衆議院

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第3号 平成30年3月16日(金曜日)

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平成三十年三月十六日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 加藤 寛治君 理事 後藤 茂之君

   理事 新藤 義孝君 理事 牧島かれん君

   理事 山口 俊一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 下条 みつ君 理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    池田 道孝君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      神谷  昇君    神田 憲次君

      小林 茂樹君    左藤  章君

      杉田 水脈君    田中 英之君

      平  将明君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      平井 卓也君    古川  康君

      古川 禎久君    堀内 詔子君

      義家 弘介君    渡辺 孝一君

      武内 則男君    長谷川嘉一君

      堀越 啓仁君    松平 浩一君

      白石 洋一君    寺田  学君

      緑川 貴士君    渡辺  周君

      太田 昌孝君    浜地 雅一君

      篠原  孝君    宮本 岳志君

      谷畑  孝君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          梶山 弘志君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         大村 慎一君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 頼 あゆみ君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 服部 高明君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 青柳 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        山崎 俊巳君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        高橋  淳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         岡本 直之君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 永山 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山口 敏彦君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     泉田 裕彦君

  大西 宏幸君     古川  康君

  義家 弘介君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     あべ 俊子君

  古川  康君     神谷  昇君

  堀内 詔子君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     大西 宏幸君

  杉田 水脈君     義家 弘介君

    ―――――――――――――

三月十六日

 地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案(内閣提出第五号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・内閣府地方分権改革推進室次長大村慎一君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長頼あゆみ君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長服部高明君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長青柳一郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進事務局審議官山崎俊巳君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長松尾泰樹君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進事務局審議官高橋淳君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、文化庁長官官房審議官永山裕二君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官青木由行君、国土交通省大臣官房審議官山口敏彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。

池田(道)委員 おはようございます。

 本日のトップバッターを務めさせていただきます自由民主党の池田道孝でございます。よろしくお願いをいたします。

 人口減少社会を迎える中で、地域の活性化、地方創生、とりわけ、過疎化が進んでおります地方におきましては非常に深刻な問題でございます。そのために、各自治体に地方版の総合戦略を三年前、実質は二年か二年半前でございますが、作成をしていただきました。その当時は、地方自治体にとりましても、今までの施策と余り変わりがないな、あるいは、短期間でもございましたために、各自治体が持っております福祉計画あるいは総合計画等の長期計画の中から抜粋をする、あるいはコンサルにお願いをする。そうはいいながら、どの自治体も特性を生かしたまちづくりの計画をされたことと思います。

 あれから、実質二年がたちました。各地域の実情に即した具体的な取組、今全国でいろいろな話題性のある取組も聞かれておりますけれども、そうした成果につきまして、まず大臣にお尋ねをいたします。

梶山国務大臣 地方版まち・ひと・しごと創生総合戦略については、現時点で四十七都道府県、千七百四十市区町村で策定をされて、これに基づいて、各団体において、地方創生推進交付金等の活用により、自主的、主体的な地方創生の取組を進めているところであります。

 地方版総合戦略に基づく取組の成果については、各団体が、KPIを設定した上で、その達成状況についてPDCAサイクルによる検証をみずから行う仕組みとされているところであります。

 なお、平成三十年度は、地方版総合戦略の策定から四年目を迎えることから、国においてもその進捗状況等を把握するための調査を行うこととしており、その結果も踏まえて、国の総合戦略の見直しを図ってまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、この人口減少対策、少子化対策というのは息の長い取組でありますので、しっかりと地方と連携を深めながら対応してまいりたいと考えております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 どちらにいたしましても、地方では大変深刻な状況でございますので、これからも責任を持った対応をしていただきたいというふうに思います。

 この地方版の総合戦略あるいは地域再生計画というのは五年であります。五年間の計画ではありますが、地方創生の交付金というのは三年間でございます。

 この地方創生というのは、全国各地とも継続的に、半永久的にやっていかなければならないわけでございますけれども、こうした交付金制度、いわゆる財政援助について、この三年と五年というのが、どうも自治体の方では、計画は五年間出すんだけれども交付金は三年しかないというふうにまず思っておられますが、そうした半永久的に財政援助も続けていただきたいと思うんですが、そのあたりのお考えをお尋ねいたします。

山崎政府参考人 お答えします。

 地方創生推進交付金につきましては、先生御指摘のように、地方版総合戦略に位置づけられた、地方公共団体が自主的かつ主体的に行う地方創生に効果のある事業のうち、特に先導的なものを支援することといたしております。

 交付金の申請に当たりまして、事業の先駆性に応じて、実は先駆タイプというものと横展開タイプの二つのタイプがございます。

 このうち、横展開タイプの事業、期間につきましては最長三年ということでされておりますが、自主性、官民協働、地域間連携、政策間連携の四要素を有する先駆性の高い事業につきましては、先駆タイプといたしまして、実は最長五年ということで支援を可能とさせていただいております。

 地方自治体の方から、確かに、先駆で事業申請をさせていただいて、場合によっては横展開でお願いするものもありますが、先駆性が非常に高いものにつきましては、五年ということで採択をさせていただいております。

 いずれにしましても、地方公共団体の取組に対しまして継続的な支援が可能となる仕組みということで、今後も対応していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

池田(道)委員 答弁はそういう状況だろうと思いますが、地域未来投資の補助制度もできておりますし、有利な、先ほど答弁がありました先駆タイプというのがあるんですが、自治体にとってはやはりハードルが高いというのが現実でございます。そのあたりにつきまして、もう少し使いやすいように、あるいは採用されやすいように、もう一歩踏み込んだ御答弁をお願いしたいんですが。

山崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 使いやすいということにつきましては、確かに、推進交付金につきましては、ちょうど今年度で二年ということでございます。継続のものにつきましては、今年度、昨年度に引き続いてということで申請したものについては、場合によってはブラッシュアップしたものもございます。

 私どもは、制度につきましては、地方団体の、六団体からの要望等も聞きながら弾力化というものを図ってきております。具体的には、金額の上限だったり若しくは数、一自治体当たり申請できる数についても弾力化するなど、地方自治体の声を聞きながら、弾力化についてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

池田(道)委員 よろしくお願いをいたします。

 どうしても、地方自治体が有利な制度利用ができるようにということでお尋ねをするわけですが、この地方創生交付金も、原則的にはソフト事業が主でございます。ハード事業につきましては非常にハードルが高いというのが現実でございます。地方創生の事業をやっていくためには、ソフト事業のみならず、どうしてもハードの部分も必要になってまいります。そうしたハードの部分につきましても制度のいわゆる拡充ということができないのかどうか、お尋ねをいたします。

山崎政府参考人 今お話のありましたハード事業の関係でございますが、地方創生推進交付金につきましては、ソフト事業を中心ということで最初に制度設計をされております。御案内のように、ハード事業の割合は原則として二分の一未満ということにさせていただいております。

 こうしたハード事業の割合の要件につきましては、地方公共団体から、先ほど申し上げましたように、緩和の要望が寄せられておりました。そういったことも踏まえまして、平成三十年度、来年度から、ソフト事業との連携による高い相乗効果が見込まれるような事業、これにつきましては、ハードの事業割合が五割以上、要するに上限を八割未満ということにさせていただいて、申請が可能にさせていただいております。

 こういったことを通じまして、各地方公共団体において更に積極的に活用していただきたいというふうに考えております。

池田(道)委員 どちらにいたしましても、地方創生の事業そのものは地方の市町村が主になってやるわけでございますから、その点には十分留意していただいて、地方が事業をやりやすいという制度にしていただきたいと思います。

 もう一つお願いをするんですが、この総合戦略あるいは再生計画というのは、内閣府の方へ提出をいたします。事業計画であるとか、いろいろな小さい部分、交付金の協議等につきましては、県も含めて、各担当部署と相談しながらやるわけでございます。この地方創生というのは、先ほども申しますように、地方が主体となって地方の活性化を図っていく事業でございます。それが、内閣府と国交省であるとか厚労省であるとか、いろいろな部署と相談、県も当然でございますが、そのあたりがもう少しスムーズな事業運営、官公庁の縦割り行政といってしまえばそこなんですが、そのあたりについてスムーズな事業展開ができないか、その点についてお尋ねをいたします。

山崎政府参考人 今先生から御指摘がありました各省庁の私どもの連携でございます。

 日々、もちろん私ども連携がとれるように密に情報交換等もさせていただいておるんですが、推進交付金に当たりまして、特に、私ども、申請に当たりましては、事前相談の期間を設けさせていただいております。地方自治体におきましては、他の補助金等との支援対象の重なり合いについての整理とか、そういった一定のものが必要で、そういう関係の部署との相談、調整というものをされているんだと思います。そういう中で、直接他省庁の方に、関係省庁の方に相談をされるのも、実際はあろうかと思います。

 私ども、先ほど言いましたように、事前相談の期間をうまく使いまして、そういったことも含めまして、個別の自治体から丁寧に相談を受けまして、場合によっては我々が各省庁との調整も御相談もさせていただけるようにワンストップ化もできないかということで取り組んでいきたいと思いますので、その辺も含めてきちっと周知して対応していきたいと思います。

 以上です。

池田(道)委員 先ほど答弁いただきました中で、丁寧なというお言葉をいただきましたが、本当に地方自治体が親身になってやっている事業でございますので、いろいろな、これはそこから先を申し上げたら失礼なんですが、せっかくいい計画を立てても、この部署へ行ったら、それはだめだろう、こっちの部署へ行ったら、だめだろうというのが現実にあるわけですね。だから、そのあたりを、事業計画では認められておってもというのがありますので、その点について地方自治体がスムーズな事業展開ができるように措置をお願いいたします。

 それから、この基本目標の中に、地方への新しい人の流れをつくるパッケージの項目として、地方移住の推進あるいは地方採用というのがあるんですが、今は、求人、売り手市場でございまして、いろいろな形で企業も人集めに非常に苦労しているというのが現実だろうと思います。

 この議員会館の中に大勢のインターンの方が来られておられます。私は岡山ですから、岡山出身の学生に、岡山県にも非常に立派な企業がありますよ、就職先がありますよ、受けられてはというお話をするんですが、まず誰一人としてそうしましょうと言った人はおりません。ことしも二人ほど三年生の方に声をかけたんですが、全くそういう意思はありませんので、非常に寂しい思いをしているんですが。

 今は、企業さんは企業さんで独自に採用活動、あるいは、岡山県ですと、都市の学生さんにも来ていただこうということで、大阪あるいは東京で受験会場を設けて採用試験をやっているというのが現実でございます。そうした学生さんたちに地方へ帰っていただくというような仕組みの中で、企業あるいは県、自治体が一緒になって、そうした、求人活動というのか帰っていただくような仕組みの支援制度を含めて、何か取組状況がないかどうか、そのあたりをお尋ねいたします。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 地方への大きな人の流れをつくりますために、本年二月から、梶山大臣のもとにわくわく地方生活実現会議を開催し、若者を中心としたUIJターン対策の抜本的強化対策等について検討を進めているところでございます。

 この中で、例えば、現在、一部の都道府県において行われております複数県合同による東京圏在住学生への地元就職説明会の開催などの取組につきまして、国といたしましてどのような支援が行えるかということも検討しているところでございます。

 これまでに会議を二回開催いたしまして、各委員からさまざまな貴重な御意見をいただいたところでございます。今後、更に議論を深め、若者を中心に地方にこそチャンスがあると感じられるような、従来の発想にとらわれない大胆な政策を検討し、五月ごろを目途に取りまとめてまいりたいと考えております。

池田(道)委員 それとあわせて、各地域で転出入の統計等が各自治体から発表されて、移住をしてこられた方が多いというような統計も出ておりますけれども、たまたま私の近所にこれから移住をしてこられる方がおられます。つい最近、芸術家かどうかわかりませんが、音がするということで近隣の方に説明会をしていただきました。その家は、娘さんがお二人とも出られて、御主人が亡くなられ、私も、帰ったら、これからは除草剤を庭に、田舎ですからどこにも大きな庭がありますので、そういう片づけを含めてやっておったところへ移住してこられるんですけれども、たまたま近隣に来られるので、そういうことに気づくわけなんですが。

 全国的にそうした移住促進をしておられる市町村はいっぱいありますが、その辺の状況というのはいかがでございますでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たります今年度、地方創生の総点検を行いましたところ、施策の大宗は一定程度進捗しております一方で、昨年も東京圏への転入超過が約十二万人に上り、東京一極集中の傾向は続いておるところでございます。

 一方で、地方創生の取組が進む中、行政、民間による地場産業の振興、移住者の受入れサポート、中高生の県外からの受入れなど、さまざまな取組により移住者の増加を実現している市町村があらわれてきているところでございます。

 こうした中で、まち・ひと・しごと創生本部事務局では、三大都市圏以外に所在する市町村の中から、行政、民間が移住、定住施策に積極的に取り組んだ結果、社会増減率がプラスに転じた、あるいは社会減の減少幅が縮小した十八市町村を選定し、取組の概要や具体的な成果を移住・定住施策の好事例集という形で取りまとめ、昨年十二月に発表をさせていただいたところでございます。

 今後は、各地方自治体において、本事例集を取組の参考にしていただき、各自治体の個別の事情を踏まえた対策を検討、実施していただくことによりまして、さらなる地方移住が促進することを期待しておるところでございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 時間が余りありませんので、次へ行かせていただきます。

 政府関係機関の地方移転についてでございますが、この地方創生特別委員会が設置された当時に資料をいただいた分には、移転の希望というか対象機関が百五十も二百もあったと思いますけれども、今実際にやっておられるのは、消費者庁あるいは文化庁の一部でございます。東京の二十三区の学生定員を抑制するというのも当然一つの一極集中を防げる方法だろうと思いますが、どちらにしても、この政府機関の地方移転というのが地方に住んでいる者にとりましては非常に重要であるし、地方からも、どの機関を移転してほしいという要望もございました。

 ただ、残念なのは、大臣の所信表明では一行もありません。「このほか、政府関係機関の地方移転を進めるとともに、」という、これだけしか書いてないんですが、あれから二年以上たちます、もう取組状況がすぼんでしまったのか、それとも、いやいや、まだまだこれからどんどん進めていくんですよというのか、そのあたりをお尋ねいたします。

山崎政府参考人 政府関係機関の地方移転の取組についてでございますが、東京一極集中を是正するために、地方の自主的創意工夫を前提に、それぞれの地域資源それから産業事情等を踏まえまして、地域における仕事、人の好循環を促進するということを目的として実施されてございます。

 具体的には、平成二十八年三月に政府関係機関移転基本方針を取りまとめ、同年九月には「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」をまち・ひと・しごと創生本部において決定し、これに基づいて現在取組を進めてございます。

 先生御案内のように、中央省庁につきましては、文化庁につきまして、昨年、移転の大枠が整理されたところでございます。消費者庁につきましても、昨年の七月に、徳島に消費者行政新未来創造オフィスを開設してございます。

 そのほか、研究機関、研修機関等につきましては、対象二十三機関、五十の案件が現在動いておりまして、各機関等の具体的な展開を明確にした年次プランを昨年四月に公表してございまして、各団体におきまして、仕事、人、その好循環の形成に向けて、年次プラン等に基づきまして着実に取組を進めていただいているというふうに承知してございます。

 具体的には、先生の御地元でいいますと、森林技術総合研修所が行います木材産業、木材利用の先進事例の研修及び自衛隊体育学校が行う合宿をおのおの岡山県において実施しているということについても承知しておりますが、各地域できちっと取組が行われているというふうに理解してございます。

 私どもといたしましては、関係省庁と地元が一体となって取組を着実に実施し、地方創生の実を上げていくことが重要であると考えてございまして、まち・ひと・しごと創生本部におきましても、進捗を適切にフォローアップし、着実な実施が図られるように進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

池田(道)委員 政府の機関は別として、先ほど岡山県の名前が挙がりましたけれども、そうした機関については、どうも我々が考えればすぐにでもできるのではなかろうかなというふうに思いますが、早急な実施をお願いしたいと思います。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲でございます。

 私の方からは、まず、地方分権につきましてお伺いしたいと思います。

 去る二月二十八日の予算委員会の総括質疑におきまして、私は、何といっても、余りにも今、東京一極集中と地方の衰退は目に余るものがある、明治百五十年でございますけれども、現在の日本はやはり中央集権体制からの脱皮、転換を必要としているのではないか、そしてまた、そういう意味で地方分権は文明論的課題になっている、私はこのように申し上げました。その地方分権の旗頭として、文化庁の京都への全面的移転があるのではないかというふうに思っておりまして、これが失敗すれば、あるいは骨抜きになれば、もはや地方分権などあり得ないというふうに私は思っているところでございます。

 そこで、先日、総理にこの点を問いただしたところ、総理は、「文化庁の京都移転は、中央省庁初の全面的な地方移転であります。引き続き、関係大臣、関係する地方自治体などが連携協力し、目標である二〇二一年度中の本格移転に向けて、しっかりと取り組んでまいりたい」、このように、「しっかりと」というふうにおっしゃっていただきましたので、そこを踏まえて、きょうは質問をさせていただくわけでございます。

 まず第一に、きょうはお手元に資料を一枚配っております。昨年の七月二十五日の政府と地元との合意に基づきまして、こういうふうな形で今後進んでいきたいということで、このペーパーが、文化庁資料でございますけれども、出ているわけであります。

 いきなり具体的な話になりますが、私は、やはり中身が大事だ、形だけ移転しても、実は全部東京に本体機能が残っているじゃないか、全部東京で決めている、計画もそれから決断も、それでは全く意味がない、このように思うんですね。

 そういう意味で、この資料の中の、左が現行で右が今後の姿なんですが、下に傍線が引いてあるところ、政策課とか文化資源活用課とか、このように傍線が引いてあるところを京都へ持っていく、こういうことになっているんですね。京都に一応政策課がある、その下の企画調整課というのは東京に残す、こういうふうになっているんですが、では、この政策課と企画調整課の中身についてどのように考えているか、まず文化庁からお聞きしたいと思います。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点でございますけれども、下線が引いてある、京都の方の本庁に置くことを予定しております政策課では、文化庁の全ての事務事業につきまして総括することとしております。それに加えて、文化庁全般の、全体の人事や予算などについても京都の政策課が取りまとめるということを想定しております。

 これに対しまして、企画調整課、これは東京の方に置くことを予定しておりますけれども、企画調整課では、国会対応のほかに、博物館などの各種文化施設の関係、またアイヌ文化などの事務事業を担当することを予定しております。

竹内委員 そうすると、今の答弁ですが、確認したいんですが、全ての政策立案の総括、立案と総括を京都でやる、そしてまた、人事、予算についても京都でやる、こういうことでいいわけですね。企画調整課は国会対応等である、そういう趣旨と承りました。

 そこで、次に、文化経済・国際課とあるんですが、これは東京に残すと書いてあるんですが、この文化経済というところはどういうことをやるんでしょうか。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 文化経済・国際課におきましては、例えば、現在は国際課が担っている各種文化大臣会合への対応、これらの国際文化交流の推進に関する業務でございますが、それに加えまして、文化経済戦略などに基づく各関係府省との連携強化による国家による国家ブランド戦略、また文化GDP拡大などに向けた取組を推進することを想定しております。

竹内委員 東京でないとなかなかできないこともあろうかとは思いますが、文化と経済のかかわりは、京都でもできることはいろいろあると思うんですよね。その辺、よく我々もウオッチしていかなければいけないと思うんです。

 その後に国際課というのがあるんですが、国際課をなぜ東京にだけ設置するのか。例えば、京都本社の企業は結構あるんですよ。上場企業は六十五社以上ありまして、東京に移らずに、しかし国際的に活躍している、発展している企業は幾つもあるんですよね。そういう意味では、別に国際課を東京に置く必要はないんじゃないか、京都でも国際的な仕事ができるんじゃないかなと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁が担っております国際関係の業務、その全てを文化経済・国際課が担うということではなくて、国際文化交流事業のうち、各種文化大臣会合への対応など、外務省また在京の大使館などとの密接な連携が不可欠なものについては東京の文化経済・国際課の方で担当することを想定しております。それ以外の、例えば文化財の国際関係業務などについては京都の方で行うことを予定しております。

竹内委員 それと、著作権課、国語課というのもあるんですね。こういうものも、別に東京でなくてはならない理由はないと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

永山政府参考人 著作権課につきましては、中心になる事務、業務が著作権法の改正又は条約に関する事務ということになります。これらの事務に関しては、その実施に当たりまして、関係する団体又は事業者の多くが東京周辺に所在しておりまして、実際のそういう法案の企画立案に当たりまして、これらの団体などとの意見調整を円滑に行う体制を整える必要があること、また、おおむね二年に一度ほど法改正というのを行っておりますので、それに向けた関係省庁との調整、また国会への説明というものを密に行い得るようにするために、東京に置く必要があるのではないかというふうに考えております。

 また、国語課につきましては、国語課が担う事務というものは、国語の改善、普及、もう一つが外国人に対する日本語教育ということでございますが、これらの事務に関しましても、国語の改善、普及ついては、具体的には、常用漢字表や公用文の表記の取扱いにつきまして内閣官房また内閣法制局との連携が必要になること、また、日本語教育政策につきましては、法務省、外務省などとの密な連携が必要になることから、東京に置くこととしたいというふうに考えております。

竹内委員 今後も更に、その辺、フォロー、精査、我々もウオッチしていきたいというふうに思っております。

 それからもう一つ、文化庁と一体的に効果的で幅広い文化行政の推進に向けて、文化関係独立行政法人があるんですね。すなわち、日本芸術文化振興会とか、国立美術館とか、国立文化機構があるんですが、これらの効果的な広報発信や相談機能の京都設置も今後検討するというふうに合意ではなっておるんですが、その辺は検討状況はいかがでしょうか。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年七月の文化庁移転協議会の取りまとめにおきまして、文化関係の独立行政法人の広報発信、また相談に係る機能を京都に設けることについては、一定の意義、効果が期待できるというふうにされているところでございます。

 これを受けまして、今後、文化庁が本格移転を実施する時期にこうした機能を置くことにつきまして、所管独立行政法人及び地元の京都側とともに効果を含めて具体的に検討を進めていきたいというふうに考えております。

竹内委員 その辺、具体的に、骨抜きにならないように進めていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 次に、それでは、地方創生推進交付金につきましてお尋ねをしたいと思います。

 予算書を見ていましても、やはりこの交付金というものが大変大きなウエートを占めるわけでございます。平成二十八年度の決算を拝見しておりますと、予算額五百八十四億円に対しまして、公表資料によると執行額百九十九億円で、わずか三四%にとどまっている。何かいろいろ聞くと、未公表資料というのがあるらしくて、それによると二百三十七億円使っている。それでも四〇・六%にしかならない。平成二十九年度は、予算額九百五十二億円に対しまして、公表資料では交付決定済み額はわずか百五十四億円にとどまっておりまして、また、未公表資料というものがあるらしいんですが、これを含めると五百三十二億円になる。しかし、九百五十二億円に対しまして五百三十二億円ですから、それでも五五・九%程度にしかならない。

 これは、二年連続してやはり大幅な未執行額が発生していると言っても過言ではないんじゃないかなというふうに思うんですが、その理由についてどのように分析をしておりますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方創生推進交付金につきましてですが、これは地方版総合戦略に基づきまして、地方公共団体の自主的、主体的な、先導的な取組を三年から五年という複数年度にわたりまして継続的に支援するという仕組みになってございます。

 私どもとしましては、地方創生関係交付金全体の事業費ということで捉えますと、平成二十七年度につきましては、平成二十六年度の補正予算に計上されました地方創生先行型交付金、これは補助率十分の十でございますが、この約千七百億円、平成二十八年度は、平成二十七年度補正予算に計上されました地方創生加速化交付金、これも補助率十分の十ですが、約一千億円と、平成二十八年度当初予算に計上されました地方創生推進交付金、これにつきましては補助率二分の一でございますが、この約千三百億円を合わせました計約二千三百億円というふうな数字を計上、それから二十九年度につきましては、二十八年度の第二次補正予算に計上されました地方創生の拠点整備交付金、補助率二分の一、約一千四百億円、それから平成二十九年度当初予算に計上されました地方創生推進交付金、補助率二分の一の約千九百億円を合わせました計三千三百億円となっておりまして、事業費全体につきましては確実に伸びている、増額しているというふうに理解してございます。

 一方、平成二十八年度と二十九年度におきまして、委員御指摘のとおり、地方創生推進交付金におきましては執行残が生じておりますが、これはいずれも、先ほど補正予算の関係をお話ししましたが、早期執行を求められている補正予算を優先して執行したということの結果ではないかというふうに考えてございます。

 以上でございます。

竹内委員 ソフト事業なんですよね、これは。ハードじゃないんですよね。ここの違いをよく考えないといけないと思うんですよ。そういう意味では、やはりソフトだから、ハードのように簡単にみんなが飛びつけない、アイデアが必要なんですよ。そういう違いをよく踏まえた上で、地方公共団体にとって自由度が高く使い勝手のよい制度になっているかどうか、よく考えないといけないと思いますよ、ここは。

 大分、九百五十二億に対して五百三十二億ぐらいで、四百億ぐらい余らせているみたいな話は、ちょっとこれはいかがなものかなと思いますよ。二十八年度だって、五百八十四億に対して二百三十七億ですからね。しかも、未公表資料があるというのはよくない。これはだめですよ。やはりちゃんと、公開して恥ずかしくないんだから、ちゃんと公開しないと検証できないじゃない。そこはしっかりやってもらいたいと思います。

 それで、時間がないんですけれども、私の考えなんですが、この辺、ソフト事業ということもあって、現在二分の一となっている補助率というものも、もうちょっと引き上げてはどうなのか。十分の十とは言わないけれども、十分の八とか引き上げて、地方がもっと、すぐ使える、使いやすい、自分のところの負担も比較的少ない、けれどもやりたいという思いのある事業、ソフト事業はいろいろあると思うんですね。

 そういうものをよく考えて、自由度が高くて使い勝手のよい制度に、もう一工夫、二工夫必要なんじゃないかなと私は思っておるんですが、大臣に聞く前にちょっと事務方に、その辺、何か考えがあるのか、ちょっと聞いておきます。

山崎政府参考人 委員御質問の中での御指摘がありましたので、未公表資料ということにつきまして最初に御答弁させていただきます。

 これにつきましては、現状におきまして、推進交付金につきましては、新規のものを公表させていただいておりました。というのは、継続のものにつきましては、時期が昨年はずれておりましたので、継続のものは先行して決定させていただいて、新規のものとあわせてということだったんですが、資料としてホームページ等で公表させていただいているものについては、新規のものを、新しいものとしてこういうものがありますということで公開させていただいております。

 継続のものは、前年度のものと内容的には変わりませんので省略しておりましたが、確かに数字の面で見ますと不公表という形になってしまいますので、我々、意図してそういうことをするつもりはございませんので、しっかり今後は公表したいというふうに思います。

 それで、御質問の方のお答えでございますが、まず、私ども、やはり地方公共団体の方々が本当に使い勝手がいいものの制度にしていくということについては、基本としてはとても大事だと思っております。

 それで、地方創生推進交付金は、どうしても、ソフトを中心としながら、ソフトとハードを一体的に機能的に密接に効果を上げていくという考えで設計されております。

 地方公共団体からの要望も伺っております。補助率の議論は先生から御指摘があるんですが、今のところ、地方公共団体から寄せられている要望というものにつきまして御紹介しますと、まず、地方創生推進交付金等の継続の実施をしっかりしてほしい、それから交付金額の上限の設定、対象経費などの制約の大胆な緩和、それから施設整備事業等に係る要件の緩和、事業の早期着手などが挙げられておるところでございます。

 これらの要望を踏まえまして、基本的な制度設計の考えのもと、一定の地方自治体の負担も必要だということを考えながら、必要な予算額の確保、それからハード事業の割合の緩和や交付上限額の引上げを行ってきているところでございます。

 さらに、平成三十年度におきましては、特に地方から要望が多かった、年度当初から事業執行が可能になるということでございまして、交付決定の時期の早期化を図るなど、四月の初日から執行していただけるような手続を踏んでいきたいということで、弾力化を図っております。

 引き続き、地方公共団体等からの要望も踏まえながら、熱意を持って地方創生に取り組む地方公共団体の自主的で効果の高い先導的な事業を安定的かつ継続的に支援してまいるように進めたいというふうに考えております。

竹内委員 それでは、最後に大臣に、地方創生推進のために真に有益で地方が切望する予算とするためにはどうすればよいと考えるか、大臣のお考えと決意をお聞かせ願いたいと思います。

梶山国務大臣 地方の各団体との話合いを頻繁に行っておりますけれども、そういった話合いを通じて地方六団体等からも要望が出ておりまして、先ほどのようなハード事業の割合の緩和、交付上限額の引上げ、交付決定時期の早期化など、平成三十年度の予算からそういう形で取り入れたところであります。

 あわせて、市町村長に対するトップセミナーというようなことも、私との対話という形でやっておりますし、出前というか、役所が地方に行く、そしてアウトリーチでしっかり地方の声を吸収してくるということで、今年度は高知と青森でやりましたけれども、箇所もふやして、それぞれの地域でやっていきたいと思っております。

 先ほど申しましたように、これはソフト中心の事業なんですけれども、京都府においてはソフト中心の事業で今やっていただいておりまして、京野菜・織物リジェネレーション事業、また、今だけ、ここだけ、貴方だけ観光推進事業ということで、大変この趣旨を理解していただいて事業に取り組んでいただいているということでありますけれども、やっとこれが軌道に乗ってきたというところでもあるんですね。

 ある意味、地方の体質改善をしていかなくちゃならない。新たなものを取り入れるための体質改善だと思っておりますので、しっかりと話合いの上、要望を取り入れてまいりたいと思っております。

竹内委員 ありがとうございました。終わります。

渡辺委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 過疎と人口減少の先進地である島根県を地元としております。この委員会で言いたいことはたくさんございますので、初質問になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、所信の中から質問をさせていただきたいと思うんですが、私は、役所の片仮名言葉が嫌いです。なるべくわかりやすい日本語にしていただきたいと思っているんですけれども、それでも大体の片仮名はわかるんですけれども、今回はさっぱり意味がわかりません。国家戦略特区は、岩盤規制改革をスピード感を持って進めていく強力な突破口であります、今国会においては、規制のサンドボックス制度を創設しと。この規制のサンドボックス制度というのは一体何でしょうか。

梶山国務大臣 委員と同じように、私も余り片仮名言葉は好きじゃありませんでして、これから注意してまいりたいと思います。

 規制のサンドボックス、すなわち規制の砂場ですね。ということで、新たなビジネスの創出を促すために、指定を受けた事業者が、認められた条件の中で、一時的に規制の適用を受けずに新たなビジネスの実験を試みること。子供さんが砂場で遊ぶように、そこでどんなものをつくってもいいよ、でも、ある一定の範囲は出ないようにという中で始まった制度であります。

 海外から来たものでありまして、イギリスなどが主に、金融分野、フィンテックとかそういうもので始めた制度でありまして、現在、世界各国に類似の仕組みが徐々に広がりつつあるということで、日本語に訳すよりも、世界の中で広がっているということで、そういう言葉を使った方がいいという役所の判断があったと思いますが、確かにわかりにくい。これから気をつけてまいりたいと思います。

 我が国でも、このような世界的な流れを踏まえて、国家戦略特区制度のもとで進めてきた自動運転やドローン等の近未来技術の実証実験をより一層迅速かつ集中的に行うために、日本版規制の砂場制度の創設を速やかに行うよう、昨年の通常国会における特区法改正の審議において附帯決議がなされたところであります。

亀井委員 ぱっといい日本語訳は浮かびませんけれども、でも、砂場の方がまだわかりますよね。それで括弧書きで説明を加えていただいた方がわかりますので、こういう役所言葉はやめていただきたいなと要望いたします。

 次の質問に移ります。

 安倍政権の一つの方向性として、岩盤規制改革、規制緩和を進めるというのが発足当初から進められておりますけれども、私はとても疑問に思っております。むしろ、特に東京への人口流入に関しては規制強化の方が必要なのではないかと思っております。

 一つ例を出しますが、今、待機児童問題が非常に深刻です。保育園のことばかり言われるんですけれども、実は、東京は幼稚園に入れるのももう大変な状態になっています。

 私、地方選出の議員ですけれども、もともと東京で育っておりますので、昔と今の東京の違いというのがよくわかります。タワーマンション、これを規制していただきたいんですね。タワーマンションというのは、ある一角に突然何百世帯もの、地方で言うところの町があらわれるんですね。そこに働き盛りの人たちがやってきて、とにかく突然その一帯に子供がふえるわけですけれども、昔からその地域の幼稚園の数、保育園の数はそんなに変わっていないんですよね。ですから、地域住民が入れられなくなっているんです。

 今、幼稚園もですよ。つまり、専業主婦が地域の近くの幼稚園に入れようと思っても、有名幼稚園を受験するために塾に行かせたような親が滑りどめで受けてきたり、そういうことで、私が昔通った幼稚園なども今はすごく入りにくい幼稚園になっていまして、ただでさえその状況なのに、また駅に大型マンションが建ったりしているんです。

 ですので、大型のマンションをつくるときには、何百世帯以上であったらば中に保育園をつくらなければいけないですとか、何らかの規制をかけないと、これはいつまでたっても問題は解消しないと思いますけれども、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 一般論で申し上げますけれども、規制が必要なところと、規制がもう歴史的な役割を終わったものというものもあると思います。そして、規制改革で規制を緩和したり取り除くことによって新たな雇用や新たな職場、新たな産業が生まれることもあると思いますので、規制緩和も必要なものだと私は思っております。

 一方で、規制の強化というものも委員おっしゃるようなことでは必要かと思いますけれども、不動産業者と行政の中で話合いをしながら、努力義務も含めてしっかり話し合ってできているものだとは思いますけれども、一方的に規制を加えるというのは、それなりの理由がしっかりあるものに関しましては規制というものも考えていかなければならない分野もあろうかと思っております。

亀井委員 不動産業者が好き勝手に開発して、突然世帯数をその地域にふやして、社会問題は後は政治でどうぞ解決してくださいというのは無責任だと思いますので、ぜひこの分野は規制を検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 今国会で、地方大学振興交付金の創設に関しての法律が出ております。地方大学を支援することは決して悪いことではないと思うんですけれども、ただ、大学だけではなくて、私は、より必要なのは高校までの教育をその地域で充実させることではないかと思っています。

 つまり、大学で地域を離れて外を見ることというのは決して悪いことではないです。都会に出ていったり留学をしたりして、最後帰ってくればいいわけですから、ふるさとに帰ってきたくなるような高校までの充実した教育ということの方がより大事だと思っています。

 島根県の取組を一つ紹介しますけれども、隠岐の島の海士町というところに山内町長という名物町長がおりまして、ことしの五月に勇退をされるんですけれども、この山内町政の時代に、海士町の隠岐島前高校という高校があるんですが、ここを、一クラスしかなかったのを二クラス化を実現しました。ちょうど私が参議院議員をしていたころ、今から十年前から六年間参議院議員をしておりましたけれども、その時期に二クラス化を実現しています。

 何をやったかというと、高校魅力化プロジェクトというのを立ち上げました。県外から先生を招きまして、この先生が、今は県職員になっているんですけれども、非常にユニークで、本人が大学時代に世界を旅して、それを「流学日記」、留まる学ではなくて流れる学という字を当てて「流学日記」という本を出版した、非常にユニークな先生です。

 彼が島にやってきて、島留学というコンセプトを出しました。高校三年間、つまり、島の子供じゃなくて、県外の子供が島に留学してここで過ごしませんかという、そういうプログラムを立ち上げて、クラブ活動でも地域の課題解決をするためのクラブなどもつくって、町に出ていっていろいろな話を、地元の話を聞くですとか、そういう非常にユニークなプログラムを立ち上げて、二クラス化を実現しました。

 今、この高校はすごく人気が上がっていまして、昔は隠岐で教育熱心な家の子供は高校から松江に出ていったんですけれども、今は島前高校のレベルが上がっています。こういう、高校を魅力化していくということをもっと充実させていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 学校は地域の将来を担う子供を育てており、地域の核となるような魅力ある学校づくりを行うことは、地方創生の観点から極めて重要であると思っております。

 委員御指摘の隠岐島前高校においては、島全体を学校と考える、地域住民を先生、そして地域の課題を教材とすることで魅力化し、全国から意欲ある生徒を募集する島留学などのすぐれた取組を行っているものと承知をしております。地方創生推進交付金等でこういった取組も、しっかり計画を立てていただければ応援できると思います。

 やはり今、強力なリーダーシップを持っている首長さん、市町村長さん、知事、そういった方がそれらをしっかりと推進をしていく、そういう取組をしていただければ、しっかりと、高校に必要な設備の整備も含めて、事例もあるところですので、応援をしてまいりたいと思っております。

 また、文部科学省においても、高校と地域の協働による地方創生を推進するための高校改革の方策等について検討し、平成三十年の中ごろを目途に取りまとめていると聞いております。

 今後とも、文部科学省と連携しつつ、地域の高校等の教育の魅力化を図る取組を推進してまいりたいと思いますし、地方においては、やはり人口減少、子供さんも減ってきている。高校が一つ二つとなくなっていくんですね。私も地方で育っていますから、そして今地方の選挙区を地盤にしておりますけれども、そういうことが社会問題となってきているということもあり、こういう取組をモデルに全国に広がれば大変いいことだなという考え方を持っております。

亀井委員 島前高校の成功事例がありますので、島根県の中では、高校魅力化コーディネーターというのを高校に配置しまして、いろいろな取組が始まっています。今、この魅力化コーディネーターが一生懸命やっている地域として、私の本籍地であるんですが、島根県津和野町があります。

 津和野町は、やり方として、高校を国際色豊かなものにしていこうと。つまり、交換留学生を二人入れるようにいたしましたし、これはAFSという民間の留学制度を使っていますけれども、この留学生を入れたり、あと、県外からIターンでやってきた人が英語塾をやってくれていまして、この名前がHAN―KOHというんですね。

 もともと津和野藩に藩校があったんですけれども、HAN―KOHという名前の英語塾をやっていまして、今ちょうど、もとの藩校、養老館といいますが、これの改築、修繕をしているんですけれども、これが完成したら、もとの養老館の建物で英語塾、HAN―KOHができたらいいねと、そういうようなプランもつくっております。

 今、津和野高校がやっている方向性は非常に正しいと思うんですけれども、その課題の一つとして高校の寮の問題があります。

 県外から生徒を受け入れるときに、どういう生活環境になるのかということで親御さんが心配するわけですけれども、寮が老朽化していまして、それを見た途端にやはりやめてしまうですとか、そういう具体的な問題が出ていまして、今、町でやめてしまった旅館があるので、そこを改築して寮にできないかですとか、あと、空き家がありますから、こういう空き家を改装して、大規模な寮ではなくて、寮母さんがいるような寮で、町に学生が溶け込むようにした方が活性化にはなるので、そういうことも考えたりしているんですけれども、予算がないわけですよね。こういうことに使える予算というのは一体どこにあるのだろうかと思っております。

 ですので、質問ですが、高校の寮の整備ですとか、あと、この高校が、それこそ英語塾に通っている生徒が英語を使えるようなサマースクールができたらいいな、そういう話もしているんですけれども、今回の地方の大学の交付金は大学のことしか考えていませんが、高校まで、あるいはもっと下まで、子供のキャンプでもいいですけれども、もっと広く使えるようにしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 地域における高校教育の魅力向上は、地方創生にとって極めて重要であると認識をしております。

 地方公共団体においては、地方創生推進交付金等を利用して、地域の産業に必要な専門性を備えた人材を育成するために、高校に必要な設備の整備を行っている事例もあるところであります。

 前例がないということではなくて、いろいろな事例もありますし、また、相談窓口も門戸を広げておりますので、ぜひ、市町村長、市町村からそういう相談をしていただいて、また、文部科学省とも連携の上、地方創生に資することであればできる限りの手を尽くしてまいりたいと思っております。

亀井委員 ぜひ、頑張っている自治体には後押しをよろしくお願いをいたします。

 もう一つ、教育に関しての質問ですが、鳥取県の鹿野町、今、鳥取市の一部なんですけれども、鹿野町というところがございまして、ここは公立の小中一貫校をことしの四月から開校させます。鹿野学園という名前になりまして、校章も決まったところのようなんですけれども、非常にユニークな取組だと思います。

 鹿野町の人に話を聞きますと、そもそも、鳥取市に合併するかどうか町の中で話合いが行われたときに、合併はするけれども、その後、鳥取市に吸収されないようにどういうふうに鹿野町としてまとまっていくか、そういう話合い、協議会を始める中で、小学校一つ、中学校一つなので、これが町の外に出ていかないように、小中一貫校で特色のある教育をしようということで話がまとまったということで、非常に私はこれはユニークな事例で、いいことだと思っているんですね。

 一貫校にすると、小学校の六年プラス三年ではなくて、例えば校舎も、五年小学校の校舎を使って、六年生から中学校の方の校舎に行くですとか、そういういろいろなことが自由になると聞いております。こういった取組は、ほかの地域でもあるのでしょうか。済みません、通告しておりませんけれども、もしそういう事例があれば教えていただきたいと思います。

宮川大臣政務官 委員が今御紹介いただきました鹿野学園ですけれども、鳥取市で、義務教育学校として、ことしの四月に開校予定だということは私たちも承知しております。

 そしてまた、平成二十九年度の学校基本調査というのがございますが、これによりますと、義務教育学校、今回と同じような形の学校というのは一年間で二十六校ふえております。また、来年度は二十五校ふえる予定でございまして、今現在は全国に四十八校、義務教育学校がございます。

 ということで、大変取組が進んでいると思いますので、私たちとしては、好事例の収集であるとか、あと、大変重要なのは成果の分析だと思っておりますので、引き続きこの推進をしてまいりたいというふうに思っております。

亀井委員 人口減少の中で、やはり地域の学校がなくなっていくというのが今すごく深刻ですので、それが本当に衰退につながっていきますので、こういう事例は私はとても大事なのではないかと思っております。私も注視してまいりますし、国の方もどうぞ力を入れていただくようにお願いをいたします。

 次は、関係人口に関する質問です。

 まず、関係人口という言葉、大臣、御存じでしたか。

梶山国務大臣 詳しい定義は存じ上げませんけれども、大体のことはわかっております。

亀井委員 これは島根県で実は広げているコンセプトなんですけれども、定義としては、住んでいなくても地域に多様にかかわる人々、仲間という意味です。

 つまり、今、人口減少が日本全体で始まっていて、その中で、人口のとり合いを自治体同士でしてもしようがないと思うんですね。松江市の人口がふえたら、隣の出雲市が減るかもしれませんし、奥出雲町が減るかもしれない。今、自治体がいろいろなサービスをして、保育をしたら、こんなサービスをしますよ、あんなサービスをしますよといって誘致合戦をしているわけですけれども、それに余り私たちは意味を見出していません。

 そうではなくて、もう人口減少は、ある程度、とめられない、しばらくの間はとめられないので、定住人口ではなくて、住んでいなくても地域を盛り上げてくれる人をふやしていこう、そういうふうに今島根県はもう考え方を切りかえていまして、地域に住む人たちは定住人口、それで、この定住人口でもなく、短期的に訪れる交流人口でもない、新しい人口の考え方です。

 この関係人口をふやす一つの取組として、島根ではしまコトアカデミーというのを開催しています。これは、ソトコトという雑誌があるんですけれども、その会社と連携して、東京や関西、大阪で講座を開催して、島根に関心を持ってくれる人をふやしているんですね。例えば東京講座は全七回で、各講座、十から二十名程度、最初は島根の現状や地域が抱える課題のインプットをして、次、インターンシップで地域活動実践者と対話、体験をしてもらう、これは島根県で開催。最後、また都会に戻って、島根県とのかかわり方を一人一人がプランにして発表する、これを実施しております。

 実績として、例えば東京講座は、平成二十四年度から開講しているんですが、受講者数が八十三名。この中からUIターン者が十九名、UIターンの検討者が十二名、東京における島根の地域活動サポート実践者が十七名、こんな実績がございます。

 今重要なのはこういう取組ではないかと思いまして、県が今独自にやっていることですけれども、私は全国に広めていったらいいのではないかと思っています。お考えをお聞きいたします。

梶山国務大臣 しまコトアカデミー、大変すばらしい取組であると思いますし、地方移住といっても、地方を知らなくて来たのではやはりすぐ戻ってしまうということにもつながりかねないということですので、こういった地道な取組をしっかり全国レベルでやっていければと思っております。

 一方、UIJターンと一くくりで言いますけれども、Uターン、Iターン、Jターン、そして、それぞれの世代においてやはり事情が違う、求めるものも違うということで、あとは、受け入れる側もそのことを承知した上でどう受け入れていくかということが大きな課題だと思っております。

 そういった意味で、地方を知る場をつくっていただく、そして交流の場をつくるというのは、長い目で見て、息の長い取組になると思いますけれども、地方にとっては大変有意義なことであると感じました。

亀井委員 関係人口をふやすという取組のもう一つの例として、ふるさと住民票も御紹介いたします。

 これは構想日本というシンクタンクが今広めているものなんですけれども、きっかけは、福島の飯舘村ですか、そこが、二重住民票の提唱を当時の町長さんがしたことが始まりだったと聞いております。

 今の日本の住民票の制度というのは、住民登録をして、そこで納税をして、サービスを受けて、投票、選挙権もそこで発生するという制度なんですけれども、そこをもう少し柔軟に考えられないだろうか。すぐ変えるのは難しいけれども、少なくとも、例えば、選挙権は住民票があるところですけれども、条例による住民投票の参考投票ですとかパブリックコメントというのはもっと広くとってもいいだろう。なので、関係人口、その地域にかかわってくださる人たちに対して、ふるさと住民票という別のものを発行して、この人たちを巻き込んで、その地域のいろいろなことを決めていく、そういう取組なんですね。

 少しずつ広がりが出てきているんですけれども、こういう取組についてどのようにお考えでしょうか。

梶山国務大臣 先ほどの取組とあわせて、このふるさと住民票というものも大変すばらしい取組だと思っております。

 本来そこに生まれ育って外に出ている方がそこにふるさと住民票を置くのもいい。また、本籍地とあって、もう何代か前に住んでいたというつながりで持つこともいい。また、興味を持ったということで持つこともいい。そのことによってその地域の活力につながる、地方創生につながるものもありますし、心のよりどころとして、都会に住んでいる方がふるさとという思いを持ってもらうためにも、大変すばらしい取組であると思いますし、少し研究をしてみようと思います。

亀井委員 今必要なことは、本当に、定住人口をふやすことではなくて、人が動くことだと思います。私たち国会議員も、週末は地元で平日は永田町で、まさに二重生活をしているわけで、これは国会議員に限らず結構広がってきていると思いますね。島根に住んでいる人も行ったり来たり、仕事で行ったり来たりする人もいますし、子供が住んでいる都会に一年の何カ月かはいたりという人もいますから、もう、一カ所に定住している時代ではないんだろうと思いますので、そういうもう少し柔軟な考え方で地方創生という取組をしていただければ大変助かりますので、よろしくお願いいたします。

 では、もう一つ、最後の質問になりますが、島根県の益田市に益田市町おこしの会というNPO法人があります。

 地方創生のアイデアというのは、残念ながら余り自治体にはないんですよね。自治体の議員になかなかそんなによい知恵はなくて、むしろ外から来た人の方に知恵があります。先ほど例を出しました海士町は、よそ者、ばか者、若者という三者が町を変える、そういう取組をしたんですけれども、益田市町おこしの会も、地元の人と、益田にかかわりのある都会、東京に住んでいる人との連係プレーで町おこしをしてきていまして、今、一つの柱が自転車なんですね。

 何もなくて、観光資源もないんです。ただ、信号も少ないんですね。百キロ走っても信号がないというのを売り物にして、自転車のロードレースだったらばここは活性化ができると。自転車のロードレースはツール・ド・フランスという有名な大会がありますけれども、あの大会で日本人がよい成績を出せないのは、日本の公道でできる自転車のレースが少ないからなんですね。自転車専用コースで幾ら走ってそこで優勝しても、海外のそういう公道でのレースになると全く通用しない。

 ですから、私たちは、益田市でその自転車の大会をして、そしてその取組を始めたところでちょうど東京オリンピックが決まったので、益田をアピールして、東京オリンピックに参加するチームの合宿地として来ていただきたい、キャンプ誘致をして知名度を上げようという取組をしています。

 本当にNPOの知恵から始まって、ことしの六月は、NPO法人が共催で、全日本自転車競技連盟が主催で、全国大会、三日間やります。選手が六百人来ますし、今、その受入れでホテルも足りないですし、大わらわなんですけれども、ただ、本当にNPOが中心に今町おこしをしています。

 私が政治にお願いしたいのは、なるべく政治に、介入しないでいただきたいんですね。つまり、今、森友学園、加計学園の問題があり、これは政治が介入したのではないかという疑いを持たれているわけですけれども、実際に、地方に行けば行くほど、地方議員のレベルで、自分がかかわっていないからちょっと妨害してやれとか、非常に低レベルの妨害が起きるんです。

 私はなるべく、本当にNPOが純粋に仕事ができるように、そういう政治的ないろいろな働きかけの防波堤になることに大分労力を費やしております。来年、統一地方選も近づいてきていろいろなことがあるんですけれども、本当に政治の介入をなくすことが、むしろ健全な地方創生になるのではないかな。何とか議員を通さなきゃだめとか、誰がかかわっていないからだめとか、どこどこの自治会長が反対しているからどうのとか、そういうので前に進まないことというのがたくさんあるんです。

 ですので、私が国にお願いしたいことは、予算ではなくて、ちゃんと地方でいい取組がされているということを国に見ていていただく、そして応援をしていただく、交通整理をしていただく、それをお願いしたいんです。学校でいじめっ子がいるのを担任の先生や校長先生が気がついているのと同じことでして、まさに見守っていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 NPO益田市町おこしの会が活動していることは伺っておりますし、サイクリングの機運を盛り上げている、またオリンピックのキャンプの誘致ということもされていると聞いております。

 地方創生全部が一つの方向を見ていかないと、なかなかできるものでもありません。その中の一つに政治があるかもしれませんけれども、行政としては、まずは、やる気のあるところには、地方創生版三本の矢、財政上の支援、これは要らないというところもあるかもしれません、あと情報の支援、人材の支援ということで、人材も、役所の人間であったり民間の人間であったり、また大学の人間であったり、そういった支援もしていくことになっておりますので、しっかりまた相談をしていただければと思いますし、あとはその地域でしっかりまた同じ方向を見るような取組をしていただければ、それはそれでさらに加速をするのではないかと思っております。

亀井委員 この場合は、必要なのは予算ではなくて、本当に、ソフトに予算を使ってしまうと、その予算がなくなった途端にイベントもなくなってしまうので、それは避けたいと思っています。むしろ、いろいろな横やりを防いでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、武内則男君。

武内委員 立憲民主党の武内則男です。どうぞ大臣、よろしくお願いをいたします。

 大変失礼なことですが、重々承知の上です。質問通告をしておりませんが、ぜひ大臣にその御見解を、私自身の経験値も踏まえてお聞きしたいというふうに思いますので、見解をお答えいただけたら大変ありがたいというふうに思っております。

 今、国会を揺るがしている森友問題、今回、財務省理財局の中で行われたことだというふうに言われておりますが、私も二十五年地方自治体で仕事をしてまいりました。特に、土木の技術屋でもありましたから、さまざまな許可やあるいは譲渡含めていろいろな仕事に携わってきました。

 こういう場合に、公文書を改ざんする、官邸は書きかえと言っていますが、こういう改ざんをするようなことは絶対にありません。局だけで、理財局だけで、あるいは自治体において、その部署だけで改ざんをするようなことは一度も経験していませんし、絶対やってはならないことです。それには外部からの力が働かない限り起こらないというのが、私の経験からの感想です。

 一つの例を言わせていただきます。

 私も仕事をしていて、いわゆる道路法に基づいて、法律があって、そして条例をつくり、条例の最後の端には、市長が特に認めた場合はその限りでないというのが各条文に入ります。それだけ、選挙で選ばれた市長ですから、市町村長あるいは首長ですから、大きな権限を持ちます。そうした権限を持っている中であったとしても、その法律や条文に違反をするようなことが、私も、許可をめぐってやれというふうに言われたことがあります。しかし、それはできませんとはっきりと申し上げる。

 しかし、どうしてもそれはやってほしいという要請を受けながらどういう措置をしたかというと、いわゆる道路法と道路交通法に基づいて、警察と何度にもわたる協議を連日やりながら、いわゆる法に触れなくて、そして条例上もクリアできて、そしてしっかりと、ぎりぎりこの部分だったらやれるだろうというところを相当綿密にやった上で許可申請をおろしたりします。土地の譲渡をめぐって、今回のようなことが理財局だけで決断できる話ではないというふうに思っています。

 同時に、国会法百四条を始め憲法のもとで、まさに我々国会が冒涜をされているという、こうした事態をつくり上げてきた。一言で言うと、政治が行政をゆがめているのではないかとさえ私は感じています。

 今の近代国家の体をなしていないというふうに言えるようなこうした事態について、内閣の一端を担う担当大臣としてぜひ御所見をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 私自身の私見ということでお答えをさせていただきますけれども、決裁文書に手を加えるようなことがあってはならないということは、これは誰も同じことだと思っております。その上で、決裁文書を変えるのであれば、さらにまた決裁をとり直すということになるのが本来の考え方であります。

 そして、それが、今、委員は、こうじゃないかという推測も交えてお話しになられたとは思うんですけれども、この財務省の事案につきましては、真実がどうであるのか、明らかになることをしっかり待った上で対応をしていきたいということであります。

武内委員 ありがとうございました。

 通告をしていないのに大臣としての御所見を私見で述べていただきましたことは、お礼を申し上げたいというふうに思います。

 これは、真相、何でもって、もともとの発端がどこにあり、そしてどう行政がゆがめられ、そして自殺者まで出してしまう、こんなことがこの日本の近代国家において起こったということのこの事実は消せません。ですから、どうしてこういう状況になったかという真実をしっかり追及していく責任を我々国会は担っているんだということを申し上げて、御質問に入りたいというふうに思います。

 まず最初に、政府関係機関の地方移転による東京一極集中の是正についてお伺いをしたいというふうに思います。

 地方創生あるいは地域創生、これは待ったなしであるということは私も思いを同じにするものであります。東京への年間転入超過というのが、二〇一三年十万人だったものが一六年には十二万人と増加をしてきています。

 地方創生の中で、基本目標として、地方への新しい人の流れをつくるというふうにされています。大臣は所信の中で、「地方への新しい人の流れをつくり、東京一極集中の是正に取り組むことは、喫緊の課題です。」「人口の東京一極集中の是正に向けて強力に取り組んでまいります。」というふうに述べられております。

 二十八年に決定をされて、政府関係機関の移転等も順次進んでいっているというふうにはお伺いをしておりますが、現状、その是正の効果と今後の展望について少しお伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 今、委員からお話がありましたように、東京の一極集中を是正することは喫緊の課題だと思っております。人口減少、そして世代間のバランスが悪くなっている、これは少子化の中で出生率が低下をする中で起きているということでありますけれども、さらにまた、東京への一極集中、また生まれ育ったところから離れてほかのところに移ってしまうというようなことも是正していかなければならないと思っています。

 さまざまな取組をしているわけでありますけれども、一朝一夕にはやはり成果が出てこないなというのが私の実感であります。

 地方創生の取組が始まったのは、このまま何も手を出さずに、実施せずに、二〇六〇年までこのままでいくと人口は一億人切ってしまいますね、高齢化の比率も四割超えますね、そのときに日本の国の活力というのはどうなるんでしょう、そうならないために、今下り続けているところですけれども、どこでとめられるのか、どこで持続可能なところになるのかということをやるということで、あらゆる手だてを尽くしていこうということで、今政策を練っているところであります。

 これは、今年度、間もなく終わりますけれども、五カ年の総合戦略の中間年ということで総括もさせていただきましたけれども、やはりもう一段深掘りをしていかなくちゃならない、加速化もしていかなくちゃならない、いろいろな人の意見も聞かなくちゃならない、地方は地方によっていろいろな考え方がある、またいろいろな政策も、それぞれの人によって、地域の人や世代によって考えていかなくてはならないというのを今思っているところでありまして、また、国会の皆様の御意見を伺いながら、これがしっかりとした流れとして続くように努力をしてまいりたいと思っております。

武内委員 決意の一端も含めて述べていただきました。

 いろいろな政策をさまざまな角度から、こういう地方創生に向いて多くのお知恵を持ち、そしてあるべき方向を示されている方がたくさんおいでると思います。そうした意見をしっかり聞きながらということでございましたので、一つの方向で物事を決め切って、内閣府で、中央で物事を決めて、地方にこうしなさいということではなくて、しっかりそういう横串を入れながら、いろいろな政策誘導を可能な限り取り入れながら、本当に、東京一極集中でない、地域がしっかりと再生をしていく、そういう取組に御尽力いただけたらというふうに思います。

 次に、二つ目に入りたいと思います。

 生涯活躍のまち構想、いわゆる日本版CCRCについてお伺いをいたします。

 問いの中身については、その進捗状況と今後の見通しをお聞きしたいんですが、実は少子化が、高齢化が言われてきたもう二十数年前からずっと、二十一世紀に入ってそのことは指摘をされ続けてまいりました。

 当時、自治体の職員でもあり、そして地方議会へも上がって、そしていろいろな人と出会う中で、国の方あるいは県の方にも実は提言をしてきたことがあります。それは、これから迎える高齢化社会の中で、やはり地域は、人、物、金、それを全て東京にこの間ずっとつぎ込んできた。自分たちの子供たちが、大学へ行く、仕事がなくて帰ってこられない、だから東京や近郊で、都市部で就職をしていくという、それには膨大な家賃と授業料と、そして食べ物も含めて、地方は本当に、この国の発展のために大きな役割を果たしてきたのが唯一地方だというふうに思っています。

 そうした中で、では東京で働く、都市部で働く人たちが六十歳定年を迎えたとき、今は定年が延長されようとしていますが、当時は、六十歳定年を迎えたときに、それまで例えば月額五十万、六十万の収入を得ていた人たちが二十万の家賃を払いながら東京で生活する、これは可能です。ですが、年金生活者になったときに、その収入が半減をしていったときに、では本当に二十万の負担をしながら東京で暮らすという選択肢しかないのか。いや、そうではないんだ、もし年金生活になったとしても、例えば地域に帰って、東京と高知なんかでいえば、家賃も半分以下ですから、やはりそういう地域に帰って、そして地域で暮らし続けることができる、そうした誘導というものをしっかり地方やあるいは国がやるべきではないか。

 そこには、基礎自治体、県、そして医療関係者や建築業界や、マンションを含め不動産、そうした関係機関としっかりと連携を図って、そして一つのスキームをつくりながら、例えばマンション建設をしていく。単に、一マンション業者がどこかでやる、利益のために建てるということではなくて、そういう地域福祉と暮らしというものと行政との連携というのを図りながら、そこに食料やあるいは診療所、そして介護が必要になったときにはそこで介護を受けることもできる、訪問看護を含めて、そうした、地域への誘導というものをしっかり、国、地方を挙げて、そしていろいろな民間企業も巻き込んでやるべきではないかという提言をずっとしてまいりました。

 今回のこの生涯のまち、日本版CCRC、若干、中では、大学との連携とかいろいろ構想としてあるんですが、そうした取組について、ぜひ、今の進捗状況、それから今後の展望について御所見をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 委員おっしゃるように、各世代が生き生きと働ける、そういう地域づくりが望ましいものだと思っておりますけれども、どうしてもやはり偏りが出てきてしまっている。

 そういった中で、都会で六十まで勤め上げて、また定年まで勤め上げて、第二の人生は地方で暮らしたいと。そのときに、まだ動けるんだから、いろいろな世間の役に立ちたい、また自分もある程度給与を稼いでいきたいというような思いの人たちが暮らせるようなまちづくりというものがこれから必要になると思っております。事業者がやっているCCRCもありますけれども、私自身の考え方としては、やはり町全体がそういう理念のもとに取り組んでいくものが一番望ましいと思っております。

 そして、私の地域の話で恐縮ですけれども、例えば団地ができる、団地ができると子供さんがいて、子供さんが大勢学校に行くから、今まで小さな学校だったのが大きな学校になる。一世代終わると、それは無用の長物になるんですね。しっかりそういうサイクルができるように、次、今度はサービスつきの高齢者住宅でもいい、また非常に、ドアだけ閉めれば戸締まりができるような地域でもいい、住みかえも含めて、そういうライフサイクルができるような地域づくりをしていくことが地域の持続性につながるものだと思っております。

 そういった中で、さまざまな金融の信託の仕組みであるとか、あとは、行政のかかわりであるとか地域の信用のある不動産業者のかかわりであるとか、そういったものも含めて、それぞれの世代でやっていける、そして、助け合いの精神ができるということと、そういった中で、町がコンパクトシティーであるとか、コンパクトシティーも、規模の大小はありますけれども、地域の再生計画を立てたり、またCCRCそのものをやってみたいという取組があることも現実であります。

 地域再生計画の認定は今のところ十七市町村、全国で十七市町村に認定をしておって、取組をしていただいております。そしてさらに、百二十の事業で、地方創生推進交付金による財政支援をしっかりしながら、CCRCのようなものをつくりたいということで取り組んでいるということでありますけれども、いずれにせよ、どうしても流れが太くなったり細くなったりしている。また、サイクルが完結していないところをどう完結していくかということが地域の課題でありますし、また、こういったこともそれぞれの市町村によって特色、また特別の事情もあろうかと思いますけれども、そういった意見に耳を傾けながら細やかに取り組んでまいりたいと思っております。

武内委員 ありがとうございました。

 次に、企業版ふるさと納税の実績と、多分この間の委員会議論の中でさまざま、ふるさと納税については、実はどこの自治体もそうですが、納税額を競って、返礼品含めて非常に、本来の税のあり方というところからいうと少しどうかなというのを感じる状況の中で、総務委員会の中でもこの間議論をしてきて、そして三割程度という方向が出され、よりふるさと納税に沿った運用がされるようにということを附帯決議の中でも出させていただいたんです。

 企業版ふるさと納税の実績と、議論になってきた寄附企業の経済的な見返りについて、この間そういう事例があったのかなかったのか、同時に、今後も起こらないようにどう取り組んでいくかということについて、まず最初、お伺いをしたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 まず、実績でございます。制度創設の初年度でございます平成二十八年度の企業版ふるさと納税の寄附額につきましては約七・五億円、寄附件数で申しますと五百十七件でございます。

 それから、企業にとってどういう形でということでございますが、社会貢献に積極的に取り組むことを、企業としてのPRそれから寄附を通じた地方公共団体との新たなパートナーシップの構築等のメリットがあるというお考えのもとで寄附をされているというふうに考えております。

 それで、寄附に当たりまして、地方公共団体の方から企業に対しまして経済的な利益供与があった事例があるかということでございますが、私ども、この制度を運用して二年目に入っておりますけれども、そのような事例はまだないというふうに承知しております。

 もっとも、あってはならないものでございますので、そこについてどのような対応をするかということでございますが、具体的には、寄附を行うことの代償としてどういうものがだめかということについて明らかにして示してございます。例えば、補助金を交付すること、それから他の法人に対する金利よりも低い金利で貸付金を貸し付けること、それから入札及び許認可において便宜の供与を行うこと、合理的な理由なく市場価格よりも低い価格で財産を譲渡すること、そのほか経済的な利益を供与するということを禁止事項として定めまして、地方公共団体や企業に対して周知をしてございます。

 なお、地方公共団体がこの事業につきまして予算化するに当たって、地方公共団体では、地方議会にも審議は経ているということで、その旨をきちっと確認しているということだというふうに理解してございます。

 今後とも、制度の運用に当たりまして、寄附の代償としての経済的な利益の供与を伴うことがないように、あらゆる機会を通じまして、地方公共団体や企業に対しまして十分周知を図ってまいりたいと考えております。

 以上です。

武内委員 ぜひ周知を図っていただきたいというふうに思います。

 実は、なぜこの質問をしたかというと、私、母校は、高知の県立高知工業というところです。この学校を私費をなげうってつくったのが、竹内明太郎、綱という先生でして、実は、小松製作所の創設者であります。小松工業もつくり、早稲田大学理工学部もつくっていくという、非常にすばらしい、今では本当に、こういう方がおいでたんだという、私自身もそういう学校で学ぶことができたことを大変うれしく思っているんですが、実は、その校訓が、工業は富国のもとなりという、まさに技術を磨き、そして工業に学び、日本の経済の発展にしっかりと君たちは貢献をしていくんだという教えを三年間受けてまいりました。

 そうした多くの企業の皆さんが、実際、創業した地域であったり、あるいは生まれ育った地域であったり、企業版のふるさと納税ということで、いろいろなところにこれが広がっていっていただきたいなということを本当に切に願っています。

 この国会に来るまで、こういう制度があることを実は存じ上げませんでした。そのことは、自分自身の勉強不足も恥じながら、私自身もできるところで、こういう企業版のふるさと納税について、広がっていけるようにしっかりと取組をしていきたいと思いますので、また御指導いただけたらというふうに思います。

 次に、地域運営組織の法人化の促進についてお伺いをしたいというふうに思います。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一七の改訂版において示されています。これは、実は、今回の改訂の中で示されはしましたが、こういうふうに述べられています。「「地域の課題解決に向けた地域運営組織に関する有識者会議」の最終報告を踏まえ、法人化促進のためのガイドブック等の活用を促進するとともに、地縁型組織の法人化の促進に向けて、更に具体的な検討を進める。」ということが改訂版の方で示されています。

 日本全国、実は、総務大臣表彰なんかも含めて、地域でJAやあるいはガソスタが撤退をしていく中で、本当に地域の生活の基盤が奪われていく、そうした基盤が奪われていくという状況を、そこに住み続けられる地域をつくっていきたい、いろいろな思いを持たれた方たちが、実は高知でも、西土佐の大宮というところで大宮産業さんが立ち上がって、大臣表彰をいただいて、そしてその祝賀会にも行きました。体育館満杯の地域の人たちや関係者が集まって、これから本当に、大臣表彰をいただいて、そして大宮産業を中心に、地域で大宮産業を盛り上げながら、自分たちが住み続けられる地域をつくっていこうやないか、そういうコミュニティーも含めてやっていこうではないかという機運が大きく高まって、住民意識も大きく変わってきたということを経験もさせていただいています。

 ただ、こうした法人格を取るとなると、非常に引いてしまいます。一体、何から手をつけて、どうやっていいのかわからないということもあります。いろいろなスキームがあろうかと思いますが、そうした、よりよい、住み続けられる地域をつくっていくための地域の運営協議会をつくっていく、拡大をしていく、その思いについて、方向性についてお伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 地域運営組織は、現在、その多くが法人格を持たない任意団体でありまして、財産保有に係る契約関係や資金の確保などの面で代表者個人が大きなリスクを負うことになります。また、社会的な信用の確保に限界もあるということの課題を踏まえれば、活動をより安定的なものにしていくために法人化を促進していくことが重要と考えております。

 そういった中で、関係府省と連携をして、法人化のためのガイドブックの作成や市町村の職員を対象とする研修会、情報面の支援をしっかりしていくこと、さらに、法人化支援を行う地方公共団体に対する地方創生推進交付金による支援等を今現在でも行っているところでもあります。

 将来にわたって中山間地域で安心して住み続けていくためには、私は、行政サービスの一部、そして医療サービス、あと、例えば買物支援、そういったものをしっかりとできるような地域がない限り、高齢の方が多い地域ではなかなか維持が難しいなと思っておりますので、そういうメーンになるテーマを中心にしっかりと法人化をしてやっていただくことが大切だと思っておりますし、先般、高知県に伺いまして、四万十町の仁井田地区の集落活動センターも見てまいりましたし、その組織もしっかりとつくられて、皆さんとお話もしてきたところでありますけれども、こういった取組がしっかり生き残れるようにまた取組をしてまいりたいと思っております。

武内委員 ありがとうございました。

 高知県を出していただきました。実は、集落活動センター、高齢化率全国一位の最先端を走る県でして、本当にそこに人が住めなくなればもうその集落は滅びていってしまうという状況で、この高齢化に対して地域をどう残していくのかというのは本当に大きな課題でして、知事を先頭にいろいろ取組はしっかりとしていただいておりますが、実は、これにはないスキームなんですが、簡易水道を含めて飲み水の維持管理もなかなか厳しくなってきていて、それをどう維持管理し、そして、安全、衛生管理もやりながら、そこに住む人がいたら命の水をどう届けていくのかということなんかも課題としてあります。厚生労働省との関係になろうかと思いますが、ぜひそういう視点を少し組み入れていただけたらなというふうに思います。

 最後に、地方創生人材育成、それから地方創生のカレッジについてお伺いをしたいというふうに思います。

 Eラーニング形式で幅広くいろいろなカリキュラムを提供しながら、地域における地方創生の人材育成に努めていくということで、今後も講座の充実強化により事業推進を図るというふうに事業計画の中で述べられています。

 実際、これを始められて、受講生というのは一体どれぐらいが受講し、そしてその受講した人たちの、学生なのかあるいはサラリーマンなのか、いろいろあろうかと思います。現時点におけるこうした創生カレッジの実績と、それをもとにいずれいろいろな調査をされるんだろうというふうに思います。未来永劫、このカレッジを続けるということにはならないというふうに思います。どこかの段階で出口を見つけながらも、ちゃんとした将来、これからの二十年、三十年、中長期にわたってそういう人材が活躍できるような地方をつくっていくということは非常に重要なことだと思いますが、その実績と今後の見通しについてお伺いをいたします。

高橋政府参考人 お答えをさせていただきます。

 まず最初にお尋ねのございました現在までの実績でございますけれども、開講してから一年二カ月でございますが、受講者はおおむね一万三千人という状況になっております。

 どのような方がということでございますけれども、結構幅広くいろいろな方に御利用いただいておるのでございますけれども、多くを占めますのは、やはり地方の金融機関にお勤めの方でありますとか、あるいは、もちろん地方公務員の方でありますとか、実際に地方のまさに創生活性化に携わる方々に多く受講していただいているというような状況でございます。

 今後についてでございますけれども、今、先生から御指摘がございましたように、日々よくしていくためにやはり実際に受講していただいている方の声をきっちり聞くことが大事だと思っておりますので、アンケート等をきっちりとっておりまして、個々の講座につきましても、受講者が多いか少ないか、どれぐらいの修了率に達しているか、あるいはアンケートの声はどうかというようなことできちっと見直しを図ってまいりたいと思っております。

 また、外部の有識者の方にきちっと意見を伺う場をつくっておりますので、そういった方々の意見も踏まえながら、本当に地方の創生に向けた人材の育成につながるものであるようにということを不断に見直していきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

武内委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、本当に、大臣のもとで多くの国家行政に努める職員の皆さん、信頼関係をつくりながらしっかりとこの国のかじ取りをやっていこうと。

 そうした中で、再度、これは言いっ放しになりますが、こうした森友問題等が発覚するのは残念でなりませんし、悔しい思いもしています。僕ももと、地方自治体ではありますが、携わった人間として、全ての責任を負う大臣のもとでしっかりとやはり官僚の皆さんが仕事をしていけるように、間違いのないかじ取りと、議院内閣制ですから、最終的にその管理監督は総理にあります。そうした当たり前の国会、日本の行政をつくっていくためにお互いに頑張っていこうではありませんかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 希望の党の白石洋一です。

 愛媛から参りました。どうぞよろしくお願いします。

 地方創生、この鍵というのは何にあるのかと考えてみました。田舎の暮らしのよさを享受しながら、都会で得られる便利さも確保するということじゃないかなと。田園があり、山があり、緑があり、海があり、そして人情厚い人に囲まれて生活するという田舎暮らしのよさを享受しながら、いかに便利さを確保するか。都会の便利さと拮抗するか、それを上回るぐらいにしていく、こうすれば地方も、そこに暮らしていきたいと活気づくと思うんですね。

 では、その便利さを確保するためには何が必要かというと、いろいろなことがあると思いますけれども、AI、人工知能というのはこれから必須になってくるんじゃないかなと思います。

 今、AI、人工知能といったら、どうしても人口の多い都会から商業的に使うというところから始まっている。これも自然な流れだと思いますけれども。それを国として、公共として地方に適用していく。それを使ってもらって、そして便利さを地方で確保するということに使ってもらう、これが必要なんじゃないかなと思うわけであります。

 そこで、こちら内閣、地方創生の方でどのようなAIの使用を考えていらっしゃるのか、まずは内閣官房のところから答弁をお願いします。

高橋政府参考人 御答弁させていただきます。

 今先生から御指摘がございましたとおり、政府といたしましても、AIの活用は地方創生にとって大きな可能性を秘めたものだというふうに認識しております。

 昨年末に取りまとめましたまち・ひと・しごと総合戦略におきましても、生産性革命を実現し、好循環を確立するため、AI等第四次産業革命の技術の実装等に取り組む必要があるというふうにしているところでございます。

 例えば、地方でも人手不足が顕在化しつつございます。こうした中で、単調な作業をAIで代替することで、貴重な人材を創造的な業務に集中して、生産性の向上を図ることができると考えられます。

 また、個別の分野では、AIを基礎といたしまして、自動走行の実用化が進展いたしますれば、高齢者の移動や買物などでも利便性が高まるものと考えられます。その他農業、医療、介護などさまざまな分野で、地方が抱える課題を解決するためにAIを活用する余地は大きいと考えております。

 このような、地方の抱える課題の解決につながり、生産性の向上に寄与するような地域の具体的な取組につきましては、地方創生交付金等を通じて支援してまいりたいと考えてございます。

白石委員 ありがとうございます。

 先ほど高橋委員がおっしゃった中で、二つ、二分野、強調したいと思います。

 一つは人手不足、地方の人手不足に対応するためのAIということですけれども、物づくり、私のところは、地方でありながら物づくりの盛んな町であります。そこで人手不足、これは要するに、団塊の世代の方々が退職している、それに見合う人が、若い人がいない、こういうことであります。

 団塊世代の方々はわざを磨いてきて、熟練工としてやってきた、そのわざをどうやって継承するかということがあると思うんですね。ですから、この物づくりのところでAIを使ってわざを継承する。もちろん、これは民間の商業分野ですから、民間企業が主体的にやるということはまず第一だと思うんですけれども、それを国が支援する。

 アメリカでトランプ大統領が誕生しましたけれども、それは、アメリカの地方の物づくりの地域で、ラストベルト、赤さび地帯ということで、労働者、地方の工業地帯の方々が怒ってトランプ大統領が誕生した。そういうことも見るにつけ、ちゃんと物づくりの地方を大事にしないといけないというところはあると思うんですね。

 物づくりについてAIを適用する、ちょっと、通告では言っていませんけれども、大臣、感想をお願いします。

梶山国務大臣 これから人口減少社会になり、少子化、高齢化の中で、人手不足も生ずる、またさらに、生産性の効率を上げなければならない、そういった中で、AIの活用というのは大変重要な課題であると思っております。

 私の地域にも工業地帯があって、そこでもAIの研究もしておりますし、生産の効率化という形で、いろいろな形で試行的な取組もされているわけであります。そういったことを使いながら日本の活力が衰えないようにしていくということは、地方創生にとっても重要でありますし、日本全体の経済にとっても大変重要なことであると思っております。

 また、生産の現場だけではなくて、介護の現場でも、先日ちょっと視察をしてまいりましたけれども、試行的に行っているところがある。ベッドから落ちないように少しでもずれるとアラームが鳴る、そういったものとか、あとは、重いものを持ち上げるときのお手伝い、それを人間というよりもAIが感知をして、しっかりその力かげんも工夫をするというようなところもありますし、今緒についたばかりではありますけれども、いずれはやはりそういったものが必要になる時期も来ますし、今それをしっかり取り組んでいくことが大切なことだと感じております。

白石委員 大臣、ありがとうございます。大臣もひたちなかの御出身ということで、物づくりの町だと思います。物づくりを支援する、AIで支援する。

 もう一つの分野は農業です。高橋委員もちょっとおっしゃっていましたけれども、農業の分野にAIを使えないか。これは耕作、栽培ですね。天気に左右されます。天気の情報、風あるいは雲の様子とか雨の様子、こういったものに敏感に反応して耕作をしていくということと、それからもう一つは品種改良ですね。ミカンでも、今はわせの温州ミカンだけじゃなくて、中晩かん、いろいろな品種が生まれてきています。変種だけじゃない、いろいろなかけ合わせ、たくさんの組合せがあると思います。それをAIによって後押ししていくということがあると思うんですね。

 ちょうど、折しも今法案作業をされているきらりと光る地方大学づくりというのがあります。愛媛はミカンの町、ミカンでやっていこうと。それだけじゃない、ほかにも、ほかの地方でも農業でやっていこうというところがあると思うんですね。ぜひこの分野でAIを使う、AIだけじゃない、ICT、IoT、あらゆる技術を使って、都会で享受できるような、そういう便利さを地方でも確保をする、その一環として、大臣、ぜひ取り組んでいただきたいんですけれども、感想をちょっとお願いします。

梶山国務大臣 先ほど申し忘れましたけれども、農業についても、高知県の先進的な取組を見てまいりました。高さがかなり高い、六メートルぐらいの高さのあるハウスの中で、作物の成長に合わせてつるが伸びていく、また湿度や温度の管理も含めて液肥をどうしたらいいのかということも自動的に行われる、そういった中で、収量も今までのハウスよりも大変多くできている、初期の投資はかかりますけれども、そういった成果も出ているということも現実であります。

 そういうことも含めて地方の大学がどこまで取り組めるかということも、今度のきらりと光る地方大学の振興ということで大切な要因であると思っております。

白石委員 ぜひ取組の方をお願いします。

 そして、私、歩いていて、AIをどうしてもこれに使いたいな、使ってほしいなという分野がありまして、それは交通信号機の制御であります。

 田舎というのは、意外とパターンが決まっているんですね。工場というのは三交代勤務で、朝八時出勤、その一勤が終わるのが夕方四時、それでまた八時間後の深夜十二時、この三つの区切りで動いているんです。それは、私の四国中央市、紙の町、新居浜、住友の町、そして電気機械やあるいは化学産業がある西条、みんな同じなんです、八時、四時、十二時なんですね。そうすると、その時間帯には物すごく混雑するわけです。

 これをどうにかならないかと。すぐに言うのは道路を何とかするということですけれども、もう公共事業も、それは限界にあるというのはわかっています。それを待っていたら、いつの話になるかわからないというのも事実として出てきていると思います。

 ですから、交通信号機の制御にAIを使って、もちろん今までそれに近いことはやっているにせよ、更にそれを進化させて、気候であるとか曜日であるとか、あるいは、それだけじゃない、特売日であるとか行事であるとか、そういったことをビッグデータで感知して、それを織り込んで信号を制御する。そのことによって、道路をつくらなくても、道路を新たにつくらなくても、信号の制御によって渋滞を緩和する、生活道路としても安全にそこを使ってもらう、こういうことができるんじゃないかなと思うんですけれども、この点、警察庁の方、お願いします。

長谷川政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の交通渋滞は、社会経済活動上の損失を招くほか、渋滞によりまして滞留します車両への衝突等による交通事故ですとか、そうした滞留車両からの排出ガス等による交通公害の原因になるものでもございます。

 そこで、警察といたしましては、交通渋滞の低減、解消を図るため、道路に設置をした車両感知器などから交通量や走行速度などのデータを収集いたしまして、各都道府県に設置されております交通管制センターなどのシステムでこれらデータを集約、分析した上で、その時々の交通量や渋滞の程度に応じた信号制御を自動的に行うことができる技術を現在も導入しているところでございます。

 具体的に御説明いたしますと、例えば、交通量等の変化が激しい交差点においてもきめ細かに適切な信号制御を実現できるように、車両感知器で計測をした直近数分前の交通量ですとか渋滞の長さをもとに、それぞれの方向の交通需要をコンピューターにより計算をした上で、これに合わせて方向別の信号の青の時間を秒単位で調整するといったMODERATO制御と呼ばれる信号制御でありますとか、あるいは、交通量等の変化から信号制御の変更に至るまでに生ずるタイムラグといったものがない、リアルタイムでの適切な信号制御を実現できるように、当該路線の数百メートル程度手前で計測をした交通量をもとに、当該交差点に、次の交差点ですね、到達する予想の交通量を計算した上で方向別の青の時間を調節するといった、プロファイル信号制御というふうに呼ばれる信号制御、こういう高度な信号制御技術を導入いたしまして、必要に応じた整備を行っているところでございます。

 現在研究が進められております人工知能、AIにつきましては、さまざまな分野における活用が期待されているものと承知しておりますけれども、こうした信号制御への活用につきましても、どのような方法が可能であるかどうかも含めまして、研究をしてまいりたいと考えているところでございます。

白石委員 長谷川審議官、ちょっと通告していなかったんですけれども、おっしゃっていたその信号制御に対して、年間予算、大体幾らぐらい使っていますか、ざっと、あらあらで。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけございません。ちょっと予算の方は、今、手持ちを持ち合わせてございませんけれども、ちなみに、整備をしております数についてでございますけれども、平成二十八年度末現在で、こういった制御信号機、全国で一万三千以上の基数を整備しているところでございます。

白石委員 私は、ここに予算を投ずることによって、随分ほかの分野でセーブ、節約できると思うんです。

 まず節約できるのは、道路を新しくつくるということを節約することができる。そして、人の時間を節約することができる。それは産業上、そして買物時間も含めてです。仕事が終わったらすぐ家に帰りたい、こういったところも含めて時間の節約ができるということを考えたら、方向性は今おっしゃったところでいいので、更にここに予算をつけて、そのアルゴリズムのところにもっともっと進化させて、AI、人工知能というのはある程度ブラックボックスになるというふうに言われています、でも、そこにかけて、自動的に制御させる。

 これは、四十七都道府県の県警の所管ということで、基本、県警の責任でやってもらっていると思うんですけれども、そこに一つ上に司令塔を乗せて、そこで一括この分野を進めて、そして実証実験でどこかでやっていくというところをぜひ進めていただきたいんですけれども、ちょっと感想をお願いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、AI技術につきましてはさまざまな活用の可能性がございますので、この信号制御の分野におきましても、私どもといたしましても関心を持って研究を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

白石委員 ぜひお取り進めの方をよろしくお願いします。

 そして、二つ目のテーマに移ります。地方創生における空き家の利用と、そのための施策についてです。

 今、地方は空き家が随分ふえてきているわけですね。それは、御両親が亡くなって、自分の両親だけじゃない、義理の両親が亡くなって、でも自分は別のところに住んでいる。だから、その家はそのままになっている。子供たちも別のところに行っていて、田舎に戻ってくるめどはない。ましてや、自分の両親の家を自分の住みかとする様子はない。だから空き家がふえている。

 これはもったいないですし、やはり歩いていて思うのは、空き家が廃屋になっていったら、気持ちが沈みます。ああ、うちの町もだんだんこうなっているんだ、もうやる気がちょっとそこでくじけてしまう、こういうこともあるんですね。さらには、実害として、その廃屋が周りに迷惑をかけてきているというところ。

 この空き家について、まずは、今やっていらっしゃる国の取組はどうなっているのか、国交省の方、お願いします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が本格的な少子高齢化、人口減少を迎える中で、空き家につきましても今後もさらなる増加が見込まれており、その対策は喫緊の課題であると認識をしてございます。

 空き家対策につきましては、地域の実情に応じまして、除却すべきものは除却するとともに、活用できるものは活用していくことが重要であると考えてございます。

 こうした中で、空家等対策の推進に関する特別措置法が平成二十七年五月に全面施行されておりますけれども、国といたしましては、地方公共団体が行う空き家の除却、活用等に対する社会資本整備総合交付金等による支援や、空き家の除却、市場への流通を図るための税制措置等を行っているところでございます。

 また、空き家を始めとした既存住宅の活用に関する最近の取組といたしましては、持ち家としての活用につきまして、インスペクションの活用や消費者が安心して購入できる物件に対し標章付与を行う安心R住宅制度をこの四月より開始するところでございます。また、賃貸住宅としての活用につきまして、新たな住宅セーフティーネット制度を活用した取組を始めたところでございます。

 さらに、住宅から住宅以外の用途へ円滑に転用できますように、建築基準法の一部を改正する法律案を先般閣議決定させていただいたところでございます。

 なお、地方公共団体等におきましても、昨年八月に、空き家対策に関する検討や情報共有、展開を図るための全国組織として、全国空き家対策推進協議会が設立され、空き家対策の課題や取組事例の共有、解決策の検討などが行われているところでございます。

 こうした取組によりまして、地方の空き家につきましても、全力を挙げて対策を進めてまいりたいと考えてございます。

白石委員 ありがとうございます。

 厳密に言うと国交省さんの所管じゃないのかもしれませんけれども、固定資産税の特例の撤廃によって、今家屋は六分の一の特例になっている、それを、空き家、廃屋化が余りにも著しいところは特定空き家ということでその特例を撤廃して一般の税率にするということ、つまり、北風政策ですね、ペナルティーを加えるということで、その所有権者、大家さんに、お尻に火をつけるということがなされている、これが基本的な空き家対策の大きな流れ。それだけじゃない、それ以外にもいろいろなことをされているんだと思いますけれども。

 私は、そういう私権者頼みというステージから、もうそろそろ土地公共化というところに、ちょっと考えていかないといけないんじゃないかなと思うんです。

 そう言われても、売り先が見つからないんですよ、自分で譲渡先を見つけろと言われても難しいんです。そういうことで、じゃ、固定資産税を六倍にされて、それでもし滞納したらどうなるか。非常に追い詰められてしまうんですね。

 今は、所有者不明土地も含めて固定資産税が累積しているところは、これは地方公共団体、市、町に任されているんだと思いますけれども、基本は、それを競売して、それでお金にして、それでもって回収する、これが基本だと思うんですけれども、競売しようもない、競売の費用さえ出ない、こういうところがふえていくのであれば、代物弁済をしてもらう、もう市、町がその所有者になっていくということをそろそろ考えていかないといけないんじゃないかなということを思うわけであります。

 一方、また、太陽政策として、これはまた税制の方でやっているんだと思いますけれども、相続にかかる譲渡税というのは、三千万円の譲渡所得控除をしているわけですね。ですから、首尾よく譲渡さえすれば、そういうあめも用意はしているんですけれども、その譲渡が難しいということであれば、それを私権者に譲渡させる、あるいは、そうでなくても、競売して、誰かに譲ってお金で回収する、それから一歩前に進むべきときが来ているんじゃないかなと思うんです。

 この点、国交省さん、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、空き家の譲渡先を探しやすくする、そういう環境を整えていく、これは大変重要な課題だと思っております。比較的良好な状態にある活用可能なものについて、需給のいわばミスマッチを解消して、そして流通市場に乗せてやる、そのことで有効活用を推進していくということが、これは、廃屋の予備軍をなくすということ、それから、せっかくのストックを有効に活用していく、さまざまな地域振興にも役立つ、こういう意義があろうかと思っております。

 そこで、国土交通省といたしましては、各自治体が保有をいたしております空き家、空き地の情報、これを標準化して、そして集約をするということで、全国どこからでも簡単に、御希望の方が、関心がおありの方がアクセス、検索できるような、全国版空き家・空き地バンクと呼んでおりますけれども、これを構築いたしまして、昨年十月から、これは私ども公募をさせていただいて選定した事業者で、試行の運用を開始しているところであります。現時点で四百七十を超える自治体に御参加をいただいておりまして、順次、物件情報の掲載を進めてございます。

 先ほど申し上げましたような試行運用の状況を踏まえまして、一定、今改善を図っておりまして、この四月から本格運用を開始する、こういう段取りでございます。

 一方、市場の流通に乗せていこうというときには、媒介をしていただく宅建業者の方の積極的な対応も私ども大変重要なポイントと思っております。一方、空き家の媒介は通常より調査費用とかがかかるんですが、一般的に媒介の報酬は成約価格に一定の料率を掛けるということになっているものですから、物件価格が低い空き家などでは、なかなか、足が出てしまうというケースもあるので、宅建業者の重荷になっている、こういった御指摘も頂戴しております。

 このため、低廉な空き家であっても通常より現地調査費を要するもの、こういったものを対象といたしまして、従前の報酬額の上限に加えまして、調査費用などを考慮した額の報酬を十八万円を上限に売り主さんから受領できるように、宅建業者が受領する媒介報酬の上限額、これは私ども告示で決めさせていただいておるんですけれども、これを昨年十二月に改正いたしまして、本年一月一日より施行しているというようなことでございます。

 こういったことも含めまして、引き続き空き家の流通を推進してまいりたいと考えております。

白石委員 審議官、ありがとうございます。

 一番冒頭に審議官おっしゃったように、状態のいい空き家は、何とか工夫したら売り先が見つかることがあり得るということで、これはぜひどんどん進めていっていただきたいんですけれども、私がその前に申し上げたのは、どうしようもならないところがふえてきて、もう状況は更に前に進んでしまっている、悪い方に残念ながら進んでいる、そういうところについては公共でもう受けとめるしかないというところがあるんじゃないかなというふうに、あると御意見申し上げた次第なんです。

 それで、その状況のいい空き家の方の話なんですけれども、そういう媒介、流通によって買い主あるいは利用者が見つかるということが、これはとてもいいことなんですけれども、その中で障害になっていることがあるんです。

 それは、みなし譲渡所得課税ですね。これは、不動産を個人から法人に譲渡するときには、寄附する側に税金がかかってしまう。ですから、もう往復びんたなんですよね、いわば。自分は自分の財産を上げますよと言っているのに、更にむしり取られるというのがみなし譲渡課税なんです。これによって、例えば、せっかく公共的な利用を考えているNPOさんがDVシェルターだとかあるいは貧困世帯の公営住宅的な使い方をしようと思っても、これが妨げになっているわけです。

 この点、非常に熱心に取り組んでいらっしゃる駒崎弘樹さんがおっしゃっていることなんですけれども、ぜひ、これの見直し、つまり、寄附する先が公共的なNPOなりであれば、このみなし譲渡所得課税を免除するということを考えていただきたい。もちろんこれは財務省のところですけれども、国交省さんも主体的に事業官庁として取り組んでいただいて、これが、このハードルが取れれば、相当また状態のいいものは更に使われるということになりますので、どうぞよろしくお願いします。

 大臣、最後にこの点、いかがでしょう、感想でいいので。

梶山国務大臣 放置された空き家の問題はどこでも今課題になっているわけでありまして、それらの構造上丈夫なものに関しましてどう活用していくかということは、いろいろな方策、これからも私どもも含めて関係省庁と連携をしながら考えてまいりたいと思っております。

白石委員 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 日本維新の会の谷畑でございます。

 大阪で橋下知事が誕生しました。今はもう前知事でありますけれども。その橋下知事が圧倒的、もちろん個人の人気もありますけれども、更に圧倒的な支持というのは、やはり大阪都構想というのであったと思います。

 それはどういうことかといったら、大阪は東京に匹敵する都市であり、人も金も集まる、こういうふうに我々自負しておったんだけれども、いつの間にか、大阪も他の地方都市と同じく、人口は減少していくわ、企業は東京へ行ってしまうわ、そういう危機感の背景の中で、橋下徹前知事が、大阪都構想、人も金も集める、こういうことであったと思うんですね。

 こういうのに見られるように、梶山大臣にとりましたら、やはり地方創生というのは、日本の国家、社会のためにもこれは非常に大事な柱である、ただための言葉だけじゃない。これをやるためには物すごい腕力が要ると思うんですね。ほっておいたらどんどん東京へ集中するということですので、まず、梶山大臣、ひとつ、命かけて地方創生のためにやったるでという決意をまずいただきたい、こう思います。

梶山国務大臣 委員おっしゃるように、これからの日本を考えた場合には、地方創生は非常に重要な政策であると思っております。

 大都市の一本の柱で日本の屋根を支えるんじゃなくて、大阪にも支えていただきたい、名古屋にも支えていただきたい、福岡にも支えていただきたい。ほかの市町村も、細くても短くてもいいから柱を立てて、日本の屋根支えていこうや、そのためには、あらゆる政策を駆使してみんなで頑張っていこうというのが、この地方創生の考え方であり、私の思いであります。

谷畑委員 大臣のおっしゃるとおりだと思います。この委員会が、本来なら総務委員会の、地方分権というジャンルの一つの柱であった。それが、平成二十六年にあえてこういう地方創生という委員会ができたわけですから、私は、そういう意味では、大臣、頑張って差配して、旗を振っていただきたい。大阪もその立場で、東京に負けぬように、ひとつまた、いい都市づくりに頑張っていかなきゃならぬな、こういうように思っております。

 さて、次の質問ですけれども、そうはいいながら、やはり東京一極集中が非常に強くなっている、転入転出の、強くなっているそういう状況を、まず少し教えていただきたいと思います。これは参考人で結構ですので。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 東京圏への人口移動は、二〇一二年以降四年連続で転入超過数が増加し、二〇一六年は五年ぶりに若干減少したところでございます。しかし、二〇一七年は再び若干の増加に転じて、約十二万人の転入超過となっており、東京一極集中の傾向が続いているものと承知しております。

 こうした人口移動の要因につきましてはさまざまな理由があると考えられますが、東京圏への転入超過数の大半を十五から十九歳及び二十から二十四歳が占めていることを考えますと、若い世代の大学等への進学や就職が東京圏への移動のきっかけとなっているものと考えているところでございます。

谷畑委員 私も国会議員を二十八年させていただいて、本来、東京みたいなのはくそ食らえ、大阪が一番いい、こういうように思ったわけですけれども、二十八年暮らしていますと、やはり東京はええやないかと、結構、魅力があり、変化がありというようになります。

 ということは、我々大阪の場合でも、僕らの若いころは大学は大体関西でとどまったものですけれども、しかし、今は多分、数字はよくわからないけれども、基本的には、大阪はもうどんどん、大学も東京へ、こういう状況になっている、私はそういうように思っています。

 そういう意味では、東京一極集中、この抑制に向けて、これは非常に強い政策が要ると思うので、大臣のそういう決意というか、一極集中を是正をしていく、そういう決意と方策をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 おっしゃるように、東京の転入の超過数というのはずっと高い水準で推移をしている。そういった中で、人口減少の中でさらにまた一極集中が進むことによって、出生率の低い東京に若者が集中することによって、また出生の数も減ってくるというようなことも考えられるわけでありまして、しっかりと対応をしていかなければならないと思っております。

 これまで、地方公共団体による自主的、主体的な取組を一千億円の地方創生推進交付金等により支援をしてまいりましたけれども、さらにまた、企業の地方拠点強化税制の創設と、さらに、若者の地元就職時の奨学金の返還免除ということで、例えば、企業の地方拠点強化税制の中には今度は近畿圏も中京圏も一部が入っていくということになりますし、更に政策総動員でしっかりと、一極集中を是正するための努力をしてまいりたいと思っております。

谷畑委員 ぜひひとつまた頑張っていただいて、そういう東京一極集中をぜひひとつ阻止をして、それぞれの地方で活力を持って、その地方都市がよみがえって、魅力ある、そういうように旗を、お互いに皆努力して頑張っていかなきゃならぬ、こう思っております。

 それで、やはり東京に一極集中というのはいろいろな理由があると思います。やはりたくさんの人たちが集中しておるということ、それから、行きたい大学が東京というところが、やはり人が集中しますから大学も質もよくなってくるし、またそこの大学へ行きたいということで。大学へ進学すれば、自分のふるさとへ帰ったという人はまず少ない。やはり東京で暮らしてきたことで、できたら東京で就職したい、これは人情で、当たり前だ、こう私は思います。

 そういう意味では、できる限り、やはり国家としては、地方分権を推進するために、それぞれの政府機関、これがもっと地方へ移管する。例えば通産省。大阪は商都の町やから、通産省、あんたらもう霞が関におる必要がない、通産省はちょっと大阪へ行こうやないかとか、何か、そういう少し機能を分散する、そういう仕組みをつくらぬと、なかなか一極集中はできないと思いますけれども、そういう政府関係機関ということ。今は、文化庁ですか、それが京都へ行ったということは一つの例ですけれども。

 そのことについて何かありましたら発言をしていただきたいと思います。

梶山国務大臣 平成二十八年の三月に政府関係機関移転基本方針、そして、同年の九月に「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」をまち・ひと・しごと創生本部において決定をし、これに基づき取組を進めているところであります。

 今委員おっしゃいましたように、文化庁の京都への移転、また、消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスということで徳島に開設、また、総務省統計局を和歌山にということと、さらにまた、研究機関を各地域にということで、私、この研究機関の地方への移転というのは結構大きいと思っておりまして、地方の産業と連携をしながらどう産業を育てていくか、そして雇用をつくっていくか、その産業を担う人材をつくっていくかということも含めて、地方と連携をしながらということで、まずは当面決まっていることをしっかりと成功させることが大事であるという思いで、今取り組んでいるところであります。

谷畑委員 大臣は、次、参議院もいろいろあるということですので、退席をしていただきたいと思います。御苦労さまでした。

 それでは、やはり東京一極集中を阻止していこうとすれば、もう長いこと昔から言われていた、地方分権の一番柱というと道州制というのか、そういうことがこの間ずっと言われてきました。そういう意味では、この道州制の実現というのか、そのことについて今どういうような状況になっておるのか、説明をしていただきたいと思います。

田中副大臣 お答えいたします。

 梶山大臣も所信で述べたとおり、この道州制は、国家の統治機能を集約、強化するとともに、住民に身近な行政はできる限り地方が担うことによって地方経済の活性化あるいは行政の効率化を実現する、そのための手段の一つとあります。国と地方のあり方を根底から見直す大きな改革であります。

 このような大きな改革であることから、その検討に当たっては、地方の声を十分に聞きつつ、国民的な議論、これを行いながら、丁寧に進めていくことが重要だと考えております。

 現在、与党においても道州制に関して検討が行われているところであります。政府としても、連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたい、そのように思います。

谷畑委員 それと同時に、やはり金融、国際金融都市という、ここもしっかりしないと、人も金もというその金がいわゆるアジアの拠点に流れたり、そういうことになりかねないと思います。

 そういう意味では、かつて、ロンドン、ニューヨークと並ぶ国際金融都市東京ということで、これはぜひ。放置をしてしまうと差がどんどん出てしまう。ここは相当意図的に、東京を世界の金融都市としてもう一度再生をさすという強い意思を持たなきゃならないと思いますので、その件についてはお伺いをいたします。

村井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 谷畑議員から、国際金融都市としての東京の地位を引き上げていくべきといったようなお話をいただきました。

 国際金融都市としての東京の地位につきましてはさまざまな見方がございます。一つの指標でございますけれども、森記念財団の世界の都市総合ランキング、これは二〇一七年の十月に出たものでありますけれども、これでは東京は三位でございましたけれども、Z/Yenグループというものがあります、そのグループのグローバル金融センター指数では、これも二〇一七年の九月でありますが、議員御指摘のとおり、五位となっているところでございます。

 こうした中、金融面においても東京が魅力あるビジネスの場と認知され、世界じゅうから人材、情報、資金の集まる国際金融都市として発展していくことは重要でございまして、そのため、例えば海外金融事業者の日本拠点の開設などを通じて、グローバルな金融機関の集積を図っていくことなどが課題と考えております。

 いずれにいたしましても、香港市場、シンガポール市場を含め、金融センター間の競争は激化をしておりまして、東京が国際金融都市としての機能を十分に果たすことができるよう、御指摘をしっかり踏まえながら、課題に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

谷畑委員 今の答弁は、ある意味でいったら、割と抽象的で、決意という感じだけになるんだけれども。

 やはり国家戦略特区を活用して、金融関連企業の税負担を軽減するとか、いろいろな形をとりながら、金融都市東京をいろいろな意味で支えて、現実のものにしていかなければいかぬと思うんですね。

 もう一度、その点についての、具体的施策を含めて、発言をしていただきたいと思います。

村井大臣政務官 谷畑議員から具体的な取組をといったようなお話をいただきました。

 例えばでございますけれども、金融庁といたしましても、英語による法令などに関する照会に対するワンストップ窓口を、これは平成二十六年の四月ですけれども、設置をさせていただいたり、また、監査監督機関国際フォーラム、この事務局を東京に誘致して、設置させていただいたり、金融庁として取り組んでおります。

 また、これは自治体の取組ということになろうかと思いますけれども、東京都におかれましても、外資系企業やベンチャー企業等の開業手続を一元的に支援する東京開業ワンストップセンターを開所していただいたりもしておりまして、地方自治体とも連携をしながら、しっかり、国際金融都市としての東京の魅力向上、また地位の向上、これに取り組んでまいりたいと考えております。

谷畑委員 時間が来ましたので、もう一問だけ。

 結構、皆、日本人、貯蓄が好きというとおかしいんだけれども、将来に対する不安というので、すぐ貯金、貯金、貯金で。だから、ものすごい、金融機関には莫大な資金があると思うんですね。

 問題は、貯金をしなくてもいい、それは社会保障制度というのか、年金がちゃんとある、だから自分が稼いだものはしっかりそれを使う、かえってそれの方が景気がよくなるし、言えば、豊かになると思うんですね。だから、そこらの点を最後にもう一度質問して、どういう政策、そういうものと連携をしながら、ただ単に、金融庁とかそれだけではなくて、厚生労働省やいろいろ連携をしながら、貯金をしなくてもいいという、ゼロ円作戦というのか、金は必ず皆使うというようないい政策がないかどうか、再度お聞きします。それで終わります。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 谷畑議員から、我が国の家計金融資産、一千八百兆円とも言われておりますけれども、その有効活用について御指摘をいただきました。

 御指摘のとおり、この一千八百兆円を超える家計金融資産は、我が国の強みの一つでもございまして、金融機関における資産運用力の向上などを通じて、国民の安定的な資産形成や成長資金の供給にしっかりとつなげていく必要があると考えております。

 このため、金融庁でもさまざま施策を行っておりまして、まず、家計の資産形成を後押しする税制優遇措置として、NISA、つみたてNISAを導入して、家計に対して、長期の積立て、分散投資を促す取組を行っているところでございます。また、金融機関が顧客と向き合い、顧客の利益にかなう金融商品・サービスを提供するよう、昨年三月には、顧客本位の業務運営に関する原則を策定した上で、金融機関に対して、顧客本位の業務運営に関する方針を策定、公表し、当該方針に係る取組状況を定期的に公表することを求めているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘をしっかり踏まえて、金融庁といたしましても、今申し上げたような取組を通じまして、我が国全体の資金の流れ、これを最適化させて、家計の資産形成と日本経済の持続的な成長につなげてまいりたいと考えているところでございます。

谷畑委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十一分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣府地方創生推進事務局次長岡本直之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 大臣の所信表明に対して質問をさせていただきます。

 大臣は、先日の所信表明で、地方分権改革については、地方からの提案を踏まえ、地方創生や子ども・子育て支援に資するよう、地方への権限移譲、地方に係る規制の見直し等を内容とする第八次地方分権一括法案を提出すると述べられました。

 我が党は、地方分権を語るのであれば、憲法の地方自治の本旨に立ち返って、地方自治体の役割を拡充し、地域の活性化に取り組む財源を保障することこそ大事だと考えております。

 ところが、先日、公的責任における放課後児童クラブの抜本的拡充を目指す議員連盟、これは超党派の議員連盟でありますけれども、この総会に出て驚きました。

 私たち超党派議員連盟と学童保育関係者の長年の運動により、ようやく児童福祉法が改正され、学童保育の設備や運営について、省令で定める基準を踏まえ、市町村が条例で基準を定めることとなりました。そして、これを受けて、厚生労働省令平成二十六年第六十三号というものによって定められた従うべき基準というのがあるんですけれども、これを地方分権改革の名のもとに廃止又は参酌化しようという動きがあるということが語られました。

 きょうは厚生労働省にも来ていただいておりますけれども、厚生労働省令平成二十六年六十三号は学童保育の設置運営基準を定めたものでありますけれども、第一条二項及び三項にはどのように書かれてありますか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準では、第一条第二項において、「設備運営基準は、市町村長の監督に属する放課後児童健全育成事業を利用している児童が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の支援により、心身ともに健やかに育成されることを保障するものとする。」と規定されております。

 また、同条第三項におきましては、「厚生労働大臣は、設備運営基準を常に向上させるように努めるものとする。」と規定されているところでございます。

宮本(岳)委員 お配りした資料一を見ていただきたい。「放課後児童クラブの設備運営基準について」という厚生労働省が作成した資料であります。基準のほとんどが参酌すべき基準となっている中で、職員については従うべき基準となっております。

 これは、この省令をつくった厚生労働省にお伺いするわけですけれども、なぜ、他の基準は参酌基準にしたにもかかわらず、職員だけは従うべき基準としているのでしょうか。

成田政府参考人 放課後児童クラブに関する従うべき基準につきましては、児童福祉法第三十四条の八の二第二項において、放課後児童支援員の置くべき人数と従事する者の要件が従うべき基準とされております。

 具体的には、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準において、放課後児童支援員の置くべき人数については、支援の単位ごとに二人以上とすること、従事する者の要件については、保育士や教諭となる資格を有する者や、高等学校卒業者のうち児童福祉事業等に従事した者で、都道府県知事が行う研修を修了したものであることなどを規定しております。

 これらの職員に関する基準につきましては、異年齢の児童を同時かつ継続的に育成支援する放課後児童クラブの特性等を踏まえ、児童の安全管理など、支援の質の確保といった観点から全国一律で行われる必要があるため、従うべき基準とされたものであると承知しております。

宮本(岳)委員 この事業の特性を踏まえて、質の確保を全国一律でする必要がある、厚労省が職員について従うべき基準としているのにはそういう理由があるわけです。それは、学童保育の職員が特別の専門性が求められるということでもございます。

 私は、二〇一〇年二月二十六日、衆議院予算委員会第五分科会で、当時の長妻厚生労働大臣及び山井厚生労働大臣政務官とこの学童保育指導員の専門性ということについて議論をいたしました。このとき、当時の長妻大臣は、非常に専門的な知識も必要だ、大変な仕事だと思いますと述べ、山井政務官は、ある意味で学校の先生にまさるとも劣らない専門性というのがこれから必要になってくると答弁をされました。

 これも厚労省に確認します。この答弁は今日でも引き継がれている、こう受けとめてよろしいですね。

成田政府参考人 放課後児童支援員の職務に伴う専門性につきましては、平成二十七年三月に定めました放課後児童クラブ運営指針におきまして、「放課後児童支援員は、豊かな人間性と倫理観を備え、常に自己研鑽に励みながら必要な知識及び技能をもって育成支援に当たる役割を担うとともに、関係機関と連携して子どもにとって適切な養育環境が得られるよう支援する役割を担う」と整理しているように、放課後児童支援員に専門性が必要であるとの認識に変わりはございません。

 これを踏まえ、放課後児童支援員に必要とされる専門性を身につけられるよう、従うべき基準として研修の実施を義務づけているところでございます。

宮本(岳)委員 基本的には、その精神は引き継いでいるという御答弁だったと思います。

 こういう専門性を持つ職員が求められているからこそ、学童保育の基準については、社会保障審議会放課後児童対策に関する専門委員会、こういうところで議論をされてまいりました。

 この専門委員会でありますけれども、最終報告が出たのか、今、この進捗状況、どういう状況か、厚労省、お答えいただけますか。

成田政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、女性就業率の上昇に伴い利用児童数が増加している中で、そのニーズへの対応が課題となっております。こうした状況を踏まえ、今後の放課後児童クラブのあり方を含め、放課後児童対策について検討するため、社会保障審議会児童部会に放課後児童対策に関する専門委員会を設置したところでございます。

 本専門委員会におきましては、放課後児童クラブの量の拡充のほか、子供の育ちという観点から放課後児童対策を考える中で、放課後児童クラブが果たす役割や期待される活動内容など今後の対策のあり方について検討しているところであり、本年六月をめどに中間的な取りまとめをしていきたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 これは、本年六月をめどに中間取りまとめということですから、もちろん最終報告は出ておりません。中間取りまとめもまだこれから六月ということであります。

 ところが、先般の超党派の議連なんです、会長は馳浩さんだったと思いますけれども、この議連で、昨年末の閣議決定、平成二十九年の地方からの提案等に関する対応方針では、この学童保育の基準に係る従うべき基準というものを廃止又は参酌化するということが提案されているということが報告されました。

 これは大臣でも内閣府の事務方でもいいんですが、これは一体どういうことなのか、御説明いただけますか。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 現在、地方分権につきましては、地方からの提案を踏まえまして、それについて、地方分権の改革の場で議論をし、また各省庁と真摯な議論をしていくというような形で、その提案についての対応を決めているところでございます。

 この従うべき基準、放課後児童クラブの関係につきましては、今回の提案の中で、例えば高等学校を卒業していない方につきまして、長年にわたり学童保育に従事し、経験豊富な方でありましても、現行の基準では放課後児童支援員になることができない、そういった中で、今年度地方から提案がありまして、一定の実務経験について考慮したらどうかというようなことが方針として出てきたわけでございます。

 こういった一つ一つの課題について、地域差がある中で、そういった地域差を反映していくですとか、いろいろ細かい基準について、現場の状況において見直すべき点があればそれを一つ一つ見直していくということは当然あるわけでございますが、そもそも地方側からは、この放課後児童クラブの従うべき基準につきましては、従来から、より実態の方に、柔軟な運用ができるように見直しをいただきたいということが提案としてございましたので、そういう中で、今回の地方分権改革の提案の中でこういった閣議決定をさせていただいたということでございます。この間に厚労省とも十分に協議しております。

宮本(岳)委員 先ほどの一枚目に示した資料でも、何から何まで従うべき基準になっているわけでもないんですよ。大半は参酌すべき基準ですから、自治体がそれぞれ参酌して決めることができるようになっているんですよね。

 なぜ職員というところだけ従うべき基準にしているかといえば、厚生労働省の答弁にあるとおり、質の確保、これについては全国一律で確保する必要があるから、ここを従うべき基準というふうに定めたと先ほど答弁がございましたよね。各自治体ごとのさまざまな条件があるとはいうけれども、だからといって、全国一律で守らなければならない質が確保できなくてよいということには当然なりません。

 今お話しになっている地方分権改革有識者会議と提案募集検討専門部会の合同会議の議事録というものを読ませていただきました。この資料の二につけているのはその会議に提出された資料でございます。下の段、「放課後児童健全育成事業に係る「従うべき基準」等の見直し」というところを見ていただきたい。その右に「提案団体」、その次に「提案の概要」、設置運営基準の人員資格や人員配置について、従うべき基準の参酌化が書かれております。

 これに対して、厚生労働省の第一次回答はどのようなものであったか、厚生労働省、お答えいただけますか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度の地方分権改革に関する提案募集によりいただいた放課後児童健全育成事業の設備及び運営基準に関する基準に係る従うべき基準の廃止又は参酌化の御提案に対し、厚生労働省といたしましては、第一次回答では、放課後児童支援員の員数に関する従うべき基準は、子供の安全性の確保のため不可欠である、また、研修の実施は、昨今の子供をめぐる課題を把握し、一定のレベルを備えた支援員を養成することで、支援員のさらなる処遇につなげ、質を確保するものとして必要といった内容のお答えをしているところでございます。

宮本(岳)委員 まさに、子供の安全性の確保のため不可欠である、こう答えているんですね。したがって、学童保育のあり方が地域ごとにさまざまなバリエーションがあって悪いわけじゃない。条件に合わせて進める必要があります。

 しかし、子供の安全性の確保のために不可欠なものを崩すということは許されないわけであって、ところが、この次についている再検討の視点、これは内閣府の側が、その今の厚労省の第一次意見に対して述べたことですよ。これに対して、放課後児童クラブの人員不足や支援員の人材不足、また面積基準の方は、実態を考慮して参酌基準にされたではないか、この人員配置基準も同様に参酌基準でいいではないか、プログラムの工夫等によってサービスの提供は可能ではないかというような形で、再検討の視点が突きつけられております。

 大臣、厚労省が子供の安全性の確保のために不可欠だと言っているものに対して、これは一体どういうことなのか。子供の安全などどうでもよい、こういうことなんですか。

梶山国務大臣 対象となる子供さんの安全というのはまず第一に考えなければならないというのは、これは当たり前のことであります。

 就学児童に対する保育ニーズが急速に高まっている昨今、硬直的な基準により放課後児童健全育成事業の円滑な事業に支障が生じているという切実な問題意識から、地方三団体が基準の見直しについて提案をしてきたものだと思っております。

 例えば、高等学校を卒業していない者は、長年にわたり学童保育に従事し経験豊富な方であっても、現行の基準では放課後児童支援員になることができません。

 ただ、本来の支援員と同等の経験、見識を持ち合わせるには、やはり五年以上の実務経験をしている方であればそれが可能であるのかどうかということも含めて市町村長が判断をした上で、そういう者が支援員となることができるよう今年度中に厚生省が省令を改正することとしたところでもあります。

 地方は、こうした点も含めて運営のあり方について参酌化を求めているところでありますが、もとより、学童保育の安全性の確保等一定の質の担保は当然であります。地域の実情を踏まえた柔軟な対応により、放課後児童健全育成事業が地域で円滑に行えるように検討してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 支障が生じているとおっしゃるんだけれども、事は子供の安全性の確保のための議論ですからね。緩める方が、崩す方が支障が生じると私は言わなきゃならぬと思うんですね。

 中学卒の方が職員として働けないという問題はお伺いいたしました。それは別に、学歴の問題でハードルになってやれないということは、それはきちっと、その方の経験だとかその方の熱意だとかあるいは知識だとか、そういうものを勘案して、学歴にかかわらずついていただけるようにするということは、それはそれとしてあっていいことだと思うんですね。ただ、そういうことを一つの一例にして、従うべき基準を参酌基準にしてしまうというこの話が、やはり私は大変問題だと。

 昨年十一月八日に開催された社会保障審議会の第一回放課後児童対策に関する専門委員会では、事務局の川鍋子育て支援課長が、従うべき基準は、そもそも子供の安全性の確保や一定の質を確保するということで、平成二十七年の子ども・子育て支援新制度の施行に合わせて最低基準として作成されたものであり、これを緩和するということについては慎重に考えていくべきと発言をしております。

 委員会の報告もさっき言った専門家会議の報告も中間取りまとめさえ出ていない段階で、なぜ、放課後児童クラブに関する従うべき基準の参酌化を地方分権の場において検討し、平成三十年度中に結論を得るなどということを閣議決定したのか。私は、これは余りにも筋が違うと思うんですが、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 先ほども申しましたけれども、放課後児童クラブの運営に支障が生じているような地域において、市町村長が認めた方、先ほど申しました、ある一定の経験を踏まえて、安全上も十分に担保できるというような条件の中で、これは可能ではないかということであります。

宮本(岳)委員 今、大臣がおっしゃる支障というのは、入れない子供たちが生まれるとかそういう支障だと思うんですよ。ただ、ここで、厚生労働省を含めて、私が、従うべき基準にしているのはなぜかという議論でやっているのは、まさに子供の安全性の確保にかかわる問題でありますから、緩めることによって生まれる支障というのは、入れないとかいう支障じゃなくて、命を落とすとか大けがをするという支障になる。だから、ほかの問題とは違って、この従うべき基準は大事だということを申し上げているわけですね。

 専門家の意見を聞いてやっていくのは当たり前であって、両方並び立っているというんだったらまだわかるんですよ。専門家は専門家で社会保障審議会をやっている、地方分権は地方分権で地方分権の観点から議論している、これが両方あって、やがて意見が違ったらまた何か意見の出し合いをするというんだったらわかるんだけれども、なぜ閣議決定で、もうこちらでやらなくてよろしい、地方分権の場でやるんだと。これを閣議決定したことを、私は、余りにもやり過ぎだ、おかしいということを申し上げているわけですね。

 資料の三を見てください、皆さん。

 第四回社会保障審議会児童部会の放課後児童対策に関する専門委員会に提出された資料ですよ。これはまさに社会保障審議会の側に出された資料ですよ。下から四行目、「参酌基準化による地域の実情等を踏まえた対策等の促進」というところに米印が打たれまして、これに関する論点は、平成二十九年十二月二十六日の閣議決定に基づき地方分権の議論の場で検討となっている。

 これはつまり、あんたらはこれはもう議論しなくてよろしい、このことについては地方分権の場で検討することになっているから検討から外しなさい、そういうことになりますね、大臣。そういうことでしょう。

大村政府参考人 御答弁申し上げます。

 提案募集方式につきましては、地方分権改革において受けた提案でございますので、全般に地方分権の議論の場において議論をし、対応方針を決定することといたしております。

 その際、提案を受けられました関係府省におきましては、対応を検討するに当たり、必要に応じて、関係する審議会等の御意見を考慮して検討を行っていただいておりまして、内閣府として関係府省の審議会等の御議論を排除するというようなことは仕組みとして従来からございません。

 また、今回の放課後児童健全育成事業につきましては、もともと地方公共団体独自で実施されてきた経緯の中で国の方で事業化したという経緯ですとか、それから地方三団体からこういった参酌化を求める意見が繰り返し表明されたということを踏まえまして、地方分権の議論の場でしっかりと地方公共団体の意見を踏まえて検討するということを確認的に明記したというものでございます。

宮本(岳)委員 地方団体から出ている声は、人手不足というものももちろん出ています。学童保育の指導員が慢性的な人手不足であることは、もちろん私も関係者から聞いてよく知っております。担い手がふえないことから、今働いている職員が展望を持てずにやめていくという悪循環になっているということも聞きます。笑えない話ですけれども、ある地域では、募集をかけても若者の応募がなくて、七十歳を超えた新規採用がふえているなんという地域もありました。

 第三十一回地方分権改革有識者会議では、人づくりとか医療とか福祉の関係で参酌化が提案されております。個別の論点として、人員配置基準の緩和ということが言われていますね。この配置基準の緩和をやれば受皿の拡大につながるという何か根拠があるんでしょうか、大臣。御説明いただけますか。

大村政府参考人 今回の従うべき基準の見直し自体が直接的に受皿の拡大につながるかどうかということは、これは、総合的に自治体の方で施策を打っていく中でまた含まれてくることになるかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、受皿の確保のためには、各自治体がそれぞれの持っている政策ツール、安全性の確保を含めました政策ツール全体を考慮して柔軟に対応していくということが必要であろうというのがこういった分権の場での議論でございまして、その中に、当然、安全性の確保ということは前提として入っているわけでございます。

 安全性の確保ということを前提としながら、地方公共団体がそういった全体的なツールを使っていくことによって、受皿の確保をよりつくっていこうということでございますので、御理解いただきたいと思います。

宮本(岳)委員 御理解はいただけませんよ。

 それで、人手不足の理由ははっきりしているんですよ。それは、学童保育指導員の労働条件の劣悪さ、これを指摘しないわけにはいきません。

 厚生労働省、学童保育指導員の低賃金の実態というものをつかんでおりますか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度に調査研究事業として実施いたしました放課後児童クラブの経営状況等に関する調査によりますと、職員の一人当たり給与は、月給払いのもので年額二百七十万円となっております。この背景には、放課後児童クラブの職員の約七割程度を非常勤職員、パート、アルバイトが占めていることがあるものと考えております。

 こうした状況を踏まえまして、平成二十九年度予算におきましては、人件費単価の増額や、勤続年数や研修実績等に応じた新たな処遇改善の仕組みの導入などを行い、職員の処遇改善に取り組んでいるところでございます。

宮本(岳)委員 今、職員について、従うべき基準という、いわばこれを緩めてほしい、これがきつ過ぎると言うているもとで、学童保育指導員の大半は今お話あったようにパート、アルバイト、非常勤。年収二百七十万で、すぐにやめざるを得なかったり、なかなか若い人が集まってこなかったりしているわけですよ。これを自治体で決められるようになったら、あるいは参酌基準に引き下げれば、どんどんどんどん安上がりに、もうお金がないので何とかつじつまをということになりかねないわけですよ。

 私、首長、自治体の判断でというふうに内閣府も大臣もおっしゃるわけだけれども、自治体の判断というのは、では、それほど、どこでも本当に健全なのか、どこでも確かなのかというのは随分疑問なんですね。

 私、前回の、二〇一〇年二月の予算分科会でも、私の地元大阪市で、いきいきクラブと呼ばれる学童保育の事業と、全児童対象の文科省のやっているいきいき活動というのを一緒くたに一体的に運営している問題を取り上げました。

 厚生労働省に確認しますけれども、厚生労働省も会議などで、一体化にならないよう各事業を進めるよう説明している、一体化と見られるような事業をしている場合には、それはきちっと性格を分けてくださいよということを確認しているというふうに聞いたんですが、間違いないですね。

成田政府参考人 いわゆる一体化の取組につきましては、放課後児童クラブのニーズがあるにもかかわらず、児童が安心して生活できる場としての放課後児童クラブではなく、全ての児童に一律の居場所を提供する取組のことを指すものと承知しております。

 これにつきましては、市町村が条例で定める基準を満たしておらず、本来ならば放課後児童クラブにおいて対象となる児童に確保されるべき、日常生活に必要となる基本的な生活習慣を習得し、発達段階に応じた主体的な遊びや生活ができる環境が確保されないおそれもあることから、十分御留意いただきたいと全国児童福祉主管課長会議等の場において周知しているところでございます。

 また、自治体から、一体化の取組に関して、放課後児童クラブの運営について問合せがあった際は、基準の適切な運用がなされるよう丁寧に説明をしているところでございます。

宮本(岳)委員 今お話があったように、そういうことだって、厚生労働省からこういうことですよと言わないと、本当に理解されていない自治体がいっぱいあるわけですね。そういうところから、やらせてくれ、厚生労働省が言うようなかたい基準でやっていたら間尺に合わないんだと言うからといって、何から何まで参酌にしちゃうと、崩されることは明瞭だと思うんですね。

 専門委員会の柏女委員長は、学童保育は子供の成長と権利擁護に重要な役割、機能を果たす場であり、その基準は改正児童福祉法に規定する子供の最善の利益にかなうものでなければならない、支援の根幹である支援員の人数と資格要件を従うべき基準から除外する提案は、児童福祉法の理念に反するものと言わざるを得ない、こう意見を述べておられます。

 専門職にふさわしい処遇に引き上げることこそ、人手不足解消、ひいては制度の拡充につながるということを大臣に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 無所属の会の篠原でございます。

 冒頭、まず事務方の方に、質問通告がかなりおくれたことをおわびいたします。それから、大臣、政務官も、そのとばっちりで準備が十分できなかったのではないかと心配しておりますけれども、これは、大臣、政務官の地方に対する思いとそれから政治的見識で十分お答えいただける質問しかいたしませんので、安心してお答えいただきたいと思います。

 私は、安倍内閣のキャッチフレーズ、いろいろ続いてきたと思いますけれども、この地方創生、いろいろな中でこれが一番いいのではないかと思っています。しかし、内容は、その後、一億総活躍とか女性の輝く時代とか働き方改革とか、きらびやかな美辞麗句が並んでいます、だけれども、一体、この地方創生は、鳴り物入りで、当初は大物大臣、今は大物大臣じゃないなんというふうに聞こえるとよくないんですけれども、鳴り物入りでスタートしました。これは、どの政治家も思いをはせるんです。

 古くは田中角栄さんです。中曽根さんもちらっとそういうことを言われたことがあります。大平正芳さんは、計画だけ、構想だけで終わりましたけれども、家庭基盤の充実、田園都市構想、日本の強さはここにあると。竹下さんはもっと現実的で、ふるさと創生資金事業というのをやりました。皆さん、お忘れかもしれませんけれども、我が民主党政権も、地方分権、地域主権が一丁目一番地ということで、相当地方にお金を、自由にできるお金をやったんです。

 ですけれども、それらと比べて、もう何年たったんですかね、この地方創生。名前は立派で、委員会も特別委員会で、月曜日でも火曜日でも水曜日でも金曜日でも、いつでも開けるようになっています。大事だから、特別委員会で。しかし、その実績はどの程度あったんでしょうか。

 東京一極集中の是正、そして地方への人口の分散とか、地方を活性化するという。私は、具体的姿が見られない、ほとんど見られない。

 日本列島改造論でいろいろな道路ができまして、列車もできました。ふるさと創生で三九%がそこらじゅうで温泉を掘り当てて、市町村営の温泉があったりします。

 一体、この地方創生で今まで、地方の過疎地、特に過疎地の人口減少の歯どめができたのか、東京への一極集中の是正ができたのか。これは政務官にお答えいただくようになっておりますので、お答えいただきたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯どめをかけるため、国といたしまして、これまで多岐にわたる施策を推進してきたところでございます。

 具体的な施策を挙げさせていただきますと、まず、企業の地方拠点強化につきましては、これまで、道府県が作成し内閣総理大臣の認定を受けました地域再生計画においては、一万一千五百六十人の雇用創出が見込まれております。

 生涯活躍のまちの推進につきましては、これまでに九十九団体が地域再生計画の認定を受け、取組を進めております。

 若者の地元就職時の奨学金の返還支援につきましては、現在二十四県で導入されておりまして、来年度は実施県の拡大が見込まれております。

 プロフェッショナル人材の地方での活用促進につきましては、二〇一八年の一月末までに累計で二千五百七十二件の採用が実現しております。

 政府関係機関の地方移転については、文化庁等中央省庁に係る七局庁の案件、研究・研修機関等に係る二十三機関五十案件を決定し、取組を進めております。

 あわせて、意欲と熱意のある地方公共団体に対しまして、地方創生推進交付金等による支援の取組、地方における雇用創出や移住者の増加等の効果が出始めているところだと考えております。

篠原(孝)委員 今の政務官の答弁を聞いていて、素直に、きょう余りいないと思いますけれども、記者は具体的にこれだというのを書けますかね。余り書けないんじゃないかと私は思います。

 ですけれども、私は大臣に期待しております。所信の三ページのところに、大臣のもとにわくわく地方生活実現会議を開催していくと。ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。

 しかし、私は懸念があるんです。これはもう予算委員会のときに、大臣が別のところでお答えいただいています。今の行政、めちゃくちゃです。ほかの今やっている委員会の、何かとんでもないことみたいなものに触れるつもりはありませんけれども、官邸が次々と何とか会議というのをつくって、そこに余り専門家じゃない人たちだけを選んで、同じような考えの人たちを選んで、そこでばかすかばかすか勝手な政策をやっている。

 例えば、私が三十年間勤めました農林水産省には農政審議会というものがあります。厚生労働省にもちゃんと審議会がある。そっちは無視で、官邸が勝手に選んだ人たち、相談もなしで選んだ偏った委員、メンバーで、そして何かよくわけのわからないような結論を出して、これを実行しろと。そういうのが多過ぎるような気がするんです。そして、これまた内閣直結になったりしていますから。

 僕は、それは本当に動くのかなと。本当に地方のことを考えて、そして、ほかの省庁がびっくりする、総理も、こんなことできるか、梶山大臣は狂ったんじゃないかと思われるぐらいの思い切った政策をこういう会議でやって、有識者から聞いて。

 有識者は東京の人は入れないでください。これは、実例がありまして、国土庁ができたときに地方振興局というのができました。そこのところに地方振興審議会というのがあったんです。川勝平太現静岡県知事が座長でした。そこで、地方の意見を聞くといって聞いていたら、地方から来た人が、委員の中に東京以外に住所を持っている人は一人もいない、それでどうして地方の振興ができるんですかと。川勝平太座長は、それに恥じて、まあ冗談半分もあるかもしれませんけれども、早稲田大学の卒業生で、都の西北とどんどんどんどんたどっていったら長野県に行き着いたといって、長野県の軽井沢の近くに居を構えておるんです。地方から日本を見なかったら日本の行く末を誤るということで、今、そういうものの関係があるのかどうかわかりませんけれども、静岡県知事になっておられるわけです。

 一点、まだ資料要求をしておりませんけれども、どういう基準で、どういうメンバーで、どういうスケジュールでやっていかれる予定なんでしょうか。それをちょっと一旦お聞かせいただきたいと思います。

梶山国務大臣 委員御指摘の、私のもとにつくった会議でありますが、地方への大きな人の流れをつくるためということで、本年二月に第一回の会合を行い、今二回目も行ったところであります。

 メンバーは、候補者を挙げてくる事務局がありますけれども、私の判断もあって、できるだけやはり地方に住んでいる方、そして地方に移住して、地方に溶け込んで農業をしている方であるとか、また地方の移住を取り上げたマスコミの方で頻繁に地方を回っている方、また、仕事を通じて社会貢献しようという中で地方創生というものを手伝ってくれている企業の方、そういった方を入れておりまして、東京に住民票があるかどうかわかりませんけれども、従来いろいろな審議会等で活躍してお名前を聞く方などは一、二名入っておりますけれども、それ以外は、そういう自由な発想で自由な議論をしていただくための会議にさせていただきました。

 そして、二回開催をしましたけれども、二回、二時間ぐらいずつかけてやっておりますけれども、それぞれの思いを自由に議論をしてほしいと。いずれ収れんしていきますけれども、その経験談も含めて、今話してもらっているところであります。

 そして、この会議の目的は、UIJターンの抜本強化ということがあるんですけれども、UターンにもIターンにもJターンにもそれぞれやはり考え方がありますし、それぞれの世代によってそれに対する考え方もまた違う。それぞれの受入れ側の地域もまた、この言葉に対する考え方も違う。それらも含めて、受入れ側とそういう希望をする方がどうマッチングしていくのかということも含めて、ある程度の話の収れんをした上で、今ある政策の深掘りであるとか、新たな政策も実行してまいりたいと思っております。

篠原(孝)委員 資料を四ページほど用意してあります。よく見ていただきたいと思います。これをやり出すと、篠原教授のレクチャーがまた始まったと言われるんですけれども、それなりに役立ちますので、よく聞いていただきたいと思います。

 人口がどうなっているかというのを、どうせなら、関係者の県をわざと入れてあります。ですから、資料をつくるのも手間がかかっているんです。ど真ん中に、私の地元の長野県と大臣の地元の茨城県の出生数。そして、一九四七年、団塊の世代のど真ん中を一〇〇とした場合の指数を書いてあります。その下が合計特殊出生率です。この委員会には、地方のことに思いを馳せて、そういう趣旨で手を挙げている方がおられますから、幸いにして、誰がいましたか、後藤茂之さん、下条みつさん、義家さんも長野の生まれのはずです、太田さんとか、いっぱい長野の人がいます。やはり地方を何とかしなくちゃいけないという思いからだと思うんです。

 見てください。一番上の人口。指数が一番いいだろうと思いますね。一・二六ショックとかなんとかありましたけれども。一九四七年を一〇〇とすると、全国で三六です。秋田は、県別では一番最初に人口が減少した県なんです。一九七八年、初めて減少したんです。今もう最もひどいですね。一〇〇としたら一二ですよ、十分の一しか。

 それでは、低い方をやります。立憲民主党の筆頭理事の亀井さんのところの島根も一六。山口は、山口俊一さんのところじゃない、山口県です、総理の県ですけれども。先ほど武内さんが、高齢者率が一番高い県と言った高知県。長野県は二四。茨城県も、東京に近いし、結構そんなことはないんじゃないかと思っていたら、そうでもなくて、北の方がそうなんですよ、三〇です。

 それに対して、下はいわゆる首都圏です。東京は七一です。埼玉、七〇。千葉。神奈川に至っては、ちょうど住みやすいし、九五です。愛知も大阪も。

 先進国の中で、人口の偏在、一極集中の是正がこんなにできていないのは日本だけです。なぜでしょうか。よく言われる新自由主義。経済に任せて、東京で、株価が上がって、輸出がいっぱいできて、そうすればいいということしか考えていないからなんです。

 是正の仕方はいっぱいあるんです。質問の四つ目に入らせていただきますけれども。これは後々、法案で議論します。

 やはり大学が東京になんかある必要はないんです、大学こそ。わかってきたから、今、加計学園問題もその一環で出てきているんだ。結局、工場も、もう来たって、東南アジア、中国の方がいいし、若者というのは大学しかない。

 我が長野県、信州大学は、何か県別にすると、和歌山と長野と、一番地元の大学へ行く率が低い県の一つなんです。ないんです。だから、女性だけの短大を四年制大学にしました。長野大学というのを公立大学にしましたとか、いっぱい努力していますよ。

 それで、諸外国を見ると、私も留学させていただいたんですけれども、アメリカのランドグラントカレッジというのがあって、土地をただでやるからそこにという。私は二つの大学に行かせていただいたんですけれども、ユニバーシティー・オブ・ワシントンという、ワシントン州シアトルにあるんです。ワシントン・ステート・ユニバーシティーというのは、これはど田舎にあるんです。何とかステート・ユニバーシティーというのはカレッジタウンで、ほとんど大学生しかいない町なんです。そこは農学部が必ずあって、地方の産業をというふうになっているんです、向こうは州立大学ですから。だから、イギリスの有名なオックスブリッジだって、ロンドンになんかないんです。

 日本は、銘柄大学はみんな大都市にあるんです。中山素平さんという立派な方が、大学は東京にある必要はないと、地方に国際大学をつくられました。だから、今度の法案は二重丸、三重丸、五重丸なんですよ、東京。遅過ぎるんですよ。

 私は、ぜひこれは、大臣、ちょっと我が党を相当混乱させた知事がぎゃあたら言っていますけれども、そんなの無視して徹底的に進めていただきたいと思いますけれども、その決意を述べていただきたいと思います。

梶山国務大臣 委員が先ほど来おっしゃるように、若い人たちの東京への転出というのは非常に多いんですね。出生率が下がっていることもありますけれども、二〇〇〇年から二〇一五年までの間に五百三十二万人の若者、十五歳から二十九歳までというくくりですけれども、地方で減少しているということであります。それはやはり、就学時と就職時に大都市に出ていってしまう、東京圏に出ていってしまうということであります。

 まずは仕事をつくる。仕事をつくるためにも、地方の大学に、総花的ではなくて、地方の産業、農業も含めた地方の産業に立脚をしていただいて、しっかりとそれをサポートしていく。そして、その産業に必要な有為な人材の育成をしていただく。そして、ほかの地域からも、農業であればここの地域の大学だということで来ていただけるような大学づくりをしましょうと。さらにまた、地域の産業にも、伝統産業も含めてどう着目していくか、そういったことも含めて、この地方大学の振興をしてまいりたいと思っております。

 また、世界の最先端の研究をするということも当然出てくるでしょう。特に、こういった例では、山形県の鶴岡市で慶応義塾大学の先端生命科学研究所という研究所をつくっていただいていますけれども、ここでいろいろなベンチャーが誕生しているということもあって、世界的にも優秀な技術が生まれているということも例としてあります。

 とにかく、今緒についたばかりですけれども、先ほど申しましたような、その地域の産業をどう育てていくか、それで、その役割を大学が担う、そして、大学でまた更に人材を育成していく、その中で仕事をつくり、人を呼んでくるような形にしてまいりたいと思っております。

篠原(孝)委員 これは時間が少なくて質問だけで、答えはいいですけれども、やはり中心に農林水産業を置いていただく、これが一番ふわふわしないでいいんです。だけれども、その観点が消えているんです。

 これは通告してありませんけれども、お二人、大臣と政務官、一社一村運動というのを御存じですか。(梶山国務大臣「一村一品じゃなくて」と呼ぶ)一社一村運動というのを。

 では、レクチャーします。隣の韓国、米韓FTAで、シンガポールや香港と同じ国になってもいいという大胆なことをして混乱しているわけですが、それでは農村は立ち行かないということで、各社が田舎の村と提携してそれを助けていこうという運動を二〇〇四年から始めているんですよ、サムスン電子を中心に。そうやって農村をバックアップしなかったら地方は崩れてしまう、韓国の国の形がおかしくなると。会社が、わかりますよね、そこの農産品を購入するんです。ふるさと納税とか、お金も絡んでやっている。会社がそこの農産品を買い、そこにレジャーに行き、金を落とし、そして地方を活性化しよう、こういう具体的なことをしているんですよ。

 見習うべきだと思いますけれども、我が国にそんな声はさっぱり出てこない。出てくるとしたら、梶山大臣のところからしか出てこないんです。こういうのがあるんです。覚えておいてください、ぜひ。

 そして、農村愛、こういうもの。これは長野オリンピックのときに似たようなのがあるのを御存じですかね。一国一校というので、それぞれの小学校、中学校がそれぞれの国の担当になって歓迎してやったんです。これは、今度の東京オリンピックやなんかにも、そのまま参考になっているはずなんです。一つの小学校、中学校が歓迎してと。心の交流も生まれますしね。

 だから、企業全体も、農村を、地方を何とかしようと協力しているんですよ。賃上げだけが協力じゃないんですよね。こういうのがあるんです。

 そして、いい傾向があらわれているんですね。

 三ページ目の資料を見てください。日本農業新聞です。全国紙はなかなか報じませんけれども。この資料もよく見てください。最近のものを、ことしになってからの記事のわかりやすいものを。

 一番最初の左側、田園回帰の潮流くっきりと、総務省が過疎地着目し調査、移住増地域が三・七倍にという、一番上の表です。百六十八地域しか移住者が増加していなかったのに、三百九十七になったというのが上の表。

 それで、総人口に占める移住者の割合がふえているのは、左側、二〇〇〇年から一〇年では二百五十だったのに、二〇一〇年から一五年で六百三十一になっている。

 しかも、ここからが大事なんです。いいですか、十代以下一二%、二十代二二%、三十代二三%。五七%が三十代以下なんです。お年寄りじゃなくて、若い人たちが鋭敏なんです。こんな東京にいられるかと。それは、いろいろなのがあったからだと思います。東日本大震災もあったと思います。価値観が変わったと私は思いますよ。

 どうでもいいことかもしれませんけれども、私が農林水産副大臣のときに秘書官をやっていたのはふるさとが山形です。今、鶴岡の例って出されましたけれども。あの大震災の日に、奥さんの父親のお葬式に、奥さんの出身が石巻だったんです、あの災害に出くわしたんです、現場で。すぐ帰ってくると言っていたから、僕は、ここは立派なんです、帰ってこなくていい、東京なんかかわりは幾らでもいる、そっちで役に立ってこいと言って、石巻市役所で大活躍してきました。人生観が変わりました。農林水産省をやめて地元に帰りました。今、そこの市長をやっています。

 こうやって、若者は鋭敏ですから、感覚が変わってきたんです。

 それでは、次、右のを見てください。

 半数が、豊かな自然を求めてということで、「気候や自然環境に恵まれたところで暮らしたい」、「働き方や暮らし方を変えたい」と。これで一番下、「良好な環境で子育てしたい」と。

 ほかの資料もあるんですけれども、みんな表だらけになっちゃいけないので。半分以上が、転居前からいろいろな形でつながりがあった人たちがこういうふうにしていると。

 それから、これは条件が大事でして、資料二に移りますけれども、生活ができて収入ができるというのが……。ちょっと資料に入っていない。

 それから、必要なサービスがあることをやはり心配しているわけです。必要なサービスって何でしょう、若者。まず学校なんですね。小学校、中学校、保育園。

 都会の待機児童問題ばっかしががたがたされます。多分、大臣の茨城県の地元でも、都心に近いところは待機児童問題があると思いますが、こんなことを言っては失礼ですが、北の方なんて待機児童なんてとっくの昔に消えて、保育園はなくなる、小学校はなくなる、中学校はなくなる、高校はなくなる。だから若者がいなくなるんです。

 移住相談件数がこんなにふえた。

 それで、問題は、移住希望地ランキング。右が一七年です。済みませんね、我が長野県がトップです。別に私がいるからではないですけれども。長野、山梨、近いところ。それから、静岡、広島、福岡、岡山というのは、これは多分、東京に近いし一部都会的なのがあってという、ちょっと違うと思うんです。八位の福島から宮崎、富山、愛媛、高知、まあ客観的に見て、こちらは、のどかなところで生きたいという。和歌山は、同じように、東京に近いという。

 東京に近くて、そこそこ田舎っぽくて、「ひよっこ」で大人気だった茨城県が入っていないんですね。何でなのか。それぞれ国民の趣味というのは。人が悪いなんて言われていないし、何もないんですけれども、近場ですし、いいです。だから、どうやってこうやって選ぶのかもよくわかりませんけれども、しかし、これは、若い人たちがこれだけこういうことを言い出してきているんですよ。

 日本農業新聞、その裏を見ていただきたいんですが、これは私の地元の信濃毎日新聞も、いろいろなところのを言っています。老後移住が一九・一%、地方都市にと。住みよい、移住に関心がある、企業が支援してくれたら地方に住みたい。在宅勤務とか、こういうことを大胆にやればいいんです。それで、地方に住んでと。

 そして、幸いなことに、二ページ目の、医療関係での大都市と地方の隔たりというのを見てください。これは、ちょうどいいなんて言っちゃ悪いんですが、人口十万人当たりの医師数を見てください。京都府は、京都府立医大もあり京都大学もある。東京は山ほど大学があるから多いんです。徳島、高知と、田舎の県なのに何で多いのかと思う。

 山口筆頭理事にちょっと先ほど申し上げましたけれども、医学部は、どう教育したって二百人、三百人の定員はできないんですね。百人なんです。そこで六年なり研修をやっていたらそこに居座る人が多いから。だから、徳島、高知、あとほかにあります島根とか鳥取とか、そういうのなんですよ。大学というのは、そういう意味では大事なんです。逆に、右側の方は、埼玉、茨城、千葉は、人口がどんどんどんどんふえているっきり、近くに医学部ができない。東京は遠いというからこういうふうになる。

 下から二番目の表を見ていただきたいんですが、また長野県自慢になってしまいます。平均在院日数、日数の少ない順番。神奈川、東京、千葉が上から三番目です。当たり前です。若い人たちが一番いるからです。こんなのは病院に長くいるはずがない。長野県は、一番長寿の県なんですけれども、四番目に病院にいる数が少ないんです。真面目に働いて、外で兼業農業をやって、手間暇かかる果樹だとか野菜だから、年寄りのやるのが必要なんです。ところが、我が日本の農政は、そういう年寄りがやる農業をやめて、大規模ばかりする。これは私からすれば全く真反対の政策だと思います。医療費はどれだけ長野県の方が少ないかということは、こういうことから見るとわかるんです。

 そして、空き家について言っております。空き家が全国で一三%、それで、長野県、一九%。私は、若い人たちにどんどん来てもらえばいいんじゃないかと思っております。

 これは、ぜひ、移住大チャンスです。若者の移住について大胆な政策を何か打ち出していただきたいと思いますが、何かお考えになっていることはありますか。

梶山国務大臣 委員がおっしゃるように、移住の数もかなりふえてきてはいるんです。ただ、人口減に比べると、どうしても、数が少ないという中で、成功例を余り見せることができないでいるんですけれども。

 私の住んでいる茨城県も、栃木県と福島県の県境で、委員がおっしゃった県の北部の方でもあります。「ひよっこ」のモデルになった地域でもあります。でも、少し市町村で政策を変えて、子育てに少し特化をしようということで、子供さんたちの保育園、先ほど議題にありましたが、学童保育をしたり、朝七時から夜八時まで保育園料を半額にしたり、三人目から無料、そういうこと、家賃の補助もする、そして子育ての相談も受けるということでやったら、子供さんがふえてきたんですね。

 そういう取組を地道にやっていくということが地方への移住につながると思いますし、価値観を変えていただくことが必要なんですけれども、そのためにどんな発信が必要なのかということも、先ほど申しました会議で今議論をしているところでありまして、本当に必要な情報をしっかりと発信できるように頑張ってまいりたいと思います。

篠原(孝)委員 マスコミはいろいろな言葉をつくりますけれども、理科系の女性のことをリカジョとかいうのもありますけれども、最近は移住女子というのもあるんです。

 ただ、男は、組織で出世していこうと思って、まあ、けちな人生観とは言いませんけれども、立派な人生観。女性は、もっと自分で満足できる人生を送ろう、田舎に移住して住もう、女子の方がそういう気持ちになっている人が多いんです。そこが、いいチャンスだと思います。

 ですから田舎のことも、待機児童問題だけ言い過ぎですよ、地方に行くようにすればいいんです。ないからなんです。おわかりだと思いますけれども、僕が言わなくたって。小学校なくなるんです。だから、若い人は住めないから里へおりるんです。中学校もなくなる。高校もなくなる。小学校は、絶対に歩いて通える範囲に、どんなに金をかけても置くべきだと思います。経済効率だけで大規模統合している、農業の大規模と同じように。そんな愚かなことをしているのは私は日本だけだと思います。小学校は、絶対その地域、地域にあるようにすべきだと思います。

 そして、私のつくった言葉ですが、某委員会で言ったんですね、待機児童も問題だけれども、かわいそうなのは待機じいちゃんだと。待機じじいの方が、孫の顔を見たい、孫をかわいがりたい、全然来てくれないと。僕は提案したんです。どういう提案かというと、大変かもしれないけれども、帰るときの、一週間に一回、親が帰る電車代だけ補助したっていいんじゃないかと。おじいちゃん、おばあちゃんは喜んでいる。一週間に一遍、夏休みや冬休みはいるしと。そうやって、なるべく小さな子供を地方に住めるようにする。

 片仮名言葉は亀井亜紀子さんは嫌いだと言われましたが、二重生活というと、何かあっちの女とこっちの女みたいになるけれども、デュアルライフです、そう言われています。パリは、必ずもうそういう人が大半なんです。生活の糧はパリだけれども、週末は田舎で過ごす。田舎が大半なんです。だから、長野とか新潟は近いから、こういう政策をまずやって、和歌山とか静岡とかそういうのも、こういうことをやっていただけたら全然違うと思うんです。これは、ほかならぬ地方創生担当大臣のところしかできません。

 そして最後、この前、予算委員会でできなかったんですが、この次、国家戦略特区の法案もありますから、そのときにやりますけれども、八田達夫委員のような方を委員にして何かやるというのは、僕は問題だと思っていますので、これを覚えておいて。この次のその法案のときはぜひ八田委員とここで議論させていただくことを委員長に切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 希望の党の下条みつでございます。

 午前中からもう六時間近くなって、九人目でございますので、ぜひ、もう一踏ん張りでございます、大臣、よろしくお願いいたします。

 私の方は、法案が来週とうとうでありまして、これは若者中心の法案、そしてこれは、私どもは審査を一応通して政調を含めて賛成ということで今握っておりますので、それを最初に申し上げたい。

 きょうは特に、推進交付金と、それから私の方から、僣越でございますけれども、御進言みたいな形でちょっと御提言していきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いします。

 まず、きょう最初の方に、質問に対してお答えがあったとは思うんですが、推進交付金、残が多い、繰越しもある。そんな中で、この残について、今、そちらでどのように執行の原因があるのかなと、それをちょっとまず最初にお聞きしたいというふうに思います。

山崎政府参考人 推進交付金の執行残のお尋ねがございました。

 平成二十八年度、二十九年度の二年間で合計二千億円の予算が計上されております。今年度末で、現状では約一千六百億円が執行され、執行残は約四百億円が見込まれてございます。

 この原因でございますが、二十八年度、二十九年度におきまして、いずれも早期執行を求められる補正予算を優先して執行した結果であるというふうに考えさせていただいております。

 以上でございます。

下条委員 せっかくいい地方創生の予算であるので、今、補正があったからちょっと残っちゃったという話でありますが、私は、まず、残った原因については幾つかあると思うんですけれども、一つは、やはり偏っているからですね。四十七都道府県の中で、私の場合、後藤さんとは同級生なんですけれども、篠原さんもいまして、長野県は割とあったりとか、一方でどこかの県は少なかったりとか。

 これというのはやはり、大臣も茨城であれですけれども、非常に人的なものがなかなか補填できていないところがおくれているような感じもしますし、また、この数年だけの間の成功事例みたいなものも徹底されているのかなというのもありますし、その辺の、まず政府側の、都道府県に対して、こんなのあるぞ、もっとこうやって使えよ、いいじゃないか、細かくて三百万だろうが二億だろうがいいんだというところが、まだちょっと何か県にばらつきがある、若しくは村にばらつきがある。

 例えば件数というのは、同じ村でも、二回も三回も四回も、別であれば申請できます。それは、なれてくればそうなる。若しくは、総務省から出向した人がいる等々ある場合は、非常に連携が強くなったりする。このばらつきを解消することがまず一つ目の、執行残を残さない、また簡単に言えば大臣の御実績が上がっていくということにつながっていくんじゃないか。その辺はいかがでございますか。

梶山国務大臣 下条委員おっしゃるように、ばらつきがあると感じております。ちょっと大臣に就任してから調べてみたんですけれども、全国の市町村でどのくらいこの交付金を活用しているかということで、大体四分の三なんですね。四分の一は、まだ活用していないし、なかなか手も出せないでいるというのが現実であります。

 今言ったように、人材面の問題もあって、なかなかそこまでというところもある。人材面では、中央省庁の人間、また大学の人間、民間の人間、希望していただければ、そこに二年から三年の間で人材の派遣もしましょうということもやっておりますけれども、ことしが五年の総合戦略の中での中間年という中で、少しずつやはり軌道に乗せていくということで、成功例の周知も含めてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 ちなみに、長野県内における交付金事業の支援としては、例えば飯綱町における、住み慣れた地域に住み続けられる町形成事業ということで、貨物輸送会社と地域のバスとの連携を図ることで、買物代行機能を含む貨客混載バスの導入、効率的な公共交通の運用をすることで、役場庁舎から町の中心駅までのエリアを核とした地域の活性化を目指す取組をしていただいています。

 また、塩尻市、松本市、安曇野市の三市連携による松本広域圏しごと創生事業は、商工会議所、金融機関、地域内外の民間事業者と連携して、起業、創業を促進、支援する体制の整備のもとに、共同でPRを行うことで、地域内外からの起業家精神を有する人材を集積させ、仕事を創出することにつなげようとするものであります。

 これは長い取組なんですね。五年の総合戦略とはいいながらも、まだジェットコースターの、上から下り続けているところでして、そこにブレーキをかけて、どこで持続可能な地域になるかということも含めて、息の長い取組をしていかなければならないと思っておりますし、先のことを言うと、単年度ごとの予算ですからお叱りを受けるかもしれませんけれども、やはりしっかり次の世代、その次の世代の危機感を共有しながら行っていくものだと思っております。

下条委員 大臣、ありがとうございます。私の地元もおっしゃっていただいて、光栄でございます。

 地元としては幾つか、大臣、ばらつきはありますよね、表で見ていただいて、私の手元にありますけれども。あれを見る限り、先ほどちょっと申し上げた、僣越ですけれども、やはり人の濃度の違いかなという感じがします。

 きょう前場でAI関係の話も出ましたけれども、実際に人が行かなくても、例えばテレビ中継をしてサポートをしていくとか、例えばスカイプとかいろいろあるんですよ、今、御存じのとおりで。原子力専門なので、そっちの方もすごいと思いますけれども、いろいろな意味で今発展しているものがあるので、そういうものを使いながら、現地に行かなくてもこういうことでサポートできるよ、若しくは、テレビ中継をしながら、こういう支援物の成功事例があるからというのをどんどん広げていかないと、本当に、申しわけない、長野県は割といいんですけれども、ばらつきが非常に出てきているところに知れ渡っていないのは、今、大臣おっしゃっていただいたんですが、四分の一あるというのはそこだというふうな感じもしています。

 そういう意味では、人に、また金もかけなければいいというのであれば、そういう中継物とかも、大臣が中心になってやっていくことによってこの交付金を使い切れる、また次につなげるということではないかなと思いますので、何とぞ前向きに御検討いただければというふうに思います。

 次に、今のは足りない分を、使い切っていないものをどうするんだ、こういう話であるんですけれども、もう一つは、私も民間に二十年いて、大臣もそういう原子力関係にいると、いろいろなものをつくった後に何が一番大事かというと、これを検証することですよね、検証する。

 つまり、例えばKPIにしろPDCAにしろ、そういう問題は大臣の足元でいろいろ皆さんやられていると思うんですね。私が調べた限りでは、ただ、そんなに、例えば百人集めたからこの金額だけれども、五十人になったからどうだとか、余り細かいのはない。でも、やはりチェック機能をしていかない限り、出したはいいが俺は知らぬぞとなっちゃう可能性もある。

 僕は、やはり貴重な財源を使っての実行であるし、先ほどからいろいろな問題が出てきて、地方がいかに重要か、その中心が大臣です。そういう意味では、このチェック機能をどうやってやっていっているか、まだちょっと数年ですけれどもね。それについてどういう御判断の結果が出て、これはいい、これは悪いというのはどの程度あったか、これまたちょっと、もし大臣の口からいただければというふうに思います。

梶山国務大臣 委員おっしゃるように、地方公共団体のKPIなどを設定した上で、その達成状況を、外部有識者や議会の関与を得ながらみずから検証し、PDCAサイクルによる事業計画の見直し等を行って次に生かしていくということが大変重要なことであります。

 先ほど申しましたように、この総合戦略、今年度、間もなく終わりますけれども、中間年ということで検証を行いました。全体の検証ですね、全体の数値の。その中で、ある一定の進捗を見せているものもあれば、先ほど来議題になっているんですけれども、東京への一極集中がなかなかやはり是正できないという課題もはっきりとしてきたわけであります。

 それらとあわせて、個々の政策、市町村、都道府県における政策についても、そういう検証を含めて、次どう深掘りしていくのか、加速をしていくのか、それとも、この政策より別な形の方がいいのかということも考えてまいりたいと思いますし、それはしっかりと委員のおっしゃるような形で進めてまいりたいと思っております。

下条委員 物というのは、やはり評価があって、初めてそこできちっと進んでいるか、若しくは欠点があったか。

 それで、私は、大臣、今ここで審議して、それで執行される予算、この報告が、会計検査院とか決算委員会とか、それから有識者会議になっちゃっているんですね。ですから、私、別に特別委員会がほうだはあだというのはないんですが、こういう重要な税金を実行して、有識者の皆様を含めて対応していったのであれば、できればこの特別委員会の方に、どういう結果になって、どういう評価になったんだというのをどんどん報告してもらいたいなと思っているんですよ。

 それは、大臣、いかがでございますか、大切なことのような感じがしますが。

梶山国務大臣 検証結果につきましても、ホームページ等を通じてオープンにはしているはずでありますけれども、特別委員会に対しての報告というものも、必要であれば折に触れてこの政策の成果というものを対応してまいりたいと思いますし、先ほど来お話をしているんですが、短期間ではなかなか難しいんですね。そういうものもある。これは言いわけがましいんですけれども、息の長い取組だと。やはり、先ほどまだばらつきがあるんじゃないかというお話がありましたが、同じレールの上に全市町村に乗っていただいて、そして同じ方向、目的を持ってやっていくこと、それも今の時期の大きな役割、目標だと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この委員会にも、こういう結果になったぞと。これだけ審議をしているわけですから、皆様、頭の知恵を絞って。ぜひ、評価結果、こうだぞというのが報告いただけるような形になれればというふうに申し上げたいというふうに思います。

 それから、私は、この執行した交付金なんですけれども、大臣、やはり新規がだんだん減ってきちゃっている。これは、簡単に言えば、私も頭悪いんですけれども、繰越しがある、公共、非公共を含めて継続があると。それを保っていって、その継続が三年、五年になれば、どんどん新規の枠が狭くなる。これは単純な引き算、足し算ですよね。要するに、その削られていく新規というのは非常に発展性がない。つまり、そのまま新規が減っていっていいのかと見ているのか、それとも、頑張って我々も後押ししますけれども、もうちょっと予算をくれやと。そのために一旦使い切らなきゃいけないんですけれどもね、大臣。それが最初の話です。

 だから、それをもって新規の方にふやしていくには、さっき言ったプロパガンダ、宣伝もあるし、サポートもあるし、このままで本当に座して待つのかなという感じはするんですが、私は、何とか大臣にリーダーシップを発揮していただいて、新規をどんどんふやしていって、継続は三年、五年ですから、ちょうど三年目、あと二年残るかことしで終了ですけれども、その辺の御覚悟をちょっとお聞きしたいと思います。

梶山国務大臣 全国の市町村長を対象としたセミナーもありまして、私が講師になったりもしているんですけれども、そこで、成功事例を挙げて、とにかく皆さん手を挙げてほしい、そして、さらにまた、手を挙げただけではなくて窓口に相談に来てほしい、しっかり相談した上で計画を練り上げましょうやということで、門戸は開かれているというお話もしています。

 そのことによって政策に磨きがかかって、しっかりとした政策が出てくると思いますし、先ほどからもあるんですけれども、交付金は使い勝手が悪いということに関しては、地方六団体からもお話もありましたし、また交付金の上限額であったり対象であったり、そういうものも見直しはしているんですけれども、基本的に、やはりソフト、市町村の体質改善がメーンだと思うんですね。それに関連してどういうハードが欲しいんだということも含めて、従来の予算の足しになるというよりは、そこをしっかりやはり意識していただくことが大切だと思いますし、そういったもののお手伝いは、関係箇所を挙げてやらせていただきたいと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 四分の一、まだいっていないところもありますし、なれちゃってどんどんいっちゃっている市町村もありますし、やはり税金は一定の県のためではありませんので、またどんどんどんどん疲弊している地域もありますので、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、ソフト部分のサポートにぜひお力をいただければというふうに思います。

 次に、今、皆さん、若者をどんどん地方に戻せという話があって、これは私もそう思いますし、今度の二法案も、先ほど言いました、大臣、賛成でございます。いち早く賛成でございますので、それはそれでいいんですが、私が歩いていて物すごく思ったのは、やはり東京というのは、山でいうと、大きい山があるんですね。麓に若い人が住んでいたら、一回は登りたいんですよ。私みたいに田舎の大学を出ているとそうじゃないんですけれども、一回あそこに行ってみたいなって行ったら、その魔力の景色のよさで、住む場所は少ないんだけれども、結局はそこにいちゃうというのが今の。

 それで、田舎で生まれて、出産費用補助、保育補助、就学補助をいただき、いろいろなその地域の税金であるものを、公園とかいろいろなものを使っていながら、高校、中学を卒業し、また専門学校を卒業したら東京に来ちゃって、こっちで税金を落としてしまう。これを急に、おまえら地元に全員若いのは帰れというのは僕はなかなか難しくて、そこが今大臣が御苦労しているんだと思うんですね。

 私はできが悪いのでちょっと浪人していましたものですから、そのときに、まず僕が言われるのは、若い人は何と言うかというと、大臣、まずは、小児科医院あるの、下条さん、次は、産科があるのかですよ。この女性の方々の意見が通らないところには結局女性は来ません。そうすると次の出産が生まれない。女性がいないところに男性は来ないんです。例えば大学もそうですよね。私のときは信州大学は一学年二人しか女性がいませんでした、今は半々ぐらいになりましたけれども。

 そういうのを考えたときに、やはりそういう部分にもうちょっと気を配る。これは厚生労働とかいろいろな問題が出てくるんですけれども、もちろん財政の問題が出てきますけれども、そういう部分は、実を言うと、自分に置きかえたときに一番重要な身近な話であって、確かに、こっちにいったら何とか就学してほうだと言っていても、実際は女性が地元にいない限り、男性はそこにくっつきにくいと僕は思います。したがって、女性がどんどん出ていっちゃうと、今度は結婚する人がいないから、私の地元でも多いんですけれども、外国の方と結婚したり。またそれでいろいろな問題が起きちゃうんですけれどもね。それで東京に出ていっちゃう。これが何となく縮図だ。

 だから、きょうは財政面を含めて、どうだはあだというのではなくて、プレゼンです、あくまで私のプレゼンです。私の肌で感じたプレゼンを申し上げているんですけれども、地域では、あと、さっき篠原さんがおっしゃった農業問題もそうですよね。大臣、ちょっと当てずっぽうでいいんですけれども、東京の食料自給率はカロリーベースでどのぐらいか御存じですか。わかってもわからなくてもどっちでもいいんですけれども。

梶山国務大臣 一%未満であると承知しております。

下条委員 さすがでございます。尊敬する大臣、さすがです。

 そのとおりでございまして、そういう中で、農業というのは東京でできないわけですから、それを、私ども農林国である長野県ではサポートしていかなきゃならない、土地改良もしなきゃならない、いろいろな問題が浮上してくる。そういう意味で、ではその担い手はとなってくると、結局は、担い手がいても嫁さんがいないとみんな廃業して違う仕事をする、出ていってしまう、こういうことですね。それが一番のネックになっている。これは僕は、若い人たちの話をしたらもっともっと時間がかかると思っています。

 私は、では下条、おまえ何を言いたいんだというところですけれども、これは逆に言えば、年をとった方がたくさんいるんですよ、田舎は。大臣のところもそうですよね。例えば、私の地元でも八十幾つで助産婦さんがいます。元気いっぱいです。そういう助産婦さんとかそれから看護師の資格を持った方とか、まあ農業でも元気な人もいますけれども、そういう資格を持った方々の働き場所というのは割とあるんですけれども、なかなかみんな遠慮しちゃう。なぜかというと、やはり若い人はいないし、またそれに補助がないとなるとちょっと手を引いてしまうんですね。

 私は、これもあくまでプレゼンですけれども、そういう方々が元気なら、私の地元では、産科に行かないでも助産婦で出産したりしている人も相当いらっしゃるし、またお年寄りの女性の方が若い出産の方も安心するんですよね。私の後援会長で、ある病院の病院長がいらっしゃいまして、息子さんに明け渡して、もう下条君、あなたのことを全部やるぞと言っていたやさきに、ほとんどの患者さんの、お母さんたち、お母さんというか本人から、若先生じゃなくて大先生でお願いしますと。

 そのぐらいやはりお年をとった方の方がいろいろな意味で経験を積んでいて、産科や小児科について安心できるのかなと思うんですね。ですから、ある意味でそういう方はもう定年を越しちゃっているので、本当に個人的なつながりしかできないんですよ。例えばシルバーでもある程度限界がある。

 その辺で、ぜひまた、今後の課題ですよ、今後の課題として、地方で元気な人がいるんだったら、地方で元気な人にもっと働いてもらえばいいじゃない。そうすれば、その人が税金を納める、物を買う。年金だけに頼らないから、年金の問題、いろいろ文句を言わなくなるかもしれません。

 そういう意味では、そういう発想で、今あるマーケットで逆に少し税金を払ってくれるような体制に戻していく一つの足がけが地方創生だと僕は思っているんですが、大臣、いかがでございますか。

梶山国務大臣 健康長寿社会の実現が一番であると思っておりますし、高齢者の方が生き生きと働けるような地域づくりということも当然必要だと思っております。シルバー人材センターなどを通じて、生きがいを持って、もともとやっていた職業で、日々、そういう要望があればお手伝いをしている方もおいでになりますし、そういう地方の働き方改革というんでしょうか、一億総活躍という言葉もありますけれども、そういったものも含めて地方でよく考えていかなくちゃならないと思っています。

 あと、先ほど医療の話がありましたけれども、これは地方創生をやっていく中で、島根県の山間部、広島県との県境の方になりますけれども、そこで、小さな町ですけれども、産婦人科もあり、小児科も常設であるというところがあります。お話を聞いたんですけれども、全国に公募をして、やる気のあるお医者さん、これは大学病院の人の流れではなくて、みずから手を挙げて五十代の方たちに来ていただいたというお話も伺いました。

 やりようによってはそういうこともできますし、そのことによって若い人たちが子育てもできる、ここで出産もできる、そういう状況になると思いますので、そういう成功例をしっかりとつくった上で広報をしていくことが大切なことだと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 言い方はあれですけれども、やはりスタッフ的に充実していないというのが原点に、私が最初申し上げた。それをいかにサポートして、ああ、そういうところもあるのかということが知れ渡ることが、ひいては実績につながり、積み残しもなくなり、またそれが次の予算の膨らましにつながってくると思いますので、ぜひ、成功事例の徹底、またソフトの各市町村へのサポートをお願いできればというふうに重ねてお願い申し上げたいと思います。

 次に、若い人たちは先ほど言ったいい法案でサポートはできるのでありますが、逆に言うと、都心部で、ある程度年齢が上がって、六十、六十五過ぎてもうリタイアしたいと。ただ、さっきのUターン、Iターンのあの表にもありましたけれども、そういうときに多くの方々は何を考えるかというと、大体六十五、六十七、八になってくると、ローンも二十年終わって、子供も大きくなって、ではその持家をどうするかな、いや、しかし、田舎に行って母ちゃんとゆっくり暮らしたいけれども、いろいろな税制の問題があるなと。

 そこで、税制なんですけれども、これは、きょう財務省はあれしておりませんが、釈迦に説法ですけれども、小規模宅地等の特例というのがあって、もうあえてあれしませんが、簡単に言えば、住んでいたり事業承継していた場合については特例で少し相続税を安くするよと。それは住んでいなきゃだめだ、あなたはと。

 例えば、一般のリタイアした六十五、七十ぐらいの方の夫婦がそこに住んでいないと、息子さんたちにそれが渡ったときに安くならない。だけれども、住むのはあれだけれども、ちょっと田舎でゆっくりとお父さんと一緒に温泉につかりながらという人はたくさんいるんですよ、僕の周りにも。東京でもいますし。その人たちの間口は実を言うと地方にはたくさんあるのにもかかわらず、こういう税制があるために、では売っちゃうか、それともそこに住み続けなきゃいけないか、あとはごまかすか、半々にするとか、そういう話になっちゃう。

 私に言わせてもらうと、お金持ちは別荘とかにすればいいんですけれども、なかなか、今のこういう御時世で先行き不透明で、年金はどんどん今削られたりして、スライドになったりしている中で、ちょっと不透明だとなると、できたら家は持っていながらも地方に行って、そして地方で生活して、消費税を払って、また税金を払って、そこで生活したい夫婦というのはたくさんあるんですよ、大臣。ただし、手放すことはできないし、手放すとまたちょっと不安だと。その税制とのいろいろな兼ね合いの中で、そういう夫婦が、東京都の、ある意味で会社としての人生を卒業した御夫婦等々の方に非常に多いと、私の耳に入ってきています。

 そこで、これは本当に、これからのプレゼンです。きょうは、大臣、全くプレゼンなんです、九人目なんでプレゼンです。そういう意味では、できたらそういうところにも、地方創生委員会として少しサポートできるような形を徐々にとっていく。

 そうしていった中で、何だ、俺たち、家を持ってもちゃんと田舎に住むことを実証していけば、それは、例えばある程度のあれもかけてもいいと思うんですよ、所得とか。例えば、リタイアしていても資産を持っている人はたくさんいますし、別荘になる人もいるし、大企業も、顧問さん、何とかさんというのはまだ今ありますけれども、そういう方は別にして、一般的な方が、苦労してローンを払い終えて、持っている御自宅を手放さなくても、地方の住みたいところ、海でも山でも川でも、そこで暮らせるようなシステムをつくっていくのが、今ある東京の方々を自然に、彼らの思惑どおりに誘導することが僕はできるんじゃないかと思うんですよ、実際にそういうサポートができれば。

 その辺、税制がちょっと絡んできちゃうものですから、きょうはもう時間が余りないみたいなのでこれで終わっちゃうんですけれども、私としては、そういう部分が、今あるマーケットで自然体で人が動かせるんじゃないかと思って、これも大臣、一つのプレゼンなんですよ。ぜひこれを検討して、私は財務金融をずっとやっていましたので、サポートもさせていただきたいと思いますし、大臣、ひとつ、ぜひ前向きなお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。

梶山国務大臣 地方創生に関しまして、企業が地方に移転することなどに対しては税制改正の要望もしてまいりましたし、一つの手、誘導策であると思っております。

 税制であったり金融であったり信託であったり、代がかわるときの資産のあり方をどう考えていくかというのも非常に重要な視点だと思いますので、また御指導を仰ぎたいと思います。

下条委員 ありがとうございます。

 ぜひ、若い人を力ずくもいいんですけれども、せっかくあるマーケットを、その人たちを波に沿って、水が上から下に流れるようにやるのが本当の長続きの政策だと思いますので、ぜひ前向きに検討いただければというふうに思いまして、ちょっと時間が参りましたので、また今後ともよろしくお願いします。

 御回答ありがとうございました。

渡辺委員長 次回は、来る十九日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会


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