衆議院

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第8号 令和2年5月20日(水曜日)

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令和二年五月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 池田 道孝君 理事 石田 真敏君

   理事 今枝宗一郎君 理事 田中 英之君

   理事 谷川 弥一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 白石 洋一君 理事 桝屋 敬悟君

      上野 宏史君    大西 宏幸君

      金子万寿夫君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    後藤 茂之君

      高村 正大君    左藤  章君

      佐藤 明男君    鈴木 憲和君

      田畑 裕明君    高鳥 修一君

      谷川 とむ君    中曽根康隆君

      長坂 康正君    福田 達夫君

      藤原  崇君    牧島かれん君

      松野 博一君    今井 雅人君

      関 健一郎君    長谷川嘉一君

      広田  一君    福田 昭夫君

      松平 浩一君    森田 俊和君

      山川百合子君    濱村  進君

      鰐淵 洋子君    清水 忠史君

      藤田 文武君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          北村 誠吾君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   文部科学副大臣      上野 通子君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   総務大臣政務官      斎藤 洋明君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長)           長谷川周夫君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         宮地 俊明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 森  源二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤啓太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           赤松 俊彦君

   政府参考人

   (国税庁徴収部長)    新井 智男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           辺見  聡君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山西雅一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           内田 欽也君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進室次長長谷川周夫君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、内閣府地方分権改革推進室次長宮地俊明君、総務省大臣官房審議官森源二君、総務省大臣官房審議官佐藤啓太郎君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、総務省自治行政局選挙部長赤松俊彦君、国税庁徴収部長新井智男君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、文化庁審議官杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君、厚生労働省大臣官房審議官辺見聡君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、国土交通省大臣官房審議官山西雅一郎君、国土交通省大臣官房審議官内田欽也君、国土交通省鉄道局次長寺田吉道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。

 冒頭、質問に立たせていただきました。この委員会最後のといいましょうか、二つ目の法律ということでございまして、大事な法案の審査に当たりまして、自民党の先生方に我々公明党にお時間を与えていただいたことを感謝をしながら、質問をしたいと思います。

 まず、法案につきまして二つほど議論し、その上で、コロナ対策、どうしても、今こっちも重要な話でありますから、この点も何点か大臣とも議論させていただきたいと思います。

 地方分権改革、既に、平成五年の衆参の決議以来二十五年を経てきたわけであります。この二十五年というのは私が国会に来てからちょうどそのぐらいでありまして、この間、機関委任事務の廃止であったり、国の関与のルールの創設でありましたり、あるいは事務の権限移譲、義務づけ、枠づけの見直しなど行われてきたというふうに承知をしております。近年では、特に、まち・ひと・しごと創生ということで総合戦略、これも新たなファクトとして地方分権改革の新たな視点も盛り込まれている、このように理解をしているわけでありますが、今回の第十次の一括法、十本の法律がございます。権限移譲物が一本と、それから義務づけ、枠づけの見直しが九本ということでございます。

 最初に確認をしたいと思いますが、令和元年の地方からの提案につきまして、市区町村からの提案が大変ふえたとも聞いているわけでありますが、特に令和元年の各自治体からの、地方からの提案というのはどういう動向であったのか。これは事務方で結構でございます、御説明いただきたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 市区町村からの提案は、平成二十九年に百二十九団体から百九十八件であったものが、平成三十年には二百五十六団体から二百一件、令和元年には二百八十二団体から二百二十二件となるなど、平成二十七年以降、提案団体数、提案件数とも年々増加しており、令和元年はいずれも過去最高となったところであります。

 内閣府といたしましては、今後とも、都道府県などと連携した市区町村職員向け研修の開催や、提案募集方式につきまして実例を含めわかりやすく解説したハンドブックの提供などによりまして、住民に最も身近な市区町村職員に寄り添い、提案の裾野拡大につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

桝屋委員 今御説明がありましたように、逐年、地方自治体から、地方からの意見、提案がふえているという状況でございます。中には、単独の市町村だけでなくて、連携をしながら幾つかの自治体が提案をするという事例もあるようでありまして、地方分権に対する地方自治体、地方の声もだんだん大きくなっている、このように理解をしているわけであります。

 今回がちょうど第十次の一括法ということになるわけであります。その間、途中から地方からの提案という形もとられているわけでありますが、十回目ということで大きな節目を迎えている感じがいたします。私もずっとこの担当をしておりまして、毎年のように一括法が議論されるという経緯でございますが、大きな節目ではないかというふうにも感じているわけであります。これまでを総括して、そろそろ次の段階も考えなきゃいかぬのではないか、こう思っている次第でございます。

 そうした観点では、全国知事会が言われておりますように、第三次勧告で示されました義務づけ、枠づけに関する立法の原則、これを法制化した方がいいんじゃないかというような発言もございましたし、あるいは、政府におけるチェックのための仕組みを確立すべきではないか、こういう要請もあったと伺っておりますが、これが実は検討すべきとされているわけでありますが、今日までできていないわけでありまして、それはそれでいろいろな議論があるのではないかと思っておりますが、そうした十回目の一括法だということを念頭に、今後のあり方について大臣の御所見を確認させていただきたいと思います。

北村国務大臣 地方分権改革の取組として平成二十六年から導入している提案募集方式につきましては、地方創生、子ども・子育て支援関連を始め、地方の現場におけるさまざまな分野の幅広い支障を解決し、地方の喫緊の課題について成果を上げているものとして地方側からも評価されていると認識しております。

 本年の二月に開始しました令和二年の提案募集においては、重点募集テーマの設定などの工夫も行いまして、委員御指摘の義務づけ、枠づけに関する立法の原則に関しては、累次の勧告や提案募集方式により個々の義務づけ、枠づけについて見直しを進めてきたところではございます。

 さらに、政府におけるチェックのための仕組みといたしまして、立案中の施策に関する情報を地方六団体に対して事前に提供する、また、地方自治法上の事前情報提供制度の活用や法令協議等によるチェックを通じて、義務づけ、枠づけが必要最小限になるよう取り組んでいるところではございます。

 今後とも、地方の意見を十分に伺いながら、提案募集方式の充実や事前情報提供制度の各府省への徹底などにも取り組みながら、義務づけ、枠づけの見直しを始めとする地方分権改革の一層の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えておるところであります。

 よろしくお願いします。

桝屋委員 今、第三次勧告で求められました義務づけ、枠づけに関する立法の原則、こうしたものの法制化等の声に対して、政府としてさまざまな形で地方団体と連携をしながら取り組んでいる、こういうお話がございました。

 私もずっとこれを担当しておりまして感じることは、最近はやはり、最初は非常に光り物がたくさんありましたけれども、だんだん、おいおい、こういうこともあるのかと思うような、我々が日ごろ気づかないようなテーマももちろん入っているわけでありますが、小粒になってきたという感は否めませんし、あるいは、どうしても結論が出ないものの中に実は大事なものがあったりというようなこともあって、我が党においても時々、だめになったものを徹底的に点検してみたり、さまざまな作業をしてきたわけでありますが、引き続きこうした作業をしっかり続けなきゃならないというふうに思っている次第でございます。

 ただ、法制化については、これは立法府として、我々議員団としても、国会議員としても取り組まなきゃならないテーマでもございまして、引き続き我が党内でも議論を進めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。

 さて、コロナ対策であります。

 令和二年度の一次補正予算で成立いたしました地方創生臨時交付金、例の一兆円でありますが、既にそれぞれの自治体に予定交付限度額をお示しになって、たしか五月一日だったと思いますが、ウエブ会議をなさって全国に徹底された。

 我々、自民党の先生方も野党の先生方もそうかもしれませんが、リーマンのときと同じぐらい来るぞ、このように言った経緯もございまして、交付予定限度額を見た自治体からさまざまな声が我が党にも寄せられているんですが、政府として、一次補正の一兆円の配分についてどういうふうに自治体が感じておられるのか、どういう認識を持っておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

北村国務大臣 第一次補正予算では、新型コロナウイルスという見えない敵と地域の最前線で戦っておられる地方公共団体の取組を何とか支えなければならないという思いで、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を創設させていただきました。

 現在、各自治体において、先般お示しをいたした交付限度額を踏まえて実施計画の策定に鋭意取り組んでいただいているところでありますが、本臨時交付金については、地方自治体などから、金額を更にふやしてほしいという声を多くいただいているところであります。

 第二次補正予算については、まずは先日の総理の指示に沿って検討が進められていくものと承知してはおりますが、臨時交付金については、今後、地方の声や実情をしっかり見きわめながらその取扱いを検討してまいらなければいけないなというふうに存じておるところであります。

桝屋委員 ありがとうございました。

 もっと大臣から具体的なお話がいただけるかなと思ったんですが、大臣も多分頭の中にあると思いますが、一つは、一般の市町村、さっき言いましたように、リーマンと同じぐらい来るぞ、こういうふうに言った経緯もあるものですから、あのときは四分六、四対六で配分をいたしましたから一般市町村は六千億あった、それが今回、三千五百、あるいは地方創生だけ言うともっと少ないわけでありますから、思った半分しか来ていない、半分以下だという声が一つ。

 それからもう一つは、今、与党のPTも提言を出しておりますけれども、家賃支援、事業継続のための家賃支援等について取り組もうと思うと都市部が余りにも少ないという声があって、よく言われるんですけれども、全然感染者のいないあの県と、それから東京はいっぱい出ているのにえらい金額が違うじゃないかというこの二つの声が寄せられておりまして、ここは、二次補正ではしっかりこの二つのファクトを整理しなきゃならぬ、応えなきゃならないと思っているんですが、どうでしょうか、大臣。じゃ、事務方でいいですよ。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 本臨時交付金につきましては、今委員の方からもお話ございましたけれども、既に周知いたしました交付限度額については、一兆円のうち地方単独事業分として七千億円を配分したものであること、それと、感染防止対策について都道府県が担う役割が大きいため、リーマン・ショックのときはおっしゃるとおり四対六でしたけれども、今回は一対一ということで都道府県への配分割合をふやしていることなどから、御指摘のようにリーマン・ショック時の臨時交付金との差があるということでありますが、ちょっと単純に比較するのは難しい面もあると思っております。多くの自治体から、これは大都市部、地方部を通じて、金額を更にふやしてほしいという声をいただいているところでございます。

 第二次補正につきましては、先ほど大臣から御答弁がありましたとおりでございまして、都市部の配分の問題でありますとか、家賃支援の問題とか、今いろいろお話ございましたけれども、いずれにいたしましても、大臣からお話がありましたように、今後、地方の声や実情をしっかり見きわめながらその扱いを検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

桝屋委員 皆さん、地方からいろいろな声もありますがと。いろいろな声どころか、大変な声でありまして。さっきの二つのファクトは必ず二次補正で何とかしなきゃならぬというふうに思います。

 もう一回言いますけれども、一つは、一般の市は半分以下だったということですから、この声に応えるためには倍にしなきゃならぬ。あるいは、都市部を中心に、これは配分はよほど考えなきゃなりませんけれども、事業継続のための、とりわけ例の家賃支援、この部分、オーナーもテナントも両方、何とか息がつけるように手を打つ必要がある。

 私は、両方合わせると、最初、あと二兆円だという話もありましたけれども、いやいや二兆五千億という声もありますし、私どもは三兆円必要ではないかというふうに思っておりまして、近々、大臣、政府に申入れをしようというふうに思っている次第でございます。その中で特に、東京を大事にしろとは言いませんけれども、やはり、事業者数にしっかり着目をして、大都市部への重点配分ということも考えなきゃならぬというふうに思っている次第でございます。

 もう時間がないので、もう一点だけ。

 二次補正をやるのに絶対必要な、マストな事業として、これから梅雨時期を迎えます、台風も来ておりまして、ぜひとも、この際、地方の避難所の三密を避ける十分な対策をこのメニューの中でしっかりと取り組む必要があるんじゃないかというふうに思っておりまして、ここも二千億ぐらい要るという試算もございまして、こうした取組をぜひお考えいただきたい。我が党も、与党として提言をしたいと思っております。

 最後に発言を求めて、終わります。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 本交付金につきましては、地域の実情に応じまして自治体独自の取組の財源に柔軟に充てていただくために、高い自由度で活用できる仕組みとしております。

 御指摘のような避難所における三密対策についても、いつ起きてもおかしくない災害に対しまして、必要な感染防止対策として早急に取り組むべきというふうに自治体が御判断されるのでありましたら、本交付金も当然、御活用いただけるというふうに考えております。

 いずれにしても、今後、また更に、地域の声を聞きながら、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 長谷川さん、一番大事なことを何にも答えていただけなかったけれども、それは、今、避難所の三密も大事だけれども、最初の二つのファクトを必ず二次補正で実現しなきゃならぬということをもう一回申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 おはようございます。立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの長谷川嘉一でございます。

 きょうは、法案に沿ってまず第一点目を質問させていただき、その後、新型コロナウイルス関連についても質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案についてお伺いいたします。

 これは、法律案の表題というよりも一つのセンテンスになっているような感がしておりまして、非常に長い歴史を感じさせるものではないかというふうに思っております。

 最初に、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 第十次地方分権一括法の背景に至るまででありますけれども、ちょっと資料を調べてみました。これは、まず、平成五年の六月に、地方分権の推進に関する決議として、地方分権という文言が出てきて、その後、平成七年に地方分権推進法が成立したのがスタートではないかと考えております。そして、平成十一年の七月八日、地方分権一括法が成立、ここで一括法という名前が初めて出てまいりました。

 その内容は、まず四つあります。一つとしては機関委任事務制度の廃止、二つとして地方に対する国の関与の抜本的見直し、三つ目が権限移譲の推進、そして、四つ目として必置規制の見直し等を定めるものであったというふうに定められておるようであります。これによって、国と地方の関係は、上下主従の関係から対等、協力の関係に転換したと言われておりました。現在でもその趣旨は全く変わるものはないと思っております。

 ちょうど私もこのときが県会議員一期の一年目ということで、この法案について鮮烈に覚えておりまして、我々も一期の勉強会を立ち上げ、その後、数年にわたって、各県に行って地方分権の勉強会を進めてきたというのがこの間のように思い出される次第でございます。そうした中で、その後の分権の推進において、私どもも大きな期待を持っておりました。

 平成十一年から、地方分権一括法が成立して、現在、十一年後の平成二十二年までの間はこのような改革がありましたが、それ以降は、ほぼ毎年、一括法という形で、提案方式になったんでしょうか、審議が進められているようでございます。

 このような背景について、現在に至る過程、そして現在について、担当大臣として、少し抽象的かもしれませんが、どんなような御所見をお持ちか、お伺いさせていただきます。

北村国務大臣 委員ただいま質問の中で述べられましたとおり、地方分権改革の起点となった平成五年の衆参両院における地方分権の推進に関する決議、これ以降、第一次地方分権改革では、機関委任事務制度の廃止等により、国と地方の関係を上下主従から対等、協力の関係に変えまして、国は外交、安全保障など国家の本来的任務を重点的に担い、住民に身近な行政はでき得る限り地方公共団体が担うということを基本的な役割分担といたしたところでございます。

 さらに、平成十八年から、第二次分権改革におきまして、地方分権改革推進委員会の勧告を踏まえ、第一次から第四次までの地方分権一括法によりまして、国から地方、都道府県から市町村への権限移譲や義務づけ、枠づけの見直し等を行ってまいったところであります。

 平成二十六年からは、それまでの成果を踏まえ、地方の発意に基づき、住民に身近な課題を現場の知恵と工夫で一つ一つ具体的に解決いたすため、提案募集方式を導入して、地方分権一括法などにより、地方からの御提案に対してきめ細かく実現、対応をいたしてきたところと存じておりますし、こうした取組により、地方分権改革は着実に進んできているものと私は認識しておるところであります。

 以上です。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 これから具体的な内容に入っていきたいと思いますが、地方への権限移譲等については、当時も現在もそうかもしれませんが、まあ現在は余りないのかもしれませんが、権限は移譲されたけれども予算が伴ってこないという部分がありまして、差引きすると数兆円のマイナスが地方交付税の中で行われたという歴史的な経過もあって、当時は非常に苦しい思いをした経緯もございました。現在はそのようなことは全く解消されて、健全な地方分権が進んでいることと思っておりますし、また、期待を申し上げます。

 具体的には、今回、第十次分権一括法についてでありますけれども、提案方式がずっと続いてきて、十年でしょうか、十回、これに基づく地方からの提案について、令和元年度の地方からの提案等に対する対応方針を踏まえ、各都道府県から指定都市への事務、権限の移譲や地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等の関係法律の整備を行うとありますが、具体的にはどのような内容か、お聞かせいただきたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年の提案募集では、地方から三百一件の御提案をいただいたところでありまして、そのうち内閣府が関係府省と調整を行った案件の約九割につきまして、提案の趣旨を踏まえ、対応などを行ったところであります。このうち法律改正事項に係るもの十三項目十法律について、今回、一括法案として提出をさせていただいているところでございます。

 地方創生、まちづくり関係では、森林所有者に関する固定資産税情報の内部利用を可能とする見直しや、町村の都市計画の決定に関する都道府県の同意の廃止など、地域における効果的な土地利用に資するもの等を提案させていただいているところでございます。

 以上でございます。

長谷川委員 具体的な提案の内容について言及するつもりはありませんが、提案方式で十回を数えると、大分、地方も、提案といっても困ってしまうのかな、また形骸化してしまうという傾向があろうかと思いますが、ぜひ、この十回の節目においてはそのようなことがないように努めていただき、次にまたつなげていただけることを期待して、次の質問に移らせていただきます。

 二番目としては、生活保護法の一部改正についてお伺いをいたします。

 改正法では、教育扶助のための保護金品、例えば学校給食費のうち、被保護者の親権者又は未成年後見人が支払うべき費用について、学校の長等に加え、地方公共団体の長等に対し、保護の実施機関がかわりに支払うことができるものとしているとあります。政府は、これにより、教職員の事務負担の軽減を図るための学校給食費等の公会計化に対応し、地方公共団体における事務の円滑な実施に資するとしておりますが、現在、学校給食の公営化はどの程度進められているのか、また、公営化を進めていく上で地方団体や児童の保護者に対してどのようなメリットを伝えていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

矢野政府参考人 学校給食の公会計化の現状、促進についてお答え申し上げます。

 文部科学省では、学校現場の負担軽減等の観点から、昨年七月でございましたが、学校給食費徴収・管理に関するガイドラインというものを公表しておりまして、学校給食費の公会計化を促進するとともに、学校給食費の徴収、管理業務を地方公共団体がみずからの業務として行うということを促進しているところでございます。

 この公会計化の促進に当たりましては、教育委員会関係者対象の会議や文部科学省の雑誌等により周知を図ってきたほか、これは教育委員会等だけでやり切れるものではございませんので、首長及び首長部局の理解、協力を必要とする、こういうことから、全国市長会及び全国町村会にも御協力いただきまして、関係会議での説明や会員用ホームページへの掲載を行っているところでございます。

 現在、私どもが把握している数値といたしましては大体四〇%程度でございますが、今後とも、このガイドラインの周知や公会計化の導入状況についての把握に努めまして、学校給食費の徴収、管理に係る学校現場の負担軽減に向けた取組を促進してまいりたいと考えております。

長谷川委員 ありがとうございました。

 これはもう古い時代の話で、今とは全くそぐわないですけれども、学校現場の負担はまだまだあって、その要望が来ているわけですから、四〇%と言わず、これは、いいものであれば徹底して行政指導、国が指導してやるべきではないかなという感想を持ちました。また、昔の話でありますけれども、同じような経験をお持ちの方はいらっしゃると思いますけれども、よく、教職員が朝に学校給食費を直接集めていたという時代もありまして、そこで減免された人たちがやはり数名いたなということを、子供心に不思議な感想を持っておりましたけれども、それがまた、逆な立場の児童がそういった場面にさらされていることは今の時代においてはないとは思いますが、まずこの公営化の部分については積極的に進め、先生方の負担を一日も早く解消していただきますよう御要望して、次の質問に移らせていただきます。

 次は、同じ関連でありますけれども、政府は、教育扶助のための保護金品の支払い先を政令で規定する予定であるとしているが、支払い先にはどのようなものが含まれているのかをお聞かせください。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護法では、学校給食費を含みます義務教育に伴う費用について、教育扶助として支給しているところでございます。

 この給食費につきまして、現行においては、生活保護受給世帯の利便性の観点から、教育扶助を生活保護受給世帯に対して支払うことにかえて、私会計として教育費等の徴収、管理業務を行う学校長に対して直接払うことも可能としているところでございます。

 現在、文部科学省において進められている学校給食費等の公会計化を踏まえまして、教育費等の徴収、管理業務を行う地方公共団体に対しましても、今回の措置によって直接、教育扶助を支払うということを想定しているところでございます。

長谷川委員 できるだけ効率的に、また、現場にしわ寄せがないようにということでやっていらっしゃるということは評価できる部分でありますが、質問は今回はこれでとどめさせていただきますけれども、その他にも、生活保護費を受給していないにもかかわらず学校給食費を滞納している家庭との公平性をどのように確保していくかという、現場近くでないとわからない部分が多々あるかと思いますけれども、地方行政と協力をしながら、積極的にこの辺の周知、また、率を高めていっていただきたいということを御要望申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 次は、この中の都市計画法の一部改正についてお伺いをいたします。

 その第一番目としては、第一次分権一括法において、市について都市計画決定に係る都道府県の同意が廃止されております。都道府県と市の協議において問題は発生していないんでしょうか。また、発生している場合があるとすれば、どのような内容で、どのような対応がなされているのか、お伺いいたします。

内田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十三年の分権一括法の中で、市に関しては都道府県知事の同意がなくなったわけでございます。その後、私ども実態を少し調査をいたしましたところ、その後の中で、都道府県の中で約四分の一に当たります十二の団体で多少支障があったという御回答をいただいたところであります。

 一例を申し上げますと、市が、道路の橋のかけかえをするに当たりまして道路の拡幅をしようとしたんですが、拡幅後の道路が生活道路にぶつかってしまう、交通渋滞を招くおそれがあるということで、県の方と調整をいたしたところでございます。最終的には、これは市の都市計画審議会の方に意見を伺いまして、その後、拡幅部分を更に延伸するということで地元で調整が図られたという事例があったというふうに承知をしているところでございます。

長谷川委員 権限が地元におろされていくということは、スピード性という部分では大変歓迎される部分がありますけれども、逆にさまざまな問題を引き起こす可能性もありますので、その辺の対応については、これ以外にもさまざまなものが恐らくはあろうかと思いますが、しっかりやっていただくことを御要望申し上げて、次の質問に移ります。

 これは、平成二十七年度の対応方針及び平成三十年度の対応方針では、都市計画運用指針で定められた協議に当たっての留意事項を、都道府県が市町村と調整の上定める協議ルールに位置づける取組を進めるとされております。その趣旨は、都道府県と市町村の間で適切な協議が行われることが重要であるという認識のもと、協議の実質化を図るためとされておりますが、協議に当たってこの留意事項を協議ルールに位置づける取組の定着状況はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。また、改正後においても、都道府県と市町村の協議の状況を調査し、フォローアップを行う必要があるのではないかと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、平成二十六年の地方分権の提案募集において、全国町村会等から、協議に当たりましての都道府県知事の同意の廃止を求める提案があったことなどを契機といたしまして、必要な協議ルールの整備を進めてまいりました。

 具体的な内容といたしましては、都市計画決定手続等に先立ち十分な時間的余裕を持って事前協議を実施する、協議における標準処理期間を設定する、協議不調の場合には協議内容に対する考え方を市町村都市計画審議会に提出する、この三点でございます。

 この結果、令和元年度末までで全ての都道府県において協議ルールが定められたところでございます。

 今後は、この協議ルールの運用状況を適宜把握いたしまして、都市計画制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

長谷川委員 先ほどの繰り返しでございますけれども、さまざまなこうした権限が市町村と県におろされるということは歓迎すべきことでありますけれども、それだけに、透明性、公平性をどのように担保していくか、地元に近いものだけに、その辺は国の方の関与、あるいは定期的なチェック、あるいは法制度が重要になってくるということを、私の私見を申し上げて、時間の関係で次の質問に移らせていただきます。

 次には、新型コロナウイルス、桝屋先生からのお話にございましたけれども、今回は避けて通れない課題でありますので、この辺についてまず大臣の方にもお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 新型コロナウイルス感染症地方臨時交付金、この一兆円についてでございます。

 四月二十日の時点で、今まで対象にならなかった休業補償にもこれを使ってもいいですよというふうに制度が進化したというふうなことで、これによって大きな効果も期待できるわけでありますが、桝屋先生おっしゃられたように、財源が一兆円では到底足らなくなってくるし、今この緊急事態を想定すれば、早期治療また予防が何よりの特効薬でありますので、そのためにも、財源を惜しむことなく、しっかりと適切な時期にお金を投入しなければいけないのではないかと思いますが、これについての、こんな中で一兆円の交付金という額は私は少ないと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

北村国務大臣 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、地方公共団体から、リーマン・ショック時の地域活性化・経済危機対策臨時交付金のような地方負担を軽減する柔軟な交付金をつくってほしいという声を踏まえまして創設したものでございます。

 予算の規模につきましては、今回の緊急経済対策では国が地方負担のないさまざまな施策を講じておりますことに加え、当時の臨時交付金が地方の自由度が高く、地域の実情に応じたきめ細かな事業の実施に効果を上げた、これらのことから、このことを参考に、一兆円と、同じ規模の金額を確保したところでございます。

 また、今回の交付金は、それぞれの地域の御判断によって自由度高く使うことができる仕組みであり、地域の知恵と工夫を凝らして有効に活用していただきたいと考えております。

 第二次補正予算におけるこの交付金の取扱いにつきましては、今後、地方の声や実情をしっかり見きわめながらその扱いを検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

長谷川委員 ありがとうございました。

 地域の実情に合わせるということは極めて重要でありますけれども、俯瞰して地域の状況を一番適切に判断できるのは、また逆に国であるのではないかと思いますので、国が大所高所からその実情を見きわめて、適切な運用をすべからく全国に広げることも大きな一つの方法ではないかということも申し上げさせていただきたいと思います。

 特に、きょうの新聞、ごらんになった方もいるかもしれませんけれども、民間の調査機関では、負債額が一千万以上の倒産件数は一万件を、これは七年ぶりだそうですけれども、超える予測という報道がされております。また、休廃業でありますけれども、これは、約二万五千件を超えるというふうな予測となっております。これに際しての予防薬としての資金をしっかり注入をしてそれを食いとめることが、今後の再生に対しても、コロナ対策にしても、喫緊の課題として最大の、私は特効薬であると思います。

 その額として、一兆円や一兆五千億円、二兆円以上というふうな話はありますけれども、一説には五兆円というお話も出ておりますけれども、これは、現実的な視点でこういった点に向き合っていただいて、この二万五千件を超える休業や廃業、これは倒産ではない、やめてしまう人たちについての支援をしっかりやるべきであるということを申し添えさせていただきまして、この項の質問を終わらせていただきます。

 次に移ります。新型コロナウイルス感染症の地方創生のこの交付金の申請についてでございます。

 先ほど言いましたけれども、この交付金を地方が申請する場合にはどのような方法でやっているのか、これは先ほどの桝屋先生の御質問の中で、ある程度私は理解ができましたが、なぜ申請方式にしたのかをお伺いさせていただきます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 本交付金の交付手順につきましては、補正予算成立後直ちに、自治体に対しまして、制度内容、交付限度額を周知いたしまして、今月二十九日までに臨時交付金に関する実施計画の提出を受け付けているというところでございます。二十日までに実施計画を提出いただければ、より迅速に交付手続を進めていくという考えをとっているところでございます。

 このような手続をとったことに関しましては、やはり、私ども、交付という形で国費を自治体の方に渡しますので、できるだけ自由度の高い仕組みでやるということでは考えてございますけれども、ただ、どういった事業に、どの程度の額を使われるのかということは確認させていただいた上で実施する必要がありますので、実施計画を拝見させていただいて、その上で交付限度額の範囲内で交付させていただく、こういうような手続をとらせていただいているところでございます。

長谷川委員 申請方式ということになると、どのような形で申請を上げて、そのチェックポイントがどのようになるのかというようなことも含めて、ある程度時間は必要になってきますね。その辺の時間を、まあ垂れ流しにすることはありませんけれども、どのくらいの時間がかかるんでしょうか。

長谷川政府参考人 先般策定されました経済対策に沿った形で自治体がお考えになる、感染防止対策であるとか、あるいは事業の維持、継続であるとか、あるいは強靱な経済構造を構築していくとか、そういったような、この間、先般策定されました経済対策の趣旨に沿って自治体がいろいろお考えになるものに対して、我々、交付させていただくということでございます。

 先ほど申し上げましたように、今月末までに実施計画をお出しいただきましたら、それは、我々、早急に確認をさせていただきまして、その上で内容を確定させていただいて、その上でそれをお知らせして、六月中ぐらいには交付決定まで運べれば、こんなふうに考えております。

長谷川委員 六月中あるいは七月になるかもしれませんけれども、申請の手続について、自治体では、協議をして、調査をして、国に上げて、国が、また一つの査定のポイントでそれを査定して、決定をしていく、こういう状況と、今のコロナの緊急事態で約二万五千件が廃業に追い込まれる寸前であるわけですから、今までの一カ月と今の一カ月は大きな違いがあります。なぜこれは緊急ということで申請という制度にしたのか、あわせてその理由をもう一度お聞かせください。

長谷川政府参考人 この交付金の趣旨というものが、先ほども申し上げましたように、経済対策の趣旨に沿って自治体がやっていただくというものに対して充当させていただくということでございますので、その内容を確認させていただく必要があるということで実施計画の提出を求めている。ただ、その手続はできるだけ簡素に進めたいと思っております。

 そして、さらには、四月一日までさかのぼって、四月、もう既に着手されている事業であってもこの交付金の対象にしてもいいですよという形で運用させていただきたいと思っておりますので、もう既に私ども交付限度額を周知させていただきましたので、自治体の方では、さまざまな形で、あるいは首長さんの専決でありますとか、あるいは臨時議会で既に議決されておるとかいう形で、もう順次事業は開始されているというような状況にございます。

長谷川委員 時間が参りましたので、ちょっとこれからの質問はできませんが、今回、先ほども申し上げましたけれども、緊急事態、廃業、倒産じゃない、廃業に瀕している人たちが二万五千件を超えるという予測ももう既に出ちゃっています。予測できる。予測できるんです。それに従って国の方は先手を打つことが、このコロナが終わった後の経済の復活、V字回復と言っておりますけれども、V字回復になるかどうかは極めて難しいと思いますけれども、それにつなげるための対策ではないか。V字回復を目指すのであれば、そういう早急に、申請方式ではなくて速やかに行き渡るような、一律にしっかりと国が主導権を持ってやれるような制度であるべきで、そういう要素も入れるべきであるということを申し上げて、私の質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、山川百合子君。

山川委員 おはようございます。立国社の山川百合子です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 本日は、第十次一括法の中身について伺っていくので、この後、後半で五つばかり取り上げて、それぞれお伺いをしていきたいなというふうに思っているんですけれども、その前に、地方分権、いやいや、それよりももっと大もとの地方自治とは何か、また、その自治に不可欠な権限と財源が今どういう状況になっているかということについて、まずは伺っていきたいというふうに思います。

 まず、地方自治が一九四七年五月三日に施行された日本国憲法に初めて規定されてから、ことしで七十二年の月日が経過したというふうに思います。

 私、地方議員を、県議会議員を四期経験させていただいて、その中で県にいろいろな施策を求めることはもちろんあったわけでございますけれども、そのたびに、いや、国の制度がこうだからとか、法律がこうだからということで、なかなかニーズに即応えていくような取組ができない。できない理由が、国がこうだからというようなことがよくあったわけであります。

 そもそも、私は、地方自治体議員としての経験から、日本の地方自治というのは、欧米並みに、地方自治は民主主義の学校だと言える状況にしていくことが必要であると思っているんですね。地方自治は民主主義の学校であるというこの言葉なんですけれども、フランスの政治思想家であるアレクシ・ド・トクヴィルの言葉であります。

 国や地方を統治する王や諸侯から、ブルジョア革命によってブルジョアジーが、そして、プロレタリア革命によってブルジョアジーから今度はプロレタリアートにヘゲモニーが移行していく中で、土地や生産手段を持たない大多数の民衆が政治を動かすデモクラシー、民主主義が始まりました。その歴史的な転換期にアメリカ合衆国がイギリスから独立しました。そのアメリカの成り立ちが、まさに移民による開拓が広がっていく歴史的なプロセスの中で、ここで地方自治が行われ、今、連邦制に発展しているわけであります。

 つまり、欧米のデモクラシーは民衆からのボトムアップの自治の力によって今日まで発展してきたと言えるというふうに思います。この世界のデモクラシーの発展論と、日本の民主主義というのは歴史的に大きく異なる変遷をたどってきたというふうに言えると思います。

 明治維新から戦時期までの我が国の地方制度は、衆議院地方創生の調査局がまとめたように、府県知事は国の官吏であり、また、府県の事務の大部分は知事に執行委任された国政事務であったというふうに記してあるんですけれども、まあ、自治と呼べるようなものではなかったというふうに思います。むしろ、江戸時代の幕藩体制においては、藩が領地領民を統治し、まさに自治がなされていたというふうに言えると思います。それが、明治維新後の廃藩置県以後、日本は急速に中央集権体制となっていったというふうに思います。

 そして、この日本に地方自治の概念が初めて規定されたのが、冒頭に申し上げました日本国憲法であり、この八章の章立ては地方自治でありました。この八章で規定された自治の制度を我が国の統治機構の中に組み入れたわけでありますが、そこに私は自治の精神というものが伴わなかったんじゃないかなと。つまり、自治の制度が先行してしまって精神がついていかなかったというか、精神の上に制度が成り立ったのではなくて、制度が規定されたというふうに思います。そのことによって、明治維新以後の中央集権的な体質が変わることなく今日まで続いているんじゃないかと私は思っているわけであります。

 そもそも、地方自治の精神が根づいて、地方のことは地方で決定するプロセスが確立していくことが、本来の、この委員会の名前でもある地方創生の意義であるというふうに思っています。

 じゃ、何で、私が県議の時代のときに経験したように、いやそれは国の制度が、いや法律がということで、結局、やりたいこと、すべきだと思うこともできないかということをいろいろと考えていったときに、実はそのネックは、憲法九十四条に書かれている、「法律の範囲内で条例を制定することができる。」という、この憲法の規定があるんじゃないか、ネックになっているんじゃないかというふうに思い至るようになったわけであります。それで冒頭に、憲法から七十二年だということを言ったわけであります。

 そこで、北村大臣、それからきょうは政務官にも来ていただいておりまして、お時間をいただいてありがとうございます。そこで、政治家である大臣と政務官にお聞きしたいんですけれども、この憲法九十四条の規定と、そして、日本の地方自治の未来の可能性、地方自治が充実していく、自治が確立していくという地方自治の未来の可能性、これについてどういう御見解、御所見をお持ちか。それぞれ、政治家の先生方にお伺いをしたいというふうに思います。

斎藤大臣政務官 私の方からは、憲法九十四条と地方自治法第十四条との関係につきまして御答弁を申し上げたいと思います。

 憲法九十四条は、地方自治法十四条とともに条例制定権の根拠となるものであります。条例制定権の限界といたしまして、条例は法律の範囲内で制定することができるものと解されております。地方自治法十四条の文言におきましては、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができると規定されております。これは、憲法九十四条の法律の範囲内でという文言と同様に解されるものです。

 したがいまして、冒頭申し上げましたとおり、条例は法律の範囲内で制定することができるものと理解をしております。

北村国務大臣 委員御指摘の法令と条例の関係につきましては、今総務省のお答えと同様の認識でございます。

 その上で、地方分権の推進の観点からは、法令による地方公共団体への義務づけ、枠づけの見直し等によりまして、地方公共団体の条例制定権を拡大し、地方の責任において地域の実情に即した施策を講ずることができるようにすることは極めて重要なことであると認識をしております。

山川委員 御答弁ありがとうございます。

 地方自治法は九十四条と同じことを言っているということでありますけれども、そもそもの九十四条の規定そのものが地方自治の可能性を制限しているというか、限定してしまっているというふうに、私はそうじゃないかと。ここに行き当たったときに、だから自治体独自の条例というのを制定できない、むしろ、地方自治と書かれている憲法、この規定こそが制限している大もとなんじゃないかという思いに至っているんですけれども。

 もう少し、政治家の、北村大臣また斎藤政務官も政治家の方でいらっしゃるので、御自身が自治というものについてどう思われているかをもう少し語っていただくことはできないでしょうか。

斎藤大臣政務官 恐れ入ります。

 総務省といたしましても、地方自治体が条例の制定も含めて、地域の実情に応じた行政を行っていただくことは、非常に地方創生にも重要なことだと考えております。条例も、国の法令に違反するかどうかは矛盾抵触等があるかどうかによって判断されるものではありますが、大臣のお話にもありましたとおり、国全体といたしましては、あくまでも法令にのっとって行政は展開していただく必要がありますが、地方自治体の創意工夫が生かされるような環境整備には総務省としても努めてまいりたいと考えております。

北村国務大臣 地方分権改革の推進、これは地域がみずからの発想と創意工夫によって問題解決を図るための基盤となるものでございますから、地方公共団体の自由度を拡充する団体自治の拡充のみならず、住民自治の機運を高めて、住民自治の拡充を図ることが重要であると認識しておるところであります。

 長くなりますから簡潔に申しますが、今後、行政サービスの提供を持続的に可能とするには、住民の代表機関である地方議会の役割がますます重要となるとともに、住民の政策形成過程への参画を一層推進する必要もまたこれが大事であるというふうに考えますし、それらと相まって、地域運営組織等のコミュニティーの活動の活性化もまた重要であると考えていく、みんなで協力して自分たちの県づくりあるいはまちづくりをしていこう、こういうみずから発想して創意と工夫を凝らした活動というものが期待されるというふうに存じます。

山川委員 ありがとうございます。それぞれの言葉で答えていただいて、御答弁いただいてありがとうございました。

 では、続いて財源の方についてお伺いをしたいんですけれども、済みません、斎藤総務大臣政務官におかれましては、きょうすごくお忙しいとお伺いした中、ありがとうございました。

山口委員長 じゃ、政務官、退席して結構でございます。

山川委員 財源について、続いて伺ってまいりたいんですが、三割自治から五割自治に向けた税源の配分についてということで伺っていきたいと思います。

 十次の一括法に、今日に至るまで、日本の地方自治の拡大を企図してさまざまな改革が行われてきました。いわゆる三位一体の改革と呼ばれた国庫補助負担金の廃止、縮減、また税財源の移譲、そして地方交付税の一体的な見直しという議論の中で、地方自治体としては税財源の移譲に、地方財源の確保に大きく期待したわけであります。

 かつては三割自治と呼ばれた日本の地方自治、予算の多くが実際に執行される自治体の自主財源化を実現していくことでせめて五割、せめてですね、せめて五割自治と呼べる規模に国と地方の役割分担と税源配分を目指そうという地方からの声が我が国の地方創生施策を後押ししていたという時期があるというふうに思いますが、今は三割自治か四割自治と呼ばれる改革途上で、このような地方に弾力的な政策決定と財政運営を可能にすべく、国と地方の税源配分の議論が収束してしまったように思われてなりません。よく地方財源の偏在、格差をどのように是正するかという議論があって、それは大事なんですけれども、そもそも地方に必要十分な財源がいまだに確保されていないことが問題であると。

 先ほども出ていましたけれども、新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金、この臨時交付金を決定していただいたこと、そしてこの交付金を利用して実施できる施策のメニューを示していただいたことは、地方自治体が自治に改めて、いま一度目覚める好機となるのではないかというふうにも思っているわけであります。そもそも五割自治というのが達成されて十分な財源を地方が確保できていれば、今回のようなパンデミックにも地方独自で対応できたんじゃないかという思いがあります。

 五割自治ということについて改めて考えるいい機会になるかなとも思っているんですが、ここで大臣にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、参考人も必要であればぜひ一緒にお答えいただければと思いますが、国と地方の税源配分の問題をどのように御認識されているかということ。そして、これは臨時交付金ですが、示された施策リストから必要な施策を地方が選択して実行するといったことをやっていくと、どんどんどんどん積み上がっていって、一兆円では全然足りないということに当然なるというふうに思います。これは大幅な増額というか、臨時交付金の大幅な増額が必要だというふうに思われますけれども、大臣としての政府に働きかけていくということの決意を含めてお伺いをしたいと思います。

北村国務大臣 地方創生を推進するためにも、その基盤となる地方の税財源の充実確保は委員御指摘のように不可欠でございます。政府としてはこれまでも、一般財源総額の確保、あるいは個人住民税における税源移譲、さらに消費税率引上げに際しての地方消費税の拡充などに取り組んでまいったところではございます。さらには、地方公共団体が、地域の実情に応じ、自主的、主体的に地方創生に取り組むことができるよう、平成二十七年度以降、毎年度、地方財政計画の歳出の中に、まち・ひと・しごと創生事業費一兆円を計上してきたところでございます。

 御指摘の臨時交付金につきましては、今般の感染症対策に当たって、地方公共団体から、リーマン・ショック時の地域活性化あるいは経済危機対策臨時交付金のような地方負担を軽減する柔軟な交付金を創設してほしいとの大きな声を踏まえ、創設したものであります。

 予算規模につきましては、御指摘がございましたけれども、今回の緊急経済対策では国が地方負担のないさまざまな施策を講じておるということに加え、当時の臨時交付金が地方の自由度が高く、地域の実情に応じたきめ細かな事業の実施に効果を上げることができていた、このことから、参考にいたしまして、同じ規模の一兆円の金額を確保したわけでありますけれども、第二次補正予算における本臨時交付金の取扱いにつきましては、今後更に、地方の声や実情をしっかり見きわめながらその取扱いを検討してまいりたいと存じておりますので、よろしく御理解、御協力のほどをお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

山川委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、臨時交付金の増額、地方がやるべきことをやれるように、獲得の方、よろしくお願いいたします。

 それで、ちょっと、もう少し深掘りしたかったんですけれども、時間も限られていますので、この一括法の中の具体の五つについても、一つ一つ、短く聞いていきたいと思います。

 まず最初に、軌道法の改正でございますけれども、このこと自身は、改正そのものはもちろんいいですし、賛成ですけれども、ここで伺っておきたいのは、日本では欧米に比べてLRTの普及が進んでいないというふうに思います。ほかの鉄道事業等に比べるとLRTというのはコストが安いということとか、そのニーズというか、その機能を鑑みると、日本の都市交通の未来に大きな期待を与えると私は思っています。

 このLRT運行事業者に対する支援を行うことなどを通じてその推進を図る必要があると思いますが、この点についてのまず御見解を伺っておきたいと思います。

寺田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のLRTは、環境負荷が小さく、定時性を備えているという路面電車の特性に加えまして、低床式車両、床の低い車両の導入や停留所の改良による乗りおりのしやすさの向上、あるいはバリアフリー化などによって高齢者、障害者を含む多くの利用者にとって利便性の高い公共交通機関になっているというふうに捉えております。

 こうした特性から、LRTは都市において重要な役割を担い得る公共交通機関でございまして、例えば、ことしの三月に南北接続事業が完成しました富山市のほか、宇都宮市における新設整備などの導入事例が我が国においてもございます。

 このLRTの整備につきましては、まちづくりの観点からの支援も行ってございますが、委員御指摘のとおり、運行事業者に対する支援も重要であると考えてございます。このため、これまでも、低床式車両の導入など車両に対する補助でありますとか、ICカードの導入、あるいは多言語表示システムの整備に関する支援なども行っておりまして、引き続き、地域の実情やニーズを踏まえながら、支援の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

山川委員 ありがとうございます。

 どんどん行きたいというふうに思います。

 続いて、地方独立行政法人法の改正のところなんですが、産学官連携による研究型の産業活性化政策は、いずれの自治体にとってもとても魅力的な政策であり、このような政策が更に広がっていくといいなというふうに思っています。

 ですが、ここでちょっと確認だけしておきたいんですが、地方独立行政法人を介して支出される企業などへの財政支援が、地方独立行政法人を抜け道として、自治体若しくは首長が関係企業や団体に地方財源を還流させることをどのように防止する仕組みを想定されるのか、これをただしておきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 試験研究を行う地方独立行政法人が出資を行うには、設立団体の議会の議決等を経て定款を変更した上で、その都度、設立団体の長の認可を受ける必要がございます。また、出資後も、業務実績評価の議会への報告などの仕組みを通じまして、設立団体において法人の出資業務が適切に実施されるかの確認がなされるものでございます。

 また、その上で、既に出資が可能となっております国の研究開発法人におきまして、そのガイドラインにおいて出資業務の実施に係る留意点として、外部有識者の委員会による審議結果を踏まえて出資先の選定を行うこと、また、出資先の選定に係る審査項目をあらかじめ設定すること、そして、出資後も有識者委員会への報告や情報公開等を適時適切に行うことなどが示されております。

 総務省としては、今後、こうした留意点を通知することによりまして、各地方独立行政法人において出資先の選定を含め適切に出資業務が行われるようにしてまいりたいと存じます。

山川委員 ありがとうございます。

 続いて、教育扶助費を地方公共団体の長等に対して支払うことができるようにすることについてですけれども、もちろんこれについては賛成なんですが、生活保護法の精神、制度の趣旨に鑑みて、ちょっと伺っておきたいことがあります。

 そもそも、生活保護は、一時的に憲法が保障する生存権や生活権を保障するための緊急避難的な制度として、可能な限り生活保護から解放されて自立することが制度の目的であるというふうに思っております。

 その意味においては、保護世帯の子供の保護者が生活保護世帯以外の子供の保護者と同様に必要な教育費などの支出を行うことが本来あるべき姿ではないかと。いわゆる給食費の天引きのような扶助費の執行には違和感を覚えるんですけれども、この点について御所見を伺いたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法改正は、学校給食費等を含みます教育扶助の支払いについて、学校の長等に加えまして地方公共団体も支払い先として加えるというものでございます。このため、学校給食費等が公会計化された地方公共団体におきましても、引き続き福祉事務所が代理で納付をするということが可能となるという措置でございます。したがいまして、法改正後も、福祉事務所が被保護者の自立の助長のために必要であると判断した場合には、一旦生活保護受給者に対して給食費を支給するということも可能でございます。

 委員御指摘のとおり、生活保護は、最低限度の生活を保障するとともに、自立の助長を目的としております。福祉事務所による自立に向けた支援は重要なものでございますので、引き続きこうした支援が適切に行われるよう努めてまいりたいと考えております。

山川委員 続いて、公職選挙法のところなんですが、これは地方から提案募集で求められていたことは二つあって、一つは住民票の提出を義務づけるということと、宣誓書を提出させて、違反した場合は罰則を設けることだったと思うんですが、今回の改正では住民票の提出は入っていないんですよね。これはどうしてかなということ。

 地方自治体での選挙にこの住居要件ということは非常にいろいろなところで問題になっていて、私の地元でも、ちょっと時間はないので詳しく申し上げられませんが、いろいろとあったんですね。ですので、なぜ求められていたこの住民票の提出を義務づけることが外されているのか、お伺いしたいと思います。

赤松政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の公職選挙法の改正案でございますけれども、その趣旨は、昨年四月の兵庫県議会議員選挙でございますとか、播磨町議会議員選挙などにおきまして、住所要件を満たさない者が当選を得られないことを承知の上で立候補をするというように、法律の想定するところではないイレギュラーな事案が起きたため、このような事態を抑止することを目的として、立候補の届出時の添付書類を見直すということにしたものでございます。

 通常の場合でございますけれども、地方議会議員の選挙の立候補に当たっては、当選するためには住所要件が必要であるということを十分に認識した上で立候補届出がなされているものというふうに考えておるところでございます。

 立候補届出時に住民票を添付をさせるというような考え方でございますけれども、この考え方については、まず立候補者に新たな負担を課すことになるものでございます。地方議会議員の被選挙権に必要な住所要件でございますが、これはあくまで居住実態の有無により判断すべきものであり、単に住民票の有無のみをもって判断することはできないものであるということを踏まえれば、今回のように、住民票添付ではなしに宣誓書によって当該事案が起こらないように抑止していくということが適切ではないかという考えに基づいて法律案を考えさせていただいたところでございます。

 以上でございます。

山川委員 済みません、もう終わりということなので、一つだけ確認させてください。

 住民票があるかないかじゃなくて、その実態があるか、住んでいるかどうかの実態があるかということは、住民票がなくても、つまり、住民票がその自治体の中になくても、提出だけじゃなくて、実際になくても、それは大丈夫なんですか。その点だけ確認させてください。

山口委員長 では、簡潔に。

赤松政府参考人 非常にレアなケースかと思いますけれども、住民票が何らかの都合によりなくても、住所という実態があれば、当然立候補はできるということになってございます。

山川委員 ありがとうございました。

山口委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立国社の白石洋一です。

 地方創生のためには、まず目下、このコロナ禍を乗り越える、克服するということが重要です。まず、その質問からさせていただきます。恐縮です、ちょっと順番をかえて、テーマ二から質問させていただきます。

 私もずっと電話しているんですけれども、その中で、持続化給付金、これは非常に重要な制度だと思います。そして、今月から始まって、もう待ちかねたように申請しております。政府は、申請してから目標二週間をもって現金を届けられるようにということでやっていらっしゃると思いますけれども、今の持続化給付金の申請状況、件数等についてお聞かせください。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 持続化給付金につきましては、五月一日より申請受け付けを開始いたしまして、十九日までの合計で百万件以上の申請を受け付けているところでございます。このうち、約二十九万八千件、金額にいたしまして約三千八百三十億円につきまして、事業者の皆様方のお手元にお届けしたところでございます。

 苦しい経営環境に直面している事業者の皆様に一日も早い振り込みが可能となるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。

白石委員 よろしくお願いします。百万件のうち二十九万件、三割。三週間たっていますから、まあまあ、少しおくれぎみなのかもしれませんけれども、この目標二週間というのは、当然、国民の目から見たらカレンダーベースで考えますので、営業日ベースではなくてカレンダーベースで、この二週間、よろしくお願いします。来ない、これはどうなったかと。今はネット通販で注文したら、今こうしていますというのがしょっちゅうメールで来る。それが来ないから、結構いら立ちにもなっています。

 それで、声として大きいのは、売上げはそうは下がっていないんだけれども、ちょっと下がったらもう赤字なんだと。特に介護関係とかは顕著なんですけれども、例えば医療器具ですね、高くなっているし、多目に買わないといけない、工程も多くなっている、だから費用が高くなって、そして、損益分岐点といいますけれども、ちょっと売上げが下がったらもう赤字になってしまう。だから、この制度、売上げはメーンでやってもいいけれども、粗利ベースでやってくれないかと。例えば消費税では、みなし仕入れ率というのがあります。こういったものを使いながら、売上げ又は粗利、そういう制度に今度の補正を機に改善してくれないかという声があるんですけれども、いかがでしょうか。

牧原副大臣 お答えします。

 委員が御指摘をいただいたように、本当に、売上げが半減に至らずとも大変だという方がたくさんいらっしゃるということは御指摘のとおりだと思いますし、この制度をつくるときにもいろいろ、そういう人もカバーできないかという、さまざまな検討をいたしました。

 しかしながら、この緊急事態宣言のもと、多くの事業者の皆様が休業などによって売上げがゼロになるような大変な厳しい状況がある中、どういう人に支援をするかという中で、とにかく一刻も早く給付をさせていただくということが、先ほど先生が御指摘になったスピード感ですね、これが大事であるというふうに考えて、現在では去年とことしの売上高をベースにさせていただいているということでございます。

 御質問のように、粗利の減少を要件とする場合には、売上高に加えて、例えば仕入れにかかった原価など、さまざまな経費についても確認をする必要が生じることになります。もう既にお答えさせていただいたように、百万者以上の申請が現時点でもございまして、この審査を行うというのは膨大な作業でございます。この内容を一々個々に精査をすれば全体の審査に時間を要し、結果的に迅速に給付金を給付できなくなってしまうということになります。

 こうした観点から、持続化給付金では粗利ではなく売上げの落ち込みを基準として給付を行っているところでございまして、迅速な給付が実現できるよう、引き続き全力を挙げていきたい、こう思っております。

白石委員 粗利はなかなか難しい面もあるということなんですけれども、それではその次善の策として、売上げ基準を、今は前年同月比五割減以上ですけれども、その五割というのを三割にするというもの、これが一つと、さらには、やはり厳しさはこれから続くということも考えて、複数回、例えば二カ月に一度、次はまた八月にということも考えてもいいんじゃないかなと思うわけです。

 この持続化給付金、予算が二・三兆円で、先ほどの答弁だと、今は三千億円、〇・三兆円ですよね。まだまだ残っているということもありますし、申請件数が三十万件であるということから考えて、これはまだ二・三兆円の中で余地があるかもしれないですし、足らなければ次の補正でも、この持続化給付金の条件緩和、売上げ基準を緩和する、そして長く続いているところについては継続的にこれを給付するということを検討いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

牧原副大臣 この持続化給付金という制度は、これまでのいろいろな補助金や、あるいは資金繰りの融資、それから納税の猶予の税制といった、これまで割とあった手段の総動員を超えた対応でございます。そういう意味で、とりわけ厳しい経営状況にある事業者の方を対象とするものとして、売上高五割というところを要件にさせていただいたところでございます。

 ただ、この売上げの五割というのは、ことしの一月からことしの十二月までどの月でもいいので、ある月が五割減っているということであれば、ほかの月は五割減っていなくても要件としてオーケーということになります。また、特定の季節の売上げが集中するような事業者にも、そういう意味では、実情に合わせて柔軟に申請をいただけるようになっておりまして、こうした、できる限り幅広い事業者の方が利用できるように工夫しているところでございます。

 他方で、売上げが三割、四割減少している事業者の方も大変厳しい状況に置かれているということはよく認識をしておりまして、例えば、令和二年の補正予算では、持続化給付金ではなくて、持続化補助金という制度に特例措置を設けて、例えば、従来は店舗型だった事業者が宅配サービスやEコマースを手がけるなど、今回の感染症の中で新事業の展開を行う、こういう場合に補助上限額を今までの倍の百万円に引き上げるという特例措置を創設させていただいております。そして、売上げが前年同月比で二割減っていれば、事業者には、通常は事業の完了をもって補助金をお支払いするわけですけれども、それを待たずに、補助金の半額を即時に支払うということをさせていただいているところでございます。

 二次補正につきましては、五月十四日に総理から指示がございまして、事業者の状況に応じたきめ細やかな支援を行っていく考えでございます。

白石委員 次のテーマ、固定資産税の軽減措置についてです。

 税、社会保険料は全て、申請すればペナルティーなしで猶予される。でも、全部猶予なんですね。

 そのうち、この固定資産税についてだけは、免除、軽減措置がある。今のコロナ特例の軽減措置、固定資産税の軽減措置の予算金額、大体どれぐらい使おうとしているのかということと、これは、今、償却資産とそして事業用家屋のみですけれども、これを土地、事業に使っている土地の固定資産税に広げた場合、どれぐらいの予算が必要なのか、教えてください。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、今回の固定資産税と都市計画税の特例による減収見込み額については、軽減措置の適用対象となる中小企業者等がどれぐらい発生するかにより大きく変動し、今後の経済状況などによるものでありますが、あらあらの見込みとして、令和三年度において一千億円程度の減収額を見込んでおります。

 それから、事業用の土地についてでございますけれども、これを対象とした場合の減収額については算定をしていないというところでございます。

白石委員 これは、固定資産税の今の軽減措置で一千億円ということで、先ほどの持続化給付金が二・三兆円ですから、これももっとインパクトのあるものにしていただきたい。

 加えて、固定資産税の家屋の部分が三兆円で、償却資産の部分が一兆円、合計四兆円強ということも考えたら、これの比率も、一千億円では足らないと思いますし、土地が三兆円あると、ここを軽減していただきたいというふうに思うんですけれども、これは次の補正になるかもしれませんけれども、中小企業対策として、コロナ対策としてどのようにお考えでしょうか。

稲岡政府参考人 固定資産税の軽減の関係についてお答えを申し上げますけれども、今回の措置というのは、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営環境にある中小事業者などの事業継続を支援するため、稼働率が著しく落ちている事業資産に対する固定資産税を軽減するものでございます。一方で、固定資産税は、地方の行政サービスを支える基幹税であり、その安定的確保が重要であることから、対象資産は必要な範囲に限定するべきものと考えておりまして、今回の措置は、その事業用資産として、減価償却費や、法人税や所得税において損金や経費にされる償却資産と事業用家屋を対象とすることとしたという点、御理解を賜りたいと思います。

白石委員 次の補正で、家賃チームが家賃の補助を考えていると。その予算規模が一千億円どころではないと思います。それを考えたら、テナントとして事業をしているところに相応の家賃補助があるのであれば、自己所有で事業をしているところ、中小企業でいいんですけれども、そういったところにも相応の手当て、それはやはり固定資産税の免除でするべきだと思いますので、検討をよろしくお願いします。

 次のテーマですけれども、税、社会保険料、そしてさらには公共料金、これらは全て、ペナルティーなしで、申請すれば一年間猶予される。ところが、それに逡巡する、二の足を踏む方もおられるわけですね、中小企業事業主さんは。なぜかというと、猶予されたら、それをもっていわゆるスティグマがつくんじゃないかと。実際、公共事業の入札だとか、契約には納税証明書又はそれにかわるものを持ってきてくださいというふうに言われる。その際に、猶予されたということが不利にならないかということを懸念するんですね。

 お手元の配付資料で、三ページ目ですけれども、こういった国税の猶予許可通知書であるとか、地方税の猶予許可通知書で、これは社会保険料の中の年金保険料の猶予許可通知書、こういったものをもらって、これを入札とかあるいは公共事業体との契約には持ってきてくださいと言われたりすると。

 質問をちょっと飛ばしまして、総務省さんに。納税を猶予されたというところについては、その契約を結ぶ際に考慮されて、やはり不利な扱いというのは受けるんでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 各地方公共団体におきまして、地方自治法施行令百六十七条の五第一項の規定に基づきまして、一般競争入札に参加する者に必要な資格として、入札参加者の経営の状況を要件とすることができるというふうにされております。この要件として、国税、地方税や社会保険料の納付状況について納税証明書の提出等により確認をしている団体もあるものと承知をしております。

 そして、この一般競争入札の参加資格ということは、その地方公共団体において契約の種類及び金額に応じて定めるものでございまして、この新型コロナウイルス感染症の現状を踏まえましてこれをどういうふうに取り扱うかというところにつきましては、これは最終的にはそれぞれの判断により適切に対処することになるものでございまして、現に既に対応している団体もあるものというふうには承知をしているところでございます。

 ただ、私ども総務省といたしましても、この新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、各地方公共団体において適切な方が契約の相手方となるように、適切な入札参加資格を設定する必要も十分に踏まえながらも、新型コロナウイルス感染症の影響により税等の徴収猶予を受けておられる方が不利な取扱いとならないようにすることが重要というふうに考えておりまして、各地方公共団体にその旨を周知すること等によりまして適切に対応させていただきたいと存じます。

白石委員 コロナによって経営状況が異変を起こす、これは自社のせいではありません、これは外部環境のせいですので、これによって猶予を受けざるを得なかった、このことをもって不利な扱いを受けることがないようにしていただきたいということと、そして、お願いといいますか質問といいますか、ここにお示ししたように、コロナの特例によって猶予を受けたということがちゃんと明記されるということを、一般の人にもわかるようにしていただきたい。事業者向けのこういうパンフレットに、税、社会保険料の猶予制度があって、猶予された場合の許可通知書等にはコロナ特例としてというふうに明記されるということを、わかるようにしていただきたい。

 これがないと、やはり弱い立場ですから、猶予ということでまた後々不利な扱いを受けて、結局は入札とかに参加できなくなるんじゃないか、こういうふうに考えてしまいます。

 こういったものを明記していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

新井政府参考人 国税の納税の特例猶予が許可された場合に納税者の方に送付いたします納税の猶予許可通知書や、猶予期間中に請求があった場合の納税証明書におきましては、新型コロナ特例法第三条による特例猶予が適用されている旨を記載することといたしております。

 その上で、委員御指摘のとおり、特例猶予が許可された場合には納税の猶予許可通知書や納税証明書に特例猶予が適用された旨が記載されることにつきまして納税者の方にあらかじめ知っていただくために、国税庁のホームページやチラシ等で周知、広報することにつきまして、前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。

白石委員 お願いします。

 次のテーマなんですけれども、一般社団法人も事業を行っているところはあるわけですね。事業を行うのは、株式会社や有限会社、合名会社、合資会社だけじゃない、一般社団法人も事業を行っている。ですから、こういうところは配当なしでやっていこうと。そこもコロナで影響を受けて、制度融資を受けたいと。私のところに相談に来た方は、セーフティーネット融資を受けたいと言ったんだけれども、一般社団法人はだめですというふうに断られて、それで終わりになったということなんです。

 この制度融資というのは、一般社団法人というのはだめなんでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 一般社団法人につきましては、収益事業を資金目途とする限りにおきましては、日本政策金融公庫の融資対象としております。要件を満たす場合、実質無利子無担保融資の対象になり得ます。

 他方、経済産業省における支援策パンフレットにおいては、事業を行う一般社団法人も日本政策金融公庫の利用が可能である旨記載がされていなかったことから、今後、パンフレットの改訂も含めて、利用対象者に含まれることにつき、周知に努めてまいりたいと考えております。

白石委員 そうですね。一般社団法人の方や一般の方にとっては、制度融資は全部同じものと見ています。一つのところで、先ほど、おっしゃった、信用保証協会のところで断られたら全てだめなんだというふうに思ってしまう。

 先ほどの答弁でもありました、日本公庫はオーケーということなんですけれども、日本公庫の中でも、国民生活事業はオーケーで、片や中小事業のところはだめなんですよね。このことも一般の方はわかりようがない。だから、一般社団法人もオーケーのところはここに明記していただいて、一つのところでだめでも、よく見てみたら、自分も行けるところを探して、そしてたどり着けるようにしておいていただきたいと思います。

 次に、今回の分権一括法の中の一つ、市町村が森林の土地の所有者に係る調査をする際に、固定資産課税台帳も使えるということについてお伺いしたいと思います。

 まず登記簿があって、登記簿から固定資産台帳があって、一方、登記簿からもう一つの派生として、林地台帳が近年スタートしたということだと思うんですけれども、そして、その林地台帳の方は新たな所有者情報が入るようになってきている。林地台帳は大事ですけれども、この林地台帳をもっと正確なものにしていくという営みは続けていただきたいんですけれども、固定資産課税台帳に今回は情報が入るようになった。これで大体網羅しているわけでしょうか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 森林の土地の所有者情報が記載される法定の台帳等につきましては、我が方の林地台帳、さらには登記簿、固定資産課税台帳といったものがございます。

 林地台帳の整備に当たりましては、登記簿の情報、さらには固定資産課税台帳の情報、それを生かして、さらには林野庁の森林法に基づく届出情報、そういうものを総合的に林地台帳に盛り込んで整備しているところでございます。

 現状を申しますと、固定資産課税台帳の森林の土地の所有者情報のうち、平成二十四年度以降、新たに森林の土地の所有者になった者の情報は今活用できますけれども、それ以前のものは活用できない実態になっております。

 それを今回、森林法の改正によりまして、市町村が林地台帳の整備のために調査する、そういう規定を設けたことを受けて、固定資産課税台帳に記載された全ての森林の土地の所有者情報の内部利用が可能になるということになりますので、今回の措置によって、乖離なく全ての情報が林地台帳で活用することができるといったことでございます。

白石委員 これで大体、行政機関が持っている所有者情報というのは全部林地台帳に反映されるようになるという確認でした。

 登記簿の方は、やはり登記しない方が多いので、それがどんどんちょっと実態から離れていってしまっている。でも、大臣、地方の森林というのはかなり荒れているところも見受けられます。荒れているから整備してほしい、でも、その所有者がわからないという状況があります。やはり、森林を荒れさせないための基礎的な情報というのは所有者情報だと思うんですけれども、この整備、そしてこれからの方向性、誰が管理するのかということも含めて、どのように御所見をお持ちでしょうか。

北村国務大臣 所有者不明土地についての問題は、委員御指摘のとおり、公共事業の用地取得や農地の集約化、あるいは森林の適正な管理、あるいは民間の土地取引といったさまざまな分野で問題となっていることを認識しております。

 政府におきましては、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議のもとで工程表を策定いたし、期限を区切った、計画的に対策を推進してきているところでございます。

 所有者不明土地の活用の促進は、委員御指摘のように、土地の荒廃を防ぎ、地方を守ることにつながるものであり、地方創生の観点からも極めて重要と考えております。政府全体として取り組むべき重要な課題であると認識しておりますので、今後とも、御理解の上、応援をしていただけるようにお願いを申し上げます。

白石委員 時間が来ましたので、これで終わります。

山口委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 第十次地方分権一括法案について質疑をさせていただきます。

 これまで九次の一括法案につきまして、我が党は、社会保障分野の施設設置管理の基準や、保育所及び高齢者、障害者施設等の人員配置基準など、国が責任を持つべき最低基準を、地方からの要望を提案として吸い上げ、規制緩和を繰り返す改正内容には反対してきました。また、本来は各府省所管の個別法の改正で措置すべき内容を、一括法に紛れ込ませて改正するやり方も批判してきたところであります。

 ただ、今回の法案につきましては、ほとんどが事務手続の簡素化や事務負担の軽減を内容とするものでありまして、国民の権利や安全に関する基準や規制を改悪するものではありませんので、賛成したいと思います。

 その上で、本法案には、生活保護費返還金等に係る収納事務についてコンビニ納付を可能とするなど、三つの生活保護法の改正が含まれております。いずれも必要な措置だと考えております。

 その上で、新型コロナウイルスの感染拡大が広がるもとで、営業や雇用に影響が生まれ、生活に困難を来し、生活保護の申請件数も今ふえていると思われますが、厚生労働省として、この生活保護の申請件数についてどのように把握されているでしょうか。

辺見政府参考人 お答えを申し上げます。

 生活保護の動向につきましては、毎月公表しております被保護者調査により把握をしているところでございますが、直近の二月の結果におきましては、生活保護受給者数及び生活保護受給者世帯数ともに前年同月と比べて減少し、引き続き減少傾向にあり特段の変化は見られていないという状況にはあります。

 一方で、直近の大まかな情報を把握する必要がありますので、幾つかの自治体に生活保護の申請の状況を聞いてみております。そうしましたところ、申請がふえてきているという自治体もあるというふうに承知をしているところでございます。

清水委員 申請がふえている自治体があるということであります。

 厚生労働省は、四月七日に、新型コロナウイルス感染拡大防止のための生活保護業務等における対応についてという事務連絡を地方自治体の生活保護担当課へ発出しました。また、その後、五月八日にも、緊急事態宣言の期間延長を踏まえた生活保護業務等における留意点についてというのを発出されておられます。

 これらの意図とその内容について、簡潔にお答えいただけますでしょうか。

辺見政府参考人 生活保護につきましては、必要な方に確実かつ速やかに保護を実施するということが重要でございます。このため、緊急事態宣言が発出されるという状況におきまして、四月七日には、生活保護制度を適切に運用する上で特に留意が必要な事項につきまして、福祉事務所に対して事務連絡を発出したところでございます。

 また、五月の事務連絡についてもお尋ねがございました。五月八日の事務連絡につきましては、今申し上げました四月七日付の事務連絡の趣旨が徹底されていない事例があるとの指摘があったことを踏まえまして、申請権を侵害することなく適切に対応することを改めて依頼するとともに、各福祉事務所の指導監査の権限を持つ都道府県において、不適切な対応を把握した場合には指導することを依頼したものでございます。

清水委員 今お答えいただいたところでありまして、新型コロナ禍で、よもや自分がという方が生活に行き詰まり、生活保護の申請をせざるを得ないという状況にある。そういった場合に、保護の申請権が侵害されないこと、また侵害していると思われるような、疑われるような行為も慎むことということがこの四月七日の事務連絡に書かれております。重要なことは、五月八日には再度、そうしたことも現場では見受けられるので、再度対応を徹底し、そうしたことがあれば指導するようにということで出したものだというふうに今お答えがございました。

 それで、NPO法人のしんぐるまざあず・ふぉーらむ、ここの赤石理事長のお話によりますと、新型コロナウイルス感染拡大のもとで相談が急増しているということなんですね。三月以降、仕事に行けないという人が多く、収入が激減し、食べるものにも事欠くという状況だと。この団体が、実はこうした方々にお米やお米券をお届けしたそうなんですね。大変喜ばれたと。そうした方からこのような返答があったというんですよね。雑炊でなくてお米が食べられていいねとか、あるいは、この間は川岸で野草をとって食べていたと。本当かなと思うような深刻な実態がお礼とともに寄せられたということですから、非常に深刻だと思うんです。

 今御説明いただいた厚労省の通達、事務連絡ですが、ここまで急激に暮らしが悪化した一人親家庭、深刻だと思うんですね。一時的に今生活保護を申請したいという際に、従来と比べても速やかに対応していただくということの趣旨であるということを、厚生労働省の橋本岳副大臣に御答弁いただきたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 四月七日の通達、それから五月八日の通知、それぞれ出しておりまして、趣旨はもう御説明をいただいた、あるいは答弁をしたとおりでございます。

 やはり、今回の新型コロナウイルスの感染症の影響によりまして、経済に、あるいは個々の方々の暮らしに大変な影響が出ているということは大変我々も重く受けとめているところでございまして、その中で、きちんと法律上認められた保護の申請権を侵害をしない、あるいは侵害をしていると疑われるような行為も厳に慎むべきである、また、その相談の中において、やはり感染症の拡大という局面にありますから、いたずらに長くいろいろなことを聞くというよりも、必要なことを聞く、お伺いをしてきちんと決定をする、そうしたことに取り組んでほしい、こういうことで通達を出させていただきました。

 引き続き、そうした申請に対しましてきちんと対応していくように取り組んでまいりたいと考えております。

清水委員 ありがとうございます。

 離婚した女性、一人親家庭の場合、申請のときには扶養届出書というのが例えば元配偶者だとかあるいは親族に発送される、そのことで居どころが知られるのではないかとか、あるいは自分が保護を受けるということについてスティグマを感じているとか、そうした方々が申請をためらうというケースもあると思うんですね。今、橋本岳副大臣からは、こういった状況のもとですから、できるだけ迅速に、そして聞き取り内容も簡便にということでありましたので、そうしたことがあるということもぜひお知りおきいただいて、今言った、ためらわなければならない要因等についても今後検討していただきたい、柔軟に対応していただきたいと思います。

 それで、ちょっと確認だけしておきたいんですけれども、例えば、今、雇用が失われるとか、派遣切りとかいうこともございます。それで、もともと被保護者の親のもとに、仕事を失った、あるいは首を切られた、そういう御子息が実家に戻る、その際、世帯として保護を申請するわけなんですが、その戻ってきた息子さんが自動車を保有しているということで、窓口で自動車の処分を申請の条件にされたという事例を私は伺っております。

 まとめて答えていただいたらいいんですけれども、今、本当に、飲食店の方々、あるいはカラオケですよね、三密を避けるために閑古鳥、あるいは休業要請で売上げがゼロ、こうした方々が一時的に生活保護を申し込む場合ですよね。しかし、いずれ解除されて、また営業が再開できるという見通しになれば営業を続けたい、こういう方々の店舗とかあるいはカラオケ機器とか、こうしたものについてやはり処分の対象になるのかという問合せも寄せられておりますので、この事務連絡の内容に沿って、対応について説明いただければありがたいのですが、厚労省、いかがでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 被保護者の世帯の状況については、さまざまでございますので、具体的なことについて一概に申し上げることは難しいところでございますけれども、事業用の家屋ですとか事業用品について、処分価値が利用価値に比べて著しく大きいものでなければ保有を認めているところでございます。また、自動車につきましては、地域の事情により、通勤用として利用する場合などには保有を認めているところでございます。

 こうしたことにつきまして、四月七日に発出いたしました事務連絡においては、現下の状況において一時的な収入減少により保護が必要となる方について、今般の事態の収束後、スムーズに就労再開できるように、通勤用自動車ですとか自営業に必要な資産の保有を柔軟に取り扱うよう改めて周知しているところでございます。

清水委員 ぜひお願いしたいと思います。

 四月七日の事務連絡では、緊急事態措置区域における緊急事態措置期間の生活保護業務の取扱いについて都道府県に要請しているわけです。報道によりますと、あす以降、大阪、兵庫、京都については宣言解除の調整に入ったというふうにも伺っております。仮に緊急事態宣言が解除されたとしても、引き続きコロナの影響を受けてしまう業種の方、いらっしゃると思うんですね。やはり経済が回復するまで、引き続きこの事務連絡と同様の措置を行うことを、これは自治体の判断でできるということでよろしいでしょうか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 感染状況に応じて緊急事態宣言が解除を既にされている地域もございます。まあ、ちょっと、あすどうなるかということはまだあしたになってみないとわかりませんが、こうした地域におきましても、引き続き感染防止の取組が必要でございます。直ちに、宣言が解除されたからといって、その経済活動あるいは雇用などの状況がもとに戻るという話でもないんだろうというふうに思っております。

 現下の状況におきまして、緊急事態宣言が終了した後も状況に応じて弾力的な運用を行うことが必要と考えておりまして、これは、四月七日の事務連絡につきまして先ほど御指摘いただきましたけれども、その後に、なおということで、その他の区域及び期間においても、組織的な判断のもと、同様に取り扱っていただいても差し支えありませんということで、弾力的な運用について、解除されたからといって直ちにやめなさいということではなくて、きちんと組織的な判断のもとで続けるということも差し支えないと示しております。

 やはり、先ほど答弁申し上げましたが、生活保護の申請がふえている、あるいはお話もありましたようなこともあったかと思いますが、引き続ききちんと感染防止に留意しつつ、速やかな保護決定が行われる、必要な方に保護決定が行われるようにしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

清水委員 生活保護は、本当に、権利であり、最後のセーフティーネットということであります。その役割を十分に果たしていただきたいということもお願いしておきたいと思います。

 橋本岳副大臣と厚労省への質問は以上でございますので、御退席いただいても構いません。

山口委員長 どうぞ御退席ください。

清水委員 次に、十万円の特別定額給付金について質問します。

 生活保護を受給している方からは、この給付金が収入認定されずに、大変歓迎されております。自分たちがもらえるとは思わなかったということで、大変喜ばれているんですね。同時に、申請する際の本人確認をどうするのか、この書類についての相談も多数寄せられているところでございます。

 生活保護を受けておられる方々がこの十万円の特別定額給付金を申請する際に何を提示すればいいのか、教えていただけますか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 特別定額給付金の申請手続におきましては、成り済まし防止等の観点から、郵送申請の場合に、本人確認書類の写しを申請書に添付をしていただいて郵送いただくということになります。

 その際の本人確認書類といたしまして、総務省が地方団体の方にお示しをしております特別定額給付金給付事業実施要領におきましては、マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証及び年金手帳等の写しなどを例示しているところでございます。

 ただ、こういったものをお持ちでないようなケースということでございますので、そのほかにも、住民票の写しなどの交付の請求の際に求められる本人確認の方法の例によりまして、具体的には、生活保護受給者の方につきましては生活保護受給者証によるということも可能でございます。

清水委員 ちょっともう一点確認したいんですけれども、大阪府のある自治体では、例えば住民票の写しを取り寄せる場合、生活保護受給者証の場合は、それ以外にもう一点自分を証明するものをということで二点求めている場合もあるんですが、今のお答えでいいますと、生活保護受給者証一点あれば足りるという、そのことで本人確認として差し支えがないということでよろしいでしょうか。そういう趣旨だと思うんですが。

森政府参考人 本人確認につきましては、これは一応、最終的には市町村長が本人だということで適当と認めるというところでございますので、一点ということでそこの部分が確認できるということでございましたら、それで大丈夫かと存じます。

清水委員 生活保護受給者の方の中には申請書の書き方がわからないという方もおられます。自治体では、生活保護受給者の方の口座番号については把握されておられますので、例えば、熊本市というところなんですが、ここは職員の方が生活保護受給者の方に申請の意思を確認し、保護費の振り込み口座にそのまま入金するという方法をとっているんです。

 これについて斎藤総務大臣政務官に質問したいんですが、そのことを御存じかどうかということと、全国の自治体も給付金の手続に非常に忙殺されているわけでありますから、現場の事務手続を省略し、仕事量を減らすということにもなると思うんですよね。こういう取組が広がることに差し支えはないのかということについて御答弁いただけるでしょうか。

斎藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、熊本市の取組を知っているかということですが、事務方から聞いております。

 熊本市の取組につきましては、事務処理の簡素化、おっしゃるとおりの御趣旨で、生活保護受給世帯に対しまして、生活保護世帯構成と住民基本台帳上の世帯構成が同一であって、かつ保護費の振り込み口座の名義人と給付金申請者が同一の場合には、ケースワーカーによる電話での申請の意思確認によりまして申請が行われたものとする特例的な取扱いをしようとされているものと承知をしております。

 申請の意思確認に際しましては、日ごろから定期的な連絡を行っております担当ケースワーカーが行うことによりまして、本人であることを確認の上、誤認等がないように努めているということでありますが、ケースワーカーへの特別定額給付金の申請手続の委任が行われているわけでもございませんし、また、電話の聞き取りのみでは御本人の御意思が明確に記録として残らないという問題もございます。ですので、別途、申請書に署名又は記名、押印をいただくことによりまして本人の意思を残していただくことが必要であると考えまして、その旨、熊本市にお伝えをしたところであります。

清水委員 そうした取組が、本人確認さえできれば、こうしたことが広がるということについては差し支えないということだというふうに思います。確かに本人確認というのは必要ですから、それをした上で、こうした簡便な手続については広げていただきたいと思いますし、先ほど、本人確認の書類についても、やはり自治体間だけではなく、当事者の方々に周知していくということについても要望しておきたいと思います。

 最後に、この問題で、いわゆるホームレスと呼ばれる路上生活者の方々への特別給付金の周知に関して質問したいと思います。

 これは四月二十八日に、ホームレスの方への特別給付金の周知に関する協力依頼というものが総務省より発出をされております。趣旨と目的については、ホームレスの方々への給付金の周知とそれを支援するためだというふうに説明を受けました。

 また、特別給付金の事業概要を見ると、ことしの四月二十七日までに住民登録をされている方というふうに規定されているわけですが、これも総務省に確認しますと、今住民登録がない方でも、住民登録をしていただいたら、四月二十八日以降であっても特別定額給付金の対象となるということについても確認をさせていただいたところでございます。

 その上でお伺いしたいというふうに思うんです。

 大阪の野宿者の支援団体からは、住民票がなくても給付金を支給してほしいという要望が出されております。決まった住所を持たず日雇労働で働く人たちが、新型コロナの影響で仕事がなくなっています。こうした方々が、例えば、支援センターであるとかボランティア団体の住所を住所として登録した場合、定額給付金を支給するということを自治体が判断しても構わないということでしょうか。

斎藤大臣政務官 お答えいたします。

 四月二十八日付の事務連絡におきまして、ホームレスの方で、基準日であります四月二十七日に住民登録がない方であっても、現に居住している市区町村におきまして住民登録の手続を行い住民票が作成されれば給付の対象となることにつきまして、ホームレス等の方々に対しましてしっかりと周知をすることをお願いいたしました。この事務連絡の趣旨にのっとりまして対応してまいりたいと考えております。

清水委員 住民登録するにも、例えば自治体が住民登録させてくれないという場合もあると思うんですよ。この事務連絡を見ましたら、市町村の判断ということになっているんですよね。実際、路上生活されている方、収入があるときだけドヤに泊まる方、簡易宿泊所に泊まる方、こういう方々はその簡易宿泊所を住所とすることができません。また、自立支援センターに実際に住んでいるという要件がなければ、これは市町村に対しても住民登録してもらえないんですよね。

 そういう点では、住民票がとれない、住民登録ができないという路上生活者の方々をどう特別定額給付金からこぼれ落ちないように支えていくのか、支援していくのかということが今喫緊の課題だというふうに思うんですね。

 先ほど、私、質疑を聞いていまして、住民票がなくても地方選挙に出られるという答弁がありまして、だったら、住民票がなくても本人確認さえすれば、あるいは二重支払いを防止するという手法さえあれば、こうした路上生活者の方々にも、やはり国民一致団結しようと言っている、そういう意味合いでの特別定額給付金ですから、これが給付できるという方法をぜひ検討していただきたいんですが、政務官、いかがでしょうか。

山口委員長 もう時間が過ぎていますので、簡潔にお願いします。

斎藤大臣政務官 先ほどお話ししました事務連絡の趣旨は、市区町村が自立支援センターやホームレス支援団体とも連携をしてホームレスの支援を行っていただきたいということであります。現に居住している市区町村と認めていただけるように必要な支援が行われるように、総務省としても取り組んでまいりたいと考えております。

清水委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 きょうは冒頭、地方創生臨時交付金について質問したいと思います。

 補正予算で一兆円が確保されまして、自治体に幅広く分配されたわけですけれども、まず冒頭、分配されるに当たっての計算根拠、どのような計算に基づいて分配されたか、これをお聞かせいただけますか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、補正予算成立後、直ちに、制度内容や交付限度額につきまして各自治体に周知したところでございます。

 今回の第一次の交付限度額の算定方法につきましては、今回の配分は一兆円のうち地方単独事業分として約七千億円を配分したものでございまして、感染防止対策については、都道府県が担う役割を踏まえて都道府県と市町村の割合を一対一で配分し、人口、新型コロナウイルスの感染状況、財政力等を加味して、個々の自治体に対する交付限度額を決定したものでございます。

 なお、国庫補助事業の地方負担分等に相当する交付限度額につきましては、各府省の執行状況を踏まえまして、今後、別途通知することとしているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 レクのときにも計算根拠はいろいろ細かく教えていただいたんですが、大枠でいうと、割と幅広く全ての自治体を対象としてばらまくと。これは一回目としては、私は全否定するものではなくて、スピードの観点から何らかの形で決めないといけないので、いいかと思うんですが、やはり第二弾、今、第二次補正予算でも検討されておりまして、ちょっと考えていただきたいのは、傾斜配分をもう少しきつくして、特に都心部、特にいわゆるコロナの影響が長期化したり、又は感染のリスクが非常に高い、たくさん対応を打たないといけない、補償も上増ししないといけないというところにやはり傾斜配分をきつく、特に都心部にしていただきたいというのがあります。

 都道府県と市町村の一対一の比率というのは第一弾でなされたわけですけれども、ちょっと現場の自治体の状況の肌感を、私も地元なんかを回って市長さんとかと意見交換するんですが、いわゆる財政力によって、財政規模によって打てる対策というのにかなり制限がかかってきている。具体的に言うと、例えば、事業者に対しての、都道府県がやるのに加えて自治体、市町村がプラスアルファで例えば二十万円なり三十万円なり事業者に対して協力金をお支払いするというところが結構自治体の中でもあるんですけれども、財政力が小さいところ、人口規模の特に小さいところなんかは、その追加を打てないとなると、どうしても、隣接しているところでいうと不満が結構出てくるわけです。

 そういう意味で、そもそも、緊急事態宣言の発令によって都道府県知事に自粛要請だったり、そういうメッセージを放つ権限が移行されて、そこでいろいろな対策をそれにあわせて打っていくというのが今のそもそもの枠組みになっておりますから、もう少し都道府県に比重を置いて、そして、そこから更に再分配するというやり方もありでしょうし、自治体のニーズに合った支援策を考えていくというような方が私は合理的じゃないかなというふうに思います。

 なので、きょう意見として申し上げたいのは、傾斜配分をもう少しきつくして、都心部に特に注力すべきじゃないかと思いますが、政府の見解はいかがでしょうか。

藤原大臣政務官 自治体ごとの交付限度額につきましては、人口、感染状況、財政力などに基づきまして第一次の臨時交付金につきましては決定をしたところでありますが、感染者数が多く、その対策に迫られている大都市の自治体を含めさまざまな地域がある中で、多くの自治体から、金額を更にふやしてほしいといった声が寄せられております。

 第二次補正予算における本臨時交付金の取扱いにつきましては、先ほど委員御指摘の都道府県と市町村の配分割合を含めて、今後、地域の声や実情をしっかり見きわめながら、その扱いを検討していきたいと考えているところであります。

藤田委員 それぞれ、私も、地元だったり、大阪選出なんで大阪の状況なんかを特に注視しているわけなんですけれども、大阪は感染拡大のリスクが非常に高い地域でもありますから、市町村のそれぞれの状況、さまざまだと思うんですよね。確かに、自治体からすると、少しでもふやしてほしいというのは、これはもうそのとおりだと思うんですけれども、限られたお金をどう分配するかという意味では、私は、都道府県にかなり自由裁量で使える資金を注入してあげるというのはこれは必要なことだというふうに思いますので、ぜひとも政務官、よろしくお願いを申し上げます。

 それから、後半は法案の方に入りまして、法案の中に、地方議会議員選挙の立候補届についてが盛り込まれております。

 これは、立法事実としては、住所要件を満たさない者が当選を得られないことをちゃんと周知するという趣旨で、実際にもそういう事例がありました。これによってしっかりと宣誓内容に、当該選挙の期日において住所要件を満たす者であると見込まれることというのを追加したというのは、これはいいことだとは思うんですが、そもそも論として、地方議会議員選挙のあり方についてはやはりもう少し考えないといけないんじゃないかというふうに思います。

 問題意識としては、そもそもこの住所要件というのは、地方議会議員選挙にはありますが、首長選挙にはありません、国会議員にもないというところで、この住所要件については、私はそろそろ考え直さないといけないんじゃないかと。つまり、端的に言うと、外した方がいいんじゃないかというふうに思っています。

 というのも、地方議員のなり手の問題というのがずっとさまざま言われておりますが、今、この地方創生委員会で取り組んでいることで、まち・ひと・しごと創生総合戦略にもありますが、今、地方の人口をいかにふやすかということの中に、一つの手法として関係人口という概念が今回盛り込まれていますよね。この関係人口というのは、そこに居住していなくてもその地域に貢献したり、そこで経済活動を営んでもらったり、半ば行く行くの移住を促していくという足がかりとして盛り込まれてきたという経緯があって、私は、そもそも、その総合戦略の中でそこに目標設定を落としてしまうのはどうかという議論は少し抱えてはいるんですが、まあ、悪いことではないと思っているんです。

 そういう中で、やはり、居住しているということが、その自治体、その市町村をよくするということにイコールにならない時代に突入しているというのが、これは時代の要請だというふうに思います。

 特に新型コロナの影響で新しい生活様式が問われる中で、実際に会わずに、会社なんかでは実際、テレワークだったりとか、実際に拠点に一々行かずにしっかりとしたパフォーマンスを発揮して会社に貢献するという働き方も、政府ももちろん推奨するし、世の中も求めていくという中で、地方議会議員選挙、つまり、市政をつかさどる首長は広く人材を求めるために住居要件を求めていない、に対して、そのチェック機能である議会の議員が住居要件が厳しく設定されるというのは、これは、少しこの本質的な問いに向き合っていかないといけない、そろそろ変えていかないといけないんじゃないかと思いますが、この点について御見解をいただけたらと思います。

赤松政府参考人 お答え申し上げます。

 被選挙権に関してでございますけれども、御指摘のように、地方議会議員の選挙につきましては住所要件というのが法定されており、知事、市町村長の選挙については住所要件というのは課されていないということでございます。

 地方議会議員につきましては、地方団体が地縁的な社会であるという面から、その代表者の選出に当たっては一定の居住関係の存在が必要であるというふうな観点を考慮したものと考えられておりまして、明治二十一年の市制町村制、あるいは明治二十三年の府県制の制定当時より、その要件とされてきたところでございます。

 一方、御指摘の知事、市町村長についてでございますけれども、戦前は、知事は官選、市長は市会による選任ということになっておりまして、住所要件というようなものは存在をいたしませんでした。戦後になりまして長の直接公選制が導入されたわけでございますけれども、その導入に際しまして、広く人材を得るという観点から、住所要件は設けないこととされたようでございます。

 地方議会議員の住所要件につきましては、地方議会議員と地域のつながりという観点から、制度としては定着をしておるというふうに考えてございますが、その見直しについては、さまざまな意見があるということも承知をしておるところでございます。

 住所要件の見直しにつきましては、住民の代表機関と住民のつながりをどう考えていくのかというようなことに関連するものでございます、選挙制度の基本にかかわるものでございますので、各党各会派で御議論をいただくべき事項であるというふうに考えておるところでございます。

藤田委員 今るる歴史を述べていただきまして、それもよく理解しておりますが、やはり、特にこの新型コロナの影響もあって生活様式も変わっていかないといけないし、市町村が抱える課題というのも、いわゆる実際にそこに長らく住んでいて地元の声を生に聞くということももちろんこれからも大事ですが、やはり、市町村なんかでも、都市間競争の時代、そして世界にも目を向けていかないといけない時代という中で、幅広く人材を求めないといけないと同時に、そこに住んでいるということが果たしてそれにイコールとして寄与するのかというのは、これは疑問を呈さざるを得ない時代に突入しているんだろうというふうに思います。

 我々も、平日、東京に住んでいますけれども、地元のことを全然知らないかというとそうじゃなくて、私は、もちろん、選出の大阪府寝屋川市というところに住民票がありますし、そこに家もありますけれども、もちろん、帰ったときにいろいろな地元の声を拾い上げる工夫を、ありとあらゆることを考えてやるわけですから、それは市町村議会の方々も同じことだというふうに思います。

 ぜひともこれは前向きな検討を政府においてもしていただきたいし、党としてもこれから取り組んでいきたいことだというふうに申し上げたいと思います。

 それから、関連して、選挙について、緊急事態宣言下や、また外出自粛要請下においても、選挙が通常どおり行われております。

 実は、私の地元の選挙区でも、市長選挙と市議会議員選挙が四月に行われました。実際にかかわってみると、本当に難しい選挙だったんですね。この先生方の中にも、地元で選挙があったところもあられると思います。衆議院選挙も先日ありましたね。実際には、活動のかなり多くの場面で事実上、制限される。(発言する者あり)まさにおっしゃられるように、本当に、有権者の方から、今何をやっているんだというふうに怒られる。

 実際に、今回、市議会議員選挙でも証紙を張ったビラが認められましたね。証紙張りは、大体、我々衆議院選挙やったら、事務所に来ていただいて、ボランティアの方に、皆さんに張っていただく。これはもう明らかに三密で、接触が多い。こういうことを一つ一つ考えると、今後の選挙のあり方というものについてやはり問うていかなければいけない。

 私の持論としては、オンライン投票を最終的にはやるべきだというふうに思いますが、これは長い議論として時間がかかるものともちろん認識していますが、そこに向けていろいろやっていける工夫というのはたくさんあると思います。いわゆる前時代的な選挙制度というのを問い直していかなければいけないというふうに思います。今回の新型コロナにおいては、それを奇貨として、改革を前に進めていくという方向性をやはり示すべきだというふうに思います。

 その中で、今回、実際に民主主義が適切に機能できるかどうかにまでかかわるような、つまり、街頭演説もできない、チラシも駅でも配りにくい、マスクをしなければ駅にも立てないという状況で、顔もなかなか認識してもらえないという中で選挙が行われたわけです。実際に自治体側からいうと、投票所のあり方に物すごいコストもかかりましたし、実際には物すごいリスクも抱えて、立会人の方にも、嫌がる方もいらっしゃる中、お願いしていった。こういう問題が噴出している中で、選挙に投票に行くことは不要不急ではないという一言では、私はちょっと片づけられないんじゃないかというふうに思います。

 これは、数カ月たちまして、特に私の地元なんかでは、ちょうど感染が厳しくなってきた、ふえてきたときに、亡くなられた方も出た時期がちょうど選挙期間にかぶっていまして、かなり役所の方々も苦労されました。こういう状況を、まず一番の取っかかりとしては、問題点をちゃんと把握していますかというのがきょうの問いです。

 というのも、いろいろ漏れ伝え聞く声はあると思うんですが、現場の声をぜひオフィシャルで、公式に聞いていただきたい。実際にどういう工夫をされて、どういうことに困って、投票率はどうだった、実際に問題が出たかと。

 私の地元では、それがクラスターとなってという問題はもちろん起きなかったですが、仮にそういうことになった場合に対応するのでは遅いというふうに思いますので、これから、このコロナは長期化することがもう前提として、持久戦をやると総理もおっしゃられていますから、こういう状況の中での選挙というのが続くわけです。

 ですから、まず、正確な現状把握のために、そういう問題を把握するためのアクションをしているか、また、していただきたいということが一つと、こういうことを奇貨として、選挙制度についてそもそも論として問うていくべきじゃないかということについてお聞きしたいと思います。

山口委員長 時間が過ぎていますので、簡潔にお願いします。

斎藤大臣政務官 はい。では、簡潔に申し上げます。

 実態の把握につきましては、各選管を通じまして取り組んできたところでございます。さまざま問題があったということも伺っております。また、収束したタイミングでまた改めてしっかりお話も伺いたいと思っております。

 選挙運動や選挙の投票のやり方につきましては、まさに、今後、各党各会派において御議論いただきたいと考えております。

藤田委員 収束した後じゃなくて、ぜひ早くやってほしい。地元の選挙にかかわった人、山ほど言いたいことがあるとおっしゃられているので、ぜひとも公式なヒアリングをやっていただきたいと思います。

 以上です。

山口委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立国社の福田昭夫でございます。

 本日は、地域の自主性及び自立性を高める改革の推進を図るための関係法律等の整備に関する法律案等について質問をしてまいりますので、北村大臣を始め答弁者は、ぜひ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、いわゆる第十次の地方分権一括法案について二点ほど、二つ質問しようと思っておりましたが、先ほど我が党の長谷川委員が質問いたしましたので、二点とも要望にとどめたいと思います。

 一つ目は、教育扶助、学校給食費等を地方公共団体の長に対して支払うことを可能にすることについてでありますが、教職員の事務負担を軽減するということでありますけれども、これがやはり働き過ぎの教職員の働き方改革につながるように、ぜひ文科省は努力をしてほしいと思っております。

 それから、二つ目でありますが、町村による都市計画の決定にかかわる協議における都道府県同意の廃止についてでありますが、これについては問題点もそれほどなさそうだということで、運用指針で定めた協議に当たっての留意事項、これを通してしっかり事前に協議を進めるので大丈夫でしょうという話ですので、ぜひその努力をして進めてほしいというふうに思っております。

 それで、次に、地方創生への取組について大臣と少し議論してみたいと思います。

 北村大臣は所信表明で、人口減少、東京一極集中という課題を克服し、地方創生を実現するため、昨年十二月に第二期の総合戦略を閣議決定した、地方創生の実現に向けてあらゆる政策を動員します、こう述べております。

 そこで、一つ目は、日本の、我が国が抱える大きな課題であります人口減少への取組についてでありますが、今まで進めてきた政府の取組をどう評価しているのか、お伺いをしたいと思います。

北村国務大臣 少子化の問題は、結婚や出産、子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因が絡み合っており、地域の実情に即して取り組むことが重要であると考えております。

 このため、第一期のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましても、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえることを基本目標の一つに位置づけまして、三十二万人分の保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化等の経済的負担の軽減など国全体の取組に加えまして、出生行動に大きな影響を及ぼすと考えられる働き方に着目をいたしまして地域働き方改革を推進するなど、関係省庁と連携して取り組んできたところでございます。

 昨年末に決定いたしました第二期総合戦略におきましては、働き方以外にも、コミュニティーづくり、まちづくりなどを含めた幅広い観点から、地域の実情に応じたオーダーメードの取組を推進する地域アプローチによる少子化対策をしっかりと支援してまいりたい、そういう考え方で進めてまいろうとしております。

    〔委員長退席、池田(道)委員長代理着席〕

福田(昭)委員 大臣、まだ今後のことは聞いていないので。まず今までの評価を聞いたので、まずこれからしっかり議論したいと思いますが。

 参考資料の一を見てください。これは、何か難しい字なんですけれども、エイ出版社というところが日本人の未来年表というのを出していますけれども、その中から出させていただきましたが、合計特殊出生率の推移です。

 我々が記憶に新しいのは、一・五七ショックというのがありました。これはくしくも、何と平成元年なんですね。消費税をつくった年です。平成元年に一・五七ショックがあって、その後、平成十七年には一・二六ショックがあって、その間、政府も地方自治体も取り組んできたはずなんですけれども、残念ながら出生率は上がらなかった。

 一期計画では、人口戦略プランと一緒に一期目の総合戦略をつくりました。希望出生率一・八ということでありましたが、一昨年は一・四二。昨年はまだ数字が出ておりませんけれども、しかし、生まれた子供は九十万人を切った、こういう報道があります。ですから、そんなことを考えると、地方創生総合戦略一期計画で目指した希望出生率が実現できなかった、その原因をどう考えておりますか。

北村国務大臣 確かに、お言葉のとおり、厳しい状況にあろうことは私も認識いたします。

 そこで、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるという基本目標については、第一期の取組を検証する有識者会議におきまして、安心して結婚、妊娠、出産、子育てができる社会を達成していると考える人の割合や、第一子出産前後の女性の継続就業率、これらは目標達成に向けて進捗していると評価がなされております。こんなことについて、一定の成果が出ているのではないかと考えておるものであります。

福田(昭)委員 安心して結婚して出産できる環境がない、だから、そのためいろいろな対策をとってきたけれども、しかし、それでも実は人口はふえないんですよね、出産がふえない。だから、やはり、原因分析は、私は、この後申し上げますけれども、もっと大きな視点で捉えないとだめだというふうに考えております。

 二つ目ですけれども、東京一極集中への取組についてであります。

 参考資料の二をごらんください。これは、私の地元の新聞社が、総務省が、昨年の二〇一九年の十月一日時点の、二〇一九年の人口推計を報道したものでございます。

 ここにもはっきりあらわれているように、全国の人口が減っている中で、首都圏の人口だけ、東京圏、埼玉、千葉、東京、神奈川の人口だけは確実にふえて、一極集中はずっと続いております。そのほかの県もふえているところはありますけれども、相変わらず一極集中はとまりません。

 一極集中がとまらない原因は何だと思いますか、大臣。

北村国務大臣 東京圏でも労働需要が高まったことなどから、これまでのところ、地方から東京圏への転入超過の改善にまでは結びついていないということが現実であろう、そのようなことが大きなことであろうかなと考えています。

福田(昭)委員 大臣、大臣は、東京の魅力はどこにあると考えていますか、東京に集まる。

北村国務大臣 地方から東京圏への転入超過の大半を十代後半及び二十代の若者が占めておるということを考えれば、この世代の進学や就職が東京圏への移動のきっかけであり、また大きな要因となっていると考えられると思います。

 こういった状況を踏まえて、地方に魅力ある学びの場あるいは働く場づくりに取り組んできたところであり、例えば、地方の若者の雇用の改善など、一定の成果が地方においても出始めているということは言える、そういうふうに私も思っております。

 他方、この間、先ほども申しましたように、東京圏でもやはり労働需要が高まっていたことなどから、これまでのところ、地方から東京圏への転入超過の改善にまでは結びついていない、そう認識しております。

福田(昭)委員 大臣、東京は、本当に世界に誇れるような魅力ある都市なんですよ。ですから、若者がどんどん来るんですけれども、まず、何といっても一番は、権力が集中しているということ、権力が東京に集中していること。だから、大企業のほとんどが本社をみんな東京に持ってきちゃったじゃないですか。大きな企業の本社機能、本社をみんな東京へ持ってきちゃった。それは、東京に置いた方が便利だから。これからは変わるかもしれませんけれどもね。大学も、東京へ東京へと、みんな来てしまった。だから、今さら地方大学を優遇しようたって、実は手おくれの感がある。やって悪いということはないんですけれども、地方大学もしっかり応援してもらうということは大事なポイントですけれども、しかし、これは実はもっと早くやらなくちゃならないことだったということです。

 さらに、やはり東京には、文化活動やスポーツ活動やいろいろなことをやる、楽しいことをやる場所もいっぱいあって、こんな楽しい場所はないんですよ。働く場所もあって、ちゃんと高収入も得られて、人々が生活するのにこんな楽しい場所はないんです。

 ですから、笑い話ではない、本当の話なんですけれども、東北のある県の県庁の職員が、都道府県会館に異動になって来て、東京勤務を二年間やりました。三年目は地元へ戻らなくちゃならない。でも、その若者は、戻りたくないな、東京はいいところだな、ここで仕事をすればそのほかのこともいっぱい楽しめる、こういう笑えないような本当の話があるんですよ。それぐらい東京は非常に魅力的な都市です。

 ですから、この東京の魅力を今後はどうするかということなんですよね。

 そこで、三つ目の、第二期総合戦略で、人口減少、東京一極集中をどのようにしてストップさせるということができるのかということをお聞きしたいと思うんですが、大臣は、今回の所信の中で、人口減少対策については一言も触れておりません、述べておりません。最初に、大きな課題だと言っておきながら、人口減少と東京一極集中を克服してと言っておきながら、どうしようかということについては一言も触れておりません。関係人口の創出、拡大と言っております。これでは、少子化対策には、人口減少対策にはなりません。一期の、前期の五年間で希望出生率一・八は諦めたんですか。どうなんですか。

    〔池田(道)委員長代理退席、委員長着席〕

北村国務大臣 率直なお尋ねでありますから端的にお答えさせていただきますが、一・八を諦めたわけではありません。その上でお答えをさせてください。

 まず、人口減少、少子高齢化や東京圏への一極集中への対策は、大きな政策課題と認識をしております。

 ですから、この少子化対策については、幼児教育、保育の無償化、真に経済的支援が必要な子供たちを対象とした高等教育の修学支援などを推進してまいる。東京圏への一極集中の是正については、従来の縦割り事業では対応できない課題に取り組む地方を一千億円の地方創生推進交付金で支援するとともに、今年度からは、先ほど申されましたが、企業版ふるさと納税を抜本的に拡充する、関係人口をつくり上げていく大胆な施策を進めていかねばならぬと考えておるところであり、今後とも、第二期総合戦略に基づき、まち・ひと・しごと、これに関するあらゆる政策を総動員して、ひるむことなく、緩めることなく人口減少対策、東京圏への一極集中の是正に全力を尽くしてまいらなきゃならぬと考えております。うまずたゆまず頑張るんだ、そういう気持ちです。

福田(昭)委員 大臣、次に資料の三を見てください、参考資料の三。これは、消費税を平成元年につくってからの三十一年間の我が国の失われた三十年の歴史です。消費税をつくったときに、実は法人三税と所得税、住民税を大幅減税しました。その結果どうなったかということです。

 米印で書いてありますけれども、そこをごらんいただきたい。消費税創設者の思惑どおり、家計の金融資産と法人企業の内部留保資金は大幅に増加しました。

 例えば家計の金融資産は、平成元年、一千兆円でした。これが何と、平成三十一年、元年ですかね、二〇一九年には一千九百兆円を超えました。三十一年間で約一・九倍。間もなく多分二倍になるでしょう。そしてさらに、法人の内部留保資金、平成元年、百十六兆円でありましたが、これが何と、二〇一八年、四百六十三兆円。二〇一九年が間もなく発表されると思いますが、これは四倍になると思います。ですから、まさに大金持ちがふえて、企業も巨大企業がふえてきた、こういう話です。

 しかしながら、名目GDPはほとんど大きくならず。平成元年、四百二十一兆円でした。それが、令和元年は五百五十四兆円ですが、ことしまたコロナショックでえらいこと落ちてしまうと思いますが、名目GDPはほとんど大きくもならず。

 政府の税収も、これは一般会計だけですけれども、ほとんどふえません。平成元年、五十四・九兆円でしたが、令和元年、六十・二兆円。令和二年度が六十三・五兆円とありますが、これもきっと大幅に減るでしょう、基本的に。

 そして、ふえたのは何だといったら、国債と借入金です。平成元年が二百八兆円でした。それが何と、令和元年度の決算見込みですけれども千百六十五兆円、そして令和二年度予算ベースでは千二百五十六兆円となっている。これももっとふえる話になるでしょう。

 ですから、消費税をつくったときに法人三税や所得税や住民税を大幅減税したということがこの惨たんたる結果をつくっているということです。

 しかも、消費税は非正規雇用も生み出しているんですよ。もともとは付加価値税ですから、会社の利益と正社員の給料にかかります。そうすると、企業は、会社の利益は減らしたくない、社員の給料はふやしたくない、減らしたい。そうすると、外注に出したり、あるいは派遣労働者を使う。この費用は、実は、消費税の大変複雑な仕組みである仕入れ税額控除方式に該当して、そのために払った消費税は控除されるという仕組みが入っている。しかも、輸出産業は還付されるという仕組みが入っている。これが消費税です。

 ですから、まさに消費税をつくった人たちの思惑どおり、それぞれの資産がふえたり、国は借金だけふえた、こういう三十年の歴史。そして、派遣労働者をたくさんふやしてきたために、実は、非正規労働者がふえて、その人たちの年収二百万以下の人たちは、残念ながら結婚したくても結婚もできない。そういう若者がたくさん出てきて少子化がとまらない、こういう状況になっています。

 ですから、私は、この消費税と法人三税と所得税、住民税、大胆な改革をしないと少子化はとまらないと思っています。そして、同時に、労働法制も変えて、働き方も変えていく、それをやらないと、残念ながら、日本はこのまま失われた四十年、五十年になっていって、世界の国々からだんだんだんだん、中で埋没していってしまう、私はそう考えております。

 ですから、そういう意味で、ちょっとこっちが長くなってしまいましたが、そういった中で、ぜひ少子化対策というのは、単に保育環境を整えましたよ、そんなことだけで実はとまらないということです。だって結婚できないんですから。日本の場合は、結婚できなければなかなか子供が生まれてこない、婚外子を余り喜ばれるような状況じゃありませんので。ですから、そういうことで少子化をちゃんととめる。

 だんだん時間がなくなってきてしまいましたが、それから東京一極集中です。

 東京一極集中は、是正策をやはりいろいろ述べていますが、しかし、地方を応援する政策、これはだんだんだんだんよくなってきて、私は今まででも一番いいかなと思っていますけれども、それだけじゃだめなんですね、やはり。東京の大きさをとめる政策が必要なんです。それはどういうことかというと、東京は、質の向上をさせて、世界に冠たる都市としてこれからもやっていってもらうけれども、量的な拡大はこれ以上させない。つまり、容積率、建ぺい率はこれ以上ふやさせない、あるいは減らす。質の向上を目指す東京をつくる。

 そういう意味では、これも長くなっちゃうからやめておきますが、フランスのパリを見習うべきだ。フランスのパリは、開発要求があってもパリを大きくしません。そのかわり、周りに新都市を五つつくって、それで開発要求に応えてきた。その一つに、マルヌラバレという都市があって、そこにユーロ・ディズニーランドが進出しています。

 もちろん、都市の構造がヨーロッパとは違うものですから、そっくりそのままとはいきませんけれども、ただ、東京二十三区は容積率、面積率はストップさせて、東京の量は拡大させない。つまり、ビルディングやオフィスや、あるいはマンションや住まいはこれ以上拡大させない。どんどんどんどんそういう政策を進めてきているから東京へ東京へと集まってきてしまう、こういうことなんですよね。

 こういうことをやはり大きな観点から考えないと、人口減少も、実は東京一極集中もとまらないということをぜひお考えいただければと思います。

 だんだん時間がなくなってきちゃったので、その次の議論の方に行きたいと思っていますが、次に、国が進める三つの定住圏構想についてです。

 一つ目、二つ目は総務省が進めていますね。人口二十万以上を指定する連携中枢都市圏構想ですね。それから、二つ目が、人口五万人以上を指定する定住自立圏構想です。この二つについて、これからしゃべってもらう時間はあるかな、目的と財政支援措置と、それぞれの構想の違いということで、特に財政支援措置の違いだけ、ちょっと述べてくれますかね。お願いいたします。

佐藤政府参考人 定住自立圏は、地方圏において定住の受皿を形成するため、圏域全体として必要な生活機能を確保する取組として推進しているものでございます。

 これに対して連携中枢都市圏は、地方圏において、一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成するため、圏域全体として、生活関連機能サービスの向上に加え、経済成長の牽引、高次都市機能の集積、強化を図る取組として推進しているものでございます。

 財政措置につきましては、定住自立圏においては、生活機能の強化、結びつきやネットワークの強化、圏域マネジメント機能の強化の分野について、必要な施策をみずから選択をし、取り組むこととしております。これによって圏域ごとに異なる特別の財政需要がありますことから、特別交付税による措置を講じています。

 これに対して連携中枢都市圏におきましては、定住自立圏に対する財政措置を前提としつつ、連携中枢都市圏構想推進要綱に基づきまして、先ほど申し上げました経済成長の牽引と高次都市機能の集積、強化の分野に必ず取り組むこととされております。この経済成長の牽引と高次都市機能の集積、強化の分野において幅広く取組が行われており、圏域の人口規模に応じた標準的な財政需要として捉えることが可能でありますことから、これらについて、別途、普通交付税による財政措置を行うこととしております。

福田(昭)委員 今聞いたことは、財政支援措置の違いだけ述べてくれという話なので、余計なことは要らない。

 それで、私の方から言いますけれども、人口二十万以上の連携中枢都市圏については、総務省は普通交付税と特別交付税で支援している。人口五万以上は特別交付税だけで支援している。この違いはどこにあるかということなんですね。私は、この違いをつくるのはおかしいと思っている。

 それで、大臣、大臣の長崎県の例を申し上げます。長崎県は、長崎市と佐世保市は、人口二十万人以上なので普通交付税と特別交付税の支援を受けている。一方、五島市は、人口五万人以上なので特別交付税の支援しか受けていない。これをどう思われますか。

北村国務大臣 御指摘のとおり、私の地元の長崎県では、連携中枢都市圏に長崎市と佐世保市が入っており、定住自立圏には五島市がそれぞれ取り組んでいると承知しております。

 先ほどの総務省からの御答弁にもありましたとおり、それぞれ求められる役割に応じて地方財政措置に差があるということだと理解すべきではないかなというふうに認識しますし、連携中枢都市圏の中心となる市にはそれだけの財政需要があるということから定住自立圏以上の地方財政措置が講じられているものと認識しておりまして、私としても、連携中枢都市圏にはその役割をしっかりと果たしていただくべきものと考えておるところです。

福田(昭)委員 大臣、普通交付税というのは一般財源なんですよ。だから、それで差をつけるというのはおかしな話なんですよ。

 一応、普通交付税を算定するに当たっては、総務省もちゃんと、人口十万都市をモデルとして、それぞれ算定項目が決まっていて、そこにちゃんとお金を入れて、あなたの都市はこれだけの交付税ですよと算定しているんですよ。それが、連携中枢都市圏だけ余分に普通交付税をもらえるというのはおかしいじゃないですか。おかしいと思いませんか。

 しかも、どっちの役割も重要なんですよ。ただ、規模の大きさが違うだけなんですよ。片や人口二十万人以上の都市であって、確かに、いろいろ行政需要の違いがあるでしょう。五万人以上は二十万以上よりも小さな行政需要かもしれない。しかし、やることは同じなんですよ、大臣。

北村国務大臣 委員の御指摘は、私も一部理解できるし、また理解すべきと思うところがございます。

 ただ、先ほども総務省もお答えし、私もお答えしたわけですけれども、それぞれ例に挙げていただきました長崎県の長崎市、佐世保市、五島市、それぞれには、与えられた定住自立圏という名称あるいは連携中枢都市という名称、役割、これは違いがございます。

 したがいまして、それぞれが担う役割、そしてそれに対する住民の期待、この大きな違いがありまして、それぞれの地域政策がございますから、それらの中心となって頑張ってくれという意味で、佐世保市、長崎市にはそれなりの期待と役割、五島市には五島市なりのそれぞれの特色や地域の立地条件を生かした役割を担うということがございますので、決して今このままでよいという認識ではありませんが、委員の御指摘も十分御参考にさせていただきながら、今後しっかり取り組んでまいらなければいかぬなという認識をいたします。

 以上です。

福田(昭)委員 時間が来ましたので終わりにしますが、小さな拠点づくりも質問できなくて非常に申しわけなかったけれども、やはり二十万以上の都市の中にも小さな拠点をつくり、五万以上の都市の中にも小さな拠点をつくり、市町村合併して失敗したなんというそういう声がたくさんありますので、そういう声にしっかり応えていくためにも、小さな拠点づくりとあわせて、地域の創生に、地方の創生に努めてほしいと思っております。与党の皆さんともよく相談して、不公平なものはぜひ是正をしてほしいなと思っております。

 以上です。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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