衆議院

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第5号 令和7年6月10日(火曜日)

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令和七年六月十日(火曜日)

    午後一時二十四分開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 岩田 和親君 理事 津島  淳君

   理事 細野 豪志君 理事 田嶋  要君

   理事 野間  健君 理事 宮川  伸君

   理事 阿部 弘樹君 理事 岡野 純子君

      石原 宏高君    大空 幸星君

      栗原  渉君    坂本竜太郎君

      佐々木 紀君    島田 智明君

      鈴木 英敬君    関  芳弘君

      世耕 弘成君    根本  拓君

      長谷川淳二君    福田かおる君

      宮内 秀樹君    森下 千里君

      山本 大地君    阿部 知子君

      岡田 華子君    小熊 慎司君

      齋藤 裕喜君    下野 幸助君

      高松 智之君    波多野 翼君

      伴野  豊君    斉木 武志君

      村上 智信君    小竹  凱君

      平林  晃君    福重 隆浩君

      山口 良治君    佐原 若子君

      辰巳孝太郎君

    …………………………………

   復興副大臣        輿水 恵一君

   経済産業副大臣      古賀友一郎君

   環境副大臣

   兼内閣府副大臣      中田  宏君

   文部科学大臣政務官    赤松  健君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   経済産業大臣政務官    竹内 真二君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室審議官)        河合 宏一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福島 健彦君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     牛尾 則文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           清浦  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田中 仁志君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       井内  努君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局付)           常葉 光郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  宮崎 貴哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合  現君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       中尾  豊君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小田原雄一君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      古金谷敏之君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 児嶋 洋平君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           山口 裕之君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     大空 幸星君

  長谷川淳二君     山本 大地君

  森下 千里君     島田 智明君

  平林  晃君     山口 良治君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     福田かおる君

  島田 智明君     森下 千里君

  山本 大地君     長谷川淳二君

  山口 良治君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  福田かおる君     鈴木 英敬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人といたしまして東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長山口裕之君の出席を求め、意見を聴取することといたし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房防災庁設置準備室審議官河合宏一君外十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本竜太郎君。

坂本(竜)委員 本会議直後の委員会で、皆様方、慌ただしい中でございますけれども、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、自由民主党の坂本竜太郎でありますが、大変この間、皆様方にお力をいただいております東京電力福島第一原子力発電所、また第二原子力発電所も含めて、その発電所を擁する福島県の浜通りの選挙区からお送りいただいている者でございます。

 本当に、この十四年間以上にわたって全ての皆様方に大変なお力をいただいて、ここまでの復興の歩み、そして、新たな原子力政策の在り方、原子力安全を担保すべく、この国会の場、立法府にあっても、この特別委員会を設置して、鋭意、調査研究、議論を重ねていくという、そういったことにお力をいただいておりますことに、まずもって心からの御礼、感謝を申し上げさせていただく次第でございます。

 とにもかくにも、安全神話から安全文化を確立していく、この一点で皆様方にそれぞれのお立場からお力をいただいてきているものと存じておる次第でございます。まずは、何があっても、あの事故炉であります福島第一原発の廃炉を安全で着実に、時間をかけてでもこれを成し遂げていくということがまず大前提であります。それにつきましても、それぞれにお力をいただいているところでございます。

 この文化をつくっていくということは、一朝一夕でかなうものでは到底ございません。そもそも、あの地域は様々なエネルギー面での文化が醸成された地域でございます。それは、技術もノウハウもインフラもそうでございますけれども、やはり人であります。様々な方々の携わりの中で、それぞれの責任において一生懸命積み上げてきていただいたわけでございますけれども、自然災害との闘いの中で、足りなかった部分があったということでございましょう、ああいったことになって、今日に至っているわけでございます。

 新たな安全文化をしっかりと確立する中で、この国の責任あるエネルギー政策も確立していかなければ、この国は立ち行かなくなってしまうわけでございます。そのためには、どうか福島での経験、教訓を最大限に生かし続けていただいて、進化し続けていただきますよう、心からお願いを申し上げさせていただく次第でございます。

 まず、その廃炉に当たっても、人なくして成し遂げられるものではございません。まずは、福島第一原発の廃炉に当たりまして、安全かつ着実な廃炉を実現するための人材の確保そして育成、これについて、政府としてどのように取り組んでいらっしゃるか、これからもいくのかということをお尋ねさせていただきます。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたとおり、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は、非常に中長期にわたる取組でございます。したがいまして、廃炉作業を担っていただく多様な人材を確保し育成していくということが極めて重要であると認識をいたしております。

 このため、政府としましても、原子炉内部の調査のロボットであるとか、あるいは燃料デブリの回収装置の開発、廃棄物の分析といった廃炉に必要な様々な研究開発がございますけれども、こうした活動を大学、研究機関、企業等々でやっていただいておりまして、その人材育成に関する支援、あるいは、福島県と連携をいたしまして、廃炉関連産業への参画を目指しておられます地元企業の方々に対する資格取得支援やあるいは技術支援といった取組を実施してきております。

 また、極めて過酷な環境下であります福島第一原子力発電所の廃炉作業、これを通じて磨かれた技術あるいは作業のノウハウというものは、他の原子力施設やあるいは他産業、他分野にも展開できる可能性があると考えております。

 一例としまして、原子炉内の内部調査を目的に開発されたドローンの技術をほかのインフラの点検にも活用するといった事例も出てきております。こうした事例の横展開を今後進めていくことは、廃炉に関連する技術や人材の裾野を広げていく観点からも意義のあることと考えております。

 政府としましては、引き続き、関係機関と連携をしながら、安全かつ着実な廃炉に向けまして、人材の確保、育成につながる取組を進めてまいりたいと考えております。

坂本(竜)委員 ありがとうございます。様々な波及効果があると。これは、国内のみならず、国際社会に対しても、今後、長期にわたって貢献でき得る経験であり、技術となってくるわけでございます。そのためにはやはり、末永い人材の発掘でありプロフェッショナルの養成、これが必要になってくるわけでございます。せんだってのアドバイザリー・ボードの先生方からも、近藤先生を始め複数の先生から人材育成の必要性についてはお話があったところでございます。

 そもそも、原発を立地して建設したときも、地元でも多くの担い手が参画して従事したことによって、あの過酷事故が起きた後も、自分たちの責任でもってこの廃炉も成し遂げていくんだということで、今も、地元の方々にもいろいろな形で携わっていただいている。いわば、プライドと責任を持ってこれを担っているという側面がございます。

 これからについても同じことでございまして、やはり、これも近藤先生なんかからもお話ありましたけれども、今、福島の復興の歩みの中で、例えば、福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIというものの取組が始まったところでございます。人材育成そして原発事故の教訓を生かした取組がなされるわけでございますし、これとの連携や、あるいは、復興の歩みの中で、県立学校でありながらも、ふたば未来学園についての言及もございましたし、あるいはJAEAさんとの連携の中で、地元の高専、工業高等専門学校との連携、あるいは様々な高等教育機関との連携、もっと若い段階からの携わり等々も含めて、いろいろお力をいただいているところでございます。地元の手で廃炉を成し遂げて、末永くこの教訓を生かし続けて国際社会にも貢献していくんだと、覚悟を持って取り組ませていただきたいところでございます。

 そこで、F―REIや地元教育機関との連携による廃炉人材の育成について、どのように取り組んでいくのか、お伺いをさせていただきます。

清浦政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に貢献するため、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業におきまして、大学や研究機関等における基礎、基盤的な研究開発や人材育成の取組を推進しております。具体的には、地元の大学、高専を含む全国の高等教育機関等における燃料デブリ取り出しに向けた遠隔技術等の廃炉に関する研究を通じて、これまで経験したことがない過酷環境に対処できる人材の育成を推進しております。

 また、毎年、福島高専が主体となって、学生に廃炉に関心を持ってもらうとともに、学生の創造性を養うため、F―REIを含む関係機関の後援を受けながら、廃炉創造ロボコンを実施しております。実際に、これらの取組に参画した若者が廃炉に取り組む企業や研究機関等に就職するなど、廃炉を含む原子力分野で活躍する人材が育まれているところでございます。

 文部科学省としては、今後とも、引き続き関係機関と連携しながら、廃炉を支える人材の育成にしっかりと取り組んでまいります。

坂本(竜)委員 F―REIも世界に冠たる創造的復興の中核拠点というものをうたっておりますし、今、廃炉ロボコンにつきましても、来年で十回目を迎える。相当な人材が育っているわけでございます。国際社会に貢献するグローバル人材の育成、福島の廃炉を通じて、是非お力をいただきたいと思う次第でございます。

 同時に、廃炉だけの人材ということであれば、実は未来がないのではないかと不安視される方もいるかもしれません。これは大事な取組でありながらも、やはり、我が国の原子力政策の次の展開、新たな段階に今入っている事実があるわけでございますから、責任ある形で原子力政策を進めていくんだという、この新たな国策の下での人材育成というものがなければ、廃炉人材も集まってこないわけでございますし、希望が持てないわけでございます。

 アドバイザリー・ボードの先生方からは、廃炉に対する人材と原子力産業に関わる人材は切り分けてという御指摘もあったわけでございますが、私は、大きく言って、これは両輪でございますから、責任を持っていただいて、現場を知りながら、しっかり技術を絶えず磨き上げて、安全を確立していくためには、これは両方の人材を求め続けなければいけないと思っております。

 そこで、責任ある原子力政策を遂行するための人材育成、いわば産業人材の育成についてどのように取り組んでいくお考えか、お尋ねをさせていただきます。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 長期間にわたり原子力発電所の運転が停止したり、新たな建設機会を喪失してきた中で、原子力発電所の再稼働や次世代革新炉の開発、設置を進めるため、原子力人材の確保、育成等は重要な課題と認識しておりまして、エネルギー基本計画においても明記しております。

 当省といたしましては、技能実習の講座開発、技術、技能の承継など、人材育成の支援策を講ずるとともに、原子力関連企業から成る原子力サプライチェーンプラットフォームの活動や、原子力関連産業の将来につながる先進的な取組などを紹介するシンポジウムの開催などを通じて、情報発信に取り組んでおります。

 文部科学省においても、原子力分野の人材確保に向け、産学官が連携した横断的な教育研究機能を有する人材育成コンソーシアムを構築し、体系的な教育研究基盤の整備を進めているというふうに承知をしております。

 引き続き、産業界や関係省庁とも連携し、現場の実態やニーズに即した形で原子力産業の技術や人材の基盤の維持強化に取り組んでまいります。

坂本(竜)委員 是非積極的に進めていただきたい。つきましては、廃炉の現場の現実と安全意識を踏まえて産業人材を育成していただきたい。そして、この取組を通じて、国内のエネルギー政策はもちろん、国際社会の環境問題やエネルギー政策にも貢献できるような大きな展開につながりますことを心からお願い申し上げさせていただく次第でございます。

 同時に、廃炉それから原子力産業、それと同時に原子力安全を担保するためには、この事故を経て新たな体制になられました原子力規制の在り方、原子力規制を担う人材につきましても、同様に、新たに人材を育てていかなきゃいけないと思っておるところでございます。そういう取組をもうずっとしていただいて、今年度からも五か年ですか、第三期の中期目標の中で、中長期にわたる人材育成の必要性についてはしっかりと言及して、お取り組みをいただいているところでございますが、この福島の経験、教訓を生かさなければ何の意味もないわけでございます。

 様々な形で御努力いただいているとは存じますが、改めて、福島の経験、教訓を生かした、原子力安全に資する原子力規制を担う人材の育成についてどのように取り組んでいらっしゃるのか、これからもいかれるのか、お伺いをさせていただきます。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、専門性を有する人材を確保するため、平成二十六年三月に、職員研修を行う組織として原子力安全人材育成センターを設置をし、職員の人材育成に力を入れるほか、教育訓練課程及び資格認定の仕組みを創設いたしまして、原子力検査などの五つの資格制度の運用を平成三十年度より行っているところでございます。

 また、第三期中期目標において、事故の教訓の伝承等を通じ、組織理念、原子力安全文化に関する宣言等に対する職員の理解を深め、活動原則等にのっとり業務を遂行することを成果目標に掲げまして、職員向けの研修やセミナーを通じて事故の教訓や経験を伝承するとともに、職員一人一人が原点に立ち返るよう、原子力安全文化・核セキュリティ文化に関する宣言カードをふだんから身につけるなど、職員に組織理念等を根づかせる取組を行っているところでございます。

 引き続き、このような取組を行うことで、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を伝承し、原子力安全、原子力規制を担う人材の育成を行ってまいります。

坂本(竜)委員 日々の取組、一人一人の認識の積み重ねがまさにこの国の原子力安全文化を樹立することにつながると思いますので、是非、末永くそれを続けていただいて、確立していただきたいと思うわけでございます。同時に、様々な面での人材、関心を持っていただくためには、まずは、この一Fの廃炉の取組の状況についても、しっかりと正しく、現実も含めて、進捗も含めて、これからの展開も含めて発していくことが重要であると思っております。

 正しく御理解いただく、地元の皆さんにも御安心いただかなきゃなりません、国内の多くの全ての国民の皆さんにも御理解をいただかなければいけません。御理解いただいて、応援していただいている部分もあります、ALPS処理水の海洋放出に際しましてはなおさら顕著な例でございますが。これからは、いわゆる除去土壌の県外最終処分に向けた取組の中での国民の皆さんの理解を得るための取組についても、そういったことが関わってくるわけでございます。また、国際社会に対しても同様でございます。

 是非とも、透明度や公開度の向上が求められてきて今日に至っているわけでございますので、この辺についてお尋ねをさせていただく次第でございます。

 一F廃炉の取組に関する現実と進捗についての正しい理解を得るための積極的な情報発信にどのように取り組んでいくお考えか、お伺いをさせていただきます。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の現状につきましていろいろ御理解を深めていただくために、地元の方々を始め国内外に向けた透明性の高い情報発信、あるいは丁寧な双方向のコミュニケーションを行うということは重要な課題であると認識をいたしております。

 これまでも、例えばでございますけれども、地元の方々向けには、そういった方々も参加されます廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会、あるいは視察や座談会の機会、それから地元のイベント、お祭りなどにブースを出展する、そこで情報発信をするというような形で、双方向のコミュニケーションに取り組んでいるところでございます。

 また、広く国内向けには、マスコミの方々向けの定期的なブリーフィング、それからパンフレットやポータルサイトの開設という形で、一般の方にも分かりやすい広報物を作成し提供する、あるいは若年層の方々向けの出前授業といったことにも取り組んでおります。

 海外につきましては、多国間の国際会議、あるいは二国間の対話の場、在外公館やメディアのブリーフィングなどを通じて、廃炉に関する説明、発信など、これは関係者が一体となって実施してきているところでございます。

 また、先月は大阪・関西万博におきまして福島復興展示を行いましたけれども、その中でも、廃炉に関する展示あるいはトークセッションを実施をいたしました。会場には海外の方々も含めて延べ約五万人の方々に御来場いただきまして、報道でも取り上げていただいたところでございます。

 今後も、関係者一体となって、あらゆる機会を捉えまして、積極的に福島第一原子力発電所の廃炉状況に関する情報発信に取り組んでまいる所存でございます。

坂本(竜)委員 お話がありましたように、あらゆる機会を捉えて、あらゆる手法で、あらゆる媒体を駆使していただいて、それも組み合わせていただいて発し続けていただきたい。後から、次に根本委員からもお話があるかと思いますけれども、やはり現地を訪れていただく取組にもつながりますし、新たな人材の参画にもつながるということになりますので、是非継続的な取組をお願いさせていただきます。

 最後でありますが、こうした人材育成についての様々な角度からの取組を進め、文字どおりの安全文化を確立していくために、相当、委員長もいろいろな思いを持って、この間、お力をいただいているところでございます。

 そこで、原子力安全に対する山中原子力規制委員会委員長のいわば御覚悟について、改めてここでお尋ねをさせていただく次第でございます。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を踏まえて設置された組織でございます。事故の教訓を風化させず、常に原子力に一〇〇%の安全はないことを肝に銘じて、科学的、技術的な根拠に基づいて、継続的な安全性の向上に取り組んでまいります。

 その科学的、技術的な判断の根拠は、現場に立脚した情報と事実に求めるべきと考えているところでございます。

 新規制基準の適合性審査では、節目節目での現地調査により現場を確認するとともに、原子力規制検査では、常駐の検査官が日々現場を巡視して、実態に即した規制を実践しているところでございます。

 私自身も、東京電力福島第一原子力発電所に定期的に足を運びまして事故調査分析を行っているところでございます。現場重視の姿勢を貫徹してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 引き続き、現場主義に基づき、地に足の着いた審査、検査ができる人材の確保と育成に努力をしてまいります。

坂本(竜)委員 ありがとうございます。

 是非、福島の事故があったからこそのこの国の安全文化の確立に引き続きお力をいただきますことを心からお願いを申し上げさせていただきまして、質疑を終了させていただきます。

 御清聴、誠にありがとうございました。

江渡委員長 次に、根本拓君。

根本(拓)委員 自由民主党の根本拓でございます。

 福島の坂本竜太郎委員に続いて、同じ福島選出議員として御質問をさせていただきます。

 まず、福島第一原発の現場見学についてです。

 自民党の東日本大震災復興加速化のための十四次提言においては、福島第一原子力発電所の現場見学は、インバウンドを含め多くの人が関心を有することから、リスクコミュニケーション、理解醸成のための情報発信の観点のみならず、交流人口等の拡大の観点も含めた対応を検討すること、その際、廃炉作業等の現場作業への負担にならないよう工夫をすべきであるということを提言しております。

 福島第一原発などの公開の拡大というのは、原発事故の実情を正確に伝えるとともに、悲惨な事故を経験した福島の方々が復興している姿を全国そして全世界にお見せして応援していただくという観点からも重要になってくると考えております。

 このような福島第一原発の現場見学の拡大を進める場合、今、実務的にどのような課題があって、それに対してどのような対応策が考えられるのかということについてお伺いしたいと思います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきました与党第十四次提言でも御提言をいただいておりますけれども、東京電力福島第一原子力発電所の視察拡大、できるだけ多くの方に現場を御視察いただくという点につきましては、廃炉の取組の情報発信、あるいは理解を深めていただくということのみならず、交流人口等の拡大の観点からも重要な課題と認識をいたしております。

 一方、こうした取組を実際に進めていく上で、やはり、今、廃炉作業が現場で行われておりますので、そういった現場の作業の負担にならないよう工夫するということも一方で重要なことでございまして、実務的な課題としては、例えばでございますけれども、入構時に視察者の方々とあるいは作業を実際されている方々の動線が干渉してしまうこと、あるいは、視察者の方は構内をバスで移動されるケースがあるわけですけれども、バスが渋滞してしまう、こういった構内作業への影響をどう回避するかという点が課題として挙げられると認識をしております。

 このため、現在、東京電力におきまして、視察者の方のルートにつきましては、作業員と視察者の方の動線をどう分離できるかという検討、あるいは、渋滞を緩和するために一回当たりの視察者の人数を増やすといった、こういった設備面や運用面の改善等について検討を行っていると承知をしております。

 加えまして、例えば、中間貯蔵施設と連携をして、福島第一原子力発電所に郊外から視察ツアーに来ていただく、あるいは、県外の方々に是非御視察の機会を提供するということで、ホープツーリズムとの連携というような取組も進めてきているところでございます。

 引き続き、こうした形で積極的な視察の受入れも含めて、交流人口、関係人口の拡大に向けて、東京電力や地元自治体の方々も連携しながら、国としても必要な取組を進めてまいる所存でございます。

根本(拓)委員 どうもありがとうございます。

 確かに、構内作業が滞るようなものであってはいけないというのはおっしゃるとおりだと思っていまして、その観点から、動線を工夫できないのかというような検討を是非進めていただきたいと思っております。

 また、必ずしも構内に入らなくても、例えば、遠くから原子力発電所を、事故に遭った様子を見られるような、例えば展望デッキを設けて見るとか、これもお金のかかる話なので、すぐにというわけにはいかないかもしれないですけれども、それでも、今まで考えていなかったようなアイデアを俎上にのせて、現場見学の拡大のために何ができるのかということについてクリエーティブに考えていただきたいですし、私たちとしてもいろいろなアイデアを出させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、原子力規制庁の人事についてお伺いします。

 令和七年六月三日の先日の委員会において、参考人から、規制と推進の分離が形骸化しているというような問題提起がなされました。その根拠として、原子力規制庁の幹部の大部分が経産省出身者によって占められているということが持ち出されまして、これが回転ドア、いわゆるリボルビングドアである、したがって、規制のとりこのリスクがあるとの指摘がなされたところです。

 これに関して事実確認をさせていただきたいんですけれども、これらの経産省出身者の原子力規制庁の幹部の方たちというのは、その後に経産省に戻るということはあるのでしょうか。つまり、回転ドアなのか、それとも片道切符なのかということについて確認させていただきたい。

 また、仮に片道切符であった場合に、そういった片道切符での移転というのが、参考人の方が持ち出した原子力安全条約やIAEA安全要件、IAEA安全指針において、これを不適切とするガイダンスなどがあるのかどうなのか、この点についても確認させていただければと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制庁の職員につきましては、原子力規制委員会設置法附則第六条第二項において、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないということとされております。御指摘の幹部職員は、片道切符で原子力規制庁に来ております。

 また、御指摘の原子力安全条約、IAEA安全要件及びIAEA安全指針において、原子力利用の推進を行う組織からの規制機関の独立性について規定があることは認識しておりますけれども、このような片道切符を不適切とする規定があるということは承知しておりません。

根本(拓)委員 ありがとうございます。

 今御回答いただいたことは非常に重要だと思っていまして、リボルビングドアというのは回転ドアなので、行ったり来たりがあるもの、これをリボルビングドア。アメリカでは、政府にいた人が民間に入って、民間にいた人が政府にまた入る、これをリボルビングドアと言うわけであって、片道切符の場合はリボルビングドアとは言わない、ドアは回転しなくて、ドアの入口からもう一方に行くだけなので、リボルビングドアとは言わないと思うんですね。

 実質的に考えても、規制される側から規制する側に回ったときに本当に忖度をするのかどうかというのは、必ずしもそうとは限らないと思っていまして、規制される側にいたからこそ政策というのをよく分かっていて、より効果的な規制ができるという側面もあるように思っております。

 また、原子力政策、人材の確保は難しいという話、育成が難しいという話、先ほど坂本委員からもありましたけれども、原子力政策に精通している人材の確保という観点からも、経産省で原子力政策を担当していた方が規制庁に行くということは一定の合理性があるように思われます。

 もちろん、規制がゆがめられたり緩められたりするような、そういったことには十分注意する必要があるかと思いますけれども、一方で、事実は正確に把握した上で人事に関する議論というのは進められていくべきであると思いますし、片道切符で規制庁に移っておられる幹部の方たちが不当にバイアスがかかった目で見られないように、注意はする必要があるのかなと思っております。

 続いて、原子力安全規制についてお伺いしたいと思います。

 まず、日本と国際社会における原子力安全規制に関する考え方の乖離の有無という点についてお伺いします。

 原子力発電所の再稼働を進めていくためには、安全性に対して地域住民の皆さんの理解を得ていくということが非常に重要で、そのためには、政府がどのような考え方に基づいて、どのような目標を持って規制をデザインし、その執行によってどのような状態ができるようになるのかということを明確に伝えていくという必要があるかと思っております。

 そこで、規制の基本的な考え方についてなのですけれども、同じく六月三日、先日の委員会において、近藤参考人から、アメリカやイギリスなどの国際社会における原子力安全規制の基本哲学は、比例原則の下、ゼロリスクを目指すのではなく、合理的に達成可能な限りのリスク低減を原理として規制活動を行うということであって、これが国際的に確立された考え方であるということを指摘なさいました。

 これに対して、原子力基本法を見てみますと、エネルギーとしての原子力利用は、事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って行うものとされていて、参考人からは、国際的に認められている原則との乖離があるということが指摘されました。

 そこでお伺いしたいのですが、規制委員会としても、国際社会において確立された考え方若しくはイギリス、アメリカにおいて採用されている考え方と、日本の原子力安全規制の基本的な考え方の間に乖離やそごがあるというように認識をなさっておられるのでしょうか。もしその二つの考え方にそごなり乖離があるという場合に、その二つの考え方のいずれに立つかによって、実際の規制のデザインだとか執行にどのような差が出てくるのか、この点についてもお伺いできればと思います。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、IAEAや諸外国の規制基準も確認をしながら、我が国の自然条件の厳しさ等も勘案して新規制基準を策定をいたしました。その基本的な考え方は、国際基準や欧米各国の考え方との間に乖離やそごはないものと認識しております。

 新規制基準においては、リスクが低いものに対しては、安全が合理的に確保できるという判断があれば商業用発電用原子炉に比べて対策の幾つかを求めないなど、いわゆるグレーデッドアプローチの考え方に沿って、リスクに応じた規制を行っているところでございます。

 また、令和二年四月から施行されました原子力規制検査は、米国の検査制度を参考にして策定したものでございます。検査対象の選定や検査指摘事項の重要度を評価する際には、確率論的安全評価を活用している例もございます。

 さらに、これまでも、IAEAが行います、IRRSという原子力安全等に関する規制活動に関するレビューや、IPPASという核セキュリティー関連の規制活動に関するレビューを定期的に受け入れ、指摘された内容を受け入れることで規制制度の改善に努めているところでございます。

 なお、IPPASについては、令和六年七月に既に二回目を受け入れているところでございます。また、IRRSについても、令和八年一月に二回目のレビューを受け入れる予定でございます。

根本(拓)委員 ありがとうございます。

 日本の基本的な規制の考え方と国際的に確立された考え方の間にそごはないということを確認していただいたこと、重要だと思っております。

 そういう観点からは、今後の原子力規制の法としてのデザインだとか執行というのは、国際的な基準に適合しているか、それに基づいているのか、こういう観点からも見ていく必要があるということなんだろうと考えました。

 その上で、先ほど述べたとおり、住民の皆さんの理解を得ていくためには、現在の原子力安全規制がどのような目標を持ってデザインされ、その執行によってどのような状態が生じることになるのか、そして、それは三・一一の前と比べてどのように変化したものであるのか、つまり改善したものであるのかという点について、できる限り明確に、すなわち定量的に示すことが求められているように思われます。かかる観点からは、現在の規制基準においてはどのような安全性に関する目標値が設定されているのか。また、それを達成するために、前提として、どのような事項についてどのような発生確率を見込んでいるのか。

 また、余り考えたくないわけですけれども、万が一の事故発生時の放射性物質の放出量をどのように想定しているのかといったようなことについて、事故発生前、三・一一の前と比較しながら定量的に説明をすることが望ましいというようにも思われますけれども、このような定量的な説明というのは今までされてきているのでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 安全目標につきましては、旧原子力安全委員会で検討がなされた、炉心損傷頻度について一万炉年に一回、格納容器機能喪失頻度については十万炉年に一回といった目標を基礎とすることについて、平成二十五年、原子力規制委員会において合意に至っているところでございます。

 これは規制基準ではなく、規制を進めていく上での目標であると原子力規制委員会は位置づけております。

 新規制基準適合性審査では、重大事故が発生した場合でも、格納容器の破損を防止し、放射性物質が敷地外に異常な水準で放出されることを防止するための必要な措置が講じられている設計であることを確認しているところでございます。その際、重大事故に対する対策の有効性につきましては、放出されるセシウム137の量が東京電力福島第一原子力発電所事故の百分の一に相当する百テラベクレルを下回っていることを確認しております。放射性物質の大量放出を招くおそれは極めて低く抑えられていると認識しているところでございます。

 新規制基準や審査結果については、これまでも、地元自治体からの要望も踏まえまして、地元自治体や住民を対象とした説明会において規制庁職員が審査結果の説明を行ってきているところでございます。今後も、要望に応じまして、分かりやすい説明を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

根本(拓)委員 委員長、ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 同じような問題について、別の観点からということなんですけれども、近藤参考人は、もう一つ、現在の規制に関する基本的な考え方にのっとった場合に、全体合理性の観点からの対策の総合判断ができないのであれば、それは問題だということを指摘されました。すなわち、これができないと、防護について、近藤参考人が指摘したように、より多重化された深層防護というのがひたすらに追求されて、結果的に過剰な対策になったり、様々な制約から特定の対策についてはほかの原発と同じようにはできないんだけれども、ただ、総合的に考えるとちゃんと安全性が確保されていますというようなものであっても再稼働が認められにくくなってしまう、危険だと思われて認められにくくなってしまうということが起こりかねないということかと思います。

 そこで、このような問題を避けるために、合理的な安全性の目標、ゴールを設定した上で、合理的に達成可能なリスクの低減のための対策を想定される一連のプロセスの中で総合的に行っていく、講じていく、そして、その結果というのを定量的に住民の皆様、国民の皆様に説明していく、こういうことが求められるように思われますが、この点についてはいかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 リスク情報につきましては、例えば、自然現象の発生確率や人的過誤、人間のミスに関わるものが含まれておりますけれども、現時点では、それらはまだ研究的な要素が強いため不確実性が大きく、設計許可のような規制上の判断は、リスク情報のみに基づいて行える状況ではございません。

 一方、リスク情報の活用については、できるところから積極的に行うべきであるというふうに規制委員会は考えております。例えば、新規制基準適合性審査では、重大事故対策の有効性の確認のための事故シナリオを抽出する際に利用しているところでございます。

 また、原子力規制検査では、検査対象の選定や検査指摘事項の重要度を評価する際には、リスク情報を活用している場合もございます。

 このように、リスク情報の活用を進めていくということは、事業者との意見交換を開始したところでございます。積極的にリスク情報の活用を進めてまいりたいというふうに考えておりますし、これについては、できる限り分かりやすく住民の皆さんに説明をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

根本(拓)委員 ありがとうございます。

 正しく恐れることは必要ですけれども、分からないことに起因して過度に恐れるということがないように、是非、ゼロリスクはないという前提の下、正しく正確な情報発信をお願いさせていただければと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、岡田華子君。

岡田(華)委員 立憲民主党の岡田華子です。青森県の選出になります。

 本日は、質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私は一期生ですけれども、これまで製造業の企業で働いておりまして、しかも電気をたくさん使う分野の企業に勤めていたこともありまして、電力政策においては、産業振興に大きく影響する電力のコストと安定供給が大事な要素だと考えております。

 その上で、原子力については、我々日本人は福島の経験もありますし、私自身にまだ小さな子供がおりますので、将来世代に過度な負担は先送りしたくない。悲惨な事故の教訓を生かして、現実的かつ科学的な目線で取れるリスクと取れないリスクを判断すること、リスクを取るなら責任を持った対応が必要だというふうに考えております。

 今回、本委員会に所属させていただきまして、専門家の先生や御経験の長い議員の先生方、それから省庁の皆さんとの議論を通して、改めて今勉強させていただいているところです。

 また、先日、地元の青森で、日本原燃さんや東北電力さんに御協力をいただき、六ケ所と東通の視察に行ってまいりました。事業者の皆さんとの意見交換の機会を通して、彼らが本当に真摯に活動している姿、そういった様子を実感することができました。

 当然のことながら、現場にいる彼らが最も安全が大事だというふうに思っておりますし、今の脆弱なエネルギー安全保障の環境、この環境を憂えて、自分たちが何とかしなければならないという思い、矜持を持って職務に当たっている、そういうふうに感じました。

 現場の彼らはすごく一生懸命でした。原子力に対して国民がまだまだ不安を抱いているということは事実であって、その不安に向き合う必要はありますが、一方で、現場で真摯に働く人がいるという事実もまた私たち国民は知らなければ、もっと知らなければならないのだろうというふうに思いました。

 本日、質問では、この現場視察で受けた印象と、これまでの国会での議論を経て、現在の原子力政策に関して私自身様々な課題意識を持ちましたので、その点について質問させていただきます。

 まず、国民からの信頼性についてです。

 事業者さんたちとお話しいたしますと、地元の皆さんとの関係や国民理解に大変に気を遣われていると感じました。地元との信頼関係、国民からの信頼を得ようと様々な活動をされています。国の原子力政策において、国民からの信頼は最も重要なものだからです。

 そんな中で、先日の委員会で、アドバイザリー・ボードの先生方から、むしろ国の方が国民からの信頼性を疑わせしめるようなことをしているのではないか、そういった旨の指摘がなされたかと思います。

 具体的には、第七次エネルギー基本計画策定過程における不透明さ、そして基本政策分科会のメンバーがほぼ推進派で固められている点です。十六名中、明確な反対派は一名のみ。しかも、エネルギーの専門家ではなく消費者代表である点。そしてもう一点、先ほど根本委員からも言及がありましたけれども、原子力規制庁の主要ポストがほぼ経産省の出身者で固められている点です。

 原子力規制庁の主要ポストにつきまして、先ほどの御回答の中では回転ドアという、片道切符になるから回転ドアではないというような御回答もあったところではありますが、規制庁から推進側への戻りは防ぐことはできても、推進側からそもそも規制庁に行くという、そちらを制限するものではなくて、この点については、規制庁の独立性の担保、そもそもの疑わしいという、国民の信頼性を毀損せしめるというんですかね、そういった今仕組み、ルールになっている点については、私は、この批判は合っているのではないかなというふうに感じます。

 アドバイザリー・ボードの先生方からこのようなそもそもの指摘がなされている点について、経産省と原子力規制委員会の御所見をお伺いさせてください。そして、その際には、是非、人事決定の際に、この人選では国民から不信の目を向けられるのではないか、そういった指摘をした人はいなかったのか、そういった議論がなされたかどうかについてもお知らせいただければと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました基本政策分科会は、エネルギー基本計画を含めエネルギー政策の全体像について議論するための審議会でございまして、こうした議論を進める上で必要な学識経験者や専門家に委員として参画をいただいております。

 具体的には、エネルギーの各分野に加え、国内外の経済、エネルギー多消費産業、消費者、大企業や中小企業など産業界、金融などの各分野から学識経験者や専門家に委員として参加をしていただいておりまして、特定の政策へのスタンスや見解に基づいて委員を選定したものではございません。

 その上で、私どもといたしましても、引き続き、多様な意見を取り込みながら、エネルギー政策の検討を進めてまいりたいと考えております。

岡田(華)委員 人選の中で、このバランスではどうなのかといったようなお話というのはされたのでしょうか。もう一度お聞かせください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー基本計画の検討に当たりましては、エネルギー安全保障に関する国内外の動向やパリ協定など気候変動対策との整合性、国内外のエネルギー産業、企業の実態、エネルギーコストが国民生活や産業活動に及ぼす影響、エネルギー技術の進展の見込みなど、様々な観点を踏まえる必要がございます。

 そのため、こうした点についてそれぞれ第一線で活躍する有識者の方々を委員として任命しているものでございます。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 様々な御経験、知見のある方々を人選されるということで、専門人材に限りがあるということも承知の上でございます。ただ、やはり、国民からの信頼をそもそも損なわしめるような、そういった人選になり過ぎると、事業者さんにとってもよくないこと、原子力推進派の方々にとってもよくないことだというふうに私は思います。

 国民からの信頼を毀損することがないように、立法府と行政府は透明性と公開性の原則を強く意識して進めていかなければならないと思いますので、引き続き関係機関で協力してまいれればと思います。

 続いて、もう一点、国民からの信頼性の観点で質問をいたします。

 こちらもアドバイザリー・ボードの先生からの御指摘でしたけれども、NUMOが山陰中央新報の記事になったと。島根県益田市において、自治体の文献調査への請願文をNUMOが作成したのではないかという記事でございます。アドバイザリー・ボードの大島先生から、地方自治体の意思決定にNUMOが介入しているのは問題ではないかというような指摘がされておりますけれども、経産省は、新聞記事の事実について事実確認を行っているのか、そして、アドバイザリー・ボードの先生よりこの点を問題視されている点についてどのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 NUMO、原子力発電環境整備機構におきまして個別の地域や団体とどのようなコミュニケーションを行っているかにつきましては、自由な意見交換や今後の活動に支障を来す可能性があることから、いずれの地域であっても、その有無も含め、お答えは差し控えさせていただきます。

 その上で、高レベル放射性廃棄物の最終処分は、長い年月をかけて、地域の皆様の理解を得られるよう調査のステップを踏み、地域の声を聞きながら取り組んでいくものでございます。

 NUMOは、最終処分法に基づく処分事業の実施主体として、処分事業の安定的かつ着実な遂行に責任を負う立場であります。このため、NUMOは、同法に基づいて決められております基本方針においても、最終処分事業と地域との共生について、関係地方公共団体が地域の特性を生かした多様な方策を主体的に検討することができるよう協力することが重要であるというふうにされておりまして、一般論として、地域の方々の御事情、御要望に寄り添って、必要なサポートを行うことはあってしかるべきというふうに考えております。

 NUMOの活動に関する様々な御指摘はしっかりと受け止めつつ、引き続き最終処分の実現に向けた取組を進めていくべきというふうに考えております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 NUMOの役割そのものが、最終処分に関する理解の促進ということもありますので、全くもって自治体と関与してはいけないという話ではないと思います。国民の信頼性確保の観点から、もしも行き過ぎた介入がなされるようなことがある場合には、そこはしっかり経産省の方にグリップを利かせておいていただきたい、その点だけ申し添えたいと思います。

 続いて、ちょっと通告と順番は変わるんですけれども、三番目の方で、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定について質問をさせていただきます。

 北海道の寿都町や神恵内など、幾つかの自治体で調査が始まっているところですが、実際のところ、候補地の選定が順調に進んでいるとは思えません。かなり自治体の中でも厳しい議論がなされている状況だというふうに理解をしております。

 この点、最終処分に当たっては科学的特性マップがベースになっておりますが、マップ上不適とされた地域は当然駄目なんですけれども、アドバイザリー・ボードの先生からは、今のように、自治体の意思に基づいて手を挙げた地域を調査するのではなくて、本来は、科学的特性マップの精度をもっと上げて、科学的に最も適性のある場所を国が主導して選定すべきではないか、そういった見解もございます。

 このような意見を受けていることについて、経産省さんの御所見をお伺いしたいと思います。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘いただきましたとおり、また、アドバイザリー・ボードでも御指摘があったとされておりますとおり、政府といたしましても、最終処分地の選定に当たっては、科学的によりよい地点を選定していくべきというふうに考えてございます。

 地層処分の長期安定性を考える上では、断層やマグマ等の影響を避け地域を選定することに加えて、地表と比較して揺れにくく地下水の移動も限定的という地下の深い部分の特徴が担保されることの二点が重要であります。このため、二〇一七年に科学的により適性が高いと考えられる有望地を示した科学的特性マップを公表しております。

 一方、地下の深いところ、地下深部の地質環境に関する文献、データは十分に存在するとは言えず、そのため、最終処分法に基づき段階的な調査を行っていくことが必要だというふうに考えております。諸外国においても、段階的な調査を経て絞り込みを行い、処分地の選定を進めてきているというふうに認識をしておりまして、我が国においても、最終処分の実現に向けて、引き続き国が前面に立って取組を進めてまいります。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 最終処分場の選定は、今御回答にもありましたとおり、かなり時間がかかるものだというふうに理解をしております。

 その点について、次の質問なんですけれども、青森県六ケ所村の高レベル放射性廃棄物センターに海外から返還された高レベル放射性廃棄物、いわゆるガラス固化体が最初に搬入されたのが一九九五年、今から三十年前です。日本原燃と地元自治体との間で安全協定が交わされて、その中では、六ケ所村は最終処分地ではありません、三十年から五十年の管理期間終了時点で事業者が搬出します、そういう旨の協定が結ばれております。

 約束の期限まで、あと二十年です。現在、幾つかの最終処分場の候補地が挙がっていて、調査が進んでいるということですけれども、そもそも文献調査に約二年、概要調査に約四年、精密調査に約十四年、最終処分の事業計画、建設に約十年、約三十年が見込まれるとされる中、今の状況を見る限り、日本原燃が地元自治体との約束を果たすことはとても難しいのではないか、現実的に考えて難しいのではないかというようなことが明々に分かってきているのではないかと思います。

 最終処分地選定に関する責任はNUMO、そしてそれを監督する経産省という理解ですけれども、先ほどの御回答とも絡むところかと思うんですけれども、この状況について経産省としてどのようにお考えか、御所見をお願いいたします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました搬出期限に関する約束、これは青森県及び六ケ所村と日本原燃が結んだ約束であります。これを遵守するよう、国としても事業者をしっかりと指導してまいります。

 その上で、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定に向けては、これまで北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町の三町村において処分地選定に向けた文献調査プロセスが進められており、地域の皆様に御理解いただくべく、丁寧に取組を進めてまいります。

 また、全国のできるだけ多くの地域が地層処分事業に関心を持ち、文献調査を受け入れていただけるよう、全国の地方公共団体を個別訪問する全国行脚の実施等を通じまして、国主導の働きかけを強化していきます。

 最終処分法に基づく調査、建設に要する期間は、例えば、それぞれ二十年程度、十年程度といった目安をお示ししておりますけれども、実際には、技術の進展や立地地点の状況等、様々な要因に左右されます。そのため、例えば三十年といった一定の期間が必ずしも必要というわけではないというふうに認識をしております。

 いずれにいたしましても、可能な限り早期に最終処分地に関する目途がつけられるよう、最善を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 この先、技術革新があって、三十年の見込みが、二十年なり、それより短縮されるというようなことが起きる可能性がゼロではないとは思うんですけれども、実際問題としてかなり難しいというところは多くの国民が知るところかと思います。

 日本原燃が青森県六ケ所村、地元自治体との約束を守れない場合に、責任を取るのは誰なんでしょうか。地元自治体は誰に何を請求できるんでしょうか。責任の所在が不明瞭なまま建前論理で話が進んで、なし崩し的に既成事実化が進んで、誰も責任を取らない、これは日本文化の悪いところだと私は思います。

 負担を負うのは地元民、国民の意見は対立したまま、現場で頑張る技術者さんたちや働く人たちへの風当たりが弱まることはなくて、使っていいのか悪いのか、中途半端な電源を残される将来の世代というのが私は一番かわいそうだと思います。

 明らかな論理破綻が見えていても、あえて問題を顕在化させない今のやり方が一番よいとお考えの人がいるのかもしれないんですけれども、いつまでも現実から逃げることはできません。

 是非、最終処分の問題に決着をつけるべく、経産省におかれましては、国民の理解の促進を含めて、一部の地元自治体の問題に矮小化させることなく、責任の所在を明らかにしながら物事を進めていっていただきたいとお願い申し上げます。行政府だけでなく立法府の責任でもあると思いますので、この点については協力して進めていけたらと思います。

 時間が参りましたので、質疑は終了いたします。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、齋藤裕喜君。

齋藤(裕)委員 立憲民主党の齋藤裕喜と申します。

 私は、福島県浜通りの国会議員として、そして福島第一原子力発電所に日本で一番近い国会議員として、本日は様々な角度から質問をさせていただきたいと思います。

 私たちは福島第一原子力発電所の事故を経験いたしました。昭和から百年、戦後八十年となりましたが、幾多の問題、課題を乗り越えて先人の方々が築いてこられたからこそ今があると思っております。事故の前には、普通の、私も含めてですけれども、電気があるのが当たり前、御飯を食べられるのも当たり前、その当たり前の日常がどれだけ大切なことかを、東日本大震災、原子力災害のときに、多くの貴い命が失われる中、私たちに教えてくださいました。

 東日本大震災からは十五年目となり、風化、そして、福島では風評はいまだに残っています。福島には、美しい自然、地域があり、そこには人や親戚がいて、家族がありました。そして、伝統や文化、産業もありました。その全てが原子力災害によって失われることになってしまいました。

 先日、福島県の要望活動に福島県知事の内堀知事も来られておりましたが、福島地域の方々から私がお預かりしている言葉は、たった一言です。どうか一日でも早く元に戻してほしい。皆さん、福島の人たちと話をするときは、目を見て話していただきたいと思います。そして、その目の更に奥深い悲しみを理解して、感じてほしいというふうに思います。

 今や、原子力発電所が立地していない、被害がない地域の人たちは、私たちには同じようなことが起こらないと過小評価する楽観バイアスが働いているのかもしれません。人間はリスクを過小評価します。リスク評価を誤るおそれも十分考えられます。ですが、既に皆さん、今でも、この瞬間もリスクを負っていることを、いま一度心にとどめておいていただきたいと思います。

 福島第一原子力発電所の過酷事故は、一旦発生すれば、被害の上限をいまだに確定することすらできていません。そして、最終処分場が決まっていない中で、これは本当に大変なことだと思っております。

 核種の半減期については、千年を超えるもの、そして、万年を超えるものすらあります。そんな中で原子力政策が進められていること、今だけ、私たちのときにだけ、これで、これからの将来世代に先送りをしている、事故の経験が生かされることなく、地域や人々の、そして世代間の分断が、今後もこのままでは一向になくなることはありません。

 それでは質問に移らせていただきます。

 第六次エネルギー基本計画から第七次エネルギー基本計画の変更についてお尋ねをいたします。

 第六次エネルギー基本計画には、原子力依存度は低減する、必要な規模を持続的に活用、新増設、リプレースはしない、原子力の運転期間は四十年、一回に限り二十年の延長を可能としていましたが、第七次エネルギー基本計画では、再エネと並び原子力も最大限活用、廃炉を決定した原子力発電所の敷地内で次世代革新炉の建て替えの具体化を進める。一定の停止期間に限り追加的な延長を認める理由として、これは実質六十年以上の運転を可能にするという政策転換を、変えた理由について、まずお答えください。よろしくお願いいたします。

古賀副大臣 お答え申し上げます。

 幾つかの御質問がございました。

 第七次エネ基に関して、まず最初に、原子力の最大限活用という点についての御質問でございます。

 DXやGXの進展によりまして、電力需要増加が見込まれる中にありまして、脱炭素電源の確保が国力を左右する状況だ、こういうふうに認識しております。低いエネルギー自給率や火力発電への高い依存といった現状の課題を克服する観点からも、脱炭素電源の確保が求められているという状況であります。

 こうした背景を受けまして、第七次エネ基におきましては、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとともに、脱炭素電源を確保するため、再エネと原子力について、二項対立ではなくて、共に最大限活用していくという方針をお示ししたところであります。

 ただ、先ほど委員おっしゃいましたとおり、原子力に対する様々な御懸念の声があることは我々も承知をいたしております。使用済燃料の再処理を始めとする核燃料サイクルの確立には、その輪を構成する全ての関係施設につきまして着実に稼働を進めていくことが重要でありまして、国といたしまして、六ケ所再処理工場の竣工など、直面する課題を一つ一つ着実に解決するよう取り組んでまいりたいと存じます。

 また、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定につきましては、必ず解決しなければならない国家的課題である、このように認識しております。現在、全国の三地点で文献調査プロセスを実施しておりまして、引き続き、地域の声及び国民の声に丁寧に向き合って、全国で議論が深まっていくよう国が前面に立って取り組んでまいりたいと思います。それぞれの課題にしっかりと取り組みながら丁寧に説明を行い、原子力を活用してまいりたい、このように考えております。

 それから、リプレースに関する御質問がございました。

 脱炭素電源の確保のために、再エネか原子力かといった二項対立ではなくて、どちらも活用していく必要があるというのは先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、次世代革新炉への建て替えは、今後、運転期限を迎える既存の原子力発電所の供給力の大幅な喪失が見込まれる中で、リードタイムを考慮しながら脱炭素電源を確保していくために必要だ、こういうふうに考えております。

 この建て替えにつきましては、二〇二三年二月に閣議決定いたしましたGX基本方針におきまして、敷地内での建て替えについて政府方針としてお示しをしておりましたけれども、今回のエネ基では、安全性の確保や地元の御理解が得られる、そういった前提において、事業者の選択肢を確保すべく、敷地内での建て替えから事業者が有するサイト内での建て替えに対象範囲を見直した、そういうことでございます。

 それから三点目、運転期間の制度に関する御質問がございました。

 この新たな運転期間制度につきましては、エネルギーの安定供給や脱炭素電源の確保という利用政策の観点から、二〇二三年に国会で成立したGX脱炭素電源法に基づき措置されたものでございます。

 具体的には、電気事業法の下におきまして、運転期間に最長六十年という上限を設ける大きな枠組みは維持することとしながらも、事業者から見て他律的な要素によって停止していた期間に限って、六十年の運転期間のカウントから除外することが認められておりまして、六十年を超える運転期間も認められる、そういった仕組みになっております。

 他方で、高経年化した原子力発電所の安全性につきましては、新制度におきましても、利用政策の判断にかかわらず、原子力規制委員会が厳格な審査を行って、その認可を得なければ運転は認められないことが大前提でございます。

 本制度の執行に当たりましては、電気事業法に規定される認可要件や行政手続法に基づく審査基準にのっとりまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

齋藤(裕)委員 原子力政策については国策で進めてきた部分も大変多いと思いますが、今も責任の所在がはっきりしておりません。そして、今いろいろありますが、電力会社だけが悪いわけでもないと思っています。当然、電気を今まで使ってきている私たちにも責任がないわけではありません。事実として確実に言えることは、被災地域の方々が土地や家や人とのつながり等を全て失っている、これは結局国民が責任を取っているのが今現状なんです。

 余り言うと時間がなくなってしまうので、次の質問に移らせていただきますが、帰還困難区域の除染についてお伺いしたいと思います。

 帰還意向のない土地や建物、山林については必ず除染するという認識でいいのか、また、そして、昨今の報道にもありますが、帰還困難区域の活動の全面自由化についてどのように受け止めていらっしゃるのか、お尋ねいたします。

古賀副大臣 帰還困難区域に関する御質問でございますけれども、この区域につきましては、まずは、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある方が御帰還いただけるように、特定帰還居住区域制度に基づきまして、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を進めていく所存でございます。

 その上で、地元からは、これまで自治体が主催する住民説明会の場などにおきまして、帰還後の生活環境や災害防止のための山林整備の必要性につきまして御意見を頂戴しているもの、このように認識をいたしております。

 今後の特定帰還居住区域に関する取組や、山林も含め、帰還意向のない土地や建物の扱い、帰還困難区域における活動の在り方につきましては、そうした地元の声を踏まえながら、自治体とも協議して検討を進めていきたい、このように考えております。

 政府といたしましては、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除して、復興再生に責任を持って取り組むとの決意に揺らぎはございません。引き続き御地元に寄り添いながら復興に向けて取り組んでまいりたい、このように考えております。

 以上です。

齋藤(裕)委員 是非、一日も早く元に戻してほしいという思いを受け止めていただきたいと思います。

 次の質問なんですが、これまでの放射線に関する外部被曝、内部被曝の調査実態を皆様のお手元にお配りしていますけれども、今後の計画について、どのようになっているか、お答えいただけますでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、平成二十五年度から、福島県内にお住まいの方や勤務されている方などのうち、希望する方を対象に、御自身の放射線被曝線量の把握と健康不安の解消を目的として、個人被曝線量計による外部被曝線量及びホール・ボディー・カウンターによる内部被曝線量を測定するとともに、当該測定結果や放射線による健康影響につきまして、放射線の専門家から当該測定された方に対しまして説明する事業を実施してございます。

 当該事業における令和五年度の実績につきましては委員配付の資料のとおりでございまして、外部被曝の測定者は計五百九十七人、内部被曝の測定者は計八百七十六人と、多くの方々に御活用いただいてございます。

 今後の計画についてのお尋ねでございますけれども、本事業につきましては、アンケート調査を取りますと、継続して測定を希望している方が非常に多くいらっしゃいます。また、市場に流通していない野生のキノコや山菜などを摂取した際の健康影響に不安や懸念を抱いている住民が一定程度いるということが推察されます。

 このため、引き続き、本事業につきましては、放射線による健康不安を持つ多くの方に御活用いただけるよう、自治体の広報誌などを活用して、福島県内の自治体と連携を図りながら、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

齋藤(裕)委員 ありがとうございました。では、引き続きしっかりとモニタリングの方をよろしくお願いいたします。

 時間も余りありませんので、質問を飛ばさせていただきますけれども、エネルギー安全保障、原子力政策についてお伺いしたいと思います。

 ちょっと石油についてもいろいろお話をお伺いしたいところなんですが、石油については、中東で約九〇%以上、日本は依存している状態にあります。このことは皆さんも御承知だと思うんですけれども、石油は、日本は島国ですから、船で輸入してくることになります。もし万が一、地政学的リスクで不確実性が高まった場合には、非常に日本も大変な、調達、供給であったりとか、価格高騰もそれなりのリスクがあるということをお伝えさせていただきます。

 そして、ウランと高純度低濃縮ウランの調達、供給体制についてお伺いしたいと思うんですけれども、このウランについても、皆さんお配りの資料にありますとおり、採掘から、それから加工するに至るまで、様々な段階で各国が関わっています。そして、これから次世代の革新炉と言われるSMR、小型モジュール炉がありますけれども、これが今、各国競って、低コストであるということと、年数が余りかからないで建設できる、そういうメリットもいろいろあると思いますが、まだ、原型炉とか含めて、いろいろ決まっていないとは思うんですけれども、このウランの調達、そして高純度低濃縮ウラン、HALEUというと思うんですけれども、この調達について、非常に今後も、世界各国との取引等を考えますと、不確実性が高まった場合に、日本のエネルギー安全保障上、大変な問題になってくると思うんですけれども、これからの原子力政策について、日本のエネルギー安全保障についてどのような道筋を考えているのか、お答えいただけますでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国で発電に使用されるウラン燃料、これは今御指摘いただきましたとおり、複数の工程を経たものを原子力事業者が各々調達しておるものでございますけれども、燃料となるウランは、海外から輸入しているものの、天然ウランは地域的偏在性が少なく、比較的政情が安定した地域から輸入してございます。

 その上で、SMRについての御指摘もいただきました。このSMR、小型軽水炉の国内建設については、次世代革新炉の一つとして、我が国における将来ニーズを念頭に置いた選択肢確保という観点から議論をいたしております。

 その上で、ただいま御指摘いただきました高純度低濃縮ウラン、HALEUにつきまして、これは濃縮度が五%を超える濃縮ウランということでございますけれども、これについては、現時点で我が国で原子炉等規制法上の許可を得ている濃縮施設はないというふうに認識しておりますけれども、今後の小型軽水炉に関する議論の中で、燃料確保の方策についても検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 この次世代革新炉については、具体的な炉型、どのような形で進んでいくかという点につきましては、電気事業者の判断でありますとか地元の御理解というのが大前提でありますので、現時点で次世代革新炉のどの炉型が採用されるかという点については予断を持ってお答えすることは難しいというふうに考えてございますけれども、今お尋ねいただきましたSMRについてはそのような認識でございます。

齋藤(裕)委員 最後に一言。被災者への支援は、巨額な資金を投入して新たな産業を興すというような、物や建設とかそういった側面があるとしても、何よりも被災者一人一人が尊ばれて、よい生活を取り戻すことができるように、人間の復興を基礎としていけるように是非お願いしたいです。

 最後、もう一つ。革新軽水炉とかナトリウム冷却タンク型高速炉、核融合……

江渡委員長 申合せの時間が過ぎていますので、まとめてください。

齋藤(裕)委員 済みません。

 世界各国との協調と不確実性がある中で、決して過信せず、安全性、公平性、公正さ、持続可能性の観点に立って、今後も国民的な議論を踏まえた上で、国民の生命と財産を守っていくように、どうかよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、下野幸助君。

下野委員 立憲民主党、三重二区の下野幸助です。

 初めて原子力特別委員会で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 これまで、アドバイザリー・ボード、参考人の先生、あるいは先輩議員の皆さんからいろいろな角度で、いろいろな形で御意見いただきました。総じて申し上げますと、先ほどからお話があったとおり、この日本はエネルギー自給率が数十%、一方で人口も減る中で、第七次のエネ基では、GX、AIの進展で電力は増えているということ、さらには、電源構成で二割を原子力という形になっております。そんな中で、今日、三点ほどお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 まず、研究開発の状況についてということで、人材確保とそのための教育機関の整備、さらには、これまでの研究開発の評価と次世代革新炉の取組についてお伺いをしたいというふうに思います。

 我が党の方針でも、二〇五〇年までのできる限り早い段階で、化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラルの達成を目指すというふうにしております。つまり、安全性が確認された上で、実効性のある避難経路が策定され、地元合意がなされた原子力発電所については再稼働を容認しているというところです。また、使用済核燃料の直接処分を掲げており、使用済核燃料の地層処分については、当面は乾式キャスクによる保管に切り替え、一定期間安全に保持をして、その間に最終処分に関する技術開発を国の責任で進めるものとしております。

 このため、技術の継承や新技術の開発は私としてはかなり極めて重要だと考えておりますし、また、核融合については、主要国の連携の下で進むITER計画への参加等を通じて、その安全性、科学的、技術的実現性について検証するというふうに言われております。

 そこで、放射線の技術も含めて、医療でも必要な技術であり、いろいろな層で原子力ニーズは高まっております。特に、進学先の一つとして捉えるためには、中高生への広報活動、正しい技術の理解が必要と考えられますが、文部科学省の現状の認識と取組について、赤松政務官に御説明願います。

赤松大臣政務官 お答えいたします。

 発電を始めとするエネルギー利用等の観点から重要な分野であり、若年層を含めて、社会、国民の理解を得ながら進めていくことが重要と考えております。

 このため、文部科学省では、国際原子力人材育成イニシアティブ事業を通じて構築した産学官が連携した人材育成コンソーシアム、ANEC、この活動の一環としまして、高校生や高専生を対象とした原子力オープンキャンパスを開催しまして、こういうことが学べるよ、こういうふうになれるよというキャリアパスの提示等を通じて、原子力分野に対する興味を持ってもらう、こういう取組を行っております。

 また、日本原子力研究開発機構において、広報誌、SNSなど、多様な手段によりまして原子力に関する積極的な情報発信を行うとともに、将来を担う若年層の育成に向けて、教育委員会、学校と連携しまして、出張授業、実験教室を行うなど、社会との信頼構築や原子力の理解、促進を図っているところでございます。

 文部科学省としましては、このような取組を通じて、引き続き、原子力に関する理解の促進に努めてまいります。

下野委員 ありがとうございます。

 私も高専生出身で、電気工学を学んだ一人として、今、そういう形で政策を進めていただいているということに感謝を申し上げたいというふうに思いますが、まだまだ中高生の皆様には原子力の理解が進んでいない部分がありますので、引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 また、もう一つ、給料面についてもお伺いをしたいというふうに思うんですが、例えば原子力研究開発機構では、原子力研究者の募集時の年収は五百七十三万円で、令和五年度の現職の研究職種が平均九百二十三万円、実務を担う事務、技術者が七百十五万円です。理事以上の方がおおむね千五百万円の給料を超えてくるということを鑑みますと、先ほどの技術者あるいは研究職の方々の給料はそんなに高いものではないというふうに思います。

 そういった意味で、技術継承、新技術の開発が滞りなく進むようにこれからも後押しをしていただきたいというふうに思いますが、処遇関係の面についてもちょっと一言お願いをしたいというふうに思います。

清浦政府参考人 お答えいたします。

 処遇関係のことにつきましては、重要な御指摘だと思っております。

 日本原子力研究開発機構、JAEAと、適切な給与体系になるように引き続き調整をしてまいりたいと存じます。

下野委員 国際貢献の観点からも、あるいは廃炉等も含めて、原子力というのは長いつき合いになってくるかと思いますので、これからも若い方々の処遇の改善に努めていただきますようによろしくお願い申し上げます。

 それでは、次の質問に移ります。

 次世代革新炉として五つの取組があるということで、いろいろアドバイザリー・ボードの先生方もお伺いをしております。革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、核融合の五つです。

 資源エネルギー庁の資料などによりますと、革新軽水炉は、商用炉、二〇三〇年代後半に運転開始、小型軽水炉は二〇四〇年代に運転開始、高速炉は二〇四〇年代後半に運転開始、高温ガス炉は二〇三〇年代中頃に運転開始、核融合は二〇三〇年代に発電と目標を前倒し、このような運転開始時期の目標を掲げていらっしゃいますが、原子力委員会が原子力全体として研究、開発、利用に関する政策、企画、審議、決定を行い、原子力規制委員会が安全規制を担う中、具体的な開発計画は経済産業省、資源エネルギー庁が担うということになっています。

 何が言いたいかというと、この次世代の革新炉、実は総花的で、どこに力点を置くのかというのが分かりにくいというふうに思っております。どういう戦略の下で先ほど申し上げました五つの次世代革新炉に取り組むのか、プライオリティーがあればどのように進めていくのか、古賀経済副大臣にお伺いいたします。

古賀副大臣 お答え申し上げます。

 この次世代革新炉に関する研究開発につきましては、炉型ごとの用途、あるいは開発段階の相違、それから社会のニーズ等の要素も考慮しながら実用化に向けた取組を進めている、こういう状況でございます。

 具体的には、この革新軽水炉と小型軽水炉につきましては、既に世界中で商用化されている軽水炉の技術を基礎としておりますので、実用化の可能性は高いというふうに考えておりますけれども、新たに導入が想定される技術につきまして実用化に向けた技術開発を支援している、こういう状況であります。

 それから、高速炉につきましては、国内ではこれまで実験炉「常陽」それから原型炉「もんじゅ」の開発が進められてまいりました。「常陽」につきましては、二〇二六年度の再稼働に向けて取組が進められているところでございまして、他方、「もんじゅ」につきましては、二〇一六年に廃止が決定されましたけれども、これらの過去の運転を通じて得られた知見を基に実証炉の開発を進めていく、こういう状況であります。

 それから、高温ガス炉につきましては、試験炉HTTRにおけるこれまでの開発、運転に加えまして、今後、HTTRにおいて水素製造試験を行う計画となっておりまして、これらの知見を基に実証炉開発を進めてまいりたい、このように考えております。

 こうした様々類型がございますけれども、研究開発の進捗や成果を踏まえながら、引き続き実用化に向けた取組を進めていきたい、このように考えております。

下野委員 もう一つ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほどの第七次エネ基についてなんですが、先ほど、冒頭、私が申し上げましたとおり、二〇四〇年に原子力の発電比率を二割にするということが掲載されておりますが、既存の原子力発電と次世代革新炉、具体的にどの炉なのかも含めて、発電比率をどのように想定されるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

古賀副大臣 お答え申し上げます。

 エネ基における将来のエネルギー需給の姿といたしまして、総発電電力量を一・一から一・二兆キロワットアワーと幅を持った見通しをお示しを申し上げております。

 原子力の比率に関しまして、実際の設備利用率などは発電所ごとによって異なりますので、必要な基数について一概にお示しすることはなかなか難しいところではございますけれども、仮に、設備利用率を八〇%と仮定して計算いたしますと、三十一から三十四基程度となるわけでございます。また、近年の稼働実績を踏まえて、設備利用率を七五%と仮定をいたして計算いたしますと、三十三ないし三十六基程度という状況になります。

 なお、これらは、原子力規制委員会によりまして新規制基準に適合すると認められた原子力発電所を再稼働いたしまして、加えて、安全性確保を大前提とした定期検査の効率化や運転サイクルの長期化などによりまして設備利用率を向上させること、あるいは、先ほど御指摘がありました次世代革新炉の開発、設置など、様々な取組によりまして達成可能な水準である、こういうふうに認識をしているところであります。

 以上です。

下野委員 ありがとうございます。

 大臣、済みません、確認なんですが、二〇四〇年に既存の原子力発電と次世代革新炉の割合、端的にちょっと教えていただけないでしょうか。

古賀副大臣 特段、割合というのをお示ししているわけではございませんが、先ほど申し上げたとおり、既存の原子力発電所を活用して、稼働率はいろいろございますけれども、その稼働率いかんによって達成が可能だと。それから、先ほど申し上げた次世代革新炉の開発、設置、そういったものを組み合わせることによって、エネ基でお示ししている電力の確保が可能である、そういうふうに認識しているところであります。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま副大臣から答弁させていただきましたとおり、実際の設備利用率でありますとかそれぞれの原子炉の出力等異なりますので、一概にどの基が何%稼働することが必要だという計算をするのは難しいんですけれども、一定の仮定を置いた場合に、例えば三十一から三十四基という数字もございますし、三十三から三十六基という数字もございます。

 この三十三から三十六という数字につきまして、これは既存の原発の再稼働ということでも実現し得る数字でございますし、あるいは次世代革新炉の開発、設置ということが含まれてこの数字になるということもあり得るということで、そこについての特段の特定ということはしておりませんということでございます。

下野委員 分かりました。

 そうすると、効率さえよければ既存だけでも賄えますよという可能性もあるということで、理解ですね。はい、分かりました。

 次の質問に移らせていただきます。

 最終処分プロセスに関しまして、国民参加、住民参加の定めについてお尋ねをしたいというふうに思います。

 先ほど岡田華子議員からもちょっとお話があったかというふうに思うんですが、NUMO、原子力発電環境整備機構が事業推進機関として進めることになっていますが、諸外国と比べて進んでいないと認識をしています。例えば、フィンランド、スウェーデン、フランス、カナダは最終処分地を選定済みということなんですが、いま一度、選定が進まない理由について、経済産業省、エネルギー庁としてどのように捉えているのか、お尋ね申し上げます。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定、これは大変解決が難しい問題でございまして、委員から御指摘いただいた国々も含めまして、諸外国も三十年以上にわたり試行錯誤を繰り返しながら処分地の選定を進めてきているというふうに認識をいたしております。

 これを進めていく上では、国民理解、そして地域の方々の理解ということが非常に重要でございまして、それについて政府としても前面に立ってしっかり取り組んでいるところでありますし、これからも更にしっかり進めてまいりたいというふうに考えてございます。

下野委員 先ほどのお話でも、NUMOが実施主体として積極的に取り組んでいくということもありましたので、ここの部分、丁寧さと時間との兼ね合いがあります。我が党も、最終処分場、最終処分地については期限を切って政治主導で決めていかなければならないというふうに思っていますので、そういった覚悟を共有していただければというふうに思います。

 最後に、原子力発電によるカーボンフリー水素製造の可能性についてお尋ねをいたします。

 原子力発電を利用したカーボンフリー水素技術、従来のグリーンエネルギーから水素を作り出すよりもコストを大幅に削減がされるというふうに期待をされておりますが、この技術について、経産省の評価と検討状況、今後の取組状況についてお尋ね申し上げます。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきました水素の製造方法におきましては、再エネ由来の電力で水を分解して製造するグリーン水素、あるいは天然ガスから水素を製造しCO2の回収、処理をいたしますブルー水素、また原子力由来の電力や熱を利用するピンク水素など、様々なものが存在すると承知をしてございます。

 昨年施行されました水素社会推進法におきまして、水素の製造方法のいかんによらず、生産に伴うCO2排出量、すなわち炭素集約度に基づき支援の対象となる水素等の基準値を定めておりまして、御指摘いただきました原子力由来の水素も対象となり得るところでございます。

 原子力由来の電力につきましては、本来的には電力のまま使うことが一般的であると考えられますが、脱炭素化が困難な分野におきまして原子力由来の水素を活用する余地はあると承知をしてございます。

 原子力由来の電力を活用して水素を製造する実証は既に国内で行っておりまして、御案内の大阪・関西万博におきまして、水素燃料電池船「まほろば」や姫路第二火力発電所の水素混焼発電における燃料の一部として既に原子力由来の水素が活用されておりまして、会場への移動手段、また電力として万博会場に提供されているところでございます。

 水素等の製造方法につきましては、エネルギー安定供給、コスト、CO2排出量などの観点から適切なものを活用していくことが重要でございまして、御指摘の原子力由来の水素を含め、様々な選択肢の中から引き続き適切に対応してまいりたいと存じます。

下野委員 御答弁ありがとうございました。

 時間が来ましたので、終結させていただきます。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 前回の委員会で、アドバイザリー・ボードの先生から、避難計画に関して法整備が不十分だというような話がありました。

 そこで今回、私の方も、避難計画に関して山中原子力規制委員長と中田内閣府の副大臣の方に御質問したいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それで、私の資料をちょっと御覧いただきたいんですが、まず三ページ目でございます。三ページ目のところには、柏崎刈羽の原発の避難計画に関して説明会が去年の二月ぐらいに行われたということです。この説明会の中で、新潟県の市町村長、そして国の方からは規制庁と内閣府から担当者がいらっしゃったということです。

 会が終わった後にコメントがあったわけですけれども、黄色い線で記しておりますが、例えば、新潟市の中原八一市長は、柏崎刈羽原子力発電所で重大な事故が起こった場合、新潟市では長岡市から避難してくる人を受け入れることになるが、自分の自治体が被災する中で受け入れられるのか、能登半島地震を受けて改めて疑問に感じた、今日の国の説明を聞いても検討が不十分な点があると感じていて、国は議論を深めてほしいということ。

 次に、下、長岡市の磯田達伸市長は、能登半島地震を受けて、現状の計画では避難が難しいことが明らかになってきたと思う、国の方でしっかり検討してほしいと。ですから、もっと国がしっかりやってほしいということを述べているわけであります。

 ここで、山中規制委員長の方にお伺いしたいと思いますが、複合災害に対する実効性のある避難計画が必要だという理解でよろしいでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力災害指針における防護措置の基本的な考え方といたしましては、住民等の被曝線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を直接の要因としない自然災害等による健康等への影響も抑えることが必要であるとしているところでございます。

 つまり、原災指針には自然災害と原子力災害との複合災害への基本的な考え方が既に示されており、この考え方に沿って各地域での避難計画等を含む緊急時対応は策定されているものと認識をしています。

 また、避難計画等を含む緊急時対応が災害時に実効性ある形で機能するよう、各関係機関による防災訓練等が重ねられて、継続的な改善充実がなされているものと承知しているところでございます。

宮川委員 ありがとうございます。

 今の御答弁で、複合災害に対する実効性のある避難計画が必要だということだと思いますが、私も、いろいろな自治体あるいは首長さんとこういう避難計画の意見交換をしているんですが、幾つかの自治体で、複合災害に対する避難計画を作る必要があるのかどうか、国の方からしっかり指示を出してほしいというようなことを言われています。改めて国の方から、複合災害に対する避難計画が必要だということを、内閣府の方からもしっかりと自治体に出していただきたいというように思います。

 その上で、私の資料の一枚目を、一番最初に戻っていただいて見ていただきたいんですが、これが避難計画の策定のプロセスに関しての図であります。一番右のところに原子力防災会議というのがありますが、この原子力防災会議とは、全閣僚と原子力規制委員長で構成されて、議長が内閣総理大臣だということであります。その中で避難計画あるいは緊急時対応というものが議論されて、国として了承するということであります。

 ここでまた山中委員長にお伺いしたいんですけれども、今おっしゃられたように、複合災害の実効性のある避難計画ができていなければ、仮に全大臣がこれでいいと言ったとしても、委員長は、これは了承しないというふうに発言するということでよろしいでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 避難計画を含みます緊急時対応の備えに終わりや完璧はないと考えているところでございます。

 私も参画いたします国の原子力防災会議では、原子力災害対策指針に照らして、その内容が具体的かつ合理的なものであるかどうかを確認しており、それが災害時に実効性ある形で機能するよう、関係機関による防災訓練等が重ねられているものと承知しているところでございます。

宮川委員 山中委員長、規制側からですから、もう少しはっきりと、規制側からしっかり判断をして、駄目なときには駄目だと言うというような答弁をちょっといただきたかったんですが、ちょっと時間の関係で先に進み、また次回、お話ししていただきたいと思いますが、四ページ目の資料を御覧をいただきたいと思います。

 四ページ目は、昨年の二月の記事なんですけれども、これは東海第二原発がある東海村の山田村長さんの発言の記事であります。

 茨城県東海村が、昨年十二月、二〇二三年十二月に策定した広域避難計画について、山田修村長は、二十八日の定例会見で、地震や津波と原発事故が同時に起こる複合災害の想定が現在はされていないとの認識を示した。そして、山田村長は、複合災害の場合を含めれば、避難計画をゼロから検討するしかないというふうに、村長自らがこういうことをおっしゃられているわけであります。

 その上で、中田内閣府の副大臣にお伺いをしたいと思いますが、この前、内閣府とのレクを受ける中で、東海村からは避難計画がもう出されているということでありますが、このまま審査が続いていった場合、先ほど申し上げた原子力防災会議におきまして了承はされないということでよろしいでしょうか。

中田副大臣 御答弁申し上げます。

 地域の避難計画を含む緊急時対応でありますけれども、原子力発電所の所在地域ごとに内閣府が設置をいたして、関係自治体そして関係省庁が参加する地域原子力防災協議会の枠組みの下で、原子力災害対策指針そして防災基本計画に照らして具体的かつ合理的であることを確認して、総理を議長とした原子力防災会議にて了承するというふうになっているわけであります。

 東海第二地域の緊急時対応についても、大規模自然災害と原子力災害の複合災害を念頭に置いた対応ということを想定をして検討を進めているというところでありまして、引き続き、地域の実情を踏まえて、関係自治体の御意見を伺いながら取りまとめに向けて作業を進めていくという状況であります。

宮川委員 もう一度、副大臣。

 村長さんが、今出されているものに関しては、複合災害のものではない、作り変えなきゃいけないと言っているわけです。今、規制委員長の方から、複合災害の実効性のある計画がなければ駄目だとおっしゃっているわけです。

 そうすると、今出されているものは、しっかりと直されたものでなければ会議の中で了承されないということでよろしいんでしょうか。

中田副大臣 現状は今申し上げたとおりでありますけれども、今後、緊急時対応の取りまとめに当たりましては、複合災害の観点、これを踏まえて作業を進めてまいるということになります。

宮川委員 しっかりとお願いをいたします。

 次に、私の資料の六ページ目を御覧をいただきたいと思います。

 これは昨年の十一月の記事でありますけれども、青森県の東通村で避難訓練が行われたということです。ここに写真がついておりますが、警察、パトカーが止まっていまして、検問のようなことを行っているわけでありますが、この記事に書いてありますが、ドライバーに屋内退避を求め、引き返すよう要請する交通規制の訓練を行っているということでございます。

 これはどういう意味かということですが、一ページ前に戻っていただいて、五ページ目を御覧いただきたいんですけれども、中心にあるのが原子力発電所であります。そこから五キロ圏内がPAZということであって、五キロから三十キロ圏内がUPZ、緑の部分であります。

 今のこの訓練は、何か原子力の事故が起こった場合に、このPAZにいる、原子力発電所の近くにいる人たちは逃げるわけですね、逃げるけれども、このUPZの、それよりちょっと遠くにいる人たちは、ある一定以上放射線レベルが上がるまでは逃げちゃ駄目ですよ、家の中にいてください、屋内退避をしてくださいということなわけです。

 ですから、道路のところに検問を作って、例えば、今の東海第二原発でいえば東海村がこのPAZなわけですが、東海村に住んでいる人は逃げていけるわけですけれども、UPZの、例えば水戸市に住んでいる人は、何か起こった、これは逃げなきゃと思って逃げても、検問があって、警察がいて、あなた水戸市に住んでいるんですね、あなたは家にいなきゃ駄目だから帰ってくださいという訓練、それに近いような訓練をしていたという記事だと理解をしていますが、実際に事故があったときにはそのようなことを行うということでいいのか、中田副大臣、お願いいたします。

中田副大臣 原子力災害対策指針においては、全面緊急事態に至った場合には、原子力施設からおおむね半径三十キロメートルを目安とするUPZにおいては、予防的に屋内退避を実施していただくということになっているわけであります。

 ただ、他方で、心理的に困難な場合など、様々な理由によって自宅などで屋内退避が困難な方については、指定避難場所での屋内退避でありますとか、近隣の指定避難所での屋内退避が困難な場合にはUPZ外の避難先へ避難することができるということにいたしておりまして、こうした方に無理に屋内退避を継続するというような指示をすることは想定はいたしておりません。

宮川委員 もう一度、これは警察が検問して、逃げてくる人の免許証か何かを確認して、あなたは水戸市ですね、あなたは東海村ですね、そういう検問みたいなのをやるんでしょうか。

中田副大臣 検問みたいなことというか、交通的に混乱の生じないようなことということは、それはあり得るかと思いますけれども、今申し上げたように、そのところで、とにかく戻ってくれ、屋内退避なんだということを無理にお伝えをするということはありません。

宮川委員 福島第一原発事故のことを思い出した場合に、やはりああいう爆発みたいなのも起こったわけです。ああいうことが起こったときに、幾ら五キロ圏外の人でも、やはり逃げようと思う人はいると思います。そういう人たちが来たときにどうするのかということが、今みたいな計画になっていまして、私は実効性があるとは到底思えなくて、これは山中委員長に、ちょっと実効性はあるのかというのを答えていただきたかったんですが。ちょっと時間の関係もあるので、またしっかり実効性のある計画を作っていって、もし実効性がなければ、しっかり会議の中で了承しないという立場を取っていただきたいと思うんですけれども。

 その上で、前回の本委員会の中で、アドバイザリー・ボードの先生、特に大島堅一先生が御発言をされています。これが、避難計画についての法改正の必要性を述べたいということで、原子力発電の安全確保における最後のとりでで、特に住民にとっては最後のとりでであるべき避難計画が制度上軽視され、実効性の担保がされていないのです、これは、原子力の安全対策全体の根幹を揺るがすような深刻な欠陥だと考えますと。そして、原子力防災計画、避難計画の審査がされていない以上、当然ながら、その面での安全性は確保されていないということになります、原子力発電を進めるのであれば、原子力防災計画、避難計画を審査の対象にし、その許可が下りないのであれば原子力発電所を動かさないというふうにすべきですとお話をされています。

 鈴木達治郎先生も同様のことをおっしゃられていたわけでありますが、先に中田副大臣の方に、アドバイザリー・ボードの先生がこのように言っていますが、法改正の必要があると思われませんでしょうか。

中田副大臣 内閣府といたしましては、関係自治体、関係省庁などが参加をする地域原子力防災協議会において、原子力規制委員会が作成した原子力災害対策指針に照らして緊急時対応を確認することといたしておりまして、現在の枠組みの中で最善を尽くしているという状況にございます。

宮川委員 今、原子力災害対策指針という言葉も出ていますが、規制委員長の山中委員長の方からもコメントをお願いいたします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 アドバイザリー・ボードの会員の方から、避難計画を規制委員会の審査の対象にすべきであるという御意見があったというのは承知をしているところでございます。

 我が国では、避難に関する計画は、災害対策基本法に基づいて、地域ごとの実情をきめ細かく熟知する自治体が地域防災計画で定めることとされております。

 その上で、各自治体の地域防災計画で定められた避難計画を含みます緊急時対応、これが原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的なものであることを、原子力施設周辺地域ごとの地域原子力防災協議会において確認することとしております。

 その上で、私も含みます原子力防災会議において、その緊急時対応を了承することとしております。

 原子力規制委員会としては、こうしたプロセスの中で、専門的、技術的な観点から、得られた役割を引き続き果たしていきたいというふうに考えているところでございます。

宮川委員 いろいろおっしゃられていますが、最初の方に、首長の方々から、国はもっとしっかりしてくれと。私、いろいろな首長さんと話をしていますが、ほぼほぼおっしゃいますよ、皆さんも御存じのとおりで。国はもっとちゃんとやってくださいという中で、アドバイザリー・ボードの方からも、国としての了承というのでは、法的に誰に責任があるのかというのが不明確だということでございます。

 山中委員長、もう一歩踏み込んで、国民の命がしっかり守れるように踏み込んでいただければと思います。

 時間が来ましたので終わりにします。

 以上です。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 今日は、昨年一月の能登半島地震、とりわけ北陸電力の志賀原子力発電所のある地域の避難計画等について御質問したいと思います。

 私、自宅が鹿児島県の薩摩川内市、川内原子力発電所の十キロ圏内、UPZに住んでいる者の一人として、住民の一人として、とてもこれは他人事とは思えないので、質問したいと思います。

 昨年の一月の地震では、志賀原発においては、原子力災害とまで、不幸中の幸いで、至らなかったわけで、そこは本当によかったと思うんですけれども、この地域での自然災害についての住民の避難計画等、もろもろ立てておられたと思うんですけれども、その避難というのは、その計画どおり実行され、また成功したということでいいんでしょうか。いかがでしょうか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、令和六年一月の能登半島地震におきましては、この事象は原子力災害対策指針における警戒事態というものに該当しまして、住民避難等が必要になる全面緊急事態等には該当しませんでした。このため、原子力災害に伴う住民避難というものは結果的に実施することはございませんでした。

野間委員 原子力災害に伴う避難というのは行われなかったということなんですけれども。

 これはもう御承知のとおりですけれども、当日の地震によって、三十キロ圏内は孤立した集落が多数出ました。また、百五十人以上の方々が孤立して、集落から出られないということも起きています。

 住民の方は、ある新聞の取材に答えて、これは二十七キロ圏内の方ですけれども、七十三歳の方、今までマイクロバスで避難訓練というのを行っていたんだけれども、いやいや、実際起きてみると、道路は寸断されるし、マイクロバスで逃げるなんということは現実的にあり得ない、原子力に災害がなくてある意味本当によかったけれども、事故だったらこれは本当にパニックになっていたということも証言しています。

 それで、ちょっと一つ、避難なりのことで、グレーゾーンがあると思うんですね。この志賀原発のUPZなり、地域に住んでいる方にとっては、大きな地震あるいは津波等が起きたら、当然、あっ、原子力発電所に何か起きているんじゃないか、起きるんじゃないか、こう思うのが当たり前ですよね。その安全性が確認されるのが、瞬時に連絡が地域に渡っているかというと、そういうことはないと思います。やはり、どんなに早くても数時間、あるいは数日たって、確かにこれは大丈夫です、原子力発電所には何もありませんでしたと。

 実際、今回、この志賀原発は、細部にわたる、重油の漏れとか、外部電力、五回線のうち二回線が使えなくなった問題、あるいは、放水槽の基礎や物揚げ場などが沈下した、そういう問題も起きてはいましたけれども、安全性が確認されるまで、やはり時間はかかりますね。

 そうしますと、住民の皆さんは、いや、これは原子力の災害が起きているんじゃないか、起きるんじゃないか、と同時に自然災害も起きているという、この非常にグレーなゾーンの中で、何に自分たちは従って避難をしたり、どうやって逃げたらいいのか、この辺が非常に曖昧なんですよね。

 それで、先ほど宮川委員もこの図を、私も資料として示させていただいておりますけれども、地域防災計画・避難計画の策定と支援体制、これは、ずらずらと、国、県、市町村、あるいは地域原子力防災協議会、原子力防災会議、総理大臣まで出てくるやつですけれども、いずれも、どこに責任があるのか。恐らく、これは市町村だというふうにおっしゃるんですけれども、よく分からないんですよね。市町村にも何か原子力規制委員会も助言をするようなしないような、中央防災会議も何か線が引っ張ってあって、何をするんだか、よく分かりません。そして、原子力防災会議では、最後、国として了承する。了承するという意味もよく分かりませんよね。これでいいんだ、太鼓判を押して、大丈夫なんだと言っているわけでもないんですよね、これまた聞いてみますと。

 ですから、こういう、何か、先ほど岡田委員の話もありましたけれども、非常に無責任の体系で全てがつくられているような感じがしてなりません。市町村に、自治体に全てが、何か責任が負わされるようなことに、結局、最後、帰結するんじゃないかと思うんですけれども、この辺の、このグレーゾーンの中の責任、これはどう考えておられるんでしょうか。

福島政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの原子力災害につきましての責任の所在いかんでございますけれども、これは、平時の備えといたしましては、地域の協議会の枠組みの下で、関係自治体、関係省庁が、規制委員会の定める指針に基づきまして、しっかりと緊急時対応、それに自治体の避難計画も含まれますけれども、これをあらかじめ策定し、それを総理が議長を務めます原子力防災会議で御了承いただくということであります。

 御了承いただいた暁には、その計画に基づきまして、訓練などで日頃から練度を上げる、あるいは、様々な、インフラですとか資機材の整備というものを国も力を入れてやっていくこととなります。

 責任論でございますけれども、万が一の原子力災害時におきましては、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力事業者、国、自治体のそれぞれが、緊急事態の応急対策など、必要な措置を講じる責務を有しております。

 特に、国は、災害対策基本法第三条の規定に基づきまして、原子力災害を含め、災害時には、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することに鑑みまして、国の組織及び機能の全てを挙げて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有してございます。

 このため、万が一の原子力災害が発生した場合は、自治体は、地域防災計画、避難計画に沿って対応し、また、国としても、総理を本部長とする原子力災害対策本部を設置し、その指揮の下、必要に応じて、警察、消防、自衛隊などの実動組織が、先ほど御指摘ありましたような住民避難の支援といったものもしっかり実施していくということを想定しているところでございます。

野間委員 御説明はそのとおりなんでしょうが、結局、誰の責任かというのはよく分からないということであります。

 自治体の皆さん、先ほど、ある町長さんのお話も出ました、地元で、立地自治体で、避難等で一番困っていることは、やはり道路なんですね。道路がきちっと整備されるということが、一番、最低限の国の責務じゃないかと思うんです。

 確かに、市町村に対する、内閣府原子力防災担当は、国による自治体支援をいろいろやっていますと。地域が抱える課題、とりわけこれは、私に言わせれば、やはり道路の整備、きちんとした避難道の整備ということが大事になると思うんですけれども、具体的に、志賀町にどれぐらいの道路などの、財政的な支援を含めてされていたのか。また、もちろん志賀町のみならず、道路ということに限って言うと、どんなものが具体的にされているんでしょうか、支援は。

福島政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの避難路の整備を始めとする原子力防災に関する自治体への支援につきましては、地域住民の皆様の安心、安全の観点から大変重要であると認識しておりまして、私ども、先ほど来申し上げております協議会の枠組みも活用しながら、地域の声をしっかりお聞きしながら、連携して取り組んでいるところでございます。

 お尋ねの志賀町あるいは石川県への支援でありますけれども、令和六年度には、原子力防災のための資機材の整備など、道路ではなく、資機材の整備などで約三億円の予算措置を講じているところでございます。

 志賀町周辺の避難路の整備、あるいは避難路の強靱化といったことにつきましては、今後、地域の御要望をお聞きしながら、必要な支援を実施してまいりたいと存じます。

野間委員 資機材も結構なんですけれども、やはり道路自体を整備してほしいんですね、自治体とすると。

 これは令和五年度ですけれども、自民党の原子力規制に関する特別委員会というところが、そういった、今おっしゃったような整備に加えて、やはり道路整備の地方負担に関しても、特別に経産省の、もろもろ電源関係の交付金等はありますけれども、そういったものを重点的に充てて、やはり、原子力災害が起きたときの一番私たちは直接的な被害者になるわけですね、そういったところこそ道路の整備を進めるべきだと思うんです。

 道路というと、すぐ国交省、あるいは県などにそれは言ってくださいと。しかし、危険の負担だけは地元の自治体がやってください、これは非常にバランスの欠けた議論だと思いますので、その辺は経産省としてどうお考えでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 避難道路の整備を含みます原子力防災対策の充実は、地域の安全、安心のために重要でございます。経済産業省といたしましても、内閣府や国土交通省などの関係府省と連携しながら、避難道路の整備を含む防災対策の充実に向けて取り組んでおります。

 今委員から御指摘いただきました地方負担分につきましては、立地自治体等からも、負担軽減の観点から、経産省等の交付金を充てられるようにしてもらいたいという声もいただいております。こうした声なども踏まえまして、現在、関係省庁と調整を行っております。こうした調整も踏まえ、関係する規則の見直しなどに取り組んでまいります。

野間委員 これは、なかなか道路というのは時間がかかりますけれども、こういった立地自治体には特別にやはり早くやってもらわなきゃ困ると思います。

 私の地元でいえば、南九州西回り自動車道というのがあるんですけれども、これは、実際に始まってから、もう三十年以上完成しないんですね。これは川内原子力発電所の有事の際の避難道として使うと言われながら、まだあと二十年かかるか三十年かかるか分からないんですが、そんなことをしている間に、もう廃炉になってしまいますね。そんな後にできてもしようがないので、経産省としても、是非、そこはきちっとした対策を、具体的な金額で今後示していただきたいと思います。

 続いて、規制委員長にお尋ねしたいんですけれども、端的に言って、先ほども質問がありました、原子力規制委員会は、実効性のある避難計画がなくても、そんな計画ができていなくても、原子力発電所の稼働に認可を与えるということは可能なんでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉等規制法に基づく許可の判断は、施設の構造等に着目して、災害の防止上支障がないかどうかを確認するものでございます。原子力発電所で万が一事故が起きた場合でも、その影響を緩和する対策等について審査を行っているところでございます。法律上、発電所外の対策である避難計画は対象となっておりません。

 一方で、どれだけ対策を尽くしたとしても事故は起きるものとして考えるのが、防災に対する備えとして基本であると考えています。原子力発電所内の様々な事故対策と原子力発電所外での避難などの対策というのは、それぞれが独立してその内容を充実させていくことが重要であると規制委員会は考えているところでございます。

野間委員 原子力の施設内、オンサイトは、その安全性は規制委員会でやるけれども、外は知らないよということだと思うんですけれども、そうやって簡単に内と外と分けられるものなんでしょうかね。

 委員長はよく、原子炉等規制法に基づく新規制基準でということで今のようなお話をされるんですけれども、規制委員会の設置法というのがありますよね。これは、皆さん、委員会を設置する一番の目的とかそういうのが書いてあるわけですね。その中には、原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければいけないということが書かれて、まあ当然のことだと思います。

 それは、でも、施設の中だけ安全だからいいんだということでは絶対ないと思うんですよね。普通、そう思いますよね。周りの、周辺の地域がどうなろうが自分のところの施設だけが守られればいいんだという、そんなことは絶対考えていないでしょうし、この設置法の中の趣旨も、地域住民がちゃんと守られて、それで施設も守られる、こう考えるのが当然だと思うんです。

 その設置法には、所掌の事務として、第一に、原子力利用における安全の確保に関すること、これが一番の仕事だと書いてあるわけですね。ですから、非常に委員長は狭く解釈し過ぎているんじゃないかと思うんです。

 それは、確かに大変でしょう、自治体の避難計画等まで手が回らないというのかもしれませんけれども、自治体は、先ほどお話がありましたように、町長さんも市長さんも、あるいは知事も、国からいろいろしてもらわなかったら、とてもこれは自分の手に負えるものではないですよ。それはお分かりだと思うんですね。そこが、残念ながら、ここだけ守りますと。あと、外は、はっきり言いまして、中央防災会議とかいろいろありますけれども、市町村に全部丸投げなんですよね。これでは本当に市町村の皆さん、大変です。

 今の道路の話も含めて、これは委員長のお立場、法的なお立場からどういう言い方ができるか分かりませんけれども、個人的な感想も含めて、自分もそう思う、やはり地域住民もそうやって守っていかなきゃいけない、そういう熱い、温かい思いを是非吐露していただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 原子力の確かな規制を通じて、人と環境を守るというのが原子力規制委員会の務めであるというふうに認識をしております。

 深層防護の考え方の第四層まで、原子力発電所の安全規制について我々は万全の責任を持っているところでございますが、第五層、避難計画、防災についても、我々は、内閣府と自治体が密に協力して、協議をして策定する緊急時対応について、専門的な立場から、関係省庁と協力して積極的に助言をし、また、その実効性を確かめるための訓練等に協力をさせていただきながら、また、その訓練の結果の評価等についても助言をさせていただいているところでございます。

 そのような計画、訓練の実行、評価、改善、こういうサイクルを繰り返していくことで、我々の原子力の防災ということが実現されるものというふうに考えているところでございまして、私ども原子力規制委員会は、その一翼あるいは責任を担っているところだというふうに考えているところでございます。

    〔委員長退席、岩田委員長代理着席〕

野間委員 委員長のぎりぎりの御発言だと思いますけれども、是非そういう意気込みでお願いしたいと思います。

 避難訓練等、私らも地元でやっております、年一回。この前は二月もやりました。ただ、これは、本当に紙の上で書いてあることを、非常にいい形で実行するんですね。ですから、当日も、放射能漏れがあった場合ということで実は訓練するんですけれども、高齢者には防護服は重過ぎるから着せないでやろうと。実際はそうなってしまうんですよね、紙の上で書いてあることをやるわけですから。

 小さなことかもしれませんけれども、私の地元で、数年前、薩摩川内市というところが商品券を発行したんです。一万五千円分を、一万円、買って、その商品券、プレミアム商品券を。これを市民に売り出すということで、ある大きなホールを借りて商工会議所がそこで売り出しました。朝の六時前から住民が何万人もそこに押し寄せて、私の町は夕方の四時まで救急車も通れない。車が渋滞してすごかったんですよ。ああ、もしこれが原子力の有事であったらえらいことだなと。やはり、紙の上で書いてあるようになんか絶対にできないんですね。もう皆さん、それは車の中で、すし詰めで大変でした。

 その商品券を買うだけでもそんなことが起きるわけですから、是非、本当に実効ある審査を、規制委員会としても地元の自治体の皆さんとよくよく話をしていただいて実行していただきますように心からお願いを申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

岩田委員長代理 次に、阿部知子委員。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日、私は、東京電力福島第一原発で働く作業員の皆さんの被曝の問題を取り上げさせていただきます。

 事故から十四年以上が経過いたしましたが、ただいまこの瞬間も、東京電力の福一の現場では、作業員の皆さんが事故を収束させるために働いてくださっています。そして、その方たちは、被曝という、これはこの事故がなければ経験しなかったことを身に背負っておられるわけです。果たして国としてこの方々に何をすべきかという観点からお尋ねをいたします。

 まず、委員長のお手元にお示しいたしましたのは、東京電力福一での外部被曝線量の管理。このほかにも内部被曝線量がございますが、外部被曝線量の管理は毎月、五十ミリシーベルトを超えない、そして五年間で百ミリシーベルトを超えない、これが規制の基準となっておりますが、その下で記録が残されているわけです。

 これは担当部署、規制庁にお伺いいたしますが、ここに書かれている東電職員、協力職員、これらについては、共に原子力規制の対象となり、その責任が東電にあるものと見てよいでしょうか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 原子炉等規制法令では、東京電力の社員など原子力事業者の従業者であるかどうかに関係なく、業務に従事する者であって管理区域に立ち入る者を、線量管理、被曝管理を実施するということを事業者に義務づけております。

 したがいまして、東京電力の福島第一原子力発電所は、現在、敷地のほぼ全体を管理区域に相当するエリアという形で設定しておりますので、東京電力の社員以外も含め、施設内で作業に従事する方々全体が線量管理の対象ということでございます。

阿部(知)委員 そのことが東電の責任としてある。すなわち、発電所長ですね、東電は、については、平成二十七年八月のガイドラインにおいて、発電所で放射線業務及び各種工事を行う全ての事業者から、以下の基本情報の提出を求め、それを保存するということで、以下省略いたしますが、東京電力がその記録を保存することも含めて、責任を負っているという構造であると思います。

 ちなみに、ここには、元請、下請の方ですと八百から一千社の会社が入っておるということで、東電、元請、下請、孫請、ひ孫請となっていくわけですが、そこで働く全ての労働者の被曝管理だということを確認をさせていただきました。

 そして、ここから委員長にお願いがありますが、私は、こうやって毎月のもの、五年間のものを見ましても、十四年もたって、一体被曝の総量はどのくらいであろう。一人一人はこれで管理をされるのですが、この事故によって起きた、プラスされた、追加された被曝はどれくらいであろう。よく、ミリシーベルト掛け人数というふうにいたします。

 ちなみに、チェルノブイリ事故では、報告されているものが事故の直後でしかありませんが、例えば、内閣府の官邸発表では、二十四万人で百ミリシーベルト、平均。これは事故の直後、四月頃の値です。WHOも同様に、五十三万人で百二十ミリシーベルト。これを掛ければ、ミリシーベルト掛け人となるわけですが、果たして、これまでの十四年間を見ますと、東京電力福島第一原発は一体どれくらいの人に、どれくらいの被曝量をトータルで課してきたものでありましょうか。山中委員長にお伺いいたします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会としては、健康被害を防ぐ観点から、まず個々人の線量管理を厳格に行うことが必要であるというふうに考えております。

 加えて、作業に従事する者の線量を合理的に達成できる限り低くするALARAの考え方で、このような考え方から、個別作業における集団線量の検査において確認をしているところでございます。

 このような対応の積み重ねの結果として、集団線量の抑制につながるものというふうに考えているところでございます。

阿部(知)委員 私の質問は、集団線量はどうなりましょうか。どこにも書かれたものを見たことがございません。年余が重なれば、集団線量はどんどん上がっていきます。私はそうしたことも、やはり、事故とは何か、どれくらいの被曝を多くの人に課しているのかをきちんと記録で示すべきだと思うんです。

 原子力規制庁は、人と環境への、被曝から守るということがミッションでありまして、この事故、トータル、これからも正直言って続きますでしょう、そのとき、一体どれくらいの追加線量をそこで働く人が受けているのか、あえて言えば国全体で受けているのか。この観点を是非、山中委員長に国民に示していただきたいと思います。

 先ほど私が御紹介したのはチェルノブイリで、あそこはその後すぐ石棺で覆っておりますから、その後の作業員の被曝線量トータルというのはもしかしてほとんど計上されていないのかなと思いながら、その違いを私は、福一は開放系ですから、やはり今も被曝は続いているわけです。是非、国の責任で、集団でどれくらい被曝したか出すべきと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 繰り返しになりますけれども、先ほどお答えいたしましたように、原子力規制委員会としては、個々人の線量管理をしっかりと見ていくことが重要であるというふうに考えており、このような対応を積み重ねることで、結果的に集団線量を抑制する、無用な被曝を抑えるということにつながるというふうに規制委員会としては考えているところでございます。

    〔岩田委員長代理退席、委員長着席〕

阿部(知)委員 今、原発を再稼働させよう、あるいは避難計画はどうかもあります。でも、私は、ここで従業員がどれだけの被曝を受けているか、ALARAの原則で不要な被曝を避けることを追求するのはもちろんです。最低限の責任です。でも、それをやっても現実に、トータルではみんなが被曝をしているということを忘れてはいけない、これは国民も忘れてはいけないんだと思います。私の御指摘は理解していただいた上での答弁と思いますが、なお原子力規制庁の本来のミッションとしてやっていただかねばならないと私は思います。

 続いて、厚生労働省並びに東京電力にお伺いいたしますが、開いていただいて二ページ目には、ここで作業員の被曝量で、例えばですが、毎月五ミリシーベルトを超える方々の数がどうであるかというのを右下のブルーのグラフで書いてございます。また、被曝の平均線量も書かれておりますが、毎月五ミリシーベルトを超えるという方々の数が実は一旦底を打って、もしかして少しずつ上昇しているかもしれない懸念を覚えるわけであります。これは、作業員が少なくなれば一人の線量がもしかして上がるんだよということでの御説明かもしれませんが、私はこれを一つのアラームと見ますので、厚生労働省のお考えを伺いたいと思います。

井内政府参考人 電離放射線障害防止規則におきましては、年間五十ミリシーベルト、五年で百ミリシーベルトの線量限度を定め、労働基準監督署が法令遵守を指導しております。福島第一原発におきましても、この線量限度は遵守できているものと承知しております。

 その上で、御指摘の一か月当たりの被曝線量が五ミリシーベルトを超える作業員の数は、令和六年度の平均四十六・四人と前年度の四十一・三人を比較して、五・一人増加していると承知をしております。一方、令和六年度の作業員の最大被曝線量及び平均被曝線量は、過去年度と比較して最も低い水準となっており、全体として線量管理は適切に行われていると認識をしております。

 いずれにせよ、事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくなるように努めなければならないとされているところでございますので、今後も引き続き、可能な限り労働者の被曝線量が低くなるよう、被曝低減対策の推進や被曝線量管理の徹底を指導してまいりたいと考えております。

山口参考人 東京電力ホールディングスの山口でございます。

 当社福島第一原子力発電所の事故によりまして、今もなお地域の皆様、広く社会の皆様に多大なる御心配、御負担をおかけしておりますことを心より深くおわびを申し上げます。

 お答えを申し上げます。

 福島第一原子力発電所の廃炉作業では、一号機から三号機の原子炉建屋周辺など高線量下での作業に従事した場合、一時的に被曝線量が増加する可能性もありますが、法令で定められている線量限度、先ほど厚労省様からございました五年間で百ミリシーベルト、一年間で五十ミリシーベルトでございますけれども、こちらを超えないように高線量作業と低線量作業を考慮した作業員の配置を行うなどして線量管理を徹底するとともに、被曝線量低減に取り組んでございます。

 また、増設ALPS建屋における身体汚染の事案等を踏まえた運転員、作業者ファーストの現場環境改善を進めることによりまして、作業の効率化を図り、一層の被曝線量低減に努めてまいりたいと考えてございます。

阿部(知)委員 低減にお努めいただくのはある意味当然ですし、よろしくお願いしたいと思いますが、今お話しのように、やはり五ミリシーベルトを月、超える方の数が増えておるということは事実だと思うんです。五ミリを月だと、一年十二か月ですから年間の五十ミリを超えるということで、適宜作業を組み合わせて超えないようにはしておるということですが、一つのアラームではあると私は思います。

 そして、御紹介したいのは、今ALARAが出ましたけれども、高線量被曝にならないように創意工夫をしておられる東電の発表、資料三にお示しをしてございますが、上位十個の作業がここには出されております。ミリシーベルト・パー・人で被曝量が一番多い作業は、一Fの一号炉の大型カバーの設置工事。これは、一Fの放射能を散らさないために大型カバーをかけるということで、現在までのところ、ミリシーベルト・パー・人でいいますと、四シーベルト、四・五九、四千五百九十ミリシーベルトという値で、これが一番高い値になってございます。

 そして、今大変懸念されるところの、燃料デブリの取り出しにおける被曝線量というのを見ますと、このALARAの中には出ておりませんので、下の段に、これは東電からお示しいただいたものを写させていただきましたが、この間行われているデブリの取り出し作業、〇・二ミリグラム取れたとか、ごく少量が取れたということが言われている、そのデブリの取り出し作業では、実は、三シーベルト、三千ミリシーベルト掛け人ですね、線量と人を掛けると三千、三シーベルトになるということで、やはり、従来の高線量と言われているものの中でも高い線量になっていると現実には思っております。

 これから、全体、あのデブリの全量を取り出すまでに一体幾ら被曝をしなければならないのかと思うと、私は、どの作業がベストな、要するに人が被曝をなるべくしなくてよいような、そして本当の収束に向かうのか、是非このデータから東電にはお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょう。東京電力、お願いします。

山口参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、今後は、燃料デブリの試験的取り出しや使用済燃料プールからの燃料取り出しに向けまして、作業場所がプラントの中心に向かうため、高線量下での作業が見込まれておりますけれども、除染や遮蔽によりまして、作業現場の放射線量を低減するとともに、個人の被曝線量をしっかりと管理することにより、作業員が継続して従事していただけるように努めてまいります。

 以上でございます。

阿部(知)委員 御承知のように、このデブリの総量は八百八十トン、取り出したのは〇・七グラムと〇・二グラム。もう桁が違います。そして、いつまでこの取り出しをやらねばならないのか。本当に東電には、何がベストな、被曝は、確かに個人的には線量を気にしながらやっていただいているでしょう。でも、総量を見ると、気が遠くなるような作業に私には思えてなりません。何がベストであるのか。取り出して、その都度被曝する作業員の総量を思うと、やはりここは慎重が上にも慎重な、ベストな方法をお考えいただきたいと思います。

 そして、そういう作業環境であるからこそだと思いますが、最近、東京電力が、東電社員以外のここで働く作業員に取られたアンケート調査がございます。この特色を教えてくださいませ。

山口参考人 お答えをいたします。

 当社では、例年、このアンケートというものを実施してございますけれども、二〇二四年度のアンケートでは、トピックといたしまして、放射線に対する不安という項目に対しましてアンケートを取らせていただいたところ、御不安を感じると回答された方が二〇二三年のアンケートと比較し増加していることが分かりました。

 これにつきましては、幾つかの要因が考えられるものの、関連した設問では特に身体汚染について御不安を感じるとお答えになった方が増加しておりまして、二〇二三年に発生した身体汚染に関わる事例等がその一因になっている可能性があると考えてございます。

 当社といたしましては、作業員の皆様に大きな御不安を抱かせてしまったことにつきまして、大変重く受け止めてございます。

 なお、当社としましては、こうした身体汚染事案の発生などを踏まえまして、その後、トラブルの発生を徹底して防止するため、発電所における全ての作業に対して、作業リスクを評価するための作業点検を作業員の皆様と一体となって実施しています。

 引き続き、作業員の皆様とともに現場改善の取組として作業点検を継続するとともに、安心して働いていただける環境づくりを目指してまいります。

阿部(知)委員 お手元の資料の五に示させていただきました。これは、国会図書館におまとめいただいた、今、東電の御答弁の二〇二三年の事故と二〇二四年二月の事故についての詳細ですが、やはりここから読み取れるものは、一次下請、二次、三次、下請構造で十分に情報が伝わっていない、そこで被曝が起きる、恐怖が当然ながら強くなるということがあろうかと思います。作業員全体を被曝から守るために、東電として今後も重々注意をしていただきたいと思います。

 時間の関係で次の質問に行かせていただきます。ごめんなさい、これだけです。

 最後に、七ページですけれども、これは、この十四年間で東京電力で白血病等がんという労災を受けた方の数、十四人でございます。これまで、白血病等がんの労災は昭和五十一年からこれまで三十人、何と十四年間で十四人、東電のこの福一の現場から白血病等がんが出ております。

 この件について、東京電力、済みません、お時間で、短くお願いいたします。御認識をお願いします。

山口参考人 まず、労災認定をされました御本人及び御家族の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 厚生労働省の公表を通じまして、福島第一原子力発電所の事故以降で電離放射線に関わる労災認定を受けた方は十四名と認識してございますが、事故前のがんの労災認定件数について承知をしてございませんので、当社としては、福島第一原子力事故の前後の比較についてお答えするのは難しい状況でございます。

 当社といたしましては、今後も法令の被曝線量限度を遵守することはもとより、引き続き、除染や遮蔽による作業環境の線量低減、適切な防護装備の着用、事前のモックアップ訓練によりまして作業時間の短縮を図ることなど、被曝線量低減に取り組み、作業者の被曝線量管理を徹底してまいりたいと考えてございます。

阿部(知)委員 承知していただかねば困ります。多いんです。

 終わらせていただきます。

江渡委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志でございます。

 今日は、今月六日に改正GX法が施行されました。私の住んでおります福井県では、今七基の原子力発電所が稼働しておりまして、そのうち五基が四十年を超えております。

 今回の法の施行によって、訴訟であるとか規制委員会による審査によって停止していた期間はこの六十年から除くということになりましたので、例えば、高浜一号機であれば七十二年間動くことが可能になる。こういった六十年超えの長期運転というものが可能になるという、現実になってまいりました。私もUPZの住人として、やはりゴールポストがどんどん勝手に動くことに対する違和感というのは住民の方からも指摘をされます。

 原子力発電所というのは箱物ですね、全く同じものなのに、かつての政府は四十年ですと言っていた、でも、いつの間にか六十年になり、いやいや、今は七十二年ですというふうに、同じものなのに、安全ですという耐用年数、使う期間というのはどんどん延びていっている。本当にこれは信用できるものなのかどうか。単に政治で幾らでも安全期間というのは左右されるんじゃないかという、やはり疑いにもこれはつながってしまいますので。

 まず規制委員長にお伺いしたいのは、今のような地元住民の方の率直な不安の声を受けて、今回、訴訟であるとか規制庁の検査であるとか、その間も自然劣化は進んでいますね。例えば、プラントの中でさびが発生をしたり。過去、福井県内でも起きましたけれども、停止している期間に発生したさびが、原子力発電所が再稼働したときに、SG、蒸気発生器の細管を傷つけた。細管というのは、厚さが一・二ミリから一・三ミリぐらいの、非常に蒸気発生器というのは薄いものですね。一次系で発生した高温を二次系の冷却水に伝える、伝熱効率を高めるためには当然薄くします。そこにリスクがあるわけですよ。

 止まっている期間もさびというのは発生しています。そういったものが、やはり、止まっている期間は除くというふうにされてしまうと、いやいや、止まっている期間だってさびは発生しているんだし、それを、リスクをどういうふうに見ているのか。そもそも、こういうふうに四十年、六十年、七十二年とどんどんゴールポストを遠くしていくことの恣意性というものを、やはり本当に規制委員会というのは信用できるものなのか、そういった疑問にもこれはつながってしまうというふうに思います。

 今回のこの改正GX法の施行を受けて七十二年運転まで国内で可能になっている、何かエビデンスがあってやっていることなのか、また、ゴールポストがどんどん後ろずれすることに対する違和感、これに対してどのようにお答えになりますか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 改正原子炉等規制法におきましては、運転開始後三十年を超えて発電用原子炉を運転する場合には、運転期間にかかわらず、十年以内ごとに長期施設管理計画を定めまして、あらかじめ規制委員会の認可を受ける必要がございます。

 新制度では、運転停止中でも進行するコンクリートの劣化等を含めまして、長期間の使用により生じた設備の劣化状況を把握するための点検を実施しますとともに、その結果に基づいて、計画期間中に更に進行する経年劣化も考慮しまして、規制基準に適合することを確認するように義務づけているところでございます。

 規制委員会としては、申請された長期施設管理計画の内容を厳正に審査するとともに、認可後は、同計画に定められた措置の実施状況を原子力規制検査で確認することといたしております。

斉木委員 ちょっとお答えになっていないですね、エビデンスはあるかというふうにお聞きしたんですけれども。

 例えば、海外の事例であるとか。例えば、海外でこれだけの長期運転が行われているから、日本でもそういう基準を適用しても大丈夫じゃないか、それが科学的なエビデンス、先行事例だと思うんですが、それはないということですか。

山中政府特別補佐人 御指摘の運転期間につきましては、今般の改正電気事業法において定められたと承知していますけれども、発電用原子炉施設の利用をどれぐらいの期間認めることとするかは規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないというふうに考えております。

 規制委員会としては、運転期間の定めがどのようになろうとも、科学的、技術的な観点から厳正に審査、検査を実施して、基準適合性が確認できない場合にはその原子炉の運転を認めないという姿勢に何ら変わりはございません。

斉木委員 要するに所与のものを検査、審査するのが当委員会だという御答弁ですけれども、では、決めた側である経済産業省にも来ていただきましたので、御答弁いただきたいなと思います。

 問題意識は同じですね。政権が替わったり内閣が替わったりすると、四十年だったものが六十年、七十二年というふうに、どんどんどんどんゴールポストは勝手に動いてしまう。全く同じ発電所であるにもかかわらず、安全は保たれていますよというふうにおっしゃっても、なかなか説得力はない。

 例えば、食品に例えると分かりやすいですね。食品、お店に並んでいるものが、消費期限一年のものが、いや、一年半大丈夫です、いや、二年大丈夫ですというふうに言っても、なかなか、そうすると、消費者離れを、本当に安全なの、食べて大丈夫なのという疑問が起きてしまいますし。また、例えば、同じ箱物、ビルの耐用年数を考えたときに、じゃ、マンションが売りに出ているとしましょう。マンションが五十年の耐用年数で売っているものが、いや、百年大丈夫なんですよというふうに言っても、なかなかそんなディベロッパーは信用を失ってしまうと思うんですけれども。

 こういった、どんどんどんどん政権によって変わってしまう原子力発電所の運転期限というものの、恣意的に運用しているというふうに地元から不安も当然出てくるんですが、その辺り、どのようにお考えですか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねいただきました新たな運転期間制度につきましては、運転期間の在り方は安全規制ではなく利用政策であるという二〇二〇年の原子力規制委員会の見解も踏まえまして、エネルギーの安定供給や脱炭素電源の確保という利用政策の観点から、二〇二三年に国会で成立したGX脱炭素電源法に基づいて措置されたものでございます。

 具体的には、先ほど御紹介いただきましたとおり、運転期間に最長六十年という上限を設ける大きな枠組みは維持することとしつつ、事業者から見て他律的な要素によって停止していた期間に限り、六十年の運転期間のカウントから除外することが認められておりまして、六十年を超える運転期間も認められる仕組みとなっているというのは御指摘のとおりでございます。

 高経年化した原子力発電所の安全性につきましては、この新制度におきましても、利用政策の判断にかかわらず、原子力規制委員会が厳格な審査を行い、その認可を得なければ運転は認められないということが大前提でございます。

 原子力に様々な御懸念や御不安の声があるということは我々も承知しておりまして、こうした制度の概要や審査内容について、国民の皆様に向けて分かりやすく丁寧な説明に取り組んでいくということが重要だというふうに認識してございます。

斉木委員 では、久米さんに再度お聞きしますけれども、ということは、先ほど私、エビデンス、例えばアメリカにおいてどうだとか、イギリスにおいてどうだとか、フランスにおいてどうであるとか、何か先行事例であるとか。また、科学的根拠があって、事業者に責めを負わない期間を除く、技術的に七十年以上でも運転できますというふうにしたのか。その論拠はあるんですか、国民の御納得とおっしゃいましたけれども。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 海外で運転期間の上限はどうなっているのかという点について申し上げますと、アメリカ、イギリス、フランスといった主要な原子力利用国では、運転期間の上限を定めた例というのは確認できておりません。

 その上で、延長審査の時期について、四十年、二十年、十年ごとなど、各国の状況に応じて一つの審査のタイミングというふうに規定しておりまして、アメリカにおきましても、例えば初回の運転認可が四十年、その後安全審査をクリアすれば二十年以内の延長が実質何度でも可能、こういったような制度になっているというふうに認識をしてございます。

斉木委員 ということは、我が国においても、アメリカに倣えば四十年で、二十年ごとに更新をしていけば八十年でも百年でも運転する可能性があるという認識でよろしいですか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 そういった点につきましても、二〇二三年に国会で成立したGX脱炭素電源法の審議において様々な御議論をいただいたというふうに承知をしておりますけれども、この法律におきまして、運転期間に最長六十年という上限を設ける枠組みは維持することとしつつ、他律的な要素によって停止していた期間に限りそのカウントから除外するということでありますので、アメリカのように四十年プラス二十年プラス二十年プラス二十年ということで延びていくという発想とは違う考え方で制度がつくられているというふうに認識をしております。

斉木委員 ただ、政治の必要によって、高経年、年数がたっていったものでも、なかなかリプレースや新増設という議論が進まない以上は、古いものでも使わざるを得ない。なるべく国民の電力料金で建てた、ある意味これは資産をこれまで使ってきた既存投資ですね、既存投資をなるべく動かして回収して電力料金の値下げに使っていく、これは当然筋の通ったロジックだと思いますけれども、そのためには政治の必要があって、今回の改正GX法も変えたわけですよね。今回の、六十年とするが、事業者の責によらない停止期間を除くものとすると。

 ということは、また、原則六十年ではなくて、それが八十年、改正改正GX法、この法律がまた変わって、じゃ、八十年も可能にしよう、そういったこともあり得るということでしょうか。

久米政府参考人 このGX電源法、GX脱炭素電源法に基づいて、六十年の運転期間についての例外を設けているという考え方については、まさに今、国会でお決めいただいたことでございますので、それ以外の可能性について私から申し上げるのは適切ではないというふうに考えてございます。

斉木委員 国会、政治の意思であるということで答弁を避けられましたけれども、なかなか、ちょっと今のような答弁を地元住民として聞いておりますと、いや、随分とあやふやなゴールポストだなと。時の政権の必要によって、原子力発電所という箱物は何ら変わっていないのに、どんどんどんどん安全期間や耐用年数というものが伸び縮みしていく。これって、国民から見ると、そして私のようなUPZの住民から見ると、非常に、本当にその言葉を信用して大丈夫なのかというふうな疑念につながってしまうじゃないですか。

 だから、じゃ、政治がそうやって、改正GX法ということで停止期間は除きましょう、七十二年運転もオーケーですというふうに変えてしまう、そうすると、規制委員会さんが、じゃ、その追認機関なのかという疑念も出てきてしまうじゃないですか。前提が四十年だったものが六十年になり、そして七十年超も可能になりというふうになってくると、どんどん前提が動いてきて、さっき山中委員長の御答弁の中で、そのコンクリートを例えばサンプリング調査をしたりして、劣化具合を調べて、オーケーだったら合格して動かすことはあるということだと思いますけれども、どんどんどんどん政治家が。

 私は三条委員会にした意味は大きいと思うんですよ、政治の意思を排除して、科学的な根拠のみに基づいて安全審査を徹底するという独立性だと思うんですね。それが、いつの間にか、政治の側が耐用年数を一・八倍にしました、でも、それを検査して、オーケーだったらまた動かしますみたいなことを言っていると、本当に規制委員会というのは政治から独立しているのか、下請機関じゃないのかというような、エネルギー政策の下請機関じゃないのか、そういった疑念にもつながってしまうと思うんですが。

 そういった政治からの独立性という観点で、何度もゴールポストが動くこと、それをチェックして、オーケーです、そういうことを繰り返していると、規制委員会に対する信任が、国民からの信頼が揺らぐと思いませんか、委員長。

山中政府特別補佐人 二〇二〇年七月の原子力規制委員会の議論の中で、四十年で、最長二十年運転延長をするという制度について議論を行いました。

 その規制委員会の議論の中で、運転期間については利用政策側が判断されるべき事柄である、一方、安全規制については我々がしっかりと責任を持って果たさなければならない仕事である、そういう結論を得たわけでございます。

 その結果に従いまして、我々としては、三十年以降原子炉を運転しようとする場合、十年以内に高経年化に対する基準を満たしているかどうかをきちっと我々が審査の中で判断をし、検査の中でその状態が維持されているかどうかを確認する、そういう仕事をするのが我々の仕事である。

 運転期間は利用政策側が御判断になって、例えば六十年を七十年にするということも可能である。我々は、三十年であっても、仮に基準を満たさないのであれば、運転を認めることはございません。

斉木委員 審査を担当する側としては、まさにその条件に沿って出てきたものをしっかりチェックするということだと思います。

 ただ、我々、電力のユーザーであったり共生している地元としては、それが本当に安全に共生できるものなのかということが一番、第一義なんですよ。どの立地県の知事さんも、まず安全ということを強調されると思います。

 ですので、これは経産省さんにもちょっとお聞きしたいところなんですけれども、やはり安全の守護者じゃないですか、規制委員会というのは。安全の守護者が政治に振り回されていない、本当に政治から独立する、我々当委員会が、やはり、F一の事故を受けて、推進官庁と規制行政が同居していた、だから、それを切り離して三条委員会をつくり、規制委員会という独立組織を設けた、それが当委員会の始まりだったと思います。

 それが、肝腎の安全に深く関わる原子力発電所の耐用年数、運転期間、こういったものがどんどんどんどん、四十年、六十年、七十年、八十年みたいに伸び縮みすることによって、それに規制委員会がそれでも判こを押し続けると、規制委員会の独立性というものに対して非常に私は疑念も出てくる。これを推進官庁にお聞きするのもどうかとは思いますけれども。

 やはりこういった、国民から見て何か出来レースのように見えてしまう、本当に独立した安全審査機関なのかということに対する疑念というか不安、この辺りはどのようにお考えになりますか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえて、高い独立性を有する原子力規制委員会が創設され、いかなる場合もゼロリスクはないという観点に立って、高経年化した原子炉のみならず、全ての原子炉について厳格な規制審査を行っていただいているというふうに承知をしております。

 この新制度におきましても、利用政策の判断にかかわらず、原子力規制委員会が厳格な審査を行い、その認可を得なければ運転は認められないという点が非常に重要なポイントだというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、そういう制度の考え方につきましては、我々としてもしっかり説明をしていく必要があるというふうに考えてございます。

斉木委員 これは非常に、例えば自動車に例えますと、トヨタ二〇〇〇GTのような、一九六〇年代に造られた旧車と言われるもの、それを幾ら安全対策を施していっても、今のいわゆるぶつからない車、ADASがついて、カメラがついて、人が、歩行者がいれば車が自動停止するような最新の車、それを比較すれば、それは当然ぶつからない車の方は事故は起きないでしょうというのは当たり前のことだと思います。

 であれば、なるべく、後づけの安全対策工事というよりも、やはり最新のF一の知見も盛り込んだものに、是非、一住民としてはなってもらいたいという声もあるし、やはりゴールポストがどんどん恣意的に動いてしまう、それに対して、やはり政治に振り回されているような印象がどうしても見えてまいりますので、当委員会としても、しっかりと三条機関として独立した審査を、これからも国民に見えてくるような規制行政の在り方というのを是非心がけていただくことをお願い申し上げまして、今日は質問を終わります。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、岡野純子君。

岡野委員 国民民主党の岡野純子でございます。

 質問の機会をどうもありがとうございます。

 今日は、特定重大事故等対処施設の経過措置期間が原発本体の工事計画認可から五年と定められていることへの考え方について伺ってまいります。これまでの経過措置期間の見直しを問う質疑に対しての規制委の答弁ですとか、委員会の会議録などを読んで感じたことを順次伺ってまいります。

 前提といたしまして、私は原発を二項対立で扱うことには反対でありまして、継続的に安全向上の努力をすべきだと思っています。また、特重施設を備えることによって、安全性、とりわけ作業員の安全につながるものであることも理解をしています。その上にあっても、措置期間が現実的ではないのではないか、見直しの議論が必要なのではないかと感じているところであります。

 ここにいる皆様御承知のとおり、昨今は、コスト面や人材面、他律的な社会全体の事情によりまして、特重に限らず様々なインフラ設備の建設や修繕の遅れが社会問題化しています。また、そもそもこの特重という施設は、専門性、特殊性、秘匿性が極めて高く、誰でも施工できるものではありません。さらに、一律全国の原発が五年とされていますが、各原子力発電所によって事情が大きく異なります。事業者が違い、地形や地盤など立地条件も違う、BWRかPWRかも違う、当然施工業者も違う、にもかかわらず全国一律五年と定めることにも私は無理があるように感じております。

 るる申し上げましたが、もろもろの事情を抱えているからこそ、これまで私だけではなく何人もの議員が五年の根拠を質疑してまいりましたが、その答弁では、規制委からは総合的に判断という表現を繰り返していらっしゃいます。

 まずはこの総合的という言葉の中身について、詳細を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 特定重大事故等対処施設、いわゆる特重施設は、可搬型設備を中心といたしました重大事故対策の信頼性を向上させるためのバックアップ施設という位置づけでございます。したがいまして、設置に当たっての経過措置期間を設けたものでございます。

 この施設が完成していなくても、したがいまして、新規制基準に適合していれば運転は可能でございます。

 特重施設の経過措置期間の検討に当たりましては、こうした特重施設の安全上の位置づけに加えまして、規制委員会の審査や事業者がその設置に要する工事等の期間を考慮して判断したことから、総合的に判断したとこれまで答弁させていただきました。

岡野委員 済みません、詳細をもう少しお聞きできるのかなと思っておりましたが、いまいちちょっと、これまで以上のところまではお聞きできなかったのかなと思っております。

 御答弁を聞くまではちょっと内容が分からなかったものですから、出たとこ勝負ですのであれなんですが、私は、この中に一切合理性というものは勘案されていないのかなというふうに感じているところであります。

 合理性について触れてまいります。

 平成二十七年の十一月十三日第四十回規制委員会会議録におきまして、IAEAの基本安全原則について触れていらっしゃいます。

 そのコメントを読みますが、継続的安全向上を図る上で、現実に運転、あるいは利用している施設をいたずらに止めて、それを適用するということは必ずしも合理的ではないという見解が委員の方から示されております。これは恐らく、基本安全原則の五番目に当たります「施設と活動に適用される安全手段は、施設の利用または活動を過度に制限することなく、その存続期間全体を通して合理的に達成できる最高レベルの安全を提供」という部分を参照されているようであります。この議論というのは、新規制基準から五年という設定についての議論の中で交わされた言葉でありまして、今回の話とは別ではありますけれども、原子力施設全般の考え方として通底しているものと考え、引用をして伺っております。

 当然、合理性を考えるときというのは、そこの安全性が充足した状態で初めて検討できるものだと考えておりますが、先ほどの山中委員長の答弁にもありましたけれども、これはあくまで信頼性向上のバックアップであり、ないことが直ちにリスクに影響を与えるものではない、ほかにも、対処として必要な機能は可搬型設備によって満たしている、つまりは安全性が満たされている旨の発言がなされております。ここに先ほどのIAEAの基本安全原則を照らしますと、稼働しているものを止めるということは、施設活動の過度な制限に当たらないのでしょうか。稼働しているものを、運用を停止させるというところの根拠について、私どもはどう理解をすればいいのか、伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 先ほどお答えさせていただきましたように、特重施設は、重大事故等対策の信頼性向上のためのバックアップ施設という位置づけでございます。これを設置していないプラントにつきましても、本体施設等が新規制基準に適合していれば、重大事故等対策に必要な機能を有していると言えることから、その設置に当たっては経過措置期間を設けたわけでございます。

 一方、東京電力福島第一原子力発電所事故の重要な教訓の一つは、継続的な安全性の向上を怠ってはならないということでございます。規制委員会としては、特重施設の設置は、重大事故対策の信頼性を向上させるという意味で継続的な安全性の向上と考え、経過措置期間内に設置することを求めているものでございます。

 このように、経過措置期間を定めることは、一定期間のうちに新たな規制基準に適合することを担保するものであり、御指摘の過度な制限には当たらないものと考えているところでございます。

 なお、この経過措置期間については、事業者の意見を聞いた上で、平成三十一年四月二十四日の原子力規制委員会で議論した結果、この五年という経過措置期間そのものを変更すべきというような特段の状況の変化は認められず、見直しを行う必要がないと判断をし、現在に至っているところでございます。

岡野委員 ありがとうございます。

 これは我々の、日本としての姿勢なんだということなんだと思います。アメリカは可搬式だけで行っていて、ヨーロッパは固定であって、我々はそれを二重にやる、厳しく設けている、この姿勢そのものは納得をいたしますけれども、果たしてそこにその合理性を上回るだけの根拠があるのかなというふうに感じてしまうところであります。

 今、委員長の答弁の中で、信頼性の向上という言葉が繰り返し出されましたので、そこについてお伺いをしたいと思いますが、これまでも、継続的に改善を行うという約束を守らねばならない、約束が果たせないような事態は避けるべきという言葉が繰り返されております。極めて道徳的だと思いますし、幾ら科学技術に立脚するといっても、根本にはそういう考えがあるんだなということで理解をするんですが。

 もちろん全てが国民からの信頼性向上というところが目的にあるんだとしたら、結果として、この期限があるから柏崎刈羽では物理的な理由で特重の工期を延長することとなりました、つまりは、信頼性向上のために掲げた目標によって、結果的には経過措置を守れないという前例ができてしまったとも言えるわけです。

 すると、地元紙はどう書くかというと、どこどこ電力の○○原発は工期を守れなかったと書くわけです。マスコミには当然、報道の自由、表現の自由がありますので、そこをとやかくは言いませんけれども、しかし、バックアップ施設なのに、さも危険が高まってしまったような印象を与えるのではないかと、住民は何かトラブルがあったんだなと不安に思うでしょうし、その都度、国民感情に私は不必要な負の影響を与えることになっていると感じておりますが、その点はいかが思われますでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 繰り返しにはなりますけれども、特重施設の経過措置期間の検討に当たりましては、特重施設の安全上の位置づけに加えまして、規制委員会の審査や事業者がその設置に要する工事等の期間を考慮して定めたもので、一定の理由があるものでございます。

 また、経過措置期間を定めることは、一定の期間内に新たな規制基準に適合することを担保するものでございます。新たな知見を規制に取り入れ、継続的な安全性向上を進めていく上では、経過措置期間を守るということは重要であるというふうに認識しております。

 したがいまして、特重施設の経過措置期間内に設置できない場合には、法律上、規制基準を満たしていない状態と認められるため、その施設は運転ができなくなるというふうに考えております。

岡野委員 今のは私の質疑に対しての答弁なのか、ちょっと、全くかみ合っていなかったように思います。私は、今おっしゃっている内容も理念も、それは正しいものだとしても、その結果、国民に対して負の影響を与えているのではないか、そこはどう思われますかということをお聞きをいたしました。

 これは柏崎だけではなくて、今後、女川でも島根でも東海でも、同様の例が出てくることが予想されるわけです。私は、ここに関しては、国益を損なっているのではないかというふうな考えを持っております。

 では、これまでの答弁の中で、ちょっと重箱の隅をつつくようですけれども、何度も何度も、特段の状況変化はないというようなことをつい先日も御答弁をされております。けれども、冒頭申し上げましたとおり、全国的に、物理的に、他律的に工事が遅れている現状がありまして、こういったものは大きな事情の変化には当たらないのでしょうか。逆に言うと、この変化というもの、状況変化というものはどういったものを指すのかを伺いたいと思います。

 あわせまして、先週六月三日の原子力問題、当委員会のアドバイザリー・ボードであります近藤駿介国際原子力研究所所長に私が質問した際に、状況に変化があった際にはそこにフレキシビリティーを持って見直せばいい、そういった旨の発言がございましたので、そこへの見解も併せて伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 随時、本件に関しては、事業者と様々な意見交換をしているところでございます。現時点においては、事業者から特定重大事故等対処施設の設置期限については特段の申出はなく、原子力規制委員会としては、経過措置期間の見直しの議論は行っていないところでございます。これまでもお答えをいたしましたように、事業者からの申出がございましたら、規制委員会としては、その内容を聞いて委員会として議論することは否定するものではございません。

 なお、御質問の状況の変化、あるいは大きな事情の変化につきましては、現在のところ事業者から特段の申出がございませんので、原子力規制委員会としては、委員会として議論をこれまで行ったことはなく、これまでお答えしてきた内容も、あるいは特定の要因を念頭に置いたものでもございませんので、一般的な事柄として前委員長もお答えになったものというふうに考えているところでございます。

岡野委員 今の御答弁の中で、これまで特段の申出がなかったから議論は行わず、規制委としてもやっていないというふうなことをおっしゃいましたが、済みません、通告しておりませんが、平成三十一年にCNOとの意見交換会をやっていらっしゃって、それを受けて規制委として会議をやっていらっしゃると思いますが、これはそれには含まれないのか、お伺いします。

山中政府特別補佐人 事業者のCNOとの意見交換を行いまして、事業者から、こうこうこういう工事の困難さがあるので、特重の設置、措置期間を延ばしてほしいという御要望がございました。これについては、委員会として議論をし、特段これは考慮に値する要因ではないという判断をしたところでございます。

岡野委員 私も、意見交換会の内容ですとか、その後の規制委としてのディベートの内容の議事録を拝読をしております。

 極めて具体例がCNOの方からは出ていて、例えば距離を保つために山を崩さなきゃいけない、山を掘削するんだとか、トンネルを造らなきゃいけないんだとか、そもそも、もうとても間に合わないので、二交代制で二十四時間連続作業をやっているんだ、それでも間に合わないんだといったような事情が、私は、ああ、そういう状況かと思いましたけれども、正直言うと、規制委からの一言は、見通しが甘かったんでしょうと、変更の必要はないとばっさりといかれているなというふうに、PDFを読んだだけですけれども、そのように私は感じました。

 規制は当然厳しくあるべきでありまして、規制委としてのそのお立場での役割をしっかり果たしていらっしゃるとは思うんですが、議論という意味では、全く先方に寄り添わず、相手を理解しようとせずというところがあるなと、私は非常に厳しいやり取りだなというふうに感じました。

 当然、大変なんですね、そうですか、じゃ、ゴールポストを変えましょうというようなことでは駄目だというのは分かります。ゴールをピン留めする必要というのは当然あると思うんですが、ただ、CNOとの意見交換も、それを受けての規制委のやり取りも、余りに私は柔軟性を欠いているなというふうに感じました。

 先ほども、私が最後にお聞きしようと思ったのは、改めて、事業者などから意見交換をする場を、聴取してはどうかというふうなことをお伺いしようと思ったんですが、では、確認も含めまして、そういう場が求められれば、そういった議論の余地はあるということを確認させてください。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 原子力規制委員会としては、原子力発電所の安全規制について、事業者と意見交換をすることは極めて重要であるというふうに認識をしております。これまでも、CNOあるいはCEOと様々な意見交換をしてきたところでございます。

 その上で、原子力規制委員会としては、いろいろな場で意見交換を行っているところではございますけれども、例えば、原子力事業者の経営層、CEO、原子力部門の責任者、CNOと公開の場で意見交換を行う場を設けまして、これまでも規制に関する諸課題について率直に意見交換を実施してきているところでございます。

 平成三十一年四月の意見交換以降、これまでのところ、このような場で特重施設に関する問題提起というのは事業者からはございませんので、状況調査を行う等は考えておりませんが、規制委員会としては、事業者から提案がございましたら、その内容を聞いて委員会として議論をすることは否定するものではございません。

岡野委員 影響ないと今おっしゃいましたけれども、柏崎は実際に工事が延期をされていて、先ほども申しましたが、女川でも島根でも東海でもそういった可能性があるという状況において、これは規制委の皆さんにとっても、しっかりと規制の在り方について議論する余地はあるものだと私は思っております。

 これで本日は質問を終わります。御答弁どうもありがとうございました。以上です。

江渡委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 時間の制約もありますので、早速、質問に入らせていただきます。

 私は、五月の十九日に、環境委員の委員として、福島県内に設置されております中間貯蔵施設を視察をさせていただきました。御存じのとおり、福島第一原発事故の後、福島県内の除染によって取り除かれた大量の土などは、大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設で保管をされております。

 法律では、二〇四五年三月までに、中間貯蔵施設に運び入れた土壌などは福島県外で最終処分することが定められております。先月二十七日には、第二回福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議を開催し、総理大臣官邸での再生利用を検討することなど、政府が率先して先行事例の創出に取り組むことを盛り込んだ基本方針をまとめました。

 福島の復興のため、地元の大熊町と双葉町とが苦渋の決断により中間貯蔵施設を受け入れられたという事実は非常に重いものがあります。様々な課題も多い中ではありますが、中間貯蔵施設を受け入れてくださった地元の決断に対して、誠実に、真摯に応えていかなければなりません。

 福島県外での最終処分について、今後の方針及び決意を含めて御答弁をよろしくお願いいたします。

中田副大臣 お答え申し上げます。

 福島県内の除染で発生した除去土壌等についてでありますけれども、福島全体の復興のために、福島県大熊町、双葉町の皆様には、今、福重先生御指摘のとおり、本当に重たい決断をしていただいたわけであります。

 中間貯蔵施設を受け入れていただいた上で、現在、当該施設において保管をいたしておりますけれども、この中間貯蔵施設の受入れに当たっては、福島県内で生じた除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分の方針というのを国としては御地元と約束をいたしておりますので、この方針は法律にも規定された国の責任、責務というふうに強く考えております。

 県外最終処分の実現に向けては、最終処分量の低減、これはまず鍵でありまして、そのためには復興再生利用の取組が重要ということになります。

 政府としては、昨年十二月に設置した推進会議の下で、政府一体で復興再生利用の案件創出等に向けて取り組んでいくこととしておりまして、福重先生御指摘いただいたとおり、五月二十七日に開催した第二回の会合において基本方針を取りまとめいたしました。

 復興再生利用の推進に向けては、官邸での利用の検討を始め、政府が率先して先行事例の創出等に取り組むとともに、復興再生利用の必要性、安全性等に係る徹底した情報発信を進めるということが必要だと認識をしております。

 こうした取組を着実に実行して、引き続き政府一丸となって、県外最終処分の実現に向けて、全力でこれは取り組んでまいりたいと思います。

福重委員 明確な力強い御答弁、大変にありがとうございました。

 その上でお聞きいたしますけれども、今もお話がございました、昨年十二月、石破総理が中間貯蔵施設を視察されました。石破総理は、最終処分量をいかにして減らすかということが極めて重要で、除去土壌の再生利用先をどこに求めるか、どのように求めるか、政府は一体となり体制を整備して取り組むと述べられました。

 これまで、福島県飯舘村等で再生利用の実証事業が進んでいると承知しておりますが、それ以外の地域では具体的な案件が進んでいないのではないかというふうに思っております。

 このような状況下、今年二月、双葉町の伊沢町長さんは、最終処分や再生利用について、県内外の理解の醸成が進んでいないことは危機的だ、まずは双葉町を含む福島県内での再生利用の受入れを検討する必要があるという認識を示され、その後、浅尾環境大臣と会談されたと伺っております。

 遅々として進まない県外処分について、伊沢町長さんの言葉には、政府に対して怒りの思いも込められた言葉ではないかと思っております。伊沢町長さんの心情を考えれば、早急な対策が必要であります。

 除去土壌の県外最終処分について、具体的な工程やロードマップなど、現状の取組及び今後の対応についてお伺いをいたします。

小田原政府参考人 委員からもございましたが、福島県内で生じました除去土壌などの中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分という方針は、法律にも規定されました国の責務でございます。

 この実現に向けまして、環境省では、本年三月に、これまでの取組の成果や国内外の有識者の助言などを踏まえまして、復興再生利用の推進、最終処分の方向性の検討、全国民的な理解の醸成などを三本の柱とした形で今年度以降の進め方をお示ししたところでございます。

 また、副大臣の答弁でも触れられたところでございますが、五月二十七日の閣僚会合においては、福島県内除去土壌などの県外最終処分の実現に向けました再生利用等の推進に関する基本方針を策定したところでございまして、これを着実に実行するために、今年度、今年の夏頃に当面五年程度のロードマップを取りまとめることとしております。

 こうした取組を含めまして、二〇四五年三月までの県外最終処分の約束が果たせるよう、引き続き尽力してまいりたいと考えているところでございます。

福重委員 今、ロードマップを取りまとめるということでございました。本当に苦渋の決断をしてくださった地元の皆様に希望の光が差すように、是非とも政府として頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 福島第一原発事故後の放射線健康影響について、原子放射線の影響に関する国連科学委員会は、放射線被曝が直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにないと評価をしております。

 環境省では、放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターを設置し、不安解消のため、帰還された住民との車座の意見交換会などを実施しております。同じく、環境省では、ぐぐるプロジェクトにも取り組んでおり、これは放射線の健康影響に関する正確な情報を発信し、誤解から生じる差別、偏見をなくしていくための取組として認識をしております。

 このプロジェクトの中で、福島第一原発事故の被災地における放射線に関して、次世代への健康影響が起こる可能性が高いと思っている方の割合を、二〇二〇年度の四〇%から今年度、二〇二五年度までに二〇%に半減させることを目標としておりますが、これまでの取組と今後の対応、そして現在、目標値をどこまで下げることができているのか、御答弁をお願いいたします。

中尾政府参考人 御指摘のぐぐるプロジェクトは、東京電力福島第一原子力発電所事故の事故後の放射線の健康影響に関し、正しく理解している人を増やし、事故発生当時からの誤った情報が更新されないことによる不安や誤解の解消、またそこから生じる風評、差別、偏見をなくすためのプロジェクトであり、二〇二一年度から実施しております。

 これまでの取組では、メディア向け公開講座を始め、企業、団体や学校向けセミナーを開催し、そのセミナーで学んだことを発信する場を提供するとともに、インターネット等を活用した各種広告、広報活動を行ってまいりました。

 こうした中、委員御指摘の、福島第一原発事故の被災地における放射線に関して、次世代への健康影響が起こる可能性が高いと考えている方は、二〇二四年三月が直近でございますけれども、アンケート調査の結果では三七・二%と若干の減少にとどまっているところでございます。

 これまでの取組から、国連科学委員会などの情報を発信するより、福島にゆかりのある方が情報発信することが効果的であるという学びも得られているところでございますので、今後でございますけれども、昨年度より、福島の若者が主体となるふくしまメッセンジャーズによる活動を立ち上げたところでございまして、その情報発信にも注力しながら、引き続き目標達成に向けて努力してまいりたいと考えております。

福重委員 目標値から大分かけ離れているなという印象がいたします。そういった意味では、ふくしまメッセンジャーズ、そういった新しい取組もしっかりとやっていただいて、やはり、福島の皆さんに安心して生活をしていただける、そういうような状況をつくっていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 二〇二三年八月から中国により全面停止されていた日本産水産物の輸出について、二〇二五年五月、日中政府間の協議により、ようやく輸出再開に向けた道筋がつけられました。

 この過程において、四月には、公明党訪中団として、斉藤代表が石破総理の習近平国家主席宛ての親書を携え訪中しました。その中で、中国の党幹部と会談し、日本産水産物の輸入規制について日本国民の中国に対する懸念を率直に伝えました。政府においても折衝を重ね、我が党の訪中もあり、対中輸出再開の合意につながったと思っております。

 全国漁業協同組合連合会の坂本代表理事会長は、大きな前進であると評価し、大きな打撃を受けたホタテの産地、北海道からも高い品質のホタテを出して需要に応えていきたいと述べられております。

 ただし、処理水放出の前から続く福島県など十都県の農水産物は、依然として禁輸が講じられており、手放しで喜べない状況が続いております。公明党としても、この禁輸措置を全面解除、再開へ最大限の努力をしていく所存ではありますが、政府におかれましても強く推進していただきたいと思っております。今後の政府の対応についてお伺いをいたします。

常葉政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二三年八月のALPS処理水放出に伴い停止されていた三十七道府県の日本産水産物の中国向け輸出の再開につきましては、政府といたしましても、昨年十一月の日中首脳会談などを含め、様々なレベルで、中国側に対し、日本産水産物の輸入規制の撤廃を早期に実現するよう継続して働きかけてきたところでございます。

 このような中、五月二十八日に北京で開催されました四回目の技術協議におきまして、輸出再開のために必要な技術的要件について合意に至ったところでございます。今後、輸出関連施設の再登録手続が完了され次第、輸出が再開されることとなってございます。

 我が国にとって重要な輸出品目である水産物について、中国向け輸出が再開されることは大きな節目となるものと考えており、これを弾みとして、二〇一一年三月の原発事故以来続く十都県からの輸入規制の撤廃や牛肉の輸出再開等を中国側に引き続き求めていくとともに、その他の国、地域における規制についても撤廃を求めていく考えであり、これからも全力で取り組んでまいります。

福重委員 今、全力で取り組んでいくというふうに言っていただきましたけれども、やはり、結果責任、大事でございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 福島第一原子力発電所の廃炉は、事故から四十年となる二〇五一年までの完了を目指して作業が続いていますが、ほとんどの工程が当初の計画から遅れており、計画どおりに廃炉を終えられるかは不透明さを増しているとマスコミの報道もされております。

 廃炉のロードマップは第三期に移行し、前例なき高度な技術が必要とされる廃炉は、国、東京電力、廃炉等支援機構や大学等を含めた研究機関及び民間企業など、一体となって英知を集めて取り組まなければなりません。

 そこで重要になってくるのが、高度な知見を持った国内外の人材の確保及び人材の育成だと思っております。廃炉等のいわゆるバックエンド事業においては、使用済核燃料の管理、放射性廃棄物の処分、さらには原子炉施設の解体作業など、それぞれ高度で専門的な技術分野が存在しております。とりわけ、長期間にわたる計画的な作業が見込まれる中、将来にわたって安定的に人材を育てる環境づくりが求められております。

 そこで、お伺いをいたします。政府として、廃炉を含むバックエンド分野における各技術分野の人材確保、育成について、現状どのように取組を行っているのか、御所見をお伺いいたします。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に必要となる多様な人材の確保、育成に今取り組んでいるところであります。

 具体的には、まず、原子炉内部を調査するロボットや燃料デブリ回収装置の開発、廃棄物等の分析といった廃炉に必要な様々な研究開発を通じた、大学、そして福島国際研究教育機構などの研究機関、そして企業における人材育成の支援を行っています。

 また、福島県と連携して、廃炉関連産業への参画を目指す地元企業への資格取得支援や技術支援を実施しているところであります。

 さらには、文部科学省の取組の一環といたしまして、福島高専が主体となって、国内外の高等専門学校等が参加する廃炉創造ロボコンを毎年開催するなど、廃炉人材の育成に取り組んでいるところであります。

 政府としては、引き続き関係機関と連携しながら、中長期的な取組が求められる廃炉が誇りを持てる現場となるよう、安全かつ着実な廃炉に向けて、人材の確保、育成に取り組んでまいります。

 以上でございます。

福重委員 御答弁ありがとうございました。しっかりとした取組になるべく、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。福島国際研究教育機構、通称F―REIについてお伺いいたします。

 この事業は、東日本大震災と福島第一原発事故からの創造的復興の中核拠点に位置づけられるものであり、本年四月には施設整備事業の起工式と設立二周年の記念シンポジウムが開催をされました。その中で山崎理事長は、研究を生かした町づくりへの貢献は重要な課題であると意気込みを語りました。

 F―REIでの研究開発グループ数は、設立当初の二〇二三年度、一つでありましたが、今年四月には十一に拡大をし、二〇三〇年度までに五十へ広げることを目標としております。

 山崎理事長はインタビューで、二周年を迎えたが、まだまだ知名度は低い、どんな研究をしているのか、地域の方々と一緒に町づくりに取り組みたいと語り、さらに、世界からの研究者及び女性の研究者をそれぞれ三〇%以上との目標を掲げ、多様性のある研究環境を実現しようとされております。

 F―REIが目指す研究開発グループ数五十という目標の達成、そして、それを支える高度な専門性を持つ研究者の確保に向けては、F―REIだけで解決できる問題ではありません。政府としてのバックアップが必須と考えますが、今後の取組について復興庁にお伺いをいたします。

輿水副大臣 福重委員御指摘のとおり、広く地域住民の理解を得るとともに、多様な研究人材を確保するため、F―REIが目指す目標や様々な活動内容について幅広く情報発信を行うことは大変に重要であると考えているところでございます。

 これまでF―REIでは、地元企業や関係機関など関係者にF―REIの研究開発等の取組を紹介し、交流する場ともなる市町村座談会や産学官ネットワークセミナーを県内各地域で開催をしているところでございます。また、国内外の研究者に向けましては、本年三月に、世界中のトップ研究者が論文掲載を目指す国際的な総合科学誌ネイチャーに紹介記事を掲載したほか、学会やシンポジウム等の機会も活用し情報発信を積極的に行っているところでございます。

 復興庁といたしましては、特にF―REIの施設整備につきまして、建物の設計や工事などの各工程を着実に進めることにより、本部施設棟の令和十年度完成を目指すなど、復興庁設置期間内での施設の順次供用開始を目指し、可能な限り前倒しに努めてまいる所存でございます。

 こうした取組により、F―REIが国内外の優秀な研究者等を確保できるよう、引き続き関係府省と連携しつつ政府一丸となって取組を進めてまいりますので、よろしくお願いをいたします。

福重委員 ありがとうございました。

 最後の質問なんですが、時間が短くなってきましたので、はしょって聞かせていただきます。政府が二〇二六年度中に設置を目指す防災庁についてお伺いをいたします。

 防災庁は、石破総理の肝煎りでの政策であり、昨年十一月に設置準備室を内閣官房に発足をさせ、内閣府防災関連を今年度予算から昨年の約二倍となる百四十六億円を計上し、職員数も大幅に増員をいたしました。

 そこでお伺いをいたしますが、防災庁が担うべき司令塔としての機能及び推進すべき主な取組について御答弁をお願いいたします。

河合政府参考人 お答えします。

 有識者による防災庁設置準備アドバイザー会議の報告書を踏まえまして、六月六日の防災立国閣僚会議において防災庁設置の基本的な方向性をお示ししたところでございます。南海トラフ地震等の国難級の災害に備えるためには、平時からの徹底した事前防災が不可欠であり、防災庁では防災に関する基本的政策、国家戦略の立案と平時から復旧復興までの一貫した司令塔の機能を担うこととしております。

 また、防災庁では、これまで内閣府防災担当が担ってきた業務に加えまして、司令塔として各府省等の防災対策を推進、加速することとしておりまして、漏れ、むらのない被災者支援の実現、デジタル防災技術の徹底活用、国民の行動変容に向けた防災教育、普及啓発、産官学民連携体制の強化などに取り組むこととしております。

福重委員 時間となりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、六月三日の当委員会における私の発言につきまして、不正確な表現がありましたことをおわび申し上げ、ここに訂正させていただきます。

 青森県における核燃料サイクル事業に関し、青森県の県議会で、核燃料サイクルが全員一致で通ってしまったと申し上げましたが、正しくは、青森県知事が核燃料サイクルについて、全員協議会の場において受入れを表明したというものでございます。当時、日本共産党、社会党が反対されたにもかかわらず、私の発言がこれらの事実を正確に反映せず、誤解を招く表現となりましたことを深くおわび申し上げます。申し訳ございませんでした。

 私、前回、前々回のアドバイザリー・ボードの先生方とのお話の中で、ワンススルー、再処理のことをお伺いしたときに、先生が、全量再処理ということになっている法律を変えれば、ワンススルーも視野に入ってくるというお話をしてくださいました。私、孫が五人おりますので、光明を見た思いでございました。

 では、本日、山中委員長に質問をさせていただきます。

 山中委員長が、中性子負荷については、その線量で試験をしていい、そういう形を取りましたとの御発言について、原発停止中の期間は中性子が照射されないので負荷は進行しないという前提で審査するという意味ですか。御教示いただけますでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 発電用原子炉施設の長期停止期間においては、放射線が照射される環境にないことから、中性子照射脆化の事象については、劣化の要因として考慮しなくてもよいと考えております。

佐原委員 ありがとうございます。

 次に、中性子照射量と脆性破壊の進捗には関連性があるという証拠はないとの専門家の主張もあります。

 お配りした資料の表にございます高浜一号の第四回と第五回の結果を見ると、照射量は五・六から五・七に増えただけですが、脆性遷移温度は九十五度から百一度に増加。東京大学の井野博満名誉教授による二〇二四年一月三日付の追加意見書では、照射量が増えなければ鋼材の劣化が起きないという保証はないと指摘されていらっしゃいますが、このことをどうお考えになりますか。教えてください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 照射量が増えなければ鋼材の劣化は起きないという保証はないという御指摘については、長期施設管理計画の審査において、原子炉圧力容器の劣化要因としては、中性子脆化だけではなくて、疲労割れも考慮しており、中性子照射脆化だけを考慮しているわけではございません。お答えをさせていただきたいと思います。

佐原委員 ありがとうございました。

 次、特段、今、当面評価ができなくなるということについては危惧しておりませんとの委員長の記者会見での発言について、評価ができなくなることを危惧するのは、原発の稼働率を高く維持することを考えている事業者の危惧ではないでしょうか。原子力規制委員長が危惧するべきは、老朽原発の原子炉が脆性破壊し、過酷事故に陥ることではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御指摘の私の発言は、先週の定例の記者会見での私の発言だというふうに考えます。記者から、照射脆化の監視試験片が容器からなくなれば試験そのものができなくなるので、長期施設管理計画を申請できなくなるのではないかという質問に対して答えたものでございます。

 私の回答の趣旨は、監視試験片がすぐになくなることはなく、また、監視試験片の再生を実施することは認められていることから、中性子脆化に関する評価ができなくなるわけではないという回答をしたものでございます。御指摘のように、事業者の危惧を表したものではございません。

佐原委員 分かりました。先生は、でも、危険な原発の稼働率を維持するということではないということですね。分かりました。

 次に、原子炉の停止期間に関係なく、監視試験片が足りなくなったら、試験片の再利用などせず、原発の寿命を迎えたとして原発を停止するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えをいたします。

 監視試験片の再生方法につきましては、実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則の解釈第二十二条において実施することを認めていることでございます。

 規制基準への適合性を立証するのは事業者の責務でございます。仮に、監視試験片が再生できない等の理由によって適切な評価が行えない場合には、事業者が規制基準への適合性を立証できないことになります。

 発電用原子炉施設の運転に当たりましては、規制基準に適合していることを厳正に確認することとなっております。事業者において規制基準適合性の立証ができない場合には、その施設の運転はできません。

 なお、個別の原子力発電所を停止するかどうか、それぞれの事業者が判断することになると考えています。

佐原委員 御答弁ありがとうございました。

 通告にはございませんが、アドバイザリー・ボードの大島先生が、日本原燃の再処理事業の経済的な整合性はないというようなお話をしてくださいました。そしてまた、再処理をすることによってかえってごみが増えるということもございますが、山中先生は、ワンススルーにするか、再処理をするかということについてどのようにお考えになりますか。

山中政府特別補佐人 核燃料サイクルに対する政策的な判断を原子力規制委員会の委員長が何か考えを述べる立場にはないと考えておりますので、御容赦ください。

佐原委員 そうですね、申し訳ありませんでした。いろいろ通告にない質問を急にいたしまして、申し訳ございませんでした。

 今こうしている間にも、いろいろ、福島第一原発でデブリの取り出しをしている作業者の方とか、様々な方が被曝の危険性のある作業に従事していらっしゃると思います。原発というのは、やはりどこかで被曝労働者が出てまいります。誰かの犠牲の上に成り立ってしまう原発というのがGX法案の中に強く組み込まれているということに、私は危惧を感じます。いろいろな危惧をここで申し上げ、そして、デブリの取り出し作業に関わっていらっしゃる方の健康が守られますようにという祈りも込めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 まず、質問に行く前に一言申し上げたいと思います。

 我が党は、核燃料サイクル政策に一貫して反対をし、断念を求めてまいりました。一九八五年、青森県知事が核燃料サイクル施設受入れを表明した四月九日、県議会全員協議会では、我が党の木村公麿議員が登壇をし、県民の大多数は不安を表明し、反対する運動を進めていること、安全性は世界的に確立していないこと、核積載攻撃機が配備された米軍三沢基地近くの立地が極めて危険であること、地域振興にも効果がないこと等を全面的に明らかにして、反対の論戦を行いました。

 再処理工場の二十七回にも及ぶ竣工延長や高速増殖炉「もんじゅ」の失敗など、核燃料サイクル政策の破綻は誰の目にも明らかであります。青森を始め我が党の核燃料サイクルに反対する運動と議会の論戦は重要な意義があったと考えております。

 加えて言いますと、二〇一一年の東京電力福島第一原発事故の前から我が党の吉井英勝元衆議院議員は、津波の押し波とともに引き波の影響で原発の冷却機能が失われる危険性を指摘し、さらに、巨大地震で原発の外部電源や非常用の内部電源を喪失すれば炉心溶融を引き起こすという最悪の事態を想定せよと迫っておりました。政府の答弁は、そういったことはあり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしている、現実にはあり得ない、頭の中の話という姿勢でありました。

 安全神話に縛られた原発行政の転換を訴えた我が党の論戦の意義を改めて確信しつつ、今後も原子力規制の在り方を我が党は厳しくただしていく決意であります。

 それでは、原子力規制委員長に改めて確認をしたいと思います。

 五つある原子力規制委員会の活動原則のうち、独立した意思決定とは具体的にどのようなことか、説明をしていただきたい。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省と教訓を踏まえて、推進と規制の分離を図るため、独立した三条委員会として設置が行われました。発足の経緯から、私どもは、何物にもとらわれず、科学的、技術的な見地から、独立して意思決定を行うこととしております。御指摘の活動原則は、その趣旨で掲げているものでございます。

辰巳委員 まさに今あったように、規制委員会が、原子力産業界あるいはその意を酌んだ特定の政党の要求にくみして国民を原発事故の危険にさらしてはならないということだと思います。これを貫けるかどうかが問われております。

 この間、この委員会でも与野党から、特定重大事故等対処施設、いわゆる特重施設の設置期限の見直しを求める国会質問というのが行われております。改めて、特重施設とは何なのか、説明していただけますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 特定重大事故等対処施設は、重大事故等対処施設のうち、故意による大型航空機の衝突やテロリズムにより、炉心の著しい損傷が発生した場合においても、原子炉格納容器の破損による敷地外への放射性物質の異常な水準の放出を抑制するため、可搬型設備を中心とした重大事故等対策の信頼性を向上させることを目的として設置を求めたものでございます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の重要な教訓の一つは、継続的な安全性の向上を怠ってはならないということでございます。特定重大事故等対処施設の設置は、重大事故対策の信頼性を向上させるという意味で、継続的な安全性の向上であると考えています。

辰巳委員 今、特重施設の説明をしていただいたんですけれども、るる質問等であったとおり、猶予期間というのが設けられている。これはあくまで信頼性向上のためのバックアップなので、それがなくても稼働そのものは許されていますよという国会のやり取りというのがありました。

 ただ、我が党は、原発の運転が始まったら、例えばテロを起因とするような事故の発生の猶予なんて取れないわけですから、猶予は考えられないわけですから、運転開始時までに本来は特重施設が設置されていなければならない、そうでなければ運転は認められないとするのが本来の在り方だというふうに思っております。

 先ほどもありましたとおり、委員長にちょっと確認したいんですけれども、この猶予期限を延長してほしいというのが様々なところから要求として出されているんですけれども、例えば、二〇一九年四月に、先ほどもCNOという話がありましたけれども、電力会社が特重施設の猶予期限の見直しを求めていることに対して、例えば当時の更田委員長は、掘ってみたら岩が硬かったとか、そうであるのであれば、工事計画認可に対して工事計画の変更申請がまずあってしかるべきだ、こういうふうに答えております。これは要するに、延長の理由にはなれへんよ、こういう話ですわね。

 それと、二〇一九年、平成三十一年のCNOとの意見交換の場で様々出ています。先ほどもありました。例えば、特重施設の設置場所の確保のため、山を切り開いて、工事用アクセス道路あるいはトンネル設置等をして、要するに、頑張っています、二十四時間体制で二交代制で頑張っていますねんと、これは九州電力ですけれどもね。それでも間に合いませんねん、こういう要求が出されたときにも、先ほど答弁であったように、それは要するに延長の理由にはなりません、ここで一旦もう議論されているような話は、もう延長の理由にはならないということを答弁されたと思います。

 改めて確認したいと思います。そういうことでよろしいですね。

山中政府特別補佐人 CNOとの意見交換については私も出席をしておりまして、私が直接、工事の困難さというのは延長の理由にはなりませんよというのは発言をさせていただいたところでございます。

辰巳委員 工事が困難だというだけではなくて、例えば、労働力不足などで時間が間に合わない、こういう話も出ているわけですから、それも含めて、それは延長の理由にはならないということでよろしいですね。改めてもう一度。

山中政府特別補佐人 現状で事業者から特段の延長の申出はございませんので、そのような議論というのはまだ委員会でしておりませんので、改めて、申請がもし出ましたら、意見交換をした上で、委員会としても議論をしてみたいと思います。

辰巳委員 いや、私が確認したいのはこれからの話ではなくて、二〇一九年の四月、この中で、議事録を読みますと、二十四時間体制、二交代制で頑張っているんです、それでも間に合いませんねんと。だけれども、そういう要求があってもそれは認められないというのがこの二〇一九年の議論の結論だったねということを確認したいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 CNOとの議論の中で、工事が困難であるということは当時もCNOから発言がございまして、それを委員会として議論いたしまして、経過措置の延長の理由にはならないという委員会としての結論は出ております。

辰巳委員 確認しました。

 ところで、東京電力は、柏崎刈羽原発六号、七号機の特重施設の工事完了時期を遅らせた理由をこう言っています。これまでにない大規模な工事だ、審査の長期化、工事物量は原子炉建屋の数倍の規模、人手不足で工期短縮が難しい、なんですね。

 今、二〇一九年、平成三十一年の話をされましたけれども、今私が申し上げたような東京電力の理由では、これは延長は認められないということになると思いますけれども、委員長、どうですか。

山中政府特別補佐人 東京電力から直接、経過措置期間の延長については、何らかの申請があったわけでもございませんし、意見交換の申出があったわけではございませんので、その点については承知していないところでございます。

 改めて、工事の困難さというものが経過措置期間の延長の理由に当たるというのは、委員会としては、当たらないという結論を出しているわけでございます。

辰巳委員 山中委員長は、この間、他律的な要因において期限内に特重施設を設置することが困難であるとの特別な事情が出てきた場合におきましては、規制委員会としても、その内容を聞いて議論することは否定するものではございませんという答弁をされていますけれども、他律的な要因というのは一体何なんですか。

 つまり、人手不足は当たらないというわけですよね。時間的な要因、そんなものはあかんよと。何か硬い岩盤が出てきた、そんなのもあきませんよと。ほとんどこれは排除されているじゃないですか。では、他律的なというのは一体どういうことですか。

山中政府特別補佐人 御質問にございました他律的な要因については、これまで規制委員会で、何か委員会として組織的に議論を行ったということはございません。何らかの特定の要因を念頭に置いたわけではございませんので、前委員長の一般的な事柄として、国会の答弁の中で例を挙げられてお答えになったことがあるかと思います。

 過去、規制委員会の議論の場におきまして、経過措置期間を見直すかどうかの議論の際の一つの話題として、委員から、自然災害とか、あるいは何らかの人為的な災害とか、そういったことで工事が遅れるといった、そういったことは特別な要因ということに当たるのではないかというような発言があったのは記憶しております。以上、具体的な議論を行ったわけではございません。

 現時点で事業者からも特段の申出はございませんので、規制委員会としても、改めて経過措置期間の見直しについて提案があれば、意見交換を行った上で議論をしていきたいというふうに考えております。

辰巳委員 意見交換するという話なんですけれども、二〇一九年の更田さんの発言からすれば、この他律的なという話もほとんど私は排除されると思いますよ。あくまで特重施設を造らないと稼働させない、私は、そういう立場を規制委員会が貫けるかどうか、これが今問われていると思うんですね。

 四月十日の質問で、私は、電力事業者や原発メーカーから成る原子力エネルギー協議会、ATENAですね、これが、革新軽水炉の規制の予見性を高めたいとして、原子力規制委員会との意見交換を要求して、そして、それを受けて規制委員会が意見交換の場を設けたことは、これは規制側がそれこそ取り込まれて、規制のとりこになるんじゃないかということで、批判をいたしました。特重施設の猶予期限をめぐっても、私は同じ構図になるということを強く懸念をいたします。

 山中委員長、もう一回聞きますけれども、この特重施設の猶予期限について、規制委員会の活動原則である、何物にもとらわれず、科学的、技術的な見地から、独立して意思決定を行う、この立場を堅持する、これをもう一度答弁いただきたい。

山中政府特別補佐人 東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓と反省に基づいてできました活動原則、一番大切なところでございます。独立性を一番大切にした、我々の委員会として独立した意思決定を行うこと、これをお約束したいと思います。

辰巳委員 最後になりますけれども、電力会社のとりこだったと厳しく批判をされた原子力安全・保安院の二の舞になっては絶対にならない、電力会社に取り込まれることにつながる意見交換そのものもやるべきではないということを強く求めて、私の質問を終わります。

 以上です。

江渡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十二分散会


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