衆議院

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第1号 令和4年5月10日(火曜日)

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令和四年五月十日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

  内閣委員会

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      石原 宏高君    金子 俊平君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      堤 かなめ君    中谷 一馬君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      阿部  司君    浅川 義治君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      平林  晃君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    大石あきこ君

  厚生労働委員会

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 齋藤  健君

   理事 高階恵美子君 理事 牧原 秀樹君

   理事 山井 和則君 理事 柚木 道義君

   理事 池下  卓君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      神田 潤一君    小島 敏文君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 英敬君

      高木 宏壽君    高見 康裕君

      土田  慎君    長谷川淳二君

      深澤 陽一君    堀内 詔子君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山口  晋君    山本 左近君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      野間  健君    山田 勝彦君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    金村 龍那君

      吉田とも代君    山崎 正恭君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   国務大臣

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   法務副大臣        津島  淳君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長)    谷内  繁君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  蝦名 喜之君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

   厚生労働委員会専門員   大島  悟君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 こども家庭庁設置法案(内閣提出第三八号)

 こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三九号)

 こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)

 子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出、衆法第八号)

 子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより内閣委員会厚生労働委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案の各案を一括して議題といたします。

 各案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉田水脈君。

杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。

 本日は、こども家庭庁の法案について質疑の機会をいただきましたが、その前に、まず、前回の質疑に対する答弁について確認したいことがございます。

 四月二十日の内閣委員会におきまして、内閣府の広報誌「共同参画」のインタビュー内で選択的夫婦別氏制度に賛成と見受けられる方の御意見が掲載されていることについて、男女共同参画に選択的夫婦別氏制度は必要条件なのか、また、今後は選択的夫婦別氏制度に慎重な方のインタビュー等も掲載する予定であるのかという趣旨の質問をいたしましたところ、林男女共同参画局長より、次のような御答弁をいただきました。皆様、資料をお配りしておりますので御覧いただければと思いますが、一部を御紹介いたします。

 「夫婦の氏に関する法制度につきましては、令和四年三月二十五日に公表された家族の法制に関する世論調査によれば、現在の法制度を維持した方がよいとする回答が全体の三割を下回っておりまして、特に二十代から四十代では、現在の法制度について一〇%台の低い支持にとどまっております。こういったことから、これから結婚して家庭を築くとともに社会の第一線で活躍する世代を中心に、新しい法制度を求める声が高まっているものと受け止めております。」

 さて、お配りした資料の二枚目を御覧ください。こちらは、御答弁の中にありました、内閣府による家族の法制に関する世論調査でございます。

 確かに、現在の法制度を維持した方がよいとする回答は二七・〇%で全体の三割を下回っておりますが、現在の法制度である夫婦同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用について法制度を設けた方がよいという回答が四二・二%、一方で、選択的夫婦別氏制度を導入した方がよいという回答は二八・九%で全体の三割を下回っております。

 私は、これは現在の法制度を維持することを支持する回答は計六九・二%であると読み取ることが自然であると思うのですが、いかがでしょうか。

 後段の「特に二十代から四十代では、現在の法制度について一〇%台の低い支持にとどまっております。」という部分につきましても、現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよいという選択肢を合わせると、いずれも約六〇%前後が現在の制度を維持する旨を回答しており、選択的夫婦別氏制度を導入した方がよいとの回答はいずれも三〇%台です。

 私は、これは「新しい法制度を求める声が高まっているものと受け止めております。」という御答弁とはむしろ逆の調査結果ではないかと感じております。

 せっかく調査を行ったのに、新しい法制度を求めていない約七割の方々の意見は無視するのですか。調査結果を国会答弁のために都合よく歪曲して、都合の悪い部分には目をつむる。だったら、最初から調査などする必要ないじゃないですか。調査結果がどうであろうと、男女共同参画局は選択的夫婦別氏制度を求める声が高まっていることにしますということですか。内閣府はいつもこのようなアンケートの読み方をしているのですか。国会質疑に対して、その場だけやり過ごせばいいと、事実とは異なる答弁をしているのですか。

 今回、私は、運よく気づくことができて、ありがたいことにこうして指摘をする機会をいただきました。しかし、そうでなかったら、局長の御答弁が既成事実として独り歩きをしたのではないでしょうか。そしてまた、こうしたことがこれまでも行われてきたのではないですか。行政の責任が問われます。このことについて、納得のいく御説明をお願いいたします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 この選択肢三択のうち真ん中の選択肢は、現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよいという回答でございまして、この回答につきましては、旧姓の通称使用についての法制度という現在は存在しない新しい法制度でございますので、選択的夫婦別姓制度を導入した方がよいという回答とともに、新しい法制度を求める声として私どもは受け止めており、そのように御説明をしたものでございます。

 特に二十代から四十代では、この旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよいという方々が四〇%台、また、選択的夫婦別姓制度を導入した方がよいという方々が四〇%弱という結果になっております。旧姓の通称使用についての法制度若しくは選択的夫婦別姓制度という新しい法制度を求める声は合わせて八〇%台にまで達しておりまして、若い世代を中心にそのような声が高まっているということが明らかになったと考えております。

杉田委員 そもそも、私、調査結果は質問していないんですね。選択的夫婦別氏制度について広報を公正にしてほしいということを言ったときに、この答弁が来たんですよ。局長の答弁からは、今のような詳しい説明をしていただければ分かりますけれども、そういったことは全く伝わってこないんですね。

 私も公務員出身ですけれども、できるだけ分かりやすく、見た人に誤解を与えないようにということは常日頃からしっかりと気をつけてきたことでございます。この調査結果が今後いつまで閲覧可能なのか分かりませんが、先月の御答弁は、未来永劫、議事録として残るわけです。未来の人々が、当時、別氏制度について国会でどういった議論が行われていたんだと振り返ったときに、令和四年には夫婦同姓制度を維持する方がよいと考える人は三割以下だったのかと誤った認識で残ることをどうか猛省していただきたいと思います。

 そして、調査に答えたのになかったことにされた回答者の方々、調査を行い結果を取りまとめた担当者に対してどれほど失礼なことをしたのか、真摯にお考えいただきたいと思っております。

 さて、では、こども家庭庁の方の質問に移ります。

 私は、国会議員になる前、先ほども申し上げましたが、地方自治体の職員をしておりました。最後の五年間は子育て支援を担当しており、当時から、日本の子育て支援施策には子供の視点がない、働く親支援になっていると感じておりました。この度は、こどもまんなかを掲げる野田大臣とこども家庭庁について議論できることを大変うれしく思っております。

 私自身、子育てをしながら仕事をしておりましたが、当時の保育所の保育時間は、朝の八時から夕方六時まででした。実際にやってみると、六時に子供を迎えに行き、帰宅し、御飯を作って食べさせ、お風呂に入れて、寝かせるのはどんなに頑張っても九時になります。朝は、七時前には起こして、朝御飯を食べさせ、支度をし、八時までには保育所に送り届けなければなりません。

 現在は、公立保育所でも夜八時、遅いところでは十時まで預かる自治体もあります。保育時間の延長によって親は遅くまで働くことができますが、子供の成長にとって、それはいいことなのでしょうか。子供が保育所に通う乳幼児期は、体も脳も発達が著しい時期で、睡眠時間は特に大切です。

 また、病児保育、病後児保育が足りないということは度々問題になります。子供が急に熱を出して預けるところがない保護者の方の気持ちは痛いほど分かりますが、子供の気持ちはどうでしょうか。病気のときぐらいは、お母さん、お父さんといたいと思うのではないでしょうか。

 これまで、海外の子育てについても視察をいたしました。

 フランスは、国民に一番大切なものは何かと尋ねると、家族と答える人がとても多いそうです。家族を大切に考えるフランス人は、労働と家庭生活のバランスを取ることを第一に考えており、それを守るために社会システムと法律が整備されました。一九三二年のことです。

 また、デンマークでは、子育て中は、男女とも、大抵、午後三時から四時に退社できるそうです。保育所に子供を迎えに行って、家族で食卓を囲み、団らんをし、同僚と飲みに行ったりするのはその後なのだそうです。

 また、近年、北欧などの福祉先進国では、乳幼児期はできるだけ親と一緒にいる方がよいと考える三歳児神話が復活しており、例えば、スウェーデンでは、十八か月未満の赤ちゃんは預からないという方針を取っています。

 フランスでは、生後八週間から子供を預けることができますが、今後は、できるだけ家にいられる方向へ向かうそうです。また、フランスでは、保育費用が家計の一二%を超えてはいけないという基準が設けられています。

 このように、海外では、子供ができたら、子供のペースに大人が合わせて生活をする国が多々あります。

 本当のこどもまんなかの社会をつくるには、男女を問わず、子育て期の親の働き方を見直すことが肝要だと考えますが、こども家庭庁はどのように経済界を巻き込んでいくのでしょうか。文部科学省との連携は度々議論になりますが、経済産業省、厚生労働省とはどのように連携していくのでしょうか。

野田国務大臣 委員御指摘のとおり、子供が健やかに生まれ育つ上で、仕事と子育ての両立をしやすい働き方の見直しを進めることは重要であり、そのためには、経済界も巻き込んで取組を進めていくことが必要です。

 これまでも、少子化社会対策大綱等に基づいて、長時間労働の是正及び年次有給休暇の取得促進、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランス憲章等に基づく、政労使等が密接に連携した総合的な取組などを推進してきたところです。

 こども家庭庁においても、政府全体の子供政策の司令塔として、こうした仕事と子育ての両立をしやすい働き方の見直しについて、厚生労働省や経済産業省と緊密に連携をして、経済界や労働界ともしっかり協力しながら、取組を進めてまいります。

杉田委員 ありがとうございます。

 やはりそこがしっかりしないと子育ての環境というのは変わっていかないのではないかと思っておりますので、是非よろしくお願いをいたします。

 次に、地域子育て支援事業についてお尋ねします。

 子育て支援の仕事をしていたときに特に力を入れて取り組んだのが、児童館を活用した地域子育て支援でした。児童館といえば、放課後子供クラブなどが一般的でなかった時代、子供の放課後の居場所、遊び場といったイメージが強いかと思いますが、せっかく、地域にあるすばらしいポテンシャルを持った施設、特に子育てのスペシャリストである優れた人材がそろっていますので、これを使わない手はないと考え、地域子育て支援拠点に生まれ変わらせることを試みました。

 具体的には、午前中の時間帯を乳幼児を育てるお母さんたちに開放し、つどいの広場事業などを活用し、年齢や発達に応じたプログラムを多く用意することにしました。いわゆる専業主婦支援です。子育てのことを相談できる相手が近くにおらず、寂しさを感じている方々に、同じ悩みを持っている方との交流の場を提供する。また、経験豊富な児童館の先生が育児の悩みの相談に乗ってくれるので、安心感が生まれます。この取組を始めてから、市内には移動児童館を含め十か所の児童館があったのですが、毎年、利用者の延べ人数が一万人ずつ増加していったのです。

 もちろん、費用もかかりました。赤ちゃんがはいはいをしても大丈夫な環境を整えないといけませんし、乳幼児用のおもちゃも要ります。人員もしっかりと配置しなければなりません。予算の捻出には大変苦労をしました。

 この経験を踏まえ、地域子育て支援事業の重要性を強く感じています。こども家庭庁の設置により、地域子育て支援事業はどのように充実するのでしょうか。放課後子供クラブのことは度々議論になりますが、地域子育て支援の拠点として、また専業主婦支援の重要な施設である児童館についての議論は余り聞かれません。是非更なる充実をお願いしたいと思いますが、大臣の御見解をお尋ねいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 昨年末に閣議決定した基本方針において、全ての子供の健やかな成長、ウェルビーイングの向上を掲げており、これらを実現するために、地域子ども・子育て支援事業や児童館は大変重要な施策です。

 児童館については、引き続き、地域子育て支援拠点の場としての活用を支援するとともに、令和四年度において、更なる機能強化を図るため、児童の発達段階に配慮した活動や家庭からの相談対応などの先進的な取組を実践してもらい、好事例集として作成して横展開を図る新規事業を創設していると承知しています。

 引き続き、自治体における取組を支援し、子供の育ちがしっかり保障されるよう取り組んでまいります。

杉田委員 ありがとうございます。

 働いているお母さんは保育所の先生なんかにいろいろ相談ができたりとかするんですけれども、やはり専業主婦の方は孤立している方も多いですので、児童館の役割が本当に大切だというふうに私自身も実感しておりましたので、是非よろしくお願いしたいというふうに思っております。

 また、子育て支援を担当していたときに大変お世話になりました、一般財団法人児童健全育成推進財団の鈴木一光理事長、この方はテレビ寺子屋などの講師で有名な方なんですが、鈴木理事長は、児童の健全育成とは、子供が社会の様々な理不尽を自分の力で乗り越えることができるような大人に成長するよう支援することであると述べていらっしゃいます。その力をつけさせるのが大人の責任であると。そういう視点で見ると、こども家庭庁にはまた更なる役割が見えてくるのではないかと考えております。

 さて、皆さんは、子育ては一体いつ終わる、子育てにいつ終わりが来ると思っていらっしゃいますか。鈴木理事長は、子育ての終わる時期について、孫が二十歳になるまでとおっしゃっています。今は成人年齢が十八歳になりましたから、十八歳なのかもしれません。家庭を構成し子育ての当事者となるのは、親子の二世代だけとは限りません。

 そこで、お尋ねします。こども家庭庁の家庭の中には、祖父母は含まれているのでしょうか。

野田国務大臣 こども家庭庁においては、子供を中心に、子供の成長を支える、子供にとっての居場所を広い意味での家庭と考え、この家庭には、子供の成長を支える祖父母も含まれていると考えております。

杉田委員 ありがとうございます。

 やはり祖父母というのが子育てにおいては非常に重要な役割を持ってくるというふうに考えております。

 これからちょっとそれを説明してまいりたいかと思うんですけれども、これまで他国の子育てをいろいろ見てきた中で、それぞれの国には伝統的な子育てというのがあることを知りました。

 例えば、フランスは、貴族を中心に、子育ては親本人が行わず、乳母がその役割を担っていたんだそうです。フランスでは、現在もその名残があり、乳母というのが国家資格になっており、認定保育ママと呼ばれています。約二百四十万人いる三歳以下の子供のうち、公的な保育を受けているのは約百四十万人です。そのうち保育所に入っているのは三二%で、何と五八%は認定保育ママを利用しているのだそうです。

 では、日本の伝統的な子育てとは、どんな子育てでしょうか。私は、これは祖父母による子育てではないかと考えます。

 これはキッズいわき・ぱふ代表の岩城敏之氏の講演でお聞きしたお話ですが、かつて、農耕が主な産業だった日本において、女性は、結婚して子供を産んでも、今の産休と同じぐらいの期間体を休めて、すぐ畑仕事などの農作業に出ていました。では、どのように子育てをしていたのか。それは、農作業を引退した祖父母が子育てに参画していました。

 近年では、地方から東京に進学や就職で出ていくのは、男性よりも女性の割合が多いと言われています。言うまでもなく、東京の合計特殊出生率は、四十七都道府県の中で最低で、一・一二。東京の一極集中は、少子化も推し進めています。

 地方で子育てをしていれば、例えば自分の両親が近くに住んでいる、若しくは旦那さんの両親が近くに住んでいるという形で、両親の手をかりた子育てがしやすいということです。ただ、東京に出てくると、なかなか両親の手をかりた子育てというのが難しくなってくる、そういうことなんです。そういう中で、やはり、地方では、結婚して子育てをする方は大体子供二人、三人と産んでいるような方が多いんですけれども、東京は、どうしても少子化が進んでしまうということではないかと思っています。

 なので、祖父母の手をかりる子育てをもっと推進する、例えば住宅政策で同居、近居を推進するなど、これは地方の自治体によっては既に取り組んでいるところもあるんですけれども、こども家庭庁の中でもしっかりとこの部分を推し進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 核家族化の進展など、家族の在り方や家族を取り巻く環境が多様化する中、子育てについての第一義的責任を持つ父母などの保護者が共に支え合いながら子育てを行うこと、そしてその家庭を社会全体でバックアップしていくことの必要性が、御指摘のように、これまでになく高まっています。

 こうした状況において、活力、意欲のあるシニア層などの参画を促すことで子育ての担い手の多様化を進め、地域全体で子育て家庭を支えていくことや、三世代同居、近居しやすい環境づくりなど、子育ての担い手の多様化と世代間での助け合いを進めていくことが重要だと考えています。

 このため、少子化社会対策大綱に基づき、希望する子育て家庭が家族において世代間で助け合いながら子や孫を育てることができるよう、三世代同居に対応した優良な住宅の整備、リフォームに対する支援を行うとともに、いわゆる賃貸住宅において子育て世帯とそれを支援する親世帯との近居を促進することによって三世代同居、近居しやすい環境づくりを推進するとともに、地域において、子育て家庭の多様なニーズに対応するため、子育て中の親子が交流する場としての子育て支援拠点を提供することや、NPOや、活力、意欲のあるシニア層などの参画を促すことで子育ての担い手の多様化を進め、地域全体で子育て家庭を支えていくこととしています。

 今後も、関係省庁と連携しながら、多様なニーズに応じて、全ての子育て家庭が、それぞれが必要とする支援にアクセスでき、安全かつ安心して子供を育てられる環境の整備に取り組んでまいります。

杉田委員 私が地域子育て支援事業をやっているときに、専業主婦のお母さんなんかが非常に育児に悩んでしまって、どうしても自分一人で一〇〇をやってしまわないといけないと思ってしまうお母さんが多いんですね。そういうお母さんたちに向けて、お母さん一人の愛情で一〇〇にする必要はないんだよ、お母さんもお父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、そして保育所の先生とか、あと地域の人たちも全部合わせて一〇〇の愛情にしていけばいいんだよというアドバイスをさせていただきました。

 先ほどの大臣の答弁の中にありますように、地域のシニア層なんかもたくさん参画をしていただいて子供を育てていくという形を実際にやっていける日本にしていきたいなというふうに思いますし、また、家庭が持つたて糸のつながりというのも本当に大切なものでございます。

 最後に、質問ではないんですけれども、基本方針では、こども家庭庁は、審議会、懇談会等への子供、若者の参画を促進するとともに、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについて検討していくとされています。

 もちろん、趣旨や狙いは大いに理解できますし、賛同いたしますが、近年、SNSを通じて子供が犯罪や事件に巻き込まれるケースも増えております。この方針が決して政府が子供にSNS利用を推奨しているといった誤解を与えることがないよう十分御配慮をお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、平沼正二郎君。

平沼委員 皆さん、こんにちは。自由民主党の平沼正二郎でございます。

 本日は、こども家庭庁に関しての質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、七歳と二歳の子供がおりまして、子を持つ父親でございます。しかしながら、政治を志して以降、家族にはちょっと迷惑をかけっ放しですね。とてもイクメンとは言えない状態で、反省はしておりますけれども、我が子も含めてこの日本の将来を担う子供たちの未来をどうつくっていくか、これは日本においても最も重要なテーマの一つであると思いますし、国会議員となり、こうしてこども家庭庁に対して質問の機会を得て、将来世代の子供たちに対して携わる仕事をさせていただくことは、責任も重大でございますけれども、大きな誇りでございます。日本の全ての子供たち、またこれから生まれてくる子供たちが日本に生まれてよかったなと思える国をつくってまいらなければなりません。私も、子供を持つ父親として、また国会議員として、最大限尽力をしてまいる所存でございます。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 この委員会でも何度か質問が出ておりましたけれども、当初、こども庁であったものが、正式に、こども家庭庁という名称に変わりましたけれども、改めて、家庭という言葉が入った意味、意義を教えていただけますでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 新たな行政組織の名称については、これまでの議論を踏まえて、昨年十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針において、こども家庭庁としました。

 児童の権利に関する条約の前文の考え方においても、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところです。

 こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかり支えることが子供の幸せにつながるという趣旨であります。

平沼委員 御回答ありがとうございます、大臣。

 私も、子供を育む上において家庭の重要性というのは大変にあると思いますし、御説明いただいたとおり、いわゆる一般的にお父さん、お母さんだったりがいる家庭だけではなくて、子供を取り巻く環境だったり安心して成長できる場所というものをやはり家庭として広義の意味で捉えて、それを大切にしようという考えには完全に同意するところであります。

 確かに、今現在、虐待等を受けて家庭という言葉によい印象を持っていない方もいらっしゃることは私も重々承知しておりますし、おっしゃっていることもよく分かっているんですけれども、しかしながら、私は、この家庭という言葉が入ったのは、やはり、今後、子供にとって不幸な家庭環境だったり場所だったりというものを生まないためにも、政府が、子供を育む、そして安心できる家庭そして場所をつくっていくんだという非常に前向きな決意の表れの一つであると思っております。

 そして、この安心できる家庭、広義の意味でいわゆる子供の居場所というものの重要性をちょっと鑑みつつ、次の質問に参ります。

 現在、児童虐待が増えていると認識をしておりますけれども、どのような家庭環境の子供が虐待に遭っているというデータ等があれば教えていただけますでしょうか。

橋本政府参考人 虐待を受けている子供の家庭環境につきまして、児童相談所等における虐待相談対応の全ての事例を網羅的には把握してございませんけれども、子ども虐待対応の手引きにおきましては、一般的に虐待に至るおそれのある要因、虐待のリスクということで留意すべき点といたしまして、一つは、経済的に不安定な家庭である、それから、親族や地域社会から孤立した家庭であること、未婚を含む一人親家庭、こういったことが列挙されております。

 それから、社会保障審議会の児童部会におきまして、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会というのがございますが、こちらの第十七次報告におきまして、令和元年度の心中以外での虐待死事例は五十六件ございますが、この家庭環境につきましては、世帯に実の父母がいらっしゃるのが二十四件、四二・九%でございます。それからあと、一人親が二十件、約三五・七%ということになっております。

平沼委員 御説明ありがとうございます。

 御説明いただいたとおり、収入面の負担の多さというところから、また日本における一人親世帯の貧困率の高さというのを鑑みると、やはり一人親世帯において児童虐待が起こる可能性が高い傾向があると言えるわけですけれども、このような苦労されている一人親世帯に対して、児童虐待防止の観点から現状取られている対応を教えていただけますでしょうか。また、こども家庭庁が創設されるに当たり、児童虐待を生み出さないという観点から、更なる対応強化の考えはございますでしょうか。

橋本政府参考人 コロナ禍の影響等も受けまして、特に子育てと仕事を一人で担う一人親世帯の多くが大変厳しい状況にあるというふうに承知しております。一人親が安定して子供を育てることができるようになるためには、一人親の自立と生活の安定を促すことができるような支援というものが不可欠というふうに認識しております。

 このため、安定した就業による自立に向けて取り組む一人親に対しまして、一つ目といたしまして、資格取得に向けた訓練中の生活費、これが月十万円等でございますけれども、これを支援する高等職業訓練促進給付金の給付対象を民間資格取得の場合などに拡大する特例措置の令和四年度までの延長、それから二つ目といたしまして、一人親が教育訓練を受ける場合の講座受講料支援の上限額の引上げ、三つ目といたしまして、償還免除つきのひとり親家庭住宅支援資金貸付の創設、こういったことを実施するとともに、児童扶養手当等の経済的支援ですとか一人親世帯の日常生活の支援など、総合的な一人親支援施策を実施しております。

 加えまして、児童虐待のリスクの高まりを踏まえて、子育て世帯が孤立しないように、地域ネットワークにより、支援ニーズの高い子供たちを見守る支援対象児童等見守り強化事業というものを実施しているところでございます。

 今般の児童福祉法改正案におきましては、家庭への支援を強化し児童虐待防止にも資するように、一人親を含めて、全ての妊産婦、子育て家庭、子供へ一体的に相談支援を行うこども家庭センターの設置ですとか、地域のNPO等とも連携して一人親を含めた子育て世帯への訪問による家事支援の事業を創設するなど、その支援の充実を図ることとしておりまして、今後とも、こうした取組等を通じ、一人親家庭の支援に関する施策の充実を図りたいと考えております。

谷内政府参考人 私からは、こども家庭庁が創設された後の児童虐待防止対策について答弁させていただきます。

 まず、こども家庭庁におきましては、これまで各府省において別々に担われてまいりました子供政策に関する総合調整権限を一元化いたしまして、子供の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしております。

 議員御指摘の児童虐待防止対策につきましても、これまでも厚生労働省を中心に取組が行われてきましたけれども、こども家庭庁が創設された後は、厚生労働省の事務を引き継いで実施いたしますとともに、関係省庁にまたがる児童虐待防止対策を主導していきたいと考えております。

 また、現在審議中の児童福祉法案、先ほど厚生労働省の局長から御答弁ありましたけれども、家庭への支援を強化して虐待の発生を未然に防止するための様々な内容を盛り込んでおりますので、これら施策を通じまして、児童虐待防止に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

平沼委員 御回答ありがとうございます。

 様々な対応を取られているということでございますけれども、私の知人の方に母子家庭向けシェアハウスの運営と一人親居住の支援を行っている方がおりまして、安心して住める場所を提供しております。最初の質問においても御説明いただいた広義の意味とも言える家庭において、その基礎となる住居環境を整えるのは、現在困難な状況に置かれている方々にとって、収入面においても精神的にも大変重要な側面であるかと思っております。

 また、住環境の整備というのは、虐待被害を防止するという点でも大きく寄与するものと考えておりまして、さらに、行政サービス等を受けるに当たっても仕事をするに当たっても、住、つまり住所保持がなくてはままならないケースも多々ございます。居場所のない未成年の子供たち、社会的養護出身の若者たち、母子家庭に育つ子供たち、安定した住まいを得ることができれば生活の基盤を整えやすくなり、自立に向けたステップを歩み始めることも可能になります。しかし、現状では、そのスタートとなる住所を得るところでつまずいてしまっているケースが多々ございます。

 一方で、私の知人のように、安心して住むことができる住まいを提供する活動が民間で広がりを見せておりまして、社会的養護出身の子供たちの住まいを提供するステップハウス、引きこもりからの脱却をして自立と社会復帰を目指す若者のためのハウス、母子家庭のためのハウスなどがございます。こうした取組の多くは、一般の住宅を自らの団体で借り上げて、シェアハウスなどにして提供しております。さらに、住まいの提供だけではなくて、就労の支援や日々の生活支援なども行いながら包括的な支援を行っており、まさに、住まいと福祉の、隙間というかはざまを埋めている存在となっております。

 シェアハウスのような、同じ環境の方が寄り添える、そして共感でき安心できる住居環境整備についてはニーズも高まっていると私も認識をしているんですけれども、しかしながら、こういった民間団体が住まいを用意するための費用、例えば耐震改修費用であったり断熱改修費用、共用の家具、家電の購入費用など、日々の支援のための人件費と支出は非常に多い一方で、支援のためにはどうしても家賃を安く抑えなければならなくて、必然的に家賃収入等が低くなっているという状況です。とても有効な取組であるものの、思いのある支援者だったり支援団体の赤字覚悟の運営に依存しておりまして、持続可能性は非常に低くなっているんじゃないかと言わざるを得ない状況なのかなと感じております。

 また、住宅セーフティーネット法など、居住支援が必要な人たちへの家賃低廉化をするための制度はあるんですけれども、多くの自治体が予算化しておりません。制度はあってもなかなか使いづらいという状態もあると聞いております。

 子供、若者の住まいを守っていくために、先ほどもちょっと御説明した民間の支援団体への応援が必要と考えますけれども、現状、こうした活動への支援状況があるのか、教えていただけますでしょうか。

橋本政府参考人 母子世帯などの安定した暮らしを支えるためには安定した住まいの確保ということが重要でございまして、国土交通省の住宅施策とも連携した取組を進めているところでございます。

 母子世帯等を主な対象とした居住支援を行っている民間団体に対する支援制度として、例えばでございますが、一人親家庭等を支援する団体が相談支援事業の中で住まいに関する支援を行うときに事業開始資金や事業継続資金の低利融資を行う母子父子寡婦福祉資金貸付制度、それから、母子生活支援施設を退所した方などに対してアパート等を活用した支援を行う費用を母子生活支援施設に対して支援する社会的養護自立支援事業、こういった仕組みの活用が可能ではないかというふうに考えております。

 このほか、先般取りまとめました、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策におきましては、新型コロナウイルス感染症セーフティネット強化交付金を積み増しいたしまして、支援ニーズの増大に対応した地域の民間団体を支援する事業を創設したところでございまして、こうした事業も支援が必要な若者の住まい支援にも活用の余地があるものというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、引き続き、関係省庁と連携しながら、こうした事業の活用も視野に入れつつ、一人親世帯などを含む、支援が必要な方の住まいの確保を含めた、ニーズに合った支援がなされるよう取り組んでまいりたいと考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 是非、取組の強化をしていただきたいと思います。まだまだ今の段階では十全に機能していないと思いますし、福祉的な目線でやはり住まいというのは捉えなくてはなりませんし、省庁横断した動きも必要です。子供、若者の生活環境を守っていくためにも住まいが重要であるのは当たり前のことでございまして、こども家庭庁創設に当たっても、是非とも省庁横断で環境整備に力を尽くしていただきたいことを強く要望いたします。

 次の質問に移ります。

 現在、日本では約二百六十万人の子供が相対的な貧困状況にあると言われております。そして、生活困窮世帯の子供たちの多くは、様々な不利や困難に直面しております。

 困難な状況といいますと、ネグレクトや虐待等でございますけれども、また、これらは不登校にもつながって、学習遅滞に陥っている子供も少なくない状況でございます。子供、家庭の複雑な困難に対して、包括的な支援を地域の中で行っていく必要性がございます。

 そうした支援の一つとして機能しているのが、生活困窮者自立支援法の学習・生活支援事業です。単に勉強を教えるだけではなくて、努力した結果、自らの成長を実感する機会の提供や、学習支援を行う地域の大人との出会いによるロールモデルの獲得、親への養育支援などを通じて、子供の将来の自立に向けた、きめ細やかで包括的な支援を行っておりまして、令和二年度時点では五百七十六自治体をカバーし、一部効果を上げていると認識をしております。

 この生活困窮者自立支援法の学習・生活支援事業は、こども家庭庁ができることによって、管轄はどうなりますでしょうか。

山本政府参考人 御指摘の子どもの学習・生活支援事業につきましては、生活保護世帯を含む生活困窮世帯の子供を対象とした学習支援や生活習慣の改善等に向けた支援を行うものであり、生活困窮者自立支援法の他の事業や生活保護法と相まって世帯全体への支援を実施するものであることから、両法を所管する厚生労働省において引き続き所管することとしております。

平沼委員 厚生労働省の管轄であるということでございますけれども、このように地域の子供支援の中で大きな役割を担っている学習・生活支援事業が、霞が関のよくある所掌事務の縦割りロジックの中でこども家庭庁とやはり切り離されてしまいますと、子供に本当に必要な支援を届けることができなくなるのではないかという懸念がございまして、生活困窮世帯の子供に向けた学習・生活支援事業を、こどもまんなかという子供政策の理念に基づいて、子供政策として展開する体制を明確にすべきではないでしょうか。

 その観点から、生活困窮者自立支援法に基づく学習・生活支援事業について、厚労省とこども家庭庁が共同で執行した方がよいと考えますけれども、政府の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

後藤国務大臣 生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習・生活支援事業を推進していくに当たりましては、先ほど政府参考人からもお答えいたしたとおりでございますけれども、生活困窮者自立支援法に基づく他の事業や生活保護法と相まって世帯全体を支援していくことを基本的な考え方としつつ、昨年末に取りまとめられました子供政策の新たな支援体制に関する基本方針の趣旨を踏まえまして、こども家庭庁を含めた関係者とよく連携して取り組んでまいりたいと思います。

平沼委員 大臣、ありがとうございます。

 是非とも、この学習支援事業の重要性を引き続き鑑みていただいて、子供にとって適切な制度適用がされるようにお願いを申し上げます。

 最後の質問に参ります。

 子供コミッショナーの議論が本委員会でも度々されておりますけれども、先般行われた参考人質疑の中で、古賀参考人からは、地域における、実際に現場で対応ができる体制促進が重要であるという話や、また、末冨参考人からは、国として独立した組織として確立するなら丁寧な議論と検証が必要である、調査権や勧告権を行使するときに、実際に現場で対応する弁護士、ソーシャルワーカーにとっても専門性があるかどうかは疑問で、求める要件、そして責任の範囲を明確にして、子供を守り切る集団を育て、確立することが重要であるとの発言がございました。

 この点、私、非常に重要な観点であると考えております。実際の現場においていち早く状況を察知して報告、対応ができる人材の育成というのは、参考人の指摘のとおり、急務でございます。

 この度、こども家庭庁創設に当たり、地域における専門性を持った人材の育成また確保に関してはどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 地域において実際に子供や子育て家庭の支援に関わる人材の確保や専門性を向上させることは、御指摘のとおり、子供を守り、健やかな育ちを保障するための基盤となるものであります。地域における専門性を持った人材の育成や確保は極めて重要かつ急務であると考えています。

 このため、現在御審議中の児童福祉法の改正案で、虐待等への対応力を強化するため、子供家庭福祉の資格を導入し、研修等を通じて現場職員の専門性の向上を図ることとしており、また、文部科学省においては、福祉の専門家であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実によって学校における教育相談体制の強化を図るなど、地域における専門人材の確保、育成に努めていますが、こども家庭庁においては、関係省庁や自治体等と連携して、地域の体制整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

平沼委員 ありがとうございます。

 機関そのものよりも、やはり現場対応を適切に行える人材の育成は何よりも重要ですし、子供の声をしっかり拾い上げるためにも、こども家庭庁として引き続き全力をいただきたいと思いますし、このこども家庭庁に対する期待というのは非常に高まっておりますし、こどもまんなか主義を社会全体で醸成させるためにも、国の強いリーダーシップが求められております。

 こども家庭庁ができることによって、日本に関わる全ての子供が日本に生まれてよかった、また日本で育ってよかったと思える国になることを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私の方から質問をまずさせていただきたいのは、こども家庭庁ができるに当たって、いじめ対応がどう変わっていくかということについて質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、いじめ対応というのはどこが所掌することになるのか。こども家庭庁が担っていくのか、文科省が担うのか。もしそれぞれが担うのであれば、それぞれどういうような観点で取組を進めていくのか。ここを端的に確認させていただきたいというふうに思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、こども家庭庁でございますけれども、今回御審議をお願いしておりますこども家庭庁設置法案におきましては、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、こども家庭庁もいじめ防止の取組を行うこととしてございます。

 具体的には、いじめ防止対策法に基づく基本方針を文部科学省が策定、変更する際の関与、あるいは、いじめの事案の把握、地方自治体における相談体制などの体制づくりの支援、それから、重大ないじめ事案への対応に際しての文部科学省との情報共有、これと連携をした対策の実施などを行っていくこととしているところでございます。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 こども家庭庁の創設後におきましても、学校でのいじめ問題に係る文部科学省の所掌には基本的な変更はございません。すなわち、いじめの問題は主に学校で生じておりますので、いじめの対応、解消に当たりましては、一義的には文部科学省が責任を持ちまして、教育委員会、学校に指導助言を行い、事案の解決につなげていくということが重要だと考えております。

 ただ、いじめの中には、教育委員会、学校のノウハウのみでは根本的な解決が難しい事案もございますので、こども家庭庁創設を契機といたしまして、いじめ対策に係る外部の関係機関との連携強化などの観点で、しっかりと連携を図って解決につなげていきたいというふうに考えております。

伊佐委員 つまり、今までの文科省の所掌というのは変わらない、学校教育現場、学校、教育委員会の立場から一義的にはしっかり対応していく、これがまず重要ですと。その上で、それ以外の相談の受皿というのをしっかり整備していきましょうと。こども家庭庁において、対応できる場所をほかにもつくっていきますと。

 私、これは本当に大事な取組だと思っていまして、私が今日言いたいことは何かというと、文科省がこども家庭庁に入っていないのはけしからぬという方がいらっしゃいますが、私はそうじゃないと思っています。というのは、例えばいじめに関して言えば、いじめ対応も主体がちゃんと二つあった方がいい、それぞれの角度でそれぞれが足らないところをしっかり補っていった方が実は子供の命を守ることにつながるんじゃないかというふうに思っています。

 そこで、ちょっと今日紹介させていただきたいのは、皆さんにお配りしている、これは寝屋川市の資料なんですが、大阪の寝屋川市、寝屋川モデルと言われていまして、全国の自治体から今視察を受け入れています。その資料をちょっと拝借してきたんですが、三段階の対応体制をしいている。

 まず第一段階は、教育的アプローチ。これは、今まで文科省を中心にやってきて、これからも変わらないと言われているところ。ここで解決できるにこしたことはありません。

 ただ、どうしても限界もあって、例えば、教育の現場を超えて、いじめている子供の家庭に問題がある場合には、ソーシャルワーカーが関与しなきゃいけないという行政的なアプローチも必要になってくるわけです。そこで、寝屋川が独自にやっているのは、行政的アプローチというのを第二段階で置いている。

 これは、行政でできることに対応していく。今までであれば、教育というのは、教育の独立性なんだ、教育委員会なんだと。だから、行政は、市長は余り関与できないというようなことになっていましたが、ここで寝屋川市がやろうとしているのは、教育の中身の話じゃなくて、教育環境の整備をしっかり、これは行政の仕事なんですよ。だから、例えば、いじめでいえば、いじめを発見していたにもかかわらず学校長に報告していないとか、あるいは防止対策組織にかけていない、これは法令違反です。こういう場合には、教育環境の整備という観点で、行政庁が教育委員会に勧告を出すんです。

 というふうに、当然、教育に対して行政ののりは越えられないんですが、だから、勧告にも法的な効果はもちろんありません、ないんですが、行政も、市長部局もしっかり責任を持っていくんだというのがこの第二段階。市長いわく、学校教育現場というのは、いじめられている子供もいじめている子供も同じ生徒なので、教育的アプローチにどうしてもなると。第二段階でいくと、これは最悪の事態を避けるということをまず考えるので、加害児童と被害児童という概念でアプローチするというのが第二段階です。

 第三段階は、法的アプローチ。これは、第二段階でも解決できないものを、刑事告訴だったりとか民事訴訟だったりとかというのをやる。これは、当然、賛否があります。いろいろな賛否はあるんですが、ただ、ここで、学校の教育現場だけにいじめを任せるんじゃなくて、行政部局とかあるいは地域とか、こういうものを巻き込んで対応していくところにこれは意味があるといって寝屋川はやっています。

 そこで、ちょっと確認させていただきたいのは、こども家庭庁の役割というのは、こうした寝屋川モデルみたいな、こういうケースも含めて、自治体がやっている取組をしっかり応援していくということが私は重要な役割だと思いますが、いかがでしょうか。

宮路大臣政務官 こども家庭庁におきましては、先ほど政府参考人からの答弁にもありましたとおり、子供の権利利益の擁護を担う観点からいじめの防止を担うということになっておりまして、地方自治体における相談の体制などの体制整備を推進することとしております。

 自治体が相談を受けた後の対応策については、既に様々な取組が行われているものと承知しております。先ほど議員から御紹介いただきました寝屋川市の取組も、いじめ防止に向けて、自治体が学校、教育委員会と積極的に連携してその解決に向けて取り組む、好事例の一つというふうに考えております。

 現在、内閣官房におきましては、各地の自治体に対して子供政策の実施体制に関する調査を行っておりまして、いじめの問題に関する取組についても広く情報を収集しているところでございます。

 こども家庭庁が設置された後には、各自治体におけるグッドプラクティス、まさに寝屋川市の事例もその一つであると思っておりますが、そうしたものを把握、普及することを含め、自治体における具体的な取組や体制づくりをしっかりと推進してまいりたいと考えております。

伊佐委員 今、寝屋川モデル、好事例と言っていただきました。また横展開も含めて是非お願いしたいというふうに思います。

 文科省にも最後伺いますが、文科省は今までやってきたことをよりちょっと力を入れてしっかりやっていただきたい。旭川の中学校二年生が公園で凍死されているような話とかも、本当に、経緯を伺って、教育委員会、学校現場の対応を聞いていると、もう聞くに堪えないというか、本当に胸の詰まる思いがいたします。

 文科省は文科省として、教育委員会とか学校に対しての指導をしっかり、これを機にまたより強力に当たっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 全ての子供たちの健やかな成長を政府全体で保障するためには、文部科学省としましても、いじめ問題の解決に向けてこども家庭庁と連携するとともに、いじめ対策の強化を図り、これまで以上に強力に対策に取り組むことが必要と考えております。

 そのため、先月二十八日に文部科学大臣より全国都道府県、指定都市の教育長に対しまして、いじめにより児童生徒が深く傷つき、自ら命を絶つようなことは決してあってはならず、こうした事態は根絶していかなければならないという認識の徹底、学校内の組織的な対応を含めたいじめを見逃さない対応、体制の強化、犯罪ともいうべき事案における警察等との積極的な連携などについて要請をしたところでございます。

 文部科学省としましては、引き続き、いじめに対応する体制整備の充実など、いじめ防止対策推進法に基づいた対応が徹底されるよう、各教育委員会や学校現場の取組をしっかり促してまいりますとともに、こども家庭庁が創設されましたら、文部科学省から教育委員会、学校に、そして、こども家庭庁から首長部局にそれぞれ働きかけを行っていただきまして、更なるいじめ対策の強化を図ってまいりたいと考えております。

伊佐委員 今日はいじめの問題を取り上げましたけれども、やはり、文部科学省の部局がこども家庭庁に入らないというのは、それはそれで意味があるというふうに私は思っています。別々の主体が別々の角度でやっていくからこそ守れるものがあるんだというふうに思っております。文科省は文科省でこれまでのことをしっかりやっていただいた上で、更に上乗せでこども家庭庁がいじめ対応に取り組んでいくということを是非お願いしたいというふうに思います。

 次に、保育の現場の話あるいは幼稚園の現場の話ですが、現場で話を伺っていて、行政の手続で何が大変ですかと、いろいろ出てきます。書類が多いとか自治体によって様式が違うとかいろいろありますが、その中で、一番これが大変だ、もう何とかしてくれませんかと一番声が大きいのが、延長保育の申請なんです。これは、どれぐらい保育を延長してやるかで保育園に入る補助金が変わります。この算定が物すごい大変だという声を伺います。

 そこで、まず厚労省に伺いますが、どういう算定方法になっているか、ちょっと簡潔にお願いします。

橋本政府参考人 延長保育事業は、保護者の就労形態の多様化等に伴い、対象となる児童に対して保育時間を延長して保育を実施した場合にかかる費用の一部を補助する事業でございます。

 この事業の国庫補助申請に当たりましては、保育短時間認定の場合には、一時間延長、二時間延長などの区分ごとの年間平均利用児童数に補助単価を乗じて算出をいたします。また、保育標準時間認定の場合には、一時間延長、二時間延長などの区分ごとに定める児童数を年間平均利用児童数が上回った場合に、児童数にかかわらず、設定された補助単価を適用する、こういった仕組みになってございます。

 このため、国庫補助を受けるには、保育所は対象となる児童がいつ降園したのかということを記録していただいて、平均利用児童数を計算するということが必要になってございます。

伊佐委員 文科省、幼稚園型の一時預かり事業というのも同じだと思いますが、その算定方法はどうなっていますか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 子ども・子育て支援新制度においては、市町村が実施する一時預かり事業、幼稚園型1によりまして、一定の要件を満たす幼稚園の預かり保育に係る財政支援を行っております。

 この事業における補助額の算定に当たりましては、平日、休日等の別に、まず、基本分として、教育時間と合わせて八時間まで利用した者の年間延べ人数を、また、長時間加算分として、この基本分に加えまして二時間未満の利用者、あるいは二時間以上三時間未満の利用者、三時間以上の利用者の年間延べ人数など、利用時間の幅ごとに延べ利用人数を集計し、市町村に提出いただくということになってございます。

 この延べ利用人数を利用時間の幅等に応じて定められた補助額と掛け合わせて合計したものが補助額の上限となりますので、したがいまして、国庫補助を受けるためには、対象となる幼児の利用時間を記録し、延べ人数を計算するという必要があるところでございます。

伊佐委員 恐らく今聞かれてなかなかぱっと分からないと思うので、何が言いたかったかというと、非常に集計が面倒くさいんです。

 さっき言ったのは、保育短時間認定。これは、例えば、パートで働いている方、短時間預けますという方について、その時間をオーバーした分だけ、この子は今日は何時間オーバー、あしたは何時間オーバーというのを毎日表でつけるんです。最終的に、子供一人当たりの補助金が出る。

 今度、フルタイムで働いている場合は、保育標準時間認定というのになります。その標準時間を超えて、この子は一時間、この子は二時間超えたというのを一人ずつ全部集計して、こっちは、最終的に平均を出して、一事業所当たりで計算するということになる。

 幼稚園型の一時預かり事業というのも、これは一日決まった額で、この子は一時間超えた、この子は何時間超えたというのを毎日集計するわけですよ。

 これは、算定方法も違うし、金額もばらばらだし、膨大な作業で、同じ園に、一時預かりといっても、保育短時間もあれば、標準時間もいれば、幼稚園型の子もいれば、混在しているんです。この子はこれが何だというのを毎日エクセル表でやっていて、しかも、月によって変わるんですよ、今月は忙しいから標準時間認定をしてくれとかといって。

 というので、実は、現場で、このエクセル入力をするために一人雇って、こればかりやっているというのを聞きます。しかも、保育所がこの大変な膨大なエクセルの作業をした後、自治体がこれをチェックするわけですから、自治体の職員も大変なんですよ。

 というのもあって、是非、こども家庭庁を今回創設されて、強力な総合調整機能があるわけですから、保育園とか幼稚園それぞれにある共通する課題、膨大な事務作業、ここを何とか低減、工夫していただきたいと思いますが、大臣、お願いします。

野田国務大臣 お答えします。

 子供や保護者への支援に力を注いでいただくために、補助金申請などを含め、地方自治体や事業者など現場の方の事務負担を軽減していくことは重要であると考えています。

 このため、厚生労働省においては、保育支援者の配置やICT化による業務効率化、業務負担軽減のためのガイドラインや事例集の作成、普及など、保育士の方々の業務負担軽減に取り組んでいるところです。

 また、文部科学省においては、一時預かり事業幼稚園型に関しては、園が自治体に提出する様式の共通化を図っているほか、園務のICT化による業務効率化に取り組んでいます。

 さらに、こども家庭庁の設置に際して、認定こども園に関する事務については、通知等を原則としてこども家庭庁と文部科学省の連名で発出する、調査内容の共通化に向けた検討を行い、年間調査予定を事前に周知する、施設整備事業等について原則としてこども家庭庁へ移管し一本化するなどを行うこととしており、こうした取組を引き続き推進するとともに、更なる事務負担の軽減について検討してまいります。

 以上です。

伊佐委員 大臣、いろいろな取組をしていただいているのは本当にありがたいと思います。

 ただ、やっていただいていても、現場では、やはりこれが一番大変だという声になっていて、例えばさっきおっしゃったICT化、ICT化を入れて、ぱっと、子供たちが入ってくるのを自動的にタイムスケジュールを管理して、そこから報告できるんじゃないかというふうに事務方の方もおっしゃっていました。でも、聞くと、ICT補助金をもらったけれども、うちはそこまでやっていませんとか、やはり旗を振らないとそこまでできないのが一つ。

 もう一つは、それで自動で蓄積されたものが、ソフトウェアの会社のホームページを見ると、これで報告も楽になりますと書いてあるんですけれども、本当にこれをこのままクリックして送信して自治体が受け取ってくれるかというと、やはりフォーマットを結局合わせなきゃいけないんです。結局、打ち込まなきゃいけないというのが現状なんです。

 今日、厚労大臣も来ていただいていますので、是非連携してここは進めていただきたいというふうに思います。

 最後にちょっともう一つ。

 そもそも、この制度の課題は何かというと、これは根本的な問題なんですが、実績に基づいて補助額が決まるという制度なんです。保育園だって、保育所だって、子供が今日は少なかったとか多かったとか、その日になるまで分かりませんけれども、結局、対応できる人数というのは常にそろえているわけですよ。そうすると、体制は取っていて人件費もかかっているのに、実際にお金が来るのは来た人数分だけという実績になっています。だから一々全部カウントするわけです。

 もっと大変なのは、放課後デイ、支援が必要な子供たちの。放課後デイの場合は、障害の程度に応じて、来れたり来れなかったりがより激しいわけですよね。ところが、ここだって実績ベースなんです。でも、デイは、職員をちゃんとそろえているわけですよ。当日になって、来れませんという話になって、ここも、結局、算定されるのは実際に来た人数のみですので、この算定方式を変えていただきたい、是非ちょっと検討していただきたいんです。

 結局、現場はどうなっているかというと、定員はあるんですけれども、定員いっぱい分そろえていると、目減りというか来ない方が絶対いるので、ちょっと減らしているんですよ。そうすると、たまたま定員いっぱいに来られて、すると、人が足らなくなってお断りする。登録もされているのにお断りせざるを得ないというような状況になっていて、結局、子供や親にも影響していくというような状況があるので、この算定方法、実績に基づく算定方法、もうちょっと丸められないかとか、この辺も是非御検討いただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 障害福祉サービスでございますけれども、利用者が日ごとに複数のサービスや事業所を組み合わせて利用することができるように、日々の利用実績に応じた日額払い方式によりまして報酬が支払われる仕組みとしております。

 これによりまして、例えば、利用者が、保育所等訪問支援を受けながら、保育園等に通いつつ、特定の曜日のみ児童発達支援事業所を利用するといったようなことや、あるいは曜日によって別の児童発達支援事業所を利用することなどが可能になっておりまして、利用者がニーズに合ったサービスや事業所を選択できるようにするためにも、基本的には日額払い方式を維持すべきではないかというふうに考えております。

伊佐委員 なかなか辛い答えでしたけれども、現場の現状を是非御理解いただいて、また引き続きこれは議論させていただきたいというふうに思います。

 今日は触れませんでしたけれども、あと言われるのは、アンケート。我々政治の側も問題ですけれども、現場の状況はどうなっているんだ、ちょっと実態調査しろとよく言うじゃないですか。このアンケートが大変やと。しかも、各省庁、内閣府から来るアンケートと、厚労省から来るのと、経産省から来るのと、同じような内容ばかり来るというんですよね。よく見たらほとんどの項目が一緒で、前のでええやんかみたいなこともよくあって、ちょっとこっち側の、行政側のそこも横を統一して、アンケート一つ取ってみても、しっかりまた現場の負担に配慮していただいた取組を是非こども家庭庁では進めていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

    〔上野委員長退席、橋本委員長着席〕

橋本委員長 次に、山井和則君。

山井委員 二十七分間、質問をさせていただきます。

 連合審査ということで、先日、厚労委員会でも、内閣委員会でも、この四月から未成年者取消権がなくなったということで、高校三年生を含む十八歳、十九歳のAV、アダルトビデオの出演というものが事実上解禁された、この問題について、野田大臣にも、後藤大臣にも、今までから質問しております。

 そして、今回、こども家庭庁の法案審議ということで、今回の子供の定義は、「こども」、つまり、心身の発達過程にある方々ということで、前回の質疑でも、年齢を問わず、こういう十八歳、十九歳の方々もこども家庭庁の対象になるという話でしたので、今日、質問をさせていただきたいと思います。

 それで、議員立法の議論も、今、超党派で行っております。今日、多くの配付資料をお配りしておりますので、党派を超えて、高校三年生を含む十八歳、十九歳の方々が、今後、アダルトビデオにこの日本という国でどんどん出て、その中で幾らかの方々が当然出演被害に遭う、こういう問題をどう阻止していくのかという議論を野田大臣、後藤大臣としていきたいと思います。後藤大臣には最後の方で質問をさせていただきたいと思います。

 そもそも、これは、三月の上旬、我が党の塩村議員、そして江崎議員が参議院の内閣委員会で、党派を超えて、この問題は何とか、四月から未成年者取消権がなくなる分、アダルトビデオ被害から若い方々を男性、女性問わず守っていこう、超党派で議員立法が必要なんじゃないかということを参議院の内閣委員会で江崎議員、塩村議員が呼びかけられ、また、与党、野党、特に、自民党、公明党さんも今PTを持って案も作っていただいておりまして、昨日も三時から実務者協議があり、私も出席をいたしました。

 もちろん、議員立法はやっているんですけれども、それとともに、議員立法をやっているからこの若い方々のAV被害はこども家庭庁、政府、内閣府、厚労省は関係ないんだということにはならないと思います。

 そこで、まずお伺いしたいと思います。

 こちらの一ページ目にありますように、これは、ぱっぷすさんという、アダルトビデオの出演被害の、今までから本当に多くの方々の被害の相談に乗っておられる団体の資料であります。

 おさらいをしますと、三月末までは未成年者取消権があったために、十八歳、十九歳でアダルトビデオに出演をしても取り消すことができる、取り消したら、アダルトビデオの会社はせっかくビデオを作っても大損害になるから、事実上抑止力になって、二十歳以上しか出演していなかったわけですね。ところが、この四月一日からはそういう自主規制というか抑止力がなくなったということであって、これは、単に十八歳、十九歳だけではなく、ここの資料にありますように、十八歳から出演できるということになれば、十六歳、十七歳、高校一年生、二年生なども囲い込みやターゲットになり得るという、児童福祉法、厚生労働省にも関係することであります。

 そこで、二ページ目、めくっていただきたいんですが、例えば、インターネットでアダルトビデオ求人というのを見るとどういうのが出てくるか。これは、ぱっぷすさんが昨日の与野党協議会で全ての政党の議員に配付をされた資料であります。

 読み上げさせていただきますと、ネット検索、高収入バイトで出てくるアダルトビデオ出演募集ページの一部抜粋、たった一回のお仕事で二十万円以上、こういうアダルトビデオの広告がございます。

 また、その下には、こういうアダルトビデオにどういう方が募集されているのかということで、こういうサイトに典型的なケースが書いてあるんですね。そこを見てみますと、二ページの右下です、一番上に書いてある典型的なケースというのが、大学、専門学校の入学金、授業料を支払いたい、こういう、本当にこれは子供の貧困と非常に関係している切実な問題だと思います。

 さらに、野田大臣と私と、もう十数年前ですけれども、一緒に発達障害者支援法という議員立法を作りました。残念ながら、こういう被害に遭う方の中には、軽い障害があって、なかなか断りにくい、嫌と言えない、そういう軽い障害の方もアダルトビデオの出演被害に遭ったり、あるいは、自分の学費を稼ぐためじゃなくて、実は親が病気なんだ、ヤングケアラーと言われる、親が病気なので自分が稼がないと駄目だ、自分の学費じゃなくて弟や妹の学費を稼がねばならない、そういう方もおられます。

 私は、こども家庭庁の創設を議論する中で、これでいいのか、本当にこれでいいのかというふうに思うわけです。

 次のページ、これもぱっぷすさんの、昨日、与野党協議で配付された資料です。

 右の方から、合計十二人の方の切実な被害者の声が出ておりますので、ちょっとお目通しいただきたいと思います。

 左のページ、これも、私も今日お配りするのはちょっと悩んだんですが、残念ながら実例を見てもらう必要があるということで、このぱっぷすさんの資料を配付しました。これをちょっと説明しますと、どういうことか、皆さん分かりますか。法改正後に撮影、二〇二二年八月デビュー予定、この子が何々と一部始終を御覧ください。つまり、アダルトビデオに出演する一部始終を御覧くださいということで、黒塗りしてありますけれども、ちょっと見てみると、女子高生らしき制服を着た女性が、契約書にサインをしているのかどうか分かりませんけれども書き物をしている。こういうことで、類推すると、法改正後に撮影ということは、わざと法改正と銘打っているということは、十八歳を類推させる。

 そして、これは、それこそ三月末までだったら取消権が使えて、すぐ止められるんですけれども、法改正後でしたら未成年者取消権はないわけですから、四月一日以降に契約して撮影したのであれば、この方は、後で後悔して、え、こんなにたくさんの方に見られるの、やはりやめてほしいと言ったって、今は未成年取消権がないから、この方がもし後悔しても、もう救われないということになりかねないんですね。それを防ぐために、今、議員立法を作っているわけであります。

 そこで、野田大臣にお伺いしたいんですが、子供の幸せのため、子供を暴力や性犯罪から守るため、こども家庭庁をという理念だと思うんですけれども、こども家庭庁創設の私たちの議論のタイミングで、一方では高校三年生を含む十八歳、十九歳のアダルトビデオ出演が増えようとしている。この状況に関して、野田大臣としては、こども家庭庁担当大臣だけれども、いやいや、十八歳、十九歳のアダルトビデオ出演は増えていいんですよということなのか、これはおかしいと思われるのか、是非御答弁をお願いします。

野田国務大臣 お答えします。

 アダルトビデオへの出演に関する被害の問題は、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であり、深く憂慮すべき問題です。

 御指摘の点については、アダルトビデオに出演する現役高校生の確認方法や販売の範囲など、様々な論点があります。現状を直ちに把握することは難しいと考えていますが、その上で、昨今、現役高校生出演をうたうアダルトビデオがポルノサイトで販売されていることを、山井議員からも、資料を私も頂戴いたしました。現役高校生のアダルトビデオ出演が増えているのであれば、看過できない状況と考えています。

 私としても、文部科学省に対して、十八歳、十九歳は、高校生そして大学生、専門学校、たくさんそこに在籍している世代ですので、きちっと、成年年齢が下がったことで、自分たち、学校の生徒が想定できないような事態に巻き込まれるということも是非しっかりと受け止めて、子供たちを守る意味でもそういうことを啓発活動してほしいというふうにはお願いしてあります。まだちょっとしっかり返答はいただいておりませんが、そういう取組をさせていただいて、私としては大変憂慮しているということであります。

山井委員 憂慮されていると。これはもう、憂慮するのは当然だと思うんですね。今までは原則二十歳以上しか出演していなかったのが、現役高校三年生を含む十八歳、十九歳がこれから増えていく。

 これは、八月デビュー、大々的に八月に何か販売されるようなことが書いてあります。ちょっと私も本当にはばかられるんですけれども、この下にコメント欄というのがあるんです、実は。私、ちょっと読ませてもらいましたけれども、デビューが楽しみですね、法改正であっても幼過ぎませんかね、この年齢の子、世に出たらかなり問題になりそうですねと。

 やはり、これはどう考えても、法律の力、政府の力、立法府の力でブレーキをかけていかないと。野田大臣、これからいろいろ現状も把握してとおっしゃっていますけれども、一歩間違うと、この種のビデオ、あっという間に、政府がブレーキをかけなかったら、五十本、百本、二百本、残念ながら幼い性の方が売れるという悲しい現実があるわけです。

 私も、なぜ今日こういう質問をさせてもらっているかというと、これは本当に一刻を争うことで、今、契約、出演した方は、未成年者取消権がないからなかなか取り消せなくなってしまうということであります。

 そこで、今、野田大臣から出演被害という言葉がありました。前回の委員会でも、野田大臣は、今まで使われていたAV強要という言葉ではなくて、AV出演被害という言葉の方がいいんじゃないかという答弁をされました。実際、私たちも、今、AV強要という言葉は狭過ぎて、AV出演被害という言葉を使っておりますし、自民党と公明党のプロジェクトチームの名前もAV出演被害防止に関するPTとなっております。

 今まで、政府、内閣府もAV強要という狭い言葉を使っていられたように思うんですけれども、野田大臣、今後、AV出演被害ということで、より幅広く対策、対応をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 アダルトビデオへの出演に関する被害の問題は、先ほども申し上げましたけれども、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であり、深く憂慮すべき問題、重ねて申し上げます。

 アダルトビデオ出演被害については、モデルやアイドル等への憧れや好奇心を利用する、顔は映さない、絶対にばれない等と説明することにより、意思を誘導されて契約に至るといった事例があります。このような状況を踏まえて、アダルトビデオ出演強要ではなく、アダルトビデオ出演被害と表現するのが適切と考えて、政府で統一いたしました。

山井委員 これは、本当に非常に重要な答弁だと思います。

 アダルトビデオ強要といったら、正直言って、業者の方は、いや、強要していませんよ、自由意思でサインしたんですよとなるんだけれども、例えば、大の男四人に三時間粘られて帰るにも帰れない、そういうようなこととか様々なものがあったときに、なかなかそれは、自由意思だといっても自由意思と言い切れないところがあると思うんですね。そういう意味では、何か強要というと、いや、強要していませんよという不毛の議論になるので。実際、今、野田大臣おっしゃったように、結果的には、後になって、やはりこの映像が広がるの、残るの困る、自分の人生にとってということであれば、それはAV出演被害であると思うんですね。そういう認識に変えてくださったということは、非常に私は大きな前進だと思います。

 そこで、今後どうするかということなんです。

 先ほど言いましたように、今日の配付資料にありますように、どういうパターンだったかといいますと、十一ページを見ていただきたいんですけれども、今までは、やはり十八歳、十九歳、二十歳以下の相談というのは少なかったんですね。十八歳、十九歳が少なかった理由は、これは話は簡単で、十一ページに書いてありますように、取消権が抑止力として機能していたということで、ぱっぷすさんの最新の資料では、二十歳以上の相談が六十一人、二十歳未満が二十人。ただ、ぱっぷすさんによれば、実際、この数十倍ぐらいの被害者が当然おられるということであります。

 それで、例えば、次の十二ページ、「AV出演を強要された彼女たち」という宮本節子先生の著書があります。この中に様々なひどい事例が紹介されておりますが、ここに共通しておりますのは、十三ページを御覧ください、赤線を引きました。

 契約が結べるのは成人になってから。結局、Bさんの場合は、スカウトされたときには二十歳になっておらず、二十歳の誕生日を迎えたところで専属契約書にサインをしている。契約に至る経緯には、プロダクションにも言い分はあろうが、私たちの目から見ると、スカウトされて二、三か月はジム通い、プチ整形などで時間をずらして、二十歳になるまでBさんをつないでおいたと。十三ページにありますように、Cさんの例は、十八歳未満のときにスカウトされ、そのまま十八歳以上、二十歳以上と法的に自立する年齢になるまでは様々な理由をつけてプロダクションにつなぎ止められ、挙げ句に撮影に持ち込まれたのであると。

 つまり、成人しているかいないかは決定的な要素だ。今までは、プロダクションは十九歳までは撮影しなかったわけですよ。それは、取消権があったから。ところが、四月一日からは取消権はなくなったから、残念ながら、もう十八歳、十九歳でも契約や撮影が始まろうとしつつあるのではないかということなんです。

 それで、この未成年者取消権というのは五年の時効があったわけですね、今までは。つまり、契約してから五年間は、嫌だと言えば無条件に取り消せた。だから、AVメーカーは、取り消されたら困るということで、十八歳、十九歳には撮影、契約をしていなかったということですね。八ページにあります。民法百二十六条、取消権の期間の制限、五年間行使しないときは時効。とにかく、五年間はいつでも取り消せたんです。

 そこで、野田大臣にお伺いをしたいと思います。

 先ほど言ったように、十八歳、十九歳のアダルトビデオが今増えつつあるのではないかという憂慮の中で、今後も、議員立法か閣法かはさておき、やはり五年間ぐらいの、今までの取消権と同様ぐらい無条件に取り消せる制度というものが必要なのではないか、三月末まであったのが急になくなったりしたら駄目なのではないかと思うんですけれども、この辺りの取消権とか解除期間というものについて、答えられる範囲で、野田大臣、十八歳、十九歳の、あるいは子供たちを守るという観点から御答弁いただきたいと思います。

野田国務大臣 先ほども山井委員からお話がございましたように、与野党間で議員立法に関して取組が進んでいるということを今もお聞きしましたし、与党の議員の方からも御報告をいただいたところで、まさに各党の議論が今だんだん集約されつつある中で、是非、議員立法に関することは皆様方に御期待申し上げて、今おっしゃったようなことがしっかりとつながっていくように、お取組を見守りたいと思っています。

山井委員 それに関して、より更問いをさせていただきたいんです。

 今日の配付資料の中で様々な事例がございます。

 三ページを見てください。被害者の声。「被害にあった身だからこそわかりますが、被害に遭う人は洗脳に近く事務所の話を信頼をしきってサインをします。年齢の引き下げによりスカウト達は恐らく判断能力が低い十八歳〜二十歳を狙うでしょう。」それで、四ページ、次のページ。これも黄色の線が入っている。「人を疑うことを知らず、他人に対する警戒心も甘かった十九歳の私は、スカウトの嘘に簡単に騙されました。」「あえて判断力のない十代を狙ってきます。そこから逃げられないのは、語弊を恐れずに言えば当たり前なんです。」という被害者の悲鳴が書かれております。

 そこで、こども担当大臣の野田大臣にお伺いしたいんですけれども、もちろん、アダルトビデオの被害者は、十八歳、十九歳、二十歳から二十五歳、三十歳までおられます。しかし、その方々を守るときの強弱ですよね。私は、やはり若年者保護、十八歳、十九歳は幼いせいで狙われやすいんだから、より手厚く守ってあげるべきだ、法律や制度でと思うんですけれども、そこは、いやいや、年齢は関係ないんだという考え方が、やはり十八歳、十九歳、一番狙われやすい、言い方は悪いけれども、だまされやすい方はより手厚く守るべきだ、これは、野田大臣、こども担当大臣としていかが思われますでしょうか。

野田国務大臣 アダルトビデオへの出演に関する被害の問題、これは繰り返しになりますけれども、被害者に長期間、また、インターネットの時代ですから繰り返し繰り返しということもあり、悪影響を与える重大な人権侵害。

 内閣府が実施した調査によれば、アダルトビデオ出演に関する被害は、実は年齢を問いません。議員御指摘のとおり、十八歳、十九歳にだけ限った問題ではなくて、実は、二十歳以上、かつての成人以上の方たちも様々な被害者であるということを多数承知しています。このため、二十歳以上の方の被害も多くあることも踏まえて、十八歳、十九歳に限らず、年齢を問わない対策が望ましいと思っています。

 議員立法、議員御指摘の立法措置、今、議員提案にしっかり取り組んでおられるということで、そういうところを踏まえて、アダルトビデオというのは、必ずしもある一定の年齢ではなくて、そのときに被害を受けたんだけれども自覚がなくて、その後、成人して被害を受けた人にもやはり被害者が多数いるんだということで、幅広い取組を目指していただければありがたいなと存じます。

山井委員 もちろん全年齢を守ることは当然なんですけれども、私は、やはり特に十八歳、十九歳、若年者の保護が必要ではないかと思います。

 それと、これも質問通告しておりますが、今回、ぱっぷすさんを始め団体の方々の要望で大きいのが、二ページの配付資料を御覧ください、「絶対に「性交の契約」を明文化しないでください。」と。性交、つまり、撮影という中で性交をする、ストレートに言いますと、いわゆる本番アダルトビデオ撮影というものですね。それについては、やはり、法律でお墨つきを与える、明文化するのは大問題だということを多くの団体の方はおっしゃっておられます。

 そこで、野田大臣、女性大臣として見解をお聞きしますが、議員立法もありますよ、でも、そもそも、こういう本番行為、性行為の撮影のアダルトビデオというものを禁止なり制限なり規制する、そういう法整備というものがやはり必要なのではないか。このことについては、野田大臣、いかが思われますか。

野田国務大臣 まさに、今、各党での御議論が加速化しているところもありますので、私自身はその状況、御議論をしっかり見守りたいと考えていますし、アダルトビデオの出演に対する被害の問題はあってはならないことであり、これは大臣の性別は関係ありません。

 アダルトビデオ出演被害の問題に対する立法措置について、今御指摘の論点も含めて、それぞれ各党の皆様の議論がしっかり深まっているということを感じています。ですから、私自身は、これ以上、議員立法のことですからコメントは控えますけれども、是非、真摯な取組を期待するところです。

山井委員 野田大臣、なぜ私が今日多くの方の目の前でこれをやっているかというと、議員立法だけ、議員だけの問題じゃないと思うんです。やはりこれは政府を挙げて、男性、女性問わず被害を守るようにせねばという思いです。

 そういう意味では、やはり性交の撮影は非常に問題があって、それをアダルトビデオとすることに関して問題がある、禁止すべきだと私は思います。

 それともう一つ、忘れられる権利。つまり、幾らその当時は納得して出演したとしても、五年後、就職する、あるいは入学する、結婚する、家庭を持つ、様々な中で、やはり忘れてほしいと。

 納得して撮影したけれども、五年後以降は売らないとか、こういうふうなことを一部のメーカーはしております。そういう意味では、これも議員立法を問わずなんですけれども、一旦アダルトビデオの出演に同意はしたけれども、やはり、ある程度一定の期間で販売停止にしてもらえる、こういうふうな制度の整備、こういうことについても必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 今御指摘の点についても、現在、それぞれ各党が御議論されておられるところと承知していますので、議員立法に関すること、この内容については、しっかり私は状況を見守りたいと思います。

山井委員 繰り返し言いますが、アダルトビデオ出演被害は議員立法だけの問題じゃないんです。頑張りますよ。議員で、超党派で今頑張っています。でも、是非政府としても取り組んでいただきたいという思いを込めて、今、質問をさせていただいております。

 後藤大臣、こういうふうな背景の中で、質問通告しましたように、ちょっと話は変わりますが、やはり貧困家庭への児童扶養手当一万円の増額、あるいは二人親家庭にも拡大する、こういうふうなことが子供の貧困対策として非常に重要ではないか。やはりこのアダルトビデオの問題も、一つの原因は貧困問題にございます。

 これは通告しておりますが、今までから慎重に検討だったんですけれども、このような児童扶養手当の拡充、慎重という言葉を取って、検討すると御答弁いただけませんか。

後藤国務大臣 児童扶養手当制度は、離婚による一人親世帯等の家庭の生活の安定等を目的とした恒常的な支援制度でありますが、更なる拡充につきましては、一人親家庭に着目した現行制度の趣旨、目的、安定財源の確保、そうした観点も含めまして、慎重に検討が必要であると考えております。

山井委員 こども家庭庁をつくって、子育て予算を倍増するといいながら、慎重に検討するというのは、ちょっとこれは残念です。是非、検討に変えていただきたい。

 野田大臣にも同様の質問をします。

 やはり、多子世帯、多子加算だけではなく、児童手当、中三まで今ありますけれども、高三まで、月一万円、延長すべきではないか。こども家庭庁をつくるんだから、せめてそれを検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。

野田国務大臣 児童手当については、中学生までの児童を対象として支給しているところですけれども、従来から、多子世帯や子供の年齢に応じた拡充、重点化が必要、今日もまさに指摘があるところですが、昨年五月に成立した改正法附則において、児童手当に関し、児童の数等に応じた効果的な支給、その財源の在り方、支給要件の在り方についても、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえ、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を加えるということとされています。

山井委員 少子化の解消に寄与する観点から検討ということは、高校三年生までの延長というものもその検討の幾つかの中には入っているという理解でよろしいですか。

野田国務大臣 従来からの答弁どおりですが、子供の年齢に応じた給付についても指摘があり、検討対象になるものであり、いずれにしても、児童手当については、昨年の改正法の検討規定に沿って、子供政策全体の中で不断に検討を行っていくものと考えています。

山井委員 今、検討するという答弁は、非常に私は一歩前進と受け止めております。

 もう時間が来ましたのでまとめになりますが、十八歳、十九歳がこの四月一日から成人になったとはいえ、こども家庭庁にもありますように、心身の発達過程の子供、そういういわゆる「こども」のアダルトビデオというのは、今までと同様に私は原則禁止すべきではないかというふうに思っております。このことについて、政府と議員立法と車の両輪で対応すべく、頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日はこども家庭庁法案に対する質疑ということですが、現在、厚生労働委員会では児童福祉法の改正案の審議も進められています。こども家庭庁が設置されると児童福祉法もこども家庭庁に移管されるということですので、本日は、児童福祉法に関連する部分を中心に、こども家庭庁設置法案に関して野田少子化担当大臣と後藤厚生労働大臣にお伺いします。後で、法務のことは、津島副大臣、お忙しい中来ていただきましたので、伺いたいと思います。

 四月二十七日、後藤大臣、覚えてみえると思うんですが、厚生労働委員会で児童福祉法に対する質疑を行いました。また明日、続きをやらせていただきたいんです。大臣、そのときに、虐待を理由として新規に入所等措置される児童の人数は横ばいであるということは、全体としての児童数が減少する中で、虐待の増が背景にあるということを示す数字だと思いますと答弁されました。

 この虐待増の状況には様々な理由があると思いますが、これまで以上に虐待を防止するため、政府や地方自治体だけではなく、民間の団体などとも広く協力して、虐待防止に真摯に取り組まなければならないのは言うまでもありません。

 そのような中で、こども家庭庁が設置され、児童福祉法、そして児童虐待防止法も移管されることになっていますね、大臣。

 児童虐待への取組は、停滞は許されません。新たな組織でもこれまで以上の取組が必要だと思いますが、児童虐待防止のため、こども家庭庁はどのような組織、体制の下で業務を行うのか、また、関連の人員などの増減はどのように予定されているのか、野田大臣、お答えください。

野田国務大臣 お答えします。

 児童虐待防止対策については、現在、厚生労働省が中心となって行っている取組を引き継ぐこととなりますが、こども家庭庁においては、児童虐待防止対策や子育て支援などの子供政策に関する総合調整権限を一元化することで、政府全体の司令塔として、虐待発生の予防から虐待事案への対応の強化に至るまでの全ての取組をより強力に推進してまいります。

 こども家庭庁の組織、人員の詳細については、法案成立後、予算編成過程等において具体的な検討そして調整を進めていくことになりますが、児童虐待防止対策を始め現行の事務に携わる人員を厚生労働省、内閣府等から移管するとともに、現場を担っている地方自治体やNPOなどの民間団体との連携、協働を進めて、また、新規の政策課題等にも対応できる、そういう体制となるように、内部部局で定員三百人を上回る体制を目指して体制の強化に取り組んでまいります。

吉田(統)委員 かなり人員を増やしてしっかりやっていただけるということで、そこはちょっと確認したかったので、安心いたしました。

 里親養育制度のお話を少し聞いていきたいと思います。

 保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を公的責任で社会的に養育し保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行う社会的養護は、我が国の子供の健やかな養育の中で今後重要性が増していくと考えられます。

 特に、里親委託は、保護を要する児童を家庭的な環境で養育する上で大きな役割を果たしています。しかし、我が国の社会的養護は、やはり児童養護施設等による施設養護が多くを占めています。里親等への委託率が低いのが現状です。委員長とも、昔、視察で、こういったことは何とかならないかと。私、よく覚えております。委員長もすごく熱心にメモを取られていたのを思い出します。

 後藤大臣にお伺いしたいんですが、現在の里親養育制度など社会的養育について、どんな現状認識を持たれているのかということをお答えいただけますか。

後藤国務大臣 今、里親等への委託率が大きく伸びない理由もいろいろあるわけですけれども、里親制度の周知が十分とは言えないこと、それから、多忙な児童相談所が里親委託関連の業務も行っておりまして、里親への継続的な支援体制が十分でないこと、里親と児童の間のマッチングがうまくいかないこと等、問題があるというふうに考えております。

 厚生労働省としては、里親のリクルートからマッチング、里親委託後の養育支援までを包括的に支援するフォスタリング体制を整備し、更なる里親委託の推進を図るために、高い里親委託率を目指す都道府県に対して国庫補助率のかさ上げを行う等の対応も行ってきております。

 さらに、今般の児童福祉法改正法案におきましては、こうした里親支援体制の更なる強化を図るために、児童福祉法上、包括的な里親支援を行う児童福祉施設として里親支援センターを創設するなどの施策を盛り込みまして、更なる里親委託推進に取り組むということで、今取り組んでおります。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございました。

 次の問いの答えももうまとめてしていただいたので、次のテーマに。今日はちょっと聞きたいことがたくさんあるものですから。

 大臣、この里親支援センターをかなり今後の社会的養護の中で中心というかしっかりと位置づけてやっていく、拡大していくということですよね。答弁もそこの中に含まれたということでよろしいですよね。

 それでは、ちょっともう次のテーマに移ります。出産育児一時金についてお伺いします。

 確認なので端的に答えていただきたいんですが、出産育児一時金の所管はこども家庭庁が設置された後はどうなるかを野田大臣にお伺いします。

野田国務大臣 お答えします。

 出産育児一時金については、医療保険制度における給付の一つでありますから、その財源を含め医療保険制度の中で一体的に運用し、必要に応じ検討を行うことが適切であることから、引き続き厚生労働省において所管することとしています。

吉田(統)委員 ありがとうございます。確認させていただきました。

 それでは、これも後藤大臣に伺いたいんですが、この一時金の名称に育児とついているんですが、大臣、この育児というのは何を意味するのでしょうか。後藤大臣じゃないですかね。野田大臣でも結構です。

野田国務大臣 出産育児一時金の支給額は、公的病院における室料差額等を除いた出産費用等を勘案して定められているものと承知しています。

 また、昨年の骨太の方針において、出産費用の実態を踏まえ増額に向けた検討を行うこととされており、現在、厚生労働省において出産費用の実態把握に向けた調査研究を実施しているものと承知しています。

 この調査研究を踏まえて厚生労働省において出産育児一時金の支給額の検討がなされるものと考えますが、子供政策の司令塔機能を担うこども家庭庁としては、厚生労働省と緊密に連携しながら、自ら所管することとなる児童手当や幼児教育、保育の無償化等を含め、妊娠、出産、育児に関する施策が総合的に実施されるよう取り組んでまいります。

吉田(統)委員 それは、野田大臣、多分二つぐらい後の問いのレクのお答えですね。

 では、ちょっと大事なことなので。

 育児という、出産一時金じゃなくて、出産育児一時金と銘打ってあるわけですよ。これは、国がつけた名前だから非常に大事なんです。だから、後藤大臣に聞いているんです。出産育児一時金の育児というのは、何を意味してこれは育児とついているのかということを、大臣、はっきりと答えてほしいんです。

後藤国務大臣 野田大臣宛てに全部問いが立っているもので、失礼しました。

 ちょっと待ってくださいね。(発言する者あり)

橋本委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長 速記を起こしてください。

 後藤厚生労働大臣。

後藤国務大臣 育児の部分につきましては、児童手当や幼児教育、保育の無償化等、様々な施策が行われることを踏まえまして、医療保険制度として出産費用等を勘案して支給額を定めてきたという経緯があるものと承知しております。

吉田(統)委員 大臣、そうじゃなくて、要は、では、もうちょっと分かりやすく申し上げると、出産育児一時金とついている割には額が少ないということを言いたいんですよ。だって、出産費用だって満足にカバーできない額に今なっているわけです。

 これまでちゃんと説明してありますからね、大臣。大臣にちゃんと答弁していただきたいので、私、レクのときに説明してあります。出産費用だけでも足りないのに、育児とついているんだったらもうちょっと額を増やした方がいいんじゃないかという趣旨なんですよ、大臣。

 私、昔、出産育児一時金の同じようなことを役所の方に聞いたら、何か周産期が育児だというとんでもない答えをした役所の方がいらっしゃって、さすがにこれは私も医者ですから頭にきましたけれども、要は、足りない、育児という名がつくならもうちょっとしっかりと額をつけられたらどうかなということをお伺いしたくて、そういう質問をしているんです。

 もう分かりました。時間がなくなっちゃうので、では、野田大臣に聞いていきます。

 四月、高額な出産費用の負担を減らすため、自民党の出産費用等の負担軽減を進める議員連盟は、二十五日、政府に対して、健康保険などから支給される出産育児一時金を数万円引き上げるように求める方針を固めた、現在の四十二万から四十万円台半ばに増額するよう五月に岸田文雄首相へ提言する考えだとの記事が出ていました。

 以前より、私、様々な機会を通じて、出産育児一時金の増額を求めてまいりました。当時、加藤勝信厚生労働大臣のときですけれども、必要に応じて増額しますとはっきり私におっしゃいました。もうそれは本当にすばらしい答弁をいただいたと私も、多分、委員長も覚えていらっしゃると思うんですけれどもね。

 今回、ベースはやはり、妊産婦の支援は大事なんですが、出産において費用がかからないことですね。そして、その後の育児においても一定の支援が受けられることが現在の超少子化においては求められるんじゃないかと、野田大臣、思うんです。

 二〇二〇年にはくしくも現在の少子化対策の旗振り役の岸田総理と野田大臣が共同代表をお務めだったようですが、この自民党議連の動きに関して、少子化担当大臣として所感をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 今お話しのとおり、私と岸田さんがこの議員連盟の立ち上げの共同責任者のようなものをいたしており、今、こうやって政府側にいるので、小渕優子さんが議員連盟の会長を務めていただいております。

 先日もその会に出席いたしまして、引き続き出産一時金の増額に向けて取り組むということで、私も、こちらとしてもエールを送っていきたいということで、お話を終わらせたところであります。積極的に取り組んでいきたいと願っています。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣もお詳しいからあれですけれども、元々これは、四十二万から産科医療補償制度の三万が天引きされるんですよ。天引きじゃないと厚労省は言うんですけれども、実際には天引きなんですね、これも委員会で何度かやっていますが。今、一・五万円になりましたが、やはり、東京で出産するとどうですか、六十万、七十万、平均でかかるようでございます。そうすると、もう出産も足りない。育児と銘打つんだったら、やはり後藤大臣の代で是非これは大きな増額をしていただきたいなと本当に思います。

 出産育児一時金は厚生労働省が所管ということでございますので、今後、さっき野田大臣がおっしゃっているように、産科医療補償制度がそこから天引きされたり、確かに、厚生労働側との連携というか、厚生労働の方の所管だった方が都合がいいところがいっぱいあると思うんですが、ただ、こども家庭庁としてもここはやはり連携を取っていかなきゃいけない部分もあるんじゃないかと思うんですが、その連携に関して、出産育児一時金に関しては、野田大臣、どんな所感というか、連携を取られるおつもりか、教えてください。

野田国務大臣 こども家庭庁ですね。(吉田(統)委員「はい、そうです」と呼ぶ)

 こども家庭庁は、少子化の克服に向けた基本的な政策等の子供政策に関する司令塔機能を有しておりますほか、子供や妊産婦の保健の向上に関する事務を自ら所管することとしていますので、こうした観点から、厚生労働省における出産育児一時金の検討に際しては、必要な情報共有、意見交換を行うなど、緊密に連携協力してまいります。

吉田(統)委員 ありがとうございます。しっかりとお願いします。

 本当に、育児と銘打っちゃっていますからね。出産一時金ならまだ分かるんですけれども、育児とつけている以上は、役所の皆さん、もう本当に、僕も周産期とへ理屈をつけられたときはびっくりしちゃいましたけれども、そういう姿勢でやはり役所がいてはいけないとも思いますし、是非頑張って、期待しておりますので、よろしくお願いします。

 子供食堂について、ちょっと野田大臣の見解を伺っていきたいと思います。

 子供食堂は、民間発の自主的かつ自発的な取組ですね。二〇一二年、東京都大田区の八百屋さんの取組がスタートとされています。コロナ禍で子供の貧困がなお一層深刻となって、また、地域での交流が希薄ですよね。そういった中で、子供食堂が果たす役割は大きいと思いますが、子供食堂の役割について、野田大臣としてどのような評価をなさっているのかを教えてください。

野田国務大臣 お答えします。

 子供食堂は、子供にとって、食事の提供はもとより、様々な世代の方々と交流ができて、そうした中でいろいろな学びや体験ができる、そういう大切な居場所の一つであると認識しています。

 また、そうした中で、虐待とか貧困など困難な状況にある子供に気づいた場合には、声がけを行ったり、また、必要に応じて支援につないでいる子供食堂もあると承知しております。

 御承知のように、昨年十月に岸田総理と東京都内の子供食堂にて車座を行いました。一人親や孤独、孤立、子供の貧困対策などの支援担当者からお話を伺ったわけです。コロナ禍という厳しい状況にあっても、子供に寄り添い、そして、温かく見守り、支援の手を差し伸べている関係者の皆様の御努力には大変感銘を受けたところです。

 NPOなどの民間団体、住民の方々など地域の様々な方が自発的に関わり、多様な目的そして形態で取り組まれている子供食堂は、今後とも子供の健やかな成長にとって大変重要な存在だと思っています。

 子供食堂というのは、貧困状態にある子供に限らず、子供にとって大切な居場所、そうした認識を持って子供食堂の皆さんとともに歩んでいけるこども家庭庁にならなければならないと思っています。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 ばくっとした、関わり方に関しても最後に少しおっしゃっていただいた。では、少しだけそこを。

 やはり過度な干渉は、当然、行政や自治体からはいけませんよね、大臣。ただ、子供食堂は家庭ではないですけれども子供の成長の場として社会的な認知も広がってきている中で、こども家庭庁を設置するに当たって、答えられる範囲で結構ですけれども、こういった子供食堂にはどのように関わっていきたいとお考えなのかをお答えいただけますか。

野田国務大臣 先ほど私が申し上げたように、子供食堂というのは子供にとって大切な居場所であります。

 子供食堂の取組を国としても後押ししていくことは、子供の健やかな成長にとって大変重要であると考えておりまして、これまでも、子供食堂等の居場所づくりを行う自治体に対する交付金等を実施、拡充しているところなんです。

 こども家庭庁では、子供食堂を始めとする子供の居場所づくりに関する指針をしっかり策定して、政府全体の取組を強力に推進するとともに、自らも子供食堂などの様々な居場所づくりを進めていくことにしています。

 こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において、指針の策定に資するよう、子供の居場所についての実態把握や論点の整理に関する調査研究を行うことといたしています。

 調査研究の結果を踏まえて、子供食堂を含め具体的な居場所づくり支援の在り方について、今お話がありました多様性や自発性を十分踏まえながら検討を進めていきたい、そう思います。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 本当に、どのようなことをするのが適切なのか、非常に難しい部分もあると思うんです。本当に困っている子供にやはりリーチするように体制を整えるだとか、また、例えば、地域差があるとは思うんですけれども、そこに通っていることが分かるといじめられたりなんということにつながってはいけないですから、そこは、今回、こども家庭庁ができるに当たって、是非、適切な距離感と適切な対応をしていただきたい。

 また、ちょっといろいろ聞きたいんですが、時間がないので、今日、法務副大臣に来ていただいていますので、そちらのテーマに移りたいと思います。

 子供の生活環境という点で今問題になっていることに、いわゆる共同親権という問題があります。ただ、共同親権という言葉が、人によっても使い方が違いますし、そして、使われる局面によって様々な使われ方をしていて、その内容が一定のものになっていないということも問題を複雑化させている要素の一つなのかなと考えております。

 そこで、まず、津島副大臣にお伺いしたいんですが、共同親権という言葉について、法務省としては今どのような定義をしているのか。一般的な理解として、例えば、重要事項の決定に際して、単独でできるのか、あるいは共同でないとできないのかという意味のように思われるのですが、単独親権だから子供に会えないということにはならないと思うわけですが、法的にはそのような理解でよろしいのでしょうかね。親権の共同というときのこの親権はどのように考えればいいのかということを、副大臣、教えていただけますでしょうか。

津島副大臣 御質問ありがとうございます。

 吉田委員から、まず、親権の意義ということでお尋ねがあった、そう理解しております。

 一般に、現行の民法における親権というのは、子供の監護及び教育をする身上監護権と、子供の有する財産を管理し、子供を代理して法律行為を行うなどの財産管理権から成ると解されているところでございます。

吉田(統)委員 副大臣、その後の共同親権というものの定義、共同親権という言葉の法務省としての定義を教えていただけますか。

津島副大臣 単独、共同という言葉が前についたとしても、親権という定義については、今、先ほど申し上げたものと変わりません。お答えとしてはそういうことになります。

吉田(統)委員 そうすると、共同親権という言葉は法務省内で定義づけはされていないという理解なんですかね、副大臣。ちょっとそこ、大事なことなのでお答えいただけますか。共同親権という言葉がないんですかね、まだ。

津島副大臣 委員が冒頭お話しになったように、共同というところ、それから親権というそのものについては様々議論があるところでございまして、結論から言えば、我が省として一定の定義をしているところではありません。

吉田(統)委員 それで結構なんです。

 今は、世界各国から見ると、日本は単独親権とみなされていますよね。そういう前提で、では、話をまた続けていきます。もう時間がないですね。またこれはこの後やりたいんですが。

 離婚後の親権問題について、今、日本、我が国は、単独親権制度であるから、親子が断絶していると言われることがありますが、民法七百六十六条では、一項で、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」二項で、「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。」三項で、「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。」と定めています。

 親権をどう定めるかという問題と離婚後の親子の交流の問題というのは別の問題ですよね、副大臣。離婚後の親子の交流については、民法七百六十六条に基づいて、子の利益を最も優先して考慮する運用がなされるということで、副大臣、よろしいですね。

津島副大臣 委員御指摘のとおり、面会交流の有無や方法を定める場合やその定めに基づいて面会交流を実施する場面においても、子の利益を最も優先して考慮すべきであると考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。それで結構です。

 法制審議会家族法制部会の委員でもあり東京家裁部の総括判事の細矢郁裁判官らが「家庭の法と裁判」二〇二〇年六月号に発表した論考によると、調停実務で面会交流の原則実施論が独り歩きし、同居親に対する十分な配慮を欠いた調停運営が行われたことがあったとあります。それは細矢氏自身が関わった二〇一二年の論考の趣旨が誤解されたものだと記載されています。

 この運用で面会することになった子供たちの現状について、追跡調査等を行っているのかどうか。また、調停実務に関わる弁護士や当事者のお話を聞きますと、再調停で決め直しになっているようなものも多いと聞くのですが、法制審議会にそういった資料が出ているように思えませんが、今後、調査や検討をする予定があるのかどうか、副大臣、教えていただけますか。

津島副大臣 今、委員から御指摘があった原則実施論等含めて、面会交流に関する裁判所の判断について、行政である私、法務副大臣の立場としてなかなかお答えするというのはしづらいところではあるので、そこをまず御理解いただいた上で、一般論としてのお答えになってしまうんですが、父母の離婚後において適切な形で面会交流が実施されることは子の利益の観点から重要であるとの指摘や、面会交流の当否やその方法を判断するに当たってはDVや虐待などへの配慮が必要であるとの指摘があるということは認識してございます。

 法務省では、面会交流の在り方も含め、離婚等に伴う子供の養育の在り方の見直しについて、御指摘のようなところも含めて、法制審議会家族法制部会で調査、審議を進めておりますが、そこでは、今議論になっている点も含めて、現在の実務の運用等を踏まえた検討がされているものと承知をしてございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 副大臣、だから、おっしゃるとおりで、調査、検討しているということですよね。そういう理解で、ありがとうございます、それで十分な御答弁です。

 大分まだあるんですけれども、また次の機会に譲って、もう少しだけさせてください。

 英国の司法省が危害レポートというものを出しています。英国司法省では、DVは夫婦だけの問題ではなく家族の問題であるという捉え直しをしています。面会交流をすることが児童のために必要であるというプロコンタクトカルチャーという考えが離婚後もDVや虐待を継続してしまうとの問題点が指摘されているとお聞きしています。

 日本での面会交流に関するここ数年の司法判断の変遷を見ていると、我が国でも重なる部分があると思われるんですが、この英国司法省の報告について、法務省では研究や検討が何かなされているのか、どのような検討、評価、研究をされているのか、教えていただけますか。

津島副大臣 まず、調査研究を含め、検討というところでは、法制審議会家族法制部会で調査、審議を進めているところなんですが、委員の今お触れになった点というのは、面会交流の当否やその方法を判断するに当たってDVや虐待等に対する配慮が必要であるという指摘があるというのは、これは認識してございます。

 大事なことは、父母間の取決め等に基づいて面会交流が実施される場面においても、子の最善の利益を図る観点から、その面会交流が安全、安心に実施されるということが何より重要であるということ、これはもう委員と認識を共有しているものと私は受け止めております。

吉田(統)委員 まだ時間ありますよね。手元にまだ来ていないんですけれども、終わりの。もう少しだけ、最後になりますが、もう終わりですね、じゃ、これで終わりますが、簡潔な質問で終わりますので。

 副大臣、親子が適切な面会交流をした方がよいとはみんな思っていますよね。ただ、状況によって、子供のためにならない場合があるわけです。原則実施論という運用がされていたとして、合意しても履行されないという場合に、子供の意思や安全を考慮した場合、同居親として応じることが困難な局面も当然あり得ますよね。

 そこで、お伺いするのは、やはり、面会交流に関して、一度合意した場合、何年たっても法的に縛られるのかどうか。それに応じないと間接強制金が支払われるということになると、お金のために面会交流に応じざるを得ないことが出てきて、本来の子供の利益保護という目的が達成できないのではないかと危惧する声がありますが、ここに関して最後にお伺いして、続きはまた次回やります。

橋本委員長 津島法務副大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

津島副大臣 では、簡潔にお答えします。

 まず、拘束力に関して、一般論として申し上げれば、有するというところでありますが、七百六十六条三項によりまして、面会交流に関する審判がされた場合であっても、家庭裁判所が必要があると認めるときは、申立てにより、審判でこれを変更することができるとされております。

吉田(統)委員 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 皆さん、日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 本日初めての議員の方々もいらっしゃいますので、少し自己紹介をさせていただきます。

 私は、医療や介護の分野で二十年間仕事をしてまいりました。特に長くいたのはやはり介護の現場で、経営を行いながら、現場でも働いてきました。その中で、高齢者の方が対象だったんですけれども、実際、私自身が現場に行ってみると、やはりケアの問題、ヤングケアラーの問題、そして、貧困から本当に学校に行っているのかなというような心配をしながら、民間のときに仕事をしていたことを覚えております。ですから、ひとしお、子供のことに対しては何とかしたいなと思っております。私自身も四歳と十二歳の子育てをしながら、妻も教員をしていますので、共働きで子育てをしているというふうなのが私の生い立ちであり、環境であります。

 そこで、御質問させていただきたいと思いますが、まずは、医療、これは厚労省の管轄、そして、こども家庭庁がこれからできることによって子供の医療がどうなっていくのかというところを内閣官房、政府参考人にお聞きしたいんです。

 特に小児がんについては、全国十五か所、拠点病院ができておりますが、やはり数が少ないということもあって、病院まで出向かなければならない。そして、子供のがんのために親御さんもやはりそこで住んで一緒に病気と闘っていくということになると、もし兄弟がいた場合に、その兄弟の方のケアがなかなか行き届いていないという問題が実際あります。また、小児がんで病院生活が長いと、発達に対しての問題も出てくるということがあります。

 そして、虐待の問題も二十万件という途方もない数の通報がありますが、虐待に対しても、精神科のお医者さんは、医療のケアをすることによって、PTSDも、フラッシュバックがなくなって、軽減することがあるというか、軽減すると言い切っているドクターもいらっしゃいます。今年の一月には、新たに、複雑性PTSD、更に心のケアが必要な疾患名、傷病名も登録されたということになります。

 このことについて、厚労での医療分野が、こども家庭庁に行ったときに分離されてしまって、やはり縦割りの行政というところで、医療ニーズの変化に対応できていかないんじゃないかなというところを少し心配しておりまして、その辺りの御回答をいただけたらと思います。

谷内政府参考人 医療と福祉の連携についてのお尋ねでございます。

 まず、医療提供体制、医事法制、医療保険制度等の医療政策についてでございますけれども、子供を対象とする部分につきましても、医療政策全体の中で、関連する施策、制度と一体的に企画立案及び実施していくことが適切であるということから、こども家庭庁創設後におきましても、引き続き厚生労働省の所管としているところでございます。

 また、児童虐待などの子供の福祉に関する事務につきましては、こども家庭庁が厚生労働省から移管していただいて所管することになりますけれども、こども家庭庁は、子供や子育て当事者、さらに現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしております。

 議員御指摘のように、医療と福祉の連携は重要でございます。制度や組織による縦割りが生じないよう、こども家庭庁は、強い司令塔機能を発揮しまして、厚生労働省と緊密に連携することで包括的な支援を行っていきたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 追加で質問を少しさせていただきたいんですが、子供の虐待というのがあったときに、やはりお母さん、お父さんが精神的疾患を抱えていることも多くて、お父さん、お母さんの医療的な治療をすることによって虐待を止めることができるというふうに医療のドクターの方もおっしゃっているんです。お母さん、お父さんの治療という場合になると、これは子供とセットだとは思うんですが、その場合はどういうふうな対応になっていくのか、お答えいただけたらと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁でございますけれども、名前にございますように、子供政策を中心として担うとともに、子供の一番大切な居場所であります家庭につきましてもきちんと支援していきたい、そういう考え方の下に、大臣からも何度か答弁させていただいておりますけれども、こども家庭庁という名称にさせていただいているところでございます。

 したがいまして、今議員がおっしゃりました親に対する支援につきましても、お子さんがいらっしゃる親に対して一体としてまた支援していくようなことも、こども家庭庁として積極的にやっていきたい、今までも政府はやっておりますけれども、こども家庭庁創設後も積極的にやっていきたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 そこは分離せずに一緒にやっていただきたいというふうに思います。

 子供の数が減っていく中で、子供が虐待されて亡くなる数は減らないというのが今の日本の現状です。これはやはり、お母さん、お父さんの治療という部分のケア、これが少し足りていないのではないかなというふうに思いますし、ここの治療については大変進歩していると精神科のドクターもおっしゃっていますので、是非、こちらにも目を向けていただき、こども家庭庁ができたときに、親だから、医療だからというふうな分断がないようにしていただきたいと思っております。

 次は、産後ケアの状況について、野田大臣に御質問をさせていただきます。

 政府は、少子化社会対策基本法に基づき、妊娠、出産への支援の中で、不妊治療、そして切れ目のない支援としての産後ケア事業充実等を定めております。また、令和二年五月閣議決定、少子化社会対策大綱で、産後ケア事業を二〇二四年度までに全国展開するというふうに書かれております。

 その中で、私は、なかなか産後ケア事業所が増えないという事情を感じていまして、いろいろなところでヒアリングや、現場に行かせていただきました。残念ながら、私の地元は神戸なんですが、今日お伝えするのは大阪の東大阪の事業所になります。

 なぜそこを選ばせていただいたかといいますと、私の知る限り、最も規模が大きいです。年間六百人ほどのお母さんの産後ケアを行っている。月五十人ですね。大変大きい規模で、そして二十四時間体制です。働いておられる方は、常勤の助産師さんが四名、常勤の看護師さんが二名、そして常勤の保育士さん、それだけではなく、非常勤の夜勤専門の助産師さんが何と五名です、そして助手の方があと三名いる。こういう状況で、延べ六百の方を産後ケアしてきた。

 ただ、二〇一五年から始まった産後ケアの事業ですが、もちろん病院の横に併設されておりますが、何と、当初、二〇一六年は三千万の赤字です。そして、二〇一七年二千七百万、二〇一八年一千七百万、二〇一九年一千万、二〇二〇年やっと九百万ぐらいになったということで、これは隣に産婦人科の本業があるので何とかこれをやっているけれども、やはり理事会では毎年のように産後ケアをやめろという声が上がっている。しかし、産後ケアをやらなければ、やはり両親に負担がかかっていくということも分かるから、何とかやっていきたいという話をずっとしていました。

 その中で、今年四月にこの助成金の額が倍増というか増額されるということをお聞きして、四月十一日、これは決算行政で質問をさせていただいたときも、充実させていくというふうな答弁をいただいたんですね。

 実際に、今までは各自治体に助成金が下りていたところを、この四月からは一つの事業所に対して助成金が下りるということで、これはホームページにも載っておりますが、デイサービスやアウトリーチ型の一施設当たり月額百六十九万六千円出ます、そして、泊まりの施設に対しては二百四十七万四千六百円出ますということだったんですね。これだけ出れば何とか黒字に持っていけるのではないかという話をしておられたんですが、実際のところ、何と増額されたのは、デイケア、通いで行くのが八十一円です、一人に対して。そして、泊まりに対しては六十三円です。

 もう愕然とした数字で、私も東大阪の市に問い合わせてみますと、決して助成される金額が全て施設に払われるわけではないということと、もう一つ、私、びっくりしたんですが、何と、施設の箇所は六か所が上限だということなんですよ、六か所が上限。そうしたら、私が今まで見た中で一番多くの産後ケアをやってきたこの六百人でも、六か所だったら三千六百人の方しか産後ケアをできないということになります。

 私も事業所を経営しておりましたので、どんな経営状態かを見てみますと、非常に努力をされております。これ以上カットできるところはないんじゃないかというぐらいカットしてまだ九百万の赤字というところで、増額が九十何円では、やはり経営者も現場のスタッフも心が折れてしまうというふうに思うんですね。

 その状況でどうやって二〇二四年までに全国展開をしていくのかというところ、これについて、野田大臣に御意見をお伺いしたいと思っております。

野田国務大臣 私も、産後ケアはとても大切なことだと思っています。まだまだ軽く捉えている方が多いんですけれども、出産で一気に女性ホルモンの変化が出て、それに伴って精神疾患を招いたりとか、私の場合は体中が痛くなりました。そんなようなことで、なかなか男性には経験し得ない、ほぼ病気に近い状態になりますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 あと、問題は、やはり産後ケアに関して、今お話があったように、地域間格差がすごく出ていて、理解のあるところはどんどん進んでいくんですけれども、まだまだ産後ケアということに対して真剣に取り組んでいただけていないところもあることは重々承知しているので、しっかりと産後ケアの事業を実施している市町村そして事業者が安定的に事業に取り組むことができるように支援することが重要と考えております。

 今もお話がございましたけれども、産後ケア事業については、令和三年度から法定事業として位置づけられたところです。令和四年度の予算においては、産後ケア事業の実施、市町村への国庫補助について、まず、従来、自治体の人口規模別に設定していた補助単価を見直し、施設一か所当たり、かつ事業内容に応じて単価を設定するとともに、二十四時間三百六十五日の受入れを行う施設への加算の創設を行いました。各市町村、事業者の事業実態に応じたきめ細かな支援ができるよう見直しを行ったところと承知しています。

 こども家庭庁においても、まずは、今回の見直しによる事業実施状況などを踏まえて、引き続き、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の充実をしっかり図ってまいります。

 また、こども家庭庁においては、自治体やNPOを始めとする民間団体の方々とも積極的に対話、連携、協働を図ることとしておりまして、自治体や事業者からもよくお話を聞かせていただきながら、丁寧に取組を進めてまいります。

一谷委員 ありがとうございます。

 実は、私が一緒に産後ケアを取り組んでいる女性の助産師さんも、野田大臣にこの前お話を聞いていただきましたというふうにおっしゃっていました。ですので、今日こちらでお話をさせていただいているんですが、もう少し実情をお話しさせていただきますと、実は、市区町村で出してもらえる助成金も違いますので、この東大阪の方が、隣の市から来られた場合に、半額しか助成金が出ない。でも、半額でもしっかりとしたサービスは出さないといけないので、赤字が膨らんでいくということもあります。

 また、産後パパ育休というのが新しく出てきましたけれども、今、男性の方のうつが非常に増えているということで、十一人に一人の割合、八・四%らしいです。この男性のうつで私が問題だなと思うのは、これは海外の調査になりますけれども、特に男の子供が三・五歳になったとき、精神的な調査をしてみると、やはり、お父さんがうつの場合に、気持ちの不安定であったりとか、ちょっと成長に問題があるというようなデータがたくさん出てきています。

 ですから、男性の育休制度を増やすのならば、一緒にこういった男性の精神的ケアも必要になってきますし、これは多くの助産師さんや産後ケアに関わる方にお伺いすると、やはり女性の方と男性の方で育児に悩む場所が違うということなので、専門の窓口であったり専門の方で対応してほしいというのがお話としてありました。

 そして、これは、テスラのイーロン・マスクが日本が消滅するなんて恐ろしいことを何を思って言われたのか分からないですが、やはりこういうことが子供を産むことに対して不安になってくるということもあると思いますし、実際、私は、四歳と十二歳、九年離れています。うちの妻は、親戚一同の中で末っ子でしたので、自分が産んだ子供が初めて見る子供やったんですね。それで、三人に一人の方が女性の方でも産後うつとなりますが、私も、次の子が生まれるまで九年かかりました。やはりそれだけ心に負担を負ってしまって、もちろん妻が大学、大学院に行ったということもありますが、身をもって体験をしています。

 ですから、是非、もっと現場の声を聞くような窓口、その窓口があれば今回のこのような助成金、補助金の額というのはないと思いますし、私、お聞きしたら、黒字化している事業所を調べていないというんですよ。では、何を基にこの助成金をつけられたのかということになります。その辺りについて、野田大臣の御意見をいただけたらと思います。

 窓口の設置ですね。意見をどこか聞くところが、そういうスキームがあればなというふうに考えるんですが、今現状なかなかないのではないかと思います。現場から自治体、国につながるですね。

野田国務大臣 御指摘の産後ケアもそうですし、ヤングケアラーもそうですし、やはり、しっかり受け止める場所が実は行政に、政府に責任者みたいなものが明確でなかったこともそういう事態を招いたことだと思います。

 これからは、こども家庭庁が創設されるに当たっては、責任主体として、しっかりと取り組んでいる自治体、NPO、私もかつて山梨県の方に、もう亡くなられたんですけれども宮川典子さんのいざないでお邪魔したことがあります。すごく感動しました。そういうところをしっかり調査して、研究して、今御指摘のようなことに取り組んでいきたいと思っています。

一谷委員 ありがとうございます。

 非常に力強い目線で御意見をいただきました。ありがとうございます。是非、イーロン・マスクのもう訳の分からぬ話は吹っ飛ばすようなパワーを見せていただけたらなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、民間との協力というところについて、内閣官房、政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 今回、新たに人材を百人追加されて、外部の民間団体との連携も取っていくということをお話しされております。総勢三百人世帯になると思うんですが、どういった人材の方や団体の方を想定されているかということをお聞かせください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁におきましては、民間人材の活用を積極的に行うことによりまして、民間団体等の活動実績を通じて把握されたニーズやノウハウを政策立案につなげていきたいというふうに考えております。

 今議員御指摘の、どういった民間人材の方を採用するのかということでございますけれども、今、民間のNPOその他様々なところで子供に対して活動なされている、まさに現場をよくよく知っている方、そういった方にできるだけこども家庭庁の中に入り込んでいただきまして、政府の中で政策立案に取り組んでいただければというふうに考えているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 今のお話の中であったんですが、やはり民間と役所の意識の違い、相違というのはあると思うんですね。私は衝撃的だったのが、デジタル庁の民間の方が一気に退職をされたというお話。一気といっても、十人ほどなんですけれども……(発言する者あり)ああ、そうなんですね。済みません、私が日経のデジタルの記事を見ただけなんですが。はい、済みません。それは衝撃でした。

 ただ、私が民間としてこの政治の世界に入ってみて、やはり文化が違うなというところはすごく思います。私たちは、生産性というか効率重視で、やはり無駄な会議はやめたいなというふうに思いますし、業務連絡なんかはやはりデジタル化をもっと進めたいなというふうに思っております。

 そういったところの意識の違いをどうやって埋めていかれるのかというところと、NPOや一般社団に委託をされていく、こども家庭庁でもたくさんのところに委託をされていくと思うんですが、現状、成果が上がっておられる事例があれば教えていただけたらというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、こども家庭庁の職員として意識をどういうふうに変えていくんだということでございますけれども、昨年末に閣議決定いたしました基本方針におきましては、こども家庭庁というのは、常に子供の視点に立って、子供の最善の利益を第一に考えて、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む、そういった組織であるということを一人一人の職員がまず認識することが大事だというふうに考えております。

 また、こども家庭庁の基本姿勢といたしまして、基本方針の中でも言及されておりますけれども、まずは子供の視点、子育て当事者の視点を大事にするんだ、これを第一にするんだ、さらに二つ目、三つ目としまして、現場を担っておられる地方自治体との連携強化、また、繰り返しになりますけれども、NPOを始めとする団体、民間との積極的な対話、連携、協働をしていくんだと。そういったことを基本姿勢として掲げておりますので、この昨年定めました基本方針をしっかりと職員一人一人がまずは自分の身につけることが大事だというふうに考えているところでございます。

 それを踏まえまして、民間の方がこども家庭庁に来ていただいた場合には、今議員がおっしゃいましたように、使う言葉も違うこともありますので、よくよくコミュニケーションを取って行政を進めていくことが大事なのではないかというふうに考えております。

 あと、二つ目の質問でございます、様々な好事例でございますけれども、幾つか頭にあるものはあるんですけれども、また先生にお時間を取っていただいて御説明できればというふうに思っておりますので、今日はちょっと手元に具体的なものがございませんので、また後ほどというふうに思っております。

一谷委員 ありがとうございます。

 世代間格差というのもあると思うんですね、意識の中の違いで。私もスタッフがたくさん働いてくれていますが、世代間格差で価値観も違いますから、こういうところはしっかりつかんで、働きやすい環境をつくっていただくことがこども家庭庁の成功につながると思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、子供家庭福祉ソーシャルワーカーについて、厚生労働の参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 これは、児童福祉司との違い、子供家庭福祉ソーシャルワーカーと児童福祉司というのは何か違いがあるのでしょうか。お願いいたします。

橋本政府参考人 今御指摘いただきました児童福祉司でございますが、これは、児童福祉法に基づき、児童相談所において、子供、保護者への相談援助等の業務を行う方でございます。社会福祉士とか精神保健福祉士などのソーシャルワークの専門職や、あるいは大学で心理学や教育学などを専修した方などが児童福祉司ということで任用されております。

 一方、今回の児童福祉法改正案において創設する子供家庭福祉分野の新たな認定資格でございますけれども、児童福祉司の任用要件を満たすものとして児童福祉法上位置づけるとともに、これは児童相談所に限らず、市町村ですとか、あるいは児童福祉施設といった、子供家庭福祉の現場において相談援助業務を行う方々にも広く取得いただきたいと考えている、そういう資格でございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 では、ソーシャルワーカーになろうと思う方は、やはりインセンティブがないとなかなかなりたいなと思われる方も少ないと思うんですが、業務独占があるのか、どんなインセンティブがあるのか、その辺りをお伺いしてよろしいでしょうか。

橋本政府参考人 今般創設いたします新たな認定資格は、子供家庭福祉の現場において相談援助業務を行う多くの方々に取得していただきたいと考えておりますので、御指摘いただきましたように、資格を取得するためのインセンティブというのが大事になるというふうに考えております。

 このため、新たな認定資格については、その取得者のまず児童相談所における任用ということが進みますように、通常ですとおおむね五年の実務経験が必要となります児童福祉のスーパーバイザーにつきまして、ほかのソーシャルワークの現場での経験が一定程度あればおおむね三年の実務経験に短縮するなど、スーパーバイザーになりやすくする仕組みを設けたいというふうに考えております。

 加えまして、市町村や児童福祉施設など、ほかの子供家庭福祉の現場においても配置が進みますように、その施設等に配置するインセンティブについても今後検討いたしまして、子供家庭福祉の現場で資格取得がしっかりと促進され、その専門性が高まるよう、取り組みたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり急ピッチで、この児童福祉司の方、そして子供家庭福祉ソーシャルワーカーの方を育てていくということになると思うんですね。

 データを見ましても、児童福祉司の方の五〇%はまだ三年たっていないということになりますので、新たにこの子供家庭ソーシャルワーカーの方も創設されて、なられる方も多いと思いますが、やはり離職させない、しっかり働いてもらうというところで、心のメンタルケア、なかなか現場は、もう壮絶な現場がたくさんありますから、そういったところのフォローもしっかりしていただけたらなというふうに思います。

 それでは、デジタル化について、野田大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 子供関連のデータ収集と活用は非常に大事になってくるんじゃないかなというふうに思っています。虐待については、この四月からAIで分析するというようなところの取組もお聞かせいただいておるんですが、この子供家庭福祉ソーシャルワーカーが日々活動されるところのデータ収集をしていく。

 それをすることによって、科学的なサポートができるのではないか、ケアの向上をしていくのではないかというふうに考えますし、サポートやケアが属人化しない。経験則だけでやっていて、この方に見ていただいたらすごくいいケアだけれども、この方がやったらいまいちやなというようなことが出てくるのではないかというふうに思うんですね。これは人材育成にも役に立つと思います。

 私は、この介護の分野で、実はICT化を産学官で進めてきましたけれども、なかなか進まないのは、やはり、当初からそういったことを軸にして事業を進めなかった。やってくださいと途中からいってもなかなか難しいところがあると思いますので、せっかくこども家庭庁ができて、これからこういった子供家庭福祉ソーシャルワーカーの方が活躍されていくことになる中で、デジタル化のデータ収集はもう一般的だよというような認識を持っていただくのがいいのではないかなと思うんですが、その辺りについて、野田大臣の御回答をいただけたらと思います。

野田国務大臣 現場の支援に関する取組をデータ化、また分析、活用していくことは重要であると考えています。

 今、厚生労働省においては、例えば虐待事案に関するデータを収集して、その結果をAIで解析することにより、緊急性の判断に資するツールの開発を加速化することとしており、児童相談所における一時保護の判断に資するためのAIツールについては、手元にあるんですけれども、(資料を示す)AIを活用した緊急性の判断に資するツールの開発促進ということで、デジタル庁の方で計上してあり、令和四年度から設計、開発を行い、令和六年度に全国での運用を開始することを目標としているということを承知しています。

 こういう取組を参考にしながら、こども家庭庁においても、御指摘のデジタル化によって支援の質の向上につながるよう、しっかり検討していきたいと思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 実は、この児童福祉司の方がどんな働きをしているかというところを勉強させていただく超党派の勉強会に参加させていただいた際に、ある議員の先生が、やはりデジタル化を進めないといけないんじゃないか、これから少子化もありますし、生産性を向上させないといけないんじゃないかと話をしたときに、その団体の長の方がおっしゃったのが、いやいや、やはり対人援助職だから、人がやらなければならないからというような意識だったんですね。

 それを聞いたときに、やっぱりなと思ったんですよ。我々福祉の現場で働いている人間は、やはり、人が人を、そして、人が手をかける対人援助職こそ大事なんだと。

 もちろんそれは、最大限、ベースとしては大事なんですが、これから人口も減っていきますし、何よりもやはり、科学的にデータを分析することによって、よりよい介護につなげていくということが重要だと思います。

 また、これを蓄積することによって、世界の子供たちも助けていけるのではないかなと思うんですよ、私は。先進国の日本は、やはり子供の問題というのはかなり表面に出てきていますが、これから追いかけてくる国もあると思いますので、そういったところにこの日本の集めたデータを生かしていく。

 少し誤解をされないようにお話をしたいんですが、やはりこういった社会福祉の分野というのは税を使わせてもらうだけなんですが、こういったデータを集めることによって新たな産業を生み出すことができるんじゃないかなというふうに思っています。ですから、このデータの収集というところは、こども家庭庁をつくっていかれる中で、最も大事にしていただけたらなということを最後の私の御意見とさせていただけたらなというふうに思います。

 今日の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 早速質問をさせていただきます。

 まず、財源について伺います。

 政府は、待機児童対策の財源を、今回、一部の高収入世帯の児童手当の削減によって捻出することにしました。しかし、子供というのはやはり社会全体で支えていくことが大切でありまして、私は、子育て支援には所得制限をかけるべきでないと考えていますが、いかがでしょうか。

 そもそも、今回の児童手当の見直しは待機児童対策の財源不足を解消するのが目的であり、子育て支援策の予算を削ってつけ替えるのは少子化対策の充実強化の方針と矛盾するのではないかと考えます。つまり、少子化対策とまた子育て支援が混同してしまっておりまして、パイの奪い合いになってしまっているような様相であります。

 こども家庭庁の縦割り行政の打破というのがここで求められていますし、さらに、財源の確保というのが求められています。総理も子供予算を倍増したいと発信していますが、是非、安定財源をどのように確保していくのかの野田大臣の決意をまず伺います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 子供や子育てに対する支援については、これまでも、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、ニーズを踏まえて、優先順位をつけながら、安定財源を確保しつつ、様々な支援の充実が行われてきたところであります。

 その際、各制度において所得制限を設けるかどうか、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものと考えています。

 岸田総理は、子供政策に関する予算については、今後はこども家庭庁の下で、子供の視線に立って、体系的に取りまとめていきたい、その際、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより、将来的に倍増を目指していきたいと御発言をされました。

 私としても、期限、規模ありきではなく、子供の視点に立って、安定財源を確保しつつ、必要な子供政策の充実にしっかりと取り組むことが重要だと考えています。

 私の方から政府予算全体についてお答えすることは難しいのですが、今後、子供政策に関する予算は、こども家庭庁の下で、体系的にしっかり取りまとめていきたいと考えています。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 もちろん、予算ありき又は規模ありきではなく、中身が大切なわけでありますけれども、お金がなければできないという現実もありますので、是非、予算の確保にも大臣の力を発揮していただければと思います。

 また、税の在り方も議論が必要と考えます。

 当初は、夫が働いて女性が専業主婦やパートタイム労働という家族モデルによってつくられた配偶者控除は、現在では、既婚女性の働くインセンティブを阻害するんじゃないかというような問題も指摘をされています。この配偶者控除は、子育て支援の機能も有していますが、所得が高い人が逆に有利に税額が働くということも言われています。

 一方、給付つきの税額控除は、税額控除の額よりも税額が低い場合に控除し切れなかった額の一定割合を給付するものであり、税額控除と手当の両方の性格を併せ持つ制度であります。

 配偶者控除の在り方とともに、この給付つきの税額控除の検討というものも是非行ってもらいたいと考えますが、野田大臣の考えを伺います。

野田国務大臣 いわゆる給付つき税額控除、これについては、同様の政策目的を持つ制度との関係をどうするかなどの問題があると思っています。

 また、新たに給付つき税額控除を導入するには、まず所得や資産の把握が必要といった課題のほか、行政の執行可能性やコストといった課題等の問題があると承知しております。

 慎重に検討していく必要があると考えています。

田中(健)委員 女性の働き方も多様化しまして、冒頭申し上げました働くことのインセンティブがそがれてしまったり、また、働きながら子育てするというようなことにブレーキがかからないような制度を是非税制面でも整えていただければと思っています。

 また、委員会の中で、野田大臣から、結婚制度の在り方についても議論が必要だとの発言がありました。

 実際に、夫婦と未婚の子というのが家族のモデルでありまして、一般的には、人々は結婚に価値を置いて、そして、結婚することが望ましいというふうにされています。また、その一方で、制度によって子供を産み育てづらいという現実も存在しております。

 こども家庭庁を創設するに当たって、いま一度、家族の在り方というもの、また、具体的に選択制の夫婦別姓制度導入についてどのように考えているのか、野田大臣に伺いたいと思います。

野田国務大臣 家族の姿は、単独世帯、一人親世帯が増加するなど、昭和の時代と比べて多様化しております。夫婦と子供の世帯は、もはや標準的な家族モデルではなくなっています。

 日本では結婚することと子供を産むことが結びついているという議論があり、結婚を望む人たちを応援していくとともに、結婚をためらわせる要因をできる限り取り除いていくという必要があります。

 令和三年度に内閣府が行った人生百年時代における結婚・仕事・収入に関する調査、この中間報告によれば、積極的に結婚したいと思わない理由、様々あるわけですけれども、その中に、名字、姓が変わるのが嫌、面倒だからと回答した方の割合は、二十歳から三十九歳の間で、独身女性が二五・六%、独身男性が一一・二%でした。また、四十歳から六十九歳では、独身女性が三五・六%、独身男性が六・七%というふうに出ております。

 夫婦が同じ名字、姓を名のらなければならない現在の制度の下で結婚はできない、結婚をためらう方々が一定数は存在することは、結婚の希望をかなえる観点からも問題とするべきで、選択的夫婦別姓制度の議論を加速させていく必要はあると考えています。

田中(健)委員 アンケート、またその調査に基づいた制度のことについては分かったんですけれども、大臣個人として、この選択的夫婦別姓制度導入について、いろいろな場面でも発言があったかと思いますが、改めて考えを伺えればと思います。

野田国務大臣 法制審議会の答申を受けて、選択的夫婦別姓を次の世代の人たちにというところをスタートとしてもう四半世紀、別姓導入に向けて取り組んでいる一人であります。

田中(健)委員 選択的ということで、望む人がいるならば、別姓で結婚ができる、ないしは名のれる、それを是非、私もこの間訴えてまいりましたので、進めていただければと思っています。

 時間となりました。質問を終わります。以上です。

    〔橋本委員長退席、上野委員長着席〕

上野委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、保育園の配置基準と公定価格についてお伺いをいたします。

 例えば、イギリスでは、ゼロから二歳児は保育士一人に対して子供三人、四、五歳児は一対八ですが、我が国では、一、二歳児は一対六、四、五歳児は一対三十と、一人一人の成長と安全、命に関わるにもかかわらず、四、五歳の配置基準は戦後直後から変わっておりません。

 こども家庭庁をつくり、こどもまんなかというのであれば、配置基準は直ちに引き上げるべきだと思いますが、いつ引き上げますか。

野田国務大臣 お答えします。

 教育、保育の質の向上のためにも、保育士等の職員配置の改善を図っていくことは重要な課題と考えています。

 三歳児に対する職員の配置改善に関しては、平成二十七年度から取り組んでいます。一方、いわゆる〇・三兆円超の質の向上事項については、一歳児や四歳、五歳児の配置改善については未実施となっている次第です。

 子供政策に関する財源確保については、基本方針においても、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしています。

 一歳児、四歳児、五歳児の配置改善などの〇・三兆円超の事項についても、引き続き、毎年度の予算編成過程において財源の確保に努めてまいります。

宮本(徹)委員 だから、こども家庭庁をつくることに行っているわけですけれども、前の答弁と変わらないですね、今お伺いしていましたら。毎年度の予算編成過程で確保に努めるというのも、ずっと同じ答弁ですよ。これはやはり変わらなきゃまずいと思うんですね。

 今日議論をしたいのはその先なんですね。

 この余りにも低過ぎる配置基準を基に公定価格が定められておりますが、実際は、その低い配置基準を裏づける費用も公定価格に見積もられておりません。

 労働基準法は、一日八時間、週四十時間労働を原則としております。一方、保育園は、一日十一時間、週六日、六十六時間開所、これが基本です。そもそも、今の公定価格に基づく保育士の人数で、休憩時間や配置基準など法令を遵守してシフトを組むことは可能なのか。

 野田大臣にお伺いしますが、子供八十九人、公定価格上で保障された常勤保育士十一人の場合、週六日、六十六時間開所のシフトの具体例を示すことはできますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所は一日十一時間の開所を原則としており、公定価格においても、一日十一時間、週六日の開所を想定して積算をしているところでございます。

 委員がお示しされているケースについて申し上げれば、朝七時から十八時までの十一時間が公定価格の対象となり、十八時以降については延長保育事業において別途措置をされております。また、朝の登園時や夕方の降園時は徐々に子供が登降園するという実態がございます。

 こうした前提の下、公定価格においては、登降園時の児童数に応じた職員配置とすることや、子供が少ない時間帯における短時間の非常勤職員の活用を念頭に措置をしておりまして、実際の現場においてもそのような対応が行われていると考えております。

 ただ、一方で、保育所等の現場におきましては公定価格上の配置基準を超える職員が配置されている実態があると承知をしており、教育、保育の質の向上のために、保育士等の配置の改善を図っていくことは重要な課題だと考えております。

 先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、昨年末に閣議決定をいただきました基本方針も踏まえまして、〇・三兆円超の事項についても引き続き財源の確保に努めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 具体的なシフト例というのを実は現場の保育士の皆さんが示してくださいということをずっと求めているんですけれども、示せないんですよ。なぜかというと、組みようがないというのが元々あるんです。

 しかも、私が事前に内閣府からいただいた資料があるので、今日、配付資料三ページ目につけていますけれども、計算上は可能だというふうに資料を持ってきたんですけれども、随分なでたらめなんですね。

 三ページ目を見ていただきたいんですけれども、設備運営基準上必要とされる保育士は延べで五百十三時間分です、公定価格上措置されている保育士は五百三十時間分ですと持ってきました。ところが、この一、二、三までは実際の保育士ですね。四は業務省力化ということが書かれていて、これが約八十時間分あるんですね。

 じゃ、この業務省力化分の経費というのは幾ら出しているかというのは、大臣、御存じですか。年額、一人当たり三十二万円なんですよ。実は、これで一人当たり週八時間分の業務省力化費を計算しているんですね。ですけれども、年三十二万円を週八時間で単純に割ったら、時給八百円になるんですよ。最低賃金以下ですよ。ですから、年額三十二万円で毎週八時間分の保育士確保というのは法律上できないわけですね。

 ですから、この五百三十時間分、公定価格上措置されている保育士でカバーできるんですというのは全くのでたらめなんですね。

 しかも、この政府資料では業務省力化というのをここに入れていますけれども、その資料の裏面の四ページ目を見ていただければと思いますが、この業務省力化というのはどこに入っているかといいますと、人件費、管理費という区分がありますけれども、管理費の方に入っているんですよ。人件費に充てていないものをわざわざ人件費の側に回して、あたかもこれで公定価格上保育がちゃんとできるだけの人数を保障していますというふうな説明をしているわけです。この資料は内閣府のホームページに出ているんですよね、堂々と。いろいろな審議会でも出している資料なんですね。

 こういうごまかしをやっているというのを、野田大臣、御存じでしたか。知っていたかどうかだけでいいですから。

 参考人に聞いていません。参考人に聞いていません。野田大臣が知っていたかどうか。

野田国務大臣 詳細な数字とかは存じておりません。今委員からも御指摘がありまして、事前に、この委員会に出席するに当たって、改めて確認をさせていただきました。

宮本(徹)委員 改めて確認していただいて、これは随分なでたらめだというふうに思いませんでしたか。

 いやいや、それは大臣に答えてもらわないと。役所は答えられないですから。役所の人はもういいですよ。

上野委員長 内閣府藤原子ども・子育て本部統括官。まず、藤原さん、お願いします。

宮本(徹)委員 聞いていないんだから。ちょっと、委員長、おかしいでしょう。

上野委員長 まず、技術的な説明をお願いします。

藤原政府参考人 御指名いただきましたので、御答弁申し上げます。

 公定価格では、週六日の開所に対応するため、保育所の人件費につきまして、配置基準に基づく保育士数、それから休憩時間に対応する保育士数一名、それから、十一時間開所に対応するための保育士に加えまして、今委員が御指摘いただきました業務省力化の改善費として上乗せをしております。

 これらの公定価格の全体によりまして、土曜日も含めて週六日の開所を行っていただくということにしております。

 ただ、大臣からも答弁申し上げたとおり、配置改善は非常に重要でございますので、毎年の予算編成過程でしっかり努力をしていきたいということでございます。

野田国務大臣 詳細は今参考人が申し上げたとおりで、しっかり配置基準に取り組んでいきたいと思います。

宮本(徹)委員 今の説明、全く説明になっていないじゃないですか。

 もう本当にいいかげんなんですよ。

 ちなみに、仮に五百三十時間分つけたとしても、それでシフトを組もうと思ったら、はちゃめちゃなものしか組めない、現場からすれば。真ん中をずっぽり三時間も待機時間を設けるとか、そんなことをしない限り、まともなシフトは組めないんですね。法令を遵守して現実的なシフトが組めるようなお金というのは、公定価格上、今措置されていません。これは、是非、大臣の目で検証していただきたいと思います。

 だからこそ、今、経営実態調査でも、公定価格上の保育士の配置人数十二・三人に対して、実際の配置人数は十六・七人というふうになっているんですよ。組みようがないから、現場はそうやって組んでいるわけです。給与を薄まきにして運営しているのが実態なわけです。ここは本当に根本的に変えなきゃいけないということを申し上げておきたいと思います。

 さらに、資料の一ページ目を御覧いただきたいと思うんです。

 これは、厚生労働省の保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドラインのあるページですが、ここに、休憩時間が取れないという典型的な声が紹介されております。休憩中に書類などの業務を行っているために実際には休めていない、休憩時間は与えられているが、保育から完全に離れることができないため休んだ気がしない。

 後藤大臣に来ていただきましたけれども、これは労基法違反ですね。

後藤国務大臣 労働基準法違反かどうかは個別の事案ごとに判断するために、御指摘のガイドラインの記載のみで法違反かどうかは一概にお答えできませんが、一般的には、労働基準法における休憩時間とは、労働者が労働から解放され、自由に利用することが保障されている時間のことをいいます。このため、休憩時間とされていても、実際には業務に従事した場合や、労働から離れることが保障されていない状態で待機等をしていた場合、いわゆる手待ち時間でございますが、これは労働時間として扱われるものでございます。

 なお、御指摘のガイドラインの記載は、保育現場に向けて業務改善の実践に向けた取組方法を示すに当たり、解決すべき課題の例として記載しているものであるわけでございまして、当然、課題として直されるべきものの例であると思います。

宮本(徹)委員 労基法違反は明確だと思うんですよね。ですから、今の低い配置基準に基づく公定価格では、給与を薄まきにして保育士を現場は増やしておりますが、それでも足りなくて労基法違反が常態化しているというのが厚生労働省自身の認識なわけですよね。

 休憩時間が取れないと注意散漫になって、子供の安全と発達保障にとって極めて重大なことになると思いますが、それはそのとおりですよね。

後藤国務大臣 保育所において、保育士が休憩時間を確保することは、適切な労働環境の確保という観点だけではなくて、保育の質の向上の観点からも非常に重要であると認識をいたしております。

宮本(徹)委員 この間、重大な事故もあるわけで、安全のためにも保育士を増やす必要があるというのははっきりしていると思います。

 報道を見ていましたら、今年、東京二十三区では、世田谷を除いて保育園の申込みの人数が減り、過半数の区でゼロ歳児の空きも三桁になっているということであります。政府の見込みでは、保育所の利用児童のピークは二〇二五年度とされておりますが、その基になっている国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計よりも出生数は大きく落ち込み続けております。

 出生数が減り、利用児童数がピークを越えて漸減する下で、安易に保育園を廃園するのではなくて、配置基準を改善するチャンスとして今取り組む必要があるのではないかと思いますが、野田大臣、いかがですか。

野田国務大臣 近年、出生数は減少傾向にあります。

 また、厚生労働省の地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会の取りまとめにおいて、人口減少地域においては、定員割れなどにより保育所の運営が困難になってきているなどと指摘をされているところです。同検討会の取りまとめでは、保育所を多機能化して、地域の子育て支援の中核的機関とするなど、地域の実情に応じて必要な機能を選択し、展開することについても真剣に検討するべきとも指摘されております。

 人口減少地域等においては、保育所等が地域の子育て支援に対する多様なニーズに応えていくことが重要だと考えています。

 他方、教育、保育の質の向上を図るためにも、保育士等の職員配置の改善を図っていくことは重要な課題と考えています。

 三歳児の配置改善に関して、平成二十七年度から取り組んでいます。一歳児や四歳、五歳児の配置は、先ほど申し上げたように、配置改善についてはいわゆる〇・三兆円超の質の向上事項とされていて、現在のところは未実施となっています。

 子供の政策に関する財源確保については、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針においても、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしておりますので、一歳児や四歳児、五歳児の配置改善など〇・三兆円超の事項についても、引き続きしっかり毎年度の予算編成過程において財源の確保に努めてまいります。

宮本(徹)委員 保育所等の整備交付金がこの間減ってきているんですけれども、二〇一四年度、二〇一七年度、二〇二二年度は幾ら予算を組んでいますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所等整備交付金の当初予算額では、二〇一四年度、平成二十六年度は約千三百一億円、これは安心こども基金の内数でございます。平成二十九年度は五百六十四億円、令和四年度は四百十七億円というのが当初予算の額でございます。

 ちなみに、令和元年、二年度、三年度の補正後の予算額で見ますと、それぞれ、八百九十六億、八百五十五億、九百二十六億円、このような状況になってございます。

宮本(徹)委員 ぐっとここに来て保育所等整備交付金の額も下がってきていますので、しかも、これから保育所に入る方が低くなれば、公定価格という点でも、予算も減っていくことになるのは目に見えているわけですね。

 ですから、予算の面でも人の面でも配置基準を改善する、ある意味、いい機会が来ているわけですから、こども家庭庁、こどもまんなかというのであれば、本当に真剣に子供の権利のために配置基準を改善する、このために決意を持って取り組んでいただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

上野委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文と申します。

 こども家庭庁設置法等に関して質問させていただきたいと思います。

 新たに家庭を構成する赤ちゃん、子供、この入口にもなる例えば生殖補助医療に関して、私も産婦人科医師として現場でやってきました観点からいろいろ聞きたいことがあります。

 野田大臣、実は、いわゆるイノベーションの獲得によって、この生殖補助医療、本当にドラスチックに変わりました。例えば、一世紀前ではあり得なかった、昔の技術、昔の段階ではあり得なかった命であったり、そういった新しい子供が家庭に入ってくる、いわゆる誕生してくる、仲間に入ってくるという状況になっています。

 そういう中で、従来、私も所属しております公益社団法人の日本産婦人科学会の倫理委員会というところが、主に、私たち産婦人科医師として生殖医療に対峙する中で、そのルールというか、それを決めてきました。

 これに関しては、今年の四月から、例えば、一般に、生殖補助医療も、年齢制限はありますが保険適用になって、お金がないからそういったことを諦めるという方もいたわけでございますけれども、より多くの方がそういう技術を保険を通して医療で受けることができるようになってきましたが、私は、そういう中においても、やはり倫理的な課題が残っていると思います。

 例えば、今、生殖補助医療法案に関しましても議論の項目になっています、例えば、生まれた子供の自らの出自を知る権利であるとか、代理母の問題とか、あるいは男女の産み分けの問題、こういう技術もあるわけでございますけれども、両大臣にお聞きしたいのは、こういった技術に私は国がよりもっとコミットメントしていくべきだというふうに思っています。

 実際、この状態に関しましても、日産婦の倫理委員会の先生方も、そういう政治のより出動をお願いしたいという声明も出されておりますが、そういう中で、両大臣、こういった一つ一つの技術がありますけれども、こういった生命倫理、特に生殖補助医療ということに関しまして、例えば立法化、法的な関与で私はいくべきというふうな考えを持っておりますが、大臣はどういうふうなお考えを、所管する大臣として、あるいは政治家としてお持ちでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、生殖補助医療の在り方については、個人の生命倫理、家族観等にも関わる難しい問題です。そのような問題をめぐっては、議論の場の在り方も含めて、様々な意見があることを承知しています。

 現在、令和二年十二月に成立した生殖補助医療法の附則に基づき、生殖補助医療の規制の在り方等について、超党派の議連、実は私が会長を務めていますが、議論されているところであり、政府としては、まずこうした状況を注視してまいります。

 当事者として、メリットとそして懸念というのは両方あることは十分承知した上で、この法律ができる前までは、当然、どこでも生殖補助医療、治療を受けられて、子供を授かることはできたけれども、法的な保障みたいなものがないという状況だったのが、ようやく法律ができることで、この国の生殖補助医療を通じて、この国に生まれていい、育っていいという、変な話ですけれども、そういう安定は生まれてきて、でも、まだまだその先の出自を知る権利等については議論が十分成熟していないと理解しています。

後藤国務大臣 今委員から御指摘がありましたとおりで、生殖補助医療の在り方については、個人の生命倫理、家族観等にも関わる非常に難しい問題であるというふうに思っております。

 現在、令和二年十二月に成立いたしました生殖補助医療法の附則に基づきまして、生殖補助医療の規制の在り方等について、今、野田大臣からもお話がありましたけれども、超党派の議連においても議論がされておりまして、厚生労働省としても、こうした状況をしっかりと注視してまいりたいと思います。

仁木委員 例えば、私、産み分けのことも申し上げましたが、今のテクノロジーでいいますと、受精卵の着床前診断をもってすれば、九九%の形で、女の子、男の子、そういう産み分けが可能になりまして、これは、大きく家庭を、あるいは社会を様々な形で変えていくことになると思います。

 今、出自の問題に加えまして、例えば配偶子の扱いがあります、卵とか精子。

 最近、イギリスでは、一九七八年にルイーズちゃんを、世界初の試験管ベビーを輩出した国でございますが、そこで、配偶子を、五十五年、法律で凍結保存することを可能としました。例えば受精卵とかですね。

 そうすると、実際、一番妊娠する年齢というのは、女性の方は十五、六歳なんですけれども、例えば、自分が二十歳ぐらいのときに採卵して凍結して保存しておいて、そういった自分のライフプランというか人生設計も自分なりの人生ということでできるかもしれない。でも、それを是とするのか。これは個人の問題として是とするのか、あるいは規制をかけていくのか。

 こういうことは、私は、過去にこの国会においても大きな議論となりました臓器移植法も含めて、非常に大きな、家庭を、あるいは社会を変えていくことにもなると思いますので、こういった医療の現場、特に生殖補助医療において、進化していくイノベーションに対して行政あるいは政治がどのように追いついていくのか、あるいは向き合っていくのか、これを今日は短い時間ではございますけれども提言したかったわけでございますので、またこの辺の議論を私が質問に立つことがありましたらやっていきたいと思います。

 本当に、医療の現場、特に、先ほど申しましたが、日産婦の倫理委員会も、やはりこれはもういろいろな形で、世の中の変化、技術の変化、全て受け止めて、倫理委員会として発信して、生殖補助医療の現場に医療従事者として立ち向かうには限界があるというか大変な重責であるということを感じていますので、やはり政治のコミットメントを改めて強めていただきたいというのを私は思います。

 議員の皆さんにおかれましても、この議論というのは、すごく極端なことかもしれませんが、いろいろなバリエーションがあるわけです。例えば、遺伝的につながっていない子供さんが家庭に入っていくということも可能性としてはあります。今、LGBTの、例えば同性婚の話もありますけれども、そういう生物学的には子供が生まれない家庭で生まれていく。そういうことを是とするのか、そういう社会なのか、そういうこともやはり私は考えていくべきだと思っておりますので、よろしくお願いします。

 時間が過ぎてしまいました。どうも、失礼します。

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。ありがとうございます。

 先月、四月二十二日に、教職員の数が減らされているという問題を質問しました。現在、この国において、四十人詰め詰めの学級が望ましいとされていること、さらには、特別支援学級に籍を置く生徒をカウントしないことによって、実質的に四十人を超えるクラスも生まれているということを指摘しました。

 この間の法案審査の中で野田大臣から何度も強調されたこどもまんなか社会、これは、障害の有無を問わず、全ての子供たちが社会の主人公に据えられる、そのような説明であったと思います。

 そうであれば、個別の障害や家庭等の事情にも応じたケアができるために、教職員の数を大幅に増やし、専門性のあるカリキュラムやお金をつけていくことが絶対に必要なんです。なのに、今の日本の公教育は、それと余りにもかけ離れた、安上がり、教員削減、これを重視したシステムになっているために、実質的に四十人を超えるクラスが生まれたり、一方で、障害のある子供たちを一か所に隔離するような極端なやり方が行われています。

 それでも、学校の現場では、先生や保護者が工夫して、少しでも本来のインクルーシブな教育に近づく実践が行われています。例えば、特別支援学級には発達障害やダウン症など様々な障害を持つ子供たちが籍を置いていますけれども、その子の状況に応じながら、できるだけ通常学級で共に学べるように、教育課程や指導方法を工夫している学校は少なくありません。その方が子供たち全員の学びになるという事例がたくさん報告されています。そういった現場の実践をもっと聞いて、文科省が取り入れていかなきゃいけないんですよね。

 ところが、四月の二十七日、文科省がそれに完全に水を差すような通知を送っていまして、これはこどもまんなか社会とは逆行する動きだと大変驚きました。だから、文科省はその通知を撤回するべきだ、省庁横断の調整を行う内閣府がこれを指摘するべきだと思い、質問いたします。

 その通知は、四月二十七日、通知名が「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」として、全国の教育委員会などに出されました。特別支援学級に籍を置く生徒が通常学級でより多く過ごすことについて、適切ではないとして、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において授業を行うことと通知しました。

 これは、週の授業時数の半分以上というのは一体合理的な根拠があるのかと文科省に確認したところ、障害のある子供の教育支援の手引を踏まえたというんですけれども、この手引は、大半の時間を通常の学級において交流及び共同学習で学び、通常の学級以外での指導時間を相当数確保する必要がないと考えられる場合には、特別支援学級に籍を置かなくていいだろうという内容になっています。これは、つまり、特別支援学級所属ならばそこを中心として学べよ、さもなくば通常の学級に所属しろ、そういう意味を持ちます。

 冒頭申し上げた、四十人を超える詰め詰めの学級という問題をちゃんと解決するためには、十分な教員と体制を整備して、全ての子供たちが共に学ぶ学校をつくることが文科省に今求められているのに、いまだ安上がり重視で、硬直的な教員配置を現場に押しつけて、指導の適切な運用を口実に特別支援学級の予算や人員を削ろうとしている、これが文科省の現実になっています。

 それで、宮路政務官に、共生担当として、この通知をどう受け止めるでしょうか。これは既に現場がかみ合わないということで混乱しているんですけれども、この通知について、内閣府における省庁横断会議などの中で文科省に対して指摘するべきではないでしょうか。

宮路大臣政務官 御指摘の通知につきましては、障害のある子供に適切な指導を提供するため、障害者権利条約を踏まえ、一つには、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り同じ場で教育を受けられるような条件整備を行うこと、これは、おっしゃるインクルーシブ教育、大変重要な視点だと思います。一方で、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える学びの場の提供、つまり障害の状態等に応じた学習を十分に受けることも同時に必要です。そうした二つのニーズのバランスを取りながら、文部科学省の方で、先月、御指摘の通知を発出したものというふうに承知をしております。

 内閣府としてということでしたので、内閣府としては、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現、これが大変重要であると共生担当の政務官として考えております。したがいまして、そうした考えに基づいて、関係省庁と連携して、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

大石委員 そのしっかりとというのは、この件に関して、何かその通知に関して問題があるんじゃないのかということで動かれるということなんでしょうか。

上野委員長 持ち時間が過ぎておりますので、宮路政務官、簡潔にお願いします。

宮路大臣政務官 先ほど御答弁申し上げたとおり、二つのニーズ、これのバランスを取った結果の通知だというふうに理解しておりますが、教育的な視点と、あと共生の視点と、双方バランスが大事だと思っておりますので、そこは共生担当として文科省とも連携を図ってまいりたいと思います。

大石委員 バランスというよりは、四角四面に、どっちにカウントするんやという内容ですので、これはバランスでもなくて、現場実践とかけ離れたものですので、必ずこの通知について対応していただきたい、現場の実態について確認していただきたい、絶対に取り組んでいただきたいです。

 時間が過ぎましたけれども、大幅な教員増に踏み切ることなしにこどもまんなか社会というものは訪れませんので、引き続き、学校教育の定数削減、予算削減の傾向を止めるべく、追求していきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後四時九分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 こども家庭庁設置法案

 こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

 こども基本法案

 子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案

 子ども育成基本法案

は内閣委員会議録第二十号に掲載


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