衆議院

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第4号 令和4年5月10日(火曜日)

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令和四年五月十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤澤 亮正君

   理事 大西 英男君 理事 神田 憲次君

   理事 鈴木 淳司君 理事 古川  康君

   理事 野間  健君 理事 伴野  豊君

   理事 伊東 信久君 理事 中野 洋昌君

      畦元 将吾君    石川 昭政君

      今村 雅弘君    上田 英俊君

      江渡 聡徳君    勝俣 孝明君

      門山 宏哲君    神田 潤一君

      新谷 正義君    高木 宏壽君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      堀井  学君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君

      宮澤 博行君    阿部 知子君

      菅  直人君    米山 隆一君

      渡辺  創君    藤巻 健太君

      堀場 幸子君    吉田とも代君

      河西 宏一君    平林  晃君

      浅野  哲君    田村 貴昭君

    …………………………………

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会長)

   (政策研究大学院大学名誉教授)          黒川  清君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (東京理科大学経営学研究科教授)         石橋  哲君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (原子力コンサルタント) 佐藤  暁君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授)           鈴木達治郎君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     上田 英俊君

  笠井  亮君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     簗  和生君

  田村 貴昭君     笠井  亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 原子力問題に関する件(原子力規制行政の在り方)


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     ――――◇―――――

赤澤委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件、特に原子力規制行政の在り方について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、アドバイザリー・ボード会長及び会員の、政策研究大学院大学名誉教授黒川清君、東京理科大学経営学研究科教授石橋哲君、原子力コンサルタント佐藤暁君及び長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授鈴木達治郎君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に委員会を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ていただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず黒川参考人にお願いいたします。

黒川参考人 今日は、このような機会をつくっていただきまして、ありがとうございます。

 ちょうど去年は福島の事故から十年でございまして、この資料にありますように、ちょうど十年ということで、十年して日本はどのぐらい変わったのかという話で、いろいろなところのインタビューとセッションをやりました。主にZoomでありますが。世界の問題としてこれから原子力は非常に大事だということと、日本のあの事故はどういうふうに生かすべきかという話で、どのぐらい変わったのという話がみんな聞きたくて、ここにあるようないろいろなセッションがありました。

 それは、私がその後で一つ本を出しましたけれども、「規制の虜」という。それは、ノーベル経済学賞をもらったジョージ・スティグラーという人が、国会にしろ、議会が、あるいは政府が、国民の優先よりは、ある企業なりなんなりの方を応援してしまうということが起こる、これが規制のとりこということでありますけれども、それでノーベル経済学賞をもらっている人ですが、それと同じ格好ができているというので、私は「規制の虜」という本を書きました。

 これが、なぜそんなことが起こったのかということが日本の社会構造と私たちの常識の問題があるということです。つまり、一つは民主主義になっているのかというのが私の最近の考えでありまして、戦後になってマッカーサーが来たから、これが民主主義だよと言われてなっただけじゃないのかという話を考えております。

 なぜかというと、それまでは、どこでもそうですが、ロイヤルファミリーがいて、土地のあった人たちがフランス、イギリスをそれぞれつくっているわけですが、日本は、マッカーサーが来て、これが民主主義だよといって、実際に権力を引っ剥がしてやったという経験はないんですね。というところがありまして、是非これは、国会の先生たちがいかに行政府をきちんとガバナンスするかというところが一番の問題があるんじゃないだろうかという気がしております。

 そういうわけで、私どもは、こういう機会をいただきまして、独立して日本の行政府をチェックするということをさせていただいたわけですが、これは日本の憲政史上初めてのことだったんですね。先生たちが法律を作ってほかの人たちに自由にさせたということで、これは実は大島衆議院議長がずっと言っておられたことで、議員さんが議運ということで一生懸命いろいろなことをやるのはいいんだけれども、時には専門家のヒアリングをするというのもいいんだけれども、実は全部を外のエキスパートに任せるということをするのが大事で、それが国会事故調の意味なんだということをおっしゃっておりました。

 大島先生はさすがにすごいことをおっしゃるなと思ったので、早速そのときに御挨拶に行きましていろいろ話をお聞きしまして、私どもも、国会事故調がそのいい例で、やはり議会はそういうプロセスをもっともっと利用してつくらなくちゃいけない、使わなくちゃいけないということをおっしゃっていたので、そのお礼もあって、先生のところに御挨拶に行って、一時間ぐらいいろいろな話を伺ってきました。そういう方がトップにおられるというのは私は本当にすばらしいことだと思いまして、ちょっと感動した覚えがあります。

 そんなことで、ちょうど十年ということで、ここの資料にあるように、世界中が日本から何が学べるかという話で、たくさんのセッションが、私は、去年の三月ですね、ちょうど十年を迎える前に、このようないろいろな、Zoomですが、世界中でいろいろなことを聞かれました。どのぐらい日本が変わったかということと、どうしても原子力が、CO2の、グローバルウォーミングの問題と、これは非常に大事な原子力のリソースですけれども、今やウクライナの問題となってくると、これはむしろアセットよりはリスクがすごくでかくなったなということが分かると思います。

 そこで、どのぐらい日本は、日本を始め原子炉をどのようにして守っているのかということは皆さんに周知しておくことが必要なんじゃないだろうかと思います。

 例えば、機動隊が守っていると思いますが、ほかの国はほとんどが軍隊が守っていますよね、今。これはいわゆるニューヨークの9・11以後の、原子力はすごくテロリストのアタックにやばいことになっているので軍が守るようになっていると思いますけれども、日本では多分機動隊だと思います。その辺が、軍でするのかどうかという話なんかはどのぐらい国民に知らせてあるのかという話も一つの問題になりますし、今になってみると、プーチンさんの話を見ていると、やはりこれは意外にリスクがでかいものを抱え込んでいるなということになってきたんじゃないかと思います。

 というわけで、私は余りこの分野での専門家ではないので、本当に、大島先生にそういうことを言われて、御挨拶して一時間ばかりいろいろな話を聞かせていただきましたし、そういう意味では国会の役割というのは非常に大事だと思います。

 国会がこのようなことをやらせていただいたということは、日本では初めてだったんですね。イギリスではしょっちゅうやっています。だから、やはりこういうことを先生方が是非つくって、もっと頻繁に使われるのが私としては希望でありますし、それをまたどういうふうに終わらせるかというのも、どういうふうな立法府としての役割をするかというのが非常に大事な三権分立の基本だろうと思いまして、そういうことを是非先生方にも、この独立した国会事故調ということをどうやっていろいろなイシューについて使うかという話は是非、もっともっと増やすのが大事ではないかなと思います。

 その点は、大島衆議院議長が常に、議運というのを使うのはいいんだけれどもああいうプロセスをもっと使った方がいいということをおっしゃっていましたので、これからも是非先生方に、立法府ですので、どうやって行政府を使いこなすかという話についても、こういうことを幾つも幾つも繰り返していくとやはり行政の在り方も変わってくると思いますので、それが私としては是非、こういうことをやらせていただいたことからいうと、非常に大事な役割を先生方が立法府として、国民の代表としてやっているわけですので、是非、深くまた、一つのエグザンプルとしてまたいろいろ適宜に使っていただくと、こういうプロセスが三権分立として、立法府として非常に大事だなということで、私の御挨拶とさせていただきます。

 どうもありがとうございます。(拍手)

赤澤委員長 ありがとうございました。

 次に、石橋参考人にお願いいたします。

石橋参考人 石橋哲でございます。本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今、画面に出していただきますけれども、先生方のお手元にも資料をお配りいただいております。

 今日は、二〇二二年五月十日。東日本大震災から四千七十八日、国会事故調の発足から三千八百六日、国会事故調報告書の御提出から三千五百九十六日経過しました。前回、当委員会で発言の機会をいただきましてから三百七十八日目でございます。

 私、当委員会で発言の機会を頂戴するたびに申し上げているところでございます。国会事故調報告は、結論と提言の中で、問題解決に向けて今なお多くの犠牲を伴って進展、拡大している人災である福島原発事故を起こした真因、組織的、制度的問題を指摘して次のように述べております。

 これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に、記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれを許容する法的枠組みであった。また、関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット、思い込み、常識であった。

 当委員会は、事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の逆転関係を形成した真因である組織的、制度的問題がこのような人災を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは再発防止は不可能である。

 この真因である組織的、制度的問題の解決に向けて、様々な意思決定プロセスの透明性、公開性を確保、担保し、再び規制する側がされる側の規制のとりこにならないよう、七つの提言を申し上げております。

 国会事故調について言われる憲政史上初とは、立法府が行政府を監視する機能を初めて発動させたというものであります。

 この原子力問題調査特別委員会は、国会事故調報告の提言一に基づいて設置されたと聞き及びます。提言一は、原子力安全規制当局に対し様々な規制のとりこの力を及ぼした行政府、電気事業者の動き全体を立法府として監視すべきであると提言しています。監視対象は、行政府、電気事業者の動き全体です。

 当委員会設置当初の与野党申合せでは、当委員会の監視対象は原子力規制委員会であるとされたと聞いております。この監視対象は、行政府、電気事業者全体を対象とする提言一の趣旨と異なります。いつ、どこで、なぜ、提言の趣旨がずれた申合せがなされ、そのままそれが維持されているのか、私としては理解に苦しむところでございます。

 国会事故調報告では、原子力安全規制が再び規制のとりこに陥らないように行政府を立法府が監視するために七つの提言を行いました。

 これら憲政史上初と言われる仕組みをつくるのは容易ではないことから、実施計画を速やかに策定し、その進捗を国民に公表することも求めております。これは、国権の最高機関である国会が自ら透明性を確保し、公開性を担保する第一歩であると思います。私は、本委員会で発言の機会をいただくたびに申し上げて、前回、二〇二一年の四月二十七日にも申し上げたとおりでございます。先生方におかれましては、既に十分御承知のことと思います。

 事故から九か月後、当時の衆参満場一致で成立した東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法に基づいて設置された国会事故調は、調査期間を約六か月と法定され、七つの提言を含む報告書を国会に提出したのは二〇一二年の七月の五日でございます。

 冒頭に申し上げましたとおり、それから約百十四か月。少なくとも、前回私が発言の機会をいただいてから三百七十八日が経過いたしました。

 前回発言の機会をいただきましたのは、昨年の四月の二十七日です。それ以降本日まで、当委員会は十回開催されました。その開催時間は合計で五百七十四分です。開催時間を確認いたしましたところ、実質的な議論が行われたのはそのうち三回、ほか七回は特別委員会としての設置手続でございました。

 衆議院ホームページにあるインターネット審議中継の整理によりますと、実質審議三回のうち、当委員会の先生方による審議は計五百三十分でございました。なお、この五百三十分の中には、更田原子力規制委員会委員長の御発言八分を含んでおります。

 各先生方の御発言を確認させていただきましたところ、七つの提言の実施計画の策定、ましてやその進捗状況の公表についての御議論は一言もございませんでした。

 当委員会、先生方、国会職員の皆様、この百十四か月と同じことを、これからも、あるいは一体いつまで続けられるのでしょうか。これまでも、また先ほども申し述べたとおりでございますが、当委員会が基づいて設置されたとする国会事故調提言一、その趣旨をいま一度振り返っていただきたいと強く思います。

 そのためには、国会事故調の調査資料をいま一度確認するということも大変重要だと思います。政府事故調では、ヒアリング記録の開示に向けた、ヒアリングに協力をいただいた方々の開示意向の確認が進められているというふうに理解しております。国会事故調資料についても同じことができるはずでございます。この取組はいつになったら始まるのでしょうか。

 これまで何度も申し上げているとおりでございますが、国会事故調は、机と卓上電話しかないオフィスからスタートし、調査人員の調達やPC等の備品の調達、報告書の印刷作業も含めて、たかだか半年強の調査期間しかございませんでした。扱えなかったことはたくさんございます。検討すべき課題も多岐に及びます。この後御発言されるアドバイザリー・ボード会員の佐藤先生、鈴木先生からも御指摘があるというふうに思います。

 国会事故調は、原子力安全規制行政が再び規制のとりこに陥ることのないよう、広く電気事業者、行政府に対して立法府が監視を行うことを提言しております。そのために必要な国会による立法手当て、国会による実行も含めた七つの提言を行っております。

 これら七つの提言は、事故の根源的原因であった制度的問題の解決を目的としております。透明性の確保と公開性の担保の両立が核心になるということは言うまでもございません。

 二〇一一年三月十一日当時、私たちの社会は、人災の真因となった制度的問題を抱えた状態で福島原発事故の発災を迎えました。以降様々な事象が起こり、今もたくさんの方々が様々に対峙しておられます。再発防止のためには、この真因である制度的問題の解決が不可欠であると国会事故調は述べています。このことは繰り返し申し述べたいと思います。

 私が学生のとき、先生からイェーリングという方の「権利のための闘争」という本を御紹介いただきました。十九世紀の本でございますけれども、引用いたします。

 私権に関する個人の権利感覚が鈍感、臆病、無気力であり、不公正な法律や劣悪な制度に遮られて個人が自分の力を自由に力強く発揮する場がなく、支持と助力を期待してしかるべき場合に迫害が行われ、その結果、不法は耐え忍ぶもの、どうにもならないものだという見方が慣れっこになっているとしよう。そんな卑屈な、いじけた、無気力な権利感覚が、一たび個人ではなく全国民の権利が、例えば国民の政治的自由の圧殺、憲法の違反、破棄、外国の侵寇によって侵害されるや否や突如として敏感になり、精力的な行動に転ずるなどと誰が信じられようか。

 外国から敬意を払われ、国内的に安定した国たらんとする国家にとって、国民の権利感覚にも増して貴重な、保護すべき宝はない。国民各個人の健全で力強い権利感覚は、国家にとって自己の力の最も豊かな源泉であり、対内的、対外的存立の最も確実な保証物である。権利感覚は一本の樹木の根である。砂れきに張った根が枯れてしまい、役に立たなければ、その木はウドの大木のようなもので、風が吹けば根こそぎにされてしまう。しかし、根が地中にあって目に見えないものであるのに対し、幹やこずえは人に見てもらえる。

 不公正な法律や劣悪な制度が国民の倫理的力に及ぼす破壊的な影響はいわば地面の下で効いてくるのだが、世の政治評論家どもがこれに注目することはない。彼らは見事なこずえを仰ぐだけで、根からこずえに上ってゆく毒については知らぬが仏である。しかし、専制者は木を倒すにはどこに手をつければよいのかを心得ている。したがって、専制者に立ち向かうには何よりもこの段階で対応することが必要である。

 時機を失してから歴史の教訓を理解するというのは我々が悪いのであって、歴史が適切な時点に教訓を与えてくれないわけではない。歴史はいつでも大声ではっきりこう教えているのだ。国民の力は国民の権利感覚の力にほかならず、国民の権利感覚の涵養が国家の健康と力の涵養を意味すると。

 今日は、国会事故調報告から三千五百九十六日です。国会議員の先生方、先生方を選出し代表と頂く私たち国民は、一日一回として、三千五百九十六回、毎日、再発防止を放棄してまいりました。

 今、世界では極めて不幸な状況が報告されています。その状況に敢然と立ち向かう国があります。私は、この国が外国から敬意を払われ、国内的に安定した国であってほしいと強く望みます。

 国権の最高機関である国会、その構成員であり、私たち国民の代表者である国会議員の先生方には、大木の幹やこずえに関する議論で事足れりとするのではなく、地中の根っこ、人災であった原子力安全規制当局に対する規制のとりこの発生、その真因である制度的原因にこそ着目し、原発事故が再び起こることのないよう取り組んでくださることを強く望みます。

 提言の実現に向けた実施計画、その進捗状況の国民への公表について、今日、どのような御議論が展開されるのか、お聞きしてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

赤澤委員長 ありがとうございました。

 次に、佐藤参考人にお願いいたします。

佐藤参考人 それでは、私、佐藤暁からの意見を資料に基づいてお話しさせていただきます。資料はこれです。スライドはございません。

 二ページ目。私の意見は、ここにある三つの点に関してです。これを御参照しながらお話を聞いていただければと思います。

 三ページ目です。では、早速、原子力規制委員会の規制機関としての組織についてですけれども、米国の原子力規制委員会、NRCと比べまして、それぞれの国にある運転可能な原子炉の基数の比に照らしますと、予算も職員数も多からず少なからずという規模ではないかと思われます。

 しかし、米国のNRCにあって日本の原子力規制委員会にはない部署が幾つかあります。ここでは四つに注目したいと思います。

 ASLBPというのは、行政審判の権限が与えられているNRCだからこその部門ですけれども、本部ビルの中に法廷のような一室があります。原子力に精通した判事がいて、二審制で審議されます。日本のように、設置許可の有効性の審議がいきなり地方裁判所で争われるということはありません。ASLBPで裁かれます。連邦裁判所に持ち込んでも受け付けられません。

 それから、OIGはNRCの業務の効率や職員を監督する組織で、委員長さえもその監視の対象です。職員が六十三人もいるというのは驚きではないでしょうか。

 それから、悪質性のある申告案件を捜査する部署、FBIの出身者もいるプロ集団です。

 そして最後は、不正者や事業者を処分する部署ですね。

 四ページ目。ここでは、原子力規制委員会がここ十年余りで成し遂げたことのうち規制インフラ整備に関する事項を列挙しています。運転を四十年から六十年に延長する法令が作られ、再稼働の可否を審査するための新規制基準が作られました。それから、最近は新検査制度も導入されています。これらは、ことごとくと言ってよいほど米国の制度に倣ったものです。

 五ページ目。今述べましたように、原子力規制委員会の新規制基準のほとんどは米国NRCの規制指針の内容を取り入れたものなのですけれども、その基準にも弱点があることは認知されなければなりません。新規制基準の最も大事な特徴は重大事故対策を含めた点なのですが、その基本概念にパッシブ性が欠如しているということです。

 分かりにくい言葉遣いかもしれませんが、要は、事故が起こったときに、ばたばた右往左往しなくても、人手や動力を駆使しなくても、自然に安全な状態に導く性質のことです。二〇〇〇年以降ぽつぽつと建てられ始めた新型炉には、劇的にそのような特徴が盛り込まれています。

 その代わりとして、新規制基準に適合するために行われたのは、膨大な可搬式設備の導入、一分を争うような機敏な動作を求めるような対応マニュアルと訓練です。また、同じような迅速な避難行動が近隣住民にも求められます。そのような対応は平時においても大変なのですから、ましてや、テロ攻撃とか、パンデミックの最中とか、何か不測の事態があったときには一層困難が増すことになります。

 ですから、原子力発電所の新設や増設を求める声も聞くわけですけれども、そのような弱点や国際的な趨勢を踏まえて考えても、従来型の新設はあり得ないだろう、新型でなければならないだろう、しかし、それはそれでコスト高で困難も多く、規制インフラも整備されておらず、今は現実的な選択肢ではないだろうと考えます。

 六ページ目です。今日時点までで再稼働にこぎ着けた原子炉は三十三基中十基だけです。どうお感じになるでしょうか。更地から始めた建設ではありません。どうしてこのようなペースとなってしまったのだろうかとお思いの先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。何かどこか、審査のプロセスに効率的でない問題があったのではないかと疑問もあるかと思います。私も、そのような問題は確かにあったと思います。そして、その原因は原子力規制委員会の側にも事業者の側にも求めることができると考えます。それは、例えばアメリカのプロセスと比較することで浮かび上がってきます。

 原子力規制委員会について言えば、米国NRCのような標準審査指針を制定せず、事業者と個別に会合形式で審査を行う方式を採用したことがプロセスを手間取らせた要因として考えられます。一方、事業者側について言えば、全事業者の方針を統括する米国のNEIのような組織がなく、自主的な事業者指針を策定する、パイロットプラントでの試行を行って最初に成功モデルをつくるという取組をしませんでした。ですが、そのような反省をしてみたところで手遅れです。今のまま続けるより仕方がないと思われます。

 七ページ目です。規制の在り方に対しては、しばしば客観性、科学性が必要だと訴える方々がいらっしゃいます。感情論や直感で規制が運営されるべきではないというのは当然です。

 米国では、一九九〇年代から、従来の深層防護の思想を尊重しながらも、規制にリスク評価の考え方を盛り込んでめり張りをつけよう、それによって競争力のなくなった原子力発電を立ち直らせようという動きが活発になりました。その駆動力、推進力に使ったのが、確率論的リスク評価、PRAという技術です。

 もし日本の原子力規制においても同じことを目指すのであれば、やはりそのPRAを成熟させなければなりません。しかし、リスクの容認に関しては、日本においては、PRAの技術だけでなく、安全目標の設定も含めて根強い抵抗があるように感じられます。原子力規制委員会が一方的に採用を宣言しても、国民感情との間にミスマッチ、ミスアライメントが生じるだけであるように思われます。もっと公衆との対話が必要と感じられます。米国では、この規制改革なくして今日の原子力発電の存続はあり得なかったと思われます。日本では、国策の下での一種の甘やかしがあり、必要としてこなかったということもあったと思われます。

 八ページ目です。福島第一の事故がきっかけとなって一気に廃炉が増え、その処理のことも考えなければなりません。しかし、もう一方の現役の原子炉の運転認可の延長に関するほどの熱心さがないように感じられます。ただし、手つかずの問題が山積しています。

 今クリアランスレベルは本来のレベルの八十倍に引き上げられた状態になっているのですが、これをそのまま廃炉で発生する放射性廃棄物に対してまで適用するのかという問題、敷地を無条件解放する場合の基準をどうするのか、地下深く汚染土壌が残っているとき完全に掘削して取り出すのか、曖昧なままです。高レベル放射性廃棄物を地層処分するための安全審査指針もありません。廃炉の原子炉は一気にその数が増えたのですが、このように規制インフラが整っていません。

 九ページ目です。最近、原子力発電所の管理や工事施工に関する不正行為の発覚が続発しています。それで思うのは、やはり米国と比較しての処分の甘さです。

 米国では、このスライドに示した例にもあるように、原子炉施設での不正行為は公衆を危険にさらす重罪なのです。現場で働く人たちをおびえさせるような厳罰化を語るのは彼らのモチベーションを低下させるようで本意ではないのですけれども、やはり近くの住民の安全が一番重要です。まずは、電力会社を頂点とした原子力発電産業界の意識改革を原子力規制委員会が強く指導すべきだと思います。

 十ページ目です。米国と比較した日本の原子力産業界の弱点は、これに携わる人々のプロフェッショナリズムの欠如だと感じられます。特にそれが際立っているのが品質保証体制と安全文化の領域です。

 日本の品質保証体制は、国際市場でしのぎを削ってきた自動車産業、電子産業などの分野ではしっかりしているのでしょうけれども、原子力産業のようなドメスティックな分野になると形骸化やずさんさが目立ちます。米国NRCによる監査には到底耐えられないと思います。安全文化も空念仏のままであるように感じられます。

 十一ページ目。米国では、このように具体的な九項目を注力するポイントとして掲げていて、NRCが電力会社に対して実施する検査の中にも安全文化に対する検査というのがあり、そのための検査手順書が何と六十九ページもあるのです。

 十二ページ。ここから先は、公衆との関係に着目した意見になります。原子力発電を支持するかしないかは、地元自治体では大きなイデオロギー論争になり、同じ地区内の住民同士でも不和の種になっています。選挙の論点にもなります。

 原子力規制委員会は、このような問題に巻き込まれることを恐れる余りなのか、火に油を注ぎたいということなのか、幾つかの重要な基準や目安に対して一方的にそれらを示すだけで、それらの根拠などについての対話の努力が足りないように思います。トリチウムが除去できない処理水の希釈排水の問題や、年間一ミリシーベルトを下回ることが当分見込まれない地域への住民の帰還や復興の停滞が、いつまでもだらだら続く根本的な原因になっているように感じます。もっと現場に踏み出すべきだと思います。

 十三ページ目です。原子力規制委員会は規制のとりこを脱したのか。彼らは、イエスだと自信を持って答えるかもしれません。しかし、世間が本当にそう思ってくれているだろうかということも考えてほしいものだと思います。そして、注意深く考えてみれば、自分たちは原子力産業界にこそとりこにはされていないかもしれないが、世間にとっては、ここに幾つか列記したような、どうもすっきり納得しない違和感があることに気がつかなければならないと思います。

 十四ページ目です。透明性、公開性を目指すべき原子力の印象を損ね、逆に不透明性、閉鎖性を感じさせているものに、事業者の黒塗り、白抜きの文書があると思います。もちろん、そのような処理をして秘密を守らなければならない内容の情報もあります。しかし、事業者はその濫用を感じさせることがしばしばあります。

 十五ページ目です。公衆を守ることをミッションに掲げている原子力規制委員会は、地元の人々との対話、すなわちツーウェーコミュニケーションを大事にすべきだと思います。やがて新検査制度が定着すれば、米国NRCが行ってきたように四半期ごとの地元説明会を開くようになるかもしれませんが、ほかに様々なホットトピックが湧いて出てきたときには迅速にプロアクティブに対話の機会を設けるべきだと思います。

 最後、十六ページです。まとめです。原子力規制委員会に関しては、かつての組織に比べれば随分頑張って成果を出したと評価されてもいいと私は思っております。しかし、まだまだ気を緩めてはならず、未処理、未着手の問題が山積しているとも思います。

 私の意見は以上です。お聞きくださいまして、どうもありがとうございました。(拍手)

赤澤委員長 ありがとうございました。

 次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木参考人 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭に三点だけちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、毎回お話しさせていただいているんですが、この委員会で取り扱っていただく問題は是非超党派で取り組んでいただきたいというのが第一点でございます。

 二番目は、それに関連するんですが、私が提案している事項も全て、原子力発電の推進や反対にかかわらず重要な課題であるというものを優先的に取り扱っていただきたい。これが二点目です。

 三番目は、先ほどから黒川委員長からも御指摘がありましたが、フォローアップですね。毎回毎回同じことを提案させていただくのではなくて、過去の議論を踏まえてどういうふうな行動を取っていただいたか、国会でどういうふうにここでの委員会の活動をフォローアップしているのかについても是非御議論いただきたいと思います。

 私、今日のお話は、要旨は、次のスライド、四点ございます。

 第一に、今、佐藤委員からもありましたが、原子力規制委員会、規制庁は全体的には、私は、大変努力が報われてきているのではないか、その信頼性は少しずつではあるが改善しているというふうに思います。

 一方、今日は二点お話ししたいんですが、規制基準に避難計画が含まれていない点、これが再稼働の問題につながっているのではないか、これが一点目です。

 もう一つは、これも何回もお話しさせていただいているんですが、この国会で規制委員会ができるときの附帯決議、これで要請されていた住民との対話の場がまだ設置されていない。これも、再稼働だけではなくて原子力規制全体に対する国民の信頼の問題に関わってくるのではないかと思います。

 最後に、ちょっと新しい話題として、ロシアのウクライナ侵攻時における原発への軍事行動を踏まえて、核セキュリティーの見直しについてちょっとお話しさせていただきます。二点です。一つは、内部脅威対応としての個人の信頼性確認制度の見直し、二点目は、潜在的リスクの高い使用済燃料貯蔵のプール貯蔵から乾式貯蔵への移行、これについてお話しさせていただきます。

 では、次のスライドをお願いいたします。

 先ほど申しましたように、原子力規制委員会は非常に努力をしていただいて回復していると思うんです。特に、問題になっておりました独立性、透明性、中立性の改善ですね、まだまだ十分ではありませんが、旧体制よりは大きく改善していると評価しております。特に、先ほど佐藤委員からもお話がありましたが、二〇一七年の新たな検査制度の導入、これはうまくいけば大変効率的な規制に貢献すると期待されておりますので、是非これを今後も有効性のある制度として活用していっていただきたいと思います。

 問題は、そこに書かれていますように、避難計画が規制基準に含まれていない、これの結果、一体その避難計画の是非を誰が責任を持って決めるのかということが非常に曖昧になっております。それと関連して、先ほど申しましたように地域住民との対話の場が設置されていない、これが大変問題ではないかと思います。

 次のスライドをお願いします。

 これは、新たな検査制度の概要を説明した規制庁の説明資料なんですが、先ほど佐藤委員からもありましたように、我々、以前から、右手の方ですね、リスク情報の活用ということをかなり前から申し上げているが、なかなかこれが実現しなかった。

 これをやるには、先ほど佐藤委員からもありましたが、リスク分析、リスク評価の技術そのものの研究の蓄積が大変重要なんです。それともう一つは、データですね、運転に関わる例えば部品の故障のデータとか、そういういろいろな現実のデータの蓄積が必要なんですね。これがまだまだ不十分。アメリカでは、八〇年代後半から二十年ぐらいかけて、このリスク、規制導入をされるときに、データの蓄積がありましたので。これをやっていかないとなかなか難しいので、これに今規制委員会が取り組んでいるところと思うんですが、業界との協力関係も大事だと思います。このリスク情報を活用することで、効率的な規制に移ることができるのではないかと思います。

 次をお願いいたします。

 避難計画が含まれていないということは国会でも何回も議論されておりまして、前回の私の発表では阿部知子先生の質問を引用させていただいて、ここでは、また二年後に、逢坂議員が質問されております。このときにはっきりと、含まれていないということを元安倍首相が回答されているんですが、この結果、避難計画を誰が一体最終的に判断するかということがはっきりされていないということがいまだに残っている。なぜ規制基準に避難計画が含まれていないのか。海外では含まれているんですね。

 次のページを見ていただきますと、最近、毎日新聞の記事にこういう記事がありまして、当時、避難計画がどうして含まれなかったのか取材されたんですね。そうすると、やはり、国会での審議が不十分であったということが分かったと。要するに、理由があって外したというよりは、うっかり入れられなかった、話題にもならなかったということで、当時の議論、規制庁をつくるときの、規制委員会をつくるときの法案審議の中で抜けていたということなんですね。だから、是非これをもう一度国会で審議していただいて、規制基準に含まれるようにしていただきたいと思います。

 この結果、先ほども佐藤委員からありましたが、裁判になると、いろいろな判断が絡んできますと、オーケーが出たり駄目になったりすることが当然出てくるわけですね、これが再稼働の不確実性につながっているのではないかと私は思います。これは国民の信頼の問題にもつながっていくと思います。

 次、お願いいたします。

 これは原子力文化財団が毎年調査をしている世論調査の結果なんですが、一番上のところは、ちょっと見にくいですけれども、原子力発電所の再稼働を認めることについて国民の理解は得られているかいないかというと、これはやはり得られていない方が多いんですね。ところが、下の赤でくくった部分は、規制委員会が認めたものについては再稼働は認めてもよいという意見は結構あるということで。規制委員会に対する信頼は高まっているけれども、再稼働全体に対する国民の理解はまだ得られていない、このギャップをどう考えたらいいのかというと、先ほどの避難計画の話が結構大きいのではないかというのが私の解釈でございます。

 次、お願いいたします。

 住民との対話と合意形成についても、これも毎回私はここで御紹介させていただくんですが、国会の参議院の環境委員会での附帯決議というのがありまして、規制委員会に対して、本法施行後一年以内に、一年以内ですよ、一年以内に地方公共団体と国、事業者との緊密な連携協力体制を整備するとともに、三年以内に諸外国の例を参考に望ましい法体系の在り方を含め検討し、必要な措置を講じることという附帯決議があるんですが、これが全く実施されていないということです。是非これをフォローアップしていただきたいと思います。

 次のスライドをちょっと見ていただきたいんですが、当時は、これは経産省の資料なんですけれども、海外の事例を扱ったものを発表されていたんですね。これは、フランスの地域情報委員会、CLIと呼ばれているんですが。

 フランスは国会、法律で各地方自治体にこういう地方情報委員会をつくって、そこで国民との信頼醸成の場をつくる。CLIは決定機関ではないので、ここで再稼働の決定をするわけではないんですが、安全に対するいろいろな質問、疑問に対して自治体や業界や産業界や規制委員会が答える、そういう場なんですけれども、この資料が、私がリンクを捜してみたんですが、今、見つからない、消えてしまっています。是非、経産省の方にもこの資料はあるはずですので、こういうことをもう一度国会でも議論していただいて、地方自治体においてこういう信頼醸成の場をつくるということを是非検討していただきたいと思います。

 次、お願いします。

 次は、核セキュリティーの改善なんですが、東京電力の柏崎刈羽発電所の核物質防護規制違反、これは大変深刻な事例でありまして、もし、ほかのいろいろな、パンデミックとかウクライナの件がなければ恐らく一面に載ってもおかしくないような、大変深刻な核セキュリティー文化の欠如の問題だと思うんですね。フォローアップの調査を見てみますと、これは必ずしもほかの電力ではそれほど深刻な問題になっていない、あくまでも東京電力のこの柏崎刈羽の問題に限ってというふうな調査結果が出ておりますが。

 私は、この問題の根本にあるのは、先ほど佐藤委員からもありましたが、核セキュリティー文化の改善という、これは安全文化も関わってきますけれども、これをどう改善していくかという具体的項目がなかなか出てこないんですね。生体認証とかハード面での提言はいっぱい出てくるんですけれども、核セキュリティー文化の改善はなかなか難しい問題がありまして。これは原子力規制委員会、規制庁の中の問題でももちろんあると思うんですね。これを大変改善しなきゃいけない。

 というのは、次に書かれていますように、原子力規制委員会に核セキュリティーに関する検討会というのがあったんですが、平成二十八年以降開催されていません。それから、活動記録ももう委員会のホームページにない、国会図書館の方に行かないと見つからないということで、核セキュリティーに関する検討会の開催を是非要請していただきたい。

 二つ、今日お話ししたいのは、信頼性確認の問題、それと使用済燃料貯蔵の問題です。

 次、お願いします。

 この信頼性確認制度は、実はこれは核セキュリティー文化の中で一番大きな問題としてずっと議論されておりまして、国際原子力機関の核物質防護勧告の中にもはっきり書かれています。

 ここで重要なことは、政府が責任を持ってこういう制度を導入することというふうに書かれているんですが、一応規制委員会で議論した結果、個人の信頼性確認制度は導入されてはいるんですが、まだ今のところ自己申告制で、確認の実施は事業者の責任になっています。これではなかなか事業者は大変だと思います。

 信頼性確認制度を実施するに当たっては、例えば個人情報も手に入れる必要が出てくるんですが、これはなかなか、事業者の責任と置かれていますとそれがなかなかできないということもありまして、今はあくまでも自己申告制です。これは、制度として入っていること自体は評価するんですが、本当はやはり国の機関が主体的に関与すること。

 これは最近いろいろな分野で取り上げられてきてはいますので、原子力規制についても是非個人の信頼性確認制度を考えていただきたい。今問題になっています経済安全保障の法案でもこの問題が議論されていると存じ上げておりますが、是非、原子力規制委員会の面でもここが重要なポイントですので、御検討いただければと思います。

 次、お願いします。

 原発への軍事攻撃のリスクですけれども、何が一番大事かといいますと、原発、原子力施設には大量の放射性物質が存在します。既に更田原子力規制委員長が委員会でも前回発言されておりますが、とにかく破壊行為をされてしまいますと大変な結果になるということですね。軍事占拠、軍事行動を起こされたときはどういうリスクがあるかというと、ここに書かれていますように、要は、戦争ではもう無力ですね、いろいろな安全システムというのは。問題は、今回は軍事行動なんですけれども、核テロリズムとの境目をどこまで考えるか。なかなか難しいところがあると思います。

 次のページには、ジュネーブ条約第一追加議定書の文章を書かせていただいたんですが、見ていただけますように、入っているのは原子力発電所だけなんですね。そのほかの核燃料サイクル施設だとか使用済燃料貯蔵施設は対象になっていないということなので、攻撃をしても条約違反にはならないということです。

 次、お願いいたします。

 ザポリージャ原発攻撃で、幸い今のところ大変な事故につながっていないんですが、攻撃のビデオ分析が、アメリカのナショナル・パブリック・ラジオというところがビデオ分析をされまして、ここに赤丸で囲んでいるところは実は砲撃が当たっていたということで、危機一髪だったのではないかと。要するに、意図的ではないにしても、戦争状態に入ってしまいますとこういうことが起こり得るということですね。意図的だったかもしれませんが。要は、原子力に対しても実際に攻撃が行われたということであります。

 次のスライドをお願いいたします。

 これは韓国の元の原子力安全規制委員会の委員長である姜政敏さんが最近会議で発表された資料なんですけれども、実際にザポリージャ一号機で炉心溶融の事故が起きた場合、あるいはそこにある使用済燃料貯蔵施設が大事故を起こした場合の放射性物質の拡散状況を示したものですが、昨年の気候条件にのっとって計算したものなんですね。この広がり方を見てみますと、使用済燃料貯蔵の方がやはり大きな影響を及ぼすと。

 右手の分析は、日本の六ケ所再処理工場で仮想核事故が起きた場合に、やはり風向きによっては日本全土を覆うということですね。含まれている放射性物質の量が非常に多いということですね。

 次、お願いいたします。

 次は、六ケ所再処理工場の仮想事故の、これも姜政敏さんの分析なんですけれども、もし大量の放射性物質が出てしまうと、大変な避難住民、避難面積になるということであります。

 では、最後のページをお願いいたします。

 武装警護の件なんですが、結局、核テロリズムでも使用済燃料の破壊というのは起こり得るということなので、実際に軍事行動に対しては軍隊が出てくることはあるわけですが、平常時では軍隊が常時警護に当たっている国はありません。ただ、例外として、ロシアはロスアトムと軍が合同で警備しているとか、フランスは憲兵隊と電気事業者が合同で防護しているという例はありますが。一般的に軍隊が守っているわけではないんですが、本当に今のままでいいのか。使用済燃料貯蔵プールへの攻撃は、非常に核テロリズムでも起こり得るということですね。これは原子炉が停止していても同じでありますので。

 先ほど申しましたように、ジュネーブ条約には使用済燃料貯蔵施設は含まれていません。こういうこともありまして、提案としては、できるだけ早くプール貯蔵から乾式貯蔵に替える、それから、非公開なんですけれども、原子力規制委員会が検討している設計基礎脅威を是非再検討していただきたいというのが私からのお話です。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

赤澤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

赤澤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木宏壽君。

高木(宏)委員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽です。

 本日は、黒川会長を始め、アドバイザリー・ボードの会員の皆さん、忙しい中、御出席ありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 あの東日本大震災と東京電力第一原発事故から、昨年でちょうど十年が経過をいたしました。原発事故の調査を政府から独立した立場で行うため、国会に国会事故調が設置されて、衆参両院議長宛てに提言をまとめた報告書が提出されたのが二〇一二年の七月でありますから、本年でちょうど十年を迎えます。

 この提言を受けて、翌年には国会に当委員会であります原子力問題調査特別委員会が設置され、また、助言機関として、二〇一七年、平成二十九年でありますけれども、アドバイザリー・ボードも設置をされています。

 また、福島第一原発事故発生後、提言でも触れられていますが、これまでの原子力安全規制体制の問題点、すなわち旧保安院と内閣府のダブルチェック体制の実効性や規制と推進の分離が不十分であったといった指摘を受けて、いわゆる三条委員会の原子力規制委員会が環境省の外局として立ち上げられ、その事務局として原子力規制庁が二〇一二年九月に設置をされて、新規制基準の下、再稼働に向けた安全性審査が現在進められております。そこに貫かれている理念というのは、提言にもあったように、独立性と公開性であると考えております。

 アドバイザリー・ボードの黒川会長、当時の国会事故調の委員長として報告書をまとめられたわけですが、ちょうど報告書の提出から今年で十年になるわけで、まず初めに、この十年間の原子力規制行政をどのように見ているのか、その総括と現状の原子力安全規制の評価、認識について、これは参考人全員にお伺いしたいと思います。

黒川参考人 私はこの分野の専門ではありませんので、結果として日本の組織の関係に関わっていることだなと思います。

 最近かなり考えているんですが、例えば、三菱銀行に入ります、十年、十五年すればそれなりのバンカーですよね、住友銀行に移れますか、非常に移りにくいですよね。では、東京大学でマスターも取って、工学部ですね、エンジニアになります、日立に入ります、十年、十五年もすれば相当なエンジニアですよね、その人はパナソニックに移れますか、非常に移りにくいですよね。そんな国がありますか、移れない国。世界中にあるかという話を聞くと、役所の人は、ありませんねと。ではどうしてそうなんだという話をするんですけれども。

 そうすると、横に動けないことが常識だと思っているだけの話で、それで三十年前までは経済成長していたからだと思います。つまり、忖度男しか上がらなかったんですよ。今の上の人たちも、よそに動けないので、結局、大会社のトップになっても自分で決めたことがないんですね。だから、今GDPは全然増えていないですよ、この三十年間。つまり、自分で決めたことのない人が幾ら上に行ったって決められないんです。しかも、企業が何か困ったときに霞が関に行くんですよ。こんなことがアメリカやイギリスであると思いますか。

 だから、そこに日本の何か慣れというか、たまたま三十年前までうまくいった理由は何かといえば、冷戦という枠組みがあって、冷戦の枠組みの一番のフロントは日本とドイツだったわけですよ。そのときに日本は、幸か不幸か、日本が引き揚げた朝鮮半島でまず戦争が起こったものだから、一気にアメリカが来て基地をどんどん増やしたわけですよね。本当に韓国の人たちがかわいそうだと思って、日本が引き揚げた途端に冷戦の枠組みで戦争し合ったわけでしょう。これがようやっと終わったと思ったら、次、ベトナム戦争が始まったわけですよ。またアメリカのフロントは日本とそれからフィリピンですよね。それで日本はすごく経済成長したわけです。

 アメリカのGIさんが来て、新しいラジオとかテレビを持ってくると、それを見て、ちいちゃく軽く安くするというのは日本人は得意なんですよ。それで、貿易で調子に乗ってきて、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるとばか売れしちゃうんですね。

 あのとき、エズラ・ボーゲルさんは、ジャパノロジーじゃないんですけれども、たまたま日本に、中国へしょっちゅう行っていましたけれども、行っているうちに日本のことを研究しようと思って、日本に何年もいていろいろなインタビューをして、これを書いたらばか売れしたんですね、また。だから、日本はおだてると調子に乗るんだということが結構分かっちゃったということがあるんです。

 ですから、なぜこの三十年間は経済が上がっていないのかということを考えてください。それまではそういう枠組みで、だから、忖度していれば上がれただけなんですよ、私に言わせると。だから、この三十年、ベルリンの壁が落ちて冷戦が終わり、冷戦が終わっていわゆるDXというふうになったわけですけれども、今頃DXなんて言っていることが時代遅れで。これは三十年前ですから。

 だから、そういう意味で、日本が全然成長していないところに、これは財界の問題ですけれども、これは明らかに、今度東電の会長になった小林さんが言っていましたけれども、こんなのは政府の政策とかそういう問題じゃなくて財界の問題だと言っていました。財界が駄目だからGDPが増えないんですよ。だから、そういうところでみんな何か閉塞感があるのが今だと私は思っています。

 だから、これをどう変えるかという話が非常に大事な問題ですけれども、将来の人たちがやるよりしようがないのかなというのが私の感想です。

 ありがとうございます。

石橋参考人 ありがとうございます。

 この十年を振り返って原子力安全規制行政をどう思うか、そういう御質問というふうに。

 まず、先ほど高木先生のお話がありましたけれども、今の原子力規制委員会設置法の閣議決定は、国会事故調報告が提出される五か月前に閣議決定されています。今の原子力規制委員会設置法は国会事故調提言を受けたものではないということをまず御指摘したいと思います。その後、報告書の提言が出ましたので、様々な御尽力を頂戴しているんだろうというふうに思いますけれども、そのようなことを申し上げたいと思います。

 この十年を振り返ってどうですかという話がございました。先ほど、黒川先生、鈴木先生、佐藤先生からも御指摘がありましたとおり、私も、過去の原子力安全規制行政に比べると、水準というんでしょうか、透明性、公開性というものの担保についての大きな御尽力はなされていらっしゃるんだろうなということは非常に強く感じるところでございます。

 一方で、私が先ほど申し上げましたけれども、国会事故調報告は国会の先生方に対する御提言を差し上げております。国会の先生方はこの十年間何をなさってこられたのかということは、非常に大きなはてなマークを掲げております。

 以上でございます。

佐藤参考人 同じ質問に対してのお答えです。

 まず、原子力規制委員会は、以前は国内での仲間意識みたいなのがあったわけなんですね、産業界と。それが新しく、規制機関としてのコミュニティー、国際的なコミュニティーと一緒に働かなければならないんだ、そういうふうな意識に変わったんだろうというふうに、外から見てはっきりとそれが感じられるようになった。それが規制委員会が体質的によくなっていろいろな成果を上げてきた理由としてあるのではないかなというふうに思います。

 一方で、規制委員会のミッションとして、公衆と環境を守る、これも元々アメリカのNRCが昔から掲げていたことですけれども、日本の原子力規制委員会もそれをはっきりとうたうようになった。

 ですけれども、果たして、公衆を守るということで、そこのところを常に思い出しながら取り組んでいるかというふうに見ますと、非常に、そこら辺、疑問に感じるところがある。やはり、公衆を守るというからには、公衆とのコミュニケーション、ツーウェーコミュニケーションが必要なんですね。そこがやはりまだまだ消極的なところがあるといったところが私の全般的な感想です。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 福島原発事故の教訓として私がよく挙げるのは想定外のことを想定するということなんですけれども、これがまだちょっと十分ではないんじゃないか。例えば避難訓練を見ますと、相変わらずシナリオどおりの避難訓練をやっています。やはり、避難訓練を見ても、シナリオのない避難訓練のようなことを導入する必要があるのではないか。これは全般的に、想定外のことを想定するという体制がまだできていないのではないかなというのが一点。

 もう一つは、私、工学的リスク評価だけではなかなか安全性の確信が得られないということも福島事故の教訓なんですけれども、先ほど佐藤委員からもありましたが、やはり、工学的リスク評価以外にも、もちろん経済リスクもありますし、福島の被災者の方を考えますと、文化面とか、モラルとか、基本的人権とか、そういういろいろないわゆる人文社会学的な評価というのも大事だというふうに思います。その辺の評価体制をどう考えていくのか。これは原子力規制委員会だけではないんですけれども、原子力の安全を考える場合、そういう分野も考えていかなきゃいけない。これはコミュニケーションの問題にもつながると思います。

 最後にもう一点、実は規制業界だけではないんですけれども、原子力産業界自身が果たして福島事故の教訓をちゃんと踏まえているのかという点も、十年見ますと、どうしても、ハード面は大変設備が整って確かに安全性は高くなっていると思うんですが、やはり先ほど申しましたようなソフト面での、先ほど申しました文化の面、これがまだ十分ではないんじゃないかというのが私の不安です。

 以上です。

高木(宏)委員 ありがとうございました。

 エネルギー政策の基本でよくSプラススリーE、セーフティー、安全を核に、エネルギー安全保障・安定供給、経済性、環境性、この三つの観点からバランスをどう取っていくかということにあると言われております。このバランスのつけ方、優先順位は、それぞれの国、地域の置かれた状況、例えば、化石燃料にどれだけ恵まれているかといった条件や人口構成、産業構造によっても異なりますし、また、同じ国であっても、時代によって何が重視されるかというのは変化すると思います。

 今、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いて、ウクライナ情勢による原油高などでエネルギー供給が不安視されて、電力の逼迫やガス料金の高まりが懸念される中、以前にも増してエネルギー安全保障・安定供給、エナジーセキュリティーというものが優先課題として浮上していると思います。

 エネルギー安全保障の重要性とか、その観点から、電源を多様化することの必然性については党の様々な場で議論されておりますが、岸田総理も民放番組で、エネルギー市場の安定化のためには再エネの最大限の導入と原子力の活用を進めることが極めて大切であり、エネルギーの安定的な供給を確保するため、原子力規制委員会の審査体制の効率化を図りながら、新しい規制基準に適合すると認められた原発は可能な限り活用していきたいという意向を示しました。

 また、これについて、官房長官も記者会見で、原子力発電所の再稼働については、安全性の確保を大前提に、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合に、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら進めるのが政府の方針だとした上で、審査体制の効率化について、原子力規制委員会において、審査内容が共通する案件を同じチームで担当するなど審査官の機動的な配置を行うことに加え、過去の審査の主な論点などを公表して事業者の予見性を向上させることや、審査すべき項目の趣旨の明確化にも着手していると説明しております。

 そこで、審査の効率化については様々な意見があると考えておりますけれども、効率化という概念についてどのように捉えられるのか、これは佐藤参考人にお伺いしたいと思います。

佐藤参考人 お答えしたいと思います。

 私の先ほどの説明でも一応述べさせていただいたわけなんですけれども、今回、原子力規制委員会は新規制基準というところまでは作ったわけです。ですけれども、審査指針というものは作らなかったんですね。

 その審査指針というのはどういうものかといいますと、アメリカのケースですけれども、要は、事業者が提出する申請書のフォーマットをそろえて、それぞれのパラグラフにどういうことを書くのかということを全部決めちゃうわけです。審査側はどういう点で審査をしていくのか、それを克明に書き込んだものなんですね。それが審査指針なんです。ですから、それが一つあれば複数の審査官が同時並行して審査することができるわけです。

 それに対して、日本の今般の審査のやり方は、一つ一つの事業所の申請書を会合形式でレビューする。これはこれで私は公開性とかそういう点では意味はあったんだと思うんですけれども、ただ、効率という点では非常にプアだったというふうに思います。それと、また事業所側の努力も足りなかった。

 私の先ほどの説明では、事業者を統括するような、そういう組織、アメリカにはNEIという組織があるんですね、そういうところが事業者指針というものを作るんです。自分たちでそういうフォーマットだとかを、規制機関が作る前に彼らがプロアクティブにそういうものを作って、こういうものでどうでしょうかというものを規制機関に出して、それでいいでしょうというふうになれば、ほかの事業者が右に倣えをして同時に進んでいく。そういうことで、たくさんの規制活動が並行して進むような仕組みがあるわけですね。それを採用しなかったというのが日本の非効率的なやり方の原因だったというふうに理解します。

高木(宏)委員 黒川参考人、原子力の専門家ではないと言いながら幅広い知見をお持ちなので、お伺いをしたいと思いますけれども。

 原子力発電に関しては、事故が発生したときの情報を含めて国際的な知見を共有するというのが極めて大事だと考えております。国会事故調の調査報告書も、事故の原因を世界と共有すべきとの理念から海外に積極的に発信して、国際的に評価されていると理解しております。世界はこの事故からいろいろ学びたいと思っていると私は考えておりますけれども。

 国内では福島第一原発事故をめぐる多くの優れた著書、報告書が出されていると承知しておりますけれども、一方で、米国の原子力規制委員会が、NAS、全米科学アカデミーですか、ここに依頼した事故調査では、引用文献の二〇%程度しか日本発の各種報告書が引用されていなかったとのことであります。文科省の調査で、注目度の高い論文数の世界ランキングで日本は二〇〇〇年代以降低下傾向にあり、論文市場で見た日本の存在感は低下しております。

 いわば国際知識ネットワーク、頭脳循環からの日本の脱落が顕著なわけで、その背景の一つにはやはり言語の壁、英語の壁があるのかなとは思うわけですが、こうした事故を含め原発に関わる教訓や知見を世界と共有していくということは国としての信頼性向上にもつながりますし、評価にもつながると思います。

 そこで、世界は福島第一原発事故からいろいろと学びたいと思っているということで、その公開性をめぐる課題、どうしたらもっと国内の優れた知見を世界に発信していくことができるようになるのか、黒川参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

黒川参考人 これは非常に難問でありまして、私、最近、そのことは随分自民党でも話しておりますし、役所とも話しておりますし、特に財務省は私の言い分については随分気にしていて、この間もブレストしたんですけれども、向こうも三人ぐらい来て、文科省の人たちが課長も五人ぐらい連れてきて、三日前にやはり二、三時間やったんですけれども。

 日本の研究は、今、全体の研究のインパクトのあるペーパーということですけれども、大体九位ぐらいになっていますね、世界で。今、トップが初めて中国になりました。二番がアメリカですけれども、三、四、五はドイツ、イギリス、フランスあたりで、日本が九位なんですよ。それもこの間自民党でも話しましたし、いろいろなところで話していますが。

 これはなぜかというと、やはり他流試合をしないんですね。企業と同じように、例えば東京大学の教授を見ると七〇%が東大卒です。カリフォルニア大学というのは十ありますけれども、カリフォルニア大学の教授を見ると、カリフォルニア大学卒、UCLAとかがありますけれども、カリフォルニア大学卒業の人は二〇%そこそこです。つまり、一つ一つのステップで必ず他流試合をさせるわけですね。それが日本は最初から、入口からずっと縦になっているんです。そうなると、研究も先生のテーマをやるわけです。だから、横に行かないので、これが日本の一番の弱さになっているわけで、インパクトのある論文が出てこないんですよ。

 私もアメリカで十四年やっていましたけれども、やはりそれは、どういうところで自分が認められて、どんどんどんどんお互いにセミナーをやったりしますけれども、動きやすいので、どういうところにまず引っ張り上げてもらうか、その大学よりもっといい大学にしておこうと思うとどんどん常に頑張れるんですけれども、日本は入口からずっと縦に行っちゃうので。それがうまくいった理由は、今考えてみると、冷戦構造だったから大きな枠組みは日本の政治が考えなくてもよかったということだと思います。

 だから、私は本当に、国会議員の先生たちがすごく大事だというのが、大きな枠組みを議論をしながらつくっていく。行政府はディテールをつくってくれるだけの話なので。これができていないんじゃないかな。専ら行政府がやっているのを国会が審議してオーケーするという、プロセスが逆になっていますね。アメリカの場合は、法律をやるのは全て国会ですから。ディテールをやるのは行政府にやらせますけれども。国会が全部決めるというのは、まあ、ここでもそうですけれども、それが基本になっています。だから、そういう意味では、たまたまそうじゃないシステムでうまくいっていたところで調子に乗っちゃったというのがあるのかなと思います。だから、三権分立をしていない。

 私は本当に、国会議員の先生たちはいろいろな案件があるんだけれども、一番大事なんですよ、国民の意見を受けてどういう政策をつくっていくかということが。全部それにやるのが、アメリカはそうですし、イギリスもそうですので、行政府は決まったことをちゃんとやれよなということで、誰がこれをチェックしているか。

 これは会計検査院なんですけれども、実は、アメリカや何かでは、会計検査は、お金だけじゃなくて、実際のそのやった政策がどのぐらいの効果があっているかということをどんどんどんどんやるようになりまして。ガバメント・アカウンタビリティー・オフィスとなっていますけれども、アメリカの場合はそれが今、国会の下にくっついているんですね。だから、行政府が何をやっているのかをみんな会計検査院が、お金だけじゃなくて、効果がどのぐらいあったのか、高速道路を造ったらどのぐらい利用されているのかとか、それを全部調べてきて議会に上げてくるんですね。そうすると、議会はどんどん行政府をチェックできる。こういうふうになっていただきたいなというのが私の希望です。

高木(宏)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、質疑の順番に御配慮をいただいた他会派の皆様には感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。

 また、アドバイザリー・ボードの四名の皆様には、お忙しい中、本日も、示唆に富んだお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 事故から十年が経過して、一年前のこのアドバイザリー・ボードの質疑、私もこの部屋におりましたけれども、その頃を思い出しながら先ほどの話を伺っておりました。

 改めて、今日、まず最初、四名皆様に見解をお伺いしたいと思っておりますが、黒川参考人からも規制のとりこという話がございましたし、佐藤参考人からも、この規制のとりこを脱したのかどうか、こういった問いかけがございました。規制のとりこを脱したのかどうかという問いについて、ほかの皆様の御見解も是非お伺いしたいと思い、まず最初には、その質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。四名皆様からお願いいたします。

黒川参考人 ありがとうございます。

 規制のとりこというのは日本でもまだまだあると思います。企業でも困ったときに霞が関に行くなんということ自身が非常におかしいと思いますし、お上頼みなんですよね。だから、そういう意味では、三権分立がきちんとしていないなということが問題だと思いますし、企業が問題があれば国会の先生のところに行くのが普通ですよ。

 行政府がなぜ上になっているのかというのは、恐らく明治時代は天皇陛下の役人だったからだろうというふうに思っています。となると、日本は本当に民主主義になったのかというと、誰が民主主義にしたんでしょうか。マッカーサーが来たからじゃないですか。それが民主主義だよと言ってみんな選挙をするようになったんだけれども、自分たちで民主主義でやるというのは、やはりロイヤルファミリーがいるところからの返還があるわけで、それがやはりある程度の、イギリスもフランスもみんなそうですけれども、王様から権力を取るというプロセスがあるわけですね。

 だから、それがたまたま戦後に来て、マッカーサーにこれが民主主義だよと言われた話だけで来ているんじゃないかというのが、私の、最近ずっと考えていたんですけれども、そうじゃないかなと思っております。

石橋参考人 ありがとうございます。

 まず、御質問は、規制のとりこを脱したのかという御質問だったと思いますけれども、規制のとりこを脱したと思った途端に規制のとりこになると思います。なので、これは不断の改革の努力をし続けるしかないというふうに思います。

 先ほどからいろいろな御議論の中で、安全を大前提に云々という御議論が世の中にはたくさんございます。日本の様々な御議論を拝見すると、大前提になった途端に、その大前提が本当に成り立っているのかということについては放置するということが多々見られるように思います。サイバーセキュリティーも同じでございます。

 海外との知見の共有ということについても、国会事故調提言五、新しい規制組織の要件の3)に、海外との交流、しかもこれは、ただ単に研修を受けるというわけではなくて、海外の動いている若しくは止まっている原発の操作員、作業員として日本の原子力関係の方々が行かれる、若しくは、海外の方々が、日本の原子力、廃炉作業中のものも含めて、そこに来て実際に作業をする、一緒にやる、それによってグローバルな安全文化というものが醸成されていくんじゃないかということについての御提言を差し上げているところでございます。

 以上でございます。

佐藤参考人 お答えいたします。

 私も、黒川先生がレギュラトリーキャプチャーという言葉を使い出してからいろいろなものを調べてみました。そうしましたら、レギュラトリーキャプチャーだけでなくて、レギュラトリー・アンド・アカデミカル・キャプチャー、そういうのも出てきたんですね。実は、日本の原子力の場合、まさにそうだったんですね。

 というのは、私は元々原子力産業界で仕事をしていた人間ですのでその仕組みがよく分かっているんですが、つまり、規制側に十分な知見の蓄えがないわけです。ですので、新しい問題が起こったときに、規制側は何とか委員会というものをすぐにつくって、大学の先生を集めて委託するわけですね、検討を。ですけれども、実は大学の先生方も十分な知見がない、それでその大学の先生方は電力会社を呼び出す、そういう形で、三つどもえ構造になってしまって。単なるレギュラトリーキャプチャーではない、規制機関は大学の先生には一定の敬意を払っていますので、まさに三つどもえ構造ができ上がっていたということなんです。それは昔の話です。

 今の規制委員会になってからは、そこのところはしっかりと脱却したなと。つまり、彼らの中でしっかりとした研修制度を確立して、アメリカに勉強しに行ったりとか、そういうこともするようになりまして。これも、私、先ほど申し上げましたように、世界の規制のコミュニティーの中で仕事をするようになった、そういうふうに見受けられます。

 ですので、私の判断としては、規制のとりこから脱却したのか、かなりいいところで脱却しているというふうに私は感じています。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 規制のとりこを脱したかという面で、原子力規制委員会の独立性は担保できたかという意味ではイエスだと思います。だけれども、今、既にいろいろな、ほかの委員からもありましたけれども、私の質問はむしろ、福島事故の教訓をちゃんと踏まえたかという観点から考えますと、全体的にはノーだと思います。

 特に、今ありましたけれども、学界、産業界、政界、国会を含めて、やはり原子力規制委員会に圧力をかける人たちもまだいっぱいいます。これは自然といえば自然ではありますが、これが実はやはり福島事故の教訓を踏まえていない。それから、ゼロリスクを追求するという原子力、一般の住民の皆さんとか反対派の方々もそこはまだなじんでいないというか、福島事故の教訓を踏まえていない。

 これは、やはり、規制のとりこを脱したかという今の、委員長からもありましたけれども、社会全体が独立した規制機関をどう育てるかというカルチャーが育たないと、規制委員会がまた孤立してしまう可能性があります。そういう意味では、私は、福島事故の教訓を踏まえたかという観点で見ると、まだ不十分だというのが私の答えです。

 ありがとうございました。

浅野委員 ありがとうございました。まだまだ課題が多いということを再認識させていただきました。

 今、鈴木参考人からもございましたけれども、今、最後の部分は、提言の五、新しい規制組織の在り方についてという部分に関連するのかなというふうに理解をしておりますけれども、改めて、この原子力問題調査特別委員会という場において、これまで、私も二〇一七年から約五年間この委員会に在籍して議論をさせていただいておりますが、ではこの委員会の中でどのくらいの提言について触れてきたのかということを振り返りますと、私自身は、まだまだ七つある提言のうち一部しか触れられていないのではないか、そのように今感じているところでございます。

 是非、黒川参考人そして石橋参考人にお伺いをしたいんですが、この七つの提言のうち本委員会でどのくらいのことが議論されてきたのか。私はごく一部だと思っておりますけれども、そこに対する御見解、お二人の認識をお伺いできればと思います。

黒川参考人 私の個人的な意見ですけれども、これは、国会が法律を作ってこういうことをやらせていただいたわけです。それで、私たちは報告書を国会の両院議長に渡しました。ですから、先生方がこれをどれだけやらせるかというところに懸かっていると思います。

 私たちのスポンサーはあくまでも先生方でしたので、両院の議長にこういうふうになりましたというのを渡したので、今度は国会の方に今渡しているという格好になっているので、是非先生方の方で、行政をどうしたどうしたという話が一つすごく大事だと思います。

 二つ目は、その頃からかなり私はいろいろなところで、外でしゃべったんですけれども、やはり原子力というのは世界共通のグローバルウォーミングにはいい発電ですよね。だけれども、そうなると、アメリカとかイギリスとか日本のアライのところでは運転する人が、いろいろなことをやる人が常にお互いに共有している方がいいんじゃないかという話をしたわけです。つまり、交換して、一対一で、ではアメリカでやっている人たちが日本に来て一年間やろうよという話になると、何かあったときに、お互いにみんな、すぐに電話で、こうなったときにどうしようという話がすぐできるわけじゃないですか。

 だから、是非、それをやると、原子力のオペレーターも、ルールを作るのも、OECDとかこちらのアライですけれども、みんな共通のスキルセットとレギュレーションをきちんと書いておけば、こっちでやる人も、アメリカやイギリス、フランスの連中も来ているよ、向こうでも日本の人がやっているよといったら、何かあったときにすぐに自分たちでメールなりなんなりできるようなネットワークをつくるのがいいと言っているんですけれども、なかなか、日本の人は外に行くというのと交換するのが嫌なんですね。英語ができないというのもあるのかもしれないけれども。お互いに慣れちゃいますよ、原子力のオペレーターも。

 そういうふうにしてというのが、一つ、日本のイニシアティブでやるというのは非常に向こうも喜ぶと思うんですけれども、是非そういう、オペレーターもルールを作る人たちもOECDのグループは一緒にやっているよという話は非常に大事なことなんじゃないかなと私は思っています。それは是非考えてやっていただけるとうれしいです。

石橋参考人 ありがとうございます。

 この原子力問題調査特別委員会で七つの提言がどこまで触れられたのかという御質問だと思います。

 私、こちらにお邪魔をさせていただくと、何度も申し上げておりますけれども、提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定し、その進捗状況を国民に公表することを先生方にお願いしております。昨年も同じことを申し上げましたけれども、この一年間の議事録若しくはインターネット配信の動画を確認させていただきましたが、そのことについての御議論は一言もございませんでした。それが全てを表していると思います。

 以上です。

浅野委員 ありがとうございます。

 私も、約五年、この委員会でいろいろな先生方の議論を聞かせていただく中で、どれも大変重要な議論だったというふうに思うんですが、やはり、皆様が過去御提示をされた七つの提言のうちで最もこの委員会で扱われているのは、提言一の一部がメインだったというふうに思います。

 具体的に申し上げれば、規制当局からの説明聴取あるいは有識者からの意見聴取というところがメインになっていたのではないかなと。それ以外の、危機管理体制の見直しであったり、被災住民の皆様に対する政府の対応状況の確認であったりフォローアップ、こういったところはまだまだこの委員会で取り組むべきテーマの一つだというふうに認識をしてございます。

 といいますのも、まさに黒川参考人が冒頭触れられていた、今国会、議院運営委員会の中でも、今後の特別委員会の在り方について議論を深めていこう、こういう議論がございまして、やはり私としては当委員会の役割というものはまだまだあるというふうに考えているものですから、参考人の皆様の御見解も伺わせていただいた、こういう経緯でございました。

 委員長にお願いをさせていただきますが、国会事故調の提言のうち、やはり当委員会で扱われてきた内容というのが私自身はまだまだ不十分だと思いますし、今後まだ議論すべきことがたくさん残っているというふうに思いますので、今後どのように当委員会の中で扱っていくべきなのかということを、両筆頭そして委員長においても、理事会において御協議の場を是非設けていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

赤澤委員長 はい、受け止めて、後刻、理事会で協議をさせていただきたいと思います。

浅野委員 よろしくお願いいたします。

 残りの時間、ちょっと個別の論点についても伺っていきたいというふうに思っております。

 先ほど、前の質疑、高木先生の質疑の中で、規制行政の効率化の話がございました。私自身、規制のとりこは脱しなきゃいけないという立場ではありますが、ウクライナ情勢を受けて、エネルギーの安定供給の確保、いわゆるエネルギー安全保障の視点というものをどうしても国会としては持たざるを得ないのではないか、そのようにも感じております。

 そこで、今委員会でも、先日も質疑がされたんですが、規制行政の更なる効率化の是非というものが今議論されてございます。私自身は規制行政の効率化を進めることが即座に規制のとりこに逆行するとは言えないのではないかという立場を取っているんですけれども、この点について、黒川参考人そして佐藤参考人、また鈴木参考人の御意見をいただければと思っております。

佐藤参考人 お答えしたいと思います。

 必ずしも規制の視点からではないんですけれども、原子力発電所を一基建てるという流れを考えますと、いろいろな、立地の選択から、安全審査から、ようやくそれを終えて着工していく。工事が始まってからも、いろいろな検査を経ながら完成していく。何だかんだと十年ぐらい、あっという間にたってしまうわけですね。特に、最近新型炉として建設しておりますフィンランドだとかフランスだとか、そういうケースを見ますと、十五年ぐらい、あっという間にたっていまして、その間にコストも三倍以上跳ね上がって、今や一基を建てるのに一兆円で建たなくなっている、そんな時代になっているわけですね。

 ですので、今回、ウクライナの情勢がいろいろなエネルギー問題についての考え方を変えつつあるわけですけれども、そういう変化の急激さに対して原子力は全く追従性がない。また、では原子力が大事なんだなというふうに思って、始めて十年たつ頃には全くまた違うエネルギー情勢が展開されている、そういうことになるんだと思うんですね。ですので、機敏さがこれからはエネルギー政策を検討していく上で非常に重要なファクターになるのではないか。そういうものに対して、必ずしも、これは規制の効率化だけではないです、規制を効率よくすれば今言った十年、十五年が五年に短縮される、そういう問題ではないんですね。全く違います。

 ですので、ちょっと、今のウクライナの問題で危機感を抱いてエネルギーの多様化というようなことをお考えになっていると思いますけれども、では原子力というものはどのぐらい機動的に動けるのかというところもしっかり分析した上でお考えになられるべきだと思います。

鈴木参考人 規制の効率化は、私は原子力の安定供給とは個別に考えて重要な問題であると。

 これは、私がアメリカの大学で原子力安全性の研究をしているときに、安全性の向上と効率改善というのは相互関係にあるということが分かりまして。要するに、実は、安全性の向上とコスト低減というのは矛盾するんじゃないかとよく言われていたのですが、むしろ逆で、効率改善をすることがむしろ安全性の向上につながる。

 これは規制も同じで、規制が非効率的ですと安全審査もなかなか難しくなっていく。効率改善は何も再稼働のためではなくて、安全性の向上のために必要なんですね。その点から、規制の効率化が非常に重要であると私は思います。それとエネルギーの安定供給の問題はやはり切り離して考えていただくのがいいのではないかと思います。

浅野委員 大変参考になる御意見、ありがとうございました。

 時間が来たので、本日は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

赤澤委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 まずは、本日も、黒川委員長を始め、石橋委員、佐藤委員、鈴木委員、大変お忙しい中、御参集いただきまして、本当にありがとうございます。

 また、委員長を始め各党理事、委員の皆様方、今日は、この四方に質問させていただく機会をいただきましたことをまず感謝申し上げたいと思います。

 その上で、冒頭、委員長、まずは御提案ですから引き取っていただければ。

 先ほど浅野さんが御提案されたことに比較的似ているんですけれども、今まで四方がお話しいただいた知己に富む、しかも専門性を生かしたお話、これは全てすばらしい、我々にとってのアドバイスだと思っております。では、こうしたものを本当に我々は生かし切れたのか、国会として生かし切れたのかということに対して、私も一人の国会議員としてもじくじたる思いがございます。

 そうした反省に立って、こうしたアドバイスを具体的にどうしていけばいいんだと。なかなか難しい問題もあります。事故調ができたときの政治環境も今とは随分違います。ですから、いろいろあるんですが、それに関して、どうしていったら少しでも前へ進めるのか。先ほども、鈴木先生だったと思いますけれども、立場を超えて共通の課題があるでしょうと。廃炉の問題とか、それから使用済燃料の話とか、いろいろあります、核セキュリティーの問題とか。

 こうしたことをあらかじめ決めてもいいと思うんですけれども、どの項目についてやっていくか。優先順位もある程度議論しながらですね。是非こうした議論を早速この委員会の理事会で、私、信頼しております与党筆頭理事でございますので、こうしたことをきっちりやっていくことが私は国民のための信頼回復に絶対つながると思いますので、これはどういう立場を取ろうとも今の国会議員がやるべきことではないかと思いますので。

 これは引き取っていただければ結構ですので、これ以上しゃべっていますと私の持ち時間がなくなっちゃいますので、ここでやめておきますので、是非よろしく、まず引き取っていただけませんでしょうか。

赤澤委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきたいと思います。

伴野委員 その上で、今日も本当に四人の先生方には、私は国会、国会議員への叱咤激励だと受け止めさせていただきました。はっきり言って国会議員は何をやっているんだというふうにおっしゃりたいところだと思うんですけれども、それをいろいろな表現を使っていただいて、一番分かりやすかったのが石橋先生じゃないかと思いますが、私も、三百七十八日、自問自答しながら質問をさせていただきたいと思います。

 その上で、やはり今ちょっと、私、御専門の方に聞かないと分からないなということがまず二点ありまして、皆さん御専門であろうと思いますが、ここ一年ぐらいのインタビューやあるいは書評なんかを拝見し、また今日の最初のプレゼンテーションをお聞きして、まずお聞きしたいのは、時間がある限り四人の先生方に私なりの質問をさせていただきたいと思いますが、まずは鈴木先生に、核セキュリティーの問題で。

 とりわけこの一年、二月二十四日、忘れもしないロシアの侵攻によって大きくここがクローズアップされてきたと思います。ですから、逆にここは包み隠さず、どうあるべきだということを専門家として言っていただきたいし、何ができるんだということを考えていかなければ、これに関して私は一億二千万人共通の課題だと思うし、一億二千万人の命を守る上では大変重要なことだと思いますので。

 その上で、まずは、去年もたしか先生がおっしゃったというふうに私は議事録で確認していますけれども、いわゆる使用済燃料の貯蔵に関して、プール貯蔵から乾式貯蔵への移行、多分これは技術的には確立されているということだと思うんですけれども、それがなぜ進展しないか、まず先生の御見解を聞かせてください。

鈴木参考人 乾式貯蔵へ進むのがなぜ進まないかの大きな理由は、多分地元の方々が、発電所サイトからは使用済燃料を取り出す、早く取り出して再処理工場へ持っていくという約束を事業者がされていますので、なかなか地元の方々が合意されなかったというのが第一点ですね。

 ようやく今、浜岡とか玄海なんかで、地元でも乾式貯蔵オーケーだというふうに合意が得られてきていますので、徐々に変わってきているかなと思います。

 二点目は、再処理を前提にしていますので、再処理工場が動かないと使用済燃料を受け入れないというところが、例えばむつなんですけれども、むつはサイトもありますし、審査も進んでいるんですが、施設も完成しているんですけれども、六ケ所再処理工場が動かないと使用済燃料を受け入れないというふうにおっしゃっている。

 これはなぜかといいますと、五十年たった後、使用済燃料の行き先が再処理工場しかないんですね、今。これは直接処分が認められていないということが一番大きなネックでありまして、そこが解決しますと、多分、地元の方々も、五十年たったら使用済みで出ていくということがはっきりすれば貯蔵を受け入れてもいいということが出てくると思うので。その辺が一番のネックではないかなと思います。

伴野委員 今先生がそうやって理路整然と御説明いただくと、ステップ、ステップ、ステップを踏んでいけばそういうことが可能になっていくんだと。だから、こういうことをやはり包み隠さず、きちっと、我々も当然、現場へ行けばその役割を担わなきゃいけないと思いますし、国会議員がちゃんと理解して、ちゃんと情報公開の下に説明責任を果たしていく。

 そして、本当に、リスク評価も難しいとおっしゃっていましたので、リスク評価をどう伝えるかというのがあると思うんですが、それでも難しいなりに、今よりもリスクは低減するんですよということであるならば、日本のアカデミア、あるいは世界的に見て、アカデミアの方がそう御判断されたら、それを基に、これだけリスクが低減するんですからどうでしょうかということは、我々もやっていかなきゃいけないと思いますが、関わった方みんなの力をかりてこれはやるべきじゃないかと思いますので、またいろいろお知恵をおかしください。

 その上で、二つ目ですが、ここもちょっと機微に触れちゃいますが、でも、聞いておかないと私は夜も寝られませんので、いわゆるDBTの話ですね。設計基礎脅威、これを先生は、先生の真意は、どうしろと。それは政治家の判断だとおっしゃるかもしれませんが。

 私の知る限りでは、これは既に、一九九九年ですか、IAEAから勧告を受けて、やっている国もちゃんとありますし、訓練もちゃんとそれを基にやっている。ではそれが日本は今どうなのというところを、私はこれはやはり、DBT自体のことが非公開となっていますけれども、ううんとは思います、機微に触れるところですから。

 ただ、これもちょっとやはりちゃんともう説明していかないと、誰もがウクライナへのロシアの侵攻を見て、これは日本もと。いつというふうにやはり国民の方は考え出していますので、ある面、今こういうことをきちっと説明することの方が大事じゃないかと思いますので、世界的な趨勢と、先生なりの今のお考えをお聞かせいただければ。

鈴木参考人 設計基礎脅威は非公開なので、公開の場では議論できないというのは世界共通だと思います。

 その中で、どうやってそれを国民の皆さんに納得していただけるかというのは、一つは、大きく言えば、先ほど私が申しましたように、規制委員会と住民の対話の場がないということですね。そこである程度説明はできると思うんですね。海外では、公開できないですけれども、ある程度の方針とか実際に取られている対策の一部については、これは安全とかなり重なる部分がありますので、そういう部分は公開できる部分もあります。ただ、核セキュリティー全般について、情報公開と公開してはいけない部分とのバランスが非常に難しいことは事実でありますが、その説明はできる限りしていく必要があると思います。

 それから、先ほど申しましたように、専門家の方々の核セキュリティー検討会というのが規制委員会にはあったわけですね。これが今行われていないのが私は問題ではないかと。一部の検討会は非公開にしてそういう議論をしていただく必要もあるのではないかとは思います。

伴野委員 きっちり議論を専門家でしているという、そのメッセージだけでもこれは全然違うと思いますので、またいろいろお知恵をおかしいただければと思います。

 同じ核セキュリティーのお話で、佐藤先生もたしか東洋経済等々でいろいろインタビューをお受けになられたり、鈴木先生もたしか寄稿されていたと思いますが、正直言って、なかなかセンセーショナルなお話です。

 そうした中で、今、佐藤先生なりがお考えになる、今この現状を何かすぐやれと言われても、正直言ってあした何かやれと言われてもというのがありますが、ひょっとしたらあした何か起こってしまうかもしれないという中で、今、佐藤先生が、最優先して行わなきゃいけないことはこういうことなんじゃないのというのが、つまり、あそこの記事を想定されたときのお考えをちょっと、かいつまんででも結構ですから、教えていただけませんか。

佐藤参考人 お答えしたいと思います。

 原子力発電所は、入られたらもうおしまいだというふうな認識を持たないといけないと思います。自衛隊とか機動隊とかをスタンバイしてもらって、何かあったら駆けつけてもらうということでは、恐らく日本の対応では手遅れになってしまう。ほかの国では、最新式の武器というよりは兵器のようなものを用意して、いつでも来いという感じで構えているわけです。ですけれども、日本は民間の警備会社が兵器はおろか武器も持つことができないという状況ですので、非常に脆弱だ。

 原子力発電所は構造的に窓が一個もないわけですね。ですので、例えばテロリストの戦略、戦術、余りそういった細かいところはお話しできませんですけれども、簡単にイメージしていただければ分かるかと思いますけれども、窓の全くない建物ですので、テロリストが中に入って電気を消されてしまったら、これは、どんなに腕のいい戦闘力のあるチームが抑圧に入ろうと思っても、もはや手遅れになってしまう。ですので、一番セキュリティーで大事なのは入らせないことです、絶対に入らせないことです。

 それだけに、防護設備が設備の管理に不正があったというのは非常に重大な問題だったというふうに受け止めておりますし、その考え方は共有したいというふうに思います。

伴野委員 ありがとうございます。入られては絶対にならぬというお話を賜りました。

 お待たせしました、黒川先生と石橋先生。来年のアドバイザリー・ボードぐらいのときには石橋先生に少しでも、ちょっと国会議員は進歩したなと言っていただけるように頑張りたいと思いますので、あと五分ほどお許しいただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、脱原発、原子力推進という立場を超えて、超党派で取り組まなければいけない。

 実は私は一九六一年生まれでして、記憶違いじゃなければ原子力発電所の最初の発電が一九六三年だったと思います。よくトイレのないマンションというやゆをされましたが、そのマンションで私も育ち、そしてその平和利用を享受してきた一人であることは間違いない。一億二千万人の多くの方も例外ではないだろう。

 ですから、国会議員はもとより、次の世代のために解決していかなきゃいけない課題、これは多分、整理すれば出てくるんだと思いますし、今の福島の状態を鑑みると、なかなか、エンドステートのところまで本当に行き着けるかどうか、廃炉ですら次の世代に持ち越しちゃうかもしれないというような現状の中で、やはりこれは少しでもいい状態で次の世代に渡さなきゃいけないということに対しては、私は絶対に逃れられないと思いますし、一億二千万人の多くの方は逃れられない、国会議員はもとよりだと思います。

 ですから、先ほど来、七つの提言のうちどこまでやれているんだというのが、この国は検証がやはり本当にいろいろな文化で下手くそだとつくづく思います、つくづく。霞が関の方ともよく議論すると、一つのやはり無謬性だという言い方をされる方もいます。

 ですから、そういうところを乗り越えて、ちょっとこのチェックを第三者的なところでもう一回、人間の身体でいうならば、今の現状をそのままドックに入れて、黒川先生はお医者さんだからお詳しいかもしれない、とにかく今の現状をつぶさに、専門家の方や、先ほど、民間の方や関わっていらっしゃる方全てと。ですから、いろいろな方々を入れて、場合によっては被災者の方も入ってもらってもいいかもしれない、これからどうしていくんだということをはっきり言ってもらうためにも。

 そういった御意見を一回、国会に声を集め、英知を結集し、この英知は、黒川先生がよくおっしゃるようにインターナショナルで。原子力の技術というのは世界的な水準でやっていらっしゃいますから、その意見を取り合わせながら。

 ネーミングはいろいろあっていいと思います。鈴木先生は廃止措置・復興評価委員会という名称を使われていますし、黒川先生的に言うと事故調提言検証委員会とでもいうんでしょうか、それだけでも多分いろいろ前へ進んでいくんだと思うんですね。

 与野党の意見の違いも明確になっていくし、共通点はやればいいんです、国会の総意をもってやるということをやっていけばいいわけで。そういった前提で、国会事故調をおつくりになられて、またそのときの御苦労もよく御経験になられているお二方から、まずは石橋先生から、それから黒川先生から、国会にやはりちゃんとしたものをつくるということに対して、いかがでしょうか。

石橋参考人 ありがとうございます。

 御指摘のところは、国会事故調提言七、独立調査委員会の活用というところがございます。未解明の問題、積み残しの問題、たくさんございました。国民生活に重要な影響のあるテーマについて調査、検討するために国会事故調のようなものをつくってくださいということを提言させていただいているところでございます。

 エネルギー安全保障の問題、急にクローズアップされましたということがございます。とはいいながら、では、今までの原子力発電所の稼働についてのプロセスをはしょるのか。そうではないと思います。

 政治状況の変化がありましたという言葉もございました。核エネルギーというのは、神の力、天の力にも等しいような巨大な力でございます。極めてロジカルな物理現象として急速進展してまいります。その前には政治状況の変化などは一切関係ない、やることを淡々とやるべきであるということしかないんだと思います。

 そこでは、先生方御指摘のとおり、何事も包み隠さず、今御議論がどこに集中されていて、何を解決して、どういう合意形成をしようとしているのか、そういうロードマップ、実施計画の策定こそが、全ての透明性と公開性の担保、進捗の確認、足りないところの促進ということを明らかにして皆様と共有できるのではないかということを考えます。

 以上です。

黒川参考人 確かに、行政府の政策をどうやってチェックするかというメカニズムは必要だと思うんですね。

 先ほど申しましたように、海外を見ていると、イギリスとかアメリカはそれぞれ違いますけれども、結局、会計検査院をどう使うかという話に今なっています。つまり、会計だけじゃなくて、ある政策をしたときに、道路を造った、それがどういう効果があって、どうだったという話を常にやるわけですね。それが立法府の方の下にくっついているんですね。アメリカなんかはそうなんです。そうすると、政策をつくるのは先生方ですから、これは駄目じゃないのと直せるわけですよ。

 だから、私は、そういうのを見ていると、GAOというやつが議会の下の方に近寄っている、独立しているけれども近寄っているというのはすごく大事なことで、それが行政府をチェックする一つの目的になると。いいシステムだなと思っています。

 そういう意味では、私たちはちっちゃいですけれども、そういうインスティテューションが議会の方に、非常に近いところにいるというのがすごく行政府をチェックする一番大事なことではないかなという話は、行政府でもしゃべっていますけれども、なかなか向こうはそうしないんですけれどもね。だから、それは、やるというのはすごく大事なことだと思います。こういうきっかけだけでも、先生方の下にある会計検査院の人たちがそういうことをチェックするようになっていって、やるのがすごくいいんじゃないかなというのが私の感じです。

 突然そんなものができているわけじゃなくて、アメリカでも経験をしながらそっちの方に今寄っているという話ですので、是非そういうのは、まねするのには非常にいいレッスンだと思います。

伴野委員 本日も、本当に四人の先生方には示唆に富むお話をありがとうございます。

 私自身、立場、立ち位置を超えて、共通の課題からまず少しでも前へ進められるように頑張っていきたいと思いますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

赤澤委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日は、四人のアドバイザリー・ボードの先生方においでいただき、それぞれのお考えの下に御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。感謝いたします。

 本国会において私が所属するこの原子力問題調査特別委員会だったりとか決算行政監視委員会など、本国会においても今後の原子力政策について政府に対して見解を確認してきました。特に、本日のお話でもありましたように、ロシアによるウクライナ侵攻、それ以降、本当に、日本のエネルギー供給の問題は大きな視点からやはり考えていかなければならない、そういう時期になっていると思います。

 黒川会長のお話にもありましたように、海外に目を転じれば、欧州においても原子力発電を電力の安定供給と脱炭素を両立させるためには必要だと認定しており、原発は二酸化炭素を出さずに発電が安定しているというメリットをうまく生かすべきではないか、日本でも政府が再稼働を後押しするのが不可欠と私及び我が党は考えております。

 まず最初なんですけれども、私自身で四人目の議員の質問ということで、まずはちょっと、それぞれの皆さんが、本日の意見陳述若しくはいただいた参考資料、それと過去の委員会での御発言で、まず最初に、各論になってしまいますけれども、ちょっと細かいことから最初に聞かせていただいて、後で総論的なことをお聞きしたいと思っております。

 黒川参考人におかれましてはMDでいらっしゃいまして、私も実は医師で、MDでPhDでございます。

 昨年の四月二十七日の本委員会で処理水の話をされましたし、本日いただいている毎日新聞の「オピニオン」におきましても汚染水の話が出ております。責任回避を最優先に、記録を残さない不透明な制度を許容する法的仕組みがあって、これが事故の一因となった、トリチウム、ラジウムその他も全部抜かれているわけではなくて、具体的なデータが新聞に出てこないところが問題だと思っていると述べられておりました。

 昨年もこういったところで御意見をいただいているんですけれども、処理水について、トリチウム以外のものが入っている問題について、具体的なデータの開示内容や方法、形式について、参考人にどのような指針であるべきかの御見解をお聞かせいただきたいのと、やはりこれこそ本当に規制のとりこであって、透明性とか開示性の欠如だと痛感しているんですけれども、まずはこういったところに関して御意見を、御示唆をいただきたいと思っています、黒川参考人。

黒川参考人 ちょっとみんなこういうふうになっているので聞き取れないところが結構あるんですけれども、トリチウムのことをおっしゃいましたよね。

 トリチウムは幾らでも流しているわけですよ、世界は。日本のトリチウムの場合は、あそこの、実際に燃料棒に当たっているわけですよね。すると、いろいろなものが入っているわけです。前のときに、どのぐらいに、処理したのは、トリチウムじゃないのも、いろいろなものが混ざっているはずですよね、ラジウムとかいろいろな。前回、佐藤さんがそれを見せてくれまして、どのぐらい、あれで処理した水にトリチウム以外のものがたくさん入っているんですね。それを言わないからまずいわけで。

 だから、日本で処理水というのはトリチウムだけじゃなくなっちゃっているので、いろいろなものが混ざっているから、なかなかそれをどこも書かないですけれども、そこが一番の問題だと思います。トリチウムだけだったらいいんですけれども、燃料棒に触っちゃっていますから、それを処理していますからいろいろなものが入っているわけです、まだ。それを全然言わないところに問題があるなと思っています。よろしいでしょうか。

 前回、佐藤さんがばっと見せてくれたのを見ると、ラジウムとかいろいろなものが、がちゃがちゃがちゃがちゃ、それなりにみんな入っているんですよね、処理水に。だから、メディアも書かないし、そこのところをはっきりしないので、何で流せないんだという議論になっているのがちょっとおかしいと思うんですね。

 だから、先生方には、この間は佐藤さんがばっと、このぐらいあるんですよって、処理水でもあるんだという話を見せてくれたので、後で先生からもらえると思うんですけれども、そういうところで、簡単にいくと、日本はまただましたななんて言われたら、とんでもないことになるんじゃないかなと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私、神戸大学の医学部卒業なんですけれども、学生の基礎の実習において、トリチウムを組織に取り込ませる実験の手伝いをした記憶があるんですよ。もちろん、それを学生である私が処理したわけなんですよ。ですので、今回の件に関して、メディアにおいても国会の議論の中でも、トリチウムは除去しにくい、そんな議論ばかりになっているところに非常に違和感を感じていたわけなんですよ。

 そこに、透明性なり開示性、黒川参考人がおっしゃっていただいたように、正確なことを正確に言わない何かがある。そこに、今回の毎日新聞の「オピニオン」の参考資料の中に日本人の弱さとして御指摘いただいているわけなんですね、日本の国民性に。ただ、というよりも、やはり国会がちょっとだらしないのかなというところで御質問させていただいたんですけれども、その国会がというところで、具体的な話はもう、資料を見てみますと分かりますので、先ほどの御意見でいいんですけれども。

 石橋参考人に次にちょっと御質問させていただきたいんです。

 先ほどの開示性とか透明性のことにも関連して、本来は国会議員である私が質問することではないんですけれども、三千五百九十六日もたって、提言が実施計画に策定されていない。国会議員がだらしないと言ってしまえばそうなんですけれども、どこに、我々国会の中に規制のとりこがあるのか、本当に叱咤激励だけでもいいので、この三千五百九十六日、実施計画に策定されていないこの現状について、更にちょっと御意見をお伺いしたいんですけれども。

石橋参考人 ありがとうございます。

 昨年も同じことを申し上げたのですが、三千五百九十六日間、国会議員の先生方が、今日は、再発防止を放棄するということを重ねてこられた、その結果が今だと思います。

 以上です。

伊東(信)委員 真剣に我々自身が考えなきゃいけないので、本当に、超党派でこういった大事なことはやっていかなきゃいけないと痛感しております。

 それで、佐藤参考人にお聞きしたいんです。

 原発の安全性に関して、東日本大震災のときのように原発の電源喪失にならないように、原子力の規制委員会が新たな安全基準を設けて、その対応を各原発がやってきたと認識しているんですけれども、先ほど、アメリカのNRCと日本のNRA、その比較をいただきまして、かつ重大事故の基本概念においてのパッシブ性の欠如ということでおっしゃっていただいたんですけれども、原発の守りに関して、やはりこういった他国との比較というのが非常に大事だと思っています。

 前回、政府参考人及び委員長に僕が質問したのは、いわゆる自衛隊自体が守れないかという質問をさせていただいたんですね。機動隊が守って、つまり警察が守って、必要であれば自衛隊との連携も取っているということなんですけれども。

 政府は原発防衛に自衛隊を活用した迎撃ミサイルの配備や平時からの警護といった対策の検討を始めている、年内に改定する文書に反映するということで、今まで自然災害とテロ対策に軸足を置いてきたところからの転換ということで、それは評価はできるとは思うんですけれども、こういったところに関して、他国からの脅威に対抗するために、日本国内の整備において、他国を参考にするのであれば、アメリカも含めて、どこの国をもっと参考にすればいいとか、そういう御示唆があれば教えてください。

佐藤参考人 お答えいたします。

 セキュリティーの問題がなかなか機微な問題だということではありますものの、一番それでも実態が分かりやすいのがアメリカです。先ほど鈴木委員がDBTのお話の中で、これもなかなか明らかにできることではないというお話だったわけですけれども、確かに戦術、戦略に関しては語れませんですが、基本的な考え方については、アメリカの場合には、二〇〇一年の9・11の事件もあったということで、かなり実は具体的にその内容が明らかにされています。

 つまり、あれはニューヨークのワールド・トレード・センターが狙われたという背景もありまして、同時多発というのが一つの特徴でした。ですので、原子力発電所も同時多発で攻められる、海側からと陸側から同時に攻められる。それから、自爆テロという性質もありました。つまり、テロリストは、殺すことも殺されることも恐れないで、相当な訓練を積んで攻めてくる。それから、内部の幇助者もいる。いろいろなデザイン・ベーシス・スレットに関する想定しなければならないことが示されて、いわばアメリカの考え方というのは、テロリストに対してそういうことを示すことによって、攻めてこれるものなら攻めてきてみろということなんですね。

 全部の発電所に百人から百五十人ぐらい、戦闘部隊が常時います。そうやって構えていて、いつでも、来るものなら来てみろと。また、規制当局は規制当局で、その実力が本当にあるのかということで、その規制当局のチームを、敵側を模擬するチームをつくって実際に戦闘訓練もやる、そういうことをやっています。

 そこまで日本ができるのかというようなところはありますけれども、明らかになっているアメリカのケースを一つのレファレンスとして検討するということは、一つのアプローチではないかというふうに考えます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。今本当にアメリカとかに比べて日本というのはやはりまだまだその辺のギャップが大きいんじゃないかと痛感いたしておりまして、実は鈴木参考人にも同じ質問をしたいんですけれども、ちょっと時間の関係もありまして、鈴木参考人には避難計画の話をお聞きしたいんです。

 今の避難計画というのは、原子力規制委員会が策定した原子力災害対策指針に基づいて、国と自治体が参加した地域原子力防災協議会において議論しながら策定していると承知しているんですけれども、自治体が地域住民と向き合うわけで、なかなかどうして自治体の負担が、私は大阪なんですけれども、大きいと考えております。現時点の避難計画の実効性において、審査基準の適合性審査対象にはなっていないということで、改めての御質問になるんですけれども、避難計画の実効性を確保するには新規制基準の適合審査の対象とすべきとやはり考えるんですけれども、その辺りのところをもう一度お願いいたします。

鈴木参考人 答えはイエスです。明確な審査基準をはっきりさせないと、御指摘のとおり、地方自治体の方で責任を負うことになります。

 実際の避難計画はもちろん自治体の方々と住民の方々が議論して作っていくわけですが、最終的な責任を負うということでは、やはり規制委員会がそれを審査するという基準があった方がいいのではないかと私は考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 今四人の先生方にお話をお伺いしたんですけれども、黒川会長にお聞きしたように、やはりCO2の、グローバルウォーミングの問題もあるし、ウクライナのエネルギー問題もありますので、直接的な御質問になりますけれども、例えば、前回の委員会で僕が質問したのは、二酸化炭素フリーを実現しようと思ったら、今、三十三基中十基が再稼働していますけれども、一体何基稼働すればいけますか、目標を達成できるかという話をしたら、二十五基という答弁が政府からあったんですね。

 十五基、まだまだ再稼働していないわけなんですけれども、ずばり、再稼働に関しての御意見を四人の先生方にお伺いしたいんですけれども。

黒川参考人 電力は全てのやはり必要なものですから、それを原子力じゃなくちゃと、原子力というのは悪い話じゃないんですけれども、今だと非常にリスクになっていますよね、いろいろな意味で。テロがある、それからやはりサボタージュがあるという話があるので、これはすごく大事な問題ですけれども。例えば、ソーラーパネルがそうですけれども、ソーラーパネルは日本が造ったんですよね、あれは。イランのあれが上がったときですね、急に高くなっちゃったので、一気に日本が造ったのがソーラーですから。チャレンジするときに、新しいものをつくるというのは日本人は得意なんですよね。

 だけれども、やはり原子力を離れられないのは、今のところでは、そこから大きな利権がどこかに入ってきちゃうからですよね。だから、それをやはりなるべくディーセントラライズして、できるだけソーラーやなんかを使うとか、そういう話が幾らでも日本はできるのに、何でそれをどんどんやらないのかという話ですね。

 今のところ、ソーラーをやっていると、かなりそれで自給になっているし、沖縄なんかもほとんどソーラーになっちゃっていますから、マキシマムにやってもどうしてもできないところがあるんだったら言ってくれということだろうと思います。やはりあれが一つの利権になっているので、なるべくそうしないと。

 リスクがあったときに何と言うと思いますか。そのとき、想定外だなんてことは絶対言わないでくださいね。やはり、変なことって起こるんだから。想定外なんてことは絶対言っちゃいけないと思うし、それはやはり、イマジネーションの、イマジネーションじゃないけれども、それこそマッキンゼーじゃないですけれども、異論を言う義務というのはマッキンゼーの行動規範なんですよね。何かあったときに必ず違った意見を言わないと、おまえは要らないと言われちゃうわけですから。だから、常に、異論を言う人がいないところには失敗が起きやすいということです。だから、私も知らなかったんですけれども、マッキンゼーの行動規範というのはオブリゲーション・トゥー・ディセントですね、必ず違った意見を言わなくちゃいけないというのが、そうじゃない人は要らないというふうになっていますから。そういうカルチャーが日本には非常に欠けていると思っています。

石橋参考人 御質問は、再稼働の賛否の意見を表明しろ、そういう御趣旨を御質問でしょうか。国会事故調は再稼働についての賛否については言及しておりませんので、そこは私から何も申し上げることはないんですけれども。

 まず思うのは、先ほど申し上げましたとおり、核エネルギーというのは神の力にも等しい巨大な力でございます。極めてロジカルな物理現象として急速進展いたします。それに対して能力に限りがある人が対抗していくというのが原子力安全規制の問題だというふうに思います。ということから考えて、今、この原子力問題調査特別委員会の御議論の状況は、それに対抗し得るでしょうか。これは永遠に問い続けなきゃいけない問題だというふうに思います。

 以上です。

佐藤参考人 再稼働についてですけれども、先ほど、ある先生の方からお話があったと思うんですけれども、規制の予見性、プレディクタビリティーというんですかね、これが非常になかった、どうなるのか分からない状態で再稼働の準備をずっと進めてきた。結局、十年以上たってまだ十基しか運転していないという状況なわけですけれども、既にお金は五兆円以上使ってしまっている、こういう状況なわけなんですね。

 そうしますと、それがそれで何かのドライビングフォースになってしまう、五兆円も使ったんだからと。明らかなのは、それだけお金を使ってしまったら、それを回収するのに、四十年の寿命の運転で回収できないのはもう明らかです。ですから、きっとどの電力会社も、認可の更新、四十年から六十年ときっと求めてくるであろうということになるわけなんですけれども。

 政治として見据えていただきたいと思うのは、発電だけでなくて、発電すれば必ず使用済燃料が発生するということですので、そのバックエンドとか、それからそのリサイクル、それをどうするのか、その問題もしっかり議論した上で、再稼働の問題にまた立ち戻ってきて議論する、そういう視点での検討も必要ではないかというふうに私は思います。

赤澤委員長 申合せの時間が来ているので、鈴木参考人、簡潔にお願いをいたします。

鈴木参考人 簡潔にお答えします。

 私は、原子力発電は野球に例えますと肩を壊したエースだと言っているんですが、もうエースとして頼れないエネルギー源だと。CO2問題で重要な三本柱というのはエネルギー効率改善と再生可能エネルギーと炭素税だというふうに考えていますので、原子力がもちろん使えれば使えるのがいいと思いますが、再稼働問題は安全の問題としてきちっと対応する、でも、もはやエースとしては頼れないのではないかというのが私の見解です。

伊東(信)委員 ありがとうございました。終わります。

赤澤委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 今日は、アドバイザリー・ボードということで、黒川先生、石橋先生、佐藤先生、鈴木先生、四人の先生方に本当に貴重な御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございます。昨年で震災から十年ということで、そういうことも踏まえて、本当に大所高所からのいろいろな御意見もいただきました。

 私ごとですけれども、私も、東日本大震災の当時、国土交通省、役所におりましたので、発災対応ですとか復興支援というふうなことにも当時は当たらせていただいたということもございますし、また、二〇一九年には復興政務官、経産政務官もさせていただきましたので、シビアアクシデントの影響の大きさ、それからの復興の大変さということも含めて本当に痛感をしております。その上で、原子力をめぐる課題ということで、原子力の新たな規制、新規制基準というものをつくり、そしてそれを監視する委員会ということで、この特別委員会もつくりということでやってまいりました。

 私も、この委員会に長らく所属をさせていただきながら、なかなか本日は立法府に対する厳しい御意見も頂戴をして、しっかり叱咤激励もいただいた気持ちで、改めてしっかりと向き合ってまいりたいなというふうなことを感じさせていただきました。済みません、いろいろな委員の方がいろいろな形で質問されておりますので、少し、やや繰り返しになるような感もあるかもしれませんけれども。

 まず冒頭、黒川参考人にまずお伺いをさせていただきますのが、黒川先生の本日のお話もお伺いをして、原子力規制のことのみならず、日本の、そもそも、なかなか社会構造のそうした変わらない根深さみたいなところも含めて指摘をしていただいたと思っております。この原子力の規制の十年間におきまして、なかなか変わらないなというふうな厳しい御指摘もありながら、この十年間、改めて、変わったところ、あるいはここが変わらなかった、そしてこういう点を更にこれから変えていかないといけない、こういうところについて、改めてになりますが、黒川先生の御意見を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

黒川参考人 特に大きな問題じゃないんですけれども、やはり、原子力というその力は、人間が使えるようにしたというのはすばらしいことだったと思います。だけれども、これから百年たって、原子力じゃなくなるかもしれませんが、原子力の歴史を見ると日本が際立っているんですよね、広島、長崎、福島ですから。これは忘れられない教訓だと思います。ここで日本が何をするかという話は、日本が歴史に残るかどうかの一つじゃないかなと思っています。

 何でこんなことが繰り返して起こるのか。私は、やはり、失敗から学ぶということが非常に弱いんじゃないかなと思っています。

 それは、さっき言ったように、三菱銀行へ行くと住友に移れないとか、縦社会なので、一つのミスが自分は上がれなくなっちゃうという、このカルチャーの問題だと思うんですね。だから、嫌だったらどんどん辞めればいいんですけれども、こんな辞められない国なんて日本だけですよ。

 そういう意味では、日本はもうちょっとアジャイルな、もっと、元気がなくなるというのはそこなので、是非それは、どうなるか分かりませんけれども、それが当たり前だと思っているんじゃなくて、効率の問題じゃないですからね。この辺がすごく問題だなと思っていて、そういう発言をしていますけれども。

 本当に日本は、最近イーロン・マスクが言っていますけれども、日本はこれから全然どこにも行かないねという話ですよね。だって、六十五歳以上が日本は三〇%でしょう。しかも、百歳人口が九万人いるわけですよ。長寿、すごいですよ。だけれども、少子化でしょう、どんどんどんどん。だから、日本はどんどんどんどん存在がなくなってしまいますよね。そう思います。そういうことを考えると、こういう大きな問題が起きたとき、日本は一体どういう人材をこれからつくっていくんだよというのが一番私は肝だなと思っています。

中野(洋)委員 ありがとうございます。失敗にどう学ぶか、どういう人材をつくっていくのかという、大変に大きな、そこが大事だというのは私も本当に痛感をいたします。またしっかり肝に銘じて対策も進めてまいりたいと思いますし。

 済みません、黒川参考人にもう一つ、原子力規制というか、原子力発電の在り方そのものについても少しコメントをいただければと思うんですけれども。

 事故発生以来、日本は、厳しい新規制基準を適用しながら、再稼働を進めながら、しかし原発に依存しないという方向性を進めていこうということもやってまいりました。他方で、カーボンニュートラルのような議論も国際的にはありますし、また、ウクライナ侵攻の問題で、先ほど黒川先生もリスクの顕在化という御指摘もある一方で、エネルギーの安全保障、そういう課題も、いろいろな、国際的にも様々な議論がなされていることかというふうに思います。そうしたことも含めて、今後の原子力発電の在り方について黒川先生の方からコメントをいただければと思っております。

黒川参考人 ありがとうございます。

 今、世界中では、多分、四百基を超える原子力発電がありますよね。そのうち日本が五十ぐらいですね。だけれども、これが、原子力というのはそれだけのものですから、オペレーションにしても、やはりそういう意味じゃグローバルなイシューなので、是非、世界中のネットワークをつくってお互いにチェックをするという話がすごく大事だと思うんですね。だから、あれをやったときにワシントンにも行って、原子力のオペレーターは、いろいろな、若いときから入れ替わり立ち替わり、ほかの国に行ってね。

 これは、エグザンプルとして、エアプレーンですよ。エアプレーンは国境を越えてどんどん行きますよね。そうすると、みんな同じスキルがなければ絶対動けないわけだから。

 だから、ジャパン・エアラインはみんな日本人がやっているわけでもないし。だから、そういうことと同じようなエクスパティーズをつくらなくちゃいけないんじゃないかというのが私の意見です。そうしないと、日本特有のやりにくいことというのがなくならないので。ジャパン・エアラインの人は日本人じゃなくちゃいけないという話でもないわけだし、共通のインターナショナルなルールでやっていますよね。ただ、こういうふうになるべきじゃないかなというのが私なので、それは是非、立法府でがんがんやっているというのはすごく大事だと思います。

中野(洋)委員 ありがとうございました。

 石橋先生にもお伺いをしたいんですけれども、石橋先生からもなかなか提言が進んでいかないという大変厳しい御意見も頂戴をしながら、私もそうした御意見に、またしっかりと、自分自身ももう少し、今までのこの委員会での議論の在り方がどうだったかということも少し振り返りながら、改めてしっかりとこういう議論をしていかないといけないとも思った次第でございます。

 今回、原子力規制というのをやってきたんですけれども、一つありますのは、立法府の関わり方というか、立法府としての在り方、立法府の機能強化、あるいは本委員会の在り方というか、こうしたところについて大変厳しい御意見もいただいたところでありますけれども、改めて石橋参考人から御意見を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

石橋参考人 ありがとうございます。

 立法府の在り方、原子力問題調査特別委員会の在り方ですけれども、まず、何度も申し上げましたとおり、提言は多岐にわたっております。しかも憲政史上初で、今までやったことがないというものでございますので、それに向かってどこまで進んでいるのか、今この議論はどこの議論をしているのかということが国民にも分かるようにそれのマップを作ってください、それがまさに実施計画でございます。そこには、誰がやるのか、いつまでにやるのか。

 よく、計画には、何とかを検討、何とかを推進、玉虫色の言葉がちりばめられますけれども、という言葉ではなく、いつまでに何をやるのかということ、そのためには誰がどう動くのか、そういうものを明らかに作るということがまず第一歩ではないかと思います。

 そうでないと、今この委員会で御議論いただいている先生方においても、この委員会は一体何のためにあるのか、自分は一体何のための議論をしているのかというのがふとした瞬間に分からなくなってしまう。それは、先生方にとってもそうですし、原子力安全規制当局もそうですし、エネルギー政策を推進している側の方でもそうですし、電気事業者も同じです。それを見ていると、国民にとっても同じだと思います。ということをまず申し上げたいというふうに思います。

 何をやるのかということについては、七つの提言を御提言しておりまして、その中によれば、国会による行政の監視のために必要な立法措置、それに基づいて何をするのかということを、もっと、例えば実行ですね、ということをやってくださいということを御提言しておりますので、それをいま一度振り返って御覧いただければというふうに思います。

 以上です。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 佐藤先生と鈴木先生にも少し、各論でいろいろな御意見も頂戴をしておりますので、幾つかのテーマで質問をさせていただきたいと思うんですけれども、一つは核セキュリティーの問題でございます。東京電力の核セキュリティーの事案というのがありまして、大変に、まあ、核セキュリティーのところなので、具体的な中身がなかなか踏み込めないという歯がゆさもありまして、どこをどうやっていくのかというところが少し議論しにくいところもあろうかと思いますけれども。

 私も、震災を受けて安全の規制というのはかなり変えてきたし、また電力事業者の方もそういう意識も変わってきたのではないかというふうに思っておったんですけれども、しかし、核セキュリティーというところでああいう事案が起きてしまったというところもございます。そして、エネルギーの今回のウクライナの問題みたいなところを受けても、核セキュリティーの在り方というのをやはり考えていかないといけないという思いもございます。

 それぞれ、佐藤先生、鈴木先生から、今の核セキュリティーの規制の在り方あるいは事業者の今の取組についてどう見るか、また今後どういう方向性で対応していくべきかということを、少し総論的になりますけれども、御意見を頂戴できればと思います。

佐藤参考人 お答えいたします。

 新規制基準が制定されまして、地震とか津波とか、そういう脅威に対しては、一万年に一回とか十万年に一回、そういうまれな脅威にも対応できるようにロバストな設計にしようということをしたわけです。

 ですけれども、このセキュリティーのことを考えてみますと、今起こっていることというのは一万年に一回起こるようなことではないわけですね。二十世紀だけを見てみても、戦争、戦争、戦争ずくめなわけです、テロ、テロ、テロずくめなわけです。そうして考えますと、自然現象の脅威よりも、もはやテロの脅威の方が深刻なのではないかというふうにさえ感じるわけですね。

 ですので、テロの部分は語れないところだというふうには言っているんですけれども、いつまでもそういうことでは、全然、何も進んでいかないということですので、私は先ほどアメリカの例のお話をしましたですけれども、やはりもう一歩進んで議論をしていかなければならないというふうに私は思います。

 セキュリティーの東京電力の問題は防護設備という非常に大事なフロントラインの欠陥だったわけですけれども、それともう一つ、不正の問題が絡んでいたという点で、二つの重大な問題があるというふうに思います。

 日本の原子力産業界、一般的に、規制委員会の方は非常に私はよくなったというふうに思っているんですけれども、逆に産業界の立ち遅れが非常に感じられます、全然ついていっていないというふうに感じられます。いろいろな不適合もどんどんどんどん出てくる、そういう状況です。セキュリティーもその一つだというふうに感じられますので、これまでよりも力点を置いて、しっかりと取り組んでいく必要があるというふうに思います。

鈴木参考人 御質問ありがとうございます。

 先ほど申しましたように、福島事故の教訓の一番重要な点が想定外を想定するということなんですね。核セキュリティーでもそこが一番やはり重要だなと思っておりまして。どうしても、対策を見ていると、ハード面重視。特重施設が一番典型的なんですけれども、ハード面の対策は非常に図られているんですが、先ほど申しましたように、セキュリティーカルチャーですね、文化面、ソフト面が難しい、できていない。東電の問題もやはりそういうものの表れじゃないかと。

 私は、先ほど申しましたように、いろいろな核テロリストの事件を見ていますと、内部協力者が必ず存在するケースが多いんですね。したがって、内部脅威に対する対抗策というのが非常に重要じゃないかと思っています。

 先ほどは申しませんでしたが、実は、もし今回のウクライナの問題で、ウクライナの国内にもしプルトニウムが大量にあったらどうだったかということを考えますと、非常に恐ろしい話なわけですね。私は、日本国内にまだ十トンものプルトニウムがあるということなんですけれども、核セキュリティーを考えた場合には、核物質の管理、それから、できるだけ早くこれを減らしていくということを是非進めていただきたいと思います。

 以上です。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、佐藤参考人と鈴木参考人にお伺いをさせていただきたいと思いますのは、国民とのコミュニケーションの在り方というか、リスクコミュニケーションというか、そういったところについて少し改めてお伺いをさせていただきたいんですけれども。

 鈴木参考人のところから資料として出していただきました、原子力についての世論というか、こういう、原子力規制委員会に対する信頼性というのがある程度回復しつつある一方で、なかなか原子力発電そのものについては、怖いなとか、危ないんじゃないかとか、そういったところにギャップがあるというふうな御指摘もございました。確かに、世論的にも、新規制基準に適合した再稼働を進めるというところは一定の理解があるのではないかという一方で、そのものに対する理解というところでは、やはりなかなかそうしたものは進んでいないということかと思います。

 そんな中で、今後様々な、例えば廃炉ですとかバックエンドですとか、いろいろな議論もしていかないといけない中で国民とのコミュニケーションの在り方というのはやはりしっかり考えていかないといけないというふうに思っておりますけれども、改めて、原子力に関する国民とのコミュニケーションということについて、佐藤参考人と鈴木参考人から、どういった点に力点を置いて今後進めていけばいいのかというところをお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

佐藤参考人 私は、やはり、はっきりと物事を言う、国民、住民から絶対に逃げないで議論するということが大事なんだと思います。

 いろいろな会議の光景をテレビ等で見る機会もあるんですけれども、時間になりましたので今日は閉会と。そそくさと逃げるように帰っていくような、そういうシーンも見かけるわけなんですけれども、まあ何とだらしないんだろうというふうに失望します。

 皆さんの中の最後の一人の質問を受け取るまで今日は終わりませんぐらいの、そういう覚悟と意気込みで現地に乗り込んでいって、本当に真実と思うことを恐れないで話す、そういうことをしなかったらまともな議論にはならない。最初はばちばち火花が散るようなことがあるかもしれないんですけれども、やはりそういうものを乗り越えなかったら議論というのは進まないというふうに思いますね。私が会議に出ていきたいというのを、テレビを見ていて思うことがよくあります。

 以上です。

鈴木参考人 実は、エネルギー基本計画の中にはこの問題についてきちんとした記述がありまして、正確な文章は覚えていないんですが、いわゆる国民が信頼できるような情報源を提供する組織をつくるという項目があります。これができていないです。エネルギー基本計画には実は三回目なんですね、これが書かれているのは。

 役所がつくるのではないというふうに私は聞かされたんですが、じゃ、国会あるいは民間の組織でもいいですけれども、そういう独立した、推進、反対の立場を取らない組織で国民が信頼できるような情報源をつくるというのは非常に大事ではないかと思います。これができていないことがなかなか国民の信頼を得られないのではないかと思います。

中野(洋)委員 時間になりましたので、終わらせていただきます。

 四人の参考人の皆様、貴重な御意見を本当にありがとうございました。

赤澤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 アドバイザリー・ボードの委員の四人の皆さん、本日はありがとうございます。

 最初に、原発の運転延長について、佐藤参考人と鈴木参考人に伺います。

 原子炉等規制法は、原発の運転期間を四十年と定めています。規制委員会が認可した場合には二十年までの延長ができるとも定めています。原子力規制委員会設置法案を審議した二〇一二年六月十五日の衆議院環境委員会では、四十年は原則、例外的に最大で二十年の延長、四十年制限がなし崩しになってはならない旨の答弁が法案提出者からなされたところであります。原発の運転期間は四十年、二十年延長は例外というのが国会の意思でありました。

 しかし、運転開始から四十年を超えた関西電力高浜原発一号、二号及び美浜三号、日本原子力発電東海第二原発は、全部規制委員会から二十年延長の運転の認可を受けています。例外であったはずが、規制委員会は延長の申請を受けた原発について全て延長認可を行いました。立法の意思は無視されたかのような状況であります。

 私は九州なんですけれども、九州電力川内原発一号及び二号はじきに四十年を迎えます。九電は、延長認可の申請に向けた特別点検を今行っています。

 法定四十年超の原発の運転延長について、立法時の趣旨の観点と危険性の観点からこれをどう考えるかについて御所見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

佐藤参考人 お答えいたします。

 そもそも、四十年というこの年数ですけれども、これは、原子力を運転し出したときから、技術的な根拠があって四十年というふうに定めたものではなかったんですね。いろいろな経済評価とか、そういうことで、四十年運転すればペイするというような感覚で、四十年というふうに設定されたという経緯があります。

 それを法律で、四十年を原則とするという、その原則に対して実態が次々と延長を申請しているというのは、私、先ほど述べましたように、既に五兆円ものお金を使ってどう考えてもペイするはずがない、審査のプロセスが全然予見性がない、プレディクタビリティーがなかったというところがそれに拍車をかけているというふうに感じられます。忖度ではないかもしれませんですけれども、そういうバックグラウンドが規制側にも感じられるものがあるのではないかと。

 もう一方、世界的に見てみれば、これが当たり前のようにどんどん進んでいる、これも現実なんですね。アメリカに関して言えば、もはや六十年から次の八十年というところまで申請書を提出して、既に認可を得たというところもあります。ヨーロッパでも延長しております、ロシアでも延長している、そういう動きもありますので、やはりそういうものが背景情報となって規制の判断にも間接的に影響しているのではないかなというふうに感じます。

鈴木参考人 例外的な延長という定義がちょっと曖昧かなというふうに思います。

 当時のエネルギー政策として、原子力を二〇三〇年代に撤退するという政策の下での政策的な意味があったというふうに私は考えているんですね。四十年の寿命をつけて、後は例外的な延長にすれば、延長は基本的に認めなければフェードアウトできるという。

 今、それが政策的にはなくなってしまっていますよね。したがって、規制委員会としては粛々と科学的根拠に基づいて認めるしかないという意味で、例外的という審査はできないので、科学的根拠を持ってやっているというふうに私は考えています。だから、エネルギー政策的にどう考えるかの方がむしろ重要であって、規制委員会の対応としてはある意味ではきちんとやっていただいているのではないかなと私は思っています。

田村(貴)委員 エネルギー政策的にどうなのかといったところの御発言をいただきました。

 それで、出力制御についてもお伺いしたいと思います。同じく佐藤参考人と鈴木参考人にお願いします。

 電力需要が減ったときに、春とか、秋とか、電力会社が再生可能エネルギーの事業者に対して発電の一時的な停止を求める出力制御が、九州電力では二〇一八年十月以降これまで実に約二百五十回実施されてきております。そして、今年、今月に入って、四国電力、東北電力、中国電力管内でも実施が広がってきました。北海道電力でも連休にそういう話がありました。優先給電ルールの下で大規模出力の原子力発電所が稼働していれば、再エネはこのように制御されてしまいます。

 カーボンニュートラル実現のために、再生可能エネルギーは私はやはり電力の主力にならなければいけないと思います。政府の第六次エネルギー基本計画でも二〇三〇年度には再エネの割合を三六%から三八%にするとしていますが、こういう状況では再エネ普及の足かせになってしまう、大規模電力の原発が優先給電ルールの下にあれば足かせになってしまうと私は非常に危惧しているのでありますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。

佐藤参考人 今いただきました御質問は、技術的には非常に高度な御質問なのではないかなというふうに思います。

 再生可能エネルギーの場合には、非常に小さな容量の発電ユニットをたくさん集めて送電網に同期させてやる、シンクロさせてやるということが必要になるわけですけれども、電源は周波数と電圧を相当厳格に守らないといけないわけですね。それに対して、末端の発電ユニットがたくさんあるときにそれをシンクロさせるというのは、技術的には相当高度なテクノロジーが必要なんだというふうに思います。ですけれども、実際に、ドイツとか、ヨーロッパで、イギリスもそうですけれども、なかなかそこのところをうまくやっているなというふうに感じさせるような実態もあるわけです。

 そこら辺を日本の場合の実態と比べますと、もっと実はできるんじゃないかというふうに私は感じるんですね。ですけれども、そこは最初に言いましたように非常に専門的な議論が必要になりますので、ヨーロッパとどう違うのか、そこをしっかりと詰めていかないと答えは出てこないのかなというふうに思います。印象としては、もっとできるんじゃないかな、せっかくエネルギーがあるのを、これをみすみす無駄にすることはないというふうに私も思います。

 以上です。

鈴木参考人 技術的には、今、佐藤委員がおっしゃったとおりだと思うんですね。私も専門じゃないのでちょっとよく分かりませんが、再生可能エネルギーを主力電源にするという政策であればこのようなことはできるだけ避けるべきだと私も思います。そのためにはやはり送電網の充実が重要だと思っています。これができないとなかなか、こういうことが起こらざるを得ないのかなと。

 あとは、自由化で発送電分離がようやく実現してはいるんですが、所有権はまだ電力会社にありますよね。卸売市場の監視機能というのをやはり強めていく必要があるのではないか。これも是非国会で議論していただきたいと思うんですが。技術的にどうしようもない部分もあるかと思いますが、恣意的に電力会社が止めている可能性はゼロではないということであれば、それを監視する能力をちゃんと強めていく必要があるかなと思います。

田村(貴)委員 同じく、原子力発電所のリスクについて、災害との関係でお尋ねしたいんですけれども、せんだっても、福島の地震があったときに、電力の逼迫のおそれがあるということで節電の呼びかけがありました。北海道の胆振東部地震のときにはブラックアウトという現象が起きました。

 火力発電にしても、原発にしても、大規模な発電に頼ってしまうとそういうリスクを生んでしまうわけなんですけれども、それに応える措置としてはどういうものがあるのか。例えば地産地消という考え方がありますけれども、それはそれなりに課題があるというふうに思っています。災害が続いています。この先、電力の逼迫ということを回避するためには今のシステムをどのように考えていったらいいのか。引き続き、佐藤参考人と鈴木参考人にお伺いしたいと思います。

佐藤参考人 今議員がおっしゃったような、電源供給の範囲をもっと地域化してやりくりするというような方法もソリューションの一つだと思います。元々、電力事業の歴史を振り返ると、元々そういうふうにスタートしているんですね。日本もそうです、小さな発電所がいっぱいあったわけです、それがだんだんだんだんくっついていって大きな電力会社になって、大容量の発電所を頂点にして、それを今度は送電、配電していく、そういうピラミッド構造ができたわけですけれども。

 二〇〇〇年に入って間もなくですけれども、アメリカで将来の電源供給のイメージはどうなるのかというふうな質問を電力事業者に、御存じのようにアメリカの場合には独立した電力供給のプロデューサーが三千社とも四千社とも言われています、そういうところにアンケート調査をしましたら、そういうストラクチャーは変わっていくであろう、もっと草の根的な発電が今の進んだIT技術でネットワークされて供給されていく、そういうスタイルの方がもっとロバストだろう、そういう意見があったのを見たことがあります。

 私のイメージとしても、そういうふうに変わっていって、発電所が主体になる電力ビジネスではなくて、送電がメインになるようなストラクチャーに変わっていくのかなというふうに私は思っております。

鈴木参考人 私も、送電網の充実というのは、先ほどと同じですけれども重要かなと。余っているところから足りないところへ電気をすぐに送れるようなシステムにするのが第一かなと思っています。それから、それを実現するためにも、スマートグリッド、これをやはり充実させていく必要がある。最後に、需要側の管理ですね。需要側をいざとなったときには落とせるような、必要のないところの需要を落とせるような、これもスマートグリッドがあれば瞬時にできるようになりますので。

 ここら辺は徐々に進んでいるというふうに私は伺っていますが、そのスピードがやはり海外に比べても遅いのかなという印象であります。余り、最近、専門でないので、あくまでも印象ですけれども。

田村(貴)委員 ありがとうございました。

 規制のとりこについてお伺いします。

 規制する側が規制される側から支配される規制のとりこについては、国会事故調の報告にも厳しく指摘されて、今日も活発な議論が行われました。

 黒川会長からは、歴史的な背景、そして産業界、社会の中の根本的な問題、いただいた資料で、新聞報道も興味深く読ませていただきました。そこで、原子力規制委員会の活動について、この規制のとりこについての御認識を示していただきたいと思うんです。

 原子力規制委員会設置法を可決した二〇一二年六月十五日の衆議院環境委員会は決議を上げております。その第一項目めに、原子力規制行政に当たっては、推進側の論理に影響されることなく、国民の安全を第一として行うこととされています。原子力規制委員会の活動について、これまでとりこの部分があるとするならば、これをどういうふうに正したらいいのか、このことについて黒川参考人と石橋参考人にお伺いしたいと思います。

黒川参考人 実は、国会事故調をやらせていただいて、終わってからIAEAとかいろいろなところに呼ばれたので、ずっと話しに行っていたりとかしていたんですね。

 IAEAは、いろいろな事故が起こるたびにこうした方がいいというリコメンデーションがずっと出ているんですけれども、日本はやっていないということをみんな知っていましたね。なぜかというと、日本は二番目にお金を出しているかららしいんですよ。その前も、日本はこういうことをやっていないけれども大丈夫かと言うと、日本から経産省の人が行っていますけれども、大丈夫だと。日本では事故が起こらないことになっているから大丈夫という話で、非常に納得できないと言っていました。

 そういうことが外で分かっていて、また起こっちゃって、これがもしもう一回また起きたら、もう日本は本当に、それこそ国の信頼がなくなっちゃいますよ。

 だから、IAEAも、何でやらないのって言ったら、トップのやつに聞いたら、やはり二番目に金を出しているからなかなかそれは言えないんだよねと。それで、言うと、日本は起こることが起こらないことになっているから大丈夫ですという話なので、非常に納得できなかったと言っていました。

 そういうことが日本のニュースでは出てこないんだけれども、現場に行ってみると結構そういう話があって。特に、あのときは天野さんがトップだったせいもあって、余りないとは思うんですけれどもね。だけれども、そういう話が、コミュニティーではみんなが知っているというところがじわじわと日本の国の信頼という問題になってくると思うんです。

 だから、私は、そういう意味では行政は実行するところなんだけれども、先生たち、やはり立法府ってすごく大事なんですよ。私、三権分立というのはやはり法律の、がちっとやるのは、ディテールは各省にやらせてもいいんだけれども、がちっとやるのは先生方しかいないんだから。だから、やはり、それをどういうふうに、次の選挙もあるかもしれないけれども、国民に先生がローカルのコミュニティーの代表者としてやるということがすごく大事だと思うので。是非、僕は、だから、ここでやらせていただくのは私は割合に言いたいことを言えるので非常にいいんですけれども、やはり先生たち、立法府ってすごく大事なんですよ。

 だから、是非、先生方がそれをやろうと言ったときに少し御説明、御説明って来るかもしれないけれども、やはり国全体を考えていただくのは先生たちなので。私がこういうところで話をさせていただくのはそうなんだけれども、立法府って一番大事なんですよ。だから、そういうことを是非、当たり前だと思うようにしないと、行政府もいろいろな政策を出してきますけれどもね、やはりここで立法府が一番最初のところはがちっとやらないとなかなか難しいんじゃないかなと思います。

 次にはもちろん選挙のことがありますけれども、やはり地元の人にもそういう説明というのはすごく大事なんじゃないかなと思っています。よろしいでしょうか。

石橋参考人 ありがとうございます。

 今までの御議論の中で、原子力規制委員会は様々な御尽力をされていらっしゃるということは皆さん共有されていることなんじゃないかというふうに思います。昔に比べると改善されたところは多々ある、でも課題もまだ多々あるということでございました。

 先ほども私は申し上げましたけれども、規制のとりこを脱したと思った瞬間に、また規制のとりこに入るかもしれないということがあります。原子力規制委員会の今はそのような御尽力を日々されていらっしゃいますけれども、この先どうなるかは分かりません。規制のとりこが再び及んでくるかもしれません。それを監視するためにお願いしているのが提言一に基づく原子力問題調査特別委員会でございます。

 その対象は、原子力安全規制当局だけではなくて、規制のとりこの力を及ぼしてきた行政府、電気事業者、その他もろもろが原子力安全規制行政に対して再び規制のとりこの力を及ぼすということがないように透明性と公開性を持って監視するというところが大事であるということを何度も申し上げているとおりでございます。決して、当委員会、この原子力問題調査特別委員会の監視対象は原子力規制委員会のみであるということではないということがこの提言一の趣旨でございますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

田村(貴)委員 立法府、私たち国会議員に対しても大変貴重な進言もいただきました。国政調査権、フル活動、そして、もっと権限強化をしなければいけないなということも受け止めさせていただきました。

 時間が参りました。これにて終わります。ありがとうございました。

赤澤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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