衆議院

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第5号 平成31年4月18日(木曜日)

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平成三十一年四月十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松野 博一君

   理事 池田 道孝君 理事 加藤 寛治君

   理事 中山 展宏君 理事 山本 幸三君

   理事 義家 弘介君 理事 今井 雅人君

   理事 白石 洋一君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    安藤 高夫君

      石崎  徹君    泉田 裕彦君

      大西 宏幸君    加藤 鮎子君

      金子万寿夫君    神田 憲次君

      木村 次郎君    国光あやの君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      後藤 茂之君    高村 正大君

      佐藤 明男君    杉田 水脈君

      平  将明君    高橋ひなこ君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      船橋 利実君    古田 圭一君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      渡辺 孝一君    大串 博志君

      亀井亜紀子君    長谷川嘉一君

      福田 昭夫君    松田  功君

      斉木 武志君    緑川 貴士君

      太田 昌孝君    浜地 雅一君

      本村 伸子君    串田 誠一君

      広田  一君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          片山さつき君

   内閣府副大臣       あきもと司君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大角  亨君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       伊藤 明子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中原  淳君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         山野  謙君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           坂井 和也君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            佐藤  淳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 赤堀  毅君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           平野 統三君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       渡邊 厚夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           米田 健三君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          鎌田  篤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           福田 守雄君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  宮本 岳志君     本村 伸子君

同月十六日

 辞任         補欠選任

  杉本 和巳君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  森  夏枝君     杉本 和巳君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     宮路 拓馬君

  小寺 裕雄君     泉田 裕彦君

  谷川 とむ君     杉田 水脈君

  長坂 康正君     高橋ひなこ君

  丹羽 秀樹君     高村 正大君

  福田 達夫君     三谷 英弘君

  宮川 典子君     八木 哲也君

  杉本 和巳君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     小寺 裕雄君

  高村 正大君     国光あやの君

  杉田 水脈君     古田 圭一君

  高橋ひなこ君     青山 周平君

  三谷 英弘君     本田 太郎君

  宮路 拓馬君     石原 宏高君

  八木 哲也君     宮内 秀樹君

  串田 誠一君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     長坂 康正君

  国光あやの君     船橋 利実君

  古田 圭一君     木村 次郎君

  本田 太郎君     安藤 高夫君

  宮内 秀樹君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     福田 達夫君

  石崎  徹君     宮川 典子君

  木村 次郎君     谷川 とむ君

  船橋 利実君     丹羽 秀樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

松野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大角亨君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補伊藤明子君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進事務局審議官中原淳君、内閣府地方分権改革推進室次長山野謙君、内閣府地方創生推進室次長坂井和也君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、総務省大臣官房地域力創造審議官佐々木浩君、総務省自治行政局長北崎秀一君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、出入国在留管理庁審議官佐藤淳君、外務省大臣官房参事官赤堀毅君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、文部科学省大臣官房審議官平野統三君、文部科学省大臣官房審議官玉上晃君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官塩見みづ枝君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、農林水産省大臣官房輸出促進審議官渡邊厚夫君、経済産業省大臣官房審議官米田健三君、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官鎌田篤君、国土交通省大臣官房審議官福田守雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐藤明男君。

佐藤(明)委員 自由民主党の佐藤明男でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、この部屋に、地元の大先輩であり、尊敬する森山真弓先生の額があります。これに見詰められるのはちょっと。上がっております、頑張ります。

 それでは、地方分権一括法も第九次ということで、人口減少社会、高齢化社会の到来など、社会環境が大きく変化した現在、地域が直面している課題が多様化する中、地方分権改革を推進していくことはますます重要なこととなっております。

 私の住んでいる栃木県の上三川町、日産の自動車工場があり、この十年間、人口は三万一千六百七十二人から三万一千二百四十二人と微減におさまっているわけでありますが、少子高齢化の波はもろにこうむっております。

 子供の安心、安全と高齢者の安定した生活を守ることは地域の一員として最も重要な課題であります。こうした現状を踏まえ、地方分権改革の取組として、平成二十六年から、地域の実情に合わなくなった、あるいは地域で新たな施策を行う上で支障になっているといった地方の声を受けて、国の制度を改革するための提案募集方式が導入されているところです。

 平成三十年には、提案募集方式に五回目の実施があり、地方からの提案の八九・四%に対応するという、前回とほぼ同程度の高い割合になっていますが、これをどのように評価されているのか、片山大臣にお伺いいたします。

片山国務大臣 委員御指摘のとおり、平成三十年は、関係府省との調整を行ったもののうち、提案が実現するなど、対応できるものの割合が平成二十九年と同程度の約九割となりました。具体的には、子供、子育てや地域資源の利活用関係を始めとした地方の現場の支障を解決してほしいという切実な御提案に対しまして、きめ細かくその実現を図ることができたのではないかと考えております。

 提案の対応率が高くなっている要因としては、提案募集方式の仕組みが定着いたしまして、関係府省からも真摯な対応が得られたこと、地方からの提案について事前相談を受け付けるなどの支援に取り組んでまいりまして、提案内容の充実につながったことなどが考えられるところです。

 今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ちまして、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと考えております。

佐藤(明)委員 ありがとうございました。

 それでは、法案の中身についてお伺いをさせていただきます。

 私も、小学生が一人、就学前の二人の孫がいるので、まず、子供にかかわるところから質問をさせていただきたいと思います。

 この法案では、児童福祉法を見直して、学童保育における現在の職員さんの配置基準を、全国一律から市町村が条例で設定できることとなっております。学童保育の指導員の確保が難しい、規制緩和をして、現在一クラス四十人以下に二人以上の職員の配置を求めているものを一人の職員でも容認し、義務づけされていた現行基準から強制力のない参考基準に変えるということだと思いますが、いささか懸念がありますので、それを払拭していただきたいと思います。

 それは、地域の学童保育の指導員が足らないから、学童保育を維持するためには少ない指導員さんでもよろしいというようなことで理解をしてよろしいのでしょうか。お伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の措置でございますけれども、従うべき基準により人材確保が困難となっているといった地方からの要望を踏まえまして、全国一律ではなく、自治体の責任と判断により、質の確保を図った上で地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものでございます。

 また、基準については、市町村が地方議会の議を経まして条例により制定をするということとなっておりまして、厚生労働省といたしましては、従うべき基準が参酌化された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断によりまして、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。

 また、厚生労働省といたしましては、放課後児童クラブの質が確保されるように、放課後児童支援員に対する研修の支援ですとか、支援員の処遇改善の補助の実施、あるいは質の向上の観点からの評価の推進、また、放課後児童クラブを巡回をして安全対策の助言ですとか、質の向上を図るためのアドバイザーの市町村への配置、こういったことを通じまして、放課後児童クラブの質の確保に引き続き努めてまいります。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 要するに、なり手が少ないのであれば、やはり待遇面の改善というのも必要だと思うんですよね。指導員さんの月給、どの程度になるのでしょうか。自治体、公営、公設民営など条件によって違いはありますが、それぞれ、概算で結構ですので、月給がどの程度のものなのか、おわかりであれば教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、放課後児童クラブに従事する職員の一人当たりの給与でございますけれども、月給で支払われているものについて実態の調査を行っております。

 年額で平均を申し上げますと、全体で二百七十・三万円、これは平均勤続年数大体八・三年ぐらいの方々というイメージになりますけれども、二百七十・三万円ということでございます。公立公営の場合ですと二百三十一・五万円、あるいは、公立民営の場合は二百七十五・九万円というふうな、少し差はございますけれども、全体で平均をいたしますと、約二百七十万円というふうな実態になってございます。

佐藤(明)委員 どういったことでその差が生じているのかなと思うのですが、ちょっと古い資料ではありますけれども、二〇一二年の全国学童保育連絡協議会の実態調査によりますと、週五日以上勤務しても、年収百五十万未満の児童支援員が四六・二%、百五十万円以上三百万未満が三一・三%、三百万以上が五・四%となっております。

 また、二〇一六年十二月に実施された第二十九回子ども・子育て会議では、放課後児童クラブの職員の平均給与が、月額払いで年額、今おっしゃったような二百七十四万円と報告されております。

 そもそも、二〇一五年からスタートした放課後児童支援員の資格保有者は何人いて、それによりどの程度給料が上がっているのか、わかれば教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブで従事をする放課後児童支援員でございますけれども、これらの方々は、保育士などの基礎的な資格をベースとした上で、認定資格の研修を受講していただくということが求められているところでございますが、この研修を受講した方の割合が、平成二十九年で約四割であったものが、平成三十年には六割弱、詳細に言いますと五八・五%になるんですけれども、上がってきてはいるということでございまして、引き続きこの研修の実施の支援についても取り組んでまいりたいというふうに考えております。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 せっかく要件を満たして研修を受けて資格を取っているのですから、待遇面で処遇することが指導員のモチベーションにつながるのではないかなと思います。

 NPO法人の日本放課後児童指導員協会の独自認定している放課後児童育成支援師あるいは放課後児童専門育成支援師という資格がありますが、民間資格といっても、キャリア形成につながって、長く働いていただける要素になると思いますが、両資格の取得者というのはどの程度いらっしゃるか、わかれば教えてください。

藤原政府参考人 大変恐縮でございます。

 民間の資格保有者の方々は把握をしてございません。

佐藤(明)委員 それぞれこちらでちょっと確認してみたところ、千二百名また百名だったそうでございます。

 放課後児童支援員の資格が生まれてから取得者が減っているとのことですが、より高度な専門知識を学んで指導員としてやっていこうという資格が取られても、給料にほとんど反映していない。まことに残念であります。どこまでいっても、他業種と給料面では大きな差が開いている。やはり処遇改善が喫緊の課題ではないかと思います。

 キャリアアップ処遇改善事業を活用することで、一事業者当たり上限で八十六万八千円の補助が受けられるわけですが、どの程度事業実施主体が活用されているのか、わかれば教えてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、放課後児童支援員の待遇の改善は非常に重要な課題だと思っておりまして、平成二十九年度から放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を実施しておりますが、この実施率についてのお尋ねがございました。

 私ども、自治体レベルでいいますと、取り組んでいる自治体の割合で申し上げますと二〇・五%、それから支援単位で見ますと二五・三%と低い実施率というふうになっているのが実情でございます。

 この処遇改善の事業は平成二十九年度に始まりましてまだ日が浅いということもございますので、できるだけ多くの自治体でこの事業を活用して放課後児童支援員の処遇改善を行っていただけるように、全国主管課長会議ですとか文科省との連携のもとでの全国のブロック会議、こういったあらゆる機会を通じまして自治体の皆様方に働きかけてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(明)委員 せっかく一昨年に創設された事業でありますから、全事業者が活用されるべきだと思います。これは、役所の縦割り、すなわち厚生労働省の補助金であるから文部科学省の放課後子供教室事業には交付できないために、同様の仕事をしながらも差が生じてしまうということだと思います。

 放課後児童クラブであろうが放課後子供教室であろうが、新・放課後子ども総合プランのもとで両省が協力をして連携するのであれば同様の助成がなされるようなことも検討していただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましても、プランに基づきまして文科省の子供教室との一体的な実施を推進ということを図ってまいっているところでございますけれども、放課後児童クラブに対するキャリアアップの助成金ということでございまして、全児童を対象とする文科省さんの事業の方にはこのキャリアアップの事業については適用されていないというところでございます。

 しかしながら、実際に一体的な実施を図っていくということについては、文科省さんと連携をしながら、各種説明会を使いながら皆さん方に周知をしてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(明)委員 独立行政法人の経済産業研究所の分析では、学級規模の縮小は小学校の不登校を減少させる因果効果があることが明らかになり、加配教員の配置も大きな効果があると示されております。

 地元の栃木県では、今年度から小学校五年、六年も三十五人学級となったところですが、せっかく少人数学級でのよい面があらわれているのに、その小学校に続き通う学童保育で、大人数学級のように一年生から六年生までがまざった形で過ごすことがこのメリットを打ち消すのではないかというふうに懸念しているんですが、どうでしょうか。

 ちょっと質問の趣旨が余りあれかもしれませんが。要するに、否定するわけではないんですが、やはり体制を私としては維持してもらいたいという意味で、今のお願いをしました。

藤原政府参考人 放課後児童クラブの体制の強化ということだと思いますので、済みません、恐縮でございます、改めて御答弁申し上げますけれども、今回、一律の基準ではなく自治体の実情に応じた基準によって実施をするということで、参酌化ということでございますけれども。

 もちろん参酌基準と異なる基準を条例で定めるということになった場合であっても、例えばお子さんの安全の確保ですとか、あるいは児童の健全育成の質の確保とか、そういったことは当然前提というふうになっていくと思っておりますので、引き続き、こういった、自治体で参酌化された場合であっても、自治体におかれてはしっかりと安全確保等に取り組んでいただけるというふうに考えてございます。

佐藤(明)委員 少人数学級によって不登校児が減っていく中で、学童保育でその効果が薄れてしまうということのないように、注視をしていただきたいと思います。

 もう一つ懸念をしているのは、行動面で困難がある児童の対応になると思います。

 都内の場合、千人程度の生徒がいる小学校に併設されている学童保育では、毎日百数十名程度の児童が利用して、指導員も十数名程度いるそうであります。それほどの指導員の方がいても、一人の困難を抱えた児童を抑え切れずに、けがをする児童が絶えないというようなことも聞いております。

 地域で学童保育がなされていないことは避けなければなりません。児童の安全面を最優先に考え、これまでの基準の指導員が置けるよう、ぜひとも学童保育指導員がふえる施策を展開していただきたいと思います。

 時間がありません。次に参ります。

 次に、また子供に関することでありますが、幼保連携型認定こども園の幼稚園教諭免許状の授与と保育士の登録の両方が必要な保育教諭の資格のいずれかで可能とする特例の延長についてお伺いをいたします。

 まず、現在の認定こども園と教員数の推移、今後の見通しについて教えていただきたいと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 幼保連携型認定こども園につきましては、平成二十八年四月時点で二千七百八十五施設でございましたが、平成三十年四月現在で四千四百九施設、この二年間で約千六百施設増加をしております。これに伴い、勤務する保育教諭の数も、この二年間で約四万人増加をいたしまして、現在約十万人となっております。

 今後とも、幼保連携型認定こども園の施設及びそこで働く保育教諭の数につきましては増加することが見込まれております。

佐藤(明)委員 つまりは、待機児童がなくならない限りは、両方の資格を有する教諭が必要であり続けるわけでありますが、ある期間働いていたのが認定こども園だったということだけで、どちらかを履修していれば、どちらかの資格も比較的容易に得られるという状況になることだと思いますが、それなら、いっそのこと、恒久法としてしまった方がいいのではないでしょうか。若しくは、高等教育の段階において、幼稚園教諭の免許状及び保育士資格のいずれかのカリキュラムを修めて、卒業時には、幼稚園、保育園、認定こども園のいずれでも働けるようにすべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

川又政府参考人 お答えいたします。

 幼保連携型認定こども園における資格の現状について申し上げますと、先ほどの十万人のうち、両方の免許を既に保有している方が九万六百四十七人ということで九〇・四%、九割の方は両方の免許を既に所有をしております。どちらか一方のみという方が九・六%、九千六百六十人となっております。

 この方々がまだいらっしゃるということで、今回、幼稚園の教諭、それから保育士の資格、双方の併有を促進するために、免許、資格の授与要件を緩和する特例、具体的には八単位を履修すればよいというような特例を設けておりまして、今回の分権一括法の中で、この特例措置を五年間延長するということでございまして、この中で取得の促進を図っていきたいというふうに考えております。

佐藤(明)委員 難しいことは承知しているんですが、現在、両親とも働きに出ている家庭がふえているわけでありますから、後戻りはなかなかできない、どこかで制度の根本的な転換をすべきではないかなと私は思います。

 現状では、幼稚園教諭は一種、二種、専修と免許が分かれているわけですが、ここに保育教諭の資格が入っているわけです。それぞれの待遇面の差異というのはどうなんでしょうか。あるんでしょうか。

川又政府参考人 お答えいたします。

 幼稚園教諭の免許の中の種別ごとのデータというのは把握をしていないところでございますが、施設ごとの給与を見ますと、平成二十九年度の経営実態調査によりますと、保育所の保育士さんが、経験年数八・八年で、月額、賞与込みでございますが、二十六万二千百五十八円、幼稚園の教諭、平均勤続年数十・四年、二十五万九千九十一円、認定こども園の保育教諭、平均勤続年数七・九年で月額二十四万二千四十三円となっているところでございます。

佐藤(明)委員 免許の種類、資格によって多少の差異があることは仕方ありませんが、少なくとも、認定こども園で行われている幼児教育、保育において、誰が担任になろうとも同じ水準の教育、保育が担保されることが必要であります。

 二〇〇九年より、幼稚園免許状は十年の有効期限が設けられていますが、特例の際の講習はどうなるのでしょうか。必要な場合、三十時間の更新講習がどのように行われるのかも教えてください。お願いします。

平野政府参考人 お答えいたします。

 教員免許更新制は、教員として必要な資質、能力が確実に保持されるよう、定期的に最新の知識、技能を学ぶものでございまして、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を所持する保育教諭におかれましては、幼稚園教諭免許状を更新していただく必要がございます。

 他方で、更新講習と他の研修を同時期に受講しなければならない場合など、教育活動や公務との調整で教員に負担感が生じることがございます。このため、体系的、効果的に更新講習を受講できる取組を進めております。

 例えば、都道府県教育委員会等が実施する研修を更新講習として認定を受けることによって、研修と更新講習とを兼ねて実施することもできるようになってございまして、文部科学省としては、こうした取組を促進しているところでございます。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 学童保育も認定こども園も大切な子供を預ける場所であります。子供の安心、安全はもとより、できる限り質の高い教育と遊びがなされるようにお願いを申し上げます。

 次に、介護サービス事業者の業務管理体制についての権限移譲についてお伺いをさせていただきます。

 一昨年四月一日の時点で、地元栃木県宇都宮市の人口は約五十二万人、市職員は三千二百八十一人、うち事務部局が二千二百六十九人です。直接の担当職員はどのくらいいると思われますか。おわかりになりますか。

諏訪園政府参考人 申しわけございません。急なお尋ねでございますので、資料を持ち合わせてございません。

佐藤(明)委員 常勤職員が七名、それから非常勤職員が一名で、八名で業務を担当するということになっておるそうであります。

 市の負担増についてどのようなお考えがあるか、あれば教えていただきたいと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、介護サービス事業者の、今回の法改正において県から中核市に移譲する事務及び権限について申し上げさせていただきたいと思います。

 今回の法案でお願いしております介護サービス事業者の業務管理体制の整備及び監督権限というものは、介護サービス事業者の不正事案の再発を防止し、介護事業運営の適正化を図る観点から、平成二十一年度に創設したものでございます。

 具体的には、事業者に対して業務管理体制の整備を義務づけますとともに、厚生労働省及び自治体に対して事業者本部への立入検査や是正命令に関する権限を整備したものでございます。

 委員御指摘のように、この業務管理体制の整備について、届出あるいは立入検査などに係る事務権限を都道府県から中核市へ移譲することでございますので、そこに着目しますと、事務負担は一定程度増加する、そういうふうに考えております。

 一方で、これまで、事業者に対する業務管理体制に係る指導権限、これは都道府県でございます、とサービス事業者の指定、それから指定に伴う指導監督権限が、これは中核市、こう分かれていたところでございます。今般の移譲によって、中核市における介護サービス事業所の指定及び指導監督権限と今回の業務管理体制に対する指導監督権限の一元化が図られるわけでございます。

 これにより、例えば、事業所におきまして不正事案が発生して組織的関与が疑われた場合に、これまでですと、法人に対する業務管理体制の検査権限がございませんので、中核市は都道府県に権限の行使を要請して、都道府県にやっていただくということになってございました。

 今回の改正後は、事業所の立入検査に加えまして、事業者本部への業務管理体制の検査による包括的な確認が中核市においてみずから可能となります。そうしたことから考えますと、中核市における迅速かつ効率的そして効果的な監督に資する改正であると考えているところでございます。

佐藤(明)委員 栃木県においては、宇都宮市が中核市に平成八年に移行したわけでありますが、一つの中核市にとどまる事業者がどの程度あるかということなんですが、調べましたところ、宇都宮市内には二百法人ほどあるということでありますが、市には台帳しかないので、どの事業者が宇都宮市内で、あるいはその他の事業者がどの市町村であるかというのはなかなかわかっていないというようなことであります。

 この件について、宇都宮市から栃木県に問合せをかけているんですが、まだ返事が来ていない、昨日まで、まだ事業所数はわかっていないということであります。なるべく早く該当する事業者を特定して市に伝えていただけるよう県に指導をしていただきたいと思います。

 六年に一回、実地指導の際に届けがあった業務管理体制の整備状況と運用改善状況の確認を行っているわけでありますが、現場の負担が過度にならないように、この制度の弾力的な運用を考えていただきたいと思います。

 本来は、県庁所在地から離れた市町村で行うことが、考え方については最も効果が大きい規制緩和につながるのではないかと思いますが、いずれ趣旨に沿った施策になるよう、広域連携なども踏まえて、そういった方策も考えていただければと思います。

 もう一つ質問を考えておりましたが、時間がなくなりましたので、私の質問はこれで終わります。

松野委員長 次に、太田昌孝君。

太田(昌)委員 公明党の太田昌孝でございます。

 地方創生特別委員会で質問の機会をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。

 本年の一月一日の朝日新聞に、結構衝撃的なというかおもしろい記事が載っておりました。

 京大のこころの未来研究センターで広井教授という方が中心になられて、日立製作所の人工知能、AIを活用して未来への道筋を予測したと。少子化とか環境破壊といった百四十九の社会的要因を選んで、互いにどう連動して社会を変えていくのかを検討した。二万通りのシナリオがあらわれて、七年から九年後に大きく二つに分かれるんだと。

 一つは都市集中型、こちらに進むと地方は廃れて人口が減っていく。一方で、地方分散型に進むならば、出生率や格差が改善をして幸福度も高い社会への道が広がる。この運命の分かれ道を過ぎるともう一方の道に戻ることができないよ。こんな記事が載っておりました。

 AIによる未来予測というのが全て必ず当たるとも申し上げないわけでございますが、しかし、この地方創生特別委員会、そして、今回議題となっております地方の分権、こうした施策をしっかりと進めていくことが、これから十年、二十年、三十年先の日本のためにしっかり資するものとなることを期待をし、そして推進をしてまいりたい、こんなふうに思いながら質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、地方分権は、平成五年、衆参両院の地方分権の推進に関する決議を契機として、その取組が進められてきたものと承知をしております。同決議から既に二十五年が経過をしました。この間、機関委任事務制度の廃止、国の関与の新しいルールの創設、国から地方公共団体、又は都道府県から市町村への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直しなど、多くの成果を上げてまいりました。

 そこで、まず、これまでの地方分権改革の取組や成果についてどのように評価をしているのか、確認をさせていただきたいと思います。

片山国務大臣 地方分権改革の起点になりましたと言われております地方分権の推進に関する決議から約二十五年が経過をしております。その間、国と地方の関係を上下主従から対等、協力の関係に転換するとともに、三位一体の改革、地方に対する権限移譲や規制緩和など、地方の自主性、自立性を高めるための改革を積み重ねてまいりましたところでございます。

 平成二十六年からは、提案募集方式に基づきまして、地方のお声にきめ細かく対応するということによって、地域課題を解決し、住民サービスの向上を図る具体的な取組を推進してまいりました。

 例えば、地方版ハローワークの創設による自治体の就労支援の充実、あるいは過疎地域等における救急隊の編成基準の緩和による救急車の現場到着時間の短縮などが実現されてきたところでございます。

 今後とも、地方からの御提案の最大限の実現を図ることによって、地域の実情を踏まえた住民サービスの向上、ひいては、国民がゆとりと豊かさを実現できる社会の実現に資するよう、地方分権改革を進めてまいりたい所存でございます。

太田(昌)委員 この間、私も、地方自治体の職員であり、あるいは地方議会の議員でありというような形でかかわらせていただきました。大変に、国のこうした、地方の声を聞き、そしてそれを後押しする体制というのは、高く評価をさせていただいているところでございます。

 こんな中で、近年のこの改革の中では、地方創生との連携の重要性が強調されておりまして、まち・ひと・しごと総合戦略においても、地方分権改革の推進が、地域がみずからの発想、創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであって、地方創生において極めて重要なテーマであるとされています。

 そこで、二十六年以降、地方分権改革と地方創生の連携の重要性が強調されていますが、そもそも政府は、地方分権改革の取組について、どのように地方創生に生かしていくべきと考えているのか、また、実際の地方創生の取組にどのような効果があったのか、御見解を確認をしておきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生は、国が画一的な施策を押しつけるのではなく、地方の特性を生かし、地方みずからが創意工夫をしながら、主体的にそれぞれの施策を推進し、国が伴走的に支援をしていくという考え方をとっております。

 地方分権改革の取組は、各地域がみずからの判断と責任で地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革でありまして、まさに議員御指摘のとおり、地方創生の基盤となり得るものというふうに考えています。

 具体例で御説明をいたしますと、長野県の飯田市の例ですと、市の土地利用の方針に従いまして、中山間地域において農地の確保と調和した形で、市がみずから実施する移住等を目的とした住宅建設等をやりたいということを考えていたわけでございますが、面積に応じて国の許可又は協議が必要だった農地転用について、都道府県と同様の権限を持つ指定市町村制度が創設され、市町村が主体的に判断ができるようになったということがあります。

 また、別の例でございますが、これは鳥取県等の御提案だったというふうに思いますけれども、地域において働きながら子育てができる環境整備において、例えば病児保育施設というのは非常に大切になります。これも、国の補助を受けて病児保育を行う場合の看護師等の常駐化の要件を明確化したということで、限られた看護師等を効率的に配置して、病児保育施設の開設が可能になったというような例もございます。

 このように、地方分権改革は、地方公共団体が抱える地方創生の諸課題に対して現場目線での改革がなされ、まさに地方創生の基盤として非常に重要なものだというふうに考えております。

太田(昌)委員 地元の事例も出していただいて、ありがとうございました。今回のこういう改革を活用させていただいて、地域の活力を今一生懸命上げているところでもございますが。

 地方分権改革の有識者会議においては、二十六年の六月付の地方分権改革の総括と展望において、今求められている改革について、これまでの国が主導する短期集中型の改革スタイルから、地域における実情や課題に精通した地方の発意に根差した息の長い取組を行う改革スタイルへの転換が望まれるとしまして、提案募集方式の導入を提言するとともに、今後は地方の多様性を重んじた取組を推進していくことが求められるとして、いわゆる手挙げ方式の導入を提言をしていただいております。

 この提案募集方式及び手挙げ方式に関しては、地方分権改革に関する提案募集の実施方針において、提案募集方式を毎年少なくとも一回実施すること及び手挙げ方式とする提案も募集の対象とすることが決定をされまして、以降、提案募集方式が実施をされているところでもあります。

 三十一年二月二十日の地方分権改革有識者会議提案募集検討専門部会合同会議では、提案募集方式の導入から五年を迎えたことを踏まえまして、提案募集方式の成果について、また分権改革の今後の方向性について示されました。

 ここでは、五回の提案募集における提案団体、提案の内容の分析を行った上で、提案募集方式は、住民に身近な課題を解決して、住民サービスの向上を図ることができる手法であり、国及び地方が直面する課題解決において有効な制度であるとともに、今後、一層強力に提案募集方式を推進していくとされています。

 まずは、提案募集方式の開始から五年が経過をして、この提案募集方式は地方分権改革の手法として一定の役割を果たしてきたと言えると思いますが、政府はこれまでの提案募集方式による改革の成果や課題についてどのように評価をしているか。

 あるいは提案募集方式の導入によって事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直しが進んだことによって住民サービスの向上等に貢献した事例がどの程度あるのか。実際にはホームページにも検索ができるように提示していただいておりますけれども、改めて確認をしたいと思います。

 提案募集方式の五年の成果等についても、取組に熱心な地方公共団体がある一方で、そうでない地方公共団体も存在しているとも指摘をされていますが、取組に熱心でない団体について今後どのように対応していくのか。

 以上、あわせてお伺いをしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 三点についてお尋ねがあったと思いますが、まず、提案募集方式の評価ということでございます。

 平成二十六年から始まった提案募集方式、これまで累計二千二百二十件提案をいただいておるところでございます。これまでの提案で既に扱われたもの等を除きます千三百五十四件について関係府省との調整を行ってまいりました。これらの調整を行った提案について、提案が実現するなど対応できるものの割合は七割を超えてございまして、土地利用、防災、子ども・子育て支援、高齢者・障害者支援、雇用等、各分野にわたって成果を上げております。

 地方側からも大変評価をいただいておりまして、今後とも、提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って提案募集方式を推進し、地方分権改革を着実に進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 二点目でございます。住民サービスの向上という点についてお尋ねがございました。

 ただいま申しましたように、累計千十一件の提案を実現、対応してきておるわけございますが、例えば愛媛県では、過疎地域の救急隊の編成基準の緩和によりまして二十四時間救急隊が運用できるようになった事例ですとか、ただいまお話がございました、鳥取県では病児保育施設の看護師要件の緩和によりまして子育て環境が充実した事例など、提案募集方式の成果によりまして住民サービスの向上に結びついた事例が全国であらわれ始めているところでございます。

 こうした成果の事例の把握に努めるとともに、私どもとしましては、成果事例集の作成ですとかシンポジウムの開催など、きめ細かな情報発信に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、三点目でございます。市町村の提案状況に差異があるのではないかということでございました。

 これを都道府県ごとで比較してみますと、県内全ての市町村で提案実績がある県もある一方で、実は県内の市町村に提案実績がない県もございます。都道府県ごとの提案実績に差が生じている状況でございます。

 今年度、私ども内閣府による自治体職員向け研修というのをやっております。そのアンケートをとったわけでございますが、その中では、地方分権をすると仕事がふえるのではないかというネガティブな印象があったんだけれども、すっかり変わったというような意見ですとか、あるいは、自分たちで考えて制度を変えていくことができるということであれば、これはぜひ活用したい。

 こういった前向きな意見が挙げられる一方で、担当課が非常に多忙で興味を持ってもらえない、あるいは提案までの過程が現場職員に負担になっている、特に提案実績が少ない自治体からそういった声を伺っておりまして、実は、そういった現状が地域ごとの取組状況の差の一つの要因になっているのではないかというふうに考えてございます。

 私どもとしては、さまざまな機会を捉えて、そういった市町村を支援するということをやっていきたいというふうに考えてございます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでございまして、今回、さまざま小さな町村などにも聞き取りをいたしました。やはり、提案してそれが認められたときに、事業を一体誰が担うのかという不安というのはあって、とりわけ小さな町村ということになりますと、東京の特別区でいえば一つの課が担っているようなものを一人でやっていたりしますので、そういう意味でも、ちょっとそこが負担感になっているというふうにも思えます。

 ただ、そうも言っていられないで、これまで提案を行ったのが市区町村の数で三百六十九。先ほど、全ての県もあれば、ない県もあるとおっしゃいましたが、全国の市区町村千七百四十一のうち、提案を行ったのは大体全体の二割強ということになっております。特に、町村全体の九百二十七の一割強の九十九にとどまっているということでございまして、今のような、申し上げたとおりの状況というのがもしかしたらあるのかなと。

 人口が小さいほど提案数が少なくなる傾向ということは、これは実態であろうと思います。各町村の現場に、限られた人材で、行政運営に加えて事務作業に大きな負担がある、先ほど申し上げたとおりでございます。

 ただ、こういう人口規模の小さい団体からの提案が少ないこと、今申し上げたような理由になるわけでございますけれども、逆に言えば、そういうところに課題が多いわけでございまして、そういうところから安心して提案を増加させる、こんなことを考えていただきたいと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。

山野政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、人口規模が小さい町村からの提案を今後ふやしていくというのは非常に重要なことでございます。先ほど委員からも御指摘ございました、二月の地方分権改革有識者会議におきましても、人口の小さい町村からの提案をふやしていくべきだろうというような御意見を有識者の方々からいただいたところでございます。

 内閣府の支援はもちろんなんですが、そのような町村にとっては、やはり、一番身近にありますのは都道府県でございますので、そういった都道府県あるいは町村の集まりであります町村会、そういったところからの町村への支援、これも重要であろうというふうに考えております。

 実は、これまで既に、県によりましては、県が主導しまして、市町村に一団体一提案ということを呼びかけるとともに、提案までの内閣府の調整を県が一元的に担うことで市町村の負担を軽減した、そのことによりまして県下の全部の市町村からの提案を実現した事例ですとか、あるいは、県が研修を主催しまして、その中で市町村から、こういった支障があるんだがというふうな支障事例を挙げられたものですから、県が支障を取りまとめまして、内閣府に事前相談して提案の発掘をした、こういったケースもあります。

 都道府県が積極的に関与していくことによりまして大きな効果を上げている事例が出始めているものですから、私どもとしましては、内閣府の支援はもちろんですけれども、このような効果的な事例を、都道府県、町村会の広域団体に対して積極的に横展開を図って、人口規模が小さい町村からの提案をお通ししていきたいというふうに考えております。

太田(昌)委員 県が主体的に市町村、とりわけ町村などに呼びかけ、あるいは支援をすることでふえたというようなお話でございました。ぜひ、それも横展開をしていただきたいというふうに思います。

 そもそも地方自治体の職員が、なかなかこうした提案募集方式をよく知っていないということもあります。地方自治体職員向けの、内閣府で行った研修の中で、受講前の提案募集方式の認知度、これは自治体職員向けですが、二六・五%にとどまっているというようなこともございました。

 一方で、提案募集による事前相談団体へのアンケート調査では、三十年ですが、どのような取組が事前相談の提出に結びついたと考えられるかとの問いに対して、三七・八%が、内閣府の各種支援、訪問、電話、説明会、研修、ハンドブック等を挙げている。そういう意味では、県も頑張っている、あるいは内閣府も私は頑張っていただいているなというふうには思っておりますが、今、県の活動の横展開というお話は一つありましたが、内閣府による裾野拡大のための支援策と、またこれ以降の取組についても、ちょっと確認をしておきたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のございましたアンケートを取りまとめましたところ、御指摘のとおり、提案募集方式の内容を理解している職員が二六・五%という非常に低水準にとどまっておるということでございまして、自治体職員の認知度向上ということは、これは急務だなというふうに私ども考えているところでございます。

 一方、研修を受講した職員からは、現場でいろんな支障があるので、この方式というものが非常に有用である、積極的に活用していきたいという声も、実は研修を受けた方の九割の方がそれをおっしゃっているわけでございます。

 内閣府としては、やはり認知度を向上させるために、自治体職員の皆さんですとかあるいは地域住民の皆さんに寄り添っていきながら、この方式を進めていかなきゃならないというふうに考えてございます。自治体職員が提案をイメージしやすくするような情報提供ですとか、あるいは都道府県主催の市町村研修を支援するですとか、あるいは地域住民、大学と提案に係る主体を拡大しまして、NPOとも連携してワークショップを開催するですとか、そういったさまざまな取組、これまでも実施してきたわけでございますが、より一層今後充実させながら推進していかなきゃならないというふうに考えております。

太田(昌)委員 次に、手挙げ方式の活用についても、ちょっと伺っておきたいと思います。

 手挙げ方式も対象となっているわけでございますが、二十六年に九件が手挙げ方式であったという話でございますが、それ以降数件にとどまっていて、手挙げ方式による対応の実績、低調となっております。

 三十年も、これは提案の趣旨を踏まえて対応された百四十五件のうち、手挙げ方式により対応するとされたものは何件あり、あるいは、なかなか低調な状況が続いているということ、どのような要因があると思っておられるか伺いたいというふうに思います。

 全国の知事会では、昨年の七月に、地方分権改革の推進ということで、先行地域における実証制度として地域特性を生かせる手挙げ方式を積極的に活用することを求めておられます。特に、具体的な支障事例があるにもかかわらず、ほかの地方自治体が反対している場合など、なかなか全国一律の権限移譲が困難な提案について、地方自治体の間で制度が異なることによって住民に不利益が生じることがないように留意はしながらも、手挙げ方式を積極的に活用していくべきだというふうに考えるわけでございますが、これについてお伺いをしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 手挙げ方式についてでございますが、権限移譲に当たりましては、国と地方の役割分担の明確化という観点から、基本的には全国一律に行うことを基本としております。

 一方で、地域特性あるいは事務処理体制に差があるということになりますと、委員御指摘のような手挙げ方式ということで、新たな突破口として、これは提案募集方式と同時に導入されたわけでございます。手挙げ方式を取り入れる提案については、この方式も選択肢としながら検討しておりまして、一定の成果を上げてきておるとは考えておるところでございます。

 基本的には、移譲されます事務の性格ですとか権限の性質によって検討されるべきものでございまして、私ども、件数が少ないことをもって直ちに手挙げ方式自体に問題があるとは考えてございませんが、これは全国の多様な行政需要に対応するための選択肢の一つでございますので、もちろん今後とも手挙げ方式を活用しながら権限移譲を推進していくことが重要だというふうに考えてございます。

太田(昌)委員 先ほど申し上げましたとおり、自治体間で制度が異なることはちょっと留意はしながらも、実際の支障事例が出ている限りにおいては、そこを何とか改善をしてあげるという方式も必要だと思いますので、これは積極的な推進をお願いをしたいと思います。

 なお、今度は財源措置についてもちょっとお伺いをしておきたいというふうに思います。

 三十年の地方からの提案に対する対応方針の中でも、事務、権限の移譲に伴う財源措置については、地方公共団体において移譲された事務、権限を円滑に執行できるよう、地方税、地方交付税、国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずるとともに、マニュアルの整備、技術的助言、研修や職員の派遣など、必要な支援を実施するとしています。

 そこで、今回の一括法及び三十年対応方針により事務、権限の移譲が行われることに伴って新たに地方側に生じる財政需要の想定とともに、これらの財政需要について、財源の確保についてお伺いをしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方分権一括法によって移譲されました事務、権限に伴う財源措置につきまして、閣議決定されました対応方針によりまして、地方税、地方交付税あるいは国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずることとしておるところでございます。

 これまでもそうでございましたが、今後とも、対応方針に従いまして、地方公共団体への必要な支援が講じられるよう、移譲対象の事務、権限を所管する関係府省と連携して適切に対応してまいりたいと考えてございます。

太田(昌)委員 財源、よろしくお願いします。また、技術的助言や職員の派遣などもぜひ留意をしていただければと思います。

 もう一つ、キーワードで検索可能な地方分権改革事例データベースを作成するなど、事例集、今発信をしているようでございますが、これまでの改革の成功事例のみでなく、支障事例を含めたあらゆる事例を収集して公表された方がより現場における申請時の参考になるのではないかと考えますが、この点についてもお伺いをしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 これまで実現できなかった提案を含む関係府省と調整を行った全ての提案につきましては、最終的な調整結果を内閣府のホームページで公表してございます。これに加えまして、提案の検討に当たっては、調整状況、結果について、提案団体に丁寧に説明をしながら対応しているところでございます。

 地方公共団体あるいは住民へのわかりやすい情報発信は極めて重要であるというふうに認識しておりまして、引き続き丁寧な情報発信に努めつつ取り組んでまいりたいと考えてございます。

太田(昌)委員 時間がなくなってきました。済みません、ちょっと具体の話に行きます。

 放課後児童クラブ、先ほど佐藤先生からも御質問がございました。昨年の九月に新・放課後子ども総合プランがまとまりまして、これは五年間で計三十万人の受皿を整備するという計画になっております。現状、今、利用者数が一七年五月時点で百十七万人、待機児童が約一万七千人と伺っております。

 そんな中で、二三年度までに三十万人ふやして百五十二万人の受皿を確保するということでございますが、今国会では、さきに衆議院において可決され、現在参議院で審議されています子ども・子育て支援法によりまして、本年十月からの幼児教育の無償化が進むということになりました。

 女性の社会進出が一層進む中で、将来の潜在的ニーズに対応した計画になっているのでしょうか。また、待機児童解消のために放課後児童クラブの増設又は受入れ枠の拡大はどのように取り組むことになるのか、伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、放課後児童クラブの登録児童数は百二十三万四千三百六十六人、昨年の五月一日現在での待機児童数一万七千二百七十九人となってございまして、女性の就業率の上昇に伴い放課後児童クラブのニーズが増加をする中、待機児童を解消するということが非常に重要というふうになってございます。

 委員御紹介いただきましたとおり、放課後子ども総合プランに基づきまして、二〇一四年に策定したわけでございますが、二〇一九年度末までに整備をするとしていた約三十万人分の受皿整備を一年前倒しをいたしまして、着実な整備を進めてきたところでございます。

 また、昨年九月に策定をいたしました新・放課後子ども総合プランにおきまして、今年度からの三年間で約二十五万人分の受皿整備を行い、二〇二一年度末までに待機児童の解消を目指す、また、その後、女性の就業率が八割程度になっても対応できるようにという観点から、二〇二三年度末までに更に整備を行い、合計で約三十万人分を整備するということとしてございます。

 今後とも、こうしたプラン等の取組を通じまして、関係省庁とも連携をしながら、放課後児童クラブの支援に努めてまいりたいと考えてございます。

太田(昌)委員 受入れがこれだけ拡大をしなければならない、当然、女性の就業率が連動する話でございますが、そんな中で、今回の措置については、いわゆる従うべき基準から参酌すべき基準に改めるということは、受入れ拡大のために放課後児童支援員の育成、増員に取り組んでもなお不足する分について対応するための措置と理解してよいのでしょうか。

 その上で、児童の安全管理など、支援の質が低下するのではないかと懸念する声がありますが、これまでの従うべき基準から参酌すべき基準とする場合に、支援の質の確保についてはどのように取り組んでいくのか、伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 二点お尋ねがあったかと思いますが、まず、放課後児童支援員の資格の部分についてどうなるのかという一点目のお尋ねでございますが、今回の措置は、放課後児童支援員の資格に関する基準を含めまして、現行の省令の基準の内容自体は変えずに、従うべき基準を参酌すべき基準とすることとしてございます。

 厚生労働省としましては、放課後児童支援員の望ましい資格基準としては、従来どおり、保育士などの基礎資格を有しており、かつ、認定資格研修を修了した者というふうに考えてございます。このため、現在も研修事業については開催に要する経費等の財政的な支援をしているところでございますが、引き続き、研修に対する支援を行っていきたいと考えております。

 二点目、放課後児童クラブの質をどのように維持、確保していくのかというお尋ねだったかと思います。

 今回の参酌化でございますが、一律の従うべき基準によりまして各地域で人材確保が非常に困難になっているという地方からの御要望、御指摘を踏まえまして、全国一律ではなく、自治体の責任と判断で質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行っていただくということを可能とするものでございます。また、基準については、市町村が地方議会の議決を経まして条例により制定をするものとなってございます。

 このように、厚生労働省といたしましては、従うべき基準が参酌化をされた場合であっても、自治体の責任と判断によりまして、この基準を十分参酌した上で、適切な対応が図られるものと考えてございます。さらに、厚生労働省といたしましても、研修の支援ですとか処遇改善の推進ですとか質の向上の観点からの評価の推進、こういった支援の取組について進めてまいりたいというふうに考えております。

太田(昌)委員 先ほど佐藤先生の質問の中でも、そうした中において、支援員の質の向上のためにも、処遇の改善についてのお話もございました。私からも処遇の改善に更に努めていただきますことを心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松野委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの今井雅人でございます。

 きょうは法案の質疑ということでございますが、その前にちょっと二点だけお伺いをしたいと思います。

 あきもと副大臣、済みません、きょうはどうもありがとうございます。本日出ております週刊誌に副大臣に関する記事が出ておりますので、事実関係だけお伺いしておきたいと思います。

 まず、この記事の中にありますL社、リトルリバー社というそうですけれども、こことの御面識というか、おつき合いはございますか。

あきもと副大臣 まず、今回週刊誌に記載された件でございますけれども、既にコメント等をマスコミ等にも出させていただいております。基本的には、今回この記事に書かれたことは全く事実じゃないということは冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、L社との関係のお話がございましたけれども、実は、私自身は余り面識があるという事実はございません。

今井委員 私自身はということは、事務所としてはあるのかなと思うんですが、この会社及びここの関係者、資本を入れている方を含めて、こういう方からの献金とかパーティー券を買ってもらうとか、こういうことはございましたか。

あきもと副大臣 一切ございません。

今井委員 もう一点確認ですけれども、先ほど事実無根だとおっしゃっていましたので、改めて確認したいんですけれども、この記事によりますと、この会社は、月利一〇%、事実であると法定外ということになりますけれども、で貸付けをして、その貸付けの返済を副大臣にお願いしたとありますが、この事実はないということでよろしいですね。

あきもと副大臣 今委員がおっしゃられたような条件での申立てということはないということでございます。

今井委員 副大臣が電話とか、何かそういう要請をされたという事実はないということですか。

あきもと副大臣 電話につきましては、これもコメントを出させていただいておりますけれども、そもそも、このL社そのものから私に対して直接依頼じゃなくて、私の友人を通して、L社というのが、東レも含めて、いわゆる今回記事になっているO社との関係の中で事業を遂行する中に、どうやら東レがO社に対してともに共同事業又は連帯というものを行っているという話があり、L社もO社に対しておつき合いを始めたということであったらしいんですが、しかし、結果的に、余りO社の対応が悪いということもあり、本当にこのO社に対して東レ側がそんなに連帯を含めた関係性が深いのか、それはひょっとしたら、L社としては、何か被害に、詐欺的なことに巻き込まれているんじゃないかという不安があるのでということで、知人を通じて私のところに相談してきたものでありますから、私からは、東レの方に、この件で御社が、御社というのは東レ側が、このL社とO社の関係に対して何か絡みがあるんですかということを確認をさせていただいたということはあります。

 その際、東レ側から、東レとしてこれらの会社に対して一切かかわりを持っていませんという回答でございましたので、その旨L社にお伝えしたところ、L社としては、被害が大きくなるということを察して、警察に相談に行ったという事実がございます。

今井委員 ありがとうございました。

 事実関係をよく説明していただきまして、どうもありがとうございました。副大臣はこれで結構です。ありがとうございます。

 続きまして、片山大臣にお伺いしたいんですが、昨日、国家戦略特区諮問会議で、ずっと大臣の肝いりだったと思いますけれども、スーパーシティー構想の法案が了承されたというふうに承知しておるんですけれども、大臣としての意向として、これを早期にこの国会に提出して通常国会の間に成立させたいかどうか、そのことについてまずお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 御指摘の法案につきましては、従来にない思い切った内容を含むものであることから、主に法技術的な観点からこれまで政府部内でぎりぎりの努力を重ねて検討を行ってきたため、時間を要しておりましたところでございますが、しかしながら、政府部内での調整もほぼ整ったことを受け、昨日四月十七日に開催された安倍総理が議長を務める特区諮問会議におきまして、速やかに閣議決定をした上で国会への提出を行うことについてお諮りし、了承をいただいたというところでございます。

 今後、閣議決定に向けまして関係各位と御相談しつつ、政府・与党の調整プロセスを急ぎたいと考えております。

 国会関係のことにつきましては、我々としては御理解を得て最大限努力するということまででございますから、それはあくまでも国会の方のお話だと思います。

今井委員 もちろん運営は国会の方で、立法府でやりますけれども、行政府から政府案を出すということであれば、この通常国会の間にぜひ成立させたい、所信でもこのことをしきりに強調されておられましたから、今回の国会で成立したいという御意向だということでよろしいですね。

片山国務大臣 政府としては、その成立に向けて全力を尽くしてまいりたいということはかねてから申し上げているところでございますが、あくまでも、御関係の皆様の御理解を得つつ、最大限努力するということにこちらの立場としてはなるかと存じます。

今井委員 わかりました。

 それでは法案の中身に入りたいと思いますが、最初にお伺いしようと思ったことは先ほど御答弁がありましたので、これまでの評価ということは飛ばしまして、これは平成二十三年から始め、九次ということでありますけれども、地方分権に向けての一つの政策であったと思いますが、新しい地方創生担当大臣として、今までの従来にはない、自分なりの新しいこういう政策をやってみたい、これにかわるものというか、更に進化させるものとか、何かそういうアイデアはありますか。

片山国務大臣 ことしの二月二十日の第三十六回地方分権改革有識者会議及び第八十九回の提案募集検討専門部会合同会議におきまして、今までの成果を踏まえて、提案募集方式については、今後更に充実させなければいけない、充実させようということに方向としてなったことでございますが、この提案募集方式の効果を最大限高めていくためには、人口規模の小さい団体を中心とした提案団体の裾野の拡大、それから住民への成果の還元による理解と参加の促進が非常に重要と認識しております。

 今後は、研修、ワークショップなどを通じて地方支援、それから住民へのわかりやすい情報発信により、より一層こういった努力に努めながら、地方分権改革のさらなる前進に向けた充実を図ってまいりたいと思っております。

今井委員 私たちも地方分権というのはどんどん進めていくべきだという考え方に立っているんですけれども、今回の法案も含めて、今回は、十数本、束ね法案ということで出てきております。中には、これはぜひやった方がいいというのはたくさんあるんですけれども、幾つか、これは国としての最低基準を守るべきじゃないかとか、そういう類いのものが入っていて、これからそのことについて伺おうと思っているんですけれども、こうやって束ねで出てきてしまうと、どうしても、全体はどうなのか、そのうちの個別はどうなのかということで、とても議論が難しいというか、やりづらいんですよね。ですから、ぜひ、今後、束ねということじゃなくて、一つ一つの政策の重要性について法案ごとにやっていただく、そういうことのお考えはないですか。

片山国務大臣 今回の法案は、平成二十三年、前政権時代からの第一次分権一括法の法案以降、過去八次にわたる一括法と同様に、地方公共団体への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を通じて地域の自主性及び自立性を高め、みずからの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという共通の趣旨、目的を有するものなので、一括法として統一的に見直すことが適当であると考えて、このようになっているわけでございます。

 御指摘の趣旨は十分わかるところでございますが、過去八次にわたる一括法と同様に、今の考え方でこのようにしたものでございます。

 また、この法案については、提案募集方式という共通の枠組みに基づいて措置することとした改正事項を盛り込んでおるところでございまして、関係する法律を個別にということよりも、一括して改正案を取りまとめることによって、改正の趣旨、全体像がわかりやすくなるといった部分もあるかと存じます。

 今後とも、改正する法律の趣旨、目的及び改正の経緯に鑑み、統一的に見直すことが適当であるかということは常に検討しつつ法案を提出してまいりたいと考えております。

今井委員 趣旨はある程度理解できるというお話でしたので、ぜひ今後そういうことも検討していただきたいと思います。

 それで、中身なんですけれども、私としては大ざっぱに言って三点懸念がありまして、一つは放課後児童健全育成事業、いわゆる学童のところ、それから、社会教育施設の首長部局への移管、もう一つは、火薬類取締法の一部改正、許可が要らなくなるというやつ、この三点についてちょっと懸念を持っているんですけれども、三十分しかありませんので、一番重要であろうと思ういわゆる学童の問題からちょっとお話ししたいと思うんです。

 きょうは学童の協議会の皆さんも来ていただいていますけれども、質の低下が起きるんじゃないかということを利用者というか親御さんたちは大変心配しています。

 その上で、まず最初にお伺いしたいんですけれども、いわゆる放課後児童健全育成事業、学童ですね、これは、保育とか教育とかほかにいろいろあると思うんですけれども、そういう子供に関する事業と比べて、その重要性は大臣はどういうふうに認識しておられますか。

片山国務大臣 これは、もちろん非常に重要なものでございますと認識しております。

 いわゆる学童保育、放課後児童クラブは、放課後における適切な遊び及び生活の場を与えることにより、児童の健全な育成を図るものである。共働き家庭の小一の壁ということが言われておるわけですけれども、この打破のために非常に重要という認識でございます。

 とりわけ、近年の子育て世代の女性就業率の上昇ということがあって、共働き家庭の児童数のさらなる増加が見込まれるわけでございます。当然のことながら、今後この重要性はますます高まるもの、かように認識しております。

今井委員 その認識で安心しましたけれども、保育園、幼稚園の子たちは親御さんの保護というのが必要だということですけれども、小学生もまだ本当に子供ですから、中学生も子供です、ですから、そういうところの保育あるいは教育というのは本当にしっかりやっていかなきゃいけないと思いますので、質の低下が起きないかということでいろいろお伺いをしていきたいと思います。

 まず厚労省にお伺いしたいと思いますが、そもそも、二〇一五年に省令基準というのを設けたわけですけれども、その経緯について、背景についてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの設備、運営基準の制定経緯でございますけれども、平成二十四年三月に、当時の少子化社会対策会議において決定されました子ども・子育て新システムに関する基本制度におきまして、質を確保する観点から、職員の資格、員数、施設、開所日数、時間などについて国が法令上の基準を新たに児童福祉法体系に設定をすること、また、国が定める基準を踏まえまして市町村が基準を条例で定める、職員の資格、員数については、現行の事業実態を踏まえ、従うべき基準とすることも含めて法案提出までに整理をするとされた。

 これに基づきまして、平成二十四年に児童福祉法を改正し、二十六年でございますけれども、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準、これは省令でございますけれども、これを現行の基準として定めたという経緯でございます。

 職員の人員配置、資格につきましては、当時の状況でございますが、約九五%の放課後児童クラブで二人以上の職員の方が配置をされていたこと、それから、放課後児童クラブの職員が保有していることが望ましい資格として、それまでガイドラインで示しておりました児童館の職員の資格を満たした職員が約七五%のクラブで配置をされていたことを踏まえつつ、基準の制定により、既に活動しておられた放課後児童クラブの方々が極力排除されないというふうにするという配慮のもとで、放課後児童支援員を二人以上配置、それから、支援員につきましては保育士等の資格を有し研修を修了した者とすることについて、従うべき基準として規定をしたものでございます。

今井委員 今、国の基準を定めたということで、その背景もお話しいただきましたが、ですから、当時はこれが最低の守るべき基準ということで定めたんだと思うんですけれども、それは今現状もそういう認識ですか。現状の、今の国が定めている省令基準というのは、この放課後児童健全育成事業における国として考える最低の基準という今の御認識でよろしいですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、厚生労働省令で規定をしている放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準におきましては、まず、従うべき基準と参酌すべき基準の二つに分けておりますけれども、従うべき基準として、クラブの職員の人員配置、資格に関する基準、参酌すべき基準として、児童一人当たりの面積等に関する基準を定めてございます。

 自治体におきましては、従うべき基準については省令の基準に従って条例を定めていただく、参酌すべき基準については省令の基準を十分参酌した上で条例で定めていただくということになるわけでございますが、その条例で定めた基準が最低基準となるというふうに省令上位置づけられているわけでございます。

 今回の措置は、現行の省令の基準自体の内容は変えずに、従うべき基準を参酌すべき基準とするものでございまして、自治体においては、省令の基準を十分参酌した上で条例を定めていただくことになるというふうに考えております。

今井委員 ちょっと私の趣旨と違う答弁をいただいているんですけれども、前回つくったときは、従うべき基準と参酌すべき基準の二つに分けているわけですね。ですから、従うべき基準にしたにはそれなりの理由があるわけで、従うべき基準ということは、国が考えるこの事業をやるに当たっての最低の必要な条件である、そういう認識でつくられたということだと思いますけれども、それでよろしいですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、平成二十七年度からスタートしておりますこの省令上の基準につきましては、職員の資格、員数については従うべき基準ということでございますので、これを条例で定めていただくということでございます。このような形で今日まで運営をしてきているところでございます。

 一方、こういった運営の中、またプラン等に基づいて受皿の整備を図ってきたところでございますけれども、地方三団体からは、近年、国が一律の基準の義務づけを行っていることによりまして全国的に人材不足が深刻化をしている、そして、従うべき基準を参酌化すべきであるというふうな御提案をいただいているところでございます。

 厚生労働省としては、全国どの地域でも放課後児童クラブがニーズに応じて継続的、安定的に運営されることが必要というふうに考えており、こうした地方からの要望を踏まえて今回の措置に至ったということでございます。

今井委員 今の御答弁はとても私は不安なんです。

 そもそもこれぐらいの基準で人材が必要だという前提があって、しかしながら、実態はなかなか人材不足で確保できない、なので基準を緩めてくださいということであれば、それは質を低下させるということにつながりませんか。人材が不足だからその基準を緩めてくれ、そういう御要請があったというような御答弁でしたけれども、その説明ですと、それは質を下げていくということにつながりかねないというふうにとられますね。その点はいかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の措置は、従うべき基準によりまして人材確保が困難といった地方からの要望を踏まえ、全国一律ではなく、自治体の責任と判断によりまして、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものでございます。

 また、基準につきましては、市町村が地方議会の議を経て条例により制定をするということとなります。

 厚生労働省といたしましては、従うべき基準が参酌された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断により、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものというふうに考えてございます。

今井委員 端的にお伺いしますけれども、今回、従うべきものを参酌に変えている部分は大きく言って二つですね。

 一つは、原則二名以上配置するというのを参酌にするということですから、これは、非常に端的に言えば、現在最低二名は必要だというふうにしているのを、状況によっては一人にしてもいい、そういうことを認めるということですね、端的に言えば。

藤原政府参考人 現在二名というふうになっている配置の基準についてどうなるのかというお尋ねだったと思うんですが、市町村が条例によりまして、今回の参酌化によって国の基準と異なる内容の基準を定める場合であっても、放課後児童クラブの運営に当たっては、子供の安全や育成支援の質がしっかり確保されることが前提であるというふうに考えております。

 基準については、先ほども申し上げたとおり、市町村が地方議会の議を経て条例で定めるということになりますので、参酌化された場合であっても、この基準を十分参酌した上で、一人配置となるのではないかという御指摘もありましたけれども、そういったケースへの対応も含めまして、自治体の責任と判断で適切な対応が図られるものというふうに考えております。

 なお、厚生労働省としては、これまでも指針等で、子供の安全確保について周知をしてきているところでございます。例えば、市町村や学校等関係機関や保護者との連携体制の確保ですとか、対応マニュアルの周知や訓練の実施、こういったことに努めていただけるよう周知をしてきたところでございまして、今回の参酌化に当たっても改めて周知をしてまいりたいというふうに考えております。

今井委員 いや、質問に答えていただいていないんですが、今回、二名という基準を従うべきものから参酌化するということは、自治体が質を確保した上で、二人を一人にしても構いませんというか、それは認めますという、そういう内容ですね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも子供の安全の確保が前提でございますけれども、今回、参酌化をされるということが成立いたしますれば、条例によって国の基準と異なる内容の基準を定めるということも排除することはできません。それは事実でございます。

今井委員 そうですね。状況によっては二人を一人にするということを可能にしたいということであります。

 それからもう一点、いわゆる支援員、放課後児童支援員の資格を持っている方が従事しなきゃいけないわけですけれども、ここも参酌しなきゃいけないということに変わるということは、これも、状況によっては、資格を持たない方だけで、一時的なのかどうかはともかくとして、運営をするという可能性が出てくるということですね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁と同様の答弁となりますが、市町村が条例によって国の基準と異なる内容の基準を定めるということは排除されませんので、もちろんそういったことが、資格それから職員の配置数について、参酌化されることによって、条例で違う基準を定めるということが排除されないということにはなろうかと思います。

 いずれにいたしましても、子供の安全や質の確保ということが前提でございますし、条例を制定するためには、市町村が地方議会で議決を経て条例を定めるということになりますので、この基準を条例化するに当たっては十分参酌基準を参酌いただいて、自治体の責任と判断で対応いただくということになろうかと思います。

今井委員 今のお答えはちょっと曖昧でしたけれども、もう一度お伺いしますが、質を確保するという前提のもと、資格を持たない方だけでも運営ができる、自治体がそう判断すればそういう運営ができることになるということですね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、今、参酌化をした場合であっても、内容については変わらず参酌化をするということでございますので、望ましい基準としては、現行の資格の基準ということが望ましいと厚生労働省としては考えておりますけれども、あくまでも、条例を定めるということを経て、かつ安全を確保するという前提の上で、自治体が適切にお決めになるということになると思います。

今井委員 厚生労働省は、こういう子供の保育とかについて、ある意味、全国一律というか一定の水準をきちっと守っていくという考えは当然あると思うんですね。そのことをお伺いしたいと思うんですけれども、それが皆さんが考える基準ということでよろしいですよね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の最低基準というふうな考え方になろうかと思います。

 現行の制度では、省令の基準の中で、従うべき基準と参酌すべき基準と二つに分かれておりまして、従うべき基準についてはそのまま条例で定めていただく、参酌基準については、参酌をするんだけれども、条例で、判断で定めていただくというふうなことになりますので、今回、従うべき基準を参酌化するということによりまして、職員の配置数や資格について、そこについては、参酌基準を十分参酌しつつということにはなりますけれども、条例で定めていただくということになるわけでございます。

今井委員 ちょっと抽象的でよくわかりませんけれども、大体おっしゃりたいことは、先ほどまさにおっしゃっていましたけれども、条例で自治体が決めたら国の基準よりも下になることも排除できない、そういうことでありましたので、その点は非常に私は懸念を持ちました。

 具体的に皆さんが心配していらっしゃるのは、例えば、お一人になったときに、では、子供さんが一人けがをして誰かがその対応をしなきゃいけないというときに、ほかの子供さんをどうするんだ、誰が面倒を見るんだ。あるいは、支援員でいらっしゃる方が急に病気になったりとか急に何かがあって来られなくなった、かわりが見つからない、誰もいない、こういう状況が発生しないかとか、取り越し苦労と言われるかもしれませんが、しかし十分起き得る話でありまして、そうであるとすると、本当に預けている親御さんたちにとってはとても心配なんですけれども、そういうことについては厚労省はどういうふうにお考えですか。

藤原政府参考人 委員御指摘のとおり、放課後児童クラブにおける安全確保は非常に重要でございます。

 たびたびの御答弁になって恐縮でございますが、基本的にはもちろん、参酌化によりまして、市町村が条例で定める、自治体の責任と判断で安全を確保いただくということになろうかと思います。

 厚生労働省といたしましても、これまでも指針の中で、子供の安全確保について、市町村、学校等関係機関や保護者との連携体制の確保、対応マニュアルの周知や訓練の実施、こういったことに努めていただくよう周知をしてきたところでございまして、今回の参酌化に当たっても同様にこういったことをしっかりと周知をしてまいりたいというふうに考えております。

今井委員 急にぐあいが悪くなったりとかそういうことは当然あり得るわけなので、そういうところがどう対応できるかというのは、正直、今の話を聞いていても非常に私は心配であります。私も五歳と七歳の子がおりますので、預ける身としては本当にしっかりとした体制をつくっていただきたいと思っていますので、ちょっとやはり聞いていると不安を感じます。

 その上で、先ほど、人材がなかなか確保できない、人手不足ですというお話がありましたが、人手不足の原因の一つは、先ほども議論がありました処遇ですね。ある程度処遇がしっかりしていれば、私の選挙区も非常に過疎地が多いですけれども、それでもある程度の人材というのは私は確保できると思うんですね。

 まずは、やはり処遇を改善して人員の確保を図るということを先にすべきじゃないかなというふうに思うんですが、その点についてはいかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童支援員等の待遇の改善、処遇の改善は非常に重要な観点だというふうに思ってございます。

 厚生労働省では、平成二十九年度から放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を実施しております。本体の運営費に含まれる人件費については子ども・子育て支援法の中で担保されているわけでございますけれども、平成二十九年度からは、こういった運営費に含まれる人件費に加えまして、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業として、勤続年数ですとか研修実績に応じた加算というものの助成を行っているところでございます。

 ただ、まだ日が浅いということもありまして実施率が非常に低いという状況でございますので、こういった支援の事業の活用をできるだけ多くの自治体で行っていただけるように、主管課長会議ですとかさまざまな機会を通じまして働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。

今井委員 大臣、ちょっと今の点について、御決意、考え方だけですけれども、今、保育士にしても介護士にしても、給料がほかの業種より安いということでなかなか人材が確保できないという現実があるわけですけれども、学童の支援員にとっても今でもやはりまだ十分じゃないんだと私は思うんですね。ですから、今後の課題だとは思いますけれども、さらなる給与、処遇を引き上げるためのいろいろな措置というのを国としても考えていく必要があると思うんですけれども、その点についてどういうふうにお考えですか。

片山国務大臣 今るるお話を伺っておりまして、そもそも保育の問題についてもさまざまな議論をしてまいったところですが、一貫して、やはり保育士の処遇を上げなければいけないということはもう恐らくどなたも御異存がない。あとは、申し上げる以上は、我々は政権与党ですから、これはきちっと政府・与党で考えて、処遇の改善をする上の財源が確保されなければならないということはあります。

 ただ、一般論として、学童保育についてももちろん待遇や処遇がきちっとできればそれにこしたことはないわけでございますが、今、御意見、御議論を聞いていて思いましたのは、放課後児童クラブが始まった成り立ちの歴史でございます。

 御承知のように、平成九年に児童福祉法が改正されて位置づけがある前から、自治体がおのおのの独自の地域の実情に応じてやられてきたことがあるんです。それが今度、法律に位置づけられ、平成二十四年の改正と二十六年の運営に関する基準の制定で従うべき基準ができたんですが、その後に、実際それでやってみたら、やはりちょっと間尺に合わない、きついところがあるということを言ってこられて、地方三団体が全て、知事会も市長会も町村会も全て、おのおの機関決定の上、出してこられた提案なんです。それも、ことしは三十一年ですが、二十九年に出してこられているというわけで、やはりそれは地元の方でもいろいろなことがあって、考えに考えてこういう形になっているという点は御理解いただければと思います。

今井委員 大臣も処遇については問題意識を持っていらっしゃることはわかりましたので、ぜひ実現に向けて御尽力いただきたいと思います。

 それと、こうした事業に関して各自治体で相談窓口というのを設けていると思うんですね。利用者の皆さん、家族の皆さんがいろいろな相談をしたりすると思うんですけれども、どうしても自治体と利用者のところで話をしていると平行線になるというようなこともしばしば起きるわけでありまして、そういうときに、駆け込み寺のような相談窓口、うちの自治体はちゃんとこういうことをやってくれないとか、そういうことをやはりやる必要があると思うんですけれども、現状は学童の協議会の方にそういう相談が結構来られるそうなんです。

 でも、本来、これは、国として一定の基準をつくっていて、自治体がそういうことをちゃんとやってもらっているかなということをチェックするというか、余り上から目線じゃいけませんけれども、そういうことができているかというのをしっかりチェックしていくのは、それは厚生労働省の役目だと私は思うんですね。

 ですから、もちろん自治体の自主性は確保しながらも、そうやって、どこに相談していいかわからない、自治体になかなか言うことを聞いてもらえないというときに相談できるようなところを、政府、厚労省になると思いますが、その中にそういうものをぜひつくっていただきたいと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童健全育成事業につきましては、市町村が設備、運営に関する基準に基づいて条例を定めるということになっているわけですが、厚生労働省といたしましても、放課後児童クラブ運営指針におきまして、苦情対応について、市町村と放課後児童クラブの運営主体が連携して、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員の設置、こういったことですとか、解決に向けた手順の整理を行い、その仕組みについて子供や保護者にあらかじめ周知してくださいというようなことをお願いしているわけでございまして、引き続きこの規定の周知をしてまいりたいと思っております。

 また、この運営指針の解説をしている文書がございますけれども、この中で、なかなか当事者では独自に解決ができないような場合につきましての苦情に対する対応策といたしまして、都道府県社会福祉協議会に設置をされております福祉サービス運営適正化委員会の活用についても促しているところでございまして、このような機関の活用も周知をしているところでございます。

 なお、法案の附則におきまして、施行後三年を目途とした検討規定を置いてございます。この検討に当たっては、そもそもこの参酌化による施行の状況をしっかり把握することが必要だというふうに考えておりますが、その際、保護者の方々の御意見も含めて、どのように実態を把握することができるかということについては検討してまいりたいというふうに考えております。

今井委員 いろいろ周知徹底をしているという御答弁でありましたが、現実にはそういうところに行かずに、協議会の方に行ってしまっているという現実があるわけですから、それは周知が十分じゃないということだと思いますので、さらなる周知をしっかりしていただきたいと思います。

 もう一分しかありませんので、最後、大臣に一つお伺いしたいんですが、今回、この放課後児童健全育成事業に関しては、措置をした後、三年後の見直し規定が入っています。であれば、そもそも、二〇一五年に基準を定めたそのものについての総括をして、見直しをしてここに来るべきだと思うんですけれども、どうもお伺いしていると、二〇一五年に定めた省令基準に関しての運営等に関しての総括、これが厚労省の方でなされていないんじゃないかと私は思うんですね。

 ですから、まずは、今回見直し規定をつくるのであれば、もう一度、これまでがどうであったかということをしっかりと総括すべきじゃないかなと思うんですけれども、この点についてはいかがですか。

片山国務大臣 今るる御議論を伺っていて、大変きめ細やかに御心配をいただいていること、ありがたいと思います。

 今、ちょっとその前の質問でも申し上げたんですが、この制度が生まれてきた経緯というものもこれあり、その後、平成二十六年の運営に関する基準制定で従うべき基準が設けられて、その後、これでやってみて運営に支障を来すということが地方公共団体から出てきているということで、地方三団体がおのおの機関決定を行って、これは知事会、市長会、町村会、全てですが、二十九年から提案募集を共同提案で出してきておられます。

 この共同提案以外にもいろいろ出てきているんですが、それで、それを受けて、厚労省さんの方で、個別の支障が生じるたびに全国一律の基準を逐次見直すということではなくて、地域の実情に応じて地方公共団体が適切な基準を柔軟に設けることができるようにする方が、この制度の全体の成り立ち、生まれてからの経緯というのも考えて、その方がよろしいという御判断であったというふうに、我々は、まとめる方の部局としては承知をしております。

 そういう御判断ということであれば、ある意味、見直しのようなことも含めて、よく現場の実態や意見を聞いた上でこのような判断となっている。あくまでも自主性、自立性を高める上でということ。事業の実施主体である市町村長の責任において質を担保しということでこの対応ができる、そういう考え方になっているということは御理解をいただければと思います。

今井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、やはり、まだ始まって四年ぐらいですから、十分このことを精査して慎重に検討すべきだということを感じたということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

松野委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 本日は第九次の地方分権一括法案の審議の時間でありますけれども、片山大臣の地方創生、地方分権にかける思いなどもお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、地方創生の要諦についてであります。

 一つ目は、東京一極集中をどのようにしてとめるかであります。

 第一点は、東京一極集中の具体策、秘策が片山大臣にあるのかどうかであります。

 現在の地方を支援するためのまち・ひと・しごと創生プランは、私も大変よくできていると思っておりますけれども、しかし、これでも依然として東京一極集中はとまりません。片山大臣は、東京一極集中をとめる秘策があるのかどうか、また、そういう考えがあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 御指摘のとおり、今の景気、現状の中で、東京圏を含めて全体の中で、やはり東京一極集中の傾向が続いています。これは事実でございまして、重く受けとめているところでございます。

 この要因はいろいろ各方面に調査をお願いしたりしているところではありますが、さまざまな要因が絡み合って、一つの要因というだけではないと思いますが、それらをしっかり分析し、エビデンスに基づいた有効な対策を打っていかなければならないのは当然でございます。

 例えば、これは全面的ということではないですけれども、東京圏への転入の抑制の観点からは、転入超過の大半が十代後半や二十代の若者が占めているというのはファクトでございますから、進学や就職が大きなきっかけになっていると考えられますので、東京二十三区における大学の定員抑制などを既に決めたところでございます。

 さらに、地方の魅力を高めて地方への人の流れをつくる観点から、遅くとも文化庁の京都移転を二〇二一年度中に行う等の政府関係機関のお話ですとか、きらりと光る地方大学づくりの推進、これは昨年の十月三十日に第一回の事業の採択、七件がされまして、まさに新学年度から動いてくるわけです。

 さらに、予算の方でお認めいただきましたUIJターン、地方での起業、就業する若者たちに最大三百万円を支給する制度、この第一回の交付決定が今月の一日になっているなど、今、本当にオンゴーイングでさまざま進めているところでございます。

 委員の御地元の栃木県におきましても、UIJターンに対する起業、就業の支援というのに栃木県は手を挙げていただきまして、今月一日に交付決定を行わせていただいたところでございます。

 これらが本格的に効果がどのぐらい生まれるものなのか、順次あらわれてくるものと思いますが、こういったものを更に見つつ、積み重ねてまいりたい、かように考えております。

 今、第二期の総合戦略の策定に向けて、第一期の検証と、今申し上げたような新規施策の回りぐあいを見ながら、第二期に向けた有識者会議の御議論を行っていただいているところで、例えば、移住、定住まで至らないような地方との縁づくりも重要ではないか、また、地方を担う人材育成が今までもそうだけれども更に重要ではないか、また、地方においてこそソサエティー五・〇に対応した未来技術が、有効というか、なければ行政レベルが回らないのではないかとか、こういった御意見も出ておりまして、これらも総合的に踏まえ、過度な東京一極集中の是正に向けた取組を全力でつくってまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 片山大臣、歴代の大臣も誰も秘策はなかったんですよ。ですから、別に責めるつもりは全くありませんけれども、結局、発想がどうしても中央集権型なんですよ。ここをやはり変えていかないとだめだと思いますし、実は私は前々から言っているんだけれども、なかなかそういう大胆な発想が出てこない。

 私はフランスのパリを見習えと言っているんですよ。パリは、開発要求がどんどんあっても、パリの量的拡大は認めないんですよ。それで、周辺に新都市を五つつくった。そういうところに開発要求は差し向けて、量的拡大をやらない。そういう大胆な方策をやらないと東京への一極集中はとまりません。

 今でも東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ビルディングを建ててオフィスはふえるわ、マンションができるわ、住まいはふえるわ、東京のさまざまなレジャー施設はふえるわ、これでは東京の魅力はどんどんどんどん高まっていきますから、絶対、東京一極集中は今のような小手先の政策ではとまりません。

 もちろん、地方の大学を魅力あるようにするというのは悪い方法じゃないですよ。しかし、これはもっと子供がふえている時代にやればいい話であって、今、どんどんどんどん子供が減っていく中でこれをやるというのは相当手おくれの政策ということになるんですよね、基本的に。

 ですから、そういう意味で、もっと大胆な、東京はこれ以上量的には大きくさせない、そのかわり質の向上はしてもらう、そういうやはり大胆な政策をやらないととまらないと思いますよ。

 ですから、もし第二次の地方創生計画をやるんだったら、そういう視点を入れて、もっと大胆な、本当に東京一極集中を是正するんだというかたい意思があるのならそうやるべきだというふうに私は思っております。

 第二点でありますが、第二点は、中枢中核都市というのを今度はまた内閣府でぶち上げたようでありますが、これは東京一極集中の切り札になるのですかね。

 総務省が進めております人口二十万以上の連携中枢都市というのがありますけれども、これと大部分重なり合っているわけでありますが、これはどう調整をしようとしているのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 中枢中核市というのは、東京への人口流出を抑止する機能、いわゆるダム機能を発揮していただきたいという期待のもとに位置づけをして政策的な支援対象とするということで決めさせていただいたんですが、関係省庁連携による政策テーマを受けたハンズオンですとか、あるいは地方創生推進交付金による支援でございまして、東京圏への人口流出機能を地方の中枢中核市がやっていただくということでございます。

 連携中枢都市というのは、三大都市圏以外の地域を対象に、中心都市と近隣市町村が連携協約を締結し、具体的な圏域の形成を図るという、より行政的なものでございまして、もちろん、現場ではうまく支援策を組み合わせて活用をしていただけるように促してまいりたいんですけれども、対象都市と講じる措置が若干ずれているものでございますので、そういった目的の違いもしっかりと位置づけながらも、支援策が現場ではうまく組み合わさるように促してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 内閣府の資料によりますと、東京圏への転入超過数、市町村別内訳と累積割合というのを見ますと、政令市の仙台市とか、大阪市とか、札幌市とか、名古屋市とか、神戸市とか、新潟、福岡、こういうのが断トツに多いんですよね、東京へ来ちゃうのがね、本当に。ですから、中枢中核都市にこうした都市を指定して、ここで本当にちゃんととめられるのかという問題がありますが、これはそもそも、もしかすると、地方分権も本格的に道州制なりを検討しないとだめなんではないかというようなことのあらわれではないかと思っています。

 残念ながら、北海道が特別区域に指定されましたけれども大失敗いたしました。私は、今もしモデルとしてやれるとしたら九州だなと思っています。

 あの当時も、九州としては、大分県の元知事の平松知事以来、道州制をやろうじゃないかというふうな機運が残っておりますし、幸い、九州の場合は、中国始め、元気なアジアからのインバウンドもたくさん見込むこともできます。

 さらに、九州では、太陽光発電が、クリーンなエネルギーがどんどんできているんだけれども、原発でこれは要らないという、こんなとても矛盾したことをやっている。エネルギーも十分余っているので、九州に権限と財源と人材をちゃんと移譲してやれば道州制の州としてしっかり自立できるんじゃないかというふうに私は考えておりますが、こうしたことも含めて検討してみてください。答えは要りません。

 時間がありませんので、先に行きます。

 三番目は、地方創生をするには、やはり農業、農村が疲弊したんじゃ実は地方創生にならないんですよね。今政府が進めておりますハイレベルな自由貿易の促進は農業、農村を完全に破壊します。こんな自由貿易を進めちゃだめだと思っているんですが、まず、農水省が中心になってやっております農産物の輸出目標一兆円は本当に農業の振興に役立っているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の日本の農産物、食品の輸出額は、平成三十年に九千六十八億円ということで、前年比一二・四%の増加となりまして、六年連続で過去最高を更新しているところでございます。

 この中でも、特に日本の農業、農村に関係します一次産品につきましては、例えば牛肉は対前年比で三割増、鶏卵、卵ですけれども、こちらは五割増、イチゴは四割増、米は二割増ということで、これらは先ほど申し上げた全体の平均増加率を上回る輸出になっておりまして、農家の所得向上につながった例も報告を受けているということでございます。

 今後、こういったことを踏まえて、輸出を更に拡大して所得向上につなげられるように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 金額だけはどんどんふえているようでありますけれども、先日、日本農業新聞が、実は、関税番号で二〇一八年の農産物輸出の上位十品目というのを調べてみた。そうしたら、わけのわからないものがあるわけです。第一位が、その他の調製食品のその他というのが七百九十八億円。二番目が、パン、ケーキなどのその他、これが三百億円。これだけで一千億円ですよ。

 ですから、単に数字がふえているから、農産物輸出がふえて、それが農業の振興につながっているというふうにはとても考えられない。先日、毎勤統計からGDPのかさ上げの話がありましたけれども、これも、GDPのかさ上げじゃないけれども、農産物の輸出の金額もこれはかさ上げじゃないですか。

 ちゃんと明快に、どういう一次産品、どういう加工品というのを明快にしっかりと情報を公開して、本当にこれが農業の振興に役立って農家の所得の向上に役立っている、そういうものをちゃんと検証できるような、そういうふうなものをぜひ農水省としてはしっかり発表していただきたいと思います。

 二つ目は、ハイレベルな自由貿易というのが私は農業、農村を破壊すると思っているんですが、そこで外務省に伺いますが、ハイレベルな自由貿易という定義があるんですか、あるとしたら教えてください。

赤堀政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、ハイスタンダードな自由貿易協定の推進に取り組んでおります。

 ハイスタンダードの意味するところでこざいますが、単に関税の引下げにとどまらず、知的財産、国有企業など、幅広い分野で透明性の高い、公正なルールを整備することでございます。例えば、TPP11や日・EU・EPAは、いずれもハイスタンダードな自由貿易協定であります。

 交渉に当たっては、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、国内への影響が出るかどうかということをしっかりと注目しながら交渉しております。

福田(昭)委員 それではよくわからないんですが。

 要するに、TPPを始めたP4の大原則、十年後に関税がゼロ、非関税障壁撤廃、これがP4のスタートで、それがTPP11にもちゃんと組み込まれているじゃないですか。ですから、ハイレベルな自由貿易というのは、関税がゼロ、非関税障壁を撤廃するということなんですか。もう一度答えてください。

赤堀政府参考人 お答え申し上げます。

 交渉に当たりましては、攻めるべきところは攻め、守るべきところは守り、国内への影響が出るかどうかということをしっかりと注目して行っております。

福田(昭)委員 それでは定義にならないじゃないですか。どういう自由貿易をやろうとしているんだか全くわからないじゃないですか。そんなことじゃだめだよ、国益を損なうよ。だって、昨年の質疑の中では、関税に聖域はないと私に答えたよ、TPP交渉官が。

 ですから、重要五品目、お米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、カンショ類、この重要五品目にも聖域はないんだから、TPPのルールからいえば、発効後三年後全面見直し、七年後には農産物輸出国四カ国と、アメリカを抜いた四カ国と再交渉を約束させられたでしょう。そうしたら、十年後に、おお、関税ゼロにしろ、それこそ、遺伝子組み換え食品始め、非関税障壁も撤廃しろ、こういうふうに要求されるじゃないですか。それに対してどう対応するのか、そういうものが全くはっきりしていない。こんなことでは国益を損なう。日本の農業、農村は破壊されてしまう。

 私の提案は、だから、守るべきものはちゃんと守れるように、適切な関税と、ちゃんと発動できるようなセーフガードつき自由貿易体制というのをWTOのルールとしてつくるべきですよ。そうしたことを日本がやはり先導してやるべき。こんな外交方針じゃだめ。

 これは本当に大変ですよ。今、農業後継者、平均年齢六十六歳。農業の担い手がいない中で輸出しましょうといったって、担い手がいなくちゃ農畜産物を誰がつくるのという話だ。ですから、本当にこんなばかなことをやっていたら日本の農業、農村は潰れて、地方創生どころじゃなくなってしまう。こういうことをしっかり考えてやらなくちゃだめですよ。

 ですから、単に工業製品だけ売れればいいという話じゃない。日本の食料自給率をどうするの、食料の安全保障をどうするの、そういうことをしっかり考えてやらなきゃだめだよ。

 それから、三番目。四月十五日から始まった米国との二国間の貿易交渉の対象は、安倍総理と茂木大臣が物品交渉だと言ったけれども、これはまるっきりうそじゃないですか。どうなんですか、物品交渉だけなんですか。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月の日米合意は、今後日米交渉を進めるに当たっての基本的枠組みやお互いの立場を確認したものでございまして、具体的交渉はまさに始まったばかりでございますが、今回の交渉は、基本的に物品を対象とするものでございます。

 この交渉では、この物品貿易とあわせまして、早期に結論が出るものについても交渉を行いますけれども、物品貿易以外に何を対象とするかにつきましては、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で今後協議し、合意したもののみが入ることとなっております。

 今回アメリカで行われました茂木大臣とライトハイザー通商代表との協議におきましては、農産物、自動車を含む物品貿易の議論を開始するとともに、デジタル貿易の取扱いについても適切な時期に議論を行うこととされたところでございます。

 いずれにしましても、今後の交渉があくまで昨年九月の日米共同声明に沿って行われることについては、今回の協議でも茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で再度確認したところでございます。

福田(昭)委員 日米共同表明に全然TAGなんて書いていないじゃないですか。そんなのだめですよ。

 御存じだとは思いますけれども、トランプ大統領がアメリカの議会に提出した三大教書の一つと言われている経済報告の中で、トランプ大統領は、日本との貿易交渉はFTAだとちゃんとアメリカの議会に報告していますよ、自由貿易交渉だと。それは御存じなんでしょうね。どうなんですか。

大角政府参考人 アメリカの方で議会の方に提出したことは承知しておりますけれども、いずれにしても、日米共同声明におきましては、「日米両国は、所要の国内調整を経た後に、日米物品貿易協定について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。」このようにうたわれておりまして、この共同声明に沿って今後協議が行われていくことは今回も確認したところでございます。

福田(昭)委員 そういう国民をだましちゃだめですよ。

 だって、今までトランプ大統領の言うことを安倍総理は何を聞いてきたか。カジノのことも聞いてきて、カジノの面積規制だとかそういうものも聞いたり、さらにはイージス・アショアまで買っちゃった。それこそ飛行機も買っちゃったけれども。本当にとてもとても信用できない、基本的に。

 ですから、しっかり日本の国益を守るという視点が本当にどこにあるのか、非常に疑問なところです。ですから、こんなとんでもない貿易を進めていけば、日本の国益はなくなるし、それから、農業、農村は破壊されて地方創生どころじゃなくなるということをしっかりとお伝えをしておきたいと思います。

 次に、二つ目でありますが、二つ目は地方分権改革の残された課題について。

 分権委員会の方から、次の残された課題は二つだということでありますけれども、第一点は真の住民自治の拡充の具体策についてであります。

 日本の民主主義を更に充実させるためには、やはり間接民主主義と直接民主主義を上手に使えるようにしていくということが私は非常に大事だと思っています。

 そのためには、市町村合併のときには、住民投票条例をつくって住民の意思を聞けなんということがありましたけれども、それぞれの自治体にとって重要な政策について、賛否が分かれるものについては、やはり住民投票にかけて首長と議会が判断をしていくというようなこと、それから、憲法九十五条の趣旨を生かして、法律を特定の地域につくらない場合であっても、国の大変重要な政策をある都道府県などに押しつけるというような場合には、やはり憲法九十五条の趣旨を生かした住民投票というのを活用するということが大事だと思います。

 例えば、今回の沖縄の辺野古の基地の住民投票の結果が一顧だにされないということは、政府は地方自治を認めていないということですよね。住民自治を認めていないということです。

 しかも、実は、辺野古の基地ができても普天間基地は簡単に返ってきませんから。幾つか条件があって、その条件の一つに、今、辺野古はわずか二ヘクタール、そこにできる滑走路というのは千三百メートル、ところが普天間は四・八ヘクタールあって滑走路が二千八百メートルある、こうした長距離の滑走路を確保することというのが返還の条件の一つに入っています。

 二十数年たってもまだ、政府はそうした民間の飛行場で長距離の滑走路をどこにするということを決めていませんし、決められていません。ですから、もし、辺野古に何万本のくい打ちをして、あそこに飛行場をつくったとしても、即普天間は返ってこないということです。

 先日、びっくりしましたけれども、米軍の元海兵隊の幹部がテレビに出てしゃべっていましたけれども、日本語がぺらぺらでした。普天間は以前ほど危険じゃなくなっています、それは、ああした事故が起きてから普天間に配置した飛行機を岩国などに移転していますので、今までみたいに飛行機が頻繁に飛ぶような場所ではありません、そんなことまで言っていました。

 前にもどこか違うところで言いましたけれども、元駐日大使だったアマコスト大使は、沖縄の人がそんなに嫌だったら、別に海兵隊が沖縄にいる必要はないんだ、これはグアムでもハワイでもアメリカ西海岸でもどこでもいい、訓練だけだったらフィリピンでもいい。ここまでアマコスト大使は言っています。ですから、アマコスト大使は、もし沖縄の人が辺野古がだめだということで、それがさらに嘉手納飛行場まで及んだんじゃ困る、こういう話をしていました。

 まさに、そういう意味では全く状況は一変している。そういう現状の変化を踏まえた上で沖縄の皆さんの意思を尊重する、そういう考え方に政府はやはり変わるべきだと思う。それがやはり日本の民主主義をしっかり充実させる方法だと思いますが、住民投票の活用についてどう思うか、お伺いしたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 憲法が定めております我が国の地方自治制度の根幹は代表民主制でございまして、住民の意思の反映については、住民の直接選挙を通じて選ばれた長、首長でございます、や議会が中心的な役割を果たすことを基本としてございます。

 その上で、福田委員御指摘のような住民投票は、各地方公共団体の条例や要綱に基づいて、住民の意思を把握する手法として活用されているものであると認識をしてございます。

 住民投票の活用につきましては、それぞれの各地方公共団体において適切に判断されていくべきものであると理解をしております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 これは答えは要りませんけれども、やはり住民自治を拡充するということになると、主権者教育も大事だと思います。しっかり自分でちゃんと権利を持っているのに、その権利を行使しない、こういう国民がもう今五割以上になってきちゃっている、これは本当に日本の民主主義の危機だと思います。

 それから、高知県の大川村の村長さんの提案、つまり、村議会を廃止して村民総会に切りかえるという提案があって、総務省は一時、有識者懇談会も設けて検討したけれども、うやむやになっちゃった。しかし、これからの人口減少時代を考えると、やはり大川村の提案は貴重な提案だ。だって、全国の市区町村千七百十八かそこらあるうち、人口五万人未満の市町村は約七割ですよ。今後もっとふえてくるかもしれません。

 ですから、そういう中で、しかも大川村の村長さんは大したものですよ。その後、条例を制定して、議員さん方がそれこそ兼業可能な、そういうものも条例で決めて選挙をやることにした。今回、八年ぶりに村議会議員選挙が今行われているんだと思います。

 それと、私がびっくりしたのは、米国の行政視察をしたときにこういうふうに言われた。あなたはフルタイムメーヤーかと言われたことがある。常勤の市長かと言われたわけですよ。そうすると、米国の自治体、地方自治をぜひ総務省は研究してほしいと思うんです。

 やはり住民自治を充実させる。それこそ地方自治は民主主義の学校だと言われているけれども、これがどんどんどんどん貧弱になっていったら、日本の民主主義はだめになるだけじゃないですか。

 ですから、そうすると、アメリカは、例えばちっちゃな町では、議員さんの中から一人市長を選ぶとか、そういう仕組みまである。それから、非常勤の市長までいる。

 だから、私も徹底的に調べたことはないけれども、総務省はしっかり調べて、日本がどんどんどんどん人口が減っていく中で、地方自治の仕組み、制度はどうあるべきかというのをぜひ研究してほしい。前回の有識者懇談会は頓挫しちゃったようだけれども、ちゃんとした有識者懇談会をつくって検討してほしいと思います。

 それからもう一つ、第二点は財政的な自立性の確立の具体策についてですが、時間がなくなっちゃったので、意見だけ言って答えは要りません。

 財務省にせっかく来てもらったんですが、今回、地方法人税の改正によって税の偏在を是正するということをまたやりました。東京都あたりから税金を巻き上げて地方へ配るということをやりましたけれども、私は、こういうやり方じゃなくて、地方交付税本来の役割をしっかり取り戻すということが大事だと思います。

 地方交付税は、まさに税の偏在を是正する税の仕組みです。そのためには、消費税をつくった平成元年から所得税や法人税をどんどん下げていった、大幅に下げていった。ですから、平成二十四年でありましたけれども、経済企画庁が出した当時の報告書によると、実は、税の制度改正なかりせば十四、五兆円税金が入ると試算をしていました。この間、三位一体の改革で消費税を五%上げるというのが決まって、実は、今進められておりますけれども、消費税五%というのは、ちょうどこの失われた十四、五兆円を回収するための税制改正なんですよ。

 でも、消費税は私は悪税だと思うから、消費税に頼っちゃだめだと思っている。これでストップだと思っています。やはり、余りにも下げ過ぎた所得税や法人税をまともな税制にして、真っ当な税制にして、しっかり地方の税金、地方の固有の財源も、所得税と法人税の総額がふえれば、自然に、交付率三三・一%ですから、地方交付税がふえますから、これで東京都がぎゃあと言うこともなくなりますので、こういう形でやはり地方の財源というのは確保していくべきだというふうに思います。

 財務省、申しわけないけれども、答えはいいです。

 時間がなくなってきましたので、次に参ります。きょうの法案の方に入らないと申しわけないので、法案に入りたいと思います。

 次に、社会教育法、図書館法、博物館法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正についてであります。

 一つ目は、社会教育の適切な実施の確保に関する一定の担保措置についてであります。

 担保措置というのはどのようなものか、三点ほどあるようですけれども、簡潔にお答えいただきたい。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案におきましては、地方公共団体の判断により、公立社会教育施設の所管を首長とする場合に、社会教育の適切な実施が確保されるよう、教育委員会による一定の関与の仕組みを設けております。

 具体的には、公立社会教育施設の所管を首長とすることについての条例を定める際に議会が教育委員会の意見を聞くこと、首長がその所管する公立社会教育施設の管理運営に関する規則の制定を行う際には教育委員会に協議すること、首長が所管する公立社会教育施設に関する事務のうち、学校等における教育活動と密接な関連を有するものとして規則で定めるものの実施に当たっては教育委員会の意見を聞くこと、教育委員会は、必要と認めるときは公立社会教育施設に関する事務について首長に対して意見を述べることができること、以上でございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 とても信じられないようなことがやられようとしていますが、二つ目は、首長部局へ移管されることにより、社会教育のさらなる振興はもとより、文化、観光振興や地域コミュニティーの持続的発展に資する、こういうことになっているんですが、とても私には、こんなことをやってこういうふうになるのか信じられません。

 そうした中で、一つ、二つの質問は省きます。

 三番目。私は、むしろ、こうした社会教育のさらなる振興とか、文化、観光振興とか、地域コミュニティーの持続的発展、今政府がやっていることでこれにもし一番資するとしたら、総務省が今やっています地域おこし協力隊、私はこの活躍はすばらしいものがあると思っています。

 この活用区域を、今は条件不利地域になっているようでありますが、条件不利地域から地域を拡大をして、彼らにまさに文化、観光振興や地域コミュニティーの持続発展のために頑張ってもらう。この方が、私は、社会教育施設を首長部局へ移管するなんということよりは物すごく役立つ、こう思っています。

 それは、二〇一八年度は、過去最多の五千三百五十九人、定着率が六割だったんですね、地域おこし協力隊。二〇二四年度までに八千人までふやす目標を掲げておりますけれども、その成果を私は大いに期待をしているんですが、総務省はこれをどんなふうにこれから持っていこうとしているのか、お答えをいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊は、都市圏の若者等が、都市圏に比べてより条件が不利とされる過疎地域等に移住して、地場産品の開発、農林水産業への従事等の地域協力活動を行うものであります。その中で、文化活動に従事することも地方公共団体の意向で可能でございます。こうした趣旨から、転出地や受入れ自治体などについて一定の地域要件を設けているところでございます。

 地域要件については、こうした都市圏から地方部への人の流れの創出を図るという原則のもと、地方自治体の状況等を踏まえ、これまで緩和を行ってきたところでございます。

 今年度からは、新たに、三大都市圏内の都市地域に区分される市町村、三百三十一市町村ございますが、そのうち、三大都市圏外の全部条件不利地域の二〇〇五年から二〇一五年の人口減少率、一一%ですが、それを上回る二十二市町村については、地域要件を緩和し、地域おこし協力隊の対象団体としたところでございます。

 委員御指摘のように、隊員が多様な地域で活躍できるよう、引き続き地域おこし協力隊の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 ぜひ、これは私はすごい成果を上げていると思うし、これからも活躍してほしいと思う。

 そうすると、地元定着率六割をもうちょっと上げてほしいな。そのためには、自分で起業するということも基本だと思いますけれども、そのほか、地元の市町村の役場だとか、農協だとか、あるいは森林組合だとか、漁協だとか、商工会議所だとか、商工会だとか、そういうところに地域おこし協力隊の、要するに、もちろん評価は必要だと思いますが、この人物は欲しいな、いいなというのは社会人任用として積極的に市町村が任用するというようなこともぜひ総務省としてはお勧めをして、もちろん自治体の判断ですけれども、そういうことによって地方に定着していく。地域おこし協力隊も仕事がないと定着できないので、まち・ひと・しごとのプランにもそういう意味では合致してくるかもしれないので、ぜひそういう対応策もお願いできればと思っております。

 それから、三つ目でありますが、政府の一連の教育改革との矛盾についてであります、今回の改正がですよ。

 一つ目は、第一点ですけれども、平成二十七年度改正の地方教育行政法の一部改正はなぜ実施したのかであります。

 これは、教育委員会と教育長の一体化、そして総合教育会議を設置するということを決めたわけですよね。このときに既に首長が自治体の教育のトップになったわけでありますから、公民館、図書館、博物館などの社会教育施設をどう活用するか、首長が決められるんじゃないですか。わざわざ首長部局に移管しなくても、首長がトップなんですから、教育再生会議からの提案に基づいて中央教育審議会か何かが審議してこうした形に持ってきたわけでありますから、別に今回の地方分権一括法でこんなことを決めなくたって、今でもすぐできるわけですよ。

 ですから、これについてどう考えているんですか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 総合教育会議は、地方公共団体の教育等の振興に関する総合的な施策の大綱や重点的に講ずべき施策等につきまして、首長と教育委員会が協議、調整を行うものでございまして、総合教育会議での議論等を踏まえて、それぞれが所管する事務を執行するということになります。

 一方、今回の改正案につきましては、公立社会教育施設の所管に関する特例を認めるものでございまして、このことにより、公立社会教育施設の設置、管理等の事務を首長の職務権限として実施することを可能とし、首長みずからの責任のもと、当該機関における社会教育事業と他の行政分野の事業との一体的推進による行政施策の実現に取り組むことができるようにしようということで行うものでございます。

福田(昭)委員 塩見振興総括官、それは違うんじゃないですか。

 地方自治法には、第百八十の二、第百八十の四、それから第百八十の七で、首長部局と委員会で相互に事務の委任と補助執行が決められているんですよ。首長には組織の統括権がある。

 だから、首長は、図書館や公民館や博物館に、よし、この人材をちゃんと異動で派遣して、この人材に、それこそ文化振興や観光振興など、コミュニティーの持続発展などをぜひやらせたいと思えばできちゃうんですよ。教育総合会議でそういうことを議論して実際に自治法に基づいて委任すれば、きちっとできちゃうんですよ。だから、あえてわざわざここで、この地方分権一括法で社会教育法や図書館法や博物館法を改正しなくても実はできちゃうんですよ。

 ですから、これは何のためなのか。何か聞いてみると、地方の方からは、九州知事会と群馬県と、どこからか四カ所ぐらい手挙げがあったというんですけれども、幾ら手挙げ方式でも、これはちょっとやはり違うんじゃないですか、基本的に。

 ですから、もう既に自治法で、そんなことはお互いに相談すればできることになっている。しかも、人事の配置も首長に統括権があるわけだから、首長がしっかり、ぜひ公民館活動を活発にしたいんだからおまえ行ってこいと言えば、行ってこれるんですよ。ですから、わざわざここでこうした改正をする必要は全くないということを申し上げたいと思います。

 質疑時間が終了しましたので終わりにしますが、第二点、文科省が進める「次世代の学校・地域」創生プランをつくり、そして、地域学校協働活動の推進のための社会教育法の一部改正をし、地域学校協働活動の推進に向けたガイドラインまで策定した。その基本は何だといったらば、公民館や図書館や博物館などの社会教育施設などの社会基盤を整備して、子供たちの健全な発達、発展、健全な育ちを助けるという話なんじゃないですか。せっかく資料の一と二で配りましたけれども、文科省がここまで考えておきながら、これを首長部局にどうぞというのはとても納得できないというふうに思います。

 以上で私の質問を終わります。

松野委員長 次に、松田功君。

松田委員 立憲民主党の松田功でございます。

 きょう、ここで質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。また、片山大臣におかれましては、きょうはパステル調の洋服ということで、明るい回答をたくさんいただけるように御期待いたしておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、早速入ります。第九次地方分権の一括法案についてお伺いをさせていただきたいと思います。放課後児童支援員の参酌基準化についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 二〇一五年に決めたばかりの支援員の配置基準について、検証もまだ不十分な中、なぜ参酌すべき基準とするのか、お答えをいただきたいと思います。また、現場の人間や保護者からは、子供の安全が守られているのかといった心配の声が数多く上がっております。子供の安全は何よりも優先すべき理由だと思います。その辺についても、いかがお考えになられておりますでしょうか。

 支援員の人材不足ということで要るということも、理解はすることはありますが、基準を緩和するのではなくて、処遇を改善することをまずすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の措置につきましては、従うべき基準によりまして人材確保が困難といった地方からの強い御要望を踏まえまして、全国一律ではなく、自治体の責任と判断により、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うということを可能とするものでございます。また、基準につきましては、市町村が地方議会の議を経まして条例により制定をするものでございます。

 厚労省といたしましては、従うべき基準が参酌化された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断によって、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものというふうに理解をしております。

 また、配置が薄くなってしまうのではないかという御不安の声があるという御指摘もただいまございました。市町村が条例により国の基準と異なる内容の基準を定める場合でありましても、クラブの運営に当たりまして、子供の安全や育成支援の質が確保されるということが大前提になるというふうに考えております。

 厚生労働省といたしましても、こういった放課後児童クラブの質が確保されるように、放課後児童支援員に対する研修の実施の支援ですとか、それから、放課後児童支援員の処遇改善の推進、これは勤続年数ですとか研修の修了の方等についての加算を行うというものでございますが、処遇改善の補助の推進それから質の向上の観点から評価の推進、こういった取組を通じまして、質の確保に引き続き努めてまいりたいと考えております。

松田委員 支援員の方もそうですし、子供に携わる支援員や相談員の方や、いろいろ、かなりのストレスがかかる場所でもあるということも含めて、それが二人から一人になる場合といったときに、その判断力ということもあります。現場の職員の皆さんは、一生懸命やっていただいている。その中で、いろんな問題があり、そこでストレスを抱え、そのストレスがまた子供たちにも影響するとも言われていることもあります。

 そういったことにおいては、やはり、基準を緩和ではなくて、処遇を改善することで人材不足を進めていくことは重要だと思いますが、さきに、残念ながら、例えば、これとは違うかもしれませんが、児童相談所に行って、手紙を見て、その手紙をお父さんに渡して、お父さんが子供を殺してしまった。そういったことがあって、相談員の所長は、謝るだけで、しまっているということで、お父さんのすごいプレッシャーで手紙を渡してしまったという話も聞いておりますけれども、現場の人というのは非常にストレスがかかるところであります。そういった思いについて、再度お答えをいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの職員の方々、非常に御尽力をいただいているところでございます。今回の参酌化につきましても、従うべき基準が参酌化をされた場合にあっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断で適切な対応が図られるというふうに考えております。

 また、安全確保につきましては、厚生労働省といたしましても、市町村や学校等の関係機関や保護者との連携体制の確保ですとか、対応マニュアルの周知や訓練の実施、こういったことを努めるように周知をしておりまして、今回の参酌化に当たって改めて周知をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、処遇改善、非常に重要な課題でございます。運営費に含まれる人件費に加えまして、キャリアアップ処遇改善事業ということで、勤続年数や研修実績に応じた加算というものも実施をしているところでございまして、まだまだ実施の率が低いということも指摘をいただいておりますので、多くの自治体でこれを利用していただいて、支援員の皆さんの処遇改善につながるように、あらゆる会議の場を使いまして、自治体皆様方に働きかけてまいりたいというふうに考えております。

松田委員 非常に地方自治体というのは財政が厳しい。まず、そこを削減するのは、人件費から削減していくということも多くとられるという部分がありまして、それが自治体の判断に大きく影響が及ぼされているのは御存じかと思われます。

 そういった意味を鑑みると、どうしても、人件費を削るのは、財政の部分で削らなきゃいけないからということで、そこからの判断で、後づけでいろんな理由をつけられても、最終的には子供たちにとっては非常に迷惑な話であります。

 そういったことも含めた中で、しっかりと処遇改善に向けては進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に移りたいと思います。

 公共社会教育施設について、地方公共団体の判断により、教育委員会から首長部局に移管することが可能になる件についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 博物館、図書館、公民館などの社会教育施設の運営が首長部局に移管されると、首長の発想や考え方に左右される可能性があります。政治的中立性や、調査研究機能の低下、住民の多様で自由な学びの権利が阻害される可能性はありませんでしょうか。それをどのように担保するのかをお答えいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 この特例につきましては、公立社会教育施設における社会教育の事業と、それから首長が行う他の分野の行政とを一体的に推進することによって、より効果的な行政が実現できるようにという観点から行うものでございますけれども、その際に、学校教育との連携や教育の中立性の確保など、社会教育の適切な実施を担保するという観点から、教育委員会が一定の関与をするというふうな規定を設けることとしておりまして。

 具体的には、移管される公立社会教育機関に関する事務のうち、教育委員会が所管する学校、公立社会教育機関等における教育活動と密接な関連を有するものとして規則で定めるものの実施に当たっては、あらかじめ首長が教育委員会の意見を聞くこと。また、教育委員会は、必要と認めるときは公立社会教育機関に関する事務について首長に意見を述べることができることとすること。首長がその所管する公立社会教育機関の管理運営に関する規則の制定を行う際には、教育委員会に協議するものとするということでございます。

松田委員 やはり教育たるものがそれぞれの中立性を図っていくということが重要でありますし、また、学びの機会を、権利を阻害することはあってはなりませんので、その辺についてはぜひしっかりと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に移らさせていただきたいと思います。

 地方創生の地方の定義及び地方創生の目的について、片山大臣の方にお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 地方創生は、その地域にしかない特色や地域資源を生かした地域の主体的な取組を国が応援する、こういう考え方でございまして、この場合、地方というのは、地理的な概念のみではなくて、国との対比で使っている言葉でございまして、中山間地域から東京圏等の大都市に至るまで、全ての地方公共団体を地方として捉えて。

 地方創生の目的は、全国津々浦々、全ての地域において、人口減少の克服と地域経済の活性化、これを目指すものでございます。

松田委員 地域の活性化に向けての、国がそれを支援していくということであるかと思いますが、この地方創生たる部分の、地方が創生をしていく、これは後からいろいろとまた質問させていただきますが、地方がみずから、いろんな考えやアイデア等々、それによって地域を活性化させて、人口減少をストップさせるというようなことが述べられていることであります。

 地域から上がるアイデアをよしあしを判断するのも、支援策の方法を考えるのも国。補助金や特区などでつっているところでありますが、そこには明確な役割と責任があるはずなんですね。地方自治体の本音としては、人口減少の問題や経済の活性化などの責任を地方に丸投げしているのではないかという思いが全くないとは言えないところであります。

 素直に、国の責任についてどうお考えでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 もちろん国の責任も非常に重いわけでございますが、考え方として、地方創生における国の役割として、まず、地方には、豊かな自然、特色あるふるさと名物、そして固有の歴史、文化、伝統など、さまざまな強み、魅力があるというふうに我々は考えておりまして、これがスターティングポイントの一つであります。

 ですから、地方創生を実現するためには、そのような地域ならではの強みや魅力を生かした地域の主体的な取組を国が伴走的に支援していく、こういう考え方でございまして、これが国の役割、責任の基本認識でございます。

 このために、地方に対して国がああせいこうせいと画一的な取組を求めるのではなくて、地域の特性に応じて地方が主体的に地域づくりを進めることができるように、国としては、情報支援、人材支援、財政支援、これが地方創生版三本の矢でございますが、これで積極的に支援をしていくということでこの何年間かやってきたわけでございますが。

 もちろん、常にプラン・ドゥー・チェック・アクション、そして反省も事実認識も必要でございますので、現在、私のもとに有識者会議を設置して、今後の、二〇二〇年度以降の次の五年間の戦略的展開に向けた検討を進めているところでございまして、こういった委員の皆様との御議論も踏まえまして、更に政策を充実して地方創生を進めてまいりたいと考えております。

松田委員 いろいろなまた意見を交わしながらぜひやっていっていただきたい部分もあります。

 地方側から見た国のことについては、後でまた質問もさせていただこうと思います。

 次に、人口減少の抑制についての国の施策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先進国については、いずれ人口が減るということが言われております。さまざまな対策をしてきたはずですが、人口減少に歯どめがかからなかったわけです。その原因をどう考えておりますでしょうか。

 また、日本は、世界の中でも最も急速に人口減少が進もうとしております。なぜ日本だけに急速な人口減少が起こるのか。地方創生は、人口減少の対策として効果がないどころか、その逆の結果になりかねないと警鐘を鳴らす研究者の方もおられます。それをどのようにお考えになられますでしょうか。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 昨年末に公表されました平成三十年人口動態統計の年間推計によると、平成三十年の出生数が九十二万一千人と、過去最少となりました。また、出生数から死亡数を引いた自然増減数もマイナス四十四万八千人と、過去最大となりました。

 このように人口減少が進む中、少子化のトレンドに歯どめをかけることが喫緊の課題と認識をしております。少子化の進行は、未婚化、晩婚化の進行や、第一子出産年齢の上昇、長時間労働、子育て中の孤立感や負担感が大きいことなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じています。

 特に子供を持つことについては、子育てや教育にお金がかかり過ぎる、これ以上育児の負担に耐えられない、仕事に差し支えるといった理由で、子供の数に関する希望がかなわない家庭が一定数存在しております。

 このために、若者の経済的基盤の強化、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現等の働き方改革、幼児教育、保育の無償化や、真に必要な子供に限った高等教育の無償化、二〇二〇年度までの三十二万人分の保育の受皿整備などに、政府を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

松田委員 本当に先進国の中でも、ここに表がありますけれども、こちら一番左がアメリカなんですね。アメリカは人口ふえるんです。日本とドイツが下がる。ドイツよりもまた更に日本が下がる、将来的にですね。先進国等々、スイスもそうですし、イギリスもそうですし、みんな伸びていくのに、日本だけが急速にそういう状況が生まれると言われておりますので、人口減少に歯どめをかけることが地方創生の一つだということを言われているならば、対策としてはまだまだ不備であるということも含めて、ぜひ進めていただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 自治体戦略二〇四〇の総合研究会についてお伺いをいたします。

 研究員の構成についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 選定基準について教えていただきたいと思います。また、この構成員に地方代表者が入っていないのはなぜでしょうか。お答えください。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 自治体戦略二〇四〇構想研究会は、人口減少が深刻化し、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年ごろの各行政分野における課題を整理し、そこから逆算する形で今後の自治体行政のあり方を展望するため、平成二十九年十月から平成三十年七月まで開催をいたしました。

 この研究会の委員については、今後二十数年を見越して御議論いただきたいという観点から、法律学、政治学、財政学、経済学等の分野から、四十歳代の有識者を中心にお願いしたところでございます。

 また、座長には、人口減少、高齢化への対応という幅広い行政分野にわたる議論を取り仕切っていただくという観点から、学識経験豊かな有識者として、社会保障制度改革国民会議会長の御経験もある、清家篤先生にお願いしたところでございまして、今現在の自治体の現状を反映するという観点というよりは、二〇四〇年どうなっているかということから逆算して考えましたものですから、この研究会には地方公共団体の直接の代表は入っておらないところでございます。

 以上であります。

松田委員 将来のことを考えるから現場のそういった者は要らないみたいなのは、ちょっと残念な感じがしますね。こちらにも表というか見させていただいておりますけれども、本当にすばらしい方ばかりだというふうに思います。

 ただ、本当に、地方の自治体の戦略的なものからすれば、やはり地方の自治体のいろんな経験者とか、そういった形の人の声を聞くことは非常に重要だと思います。それも先に向けて戦略的にするなら余計だと思いますね。ですから、そういったことについて入っていないことは非常に残念だったというふうに思いますので、またいろいろと御検討いただきたいと思います。

 次に移ります。

 基本的な考え方の、公共私のベストミックスとは何でしょうかということで、人口減少の中、働き手不足を補う意味でも、このような考え方は理想だと思います。しかしながら、かなり曖昧な表現だと思います。

 具体的に何を行い、公共私の間に協力関係をつくるのかをお答えいただきたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 自治体戦略二〇四〇構想研究会の第二次報告で、まず、人口減少と高齢化に伴う、自治体職員の減少、それから地縁組織の弱体化、家族の扶助機能の低下、民間事業者の撤退などにより、公共私それぞれの暮らしを支える機能が低下すると指摘をしております。その上で、公共私による暮らしの維持として、地域を基盤とした暮らしを支えるための仕組みの整備やソーシャルビジネスとの継続的な協力関係の構築など、それぞれの地域の特性に応じ、公共私相互間の協力を促進することにより、住民の暮らしを維持していく必要があると提言されたものでございます。

 その後、昨年七月から、内閣総理大臣の諮問機関でございます第三十二次地方制度調査会において、高齢者数がピークとなる二〇四〇年ごろから逆算して顕在化する諸課題に対応する観点から、公共私のベストミックスなど必要な地方行政体制のあり方について調査審議が行われているところでございます。

 地方制度調査会においてしっかりと議論が行われることを期待しているところでございます。

松田委員 これができれば本当にベストミックスだと思うんですけれども、実際、地方で大変なのは私の部分。私的な部分というのは、非常に経済やそれに対しての影響を物すごい受けたり、損得勘定が生まれたりとかいろいろあります。その中で、地方自治体を守るためにそれを協力していくというのは、本当に非常に困難きわまりない部分があります。

 そういったことを含めた中で、やはり、協力し合う心を持つ、そういった部分の観点からぜひ進めていけるように地方自治体の方にも促していただきたいですし、国民一人一人の皆さんにも協力を促すような、そういったものを進めていかないとなかなか進まないと思いますので、そういったことをぜひ進めていただきたいというふうに思っております。

 次に移ります。

 今後の検討の方向性、フルセット主義からの脱却と自立できる地方自治体を目標とした平成の大合併との整合性はいかがということで御質問させていただきたいと思います。

 そもそも、平成の大合併により、地方自治体を自立できる組織、フルセット主義にするのが目標だったんではないでしょうか。そこに限界を見て、フルセット主義から脱却し、複数の市町村を連携させ、圏域単位で都市機能を持続させるとの方向性を打ち出したのでしょうが、市町村連携はそんなに簡単ではないと思います。

 もちろん、消防のようにある程度広域化が進んでいる分野もあると思いますが、これを実効性をどのように担保していくのかが問題であります。これこそが、地方自治体が真剣に行政のあり方、枠組みをみずから検討しなければならないもので、また進みにくいものでもあります。国が方向性を示したぐらいではだめだと思います。

 だからこそ、研究会には地方代表者を入れるべきだと思いますが、いかが考えられておりますでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 平成の合併は、平成十一年から約十年間にわたって進められまして、十年度末で三千二百三十二団体あった市町村数が、二十一年度末では千七百二十七団体に減少し、行財政基盤の強化などを図られたものであると承知をしております。

 平成の合併後におきましても、松田委員御指摘のとおり小規模な市町村はなお相当数存在をしておりまして、そうした地域においても持続可能な形で住民サービスを提供し続けることが重要な課題であると認識をしております。

 私ども総務省といたしましては、一つには、中核市や指定都市を中心とする連携中枢都市圏を始めとする市町村同士の連携、二つには、核となる都市から相当距離があるなど市町村間の連携が困難な場合の都道府県による補完といった施策を推進する一方で、三つ目に、自主的な市町村合併についても手法の一つと認識しているところでございまして、これら三つの多様な手法の中から、市町村が最も適したものをみずから選択することが重要であるという考えでございます。

 現在、圏域における地方公共団体の協力関係その他必要な地方行政体制のあり方について、先ほども申し上げましたが地方制度調査会に諮問されたところでございまして、この地方制度調査会において議論していただくことができますように、総務省としてもしっかりと対応してまいりたいと思っております。

 以上であります。

松田委員 各市町村は、それぞれに広域で連携をしたりということも考えるんですけれども、財政力が違ったりとか、それぞれの首長の考え、そういったプライド、いろんなことで、簡単にいくことがなかなかいかないという現場の現状があります。

 合併ではなくて圏域でやってくださいと言うのは簡単なんですね。しかしながら進まないということで、そういった意味も含めるなら、また国としても合併を推進した方がいいんではないかという声も出ているのも事実であります。

 いろいろな形の方法論はありますが、やはり市町村の、また、財政規模や人口規模が少ないところに限ってまたいろいろな思いもありますので、そういったことを含めた中で取組を、ぜひ国としてもいろいろ真摯に協議をしていっていただきたいと思いますし、また、そういった意味では、研究会の方にでも地方の代表者の方もぜひ入れていただいて、将来ビジョンをぜひ進めていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略についてお伺いをいたしたいと思います。

 わくわく地方生活実現パッケージ、UIJターンの移住支援についてお伺いをいたしたいと思います。

 東京一極集中の是正のみが目的とされている支援策ですが、本当に効果があると思われておりますでしょうか。どのぐらいの数の自治体がこの事業に関心を示しているのでしょうか。よく東京一極集中是正施策の根拠として多用される、東京圏の若者の七割が地方移住を検討したことがあるとのデータは、東京の生活に疲弊しているだけのような気もいたします。

 また、交付の対象から外れた場合、債権回収の業務も地方自治体が行わなければならないなど、責任や事務処理を考えると余り魅力を感じないのですが、いかがでしょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度から開始いたしますUIJターンによる起業・就業者創出事業につきましては、過度な東京一極集中の是正並びに地方の担い手不足対策を図るため、地方創生推進交付金を活用し、東京から地方に移住し起業、就業する者に最大三百万円を支給等するものでございます。

 この制度は、単に東京から地方への移住を促すだけではなく、東京から地方に移住し、地方公共団体が地方創生に資する中小企業等として選定した先に就業する、あるいは地方公共団体が地域課題解決に資する社会的事業を起業する者に対して支援を行うということとしておりまして、地方の担い手不足対策にも資する制度となっておるものと認識しております。

 この制度により、UIJターンによる起業・就業者を今年度から六年間で六万人創出することを目標としておりまして、過度な東京一極集中の是正及び地方の担い手不足対策を通じて、地方創生に一定の効果が期待できるものと考えております。

 さらに、四十七都道府県のうち、第一回目の移住、起業事業に対する申請に対しまして、三十八道府県からこの事業を実施したいということで手が挙がって、実際に四月一日付で交付決定をさせていただいているところでございます。

 さらに、年度内にも追加的にこれを実施したいという県からの募集については受け付けたいというふうに考えておる次第でございます。

松田委員 三十八でしたっけ、道府県でというふうなんですけれども、そこから申込みがあったということですよね。

 千七百の自治体からで見るとどれだけあるんだという話にもなるんですが、要は、地方創生ですから、県だけじゃなくて、千七百以上ある自治体の中でどうしていくかということも非常に重要であることでありますので、まだまだ、その事務作業も含めた中で、魅力をちょっと感じない部分もあるのではないかということもありますので、そういったことをまた少し考えながら進めていただきたいと思います。

 ちょっと次の質問を飛ばさせていただいて、周産期医療を含む地域医療の提供体制の確保の具体策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地方の医師、看護師の人材不足は大変深刻な状況となっております。この偏在をなくすための具体策をお答えいただきたいと思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 地域の医療提供体制につきましては、周産期医療等も含めまして、都道府県が地域の実情に応じて策定をいたします医療計画を通じまして、その確保が図られております。そのために必要な、特に医師の確保につきましても重要な課題と認識をいたしまして対策を進めてきておるところでございます。

 特に医師確保の対策につきましては、平成三十年に改正をされました医療法、医師法に基づきまして、例えば今年度、医師偏在指標を算出をいたしまして、各都道府県において医師確保計画を策定することといたしております。

 この医師確保計画につきましては、医師少数区域等において重点的な医師確保を行うとの方針や医師確保の目標及びこれに基づく地域枠の設定や医師の派遣等の施策が盛り込まれまして、来年度から実行に移されることとなってございます。

松田委員 特に、地方になかなかお医者さんが行ってもらえないという現状が、医師の資格を持った方が行っていただかないとこれは始まらないということがありますので、もちろんそれを促していることも重々わかっておりますが、そういった非常に厳しい現状で、医師がなかったらその地域に住まないというのも出ていますので、そういったことも含めた中でちょっと話を続けさせていただきたいと思います。

 不妊治療への支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 当然のごとく、少子化対策として、不妊治療の支援は欠かせないと思っております。特に現代は結婚年齢が上がっておりまして、それに伴い妊娠を考える年齢も上がり、すると自然妊娠の割合が低くなっているはずです。そのための助成はあると思いますが、まだまだ十分ではないと考えております。

 先ほども質問した周産期医療の確保にも関連をいたします。不妊治療に通う病院が近くになければだめですね。妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援に、妊娠するまでの支援、安心して妊娠をすることができる環境整備を追加して求めてまいりたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

新谷大臣政務官 不妊に悩む方の支援は非常に重要である、そのように考えておるところでございます。

 患者さんの経済的負担の軽減を図るために、現在、高額な治療費がかかる体外受精や顕微授精につきましては、平成十六年度より、その費用の一部を助成する制度を創設して、助成内容の充実を図ってきたところでございます。この助成事業は、都道府県、指定都市、中核市を実施主体として、全ての自治体で実施をされておるところでございます。

 自治体によっては、委員がおっしゃっておられるような独自事業によりまして、交通費の支援等を実施しているところもある、そのように承知をしておりますが、これらについては、各地域のニーズを勘案して、各自治体の判断において実施していただくもの、そのように考えております。

松田委員 自治体の判断にしてということもあるんですが、先ほども言いましたが、お医者さんの先生が行かないとそれが始まらないということがありますので、それには非常に力をぜひいただきたいと思っておりますし、少子化対策の一つとしても、不妊治療についてはぜひ力を入れてやっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に移りたいと思います。

 地方コンシェルジュの活用状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 地方創生推進交付金を交付してもらうためには、地方自治体が独自に作成した地方再生の基本計画、地方版総合戦略を作成し内閣総理大臣の認定を受けなければならないのですが、この地方版総合戦略をみずから策定した自治体は二割強しかなかったと東京新聞が報じております。

 地方自治総合研究所が実施したアンケート結果によると、こちらにも出ておりますが、外部委託をした千三十七の自治体の内訳は、人口規模十万人以上十五万人未満で八八・六%と一番多く、五千人未満のちいちゃな自治体は七三・六%、特例市七二・四%、中核市七五・六%と軒並み高く、政令市のみ三三・三%となっております。

 これは地方コンシェルジュがほとんど活用されていないということだと思いますが、何が問題だと思われますか。

 また、外部委託の理由として、専門知識を補うため、職員事務量の軽減のため、国から交付金があったためとなっております。基本計画の外部委託費を交付金で補うということはそぐわない気がいたします。

 比較的小規模な自治体が基本計画を策定するというのは、人材不足もあり、負担が大き過ぎるのではないかと思います。コンシェルジュが支援するというのは、負担軽減のためにもよいことだと思いますが、活用されていないのでは意味がありません。コンシェルジュの内容よりも、なぜ活用がされないのかということをしっかり検証していただきたいと思いますが、原因が何だと思われておりますでしょうか。

坂井政府参考人 お答え申し上げます。

 コンシェルジュでございますけれども、国が地方創生に取り組む地方公共団体などに対しまして積極的な支援をということで、相談窓口として設けているものでございます。

 先ほど、活用されていないというお話ございましたけれども、二十七年の二月の制度開始以来、相談件数としましては、五百五十九件の相談がございました。この中には、計画の策定も含めて、あるいは交付金の件も含まれているものでございます。

 年度別に見ますと、まち・ひと・しごと総合戦略の初年度でございます平成二十七年度では三百二十六件ございました。その後でございますけれども、地方創生の関連施策が定着したということもございまして、相談件数は減少しております。三十年度は二十四件となってございます。

 今後でございますけれども、今後は、来年度を初年度とする第二期の総合戦略の策定というものもございますので、それに向けて相談も多くなってくるものと予想されますことから、引き続き、地方公共団体などからの相談に対しまして、懇切丁寧、また真摯に対応していきたいと思ってございますし、コンシェルジュのさらなる活用の促進につきまして周知に努めてまいりたい、このように思ってございます。

 以上でございます。

松田委員 結局、策定するのに東京のコンサルタントにお金が行っちゃっているということもあって、地方創生につながらないじゃないかということもありますから、ぜひ、そういったことはなくなっていくような形で進めていただきたいと思っております。

 きょうは時間もなくなってしまいました。法務、国交、経産の皆様、申しわけございません。またの機会によろしくお願いいたします。

 地方創生のための施策として、情報支援、人材支援そして財政支援として、地方創生推進交付金、企業版ふるさと納税、まち・ひと・しごと創生事業費。経産省の所管では、地域未来投資推進法による税の優遇、規制緩和、特例措置などの幅広い支援メニューが並んでおります。しかし、地方自治体にこれらを使いこなすことができるのか、使いこなすべく計画を立てる、推進する人材がいるのか、ここが一番大きな問題であります。

 地方自治体が主体となってみずからのアイデア、みずからの未来を切り開く、国はその支援をするのみというのが地方創生のことなんでしょうか。自治体による格差が生まれることを懸念します。体力のある自治体と、そうでない小さい自治体。体力のない自治体からは人が流出していくようなことが起こり得るのではないでしょうか。人口減少は避けられず、決まったパイを自治体間でとり合う状態になっております。

 地方創生というものは考えを見直すことが必要じゃないかと思いますので、これをもちまして質問を終わらさせてもらいます。

 どうもありがとうございました。

松野委員長 次回は、来る二十五日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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