衆議院

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第3号 平成29年3月30日(木曜日)

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平成二十九年三月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 池田 道孝君 理事 後藤 茂之君

   理事 新藤 義孝君 理事 田中 英之君

   理事 山口 俊一君 理事 坂本祐之輔君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      伊藤 達也君    江藤  拓君

      大野敬太郎君    加藤 寛治君

      勝俣 孝明君    菅家 一郎君

      小泉進次郎君    佐藤ゆかり君

      坂井  学君    菅原 一秀君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      平井たくや君    福田 達夫君

      牧島かれん君    三ッ林裕巳君

      宮川 典子君    山田 賢司君

      今井 雅人君    小川 淳也君

      木内 孝胤君    高木 義明君

      武正 公一君    福島 伸享君

      福田 昭夫君    横山 博幸君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      吉田 宣弘君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君    椎木  保君

      丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          山本 幸三君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   衆議院事務総長      向大野新治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  土生 栄二君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 大島 一博君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 頼 あゆみ君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 嶋田 裕光君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        青柳 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        星野 岳穂君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長)           高橋  淳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          佐々木 基君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 吉田 朋之君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           神山  修君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官付参事官)         小川 良介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         潮崎 俊也君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     長坂 康正君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     中村 裕之君

  高木 義明君     木内 孝胤君

  横山 博幸君     今井 雅人君

  渡辺  周君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     牧島かれん君

  今井 雅人君     横山 博幸君

  木内 孝胤君     高木 義明君

  福島 伸享君     渡辺  周君

    ―――――――――――――

三月二十八日

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三六号)

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 この際、長坂内閣府大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。長坂内閣府大臣政務官。

長坂大臣政務官 おはようございます。

 このたび、地方創生、地方分権改革等を担当する内閣府大臣政務官に就任いたしました長坂康正でございます。

 松本副大臣とともに山本大臣を支え、緊張感を持って職務に全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 木村委員長を初め理事、委員各位の御指導、御協力をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

     ――――◇―――――

木村委員長 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官土生栄二君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長大島一博君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長頼あゆみさん、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進事務局審議官奈良俊哉君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長嶋田裕光君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進事務局審議官青柳一郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進事務局審議官星野岳穂君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進室次長高橋淳君、内閣府地方創生推進事務局長佐々木基君、総務省大臣官房地域力創造審議官時澤忠君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子さん、法務省刑事局長林眞琴君、外務省大臣官房審議官吉田朋之君、財務省理財局次長中尾睦君、文部科学省大臣官房審議官神山修君、農林水産省政策統括官付参事官小川良介君、国土交通省大臣官房審議官和田信貴君、国土交通省大臣官房審議官石田優君、国土交通省大臣官房技術審議官潮崎俊也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮川典子さん。

宮川委員 おはようございます。自由民主党の宮川典子です。

 きょうは特別委員会での質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。理事を初め委員の先生方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 二十分しかありませんので早速質問に入りたいと思いますが、大臣にぜひ伺っておきたいことがあります。

 国家戦略特区であるとか構造改革特区、いろいろなところで地方の強みを生かして特区をしていくということには私は賛成なんですが、その中で、実は教育というのをどうやって捉えていらっしゃるのかなというのが大変気にかかるところであります。

 公設民営化学校というのをやっていますけれども、実は私は反対なんですね。はっきり申し上げて、私学と公立の学校というのがありながら、ハードは公立でやりますよ、中は私学よりももっと自由ですよというのは、今までそれぞれの学校種が守ってきたことを、このままでいいのかなというふうに実は思っています。

 そんな疑問を持ちながら、実は先日、福島県の楢葉町で遠隔教育をやるというお申し出があったという話がありました。確かに、福島の子供たちにさまざまな教育のチャンスを与えるということは大変重要だと実は思っているんですが、しかし、その際に、義務教育課程における遠隔教育を進めるのにもかかわらず、学校の先生はその場に立ち会わなくてよいという規制改革をするのだということを私は聞きました。

 義務教育課程において、学校の先生が生徒の前でしっかり指導をし、生徒の様子を観察するというのは、非常に重要な教育活動の一つなんですね。これを規制改革というふうに言われたら、学校現場でやっている教育活動とか慣習的なルールというのが規制だと捉えられてしまうんじゃないかなというふうに思って、元教師としては大変危惧をしております。

 そのことについて、内閣府として、地方創生をつかさどる大臣として、現場にあるさまざまな教育活動を規制というふうに捉えていらっしゃるのかどうか、まず初めに伺いたいと思います。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 本年二月に福島県の楢葉町から、東日本大震災以降、子供のいる世帯の帰還が進まない中で、魅力的な教育環境を整えるべく、多様な人材によるICTを活用した遠隔教育の実現について御提案をいただき、十六日の国家戦略特区ワーキンググループにてヒアリングを行ったところでございます。その後、今月二十一日に楢葉町より事務局に提案取り下げの連絡があり、関係省庁との議論はそれ以降行っておりません。

 なお、内閣府においては、提案の対象とする規制につきましては広く制度全般を取り上げておりまして、経済的、社会的活動一般に関して何らかの事項を規律するもの全てと認識しておるところであります。

宮川委員 学校の中の教育活動は、私は規制ではないと思います。子供たちにとって大変重要なことだというふうに思いますし、子供それぞれをしっかり、責任を持っている教師が見ていくということは当たり前のことだと思うんですね。

 それを考えますと、被災地には復興加配というのをしております。これは、復興をするために、被災地の皆さんには、子供たちのために、もちろん体の健康は当たり前でありますけれども、あの災害、大きな災害を乗り越えてきたわけですから、ぜひ心身ともに健全であってほしいということで復興加配をしていると。ということは、これをやっているというのは、イコール子供たちにとっては教師が必要だという意味で、復興加配をしているはずなんです。

 しかし一方では、学校の先生がその場に立っているという、これは楢葉町が最終的にどういう決断をなさるかどうかは別として、それが一つの規制だと言われたら、復興加配をして教師が必要だということを一方で言いながら、一方では先生が教育活動の場にいることが規制だと言うと、これは政策として全く整合性がとれないんじゃないかと私は思っているんですが、そのあたりはどういうふうにお考えなのか、見解を伺いたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 まずもって、先ほど大臣から答弁がありましたとおり、楢葉町からの提案につきましては、今月二十一日に事務局に提案取り下げの連絡がございました。

 その上で、特区のワーキンググループにおける議論をちょっと御紹介させていただきたいと思います。

 民間有識者からは、小規模な学校がたくさんあるような地域で、学校の先生が限られている中で、遠隔教育を活用することによって先生方が時間を有効に使えるなど、よりその地域全体の教育の質を高められるのではないかという議論はないのですかという旨の、まさにその議論の入り口としての御発言があったところでございまして、教員自体を減らしてよいとの御見解ではなかったと認識しております。

 いずれにいたしましても、取り下げがありましたので、もしこういう提案がどこからか再度出てきた場合には、関係省庁とも十分協議していくということになろうと思います。

宮川委員 取り下げがあったということで、私も事前に聞いていますけれども、こういう案が例えば党の部会であるとかいろいろなところで語られること自体が、学校の先生の現場の感覚にとってみたら、あり得ないなというふうに思うと思います。私がもしまだ学校で教師をしていたら、あり得ないなと思うと思います。

 ですから、教育の責任ということは規制ではありませんから、ぜひ、それをしっかり踏まえた上での規制改革というふうにしていただきたいというふうに思います。

 これから国家戦略特区をしていく中で、子供たちに充実した教育をするということだったら、幾らでもいろいろな規制は取っ払っていただいていいと思うんですが、児童生徒と教師という中のこの責任にはぜひ踏み込まないでいただきたいというふうに私は強く願うわけであります。

 大臣、これから国家戦略特区をやっていくに当たって、教育というのをターゲットにされる方もいらっしゃると思います。その中で、教育の中のさまざまな活動を踏まえて、また教育の責任ということを捉えて、これから教育という分野をどう扱っていかれるおつもりか、もしお考えがあったら伺いたいと思います。

山本(幸)国務大臣 教育は大変大事だと思っておりますし、実は、私の娘も小学校の先生をしております。その大変さについては十二分にわかっているつもりであります。

 その上で、規制改革につきましては、平成二十六年二月末に閣議決定した特区の基本方針に従いまして、区域会議等で自治体や民間から提案された規制改革事項について、その実現に向けて積極的に取り組んでいくというのが姿勢であります。教育分野も含めて、特定の分野を排除せず、幅広い分野での規制改革を推進していくというのが国家戦略特区や規制改革を担当する私の任務であると思っております。

 その中で、そういう子供たちのことも十分考えながら、しかし、規制改革でまた、よりうまくいくところもあるかもしれないということもありますので、そうした点を十分踏まえて、関係省庁と議論を深めながら、規制改革に当たってまいりたいと思っております。

宮川委員 大臣のお嬢様も学校の先生ということで、大変心強い発言をいただいたなというふうに思っているんですが、私が申し上げているのは、学校の責任、先生の責任、教育の責任というのは、これは国が果たさなければいけないことでありますので、そこに瑕疵があってはいけない、ぶれがあってはいけないと思っています。

 ただ、一方で、元教師として申し上げれば、学校の世界というのは非常に凝り固まっているところもあるんですね。ですから、そこが子供たちのためにならないのであれば、改革は必要だというふうに私自身は思っております。ですので、その両面に配慮した対策をぜひともお願いしたいと思っております。

 それでは、次の質問ですけれども、日本版DMOについてちょっとお話を伺いたいと思っております。

 私の地元の山梨県も、観光立県を標榜しまして、観光に非常に力を入れているわけですけれども、大変、DMOに対する期待感というのは民間の中にも高まっていると思います。

 日本版DMOの目指すところというのは何か、まず簡潔にお答えいただきたいと思います。

頼政府参考人 お答えさせていただきます。

 これまでの観光地域づくりには、文化、農林漁業、商工業などの地域の関連事業者や住民など地域の関係者の巻き込みが不十分、来訪客などに関するデータの収集、分析が不十分、効果的なブランディングやプロモーションといった民間的な手法の導入が不十分といった課題がございました。

 こうした課題に対応し、国内外からの観光客の地方への流れを戦略的に創出し、観光による地方創生を実現するためには、多様な関係者の合意形成のもと、効果的なマーケティング、観光地の一体的なブランドづくりなどの観光振興を戦略的に推進するかじ取り役である日本版DMOを各地で形成、確立する必要があると考えております。

 現在、政府におきましては、二〇二〇年までに世界水準DMOを全国で百組織形成することを目標としているところでございます。全国各地でのDMOの形成、確立を通じて観光客のニーズを的確に捉え、稼ぐ力を引き出す観光地域づくりが進んでいくものと考えております。

 以上でございます。

宮川委員 稼ぐ地域づくりをするんだということ、ここがポイントだというふうに思うんですが、稼げる地域とはどういうことかというと、リピーターが多い観光地なんだと思うんですね。

 このリピーターが多い観光地とそうではない観光地、もしその違いについて何かデータもしくは情報を収集していたら、教えていただけますでしょうか。

頼政府参考人 お答えさせていただきます。

 リピーター率につきましては、これまでは先進的な地域で把握されており、例えば北海道のニセコ観光圏では、地域の資源であるパウダースノーを生かして、マーケティングに基づくプロモーションなどを各国別にきめ細かに行った結果、オーストラリア人などを中心に高い評価を得る世界有数のスノーリゾートに成長しており、リピーター率も五割を超えております。

 このようなリピーターの多い観光地においては、概して、地域の多様な関係者による合意形成のもと、観光地域づくりを行うプラットホームを設立し、マーケティングに基づく戦略に沿って、体験滞在型のプログラムの造成などの観光資源の磨き上げや多言語案内表示板の設置など、来訪者の満足度を高めるための受け入れ環境整備を積極的に取り組んでいる点が挙げられます。

 リピーター率につきましては、日本版DMO候補法人登録制度の申請に当たっては必須のKPIとしたところであり、国としても、各地域のDMOがマーケティングを踏まえたリピーター率の向上等の目標を達成するための取り組みを支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

宮川委員 DMOをやる一つの価値というのは、今申し上げたように、それぞれの地域でやっている観光について、どういうデータ収集をするかということも大変重要だと思っております。

 地方創生をやるに当たって、RESAS、ビッグデータを集めるというのが非常に大きな原動力になっているわけですけれども、データ収集、情報収集というのはとても重要だと思いますので、DMOをやっていくに当たっては、ぜひ、ビッグデータをたくさん集めていただいて、各地域が観光に取り組むときのアイデアの源泉にしていただきたいなと思っておりますので、そこには大変期待をしております。

 私個人の考え方ですけれども、もう単発観光の時代は終わりに来ていると実は思っています。中国の方、インバウンドの外国人はどんどんふえているといいますけれども、その十分の一が来ている山梨県では、ばったばったと、実はホテルや旅館が潰れている。

 これはどういうことかというと、観光には来ていないんです、お買い物に来ているんです。つまり、爆買いとかの単発観光で、とりあえず、富士山を見ました、何となく寄りました、銀座や秋葉原に行きました、家電を買いました、服を買いました、それで帰ってしまって、用が足りてしまう。そして、今はインターネットで物が買える時代になって、何があるのかと一回目で見れば、後はインターネットで注文すれば終わってしまう。もう、こういう観光は、私は成り立たないと思っているんです。

 では、これから何が必要かといったら、まさにDMOのプラットホームをつくる中の地域づくりという言葉だと思っていまして、まずは、地域住民が観光地なんだという合意形成をやはりしっかりすること、そこに雇用が生まれるということが重要だと思います。

 そしてもう一つは、そこに育まれている観光資源ももちろんですが、風土とか風習とか価値観とか生活様式とかそういうものが、私たちにとって当たり前のものがやはり観光の肝になってくるんじゃないかなというふうに思っております。

 単発観光がなくなり、本当の意味での観光というのが国内に根づくためには、やはりDMOが必要であるし、それを根づかせなきゃいけないと思いますけれども、大臣、そのあたりはいかがお考えでしょうか。

山本(幸)国務大臣 委員御指摘のとおりだというふうに思います。

 ただ買い物するだけの物消費だけではなくて、その地域ならではの文化や自然等を体験、体感する事消費の方に消費スタイルも変化しておりまして、その地域はそのニーズの変化に対応していく必要があると思っております。

 そのためには、地域の方々が合意形成して、自助の精神を発揮して、郷土への誇りと愛着を持って地域資源を磨き上げて、訪れる観光客に地域の本当の魅力を体験していただくことが重要であります。

 その際に、私の経験としても思うんですけれども、やはりきちっと、その歴史はどういうことか、その意味はどういうことかということを海外の方々が来たときに説明できるということが非常に大事でありまして、ただ神社がある、文化財があるということで、それだけを見ていても、ただ見るだけだったら、短時間で帰ってしまうわけですね。

 そうではなくて、この施設にはこういう歴史があり、こういう意味があるんですよということを、きちっと説明して理解してもらう。場合によっては、パフォーマンスで魅力を持たせるということがそうした方々の満足を上げるし、それがまた世界じゅうに発信されてやってくるんだというように思います。

 かつて、デービッド・アトキンソンという人が、自分は日本の歴史を勉強してきて、二条城に期待して行った、行ったところ、ただ部屋があるだけで、何もほかになかった。まあ、今は大分変わりましたけれどもね、最初は。これは何だと。ここであの大政奉還の歴史を、場合によったらパフォーマンスでやってもらえると、観光客が一時間半でも二時間でも満足しているし、それがまた消費につながる、あるいは場合によっては宿泊につながるというようなことを言っておられまして、そういうことをやはり努力していくことが大事でありまして、そのために、DMOがしっかりとしたマーケティングをやり、そして、そういう地域資源を生かした観光づくりというものを合意形成をしてやっていくことが非常に大事だと思っております。

宮川委員 日本が本当の意味での観光立国として胸を張っていけるように、DMOの場所の数をふやすことではなくて、やはり地域づくりがしっかりできる、そういう場所を一つ一つでも確実にふやしていただけるように、ぜひお願いしたいなと思っております。

 最後、時間がなくなりましたけれども、一つだけ、実は、私の拙い日ごろの考えを、大臣に御意見を伺いたいと思っているんですが、今、森林環境税とか水源環境税といって、川下の方、もちろん都市部の方が、川上、地方を考える税制というのをしこうではないかという考え方が大変強く政策にも出てきているなというふうに思います。

 やはり、地方の恩恵を受けている都市部が、地方のことも考えて税で支えていくということは、一つすごく重要なことだと私は思っているんですが、それができるんだったら、教育環境税というのはできないかなと思うんです。

 地方が一生懸命子供たちを育てて、医療費が無料とか給食費が無料といって、地方が一人一人の子供たちにとにかくお金をかけている時代です、子供、子育て含めて。しかし、その一方で、大学生ぐらいになってしまうとみんな東京へ出てしまって、なかなか地方に働き場がありませんから、ない地域なんかは、みんなそのまま東京に就職をしてしまう。物すごく人材に投資をしたのにもかかわらず、その力は全て都市部に集中してしまう。これじゃ、何のためにこれまで教育や子育てに力を入れてきたのかというふうになってしまう。

 ですから、もし都市部にそういう若者が行ったときに、法人税から少し地方にバックをするとか、あとは、それぞれの市町村とかの住民税で少しバックをするとか、何か制度は、考えるべきことはあると思いますけれども、順繰り、人材にかかったお金というのがそれぞれにプラスになるような環境税というのがつくれたらいいんじゃないかなと、実は私は日ごろから思っているんですけれども、最後に大臣の御見解を少しだけ伺って、終わりにしたいと思います。

山本(幸)国務大臣 地方は、子供の教育に対しては多大な投資をしているにもかかわらず、その多くが都市部に出ていってしまって、地方において納税していない、そういう現状に鑑みると、都市部から地方へ財源を還元するという委員のお考えには共感できるところでございます。

 実際、地方創生推進交付金や、地方交付税におけるまち・ひと・しごと創生事業費は、国全体の財源を地方へ還元するという効果をもたらすものであると考えております。

 また、地方から都市部への若者の流出そのものを減らすことも重要でありまして、そのために、大学進学時や就職時の都市部への転入が多いことを鑑みて、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議を設置して、今後の対策や方向性を今検討しているところであります。

 委員御指摘の教育環境税ということにつきましては、これが税制としてなじむかどうか、実際に制度化するとすると課題もかなりあるとも思われますけれども、一つのアイデアとして承っておきたいと思います。

宮川委員 これで終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、木内孝胤君。

木内(孝)委員 民進党、木内孝胤でございます。

 本日は、国家戦略特区に関連しまして、愛媛県今治市に新設予定の獣医学部についてお伺いをいたします。

 五十二年ぶりの新設ということでございますので、恐らくいろいろな抵抗が長らくあったと思います。その岩盤をあけたという意味で、いろいろ御苦労があったと推察をしているところでございます。

 過去の検討経緯につきましては、事務局の方から御説明いただきましたり、あるいはほかの委員会でも質疑が進んでおりますので、そこは省略して、一つお伺いしたいのが、昨年十月十七日に、京都産業大学そして京都府から、獣医学部の新設の提案がございました。その提案資料をきょう、お手元の配付資料にもつけておりますけれども、私から見ると非常に充実した内容の提案であったのではないかと思っております。

 いろいろ経緯があった中で、事務局から説明いただいた中では、加計学園と京都産業大学の比較検討の経緯がすっぽりと抜け落ちている印象があるんですけれども、事務局そして農林水産省、文部科学省それぞれに、この二校の提案内容を比較検討した状況について御説明を、まず内閣府さんにお願いをしたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がありましたように、京都府及び京都産業大学から提案がございまして、ワーキンググループで議論をさせていただきまして、そこで、京都産業大学について、委員の方からいろいろな指摘をさせていただいております。

 その中では、全体の目指す方向性というものはいいということで認めておるんですけれども、国家戦略特区として進めていく上には、やはりもうちょっと、よりその必要性を説明した方がいいんじゃないかとか、そういう御指摘もあった、それが議論の経緯でございます。

木内(孝)委員 内閣府さんとして、その後、文部科学省さんあるいは農林水産省さんといろいろ協議をしたのかどうか、比較検討したのかということも含めて、文部科学省さんにお伺いいたします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生から御指摘ございました獣医学部の新設の件でございます。

 今治市のほか、関西圏国家戦略特区会議等において検討されてきたものと聞いておりますが、文科省といたしまして、その検討の場への出席は求められておりません。

 なお、今内閣府からもございましたとおり、内閣府を中心として実施される国家戦略特区プロセスの中で本件は行われるべきものでございまして、文科省として比較評価する立場にはないということでございます。

木内(孝)委員 続きまして、農林水産省さん、お願いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国家戦略特区におけます獣医学部の設置につきましては、学校教育法に基づく規制は文部科学省の、国家戦略特区は内閣府の所管となっておりまして、農林水産省は所管しておりませんので、国家戦略特区における今治市あるいは関西圏からの提案の比較検討を行ったという事実はございません。また、内閣府から両者の比較検討を求められた事実もございません。

 以上でございます。

木内(孝)委員 個人的な話になりますが、私は以前、投資銀行でMアンドAの仕事をしていまして、医薬品メーカーに仕事を依頼されたことがございます。そして、創薬ベンチャーにも勤めていたことがございますので、若干ですけれども、一般的、まあ、素人プラスアルファ程度ではございますけれども、こういったライフサイエンス分野に非常に、勉強したことがございます。

 その中で、京都産業大学というのは、非常にこのライフサイエンス分野にすぐれているといいますか、鳥インフルエンザ研究センターを二〇〇六年に立ち上げたり、一言で言うと、その業界のことをよく知っている人であれば、京都産業大学と加計学園という比較になると、実績と経験がある京都産業大学、今から頑張るであろう加計学園という比較になると、そもそも同じ土俵にすら立てないというのが私の理解なんです。

 今回、岩盤規制をあけるということで、一番強いところを推すということであるならば理解できるんですけれども、その比較すら、今の御答弁ですと、農林水産省さんも文部科学省さんもしていないということでございますけれども、大臣の方でこの両校の提案の中身をごらんになったかどうか、それの強み、弱み等々、御意見があればお願いいたします。

山本(幸)国務大臣 国家戦略特区の会議でやっておりますので、私は両方とも見ております。

 その中で、今回の獣医学部の設置については、獣医師会を初め慎重な意見も大変多かったわけであります。

 しかし、獣医師の地域の偏在ということがあるということに着目いたしまして、まずは、いわゆる空白地帯にある今治市の方を優先したということは事実であります。

 しかも、今治市の提案は、京都府の提案と比べて、次のような理由から事業の実現性が明らかに高いと判断したところもあります。

 具体的には、一点目は、獣医学部の空白地帯である今治市の方が、京都府よりも水際対策により重点を置いているという点があります。

 それからもう一つは、計画の具体性であります。今治市の提案は、京都府と異なりまして、アドバンス科目や必要教員数を明確に示しておりますし、具体的なものとなっております。

 また、場所についても、既に土地の所有が行われているとか、あるいは、まち・ひと・しごと創生総合戦略あるいは市の総合計画にきちっと位置づけられている。それに対して、京都府の方ではそういうことがありません。そういう意味で、自治体とのかかわりも今治市の方が強いということが判断の基準になりました。

 御指摘のように、それぞれの言っておられる獣医学部の内容ですね、内容について言っておられることは、私は、京都府、京都産業大学の方もなかなか立派な内容を含んでいると思います。それは、ある意味でいうと、今治市の加計学園の内容とほぼ同等と言えるぐらいの中身であるというように思っておりますけれども、先ほど申しましたように、水際対策の点、あるいは計画の具体性、あるいは自治体のかかわりといいますか、そういう点が今治市の方がすぐれているというように判断いたしました。

 国家戦略特区は規制改革の突破口でありますから、今後、特段の問題がないというようなことになれば、京都府の提案も十分検討に値すると私は考えております。

木内(孝)委員 なぜ、農林水産省そして文部科学省、所管官庁に相談すらしていないのかというのがちょっと理解に苦しむところでございますけれども、その理由をお聞かせください。

山本(幸)国務大臣 この特区で、今治市の提案を受けて、そして特区諮問会議を、十一月九日に出すわけですが、それまでの区域会議のところでは、農水省にも文科省にも参加していただいておりますし、大臣も参加しています。

 ただ、その前の段階で、そうした細かい、それぞれの大学の持っているカリキュラムに対する考え方とか、そういうことについて各省にやっているというよりは、特区諮問会議においてこれは議論するものだというように判断して、特区のワーキンググループ、区域会議、諮問会議、そこで議論していくということでやっているわけであります。

木内(孝)委員 京都産業大学の提案内容なんですが、これは、事務局に確認しましたらば、初めてホームページにアップしたのが本年の三月十六日でございます。十月十七日に提案を受けて、私も地方創生事務局のホームページをよく見ることがあるんですが、非常にタイムリーにアップして、すばらしいなとふだん思っているんですが、これは、提案を受けてから五カ月もかけてホームページにアップしているというのは、情報開示の点から大いに問題があると考えているんですが、なぜ三月十六日まで非開示にしていたのか。

 私は、この提案内容がよ過ぎて、逆に、情報を表に出したくなかったのではないかと推察せざるを得ないんですが、なぜこれが非開示だったのか、理由をお聞かせください。

山本(幸)国務大臣 特区ワーキンググループでの内容等については、運営規則上、座長の判断で公開、非公開を決定することにしております。したがいまして、今回は、委員御指摘の京都府からのヒアリング資料については、座長の判断で当面非公開とするようにしたものだと承知しております。

 その後、いよいよ一月二十日の特区諮問会議におきまして、公募等の決定を経て獣医学部の新設が決定されましたので、関係資料の公表手続を進める中で、座長の了解も得られたことから、本年三月十六日に提出資料と議事要旨を公開したところでございます。

 したがいまして、特に内部で非公開を企図していた、そういう意図は全くございません。

木内(孝)委員 事務局に確認したところ、議事録の内容を確認できていなかったからアップしていなかったけれども、内容が確認できた段階でアップしたという説明を受けているんですが、大臣の答弁と一致していないような気がするんですが、いかがでしょうか。

山本(幸)国務大臣 確認ができているかできていないかを含めて、これを公開するか公開しないかは全て座長の判断でございます。

木内(孝)委員 情報公開の点から極めて不透明と言わざるを得ませんが、次の質問に移りたいんです。

 選定のルールというのがあると思います。十月十七日の京都産業大学の提案を受けてから約三週間後の十一月九日に、突如として、ゲームのルールといいますかが変えられております。関係資料を資料二としてお配りしておりますが、いきなり、存在しない地域にということで、空白区に限定を突然しているわけでございます。

 なぜ、選定、二つの学校、あるいは新潟を入れれば三つが手を挙げていろいろ提案をしているところで、突然、空白区といって京都産業大学を締め出すようなルールの変更をしたのか、その理由についてお聞かせいただければと思います。

山本(幸)国務大臣 今御指摘になりました事項は、いずれも慎重な意見が根強い中で、いち早い規制緩和を実現するために定めていったものでありまして、そうした批判は当たらないと思っております。

 空白地帯に限るということについては、昨年十一月の特区諮問会議で広域的に獣医学部が存在しない地域として、さらに本年一月の共同告示において一校のみとしたわけでありますが、これは、地域偏在により不足している産業動物獣医師の確保を求める地域が現に存在するのと同時に、獣医師会などからの慎重な意見が多い、そういうことを踏まえまして、まずは規制改革の実現を優先したためでございます。

 それから、ことし一月の共同告示の段階で平成三十年度に開設というようにしておりますが、それは、国家戦略の特徴は提案をスピーディーに実現するということにあり、また獣医学部の新設も、最速で事業が実現するスケジュールにある平成三十年四月の事業始期を念頭に置いたものであります。

 なお、医学部の新設の際も、同様の考え方から、共同告示の段階で平成二十九年度に開設というように規定しております。

木内(孝)委員 いろいろ不可解で、全く納得感のない答弁でございますけれども。

 昨年、ゲームのルールが変えられるさらに前の二十八年十月三十一日ですが、加計学園がボーリング調査の申し出をしているんですね。なぜ、何も決まっていないこの段階で、その申し出を受理、承諾しているのか、お聞かせいただければと思います。

佐々木(基)政府参考人 大変恐縮でございますが、ボーリング調査の話というのは、ちょっと私、承知しておりませんで、大変申しわけありません、ちょっと御回答しかねるのでございます。恐縮でございます。

木内(孝)委員 これは調べて理事会の方に報告をお願いしたいと思います。もし時間中でも結構ですので、御回答いただければと思います。

山本(幸)国務大臣 私もボーリング調査のことについては承知しておりませんでした。

 ただ、これは今治市が事業者との間のことをやっているわけでありまして、そこは今治市がどういうふうに判断したかということになるんだろうと思いますが、いずれにしても、これはちょっと調べて、後で御報告したいと思います。

木内(孝)委員 これはそもそも、新設を認めるかの是非というのもございますが、京都産業大学ですね、一九八九年に生物工学科を設立して、二〇〇六年に鳥インフル研究センター、皆さんも、大臣も御存じかもしれませんけれども、大槻公一教授という、その世界で非常に著名な方が長くこれに取り組んでいらっしゃいます。二〇一〇年に動物生命医療学科というのを設立して、さらに、この分野で非常に大切になるのがiPS研究との連携ということでございますけれども、京都という地の利を生かして、連携体制がもう既に一定程度とられている。京都府立医科大学、京都薬科大学、京都府、こうした関係自治体あるいは学校とも連携強化をしている。

 今から設立を目指しますという学校と、ここまででき上がっていて、具体的に綾部市という地域も、設立場所も決まっていまして、綾部市というのは、御存じかと思いますけれども、畜産等の連携が非常にしやすい地域となっております。

 今みんなもう忘れているかもしれませんけれども、SARSとか、口蹄疫とか、鳥インフルエンザとか、パンデミック対策というのは物すごく大切な話なんです。それがここまで不可解な形で学校の選定がなされていること、一方的にゲームのルールを変更して京都産業大学が締め出されているというのは、全く説明責任を果たしていない、情報開示の点からも問題がある、公正さもなければ透明性もない。これは、今話題になっている森友学園あるいは豊洲の問題、非常に似ていると私は思います。

 何でかなと、私は余り申し上げたくなかったんですが、いろいろ調べてみましたらば、この加計学園の関連の大学の千葉科学大学の客員教授、これに、現内閣官房副長官、同時に内閣人事局長、お役人の皆様の人事をつかさどるその責任者である萩生田光一官房副長官が客員教授を務めていらっしゃいます。今は無報酬ということですが、どうも落選中の私人だったころは、御本人のブログ等によれば給料ももらっていたと。

 これは、公正さの観点から、山本幸三大臣、公正な政策決定がなされたと本当にお考えでしょうか。

山本(幸)国務大臣 私は、全く公正中立、透明にやったというふうに思っております。

 京都産業大学においては、御指摘のような平成二十二年の動物生命医科学科というのがありますが、しかし、これは獣医師法に基づくカリキュラムではありませんので、講義を受けた学生には獣医師試験の受験資格がなくて、ライフサイエンス分野等に貢献する獣医師の養成には寄与いたしません。

 そしてその上で、私は、この問題に対応するときの基本的な方針は、先ほども申し上げましたように、一つは地理的な要素ですね。日本全国を見て、ブロックごとに見て、獣医学部がないところをまず優先する、これが第一の要素であります。

 それから第二は、地方自治体の熱意といいますか、地方自治体の取り組み方。つまり、総合戦略とか総合計画にちゃんと位置づけて、そして取り組んでいるか、そういうことが問われる。

 三番目に提案の中身でございまして、これは、先ほど申し上げましたように、カリキュラム云々については、私は京都の方もかなり評価するところもある。

 ただし、場所が、場所についての取得について、どういう形で取得するようになっているのか、あるいは地方自治体の財政負担がどういうふうになるのか、あるいは教員の数とか、そういうところが具体化していない。そういうことがありまして、そういうところで決定していって、それをワーキンググループ、区域会議、審議会でそうしたことを議論して決めていったわけでありまして、全く公正中立で、透明にやったというふうに考えております。

木内(孝)委員 あわせて申し上げますと、木曽功さんという元文部科学官僚、ユネスコ大使やその後内閣官房参与を務められた方が、今加計学園グループの千葉科学大学の学長を務めていらっしゃいます。木沢克之さんという加計学園の監事を務めていた方が、弁護士会が異例だと声明を出すくらい異例な形で最高裁判事に就任をしています。御案内のとおり、加計孝太郎理事長は安倍総理の腹心の友であり、過去二年間で十二回、ゴルフ、会食を一緒になさっています。昭恵夫人も御影インターナショナルの名誉園長か校長ですか、も務めていらっしゃるようです。

 ここまでずぶずぶの関係でいながら、これが公正な形で進められたと国民の皆さんが本当に思うのかどうなのか。やはり、三十七億円の公有地の無償供与というのは、学校の誘致とかであればそういう前例があるのは承知していますし、ただ、やはりこの三十七億円と、九十六億円にも上る補助金がある中で、ここまでの関係の中で、私は、ゲームのルールが途中で変えられたり、明らかに情報開示の点、説明責任の点、大いに欠如していると思っております。

 きょうはもうこれぐらいにいたしますけれども、この点、ほかの自民党、あるいは与党の先生方も、二つの資料をきょう用意しました。加計学園の四枚の資料、そして京都産業大学の資料、ぜひ読み比べていただきたいんです。

 私、実は加計の案件がだめだということを申し上げているんじゃなくて、こういう不誠実な形で、お友達優先で決めるということによって、SARS対策、口蹄疫対策、鳥インフルエンザ対策、これがおくれることを大いに危惧しているところでございます。

 ちょっと質問のバランスが悪くなったので、次の質問に移りたいと思います。

 小池百合子都知事が、金融都市センター東京、アジアナンバーワンに向けてというのを、昨年、都知事選挙の公約に掲げまして、なおかつ具体的にいろいろ取り組みを始められております。これは山本大臣の非常に強い分野だと思いますけれども、東京の金融地位が、過去二十年間、本当に低下し続けていると思っています。

 数年に一回ぐらい、誰かが、よし、また地位を再生させるとかいろいろ言っておりますけれども、今なお下がり続けているというのが実情で、私は、最初小池都知事がおっしゃったときは、また過去二十年間の続きだなと思っていたんですが、今回の有識者会議というか検討メンバーを見ると、非常に期待できる、本気度が伝わってくるメンバーだと思っています。

 同時に、国サイドでは、私は、金融政策、経済政策、一番大臣の中で山本大臣のが個人的には好きなわけでございますけれども、その中で、山本大臣が受けサイドでいるということで、大いに期待しているところでございます。

 その中で、山本大臣の、過去の問題点、なぜここまで地位が低下しているか、課題について、時間も短いんですけれども、お聞かせいただければと思います。

山本(幸)国務大臣 私は、日本の地位が落ちたのは、それはもう二十年以上にわたってデフレを続けたという経済政策の最大の誤りがあったからだというふうに思っております。そのために魅力がなくなって、皆さん、シンガポールや香港等に移っていったということでもあります。

 また、世界銀行が世界ビジネス環境ランキングというのを出しておりますけれども、起業にかかる手続の数や日数など、事業設立等の項目で評価が低かったということが影響しまして、東京のランキングは、二〇〇五、二〇〇六のOECDランキングで八位だったんですけれども、最新の二〇一七では二十六位と下がっているわけであります。

 したがいまして、これから、世界じゅうから資金と人材と情報を呼び込むというためには、こうした点を直していかなきゃいけない。昨日も、規制改革推進会議の行政手続部会で、そういう手続を簡素化しようというようなことも進めております。

 また、東京都では、小池知事のリーダーシップのもとに、金融の中枢機能が集積する大手町から兜町地区のエリアにおいて複数の都市再生プロジェクトに取り組んでおりますし、外資系企業等の開業手続を一元化した東京開業ワンストップセンターを設置するというようなことで、世界で一番ビジネスしやすい環境の整備を推進しております。

 小池知事と私は、外国の投資家、ファンドの投資家とかが来たときに一緒に食事をする機会がこれまでもよくありまして、知事になってからもあったんですけれども、知事は、東京を最高の国際金融センターにしたい、そのために、ワンストップセンターとかそういうことも含めてやりたいということでありまして、私は、それは全面的に協力したい、特区等のいろいろなメニューも使っていただきたいし、協力したいということを申し上げたところでございます。

木内(孝)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 きょう、越智副大臣にも来ていただいていますけれども、東京都と金融庁の連携のあり方といいますか、私は、財務金融委員会に所属しておりますので、金融庁さん関係の質疑が非常に多うございますが、以前は金融検査庁、監督庁というイメージだったのが、最近は金融育成庁ということで非常に前向きな取り組みというのを非常に心強く思っているわけでございますけれども、東京都と金融庁の具体的な連携のあり方、昨年の税制改正でも、外国人の相続税のところは、これは金融庁ではありませんけれども、そういうのが進んだりとかいうのもございますけれども、具体的な連携のあり方について、もし御答弁いただければと思います。

越智副大臣 東京国際金融センター推進の観点から、金融面において東京は魅力あるビジネスの場として認知されまして、世界じゅうから、人材、情報、資金の集まる拠点として発展していくことは重要だというふうに考えているところであります。

 そういう中で、日本再興戦略二〇一六にも記載してあるとおり、まず金融庁において、フィンテックを含む海外の金融事業者が本邦に拠点を開設する動きを促進すべく、金融法令上の登録手続等に関する相談窓口を開設する準備を進めております。

 一方で、加えまして、東京都におきましても、金融法令以外の手続に関する相談窓口を開設する予定であることから、どちらの窓口に相談があった場合でも、一体的、包括的に回答できるよう、相互にしっかりと連携を図るということとしております。

 こういった具体的な取り組みも含めまして、金融庁と東京都は、相互に連携しながら、こういった分野、積極的に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

木内(孝)委員 御答弁ありがとうございます。

 一つ、地位が低下した理由で、先ほど山本大臣がデフレということをおっしゃいました。私も全くそのデフレということに関しては同感でございますけれども、税制面から見た場合、所得税や、相続税五五%、向こうは二〇%を切る水準、法人税にしても三〇%ちょっと、向こうは一六・五とか一七%という、配当課税や証券譲渡益課税も〇対二〇とこれは非常に大きな開きがございます。

 これは、多くの人が前から課題だと指摘しているわけですけれども、一方で、国税に手をつけるというのは、これまた非常にハードルが高い。所管大臣ではございませんが、国家戦略特区を活用して何とか一部分だけでも実効税率を下げる努力とか、そこら辺への取り組みの御決意といいますか、もしございましたら大臣からお願いいたします。

山本(幸)国務大臣 その問題意識は私も同じように持っております。

 ただ、御承知のように、税制を変えていくというのはなかなか難しい話でありまして、ようやく二〇%台に法人税を下げることができたということでありますが、ほかのシンガポールとか香港なんというのはもっともっと低いわけでありまして、ただ同時に、いろいろな租税特別措置がありますから、実効税率のところではかなり低くなっているところもございます。

 したがいまして、特区を使って法人税の基本税率を下げろということは、これは無理だと思いますけれども、何らかの特別の、そこで、日本でちゃんといろいろな設備投資をしてくれるとか、そういうことについては特別の租税特別措置を考えるとか、そういうことをやっていく必要がぜひあると思って努力もしたいと思います。

 それから、最後にちょっとつけ加えますが、先ほど資料で、ページ数の話がありましたが、実は加計学園の方は、もう既に構造改革特区のときに、十九年からもう十五回やっているわけですね。その中で、二十一年には二十ページ、二十六年には三十四ページの資料を出しておりますので、それとあわせて比較しないと均衡はとれません。そういう意味では、ページ数が多いからということは言えないというふうに思っております。

木内(孝)委員 もう時間も来ましたので、大臣の加計学園に対するしどろもどろと申し上げたら失礼ですけれども、の答弁よりも、ぜひ国際金融都市センター東京、この前向きな取り組みをお願い申し上げまして、私の質問を終了とさせていただきます。ありがとうございました。

木村委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民進党の福島伸享でございます。

 委員外の私に対しましてこのような時間を与えていただきました委員長、理事各位初め委員の皆様方に、心から感謝を申し上げます。

 きょうは、森友や加計学園と言いたいところでありますが、地方創生の問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。うなずいていただき、ありがとうございます。

 まず一つ、資料をごらんになっていただきたいんですけれども、資料一に、国家戦略特区、総合特区、構造改革特区、さまざまな特区があるんですけれども、正直言って何がどう違うのか全然わからないんですよ。私、後でお話ししますけれども、最初の構造改革特区というのをつくった人間の一人なんですけれども、一体これは目的において何が違って、制度において何が違うのか、その点を簡潔にわかりやすくお答えいただけますでしょうか、大臣。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のありました三特区につきましては、いずれも地域を限定して規制改革を行うというものでは同じものでございますが、構造改革特区につきましては、全国どの地域でも活用できる規制改革を措置する制度、これは規制の特例措置のみでございます。総合特区につきましては、財政支援も含めました総合的な支援制度でございます。国家戦略特区につきましては、岩盤規制改革に突破口を開くということで、いわばトップダウンの制度でございます。

 こういうことで、三つの特区については、異なる意義、目的を有すると考えております。

福島委員 今の説明を聞いても違いはよくわからないと思うんですね。規制改革をやるのが構造改革特区だ、それに財政措置がつくのが総合特区だというんだったら、総合特区に構造改革特区を包含すればいいわけでありますし、トップダウンかボトムダウンかの違いというのであれば、それはどっちでもいい話だと思うんですよ。

 私が意図するところは、構造改革特区というのは、これは地域に限定というのと全国大に規制を広げるというのは矛盾するんですよ。なぜこう矛盾する制度になったかというと、そもそもこの特区の成り立ちなんですけれども、小泉政権のときに麻生政調会長が特区構想というのを出したんです、北九州の末吉さんなんかとともに。ただ、それは財政とか税制上の特区だったから、財務省の受けが非常に悪くて、当時の経済産業省の若手チームでいろいろ知恵を出しまして、規制だけの一点の突破をやろうと。それはある意味、思惑の違いだったんですね。その特定の地域に利益を与えるというのがあったし、しかし、立案した役所は規制改革の突破口にしようと。

 これは非常に情けない話だと思っていまして、特定の地域で風穴をあけなければ規制改革ができないというのは、ある意味、我々にとっては、政府に対する皮肉であったんです。どうせ政治家なんて自分たちで規制改革に取り組めないから、一点突破で地元の地方から要望を出してもらって、それで一点だけあけることでやることしかできないなと、ある意味、シニカルな思いでつくった制度なんですね。

 その当時の担当大臣は、鴻池さん、今話題のコンニャクのおっさんですけれどもね、のもとに私はいて、内閣官房でこの話をずっと……(発言する者あり)紳士です。いやいや、おっさんでいいんですよ。私、おっさんと本人には言っていますから、大丈夫ですから。

 どう見ても、何というか制度のはざまなんです。本来は規制改革でやるべきなんですよ。それを、特区という仕組みを使ってやっているだけなんですね。

 次の二枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、「構造改革特区における提案件数及び規制改革の実現数」とありまして、平成十四年、最初のときは千七十七件あって、これはずっと右肩下がりに提案件数が下がっております。

 それはなぜかというと、次のページをめくっていただきたいんですけれども、「構造改革特区における提案件数と規制改革実現の割合」、最初三〇%、これは鴻池さんが大分頑張って、各大臣と夢中になって折衝して、このころ、小泉政権は道路公団改革とかあるいは郵政民営化というのが大きなテーマだったんですけれども、なかなか実現する玉がないこのはざまに、鴻池大臣がさまざまな役所とのかけ合いのやりとりを公開の場でやって、三〇・五%、提案の三分の一の規制改革を実現したんですけれども、その後はずっと下がって、最近ですと一割にも満たない実現数なんですね。

 そういうふうなので見ると、私は、もはや構造改革特区というのは規制改革の手段としては余り適切じゃないんじゃないかと思うんです。

 ただ、この構造改革特区のやり方でよかったことは、公開の場で広く民間や地方から規制改革の提案を集めて、そして、公開のやりとりの場の中で規制の意義とかを役所側に言わせて、交渉して変えていくという一連のプロセスはよかったと思うんです。

 私は、日本の規制の一番問題点というのは、どこどこに特定の参入規制があるというのも問題なんだけれども、法律を見るだけじゃやっていいかどうかわからない不透明さがある。あるいは、規制をつくるプロセス自体が行政に独占されていて不透明だということであって、私は、規制改革を進めるというのだったら、このような構造改革特区のようなものじゃなくて、規制改革のプロセスをちゃんと法定して定常的にやっていく。

 規制というのは、行政が独占的につくるものではなくて、事業者や地方やさまざまな人の意見を聞きながらつくり上げていったり直していくものだというプロセスを導入すればいいことであって、私はそろそろ構造改革特区は店じまいをした方がいいんじゃないかと思っているんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

山本(幸)国務大臣 御指摘の構造改革特区は、確かに近年、提案数が減少してきておりまして、また委員御指摘の、ただ、いいところは、まさに公開の場で関係者の利害調整を図るという形でありまして、これは今、全体の規制改革を全国レベルでやる規制改革推進会議ではまさにそういう方針でやっておりますし、あるいはまた地方分権についても、提案募集ということで、地方における規制改革をやってもらいたいという場合には提案をしてもらって、それをしっかりと公開の場で議論してやっていく、そういう姿がありますので、もちろんそれが一番いいと私も思います。

 ただ同時に、では一遍で、全国で一気に規制が突破できるかというと、そう簡単にいかないものがありまして、いわゆる岩盤規制と言われる、獣医学部の新設もそうですけれども、そういうものがあって、なかなかスピーディーに改革ができないということもあります。

 その意味では、やはり特区でまずやってみる、そういうことによって懸念を払拭して、あるいは新たに生じた課題に対応するというやり方も有効ではないかとは考えておりますが、委員御指摘の点は極めて大事な点だと思っております。

福島委員 もうみんな期待しなくなっちゃっていると思うんですね。当初、千件以上の提案件数があったのが、平成二十八年ではその一割のたった百十件です。そのうちに特例措置が実現したのは一件しかないんです。一%しかないんですよ。全国措置でやりますというのも三件ありますけれども、もうこれではほとんど制度的な意味はないんじゃないかと思うんです。

 もちろん、提案の中には全くの無理難題とか勘違いによるものというのも多いと思うんですけれども、むしろここは、さまざまな特区があって何が特区かわからなくなっている中で、構造改革特区というのは、特区というよりは、不断の規制改革の見直しのプロセスを法定化すること、そして、もうちょっと強力な調整権限を持たせたものにすることということに昇華させて整理した方がいいし、同じように、もう総合特区は、新しい申請は受け付けていないんですよね。そうであるとするならば、これも、現状は財政措置等もあるから経過措置は必要にしても、なくしてもいいんじゃないか。

 そうすると、残るのは岩盤規制の突破を図る国家戦略特区なわけでございますけれども、これは先ほど木内議員からいろいろあったように、これも何か、どうも岩盤規制の突破の、意欲はよしとしましょう、しかし、本当にそれにつながっているのかというのは、今回の加計学園の話で大いに信頼が揺らいでいると思うんですね。

 国家戦略特区、それまでの構造改革特区、総合特区でもいいんですけれども、規制の特例措置が一つの事業体にしか集まらないという規制の特例措置を設けた例というのはありますか。

佐々木(基)政府参考人 一つに絞られたということですね。(福島委員「一つしか、そもそも適用が、対象にされないと法令で決まっているもの」と呼ぶ)一カ所に絞るという意味では、成田市に医学部を新たにつくったというのがその例だと思っております。

福島委員 恐らく、これは告示で、内閣府と厚生労働省の告示かな、文部科学省か、の共同告示で、一つしかできないという告示をつくっている例は、医学部の新設の成田と、今治でやる獣医学部の、その二つだけだと認識しているんですけれども、それでよろしいですか。

佐々木(基)政府参考人 そのとおりでございます。

福島委員 これが規制改革なのか。大臣、規制改革は何のためにやるかといえば、参入を広げるためにやるわけですよね。一校しか認めないとなると、これは新たな参入障壁をつくっていることにしかならないんです。

 しかも、その一つを認めるときに、さまざまな競争条件の中で一つを絞ればいいんだけれども、国家戦略特区の仕組みは、先ほどおっしゃっていたように、ボトムアップじゃない、トップダウンの方式だから、どうなっているかというと、特区の区域でなければ、その規制を使えないんです。ある人が、例えば今治だったら今治でもいいですよ、今治以外でもっとすばらしいところをやっていたとしても、特区の指定を受けている地域じゃなければそもそも実現できないんですよ。

 では、特区の指定は誰がやるかといったら、これは地方が申請するわけじゃありませんよね。政令で決めてやるんです。いきなり政令で決めて、その地域になっていなければ規制の特例措置は受けられない。しかも、告示で一校しか認められないというと、これはほとんどオーダーメードで、規制改革を行ったというよりは、新たな規制をつくって、参入障壁をつくって、一つの人に囲い込んでいると言わざるを得ないんですよ。私は、これは大いなる制度的な問題があると思うんです。

 プロセスにおいて公平にやっていると皆さんはおっしゃいますよ。先ほども大臣は、今治市は地理的要素からここを選んだと言ったんですよ。

 大臣、一つお聞きしますけれども、区域指定を政令で行う場合に、地理的要素をちゃんと配慮しましょうという、そうした基準はありますか。

佐々木(基)政府参考人 特区の区域を指定する場合には、もちろん、地方からいろいろ要望が上がってきまして、それを、民間の議員を含めていろいろ議論しているわけでございますけれども、そのときには、まず第一には、やはり当然、その提案している内容が革新的なものであるかどうか、それから、それを実現できるような実力があるかどうか、そういったものを中心に検討させていただいております。

福島委員 そこを聞いているのではありません。

 国家戦略特区基本方針というのがありますよね。それに基づいて指定しているんじゃないですか。勝手に、何か任意で、裁量でもってやっているんですか。その中に地域要件はありますか。

佐々木(基)政府参考人 おっしゃるように、指定につきましては基本方針に基づいてやっておりまして、その中には、地域に対する考慮の話はございません。(福島委員「ありますか」と呼ぶ)ございません。(福島委員「ですよね」と呼ぶ)はい。

福島委員 だから言っているんです。

 大臣は、地域の要件をもとに今治市に決めたとおっしゃいますけれども、それはないんですよ。だから、そこは裁量なんですよ。その裁量をもとに政令で決めているから、先ほど木内さんが言ったような、この話をするつもりはなかったんだけれども、怪しいと言われて、何か新しい利権をつくっているように見られるわけです。

 ぜひその点を考えてやらないと、これからいろいろな特例措置がありますよね。農業の分野の外国人労働者、これは、茨城県は農協なんかが一生懸命やろうとしているんですけれども、茨城県自身が特区指定をされていないから、幾ら実現性のあるプランを考えていたとしても、この事業の適用を受けることができないんですよ。

 では、特区の指定を受ければいいじゃないかと言うけれども、では何で今まで指定を受けていなかったのかというのもわからないし、極めて不透明。

 確かに、議事録は公開されていますよ。ただ、なぜその地域が特区に指定されたか、政令で指定されたかというのは非常に不透明であり、その指定がされなければ規制の特例措置が受けられない以上は、やはりこれは総理大臣にお願いしなきゃだめじゃないか、安倍昭恵さんを名誉校長につけなきゃだめじゃないかというふうに思われてしまうんです。ですから、そこをよく考えた運用をしていただきたいと思っております。

 二点目は、地方創生。

 安倍政権において地方創生というのをやって、人口減少に今、歯どめが全然かかっていない、東京一極集中が加速している、地方経済と大都市経済で格差が生じているということで、このやり方は、KPIと言われる重要業績評価指標、目標をきちっと数値的に決めてPDCAサイクルでやっていきましょうというのが肝だと思うんですね。

 そうした中でさまざまな目標を立てております。その中で、二〇二〇年に向けた主な基本目標、KPIというところで、仕事をつくる、人の流れを変える、結婚、子育ての希望を実現、町をつくると、四つの項目がありますけれども、このうちの幾つかについてお聞きしたいと思います。

 人の流れを変える、地方と東京圏との転出入の均衡を図るということで、現在、東京圏に転入超過が十二万人いるところ、地方から東京圏に行く人を六万人減らす、一方、東京圏から地方に行く人を四万人ふやす、そうした目標をつくっておりますが、その目標に対して、今、実現の度合いというのはどのようになっているでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 目標設定といたしましては、五年後に東京への転出入均衡ということでございますが、現時点におきまして、二〇一五年が十一万九千三百五十七人に対して、二〇一六年は若干減っておりますけれども十一万七千八百六十八人ということで、依然として十二万前後の人数が東京に転入超過という状況になってございます。(福島委員「いや、地方から東京と、東京から地方の内訳ではどうですか」と呼ぶ)

 お答えいたします。

 東京圏からの転出者数で、一番直近で申し上げますと、二〇一六年が三十五万九千九百二十二人、それから東京圏への転入数、こちらの方が四十七万七千七百九十人となってございます。

福島委員 ちゃんと通告しているので、答弁を用意していただきたいんですけれども。

 地方圏から東京に行く人を六万人減らすと言ったのが、一・一万人ふえちゃっているんですね。東京から地方に行く人を四万人ふやすと言っているのが、一万人、今度は逆に減っちゃっているんですよ、今、逆にベクトルが向かっていて。

 では、その要因はどうだというふうに分析しておりますか。地方創生でさまざまな施策を講じているにもかかわらず、目標と逆の動きを今しているわけですね。その原因、要因はどこにあるとお考えでしょうか。

山本(幸)国務大臣 御指摘のように、まだまだ東京一極集中というのが進んでおりまして、約十二万人という転入超過となっているわけであります。

 この人口移動の要因について、さまざまな理由があると考えておりますけれども、東京圏への転入超過数の大半を、男女とも、十五歳から十九歳そして二十から二十四歳が占めていることを考えますと、若い世代の大学等への進学や就職が東京圏の移動へのきっかけとなっているものと考えております。

福島委員 もしそれが原因だとするならば、それに対する対応策をやらないと目標は実現させられないわけだし、ほかにもいろいろな要因があると思うんです。一回東京に出ていって、戻ればいいですよ、地元に戻って就職すればいいわけでありますから、そうした意味でも、この仕事をつくるというところで、地方の若者の雇用創出数を、五年間で三十万人ふやすとやっておりますけれども、これの実現状況はどうでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 東京圏の転入、転出の状況を見ますと、先ほど御指摘がありましたように、三十五歳未満の若い世代では約十万人の転入超過となっております。これを受けまして、まち・ひと・しごとの創生戦略におきましては、二〇二〇年までの五年間の累計で約三十万人の若い世代の雇用創出を目指して、強化する取り組みを推進することとしております。

 具体的な内訳でございますけれども、二〇一五年の推計でございますが、地域の起業促進で約二・一万人、地域の中核企業の育成で〇・一万人、サービス業の活性化で〇・二万人、農林水産業の成長産業化で〇・六万人、外国人の訪日観光客の消費の強化ということで六・八万人で、合計で九・八万人の若者の雇用が地域で創出されたと推計をしてございます。

福島委員 それは、どういう根拠で九・八万人とおっしゃっているんでしょうか。例えば、一つ例を出せば、この中の一番大きな、今答弁があったように、外国人の訪日客の消費強化で六・八万人の雇用が創出されたとおっしゃっていますけれども、これは、この間の地方創生の、具体的にどのような政策を講じて、どういう効果で六・八万人雇用がふえたと試算しているのか、その根拠を教えてください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の外国人訪日客の消費強化で六・八万人ということの推計でございますけれども、二〇一五年の訪日外国人の消費動向調査に基づきまして、訪日外国人の旅行消費額の前年比増額分に産業連関表を用いて雇用誘発者数を推計いたしまして、さらに、地方の比率と、それから、これは若者の雇用でございますので、若年率というものをそれぞれ掛け合わせまして、六・八万人と算出をしているところでございます。

福島委員 これは、だから、地方創生の施策によってふえたのか、大臣のお得意なところだと思いますけれども、円安効果とか、あるいは、中国経済はこのころはまだ今ほどは悪くなかったでしょうから、いわゆる爆買いというのでふえた効果かもしれないし、政策の効果で六・八万人ふえたかというのはわからないんですよ。

 これは、しかも、産業連関表を用いて雇用誘発者を推計しているとやっていますけれども、例えば、地域ごとの、市町村の産業連関表でやっているのか、全国の産業連関表でやっているのか、どちらでやっていますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の産業連関表で計算をしております。

福島委員 それじゃ意味ないんですよ。地方創生なんですから、ある施策を講じて、ある事業をやった結果、その地域に外国人の人が来て、それで物を買ってふえたというのは、市町村ごとにも産業連関表というのはありますから、そういうのを見て積み上げなきゃ出ないはずなんですね。

 PDCAサイクルを動かすと言っているけれども、余りにもこの評価というのが、私は、お手盛りで甘くて、余り合理性のないものが多いんじゃないかと思うんですよ。もうちょっとちゃんとこの成果の分析というのは、申しわけないですけれども、経済産業省とかは意外と経済のことを知らないんですよ。ですから、きちんと専門家に任せて、緻密に効果を分析する必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

山本(幸)国務大臣 委員御指摘のとおりだと思います。

 今、私どもはRESASということでデータを出しておりますが、それだけじゃ足りないわけでありまして、御指摘のように、市町村ごとに投入産出分析表をつくれというように今指示して、努力しているところであります。それが全市町村にできますと、市町村ごとのそうした分析が可能になってくるということで、もう少し緻密な解明ができるようになると思っております。

福島委員 ぜひ、安倍総理が予算委員会や本会議でこうしたいいかげんな分析に基づいて自慢話をしないように、きっちりとした分析を、一番得意なところでしょうから、やっていただければと思っております。

 同じようなものに、例えば地方拠点強化税制というのがあります。これはどういうものかというと、本社を東京から地方に移すとか、あるいは、地方の本社機能を強化するといった場合に税制の優遇が受けられるというものでありますけれども、これはどういう目標を立てて、現在の実現の度合いというのはどのようなものでしょうか。

山本(幸)国務大臣 地方創生のためには、地方において急速に進みつつある人口減少に歯どめをかけて、全国津々浦々に安定した良質な雇用を確保することが重要と認識しております。

 このために、平成二十七年の通常国会で成立した改正地域再生法におきまして、地方において本社機能を新増設する事業者に対し、設備投資や雇用促進のための減税措置を講じる地方拠点強化税制を創設しました。さらに、今年度からは、地方において雇用者を増加させるインセンティブを強化したところであります。

 地方拠点強化税制につきましては、平成二十七年八月の施行後、これまでに四十四道府県の企業の地方拠点強化に関する地域再生計画を認定したところであります。これらの地域再生計画におきましては、合計千四百三件の事業により、一万一千五百六十人の雇用創出が目標値として掲げられております。この地域再生計画に基づきまして、ことしの二月末までに百四十二件の事業者の計画が道府県において認定されており、この中で七千百六十八人の雇用創出が計画されております。

 このように、各地域において、企業の地方移転や地方拠点の拡充に向けた具体的な取り組みが動き始めているものと承知しております。

福島委員 事務的な答弁を大臣にお答えいただいて、ありがとうございます。

 これは、その地域再生計画における目標値というのは、一番大事なのは、多分、移転型だと思うんですね。先ほど申し上げましたように、地方から東京に行く人はふえちゃっているんですよね。それを、東京から地方に行く人をふやすためには、本社機能を地方に移さなければならない。これもいろいろな議論があるんですね。党内でやると、木内さんのような東京の人はそれじゃ困ると言うかもしれないし、いろいろな議論があるんだと思いますけれども。

 これは、二百八十、地域再生計画では目標とされているんですけれども、これは三年間の事業で、一年目の二十七年度は五件だけ、二十八年度は八件だけ。この地域拠点強化税制、当然、地方の本社機能が充実されるのも必要なんだけれども、やはり一番やりたい東京の本社機能の地方移転というのを見ると、今のところ十三件なんですね。

 これは、三年で、もう来年度で終わる事業ですけれども、やはりこれは、PDCAサイクルをやるというのであれば、この施策自体のそもそもの妥当性というのを検証しなければならないと思うんです。

 この程度の税制の優遇措置で、本当に企業の本社移転が、東京から地方に移転するのが進むのか。これはインセンティブだけでもだめかもしれない。ディスインセンティブもなければならないかもしれない。本社を東京に置いたら損になりますよというような制度も、もしかしたら必要かもしれないけれども。

 これは本気で取り組まないと、さっき言ったように、これはもともと、東京に人口が一極集中しているのを地方に移転するためにやるわけですよね。大学の地方移転も一つのキーかもしれません。でも、これも、大学といったって、国立と私立があって、私立が多いわけですから、おまえいきなり動けとはなかなか言えないはずなんですよね。

 そういう意味では、企業の本社機能を地方に移すというのは極めて大事だし、日本ほど本社機能が首都に集中しているような国も、先進国では余りないと思うんですね。韓国とか、そうかもしれないですけれどもね。

 そういう意味では、もうちょっと抜本的な政策の見直しをすべきじゃないかと思うんですけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

山本(幸)国務大臣 御指摘の点はよくわかります。実績が少ないのは、これは二十七年の八月に創設されて、それから計画の認定とか事業者の整備計画とかそういうことで少しおくれて、実績が少なくなった面というのがあると思っておりますけれども。

 先般も、富山に行きまして、黒部のYKKAPというのが本社機能を移転したということで、一番の例なんですが、この税制の使い道について聞いてみたところ、ちょっと使い道が悪いというような話がありまして、早速戻って、次の年から変えるようにしました。また、来年度の税制改正では、雇用をふやしたときの便益を十万円ずつ上げるというようなこともやって、それなりに拡充はしてきているところでありますが、まだまだ抜本的に足りないということであればそれはそうかもしれませんが、今、昨年度末の税制改正は最大限努力したつもりであります。

 一方で、本来ならば、ディスインセンティブという形で東京に少し税金を高くするということができれば、それはまた一つの解決策かと思いますけれども、これまたいろいろな議論があり得ると思っていまして、しかし、委員の御指摘はそのとおりで、我々も全力を挙げて、その方向で努力していきたいと思っております。

福島委員 このことは多分、与野党の対立というよりは、東京の議員と地方の議員とかの対立の話だと思っておりまして、大臣が頑張られるのであれば、我々というか私は心から応援させていただきたいと思いますので、きちんと政策の効果を検証して、まず、その効果をちゃんと評価することも大事ですね。客観的に評価した上で、もし足らざるとしたら、思い切った政策を、かじを切ることをいとわないで、ぜひやっていただきたいと思います。

 最後、時間が来ましたので、最後だけ。

 やはり地方創生というのは、最後は人だと思うんですね。私も落選期間が長くて、その間、青年会議所とか商工会議所青年部でずっと、まちづくりとか町おこしの下っ端でテント立てとかやってきましたけれども、やはり人だと思うんですよ。

 先日退任しましたけれども、私が学生からよく知っている井上貴至さんという人が記者会見でおっしゃっていましたけれども、鹿児島県の長島町で、ぶり奨学金みたいなものをつくって頑張りました。彼が何で成功したかといったら、そこに根づいて、在任中に結婚もしてお嫁さんも連れていって、どっぷり町につかったから成功したんですね。

 一方、非常勤の人もいまして、非常勤の人が上から目線でいろいろコンサルティングみたいなものをやっても、住民は巻き込まれないからだめなんですね。東京からやってきた若者が、何かわけはわからないけれども、夢中になって自分の、おらが町のために働いているのを見て初めて、地元の人は動き始めるんだと思うんですね。

 そういう意味では、地方創生人材支援制度というのは、私は非常にすばらしいと思っているんですよ。ぜひこの制度を使って、若い役人はこんな国会対応なんてやらなくて、僕ら野党が言うからかもしれないですけれども、いいですから、どんどん地方に出して、地方にどっぷりつかる。お祭りになったらみこしを担いで、田んぼの中に入って一緒に田植えをして、その中で地方創生の伝道師となっていくような、そうしたことをやるべきだと思うし、よくやった人は大臣は心から褒めてあげて、よくやったと言って広げてあげるというのが必要だと思うので、大臣の思いをぜひお聞かせください。

山本(幸)国務大臣 長島町の井上貴至さんのところにも、私は直接参って、その活躍ぶりを、そしてまた地元での期待を強く感じたところでありまして、この制度は本当に非常にいいと思っております。

 そのほかにも、先般、北海道の手塩町に派遣された外務省からのお役人でありますけれども、手塩國眠れる食資源活用プロジェクトというのを企画、実施いたしまして、従来地元の人が気づいていなかったような手塩町の食資源を、東京のイタリア料理店などの一流シェフとコラボすることによって、地元の人は、世の中に自分たちの資源が通用するんだ、そういうことで非常に盛り上がっている、そういうことをやっている方もいらっしゃいます。

 その意味では、この地方創生人材支援制度で活躍している方々のところは確実に地方は元気になってきていると思っておりますので、先般も、来年度の人材として五十五名派遣することにいたしましたけれども、これまでに頑張ってこられた方々に対しては大変な感謝と評価をし、そして新しく行かれる方にはぜひ頑張ってもらいたい。

 この二年間の経験をしまして、私は本当に、やれば地方創生はできると確信をしました。こういう方々が頑張っているところは本当によくなっておりますので、ぜひこうした取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思います。

福島委員 大臣の強いリーダーシップを期待しまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 宮崎岳志でございます。

 本日は、今国会初めて当委員会で質問させていただきます。

 山本幸三大臣におかれましては、私が民主党政権時代、デフレ脱却議連を立ち上げましたときに大変御指導いただき、また、大臣がおつくりになった、増税によらない復興財源を求める会でも、私も民主党の当時の中心メンバーとして頑張らせていただきました。こうして今、大臣と当委員会の理事として質疑できることを大変喜ばしく思っております。今後とも御指導をお願いいたします。

 さて、地方創生ということでありますが、安倍昭恵内閣総理大臣夫人が地方創生のために大変熱心に活動していらっしゃいまして、本日、一枚資料を用意してまいりましたけれども、地方創生と農業ということで御講演をされている。そのほかにも、この資料の三枚目に、今いろいろな役職が載っていますけれども、この中にも、地方創生にかかわることは大変多いということであります。

 一方で、一枚おめくりをいただきまして、一枚目の資料の裏ですけれども、これは安倍昭恵夫人のフェイスブックからとったものですが、「一票の格差。地方創生と言いながら、地方を代表する議員の数は減り、都会の議員が増えていく。」これは本当にいいのかという思いを表明されておりまして、「でも憲法違反だからしょうがない…?憲法は九条だけではなく、もう一度国民みんなで考え直す時期なのではないでしょうか?」。

 安倍昭恵夫人の地方創生へのさまざまな取り組み、またこの地方創生の観点から、憲法九条のみならず、憲法そのものの見直しを考えるべきではないかという御提言について、大臣、どのように所感をお感じになっていますでしょうか、一言お答え願います。

山本(幸)国務大臣 安倍昭恵夫人の個人で行われている講演やフェイスブックでの発言等について、私がコメントするのは適当ではないというふうに思っております。

 なお、私は、地方創生は地方の平均所得を上げることだと定義して、それには、自助の精神を持って地方がみずから考え、責任を持って取り組むことが何よりも重要であると常々申し上げておりまして、多くの方々とこのような考え方を共有し、国民運動にしていかなければならないと思っております。

 したがって、地方創生に関してさまざまな主体が活発に議論し、取り組んでいくことは大変重要ではないかと思っているところであります。

宮崎(岳)委員 森友学園問題ということになるわけですけれども、この問題は、橋下前市長、また松井知事、こういった方々が、やはり大阪の教育、これを私学同士の切磋琢磨によって進めていこうという独自の考えに基づいて規制緩和を行ったということが一番事の始まりだというふうに評論もされております。こういった意味では、この学園の問題自体が地方創生と表と裏の関係にあるのではないか、そういうふうにも考えております。

 まず一点。先日、三月二十八日でしょうか、自由民主党の西村康稔総裁特別補佐が、先日の二十三日の森友学園籠池理事長の証人喚問に関しまして、偽証罪での告発についても考えたい、また、国政調査権を発動して書類を集めるような必要があるのではないか、このような発言をされています。

 この偽証罪についてちょっとお伺いをしたいと思うんですが、昭和三十年の国会法改正で参考人招致制度ができました。それ以来、参考人招致と証人喚問という二本立ての制度になっているわけですが、それ以降、国会が議院証言法に基づいて証人を偽証罪で告発した事例のうち、二つの点について伺いたいんです。

 一つは、通常、収賄とか、より大きな犯罪等が隠れていて、その件と一緒に、その件をきっかけにして証人喚問が行われるということですから、起訴自体も一緒に行われるということが多いわけですけれども、こういう、いわば本件に問われずに偽証だけで罪になったというケースがどれぐらいあるのか。

 また、偽証罪での告発は全会一致が原則だと思いますけれども、現在の制度では三分の二以上ということですが、全会一致ではなく多数決でこの偽証罪を適用した、告発したケースはいかがなものか。

 本日、衆議院の事務総長においでをいただいていますので、これまでの先例を伺いたいと思います。

向大野事務総長 お答えさせていただきます。

 まず、偽証罪単独で告発して起訴に行ったケースでございますが、起訴、不起訴の処分につきましては、これは法務省の所管でございますが、報道によって当事務局で把握している範囲でございますと、本院において偽証罪で証人を告発し、偽証罪のみで起訴された例は、昭和五十一年と昭和五十二年に各一件ございます。

 それから、次の御質問ですが、偽証罪で告発した事例のうち、全会一致ではなく賛成多数で告発をした事例でございますが、この事例はございません。ただ、偽証罪以外の罪で告発した事例まで含めますと、証言拒否罪を賛成多数で議決した例が昭和五十四年に一例ございます。

 以上でございます。

宮崎(岳)委員 今御説明したとおりだと思うんですが、事務総長、結構です。お戻りいただいても大丈夫です。

 昭和三十年以降ということになりますと、ロッキード事件で七人、証人喚問をされている。その中で、ロッキード事件という大きな事件の捜査の中で、偽証ではないかということが捜査情報との突き合わせでわかってきて、告発されているということでありまして、たまたま、そのうちの二人が偽証罪のみで起訴されておりますけれども、その際にも、法務省、検察の方から見解を聞き取って、これは偽証という疑いが濃厚であるということを院として確認した上での偽証罪での告発であります。

 それから、賛成多数、全会一致ではないというケースであるのは、証言拒否の、これはダグラス・グラマン事件でありますけれども、一件のみということになります。

 何が言いたいのかというと、我々政治家で、与野党でいろいろ、討論もする、議論もする、お互いに批判もし合うということで、院ではさまざまな発言をするわけですが、偽証罪での告発というのは極めて重いものなんですね。あなたは犯罪者だというふうに言う資格があるのが偽証罪の告発という院の権利なわけでありますから、余り軽々しく、政局的に、ここが偽証だとか、あれが偽証だとか、ここは違うとかというのは、それは、お互いに話をする中ではいいですが、ある立場を持っている人が外部に公式に発表するようなことは極めて慎重にやった方がいいということは一言申し上げておきます。

 ちなみに、法務省にも来ていただいておりますけれども、議院証言法は議員立法でございますが、刑法に同じ偽証罪というものがございます。刑法の偽証罪、どういうものでしょうか。

林政府参考人 刑法に偽証罪がございまして、「証人が虚偽の陳述をしたとき」ということでございますが、この場合の虚偽を陳述したときというのは、裁判例などによりますれば、証人が故意に自己の記憶に反する陳述をしたことをいうと解されております。

宮崎(岳)委員 偽証罪とは、故意に自己の記憶に反する陳述をする、こういうことです。客観的事実と合っているかどうかということは一旦おきまして、人間には勘違いであったり記憶違いであったり思い違いであったりというのはさまざまございますが、そういった過失によるものを排して、うそだという記憶が明確にあるのにうそを言った場合、これが偽証罪でありますから、単に事実と異なるということだけでは偽証罪には当たらないというのが判例であるということは、一点、指摘をしておきます。

 さて、続きまして、先ほどの、地方創生に大変熱心に活動していらっしゃる安倍昭恵内閣総理大臣夫人の活動について伺いたいんですが、内閣総理大臣夫人に夫人付職員というのがついている。総理夫人の私的活動に同行することもある。私的な活動というのは、先ほど言いましたとおり、地方に行く場合も多くて、地方創生に資するような活動もいろいろされているんだと思うんですけれども、さはさりながら私的活動である、こういうことであります。

 この場合の、私的活動に同行した場合の旅行命令や超過勤務命令、出された具体例というのはどうなっているのか。

 また、夫人が招かれて、行かれるということがあると思うんですね。夫人が招かれると、夫人に、御招待ということですから、旅費、交通費が先方から出る場合もあります。地方自治体のようなところから出ることもあれば、一民間の、何か法人のようなところから、あるいは会社のようなところから出る場合もあると思いますが、この場合、総理夫人付の職員の方ですね、この職員の方には、先方から交通費が出るような例があったんであろうか。

 この二点についてお伺いできますでしょうか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘ございましたとおり、総理夫人による総理の公務遂行補助、この活動を支援するために、職員が連絡調整等の必要のため、夫人の私的な行為の際にも出張することがあるわけでございます。

 まず、一般論で申し上げますと、これは公務員の出張ということになるわけでございますので、旅行命令手続あるいは超過勤務命令の発令手続ということが必要になるわけでございます。

 しかしながら、委員その他からさまざま御指摘いただく中で、過去におきまして旅行命令発令手続あるいは超過勤務命令の手続がなされていなかったということが判明したわけでございます。その点につきましては、私ども、業務の適切な管理の観点から、現在は個別に手続を適切に行うよう改善を図ったところでございます。

 具体例という御質問でございましたけれども、今月の例で申し上げますと、三月十一日、十二日にかけての被災地の訪問につきましては、いずれの手続もとっているところでございますので、真に勤務時間ということを今後明確にいたしまして、四月の給与においてこれを反映する予定ということでございます。

 また、三月初旬の山形出張につきましても、直近のことでありましたので、同様に、勤務に要した時間を十分に精査をいたしまして、これも同様に四月の給与において支給する予定となっているところでございます。

 それから、次の御質問でございますけれども、夫人が民間主催の行事に招かれる際に職員の交通費がどうなっているのかという御質問かと思います。

 総理夫人の私的な活動に職員が同行する場合には、交通費も含む旅費につきましては、原則といたしまして、総理夫人のお申し出によりまして夫人の私的経費により負担されていると職員から聞いておりまして、国は支給していないところではございますけれども、他方におきまして、このような例の中で、主催者団体あるいは自治体等からお招きになっているということでございますので、そうした自治体、主催者団体の負担になっている例もあるというふうに承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、旅費法上は、国以外の者が旅費を負担するときは国は旅費を支給しない、このような取り扱いになっているところでございまして、国としては、規定に沿って旅費を支給していないという取り扱いになっているということでございます。

宮崎(岳)委員 確認いたします。

 毎年行っている山形のスキーイベント、この方は例年、いわゆる超過勤務命令や旅行命令は出されていないが、今回は出したということ、それから、夫人付の公務員の給与についても、夫人を招待した側の民間法人なり民間会社なり民間団体なりが支給する例というのもこれはしばしばある、この二点で間違いないかどうか、御確認願えますか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 スキーイベントは、本年も含めまして三回あったというふうに承知をいたしておりますけれども、この三月の分につきましては、直近のことでございますので、今後、手続の上、所要の超過勤務手当を支払う予定というふうになっているわけでございます。

 それから、二番目に申し上げましたのは、私は旅費に関する答弁を申し上げたわけでございます。給与につきましては、いずれの場合も国が超過勤務手当として支給するものではございますけれども、先ほど来申し上げましたとおり、旅行命令手続あるいは超過勤務命令手続が正規にとられていなかったものにつきましては、給与法の規定に沿いまして、これは支払わないという扱いになるというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 確認ですが、総理夫人付の旅費を、夫人招待元の民間の法人や団体が支払うという例はありますか、交通費を。

土生政府参考人 失礼いたしました。先ほど申し上げましたとおり、旅費法上は、国以外の者が旅費を負担するときには国はこれを支給しないということになっているわけでございます。

 その場合におきましては、原則としまして総理夫人の私的経費により負担されているものと承知いたしておりますけれども、他方におきまして、自治体あるいは主催団体が負担をしている例もあるというふうに承知をいたしております。

宮崎(岳)委員 総理夫人付の職員の給料を民間団体が支払う、そもそも、総理夫人にくっついていくのは公務であるけれども、別に夫人のお世話に行くわけじゃないという仕切りなんですが、それで支払うというのはどうしてもおかしいんじゃないか。これはまさに、公務であるからそこにくっついて、それが、つまり夫人と一体のものであって、夫人付の職員が行くのが公務であるなら、夫人の行動も公務ではないかというふうに考える次第です。

 さて、これは通告しておりますが、この直近一カ月、ことしの二月二十七日から昨日まで三十一日間、総理夫人付の職員が総理大臣の公務への補助活動に従事した日数及び件数、これを外交関係と外交関係以外に分けてあらわされたい。

 つまり、総理大臣の公務への補助活動というものが言われていて、外交関係は何となくわかるんですね。しかし、外交以外の部分というのは、一体国内にどんな、総理夫人に公務補助活動というのがあるのかというのはよくわかりませんので、具体的に、どれぐらいの日数、どんなことに従事しているというのか、例示をお願いいたします。

土生政府参考人 まず、先ほどの御質問でございますが、私の言い方が曖昧だったのかもしれませんけれども、給与につきましては、少なくとも、国以外は支給していないということでございます。

 それから、ただいまお尋ねの直近一カ月の公務遂行補助活動でございますけれども、外交関係では二回、二日間、外交関係以外では四回、四日間ということでございます。

 外交関係以外ということで御指摘でございますけれども、具体例で申し上げますと、両陛下のベトナム国御訪問に際してのお見送り、お出迎え、あるいは、農林水産省主催の農業女子プロジェクトアワードへの出席等があるということでございます。

宮崎(岳)委員 そうすると、月に、総理夫人の公務補助活動というのが、外交では二回、二日間、外交以外では四回、四日間。陛下のお見送りも、ベトナム訪問のお見送りということですから、極めて外交に近い問題だと思う。

 そうすると、国内活動というのは、ほとんど公務補助活動というのはないんじゃないでしょうか。ほとんど国内の公務補助活動というのがないのに常勤の職員がずっとついていらっしゃるというところに、違和感が生まれるもとになっているわけでありますけれども。

 こちらに、朝日新聞がまとめた、資料の三枚目の表でありますが、安倍昭恵氏が名誉会長などの役職を務める主な団体、イベントという一覧がございます。

 このうち、総理夫人の私的活動ではなく、総理大臣の公務への補助活動だということで就任をしている、いわば公的に就任している役職は何があるでしょうか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 総理夫人による総理の公務遂行の補助に係る活動でございますけれども、これは、政府として公務への協力をお願いしているものということでございます。

 御指摘の記事の中で申し上げますと、御指摘の記事の中でミャンマー祭り実行委員会というのがございますけれども、本件につきましては総理の公務補助として活動されているというふうに承知をいたしておりますが、そのほかにつきましては私的な行為ということで、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

宮崎(岳)委員 ここには二十の役職が載っております。名誉会長とか名誉顧問とか、そういったものでありますが、ミャンマー祭り実行委員会の名誉会長のみ公務補助活動であって、そのほかの十九役職、中には、既におやめになった森友学園の予定小学校の名誉校長とか、加計学園のこども園の園長とかいうものもありますけれども、十九は、これは私的な活動として行っていらっしゃる、こういうことであります。

 そうすると、先ほどの、月に六日間、公務補助活動を、外交を含めてされているということも含めて考えますと、二人の職員がやはり常駐でついてやっていることというのは、ほぼほぼ安倍夫人の私的活動への支援ではないか。その私的活動が地方創生だからいいんだという言い方もあるかもしれませんが、なかなか厳しい言いわけではないかというふうに私は思っているわけであります。

 ちなみに、このことに関連して、森友学園に夫人付職員が陳情に対する回答として送ったファクスというのがありますけれども、この問い合わせを総理夫人付の職員が各所にかけております。

 これはもう一度確認です。内閣官房の他の職員、夫人には事後報告したということなんですが、他の内閣官房の職員、正副官房長官とか政務秘書官とか内閣総務官とか、あるいは同僚である夫人付とか、こういった方に、この陳情あるいは問い合わせの件について、事前または事後に問い合わせや相談、報告、連絡、こういうことを行った形跡はありますでしょうか、御確認ください。

土生政府参考人 御説明いたします。

 御指摘のファクスでございますけれども、これまで業務の中で知り合った者からの問い合わせに対しまして、照会者に対して情報提供を行ったものでございます。

 御質問の点でございますけれども、夫人付が回答するに当たりまして、他の職員に対して相談等を行ったという事実はないということでございます。

宮崎(岳)委員 わかりました。

 次に、サステナブル建造物補助金、木造先導型についてお伺いをしたいんですが、報道によりますと、昨日、既に森友学園側に支払われていた五千六百五十万円の補助金が口座に入金されて返金をされたというふうに御報告されています。その詳細についてお教えください。

 また、もともと森友学園、資力に欠けると言われる中で、国交省はずっと、その申請代理人である設計会社との連絡のみをとってまいりました。この返還について、設計会社側からなされたという可能性はないのかどうか伺いたい。

 あわせて、今、国交省は、複数の契約書に関する調査を進めるというふうにきのう時点では言われていましたけれども、この方針に変更はあるのかどうか、お教え願えますでしょうか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、返還の状況でございます。

 サステナブルの補助金の返還に関しましては、三月十九日に先方の森友学園から、当方の補助金の事務を行っております一般社団法人に対して取り下げの申し出の書類が正式に到達いたしました。それを受けまして、学園に対する交付決定を三月二十一日付で取り消し、同日付でそれまでに払っておりました五千六百四十四万八千円の返還命令を発出いたしました。その返還命令におきましては、三月三十日までに指定の口座に返還するようにというふうにしておったところでございます。

 これに対しまして、昨日、三月二十九日に、先ほど申しました社団法人の方から、その前日、二十八日付で指定の口座の方に返還の振り込みがあったという旨の連絡が参ったところでございます。

 まずは、法人に戻ってまいりましたので、今後速やかに、法人から国の方へそのお金を返還していただくということを進めていくことにしております。

 なお、支払いの関係でございますが、支払いにつきましては、森友学園の口座から指定いたしました口座に振り込まれているということは確認しておりますが、それ以上の事実については当方ではちょっと承知をしておりません。

 また、今後の調査の継続に関しましては、昨日の国交委でも答弁ありましたとおり、引き続き調査について進めてまいりたいと思っておるところでございます。

宮崎(岳)委員 昨日、国交委でもこの補助金について質問させていただいたんですが、どうも、その後の報道等によりますと、その質問への答弁の時点では既にお金が振り込まれていたのを国交省として確認されていたような話でありました。もしその質問の時点でわかっていたのであれば、その時点でその事実をお話しいただければ、きょうおいでいただくこともなかったわけですから、ぜひそういうことについてはきちんと対応していただきたいと思います。

 さて、話は続きますけれども、安倍昭恵総理大臣夫人が外交旅券を所持しておりますが、総理夫人が、総理同行ではなく単独で外交旅券を使って外遊したという際の活動は、これは公務なんでしょうか、公務ではないんでしょうか。

吉田政府参考人 委員御指摘のように、安倍総理夫人には外交旅券が発給されております。

 旅券法上、外交旅券は、国の用務のために外国に渡航する者に対して発給されます。したがいまして、この要件、国の用務のために外国に渡航するという要件を満たす場合には、総理夫人が総理に同行する場合であっても、単独で渡航する場合であっても、外交旅券を使用することができます。

 総理夫人が国の用務のため外交旅券で外国に渡航する場合といいますのは、国の機関の依頼または要求に応じて総理大臣の公務の遂行を補助する業務が含まれている、このように認識しております。

宮崎(岳)委員 では、これも総理大臣の公務を補助する業務として外遊をしている、そのために外交旅券を使用している、こういう法的な仕切りだということでございます。

 財務省に伺います。

 平成二十七年に、国有財産審理室長が森友学園の籠池理事長と直接面談をしていらっしゃいます。普通、国有地の一契約先にすぎない一般の民間人の方が本省の担当室長に会えるというのは、大変珍しいことではないかというふうに私としては推測をするわけです。

 もちろん、政治家であったり市町村長であったり公務員であったり業界団体の長であったり、それなりの公的な立場がある人は別としてでありますけれども、年間、特に籠池氏がお会いになった平成二十七年、審理室長は一般の契約先の方と直接面談なさる機会は何回ぐらいあるのか。

 また、この面談の趣旨でありますけれども、当初、新しいごみが見つかったので、この対処をどうするかということで御相談に来られたというお話でありましたけれども、その後、それ以前のごみの処理、つまり、立てかえ払いをした一億三千万円のものでありますが、この処理方法についての財務省側からの提案に非常に不満であった、それへの抗議である、そういった話も出ているようでありますが、実際に、この前回のごみ、一億三千万円の処理費用を要したもの、これに対する抗議の趣旨というのはなかったのかどうか、これについて財務省の方からお答えをお願いいたします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員お尋ねの一点目でございます。

 国有財産の売却、貸し付け、これは基本的に地方の財務局でやってございますので、いろいろな方が地方の財務局に行くケースは多々あると存じます。そういう中で、国有財産審理室長におきましては、御要請があれば御対応させていただいているということでございます。

 大変恐縮でございますが、面会の時期、回数など大変詳しいところまでは全て把握できておりませんのでございますけれども、国有地の当事者、あるいは国有地の利用を希望される地公体の担当者の方でありますとか、あるいは民間企業、法人の方も含めて、さまざまな方と会う機会があるということでございます。

 それから、二点目のお尋ねは、平成二十八年三月ごろの審理室長と籠池氏の面会のお尋ねかと存じます。

 これにつきましては、理財局長も答弁申し上げておりますとおり、本人にも確認をいたしております。

 その結果でございますけれども、先方から要望がございましたのは、新たな地下埋設物が発見されたので至急対応してもらいたいという要望でございまして、審理室長から、現場の状況を踏まえて法令等に従って対応する必要があり、現地で近畿財務局と大阪航空局が連携して対応すると応じたものでございます。

宮崎(岳)委員 時間となりましたが、本日は、地方創生について大変深い中身のある議論ができたということで、感謝を申し上げます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 民進党の今井雅人でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、実は地方の人材不足と外国人の受け入れの問題ということをちょっとお伺いしようと思っているんですけれども、先ほどからありますように、先週、ちょうど一週間前に証人喚問があって、それから参議院でいろいろ議論がありますけれども、私は、この森友の問題、ずっと取り組んできておりまして、私のスタンスは、やはり中立で何が正しいかを解明していくというのが我々の役目だということでやってきておりますけれども、いろいろな両方のお話を聞いているところで、まだ幾つかよくわからないという点がございますので、最初にその点について御確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、ファクス、谷さんという元秘書官からのファクスの問題が証人喚問からずっと話題になっていますけれども、ちょっとこれについて事実関係をお伺いしたいんですが、私はいろいろなところとヒアリングをしておりまして、籠池さん側からもいろいろお話を伺っておりますけれども、こういうことで私は今承知をしています。

 昭恵さんの携帯にまず籠池さんが電話を入れました。そのときはお出にならなくて、留守電だった。留守電が何本か入っていたというのは安倍総理も認めておられますので、留守電が入っているということ自体は、ここまではいいと思うんですけれども、この留守電の中に入れた言葉は、具体的なことを言ったのではなくて、ちょっと急な用事があるので御連絡いただけませんかという留守電を入れているそうです。

 それを受けて、谷さんから籠池さん宛てに電話が入りました。そして、昭恵さんに何か電話があったようですけれども、どういう御用件ですかというふうに聞かれたと。それに対して、谷さんの方から、口頭では何なので、具体的に何か書面にして出していただけないでしょうかというふうに言われて、そして、ノートに、こういうノートがあるんですけれども、ノートにばあっと走り書きをして、それをコピーして、谷さん宛てに送った。それが平成二十六年の十月の二十六日の手紙ということになっていると。それで、そのファクスを見ると、お手元にあるかもしれませんけれども、なお、本件は昭恵夫人にも既に報告をさせていただいていますと最後にわざわざ書いているのは、今の流れで言うと、非常に自然に聞こえるんです。

 ここら辺の事実関係について、もう一度確認をさせていただきたいと思いますが、この話の流れというのはどこか違っているでしょうか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 まず、ファクス回答に至った経緯でございますけれども、そこは夫人ないし総理の公務ではございませんので、政府としてなかなかお答えできるところではございませんけれども、国会等におきまして、総理から、家内のところに留守電があったわけでありますが、その後、私の妻からはお答えはしていないわけでありまして、その中において、この夫人付に手紙が来た、このように総理が述べられているということでございます。

 そのファクスの回答の経緯でございますけれども、これは、御指摘の職員は、先ほど申し上げましたとおり、公務遂行補助活動を支援するということが職務であるわけでございます。したがいまして、職務以外のことでありますけれども、公務に携わる者として、これまでの業務の中で知り合った者からの問い合わせに対しまして、関係部署に照会し、その回答を得て、情報提供を行ったということでございます。その回答の前に、先生から御指摘ございましたとおり、総理夫人にも報告をした、このような経過であると承知いたしております。

今井委員 私は、昭恵さんの話を伺っているのではなくて、谷元秘書官の一連の行動について伺っているので、それはお答えできないというのはちょっと違うと思うんです。このとき内閣官房にお勤めだった方の行動についての経緯を教えていただきたいということを申し上げているので、それを答えられないというのはおかしいですよ。

 私の質問は、先ほど、私がこういうふうな経緯だというふうに伺っておりますが、これは事実なんでしょうかと。違うところがあれば、違うところを指摘していただきたいということです。

土生政府参考人 お答えいたします。

 経緯につきましては、三月二十三日の官房長官の記者会見で、官房長官から御説明をさせていただいておりますけれども、夫人付に対しまして、十月二十六日消印の書面が送られてきたということでございます。この書面に対しまして、夫人付からファクスにて、籠池氏の要望には沿うことができないお断りのファクスを送ったということでございまして、私どもとしては、そのような事実関係であったと認識しているところでございます。

今井委員 もう一度お伺いします。

 私は、昭恵さんに籠池さんが電話を入れて、急な用事があるのでということで、谷さんからそれを受けて連絡をいただいて、夫人にお電話いただいたようですがどういう御用件ですかということで、話をしている中で、詳しいことを書面で出していただけますかということで書面を出したというふうにおっしゃっていますけれども、これが事実か事実じゃないか。間違っているなら間違っているで結構です。この経緯についてお伺いしています。

土生政府参考人 お答えいたします。

 その点に関しましては、国会審議の中で、総理から、それは臆測であるというふうに御答弁されたというふうに承知いたしております。

今井委員 今の経緯を国会で議論したことはありましたっけ。谷さんから電話があってというようなところまで議論したところは私はないと思いますけれども。

 たしか、私の記憶では、総理は、留守電が幾つかあるのは伺いましたと。しかし、それではなくて、手紙をいただいたのでということしかお答えになっていないと思うので、私は今、谷さんの方から、夫人からそういう電話があったことで、確認してくださいということで、谷さんから電話をしてこれが始まっているというふうに伺っていますが、それは事実ですかということです。

土生政府参考人 お答えいたします。

 三月二十七日の参議院予算委員会でございますけれども、白先生の方から、籠池さんから言われたとしても、私の秘書にその内容を伝えてくれませんかとか秘書から連絡させますとかが普通だと思うのですが、そして、谷さんが電話をされて、手紙を送ってくれませんかと籠池さんに、その返事がファクスだったと勝手に推測してしまうんですが、そういうことはないということでよろしいですかという御質問に対しまして、総理から、それは勝手な推測であると思いますということでございます。

 臆測というのは訂正をさせていただきます。

今井委員 わかりました。では、これは事実と異なるということでよろしいですね。それは明確に答えていただきたいんですけれども。

土生政府参考人 お答えいたします。

 総理から御答弁されたことが全てであると承知いたしております。

今井委員 済みません、臆測ということと、だから、事実じゃないということで、別に結構なんです。事実でなければ、それで次に行きますので。そこだけ確認させてください。

土生政府参考人 ただいま御説明しましたとおり、勝手な推測ということでございますので、事実ではないということだというふうに思っております。

今井委員 事実じゃないと今明確におっしゃいましたので、それで結構です。ありがとうございます。

 次に、これは先ほど宮崎さんもやっておられましたけれども、谷さんがやっていることが公務ではないというふうにおっしゃっておられますけれども、ちょっと財務省さん、まず、じゃ確認したいんですが、これは、谷さんの方から連絡をして、返答していますよね、回答しておられます。これは職務ですよね。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 財務省の側といたしましては、夫人付の方から、平成二十七年の十一月ごろでございますが、当方の室長に対してお問い合わせがございました。それに対して事実関係を御説明しております。

 これは、相手がどうであれ、国有財産に関するお問い合わせでございますので、御質問につきましては公務ということでございます。

今井委員 そういうことなんですよ。私は、別に、これは公務だとか公務じゃないとかということを、なぜ公務じゃないと言い切るのかが不思議なんですね。

 公務員の働き方、ここはやはり、ちょっとはっきりしておいた方がいいと思うんですけれども、職務時間中に、ある公務員の方が、違う公務員に照会されて、それに回答をもらうという作業をして、それでお答えするというのが私ごとであるということがとても理解ができません。それは職務の中での行為なんじゃないんでしょうか。そうじゃないとすると、公務員の人は勤務時間の中に職務じゃないことをやっているということになってしまいます。

 だから、その整理はちょっとおかしいんじゃないかと思うんですけれども、それはいかがですか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の職員でございますけれども、総理の公務遂行補助を支援する旨の職務命令、職務命令の内容は、総理の公務遂行の補助を支援する職務命令ということでございます。したがいまして、他省庁所管のことにつきまして照会に答えるということは、この職務には該当をしないということでございます。

 国家公務員法百五条によりまして、職員は、法令により割り当てられた職務については当然職務の義務を負うわけでございますけれども、これ以外について勤務義務を負わない。こうした意味におきまして、職員の職務ではないということを申し上げているわけでございます。

 他方におきまして、国家公務員法は、国民全体の奉仕者としまして、公共の利益のために勤務するということを定めているということでございますので、職務命令外の事項につきましても、国民からの照会に丁寧な対応を行うことは、社会通念上認められるような常識的な範囲内にある行為あるいは本来の職務の遂行に支障が生じなければ、職務専念義務違反にはならないというふうに考えているところでございます。

今井委員 職務と職務じゃないものがあると今おっしゃっていましたけれども、職務以外のものでは、じゃ、例えば省のファクスですとか、そういう公共の資産ですね、こういうものを活用することは構わないんですか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたとおり、社会通念上認められるような常識的な範囲にある行為あるいは本来の職務の遂行に支障が生じない範囲ということであれば、職務専念義務違反にならないということでございますので、そういった範囲におきまして職場のファクスを利用することについては問題ないと考えているということでございます。

今井委員 じゃ、この件はもうこれでやめますけれども、実は、この谷さんという方は、内閣総理大臣官邸という、こういう封筒を使って、わざわざ、夫人付谷査恵子という名前で封書をいろいろやりとりしています。ですから、これは官邸の正式な封書で、自分の名前が夫人付谷査恵子です、これでやりとりをしているということは、とても私は問題だと思うんですね。これだけもらえれば、明らかにこれは、夫人と一緒にこういう問題について取り組んでいるというふうに当然思われてしまいます。

 ですから、こういうものを使ってそれをやっていたということは、それは谷さん一人が自分で職務以外でやっていたというふうに言い切れませんよ。明らかにこういうものは公務と同じ形でやっていますから。

 だから、その点は、ちょっときょうは地方創生のところですから、これでこの問題はやめておきますが、ぜひ、またほかのところでもやりたいと思いますけれども、この問題は本当に深刻だと私は思いますので、御指摘をさせていただきたいと思います。

 それと、もう一点の確認ですね。

 先ほど偽証罪の話がありましたので、これも私は申し上げておかなきゃいけないんですが、今、与党の皆さんは二つのことをおっしゃっています。一つは、振り込み用紙を書いたのが奥さんじゃないかということをおっしゃっています。もう一つは、寄附金のところが、大分長期間にわたって安倍晋三小学校という名前で寄附をしていたので、これは詐欺に当たるんじゃないか、あるいは、これはうそをついていたんじゃないか。職員が書いたというよりも夫人が書いているということをおっしゃっていますけれども……。

 そうですね、ちょっと済みません、ごちゃごちゃになりました。

 まず一つ目の、夫人が書いたかどうかというのは、これは籠池理事長の証人喚問ですから、御本人のことじゃないことで、間違っているふうに聞いているかどうかわからないことというのはあるわけです。だから、それをもってうそをついているからというのは、私は、やはりこれは本当に言い過ぎだというふうに一点目は思います。

 それから、二つ目の確認なんですが、籠池さんは、安倍晋三小学校というのを正式に断られたのは平成二十六年三月十一日、東京で昭恵夫人にお会いしたとき、それまで何カ月間か、四、五カ月、すったもんだいろいろあったんだけれども、最終的に平成二十六年三月十一日に正式に断られて、それ以降は安倍晋三小学校という名前での寄附は募っていないというふうにおっしゃっておられますけれども、これは、正式に断られたというのは平成二十六年三月十一日ということでよろしいですか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 総理の公務に関することではございませんので、政府としては本来お答えを差し控えるべきものと承知いたしておりますけれども、御指摘の小学校につきましては、国会の中で、総理から、そのような依頼につきましては、私が総理大臣になる前の話でありまして、一議員のときでありましたが、その前の段階で、私、既にお断りを、これは妻を通じてでございますけれども、受けないと答えたと、このように答弁されているということでございます。

今井委員 籠池さんは、もう二〇一二年ごろから、小学校をつくりたいという夢があって、安倍晋三小学校という名前にしたいという思いがあったというふうにおっしゃっています。それで、実際にお願いしたのは総理大臣になってから、話が具体化してからいろいろお願いをして、昭恵夫人を通じて、受ける受けないというのは、ずっとやりとりがすったもんだあって、それが数カ月あって、最終的に平成二十六年の三月十一日に、やはり無理ですということで、正式なお断りを受けたというふうにおっしゃっています。

 であるとすれば、その前の期間中に安倍晋三小学校というので寄附金を募っていたということを余り問題視し過ぎて、これは偽証だというのは、これは私はとても慎重にならなきゃいけないというふうに考えております。別に相手方の肩を持つわけじゃありませんが、偽証ということはやはり非常に重いということでございますので、それなりのやはり事実、それなりの本当に卑劣性、いろいろなものをしっかりと立証した上でそういう問題提起をするということをぜひやっていただきたいということで、ここではまた一つお願いを申し上げておきたいと思います。

 やはり、軽々しく、ちょっと言っていることが食い違うという程度で、偽証罪ということを、殊さらに荒げるということは、私は適切じゃないということを申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、大臣、済みません、お待たせしました。少しお伺いしたいと思います。

 よく安倍総理が、雇用が拡大してよくなった、四十七都道府県全部、有効求人倍率が一倍を超えたというふうにおっしゃっていますが、私は、雇用を回復するのはとてもいいことだと思いますが、有効求人倍率が一倍を超えた段階からは、逆にこれはマイナスになっていくと思っているんですね。

 つまり、人がいない、人が足らないんです。だから、いろいろな仕事をしたいのに人が足らない状態になってしまっているということは、これは経済にとってはマイナス要因です。

 ですから、もちろん雇用が回復することはすばらしいことですけれども、余りに、要するに人の需給が逼迫し過ぎてしまっていることは、ある時点からはマイナスになるというふうに思っていますが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。

山本(幸)国務大臣 有効求人倍率が高い状況というのは、求職者の側から見ると、仕事の選択肢が広がるという意味で望ましいわけでありますけれども、他方、企業の側から見ると、人手不足という課題が生じている状況でございます。その意味では、見る立場によって違うと思いますが、ただ、経済全体として悪いかと言われれば、私はそんなことは全くないと思います。

 むしろ、そういうふうに人手不足という状況が起こることによって賃金が上がってくるし、そしてまた、企業側も人手不足を解消するために何をしたらいいかということを考えることになります。つまり、省力化投資とか、そういう設備投資も進んでくるわけでありまして、全体として景気回復に向かう大きなポイントになるものだと思っております。

今井委員 私、岐阜の飛騨の出身なんですが、飛騨地方というのは、奈良時代から余りに田舎過ぎて租税を免除されていたという、ずっとそういう歴史を持っている地域でありまして、例えば今、飛騨市の新しい市長、県庁から来られたとても優秀な方ですけれども、この間もお話をしていましたら、とにかく何をやろうと思っても人がいないのでできない、予算をつくって何か事業をやろうと思っても人が確保できない、ここが全てのボトルネックですということをおっしゃっています。

 それから、私の選挙区に飛騨高山がありますけれども、高山で今何が起きているかというと、皆さん御存じのとおり、今、外国人の観光客が物すごく来ていて、これはとてもいいことです。残念ながら、ちょっとなかなかお金を落としていかないので、ここが一つの課題なんですが、受ける側も実は問題がありまして、人が足らないので、ホテルの部屋はあいているのに、そこをサーブする人がいないのでお断りしているんです。部屋はあいているんです。でも、人が足らないからお断りしている、こういう現象がいろいろ起きています。

 先ほど農業の話もありましたけれども、とにかく若い働き手がいないんですね。これは、そんな簡単な問題ではないということはわかっていますけれども、政府として、具体的に、若者を地方に移住させる、あるいは定着させる、このためにこういう政策を打っています、それはどういう効果が出ていますという具体的なものがありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

山本(幸)国務大臣 東京一極集中を是正して、若い世代を地方に呼び込むことが大事だということは、おっしゃるとおりだというふうに思います。

 そのため、国としては、全国移住ナビというウエブサイトや移住・交流情報ガーデンの開設、あるいは、「そうだ、地方で暮らそう!」国民会議による地方居住の推進に向けた機運の醸成、地方拠点強化税制の創設、地方創生インターンシップ事業、若者の地元就職時の奨学金の返還免除等、多岐にわたる施策を推進するとともに、地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを積極的に支援してきたところであります。

 さらに、これまでの対策に加えて、今後は、空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就業支援、東京における大学の新増設の抑制等についての緊急かつ抜本的な対策の検討等を推進することにより、人口減少の克服や東京一極集中是正の実現のために、地方創生の深化に向けた取り組みをより一層強化してまいりたいと思っております。

今井委員 効果の方はいかがですか。そういうことをやって、何か数値的に効果があらわれているというものは、何かあるんですか。

山本(幸)国務大臣 効果についてはまだ十分とは言えないということは、おっしゃるとおりです、まだ逆転まで至っておりませんので。ただ、先ほども議論の中で話がありましたけれども、地方拠点税制によりまして、雇用が七千六百人ぐらいはふえるというようなことも起こっているというところはあります。

今井委員 難しいことはわかっていますけれども、もう少しやはり集中的にやっていただきたいということなんですが。

 きょうの一番の私の問題意識は外国人の皆さんの受け入れなんですけれども、今、国会の方で外国人技能実習制度を三年から五年に延長する、これは厚労省さん所管ですが、そういうことをやろうとしておられます。

 それと同時に、国家戦略特区の方で在留資格の要件の緩和ということを検討しておられるというふうに伺っています。二つの、農業ともう一つに分かれているということですが、これも問題点がありまして、まず、今、既に特区に指定されているところが幅を広げるということは容易ですけれども、新しいところが手を挙げようと思うと、またこれは、本当に特区指定から始まりますのでとても難しいということなので、ニーズが多分マッチしないと思います。

 それはいいんですが、ちょっともう時間がないので、最後、お聞きしたいんですけれども、厚労省さんの事業、内閣府さんの事業、いろいろなところでそういうことをやっていますが、私は、これのグランドデザインが全然ないと思うんですね。つまり、外国人の皆さんを日本でどう受け入れるかという基本的な考え方がないものだから、それぞれのところで、こうやってパッチワークのようにちょっとずつ変えるということが起きてしまっているということだと思うんですね。

 もちろんこれは、下手をすると移民問題にまで踏み込んでしまうので、とてもデリケートな問題だとはわかっていますが、今、私の選挙区でも、本当に農業で人が足らない、外国人の方もぜひ来ていただきたい、そういう熱望も物すごいんです。

 そういう中で、今、ある程度の高度な方は受け入れるけれども、いわゆるブルーカラーというか、そういう単純作業のところの方はやはり受け入れられないというような状況になっていて、やはり社会が抱えている問題と制度がちょっとミスマッチを起こしていると思うんですね。今、やはり、全体像をもう一度、その外国人の受け入れというのをどういうふうにしていくんだということを、全体像を決めて、それで、それぞれの個々の政策をこうやって決めていきましょうというふうにやらないといけないと思うんですよ。

 ぜひ、そういう場をつくって、その議論をしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

木村委員長 山本国務大臣、時間が来ていますので、答弁は簡潔に願います。

山本(幸)国務大臣 委員御指摘の点はそのとおりだと思います。ただ、私どもの、今回は特区法改正案で農業人材とクールジャパン人材のところを進めたいと思っておりますが、要望は本当にほかのところからもあるわけですね。

 ただ、この点については、御承知のように、いろいろな移民等に係る問題もありまして、すぐ簡単にできないということで、まず特区からやろう、そして、問題がなければそれを全体に広げていこうということでありますが、御指摘のように、外国人材をどうするかについて、一体として総合的に考えるということは必要だと思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 本当に、過疎地を抱えている議員の皆さんの意見をしっかり聞いていただいて、施策にぜひ反映していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 山本大臣に質問するのは初めてでありますけれども、きょうは大臣所信にかかわる質疑だというので、大臣を中心に質問をいたしますので、大臣の考え方を簡潔にお答えいただきたいと思います。多分きっと、時間の都合で全部は質問できないかと思っています。

 まず、東京一極集中是正策の必要性についてであります。私は、これを断固たる考えに基づいてやらない限りは、地方創生はできないと思っています。

 まず、そうした中で、一つ目ですけれども、大臣が考える東京一極集中是正策は何かありますか。ありましたらお答えをいただきたいと思います。

山本(幸)国務大臣 東京一極集中を何とか是正したいと思っているのは共通だと思います。そのために、先ほどもお話し申し上げましたけれども、多岐にわたる施策を推進していかなければいけないと思っておりまして、これまで、企業の地方拠点強化税制の拡充、政府関係機関の地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者の地元就職時の奨学金の返還免除、生涯活躍のまちの実現、地方創生インターンシップ事業等を進めるとともに、新たに創設した地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを積極的に支援してきておりますし、今後も拡充していきたいと思っております。

 今後は、特に空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における若者雇用、東京における大学の新増設の抑制等について総合的な対策の検討等を推進することによって、何とか東京一極集中是正に向けた取り組みを進めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 山本大臣も九州出身だというのですが、私から言わせれば、大臣の所信表明、これも読ませていただきました、しかし、やはり本当に東京一極集中をとめるんだという本気度が足りないと私は思うんです。今大臣が話されたような政策では、東京一極集中は全くとまりません。

 私も、この後質問しようと思っていましたが、時間の関係できっとなくなっちゃうので。

 昨年の十二月二十二日に、まち・ひと・しごと総合戦略二〇一六年改訂版というような立派な冊子をつくりました。しかしこれは、どこがつくったんだかわからないんですよ。名前を書いていないんだ。地方創生推進本部がつくったの、それとも内閣府がつくったの、これは閣議決定したの、全然何の表記もない。どこがつくったんですか。覚悟が足りない、私はそう思うんですが、この答えはいいですけれども。そんなことで本当に本気で東京一極集中を是正しようとしているのか、気概が足りない。ぜひ本気でやってほしいと思っております。

 二つ目ですけれども、二つ目は、東京はどんな都市であるかということでありますが、大臣が描いている東京という都市のイメージというのはどんなふうに描いていらっしゃいますか。

    〔委員長退席、池田(道)委員長代理着席〕

山本(幸)国務大臣 東京は、引き続き我が国の成長エンジンとしての役割を果たす必要があります。そういう意味では、世界をリードする国際都市として発展することが期待されている都市だと考えております。

 他方で、その東京に一極集中することは、集積のメリットをも超えて、通勤時間や住宅価格、待機児童にあらわれている保育サービス、高齢者介護サービスなど、生活環境面で多くの問題を生じさせることになっております。また、出生率が全国で一番低い東京への転入超過が日本全体の人口減少につながっているという問題もございます。

 したがって、今後は、東京一極集中を是正するとともに、地方と東京圏がそれぞれの強みを生かして、日本全体が成長していく必要があると考えております。

福田(昭)委員 括弧二と括弧三の答えを何か一緒にいただいちゃったような感じがいたしますが。

 実は、東京都の元政策審議室長でありました作家の童門冬二先生が、東京は江戸時代から人を食う町だ、こう言っています。非常に適切な表現だと私は思っているんですが、東京の周辺、私の住んでいる栃木県を初め北関東などから働くために江戸へやって来て、実は、働くだけ働いて、結婚もできずに亡くなっていく、そういう東京なんですね。ですから、そういう意味で、まさに東京は人を食う町だ。

 したがって、今でも、現在でも、東京の出生率は非常に低いんですよね。一・〇前後という、本当に結婚できないで亡くなってしまう人がたくさんいる、そういう意味で人を食う町だ、こういう話なんですね。そういう東京を、このままさらに続けていくというようなことが本当にいいんだろうかということなんですね。

 そんな中で、三つ目の、東京はどんな都市にしたいかという話が、今先に回答をいただいちゃいましたけれども、先ほども我が党の木内委員の質問の中にもありましたけれども、小池都知事が国際金融都市とかあるいは環境先進モデル都市とか、そんなことを言っているようでありますが、そのことは私も石破大臣との議論の中でさせていただいておりますけれども、しかし、具体策をどうするのかというのが全く見えておりません。

 例えば、山本大臣は専門家だと思いますけれども、東京を国際金融都市とするのにはどうしたらいいんでしょうか。具体策として何か考えはありますか。

山本(幸)国務大臣 これは小池都知事もいろいろ考えておられると思いますけれども、従来は、ある意味で、税制面でどれだけ優遇ができるか、あるいは、事業がやりやすいように手続等のワンストップ化をどれだけ図れるか、あるいは、そうした国際的な人材が来る場合に、その子供たちの教育環境をどう整えるか、あるいは居住環境をどう整えるか、そういうことが大きなポイントになると思っております。

福田(昭)委員 私は、原丈人君の考えが非常にいいと思っています。そうした細かい話じゃなくて、今、一秒間に何万回も取引するようなコンピューターによる市場、この市場のほかに、原丈人君が言うように、もう五年以上、中長期的な取引しかさせない、やはりそういう取引の場をつくるということが非常に私は大事だと思っています。

 なぜかというと、特に日本人は貯蓄が大好きなんですよ。ですから、政府が幾ら旗振りして貯蓄から投資へだといって、これは多分、小泉内閣の時代からやっているのかな、やっているんだけれども、そんなものは全く効果がないわけですよ。

 御案内のとおり、円も安くなったせいもあって、日本人の個人金融資産は千七百兆円から千八百兆円あるんですけれども、そのうち半分、九百兆円からは現金、預金ということであります。投資の方にほとんど回っていない、それは全く変わらないという状況でありますから、そういった意味では、まさに五年以上、本当に投機じゃなくて投資をする、この会社を育てる、そういう考え方に基づいた市場をつくる、これは私はすばらしいことだと思っています。

 原丈人君と私と考え方が似ているのは、公益資本主義ということを言っています、彼は。やはり、資本主義が市場万能主義で株主の利益を最大化する、こういう資本主義はもうだめになっちゃったんですよ、実は。これが、結局、アメリカでもトランプが誕生したり、ヨーロッパでもイギリスがEUから離脱をしたり、そういうことが起きているわけですね。

 ですから、そういう意味では、やはり、日本人が今までやってきた、会社は株主のものだけじゃない、会社は社員のものでもある、社会のものでもある、こういうバランスのとれた感覚、そういう理念、考え方に基づいて資本主義というのをやっていかないとだめだと思うんです。

 そういう意味で、そうした五年以上、中長期的な取引しか認めないという取引の場、市場をつくれるとしたら、これは日本しかないかもしれませんよ。本当に、新自由主義、市場原理主義に毒された人たちではできません。そこができるのは私は日本だけだと思っていますので、小池さんもどういう具体策を持っているのかと関心を持って見ておりますけれども、山本大臣も先ほど、しっかり応援するという話をされたので、そこはじっくり話し合って、これからやはり東京が、これからも日本をリードしていく都市としてやっていくためには、そういう質の向上を図っていく、質の向上を図って、東京都を国際都市としてこれからも維持していくということが私は大事だと思っているんですが、いかがですか。

山本(幸)国務大臣 私も、原丈人さんの考えに全く賛同しておりまして、親しくいろいろ御教示も賜っております。

 実は、ことしの一月の初めにダボスに行ったんですけれども、ダボスのパネルディスカッションで、私がまさに公益資本主義でなければだめだという主張をしまして、欧米の方々にちょっとショックを与えたこともございます。

 おっしゃるように、短期的に株主の利益だけを考えるやり方でやってきて、世界じゅうは格差が余りに大きくなり過ぎて失敗したわけですね。幸い、日本はそこまでいっておりませんで、株主だけという感覚はまだない事業慣行を行われておりますので、これは大事にしていかなきゃいかぬし、長期的に投資をする、長期的な利益を考え、しかも、その利益の分配は、従業員を初め取引先あるいは社会、国全体、そういう公益的な考えでやっていかなきゃだめだということは私も全く同感であります。

 そうじゃないと、例えば炭素繊維なんというのは、かつて、炭素繊維を東レがやっているときに、デュポンの社長に、あなたはどうして炭素繊維をやらないんですかと聞いたら、あんな、四十年間も赤字にしているようなことをやると言ったら自分は首になるといって、アメリカではとてもできないということで、日本では、しかしそれが可能になって、今や世界をリードしているわけですね。

 リニア新幹線の話も聞きましたが、リニア新幹線を日本がやって、それを葛西さんがアメリカのウォール街に行って説明して、投資家に話をしたら、総スカンを食って、そんな、将来の社長の行動を制約するようなことを何でおまえが決めるんだ、短期的にとにかくもうけることだけ考えろと言って、葛西さんは、もうあなた方みたいな人から投資してもらう必要はありませんと言って帰ってきたそうであります。

 そういう意味で、おっしゃるように、長期的な投資を育てていく、これは非常に大事なことであると思っておりまして、そういう意味では、今私は個人的に、四半期決算なんかやめろというような話もして、内々に金融庁とやり合っているんですけれども、ぜひそうした方向で小池知事とも話をしていきたいなと思っております。

福田(昭)委員 私は、原丈人君と行き会う前は、実は、二宮尊徳翁の考え、それをしっかり尊重しながらいろいろやっているものですから、報徳資本主義と言おうかなと思っていたんですよ。でも、わからないだろうなと。それに比べると、公益資本主義というのがわかりやすいなと。名は体をあらわすといいますので、やはりしっかり言葉からイメージが湧くような言葉というのは大事だなと思ったんです。

 そうした中で、もう一つ言うとちょっと時間がなくなっちゃうから答えは求めませんけれども、私は、やはり脱原発、脱炭素社会を実現するということは人類の課題だと思っています。そういう意味では、小池知事が環境先進モデル都市をつくると言いましたけれども、東京をしっかりとした省エネ、再エネのモデル都市としていくということが非常に大事かなというふうに思っていますが、その辺をこれからどうまとめていくのか、少し楽しみにしていきたいなと思っています。

 四つ目ですけれども、とまらない東京圏への人口転入超過についてであります。

 平成二十八年七月十三日、総務省が発表した、昨年一月一日時点の住民基本台帳に基づく人口移動調査によりますと、東京圏への人口転入超過がとまらず、東京への一極集中が進んでいる、地方創生の効果が出ていないと評価されておりますけれども、どう思いますか。

山本(幸)国務大臣 おっしゃるように、東京一極集中、二〇一二年以降四年連続で転入超過数が増加して、二〇一五年、約十二万人の転入超過となりました。二〇一六年、一昨年には五年ぶりに若干減少したんですけれども、しかし、一極集中の傾向は依然として続いていると承知しています。

 この東京圏への一極集中は、集積のメリットを超えて、通勤時間、住宅価格、待機児童にあらわれている保育サービスや高齢者介護サービスなど、生活環境面で多くの問題を生じさせています。出生率が全国で一番低い東京にこれだけ人が集中するというのは、私は、ある意味でいうと市場が失敗しているというように考えておりまして、そうした市場が失敗しているときには、行政が介入する余地があるというように思っております。

 したがいまして、そうした方向での政策をインセンティブ、ディスインセンティブを含めて何とか考えていかなきゃいけないと思っております。

    〔池田(道)委員長代理退席、委員長着席〕

福田(昭)委員 だから、要するに、東京一極集中をとめる抜本策がないんですよ、実は具体策が。だから、どんどんどんどんこれは進んでいるんですね。

 東京の魅力というのは非常に大きいんですね。仕事はあるし給料は高いし、しかも交通は便利だし、本当にこんな魅力のある都市はないんですね。

 このまま進んでいきますと、二〇二〇年の東京オリンピックで流入再加速も行われるんじゃないか、そのような指摘がありますが、どうですか。

山本(幸)国務大臣 まさにそういう可能性もないわけではないと思って、全力を挙げて何とかそれを阻止したいと思っております。

 そのオリンピック・パラリンピックに向けて観光客もふえると思いますけれども、その際に地方にぜひ行ってもらうような施策もやっていかなきゃいけないし、地方の魅力というものをしっかりと再認識して、そして地方の方々も、自分たちの仕事創出、そして地域資源を活用した取り組みをしっかりやる、また、それを私どもは交付金や税制面で全面的に支援するということが必要だと思っております。

福田(昭)委員 ここに一つの雑誌を持ってきましたけれども、これは宝島社が出版した月刊誌です、別冊宝島。何と書いてあるか。「二〇二〇年から始まる地方経済の破綻ラッシュ 東京五輪後に地方は崩壊する 東京が吸いつくす地方経済のカネ」ということで特集しております。

 これを読むと、本当に惨たんたる状態が書いてあります。特に、最初のあれは、貯蓄急減のやばい消滅可能都市マップというのがある。人口減少で消滅可能都市という発表がありましたが、この特集のまず基本は、地方の都市で貯蓄が減っている、その消滅可能都市というのをまずしっかり指摘した上で、さまざまな問題点を述べております。

 本当に今、東京オリンピックで、東京だけは建築ラッシュです。びっくりします。私も、議員会館の、上っていく赤坂を見ると、本当に狭い土地で、駐車場だったところが、今ビルディングの建築が始まっています。また、すぐ近くには大きなビルディングも建っています。本当に東京だけがこれからどんどんどんどん大きくなって、どんどんどんどん地方から人を呼び込む。しかし、地方から今度は呼び込もうとしても、地方からやってくる人もいなくなってくる、そういうとんでもない時代が実はやってこようとしております。

 そうした中で、時間の関係で、五番の東京圏とその他の地域の間の一人当たりの県民所得については省略いたしますが、依然として東京が一番県民所得が高く、沖縄がそれでは一番最下位だということでありますが、まさに、そうした雇用の場と所得がたくさんとれるという東京にどんどん集まってくる。

 六つ目の過密過疎解消政策の失敗の原因についてでありますが、我が国は幾度となく全国総合開発計画を立てて、過密過疎の解消から始まったわけでありますけれども、なぜこの過密過疎の解消の計画が失敗したと思いますか。

山本(幸)国務大臣 戦後の我が国の国土計画であります全国総合開発計画は、一九六二年以降数次にわたり策定され、その時代の時代背景や国土をめぐる状況に応じた国土政策の基本的方向性を示してきたものと承知しております。

 この過程においては、いわゆる国土の均衡ある発展の考えのもと、高速交通体系の整備や工場、教育機関等の地方分散を進めた結果、地域間の所得格差の縮小など、一定の成果は上げてきたと認識しております。例えば、一人当たりの県民所得を見ますと、一九六一年度には、三大都市圏の平均がその他の全道県平均の一・五九倍でありましたけれども、二〇一三年度には一・一九倍に縮小しているところであります。

 その一方で、二〇一六年の東京圏への人口の転入超過は約十二万人と、五年ぶりにわずかながら減少したものの、いまだ人口流出が継続しております。

 この流れを何とかとめる、東京一極集中を是正することは急務であります。そのために、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版に基づきまして、地方の仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立して、その好循環を支える町に活力を取り戻してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 多分、いろいろな理由があるんだと思いますけれども、いろいろな法律に基づいて国が地域指定をした。これは、全国の都道府県や市町村にとって、その県や町を元気にさせる、そのために大きな役割を果たしました。例えば低開発工業地域として指定されたところとそうでないところは、戦後のこの七十年の間に逆転しちゃっているところもたくさんあります。

 それから、特に三大都市圏です。首都圏、それから名古屋、大阪圏ですかね、ここの三大都市圏はそれぞれ、例えば東京であれば、首都圏整備計画というのをつくって、都市開発区域というのを指定してまいりました。その指定をしたところは、何と、よその都市と比べて、社会資本の補助金、例えば道路とか公園とか下水道とか、これは一・二倍出したんですよ。

 ですから、本来なら田舎の方に一・二倍出した方がよかったと思うけれども、財源の豊かな方に一・二倍出して、社会資本の整備をどんどんさせたんですよ。法律をつくって、そうやって応援をしてきた。これが、やはり都市と地方の格差がどんどんどんどん拡大してきた大きな原因の一つになっていると私は思っているんです。ですから、そういうことを、そういう考え方を今も続けている、これはぜひやめてほしいと思っています。

 きょうは、総務大臣は来ておりませんけれども、実は、総務省が進めている定住自立圏都市構想というのと連携中枢都市圏構想と二つあります。

 定住自立圏都市構想は人口五万人以上です。連携中枢都市圏構想は二十万人以上です。これで差があるのは、片や連携中枢都市圏構想は、普通交付税と特別交付税などで応援をしております。定住自立圏都市は、特別交付税だけです。これではまた、先ほど申し上げたような、一・二倍、より豊かなところに補助金をやってきたのと同じ思想、発想です。

 ですから、全国を眺めてみますと、全国の市区町村数は、市町村合併が進んで千七百四十一、これは去年の資料ですけれども、五万人未満が何と七割なんです。五万人以上の市区町村はたった三割しかありません。

 したがって、五万から二十万の構成が二四・四%、人口にすると三一・八%、ここを応援しなかったら、ますます二十万以上の都市しか繁栄をしない、そういう日本になっちゃうんですよ、大臣。これは総務大臣所管ですけれども、これは総務委員会でやりたいと思いますが、こうしたより豊かなところをより応援するという考え方、これはもうそろそろやめにしてもらわないとだめだと思うんです。地方は立ち行かなくなってしまいます。

 そこで、最後、七つ目ですけれども、効果が上がる東京一極集中是正策についてであります。

 今まで議論してきましたが、大臣は、効果が上がる、これだという東京一極集中是正策はあると思いますか。あったら言ってみてください。

山本(幸)国務大臣 これだという、一つでできるようなものではないというふうに思います。いろいろな施策を総合的に推進しなければいけないと思います。

福田(昭)委員 大臣、私は、これはできるかできないか。まあ、安倍総理ほどの独裁者であればできるかもしれませんけれどもね。

 やはり、一番の方策は、建ぺい率、容積率、これを東京都はこれ以上大きくさせない。建てかえするときにみんな大きなビルディングにしちゃっているわけだけれども、これは、まさか減らすというわけにいかないでしょうから、これ以上大きくさせない。

 ですから、量的にはもう東京は拡大させない、しかし質の向上はやる。先ほど申し上げたように、国際金融都市としてやるとか、環境先進モデルとしてつくるとか、質の向上はさせるけれども、量の拡大はこれ以上認めない。これをやらないと、これからもどんどんどんどんふえていきますよ。

 しかし、東京オリンピックが終わったら東京もだめになるかもしれませんけれども、ですから、そういう意味で、やはり、今、東京オリンピックのためにいろいろな施設をつくろうという計画もありますけれども、終わった後どうするんだというのも問題になっていますね。

 ですから、ここはやはり、しっかり、もう東京都内の、特に二十三区だっていいと思うんですけれども、二十三区の建物などの建ぺい率、容積率はどうも青天井みたいになっちゃっているようですけれども、これ以上もう拡大は認めない、これがやはり、東京都の拡大を抑える一番いい方法だと私は思いますが、いかがですか。

山本(幸)国務大臣 先ほども御説明しましたけれども、東京圏は引き続き我が国の成長エンジンとして役割を果たしてもらわなきゃなりません。世界をリードする国際都市として発展していくことが重要だと思いますので、その意味では、容積率の緩和も有効であるケースもあるとは思っております。これは、質を上げるという意味でもそういうことがあり得ると思っております。

 したがいまして、委員が御指摘のように、直ちに制限すべきというのはなかなか困難と申し上げざるを得ませんけれども、何とかいろいろな施策を総合的に展開して、東京一極集中を是正するように頑張っていきたいと思います。

 また、私は、東京オリンピック・パラリンピックが終わった後の東京というのは、ある意味で、特に介護の問題等の問題が非常に大きな課題になってきて、これは、将来東京で老後を過ごして大丈夫なのかというような話になってくると思いますので、そういう点についての認識も高めていきたいなと思っております。

福田(昭)委員 終わりにしたいと思いますが、大臣、世界の国々で、先進国で首都の人口をふやそうという国は東京以外ありませんよ。それをよく調べてみてください。

 以上で終わります。

木村委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も質問の機会を与えていただきましたこと、委員長、また理事の皆様、また委員各位の皆様に心から感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。

 まず冒頭、栃木県の那須市で発生しました雪雪崩事故においてお亡くなりになられた皆様に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。

 では、質問に入らせていただきます。

 山本幸三大臣は、所信表明演説において、地方創生は本格的な事業展開の段階に入っている、地域資源を生かした仕事づくり、地方の平均所得の向上を実現するとともに、それぞれの地方が自助の精神を持って、みずからのアイデアでみずからの未来を切り開くことが重要とお述べになられました。

 これから、地方にどれだけ仕事ができたのか、地方の平均所得がどれだけ向上していっているのか、きちんと追跡をしていくこと、そして、追跡していった取り組みについては検証をしっかり加えていって、これから先のさらなる地方創生の取り組みに私は生かしていかなければならない、そのように考えておりますけれども、政府においての受けとめをお聞かせいただければと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 各地方公共団体が、自助の精神のもとで、平均所得の向上に資する事業を、自主性を持って取り組むことが大事だと考えております。

 こうした取り組みを国においては地方創生推進交付金で支援しておりまして、特に、平均所得の向上に資する取り組みについては交付上限額を超えて交付できるようにするなど、重点的に支援をすることといたしております。

 この交付金事業については、まず、地方公共団体において、例えば所得が上がっていますとか販売額がふえている、そういった目標の成果をきちっと検証していただきまして、さらに、国においても、その効果が順調にいっているということでありますれば、複数年にわたって支援をすることにいたしております。

 この点については、山本大臣も直接市町村長さんに声がけをしまして、トップセミナーなどで好事例の横展開もやっておりますし、私ども事務方においても、特徴的な取り組み事例を公表しながら、こういった動きが広がっていくような取り組みをしているところでございます。

吉田(宣)委員 自治体の置かれている事情というのは千差万別、それぞれでございます。なかなかこの地方創生の取り組みも、手探り状態でやっているところも多かろうなというふうに私は思っております。予想した効果が得られない自治体もあるかもしれない。

 確かに、おっしゃられるとおり、自助の精神が基本であるということは、これは間違いないところでございますが、そうした中、なかなかそれでもうまくいかないようなところ、そういったところについてもぜひ自治体を支えていただきたく、お願いを申し上げておきたいと思います。

 そして、同じくこの所信の中で山本大臣は、大臣就任以来、全国六十五市町村、百四十八カ所の地方創生の取り組みを視察してきた、先進的な取り組みを行っている自治体も多く、地方創生のうねりが広がっていると手応えを感じているとお述べになられておられます。

 公明党は、常に現場主義で仕事に取り組んでいる。先輩方から私も、本当に現場に足をしっかり運んで、現場から課題を見出して、それをしっかり政策に生かしていくんだということを口酸っぱく言われておりまして、そういった現場主義の取り組みをやっているというふうなことでございますけれども、その現場主義の仕事を大臣がみずからなさっておられること、これは公明党と軌を一にした取り組みであろうと思われますし、私はその大臣の姿勢を大変にうれしく思っております。

 今後もそういった現場主義の姿勢というものを貫いていただきたいというふうに私はぜひお願いをしたいんですけれども、大臣の御決意を伺いたいと思います。

山本(幸)国務大臣 私は、昨年八月にまち・ひと・しごと創生担当大臣に就任した際に、まずは、全国各地域の実情を的確に把握することこそが地方創生の取り組みの第一歩と考えて、できる限り機会を捉えて、地方創生の現場を行脚してまいりました。その数は、本委員会における所信表明、九日以降の視察も含めますと、現時点で全国七十市町村、百六十カ所の地方創生の取り組みになります。

 そうした中で私が感じましたのは、地方創生の実現には、地域資源を生かした仕事をつくり、地方の平均所得の向上を実現していくことが最も重要だということであります。また、住民や自治体等がみずから主体的に地方創生に取り組んでいる地域こそがより大きな成果を上げているように見受けられたことから、地方創生の成否の鍵は、みずからの手でみずからの道を切り開くという自助の精神であると考えているところであります。

 このため、昨年末に閣議決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略改訂版においては、アベノミクスを浸透させ、地方の平均所得を向上させることを政策目標の中核に据えたところであります。また、自助の精神を持ち、地方創生に意欲と熱意のある地域に対し、財政面、情報面、人材面での、いわゆる地方創生版三本の矢の支援策を強力に推進しているところであります。

 今後とも、時間の許す限り各地域を訪れ、現場の実情をしっかりと把握して必要な施策を講ずるとともに、各地の先進的取り組みを他の地域に紹介することも行うなど、現場を重視した地方創生を着実に推進してまいりたいと思っております。

吉田(宣)委員 大臣、ありがとうございます。これからもぜひよろしくお願いします。

 それでは、今まで総論的な話をしてまいりましたので、ひとつ各論に入っていきたいと思います。地域おこし協力隊について御質問させていただきたいと思います。

 地方創生の主役である自治体は地方版の総合戦略を策定しており、地域おこし協力隊はその柱の一つであると私は理解をしております。地方に移り住んで地域活性化に取り組む地域おこし協力隊が急速に今拡大をしている。二〇一六年の参加者が四千人を突破した。これは政府の目標を四年も早く達成したものであり、正念場を迎える地方創生の弾みとしていかなければならないというふうに私は感じております。

 そこで、この地域おこし協力隊の概要と、その実施状況の推移について、確認の意味でお教えいただきたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのありました地域おこし協力隊でございますが、これは、都市部の若者等が過疎地域等に移住をいたしまして、おおむね一年以上三年までの期間でございますが、地域ブランドや地場産品の開発、販売、PR、農林水産業への従事、伝統芸能の復活等の支援などのさまざまな地域協力活動を行いながら、地域に定住、定着を図る取り組みでございまして、平成二十一年度に創設された制度でございます。

 当初八十九人であった隊員でございますが、年々増加いたしまして、平成二十八年には、活動隊員数は前年度比一・五倍の四千百五十八人となっておりまして、また、受け入れ自治体数も前年度比一・三倍の八百六十三団体となったところでございます。

 これまで地域おこし協力隊員を、平成二十八年に三千人、平成三十二年に四千人とする目標に向けて取り組んできたところでございますが、前倒しで目標が達成できたところでございます。

吉田(宣)委員 それだけ地方の、やはり期待が高いし、それだけ利用したいということだと思うんですね。

 ただ一方で、この隊員が地方を元気にすると一生懸命頑張ってくださっていると思うんですけれども、先ほど一年から三年の任期というふうなお話でございましたが、最大三年の任期を終えてから、その地域に定住している隊員がどのぐらいの割合でいらっしゃるか、これについて確認でお聞かせください。

時澤政府参考人 平成二十七年に調査をしておりまして、それによりますと、地域おこし協力隊のうち約半数は、活動地と同一市町村内に定住をしております。活動地の近隣の市町村に定住している者は約一割、合わせまして約六割が同じ地域に定住をしているという状況でございます。

 このほか、都市部に戻るのではなくて、他の条件不利地域に移られる方も一割程度おられる状況でございます。

吉田(宣)委員 非常に、やはり隊員の士気が高いんだろうというふうに思いますね。半数ぐらいがその地域、また近隣のところ、他のなかなか難しいところにも行ってくださっているということで、非常にありがたい話だと思っておりますけれども、ただ、都市部に戻っておられる方もどうもおられるようでございます。さまざまな理由があろうかと思いますけれども、一つには、仕事がやはりそのまま続けられないというか、ないというふうなこともあろうかというふうに思っています。

 任期後も地域に貢献したいと思っている若者、都市部に戻ってしまう若者の中にやはりいると思うし、また、引き続き、新しい若い方の力を必要としている自治体もあるはずです。

 こうした中、任期後の人件費や家賃補助を県と市町村で折半するといった独自の取り組みも始めた地域もあるというふうにお聞きしています。雇用の確保や住環境の整備というのが定住促進には不可欠でありまして、同様の取り組みが広がることを私は期待したいなというふうに思っております。

 政府としても、残留率が高い自治体の取り組み事例などを積極的に紹介をしていただくなどして、この制度というものをしっかりバックアップしていただきたいと思いますが、政府の受けとめをお聞かせください。

時澤政府参考人 御指摘のありましたように、地域おこし協力隊の定住促進のために独自の取り組みを始めた地方公共団体もございます。

 定住いたしました隊員の動向を見てみますと、約半数がその地域の企業等に就業されておりますほか、就農、起業など、その定住の形態はさまざまございます。

 総務省といたしましては、定住に至るまでの取り組みや任期終了後の暮らしぶりなどの事例につきまして、隊員向けの各種研修あるいは全国サミットを通じての紹介、フェイスブックを通じた情報発信などによって、広く共有する取り組みを行っております。

 また、隊員の地域への定住、定着を図る上では、日ごろから隊員に対するサポートあるいは受け入れ体制をしっかりと構築しておくことが大切だと思っておりまして、総務省といたしましては、隊員の受け入れサポート体制の整備に係るモデル事例の構築、そして情報共有、自治体担当者を対象といたしました研修会の実施、隊員や自治体職員からの相談に対応するサポートデスクの開設、このようなもので支援をしておりますほか、隊員向けの起業、事業化の研修でありますとか、隊員の起業経費、起業に要する経費等を支援する自治体に対する地方財政措置、こういったものによりまして、隊員の起業も支援をしております。

 こうした取り組みを通じまして、地域おこし協力隊員を重層的に支援していきたいと考えているところでございます。

吉田(宣)委員 今後とも重層的な支援、しっかり取り組んでいただければと思います。

 少し話をかえます。

 我が党の山口代表、ことしの一月二十五日の参議院本会議の代表質問において、地方創生を進めるためには、その取り組みを下支えする若い世代が集まる流れをつくることが重要であり、この点、地域おこし協力隊もそういった一つの流れかと思いますけれども、その手法の別の角度からの一つに、教育における社会活動というものを挙げられました。その上で、島根県の廃校活用の取り組みを通じて、教育の観点も含めて、若者の活躍を通じた地域活性化を後押しすべきだと主張されました。

 この主張を受けまして、安倍首相は、北海道の学校の取り組みを紹介しながら、若者が積極的に地域社会にかかわる取り組みを、情報、人材、財政の面で支援し、地方創生にチャレンジする地方の皆様を全力で応援するというふうに力強い答弁があったわけでございます。

 では、この答弁を少し具体的に詳しく教えていただきたい。この首相答弁にある、情報、人材、財政面、こういった支援というのはどのような支援をいうのか、少し具体的に教えていただければと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、情報支援でございますが、地域経済分析システムということで、企業の雇用、付加価値、観光客の動向を、ビッグデータを自治体に提供いたしまして、総合戦略の策定ですとか改定、施策の充実に活用していただくものでございます。

 人材支援では、いろいろあるんですが、一例を申し上げますと、地方創生人材支援制度ということで、規模の小さな市町村に、国家公務員、大学研究者、民間人材を派遣して、地方創生に携わってもらうというものがございます。

 財政支援で申し上げますと、地方創生推進交付金が代表例でございまして、二十八年度、二十九年度、一千億円を確保しているところでございまして、具体例を少し申し上げますと、島根県の海士町でいいますと、人材支援制度で派遣された文科省の人材が、島留学の取り組みに携わりながら、交付金を活用しながら、その規模を広げているというのがございますし、また、先般、山口代表の総理答弁の中で例示がございました北海道の三笠市の高校生レストラン、これにつきましても、拠点整備交付金の中でレストランの整備に対して支援をし、さらにその活動を活発にしようということを応援しているところでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 しっかりした支援というものを本当に政府が本気で取り組んでいるということがよくわかります。特にこの推進交付金ですね。これは非常に、各地、私もいろいろなところを回らせていただきますが、喜んでいただいておりまして、例えば、私は先週末に沖永良部島というところに行ってまいりましたが、そこでもこのお話が出ました。非常に地域の方が喜んでいただいているということを私もうれしく感じましたし、これからもしっかり政府として取り組んでいただきたいと思います。

 今申し上げました山口代表のお話にあった島根県の事例、また安倍首相からお話もあって、今も答弁がありました北海道の事例というのは、これは高校の、また高校生の取り組みでございました。加えて、地方の創生ということに関しては、地方にある地方大学の振興、これも大変重要になってくると思っております。

 この点、東京一極集中の是正という観点からではございましたが、山本大臣の所信表明でも、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就職支援について緊急的かつ抜本的対策を検討するため、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議を開催すると述べられております。地方の意見を聞くという意味で大変重要な意義があると私は評価しております。

 そこで一つ、これはお願いなんですけれども、この有識者会議には、地方の大学であるからといって国立大学の関係者だけとかいうことではなくて、公立大学の関係者であったりとか、地方にある私立大学の関係者の声というものもしっかり聞いていただきたい。したがって、そこに、会議に参加していただくようなことをお願いしたいと思っておりますが、受けとめをお教えいただければと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の有識者会議でございますけれども、まず構成委員でございますが、地方の国立大学、それから地方の私立大学の関係者にも入っていただいておりますし、また県立大学が所在する富山県の知事、市立大学が所在する北九州市の市長にも参画をしていただいております。

 加えまして、幅広く意見を聞くことが大事でございますので、国公私立大学の代表者あるいはPTA関係者、加えて地方の代表者からも幅広く意見を聞いて、これから論点整理、さらには五月中旬に中間報告を取りまとめていきたいと考えているところでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 特に北九州市長が入っているというのは、私は非常にうれしく思います。大臣もこそっとうれしいというふうに思っていらっしゃるかと思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。

 時間の関係で最後の質問になると思いますけれども、東京圏在住の地方出身学生の地方還流や地方在住学生の地方定着を促進するため、地元企業でのインターンシップ制度、この件について大臣が所信の中でお述べになられました。

 地方企業のよさを体験できる取り組みというのは非常に有意義であろうと私も高く評価をしております。問題は、その実施規模であろうかと思うんですね。より多く実施をしていただきたいと思いますし、また、その実施に当たっては地元企業の協力が不可欠です。

 政府においてどのくらいの目標を持って積極的に実施をしようとしているのか、また、地方の地元企業への協力はどのように図っていくおつもりなのか、二点についてお聞かせいただければと思います。

末宗政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、インターンシップの実施数の目標でございますけれども、今回、総合戦略の二〇一六の改訂版で新たに取り入れたわけでございますけれども、地方創生インターンシップに参加する学生を受け入れる企業数、これが二〇一六年現在で六千四百四十一社となっておりまして、二〇一九年度には二倍にするという目標を掲げております。

 続きまして、地方企業の協力という御質問でございますが、これにつきましては、二十九年度の予算におきまして、地方企業がインターンシップの受け入れをしやすくなるように、そのプログラムを開発支援するためのマニュアルをつくって応援していきたいと思っております。

 さらに加えまして、大学関係者あるいは知事、企業関係者等で構成する地方創生インターンシップ推進会議というのを立ち上げておりまして、そこが中心となって、先般もシンポジウムも開催いたしましたので、こういった機運醸成を図りながら、企業の参加が広がるように努力をしてまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わります。

木村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十六分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 山本大臣は、所信表明で、地域経営の視点に立った観光地域づくりの中心となる日本版DMOなどの新たな事業推進主体の形成について語られました。

 しかし、今必要なのは、施策を横文字で表記するということではもちろんありません。その地域の住民が、自分たちの地域の歴史や文化に誇りや愛着を持ち、地域のコミュニティーをしっかりと形づくって、地域の魅力をつくり、発信する住民自身の取り組みの内容が大事だと思うんですね。

 私は、先日、奈良県に行った際に、奈良県葛城地域五自治体による葛城地域観光振興シネマプロジェクトというものの紹介を受けました。これには二〇一六年度の地方創生加速化交付金が交付されていると聞いております。このプロジェクトはどういうものですか。また、どれだけの交付金を受けておりますか。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の葛城地域観光振興シネマプロジェクトは、奈良県香芝市、大和高田市、御所市、葛城市及び広陵町の四市一町が、当該地域を舞台にした社会的テーマを題材にした、全国展開が可能な映画を制作し、あわせて地域PRを行うというものでございます。

 当該四市一町は、地方創生加速化交付金の第一次募集に申請し、平成二十八年三月にそれぞれ一千万円ずつ、合計五千万円の交付決定を受けてございます。

宮本(岳)委員 このプロジェクトによってつくられた映画が、ウエダアツシ監督、小芝風花さんが主演した「天使のいる図書館」という作品であります。この映画は国立国会図書館の情報ポータルでも紹介をされておりまして、私も早速その映画を見てまいりました。きょうは、この映画のパンフレットの表紙を資料一として間に挟み込んでありますが、つけております。

 舞台は、美しい景観に恵まれた神話の里、奈良県葛城地域にある公立図書館。東京の大学を出て地元の図書館に就職し、新人司書として働く主人公は、レファレンスサービスというなれない仕事に戸惑いながらも、地域の人々と触れ合いの中で成長していくという物語であります。この先はぜひ映画を見ていただきたいと思います。

 この映画のワンシーンにJR香芝駅が登場いたします。悩んだ主人公が、雨の中、真夜中の香芝駅で物思いにふけるというシーンでありますけれども、私は、その駅にも行って、JR香芝駅をよくする会や地域住民の皆さんから実情も聞いてまいりました。これから観光の拠点にもアクセスの中心にもなるものでありますけれども、そもそもバリアフリー化すら実現しておりません。

 きょうは国土交通省に来ていただいておりますけれども、移動等円滑化の促進に関する基本方針では、鉄道駅のバリアフリー化はどのような目標と期日になっておりますか。

潮崎政府参考人 ただいまお話のありました基本方針においては、バリアフリー化の目標などを定めておりまして、鉄道駅の場合、一日当たりの利用者数が三千人以上の原則全ての駅について、平成三十二年度までにバリアフリー化を図るということを目標として掲げてございます。

宮本(岳)委員 それ以外の、一日当たり三千人の利用がない駅においても、可能な限り実施するというふうに伺っております。

 現在、全ての駅のうち、どの程度で段差が解消されておりますか。また、そのうち、一日当たり平均三千人以上利用の駅ではどこまで進んでおりますか。

潮崎政府参考人 平成二十七年度末時点のデータでございますが、全国の鉄道軌道の駅、九千四百八十七駅ございます。このうち、バリアフリー法に基づく移動円滑化基準に適合している設備が設置されて段差が解消されている駅は四千二百七十駅、約四五%となっております。

 また、一日当たりの利用者数が三千人以上の駅に限って見ますと、全国で三千五百四十二駅ありますが、そのうち、同様に、基準に適合している設備により段差が解消されている駅は三千四十五駅、約八六%となってございます。

宮本(岳)委員 一日当たり平均三千人以上利用の駅で八六%だが、全駅ではまだ四五%というお答えでありました。

 私は、参議院議員時代に、二〇〇〇年に施行された交通バリアフリー法の制定にかかわってまいりました。ぜひとも一日も早く進めていただきたいわけですが、そこで、このJR香芝駅なんです。地域の人たちが大変不便な思いをしているということでありました。

 この駅は、改札が一番ホーム側に一つしかなく、二番ホームと一番ホームは老朽化した陸橋のみで結ばれております。二番ホームでおりた人たちは、陸橋を渡って一番ホームまで行くしかないんです。お年寄りの方や足が不自由な方などは、わざわざ二駅先の高田駅まで行って、逆方向に乗りかえて一番ホームにたどり着くという方もいらっしゃる、そういう話を聞きました。陸橋には屋根もありませんので、雨の日などは傘を差して階段を上りおりすることになり、本当に大変な思いをしておられます。

 この駅の一日当たりの利用者は三千人を超えていると認識しておりますが、ここのバリアフリー化の計画は、国土交通省、どうなっておりますか。

潮崎政府参考人 お尋ねのございましたJR西日本和歌山線の香芝駅でございますが、御指摘のとおり、一日当たりの利用者数は三千百六十八人と、二十七年度の実績で三千人を超えてございます。

 現在、バリアフリー化はなされておりませんですが、国土交通省としましては、先ほど申し述べました基本方針の目標に基づいて、平成三十二年度までにバリアフリー化すべき駅であると考えております。

 現在、JR西日本と地元の香芝市との間で、この具体的なバリアフリー化の整備内容などにつきまして協議を行っているところと聞いておりまして、国土交通省といたしましても、そうした鉄道事業者と自治体との協議の状況などを踏まえて、今後、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 私、これも現場で確認したんですけれども、香芝駅では、ホームと車両の床の高さが三十センチ以上も大きく段差になっているんですね。要するに、ホームより電車の床が高いわけです。

 この段差の解消についても、つまり、ホームのかさ上げ等々についても、今お話にあった香芝市とJR西日本との協議の対象ということになるのでしょうか。

潮崎政府参考人 御指摘のとおり、ここの駅はホームと車両との段差が広くあいてございまして、まだ、電化をする前の古い時代のホームがそのまま残ってございます。

 JR西日本と香芝市との間では、現在、この段差をどうするかということの対応についても、これも含めて具体的な整備内容について協議中であると聞いておりまして、国交省といたしましても、この問題も含めて地元と鉄道事業者の協議状況を踏まえ、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 観光振興にとっても大事な駅なんですね。

 JR香芝駅をよくする会の皆さんの運動もあって、昨年十二月の香芝市議会では、JR香芝駅の早急なバリアフリー化を求める請願が全会一致で採択をされております。ぜひ、迅速に進むように、国としてでき得る限りの支援をお願いしたいと思います。

 さて、そこで、図書館の問題なんです。私は、この映画を見て、改めて、公立図書館とそこに働く図書館司書の仕事、レファレンスというものの非常に大事な役割を学びました。

 そこで、まず、図書館の基本的な意義を確認したいんですけれども、図書館法第一条では、その目的はどのように定められているか、文部科学省、お答えいただけますか。

神山政府参考人 お答え申し上げます。

 図書館法第一条におきましては、この法律は、社会教育法の精神に基づき、図書館の設置及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発展を図り、もって国民の教育と文化の発展に寄与することを目的とすると定められているところでございます。

宮本(岳)委員 つまり、公共の公立図書館は、社会教育施設なんですね。

 このような公共図書館の意義は、我が国の国内法で定められているだけではありません。一九四九年にユネスコが採択したユネスコ公共図書館宣言は、時代の流れに伴う変化を受けて、一九七二年と一九九四年に改定が重ねられております。

 これも文部科学省に確認いたしますけれども、一九九四年ユネスコ公共図書館宣言の前文を御紹介いただけますか。

神山政府参考人 若干長くなりますが、御紹介させていただきたいと存じます。

  社会と個人の自由、繁栄および発展は人間にとっての基本的価値である。このことは、十分に情報を得ている市民が、その民主的権利を行使し、社会において積極的な役割を果たす能力によって、はじめて達成される。建設的に参加して民主主義を発展させることは、十分な教育が受けられ、知識、思想、文化および情報に自由かつ無制限に接し得ることにかかっている。

  地域において知識を得る窓口である公共図書館は、個人および社会集団の生涯学習、独自の意思決定および文化的発展のための基本的条件を提供する。

  この宣言は、公共図書館が教育、文化、情報の活力であり、男女の心の中に平和と精神的な幸福を育成するための必須の機関である、というユネスコの信念を表明するものである。

  したがって、ユネスコは国および地方の政府が公共図書館の発展を支援し、かつ積極的に関与することを奨励する。

と述べられているところでございます。

宮本(岳)委員 そして、ユネスコ公共図書館宣言は、「公共図書館は、その利用者があらゆる種類の知識と情報をたやすく入手できるようにする、地域の情報センターである。」と高らかに宣言しております。

 そこで、文部科学省に確認しますけれども、今日、我が国には、全ての自治体に公共図書館があるんですか。

神山政府参考人 平成二十七年度の社会教育調査におきましては、公立図書館の設置率は、都道府県及び市でほぼ一〇〇%、町では六一・五%、村では二六・二%となっているところでございます。

宮本(岳)委員 町では六割、村では何と四分の一でしかありません。だからこそ、公益社団法人日本図書館協会も、繰り返し、全ての自治体に公立図書館をと提言いたしておりますし、昨年十二月十五日には、地方創生の地域総合計画に図書館施策を盛り込むことを求める要望を提出されております。中身については後ほどまた大臣に聞きますので、まず、こういう要望が出ているという事実、山本大臣も御承知でございましょうか。

山本(幸)国務大臣 御指摘のように、昨年十二月に、公益社団法人日本図書館協会及び一般社団法人日本書籍出版協会より、各政党の地方創生政策担当宛てに、図書館が地方創生に大きな役割を果たす力を持っていることに鑑み、地方創生に資するよう、地域総合計画において図書館の整備充実を推進すべきとの要望がなされたことについては承知しております。

宮本(岳)委員 大臣も承知をされているということでありました。

 ところが、実際には、全く逆行する事態が起きております。この間、図書館、博物館、公民館、その他の社会教育施設に指定管理者制度が導入されてきたことであります。

 文部科学省に確認いたしますけれども、社会教育調査報告書による二〇一五年十月現在での公立の図書館数と、そのうち指定管理者制度導入施設数、導入率を示していただきたい。あわせて、二〇一一年十月時点の数字も御紹介いただけますでしょうか。

神山政府参考人 お答えいたします。

 二〇一五年、平成二十七年十月時点では、公立図書館三千三百八施設中五百十六施設が指定管理者制度を導入しており、導入率につきましては一五・六%となっているところでございます。

 また、二〇一一年、平成二十三年十月時点では、三千二百四十九施設中三百四十七施設が指定管理者制度を導入しており、導入率は一〇・七%となっているところでございます。

宮本(岳)委員 公立図書館への指定管理者制度の導入については、日本図書館協会も、我が国の今後の公立図書館の健全な発達を図る観点から、公立図書館の目的、役割、機能の基本を踏まえ、基本的になじまない、こういう立場を繰り返し明らかにしてまいりました。

 しかし、体育施設や文化会館、博物館などの他の公共施設よりは低いんですけれども、導入率はこの四年間で五%も引き上がっております。

 図書館に指定管理者制度を導入して市民から大きな批判が巻き起こっている悪い実例として、我が党の田村貴昭衆議院議員が昨年四月二十六日の総務委員会で、佐賀県武雄市の市立図書館を取り上げました。

 ここの図書館は、蔦谷書店を経営するCCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が指定管理者となり、通称ツタヤ図書館と呼ばれております。ここが、文部科学省が大臣告示で定めた、図書館の設置及び運営上の望ましい基準からいかにかけ離れた実態になっているかは、田村質問で明らかにされたとおりであります。

 こういった問題が明らかになるにつれて、一旦図書館に指定管理者制度を導入したところでも、再び直営に戻すという自治体が生まれております。

 これも文部科学省に御報告いただきたいんですが、現時点でそういう図書館は何県、何施設あるかお答えいただけますか。

神山政府参考人 公益社団法人日本図書館協会が調査し、平成二十八年八月に報告をしたものによりますれば、十二の県で十四の市町村立図書館があると承知をしているところでございます。

宮本(岳)委員 今答弁がございました。十二県で十四図書館が、一旦指定管理者を入れたんですけれども、やはりぐあいが悪い、問題が多いと。図書館に指定管理者制度はやはりなじまない、こういうことが明らかになって、もう一度直営に戻しているケースが生まれているわけですね。

 ここには、図書館は自治体においてどのような役割が求められているのかということが横たわっているというふうに思います。冒頭述べた映画、この「天使のいる図書館」は、そういった面でも非常に示唆に富んだ映画でございました。

 私は、先日、佐賀県に行きまして、田村議員が質問で取り上げたそのツタヤ図書館とともに、その隣町である佐賀県伊万里市の伊万里市民図書館を視察して、塚部芳和伊万里市長にもお会いをして、直接詳しくお話をお聞きしてまいりました。

 きょうは、そのときいただいてきた伊万里市民図書館の概要というものを資料二として配付しております。塚部市長は、図書館はぜいたく品だというような見方もあるが、それは間違いだ、自由で公平な情報を提供し、市民の知的自由を守るのが図書館の役割、知識を得てこそ民主主義が育ち、市民が育って初めて町も発展する、伊万里市民図書館は、伊万里をつくり、市民とともに育つ市民の図書館だと力説をされておりました。

 文部科学省、このような伊万里市民図書館の活動を御存じでございましたでしょうか。

神山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御紹介があったことに加えまして、私どもといたしましては、伊万里市民図書館は、全国に先駆けまして、家読、子供が家で読書をする活動でございますが、こういった活動に取り組むなど、子供の読書活動を推進している図書館であることについても承知をしてございます。このため、平成二十六年度子どもの読書活動優秀実践図書館におきまして、文部科学大臣表彰を行ったところでございます。

宮本(岳)委員 今、文部科学省からも、文部科学大臣表彰があったということが御報告されました。

 この図書館の精神は、伊万里市図書館設置条例に体現されております。条例の第一条には、伊万里市は、全ての市民の知的自由を確保し、文化的かつ民主的な地方自治の発展のため、自由で公平な資料と情報を提供する生涯学習の拠点として、伊万里市民図書館を設置すると、高らかに宣言をしております。人口五万六千人の町で登録者が四万人を超えている。市外の登録者もいらっしゃるそうですが、市民だけをとっても、六割を超えた市民がこの図書館に登録をされているということでありました。

 赤ちゃんの三カ月健診で絵本を贈るというブックスタート事業は各地で取り組まれておりますけれども、伊万里では、司書がボランティアと一緒にこの三カ月健診に参加をして、お母さんたちの前で読み聞かせ、家でもこういうふうに読んであげてくださいと伝えております。わからないことや次の絵本の相談はいつでも市民図書館へ、こう伝えている。

 移動図書館、ぶっくんというんですが、自動車二台で市内を巡回し、幼稚園や保育所、小中学校など市内七十二カ所を定期的に回っております。一台は古くなったので、この前新品に更新したと言っていましたから。市長さんは、こういうときに自動車の台数を減らすという事例もある中で、我が町はちゃんとこの二台は走らせるんだとおっしゃっていました。

 市民図書館は多くのボランティアによって支えられておりまして、図書館の中にはボランティアのための専用室まできちんと設けられておりました。私たちの目指している伊万里市民図書館の姿として、図書館は、人づくり、まちづくりを支え、市民が成長する施設ということが掲げられております。

 山本大臣にお伺いするんですが、私は、まち・ひと・しごと創生にとって図書館の持つ役割は極めて重要だと現場でも学んだ次第でありますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

山本(幸)国務大臣 御指摘のとおりだと思います。地方創生に図書館の果たす役割は極めて重要であります。図書館を一つのまちづくりの核心にしていくことは非常に大きな効果があると認識しております。

 例えば、日本図書館協会の図書館事業先進二十例にも選定されております岩手県の紫波町図書館は、官民が一体となり、未利用公有地において、地域の拠点となる官民複合施設オガールプラザの整備を行ったオガールプロジェクトの中核拠点として、図書館等の集客をてこに民間施設が稼ぐことにより、稼ぐインフラを実現した地方創生の成功事例として極めて高く評価されているところであります。

 まだ私が大臣になる前に、委員長のときに、この委員会で一緒に視察をさせていただきましたので、そのときは宮本委員はいらっしゃらなかったんでしょうか。大変すばらしい、しかも、それは、まちづくりの中核として皆さんが大変活用しておられます。

 また、二週間ほど前に私は開所式に参ったのでありますけれども、福岡県の福智町、ここでは、地方創生関連交付金を活用して、図書館、歴史資料館、物づくり工房、カフェなどの機能を備えた複合公共施設、福智町図書館・歴史資料館ふくちのちを開設するなどして、図書館を活用した地方創生の取り組みが進んでおります。

 私としては、このような、地域の人と知の拠点として図書館を活用した取り組みを含め、今後とも、意欲と熱意のある地方公共団体に対して、情報支援、人材支援、財政支援の地方創生版三本の矢で、意欲と熱意のある地方公共団体を強力に支援してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 このような、地方創生にとっての公立図書館の重要性は、二〇一二年の公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準の改正に当たって開かれた、これからの図書館の在り方検討協力者会議の報告書でも力説をされております。「図書館は各地における「地域の知の拠点」として、国民の生涯にわたる自主的な学習活動を支え、促進する役割を果たす必要」ということが強調されております。しかし、その報告書では、同時に、図書館の現状は、「厳しい財政状況が続く中、専任職員数は減少傾向にあり、資料費予算額も毎年減少傾向にある。」とも指摘をされております。

 これは文部科学省に御報告いただきたいんですが、この報告書に添付された参考資料で、図書館の専任職員数は平成十一年度と平成二十年度とを比べてどのように推移しているか、また、資料費予算額の推移は都道府県立と市町村・広域立の合計で平成十七年度と平成二十一年度を比べてどのように推移しているか、また、それぞれ直近の数字があれば、それも御紹介いただきたいと思います。

神山政府参考人 専任職員数につきましては、平成十一年度は一万六千百十八人、二十年度は一万四千二百五十九人となっており、直近の平成二十七年度におきましては一万一千四百四十八人となっているところでございます。

 また、公益社団法人日本図書館協会の調査によりますと、資料予算額につきましては、平成十七年度は三百二十一億円、二十一年度におきましては二百九十五億円であると承知をしているところでございます。

宮本(岳)委員 平成十一年度の一万六千百十八人から、平成二十七年度で一万一千四百四十八人へと、十六年間で七割に減っているんですね。資料予算額は四年間で一割減っております。

 山本大臣、先ほど御存じだと御報告のあった「地域総合計画に図書館施策を」という公益社団法人日本図書館協会の要望では、先ほど大臣も触れられたように、図書館は、市民が身近に設置してほしいと願っている社会インフラであり、市民の日常生活に不可欠な情報発信基地として、コミュニティーの中核拠点として、産業発展の中核拠点として、地方創生に不可欠な役割を果たしておりますと述べた上で、貴殿におかれましては、図書館が地方創生に大きな役割を果たす力を持っていることに鑑み、ぜひとも、まち・ひと・しごと地方創生に資するよう、地域総合計画において図書館の整備充実を御推進いただくようお願いします、こう述べられております。この要望を受けての大臣の御決意をお聞かせいただきたい、こう思います。

山本(幸)国務大臣 図書館の重要性は先ほども申し上げたとおりであります。極めて大きな意義があると思いますし、また、図書館を活用して地方創生に取り組んでいる事例も幾つも出てきておりますので、そういう意味で、ぜひ前向きに取り組まなきゃいけないと思っております。

 地方創生の分野でそうした取り組みについては考えていきたいと思いますし、また、総務省あるいは文科省なんかとも、そういう方向をぜひ相談していきたいと思っております。

宮本(岳)委員 重ねて恐縮ですが、今私が取り上げた専任職員数の激減、資料費予算額のやはり減少、これについても今お話のあった文科省や総務省としっかり相談して、この声に応えるように頑張っていただけますか。

山本(幸)国務大臣 できるだけ頑張っていきたいと思います。

宮本(岳)委員 日本図書館協会の綱領である、図書館の自由に関する宣言では、侵略戦争の痛苦の歴史を振り返り、「わが国においては、図書館が国民の知る自由を保障するのではなく、国民に対する「思想善導」の機関として、国民の知る自由を妨げる役割さえ果たした歴史的事実があることを忘れてはならない。図書館は、この反省の上に、国民の知る自由を守り、ひろげていく責任を果たすことが必要である。」と述べられております。そして、「図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。」として、「図書館の自由に対する国民の支持と協力は、国民が、図書館活動を通じて図書館の自由の尊さを体験している場合にのみ得られる。われわれは、図書館の自由を守る努力を不断に続けるものである。」と高らかに宣言をいたしております。

 地方創生と地方自治における公立図書館の役割というのは極めて大きいものがあると思います。そういう役割、公共、公立図書館を一層守り、発展させていく、そのために私も全力を尽くす決意を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保です。

 山本大臣の所信に対して質問いたします。

 初めに、東京一極集中の是正に関連してお尋ねいたします。

 山本大臣は、所信表明で、「人口の東京一極集中が進行する状況において、地方への新しい人の流れをつくることが急務となっています。 地方での安定した良質な雇用の創出を通じて、地方への新しい人の流れをつくるため、地方拠点強化税制について、オフィス減税、雇用促進税制の拡充等を行い、企業の地方拠点強化をより一層支援します。」と述べておられます。

 平成二十七年に、地方創生を推進するために、企業の本社機能の地方移転や地方拠点を拡充することによって税制優遇措置を受けることができるようになりましたが、これまでにどのような成果、実績があったのでしょうか。今後、オフィス減税、雇用促進税制等を拡充するとのことですが、どのような措置を考えられているのでしょうか、お伺いいたします。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねがございました地方拠点強化税制でございますけれども、この税制の現在までの実績でございますが、平成二十七年八月の施行の後、これまでに四十四道府県の企業の地方拠点強化に関する地域再生計画を認定いたしました。これらの地域再生計画におきましては、合計で千四百三件の事業により、一万一千五百六十人の雇用創出が目標値として掲げられてございます。

 この地域再生計画に基づきまして、ことしの二月の末までに百四十二件の事業者の計画が道府県において認定をされてございます。この中で、七千百六十八人の雇用創出が計画をされております。

 このように、各地におきまして、企業の地方移転や地方拠点の拡充に向けた具体的な取り組みが動き始めていると承知してございます。

 さらに、東京一極集中の是正に向けて取り組みをより一層強化するということで、二十九年度からは本税制の制度の拡充を措置いたしたところでございまして、具体的には、まずオフィス減税につきまして、平成二十九年度に引き下げられる予定でありました七%の控除率を、平成二十九年度末まで現行水準を維持するということ、それから、雇用促進税制でございますが、新規雇用のうち質の高い雇用、無期雇用かつフルタイムの雇用に対しまして控除額を上乗せする、さらに、より手厚い支援措置が受けられる移転型事業につきましては、その要件を緩和するということで対象を拡大するという拡充を行ってございます。

 引き続き、地方創生の実現に向けまして、この地方拠点強化に関する税制を含めた施策に取り組んでまいりたいと考えております。

椎木委員 詳細な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、山本大臣は、所信で、「東京一極集中を是正するためには、地方への都市住民の移住や企業の移転だけではなく、政府関係機関が地方移転を進めることも重要です。」と述べておられます。

 地方創生の目玉政策として、これまで中央省庁の地方移転が検討されてきましたが、現状のところ、文化庁が全面的に移転するのみにとどまっており、かけ声倒れと言わざるを得ません。

 この点についてどのような見解をお持ちなのか、また、今後も政府関係機関の分散、移転への取り組みを積極的に推進していこうと考えているのでしょうか。あわせて答弁を求めます。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 政府関係機関の地方移転の取り組みにつきましては、昨年三月に政府関係機関移転基本方針、昨年九月に「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」を、まち・ひと・しごと創生本部において決定し、これに基づき取り組みを進めているところでございます。

 中央省庁に関しましては、文化庁について、先行的な取り組みといたしまして、平成二十九年度に文化庁地域文化創生本部、仮称でございますが、これを京都に設置する、消費者庁については、平成二十九年度に消費者庁消費者行政新未来創造オフィス、これも仮称でございますが、これを徳島に開設するなど、それぞれ移転に向けて取り組みを進めているところでございます。

 次に、研究機関、研修機関等につきましては、それぞれの具体的な展開を明確にした年次プランを地元と国の産官学の関係者が共同して今年度内に作成するとしており、現在、その作業の完遂に向けて作業が進められているというところでございます。

 さらには、昨年十二月に決定いたしました、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版におきまして、「本省業務に従事する国家公務員の勤務地の自由度を増やし、東京に限定されないようにするという観点からも、「働き方改革」等の視点からも進められつつある国家公務員のテレワーク、リモートアクセス等を推進し、こうした新しい働き方の浸透を踏まえ、地方に中央省庁のサテライトオフィスを設置して本省の業務の一部を執行することの可能性について、当面、一部の業務についての実証、試行を進めるとともに、ふさわしい業務の在り方・課題の整理等について、二〇一七年夏に中間取りまとめを行うことを目途に検討を進める。」としているところでございます。

 このように、地方創生に資する政府関係機関の地方移転の取り組みについて、着実に進めてまいる所存でございます。

椎木委員 今の政府参考人の答弁を聞きますと、着実に推進しているというような答弁をいただきました。

 国民の皆さんからすると、私が先ほど質問したように、やはり若干かけ声倒れという印象は否めないところがありますので、今の答弁のような着実に推進している取り組み、これをできるだけ国民の皆様にも発信していただきたいと思います。我が党も、この一極集中についてはしっかり打破していきたいと思っていますので、協力は惜しみませんので、しっかりお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略では、地方への人材還流、地方での人材育成、地方の雇用対策ということで、平成三十二年までの五年間の累計で、東京圏から地方へ十万人の人材を還流させることとしておりますが、雇用や人材育成について具体的にどのような施策を考えているのでしょうか。そもそも、十万人の人材を東京圏から地方へ還流させることは実際に可能なのでしょうか。答弁を求めます。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、東京圏から地方へ約十万人の人材還流をKPIとして定めているところでございまして、さまざまな施策を講じているところでございます。

 一つは、先ほど答弁いたしましたけれども、地方拠点強化税制で七千百六十八人の雇用創出計画がございますほか、プロフェッショナル人材事業といいまして、地域に眠るすぐれた企業を発掘して、そこにプロ人材を採用していただくというようなことで、これも、現時点で九百三十二件のプロフェッショナル人材が地域企業に採用されるというようなことになってございます。

 そのほか、若者が地方の地元企業に就職した場合に奨学金の返還を免除するという制度が、今十八件でございますけれども、これをさらに全国展開していきたいというようなことですとか、さらには、インターンシップでございますけれども、東京圏の大学生が地元に戻って就業体験をする、その受け入れ企業数というのが現在六千四百四十一社あるんですが、これを二倍にしていこうという目標を掲げて、今、進め始めているところでございます。

 それに加えまして、交付金を活用してそれぞれの地域で起業をしていくですとか、あるいは地方大学を振興する、東京の大学の新増設の抑制をしていくような議論も始めているところでございますので、さまざまな対策を講じながら、この目標達成に向けて努力をしていきたいと考えております。

椎木委員 これも先ほどの答弁と一緒ですけれども、しっかり努力されていることは私も評価しております。

 ただ、やはり期待が大きいだけに、今の努力して取り組んでいるものをできるだけ国民の皆様に発信していただければと思いますので、期待が大きいだけに大変かと思いますけれども、今後もよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 地方在住の若者が進学や就職を契機に東京圏に流入せざるを得ない状況を転換させ、地元で学び、地元で働ける環境を整えることは大変重要な取り組みであると考えます。

 地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議ではどのような検討がされているのでしょうか、山本大臣にお伺いいたします。

山本(幸)国務大臣 東京圏では約十二万人の転入超過となっておりまして、特に、進学や就職を控えた十五から二十四歳の若者が大半を占めております。東京圏の一極集中の傾向がそういう世代で加速化していると承知しております。

 こうした中で、昨年の十一月に全国知事会から提言が出されまして、それを受けて、昨年十二月に、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版に、地方大学の振興等について総合的に検討することを記載したところであります。

 それを受けて、御指摘の有識者会議を私のもとで開いているわけでありますが、本年二月より、地方大学の振興、それから東京の大学の新増設の抑制及び地方移転の促進、それから地方における若者の雇用機会の創出等について、いずれの論点についても活発な議論が今行われているところでございます。

 私自身、全ての会議に参加し、これまでの有識者会議の中でも申し上げましたけれども、出生率の一番低い東京にこれだけ人が一極集中するというのは市場が失敗しているということを意味するわけでありまして、市場が失敗した以上は行政が介入する余地があるというように考えております。そのための施策として、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等の取り組みは一つの有効な施策だと考えております。

 いずれにしても、今後、五月中旬を予定としております中間報告に向けて、地方大学の振興、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等、総合的に議論を進めてまいりたいと思います。

椎木委員 ありがとうございます。

 続きまして、将来地域を担う人材となる若者たちが生まれ育った地域に定着するためには、大都市圏との所得格差を少しでも縮めなければなりません。地方の平均所得向上に向けて、地方が稼げるようにするためには何が必要と考えておられるでしょうか、山本大臣にお伺いいたします。

山本(幸)国務大臣 地方の平均所得の向上を実現するためには、各地方公共団体そして住民が、自助の精神のもとで自主性を持って取り組むことが重要であります。

 政府としては、昨年十二月に閣議決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版に基づきまして、ローカルアベノミクスを一層推進するため、地域における仕事の創出や空き店舗等の遊休資産の活用、地域経済を牽引する企業への支援などの取り組みを推進していくこととしております。

 ただ、どうしたらいいかわからないということは当然あると思います。

 その意味で、私どもがぜひお願いしたいと言っておりますのは、私ども政府が提供しております地域経済分析システム、いわゆるRESASでございますけれども、このデータをもとに、まず、自分の地域の強み、弱みをしっかり分析してもらいたい。自分の地域がどこで外から稼いでいるのか、あるいは自分の地域がどこで外に支払いをしているのか、そういうことをしっかりと分析し、あるいは人の交流の状況を分析して、その上で、強みを伸ばす取り組み、弱みを補う取り組み、周辺の地域にないような独自性のある取り組みを行っていただくことが必要だというように考えております。

 そういう意味では、隠岐の海士町なんかでは、地域の農産物や海産物を付加価値の高い商品にして島の外に売り出す取り組みによって、新たな雇用の創出や地域の収入増大に成功しております。そういうことをぜひやってもらいたいと思っているところであります。

 意欲と熱意を持って取り組む地方公共団体に対しては、この地域経済分析システム、RESASによる情報支援、そしてまた、必要ということであれば、地方創生人材支援制度等による人材支援、そして地方創生推進交付金等による財政支援、この地方創生版三本の矢で、全力で支援してまいりたいと思っております。

椎木委員 実は、今大臣から答弁いただいたRESASは、最後の質問でちょっと考えてはいたんですけれども、大変力強い答弁をいただきましてありがとうございます。ある意味、平均所得向上、地方が稼げるという部分は大臣の得意な分野でもあると思いますので、期待していますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 地方の中小企業にとって、高度人材の活用は大変重要な課題であると考えます。支援の一環として、地域に新たな質の高い雇用を生み出すという目的を持って、プロフェッショナル人材事業を平成二十七年十月にスタートさせ、東京都を除く全国四十六道府県で体制が整ったと聞いておりますが、一年半が経過した今日、実績はどのようになっているでしょうか、お伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 プロフェッショナル人材事業は、東京を除く四十六道府県にその事業の中心となる拠点を整備いたしまして、そこのスタッフが、各地域における潜在力を秘めたすぐれた企業と対話を重ねる中で、攻めの経営への早期転換や、その実現に必要なプロフェッショナル人材の採用を経営者に促していく事業でございます。

 事業を開始してから本年二月末までの約一年半の間に、全国で九百三十二件のプロフェッショナル人材の地域企業への採用支援が実現しております。また、プロフェッショナル人材の採用一件当たりで、平均しまして約二・六人の追加雇用が見込まれるなど、雇用効果への波及も生まれ始めているところでございます。

 委員御地元の大阪府の事例を一つ申し上げますと、これまで新たな人材の採用に慎重なスタンスであった世界水準のねじ技術を持つ中小企業に対しまして、大阪府の拠点長が足しげく対話を重ねた結果、さらなる企業の成長のためには海外展開を強化することが重要だという認識で一致をいたしまして、立て続けに二名の語学に堪能な技術者の採用に至ったという事例がございます。さらに、この企業では、こうして採用された人材が社内でリーダーシップを発揮して、各部署の橋渡し役となり、組織の活性化にもつながりつつあると伺っております。

 大阪府では、こうした形で、これまでに七十三件のプロフェッショナル人材の採用支援が実現しております。

 また、本事業では、全国的に連携した都市部の大企業などとのパートナーシップの形成や、兼業形態の普及の促進などにも力を入れつつあるところでございますが、これにいち早く対応していただいた大阪府の場合では、地域の企業の要請に応える形で、四件の人事交流を、大企業の人事部と実現されたところでございます。

 内閣府といたしましても、本事業に今後とも積極的に支援を行い、さらなるプロフェッショナル人材の還流の促進を実現してまいりたいと考えております。

椎木委員 私の地元大阪府の事例を挙げての御答弁、ありがとうございました。

 最後の質問になります。

 地方創生を進めるために、地域経済分析システム、いわゆる、先ほど大臣が答弁されましたRESASによる情報支援を行っているとのことですが、数字やデータに基づく取り組みの重要性に対する見解とRESASの活用状況について、改めてお聞きいたします。

高橋政府参考人 御答弁申し上げます。

 地方創生の実現のためには、確かな根拠に基づく政策立案、英語の頭文字をとって、よくEBPMと言われますけれども、そうした考え方のもと、地方がみずからの地域の経済や社会実態を把握し、分析することが重要だと認識しております。

 このため、先ほど山本大臣の御答弁にもありましたが、地域経済にかかわるさまざまなデータをわかりやすく見える化したシステムとしてRESASを政府として整備いたしまして、各地域がみずからの強みや弱みなどを分析し、データの根拠に基づいた取り組みを進めることを支援しております。

 このRESASにつきましては、一昨年の公開当初は二十五種類のデータでスタートいたしましたが、その後、第一次産業や観光などの分野を中心に充実を図りまして、現在は八十一種類のデータを一覧できるようになっております。あわせて、普及の促進にも取り組んでおりまして、その結果、直近のページビュー数をカウントいたしますと、半年間で閲覧数が四百八十五万ページと、その一年前の半年間の約二・五倍にまで増加をしております。

 こうした中で、各地域でRESASを活用した具体的な取り組みが広がってきておりまして、例えば大阪府の八尾市では、RESASによる産業分析と市独自の調査を組み合わせて分析いたしましたところ、地域の強みとなっております物づくりにつきまして、黒字企業の比率自体は高いものの、全体的な付加価値額は低い、あるいは創業比率が低い、こういった課題に改めて気づきまして、この点を解決するために、製品のブランド化や高付加価値化の支援、あるいは創業に対する支援などの施策の具体化を進めているところであると伺っております。

 その他、教育現場でも、一部の大学や高校などの授業で既にRESASが活用されておりまして、将来の地域を担う若者が数字やデータで自分たちの地域を学び、地元をみずから元気にするための取り組みにつながってきているところでございます。

 今後とも、こうした地域におけるRESASの活用を促し、地方創生に向けた取り組みが広がるよう、強力に後押ししてまいります。

椎木委員 以上、きょう、全部で七項目ですか、質問させていただきました。大臣初め政府参考人の方からは、大変わかりやすい答弁をいただいたと思っています。

 山本大臣におかれましても、就任当初より大分元気になられたかなという印象も受けましたし、有識者会議も本当に全て出席して、精力的に頑張っていただけているものと思っています。しっかり、我々も、いいものはいいとして、是として支えてまいりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山本国務大臣。

    ―――――――――――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(幸)国務大臣 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方分権改革は、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマです。

 本法案は、昨年十二月に閣議決定した平成二十八年の地方からの提案等に関する対応方針を踏まえ、都道府県から指定都市等への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、住民に身近な行政主体である指定都市等が地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担えるようにするため、都道府県から指定都市等への事務、権限の移譲を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。

 第二に、地方がみずからの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十七分散会


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