衆議院

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第6号 令和3年4月27日(火曜日)

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令和三年四月二十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊東 良孝君

   理事 今枝宗一郎君 理事 今村 雅弘君

   理事 金子万寿夫君 理事 田中 英之君

   理事 谷川 弥一君 理事 白石 洋一君

   理事 長谷川嘉一君 理事 桝屋 敬悟君

      石田 真敏君    上野 宏史君

      加藤 鮎子君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    小寺 裕雄君

      後藤 茂之君    佐藤 明男君

      繁本  護君    鈴木 憲和君

      高木  啓君    中曽根康隆君

      長尾  敬君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    牧島かれん君

      山口 俊一君   山本ともひろ君

      吉川  赳君    亀井亜紀子君

      重徳 和彦君    関 健一郎君

      寺田  学君    松田  功君

      松平 浩一君    森田 俊和君

      吉川  元君    太田 昌孝君

      中野 洋昌君    清水 忠史君

      美延 映夫君    西岡 秀子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          坂本 哲志君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   総務大臣政務官      古川  康君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    朝日健太郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長兼地方創生推進事務局審議官)        長谷川周夫君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          宮地 俊明君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        北浦 修敏君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       佐々木祐二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀内  斉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           伏見 啓二君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  黒萩 真悟君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木村 典央君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山田 知裕君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 宇野 善昌君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     金子 俊平君

  福田 達夫君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     高村 正大君

  高木  啓君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)


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     ――――◇―――――

伊東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進室次長、地方創生推進事務局審議官長谷川周夫君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長新井孝雄君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、内閣府地方分権改革推進室長宮地俊明君、内閣府地方創生推進事務局審議官北浦修敏君、総務省大臣官房審議官阿部知明君、総務省大臣官房審議官馬場竹次郎君、総務省情報流通行政局郵政行政部長佐々木祐二君、厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、厚生労働省大臣官房審議官堀内斉君、農林水産省大臣官房審議官伏見啓二君、水産庁増殖推進部長黒萩真悟君、国土交通省大臣官房審議官木村典央君、国土交通省大臣官房審議官天河宏文君、国土交通省大臣官房審議官山田知裕君、国土交通省道路局次長宇野善昌君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今村雅弘君。

今村委員 おはようございます。時間がないので、早速質問に入ることをお許しください。

 まず第一に、坂本大臣の担当分野の件であります。

 内閣府等によりますと、一つは一億総活躍担当、二番目がまち・ひと・しごと創生担当、内閣府特命担当大臣、これは少子化対策と地方創生、それからもう一つが孤独・孤立対策担当ということであります。

 これらのテーマは大変包括的そしてまた大事な話でありますが、本当にこんなに一遍にやれるのか、看板倒れになってしまうんじゃないかということ、そして、もう一つは、この地方創生ということについて、どうしてもやはり、いまいち集中力に欠けるといった、結果的にかもしれませんが、そういうことを心配しております。

 それからもう一つ、よく見ると、例えば、一つの、何か少し矛盾するような分野もあるんじゃないかと。

 少子化対策というのがあります。これは、やはり田舎に行けば仕事もないし、とにかくどこかで、町に行って働くかということになってくる。それでもって人が減っていくわけですね、子供が生まれない。一方、じゃ、都会に行っても、今度は仕事はあるけれども子育てが大変だ、だから子供をちょっと産むのをやめようかというようなことですから、やはりどこか、そこはある程度、両にらみじゃなくて、少し特化して、どっちに重点を置いてやっていくかということをきちっとしないと、私は、アブ蜂取らずと言ったら失礼ですが、そういったことにもなるんじゃないかなということであります。

 この点、担当大臣としてどういうふうに仕事を進めていきたいと、また、これについて問題点、どういう意識を持ってあるのか、それをお聞きしたいと思います。

坂本国務大臣 御心配ありがとうございます。

 言われましたようにいろいろな担当を持っておりますが、私は、全部これはつながっているというふうに思っております。

 出生率で一番高いのは沖縄でありまして、九州がベストテンに六県入っております。最低が東京でございます。ですから、地方分散型社会をつくること、人の流れを地方に、やはり力強い流れをつくっていくこと、これがそのまま地方創生にもつながるし、そして少子化対策にもつながるのであろうというふうに思っております。

 同時に、子ども・子育て時の孤独、孤立、こういったものは、いかにつながりを持っていくかということでありますので、孤独・孤立対策担当としても、つながりのある社会というものをどのようにつくっていくのか、これはそのまま、地方の創生、そして少子化、そしてつながりのある社会ということで全てがつながった中で、どれ一つとしておろそかにすることなく職責を全うしていかなければいけないというふうに思っているところでありますので、これからも応援をよろしくお願いいたしたいと思います。

今村委員 是非、地方第一ということでやってください。今の話を聞いても、まさにそこを充実すればいいというお答えだったというふうに思っております。

 次に、もう一つ、この地方創生、もう大分前から取り組んでいるわけですけれども、なかなか実績が上がらない。やはりどんどん地方は衰退していくし、人口も減ってきているのが実態であります。

 なぜうまくいかないのか。いろいろなことでいろいろ検討もしてきたわけだと思いますが、私は幾つか論点があると思います。一つには、地方の首長さん、特に知事さんですね、そういう人たちの自主自立の気概が不足しているんじゃないか、それに関連して、やる気とか知恵とか実行力とか、そういったものがどうなのかなということを感じているわけであります。

 この点で、知事さんというのは、今、殿様と言われる存在であります。しかし、同じ殿様は殿様でも、例えば江戸時代の殿様と今の殿様はやはりちょっと違うと思うんですね。江戸時代は、その藩を任せられて、そして、どうやって領民の皆さんに飯を食わせるか、生活を成り立たせるか、やはり必死だったと思いますよ。例えば、災害が来ても自分たちでやらなきゃいけないし、飢饉が来てもそれを乗り越えていかなきゃいけない。下手に一揆なんかを起こされちゃうと、もう取り潰しになるわけですね。だから、非常にやはり緊張感があったと思います。そして、そのためにいろいろな、土地を開墾したり、あるいは水利施設をしっかり充実したり、あるいは殖産興業等を一生懸命やってきたわけであります。我が佐賀県の鍋島藩も、干拓をやったり、あるいは焼き物産業を充実したり、いろいろなことをやってきました。薩摩でも一緒ですよね。

 それに比べて、現代の、殿様と言ったら失礼ですけれども、やはり非常に、何か昔に比べて居心地がいいんじゃないかなという感じがします。

 これは一つは、原因は何かなと。地方交付税という大変ありがたい仕組みがありますが、これが結果的には、さっき言った自主独立の気概を少し失わせているんじゃないかなという心配。もう一つは、知事なりなんなりの業績評価といいますか、その仕組みがなかなか明確じゃないといいますか、あるいは見える化されていない。

 ですから、選挙で信を問えばいいじゃないかということもありますが、やはり、県民の人たちは、どういう仕事をされているのか、どういう実績があったのか、よく分からないところがあるんですね。国政の場合は、テレビだ何だで、野党の皆さんから政府がしっかりたたかれて、問題点を皆さん共有してあるし、また、市町村長になると身近な存在ですからよく見えると思いますが、どうも県の中身になってくると、ちょっと中二階的な存在でよく分からないところがある。だから、今言った地方交付税の問題、あるいは業績評価の問題ということで、ちょっとお聞きしたいと思います。

 地方交付税は、戦前は、たしかこれはなかったはずであります。しかし、戦争の後、どうやって日本の国を復興させるかということで、こういったいろいろな仕組みをつくって今日まで来ている。これが今、たしか約十六兆円ですか。ですから、人口が一億二千万、不交付団体を入れると、それを人口で割ると、一人当たり十五、六万、赤ちゃんからお年寄りまで、それだけの金が行っている勘定になるんじゃないかなというふうに思っているところであります。

 これはいろいろな議論があって、そんな地方交付税にすがるんじゃなくて、自主財源をもっとよこせよという話もあることは確かです。しかし、口ではそう言われるけれども、ある意味ではこっちの方が楽だなということで、結果的にはこれに安住しているんじゃないかなという意識は私はちょっと持っております。

 やはり自主財源とやったときに、本当にこれで稼げるのかという自信も持てない知事さんもいるでしょうし、しかし、それを乗り越えてやっていくだけの仕組みづくりをする、それにこういった交付税に頼るといいますか、結果としてですよ、そういうことがどうなのかなという意識はちょっと持っていますが、その辺についてお考えを伺いたいと思います。

宮路大臣政務官 地方交付税制度についてお尋ねがありました。

 確かに、自主財源、非常に重要ですが、一方で、我が国には税源の偏在が大きくありまして、地方団体間には大きな財政力格差があります。その中で、義務教育や社会保障を始め、国民生活に密接に関連する行政については、そのほとんどが国の法令等に基づき地方団体において実施されているところでございます。

 こうした中、地方交付税制度は、地方団体間の財源の不均衡を調整する財源調整機能と、そして全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供するために必要な財源を保障する財源保障機能という重要な役割を担うものとして、昭和二十九年に創設されたものです。

 地方交付税制度については、財源調整機能と財源保障機能の根幹の機能は維持しつつ、国の施策や社会情勢等の変化に応じて算定方法の見直しを行ってきたところでございます。

 例えば、基準財政需要額の算定において、標準的な行政経費を算入する中で、行革努力が財源確保につながるということのほかに、地方団体における地方創生などの取組の成果や行革努力について、まち・ひと・しごと創生事業費において反映される仕組みというふうになっております。

 今後ともその機能が適切に発揮されるよう、必要な地方交付税総額を確保した上で、適切な算定に努めてまいりたいと考えております。

今村委員 今おっしゃったことはよく分かった上で私聞いているんですよ。だから、その上でこの仕組みがどうなのかということをもう少し掘り下げてやってもらわないといけないんじゃないかということを私は言っているわけであります。

 先ほど居心地がいいと言いましたけれども、現に知事のポストをめぐって醜い争いをしているじゃないですか、あなたたちの、特に総務省の先輩、後輩で、どけとかどかないとか。やはり居心地がいいんですよ。それは、そういった、さっき言ったように、責任を持たせるということが、そこが私はちょっとやはり要るんじゃないかなということで言っているわけですから、今後の課題としてこれはしっかり考えてもらいたいというふうに思っております。

 要するに、知事のことを例えばガバナーといいますよね。ガバナーじゃなくて、ガバナーというのは統治者という意味でしょう、そうじゃなくて、やはりCEO、チーフ・エグゼクティブ・オフィサーという、経営者、最高経営責任者という意識を持って、緊張感を持ってやっていただくように、そういうことを考えて、税制の仕組みもしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、もう一つは、さっき業績評価と言いました。これは、さっき言ったように、選挙のときに云々と言っても、なかなかこれは、うちの知事さんは、殿様は、何をやって数字がどうなっているのか、言葉で優しく調子のいいことを言う人はいっぱいいますけれども、数字で定量化してどうなんだということをもっと分かるようにする仕組みが必要なんじゃないかなと。

 それは議会の働きもあるかもしれませんが、もう一つは、第三者機関的な、そういった業績評価をきちっとやる、定量的にも含めて、そういう仕組みをつくっていく必要があるんじゃないかなと。これが、やはりうちの知事は、殿様は殿様でも名君だな、いや、ばか殿だなということを、それを評価して投票に行くということにしないと、どうもその辺の見える化が私は不足しているんじゃないかなというふうに思いますが、こういった仕組みをつくるべきだと思いますが、どうですか。問題点の認識と、それから今後の取組。

宮路大臣政務官 行政評価、そして一番大事なのは、しっかりと透明性が確保され、その中で外部の目が行政に行き届くことであろうと考えております。

 そのため、地方行政制度におきましては、地方公共団体の長に対する監視の仕組みとして、地方議会、内部統制制度、監査委員による監査、住民監査請求、住民訴訟、そして外部監査制度などが地方自治法において規定されております。

 このうち、外部監査制度は、地方公共団体が外部の専門家と個々に契約して監査を受ける制度であり、都道府県、指定都市、中核市において、毎年、毎会計年度実施されることとしております。また、監査委員については、議会の同意を得て選任される監査委員が、長とは別の独立した執行機関として地方公共団体の行政全般に関する監視を行う役割を担っています。さらに、直接選挙によって選ばれる議員によって構成される地方議会も、長に対する監視機能を有しております。

 これらの制度が適切に運用されることで、地方公共団体の公正かつ適正な行財政運営を確保していくことが重要であると考えております。

今村委員 監査委員なんかは知事の任命なんだよね。だから、結局そっちに向いちゃうんですよ。そういう問題点もあるということだけ言っておきます。

 時間が来ましたので、もう一つ、これも提言だけですけれども、私のところで、また知事さんが資金集めパーティーをやるという話が今あります。前回も四千二百万ぐらい集めてやっているんですが、このコロナの時期に、しかも、やはり予算執行権限を持っている知事が、パーティー券買えと言われると、ううんと言いながらも、しようがない、仕事をもらうのにしようがないから、買わんといかんもんなということで、随分、ぶつぶつ出ているんですよ。

 だから、こういう知事さん、首長さん、予算執行権を持った人たちはやはり議員と違うわけですから、そういった方のパーティーの在り方についてはちょっと問題があるんじゃないかなということを強く指摘いたしまして、これは今後また詰めていきますが、質問を終わりたいと思います。

伊東委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 直ちに質問に入りたいと思います。

 打って変わってテーマが変わりますが、コロナ感染症でございます。

 三度目の緊急事態宣言となっております。今回は、四月の二十五日から五月の十一日まで、ゴールデンウィークを挟んで十七日間でございますが、地方創生臨時交付金を活用した経済支援策について、どのような対策が今回は講じられるのか、これは大臣にお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 まず、都道府県が地域の実情に応じた、これまでと同じような、地方単独事業に当たるようなものとして、地方創生臨時交付金の特別枠として五千億円を創設することにいたしました。それから、それぞれの店舗につきましては、これまでと同様、引き続きまして、協力要請推進枠等を活用しまして、そして、飲食店その他、時短の要請に対して協力をしていただくというふうにやりました。

 ですから、大きな柱としては、この五千億の地方創生臨時交付金の特別枠、それから協力要請推進に係る協力金、それと、GoToトラベルの方から一千億円を持ってきましてというか、一千億円、これは旅館等の事業者等に対して様々な支援をするというようなことも創設したところでございますので、こういう幾つかの柱をしっかりとバックアップしながら、地方自治体の取組を支援してまいりたいというふうに思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 地方創生臨時交付金の中に、今までの時短協力推進枠とは別に、事業者支援分五千億を用意する、こういうことでございますが、今大臣がおっしゃった時短要請の協力要請枠も、随分扱いも複雑になってきておりまして、実はこれ、きちっと頭で整理できている人は余りいないんじゃないかと思うぐらい複雑になっております。四万から十万、三万から十万とか、中には二万五千円とか、いろいろなケースも出ておりまして、今回の対策も含めて十分な財源が確保されているのかどうか、私はいささか不安になってきております。

 今の大臣の御説明の中で、今の新たな事業者支援分、これはどこに届くのか、あるいはどういう事業が想定されるのか。協力推進枠は飲食店が中心だと思いますが、その辺の内容。しかも、十分な財源が確保されているのか。それから、これは多分都道府県に行くんだろうと思いますが、協力推進枠、規模別で、非常に複雑になってまいりましたから、事務費がついておりますが、今回の新たな措置は事務費がついてくるのか。あるいは、協力推進枠で、いろいろ議論になりましたけれども、地元負担、二割の負担があるわけでありますが、今回の新たな対策はその辺はどうなっているのか。事務方で結構でございます、確認をしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生臨時交付金の事業者支援分、先ほど大臣から御答弁がありました、これを新しく創設させていただきましたが、これは、緊急事態宣言の影響が全国に及んでいるということを踏まえまして、都道府県が地域の実情に応じた支援を、取組を着実に実施できるように創設したものでございます。

 地方負担のお話がございましたけれども、これにつきましては、これはこれまでの地方創生臨時交付金の地方単独事業分と考え方は一緒でございまして、一定の客観的な数値でもって、各都道府県、全都道府県に交付限度額を示して、その範囲でお使いいただく。事業者支援分という形で、今までの地方単独事業分よりは若干使途を絞りまして、事業継続に困っている中小・小規模事業者、感染防止強化策、あるいは必要に応じた見回り支援等々に、そういった経費にもお使いいただけるというような運用をしてまいりたいと思っております。

 これにつきまして、財源につきましては引き続き検討してまいりますけれども、予備費の活用を含めて検討してまいります。

 一方で、協力要請推進枠、これは引き続き、これも大臣から御答弁がありましたように、飲食店に対する時短要請でありますとか、あるいは今回、大規模商業施設に対する休業要請に対する協力金、こういったものを支援してまいります。これは、これまで二年度の予備費等々で逐次措置してきました額が相当程度繰り越されておりますので、それでもって、当面は直ちに不足するという状況にはならないと思っておりますけれども、今後、必要に応じまして適切な対応をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 相当複雑になってきております。全国の知事会からも強い要請もあり、蔓延防止等重点措置あるいは緊急事態宣言、その地域については、該当する地域については相当の支援策があるわけでありますが、その他の都道府県あたりから、知事会から六千億足らないというような話もあって、そうした声に応える対策だろうと思っておりますが、今の御説明の中で、今までと同じスキームということは、やはり地方が二割の負担はしなきゃいかぬということ。違うのかな、今回は大丈夫。じゃ、重ねて。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 協力要請推進枠に基づく協力金です、時短要請でありますとか休業要請、これは八割負担ということで国が実施しております。なお、特別に、九五%の負担を特別に講じるということをやっております。

 それとは別に、今回創設をさせていただきました事業者支援分につきましては、これは今までの地方単独事業分と考え方が一緒でございまして、限度額を示して、その限度額の中で、事業者支援という趣旨に合致した範囲内で自由度高くお使いいただく、こういう考え方でございます。

桝屋委員 ありがとうございました。

 とても大事な話でありますが、さすれば気になるのは今度は配分でありまして、これは当然ながら、国が上限額を各都道府県にこの五千億の財源でお示しをするんだろうと思いますが、東京とか大阪とか、大都市部、相当手厚い支援策もあるわけで、それでも足らないという声もあるわけでありますが、配分に当たっては、よくよく地方の実態を踏まえて御検討いただきたいなというふうに思います。五月の十一日で終わればいいわけでありますが、更にコロナとの戦いは続くのではないか、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 さて、地方分権一括法の中身でありますが、まず、地縁団体の認可目的の見直しであります。これはこれで、私ども、結構だと思っておりますが、地方からの声は、当初あったのは認可地縁団体が株式を保有できることの明確化ではなかったかと思います。これは、言ってみれば現行制度でも対応可能ではないかということもございますが、改めて、今回、地縁団体の認可目的そのものについて法改正をする、その背景について御説明をいただきたいというふうに思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 認可地縁団体につきまして地方からの提案において示された支障事例でございます。お話ございましたように、認可地縁団体は、不動産等を保有するため認可を受けるものとされており、株式を保有することができない旨の誤った認識に基づく指摘があったため、認可地縁団体が当該株式会社の発行株式を引き受けることができなかったという支障事例でございます。

 このような誤った認識が生まれましたのは、法律により、現行の認可の目的が不動産等の保有に限定されていることもその一つの要因であると考えられるところでございます。

 一方、これまで、自治会等が業者と契約する際等に、法的責任の所在を明確にするため法人格を取得したいが、不動産等を保有しておらず、認可申請を断念していたという事例でございますとか、団体にとっては必ずしも必要でない不動産等をあえて保有して認可を受けたという事例もあり、認可の目的を見直すべき状況にあると認識したところでございます。

 このような状況の中、支障事例が発生した背景事情等も踏まえまして、現行の認可の目的につきまして、法改正によって不動産等の保有を前提としないものに見直すことが適当と判断したものでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 そうしますと、言ってみれば地縁団体の法人取得要件が緩和されるわけでありまして、今、全国で五万を超える認可団体があると思いますけれども、これが増えるのではないかなと。私は増えることを期待しているわけでありまして、私の立場は、昨年十二月に厚労委員会で労働者協同組合法を成立させた立場でありまして、NPOとか企業組合とか、あるいは地縁団体、認可地縁団体、こうしたものはいろいろなものが私はあっていいと。地域活動を活発に、持続可能な地域をつくるためには様々な団体があっていい、それぞれ地域の実情に応じて使っていただきたい、こう思っているわけでありまして、期待をしているわけでありますが、一方、法人のガバナンスというのは本当に大丈夫なのかという心配もあるわけでありますが、いかがでしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 認可地縁団体数でございます。先ほどお話ございましたように、平成三十年四月一日時点で五万一千三十団体となってございます。近年は年間千数百団体程度増加している傾向がございます。

 認可申請自体は、任意団体として活動する各自治会等の判断によるため、増加数の見込みを具体的にお示しすることは難しいところでございますけれども、もっとも、これまで、業者と契約する際等に、法的責任の所在を明確にするため法人格を取得したいが、不動産等を保有しておらず、認可申請を断念していたという自治会等がございます。今後、このような団体からの認可申請が増加することは想定できるものと思っております。

 法人のガバナンスでございますけれども、本改正によりまして不動産等の保有を前提としない制度となったとしても、自治会等が認可を受けるためには、地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていること、その区域の相当数の住民が構成員になっていること、その区域が住民にとって客観的に明らかであることなど、認可要件を満たす必要があります。さらに、正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではならないことから、この制度が悪用、濫用されることは想定し難いというふうに考えてございます。

桝屋委員 先ほど言いましたように、様々な団体、法人格を持って地域で活発な活動が進むことを期待したいと思います。

 もう一点、地方の自治体の事務で、郵便局の取扱いが拡大される、事務の拡大がされるということでありますが、我が党の法案審査の中で議論になった点を二点確認したいと思います。

 一点は、たとえ事務拡大があったとしても、本人申請しか認められないんじゃないか、代理申請はなかなか難しいという議論がありました。ただ、この点は、改めて私どもの党の思いも酌んでいただいて対応していただいて、三月十五日に通知も発出されておりますから、ここは大丈夫だなと。

 もう一つ、我が党で議論がありましたのは、簡易郵便局も是非、せっかく事務が拡大されるのであれば、やれるようにしたらどうか、そういう強い声もあったわけでありますが、この点はどうなのか、確認をさせていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の事務を取り扱う郵便局は、郵便局事務取扱法によりまして、日本郵便株式会社の営業所であって、地方公共団体の事務を適正かつ確実に実施する能力、施設、設備を有し、個人情報の取扱いに関する必要な措置が講じられていることなどの基準に適合し、地方公共団体の指定を受けることが必要とされております。

 これは、日本郵便が、日本郵便株式会社法によりまして、地域住民の利便増進に資する業務を営むことを目的の一つとして設立されており、官公署で公務員が行うのと同等の組織的、人的、施設的条件が整備されることが求められるということによるものでございます。

 一方、簡易郵便局でございますけれども、こちらは、日本郵便の郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務の日本郵便の社外の委託先ということでございまして、日本郵便とは異なりまして、地域住民の利便増進に資する業務を営むことを目的とされている組織である日本郵便の営業所ではなく、また総務大臣の直接的な監督の対象にもなっていないところでございます。

 今後の簡易郵便局における地方公共団体の事務の取扱いにつきましては、郵便局事務取扱法の趣旨でございますとか個々の郵便局における人員や設備などの実態を踏まえまして、慎重に考えていく必要があるのではないか、このように考えてございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 当面は難しいということでありますが、難しい理由を今るる御説明をいただきました。当面、理解いたしますが、私ども、党内での議論では、せっかく地域の中で頑張っておられる簡易郵便局だから、そこもしっかり機能できるようにしたらどうか、こういう声でありますので、慎重にと言わずに積極的に検討をお願いしたいというふうに思います。

 あと、介護保険も用意しておったんですが、届きません。せっかく来ていただいて申し訳ないんですが、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。立憲民主党の長谷川嘉一です。

 地方分権一括法が上程された中で、もう言い尽くしたという思いがございますでしょうけれども、この機会に改めて坂本大臣に。

 地方分権一括法がまた新たに出されたということでありますけれども、平成五年の衆参両院の地方分権の推進に関する決議を経て、四半世紀が経過しているというのが現状であります。まち・ひと・しごとということで、東京一極集中を是正ということで、何度もお聞きして大変恐縮ではありますが、この機会にリセットして、改めて大臣の御所見をお伺いいたします。

坂本国務大臣 今委員おっしゃいましたように、平成五年に、この地方分権一括、きっかけとなりました、国と地方、上下主従の関係から対等、協力の関係へ、そして地方の自主性、自立性、こういったものをやはり育てていこうというような趣旨でございます。

 そして、平成二十六年からは自治体の方からの提案方式になりました。これは、大どころの地方分権が一応何か一段落したというような受取方もありますけれども、一方の方で、より地方が欲する声、それにきめ細かく応えていこうということで提案型というふうになりました。

 そういうことで、地方分権、着実に今進んでいるというふうに思いますので、これからもしっかりとこの流れを進めてまいりたいというふうに思っております。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 本当に、しっかり行政も所管もやっていただいていることとは思います。ただ、大本の東京一極集中、また地方の人口減少という大きな問題がこの根底にありますので、是非、なお一層の成果が上がるような取組を御期待申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 今、提案募集方式、手挙げ方式ということが行われてきているということで久しいわけでありますが、今大臣がおっしゃられた平成二十六年にこれが採用され、見直しが繰り返され、現在に至っている。

 まず最初に、これまでの提案募集方式による成果、またよかった点、これについてどのように評価なさっているか、お聞かせください。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 提案募集方式につきましては、平成二十六年の導入以来、地方創生、子ども・子育て支援関連を始め、地方の現場における様々な分野の幅広い問題を解決してきており、地方の具体の意見を反映する仕組みとして地方側からも評価いただいているところであります。

 一方で、類似の制度や関連する制度等についても併せて検討すべきではないか、個別の提案への対応の積み重ねから確認できる課題にも対応すべきではないかといった御指摘もあり、令和二年の提案募集から、類似する制度改正等を一括して検討するため、重点募集テーマの設定などの取組を行っているところでございます。

 今後とも、地方の意見に耳を傾け、地方分権改革のより一層の前進に向け、提案募集方式の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

長谷川委員 この件については、また後、質問項目の四の方で重ねて質問をさせていただきますが、御了解ください。スタートということで、そういった見直しがされているということはお伺いさせていただきました。

 次に、この中の二点目でありますけれども、提案募集方式の導入によって事務、権限の移譲や義務づけ、格付の見直しが行われたことにより、住民サービスの向上に貢献した事例の中で特筆すべきものがあれば、この機会にこの場所でお示しいただけるとありがたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 提案募集方式による成果としては、例えば、農地転用許可権限の移譲による手続の迅速化や地方版ハローワークの創設による就労支援の充実、町村都市計画決定に関する都道府県同意の廃止による手続の円滑化などが挙げられると思っております。

 これは一部の例でございますけれども、提案募集方式により、住民に身近な課題を解決することを通じ、個性を生かし自立した地方の実現や、住民サービスの向上に寄与してきているものと考えているところでございます。

長谷川委員 ありがとうございます。

 様々な特筆すべきものはほかにもあるとは思いますけれども、こういった先進事例が各自治体の刺激になって、大きく手が挙がってきたり、より一層の、競って、いい提案が出ることを期待させていただきます。

 この部分について、三点目でございます。

 提案の検討、調整というのは内閣府が中心として行われているというふうに思っておりますが、この機会に、実際に出てきた提案の取扱いがどのような基準で採択されたり審議されたりしているのか、併せてこの場でお聞かせいただきたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 提案募集方式において提出いただいた提案は、原則として内閣府において関係府省と調整を行いますが、最近の閣議決定で見直しの方向性が決定された事項や、過去の提案募集において議論済みの事項に関するもの、あるいは現行制度の支障事例、制度改正による効果など制度改正の必要性が具体的に示されていないもの、さらには、そもそも、提案の対象としております地方公共団体の事務、権限の移譲あるいは地方に対する規制緩和に該当しないものもありまして、これらは調整の対象とはしていないところでございます。

 提案の募集に当たりましては、本提案の受け付け前に事前相談を行っていただいておりまして、いただいた御相談が提案に結びつくよう、今後とも、地方公共団体の事情をよくお伺いしながら、丁寧に対応してまいりたいと考えているところでございます。

長谷川委員 そのようにお願いしたいと思いますが、なお一層、地方からの提案がしっかりと採択をされることを期待申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 先ほどの桝屋先生の質問と一部かぶりますので、できるだけ重複を避けていきたいとは思います。第十一次の一括法の内容でありますが、少し細かくなりますが、御容赦いただきたいというふうに思います。

 郵便局の部分は先生から御指摘がございましたが、確認として、私の方からもこの点について御質問をさせていただきます。内容がちょっと細かくなりますが、改正法では、地方公共団体が指定した郵便局において取り扱わせることができる事務として、転出届の受付、転出証明書の引渡し並びに印鑑登録の廃止申請の受付を事務として追加するとしております。政府は、これにより、郵便局において取扱い可能な地方公共団体の事務が拡大し、住民の利便性の確保及び運営の合理化に資するとしていらっしゃいます。

 地方からの提案の場合は、これに転入届や印鑑登録の申請についての事務も郵便局で取り扱っていただけるように求めていたと思いますが、地方からの提案の一部のみになった、この理由についてお聞かせいただきたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 今般改正することといたしました地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律は、地方公共団体の事務のうち、公証行為の一環を成す重要な事実行為について、同法に基づく適切な取扱いの下、郵便局に委託することを可能とするための制度でございます。

 今回の地方公共団体からの提案のうち、転出届の受付や印鑑登録の廃止の申請の受付等の手続につきましては、内容を精査し、事実行為としての整理が可能であることから、郵便局における取扱いを可能としたものでございます。

 他方、住民基本台帳法上の転入届等でございますが、これが受理されることで、居住関係の公証を始め選挙人名簿の作成、保険給付、課税等の様々な行政事務の基礎となるものであること、また、印鑑の登録の申請につきましても、登録された印鑑は実印として広く民間の経済取引に用いられることなどを踏まえまして、市町村の職員の対面による厳格な本人確認及び実質的審査が必要とされているものでございます。これらはいずれも公権力の行使たる公証行為と密接不可分なものであるため、事実行為として郵便局に委託することは困難なものと整理したところでございます。

長谷川委員 今後の行財政改革で、デジタル庁が設置をされておりますから、そういったところの連携が駆使されて、それが円滑に移行されると住民の利便性も大幅に増していきますので、その辺を御期待申し上げ、この関連の次の項目に移らせていただきたいと思います。

 それは、提案募集検討部会では、パートタイマーの郵便局員を地方公務員として採用したらどうかという提案もあったというふうに聞き及んでおりますが、本来業務に支障を来すおそれがあることから、どのような課題等があったか検証を行うということでありましたけれども、具体的な内容をお聞かせ、できればと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 郵便局の活用は、人口減少問題を抱える地方行政におきまして、行政の効率化及び住民サービスの向上を図る上で重要なツールの一つであると考えてございます。

 一方で、郵便局職員を市区町村のパートタイムの会計年度任用職員として任用する場合には、同一の者が郵便局職員としての業務と市区町村の職員としての業務に従事することとなるため、市町村職員、郵便局職員、それぞれの服務規律及び職務専念義務の整理や業務遂行の具体的な調整等の課題があるところでございます。

 これらの課題を検証し、どのような方策が考えられるか、引き続き関係部署とともに検討していきたいと考えてございます。

長谷川委員 ありがとうございました。

 これについてはこれで終わります。あとは介護保険法の一部改正についても質問の予定でありますが、時間の関係でちょっと順番を入れ替えさせていただくので、御容赦ください。

 次に、地方創生推進交付金の運用、そしてまた課題についてお聞かせいただきたいと思います。

 前回の質問にも一部重複しますけれども、予算の執行率が余り高くないのではないかという認識を私は持っております。具体的には、平成二十八年が三四・一%、順次上がりまして、令和元年度が五五・六%となっていると承知しております。運用改善が行われているとは思いますが、この数字にとどまっている、このことについての御所見、御見解をお聞かせください。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 まず、地方公共団体の先導的なソフト事業を支援する地方創生推進交付金について、確かに、予算現額、前年度繰越額を含めた予算額に対する支出済歳出額の割合でございますが、これは令和元年度で約五六%となっております。

 ただし、地方公共団体において事業を執行する上で行われる入札等を経て実際に支出された支出済歳出額ではなく、国として事業を採択する際に事業費として把握した金額である採択額を用いて予算現額に対する割合で見れば、令和元年度の数字は約六八%となってまいります。また、予算額と採択額の比較で見れば、令和二年度までの三年間は採択額が予算額を上回っております。ということで、数多くの地方公共団体から相当程度御活用いただけているものと認識しております。

 また、御指摘の運用の改善や弾力化といたしましては、これまでも、地方の要望等を踏まえ、例えば、申請の上限件数、上限金額の引上げ、交付決定の時期の前倒しや年間を通じた事前相談の実施などを順次進めてきております。

 今後とも、地方公共団体の効果的な活用に向け、適切に取り組んでまいります。

長谷川委員 ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきます。次の質問は、地方からの声ということで、細かく区切らせていただきますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、市町村、特に小規模町村からの提案が少ないということが挙げられると思います。その要因については、単独事業のみでなく複数事業をパッケージ化した申請が必要となっている、こういった要件に合うような申請書の作成等、事務手続の作業量が多い等々が挙げられると思いますが、いかがでしょうか。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 地方創生推進交付金の活用に当たっては、あくまで事業ごとに申請をいただいておりますが、申請いただく事業については、これは、地方創生の趣旨を踏まえまして、地方再生法上、地方公共団体が策定する地方総合戦略に位置づけられた自主的、主体的で先導的な事業であって、多様な主体との連携、分野の異なる施策相互の有機的な連携を図ることで効率的かつ効果的に行われるものを支援することと定められておることから、内閣府としては、採択に当たり、官民協働や政策間連携などの工夫を凝らした事業となるよう地方公共団体にお願いしているところであります。

 なお、申請に係る負担軽減の観点から、先駆的な事業計画を検索、閲覧できるシステムを令和二年度から導入し、その活用を促すことや、効果的な事業実施に資するガイドライン、事例集を作成、周知等を行っております。

 今後とも、効率的、効果的な交付金の活用に向け、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

長谷川委員 これに関しましては、私の県なり自治体からも手挙げ方式で事業が採択、実施されている関係で、やはり人口減少が非常に激しい地区が、中山間地、多くございます。そういったところは、やはりそれに対応することが難しいというのが現実でございました。そういうところほど地方の活力を創出する必要があろうかと思いますので、手挙げ方式でいいのかなというふうな問題点も感じる次第でございます。こういったところに対しても、提案しやすい環境に御配慮いただけますことを御期待を申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次の部分については、この項目ですけれども、認定期間についてでございます。交付、先駆タイプが五年、それから横横断タイプが三年となっておりますが、特に、小規模な町村では他の自治体の模範となるような先進事例をつくることは難しい、また、先駆タイプはハードルが非常に高い、自治体から見ればです、と思われます。特に、小規模な自治体は横展開タイプの計画認定の年数を延ばすなど、そういった配慮も今現在もうされてもいい状況ではないかなというふうな声もありますが、いかがでしょうか。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 地方創生推進交付金の先駆タイプは、官民協働、地域間連携、政策間連携等の先駆的な要素が含まれる事業、横展開タイプは、先駆的、優良事例の横展開を図る事業としており、それぞれの事業の性質に応じて期間を設定しております。

 この四月一日に交付決定した令和三年度第一回地方創生推進交付金事業において、先駆タイプとして採択された新事業六つのうち、申請主体に町村が参画している事業は四つございます。

 なお、横展開タイプの事業であっても、企業版ふるさと納税の活用により、一定の寄附見込額以上を地方負担分へ充当する場合は最長五年間の事業計画の申請を可能とするよう、令和元年度から制度の見直しを行っております。

 また、同交付金制度を開始した平成二十八年度から、広域連携事業として、都道府県等との連携により先駆タイプの事業を申請することも可能となっております。

 いずれにしましても、地域の実情や事業の性質に応じ、地方公共団体において、どのような事業設計をし、どのタイプで交付申請を活用するか検討いただくことになりますが、引き続き、地方からの事前相談に積極的かつ丁寧に対応して、事業の積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

長谷川委員 それに対しては地方の声に、相談に対応しているということで受け止めさせていただきましたけれども、令和元年からスタートしたということで、逆に地方側がその辺の理解を十分されていないという状況があるということも御認識をいただければありがたいと思います。

 それでは、この点についての三つ目でありますけれども、申請期間の問題です。これは、内示から交付申請までの期間が短い、この間の内容の修正や額の変更がある場合は、特に市町村分については都道府県を経由するためにスケジュールが非常にタイトになっているということから、スケジュールの見直しも必要ではないでしょうかという声が上がっておりますが、いかがでしょうか。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 近年、地方創生推進交付金の第一回募集の交付決定については、これは地方公共団体からの要望を受けまして、年度当初から事業実施を可能とするために、四月一日の交付決定としてきたところでございます。このため、国会での予算審議も踏まえつつ、審査終了後速やかに地方公共団体へ内示を行うとともに、四月一日の交付決定に向けた交付申請をお願いしているところであります。

 今後につきましては、地方公共団体の声を十分に伺いながら、必要であれば、四月一日に交付決定が必要な継続事業分と新規事業の交付申請時期を分けることの是非なども含めまして、十分に伺いながら、効率的な運営を引き続き検討してまいりたいと考えております。

長谷川委員 是非是非そのように対応していただければと思います。

 これについては所見を述べさせていただきますけれども、平成二十八年から令和二年までの地方創生交付金の活用状況を県別に見させていただきました。全国平均では七〇%台、七七・九%でありますけれども、私の住んでいる群馬県の場合、七七・一%、ほぼ全国平均に近いという数字で、まず遜色はないわけです。逆に、栃木県では一〇〇%お使いになっている、埼玉県では財政力があるからでしょうけれども五四%というふうなことで、ならすと七七・九%というふうになっておりますが、こういった部分で問題はやはりあるのかなとは私は考えております。

 群馬県の事例の中で、私の住んでいる地域が二市五町、二つの市と五つの町がございますけれども、この辺の状況を見させてもらいましたところ、行政規模、人口規模は違うんですけれども、二つの市がありますが、その中の一つの市ともう一つの市を比べてみると、一対九十五ということで物すごい大きなばらつきがあって、その一が出てきたのがついついこの間であったということであり、市レベルでもそういった大きな差がある。

 また、五つの町がありますけれども、この申請をしているのは二つだけなんですね。二つのうちも、一つはほとんどないに等しいと言ったら失礼ですけれども、本当に僅かでありまして、一つの町が二十に対して、そこは一。一対二十という大きなばらつきがあるのも事実であります。

 そういったばらつきがあるから、ますます行政間格差とか地域間格差が広がりかねないような状況にあって、こういった制度もあるけれども、十分活用できるところと、活用させて活性化しなければいけないんだけれども活用できないという地区もあるということは、改めて御指摘を申し上げておきたいと思います。そんなことで、私の方からはこの点については終わります。

 次に、群馬県における豚熱の質問に移らせていただきます。

 御存じのとおりに、群馬県においても四月二日に再びまた豚熱が発生し、一万頭以上が殺処分されて、続いて、今度は栃木県にも広がり、これは実に三万七千頭。

 養豚県である群馬県は全国でたしか四番目だったと思います。栃木県も相当、群馬県と同じように高い。あとは茨城、南でいくと千葉というのはありますけれども、千葉あたりも相当な養豚県で、まだそこまでは行っておりませんが、極めて厳しい状況がございます。

 これについては、ワクチン接種をした豚から発生しているということでありますので、飼養衛生管理とか防疫体制に大きな問題を投げかけておりますが、この辺の状況について、当局の御説明をお願いいたします。

伏見政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、ここ最近になって、群馬県、栃木県というところで、ワクチンを接種した農場で発生しております。

 特に、先生の御地元の、四月二日に群馬県前橋市において、群馬県二例目、全国では六十四例目ということで豚熱の発生が確認されました。

 まさに先生御指摘のように、発生農場と疫学関連農場、合わせて約一万頭、飼養豚を患畜又は疑似患畜と確定いたしました。群馬県では直ちに初動防疫に着手しまして、防疫措置に当たっては、周辺県からの獣医師の応援や自衛隊からの御協力もいただきながら、四月十六日には殺処分、埋却、消毒といった防疫措置を完了したところでございます。

 また、感染経路の究明のためには、翌日にすぐに国の疫学調査チームを直ちに派遣いたしまして、疫学調査結果によりますと、豚舎に入る際の作業着及び手袋の交換、手指消毒が実施されていない、二つ目として、母豚の豚舎間の移動の際には通路を消毒せずに直接農場を歩かせていた等の飼養衛生管理の不備が見られたところでございます。

長谷川委員 御説明ありがとうございました。

 これについては既に、その媒体となる野生イノシシが、二十四県でこの感染が確認されているということであります。地方創生とは直接絡まないにしても、これから地方が疲弊しない、養豚業をやめてしまうというところが出ないような対応、また御指導も必要かと思います。

 また、もう一つ、この対応のために多くの獣医師が必要とされるわけでありますけれども、立憲民主党は三月十九日に獣医師確保に向けた議員連盟を立ち上げました。設立総会において、その中で、家畜伝染病予防法改正を踏まえ、獣医師が衛生管理業務を進めやすくするための必要性が訴えられております。こういったことも申し添えさせていただいて、この質問を終わらせていただきます。御説明ありがとうございました。

 最後の質問に移らせていただきますが、地方の人口減少が激しい地域に対する分析と対応というのが極めて重要ではないかと思っております。まち・ひと・しごと、一極集中を是正するという部分でいくと、前からもう三回目になりますけれども、急激に人口が減少しているところ、あとは人口の減少化率が何倍にもなっているところ等々がありますけれども、こういったところについては、人口減少が収まるどころではなく、加速している状況がございます。

 こういったエリアを絞った、その原因、またその対策を分析を、なさっているものがあればお示しをいただきたいと思います。

菅家政府参考人 お答えいたします。

 地方におきましては、今先生御指摘もございましたような人口が急速に減少している地域、こういったところにおきましては、出生率の低下による人口の自然減、それから特に若い世代が流出することによる人口の社会減、この両者が相まって人口が急速に減少しているというふうに考えてございます。

 ただ、出生率の状況あるいは人口等の状況は地域ごとにまさに様々でございますので、そういった地域の地方創生を進める上では、国が一律の対応をするというよりも、各地域が自主的、主体的に状況を分析をしていただいて必要な取組を進めていただくということが大切であるというふうに考えております。

 政府といたしましては、こうした地域の主体的な取組を地方創生推進交付金などにより支援するとともに、地方移住の促進や地方創生テレワークの推進、魅力ある地方大学の実現などによりまして、地域の魅力を高める施策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

長谷川委員 時間が参りましたのでコメントにさせていただきますが、極めて受動的な政府の対応であり、本委員会が掲げるまち・ひと・しごと、東京一極集中を是正するというふうなものに期待が持てるような御答弁ではなかったなというふうに思っております。

 逆に、政府自らそれを分析して、手挙げ方式ではなくて、これを事業として推進することによって成功事例を生み出して、それを各地域に波及させるという取組は、これは必要ではないかというふうに思っておりますし、そういった地域地域の特性を見ると様々な部分があります。

 特に、関東圏である私たちの北関東、群馬、栃木においても東京一極集中が進んで、群馬県でも八年間に三倍になっている。主に教育だったり仕事だったりするわけですけれども、通勤圏であってもそういった状況。あと、四国あたりを見ると、一部の地域を省いて、ほとんどがかなり厳しい状況。北陸も東北もそうです。そういったエリアを絞って分析をして、どういった対策が必要なのか、しっかり政府として指針を出すこともこれから必要ではないかということを申し添えさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 今日は、時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 この地方創生特別委員会に所属して四年目になります。毎年、この地方分権一括法が出てまいりますので、そもそもどういう経緯で始まったのか、これは一体いつまで続くのかという素朴な疑問を持ちました。

 そこで、調べてみました。

 第四次一括法の成立までは、地方分権改革推進委員会の勧告事項について検討し対処をしていたところ、これが一通り終わったということで、提案募集方式が始まったとのことです。平成二十六年四月に提案募集方式の導入が決定し、この年、提案募集を開始し、平成二十六年五月、提案募集をしたところ、七月までに地方公共団体など百二十七団体から計九百五十三件の提案がなされた、これが最初かと思いますけれども。

 提案募集方式なので、基本的に、自治体から提案があってその要望をかなえていくということですから、基本的にはよいことだと思うんですけれども、ただ、大分出尽くしたのではないかというような気もいたしますし、果たして毎年募集する必要があるのかということも疑問に思っております。

 もしかすると、忙しい地方公共団体が毎年毎年この募集を求められる時期があって、何か出さなきゃといって出しているかもしれませんし、負担になっているかもしれない、そういうことも考えられるわけでして、これまでの取組の評価、それから今後について、いつまで続けるのか、あるいは、募集を隔年にするですとか、一回期限を区切ってみるとか、何かお考えでしょうか。大臣にお伺いいたします。

坂本国務大臣 提案方式につきましては、委員おっしゃいましたように、平成二十六年から、例えば地方創生、それから子ども・子育て支援の関連を始め、いろいろと出てまいりました。令和二年も二百五十九件出ておりまして、その中で九割を内閣府と自治体の、あるいは各省庁との話合いで対応しているということであります。地方の方からも非常に評価を受けております。国が気づかないことを地方から提案していただく、この辺がみそであります。

 それから、今後、デジタル化、あるいはグリーン化、そして人口減少、あるいは少子化対策、様々に地方の実態が変わっていく中で、やはり国で気づかないようなことがこれからもっともっと出てくるのではないだろうかというふうに思っておりますので、私たちとしては、こういった地方の意見に耳を傾けながら、地方分権改革を一層前に進めるためにも、この提案募集方式というものは続けてまいりたいというふうに思っているところであります。

亀井委員 提案募集方式自体は必要なことだと思っているので。ただ、そのペースについて、今後について、ちょっと疑問に思ったので質問いたしました。

 さて、提案募集検討専門部会があるわけですけれども、当初から、それとは別に農地・農村部会というのがあります。平成二十五年十月以降、農地転用に係る事務、権限の移譲や農地転用等に係る規制緩和について検討を続けていた農地・農村部会が七十九件、十一項目の提案の検討を行うこととしたとあるんですけれども、なぜ農地・農村部会というのが独立してあるんでしょうか。ほかの専門部会はあるんでしょうか。

 もし農地・農村部会だけが独立してあるのだとすると、特に農地に関する規制緩和に力を入れてやってきたということなのだろうかとも思うんですけれども、まず、この農地・農村部会というのがどのような位置づけで、なぜ独立してこの部会を持ったかということについて、政府参考人の方にお伺いいたします。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 地方分権改革有識者会議では、地方分権改革の推進に関する施策のうち特定の事項についての客観的な評価及び検討に資するため、必要に応じ、専門部会を開催することとしております。

 地方分権改革推進委員会から勧告がなされた事項のうち、残された課題でありました国から地方への権限移譲に取り組む中で、農地転用に係る事務、権限の移譲等についても大きなテーマとなったことから、平成二十五年十月に有識者会議の下に農地・農村部会を立ち上げ、集中的に検討を行うこととしたところでございます。

 その後、この農地・農村部会における検討結果等を踏まえまして、平成二十七年の第五次分権一括法により農地転用許可の権限移譲等を行ったところでありますが、それ以外にも、平成二十五年度には雇用対策部会、これは主として地方版ハローワークの検討などを行っております。それから、地域交通部会というものも平成二十五年に立ち上げまして、自家用有償旅客運送の在り方等についての議論を行っております。

 現在、主に開催しております提案募集検討専門部会につきましては、提案募集方式が正式にスタートした、先ほど先生も御指摘がありました平成二十六年の夏から提案募集検討専門部会というのを立ち上げて、それ以降は、基本的には、重要事項の審議はこの提案募集検討専門部会において議論するということを基本とさせていただいているところでございます。

亀井委員 農地・農村部会について、大臣にもお伺いしたいと思います。

 この部会が独立してあったということは、規制緩和の分野の中でも、特に農地法のところ、農地に関して特別に政府が関心が高くて、この分野の規制緩和を進めるために独立させた部会を持ったのかしらとも思うんです。坂本大臣は農政にもお詳しい方だと思いますが、この点について、特に農地の規制緩和が内閣府を中心に進んだのではないかということについてどのように捉えていらっしゃいますか。

坂本国務大臣 農地転用については、自治体の方の悲願、権限移譲については悲願ともいうべきものでした。どんどん開発が進む、しかし農地があるがゆえにそこが開発ができない、あるいは、過疎地においては、もう耕作放棄地に事実上なっている、農地として活用できない、それで、そういうものも一つ一つ国にお伺いを立てなければいけない。そういうことで、地方公共団体の方からはこの権限移譲というものをこれまで強く求められていたところであります。

 しかし、さはさりながら、一方の方で、やはり食料安定のために農地はしっかり守っていかなければいけない、スプロール現象というものをつくってしまってはいけないというような、やはり農業サイドの声もありました。

 そういうことで、最終的には、権限は移譲するけれども、都道府県やあるいは指定市町村の方に移譲するけれども、農地全体の面積、そういったものについてはしっかり国の方と地方の方で話し合っていきましょうねというような枠組みになりました。そういうことで、地方への権限移譲はしながら、農地の総量確保の仕組みについてそれぞれが話し合う、こういう難しい作業過程を経てきたわけです。その作業をしていくためにはどうしてもやはり専門部会が必要になってくる、こういう新たな部会が必要になってくるということで、農地という特殊事情に鑑みて農地・農村部会というものをつくったということであります。

 今事務方から言いましたように、同じように、じゃ、タクシーについて、白タクの問題あたりをどうするのか、あるいは雇用について、誰でも雇用して、職安のようなことをしていいのかというような、これも難しい問題でありますので、この二つについてもこれまで部会と専門部会というものをつくって慎重に論議をしてきたというのがこれまでのいきさつでございます。

亀井委員 経緯について御説明いただき、ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったように、権限は都道府県に移譲するとしても、農地の総面積を維持するというのは大事である、それは食料安定の面からも大事であるということは私も全く同じ考えですので、権限が移譲されたからといって農地がなくならないように、また、先日、国家戦略特区の議論で株式会社の農地所有についての議論もいたしましたけれども、農地転用につながらないようにということをしっかり政府としても見ていただきたいと思います。

 今でさえ、食料自給率四割を切っていますから。そして、私たち一億人を超えた人口を皆食べさせるためにはもう既に農地が足りないので、本当に輸入がもし止まったときに、私も調べましたけれども、米ぐらい食べられるのかと思ったら、芋に換わるんですよね、芋換算でのカロリー計算ですから。それではどうにもならないと思いますので、農地はしっかりと守っていただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。

 次は、郵便局の公益性についてです。

 今回の改正内容の中に、郵便局が、転出届の受付、それから転出証明書の引渡し、印鑑登録の廃止申請の受付事務をできるようにするというものがあります。

 全国津々浦々、二万四千局、郵便局がありますから、地域の人が郵便局で公的な手続をすることができるというのは、地元から提案が上がってきたというその状況もよく分かりますし、よいことだとは思うんですけれども、一方で、今の日本郵政の進んでいる方向性に私は疑念を持っております。

 日本郵政が楽天グループと先日、資本提携をしました。その楽天の大株主が中国資本のテンセントになったということで、経済安全保障の観点から日米の監視対象となっています。郵便局の役割が以前にも増して、地方公共団体の事務を引き受けるほど公的役割がむしろ民営化されてから増しているのに、一方で、親会社の方が民間と提携して、その大株主が中国資本である、外資系であるというのは、これはすごく矛盾していると思います。

 大変問題だと思うんですけれども、このことについて総務省はどのように捉えておられますか。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本郵政グループは、御指摘のように、令和三年三月から楽天グループと資本業務提携を開始したところでございます。総務省としては、データの取扱いを含めて、適切な業務運営が実施をされるように監督をしてまいらなければならないと考えております。

 一方、今般の郵便局事務取扱法の改正は、郵便局を通じた地域住民に対する行政サービスの維持に寄与するという観点から、郵便局が取り扱える地方公共団体の事務として転出届の受付などを追加するものでございます。

 この法律に基づき取り扱う個人情報については、一つには、日本郵便株式会社には当該情報の目的外利用を防止するために必要な措置を講じること、二つ目として、担当する職員は秘密保持を行うことといった義務が課せられております。そのため、郵便局において地方公共団体の事務を取り扱うことを通じた情報の取扱いに関して問題が生じることは考え難いと考えておりますが、総務省としてはしっかり注視をしてまいります。

亀井委員 今、総務省はデジタル庁もこれからつくってデジタル化を進めていくわけですから、様々な手続、公的手続がデジタル化されていく中で、楽天と提携したときにシステムがどうなるのか。そこで何か、印鑑登録など、そういうことも郵便局でするわけですから、そのシステム上、何か情報が出ていったりしないだろうかというのは普通に心配することだと思いますので。全体的な日本郵政の方向性がとにかく分からない。私、漂流していると思います。

 次の質問もその関連ですけれども、郵便局に公的な役割を与える、地方公共団体の事務を増やすというのはなぜかといえば、それは二万四千局もあるからだと思います。そこで公的な手続ができれば非常に便利だから、地元から声が上がってきて、今そういう事務の委託という方向になっているわけですけれども、郵政民営化の一番のあのときのやはり問題点というのは、民営化したときに、地方の郵便局が効率が悪いということでなくなっていくんじゃないかということでした。

 経営上、金融二社がそちらで黒字をつくって、当時三事業一体だったので、金融二社で稼いだ分で全国の赤字の郵便局を全部、津々浦々、カバーしていたわけですよね。今も金融二社が郵便局に事業を委託して、その委託手数料で二万四千局を支えているので、これ、株が売却されていって株主が増えていったときに、何で民間の会社なのにそんなもうからないところに店舗を出していなきゃいけないんだ、委託するのをやめてしまえと言った途端に二万四千局なんて維持できなくなるわけですよ。そういう構造的な問題があるから、あのときに反対が起きたんですよね。

 それで、つい先日、四月二十二日に民営化委員会の方からまた提言がありました。それは、ゆうちょとかんぽ生命への日本郵政の出資比率を五〇%以下に引き下げた上で、全株式処分への道筋を示せと言ったわけですね。

 日本郵政が民営化されてから、オーストラリアのトール事業、この会社を買って大損して、そして今回、売却して、特別損失六百七十四億円を計上しています。かんぽの販売の不正もあって、全くいいことがありません。

 それで、今、地方公共団体の事務を各地の郵便局にお願いしながら、先ほど申し上げたとおり、外資が大株主になっている企業と提携をしてみたり、金融二社の株を早く売却しろなんというのは全く矛盾していると思いますけれども、一体、日本郵政の事業について総務省はどういうふうに考えていますでしょうか。そして、郵便局、全国津々浦々、二万四千局を維持しよう、ユニバーサルサービスを維持しようというその姿勢は本当にありますか。お伺いいたします。

古川大臣政務官 お答えします。

 日本郵政グループの大きなテーマとして、郵便局によるユニバーサルサービスの責務の履行、このことがしっかり記されているところでございまして、このことについての考え方は何らこれまでとの違いはございません。

 一方で、郵便局事務取扱法によりますと、地方公共団体事務を受託する日本郵便は、政府による三分の一以上の株式保有を義務づけられている日本郵政の完全子会社でございます。

 一方で、日本郵政が保有するゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、この株式は、郵政民営化法において、両社の経営状況、ユニバーサルサービス責務の履行への影響などを勘案しつつ、できる限り早期に処分することと法律上されているところでございまして、日本郵政がその経営判断により進めていくことになることになっておりまして、日本郵便と、ゆうちょ銀行、かんぽ生命については、それぞれ、いわば進む道が違うというところでございます。

 総務省としては、金融二社の株式売却を含めた郵政民営化を進めていく中で、日本郵政及び日本郵便が、郵政事業のユニバーサルサービスを安定的に提供するとともに、利用者利便や企業価値の向上に取り組むことによりまして、郵政事業の公益性及び地域性を引き続き十分に発揮していただきたいと考えているところでございます。

亀井委員 幾らユニバーサルサービスを維持するというふうに書き込んであっても、お金がなくなって維持できなくなるということがあるわけですよ。金融二社はその鍵なんですよね。

 だから、金融二社の株が全株売られちゃったときに、当然株主は、郵便局なんか気にしていないですから、金融二社がもうかればいいわけで、何でそんな、例えば半島の先っぽとか中山間地とか、そんなもうからないところに店舗を出しているんだ、何でそんなところに委託しているんだと言われてしまったら、株主の力は強いですから、そっちの方向に引っ張られますよね。

 そういうことが起きないように、そもそも郵政民営化に反対した人もたくさんおり、そして、民営化してしまっても、何とかユニバーサルサービスが維持されるように改革法なども作ったわけですけれども、玉虫色の決着になった中で、結局、経営者判断に委ねられる、そういう法改正なんですよね。

 ですから、郵便局を過疎地も含めて維持しようと思ったら、全株なんて売却できないんですよ。そこで踏みとどまらなきゃいけないけれども、今、この提言に従って、増田大臣も日本郵政の二社への出資比率を五〇%まで下げていくようなことを発言をされたんでしょうか、そういうふうに報道もされていますし、全株売却を金融二社に関して急げと言われているわけで、これ、全部本当に売却してしまったら、幾らこの地方創生特別委員会で過疎地が大変だ、人口減少が大変だと言っていても、郵便局が維持できなくなって、なくなっていったら、今回の事務手続の委託も何の意味も持たなくなるんですよね。ですから、今ここで日本郵政の仕組みについてもう一回考えないと、本当に手遅れになります。

 私も今、立憲民主党の中で郵政民営化の検証のワーキングチームをつくって、提言を出そうとしています。必要なら法改正に結びつけたいと思っているところでして、前の民営化の改革法も自民党さんと一緒に議員立法でやりましたから、なかなか政府が、民営化するぞと小泉さんが民営化を押し切って解散までして変えてしまったものを、なかなか政府主導でやるということは難しいのかもしれませんが、是非、与党の方にも問題点をきちんと理解していただいて、手遅れになる前に、日本郵政の問題、解決をしていきたいと思っておりますので、政府の方も早まらないようにお願いをいたします。

 次の質問は、地方ローカル線の維持存続についてです。

 JRも民営化されて随分時間がたちました。今年、コロナの感染であらゆる業界が経営不振になっておりまして、鉄道も例外ではありません。利用者が減っておりますから、非常に苦労しております。

 先日、JR西日本の長谷川社長が、定例会見、これは二月二十八日なんですけれども、赤字ローカル線の維持が非常に難しい、今まで黒字路線から穴埋めをしてきたけれども、二〇二一年三月期の連結純損益が二千四百億円の赤字に転落したので、赤字路線をこれ以上維持するのは難しいというような会見をされて、今、地元で大騒ぎになっております。

 私の地元島根県では、三年前、二〇一八年の三月三十一日に三江線というのが廃止されました。これは、島根県の江津市から広島の山間部、三次までつないでいた路線でして、これが廃止されました。

 そして、この後、今度次に危ないと言われているのが木次線という路線でして、宍道湖の脇にある宍道から広島県の庄原の備後落合というところまで結んでいる路線で、これが間違いなく今回の廃止対象として議論されているはずです。

 そこで、今、地元からも要望が上がってきていますけれども、この路線が通っている松江市、雲南市、奥出雲町の三地方公共団体が、国土交通大臣に対して鉄道事業法の改正を求めています。つまり、今の制度だと、鉄道事業者が届出によってその路線を廃止できてしまうわけですけれども、そこに、そのことによる影響、鉄道活性化の取組とか廃止に伴う影響を国が評価する、そういう処理手続の見直しが必要なのではないか、そういう申入れをいたしまして、鉄道事業法の改正を求めています。

 この問題、島根だけじゃなくて、ほかの地域でも同じようなローカル線の問題には直面しているでしょうし、国鉄を民営化したときに、ここまで都市と地方の格差が広がるとは思っていなかったんじゃないでしょうかね。

 これ以上ローカル線が廃止されていくと、幾らここの地方創生特別委員会、特別委員会をつくって人口減少問題に取り組んでいても、ローカル線がなくなったらもうとてつもない影響で、やはり人が住めなくなりますから、郵便局も同じなんですけれども、国土交通省に対して、鉄道事業法の改正をされる気はないか、伺いたいと思います。

朝日大臣政務官 お答え申し上げます。

 鉄道事業法におきましては、鉄道路線を廃止しようとする場合、その廃止予定の一年前までに国土交通大臣に届け出ることになっておりますけれども、その際、鉄道事業者におきましては、地域に対して丁寧な説明を行い、その理解をいただきながら廃止の届出が行われることが一般となっております。

 先ほど委員もお示しいただきましたJR西日本三江線におきましては、JR西日本が廃止の意向を示す前に、沿線自治体自らが立ち上がりまして活性化協議会が発足をいたしました。そこにJR西日本も参加をいたしまして、増便社会実験などを始めとした活性化の取組を五年にわたり推進するなど、丁寧な関係構築に努めてまいりました。

 国土交通省におきましては、鉄道事業者に対しまして、地域に対し丁寧な対応をするよう必要な指導を行うとともに、地方運輸局を通じまして、地域公共交通活性化再生法の枠組みを活用して、当該鉄道事業者と地域が連携をし、鉄道の活性化を始めとした必要な議論が円滑に進むように支援をしてまいります。

亀井委員 地域の努力ではどうにもならないところまで来ておりますので、鉄道事業法の改正について真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、松田功君。

松田委員 立憲民主党の松田功でございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。地方創生臨時交付金の使途としての地方公共交通への支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 令和二年度第三次補正予算において、地方創生臨時交付金が一・五兆円設置されました。地方創生臨時交付金は地方公共交通の支援にも活用できることになっているにもかかわらず、地方公共団体の間で温度差が生じております。

 特にタクシー事業者は、地方自治体においては市民の身近な公共交通としての役割は大きく、バスや鉄道がないところでの地方において必要性は高いものとなっております。

 今、コロナ禍においてタクシー事業者の経営が厳しくなり、公共交通の役割を維持することが難しくなってきております。

 北海道の旭川市においては公共交通運転従事者を慰労金で直接支援をしたり、紋別市では、公共交通事業者に対する経営支援として、一事業者百五十万円プラス従業員一人当たり三万五千円を決めております。秋田県等、対応しているところもございますが、まだまだでございます。

 新規コロナ感染症の拡大で、公共交通の運転従事者は、国の事業継続要請を受け、高い感染リスクを抱えながら日々勤務し、経営をしていかなければなりません。このような地方公共交通の現状に対して、基礎自治体側に意識を高めていただくことが必要であると考えます。

 地方創生臨時交付金の使途として地域公共交通への支援に活用できる旨を周知徹底を是非していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 今言われましたバス、タクシーを始めとする地域交通機関、本当に地域の方々にとっては重要なものであるというふうに思います。

 そういう中で、委員御指摘の地方創生臨時交付金、これも各自治体の判断によりまして、困っている方々のためにどうやって使っていくのか。自由度が高い交付金でありますので、広域の公共交通機関の支援にもしっかり使用されている事例も多々あるというふうに思っております。

 私の町の隣の村では、村のタクシー会社がありまして、タクシーが三台か四台ぐらい、一日の売上げが一万五千円から二万円だというふうに言っておられました。やっとこれから、ワクチン接種が始まると、高齢者の方がタクシーを利用するので少しよくなるかなぐらいのことでございました。

 そういうことで、地域、特に今高齢化が進んでいる地域においては大変な重要な問題でございますので、国土交通省を始めとした関係省庁と連携をしながら、地域の暮らしに不可欠な、地域住民の足となる公共交通サービスを確保する取組が維持できるように、しっかりと今後も取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

松田委員 今、特に地方創生をする地方自体に、バスや鉄道がないところも、それぞれ集落があったり、それの本当に最後の公共交通はタクシーであるということでありますので、その意味においては、タクシーを経営している会社は中堅のところがあって、非常に体力も厳しい部分もあるということは大臣も御存じかと思われます。その意味において、一生懸命、皆さん、何とか地域の公共の足を保とうと思って努力もしているところでありますので、是非今後とも注視していただいて、是非御指導いただければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、次に移らせていただきたいと思います。地方分権改革の課題の対応についてちょっとお伺いをさせていただきます。

 地域経済の再生や人口減少社会への歳出圧力が高まる中で、住民から求められる役割を地方公共団体が引き続き果たしていくためには、地方税財源の充実強化が不可欠となっております。新型コロナウイルス感染症の影響により、税収減を始めとした地方財政への影響が懸念をされております。提案募集方式において、国、地方の税財源配分や税制改正に関する提案が対象とされていないことについてどう考え、どう評価されているか、お聞かせください。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 現在取り組んでいる地方分権改革の提案募集方式におきましては、地方への事務、権限の移譲及び地方に対する規制緩和を提案の対象としているところでございます。

 国と地方の税財源配分や税制改正それ自体につきましては、制度全体を視野に入れ、専門的に検討する必要があり、総務省等の所管省庁において検討されるべきものであることから、対象外としているところでございます。

 内閣府といたしましては、今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って提案募集方式等に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

松田委員 国、地方の税財源配分や税制改正に対しては総務省の方も大きく考えがあると思いますので、総務省の方の、このコロナ禍の影響も含めた中での御見解をお聞かせください。

馬場政府参考人 今御指摘いただきましたように、現下の地方財政は、新型コロナウイルスの感染症の影響によりまして地方税収が大幅に減少するなど、大変厳しい状況にあると認識をいたしております。

 このため、令和三年度におきましては、地方団体が行政サービスを安定的に提供しつつ地域の重要課題に対応ができるよう、地方交付税総額について、前年度を〇・九兆円上回る十七・四兆円を確保するなど、地方の一般財源総額について、水準超経費を除く交付団体ベースで実質前年度を〇・二兆円上回る六十二・〇兆円を確保しているところでございます。

 このような内容の令和三年度地方財政対策につきましては、地方六団体からも高く評価するとの共同声明が出されているところでございます。

 地方団体は新型コロナウイルス感染症対策に懸命に取り組んでいただいているところであり、今後とも、その財政運営に支障が生じないよう、地方財政の実情を踏まえ適切に対応してまいりたいと考えております。

松田委員 コロナの感染症の影響は、地方の自治体の小さい規模は特に影響も大きい部分もございますし、また、企業が非常に倒産に追い込まれたりとかということで税収が減っていくということでありますので、その辺はよく注視していただいて、財政運営に負担がないようにできるだけ御協力をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、引き続きまして、市町村の提案募集についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 提案募集方式が導入された平成二十六年以降、提案を行った市区町村の合計団体数は五百七十六団体であり、依然、全体千七百四十一団体の三三・二%、三割強となっております。特に町村は、全体九百二十六団体の二割、二百団体にとどまっております。人口規模が小さいほど一団体当たりの提案数が少なくなっている傾向となっております。

 小さい団体ほど職員の人員も少ないということで、提案がしにくい面もあるのかなというふうにも考えられますが、人口規模の小さい団体からの提案が少ない理由についてどのようにお考えになられているのか、お聞かせください。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年の提案募集では、新型コロナウイルスへの対応もある中で、地方から二百五十九件の提案をいただいておりまして、この中で、これまでに提案実績のない八十市町村から新たに提案をいただいたところであります。

 また、過去の実績は、先ほど委員御指摘のように、市区町村全体の割合では、全市区町村の約三分の一の団体が過去に提案実績がある。この中で、人口規模の小さい町村について見ますと、着実に提案が増えつつあるものの、提案実績のある町村の割合は全町村の約二割となっているところでございます。

 これにつきましては様々な要因が考えられると思いますが、例えば、先ほど御指摘があったように、人口規模が小さい町村では職員数も少なく、余裕がないことも要因ではないかと考えているところでございます。

松田委員 自らの地方で、その発想でいろいろなことを提案して、地域に合った行政を行っていくということを目指している中である中で、職員が少ないということになると、なかなかそれが提案しにくいことは、今御見解の中でもあると思います。その辺について、やはり国の方としても、提案をしてくださいということだけでなくて、足りない部分を補う形で何かアシストをするようなお考えはあるのでしょうか。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村の、先ほど申し上げましたような状況も踏まえまして、特に市町村が提案の検討に取り組みやすくなるように、私どもとしましては、提案に先立って行う事前相談の中で、地方の現場での支障や問題意識を丁寧に酌み取るとともに、地域の課題発見や解決能力の向上に結びつくよう、都道府県などと連携した市町村向けの研修会の実施や、提案募集方式制度について分かりやすく解説したハンドブック、あるいは提案実現の成果をイメージしやすくするための成果事例動画の作成など、提案の検討を支援するためのツールの充実を図っているところでございます。

 今後とも、私どもといたしましては、地方の意見に耳を傾けながら、地方分権改革のより一層の前進に向けまして、提案の裾野拡大に向けた取組を更に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

松田委員 是非、地方の声をよりよく吸い上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、引き続きまして、近未来技術等の社会実装実験について御質問をさせていただきます。

 国は、AI、IoTや自動運転、ドローン等の近未来技術の実装による新しい地方創生を目指して、地方創生の観点から革新的で、先導的な、横展開可能性などに優れた提案について、各種交付金、補助金などの支援に加え、社会実装に向けた現地支援体制を構築するなど、関係各府省庁による総合的な支援を行っているところでございます。

 各地で選定事業者が事業展開し、新たな地方創生に向けて社会実装を推進しております。私の地元でもある春日井市においても、国立名古屋大学等と連携して、自動運転車両、パーソナルモビリティー、バス、タクシーなど既存公共交通、また住民共助型システムによる移動支援など、新たなモビリティーサービスと既存交通とのベストミックスを構築して、先進技術による快適な町、高蔵寺ニューモビリティタウン構想による、新たな移動手段に対する実証実験を進めております。これにおいて、データの蓄積や、運行安全面の確保、情報セキュリティー対策など、進めていく上でまだまだ課題もあり、また、高齢者など外出機会の減少が懸念される中、技術を推進することは必要であります。

 その意味において、将来に向け、更なる継続支援が必要だというふうに考えますが、御意見をお聞かせください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 未来技術社会実装事業は、AIあるいは自動運転、ドローンなどの未来技術を活用し、地域における様々な課題の解決を目指すという観点から創設されたものでございまして、現在、全国で二十九の地方公共団体の取組を対象事業として選定をいたしまして、関係省庁と連携しながら、現場に国側の現場責任者を配置するなどによりまして、非常にきめの細かい支援を実施させていただいております。

 委員御指摘の、愛知県春日井市の高蔵寺ニューモビリティタウン構想事業は平成三十年度に選定をしたところでございまして、地域住民との協働によるラストマイル型の自動運転、あるいはAIを活用したオンデマンド乗り合いサービス等の実証実験、これは各種、これにとどまらず、様々な実証実験を実施されております。

 こうした取組に対しては、更に、昨年度からは、未来技術を活用した新たな社会システムづくりの全国的なモデルとなる事業である、こういう観点から、地方創生推進交付金のソサエティー五・〇タイプも活用して、予算面においても支援を行っているところでございます。

 これらによりまして、一日も早く春日井市における先進的な取組が地域に実装されるように支援してまいりますとともに、本事業で得られた知見あるいはノウハウについては、同様の課題に直面するほかの地方公共団体に広く共有するなど、水平展開に努めてまいりたいというふうに考えております。

松田委員 是非進めていただきたいと思います。

 それでは次に、地方創生におけるハイウェイオアシス、スマートICについて御質問させていただきます。

 各地において、民間ノウハウを取り入れ、地方活性化を進めているハイウェイオアシス、またスマートインターを設置することで、高速道路の利便性を高め、人的交流、地域の産業の発展、地域物産の物流に影響を与え、地方創生活性化に大きな役割を果たしております。

 私の地元でもあります小牧市においても、まち・ひと・しごと創生総合戦略にも、ハイウェイオアシス及びスマートインターも取組に入っております。地方創生、地方活性化においても進めていくことは重要でありますし、あわせて、これを進めるに当たり地域の皆さんの御理解を得られるように、また、設置に当たり、通勤ラッシュや渋滞緩和などの近隣対策も進めていかなければならないのが現状であると思います。

 地域振興の期待の高まる中、国として、地域に御理解が得られるような地域対策を、後押しを是非していただくことが、同種の整備計画が各地においてより一層進むと思いますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の仮称小牧オアシスは、小牧市の協力の下、民間企業において検討されている高速道路休憩施設やインターチェンジであり、小牧市が策定した第二期小牧市まち・ひと・しごと創生総合戦略にも位置づけられているところでございます。

 このオアシスの構想では、高速道路休憩施設に併せ、運動、レジャー施設や地元物産品を販売する商業施設などが計画されており、地域の活性化に寄与することが期待されていると聞いております。

 また、この構想ではインターチェンジの併設も検討されており、一層の集客効果が期待されるとともに、周辺地域からの高速道路アクセス向上や、東名高速道路の小牧インターチェンジ周辺道路の渋滞緩和も期待されていると聞いております。

 一方で、この地域の周辺には工業団地等が立地し、大型車の利用も想定されることから、周辺環境への影響などについて懸念があると聞いております。

 このように、小牧オアシスの構想については、多様な整備効果への期待から推進が望まれる一方、周辺環境の変化への懸念もあることなどから、地元自治体等の関係機関から相談があれば、対策検討に対する助言など必要な協力をしてまいりたいと考えております。

松田委員 是非、対策等々よろしくお願い申し上げたいと思います。

 非常に、ハイウェイオアシスは、愛知県においても刈谷のハイウェイオアシスも成功している例の一つでありますし、地域の活性化においても非常に大きく寄与されているので、是非よろしくお願いいたします。

 それでは、最後の質問とさせていただきます。政府関係機関の移転についてでございます。

 大臣、地方創生の目玉と位置づけた中央省庁の地方移転は、京都移転が決まった文化庁だけで、消費者庁と総務省がその一部を移すだけにとどまりました。

 政府は、東京一極集中の是正に向け、中央官庁の地方移転を進め、産業界に、都市部の本社、工場を地方移転を進めようとしておりましたが、東京を離れれば業務に支障が出ると反発が多く、結果、移転に後ろ向きな形となってしまいました。

 国会対応などを理由に、首都圏からの移転が難しいことは当初からも想定されていたことかと思われます。しかし、今、災害が起きる頻度が高まっております。地方創生だけでなくて、災害対策としても、一刻も早く省庁の一極集中は是正しなければならないと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

坂本国務大臣 委員おっしゃるとおりでございます。

 昨年十二月に閣議決定されました第二期まち・ひと・しごと総合戦略の中でも、首都直下地震など、自然災害を考えた場合には、東京の一極集中はやはり危ういというような決定をしております。

 そういうものもありまして、平成二十八年から政府関係機関の移転というのを進めているところでございますけれども、今言われましたように、京都における文化庁、あるいは徳島における消費者庁、こういうことですが、少しずつ効果も出ているということも言われております。

 総合戦略におきまして、二〇二三年にこれらを一回総合評価する、そしてその後の対応策を決めるということでございますので、関係省庁ともしっかり連携を取りながら、二〇二三年、今後どのような移転計画あるいは一極集中からの是正を抜本的に進めていくかということをしっかりとフォローアップしていかなければいけないというふうに思っております。

松田委員 ありがとうございます。

 やはり、災害がいつ起きるか分からないので、二〇二三年までに起きてしまう可能性もあるということは重々理解をした中で、是非早急に是正ができるように、よろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。

伊東委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田俊和でございます。

 まず、大臣と大枠の地方分権に関わるところについて議論をさせていただいた後に、今日は、こやり政務官、厚労の方からお越しいただいておりますので、今回の改正内容に介護のことが含まれておりますので、その辺りを中心にしながら、介護サービスの関連のことについても質問させていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 地方分権、いわゆる地方分権一括法でございますけれども、一九九九年に成立をして、二〇〇〇年からの、これは物によって多少は変わっていますけれども、二〇〇〇年の施行ということであったということで、ちょうど、私、このぐらいの時期に大学院の学生として籍を置いておりまして、政治学研究科で、中央と地方の役割分担というようなことを中心に勉強、研究をしておったものですから、当時は、いよいよ分権的な国家に向けての大きな一歩が踏み出せた、そういう感激というか、非常に大きな期待を持って、この地方分権一括法の成立、施行のニュースを聞いたという、そんな記憶がございます。

 やはり、振り返ってみると、明治以降の、集権的な国家をつくって、人だとかお金だとかというのをぎゅっと集中させて、私たちが目指すべき目標に向かって強い流れをつくって歩みを進めていく、こういう時代には中央集権というものが非常に大きな役割を果たしたというふうに私は思っておりますけれども、なかなか、追いつけ追い越せという時代から、今度は私たち自身がそれぞれ価値をつくっていくという時代に入っているというふうに思っておりまして。

 そういった意味では、いろいろな試行錯誤を、それぞれの地域であったり、あるいはそれぞれの、私たち、自分自身が、いろいろな人たちがいろいろなことをやりながら、ああ、これはいいね、こういうことがいいね、あるいはこういうものがすごく価値があるよねということをいろいろ、その場所その場所、その分野分野で見出していきながら新しい価値を創造していくということは、日本全体として見たときの力というものを大きく発展をさせていき、国を輝かせていくものではないかなというふうに思っております。

 そういった意味では、ずっとここのところ、分権に関する法改正というのもありますけれども、いろいろ積み重ねという中で、もちろん前進はしてきていると思うんですが、一つ一つで見ると大事なことかとは思いますけれども、はた目に見ているだけでは、分権が一気に進んだねみたいな感じにはなかなか捉えられないところもあるのかなというふうに思っております。

 大臣にお伺いしたいのは、御担当されていらっしゃるということもありますけれども、一人の政治家として、御自身の地域だとかをいろいろ見ながら、地方分権というものが、御自身の地域であったり、あるいはほかの日本の地域でもいいんですけれども、地域地域が輝いていったり発展していったりということに対してどういうふうにプラスに働いていけるのかなといったことについて、是非御自身の、いろいろ、地域のことだとかも含めてお聞かせをいただきたいなと思いますけれども、いかがでございますか。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

坂本国務大臣 私が生まれ育ち、今住んでいますのは、熊本県菊池郡大津町というところで、熊本市から二十キロぐらいのところです。阿蘇と熊本市のちょうど中間ぐらいです。以前は、参勤交代のときは、熊本城から大分の方に行って、大分の鶴崎から瀬戸内海を船で通って大阪に上がって江戸まで行っておりましたので、参勤交代の一泊目の宿場町でございました。

 それで、人口は一万五千から一万六千ぐらいだったんですけれども、一九七五年ぐらいに、近くに熊本空港ができました。それから、九州縦断の自動車道路というのが熊本市近郊を走ることになりました。そういうのを見計らって、本田技研工業というのがオートバイの生産拠点地として進出をいたしました。それで人口が増加傾向になったんです。

 そのときに、地元の町長さんあるいは議会が、これからの時代を考えてということで、一つは、先端企業を中心とした工業団地を造ろうということで工業団地を造りました。一方の方で、農業地帯でありますので、農業の大区画化をやろうということで農業の圃場整備をやりました。それが功を奏しまして、人口が増加になりまして、先端企業が幾つも入ってまいりました。

 ですから、今は、先端企業を中心とした工業、それから水田、畜産、畑作の農業、この農工併進、それに大型ショッピングセンターもいろいろと来ましたので、農工商併進の町として、三万五千人ぐらいの町になりました。

 振り返ってみますと、やはり、高速道路とか空港は国の方針で造られる。そこに、本田技研工業というのは県の判断で持ってくる。その後、やはり工業団地を造ろう、あるいは圃場整備をしようというのは、これは町の判断でまちづくりをするということで、権限の視点から見れば、やはり、国の権限、地方の権限、この適切な配分が、空港や高速、一方の方で大企業、一方の方で農業や商業の振興、こういったものにつながっていくんだろうというふうに思っております。

 ですから、自分の地域がどういう地域かというのをしっかりとみんなが理解した上で、どういう適切な権限を行使していくか、このことが地方創生やまちづくりに一番大事なことではないだろうかなというふうに思っております。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

森田委員 ありがとうございます。

 先日は、別の委員会だったですけれども、うちの妻と大臣の奥さんが小田原の出身だという共通点もありましたし、今お伺いしたら宿場町だということで、私の住まいの熊谷も、東京から大体七十キロぐらいで、旧中山道の宿場町として栄えてきたという歴史もあり、船を使っての、中山道を上ってきた荷物が、利根川だったり荒川だったり、そこで中山道から船に乗り換えて江戸に荷物を運んだなんて、そんな話も聞いております。

 いずれにしても、そういった地域地域のいろいろな歴史的な背景だとか、今ある地域の資産だとかというものを使いながら、是非それぞれの地域が光り輝けるように、よく権限と財源の一括した配分ということを言いますけれども、もっともっと大規模で踏み込んだ分権というものが必要かなと思っております。

 何でかというと、後で介護のこともやりますけれども、例えば、ここのところ何年かでニュースになってきている国だとか地域を見てみると、例えばワクチンの優先的な接種をやったイスラエル、これは九百万人ぐらいですかね、人口が。例えば台湾がITを駆使していろいろ対策をやったなんて、台湾は二千三百万人。ITの先進国と言われているあのエストニアが百三十万人ということで、こういう数字を見ていますと、大体、日本でいうと政令市だとかあるいは都道府県とか、このぐらいのレベルの枠でやっていくと、かなりいろいろなことが、四十七都道府県ありますし、政令市も入れるともっとありますけれども、そういったところが政治的な主体となっていろいろな試行錯誤ができるという枠組みが日本の中にもかなりまた充実した形で用意できるんじゃないかなというふうにも思っておりますので、是非こういった議論も深めながら、新しい時代の日本の形を地方分権を通して切り開いていきたいなというふうに思っております。

 続きまして、介護の分野のことに入ります。

 今回の改正の内容の中に、小規模多機能のサービスの、これまでの基準を標準ということで改めるというような内容が入っております。これについての理由をまずお聞かせいただきたいと思います。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 介護事業所の利用者数に関する基準につきましては、平成二十一年の地方分権改革推進計画及び平成二十三年の第一次地方分権一括法によって、原則は標準とする一方で、今御指摘のありました小規模多機能型居宅介護の利用定員、これにつきましては、小規模でなじみの職員による家庭的なケアの実施を本旨とするという小規模多機能型サービスの概念自体に関わるものということで、従うべき基準というふうに整理しておりました。

 これにつきまして、今般、事業所が少ない過疎地や利用者が多い大都市などより、小規模多機能型居宅介護に対する利用ニーズの増加を背景とした基準の見直しに関する提案がございました。こうしたことを踏まえまして、社会保障審議会介護給付費分科会で議論した結果、地域の特性に応じたサービスの整備、提供を促進する観点から、従うべき基準から標準に見直すということにしたものでございます。

森田委員 私は、基本的に、そういう方向でやるということは賛成したいと思っております。後でまた詳しくはお尋ねしたいと思いますけれども、やはり、いろいろな地域地域の事情というものがあると思いますし、いろいろな人的資源だとか財政的な基盤だとか、そういったものも違うと思っておりますので、よりその幅を広く取っていくことができるということで、今回の改正について評価をしたいと思っております。

 ちょっと介護の関連で、私も自分のところで介護サービスを事業所としてやっておりますので、いろいろと今回のコロナウイルスの関係のことで思うところがございます。

 例えば、これはちょっと直接そのものではないんですけれども、この前、隣の行田市というところの、選挙区内ですけれども、私の住まいからすると隣の町になりますが、行田市で医師会のワクチン担当をされていらっしゃる先生から御相談がありました。集団接種をする会場に関わる職員さん、市の職員さんにまず優先的にやりたいんだというお話があったんだけれども、どんなものなんだろうかというふうに悩んでいるということなんですね。

 何で悩んでいるかというと、例えば、高齢者の方に案内を、通知を発送して、実際受けられるまでに二週間ぐらいの枠があるので、その間に、在宅サービスを含めた介護施設あるいは障害者の方の施設であったりとか、こういうところに、行けばそういうところはどんどん打てるわけですから、予約がどうのとかというのは余り関係ないので、そうやって二週間ぐらい隙間があるところに、どんどんそういうところ、挟み込んでいけるんじゃないかと。こういうことで、市の職員さん、確かに心配だろうから打ってあげたいという気持ちも分からぬでもないけれども、そうやって介護施設だとか障害者施設、あるいは通所だとか在宅系のサービスも含めた、御利用されている方だとかスタッフの方に接種をしてあげたいんだけれども、こういうことはできないものなんだろうかと、そういうことがあったんですね。

 私も前々から、私が関わっているのは在宅系のサービスなものですから、何かというと、施設の方は、例えば検査をやりますとか、PCR検査をやりますとか、あるいは今回であればワクチンの優先的な接種をやりますとかということで、施設系の方は入ってくる。確かに、そこしかいられないから、逃げ場所がないからということだとは思うんですけれども。

 ただ、うちのサービスから施設のサービスを見ていると、やはり施設にも併設してデイサービスがあったりとか訪問介護事業所があったりとかというのは、これは当然、そういうパターンが多くあるわけで、こっちのデイサービスでは打っていないのに、こっちのデイサービスでは打ってありますみたいな状況が起こらないとも限らないということで、是非そういったワクチンの接種であるとかPCRの検査、集中的な検査をまたやるということでお話も聞いておりますけれども、在宅のサービスが除かれてしまうということについては何とかしてもらいたいなという思いがありますけれども、この辺についてのお考えを是非、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ワクチンから申し上げます。

 ワクチンの優先接種の考え方でございますけれども、今般のワクチンに関しましては、まず、御本人が重症化するかどうか、こういった観点と、あとは医療の提供体制の確保を踏まえまして、まず一番目には医療従事者の方々、それから次に高齢者、その次に基礎疾患を有する方と高齢者施設等の従事者、こういう順番になっております。これは政府の分科会での議論を踏まえて決定したものでございます。

 その上で、御指摘の在宅のサービスの事業者、この従事者の考え方をお話し申し上げますと、まずは、これは市町村の判断によりますが、地域における病床の逼迫時に、高齢の新型コロナウイルス感染症の患者の皆様が御自宅でサービスを継続していただかなければいけないということがあるというふうに考えておりまして、この介護サービスを提供する意向のある事業者、こういったところに関しましては、介護のサービスの提供を行っていただけるという職員の意向を踏まえた上で、高齢者の施設の従事者に含めて、優先接種の対象としているところでございます。

 ですので、在宅サービスの中で、全てではございませんが、継続してサービスを提供していただける方には優先接種の対象としているところでございます。

 また、一方で、PCRについてのお尋ねもございましたので申し上げますと、PCRは、高齢者は重症化リスクが高いので、入所施設や集団で生活をしていらっしゃる場合には、その地域の感染状況に応じて定期的な検査をしていただくように要請をしているところでございます。

 この中には、必ずしも、在宅のサービスの方に関しましても定期的にPCRをしていただくようにということは求めておりませんが、自治体の中で感染が多数発生している地域におきましては、必ずしも施設に限らず、店舗ですとか地域の関係施設なども検査することができますので、その中で対象に含まれ得るというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 そうすると、ちょっと確認ですけれども、さっき、ワクチン担当を医師会でやっている川島先生という方のお話を御紹介しましたけれども、要するに、市が判断をすれば、必ずしも、例えば国の方で作った基準どおりにやらなくても、必要と思われるところについては優先的に市の判断でやっても構わないという理解でよろしいんでしょうか。確認です。

大坪政府参考人 恐れ入ります。ワクチン接種に関するお尋ねでよろしいでしょうか。

 ワクチン接種に関しましては、分科会の議論を経まして、先ほど申し上げましたように、重症化リスクの高い方から順位が定められておりますので、今おっしゃられました市の職員という方は基本的には一般の順番になると思います。

 ただ、医療提供体制の確保の観点から、患者の方と頻繁に接するような、保健所で業務をされている方ですとか、そういった方に関しましては、市の判断で医療従事者等に含まれるという場合もあろうかというふうに考えております。

森田委員 ごめんなさい。在宅介護サービスに従事していらっしゃる方の扱いという意味で、もう一回、確認でお願いします。

大坪政府参考人 失礼いたしました。

 介護施設の在宅サービスの場合ですが、先ほど申し上げましたように市町村の判断によりますが、まずは、病床が逼迫しているときに、こういった高齢の新型コロナウイルス感染症患者の方が自宅療養を余儀なくされた場合に、在宅でのサービスを提供していただける場合、こういう意向のある介護サービス事業者であって、御本人も介護サービスの提供を行う意思がある職員の方、こういった方は優先接種の対象としても構わないということをお示ししているところでございます。

森田委員 分かりました。ありがとうございます。

 いろいろと、ワクチンの余る余らないとかということも含めて、あるいは、せっかく来ているのになかなか打ち始められないなんという事情もあるかなと思いますので、是非、機動的な対応ができるように、厚労省の方からも各自治体の方にいろいろと手ほどきをしていただきたいなと思っております。

 また、介護の現場でのお話ですけれども、これは厚労省の推計というふうに聞いておりますが、二〇二五年度で三十四万人の介護人材が不足するというお話が出ておりまして、確かに、ここのところ、数年のレベルでいきますと、よく日曜日にアルバイトとかパートさんとか人材募集のチラシを入れたりとか、もちろんハローワークにも出していますけれども、そういうところに出していても全く反応がないなんということが、何万円もかけて広告を出すのに全く反応がないなんということが結構この数年の中では出てきているということがありまして、非常に現場が厳しい状況だなということを感じております。ここのところ何回か出したら応募していただける方がいたので、何とかやっているという状況でございますけれども。

 やはり、いろいろとICTの活用というものが非常に重要になってくるかなと思っておりまして、要するに、人間そのものがやらなくちゃいけないところというのは、やはり、御利用者様に寄り添ってお話を聞いたり、直接お体を触って介助するような、そういった場面というのはどうしても必要になるんですけれども、それ以外のところで、手を割かなくてもいいところはなるべく機械だとかいろいろなものに代わってもらいたいという思いがあります。

 人間でなければできないという部分に集中をしていきたいなという思いがありまして、そういった意味では、ICTの導入をどんどんと国を挙げてやっていってもらいたいなという思いがありますけれども、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 生産年齢人口が減少していく一方で、介護ニーズが増大していく中、御指摘ありましたように、介護人材の確保は極めて重要だ、喫緊の課題だと認識しております。介護現場の革新、事務負担の軽減、それによって質の高いサービスを効率的に提供できるように、ICT等のテクノロジー活用を推進していくことは重要だと考えております。

 そうした問題意識の下、令和三年度介護報酬改定におきましては、見守り機器やインカム等のICTの活用による効果実証を行いまして、夜勤職員一人当たりの業務時間の短縮や利用者等のケアの質が維持されていること、そうしたことを確認したことを踏まえて、特別養護老人ホームにおける見守り機器等を導入した場合の人員配置の見直しなどを行ったところでございます。

 今後も、サービスの質の維持向上に配慮しながら、介護現場へのテクノロジー活用を推進していきたいというふうに思っております。

森田委員 ありがとうございました。配置基準も見直しを進めていただいているということでございまして、是非、更に踏み込んだ対応をお願いしていきたいと思っております。

 あと、うちの看護師なんかが、お医者さんとのやり取りがやはり多いものですから、いろいろ日々の、脈拍、血圧から始まって、食事を取れたとか排せつがあったとか、あるいは、認知症の方だったらどういう精神的な状態だったかというのを、結構細かく、長いと二時間ぐらいかけてまとめるなんという話もあるんですが、医療と介護のデータ上のやり取りが是非円滑にやっていけるといいなと思っているんですけれども、この辺りについてのお考えをお聞かせください。

間政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、患者さんあるいはサービスの利用者さんのために必要な情報が共有されるということは重要なことだというふうに思っています。

 厚労省におきましては、まず、個人単位化された医療保険の被保険者番号を活用しまして、国民お一人お一人が御自身の保健医療情報をマイナポータルを通じて閲覧できる仕組みを整備することとしております。

 具体的には、今年の十月から、特定健診等の情報、あるいは、レセプトに基づく薬剤情報や手術等の情報などを順次確認できるようにすることといたします。その上で、それとともに、本人の同意の下に、医療機関などにおいてもその内容を確認できるようにして、前にかかった医療機関の情報も共有できるというふうな形にしたいと思っています。

 それに加えて、今委員から御指摘のありましたような介護事業者等におきましても、円滑に本人の同意を得ながら情報共有を可能とする仕組みを検討しているところでございまして、引き続き、御本人の治療やケアのために必要な情報が共有されるように取り組んでいきたいというふうに思っています。

森田委員 分かりました。そういうことも含めて、是非、現場の人手を幾らかでも、本来必要とされるところに集中できるように対応をお願いしていきたいなと思っております。

 介護保険の制度が始まって二十年たちますけれども、私なんかが日々見ていて思うのは、市町村に介護保険の制度をかなり保険者として担ってもらっているというのが、かなりきついなというふうに見ております。うちの方なんかは郡の中で事務組合を組んでやったりしているんですけれども、保険者という意味でいうと県レベルぐらいの枠組みを持ってやっていくということも必要じゃないかなと思いますけれども、政務官から御答弁をいただければと思います。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 まさに、介護サービスをどのような主体が行うかということについては様々、それぞれメリット、デメリットがあるというふうに思っておりまして、現行の介護保険制度では、委員十分御承知のとおり、住民に身近な行政単位である市町村を保険者としているところでございます。

 そうした上で、その運営の安定化を図るために、まず、財政面から、市町村における介護保険財政の安定性を確保するための給付費の半分を公費で支出するとともに、残りの保険料負担分のうち第二号被保険者に係る部分につきましては、医療保険者が保険料を徴収をして市町村へ配分する仕組みとしているところでございます。

 加えまして、調整交付金という仕組みを活用いたしまして、高齢化による給付増や所得水準の低下による収入減など、まさに保険者の責めによらない要因による保険料水準の格差を調整しているところでございます。

 さらに、加えまして、運営面におきましても、都道府県が市町村支援のための介護保険事業支援計画を策定しているところでございまして、これに基づいて、例えば介護認定審査会の広域実施等に係る情報提供、あるいは市町村間の調整、各種研修会など、都道府県が保険者である市町村を支える仕組みとしているところでございます。

 引き続き、厚労省といたしましては、こうした身近な市町村を中心に、都道府県あるいは国が支えていく、そうした仕組みでしっかりと運営していきたいというふうに考えております。

森田委員 今お話しいただいたようなことも含めて、すぐにはできないというふうには思っておりますけれども、是非、もう二十年たったという蓄積もあります、これからいろいろと地域の事情も変わってくると思っておりますので、最後に、権限移譲というものをもっと大胆に進めていって、いろいろな事情に応じた、サービスをやりやすくするということも必要ではないかなと思いますので、そこを答弁を求めて質問を終わりたいと思います。

こやり大臣政務官 委員御指摘のとおり、介護保険制度、まさに二十年たって、様々、現場のニーズ、あるいは技術も進捗しているところでございます。そうした時代の流れに応じてこの制度自体も日々見直していく必要があるというふうに考えているところでございます。

 そういう意味で、今は、地方分権推進計画に基づきまして様々な基準が、従うべき基準、あるいは標準、あるいは参酌すべき基準という形で、それぞれ、根幹は一律な国の基準としていますけれども、工夫できるようなものにつきましては、地方が工夫をしていただきながら、その現場に応じたサービスを提供していただくという仕組みにしているところでございます。

 現在も、今申し上げましたように、様々な工夫を取り入れながら制度を運営しているところでございますけれども、今後とも、地方分権全体に係る議論等に留意しつつ、また実態も踏まえながら、地域の創意工夫の下でしっかりとした介護サービスが提供されるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

伊東委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 第十一次となります地方分権一括法案について質問をさせていただきます。

 小規模多機能型居宅介護の利用者に関する定員の基準について、全国一律の従うべき基準から、市町村が条例で緩和することのできる標準へ変更する介護保険法の改正案について聞きます。

 提案者の鳥取県からは、現状どのような支障があって今回このような提案となったのか、内閣府に伺いたいと思います。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥取県からは、小規模多機能型居宅介護施設の利用定員に関する基準につきまして、地域の実情に応じて必要な介護サービスが提供できるよう制度改正を求める提案がなされました。

 具体的には、この施設の利用定員に関する基準につきまして、厚生労働省令で定める基準に従い市町村が条例で定めることとなっておりますが、事業規模が小さくならざるを得ず、県内の事業所の約三八%が赤字であるなど、厳しい経営状況にあることが言及されておりました。また、施設の規模、職員数等によっては、適切にサービス提供ができる状況があるにもかかわらず、利用定員の上限が設けられているために利用者のニーズに応えられないケースが生じていると言及がされていたところでございます。このような支障事例を踏まえ、今回、鳥取県から提案をいただいたところでございます。

清水委員 三八%が赤字ということなんですけれども、そもそも、この小規模多機能型居宅介護事業の現在の利用の定員あるいは登録の定員の上限が介護保険法で定められているわけですが、その趣旨についてお答えいただけますでしょうか。

山本副大臣 平成十八年にこの小規模多機能居宅介護が創設されましたけれども、利用定員は、当初、登録定員は個別ケアの維持という観点から二十五人以下、また、通いの定員は職員との間のなじみの関係構築の観点から十五人以下、泊まりの定員はグループホーム、ワンユニットの定員を参考に九人以下とされた次第でございます。

 その後、平成二十七年度の介護報酬改定におきまして、経営の安定性等の観点から、なじみの関係性のあるサービスであることから、他の地域密着型サービスとの整合性等の観点から、登録定員は二十九人以下、併せて通い定員は十八人以下に拡充したところでございます。

 今般、事業所が少ない過疎地や利用者が多い大都市などによりまして、この小規模多機能居宅介護に関しまして、利用ニーズ、これの増加を背景とした基準の見直しに関する提案があったことを踏まえまして、社会保障審議会介護給付費分科会において議論した結果、地域の特性に応じたサービスの整備、提供を促進する観点から、従うべき基準から標準に見直すことにした次第でございます。なお、利用定員に係る基準の考え方は維持している形でございます。

 引き続き、この小規模多機能型居宅介護が小規模でなじみの職員による家庭的なケアの実施という本旨を果たしていくことができるように、施策を進めてまいる次第でございます。

清水委員 今副大臣がおっしゃったように、この小規模多機能型介護事業というのは、利用者の方々が認知症の場合でも混乱を来すことなく家庭的な環境の中でなじみの職員さんと関係がつくられるようにということで、利用者の立場に立って定員が定められてきたという趣旨があるわけであります。本来ならば、この趣旨に基づいて各事業所が安定した経営ができなければならないと思うんですよね。ところが、三八%が赤字だと。全国的にも約四割の事業所が赤字だということなんですね。

 元々、これは、利用者の平均介護度を三・五程度で想定していたということなんですが、実際は、鳥取県などでは介護度の低い方がたくさん利用されているということなんですね。

 配付資料の一枚目を御覧いただけますでしょうか。これは、小規模多機能型居宅介護事業については、契約終了者は要介護度が重く、出ていかれるときはですね、そして、新規利用者の方はその介護度が軽いという傾向があるということを示した資料であります。

 要介護三の方の基本報酬額は月額約二十二万円であるのに対して、要介護一の方は約十万円なんですよね。つまり、ここには十二万円の差があるということであります。分かりやすく言いますと、要介護三の方が事業者、事業所との契約を終了し、要介護一の方と入れ替わるということになりますと、それだけで年間約百四十万円の減収になるんです。これが多くの小規模多機能型居宅介護事業者の赤字となっている。こういう要因があるということは、副大臣、間違いありませんね。

山本副大臣 今委員御指摘されました小規模多機能型居宅介護、大変、地域包括ケアシステムの中核を担う重要なサービスであるわけでございます。

 この介護報酬は、法律上、サービス提供を要する平均的な費用の額を勘案して設定されているところでございまして、今ありましたとおり、収支差率につきまして、全サービスの平均が二・四%である中で、この小規模多機能居宅介護の収支差率というのは、令和元年度決算で三・一%、また、前回改定の平成三十年、これは二・八%でしたから、改善をしている状況でございます。

 そうした部分もありまして、この令和三年度の介護報酬改定における改定率、これは前回を上回る〇・七%となっておりまして、この小規模多機能型の居宅介護につきましても、基本報酬の引上げを行ったところでございます。

 その意味で、今委員が御指摘をされました小規模多機能居宅介護につきまして、社会保障審議会介護給付費分科会では、昨年十二月に取りまとめました審議報告におきまして、事業者の経営実態、利用者の状況を踏まえて、その機能、役割、今言われたとおり検証した上で、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるように、在宅生活の限界点を高めるために必要な対応を総合的に検討していくべきである、こういう、基本報酬の在り方の検討を含めまして今後の課題を整理されたところでございます。

 今委員が金額のお話もされておりましたけれども、引き続き、地域において小規模でなじみの職員による家庭的なケアの実施、この本旨を踏まえまして、調査研究事業等を通じて必要な対応を総合的に検討していきたいと思う次第でございます。

清水委員 今、山本副大臣が、幾らか介護度については改善しているというふうにおっしゃいましたけれども、こうした事業所が安定性を確保できないということ自体は否定できないわけであります。

 それで、今副大臣もおっしゃいましたが、社会保障審議会介護給付費分科会では、全国小規模多機能連絡会の方がこうおっしゃっているんですね。報酬を上げられない代わりに緩和という路線ではなく、利用者の、地域の求めるケアを提供できるよう介護報酬を見直してほしいとの意見を出されておられます。

 先ほど、介護報酬、〇・七プラス改定というお話もございましたが、この制度ができてもう十五年たつわけなんですよね。そういう点では、利用者のニーズ、事業所の経営の実態、これらに合わせて見直すということがやはり大事だというふうに思うんですよね。

 ですから、やはり、この制度を創設した趣旨もございますので、基本報酬額を引き上げる、そもそも低いですね、これを引き上げるという形で、地域密着型の介護事業が安定的に経営できるというように私はするべきだと思うんですが、その方向性で努力していただけないでしょうか。

山本副大臣 今委員が御指摘のあったとおり、昨年の十二月の給付費分科会でもそういうお話がございました。また、団体の方のヒアリング、団体からもそういう要望を受けておりますけれども、こういう基本報酬の在り方の検討、これは今後の課題であるということでございますので、厚労省としては、こうしたことをどう進めていくかという、調査研究事業、これを通じて進めていきたいと思う次第でございます。

清水委員 施設側が、特に要介護度の重い人を断っているというわけじゃないんですよね。こうした傾向にあるのは、要介護三になれば特養に行かれる方もいらっしゃいますので、どうしても介護度の低い方も受け入れざるを得ない。そのことによって介護報酬額が減少し、赤字になるという実態があるわけで、これはやはり改善する必要があると思うんですよね。

 厚労省の介護事業経営概況調査でも、定員の増加や経営規模の拡大による増収ではなく、まず、軽度から重度まで一貫して在宅で支えることができるように基本報酬の見直しをしてほしい、こう記されているわけであります。是非、報酬体系そのものを見直すことを求めておきたいと思います。

 山本副大臣に対する質問はこれで終わりですので、お急ぎでしたら退室していただいても構いません。

 あわせまして、高齢者施設、介護施設で働いている方々へのコロナ対策について伺いたいと思います。

 大阪、兵庫、京都の関西と東京都で、三度目となる緊急事態宣言が発出されました。大阪では重症者が必要な治療が受けられない医療崩壊が起こっているということは、前回の委員会でも坂本大臣にお伝えしたところであります。

 例えば、ある高齢者は、自分は高齢者だから重症病床に入れてもこの先短いかもしれないからと言って、自ら自宅療養を選ぶという方まで生まれているわけです。特に重症化しやすい高齢者への感染を抑え込むことは喫緊の課題だと思うんですね。

 配付資料の二を御覧いただけますでしょうか。この配付資料の二は、高齢者施設などのPCRの集中的検査実施計画の実施状況についての資料であります。

 実施自治体からは、赤枠で囲っておりますように、こういう意見が出ております。無症状の陽性者を早期に探知でき、クラスターの未然防止につながったと考えられる、また、感染拡大を最小限にとどめることができたと考えられる事例があったということで、高齢者施設、介護施設での定期的検査、これが非常に効果があったという声があるわけですが、これは私も非常に大事なことだというふうにも思いますし、厚生労働省の認識を確認したい。

 もう一つは、これも大阪府の話なんですけれども、介護事業者あるいは高齢者施設の職員が定期的に検査してもらえない、こういう要望を受けました。一回限りで終わってしまっているということなんですよね。

 資料にも書いておりますように、検査の頻度というところに、三十九計画中、一週間に一回検査してくれたところは一計画のみにとどまっておりまして、いろいろな事情がありまして、なかなか定期的な検査、頻度を上げていくことができない、一回のみにとどまっているという実態があるというふうに思うんです。

 いろいろ事情を調べますと、自治体の保健所の業務が逼迫しているというんですよね。もう体制が取られへんと。そういう中で、高齢者施設で働く方々が、職員の方々ですね、安心して働くことができるように、介護できるように、頻繁、定期の検査ができるような手だてをやはり厚生労働省としても示すことが重要だと思うんですが、併せてお答えいただけるでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、高齢者施設の入所者の方、重症化リスクが高うございますので、地域の感染状況に応じて、こういった定期的な検査、これは極めて重要だというふうに考えておりまして、都道府県に対してその実施を要請をしているところでございます。

 検査の頻度でございますが、これも御指摘のとおりですが、厚生労働省といたしましては、蔓延防止等重点措置区域、緊急事態措置の区域につきましては、できる限り週に一回から、少なくとも二週に一回程度というお願いをすると同時に、こういった週一回やっていらっしゃる自治体の事例などを展開しながら定期的な検査をお願いをしているところでございます。

 御指摘の保健所の業務の逼迫ですが、こういったことにつきましては、例えば、民間検査機関に委託している例などもございまして、こういった事例を参考に効率的に実施していただきたいというふうに考えております。

清水委員 最後に坂本大臣に質問して終わりたいと思います。

 介護現場で働く方々は、今、エッセンシャルワーカーというふうに言われているんですね。エッセンシャルワーカーとは、人々が日常生活を送るために欠かせない仕事を担っている人のことをいうと。当事者の方々からは、しかし、実際は、PCRの定期的な検査もなかなかできない、ワクチンを打つ順番も優先されないということで、エッセンシャルワーカーという崇高な呼び名とは裏腹に、なかなか政府から大切にされていないんじゃないかというような声も伺ってまいりました。

 緊急事態宣言が繰り返される中、一度きりにとどまっている、介護あるいは高齢者施設、医療機関で働く方々への慰労金について、やはりもう一度支給していく、このことを検討する時期に来ているんじゃないでしょうか。お答えをお願いします。

坂本国務大臣 介護現場で働かれる皆様におかれましては、この感染拡大の中にサービスを必要とされる高齢者のために献身的な努力をされていること、心から敬意を表したいと思います。

 今後、介護事業を所管しております厚生労働省としっかり連携を組んで、厚生労働省の方で検討、支援もされているというふうに思っておりますので、委員の御意見をしっかり受け止めておきたいと思います。

清水委員 そのことをお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。

 早速質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 地方分権改革は、平成五年の衆参両院全会一致の、地方分権の推進に関する決議に基づいて取組が進められてきたものと承知しております。第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略において、「地方からの提案の最大限の実現を図るとともに、改革の成果を国民が実感できるよう、優良事例の普及や情報発信の強化等に努めていく。」とされております。

 そこで伺いたいのですが、地方分権と地方創生との連携において、第一期まで踏襲されていた、地方創生における極めて重要なテーマという文言がなくなっているようですが、政府におかれましては、地方を創生していくに当たって、地方分権改革は従来同様、極めて重要なテーマであるとの認識でよろしいんでしょうか。

 また、少なくとも、提案募集方式での改革、改善という意味での地方創生は、七年を経たことで独立したものとなってきており、新たな施策を実施していく時期にあるのではないかとの認識なのでしょうか。

 募集提案方式による改善は継続しつつ、地方分権につながる新たな試みなど検討しているようであれば、まず教えていただけますでしょうか。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 地方分権改革の推進は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生において極めて重要なテーマであると認識しておりまして、令和二年の地方からの提案等に関する対応方針、閣議決定でございますけれども、ここにおきましてもその旨を明記しているところでございます。

 平成五年の衆参両院におけます地方分権の推進に関する決議以降、地方の自主性、自立性を高めるための改革を積み重ねており、平成二十六年から導入している提案募集方式は、地方の具体の意見を反映する仕組みとして地方側からも評価されているところであります。

 令和二年の提案募集からは、類似する制度改正等を一括して検討するため、新たな取組として重点募集テーマを設定し、地方からの提案を募ることとしており、令和三年におきましても、計画策定等を重点募集テーマとしているところでございます。

 今後とも、地方公共団体と十分連携しながら、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ち、提案募集方式の充実等を通じて、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと考えております。

美延委員 それはしっかりしてもらわなあかんのですけれども、提案募集方式による地方創生に関しては、意見を募る事項に制限があり、必ずしも地方分権改革とイコールになるようには感じておりません。

 かつて総務大臣であった我が党の片山共同代表が三位一体の改革を実施したことや、平成十八年当時就任していた竹中総務大臣の下では、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会が示した地方分権に関わる報告書の内容など、ドラスチックに検討をしていただきたいという考えでおりますが、これに関しては、大臣の御所見、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 地方分権改革につきましては、平成五年の衆参両院におきます地方分権の推進に関する決議以降、委員御指摘の三位一体改革なども含めまして、三十年近くにわたって議論が行われてまいりました。

 最終的に私たちが目指します地方分権改革は、個性を生かし自立した地方をつくるということであります。国が本来果たすべき役割は重点的に国が担い、そして住民に身近な行政はできるだけ地方に委ねるということであります。

 国、地方双方の機能の強化につながるように、地域の実情を踏まえながら、引き続きこの分権改革を進めていかなければいけないというふうに思っております。

美延委員 これは私も全く同意見ですので、是非進めていただきたいと思います。

 次に、持続化給付金の申請は、コロナの影響もあり延長しましたが、終了しました。

 私の地元の繁華街にある地域支援団体は、町の放置自転車対策として、本来であれば行政が行うべきのところを、行政に任せっきりにしないために地域で駐輪場を運営されておりました。僅かではありますが、利益を出して、きっちり納税も行ってこられました。

 繁華街での駐輪場の運営であるがゆえ、コロナの影響を大きく受けてしまい、駐輪場の売上げも五割以上減りました。持続化給付金を申請しましたが、持続化給付金は受け取ることはできませんでした。地域の企業や有志の方々から寄附金も募り、現在まで何とか駐輪場運営をしてきましたが、いよいよもって資金が底をつき、地主への支払いもままならなくなることから、総会を開いて、この六月に閉鎖することを決定されたとのことです。駐輪場が閉鎖されることにより、またこの地域に放置自転車対策をしていかなければならなくなることが予想されます。とてもこれは悲しい現状だと思います。

 このような地縁団体が地域において持続的に活動してもらうことが重要であると私は考えておるので、ちょっと長くなりましたが、地域団体の活動基盤の強化につながる本改正には賛成ですけれども、地域団体の活動基盤の強化についての総務省の認識と、自治体を通じた地域団体への支援の現状を説明していただけますでしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 自治会、町内会等の地縁団体は、住民相互の連絡、環境美化、防犯、防災等の地域的な共同活動に取り組む重要な役割を担っており、近年では、高齢者の生活支援など、地域課題の解決に向けて、より幅広い取組を行っている団体も見られるところでございます。

 他方で、人口減少や高齢化により、こうした活動の担い手の減少という課題に直面しておりまして、継続的に活動していくため、組織的基盤を強化していくことが重要であると認識しております。

 このため、総務省では、自治会、町内会等の活動に係る市町村の支援に対しまして地方交付税措置を講じますとともに、自治会、町内会等の会長として長年にわたり良好な地域社会の維持及び形成に顕著な功績のあった方々を、総務大臣表彰や叙勲の対象とするなど、その活動を支援してきております。

 また、地縁団体の法人格の取得でございますが、持続的な活動基盤を整える上で有用な方策の一つであり、委員御指摘のとおりでございますが、本改正によりまして、地縁団体が不動産等の保有の有無にかかわらず、地域的な共同活動を円滑に行うために法人格を取得をすることができるようになりますので、地域団体の活動基盤の強化につながるものと考えております。

 さらに、第三十二次地方制度調査会におきましては、実際の取組事例も紹介などしながら、市町村が自治会、町内会等の活動状況に応じて、人材、資金、ノウハウ等の確保に向けた支援を積極的に行うことも求めているところでございます。

 総務省としましては、こうした観点から、引き続き地縁団体の活動基盤の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

美延委員 これは実際の話、そういうのをやはりやっていってもらわないと、本当に、今回の件なんかは非常に私、残念で仕方がないような事例だったので、そういうことをしっかりやってもらいたいと思います。

 次に、小規模多機能型居宅介護の利用定員に関する基準について、先ほども質問ありましたけれども、従う基準から標準に見直しが行われることになりました。このことにより、地域の実情に応じて、登録定員や通いの利用定員を条例により実質変えることができることになったと理解しております。

 法令の標準を標準としつつ、合理的理由がある範囲内で、地域の実情に応じて法令の標準と異なる地域の標準を定めることを許容されることにおいて、この合理的理由という、具体的にはどのようなことを想定されているのでしょうか。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の見直しにより、小規模多機能型居宅介護の利用定員に係る基準については、市町村の責任と判断において、法令の標準を通常よるべき基準としつつ、合理的な理由がある範囲内で、地域の実情に応じた標準と異なる内容を定めることができるというふうに、議員御指摘のとおり、なっております。

 この合理的な理由があるかどうかにつきましては、条例改正を行う市町村議会において地域の実情に応じた説明や議論がなされるものと承知しておりますが、一般論といたしましては、事業所が少ない過疎地や利用者が多い大都市などにおいて、小規模多機能型居宅介護の制度趣旨を踏まえつつ、その利用ニーズの増加を背景とした利用定員の見直しを行うが、サービス水準については、引き続き、従うべき基準とされている人員配置基準や面積基準等がございます、そうしたものの遵守等によって担保していく、そうしたことなどが考えられるところでございます。

美延委員 小規模多機能型居宅介護は、利用者の住み慣れた地域での生活を継続できるよう、地域住民との交流や地域活動への参加を図りつつ、利用者の様態に応じて、通い、訪問、宿泊を柔軟に組み合わせてサービスを提供する制度でもあります。

 全国小規模多機能居宅介護事業者連絡会は、本来的趣旨を損なわないよう、小規模多機能が大規模化を招かないよう警笛を鳴らしていることと承知しております。この改正により小規模多機能型居宅介護が大規模化しないように、政府としても何らかの措置を講じていくべきではないかと考えますが、この点についてはどうお考えでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、標準と異なる定員の基準を定める場合、条例の改正を伴うものであることから、市町村において、合理的な理由の説明責任が求められるものと考えられております。

 したがいまして、小規模多機能型居宅介護については、既に利用定員に係る基準が標準とされている他のサービスと同様に、市町村の責任と判断によって、地域の実情に応じた適正な対応が図られるものと考えておりますが、例えば、通いの利用の場合に、利用者三人に一人以上の介護従業者の配置を義務づけている人員配置、こういう基準がございますが、こうしたものにつきましては、引き続き、従うべき基準としておりますので、今回の改正後におきましてもサービスの質が担保されるというふうに思っております。

 厚生労働省といたしましては、小規模多機能型居宅介護が、引き続き、地域において小規模でなじみの職員による家庭的なケアの実施という本旨を果たしていくことができるよう、調査研究事業等を通じて、地域における実施状況等を適切に把握してまいりたいと考えております。

美延委員 最後に、郵便局における取扱いの見直し項目についてお伺いしたいんですけれども、政府はデジタル化を推進していく方向であります。そのような中、総務省としては、今後、デジタル技術を活用して対面と同程度の厳格な本人確認等を行うことに当たり、必要となる条件はどのように考えておられるのか、御教授いただきたいと思います。

 あわせて、国民の利便性に資する郵便局での事務取扱の更なる拡大に関して、今後の見通しを併せて教えていただけますでしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 現在、市町村の窓口では、成り済ましや不正な届出等を防ぐため、個別のケースに応じて、本人確認書類の提示と併せまして、本人の挙動や口頭による質問等を通じ、その信憑性の判断が行われております。

 委員御指摘の、デジタル技術を活用して本人確認を行うことにつきましては、対面の手続と同程度の厳格な本人確認及び実質的審査を行えることが担保される技術的精度や品質の確保、セキュリティー対策などの課題の整理が必要であると考えております。

 なお、郵便局での住民サービスの拡大に関しまして、最近では、過疎化が進む地域の郵便局において、窓口業務を受託するなどの取組を行っていると承知してございます。

 地域社会を支える拠点としての郵便局の役割には期待しているところでございます。

美延委員 どうもありがとうございました。終わります。

伊東委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、地方創生臨時交付金について質問させていただきます。

 三度目となる緊急事態宣言が発令をされまして、時短要請に加えて、休業要請も実施されることとなりました。

 時短協力金と同様に、休業協力金も当然、事業規模別であると考えますが、その財源は、これまで同様に、今後も地方創生臨時交付金の協力推進枠を使って対応される方針でしょうか。

 また、例えば、現状、百貨店等の大規模店舗については、一日最大二十万円の協力金ということでは事業を到底維持することはできず、実態に即した事業規模別の支援であることが要請の大前提であるべきです。

 今後、現状の深刻な感染拡大状況を踏まえると、宣言発出地域の拡大も予想をされ、財源の拡充が必要となると考えますが、今後の方針についてお尋ねをいたします。

 また、先ほど他の委員からの質問にもございましたように、この度、地方創生臨時交付金の特別枠、事業支援分が創設をされました。

 従来から指摘のあっているとおり、宣言や重点措置発令地域以外のどの地域においても、多くの業種において人流の抑制による厳しい状況は同様であり、地域、業種を問わない政府の公平な経済支援策が求められていたところです。

 今回、事業者支援分が創設されましたが、地方自治体にとっては財源を心配せずに適切な対応を取ることができる支援制度であるべきだと考えますが、その支援策も含めた今後の取組についてお伺いをいたします。

坂本国務大臣 二十三日の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、東京、京都、大阪、兵庫の都府県が緊急事態措置区域に指定されたことに伴いまして、飲食店等に対する休業要請、時短要請に対しましては、中小企業については売上高の四割を一日四万円それから十万円の範囲内で、それから、大企業及び希望する中小企業につきましては、売上高減少の四割を一日最大二十万円の範囲内で支給する協力金について、地方創生臨時交付金の協力要請枠等により国が支援することとしております。

 それに加えて、協力要請推進枠等を活用し、大規模施設への休業要請に係る協力金に対しても支援を行うこととしておりますが、いろいろな御意見、そこはあることは承知しております。

 地方創生臨時交付金の協力要請推進枠等は、これまで、感染の拡大に応じまして、補正予算に加えまして予備費を逐次活用してまいりました。合計三・六兆円を措置しておりますので、財源として直ちに不足するとは考えておりませんが、今後、状況を見ながら、引き続き適切に対応してまいりたいと思います。

 それから、後段の御質問がありました地方創生臨時交付金特別枠五千億円、これは、各都道府県知事会からの御要望にもお応えしたところでありまして、それぞれの地域がしっかり使っていただくような配分というものをこれから考えてまいりたいというふうに思っております。

西岡委員 休業協力金については、やはり事業規模別、実態に即した支援というものが行われないと、事業者にとっては大変な、深刻な問題だと思いますので、しっかり実態に即した協力金という形の支給を是非お願いをしたいと思います。

 また、事業支援分につきましても、都道府県が今やはり財源を大変心配しながら様々な政策に取り組んでいるという状況もございますので、しっかり、心配せずに適切な対応を取ることができる体制を是非整えていただきたいということを大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 地方分権一括法案、施行から二十年が経過をいたしました。この度の新型コロナウイルス感染症対策においても大きな課題となった国と地方の役割分担や、都道府県と市区町村の関係、こういう面から、これまでの成果に対する政策的な評価について大臣がどのように考えておられるか、御見解をお伺いをしたいと思います。

坂本国務大臣 これまで様々な地方分権を行ってまいりました。そして、その中で、国は本来的任務を重点的に担う、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体が担う、また、基礎自治体優先の原則によりまして、住民に最も身近な市町村に事務事業を優先的に配分し、地域の総合行政を自主的に担うということを基本として、これまで権限移譲を行ってまいりました。

 私は、スムーズに、スムーズにといいますか、まだまだやるべきことはありますけれども、提案募集方式ということで今やっておりますけれども、地方分権が段階的に行われてきたというふうに評価をしているところであります。

西岡委員 国と地方の役割分担については、今般の新型コロナウイルス対策でも様々課題となったというふうに考えておりますけれども、やはりしっかり役割分担を明確にした上で、それぞれがそれぞれの立場で、また地方は、やはり地方のことが一番分かっておられるのが地方でございますので、私は、財源も含めて、しっかり地方がそれぞれの地域で自分たちのことを決めていくという体制をつくっていくというのが大変必要なことだというふうに考えております。

 関連いたしまして、令和二年度の地方分権改革に関する地方自治体からの提案状況についてお尋ねをいたします。

 令和二年の提案状況については、どのような傾向があって、どのように分析されておりますでしょうか。また、提案募集方式については、スタートした平成二十六年には九百五十三件であったものが、年々減少してきておりまして、令和二年は二百五十九件となっています。この数字をどのように見るかはいろいろな見方があると思いますが、自治体ごとの提案実績に格差が生じているという指摘もございます。

 どのように今の状況を認識しておられるのか、また、今後についてのお考え等ございましたら御見解を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 令和二年の提案募集では、新型コロナウイルスへの対応もある中で地方から二百五十九件、コロナの中でですので、私はこれは多い提案であったというふうに思います。

 これまでに提案実績のない八十市町村から新たに提案もいただきました。それから、複数の団体による共同提案が全体の半分近くを占めました。これまで以上に、多くの団体が共通して直面する支障に基づきまして提案をいただいたというふうに認識をしております。

 また、過去に提案実績のあります市区町村の割合は、全市町村の約三分の一というふうになっています。この中で、人口規模の小さい町村について見ますと、着実に提案が増えつつあるものの、提案実績のある町村の割合は全市町村の二割にとどまっております。

 このような状況を踏まえまして、都道府県等と連携した市町村向け研修会を行いたいと思います。そして、地方からの御相談が提案に結びつくような、丁寧なサポートを行ってまいりたいと思います。

 今後とも、提案の裾野の拡大に向けた取組を進めてまいります。

西岡委員 次に、今回の第十一次一括法案について質問をいたします。

 宅地取引業の一部改正につきまして、宅地取引業者の免許申請については、都道府県経由事務の廃止が盛り込まれました。その前提として、電子申請を可能とする環境整備が求められました。これはどういう理由からだったのでしょうか。

 また、システム構築については、今、政府が省庁横断的に進めているデジタル化、またシステムの共有化の中でどのような位置づけで進めていかれるのでしょうか。

 また、国土交通省所管のほかの資格についてのシステム構築の問題もあると考えますが、どのようなスケジュールで進めていかれるのかについて、お尋ねをしたいと思います。

天河政府参考人 宅地建物取引業法におきましては、これまで、申請者の利便性を確保するため、大臣免許業者に係る申請等につきまして、主たる事務所の所在地を所管する都道府県を経由しなければならないとしていたところでございます。

 これに関しまして、令和二年の地方分権改革に関する提案募集におきまして、都道府県の事務負担軽減の観点から、当該都道府県経由事務を廃止するべきとの提案を受けたところでございます。

 これを受けまして都道府県や宅地建物取引業者へのアンケート調査等を行ったところ、経由事務が廃止された場合、地方整備局等への郵送や持参では負担が増加するおそれがあるが、電子申請システムを導入することによって負担が軽減されるとの声が寄せられたところでございます。

 これらの調査結果や今お話がありました政府全体の行政手続のデジタル化の流れを踏まえまして、電子申請システムの導入と併せまして、経由事務を廃止するということにいたしました。

 それで、日程でございますが、現在、電子申請化に向けた調査検討を実施しているところでございまして、それを踏まえまして、令和六年度からの施行を目指しまして、今、環境整備を進めております。

 以上でございます。

西岡委員 今の質問に関しまして、ほかにもいろいろ所管の資格があると思うんですが、その状況は、それぞれ進行状況が違うと思うんですけれども、その辺り、ちょっと御説明、もしいただければ。

天河政府参考人 私どもの局で所管をしております建設業法につきましては、大臣許可業者の申請等に係る都道府県経由事務の廃止につきまして、既に廃止の提案を受けまして、廃止をしております。

 以上でございます。

西岡委員 次の質問でございますけれども、順番を変えまして質問をさせていただきます。平成の市町村合併について、お尋ねをさせていただきます。

 平成の市町村合併につきましては、功罪両面、様々指摘をされておりますけれども、現実には、周辺部の急速な人口減少を生み、地域が疲弊をし、例えば地域の伝統文化の継承が大変困難になるなど、様々な問題点が生じております。

 この問題は総務省の所管であるということも十分承知をいたしておりますけれども、この問題はまさに地方創生の本質的な課題が私は含まれているのではないかと認識をいたしております。

 合併を選択しなかった町村の現状分析も含めまして、やはりしっかり検証していくということが、今後の地方の在り方、また、地方創生をどういう哲学で進めていくかということにも関係をいたしますし、今般のコロナ感染症による地方回帰、地方移住の流れが生じている今、大変重要なことであると考えます。

 大臣に、地方創生の観点から、大臣の認識ですとかお考えというもの、もしお聞かせいただければと思います。

坂本国務大臣 平成の大合併は、平成十一年から十年間にわたって進められてまいりました。

 総じて言えば、市町村の規模拡大、それから行財政基盤の強化といった点から見れば、私は成果が得られたというふうに思っております。

 ただ一方で、今委員御指摘のように、周辺の旧市町村の活性が失われているというようなことは一部やはり見られるところでありますが、そういう中で各市町村それぞれが工夫をして、専門員を置いたり、あるいは広域的なまちづくりをしたりということで、それぞれの合併市町村に工夫するという意欲が生まれてきたということも、また一方で評価をしなければいけないというふうに思っております。

 そして最後に、委員御指摘のとおり、このコロナ禍でございます。どういうふうな地方政策を進めていくか。私の立場といたしましては、テレワークが非常に今普及をしてまいりましたので、テレワークを活用して転職なき移住の推進、それから関係人口を含めた地方の担い手の育成、そして地域のそれぞれの特産物、そういったものを更にブラッシュアップしていく。そういうことで人の強力な流れを、地方への流れをつくり上げて、地方分散型社会というものに導いていきたいというふうに思っております。

西岡委員 時間となりましたので、これで質問は終わります。

 ありがとうございました。

伊東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。清水忠史君。

清水委員 私は、日本共産党を代表して、第十一次となる地方分権一括法案に反対の討論を行います。

 本法案は、令和二年度の地方からの提案等に関する対応方針を踏まえ、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等の関係九法律を一括改正するものです。

 我が党は、不動産保有の有無にかかわらず市町村が認可地縁団体を定める地方自治法改正や、地方公共団体が指定した郵便局において取り扱わせることができる事務に転出届の受付及び転出証明書の引渡し並びに印鑑登録の廃止申請の受付の事務を追加する法律改正、及び、都道府県経由事務を廃止し国に対する申請手続を簡素化する法律改正等については、反対するものではありません。

 しかし、介護保険法改正は、小規模多機能型居宅介護事業の約四割が赤字になっている問題の解決策を利用者の定員基準の緩和にだけ求めるものであり、反対いたします。

 小規模多機能型居宅介護は、施設利用者が認知症の場合でも混乱を来すことなく家庭的な環境の下で慣れた職員からサービスを受けられるように、登録定員及び利用定員を定めてきました。社会保障審議会介護給付費分科会では、特定非営利法人全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の方が、報酬を上げられない代わりに緩和という路線ではなく、利用者や地域の求めるケアを提供できるよう、基本報酬の引上げを検討してほしいと発言されています。ほかの委員からも、定員基準の見直しは安易に行わない方がよい等の厳しい意見が出されており、本事業の趣旨と目的を損ねる規制緩和は行うべきではありません。

 小規模多機能型居宅介護事業者の経営状況の悪化の原因は、その基本報酬額の低さにあるのです。国の責任で介護報酬と労働条件等の処遇改善を抜本的に進める必要があり、本来、厚生労働委員会で議論されるべき性格のものであります。

 この法案に賛成できない以上、一括法案についても反対することを表明して、討論といたします。

伊東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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