第2号 令和7年4月10日(木曜日)
令和七年四月十日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 江渡 聡徳君
理事 岩田 和親君 理事 津島 淳君
理事 細野 豪志君 理事 田嶋 要君
理事 野間 健君 理事 宮川 伸君
理事 阿部 弘樹君 理事 岡野 純子君
東 国幹君 石原 宏高君
神田 潤一君 国定 勇人君
坂本竜太郎君 佐々木 紀君
島田 智明君 鈴木 英敬君
関 芳弘君 世耕 弘成君
西野 太亮君 根本 拓君
広瀬 建君 松本 尚君
宮内 秀樹君 森下 千里君
吉田 真次君 阿部 知子君
岡田 華子君 小熊 慎司君
小山 千帆君 齋藤 裕喜君
下野 幸助君 波多野 翼君
伴野 豊君 斉木 武志君
村上 智信君 小竹 凱君
平林 晃君 福重 隆浩君
佐原 若子君 辰巳孝太郎君
…………………………………
経済産業副大臣 大串 正樹君
環境副大臣 中田 宏君
政府特別補佐人
(原子力規制委員会委員長) 山中 伸介君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 福島 健彦君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 柏原 裕君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 清浦 隆君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 笹路 健君
政府参考人
(経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官) 宮崎 貴哉君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 山田 仁君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 小田原雄一君
政府参考人
(原子力規制庁次長) 金子 修一君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 児嶋 洋平君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房審議官) 森下 泰君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房審議官) 金城 慎司君
衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長 野崎 政栄君
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 国定 勇人君
鈴木 英敬君 吉田 真次君
根本 拓君 島田 智明君
長谷川淳二君 神田 潤一君
高松 智之君 小山 千帆君
同日
辞任 補欠選任
神田 潤一君 東 国幹君
国定 勇人君 松本 尚君
島田 智明君 根本 拓君
吉田 真次君 鈴木 英敬君
小山 千帆君 高松 智之君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 西野 太亮君
松本 尚君 広瀬 建君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 長谷川淳二君
広瀬 建君 栗原 渉君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
原子力問題に関する件
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○江渡委員長 これより会議を開きます。
この際、御報告いたします。
第百九十三回国会、原子力問題調査特別委員会理事会の決定により、本委員会の活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。
本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。
以上、御報告申し上げます。
――――◇―――――
○江渡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
原子力問題に関する件の調査のため、本会期中、アドバイザリー・ボード会員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○江渡委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。
この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。山中原子力規制委員会委員長。
○山中政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の山中伸介でございます。
衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ちまして、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。
まず、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえて強化した規制基準への適合性審査については、これまでに申請がなされた二十七基の発電用原子炉のうち十七基に対しては設置変更許可処分を、日本原子力発電敦賀発電所二号炉に対しては、規制基準に適合しているとは認められないことから、設置変更許可をしないこととする処分を行いました。また、申請がなされた二十一の核燃料施設等のうち、これまでに核燃料物質の加工施設、使用済燃料の再処理施設等について十一件の事業変更許可を、試験研究炉等について二件の設置変更承認及び七件の設置変更許可を行いました。
発電用原子炉の長期施設管理計画については、令和五年に成立した改正原子炉等規制法の本格施行に向けた取組を進めており、本年六月六日の本格施行日までに処分が必要な十二基の発電用原子炉のうち十一基について認可を行いました。
原子力施設の廃止措置計画につきましては、これまでに発電用原子炉に対して十八基の認可を、核燃料施設等に対して九件の認可を行いました。
また、原子力規制検査制度により、原子力施設等において事業者が行う安全確保や核物質防護に関わるあらゆる活動を対象に、その安全上の重要度に応じて、検査官が現場確認を行って監視しています。なお、原子力施設等で事故トラブルが発生した場合には、速やかな状況確認などを通じて、適切に対応してまいります。
また、規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準適合性に係る審査の実績等を踏まえて、継続的に改善を図っております。
建て替え原子炉については、事業者からの提案を踏まえ、昨年十二月から事業者との実務レベルでの技術的な意見交換を実施しています。今後、事業者との意見交換を通じて、事務方において規制上の論点を整理し、原子力規制委員会において規制上の取扱いに係る議論を行ってまいります。
以上のとおり、原子力施設等に関わる規制が適切に実施できるよう取り組んでおります。
第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。
原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や汚染水対策の実施について、規制当局としての立場から、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、積極的な監視、指導を行うとともに、関係省庁等と連携し、環境放射線モニタリングの実施とその結果の公表を行っております。
令和五年八月から開始された多核種除去設備等処理水、いわゆるALPS処理水の海洋放出については、認可した実施計画に沿って行われていることを検査を通じて確認しています。昨年十月及び本年二月にIAEAの枠組みの下で、第三国の分析機関が参加する海域の追加モニタリングが実施されました。今後も、継続的に東京電力の活動を検査で確認するとともに、IAEAのレビューやモニタリング等を通じ、透明性、信頼性の維持に努めてまいります。
東京電力福島第一原子力発電所の事故調査については、溶融炉心による一号機原子炉格納容器の破損メカニズムや格納容器内のコンクリート損傷等の調査、分析に関する検討内容について、科学的、技術的意見募集の結果を踏まえ、昨年六月に中間的な取りまとめを行いました。今後も継続的に調査、分析を行い、それにより得られた知見を規制に活用することも含め、取り組んでまいります。
第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。
原子力災害時の防護措置である屋内退避については、原子力規制委員会としての運用の考え方を明らかにするため、昨年三月に検討チームを設置し、その効果的な運用の在り方を検討させ、関係自治体に意見照会を行った上で、本年三月末に報告書の取りまとめが行われました。今月二日の原子力規制委員会で報告を受け、その報告書の内容を踏まえて、原子力災害対策指針の改正等に向けて取り組むことといたしました。
環境放射線モニタリングにつきましては、原子力規制事務所の体制整備及び関係道府県への技術的支援等の実施に加え、令和六年能登半島地震や最新の技術的動向を踏まえて、より強靱で機動的な放射線モニタリング体制の構築に取り組んでまいります。
また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を継続してIAEAより得ております。
以上、原子力規制委員会の業務について御説明をいたしました。
原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力し、人と環境を守ってまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○江渡委員長 以上で説明は終わりました。
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○江渡委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房審議官福島健彦君外十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○江渡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。
○佐々木(紀)委員 おはようございます。自由民主党の佐々木紀でございます。
私は今、自民党の原子力規制に関する特別委員会、細野豪志委員長の下で事務局長を務めております。この委員会は、原子力規制委員会の活動状況を点検しながら、改善事項を提言するような活動をしておりまして、お手元に今日配付資料を配らせていただいております。原子力安全規制・原子力防災の充実・強化等に関する提言ということで、これは令和五年に提言を取りまとめて政府に申入れを行ったものでございまして、今日は、そのフォローアップ状況について、ちょっと御質問をさせていただきたいと思っています。
原子力発電については、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現、そしてエネルギー安全保障の観点から電力の安定供給の両立を目指すということでは、大変脱炭素効果の高い電源の一つであります。安全性の確保を大前提としつつ、地元理解を得た上で再稼働を進めていくことは大変重要だと思っています。
政府は、本年二月十八日、第七次エネルギー基本計画を閣議決定しました。今後、生成AIやデータセンター需要の増加により電力需要は拡大すると予想されている中、温室効果ガス削減と電力の安定供給を両立させるために、原子力発電をいかに位置づけて活用していくかというのが大きな課題だったわけでありますけれども、エネ基の中では、原発については、東京電力福島第一発電所の事故以降一貫して織り込まれてきた、可能な限り依存度を低減するという文言は明記せず、再生可能エネルギーとともに最大限活用していくという方針を示し、さらに、廃炉となる原発の建て替えの条件をこれまでより緩和して、次世代型原子炉の開発を進めることなども盛り込めたということでございまして、私は評価をしておるところでございます。
福島原発事故の反省と教訓を踏まえて設置された原子力規制委員会でありますけれども、事故前の基準を見直して、非常に厳しい新規制基準を策定して、原子力に対する信頼回復に努めてこられたということは高く私も評価をしておりますし、これからもより一層重要になってくるということでございますので、是非、山中委員長におかれては、リーダーシップを発揮して、お願い申し上げたいと思います。
それでは、一つずつこの提言の内容について御質問していきたいと思います。
まず、提言の一のところでございます、コミュニケーションの継続的改善ということです。
規制委員会が独善的、閉鎖的な存在とならないようにコミュニケーションを増やしていってほしいということです。特に、立地自治体とのコミュニケーションは大事でございます。
しかし、これまではどちらかというと、原発の再稼働を進めたい事業者あるいはそれを後押しする立地自治体ということで、いずれも推進する立場だとみなして、何か対峙するように見えています。しかし、この自治体というのはやはり地域住民への説明責任を担う上でも大変大事なわけでありますから、この立地自治体とのコミュニケーションというのは非常に重要であって、強化をしていくべきだと思います。
安全審査を終えた後はもちろんであるんですけれども、安全審査中もやはり継続的にコミュニケーションを取っていくということが非常に大事なのではないかと思うんですけれども、その点、規制委員会の立場を御説明いただければと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実務を任務といたします規制委員会といたしましては、自らが行った科学的、技術的な判断について、国民の皆様に対して丁寧で分かりやすく説明していくことが重要であると考えております。
新規制基準適合性に係る許可処分を行ったプラントにつきましては、地元自治体からの要望を踏まえまして、昨年度は四十回以上、地元自治体や住民を対象といたしました説明会を実施しているところでございます。規制庁職員が審査の結果等の説明を行っているところでございます。
これに加えまして、私自身も含めまして、規制委員会の委員が、知事や市町村長などの自治体関係者との間で原子力施設に関する規制上の諸課題について、意見交換を毎年数回実施しているところでございます。
今後とも、規制委員会としては、主体的なコミュニケーションに戦略的に更に取り組んでまいる所存でございます。
○佐々木(紀)委員 ありがとうございます。是非強化をしていただければと思います。
次に、提言二のところでございますが、国際的視野に立った規制の点検ということで、米国のNRCなどの海外の規制当局に学んでいく必要もあろうかと思います。
日本の規制委員会の場合、一人の担当者が個別案件を審査して、独善的、閉鎖的な審査になりがちなのではないか。内部で審査原案を事務方が作成し、委員会はその裁定に徹するといった、合議制委員会の趣旨を踏まえた役割分担、意識してチェック・アンド・バランスを確保すべきではないか。マンパワーが不足するようなときは、事務方として幅広い専門性を有する炉安審、燃安審を積極的に活用してはどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
原子力施設の審査につきましては、専門的知見を有する規制委員が、事務局である規制庁の職員とともに、審査の最初から一丸となって事業者と議論した上で、審査書案の作成に関わっているところでございます。
その後、規制委員会全体として、委員が全員参加をした形で首尾一貫した判断をする体制を取っておりまして、御指摘のような、事務方が案を作って、委員会がそれを判断するというような仕組みを今必要であるとは考えておりません。
その上で、審査における原子炉安全専門審査会、いわゆる炉安審、及び、核燃料安全専門審査会、いわゆる燃安審の活用につきましては、御指摘にありましたように、まず、規制委員会設置法の際の国会での議論で、過去の規制に対する深い反省があり、参議院の附帯決議において、炉安審、燃安審は、規制委員会の判断を代替することなく、その判断に対する客観的な助言を行うにとどめるとするとされておりまして、許認可処分に関する判断は規制委員会自身が責任を持って行うべきと考えているところでございます。
○佐々木(紀)委員 海外の規制当局と少し成り立ちが違うということで、日本はしっかりその辺を踏まえながらやっていくということなんだろうと思っています。
したがって、その中にもありますIAEAによる評価レビューを定期的に受検しながら、国際的な視野に立った規制というものを、是非、今後も取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
少し質問を前に進めまして、提言三の効率的な規制の徹底というところにちょっと移らせていただきたいと思います。
先ほどの話もありました、現在十四基の原発が再稼働しているということです。しかし、この審査に当たっては、申請から十年以上と長期化しているものも複数あります。その結果、原子力人材と原子力関係の投資が減少して、電力会社の原子力部門だけでなく、原子力メーカー、核燃料の加工事業者など、サプライチェーンも衰退していくおそれがあります。それが安全性を損ねることにつながりかねないわけです。
つまり、止めていることが安全なのではなくて、動かしながら安全を確保していくということも大事なのではないでしょうか。人材と投資の減少が安全を損ねるという認識も是非持っていただきたいというふうに思います。
こういう観点からも、審査の迅速化に取り組んで再稼働を推進していくということが大変大事だと思います。
この提言の三では、効率的な規制の徹底を要求しております。ここは、私、この提言の中で一番大事な部分だと考えています。
例えば、審査の迅速化に向けての課題として、規制委員会と電力会社とのやり取りが審査会合の場で一発勝負になって、かえって審査が前進していないようにも見えます。電力会社の説明資料、あらかじめ提出されているわけでありますから、規制委員会の側も、規制会合で議論したい論点をあらかじめ提示をして、指摘事項などに対する事業者側の方針や追加の措置をその場で示せるようにすれば、より議論が円滑に進んでいくのではないかと思います。
また、自然ハザードに関する審査を行っている間であっても、手戻りのない範囲でプラント関係の審査も並行して進めていくことも審査期間の短縮につながるものと考えますけれども、取組状況はいかがでしょうか。
効率性と安全性は、対立する概念ではなくて、どちらも追い求めていくことが重要であると思っております。アメリカのNRCにおいても、彼らの活動原則の中で効率性を明記しています。規制委員会も、活動原則に効率性を明記した上で、今後の規制活動、更なる効率化を進めていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
原子力の安全の追求に妥協は許されないのが審査の大前提でございます。このため、審査では、規制側と事業者側の双方が納得いくまで議論をすることが不可欠であるというふうに考えております。
その上で、審査プロセスの改善につきましては、限られた資源を安全上重要な課題に適切に投入するという観点から、規制委員会としても重要であるというふうに認識しております。事業者と改善点についての意見交換を行いながら、様々な取組を進めているところでございます。
具体的には、審査会合の最後に指摘事項を双方で確認し、必要な場合には文書化をするなど、共通理解を得る努力をしております。また、地質調査等、手戻りとならないように、調査方針や実施内容などをあらかじめ早いうちに確認、指摘を行うなど、努力をしているところでございます。また、審査会合の主要な論点等を事前に書面で提示することなど、取り組んでいるところでございます。
御指摘の自然ハザードとプラントについて並行して審査を進めることについては、例えば、北海道電力の泊発電所三号炉の審査では、基準地震動や津波の策定の前の段階で、防潮堤の設計方針等の審査を可能な範囲で進めてきたところでございます。
また、中部電力浜岡原子力発電所三、四号炉の審査につきましては、敷地内の断層に関する審査は終了してはおりませんけれども、基準地震動及び基準津波の審査がおおむね終了したため、令和六年十二月からプラント側の審査を再開をして、プラント側とハザード側の審査を並行して進めているところでございます。
さらに、令和七年度から、規制委員会の第三期中期目標において、リスク情報の活用等により、安全上の重要度に応じた効果的かつ効率的な規制活動ができるよう、制度、運用の改善を進めることを掲げるなど、更なる改善を進める方針としているところでございます。
○佐々木(紀)委員 ありがとうございます。
この提言に沿って取り組んでいただいているなと、大変感謝申し上げたいと思います。私、これからも更に効率的な規制を徹底していただければと思います。
今ほどもありました三期中期目標、新たに設定していただいて、リスク情報の活用等により、効率的かつ効果的な規制ができているということ、していくということは評価したいと思っています。特に、島根二号機、福島第一原発と同じ、同型の沸騰水型軽水炉というかBWRでありますけれども、これから東北電力の女川原発二号機も再稼働ということになっております。
これからBWRの審査が続いていくわけでありますけれども、これまでのプラントの審査の実績を活用して、これから続いていくBWRの再稼働も進むというふうに考えてよろしいでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
再稼働については規制委員会がコメントする立場にはございませんけれども、新規制基準適合性への審査に関しましては、規制委員会側も事業者側も、既に審査が行われたプラントに関する実績を活用することにより、効率的に審査が進むことができるというふうに考えているところでございます。
BWRのプラントにつきましては、既に新規制基準適合性に係る設置変更許可処分を行ったものとしましては、日本原子力発電東海第二発電所、東京電力柏崎刈羽原子力発電所六号炉及び七号炉、東北電力女川原子力発電所二号炉並びに中国電力島根原子力発電所二号炉がございます。今後は、これらの実績も審査に活用できるものと考えているところでございます。
○佐々木(紀)委員 ありがとうございます。是非BWRも進めていっていただければと思います。
次の提言、四、五、六と続くんですけれども、この四については、まだ出された当時は、いわゆる四十年運転制限ルールの見直しについて書かれておったわけでありますけれども、その後、この提言を受けてGX脱炭素電源法が提出され、成立をして、今進められているところでございますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、提言の五、六に関連して、特定重大事故等対処施設、いわゆる特重施設について考えをお伺いしたいと思います。
今ほど来説明いただいているように、再稼働に向けて効率的な審査に取り組んでいただいているということは大変ありがたいことです。しかし、せっかく再稼働しても、特重施設の建設が間に合わないために再び停止をするということもあります。
この特重施設は、本体施設設置等に係る工事計画認可から五年以内の設置が要求をされています。しかし、昨今の物価高騰や人手不足、働き方改革によって、五年で造ることは不可能と思われます。建屋の建設だけならいいんですけれども、山を削ったりトンネルを掘ったり、到底五年では難しいのではないか、これは見直しが必要なのではないかと考えています。
今後、再稼働後に特重施設の未整備を理由に原子力プラントの停止が相次げば、電力需給が逼迫をして、料金値上げが起こり、原子力の技術も失われて、最終的に損をするのは消費者である国民であります。運転停止期間が長くなることは、これはコストであり、リスクだという認識も規制委員会には必要なのではないでしょうか。
したがって、効率的な審査に加えて、再稼働後の特重施設の扱いについても見直す必要があるのではないかと考えています。例えば、他律的な要因による遅れや電力需給の逼迫の状況なども考慮するということは考えられないか、見解をお伺いしたいと思います。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
御指摘ございました特定重大事故等対処施設、いわゆる特重施設は、可搬型設備を中心といたしました重大事故対策の信頼性を向上させるためのバックアップ施設という位置づけでございます。その設置には、本体施設の設計及び工事計画の認可後五年の経過措置期間を設けているところでございます。
この五年という期間は、特重施設における安全上の重要性や、事業者が当該施設を新たに設置するに当たり、審査、工事等に必要な期間を総合的に判断して設定しているものでございます。
この経過措置期間につきましては、平成三十一年四月十七日の主要原子力施設設置者の原子力部門の責任者との意見交換会における事業者の意見を聞いた上で、同年四月二十四日の規制委員会で議論をした結果、この五年の経過措置期間そのものを変更すべきとするような特段の状況の変化は認められず、見直しを行う必要がないと判断をしたところでございます。
東京電力福島第一原子力発電所事故の重要な教訓の一つは、継続的な安全性の向上を怠ってはならないということでございます。規制委員会としては、特重施設の設置は、重大事故対策の信頼性を向上させるという意味で継続的な安全性の向上であり、事業者には計画性を持って対応していただきたいと考えております。
なお、他律的な要因において期限内に特重施設を設置することが困難であるとの特別の事情が出てきた場合におきましては、規制委員会としても、その内容を聞いて議論することは否定するものではございません。
○佐々木(紀)委員 是非そこは柔軟に御判断をいただきたいというふうに思います。
ちょっと時間も迫ってまいりましたものですから、今日はエネ庁もお越しをいただいておりますので、避難道のことについて少しお伺いをしたいと思います。
能登半島地震では原子力災害は発生しなかったわけでありますけれども、結果的に、もし万が一のことがあったら、道路もずたずただったし、避難できたのかなと不安を感じている地元の声も聞いてまいりました。
そこで、予定した避難経路を使用できない場合でも、使用可能な道路を何か所かやはり整備していくということも必要だろうと思っています。特に、能登半島のような、避難の方向が限られているような地形については、大変大事なことなんだろうと思います。
しかし、今度、避難道というのは、整備をしたいんだけれども、やはり原子炉立地地域というのは人口が少ない地域にあるケースが多いので、なかなか財政力もないし、予算もないし、裏負担もしにくいというような事情もあるわけでして、そこに対する支援をしていただくと、この避難道の整備も進むと思われる。そこでこういう提言をさせていただいておるわけでありますけれども、是非この辺について、エネ庁の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたように、避難道路整備を含む原子力防災体制の強化は重要でございます。内閣府や国交省等の関係府省庁と連携しながら、その充実強化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
委員から御指摘いただきました点について、御紹介いただきましたように、自民党の原子力規制に関する特別委員会から、避難道路整備の地方負担に対しても、特別に経産省等の交付金を充てられるようにするという旨の提言をいただいているというふうに認識をしてございます。
現在、この提言なども踏まえて関係省庁との調整を進めているところでございまして、こうした調整も踏まえ、関係する規則の見直しなどに取り組んでまいりたいと考えております。
○佐々木(紀)委員 是非、経産省のエネ庁の予算も使って、こういった避難道の整備が進むようにお取組をお願いしたいと思います。
もう時間もなくなってまいりましたので、最後に、私の地元の志賀原発のことについて少しお伺いしたいと思います。
能登半島地震では、最大震度七、そして最大三メーターの津波が襲来しましたけれども、大きな事故に至るような安全上の問題は発生しなかったわけです、これは志賀原子力発電所のことですけれども。つまり、現在の規制基準で十分であるということが証明されたのと同然だというふうに私は考えております。
今回の地震によって得られた様々な知見についても、規制機関として、しっかりと情報収集して、必要があれば規制に反映するような取組もされているということだと思いますし、地元住民についても、そうしていただくことが安心を高めることになるというふうに思っています。
志賀原子力発電所二号機の審査で、今回の能登半島地震による影響も踏まえて審査が行われているのかどうか、その辺についてお伺いします。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
委員から御紹介ございました、令和六年能登半島地震の発生後、志賀原子力発電所では、必要な安全機能が維持されていたことから、原子力安全に影響を及ぼすような事象は発生はいたしませんでした。
志賀原子力発電所二号炉の審査におきましては、昨年八月に地震調査研究推進本部から公表された海域活断層の長期評価なども踏まえて審査を行っているところでございます。
引き続き、各研究機関等により発表されます能登半島地震に係る知見を踏まえまして、原子力発電所敷地内の影響を更に踏まえた上で、審査の中で厳正に確認をしていく所存でございます。
○佐々木(紀)委員 時間が来ましたので以上としたいと思いますが、今ほどの能登半島のこと、地震を加味しながら志賀二号機については審査をしていくということでございますけれども、余り時間を使ってはいけないわけでありまして、もうおおむねその知見も出そろってきているわけでありますから、速やかにそれも踏まえた上での審査を進めていくようお願い申し上げて、質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。
○江渡委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。
東日本大震災原発事故災害から十四年以上が経過をいたしました。原発事故災害はまだ継続中の災害でもあります。この東電の原発事故災害について幾つか質問をさせていただきます。
この原発事故によって生じた汚染水の処理水、これをしっかり処理をして海洋放出が始まっていますが、中国においては水産物の輸入を停止、禁止をしています。
そうした中で、日本政府も努力をして、日中間合意の中で安全性が確保されれば解禁をしていくという中で、今、様々動きがありますけれども、七日の日には、中国国家原子力機構が、東電の原発の近くで採取した水産物の分析を終えて、異常がなかった、安全であったということを発表いたしました。その前には海水の安全性を発表していましたけれども、水産物の安全性を確認、発表したのは今回が初めてでもありました。
三月には日中両政府が水産物の安全性について実務者レベルで協議をされたということとなっていますが、概要についてお示しをいただきたいと思います。
○笹路政府参考人 水産物の安全性に関する日中の協議につきましては、三月十二日、先月の十二日に、北京におきまして、日本産水産物の輸入の再開に向けまして当局間の技術協議を実施いたしました。
具体的には、日本側は農林水産省、それから中国側は海関総署の事務レベルで、日本産水産物の輸入の再開に伴う技術的な項目について協議を行ったものでございます。
○小熊委員 中国は安全性が確保されれば輸入再開に応じると言っているんですけれども、結局、この七日の日の発表においても、個別の結果で異常がないことが今後も問題がないということにはならないとしていて、結局どこにゴールがあるのかが分からないんですよね。そもそも安全じゃなきゃ駄目だと。
僕も、津島さんと中国も行って、そのたびに、向こうの政府の人間が発言している、政治問題だと彼らは言っていましたから、外交部ははっきり。安全性だ安全性だと言うけれども、じゃあ、おまえら基準はあるのか、結局IAEAの基準でやるしかないんじゃないの、それ以上のものがあるなら示してくれ、あなたたちの国だって宇宙に衛星を飛ばすぐらいの科学技術、知見を持っているんだから、その科学的根拠を示せと数年前に言ったんですよ。そうしたら何も言えなくて、結局、今はIAEAのラインに沿ってやっているわけですよね。
では、やはり、交渉の中で、どういうゴールがあって、どう満たせばいいのかということがなければ、ずっと幾らやっていても、こういうふうにゴールポストを後ろにずらされると思うんですよね。そういう確認はされていますか、こういうことが満たされれば再開しますというのは。のれんに腕押しみたいな感じなんですかね。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
昨年九月、ALPS処理水の海洋放出と日本産水産物の輸入規制について日中両政府間で共有された認識を発表し、IAEAの枠組みの下での追加的モニタリングを実施後、中国側が輸入規制措置の調整に着手し、日本産水産物の輸入を着実に回復させることとなりました。
昨年十月に続き、本年二月、IAEAの枠組みの下での追加的モニタリングの一環として、中国を含む三か国の分析機関による採水等が実施されました。それを受けて、中国政府からは、既にこれらの分析結果が正常であった旨発表がなされているところでございます。
昨年九月の日中両政府による発表をしっかりと実施していくことが重要であると考えており、三月二十二日の日中ハイレベル経済対話においても、日中両政府は日本産水産物の輸入再開に向けて関連の協議を推進していくということで一致したところでございます。
こうしたやり取りも踏まえて、我が国としては、引き続き、輸入再開に向けた関連の協議を推進していくとともに、中国側に対して日本産水産物の輸入再開を早期に実現するよう求めていくという考えでございます。
○小熊委員 御丁寧に。全部知っています、それは、報道ベースでもなっているし、外務省でも発表しているのを知っているので。だから、ゴールポストが後ろにずらされるということに対してどうするのと、ちゃんと中国側にクリアすべきものを出させて、じゃ、それが全部クリアしたら再開ねということを確認しなきゃいけないんじゃないんですかというのが私の今言っていることなんです。
そういう交渉はしていますか。そういう調整はしていますか。だって、見えていないじゃないですか。今回も安全だと言いながら、今後も分からないからと言っているんですよ。ずっとこういうことが続いちゃうんじゃないの。また時間稼ぎされちゃうんじゃないですか。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
昨年九月に両政府間で確認された日中間の共有された認識においては、参加国による独立したサンプリング等のモニタリング活動を実施後、科学的証拠に基づき、当該措置の調整に着手し、基準に合致した日本産水産物の輸入を着実に回復させるということが確認されているところでございます。この共通の認識に基づいて日中両政府間で協議を進めているということでございますが、これ以上の詳細については、外交上のやり取りであり、差し控えたいと思います。
○小熊委員 もう二回やって、水もやって安全、水産物もやって安全と。これ以上続けるということ。これは外交上のやり取りじゃなくて、別に普通の科学的根拠のプロセスだから、別に言ったっていいんじゃないですか。どうですかね。
○柏原政府参考人 お答えいたします。
中国による日本産水産物の輸入再開の時期について、いまだ決まったものはございませんけれども、我が国としては、輸入再開に向けた関連の協議を推進していくとともに、中国側に対して日本産水産物の輸入再開を引き続き早期に実現するように求めていくという考えでございます。この際、日中間の協議の前提は昨年九月の共通の認識となります。
○小熊委員 言いたいのは、努力していることを別に否定するものでもないし、引き続きやるというのも別に否定することじゃなくて、より具体的に、どういう条件をクリアしていかなきゃいけないかが見えていないと、結局またいろいろ言ってきてゴールポストをずらされるんじゃないのということです。
これ以上続けても結論は出ないので、とにかく、しっかりとプロセスを明らかにして、どういう条件をクリアすればいいのかというのを中国側に出させて、それを一個一個潰していくということをやらないと、こういうふうにずらされますよということです。是非、その点、留意して交渉、調整に当たっていただきたいと思います。
次に移ります。
昨日の復興・災害特別委員会でも質疑がありましたけれども、いわゆる除去土壌についてであります。これは、東京ドーム十一個分、二〇四五年には全部、福島県から出すということでありますし、また国においてはガイドラインも示しました。予算規模みたいなものも示してあるところもありますが、国においては、再生をできるものは、八千ベクレル以下のものは再利用していく、そうすると東京ドーム十一個分が一個分以下になっていくんだ、それが県外に持ち出されるんですということなんですけれども、二〇四五年時点で再利用が進まなければ、一切進まなければ、東京ドーム十一個分が県外に持ち出すことになるわけですけれども、そんな土地が見つかるかどうかも不確定であります。
この東京ドーム十一個分は、十年間かかって中間貯蔵に入ったんですね。ということは、工夫すれば短縮できるかもしれないけれども、ありていに言えば、十一個分を県外に持ち出すとなると十年ぐらいはやはりかかるということです。
そうしたら、二〇四五年に県外処分ということになっているけれども、二〇四五年じゃなくて二〇三五年時点にはその土地が決まっていないと十年間で搬出できませんね。あと十年後なんです。あと十年後に確実にそういう土地が見つかるとなれば、もうここ数年内のうちに決めて、いろいろなアセスとか住民合意とか取りながらやるという意味では、実は、二〇四五年の話というのはもう今決まっていないと、現実、福島県から県外搬出ということができないというふうにも思います。
いろいろ聞いていきます。
配付資料のとおり、国においては、理解醸成のために、除去土壌を用いた鉢植えの設置を二十三施設、四十一の鉢をやっていて、副大臣のところにも置いてあるわけでありますけれども。
私、こう言っていながら、そうだ、自分もやらなきゃと思って、議員会館に置けないかなと思って、環境省に問合せをいたしました。ありていに言えば、できないということなんですけれども、議員会館の部屋は駄目なんですよね。確認いたします。
○小田原政府参考人 お答えいたします。
今委員おっしゃられましたように、福島県内除去土壌につきましては、中間貯蔵施設に千四百万立米ほど今、土壌がございまして、私ども先般定めました基準で、八千ベクレル以下のものは再生利用できるということで、その量は一千万立米ぐらいで、できないのが四百万立米ぐらいで、全体が東京ドーム十一杯ぐらいなんですけれども、ですから、再生利用できるのが七、八杯で、できないのが三、四杯ぐらいという量でございます。
今おっしゃられました、いわゆる中間貯蔵にあります除去土壌を用いました鉢植えの設置及び管理につきましては、放射性物質汚染廃棄物特措法などの規定によりまして、除染実施者である国、私ども環境省が責任を持って行わなければならないというふうにしているところでございます。その設置場所といたしましては、管理者としての環境省による適正な管理が可能な環境下である必要があるというふうに考えておるところでございます。
お話のございました議員会館における鉢植えの設置につきましては、今の段階でお答えするものではないというふうに考えてございまして、まずは、敷地ですとか建物の管理者の関係者の方で御議論いただきたいというところでございますが、一般論で言いますと、そのように管理をしなければいけないということがございますので、個人が管理する場所というところは適正な管理をするのがなかなか難しい場所ではないかというふうに考えているところでございます。
○小熊委員 細野委員もトライしてみたことがあると今言っていましたけれども。
では、議員会館の共用スペースはどうですか。あわせて、その植栽の部分はどうですか。これは個人じゃないので。
○小田原政府参考人 議員会館の共用スペースと、あと植栽等ということでいただいたところでございます。
先ほども申しましたように、私どもが管理者として適正な管理をする環境下で行っていくということでございますが、先ほどの繰り返しになって恐縮でございますけれども、共用スペースを含めまして、議員会館における鉢植えの設置というのも、今段階においてお答えするものではないというふうに考えておるところでございます。
また、議員会館における植栽というところで使うということになりますと、復興再生利用ということになると思いますけれども、こちらにつきましても、今の段階でお答えできるものではないというふうに考えているところでございます。
○小熊委員 議員会館の個人の部屋も、共用スペースも、植栽もそういうこと。ということは、同じことが国会で、例えば我が党の控室で置きたいと言っても、それは個人の部屋と同じことで。
では、国会の共用スペース、植栽のところも今と同じ見解、御答弁と同じということで、確認させてください。
○小田原政府参考人 国会内の各派の部屋ですとかというおただしでございますが、おっしゃるとおり、同じ見解でございます。
また、植栽等ということでありますと、また先ほど後段で申し上げました植栽等での復興再生利用ということになるので、こちらも同じになると考えておるところでございます。
○小熊委員 政府と行政の立場ですから、それはそういうのがあるけれども。
では、適正に管理というのは具体的に、いろいろちょっと聞いたけれども、モニタリングしたりしていると言っていましたけれども、適正管理というのはどういうことをしているんですか、責任を持つということは。どうですか。
○小田原政府参考人 管理と申しますのも、放射性汚染対処特別措置法の規定に基づきまして、除染実施者が責任を持って行うものでございます。
具体的には、例えば、鉢植えの空間線量率を定期的に測定をしたり、あとは、鉢植えの上を土壌で覆っておりますので、その飛散、流出防止のための覆土が適切に維持されているかということを確認したり、また、鉢植えの健全性ですとか、それを記録作成、保存するというようなことを管理してございます。
あと、済みません、一つ、先ほど放射性汚染対処特別措置法のことを誤って言ってしまいましたので、ちょっと正させていただきます。
○小熊委員 この配付資料をよく見ていただくと、政府機関だけではなくて、自民党さん、公明党さんはやっていただいているんですね。我が党はやっていないので、我が党の環境エネルギーPTの座長の田嶋代議士には是非ちょっと対応を御検討いただきたいということを、この場をおかりして、済みません、我が党内のことでお願いするということですけれども。
適正管理、じゃ、自民党、公明党というのは政府ではないんですよ、与党だけれども。この建物も。これは何でやれているの。だったら別に、国会内の共有スペースでも議員会館でもやれればいいんじゃない、みんなで、例えば議運とかで合意を取るんですかね、国対とかで。そうじゃないですか、政府だけでやっていたらまだ今の答弁でやむなしなんだけれども、自民党さん、公明党さんに持っていっているんじゃないですか。じゃ、いいんじゃない、国会でも。どうですか。この違い、どうですか、今言ったのとちょっと違いますよ。どうですか。
○小田原政府参考人 委員おっしゃられるように、自民党本部また公明党には設置させていただいております。これは、先ほども申しましたけれども、その施設を管理している方ですとか関係する方がそれを了解若しくは合意ということをされまして、私どもにお話があって、また私どもとしても検討させていただいたという結果だというふうに認識してございます。
○小熊委員 じゃ、国会でも、皆さん、議運とか国対で議論してもらいましょうよ。それで合意が取れたらいいということでしょう、国会だって議員会館だって、今の答弁だと。そうじゃないですか。
○小田原政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、委員おっしゃられるように、関係される所有者の方ですとか関係者の方がそういうふうに合意されて、私どもにそのようなお話をいただきまして、私どもが私どもで管理できるかというようなことで検討させていただいてという手順になっていくものではないかというふうに思います。
以上でございます。
○小熊委員 是非、昨日、復興の特別委員会で、事故の起きた原発施設から七キロという一番、日本一近いところに住んでいる代議士の、我が党の齋藤裕喜代議士も聞いていましたけれども、双葉町の町長が町で使おうと。でも、これは、地元ではいろいろ意見が分かれているんですよ。でも、あえてこれを進めるために、実は全国民に向けてその問題を提起したというふうに思っています。
国会としても、賛成、反対もあるけれども、やはり我々、そっちに聞いているんじゃない、皆さんに言いたいけれども、各党に持ち帰って、国会に置こうかということを、議員会館に置こうかということを議論しなきゃいけないと思います。福島県民だけが背負う話じゃなくて、全国民が背負わなきゃいけない話だし、これが進まなければ、さっき言ったとおり、東京ドーム十一個分、全部丸々どうするのという話になるんです。私も、地元で、自治体の議員とか住民とか首長さんたちに、僕の選挙区内でも、福島県でも再生土の利用はするということですから議論していますけれども、やはり二分しちゃうねと言っていました。
三月二十七日は、三鷹ですけれども、三鷹の市議会で、放射能汚染土ですよ、除去土壌じゃなくて、の再利用の中止・撤回を求める意見書が可決をされてしまいました。残念ながら、うちの党の議員たちもこれに賛成しているんですけれども、自公と都民ファは反対していましたけれども、こういうことも起きている。そうなんです、いろいろな意見があるんですよ。
昨日、中田副大臣も、国が率先して再利用を進めていくんだと言いましたけれども、副大臣自身が選挙区の人たちと、これ、引き受けようかと議論したことありますか。
○中田副大臣 私は、今全国が選挙区ですけれども、これはもうよくしています。やはり科学的に安全だということははっきりしているわけであって、そういうものをしっかりと受け入れていくということに向けては、これは福島だけに押しつけている場合ではない。それは法律上も、二〇四五年までにしっかりと福島県外にということは規定されているわけですから、そのためにはしっかりと国民の理解を求めていくという上において、説明もしていますし、私がその立場であるならば、政治的にもあるいは国民的にも、それはもう受け入れるということに向けてしっかりと議論を進めていきたいと思います。
○小熊委員 中田さんが今横浜市長だったら、横浜市に持ってくる、使うとなったんだろうけれども、今は国会議員、副大臣の立場で推進をしてほしいと思いますし、だから、委員の皆さんもそうですよ、地元に帰ってやってみてください。議論だけでもいい。
今、福島県はこういうことで住民が二分するんですよ。こういう分断の中で苦しんでいるのが今の福島県です。だから、委員の皆さんにおいても、実際これが実現しなくても、地元でまずしてみてください。どういうことが起きるか。細野さんもやっていますか。やってみてくださいよ。
やはり分かれるんですよ。僕のところも分かれています。これを推進していくって、環境省は頑張って、再生利用を進めると言っているんですけれども、実際、自分でもやってみて、二分しちゃって、二分した状況でどう合意を図っていくかなんというのは非常に難しい。
そういう意味では、最後の質問になると思いますけれども、先月の参議院の予算委員会で、官邸で使うって総理は明言したけれども、鉢植えはもう使っているわけですよ。でも、質問した佐藤正久さんに聞いたら、前段の部分では植栽とかで使えと言っているんですね。
でも、植栽で使うということは、この千代田区とか近接する港区とか、町内会とかあるんですかね、この辺、ないのか……(発言する者あり)ある。とか、どういうプロセスを踏むのかというのがないので、使うと言ったけれども、どうなっているの。総理、明言していたんですよ、使うって。植栽を含めたところじゃなければ、意味ないというか、あの明言、何だったのとなりますよ、鉢植えは今もうやっているんだから。
副大臣、答えられますか。
○中田副大臣 総理官邸でどういうふうに植栽に使っていくかということについては、これは省内で議論を進めております。
先ほどお話出ていましたように、例えば御党における鉢植えなどについても、是非御議論いただいて、そして受け入れる、受け入れるというか置くということを、これをまとめていただければ、これはもう現状でもやれるように、自民党、公明党と同じでありますから、できるというふうに思いますし、また国会内でということについてなども、これをしっかりと議論としてまとまれば、それは是非やっていきたいというふうに考えます。
また、より国民が多く、しっかりと安全性を確かめられるような、様々な場所に今後やはり置いていけるように、その管理の在り方そのものについても、法律上、先ほどから出ている特措法があり、そして、その下における管理ということでありますけれども、この管理の在り方についても、今後は議論を進めて、より国民が見えるようにしていくということが、安全性をしっかりと認識をして、そして四五年までに受入先というものを求めていく上において重要なことだというふうに考えています。
○小熊委員 我々も頑張りますけれども、是非政府には頑張っていただく、とにかく国民的議論になるように、いろいろ展開を図っていただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○江渡委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
二〇一一年の原発事故を受け、原発行政において最も反省し、教訓としなければならないことは、原子力を規制する側が推進する側の論理に取り込まれてしまうとりこの構造、規制のとりこを二度と繰り返してはならないということだというふうに思います。山中規制委員長に確認をします。そういうことでよろしいでしょうか。
○山中政府特別補佐人 二度と規制のとりこにはなってはいけない、規制当局自身がそれを肝に銘じて決意を示さなければならないというふうに考えておるところでございます。
○辰巳委員 かつて、吉井英勝衆議院議員は、まさにこの国会で何度も何度も全電源喪失などの可能性を指摘をして、冷却機能を失った原発の危険性を警告し続けましたけれども、規制のとりことなった行政は聞く耳を持ちませんでした。そして、そのとおりの大事故を招いてしまいました。今、その規制のとりこが繰り返される事態となっているということを私は厳しく指摘をしなければなりません。
私は、今年決定された第七次エネルギー基本計画を見て驚きました。これまでにあった原発依存度の低減という文言が消えて、原発の最大限活用という文言が躍っていたからであります。同時に、第六次エネルギー基本計画にはなかった次世代革新炉の開発、設置が盛り込まれております。
次世代革新炉のうち革新軽水炉は、東電など電力会社や、三菱重工、東芝、日立などの原発メーカー、電気事業連合会などで構成する原子力エネルギー協議会、通称ATENAですけれども、まさに原発利益共同体、原子力村そのものと経産省が開発と設置を狙っているものであります。
そして、このATENAが昨年の三月の二十五日に革新軽水炉について規制当局に対して設置を求めたのが、規制当局との意見交換の場であります。確認しますけれども、このATENAとの意見交換会は何を目的に設置をされたんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
委員から御指摘の革新軽水炉、規制委員会では建て替え原子炉と呼んでおりますけれども、これについて、事業者から設置許可基準規則の解釈の一部において議論したい内容があるとの申出がございましたので、これを受けて、昨年十月九日の規制委員会で、建替原子炉の設計に関する事業者との実務レベルの技術的意見交換会の設置を了承し、昨年十二月から事業者との意見交換を実施しているところでございます。
この意見交換会は、まず、規制庁と事業者との間での建て替え原子炉の設計の事実確認等を進めることを目的としています。その結果として、規制上の判断の必要がある事項が出てくれば、規制委員会の場でその内容について報告を受けた上で、規制上の対応の有無など議論を行うこととしているところでございます。
○辰巳委員 ATENAは、規制の予見性が十分でないとか、規制の予見性を詳細にしてもらいたいというふうに、繰り返し主張をしています。
ただ、確認したいんですけれども、推進側が革新軽水炉と呼んでいるものを、規制委員会はそうとは呼ばずに、建て替え原子炉と呼んでいますよね。これはなぜそういう呼び方をしているんですか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
事業者やメーカーが開発を進めておりますいわゆる革新軽水炉についての話題が出始めた当初、令和五年七月に閣議決定をされたGX推進戦略において、廃炉を決定をした原子力発電所の敷地内に建て替えるとされたことから、規制委員会では、規制基準の検討を行う上で建て替え原子炉と呼ぶこととしたわけでございます。
なお、この建て替え原子炉につきましては、これまで事業者からその内容を聞く限りにおいては、既存の加圧水型原子炉から新たな改良を加えているものの、本質的には既存の技術の延長上であるというふうに認識しているところでございます。
○辰巳委員 要するに、規制委員会は、今の加圧水型原発、PWRと変わらないと考えているということです。まあ、言っても、改良型という程度の話だということなんですね。
続けて確認しますけれども、では、今の規制基準が求める性能要求は、この革新軽水炉に適用することはできないんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
現在の規制基準は、東京電力福島第一原子力発電所事故の深い反省の上に、事故の可能性をゼロと考えるのではなく、事故が起こり得るという前提の下で、重大事故の防止とその影響を緩和するための手段、大規模損壊による影響を緩和するための手段等を求めているものでございます。
この規制基準において求められております技術要件というのは、いわゆる性能規定でございまして、これを達成するための技術的内容を規則解釈として例示しているものの、十分な保安水準の確保が達成できている技術根拠があれば、規則解釈に限定されるものではございません。
建て替え原子炉につきましては、事業者からこれまでその内容を聞く限りにおきましては、既存の加圧水型軽水炉から新たな改良を加えているものの、本質的には既存の技術の延長上であるという認識でおります。
したがいまして、基本的には、現行の規制基準の枠内で審査ができるものと考えておりますけれども、まずは、規制庁の職員と事業者との実務レベルでの技術的な意見交換会により事実確認を行って、規制委員会の場でその報告を受けた上で、規則解釈の明確化の必要性の有無等を議論してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○辰巳委員 つまり、戻りますけれども、推進側は解釈が分からないといって意見交換会の場を設けてほしいと言うんですけれども、規制委員会は、いや、従来のものと変わらないんだから、しかも、皆さんの規制ですよね、本解釈に限定されるのではなく、技術的根拠があれば規制に適合すると、これははっきり書いてあるわけですから、わざわざ意見交換する場を設ける必要はないわけなんですよ。
それでは、何でこういうもの、意見の交換の場を設けてくれということをATENA側が求めているのか、狙いは何なのかということですよね。それは、どうすれば規制委員会の許可や認可を得ることができるのか、その答えを教えてほしいということじゃないですか。言ってみれば、試験の問題を教えてくれと先生が生徒に言われて、はい、分かりましたと先生の側が応じるようなものじゃないですかね。
しかも、意見交換の内容は原則公開だ、こうなっているんですが、セキュリティー、商業上の理由から、非公開あるいはマスキング処理をするともされております。つまり、このやり取りの中で実際に答案が示されていても、国民にはブラックボックスということになりかねないわけですね。こんなことをしていれば、ついには事業者側にとって都合のよい規制基準、事業者に合わせる基準になってしまうおそれがあると私は言わなければならないと思います。生徒のレベルに応じた答案、問題、これが用意されてしまう危険性が私はあると思います。
大体、この意見交換は規制委員会が求めたわけではないわけですね。原発推進側のATENAが求めるままに設置をされたわけですよ。規制側のメリットというのはあるんですか、やっていて。どうですか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
一般論といたしまして、被規制者である事業者から許認可の基準の適用性について照会を受けた場合、行政の公正性及び透明性の確保の観点から、その照会内容に関する行政機関としての見解を示すことは当然であると考えているところでございます。
建て替え原子炉については、先ほどお話をいたしましたとおり、本質的には既存の加圧水型原子炉の技術の延長上のものであるという認識ではございますけれども、事業者が一から基本設計を考案したものとなりますので、事業者が示しています、常設設備を基本に重大事故等に対応することなどの論点に関しまして、現行の規制基準をそのまま適用できるものかどうかを事実確認をした上で十分整理をして確認することは、規制当局にとっても重要なことであるということを認識しているところでございます。
安全上の課題あるいはリスクをこの意見交換の事実確認の中で判断することは、我々規制当局としては極めて重要であるというふうに考えているところでございますし、この意見交換を通じて得た知見というのは、将来、申請を受けた際に、規制委員会が行う審査の際にも有効に活用できるものというふうに考えているところでございます。
○辰巳委員 いや、ほとんど変わらないと言いながら、そういう推進側の意見を取り入れていくということだと思うんですよね。
推進側の狙いは明確ですよ。ATENAの作成した文書によると、こう書いてある。今後確認したい事項として、「新技術等の適用促進に向けて技術等を事前確認する制度の活用・拡大」、こうあるんですね。つまり、今回の意見交換会を皮切りに、事前確認制度を広げていくんだと。これは事前審査になりかねないと思いますよ。規制側をどんどん取り込んでいく気だというのがATENAの狙いなんですね。
私は、このATENAの要求を規制側がのんだのは今回だけではない、前歴があると言わなければならないと思います。
規制委員会の審査などによって運転が止まっている期間は運転期間として算定しないでほしいというATENAの要求に応じて、二〇二〇年、規制委員会は運転期間に関する見解を決定をして、それを経産省が即座に利用して、運転期間は利用政策側の法体系の中で検討すると強引に主張しました。山中規制委員長は、原発推進の経産省のこの言い分を、何の疑問も挟まずに、反対意見も挟まずに丸のみをして、運転期間の定めは利用政策側の判断、つまり経産省の判断だと即座に表明をしました。
この論理で、原発の運転期間を定めた規制委員会所管の原子炉等規制法の条文は、丸ごと経産省所管の電気事業法に移されてしまったわけでございます。
挙げ句の果てに、原則四十年、特例に限り二十年延長が可能という、まさに東京電力第一原発所の事故の教訓を基に作られた原発の運転期間の法規定は簡単にほごにされてしまって、ATENAの要求どおり、規制委員会の審査による停止期間は運転期間から除外するという、安全を無視した原発の六十年超の運転が可能となったわけであります。
私、これはもう完全に取り込まれている、とりこになっていると言わなければならないと思いますよ。意見交換会は私はやめるべきだと言いたいと思うんですね。そもそも、原発が抱える重大な問題点、使用済核燃料の処分の問題であるとか、帰還が念頭にない避難計画を作らざるを得ない問題等々、解決できない問題ばかりですから、これは原発ゼロ社会に向けて動き出せということを改めて私の方から求めて、質問を終わります。
以上です。
○江渡委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 斉木武志でございます。
本日は、山中規制委員長を中心に、私、福井県、特に十五基の、原子力発電所が集中している日本一の集中立地地域でございますので、その諸課題についてお聞きしたいなというふうに思っております。
まず、冒頭の御報告でもございました敦賀二号機に関する判断でございます。
この敦賀二号機をめぐっては、K断層が論点になっておりましたけれども、この建屋直下に活断層がある可能性を否定できないという理由で、再稼働には、炉規制法の設置変更許可申請には応じないという判断をされました。
その敦賀二号機の敷地に関して、たくさん断層があるのではないか。原電側は、それでももう一度再申請をしたいという姿勢を堅持しております。ですので、それに求められる挙証責任であるとか、どういった懸念点があるのかというところが県民そして国民の懸念事項でございますので、その点についてお伺いしたいと思います。
まず、審査側としてこの敦賀二号機に携わっていらっしゃって、今、原電側が、それでも動かしたいというふうにおっしゃっている。さらに、記者会見等々、山中委員長の御発言を聞いておりますと、非常に難しい土地だ、断層が非常にたくさんほかにもあるので、それ全て調査するとなると難しいんじゃないのかというような趣旨の御発言もされていると思います。
審査側として、これを見られていて、まず、事業者側がそれでも動かしたいという場合には、何が追加、審査側は、規制委員会に何を提出しろ、何を挙証しろということが必要になるんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
委員から御指摘いただきました敦賀原子力発電所二号炉につきましては、日本原子力発電に改めて設置変更許可申請をしたいとの意向があることは承知しております。申請がいつになり、どのような内容になるかについては、規制委員会としては承知していないところでございます。
なお、敦賀原子力発電所の敷地内には、昨年許可しないこととする処分の際に審査対象といたしましたK断層以外にも多数の断層が存在いたしますために、それらの断層の活動性について、事業者が、活動性がないということについてそれぞれ立証するとともに、施設の設計も含めましたその他の規制基準への適合性についても立証した上で、申請をしていただく必要があると考えているところでございます。
○斉木委員 今、多数の断層が存在をする、そして、それぞれについて活動性がないということを立証していただく必要があるというふうにおっしゃいましたけれども、多数の断層というのは、どれぐらいの断層が敷地内にはあるという、どれぐらいの数の断層を調査をする必要があるというふうに見ているんでしょうか。
○山中政府特別補佐人 私の記憶でございますけれども、数十は少なくとも断層として存在するという報告があったというふうに記憶をしているところでございます。
○斉木委員 ということは、その数十に関しては、日本原電は、活動性に関する数字であったり柱状図であったり、そういったものは、まだ提出していない断層が数十あるということでしょうか。
○山中政府特別補佐人 検討されていない断層がまだそれぐらいは残っているというふうに認識をしております。
○斉木委員 となると、数十か所以上は少なくともデータが出ていない断層があって、そこに対する追加調査を行うという必要があるということでよろしいですか。
○山中政府特別補佐人 活動性がないということを立証していただく必要がございまして、全て何かボーリング等の試験をする必要があるかどうかということは、事業者の判断に任せたいというふうに考えております。
○斉木委員 そういった非常に難しい、記者会見では難しい土地であるということをおっしゃっていました。
ですので、ということは、かなり、我々電力ユーザー側、国民側から見ると、日本原電さんが行う追加調査も、これは日本原電のお金で行いますので、結局、日本原電は今一ワットも発電できておりませんので、全て売上げは、関西電力そして中部電力、北陸電力、この三社の受電契約金、百億、百億、百億の三百億ぐらいずつ、毎年日本原電さんにいわゆる基本料金としてお支払いをしている、ですので、当然、我々国民の電力料金で追加調査も行わなければいけないという理解でよろしいでしょうか。
○山中政府特別補佐人 事業者の経営に関することについては、規制委員会がお答えすることではないというふうに考えております。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
日本原電の判断につきましては、今御答弁ありましたとおり民間企業の経営判断でありますので、国の立場からのコメントは差し控えさせていただきますけれども、委員から御指摘ございましたとおり、日本原電の敦賀発電所二号機等は大手電力会社が受電するために建設、運営されているものでございますので、受電会社も含めた経営判断が行われているというふうに承知をしてございます。
○斉木委員 ですので、そういった経営判断、その三社も含めた、日本原電も束ねた形での追加調査に幾ら投資をするのか、そして、それが本当に動くかどうか、可能性があるのかどうか、そういった判断で行われるべきだというお考えでよろしいですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
日本原電の敦賀発電所二号機の受電会社の経営判断に際しまして、小売電気事業は自由化されてございますので、事業者がどのような電源を用いて電気を供給するか、あるいはそれに基づいてどのように電気料金を設定するかということについては、民間企業の経営判断でございますので、国の立場からはコメントすることは差し控えたいというふうにございます。
○斉木委員 今久米さんからも、電気料金を幾らに設定するかは経営判断だというふうな御発言がございましたけれども、払うのは国民側ですので、我々国会議員としては、なるべく国民負担は安くしてくれという国民の声に応える責務がございます。ですので、じゃ、どれだけつぎ込んで、本当に動くのかどうかという、まさにその経営判断というところが重要になってくるなということなんですけれども。
山中委員長にお伺いしますが、動く可能性に関してなんですけれども、これは記者会見等ではなかなか厳しいというニュアンスを私は感じたんですけれども、動く可能性に関しては、いかが御所見をお持ちでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
昨年の夏、秋の規制基準に適合しないという判断をする前に、日本原電の社長との意見交換を行いました。その際、直接社長にも私の方から、非常に敷地内の断層が数多く存在をして、それぞれ活動性がないということを立証するというのは非常に困難であるという私の見解をお話をいたしました。また、技術基準に全て適合するという形で再申請をしていただきたい、そういうお願いもさせていただきました。
直接社長にそういうお話をさせていただきまして、特に異論はございませんでしたので、十分、申請の難しさについては御理解をいただいたのではないかというふうには理解しているところではございます。
○斉木委員 なかなか、規制側ですので、動く、動かないということは明言を避けていらっしゃるようなふうに、今、印象を持ちました。中で、非常に明確な、当時の会見の様子なども御披露いただいて、何となくニュアンスは伝わってきたなという所感は持っております。
やはり、私はUPZの住人でもございますので、地元側としては、実は、日本原電さんは、この三月末までに、追加調査の方法を決めて、具体的に福井県や地元に対して御説明をしますということをおっしゃっていましたが、見送りました、もう四月ですので。これは、やはりもう無理じゃないかというふうに、地元としては、再稼働を望んでいる方々も含めて、印象を持たざるを得ない。要するに、期限を設定して、それができなかったということですので。
この辺り、本当に動くのかどうかということに対して、今日、せっかく副大臣も来ていらっしゃるので、もしあれでしたら御所見を、所管官庁として、この二号機に関して、今まで、久米さんや、そして山中規制委員長からも御発言がございましたけれども、事業者が三月末と期限を切った、地元への御説明、追加調査の方法の提示、これができなかったということを受けて、これは本当に、更にお金を投資して追加調査をして、採算性があるのかどうか、御所感、いかがですか。
○大串副大臣 現在、追加調査に取り組んでいるという意向であることは、今お話があったとおりでもございますし、それに対して、経営判断については、なかなか国から事業者に対して、国の立場からはコメントは難しいかなというふうに思いますが、本年三月末めどの取りまとめに向けての検討を進めてきているところでもございますし、調査内容に万全を期すために継続することを公表したというふうに承知をしております。
これから、受電会社の土木部門であったりとか、外部の研究機関とか専門家も交えながら検討を進めてきたというふうに承知をしておりますので、なかなか難しい調査であるということも、我々も把握をしているところでもございます。
○斉木委員 なかなか、ちょっと、できなかったのでどうするんですかとお聞きしたんですが、三月までのことをお答えになってもお答えになりませんので、よろしくお願いいたします。
日本原電は、実は、二号機に、経営判断だと久米さんもおっしゃいましたけれども、もう一つ、投資できる土地がございます。三、四号機の新設計画というのも日本原電さんはずっと持っていらっしゃって、すぐ西隣に崖を切り開いて、広大な土地を既に整地が終わっております。
この三、四号機、二号機が厳しいということであれば、これ以上、国民の電力料金をつぎ込んで動かない調査に投資をしても、これは福井県民を含めて電力料金が上がってしまいますので、だったら、三、四号機の新設の方に経営資源を集中していった方がいいんじゃないか。いわゆる損切りは早くということですね。これまでずっと、十数年間投資をしてきていますので。早く、こういった動く可能性のあるもの、発電できる、発電会社ですから、早く電気を作ってほしいわけです、我々は、投資をしている以上は、電力料金という形で。なので、早く、規制の基準で厳しいものは見送って、そして動くものに投資をしていく、これが経営判断、民間論理だろうと思うんです。
三、四号機の、既に切り開いている土地の性状についてお伺いします。
山中委員長、浦底断層がここは東側にずっと、南北に走っておりますね。浦底断層にK断層とか連動するんじゃないかとか、いろいろ論がございます。その浦底断層という活断層、大きな活断層からの距離ということで見ると、既存の二号炉というのは近いですね。三、四号機の新設予定地というのははるか西の方にずれておりますので、浦底断層から、活断層から距離を取れという安全性の原理からいけば、三、四号機の方が安全面からも、これは我々地元住民としても安心できる発電所じゃないかなと思うんです。
規制側から見ていて、今の二号機に拘泥していくやり方と、三、四号機の土地の性状、二号機の土地の性状と三、四号機の新設予定地の土地の性状、どちらが安全だというふうに、平たく言えばですね、御所感を持っていらっしゃいますでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
浦底断層からの距離という観点でいいますと、委員が御指摘いただきましたように、三、四号炉が予定をされている場所の方が距離はあるというふうに私も理解をしているところではございます。
一方、敦賀発電所の三、四号炉につきましては、新規制基準適合性に関係します設置変更許可申請が、現在のところ、なされておりません。
ということで、審査に着手しておりませんので、三、四号炉の設置予定の地点の地質、地盤の構造が二号炉のものと比べてどうかということは、現時点では規制委員会として何か発言することはできませんので、御了承いただければと思います。
○斉木委員 確かに、東日本大震災が起きたのは旧規制基準で申請中の出来事でしたので、それ以降、新規制下では審査が進んでいない、そもそもエントリーが行われていないということだと思います。地元住民としては、やはり何といっても安全性が肝になってきますので、今日、山中委員長からもお聞きしている感触ですと、非常に厳しいという所感を持たざるを得ないなと思います。
ですので、やはり何といっても、国民目線から見れば、日本国民の電力料金、これ以上上げないでくれというのが共通の今国民の願いですので、それに応えるためには、無駄な投資は避けてくれ、動く見込みがないんだったら、追加調査にまた何億円、何十億円というふうにつぎ込んでいくのはやめてほしいというのが、これは実は、関西電力、いわゆる受電契約側ですね、毎年基本料金で日本原電を支えている側の株主総会でも提起をされていると聞いております。
要するに、動く見込みのないものであれば、関西電力等の支えている側の電力の株主総会でも、ちょっとそれは投資効率としていかがなものかということが提起をされていると聞きますが、この辺り、国民からの、そして受電契約、関電、中電、北電からの株主の声をどう受け止めていらっしゃるか。
やはり、損切りは早く、そして投資効率のいいものに経営資源を集中する、これが民間のまさにビジネス、経営感覚だと思うんですが、なぜこういった判断が日本原電側から、受電契約側から聞こえてこないのか、所管官庁の御所見をお伺いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど副大臣からも御答弁差し上げましたけれども、日本原電は、今、敦賀二号機につきまして、再申請に向けて追加調査等に取り組んでいく意向でございまして、現在、外部の専門家、研究機関を交えながら検討を進めてきているということであります。
そのときに、従来のボーリング調査等に比べてより大規模な調査の実施を検討して調査内容に万全を期すという観点から、これまでの検討に参加していなかった外部の専門家からも御意見を伺いながら検討を進めているところというふうに承知をしております。
これは繰り返しになりますけれども、民間企業である日本原電がどのような事業を営むかについては、株主や経営陣の方針、ガバナンスの下で決定されるものでございますので、国の立場からコメントすることは差し控えたいというふうに思いますけれども、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り再稼働することはないという政府方針の下で、安定供給や脱炭素電源の確保等の観点から、既設炉の最大限の活用は極めて重要だというふうに考えてございます。
○斉木委員 既存炉は確かに既存投資なので動かすべきなんですが、動く見込みがないのであれば、それに国民の電力料金をつぎ込み続けるというのは、甚だ日本的な失敗のまさに黄金ケースというか、いつまでもいつまでも、切れずに切れずに、ずるずるずるずる続けてしまって、そこに無駄な経営資源が集中していくということにもなりかねませんので、是非そういった冷静な判断が、今、三つの電力会社の株主からも提起をされておりますので、やはり、そういった部分はそろそろ国側としても、電力料金の高騰を抑えるという観点から、是非コミュニケーションを取るべきじゃないかなというふうに御要望申し上げます。
そして、もう一つ、これは全国的な課題でもあるんですが、六ケ所村の再処理施設に関しても伺わなければいけません。
実は今、福井県では、これは全国そうですけれども、動いている発電所は全て燃料プールがほぼ管理容量限界に達しようとしております。福井県の場合でいいますと、あと五年程度でもういっぱいになってしまって、今、設備利用率が八八%とか、全国で一番高い地域でございますけれども、それが止めざるを得ないような状況も、要するに、使用済燃料を入れておく場所がないからこれ以上増やせませんという状況が、まさにもうこれから五年以内にやってこようとしております。
ですので、関西電力さんもロードマップなるものを御公表されて、青森県そして六ケ所村にこれは持っていくことになっているから大丈夫ですということで再稼働に同意を取り付けているような状況でございます。
こちらに関西電力さんの使用済燃料対策ロードマップがあるんですが、これを拝見すると、二〇二六年度中に六ケ所村が竣工する、七年度から再処理を開始する、八年度から使用済燃料の受入れを開始する、関西電力からは七十八トン、二九年度には六十六トン、三〇年度には五十四トン搬出していきますというふうに書いてある。だから燃料プールはいっぱいにならないんですということを、数字を併せて御公表されておるんですね。
ですので、これは六ケ所村が動かないとなると、もう持っていく場所がなくなって、燃料プールはあふれるわけです。止めざるを得なくなるわけです。そういう観点からいいますと、この六ケ所村の審査状況というのは極めて重要でございます。
六ケ所村に関していきますと、これまで三か所だった区割りを十か所要求をして、今審査をやり直していたりであるとか、手戻りが非常に多いなと、二十七年間で二十七回延期を繰り返している施設ですので、本当に動くのかどうかというのが、我々福井県民も含めて、国民の懸念事項だと思っております。
実際、今、審査の進捗状況は、山中委員長、いかがでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
日本原燃株式会社再処理施設につきましては、令和二年七月二十九日に新規制基準への適合性に係る事業変更許可を行っております。また、令和四年十二月二十一日に第一回の設計及び工事計画の認可、いわゆる設工認を行ってきたところでございます。現在、原子力規制委員会におきましては、令和四年十二月二十六日になされた第二回の設工認申請の審査を行っているところでございます。
当該審査に関しましては、日本原燃による入力地震動の策定等に時間を要しておりましたけれども、昨年四月にその確認が終了しています。また、本年四月までに耐震設計の解析モデル等の確認もおおむね終了いたしまして、代表建屋あるいは代表設備の設計結果の確認等を順次進めていると報告を受けているところでございます。
現時点で設工認の認可時期等については私の方から言える状況にはございませんけれども、原子炉等規制法に基づき、施設が竣工するまでに、現在審査を行っております設工認に加えまして、保安規定の変更認可、設備、施設に係る規制委員会の使用前確認を受ける必要がございます。
規制委員会としては、引き続き厳正に審査、検査を続けていく所存でございます。
○斉木委員 私、規制庁の職員とレクをしているときに、一つ気になった事項がございます。これまで、経産省や経産大臣は、この技術的な問題、何で二十七年間、二十七回も延期を繰り返すのか、本当に動く施設なのかどうかという趣旨の御質問を経産委員会等でしていたときに、技術的な課題はもう既にクリアしているんですよ、審査に手間取っているからだというような御発言が経産省側からはずっと出てきているんですけれども、いやいや、実は、技術的な課題というのはまだ審査でもあるんじゃないのかという点ですね。
これは、ガラスを溶かして、そこに細切れにした使用済燃料を混ぜ込んでいって高レベル放射性廃棄物の処理体を造っていく、ガラス固化体というものです。実は、技術的に、これが検査であるとか審査であるとか、まだ終わっていませんよ、やっていませんよということを聞きまして、えっとなったんですよ。
関西電力さんは、もう二六年度竣工だ、七年度から搬入だというふうにうたっているわけです。技術的な審査が終わっていないんだったら、とても間に合わないんじゃないのという所感を持ったんですが、このガラス固化体の製造過程が本当に動くのかどうかとか、審査の状況というのは、まだ着手していないという状況なんですか。どのような状況ですか。
○山中政府特別補佐人 規制委員会発足前に再処理工場のアクティブ試験が行われたということは承知をしているところでございまして、その試験の中で、最終的にガラス固化体を製造する過程でトラブルがあったということは承知しているところでございます。
ガラス固化も含めて、設置変更許可については許可を出したところでございまして、今後、設工認についても、第二回の申請をきちっと審査をした上で、使用前確認を検査の中でしていく予定にしているところでございます。
○斉木委員 年数でいくと、では、見込みで結構ですけれども、このガラス固化のプロセスというものが本当に動くかどうか、検査等も必要だと思いますが、それにはどれぐらいあと年数がかかるという見込みでしょうか。
○山中政府特別補佐人 技術的には、これまでも許可申請を審査をしているところでもございますし、また、これから設工認の第二回の審査を続けていくところでございますけれども、特段、技術的に大きな何か課題がそこにあるというふうには認識はしておりませんけれども、いつ動きだすかどうかということについては、規制委員会がお答えする立場にはないというふうに考えておるところでございます。
○斉木委員 職員の方がおっしゃったのは、まだプロセスが、新規制基準の下では、ちょっと詳しく御説明いただきたいんですが、ガラス固化のプロセスに関しては、新規制基準下では終わっていない、着手していない、どのような状況なんですか。ちょっと分かりにくかったので、御説明をお願いします。
○山中政府特別補佐人 最終的に、設工認の第二回の審査はまだ終了していない状況でございます。ガラス固化のプロセスについては、その設工認の認可後に事業者自身が検査をしていく必要がございますし、また、我々規制委員会としても、使用前確認をする必要がございます。そういった状況に今あるというふうに認識しております。
○斉木委員 まだまだやるべきこと、クリアすべきハードルは非常にあるというふうに拝聴しましたけれども、是非、今、福井県にとどまらず、日本全国の発電所はプールが限界を迎えようとしておりますので、それも踏まえて、しかし厳正に、本当に初めての施設ですので、プロセスの審査に当たっていただくことを委員長には強くお願いを申し上げまして、本日、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○江渡委員長 次に、小竹凱君。
○小竹委員 国民民主党の小竹凱です。
本日、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
今、世界の情勢を見ますと、経済はアメリカのトランプ大統領の一挙手一投足に大きく左右されております。必ずしも望ましい状況ではありませんが、日本もその影響を強く受けているというのが実情でございます。
一方で、日本独自の課題も大きく、一番は少子高齢化、これが挙げられるかと思いますが、出生数は加速度的に減少しており、二〇二四年度の出生数は、厚生労働省が公表した速報値で過去最低の七十二万九百八十八人というふうに発表されております。また、長期で、二〇四〇年の労働人口を見ますと、悲観ケースの場合、現在と比較して最大で九百八十万人減少するということが予測されています。悲観ケースを用いましたが、実際には政府が当初から予測していた出生数の数よりもかなり速いスピードで人口が減っていることも踏まえますと、割と妥当な数なのかなというふうに私は感じております。私自身、二〇四〇年にはまだまだ現役世代、四十一歳、四十二歳ですので、今から強い危機感を持ってというふうに臨んでいるところでございます。
労働力不足が深刻化する中で、AIやロボット、そういった技術の活用は社会活動を維持向上していくためにも不可欠だと考えます。私、常任委員会は法務委員会に所属しておりますが、全く当委員会と関係ないかといいますとそんなこともなくて、法務委員会では外国人の技能実習生制度を取り扱っておりますが、この問題と非常に密接に関係があるというふうに思っております。
これまで、海外からの安い労働力にある意味頼ってきた部分がある中で、日本人の給料が上がってこなかった一因にもなっているかなと私は考えております。コロナ以降急速に、今度は日本が安い国になってしまい、これまで受け入れた国から違う更に安い国へとシフトしているところが見受けられます。
私も建設業に元々いましたので、コロナ前と以降で露骨に変わってきているところは感じますし、政治家の方々も、業界の方々も、分かっていても、頭では分かっていても、なかなか体は動かないといいますか、私も地元に帰ったら地元の社長にこれを指摘することで一部叱られることはあるんだろうなというふうに思いますが、それでも、長期にわたって日本を変えていく、維持向上していくという点を考えれば、日本人の給料を上げていくという面においては、これはしっかりと言っていかなければいけないなというふうには考えております。
また、一部の自治体では、そういったことによって治安の悪化など、自治体任せになっているところもございますが、私は、日本が好きで来る方、自己実現のために来る方、こういう方は否定することはありませんが、安い労働力、とりわけAIやロボットに代替可能な単純作業、こういったところに関しては、日本人の給料向上、生活向上に向けた国づくりに見直す、シフトチェンジするいい機会が今じゃないかというふうに考えております。
そのために、安価で安定したエネルギー供給というのが、本当に血液となるものであって、最低限必要な、暮らしの底上げに不可欠だと考えておりまして、政府として、二〇四〇年の社会像といいますか、これまで頼ってきた外国人の人手と、また、これからの社会像、そしてエネルギー政策、どういうふうに描いているのか。二〇四〇年を描いて答弁をいただきたいというふうに思います。
〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
○大串副大臣 政府は、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇四〇年温室効果ガス七三%削減といった野心的な国際公約を掲げております。こうした中、GXに向けた取組を通じて、エネルギー安定供給あるいは経済成長、脱炭素の同時実現を目指していく方針を掲げております。
二〇四〇年は、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて、産業革命以来の化石エネルギー中心の経済社会構造からクリーンエネルギー中心へ転換していく途上にございまして、SプラススリーEの原則の下、エネルギー政策を産業政策と一体的に進めていくことが必要だと考えております。
御指摘のとおり、エネルギーは国民生活や経済活動の基盤でありまして、国民の日々の生活や事業活動に大きな影響を与えます。特に、DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中で、それに見合った脱炭素電源を国際的に遜色のない価格で十分確保できるかが国力を左右する状況にございまして、脱炭素電源を拡大し、我が国の経済成長や産業競争力強化を実現できなければ、雇用の維持や賃上げも困難となります。
このため、本年二月に閣議決定いたしました第七次エネルギー基本計画では、二〇四〇年に向けて、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などの脱炭素電源を最大限活用するなど、GXの実現に向けて取り組んでいく方針を明確にしたところでございます。
○小竹委員 ありがとうございます。
ちょっと更問いになりますが、化石燃料に頼っていたところから二〇五〇年に向けて変えていくというところは私も賛同するところでございますが、特に二〇二二年のロシア・ウクライナ紛争以降、如実に家計や企業のエネルギーコストが、負担が増えているというのは、これまで七割近く日本が火力発電に頼っていたというところが大きくあるかと思いますし、二〇四〇年を見据えた政府のエネルギーミックスの目標のビジョンについて、現状と将来の差のギャップをどのように埋めていくのか、もう少し、具体的な計画がありましたらお聞かせください。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘ございました二〇四〇年度のエネルギーミックスにつきましては、二〇四〇年度温室効果ガス七三%削減、二〇五〇年カーボンニュートラル実現といった野心的な目標に向けて、将来からバックキャストする考え方の下、一定の技術進展が実現することを前提とした将来のエネルギー需給の姿をお示ししております。
具体的にはですけれども、脱炭素を進めつつ経済成長を目指すGXの考え方を前提に、我が国のエネルギー実態を踏まえた想定を諸元として設定した上で、技術革新によるコスト低減なども加味しながら、コスト最適なエネルギー需給の姿をお示ししております。
そのうち、電源構成といたしましては、再エネは四から五割程度、原子力は二割程度、火力は三から四割程度となる見通しを示してございます。
こうした見通しに対しまして、まずは二〇三〇年度エネルギーミックスの実現に向けて、徹底した省エネ、再エネの最大限導入、安全性が確認された原子力発電の再稼働など、あらゆる選択肢を活用しながら、現実的な取組を丁寧に進め、二〇三〇年に向けてベストを尽くしていくことが重要と考えております。
その上で、二〇四〇年度に向けましては更なる技術革新も不可欠でありまして、決して容易に到達できる水準ではなく、厳しいものとなりますが、SプラススリーEのバランスを取りつつ、国民の皆様の御理解をいただきながら、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力の導入、次世代革新炉の開発、設置などの取組を進めてまいりたいと考えております。
○小竹委員 ありがとうございます。
将来からのバックキャストといいますか、先を見越して逆算していくというのは私も賛同でありますし、これからのAIやデータセンター、本当に電力がどこまで需要が伸びていくのかというのは分からないこともありますし、Sプラス三Eは大原則でありますけれども、同時同量ということを考えれば電力は本当に必要以上にある方が好ましい、経済の規模拡大にもつながるというところを思っております。
また、政府の一貫性についても私はお聞きしたいと思っておりまして、第七次エネルギー基本計画について、原子力について、可能な限り依存度を低減するという文言が削除されて、最大活用していくというふうに方向が転換されたことは評価しておりますが、将来的な政策の一貫性がなければ意味がないと考えます。
原子力政策は、政権や世論の影響を大きく受けやすく、将来が見通せないことが、人材志望の抑制や国内技術力の低下、海外への流出、こういったところにつながってくる要素があるかと思います。アメリカやイギリス、フランスでは、新規建設の基数や規模などの具体的な方針を示した上でロードマップを打ち出しており、また、アジアでも韓国が、昨年五月に第十一次電力需要基本計画案で、二〇三八年までに四基、大型炉が三基とSMR一基の新増設の方針を打ち出しております。
こうした具体的な取組が、メーカー側や研究者、こういった分野においての将来的な予見可能性の向上につながるというふうに考えておりますし、業界全体がそれに備えるというような環境の整備にもつながると考えております。
日本でもこうした取組を参考に、今後のエネ基等で将来にわたって具体的なロードマップを提示するなど検討していただきたいというふうに考えておりますが、このことについても見解を伺いたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
第七次エネルギー基本計画では、今後、二〇四〇年より前に既設炉のうち三百万キロワット以上が運転期間六十年に到達し、その後に既設炉の脱炭素電源としての供給力を大幅に喪失していくことを踏まえ、脱炭素電源を確保していくため、次世代革新炉への建て替えの具体化を進めるという方針をお示ししたところであります。
今後、この方針に基づいて取組を進めてまいりますが、御指摘のように、事業者や立地地域にとって将来の予見性を高めることは重要であるというふうに認識をしております。
なお、現時点において、将来のエネルギー基本計画の方向性について予断を持って申し上げることは困難であるという点は御理解いただければ幸いでございます。
〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
○小竹委員 ありがとうございます。
それ以上のことは申し上げ難いというのは理解できますが、また第八次になったときに削除された文言が復活するなど、そういうことがあってはメーカーや研究者にとっては本当に将来が見渡せないものになってしまいますので、そういったことがないように、我々国民民主党としては、原子力政策は必要なものだというふうに掲げておりますので、こういった分野の研究を進めるためにも、一貫性のある政策の打ち出し方というのを取り組んでいただきたいというふうに考えております。
また、自分の国は自分で守るというふうに我々の党は言っておりますが、海外のことを見ていくと、なかなか自分以外の国は誰も守ってくれないというのが如実に表れてきたのが昨今じゃないかと考えますし、そういう意味でも、今こそ現実かつ責任あるエネルギー政策を議論する必要があるかと考えております。
そこで、一番欠かせないのが、原子力規制委員会の在り方について伺いたいと思います。
規制委員会は東日本大震災の反省の上に設立された重要な組織であり、その独立性、厳格な審査体制は必要不可欠であると考えます。しかし、現実的には、将来予見が難しい長期審査や、再稼働や新設へのハードルが余りにも高くなり過ぎて、民間事業者がちゅうちょせざるを得ない状況が続いていると考えております。
昨年末にようやく最終局面に入った北海道の泊原子力発電所三号機におきましても十一年以上を要しておりまして、ほかの一号機、二号機に関しては、先日、二〇三〇年前半までに三基全てを再稼働するというような方針を発表されましたが、これから審査ということになるのかなというふうに考えております。
このような予見可能性が乏しい状況では、例えば北海道の例を挙げましたので、ラピダスなどの半導体産業への電力供給にも影響しかねないと考えます。
そこで参考になるのが、先ほど佐々木議員も例に挙げておりましたが、アメリカのNRCが掲げるいい規則原則というので、五つの原則が示されております。独立性、開放性、効率性、明瞭性、信頼性という五項目が挙げられております。日本の原子力規制委員会にも独立性や厳格性というのはあると考えますが、効率性の視点が大きく欠けているのではないかと危惧しております。
そこでお聞きしますが、この審査において、事業者側の将来予見性や、また行政手続に基づく標準処理期間、原則二年ということをどういうふうに捉えておりますか。見解を伺いたいというふうに思います。
○金城政府参考人 お答えします。
原子力の安全の追求に妥協は許されないのが審査の大前提です。このため、審査では規制側と事業者の双方が納得いくまで議論することが不可欠です。
その上で、審査プロセスの改善については、限られた資源を安全上重要な課題に適切に投入する観点から、規制委員会としても重要であると認識しておりまして、事業者と改善点について意見交換を行いながら、様々な取組を行っているところであります。
その中で、地質調査等については、手戻りとならないように、調査方針や実施内容をあらかじめ確認し、早い段階から指摘を行うこと。今も浜岡原子力発電所の審査会合が行われているところなんですけれども、審査会合の主要な論点などを事前に書面で提示することや、あとは、会合の最後に審議結果を規制側と事業者側で、例えば指摘事項などについて双方でしっかり確認することなど、具体的に取り組んでいるところであります。
あと、御指摘の標準処理期間についてですけれども、あくまで申請から処分を行うまでに通常要すべき標準的な目安となる期間を示したものでありまして、申請内容などによって審査に要する時間が異なってまいります。
審査に時間を要している案件については、地震や津波の規模の想定、敷地内断層の活動性など自然が原因となるハザードの審査過程において、事業者の調査や検討が追加で必要となって、それらに時間を要しているというところが大きいというふうに考えております。
規制委員会としては、引き続き、安全の確保を最優先にしつつ、審査プロセスの継続的な改善に努めてまいります。
○小竹委員 ありがとうございます。
国際的な視野に立って規制というものをしていただきたいというふうに思いますし、また、審査が長期化することで、近隣住民から逆に、かえって何か問題があるのではないかというような、中のプロセスがなかなか見えてこない方にとっては不安な声も上がるという声も聞いておりますので、そういった意味でも、加速化、効率性というのも併せて求めていきたいというふうに思います。
次に、原子力再稼働の課題についてお尋ねいたします。
柏崎刈羽原子力発電所の特に七号機に関しては、安全対策、新規制基準、いずれもクリアしており、再稼働が可能な状態にあるということは確認されております。また、IDの不正使用問題も契機として、セキュリティー面のチェック体制も大きく強化されていることと存じております。
世界最大級の原子力発電所が長期にわたって一切発電していない、こういう状態は、東日本の全体の電力供給、そしてコストの面からも大きな損失だと考えますし、再稼働というのはこれから避けて通れない現実的な選択肢じゃないかというふうに考えております。
まさに宝の持ち腐れとも表現されている方もいますが、再稼働していない原子力発電所の設備容量は、資源エネルギー庁の資料によると、二千百四十八万キロワットに上るというふうに公表されております。既設炉の最大限活用をうたいつつも、審査をパスしても再稼働できていないというこの状況をどういうふうに考えているのか、是非お聞かせください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力発電所の再稼働は、原子力規制委員会が新規制基準への適合性を認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら進めるのが政府の方針でございます。
東日本の電力供給の脆弱性、電気料金の東西格差等の観点から、御指摘いただきました柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は我が国にとって喫緊の課題であり、政府としても前面に出て対応してまいります。
現在、地元の御理解が得られるよう取り組んでいるところでありまして、現時点で政府が再稼働の見通しに関することを申し上げるのは控えさせていただきますけれども、引き続き丁寧に対応してまいります。
○小竹委員 ありがとうございます。
また、先ほど特重施設についてもお尋ねがありましたけれども、私、新潟でも働いていたことがありまして、北陸地方といいますか、新潟は人手不足が本当に物すごいことになっております。長岡で働いていたときには、村上市や上越市から人を呼んでくる、それでぎりぎり工程が回るというふうな、そんな経験もしたことがありますので、そういった意味においても、特重施設の新規制基準施行後五年以内というところを、これのルールにのっとったが上に、再稼働してまた止まってしまう、これもある意味リスクであるということを認識いただいて、見直し等も進めていただきたいというふうに考えております。
また、再稼働には間違いなく、先ほどおっしゃられたとおり、地元の理解が不可欠であります。その理解を得るための努力が自治体任せになっている部分があるかと私は見ておりまして、今年、令和七年二月に発表された第七次エネルギー基本計画では、原子力政策において、三度にわたり国が前面に立ってという文言が書かれておりますが、そうであれば、政府自ら現地に赴き地域の皆様に直接説明するなど、そういった姿勢を示すことが理解促進の一助になるのではないかと考えますが、こういうふうな取組に対してどういうふうにされておりますでしょうか、見解をお聞かせください。
○大串副大臣 原子力発電所の再稼働に関しましては、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重いたしまして、国も前面に立って地元の理解を得ながら再稼働を進めていくというのが政府の方針でございます。
この再稼働に際して、立地自治体等の関係者の理解と協力を得られるように、資源エネルギー庁職員から地域の皆様に直接説明する住民説明会を通じたエネルギー情勢や原子力の必要性についての丁寧な説明であったり、あるいは紙面、動画、ウェブサイトなどを通じた情報発信などに国が前面に立って取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○小竹委員 ありがとうございます。
また、地域の皆様に説明する上で、科学リテラシーの向上というのも必要になるのではないかというふうに考えております。
例えば、私の石川県にも志賀原子力がありまして、その稼働に向けた意見というのは様々あると承知しておりますが、原点に立ち返って、どうしてこの福島の原子力事故が起きたのか、何が問題だったのかという本当のところを理解されている方というのはなかなか多く見受けられないようにも考えます。
ここが、ある意味国策として進めてきた分、この科学リテラシーの向上といいますか、昼夜問わず現場で御尽力されている姿も踏まえまして、国としてこういったところに、リテラシーの向上への取組といいますか、そういった面での訴えかけも必要でないかと思いますが、こういったことに対して国として取り組まれておりますでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力の利用に際しましては、御指摘いただきましたとおり、原子力に関する正確で客観的な情報提供や丁寧な広報を進めることが重要だというふうに認識しております。
先ほど副大臣からも御答弁させていただきましたけれども、これまでも、立地地域や電力消費地などである都市圏などにおいて年間約百回の説明会、意見交換会を行っておりますほか、紙面等を活用した広報、エネルギーの基礎知識が分かりやすく学べる特設ページの開設、再生回数が一億二千万回を超える動画の配信等の取組を行っておるところでございます。
今後とも、原子力が持つリスクや事故による影響を始め、新規制基準や安全対策の状況、防災対策など、様々なテーマに関して科学的根拠や客観的事実に基づき、より伝わりやすくなるよう工夫を重ねながら理解醸成に向けた情報発信等に取り組んでまいります。
○小竹委員 ちょっと時間が来ましたので、一問飛ばさせていただきますが、ちなみに私、高専の出身でもありまして、ちょっと紹介させていただきますが、日本原子力研究開発機構が主催となって廃炉創造ロボコンというのが毎年開催されております。第十回にも上っており、廃炉をテーマとした実践的なPBL型の教育そのものを取組としております。今回のテーマは福島第一原子力発電所の原子炉格納容器内部の調査を課題に設定しており、ロボットやアイデア、広い意味で将来への企業との共同研究にもつながる可能性がある、若い世代の関心を高め、中長期的な人材育成の基点となるすばらしい取組だと感じております。
ただ、この取組、廃炉ロボットなんですね。ここがやはり、将来性がある分野を学生たちにビジョンとして描かせるということが一つ大きなことかなというふうに思いますし、原子力というのは未来につながる技術だというようなことを明確に示すことができれば、人材確保や技術力の向上に向けた、そういった取組に必ずつながってくると考えます。
そこで、お聞きしますが、大学や高専などで原子力教育の活性化、とりわけ新技術、次世代革新炉などの人材育成に向けた支援策等は検討されておりますでしょうか。
○清浦政府参考人 お答えいたします。
革新軽水炉等の次世代革新炉の開発、設置に向け、これまで培われた知見や技術を適切に継承するためには、将来にわたって技術革新を推進していくため、原子力分野の人材育成が重要と考えております。
このため、文部科学省では、産学官が連携した人材育成コンソーシアム、ANECを支援し、原子力人材育成の体系的な教育、研究基盤の整備を進めております。
具体的には、大学や高専、研究機関、企業等の複数の機関が連携いたしまして、原子力の体系的な専門教育カリキュラムやオンライン教材の作成、原子炉を始めとした原子力施設等を用いた実習の実施、海外大学への原子力留学や国際機関への派遣、原子力業界探求セミナー、電力会社での実習の実施などを行っているところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き、経済産業省を始めとした関係府省、原子力関係機関とも連携し、原子力の利用と安全を支える幅広い分野における人材育成をしっかりと進めてまいります。
○小竹委員 時間が来ましたので終わりますが、この技術の分野においてゼロリスクというのは存在しませんし、止めることもリスクである、そして安定したエネルギーを供給することも、それは安心につながるということを一言申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○江渡委員長 次に、平林晃君。
○平林委員 公明党、平林晃です。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。
早速ではございますが、私の地元、中国地方にございます中国電力島根原子力発電所に関しまして幾つか質問をさせていただきます。
よく知られたことではございますけれども、中国電力島根原発二号機は、本年一月十日に営業運転をおよそ十三年ぶりに再開をしたところでございます。昨年十月二十二日には、二号機について特重施設に係る原子炉設置変更許可を発出をしていただいておりまして、期限である二〇二八年までの設置を目指して工事が進められている、こういう状況でございます。
また、三号機なんですけれども、一号機はもう廃炉の作業をしておりますので、三号機に関しましては、施設の大半が十年以上前に建設されておりますけれども、稼働前に東日本大震災が発生したために、新基準の下で設置変更許可申請が二〇一八年八月十日に出されておりまして、現在審査中ということでございます。稼働していないので近くに行くことができまして、私も以前視察をさせていただいたときに、原子炉圧力容器の真下に潜らせていただいた、こういう貴重な経験をさせていただくことができました。
このような島根原発二号機と三号機ですけれども、先週の、ちょうど一週間前ですね、木曜日と金曜日に、原子力規制委員会の長崎委員と規制庁管理官、七人の方が視察されたことが報道されております。
今回、この視察がどのような目的で行われて、どのような成果が得られたのか、原子力規制委員会にお尋ねいたします。
○森下政府参考人 お答えいたします。
今回、長崎委員の視察ですけれども、実用発電用原子炉の原子力規制検査を見まして、核燃料施設における検査の参考にするため、それから、沸騰水型の原子炉の理解をより深めるために、中国電力の島根原発、先ほどおっしゃいました二号機と三号機を視察いたしました。
まず、二号機についてでございますけれども、二号機につきましては、中国電力が行う定例試験の状況、それから改善措置活動という会議を電力の方でやっておりますけれども、それの規制庁の検査官の立会いの状況などを視察しております。
それから、三号機につきましては、緊急時に蒸気を格納容器に閉じ込めるような隔離弁とか、高温、高圧の蒸気を原子炉圧力容器の外に逃すような安全弁というような、緊急時に使うような安全装置、また、緊急時に蒸気を利用して炉心を冷却するようなポンプという設備の視察を行いました。
以上、申し上げましたとおり、実際の設備や構造、それから、その大きさというものを実際に現場で視察で確認いたしまして、それから、実用発電用原子炉の原子力規制検査の状況を視察したということでございまして、先ほど申し上げました今回の視察の目的は達成されたと承知しております。
以上です。
○平林委員 ありがとうございます。
定常的な検査も行われて、原子炉規制検査が行われていて、それも的確に行われているかどうかということであったり、あるいは三号機、これから動くものですけれども、そういったものが、実物がどうなっているのか、それを確認していただいたということでございまして、特重とかも関係するのかなと思ったんですけれども、それは今回は関係ないということで理解をさせていただいたところでございます。
この同原発二号機は、沸騰水型軽水炉、BWRということなわけですけれども、東京電力福島第一原発と同型であるということであります。二〇一一年の震災事故以来、BWRで再稼働されているのは、マスコミ報道だと島根原発二号機と宮城県の女川の二例ということで、先ほど、委員長、五例というお話あったように思いましたけれども、ちょっと、私、ここでは二例というのを書かせていただいておりますが、であると。
一方で、加圧水型原子炉、PWR、プレッシャーのPWRは、再稼働が既に十二例となっているということでございます。これも、以前も議論があったかもしれませんけれども、BWRの再稼働がPWRに対して非常に少なくなっているということなわけですけれども、この理由を、改めまして規制委員会の御見解を伺います。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
新規制基準適合性審査におきましては、基準地震動、あるいは基準津波のような自然ハザードの審査、重大事故等の対策に関するようなプラント側の審査がございます。
お尋ねの審査に関する期間につきましては、PWR、加圧水型原子炉、あるいは沸騰水型原子炉、BWRという炉型の違いよりも、原子力発電所の立地場所による自然条件の違いによるところが非常に大きいと考えているところでございます。
例えば、敷地内に見られる断層の活動性を評価するために追加調査等が必要になり、事業者がその調査と評価に時間を要しているというようなことが、自然ハザードの審査に非常に時間がかかっておる、審査全体の期間に時間がかかっているという大きな要因になっているというふうに理解をしているところでございます。
○平林委員 炉の型よりも、自然ハザードに対する審査、この部分が審査期間、時間の支配的な要因である、こういう御答弁であったかというふうに思います。そういう意味においては、BWRの方がそういう立地が多かったのかな、そんなようなことを理解させていただいたところでございます。
続きまして、同三号機なんですけれども、こちらはBWRを改良したABWR、アドバンストのBWRになっているということでございまして、BWRにおいては、原子炉圧力容器の外に設置していた原子炉再循環ポンプを圧力容器の中に設置をして、ポンプ回りの配管をなくして、よりすっきりさせたというようなことでありますとか、制御棒の駆動源として水圧駆動に電動駆動を加えて多様化する、こういった改良がなされている、アドバンストになっているということを学ばせていただいております。
こうしたことは、基本的には安全性を向上させるためになされている改良なのではないかな、このように認識をしているところなんですけれども、こうした安全対策が新規制基準への適合審査に対して何かしらポジティブな効果を与えるということ、こういったことはあるのかないのか、この点に関しまして、規制委員長の見解を伺います。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
中国電力島根原子力発電所三号炉が採用しております改良型沸騰水型軽水炉、ABWRでは、それまでの沸騰水型軽水炉、BWRから、御指摘を委員にしていただきました、高温高圧水が通る配管の削減並びに制御棒を動かす駆動機構の多様化といったような設計変更が加えられていると承知しております。
このように、ABWRとBWRで設計の違いはございますけれども、遵守すべき基準というのは同様でございまして、審査において新規制基準に適合しているかどうかを厳正に確認することに違いはございません。
現在審査を進めております三号炉につきましては、施設に関する審査は、同じABWRである東京電力柏崎刈羽原子力発電所六号機、七号機の許認可の実績があること、また、地震や津波などに関する審査につきましては、既に許可をした二号炉と同じ敷地内にあることなどから、これらの知見を活用しつつ、引き続き着実に審査を行っていく所存でございます。
○平林委員 ありがとうございます。
こういうアドバンストな部分に関しての審査の違いはないということでしたけれども、今委員長御指摘がありましたとおり、三号機は二号機と同じ敷地内にあるので、自然ハザードの部分に関しましては共有できる部分があるということでしたので、本当に、もう既に十年以上たっている構造物でありますので、適切な審査をお願いできればというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
そして、更にもう一点だけ同原発に関して伺いたいんですけれども、全国で唯一の県庁所在地にある原子力発電所でございます。正確に申し上げれば、行政区画的には、元々は鹿島町というところにあったんですが、二〇一七年に合併によって松江市となり、県庁所在地の中に立地することになったということでございます。
行政区画はともかくとして、元々市街地からそれほど遠くはないということになっております。島根県庁からこの原発までは直線距離でおよそ八・五キロメートルぐらいしかない、こういう非常に近接したところにこの原発は立地をしているということでございまして、原発から三十キロ圏内のUPZ内の人口は、島根県の松江市、出雲市、安来市、雲南市と、鳥取県の米子市、境港市の六市にまたがっておりまして、およそ四十五万人ということで、恐らく国内でトップスリーということではないかと理解をさせていただいております。
このように市街地に近接して立地する島根原発は、同時に島根半島に立地しているということでもございます。昨年元旦に発生をした能登半島地震を受けまして、周辺住民の間では不安が高まっているところでございます。先日我々の地元議員が伺ったお話では、避難道もさることながら、拠点病院へのアクセス、こういったことに対する不安でありますとか、あるいはオフサイトセンター、これが県庁のすぐ近くに立地をしているわけですけれども、ここも大丈夫なのか、こういった不安も寄せられているということを伺ったところでございます。
こうした不安に対しまして細かく対応することは、第一義的には県や市であるとは理解をしておりますけれども、国としての支援を行うことも重要ではないかと考えておりまして、この点に関しまして、政府の御見解を伺います。
○福島政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、避難経路やオフサイトセンターの整備など、原子力災害に対する平時からの備えは、住民の安全、安心の観点から極めて重要でございます。
このため、内閣府原子力防災担当では、能登半島地震で道路の寸断や建物の被害が発生したことも踏まえまして、原子力災害時に必要となる施設や資機材の整備に向けて、関係自治体への財政支援を行っているところでございます。
具体的には、令和六年度補正予算におきまして、放射線防護施設やオフサイトセンターの整備、備蓄物資の補給などを進めるために四十一億円を計上しており、このうち島根地域には、松江市役所の移設に伴う放射線防護化などに約五億六千万を措置しているところでございます。
令和七年度当初予算におきましては、避難経路の強靱化や空路避難のためのヘリポート整備などに必要な交付金百億円を計上しているところでありまして、島根地域におきましても、これまで関係自治体の御要望に基づき財政支援などを行ってきたところでございますが、今後とも、関係自治体が参加する島根地域原子力防災協議会の枠組みの下で、地域の声をしっかりお聞きしながら、原子力防災体制の充実強化に資する措置を講じてまいりたいと存じます。
○平林委員 様々、既に御支援をいただいているというところで、感謝を申し上げるところでございます。
その上で、様々地元からも要望が出ておりますので、寄り添っていただきながら、協議をしていただきながら、今後の対策も進めていただけたらと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、島根原発の話は以上になりまして、山中委員長の冒頭発言でも触れておられました、屋内退避に関する検討について伺えたらと存じます。
本件に関しましては、昨年三月に検討が開始をされ、本年三月、一年後、報告書が取りまとめられ、原子力災害対策指針、いわゆる原災指針の改正等に向けて取り組まれるということでございました。私も報告書を、ざっとですけれども、目を通させていただいたところでございます。
その報告書の冒頭、原子力災害時に住民等が比較的容易に被曝の低減を図ることができる対策として、UPZにおける主要な防護措置として屋内退避を定めておられる。PAZはまた別ですので、UPZにおける主要な防護措置であると。その目的は、主に、プルームと呼ばれる気体状の放射性物質が浮遊していて、それが一団になっているんですかね、見えないので雲とは違いますけれども、ある意味雲のようなイメージを持ったところでございますけれども、からの被曝の低減であることを述べておられました。
その上で、避難行動に伴う被曝の低減と健康リスクの増大というメリット、デメリットを考慮すると、屋内避難を適切に組み合わせることの重要性、このことが述べられていました。
そして、新規制基準で義務づけられている重大事故等対策が奏功したことを前提として、屋内退避の開始時期及び対象範囲の在り方、また、解除又は避難への切替えなどの判断について検討がなされておりました。
当然のことではございますけれども、屋内退避を維持するためには、食べ物とか飲み水、これが必要になってくるわけでございます。国や自治体からの支援が直ちに届かないことを想定すれば、屋内退避開始から三日間は個々人の備蓄で対応することとされていたと認識をしております。
しかし、自分自身、振り返ったときに、少なくとも赤坂宿舎にはそんな備蓄は自分はなかったなということを反省をしているところでございまして、UPZの住民の皆様におかれましても、必ずしもそれはなされていないのではないかというようなことも感じたところでございます。
これに限らず、いずれにしても、非常に有益な内容の報告書であると認識をいたしまして、原災指針に反映させることはしていただけるとして、この検討内容のUPZ内における周知徹底に努めていただきたい、このように考えているところでございます。
その際、本当に必要なことだけを端的に伝えるという方法もあるかとは思いますけれども、その裏にあります仕組みといいますか、大要といいますか、こういった補足情報も併せて伝える方法もあっていいのではないかなというふうに考えておりまして、幾つかの手法を併用することも考えていただけたらというふうに思っていますけれども、こうした周知徹底に関しまして、今後どのように対応していかれるお考えか、規制委員長の御見解を伺います。
通告は参考人というふうにしておりましたね。間違えました。失礼いたしました。
○児嶋政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、報告書の内容を住民に周知することは極めて重要でありまして、報告書の中でも、分かりやすく普及啓発することが必要と記載されております。
そのため、屋内退避に関する様々な疑問に答えるためのQアンドAを、四十五問も入ったQアンドA集を作成しておりまして、今後も更に充実させてまいります。また、図や表を用いて、分かりやすく報告書の内容を説明する資料も作成する予定でございます。
これらにつきましては、規制委員会ホームページに掲載するとともに、地方自治体や住民の御要望に応じて積極的に説明し、周知徹底に努めてまいりたいと思っております。
以上です。
○平林委員 ありがとうございました。是非そのようにしていただきたいというふうに思いますし、私もしっかりとそういうことをしてまいりたいと思います。
最後に、東京電力福島第一原発二号機のデブリ取り出しに関しましてお伺いしたいというふうに思います。
当初予定からは遅れてはいるものの、デブリの試験的取り出しが昨年九月に開始をされて、十二月に完了をされているところでございます。懸命の作業を実施してこられた皆様を始め、高放射線環境の中で廃炉作業に必死に取り組んでいただいている皆様に心からの感謝と敬意を申し添えるところでございます。
今回の試験的取り出し作業によってどのような知見が得られてきているのか、政府の見解を伺います。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十一月でございますけれども、東京電力福島第一原子力発電所二号機におきまして燃料デブリの試験的取り出しに成功いたしておりまして、取り出したデブリは、現在、日本原子力研究開発機構等々の複数の機関で分析を実施しております。これまでのところ、燃料デブリには燃料の成分となっておりますウランなどが含まれていることが分かっておりますけれども、引き続き詳細な分析を進めて、今年夏頃をめどに結果を取りまとめるという予定になっております。
こうした分析によりまして、今後の燃料デブリの本格的な取り出しに向けた様々な知見が得られるものと期待をしておりまして、具体的には、デブリに含まれる放射性物質の種類あるいは濃度といった情報は、取り出し作業の安全対策であるとかあるいは保管の方法の検討に、あるいは、密度あるいは結晶構造から類推されます硬さといった情報は、その工法の検討やあるいは工具をどのようにするか、こういったものの選定にそれぞれ資するものと想定をしております。
以上でございます。
○平林委員 ありがとうございます。
そういった知見を踏まえながら、今後の本格的取り出し作業の検討がなされていくことと推察をいたします。
もう時間になりましたので、最後の質問は省略させていただきますけれども、今後の廃炉の作業に関しましては、専門家の皆様の御意見は当然だと思いますけれども、地域住民も加わった議論もなされるべきだ、このように考えておりますので、是非そのような御検討をいただきたいと申し上げまして、私の質問を終わります。
大変にありがとうございました。
○江渡委員長 次に、佐原若子君。
○佐原委員 れいわ新選組、佐原若子でございます。
本日は、座ったままでの発言をお許しいただきまして、ありがとうございます。
福島第一原発事故、レベル7の過酷事故はいまだ収束しておりません。今もおよそ二万五千人の方が避難を余儀なくされております。そしてまた、六ケ所再処理工場の使用済燃料プールは、三千トンのプール満杯でございます。また、高レベル廃液は東海村にもございます。そして六ケ所にもあります。そういった問題から、原子力災害というのは国民的な議論がなされなくてはならない問題だと思っております。
そこで、第一に伺います。
原子力災害指針、原子力災害対策に関して、近年は、地震、津波など、家屋の倒壊、避難道や物資の輸送路が寸断され、緊急時に使用困難な状態になっていることが多く、対処に時間がかかり、様々な混乱を経験することが多くなっております。しかも、原発事故の場合、状況により屋内退避や三十キロ圏外退避など、時々刻々状況が変わり、対処も多様になってまいります。
変化の対応に苦慮する状態になると思われますが、政府は、自治体に丸投げするのではなく、あらゆる状況を想定し、準備するべきであると思うんですが、いつどこで起こるか分からない、どこで起こってもおかしくないものは、想定外で済まされることはできません。その対処についての計画はおありでしょうか。お伺いいたします。
○山中政府特別補佐人 御指摘をいただきました防災対策についてお答えをしたいと思います。
まず、原子力災害対策指針では、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、そのような大規模な事故にも対応できるような防護措置の考え方や、あるいは、そのために必要となる原子力災害医療、モニタリング等の事前対策を示しているところでございます。
その具体的な計画につきましては、災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置法に基づいて、地方公共団体等が指針の内容を踏まえて策定することとされており、これにより地域の特性を考慮した原子力防災体制が構築されているところでございます。
また、原子力規制委員会では、地方公共団体等からの課題の指摘も踏まえつつ、緊急対応への従事者の放射線防護対策、甲状腺被曝線量モニタリング、屋内退避の運用など、指針に基づく対策の具体性の向上のための継続的な見直しを進めているところでございます。
私自身も、様々な立地自治体に出向きまして、立地自治体の長の皆さんと意見交換をさせていただいております。様々な御意見をいただいております。具体性に乏しいというような意見もいただいておりますので、今般、屋内退避の運用についての具体的な検討を一年間行いまして、その報告書をまとめさせていただいたところでございます。
○佐原委員 ありがとうございます。
ちょっと重複するような質問でございますが、屋内退避報告書に対し、能登の教訓が生かされていないという趣旨の記事が朝日及び産経新聞等に掲載されていたのですが、それに関してどのようにお考えでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
先ほどもお話をさせていただきましたけれども、今般の屋内退避の報告書につきましては、自治体からの様々な御意見に基づいて検討を開始したものでございます。能登半島の地震に限らず、複合災害を念頭に置きまして、原子力災害時の屋内退避の効果的な運用を検討したものでございます。
報告書には記載がございますけれども、複合災害時において、自宅での屋内退避ができない場合、これは避難所での屋内退避を行っていただく、それも難しい場合には避難をしていただくということが基本になります。
報告書では、このような基本的な方針を示した上で、指定避難所の耐震化、被害に強い避難経路、物資の備蓄、供給、医療等のサービスの維持など、原子力災害と自然災害に共通する備えが重要であるという課題が指摘されたものでございます。
これは以前から、複合災害時に自然災害に対する備えが極めて重要であるということは指摘をしていたわけでございますけれども、改めて、今回の検討の結果として、再度指摘をさせていただいたものでございます。
規制委員会としては、今後、原子力防災担当部局とともに、自然災害への事前対策の状況に関する情報共有、関係省庁との更なる連携強化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
最後に、福島第一原発事故時に、SPEEDIの運用がされていたにもかかわらず、公表されず、間違った退避があり、住民の混乱が生じました。本来なら避難するべき地域に正しい情報が届かず、見えない放射線の恐怖に巻き込みました。
今後、事故が起きたとき、そのような教訓を生かし、SPEEDI情報を素早く公表しないと、最悪の場合、健康を脅かし、人命を失う可能性もゼロではないと思います。なぜ公表されなかったのでしょうか。また、SPEEDIに新しいバージョンはあるのでしょうか。お聞かせいただけますでしょうか。
○山中政府特別補佐人 東京電力福島第一原子力発電所事故当時、SPEEDIでの計算がなされたということは、私、当時は大学に所属しておりましたので、承知はしております。公表されなかった事由については、私、現在承知をしておりません。
その上で、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓といたしまして、原子力災害発生時に、いつ、どの程度の放出があるか等の放出の態様を予測するということが不可能でございます。したがいまして、SPEEDIによる計算結果に基づいて防護措置等の判断を行うということは、むしろ被曝のリスクを高めかねないというふうに考えているところでございます。
そのため、原子力規制委員会は、SPEEDIなどの予測的手法を緊急時の防護措置には、現在、活用しないという方針にしております。
一方、SPEEDIについては、更に研究が進められておりまして、WSPEEDIというような新たなコードの開発も進められているところだというふうに承知しているところでございます。
○佐原委員 更に災害の影響を強めるというようなお話でしたが、しかし、あの当時は、風向きなどがSPEEDIは当初から分かっていたわけですよね。それに向かって、正しい避難バスなどの運行ができたにもかかわらず、できなかった、あるいは、放射線レベルがそれほど高くなかったのに、そこで救助活動ができなかったとかいうようなことがございました。その点は、やはりSPEEDIは活用しなければいけないのではなかったのでしょうかと思いますが、いかがでしょうか。
○山中政府特別補佐人 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓に基づきますと、あのような大規模な放射性物質の放出が起こったような場合にでも、予防的避難と屋内退避というのが極めて有効であるというふうに考えております。また、プルームの通過後に避難をしないといけないような状況になった場合でも、SPEEDIのような計算コードを使うということは、原子力規制委員会としては、現在のところ、防護措置としてそのようなものの使用は考えていないところでございます。
○佐原委員 ちょっと納得できないところでもございますが、今後、やはり新しいバージョンを作って、もう少し役立てるような、スピーディーに反応できるようなものを考えていただきたいと思います。
また、やはりいろいろなシミュレーションが必要だと思うんですよね。ですから、こんなときにはこうする、こんなときはああする、それからまた、水蒸気爆発も起こってしまいましたけれども、ベントする方法とか、ベントが、それが動かなかった場合にどうするかとか、様々な状況を考えて、やはり避難の、あるいは過酷事故を防ぐような、最悪の事故を防いでいくような、あるいは事故が起こったとしても何かしら対処するような状況を共に考えていってほしいなと思います。
今日は様々なことを申しましたけれども、何よりもまず、原発を推進することよりも、人命をいかにして守るかということを中心にしてお考えいただきたいなというふうにお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
本日はありがとうございました。
○江渡委員長 次に、波多野翼君。
○波多野委員 立憲民主党の波多野翼です。
私は、十月八日まで福井県の越前市役所の職員ということで、本当に新人の国会議員ということでありますけれども、福井選出の国会議員としまして、原子力発電所を多く抱える地元の声をここでしっかりと届けようということで、本日はこうして発言の機会をいただきました。どうかひとつよろしくお願いいたします。
現在、全国で再稼働している原発が十四基あります。そのうち七基が福井県です。また、全国に四十年を超えて稼働する原発が四月時点で六基ありますが、そのうちの四基が福井県にあります。特に、関西電力の高浜原子力発電所一号機に関しましては、国内で初めて運転開始から五十年を超えて稼働している最も古い原発ということで、本当に福井県を始め、こうした原発の立地地域は長年にわたり日本のエネルギー政策を支えてきたのではないかというふうに私自身思っております。
そして、原発の政策は、国策として長年進められてきた以上、そういったリスクとか責任という部分でもしっかりと国が中心となって担っていくべきだという思いで今日は質問をさせていただきたいと思っております。今日は私が最後の質問ということなので、あと少し力を振り絞って答弁の方をしていただければというふうに思います。
ということで、まずは再稼働、そして廃炉を問わず、原子力発電で必ず生じる使用済核燃料についてお伺いさせていただきます。
現場では、電力会社さんを含め、自治体の職員も本当に奮闘しておりまして、そういったところには、本当にその努力には敬意を表するところではあるんですけれども、それでもなお、現在のままでは燃料貯蔵プールへの貯蔵量が増加している一方でありまして、全国の原発においても貯蔵量が逼迫しているという問題があるかと思います。
福井県でも、美浜、高浜、大飯、この原子力発電所の管理容量が合計で四千四百五十トンあるわけですけれども、二月末時点で三千八百九十トン埋まっている。八七%埋まっているというのが現状です。先日も県内で、ある五十代の方から、私たちの世代でこの課題に決着をつけてほしいんだという声をいただきました。
そこで、お尋ねいたします。こうした燃料貯蔵プールへの貯蔵量が逼迫している、そういった原因について、どのように考えているのか教えていただければというふうに思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
現在、使用済燃料の貯蔵量は、全国の発電所の平均で、原子炉等規制法に基づく制限容量の約八割であり、一部の原子力発電所では、震災前の稼働や再稼働後に発生した使用済燃料の貯蔵により、容量の余裕が少ない状況にあるというふうに承知をしております。
こうした状況を踏まえまして、使用済燃料の搬出先となる六ケ所再処理工場の竣工に向け、官民一体で責任を持って取り組むとともに、同工場への搬出までの間、使用済燃料を安全に管理するため、発電所の敷地内外を問わず、貯蔵能力を拡大する取組を官民で協力して推進してまいります。
○波多野委員 平均八割ということで、これが満杯になるのも近いというふうに思いますけれども、これまで使用済核燃料の貯蔵問題は、基本的には電力会社さんの責任で進められてきたかなというふうに思いますけれども、今の状況を見ても、電力会社単独では本当に解決が難しい問題だ、まさに国家的な課題だというふうに思っております。
国として、各発電所における中長期的な貯蔵可能な量を見積もった上で、必要な貯蔵施設や搬出の支援を今後どうやって具体的に支援をしていくのかというところを是非お聞かせ願えればなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○大串副大臣 使用済燃料対策は、原子力を安定的に利用していく上での重要課題の一つと認識をしております。
経済産業省といたしましては、使用済燃料対策推進協議会というものを開催いたしまして、経済産業大臣と各原子力事業者や日本原電のトップの間で具体策の協議を行っているところでもございます。
具体的には、事業者に対し、六ケ所再処理工場の早期竣工に向けた取組や使用済燃料対策推進計画に基づく貯蔵容量の拡大等の取組について報告を求め、その進捗管理を行っているところでもございます。
更なる取組強化のために、今年の三月から、これまでは年一回程度行われておりました実務責任者による幹事会の開催頻度を高めて、おおむね四半期に一度開催することといたしました。この場で、日本原電の審査対象の進捗状況などをきめ細かく管理するとともに、必要に応じて更なる人材確保などの調整を機動的に行っていくこととしております。
こうした取組によりまして、使用済燃料対策の強化に官民で総力を挙げて取り組んでまいります。
○波多野委員 ありがとうございます。
今の話ですと進捗の管理をしっかりしていくということでしたけれども、今年二月の閣議決定でも、エネルギー基本計画、核燃料サイクル、廃炉、最終処分といったバックエンドプロセスの加速化を進めるという旨のことが示されております。
電力会社と立地自治体に判断を委ねるのではなく、そしてまた、ただ進捗管理という部分で言うだけではなく、そこにしっかりと国の方も入って、いろいろな調整の方をしていただきたいと思いますし、出口がないということに関して、やはり立地自治体としてはすごく不安が大きいです。出口がしっかりとある、だからこそ安全に原発を動かしている職員さんたちがいるのではないかなと思いますし、そういった出口のところを明確に示して、その出口がしっかりとできるように国の方も力を入れていってほしいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
続いては、原子力災害に関する避難計画について質問をさせていただきます。
原子力政策は、立地自治体の理解がなければ進められない政策だと私自身は思っております。そんな中、福井県を始めとする立地自治体では災害に対して大きな不安があります。原子力政策において、住民の命を守る避難計画、特に実効性が優先されるべきだと私は思っておりまして、それについて幾つかお尋ねをさせていただきます。
三月二十八日に、原子力規制委員会の方で原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チームが報告書をまとめたと思います。原子力災害の初動対応として、屋内退避が基本ということで書かれておりました。
私自身も県内の自治体に聞き取りをさせていただきましたけれども、UPZのエリア内において屋内退避が前提ということで、一斉に避難をする、移動するということはないという想定で計画が組まれているという話でした。
しかし、例えば地震を契機とした原子力災害であれば、住民に建物の中にいろというのは極めて、ちょっと非現実的なんじゃないかなと。実際に県民の方からも、地震が来た直後に屋内にずっといろと言われても、怖いですとか、逃げられるなら自分の車で早く逃げたいという声を聞くこともあります。
こうした状況の中で、屋内退避を前提とした避難計画に本当に実効性があると言えるんでしょうか。住民の現実的な行動を前提とした計画が必要だというふうに私は思うんですけれども、それに対してどう考えるのか、是非、御答弁をお願いいたします。
○児嶋政府参考人 お答えいたします。
住民の方々の不安というのはもっともだと思っております。そのような不安を解消するためにも、今回、屋内退避検討チームというもので一年間かけて検討し、報告書をまとめたところでございます。
今回の報告書は、自然災害に起因する複合災害をも当然に念頭に置いた上での原子力災害時の屋内退避の効果的な運営を検討した、その結果でございます。
報告書にも記載がございますが、複合災害時には、まずは自宅での屋内退避をしていただく、それができない場合には避難所等に屋内退避をしていただく、それも難しい場合には更に遠くに避難していただくということが基本でございます。当然、自然災害のリスクをも兼ね合わせて考えた上での行動でございます。
報告書ではこのような基本的な方針を示した上で、指定避難所の耐震化や災害に強い避難経路、物資の備蓄、供給、医療等のサービスの維持など、原子力災害と自然災害に共通する備えが重要な課題と指摘されております。
原子力規制委員会、原子力規制庁としましては、報告書で示された屋内退避の効果や屋内退避の運用の考え方といった重要な内容につきましては、今後、検討チームの検討した結果を分かりやすく説明する資料を作成するとか、又は住民に読んでいただくことも想定したQアンドA集を充実していくなどを通じまして、さらには、それらを使いまして、地方自治体の御要望に応じて我々が自ら説明に直接、積極的に赴くことも通じまして、普及啓発を進めてまいりたいと考えております。
○波多野委員 ありがとうございます。
実際、屋内退避の必要性という部分をやはり立地地域の皆さんが理解することがすごく重要だと思っておりますし、特に避難所のところが、屋内退避にしっかりと適している、被曝をしないという部分での、そういった低減させるという部分での避難所の整備というのも必要だと思いますので、しっかりとそこは力を入れてやっていただきたいというふうに思っております。
また、屋内退避は、放出された放射性物質の塊であるプルームから被曝を低減させるためだというふうに報告書でも書かれていたかなと思っておりまして、屋内退避を住民にお願いするに当たりまして、このプルームの動きをしっかりと伝えることが重要かなと私自身考えております。
実際にプルームがどうやって動いて、それを把握して、予測して、住民に知らせていくのか、そこをちょっと詳しく教えていただければというふうに思います。
○児嶋政府参考人 お答えいたします。
まず、予測情報という点では、プルームの放出時期や放出量を事前に予測することは困難でございます。したがいまして、原子力災害対策指針では、避難や屋内退避といった具体的な防護措置の判断につきましては、プルームの予測ではなくて、原子炉の状態又はモニタリングの結果に基づいて行うこととしております。
ただ、住民の皆様が屋内退避中は非常に不安に感じることも当然だと思っております。したがいまして、不安を解消しないと、例えば本当に屋内退避が必要なときに外出してしまうとか、又は避難してしまうとかいうような不要な行動にもなりかねません。
したがいまして、屋内退避がもし始まりました場合には、屋内退避の先行きを住民の方々も見通せるように、原子力災害時の原子炉の状態、今どうであるかとか、又は放射性物質が放出されたかしていないか、若しくは放出されたとしても、今どのように測定されているのかというモニタリングの結果などをきめ細かく提供していきたいと考えております。
○波多野委員 予測が難しいということでありますけれども、やはり天気予報のように、どういうふうにプルームが来る、来ないというのが分かることによって安心感は全然違うと思いますので、そういった予測に関しても、しっかりと技術革新の方を進めていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
先ほども避難の話をさせていただきましたけれども、やはり福井県ですと、もし避難となれば車で移動することが考えられるかなというふうに思っていますけれども、実際に避難路というのが本当に重要になってくるわけです。
福井県でも五つの路線を整備するということで、具体的な案が国から示されまして、それに対してしっかりと予算がついているわけですけれども、それでもやはり、雪国ということもありまして、まだまだ細い道も多い中で、この避難路をしっかりと整備していくために、今後のスケジュール感とか予算の措置とか、そういった部分はどのように進めていくのか、教えていただければと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
今御紹介いただきました福井県におきましては、福井県・原子力発電所の立地地域の将来像に関する共創会議を創設させていただきまして、地域の課題や要望を伺いながら、国、自治体、事業者が一体となって策定した工程表に基づいて、地域振興や避難道路整備など、地域の課題解決に向けた取組を進めてきているところでございます。
この共創会議の枠組みの下で、今後、福井県等と相談しながら、例えば避難道路の整備に向けて調査事業を実施するなど、工程表の実現に向けて一つ一つ取組を進めてまいります。
また、避難道路整備を含む原子力防災体制の強化、これは福井県に限らず重要な課題でございますので、内閣府や国交省等の関係府省庁と連携しつつ、その充実強化にしっかり取り組んでまいります。
○波多野委員 本当に道路の問題は避難するときに一番重要なことかというふうに思っております。
実際、福井県も大雪などでは本当に陸の孤島と化すということがあります。そういった中で、原発でもし災害があったときに逃げられないということも立地地域の住民としてはすごく不安に思っているところでありますので、こういった避難道含め普通の道路に関しましても、しっかりと逃げられる、そういった整備を是非進めていただければというふうに思っておりますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。
また、原子力災害の地域防災計画そして避難計画、最終的にこれは原子力防災会議が承認するという形になっていると思います。この会議の議長は内閣総理大臣でありまして、事務局は内閣府が担っている。一方、原子力政策を企画、遂行する役割のある原子力委員会も事務局は内閣府にあるということで、これでは再稼働やリプレースありきで地域防災計画や避難計画があると思われても仕方ないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そこで伺います。
原子力災害に関する地域防災計画、避難計画について、分離独立した第三者機関による審査や承認という制度を導入したらどうかというふうに思うのですが、見解の方をよろしくお願いいたします。
○福島政府参考人 お答えいたします。
原子力防災につきましては、まずはそこに原子力発電所がある限り住民の安心、安全に向けてしっかりした計画を作る、実際の緊急時にはそれをしっかりと運用するということが基本でございます。
御指摘の緊急時対応につきましては、これは地域の実情を熟知する地方自治体が策定する避難計画と緊急時の関係省庁や自衛隊等の実動組織の支援策を合わせたものでございます。
御指摘のとおり、この緊急時対応が原子力規制委員会が策定する原子力災害対策指針などに照らし、具体的かつ合理的であるかどうかということにつきましては、関係省庁やこれら関係自治体が参加する地域原子力防災協議会において確認した上で、先生御指摘のとおり、総理を議長として全ての閣僚、原子力規制委員会委員長が参加される原子力防災会議において了承することとされているものでございます。避難計画を含む緊急時対応につきましては、現状このようなチェック体制を取っているところでございます。
ただ、緊急時対応は一旦取りまとめられたら終わりということではなく、地域原子力防災協議会の枠組みの下で、自治体の声もお聞きしながら不断の見直し、改定を進めていくものであるというふうに認識してございます。
内閣府原子力防災担当といたしましては、これらの見直し、改定や国、自治体の職員などの訓練や研修なども通じまして、原子力災害対応の実効性を継続的に高めていくことに努めていきたいと存じます。
○波多野委員 私が聞いているのは、第三者、内閣府とは別のところにこの計画を審査していただいて、しっかりと立地地域の住民が逃げられるかどうかというのを客観的に実効性をしっかりと示す必要があるのではないかと思うんですけれども、そこの点に関してはどう思われますか。
○福島政府参考人 お答えいたします。
避難計画につきましてでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、やはり地域の実情を熟知する地方自治体が自ら策定することが基本でありまして、それに、例えば避難先の近隣自治体も入りました、あるいは県も入りました地域協議会、そこに当然のことながら関係省庁あるいは実動組織も絡んでまいりますけれども、そこでしっかり見ることで、十分避難計画を含む緊急時対応が具体的かつ合理的であるかどうかということは確認できるものというふうに認識してございます。
○波多野委員 私も自治体の元職員ですので、いろいろな防災の計画、また防災訓練等やりますけれども、やはり市民の人たちが確実に逃げられるという形で書いてはいますけれども、実効性の部分、やはりちょっと甘くなる部分もあると思っています。だからこそ、第三者がしっかりとその実効性に関して評価するというのは私自身必要だと思いますので、是非検討していただきたいです。
次に、この第三者機関でのそういった導入は難しいということですけれども、そういった中で、政府が再稼働やリプレースみたいな議論を進めるのであれば、単なる計画があるということだけで、複合的な災害の下でも計画が実効性を持って機能するということを具体的に証明できないんじゃないかなというふうに思います。
その中で、避難計画の実効性を担保する制度的な枠組みがないままで再稼働やリプレースを進めることについてはどう考えているのか、是非お答えいただければというふうに思います。
○大串副大臣 先ほど答弁ございましたとおり、地域原子力防災協議会で確認をした上で原子力防災会議で了承する、こういったプロセスで了承された緊急時対応がない中では、原子力発電所の稼働が実態として進むことはないというふうに考えております。
さらに、能登半島地震など過去の災害で得られた教訓をしっかりと踏まえながら、関係省庁が連携をしながら、緊急時対応の不断の改善、充実を進め、原子力災害対応の実効性向上を図っていくというところでございます。
その上で、原子力発電所の稼働に際しては地元の御理解が大前提でございますので、こうした避難計画など原子力防災の取組について、丁寧で分かりやすい情報発信などに国が前面に立って取り組んでいく所存でございます。
○波多野委員 実際、やはり原発がある立地地域としまして、産業としても大きいですし、そこに住んでいる、働いている人たちもいます。そういった中で、本当に客観的な部分で計画の実効性というものを評価していただけないと、やはり住む人たちの信頼を得るというのは難しいんじゃないかなというふうに私自身思います。形式的な手続ではなくて、実質的な安全性、そして中立的なチェック体制が必要であるということをここで強く私からお伝えさせていただきます。
続いて、安定ヨウ素剤について質問をさせていただきます。
原子力災害に関しましては安定ヨウ素剤の服用ということが重要になるということで、ただ、この安定ヨウ素剤、現実には配布率がとても低いという現状があります。福井の場合では、PAZ圏内の自治体では、地域による配布率にばらつきはありますけれども、二月時点で配布率が四三%ということで、半数以上の服用が必要な住民のところに薬が届いていないということで、深刻な状況なのではないかなというふうに私自身思っております。
このPAZ内における配布率の低迷というのは全国的にもあるかなと思いますけれども、その原因についてどう考えているか、お答えください。
○福島政府参考人 お答えいたします。
安定ヨウ素剤につきましては、委員御指摘のとおり、地方自治体が事前配布を進めているところでありまして、その配布状況なども地域の状況によって様々であろうかとございます。一つの要因といたしましては、配布を受ける住民の皆様の御負担ということがあろうかと思います。
これまで、住民説明会を開きまして、そこで医師、薬剤師といった専門家の説明を付した上での配布などを原則としてきたところでありますけれども、こういった手続も御負担になろうかと思いますので、専門家による関与、アドバイスなどを前提とした上で、令和元年以降は、薬局での配布やオンライン申請による配布の取組なども進めているところでありまして、そういう住民の御負担を減らしていくことで、より配布を促進していきたいと考えているところでございます。
○波多野委員 それでは、スマートフォンなどで、オンラインで申請ができるということなので、働いている世代が多い四十歳以下でありますので、しっかりとオンラインの申請ができる、そういった体制を全国的にも進めていただければというふうに思います。
最後になりますけれども……
○江渡委員長 もう時間になりましたので。
○波多野委員 また私も声をしっかりと届けていきますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○江渡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会