衆議院

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第10号 平成29年5月16日(火曜日)

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平成二十九年五月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 池田 道孝君 理事 後藤 茂之君

   理事 新藤 義孝君 理事 田中 英之君

   理事 山口 俊一君 理事 坂本祐之輔君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      伊藤 達也君    大野敬太郎君

      加藤 寛治君    勝俣 孝明君

      神田 憲次君    菅家 一郎君

      小泉進次郎君    佐藤ゆかり君

      坂井  学君    菅原 一秀君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      長坂 康正君    平井たくや君

      福田 達夫君    牧島かれん君

      三ッ林裕巳君    宮川 典子君

      八木 哲也君    簗  和生君

      小川 淳也君    高木 義明君

      武正 公一君    福田 昭夫君

      横山 博幸君    渡辺  周君

      江田 康幸君    吉田 宣弘君

      島津 幸広君    宮本 岳志君

      椎木  保君    丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          山本 幸三君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 奈良 俊哉君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 木下  茂君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          佐々木 基君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        藤原  豊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 猿渡 知之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官付参事官)         小川 良介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三田 紀之君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     八木 哲也君

  江藤  拓君     神田 憲次君

  加藤 寛治君     穴見 陽一君

  福田 達夫君     青山 周平君

  山田 賢司君     瀬戸 隆一君

  田村 貴昭君     島津 幸広君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     武部  新君

  穴見 陽一君     加藤 寛治君

  神田 憲次君     江藤  拓君

  瀬戸 隆一君     簗  和生君

  八木 哲也君     伊藤 達也君

  島津 幸広君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     福田 達夫君

  簗  和生君     山田 賢司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官横田真二君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長奈良俊哉君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、内閣官房内閣審議官三角育生君、内閣府大臣官房審議官木下茂君、内閣府地方創生推進事務局長佐々木基君、内閣府地方創生推進事務局審議官藤原豊君、総務省大臣官房審議官宮地毅君、総務省大臣官房審議官猿渡知之君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子さん、外務省大臣官房審議官水嶋光一君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子さん、農林水産省政策統括官付参事官小川良介君、経済産業省大臣官房審議官三田紀之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。

牧島委員 おはようございます。自民党の牧島かれんです。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 国家戦略特区についてお尋ねする前に、せっかく山本大臣お見えでございますので、地方創生の肝となる部分をお伺いしていきたいと思っています。

 この地方創生は、課題に真剣に取り組む県、市町村にとっては大きなチャンス、機会であります。同時に、それぞれの自治体が持っている、やる気、そしてその意気込みというものが見えてくるバロメーターだなというふうに私は感じてまいりました。

 それぞれで地方版総合戦略がつくられ、KPIが設定され、PDCAサイクルが回っていく、その中で、政策がより磨き上げられていく。そうした自治体が一つでもふえていってほしいというふうに願っています。

 地方版総合戦略、つくられてはいるんだけれども、住民に本当に周知徹底されているんだろうか、疑問に感じる場面もあります。それぞれの自治体の取り組みの内容、充実しているもの、そして結果が出てきているものもありますが、残念ながら、そうではない自治体もある。差が広がってきてしまっているのではないかなというところも懸念をしております。

 山本大臣、全国各地の地方自治体の地方創生の取り組みをごらんになっていて、本気度、どのようにごらんになっているでしょうか。お聞かせください。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 地方創生は三年目に入っておりまして、現時点では、一団体を除き、これは東京都の中央区でありますが、今年度中にはできるということでありますが、全ての地方公共団体が地方版総合戦略を策定し、本格的な事業展開に入っているところであります。

 地方版総合戦略の策定に当たりましては、ほぼ全ての団体が、産業界や学識経験者等から意見を聴取するとともに、住民の代表である議会の審議や議員との意見交換を行っており、また、策定された総合戦略については住民向け広報紙等で内容の周知を図っていると承知しております。

 このような中、国としては、地方創生の施策として、地域経済分析システム、RESAS、地方創生推進交付金、企業版ふるさと納税、生涯活躍のまち等、さまざまなメニューを用意しておりますが、その活用状況等を見ますと、地方公共団体によって差が生じておりまして、全体の底上げを図っていく必要があると考えております。

 このため、私みずから、市町村長向けトップセミナーやチャレンジミーティング等で地方創生の優良事例を紹介し、横展開を図っていくとともに、意欲と熱意のある地方公共団体に対しては、引き続き、情報支援、人材支援、財政支援の地方創生版三本の矢で強力に支援していくということを強調しているところでございます。

牧島委員 ありがとうございます。

 地方版総合戦略がつくられるまでに当たって、今大臣お話しになったとおり、それぞれの住民の方の御意見を聞く、産官学金労言がキーワードですというのは何度も繰り返されてきたんだと思います。つくられて終わりではないので、ぜひPDCAサイクルを回していく、チェックをしてさらに次なるアクションにつなげていくように、引き続きお願いをしていきたいと思っています。

 そのためには、政策立案プロセスというものの意識づけも重要なのではないかと思います。

 今、RESASのお話を大臣もしていただきました。地方版総合戦略、さらにはそれぞれの自治体が地方創生の交付金の申請などを行う際にも、このRESASでの分析というものが必須になってきています。

 以前はグーグルクロームでしか見ることができなかったと言われていたRESASですが、今ではインターネットエクスプローラーでも見ることができますし、スマートフォンからも大多数のマップは見ることができるようになりました。オンライン講座も開設をしていただいて、メニューも拡充して見やすくなりました。RESASは常に進化をし続けているなというふうに私は感じています。

 ただ、まだ御存じない方もいらっしゃる、そして、大臣がおっしゃるとおり、底上げもまだしなければならない段階にあるという認識は、私も感じているものであります。

 そこで、EBPMと関連をさせて、RESASなどもさらに推進をしていくことを提案していきたいと思います。エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、証拠に基づいた政策を立案していく、運営していくときには、データを収集し、それを分析、解析をしなければならない。こうしたことを当たり前のことにしていきたいと思うんです。

 この分野は山本大臣、かねてより推進をしてきてくださったことでございますので、ぜひ、その意気込み、決意をお聞かせください。

山本(幸)国務大臣 委員御指摘のとおり、RESASの活用は大変重要だと思っております。

 私も地方に参りまして、地方創生とは地域の平均所得を上げることだ、そしてそのために一番大事なことは地域の自助の精神だと申し上げておりますが、ただ、それだけではなかなかスタートできないわけでありまして、それをスタートする第一歩として、RESASの活用が非常に大事だということを強調しているわけであります。

 まさに、確かな根拠に基づく政策立案、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、これが重要だということでありまして、従来はKKOといいますか、勘と経験と思い込みでやっている向きがあったわけでありますが、それでは本物の政策にならないということで、このEBPMの考え方を取り入れる必要がある。

 そのためには、この地域経済分析システム、RESASを使って、データに基づいて、各地域が自分のところの実態はどういうことかということをまず分析することがスタートになると思います。そのRESASを分析した上で、どういうところで自分の地域は稼いでいるのか、あるいはどういうところで支払いを他の地域にしているのか、そういうことを分析して、強みを伸ばす、そして弱みを補う、そういう取り組みを考えることがスタートだということでお願いをしているところであります。

 また、RESASを見ますと周辺の地域の状況もわかりますので、周辺の地域ではないようなことを新しい取り組みとしてやるということも一つの稼ぎにつながることではないかということを申し上げております。

 RESASにつきましては、御指摘のように、搭載するデータの種類を当初の二十五から八十一に増加させるなどデータの充実を図るとともに、インターネットエクスプローラーなどでも利用できるようにする改修やオンライン講座の提供など、RESASの利便性の向上にも取り組んでおります。

 こうした取り組みの結果、昨年度下半期六カ月の総閲覧数は一年前の約二・四倍、具体的には約四百八十六万件となっておりまして、RESASの利用は着実に増加していると認識しております。

 しかしながら、まだ全国各地域におけるRESASの活用にはばらつきがありまして、RESASの普及促進にもしっかりと取り組んでいくことが重要だと考えております。

 例えば、データの活用については自治体トップの認識が非常に重要であるということから、本年一月には、市町村長を対象としたトップセミナーを、全国三カ所、東京、大阪、福岡で開催し、RESAS活用の重要性について、私みずから直接説明をいたしました。

 また、RESASを用いた政策アイデアコンテストや、一般の方々にもRESASについて学んでいただくためのRESASフォーラムなども開催しており、これらのイベントにも私自身も参加し、RESASを活用した地方創生の取り組みを後押ししているところであります。

 最近では、大学生や高校生がこのRESASを活用して地域の課題解決に取り組んでいるという事例も出ておりますし、そういうことをしっかりと応援していきたいと思っております。

 今後とも、地域におけるRESASの活用を通じてEBPMの考え方に基づいた地方創生の動きが広がるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

牧島委員 ありがとうございます。

 今大臣おっしゃったとおり、高校生でも、または中学生でも、RESASを使って政策提言ができる、学校の現場などでも活用していただきたいなというふうに思っています。

 続きまして、日本版レギュラトリーサンドボックスについて質問させていただきます。

 地方発のイノベーション、近未来技術の実証についてということで、私も地方創生の担当大臣政務官をさせていただいたときに、現場にも立ち会わせていただきました。

 仙台市では、自動走行レベル四、運転席に誰も乗っていなくても校庭の中を車が回るという現場も目撃をさせていただきました。さらに千葉市では、ドローンを活用した都心部における初めての実証実験も、現場にいました。屋上から地上までワインボトルがドローンによって届けられていて、無事に割れずにワインは届くんだということも見させていただいたところであります。

 このドローンの技術は、都心部だけではなくて、地方での活用も期待をされることだと思います。特に運送、運搬などの産業においては、ラストワンマイル、最後の一マイルの部分に人手がかかる、コストが大変かかってくるので解決をしていかなければならない課題だというふうに言われています。地方、中山間地に、例えば毎朝かごに新聞と牛乳と卵を入れてドローンが運ぶというようなことも可能なのではないかというふうにも言われております。さらに、それぞれの状況に応じて、農業や鳥獣被害対策ですとか、災害が発災したときには状況の把握をする、救命救助そして捜索という意味でもドローンの活用が期待されています。

 日本が持っている技術、技能を使ってドローンを生産する、またはドローンのサービスを提供していくということも進めていきたい、応援をしていきたいなと思っています。

 この国家戦略特区の中で、近未来技術、いろいろな実証をこれまでも積み重ねてこられたと思います。その中で見えてきた成果、そして今後の課題として挙げられているもの、どのように分析をされていらっしゃるでしょうか。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区におきましては、平成二十七年一月の近未来技術実証特区検討会の開始以来、ドローン等の自動飛行や自動走行などの分野におきまして実証実験を重ねてまいりました。

 具体的には、ドローン等の自動飛行につきましては、今お話ありましたように、委員にも大臣政務官として御出席いただきましたけれども、昨年四月に千葉市において地上と建物の屋上の間で飛行実証を行うとともに、十一月には、東京湾臨海部の物流倉庫から海上を経由し幕張新都心まで運ぶ構想の第一歩として、ドローンにより海上を七百メートル飛行して配送する実証を行ってまいりました。また、秋田県仙北市では、昨年七月に、日本初となる国際ドローン競技会を、電波法の特例を活用いたしまして開催いたしました。

 自動走行につきましては、昨年二月に藤沢市で、一般モニターも参加して住居と商業施設間の二・四キロメートルを送迎する公道実証を行ったほか、仙北市では、昨年十一月、全国初となる公道での無人バス走行を行っております。

 このように、特区では、全国に先駆けて多岐にわたる実証実験を高い頻度で積み重ねることで、情報、ノウハウの蓄積などの点で着実に成果を上げてきております。

 一方で、実証を通じ、課題も明らかになってきているところでございます。仙北市の公道での無人バス走行や千葉市の海上におけるドローン宅配につきましては、十分安全性にも配慮した上で、それぞれ数百メートルの実証実験であったにもかかわりませず、多方面との事前協議でございますとか手続に相当の時間と労力を要する、こういった課題が指摘されております。

 このため、近未来技術の実証を円滑かつ迅速に行うことができるよう、事後チェックルールの徹底等も含め、安全性に十分配慮しつつ、事前規制、手続の抜本的見直しを行う日本版レギュラトリーサンドボックスの検討を開始しているところでございます。

牧島委員 日本版レギュラトリーサンドボックスを通じてさまざまなノウハウが蓄積され、課題への答えがより早く出ていくことを期待していきたいというふうに思います。

 そしてもう一点、日本の成長戦略に資すると言われておりますクールジャパン・インバウンド外国専門人材についてお尋ねをいたします。

 最近、私たち、大変流暢な日本語を話す外国の方にお会いする機会がふえてきたなというふうに思います。どのように日本語を学ばれましたかと伺うと、独学で自分の国で勉強しましたというようなことが聞かれておりまして、さらに質問を続けると、漫画で読んで日本語を学んだ、日本食に興味を持ったというようなことを聞かされることもあります。そうした方たちが、いざ日本に留学をして、日本の食について、またファッションについて、さらにはおもてなしの精神についてマスターをし、そうした人材として輩出をされていっているという現実がございます。

 私の地元神奈川県も、国家戦略特区においては東京圏の中に位置づけられております。観光地小田原、箱根などには、外国のインバウンドのお客様もたくさん来ていただいております。さらなる海外の方に向けたサービスの提供が急務だなというお声も地元から聞こえてきているところであります。

 また、ちょうど昨日も、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部、全旅連青年部の方たちと懇談の時間を持たせていただきました。そのときに聞こえてきたお声として、この旅館、観光の関連事業の中で、人手が不足しているということであります。旅館に行ってお食事を楽しみにされている方たち、大勢いらっしゃると思うんですけれども、実は調理をされる方が足りていない。また、インバウンドのお客様への対応も含めて、接客の方がもっといてくれればいいのにという率直な御意見。そうなると、いよいよ外国人材の登用も考えなければならない時期に来ているのではないかなというお話も聞かせていただきました。

 このように、外国専門人材、そして外国人の方を旅館やまたは観光に関連する事業の中で登用していくということを考えたときに、外国の方たちの就労または生活の基盤を整えていく。中小企業の方も大勢いらっしゃいます、その方たちにとっては初めてのことで、ふなれなのだということも聞こえるかと思います。ぜひ相談ができるような窓口を設置していただきたい。

 相談支援体制というものの設置の見込みについてお聞かせください。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話のありましたクールジャパンを含めまして、産業の国際競争力を強化するため専門的な能力を有する外国人材を活用したいとのニーズは極めて強く、入管関係の手続について迅速化、円滑化を求める声は非常に強いものがございます。

 しかしながら、在留資格の制度運用につきましては、基準が不明確あるいは裁量的ということで、特に中小企業に厳しいといった指摘が少なくありません。

 外国人材を受け入れようとする企業等に対しまして、専門の弁護士や行政書士が必要な情報提供や相談対応を行うといったサービスを提供できれば、産業競争力の強化を図る上で有益であると考えられます。

 このため、今般の特区法改正案に関係規定を盛り込むとともに、特区の区域会議のもとに、外国人雇用相談センターの名称でこうしたサービスを提供する体制を整えることが有効と考えております。

 具体的には、こうした体制を整えたい、そう思う自治体から、具体的ニーズを踏まえまして、その自治体とともに検討していくことになるわけでございますが、必要に応じ、入国在留資格に関する運用実績を整理、分析して、在留資格の許可基準に関する運用のさらなる明確化を提案することも有効な選択肢の一つとして考えてまいりたいと存じます。

牧島委員 特に中小企業への支援をお願いしていきたいと思います。

 続いて、テレワークについてです。

 今回のこの国家戦略特区の中では東京都からの提案というふうに伺っておりますが、今後、テレワークは都市部だけではなくて地方にも広げていきたい、それを実現するためには、各自治体、基礎自治体、市町村などみずからがテレワークを行うということが大事なのではないかと思っています。

 企業やそれぞれの行政からも、テレワークについて、私自身もヒアリングをさせていただきました。

 役所の方にお話を聞くと、自分たちの仕事は窓口業務が多くて役所を離れることができない、テレワークにはなじまない部分が多いのではないかといったような率直な御意見もあったのは事実です。しかし、こういう状況はいつまでも続くのだろうかというふうにも思っています。

 例えば、マイナンバーカードで本人確認がデジタル化できるようになれば、今行っている窓口業務のあり方は変わるかもしれません。さらに、住民の方が変更手続で役所に行くときに、学校関係、お仕事の関係、さらには福祉と、それぞれの窓口を回るのではなくて、ワンストップで、一カ所で手続をして、そしてそれがバックオフィスでつながっているワンストップの原則ですとか、一度書類を提出したら、二度、三度と提出しなくていいワンスオンリーの原則、行政のIT化によって実現をされる、もうすぐそこの未来まで来ているというふうに思います。そうしたことで、行政の方たち、役所の方がモバイルでお仕事ができるようになっていく、そんな未来も描いているところであります。

 ぜひ、各自治体においてIT化を進めることによって、本来のテレワーク、企業だけではなくて自治体においても、さらには都市だけではなくて地方においても、そしてそれぞれ、狭義の意味で在宅の仕事ではなく、モバイルワークも含む広い意味でのテレワークの定着、行政のIT化とともに進めていきたいと思いますので、現状のお話をお聞かせください。

猿渡政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる自治体の電子化と申しますのは、大型電算機の登場によりまして大量の税額計算や帳票管理に始まったところでありますが、その後、庁内LANが整備され、一人一台パソコンの普及により、電子自治体を進める基盤が構築されてきております。さらに、インターネットの普及により、大量の情報収集、情報発信が行えるようになりまして、住民の皆様がどこにいらっしゃってもサービスを提供できるオンラインサービスも整備されてきているところでございます。

 さらに、データセンターの中の情報資産を利用するというクラウドサービスの活用も一般的となってきておりまして、委員が御指摘のように、パソコンなどのモバイル端末さえあれば、職員が時間や場所にとらわれず、現場を含めて仕事を行えるテレワークを実施する環境が整いつつあるというふうに我々は認識しております。住民サービスの充実と仕事の生産性向上のためには大きく資するものであるということで、総務省としても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、日進月歩の情報処理や情報通信の進展を先取りしまして、住民サービスの向上と自治体における業務環境の向上につながるよう、全国の自治体とともに積極的に取り組んでまいりたいと存じております。

牧島委員 ありがとうございます。

 現場に出てフットワークよく住民サービスの、声を聞いて拡充させていくということが期待されることだというふうに思っております。この国家戦略特区を通じまして、さらに地方創生の政策が力強く推進されることを期待し、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民進党の渡辺でございます。

 早速質問に入らせていただきますが、まず冒頭、ちょっと質問の通告とは順番が違うんですけれども、大臣にお伺いをしたいと思います。

 本日、この特区の改正法案の審議あるいは地方創生というテーマの中で、与野党ののりを越えて、とにかく実現をしていきたい、理想とするところを実現していきたいという、その理想に向かって審議を進めているわけですけれども、しかし反面で、今地方で起きていることの中に、議会の消滅すらも検討をしなければならないということが実はございます。

 これは言うまでもなく、高知県の大川村というところで、けさの新聞にも出ておりましたが、議長が諮問書を提出したと。ちょっと申し上げますと、高知県の大川村の村議会は定数が六名。村自体が、住民が現在四百名で有権者は三百五十人、うち、どうも五十人ぐらいの方は、病院に入っていたり村外の施設に入所しているような方もいる。そういう中で、地方自治法九十四条、町村は、議会を置かず、有権者全員による議事機関の総会を設けられる、つまり、直接民主制を導入すべきじゃないかと。

 その背景には、今申し上げたような、人口がもう四百名ほど、高齢化率は四割を超えて、有権者三百五十名。前回、二〇一五年の村議選では無投票当選、現職六人。何よりも、高齢化が進む中で議員のなり手不足が課題になっているという。我々が今、さまざまな特区制度を活用して地方創生あるいは国の成長というものに結びつけようという中で、議会すら維持できないという自治体が今あるという中で、地方創生大臣、この現状をいかがお考えでしょうか。

山本(幸)国務大臣 委員御指摘のところは非常に厳しい状況だと認識しております。

 地方自治法に基づく町村総会については所管外でありますけれども、議会という形であれ、町村総会という形であれ、地域の関係者の意見を十分に反映しながら地方創生を進めていくことが非常に重要だと思っております。

 こうした、大川村のような小規模自治体も含めて、意欲と熱意のある地方公共団体に対して、何とかよみがえってもらいたいということで、情報支援や人材支援、財政支援の地方創生版三本の矢で強力に支援してまいりたいと考えております。

 具体的には、大川村に対しましては、「最少人口の村 大川村四百人の村民を守り抜くプロジェクト」、これは、村の名産でありますはちきん地鶏の食肉処理場の新設、販売促進を実施するために、地方創生推進交付金を出しております。また、大川村移住・定住促進計画、これは、その食肉処理場で雇用する移住者向けの住宅を整備するために、地方創生拠点整備交付金事業として採用もしているところでありまして、できるだけの支援をしてまいりたいというように考えているところであります。

渡辺(周)委員 さまざまな支援策を講じるといっても、なかなか若い人たちが、一生懸命戻ってきているんですけれども、議員のなり手がいない。そういうことの中で、現実問題としては、これまでも実は、町村総会を設置するという議論は初めてではなくて過去にもあったと。過去には、東京の八丈島、今は八丈島ですけれども八丈小島、旧宇津木村というところですね、一九五一年から四年間、実は議会がなくて町村総会というのを設置したことがあったということでございます。これが唯一の実例でございます。

 それから、今、議員定数が六以下の町村というのは、これは五月一日付の毎日新聞の記事によるものなんですけれども、数えてみますと十二町村、全国にある。うち離島が、東京都の例えば青ケ島村であるとか御蔵島であるとか利島であるとか。離島もございますけれども、このほかには、青森県の西目屋村というんですか、やはり、人口千四百四人、議員の定数六人。あるいは、和歌山県の北山村というところが、やはり四百五十二人。

 この大川村というのは、離島を除けば最も人口が少ない自治体ということになるわけなんですけれども、議会がなくなるということは、私はやはりあってはならないと思うんですね、結論を申しますと。

 やはり、地方創生の担い手である地方自治体が、どんなに小さかろうと、代議制民主主義といいますか議会制民主主義の中において、住民から選ばれた人たちが議会の中で条例案や予算審議をしていくという形があるべきであろうと思いますけれども、ぜひ、そうならないように何とかアドバイスを国としてはしていくべきだと思います。もちろん、最終的にはこの村の自主性の問題だと思いますけれども、これは、全国でやはり同じことが起きるのかなというふうに思います。

 そこで、もう一回、これは事務方でもいいんですけれども、確認しますが、こういう過去にあった事例というものの、何か資料といいますか、当時の、実は議会がなくなって町村総会というものが設置されたらどうであったかというような、これは資料なんか残っているんでしょうか、記録は残っているんでしょうか。

 そしてもう一つは、先ほど申し上げたような十二町村、大川村を除くと十一町村ですけれども、同様の動きあるいは同様の検討というのは今もあるのかどうか、現状はどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 大川村での検討状況でございますが、直接所管ということではないんですが、お伺いするところによりますと、村長から村の担当課に対して検討指示がおりているというふうにお聞きしております。

 また、他の町村で現状において町村総会を導入するべく検討しているかどうかについては、特段承知はしていないところでございます。

渡辺(周)委員 総務大臣は、もちろん総務大臣、総務省が所管であることは百も承知なんですが、一つの考え方であるというようなことをたしかおっしゃったようなことを記憶しております。

 であるならば、実は、町村の、さっき申し上げましたが、総会というのが一回だけ、一九五一年から四年間、設置されたことがあると。そのときの記録というのは、どこか国の方に残っているんでしょう、資料といいましょうか。つまり、こういうことでしたよということをやはりアドバイスする中でも、日本で唯一の事例として、何らかの形で、古い資料ですから、どれだけ残っているかですけれども。ともかく、そもそもそういう記録が国に残っているのかどうなのか。それによって、適切なアドバイスができるかどうかということが違ってくると思うんですが、いかがですか。

末宗政府参考人 現時点で国に残っているかどうか、ちょっと私どもの方は所管でないので、承知をしておりません。

渡辺(周)委員 いずれにしても、こういう新たな問題提起がされているわけでございます。ぜひ、そういう、過去に我が国でもあったという事例を、あるいはその記録を掘り起こしながら、適切なアドバイスはできるような形で取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、本題とするところに入りますけれども、まず大臣にお伺いします。

 首都圏の一極集中是正の目標修正、東京圏の転入超過が、どうも二〇二〇年は解消困難であったと。これは過去にもこの委員会で議論がされているわけなんですけれども、ことしの五月七日の日曜日、これは多分共同通信の配信かと思いますが、地方紙に載っております。

 それは、二〇二〇年に、今まで、およそ十二万人という転入超過を何とかなくしたいということでさまざまな取り組みが行われましたけれども、結果的には、二〇二〇年に東京圏の転入超過はどうも解消するのは無理だということですけれども、大臣はそういう御認識でしょうか。

 そしてまた、なぜそうなっているかということについての原因は、いかが受けとめていますでしょうか。

山本(幸)国務大臣 東京一極集中につきましては、二〇一二年以降四年連続で転入超過数が増加しておりまして、二〇一五年に約十二万人の転入超過となっております。二〇一六年には五年ぶりに若干減少いたしましたが、一極集中の傾向は続いていると承知しております。

 このように厳しい状況は続いておりますが、国としては、企業の地方拠点強化税制の拡充、政府関係機関の地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者の地元就職時の奨学金の返還免除、生涯活躍のまちの実現、地方創生インターンシップ事業等、多岐にわたる施策を推進するとともに、新たに創設した地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを積極的に支援してきているところであります。

 さらに、今後は、空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における若者雇用、東京における大学の新増設の抑制等についての総合的な対策の検討等を推進することにより、東京一極集中是正の基本目標達成に向けて最大限努力をしてまいりたいと思います。

 ただ、御指摘のように、大変厳しい状況にあります。まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版では、二〇一七年度は五カ年を展望した総合戦略の中間年に当たり、総合戦略で設定している基本目標やKPIについても必要な見直しを行い、より効果的な対応を検討するとしているところでありまして、基本目標について必要な見直しを行う中で、その目標を修正する可能性については否定しないところであります。

 しかし、繰り返しになりますけれども、政府としては、全力を挙げて、東京一極集中是正の基本目標達成に向けて最大限努力してまいりたいと思います。

 その理由でありますけれども、私どもの分析では、さまざまな理由があると思いますが、やはり東京圏への転入超過数の大半を男女とも十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳が占めていることを考えますと、若い世代の大学等への進学や就職が東京圏への移動のきっかけとなっているものと考えております。

 こうした点をしっかりと踏まえて、何とか東京一極集中是正を図るべく頑張ってまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 そこで、お尋ねしますけれども、それでは、いつを今度は転入超過を解消する目標年次とするのか。二〇二〇年はもう無理だ、だとするならば、どこに今度新たな目標を置きますか。それは考えていますでしょうか。例えば二〇二五年とか二〇三〇年とか、考えていますでしょうか。

山本(幸)国務大臣 今回のまち・ひと・しごと創生総合戦略の見直しを今年度やるわけでありますが、これは、基本目標やKPIについてしっかりとした見直しを行って、その目標を修正する場合にはやらなければいけないということであります。ただ、いつまでということは現時点ではちょっと申し上げることができません。

渡辺(周)委員 前回の委員会でも申し上げましたけれども、まず隗より始めよで、例えば国の省庁が地方に移転をする、それによって民間企業も本社機能を地方に移す、まずは国からやるのだというかけ声をかけていましたけれども、結果的には尻すぼみに尻すぼみになって、随分小さくなってしまった。結果的には、国が本気なのかということも私は問われると思います。

 例えば、ここでもう一つちょっと伺いたいんですけれども、国家戦略特区の中で第一次指定された中に、国際ビジネス拠点として、起業、イノベーションをテーマにしたまさに東京圏の戦略特区、世界規模で資金、人材、企業を集める国際ビジネスの中心をつくるんだということでございます。

 片っ方で首都圏の流入を何とか回避したいと言いながら、片っ方で東京中心に世界で最もビジネスのしやすい地域をつくるんだと。これは、世界で最もビジネスをしやすいということは、日本のこれから社会を担う人たちにとっても当然やりがいのあるところでございます。その政策の整合性から考えると、やはり東京回帰するんじゃないかと思うんですけれども、この整合性というのは大臣はとれていると思いますか。いかがですか。

山本(幸)国務大臣 御指摘の点は、非常に重要な点だと思います。

 東京は、やはり、国際金融都市を含めて、国際競争力を持つような都市として整備していくことが必要でありまして、まさに世界で最もビジネスをしやすいというような形で、海外からも人を呼び込むというような国際ビジネス拠点の形成、そういうことが非常に望まれるわけであります。その東京がやはりまず頑張るということが全体を引き上げていきますので、それはそれとして重要だと思います。

 一方で、地方も、その地方の資源や知恵を活用することによりまして、しっかりとした地域の発展を担っていくということが大事でありまして、その意味で、国家戦略特区において、東京ももちろん、そういう意味で、国際競争力を持つような形で使っていただきますけれども、地方では、そういう地域固有の資源や知恵を活用して、国の制度を変えてまで新たな事業の実現を目指そうとする場合にはしっかりと応援していく必要があると思っています。

 その意味では、地方、都市の区別なく、数多くの規制改革の提案、要望をいただいて、スピーディーに実現していくのがこの国家戦略特区の特徴であると考えております。

 例えば、兵庫県の養父市は、中山間地農業の改革拠点として、企業の農地所有の特例や農業委員会の一部業務の市への移管等の特例といった大胆な規制改革を続々と実現につなげ、これを活用した耕作放棄地の再生や農産物、食品の高付加価値化等の革新的農業を実現しているところでもございます。

 こうした意味で、地方と都市部がそれぞれの特性を生かした形で高め合っていくことが必要であると考えております。ぜひ、国家戦略特区の枠組みを活用して、今後とも、改革による成長を実現しようとする地域を強力に推進してまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 非常に苦しい答弁だと思うんですね。

 東京に世界で最もビジネス投資をしやすい特区をつくると言いながら、反面で、首都東京圏への人口流入は、転入超過を何とか解消しなきゃいけないと言う。非常に、両立しがたいのではないかと思うような壮大な目標を、余りにも野心的につくり過ぎたんじゃないかというふうに思いますね。この点についてはまた次回、質問したいと思いますが。

 そんな中で、五月十日、先週ですか、大臣は、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議という答申を受け取られていると思います。その中に、ちょっと驚いたんですが、東京二十三区内の大学はもう定員を抑制する、法的な枠組みを含めて抜本的な対策を講じるべきであるというような答申の内容が書かれています。

 これはある意味では、今、非常に大学の経営が厳しい中で、全入の時代と言われる中で、しかも東京圏が飽和状態にもなってきている、しかし、地方大学は非常に厳しい、だからこそ、地方の私立大学を公立化するような動きが今出てきているけれどもということは前回の委員会で質問をいたしました。そこでまた、大学は地方にあるべきだ、これは、我々地方に住む者としては大歓迎なんです。

 私の静岡県の沼津市というところには、かつて東海大学の開発工学部という学部がありましたが、今はもう閉校になってしまいました。ここを慶応義塾大学の環境情報学部の先生の研究室に提供する、あるいは理化学研究所に来ていただくことによって、新たなベンチャー農業の拠点にしようとしているんですけれども、実際は、それもこれも、もともとあった大学が閉鎖になってしまった、学部がなくなってしまったということによるものなんです。

 なかなか地方では、今、生徒が集まりにくいということもございます。そこで、あえてまたここで、東京二十三区の大学定員の増員を法律で抑えてまで何とか地方の大学を活性化しようという答申ですけれども、大臣は法律で定員増を縛るというようなことはお考えでしょうか。いかがですか。

山本(幸)国務大臣 私のもとで開いた有識者会議は、先般、五月十日に中間報告案について議論いたしまして、若干の字句の修正ということで、最終的な報告案はまだでありますが、大体、中身は固まっているわけであります。

 その中で、「依然として続く東京一極集中を本気で是正するためには、個々の地方公共団体の自主的な取組や交付金による誘導策だけでは限界がある。このため、国の責任において、地方大学振興施策のみならず、東京の大学の新増設の抑制施策をセットにして、法的な枠組みを含めて抜本的な対策を講じるべきである。」とされているところであります。

 私も、この席で何回か発言したんですけれども、東京の大学は、進学者収容能力から見ますと約二〇〇%と、他の道府県よりも突出して高くあります。この数年も、しかも東京圏の大学の定員増加が続いているというようなことを見まして、そしてまた、先ほど申し上げましたように、大学進学のときに若者が一斉に東京に来るという状況であります。これを私は、経済学で言う市場の失敗が起こっているというように認識しております。

 つまり、条件が余りに違い過ぎる、情報が違い過ぎる。そういうことから市場が失敗して、市場原理に、成り行きに任せていれば、どうしてもそういう一極集中になってしまう。その場合には、私は、行政、政治が介入する余地がある。これが、私の理解する経済学で教えている政治と経済の関係だというふうに理解しております。

 その意味で、そういう市場の失敗が起こっている場合には、行政が適切に関与して国全体の発展を促す必要があるし、そうすることが許されると考えております。

 今後、近日中に取りまとめる予定の中間報告を踏まえて、法制化を含めた制度の具体化に向けた検討を行ってまいりたいと考えているところであります。

渡辺(周)委員 正直言って、実は、この委員の中には早稲田大学の総長なんかも入っていまして、早稲田の校歌の中には「進取の精神 学の独立」というところが出てくるんですけれども、学の独立を妨げやしないだろうかと。

 つまり、東京で学びたいんじゃなくて、学びたいことが東京にある、東京の大学にある、学びたいことの対象が東京の大学にある、あるいは専門コースがあるということではないかと思うんですけれども、今、法律でこれを縛るということに関しては、やはり相当な覚悟がなければ無理だろうし、私は、本当はそうあるべきではないと思うんですけれども、学の独立を妨げやしないかということが非常に気になります。その点について、本当にそれでいいのかということを大臣にもう一回確認します。

 それから、既に都心回帰した学校、あるいはこれから都心にやはり戻ってくるといって検討している学校はどうなるのかということについても伺いたいと思います。

 そしてもう一つは、かえってサテライトキャンパスのような、東京に本学がある、本校がある大学と同じレベルで質を、同一化を担保しながら、サテライトキャンパスのような形で、地方で今、ITなどを使って、ともに同じ授業を受けることができるわけですから、本学並みの、何らかの評価されるようなサテライトキャンパスの充実なんかを後押しした方が私は現実的じゃないかと思うんですけれども、その点については、大臣はいかがお考えでしょうか。

山本(幸)国務大臣 有識者会議の中間報告案におきましては、「「学生がどこで何を学ぶか」という学生や親のニーズへの対応、社会経済情勢の変化に対応して「大学がどのような分野の研究教育を推進するか」という大学経営の主体性の確保は必要」とされているところであります。

 一方で、近年、先ほど申し上げましたように、特に東京二十三区の大学生は増加傾向にあり、また、東京の大学進学者収容力は約二〇〇%と、他の道府県より突出して高く、ここ数年も東京圏の大学の定員増加が続いている状況を鑑みると、ある意味で市場の失敗でありますので、東京における大学の新増設の抑制が必要であるというようにされております。

 その場合、時代によって、こういう学科が必要だということは当然あると思います。それを学びたいという学生もいると思いますので、その場合には、スクラップ・アンド・ビルドにより、社会のニーズに応じて、新たな学部・学科の設置等は可能とされておりますので、大学経営の主体性は確保されるものと考えられます。

 いずれにしても、今後、近日中に取りまとめる予定の中間報告を踏まえて、制度等の具体化に向けた検討を行ってまいりたいと思っております。

 それから、御指摘のサテライトキャンパスは、私も非常に意味のある方策ではないかと考えておりまして、この有識者会議の中間報告案におきましても、教育環境を確保した上でサテライトキャンパスの促進を図るとされているところであります。国としての後押しを進めるために、サテライトキャンパスを望む地方側と大学側の意向をマッチングする仕組み等を検討するとしておりまして、サテライトキャンパスの促進を図るための検討をぜひ進めてまいりたいと思っております。

 いずれにしても、近日中に最終的に出ます中間報告を踏まえて、制度等の具体化に向けた検討を行ってまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 これは、相当これからまだ議論する余地があると思いますので、当委員会でも、あるいはほかの委員会でも、やはり質問をして掘り下げていきたいと思います。

 それで、一つ、この答申を皆さんにも読んでもらいたいと思うんですけれども、答申を出している人たちの中にも、やはり、「東京圏への進学希望が多い理由として、東京にいた方が有利であると感じることや、一度は都会で生活したいといった率直な希望があること等を踏まえて、」云々。だから、「大学の入学定員の抑制や削減を検討するに当たっては、こうした点にも留意する必要がある。」と、そのこともあわせて併記されているんですね。

 ここに書いてある、東京にいた方が有利であるというのは、例えば就職で、経済誌なんかを見ますと、例えば、大手企業が欲しい、この大学の人材がいいとか、ランキングなんかがよく日本は好きですから出します。そうしますと、大体東京の有名大学というところですね。

 例えば、経済界も、だから、就職活動をするとなれば、やはり都心の有名大学と地方大学では、就職をするときにハンディがどうしても浮き彫りになる。だから、そういう意味では経済界の認識も変えていかなきゃいけないと思うんですね。有名大学と言われるところだから優先的に採るのだみたいなのじゃなくて、地方大学の人材にも、地方大学にも、人の上では遜色のないような優秀な学生がいれば積極的に採用する。

 そういう、特に、インターンシップ制度などというのが今もう当たり前に行われています。大学三年生のうちから企業で実社会の経験をする、企業の一員として研修をすることによって、企業側からすると、いい学生は早目に唾をつけられるというようなことがあるわけです。そうしますと、地方大学はハンディですから、ぜひこういう点についても、経済界の認識もあわせて社会の環境もつくらなければ、これはとてもではないけれども無理だろうと思います。

 最後になりますけれども、今回の法案も含めまして、特区の検証ということを最後に伺います。

 特区の成果というのを、やはり定量的な評価、第三者による評価、評価主体は、今のところ、特区ごとの運営当事者であります。確かに、岩盤規制に今挑戦しています、あるいはこういうことに着手しましたというのは、養父市の例を見るまでもなく、経済誌等には出てきますけれども、結果どうなったのかということについて、検証を不断に行う。そして、やはり定量的な評価というものをしっかり出すことによってスクラップ・アンド・ビルドをしていくべきであろうというふうに思いますけれども、この第三者評価を導入して、そしてしっかりとした検証とその評価をしていくことについてはどうお考えか。その点を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。

山本(幸)国務大臣 御指摘の点は、極めて重要な点だと認識しております。

 国家戦略特区では、特区法及び特区基本方針に基づきまして、毎年、区域会議が特区の取り組みを評価することとしております。詳細は、実施時期等を明らかにした個別事業の進捗状況に加えて、規制の特例措置の活用や提案の状況といった、特区に取り組む姿勢も含めた総合的な評価としているところでございます。

 こうした特区の成果について、きちっと定量的な評価をやる、そして、しっかりとそれを踏まえて新しい対策を考えるということは極めて重要であり、しっかりとやってまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 ぜひ、進捗状況の評価のみならず、例えば雇用であるとかあるいは経済的な結果であるとか、そうした定量的な評価を踏まえて、そして特区の制度というものが公正に評価されるように取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

木村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党の宮崎岳志でございます。

 本日は、国家戦略特区制度の影の部分ということで、加計学園問題について引き続き質問をさせていただくわけでありますけれども、冒頭、文部科学省に一言抗議を申し上げます。

 昨日、朝九時台に資料請求をいたしました。内容はさまざまなんですが、ほぼ既に公開されている資料で、ホームページ等でもダウンロードすることが可能なもの。それがことし分しか載っていないので昨年分も欲しいとか、そういった種類のものでありました。

 厚労省にも同様のお願いをして、厚労省からはもう午前中に届いたんですけれども、延々届きません。そして、午後二時ぐらいからはもう何度も問い合わせをしたんですが、そのたびに、今印刷中ですが部数が多いのでプリントに時間がかかりますとか、決裁をとらないといけないのでその決裁に云々などということを言って、午後六時になって持ってきたんですが、それは全てホームページ上に公開されているものでありまして、その場でダウンロードが可能なものでありましたので、資料が遅かったということで、私の方で全て御用意を既にしていたものでありました。全てではないですね、ほとんどですね。

 それで、ことしは公開されているけれども、前年分がもうホームページ上からおろされているものがあるので、それだけでも持ってきてほしいということを言いましたら、わかりました、すぐ持ってきますと言ってから、さらに三時間近く待ちまして、結局、朝九時台に請求した資料、それも難しいものではないのに、九時までかかる。

 こういうことではなかなか審議もスムーズに進みませんし、そもそも加計学園という総理のお友達の大学であるから、公表資料すら渡すことを拒むのか、こういうふうに言われても仕方がない、そういう対応だったと思います。強く抗議をさせていただきます。

 そして、その上で、本日、一つ、最新のことについて伺いますが、昨日の報道でございます。

 学校法人加計学園が運営する岡山理科大附属中学、高校で、三十代の非常勤講師の方が教員免許を失効したまま授業をしていたということが明らかになりました。延長申請をせず、教員免許が失効していたが、それに学校側も気づかなかった、こういうケースだったと思います。

 これに対しては、どのような指導を行っていくということか、文科省に一言お伺いします。

義家副大臣 委員御指摘のとおり、昨日報道された内容、岡山理科大学附属中学校、高校の非常勤講師が、免許状の更新の手続を怠り、本年四月から免許状が失効していた状態で授業を行っていた。当該講師は、二十七年に新たな免許状を取得したことにより自動的に現在所持してきた免許状が更新されたと勘違いしたことにより、必要な申請を行っていなかった。当該講師が担当していた授業については、夏休み中等に補習を行うこととしていると承知しております。

 免許更新制においては、更新講習を受講、修了しないまま、修了認定期限を経過した場合、免許は失効いたします。

 一方で、更新講習の修了の確認期限までに新たな免許状を取得し、教育委員会に申請を行えば、免許状の修了確認期限は延長されることとなっておりますが、今回のケースは、制度に対する理解不足等から必要な手続を怠り、免許状を失効させてしまったものと認識しております。

 文部科学省といたしましては、現在、岡山県に事実関係及び再発防止策について確認中でありますが、今後とも、情報を共有しながら、必要な指導及び助言を行ってまいりたいと思っております。

宮崎(岳)委員 こういったことは制度の問題ですので、本人の問題ももちろんありますけれども、やはり学校側がきちんと管理監督していかなきゃならない問題だと思います。厳しく取り組んでいただければと思います。

 さて、加計学園の問題では、問題の本質というのは、岩盤規制に切り込む、切り込むと言いながら、実質的にはそこで新たな利権を生み出す、岩盤利権、こういうことであろうかと思います。そのためにいろいろな規制をかけるわけですね。獣医学部でいえば、空白地にしかつくれないとか、一校しかつくれないとか、平成三十年に開校しなきゃいけないとか。そして、もう満たせるところはこの一校しかないという状況につくっていく、こういうことだったのかと思います。

 そして、前回の質疑で明らかにしましたけれども、新設される獣医学部というのは定員百六十人で、日本最大、断トツ最大の規模になる。そして、獣医師会が獣医師がふえ過ぎるんだということで反対したので、やむなく一校に絞りましたと言っているけれども、それなのに日本最大のものをつくってしまう。前回の議論でもありましたが、四国全体よりも、群馬県一県とか宮崎県一県とかの方が獣医師不足は深刻だ、こういう現状なんです。

 定員当たりの人口数でいえば、これは、百六十人の獣医学部ができると、四国は中部地方の三十倍の一定員当たりの人口を持つ、こういうことになってしまうわけで、非常に、何というんですか、支離滅裂な、この認可に、特区認定における支離滅裂な議論の過程があったということかと思います。

 さて、山本大臣、前回、玉木雄一郎議員への答弁で、既存の獣医学部では人獣共通感染症の水際対策や先端ライフサイエンス研究の推進に対応できないんだ、こういうことを述べられた。その上で、国際的な評価機関のランキングというものを見てみましたけれども、その二〇一七年版を見ますと、我が国では、五十校の中に東京大学ただ一校が三十四位に入っているだけであります、我が国の獣医学教育の評価は必ずしも高いとは言いがたい、そういう状況にあります、こうしたことから、国際的にも通用する獣医師の養成に重点的に取り組む必要がある、こういう答弁をしているんです。

 我が国の獣医学教育の評価は高いとは言いがたく、国際的に通用する獣医師の養成に重点的に取り組むには、この加計学園に日本最大の獣医学部を新設させるしかない、こういう意味でよろしいんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 獣医学部における教育内容につきましては、国際獣疫事務局、OIEと言いますけれども、その提言を受けまして、我が国でも、平成二十三年にモデル・コア・カリキュラム、これは五十一講義、十九実習科目あると理解しておりますが、策定され、既存の十六大学も、教育内容の充実に向けて、このカリキュラムの着実な実施に努力されていると承知しております。

 一方で、今回新設する獣医学部は、四年次までの課程はモデル・コア・カリキュラムを中心に配置した上で、さらに、五、六年次には先端ライフサイエンス分野や水際対策といった専門分野の充実したアドバンス科目を履修可能とする予定と聞いており、これにより、高い専門性を備えた獣医師を重点的に養成することとしております。

 こうした新たな取り組みは、既存のカリキュラムや体制が固定しがちな現行の大学、学部の見直しで行うには限界があると考えられ、学部の新設が必要との判断に至ったものであり、そうした国際競争力を高める意味でいろいろな刺激を与えるものと理解しております。

宮崎(岳)委員 お手元にまず資料の一番目、これは「千葉科学大学の現状」という題で、千葉科学大の学長、当時の平野敏右さんという方が卓話をされています。

 これは、千葉科学大学という加計学園系の大学なんですね。非常に市民とあつれきがあったというか、市を二分する論争になりまして、当時、市長が元岡山県の副知事で、加計学園の本拠ですけれども、加計学園の客員教授をやって、そして加計学園の大学である千葉科学大学を誘致した。その際に、多額の補助金を出し、また土地を無償貸与した。そして、経済効果が六十九億円だ、財政効果が七十九億円だ、こういうふうに言っていたんですけれども、市の方で後になって計算してみたら、経済効果は二十一億円、財政効果は十四億円ということで、実はそれほどの投資に見合う効果がなかったということがわかった。

 また、補助金が高過ぎるということで、市に対していろいろ貢献をしてくれ、市民に還元をしてくれ、こういうことを言ったんですが、そのあり方についても大学側と市民との間で大変な問題が起きてきた。毎回、選挙のたびに争点になるような話になってしまった、こういうことなんです。

 さて、この千葉科学大学です。ですから、この一枚目の資料を見ると、この学長さんが、これはロータリークラブの会報ですけれども、「千葉科学大学については、いろいろな話があって、どれが本当のことかわからないという人々もいます。特に隠しておかなければならないこともありませんので、根拠のない話は、必要があって創作されているものと考えてよいと思います。」と言われています。こういうことを言わなければならないこと自体が相当深刻な状態なんだなというふうに感じさせることだと思います。

 さて、まず、大学が新設されると、なかなかうまくいかないということもあります。そこで、大学設置計画履行等調査というのを文科省が行っております。その中で、軽いものには改善意見というのをつけ、また、深刻なものには是正意見というものをつける、こういうことかと思いますが、過去三年間の大学設置計画履行等調査において、是正意見が付された大学は何校あるのかを年度ごとに示されたいと思います。

義家副大臣 過去三年間の設置計画履行状況調査等において是正の意見が出された大学数については、平成二十六年度は三十一校、平成二十七年度は十校、平成二十八年度は二校となっております。

宮崎(岳)委員 二十六年度から現在の制度になったわけですが、三十一校、翌年が十校、翌年が二校ということですから、三年間で大体五十弱ということだと思います。改善意見というのは、ほぼほぼ、半分以上の大学にはついてくるものだというふうに思いますが、是正意見というのは、やはりもらうということは結構大変なことなんですね。

 まず、ここに添付をいたしましたフライデーですね、二〇一五年三月二十七日号、ごらんをいただきたいんですが、漢字の書き順、ビー動詞の使い方から始まる授業、定員割れは当たり前、誰でも入るFランクも、全受験生アンド親必見、文科省委員会が調査してわかった日本の、四文字割愛します、○○○○大学二百五十、こういう記事であります。

 この冒頭に出てくるのがこの千葉科学大学なんですね。英語で書かれた文章を読み解くトレーニングを行う、第一回、オリエンテーション、第二回、ビー動詞、第三回、一般動詞、現在形、こういう授業をやっている。あるいは、数学一の授業で、分数表現、不等式、小数表現、こういうことをやっている。

 中ほどの文章ですけれども、対象となった五百校のうち、約二百五十校が問題ありと判定されたのだが、その中でも文科省のきつい指導を受けたのが冒頭の各校だ、千葉科学大学危機管理学部環境危機管理学科については、英語1、基礎数学など大学教育水準とは見受けられない授業科目がある、こういうことです。

 資料の次のページを見ていただくと、こちらは日本経済新聞です。より上品な書き方はしてありますけれども、中身は同じだと。英語の授業で、例えばビー動詞や一般動詞の過去形とか、そういったものが大学の授業で行われている、そして、大学教育水準とは認められない、こういうことが書いてある。

 その後ろにシラバスの本物をちょっと載せさせていただきましたが、大体、ビー動詞から授業が始まって、後ろの方で命令文とか感嘆文が出てくる、こういうことですから、基本的には中学英語ということかと思いますけれども、それに近い水準のものが行われている。

 こういった状況に対して、先ほど紹介しましたけれども、この是正意見はどのようなものであって、これに対してどのように改善をしたのかということについて、文科省からまたお伺いできますか。

義家副大臣 委員御指摘のように、平成二十七年二月十九日に公表した平成二十六年度設置計画履行状況等調査の結果において、千葉科学大学の危機管理学部危機管理学科に対して、英語1や基礎数学など、一般の科目において、大学教育水準とは見受けられない授業教科の内容がシラバスに記載されていたことから、適切な内容に修正するか、正規授業外でのリメディアル教育を補完することを求める是正意見が出されたところであります。

 この是正意見に対しては、大学設置分科会の下に置かれた設置計画履行状況等調査委員会において、平成二十七年五月に同大学から提出された設置計画履行状況報告書を踏まえ、是正意見への対応状況に対する調査を実施し、大学教育の水準にふさわしい内容になっていることを確認したところでございます。

宮崎(岳)委員 ここに提出させていただきましたのが、次の資料です。三十六と下に書いてある資料なんですが、これが改善事項等に対する履行状況というもので、大学側がまとめて文科省に提出したものですが、留意事項等に対する履行状況等と上に書いてある紙です。

 この真ん中の箱の上から四番目を見ますと、これが先ほどの是正意見に対応する部分なんですが、一部の科目において、大学教育の水準に達していないと受け取られて仕方がない表現がシラバス上にあったため、学生に教授する内容を正確に記載し、大学教授水準にふさわしい表現に改善したと書いてあるんですよ。つまり、これはシラバスを直しただけなんですよ。授業の中身をどうこう改めましたということは、ここには書いていない。その下に、補習を充実しましたというのが書いてありますけれどもね。だから、結局は、指摘されたような状況を表に見えないようにしました、こういう話であります。

 もう一つ、次の資料がありますけれども、これは千葉科学大学の定員充足率です。一番右に、入学定員に対する入学者の割合、入学定員充足率というのを私が足しました。

 そうすると、例えば危機管理学部の環境危機管理学科というと、四十人の入学定員に対して十四人しか集まっていません。今度、加計学園に獣医学部をつくらせようというんですが、動物危機管理学科というところは、四十人の入学定員のうち二十一人しか集まっていないんですね。半分なんですよ。そして、その下の、例えば薬学部の大学院博士課程等になってきますと、一人も入学する人がいない、このような状況になっているわけです。

 もう一つ、薬学部についてですが、薬学部では何か、出願者と受験者の数が大幅に違うということがたまにあるんですね。これは二月ごろ試験するんですけれども、卒業見込みの人が出願して受験するんですが、出願だけして受験しない人というのはたくさんいるんです。千葉科学大薬学部の場合は、例えば、ことしでいえば四十六人出願したんだけれども、実際には二十八人しか受けなかった。ほかの学校でもこういった状況は散見されるんですが、ひどいときには半分を下回るようなこともあるんですね。

 では、この差はどこから生まれるのか、せっかく出願したのに受験しないというのはなぜ起こるのか、これは厚生労働省にお伺いできますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のような理由が考えられるかと思いますが、一般的に薬剤師国家試験における出願者と受験者に差が生じているということについて、具体的な理由までは把握しておりませんが、一般的に、出願したものの受験しなかった理由としては、試験当日に体調を崩したこと等により受験できなかった場合、また、卒業見込みで出願したものの卒業できなくなり、受験資格を満たせなくなったという場合、こうしたことが考えられるというところでございます。

宮崎(岳)委員 つまり、卒業見込みで出願をした、しかし卒業が認定が受けられなかった、だから受けなかった、こういうことはよくあることなんですね。

 それで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、私立の大学では、特に薬学部に限りません、医療職ほぼほぼですが、国家試験の合格率、特に新卒合格率というのを非常に重視します。誰でも彼でも卒業させて国家試験を受けさせると新卒合格率が下がってしまいますので、あえて卒業させない、留年をさせる、あるいは卒業延期させるということがよくよく起こります。

 今回、お伺いしたいんですが、そういった意味で、そういう学校においては学生数あるいは入学者数に比べて何か受験者数が極端に少なくなる、こういうケースがあるわけですね。

 ちょっとお伺いしたいんですが、ことし行われた、昨年度になりますけれども試験はことしです、第百二回薬剤師国家試験において、私立の大学薬学部六年制のうち、受験者数が最も少なかった大学はどこでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 国家試験の受験者数については、大学ごとに六年制の薬学部や薬科大学の定員が異なっておりますので、一概にその多寡を比較することは難しいというふうには考えておりますが、本年二月に実施しました第百二回薬剤師国家試験において、私立大学のうち新卒の受験者数が最も少なかった大学は、千葉科学大学でございます。

宮崎(岳)委員 私立大学、五十六校ありますが、新卒受験者数が一番少なかったのは、この千葉科学大学なんですね。合格者も、比べますと、数ですよ、数で比べますと、一番少なかったというわけじゃないんですが、五十六校中五十四番目です。つまり、ほぼほぼ最低レベルに合格者の数は低迷をしているんですね。

 大学経営に御苦労されているのは仕方ないことですよ。そういうことはあるでしょう。別にこの大学だけが特に厳しいというわけでも、非常に厳しい方の学校だと思うけれども、特に厳しいわけではない。しかし、そこに国家戦略を任せてしまう。

 東大は世界たった三十二位ですよ、トップ五十に一校しか日本は入っていないんですよ、こんなことでいいんですか、水際対策これでいいんですか、先端ライフサイエンス研究これでいいんですか、これを国家戦略で何とかして世界に通用するライフサイエンスの拠点をつくるんですよといったところが、今のような状況で大丈夫ですか。逆に、なぜそういうところにこれだけの優遇をしてやらせたんですかということを私は言いたいわけです。

 資料の一番後ろの方をごらんください。「入学して六年後に、どれくらい合格できる?」という表があります。

 六年制の薬学部の入学者数、一時期二百人の定員がいたんですが、生徒が集まらないのでどんどん減らして、今、百二十人の定員になっています。入学者数も、当時百四十七人から七十七人ぐらいまで、この期間はだんだん落ちてきているということなんですが、結局、平成二十年でいうと、百四十七人入学したけれども、新卒で大学六年のときに薬剤師国家試験を受けた人は六四パーしかいないです。四四%しかいなくて、残り五四%、半分以上の人は、国家試験の受験までたどり着けていないんですよ。合格した人は三割ですよ。三一%、四十五人。

 翌年も見ても同じです。百十六人入学しましたが、大学六年のときに国家試験を受けられたという方は、四十人しかいません。全体の三四%ですよ。残り三分の二は受けることすらできなかったんです。受かった人は二五%です。二二%の人が、入学者に比べて合格をしているわけですが、残り七八%はどうしたかということですよ。留年をして翌年受けるという方もいるでしょう。いろいろいると思います。

 資料のその前のページを見ていただきますと、配付資料六というものですが、これを見てみると、二十七年度、薬学で学士を受領した人は四十四名しかいません。四十四名しか卒業できないという意味だと思います。そうすると、薬学部で四十三人、これと同じぐらいの数が昨年退学をしているということですね。薬学部の留年者数を見ると、薬学部の二年のときに四十七人、六年のときに四十二人留年していますから。

 つまり、卒業させないで、あるいは進学させないで、国家試験を受けられないような状況に当然持っていく。まあ、受けても受からないという判断なんでしょうけれども。それで、留年する人はするし、やめる人はやめていく。一年に学費二百万ぐらいかかりますので、六年間だったら千二百万かかるわけですよ。生活費を考えたら、千五百万とか千八百万とかかかるんじゃないですかね。これで一年、二年、留年するって大変なことですからね。こういう状況だということなんです。

 これは薬学部に限りませんが、国家試験の新卒合格率を高目に誘導するために国家試験に合格困難な学生を留年させたり卒業させない、いわゆる卒業延期という手法が広く知られているんですが、文科省としては、こういう実態についてはどのように把握していますか。

義家副大臣 御指摘のような、薬剤師国家試験の新卒合格率を高目に誘導するために国家試験に合格困難な学生を卒業させない、いわゆる卒業延期の有無も含めた各大学の卒業認定の詳細については把握しておりませんが、入学者における修業年限内での卒業の割合が極めて低い大学が一部で見られることは、事実として承知をしております。

 このため、各大学において、適切な進級基準や卒業基準に基づく成績評価、卒業認定が行われた上、進級や卒業の状況についての適切な方法による情報公開が行われることは極めて重要と考えており、文部科学省といたしましては、こうした取り組みについて、各大学に引き続き促してまいります。

宮崎(岳)委員 承知していないとか言っちゃだめですよ。国会議員の中にも、お医者さんだとか、子供が医学部に行っているとか、薬剤師さんだとか、子供が薬学部に行っているとか、そういう方はいっぱいいますけれども、みんなこういうことは知っていることなんですよ。

 国家試験に受からないような人は卒業させてもらえないんです。そういう相談も受けることも私たちもありますよ。それは、文科省が新卒合格率という基準を一つ出して、これの低いところにはいろいろ、指導するとかペナルティーをするとかいうことをやっているので、その抜け穴としてこういうことが生じているということも、それは理解しておかなければならないし、その点を理解しないとこの構造が改まることはないんですが、きょうはこの構造の話をしているんじゃありません。

 逆に言うと、先ほど言ったように、教育のレベルについて是正意見がつく、そのほか、教員が集まらないとか、あるいは生徒数が十分集まらないとかということで改善意見もつけられていて、これは毎年、加計学園系の三大学全てに基本的にはかかっているような状況なんです、ほぼほぼですね。しかも、先ほど言ったように、薬剤師の合格率も実質的には極めて低い状況になっていて、資格職であるけれどもなかなかうまくいかない、そういう状況の大学だと思っています。

 そういう大学があるのは、それは現にあるんだし、一概にそこだけを責めるという話じゃないけれども、しかし、国家戦略として、人獣共通感染症の水際対策をやるとか、レベル4の衛生施設をつくって、日本に、エボラとかとはちょっと違いますか、人獣共通の感染症ですから鳥インフルエンザが中心かもしれませんが、そういったものを水際で阻止するとか、先端ライフサイエンス研究がおくれているから、それを力を入れるんだとか、あるいは、日本は東大すら世界三十何位でけしからぬ、その次の学校に至ってはトップ五十に入ってもいないじゃないか、ここは加計学園に新たな獣医学部をつくってもらって、そこで世界に通用する獣医師を育成しようとか、どうも、そういうことで認定をするには、やはりちょっと力不足なんじゃないかというふうに私は思えてならないんです。

 だから、前回もその前も申し上げました。定員百六十をつくるのなら、八十と八十で、加計学園に八十、京都産業大学に八十では何でいけなかったんですか、あるいは四十、定員四十の学校を三つつくって全国各地に配置するのでは何でいけなかったんですか、そういうことを申し上げたいんですが、これ、大臣、どうですか。

 もう時間となりましたので、大臣にちゃんと忌憚のないところを伺いたいんですが、この加計学園に日本のライフサイエンスの国家戦略、全て委ねるような格好にこれはなっていますけれども、大丈夫ですか。

山本(幸)国務大臣 近年の感染症拡大に係る危機管理の重要性の高まりを受けまして、地域での水際対策の強化や新薬の開発などの先端ライフサイエンス研究の推進など、獣医師が新たに取り組むべき分野の具体的需要が高まっていることは確かであります。

 こうした新たな分野で活躍する獣医師の養成は、必ずしも新たな獣医学部のみが行うものではありませんが、ただ、新たな人材養成ニーズに対応して思い切ったカリキュラムの再編成や専任教員の入れかえを行うことは、カリキュラムや体制が既に確立している現行の大学、学部の見直しで行うには限界があると考えております。このため、新しい学部を設置し、新たな人材養成ニーズに重点的に対応することが効果的、効率的と考えているところであります。

 なお、特区について毎年度行う評価の中で、新たな獣医学部が所期の目的を果たしているかどうかは点検し、適切に大学が運営されているかを確認してまいりたいと思っております。

木村委員長 宮崎君、時間が来ていますので。

宮崎(岳)委員 はい。

 この学校について、ふさわしいかどうかについて御回答いただいていないですよ。そこをちゃんと検討して、この学校がふさわしいということだったんですか。今、カリキュラムの話しかされていないですよ。これまでの運営している学校の状況とかそういうのを含めて、どうだったんですか。ちゃんと検討されたんですか。それだけお答えください。

山本(幸)国務大臣 個々の大学の内容等について精査するというのは私の所管ではないと思いますが、少なくとも、提案を受けて、そうした意欲的な取り組みをやるということは評価できるというふうに考えておりますし、そうした点については、しっかりと将来は、所期の目的を果たしているかは点検して、適切に運営されているかどうかは確認していくという作業はきちっとやっていきたいと思っております。

宮崎(岳)委員 衆目の一致するところではないからこそ、いろいろな臆測を呼ぶのだということをつけ加えまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 国家戦略特区法案について質問をいたします。

 本改正案は、附則第二条第一項で、コンセッション事業者の施設経営の自由度向上について、公共施設等の運営事業者がこれを利用させる第三者をみずから決定できるよう、具体策について一年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを定めております。

 まず、大臣にお伺いしますけれども、このコンセッション事業者の施設経営の自由度向上とはどのようなことを言っているんですか。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 現行では、公の施設であります展示場や文教施設等において、コンセッション事業者が特定の第三者に施設を使用させる場合には、地方自治法上の指定管理者の指定も受けること、つまり二重適用になるわけですが、が必要であります。

 この場合、PFI法と地方自治法のそれぞれの手続を経る必要があり、煩雑であること、また、利用料金について地方公共団体の承認を受ける必要があり、利用料金の決定に関するコンセッション事業者の裁量が狭くなることといった問題が指摘されているところであります。

 そのために、コンセッション事業者が指定管理者の指定を受けることなく、特定の第三者に公の施設を使用させることが可能となるよう、必要な措置を講ずる旨を意味しているところであります。

宮本(岳)委員 コンセッション方式というものは、PFI法が二〇一一年六月に改正されまして、公共施設等運営権という権利が新たに創設されたことで、コンセッション方式を実施するための法制度が初めて整備をされました。利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定するという方式であります。

 そこで、配付資料の一を見ていただきたい。福岡市が第二十五回国家戦略特区諮問会議に提出した資料であります。

 下に赤線を入れておりますけれども、「PFI法に基づく「コンセッション方式」は、民間事業者による利用料金の設定・収受が前提であるにも関わらず、施設を誰に使用させるかを決定する使用許可権限が付与されていない!」と書いてあります。そして、現状は、「指定管理者との二重適用が必要となるが、手続きが煩雑となり、かつ、民間事業者の運営(料金設定等)の裁量が狭くなるため望ましくない。」と書かれてあります。

 今回、一年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じるというのは、福岡市も含めたこのような声に応えてのことでありますか、大臣。

山本(幸)国務大臣 福岡市は、既存のMICE施設の運営について、指定管理者からコンセッションに転換することを目指して、今準備を進めております。コンセッション事業者が指定管理者の指定を受けることなく、展示会主催者等の特定の第三者に施設を使用させられるようにしてほしいと要望しているわけであります。

 制度改正が必要な措置については、引き続き、提案者である福岡市と相談しながら検討を進めてまいりたいと思っておりますが、そうした要望は福岡市だけではなくて他の自治体からもあるわけでありまして、そういうことを踏まえて、今回の法案になっているわけであります。

宮本(岳)委員 私は、この福岡市の言い分を見て驚いたんです。コンセッション事業者がもっと自由にやらせてくれと内閣府に要望を上げたのであればともかく、事もあろうに、地方自治体みずからが事業者の勝手にやらせてくれと意見を出すなどというのは、自治体の魂を失ったものとしか言いようがないと私は思います。

 総務省に聞きますけれども、地方自治法には指定管理者制度が定められております。地方自治法上の指定管理者制度は、PFI法に定めるコンセッション方式とは違い、指定管理者に施設の使用許可権限を与えてまいりました。この指定管理者制度というのはどのようなものでございますか。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 指定管理者制度は、普通地方公共団体が、公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるときに、条例の定めるところにより、当該普通地方公共団体が指定する法人その他の団体に当該公の施設の管理を行わせるものでございます。

 この制度は、公的主体以外の民間主体においても十分なサービス提供能力が認められるものが増加していること、また、多様化する住民ニーズに対して効率的に対応するためには、民間事業者が有するノウハウを活用することが有効であるということを踏まえまして、公の施設の管理を一般の株式会社を含めた民間事業者に行わせることができるようにするために導入されたものでございまして、使用許可などの行政処分を含めて管理を行わせる制度となっております。

宮本(岳)委員 地方自治法上の指定管理者制度というものは、もともと行政が直営で行っていた公の施設の管理を、コスト削減などを口実に指定管理者に行わせようという制度であります。

 この間、私は大臣と、図書館や博物館など本来自治体が直接責任を負うべき施策を指定管理者に委ねることは、その本来の趣旨をゆがめるものだという議論をしてまいりました。

 それでも、もともと地方自治法には管理委託制度というものもありましたけれども、それには、主体に、公共団体、公共的団体、出資法人に限るという制約があったんです。それを、二〇〇三年の地方自治法改正で、公の施設の管理主体を民間事業者、NPO法人等に広く開放して、出資法人とイコールフッティングで参入できるようにするというのが説明でありました。だからこそ、地方自治法は、指定管理者について管理期間を定めるとともに、利用料金を徴収する場合には自治体の承認が必要だという歯どめをかけているわけなんですね。

 総務省、確認いたしますけれども、地方自治法第二百四十四条の二の九にはどのように定められてありますか。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 地方自治法第二百四十四条の二第九項におきましては、指定管理者が管理する公の施設の利用料金について、「公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。」と規定されているところでございます。

宮本(岳)委員 指定管理者が料金を徴収する場合には、あらかじめ当該利用料金について当該地方公共団体の承認を受けなければならない、こう定められているわけですね。

 つまり、指定管理者は、本来自治体が行ってきた公の施設の管理運営業務を自治体に成りかわって行うのであるから、何でもよいということにならないんです。そこには一定の縛りがかかっております。だからこそ、使用許可権限もその指定管理者に与えることとなっているわけであります。

 一方、PFI法第十七条六号において、市町村がコンセッション事業者を選定しようとする場合には、利用料金に関する事項を実施方針で定めることとされております。実施方針は条例によって定められるわけでありますけれども、ガイドラインでは、利用料金の上限、幅、変更方法などを定めるとしております。

 内閣府に確認しますが、この枠内の料金の値上げに自治体の承認は必要ですか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション事業の場合は、利用料金を改定する場合には、PFI法第二十三条二項に基づきまして、あらかじめ、公共施設等の管理者等にその利用料金を届け出るということがされてございます。

宮本(岳)委員 届け出るとされているわけですが、自治体の承認は必要ですか。

木下政府参考人 自治体の承認までは要することはございません。

宮本(岳)委員 つまり、この福岡市の提案文書が言っている、コンセッション事業者の料金設定等の裁量が狭くなるため望ましくないというのは、もう指定管理者の枠を外して、届け出だけで料金値上げを認めてやってくれということであります。

 その一方で、それだけの枠がかかっているからこそ指定管理者には認められている使用許可権限を、コンセッション事業者にも与えてやってくれと言っているわけですね。

 大臣、これはつまり、コンセッション事業者によいとこ取りをさせてやってくれ、こういう要望を出しているに等しいのではありませんか。

山本(幸)国務大臣 それは、それぞれメリット、デメリット等があるというふうに思います。

 PFI、PPPなどのコンセッション事業で期待しているのは、やはり、民間事業者の創意工夫をできるだけ活用する、そのことによって、従来できなかったようないろいろな新しい発想でビジネスができる、そのことによって、また集客もふえる、そういう形を期待しているわけでありまして、その意味では、自由度を高めることによって、そうしたことが期待できるということだろうというふうに考えております。

宮本(岳)委員 本来、地方自治体は、地方自治法に定められた地方自治の本旨に立って、コンセッション事業者に向き合う場合でも、住民の立場で事業者をチェックし、監督するのが務めのはずであります。それを、あなた方は、地方自治体の魂まで投げ捨てて、コンセッション事業者のもうけのためなら自治体としてのチェック機能まで、もう結構です、放棄しますと、みずから提案するような自治体をつくり出してきたわけであります。愚の骨頂だと言わなければなりません。

 さて、このコンセッション方式なるものを、事もあろうに、水道事業にまで導入しようというのが今の政府の方針であります。

 二〇一六年五月十八日に民間資金等活用事業推進会議が決定したPPP、PFIの抜本改革に向けたアクションプランでは、二〇二二年度までにPPP、PFIの事業規模を二十一兆円に拡大することとしております。コンセッション事業の重点分野として、具体的にどのような分野が挙げられておりますか、大臣。

木下政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション事業の重点分野につきましては、昨年五月に決定いたしましたPPP、PFI推進アクションプログラムにおいて、平成二十六年度から二十八年度までを集中期間とする重点分野として空港、水道、下水道、道路を、また、平成二十八年度から三十年度までを集中強化期間とする重点分野として文教施設、公営住宅を挙げてございます。

宮本(岳)委員 ここにはっきりと、水道、下水道が挙げられているわけですね。

 聞きますけれども、水道事業にコンセッション方式を導入するのはなぜか。一石三鳥という説明も受けましたけれども、これは一体どういうことでありますか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 水道は、御案内のように、近年、施設の老朽化や職員数の減少、それから人口減に伴う料金収入の減少に直面しておりまして、水道事業の基盤強化が喫緊の課題となってございます。そのため、民間事業者の技術や経営ノウハウを活用するコンセッション事業も基盤強化の有効な方策の一つとなり得るものと承知してございます。

 このコンセッション事業の実施によりまして、公的主体にとっては、財政負担の軽減を図りつつ公的サービスを提供でき、財政健全化に資すること、利用者にとっては、民間の創意工夫を生かした良好なサービスを享受できること、地域経済にとっては、新たな民間の事業機会の創出につながることといったような効果が期待できるものと考えてございます。

宮本(岳)委員 さあ、本当にその石は三羽の鳥を落とせるか、これから議論をしてみたいと思います。

 言うまでもなく、我が国の水道事業の整備には、コレラなど水系伝染病との闘いの長い歴史がございました。

 配付資料の二を見ていただきたい。これは、国土交通省の水資源部が出している「日本の水」に掲載されたグラフであります。

 赤い棒グラフはコレラ発生数であります。とりわけ、明治十二年の大流行では、十六万人以上が罹患し、十万六千人近くが死亡いたしました。明治十九年の大流行では、十五万六千人が罹患し、十万八千人が亡くなっております。この水系伝染病との闘いを通じて、衛生対策としての近代的な水道設備の整備、普及が進んできた、皆さんも御存じのとおりであります。

 厚生労働省に聞きますけれども、水道法第二条一項には、水道に関する国及び地方自治体の責務をどのように定めておりますか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 現行水道法の第二条第一項は、「国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源であることにかんがみ、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならない。」と規定しております。

宮本(岳)委員 水道法は、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与することを目的にしております。

 これをコンセッション方式などという形で民間事業者に明け渡すというのは、厚生労働省、水道法が定めた国と自治体の責務を投げ捨てることにはなりませんか。

北島政府参考人 水道事業においてコンセッション方式を導入する場合には、地方自治体においては、PFI法に基づき、実施方針に関する条例の制定や運営権設定等の各段階において議会の議決を経ることとされております。

 また、今国会に提出している水道法改正案では、コンセッション方式を導入する場合におきましても、地方自治体は水道事業者としての位置づけを維持し、引き続き最終的な給水義務を負うものとしております。

 さらに、改正水道法案に基づき、地方自治体からコンセッション事業設定の許可申請があった際には、厚生労働省において、事業計画の確実性及び合理性があるか、コンセッション事業者の設定する利用料金が総括原価主義によって適正に設定されているか、当該事業の実施により水道の基盤の強化が見込まれるか等の観点から厳格に審査を行うこととしております。

 こうしたことから、コンセッション制度を導入したといたしましても、国及び地方自治体が水道事業に関する責務を民間事業者に丸投げするようなことにはならないと考えております。

宮本(岳)委員 水道事業にコンセッション方式を導入し民営化すれば、とてもそういう歯どめにならない。

 例えば、水道法が定める豊富低廉な水の供給が担保されるかどうかという問題であります。

 資料三を見ていただきたい。これは、大和総研経営コンサルティング部主任コンサルタントの鈴木文彦氏が発表した「水道料金は「原価割れ」しているのか 官民連携/PFIにあたって課題となる料金設定の論点」と題したレポートに付されたグラフであります。

 今日の水道事業は、事業体ベースで見れば、おおむね給水料金は水道料金で賄われております。しかし、公営の水道事業者の多くは、使用水量がふえればふえるほど使用水量当たりの料金単価が高くなる逓増制の料金体系を採用しており、小口利用に絞ってみると、給水原価の九割以上を料金収入で賄っている事業体は全体の四割にすぎず、多くのケースで原価割れを起こしております。

 特に、上の図表三にあるように、小口利用の原価割れは、大都市に顕著だということであります。下の図表四は、大都市の典型、大阪市水道局における、水量区分別に見た使用水量一立米当たり料金単価であります。使用水量五十立米以下では原価割れでありまして、百立米を超える大口使用者、つまり、主に事業者の水道料金で小口の原価割れを埋め合わせている構図がはっきりと見てとれます。

 厚労省に聞きますけれども、公営の水道事業者の多くがこのような逓増制の料金体系を採用しているということは事実ですね。

北島政府参考人 公益社団法人日本水道協会が発行する水道料金表において、使用量の増加に伴い従量料金単価が高額となる料金体系を逓増制としております。

 また、この水道料金表によれば、平成二十八年四月一日現在で、調査対象の水道事業者千二百六十四事業者のうち、八百五十一事業者、約六七%が逓増制を採用しているものと承知しております。

宮本(岳)委員 この大和総研のレポートでは、この大阪市の水道料金体系を、「つまり、上位二・四%の大口利用者から得た利用料金の差益分をもって、残り九七・六%の赤字を補てんしているような構図である。」と結論づけております。

 私は、これを決して問題だと思わないんですよ。公衆衛生の論理、あるいは所得再配分の政策、それがこのような料金体系を定着させてきたわけです。ところが、これをコンセッション方式で民間企業に委ねればどうなるか。小口利用に係る原価割れの料金体系は、民間の行動原理と相入れないことは明らかであります。

 大臣、これを進めたら、圧倒的多数の家庭、小口利用者には料金値上げになることは火を見るより明らかではありませんか。

山本(幸)国務大臣 その料金がどのようになるかどうかについては、ちょっと所管外でありますので、お答えは差し控えたいと思います。それは、いろいろな事情によって変わってくるものだと思います。

宮本(岳)委員 厚労省、いかがですか。

北島政府参考人 先ほどお答えを申し上げましたとおり、コンセッション方式であっても、利用料金の幅につきましては条例で定めるということになっておりますので、それが適切に定められた範囲内での料金設定となると承知しております。

宮本(岳)委員 幅を定めるけれども、その幅の上限までは届け出だけで引き上げられるということになるわけですね。

 コンセッション方式により水道事業への参入を目指すある企業は、ニュースリリースで、「老朽施設の更新や耐震化推進の為、料金の上昇は避けられない状況と見受けられますが、自治体としては、可能な限り料金の上昇を抑え、市民や地域経済への影響を最小限に抑えたいところです。また、水道料金で利益を出すなど怪しからん、利益が出るなら値下げをするべきと思われる方もいらっしゃると思います。余談ですが、この考えが現在の耐震化や更新投資に対応できない低料金を招いた一因と指摘する方も少なからずいらっしゃいます。」などと、今までが不当に安過ぎたのだと主張しております。なるほど、企業にとっては新たなもうけ口ができるでしょう。

 インフラシステム輸出戦略平成二十八年度改訂版では、我が国のすぐれた上下水道の技術やノウハウを生かした国際展開を図るため、国、地方公共団体、民間企業などの連携を強化し、途上国や水資源に乏しい地域等での案件発掘等の段階から関与し、本邦企業の海外展開を支援するとしております。

 きょうは経産省に来ていただいていますが、この我が国ビジネスの海外展開では、二〇二〇年の世界の水ビジネスの市場規模をどれだけと予測しておりますか。

三田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の我が国水ビジネスの海外展開では、二〇二〇年の世界の水ビジネスの市場規模を約百兆七千億円と予測しております。

宮本(岳)委員 百兆七千億円ですよ。何が一石三鳥ですか。

 海外展開で市場規模百兆円という予測が出されております。そのために、自治体が持つ上下水道の技術やノウハウを企業に明け渡せということではありませんか。そして、自治体にとっても、清浄にして豊富低廉な水の供給という本来の役割を投げ捨てれば、確かに身軽になるのかもしれません。しかし、住民にとっては踏んだり蹴ったりではありませんか。

 企業のもうけと自治体の役割の放棄によって住民に水道料金値上げを押しつけ、安全な水の安定供給をないがしろにする水道事業へのコンセッション方式の導入は直ちにやめること、そして、コンセッション方式の自由度拡大の検討を白紙委任する本法案には反対だということを申し上げて、私の質問を終わります。

木村委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 あと十五分間、維新の会の時間でございます。おつき合いいただきますようお願い申し上げます。

 この法案も種々、るる、何度も私、立たせていただきまして、質問させていただきました。特に一番の懸念は、ずっと指摘させていただいている、今回は農業特区という形で入っていますが、外国の方が労働者として来られる制度に対する懸念と、そして対応のお願いをしてきました。

 法務省の皆さんもそれに対して誠実にお答えいただいていると思いますし、そして、今後決してふえないようにしていくんだという決意も述べていただいたので、今後を見ながら、もし万が一まだまだだなということであれば、しっかりそれは引き続き、おかしいじゃないかという指摘をしていかなければいけないというふうに思っています。

 お話しさせていただいたように、これまでの技能実習制度でも、既に二万人近い方がどこへ行ったかわからないような状況になっている、失踪しているという状況で、今回農業特区だけですけれども、しかし、今後、介護の分野、メードさんの分野ですね、家事の手伝いという形で入れるということで、もっともっとふえていくことが懸念される中で、しっかりやっていかなきゃいけないと思うんです。

 この入管法違反、ふえる懸念もありますけれども、この間ニュースを見ていましたら、入管法違反で収監される方々のニュースが出ていました。何のことかなと思ったら、ハンガーストライキをされている、東京の入管のところですかね、ということなんですけれども、まずこれが事実かどうか伺いたいんです。

 要は待遇を改善してくれというハンガーストライキだということで、私もるる調べてみたんですけれども、そんなに待遇が悪いかなと。御要望も、仮放免者の会というのがありまして、電話の使用が、現在東京入管では携帯電話にかけると一分間八十円の料金がかかるからこれをなくしてくれとか、食べ物については、入管が提供されている弁当は余りに味と栄養がなさ過ぎるというふうなことを言われているんです。

 私、これを調べていったら、結構いい、冷暖房完備ですし、入浴、洗濯、運動等もできる、ホールに卓球台があって卓球もできるとか、あと、公衆電話でもちろん電話ができるんですが、ちょっとそれは、ただというのはどこでもないんじゃないかなというのが思うところですし、医師、看護師も、レントゲン室もあって、食事もおいしそうな料理が三食ついて、ほかの国に比べて明らかに悪いというふうには私は思えないんです。

 そのストライキされている中国の方だとかミャンマーの方だとか、多いのはフィリピンの方も多いそうなんですが、そもそも、この外国人労働者の話にしても、本当に政治的に困っている方が難民として来られて、それをしっかりとフォローするというのは、我々日本国としてもやらなきゃいけないものだと思うんですけれども、もともと、恐らくそうじゃない、就労目的で入ってくる方が多い中で、また、この収監された中でも、本当に対応が悪いならしっかり改善していかなきゃいけないと思うんですけれども、そうじゃないところでそういう意見が出ているのなら、これはちょっとゆゆしき問題だと私は思っているんですけれども、その辺も含めてどのように法務省は今対応されているのか、考えているのか、お答えいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、池田(道)委員長代理着席〕

佐々木(聖)政府参考人 まず、御報告申し上げます。

 先週火曜日、五月九日の夕食から、東京入国管理局の一部の被収容者が、仮放免を許可すること、あるいは点呼の中止など、処遇のさらなる緩和等を主張して、官給食の摂食拒否を表明してございます。

 ただし、この中には、自費で購入した食料品を摂食している被収容者もあり、いわゆるハンガーストライキとは異なる形の抗議活動と認識をしております。

 さて、入国管理局の収容施設におけます被収容者の処遇につきましては、法令の規定に従い、被収容者の人権に最大限配慮をし、保安上、衛生上支障がない範囲で、できる限りの自由を与えております。

 また、仮放免の許可の判断に当たりましては、仮放免を求める理由、被収容者の性格、素行、身元保証人となるべき方の資産、引き受け熱意及び逃亡のおそれの有無等を総合的に考慮することとしておりますけれども、一部には、我が国において罪を犯して刑罰の適用を受けたことにより退去強制令書の発付を受けた者など、一刻も早い送還を優先するべきで、仮放免を許可し日本社会の中に放免することが適当ではない外国人も、少なからず存在をしております。

 官給食の拒食につきましては、被収容者本人の健康上問題があり、速やかに中止させることが重要と認識をしておりまして、東京入国管理局において、被収容者に対し、摂食するよう指導、説得を粘り強く継続しているところです。

 当局におきましては、法にのっとり、適正に退去強制手続をとっておりまして、収容期間が長期化しないよう、出身国政府の理解と協力を得て、速やかな送還を期するよう、また、それまでの間の被収容者に対する適切な処遇に努めてまいります。

丸山委員 これは本来、先ほど例示を挙げたような罪を犯した人なんというのはとんでもないですし、そもそもこれは入管法違反で帰っていただかなきゃいけない方がいらっしゃるわけで、そうした中で、この質問をするときにいろいろ話を聞いている中で、例えば、強制の送還をしたいけれども、そのときに暴れて送還ができなくてみたいなとか、非常にあり得ないなというふうに思うんです。法の執行は、日本国は法治国家ですから、暴れようが何だろうがしっかりやっていくというのは、これは法治国家として当然です。

 ただ一方で、人権の部分の配慮も必要ですから、慎重にやるというのはわかるんですが、しかし、これも税金ですので、おかしなことに対してはおかしいとしっかり言っていきますし、そして、やっていただきたい。執行を適正にやっていただくようにお願い申し上げたいというふうに思います。

 時間がありませんので、この法案につきましては、我が党としては賛成でございます。

 週末、地元を回っていましたら、少し気になることがあって、その観点から、この法案とは少し外れますが、残りの時間、聞いていきたいと思います。

 これは何かといいますと、Jアラートなんです。

 週末、これはまたけしからぬことに、隣の北朝鮮の国がまたミサイルを放っている。また、しかも新技術ということで、非常に日本の危機が高まっているというふうに思うんですけれども、この週末もJアラートは鳴っていないということで、地元を回っていましたら、丸山君、丸ちゃん、これはJアラート鳴らへんやんけ、どうなっているの、大丈夫なん、余り鳴らへんかったら入れている意味ないんちゃうんという御質問をいただいたりしているんです。

 そのたびに御説明するんですけれども、基本的には、Jアラートは、日本の領空、領海、領土に落ちる、もしくは領空では通過ですよね、することになるだろうというときに鳴るんだと。基本的には、例えばEEZだとか、領海じゃない公海に落ちると思われる場合には鳴らないということだというふうに思います。

 まず、そのデマーケーション、どういう状況になっているのか、少し国民の皆さんにわかりやすいように、どういうときに鳴るんでしょうか、それを教えていただけますでしょうか。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の生命財産を守り抜くためには、国民に対して迅速かつ適切に情報伝達を行うことが極めて重要であると考えております。

 政府といたしましては、ミサイルが我が国に飛来する可能性があると判断した場合、すなわち、御指摘のとおり、領土、領海に落下する可能性がある、または領土、領海を通過する可能性があると判断した場合に、Jアラート等を活用し、直ちに国民に情報を伝達することとしておるところでございます。

丸山委員 これは余り、何が何でも、日本海の公海に落ちるとかいうときにまで鳴ってしまうと、どんなときにも鳴って、逆に、鳴ったのに来なかったという変な誤解、オオカミが来たと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、にもなりかねないので、慎重にやる必要があると思っています。だからこそ、来そうな疑いがあるときに、しかも領土、領空、領海とちゃんと区切ってやっていらっしゃるんだと思うんですけれども。

 一方で、どういうときに鳴るんだという理解が国民の皆さんの中でまだまだ浸透していないんじゃないかな。Jアラート自体は、少しずつですが皆さん御存じになっている気がするんですけれども、どういうときに鳴るのだかしっかりわかっていないと、オオカミが来たという状況を今申し上げました。逆に、逆オオカミが来た、どういうふうに言えばいいのかわからないんですけれども、鳴らないじゃないか、では意味ないんじゃないかと思われても万が一のときに困りますので、これは非常にバランスが難しいと思うんです。

 ホームページを見ると、書いてはあるんですが、非常にわかりにくいというか目立ちにくいというか、この辺の広報も含めて、国民の皆さんにしっかり知っていただくことが、万が一のための対応として非常に重要だと思うんですが、その辺、どのようにお考えでしょうか。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮から発射されたミサイルが我が国に飛来する可能性があると判断した際にJアラートにより緊急情報の伝達を行う、そういう旨と、その場合のJアラートなどによる情報伝達の流れ、それからメッセージ内容などについては、今御指摘がございましたホームページ、国民保護ポータルサイトというのがございますが、そこなどで国民の皆様への周知に努めているところでございます。

 また、これだけではなくて、去る四月二十一日でございますが、都道府県に対しまして説明会を内閣官房の方で開催をいたしまして、地方公共団体のホームページとか広報紙などのツールを使用して住民へ幅広い広報を行っていただきたい旨、要請を行いました。また、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施なども要請をしているところでございます。

 今後とも、さまざまな機会を通しまして、国民への周知を行ってまいりたいと考えております。

    〔池田(道)委員長代理退席、委員長着席〕

丸山委員 これはぜひホームページにもわかりやすく書いていただきたくて、例えば、公海に落ちるだけでは鳴らないんですよと。日本の領土や領海、領空という限られたこの日本国の範囲に来る可能性があるというふうに判断した場合に鳴るんだ、ただミサイルを撃っただけでは出ない、落ちないという場合には。そういった意味で、しっかりこれをやっていただきたいと思いますし、我々政治家の方も、地元の方々にお会いしたときには、この話をしっかり御説明することで広げていきたいと思いますが、政府としてもよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後、時間がなくなってきましたので、週末、もう一つ大きな動きがありまして、国連の委員会で勧告が出まして、例の慰安婦の問題につきまして、日本の履行が不十分だという報告書が出ています。

 これはけしからぬなというのが、これはずっと、外務委員会に私が所属しているときも、外務大臣とお話をしまして、大丈夫ですか、大丈夫ですか、大丈夫ですかとずっとお話をしてきたんですが、外務大臣はしっかりやっていくという御答弁をいただくんですけれども、結局またこういう状態で、韓国側に押されているというのが現状だというふうに思います。

 この慰安婦問題について、さきの日韓合意を結んだにもかかわらず履行していないのは明らかに韓国の方なんですけれども、しかし、これに対して、国連の報告書では日本の方の履行が不十分と出たり、調べていくと、韓国の方のNGO組織みたいなものがすごくこの国連の方にアプローチをしている状況です。

 そうした中で、これは日本もしっかり、遺憾だといって向こうに抗議するだけじゃ何にも変わらなくて、こちらの方もアプローチをしていくだとか、非常に外交的な戦略というのが重要になってくると思うんですけれども、政府、これはどう捉えられていますでしょうか。

 そもそも、慰安婦の話を国連で、不可逆的に、国連の委員会ができる前の話ですから。この委員会ができる根拠になる条約ができる前のこの話を、しかも、これは拷問禁止委員会で、慰安婦の話は拷問じゃないんですからね。非常におかしな話なので、これはしっかり抗議はしていく、同時に、抗議だけじゃなくて戦略的な外交を展開していかないと、どんどんどんどん手おくれになっていくので、本当によろしくお願いしたいと思うんですけれども、どうですか。お願いします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、国連の拷問禁止委員会が、拷問等禁止条約に関します韓国政府に対する審査の結果として公表した最終見解におきまして、慰安婦問題に関します日韓合意に言及されているということは承知をしております。

 この拷問禁止委員会が公表いたしました最終見解の勧告、これは対韓国審査の結果出されたものである、あくまでも韓国政府に対するものだというふうに理解をしております。

 いずれにいたしましても、日韓両国間で約束をし、国際社会も評価をしている日韓合意、これが引き続き着実に実施されることが重要だと考えておりまして、こうした我が国の立場につきましては、国際社会の理解を得ることが重要だというふうに考えております。

 今後とも、さまざまな機会におきまして、日韓合意、これが国際社会からも高く評価をされていること、一昨年末の合意において慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認したという点について、しっかり説明をして、理解を得ていきたいというふうに考えております。

丸山委員 もう時間がないので、続きはほかの外務委員会等でやっていきたいと思いますけれども、ジャパン・ハウスをつくられて、この間大臣等もオープンセレモニーへ行かれていましたけれども、そこじゃなくて、もっと本筋のこの部分に予算も、お金も人員もかけていただいて、必ず国益を守るという外交を展開していただくように、強くお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。

 まず、本法律案に反対する理由を具体的に申し述べます。

 第一に、本法案では、小規模認可保育所の対象年齢を、特区内では五歳児まで拡大することが可能となります。しかし、動きが活発になる三歳以上の子供とゼロ歳児の赤ちゃんを狭い空間で一緒に過ごさせることは、子供を危険にさらす行き過ぎた規制緩和と断ぜざるを得ません。

 第二に、農業分野での人手不足を解消するため、技能や知識を有する外国人専門人材を特区に受け入れるとしている点です。農業分野での人手不足は、農業経営の持続可能性を失わせた政府・自民党農政の結果であって、その反省なしに、単に外国人人材を導入すれば根本的に解決できるというものではありません。

 次に、国家戦略特区制度の運用の問題点について申し述べます。

 国家戦略特区を活用した獣医学部の新設に当たり、安倍総理が腹心の友と呼ぶ方が経営する学校法人加計学園が、事業主体に認定されました。獣医学部新設は、長期間認められてこなかったにもかかわらず、国家戦略特区でのさらなる規制改革検討事項に掲げられ、極めて短い公募期間を経て絞り込まれた経緯は、依然として不透明であります。初めに加計学園ありきで、これに合わせて制度設計をしたのではないか、すなわち、国家戦略特区制度が利権の道具、癒着の温床となっているのではないかという疑念はいまだ払拭されていません。

 特区限定の規制の特例である以上、公正さや透明性の確保が一段と求められているにもかかわらず、安倍総理を議長とする現在の運営のもとでは、そのことがないがしろにされているのではないかと言わざるを得ません。

 我々民進党は、公正、公平、透明なルールのもと、安全、安心を旨とした上での規制改革を誠実に推進することを申し上げ、私の討論といたします。(拍手)

木村委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の改正案に反対する討論を行います。

 小規模保育事業所の対象年齢の拡大は、保育の質を後退させるものです。

 事業主の判断で五歳児までの受け入れを可能にすれば、保育条件は大きく変わる一方、保育士の増員はほとんどなく、しかも、認可基準に基づく条例委任では、参酌基準とされている保育所の面積は確保できません。

 待機児童問題を解消し、連携施設を確保する道は、公営保育所を中心とした保育所増設です。財政措置の強化を初めとした国の支援こそが求められているのです。

 また、農業支援外国人の受け入れを派遣労働のスキームを使って行うとしていることは重大です。

 そもそも派遣労働は、雇用主と使用者が分離し、労働者保護が困難で、これまでも重大な問題が繰り返されてきています。外国人労働者の保護、不法滞在の防止等についての十分な対策なしに、こうした外国人の人材活用の仕組みのみを導入することは許されません。しかも、外国人の要件、農業支援活動の内容、特定機関の基準などがいずれも政令事項となっていることも重大です。

 安倍内閣は、健康・医療戦略を成長戦略の一つに位置づけ、医療分野の研究開発を推進していますが、その中核的役割を担っているのが国立研究開発法人日本医療研究開発機構です。同機構を中心に構築する創薬支援ネットワークは、国際競争を展開する製薬業界への支援策であり、医薬品の開発に当たって安全性よりも迅速性を優先させるものです。

 さらに、本法案は、公共施設等の運営事業者がこれを利用させる第三者をみずから決定できるような具体策を検討するという検討事項を盛り込んでいます。

 これは、コンセッション事業者が収益を獲得するために、公共施設などを使い勝手よく活用できるようにするための新たな規制緩和につながるものです。その検討を白紙委任させるやり方は断じて容認できません。

 以上を述べて、反対討論といたします。(拍手)

木村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、山口俊一君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。横山博幸君。

横山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 国家戦略特別区域の新規指定及び国家戦略特別区域における追加の規制改革事項の決定に至る過程の透明性・公正性を確保すること。

 二 国家戦略特別区域諮問会議の中立性を確保する観点から、民間議員等が私的な利益の実現を図って議論を誘導し、又は利益相反行為に当たる発言を行うことを防止するため、民間企業の役員等を務め又は大量の株式を保有する議員が、会議に付議される事項について直接の利害関係を有するときは、審議及び議決に参加させないことができるものとすること。

   また、各国家戦略特別区域において特定事業を実施すると見込まれる者を公募する場合には、十分な募集期間を設けるなど、手続の公正性・公平性の確保に留意すること。

 三 現在国家戦略特別区域に指定されている十区域の評価結果を踏まえ、個々の事業の進捗状況や規制改革メニューの活用が不十分であるなど、評価が著しく低い区域に対しては、指定の在り方を含め、PDCAサイクルによる進捗管理を厳格に行うこと。また、可能な限り定量的な評価を行うため、国家戦略特別区域計画に予め数値目標を定め、その達成度を測るなど、国民に対してわかりやすい形で評価を行うよう努めること。

 四 国家戦略特別区域小規模保育事業の実施に当たっては、満三歳以上の子どもの保育に関し、同年齢の子どもとの触れ合いの中で協調性や社会性を育む重要な段階であることに配慮するとともに、限られた空間の中で活動量の異なる異年齢の子どもが集団で保育を受けることになることに鑑み、安全管理対策に万全を期すこと。

 五 新たに国家戦略特別区域限定保育士事業の指定試験機関となる法人について、試験実施機関としての適格性・公正性の確保に万全を期すること。また、政府は、待機児童問題の解消に不可欠な保育士の更なる確保に向け、保育士の処遇の改善をはじめとして、いわゆる「潜在保育士」の再就職支援のための取組を一層強化すること。

 六 国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業の実施に当たっては、外国人材に対する人権侵害行為を防止すること、日本人農業労働者と同程度の賃金水準を維持すること、労働時間や休日、休暇等の適切な就労環境を確保すること、特定機関等による不当な利益追求を防止すること等、事業運営の適正化を確保するため、適正受入管理協議会を核に、特定機関及び農業経営体等に対する監督及び指導を徹底すること。

   また、本事業の全国展開については、国内全産業における賃金や就労環境の低下につながらないよう見極めるとともに、地域社会や日本人就農者に与える影響等について慎重に検討した上で判断すること。

 七 我が国の成長戦略、第四次産業革命を牽引する、自動車の自動運転及び小型無人機の遠隔操作等の高度な産業技術の社会実装を世界に先駆けて実現するため、迅速かつ集中的に実証実験を行うことができるよう、日本版レギュラトリー・サンドボックス制度を速やかに創設すること。

   なお、実証実験に際しては、地域の住民等の理解の下、その安全の確保に万全を期すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山本国務大臣。

山本(幸)国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

木村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十八分散会


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