理や議論を踏まえて、風評対策、国内外への情報の発信のあり方などの論点について、関係省庁間で丁寧に議論を進めております。

 少し具体的にお話し申し上げますと、例えば、モニタリングの強化、それから安全、安心にかかわる科学的根拠に基づく情報発信、それから農水産品の販売促進等も行っておりまして、これまで震災以降に実施して実際に有効であったというふうに判断をできる対策や、あるいは、決定後に新たに生じる可能性もある風評被害もございます、これに関しましても機動的に対応していく体制づくり、これらを今関係省庁間で連携をしながら検討しているところでございます。

 方針を決定する時期についての御質問でありますけれども、これはもう御案内のように、時間がたつにつれてタンク容量というものが余裕がなくなってきているというのが現実でございます。これはやはり、この方針決定の際に最も重要視をして考慮していかなければいけません、先送りをすることというのがもうできないというふうに私どもは考えております。

 一方で、丁寧な議論というのも大変重要でありますので、これらとのバランスを見ながら、適切なタイミングでもっての、政府としての責任を持って判断をしたいと思います。

浅野委員 処理水の処分方法については、きょうこれまでの議論の中にもありましたように、幾つかの選択肢の中で検討が進められてきた、そしてそれぞれに対して賛否両方の意見が出ている状況でありまして、そこはしっかり丁寧に進めていくべきだと思います。

 ただ一方で、今のタンク容量では二〇二二年の夏ごろに満杯になる見通しが高い。そして、その間の処分の方法が決まってから、それを実施するための設備の建設やアセスメント、規制委員会の審査、そういった手続を考えれば、やはり二年近くの時間がかかるということも公知の事実でございまして、適切な時期にという表現はこれまで何度も答弁としていただいていますが、今はその表現だけでは国民の皆さんや福島県の皆さんが不安を感じてしまうような時期にもう来ているというふうに思いますので、丁寧な検討をしていただきつつも、どのあたりまでに方針を決めなければいけないんだ、決めるんだという意思表示はぜひしていただきたい、そのように要望させていただきたいと思います。

 続いての質問ですけれども、福島第一原子力発電所の廃炉処理作業においては、使用済み燃料やデブリの一時保管施設、そして試料分析用施設などの建設が必要になるとされております。こういった廃炉に向けた施設は、どの時期までに今の工程でいえば建設をしなければいけないのか。そして、今の現況下で建設するための空間というのは既に確保されているのかどうか。処理水タンクの設置容量は今百三十七万トンということなんですけれども、このタンクが非常に大きな面積を占めておりますから、今申し上げたようなところを質問させていただきたいと思います。

 加えて、この百三十七万トンというタンク容量が物理的限界によって決まっているものなのかそうでないのか、このあたりも教えていただきたいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 今後、廃炉作業を進めるに当たりましては、使用済み燃料を取り出さなければなりません。また、燃料デブリの一時保管施設、それからさまざまな試料の分析用施設、廃棄物のリサイクル施設などの施設を建設していく必要がございます。

 御質問ございました今の施設が必要となる時期でございますけれども、ALPS小委員会で議論された内容を御紹介いたしますと、使用済み燃料の一時保管施設やさまざまな試料の分析用施設は二〇二〇年代の前半に、あるいは、燃料デブリの一時保管施設や廃棄物リサイクル施設等は二〇二〇年代後半に必要になると見込まれております。

 これらの施設を建設するためには広大な敷地が必要となります。既にタンクが設置されているスペースも含めまして、敷地全体を最大限有効活用していく必要がございます。こうした状況や既にタンクが敷地を大きく占有するようになっている状況を踏まえれば、廃炉作業に影響を与えない形で更に貯蔵を延長するためのタンクの増設を続ける余地は極めて限定的であると考えております。

 また、百三十七万トン、百三十七万立米が上限なのかというお尋ねもございましたけれども、これまで、敷地内の森林エリアの木を伐採して造成した土地を活用するなど、使用可能な土地を最大限有効活用するように試みてまいりました。また、より効率的な貯蔵を行うということで、タンクの配置の効率化、蜂の巣状に並べるとか、こういう工夫も行っております。

 こうした中で策定した現行計画において見込んでいるタンク容量は百三十七万立米でございまして、今後、廃炉作業に影響を与えない形で更に貯蔵を延長するためのタンクの増設を続ける余地は極めて限定的であると考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 続いての質問になりますが、次は海洋放出について少し質問させていただきたいと思います。

 現在、処理水を仮に海洋放出する場合、国の規制基準の四十分の一に相当する一リットル当たり千五百ベクレルまで薄めて放出する案が検討されているというふうに聞いております。ただ、この千五百ベクレルというのが一体どの程度危険なのかというのが国民には非常にわかりづらい、伝わりづらい、そんな課題感を感じております。

 そこで、やはり比較論でわかりやすさを高めていくべきではないかという観点から質問させていただきますが、日本国内の各原子力発電所、建設中のものであったり稼働中のもの、停止中のもの、又は廃炉作業中のものを含みますが、これらから放出されているトリチウム水の一リットル当たりの濃度というのは一体どの程度なんでしょうか。できましたら、国内で一番高い値のところ、そして低い値、また、一リットル当たり千五百ベクレル以上の濃度で放出されている発電所が一体どのくらい今あるのかないのか、そのあたりもわかりやすく教えていただきたいと思います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの原子力発電所からの放射性液体廃棄物中のトリチウムの濃度でございますけれども、原子力規制委員会が発足して以降に報告を受けている範囲で調べましたところ、三カ月の平均値というものが報告されておりまして、この範囲での最大値は、平成三十年度の第二・四半期に四国電力の伊方発電所で二百ベクレル・パー・リットルでございました。最小値につきましては、測定の検出限界の値未満という形で報告をされておりまして、これよりはかなり低い濃度の値ということになってございます。

浅野委員 実績でいえば二百ベクレル・パー・リットルというのが最大値ということで、これに対して千五百という数値がどうなのかというところは、きょうは議論いたしませんけれども、今後の議論の中でここは詳細に深めていきたいと思います。

 続きまして、この方法で処理をした場合の処分完了までの期間がどの程度かかる見込みなのか。そして、現在事業者が提案している放出方法については、風評対策の観点ではまだ工夫する余地があるのではないかと感じる部分も幾つかあるんですけれども、政府としては風評対策の観点でどのような見解をお持ちなのか、答弁を求めたいと思います。

江島副大臣 今の御質問の前に、先ほどの千五百ベクレルに関してちょっと申し上げますと、今、飲料水の基準、上限というのが、一リットル当たり一万ベクレルというのが飲料水基準ですので、それより以下であれば飲料水としてオーケーというのが国際基準ですので、それに比較すると、千五百というのは安心であるというふうに私どもは認識しております。

 処理水を処理をする、海洋放出を仮にするというような場合に関しましても、当然、委員御指摘のように、処分量の大小によって処分する期間は変化するのはもう御案内のとおりでございます。この際には、廃炉作業にまず影響を与えないように、国内外の原子力発電所の実績等も踏まえながら検討をしていきたいというふうに考えております。

 放出方法でありますが、まず風評影響を最大限抑制するという観点もこれは大変重要なファクターだろうと思います。これは、ちなみに、ALPS小委員会の報告書の中でも、処分方法の工夫によって風評影響を抑えるべきであるという指摘がなされております。

 ことしの三月に、東京電力が、処分方法の具体的なイメージを示した検討素案というものを発表しております。この素案の中では、仮に環境中に放出する際には、まず処分前に一度タンクに貯蔵して、トリチウム以外の放射性物質について可能な限り低減されているということを確認した上で希釈して放出をするということを報告をしております。これはもちろん、法令上の要求を満たすことは当然のことでありますし、可能な限り風評を抑制するという観点から放出方法を検討をするということが現在のこの素案の中で示されております。

 実際にこの処分が行われる時期までは、委員御指摘のとおり、まだしばらく時間がありますので、どのような処分方法であれば風評影響というものをより効果的に抑制できるのかというのは、引き続き、幅広い観点から検討していきたいと思います。

浅野委員 今、飲料水との比較もしていただきましたが、政府の資料、経産省とかがつくった資料を見ますと、八百六十兆ベクレルのトリチウム水があるという表現が一番多く使われているように感じております。八百六十兆とかいう数字になると、もはや天文学的な数字で、想像すらできないですし、それがどの程度危険なのかというのが国民の皆様からは全く予想ができない、想像ができない、そんな数字ですから、伝え方という意味では、これが仮に危険な水準だろうがそうでなかろうが、わかりやすい数字のあらわし方で示していただきたいというのをぜひお願いしたいと思います。

 ちょっと時間が終了してしまいました。最後、規制委員長に御質問する予定でしたけれども、処理水の処分方法についてもいずれ規制委員会の審査の時期がやってまいりますが、このいわゆる処分に対して、処分に係る関連施設のハードウエアのみならず、工程管理やその他の工程ともあわせながら、安全性、実現可能性等について検討していただくことを最後お願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、憲法審査会にちょっと出ておりまして、浅野委員に順番をかわっていただきました。浅野委員、そして、委員長、両筆頭始め、御理解賜りまして、ありがとうございました。

 最後のバッターでございますが、私からは、ちょうど来年の春で福島第一原発事故から十年になると思います。そういう観点から、私も、原子力、まあ、そもそも私が霞が関を辞して政治を志したきっかけは福島第一原発事故でございましたので、ずっとこの十年、感慨深い、感慨というか、感慨という言葉がいいかわかりませんが、深い思いをしているところでございます。

 何点か、そうした十年を振り返る観点から、質問させていただきたいと思います。

 きょうは、江島副大臣、ありがとうございます。高橋副大臣もありがとうございます。

 まず、江島副大臣に伺いたいんですが、経産省ですね。かねてから、政府は、東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、東京電力みずからが責任を持って行うのは、これが原則なんだ、ただ、国も前面に立つという政治的な宣言をされてこられて、私、実は、この十年、ずっとこの二つの関係がよくわからないでいます。

 これはどういうことなのかということを改めて御説明いただくとともに、じゃ、国が前面に立つということで、この十年、どういうことに取り組まれてきたのか、御紹介をいただきたいと思います。

江島副大臣 東電と国の関係という御質問でございます。

 まず、東京電力の福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策につきましては、東京電力が実施主体でございます。一方で、国も前面に立って取り組むということを前々から発言しているところでありまして、これは、中長期ロードマップを通じた進捗管理、それから技術的難易度の高い研究開発への支援、そして国際社会への情報発信、これらを国として前面に立って行っているところであります。

 この中で、進捗管理でありますけれども、これは、中長期ロードマップにおきまして、汚染水の発生量、それから、使用済み燃料プールからの燃料取り出しの時期、燃料デブリ取り出しの時期などについて目標を定めたり、あるいは進捗状況の取りまとめを、これは毎月行っております。

 研究開発に関して申し上げますと、汚染水の発生量を三分の一へ抑制することに貢献した凍土壁の整備、それから、燃料デブリへの初接触に成功した遠隔操作機器の開発、このような成果を上げていっているところであります。

 また、情報発信に関しましては、各国の在京大使館、国際機関に対して、進捗があるたびに、科学的根拠に基づく正確な説明を国の責任のもとで行ってきております。

 また引き続き、これらの点に関しましては、決して事業者任せにするのではなくて、国も前面に立って廃炉・汚染水対策に取り組んでいきたいというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、かねてから、原子力政策をめぐる、電力会社と国、あるいは立地県、立地地域、あるいは電力消費地、さまざまな関係者がいる中で、このある意味での責任の体系みたいなものが、従前からある体系、もちろん修正はされてきておるわけでありますが、不十分ではないかという問題意識でずっと御質問してきました。

 今御紹介いただいたこと、関係者も、多くの方々が頑張ってやってきていただいているわけですから、まずは敬意と感謝を申し上げたいと思いますが、後の質問で出てきますが、まだまだ政府全体としては、私は、幾つか先延ばしをしている、足りないところがあるというふうに思っております。ちょっと、後ほどそれは触れたいと思います。

 今の東電と国という役割分担あるいは責任の関係の一つの直近の事例として明らかにしておきたいことがございます。それは処理水の海洋放出です。この場でも何度も御質問させていただいていますが、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出については、これは一体誰が、いつ、どこで決定をするのか。これも経産省からお願いしたいと思います。

江島副大臣 廃炉・汚染水対策に関しましては、まず、原子力災害対策本部の枠組みの中で、廃炉・汚染水対策関係閣僚会議と廃炉・汚染水対策チーム会合の中で議論をしてきているところであります。

 したがいまして、ALPS処理水の取扱いに関しましても、同じような枠組みの中で議論をして、政府において決定をしていくことになるというふうに考えております。

 現在、さまざまな御意見に対しまして、どのような対応ができるかなどの論点について、関係省庁間において議論を深めているところでございます。

 なお、その決定時期に関しましては、丁寧な議論を行いながら、適切なタイミングで、できるだけ早期に、政府としては責任を持って判断したいと思います。

足立委員 できるだけ早期にということでありますが、ずっといろいろな報道も続いていまして、関係者も関心があるところでございます。

 ただ、これは期限がありますよね。期限というのは、いつまでも先延ばしできるものではないと思いますが、ここで、じゃ、それは長くてもいつまでだということを聞いてもしんどいと思うのでやめておきますが……(発言する者あり)大分物わかりがよくなってきています。

 が、今おっしゃった、ロードマップをまとめた会議。すると、海洋放出をいつやるかというのは、その会議体で、今副大臣から御紹介をいただいたその会議体で決定し、決定はその会議体で、そして関係閣僚会議に報告するとか、あるいは閣議に報告するとか、あるいは閣議で決定するとか。

 政府の決定といってもいろいろございます。少なくとも、ボールは東電ではなくて政府にあるんだから、その政府は一体どこで本当に決めるんですか。要は、報告とか、いろいろな関係はあるんだけれども、決定はどこでやるんですか。もう一回、ちょっと、決定はどこでやるんですか。

江島副大臣 曖昧模糊とした答弁に聞こえるかもしれませんが、この件に関しましては、関係閣僚が集まる場において、政府として決定をするということでございます。

足立委員 その関係閣僚というのは、何でしたっけ、廃炉等の何たら関係閣僚会議ですね。

 ちょっと、もう一回、その名前だけ。それで、その関係閣僚会議の場で決定をするということを、ちょっともう一回、その閣僚会議名等を含めて正確に御答弁ください。

江島副大臣 まず、原子力災害対策本部という枠組みのもとで廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議、それから、廃炉・汚染水対策チーム会合という幾つかの検討する部会がございまして、その中で議論をした上で政府において決定をするということでございます。

足立委員 それは、決定というのは、まあ決めていくわけだけれども、政府として、では決まった、手続が終わったというのは、今御紹介をいただいた関係閣僚会議で最終決定となるということでいいですね。

江島副大臣 そのように理解していただいて結構と思います。

足立委員 ありがとうございます。

 これはなかなか、ずっとわからなかったんですが、えっ、大丈夫ですか。僕も役人だったので心配するときがあるんですけれども、問題があればいつでも修正、手を挙げてもらったら指名しますので、修正してください。

 それから、では話がかわりますが、次は、高橋ひなこ副大臣にもお越しいただきました。

 きょうは、来年の春に事故から十年になるということですので、あえて、お忙しい中、副大臣にもお越しいただいているので、御理解を賜りたいと思います。

 私は、この原子力問題調査特別委員会、長らく在籍をしておりますが、相当初期のころに、原賠法をやらないとだめだと。だって、原賠法をやらないと、電力会社と国の関係が、それはもう古い関係の象徴ですから、無限責任なんというのは。だから、ちゃんと有限責任なりなんなり、原賠法の見直しをやる。それは、機構法の附則か何かで、当時、一年をめどといって書いてあったと思うんですよ、ちょっと不正確ですけれども。一年じゃなくて、もう十年たつわけですね。

 高橋副大臣、この原賠法の見直しはいつやられるんでしょうか。

高橋副大臣 お答えいたします。

 原賠法については、平成三十年に見直しを行って、これは東京電力福島原発事故を受けて、原子力事業者に対して損害賠償の実施に係る方針の作成を義務づける制度や、被害者への迅速な仮払いに必要な資金を国が原子力事業者に貸し付ける制度を創設するなどの措置を講じているものでございます。

 御指摘いただきましたが、この原賠法の中で、原子力事業者の法的整理が行われる事態に備えておくことや、原子力事業者に損害賠償に備えて講じさせる措置のあり方については、引き続き検討を行うというふうにされました。

 そこで、文部科学省としては、関係省庁と連携して、一、迅速かつ公正な被害者への賠償の実施、二、被害者への賠償に係る国民負担の最小化、三、原子力事業者の予見可能性の確保といった観点に十分留意しつつ、検討を進めてまいります。

足立委員 ありがとうございました。

 事務方でも結構です。今の無限責任は、いずれ有限責任の体系につくりかえるという理解でいいですか。副大臣でも事務方でも。

堀内政府参考人 お答えします。

 無限責任の考え方というのは、この法律にとって非常に重要な考え方でありまして、今現在、それを変えていくというようなことをこの場でちょっと申し上げることは難しいかなと思っております。

足立委員 では、日本は、世界にも例を見ない、電力会社に無限責任の枠組みを負わせている今の体系、これを、私は実は、その機構法の附則で、一年をめどにというところでそれをやるんだと思っていたんですよ。十年たってもそれはやらないということであれば、これはもう自民党政権、自公政権、政府・与党は、これは当面そこに手をつけていく予定はないということですね。

 今何か事務方が入ってきたので、つけ加えますか。ちょっとしゃべってください、何か。

 いや、しかし、このままでいいわけがないと思うが、はい、どうぞ、どうぞ。

堀内政府参考人 お答えします。

 今現在、それを変更するというような考え方で検討を進めているということはございません。

足立委員 答弁としては明確なので、ありがとうございます。

 私たちは弱小野党でございますが、やはり自民党に向こうを張って選挙をするテーマがまた一つ明確に生まれたということで、また我が党としての整理をしていきたい、こう思っています。

 最後に、事故原因ですね。きょうはまた金子審議官、何、金子さん、今。金子審議官、長官官房審議官。親友でありまして、ああ、言わぬ方がいいですね。出世に響くので、ちょっとやめておきますが。大変、同期の中でも、私はもう本当に一番信頼をしている友人でありますが、関係ないですね、国会では。

 東京電力福島第一原発事故の原因調査、これは金子審議官が動画とかでも、私、たまにコーヒーブレークのときに拝見していて、頑張っておられる。これは、進捗はどうですか。

金子政府参考人 事故調査の状況についてお答え申し上げます。

 現在、廃炉作業の進展によりまして、現場の環境改善が進んでございます。例えば、従来は高線量のために現地調査が困難であった場所に実際に入っていってその実態を把握するといったようなことが可能になっている場所がありますので、そういったところにつきまして昨年の九月から作業を開始いたしました。

 そういう追加的な情報収集や分析が可能な範囲で、例えば、建屋の汚染の状況といった現地の調査、それから、過去の記録や映像の確認、分析というのも行っておりまして、こうしたことを公開の会合の場で検討を進めております。新しく判明した事項などについて中間的な取りまとめの議論を行っている状況でありますので、今後それをやった上で、また更に可能な範囲で事故の調査の分析を継続してまいりたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 金子審議官、この中間取りまとめはいつごろ、コロナで大変だと思うんですけれども、ちょっといつごろかだけ。

金子政府参考人 現在の見込みの時期といたしましては、年内に素案を作成いたしまして、三月中には全体のまとめをしたいというふうに考えてございます。

足立委員 ありがとうございました。

 大変な作業だと思いますし、これは中間取りまとめだから、究極的には、この事故原因の調査というのは、恐らく廃炉が終わるまで、まあ、廃炉が終わるまでとは言いませんけれども、二十年、三十年の作業という側面もございますので、期待をしておりますので、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 大変、金子さん、答弁がうまいので、いずれ将来リクルートしたいなとか思っているわけでございますが。またこういうことを言うと出世に響きますからね、今のは撤回しておきますね。余り、ふだんしゃべっていませんから、大丈夫です。

 今御答弁をいただいた事故原因の調査、この前提になるのが記録やデータの保全です。きょう、東電の副社長、おいでいただいています。どうですか、ちゃんとできていますか。

文挾参考人 御質問ありがとうございます。それでは、お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、事故の記録やデータというのは後世に残すべき重要で貴重な資料でありますので、当社はその保全に努めてございます。その資料の中で、事故のプラントのパラメーターとかプロセス計算機のデータなどにつきましては、事故分析に重要で、しかも貴重なデータでございますので、事故調査報告書とか、あるいは当社のホームページを通じて公表してございます。

 また、廃炉作業を進めていきますと当然ながら現場の状況も変わっていきますので、事故分析のための作業と、それと廃炉作業の適正な実施というものを当然ながら両立させていかなければならないということでございます。そのため、事故分析に係る情報につきましては、規制庁主催の会議の場を活用させていただきまして、経産省、規制庁、当社が連携をとりながら、写真や動画などの手段によりまして保全をしてまいる所存でございます。

 一方、これから長きにわたりまして廃炉を進めていくというわけでございますが、これにつきましては、当社や協力会社が実施してございます工事の記録ということにつきましても、適切に保全をしてまいりたいというふうに思います。

 以上でございます。

足立委員 大変な中だと思いますが、文挾副社長、東電、ぜひしっかりやっていただきたい。

 きょう、更田委員長、ごめんなさい、最後になりましたが、ずっと規制委員会で、規制委員長主導で、今のこの記録の保全みたいなことを、まさに金子審議官のチームでやられている。事故原因を考える上でも、あるいは、もうこれは日本のみならず、全世界の原子力関係者にとって、福島第一原発事故の記録、データの保全というのは大変重要だと思います。

 先ほど御紹介があった、関係者で規制庁に集まっていただいてやっていただいている、これは承知していますが、更田委員長から見て、この十年の保全というものは、よくできているという評価なのか、ちょっとやばいぞ、問題がある、課題がある、課題があるので何とか対応しなければいけないと思っていらっしゃるか、その辺の感覚を御紹介いただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 重要になってくるのは、むしろこれからだと思っています。

 というのは、人が入るようになってきていますから、廃炉も進みつつあります。ですから、例えば現場がどれだけ汚れていたかなどというのは大変重要な情報です。ですから、東電が片づけたり、きれいに拭き取ったりする前に情報をとってこなきゃならない。今までは、不幸なことにではありますけれども、入れませんでしたから、ある意味、現場が保全されていた状態にありますけれども、これから建屋を片づけたりしていく、人が入っていけるようになって、これからの方が更に先生の御指摘のデータの保全がますます重要になってくるというふうに考えておりますので、原子力規制委員会としても注意を払ってまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、今まさに、先ほど更田委員長おっしゃったように、これから大事だということです。ぜひこれは、規制委員会がわかっているだけじゃなくて、やはり国民から見ても、福島第一原発事故の関連のデータ等の保全、これがしっかりなされ、そしてアーカイブとして、しっかりと国民あるいは研究者がアクセスできるような形で整頓して、将来にわたって残していっていただくよう、心からお願いし、またこれから私も注意してこれは見ていくということをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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