衆議院

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第3号 令和4年12月8日(木曜日)

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令和四年十二月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 石川 昭政君 理事 石原 宏高君

   理事 細田 健一君 理事 宮澤 博行君

   理事 野間  健君 理事 山岸 一生君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      井林 辰憲君    石井  拓君

      泉田 裕彦君    今村 雅弘君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      斎藤 洋明君    島尻安伊子君

      新谷 正義君    高木 宏壽君

      土井  亨君    中村 裕之君

      根本 幸典君    藤井比早之君

      堀井  学君    堀内 詔子君

      宗清 皇一君    阿部 知子君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      田嶋  要君    伴野  豊君

      米山 隆一君    一谷勇一郎君

      空本 誠喜君    中川 康洋君

      平林  晃君    浅野  哲君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   衆議院委員部長      小林 英樹君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         新居 泰人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月八日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     根本 幸典君

  大岡 敏孝君     菅家 一郎君

  津島  淳君     斎藤 洋明君

  長坂 康正君     石井  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     長坂 康正君

  菅家 一郎君     大岡 敏孝君

  斎藤 洋明君     工藤 彰三君

  根本 幸典君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     島尻安伊子君

同日

 辞任         補欠選任

  島尻安伊子君     津島  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、経済産業省大臣官房総括審議官新居泰人君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、原子力規制庁次長金子修一君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。細田健一君。

細田(健)委員 先生方、おはようございます。

 貴重な質問の機会をいただきましたことを、委員長及び理事の先生方に改めて御礼を申し上げます。

 私は、今日、いわゆる原子力発電所の長期運転問題を取り上げたいと思っております。私なりに議論を整理したいと思います。といいますのは、今、議論の全体像がやや見えにくくなっているんじゃないかと思いまして。

 後でお話をいたしますけれども、今の長期運転に関する規制について、私の理解では、現在政府の中で、いわゆる安全規制の観点から規制委員会が検討し、利用規制という観点から経済産業省が検討している、したがって、その双方を合わせ鏡のように見ないと今の政府が考えている規制の全体像というのはやや見えにくくなっているんじゃないかと思いまして、やや僭越でございますけれども私なりに議論を整理し、また、この点について与野党で共通の見解を持つということ、これが非常に重要ではないかというふうに考えております。

 まず、現行の長期運転に関する規制ですけれども、これは皆さん御存じのとおり、いわゆる炉規制法の第四十三条の三の三十二に規定がございます、運転期間は原則四十年で、二十年に限って一回限り延長可能であるということです。

 これについて、令和二年の七月二十九日に規制委員会が、運転期間延長の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解というものを公表されました。これは非常にうんちくのある文章でございまして、熟読玩味すべきものだと思っております。

 この三の中で、読み上げますが、こう書かれています。原子力規制委員会の役割は、原子炉等の設備について、運転開始から一定期間経過した時点で、延長する期間において原子炉等の劣化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合するか否かを科学的、技術的観点から評価することである、運転期間を四十年とする定めは、このような原子力規制委員会の立場から見ると、かかる評価を行うタイミングを特定するという意味を持つものであるとされています。

 この趣旨は、私の理解では、車に例えますと、いわゆる車検の期間が四十年であると。つまり、例えば車検、今五年とか三年とかあると思いますけれども、その車検の期間が、車が走ることのできる、車の利用期間を意味するものでは決してなく、あくまでもある種の一定の技術的な評価を行うタイミングというものが四十年そして二十年という考え方に立っているというふうに理解しておりまして、したがってこの期間自体が原子炉の寿命そのものを意味するものではないということを規制委員会はおっしゃっているという理解ですが、このような理解でよろしいでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉等規制法第四十三条の三の三十二において定められております運転期間につきましては、令和二年七月の見解に記載しておりますとおり、原子力規制委員会の立場からすると、高経年化した原子炉の安全性の評価を行うべき時期、そのタイミングとなるということにほかならないと考えております。

 その上で、先生が御指摘の原子炉の寿命について、発電用原子炉施設の設備、機器等の劣化に関しましては、使用履歴、保守管理の状況などにより、設備、機器等の劣化の進展は一様ではございません。あらかじめ規制基準に適合できなくなる時期を定めるということは科学的、技術的に極めて困難であるというふうに考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。ですから、今の例えでいいますと、四十年、二十年というのは車検のタイミングであって、車がいつまで使えるかというのはまた別の問題であるという整理になるということと理解をしております。

 それでは、最近様々な議論がありまして、規制委員会で、現行の炉規制法の四十三条の三の三十二に代えて、長期運転の規制について規制委員会は検討されていると思いますけれども、どのような新しい規制を検討されているのか、これについてお伺いできればと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 現在原子力規制委員会において検討をしております案は、現行の高経年化技術評価と運転延長認可という二つの仕組みを一体化するということを現在考えております。

 具体的には、運転開始後三十年を超えて原子炉を運転しようとするときに、その後十年を超えない期間ごとに、仮称ではございますけれども、長期施設管理計画の策定を義務づけて、原子力規制委員会が、その計画が災害の防止上支障がないこと及び原子炉の技術基準に適合していることを審査し認可することを検討しております。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 今御説明がございました、つまり、従前は四十プラス二十という形だったわけでございますけれども、まず、この期間が三十プラス十、十、十という形になっていくということですね。つまり、例えば六十年運転しようとすると従来であれば一回だけ許可を取ればよかったわけですけれども、新しい規制案であれば、三十年目、四十年目、五十年目と、三回許可を取らなければならなくなるということ。

 それから、先ほどお話がありました、計画を策定して、この計画について許可を取らなきゃいけないということで、私の理解では、回数も増えますし、さらに、事業者としては深掘りして規制委員会に様々な説明をしなければならないということで、炉規制法上はより事業者にとって厳しい規制になるというふうに理解しておりますが、この点について、委員長、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 現行の運転延長認可制度では、運転開始後四十年を迎えた時点で、一回に限り、基準適合性を審査することといたしております。先ほど説明いたしました案では、運転開始後三十年を超えて原子炉を運転しようとしますと、その後十年を超えない期間ごとに長期施設管理計画の策定を義務づけて基準適合性を審査することを検討を今進めておるところでございます。

 これによりまして、従来よりも高い頻度で審査を行うことになります。また、認可対象である長期施設管理計画に施設の劣化状態あるいは劣化予測に関する詳細な記載を求めることになりますので、より厳格な審査を行うことになります。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 是非委員の先生方に御理解いただきたいのは、今委員長からお話がありましたけれども、炉規制法上は規制の強化になるんですね。この点について是非御理解をいただきたいと思います。今委員長からお話があった、高い頻度で許可を得ることが求められ、また、計画については、詳細なものを深掘りして出して、その説明をして委員会の許可をもらわなければならないので、炉規制法上は従来のものよりも規制は厳しくなる、規制の強化になるということですね。この点について是非委員の先生方の御理解をいただきたいというふうに思っております。

 一方で、今の四十年、二十年の規制についてどうなるんだということがあると思いますけれども、この点については、先ほど御紹介をした規制委員会の見解の六に書いてあるんですけれども、読み上げますが、現行制度における運転開始から四十年という期間そのものは、上記三の評価を行う時期として唯一の選択肢というものではなく、発電用原子炉施設の運転期間についての立法政策として定められたものである、そして、発電用原子炉施設の利用をどのくらいの期間認めることとするかは、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないというふうに明確に書かれております。

 つまり、先ほどの例でいいますと、自動車そのものを何年ぐらい使うのか、あるいは使うべきかというのは規制委員会が判断することではない、これはまさに利用政策であって、国全体のエネルギー政策の中で考えるべきことだということをおっしゃっておられると理解しております。

 今経済産業省がいわゆる利用規制という観点から長期運転についての規制について検討されているというふうに認識をしておりますけれども、経済産業省の中でどのような案が検討されているのか、御紹介ください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今年の夏、八月の第二回GX実行会議におきまして、岸田総理より、GXの推進とエネルギー安定供給確保という観点から、原子力発電所の運転期間の在り方、いわゆる既設の原子力発電所の長期運転について検討を加速するよう指示をいただきました。これを受けまして、現在経済産業省では、原子力発電の利用政策、長期運転という利用政策の観点から審議会における議論を今進めているところでございます。

 先月二十八日の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会におきましては、これまでの議論を踏まえまして、運転期間の在り方につきまして、もちろんこれは原子力利用の安全確保を所掌する規制委員会の審査ということの必要性が大前提となるわけでございますが、その上での長期の運転につきまして、四十年及び二十年という期間の制限、これについては引き続き設けた上で、震災以降、新規制基準への対応など運転を停止してきた期間を年数のカウントから除外するという方針を記載した素案を事務局からお示しし、御意見を承っているところでございます。

 また、本日開催される同小委員会でこの素案について改めて議論をいただくこととしているところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 今の質疑でかなり明確になったんじゃないかと思うんですけれども、私なりに議論を整理しますと、今の長期運転の規制に関して新しい、今後当然法案が形となって出てくると考えておりますけれども、今政府の中で検討されている案というのは、一つは、安全規制の観点から規制委員会が行うもの、これは従来の四十プラス二十に代えて三十プラス十、十、十、十という形の許可を得るということが必要になる。これは、先ほど申し上げたように、事業者にとっては新たな負担を課すということで、高い頻度が求められ、計画も提出しなきゃいけないということで、規制の強化になるということだと考えております。

 一方で、その上で、利用規制として、この利用規制というのは、要するに、原子力発電所を何年使うかということは規制委員会の関知する問題じゃないという見解が出されたため、エネルギー政策の観点から利用規制を経済産業省が行うということになったと理解しておりますけれども、経済産業省で現在検討されている案というのは、従来の四十年足す二十年を基本的な枠組みとして残した上で、その上で、停止期間については原子炉の脆化が行われないだろうということで、停止期間についてはこの四十プラス二十から除外するということで検討が行われているということだと考えております。

 これについては様々な御意見があると思いますし、また、今は案ですから、しかるべき時期に法案が当然国会に提出されて様々な場で議論が行われるというふうに考えておりますけれども、是非野党の先生方の御意見もお伺いしたいというふうに思っておりますし、私自身もこれから何が最も適切かということは考えていきたいというふうに思いますけれども、議論の整理として御紹介をさせていただきました。

 特に申し上げたいのは、原子力の利用、まさに、エネルギー政策の中で原子力をどう位置づけて、その利用をどうするかというのは、これはまさしくエネルギー政策そのものの問題でありまして、本来であれば経済産業委員会で議論されるべき事柄なのかなというふうに考えております。例えば、この場で山中委員長に対して原発の発電比率がどれぐらいが望ましいと思いますかというような質問を仮に私がしたとしても、これは当然委員長としてはお答えになれないわけでございまして、その意味では、原子力の利用を国のエネルギー政策の中でどう位置づけ、どう進めていくかということはエネルギー政策そのものの観点から議論が行われるべきであるというふうに考えております。

 それでは、長期運転についての議論はここまでといたしまして、残りの時間、規制委員会の許可等の手続などについてお伺いをしたいと思っております。

 原子炉の設置変更認可に係る行政手続法に定められた標準処理期間というのは二年でございますけれども、これも皆さん御存じのとおり、今、設置許可の変更申請をしてからかなり長い時間がたっているという例が相当数ございます。これは規制委員会の側も様々な言い分があろうかと思っておりますけれども、基本的な行政手続法の精神に反するような事例が相当数あるということはやはり素直に反省をしていただかなければならないと思っております。その上で、処理期間の短縮のために規制委員会として何ができるかということを自ら検討して、そして実施をしていただきたいというふうに考えておりますけれども、委員長、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力の利用に当たりましては、安全が確保されることが大前提でございます。安全の追求に妥協は許されません。審査は、その安全性について判断を行うものでありますので、現場で直接安全の確保に当たる事業者と十分に議論を行って、共通理解を得るべく双方が納得するまで議論することが不可欠であると考えております。疑問や曖昧な点を残したまま判断を下すということは決してあってはならないと考えております。

 その上で、限られた資源を安全上重要な課題に適切に投入するという観点から、審査プロセスの改善は私どもも望むところではございます。そのための工夫として、できる限り手戻りがないよう、事業者の対応方針を確認するための審査会合の頻度を今相当数増やしております。また、原子力規制庁からの指摘が事業者に正確に理解されていることを確認する場を設けて、必要に応じて文書化して提示するように工夫をしております。様々な取組を今進めておるところでございます。

 いずれにいたしましても、審査を着実に進めていくためには双方の努力が必要であり、引き続き、安全の確保を最優先に審査プロセスの改善に努めてまいりたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。審査プロセスの改善に努力を続けていくということで、当然、規制委員会も行政組織の一つですから、当然のことながら業務の効率的な運用というのは求められていると思います。この点について是非委員長からも引き続き御尽力いただきますように改めてお願いをいたしまして、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、堀内詔子君。

堀内委員 本日は、原子力問題特別委員会にて質問の機会をいただきまして、鈴木委員長を始め理事の皆様方、委員の皆様方に厚く御礼申し上げます。

 自由民主党の堀内詔子でございます。

 本日は、この二十分という貴重な時間を使わせていただき、様々な問題について質問させていただきたいと思っております。

 東日本大震災から十一年が経過いたしました。改めて、この大震災で犠牲になられた方々に哀悼の意を表しますとともに、今なお避難生活を余儀なくされている皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。

 まず冒頭、この大震災によって被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所に関した質問をさせていただきます。

 二〇二〇年九月、環境副大臣、内閣府原子力問題担当副大臣を拝命しておりました。原子力担当として被災地に幾度か出張し、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、浪江町、飯舘村など、様々な町村又は市も視察させていただきました。今なお誤った放射線に対する認識、風評被害は散見されております。そして、そんな中、被災地の皆様方が未来に向けてふるさとのために努力されているお姿には、頭の下がる思いがいたしました。

 まず、文部科学省にお尋ねいたします。学校における放射線教育への取組、これについて教えてください。

 教材でお使いの放射線副読本を拝見いたしました。小学校用、中学生、高校生用がございますが、大変よくできていらっしゃると思っております。

 この副読本などを使って、出前授業を実施されていらっしゃいます。この出前授業を行う放射線の認定講師、そういった方がいらっしゃると思うんですけれども、これは一体どのような認定基準をもってその方々は行っていただいているのか、講師として。それを教えていただきたいと思っております。

 また、教員研修や出前授業の標準化、つまりは授業に対する各講師の方々の質の担保、そういったものについてはどのようにして行っていらっしゃるのでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 堀内議員御指摘のとおり、文部科学省においては、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけ、理解を深めるため、放射線副読本を作成しております。

 その積極的な活用を促すため、教職員等を対象とした研修、また児童生徒を対象とした出前授業を、文部科学省委託事業において認定された認定講師を派遣し、実施しております。

 この認定講師には、学校で授業を行っていただくということから、放射線に関する科学的な知識、それとともに、児童生徒に対する指導力を有するということが求められております。

 このため、認定講師の候補者には、事前に、学習指導要領における放射線の取扱いについて理解するとともに、講師認定講座の受講を義務づけております。

 この講座では、放射線副読本を用いながら、児童生徒に対する放射線に関する科学的な知識の指導方法等を習得することとしておりまして、その後、筆記試験と模擬授業形式の面接試験により、認定を行っております。これにより、教職員研修や出前授業の質の担保を図っているところでございます。

堀内委員 ありがとうございます。様々な角度から質の担保を行ってくださっているということで、本当にありがとうございます。

 また、令和四年度におきましては、放射線教育の委託事業では新たな取組をなさっているというふうに伺っております。それについても伺わせていただきたいというふうに思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の委託事業であります放射線に関する教職員研修及び出前授業実施事業におきまして、令和四年度の新たな取組としましては、先ほど申し上げた認定講師について、これまでは、主に理科の先生の経験者、こういった方々で構成されておりましたが、今年度は、新たな取組として、放射線技師の方を四名認定させていただきました。放射線技師を含め、多様な背景を持つ認定講師が学校に出向いて授業等を行っていただくことにより、児童生徒がより一層興味、関心を持って放射線に関する科学的な知識等を身につけることができるよう期待しております。

 また、令和五年度概算要求におきましても、学校における放射線に関する教育の支援の中で教職員研修や出前授業の実施に必要な経費を盛り込んでおりまして、引き続き、放射線に関する科学的な知識や児童生徒に対する指導力を有する者を認定講師としていく予定としております。

 文部科学省としましては、引き続き、児童生徒が、放射線に関する科学的な理解を基に、科学的に思考し、情報を正しく理解する力を教科等横断的に育成することができるよう、指導の充実に努めてまいります。

堀内委員 ありがとうございます、安彦審議官。

 令和五年度についてしっかりと予算もつけていただいているということでございまして、また、放射線技師の方々が新しく講師となられたというふうにも伺いました。令和五年度の委託事業の実施、具体的には、何か今こういうものをしていくんだというものがあったら、是非教えていただければありがたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました放射線副読本、随時改訂をしておりますので、こちらの方をしっかりと使いながら、主に中学校理科の授業等でしっかりとそういった取組が進むように、また先ほどの委託事業を活用しながら進めていきたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございます。

 放射線に関する科学的な理解を基に、科学的に子供たち、将来のある学生たちが思考して、情報を正しく理解する力、こういったものを教科など横断的に育成することは大変重要なことだというふうに思っております。

 今なお避難している児童生徒に対する偏見や不安、そういったものがないように、取り除かれていけるように、そして、県産品の、いわゆる農産物、水産物についての風評被害、そういったものについてもまだまだ課題があるのではないかというふうに思っているところでございます。そういったものを一つ一つよい方向に向けていくためにも、放射線への正しい理解を通して、いわゆる様々な放射線の被害に遭った、事故に遭ったことに対するもの、風評被害がなくなっている、そういったことを望んでいるところでもございます。

 さて、放射線といいますと、なかなか、そういう東日本大震災などに目を向けると、つらいこと、そういったこともあるかとも思います。けれども、逆に、放射能、そういったものを様々な角度で人類に対して有効に活用していくこと、これも大切なことだと思っておりますし、有効活用が増えてきているというふうにも思っております。

 そういった中で、いわゆる放射線の高い透過性、そういったものを利用して、医療分野で今放射線は多く使われているというふうに思っております。例えば、検査、予防医療の分野ですね、そしてまた治療にも放射線というものは多く使われてきております。

 厚生労働省にお伺いしたいと思います。

 放射線機器を取り扱うのは、専門の知識を持った診療放射線技師の方々です。診療放射線技師法の改正によって、CT検査やアイソトープ検査において、造影剤や放射性医薬品の静脈注射が可能となってまいりました。そしてまた、先頃改正された感染症法の一部改正によって、次の感染症が発生したり蔓延したときにおいて、厚生労働大臣などの要請に基づき、ワクチン接種を行うことも診療放射線技師の方々はできるようになる、そういうふうになりました。このように、診療放射線技師の職種、機能が拡充されているところでもあります。

 診療放射線技師の方々のタスクシフトについて、現場においてはどのような配慮の下に行われていらっしゃいますでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 医療現場のタスクシフト、これは大変重要でありまして、厚生労働省では、様々な職種の専門性を最大限に生かしながら、質の高い医療を提供するためのタスクシフトを進めております。

 先生御指摘のように、昨年の医療法の改正によりまして、診療放射線技師につきましては、静脈路の確保、また、そこから造影剤を注入するなどといった行為が実施可能となったところであります。

 また、これを踏まえまして、厚生労働省に設置されました検討会では、医療の安全を確保するという観点から、様々関係者の御意見を伺って検討を行った上で、今般成立させていただきました感染症法等の改正におきまして、感染症発生、蔓延時におけるワクチン接種の担い手の対象に診療放射線技師を加えさせていただいたところであります。

 こうしたタスクシフトを推進するプロセスにつきましては、好事例を収集、分析をし、また周知をしていくことによりまして、医療機関で働かれている従事者の方々のタスクシフト、これが確実に進むように取り組んでまいりたいと考えております。

堀内委員 先ほど述べたように、また大坪審議官もおっしゃってくださったように、いわゆる診療放射線技師の方々が造影剤や放射性医薬品の静脈注射をすることが可能となって、やはり人の体に直接触ったそういう行為ができるようになってまいりました。

 この診療放射線技師における医療分野の可能性はますます広がるとともに、高度な技術の習得のために、いわゆる養成課程の充実が喫緊の課題になってきているというふうに思っております。

 診療放射線技師の養成に当たっては、見学型臨床実習では、臨床教育また接遇教育において、まだこういった広がりを見せる中では不十分なのではないか、国家試験、取得後にスムーズに業務が行えるように、いわゆる参加型臨床実習が重要ではないかというふうに考えておりますが、厚生労働省としては、実際に参加型、見学型じゃなく参加型の臨床実習の重要性についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 診療放射線技師の養成に必要な臨床実習につきましては、診療放射線技師学校養成所指定規則また並びに診療放射線技師養成所指導ガイドライン、こういったものの中で、単位数ですとか教育目標、こういったことを規定をさせていただいておりますが、その具体の実習内容、これについては特段規定をしておりませんで、学校養成所と受入れの医療機関、この双方との間で具体的な内容を設定いただくこととしております。

 従来から、その中では、診療の参加型の臨床実習、これももちろん可能としているところであります。今般、コロナがございましたことで、実習に代えて、演習ですとか、また学内で実習をする、こういったことなどの弾力的な取扱いも認めているところであります。

 一方で、診療放射線技師の養成カリキュラム、これは、先生御指摘のように、質の担保の観点から見直しを、平成三十年の三月から職能団体や学校養成所、有識者の皆様を構成員とする検討会において議論を行いまして、令和元年十一月にその報告書を取りまとめていただいたところであります。その中では、臨床実習生が診療チームの一員として加わって行う診療参加型の臨床実習が望ましいという御意見はいただいているところであります。

 厚生労働省といたしましては、より質の高い診療放射線技師の方々を養成するために、各学校養成所においては、報告書の内容を踏まえながら、臨床実習の方法について適切に設定いただきたいと考えておりまして、今後のカリキュラムの見直しの過程の中でも、関係者の御意見を伺いながら、現状に即して検討してまいりたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございます。

 診療放射線技師の方々ができることが様々広がってくるにつれて、工夫をいただいて、参加型のいわゆる臨床実習をしっかりと取り入れていく方向性になっていらっしゃるということについて聞いて、大変安心させていただきました。

 一方、それだけの様々なプログラムが充実してきているというところで、今まで三年で終えられた方々もいらっしゃった、そういった中、修業年限を四年制に統一していく、四年制の方々もいらっしゃる中で、四年制に修業年限を統一していくということは、どのような見解をそういった方向についてお持ちか、教えていただければと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 診療放射線技師を始めとした医療関係職種につきましては、チーム医療の重要な担い手でありまして、御指摘のとおり、安全で質の高い医療を提供していただくためには、養成課程を通じて、求められる知識や技能、こういったものを身につけていただくことが重要であると考えております。

 厚生労働省では、先ほど申し上げましたとおり、平成三十年三月から令和元年の十一月にかけて、診療放射線技師の養成カリキュラム、これを検討するために、職能団体や学校協議会、臨床従事者等を構成員とする検討会を開催をいたしまして、その教育の内容ですとか総単位数、臨床実習の在り方など、様々な角度から見直しを行わせていただきました。

 その結果、総単位数の充実を図るという結論をいただきまして、これを踏まえ、放射線技師につきましては、令和四年度の入学生から見直し後の新しいカリキュラムを適用させていただいております。三年の方と四年の方がただいま現在はいらっしゃるということでありますが、その学ぶべき内容と総単位数というところで規定を置かせていただきました。

 今後とも、診療放射線技師を取り巻く環境ですとか求められる知識、技能、こういったものが変化をしてまいります中で、皆様方の要望を踏まえながら、養成カリキュラム等の見直しというものは定期的に行ってまいりますので、その中で、確実に質の高い医療を提供できる診療放射線技師の皆様の養成、こういったものに努めてまいりたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございます。

 様々な、レントゲンなど、そういった治療とか処置をしていくときに、いわゆる医療被曝について問題が起きてくると思っております。もちろん、今は大変様々な技術がございますので、人体について有害なものではないというふうに思っておりますが、しかし、その線量管理をしっかりと精度高くやっていくことが必要なことだというふうに思っております。

 令和二年四月に医療法の省令改正があり、患者さんの医療被曝の線量管理などの診療用の放射線量の安全管理が義務となってまいりましたが、厚生労働省としては、いわゆる医療被曝の線量管理など、そういったものについてどのような取組をしていらっしゃいますか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、令和二年の四月に、医療法の施行規則によりまして、診療放射線を用いた診療機器などを設置します全ての医療機関の管理者に対しまして、放射線診療における被曝線量の管理、またその記録などの診療用放射線の安全利用のための対策、これを義務づけたところでございます。

 また、こうした対策が医療機関において適切に講じられますよう、厚生労働省の科学研究によりまして、診療用の放射線の安全管理についての研修の動画、また院内で研修に使っていただくための教育資材、こういったものを作成をさせていただきまして、公益社団法人日本放射線技術学会のウェブサイト又は日本医師会等の関係団体を通じて各医療機関に周知をし、活用をいただいているところであります。

 また、このほかに、定例で医療機関には立入りの検査というものを行っているわけですが、その中でこういった項目も盛り込んでおりまして、適切な管理がなされているかどうか、適宜指導などを行わせていただいております。

 厚生労働省といたしましても、引き続き、医療機関における診療用放射線の安全管理、こういったことが確実になされていることを確認しつつ、推進してまいりたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございます。

 是非、これから様々な放射線の医療的な利用が増えるに従って、今まで以上に、医療被曝の線量管理、そして患者さんの線量の記録の保存など、患者さん自身の被曝低減の充実をしっかりと厚労省の方でも取り組んでいただきたいと思いますし、またしっかりと、医療機関の目くばせ、そういったものをしていただければというふうに思っているところでございます。

 最後になりますが、放射線への正しい理解を深めて、国民の皆様方へしっかりと理解していただくこと、これが非常に大切なことであると思っております。

 医療界においては、この放射線医療というのは、日本にとって、高い技術と知見に支えられて、CTの普及率は、日本では非常に発達しておりまして、世界一位の普及率を今誇っているところでございます。

 また一方、放射線自身の正しい理解と原子力の平和利用、こういったものについて皆さんのお考えをもっともっと深めていただくためにも、お子様たちへの引き続きの教育、お知らせ、そして発信、そういったものに努めていただければというふうに思っております。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうも本日はありがとうございました。

鈴木委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 前回に引き続きまして質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 この冬も、エネルギーの安定供給の予備率、非常にぎりぎりだというふうな状況であります。一番予備率が低いエリアは東北あるいは東京、四・一%ということで、約三%が本当にぎりぎりということでありますから、非常に厳しい状況だと。

 私、前回の冒頭も同じ質問をしましたので、改めて質問はいたしませんけれども、大手電力会社からの値上げ申請というのも非常に相次いでいるということで、前回の質問のときはまだ具体的な申請が出ていなくて、出てきた場合はやはり厳格に審査をするということでありました。

 東北、北陸、中国、四国、沖縄、三割あるいは四割という大変大きな値上げの申請でございます。しっかり経営が本当に効率的にやれているのか、あるいは、燃料調達費の費用の見込みというのが、妥当な見込みをしているのかというのが非常に大事だというふうに思いますので、これはしっかりと見ていただきたい。これは改めてまたお願いをさせていただきたいと思います。

 こうした状況の中、エネルギーの安全保障についての議論をしないといけない、そしてその中でカーボンニュートラルを追求していかないといけない、こんな状況でございます。もちろん、政府全体としては、省エネの推進というのも大事でありますし、また、再エネの推進というのも非常に大事であります。しかし、原子力問題調査特別委員会ということであります。原子力政策の在り方もしっかりと考えていく必要がある、こういうことで、経産省にも来ていただきながらしっかり議論をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 ちょっと通告からは順番を変えまして、先ほども議論になりました運転期間についての議論をまずさせていただきたいと思います。

 冒頭、経産省の方に質問させていただきたいと思います。

 今、いわゆる運転期間四十年、そしてこれを延長認可制度ということでありましてプラス二十年という形でやっておりますけれども、政府の方でもこの運転期間の在り方について検討を行っているというふうに承知しております。

 前回の議論の中で規制委員会の方とも議論させていただきましたけれども、基本的には、運転期間をどう定めるかというのは利用政策としての在り方だということを規制委員会としてはずっとおっしゃってこられました。前回の議論では、高経年化をしていく炉に対応するような検査の在り方というのは今検討していただいているということで、利用期間が定まれば規制委員会としてはそれが安全かどうかはしっかり審査できるということを答弁いただいたのが前回の議論だったというふうに思います。

 今経産省の方で、原子力の小委員会の方でその運転期間の議論をしているということでありまして、先ほども少し紹介をしていただきましたけれども、大きく三つの案が出ているというふうなことも伺っております。本日もまた議論しているということも承知をしておりますので、まず冒頭、それぞれの案、どんな意見が出ているか等も少し含めて、経産省の方から議論の状況をお伺いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 八月のGXの第二回の実行会議におきまして、総理から、運転期間の在り方、長期運転に関する検討を加速するように指示がございました。これを受けて、現在、経済産業省では審議会における議論を進めているところでございます。

 現在の検討の状況でございますけれども、まず、先月八日の日に、総合資源エネルギー調査会原子力小委員会で三つの案をお示ししてございます。

 一つ目の案は、現行の原子炉等規制法にある、形としては同じような形になるわけでございますが、四十年及び二十年の延長というような運転期間に関する上限規定をそのままの形で設けるという案、二つ目の案としては、利用政策の観点から考えますと特段の運転期間の上限というのは設けないという案、そして、三つ目の案としまして、利用政策として考えた場合は、引き続き一定の運転期間の上限ということは設けることとした上で、更に延長する期間については限定的な形で認める、六十年から更に延長するということ自体は限定的な形で認めるという、三つの案をお示ししたところでございます。

 審議会の中では様々御意見がございました。利用政策の観点からは安全規制についてしっかりやっているのであれば特に規制は要らないのではないかという考え方もございますし、原子力に対する国民理解の現状、若しくは、既設の原子力発電所というのをどれぐらい使い続けるのかという観点、さらには、安定供給、GXの推進、それぞれの観点から、一様とはなかなか言い得ないところでございますが、様々な御議論を頂戴したところでございます。

 こういったことの議論を踏まえ、様々な御意見を頂戴した中で、先月二十八日の小委員会の中では、これまでの議論を踏まえまして、運転期間の在り方については、原子力規制委員会の審査という、これは大前提であるわけでございますが、利用政策の観点から考えた場合、四十年及び二十年の延長という期間の制限を引き続き設けた上で、震災以降、新規制基準への対応など運転を停止した期間を年数のカウントから除外するとの方針を示した素案というものを事務局からお示しし、御意見を承ったところでございます。

 本日、この後、小委員会をまた開催するところでございますが、この案につきまして改めて御議論いただく予定でございまして、年末までに結論を得るべく検討を進めてまいる所存でございます。

中野(洋)委員 少し詳しく説明もしていただきました。

 いろいろな観点があると思います。エネルギーの安全保障の観点、もちろん必要でございますし、また、そもそもこの委員会がある理由でもあるとは思いますけれども、原子力の規制に対する国民の信頼を取り戻すという、国民の信頼がどこまで得られるのかというところも非常に大事だと思っております。その上で運転期間を、審査などで停止していた期間についての除外という案も出していただいている、こんな状況だというふうに承知をいたしました。

 そして、前回も少し議論をいたしました、例えば、仮に、停止している期間については、確かに、中性子の照射でありますとか運転に伴う劣化というのは考慮しなくていいというふうなお話もあったかと思います。様々議論がある中で、先ほどもありました高経年化した原子炉に係る安全制度というのを今規制委員会の方で考えていただいているというわけでありまして、これについてもう少し議論を深めたいと思います。

 前回もお伺いをしました、済みません、図も配った方が分かりやすかったかもしれませんけれども、一つは、高経年化技術評価制度、三十年でやって、プラス十年ずつやる、施設の管理指針を、保安規定を審査するということで、主にソフト的な審査だというふうに前回伺いました。運転期間の延長認可はむしろハードの、原子炉施設の基準適合性の審査だということで、これは四十年でやって、これに合格すれば二十年延長するという。二つの審査を組み合わせると。先ほど来議論がなされた、細田先生も議論されたところでありますけれども、これを組み合わせるということであります。

 先ほどもお話がありましたとおり、今までハードの審査というのは確かに四十年のときにやるだけだったというところが、三十年でもやる、プラス十年ずつに。チェックポイントが要は増えるというふうな議論が先ほどあったかと思います。そういう意味では、前回の議論の中ではこの二つの審査を組み合わせますというふうなお話でありましたので、単に二つやっていたものを組み合わせるのかなというぐらいの印象ではあったんですけれども。先ほどの議論もありましたとおり、チェックポイントが今までなかったものが増えていくということで、基準そのものは今の新規制基準だというようなことだとは思いますけれども、確かに、より多くのタイミングでそれのチェックができるのかなという、より厳格なというか、そういうものかというふうに議論を伺いまして思っております。

 もう一つ、中身を私も聞いて思いましたのが、チェックポイントの箇所も増えるんですけれども、チェックする中身としても、劣化状態の、結果的に今どういう状態なのかという結果もチェックされますけれども、それに至るまでの過程がどうだったのかということも今回チェックするということもお伺いをしました。

 そういう意味では、チェックポイントが増えたということもあり、かつ、審査をする射程が非常に広くなっているというか、そういう意味ではかなり今の審査よりもより厳格なものを想定されているのかなというふうなことも少しこちらでは感じたところではあるんですけれども、この点について委員長から分かりやすく答弁いただければと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 委員に御指摘いただきましたように、原子力規制委員会では、現在検討しております案は、現行の高経年化技術評価と、委員の方からはソフト評価という表現をいただきましたけれども、運転期間の延長認可、ハードの評価という表現をいただきました、その二つを組み合わせることを今考えております。

 具体的には、運転開始後三十年を超えて原子炉を運転しようとする場合には、その後十年を超えない期間ごとに、仮称ではありますけれども、ソフト、ハード両面の審査が行える長期施設管理計画の策定を義務づけて、原子力規制委員会がその計画を、災害防止上支障がないこと及び施設の技術基準に適合していることを審査、認可することを検討しております。御指摘いただきましたように、劣化に関係する特性のデータそのものあるいはデータの取り方を十年ごとにきちっと我々が審査し、合格したものについては認可をする、そういう手続を取るつもりにしております。

 これにより、従来よりも高い頻度で審査を行うことになります。さらに、認可対象である長期施設管理計画に施設の劣化状態、劣化の予測に関する詳細な記載を求めることになりますので、より厳格な審査を行うことになると考えております。

中野(洋)委員 よく分かりました。大分イメージが湧いてまいりました。

 そして、もう一つ、前回の議論ですと、十年ごとといっても、どこまで審査できるんですか、永久に審査できるわけではないだろうということを質問させていただいたんですけれども、上限については、一義的にどこまでだというのは個別の炉の状態によるのでなかなかそれは言い切れないというお話もある一方で、それだけ聞くとどこまでも延びていくのかみたいな印象もあるんですけれども、他方で、高経年化が進めば進むほど立証が難しくなるだろうということも併せて答弁いただいております。

 一応、念のため、確認なんですけれども、要は、十年ごとにやって特に上は考えていないということだけ聞くとどこまでも延びそうな印象もあるんですけれども、しかし、他方で、安全性の立証というのは事業者がやらないといけないということでありまして、当然、高経年のものは非常にそれが難しいというふうに思っております。これが立証できなければ当然運転期間は延長できない、また、十年といっても、立証できた分しか運転できないという。だから、そこは、事業者が本当に安全性を立証できた分だけ、審査にもし合格すればそれを認めるんだ、それができなければ当然運転できないんだ、そういう趣旨だという理解でいいかというのをもう一度委員長に確認したいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 事業者が申請した十年を超えない期間における長期施設管理計画が認可基準に適合しない場合には運転が認可されません。また、認可基準に適合した場合であっても、認可した期間、計画上の期間だけしか運転できないことになります。すなわち、三十年に仮に審査をした場合には最大四十年までしか運転は認められない、あるいは三十年の基準を満たさない場合にはその時点で運転期間の延長は認められないということになります。

中野(洋)委員 分かりました。そういう意味では、かなり厳格なことを今検討していただいているというふうに理解いたしました。

 その上で、原子力政策全体の議論も少し、残り五分弱でありますが、させていただければと思っているんですけれども。

 原子力政策は国民の理解が得られるかというのが非常に大事だと思っておりまして、そういう意味では、理解がなかなか進まない一つの問題として、よくトイレのないマンションみたいな表現もありますけれども、バックエンドの問題の進捗がやはり目に見えて進んでこないというのが一つ大きな課題かというふうに思っております。

 一つは、使用済核燃料の再処理工場の審査ということでありますけれども、従来からなかなか稼働が進まないということで、今年の九月も完成時期の延期だという発表がございまして、二十六回目の延期ということで、大変地元からも厳しい御意見が出たというふうにも伺っております。これは設計工事計画の認可審査の問題だというふうなことも伺っておるんですけれども。

 確かに、ほかの原子炉の新しい新規制基準の審査はかなり厳格にやっていただいていますので、原子炉の方もかなり時間がかかるんですけれども、再処理工場はまさにここしかない、ほかの事例がないという審査でもありますし、審査対象機器も何万点とか十万点ぐらいあるというふうにも伺いましたので、事業者に任せていてはなかなかこれは進捗が難しいところも正直あるんじゃないかというところも思っております。やはり国も少し、しっかり責任を持ってこのバックエンドの進捗を進めていかないといけないんじゃないか、こういうふうにも思っております。これについて経産省はどうお考えか、答弁いただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今後も原子力発電というのを安定的かつ継続的に進めていくためには、六ケ所再処理工場の竣工など、バックエンド対策は本当に重要な課題だと考えてございます。

 六ケ所の再処理工場につきましては、二〇二〇年七月に事業変更許可を取得しまして、その後、工事自体はおおむね計画どおりに進展してございます。あとは安全審査の進捗次第ではあるわけでございますが、段階としては大詰めの段階に来ていると認識しております。

 その上で、安全審査をしっかりと前に進めていけるための対応というのが非常に重要であるわけでございまして、日本原燃の審査対応を単に個社に任せるわけではなくて全電力大で、ある意味力を結集して、これまでの知見、ノウハウをフル動員して対応していくことにしています。電気事業連合会にサイクル推進タスクフォースというものを設置していただきました。業界を挙げた安全審査対応を支援する仕組みでございます。

 私自身も、エネ庁も、日本原燃自体だけではなく各電力会社さんにも直接お願い申し上げて、審査対応が迅速に前に進んでいくように支援、指導していきたいと考えてございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたのでもう終わりますけれども、これだけではなくて、最終処分、高レベル放射性廃棄物の処分の問題もございますので、しっかりバックエンド問題も進めていただきたいと改めて要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日は、よろしくお願いいたします。

 時間が限られております。早速質問に入らせていただきます。

 まず、規制行政における費用便益分析について質問いたします。

 六月八日の委員会において、参考人の竹内様より、規制行政の課題として、米国との差異、特に費用便益分析についての指摘がございました。

 米国では、一九五〇年代から六〇年代にかけて、連邦行政機関の規制活動全般に対し、新しい規制を導入するときは、その規制によって国民が受けるメリットが、規制に対応するために必要とするコストよりも大きくなければ、その規制は入れてはいけないという考え方、いわゆる費用便益分析を拡大しております。ニクソン、フォード、カーターと歴代大統領は、規制の費用便益を高めるよう大統領令を発出してきた歴史もございます。

 まず、一問目の質問ですが、現在、我が国の原子力規制行政において、新しい規制を導入する際にはこのような費用便益分析を行っているという事実はございますでしょうか。

金子政府参考人 御指摘の費用便益分析についてお答え申し上げます。

 規制要求をするかどうかを原子力規制委員会で判断をする際には、事業者が行う対策に要するコストは基本的には考慮しておりませんで、それを勘案したような費用便益分析は現在は行っておりません。

浅野委員 ありがとうございます。

 では、続いて、政府にお伺いいたします。

 政府あるいは事業者の方で、今、規制側がやっていないということですので、新しい規制が導入される際に費用便益分析を行っているかどうかについてお答え願います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力に関する安全規制は、独立した原子力規制委員会の専管事項でございます。その在り方について資源エネルギー庁はコメントする立場にないわけでございます。

 その上で、御指摘の、原子力規制によって国民全体が享受するメリットと、規制に対応するために必要とするコストに関する費用便益分析について、資源エネルギー庁ではこれを行ってございません。また、原子力事業者において行われたということは承知してございません。

浅野委員 今ございましたように、規制側、そして行政、そして事業者側、それぞれでこの費用便益分析を行っていないということが昨今の対策費用の膨張につながっているのではないかというふうに感じております。それは最終的に国民の負担になるわけですから、やはりそこをしっかりと見詰め直していく必要はあると思います。

 もう一点確認なんですが、アメリカではNRCが費用便益分析を行っているということなんですが、やはりアメリカにおいても規制側と推進側の分離というのは非常に重要だと思いますが、費用便益分析を行うことで、規制と推進の分離というのは阻害されているんでしょうか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 米国のNRCにおいて御指摘のような分析が行われていることは私どもも承知しておりますけれども、それによって、原子力の利用を推進する立場から米国NRCが行う規制に対して介入があるような事実というのは承知をしておりません。

浅野委員 実際、私も調べた範囲では、アメリカにおいても規制と推進の分離というのは非常に重要なテーマでありますし、費用便益分析を行うことでそれが阻害されているのかといえば、現状、そんなことはないというふうに理解をしております。

 であるならば、やはり事業者側がちゃんとコスト意識を持って分析を行うのは当然なんです、当然だと思いますけれども、当委員会としては、規制側に対して考えを確認する場ですので、規制委員会においても、新しい規制を検討する際に費用便益分析を行っていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会としましては、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓と反省を踏まえまして、安全の追求に妥協は許されないと考えております。規制要求に当たっては、費用便益分析を行うことは考えておりません。

浅野委員 規制側の立場からすればそういう考えだということが分かりましたが、ただ、科学による安全の担保がすなわち社会的便益の最大化につながるわけではないというのは、あえて今日は申し上げたいと思います。

 安全を確保することは国民の生命を守ることにつながりますけれども、一方で、実体社会として、社会的便益を最大化しなければ、我が国における経済活動あるいは社会活動が維持できなくなる、いわゆる安全保障の観点というのはどうしても無視できないものでありますので。ここについては、現状、規制委員会側としては行うことは考えていないということですけれども、その必要性は今後とも是非議論をしてまいりたいというふうに思います。どうもありがとうございます。

 では、次のテーマに移らせていただきたいと思います。

 規制委員長はここまでですので、もしお忙しければ退席いただいても構いませんので、お任せいたします。

 次は、原子力問題調査特別委員会の設置経緯等について質疑をさせていただきたいと思います。

 現在、この衆議院内、特別委員会の在り方について議院運営委員会を中心に議論が行われておりますが、改めて、当委員会の設置目的について確認したいと思います。

 過去の本会議では、当委員会の設置目的として、原子力に関する諸問題を調査するためと規定されてきており、当委員会が設置された第百八十三回国会の当委員会の理事懇談会の中で、本委員会の活動目的を、規制当局を監視することというふうに定めております。

 これは国会事故調の提言の一つ目に対応するものでありますが、実際、この委員会では、その提言一、規制当局の監視以外のテーマについても、今日も委員の皆様が議論されているように、取り扱ってきたという事実がございますし、また、設置をされてから今日まで、アドバイザリー・ボードの方々からも、国会事故調の七つの提言に対しての対応が不十分だという指摘を度々いただいております。

 震災から十一年が経過し、原子力規制行政も徐々に改善が図られてきております。この辺りで当委員会の設置目的を広げていく必要性があるのではないかというふうに思っております。

 改めて確認なんですが、規制当局を監視すると定めた当委員会の活動目的というのは、元々理事懇談会で合意されたことでありますから、理事懇談会で協議をすればその設置目的は変えられると理解してよろしいんでしょうか。

小林参事 結論としては、おっしゃるとおりでございます。

 先生御指摘のとおり、当委員会は、第百八十三回国会以降、原子力に関する諸問題を調査するためという設置目的の下に、本会議の議決により設置をされているところでございますが、一方で、その設置目的ないし所管の範囲内において具体的にどのような活動を行っていくかということにつきましては、まさに当委員会の理事会等で御協議いただくべきものというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 先ほども申し上げましたけれども、原子力の諸問題というのは必ずしも規制側の監視だけにとどまらないというのは、もう委員の皆様全員、共通認識をお持ちかと思いますが、一方で、当委員会の設置目的、いまだに規制当局を監視することというふうに定められている現状がありますので、私としては、やはりここをそろそろ見直してもいいのではないかなというふうに考えております。

 続いての質問ですが、参議院では、資源エネルギーに関する調査会というのがございます。これもエネルギー全般に関する調査をしておるわけですけれども、参考人からのヒアリング内容や委員の質疑内容をまとめ、さらに、そこに調査会としての提言を加えた上で報告書を作成し、参議院に毎回提出をしているということでございます。

 これはしっかり規則でも定められているものだそうなんですけれども、当委員会においても、有識者からのヒアリングであったり、様々な質疑が行われております。やはりこれは、当委員会の名称に、問題調査特別委員会と、調査が入っておりますので、調査内容をしっかり委員会の成果物として衆議院に提出すべきだと考えているんですけれども、実際、過去にそういったことをやった事実はあるかないか、事実確認をさせてください。

小林参事 お答えいたします。

 お尋ねの、当委員会におきまして、当委員会の調査内容を成果物として衆議院に提出したことはこれまでございません。

浅野委員 ないということで答弁いただきました。

 衆議院の中では、当委員会のこれまでの議論の経緯などを記録した冊子を定期的に作成をして、委員の皆様にも配付されているかと思いますが、私もそちらは常時確認をさせていただいておりますが、やはり参議院の方では、記録にとどまらず、提言を付記して、委員会としての意思を示しているという点で、ここは異なると思います。

 委員長に、是非、当委員会としても、有識者からのヒアリング内容や質疑内容をまとめ、調査会としての提言を付記した上で作成した報告書、こういったものを衆議院に提出するなど、そういった活動もすべきではないかと考えておりますし、この提言をまとめる際に、これまでやられておりませんが、今ちょうど衆議院でも特別委員会の在り方が議論されております、私としては、委員同士での意見交換を経て、そういった提言をまとめるような機会もつくっていただきたいと思いますが、是非委員長にはその旨を受け止めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木委員長 大変重要な指摘でありますので、いただきました御意見につきましては、後刻、理事会でしっかり協議したいと思います。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 そして、続いての質問になります。

 当委員会の員数について、委員の数についてであります。

 こちらは、衆議院規則第百条に基づいて衆議院議決をされておりまして、その結果、四十名というふうに定められておりますし、これは設立当初からこれまで全く変わっておりません。

 ただ、この委員、員数についてもいろいろ今後議論になっていくというような話も伺っておりますが、その前に確認させていただきたいのは、そもそも四十人という人数、規模に決まった理由が何なのか。そこについて、ちょっと記録で分かる範囲でお答えをいただければと思います。

小林参事 お尋ねの当委員会の員数が四十名とされた理由についてでございますが、記録を確認いたしましたが、明確なものは確認はできませんでした。

 ただ、当時の会派構成とか、あるいは当委員会の所管、あるいは他の特別委員会の例、そういった要素を勘案しながら、当時の議院運営委員会理事会の御協議の結果であるというふうに認識をしております。

浅野委員 ありがとうございました。

 私もいろいろ情報をいただきながら確認をさせていただきましたが、このテーマだから何人というような明確な基準がこれまで存在していたことは確認ができませんでした。

 ただ一方で、現在存在しているほかの特別委員会も含めて、私の手元にある資料ですと、百七十一回以降、現在存在している特別委員会、消費者特であったり、科技特、あるいは復興特、こういった特別委員会は現在も存在をしていますけれども、いずれも四十名ないし四十五名の委員の数ということで、大体相場感として四十名前後というのがこれまで続いてきたという歴史があるそうでございます。

 一方、それ以前になりますと、例えば拉致特です、そこは二十五名なんですが、これは百六十一回国会、相当前から存在をしている特別委員会でございまして、当時は二十五名とか三十名という委員の数の特別委員会も多数設置をされておりました。

 その時々の状況もあると思うんですが、私としては、やはり少数会派も含めて幅広い会派の意見を聞きながら、当委員会として、この国の将来について議論を重ねることが重要であると思うということを本日は最後に申し上げて、時間は少し余っておりますが、全ての質疑が終わりましたので、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、この度就任されました山中委員長に初めて御質疑をさせていただきますので、御答弁は山中委員長に専らお願いをしたいと思います。

 まず、三代目の委員長でいらっしゃいますけれども、東京電力福島第一原発、発電所事故の反省と教訓という言葉がよく使われ、委員長も所信の中でお述べになりましたが、最も委員長として重要に思う、たくさんあると思いますけれども、最も重要に思う課題は何でありましょう。

山中政府特別補佐人 東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓、反省、これの一番大切であると思っておりますのは、事故は起きないという安全神話から決別することであるというふうに考えております。規制の継続的な改善を怠らないということだと認識しております。

 所信の中でも私は述べさせていただきましたけれども、原子力に一〇〇%の安全はないということを肝に銘じながら規制を継続しているところでございます。

阿部(知)委員 当然ながら、安全神話と言われているものとの決別、委員長のおっしゃったとおりと思います。

 では、なぜそういうものにとらわれていったのか、安全であるというふうに、ある意味、国を挙げて思い、国民にも説明してきたのかというところで、これは黒川国会事故調の調査委員長の言葉ですけれども、規制のとりこということをおっしゃいました。本来、推進している原子力事業者を規制して安全を確保していくべきところ、運転側、推進側に逆に規制が引きずられていったのではないか、簡単に言いますと。それは、単に事業者と規制だけでなく、社会全体もそのような規制のとりこの中にあったのではないかという言葉を言われております。

 実は、昨日、参議院の環境委員会、私どもの辻元さんが委員長に質問されて、最後に、今委員長のお考えはむしろ規制のとりこになっているのではないかというふうに指摘したと思うのですが、私も今日そのことについて、さきにこの委員会でも逢坂さんが指摘されたことと併せて質疑を重ねていきたいと思います。

 まず、委員長にも、冒頭、一枚目の資料を見ていただけたらと思いますが、これは、第百八十国会で、環境委員会で平成二十四年の六月五日に、当時の細野環境大臣が民主党の質疑者への御答弁で述べられた、炉規制法、いわゆる今問題になっております炉規制法の中に四十年ルールというものを定めましたときの質疑でございます。

 委員長は、当時は今のお立場ではないと思いますが、この炉規制法の四十年ルールの成立当時の意味、立法趣旨、背景、目的、どのようにお考えでしょう。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉等規制法第四十三条の三の三十二において定められております原子炉の運転期間につきましては、立法時、国会審議において、技術的見地のみならず、幅広い観点から議論を重ねられた上で法制化されたと認識しております。

 その上で、同条において、原子力の利用政策としての運転期間についての定めと高経年化した原子炉に対する安全性の確認の規制についての定めがセットで規定されていると理解しております。

阿部(知)委員 おっしゃるように、セットで規定されております。

 四十年とした理由は、経年劣化の状況を踏まえてということ、そして、それを延長するのは例外的であるという。設備や機材というものは、トータルに見て使用年限の経過に従って劣化をし、それは平均的には四十年であろうという認識と、さらに、後ほど問題といたしますが、そこに加わる様々な因子については、中性子の照射脆化等もあるということでありました。

 私が特に指摘したいのは、この法規制自身は、安全上のリスクを低減するというのがこの運転制限制度の目的、運転を制限を入れるということの目的であるということで、委員長がおっしゃった、点検等々と組み合わせて四十年ということであるということにもなりますが。今も委員長としては、当然、立法趣旨ですから、あるいは目的ですから、この運転制限制度の目的というふうに御認識されていますか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会としましては、令和二年七月二十九日に、運転期間の定めにつきましては、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとの見解を決定しております。

阿部(知)委員 でも、委員長、これは法律にあって、みんなで審議したものでありますから。運転制限という、こういう言葉を使って運転制限制度というふうに言っているわけですよ。これは、炉規制法という原子力規制委員会が預かる、所掌する法律の目的なわけであります。

 一方、答弁でおっしゃったように、立法政策として定められたというのも事実でありますが、この炉規制法自身は、当然ながら、運転制限制度であるということの認識の上に、そこで、この間、私どもが繰り返し指摘させていただいているのは、委員長がさきに、この間、政府は、GX会議とかあるいは資源エネ庁での様々な、先ほど来問題になっております運転の六十年延長に向けた議論を始めておられるので、委員長としては、それに遅れまいと言うと失礼ですが、間に合わないというお言葉を使っていますので、急いで状況を聞かねばならないと思われたとは思うのですが、そもそもそうではないんだということを私たちは繰り返し指摘をさせていただいているところです。

 委員長はよく利用政策という言葉を使われますが、今委員長が例に引いた令和二年の規制庁の文書においても、ここは利用の在り方という言葉になっていたかと思いますけれども、利用の在り方についての政策なんですね。利用政策と利用の在り方についての政策は違うと思うんです。利用は、利用したい、進めたい、その利用の在り方が例えば国民から見てどうであるのかとか、それゆえに国会の議論が必要とされたわけです。

 委員長が利用政策の側にお尋ねになったというのは、実は、本来の規制庁の、規制委員会の姿勢として、利用の在り方に関する政策であって、利用政策とは違うと思うのですが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 利用政策という言葉は、見解にございます利用の在り方に関する政策を指しておりまして、同じ意味で使っております。

阿部(知)委員 委員長、違うんじゃないですか。だって、委員長は、資源エネ庁に聞いたんですよね。これは利用政策を論じている場です。利用の在り方といえば、それが国民にどんな合意を得ているかとか、あるいは運転事業者が適格性を持っているかとか、もっと幅広いと思うんです。そこの認識を是非委員長にしっかり持っていただかないと、原子力規制行政がゆがんでしまうと思います。

 委員長、この法律、炉規制法は、最初は環境省の所管の中で論議をされ、原子力規制委員会は環境省の外局ですので、結局そこで所掌をされています。なぜ環境省の中で議論されたと思いますか、環境委員会の中で。

山中政府特別補佐人 利用という言葉は、原子力発電を推進される側、反対される側、両方を含むものだと考えております。

阿部(知)委員 そうしたら、委員長、資源エネ庁に聞いたらいけないじゃないですか。利用政策を聞くのに、何で資源エネ庁だけに聞いて、急がなければならないと思うんですか。

山中政府特別補佐人 既にお答えをさせていただいておりますけれども、令和二年七月の時点で、私ども原子力規制委員会は、運転期間に関する定めは、政策判断に関係する事項であり、私どもが意見を述べる立場にないという見解を決定をしております。

 その上で、運転期間に関する検討が資源エネルギー庁でなされたという報道等を聞いて、私どもの高経年化した原子炉の安全規制に影響が出る可能性があるというふうに考えましたので、方針を聞いた次第でございます。

阿部(知)委員 今委員長が引用された、確かに、発電用原子炉施設の運転期間についての立法政策として決められたということは合意します、一緒です。でも、立法政策としてというならば、論議すべき場は国会であって、資源エネ庁に聞くことではないのだということを言いたいのです。

 これは、例えば、規制のとりこという言葉がここに関係してくるのは、資源エネ庁は推進する側であります。そして、かつて経産省にあって、資源エネ庁側、経産省と規制委員会とを分離した、保安院と昔はいった。それは組織的にも分離しなければ、やはり原子力行政への信頼が得られまいということなんだと思います。

 一代目の委員長の田中俊一さんがおっしゃっていますが、今、電力不足だから審査を急げとか、そういうのはお門違いだと。私は、委員長としての見識だと思うんですね。資源エネ庁がやっているから聞かなきゃいけないと前のめる、そのことは、すごく国民的には原子力規制行政の信頼を失うと私は思います。

 是非、委員長が考えられる国会での論議、インタビューにも答えて言っていらっしゃいますから、それは委員長のイメージの中ではどんなものでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉等規制法を改正するということは決まっていないと認識しておりますけれども、法律を改正する場合には、国会で御審議いただくものと理解しております。

阿部(知)委員 そのとおりで、何かハイジャックみたいに、資源エネ庁の方が運転期間についてだけ炉規法の一部を持っていって、そこを決めるというものではないのですよ。これは、本当にここを間違うと国民の信頼は得られない。

 これは、実は、更田さんの言葉だったと思いますけれども、現在、十七基が再稼働申請を通っているけれども、動いているものは七基だと思うんですよね。そこにあるものは、地域住民との合意とかもろもろの、要するに、規制庁の技術だけではない、あるいは推進側の意向だけではない、全体として見てそれが運ぶかどうかという、それが原子力の、先ほどから、利用の在り方に関する政策なんですね、利用政策じゃないんです。ここを是非委員長には私は御理解いただきたいと思ってこの質問をさせていただいておりますが、いかがでしょう。利用政策と利用の在り方に関する政策、違いますか。

山中政府特別補佐人 私は、同じ意味として捉えております。

 もちろん、原子力利用というのは、入口の利用政策の議論と、我々が担当しております安全に関する規制と、出口であります利用者主体の判断、このいわゆる三つがセットで原子力利用というのは決まっておるものであるというふうに私自身は考えております。

阿部(知)委員 そうであれば、何度も繰り返しますが、資源エネ庁だけに聞いて決めたらいけないということですよ。前のめってはならない。

 もちろんこれから決める、えっ、聞いただけ。これはまた問題なんですね。本当にそうやって、一つ一つ、それが規制のとりこということなんです。聞いて、相手の意向に沿おうというふうに流れていってしまうことへの警鐘、これは、規制のとりこは、黒川さんも、今も続いていると。絶えず不断に私たちはそこをしっかり見直していかなきゃならないということですから、今委員長の答えられた、利用推進側と安全規制側と、それから、それを国民が受け止めた、この三者の中で成り立つという原点に是非立ち戻っていただきたいと思います。

 さらに、いわゆる、ここの最初のお示しした資料の中で、後段にあります中性子照射脆化、要するに、長く使うと中性子が炉を、ある意味で老朽化や、水を入れて冷やしたときに様々な問題があるということで四十年というふうに考えたということですが、これは今もそのようですか、委員長。

山中政府特別補佐人 既に私の答弁の中で発言させていただいていることではございますけれども、原子炉施設の設備あるいは機器の劣化に関しては、使用履歴あるいは保守管理の状況によって、設備、機器等の劣化というのは一様ではなくて、あらかじめ規制基準に適合できなくなる時期を科学的、技術的に定めるのはかなり困難である。

 その上で、原子力規制委員会としては、令和二年七月の見解にありますように、原子炉の運転期間を四十年とする定めは、あくまでも高経年化した原子炉の劣化を評価する、特定するという意味を持つタイミングであるというふうに考えているところでございます。

阿部(知)委員 単に検査のタイミングではなくて、これまで得られた知見等々から、四十年というのは、ある意味、科学的な検証も含めて言われているんだと思うんです。

 中性子の照射脆化というのは、実は、これは破壊、壊してみなければ本当は分からないので、その一部を試験片として取ってきて見ているだけで、そこの設計自身が四十年だと大体言われている、その試験片をどのくらい置いておくかとか、取っておくかとか。

 この間、委員長は、それは再生して使って、違うやり方をやれると言いますが、しかし、そもそも、安全性を高めるという方向ではそれはないと私は思います。苦しいからもう少し使えまいかというので、検査を増やそうということではないかと思いますが。

 私は、正直、この点についてはこの委員会で、これは委員長にお願いがありますが、様々な知見のある方からの御意見も聞いていただいて、安全規制に関わることですから、有識者もおられますし、先ほどの浅野さんの御意見はすごくいいと思います。ただ単にこういうやり取りだけで決まらない部分もあると思うので、是非、委員会として、法案の二本立てでした、四十年と中性子の照射脆化というのは。この点についても委員会でお取り上げをいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

鈴木委員長 理事会で協議いたします。

阿部(知)委員 あともう一つ、委員長に是非言っておきたいのは、これは更田委員長の折に、東京電力の柏崎で、テロ対策において幾度も幾度も不備が、不祥事が起きました。結果的には、東電の運転者としての資格があるんだろうかということで、現在、規制委員会として様々な追加検査をしておられますし、それから、この間、報道ベースですけれども、九電力事業者の四つが価格カルテルをしていたと公取から指摘がされていると報道があります。私は、これは本当に九電力の皆さんの信頼を失うことでありますし、それも含めて在り方なんですね。本当の意味でそこを、しっかりトータルを見ていただきたい。これはまた年が明けたら質疑をさせていただきます。

 そして、最後に、原子力規制委員会、これからお預かりいただくわけですから、陣容についてお尋ねをいたします。

 開いていただいて、最後の方の三枚がそうですが、これは委員長もほかの委員会でも御答弁でありますが、この度、原子力の規制庁の長官も次長も規制技監も、全て、全員、旧保安院の御出身になりました。これは、規制庁が発足当時は、例えば警察庁あるいは警視総監、それから環境省の方が次長であったりしたということでありますが、この十年の間で、結果的に見て、これは人材の適材適所ということかもしれませんけれども、全員が保安院の関係者である。

 これは、外から見たときに、委員長に、とりわけてやはり信頼性を損なうことのないような、要するに、規制委員会と経産省、特に保安院は分離して、保安院をやめて規制庁ができているわけですから、これからいろいろ委員長としてどういう点に気を配られて、信頼性が高められると思うか。

 それから、続けて恐縮ですが、なかなか規制庁の人員というものが定員を満たしておらない。委員長も御苦労されると思うんですけれども、今後の規制の充実や、あるいは廃炉のいろいろな技術の手当ても含めて、いろいろなことが要請されてまいります。

 特に、若い世代がなかなか、三枚目を開けていただきますと、二十代、三十代、四十代くらいまでで半分くらいで、高経年化、私も含めてしているんだと思いますが、若い人材をどう育てていくのか。私は、原子力工学を専攻する人が減ったからというのは、それは理由にならないと思っております。

 委員長の見識と、先ほどの前段の、みんな保安院の出身でありますから、どのように説明責任や、あるいは運営をしていかれるのか、この点についてお願いいたします。

山中政府特別補佐人 委員の御指摘の人事につきましては、ノーリターンルールの下で、規制庁発足以来、規制行政に携わってきた職員の中で選ばれたものと受け止めております。三人につきましては、適材適所、能力に応じて選考がされたものというふうに考えております。

 御懸念は、原子力規制委員会の独立性に対する影響に関するものというふうに理解しております。職員の出自によらず、引き続き、原子力規制委員会、原子力規制庁が組織理念に従って厳格に様々な判断を行っていくことに変わりはございませんし、現在も、職員にそうした理念が継続して共有されていると考えております。今後も、それを強く求めていくものでございます。

 引き続き、御指摘のとおり、原子力規制庁における職員の獲得が思うように進んでおらず、職員数が定員を下回っている状況が続いておるところでございます。

 これを解消するために、即戦力となるような経験者を積極的に採用することを今進めているところでございます。科学的、技術的知見の高い職員が継続的に働けるように、定年の延長、勤務を可能とするような特例制度も導入しております。

 また、職員の能力向上を図るために、任用資格制度も導入しております。これに対応した教育訓練も実施しているところでございます。

 若手職員に対するキャリアパスのイメージ提示など、将来の原子力規制に関わる人材の育成にも力を入れて取り組んでいるところです。

 私が所信で挙げさせていただいた三つの方針の中で、先生に御指摘をいただいた、やはり人材育成というのは極めて大切であると思っておりますし、引き続きこのような取組を進めていくことが、原子力規制人材の確保、育成に役に立つものというふうに考えております。

阿部(知)委員 山中委員長には、是非御尽力をいただきたいと思います。原子力規制という仕事が、とても重要で、魅力のあるものだということをお伝えもいただきたい。

 最後に、委員長、お願いがありますが、今、実は、大きな方針の転換かどうかが論じられていると思いますので、私は、国会事故調の皆さんの、いつもこの委員会が参考人としてヒアリングをしていただいていますので、またその機会も是非お願いしたいと思います。

 終わらせていただきます。

鈴木委員長 理事会で協議します。

 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党の田嶋要でございます。

 山中委員長、よろしくお願いします。

 先ほど、黒川委員長の「規制の虜」の話が出ました。あの御著書は委員長は読まれましたですか。

山中政府特別補佐人 読ませていただきました。

田嶋委員 ありがとうございます。更田委員長にも最初にこの質問をしまして、ぱらぱらと見ただけだと言われたので、その点、今、私、大変うれしく思っております。

 十年一昔でございますので、十年たった今こそ、ああいう初心に返って、ああいうお立場の方があの危機感の中で著された御著書を読む、そして読み返すことが改めて重要だろうというふうに思っております。今日はそういうことを振り返りながら質問させていただきます。

 最初に、質問通告していないんですけれども、委員長が交代する、前の更田委員長も最初から高い信頼を得ていたわけでは必ずしもないと思うんです。大事なことは、こういう場所での一回一回の答弁、言葉、それによって、なかなかいいじゃないかと評価を私は上げていったと。そういう意味では、この間のワールドカップの監督もだんだん評価が上がったということであります。結果を出す、言葉によってやはり結果を出していただく、そうしたことだというふうに思うんですね。

 委員長、ちょっといろいろ心配な声が広がっているのは御自身で感じられておりますか。いかがですか。

山中政府特別補佐人 様々な報道があるということは承知しておりますし、私自身、原子力規制の独立性、透明性、これについては厳正に進めてまいる所存でございます。

田嶋委員 本当によろしくお願いしたいと思います。今いろいろ心配があるといっても、田中委員長やあるいは更田委員長のときにもそれがなかったわけではありませんので、これからの一挙手一投足が私は大事だというふうに感じておりますので、よろしくお願いいたします。

 委員長が替わるたびに安全規制というのは変わり得ると考えていいんでしょうか。

山中政府特別補佐人 安全規制に対する基本的な考え方は、これは人が替わっても変わるものではないと考えております。

田嶋委員 恐らく、変わるのであれば、規制強化の方向性に新たな知見が出てきたことで変わる可能性は私はあると思いますが、今委員長がおっしゃっていただいたように、どの委員長であれ、私たちが国会の意思として確立させた、あるいは科学的知見に基づいて確立された安全というものは揺るぎないものでなければいけないし、変えるという行為そのものが、あるいは企てそのものが多くの国民に不安な気持ちを与える、まさにそれこそが規制のとりこに戻っていくんじゃないかというふうな感覚を覚えるということに関しては、委員長、十分御理解いただいているということでよろしいですね。

山中政府特別補佐人 規制のとりこにならぬよう、きっちりとした規制を、厳正な規制を、私ども職員一同努めてまいる所存です。

田嶋委員 続きで、少し常識みたいな話なので質問通告はないですが、押さえさせていただきたいんですが、動いている原発が動いていない原発より安全だという可能性というのはあるんですか。

山中政府特別補佐人 御質問の趣旨がいま一つ理解できませんが、少なくとも私どもが審査をしようとしております原子力発電所については、運転したいと申請が出てきたものについて科学的、技術的な知見から審査をしておるわけでございまして、基準に適合するかどうかの審査を規制の中で見る、あるいは合格したものについては検査の中で見ていく、そういう活動を続けております。

田嶋委員 もう一度お尋ねするのは、原発というのが動いていないときの方が動いているときより危険性が高いということはあるんでしょうかという質問です。

山中政府特別補佐人 運転しているときに起こる安全上の問題と、停止しているときに起こる安全上の問題、両者あろうかと思うんです。それを一義的に何か比較するというのは不可能であると思います。

田嶋委員 質問通告していなかったので、これはこれで終わりにさせていただきたいと思います。

 質問通告に基づいて質問させていただきますが、原則四十年ルールに関しまして、委員になられる前に、少し短い感じがするということをおっしゃいました。これはこういったお立場になられる前の発言かと思いますが、それに関して今はどのように考えておられますか。

山中政府特別補佐人 委員になる前の発言でございます。世界的な状況を鑑みて四十年というのは少し短い、そういう発言を委員になる前にさせていただきましたけれども、現在は委員長として、あるいは委員長になる前は委員として、運転期間に関しては政策的に判断をいただく事柄であって、原子力規制委員長あるいは規制委員として何か意見を申し述べる事柄ではないと判断しております。

田嶋委員 それで結構だと思いますが、言った言葉は同じ人間でございますので、それに基づいて若干の不安感もあるというのも事実だと思います。

 そのルールに関してでございますが、科学的根拠があるという声も、ないという声も聞こえてくるわけでございますが、委員長は改めてどのようにお考えですか。

山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、原子炉施設の施設、機器等の劣化に関しましては、それぞれの使用履歴あるいは保守管理の状況によって、その劣化の進展状況というのは一様ではございません。あらかじめ規制基準に適合できなくなる時期を定めておくということは科学的、技術的には困難であるというふうに考えております。

田嶋委員 科学的な根拠がない方向の御答弁だというふうに理解しますが、二〇一二年、震災の一年後ですね、六月五日、当時の細野国務大臣からの答弁で、なぜ四十年なのかということに関して、幾つかの根拠としての答弁がございます。先ほど来出ております照射の脆化に関することがございますし、それからもう一つとして、システム全体として様々な機器が四十年を目安としていろいろな問題が生じてくるというようなことを答弁されておりまして、これはもちろん政治的に国会で最終的に合意されたものであるのは間違いありませんが、全く科学的根拠がないということではないんだということを、是非、委員長、押さえていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問でございますが、先ほどの「規制の虜」の御著書の中にも出てきまして、以前、更田委員長に私が機会をいただいたときに質問させていただいた関係でございます。

 安全審査に関しまして、お配りした資料も御覧をいただきたいと思うんですが、一の資料でございます、更田さんが、もうお辞めになる直前ですかね、このようなことをいろいろ発言されておりますが、一つ今日私がお尋ねしたいのは、やり取りの透明性ということでございます。一番上のところに、真ん中辺、公開会合で事業者が黙ってしまうというような発言があるんですね。要するに意思疎通が十分じゃないんじゃないかと、規制庁、規制委員会が。そうすると、公開の場でやると黙ってしまう、こういうような発言があるんです。

 それに関連しまして、私が平成三十年五月の十七日に更田委員長にお尋ねした内容がございます。

 事業者と規制庁とのやり取りというのは二段階ございますね。最初の段階というのはファクトチェックを行う会合でございまして、年間二千回ほどあると聞いております。そして、第二段階がそのファクトチェックに基づいた審査会合ということでありまして。

 私の理解、当時の説明は、審査会合は今フルに情報公開されているということでありますが、どうもそうした情報公開は、国民の要請であっても、事業者からするとやりにくいというようなところがあるようでございます。議事の概要の公開にとどまっているのが最初に申し上げたファクトチェックのヒアリングの部分だというふうに理解しておりますが、当時の更田委員長は、技術的にそこの公開は難しいんだというようなことをおっしゃいました。私はそれに対して、それはそうじゃないということを申し上げて、その時点では終わったわけですが。

 昨今、コロナの中で、あらゆるものが動画に収められて、あらゆるものが見えるようになっているという時代の変化も踏まえると、私はもうそろそろ、二百回の審査は公開だけれども二千回のファクトチェックは公開は技術的に無理だ、こういう答弁は成り立たないというふうに思っておるんですね。新たに委員長になられた山中さんの下で、当然として国民に、世界が、全て透明性の高い形で、規制側と規制される側の規制のとりこが起きないように、その情報公開のレベルを格段に上げるということを委員長の下で実行していただきたいと思いますが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 御指摘いただきましたように、原子力の規制に当たっては透明性の確保というのは極めて重要である、こう私も十分認識をしているところでございます。規制に係る情報の開示に今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 御指摘のヒアリングにつきましては、申請内容の事実確認の場でございますけれども、これについても、透明性を高めるために様々な取組にトライしてみました。映像についても流せる技術はないかということでトライしてみたんですけれども、まずは、AIによる自動文字起こし、これを活用いたしまして、全文、いわゆるヒアリングの中身を逐語議事録として、作成、公開を可能な限り実施しております。

 また、ヒアリングの回数をできる限り少なくし、審査は公開の場で少なくとも実施するということで、審査の透明性を高める努力はしてきているところでございます。

 まだやはり技術的に全て映像でヒアリングを公開できるというところまで至っていないというのが実情でございます。

田嶋委員 私が提案しているのは、安全審査の透明性と同じレベルにその前段階であるファクトチェックの会合も引き上げるべきではないかと。それができないということですか。

山中政府特別補佐人 できる限りの努力をしておるところで、御指摘はごもっともだと考えております。できるだけ透明性を上げていきたいというふうに思っております。

田嶋委員 だから、できる限りやっていただいているのは多としますけれども、同じレベルに引き上げることは今でも技術的にできないというのが委員長の見解ですかという質問です。

山中政府特別補佐人 少なくとも、現時点で技術的に、全部映像に起こして、それにセキュリティーのチェックも全部かけてやるというのが技術的に非常に困難であるというのは事実でございます。

田嶋委員 それは安全審査についてはやれているということですね、第二ステージの。

山中政府特別補佐人 審査会合については、回数も少のうございますし、資料の開示については極めて注意深くやっておりますので、映像で流せているという状況にございます。

田嶋委員 二百回対二千回で回数が十倍になると技術的には無理だというような御答弁は、私は前回も納得はいたしておりませんが、委員長もそういうお考えであれば、今度、私も現地に行かせていただいて、是非話合いをさせてください。どういうふうにしたら、私もそんなITのプロじゃありませんけれども、プロに相談すれば、こんなことは簡単ですよとなるような気が私はいたしますので。いずれにしても、事業者が嫌がる環境というのを嫌がるからやめておきましょうでは絶対にいけないわけでありますので、国民の要請としての透明性は徹底的に高くするということを是非お願いしておきます。

 次の質問でございます。

 幹部三人がついに経産省に戻ってしまったということがかなり多くの方の懸念を私は招いていると思いますが、独立性を疑われているのも事実でありますよ、委員長。なぜ委員長のタイミングで、経産省もすごいことをするなと思うんですが、今まで警察庁や環境省がちゃんと入っていたポストにまで全部経産省ですよ。これはまさに昔の保安院に戻っているような感覚ですよね。だから、そういう疑念を招くようなことは私は慎むべきだと思いますが、そのために、幹部の外部人材の登用、公募制度、こういったこともこれから規制庁に関して私は考えるべきだと思いますが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 まず、原子力規制委員会は行政経験の乏しい専門家五人で構成されていることから、これを支える原子力規制庁の幹部には行政組織を運営する能力と経験が必要であると考えております。

 現在の三人の幹部につきましては、出身は経済産業省でございますけれども、これは私が委員長に就任する前に適材適所で選考されたものというふうに私自身は考えております。

 このため、基本的には庁内で経験を積んだ職員を幹部に登用するという方針ではございますけれども、現在のところ長官や次長を公募するということは考えておりませんが、課長や課長補佐の職位などで、現在、公募、中途採用を積極的に進めているところでございます、人材を更に育成することで幹部にするということはあり得ると考えております。

 人材の状況に応じて適切な対応を検討していきたいと考えておりますので、御理解いただければと思います。

田嶋委員 やはり一番国民が懸念するのは推進組織との距離感だというふうに思いますので、是非、引き続き、そうした選択肢を排除しない形でお願いしたいと思います。元々は環境省や警察庁から来ていたわけで、そういった方々に求められるのはいわゆる実務上のスキルというよりはマネジメント能力だというふうに思うんですね。そういう方々が経産省にしかいないということはあり得ないわけでありまして、是非、委員長としてしっかりとした御決断をお願いしたいというふうに思います。

 次の質問をさせていただきますが、配付資料の1ですね。更田前委員長が、ある意味では安全行政がないがしろにならないようにということで言葉の置き土産をしていったのではないのかなというふうに私には感じられるわけですが、原子力に関する正直な議論の重要性ということを強調されていますね。ということは、原子力行政には正直でない議論が横行しているということを暗におっしゃっているのかもしれません。正直が大事だよということですね。

 その中段に今政府が盛んに言っているいわゆる革新炉のような話がございますけれども、一つ技術的なことなので押さえさせていただきたいんですが、高温ガス炉の議論も、小型モジュール、SMRの議論も、どちらも全量のいわゆる核サイクル、再処理では成り立たないんだということを委員長ははっきりおっしゃっておるんです。私はここで初めてそういう事実も知ったわけでありますが、委員長の口からその点に関して、余りこれは新聞などでこの革新炉の話が出るときに指摘が言葉としては出てこない部分だと思うんですが、この点は委員長もこういう御認識ということで間違いございませんか。

山中政府特別補佐人 委員御指摘のとおり、原子力利用によって生じる放射性物質に関して、透明性を持って国民の間でしっかりと議論が継続して行われること、更田委員長が言われているいわゆる正直な議論というのは大切であると私も認識をしております。

 一方、原子力規制委員会は、放射性廃棄物の問題について必要な規制基準を整備して、審査、検査を通じて基準適合性を確認していくことが重要であるというふうに考えております。

 実際、公開の規制委員会の場で議論を重ねて、中深度処分、ウラン廃棄物の埋設あるいはクリアランスに関する規制基準の整備に取り組んできたところでございます。

 引き続き、原子力規制委員会としては、公開の場で議論し、国民に十分な透明性ある情報の提供をしてまいりたいというふうに考えております。

田嶋委員 ちょっと答弁がずれていると思うんですけれども。

 私は、単に技術的なところを押さえさせていただいて、わざわざ更田前委員長がこうおっしゃっている、高温ガス炉というのは硬い殻に覆われた燃料は再処理に向かず、直接処分が常識となると。それから、もうちょっと後に、SMRも再処理を想定せず、日本の政策と整合しないと。はっきり言ってくれているんですよ。裏面に私どもの政策も二で貼り付けさせていただきましたが、私たちは核燃料サイクル事業の中止に向けて関係団体との協議云々と書かせていただいているんですが、今革新的だといって盛り上がりつつあるこの二つはどちらもこうした再処理を想定するのは無理だということを更田委員長は当時おっしゃっているんですが、同じ考えですかという質問です。

山中政府特別補佐人 サイクル政策あるいは新型炉に対する利用政策に対して原子力規制委員会が意見を申し述べる立場にないというのは委員長としても同じだと考えておりますので、ここでは意見を申し述べさせていただくことは控えさせていただきたいと思います。

田嶋委員 だって、更田委員長はしゃべっているじゃないですか。学者としてしゃべってください。だって、技術的な確認ですよ、これは。

山中政府特別補佐人 私、原子力規制委員長として意見を申し述べられないとお話をさせていただきました。五年後、退任させていただいたときには何かそれに対して意見を述べるかもしれませんが、私自身、現在は何か意見を述べるということは差し控えさせていただきたいと思います。

田嶋委員 これは科学的な事実確認ですから、私なんかじゃ分からないですから。ずっと研究されている方なので、同じような知見を十分お持ちだと思うんですよ。だから、事実としてこれは間違っているんですか。更田前委員長のおっしゃっている、これは間違っているんですか。私はこれは大事なポイントだと思いますよ。なぜならば、今の政策は核サイクルに基づいているからね。どうなんですか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長として、発言は差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

鈴木委員長 御静粛にお願いします。

田嶋委員 こういう態度も含めて、国民が不安を募らせるか、この人はなかなかいいなと思うかは山中委員長次第ですから、それは。更田さんは、時間の経過とともに評価を上げた委員長でした。それは与野党を超えて恐らく一致していると思うんです。そういうふうになることを是非期待したいと思うんですが。

 最後に、もう時間がありませんが、この間、経済産業委員会で質問させていただき、その前に予算委員会で岡田さんも質問されたドライキャスクの保管ですね。

 この答弁はやはり苦しいと思うんですね。どっちも新規制基準を満たしているからいいんだじゃなくて、更田前委員長がドライキャスクの方がより安全だということを断言されているのに、より安全な方に方向づけていかないというのはおかしいと思うんですよ。

 だから、委員長が、規制の制度自体を変えることも含めて、使用済みのもので一定期間経過したものはきちんとドライキャスクに移すことを義務づけるところまでやるべきだ、それこそが安全性を目いっぱい高めていくということだと私は思いますよ。どうですか、そこはおかしくありませんか。

山中政府特別補佐人 使用済燃料の貯蔵につきましては、原子力規制委員会としては、最新の科学的な知見あるいはIAEA等の規制基準を参考にしつつ必要な基準を設定しております。当該基準に適合することを確認したものについて、乾式キャスクによるものか、あるいは使用済燃料プールによるものかにかかわらず、必要な安全性が確保されているものというふうに考えております。

 一方で、私としても、更田前委員長と同様、冷却の進んだ使用済燃料につきましては早く乾式キャスクに移すことが望ましいとは考えておりますけれども、事業者に対して、必要な安全性が確保されているにもかかわらず、特定の技術を義務化し、それ以上の技術を一律に禁止することまでは適当でないと考えております。

田嶋委員 そこはなかなか国民には伝わりにくいと思うんですよ。だって、必要な安全性は確保されている、どっちでもいいよと言いながら、片方で更田委員長がこっちの方が確実に安全だと言っているんですよ。劣った方でもいいですよと言ったら国民は最善を尽くしていないと思うじゃないですか、安全性に関して。国民は説得されませんって。

 分かりやすい議論だからこそ、委員長、決断していただいて。今は経産省が補助金をつけているだけ、それによってキャスクに傾斜配分していますよ。だけれども、もう一歩踏み込んで、国民のために、おっかないプールがそこら中に今あるわけですよ、その状況を変えましょうよ、みんなで決めればできるんだから。決断だけですよ。ここで上がりますから、評価が。委員長、世の中の不安感が今広がっていますから、委員長に対する中立性、独立性の。ここで決断していただければ評価を上げますから、やってくださいよ。お願いします。

山中政府特別補佐人 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓として、継続的な安全の向上というのは規制側も事業者側も進めなければならないことであると私自身認識しております。

 この継続的な安全性向上、これを事業者に対して求めるときに、自主的な安全性向上を阻害するような規制はあってはならないというふうに考えております。

 一定の安全基準を満たした使用済燃料プールにおける貯蔵というのが、キャスクに置き換えろというような義務化というのは、その自主的な安全性向上の活動を阻害するものであるというふうに考えておりますし、それを規制基準にすぐさま反映するというのはそのような活動を阻害するものであるというふうに私自身は考えております。

田嶋委員 何で自主的な取組を、更にそれ以上のものを強制的に求めちゃいけないんですか。まさにそこが大事なんじゃないですか。事業者の自主性に任せていたら十年かかっちゃったり、そういうことってあるでしょう。そこはそれじゃ駄目だということで可及的速やかに対策を取らなければ、国民の命に直結する話ですよ、これは。

 程度問題ですよ。だから、これはそんな、何兆円もかかる話はしていませんから。ドライキャスクに移すあれ、もう東海第二ではやっているわけでしょう。やりましょうよ。

山中政府特別補佐人 本件は、バックフィットに関わる考え方にも関係するものであろうと思います。やはり、それぞれの基準というのは安全の重要度に関係して規制がなされるものであろうと考えます。

 全てをバックフィットにかけるというような考え方というのは、先ほども述べましたけれども、事業者の安全に対する自主的な活動を阻害するものであると考えておりますので、使用済燃料を貯蔵するための乾式キャスクを基準で義務化するということは、当面、今のところ考えておりません。

鈴木委員長 申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いします。

田嶋委員 最後に当面とおっしゃっていただいたので、是非変える方向で。基準を変えればいいんですよ、基準を変えれば。どっちでも基準に収まっているからこういうことになっているんです。

 基準を変えて、今の状況は基準に届いていないという形にして、是非ドライキャスクへ動かすことをお願い申し上げまして、質問を終わりにします。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 山中委員長、初めまして。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、前回は東日本大震災復興特別委員でありました。そのこともあって、この八月には福島のフォーラムにも二日間行かせていただき、有識者の方の御意見や地元の方の御意見もお伺いをしてきました。

 その中で、例えばALPS処理水については、若手の経営者の方は、もう次の十年に向かいたいんだということで、やっていただきたいと言われる方もいれば、一次産業を担っておられる方で、数々いろいろ決める中に当事者の我々を入れないのはどうなんだというような気持ちもお聞きしてきました。やはり一つでも多くそういう声を聞いていくことが大事なんだなというふうに思っております。

 質問に入らせていただきたいんですが、冬の電力のことについて質問をさせていただく予定でしたが、先ほどお話がありましたので、ここは意見として。

 三%程度の電力があれば安心だということでありますが、本当にそれで安心なのかということを言われておりました。大雪で送電線が切れる、基本的にはそういったことはないと思いますが、そんな心配もされていたりとかですね。落雷や大風、そういったことで火力発電所が故障しないのかとか、そういった不安の声も聞かれました。全体で見て安全にするためには各発電所が故障しないようにメンテナンスをしっかりしていただくということが大事だと思いますし、送配電についてのトラブルがないように、また、近隣エリアから電力供給ができるような送配電の余力も考えていただきたいという声を聞いております。その辺りを対応していっていただけたらと思います。

 続きまして、二問目の質問なんですが、再稼働について質問させていただきたいと思います。

 その前に、我が党の、安全保障も含めて再稼働についてどのように考えているのかというのを我々は政策提言維新八策二〇二二に書いております。ナンバー百三なんですが、世界的なエネルギーの物価高騰やウクライナ危機等によるエネルギー安全保障の視点から、安全性が確認できた原子力発電所については可能な限り速やかに再稼働します、長期的には、エネルギー安全保障確保や脱炭素社会実現とのバランスの中で、既設原発で老朽化したものについては市場原理の下でフェードアウトさせるという、これが我々の方針であります。

 その中で、七基の再稼働についてのことをお聞きしたいと思います。八月のGX実行会議では再稼働の方針とのことですが、どのように進めていくかということです。これは、東京電力柏崎刈羽の問題があったりとか、あと、日本原子力発電の東海第二では周辺自治体の避難計画ができていないという、こういった様々な問題がある中でどのように速やかに再稼働について議論されていくかというところを、これは経産省の方にお伺いをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、原子力発電というものは、安定供給の確保、そして脱炭素、GXの推進の上で極めて重要な役割を担っていると認識してございます。

 ただ、その際に、原子力発電所につきましては、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重して、国が前面に立って、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の方針でございます。GX会議の下で七基の設置変更許可済みの再稼働を進めていくということを政府としては進めていくわけでございますが、その際には、御指摘のように、御地元の理解が大変重要になってまいります。

 そうなりますと、広域にわたる避難計画の策定など、地域の実情に応じた課題にしっかりと取り組むことが重要であるということ、そして、その際、国も前面に立って、原子力の意義、必要性等について丁寧な説明を行うということ、こうしたことを通じて、立地自治体など関係者の御理解、御協力を得られるよう粘り強い取組が必要だと考えておりまして、具体的に申し上げますと、例えば、国の職員による地域の理解活動や避難計画の策定、充実に向けた地域支援チーム、これは仮称でございますけれども、こういったチームを組成するなど、国も前面に立った取組をより深掘っていけないかという検討を現在進めているところでございまして、よりきめ細かい支援の展開を図っていきたいと考えてございます。

一谷委員 安全の説明というのもすごく重要なんですが、やはりこれは世代間の違いということもあると思いますので、世代世代に合わせた説明が必要ではないかということもありますし、あと、こういう問題を起こしてしまうと、より一層地域住民の方の理解を得るのが難しいということもありますので、これは気をつけていかなければならないことだと思います。

 では、次は、七基以外の再稼働についての御質問をさせていただきたいと思います。

 原発九基稼働は工事を急いできたというふうに思われるんですが、ここは質問通告が漏れておりましたら違う答えでもいいんですが、特定重大事故等対処施設、短縮して言うと特重施設ですかね、の建設が遅れているところもあり、五年の規制庁の猶予期間が終わり、どのようにして完成していないところも含めて再稼働していくのかというところと、先ほどもありました防災の、再度事故が起きたときに避難ができる、こういったことも重要になってくると思うんですが、島根なんかでしたら、逃げる道が一本しかないというふうにお聞きをしております。バスでは無理で、船が必要ではないかというような意見も聞いておるんですが、そういったことも含めて、どのようにしてその他の原発の稼働をしていくのかということを経産省の方にお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねがございました七基以外のところということでございますけれども、私ども、七基というのはまず設置変更許可が出ているものということでございますが、それに限らず、安全に関する規制庁の審査を受けた上で、地元の理解が得られているものについては再稼働をしっかりと進めていきたいというふうに考えてございます。

 その際に、今委員から御指摘いただきましたように、地域地域の御地元の方々の御懸念点、御理解を賜らなきゃいけないというものは、その原発の立地の状況によって様々でございます。

 多くございますのは避難のお話でございます。先ほども御答弁申し上げましたけれども、広域にわたる避難計画、そのときの手段、あらゆるものにつきまして、当該自治体の方々、隣接の方々、広域ですので県をまたいでという避難も出てまいります、そういったことを、地域の中での御検討が深まっていくように、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、国も一緒になって考えていく、広域の計画を作っていくことを支援していきたいと考えてございます。

 更に言うと、地域の町づくりとか将来に対する御不安ということもあろうかと思います。このような事情、御要望ということもしっかりと承りながら、必要な支援策等も含めて考えていきたいと考えてございます。

 あわせて、特重施設についてのお尋ねがございましたけれども、こちらは原子力規制委員会の下での規制に基づいた規律、内容でございますので、私どもの方でコメントする立場にはございませんけれども、安全に関する規制が、審査により、しっかり対応した上で、稼働できるものについては再稼働を進めていくというふうな考えでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 この特重施設については、私の通達の遅れもありましたのでまた次の機会に質問をさせていただけたらと思うんですが、有識者の方から、遅れていることについて、完成していないところはどのようにして対応していくんだという声をいただきました。

 それでは、次は、規制委員会の審査について御質問させていただきたいと思います。

 先ほどから非常に厳しい意見が出ておった規制のとりこについてなんですが、私の感覚では、これは取り払うことができたのではないかというふうな認識をしておったんですが、この委員会で大変厳しい意見が出ておったので、私の考えが甘いのかも分からないんですが。

 この十一年で、規制の独立性は最重要課題だということで規制委員会ができた。ただ、議論は公開されておりますし、議事録も公開できるということで、ちょっと言葉はあれですけれども、裏取引ができない状態になっているというのは非常に評価ができることではないかなというふうに私は考えております。今大変厳しい意見があったので、またそういったところも考えたいと思うんですが。

 しかし、独立性を確立するがゆえに、事業所との意見の流通にやはり時間がかかってしまうということがあって、なかなか速やかな意見交換ができていないのではないか、そこが再稼働に向けても全ての内容の壁になっているのではないかというふうに考えるんですが、規制庁の方の御意見をお伺いしたいと思います。

大島政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、原子力の利用に当たって安全が確保されることは大前提であり、安全の追求に妥協は許されません。審査は、その安全について判断を行うものであることから、現場で直接安全の確保に当たる事業者と十分な議論を行い、共通理解を得るべく双方が納得のいくまで議論することが不可欠であると考えてございます。疑問や曖昧な点を残したまま判断を下すようなことが決してあってはならないということでございます。

 その上で、審査プロセスの改善につきましては、現在審査を行っております電力会社経営層と原子力規制委員会との間で意見交換を行っていただき、令和四年九月七日の原子力規制委員会におきまして今後の審査の進め方について議論したところでございます。

 この議論の中で、審査プロセスの改善の工夫といたしまして、できる限り手戻りがなくなるようにしていきたいと。すなわち、今審査で時間がかかっているものというのは基本的には自然ハザードに関わるものでございまして、どうしてもそれぞれ一つ一つのサイトの調査というものが必要でございます。この調査に時間がかかるんですけれども、調査を待ってから審査をするのでは時間がかかりますので、どういう調査をするのかということについて、その対応方針をまず事業者に確認する、その後に調査に入っていただく、こういう形で、公開の審査会合を頻度高く、短時間でもやるという方針を貫いてございます。

 また、規制庁からの指摘事項というものにつきましても事業者に正確に理解をしていただくという必要がございますので、審査会合の最後に改めて指摘事項というのをこちらから発言して、事業者の方で異議がないか、不理解がないかということを確認した上で、また、必要に応じて文書化をするというようなことも行ってございます。

 いずれにいたしましても、審査を着実に進めていくためには双方の努力が必要でございますので、引き続き、安全の確保を最優先に審査プロセスの改善を図ってまいります。

 以上でございます。

長峯大臣政務官 ただいま委員御指摘いただきました規制委員会による安全審査が継続している発電所につきまして、経済産業省といたしましては、事業者に対しまして、先行審査の事例を事業者間で共有することや、事業者が規制委員会に対しまして説明しやすい順番を提案するなど、率直なコミュニケーションを取ることによりまして、的確に対応していくように指導しておるところでございます。

一谷委員 実効性のある規制というのがやはり大事だというふうに思っております。また、これは事業者側にも頑張っていただかないといけないというふうに思います。安全文化というんですかね。規制を強くしたからといっても安全が確保されるわけではなく、安全文化ということを根づかせていくということが非常に重要だと思います。

 こういった委員会の場では一議員としても立場をしっかり表明しておくことも大事だというふうに思うんですが、私は、原発の運転期間については、延長するしないにかかわらず、止まっている間は期間から除くということが必要ではないかなというふうに思います。天然ガスの高騰、入手が難しい、カーボンニュートラル、需要の逼迫も含めて、この十年、二十年に応えていくためには、寿命の取扱いについては合理的に考えていけばいいのではないかなというふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。産業界、事業者側での人材育成についての質問です。

 業界の人材不足、そして高齢化、女性の参画についてもあるんですが、まず大学自体で学生が来なくなっているのではないかという問題と、大学だけではなく、高校卒業や専門卒業の方も原子力という枠であれば必要になってくるのではないかなというふうに思うんですね。原子力というのは非常に裾野が広い。例えば、バルブを作る人もいたら、配管工事やモニターを設置する人も必要になってくる。その中で、幅広い中小企業のサプライチェーンがあって、今そのサプライチェーンが撤退していっている、そういった事業者がなくなっていっているというのも現実ではないかなというふうに思います。原子力が動き出せばこのサプライチェーンのつくり直しや立て直しをしていかなければならない、そういったことも含めて。

 もう一つは、原子炉運転に関して、九基は十年動いていないわけですから、オペレーションをする人がなかなか育っていないのではないか。ある原発に関しては、これから再稼働するときに半分ぐらいが初めて。もちろんシミュレーターでのシミュレーションはされていると思いますが、それはあくまでシミュレーションですので、初めて動かしていく、そうなってくると技術の継承というのも必要になってくる。

 そういったことも踏まえて、人材育成についてのお答えを担当の方からいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、震災以降、原子力の従事者というのは減少傾向にございます。現場の技術、人材の維持強化というのは極めて重要な課題であるというふうに認識してございます。

 現在、経済産業省におきましても、原子力施設のメンテナンス等を行う企業等を対象といたしました技能実習でございますとか、デジタル技術の活用による技能継承の取組、また、より多くの事業機会を確保するため、海外プロジェクトへの参画といった取組に対する支援を行っているところでございますし、また、こうした取組がより実効的なものとしていくために、審議会におきまして専門家の御意見をいただきながら検討を進めているところでございます。

 例えで申し上げますと、全国四百社ある原子力企業に対しましてニーズに応じた支援メニューを御紹介していく取組ですとか、大学、高専と現場の物づくりの連携強化を促していく取組ですとか、様々な支援策について御意見をいただいており、具体化をしていくべく検討しております。

 また、御指摘いただきましたように、オペレーションのところというのは非常に大きな課題だと思っております。原子力を実際に動かしている原子力事業者もいらっしゃれば、長年止まっている事業者もいらっしゃいます。電力業界全体として、この辺りの技能、オペレーションノウハウ、こういったものがしっかり共有していって、安全な運転が、効率的な運転ができるような取組になっていくように経済産業省としても支援してまいりたいと考えてございます。

一谷委員 ありがとうございます。団塊の世代の方が本当にどかっと退職する時期も近くに来ていると思いますので、サプライチェーンの再構築も含めて、ここは迅速に対応していかなければならないのではないかと思います。

 では、時間が迫ってまいりましたので、質問をいろいろ飛ばさせていただいて、最後、意見だけなんですが。

 例えば、ALPS処理水については、我々維新は維新八策の中のナンバー百二十五に記載をしております。福島県以外の県も併せて海洋放水を検討していきましょうということです。また、風評被害については根絶していくということが大事ですし、繰り返し中国、韓国語の、非難についてはしっかり国際的な発信をずっと続けていくということを粘り強くしていきたいと思います。

 私も委員になりましたので、しっかり勉強して、実のある質疑をここでさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はこれで質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 山中委員長、どうぞよろしくお願いいたします。いろいろな期待が寄せられていると思いますので、頑張っていただきたいと思いますけれども。

 私は、原子力規制庁で一番大事なことというのは、やはり中立性、独立性だと思います。そして、先ほど来もありました透明性もあるんですけれども、これは全部大事ですが、特に私が答弁の中で、今までの議事録を見ていて納得がいかないというのがノーリターンルールに関してなんですね。

 私も、先ほど一谷委員から、我が党は安全性が確認できたものについてはしっかりと再稼働するということが主張ではあるんですが、ただ、そうはいっても、やはり審査の中立性そして独立性というものは保たれなければいけないということは当然だというふうに思います。

 そういう中で、先ほども質問に立たれておりました田嶋要委員も再三質問されておりますけれども、ノーリターンルールについてなかなか満足のいく答えが返っていないなというふうに私も感じています。

 原子力規制庁設置法附則第六条の二というところでノーリターンルールが書いてありまして、原子力規制庁の職員については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、原子力規制庁の幹部職員のみならずそれ以外の職員についても、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないというふうになっているんですね。

 そこで、資料の一をちょっと御覧いただきたいんですけれども、これは、原子力規制庁のプロパーの職員さんを除いた形での概念図を私は作成をしました。

 そこで、経産省とか文科省から職員さんが規制庁の方に行って、そして、緑色で書いてある残留という方、ノーリターンという方もいらっしゃるわけですが、ただ、先ほどの附則の六条の二に書いてあるように、戻る方もいる、そこに制限がついているわけなんですけれども、この法律施行から五年以内、このルールに関して例外規定が設けられていましたが、それはもうなくなっているわけなんですね。

 そこで、ちょっと最初にお伺いしたいのは、まず、他省庁から規制庁に入ってきて戻った数、これは図でいうと1ですね、この人数がどれぐらいいるのか。

 そして、経産省にお伺いしたいのは、これは禁止されているので、もしあれば法律違反になる話ですが、リターンした職員の中で、原子力利用推進組織の方に戻った職員さんはいるのかどうかということが2。

 そして、三番目に、元の省庁じゃなくてほかの省庁に戻った方がどれぐらいいるのか。

 そして、これは直接ノーリターンルールとは関係ありませんが、参考までにお聞きをいたしたい。田嶋委員も尋ねられていて、なかなか十分な答えが返ってこないんですが、退職された方の中から原子力関連企業や団体に再就職している人がどれだけいるのか。

 この数字をお答えいただきたいと思います。

金子政府参考人 まず、お尋ねいただきました、原子力規制委員会設置法施行から五年を経過した後に経済産業省や文部科学省あるいはそれ以外の他省庁に転出した職員数は、原子力規制庁で採用したいわゆるプロパー職員のものも含んでおりますけれども、一時的な出向も含めて二百八十名ほどおります。

 このうち、ノーリターンルールが適用される、先ほどの推進に係る事務を所掌する行政組織に異動した職員はおりません。

 また、ノーリターンルールとは違う視点でございましたけれども、国家公務員法の規定に基づいて再就職情報の届出をしていただいた職員の中には、電気事業者や原子力設備のメーカーあるいは原子力関連団体に再就職した職員もおりますけれども、その数は、確認できている範囲で三名でございます。

小野委員 まず、一番安心というのは、当然のことですけれども、2番の原子力利用推進組織の方に戻った職員さんはいないということなんですけれども、ただ、この数をやはりしっかり把握をしていただく、そして、議員が質問したらちゃんと答えていただくということはやはり大事だと思います。もちろん、調べるのが大変だとかということはあるのかもしれませんが、ただ、田嶋委員もおっしゃっていたように、別に何万人の調査をするわけでもありませんし、これに関してはしっかりと確認をしていくということが必要だというふうに思うんですね。

 それで、質問を更にちょっとしたいんですけれども、これは経産省にお伺いしたいんですけれども、資料の二ですね。

 これは、リターンで、先ほど御答弁がありましたように、直接原子力利用推進組織に帰っている人はいないんですけれども、一旦それとは関係ない部署に帰ってから、相当の期間を定めて、原子力の利用政策を推進する組織にまた再び就いているというような方がいらっしゃるかどうか、そしてその人数はどれぐらいなのかというのを御答弁いただきたいと思います。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制庁設置法施行後五年以内に規制庁を離任した職員のうち、経済産業省の原子力推進に係る組織に配置した例は七例ありまして、このうち五名について、間に原子力以外のほかの事務を扱う職場を経て配置しているということでございます。

 法施行後五年を過ぎた者については、先ほどの答弁のとおり、ございません。

小野委員 もちろん、これは法令に違反しているわけではありません。

 そして、規制庁が出した文書がありまして、その中でも、やはりこれは留意をすべきだと。

 ここに書いてあるのは、その後の人事異動でも、相当の期間、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織に配置転換させないなど、関係機関において、附則第六条二項の趣旨を踏まえてその後の配置転換を行うことが必要であるというふうに書いてあって、一応、そこは配慮する必要があるというふうには書いてあるんです。

 ただ、やはりこれは今後の、これは山中委員長にも、一体そういう運用が行われている、つまり、一旦クッションを置いてそれで戻っている職員がいらっしゃるというようなことが、果たしてこれは、規制行政全体から見ても公正性を損なわれているのか、独立性がそれで阻害されていないかということをしっかり評価して、必要があればこれは見直しを図るということも必要でしょうし。

 ただ、私も分かりません。これは法令に違反している状態ではないので、それが果たしてどう評価すべきなのかということも分かりませんけれども、規制庁側のやはり独立性を守るという意味で、この制度が今のままでいいのかどうかというのはしっかりとウォッチをしていただきたいと思いますし、そういう意味では、先ほど経産省から答弁がありましたようなデータについてもしっかりと規制庁がこれをウォッチをして、その状況について評価をしていくということは必要だろうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 そこで、委員長にお尋ねをいたします。

 このノーリターンルールの重要性についてどう考えていらっしゃるのかということと、先ほど私が質問いたしましたような職員さんの動きがどうなっているのかについて、これをしっかり把握して、そして求められればしっかりそのデータを公開するということが大事ではないかと思いますが、その点についてお考えを伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 ノーリターンルールにつきましては、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から定められているものと承知しております。今後とも、関係省庁と協力して、同ルールを履行してまいる所存でございます。

 職員数につきましては、定期的に確認を行っておりますので、お問合せがあればお答えをさせていただきたいと思います。

小野委員 ありがとうございます。その姿勢は本当に大事だと思うんですね。

 例えば、私も行政で、県庁に行ったときに、職員の再就職状況というのを野党さんとかあるいはマスコミから物すごく厳しく問われます。そのときに、やはり正直に全部の数字を公開しました。地方行政の場では、そういうことも行っているんですね。それよりももっともっと独立性とか中立性が重要になっている規制委員会でそれはできないというのは、私は、やはり責任感の欠如があるんじゃないのかというふうに思います。

 原子力政策に関して、これは、進めようという立場と、やはりそれはちょっと抑制的にした方がいいんじゃないか、やめた方がいいんじゃないかという立場の方までいらっしゃいますが、そういう立場を超えて、とにかくやはり規制委員会自らが身を律して、自分たちが持っている情報については公開をするということは、これは大前提だというふうに思いますので、是非そのことを山中委員長に実践をしていただきたいというふうに思っております。

 それでは、また経産省に伺いたいというふうに思うんですけれども、そうやって、先ほどのように、元の経産省に規制庁から戻られる方はいらっしゃるわけですけれども、経産省の方に戻ったときの処遇について、これはどういう評価を基にして人事配置を行っていくのか、その考え方についてお聞かせください。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省においても、国家公務員法等に基づき、職員の個々の能力、実績等を踏まえた人事評価、任用を行っております。

 原子力規制庁に出向経験のある職員についても、ほかの職員と同様、対象となる評価期間中に職務上発揮した能力及び達成した業績を踏まえて勤務成績の評価を行っているところであります。

小野委員 一般的なお答えだと思うんですけれども、是非、経産省側に、利用側に都合のいいような仕事ぶりをしたということで評価されないようにするためにも、それはないと思うんですね、ただ、要するに、規制庁で働いていたときの仕事ぶりという評価はあるわけですから、それで真摯にやっていたかどうかということでやはり判断をするというのは大事だと思いますので。

 それは、もちろん、そういうことをやっていますよ、やっていませんよというのはこういう場で出ることはあり得ないと思いますけれども、でも、やはりそれは大事なことなので、しっかり、私は、別に政治家であっても公務員であっても、やはり自分自身が中立性を持ってちゃんとやらなければいけないことはそれを守るというのは非常に大事なことだと思っていますので、それを申し上げておきたいと思います。

 もう時間がなくなってしまいましたので、本当に、ちょっと全部の質問が行けないんですけれども、質問の順番をちょっと変えたいと思います。

 先ほど一谷委員からも特重施設の問題について指摘がありましたけれども、私も、この問題については、やはりもっともっと事業者の皆さんの実態に即したルールというものに変えていく必要があるということも、再三、更田委員長の時代からも質問してきたんですが、なかなか納得のいくような答えが得られておりません。

 現在は、特重施設の設置期限というのは本体施設工事の工事計画認可日から五年というふうになっていますけれども、結局、本体の設置工事の設計なんかが終わらないとなかなか特重施設のことについても入れないということで、結局、その五年間の期限のうち、特重施設の設計とかあるいは審査ということで大分食われているということがあります。

 そこで、お尋ねしたいと思うんですけれども、特重施設の許認可申請があった原子炉が今まで何件あって、そのうち、特重施設の設置期限を本体施設等の工事計画認可から五年以内に見直して以来、その期限までに施設を完成できなかった件数というのは何件あるか、お答えいただきたいと思います。

大島政府参考人 お答えを申し上げます。

 特定重大事故等対処施設の使用に当たって必要な許認可につきましては、設置変更許可、設計及び工事の計画の認可、使用前確認等の手続がございます。

 これらのいずれかの申請があった原子炉につきましては全部で十九基あり、このうち、経過措置期限までに特定重大事故等対処施設が完成、すなわち、使用前確認が終了し保安規定の変更の認可があった件数につきましては、十一基でございます。

小野委員 これを多いか少ないかと見るかですけれども、ただ、やはりこの制度自体で間に合っていないというようなことがあってですね。もちろん、いろいろ実態を聞くと、それが理由で止まったわけじゃないんだ、あるいは、でも、これは事業者側が結構工夫していて、定期検査に合わせてうまくそれを調整しているということも、事情もあるということもお聞きしました。ただ、私は、こういった実態をやはり規制委側でしっかりと見詰めていただいて、もっとよりよい制度にしていただくことはできると思うんですね。

 更田委員長時代に私が質問したときに、約束した改善が果たせないような事態は避けるべきというような答弁があったんですが、私は、これはやはり事業者さんを相当信頼していないような発言なんじゃないのかなと思うんですね。やはりみんな同じようにこの安全基準をしっかり守ろうということで努力しているんですが、しかし、今のルールではどうしても期限内に間に合わないというような事情があるわけですから。

 例えば、より現実的な、具体的な基準として、これは例えばですけれども、本体施設等の工事計画認可から一定期間、これは時間は決めればいいですけれども、その期限内に特重施設の工事計画認可申請を行って、その申請内容の工程に従って遅滞なく工事を完成させるというようなことで、もっともっと、安全性はちゃんと確保できる、そして約束もちゃんとやってもらえるというようなことで、しかも、途中で、この五年内というルールですと止まってしまうようなことが起こらないようにするという工夫をすべきではないかというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。

山中政府特別補佐人 御質問のございました特定重大事故等対処施設につきましては、その位置づけが信頼性向上のためのバックアップ施設でございます。その設置の有無が直ちに安全性に影響を与えるものではございませんが、当面、新規制基準施行後五年の経過措置を設けました。

 しかしながら、この経過措置では、事業者からの意見を聴取した上で、新規制基準適合性審査において、本体施設の詳細設計が固まった上でなければ審査することが困難であること、新規制基準適合性審査が当初の見込みより長期化していること等の事情を踏まえまして、その経過措置の起点を変更いたしました。本体施設の設計及び工事の計画の認可後五年に見直しを行いました。

 一方で、特定重大事故等対処施設を備えることによって、安全性が高まったりテロへの備えが強化されたり、重要な改善が進むことも事実でございます。

 この継続的な改善が欠けていたということは、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省の最大のものでございます。その約束した改善が果たせないという事態は避けるべきであると私は考えております。

小野委員 丁寧に御答弁いただきましたが、やはり事業者の努力をもっと真剣に受け止めて、そして規制する側も改善するという姿勢を是非持っていただきたいと思います。私はこれは何回でも質問しますので。行政も、規制側であろうとあるいは執行側であろうと、やはり今の実情に合わせて努力するということは必要だと思います。

 ちょっと規制庁の人材の育成については質問できませんでしたが、また今度やりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 山中委員長は、二〇二〇年七月に原子力規制委員会が決定した運転延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解ということについて、繰り返し言及をされております。

 そこで、伺います。

 今年四月七日の当委員会で、この見解と電力会社と原発産業界の団体、原子力エネルギー協議会、ATENAの要求との関係を私が尋ねたところ、当時の更田委員長はこう答弁されました。ATENAの要望をはねつける見解となっている、停止期間を四十年から除くべきではないかという主張を再三ATENAから求められたのに対して、私たちは、運転開始から四十年、時計の針は止めないという旨の見解を述べたものと。

 つまり、私たち、すなわち当時規制委員会メンバーだった山中委員長を含む合議の結果だと思うんですが、なぜ時計の針は止めないのか、その理由は何でしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 令和二年七月に見解を示しておりますけれども、コンクリート構造物等については長期運転停止期間中も劣化が進むことから、高経年化した原子炉の劣化については、その停止期間も含めた暦年で確認する必要があると考えております。

笠井委員 今言われた見解四項のところには、停止期間中もそうでない期間と同様に劣化が進展するとありますね。今うなずいていらっしゃいますが、要するに長期運転期間中に劣化が進展するということであります。

 そして、見解の五項にはこうあります。運転期間に長期停止期間を含めるべきか否かについて科学的、技術的に一意の結論を得ることは困難であり、劣化が進展していないとして除外できる特定の期間を定量的に決めることはできないと。定量的に決めることはできない。

 つまり、山中委員長、だから、長期停止期間というのはカウントをストップして時計を止めることはできない、丸ごと止めることはできないということでいいわけですね。

山中政府特別補佐人 御指摘いただきました見解の資料にございますように、運転期間に長期停止期間を含めるか否かについては科学的、技術的に一意の結論を得ることが困難であり、劣化が進展していないとして除外できる特定の期間を定量的に定めることはできないとしております。これは、現行の運転期間延長認可に対して、運転停止期間を運転期間から除外してはどうかとの事業者からの提案に対して、高経年化した原子炉の劣化状況の評価に当たっては停止期間を除外することはできないという趣旨で原子力規制委員会の見解を説明したものでございます。

 コンクリート構造物等については、先ほどもお話ししたように、原子炉の長期運転停止期間中も劣化が進展することから、高経年化した原子炉の劣化については、その停止期間も含めた暦年で確認する必要があると考えております。

笠井委員 だから時計は止められない、止めないということだということであります。

 運転期間延長というのは規制委員会が認可するもので、経産省エネ庁が認定するものではありません。原発運転期間について、更田委員長は、立法政策の場において決められるべきだということがあの見解の最大のメッセージだということで、明確に国会で答弁をされております。

 実際に、長期停止に伴うトラブルはあちこちで起きております。東京電力柏崎刈羽原発の七号機では、この十月末に福島第一原発事故後の運転停止以来十一年ぶりに試験運転をしたら、循環水系の海水を取り込む配管に直径六センチの穴が空いていることが判明いたしました。配管内部に傷がついて、腐食が進んで損傷したということでありますが、東京電力側は、十一年以上止まっている中で想定しにくかった、このように釈明をしております。

 そこで、山中委員長、去る十二月五日のNHKクローズアップ現代で、発足以来十年間規制委員会におられた更田前委員長がこう言われています。そもそも原発は、一旦動かして、長期間止めて、再び動かすことが建設や設計の段階で想定されているものではない、こうはっきり明言されているわけですが、だから時計の針を止めていいとはならずに、見解五に基づいて、先ほど委員長も言われましたが、劣化の進展については個々の施設ごとに機器等の種類に応じて評価を行う、そういうことになっているわけですね。

山中政府特別補佐人 高経年化した原子炉の安全性の評価につきましては、個々の原子力発電所について審査を行うものであると考えております。

笠井委員 そうしますと、運転から四十年以上たつ老朽原発である、例えば関西電力の美浜三号機でも、今年八月、水漏れや冷却系統のトラブルが相次いだわけでありまして、先ほど来の議論がありますが、中性子の脆化という問題がある。

 しかも、そもそも、福島の第一原発とか東海第二原発、それぞれ、設置許可の申請書、これを設置するというときの許可の申請書を見ますと、最小四十年間耐えるというふうに事業者は言っていて、それで設置許可がされているということでありますので、原則四十年というふうなことで、だから四十年ということもあるわけでありますが、前提に基づいてこの問題が議論されなきゃいけないというふうなことになると思うんですよ、そういう点からも。

 それに対して、議論を聞いていますと、結局、長期停止期間、これを含めて、延長を認めた後の話としてどうやるかみたいなことが先ほどから議論されて、委員長からも言われているんだけれども、今問題になっているのは延長を認めていいかということであって、その先の話をやるということは決まったことでもない。しかも、そんなことをどんどんやっていったら、原則がどんどんなし崩しにされながら福島第一原発事故の反省も教訓も投げ捨てるということで、安全神話そのものになっていくという重大な問題だということを言わなければならないと思います。

 そこで、二〇一四年の四月三日の当委員会で、私の質問に当時の田中規制委員長はこう言われました。大変厳しい規制要求をさせていただいている、シビアアクシデントが起こらないように幾つかの対策を求めている、ただ、そういうことを仮にやったとしても、これで絶対安全だと申し上げているわけではないと。原発に絶対安全はないということを認められているわけであります。

 同年七月十六日に、九州電力の川内原発一、二号機が新規制基準に適合しているとの審査書案がまとまった際の記者会見でも、当時の田中委員長はこう述べておられます。安全審査ではなくて基準の適合性を審査したということです、基準の適合性は見ていますけれども、安全だということは私は申し上げませんということを、いつも、国会でも何でも、何回も答えてきたと。

 更田規制委員長もその立場を踏襲されてきたわけですが、当然、山中委員長も同じ認識に立っているということでよろしいですね。

山中政府特別補佐人 田中元委員長、更田前委員長がおっしゃっておられました、原子力規制委員会は考えられる限りの安全対策を要求し安全の確保に努めても絶対の安全ということは申し上げられない、新規制基準への合致はリスクがゼロであるということを保証するものではないということを私も踏襲し、リスクは決してゼロにはならないという認識の下、残されたリスクを低減させる活動に規制当局と事業者の双方が継続的に取り組むことが重要であるというふうに考えております。

 こうした考えを原子力規制委員会の基本姿勢としており、今後もこれと同様に、原子力規制の継続的な改善に取り組んでまいりたいと考えております。

笠井委員 原子力規制庁に伺います。

 原子力事業者に対して行う業務についてですが、安全審査とは呼ばずに適合性審査と呼ぶ理由というのは何でしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力施設の審査におきましては、東京電力福島原子力発電所事故を踏まえて策定いたしました新規制基準への適合性を確認しているものであるため、原子力規制委員会としては、安全審査ではなく適合性審査という言葉を使っております。

 なお、一部、分かりやすさという観点から、ホームページ等で一般的な用語として安全審査という言葉を使っている場合もございます。

笠井委員 今言われましたけれども、私もペーパーとしていただきました、原子力規制庁からですが。

 我々原子力規制庁職員は、東京電力福島第一原子力発電所の最も大きな反省の一つ、安全神話に再び陥らないことを、常に念頭に置いて業務に取り組んでいます。このため、我々の規制活動が、原子力施設の安全性を保障するものとして理解されることがあるとすれば、大変遺憾です。こうしたことから、対外的な説明などの際に、安全という言葉の使い方に可能な限り配慮しているのは事実です。

 こういうことで間違いありませんか。

大島政府参考人 はい、今御指摘のとおりでございます。

笠井委員 規制業務というのは原発の安全性を保証するものではないということであります。

 ところが、今年十月五日の原子力規制委員会に呼ばれて、原発の運転期間を原則四十年とする原子炉等規制法を見直す検討について説明した経産省資源エネ庁の松山電力・ガス事業部長は、原子力規制委員会による安全審査ということで、安全審査ということを五回も連発して言われました。

 松山部長は、なぜ安全審査という言葉を使ったんでしょうか。規制委員会の審査を通れば原発の安全性は保証される、通れば原発は安全だという理解なんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今年の十月五日の原子力規制委員会におきましては、原子力利用政策の観点からの運転期間の在り方等の検討方針について説明を求められました。そこに私もお伺いいたしまして、経済産業省の審議会での検討状況を説明したわけでございますけれども。

 その際、私どもが今検討しておりますのはエネルギー政策、原子力発電所の利用政策でございます、すなわち長期運転する発電所についてどこまでこれを使い続けるかどうか、これもやはり基準を作って審査してということを念頭に置いた制度設計を考えているわけでございますが、このことが原子力規制委員会における安全性に関する審査とは違うものであるということを明確に申し上げなければなりません。同時に、この審査が必要であるということは大前提であるということは御理解いただかねばなりません。

 その意味で、両者のことを区別するために、原子力利用における安全の確保というものを所掌する原子力規制委員会が実施する審査につきましては、分かりやすく御理解いただけますように、区分いたしまして安全審査と呼んだものでございます。

笠井委員 安全性に関する審査と言って、安全審査と言っていること自体が、まさに安全神話そのものをも振りまいていることになるんですよ。

 なぜ、山中委員長は松山部長が何度も安全審査と言ったことを黙認したのでしょうか。なぜ、規制委員会の仕事は安全性の審査ではなくて基準に適合しているかの審査だということをその場で直ちにたしなめなかったんですか。

山中政府特別補佐人 安全審査という文言を原子力規制委員会は禁止しているわけではございませんし、資源エネルギー庁の職員がそれを使うことについて、特にたしなめることはいたしませんでした。

笠井委員 禁止しているわけじゃなくて、違います、我々がやっているのはということをはっきり言わなきゃいけないんですよ。正式な会議の場ですからね。分かりやすくとかいう話じゃない。

 十月五日の会議では原子力規制委員の一人も安全審査ということを発言されていますし、山中委員長自身も先月、十一月二十一日の日本記者クラブでの会見で安全審査と言われているんですよね、先頭になって言われている。

 先ほど規制庁の答弁にありましたが、規制活動が原子力施設の安全性を保証するものと理解されてしまうというのは大変遺憾なことではないんですか。

山中政府特別補佐人 私ども、一〇〇%原子力に安全はないという認識ではおりますので、言葉遣いにはできる限り注意をしているつもりでございます。

笠井委員 できるだけ注意していたって、委員長自身がそういうことを言われたり、それを黙認しちゃったら、そういう形で理解されてしまうという、大変な遺憾な事態が広がってしまうんですよ。

 東京電力福島第一原発事故後、国会事故調査報告書は、想定できたはずの事故がなぜ起こったのか、その根本的な原因は規制のとりこが生まれたことにあるとして、新しい規制組織の要件の第一に、高い独立性として、政府内の推進組織からの独立性などを挙げております。原子力規制委員会はこの提言に基づいて設置されたと。

 山中委員長、規制委員会の場で、エネ庁という推進の側から運転期間延長の認定は直接こちらでやりますということを言われて、それに対して意見を述べる、コメントする立場にないとして黙認をされること自体が、結局、結構ですとコメントしていることになってしまう。これまで更田委員長は、規制当局が安全神話の普及に再び手をかしてはならないという強い思いを繰り返し述べられてきました。自ら戒められてきたわけですね。こうした立場こそ、委員長としては貫くべきじゃないんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会としては、令和二年七月二十九日に、運転期間の定めについては、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないとの見解を決定しております。

 その上で、意見を述べないことをもって、規制のとりこ、すなわち原子力規制当局が規制される側の論理に取り込まれたことには当たらないと考えております。

笠井委員 今言われたこと自体が問題なんですよ。時の政権が、岸田首相のGX実行会議での号令一下、原発回帰に大転換しようとしている今ほど、福島事故の教訓から、推進から分離した規制の存在意義が問われているときはありません。原発回帰とともに推進と規制が一体の保安院に回帰することになれば、福島事故の反省と教訓を投げ捨てることになってしまう。

 国会事故調が求めた役割にふさわしい、本当に本来の役割発揮を規制委員会としてやることを強く求めて、今日の質問は終わります。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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