第2号 令和6年4月18日(木曜日)
令和六年四月十八日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 平 将明君
理事 泉田 裕彦君 理事 大西 英男君
理事 中村 裕之君 理事 武藤 容治君
理事 伴野 豊君 理事 山崎 誠君
理事 小野 泰輔君 理事 平林 晃君
畦元 将吾君 今村 雅弘君
上田 英俊君 江渡 聡徳君
大岡 敏孝君 木村 次郎君
小森 卓郎君 佐々木 紀君
鈴木 英敬君 鈴木 淳司君
土井 亨君 中根 一幸君
古川 康君 細田 健一君
宮澤 博行君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 阿部 知子君
逢坂 誠二君 菅 直人君
田嶋 要君 堤 かなめ君
野間 健君 阿部 弘樹君
空本 誠喜君 中野 洋昌君
笠井 亮君 浅野 哲君
…………………………………
内閣府副大臣 滝沢 求君
政府特別補佐人
(原子力規制委員会委員長) 山中 伸介君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 森下 泰君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 清浦 隆君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(原子力規制庁次長) 金子 修一君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房緊急事態対策監) 古金谷敏之君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房審議官) 児嶋 洋平君
政府参考人
(原子力規制庁原子力規制部長) 大島 俊之君
参考人
(東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長) 山口 裕之君
衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長 野崎 政栄君
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委員の異動
一月三十一日
辞任 補欠選任
西田 昭二君 小森 卓郎君
四月十八日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 鈴木 英敬君
古川 康君 宮路 拓馬君
野間 健君 堤 かなめ君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 英敬君 佐々木 紀君
宮路 拓馬君 古川 康君
堤 かなめ君 野間 健君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
原子力問題に関する件
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○平委員長 これより会議を開きます。
この際、御報告いたします。
第百九十三回国会、原子力問題調査特別委員会理事会の決定により、本委員会の活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。
本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。
以上、御報告申し上げます。
――――◇―――――
○平委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
原子力問題に関する件の調査のため、本会期中、アドバイザリー・ボード会員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○平委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。
この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。山中原子力規制委員会委員長。
○山中政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の山中伸介でございます。
原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ちまして、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。
まず、本年一月一日に発生をいたしました令和六年能登半島地震後の原子力規制委員会の対応について申し上げます。
原子力規制委員会は、地震発生後直ちに警戒本部を設置し、プラント情報の収集を行い、北陸電力志賀原子力発電所を始めとする原子力発電所において必要な安全機能が維持されていることを確認するとともに、記者会見やSNSを通じて情報発信を行いました。今回の地震により、北陸電力志賀原子力発電所における一部変圧器の故障、同発電所周辺の一部モニタリングポストにおいて測定結果を確認できない等の影響が生じましたが、放射性物質の漏えいなどはなく、発電所の安全確保に影響のある問題は生じませんでした。
原子力規制委員会としては、今後、今回の地震から原子力発電所に影響する新たな知見が得られた場合には、規制への取り入れの要否について適切に判断してまいります。
次に、原子力施設に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえて強化した規制基準への適合性審査については、これまで申請がなされた二十七基の発電用原子炉のうち十七基に対して設置変更許可を行いました。また、申請がなされた二十一の核燃料施設等のうち、これまでに核燃料物質の加工施設、使用済燃料の再処理施設等について十一件の事業変更許可を、試験研究炉等について二件の設置変更承認及び七件の設置変更許可を行いました。
発電用原子炉の運転期間延長については、これまでに申請がなされた八基のうち六基に対して認可を行いました。
原子力施設の廃止措置計画については、これまでに発電用原子炉に対して十八基の認可を、核燃料施設等に対して九件の認可を行いました。
昨年の通常国会で成立した原子炉等規制法の一部改正により創設された長期施設管理計画の認可制度については、昨年十月一日に本格施行に向けた手続が開始され、申請を受けた審査を開始しております。引き続き、同制度に基づく事業者からの認可申請に対する審査を厳正に進めてまいります。
また、平成二十九年に改正された原子炉等規制法に基づき、令和二年四月から原子力規制検査制度の運用を開始し、事業者のあらゆる安全活動について監視を行っています。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用事案及び核物質防護設備の機能一部喪失事案については、核物質防護に取り組む意識の醸成や多様な検知方式による生体認証の導入など、東京電力による改善措置の実施状況やその効果等について確認してまいりました。
昨年十二月、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護の不備が改善され、東京電力の自律的な改善が見込める状態であることが確認できたことから、原子力規制検査の対応区分を第四区分から第一区分に変更し、追加検査を終了いたしました。今後は基本検査の中で、自律的な改善活動が緩みなく、一過性のものとならずに行われているかを重点的に確認するなど、核物質防護への取組を監視、指導してまいります。
これ以外にも、原子力施設等で事故トラブルが発生した場合は、速やかな状況確認などを通じて、今後とも適切に対応してまいります。
また、規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、継続的に改善を図ってまいります。
以上のとおり、原子力施設等に関する規制が適切に実施できるよう取り組んでおるところでございます。
第三に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。
原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や汚染水対策の実施について、規制当局としての立場から、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、積極的な監視、指導を行うとともに、関係省庁と連携し、環境放射線モニタリングの実施とその結果の公表を行っております。
令和三年四月十三日に政府方針が決定された多核種除去設備等処理水、いわゆるALPS処理水の海洋放出については、昨年八月から海洋放出が開始され、これまでに四回の放出が行われておりますが、原子力規制委員会は、この放出が、検査を通じて認可した実施計画に沿って行われていることを確認しています。今後も、継続的に東京電力の活動を検査で確認するとともに、IAEAのレビューやモニタリングなどにより、透明性、信頼性の維持にも努めてまいります。
東京電力福島第一原子力発電所の事故調査については、放射性物質の移動メカニズム、溶融炉心の挙動等の調査、分析に関する検討内容について、科学的、技術的意見募集の結果も踏まえて、昨年三月に中間的な取りまとめを行いました。今後も調査、分析を行い、それにより得られた知見を規制に活用することも含め、取り組んでまいります。
第四に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。
原子力規制委員会では、本年一月に行った自治体との意見交換を踏まえて、原子力災害時の防護措置である屋内退避を最も効果的に運用するため、原子力施設が新規制基準に適合することが求められている状況を踏まえた屋内退避の実施や解除等の判断の在り方に関する検討を進めることとし、三月二十七日に原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームを設置いたしました。引き続き原子力災害対策の充実を図ってまいります。
環境放射線モニタリングについては、原子力規制事務所の体制整備及び関係道府県への技術的支援等により、緊急時モニタリング体制の充実を図ってきておりますが、能登半島地震を踏まえ、更なる信頼性の向上に取り組んでまいります。
また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を継続してIAEAより得ております。
以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。
原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力利用に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
訂正させていただきます。我が国の原子力利用に対するという発言をいたしましたけれども、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるようというふうに訂正をさせていただきます。
○平委員長 以上で説明は終わりました。
―――――――――――――
○平委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長山口裕之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官森下泰君、総務省大臣官房審議官西泉彰雄君、文部科学省大臣官房審議官清浦隆君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、原子力規制庁次長金子修一君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監古金谷敏之君、原子力規制庁長官官房審議官児嶋洋平君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○平委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。浅野哲君。
○浅野委員 おはようございます。国民民主党の浅野哲でございます。
本日は、他委員会との兼ね合いから、質疑の時間を皆様に御調整いただきましたことは、冒頭感謝を申し上げます。
それでは、早速質問に入ります。
本日、山中委員長の御発言の中にもありましたが、まずは、能登半島地震を受けた規制行政の現状について二、三伺っていきたいと思います。
まず、能登半島地震を受けまして、山中委員長は一月十日の記者会見で、北陸電力志賀原子力発電所二号機の新規制基準への適合性審査について、能登半島地震を考慮するため、数年単位で長期化する見通しを示されたと認識をしております。
四月十二日に行われた審査会合、つい先日行われましたけれども、敷地内の断層が動いた痕跡は確認されなかったという北陸電力側の説明をおおむね規制委員会が理解したというふうに伺っております。そして、その上で、今月中にも現地調査を行う方針が伝えられているんです。
まず伺いたいのは、断層が動いていないということを確認しに行くんだろうと思われますが、現地調査で主にどのような点を確認しようとしているのか、委員長の答弁を求めたいと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
北陸電力志賀原子力発電所二号炉におきましては、四月十二日の審査会合において、能登半島地震後の状況確認、審査内容への影響について審議を行いました。
審査会合においては、敷地内断層の活動性評価について、今回の地震を踏まえても、将来活動する可能性のある断層等ではないとした、これまでの評価に影響がないことはおおむね確認ができました。
お尋ねの原子力規制庁職員による現地調査は、この審査会合において北陸電力から説明がなされました、敷地内に認められた変状の原因、敷地内断層の活動性の評価に関する調査結果を現地で実際に確認することを目的とするものでございます。明日、四月十九日に実施する予定でございます。
引き続き、能登半島地震の知見も追加的に考慮して、厳正に審査を進めてまいる予定でございます。
○浅野委員 明日、現地に向かうということで、是非、厳正な審査のための現場確認というのは非常に大事だと思いますので、安全に十分注意して行っていただきたいというふうに思います。
今回、ちょっと更問いを一問だけさせていただきたいんですけれども、北陸電力による説明をおおむね理解をし、そして現地確認を行うということで、ある種、これが最終的な確認と言っていいものなのかどうかという点について、ちょっと一点、更問いとして確認させてください。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
志賀原子力発電所二号機の審査につきましては、現在、地震、津波関連の自然ハザードに関する審査を実施しているところでございます。特に、敷地内断層につきましては、北陸電力から報告がございましたように、活動性がないということを審査会合の中でこれまでも確認をしてきているところでございますけれども、敷地周辺の断層については、まだその活動性については結論の出ていないところでございまして、その辺の審査を現在も精力的に進めているところでございます。
○浅野委員 今、ちょっと伺いましたのは、今回の能登地震で動いていない、敷地内の断層の活動性について、従来から確認された内容が今回の地震で変わったところがないかどうか、これを現地で確認して、もし確認できたならば、やはりそこについてはこれまでどおりの結論のままということで、それを一つ結論づけてどんどん、今、周辺の断層についても言及がありましたけれども、ここで一つ一つ結論を出しながら規制行政というのを前に進めていただかないと、これまで再三にわたり議論しておりますが、規制行政の効率性、効率的な規制行政の推進というものを我々は求めてきている立場ですので、その点で確認をさせていただきました。
続いて、二問目に移りたいと思います。
先ほど、委員長の発言の冒頭、能登半島地震の部分の中でも言及がされておりましたけれども、今回の地震では多くの家屋が倒壊し、原子力災害対策指針が定める屋内退避の困難性、家屋が倒壊して道路が通れなくなったというような状況もありましたが、この課題が明らかになりました。
避難の判断に使う放射線量の実測値も、三十キロ圏で最大十八か所のモニタリングポストが測定できないという事象が発生したことも確認がされております。あと、船での避難も、断層活動による隆起で一部の港が使えなくなるなどの事態も発生した。こういったことを考えると、原子力災害対策指針の前提が崩れたのではないかという指摘も受けているところであります。
まず伺いたいんですが、今回の災害において、指針策定時の想定にない状況が発生したと規制委員会が認識しているかどうか、そして、今回の災害を受けて本指針の見直しに臨むことは考えているか、この二点について伺いたいと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
原子力災害対策指針は、地方自治体が地域防災計画を策定をし、又はその計画を実施する際に必要となる放射線防護に関する科学的、客観的判断を支援するため、原子力規制委員会において定めたものでございます。
原災指針では、住民等の被曝線量を合理的に達成できる限り低くするとともに、被曝を直接の要因としない健康等への被害をも抑えることが必要であるといった基本的な考え方を示しております。
つまり、その原災指針の基本的な考え方は、家屋の倒壊や道路の寸断が発生した状況においては、自然災害からの避難を優先した上で屋内退避を行うという複合災害時の基本的な対応に沿ったものであり、能登半島地震における家屋倒壊や道路寸断の状況は原災指針の想定の中に含まれていると言えます。
モニタリングポストについては、従来より自然災害を想定した通信の多重化等の取組を進めてきており、仮にその一部の測定結果を確認できない状態が生じても、可搬型モニタリングポストや航空機モニタリングといった代替措置により、空間線量率を測定することは可能であると考えています。このことから、能登半島地震の状況は原災指針の想定を超えるものではなかったと考えております。
○浅野委員 ありがとうございました。
想定を超えるものではないということで、指針の見直しの必要性も現段階では発生していないという認識を持たれているというふうに理解をいたしましたが、それでよろしかったですか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
御指摘いただきましたように、二月十四日の原子力規制委員会において、屋内退避、避難等を適切に組み合わせることによって、住民の被曝線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を直接の要因としない健康等への影響を抑えることができるという原災指針の基本的な考え方は引き続き有効であるとの認識は委員の間で一致して、原災指針の内容を能登半島地震の状況を踏まえて見直す必要はないという結論に至っております。
○浅野委員 ありがとうございます。
続いての質問です。先ほども少し触れました審査業務の効率化を含めた審査体制について伺いたいと思いますが、先日、三月二十五日にはCNOとの意見交換会が実施され、更なる審査効率化案について話題が出るなど、開かれた議論になってきているというふうに認識をしております。従来から、コミュニケーションの活性化、そして審査の効率性向上に向けた、規制側、そして事業者側、双方協力したコミュニケーションの活性化というものは私もずっと求めてきているところでありますが、引き続き、密なコミュニケーションを通じて審査業務の効率化に取り組んでいただきたいと思います。
一方で、今年の九月から規制委員会の委員交代が予定されていたり、また、脱炭素電源法に伴う新たな審査が始まっているというふうに認識をしております。審査体制の再構築が必要になっていくことも考えられます。体制の変更、あるいはこれらの法律の改正が既存の審査に影響を与えないようにしなければならないと思いますが、規制委員会としてどのように取り組んでいるのか、そして、いくのか、御答弁いただきたいと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
原子力の安全の追求に妥協は許されないというのが審査の大前提でございます。このため、審査では、規制側と事業者側の双方が納得するまで議論をすることが不可欠でございます。
その上で、審査プロセスの改善については、電力会社経営層との意見交換を踏まえまして、審査チームからの指摘が事業者に正確に理解されていることを確認する場を設けて、必要に応じて文書化を行う、事業者の地質等の調査方針や実施内容をあらかじめ確認し、早い段階から指摘を行う、高経年化した発電用原子炉施設の新たな規制制度の本格施行に向けて、既に確認した劣化評価の内容を活用して合理的な審査を行うなどの取組を進めているところでございます。
今後とも、審査プロセスの改善については、事業者との意見交換を行い、進めてまいりたいというふうに考えております。
また、体制面についても、今年度から新たに高経年化の審査を担当する管理職を設置するなど、強化に努めているところでございます。御指摘のございました委員の交代につきましても、審査内容が適切に引き継がれるように、次期委員が就任前に原子力発電所の現地視察を行うなどの取組を行う予定にしております。
こうした取組を進めることによりまして、引き続き、着実かつ厳正な審査を進めてまいる所存でございます。
○浅野委員 では、最後の質問になるかと思いますが、今度は経産省に伺いたいと思います。
来年は、エネルギー基本計画改定の年になります。次期NDC目標の達成や二〇五〇年カーボンニュートラル実現と安定供給を両立するためには、次世代革新炉の開発、建設というものが欠かせないと我々は考えておりますが、このことを踏まえて、第七次エネルギー基本計画の議論において、技術開発等における将来の不確実性や電源建設に係るリードタイムを踏まえた十年超の需給見通しなど、柔軟なシナリオ検討が必要と考えています。
一方で、イギリスやフランスでは、国が新規建設の基数や規模等の具体的方針を示した上で、ロードマップを打ち出しています。こうした取組が、メーカー側にとっての予見可能性の向上、研究者にとっての成果活用度の蓋然性向上などにもつながり、業界全体がそれに備えることができるような環境にもつながっているものと考えますが、こうした取組を参考にして今後のエネ基を検討していただきたいと思いますが、政府の見解を伺います。
○平委員長 資源エネルギー庁久米電力・ガス事業部長、時間が来ていますので、端的に答弁をお願いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国では、長きにわたる建設機会の喪失が東日本大震災以降続いておりまして、原子力人材、技術、サプライチェーンの維持強化が喫緊の課題となっております。
御指摘のとおり、イギリスやフランスでは、官民の役割を明確化したロードマップや不確実性を減少させるための具体的な取組を打ち出しているというふうに承知をしておりまして、こうした海外の取組も可能な限り参考にしながら、今後、原子力産業基盤の維持強化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
次期エネルギー基本計画につきましては、現時点では審議会での議論が開始されていないため、具体的な発言は控えさせていただきますけれども、世界のエネルギー情勢やイノベーションの状況などを踏まえ、十分な審議をしてまいりたいと考えております。
○浅野委員 終わります。
○平委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
昨日も、愛媛から高知にかけてのマグニチュード六の地震の報道があり、規制庁にあっても、伊方の三号機、モニターなどをなさっていると思います。引き続いて、よろしくお願いしたいと思います。
さて、私も、委員長が所信で触れられました能登半島地震について、先ほど、浅野委員とのやり取りでは、これまでの原子力の防災指針の想定を超えるものではないというお話でしたが、果たしてそうであろうかということでお尋ねをさせていただきたいと思います。
既に四月の十二日に、内閣府の第九回志賀地域原子力防災協議会作業部会というものが行われまして、そこで幾つかの報告がございます。これは、オンサイトではなくてオフサイトのものでありますが、三つくらい大きな出来事があって、多数の道路が寸断して、孤立地区が生まれて、放射線防護施設が損傷、破損しておった、こういう大きな三つの点でございます。
簡単にお示しするために資料をつけさせていただきましたが、資料の一枚目の上は新聞資料で、どこほどの孤立が生まれているか、全体では百五十人ということで、十四地区で百五十人超が最長十六日間の孤立、中にはビニールハウスで過ごされた方もいた。これは内閣府の報告にもございますので、それをまとめさせていただいて、私も現地に行きましたが、ここの写真にあるような道路の寸断、段差の著しい状態も実際に見てまいりました。
ここから山中委員長にお伺いしたいんですが、特に、原子力の防御施設の実際には使えない状態、破損を生じたり、あるいは圧がかけられなくて陽圧にならない施設というものが実は少なからずございました。ここには二十一個の原子力の放射線防護施設がございますが、うち六か所は実際には使えない。原子力防護をしてある施設ですから、一旦事あればそこに逃げる、屋内退避もするでしょう。そういうものが使えないところが六か所あったということでございます。
これは極めて深刻な事態でありまして、二枚目の、これも分かりやすいので新聞記事をおかりいたしましたが、志賀に五か所、七尾に一か所ということになってございます。各々の機能し得ない状態は右に書いてございます。天井が崩落したり、あるいはスプリンクラーが作動しなかったりというところでございます。
さて、実際にはどんな状況であったかというのを、これは、志賀町の総合武道館というところに私も行ってまいりました、写真を添えてございますが、窓ガラスが割れておりまして、また天井も破損しておりまして、この建物自身が使えなくなっております。これは、五キロ圏内、PAZのちょっと外、六・五キロのところにあるもので、ここは、もし何かあったらば、陽圧にしてそこに逃げ込めるという施設でございますが、陽圧にならない。入れないし、それから窓が割れれば陽圧にできないというような状況の一例でございます。
委員長は先ほど想定内の出来事であるというふうにおっしゃいましたが、こうやって放射線防護施設が実際には破損される事例が六か所、破損というよりは使えない、あるということは想定の中なのでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
先ほども御紹介させていただきましたけれども、原子力規制委員会で定めます原災指針、これは、住民等に対する放射線の重篤な確定的な影響を回避して、あるいは最小化するための防護措置、及び確率的な影響のリスクを低減するための防護措置を確実なものとすることを目的としております。
また、防護措置の基本的な考え方としては、被曝線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を直接要因としない健康等への影響も抑えることが必要であるとしております。
こうした考えに沿って、各地域の緊急時対応、これを立案していただいているところでございますけれども、家屋の倒壊が多数発生する場合、自然災害に対する避難行動を最優先で行った上で、地方自治体等が開設する指定避難所で避難すること、これを基本的な考え方として求めているところでございます。また、原子力の災害を含めた複合災害時には基本的な対応が既に示されていると認識しておりますし、また、防護施設等の一定程度の頑健性も考え方の中で示させていただいているところでございます。
このような原災指針の基本的な方針につきまして、今回の能登半島の地震の状況を踏まえて見直す必要はないと原子力規制委員会は考えております。
○阿部(知)委員 頑健性とは何でしょうか。地震があって壊れれば頑健ではありません。津波が来た、あるいは土砂が崩れた、そういうことも本当は、その施設は安全性を担保されたものでないと放射線の防護も利かない。だって、入れないんですから。
私は、今委員長は、額面上はというか、書いたものの上ではそうかもしれないけれども、よく現実を見ていただきたいのでお示ししたいと思いますが、例えば、特別養護老人ホームはまなす園というものがございます。これはPAZ内、資料の四枚目でございます。
ここには、特別養護老人ホームですので、定員が百五十人くらいで、うち入所者が百人。ただ、これは令和二年十一月のデータでございます。この施設は一旦事あれば、例えば、あの福島の地震でもありました、飯舘の中の特養は避難をいたしませんでした、避難に伴う負荷の方が大きいから。しかし、そこは、あの経験を踏まえれば、放射線の防護施設でなければそこにいることもできない。ところが、ここは壊れて陽圧にできない状態であります。
じゃ、委員長、想定内とおっしゃるならば、ここにいる百人を、そうした事態が考え得るんだから、移動はどうするか。そこに逃げられない場合のこの百人の移動はどうするかは誰が計画し、実際に計画されていたのかどうか。それは規制庁の役割ではないとおっしゃるかもしれませんが、そもそも放射線の防護施設が壊れてしまったんですから、規制庁の原災指針は機能していないわけです。
ここで、全国の避難所、多く特養がございます、そこを守らなきゃいけないから。だけれども、陽圧にできない、あるいはスプリンクラーが回らない、水も来ない、いろいろなことがあるから、そういうときに、ここの、特養ですから要介護四とか五ですね、この方たちを逃がせる想定なんでしょうか、運べる想定をしておられるんでしょうか、私は非現実的だと思うんです。
ここがこういうふうに破損されているというか、利かないということはあらかじめチェックしておかないとまた同じような事態が起こると思いますが、それでも想定内でしょうか。委員長、お願いします。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
原子力規制委員会が定めました原災指針の考え方に基づきまして、放射線防護施設が自然災害などで被災をした場合には、近傍の同様の施設において安全に屋内退避を行うという考え方でやっております。
そして、はまなす園についてでございますけれども、志賀町の地域原子力計画に基づきまして施設の避難計画は既に策定しております。それから、入所者の方の移動についてでございますけれども、これも石川県志賀町とこれまで相談をしておりまして、定員百人の方の容体に応じて移動できる車両を既に確保しておるところでございます。
以上です。
○阿部(知)委員 原子力災害が起こりませんでしたから、実際には避難されなかったんですよね、計画はあっても。ところが、もし本当に放射能の事故が起きて、これだけ道路が寸断されていて、その計画は計画どおりいくだろうかということをお尋ねをしているわけです。
開いて五枚目の資料、ここの機能しなかった三つの、一、二、三というPAZ内の施設からほかの志賀町のどこかに逃げるとおっしゃいますが、ここはどれほど道路が寸断されていたか御存じですか。地震があって、プラス原子力事故が起きる可能性ですね、これは複合災害ですよ。でも、逃げられないですよ、移動できないですよ。だから、それは机上の空論で、あえて申せば、やはり防御体制をもっとしっかりしていただきたい、せっかくやっているんだから、作っているんだから。
今だって私は、各地にある原発の事故は大変不安です。こんな計画倒れでは、だって、あれだけ道路が寸断されて、一枚目の内閣府の資料を見ればお分かりだと思います。各地で孤立が起きていて、下には、道路はもうめためたなんです。逃げられません。
改めて、委員長、お願いがあります。各地で特養がそういう先になっているところが多いわけです。あるいは小学校、ここでもありましたが、建物が損壊されて入れません。そういうところは、本当に、外に移すんだったって、外が健全だったらいいですよ、道路も何もかも。でも、そうじゃないんです。
よくよく放射線の防護施設としてしっかりとワークするようにしていただきたいが、そういう見直しを、これは事務方でも結構です、全国一体、三十キロ圏内にこういう防護施設があって、その中で総点検されたんでしょうか。特養とか、防護施設の防護が利いているかどうかの点検はどうなっておりましょう。お願いします。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
まず、これまで自治体とともに緊急時対応を取りまとめてきた地域は九つございますけれども、そこについてはこれまで、そこを含めてですけれども、五キロ圏、それから、念のため、五キロから十キロ圏にある要支援者の方が入られる施設について、これまで約三百ほど整備を進めてきております。
今回の能登の地震による、先生が御指摘の放射線防護施設の被災状況の調査結果につきましては、石川県の能登地域だけではなくて、各地域ごとに自治体と一緒に地域協議会、作業部会という枠組みを設けておりますので、そこにフィードバックをいたしまして、必要な対策を自治体とともに検討していきたいと思っております。
以上です。
○阿部(知)委員 今の御答弁は、つまるところこれからだということですよ。放射線防護施設は三百十八施設が取りまとめられていると。でも、本当に点検してください、陽圧にならない施設じゃ困りますから。その点検は、規制委員会も関係するかもしれない、自治体の仕事だと思いますが、志賀は、実は緊急時の避難の取りまとめが行われている九地域の外のものでありました。
今回、また取りまとめが行われようとしていますが、既に行われたところでも私には不安が残ります、点検されていないんじゃないか、だって、スプリンクラーが利かないなんと急に言われても困るんですよ。
くれぐれも、委員長、点検をして、各自治体の情報も収集していただきたい。いかがですか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
委員が御指摘をいただきましたように、自然災害等に対する対応というのと十分に連携をいたしまして、原子力複合災害に対する対応というのを考えてまいりたいというふうに思っております。
自然災害に対する避難行動、これを最優先で行っていただくというのが基本的な考え方でございますし、その際、被曝のリスクが高まる場合もございます。しかしながら、そのような場合にあっても、緊急時対応においては、近隣の避難所で屋内退避する、あるいは、それができなければUPZ外に避難をするなど、できる限り可能な措置を取るということが計画されているものと承知しております。
このようなことから、被曝を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を要因としない健康への被害も抑えるということを減災指針の基本的な考えとしております。この点については、基本的に有効であるというふうに考えております。
被曝をゼロにするということは、新たな安全神話につながりかねません。現実問題として、リスクゼロはあり得ないということは念頭に置きつつ、その上で、人と環境を守るという原子力規制委員会の理念に基づき、私どもの果たすべき役割を確実に果たしてまいりたいというふうに考えております。
○阿部(知)委員 委員長がそういう意図でおっしゃったのではないと思いながら、被曝をゼロにするということは新たな原子力神話を生む、違うと思います。不要な被曝は避けなきゃいけないし、ここで起きた事故による被曝は避けなきゃいけないんです。
じゃ、その地域の人に、あなたはここから五キロ、三十キロにいるから、これくらいのリスクの被曝はもうのみ込んでねとおっしゃっているように聞こえます。それでは原子力規制委員会の意味がないんです、人と環境を被曝から守るんですから。そういう意味でおっしゃったんではないと思いたいですし、御指摘をしておきます。
もう一つあるんです。実は、十一キロのところに志賀の町役場はありました。外側は地震で大分がたがたしていて、ここの町役場も放射線防護がしていないんです。
さて、町役場で職員は、一旦事あれば、放射線の、ヨウ素剤を配らなきゃいけない、あるいは、いろいろな避難情報を集めなきゃいけない、だけれども、そこにはいられない、もし被曝が広がったら。こうやって、大事な緊急時の住民のとりでですよ。そういう市役所、町役場すら、放射線防護がされていないところが大変多いと思います。五キロから十キロ圏しか放射線防護をしないんだという、今の、平成二十四年からの取決めでありますが、でも、実際に事が起きれば、そこはセンターになるんです、自治体の。こういう状況について、私はもっと真剣に、そこが機能するようにするにはどうすればいいかということを考えていただきたい。
大体、三十キロ圏内で見ると、三十施設やってあるんだということを原局から、担当から伺いました。でも、もっと役場はいっぱいあると思います。これもしっかりと自治体と話して、必要ならば、町役場、村役場、市役所も、避難のヘッドコントロールになるところですよ。そこが誰もいなくなっちゃったらワークしない。このことについても、委員長、点検してやっていただけますか。いかがでしょう。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘ありました、行政が活動する災害時の拠点のところの放射線防護でございますけれども、これまで内閣府の方で、原発からおおむね十キロ、委員がおっしゃったとおりですけれども、所在する地方公共団体が対策を実施する拠点につきましては、自治体からの申請に基づいて、放射線防護化の支援を行ってきたところでございます。
これまでPAZ圏の九つは緊急時対応をまとめておりますけれども、原発が動いておりますところを含めまして、PAZ圏につきましては、既に町役場とか、役場の放射線防護化は行っております。また、UPZに位置するところにございましても、先ほど申し上げました、自治体から申請があれば対応してきております。
委員おっしゃったとおり、この行政拠点の放射線の防護化というのは、災害対応のときに非常に大事だと思っておりますので、今後とも、支援の対象となる施設について、自治体から要望があれば、しっかりと対応していきたいと思っております。
○阿部(知)委員 この志賀原発は十一キロでした。五から十キロ圏内ではないのです。でも、十キロと十一キロの差というのはありますか。本当に真剣に住民を守ろうと思うなら、言ってくるまで待つんじゃなくて、それを積極的に進めるのが内閣府の防災担当の役割なんです。
私は、すごく想定が甘いし、結果的に何もなかっただけです、でも、あったら本当にどうなったろうかと思いますので、是非、今の指摘、今まで五から十なんですよ、三十キロ圏内でもいいです、それは果てしなくはいかないでしょう、でも、UPZ内なんですから、しっかり考えて安全性を図っていただきたい。
山中委員長、次に、オフサイトセンターについても伺いますが、委員長の所信だと、オフサイトセンターは十八か所測れなかったけれども、代替措置で測ったからよろしいとありました。これは、結果的に事故がなかったからそう言えるのであって、本来、モニタリングポストはワークしてくれなきゃ困るわけです。
じゃ、なぜ十八か所もワークしなかったか。これについては、北海道の胆振地震でもワークしなかったですよね。そこにあったって、そして、もしかして壊れていなくたって、そこの情報がしかるべきところに送られなかったら、住民避難もできません。
私は、このモニタリングポストの件も、委員長が冒頭で言われた、何も事故がなかったからよいというものではない、それこそ安全神話なんだと思います。なぜここはワークしなかったんですか、原局でも担当でもいいです。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
今回の能登半島地震によって、石川県及び富山県に設置をされておりましたモニタリングポストの一部で測定ができない状態となりました。発電所から十五キロ圏内のモニタリングポストについては、全て継続的に稼働し続けておりました。また、一時的に確認ができなくなっていた箇所につきましても、可搬型ポストの設置を進めるとともに、必要とあれば、ドローンを含めた航空機モニタリングを行うことができるよう、準備を整えていたところでございます。
こうしたことから、今回の災害において、モニタリングポストの一部の測定結果を確認できない事態が生じたといたしましても、必要な空間線量率の測定を行うとともに、原子力規制委員会として避難等の判断を行うことは可能であったと考えております。
なお、原子力規制委員会としては、御指摘いただきました平成三十年の北海道胆振東部地震を踏まえまして、非常用電源の確保及びデータ伝送の強靱化を促してきたところでございますけれども、それを受けて、各都道府県がそれぞれの実情に応じて対策を進めてきておられるということと承知しております。
また、原子力規制委員会としては、新たな通信技術の開発、導入といった通信の信頼性向上、市販型のドローンに搭載可能な小型の放射線計測器の開発、導入などの測定手段の多様化も含めまして、様々な手段を進めているところでございます。モニタリング体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 お手元の資料の六ページを見ていただくと、測れなかったところが赤い印になっています。
委員長、いろいろな、ドローンとかほかの方法を使うのもいいんです。でも、元々ここにポストを置いたんですから、ここがワークするにはどうすればいいか、そこの情報が送れるようにするにはどうすればよいか、そっちが第一です。それがどうしてもできなければ、第二、第三と。
それから、学術会議は、SPEEDIなどをもう一度活用すべきだという意見もあります。モニタリングは物すごく重要です。私は、すごく簡単に、今委員長がほかの代替手段をおっしゃったので、ちょっとそれは違うだろうと思います。
さて、最後に、質問できないので一言申し添えますが、オフサイトセンターの機能も、やはりそこには内閣府からお一人専門官が入っていくということですが、本来、何かあったときの充実体制は必要と思いますので、引き続いてお尋ねをさせていただきます。
ありがとうございます。
○平委員長 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)委員 立憲民主党の山崎誠でございます。
質問の貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、東京電力から山口副社長にもお越しをいただいておりますので、早速ですが、質問させていただきます。
東京電力福島第一原発の廃炉作業、皆さん本当に大変な苦労をされている。本当にそうした御苦労には敬意を表するところなのでありますけれども、残念ながら、汚染水処理の関係の作業でトラブルが発生をしております。
昨年、二〇二三年十月には、多核種除去設備、ALPSの配管を清掃していたときに、高濃度の汚染廃液が飛び散って、作業員の男性のお二人が体に浴びて、入院するという事故が起きました。その話もいろいろお聞きをしていますけれども、例えば、作業員の方がかっぱを着ていないとか、あるいは、汚水を流すホースがちゃんと固定されていなかった、固定する方法が明確になっていなかった、そして、その現場を管理する班長が不在だったとか、私は、やはり作業としては全くお粗末だというふうに感じております。
また、今年の二月には、高温焼却炉建屋から汚染水が漏えいをするという事故が起きました。汚染水を浄化する装置の排気口がある、その弁が十六か所中十か所も開いていて、そのまま配管の洗浄作業をしたために、排気口から汚染水が外部に漏れてしまったということです。弁の開閉についても、担当者への連絡がうまくいっていなくて、開いたままで作業が進むということであります。
私は、作業のこうしたヒューマンエラーというんでしょうか、これは許すことができない大事故につながる危険のある事象だというふうに認識をしているんですけれども、東京電力に今日来ていただきましたので、お聞きします。
こうした事故が頻発することをどう受け止めているのか、事故の原因についてどういうふうに分析をされ、再発防止に取り組んでいるのか、お尋ねします。
○山口参考人 東京電力ホールディングスの山口でございます。
当社福島第一原子力発電所の事故によりまして、今もなお地域の皆様それから広く社会の皆様に多大なる御心配、御負担をおかけしておりますこと、心よりおわびを申し上げます。
お答え申し上げます。
先生からもございましたけれども、昨年十月の事案につきましては、福島第一原子力発電所におきまして、増設ALPSの建屋内の配管洗浄作業中に、洗浄した水が協力作業員の方、二名の方に飛散をいたしまして、身体汚染を発生したということでございます。
当社といたしましては、この事案の原因は、防護装備などの安全管理が不十分であったということと考えまして、全ての現場作業について安全管理体制の確認を実施するなど、再発防止対策を進めてございます。
また、本年二月の事案につきましては、セシウム吸着装置、サリーの弁の点検作業におきまして、本来閉めておくべき弁を開けた状態で作業を行った結果、建屋の排気の配管から汚染水を含む水を漏えいさせたということでございます。
この事案の原因は、本来確認すべき、これも先生からもございましたが、弁の開閉状態の見落とし等によるものと考えまして、高濃度の液体放射性物質を取り扱う作業では当社の運転部門が安全措置を一元的に実施するということにしてございまして、新たな再発防止対策とさせていただいてございます。
それぞれの事案に対しては、当社として再発防止対策を進めているということに加えまして、さらに、今般の対策が一過性のものにならないようということで、水平展開をしつつ、継続的に対応を徹底し、廃炉作業における安全対策に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
山中規制委員長にもお尋ねします。
安全を守るとりでであります責任者として、こうした事故が多発すること、これをどういうふうに受け止めていらっしゃるか、どういうふうに責任を感じていらっしゃるか、お聞きします。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
昨年十月に発生しました身体汚染の事案につきましては、保安検査において、業務の計画段階で十分なリスク抽出が行われておらず、作業計画での安全対策の検討が不十分であったこと、東京電力が、作業開始に際し、現場体制の確認を十分に実施していなかったことなどが発生の原因と考えております。それを踏まえた再発防止策が講じられることを確認しております。
その保安検査の結果を受けまして、二月の二十一日の原子力規制委員会におきまして、軽微な実施計画違反に該当すると判断をいたしましたが、当該作業で扱っております物質の放射能濃度を考えますと、従業員に対する放射線安全について重大な違反になるおそれがあったものと認識しております。
当該洗浄作業における再発防止策の確実な実施、同様の作業への水平展開、東京電力社員の意識改善への取組等について、引き続き保安検査の中で確認をしてまいる所存でございます。
また、御指摘いただきました、二月七日にございました高温焼却炉建屋、HTIからの汚染水が漏えいした事案につきましては、当該作業の計画や管理に関して実施計画上の違反に当たる可能性が高いと考えております。詳細な発生経緯や要因は、現在、保安検査の中で確認しているところでございます。
いずれにいたしましても、東京電力には、福島第一原子力発電所で今回発生いたしました二事案の再発防止に緊張感を持って取り組むことを求めるとともに、原子力規制委員会としては、東京電力の取組を引き続き厳正に監視、指導してまいる所存でございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
福島の方々からは、厳しい声が上がっていますよ。二月十九日の規制委の監視・評価検討会ですか、外部の専門家として参加されていた大熊町商工会長ですかね、蜂須賀さんの声は、東電は県民、町民に失望を与えたと認識してもらいたい、東電の社長はよく言う、覚悟を持って毎日挑戦すると、覚悟のカの字も本気のホの字も見えない、海洋放出で世界各国から監視の目があるのに残念だと。それから、双葉町の復興推進協議会理事長の田中さんは、昨年十月に事故があり、熱も冷めないうちに漏えい事故があった、余りにも事故が頻繁に起きる、東電の力が問いただされているということであります。
私は、率直なこういう感想をやはり真摯に受け止めていただいて、これはALPS処理水の海洋放出ともつながる一連のプロセスで起きているということは非常に重要だと思うんです。信頼が揺らいでいる、あるいは、このALPS処理水の海洋放出の安全が本当に保たれているのか、それに今疑問が投げかけられているのがこの事故だというふうに思います。
こういう声に対してどういうふうに受け止めているか、副社長、どうぞ。
○山口参考人 お答えを申し上げます。
地域の皆様からの声に対しましては、非常に重く受け止めてございます。その上で、福島第一原子力発電所の廃炉を安全かつ着実に進めるためには、その一環でございますALPS処理水の処分を、安全性の確保を大前提に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
ALPS処理水の海洋放出は、人為的なミスを防止するための設計上の工夫に加えまして、設備点検や放出する処理水が規制基準を満たすことの確認等のプロセスを経た上で実施するなど、重層的な対策を取ってございまして、引き続き、安全確保に努めるとともに、最大限の緊張感を持って取り組んでまいりたいと思います。
○山崎(誠)委員 是非、こういう声が上がっているということをもう一回職場、現場に徹底していただきたいというふうに思います。
そうしたさなか、今、柏崎刈羽原発の再稼働を進めようとしている。地元の合意の前に核燃料の装荷を進めるというこれまで前例にないやり方をしている。これは新聞記事を資料でもつけました。事実上の運転禁止の命令が出ていました、核防護の不備で。それが昨年の十二月に解除された。先ほど活動状況にも、委員長から報告があったとおりだと認識しています。
この柏崎刈羽原発の運転禁止の解除の決定と汚染水にまつわる処理の事故多発というのは、私はつながっているんじゃないかなと。元はヒューマンエラーですよ。私は、今現在これだけ、汚染水の漏えいは今年の二月に起きたんですよ、そう考えたら、柏崎刈羽原発の再稼働は、核物質防護の違反がまた起こる可能性というのは払拭し切れていないのではないかと思うんですよ。これを切り離して考えるのは正しくない。一連の作業のこのエラーは、私は正しくつなぎ合わせて分析をし直さなければいけないと思います。
実質的な運転禁止命令を昨年十二月に解除されましたけれども、時期尚早じゃないですか。規制委員長にお尋ねします。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護につきましては、追加検査、同発電所への現地調査、社長との意見交換を通じまして、今後は東京電力の自律的改善が見込める状態であることが確認できたことから、原子力規制委員会は、二〇二三年、昨年十二月二十七日に、同発電所に対する原子力規制検査の対応区分を第四区分から第一区分に変更いたしました。
人的なミスや設備のトラブルをゼロにすることはできませんけれども、個別のミスやトラブルに対しては、安全への影響の度合いや事業者の原因究明、再発防止への取組姿勢など、それぞれの状況に応じて必要な規制上の対応を行うこととしております。
いずれにいたしましても、原子力規制委員会としては、東京電力の取組を引き続き厳正に監視、指導してまいる所存でございます。
○山崎(誠)委員 これは、十二月に禁止を解除して、この新たな漏えいが起きたのは今年の二月ですよ。時間的におかしくないですか。十二月に解除したときに、これで監視区分、検査の区分を落としても大丈夫だというその後に何でこれだけのトラブルを起こしているんだと私は思いますよ。それもヒューマンエラーで、極めて私はずさんな管理だと思います。これでどうして柏崎刈羽の安全が担保できるのか、私には到底理解できないです。
この時間的な関係はどうですか、規制委員長。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
二月に起こりました東京電力福島第一原子力発電所におけます汚染水の漏えい事象につきましては、まだ保安検査の結果が出ておりませんので、トラブルの程度をお話しすることはできませんけれども、引き続き、規制委員会としては、東京電力の取組を厳正に監視、指導していく所存でございますし、柏崎刈羽の原子力発電所の規制検査についても厳正に進めてまいる所存でございます。
○山崎(誠)委員 私は、是非これはやはりつなげて、一体の東京電力の現場のお話でありますから、厳しく受け止めて、この柏崎刈羽の再稼働についても再度検討をお願いをしたいと思います。
ここで東電の関係のお話は終わりますので、副社長、どうぞ退席して結構です。
○平委員長 それでは、山口副社長、御退席していただいて結構でございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございました。
それでは、次の話題なんですが、使用済核燃料の再処理施設についてお聞きをしてまいります。
六ケ所村の六ケ所再処理工場ですけれども、一九九三年に着工して三十一年を迎えようとして、まだ運転が開始されていません。これまで竣工を二十六回も延期をしてきました。今期の上期の早期に運転開始と言っていますけれども、検査も難航していて、全くその運転のめどが立っていないというふうに私は認識をしております。
そもそも、何でこんなに時間がかかっているのか。核燃料の再処理という技術には決定的な問題があるのではないか。再処理工場の完成にこんなに時間がかかっている理由、困難性について、経産省に見解を求めます。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
六ケ所再処理工場は、核燃料サイクル政策の中核でありまして、その竣工、操業は最重要課題でございます。
これまでの竣工延期のうち、直近六回は新規制基準への適合性審査の対応が原因であるというふうに承知をしておりますけれども、二〇二二年十二月には、第一回の設計及び工事計画の認可を取得し、主要な安全対策工事も進捗するなど、二四年度上期のできるだけ早期という竣工目標に向け、プロセスが進捗しているというふうに承知しております。
お尋ねの件でございますけれども、再処理工場の設備数が膨大な中、審査に時間がかかっているという面があろうかと思います。日本原燃は、審査を効率的に進めるべく、特性の似た設備をまとめて評価する類型化の工夫や、技術的な課題を明確にして効率的に解決するためのプロジェクトマネジャーの配置など、審査対応の体制を強化しているというふうにも承知をしております。
○山崎(誠)委員 これは、当初は四年で運転開始という話だったんですよ。それが三十一年、最近は検査で延びているのかもしれませんけれども。
私は、ガラス固化だとか極めて難しい課題を抱えている設備で、特に、ガラス固化のプロセスなどはまだ完成していないというふうにも見ております。というのは、この後、時間があれば御質問したかったんですけれども、規制庁、規制委員会の検査も何も行われていないんですよ、このプロセスについて。検査の要領も定まっていない。私は、こうした元々難しく、手を出してはいけない技術を抱え込んでいるのが六ケ所村じゃないかと。
現存するこの使用済核燃料を安全に処分を考えるならば、実現も難しくて、大きなリスクをはらむ再処理からは撤退をして、直接処分、そういう決断をするべきときじゃないでしょうかね。これだけ時間がかかってまだ成功しない。これは、運転を本当に今年の上期にスタートできるんですか。規制庁の方と議論していますけれども、とてもとても検査は間に合わないと言いますよ。私は方針転換をすべきだと強く申し述べて、次に行きます。
私がこの再処理は早く撤退した方がいいと思っている大きな理由は、再処理の工場の事故のリスクです。規制委員長、事故のリスクをどういうふうに想定して、その事故でどういうふうに放射性物質の放出というのを予想されていますか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
再処理施設は、運転時の実用炉、実用発電用原子炉施設のように高温高圧になるような施設ではございません。
その上で、再処理施設の重大事故としては、臨界事故、冷却機能喪失による蒸発乾固、水素爆発等を想定することを事業者に対して要求しているところでございます。
再処理施設における重大事故は、同種の事故が複数箇所で同時に発生する可能性がある一方、事故対応の時間余裕が比較的大きく、事故対応時における大容量電源への依存度が低いといった特徴がございます。
新規制基準への適合性審査においては、再処理施設では、このような特徴を踏まえまして、事業者が、可搬型設備を用いた対処等、適切な重大事故対策を講じる方針としていることを確認しているところでございます。
これらの対策を講じることによって、仮に再処理施設で重大事故が発生した場合でも、放射性物質の放出が、基準であるセシウム換算で、東京電力福島第一原子力発電所事故の百分の一に相当する百テラベクレルに対して、十分低くなることを確認しているところでございます。
○山崎(誠)委員 事故のリスクは小さいという評価が私は非常に心配なんです。
冷却機能喪失による蒸発乾固というお話がありましたが、蒸発乾固でとどまるというのはよろしいんですか。というのは、蒸発乾固の以降に溶融が起きて、揮発が起きて、化学爆発が起こる、そこまでの事象を想定してこのリスクを測らなければいけないんじゃないですか。なぜ蒸発乾固で止まるということでよしとしているのか、教えてください。
IAEAの定義でも、貯槽の破裂というのが蒸発乾固の次に書いてある。もっと言えば、こうした事故は、これは昔の話ではありますけれども、ウラルの核惨事と呼ばれている大事故があった、高レベルの廃液の化学爆発によって大量の放射性物質が放出されて、汚染が広がりました。これは今言った化学爆発です。
また、ドイツでも、このリスクについて調査をしています、レポートがあります。ここでも、大規模な爆発そして放射能の大量放出が想定され、風向きによっては死者が実に三千万人という恐るべき報告書が出ているんですよ。蒸発乾固でとどめると、こうした事象は全部無視されてしまう。
規制委員長、蒸発乾固以降の大惨事のリスクはどうして評価しないのか、あるいは評価をするとどうなるか、教えてください。
○山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、重大事故としては、臨界事故、冷却機能の喪失事故ですね、蒸発乾固、水素爆発、これら等を考慮しているところでございますけれども、これらが複数箇所で同時に発生する可能性についても評価した上で、実用発電施設の重大事故の有効性評価において、放射性物質の放出量はおおむね数テラベクレルとされているところ、日本原燃の再処理施設の評価の中では、放出は最大でも〇・〇〇二テラベクレル、千分の一程度になるというふうにされております。
○山崎(誠)委員 全然質問に答えてくれていない。
蒸発乾固以降に起こる事象についてはどうして評価をしないんですか。溶融、揮発、化学爆発ですよ。そこまでのプロセスは何で評価しないでいいんですか。
○山中政府特別補佐人 現在、手元に詳細な評価のスキームを持ち合わせておりませんのでお答えをすることはできませんけれども、様々な条件を考えた上で重大事故を想定しておりますので、その上で、実用炉に比べて重大事故での放射性物質の放出はかなり低く抑えられているというふうに評価をしております。
○山崎(誠)委員 私は、規制委員会、日本原燃が出している資料を見て御質問をしていますよ。日本原燃の資料は、蒸発乾固で止まっているんです。規制委員長が説明したとおりですよ。その先のことは一切書かれていないんです。なぜ書かれていないかも分からないんですよ。私は、これは大問題なので、是非引き続き、答弁できますか。
これは、答弁に納得がいきませんので、理事会で協議をいただいて、しかるべき見解を理事会、委員会に報告をいただきたいと思いますので、協議をお願いします。
○平委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。
○山崎(誠)委員 終わります。
○平委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部弘樹でございます。
まず最初に、GX戦略における原子力発電、脱炭素社会の実現に向けた電力供給体制の確立、もちろん、安全確保を大前提とした原子力の推進、原子力の活用、廃炉の推進ということは大切なことでございますが、昨年、グリーントランスフォーメーションの法律が成立したと思いますが、その意義と原子力発電についての概要をお願いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
将来にわたってエネルギー安定供給の責任を果たしつつ脱炭素社会を実現していくことは極めて重要な課題でございます。原子力は、再エネとともに脱炭素電源として重要であり、安定供給の観点からも、安全性の確保を大前提に活用を進めてまいります。
こうした認識の下、昨年七月に閣議決定したGX推進戦略におきまして、原子力の活用に当たっては、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓をいっときも忘れず、安全性を最優先とすることを大前提に、原子力発電所の再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の開発、建設、核燃料サイクルの推進、廃炉や最終処分の実現などに取り組む方針をお示ししてございます。
○阿部(弘)委員 ドバイで開催されましたCOP28、従前のCOP3、京都メカニズムでは除外されていた、原子力の気候変動に対する解決策については触れられていなかったわけですが、今度は、COP28では原子力三倍宣言。アメリカもこれに大いに賛成しておるところでございます。
当然、経済発展のためには、電力需要は、増加というのは統計学的にも非常に必要な部門であるというふうに考えておるわけでございます。石油の価格は、今は地政学リスク、これは中東情勢やあるいはウクライナ、ロシアの情勢などを含めて、上がっておりますが、それよりも増して需給バランスの影響が非常に大きいということで、石油価格が上昇、高値をつけているということでございます。
日本は、これから、宣言どおりなら六百基以上の原子力発電所がアメリカを中心に必要となってくる、もちろん、大型原子炉ではなく小型原子炉などが必要になってきますが、野心的な戦略、そういったものについて政府としてどのようにお考えかをお聞きしたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のCOP28における原子力三倍宣言は、世界全体でのカーボンニュートラル達成に当たっての原子力の重要な役割を踏まえ、各国の国内事情の相違を認識しつつ、二〇五〇年までに、二〇二〇年比で世界全体の原子力発電容量を三倍にするという目標に向けた協力方針などが打ち出されたものと承知してございます。
我が国としては、世界全体での原子力発電容量の増加に貢献するという観点から、本宣言に賛同しているものであります。具体的には、原子力利用を検討する第三国への革新炉の導入支援や、同志国と連携したサプライチェーン強靱化などの取組を通じて貢献してまいりたいと考えております。
○阿部(弘)委員 福島原発事故以来、何か日本は萎縮してしまって、原子炉の輸出については余り積極的ではなかったような気がいたします。いろいろな資料を見ますと、原子炉自身の輸出ではなく、様々な得意分野でのパーツの輸出が重立ったものであると。日本は様々な知見、技術がありますので、原子炉全体を造る技術も、もちろん、それぞれの分野で活躍する技術もあるわけでございます。この円安の時期だからこそ、日本の信頼されるべき技術が安く輸出できるわけでございます。
政府を挙げて、この原発輸出に力を注ぐ戦略というものをしっかり持つべきではないですか。改めてお聞きします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
経済成長に伴いまして更に電力需要が拡大すると予測されますアジアなどにおきまして、各国の事情に応じた多様な道筋を通じて着実に脱炭素を進めることが重要という状況にあると認識してございます。
そうした中で、原子力の利用を検討する国に対しては、原子力国際機関、IAEA等とも協力しながら、新たな技術導入に向けた制度整備や人材育成への支援、こういったものを行っております。さらに、原子力サプライヤーの海外建設プロジェクトへの参画支援として、設備の改修支援やミッション派遣、海外品質規格の勉強会の開催等といったことを引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
今後とも、米国などの同志国やIAEA等と連携しながら、東南アジアを含む第三国における原子力導入の取組に協力してまいりたいと考えております。
○阿部(弘)委員 原子力を含むゼロエミッションの低排出技術は加速しておるところでございます。日本の技術に多くの信頼を寄せるASEAN諸国、あるいは世界のこのCOP28で原子力三倍宣言をした国々は、非常に日本の技術に着目しているわけでございます、期待しておるわけでございます。
是非ともその期待に応えられるように、なおかつ戦略的に進出できるように、今までは日本が尻込みして、なかなか、他国にその建設を譲るようなことが起きていたと私は拝見しておりますので、是非とも政府を挙げてお願いしたいということでございます。海外輸出、これは本当に日本の貿易収支にとっても非常に重要なところでありますので、是非ともよろしくお願いしたいと思うところでございます。
さて、次の質問に移ります。
私は、能登半島あるいは福井県に実際に行って、見てまいりました。能登半島の地震というのは大変大きな地震でございまして、その災害たるや、大きなものがあったと思います。
改めて、原子力規制委員長から御説明がありましたが、能登半島での地震の原子力施設への影響というものはいかがだったでしょうか。地震の影響ですね。
○古金谷政府参考人 お答えいたします。
本年一月に発生いたしました能登半島地震による志賀原子力発電所への影響でございますけれども、使用済燃料プールからの溢水があったり、あるいは変圧器の故障、それに伴う外部電源の一部喪失といったような事象が生じましたけれども、電源の確保ができている、それから使用済燃料の冷却は維持されていたということで必要な安全機能は維持されているということで、特に安全上の影響、問題は生じておりません。
また、隣接の福井県の「ふげん」、「もんじゅ」を含む各原子力施設におきましても、この地震による影響というものはございませんでした。
○阿部(弘)委員 福井県の話も出ましたが、私は原子力機構を視察してまいりました。何事もなかったということで、安心、安堵したところでございます。
ここで、「もんじゅ」の廃止についての経過というのは、さきの委員でも御質問がありましたが、その経過についてはいかがでございましょうか。
○清浦政府参考人 お答えします。
原子力機構の高速増殖炉「もんじゅ」の廃止措置につきましては、おおむね三十年間で完了させる計画であり、四つの段階に区分の上、取組を進め、令和四年度に第一段階の燃料体取り出し期間を終了し、昨年度から第二段階の解体準備期間に移行したところです。現在、第二段階として、遮蔽体等の取り出しや水・水蒸気系等発電設備の解体撤去の作業を実施するとともに、英国へのナトリウム搬出に向けた準備等を進めているところです。
文科省といたしましては、安全を最優先に、「もんじゅ」の廃止措置が着実かつ計画的に進むよう、引き続き政府一体となってしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○阿部(弘)委員 その「もんじゅ」の廃止作業の様々な実験段階も見てまいりまして、本当に日本人、日本の技術者というのは大いに頑張っているなという印象を受けたところでございます。
将来の核燃料サイクルについて、今後の新しい取組というのは何かお考えがあるでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
核燃料サイクルの取組におきまして、ただいま御質問がありました「もんじゅ」の後の高速炉開発につきまして、高速炉につきましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、資源の有効利用といった核燃料サイクルの効果を更に高めるものというふうに考えてございます。
高速炉の開発については、二〇二二年十二月の原子力関係閣僚会議で改定された戦略ロードマップに基づき取り組んでいるところでございまして、具体的には、昨年度より高速炉の実証炉開発事業を開始したところであります。基本的な仕様である炉概念としてはナトリウム冷却タンク型炉、設計等を担当する中核企業として三菱重工業を選定し、昨年九月から研究開発と概念設計を進めております。
今後とも、高速炉の実用化に向けて取組を着実に進めてまいります。
○阿部(弘)委員 核燃料サイクルについても引き続き行っていただくということでございます。
次に、新しい研究炉についてお伺いしたいと思っております。
さきに原子力発電所の輸出ということで大いに戦略的に頑張っていただきたいというところをお話ししましたが、大型原子炉ではなかなか、電力需要がないところでは需要がないということで、アメリカでは、大型原子炉が途中で中止になったところもあります。小型の実験炉は、様々な実験炉が造られていっているところでございますが、特に、常陽や高温ガス炉、これは文科省、JAEAが開発しているところでございますが、軽水炉やSMR、様々あるわけでございます。
特に、常陽や高温ガス炉についての、新型実験炉についての御説明をお願いしたいと思います。
○清浦政府参考人 委員の御視察された「もんじゅ」サイトの跡地を活用した、「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉に関する御質問であると理解しております。
「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉については、平成二十八年十二月の原子力関係閣僚会議において設置が決定され、我が国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点として位置づけられております。
その決定を踏まえ、日本原子力研究開発機構を実施主体とし、京都大学や福井大学等の関係機関の協力を得て計画を進めており、昨年三月に研究炉の基本的な構成を決定する概念設計を完了し、詳細設計の段階に移行いたしました。
また、試験研究炉の利用ニーズを有する機関等でコンソーシアムを形成し、新たな試験研究炉が利活用されやすいものとなるよう、幅広い意見を集約しながら検討が進められております。
文科省といたしましては、日本原子力研究開発機構とともに、引き続き、新たな試験研究炉の開発、整備に向けた取組を進めてまいります。
○阿部(弘)委員 もう質問時間が参りましたが、福井のJAEAの施設で、水の中でレーザーを飛ばして解体する技術、これがすばらしい技術だなと思ったところでございます。何が言いたいかというと、福島の原発の解体にこの技術を応用すべく様々な取組をなさっているということでございますので、そういう技術も世界に輸出できるように、あるいは、福島第一原発の解体の際にはこういうスマートデコミッショニングという技術が大いに活用されることを期待いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○平委員長 次に、小野泰輔君。
○小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔でございます。
今日は、私は、もうかなり質問も出ておりますが、能登半島地震における志賀原発の対応について、そして避難計画についてお伺いをしたいと思います。
先ほど阿部委員からも質問もありました、そして、既に何度も質問されていることなんですが、最初に、志賀原発のモニタリングポストの不具合、測定ができなかったという問題について質問させていただきたいと思います。
まず最初に、そもそもモニタリングポストというのは何のために設置されていて、そして、必要な設備要件というのはどういうものがあるんでしょうか。
○児嶋政府参考人 お答えいたします。
まず、原子力災害時におけるモニタリングポストの放射線測定の目的でございますが、OILに基づく避難、一時移転などの防護措置を実施するための判断材料を得ることを目的としております。
また、その防護措置の判断に使用するモニタリングポストの設備要件といたしましては、設置場所やデータの保管などに関するものを始め、非常用発電機への燃料補給、バッテリーの使用、可搬型モニタリングポストによる代替等によって、七日以上連続して測定する体制を確保すること、また、通信の多重化により、災害発生時においてもデータ伝送経路を維持し、一週間程度のデータ伝送を可能とする能力を備えておくことなど、これらを含めまして、様々な要件を示しているところでございます。
○小野委員 ありがとうございます。
このモニタリングポストの目的というのは、先ほど、防護措置を取るために、その判断基準として使っていくんだということで、阿部委員もさっきおっしゃっていたんですけれども、めちゃくちゃ大切な施設だと思うんですね。
今回、このモニタリングポストが何で駄目になったのかということをNHKのニュースでも詳細に報じていたんですけれども、石川県が設置していたモニタリングポストが九十六か所あったんですけれども、そのうち十六か所で一時的にデータが得られなくなった。その原因は何かということなんですけれども、モニタリングポスト自体がデータを取るための電源は多重化されていて、そちらの方はうまく機能していたということなんですが、データを送るための通信機器の方がバッテリー切れになっちゃったとか、あるいは電源のケーブルが寸断されてうまくいかなかったということで、福島の事故でも、結局、原子炉の問題というよりかは、それを冷やすための非常用の発電機が動かなかったということと同じなんじゃないかというふうに思います。
恐らく規制委員会の方でも、ちゃんと基準、先ほど設備要件ということを御質問もしました、そういったことは当然考えていたと思うんですが、私は、原子炉そのものがメルトダウンするとかということはもう本当に破滅的ですが、これも、住民の方々がどういう情報を持ってどう判断するのかということが入らないと、かなり致命的になるということなので、これはもっともっとこの反省を生かして、ちょっと考えなきゃいけないことがたくさんあるんじゃないかというふうに思っているんですね。
そこで、このモニタリングポストが通信を行うために利用するルーター、モニタリングポスト自体がデータを取る方は結構うまくいっていた、ちゃんと考えられていたわけですが、その通信手段の方の電源手段を確保するということに対して今回十分ではなかったということで、その再発防止策をどう考えているのかということ。
それから、あと、通信用のバックアップということで、ほかの通信手段も考えられていた。例えば、三つの手段があって、ほかにも携帯電話の通信とか、あるいは宇宙の衛星通信とかということもあったんですけれども、そういう多重化についても今後、石川県の場合には宇宙の方がなくて、いろいろ、雪が降るとかそういうことで採用されていなかったということなんですが、この辺、今のままで本当にいいのかどうか、再発防止策をどういうふうに考えているかというところについて御答弁いただきたいと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
本年の能登半島地震において、石川県及び富山県に設置をされておりましたモニタリングポストの一部で測定ができない状態となりました。発電所から十五キロ圏内のモニタリングポストは全て継続的に稼働を続けていたんですけれども、一時的に測定ができなくなっていた箇所については、可搬型のポストを置くなど進めるとともに、ドローンの、航空機モニタリングを行うような準備も進めていたところではございます。
今回の災害においては、モニタリングポストの一部の測定結果を確認できない事態が生じたとしても、必要な空間線量の測定を行うとともに、規制委員会としては避難等の判断を行うことは可能であったとは考えております。
その上で、今回の事象を踏まえまして、御指摘をいただいた、ルーターを含むモニタリングポストの電源の確保、新たな通信の技術の開発、導入といった通信の信頼性向上など、モニタリング体制の一層の充実に努めているところでございます。
○小野委員 対策はいろいろ考えておられるということで、先ほどから阿部委員への答弁とか、今までの委員会でも多数、山中委員長も答弁されていることですが、航空の手段を使って、それはドローンとか、そういうもので飛ばして測定できるじゃないか、そういうことでも代替し得るというふうにおっしゃっているんですけれども、私は、継続的にちゃんとモニタリングができることが大事だと思っていまして、そこが欠損したからといって、飛ばせばいいというものではないので、ここの認識はもうちょっと改めていただきたいと思うんですね。
継続的にどういうふうに変化しているのかということが取れなければ、常時ドローンを飛ばすわけにもいかないでしょうし、そしてあと、放射能が出てしまった状態で可搬式のものを、それを設置しに行くというようなことを職員さんがやっていくというのも、これもリスクがあるわけですから、やはり、そのまま常時設置しているものがかなりの確率で生き残るというか、ちゃんと機能するような仕組みというもの、これをちゃんと整えるべきだというふうに思っています。
ちょうどレクのときに規制庁の皆さんもおっしゃっていたことで、今、LPWAという、非常に消費電力が少なくて効率的にデータを飛ばせるというような通信手段を、多数それを配置をしまして、モニタリングポストの情報を飛ばすというようなことも考えているというふうにお伺いをしました。そのことが今御答弁になかったので、そのことについてもちょっと触れていただければと思うんです。
○児嶋政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、通信の信頼性の引き続きの向上は必要だと思っております。そのための手段といたしまして、低消費電力で広域の無線通信が可能な通信方法、すなわちLPWAでございますが、そのようなモニタリングの測定器の開発、導入を今進めているところでございます。
まだ、自治体や大学等に依頼して実証実験等を進めているところでございますので、性能を確認し、導入できるようになりましたら、関係自治体とも相談して、導入を進めてまいりたいと考えております。
○小野委員 ありがとうございます。
正直、モニタリングポストで計測したデータというのは、めちゃくちゃデータ量としては軽いんですよね。どれぐらいの線量が出たのかというだけですから、それを定期的に電波を飛ばせばいいだけであって、相当低い待機状態でやれば、昔、ガラ携、今でもガラ携を使っている方はいらっしゃるかもしれませんが、何もしないとめちゃくちゃ電源がもつんですよね。それよりも更にこのLPWAだったら全然もつので、先ほどおっしゃっていた設備要件の七日とか十日というのは余裕で多分達成できるようなレベルだと思うので、今回のような、測定できませんでしたみたいなことがやはりないぐらいの覚悟で、是非対策に取り組んでいただきたいというふうに思うんです。
原子炉を守るということも、もちろん規制委員会最大の使命ですけれども、住民の方が避難するのか、そこにとどまるのかということを判断する情報がないというのは、本当にこれは致命的だと思いますので、そこは是非、今回の教訓をしっかり生かして、対策を強化していただきたいというふうに思います。
次に、志賀原発の避難計画についてお伺いをいたします。
私も自治体の運営を担っていたという経験もあって、今回の問題というのは、本当に、首長さんにとっては非常に重い問題、課題を突きつけられたというふうに思っています。避難路が寸断をされて、避難計画が果たして本当にワークするのかどうかということを、皆さん、被災自治体の方々はかなり深刻に考えられているんじゃないかと思います。
既にいろいろ報道されておりますけれども、馳知事も、今までの計画というもの、これを事前と事後にわたってもう一回確認する必要があるだろうというふうにおっしゃっておりますし、また、志賀町長の稲岡さんも、なかなか現実的な避難方法というのが考えつかないんじゃないかとかということで、大分御懸念をされているということでございます。
こういった形で地元の首長さんが、今回は原子炉の方については放射能漏れとかいうことはなかったので最悪の事態にはならずに済んだんですけれども、ただ、こういった首長さんが、今回の非常に大きなマグニチュード七・六という地震を経験されて、そして今後の志賀原発をどうするべきかということについてもすぐに首を縦に振れないというような感じの対応をされていますが、自治体の首長さん方の反応についての受け止めを是非御答弁いただきたいと思います。
○森下政府参考人 お答えいたします。
石川県を始めといたしまして地元の自治体が考えておられるような課題、それにつきまして、その課題の解決に向けて検討を行っていくということは非常に大事と認識しております。
石川県の志賀地域におきましても、自治体それから関係省庁とともに、志賀地域の原子力防災協議会という枠組みを設置しております。そして、地域防災計画、避難計画を含めた志賀地域の緊急時の対応というのを検討を行っていたところではございました。その途中で、今回、能登半島の地震が発生したということでございます。
発災後、内閣府原子力防災は石川県と一緒に現地の調査を行いました。志賀原発から三十キロ圏内の地震の被災状況の調査を行いまして、この四月の十二日ですけれども、地域原子力防災協議会の作業部会というのを開催しまして、石川県それから関係の市町が集まる作業部会において調査結果を報告したところでございます。
今後は、今回のこの調査結果も踏まえて被災状況を分析しつつ、複合災害を想定して、志賀地域の作業部会において必要な検討を進めてまいりたいと思います。
以上です。
○小野委員 この不安というものに対して果たして政府としてちゃんと応えられているかどうかというのは、今回、ちゃんと考えた方がいいというふうに思うんですね。
冒頭で浅野委員から質問があって、原子力災害対策指針は今回の能登半島地震を踏まえて見直す必要がないのかという質問がありました。それに対して山中委員長が、想定を超えるものではないので改定する必要はない、見直す必要はないというような御答弁がありました。私もそうは思うんですが、そこで止まっていていいのかなというふうに思うんですね。
災害対策指針というのを見ると、どういうことが書いてあるかということを端的に言うと、こういうことが起こった場合には、例えばこういう基準で、それはEALに従って、OILということでどうするんだということで、こういうことが起きた場合にはこうしなさいよということが定められていて、そのこと自体は別に間違ってはいないし、それはそのとおりだなというふうに思うんですが、ただ、原子力規制委員会としてなのか国としてなのか、今回の地震を踏まえて、それだけで止まっていていいのかということはあると思うんですね。
自治体の首長さん方が、本当にこの状況で避難がちゃんとできるのか、住民を守れるのかというようなところについて、先ほどちょっと披露したような形で皆さん不安に思っている。原子力規制委員会の方では、オフサイトの方は我々の仕事ではありませんというふうに答弁もされているということでありますけれども、その間にやはり何かしなきゃいけないことがあるんじゃないかなと私は思うんですね。
改めて、規制委員会の使命というのを私は調べてみました。「原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守ること」というふうにあります。人を守るんですよね。活動原則の第二原則として「実効ある行動」というふうに書いてあって、「形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求する。」というふうに書かれています。全くそのとおりで、私はやはり実効性というのが一番大事だというふうに思うんです。
これは政府全体でやはり議論すべきだと思いますが、原子力規制委員会が避難計画というところの実効性まで、どこまで責任を持つのか、それが果たしてできるのか、それは適切なのかということはあるとは思うんですけれども、政府全体、これは、内閣府の防災の方でも少なくともそこはやはり責任を持っていかないと、私も、原発は資源の少ない国では動かしていくべきであるという考えを持っていますが、首長の立場に近いところでやっていた者として、それはやはりちゃんと確保するということがなければ、これだけ地震が起こっているわけですから、なかなか難しい局面が出てくるというふうに思うんですね。
私たちは、昨年の通常国会におきまして、我が党で原発利用責任明確化法案というのを提出をさせていただきました。この内容というのは、地域防災計画の作成、実施において、原子力規制委員会の関与を法定化をする。ただ、法定化するといっても、完全に原子力委員会が責任を持って自分で作れとかということではなしに、必要があると認めるときには都道府県の防災会議等に対して必要な助言、勧告を行うことができるというふうに法定化をするということなんです。
今、そこまでもなくて、何か必要なときには原子力規制委員会がやりますよとは言っているんですが、それが特に原子力規制委員会の仕事とは定められていないということなんですね。ただ、私は、こういう事態に陥ったからには、我が党が申し上げているような、原子力規制委員会が何かしらの形で避難計画についての関与をするということは法定化するとか、何か明確化するべきだと思います。仮にそれができなければ、国がもうちょっと地域の避難計画とか防災計画に入っていくということも示すべきだというふうに思うんですが、ここについてのお考えを伺いたいと思います。
○児嶋政府参考人 お答えいたします。
避難計画につきましては、地域の事情をよく知る自治体を中心に策定されるものと考えております。
他方、先ほど内閣府の答弁にもございましたが、地域で形成される地域原子力防災協議会におきましては、原子力規制庁を含む関係府省庁が自治体と一体となって、避難計画を含む緊急時対応の充実化に取り組んでおります。原子力規制庁は、原子力規制委員会の事務局でございますので、原子力規制委員会の指示を受けながら、この仕組みを通じて、専門的、技術的観点から引き続き必要な役割を果たしてまいりたいと考えております。
○小野委員 今のたてつけでは、原子力規制委員会、規制庁がやれることはそういうことだと思うんですけれども、ただ、私は政府全体で考えるべきだと思うんですね。
別に規制庁が何でもかんでもやれというふうに言うつもりはありませんが、ただ、やはり首長の皆さんが、いろいろな経緯があって、そのサイトに、自分の自治体の中に原子炉があるわけです。でも、またこういう地震が起こるかもしれない、熊本地震の場合だって、あれは、四月十四日と十六日に立て続けに震度七が二回起きたわけですね。そういう恐怖感をやはり自治体の首長さんは持っていますし、それをちゃんと、もっと安心できるような、確実に避難ができるというようなことが、ちゃんと実効性を持って、みんなが分かってもらえるようなところまで政府全体として行き着くことは大事だと思いますので、是非、それを最後に申し上げて、今後、このままでは済まない、これから更に努力していただきたいということを申し上げまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○平委員長 次に、小森卓郎君。
○小森委員 自由民主党、石川県金沢市選出の小森卓郎です。
昨夜遅く、四国で震度六弱の地震がありました。被害の全容の判明はこれからでありますけれども、被災された方たちに心よりお見舞いを申し上げます。
私も、地元の石川県で発生いたしました能登半島地震による志賀原発の被災について質問いたしますけれども、私は皆様と違って、この際に出回りました悪質なデマ、これを出発点に質問をしたいと思っております。
この委員会の冒頭、山中委員長の方から、志賀原発の被災に関して、一部変圧器の故障、発電所周辺の一部モニタリングポストにおいて測定結果を確認できない等の影響が生じましたが、放射性物質の漏えいなどはなく、発電所の安全確保に影響のある問題は生じませんでしたという委員会の見解を述べていただいております。
その一方で、発災当時、志賀原発に関しまして、様々な偽情報がSNSなどで出回っております。どのような偽情報が出回ったか、例を紹介してください。
○金子政府参考人 原子力規制庁では、偽情報の調査を行ったわけではございませんけれども、例えばということで、能登半島地震の発災後に、志賀原子力発電所から放射性物質を含む水が漏えい中という記述とともに、故障した変圧器からの油漏れの様子を捉えた写真を一緒に掲載して、報道機関の名をかたって、SNSにその状況を投稿したというような例があることを把握しております。
○小森委員 ありがとうございます。
かなり悪質な偽情報が出回っているところでありまして、憤りを感じているところであります。
私の手元にも幾つかSNSの投稿を持ってまいりましたけれども、例えば、石川県の志賀原発付近は停電していると、これは本当は書いてあるんですけれども伏せます、○○放送のアナウンサー、電源喪失、メルトダウンが始まっている可能性があります、北陸地方の皆さん、原発事故の情報は発表されません、自主判断で。これは十万件近くが閲覧されております。
東日本大震災では十五メートル級の津波が福島第一原発を襲いましたが、その半分程度の規模でも志賀原発はアウトでしょう、これは皆さん御承知かもしれませんけれども、志賀原発は標高十一メートルのところに敷地がございますので、全くそういうことはありません。
津波で志賀原発の水位が三メートル上昇していた、海側に設置している高さ四メートルの防潮壁は数センチ傾いていた、本当に危なかった、海水が原発敷地内になだれ込めば、福島第一原発事故の再来になりかねないところだった。これは約五十六万件の閲覧があったようでございます。
いずれも、このようなデマ、偽情報でございます。そして、これらの中には、成り済ましなのかもしれませんけれども、世の中に名前の通った人のアカウントで情報が発信されているものもございます。
こうした情報に対して、原子力規制庁はどのような対応を取ったか、簡潔にお願いします。
○金子政府参考人 原子力規制委員会は、地震発生後の安全確保の状況について、正確な情報発信が重要である、そういう認識から、発災直後から、原子力発電所の安全を確保する上で重要になる止める、冷やす、閉じ込めるの機能に影響がある問題が生じていないこと、モニタリングポストの値に異常がないことなどは、ホームページ、それからSNS、記者会見等を通じて発信をしてまいりました。
直接に偽情報にアプローチするということをしておりませんけれども、例えば、SNSで私どもが発信した情報は、正確性のあやふやな情報が拡散された際に、それが誤情報であるという指摘をされている方もいらっしゃいまして、そういう中で引用されているケースがございますので、一定の効果はあったものかなというふうに受け止めております。
○小森委員 ありがとうございます。
答弁にもございましたが、SNSでも発信をしていただいたり、あるいは、規制庁は発災当日に二回ブリーフィングを行っておられます。そのことについては、高く評価をしているところでございます。
しかし、その一方で、災害時には先ほどのようなデマがそれでも出回ってしまいますので、今よりも更に踏み込んで、原子力発電所の状況について、正確な情報をもっと分かりやすく、伝わりやすい形で発信していただくことを期待しているところでございます。
というのは、今回の偽情報もその例でありますけれども、大きな災害の後、動揺している人々の心理につけ込んで流言飛語が飛び交うということは、歴史的にも見られるところでございます。
福田村事件という事件を皆さんは御存じでしょうか。これは、昨年、百年目ということで映画化もされたものでありますけれども、関東大震災の後、流言飛語が飛び交う中、香川県にお住まいだった薬の行商団十五名が、千葉県の福田村、あるいは隣接した村において結成されていた自警団に暴行されてしまって、三人の子供を含む九名が殺害されてしまったという大変痛ましい事件であります。
能登半島の地震においては、幸い極端な反応はなかったんですけれども、偽情報が出回ってしまうと、思いがけない結果が生じてしまうことがあり得ます。例えば、偽情報を信じた人々が、本当は必要はないのに慌てて避難をしようとすると、どのような地震であっても、大地震の直後で道路の状況は劣悪でございますので、事故などを起こすことにもつながりかねないものだというふうに考えております。
規制庁は、ホームページ上の見やすい場所に、令和六年能登半島地震による原子力施設への影響及び対応という特集ページを作られておりますけれども、これは、いつ頃このページを作られたか、伺います。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。
規制委員会で逐次情報発信をしておりましたものがまとまって見られないという御指摘もございましたので、二月八日の段階で、今御指摘いただいたまとめのページをホームページ内に作成して、公開をさせていただいたところでございます。
○小森委員 この特集ページ、大変分かりやすい発信でございます。
二月八日ということでありましたけれども、被災後、デマが飛び交っている段階で同様の対応を取っていただければ更によかったというふうに思うところでございますので、是非、今後の教訓にしていただきたいというふうに思っております。
事業者の方が原子力発電所の情報を発信するのは当然なんですけれども、それだけでは足りずに、行政が出している発信を見て国民の皆さんがダブルチェックをするということもあるわけでございますので、こうした根拠なく不安をあおる偽情報が広がっていかないように、規制庁には、より前に出て、積極的に正しい情報発信をしていただくことを期待しているところであります。
さて、このところのAIの発達などで、偽の画像や映像などを作ることが容易になっております。近年の豪雨災害時でも、偽の映像などが作成、拡散されたことが確認されております。そしてまた、インターネットやSNSの普及によりまして、短い時間に大量の数の人々がこうした偽情報に触れる環境ができ上がっております。
こうしたインターネット上の偽情報、誤情報の現状、そして、その問題点について総務省に伺います。
○西泉政府参考人 お答え申し上げます。
情報通信技術、サービスの普及、進展に伴い、国民生活の利便性が高まる一方、委員御指摘のような、インターネット上の偽・誤情報の流通、拡散といった問題が顕在化していると承知をしております。
委員御指摘の、生成AIで作られた偽画像、動画については、例えば町並み、風景の画像や、著名人や公人があたかも正式に発言したかのような動画が生成AIによって生成され、ネット上に発信、拡散される事例も発生しており、こうした状況を国民生活に対するリスクと捉え、必要な対策を行っていくことが重要であると考えております。
今般の能登半島地震においても、偽・誤情報の流通、拡散が社会問題となったところでございまして、ネット上の偽・誤情報には強い問題意識を持って進めることが必要と考えております。
○小森委員 総務省においては、この地震の前から、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会というのを開催されまして、その中でも、こうした巧妙な偽情報、誤情報による社会的な影響が深刻化しているという認識に立っておられますけれども、インターネット上の偽情報、誤情報への対策を講じることは急務だと思いますが、今後どのような対応を取られていくのか、伺います。
○西泉政府参考人 お答え申し上げます。
総務省においては、デジタル空間における情報流通の健全性をめぐる新たな課題に対応するため、昨年十一月に有識者会議を設置し、偽・誤情報の流通、拡散への対応を含め、議論、検討を進めているところでございます。
総務省としては、国際的な動向も踏まえつつ、この夏頃の取りまとめに向けて、偽・誤情報の流通、拡散への対応について、表現の自由の観点とのバランスにも配慮しながら、制度面も含めた総合的な対策の検討を進めてまいりたいと考えております。
○小森委員 この有識者検討会が発足した当初、これは昨年十一月でございますけれども、このときの検討事項の中には、こうした緊急事態の対応というのは含まれていなかったわけでありますけれども、今年になりまして、能登半島地震関連の偽情報などへの対応、そしてまた事業者の体制強化状況などについてヒアリングをされているというふうに承っております。
そしてまた、今年の一月末に、検討会の中でワーキンググループをつくられまして、そのうち、四つの検討事項のうちの一つが災害発生時等における対処の在り方というふうにしていただいておりますけれども、重要な課題だというふうに対応をしていただいていると思っております。
平時でもこうした被害の防止は大変重要でありますけれども、緊急時になりますと、人々の不安な心理につけ込むやからが現れるところでございますので、こうしたインターネット上の偽情報などへの対策につきましては、答弁ありましたけれども、制度面も含めて総合的に取り組んで、これまでの次元を超えた対策を取っていただくように期待をしているところでございます。
残りの時間につきましては、原子力発電所の効率的な規制の審査について伺いたいというふうに思っております。
東日本大震災を踏まえた新規制基準が導入された後、志賀原発の敷地内の断層の活動性の評価が行われてきておりますけれども、これがどのような経緯をたどったのか、説明をしてください。
○大島政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘ありました北陸電力志賀原子力発電所二号炉の敷地内断層の活動性評価につきましては、志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合で議論をしているところでございました。
その議論の中、平成二十六年八月十二日に北陸電力から、新規制基準の適合性に係る設置変更許可申請がなされたところでございます。
その後、この有識者会合が、平成二十八年三月三日に評価書を取りまとめております。この評価書の中で、一部の断層について、後期更新世以降に変位したと解釈することが合理的であると判断するという報告書をまとめております。一方で、この報告書の中では、今後の課題として、より正確、確実な評価を行うためにはデータ拡充が必要であるというふうな形でも書かれてございました。
北陸電力では、この報告書の今後の課題を踏まえまして、ボーリング調査等を追加で実施し、大幅なデータ拡充を行った上で、既許可の原子力施設においても適用実績のある手法を用いて、明確な証拠による活動性評価というものを行いました。
その結果につきましては、原子力規制委員会の審査会合におきまして、複数回会合を開いてその内容を確認をするとともに、委員による現地調査も二回ほど行いまして、最終的には、令和五年三月三日の審査会合において、おおむね妥当な検討がなされていることを確認をしているというところでございます。
このように、北陸電力による敷地内断層の活動性評価に当たっては、明確な証拠に基づき、科学的に基準への適合性を説明する必要があり、追加の調査とその分析、評価に時間を要していたもので、ここに至ったというところでございます。
○小森委員 今、丁寧に御答弁いただきましたけれども、原子力規制委員会の立場としては、こうした審査は安全性を確認する上で必要不可欠なものであったというものだというふうに認識をしております。
一方で、平成二十六年に始まって、令和五年まで約十年、敷地内の断層についてのみで途方もない年月がかかってしまっているということも事実だというふうに思っております。
自由民主党の原子力規制に関する特別委員会は、効率的な規制の徹底を提言いたしまして、事業者とのコミュニケーションの改善、そして審査の迅速化の工夫などを求めております。
安全最優先は当然でありますけれども、原子力規制委員会や規制庁には、厳格な審査のみに固執をせず、事業者側と適切な形で意思疎通を密にして、不必要な手戻りが生じないように努めることを期待しておりますけれども、山中委員長に伺います。
原子力規制の審査プロセスの効率化にはどのような意義があるという御認識でしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
原子力の安全の追求に妥協は許されない、これが審査の大前提ではございます。このため、審査では、規制側と事業者側双方が納得いくまで議論することが不可欠であるというふうに考えております。
その上で、審査プロセスの改善は、限られた資源を安全上重要な課題に適切に投入するという観点から、原子力規制委員会としても重要であると認識しております。
電力会社の経営層との意見交換等を踏まえまして、様々な取組を行っているところでございます。
○小森委員 この審査プロセスの効率化のための取組の御紹介、そしてまた今後の取組についてお伺いします。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
審査プロセスの改善の具体的な取組につきましては、まず審査チームからの指摘が事業者に正確に理解されていることを確認する場を設けまして、必要に応じて文書化を行っております。また、事業者の地質等の調査方針や実施内容をあらかじめ確認いたしまして、早い段階から指摘を行うなど工夫をしているところでございます。高経年化した発電用原子炉施設の新たな規制制度の本格施行に向けまして、既に確認をいたした劣化評価の内容を活用して合理的な審査も進めておるところでございます。
引き続き、審査プロセスの改善を継続的に行いまして、公開の会合の場で、審査に係る論点等について、事業者とコミュニケーションを図りつつ、厳正な審査を進めてまいりたいと考えております。
○小森委員 御答弁いただきました、指摘事項の文書化による認識の共有といったことでございます。当たり前のことのようなんでありますけれども、審査を受ける側にとっては、状況が明瞭になって、その後の準備を効率的に進めることができるということでございます。こうした好事例については、ほかの発電所の審査にも積極的に横展開をしていただきたいと思いますし、さらに今後、意欲的なやり方にも取り組んでいただきたい、また審査体制の強化にも取り組んでいただきたいというふうに思っているところでございます。
昨日、昨年度の貿易収支が発表をされました。三年連続貿易赤字、約六兆円の貿易赤字ということでございました。百九兆円の輸入がございましたけれども、このうちの約四分の一の約二十六兆円が原油などの鉱物性燃料でございました。日本人が知恵を絞り汗水垂らして稼いだお金が、エネルギーの輸入によって約二十六兆円も国外に流出をしてしまっているところでございます。新しい規制基準をクリアしている原子力発電所をしっかりと稼働させることの重要性を改めて申し上げまして、私の質問を終わります。
○平委員長 次に、中野洋昌君。
○中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。
通告に従いまして質疑をさせていただきます。今通常国会でも、原問特で私も初めての質疑でございますので、山中委員長を始め皆様、どうかよろしくお願いを申し上げます。
昨日も、豊後水道を震源として震度六弱ということで地震がありました。伊方原発も運転中ということで、伊方原発のところは震度四ぐらいだったかというふうにも思います。安全性も確認をしていただいているかと思いますけれども、やはり災害が多い中で地震への備えというのは非常に大事だなということを改めて感じております。
本日、既に多くの委員の皆様が質問されておられますけれども、私もやはり今年起こりました能登半島地震に関連して、既に様々指摘もなされており、少し重複するところもあろうかと思いますけれども、改めてしっかりと確認をさせていただき、また今後の災害への対応ということでしっかり備えていただきたい、こういう思いで今日は質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
特に、能登半島の地震に関しましては、志賀町の志賀原子力発電所というところで、かなり震度も、ここはたしか六弱ぐらいまでいったかと思います、この災害への対応がまずはしっかりできていたのかというところが一つでありますし、今回の地震の教訓がどうだったのかというところもやはり非常に大事であるというふうに思います。こうしたいろいろな教訓も踏まえて、原子力の安全については不断に見直しを行っていかないといけない、こういうことだというふうに思います。
冒頭の山中委員長からの活動の報告でも、必要な安全機能は志賀原子力発電所は維持されている、こうした確認をしたり、様々情報発信をしていただいたりというふうな取組も紹介をされました。
今回の地震は、能登半島という地域的なエリアの特性もあったのかもしれませんけれども、やはり避難経路が寸断をされて孤立集落が非常に多く出たというのが非常に大きな特徴の一つだったのかというふうにも思います。
そうすると、やはり原子力防災、今日は内閣府の原子力防災からも来ていただいておりますけれども、この防災の計画の中で、避難計画は各自治体で立てていただいていますけれども、こうした状況で、本当に今まで立てていた避難計画というのは実効性があったのかというところが非常に心配であります。
あるいは、今回、木造の古い家屋も大変多かったということで、例えば、重大事故等が発生をして、そうすると屋内退避ということでありますけれども、家屋が倒壊をしていてはやはり屋内退避はできない、あるいは、いろいろな退避施設も被災をして使えない状況だったのではないか、こういうふうな報道も少し拝見もいたしました。
そういう意味では、今回、能登半島地震を踏まえて、やはりこうした志賀原子力発電所の周辺の自治体の避難計画がどうだったのかというところはしっかりと検証をされないといけないと思いますし、そして、しっかりした計画を立てていただかないといけないのではないか、こういう問題意識がございますけれども、内閣府防災の方から答弁を求めたいと思います。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
今回の能登半島沖の地震によりまして、委員の御発言がありましたように、道路の寸断とか集落の孤立とかというのは発生しておりました。
志賀地域におきましては、志賀地域の原子力防災協議会という枠組みを設置しておりますけれども、その中で緊急時の対応の取りまとめを行っている検討の途中で発災が生じたという状況でございました。
そういう状況でしたので、内閣府原子力防災では、石川県等と協力しまして、志賀原発から三十キロ圏内の被災状況の調査を行いました。その調査結果を四月十二日に石川県で、地元の自治体と作業部会、地域協議会の枠組みの部会ですけれども、そこでその結果を報告したところであります。
その内容でございますけれども、確かに避難経路の道路の寸断はございましたけれども、石川県が定めた基本的な避難ルートのうち、南方面へは、四か所を除きまして迂回路が確認されたということで、物理的には通行が可能であったこと、これは、複数の避難経路をあらかじめ考えておくことの重要性ということを示しております。
それから、孤立集落についてですけれども、志賀町のPAZ圏については孤立は発生していなかったということ、ただし、UPZでは十四か所において孤立地区が発生していたということを地元自治体と確認をしてまいりました。
今後は、今回の調査結果を踏まえまして、被災状況を分析しつつ、複合災害を想定して、志賀地域の作業部会において、緊急時の対応について必要な検討を進めてまいりたいと思います。
以上です。
○中野(洋)委員 志賀地域の取組をお伺いして、もう一つ私は思いましたのが、全国の原子力発電所の立地あるいは周辺の自治体、ここにも今回の地震の教訓として共有すべきことがやはりあるのではないか、こういうふうにも思います。
今回、どういう点を分析されて、どういう対応をされるのかということも併せて答弁いただければと思います。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
委員が御指摘された内容は非常に重要であると認識しております。今回の調査結果は、各地域ごとに地域防災協議会というのを設置しておりますので、その枠組みを使ってほかの地域へも共有し、必要な検討を行ってまいりたいと思います。
以上です。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
しっかり是非共有をしていただいて、同じようなことが、見直すべきことがないのかというところをやはりブラッシュアップをしていかないといけないんだろうというふうに思っておりますので、是非そうした全体の音頭をしっかり国として取っていただければと思います。
ちょっと山中委員長に、済みません、本当に改めてで恐縮なんですけれども、今回、志賀原発は、今日もこの最初の発表にもありました一部変圧器の故障や、モニタリングポストで測定結果を確認できない等の影響はあったけれども、油漏れとか炉心の部分の脱落等々、様々あったかと思いますけれども、安全機能は確保できていたのかという全体の評価あるいは御認識について、改めてお伺いできればと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
今回の地震による志賀原子力発電所関連の主な影響としましては、使用済燃料プールからの溢水の発生、変圧器の故障による外部電源の一部喪失、発電所周辺の一部モニタリングポストの欠測等の事象が生じましたが、電源の確保や使用済燃料の冷却など、必要な安全機能は維持されていることから、発電所の安全確保に影響のある問題は生じてはおりません。
○中野(洋)委員 全体の影響の御評価ということで改めて確認をさせていただきました。
今回の件に関しまして、何点か更に追加で確認をさせていただければと思うんですけれども、一つは、断層の関連の評価であります。
今回の地震におきまして、恐らく、一つは敷地内の断層がどうだったのかというところもあると思いますし、あるいは、周辺の活断層などについても、今回の地震によってどういう新しい知見があるのかというところは非常に大事だというふうに思っております。特に、周辺の活断層等も含めて、やはりそこが変わってくれば、もちろん志賀原発そのもののということもあるんですけれども、恐らくほかのところの審査や安全基準等にも少し影響がある部分もあるのではないかということも少し考えておりまして、そういう意味では、それがどういう評価をされるのかというのは非常に大事だろうと思っております。
報道などでは、ある程度、今回の地震というのは想定されていた断層の動きではあった、もう分かっている断層の動きだったというふうな指摘もあったような報道も拝見をいたしましたけれども、こうしたところについて、現在、調査を恐らくされているところだというふうに思うんですけれども、こうした新しい知見がどういう状況であるのかということ、また、今後の規制への反映等も含めてどういう取組をされていくのかということを山中委員長の方に御答弁いただければと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
今回の能登半島地震につきましては、地震調査研究推進本部等の関連機関において調査検討が進められているものと承知しております。そうした調査検討によって得られた知見については、原子力規制庁が公開で実施しております技術情報検討会の枠組みの中で収集し、検討しているところでございます。
直近では、三月二十七日に行われました技術情報検討会におきまして、能登半島地震に関して現時点で公開されている知見の収集状況についての報告が行われました。具体的には、今回の地震は、地震発生前に知られていた震源断層が連動して活動したと考えられること、観測した地震動は、全体的に従来の知見と整合しており、これまで経験した同規模の内陸地殻内地震と同程度であると考えられること等の説明がございました。それを踏まえての議論が行われたところでございます。
こうした報告があったとおり、現時点で把握できている情報からは、規制に反映すべき新たな知見は得られておりませんけれども、各研究機関や学協会等の調査により日々知見の更新が図られていることから、今後も引き続き情報収集を行い、規制に取り入れる必要があるかどうか、必要があるとすればどのように取り入れていくのかについては適切に判断してまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
委員長の方からも、少し詳しく、今、規制庁の方で調査されていることも含めてお話もしていただきました。現段階において新たな知見ということではないというふうな御評価だということで発表があったと思います。
また、いろいろな調査、様々な新しい情報について引き続きしっかり収集をしていただきまして、反映させるところが本当にないのか、大丈夫なのかというところについても、引き続き是非情報収集をお願いをしたいというふうに思います。
もう一つ委員長の方にお伺いをしたいと思いますのは、今回、原子力規制庁の方で、原子力災害時の屋内退避の運用について検討されているというふうなことをお伺いをいたしました。
確かに、実際に各自治体が避難計画等をしっかり考えていかないといけないという中において、どういうふうに屋内退避をしていかないといけないのかということは、どのくらいしていかないといけないのかとか、やはり実際の運用あるいはガイドライン等も含めて非常に重要な点だというふうに思っております。
他方で、今回、どういう意図というか、何を目指してこういう検討を始められたのか、あるいは今後どういうことをやっていきたいのか、こういうことについて少し委員長の方から、こういう目的でこういう検討を始めた、あるいは今後こういうことをはっきりさせていきたいというふうな見通し等も含めて是非御答弁いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
本年一月に行いました自治体との意見交換を踏まえまして、屋内退避という防護措置を最も効果的に運用するための検討を行うべく、原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームを三月二十七日に設置をいたしました。
検討チームにおいては、現行の原災指針の考え方を前提とした上で、原子力施設の具体的かつ詳細な状況に応じた最も効果的な屋内退避の実施の仕方、屋内退避の解除や避難への切替え等について、原子力規制委員会が屋内退避に関する判断を行う際の論点が検討事項になります。
第一回の会合は来週二十二日に開催する予定でございまして、今年度中をめどに検討結果をまとめることを目指しております。
なお、原災指針におきます住民等の被曝線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を直接の原因としない健康等への影響を抑えることが必要であるという基本的な考え方に沿って、各地域が策定をしていただいている緊急時対応や地域防災計画では、自然災害に対する避難行動を最優先で行った上で屋内退避を行うという複合災害の基本的な対応は既に示されているものと認識しております。
このため、原子力規制委員会では、原災指針の基本的考え方については、能登半島地震の状況を踏まえて見直す必要はないと考えております。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
全体的な方向性としては見直すということではないけれども、しかし、しっかりと屋内退避の在り方ということで検討されていくということなんだという理解をいたしました。
ちょっと時間も迫ってまいりましたけれども、本日も議論がありましたけれども、屋内退避等のこういう避難を行うに当たっても、やはりモニタリングがしっかりできていないとなかなか対応ができないのかなということで、今回、モニタリングポストでデータを得られないところがあったということはしっかり反省をする必要があるんだろうというふうに思っております。
どちらかというと、通信とかそういうことのトラブルであったというふうなこともお伺いをしておりますけれども、今後こういうことがないように、モニタリングの体制の在り方をどうするかということについてもちょっと確認をさせていただきたいと思います。
○児嶋政府参考人 お答えいたします。
能登半島地震の場合につきましては、十五キロ圏内のモニタリングポストは継続的に稼働していましたし、それ以外の一部欠測したところもございましたが、必要な代替措置は取れていたとは考えております。
しかしながら、通信の信頼性の向上に向けた対策は実施しなければなりませんし、さらに、モニタリング体制の機動力も強化するといった体制も必要だと考えております。
その上で、私どもといたしましては、より丁寧な非常用電源等の確保、また、先ほど申し上げましたが、低消費電力で広域の無線通信が可能なLPWA通信、それ以外にも、複数の通信事業者を利用可能な通信方式の活用など、既存回線の信頼性向上も検討しております。また、市販ドローンに搭載可能な小型測定器や、あるいは欠測箇所に機動的に設置可能なより軽量な可搬型モニタリングポスト、こういったものの開発も進めているところでございます。
引き続き、モニタリング体制の一層の充実に努めてまいります。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
能登半島の地域でこういうことがあったということで、また全国のモニタリングの体制というのも含めてしっかり、先ほど様々な観点から強化をしていくということもおっしゃっていただきましたので、是非お願いをいたします。
最後に、先ほどもかなり議論がございました情報提供体制について、改めてお伺いを、指摘をさせていただきたいと思います。
今回、先ほどもちょうど御議論がありました、いろいろな情報が発災直後出てきて、特にSNS等でかなり拡散をされるということがありまして、そういう意味では、今回、原子力規制庁がしっかり事実関係を発信をしていただくということが非常に重要だったのではないかというふうに思います。こういう災害時におきまして、しっかりとした事実関係も含めた正確な情報を信頼ある機関で発信をしていく、こういうことが、規制庁の果たす役割というのは私は非常に大きいなと改めて今回思ったところであります。
今後のそうした情報提供の在り方について、最後にお伺いをしたいというふうに思います。
○金子政府参考人 先ほど小森議員の質疑の中でも触れさせていただきましたが、地震発生後には正確な情報発信が非常に重要であると考えておりますので、発災直後から、ホームページ、SNS、それから規制庁職員による記者会見、こういった複数の手法で、原子力発電所の止める、冷やす、閉じ込めるの機能に影響がないこと、あるいはモニタリングポストの値に異常がないことを発信してまいりました。
特に、記者会見につきましては、毎回ユーチューブでライブ配信をしております。したがって、事後的に視聴いただくことも可能でございます。また、とりわけ、地震発生後一回目の記者会見の模様は、テレビの地上波の全国放送でも取り上げて放映をしていただきましたので、多くの国民に向けて正確な情報発信をするという目的に少しでも貢献できたのではないかと受け止めております。
こうした早い段階から正確な情報発信が充実されるように、今後も改善に努めまして、充実をしていきたいと考えております。
○中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○平委員長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
冒頭に山中規制委員会委員長から報告があった原子力規制委員会の活動状況という中に、能登半島地震と北陸電力志賀原子力発電所に関連して、こうあります。今後、今回の地震から原子力発電所に影響する新たな知見が得られた場合には、規制への取り入れの要否について適切に判断してまいりますと。
そこで、このことに関連して山中委員長に質問いたします。
まず、配付資料を御覧いただきたいと思います。
能登半島地震の影響で起きた志賀原発でのトラブルや破損の場所を、国土地理院が一月十七日に撮影した写真の上に示したものであります。白い線は、原発敷地内で確認されている断層を示しております。下の表は、確認されたトラブルや破損の状況を端的にまとめたものでありますが、山中委員長、この表には入っていませんが、地震発生から二か月以上過ぎた三月になって、一号機の制御棒駆動機構ハウジングが落下した際に支持する部品が脱落していたトラブルも確認をされております。
そこで、この一連のトラブル発生場所と断層の位置とが重なる場所がございます。何らかの関係があるのではないか。このことに関して、北陸電力は何と説明しているでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
北陸電力からは、北陸電力志賀原子力発電所の敷地地盤の変状について、盛土、埋め戻し土の揺すり込み沈下等が原因であり、敷地内断層に関連したものではないとの報告を受けております。
また、能登半島地震による志賀原子力発電所でのトラブルとしては、変圧器の故障について北陸電力から報告がございました。当該変圧器の基礎部分においては、地盤の変状等の異常は確認されていないとの説明を受けております。
○笠井委員 北陸電力は、敷地地盤で計測された地盤の変動量について次のように説明しております。今回の地震による敷地地盤の変動量を測量した結果、上下方向では平均〇・〇四メートルの沈降、水平方向では西南西方向に平均〇・一二メートルの変動が確認され、震源域周辺での大きな変動に比べ、発電所での変動量は小さいものであったと。
北陸電力は、この地震の影響を意図的に小さく見せようとしているんじゃないかと思われます。変動量の単位をメートルで示しておりますが、センチに直せば、上下方向で四センチ、水平方向では十二センチメートルも動いております。北陸電力は、敷地地盤の変状は液状化によるものではないと断定しておりますが、能登半島地震では広域にわたって液状化が発生しており、盛土や埋め戻し土の範囲が広い志賀原発で液状化が起きていないというのは不自然だという厳しい指摘が四月十二日の規制委員会審査会合でもありました。
そこで、山中委員長に伺いますが、規制委員会は、志賀原発でのトラブルや破損が確認された場所と断層との関係、地盤の変動量、液状化の状況についての北陸電力の説明、評価を妥当なものというふうにお考えなんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
委員から御指摘がございました四月十二日、これは志賀原子力発電所二号炉の審査会合でございますけれども、この審査会合の中で、北陸電力から敷地内で確認された地盤の変状に関する調査結果の説明がなされ、変状が確認された複数箇所における掘削調査の結果、ごく表面層のみで変状が発生しており、深部に続いていないことが報告をされました。
このような調査結果を踏まえた、敷地内断層は将来活動する可能性のある断層等でないとの既往の評価に影響はないとの北陸電力の説明については、審査会合において、その根拠がおおむね確認できたところであると考えております。
なお、規制庁職員による現地確認を明日、四月十九日に実施する予定にしておりまして、審査会合によって説明がなされました敷地内に認められた変状の原因、敷地内断層の活動性の評価に関する調査結果を現地で実際に確認することとしております。
○笠井委員 北陸電力の評価はおおむね確認できたとおっしゃいましたが、それでいいのかということが問われていると思います。
能登半島は、かつて海底であった場所が度重なる地盤の隆起によって形成されたということが知られています。地震による隆起ででき上がった海成段丘という地形であります。問題は、海成段丘上に原発があっていいのかということであります。規制基準は、原発の地盤に関しても定めております。
そこで、確認したいと思います。
規制基準では、地盤が隆起したり沈降したりした場合に原発の安全を保てなければ、そこに原発設置は認められない。基準はそのようになっているという理解でよろしいでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
新規制基準適合性審査におきましては、原子炉建屋等の重要な建物、構築物の基礎地盤が地震時にその建物、構築物を支持できるものであること、また、地震に伴う地盤の変形により安全機能が損なわれないことを確認しております。
これらの基準への適合性が確認できない場合は、設置変更を許可することはございません。
○笠井委員 志賀原発は、一号機、二号機とも運転はしておりませんが、電源喪失やプールの損壊によって使用済燃料プールが冷却機能を失えば、最悪の場合は燃料被覆管が破損するジルコニウム火災、大量の放射性物質を放出するという危険がある。そのことは、去る二月七日の予算委員会で、私の質問に対して山中委員長もお認めになりました。
私たちは、能登半島地震によって、海成段丘で大きな地震が発生すれば海底が隆起するというのが現実だということを今回知ることになったわけであります。
原発が立地する場所の海底が隆起すれば、原発の取水口や取水路も隆起をして、冷却用海水を海水ポンプに送れなくなって、冷却機能喪失、そして大事故になる可能性があるということを想定して、それに対する規制対応を直ちに行わなきゃならない、そういう認識を委員長はお持ちですか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
新規制基準適合性審査においては、原子力発電所の敷地及び敷地周辺の断層については、詳細な調査を基に活断層を抽出し、地震動評価を行った上で、原子炉建屋等の重要な建物、構築物の基礎地盤が地震時にその建物、構築物を支持できるものであること、また、地震に伴う地盤の変形によって安全機能が損なわれないことを確認しております。
津波による発電用原子炉施設に対する影響評価の際には、津波による水位変動に加えて、基準津波の発生源における地震に伴う隆起、沈降も考慮した上で、保守的な評価が行われることを確認しております。
さらに、各原子力発電所では、既設の海水取水設備とは別に、海水から水を供給するための可搬型の設備を設けることを求めております。これによって、各プラントでは大型ポンプ車やホース等が配備されておりまして、仮に既設の海水取水設備が使えなくなった場合にも、原子炉の冷却などに必要な水を供給する能力があることを確認しております。
このように、新規制基準においては、地盤の隆起についても必要な対応はなされているものと考えております。
一方で、今般の能登半島地震から新たな知見が得られた場合には、規制に取り入れる必要があるか、取り入れるとすればどのように取り入れていくのかについては、原子力規制委員会において適切に判断してまいりたいと考えております。
○笠井委員 原子炉や使用済燃料の冷却のために海水ポンプで海水を取り入れているわけです。もしポンプ取水口が海面より上がれば、海水を取り入れられなくなります。地盤が隆起すれば、取水口が海面よりも上に出てしまって、取水機能を失ってしまうおそれがある。
そこで、伺いますけれども、志賀原発では、現時点で何メートルの隆起まで取水機能が維持できる設計になっているんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
北陸電力志賀原子力発電所二号炉の設置変更許可申請によりますと、現状、取水口の入口の高さは海抜マイナス六・五メートルに位置しておりまして、また、海水をくみ上げるポンプの吸い込み口は海抜マイナス約六メーターになるように設置されているものと承知しております。
なお、志賀原子力発電所二号炉につきましては、現在、新規制基準適合性についての審査中でございます。審査の中では、取水路等の重要な施設の直下に活断層が存在しないことを確認した上で、津波による発電用原子炉施設に対する影響評価の際に、津波による水位変動に加えて、基準津波の発生源における地震に伴う広域の隆起、沈降も考慮した上で、取水性についての保守的な評価が行われているかどうかなどを確認していく予定にしております。
○笠井委員 津波のことを尋ねているんじゃないんですね。隆起が起きた場合に、何メートルの隆起まで冷却用の海水を取水できる設計になっているかを伺っています。
地震によって隆起が起きれば、取水口や取水路が壊れなくても、取水口が海面より高くなって、ポンプへの海水を送れなくなる。海水取水ができなくなるだけじゃなくて、耐震性を持って設計された原子炉を始めとして様々な機器や配管類が破損して大事故になる。
委員長、陸上部分の施設は何メートルの隆起まで安全を保つことができる設計になっているんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 断層についての評価、地震動、隆起等についての評価も現在審査の中で確認をしているところでございます。地盤の隆起がどれぐらいであるかということについては、志賀原子力発電所二号炉については現時点ではまだお答えできない状況にございます。
○笠井委員 政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は、能登半島地震の活動の見通しについてこう言っております。これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、二〇二〇年十二月以降の一連の地震活動は当分続くと考えられ、マグニチュード七・六の地震後の活動域及びその周辺では、今後強い揺れや津波を伴う地震発生の可能性もある、こう述べているわけです。
東北大学の災害科学国際研究所の遠田晋次教授らは、震源域の両端に当たる新潟の佐渡沖や能登半島西部の断層で地震が発生しやすくなる変化が起きていると解析しております。更なる地震や津波への注意が必要と警戒を呼びかけているわけであります。
能登半島西部の断層というのは、志賀原発前面の沖合であります。地盤の隆起を伴うことが予想される大きな地震が志賀原発の近傍で起きるかもしれない、最悪の場合、敷地の直下で起きるかもしれない、その地震の力はどれだけの大きさになるのか、起きてみないと分からない。
山中委員長、したがって、今の状態では、原発の設計が地震力に耐えられるのか、地震によって、隆起を含めた地盤の変形が起きても設備が安全機能を喪失しないか、設計が基準に適合しているかどうか審査ができる状況ではないんじゃないかと思うんですけれども、どうお考えでしょうか。
○山中政府特別補佐人 原子力発電所の施設の設計に関する審査に当たっては、その前に、設計の前提となる地震、津波といった自然ハザードに関する審査をまず行うことが必要です。
北陸電力志賀原子力発電所二号炉の審査では、現在、基準地震動や基準津波を策定するために必要な敷地周辺の断層の長さや性状等について確認を行っているところでございます。
断層の評価について審査がおおむね終了すると、その結果に基づいて基準地震動や基準津波の審査を順次行っていくこととなります。このような審査を経た上で、委員御指摘のような施設への影響に関する審査を行うことができるようになると考えております。
いずれにいたしましても、今後の審査の中で、施設の地震力に対する評価や、地盤の変形等により施設の機能が喪失しないかといった評価も含めて、厳正に審査を行っていく予定にしております。
○笠井委員 日本地理学会の調査で、志賀原発の北側約九キロの場所で、富来川南岸断層が動いたものと見られる地表の上下変位やずれが三キロメートル以上続いていることが分かりました。その富来川南岸断層が能登半島北方の活断層と連動して動いた可能性があると言われています。富来川南岸断層は半島西側海域にも延びていて、この断層が動いて志賀原発近くの海岸を隆起させたという指摘もあります。
能登半島地震で明らかになったことは、断層が連動して動くということではないかと思うんですけれども、そういう認識を委員長もお持ちでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
御指摘のありました断層についても、今、敷地の周辺の断層について、活動性について、あるいは長さについて評価を行っているところでございます。また、連動についても評価をきちっとこれからしていくことになろうかと思いますので、審査の中で厳正に評価をしていくことになろうかと思います。
○笠井委員 地盤の隆起を含めて、地盤が変形した場合でも安全を保てなければ原発を建ててはならないと規制基準は求めている、先ほどおっしゃったとおりだと思うんです。
ところが、審査中なので分からない、今後の調査や審査の中で見ていくという規制委員会の考え方は、現時点で基準に適合しているかどうか、その判断を下せないということだと思うんです。
そうしますと、山中委員長、規制委員会は基準に適合しているかどうか判断ができない原発を、今度いつ起こるか分からないという地震という状況が言われている中で、このまま放置しておいていいんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
御指摘のありました現在審査中あるいは申請が出ておらない、新規制基準に適合していない停止中の原子力発電所についてお尋ねでございます。
十年以上、長期間にわたって使用済燃料が冷却されているなど、運転中の原子炉に比べてリスクがかなり低いと考えております。
したがいまして、安全上の観点では、停止中の原子力発電所に対して、新規制基準への適合性を直ちに確認するなどの対応を求める必要はないと考えております。
なお、これら新規制基準に適合していない原子力発電所についても、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえた緊急安全対策によって、緊急時の電源の確保、使用済燃料プールの冷却手段の確保等の対策は実施されていることを確認しております。
○笠井委員 現在停止しているからリスクが低いとおっしゃったのは、私は驚きであります。そんなことでいいのか。
原子炉等規制法の四十三条の三の二十二の一項は、電力会社は、原発の安全を保つため、保安措置を取ることを義務づけております。同法の四十三条の三の二十三の一項は、原子力規制委員会は、規制基準に適合していないと認めるときは、当該発電用原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転、発電用原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができると定めております。
この二つの規定は、運転をしていない原発や設置変更許可申請をしていない原発にも適用されるということになります。基準に適合していると判断できない志賀原発は、一号機、二号機共に直ちに使用の停止、これを命令すべきじゃないんですか。
○山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、今御指摘いただきました志賀原子力発電所一号機、二号機、これは長期間停止をしている原子炉でございます。原子炉の圧力容器の中に核燃料は今存在してございませんし、プールに長時間冷却されている状態でございます。非常にリスクの低い状態であるとは考えておりますけれども、こういうような新規制基準に適合していない原子炉についても、既に緊急時の電源確保あるいは使用済燃料プールの冷却手段の確保等の対策等は実施しておりますので、特段、今委員が御指摘されたような停止の命令を直ちに発するというようなことは現状で考えてございません。
○笠井委員 時間が来たので終わりますが、政府の地震調査研究推進本部は、二〇〇二年、東京電力福島第一原発の沖合を含む日本海溝沿いで、マグニチュード八クラスの津波地震が三十年以内に二〇%程度の確率で発生すると予測しました。東京電力は、福島第一原発の敷地に十五・七メートルの津波が襲い、原子炉建屋周辺が二・六メートルの高さで浸水すると自ら計算し、予測していた。しかし、それに対しての何の対策も取らずに大事故を招いたのであります。
最悪を想定することが福島第一原発事故の最も大きな教訓ではないのか、最悪の場合に備えて志賀原発を廃炉にしてこそ、人と環境を守る原子力規制委員会の使命を果たせるんじゃないか、このことを強く指摘を申し上げて、私の質問を終わります。
○平委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十六分散会