衆議院

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第6号 平成31年4月25日(木曜日)

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平成三十一年四月二十五日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 松野 博一君

   理事 池田 道孝君 理事 加藤 寛治君

   理事 中山 展宏君 理事 山本 幸三君

   理事 義家 弘介君 理事 今井 雅人君

   理事 白石 洋一君 理事 桝屋 敬悟君

      秋本 真利君    石原 宏高君

      大西 宏幸君    金子万寿夫君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    後藤 茂之君

      佐藤 明男君    平  将明君

      高木  啓君    谷川 とむ君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      長坂 康正君    丹羽 秀樹君

      福田 達夫君    古川  康君

      穂坂  泰君    牧島かれん君

      渡辺 孝一君    大串 博志君

      亀井亜紀子君    長谷川嘉一君

      福田 昭夫君    松田  功君

      斉木 武志君    緑川 貴士君

      太田 昌孝君    浜地 雅一君

      清水 忠史君    高橋千鶴子君

      杉本 和巳君    広田  一君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          片山さつき君

   内閣府副大臣       中根 一幸君

   文部科学副大臣      浮島 智子君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         山野  謙君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           成田 達治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 保坂  伸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     北村 知久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林  靖君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         山本 昌宏君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     秋本 真利君

  本村 伸子君     清水 忠史君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     高木  啓君

  宮川 典子君     穂坂  泰君

  清水 忠史君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     福田 達夫君

  穂坂  泰君     古川  康君

  高橋千鶴子君     清水 忠史君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

松野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長山野謙君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、消費者庁審議官橋本次郎君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官塩見みづ枝君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、経済産業省大臣官房審議官成田達治君、資源エネルギー庁次長保坂伸君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官北村知久君、国土交通省大臣官房審議官小林靖君、環境省環境再生・資源循環局長山本昌宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。緑川貴士君。

緑川委員 皆様、おはようございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。

 第九次一括法案について、まず提案募集方式についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 今、法令に基づいて一律に定められている手続又は基準が地域の実情に合わない。その結果として、自治体で無理や無駄が生じている。あるいは、住民サービスを高めたり、また、新たな取組を進めたいという思いがあっても、支障が出ている法の枠組みがある。ということで、この状況を受けて、地方分権改革の流れの中で、二〇一四年からは、国の主導ではなくて、地方からこうした状況の改善についての提案を募集するという形で改革の取組が進められているということでございます。

 地域の雇用、子育てや教育、また福祉、あるいは地域防災、さまざま住民に密接にかかわるサービスがある以上、その地域の実情や課題に精通した地方の発意、これに根差した施策にしていこうという方向性が確認されたことは大きな意義があるというふうに思いますけれども、この提案募集型に移行して、ことしでちょうど五年になります。こういう中で、自治体間では提案に対する熱量に次第に差が出てきていますね。

 地方の個性、多様性を大事にするという観点は共有した上でお尋ねをしたいというふうに思いますが、自治体の発意がまず先になければ進んでいかないというスキームなわけです。この五年の中で、その発意を積極的に行っている自治体、又は、なかなか熱が入っていきにくい自治体に対して、どのような対応をとっていくのか。

 また、あわせてお尋ねいたしたいんですが、共通の課題を抱える複数の自治体というものがありますが、こういう自治体は共同提案という形で提出することができます。私の地元、秋田県でもこれはよく活用しておりますけれども、この一方で、件数自体は、おととしの百四十四件から昨年は百二十六件と、残念ですが減少しています。この共同提案の減少していることに対する御見解もあわせてお尋ねをいたします。

片山国務大臣 まず、提案募集でございますが、件数をふやしていくために、さまざまな支援を私どもとしてもさせていただいております。

 まず、現状を申し上げますと、近年、住民に最も身近な市区町村からの提案の割合は増加しておりまして、平成三十年は、市区町村の提案団体数、提案件数、ともに過去最多となっております。平成三十年、提案団体数が二百五十六、これは前年が百二十九でした、これが二百五十六にふえ、提案件数も二百一までふえておりまして、この意味では成果が上がっていると言える部分があると思います。

 あわせまして、今後のさらなる前進のため、都道府県、市区町村ともに提案募集方式をより一層活用いただくために、職員等向け研修などさまざましておりまして、例えば、提案に必要な、何が支障になっているという、先ほど委員がおっしゃったようなこういった事例をイメージしやすくするために、研修の充実を情報提供の形でさせていただいたり、あるいは、提案の実現によって、住民サービス向上だけではなくて、自治体の事務の簡素化や効率化につながった事例を発信して御提供したり、意識改革を職員の方に行っていただくようにする。

 さらには、研修の支援やハンドブックなどのツールの充実を行ったり、大学やNPOなどと連携したワークショップなども開催し、こういったワークショップは住民参加のもので、平成二十九年度から郡山市で四回やり、大学連携につきましては、平成二十七年度から既に二十二回やるなど、着実にふやしてきております。

 こういったことで提案募集方式の充実を更に進めてまいりたいと思っておりますし、先ほど、秋田でも御活用いただいているという共同提案ですね。共同提案は、近年着実に根づいてきてはいるんですが、委員御指摘のとおり、平成二十九から平成三十年には若干減っておりまして、十八件ほど減っておりまして、よくて横ばいというような傾向にあるわけでございます。

 ここで注目すべきは、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方三団体による共同提案というのが平成三十年にはあって、あるいはブロック知事会と周辺府県市による共同提案、府県と管内市町村による共同提案、これは秋田、御指摘のとおりです。それから、県内の目的を同じにする市町村の共同提案など、今まで余りなかったところから出てくるなど、共同提案の意味や取組は広がってきていると思っておりますので、更に力を合わせて解決を目指す観点から、意義がある取組を強化するように、特に町村などで非常に小規模な団体についてもこういったことに参加していただけるように、裾野拡大も含めて、いわゆる情報提供というのですか、呼びかけをさせていただいておりまして、今後とも、共同提案の方の取組も支援をさせていただきたい、かように思っております。

緑川委員 単独での市町村の提案というのは二倍近くにふえている。そういう中で、共同提案の数は、まだまだこれは余地があるというわけでございます。

 事前相談についてももう少し詳しくお話を伺いたいんですけれども、まず、共同提案を含めて、今後いかに提案という行動に移してもらえるかがやはり重要であると思います。

 職員の研修、もちろん大事です。そして、支障事例についても一緒に親身になって検討していくこと、これが重要であると思いますが、何より、やはり行動に移してもらう。事務手続がかかるのではないか、あるいはノウハウがある程度必要ではないのか、小さな自治体ほどそういう悩みというのがやはりあると思います。

 そういう中で、なじみが薄い自治体ほど負担がかかるという懸念がやはりあると思いますけれども、この発意をやはり形にできるように、提案できる裾野を広げていけるサポートについてはどのような対応を考えているんでしょうか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のありました事前相談の段階で、特に小規模市町村なんですが、職員が非常に少ないということもございます。大変な事務負担になるということもございますので、私どもとしましては、そういった市町村の方々が提案をしやすいような、例えばわかりやすいハンドブックを整備するですとか、あるいは、研修を通じて提案募集がどのように行われるのかということを習得していただく、こういった取組をしております。

 さらに、やはり身近なのは都道府県でございますので、都道府県での市町村研修を通じて、そういった小規模団体の方が提案しやすいような環境づくりということに努めているところでございまして、今後も一層力を入れていきたいというふうに考えております。

緑川委員 その事前相談、結果はしっかり実績につながっているというふうに思っております。提案の前にやはり内閣府と相談をして、詳細には、各省庁と調整をし、支障となっている法令についての対応を検討していく、こういう流れですけれども、この事前相談によって、昨年、地方から寄せられた提案百八十八件のうち、提案の趣旨を踏まえて対応していくなど国が前向きに検討しているというふうにされる提案が九割であったというのは、これは事前相談の効果が出ていることだと思います。

 一方で、事前相談がなされたけれども、結局、提案に至らなかったという案件もあります。その中には、現行制度で対応できることが明らかという理由で本提案できなかったというわけです。

 しかし、これは、現行法令の規定で対応可能であるといっても、現実としてその対応に苦慮しているという、だからその理由で提案されているわけですね。だから、事前相談の段階ではねつけられてしまう、こういう支障事例に対してはどのように対応していくんでしょうか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、百八十八件のうち九割近くが今回実現したわけでございます。

 それ以外のものにつきまして、例えば、制度は今のままでできるけれども、その制度そのものをよく知らなかったというような団体もございます。こういったことをきちっと我々としても周知を図るですとか、制度は変えないにしても、地方団体の方により丁寧に制度の説明をする、そういった解決方法もあるわけでございます。

 また、事前相談におきましても、できるだけそういった自治体の声を踏まえまして、丁寧に声を聞きながら極力対応するように、私どもとしては心がけているところでございます。

緑川委員 いろいろな法案を今回束ねて見直しになっていますけれども、ニーズが少ない自治体の声も、今回反映されているものがたくさんありますね。小さな声だけれども反映されない、小さな声だけれども反映されている、このあたりのやはりばらつきというのが気になります。

 小さいそういう自治体の声もしっかり反映できるように、なぜ支障事例とされているのかを、寄り添っていただいて、まずしっかり事前相談の実質化を図っていただきたいというふうに思います。これはせっかくの発意ですから、せっかくの機会の自治体の声を、機会を失わないようにぜひ確保していただきたいというふうに思います。

 続きまして、社会教育法、図書館法、博物館法等々の法律一部改正についてお尋ねをいたします。

 公民館、図書館、博物館、こうした社会教育施設の所管については、都道府県知事や市区町村長に移すことを条例で定めることができるというふうに今回見直すということですけれども、これに対して何点かお尋ねをしたいと思います。

 これはそもそも、首長の所管とすることについては、これまでの地方自治法の中の事務委任、補助執行制度によって、首長部局が社会教育施設の事務を行うことが既に可能になっていますよね。そういう中で、今回の改正とどういう違いがあるのか。いや、むしろこれは現行の制度で対応できるんじゃないかというふうにも考えますが、御見解はいかがでしょうか。

浮島副大臣 お答え申し上げます。

 公立社会教育施設につきましては、地方公共団体の判断により首長への移管を可能とすることについて、地方公共団体から提案が行われてきたところでもございます。

 このことも踏まえまして、平成三十年、公立社会教育施設の所管のあり方につきまして、中央教育審議会、ここにおきまして審議を行い、答申を得ました。

 その答申も踏まえまして、公立社会教育施設における社会教育の事業と、まちづくりや観光等の他の行政分野の事業等との一体的推進等のため、地方公共団体がより効果的と判断する場合には、その所管を首長とすることができる特例を設けることについて、社会教育の適切な実施の確保に関する担保措置を講じた上で可能とすることが適切と判断し、今回の改正案に至ったところでございます。

 また、委員御指摘がございました、現行のもとでもできるのではないかという点でございますけれども、この公立の社会教育施設の適切な運営に当たりましては、施設を所管する教育委員会、ここが首長部局との緊密な連携を確保することは重要であると認識をしているところでございます。

 一方で、今回の改正案は、地方公共団体からの提案を踏まえまして公立社会教育施設の所管に関する特例を認めるものでありまして、このことにより、地方公共団体の判断によりまして公立社会教育施設の設置そして管理等の事務を首長の職務権限として実施することを可能とし、首長みずからの責任のもとで、当該機関における社会教育事業と他の行政分野の事業との一体的推進を行うことによりまして、行政の実現、これを取り組むということにできるようにしたものでございます。

緑川委員 まちづくりのためとか、観光、地域振興、縦割りのものを見直すという流れを全部否定することはないですけれども、過去の法令で対応できるものと今回一体的な推進を進めることによる違いなんですね、問題は。

 いずれにしても、政治的な中立性を守ることも含めて、従来の社会教育を継続させていく、この安定性を確保していくという、やはり社会教育施設の使命があるわけですから、これをしっかりと担保していくことが求められるわけでございます。

 この社会教育施設の充実よりも、結果として、行政の効率化にやはり重きを置いているというような見直しに見えてしまうんですが、施設の担当者が例えば減らされたりとか、又は兼務することで人員を減らしたりとか、こういうことで社会教育行政の人員体制が弱体化してしまうような、こういう心配も私自身してしまうわけですけれども、本来果たすべき役割、社会教育行政、曖昧になってしまうんじゃないんですか。いかがですか。

浮島副大臣 公立社会教育施設につきましては、教育委員会から首長に移管した場合でありましても、それぞれの施設が社会教育法等に基づく社会教育施設であることに変わりはございません。

 また、このため、首長に移管した公立社会教育施設につきましても、法律及び法律に基づく各種の基準等を踏まえまして、必要な職員の確保を含めて、設置者である各地方団体において地域の期待に応えた適切な運営に努めていただくことが重要であると考えております。

緑川委員 やはり気になるんですけれども、一体的な今回の見直しによって、各部門で一体的に推進できることというのが、具体的に今検討されているところ、事例は何かあるんでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、今回のこの法改正を通じまして首長が所管することとなった公立の社会教育施設における社会教育の事業と、まちづくりあるいは観光等の他の行政分野の事業を一体的に推進するということで効果を上げるということが考えられているわけでございますけれども、あくまで例えばの話でございますが、少し具体的に申し上げますと、例えば、公立社会教育施設を活用いたしまして、まちづくりに関する例えば住民のワークショップなどを積極的に開催することによりまして、住民参加によるまちづくりが促されるということでありますとか、あるいは、博物館におきまして、学術的な裏づけをきちんと持ちながら、かつ観光等にも資するような、そういった質の高い展示が進んでいくといったようなことも期待されるのではないかというふうに考えてございます。

緑川委員 結局、それは、観光課とかまちづくり課とかそういったものに何か収れんされてしまうような中身になるんじゃないんですか。社会教育行政としての取組、その主体的な取組というもの、それがあって、周辺の課を巻き込むような、そういう事例はないんですか。もう一度お尋ねいたします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 社会教育と申しますのは、住民一人一人がみずから自主的に学んで、自分の人生であったりあるいは地域づくりに生かしていこうということを目指す営みであるというふうに考えておりまして、先ほど申し上げました事例の中でも、例えば、まちづくりという大きな社会的な課題に対しまして、住民一人一人が参加して学ぶ、まちづくりについての学びを進めていくことでより効果的なまちづくりにもつながっていくという面で、社会教育にも大きなメリットがあると考えております。

 また、先ほど申し上げましたもう一方の例の博物館の展示の関係でございますが、博物館において、学術的にも裏づけのあるすばらしい展示をするということ自体は、社会教育自体の振興にとって非常に基本的に重要なところでございますけれども、そういうことを進めていくことと、更に観光というものが相まって、地域全体の活性化でありますとかあるいは地域振興につながっていくというふうなことも大きな意義があるというふうに考えておりまして、その点におきまして、社会教育自体の振興を図りながら、同時に他分野ともあわせた振興を図っていくということは、今回の改正を通じてより可能になるのではないかというふうに考えております。

緑川委員 人口減、少子化という中で、やはり、限られた行財政の資源、これをまずしっかり活用することが重要だと思いますし、トータルに、課と連携して、課を巻き込んで取り組んでいくことは重要であると思いますが、この社会教育行政の本来の趣旨を逸脱しない、しっかりこれを主眼に置いた取組というのを忘れないでいただきたいというふうに思います。

 少しお話しいただきましたけれども、社会人が学ぶ場と働く場を行き来できるようなやはり仕組みづくり、リカレント教育というものが今後ますます重要になってくると思いますし、技術革新に伴って、いわゆるICTの教育とかさまざまな技能習得、能力開発という、その行うための場所としてもこの教育施設が大変これは重要になってくるというふうに思っておりますので、生涯にわたって学び続けられるという仕組みづくりの場として、しっかり担保していけるようにお願いをしたいというふうに思います。

 最後に、この点についてお尋ねをしたいと思います。

浮島副大臣 人生百年時代と言われる、ソサエティー五・〇と言われるような社会の大きな変革の時代にありまして、個々人が新たなステージで求められている能力そしてスキル等を身につけるための学び直し、これは大変重要であると考えております。そのためには、社会教育施設の活用も一層重要な役割を果たすために必要だと思っております。

 昨年十二月に、中教審の答申におきましても、例えば図書館について、商工労働部局や健康福祉部局等と連携をしました個人のスキルアップ、また就業の支援等を行う情報の拠点として役割の強化が期待されること、また、社会教育施設が、新たなテクノロジーも活用しつつ、多様な主体の連携、協働のもと、地域の課題解決に資する活動に取り組むことが重要であると示されているところでもございます。

 文部科学省といたしましては、各地の社会教育施設における多様な主体の連携、協働や、今お話ございましたICT等を活用した取組について、先進的な事例を収集、そして周知することなどによりまして、その一層の普及を図ってまいりたいと考えております。

緑川委員 人生百年時代ですから、老後においてもやはり長く学ぶ、学び続けていける、そうした充実した暮らしができるような、そういう教育のビジョンをぜひ描いていただきたいというふうに思っております。

 次に、子供の安全と保育の質に大変かかわっていく児童福祉法の見直しについてお尋ねをしたいと思いますが、これは先週も質疑で議論がございました。

 現行の制度では、いわゆる学童保育は、現在、おおむね四十人以内の子供に対して常に二人以上の職員を置くことが義務づけられておりますけれども、この基準を変えて、職員一人でも対応できるように児童福祉法がこのたび見直されることになります。

 一方の、この法に基づく省令では、これは職員の配置基準では、職員のうち一人は、保育士あるいは社会福祉士の資格を持ち、支援員の研修を修了している必要があるという、こうした省令の基準は変えないといいながら、結局、法令で従うべき基準としてきた規定を、参酌基準、つまり参考にするべき基準に事実上格下げをして、市町村の裁量の幅を広げていく。つまり、義務づけではなくなるわけです。

 例えば、資格を持たない又は研修も受けていないような職員がお一人で子供たちを預かるということも、自治体の判断によってはこれは可能になっていくわけですけれども、経験の浅い職員が一人でたくさんのお子さんを預かるようなケースが出てくると思いますが、そういうリスクについてはどのような御認識でしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回の措置は、従うべき基準によりまして人材確保が困難といった地方からの要望を踏まえて、全国一律ではなくて、自治体の責任と判断によりまして、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うこと、これを可能とするものでございます。

 また、基準につきましては、市町村が地方議会の議を経て条例により制定するものでございます。厚生労働省としましては、従うべき基準が参酌化された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断により、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えているところでございます。

 また、地方三団体からも、条例を制定する市町村が、その責任において放課後児童クラブの質を確保するとの意見表明がなされているところでございます。

 具体的には、まず、全国知事会から、各市町村が、当該基準について、責任を持って児童の利益を十分に配慮して基準を設定することは当然、このように申出がありますし、また、全国市長会からは、各都市自治体が、その責任において、地域の宝である子供たちの健全な育成を図るべく、保育の質の十分な確保に更に努めていく覚悟を新たにしている、このようにありますし、また、全国町村会からは、各町村の責任において、子供の安全性など質の確保に十分に配慮をしつつ、地域の実情に応じた施設の設置や運営に主体的に取り組める、このような意見表明がなされているところでございます。

 市町村が条例を制定する際には、自治体の責任と判断によりまして、地域の実情に応じて、子供の安全や育成支援の質が確保されるものと考えております。

 なお、法案の附則におきまして、施行後三年を目途とした検討規定を置いているところでございまして、法案の成立後には、この参酌化後の施行状況をしっかり把握してまいりたい、そのように考えております。

緑川委員 基準の見直しとか地域の実情に応じた裁量の拡大、さまざまな方面、団体から求められているということは承知いたしますけれども、やはり、人手不足の自治体への配慮といっても、安全の確保ということがやはり大前提であります。責任を持つのであれば、法的な担保というものが絶対に私は必要だというふうに思います。そこは、安全に対する配慮というものが実質的なものでない限りは、やはり見直しというものは踏みとどまるべきだというふうに思います。

 子供が安心して通える学童にしてほしいという願い、これは、自治体とはまた別の、法的な担保を持って、その親御さんの願いに対しては、それに応えていかなければならないというふうに思いますよ。

 学校などでのいじめ、また虐待、こうした問題に対しても、子供が直面している困難に対して、学童保育で仮に保育士が、職員が気づける可能性もあるわけです。一人よりも二人の方が気づく可能性が出てきやすいわけです。子供の異変に対して、職員の配置の体制を弱めるべきではないというふうに私は思います。

 ここで、通告にありませんでしたけれども、片山大臣の御所感を一言伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 この委員会でもずっと御指摘をいただいておりますが、いわゆる放課後児童クラブにつきましては、地方公共団体の、それぞれの地域の実施主体により、独自にその地域の事情に応じて、法律化させる、法によって位置づけられる前からやってきておられるわけですね。

 そこで、その後、平成二十四年の児童福祉法の改正と、これを受けた平成二十六年のいわゆる基準の制定によって、放課後児童クラブに係る従うべき基準というのが、従うべき基準ですから硬直的に設けられたということによって、その後、クラブの運営に支障を来すというふうに感じられた自治体が非常に多かったということで、地方の三団体、知事会、市長会、町村会、おのおのが機関決定の上に、平成二十九年の提案募集において共同提案を行ったという経緯があります。

 ですから、御心配の向きは、確かに御意見としては当然そういうこともあろうと思いますが、やはり、昔から実情に応じてやってきたものが、特に過疎と言われているような自治体からは、人員の確保等もいろいろなこともあるので、自分たちに任せてほしいという御意見が非常に強かったということがあると思います。

 今回の改正におきましては、個別の支障が生じるために一律の基準を一々見直すというのではなくて、皆様の御主張のように、実情に応じて、自治体側の御主張の実情に応じて自治体が適切な基準を柔軟に設けることができるようにしたという御趣旨でございまして、その点は御理解を賜りたいと思います。

緑川委員 そのさまざまな要望というのは、立場として求める要望がやはり変わってきますね。やはり、そこの要望の受けとめ方に偏りが私は出てきているというふうに思ってしまいます。

 職員が減ったことで保育の質が低下するおそれがやはりあるわけですけれども、その人手の確保を難しくしているのが、職員の賃金あるいは雇用の条件、労働条件であります。

 特に、私が住むような秋田県では、地方の学童、雇用条件のいい都市部へやはり人材が出ていきやすい場所というものもあります。雇用条件が大分違うところというのがあるんですね。こういう地域ごとの労働条件の差が保育の質の差につながることがあってはならないというふうに思います。

 人材が地域によって偏ることがないように、まずは、職員の処遇改善のために手当てをしっかり拡充させていくことこそがまず不可欠であるというふうに思いますが、御所見はいかがでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブ、この質をしっかり確保していかなければならない、それはまさしくそのとおりでございます。放課後児童支援員がございますが、研修によりまして支援員の質の向上を図ることにも今取り組んでおるところでございますし、また、放課後児童支援員の処遇改善あるいは放課後児童クラブの活動内容について、質の向上の観点からの評価、こういったことを推進しているところでございます。

 また、放課後児童クラブの好事例の普及、展開、そして、放課後児童クラブを巡回しまして育成支援の質の向上を図るアドバイザーの市町村への配置、これらを行いまして、放課後児童クラブ、しっかり質を確保したいと考えているところでございます。

 また、処遇ということでございますけれども、支援員の待遇を改善すること、これは、人材確保を図る観点からも、放課後児童クラブの適切な運営を図る観点から大変重要である、そのように考えておるところでございます。

 厚労省としましては、平成二十九年度から放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業、こういったことを実施して、この処遇の改善に取り組んでいるところでございます。

緑川委員 やはり、大変重要であるという御認識をしっかり実現していただきたい、形につなげていただきたいというふうに思います。

 この参酌基準、今回、こういうふうに見直されることによって、保育士、職員の数は少ない状況で対応するというのが当たり前みたいな風土がつくられてしまうようでは、保育士の質のベースラインがやはり下がっていくことになると思います。こういうことが常態化するようなことがあってはならないというふうに思います。

 従うべき基準を維持した上で、まずは、転倒していますね、順序が。職員の処遇改善というのをまずは徹底させた上で参酌基準というものを改めて考えていく、そういう順序だというふうに思います。

 時間もないので、建設業法の改正部分についてお尋ねをいたします。

 二つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて建設事業を行う場合に、業者が建設業の許可申請を行う際に必要な書類の提出に係る見直しになりますけれども、これまでは、都道府県の窓口を経由して国に書類を提出することが想定されていましたが、今回の改正では、都道府県の経由事務が廃止をされます。書類は国に直接提出することになります。電子申請が始まる前、足で行くわけにはいきませんので、まずはこの申請方法、インターネットによる申請が想定されていますけれども、この申請が可能となるのが、政府によれば二〇二二年度からというふうに言われています。

 ネット申請が始まるまでの間、都道府県が経由事務を継続することになれば、これは業者にとっては何も変わらない、支障はありませんが、仮に、電子申請が始まる前に都道府県が経由事務も継続しないというふうに決めた場合には、ネット申請が始まる前に都道府県の窓口に申請することができなくなります。

 そうなれば、これは国に直接、というよりは、実際には出先機関である管轄の地方整備局になりますけれども、書類の不備のチェックも必要ですから、対面で手続をするために、遠い地域があるとすれば、わざわざ足を運んで整備局に提出をしなければならなくなります。

 まず、整備局に往復するだけでもかなりの負担になるわけですけれども、業者の申請に係る負担がふえる場合があるために、こうした負担につながらないように、配慮についてはどのように検討されているんでしょうか。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 国土交通大臣への建設業の許可申請につきましては、都道府県を経由しまして地方整備局に提出することとされておるところでございます。経由事務が、御指摘のとおり、都道府県の負担となっているとの御意見が寄せられていることなどから、今般の改正法案によりまして、この経由事務を廃止することとしております。

 他方、現在検討しておる許可の手続の電子申請化までの間につきましては、県内の建設業者が、利便性を勘案し、都道府県が希望すれば引き続き都道府県を経由して提出をすることも可能としております。

 将来的におきましては、電子申請となることで都道府県の負担はなくなるものと考えておりますが、それまでの間は、地域の建設業者の利便性と経由事務の負担を勘案しながら、それぞれ都道府県におきまして適切に判断されるものというふうに考えております。

緑川委員 やはり、この二二年度までに電子申請が実現するまでは、都道府県が希望すれば経由する、希望しなければ経由しないという、これでは、完全に業者にとっての利益が担保されているというのは確実にはまだ言うことができないと思うんですね。

 都道府県に対して、もう少し、言い方というのはどのようにされるんでしょうか。義務づけるというような形でなければ、なかなかこれは利益の保護にならないと思いますが、いかがでしょうか。端的にお願いします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正に当たりましては、私どもの方で、都道府県や建設業者の方にもアンケート調査を行ってございます。

 今回のアンケート調査で聞いた限りにおきましては、都道府県につきましては、ほとんどの都道府県が経由事務を廃止してほしいということでございましたし、また、建設業者の側についても、今までどおりにしてほしいというのはごく一部の業者でございまして、大多数の事業者については、もう直接国とやりたい、又はどちらでもいいというような回答が大部分でございました。

 いずれにしましても、私どもとして、今後直接国が受けることになりましても、必ずしも庁舎まで来なければならないということではございませんので、いろいろ、電話等で相談をするというようなこともきめ細かくやって、業者の方の利便性を損なわないようにやってまいりたいと思います。

緑川委員 建築士法について、最後、お尋ねをしたいと思います。

 二年のままでいいというふうに、これは任期が定められていますけれども、都道府県が四十二というふうに、アンケートによれば圧倒的に多いんですけれども、任期を変えてほしい、三年に延ばしてほしいというふうに希望する県が三つ、そして、任期を四年に延ばしてほしいというふうに考えているところも二つの県でございました。

 しかし、この全てのニーズを酌み取れば、任期を二年以上四年以下とすれば事務負担の一層の軽減につながっていくという面もあると思いますが、今回の見直しでは、建築士法では、最長四年ではなくて、二年以上三年以下に見直しているのはなぜでしょうか。なぜ四年というふうにしないんでしょうか。このあたりをお答えください。

小林政府参考人 お答えをします。

 今般の改正法案は、都道府県建築士審査会の委員の任期について、現在二年としているところを、条例により三年以内の期間とすることも可能とするよう見直すものでございます。

 先ほどお話のございましたように、都道府県にアンケートをとったところ、二県を除く四十五の都道府県におきましては、条例を制定せず二年の任期を維持する、又は条例で三年に設定したいという意向があったところでございます。

 四年にしたいと回答された二県に対しまして個別に確認いたしましたところ、四年と回答した明確な理由はない、三年に設定することで事務負担上問題ないというふうな御回答を改めていただいたところでございまして、それらを踏まえまして、三年以内の期間ということで設定をさせていただいたところでございます。

 以上です。

緑川委員 質問を終わります。ありがとうございました。

松野委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 国民民主党の白石洋一です。

 まず、放課後児童クラブの指導員の規制緩和について質問したいと思います。

 今、従うべき基準ということで、配置基準二名以上ということになっています。

 想像するに、二名というのは、もう既にぎりぎりの状態になっていると思うんですね。

 というのは、お一人は、やはり生理現象があってトイレに行く。そうすると、その間誰が見ている、あるいは、一人の子にずっと手がかかってしまってほかの子が見られないとか、あるいは、電話がかかってきてそれに対応するとか、そういったことを想像するに、もう二名というのはぎりぎりのところになっていると思うんですよ。それをなぜ緩和するのか。

 それは、地方の、主に首長の方から、支援員不足だ、人手不足だということなんですけれども、人手不足というのは、これは需要と供給のギャップの問題であって、供給を促す給与水準になっていないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 さきの質問、ほかの委員がされたときに、公立民営とそして公立公営の給与を比較したら、公立民営の方が高い。年収で二百七十六万円相当。それに対して、公営は二百三十二万円。つまり、民営の方がそういう需給ギャップに対して対応が早くて、それで給与を上げてきて、公立公営に対して四十万円超も上回っている。それでもまだ人手不足だというわけですから、これは全体として月給なり時給なりを民間給与準拠でジャンプさせるべきだ。

 過去、昨年こうだから、それをインクリメンタルに、漸増させるというんじゃなくて、民間は今どうなのか。民間で似たようなことをやっているところはあると思います、民間の塾とか、塾のサポートをしている方とか。そういったところで、毎週、募集広告があるわけですね。時給なんかは最近上がっていますよ、あるいは月給も上がっている。そういう方々に準拠するためにジャンプさせるべきだと思うんですけれども、御所見をお願いします。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 国としましては、人件費を含む放課後児童クラブの運営に関する諸経費につきまして、公営、民営を問わず、同額の国庫補助基準額によりまして運営費として自治体に対して補助をしておるところでございまして、この運営費の中で人件費に幾ら充てるか等は実施主体の裁量によるところがございます。

 放課後児童クラブの職員の待遇を改善することは、委員御指摘のように、人材確保を図るとともに、放課後児童クラブの適切な運営を図る観点からも大変重要である、そのように認識をしております。そのことから、平成二十九年度におきまして、放課後児童クラブの職員の人件費の積算を見直し、運営費の国庫補助基準額を増額しておるところでございます。

 また、平成二十九年度からは、職員の給与改善に、これも使い道を限定した放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業というものを実施しております。ただ、この処遇改善は、始まって日が浅いところもございまして、一部の市町村での実施にとどまっておりまして、低い実施率のままであると認識をしておるところでございます。

 多くの自治体でこの事業を活用していただいて、放課後児童クラブの職員の処遇改善を図っていただくよう、全国主管課長会議を始め、文科省との連携のもと開催している全国五ブロックにおける説明会など、あらゆる機会を通じてこういったことを働きかけてまいりたいと考えております。

白石委員 ぜひ、その積算の部分を民間準拠にするということ、そして、やはりこれは補助金が必要ですから、そのおっしゃった使い道を限定した補助金、これを増額することをお願いします。じゃないと、問題に対する対処にならない。ここは、規制緩和じゃなくて、給与のアップだと思います。

 そして、次の質問なんですけれども、お話を聞いていると、確かに、一人の子、一人、二人の子供に対して二人の指導員がずっと最後までいないといけない、これはきついよという部分はわかるところもあるんですね。それによって、もう放課後児童クラブを閉鎖しないといけない、そのことによって使えない人が出てくる。これも困ったものだと。

 であるならば、一人で見られる、一人で最大、その子供たちの安全を確保できる、監視できる人数は一体何人なんだろうかということ。例えば十人、十人までだったら一人で見られるということであれば、その人数以下は参酌基準で、それを超えるものについては、引き続き、従うべき基準でやる、こういったきめの細かい国の方針のあり方というのはあると思うんです。なぜならば、国民の安全、特に子供の安全というのはナショナルミニマムが必要な部分であるからであります。

 それを、じゃ、一人で大体最大何人見られるのか、その安全を確保できるのかというところを物差しに物を考えるべきであって、例えば、何曜日が指導員の数が確保できないとか、曜日じゃなくて、人数でこの規制を考えるべきだと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回の措置は、従うべき基準によりまして人材確保が困難といった地方からの要望も踏まえて、全国一律ではなく、自治体の責任と判断によりまして、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものでございます。

 また、基準については、市町村が地方議会の議を経て条例により制定するものでございます。厚生労働省としましては、従うべき基準が参酌化された場合におきましても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断により、これは、全国一律ではなく、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。

 改めて、地方三団体から、この条例を制定する市町村が、その責任において放課後児童クラブの質を確保するとの意見表明がなされているところでございます。

 改めて御紹介しますと、全国知事会からは、各市町村が、当該基準について、責任を持って児童の利益を十分に配慮して基準を設定することは当然、このように意見表明がなされておりますし、全国市長会からは、各都市自治体が、その責任において、地域の宝である子供たちの健全な育成を図るべく、保育の質の十分な確保に更に努めていく覚悟を新たにしている、このように表明をされておりますし、また全国町村会からは、各町村の責任において、子供の安全性など質の確保に十分な配慮をしつつ、地域の実情に応じた施設の設置や運営に主体的に取り組める、このような意見表明がなされております。

 市町村が条例を制定する際には、自治体の責任と判断によりまして、あくまでこれは地域の実情に応じて子供の安全や育成支援の質が確保されるものと考えております。

白石委員 その市町村ですけれども、市町村が責任を持ってということをおっしゃいますけれども、最悪の事態を考えてみたいと思います。

 万が一、参酌基準にして指導員が一人になりました、その一人のときに子供に事故が起きました、最悪、死亡事故が起きました、その事故の検証をしたところ、指導員が二人であれば起こらなかったであろう、一人だったから、その人が、どこか、やむを得ず目を離したときに起こった事故だといった場合、事故の責任というものはどこにあるんでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 事故の発生原因、これにつきましては、さまざまございまして、一概にお答えすることは困難であるところでございますが、一般的には、法的な責任という意味におきましては、事業者の責任が問われるケースが多いと考えてございます。

 児童福祉法におきましては、市町村に報告、立入調査、基準違反の場合の改善命令等の権限が付与されておりまして、これを踏まえて、こういった問題に対して市町村が適切に対応すべきものと考えております。

白石委員 その答弁だと、その一段前に市町村が責任を持って安全確保をするという、これは精神規定であって、実際に事故が起きたら事業者を訴えるしかない、あるいはその指導員さんを訴えるしかないということになるじゃないですか。

 実際、二〇一〇年、大阪府八尾市ファミリーサポート死亡事故において、これは裁判になったんですけれども、このときに厚労省はコメントとして、自治体や運営を請け負う事業者は、事業者、これは仲介という意味の事業者は、会員同士の橋渡しをするだけであって、事業は預ける個人と預かる個人の契約に基づくと。これは事業者の責任だと実際に言っているわけですね。

 ということであれば、今までずっとおっしゃっていた、地方、特に基礎自治体が責任を持つということと違ってくるんじゃないかなと、具体的な事故が起きたときですね、そう危惧してならないんです。

 実際にこの法案が通って、人手不足だということで一人指導員が常態化するような場合、今も、例えば面積基準を緩和して、すし詰めの状態が多く報告されています。ぎゅうぎゅう詰めですね。またこれで指導員を緩和して、一人でたくさんの人を見ている。さっきちょっと私が言いました十人どころじゃない、数十人見ている。こんなことが起こりかねないんじゃないかというふうに思うんですけれども、国としては、今後どのようにこれをモニターしていくんでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回の法案の附則におきましては、法案の施行後三年を目途としまして、「放課後児童健全育成事業の適切な実施並びに当該放課後児童健全育成事業の内容及び水準の向上を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるもの」とされておるところでございまして、法案が成立した後は、これに基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

白石委員 与党さんが多数をとっていますから、この法案というのはこれから採決を迎えますけれども、特に、この後どうなるかということは非常に心配です。ここのモニター、監視というのはしっかり、今もやってもらわないといけない、今後特にやってもらわないといけないと思います。

 そして、次に、片山大臣にお伺いします。

 地方に権限と財源を移していくということ、これは一般に賛成です。私どもも、私どもの言葉で言えば地域主権と言っているんですけれども、そういうことで、今、首長を中心とした地方三団体は、この規制緩和、放課後児童クラブ、特に推しているということなんですけれども、一方、地方からの意見、議会の意見というのも大事だと思うんです。

 その議会でいうと、十一道県と三十六市町の議会で、最低限の生命、安全の確保のためには、従うべき基準の維持、質の確保を求める意見書が採択されております。ここを、大臣、どういうふうに受けとめていらっしゃいますでしょうか。

片山国務大臣 御指摘のように、今おっしゃったように、地方の議会から政府に対して、放課後児童クラブの職員配置基準等の堅持ですとかあるいは放課後児童支援員等の処遇改善を求める意見書が提出されてございまして、基準の堅持を求める意見書は、私どもの了知しております限りでは十議会、処遇改善の方を求める意見が十議会ということのようでございます。

 繰り返しになりますけれども、職員の資格や員数に関する基準の参酌化を求める御提案は、知事会、市長会、町村会が地域の実情を踏まえて長年そういった議論をしてきて、そもそも、もともとが地域の実情に応じて行われていたものをガイドライン化して法律をかぶせて、かぶせる議論のときから、これと同じ意見を自治体の方では実は出していたという長い経緯を伺っているわけでございますが、三団体が機関決定で地方公共団体側の総意として共同提案をされて、それが二十九年でございます。今回、三十一年度の話ですから、かなり長いこともんできたということはあるんですね。

 どういうふうになっていくかというのは、その条例等をするときに、その議会の意思も当然ないと条例はつくれませんから、それらの議会においては、その議会の方が通るような形で、今回のことを踏まえて対応するなら対応することになると思うんですね。ですから、そのどちらかの側で一方的にするということは、もともと二元代表制ですからできないシステムになっているというのと、地方からの主な要望というのは、先ほど委員が御心配をなされたように、単に二人を全部機械的に一人にしたいということよりは、児童数が少ないところとか児童数が少ない時間帯については柔軟な配置を可能にしてほしいというような言い方のところの方が多いのかな。

 つまり、そういった、目が届かないことによって何か問題が起きるような事態を想定したいような自治体は、それは、自治体も選挙で選ばれた首長さんがおられるわけですから、そういうことではないということはやはり考えていきたいと思っております。

白石委員 地方の声が、緩和してほしいという声が強いということなんですけれども、私は、地域主権よりも子供の生命、安全、こちらの方を優先させるべきだ、ナショナルミニマムを確保した上で地方主権というのがあると。自然発生的に出てきたものを、国がその規制をかぶせたというようなことをおっしゃいますけれども、それは、自然発生的であろうが、国が主導しておろうが、国がやはり最低限の、特に生命の確保を一番大事にするということが当然だと思うんですね。

 次の質問ですけれども、公民館運営です。

 公民館運営で私が危惧するのは、公民館は、私どもも国政報告、あるいは県政報告、市政報告、あるいは、まだ公職についていないけれども集会をやっていろいろな話をしたいなということで、使うことがあるんです。

 ところが、これが、教育委員会でも運営に結構ばらつきがあって、使わせてくれるべきなのに使わせてくれないという話をよく聞きます。それが首長部局になったら、よりそこが、いわゆる政権与党なのか、野党なのかによって違ってきやしないかという危惧があるわけです。

 それに対して、文部省は事務連絡を発信しておりまして、これは、不十分ながらその問題に対応して、使わせてあげてくださいという趣旨なんです。

 読み上げますと、公民館の運営において、特定の政党又は政治家等に特に有利又は不利な条件で利用させることや、そのような者に、党に偏って利用させるようなことは許されないが、公民館を政党や政治家等に利用させることを一般的に禁止するものではないことという確認の事務連絡が発信されているんですけれども、その内容は引き続き有効であって、それを周知徹底させるということを確認させてください。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 社会教育法の第二十三条第一項第二号におきまして、公民館が「特定の政党の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し、特定の候補者を支持すること。」を禁止しております。

 このことを踏まえまして、文部科学省では、先ほど御指摘いただきました事務連絡におきまして、「本規定の趣旨は、公民館の政治的中立性を確保するために設けられているものであり、例えば、特定の政党に特に有利又は不利な条件で利用させることや、特定の政党に偏って利用させるようなことは許されないが、公民館を政党又は政治家に利用させることを一般的に禁止するものではない。」ということをお示ししているところでございます。

 今回の改正案によりまして、地方公共団体の判断により首長が公民館を所管するということとなった場合におきましても、当該施設が社会教育法に基づく公民館であることは変わりございませんので、社会教育法の規定やその解釈につきましては、首長に所管が移った公民館にもひとしく適用されるものでございまして、文部科学省としましても、その周知に引き続き努めてまいります。

白石委員 成立したらということですけれども、これは総務省所管になると思います。そこへの引継ぎを、ぜひ徹底させていただきたいと思います。

 次のトピックですけれども、質問を用意していた国交省さんまではちょっと届かないかもしれませんけれども、申しわけありません。

 次は、ソーラーパネルのことなんですね。

 地方創生ということで、地方はソーラーパネルがある景色が本当にふえてきました。そんな中で、この地域には景観上からソーラーパネルというのは少し規制をしたり、あるいは、強風が吹く地域については取付けをしっかりしてくれとか、そういった地域地域で条例というのがふえてきていると思います。

 それは地域に適した条例ということでいいと思うんですけれども、一方、心配なのは、国としてやるべきじゃないかなと思うのは、廃棄ですね。ソーラーパネルも劣化していって、二十年というのが一区切りで、そこまでにまず採算をとれるようにする。FIT、つまり固定価格での販売というのはそこで一区切りをつけるということだと思うんですけれども、それ以降、廃棄するというソーラーパネルが随分出てくると思います。

 では、その廃棄について、費用はかかりますが、これだけ長い間使っていて、廃棄の費用負担というのをちゃんと確保してもらわないと、これは大きな問題になりかねないと思うんですね。その点、政府としてはどのように検討されているでしょうか。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電設備の廃棄につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、排出者に廃棄処理の責任がある中で、委員御指摘のように、廃棄処理費用の工面がされず、将来、放置や不法投棄をされてしまうという懸念があると認識しているところでございます。

 太陽光発電設備の廃棄に必要な費用につきましては、太陽光発電事業者に対するFITの調達価格には既に含まれておりまして、発電事業者が自主的に積み立てることが期待されておるところでございます。

 しかしながら、現状、積立ての実施率が低いのが実情でございます。このため、昨年四月にFIT認定の際の事業計画策定ガイドラインを改正いたしまして、廃棄等費用の積立てを努力義務から義務化するとともに、事業計画策定時に処分費用やその積立額を記載することを求めております。加えて、昨年七月から、廃棄等費用の積立計画と進捗状況の報告を義務化したところでございます。

 それでもなお、積立水準や時期は事業者の判断に委ねられておりまして、現時点で積立てを実施している太陽光発電事業者は少ないと考えております。

 こうしたことから、廃棄等費用の積立てをより確実に担保させるため、一つ目に、原則として外部積立てを求める、二つ目に、発電事業者の売電収入から積立金を差し引くことにより、源泉徴収的に積立てを行うことを基本とするといった方向性が、本年一月に経済産業省の審議会報告書にて取りまとめられたところでございます。

 制度の詳細につきましては、本年四月に立ち上げた太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するワーキンググループにおいて、今後、専門的な視点から検討を進めていくこととしております。

 以上でございます。

白石委員 源泉徴収的に積立てを強制する。今、積立てが義務になっているんだけれども、それをやっているところとやっていないところがある。であれば、じゃ、どういうぺースで源泉徴収するかとか、非常に緻密な制度設計が必要だと思いますが、これはぜひお願いします。

 もう一歩、ちょっとイメージ、二十年後、あるいはそれ以降、ソーラーパネルがどうなっているかというと、所有者が不明になっていたり、雨風で流されてしまうといったケースも結構出てくるんじゃないかなと思うんです。

 その場合、地方としては、あるいは近所の人としては、どのようにすればいいのか、具体的にちょっとイメージが湧くように説明していただきたいんですけれども、まず経産省さんはいかがでしょうか。

保坂政府参考人 二十年後の件につきましては、私ども、先ほど申し上げましたように、発電設備の廃棄等に係る費用が工面されていれば、放置や不法投棄されるリスクが軽減されるというふうに考えているところでございまして、積立金の取戻し要件や、発電事業者が倒産した場合の対応についても、その中で検討していくということで対応していきたいというふうに考えておるところでございます。

白石委員 積立金を使って誰かが代執行する的なことだと思いますけれども、そこの仕組みもしっかりとつくっておいていただきたいなと思います。

 そして、ぼろぼろになったソーラーパネル、どこかに片づけた後、持っていかないといけないんですけれども、そのあたり、持っていき先等はどのように考えていますでしょうか。これは環境省です。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みで廃棄されることになりました太陽光発電設備につきましては、適正処理、あるいはリユース、リサイクルをしっかりと進めるということが重要だと考えておりまして、平成二十八年に太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインというのを整備しております。その後、いろいろな御指摘も踏まえて、昨年末にはガイドラインを更に改定いたしまして、例えば、太陽光パネルに含まれる鉛等の有害物質への対応でありますとか、埋立処分する場合の埋立処分方法の明確化等を行っております。

 ただ、委員御指摘のありましたように、そういったものが出てくる、今後ふえてくるということを想定して、その受皿としてしっかりリサイクルできる施設を整備することが重要だと考えておりまして、この設備の導入に対しての補助ということも環境省として進めておりますので、リサイクルが促進されるようにということで取り組んでまいりたいと考えております。

白石委員 ぜひ、それも今から考えておいていただいて、地方がパネルの捨場みたいなことにならないようにお願いします。

 そして、次の質問は家電なんですね。家電を使った後、リサイクルに出すんですけれども、リサイクル料金が製品価格に比して高過ぎるという声があります。リサイクル料金が高いと、そんなにたくさん払えないということで不法投棄につながっていって、地方では山に家電が不法に捨てられているという光景がよくあるわけですね。これが問題なんです。

 それで、適切な廃棄を誘導するためにも、製品価格に比し高いリサイクル料金というのは抑えるべきだ、政府としても抑えるような対応が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありました家電リサイクル法の対象でありますいわゆる家電四品目につきましては、製造業者等がリサイクルを行うこととされております。そのリサイクル料金につきましては、それぞれの製造業者等が定めることとなっております。

 その料金でございますけれども、家電リサイクル法第二十条第二項におきまして、リサイクルに必要な行為を能率的に実施した場合における適正な原価を上回るものであってはならないという定めがございます。

 また、経済産業省及び環境省におきましては、毎年度、家電リサイクル法に基づく報告徴収を実施しております。その報告徴収によって、リサイクル料金収入、リサイクル費用及び費用の内訳につきまして製造業者等から報告を受けるとともに、その結果を、産業構造審議会それから中央環境審議会の合同会合におきまして報告をいたし、審議をいただいております。そういった形でリサイクル費用の透明化を図っているところでございます。

 なお、製造業者等におきましては、リサイクルしやすい製品設計により、リサイクル時の解体工数の削減を行うなど、リサイクル費用の低減を進めてきております。実際に、主な製造業者等では、これまで複数回にわたりリサイクル料金の引下げが実施されてきたものと承知しております。

白石委員 政府としても監視しているということなんですけれども、その監視の範囲はしっかりと幅広にとってもらって、輸入とかでいろいろなメーカーの家電が日本には流通していますし、そしてその原価を報告させるということも、厳しい目でチェックして、高くならないようにと。そのときに、売り値に比して、それと同じだったり、あるいはそれを超えるような場合は、やはり消費者としてはちょっと困ってしまうというところがあると思うんですね。不法投棄につながりかねないというところはしっかりと押さえておいていただきたいと思います。

 次は、その不法投棄を未然に防ぐというために、どのような取組がなされていますでしょうか。環境省さん。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 特に各市区町村におきまして不法投棄がなされた場合、回収するということが生じますので、そういったことが生じないように、特に、ポスター、チラシ、看板等による普及啓発でありますとか、パトロール、あるいは、住民や警察等と連携して監視通報体制の構築などをしている。その結果でありますが、ここ六年間連続して不法投棄の台数は減少しているという状況にございます。

白石委員 経産省さんとしてはどのような取組をされていますでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま環境省の方からも御説明ありましたように、不法投棄につきましては、まずは自治体が地域の実情に応じた対策を行っているものと承知しております。

 家電リサイクル法の対象であるいわゆる家電四品目の製造業者等におきましては、産業構造審議会と中央環境審議会の合同会合の提言を踏まえまして、不法投棄未然防止のために自治体が実施している取組への協力として、その取組費用を助成する不法投棄未然防止事業協力を実施いたしております。具体的には、自治体におきます監視カメラの設置やパトロール委託など、防止事業に係る費用と、不法投棄された家電四品目の撤去、運搬やリサイクル料金に係る費用につきまして、製造業者等が一定の助成を行っているところでございます。

白石委員 ちょっと時間が来ました。

 とにかく、地方は人口減少で、空き家、廃屋、それを処分していくという時代に入っています。そうすると、どうしてもたくさんの家電等の捨てないといけないものが出てくる、ここにもしっかりと目配りをお願いします。

 国交省さんの質問はまたの機会にさせていただきまして、申しわけありません、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

松野委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、放課後児童支援員の、従うべき基準から参酌化をすることについて質問いたします。

 まず、片山大臣に伺います。

 なぜ、放課後児童クラブについて、一括法の中で審議をするのかということです。

 児童福祉法には、第一条、「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、」と定められています。放課後児童クラブ運営指針においても、子供の視点に立ち、子供の最善の利益を保障し、子供にとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場となるように、放課後児童クラブが果たすべき役割を再認識し、その役割及び機能を適切に発揮できるような観点で内容を整理すると示されています。

 放課後児童支援員をどのように配置するのかは、子供たちの安全な生活の場が維持できるのかが問われる重要な問題です。規制緩和、地方からの提案という切り口だけで、何の関連もないほかの法案とまとめていいはずがありません。大臣の認識を伺います。

片山国務大臣 一括法ということでございますが、今回の法案も、前政権時代の平成二十三年の第一次地方分権一括法案から過去八次にわたる一括法と同様に、地方公共団体への事務、権限移譲、義務づけ、枠づけの見直しなどを通じて、地域の自主性及び自立性を高め、みずからの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものでありますので、一括法として統一的に見直すことが適当であると考えております。

 また、本法案は、提案募集方式という共通の枠組みに基づいて措置をすることとした改正事項を盛り込んでいるところでございまして、関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正案を取りまとめることによって、改正の趣旨と全体像がわかりやすくなるものと考えております。

 委員御指摘の放課後児童クラブに係る児童福祉法の改正につきまして、御指摘のような児童福祉法の法の目的、趣旨を何ら、意図するものではございませんが、このような考え方から、今回、一括して本法案に盛り込んでいるというところでございまして、ぜひその点は御理解を賜りたいと思いますが、今後とも、改正する法律の趣旨、目的及び改正の経緯をきちっと検討して、それに鑑みて、統一的に見直すことが適当であるかを検討しつつ法案を提出してまいるというのが我々の方針でございます。

高橋(千)委員 第八次であろうが、提案募集があったからといって、これを同じ切り口でやるものではない。せっかく児童福祉法の趣旨が何ら変わるものではないとお答えをいただいたので、そうであれば、やはりそのものずばりで議論しなければだめだということを重ねて指摘をしたいと思うんです。

 新制度に移行し、配置基準などが定められたのは二〇一五年のことです。何か基準といえば、がんじがらめの細かい基準があり過ぎるというイメージを持たれると思いますが、いわゆる畳一畳という面積要件さえも何も基準がなかったところから、基準をつくれ、指導員の国家資格をつくれと全国学童保育連絡協議会などが運動し、ようやくガイドラインができてからもまだ十二年という大変短い歴史です。しかも、従うべき基準は、放課後児童支援員の、四十人以上の場合は複数配置、たった一つしかないんです。たった一つ。つまり、あとは全部参酌化されてしまった。そういう事情があるのだということです。

 社保審児童部会放課後児童対策に関する専門委員会の昨年七月の中間取りまとめでも、児童福祉法第一条、子供の最善の利益をいかに実現していくか、今度は質の確保という議論をしていたと思います。矛盾しないでしょうか。厚労副大臣に伺います。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回の措置は、従うべき基準によりまして人材確保が困難といった地方からの要望を踏まえ、全国一律ではなく、自治体の責任と判断によりまして、質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものでございます。

 また、基準につきましては、市町村が地方議会の議を経て条例により制定するものでございます。厚生労働省としましては、従うべき基準が参酌化された場合であっても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断によりまして、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。

 また、厚生労働省としましては、放課後児童クラブの質が確保されますよう、放課後児童支援員に対する研修によりまして支援員の質の向上を図ること、また、処遇改善を推進すること、そして、放課後児童クラブの活動内容につきまして、質の向上の観点からの評価を推進してまいること、放課後児童クラブの好事例の普及、展開をすること、放課後児童クラブを巡回しまして育成支援の質の向上を図るアドバイザーの市町村への配置等を行うこと、こういったことを通じまして、放課後児童クラブの質の確保にしっかり努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 結局、自治体の提案だから、かつ、自治体が条例を決めてやるんだから、あとは責任を持ってということで、全部自治体任せにしているんですね。何か起こったときの責任も含めて自治体任せにしている。これは、この児童福祉法にのっとって、ようやっと積み上げてきた放課後児童クラブの歴史に対しても本当に逆行する中身だと思います。

 まず、確認をしますけれども、地方三団体からの要望というのは承知をしています。放課後児童支援員の複数配置そのものの義務化をやめようという自治体は、一体どのくらいあったんでしょうか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 地方からの要望、提案でございますが、これは、各自治体が個別で提案するもの、あるいは県や市町村が共同して提案するもの、あるいは知事会、市長会、町村会が共同して提案するものなど、さまざまな方式がございます。

 このうち、県、市町村からの提案としましては、放課後児童クラブに常に配置すべき支援員の人数が一律に決められていることから、地域の実情に応じたクラブの設置ができないといった支障による提案が二件寄せられております。

 また、知事会等の共同提案としましては、放課後児童クラブについて、地域の実情に応じた柔軟な職員配置が認められるべきとしまして、平成二十九年の提案募集におきまして、これは地方三団体でございますけれども、さまざまな自治体からの要望を踏まえ、それぞれ機関決定の上、放課後児童クラブに従事する職員の資格と員数に関する従うべき基準の参酌化を求めているところでございます。

高橋(千)委員 個別に答えていただいたのは二件だけだと思います。

 では、逆に、従うべき基準の維持、質の確保を求める意見書、上がっていると思いますが、どのくらい上がっているか承知していますか。

山野政府参考人 通告にございませんでしたので、手元に資料がございません。承知してございません。

高橋(千)委員 今私たちが確認しているだけでも、十一道県三十六市町村上がっています。

 こうした、結局個別に、いろいろな事情があるところは、それは事情を聞いて対応すればいいんですよ。だけれども、三団体全部がみんな、その三団体の下の市町村がみんな求めているかのように言ったらだめなんです。実際に議会では、こうして、維持してくれ、守ってくれという意見が出ている。これを直視するべきだと思います。

 そこで、昨年五月十一日の地方分権有識者会議第七十一回提案募集検討専門部会において、自治体からのヒアリングをやっていますよね。これはたくさんあるので読みましたけれども、例えば、北海道江別市の三好市長は、支援員、補助員が慢性的に不足し、募集しても応募がないとか、保育士の有資格者は保育所にとられちゃうとか、そういう深刻な実態をプレゼンして、各クラブに支援員が一名しか配置できない状況もある、あるいは、支援員が配置できなければクラブを閉鎖に追い込まれる、そういうことを言っています。

 ただし、その上で、地域の実情に即した従うべき基準の見直しは必要であるが、質の低下を招くおそれがあるものとなるのであれば、子ども・子育て支援制度の趣旨に反するとして、正規雇用を可能とするような抜本的な処遇改善と財源措置を提案しているんです。これがやはり基本的な自治体の考えではないでしょうか。

 参酌にしてほしいという自治体の最大の理由は、人の確保であります。厚労省の処遇改善事業やキャリアアップ処遇改善事業をやっていると何度もお答えになっていますが、どのくらいの実績があるのでしょうか、具体的にお答えください。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 放課後児童支援員等の待遇を改善すること、これは、人材確保を図るとともに、放課後児童クラブの適切な運営を図る観点からも大変重要なところでございます。

 委員御質問のところでございますが、平成三十年度におきまして放課後児童支援員等処遇改善等事業を実施している自治体数は三百十市町村でございまして、全クラブ実施自治体に占める割合は一九・一%でございました。

 また、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を実施している自治体数、これは三百三十二市町村でございまして、全クラブ実施自治体に占める割合は二〇・五%となっているところでございます。

 また、放課後児童支援員の処遇改善におきましては、人員確保を始めとしまして、長く勤務いただく環境づくりのために処遇改善は重要であると考えております。

 多くの自治体におきましてこの事業を活用していただけるよう、全国主管課長会議を始め、文科省との連携のもと開催している全国五ブロック説明会などで、あらゆる機会を通じて働きかけをしてまいりたいと考えております。

 また、こういった事業は、補助に関しては子ども・子育て支援交付金から交付されているところでございまして、事業ごとの実績額、これは算出できないところがございます。

高橋(千)委員 二割に行かない、そういう状態ですよね。極めて少ないと思います。先週の委員会でも、少ないという答弁が厚労省の政府参考人からされていたと思います。

 その理由は何だと思いますか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 まだこの制度自体が始まったばかりということもございまして、これからしっかりと周知を図ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 つかんでいないということだと思うんですね。

 例えば、岐阜県の春闘共闘会議が自治体アンケートを行った中では、処遇改善事業は知っている、だけれども実施していない。なぜかという理由を聞いたところ、市の臨時職員としての雇用をしているので差別化しにくい、つまり誰かを選ぶということができない、委託のため処遇については一任しちゃっている、あるいは、十八時半を超えた勤務をできる人がいない、それ以上の開園が条件になっているので、それに合う人がいない。こういうふうなことで、処遇を改善しようとしても、もともと非正規中心の職場のために、誰かを常勤としてキャリアアップという差別化はできない、これはまさに負のスパイラルになっているんです。この実態を変えなければ、もうどんどん緩和していく以外にないわけなんですね。

 それで伺いますが、常勤と非常勤の割合がどうなっているんでしょうか。細切れ雇用の組合せという場合があると思うんですが、それぞれの実働時間、日数が一体どのくらいなのか。それから、正規職員がゼロの自治体もありますけれども、把握していますか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成三十年度における常勤職員と非常勤職員の割合につきましては、常勤職員が約二五%、非常勤職員が約七五%と承知をしておるところでございます。

 また、それぞれの実働時間、日数及び正規職員が配置されていない公立のクラブ、これらに関しましては、把握をしてございません。

高橋(千)委員 今、実働時間についても、通告してあったけれども、把握していないというお答えでしたか。ごめんなさい、聞き逃した。

新谷大臣政務官 再度お答え申し上げます。

 それぞれの実働時間に関しても把握をしておらないところでございます。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。つかんでいただきたいなと思うんです。

 結局、処遇改善のためにいろいろな事業をつくりました。五年経験した方、十年経験した方、階段のようにキャリアアップしていこうと。だけれども、そもそも非常勤、非正規が圧倒的に多くて、そして細切れの、週三日だけよとか、一日、午前中だけよとか、そういう中でやりくりをしているのが実態なわけですよね。そうしたら、そこからキャリアアップするというところにつながっていかないわけです。

 例えば、愛知県の場合は大変、正規職員がゼロの自治体が多いです。名誉のためにイニシャルで言いますけれども、O市、三十四カ所のクラブが自治体立なんですけれども、非正規が二百七人で、正規はゼロです。I市、指定管理のみしかありません、五十八クラブ、非正規が五百五十八人で、正規はゼロです。K市、自治体立が三十一クラブ、非正規が百四十五人いますが、正規はゼロです。T市、自治体立は二つしかなくて、非正規三十人で、正規職員はゼロです。指定管理が六十四クラブあって、非正規五百三十六人で、正規はゼロです。これはほんの一部でしかありません。まだたくさんあります。

 こういう実態の中で、今の処遇改善というだけでは、事業を当てはめるだけでは手を挙げるところがないし、人手不足が解消できるわけがないと思いませんか。研修に行けない、送り出してやる体制がない、研修を受けても賃金はふえない、現場は悲鳴が上がっています。

 一昨年、山形市と天童市の児童クラブを、私、視察しました。あらゆるパターン、学校の中の教室や学童専門の公民館、すばらしい公民館がありました。それから、学校の校舎と校舎のすき間にプレハブを建てているところ、あるいは昔ながらのプレハブ、マンションの一室、さまざまなパターンを見て、専門のところが一番理想だなと思ったんですけれども。

 ただ、その狭い中でも、やはり自治体がガイドラインの基準に合わせて、ともかく待機児童をつくらない、そうやって増設をしてきたという、これは天童市の姿勢なんですが、これはすばらしいと思いましたし、そういう中で、どこでもベテランで情熱的な支援員が誇りを持って子供たちに接しているんです。だから、子供たちの表情もとてもいいですし、満足をしている。

 でも、若い男性職員が寿退社、これは逆の意味であって、結婚すれば暮らしていけないからやめていく。今頑張ってやっている自分たちがいなくなったときはもう引き継ぐ人がいないだろう、あと何年もつかという訴えもあるわけなんです。

 ですから、抜本的な見直しをするべきなんです。準備の時間も含め八時間労働が当たり前、正職員としてきちっと見ていく条件をつくっていく、それに見合った処遇を保障できるよう、国としての責任を果たすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 放課後児童支援員等の勤務時間につきましては、子供の受入れ準備や打合せ、育成支援の記録作成等、開所時間の前後に必要となる時間を前提として設定されることが求められております。一義的には、各クラブにおきまして開所時間を考慮して決定をされるもの、そのように認識をいたしております。

 なお、放課後児童クラブの職員の待遇を改善することは、人材確保を図るとともに、放課後児童クラブの適切な運営を図る観点からも大変重要なところでございます。

 厚生労働省におきましては、常勤、非常勤にかかわりなく、先ほどもちょっとお話しさせていただきました、平成二十九年度から放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を推進しているところでございまして、引き続き、このような取組を通じて放課後児童クラブの職員の待遇改善に努めてまいりたいと考えております。

 なお、先ほども申し上げさせていただきまして、委員からも御指摘ございましたが、この処遇改善は始まって日が浅いところがございまして、一部の市町村での実施にとどまっているところがございます。低い実施率ということはよく認識をしておりまして、多くの自治体でこの事業を活用していただけるよう、全国主管課長会議を始めとしまして、しっかりと文科省との連携のもと、あらゆる機会を通じて働きかけをしてまいりたい、そのように考えております。

高橋(千)委員 最後に片山大臣に、今の議論を聞いていただいたと思うんですが、感想的な発言でよろしいですので、一言お願いしたいなと思います。

 自治体からの要望といっても、これはやはり特別に議論するべきだと私が指摘をしました。そして、やはり基準を維持してほしいという自治体の意見書の方が多く上がっているんだということもお話をしました。

 例えば、二〇一七年八月二十九日の朝日新聞で、保育問題の専門家としてよく知られている淑徳大学の柏女霊峰教授がこんなことをおっしゃっています。「保育園の待機児童が解消しないなか、当然のように数年後には学童保育もパンクする。」これはそのとおりだと思うんですね。

 私たちは本当に、学童保育と運動してきたときに、小学校は義務教育だから、足りないから入れなくていいということは絶対許されないわけですよね。なぜ放課後の子供たちについては自治体任せで、待機児がいてもどうにもしないんだろうかということをすごく疑問に思っていたんです。

 そういうところから、今こうやってつくってきたわけですよね。保育所に入れないお母さんたちが、せめて学童保育はちゃんと入って、仕事ができるようになりたいなという声も上がっている。その声にやはり応えなくちゃいけないんじゃないかと思いますが、もう時間が過ぎていますので、一言。

松野委員長 申合せの時間が経過をしておりますので、簡潔にお願いします。

片山国務大臣 委員は私と同い年でございまして、その育った子供の環境、時代感覚も同じでございますので、あの当時、学童保育は、働いているお母さんの家もなかったんですけれども、まさに今の状況を考えて、御指摘の趣旨もわかりますし、質を維持するというのは当然のことでございますので、こういった改革、地方分権の中で、こういったことをしても実際の現場においてはきちっと質が維持されることが望ましいという意味では同じであると思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 終わります。

松野委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 委員長、ありがとうございます。

 維新の杉本和巳でございます。

 最後の一つ手前の質問者ということで、重複等あればお許しをいただきたいと思います。

 法案の質疑に早速入らせていただきます。

 まず、そもそも論でございますが、そもそもの従来の委員会勧告方式にかえて、平成二十六年、二〇一四年から、個々の地方公共団体等から地方分権改革に関する提案を広く募集し、それらの実現に向けて検討を行う、いわゆる提案募集方式を推進されているわけでございますけれども、現行の提案募集方式が功を奏しているという理解でよろしいのかどうか、改めて確認させていただければと思います。

片山国務大臣 地方分権改革は、累次の委員会改革で、まさに国と地方の関係は対等、協働なんだ、対等、協力の関係に転換するんだということでずっと積み重ねてきたものがあるわけですが、それに加えて、安倍内閣では平成二十六年から、この長年の成果を踏まえて、地方側の発意に基づいて、住民に身近な課題を現場の知恵と工夫で一つ一つ具体的に解決するための提案募集方式というのを導入させていただいて、これまで五年間、関係府省と調整を行ったもののうち、提案が実現するなど対応できているものの割合は七割を超えておりまして、範囲も、土地の利用、防災、子ども・子育て支援、高齢者・障害者支援、雇用など、各分野にわたって幅広く成果が上がってきております。

 また、その提案募集方式、五年になりましたので、地方の方からの御感想というのもありましたんですけれども、昨年十二月二十五日付で、全国の知事会、市長会、町村会の会長からは、地方分権の改革の歩みを着実に進めるものとして評価するという御評価もいただいているところでございまして、今後とも、いかに提案を実現するかということが一番大事なことでございますので、その基本姿勢に立ちまして、この改革を着実に進めてまいりたいと考えております。

杉本委員 わかりました。

 国と地方は対等、協力ということで、ちょっと余談になりますけれども、私ども維新は、地方議員と国会議員は対等、平等というような感じで、更に余談ですけれども、例えば、選挙では一番先にビラを配りに行くのは国会議員が行けというようなぐあいで、決してピラミッド形の形をとっていないというのが私どものあらゆる点での考え方でございますので、そういった考えに近いのかなという理解を今させていただきましたし、今、提案の七割が実行に移され、各分野にわたっているというようなことを拝聴しましたので、本法案は意義深きものかなという理解をさせていただいております。

 それでは次に、厚生労働省さん関係になるかと思いますけれども、第十条の関係で質問をさせていただきます。

 都道府県から中核市への事務、権限移譲についてですけれども、基本的には、地方分権の推進の観点から私どもは首肯し得るものであるというふうに感じておりますけれども、介護保険法の一部改正であって、厚生労働省関連の法改正であるわけでありまして、今次改正によって、いかなる効果が期待されるのか。また、中核市側のいわゆる物理的な、実務的な負担増と精神的な面で負担感の増といったものはいかがなのか、その点をどう把握しているかを確認させてください。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 介護サービス事業者の業務管理体制の整備及び監督権限は、介護サービス事業者の不正事案の再発を防止し、介護事業運営の適正化を図る観点から、平成二十一年度から創設されたものでございまして、事業者に対して業務管理体制の整備を義務づけるとともに、厚生労働省及び自治体に対して事業者本部への立入検査や是正命令に関する権限を整備したものでございます。

 今般の介護サービス事業者の業務管理体制の整備につきましてでございますけれども、届出、立入検査等に係る事務、権限を都道府県から中核市へ移譲することによりまして、これらに係る事務負担は一定程度増加するものと考えているところでございます。

 また一方、これまで、事業者に対する業務管理体制に係る指導権限、これは都道府県でございますけれども、それと、サービス事業所の指定及び指導監査権限、これは中核市でございますが、これらが分かれていたところ、今般の移譲によりまして、中核市による介護サービス事業者の指定及び指導監督権限との一元化が図られることになります。

 これによりまして、例えば、事業所で不正事案が発生をし組織的関与が疑われた場合に、従来は、法人に対する業務管理体制の検査権限がないため、都道府県に権限の行使を要請していたものが、この法改正後は、事業所への立入検査に加えまして、事業者本部への業務管理体制の検査による包括的な確認が可能となるなど、迅速かつ効率的、効果的な監督に資するもの、そのように考えております。

杉本委員 一元化によって迅速にということを承りました。

 ちょっと話はまたかわるかもしれないんですが、学校の話をして恐縮ですけれども、先生が、今度、英語の教育がかなり充実されたりして授業の中身がいろいろ広がっていく中で、伺ったら、親御さんとの対応なんかもいろいろあって、いわゆる負担が増加する部分と気持ちの部分で負担感が増加するというのは教育なんかの分野でもありますので、そういった意味で、中核市の職員の方々の負担感などにも配慮等をいただければありがたいかということで質疑させていただきました。

 次に、文科省さんの関連で、第八条の関係になるかと思いますが、図書館法、博物館法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正でございますけれども、この社会教育に関する教育機関の設置、管理及び廃止に関する事務を、条例で教育委員会から地方公共団体の長へ移管することを可能にするということが今次法案でありますけれども、具体的に、現行の教育委員会管理から移管実施を予定している自治体はどの程度あるのか、すなわち何団体ほどカウント、数を数えるとあるのか、そういった見通しはいかに把握しているのか、これによりいかなる変化、効果が期待されるのかを改めて確認させてください。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案は、四団体からの御提案を踏まえて検討を行い、作成したものでございますが、現時点で地方公共団体の意向を網羅的に把握しているものではございませんで、具体的に想定される全体としての移管数をお答えするということは難しいところでございます。

 また、移管により期待される効果につきましては、例えば、首長が所管することとなった公立社会教育施設における社会教育の事業と、まちづくりや観光等の他の行政分野の事業とを一体的に推進することで、当該自治体全体としてより充実した行政施策が実現すること。また、社会教育行政としましても、首長の所管する他の行政分野における専門的知識でありますとかノウハウ、人的ネットワーク等を社会教育の分野でも活用することがより容易になるということで、その取組がより活発で開かれたものとなることが期待されること。さらに、公立社会教育施設と首長所管の他の施設との複合施設につきまして、その所管を一元化することにより、当該施設の運営をより効果的、効率的に行えるようになる可能性があることなどが考えられると承知しております。

杉本委員 四団体から、枕でありましたけれども、要望があったということは確認できますけれども、それ以外はちょっとということで承りました。

 では、次の質問に移らせていただきますが、第二条、第四条関連で、これは内閣府さんに御答弁いただくことかと思いますけれども、幼保一元化、この間も根本大臣と柴山大臣と、予算委員会だったか、質疑させていただきました。違った、予算じゃない、別の委員会でしたけれども。

 保育士と幼稚園の教員免許の両方の資格を持つことが保育教諭の要件であるところ、片方の資格保有者でも保育教諭となることができるという、幼保連携型認定こども園について、二〇一九年度末まで設けられている保育教諭となることができる者の要件に係る特例を、五年間、二〇二四年度末まで延期することを今次御審議をということになっているんですけれども、この資格というのを一本化して恒久化してはどうかというのを基本的に私は考えているんです。

 いろいろな障害はあるかもしれませんけれども、これを時限的な五年間という措置にしている理由を御説明いただければと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年度から新たな制度となりました幼保連携型認定こども園は、学校及び児童福祉施設として、教育及び保育、保護者に対する子育て支援を一体的に実施する施設として設立をされております。そこで勤務をする保育教諭は、教育と保育の双方について高い専門性が求められることから、幼稚園教諭免許、保育士資格の両方を有することを原則としております。

 現状を申し上げますと、三十年四月現在の保育教諭の総数は十万三百七人となっておりますが、そのうち、両方の資格を有している者が九〇・四%、九万六百四十七人、片方の免許のみを有する者が九・六%、九千六百六十人という状況でございます。

 この資格の特例のあり方につきましては、昨年、関係者から成ります子ども・子育て会議におきまして議論が行われました。その結果、保育教諭について、高い専門性を引き続き確保しつつ、施設数が増加をしていること、片方の免許、資格しか保有していない者が一定数おられるということ、それから、昨今の人材確保の必要性に鑑みまして、保育教諭は免許、資格の両方を有することが必要であるという原則は維持をした上で、本特例を五年間延長するという方向性が打ち出されました。

 こうした議論を踏まえて、引き続き特例として五年間延長するということとしたものでございまして、今後とも、双方の資格を着実に取得できるように、地方自治体あるいは認定こども園の関係団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 念のためということで、今度は厚労省さんからの御答弁をいただきたいと思いますが、この第二条、第四条関連で、保育園教諭による保育士資格の取得の特例について、厚生労働省告示において措置し、保育士登録を受けた者について、二〇一九年度末まで設けられている幼稚園教諭免許状の授与要件に係る特例を五年間、二〇二四年度末まで延期することとしていますけれども、厚労省さんの答弁として、これを恒久化しないのはなぜか。

 今、内閣府さんの御答弁で特例としてということですが、特例を継続して続けていけば特例ではなくなっていくということかとも思いますが、厚労省さんのお立場の現在のお答えをいただければと思います。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 幼稚園教諭免許状の保持者であって一定の勤務経験、三年かつ四千三百二十時間を有するものにつきましては、大学等で一定の単位、これは八単位でございますけれども、これを履修することによりまして保育士資格を取得できる特例を厚労省としても設けているところでございます。

 この保育士資格の特例でございますけれども、保育教諭等の資格特例、また、教育職員免許法の免許状取得の特例、こういったものと一体として構成されているものでありまして、法案の内容とあわせて、告示を改正し、同様に五年間延長をすることとしておるところでございます。

杉本委員 繰り返し申し上げますが、特例を続けていくと特例じゃなくなるということだけは御認識いただきたいなというふうに考えております。

 次に、この特例延長により、施設における必要な人材を確保し、施設運営の安定化に資するとありますけれども、具体的な人数として幾人の効果があるのか。例えば、二〇二〇年度では全国合計して確保される見通しということですけれども、また、殊に効果が見込まれる地方公共団体の上位三団体を念のため教えていただければと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 本特例のこれまでの活用状況を見ますと、幼稚園教諭免許につきましては約一万五千人、保育士資格については二万二千人が特例を活用して取得をしているところでございまして、年間およそ七千人から八千人程度が新たな資格、免許をこの特例により取得をしているという状況でございます。

 二〇二〇年度ということでございますけれども、具体的な数字を申し上げることは難しいところでございますけれども、国におきましては、引き続き、大学等における単位取得のための受講料の補助、あるいは、保育教諭が受講する際に、かわりに園で勤務する職員の雇い上げ費の補助などを行っているところでございまして、今後とも支援をしていきたいと考えております。

 また、お尋ねの効果が見込まれる地方公共団体ということでございますけれども、参考までに、片方の免許の資格のみを有している保育教諭が、先ほど九千六百六十人と申し上げましたが、この人数につきまして都道府県別に多い順に申し上げますと、最も多いのが大阪府、千百五十二人、二番目が兵庫県、八百十人、三番目が静岡県、五百六十五人となっているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 大阪、兵庫、静岡ということで確認をさせていただきました。

 次に、第一条関係の健康増進法関連ですけれども、食品の特別用途表示の許可申請に係る都道府県経由の事務の廃止についてですけれども、都道府県の事務負担の軽減はどの程度の効果が見込まれるのか、生むのかを確認させてください。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 健康増進法における食品の特別用途表示の許可について、都道府県知事を経由して申請される年間の件数は、過去三年の平均で四十七件となっております。今回の改正によりまして、都道府県を経由せず消費者庁に直接申請されることにより、こうした進達事務の軽減が図られるものと考えているところでございます。

杉本委員 済みません、大体予定の質問は終わったんですけれども、大臣に、ちょっと通告していないんですけれども、大蔵省というか財務省の主計官をされていた経験から、ちょっと念のため。

 やはり今回、地方創生、いろいろ創意工夫で、予算を使わずにとかいろいろあると思うんですけれども、一方で、先立つものはお金という中で、今年度の予算が百兆を超えて、百一兆五千、丸めてですけれども。

 一方で、財務省が発表している、ホームページに、いわゆる経済対策後の円グラフが載って、九十九兆五千億という数字があって、それをちょっと指摘させていただいて、ちゃんと百一兆五千億のものもあわせて出していただいたというような経緯があるんです。

 ちょっと時間がないので、究極のところを伺いたいんですけれども、国の借金が千百兆で、年間の税収は六十兆、使っているのは今申し上げた百一兆とかいう、まあ誰でもわかっている話ではありますけれども、この大赤字の政府の予算の収支の状況の中で、日銀が国債を引き受けていて、五百兆を超えるような形で、日銀のバランスシートが、私は健全でない、極めて厳しい状況にあって、政府の信用が失われつつある中で、日銀の信用まで失われるのかという認識を私はしているんです。

 お立場上いろいろ発言は難しいと思うんですけれども、今の財政状況、特に、あと、日銀が五百兆引き受けているということについて、何か御所見があれば伺いたいと思います。

松野委員長 時間が経過をしておりますので、簡潔に。

片山国務大臣 私も、経済財政諮問会議、自分の所管がありますと時々出させていただいておりますが、財政状態が非常に厳しいということは、もう累年ずっと、政府全体として、私も内閣府の特命大臣ですが、申し上げているところで、その認識は委員と同じだと思いますが、日銀の信用状況につきましては、そういった問題ではない、そういった問題が生じているというふうには我々は認識していないというか、総裁もそのようにはおっしゃっていないので、そこは多少見解の違いはあるのかなと伺いました。

杉本委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

松野委員長 次に、広田一君。

広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。ラストバッターでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず、義務づけ、枠づけの見直しに関連してお伺いをいたします。

 もう十年前になるんですけれども、地方分権改革推進委員会の第三次勧告では、義務づけ、枠づけに関する立法の原則について、次のように述べられております。

 「自治事務については、地方自治法第二条第十三項において「国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない」とされている。義務付け・枠付けの見直しとは、これを個別の法律において具体的に実現する意義を持つものである。」ここからなんですが、「将来的にもこの見直しの実効性を担保するため、今後、制定、改正される法律は、今次の地方分権改革で定立した義務付け・枠付けに係る国の立法に関する原則、」すなわち、これは第二次勧告で明らかにされている具体的な見直し方針に沿ったものですべきである、このようにあるわけでございます。

 こういったことを踏まえまして、まず大臣にお伺いしたいんですけれども、義務づけ、枠づけに関する立法の原則、これを徹底することについて、徹底することが地方創生を推進する上での意義についてお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 地方分権改革の推進ということそのものが、地域がみずからの発想と創意工夫で課題解決を図るということが基盤でございますから、政府が最重要政策の一つとして掲げる地方創生の観点からも、私は非常に重要と思っております。

 御指摘の第三次勧告での義務づけ、枠づけの見直しというのは先ほどおっしゃったとおりでございますし、それから、その第二次勧告の精神も当然ございまして、政府としては、この考え方を踏まえて、地方公共団体に対する新たな義務づけ、枠づけは必要最小限にするという基本方針のもとに全力で取り組んでいるところでございます。

 国による義務づけ、枠づけの見直しを行うことは、地方の発想でそれぞれの地域に合った行政が行われることができるようにするものでございまして、まさに特性を最大限生かし、その自立につながるようにということでございますので、それが責任感ある施策、あるいはエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングですとか、そういったことも踏まえて、地方創生の考え方に通じるというふうに我々は認識をしております。

広田委員 大臣の御答弁からあったように、従うべき基準、これを創設することは、本来、原則の例外であります。つまり、厳に慎まなければならないわけでありますけれども、しかしながら、これは、平成三十年の七月二十七日に決議されました、全国知事会、「地方分権改革の推進について」、これによりますと、こういった見直しについてはこれまで一定の進展があったわけですけれども、新たな法令などの制定によって、地方は新たな計画策定であるとか事務の実施を求められ、また従うべき基準といったものが多用されるなど、地方の自由度が高まっていない面もある、こういった指摘があるわけであります。また、同じ決議で、議員立法についても義務づけ等がなされてしまう現状があるともされております。

 よって、まず、これは事務方にお聞きしたいんですけれども、平成三十年の提案に限って申し上げれば、今議論になっております放課後児童クラブの事業など四つが、地方分権改革推進委員会の第三次勧告以降創設されているわけでありますが、この平成三十年の提案以外で新たに創設された従うべき基準は幾つあるのか、これについてお伺いします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の地方分権改革推進委員会の第三次勧告以降に従うべき基準の新設を許容したものとしましては、まず、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律におけます、幼保連携型認定こども園に係ります学級編制、職員及びその員数等、それから、介護保険法における介護医療院に係る従業者及びその員数等などがあると承知してございます。

 こうした従うべき基準の新設等、地方に新たに義務づけ、枠づけをするものにつきましては、内閣府においても、関係省庁と連携し、必要最小限となるよう法令協議等を通じてチェックを行っているところであり、従うべき基準の新設は抑制されているところでございます。

広田委員 確認ですが、具体的な数については把握をされていないということでよろしいんでしょうか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 放課後児童クラブ以外のものでいいますと、三つあるというふうに承知しております。

広田委員 それは、平成三十年の提案について言えば四つということを理解しているんですが、それ以外のもので幾つあるのか、そういう趣旨の質問であります。

山野政府参考人 私どもが承知しておりますのは、第三次勧告以降で、ただいまの放課後児童クラブ以外のもので三件あるというふうに承知してございます。放課後児童クラブを合わせますと四件でございます。

広田委員 四つというふうなことでございます。これが多いか少ないかというのは議論があるわけでございますけれども、この放課後児童クラブについて申し上げれば、配置基準については、私は、危機管理上、また子供たちの安全性、そして保護者の皆さんの安心感、これを担保するためにも、厳格であるべきだというふうに考えます。

 ただ、地方、特に郡部で想定される少人数の放課後児童クラブ、この場合はどうあるべきかということについては、もっと私は議論を深めるべきではないかなというふうに思います。

 一方で、資格基準について言えば、特に町村における資格者不足というものを考えれば、資格についてはもっと幅広く考えてもよいのではないかなと思います。

 ただ、内容以前の問題として、この放課後児童クラブの参酌基準化問題は、第二次勧告に打ち出された義務づけ、枠づけに関する立法の原則の例外である存置を許容するメルクマール、これをクリアして、あえて例外として新たに従うべき基準としたのにもかかわらず、四年の運用で参酌基準化をするのは余りにもちぐはぐであり、制度の運用としては私は一貫性がないのではないかなというふうに思いますけれども、この点について、片山大臣の御所見をお伺いします。

片山国務大臣 まさに、この制度の今までの経緯なのでございますが、いわゆる放課後児童クラブについては、法律によって位置づける前から、地方公共団体などが、それぞれの地域の実施主体により、独自に地域の実情に応じて実施なさってきたものでございます。

 こうした実態がある中で、平成二十四年に行われた法改正に係る検討のときにおいて、放課後児童クラブの運営に当たっての裁量を地方に与えるようにということで、地方三団体が再三にわたって御主張されておりまして、まさに当時、知事会で、この問題の代表は高知の尾崎知事だったんですけれども、何とか参酌基準にするなどの裁量権の拡大ということをその当時からずっと終始おっしゃっておりまして、そういうことはあったんですが、平成二十七年度に放課後児童クラブに係る従うべき基準が施行された結果、運営にやはり支障を予想どおりに来したということがありましたので、翌平成二十八年からは基準の見直しを求める提案が多く行われて、それが二十九年には、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方三団体から共同提案で、従うべき基準の参酌化になったということで。

 確かにそういう流れはあったんですけれども、実際にやってみて運営ができないということであれば、やはり運営の実効性ということも含めて、今回の児童福祉法の改正は地方側の主張を踏まえて行われるものでございまして、今回の改正によって、事業の実施主体である市町村長の責任において、質を担保しつつ、実情を踏まえた柔軟な対応が可能になりますから、今後ますます重要性もニーズも高まっていくことが想定されますこのクラブの継続的な、安定的な運営ができるようになるのではないかと考えております。

広田委員 今回、見直しの経緯については、大臣の御答弁、一定理解するところもあるんですけれども、ただ、私が申し上げたいのは、そもそも、この放課後児童クラブを従うべき基準にすること自体が原則の例外であったはずです。それをあえてしておきながら、当時のメルクマールをクリアしたというふうに判断しておきながら、そして、四年経過をしたら、先ほどるるお話のあった事情はあったとはいえ、見直しをしてしまう。これは私は、ちょっとやはりちぐはぐ感というのは否定できないのではないかなというふうに思いますが、今後の制度のあり方も含めて、義務づけ、枠づけ等の見直し等も含めて、大臣の御所見があればお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 義務づけ、枠づけにつきましては、先ほど、累次の地方分権改革の流れの中での位置づけ、このとおりでございまして、原則として新設はないということで、実際チェックもしているわけですが、それを押してもという立法も当然、もちろん国会の合意でそういうふうになることもありますが、原則としては、そういう新たな義務づけ、枠づけの新設は行わないということを今後もチェックもしていきますし、また、各省庁におきましてさまざまな法案をつくっていく上で、安全性のチェックというのも必要なことがありますから、まさにそれは個別具体的に判断されていくことかと考えております。

広田委員 質疑時間が終了しました。

 これを踏まえて、私は、この義務づけ、枠づけに関する立法の原則、これがやはり法制化することが今後求められているんじゃないかなということを申し上げまして、質問を終了したいと思います。

 どうもありがとうございました。

松野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松野委員長 この際、本案に対し、今井雅人君外一名から、立憲民主党・無所属フォーラム及び国民民主党・無所属クラブの二派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。今井雅人君。

    ―――――――――――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

今井委員 ただいま議題となりました地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府原案は、地方分権改革の一環として、事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を行うため、関係法律の改正を行おうとするものでありますが、その中で、放課後児童健全育成事業についても、地域の実情に応じた運営が可能となるようにと称して、その資格と員数の基準を、従うべきものから参酌するものに変更することとしております。

 しかし、この基準は、子供にとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場となるよう、全国的に一定水準の質の確保を図るための最低水準として定められたものですから、地方分権改革という枠組みにおいて議論されるべきものではありません。

 放課後児童クラブの質の確保という観点から、この基準が設定されて以降の四年間における運用実態を踏まえ、地域間格差にも配慮しつつ、基準としての妥当性を議論するのであればともかく、このような形で基準緩和をすることは、断固として認めることができません。

 そこで、市町村が放課後児童健全育成事業の設備及び運営について条例で基準を定めるに当たり従うべきものとされていた厚生労働省令で定める基準について、これを参酌するものと変更する規定を削除することを内容とする本修正案を提出した次第であります。

 以上が、本修正案の趣旨でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

松野委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。松田功君。

松田委員 立憲民主党・無所属フォーラムを代表しまして、修正案に賛成、原案に反対の立場から討論を行いたいと思います。

 地方分権に関しまして、私自身も地方議員の出身ということもございまして、ぜひ進めていただきたいと思っておりますが、この地方分権の法案は一括法案となっており、今回は十三本の法律を一遍に審議することとなりましたので、一概に賛成と申し上げることはできません。ぜひ進めていただきたい法案が多数ある中で、どうしても納得がいかない法案もあるため、この束ね法案のやり方に対しても見直しをされるべきではないかと思います。地方分権改革を進める上で、一つ一つしっかりと審議すべきではないでしょうか。

 どうしても納得がいかない法案とは、児童福祉法の放課後児童支援員の参酌基準化です。

 参酌を認めるということは、質の低下を意味します。放課後児童支援員が二人必要なところを一人にしても構わない、また、放課後児童支援員の資格を持っていない方でも認めるというのは、人材不足の観点から考えられた基準緩和法案です。

 これは児童福祉法なのですから、まず第一に考えるべきは、子供の安全なのではないでしょうか。子供の安全を確保するために必要とされた二〇一五年の省令基準を、検証もせず、なぜ緩和するのか。子供たちのためにすべきことは、児童支援員の数を減らすことではなく、児童支援員の処遇を改善し、支援員を確保することです。

 以上、児童福祉法の放課後児童支援員の参酌基準化に反対のため、原案に反対、修正案に賛成し、討論を終わります。(拍手)

松野委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 国民民主党の白石洋一です。

 私は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について、国民民主党・無所属クラブを代表して討論します。

 我々は、かねてより、地方のことは地方で決める、地域主権改革として、いわゆる第一次地方分権改革法案は民主党政権で成立させ、その後も一貫して、地域の自主性、自由度を高める努力をしてまいりました。その基本姿勢は変わることはありません。

 しかし、今回の第九次地方分権一括法には、二点懸念する内容が含まれています。

 一つは、放課後児童健全育成事業、いわゆる学童保育に関する基準緩和です。

 地方公共団体のニーズは理解するものの、学童保育に従事する者及びその員数の基準について、従うべき基準から参酌すべき基準に見直す項目については、児童の安全や育成支援の質の担保の保証をなくしてしまうおそれがあります。国は、ナショナルミニマムを示し、それを担保する責任があります。本改正で、具体的には、最低二人としている現在の基準以下の一人でもよいということになりますが、本来は、国が、どういった条件であれば一人の指導員でもよいか議論し、示すべきです。

 本法案のように安易に基準を緩和することは認められないという結論に至り、我が党は、本法案から関連条文を削除する修正案を立憲民主党と共同提出しました。

 二つ目に、公立社会教育施設、公民館等について、教育委員会から首長部局に管理を移管することを可能とする改正についても、施設を、政治的中立性を確保しつつ、政党や政治団体、公職の候補や政治家等が利用できることを担保することなどについて懸念があります。

 文部科学省が示す、特定の政党に特に有利又は不利な条件で利用させることや、特定の政党に偏って利用させるようなことはできないが、公民館を政党又は政治家に利用させることを一般的に禁止するものではないとする社会教育法第二十三条第一項の趣旨は維持するということは確認できましたが、実際に、ある政党に所属する首長が公正で中立な運用をしていなかった場合、どういった是正の方法があるのか、その実効性などに懸念が残ります。

 これらの懸念について、附帯決議を各党で議論し、今般、これらの懸念に一定程度対応する内容を盛り込んだ附帯決議が採択される見込みとなったこと、さらに、子供の安全等が損なわれるおそれがあると認める場合には、国は、当該地方公共団体に適切な助言を行うことと附帯決議に盛り込まれたことから、本法案には賛成することとします。

 以上です。(拍手)

松野委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 私は、日本共産党を代表して、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。

 第一は、放課後児童健全育成事業における放課後児童支援員の配置基準の条例化に当たって、従うべきとしていた基準を参酌する基準に緩和することです。

 放課後児童支援員を原則二名以上配置することは、子供の命を守り、安全、安心できる生活の場を全国的に一定水準の質で確保するために必要不可欠なものであり、よりよい学童保育を発展させようと、全国の運動もあって、二〇一五年四月に初めて設けられたものです。

 放課後児童支援員は、社会福祉施設等の配置基準で最後に残された従うべき基準であり、子供の安全に対する国の責任を放棄する本法案は、断じて認められません。

 第二に、教育委員会所管の公立社会教育施設に関する事務を地方自治体首長部局に移管させることを可能にすることは、社会教育行政の政治的中立性が崩されかねず、地域住民の自主性、自発性が阻害されかねません。

 社会教育施設は、行政による教育内容への不当な介入や首長への権限集中を防止し、教育の自主性と地域住民に対する直接的責任、中立的、専門的な行政運営を担保するため、一般行政から独立した行政委員会である教育委員会が所管することとされています。首長部局が社会教育施設を所管できるようになれば、その時々の首長の意向で社会教育施設の設置、廃止が左右されかねません。社会教育行政がゆがめられかねず、認めることはできません。

 第三に、実包の管理状況の実態について検証できないままに、指定管理鳥獣捕獲等事業の従事者が一定数量の火薬類を公安委員会の許可なく譲り受けることを可能にすることは、国民の平穏な生活や安全を脅かしかねないことです。

 無許可譲受け量上限は内閣府令で定められることになっていますが、実態が検証不能なまま規制緩和を政府に白紙委任することはできません。

 最後に、今回も多岐にわたる法案を一括法案として提出されていますが、これでは十分な審議は行えません。個々の法案は所管の委員会で審議すべきであり、一括法案というやり方は改めるべきであるということを申し上げ、反対討論を終わります。

松野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松野委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、今井雅人君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

松野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、山本幸三君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。白石洋一君。

白石委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項に十分配慮すべきである。

 一 放課後児童健全育成事業については、子どもの安全や同事業の質が十分に確保されるよう、地方公共団体等に周知徹底すること。また、子どもの安全等が損なわれるおそれがあると認める場合には、国は、当該地方公共団体に対し、適切な助言を行うこと。

 二 放課後児童健全育成事業の見直しに関する検討を行うに当たっては、市町村、同事業の従事者、保護者等の意見を幅広く聴取するとともに、市町村による条例の改正状況や同事業の運営状況等に関する実態調査を継続的に実施すること。なお、実態調査の実施結果等について、適切な情報開示を行い、説明責任を果たすこと。

 三 放課後児童健全育成事業の利用者の増加に伴う待機児童の解消のため、放課後児童支援員等の処遇改善等による人材の確保や、関係施設の整備等に対し、十分な財政措置を講ずること。また、同事業に係る既存の国の支援策について、その利用が促進されるよう地方公共団体に対する周知徹底を図ること。

 四 放課後児童健全育成事業について、厚生労働省が同事業の従事者や保護者のための相談窓口を設けるとともに、当該窓口における意見等を踏まえ、地方公共団体に対し、報告聴取、情報提供及び助言を行うことも含め、事業の適切な運営を確保するための措置を講ずること。

 五 地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管する場合にあっては、社会教育の政治的中立性、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、学校教育との連携等により、多様性にも配慮した社会教育が適切に実施されるよう、地方公共団体に対し、適切な助言を行うこと。

 六 公民館の運営において、特定の政党に特に有利又は不利な条件で利用させることや、特定の政党に偏って利用させるようなことは許されないが、公民館を政党又は政治家に利用させることを一般的に禁止するものではないことを、首長部局にも周知すること。

 七 本法の公立社会教育施設に関する規定の施行後三年を目途として、その施行状況を検証し、必要があると認める場合には、社会教育の適切な実施のための担保措置等について、所要の見直しを行うこと。

 八 指定管理鳥獣捕獲等事業の従事者による火薬類の無許可譲受けについては、同事業従事者に対する指導を徹底するなど、実包の十分な管理体制を確保し、公共の安全の維持に万全を期すこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

松野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。片山国務大臣。

片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

松野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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