衆議院

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第3号 令和4年3月10日(木曜日)

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令和四年三月十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 石田 真敏君

   理事 小林 茂樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 谷川 弥一君 理事 永岡 桂子君

   理事 白石 洋一君 理事 福田 昭夫君

   理事 沢田  良君 理事 守島  正君

   理事 輿水 恵一君

      井原  巧君    石原 正敬君

      今枝宗一郎君    今村 雅弘君

      国定 勇人君    小島 敏文君

      小森 卓郎君    斎藤 洋明君

      田野瀬太道君    武井 俊輔君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中川 郁子君    中野 英幸君

      野中  厚君    藤丸  敏君

      宮路 拓馬君    保岡 宏武君

      吉川  赳君    和田 義明君

      おおつき紅葉君    坂本祐之輔君

      田嶋  要君    堤 かなめ君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      阿部  司君    住吉 寛紀君

      中川 宏昌君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (デジタル田園都市国家構想担当)         若宮 健嗣君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   デジタル大臣政務官    山田 太郎君

   衆議院委員部長      小林 英樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長)           渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            井上 諭一君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長兼地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           渡邉その子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長兼地方創生推進事務局審議官)        北浦 修敏君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           武井佐代里君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        師田 晃彦君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今川 拓郎君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     齋藤 秀生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       高橋 謙司君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     石原 正敬君

  斎藤 洋明君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     国定 勇人君

  武井 俊輔君     斎藤 洋明君

同日

 理事沢田良君同日理事辞任につき、その補欠として守島正君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月九日

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事沢田良君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に守島正君を指名いたします。

     ――――◇―――――

石田委員長 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官高村泰夫君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進室次長新井孝雄君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進室次長渡邉政嘉君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官井上諭一君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進室次長、地方創生推進事務局審議官黒田昌義君、内閣府地方分権改革推進室長寺崎秀俊君、内閣府地方創生推進室次長渡邉その子君、内閣府地方創生推進室次長、地方創生推進事務局審議官北浦修敏君、内閣府地方創生推進室次長武井佐代里君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、内閣府地方創生推進事務局審議官師田晃彦君、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、デジタル庁統括官村上敬亮君、デジタル庁審議官犬童周作君、総務省大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎君、総務省自治行政局公務員部長山越伸子君、総務省情報流通行政局郵政行政部長今川拓郎君、消防庁審議官齋藤秀生君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、厚生労働省大臣官房審議官榎本健太郎君、農林水産省農村振興局農村政策部長山口靖君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、国土交通省大臣官房審議官塩見英之君、国土交通省水管理・国土保全局次長高橋謙司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今日は、大臣所信ということで質問させていただきますけれども、野田、若宮両大臣を中心にお願いしますので、是非答弁は簡潔にお願いをいたします。

 まず、地方創生、地方分権の推進と東京圏一極集中の是正について、両大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、岸田総理は、東京圏一極集中、東京の一極集中の是正を施政方針演説で示しておりませんけれども、両大臣にはちゃんと指示しているのかどうか、お伺いをしたいと思っております。

 その辺について、どうぞよろしくお願いいたします。

野田国務大臣 福田委員御指摘のとおり、岸田総理からは、私に対し、地方創生担当大臣として、関係大臣と協力して東京一極集中の是正に取り組むよう指示を受けています。

若宮国務大臣 私の方も、岸田総理から、関係大臣と協力して、人口急減地域への支援強化、東京一極集中の是正に取り組むとの御指示をいただいておりまして、野田大臣始め関係大臣と連携して頑張っている、そういうことでございます。

福田(昭)委員 何か変なんですよね。地方が大事だ、特に、デジタル田園都市国家構想をつくるのは、地方が主役だ、こう言っておきながら、じゃあ、東京圏一極集中を是正せずにそれができるのかい、こういう話がずっと続いてきたわけですよ。

 そんな中で、安倍政権時代から地方創生戦略、ナンバーワンを作ったけれどもほとんど効果がなく、ナンバー二を作ったけれども、その中ではもう全く、地方に人口がどれぐらい移転するかどうかというのも全く分からない。そういう状況の中で、本当にやる気があるのかい、こういう話なんですが。

 実は、私が地方創生特別委員会で、初代の石破大臣始め、山本大臣とか、あるいは片山大臣とか、それぞれ質問をしてきました。東京一極集中を是正する具体策はありますかと言って、ありますと言った大臣は実は誰もいないんです。誰もいないんですよ。

 ですから、本当に東京一極集中是正をやる気がないんじゃないか、こう思いながらずっと実は来ましたけれども、そのことについては質問いたしませんけれども、多分本当にどれぐらいできるか分からない状況でありますので。

 二つ目に行きたいと思っていますが、二つ目は、岸田総理は、新自由主義の弊害として、行き過ぎた集中によって都市と地方の格差が生じた、こう言っております。新自由主義の弊害をそのほかも述べているんですけれども、それでは、両大臣に対して、どのような格差があって、どう解消すべきだと指示をしておりますか。もし指示をしていたら、それを教えてください。

野田国務大臣 都市と地方の格差については、実際に、情報通信、医療、教育など様々な面で生じています。岸田内閣の政策の要である新しい資本主義の検討においては、岸田総理の方から、デジタル田園都市国家構想の下、都市と地方の格差を是正することで新たな成長をつなげていくよう話がございました。

 具体的には、高齢化や過疎化など社会課題に直面している地方にこそ新たなデジタルの技術を活用するニーズがあることを鑑みて、デジタル技術の活用によって、地域の個性を生かしながら地方の課題を解決し、地方から全国へとボトムアップの成長を実現していくような話がありました。例えばテレワークのようなことではなかろうかと思いますが。

若宮国務大臣 昨年の十一月にデジタル田園都市国家構想担当大臣を拝命した際に、岸田総理からは、世界とつながるデジタル田園都市国家構想の具体化に向けて、関係大臣と協力しながら、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こして、地方と都市の差を縮めるとともに、デジタル実装を通じた地方の活性化を推進をしていきなさい、こういった御指示をいただいたところでもございます。

 もう委員も重々御案内のとおり、人口の減少あるいは高齢化、そしてまた産業の空洞化など、社会課題がございます。こうした直面をしております地方にこそ、まさに新たなデジタル技術を活用するニーズがあるということを私自身も感じているところでもございます。

 デジタル技術の活用によって、まさに地方を元気にする、そして全国へと、成長へつなげていくというふうに考えております。

福田(昭)委員 国は、最初に全国総合開発計画を作ったときには、過密過疎の解消というのがテーマでした。しかし、その後、国土の均衡ある発展というふうに変わってきて、だんだん財源が乏しくなってきたら、重点と集中というようなことに変わってきました。そのうち策定しなくなりました。

 しかし、今また、全国国土計画を作ろうという動きになってきております。国交省の方がこれを担当しておりますけれども。

 今回、全国総合開発計画をちゃんと作れるかどうかというのも大きな課題ですが、国交省の専門委員会では、それこそ二〇五〇年を目指した、真に豊かさを実感できるような国土をつくるということを目標に今これから国土計画を作ろうとしておりますけれども、しかし、問題は、やはり新自由主義の何が問題なのかということについて、どうも岸田総理の頭が整理されていない、ここが一番大きな問題じゃないでしょうか。昨日のマスコミ報道でも、それこそ朝日だけじゃなくて読売までも、何だか新しい資本主義の全体像が見えないなんて書いておりました。

 それは、先日、予算委員会で私、山際大臣にも言ったんですけれども、新自由主義の弊害は何かといったら、やはり彼らの二本柱である株主至上主義、市場万能主義、これなんですよね。これによる構造改革、まあ、構造改悪でしたけれども、行き過ぎた構造改革と、それから規制緩和、これによって実は格差が拡大したんです。それは、人間の一人一人の個人の格差も、所得が伸びない人から、どんどんどんどんお金でお金を稼いで大金持ちになる人、億万長者あるいはそれ以上の長者になる人、あるいは小さな零細企業と大企業の格差、さらには都市と地方の格差、これができたんですよ。

 実は、それを進めてきたのが、余りにも不公平な、いびつな税制なんですよ。余りにもひど過ぎる税制と、さらに、働き方なんですよ。労働者派遣法を全面的な解禁をして、非正規雇用労働者をどんどんどんどんつくっちゃった、これが新自由主義の弊害なんですよ。

 これを改めるという考えがなければ、新しい資本主義、できません。岸田総理にそれだけの哲学と理念があるかどうかということに懸かっている、私はそう思っております。

 両大臣からはお聞きしませんけれども、指摘だけしておきたいと思います。

 三つ目は、野田大臣は、東京圏一極集中の是正と地方への移住、定着をどのように進めようとしているのか、お伺いをいたします。

野田国務大臣 私の所管である地方創生においては、まずは少子化に伴う人口の減少に歯止めをかける、それとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正して、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力のある日本社会、それを維持することを目的とした取組を行っています。

 コロナ感染症の拡大を受けての国民の意識や行動の変化、これを契機として、地方への人や企業の流れを後押しする取組をより一層推進していくことが重要だと考えているところです。

 具体的には、起業支援金、移住支援金による地方での起業や移住の促進、そして地方拠点強化税制による企業の本社機能の地方への移転の促進、それに加えて、デジタル田園都市国家構想推進交付金や企業版ふるさと納税の活用などによるサテライトオフィスの整備の促進など、関係施策を活用して総合的に取り組んでまいります。

 また、地方において、特に女性が能力を発揮して自由に活躍できる環境をつくるとともに、これが余り、これまできちっと捉えられていなかったんですが、若い世代の地方移住への関心の高まりを捉え、安心して子育て等ができる環境、これを整えることも重要であると思います。

 関係省庁とも連携しながら、地方創生の取組を一層推進してまいります。

福田(昭)委員 なかなか難しい課題ですけれども、そのように取り組むということが大事なことだと思いますが、大臣の所信の中では、東京から地方へのUIJターンによる起業・就業者をつくるとか、あるいは魅力ある地方大学を創出するとか、あるいは地域におけるハイレベルな人材育成の支援の展開だとか、企業の地方移転等の促進、このようなことも書いてありました。是非そのようなことも併せて、企業のことは言ったかもしれませんが、頑張っていただきたいと思います。

 さて、四つ目ですけれども、四つ目は、野田大臣は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で地方をどのように支援しようとしているのかでありますが、実は、ちょっと私が経産省の苦情を述べますので、そうならないようにお願いしておきたいと思っています。

 経産省がコロナで実施した資本金十億円以下の法人企業に支給した持続化給付金であります。この持続化給付金について、実は当時の経産大臣は、法人化されていない組合、例えば農村レストランとか農林産直売所などについては持続化給付金の対象にしていませんでした。

 そうした中で、多くのこうした事業をやっている方々から要望があって、私たちも法人税はちゃんと納めているんですよ、だから我々も交付の対象にしてください、こう言われて何度か質問をしてまいりましたが、残念ながら当時の経産大臣の最後の答弁は、地方創生臨時交付金で対応してもらう、それが政府として決めたことだと予算委員会で答弁をされました。しかし、これが実は空証文で、地方自治体には全く伝達されていませんでした。

 したがって、私が栃木県庁に確認しても、いや、そんなこと知りません、こういうことで、政府として決めたことが自治体に伝わっていなくて、実は、そうした法人化されていない組合の、農村レストラン、そばレストランとか、あるいは農林産直売所は大変な怒りでいっぱいでした。中には店をやめちゃったところまであります。

 ですから、是非野田大臣には、今度は経産省が、同じような補助金として、事業再構築補助金というのを出すことになっていますが、これもまたもしかすると、法人化されていないと出さない、こう言うかもしれませんので、そんなことがないように地方創生担当大臣として取り組んでいただきたい、こう思っています。

 いかがですか、答弁しますか。

野田国務大臣 私の担当で、地方創生臨時交付金、これを皆様方にお届けしているんですけれども、これは、新型コロナ対策と関連があれば、感染症対応や地域経済活性化に自由度が高く活用いただくことが可能であるということを今日まで数次にわたって地方自治体には通知をしてまいりました。

 委員の御指摘の持続化給付金の給付対象外の方への支援についても、この地方創生臨時交付金を活用した事業が実施されているところでございます。

 国の制度の上乗せ、横出しとして活用可能であることは幅広く伝わってきたのではないかと今は認識しているところなので、今後とも、関係省庁と連携しながら、地方自治体へは適切に情報提供をしてまいります。

福田(昭)委員 これは、私の怒りというよりは対象になった人たちの怒りですからね、まあ、私も怒りになっているんですけれどもね。そういうことですから、是非、そういうことがないようにひとつお願いしたい、これからお願いします。

 五つ目ですけれども、五つ目は、若宮大臣は、デジタル化によって東京圏一極集中をどう是正できると考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

若宮国務大臣 このデジタル田園都市国家構想、これは新しい資本主義におけます成長戦略の最も重要な柱の一つというふうに位置づけられてございます。

 高齢化や過疎化などの社会課題に直面する地方にこそこの新たなデジタル技術を活用するニーズがあるというふうにも考えておりますが、例えば、自動配送ですとかドローンの宅配、それから、遠隔医療あるいはオンライン教育、リモートワークなど、デジタルの技術の活用によりまして、地域のそれぞれの個性を生かしながら活性化して、持続可能な経済社会を実現するものというふうに考えてございます。

 この構想は、委員御指摘の東京圏の一極集中の是正にも大きくつながるものというふうに考えておりまして、例えばですけれども、先ほど野田大臣からも答弁させていただきましたが、企業版のふるさと納税あるいはデジタル田園都市国家構想推進交付金なども活用いたしましたサテライトオフィスの整備、また、企業に対する情報提供や相談の対応や取り組む企業の裾野の拡大などを通じました地方創生のテレワークの推進、さらにはデジタル人材等の移住の促進などに取り組むことで、地方への大きな人の流れを生み出していくことができるのではないかなというふうにも考えてございます。

 また、今、並行して、デジタル田園都市国家構想実現会議というのを開催をさせていただいてございますが、更に議論を深めまして、この春には具体的な構想を取りまとめて、政府一丸となって取り組んでまいりたいな、このように考えているところでございます。

福田(昭)委員 なかなか東京一極集中を是正するのは容易じゃないんですよね、実は、本当のところは。

 私がお世話になっておりました、元東京都の政策審議室長で、その後作家となっております童門冬二先生というのがいるんですよ。童門先生が何と言っているかというと、東京は江戸時代から人を食う町だと言うんですよ、人を食う町だと。つまり、北関東三県あたりから、江戸時代、江戸へ出てきて、みんな働いて、結婚もできずに、家庭も持てずに、働きずくめで亡くなってしまう、そういう、まさに江戸時代から東京は人を食う町だと。

 それが今も、実は直っていないんです。直っていないんですよ。東京都の出生率を見れば分かるように、一・〇前後です。ですから、家庭を持っても子供を持てないのかもしれないけれども、残念ながら、出生率が一から高くなったことはないんですよ。まさに、そういう意味では、今も東京は人を食う町なんです。

 東京は、しかし、魅力がありますから。いろいろな魅力がありますわね、職場があって、お金を稼ぐ場所もある。あるいは、もしかすると、いろいろな楽しみもある。文化も芸術もある。日本でもすばらしいものがたくさんある町が東京ですから、やはり人は東京へ東京へと集まっちゃう。そういう意味では、人を集めるようなダムのようなものかもしれない。巨大なダムが東京かもしれません。ですから、ここへ集まらないようにする、あるいはここから出ていってもらうということでは、なかなか難しいと思っているんですけれども。

 そうした中で、今回の新型コロナで、何か、東京二十三区の人口は流出人口の方が多かったというような報道があったり、しかし、そうはいっても、東京圏、首都圏三県ではそうでもない、埼玉や近くの隣県に、神奈川や千葉県に移住はしたけれども、そこから出ていないというような調査があったり、あるいは、今若宮大臣からもありましたけれども、リモートワークで地方に移住する人も出てきている。

 こういう状況の中で、この新型コロナのパンデミックで分かったことは、やはり三密はいけないということなんですよね。コロナとはどうしても共生していかなくちゃならない。人と獣、人獣共通のウイルスに対しては、ウイルスの方が先に地球上に現れたので、後から生まれてきた我々人間が乗り越えることはできないと言う科学者がいっぱいいるんですね。まさに、人と獣と共通のウイルス、これが新型コロナらしいんですよね。ですから、そういう意味からいうと、一番、余り三密にならないことがいい、こういうことらしいんです。

 ですから、そんなことを考えると、やはり、新型コロナのパンデミックから、我々は、余り密にならないように、マスクをしたりアルコール消毒をしたり、いろいろしていますけれども、それが一番実はいい方法だということなんですけれどもね。あとは、ちゃんと体力をつけるということなんだと思いますけれども。

 そんなことで、東京一極集中を是正するというのは本当に難しいんですけれども、ただ、デジタルはかなり便利な道具で、時間の壁を取り除くというか、あるいは距離の壁を取り除くとか、あるいは作業の力を代用してくれるとか、いろいろな役割を果たしてくれると思うので、相当便利な道具なんですけれども。

 しかし、後の質問へ行きますけれども、便利なだけに実はもろ刃のやいばもあって、個人情報が盗まれてしまう、こういうこともあるので、ここが非常にデジタル化を進める上で大きなポイントになってくるかなと思っておりまして、次の質問に入りたいと思います。

 次に、デジタル田園都市国家構想の策定について、若宮大臣を中心にお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、デジタル田園都市国家構想は、なぜ新しい資本主義実現に向けた成長戦略の最も重要な柱なのかということであります。

 私は、デジタル化は、世界経済の大きな構造変革の中で出てきた流れであって、別に新しい資本主義じゃなくても実現しなくちゃならないものだと考えております。これは、デジタル化だけではありません。カーボンニュートラルもそうですし、あるいは科学技術の振興もそうですし。ですから、大きな、まさに文明史的な転換の時代にあって、岸田総理が施政方針演説で挙げたものは全て、別に新しい資本主義でなくても日本が取り組まなくちゃならない課題ばかりです、別にですよ。

 先ほど申し上げたように、新しい資本主義は、新自由主義の悪いところを直すのが新しい資本主義じゃないですか、改めるのが。ですから、そこを私は間違っては駄目だというふうに思っておりますが。

 そういったことで、新しい資本主義の実現に向けた成長戦略の最も重要な柱の一つだということなんですが、そうしたことに対して若宮大臣はどんな認識を持っていられますか。お答えをいただければと思います。

若宮国務大臣 今委員のお話を伺っていまして、童門冬二先生、実は私の選挙区にお住まいでいらっしゃいまして、私もよくお目にかからせていただいて御指導を賜っているところでもございますので、多分委員の御認識と近い、共有されたものはたくさんあるかと思っております。

 今の御質問でございますけれども、この新しい資本主義、これは、市場や競争に任せれば全てがうまくいくということではなくて、官と民が協働しながら成長と分配の好循環を生み出していき、そして、その中で格差などの問題を解消していく、こういったことを目指しているというふうに私自身も認識いたしているところでもございます。

 このデジタル田園都市国家構想は、高齢化とか過疎化とか様々な社会課題、これはもう日本全国あろうかと思いますけれども、特に地方にそれが顕著にある部分もあろうかと思います。こうしたものを、今委員も御指摘になりましたデジタル化は非常に便利な部分がございますので、このデジタル技術を活用するニーズが地方にこそあるのではないかな、そういったところから、産学官の連携の下で、デジタル技術の活用によって、地域の個性を生かしながら活性化して、持続可能な経済社会を実現していこう、こういった考えでございます。

 また、この構想では、その地域ごとが稼ぐ地域になっていかなきゃいけないな、そしてまた、そこで仕事の創出もなくてはならないのではないかな、そのことによって都市と地方の格差が是正されて新たな成長につながっていくのではないかな。こうした観点から、このデジタル田園都市国家構想、これはまさに、新しい資本主義の成長戦略の柱としてふさわしいものではないかな、こうした認識を持ってございます。

福田(昭)委員 具体的な話は分かりますけれども、先ほど申し上げたように、新しい資本主義ではないと私は思いますよ。やはり、二番目の質問で考えておりましたが、デジタル基盤を整備すれば、人口減少、高齢化、産業の空洞化等、地域が抱える課題をデジタルの力で解消できる、こう若宮大臣は所信で言っておりますけれども、私は、それは全部は無理だと思っています。

 例えば、じゃ、デジタル基盤を整備したら人口減少を止められるのか、止められない。高齢化を止められるのか、止められない。少し止められるとすると、産業の空洞化は止められるかもしれません。ですから、そういう意味では、デジタルも万能ではないということなんですよね、基本的に。

 ただ、デジタルは、それこそ大臣の所信の中にもありますように、自動配送とかドローンの宅配とか遠隔医療とかオンライン教育とか、あるいはリモートなどについてのデジタル技術は非常に有用だ、有効だと思っております。しかし、人口減少や高齢化には、残念ながらそれを止められません、幾らデジタルが普及しても。産業の空洞化は多少止めることもできると思います。

 ですから、そういう世の中の現象と、要するに、原因は何かということをやはり明確に認識をしながら対応していく必要があると思います。ここはいいです。

 三つ目に行きます。

 三つ目は、国主導でデータの連携基盤を全国に実装していく目的と狙いは何なのか、教えてください。

山田大臣政務官 御質問ありがとうございます。私にとっては、今回、政府答弁、これがデビュー戦ですので、どうかよろしくお願いします。

 まず第一に、先生も目的意識があると思うんですが、やはり今、各自治体のデジタル実装、実はばらばらな状態になっています。先進的に進めている自治体がある中で、一方、これからデジタル実装を具体化するというところもございまして、デジタル格差がこれによってできてはならない、こういうふうにも考えております。

 こういう状況を放置しますと、デジタルの恩恵が自治体ごとに格差が生じるとか、あるいは自治体相互でのデータの連携ができなくなる、あるいは、個別の開発が進みますと、社会全体でコストが増大したりとか、全体で質の高いシステムにならないという懸念も発生してまいります。

 そういう意味で、政府といたしまして、デジタル実装の主体は各自治体で創意工夫の下やるのではありますけれども、そのデータ連携の共通の基盤は国主導でやらせていただく。そして、デジタル・ガバメント標準ガイドライン等を作りまして、みんなが利用しやすく安心して使えるデータの設計ができるようにということで、国の方は、フレームワークを準備しましたり、あるいは、政府、自治体、大学、企業、NPO等がつながりますよう、データ連携の基盤のコアの部品等も今回作らせていただきまして、それらを各地域でも活用していただく、これが狙いと目的でございます。

福田(昭)委員 それでは、四つ目の方ですけれども、地方自治体システムの統一、標準化の推進の目的と狙いは何か、こちらもデジタル庁ですかね、お願いします。

山田大臣政務官 今御答弁させていただきましたが、各府省庁とか自治体で個別にデジタル化とかシステム開発を進めてくると、いろいろな課題がやはり生じてきているんだというふうに思っています。

 今回の新型コロナ感染症対策でもデータがつながらないというようなことがありました。例えば、市区町村の役場ですとか保健所、厚労省との間でもなかなかデータがつながらない、電話、ファクスで対応した、こんなケースも散見されました。

 一方で、自治体ごとに個別のシステムをつくりますと、個別の財政的負担が個々の自治体にかかったりとか、あるいは、自治体では対応するリソースの手当ても困難な状態にあるところなんかもございます。そういう意味で、個別にシステムをつくると、あるいは自治体でデータがつながらないということもあります。

 こういったことを解決するために、デジタル庁といたしましては、例えば、住民記録ですとか地方税、あるいは介護、福祉といった地方自治体の二十余りのシステムに関して、ガバメントでクラウド上で提供される標準システムに移行させていただきまして、その上で開発を進めていきたいと。

 一方で、自治体の方は、システムを個別開発すると、人的、財政的な負担とか、システム実装において格差が生じるということも避けなければなりませんので、そういったことを国が主導でやらせていただいて、地域の実情に合った住民サービスに自治体は注力していただきたい、こういうふうに考えています。

 それから、充実した標準仕様を基にシステムの開発を統一的につくれれば、質の高いシステムや、委員問題意識ございますセキュリティーの問題なんかも堅牢に提供できるんではないか、こんなふうに考えております。

福田(昭)委員 そうすると、例えば5Gや光ファイバー、データセンターなどは国主導で民間に整備をしてもらう、そういう考え方で。

 それからもう一つ、地方公共団体の基幹業務システム統一、標準化についての、これはデジタル庁の文章なのかな、総務省の文章なのかな、読んでみると、システムの統一、標準化を地方公共団体と対話を行いながら進める、あるいは、基幹業務の取組については地方公共団体の意見を丁寧に聞いて進める、こう書いてあるんですけれども、これは例えば、地方自治体によってはもう既にいろいろなシステムを持っていますから、もうシステムを使っていますから、じゃ、国がこの標準システムをつくっても、これを使わなくてもいいというふうに解釈してよろしいんでしょうか。

山田大臣政務官 国の方は、デジタルガバメント上で基本的には標準のプラットフォーム等を使わせていただいています。

 先ほど私も申し上げたんですが、自治体によっては個別に持っている仕組みなんかもありますし、データもあります。今回、実は技術の力でそこを吸収する、まあ、ブローカーというふうに呼ばれているんですが、そんなものも提供することでその違いについては吸収していくということになります。

 地方自治体が主役である地域のシステムでありますから、当然、自治体が創意工夫をするんですが、やはり先ほど申し上げましたように、ただそれだけを進めますと、実際に災害等が起こったときに広域で情報の連携ができないとか、あるいはパンデミックが起こった今回のコロナの対応なんかでも、なかなかいわゆる情報の連携ができなくて全体として住民のサービスが下がるということを避けなければいけませんので、個別の創意工夫と、ベースのところに関しては国が主導していろいろなものを、ガイドラインですとかプラットフォーム、あるいはブローカーのような、連携のような、APIの仕組み、これを提供することによって底上げを全体でしていこう、こういう形になります。

福田(昭)委員 実は、先日デジタル庁にお尋ねをしたんですが、ガバメントクラウドについて、セキュリティーなどの高い技術力が求められるが日本にはそういった企業はないというんですよ、今。ですから、もしこれが、政府がつくるシステムも地方自治体の統一システムも全て外国資本の会社によってやられるということになると、日本の国のデジタル主権がなくなっちゃう、デジタル植民地になっちゃうんですよ。そうしたら、実は個人情報も全てよその国に持っていかれることになる。これは大変なことで、このことについて、やはり慎重に進める必要があると思います。

 具体的な国の名前を言っちゃあれですが、アメリカと中国が今まさに、いろいろな経済安全保障をめぐって大変な、それこそ競争といいますか、バトルをやっていますよ。そうすると、ヨーロッパは、自分たちは独自にデジタル主権を守るんだ、こういう考え方で法律の制定などを始めました。

 そこで、個人情報をちゃんと保護するんだ、そういう仕組みをつくっていかないと、残念ながら、それこそ、先ほどもちょっと申し上げましたが、新自由主義の考え方に基づく余りにもひどい税制で、法人企業には令和二年度末は何と五百五十兆円もの内部留保資金をため込ませました。個人、家計の金融資産は、去年の十二月、まだ、間もなく発表されますけれども、二千兆円を超えたといいます。これだけ余りにもいびつな税制で、企業や個人の財産、これを蓄えさせたんですよ。しかし、もしかしてこのデジタルの主権がなくなったときには、せっかく政府が、まあ、国民をだまして作ってきた企業の財産やあるいは大金持ちの財産、これが外国へ持っていかれちゃう可能性まで出てくる。

 ですから、ここはやはり慎重に、日本のIT会社をちゃんと育てて、クラウドもつくってやっていく、そういうことを考えていかなかったら私は駄目だと思いますよ。

 ですから、経済安全保障の考え方が、五番目の質問でやることになっているんですが、時間が少なくなってきましたが、経済安全保障の法案の中で四本柱があるじゃないですか。そのうちの一つ、基幹インフラの安全性確保にデジタルプラットフォーマーとかSNSの事業者が入っていないんですよ。

 今回、政府がもう閣議決定して法案を出しているかもしれませんが、これは修正してでも、やはりデジタルプラットフォーマーとかSNSの事業者はこの基幹インフラの安全性確保の一つに加えて、日本独自の会社を育てていくことによって日本のデジタル主権をちゃんと守っていくということをやらないと、何のための経済安全保障だか分からなくなる、私はそう思っています。

 今日は来ているんでしたっけ。では、時間がなくなってきたので簡潔に答えてください。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会に提出いたしました経済安全保障推進法案においては、基幹インフラの役務の安定的な提供の確保に関する制度を設けております。これは、国民生活及び経済活動の基盤となる役務の中には、その安定的な提供に支障が生じた場合に国家及び国民の安全を損なう事態に発展するものがあることから、こうした事態の発生を未然に防止する措置を講ずるものでございます。

 この制度に基づく規制の対象は、制度の趣旨及び規制の対象を限定する必要性に鑑み、既に業法等において役務の安定的な提供の確保に関し記述されている事業に限定することとしておりまして、具体的には、規制の対象となり得る事業の範囲として、金融や電気通信といった十四分野の事業を条文上に規定しております。

 その上で、一般的に、デジタルプラットフォーマーやSNS事業者と呼称される事業者の中には、金融業や電気通信事業等を行っている者が含まれております。それらの者については、それぞれの事業について主務省令で定める事業者の指定基準に該当する場合には規制の対象となり得る仕組みとなっております。

福田(昭)委員 大臣の所信の中にもあるんですけれども、今日はちょっと質問できなくなっちゃいましたけれども、例えば、デジタルの実装で、教育、医療、農業、物流などの分野を推進するプラットフォーマーはどこかという質問をしようと思ったんですが、デジタル庁では認識していないというので質問しませんが、しかし、私が聞くところによると、もうそれぞれの分野で外国のプラットフォーマーが本当に取り組んでいて、そっちが主流になっちゃっているという話も聞いているので、ここはやはり真剣に取り組むべきだと思います。

 それで、そろそろ時間がなくなってきたので、少し質問を飛ばしていきたいと思っていますが、七のデジタル人材の育成確保とデジタル推進委員の配置について、これは積極的な計画で、是非進めてほしいと思っております。

 そんな中で、実は栃木県にTKCという電算会社、IT会社があります。この会社は、最近、AIプランナーを養成すると言っているんですね。AIプランナーを養成して、企画力を高めて、顧客の課題の解決に取り組む、そういう方針で、これはすばらしい発想だと私は思っています。

 ですから、AIプランナーをたくさん育てて、そういう人たちが起業していくとか、あるいは企業を助けるとか、そういうことに使っていく必要があるんだろうというふうに思っています。使うと言ったら怒られちゃうね、活用していくということだと思いますね。

 そういうわけで、最後、八番、これは要望だけで終わりにします。デジタル企業の育成、確保についてです。

 今まで申し上げたように、デジタル主権を確保するために、地方創生の予算にありますけれども、地方大学・産業創生法に基づく交付金二十二億円、それから地方創生推進交付金活用分五十億円、文部科学省計上分二十五億円、合わせて合計九十七億円をやはり積極的に活用して、それぞれの地方自治体が独自のIT会社やスタートアップ企業を育てていくということが大事ではないかというふうに思っておりますので、是非、地方創生担当大臣や若宮大臣には頑張っていただきたいと思っています。

 以上です。終わります。

石田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 初めて地方創生委員会で質問させていただきます。野田大臣、若宮大臣、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、質問通告していないんですが、地方創生、この国の未来について、両大臣がそれぞれ一番心配していることは何でしょうか、教えてください。

野田国務大臣 田嶋委員とは議員としても長いおつき合いなので御承知と思いますけれども、やはり少子化による人口減少でございます。

若宮国務大臣 私自身、東京生まれの東京育ちでございますのですが、やはりどんどんどんどん地方の方々が少なくなってきているということで、地方の人口減少、これを何とか解決していきたいな、こう思っております。

田嶋委員 いろいろなレポートや本も出されて、静かなる有事という言葉が、私も、ああそうかと思ったことがございます。外からのミサイルの話とかいろいろある中で、何もなくても自分たちでどんどん消えていっちゃうような、そんな国づくりになってしまってきたのじゃないかという、非常に反省しなきゃいけないというふうに私も思うわけでありますが、人口減少というのは問題でしょうか。そして、もしそうなら、なぜ問題と考えるかを御答弁ください。

若宮国務大臣 人口減少、そしてまた、併せて高齢化の進行というのも非常に問題だというふうに私自身思っております。何よりも、やはり経済社会に悪影響を及ぼすことになるんではないかなというふうに考えております。

 具体的には、例えば、総人口が減少して高齢化が進んでしまうということになってまいりますと、働き手の人数がどうしても減少することにつながってまいります。そうなりますと、日本全体のトータルでの経済規模がやはり縮小していく傾向になっていくことはもう間違いのないところだと思いますし、一人当たりの国民所得も低下をしていくことにもなり得るというふうに考えてございます。

 また、高齢化が進めば、社会保障費の増大ということになってまいりますから、働き手の一人当たりの御負担が増えてしまうということは、ひいては勤労意欲のマイナスということにもつながってまいりますし、人口規模の縮小が、さらには、新しい技術開発、イノベーションの停滞ということにもつながってくるんではないかな。

 それゆえに、人口減少というのは大きな課題だなというふうに認識いたしております。

田嶋委員 若宮大臣、日本よりはるかに成長しているドイツ、人口が日本の三分の二です。フランス、イギリス、およそ半分です。オーストラリア、一番成長していた国とも言われていますが、人口が三千万か四千万か、そんな規模ですね。

 人口減少、そんなに悪くないんじゃないですか。

若宮国務大臣 今委員が挙げられました国々、それぞれ、確かに日本より人口が減っているかと思います。その中で、それぞれの国が、それぞれの国の在り方と、それからまた自分自身の生き方と方向性というのを施策としてしっかりと持ち、それを並行して進めておられるんではないかなというふうに思っております。

 今挙げた国々、確かに、もちろん、生き方としてはすばらしい、その国としての方向性を持って生きていると思いますけれども、今現在、では、振り返って、日本の私どもの国を考えたときにどうかということを考えますと、やはり人口が減少することは大きな課題だというふうに捉えなければいけないんではないかなというふうに私自身は思っております。

田嶋委員 一言で人口減少と言いますけれども、私は、もう少し、特に大臣お二人、問題の所在を明確に御認識いただけないかなというふうに思います。

 配付資料の三を御覧くださいませ。

 これは、国土交通省が作ったかつての資料でございまして、私じゃなくて、外部から非常に高い評価を得ている国家の長期ビジョンの資料でございます。

 作られたのは、何と、明日が実は三・一一から十一年目でございますが、三・一一の起きたちょうど二十日前、二十日前に国土交通省が発表した中間取りまとめ。そして、その後、政権が替わり、残念ながら最終取りまとめなしということで、埋もれてしまっていた資料らしいですが。

 この長期ビジョンで御覧いただいても分かるとおり、私は、人口減少そのものは、別に、やがて二〇五〇年に九千万の国になったとしても、その中で一人当たりの所得の高い国は当然実現できる、スイスなどは世界一高い一人当たり給与を稼いでいるわけですから、日本の稼ぎが弱いというのはまた別の要因だと思います。

 しかし、このグラフ、三番を見ていただいても分かるとおり、心配なのは人口のバランスです。若宮さんがおっしゃったとおり、やはり高齢化ということにもつながりますが、これを御覧いただいても、生産年齢人口が激しく減っていく、半分近くまで。二〇五〇年、私たちからすればもう三十年ない将来に、今から半分近くの生産年齢人口がなくなってしまう。

 私は、人口減少以上に、働き手がいなくなることがこの日本の大きな心配なんだろうというふうに感じてございます。そして、比率を見ていただいても、当然ながら上がっていく、高齢人口が絶対数としても当然増えていくわけですから、そうした状況が私は一番憂慮すべきだというふうに感じておりますが、そうしたことに対して、政府は具体的にどういう対策を取って今日までやってこられたのか。今回、デジ田とか地方創生とか、やったふりをするいろいろな言葉はあるんですけれども、要は、今日まで何をやってきたか。

 この資料が出されたのは、今から十一年前であります。この十年間、安倍政権からずっと皆さん方が政権を担ってこられて、成果が出てきたのか、どういう政策でこの問題を取り組んでこられたのかを簡潔に御答弁ください。

若宮国務大臣 今委員が国土交通省の資料を基にお話をされましたことは、私も、生産年齢の働き手の方が減ってしまうということに大変同じく共有するところでもございます。

 政府といたしましては、確かに、人口減少の将来予測に対しまして、先ほど申しましたように、経済的に悪影響を及ぼすということ、これから都市機能の維持には、まずやはり人口のある程度の規模とそしてまた密度が必要ではなかろうかというふうに考えているところでございます。都市機能を維持することが困難になることで、逆にそれぞれの地域の魅力や活力というのは低下をしてまいり、更なる人口減少ということで、負のスパイラルに陥ってしまう、これが地方の様々な都市に見受けられる状況ではないかなというふうにも感じているところでもございます。

 特に、中山間地域、また農村、あるいは山村、漁村等におかれましては、日常の買物あるいは医療など、地域住民、そこに暮らす方々の生活に不可欠な、本来のあるべき生活のサービスの部分というのが、維持、確保がなかなか困難になっているという現実もあろうかと思っておりますので、こういった人口減少を何とか和らげるべく、私どもといたしましては、まち・ひと・しごと創生総合戦略、こういったものを立てまして、結婚、そしてまた出産、それから子育てしやすい環境の整備を基本の目標の一つとして掲げた上で、子ども・子育て本部等も連携いたしまして、少子化対策を総合的に進めてきたところでもございます。

 ただ、各種の対策が出生率に結びつくまでには、やはり一定の時間がかかるのもやむを得ないところかなというふうにも、委員も多分御承知のところだと思いますけれども、思っておりまして、人口が定常状態になるには更に少々の時間がかかるかなというふうに思っております。

 人口減少に何とか歯止めをかけるために、多少長い時間がかかりますけれども、これについては、少子化対策野田大臣とも連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

田嶋委員 おおむね同じ思いではございますけれども。

 今回の地方創生に関わるいろいろな資料も拝見させていただきました。何か、人口を増やす、少子化対策に真正面に取り組むという部分は余り、どこにも見当たらない。あっても非常に記述が少ない。むしろ、何か強調されているのは、一極集中から地方に人を連れてくる。コロナでそういう状況は起きておりますし、現に私どもの千葉県も人口が増えております。いすみ市などは移住の大変人気な場所になっていますが、そのいすみ市であっても人口は減っているんですね。

 だから、私は、人を右から左に動かしたってゼロサムですから、人口増にはこれは余りつながりにくいんじゃないのかな。確かに、小松製作所で以前聞いた話が、小松市に本社を移したら子供の数が増えました、そういう報告も聞いております。若干の効果はあろうと思いますが、地方へ人を動かすだけでは抜本的なこの国の地方創生につながりにくいんではないかなという感じもするんですが、いかがですか、大臣。

若宮国務大臣 確かに、都市部に今集中している人口を地方に移したから、じゃ、日本の人口全体が増えるかというふうに、委員の御指摘のとおりで、別にそのトータルとしては増えるわけではないというふうに思っております。

 ただ、今回、デジタル田園都市国家構想、こういった形のもので進めていくことで、逆に、今、私も、幾つかの都道府県あるいは市町村、実際に拝見してまいりましたけれども、若い方が移住して、そこに御夫婦でお住まいになり、そこで子育てをされている方々が結構たくさんお見受けをいたしております。それも、都市部からそこへ移住したり、あるいは、元々出身者ではないにもかかわらず、その地域の魅力を感じて、そこでお仕事をしながら、そして子育てをしているという方がたくさんお見受けしています。

 私、車座対話でも何度もいろいろなところでお話をしたんですが、どうしてこちらの方に来られたんですかというふうに聞きますと、やはりその地域が好きになった、そしてまた、その地域でコミュニティーが自分の価値観と非常に合う、こういった地域でしっかりと子育てをして生活をして、糧も、もちろん生活の維持をするためには仕事がなければなりませんから、そういったものを含めた形での生き方の考え方が随分変わってきたんだ、そういった方々がたくさんいらっしゃいました。

 そういった生き方あるいは働き方のこのコロナ禍での変化というのも大きく捉まえていかなければいけないと思っておりますので、そういった部分からの、地方に行きながら、逆にその地方でお子様を育てられるという状況の中であれば、トータルでは人口が増加していくことに結びつくのではないかなというふうにも考えているところでございます。

田嶋委員 コロナという思わぬことが起きて、少しその流れは背中が押されているのは事実だし、私はそれは否定はしません。ただ、私はそれでは足りないような厳しい状況が日本の目の前には広がっているんじゃないか、それが冒頭お尋ねしたこれからの不安に関わる部分でございますが、資料の五を御覧をいただきたいというふうに思います。

 今、若宮大臣おっしゃった、子供が増えてもらえれば結構なことですが、生まれた子供はゼロ歳から始まりますから、やはり大人になるのにはかなり時間がかかる。これから二〇五〇年に向かって地方創生をしていくときに、私は、やはり子供の数が増えるというのは非常に中長期的なアプローチが必要であって、目の前で、やはり海外の方にもっと日本に来ていただく。今、留学生もなかなか入ってこれない日本になっておりますけれども、そういった政策が今回の地方創生の柱の一つぐらいになるべきではないのかな。残念ながら、大変限られた記述しかお見受けしなかったわけでございます。

 このグラフを御覧いただいても、やはり言うまでもなく、日本の在留外国人の数というのは先進国の中でも非常に低い状況になっておりまして、単純に考えればあと五%ぐらい引き上げてもほかの先進国の一番低いレベルぐらいにはなるわけでございますが、もちろんやみくもに増やせばいいというものではない。ただし、これから日本の七割とも言われる地域が人口が半分以下になっていくという寂しい国になっていく、本当にそのことが私も非常に残念でありますし、アクションを取ることが余りにも遅過ぎたというふうに思います。

 そういう意味で、私の提案としては、生産年齢人口を増やす一つのショートタームで特に効果的な施策として、私もかつてフィリピンに五年間住んでおりましたけれども、全然人口構造が違う。日本は四十八・六歳の平均、フィリピンは二十六歳ですよ。間もなく人口もフィリピンの方が日本を上回るようでございますが、そうしたところと連携をして、日本の現場が直面する様々な苦悩を乗り越える力をかりたらどうかというふうに私は思っております。

 もう、私たちが町でコンビニに行けば、ほとんどコンビニのお店の方は外国の名札をされておるわけでございますが、せんだって、こういう話を聞きました。通信網の建設、このデジタル田園でも5G、6Gの話が出てきますが、今、建設現場で死亡事故が増えているというんですね。なぜか。やはり携わる人が高齢化が進んでいるということなんです。若い人は全然入ってこないということなんですよ。

 地方分権して、そして地方に移住して、どのぐらいのものか分かりませんけれども、かつて、野田さん、総務大臣だったとき、フィリピンに行かれましたね。そして通信建設のトレーニングセンターに行かれたということを、先週、ある方から聞きました。当時は、日本が技術協力して、フィリピンのいわゆる社会インフラを造るための技術者を育てることをやってきた。今度は、そのお返しにフィリピンの力をかりることも私は必要だと思うんですよ。

 別にそれは卑屈になる必要はなくて、人口構造のこういう状況の中でお互いさまだし、そして、ジェンダー指数でもフィリピンは世界第十六位ですよね。はるかに日本よりも先を行っている国です。英語力も世界有数です。そういう国々ともっとしっかり連携をして、これからしばらくの間、日本が本当に寂しい国になりかねない、そうしたことに、地方創生の起爆剤としても力をかりるということが、私はありだと思いますし、多様性の国を開いていく政策としても重要だと考えますが、その点、いかがですか。

野田国務大臣 総務大臣の折にフィリピンを訪問いたしまして、光ファイバーの接続という大変難しい作業のトレーニングを拝見させていただきました。

 委員のおっしゃるとおりで、人口減少は何が問題かというと、まずバランスなんです。近未来の日本の価値が見えてこなくなっています。生産人口が分からなくなってきている。

 ただ、当然、そこで今、もう事実上、外国人の方に支えてもらっている場面は多々あります。福祉もそうです。そして、今おっしゃったコンビニとか様々なところで外国の若い方と接する機会があって、自分たちの生活が成り立っていることはもう十分分かっていますけれども、他方、やはり、一時的な生産のための人という受け入れ方はいかがなものかと。

 むしろ、地方の場合は、祭りとかがどんどん担い手がいなくてなくなっていく中、やはり、共に共生、住んでいただいて、多様性を伸ばしていくような、パートナーとしての外国人人材の受入れということを是非地方創生としては捉えていかなければならないと思うし、方向性としては一緒ですけれども、これからの日本に求められている多様性を担ってくれるすばらしい人材だと思って様々取組はしていることは御承知だと思います。

田嶋委員 ありがとうございます。

 やみくもに、こっちの都合だけで数をそろえりゃいいという話ではもちろんありませんね、喜んでいただけるように。

 だから、そこは、私たち、非常に遅れてしまっている部分もあります。やる気のある自治体を応援することで、是非とも、やはり活力には不可欠だと思いますので、私はそこが地方創生の一丁目一番地になってもいいんじゃないかと思うんだけれども、余り資料に、どこにもそんなことが書いてないですね。

 自分たちだけでこの難局は乗り越えられないですよ、本当に。デジタルが十三回も若宮さんの所信に出てくるんですけれども、デジタルと書けば何か問題が解決するような、そんなふうに考えてもらっちゃ困るし、デジタルをどれだけやったって、使う人がいなかったら話にならないから。だから、そこをやはりよく考えていただきたいというふうに思っております。

 資料の七に、私が訪問したドイツのフライブルクと、そして同じぐらいの人口の青森の写真をつけましたけれども、こういう彼我の差は、これから、想像の世界じゃなくて、現実のものとして、我々、地元に毎週帰りますから、どこもかしこもそうですよ。私の千葉市でも、場所によっては本当にそういう状況が広がっておりますので、この七番の上の、これは別に歩行者天国じゃありませんから、にぎわっているんですから、とにかく。先ほど、人口密度の話、これは大事ですね。だから、私は都市計画も日本は失敗していると思いますが、それは別の機会ということで、次はデジタルについてでございます。

 先ほど申し上げたとおり、人口減少をデジタルが解決するわけじゃないんですよ。だから、若宮さんの所信の記述に、人口減少問題をデジタルで解決すると。解決なんかしません。ただ、デジタルによって人口減少に適応していかなきゃいけないということだと思いますね。そこはちょっと間違えていただきたくないと思います。

 そこで、具体的に、デジタル推進人材、年間四十五万人、デジタル推進委員は一万人以上、こういう施策がありますが、その違いを明確にしていただきたいと思います。

渡邉(政)政府参考人 お答えいたします。

 デジタル推進人材とは、デジタル田園都市国家構想の四つの視点のうち、デジタル人材の育成、確保に関するものでございます。具体的には、デジタル技術活用によって地域の課題解決を牽引する人材として、ビジネスアーキテクトやデータサイエンティストなどを想定してございます。

 一方で、デジタル推進委員とは、この四つの視点のうちの、誰一人取り残されないための取組に関するものであり、デジタルの利用について、高齢者、障害者等の国民向けのサービスを目的に国が任命する方向で検討がされてございます。

田嶋委員 私は、前半の方は若い人もがんがん、デジタルキッズが頑張っていただくとかいうことも含めて進めてほしいと思いますが、やはり大事なのは、後段も大事かなと。

 規模は全然違いますけれども、今、国が任命ということをおっしゃいました。これはどういう身分で、報酬はどうとか、その辺の詳細はまだ何も決まっていないのでしょうか。

山田大臣政務官 ありがとうございます。

 今回のデジタル推進委員というのは、今答弁ありましたように、デジタルに不慣れな高齢者それから障害者の方に対して、どうやって機器とかサービスに慣れていない人をサポートしていくかということであります。

 それで、講習会等を検討しているところでありますが、デジタル推進委員、例えば携帯のキャリアショップの方々やボランティア団体ですとか、あるいはIT企業のOBですとか学生、町内会、老人会、そういったところも含めて幅広くその推進委員を集めようと思っていますから、そういったところの中心で例えば講習会、講習会場を設定していく、そういうことが今後考えられるのではないかなというふうに思っております。

田嶋委員 ここでも私は一石二鳥の一つの提案をさせていただきたいと思いますが、このデジタル推進委員、言ってみれば、一番ハイエンドのぴかぴかのデジタルじゃないわけですね。要するに、社会から取り残されないように支えるためのお手伝いをしてくださる方々。

 私は、こういうところに、まさに私の言葉で言うヤングシニアでありますけれども、人生百年時代、これから、会社を退職しても元気な人はいっぱいいて、そういう人たちの課題は、いきなり暇になるといきなり老け込むということですね。だから、やはり役割、出番が必要だというふうに感じております。そういう方々は、今の六十代、七十代、デジタルにある程度たけた人はたくさんいらっしゃると思いますので、私のイメージとしては、このデジタル推進委員はそういう人たちの活用、活躍の場に是非なってほしいというふうに考えておりますけれども、その点はどうなのかということ。

 それから、それがなぜ一石二鳥かといいますと、よく、これは研究者の中でもいろいろございますけれども、高齢者の活躍の場づくりというのは、そうした社会の取り残される人がないようなところで活躍していただくというのはもちろんなんですが、彼ら自身を、支えられる側の高齢者ではなくて、社会を支える側の高齢者のままでいていただく。ある意味、先ほど人口バランスが一番の課題だというふうにおっしゃいました、働いていただくということも、これは、高額の報酬ということはないにしても、健康維持という観点でも私は非常に大事だということが、いろいろな部分で指摘をされております。

 その二つの目的を同時に達成するという意味でも、是非、こうしたヤングシニアの活用ということに関してどのように考えておられるか。

 そしてもう一点は、先ほどの高齢者自身の健康がその活躍によって高まっていくという、そのPDCAをしっかり検証していただきたいということを厚生労働省にお尋ねしたいと思います。

山田大臣政務官 まず、前半の方の、先生のヤングシニアをこの推進委員に使っていったらどうかという一石二鳥論であります。大変重要な御指摘だと思っています。

 私も、高齢者だからできないとか、高齢者で線を引くというのは、最初から高齢者に失礼、一生懸命頑張っている方々もいらっしゃると思っております。そういう意味で、ただ、一番高齢者の方々に近いのは確かにヤングシニアというところもありますので、かなり若い子たちよりも言語もあるいは生活習慣も近いと思っていますから、その方々に中心となってやっていただくというのは、大変歓迎すべきことだと思っております。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただきましたデジタルの領域も含めて高齢者の活躍の場があるということにつきましては、高齢者の予防・健康づくりにもつながりまして、これらの取組は、個人のQOLを向上して将来の不安を解消したり、あるいは健康寿命を延ばして社会保障の担い手を増やすといったような非常に多面的な意義があるものと考えてございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、やはり高齢者の活躍を促進するという観点から、高齢者の方々が自らの状況に応じて就労継続や生きがい向上のための取組を選べるような支援策を講じてきているところでございます。

 それで、一方で、ただ、高齢者の予防・健康づくりに係ります様々な取組が医療費や介護費にもたらす影響につきまして御指摘がございましたけれども、専門家による研究班の議論の整理の中では、定量的な評価、推計を行うことは容易ではなく、当面、個々の取組の効果や社会的価値について介入にかかった費用も含めて丁寧に検証すること、また、個々の取組と個々の疾病、生活習慣、社会的要因などとの関係についても丁寧に分析をすることなど、検証を重ねていくことが重要であるという指摘もいただいているところでございます。

 引き続き、専門家の皆様にも御議論をいただきながら効果検証を重ねてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田嶋委員 ありがとうございます。

 多面的な価値があるということでございますので、是非、今のような二点のことを意識しながら推進していただきたいと思います。今日はそうした、やりたいとおっしゃっているヤングシニアの皆さんが、傍聴も来て、そしてオンラインでも聞いておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 最後にグリーンをお尋ねしますけれども、地方創生の三つの視点の中の一つが、デジタルと並んで、グリーンと書かれておりますね。十三か所も出てきていませんけれども、言葉としては。

 このグリーンは、なぜ地方創生にとって大事なんですか。

野田国務大臣 地域資源を有効活用して再生可能エネルギーを導入する等、脱炭素化の取組を地方において積極的に推進していくことによって、地域経済の活性化又は地域課題の解決の実現につながる、いわば地方創生と脱炭素の好循環を実現することが期待されているわけです。

 また、地域の再生可能エネルギーでつくられた電気を地域内で使用するエネルギーの地産地消、これによる自立システムを構築するということは、災害による広域停電とかが発生した際にも地域内で電力を供給し、防災拠点や中核病院の機能を維持する等、地域防災力の向上にも寄与をいたします。

 そして、地域社会、経済と密接に関係する農林水産業、公共交通、住宅・建築物等の個別分野、これにおいても、脱炭素の取組を進めることによって、地域全体における持続性の確保と地域の魅力向上の両立を図ることができると考えているところです。

田嶋委員 両大臣、私は環境エネルギーをいろいろ研究させていただいておりますが、是非、この重要性は、今、役所が作った紙で読んだ以上の重要性があるので、いきなり全部は分かっていただけないかもしれませんが、是非ここは深掘りしていただきたいと思います。

 一つ本を御紹介しますけれども、「kWh=¥」、ドイツのフライブルクにお住まいの方の、私にとってはバイブルのような本でございますが、地方創生、切り札はエネルギー価値創造だったと。これは私、本当にそうだと思っております。

 今、野田大臣からは意味が説明されましたけれども、改めて私は、今回の、今、ウクライナに対するロシアの侵略、この中で、自然エネルギー、エネルギーのグリーンということの重要性、私は三つの点で申し上げたいと思います。

 一つ目、化石資源の依存を減らすということですね。これは配付資料の八、日本は大変な額を毎年海外に払っていますから、これは今、野田大臣もおっしゃいました、それをとどめて、そして中で資源を回せるようになるというのがグリーンの意味でありますが。

 もう一つ、今、原発が狙われました。つまり、大規模集中にはリスクが大きいということもはっきりしたんですね。グリーンというのは分散エネルギーでありますから、集中から分散にということにもう一つの価値があるということであります。

 そして三つ目は、今、山の話もなさいましたけれども、三つ目というのは、省エネルギーそのものが重要だということで、エネルギー消費量を減らしていく。これは、グリーンというか、再生エネルギーではないんですが、断熱を進めるとか、あるいは、今、日本の国土面積の七割の山をちゃんと生かすということですね。森林吸収源の力が今落ち始めていますから、ちゃんと日本国産の木材を使うということが極めて大事だということ。

 こうしたこの三点の視点を是非御留意いただいて、グリーンをとことん両大臣には推進していただきたいというふうに思います。

 最後に、時間が来てしまいましたが、資料を全部はカバーし切れませんけれども、私が申し上げたいのは、優良事例の地方の水平展開、こういったことを是非お願いをしたいというふうに思います。

 資料の九番は、予算委員会でも使わせていただいて、野田大臣、何度もうなずいていらっしゃいましたが、鳥取でやれることは全国でやってくれということを私は申し上げたいと思います。

 資料はありません。LEDに関しても、千葉市がもう全部替えちゃっているのに、何で国土交通省の高速道路はいまだに三割しかLEDになっていないの、こういうことを先週申し上げさせていただきました。

 それから、資料の十は、中古のリフォーム……

石田委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

田嶋委員 はい、ありがとうございます。

 リフォームということでございます。

 そして最後は、十と十二が、ドイツでやられている話でございますが、とにかく、断熱し、そしてエネルギーを減らしていくアプローチは、皆さん方、大臣が先頭に立って旗を振っていただければまだ大きな余地があるということを最後に申し上げまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 地方創生に関し、政府の推進体制について質問をさせていただきます。

 これまで、地方創生の担当大臣はまち・ひと・しごと創生を兼ねてきましたけれども、今回は、野田大臣が地方創生担当、若宮大臣がまち・ひと・しごと創生担当と担当が分かれました。基本的には一体的に推進していく、むしろ一体的に推進していかなければならないものだと考えますが、担当を分けたのはどうしてでしょうか。

 また、第二次岸田政権では、若宮大臣の担当からまち・ひと・しごと創生が消えましたが、なぜでしょうか。岸田政権になり、政府の重要政策ではなくなってしまったのでしょうか。お答えをください。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月に発足した岸田内閣におきまして、委員御指摘のとおり、内閣府特命担当、地方創生として野田大臣、まち・ひと・しごと創生担当として若宮大臣が任命をされましたが、岸田総理からは、野田大臣に対しては、地方自治の在り方について検討を進めるとともに、地方分権を推進すること、また、若宮大臣に対しましては、若者が将来に夢や希望を持つことができる魅力あふれるまちづくり、人づくり、仕事づくりを進めること等の御指示があったと承知をしております。

 また、両大臣共通に、関係大臣と協力をして、人口急減地域への支援強化、東京一極集中の是正に取り組むこととの指示があったものと承知をしております。

 また、後段の御質問につきましては、まち・ひと・しごと創生も、デジタル田園都市国家構想も、地域の個性を生かした地方活性化を図り、東京圏への一極集中の是正を目指すという最終的な方向性を同じくしているものと考えております。

 この方向性の下、デジタル田園都市国家構想は、これまでのまち・ひと・しごと創生の取組において行われてきた先進的な事例なども踏まえながら、デジタルの活用により、人口減少、高齢化、産業の空洞化等、地方が抱える様々な課題を解決し、地方の活性化を図るものでございます。

 こうしたことから、デジタル田園都市国家構想の実現を通じてまち・ひと・しごと創生施策についても推進していくこととしており、デジタル技術の活用により、より高度かつ効率的に進めることができるようになるというふうに考えております。

坂本(祐)委員 御答弁をいただきましたけれども、地方自治体の運営経験からすれば、そういった担当大臣が分かれてしまうということは、政策を実現する上で大変分かりづらいということになります。大臣が二人になって指示系統が分かれてしまうことによって、職員の皆さんにも余計な事務負担が生じてしまうと思いますが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 若宮大臣部局が担当いたしますデジタル田園都市国家構想、これにつきましては、政府全体の司令塔の立場で企画立案を担いまして、関係省庁との総合調整、これを担当しております。それに関する事務につきましては、内閣官房のデジタル田園都市国家構想実現会議が事務局を担っております。

 野田大臣部局が担当いたします地方創生関係業務、これにつきましては、これまで取り組んできました地方創生に加えまして、新しいデジタル田園都市国家構想の施策、これの内閣府としての予算の執行また要求なども担当しておりまして、それに関する事務につきましては、内閣府の地方創生担当事務局が担っております。

 それぞれ、両事務局の職員は、全国の自治体と連携しながら、高い意識を持ちながら、しっかりと業務に励んでいるところでございます。

坂本(祐)委員 また、今更でございますけれども、地方創生の担当とまち・ひと・しごと創生の担当をどちらかにまとめられた方がよいかと思いますが、いかがでしょうか。大臣、いかがですか。

若宮国務大臣 先ほど来御答弁させていただいていると思いますけれども、昨年十一月に発足いたしました第二次岸田内閣におきまして、私自身がデジタル田園都市国家構想担当大臣を拝命いたしました。この構想自体、岸田内閣の成長戦略の一つでございまして、企画立案、総合調整を担う仕事を私が受け持ってございます。これは、もちろん強力にまずはこの概念を進めていくということで、総理の強い御意思というふうに受け止めてございます。

 また、今委員も御指摘になりました地方創生、これと共通する政策課題ももちろんございます。そういった意味では、関係省庁は様々多岐にわたるところがございますので、地方の課題を、私自身のところでは、デジタルの力を活用することで、全国へのボトムアップを図っていくということで取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

坂本(祐)委員 それでは次に、これまでの地方創生の取組について質問させていただきます。

 地方創生やまち・ひと・しごと創生の取組は、東京への一極集中の是正や、少子化、人口減少対策、地域経済の活性化という目的で始まりました。平成二十六年から始まった地方創生の取組も約七年が過ぎましたけれども、東京への一極集中は是正されず、少子化、人口減少も止まりませんでした。さらに、過疎自治体は五割を超えるという事態になっています。

 政府として、地方創生の取組を振り返って、現状をどのように評価しているか。どのように評価するか、成功しているのか、そうではないのか、御答弁をお願いいたしたいと思いますが、一点、御答弁に際し、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、昨年、東京二十三区で転出超過となりましたが、これは地方創生の取組によるものではないと思いますので、この点は踏まえないで御答弁をお願いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方創生においては、少子化に伴う人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への一極集中を是正して、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、将来にわたって活力ある日本社会を維持すること、これを目的とした取組を行ってきました。

 実際の地域の取組についても、これまでの地方創生推進交付金等による支援の結果、まず、地方創生テレワーク施設の整備等による仕事づくり、これは和歌山県白浜町のサテライトオフィス整備とかがございます。関係人口の拡大や若者の地方移住などによる人の流れの創出、地域資源を生かした魅力的なまちづくりなど、地方の創意工夫を生かした取組が一定の成果を上げてきたと考えています。

 取組の検証に関しては、令和元年十二月に閣議決定をされている第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、第一期の取組の検証を行い、地方創生の目指すべき将来や、二〇二〇年度を初年度とする五か年の目標や施策の方向性等を取りまとめており、今後も取組が検証されます。

 地方創生関係交付金のような個別の支援策についても、事業効果を検証しながら運用しているところです。

 今後とも、政府一丸となって政策効果の高い地方創生の取組を進めてまいります。

 なかなか、五十年近く少子化が進んでいる中、一気呵成に解決は難しいと思いますけれども、この地方創生というのは必ずしも狭い政策ではなくて、例えば、子供政策とか女性政策も、広義の意味では、例えば認定こども園を設置することで子供の数が増える町もございましたし、そういうのをじわじわと根気よく広げていくことはとても大事なことだと思っています。

坂本(祐)委員 地方創生は当時の安倍元首相の肝煎りで始まった取組でしたが、一部に成功事例があったかもしれませんが、残念ながらほとんどうまくいかずに、税金だけ無駄に使ってしまったのではないでしょうか。

 私は、平成二十六年十一月六日の本会議で、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案について反対討論をしております。私はこの反対討論の中で、地方創生は地方分権がセットであることが前提で、権限、財源の移譲こそ必要であり、政府の進めようとしている地方創生はうまくいかない旨を訴えさせていただきました。地方自治の経験者からの訴えでしたけれども、そのとおりになってしまったと残念に思っております。

 次に、現在の地方創生の取組と課題、デジタル田園都市構想についてお伺いいたします。

 第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の改訂について、例年十二月下旬に行われているとのことでございますけれども、昨年十二月の改訂は見送られました。どうしてでしょうか。また、いつ改訂するのでしょうか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略につきましては、新型コロナウイルス感染症に伴う国民の意識、行動の変化を踏まえた新たな地方創生を進めていくべく、一昨年の年末に改訂をしまして、この中で、地方創生テレワークの推進や、オンラインを活用した関係人口の創出、拡大など、デジタルを活用した取組を打ち出したところでございます。

 また、これまで地方創生に取り組む中で、地方創生テレワークやICTオフィスの整備など、デジタルを活用した地方活性化の事例も見られ始めており、こうした成果は積極的に活用していくことが重要であるというふうに考えております。

 こうした昨今の地方におけるデジタル化の進展も踏まえれば、今後、地方創生の取組を更に進めていくためには、人口減少、高齢化、産業空洞化など、地方の課題をデジタルの力を活用することによって解決をし、地方を活性化するといった観点が重要となってまいります。

 現在、デジタル田園都市国家構想につきましては、このような観点に立ちまして、昨年十一月からデジタル田園都市国家構想実現会議において検討を進めている中、総合戦略の取扱いにつきましてもこの構想を踏まえて検討することが適当であるというふうに考えておりまして、昨年末の改訂は見送ったところでございます。

 今春の具体的な構想取りまとめに向けまして、総合戦略の改訂時期も含めて議論を深めてまいりたいというふうに考えております。

坂本(祐)委員 地方自治体は、この総合戦略を見て新たな政策を検討するというふうに聞いております。財源があれば、国の戦略に手を挙げなくても自らの政策を進められるでしょう。国が地方創生だ、まち・ひと・しごと創生だなどと言って地方に負担をかけているにもかかわらず、今度はデジタル田園都市国家構想だと言って、総合戦略の改訂は待ってくれというのは、全く地方のことは考えていないのではないかと思います。

 それぞれの地方自治体は、様々な計画や事業を抱えて、調整しながらそれを進めております。国がやるべきことをしなければ、地方自治体の運営にも支障が生じてしまいます。このような状況についてお考えをお伺いいたしたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在検討が進められておりますデジタル田園都市国家構想実現会議におきましては、地方自治体の関係者としまして、全国知事会の会長でもあります平井鳥取県知事、湯崎広島県知事、石山福井県大野市長、さらには、井澗和歌山県白浜町長の四名に参画をしていただいております。

 これに加えまして、デジタル田園都市国家構想の検討状況等につきましては、地方自治体関係者に対しまして、適宜、意見交換や情報提供を行っておるところでございます。

 今後とも、委員御指摘の、地方自治体における新たな施策の検討に支障を来すことがないよう十分に留意しながら、意見交換等を通じて連携を図ってまいります。

坂本(祐)委員 そもそも今回のデジタル田園都市国家構想は、岸田総理の肝煎りの政策かもしれませんけれども、地方からの要請があって進められているものなのでしょうか。国から地方への一方的な押しつけであれば、地方にとっては新たな負担が増えてしまうだけと考えます。地方側が必要であって権限、財源があれば、自ら必要に応じて行うと思います。

 最低限、地方側と十分に話し合い、検討しながら進めているのか、この点について大臣にお伺いをさせていただきます。

若宮国務大臣 デジタル田園都市国家構想、そしてまた地方創生、これは、地域の個性を生かした地方の活性化や、あるいは、東京圏への一極集中の是正につながる地方への人の流れを強化していこうといった根本的な考え方につきましては、共通しているものだというふうに思っております。

 先ほど事務方の方から御答弁申し上げましたけれども、これまで地方創生に取り組む中で、地方創生テレワークやICTのオフィスの整備、あるいは、デジタルを通じた地方活性化の事例にも見られ始めております。こうしたこれまでの取組の成果も踏まえまして、今後、地方自治体、先ほども御答弁申し上げましたけれども、四人の首長さんたちにも御参加をいただいておりますけれども、このデジタル田園都市国家構想実現会議というのを今開催いたしてございますが、こちらで更に議論を深めまして、この春には具体的な構想を取りまとめていく形で今準備を進めてございます。

 この検討に際しましては、引き続き、地方自治体関係者の皆様方の御意見もしっかりと承りながら意見交換していきつつ、国からの一方的な押しつけにならないように、しっかりとした取組を進めてまいりたい、このように思っているところでございます。

坂本(祐)委員 それでは、ここで野田大臣は御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

石田委員長 どうぞ、大臣、御退席ください。

坂本(祐)委員 この件につきましては、大臣がおっしゃったように、十分にしっかりと地方自治体とコミュニケーションを取っていただいて、国からの一方的な押しつけにならないように御留意いただければと存じます。

 次に、地方への権限、財源の移譲と、地方自治体の地方主体の活性化について質問いたします。

 私は、今でも地方の活性化には地方分権が必要であると考えています。権限、財源を地方に移譲して、地方の自主性に任せるべきではないでしょうか。

 毎年、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律が審議されています。この地方分権一括法は今国会でも審議が予定されていますが、これは国から地方への権限、財源の移譲をほとんど伴わないものと承知しており、名ばかりの法律になっています。政府はこのような法律で地方分権を進めているように見せかけて、実態としてはほとんど地方分権は進んでいません。

 国側からすれば、地方に任せることはできない、権限、財源を渡せないと言うかもしれません。国の職員の皆さんは大変に優秀です。しかし、地方自治体にも優秀な職員はたくさんおります。自分の住む町に愛着や誇りを持って、熱意を持って仕事に取り組んでいます。市町村は国の下請機関ではありません。かじ取りをする市町村長も選挙で選ばれ、地元のために公約を掲げております。私は、彼ら彼女らに地方の将来を任せるべきと確信をいたしております。

 国は、外交や防衛、マクロ経済などを中心に、地方自治体は、首長を中心に、自治体議員とそこで生活を営む住民の方々と協働してまちづくりを進めるべきであるというふうに私は考えています。

 そこでお伺いいたしますが、地方の活性化には、国主導の地方活性化策ではなく、権限、財源を地方に移譲して、地方のことは地方に任せる、そのように抜本的に改めると考えますが、大臣、いかがでしょうか。

寺崎政府参考人 野田大臣が退席でございますので、私から御答弁申し上げます。

 地方分権改革におきましては、委員御指摘のとおり、住民に身近な行政はできる限り地方に委ねることが重要であると考えております。

 平成二十六年からは提案募集方式を導入し、政府としての恒常的な推進体制の下、地方の発意に根差した息の長い取組へ転換し、着実に取組を進めているところでございます。

 この取組は、地方の現場の実情を踏まえた提案をしっかり受け止め、きめ細かくその実現を図ることができており、地方側からも評価されていると考えております。

 今後とも、地方公共団体と十分連携しながら、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ち、提案募集方式の充実等を通じて、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 次に、質疑項目が前後いたしますが、お願いいたします。太陽光発電整備の乱開発の規制について質問いたします。

 二〇一二年七月に再生可能エネルギーの固定価格買取り制度が開始されたのを契機として太陽光発電の普及が進んでいますが、地域によっては、土砂流出や濁水の発生、景観への影響、動植物の生育環境の悪化などの問題が生じております。

 気候危機打開のためには、温室ガスを排出しない再生エネルギーの活用が不可欠です。しかし、一部の大手事業者などによって地域住民の声を無視した発電施設の建設が全国各地で行われていることは、誠に憂慮に堪えないところでございます。

 特に危惧していることは、事業者に、メンテナンスや発電管理体制の確保などが実際に行われているのか、解体時の処理の責任や、事業中止などによる放置や不法投棄を防ぐことができるのかという問題です。

 子々孫々に美しく豊かな郷土を残していくことは我々の務めでもあります。この点に関して政府はどのように考えているか、お伺いいたします。

茂木政府参考人 今委員から御指摘ございましたとおり、再生可能エネルギーの導入拡大に伴いまして、景観への影響ですとか自然災害、それから将来的な設備の不法投棄に対する地域の懸念、こうしたものが生じてきているということでございまして、今後、再エネを最大限拡大していくということになりますと、こうした地域の懸念にしっかりと向き合って、地域と共生を図りながら導入を進めていく必要があるというふうに考えています。

 このため、再エネの特措法、これは固定価格の買取りの仕組みを決めている法律でございますが、この中で、発電事業者に対しましては、発電所を設置する自治体が定めた条例、例えば安全性をしっかり確保せよとか、あるいは地域とのコミュニケーションを取れ、こうした条例をしっかり遵守することを求めておりまして、違反があれば、指導、改善命令を経た上で、認定を取り消すこともできる、こういった仕組みになっております。

 また、地域とのコミュニケーションを促すという観点では、各地域の条例などの情報を自治体間で共有して、自治体がこうした対処を円滑にできるように支援をしたり、あるいは、FITの認定申請が出てきますが、こうした認定情報、申請情報をプッシュ型で自治体に提供することでコミュニケーションを促していく、こうした取組を進めています。

 それから、安全性の確保についても御指摘がございましたが、事業用の太陽光の発電設備には、電気事業法に基づく安全基準への適合維持義務というのが課されております。保安管理の責任者の下で定期的な点検を義務づけておりますので、こうした措置をしっかりと実施していくということになります。

 それから、太陽光発電の廃棄についての御指摘もございました。放置や不法投棄に対する懸念というのはかなり出ておりまして、今年の七月から、廃棄費用を外部で積み立てる、FITのお金をお支払いするときに源泉徴収してしまいまして、これを外部で積み立てるという仕組みを開始いたします。太陽光パネルの廃棄の際には、ここからきちんとお金を出していくということになります。

 それから、将来的には廃棄が出てまいりますので、太陽光パネルのリサイクルとかリユース、こういった技術開発もしっかり進めているところです。

 これらの取組を進めることで、経産省がしっかりリーダーシップを取って、関係省庁とも連携しながらしっかりと対応してまいりたいというふうに考えています。

坂本(祐)委員 二〇五〇年に再エネの割合を五〇%にすることには理解ができます。しかし、自然環境に与える影響に対してもしっかりと対処すべきと考えます。

 FIT法、建築基準法、電気事業法、森林法、環境影響評価法など様々な法律が関連しますが、現状では、これらの環境破壊を守るには、自治体条例によることしか自衛することができない状況です。政府は、自治体及び一般住民からの情報提供に速やかに対応して、乱開発に対する改善指導及び認定の取消しを確実に行うことが必要と考えます。

 令和三年五月二十五日、参議院環境委員会の地球温暖化の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議において、地球温暖化対策の推進に当たっては、国際的にも生物多様性の確保が喫緊の課題であることに鑑み、本法に基づく施策も含め、地域への再生可能エネルギー導入拡大により自然環境及び生物多様性の価値を損なうことがないよう十分留意することとされています。

 政府は、人手不足や体制が間に合わないというのであれば、地方自治体に権限を移譲して、実効性を優先させる必要もあります。地方の活性化を妨げるような開発には国としてもしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

新井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の再エネ拡大に伴います自然環境等への影響につきましては、再エネを導入する上で、自治体や地域住民の方々の理解を得ながら進めていくということが肝要ではないかと考えております。

 令和三年六月に閣議決定されましたまち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一においても、「地域資源を有効活用して再生可能エネルギーを導入する等、脱炭素化の取組を地方において積極的に推進していくことにより、地域経済の活性化や地域課題の解決の実現につなげる」とされております。

 内閣府といたしましては、自治体や地域の理解を得ながら、再エネの適正な導入を通じた地方創生と脱炭素の好循環の形成に向けて、経済産業省や環境省等、関係府省庁とも連携しつつ取り組んでまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 それでは、次に、地域活性化と災害対策について質問をさせていただきます。

 私の地元では、令和元年の台風十九号による甚大な被害を受けて、入間川水域緊急治水対策プロジェクトという治水対策が進められております。関係する土地で農業を営む方々から反対運動が起こっております。災害対策も重要ではありますけれども、地域の農業も地域活性化の観点から重要です。

 国の担当者は、ポストが変わればそのプロジェクトとは直接関係はなくなりますけれども、その地域に住んで農業を代々にわたって営み続ける住民にとっては、まさに一生の問題です。このようなトラブルを抱えた状態で健全な地域の活性化はありません。

 一部の方々の犠牲の上に進めるのではなくて、協力の下に進めていくべきと考えます。理解を得るには困難もありますけれども、よく関係者と話合いをして理解を得ながら進めていくべきであろうと思いますが、いかがでしょうか。

石田委員長 時間が参っておりますので、答弁は簡潔に願います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 令和元年東日本台風で甚大な被害が発生した入間川流域では、早期の復旧復興に取り組むため、国、県と四市町が連携し、令和二年一月に入間川流域緊急治水対策プロジェクトを策定しております。

 このプロジェクトには、河道掘削、堤防の整備、遊水地の整備などを位置づけており、事業の効果や影響について地元の方々に御説明をしているところでございます。

 その中で、遊水地の候補になっている土地につきましては、現在、優良な農地として利用されておりまして、洪水と一緒に土砂やごみが流入することによって営農に与える影響について懸念が示されていることから、営農者に対しまして丁寧な対応が必要と考えております。

 命と暮らしを守る治水対策、地域を支える農業、いずれも重要でありますので、治水と農業の両立について関係者に十分理解していただけるよう、治水対策による効果や、対策後も残るリスク、土地や営農への影響や、その頻度などを丁寧に説明してまいります。

石田委員長 既に持ち時間が経過しておりますので。

坂本(祐)委員 全国でも同じような事案があろうかと思います。是非御丁寧にお進めになっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

石田委員長 次に、吉川赳君。

吉川(赳)委員 自由民主党の吉川赳でございます。

 本日は、この質問の機会をお与えいただきまして、ありがとう存じます。

 まず、冒頭でございますが、明日で東日本大震災から十一年目となるわけであります。昨年からの第二期復興・創生期間においては、地方創生との連携強化ということがうたわれているわけであります。人口減少や産業の空洞化、こういった課題を抱える被災地においても、今後、まち・ひと・しごと創生、また地方創生との連携強化、これが課題となっておりますので、大臣を始めとする政務三役の皆さん、また、地方創生推進事務局、まち・ひと・しごと創生本部の皆さんにおかれましては、是非この被災地における地方創生というものにも十分に御理解をいただければと、冒頭、お願いを申し上げる次第でございます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、国家戦略特区であるスーパーシティーは、昨年公募がなされていると思います。そして、その後に、岸田政権下におけるデジタル田園都市国家構想。この二つは内容的にも非常に重複している部分があると思うんですけれども、改めてこの二つの関係性について御説明願いたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル田園都市国家構想は、高齢化や過疎化などの社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあることに鑑みまして、デジタル技術の活用によって、地域の個性を生かしながら、地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現するというものと承知しております。

 スーパーシティー構想でございますけれども、こちらは、地域のデジタル化と規制改革を行うこと、それによりまして、二〇三〇年の未来社会の実現ということを、先行的な実現を目指すものでございます。

 両者は、いずれもデジタル技術の活用によって地域課題の解決を図る点で目的を同じくしておりますが、スーパーシティーは、特に、新たな規制制度の設計といった観点でデジタル田園都市国家構想を先導するというものでございます。

吉川(赳)委員 もちろんデジ田でも、そこにある規制をなくすことが必要であればやっていかなければならないことだとは思いますが、その前提はちょっとおいておいて、まず、スーパーシティーは昨年公募が行われたと思うんですが、この公募と採択状況を改めて確認したいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーシティーについては、昨年四月に三十一の地方公共団体から提案がありました。また、同年十月には、うち二十八団体から再提案がございました。その後、先週三月四日に第三回の専門調査会を開催いたしまして、第二回に引き続き、スーパーシティーの区域選定等に関する審議を行ったところでございます。

 会議においては、つくば市、大阪府市のスーパーシティー構想について、それぞれの首長などからヒアリングの上、委員において審議が行われた結果、スーパーシティー型国家戦略特別区域としてつくば市及び大阪市を指定することが原案として了承されましたところです。

 本日、国家戦略特区諮問会議を開催して、つくば市や大阪市などの区域指定の案について審議を行う予定でございます。

吉川(赳)委員 今日は、事前の質問取り、打合せで、ほぼほぼ政府参考人からの答弁なんですが、宮路政務官に来ていただいているので、随時答えられるときは答えていただいて構いませんので、挙手していただけたらと思います。

 その中で、このスーパーシティーなんですけれども、本来は昨年採択が決まっている予定でしたよね。それが一回延びているわけなんですけれども、済みません、質問取りで言わなかったんですけれども、私も理由は分かっているんですけれども、改めて、何で打ち返しになったのかというのをもう一度確認していいですか。何で去年採択なされなかったのか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 去年決めるということが何か公式に決まっていたということではなくて、必要な審議をずっとやってきたということに尽きるところでございます。

 一言御紹介すれば、審議をしてやはりよいものをちゃんと選びたいという思いが、政府も当然ですけれども、専門調査会の委員の皆様にも非常にある中で、プロセスにおいては、一度受け取った提案について、もう一段ブラッシュアップしてほしいなということで再提案をお願いしたりとか、あと、その後、いろいろハンズオンで助言したりというようなプロセスをいろいろとかみながらやってきたということでございまして、結果としてということにはなるんですけれども、このタイミングということでございます。

吉川(赳)委員 何となく優しくオブラートに包まれている答えなんですけれども、要は、あの当時、昨年、スーパーシティーの岩盤規制ということに関しては、三十一の自治体の提案が物足りないというか、何か、これは本当にスーパーシティーなのかというような、こういった議論もあったやに私は記憶をしているんですね。

 三十一の自治体の中で、つくば市、大阪市。大阪市といえば本当に大きい自治体ですよ。結果、大きい自治体、大きめの自治体、つくば市で二十四万人ぐらいですか、これくらいの人口の自治体が採択をされたわけで、逆に、小さい町同士が合同でエントリーをしたり、また、本当に小さい単体の町でエントリーをして、三十一の中には含まれておりましたが、結果として、そういうところが出したところが、昨年、物足りないということで一度打ち返しになって、やはり採択はどうしても大きい自治体になってしまうわけなんですよね。

 というのも、やはり国家戦略特区ですから、あくまで住民参加ですとか自治体がやりたいという意思が重要になることは十分分かっているんですが、ただ、従前の単純な補助金のエントリーと違って、スーパーシティーともなると、これを策定するに当たって、やはり自治体に相当のエネルギー、人ですとか予算、そしてさらには情報収集能力、こういったものが求められてしまうわけですよね。結果として、このスーパーシティーに見合うというのは、大阪市のようなある程度大きな自治体になってしまう。

 先ほど冒頭に答弁いただいたように、モデルケースとして、大きい自治体のブラウンフィールドで様々な規制改革をして、利便性の高いデジタルの力によって町をつくっていくということ、これは理解をします。

 ただ、一方で、今はデジ田にどちらかというと寄っているんですけれども、スーパーシティー、世界的にはスマートシティーなんという言い方をしますが、やはりこの要諦というのは、今後、人の手で解決できない社会問題に関して、デジタルの力でそれを解消していくという点にあるわけです。ですから、つまり、スーパーシティーもデジ田と同じように、大きい町のモデルケースも重要なんですけれども、本当に今後人口が減ってしまって人の力では課題が解決できないところでこそやらなければならないと思うんですね。

 ただ、今の国家戦略特区の制度でいくと、さっき言ったように、ある程度大きい自治体しか策定能力というものが間に合わなくて、そして、なかなか情報収集もできない。地方自治体も頑張っていますけれども、なかなか人も予算もないですから。

 そうなったときに、スーパーシティーも、現在と同じような従前型の公募提案方式、採択方式ということではなくて、やはり、今後、デジタル田園都市国家構想とうまくリンクをさせながら、例えば、町の課題解消や発展につながる先端技術の情報プラットフォームみたいなものを内閣府の中でつくって、そして、自治体に、こういう困っていることがあるんだよという相談に対して、こういう技術がありますよと、そのように提案をしていくようなスーパーシティーのつくり方というのも私は一つだと思うんですよね。

 繰り返しになりますけれども、そうでなければ、小さい自治体はなかなか、企画をつくって、情報を精査して、それをエントリーして、そしてタイムラグもあります、そういう問題も今後出てくると思いますので、是非、デジタル田園都市国家構想という柱がありますから、国家戦略特区とはいえ、そこにとらわれ過ぎることがないように、柔軟に今後対応していただきたいと思います。これに関しては特に答弁はいいです。

 次に行きたいと思います。

 デジ田があって、そして以前のスーパーシティーがあって、その前にスマートシティーというものがあって、世界的には総じてスーパーシティーのことをスマートシティーというんですけれども、我が国の場合は事前にスマートシティーという別のものがあったので、非常にややこしいたてつけになっているので、その辺の整理もしてもらいたいんですけれども、それはおいておいて。

 一方で、政府主導でやる、また自治体主導でやる取組以外に、民間のこういうスマートシティー、利便性の高い町をつくっていこうという取組、これも始まりつつあります。

 私の地元の静岡県裾野市で、トヨタが主導して、ウーブン・シティによる、私有地、限られた範囲内でのスマートシティーというものを今つくろうとしております。これは、自治体によるブラウンフィールドに対して、ゼロからやるグリーンフィールド型ということになるわけですけれども、これは民間の取組とはいえ、是非、国家戦略特区であるスーパーシティー、さらにはデジタル田園都市国家構想、これを所管する政府として、政務官から、この民間のウーブン・シティのようなスーパーシティー、スマートシティーの取組について見解をお伺いできたらと思います。

宮路大臣政務官 御答弁申し上げます。

 委員御指摘のウーブン・シティ、私も勉強させていただきましたが、いわゆるグリーンフィールドにおける民間主導の取組、私有地であるがゆえに思い切った施策を展開することができるというところにその要諦があるというふうに理解しておりますが、そうした民間主導の取組も先進的な課題解決の形の一つとして注目しているところでございます。

 自治体主導の取組だけでなく、ウーブン・シティなどの民間主導の、規制改革の要素も含む取組事例をしっかりと参考にすることが大変重要であると考えておりまして、デジタル田園都市国家構想実現会議においても、そうした先行する官民の取組事例について御紹介をいただきつつ、この春の構想の取りまとめに向けて議論を進めているところでございます。

 引き続き、内閣官房のデジタル田園都市国家構想実現会議事務局と、特区等を所管する内閣府の地方創生推進事務局はもちろんのこと、デジタル庁を始めとする政府各府省とも連携協力して、今後のデジタル田園都市国家構想の実現に向けた議論と取組を進めてまいりたいと考えております。

吉川(赳)委員 その上で、海外にも民間主導のグリーンフィールド型のスマートシティーと言われる取組は先行して幾つかあります。多分、我が国では裾野市のトヨタのウーブン・シティがまず一番最初になるのかな、私はこういう認識でいるわけなんですけれども、一方で、さっき言ったように、国のスーパーシティーは特区なので、そもそもの特区指定がなければ、そこに利便性解決のための規制緩和というものはできないわけであります。

 デジ田の範囲の中でそれをどこまでやるかということにもよってくるかとは思うんですけれども、例えば、このトヨタのウーブン・シティのような限られた企業が保有する土地の中での新たな町というものができます。しかしながら、一方で、その外に一歩出ると、これは普通の市、町。国道でしたら国ですし、県道だったら県、市だったら市の条例、法律になってしまうわけであります。例えば、道路も、企業主導のスマートシティー、スーパーシティーの範囲内においては自動運転は可能だ。ただ、それを一歩出ると公道になりますので、自動運転はできないわけです。つまり、アウトプットができない。

 これはリアルインフラだけではなくて、例えば通信インフラもそうです。例えば、スーパーシティーでもそうですけれども、多分恐らく、企業主導でもオープンAPIによって本当に利便性の高いデジタルアクセスというものがあると思うんですけれども、それを例えば私有地の中で企業が住んでいる人のために提供をしていても、それを今度は自治体の情報と連結をするというときに、セキュリティーのレベルが不安だとか、そもそも自治体のシステムがそこについていかないとか、そういったことがやはり今後出てくると思うんですね。それで、デジ田の方では、自治体のシステムの標準化というものもうたっているわけであります。

 やはりそういった、是非今後、特区だからとかデジ田の範囲でどこまでやるかとかということではなくて、このトヨタのウーブン・シティを皮切りに国内でそういった民間主導型のスマートシティー、スーパーシティーというものができるというときに、その一歩外に出たときのアクセス性というものを、しっかりと柔軟に対応できるような制度設計というものが私は必要ではないかと思います。

 これについて是非見解を、参考人で構いませんので、お聞かせ願えればと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど宮路政務官から御答弁がございましたとおりだと思います。ウーブン・シティのような民間主導の取組も先進的な課題解決の形の一つであるというふうに認識をしております。

 そして、今後、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取組が進んでいくという中で、関連する規制改革のニーズが出てくる可能性もあると考えております。ウーブン・シティのような民間主導の取組や動き、それから関係する自治体の御意向、こういったことも注視しながら、私ども国家戦略特区の方でも適切に対応していきたいと考えております。

吉川(赳)委員 なので、この国家戦略特区とデジ田、これは、もちろん内閣府で部局が違うのはいいんですが、様々な事情がおありということを理解しながらも、大臣の所管というものが分かれてしまっているわけであります。

 今後、さっき言ったように、目指すべきところは同じなわけですね。やはりそこはしっかりと、内閣府の得意な言葉である横串を刺すという言葉、これでしっかりと連携を図っていただきたいですし、それにプラスアルファして、今後、まずこういった民間の取組が私は間違いなく増えていくと思います。そうなったときに、政府、自治体主導型のスーパーシティーよりやはり民間の方が全然優れているよね、こうなってしまってもこれはよくない。

 やはりそういった意味では、本当に広く連携をしていける制度、そしてさらに、それを外にアウトプットしていける制度、こういったものが極めて重要になってくるかと思います。私も立法府の立場から、是非そういった制度設計に関してもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 次に、地方創生に関する質問をさせていただきたいと思います。

 地方創生政策がスタートして、東京一極集中から持続可能な地域社会をつくるということで、まずは地方の人口ということが大変大きな課題であります。

 ただ、地方創生黎明期には、例えば単純に人口を増やすということでありましたが、例えば、二十万人の町があって隣に十万人の町がある、その翌年に、十万人の町が八万人になって、横から二万人移って二十二万人になった、こういう人口の取り合いをやっていてもしようがないよねみたいな議論もあり、そしてなおかつ、なかなか東京からの移住というものも進まないということで、その中で、一つ、昨年ぐらいからですかね、二地域居住というものを推進しているかと思います。

 この二地域居住、東京と地方に仕事なり住まいなり二拠点を持って、そういった新たなライフスタイルを構築していただくことによって地方の関係人口を増やしていくということなんですけれども、ただ、この二地域居住の住の部分に関して、それを選択するインセンティブが私は何かあるのかなと常々思うんですよね。

 例えば、住宅ローン減税、これは住民票があるところの一つの住宅でしか恩恵が受けられません。住民票がなくて、例えば別荘とは言わないまでも、二地域目の地方の拠点には、住宅ローン、住宅を購入をしたり建てたりしたときの税制でのインセンティブというのはまだ存在しないわけですよね。

 ただ、内閣府は二地域居住というものを、今、関係人口の増加を目指して進めているわけであって、その点において、例えば、二つ目の拠点を持つときの住居におけるインセンティブを私はもうちょっと増やしていくべきだと思うんですけれども、それに関して何か政策があれば。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 複数の生活拠点を持ちます二地域居住、これは新しい住まい方の一つでございまして、地方創生に資する取組として積極的に推進を図る必要があると考えてございます。

 二地域居住を推進する方策ということでございますけれども、例えば、国土交通省におきましては、住宅金融支援機構が推進をしておりますフラット35という融資制度がございます。その中で、セカンドハウスの取得に対しましても適用するというふうにしております。あるいは、地方の空き家を活用する、地域活性化のために自治体が改修をするようなケースがございます。そういうケースに対して財政面で支援をするというようなことにも取り組ませていただいてございます。

 また、情報面では、全国版の空き家・空き地バンクといったものを構築いたしまして、情報発信の充実を図る。さらには、二地域居住に取り組んでおられます市町村の優良な取組事例を取りまとめて提供する。

 様々なインセンティブ、そして情報面からの支援をさせていただいているところでございまして、引き続き、関係省庁と連携しながら、こうした取組を推進してまいりたいと考えてございます。

吉川(赳)委員 我々国会議員はくしくも二地域居住みたいな生活をしているわけでございますけれども、やってできないことはない。まあ、ちょっと事情は異なると思うんですけれども。是非これは、関係人口の増加に寄与するために、今後更に力強く進めていただきたい。

 先ほど答弁を国交省からいただきましたが、やはり、内閣府の総合調整、横串を刺すということで、そういったところにもしっかりと連携を取っていただいているなと今感じました。

 ただ、さっき私が言った住宅ローン減税になると、減税なので、どうしても財務省なんですよね。内閣府はどうしても財務省だけには横串が刺さらないんですよ。縦串しか刺さらない。なので、是非これは、大臣を始めとして、総理を中心として、そういう必要な部分も制度改正を願いたいと思います。

 質疑時間が終了しましたが、地方創生は、地方の自主性、それに国がコミットメントしていくということでスタートしました。お互い、どちらが負担をするということではなくて、しっかりとした協力関係が必要です。地方創生は人のせいというふうにならないように、しっかりと国と地方が共に協力をしながら地方の発展を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

石田委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 それでは、早速ではございますけれども、質問に入らせていただきます。

 デジタル技術の活用によって転職なき移住を実現し、地方への新たな人の流れを創出することで持続可能な地域を実現することは、地方創生またデジタル田園都市国家構想の一丁目一番地であると思います。

 そこで、まず、デジタル田園都市国家構想交付金地方創生テレワークタイプについて伺います。

 この交付金は、サテライトオフィス等の整備や運営、利用促進等の事業において、自治体に加えて民間企業の取組に対しても活用できるものであります。この交付金には、補助率四分の三の高水準タイプと補助率二分の一の標準タイプがあり、また、自治体運営施設整備と民間運営施設開設支援がありますが、サテライトオフィスを展開するそれぞれの現場ではどのように使い分けておられるのか、また、その具体的な事例も含めてお聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、この交付金につきましては、施設整備や運営以外のソフト経費や、進出企業の定着や地域の活性化の支援にも活用できると伺っておりますが、具体的にどのような事業が進められているのか、また進めようとしているのかについてお聞かせください。よろしくお願いいたします。

新井政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度補正予算におきまして、デジタル田園都市国家構想推進交付金二百億円を措置し、サテライトオフィス整備等に取り組む地方公共団体を支援する地方創生テレワークタイプを設けたところでございます。

 本タイプにおきましては、県外から誘致する企業数ですとか移住者数などにつきまして、高い目標を設定しているものにつきましては補助率四分の三の高水準タイプ、それ以外のものについては標準タイプといたしております。

 また、対象事業といたしましては、先生御指摘のとおり、地方公共団体が自ら運営、整備する施設に加えまして、民間企業等が運営する施設に対する開設支援も対象といたしております。

 例えば、具体的には、先生御地元の埼玉県の横瀬町でございますけれども、高水準タイプといたしまして、旧JAの施設、それを改修いたしまして、民間企業等が運営するサテライトオフィスの開設支援に取り組んでいるところでございます。また、山梨県の北杜市でございますけれども、こちらは、市内の図書館を改修いたしまして、市自らが運営する施設を整備しているところでございます。

 また、先生御指摘のソフトの支援でございます地方創生テレワークタイプでございますが、施設整備ですとか運営の取組に加えまして、広報経費ですとか説明会、ビジネスマッチング、そういったソフト経費につきましても支援の対象といたしております。先ほど御紹介いたしました山梨県の北杜市の事例でございますが、施設のプロモーションのためのウェブサイトや動画制作、そういった取組も進めているところでございます。

 また、今年度から新しく、進出企業の定着や地域活性化を図るため、サテライトオフィスに進出した企業と地元の企業等が連携して行う地域資源を活用した取組を支援する事業を追加いたしております。対象事業といたしましては、例えば、地元の学校と連携いたしましたプログラミング教室ですとか、あと、地元の食品資源、地域資源を活用いたしました新商品開発ですとか、脱炭素の再生可能エネルギーを通じた地域活性化ですとか、そういったものを想定いたしております。

 引き続きまして、本交付金を地方公共団体の皆様方に積極的に活用いただくことで、地方から新しい人の流れを創出し、転職なき移住の実現を推進してまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 地方の既存の施設を有効に活用していく、また、そこに入られた企業が地元の企業と連携をして新しい価値を創造していく、まさに是非この取組が更に進むように私も応援をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 続きまして、企業版ふるさと納税等を活用したサテライトオフィスの整備について伺います。

 企業版ふるさと納税は、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税を税額控除し、企業の実質負担が一割程度まで圧縮される仕組みとなっております。この制度を活用してサテライトオフィス等の整備を進めることも大変に有意義なことであると思います。

 また、実際に地方に移住して働くためには、サテライトオフィスの整備と同時に、働く方の居住施設の確保も必要かと思いますが、企業版ふるさと納税を活用し、具体的にどのような取組がなされているのか、お聞かせください。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 地方創生の推進に向けて、地方公共団体において、企業版ふるさと納税による寄附を活用し、御指摘の移住、定住の促進やサテライトオフィスの整備を図る事業など、幅広く取り組まれていると承知しております。

 移住、定住の促進を図る事業としましては、具体的には、移住者等の住居として活用することを目的として空き家の改修を図る事業、当該住居の賃借料や購入費等に対して助成を行う事業などが挙げられます。このような取組をサテライトオフィスのコワーキングスペース等の整備、借り上げ等と併せて地方公共団体が進めることにより、企業にお勤めの方を含め、地方への人の流れがより進むことが期待されるところであります。

 御指摘の、移住促進に向けた働く場と住居の確保の組合せの意義を含めて地方への周知を今後とも進め、企業版ふるさと納税等を活用してサテライトオフィスの整備等の促進を図ってまいります。

輿水委員 ありがとうございます。

 先ほどの交付金と併せてこの企業版ふるさと納税をうまく組み合わせていただきながら、さらに、住まいという形も、地域のそういった空き家等もうまく活用していただきながら、新たな取組を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、続きまして、地方創生推進交付金についても伺います。

 デジタル技術等を活用して、地方における安定した雇用の創出、また、地方への新しい人の流れ、また、地域の活性化を目指した先駆性のある取組を支え、支援すると同時に、優良事例の横展開を目的とするこの交付金でございますけれども、ここで、デジタル田園都市国家構想交付金の先ほどのデジタル実装タイプによる先進的な事例の推進と、この地方創生推進交付金の先駆性タイプによる事業の推進について、現場ではどのように使い分けられているのか、また、組み合わせて活用されているのか、具体的な事例も含めてお聞かせ願えればと思います。

 また、あわせて、デジタル田園都市国家構想を推進するために、今後は、優良事例の横展開について、特にどのような取組がどのような事業推進主体の下で進められようとしているかについてもお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

新井政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想推進交付金デジタル実装タイプでございますが、デジタルを活用いたしました地域の課題解決等に向けまして、既存の優良なサービス、モデルを活用して迅速な横展開を行う地方公共団体の事業を支援するものでございまして、令和三年度の補正予算で措置された施策でございますので、単年度に限って支援を行うものでございます。

 これに対しまして、地方創生推進交付金でございますが、こちらにつきましては、地方公共団体が地方版総合戦略に基づきまして先導的な事業を複数年度にわたり支援するものでございまして、令和四年度からは、新たに行われる事業につきまして、デジタル技術の活用等を要件とする等の見直しを行っているところでございます。

 地方公共団体におかれましては、このような対象事業などの違いを前提としまして、それぞれの実情に応じまして両者を使い分けて活用いただきたいと考えております。

 具体的な事例でございますけれども、例えば群馬県でございますが、地方創生推進交付金の先駆タイプを活用いたしまして、県がイノベーションの交流拠点を構築した上で、先端的なICT技術の活用を進める民間企業と県内の市町村のビジネスマッチングを行うなど、先導的な事業に令和二年度から取り組んでいるところでございます。

 引き続きまして、地方創生の現場におきましては、地域の実情やニーズに合わせて用意した支援策を活用いただき、地域課題の解決や魅力向上など、地方創生の実現に向けて取り組んでいただきたいと考えております。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想を推進するとの観点から、地方創生推進交付金等の地方創生関係交付金につき、令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算案において、新規事業を対象といたしまして、デジタル技術の活用等の取組を事業内容に含めることを原則とすることなどの変更を行ったところであります。

 次に、事業の例といたしまして、地方創生関係交付金を活用した地方公共団体の事業内容は幅広く、デジタル技術の活用やその普及等の取組といたしましても、創意工夫ある多様なものが期待されるところであり、例えば、アプリの開発や地域通貨の導入など、デジタル技術の活用による観光周遊の促進を図る取組、ECサイトの構築、活用により地元農産物の販路拡大を図る取組、栽培技術体系の開発実証を行うICTを活用した次世代ハウスの整備といったような事業が、地方公共団体による場合のほか、地方公共団体と民間事業者との連携により形成された推進主体により進められることを想定しておるところでございます。

 なお、横展開につきましては、従来より、地方創生関係交付金を活用した特色ある事業等を毎年度取りまとめた上で、地方公共団体に対して提供するなどの横展開を図る取組を行ってきているところでございます。

 デジタル技術の活用やその普及等の取組を含めた先導的な事業に関しましても、今後、機会を捉えて地方に紹介するなどにより、本交付金の活用を通じた地方の課題解決のためのデジタル技術の活用等の進展を図ってまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、地方創生推進交付金は、中長期的な展望に立った、そして安定的に進めながら、デジタルの国家構想の交付金をうまくその年度ごとに活用しながら地域のデジタル化を推進していく、しっかり進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、ローカル一万プロジェクトについて伺います。

 このプロジェクトは、産学金官の連携により、地域資源と資金を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを、地域経済循環創造事業交付金と地域の金融機関の融資と自己資金等で行うものであります。

 支援の対象といたしましては、地域資源を生かした持続可能な事業、行政による地域課題への対応の代替となる事業、高い新規性やモデル性のある事業、地域の中核となる大学と連携して実施する事業に対する設備整備、あるいは機械整備、また備品費となっておりますが、そこで、このローカル一万プロジェクトにおいて、デジタル技術を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げについて、具体的にどのような成功事例があるのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お話ございましたローカル一万プロジェクトでございますが、地域の資源と資金を活用した雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを支援するものでございまして、民間事業者に対しまして自治体が助成する経費を国費により支援をしているものでございます。

 本プロジェクトにおきましては、デジタル技術を活用した事業の立ち上げについても支援をしてきたところでございます。

 例えばでございますが、岩手県久慈市におきまして、ICTを活用して、ハウス内の環境を監視制御するシステムを導入し、菌床シイタケ栽培を行う事業でございますとか、岡山県新見市におきまして、廃校を改修し、コンピューター制御により水分管理等が可能な栽培室を整備をいたしまして、キクラゲの通年菌床栽培を行う事業などを採択をしてきているところでございます。

 また、生産性向上に資するデジタル技術の活用に関する事業であって、新規性、モデル性の高い事業につきましては、令和四年度におきましても引き続き重点支援の対象といたしておりまして、原則二分の一としております国費による補助率でございますが、十分の十とすることで取組を強力に推進をしていくこととしております。

 引き続き、本プロジェクトを十分に活用いただけますように、積極的な周知を行いますとともに、優良事例の横展開に努めつつ、デジタル技術を活用した事業の立ち上げを支援をしてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに地域の資源や特色を生かして新しい産業を創出し、デジタルの力で創出をしていただくということでよろしくお願いをいたします。

 続きまして、地方へのサテライトキャンパス設置等に関するマッチング支援事業について伺います。

 東京圏の大学の地方におけるサテライトキャンパスの設置は、学生の地方定住促進、また、新たな地域の拠点の確立、また、地域における新たな産業の創出など、地方創生にとって大きな効果が期待されるところであります。

 そこで、サテライトキャンパスの設置の推進に当たって、今回、どういった理由からマッチングという手法を用いることにしたのか、また、本支援事業を活用することでサテライトキャンパスの設置がどの程度進むとお考えなのか。地方創生の推進との関係性を踏まえ、御見解をお聞かせください。

渡邉(そ)政府参考人 お答えいたします。

 マッチング事業についての御質問ということでございますが、先生御指摘のとおり、東京圏の大学の地方におけるサテライトキャンパスの設置は、若者の地方定着の促進など、地方創生にとって大きな効果が期待されるというふうに考えております。

 しかしながら、自治体側に、例えば大学の誘致に関しましてのノウハウがないこと、それから、東京圏と申しましても、どんな大学がどこにあるのかといったこと、それから、大学自身にもいろいろな自治体との接点が少ないといったようなことが課題として指摘されるところでございます。

 このため、内閣府では、有識者会議の御意見などを踏まえながら、大学誘致を希望する自治体と大学のニーズを把握した上で、マッチングという手法を取り、支援するポータルサイトの構築、運用などを、運用は令和二年からということで開始しております。

 どの程度進むかという御質問でございますが、学部等の大規模な誘致が直ちに実現するというのはなかなか難しいのでございますが、大学が地方にフィールドワークの拠点を設けるなどの連携から始めていくことで誘致の可能性が広がると考えておりまして、内閣府として、引き続き自治体の取組を支援してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 東京圏の大学が地域で、デジタルの農林水産業とか、現場でそういった技術を生かしながら進めていくようなことも是非今回進めばいいのかなというふうに期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、地域課題解決のためのスマートシティー推進事業について伺います。

 この事業は、クラウド型地域情報プラットフォーム等の構築により、地域が抱える災害、見守り、買物支援など、様々な課題をデジタル技術やデータの利活用によって解決することを目的とするものでございますが、私はこの取組につきましても積極的に全国展開を進めていくべきと考えます。

 そこで、今後全国的に横展開を進めようとしている事業について、具体的にどんなものがあるのか等についてお聞かせ願えますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の総務省の事業、これは、データ連携基盤の整備を伴いますスマートシティーサービスの導入を支援しておりますけれども、さいたま市美園地区の健康増進の取組など、進めていただいております。

 先生がおっしゃる横展開は極めて重要でございまして、私たちも取組を進めております。

 実は、先生御指摘の事業のほかに、政府に、四府省、五事業、スマート事業関連の事業がございます。実は、全ての事業において横展開は極めて重要でございまして、昨年より内閣府の方で、この五事業全て、公募から審査、採択まで、全て一体的に合同で行っております。

 それで、情報も共有した上で先行事例の横展開を図ろうとしておりまして、例えば、兵庫県加古川市の見守り……

石田委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

井上政府参考人 分かりました。

 高松市の取組などを横展開しております。

 そのための先行事例を取りまとめましたガイドブックを作成したり、地方自治体を含みますプラットフォームをつくったりしながら進めてまいっているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

石田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 野田大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、二年にわたり、長期にわたり新型コロナウイルス感染症が感染拡大を続け、国民生活が大変大きな影響を受け、大変地域の経済も疲弊をいたしております。

 その中で、今般のウクライナへのロシアの侵攻によりまして、国際情勢が大変緊迫している状況がございます。原油価格や原材料、そして生活必需品の高騰が、このロシアの侵攻によりまして拍車がかかり、大変深刻な状況となっており、経済制裁の影響も出始め、大変危惧される状況となっております。

 私の地元長崎県においては、大変多くの離島を抱えておりまして、九日の発表でレギュラーガソリン百八十二円三十銭、四週連続で上昇している状況、大変、地域経済に与える影響は大きいものと心配をして、危惧をいたしております。

 八日の日に内閣府が発表した二月の景気ウォッチャー調査、街角景気も悪化をしており、大変先行きが見通せない状況となっております。

 地方の暮らしや、また事業者の皆様にも大変深刻な影響が及んでいるというふうに思いますけれども、野田大臣、今の状況を含め、地方の状況も含め、大臣の御所見をいただきたいと思います。

野田国務大臣 御指摘のコロナ禍や現在のロシア・ウクライナ情勢による燃料価格等の高騰が地方の暮らしや事業者に及ぼしている影響につきましては、生活に必要な灯油価格や、農業や漁業、運輸業等に必要な燃料費などに厳しい影響を与えていると、多くの声を地方から聞いて承知をしているところです。

 政府としては、今、原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめ、きめ細かい対応を講じていくこととしているわけですが、地方対策としても、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、これをしっかり活用して、生活者や事業者を支援してまいりたいと思います。

西岡委員 御承知のように、我が党はトリガー条項凍結解除というものを昨年からずっと要請をし続けておりまして、既に、原油価格の代表的な指標であるWTI、原油先物価格が一バレル百二十五ドル水準となっておりまして、トリガー条項凍結解除でも大変不十分な水準となっているというふうに思っております。

 直接国民の皆様に確実に還元をされ、負担が軽減されるトリガー条項凍結解除は必須であると考えており、政府として、今大臣がおっしゃったように、幅広い分野に対する緊急対策を今取りまとめしていただいているというふうに思いますけれども、是非、トリガー条項凍結解除も含めた緊急の総合的な支援策を早急に実施をしていただくということを改めてお願いを申し上げたいと思います。

 通告はいたしておりませんけれども、もし、大臣から一言、何かございますでしょうか。

野田国務大臣 トリガー条項につきましては所管外でありますし、また、今各党で真摯な議論をなさっているということを報道にて承知しておりますので、それを注視していきたいと思います。

 私の方は、重ねてですけれども、お預かりしている新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、これをしっかり活用していただけるよう取り組んでまいります。

西岡委員 御答弁ありがとうございます。

 それでは、地方創生につきまして質問をさせていただきます。

 岸田総理の一月十七日の施政方針演説の中には、地方創生という言葉は使われておりませんでした。その言葉自体は使われていなかったんですけれども、その中で、デジタル田園都市構想を強力に推進し、地域の課題解決とともに、地方から全国へのボトムアップで成長を実現する、また、新しい資本主義の主役は地方であるという方針が示されました。

 これは、単なる看板の、名前のかけ換えでは意味がないということは十分政府も認識をしておられることと思いますけれども、地方創生を担当する大臣として、また内閣の一員として、岸田政権が目指す地方の在り方について野田大臣がどのように捉えておられるか、その見解をお伺いすることと、また、大臣が所信で様々な課題を述べられておりますけれども、その中で、特に野田大臣が最重要課題であると認識をしておられる課題、また、大臣が自ら、御自身の手で是非これをやり遂げたいとお考えの課題がございましたら、大臣の方から見解をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 岸田大臣から賜りました所管である地方創生においては、私はほかにも、女性政策とか少子化対策、男女共同参画、孤独・孤立、様々お仕事を総理からいただきましたけれども、共通していることは、この国の不安につながっている元はやはり少子化で、次の時代を託せる人材がなかなか、地方であっても、東京であっても、都市であっても生まれてこない。そして、人口減少という、数だけじゃなくてバランス、圧倒的に次の時代の源泉になる人たちが出てこないということが、やはり全てにおいて、地方のみならず、日本全体の問題だというふうに思っています。

 ですから、まずはやはり人口減少、少子化に伴う人口減少に歯止めをかけるとともに、今現在は東京圏の方に人口の過度の集中があるわけで、それを是正していく。それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力のある日本社会を維持することを目的とした取組を行っています。

 御指摘のデジタル田園都市国家構想、これは、高齢化や過疎化などの社会課題に直面している地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズ、つまりデジタルによってマイナスを、ゼロではなくプラスに転ずる、そういうことが必要であるという、活用するニーズがあることに鑑みて、デジタル技術、地域の個性を生かしながら地方の課題を解決、そして地方から全国へボトムアップの成長を実現していくものであり、まさに地方創生の取組をデジタルの力で加速化させるものだと考えています。

 やはり、道路がないから、線路がないから、航空機のあれがないからということで、地方はアナログでは取り残され感がありますけれども、インターネット上ではそういうことが全くなくなってしまう。やはりそういう醍醐味を地方だからこそ取り込んでいかなきゃならないという、今までの不利をなくしていくということにデジタルを活用していただければというふうに願うわけであります。

 私の地方創生の取り組み方は、私としては、やはり、今までなかなか地方創生の中で話題に出なかった女性のこと、そして子供の対策です。

 いろいろなデータを見ると、実は、都会に流出して戻ってこないのは女性の方が多いわけで、なぜ女性たちは地方で能力を発揮できないのか、そんなようなことをしっかり解決して、若い世代の人たちが地方で子供を育てるときに何を考えるかというと、多分、自分のことよりも子供の教育、きちっとした教育が受けられるか、そして、子供が万が一病気やけがになったときにきちっと助けてもらえるところであるかというのはすごく重要で、そんなところは余り地方創生の中でメンションされてこなかったと思うんですね。

 そういうことを捉えて解決に導いていければと願っています。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃった、やはり女性、子供という視点が、今まで地方創生の中で、あったことはあったと思いますけれども、クローズアップされて、特に重点的に取り組んだということがなかったので、大変、野田大臣、これまでのいろいろなお取組、発言の中でも女性、子供という視点での地方創生の方針を示していただいていることを大変頼もしく思っておりますし、私自身も同じ思いで、是非強力に進めていただきたいと思います。

 後ほど、地方における女性活躍については、質問をさせていただく予定といたしております。

 次に、新型コロナ対応地方創生臨時交付金についてお尋ねをいたします。

 地方公共団体が、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策とともに、住民生活を支え地域経済を守るために大変必要な交付金として、令和二年に創設をされました。これまで、予備費の支出も含め十五兆千七百六十億円が予算措置をされております。令和三年度補正予算で措置をされました地方単独事業分につきまして、今後、交付決定後に、その残余分、保留分についてなるべく早く活用できるようにしてほしいという声、また、住民に最も近い市町村にもう少し重点的に配分をしてほしいという地方からのお声があります。

 このことについてどのように考えておられるかということを一点お聞きをしたいこと、また、あわせて、これは想定の話となりますけれども、また新しいオミクロン株、ステルス性オミクロン株と言われる感染拡大が、四月から広がるのではないかという専門家の御指摘もある中で、今後、感染状況も踏まえて、その交付金につきまして増額をするという方針があるのかどうか、今後の方針についても併せてお尋ねをいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、さきの補正予算におきまして地方単独事業分といたしまして一・二兆円を確保いたしまして、このうち一兆円分につきましては自治体に交付限度額を通知をさせていただいております。

 現在、各自治体から実施計画の提出を受け付けておりまして、交付に向けた手続を行うとともに、今年度、各自治体において執行できない分については、来年度に向けて速やかな繰越手続も行っていきたいというふうに考えております。

 現時点で、今後の感染状況に応じて追加的に対応するための予算といたしまして、議員御指摘がありました二千億、これの留保をしております。また、御質問の中で今後の配分等々につきましてございましたけれども、現時点では具体的に決めておりませんが、引き続き、感染状況また自治体の執行状況などを注視して考えていきたいと思っております。

 以上でございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今、オミクロン株の感染拡大によりまして、飲食店というよりも、教育現場や高齢者施設における感染拡大の状況等、オミクロンの特性に合わせた対策というものをしっかり取っていかなければいけない局面となっているというふうに思いますので、感染状況や地域の状況に合わせて迅速に対応していただきますように、この場でお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、先ほど大臣からもございました東京一極集中の是正についてお伺いをいたします。

 これまでの議論でも出てきておりますので若干重複する部分もあるかと思いますけれども、お尋ねをさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症感染拡大によりまして、これまでの行き過ぎた東京圏への一極集中の弊害というものが明らかになりました。テレワークですとかオンライン会議の普及によりまして、地方移住への関心が高まっております。今日お配りしております資料にもありますけれども、特に若い世代の方が地方への移住に関心を持ってくださっているという状況がございます。

 東京一極集中を進めるということは、これまでも様々なお取組や御努力がある中で大変難しい状況がこれまで続いてきておりまして、いろいろな支援策を含めてお取組がある中でございますけれども、なかなか結果が出ていないという状況もございます。

 昨年度の東京から他県へ企業が本社移転をした実績値、また、東京から地方へ移住した方々の実績値、その数字がございましたらお示しをいただきたいと思います。

師田政府参考人 お答えいたします。

 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業の地方移転や地方移住への関心の高まりが見られるところでございます。

 議員御指摘の企業移転や移住の実績につきましては、統計情報を活用することで、企業の地方事務所の新規開設数や人口の移動については把握することが可能である一方、企業移転や移住の動向を正確に把握することは困難であるというふうに認識しております。

 その上で、企業の本社機能の移転について、都道府県が定めます地域再生計画に基づいて企業が作成し、都道府県知事が認定しました地方拠点の強化に係る整備計画によりますと、令和三年において六十九件でありまして、当該計画で四千百三十四人の地方での雇用創出が見込まれているところでございます。

 また、企業の本社機能の移転等に対する優遇措置として、地方拠点強化税制につきましては、これは令和二年度の数字になりますけれども、四十四件の適用実績がございます。

 それから、移住についてもお問合せいただきました。東京圏から地方への移住を支援する地方創生移住支援事業では、暫定値ですけれども、令和三年度におきまして、千四百人余りの実績を上げているところでございます。

西岡委員 実態をそのまま示す数字というのは大変難しいというふうに思いますけれども、この東京一極集中是正というのは大変難しい課題ということもありますので、その結果というものがなかなか今出てきていないという状況が今の数字からも、一部ですけれども、捉えられるというふうに思いますけれども。

 この地方創生ということが打ち出されたのは、二〇一四年、安倍政権のときに打ち出され、これまで進められてきたというふうに思います。結果として、二〇二〇年までに東京からの転出が転入を上回るという目標が、二四年度に延期をされております。

 二〇二〇年ということで目標を立てた中で先送りとなってしまった、この原因につきまして、どのように検証して、どのように分析をしておられるのか、そのことについて見解をお伺いしたいと思います。

北浦政府参考人 お答えいたします。

 第一期まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、地方から東京圏への転入超過の大半を十代後半及び二十代の若者が占めていることを踏まえ、地方に魅力ある学びの場、働く場づくりに取り組んだところ、例えば地方の雇用の改善など一定の成果が見られましたが、他方、この間、東京圏で労働需要が強まっていたこと、二十代の若者や女性の転入超過が増加したことなどから、日本人の東京圏への転入超過数は二〇一九年に十四・六万人と増加傾向にあり、第一期において地方から東京圏への転入超過の改善にまでは結びつきませんでした。

 東京圏への一極集中の是正は喫緊の課題であることから、第二期総合戦略では目標年度を二〇二四年度に延長いたしましたが、その際、地方への移住、定着のための移住支援事業等によるUIJターンの促進、地方とのつながりを築く観点からの関係人口の創出、拡大など、取組の強化を図ったところでございます。

 一方で、その後の状況を見ますと、二〇二一年の東京圏の日本人の転入超過数は約八・〇万人と、二〇一九年の十四・六万人から約六・五万人、四五%減少しており、これは、新型コロナウイルス感染症による影響から、テレワークの定着や人々の都市での密を避ける動きなど、国民の意識、行動に変化が見られるようになったものと受け止めており、こうした変化を契機として東京一極集中に歯止めをかけ、それぞれの地域で住みよい環境を確保できるよう、地方創生の取組をより一層しっかりと推進することが重要であると考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今、お話の中でもございましたけれども、今般、地方への人の流れが若干出てきている、このコロナ禍で出てきているということがございまして、東京二十三区において初めて転出超過という結果が出たということのデータはございます。ただ、転出先としては、神奈川県、埼玉県、千葉などの首都圏が中心であり、北関東にも少しずつ広がっているということはございますけれども、なかなか全国的な地方移転というところまでは進んでいないというのが実態だと思います。

 一方で、先ほど大臣からもございましたけれども、男女別で見ますと、男性よりも女性の方が東京への転入超過が多いという結果が出ておりまして、特に若年女性が多いという結果が出ております。女性については、コロナ禍でもなかなか東京への転入という流れが変わっていないという現状があるというふうに思っております。

 二〇一四年の地方創生が打ち出された契機といいますか、当時大変衝撃的なデータとして発表されたわけでございますけれども、日本創成会議がまとめた、いわゆる増田元総務大臣のレポートというのがございまして、当時、統計によりますと、二〇四〇年には、全国八百九十六市区町村が消滅可能性都市に当たり、そのうち五百二十三市区町村は人口が一万人未満となり、消滅の可能性が高いという大変衝撃的なレポートが出ました。

 そのときに、人口減少の要因は二つあるということをそのレポートの中で要因を分析をされておりまして、二十歳から三十九歳の若年女性が減少していること、そして地方から若年者が特に大都市圏に転出をしていること、この二つがその要因となっていて、その解決のためには、東京一極集中是正と人口減少対策を一体として進めていくことが必要であるという提言がなされ、まさに今、野田大臣が取り組まれていることそのものではないかというふうに思っております。

 そもそも減少している若年女性がその上地方から転出をしていくという状況は、今後の日本の在り方、地方の状況からしても、大変深刻な状況であるというふうに思っております。

 先般、野田大臣も議員連盟に出席をいただいた中で紹介されていましたけれども、三月八日の国際女性デーに上智大学の三浦まり教授、先生のグループが、各都道府県における男女の平等指数を、政治、行政、教育、経済の四分野に分けて可視化されました、都道府県版ジェンダーギャップ指数というのを公開されまして、それぞれの先生方の、地方紙にも全て掲載をされたというふうに思います。

 このような見える化の取組は大変有効な取組であるというふうに思いますし、今まで政治分野の都道府県別の分析というものはあったんですけれども、政治分野に限らず、この四つの分野でそれを見える化したというのは、今後にとっても大変有効なことであったというふうに私自身認識をいたしておりますけれども、特にコロナ禍で女性に深刻な影響が及んでいるこの状況にありまして、地方において女性が様々な選択肢があって、生きがいを持って、安心、安全に暮らしていくことができる、そういう地方における女性の支援体制というのを強化をしていくということが大変重要だと思いますし、女性にとって魅力的な地域づくりというのが大変必要だというふうに思います。

 先ほどもちょっと触れていただきましたけれども、このことに大臣としてどのように取り組んでいかれるかということについて、大臣の思いですとか方針をお伺いできればというふうに思います。

野田国務大臣 地方創生担当大臣としてこうやって答弁をするわけですけれども、やはり地方創生のためには、男女共同参画担当大臣としても、またこども政策担当大臣としても、全てパッケージにして取り組まなきゃいけないなということを日々痛感しているところです。

 特に、地方創生においては企業誘致とか工場誘致というのが推進されてきたんですけれども、施設を動かすということだけではなく、そこに働いている人の生き方、例えば、昭和の時代、私たちの父の時代までは単身赴任は当たり前という、スタンダードだからそういうことがあったんですが、今の時代、やはり女性も働いています。共働きがもう七割ぐらいなんですね。だから、夫の会社を動かすだけでは駄目で、妻も働いているわけだから、その妻の働く場所をどうするんだとか、様々、やはりかつてとは、地方創生、もう考え方を変えていかなきゃいけない。

 そういう中で、一番遅れているのは、女性を地方に誘致する前に、地方で育った女性がなぜ出てしまって戻ってこないかというところからやはりきちっと答えを出していかなきゃいけないと思います。

 一つには、やはり、データによりますと、日本の場合、学歴が上がれば上がるほど賃金格差が広がるという、つまり、地方で生まれ育って、能力を備えて、学歴を有した女性が、自らの地方での職がなかなかマッチングできないとか、さらには、これは男女共同参画でよく言われているのは、アンコンシャスバイアスと言われていて、男女差というのは、例えば、女性は家にいる、男性は外で働くみたいな、そういう空気感というのが、やはり地方はまだまだ相当保守的なんだと思います。

 そこは、女性政策としても、そういうアンコンシャスバイアス、女性はこうあるべきだみたいなことではなく、女性も男性も、やはりひとしく能力があり、望めば職を得て正当な賃金を得られるみたいな、地道な活動を地方でより一層続けていくことがまずは肝腎なのかなと思っています。

 特に女性に関しては、地域女性活躍推進交付金、これを活用していただいて、非正規雇用や一人親、そういう、とりわけコロナ禍で厳しい影響を受けている女性を支援してまいりたいと思います。

 そして、地方創生推進交付金を通じては、職に就いていない女性等の掘り起こしとか、受入れ企業の環境づくり、マッチング等を一体的に実施する都道府県への支援、これを行うとともに、東京から地方へ移住し、起業、就業する女性、若者の支援に取り組んでまいりたいと思っています。

 まだまだやれることはたくさんあると信じております。

西岡委員 今大臣からおっしゃっていただいたように、やはり地方で育った女性がどうして地元を出ていくのかという、この辺りのやはり意識調査ではないですけれども、そういうことも、自治体で取り組んでいるところもありますけれども。

 そういう、何が問題なのか、首都圏に出ていくことは、一つ、それは悪いことではなくて、様々な可能性が広がるという意味もあると思うんですけれども、地元で就職したいけれども自分が求める場所がないというような方も大変多くいらっしゃいますし、そういう方が、デジタルという今回新しい環境の中で、地元にいても望む職に就ける、そういう可能性というのが大変広がっているというふうに思いますので、そういう方々の声も含めて調査、どういう形か分かりませんけれども、その思いを調査して、そこを政策に取り入れていくというようなお取組も是非お願いできたらというふうに思っております。

 これもちょっと地方における女性活躍とつながりますけれども、地方自治体におきまして、今、誰一人取り残さない社会を実現するために、SDGs未来都市であるとか自治体SDGsモデル事業を選定するなど、SDGsを原動力とした地方創生を推進していただいております。

 二〇二二年度からは、複数の地方公共団体が連携した取組も支援する方向というふうに聞いておりますけれども、これまでのその取組の中で、ジェンダー平等、目標五の取組事例として代表的なものがあれば、是非御紹介をいただきたいと思います。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 地方におけるジェンダーギャップ指数向上に向けた取組につきましては、SDGs未来都市に選定された百二十四都市のうち三十七都市において、SDGsの目標五、ジェンダー平等の達成に取り組んでいます。

 具体的な事例としましては、福井県の鯖江市におきまして、女性が輝く町を目標に掲げ、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントに取り組んでおり、これまで、女性による起業家数の増加、また審議会における女性登用率の上昇など、まちづくりにおける女性活躍が進んでいるところでございます。

 引き続き、地方創生SDGsを原動力とした地方創生の推進に取り組み、ジェンダーギャップ指数の向上に資するよう取り組んでまいります。

西岡委員 残り時間が僅かとなりましたけれども、SDGsの未来都市選定というのには様々な評価基準があるというふうに思うんですけれども、このジェンダー平等実現、目標五というのをSDGs未来都市選定をする場合の共通の課題にするですとか、例えばそういう、より一層地域における目標五の取組が進んでいくための、そういう評価の共通課題にすることによって、そこで意識も大変芽生えるということも含めて、もう質問時間が終わりましたので、私からの一つの御提案として今日はお伝えをさせていただいて、また次回の質問で、質問をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 まず冒頭、ロシアによるウクライナへの侵略により犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表します。また、我が国においても、既存の安全保障システムを見直していかなければならない時期に差しかかっているのだろうと強く感じるところであります。ロシアによるウクライナへの侵略に強く抗議の意を示し、質問に移らせていただきます。

 まずは、デジタル田園都市国家構想についてお伺いいたします。

 少子高齢化、人口減少社会に突入し、私の選挙区でもあります兵庫県姫路市を回る中でも、地域の様々な課題が見えてきます。車がなければ生活できない集落において、御高齢の方が不安ながらに運転をしている。また、子供が成長とともに都会に行き、空き家がどんどん増えている。体力の限界で、ギブアップして耕作放棄地になっている田畑。こういった地域の課題は挙げれば切りがないわけでございます。

 地方の魅力をそのままに、都市に負けない利便性と可能性を創造するのがデジタル田園都市国家構想ですが、一体どういうものなのか、またどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。

若宮国務大臣 デジタル田園都市国家構想は、新しい資本主義におけます成長戦略の最も重要な柱の一つというふうに位置づけてございます。

 高齢化や過疎化などの社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあるというふうに考えてございますが、デジタル田園都市国家構想、例えばですけれども、自動配送、今委員もおっしゃられたように、高齢者の方がなかなか運転ができなくなってきているというふうなお話もございましたけれども、ドローンの宅配ですとか、あるいは遠隔の医療ですとかオンラインの教育、それからリモートワークなど、このデジタルの技術を活用することによって、それぞれの地域の個性を生かしながら地方をそれぞれ活性化し、持続可能な経済社会を実現するものというふうに考えておるところでございます。

 本構想は委員御指摘の東京圏の一極集中の是正にもつながるものとも思っておりますし、また、企業版のふるさと納税やデジタル田園都市国家構想推進交付金等も活用したサテライトオフィスの整備、それから、企業に対する情報提供、相談の対応や取り組む企業の裾野の拡大等を通じました地方創生テレワークの推進、さらにはデジタル人材等の移住の促進などに取り組むことで、地方への大きな人の流れを生み出していこうという考えでございます。

 今後、デジタル田園都市国家構想実現会議、今会議を続けて開催いたしてございますけれども、更に議論を深めてまいりまして、この春には具体的な構想を取りまとめる予定でございます。

 今後も政府一丸となってその実現に向けて取り組むことで、早い時期に地方の方々が実感できる、目に見える形での成果を上げてまいりたい、このように考えているところでございます。

住吉委員 ありがとうございました。

 デジタルを推進して地域の課題を解決していくこと、これはもう大賛成で、進めていきたいと思います。

 一方で、懸念もございます。というのも、哲学的な話になりますが、人類は利便性を求めてきた歴史がございます。その中で、やはり、このコロナ禍でも皆さんも感じたところだと思いますが、人と人とのつながり、これがやはり重要になってくるのかなと思っております。

 このデジタルを推進していくことが人と人との関わり、これの希薄化につながっていってはまた本末転倒なことになってしまいます。今、これから会議をしていくということですので、デジタルを推進しつつ、また人と人とのつながりを構築する、地域のコミュニティーを構築する、それは必ず両立できると思っておりますので、そういった観点からもしっかりと議論していただきたいと思います。御指摘させていただきます。

 そして、東京圏への一極集中についての御答弁もございました。大臣所信も、私も過去三年分に上って読ませていただきますと、東京圏への一極集中、これが必ず記載されております。恐らくそれよりも前も記載されているものだと思います。

 地方創生の観点から、またリスク分散の観点からも推し進めていくことが必要だと考えます。冒頭申し上げたロシアとウクライナの問題も、多くの専門家は武力行使しないだろうと言っていた中で侵攻しております。日本を取り巻く環境も年々悪化しております。北朝鮮からはミサイルが立て続けに発射され続けております。想像したくもないですが、東京にミサイルが落ちるという可能性もあるわけでございます。

 また、明日で東日本大震災から十一年を迎えるわけですが、私も、阪神大震災、これを被災しました。首都直下地震など災害についても、やはり揺れるだけではなくて、火災による甚大な人的、物的な被害が発生し、国難と言えるレベルの災害が東京で発生する可能性もございます。

 東京は、大雪が降っただけで交通も麻痺している、そのように記憶もしております。リスク分散の観点からも、東京圏一極集中是正についてはより一層取り組んでいかなければなりません。これまでの東京圏への一極集中是正に対してどのように評価されているのか、御所見をお伺いいたします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年に地方創生の取組をスタートさせて以来、東京圏への一極集中の是正は一貫して重要な政策課題であると認識をして取り組んでまいりました。

 平成二十六年度からの五年間を計画期間とする第一期まち・ひと・しごと創生総合戦略では、地方から東京圏への転入超過の大半を十代後半から二十代の若者が占めていることを踏まえまして、地方における魅力ある学びの場、働く場づくりに取り組んでまいりました。しかしながら、この間、東京圏でも労働需要が高まっていたことなどから、第一期において地方から東京圏への転入超過の改善には至りませんでした。

 このため、令和元年に策定しました第二期の総合戦略では、移住支援事業等によりUIJターンを促進する等、地方への移住、定着の取組の強化、また、関係人口の創出、拡大など地方とのつながりを築く観点の追加、さらに、令和二年に新型コロナウイルス感染症に伴う国民の意識、行動の変化を踏まえて総合戦略を改訂しまして、地方創生、テレワークの推進、オンラインも活用した関係人口の創出、拡大など、取組の強化を図ってまいりました。

 東京圏における新型コロナによる影響から、テレワークといった働き方や暮らし方など、国民の意識、行動に変化が見られるようになったこともあり、東京圏の日本人移動者の転入超過数は、二〇一九年の約十四・六万人から二〇二一年には約八万人と、約六・五万人減少をしております。

 その一方で、依然として東京圏への転入超過が続いているという状況には変わりはございません。このことから、こうした国民の意識、行動の変化を契機として、東京一極集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保できるよう、デジタル田園都市国家構想や地域活性化の取組をしっかりと推進してまいります。

住吉委員 ありがとうございます。

 先ほど来よりございますが、なかなか難しいというところだと思います。

 企業の地方移転、これを進めていくとも大臣所信にもございました。また、デジタル田園都市構想によって、都会にいても地方にいても働き方が変わらない環境を目指していくわけでございます。

 であれば、国の機関が率先して地方に移転していく、こういう覚悟を見せていくことも考えていかなければなりません。でなければ、企業に対して地方に移転してくださいというのはなかなか言いづらい、言えないのではないでしょうか。

 我々日本維新の会は、東京と関西圏のツインエンジンでこの国の成長を支えていく考え方でございます。まずは二極型国家を目指し、そこから多極分散型の日本の形を目指していくというものでございます。

 私も、かつては関西広域連合議会に所属しておりました。そのとき地元の兵庫県に観光庁を移転することを要望しておりましたが、日本の縮図として、日本中の魅力が凝縮した兵庫、関西へ観光庁を移転することにより施策立案能力が向上し、日本全体のインバウンドの増大に寄与すると考えております。また、防災省の創設や地方移転も訴えてきたところでございます。

 この中央省庁の地方への移転についての御所見をお伺いいたします。

新井政府参考人 お答えいたします。

 政府関係機関の地方移転の取組につきましては、平成二十八年に決定いたしました政府関係機関移転基本方針等にのっとり、中央省庁七機関、研究機関、研修機関二十三機関、五十案件に関して進めてきたところでございまして、京都におけます文化庁の全面的な移転、それから徳島におけます消費者庁の恒常的拠点の設置等のほか、研究機関、研修機関においては、拠点の設置ですとか、共同研究の開始ですとか、そういったことを通じて地方創生上の効果といったものが表れ始めているというふうに認識しております。

 令和二年十二月に閣議決定されました第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましても、これらの取組につきましては、二〇二三年度中に地方創生上の効果、国の機関としての機能の発揮等につきまして総括的な評価を行い、これを踏まえて必要な対応を行うこととされております。

 いずれにいたしましても、二〇二三年度中の総括的な評価に向けまして具体的な成果が得られるよう、関係省庁、関係機関におかれましては取組を着実に進めていただくとともに、私どもも、有識者からの意見なども考慮しつつ、取組のフォローアップをしっかりと進めてまいります。

住吉委員 ありがとうございます。

 二三年度に評価していくということですので、しっかりと進めていただきたいなと思いますし、昔に比べると、もちろん、テレワークであったり、オンライン会議、いろいろな技術はありましたけれども、社会的にこれはもう実装されて、別に東京にいようが地方にいようが、こういった働き方はいろいろな企業もできるということになっていますので、国の方も、やはり、それを先駆けて率先してやっていく、どこよりも一番やっていくというような形で進めていただきたいと思います。

 ちょっと、続きまして、国出先機関の地方への丸ごと移管についてお伺いいたします。

 先ほど来より質問しておりますが、我々日本維新の会は、自立した国家、自立した地域、自立した個人を基に、地方で決められることは地方で決めるための権限と財源を地方に移していく、地方分権を強力に推し進めていこうと考えております。そうすることによって、国は、防衛や外交、マクロ経済など、そういったところに力を注いでいくことができます。

 そのベターな形が、大臣所信にもございました道州制であると考えております。道州制については、後ほど同僚議員が質問しますのでここでは触れませんが、我々日本維新の会は、さきの衆議院選挙のマニフェストにおいても、国の省庁出先機関は原則廃止し、職員の地方移管を進めていくと訴えてまいりました。関西広域連合では、国出先機関の丸ごと移管のあと一歩のところまで来ていたと聞いております。

 マンネリ化している東京一極集中是正のため、また、我々が目指す、中央集権の限界を突破する地方分権と地方の自立、さらに、その先の道州制への移行のために、国出先機関の地方への丸ごと移管についてどのように考えているのか、御所見をお伺いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国の出先機関の事務、権限に関しましては、平成二十年十二月、地方分権改革推進委員会の第二次勧告におきまして、地方への移譲等の見直しの考え方が示されたところでございます。

 これらを踏まえまして、平成二十四年十一月には、国の出先機関を広域連合にブロック単位で移譲する法案が閣議決定されたところでございますが、全国市長会及び全国町村会から、この法案については問題点が多く、閣議決定を遺憾とする意見表明がされたところでございまして、本法案は国会には提出されなかったという経緯がございます。

 その後、平成二十六年からは地方の発意に基づく提案募集方式を導入し、地方公共団体からの意見を広く取り上げ、国の事務、権限の移譲等の取組を進めているところであります。

 今後とも、地方公共団体からの提案に基づき、地方分権改革をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 提案募集型もいいんですが、やはり東京一極集中であったり、地方分権を強力に推し進めていくためには、小手先だけの修正ではなくて、やはり大きな変革が必要になってくると思っております。

 我々も、地方分権については、やはり少子化、高齢化が進んでいる、そしてまたコロナで大きく環境が変わっている中で、この国の今の中央集権体制、この在り方が本当にいいのか、これも党内で議論しているところでございます。また引き続き地方分権に関して議論を深めていきたいと思います。

 ちょっと次の質問に移らせていただきます。よろしくお願いします。

 最後に、地方創生の観点から、少子化対策について質問いたします。

 先ほどもかなり熱く、田嶋委員の方から少子化について質問がございました。

 厚生労働省は、先日、二〇二一年の出生数が速報値で八十四万二千八百九十七人だったと発表しております。二〇二〇年と比較すると、二万九千七百八十六人と三・四%減り、六年連続で過去最少を更新しております。

 コロナ禍で出産を控える動きが目立ったと述べている専門家もおりますが、恐らくこれから劇的に出生数が増えていくということは考えにくいですし、言うまでもなく、少子化対策は、元気な地方どころか、元気な国をつくっていくための要になってまいります。

 近年、晩婚化が進み、不妊治療の重要性が増しております。その中で、政府が看板政策として、不妊治療の保険適用、これが進められました。不妊治療に対する国民のハードルが下がるという意味では前進したと思っておりますが、かなり不妊治療に対する手法が限定的となっております。

 ここではもう所管が異なりますので、この制度の議論はここでするつもりはございませんが、例えば、鳥取県などは、これまでの特定治療支援事業を県で維持していこうと発表もございました。中国新聞なんかでは、県の英断であるというふうに報じておりました。また、本来、そもそも私はこれは国がやるべきことだと考えておりますが、このように少子化対策に取り組む自治体に地方創生関係交付金を活用すべきだと思っております。

 国の少子化対策についてどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。

野田国務大臣 御指摘のように、ちょっと担当から外れる話もありますけれども、まず、少子化対策で調査をすると、二割程度の人が授からないということを抱えている。その解決策には不妊治療というのはとても重要な役割を果たすと思っています。

 これまで、不妊治療、とりわけ体外受精は、自由診療、保険が適用できませんので、非常に高額な費用を払わなきゃいけない、そこが問題になっていたので、交付金という形で少し積み上げてきて、今は、四月に保険適用になるので、保険適用見合いぐらいの交付金を上乗せさせていただいているところで、おかげさまで、出生数は下がっているんですけれども、不妊治療を受診する患者さんの数は増えているということが分かってきているところです。

 今御指摘の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、これを、今、コロナ禍ということで様々御活用いただいているんですけれども、少子化対策、今の不妊治療の支援も含めて可能であるということをもう既に内閣府からも通知を出しているところなので、是非、全国の地方自治体にはしっかりと少子化対策に御活用いただけるよう、これまでも周知してきましたけれども、これからも周知して、御活用いただければと願っています。

石田委員長 持ち時間が終了いたしております。

住吉委員 ありがとうございます。終わります。

石田委員長 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会の埼玉の沢田良です。

 本日は、野田大臣、若宮大臣、関係省庁の皆様、委員部の皆様、是非よろしくお願いいたします。

 まずは、野田大臣の所信表明にて、地方分権改革への提言、また、「道州制については、国と地方の在り方を大きく見直すものであり、国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいります。」とありましたが、地方分権を進めていくことに対しての野田大臣の意気込みを是非教えてください。

野田国務大臣 ありがとうございます。

 実は、衆参両院で地方分権の推進に関する決議が出されたのは平成五年でございまして、ちょうど私が初当選したのが平成五年ということになります。ですから、私が国会議員になったときからずっと、この国は地方分権をスタートさせたという、その長い長い年月の中で、当時、私は県議会議員をやっておりましたので、かなり権限を国が持っていて、二割自治とか三割自治とやゆされる中、どうにか地方に自主性というか、そういうものをやっていこうという、今非常に懐かしく、でも、まだまだやるべきことはたくさんあるなということを感じています。

 現在、その流れの中で、地方分権改革の推進というのは、やはり、地域が自らの発想とか創意工夫によって課題解決を図る、これが基盤であるということは揺らぎない思いであります。極めて重要なテーマなんですけれども、それをどう実現していくかということで今取り組んでいるのが、提案募集方式、これも実は平成五年の決議からスタートしているわけですけれども、この提案募集方式というのが導入されたのは平成二十六年でございます。

 そこから相当いろいろ変わってきたかなというのは感じているところなんですけれども、これはそのとおりで、地方の多様性を重んじた取組を行う、そして、住民サービスに近い、そして現実的な充実を行っていくという取組なんですが、この方式というのは、現在、地方側からも評価をしていただきまして、今国会においても、令和三年における地方からの提案を踏まえて、第十二次地方分権一括法案、これを提出させていただいているところなんです。

 地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢、平成五年からの決議、この基本姿勢に立って、地域の自主性、自立性を高めるための取組を着実かつ強力に推進したいと思います。

沢田委員 大臣、ありがとうございました。

 まさに、我々日本維新の会も、地方分権そして道州制を進めていくために、これは与野党関係なく前に進めていきたいと思いまして、本当に今の大臣のお言葉、大変心強く、また他党でありながら、すごくうれしかったです。是非進めていきたいと思います。

 今、大臣の方からも説明をいただいたので、二番目にあった質問をちょっと割愛させていただきます。

 地方分権といえば、まさに世界一の経済大国であるアメリカが有名な例となります。日本では東京一極集中がずっと言われている中で、アメリカでは田舎でも世界的企業の本社がごろごろあるのは、地方の権限が強く、独自に規制緩和が行えることと、税率を自由に決められることが極めて大きい効果を発揮していると考えます。内政、ミクロ経済の権限が地方にあり、規制撤廃や税率の引下げに関しても、地方間で競争になっていることが競争の壁をなくし、新興勢力が台頭し続け、常に健全な新陳代謝が促される環境を支える土台ともなっております。

 野田大臣に質問です。

 日本は、四十七都道府県、環境や文化は個々に違い、千差万別の魅力があります。地方創生とは、各地方が独自の付加価値を高め合い、競い合うことと考えます。まさにその成功例でもあるアメリカの高度な分権制度をどのように見られますか。

野田国務大臣 地方制度の在り方、これについては所管外でありますので、具体的な答弁は差し控えたいと思います。

 御指摘のアメリカとの比較、私も高校生のときにアメリカのミシガン州というところで過ごしたことがございますが、やはり日本と異なります。連邦制を採用していることから、国と地方の関係については、日本と単純な比較をするのはちょっと難しいかなというふうに考えます。

 いずれにしても、日本においては、地域の自らの発想と創意工夫、それぞれ違うわけで、その課題解決を図ることができるように地方分権改革を進めていくことが何よりも重要であると考えていて、今後とも、地方の声にはしっかりと耳を傾け、そして、地域の自主性、自立性、かつてなかなか発出できなかったんですけれども、それを高めるための改革というのをしっかり取り組んでいきたいと思います。

沢田委員 どうもありがとうございました。

 私は、常任委員会の方では総務委員会にも所属しておりまして、今までの地方と国の在り方の基軸である地方交付税という制度に改めて注目しております。

 今の国と地方の仕組みというのは、国が税金をまとめて受け取り、調整、再分配をして各地域に交付するという仕組みを軸に、国と地方の在り方、立場などを決めてきた経緯がありますが、その仕組みが昭和五十年代から回らなくなり、借金に依存する流れが始まりました。最初の借金の名前は交付税特別会計借入金、そして今は臨時財政対策債と名前を変えています。各々の借金の総額は二十九・六兆円、そして五十三・二兆円、合わせて八十二・八兆円と大変莫大な金額となっております。まさにこの利払いだけでも、直近一年で約四千三百億円と、とんでもない金額になっている状況です。

 これも当然所管外になるとは思いますが、野田大臣に質問させていただきます。

 私は、地方交付税制度が借金に依存する体質から回復する見込みがほとんどなく、この仕組みにこれ以上こだわればこそ、国民の皆様からお預かりする大切な税金を莫大な利払い費用に消してしまうことを拡大させてしまうと危惧しております。そういった面を含めて、長期的な運用に耐えられるとは思えていません。大臣の御見解を教えてください。

野田国務大臣 具体的な答弁は差し控えますが、いずれにしても、国と地方の役割分担を踏まえた適切な税財源配分、これを通じて地方の税財源を充実確保することが必要不可欠であるということは認識しております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 地域の声を聞いて、先ほども分権室というものがあるということで、しっかりと声を聞いていただいていると。こういうのを、イメージを固めていくことも大変重要な取組でありますが、私としては、大事なことは、やはり今の地方と国の在り方のマイナーチェンジではなく、道州制を含む地方分権改革の入口として、地方と国の役割を定める憲法八章、この改正の議論を進めていくこと、そして、抜本的に今の地方交付税制度を廃止して、地方の独自財源となる地方共有税を創設すべきと我が日本維新の会は考えております。

 是非、こういった本質的な議論も、地方創生特別委員会で、忌憚のない意見として、今後もやらせていただければと思います。

 続きまして、若宮デジタル田園都市国家構想担当大臣の所信表明に話を移させていただきます。

 私は総務委員会にて、消防、防災におけるドローンの利活用について進めていきたいと質疑をさせていただき、まさにこれから、与野党関係なく協力して、一気に景色を変えていきたいと考えている一人でもあります。

 その先陣を切っていただくのがまさに若宮大臣であり、兼任されております万博担当大臣としても、三年後の大阪・関西万博が非常に大きな機会になるのではないかというふうに期待をさせてもらっております。

 大阪・関西万博はドローンや空飛ぶ車にとってどのようなステージになりますかというような質問が大臣にあったときに、大臣はこうおっしゃっていました。

 ドローンにも空飛ぶ車にも大きな意味を持つ機会になると確信して、具体的なことはこれから知恵を絞り創意工夫を重ねてまいりますが、日本の持つ技術や創造力をお示しし、来場される皆様、海外からお越しの皆様に驚いていただき、再び日本に注目をしていただける機会にしたい。ドローンや空飛ぶ車、空飛ぶバイクは、周辺技術も含め、世界各国、各地域で開発が進んでいます。その中で日本は何を提案するのか、万博で何を発信するのか、ここは大きな注目点になると思っています。私としましては、こうした機体が飛ぶことで、生活がどう豊かになるのか、人々がどう幸せになるかといったものを示していただければよいのではないかと思っております。

 こういうふうに若宮大臣のコメントがございました。

 これを聞かせていただいたときに、私は、一民間人として、大変うれしい、こういう思いで、今、コロナという大変つらい状況、又は国民の皆様に御負担をお願いしている状況から、何とか、わくわくするような、当たり前のように表に出たくなるような、そういうものを大阪・関西万博で是非実現していただくリーダーシップを、率いていただければなというふうに思っております。

 では、若宮大臣に質問させていただきます。

 所信の中で、ドローン宅配という言葉を具体的に使われていたと思いますが、ロードマップとして、もし具体的な方向性や、何か動いているものがあったら教えていただきたいです。

若宮国務大臣 今委員のお話を伺っていまして、多分、私が大阪・関西万博に関するいろいろなイベントの中で、パネルディスカッション等々でお話をさせていただいたことをお聞きいただいたということでございますので、ありがとうございます。

 午前中からの議論もございますけれども、デジタル田園都市国家構想、先ほども、デジタルという言葉がたくさん冒頭の私の所信にもあったというお話をいただきましたが、基本的には、これはやはり、人がいかに、どうやって暮らしていくか、そして人がどうやって生活していくか、そこのなりわいがきちっとできているだろうかと。基本的には人が一番だと思っております。そのためのツールとして、デジタル、例えばドローンでもそうですし、それからインターネットもそうですし、様々なものがあるんだろうというふうに考えているところでございます。

 委員からの今の御質問のドローン宅配でございますけれども、まずは離島や山間部地域におけます物流網の維持、それから、御指摘いただきましたように防災、消防の観点もあろうかと思いますが、こういった災害時の物資輸送など、地域におけます社会課題を解決する手段として期待をされているところだというふうに思っております。その推進というのは非常に私自身も重要であるというふうに認識をいたしているところでもございます。

 官民で構成されております協議会におきましては、昨年取りまとめられました空の産業革命に向けましたロードマップ二〇二一、これにおきまして、第三者上空における補助なしでの目視外飛行、要するに、有人、人が下にいらっしゃる中で補助はなしで目の届かないところでも飛ぶという意味でございますけれども、いわゆるレベル4の飛行になりますが、ドローン宅配の実現等に向けた道筋が示されているところでございます。

 現在、全国で多くの実証実験が実際のところ行われている段階でございまして、さらに、一部の地域ではドローンの宅配が自由化されております。例えば、山梨県の小菅村でございますが、高齢者を中心としました買物の困難者の御支援、これをするために、ラストワンマイルにおける輸送として、トラックの輸送とドローンの配送を組み合わせて食料品などの日用品を運ぶ事業が開始をされているところでもございます。

 今後、関係省庁とも連携しながら、こうした先進的な取組が、一か所、点ではなくて、これが点が線になり、そしてまた面になっていくような展開を広げていければなというふうに、支援していきたいなというふうに思っておりますし、ドローン宅配の社会実装、これも含めましてデジタル田園都市国家構想を推進することで、それぞれの地域が活性化し、元気な地方をつくっていければな、このように考えているところでございます。

沢田委員 どうもありがとうございました。

 まさに、やはり最近暗い話ばかりの中で、こういった前向きに未来を語れるような委員会が開催されていることが本当に私はうれしいです。

 野田大臣そして若宮大臣とともに私もこの地方創生委員会をリードしていきたいと言いたいのですが、特別委員会である地方創生特別委員会は、常任委員会と違い、開催時間が短過ぎて、本当に役割を担えるのかと不安も感じております。

 昨年の臨時国会で衆議院に九つの特別委員会を設置することに対して、日本維新の会は、審議がほとんど行われていない委員会があるとして、設置に反対をしました。

 ちなみに、その中で、令和三年度の常任委員会、内閣、厚労、予算、特別委員会では沖縄北方、拉致問題、震災復興、原子力、地方創生の開会時間の実績を教えてください。

小林参事 沢田先生にお答え申し上げます。

 先生お尋ねの、昨年一年間、令和三年における第二百四回通常国会から第二百七回臨時国会の委員会開会時間に関してでございますが、まず、常任委員会のうち、お尋ねのあった三常任委員会について申し上げますと、内閣委員会が百二十時間五十七分、厚生労働委員会が百三十七時間二十三分、そして予算委員会が百三十時間二十七分でございます。

 他方で、特別委員会でございますが、御質問のありました沖縄及び北方問題に関する特別委員会が二時間二十八分、北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会が三時間二十八分、そして、この地方創生に関する特別委員会の開会時間は、トータルで十三時間四十七分でございました。

沢田委員 沖縄北方、拉致問題、震災復興、原子力、地方創生といった言葉は、やはり一般の方々でも分かるほど大変重要なテーマとなっております。こういった中で、やはり数字を聞かせていただくと大変悲しいというか、しっかりと議論がなされているのかなというところは感じます。

 我々日本維新の会では、遠藤敬国会対策委員長を中心に問題提起を続けており、令和三年六月十四日に、自民党、公明党に対して、特に必要のない特別委員会の廃止、コロナ対策特別委員会の設置、デジタル庁設置に伴うデジタル推進特別委員会の設置、以上の三項目を申入れしており、委員長には、常任委員会、特別委員会関係なく、国会の会期中、土日も含めて毎日六千円、月で十八万前後が払われている手当の廃止も目指しております。

 記者団に対しても、特別委員会も、委員長に専用の車と運転手がつくなど経費がかかっているのに、通常国会が開かれていた五か月で二時間しか開かれなかった委員会もある、国民の理解を得られるものではなく、整理すべきだと伝えております。

 私は、国民負担率は過去最高の四八%と大変な御負担を国民の皆様にお願いしている中で、多額の税金で運営がなされている以上、特別委員会を存続させるならばしっかりと開催をする、開催しないのであれば廃止にするというのは当たり前のことと考えます。

 野田大臣に質問です。

 地方創生に関わる特別委員会の重要性をどのように御認識されていますでしょうか。その上で、常任委員会より開催が少ない特別委員会の現状をどのように御認識なさっているのか、大臣のお考え、教えていただけたらお願いいたします。

野田国務大臣 地方議会の出身なので、地方創生というのは極めて重要な、地方のテーマではなくて、日本の将来を占う大きなテーマだ、課題だと思っていますので。そして、この委員会では、そのことについて皆さんが、専門的な英知を集めて、知見を集めて御議論される場だと考えているところです。

 今、委員会の在り方につきましては、大臣の所管というか担当ではないのでコメントは出しませんけれども、国会の方でしっかりとお話合いがされるものだと思っています。

沢田委員 どうもありがとうございました。

 地方創生とは、まさに地方が独自の裁量で地域発展をデザインできることができ、多様化する各地方が、国が一元に管理、判断する今の仕組みには限界を感じている状況をどう乗り越えていくかということになると思います。

 私を含めて日本維新の会は、各地方の自立と発展が重なり合ってこそ、力強い日本の成長につながっていくと確信しております。

 野田大臣には是非、地方創生の要として、道州制を含めた地方分権の改革を具体的に、税金や規制の在り方に至るまで、自民党内からも是非リードしていただけることをお願いし、若宮大臣には、未来ある新しい地方の在り方の実現と、大阪・関西万博の担当大臣としても是非力強いリーダーシップを発揮していただけることをお願いいたしまして、以上、質問とさせていただきます。

 今日は、貴重なお時間、ありがとうございました。

石田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 コロナ感染が今年二月に第六波で十万人を超えて以降、減ってきているとはいえ、今後、更に感染力が強いオミクロン株BA・2が主流となって新たな波が来ることも予想されています。医療現場や地方の負担は本当に大きく、蔓延防止等重点措置が決め手にもならず、解除か延長か、自治体を悩ませているのではないでしょうか。

 今日は、その中で、PCR検査を実際に行っている人について取り上げたいと思います。

 四月一日から、PCR検査の診療報酬が千三百五十点から七百点というように約半分になってしまいます。予算委員会などで我が党議員らがこのことを指摘すると、厚労省は繰り返し、発熱外来の体制をつくったことを、周知も含めてですけれども、評価するから、ほぼ同じなんですと説明をしていたと思います。本当にそうでしょうか。

 ある県の公立病院で働く検査技師からの訴えがありました。ここでは、いわゆる地方衛生研などの代わりの役割も果たしています、PCR検査の行政検査。病院自体が発熱外来をもちろん持っています。保健所から濃厚接触者と指定された方の紹介があって、その検査もある。入院患者ですとか救急の受入れのたびに検査を行わなきゃいけない。それを一手に引き受けているわけなんですね。コンタミを防ぐための前処理を二人一組で、測定に四十分、陽性が出ると更に再検査です。休みの日も感染しないように旅行も禁止だと。毎日へろへろに疲れて、燃え尽きるのも時間の問題だと訴えられました。

 正直、私自身、これまで検査を増やせとは言ってきたものの、その検査を担う人たちのことを取り上げたことがなかったと反省しました。だからといって、大変なんだから検査をやらなくていいよというわけにはいかないんです。

 今、陽性率が非常に高いです。よほど間違いないだろうという人しかPCR検査ができていないことの証左なんです。それでは、日々頑張って検査の現場から積み上げているデータの意味が薄まってしまって、それこそ報われない。

 そこで、まず総務省に伺います。

 こうした検査に従事する職員に対しても、単に公務員としての通常の給与だけではなくて、防疫等作業手当の特例が対象になると思いますが、確認します。また、それがどの程度活用されているでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 公立病院の職員の手当を含みます給与につきましては、地方公務員法、地方公営企業法や地方独立行政法人法のそれぞれの法律に基づきまして整備された各地方公共団体等の条例や規程等の定めるところによりまして支給されるものでございます。

 総務省といたしましては、国家公務員におきまして、新型コロナウイルス感染症から国民の生命及び健康を保護するために緊急に行われた措置に係る作業を対象として防疫等作業手当の特例が設けられた、この趣旨を踏まえまして、各地方公共団体に対しまして、関係規定の整備など、適切に対応するよう助言をしてきたところでございます。

 議員御指摘の業務が実際に支給対象となるかにつきましては、各地方公共団体等において整備をされました条例や規程等において対象とされるかどうかにより決まるものでございます。

 なお、総務省といたしましては、地方公共団体における防疫等作業手当の特例の創設状況については把握をしているものの、実際の支給状況については承知をしていないところでございます。

高橋(千)委員 まず各公共団体の判断だというお答えだったと思うんですね。逆に言うと、それができるということなので、徹底してほしいと思うんです。

 これが令和二年に通知を出して、手当が出されますよ、できますよと言ったときの中身で、感染のリスクに加え厳しい勤務環境と極めて緊迫した雰囲気の中で平常時には想定されない業務に当たるんだ、そのことが書いてあって、なるほどと思ったんです。

 資料の一枚目についているんですけれども、選択肢以外の作業要件9についてと右側の下の方に書いてありますね。この中にPCR検査というのがあります。ただ、そのほかに様々、疫学的調査ですとか、検体採取ですとか、火葬業務とか、避難所での対応も含めて、全部それ以外ということでなっているものですから、今答弁があったようにはっきりしないんだと思うんです。

 左の表の、9上記以外というのを見ていただくと、都道府県が十九しか取っておりません。非常に少ないですよね。公務員と言いましたから当然全都道府県にいるわけですので、そういう意味でも極めて少ないわけですよね。もう一度調査というか周知していただきたいと思うんですが、いかがですか、もう一言。

山越政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘もありましたとおり、防疫等作業手当の特例が設けられた趣旨につきましては、各地方公共団体等に対して適切に助言をしてきたところでございます。その際、感染のリスクに加え厳しい勤務環境と極めて緊迫した雰囲気の中で平常時には想定されない業務に当たることとなる病院等についても、作業場所の要件に該当し得るという点も助言をいたしております。

 このように、この考え方あるいはその趣旨については丁寧に助言をしているところでございまして、それぞれの団体や法人におきましては、各病院の現場の勤務実態に応じて関係規定等をきちんと整備するなど、必要な対応をしていただきたいというふうに考えておるところでございます。

高橋(千)委員 最初にその趣旨をおっしゃってくださればよかったなと思うんですが、助言を何度もしているという答弁でありましたが、それでこれはやはり少ないなと思いますので、改めてお願いをしたい、このように思います。

 それで、厚労省には、最初にお話ししたように、外来を評価したから検査費用は半額でよいというのはこういう現場には当てはまらないと思うんですね、そこを確認したいと思うんです。だから、やはり検査の報酬そのものを引き下げてはならない。あわせて、やはり現場から要望が出されています。LAMP法の試薬の確保、あるいは検体採取用の綿棒すら足りないと言われている。せめて検査の資器材についても十分に対応できるようにしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘をいただきましたPCR検査などの新型コロナウイルス感染症に関する検査につきましては、令和三年十一月の新型コロナウイルス感染症対策本部において決定されました、次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像におきまして、「実勢価格を踏まえて保険収載価格の検証を行い、その結果を踏まえて、年内を目途に必要な見直しを行う。」こういうふうにされたところでございます。この決定に基づきまして、昨年十二月三十一日に実勢価格を踏まえた引下げを行ったところでございます。

 今般の検査料の引下げに当たりましては、衛生検査所や検査機器、試薬業界に対しまして、今後も地域医療に必要な検査が引き続き実施されますように、今般の価格見直しを踏まえた円滑な契約の見直しについて周知を行っているところでございます。

 さらに、このPCR検査を外部に委託する場合の点数につきましては、激変緩和のための経過措置ということで、令和三年十二月三十一日から令和四年の三月三十一日まで千三百五十点とさせていただいて、感染状況や医療機関での実施状況を踏まえた上で、令和四年四月一日に七百点とするというふうにすることとしてございます。

 また、今御指摘ございました新型コロナウイルス検査に必要な資器材につきましては、急速な検査需要の伸びによる一時的な不足が生じましたことから、本年一月に、増産要請と併せて、需給が安定するまでの間、行政検査を行う医療機関からの発注に優先的に対応いただくように医薬品卸売販売業者の方々あるいはメーカーに依頼をさせていただいて、確保に努めているところでございます。

 引き続き、感染状況や医療機関での実施状況を踏まえつつ、現場の声もよくお聞きをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 いろいろ言おうかなと思いましたが、現場の声に応えてとおっしゃっていただきましたので、しっかりとお願いしたいと思います。

 それで、今日は野田大臣に初めて伺いたいと思います。

 本当に残念なことに、我が青森県が、転出者数が転入者数を上回る転出超過が三万六百九十九人で、人口に対する転出超過率が二・五%で、全国最多となってしまいました。先ほど人通りのない商店街の写真を見せられてしまったわけですけれども、それが実態でございます。

 ちなみに、大臣の地元の岐阜県は五千百二十七人が転出超過ということですけれども、かなり差がありますよね。

 仕事がない、一次産業の落ち込み、賃金が低い、豪雪地帯ということも背景にあると思います。なぜなら、青森に続いて秋田、山形、新潟などがやはり転出超過が多いということからもそれは言えるのかなと思います。

 その上で、改めて伺いますが、地方創生の本来の趣旨は、少子高齢化や転出超過による人口減少、東京一極集中を打破することが原点だと思いますが、この点について、まず大臣の意見を伺います。

野田国務大臣 御指摘のとおり、私の所管である地方創生においては、少子化に伴う人口減少に歯止めをかける、そして東京圏への人口の過度の集中を是正、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持する、これを目的として取り組んでまいりました。

 青森県の話を聞きまして、青森県における年齢別社会増減数というグラフを見ていますと、やはり十八、二十、二十二歳あたりがどんと落ち込むわけですけれども、まず、男女別なく言えることは、その世代というのは大学に行くとか行かないという世代でありまして、大学を見るとやはり断トツに東京都に大学が集中しているので、地元に自分の行きたい大学がなければどうしても東京に行ってしまうという構図ができちゃっていることと、あとは、働く先もそうですね、自分の能力に合う働き口があるかどうか。

 とりわけ女性の場合は、地方においては、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、アンコンシャスバイアスのようなものがあったり、やはり、岐阜でもそうですけれども、女性が進学しようとすると、四年制に行かなくてもいいんじゃないかという、まだそういう女性に対する差別があることも事実です。

 そういう世代なので、やはり女性の場合は特に、中にいることが、いづらいということが往々にして考えられるので、その改善に向けては、先ほど申し上げたような女性を支援する交付金等を使って、各地方自治体でそういうセミナーとかそういう啓発活動もしっかりやっていただきたいなというふうには願っているところであります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 人口減少の二つの要因ということで、先ほど西岡委員もお話しされておりましたけれども、日本創成会議が、人口流出と二十代から三十代の若年女性の減少ということで、大臣はそれに即してお話ししてくださったと思うんですね。

 今日お話ししたいのは、もう一つの要因として、そもそもそういう若年女性が住み続けられない、産み育てるまちづくりということでも不足している、このことを指摘したいと思うんですね。

 先日、岩手県の奥州市に行きました。選挙で初当選を果たした女性議員、四十代になったばかりの方なんですが、御本人が、双子を授かったんだけれども一人は死産だった、そのつらい経験から、安心して産み育てられる町をライフワークとして選挙の公約でも掲げていたんですね。

 実は、私は、一昨年の予算委員会で、この奥州市の公立病院が、近くに幾つかあるものだから統合の対象になっている、でも、一方では地域包括ケアとかをよくやっているよという質問をしているんですね。そうしたら、その一年後にこの市立病院と国保病院の統合問題が持ち上がって、住民の反対がわあっと広がって署名も集まり、市議団は、統合ではなくて、それぞれの役割分担。それで、この総合病院では産科の復活だということを掲げたんです。それで、一月末にこの統合は撤回されました。市長が撤回をいたしました。そこで、やはりこの復活ということが本当に求められているなと思うんですね。

 見てほしいのは、これはまた青森県の数字なんですが、資料の二枚目です。上の方が分娩実施施設数、病院が二十五から十七に減っています。診療所は二十三から十三と、この十年間でここまで減っています。これは大体同じような傾向がほかの県にもあると思うんです。

 それで、三枚目なんです、資料の。これは青森県の地図なんですが、この濃いピンクのところが産科も助産院もどちらもある市町、これは十一しかありません。助産師しかいないところが黄色で、三つです。そして、残りは全部お産ができない町。距離は分かる人はすぐ分かると思うので、二時間とか、えらい距離があるわけですよ。改めてこの地図を見ると、日本創成会議のショッキングな言葉も頭をよぎるわけです。

 大臣に伺います。まずは、安心してお産ができる、その体制づくりが急務だと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 御指摘のとおりで、私は今、地方創生と女性政策、子供政策を兼務しているんですけれども、地方創生の中で長らくこの議論は出てこないわけですね。女性政策とか子供政策では産婦人科が足りなくなっているという話があるので、やはりここはしっかりとみんな連結させて、今地方創生に一番必要なのは、高齢化ということも大事だけれども、その担い手、少子化というのがやはり解決していかなきゃいけない急務の課題だということで、横串を通した政策というのが必要だと思います。

 とりわけ、最近、日本の女性は高齢出産化しているのでリスクが高くなっていますから、どこの病院でもというわけにもいきません、ただでさえ。そういうときに、やはり産める場所がなくなっていくというのは、とりわけ地方にとって一番厳しい問題だと思います。

 私も大臣になって日が浅いんですけれども、地方創生として電話をいただいた中で、地元の産婦人科医がいなくなるので何とか手当てをしてくれないかという御陳情をいただいたこともございます。

 是非、周産期医療、これは厚労省が取り組んでいるんですけれども、地方の担い手、子育てができるところというのは当然地方にとっては必須であるということを改めて認識して取り組みたいと思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 地方創生の中で長らく出てこなかったという話をしていただきました。横串を通す役割を是非大臣にもしていただき、私も大いに提言をしていきたい、このように思います。

 それで、具体の話に入っていきますけれども、今度は答弁を少し厚労省に、簡潔にお願いします。

 この地図の中の真ん中の黄色、黒石市というところがあって、これは国保病院があります。平成二十五年度、二〇一三年までは年間二百五十件の分娩を扱っていました。でも、二〇一五年三月に分娩を休止しました。実は、この黒石病院が分娩を休止したきっかけは、小児科医が辞めたからなんです。産科医が一人いればいいという話ではないんですよね。

 医療機関が分娩を中止する要因として、産科医がいなくなる、高齢化だとか訴訟リスクだとか様々あります。それだけじゃなくて、小児科や内科など、補完し合う医師が不在という問題も大いにあると思いますが、厚労省に伺います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 医療機関が分娩の取扱いを中止している理由、これにつきまして厚生労働省として網羅的には把握をしている状況にはございませんが、各自治体ですとか関係者の皆様から聞いているお話の中では、分娩数そもそもの減少、それから産科医師の不足、また、先生が今おっしゃいましたように、医師が高齢化していること、こういったことは地域によって様々要因があるというふうに伺っております。

高橋(千)委員 網羅的に答弁してくださいとは言っていません。私が質問したのは、補完し合う小児科や内科などがいないことが原因のときもありますよねと。あるかどうかを聞いています。

大坪政府参考人 失礼いたしました。

 そういったお声を直接伺ってはおりませんが、私どもが都道府県に対して周産期医療体制の計画を作っていただくに当たりましては、指針を設けておりまして、周産期医療に関する協議会の中で定めていただきたい事項の中には、今先生がおっしゃった産科、小児科の医師確保計画の策定に関するものですとか、産婦人科以外の診療科との連携体制に関する事項、こういったことを都道府県において定めていただくようにお願いをしているところでございます。

高橋(千)委員 この初歩的な入口でつっかかると本当に困るんですよね。当たり前のことじゃないですか。

 例を挙げればいっぱいありますけれども、宮城県の保健医療計画の中にも、小児科医の減少が、不足が重大で、やはり周産期医療を支えるためには必須だと書いています。それはもう当然同じ認識から出発すると思っていましたので、ちょっと残念に思います。でも、そこは連携ということで確認をさせていただきます。

 それで、青森県はこう言っています。産科医療施設の減少傾向が、住民においては、産科医療施設へのアクセスについて不便が生じており、つまり、遠くなっちゃうと。また、医療従事者においては、夜間や休日の診療が必要となる場合も多く、厳しい勤務環境が問題となっている。全くそのとおりだと思うんですね。

 ハイリスク妊娠が各県においても増加若しくは高止まりの傾向にあると思います。その中で、MFICUや総合周産期母子医療センターを各地の中心的な三次医療施設などに設けて、全国的に周産期死亡率は低くなっていると承知しています。

 質問は、ハイリスク妊娠を担う三次医療施設や中核病院だけがあっても、周辺の連携し合う産科やクリニックが分娩を取りやめて全く連携を取れなくなれば、ハイリスクも通常分娩も全部集中しちゃう、これはどちらにも影響するという問題になると思いますが、これはどうですかね、一致できますよね。

大坪政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域の医療体制、医療資源の中でどういった体制を取っていただくかということは、一義的には地域の中で御検討いただいております。先生が御指摘いただきましたような状況を抱えていらっしゃる地域もあろうかと思っております。

 国が定めております周産期医療の体制構築に関する指針は先ほど申し上げましたような内容を含んでおりまして、都道府県におきましては、分娩数や医療資源の状況、こういったそれぞれ地域ごとの状況を踏まえて適切な対応を取っていただきたいということで、一つには、今おっしゃっていただきました分娩取扱施設の、母子医療センターの設備、こういったこと、また、集約化、重点化、こういったこともあろうかと思いますし、また、地域の診療所との連携、こういったことについても、地域の資源を有効活用するという観点で御検討いただいているところでございます。

高橋(千)委員 これは、次は一言で答えてください。

 私は一貫して、地域医療と病床削減、医師不足問題を取り上げてきました。本来、地域医療構想は、こうした地域に必要な医療機関は何かということを自治体自身が決めるべきものであって、病床削減ありきではありませんよね。

大坪政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

高橋(千)委員 確認をしました。

 厚労省は、財務省や経済財政諮問会議にハッパをかけられ、急性期病床の削減、近隣に同様の機能がある医療施設があるんだったら統合若しくは病床削減を決断せよと、四百三十六の公的病院リストを計って迫ってきました。

 ただ、コロナ禍の中、公的病院が患者を受け入れて大変貢献していることもあり、また病床の逼迫もあって、この四百三十六リストの対応方針については、今は凍結していると思います。ただ、病床削減支援給付金の募集は今もかけているわけです。諦めていないと、厚労省がですよ。

 そういう中で、各地で公的病院の統合再編は検討がされています。

 資料の四は、これは宮城県なんですが、昨年九月に唐突に県が発表した、政策医療の課題解決に向けた県立病院等の今後の方向性について。赤いアンダーラインだけ見ていただければ、仙台赤十字病院と県立がんセンターの統合で新病院、もう一つは、東北労災病院と県立精神医療センターを合築し、新病院、四つを二つにするという計画です。

 厚労省はこの計画を承知していますか。これだけの規模、しかも、経営主体がまるで違う、内容も全然似ていない、こういう統合計画はほかにあるでしょうか。

大坪政府参考人 先生御指摘のこの宮城県のケース、これは県の方で公表されておりますので、この公表資料を通じて国としては承知をしております。

 また、医療機関の再編統合の状況につきましては必ずしも国の方に御相談をいただくような仕組みにはなっておりませんが、例えば、各地域の合意の下で厚生労働省に申請をいただいている重点支援区域、こういったものを事業として持っておりまして、この事業を通じて承知をしている限りにおきましては、複数の病院であったり複数の設置主体により再編を議論されている事案というものはあるというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 四つを二つにという、一遍にはないはずです。それも、四つといっても、診療所が二つあるとかというのではなくて、どれも独立した大きな病院なわけですよね。それはないと思います。そのことをもう一度確認します。

 それで、この四病院の再編統合は地域医療構想の中でも位置づけられておりません。やはり、建て替え時期との兼ね合いもあるけれども、それぞれの役割を生かすべきだと私は思っています。

 国は、病床削減支援給付金の活用についてなど、何らかの相談を受けたり、あるいはアドバイスをしてきたでしょうか。二つ聞きました。

大坪政府参考人 再編統合に関しまして関係者から相談を受けているかということのお尋ねに関しましては、少なくとも、この宮城県のケースにおきまして具体的な御相談を受けたことはございませんし、補助金につきましても個別にこちらから御助言を行ったことはございません。

 前半の御質問に関しましては、まず各地域においてそれぞれ協議の中途であろうかと思っております。

 重点支援区域への申請の中では、複数の主体であったり複数の病院のところで協議を検討しているといったお話をいただくことはございますが、具体的にそれが今回の宮城県のケースのように完全な再編であるかとか、そういった細かいところまでは承知をしておりません。

高橋(千)委員 これはないはずなんですね。

 最後のページに、最後の資料についていますけれども、県立がんセンターと精神医療センターの理事長である荒井陽一先生が、河北新報の二月二十六日付ですけれども、それぞれの役割のことを大事なんだ、心配しているということを書いているのを紹介をしたいと思います、時間がなくなってきましたので。

 それで、話を先ほどの流れに戻すわけですね。

 仙台市内での分娩件数は七千四百二十三件です。県内分娩件数の半分を担っています。そのうち八百件の分娩を担い、ハイリスク妊娠を受け入れているのが仙台日赤病院なんです。仙台市は新生児の救急搬送が年々増えて、かつ、仙台市内がその約半数なんです。だから、三次医療機関がやはり近接していることがこういう対応には望ましいと仙台市は言っています。

 こうした意見を踏まえて、仙台日赤病院が市の外に移転、統合となった場合、これまでと同様の機能を果たせるのか疑問に思いますが、いかがでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の地域における再編統合につきましては、一義的には、各地域において、地域の実情や再編統合した後の影響、こういったことを十分に考慮して御検討が進められているものと考えておりまして、国の方で具体的にその中途の段階で評価をする、こういった立場ではございませんというふうに承知をしております。

 ただ、一方で、県の方からは、今後の再編統合の方向性というものがこの公表資料の中で示されており、一方で、仙台市からは、その県の方向性に関する考え方、これも公表されているというふうに承知をしております。

 よくよく県と市と、また関係者の間で引き続き議論がなされるものというふうに国の方では考えております。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来ましたので一言で終わりますが、県がと先ほどからおっしゃいました、地域で決めていることだからと。だけれども、これは日赤の話なんです。そして労災病院なんです。国が全く知らんぷりという話はないでしょう。国の責任はどこにあるのか。見守っていますでは全くないはずなんです。考え方をしっかりと示していただきたい。

 また次の機会をお願いしたいと思います。終わります。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。野田国務大臣。

    ―――――――――――――

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 構造改革特別区域は、地方や民間が自発的に構想を立案し、それぞれの地域の特性に応じた規制の特例を導入することにより、構造改革を更に加速させるための突破口となるものであり、同時に、地域の活性化の手段となるものです。これまで千三百七十七件の構造改革特別区域計画が認定を受け、それぞれの地域の特性に応じた事業が実施されてきました。

 これまで、構造改革特別区域推進本部においては、全国からの提案募集を行い、構造改革特別区域に係る新たな規制の特例措置について検討を行ってまいりました。

 本法律案は、この検討結果に基づき、経済社会の構造改革を更に推進するとともに、地域の活性化を図るため、地域から要望の強い、新たな制度改革事項を盛り込んだものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、学校教育法の特例として、区域内の職業能力開発短期大学校における高度職業訓練で長期間の訓練課程のものを修了した者が区域内の大学に編入学できることとしております。

 第二に、国立大学法人法の特例として、革新的な研究開発、研究開発の成果を活用した新たな事業の創出又は研究開発の成果を活用した施設の整備を行おうとする者に区域内の国立大学法人の所有に属する土地等の貸付けを行う場合は、文部科学大臣の認可を文部科学大臣への事前の届出をもって代えることができることとしております。

 第三に、内閣総理大臣は、構造改革の推進等に関する提案をしようとする者又は区域計画の認定申請をしようとする地方公共団体からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うものとする規定を追加することとしております。

 第四に、令和四年三月三十一日となっている新たな規制の特例措置の整備等に係る提案を募集する期限及び構造改革特別区域計画の認定を申請する期限を、令和九年三月三十一日まで延長することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十三分散会


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