衆議院

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第5号 令和4年4月28日(木曜日)

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令和四年四月二十八日(木曜日)

    午後一時三十二分開議

 出席委員

   委員長 石田 真敏君

   理事 小林 茂樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 谷川 弥一君 理事 永岡 桂子君

   理事 白石 洋一君 理事 福田 昭夫君

   理事 守島  正君 理事 輿水 恵一君

      東  国幹君    井原  巧君

      今枝宗一郎君    今村 雅弘君

      国定 勇人君    小島 敏文君

      小森 卓郎君    斎藤 洋明君

      新谷 正義君    田野瀬太道君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中野 英幸君    野中  厚君

      藤丸  敏君    宮路 拓馬君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      吉川  赳君    和田 義明君

      おおつき紅葉君    坂本祐之輔君

      田嶋  要君    堤 かなめ君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      阿部  司君    沢田  良君

      住吉 寛紀君    中川 宏昌君

      福重 隆浩君    西岡 秀子君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (デジタル田園都市国家構想担当)         若宮 健嗣君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   農林水産大臣政務官    下野 六太君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長兼地方創生推進事務局審議官)        内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長兼地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           武井佐代里君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        師田 晃彦君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 渡邊  輝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 辺見  聡君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     北林 大昌君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  廣野  淳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           岩月 理浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石坂  聡君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     池光  崇君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  土屋 品子君     山口  晋君

  中野 英幸君     土田  慎君

  野中  厚君     新谷 正義君

  和田 義明君     東  国幹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     和田 義明君

  新谷 正義君     野中  厚君

  土田  慎君     中野 英幸君

  山口  晋君     土屋 品子君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)(参議院送付)

三月三十日

 新型コロナ危機打開のため地方創生臨時交付金の増額に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七一五号)

 同(笠井亮君紹介)(第七一六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第七一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七一九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七二一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七二二号)

 同(宮本徹君紹介)(第七二三号)

 同(本村伸子君紹介)(第七二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)(参議院送付)

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進室次長、地方創生推進事務局審議官内田幸雄君、内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官、内閣府子ども・子育て本部審議官相川哲也君、内閣府地方分権改革推進室長寺崎秀俊君、内閣府地方創生推進室次長、地方創生推進事務局審議官黒田昌義君、内閣府地方創生推進室次長新井孝雄君、内閣府地方創生推進室次長武井佐代里君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、内閣府地方創生推進事務局審議官師田晃彦君、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、デジタル庁審議官犬童周作君、総務省大臣官房審議官阿部知明君、総務省大臣官房審議官渡邊輝君、総務省大臣官房審議官辺見聡君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長北林大昌君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官茂里毅君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長岸本武史君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、農林水産省農村振興局農村政策部長山口靖君、水産庁増殖推進部長廣野淳君、国土交通省大臣官房審議官岩月理浩君、国土交通省大臣官房審議官石坂聡君、観光庁審議官池光崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川郁子君。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭に、北海道の知床半島沖で、乗客乗員二十六名の皆さんが乗った観光船が消息を絶っています。現在、海上保安庁、警察、消防、自衛隊、地元の漁業者の皆さんなど、懸命な捜索活動が続いています。一人でも多くの方が救助されることを強く願っています。

 お亡くなりになられた皆様方、そして御家族、御遺族の皆様方に心より哀悼の誠を表すとともに、こうした事故が二度と起こることがないように、早急に原因究明をし、そして再発防止に努めていただくよう、政府の皆さんにお願いします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 子供と地方、そして地方における役割について少し議論をさせていただきたいと思います。

 野田大臣は、四月十九日の衆議院本会議におきまして、こども家庭庁創設について、司令塔を一本化し、各省庁より一段高い位置から子供政策の一元的な総合調整を行うと、その意義を御説明いただきました。

 国民の皆さんと高い理念を共有し、実現するには、具体的なロードマップや組織づくりが必要不可欠だと考えます。内閣府のお考えを伺いたいと思います。

相川政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月に閣議決定いたしましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針では、「こどもの発達、成長を支えるため、妊娠前から、妊娠・出産、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期、青年期の各段階を経て、大人になるまでの一連の成長過程において、良質かつ適切な保健、医療、療育、福祉、教育を提供する。」としておりまして、この方針に従い、政府全体としてしっかりと子供政策に取り組むことが重要と考えております。

 組織体制につきましては、子供政策を担当する内閣府特命担当大臣、こども家庭庁長官の下に、内部部局として、成育部門、支援部門、企画立案・総合調整部門の三部門の体制を設けることとしております。

 また、定員につきましては、民間の方々や地方自治体の職員を政策スタッフとして採用することを含め、定員三百人を上回る体制を目指し、体制の強化に取り組みたいと考えております。

 また、具体的なロードマップについてですが、基本方針では、「こどもや若者の意見を踏まえ、こども政策に関連する大綱を一体的に作成・推進する。」ということとしておりまして、こども家庭庁創設後、この方針の下で子供政策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 厚労省公表の人口動態統計によりますと、昨年生まれた子供は、前年比三%減、八十四万人で、統計開始以来最も少ない数字となっています。コロナ禍もあり、少子化のスピードは更に早まっている現状です。このまま人口減が続くとなると、国力そのものの衰退も加速化すると考えています。

 政策の実効性とともに、政府は、法案審議を通じて、こども家庭庁が様々な課題にいかに対応するのか示すことが重要であると考えます。お考えをお伺いします。

相川政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年の出生数は八十四万八百三十五人と過去最少となっておりまして、少子化の進行、人口減少は我が国の有事ともいうべき課題と認識しております。

 こども家庭庁は、子供政策を強力に推進し、少子化を食い止めますとともに、一人一人の子供のウェルビーイングを高め、社会の持続的発展を確保しなければならないとの認識の下に立って創設をするものです。

 こどもまんなか社会を目指すための新たな司令塔であるこども家庭庁において、昨年末に閣議決定した基本方針に沿って、これまで内閣府や厚生労働省に分散していた子供政策の司令塔機能を一元化し、各省より一段高い立場から、少子化対策を含む子供政策について一元的に企画、立案、総合調整を行います。また、結婚支援から、妊娠前の支援、妊娠、出産の支援、母子保健、子育て支援、子供の居場所づくり、困難な状況にある子供の支援などの事務を集約して、自ら実施をいたします。

 こども家庭庁設置法案につきましては現在国会にて審議中でございますが、成立後は、こども家庭庁の下で、政府全体の少子化対策を含む子供政策にしっかりと取り組むこととしております。

中川(郁)委員 少子化対策、とりわけ地方の人口減少を考えるときに重要と考えるのは、子供たちの学びにおける基盤整備だと考えています。将来地域活性化の基盤となる子供たちの教育の質を向上させることは、デジタル田園都市国家構想の実現のためにも必須であり、教育環境に地域間格差がある現状において、教育の機会均等のために国が果たすべき役割は大きいと考えています。若宮大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

若宮国務大臣 デジタル田園都市国家構想、これは新しい資本主義におけます成長戦略の重要な柱の一つでございます。委員が御指摘のように、人口減少ですとか、少子高齢化、あるいは地方の産業の空洞化などの社会課題に直面する地方にこそ、新たなデジタル技術を活用するニーズがあるというふうに考えているところでもございます。

 こうしたことを踏まえまして、デジタル技術の活用によって、地方の個性を生かしながら、地方の問題解決あるいは魅力向上を実現して、地方から全国へのボトムアップを、成長を目指していこう、こういった考えの下で執り行ってございます。

 私自身、担当大臣を拝命して以来、様々なところへ足を運ばせていただき、そして、地方の皆様方と対話を重ねてまいりました。まずは、何よりも、地方におけます不便とか不安とか不利とか、この三つの不を解消していくことがデジタル田園都市国家構想の肝腎な肝であるというふうに考えております。

 こういった観点から、委員御指摘の教育の質の向上、維持、これは大変重要な要素だというふうに認識をいたしているところでもございます。デジタル田園都市国家構想実現会議を開催してございますけれども、地理的に不利な地域におきましても都会と同様の教育機会が提供できるように、GIGAスクール構想あるいは遠隔教育の推進なども含めた形で今議論が進んでいるところでもございます。

 関係省庁とも連携しながら、この構想の取りまとめに向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

中川(郁)委員 若宮大臣、ありがとうございます。力強い御答弁で、GIGAスクールを進めていく、地域間格差の解消と底上げが必要であるというお話であったというふうに思います。

 保護者を始めとする国民の皆さんが、GIGAスクールの教育の向上の効果を理解し、実感していただけるような施策を講じるとともに、全国のあらゆる自治体と学校と連携をしていく必要があると考えています。文科省のお考えをお伺いします。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 地理的な制約条件にかかわらず、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、一人一人に対して端末を配るということが、ICT環境の整備として不可欠だと考えてございます。GIGAスクール構想に基づく一人一台端末につきましては、累次の予算措置により、おおむね全国の小中学校で整備が完了し、環境整備のフェーズから活用のフェーズに移行しているところでございます。

 このような中、学校教育におけるICT活用を全国的に定着させるためには、委員御指摘のとおり、学校教育におけるICTの利用について保護者を始めとする皆様の御理解や関心を高めるとともに、全国の自治体や学校と連携して取組を進めることが重要と考えてございます。

 このため、文部科学省といたしましては、学校と保護者の間で事前に確認、共有しておくことが望ましいポイントなどをまとめましたガイドライン、これを作成、周知するとともに、省内に設置いたしました専門家チームにおきまして全国的なネットワークを構築するなどなどの取組を実施しているところでございます。

 今後とも、GIGAスクール構想の実現に向けて、文科省としてもしっかり取り組んでまいります。

中川(郁)委員 ありがとうございました。全国的にしっかり連携をするということが必要だという答弁だったというふうに思います。

 そこで、一つ御紹介をさせていただきたいのが、私の地元の十勝、浦幌町という町がございます。この浦幌町では、うらほろスタイルと言われる、子供、若者を軸にしたまちづくりをしています。子供が自立した個人として健やかに成長できる社会を目指し、次世代につなぐまちづくり、そして事業創出にも挑戦しているところでございます。うらほろスタイルとは、様々な人たちが組織横断的に子供たちに関わる関係性や仕組みであり、継続の先には地方創生があり、持続可能な社会とは、子供、次世代が主体、そして主役となる社会であるとしています。

 関係者の皆さんにお話を聞きますと、子供を真ん中にしてまちづくりをしたところ、既存の地域が未来志向になり、東京を始め大都市部の皆さんによる移住が進み、様々なスキルやアイデアを持った皆さんが起業を始めたということです。

 こども家庭庁の設置に当たり、浦幌町の取組は参考にすべき優良事例だというふうに思いますし、関係者の方々、また全国の皆さんにも、是非、浦幌町に視察にお出かけをいただきたい、こう考えています。御検討よろしくお願いします。

 そして、今国会で、青少年自然体験活動等の推進に関する法律案が提出予定と伺っています。子供たちの実体験の不足はコミュニケーション能力にも影響を与えると言われており、いじめや虐待への懸念や、孤立、孤独を感じる若者の増加につながるなど、様々な問題が指摘されています。

 この法律は、小学生に農林漁業体験をしていただく、自然体験をしていただく、その実体験をしてもらうことによって、青少年が生きる力を育むことを目的としています。農林漁業の意義や、そこに生活する人たちとの相互理解の推進も期待されています。

 こども家庭庁においてもこのような取組を重要な施策の柱にするべきと考えています。政府のお考えを聞かせていただければと思います。

相川政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月に閣議決定いたしましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針におきましては、「全てのこどもが、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態で成長し、社会で活躍していけるようにすることが重要である。」としております。

 体験活動は、自尊感情、コミュニケーション能力や自立心、主体性、協調性など、子供が社会を生き抜く力を得るための糧となり、子供の人生を豊かにする基盤を作るものでありますことから、全ての子供に体験活動の機会を確保していくことが重要であると認識をしております。

 こども家庭庁におきまして、体験活動が子供の健やかな成長にとって不可欠であるとの観点から、文部科学省や農林水産省など、体験活動を担当する関係省庁と連携を図ってまいりたいと考えております。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 今年の三月二十二日でありますけれども、デジタル田園都市国家構想を実現する新スマート物流シンポジウムがオンラインで開催されました。私の地元の上士幌町の竹中町長が発起人代表を務めました。シンポジウムでは若宮大臣から応援メッセージを頂戴し、政府の期待の大きさも伝わってきたところですが、買物弱者や医療弱者への対応、災害時の対応といった地域社会の抱える様々な課題に物流は大きく関係していると思います。人手不足、DX化への対応、物流業界が抱える課題も多くあり、地方において特にその課題が顕著となっていると思います。

 新たな物流の担い手として、ドローンの活用をどのように考えておられるか、政府にお伺いしたいと思います。

岩月政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローン物流は、離島や山間部等における日用品や医薬品などの物流網の維持や災害時の物資輸送など、地域における社会問題の解決の手段として期待されておりまして、その推進は大変重要であると認識しております。

 国土交通省では、令和二年度より、過疎地域等におけるドローン物流の実用化に関する計画策定や、機体、設備等の導入に対する支援を行っているところであり、これまでに全国三十地域で実証実験等を実施し、今年度も現在公募を行っているところでございます。

 また、令和三年には、ドローン物流の導入に際して留意すべき点や検討事項等を整理したガイドラインを策定するとともに、令和四年三月には、各地のドローン物流の取組を事例集として追加して広く周知することにより、ドローン物流の取組を促進しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、人手不足などの物流業界が抱える課題解決にも資するドローン物流の社会実装に向けて、関係省庁とも連携しながら、引き続きしっかりと取組を進めてまいります。

中川(郁)委員 ドローン物流の社会実装、是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 先日、岸田総理によりまして、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策が発表されたところでございます。

 地元十勝でいろいろ感想を聞かせていただきました。原油価格高騰対策については、北海道では冬場の灯油対策が心配であるので是非お願いしたいということ、それから、いろいろな経済対策はありますけれども、スーパーマーケットなどを見ていくと廉売が多く、小売を始め小規模企業の皆さんで身を切って営業している現状ではないか、こういう声も聞かれています。

 また、タクシー会社の皆さんは、これはとても歓迎するが、利用者が減って売上げが落ちている、変わらず厳しい、こういう声も聞かれているところでございます。

 地元の農業者の皆さんも、春の繁忙期を迎える中で、自ら生産コストを下げる努力はしているものの、燃油の高騰はお手上げ状態。ただ、今回の発表は大変ありがたい、こういう声もあります。

 そして、漁業関係者の皆さんからは、対策は大変ありがたいけれども、昨年秋の太平洋岸を襲った赤潮被害について、沿岸がまた赤くなっており不安だということで、今日資料を提出させていただいたのは、これは、北海道豊頃町大津漁港、アサリなんですけれども、先週の金曜日です、アサリがたくさん死滅しています。水質検査をすると、昨年のプランクトンのカレニア・セリフォルミスではないということだけれども、とても不安であるということでありました。

 サケ、シシャモ、ウニ、ツブ、タコ、ホッケ、漁獲量が減少しており、この大津漁港さんだけでも、現時点で二億円程度の販売額の減少が見込まれているということでありました。昨年の赤潮被害対策では、アキサケ、ツブ、ホッケに対する支援策はなかったけれども、今後の状況を見て再考してもらいたい、こんな声も聞いてきたところです。

 こうした現状を見るに、沿岸における被害は長期化、深刻化するおそれもあると感じています。水産庁においても、引き続き、現地の状況の把握や、漁業関係者との情報の共有、是非御協力をいただきたいと思います。水産庁のお考えを伺わせていただきたいと思います。

廣野政府参考人 お答えいたします。

 昨年、北海道で赤潮が発生いたしましたが、現在、北海道庁によりますと、赤潮の発生は確認されていないということでございます。

 また、十勝の大津の話がございましたが、昨年の赤潮発生時に貝類のへい死が見られましたが、その後、新たに生じたとの報告はないということでございます。

 赤潮被害対策につきましては、水産庁として、令和三年度補正予算で措置した北海道赤潮対策緊急対策事業によりまして、まずは、北海道庁等と連携して、赤潮プランクトンのモニタリング調査を実施して、その結果を公表、漁協等に情報提供しております。

 また、漁業被害につきましては、サケや貝類などの対応につきましては漁業共済の対象となっておりますので、共済及び漁業収入安定対策事業により対応しております。

 一方、ウニ漁業など共済の対象となっていないものにつきましては、本事業により、漁業関係者などが取り組む漁場環境の回復のための活動を支援することとしております。現地で必要と認められる活動について、柔軟に、きめ細やかに対応することとしてございます。

 水産庁としては、引き続き、北海道庁等と緊密に連携しながら、現地の状況の把握、漁協など関係者との情報共有に努めてまいります。

石田委員長 質問時間が終了いたしておりますので、よろしくお願いいたします。

中川(郁)委員 時間となりましたので、終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌です。

 地方創生に関する課題点を何点かにわたってお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、テレワークの環境について質問をさせていただきます。

 昨年六月には、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一についてが発表されまして地方創生を進めておりますが、地方創生の目標の一つに、東京一極集中からの脱却がございます。図らずも、コロナ禍によりテレワークが進み、昨年、東京都では転出超過となりましたが、長い目で見れば、主要都市への人口集中は止まらないのではないかと思います。

 私の地元の長野県の令和二年の人口データでは、人口減は一万四千八百六十五人となっております。長野県として、人や企業の回帰、これを長野県では信州回帰と呼んでおりますが、重要な課題となっております。コロナ禍においては、テレワークやオンライン会議が普及し、多様な働き方が加速し、長野県では、信州リゾートテレワークの推進やおためしナガノ二・〇など、コロナ時代の働き方としてワーケーションを積極的に支援しております。

 ワーケーションの普及には国と地方が連携をして取り組む必要がありますが、現在、国には地方と連携をする総合的な窓口がないので是非創設をお願いしたいという、こんな御要望もございますが、ワーケーションの普及の状況と、これからの取組についてまずお伺いしたいと思います。

池光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ワーケーションの普及状況につきましては、観光庁が昨年度に企業の従業員の方を対象に実施した調査におきまして、実施率は四%程度にとどまっているという状況でございます。まだまだ広く実施されている状況にはないものと認識しております。

 その上で、ワーケーションの普及に当たりましては、企業側の理解を促すこと、ワーケーションの効果に関する認識を広めることなど、こういったことを一層強力に取り組んでいく必要があると考えております。

 このため、観光庁におきましては、昨年度、地域と企業によるワーケーションのモデル事業、こちらを、全国四十地域、四十社を対象に実施をし、効果を把握し、好事例や導入手法の情報発信等を通じまして、企業の取組を促進しているところでございます。また、このモデル事業につきましては、今年度においても継続して実施する予定でございます。

 さらには、ワーケーションと同様に働き方改革に資する取組であります委員御指摘のテレワークとも連携をし、官民連携によるワーケーションの普及に向けた取組も進めてまいりたいと考えております。

 また、委員御指摘の国と地方の窓口、いわば地方と国との連携、こちらにつきましては、観光庁におきまして、令和二年度より、ワーケーションに取り組む自治体の代表にも御参画をいただきまして検討委員会を開催し、情報共有や意見交換などを行うとともに、ポータルサイトを作成をし、関係省庁の取組や先進的な取組事例等を掲載をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、関係省庁、地域、企業等と一層連携をし、ワーケーションの普及に向けた様々な取組を効果的に進めてまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今、まだまだという感じがいたしましたけれども、このワーケーション、新たなライフスタイルと呼んでもいいかもしれませんが、こういったライフスタイルですとか多様で柔軟な働き方の普及には、先ほど、企業側の理解というお話もありましたけれども、国民や企業が取り組みやすい土壌づくりが大事になってくると思います。

 その一環としては、休暇の分散ですとか長期休暇の取得などの促進、これが大事になってくるわけでございますけれども、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 近年、年次有給休暇の取得率は上昇傾向にございますが、二〇二〇年におきましても約五七%にとどまっておりまして、厚生労働省といたしましては、その向上に取り組んでいるところでございます。

 年次有給休暇に関しましては、付与日数のうち五日を除いた残りの日数につきまして、労使協定を結べば使用者が計画的に休暇取得日を割り振ることができるものとされておりまして、厚生労働省におきましては、この年次有給休暇の計画的付与制度の導入を始めとした年次有給休暇の活用につきまして、休暇の取得をしやすい夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、十月の年次有給休暇取得促進月間に集中的な広報を行っておりますほか、厚生労働省ホームページの働き方・休み方改善ポータルサイトに企業の取組の好事例を掲載いたしまして、年次有給休暇の取得促進のための情報発信を行っているところでございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、地方に人や企業を呼び込むためには拠点整備が重要となってまいります。

 国では、デジタル田園都市国家構想推進交付金、いわゆる地方創生テレワーク交付金で、サテライトオフィスですとかコワーキングスペースの開設、運営等におけるWiFiですとかテレビ会議システムの導入に係る経費を支援をしていただいているところであります。これは地方にとっても非常に大事な事業でありますので、今後ともしっかりと継続をしていただきまして、着実に交付をしていただきたいと思っております。

 そこで、政府は二〇二四年度末までに取組が一千団体に広がることを目指すとのことでございますけれども、この現在の取組状況についてお伺いをしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年十一月に実施いたしました地方公共団体に対しますアンケート調査によりますれば、サテライトオフィス等による企業進出や移住等の推進に取り組む地方公共団体は、少なくとも四百七十九団体あると把握しております。

 政府といたしましては、令和三年度補正予算において措置されましたデジタル田園都市国家構想推進交付金地方創生テレワークタイプや企業版ふるさと納税などによりまして、地方への新たな人の流れを創出するためのサテライトオフィスの整備等を促進してまいります。また、企業の取組を総合的に支援するため、企業や地方公共団体等に対します情報提供、相談体制及び取り組む企業の裾野拡大や優良なモデル事例の創出、普及などに取り組んでいるところでございます。

 これらの施策を通じまして、二〇二四年度末までに、先生御指摘のサテライトオフィスの整備に取り組む地方公共団体を千団体とすることを目指して取り組んでまいります。

中川(宏)委員 引き続きよろしくお願いいたします。

 この拠点整備に関連いたしまして、地方拠点強化税制についてでありますが、企業が本社機能を有するサテライトオフィスを整備する際には、常時雇用する従業員の増加が条件としてありますけれども、この条件についてはハードルが高いとの地方の声もございます。

 従業員の増加がない場合でも地方拠点強化税制が活用できるようにしていただきたいと思いますが、この点につきましてお伺いをしたいと思います。

師田政府参考人 お答え申し上げます。

 企業の本社機能の地方移転等を促進するために、移転コストに対する税制の特例措置として、地方拠点強化税制を講じているところでございます。

 本税制につきましては、委員御指摘のとおり、本年三月末に適用期限を迎えるに当たりまして、地方拠点で常時雇用する従業員の増加数に関する要件を緩和するよう各方面から御要望をいただきましたところでございます。

 令和四年度の税制改正におきまして、適用期限の延長に加えまして、中小企業について、地方拠点で常時雇用する従業員の二名以上の増加が必要だったところを、一名でも適用できるような要件の緩和というものを盛り込んでいるところでございます。

 今後、より多くの企業に本税制を活用いただけるよう、今回の税制改正の内容も含めて積極的な周知、広報等に努めてまいります。

中川(宏)委員 これまでは拠点整備についてお伺いをしてきましたけれども、これから地方の人材ということでお伺いをしてまいりたいと思います。

 地方創生の一つの鍵を握るのが、デジタル人材の育成であります。とりわけ、女性のデジタル人材の育成についてお伺いをしたいと思います。

 一昨日の二十六日、女性デジタル人材育成プランが策定をされました。公明党として、希望する女性が適切な訓練を受けてよりよい環境に就労することができるように支援をすること、また、未経験者なども対象に裾野を大きく広げて、働く時間を柔軟に対応するなど、女性デジタル人材育成プランを策定するよう政府に求めてまいりました。

 私の地元、長野県塩尻市では、市と市の振興公社がテレワークによる女性の就労支援に粘り強く取り組んできまして、当初年間二百万円だった受注額が、昨年度には二億五千万円までに拡大、約三百人のデジタル人材の雇用につながっております。

 コロナ禍で雇用状況が深刻になった今、このような先進事例を参考としながら各自治体でお取組をいただき、女性のデジタル人材を地方自治体や中小企業での就労に結びつけてDX化を進めることが地方創生の大きな推進力になると確信をいたしますが、この点につきまして御所見をお伺いしたいと思います。

宮路大臣政務官 まず、御党におかれましては、女性のデジタル人材の活用について大変熱心に取り組んでいただき、感謝を申し上げたいと思います。

 御指摘のございました女性デジタル人材育成プランにつきましては、先般、男女共同参画会議において決定をいたしたところでございます。就労に直結するデジタルスキルの習得に加えて、実際の就労につながる支援策を盛り込んだ点、これが重要でありまして、そうした総合的な対策となっております。

 特に、御指摘のとおり、各自治体における積極的な取組を推進していくことが極めて重要であるというふうに考えております。このため、地域女性活躍推進交付金を通じて、自治体における、デジタルスキルの習得とスキルを生かした就労を支援するための、地域の実情に応じた取組を後押ししてまいります。

 あわせて、今ほど御紹介いただきました御地元の塩尻市の取組を含め、女性デジタル人材育成の優良事例をまとめた事例集を作成したところでございます。なお、このトップに塩尻市の取組を挙げさせていただいております。そうしたものを用いまして、自治体に対し周知啓発を行ってまいります。

 こうした取組を始め、今後三年間、集中的に政府一体で女性デジタル人材の裾野を全国津々浦々へ広げ、地方創生の推進力としてまいります。また、三年後を目途に、様々な統計を用いてデジタル人材の男女割合をマクロの視点から点検いたしまして、施策の在り方について不断の必要な見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 政務官、ありがとうございました。

 今も申し述べていただいたところですが、必ず地方創生の推進力になっていくと思いますので、御期待を申し上げたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 デジタルに関連をいたしまして、地方公共団体の情報システムの標準化について質問をさせていただきます。

 昨年末に閣議決定で、デジタル社会の実現に向けた重点計画で、「地方公共団体が、目標時期である令和七年度までに、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムへ移行できるよう、その環境を整備する」とあります。

 この夏にようやく全ての標準仕様ができ上がり、そこから、先行した部分は別としまして、本格的に各地方公共団体が移行計画を策定していくことになります。移行に際して現在でも様々な課題が出てきておりまして、議論もされていると承知をしております。

 その中で、一つ重要なことですが、デジタル人材が社会でも行政でも不足している状況の中で、令和七年までに全ての地方公共団体が移行するというのは、千七百余りの各地方公共団体にとっては肌感覚で難しい状況ではないのかなというふうに思います。

 ガバメントクラウドにスムーズに移行できるようにしっかりと取り組んでいただいているところではございますが、現状の認識をお伺いしたいと思います。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 現在、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化に向けまして、令和七年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムの移行環境を整備しているところでございます。

 移行期間につきましては、委員御指摘のとおり、指定都市市長会を始め、自治体の方から御懸念の声をお聞きしてございまして、このため、本年二月から三月にかけまして、市町村等基幹業務システムを自社開発しているベンダーに対してヒアリングを丁寧に実施したところでございます。

 このヒアリングを通じていただいた質問等を整理しまして、今般、標準化法に基づく基本方針〇・八版を作成し、先週、十九日でございますけれども、全国の地方自治体に対し提示したところでございます。

 今後、この基本方針〇・八版をたたき台としまして、適切な費用での円滑な移行へ向けた実務上の課題を更に整理した上で、引き続き、事業者等に対する調査を行いながら、自治体の意見も聞き、本年夏までに移行の在り方について定めたいと思ってございます。

 引き続き、しっかりと丁寧に着実に進めてまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 これほど大きな単位でやっていくというのは久しくなかった状況の中で、やはり、地方公共団体の皆様が非常に心配されている状況もあるかと思いますので、積極的な発信とともに、積極的に御意見もお伺いしていく、この双方向をしっかりとやっていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 次に、都市と地方の二地域居住について質問をさせていただきます。

 新しいライフスタイルで注目されたのが、いわゆる二地域居住ですけれども、令和三年三月に長野県知事の阿部守一知事が会長となりまして、全国二地域居住促進協議会が発足をされました。現在、四十二都道府県、六百二十一市区町村、六百六十三団体が参加をしております。

 これは新しい取組で前例がございませんので、まずは協議会として情報交換、また二地域居住の勉強会、先進的な取組事例の収集などが活発に行われているところであります。今後具体的な課題が出てくると思うんですけれども、そのときには国としてもしっかりとこの協議会の皆さんのお話を聞いていただきたいなと思っているところでございます。

 そこで、豊かな二地域居住の実現のためには住居の確保が必要になってくるわけですが、住宅ローン控除のセカンドハウスへの適用との御要望もございます。この点について、セカンドハウスの取得の支援という観点から、その取組につきまして、国土交通省にお伺いをしたいと思います。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 複数の生活拠点を持つ二地域居住は、新しい住まい方の一つであり、地方創生にも資するものと認識しております。

 先生御指摘の住宅ローン控除は、自己居住用の住宅を取得する際の負担を軽減することが目的であるため、生活の本拠ではないセカンドハウスや投資用住宅は現在適用対象外となってございます。

 住宅ローン控除の趣旨を鑑みれば、慎重な検討を要する課題であるとは考えてございますが、二地域居住の推進は大変重要な課題であるとの認識の下、国交省におきましては、住宅金融支援機構が供給している住宅ローンであるフラット35についてセカンドハウスの取得にも適用するほか、空き家対策総合支援事業による空き家活用の支援、全国版空き家・空き地バンクによる情報発信の促進、地方公共団体向け二地域居住等施策推進ガイドライン、こうしたものを作成、提供いたしまして取り組んでいるところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携し、こうした取組を推進してまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたのでこれで締めたいと思いますけれども、様々な取組があると思うんですけれども、今日は、拠点整備そして人材育成ということで答弁を求めさせていただきました。

 コロナ禍を経験して様々な部分が変わっている中で、いよいよここから変化をつけていかなければいけない、地方が活性化するようにしっかりとやっていかなければならない、そのように感じているところでございます。

 これからも皆様の、地方を支援する、そんなお取組を是非ともお願いを申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、こんにちは。立憲民主党、堤かなめでございます。

 本日は、農家の皆様にとっても、子供たちや心身が弱った方々にとっても、地域経済、地方創生にとってもよい、まさに三方よしの地産地消、オーガニック給食の推進について質問いたします。

 ロシア軍によるウクライナ侵略など、国際情勢が緊迫する中、安全保障という観点からも、食料自給率を高めること、食料安全保障に関心が高まっています。

 御案内のとおり、我が国の二〇二〇年の食料自給率は、カロリーベースで過去最低の三七%、四割にも満たず、主要先進国では韓国に次いで二番目に低いという深刻な状況にあります。

 そのような中、地産地消、地域で生産したものをその地域で消費するという動きも少しずつ高まってきています。

 地産地消は、食料自給率を高め、地域の生産者の保護や活性化をもたらし、地方創生にまさに資するものです。そもそも、遠方で取れたものよりも、地元で取れたものを地元で消費する方が、流通にかかる時間が短く、新鮮で栄養価の高い食材を提供できるわけで、改めてそのメリットが見直されてきています。

 さらに、地産地消は、SDGsの十四番、「海の豊かさを守ろう」と、十五番、「陸の豊かさも守ろう」に貢献するものです。地域の海で捕れたものや地域で育てたものをその地域で消費するということは、海洋資源や陸の資源の保護にもつながります。

 あわせて、地元で食物などを消費することで、運搬によって発生するCO2の削減につながり、エネルギー問題や環境問題にも寄与し、SDGsの七番、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」と、九番、「産業と技術革新の基盤をつくろう」、そして十三番の「気候変動に具体的な対策を」にも貢献するものです。

 そこで、まず、農林水産省から、地産地消の意義についての御見解をお聞かせください。

下野大臣政務官 お答えいたします。

 地産地消は、地域で生産された農林水産物をその地域で消費する取組であり、地産地消の取組の具体例として、直売所での地場農産物の直接販売、地場農産物を活用した加工品の開発、学校給食や社員食堂での地場農産物の利用、地域の消費者との交流、農業体験活動などが挙げられます。

 地産地消の取組は、消費者にとっては、生産者との顔が見える関係が築け、安心して地域の新鮮な農林水産物を消費できる、生産者にとっては、消費者ニーズに対応した生産が展開できるなど、生産者と消費者との結びつきの強化により、国産農林水産物の消費拡大、ひいては食料自給率の向上につながります。

 また、食育の推進、直売所や加工の取組等を通じた農林水産業の六次産業化、加工、観光業との連携による地域活性化への貢献、小規模な生産者への所得機会の創出などの効果が期待されます。

 このほか、生産地と消費地の距離が縮減されることから、議員御指摘のように、流通コストの低減や、輸送に係る二酸化炭素の排出量の抑制等により環境負荷の低減にも寄与するなど、意義のある取組と考えております。

 SDGsの全十七の目標のうち五つの目標が地産地消に貢献する取組となり、農林水産業を通して地域の雇用を創出し、地域経済の活性化につながることから、八番の「働きがいも経済成長も」という目標、十二番の「つくる責任、つかう責任」に資するものであり、SDGsに広く貢献する取組であると考えております。

 このため、農林水産省としましては、地場産率が約九割を占め、地産地消の核となる農産物直売所の施設整備や販売管理システムの導入支援を行うとともに、地産地消コーディネーターの派遣や地場産を使ったメニュー開発の支援などにより、しっかりと地産地消を推進してまいります。

堤委員 ありがとうございます。まさにいいことだらけという感じでございます。

 下野政務官とは、実は非常に近しく思っております。太宰府の御出身ということで、事務所も私の自宅からすぐ近くで、今日は本当にありがとうございます。

 私の地元、太宰府市とか筑紫野市なんですけれども、こちらの新聞記事、皆様のお手元にあるかと思いますが、私の地元には、地産地消を更に一歩進めて、一〇〇%オーガニック給食、有機無農薬の給食を実現していらっしゃる事業者の方がいらっしゃいますので、御紹介させていただきます。

 資料の一の下線部のところから少し読ませていただきます。これは今年の一月の新聞記事でございます。

 昨年一月から一〇〇%有機無農薬の給食を実現しているのが、福岡県にある児童生徒数約二百五十人の私立リンデンホールスクール小学・中高学部だということです。協力するのは、学校に近い筑紫野市の七十か所の農園約十五ヘクタールで年間六十種類の有機野菜を育てる八尋健次さん。野菜の味を決めるのは土と、肥料は使わない土づくりにこだわる。そして、同校、リンデンホールスクールの総料理長の杉本幸太さんは、八尋さんから届く一か月先の収穫予定表を見ながら献立を考える。従来は献立に合わせて食材を選んでいたが、仕入れの内容を見て献立を決めると供給の不安を感じることもないと杉本さんはお話しになっておられます。

 私も、実は、昨年の夏、県議のときに視察に伺いまして、このオーガニック給食を試食させていただきました。公立のいわゆる普通の小学校の給食も何度か食したことはありますけれども、比較すると大変申し訳ないんですけれども、こちらのオーガニック給食は野菜がすごくたっぷりで、薄味なんですけれども、しっかりと野菜の甘みがあってとてもおいしくて、本当にこんなおいしい食事を毎日食べられる子供たちは何て幸せなんだろう、そんなふうに思いました。

 ただ、少し気になったのは、やはり費用面のことでございます。オーガニックはいいけれども高いというのが、そういうイメージを持っておられる方は多いのではないかと思います。

 しかし、この料理長の方によりますと、旬の野菜は安い、従来と全く逆の、先にどんな野菜ができるかを聞いてから献立を立てる、そして、旬の野菜をたっぷり使う献立にすることで、費用が抑えられるとのことでした。最近もう一度お聞きしたんですけれども、かえって普通の給食よりも安いぐらいになっているということでした。例えば、旬の真冬のホウレンソウは、旬ではない真夏のホウレンソウよりも安価で、しかも、おいしくて栄養価が高い。今までの給食の食材が高かったのは、旬ではない野菜、レトルト、缶詰などを使っていたからで、そこを見直すとむしろ安くなってくるということでございました。

 さて、農林水産省は昨年五月に、みどりの食料システム戦略を打ち出しておられます。この戦略では、二〇五〇年までに化学農薬を五〇%減らす、化学肥料を三〇%減らす、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を、現在一%にも満たない状況ですけれども、これを二五%にまで増やすという大変意欲的な目標値を掲げておられます。本当に歓迎したいと思います。

 下線部二のところに示しましたように、給食など、需要を先につくることで、有機栽培への転換を勧めるきっかけになるということ。まさに、記事の見出しにも大きく出ておりますように、鍵は給食だということです。

 また、学校給食だけではなく、保育所、幼稚園、病院、様々な福祉施設や介護施設などで提供される給食、いわゆる公共調達の給食において、地元の地産地消の農産物、できればオーガニック、有機無農薬の農産物をもっともっと使っていただけないものかと思っております。子供たちや心身に不調を抱える、安全、安心なお米、野菜、果物などを食べていただくことは、健やかな成長や心身の健康につながるかと思います。

 このような公共調達の給食を、まずは地産地消、できればオーガニックに転換するための取組を是非進めていただきたいと思いますが、下野政務官、よろしくお願いいたします。

下野大臣政務官 お答えいたします。

 地産地消は、地域で生産された農産物をその地域で消費する取組であり、国産農産物の消費拡大につながるほか、地域活性化や環境負荷の低減にも寄与するものであります。

 農林水産省では、学校や病院、福祉施設等の施設給食における地場産の利用を進めるため、給食現場と生産現場との間の意見を調整する地産地消コーディネーターの派遣や、地場産を使ったメニュー開発なども支援をしております。

 また、有機農産物の利用につきましては、市町村が主体となった、生産から消費まで一貫した有機農業の拡大への取組に対して支援することとしており、この中で有機農産物等の学校給食への導入も支援をすることで、まずは優良事例を創出し、これを横展開することとしております。

 今後とも、関係省庁としっかりと連携をしまして、学校給食等の公共調達の給食における地産地消や有機農産物の利用促進に取り組んでまいります。

 先ほどから委員御指摘の、この資料にある学校のことも私も承知しておりまして、非常にすばらしいことだというふうに思っておりますし、できれば、供給が可能であるならば、有機野菜等を公立学校等でも給食に使うことができれば子供たちの心身の成長に資するものというふうに考えておりますので、しっかりそれらを地元と一緒に連携して進めていきたいと考えております。

堤委員 連携して進めていただけると本当にありがたいと思います。

 環境意識や健康意識が高い若者や女性では、特にオーガニック農業をやってみたいという人が多いと聞いています。オーガニックの市場があり、販路が安定すれば、農業で若者や女性が地域に定着したり、都会から移り住んでくる人が増え、まさに地方創生につながるかと思います。オーガニック農業、有機農業を推進するモデル地区、先進地区であるオーガニックビレッジを創出するため、農水省は、二〇二五年までに百の市町村を支援すると本年一月に公表いたしました。

 そこで、下野政務官にお聞きします。

 オーガニックビレッジに取り組もうとしている市町村は現時点でどのくらいあるのでしょうか、また、国としてそのような市町村にどのような支援をするのか、教えてください。

下野大臣政務官 お答えいたします。

 委員より御紹介のあったいわゆるオーガニックビレッジは、市町村が主体となって生産から消費まで一貫した取組を推進することにより、有機農業の拡大に取り組むモデル産地を創出することを目的とした事業であります。これまでに全国五十の地区から要望があり、現在、採択に向けた手続を進めているところであります。

 本事業では、農業者のみならず、地域住民や学校給食関係者などを巻き込んで有機農業拡大に向けた計画作りを行っていただくとともに、実現性の高い計画となるよう、事業実施期間中に産地づくりに必要となる取組を試行し、課題と解決策を地域で検討していただくこととしています。

 試行する取組としましては、例えば、生産段階では、圃場の団地化や技術講習会の開催、流通・加工段階では、流通コスト削減に向けた共同出荷体制の整備、消費段階では、有機農産物の学校給食での活用や、農業体験など消費者との交流など、市町村が地域の実情に応じて設定することとしておりまして、農林水産省はこうした取組に対してしっかりと支援を行ってまいります。

堤委員 福岡県にもモデル産地をたくさんつくるように、是非御協力をよろしくお願いいたします。

 フランスでは、一九九〇年代から有機給食、オーガニック給食に取り組む自治体が現れて、徐々に広がってきているということです。アメリカでは、二〇〇〇年代から西海岸の都市で始まり、全米の主要都市で取組が拡大したと聞いています。つまり、日本よりも二十年も三十年も早くから広がりを見せているということなんです。

 ただ、日本は温暖で湿度が高く、病害虫や雑草が発生しやすいため、オーガニック栽培はより難しいと言われています。しかし、この新聞記事の八尋氏のように、十年苦労を重ねたが、今は自分なりの農法を確立できたと自信を持っておっしゃる方もいらっしゃいます。このような方の知見や経験も活用していただき、オーガニック給食を広めていただきたいと思っております。

 次に、農福連携についてお聞きします。

 この八尋氏は、実は農福連携にも取り組んでおられます。八尋氏によれば、社会の中で生きづらさを感じている方々、知的障害であったり精神疾患であったり不登校や引きこもりと呼ばれる人たちが有機農業に参加していく、自然の中で身を置くこと、発芽して成長していく現実を毎日のように見ること、そして、そうやって育った野菜をできれば毎日二回食べること、そうすると、自分は生きていていいんだろうかと思っているような、エネルギーがしぼんでいた人たちが、見る見るうちに元気になっていくということでした。

 そして、この事業所は就労継続支援A型とB型両方を運営されておられますが、このB型で働いている方々の工賃は二十万円を超える方もおられ、平均で七万円前後だということです。

 そこで、お聞きします。

 B型事業所の全国的な平均工賃について、厚生労働省にお聞きします。

 その上で、農福連携のメリットや、この事業所の農福連携の取組についてどのように評価するのか、農林水産省にお聞きします。

田原政府参考人 お答えいたします。

 就労継続支援B型事業所におきます平均工賃でございますけれども、令和二年度で、月額で一万五千七百七十六円となっております。

下野大臣政務官 お答えいたします。

 農福連携は、障害者等が農業分野で活躍することで、農業の働き手が確保され、農業生産額の増加や荒廃農地の発生抑制につながるとともに、農作業を通じて、障害者等の体力やコミュニケーション能力の向上等、心身面での効果が期待できるなど、農業、農村及び福祉の双方にメリットをもたらすものであり、農業経営の発展とともに、障害者等の社会参画の実現につながる施策となっております。

 農福連携に取り組む主体数は、令和二年度末現在で四千五百七十一の事業所となっており、有機農業に取り組む事例としましては、無農薬、無化学肥料でブルーベリーを栽培している千葉県の事例や、有機JASに認証された茶の栽培に取り組む鹿児島県の事例があり、いずれも優良事例の横展開を図るノウフク・アワードにおいて表彰され、高く評価されているところであります。

 有機栽培は、通常の栽培よりも除草作業等の人手のかかる労力を要するものであり、その作業も多岐にわたることから、障害者の個々の特性を踏まえた活躍の場が広がる可能性があるものと考えており、農林水産省としても、有機栽培において農福連携に取り組む事例について、その周知に努めてまいります。

堤委員 それでは、最後に野田大臣にお聞きしたいと思います。

 地産地消やオーガニックビレッジの取組は基本的に農林水産省のテーマでございますが、学校、福祉施設、病院などの給食は文部科学省や厚生労働省、SDGsは環境省などに関連いたします。自律的で持続可能な社会をつくる、まさに地方創生の取組ですので、このような省庁にまたがる省庁横断的な取組について野田大臣に是非リードしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。是非、積極的な御答弁をお願いいたします。

野田国務大臣 委員御指摘の地産地消や農福連携を含めたオーガニック給食に関する取組は、地域資源を生かした農村づくりや就労機会の創出など、農業を起点とした地方創生を推進していく上で重要な取組であると考えています。

 地方創生は、地方の創意工夫を生かした取組を応援するものであり、御指摘の取組に関しては、地方公共団体から具体的な相談をいただければお話を伺っていく考えです。

 地方創生担当大臣に就任して間もなく、好事例の視察をさせていただいたところが、宮城県東松島市のKDDIエボルバ野蒜という農福連携の会社でございました。大変おいしい野菜を頂戴しまして、地方の無限の可能性というのをお示しいただいた次第です。

 いずれにしましても、引き続き、現場へ行き、そして、そこで声をしっかり伺いながら、関係省庁としっかり連携しつつ、地方創生に取り組んでまいります。

堤委員 KDDIですね。前身のKDDに私は勤めておりましたので、ありがとうございます、御紹介いただきまして。

 それから、私の友人が愛知県東郷町に住んでいるんですけれども、ここも先進事例の一つかと思います。

 ここは、四年前までは農家の高齢化が問題となっていて、特産品もなく、水田も区画が小規模で非効率的で、施設も非常に老朽化しているという状況だったんですけれども、四年前に新しい町長が誕生いたしまして、その公約として日本一おいしい給食というのを掲げて、そして、新規就農して三重県から移り住んでこられた若い御夫婦の方に当選した一週間後に話に行かれて、それで、一緒に町とJAと給食センターと話合いをして、それで有機、地産地消の取組を進めてきた。やってみると、梱包代等の経費もかからないし、圃場から五分もかからないところにセンターがあるので、メリットもあるということでございました。

 そして、毎月一回、JAと給食センターと生産者が打合せ会議をするようになって、これまで余り給食センターとJAとは電話でしか話をしなかったけれども、顔を合わせて話をする中から、地場のものを入れていこうという話がどんどん出てきているということで、つい最近、この町長さんは再選をされました。

 そういった形で、本当に町おこしになるといいますか、非常にいろいろ、最近は特に閉塞感がある中で、ややもすると希望を失いそうになるんですけれども、このオーガニック給食を進めていくということで様々な課題がもしかして解決できるんじゃないかな、そういうふうに思っているところです。是非今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは、終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、おおつき紅葉君。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 私は、昨年初当選をさせていただいた新人議員でございまして、これまで、去年の夏までは政治部の記者としてこの現場に携わっておりました。そして、政治に携わり、皆さんの活動を見せていただいておりました。

 まず最初に、先ほど中川委員もおっしゃっていたように、北海道の知床半島沖で起きた観光船の事故でお亡くなりになられた皆さんにお悔やみを申し上げますとともに、いまだ十五人が行方不明ということで、一日も早く救出され、御家族と対面できることをお祈り申し上げます。また、海が荒れている中での命懸けの救出活動に御尽力されている皆様、そして地元関係者の皆様に感謝と敬意を表します。

 さて、地方創生の話に移ります。

 地方創生の取組も、私は政治部記者として、十年前の政権交代の後、当時石破大臣ですね、地方創生の担当大臣として置かれたときから十年間、この委員会を見てきておりました。

 ただ、私が生まれ育った北海道小樽市では人口減少に歯止めが利いていないんです。例えば、小樽市ですと、ニシン漁で栄えた六十年前に二十万人いた人口が、今は毎年二千人ずつ減っていて、何と先月末、百二年ぶりに十万人台になってしまいました。そして、このままいくと、小樽市の人口は二〇四〇年に六万四千人になると言われております。大体半分ぐらいになってしまう、六割ぐらいになってしまうということですね。とりわけ、二十五歳から三十九歳の女性の人数が激減すると言われております。

 これは、地元ではかなり皆さん危機感を持って、市長も取り組んでいくとおっしゃっているわけなんですけれども、このような地域が全国で数多くあるにもかかわらず、実際、十年たっても、この地方創生でも皆様取り組まれているとは思いますが、東京の一極集中が是正されていない。そして、今、この国では八二・七%が過疎地域なんです。

 この現状を何とかしたいという思いで、新しい世代から新しい政治をという思いで、ふるさとを再生したい、この思い一心で、この地方創生という部署が立ち上がった原点に立ち戻って、関係省庁と連携の下、地域活性化のための司令塔としての役割を是非果たしてほしいと冒頭お願いして、この十年の検証も踏まえて質問に入りたいと思います。

 そもそも地方創生とは何か、その目的とは何かという問いをしばしば耳にします。これらの問いに対する答えの一つは、令和元年十二月に閣議決定された第二期の総合戦略において、出生率の低下によって引き起こされる人口減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目的とすると示されております。つまり、地方創生の取組は、現在直面する人口減少、少子高齢化社会において、これからの我が国の社会の未来予想図を形作るものとも言えます。

 そこで、この未来予想図を意識しながら、この地方創生の目玉政策であるまち・ひと・しごと創生総合戦略について触れたいと思います。

 平成二十九年十二月のまち・ひと・しごと創生総合戦略の重要業績評価指数、KPIの検証に関する報告書では、第一期の総合戦略の全てのKPIの進捗状況について評価した結果、四つの基本目標のうち、1「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」及び4の「時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」についてはおおむね計画どおりに進んでいるのに対しまして、基本目標の2「地方への新しいひとの流れをつくる」、そして3の「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」に関する施策は成果が十分に表れていないとしています。

 これを読み解きますと、第一期の総合戦略では、まち・ひと・しごとの好循環を生み出す起点を仕事にして、地方の仕事が人を呼び込み、人が仕事を呼び込むという好循環を確立した上で、それを町で支えるということを基本戦略としていたのではないかと思います。しかし、仕事に関する施策はおおむね計画どおりに進捗した一方で、東京一極集中を是正して地方への新しい人の流れをつくることなどの人に関する施策は十分な成果が得られなかったというのが第一期の結果であります。

 ここから得られる答えは、新しい時代の流れができたとき、仕事を起点にしているだけでは、その流れをうまくつかむことができないというものであると考えております。

 そこで、地方創生に限るわけではありませんが、コロナ禍でも、人が課題を見つけて仕事を生み出して町を大きく変える、それぞれ一人一人の力によってきっかけが生まれる、そういった流れができるものだと思いますし、そう感じている方も多いのではないでしょうか。現に、第二期の総合戦略では、町、人、それぞれを起点とする多様なアプローチから地方創生の好循環を生み出そうとしていることが見て取れます。

 そこで、野田大臣、地方創生の取組における人の重要性、そして第二期総合戦略における町、人を起点とする多様なアプローチの必要性について、大臣のお考えをお聞かせください。また、改訂された戦略によって成果が出ていると感じておられますか。お願いいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 東京一極集中、少子高齢化などの地方の課題に対し、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づく地方創生の取組として、安心して働ける仕事づくり、結婚、出産、子育ての希望をかなえる環境づくり、人が集い安心して暮らせる魅力的なまちづくり、そして地方への新たな人の流れづくりを推進してまいりました。

 これまでの地方創生推進交付金等による支援の結果、地方創生テレワーク施設の整備等による仕事づくり、そして、関係人口の拡大や若者の地方移住などによる人の流れの創出、地域資源を生かした魅力的なまちづくりなど、社会の変化に応じた地方の創意工夫の取組が総合戦略の目標達成のための一定の成果を上げてきたと考えていますが、いまだに東京圏への一極集中の傾向は続いております。

 このため、地方創生の新たなビジョンとなるデジタル田園都市国家構想の基本方針の策定が進められていますが、私としては、都市と地方の格差や性別、年齢の差、障害の有無など、マイナスからプラスに変換していくことが重要ではないかと考えています。

 さらに、人の重要性を御指摘されたところですが、地方創生のビジョンとしては、私としては、特に力を尽くしたい課題は女性と子供の対策です。十年前からの話をずっとつらつら経緯を聞いているんですけれども、なかなか女性と子供というのにフォーカスが当てられていなかったかなと思っております。

 地域にアンコンシャスバイアスが存在する中で、男性より女性の方が東京圏への転入超過が上回っておりまして、都会に流出しがちな女性が地方において能力を発揮して自由に活躍できる環境をつくること、これが重要であります。

 また、若い世代は、住む場所を選ぶに当たって、子供が質の高い教育、そして、いざというときに良質な医療が受けられるか、そういう環境にあるかを重視している。そういうことも踏まえて、若い世代の地方移住への関心の高まりを捉え、地方でもこのような充実した子育て環境を整えたいと考えています。

おおつき委員 まさにその考えを政府の中で共有していただけたら、地方は活性化するのではないかと私自身も思います。

 さて、第二期総合戦略における、今もおっしゃいました関係人口の重要性についてお伺いいたします。

 もう一つの重要な課題は、東京一極集中という人の流れに歯止めがかかっていないというところだと思います。

 第二期総合戦略では、基本目標2に「地方とのつながりを築き、」という表現を、また、基本目標4にも「ひとが集う、」という表現を追加することで、地域に居住していないけれども地域と継続的かつ多様な形で関わる人口、つまり、関係人口を重視する姿勢を明確に示したものと受け止めております。

 そこで、関係人口の創出、拡大のための取組として、大臣にお伺いいたします。

 地域と関係人口をつなぐ中間的な支援事業者等への支援を拡大することや、コロナ禍の影響を踏まえて、オンラインなど様々な形で実施される取組を促進する必要があると考えますが、地方創生における関係人口の創出、拡大の位置づけ、そのための事業への支援拡大の必要性について、大臣の見解をお伺いいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 関係人口の創出、拡大は、地域の課題解決に資するとともに、地方移住の裾野の拡大が期待されるなど、地方とのつながりを築き、地方への新しい人の流れをつくる、そういうものであり、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の柱の一つとして位置づけているところです。

 加えて、新型コロナウイルス感染症の影響により疲弊した地域を立て直すための原動力を生み出す観点から、オンラインによる関係人口の創出、拡大など、必ずしも現地を訪れない形での取組を含めて、政策としての重要度が更に増していると考えています。

 このため、まず、都市住民と地域のマッチングの活動を行う民間主体の中間支援組織を育成、支援するとともに、次に、民間事業者や地方自治体が参加する関係人口創出・拡大官民連携全国協議会を通じて、会員間の情報交換や学び合い、優良事例の横展開を進めてまいります。

おおつき委員 まさに、関係人口の創出、拡大の重要性を鑑みれば、内閣府の方に伺います、全体としての関係人口について数値目標を定めて取り組んだ方がより実効性が上がるものと考えますが、いかがでしょうか。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 関係人口につきましては、地域が達成しようとする目標によりまして、その求める具体的な姿が地域ごとに異なることから、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、地方公共団体の自主性を尊重して統一的な指標を設定せず、関係人口の創出、拡大に取り組む地方公共団体の数を令和六年度までに千団体とすることとしております。

 関係人口の創出、拡大に取り組む地方公共団体が増えることで、全国各地で関係人口が地域と関わりながら地域活性化に貢献する姿を目指して取り組んでいるところでございます。

おおつき委員 さらに、地域経済は自治体ごとに独立しているものではなく、地域間で密接につながっているものだと考えております。

 こうした経済圏域、経済的な結びつきの強い自治体間での連携を推進し、例えば、圏域単位で、関係人口の創出、拡大のみならず、地方創生についての目標値を設定することなど、総合戦略の広域化についても進めるべきだと私は考えておりますが、このような総合戦略の圏域化や広域化についての現在の状況、また政府の方針について伺います。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 都市住民と地域のマッチングの活動を行う中間支援組織の中には、既に隣接市町村で連携し、広域的に取り組んでいる民間事業者もございます。また、中間支援組織が同一経済圏を形成する複数の地方公共団体と連携し、関係人口に対して地域での副業やお手伝いの機会を提供したりコミュニティー活動への参加を促したりしている事例もございます。

 今後も、官民連携全国協議会の場を活用した地方公共団体間の連携、交流などを活性化し、地方公共団体間の連携を促進してまいります。

おおつき委員 では、続いて、東京の一極集中の是正についてお伺いします。

 新年度を迎えて、今、実は、私もこの春から生まれ故郷の北海道小樽市に家族全員で移住いたしまして、東京一極集中の是正について、改めて、家族四人なんですけれども、四人で移住をして是正を図りたいな、第一歩だなと思って移住をしたんです。

 さて、総務省が今年一月に公表した令和三年の人口移動報告によれば、特に東京二十三区において、現在の方法で統計を取り始めた平成二十六年以降初めて転出超過となるなど、東京都への一極集中について緩和の動きが見られています。ただし、東京都からの転出先で多いのは、神奈川県、埼玉県、千葉県などの東京圏となっておりまして、結局、一極集中の是正にはつながっていないのではないかなと感じております。

 また、内閣府の報告書によれば、令和四年卒業予定の大学生、大学院生の実に五七%が、テレワークなどが進んで働く場所が自由に決められる場合には地方に住みたいと回答があったそうです。

 そこで、内閣府に伺います。

 このように、主に若者の間で地方への関心が高まっている現状を捉えて、東京圏以外、つまるところ地方への移住を更に強力に推進していくべきであると考えますが、政府の考えをお願いいたします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員ただいま御指摘のとおり、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、全国で約三割以上の方々がテレワークを経験しますとともに、特に地方移住への関心の高まりが見られております。

 こうした動きをしっかりと捉えまして、デジタル田園都市国家構想推進交付金や企業版ふるさと納税などを活用しましたサテライトオフィスの整備等を促進するとともに、地方創生移住支援事業では、令和三年度から新たにテレワークによる移住も支給対象に加えたほか、テレワークに向けた企業の取組を総合的に支援するため、企業や地方公共団体等に対する情報提供、相談対応や、優良なモデル事例の創出、普及などを行っております。

 こうした様々な取組を通じまして地方への人の流れを力強いものにすることにより、東京圏への一極集中の是正と地方分散型の活力ある地域社会の実現に取り組んでまいります。

おおつき委員 まさに、これからの世代の地方への関心が高まっている今こそ、今こそなんです、思い切った取組が必要になると考えておりますので、実効性のある施策を迅速かつ大胆に実施することを政府にはお願いしたいと思います。

 続きまして、地方創生の移住支援事業について伺います。

 さて、東京二十三区から東京圏以外への移住推進のため、仕事や移住費の面で移住を支援する制度として、地方創生移住支援事業があります。この移住支援事業につきましては、令和四年度から、子育て世帯の移住を推進するために、移住支援金を新たに拡充するということです。

 そこで、まず、地方創生移住支援事業の概要と、令和四年度から拡充された内容について教えてください。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生移住支援事業は、東京圏への一極集中の是正や地方への移住、定住を促進するために、令和元年度に創設されました。

 この事業は、一定の条件下で、東京圏から地方へ移住した方に対し、世帯で最大百万円、単身で最大六十万円を支給する地方公共団体の取組を国が支援する事業でございます。

 なお、令和四年度から、十八歳未満のお子さんを帯同して移住した場合には、お子さん一人当たり最大三十万円を加算するような支援を強化しております。

おおつき委員 やはり子育て世帯の移住にはお金も余分にかかりますので、十八歳未満の帯同者の一人当たり三十万円を追加するという今回の拡充はとてもいいことだと思います。

 ただし、移住支援金は、例えば東京圏に隣接する県に移住しても、北海道に移住しても、原則、同じ金額になると思います。人口減少が激しい地域への移住は格段の御配慮を是非お願いしたいと思います。

 次に、地方創生移住支援事業の実績についてお伺いします。

 昨年四月のこの委員会における政府の答弁によりますと、令和元年度の事業開始から令和三年二月までの累計で六百四十四名の移住実績となっております。また、先月十日の本委員会における政府の答弁によりますと、令和三年度の実績は千四百人余りとなっています。

 そこで、内閣府に伺います。

 改めて、令和元年度から三年度の各年度の移住実績について、就業又は起業別も含めて、それぞれ最新の数値をお答えください。また、本事業による移住者が多い地域というのはどういったところでしょうか、その傾向も含めてお願いいたします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 実績でございますが、令和元年度が百二十三人、令和二年度が五百六十三人、令和三年度分はまだ集計中でございますが、二千三百人余り、うち、要件を緩和しましたテレワークによる数字が千三百人余り、こういった実績となっております。

 現在、実績について詳細な分析はできておりませんが、テレワークでの移住を対象としたことにより、東京圏周辺で、特に新幹線沿線の県への移住が多くなっているというふうに感じております。

おおつき委員 そのように移住実績があると思うんですけれども、なぜか内閣府のホームページには、この地方創生の移住支援事業の実績について公表されていないと認識しております。

 本来なら、都道府県別又は市町村別の実績の公表によって、なぜその地域に移住者が多いのかなど、各地域が移住支援を行う上で参考にできるデータになるのではないかなと思うんですけれども、できる限り実績を公表すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生移住支援事業は、令和四年度現在、四十三道府県で採択されておりますが、道府県間、市町村間で実績に大きな差があるのが現状でございます。

 この事業は地方公共団体の取組を国が支援するといった事業ですので、公表に当たっては地方公共団体の御意向を確認する必要がございます。

 ただいまの委員の御指摘につきましては、今後検討してまいります。

おおつき委員 さて、政府は、Uターン、Iターン、Jターンによる起業・就業者の創出について、令和元年度から六年間で六万人とする目標を掲げております。私自身も、地方活性化の観点から、地方への移住を推進していくべきだと考えておりますし、実際に、先ほど申し上げたように、先月、家族全員で移住しました。

 しかし、Uターンなどによる起業・就業者創出の目玉政策である地方創生移住支援事業の実績について伺いましたけれども、事業開始から三年が経過しましたが、目標達成にほとんど寄与していない状態です。今のペースのまま、本当にあと三年で六万人の起業・就業者が創出できるのか、疑問に感じております。

 そこで、三つ伺います。

 現在の地方創生移住支援事業の実績について、政府はどのように評価しているのでしょうか。また、個人的には、掲げている目標から考えると、なかなか実績が上がっていないような気がしますが、移住に踏み切れない不安や懸念、障壁が個々にあるのかもしれないんですけれども、政府は一体何が原因だと考えておられますか。加えて、令和六年度までにUIJターンにより六万人の起業・就業者を創出するとの目標の実現可能性についてどのようにお考えでしょうか。以上三点について見解をお願いいたします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生移住支援事業では、制度の拡充や要件の緩和を進め、年々、実績値は増加しているところでございます。しかしながら、今委員御指摘のとおり、まだ目標にはるか届いておらず、特に、これは東京圏内に居住する方への周知が不十分であったというのが要因かなというふうに考えております。

 昨年十一月に行いました内閣府の調査によりますと、地方移住に当たっての懸念としまして、まず仕事や収入面が多く挙げられていることから、デジタルの活用等により、地方に魅力ある仕事をつくるとともに、移住希望者と地域企業とのマッチングを充実させ、その一層の周知に努めることによりまして、移住への不安感を軽減し、地方への人の流れを確かなものとして、目標の達成に努力してまいります。

おおつき委員 まさに周知も大切なんですけれども、その六万人という目標を達成させるためには、移住に踏み切れない不安や懸念や障壁を解消するように政府は努める必要があると思います。

 また、地方創生移住支援事業についても、要件の大幅な緩和、そして支援金の大幅な増額など、抜本的な改善、見直しを行う必要があるのではないかと考えております。

 そこで、野田大臣、目標を達成するに当たって、この地方創生移住支援事業も含めた政府の見解をお願いいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 地方移住の推進に当たっては、特に若い世代の地方移住への関心の高まりをしっかり捉え、子育て世代の移住を推進するために、地方においても安心して子育て等ができる環境を整えることが重要です。

 今後も、地方への移住の促進や地域の実情に応じた少子化対策の推進により、東京圏への一極集中の是正と、地方分散型の活力ある地域社会の実現にしっかり取り組んでまいります。

 私も、少しこの取組には辛口で役所にハッパをかけているところです。

 やはり、現実の女性の暮らし、そして子供の人生がきちっと反映されるような、移住というのはそんな簡単なことじゃありません、人生を変えることなので。そこを、自分たちがこれで移住の決意ができるかどうかというところも、こちらの方でしっかり精査していこうということは申し上げているところです。

おおつき委員 是非整えていっていただきたいと思います。そうやって移住支援事業がもっと活用されるように、地方の意見をしっかりと聞きながら改善していってほしいと思っております。

 続きまして、地方創生における農林水産業の位置づけについてお伺いします。

 地方の農山漁村では、少子高齢化、人口減少が都市に先駆けて進行しています。しかし、その一方で、近年、田園回帰による人の流れが全国的な広がりを持ちながら継続しておりまして、地方農山漁村の持つ価値や魅力が再評価されていると聞こえています。

 この田園回帰の動き、地方への移住等の状況を踏まえまして、地方創生に関する施策を推し進めるには、地方における持続可能な農林水産業、農山漁村の振興など、農林水産政策との密接な関係に留意する必要があると考えております。

 今国会の大臣所信におきましても、大臣は、地方の思いを大切にして、地方創生に取り組む幅広い関係者の声に耳を傾けて、時代の変化を捉えながら、活力ある地域社会の実現を図ると発言をされておりました。

 まず、地方創生を所管する大臣として、野田大臣に、地方における持続可能な農林水産業、農山漁村の振興の必要性に対する認識をお伺いします。

野田国務大臣 生産性の向上と持続性を両立させた農林水産業の実現や地域資源を活用した農山漁村の振興は、地域の農林水産業振興や地域コミュニティーの維持に資するものであり、農林水産業を起点とした地方創生を推進していく上で非常に重要な取組であると考えています。

 このことを十分踏まえ、引き続き、現場の声をよく伺いながら、関係省庁としっかり連携しつつ、持続可能な農林水産業の実現と農山漁村の振興を通じた地方創生に取り組んでまいります。

 持続可能というのは、やはり、これだけの人口減少のもとで、多くの担い手が参加してくれる入口を見つけることとか、また、デジタル化によって人がやらなくても済むような、様々な取組を若い人たちに提供していくこと、そんなことを取り組んでいきたいなと思います。

おおつき委員 続いて、農山漁村の振興策についてですが、農林水産省は、農村発を広げて、農山漁村発のイノベーション対策という事業を令和四年度予算に計上しております。対策のポイントは、農林水産物や農林水産業に関わる多様な地域資源を活用して新事業や付加価値を創出することで、農山漁村における所得と雇用機会の確保を図る取組等を支援するとされておりまして、地方創生との関連も強いものだと思っております。

 そこで、農林水産省にお伺いします。

 このような農林水産政策が地方創生にどのように貢献しているのか、認識をお伺いいたします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 農山漁村は、人口の減少、高齢化の進展などにより、地域コミュニティーの維持や多面的機能の発揮に支障が生じつつあると認識しております。

 このため、農林水産省では、一昨年改定された食料・農業・農村基本計画において、農山漁村発イノベーションなど、地域資源を活用した所得と雇用機会の確保、農村型地域運営組織の形成などを通じた農山漁村に人が住み続けるための条件整備、地域づくり人材の育成や農的関係人口の創出、拡大など、農山漁村を支える新たな動きや活力の創出を推進することとし、本年度から、委員御指摘のとおり、農山漁村発イノベーション対策事業を創設して、地方創生に貢献することとしております。

 こうした取組につきましては、例えば、島根県の市町村において、地域資源を活用した所得の向上を図る観点から、耕すシェフ制度の導入や有機野菜の新規就農の支援などで県外から若者の呼び込みに成功している事例ですとか、あるいは、高知県において、村づくりを行う地域組織の育成を県内の全域で推進して、若年層の社会増に努めている事例など、地方創生につながる事例も参考にして行っているところであります。

 農林水産省としては、今後とも、内閣府など関係省庁としっかり連携しながら、農山漁村発イノベーションを始めとする地方創生の優良事例を横展開し、農山漁村の振興に努めてまいりたいと考えております。

おおつき委員 続きまして、地方における野生鳥獣被害についてお伺いいたします。

 農水省の資料によりますと、令和二年度の野生鳥獣による農作物の被害額は全国で百六十一億円に上るとされておりまして、鹿による森林被害、さらにはトドによる漁具の破損、漁業被害も深刻な状況にあるとされております。例えば、私の住んでいる小樽市の状況についても、令和元年度のトドによる漁業被害額は三千万円を超えております。

 そこで、野生生物による漁業被害の現状と今後の対策について、水産庁の認識をお伺いいたします。

廣野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、トドによりまして、漁獲物の捕食による被害ですとか漁具の破損が生じているということでございます。

 トドの被害を現時点でゼロにするということは難しくございまして、トドと漁業が共存するということが重要でございます。トド管理基本方針を定めて、計画的な採捕ですとか、被害軽減のための駆除、強化網の導入に対して支援を行っております。

 その結果、近年、被害額が減少しておりまして、具体的に申し上げますと、平成二十五年には二十億円ございましたが、令和元年度には十億円、さらに、令和二年度には五・五億円と、約四分の一に減少してございます。

 農林水産省としては、今後とも、漁業者の方々の意見を聞きながら、被害状況も踏まえ、被害の軽減を図ってまいりたいと考えております。

おおつき委員 北海道はトドもありますが、ヒグマの被害もございます。これらの野生鳥獣被害は地方創生を推進する上で大きな障害、懸念材料であるとも考えますので、地方創生を所管する内閣府においても被害対策の連絡会議等のメンバーになることが必要だと考えております。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 まず最初に、これまでの地方創生の取組と評価についての認識を伺いたいと思います。

 地方創生は、少子高齢化の進展や人口減少、東京一極集中の是正等の構造的な課題に対応するために、二〇一四年にまち・ひと・しごと創生総合戦略が制定され、私の地元兵庫県では、全国に先駆けて地域創生戦略を策定し、取り組んできたところでございます。

 出生数の維持、健康寿命の延伸、人材流入の増加、地域の元気づくりの四本柱を大きな目標として、それぞれKPIを定めて取り組んできたところですが、兵庫県は、特に人口流出については、令和二年度の住民基本台帳人口移動報告によると、全国の都道府県でワースト一位の人口流出と、なかなか成果を出せずにいるというのが現状でございます。

 第一期地方創生戦略では、二〇二〇年までに東京圏の転入超過数をゼロにするという目標を掲げ、移住促進などに取り組みましたが、東京圏の転入超過は増加傾向にあり、目標は未達となっております。

 コロナ禍で昨年は東京都は大きく様相が変化しましたが、東京圏を見ると大きな変化というのがございませんし、人口移動は経済情勢や企業の雇用ニーズに影響を受けやすく、一部自治体が力を入れ、成果を誇示している移住促進政策もありますが、移住者獲得競争が過熱し、地方自治体は消耗戦を余儀なくされているように感じます。

 また、出生数も、二〇二一年速報値では八十四万人と、六年連続で過去最少という状況でございます。

 まずは、これまでの地方創生の取組と評価について御所見をお伺いいたします。

若宮国務大臣 平成二十六年に地方創生の取組をスタートさせて以来、地方創生推進交付金によります支援を始め、意欲と熱意のある地域の取組を人材、財政、情報の側面で積極的に支援をさせていただいたところでございます。この結果、地方の創意工夫を生かされた様々な取組が行われるようになったというふうに承知をいたしているところでございます。

 具体的な例を幾つか申し上げた方が分かりやすいかと思いますので挙げさせていただきたいと思いますけれども、私自身もこの中で幾つか実際に足を運ばせていただいたところがございます。

 例えば、徳島県の神山町、ここは、サテライトオフィスなどを核とする、異なるスキルや得意分野を有する様々な人材を集めながら、地域の特色を生かした地域の活性化に取り組んでおられました。

 また、AIで配車されたタクシー、あるいは、遠隔地にいる医師がモニター越しで患者を診察するような医療MaaSの実証実験、こういったところも三重県の多気町を中心とした中では展開をされてございました。

 さらには、スマート農業なんかでは、実際に具体的な形としては、北海道の岩見沢市、更別村等では実際に既に展開をされているような事業もございますし、ドローンの物流、これも山梨県の小菅村でも実際に既に実施をされているところでございます。

 また、遠隔教育では、鹿児島県の三島村。ここでも、かなり離島、山間部の条件不利ではございますけれども、利便性の高い暮らしを、ある意味では、うちの地元ではこういった点に注目して、何かこういったところを強化していきたいなと、それぞれの地域の不便ですとか不安ですとか不利なものというのを克服しているような状況も見て取れるという状況になってきてございます。

 私の今担務いたしますデジタル田園都市国家構想、こういったことを更に推し進めまして、地方創生を各地域に根差した形での、いい効果が出るような形で更に力を入れてまいりたい、こう思っております。

住吉委員 ありがとうございます。

 様々な成功事例も御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 まさに、明治維新以後の、欧米列強に追いつけ追い越せ、その時代は中央集権体制というのがよかったと思います。しかし、これだけ成熟した社会においては、やはり地域の魅力をもっともっと磨いていく、そういうような施策が必要になってくると思いますし、先ほど大臣が御答弁いただきました地方創生の様々な成功事例というのは、まさに地域が輝ける、そして地域に住む一人一人が輝ける、そんな事例を御紹介いただきました。

 そこで、地方の創意工夫を生み出す取組についてお伺いしたいと思います。

 地方創生、成功した事例もあれば、もちろん失敗している事例もたくさんあるわけでございます。さらには、ある地域での成功事例を、言い方は悪いですけれども、まねしていく、そういうような事例もたくさんございます。地方の没個性化も散見されるわけでございます。

 例えば、令和四年二月九日時点では全国に千百九十四か所ある道の駅などがその典型ではないかと考えます。

 道の駅は、一九九一年に実験的に始まり、九三年に正式登録されてから四半世紀が過ぎ、防災拠点、高齢者支援施設など、多様な道の駅ができておりますが、経営的に成功しているのはごく一部で、全体の八割近くが行政による設置となっております。

 行政が出資し、施設運営を民間に委託しているため、初期投資が税金で賄われ、経営計画がずさんになりやすいというような指摘もあります。また、設備投資が過剰になりやすかったり、民間側が受け身の姿勢になってしまったりといったゆがみも生じやすいのが現状でございます。さらに、地方創生交付金が各地方自治体の財布を痛めないため、原資が国民の税金であるという意識が少ないのも問題です。

 自治体の創意工夫を促していくためにも、日本維新の会は、多極分権型社会を構築していく、道州制も視野に入れて、財源や権限を地方に移す、地方分権を強力に促していく必要があると考えます。

 地方が輝けるための地方の創意工夫を生み出す取組についての御所見をお伺いいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 まず、御指摘のあった道州制については、平成十八年に第二十八次地方制度調査会において道州制のあり方に関する答申がなされて以降、各党において様々な議論がなされてきたところですが、道州制の推進に関する法案の提出の動きに対して、全国町村会等から強い反対の声もあったと承知しています。

 全国町村会、全国町村議会議長会は、道州制導入により市町村合併につながるとの懸念から、道州制に対しては継続的に反対を今日まで表明しておられます。

 道州制は、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革であることから、その検討に当たっては、やはり、地方の声を十分お聞きしつつ、国民的な議論を行いながら丁寧に進めていくことが重要であると考えておりまして、国会における御議論も踏まえつつ対応してまいります。

 また、地方分権改革の推進、これについては、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるもので、地方創生において極めて重要なテーマです。

 現在行っている提案募集方式では、地方から寄せられた提案に基づいて地方分権改革を推進しているところであり、今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方の自主性、自立性を高めてまいるための取組を着実に、そして強力に進めてまいります。

住吉委員 ありがとうございます。

 道州制は一例でございますが、やはり、地域が輝いていく、本当に様々なところで地域が規制であったりそういった緩和を要求している。北海道から沖縄まで環境が全然違うわけでございますので、地方が輝けるような、そんな新しい取組をお願いしたいと思います。

 続いてお伺いいたします。新型コロナウイルス対策のための、国が地方に配る地方創生臨時交付金についてお伺いいたします。

 この交付金は自由度が高く、感染防止対策だけでなく、景気対策などでも活用可能となっております。地方創生臨時交付金の趣旨に照らせば、地域の創意工夫を促し、使途を可能な限り制限しないということは重要な観点でございます。

 一方で、コロナとの関連性が見えにくい使途も散見されております。度々ニュースでも取り上げられておりましたが、イカのモニュメントであったり、県庁に置く鐘やスポーツ用の電光掲示板、博物館の照明のLED化、公用車の購入など、コロナ対策としながら関係の薄い事業に税金を使っている、便乗と思われるケースも散見されております。

 日本維新の会は、足下の物価高騰対策において、先日、消費税軽減税率の減税や、中小企業の法人税の減税、生活困窮者に対しての社会保障費の減免などを政府に提言してきたところでございますが、政府の方でも、二十六日に、物価上昇への対応として総合緊急対策が取りまとめられました。この中には地方創生臨時交付金八千億円拡充も盛り込まれておりますが、これまでの経緯を踏まえますと、効果的に使われるのか、疑問が残ります。

 これまでの地方創生臨時交付金の使い方、また、これをどのように評価されているのか、御所見をお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、本年三月末の時点で、累計で十五兆一千七百六十億円を措置をいたしまして、約十・七兆円を執行してまいりました。

 このうち、地方単独事業分につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済、住民生活の支援等を通じた地方創生に資する事業であれば、各自治体が、委員おっしゃったとおり、地域の実情に応じて、創意工夫を生かして、必要な事業を実施できることとされているところでございます。

 これまで、実施計画におきまして、地方単独事業分につきましては、合計約七・四兆円、約十四万五千件の事業が計上されておりまして、分類をいたしますと、感染拡大の防止や医療提供体制の整備、雇用の維持や事業継続、観光、交通事業者等への支援を通じた経済活動の回復、リモートの促進を始め、DXの加速化など、強靱な経済構造の構築に関する事業が行われているところでございます。

 これらの事業を通じまして、基本的な感染拡大の防止や、コロナ禍で苦しむ地域経済の下支えなどに寄与してきたというふうに考えております。

 また、一つ一つの事業の使途につきましては、各自治体におきまして地域住民の方々にしっかりと説明をいただくよう折に触れお願いをしておりますけれども、国といたしましても、現在、令和二年度に実施されました事業につきまして、使途、効果の把握、分析を行っているところでございまして、できるだけ早くその検証結果をまとめたいというふうに考えております。

 以上でございます。

住吉委員 ありがとうございます。

 本当に効果検証は大切だと思います。各自治体に説明責任を求めているというところで、一つの予防策かもしれませんけれども、本当にこじつけで何でも説明できてしまうというのが実際のところでございます。そういったことがないように。

 さらには、我々日本維新の会は、今、コロナが指定感染症二類相当ですが、これを五類とかそれに準ずるような形にしていくということも訴えております。簡単に言えば、季節性のインフルエンザと同じような扱いであるということです。

 これまではコロナ対策というのは本当に緊急的だったと思いますが、これからの時代はポストコロナになってきております。何でもありというのではなくて、しっかりと地域が発展できるような、地方創生に資するような使い道にしていくように、国の方もしっかりと指導していただきたいと思います。

 次に、人材についてお伺いしたいと思います。

 少子高齢化、人口減少に突入し、これから著しく人口が増えていくということはなかなか考えられない。これから様々な業種で起こるであろう人材不足を補っていくためには、一つは、今、現状、デジタル田園都市国家構想基本方針の骨子案について議論されておりますとおりデジタルの力を活用することも大事ですが、やはり人が主役だと私は考えております。

 近年では、女性の社会進出が進み、多くの人材が社会に貢献されております。一方で、女性の社会進出が晩婚化を促進し、そして少子化の要因になっているとも言われております。

 私も会社員時代に、女性の先輩が結婚して妊娠して、毎日激務で体調を崩し、流産してしまったという苦い経験がございます。その当時は、私も仕事に追われ、余裕がなく、またそういった理解も少なく、先輩が、体調が悪いのでお先に失礼しますと早く帰っていったときに、早く帰れていいなと心ない言葉をつぶやいており、非常に悔いております。

 様々な取組は承知しておりますが、結局のところ、男性社会のルールに女性を当てはめてしまっていて、少子化が進展することにつながっているのが今の現状だと思っております。

 我々日本維新の会は、女性の政界進出をサポートするための候補者の支援策として、政治活動の時間を確保するためのベビーシッター代や一時保育の利用料などを月額上限二十万円まで党が負担としております。さらに、日本維新の会がマニフェストにも盛り込んでおります労働市場改革、雇用の流動化も非常に重要だと考えております。

 また、諸外国に比べて日本の若者は正しい知識を持ち合わせていないということも問題である、こういった専門家もございます。

 例えば、出生率の高いフランスなどでは、二十代の不妊症の確率は一〇%以下、三十代後半になると四割、四十代になると六割が不妊症になるという正しい知識の下で、自分のライフプランを早期に考えます。具体的に何歳までに結婚して、子供を何人産んでなどの現実的なプランを若いうちからほとんどの方が自然に生活する中で持ち合わせておりますが、日本は漠然とした考えだけだと思います。そのような正しい知識の習得によりライフプランを形成していく習慣、これも非常に重要になってまいります。

 女性の社会進出が少子化を助長しないように、どのようにバランスを取りながら両施策を進めていくのか、御所見をお伺いいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っていて、男女の仕事と子育ての両立の難しさもその要因であると認識しています。女性が働きながら仕事と家庭が両立できる環境の整備が少子化対策の観点からも重要であります。

 政府としては、少子化社会対策大綱等に基づき、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備。常に女性の方が、例えば国会になったりすると子育てとの両立はできますかという質問を受けるんですが、男性は余り受けないんですね。男性は子育てはしなくていいという前提でやはり空気があるんじゃないか。私はそういうところも改善していかなきゃいけないと思っています。

 男性の家事、育児参画の促進。妊娠、出産はできませんけれども、育児はできます。そういうところをやはり徹底させていく努力が足りていないと思います。

 働き方改革を始め、ライフステージに応じた総合的な少子化対策をいたします。

 先ほど、先輩の流産の話がございました。私もかつて、選挙応援のさなかに流産をいたしました。やはり、妊娠、出産というメカニズムは男性にはありませんので、十二分の配慮をしていただくことがこれからの若い女性にとっては大切なことで、この国に生きていく喜びをシェアできるんだと思っているので、是非お取組をよろしくお願いしたいと思います。

住吉委員 本当に力強い御答弁をありがとうございます。

 女性の社会進出、さらには少子化対策、これは両立できるものだと思っておりますので、個別に一つ一つ施策するのではなくて、連携しながら取り組んでいただきたいと思いますし、私自身もしっかりと取り組んでいきたいと思っております。ありがとうございます。

 次に、引きこもり対策についてお伺いしたいと思います。

 子供・若者白書によりますと、満四十歳から六十四歳までの中高年の引きこもり、これが推計六十万人以上おります。

 私も先日、引きこもり支援をしている団体と意見交換させていただきました。引きこもりの場合は、親や身内が余り周りに言いたがらないため、本当はもっと多くの方々が困っているだろうとのことでした。若い引きこもりの方は比較的容易に社会に出すことができるわけですが、中高年の方は、あの手この手を講じても本当に難しいということでした。

 一方で、農林水産業や介護の現場、看護師、保育士など、人材不足が顕著で、本来の目的とは異なる外国人技能実習生として労働力を穴埋めせざるを得ないケースもございます。

 人口減少、少子高齢化社会において、国民一人一人がやりがいを持って輝き、タックスペイヤーになり、社会に貢献していくことが必要で、今、社会に絶望しているかもしれない引きこもりの方を社会で活躍する人材に育てていく必要があると考えますが、その対策についての御見解をお伺いいたします。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 引きこもりの方への支援のお尋ねでございます。

 厚生労働省では、都道府県、指定都市に設置するひきこもり地域支援センターなど、自治体における引きこもりの相談窓口の設置や居場所づくり等を進めてきたところでございます。実際、このセンターに、議員から御指摘のあった四十代以上の方も一定の割合でいらっしゃっているというふうに伺っております。

 令和四年度予算におきましては、より身近なところで相談ができ、支援につなげることができるよう、ひきこもり地域支援センターの設置主体を市町村に拡充するなど、その取組の充実を図ることとしております。

 引きこもり状態にある方やその御家族の支援に当たりましては、その背景や置かれた状況が非常に多様でございますので、一人一人の状況に応じたオーダーメイドの支援が必要でございます。

 このため、行政機関だけでなく、地元企業や農業、NPO法人などが連携して、就労や社会参加に向けた多様な支援の選択肢を用意するなど、当事者に寄り添った適切な支援が行われるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 本当に、まさにいろいろな原因でそういう引きこもりになってしまっている。こうすれば解決するというのはないと思います。その方に寄り添って、また、そういった支援する方々の経験も必要だと思います。そういった方々の支援もよろしくお願いしたいと思います。

 次に、外国人留学生についてお伺いしたいと思います。国費外国人留学生制度についてです。

 私も学生時代に同じ研究室で国費留学生がおりました。中国から来た方で、非常に優秀な方だったと記憶しております。

 国費外国人留学生制度は昭和二十九年度に創設された制度で、留学に係る渡航費や授業料は日本若しくは大学が負担、また、給付型の奨学金として、学部では十一万七千円、修士ですと十四万四千円、博士ですと十四万五千円が奨学金として支給されます。

 ちなみに、今の国民年金受給額、これは満額で六万五千円程度です。さらに、日本人が日本で大学に進学しようとすると、四年間で国立大学は約二百五十万円、私立で約四百万円、これは上下しますが、お金がかかります。さらには、約半分の日本人の学生が奨学金に頼り、そのうちの大多数が貸与型奨学金となっております。そのことを考えても、かなり優遇されているのではないかと思います。

 私は、極めて優秀な学生が日本の税金で日本で勉強して、そして日本のために働いていただくのであれば、長期的な視野から国益に資すると一定の理解を得ますが、いろいろお伺いしますと、基本的に、卒業したら母国へ帰ってしまうということでした。これでは何のために税金を投じているのか理解に苦しむところですが、せめて国費留学生が日本のために働いていただくように時代に合わせて制度を変えていく、それができないのであれば廃止や縮小も検討して見直していかなければならないと考えますが、御所見をお伺いいたします。

里見政府参考人 お答えいたします。

 国費外国人留学生制度は、諸外国の優秀な留学生を受け入れることで、日本人学生の学習環境の充実や相互交流による我が国の教育研究力の向上に貢献するとともに、国費留学生が日本と自国との懸け橋となり、両国ひいては世界の発展に寄与することを目的としております。

 本制度によりまして、帰国後に母国の行政官や駐日大使として活躍をされたり、あるいは現地の大学の学長や教員となって我が国の大学との交流を深める等の人材が多数輩出されておりまして、我が国と海外との国際交流促進に重要な役割を果たしております。

 また、文部科学省では、大学が地域の自治体や産業界と連携し、就職に向けた教育プログラムを提供することで、外国人留学生の国内定着を後押しする留学生就職促進プログラムも実施しており、現在でも、国費留学生の卒業、修了者等のうち約二割の学生が日本国内に就職しております。

 これらを通じまして、文部科学省といたしましては、引き続き、本制度において優秀な留学生を輩出し、日本国内外において幅広く活躍していただくことで、国際交流促進を始め、日本の国益に資する人材を育成してまいりたいと考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 私は、優秀な方が来ていただくことについては別に否定的ではないんですが、日本の税金を使っているのだから、例えば地方創生に資するような活躍を日本でしていただきたいと考えております。

 友好の懸け橋となるのも一つの目的とおっしゃっておりますが、実際、本当にそこまでやるのかと言われると、昨今の日本の現状を取り巻く環境を見ても、やはりこれからこの制度を考え直していかなければならないのではないかなと思っております。

 国費で来られた方の二割が日本で働いているということですが、多少縛りをつけて、日本で働いてもらう、そういうような制度設計も検討していかなければならないのではないかなというふうに思います。

 ちょっと時間もないですし、深掘りしてもなかなか答えられないと思いますので、こういう意見だけ述べさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。

 次に、地方への企業移転の取組についてお伺いしたいと思います。

 私の地元兵庫県ですが、二〇二〇年九月に、総合人材サービス、パソナグループによる東京から淡路島への本社機能移転計画が発表されました。二〇二四年五月末までに千二百人が移転という目標を掲げて取り組んでおられます。大規模災害に備えて事業拠点を分散し、また、東京一極集中是正においても大きな意義があると思われます。

 兵庫県の担当者に聞くと、県の長年の遊休地が売れて、地元の雇用も増えているとのことでした。これで本社が移転してくれば地方創生のいい見本になるのではないかと期待に胸を躍らせておりました。本社を移転する企業への国からの税制面での支援がよりあれば、より話をしやすいという話もございました。

 地方に本社を移転する企業に対しての更なる支援を講じていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

師田政府参考人 お答え申し上げます。

 企業の本社機能の地方移転等に当たっての課題としまして、地方での人材確保、コスト、社会との関係維持等々を挙げる企業が多く、企業の本社移転の所在は、様々な要素を総合的に勘案した経営判断により決定されると承知しております。

 それらの要素のうち、移転コストに対する税制の特例措置として、地方拠点強化税制を講じているところでございます。

 本税制につきましては、令和四年度の税制改正において、適用期限の延長に加えまして、中小企業について、地方拠点で常時雇用する従業員が一名でも適用とするような要件の緩和、それから、対象となる事業部門として情報サービス事業部門の追加などを盛り込んだところでございます。

 今後、より多くの企業に本税制を御活用いただけるよう、今回の税制改正の内容も含めて、積極的な周知、広報に努めてまいります。

石田委員長 質問時間が終了いたしております。

住吉委員 済みません、時間ですので終わらせていただきます。ちょっと一問残りましたが、申し訳ございません。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 二〇二〇年の国勢調査に基づいて、全域又は一部が過疎地域に指定される自治体が、全国千七百十八市町村のうち八百八十五市町村で、五一・五%、初めて半数を超える事態となりました。この過疎地域への指定は、人口減少率や財政力指数などの指数によって判断をされるわけでございますけれども、その内訳として、全部過疎が七百十三、一部過疎が百五十八、みなし過疎が十四となっております。

 ただ、この新しい過疎法の概念としては、過疎地域というのは、都市とは別の空間を持つ低密度な魅力ある居住空間、価値ある空間というふうに捉えたというところが、これまでは改善しなければいけない地域という認識だったのが、そういう新しい、都市にはない魅力ある空間だということが概念としてあるということがこれまでの過疎法とは違うところだと思っております。

 これまで本当に様々な、歴代内閣、地方創生や地域の活性化に様々な御努力で取り組んできていただいているんですけれども、現実としてはなかなか東京一極集中是正というのが果たされていないという状況だと思いますし、地方創生の成果というのが十分には上がっているとは言い難い現状がございます。

 従来から続く急速な人口減少、少子高齢化の進展に加えて、二年半にわたるコロナ禍において、大きく日本社会、そして私たちの暮らし、特に地方の暮らしも激変をしています。

 安倍政権から続くまち・ひと・しごと総合戦略に基づいた取組が続く一方で、現岸田政権においてはデジタル田園都市構想が掲げられております。ただ、今、大きな環境変革また状況の変化に伴って、これまでの取組では解決できない問題も生じてきているというふうに思いますけれども、今後、野田大臣として、地方創生をどのような長期ビジョンとして取り組んで進めていかれるのかということについて、大臣の御見解というものをお伺いできればと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 東京一極集中、少子高齢化などの地方の課題に対して、安心して働ける仕事づくり、結婚、出産、子育ての希望をかなえる環境づくり、人が集い安心して暮らせる魅力的な地域づくり、そして、地方への新たな人の流れづくりをこれまで推進してまいりました。

 地方創生推進交付金等による支援の結果、これらの取組が一定の成果を上げてきたと考えておりますが、いまだに東京圏への一極集中の傾向は続いています。

 このため、地方創生の新たなビジョンとして、デジタル田園都市国家構想を通じてデジタルによる取組の加速化を図ることとし、この基本方針の策定が進められております。

 私としては、都市と地方の格差、これまでアナログであった格差、性別、年齢の差別、障害の有無による差別、これまでのアナログ社会においてリスクとかマイナスと言われてきた点、これをプラスに変換できるのがデジタルであり、していくことが重要と考えています。

 さらに、地方創生のビジョンとして、私としては、特に力を尽くしたい課題は女性と子供に焦点を当てた対策です。

 地域にアンコンシャスバイアスが存在する中で、男性より女性の方が東京圏への転入超過数が上回っています。都会に流出しがちな女性が地方において能力を発揮して自由に活躍できる環境をつくること、これが重要です。

 また、若い世代は、住む場所を選ぶに当たって、自分の子供たちが質の高い教育を受けられるか、また、何かあったときにきちっとした医療が受けられるか、そういう環境を重視していることを踏まえて、若い世代の地方移住への関心の高まりを捉え、地方でもこのような充実した子育て環境を整えたいと考えております。

 確かに過疎というパーセントは増えてきているんですけれども、地方を回らせていただくと、五千人とかほんの小さな規模でも、自力で自分の地元の子供を増やしてきています。それはやはり、子供をどう育てていくかということに政策を集中させ、そこに資金を投入すると、必ず、場所を問わず結果を出してくれているところがあるというのが、これからの取組の一つの入口になると私は信じています。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 まさに私も、女性、子供が、なかなか今までフォーカスが当たっていなかった、施策の中で中心となっていなかったということを感じております。

 大臣には、こどもまんなかというお言葉も、いつも答弁の中で出ておりますけれども、女性、子供を真ん中に置いた地方創生を進めていくというのも大変重要だと思っております。

 その関連としまして、今日は政治分野の女性活躍ということをこの地方創生という切り口で考えてみたいというふうに思っておりますけれども、先ほどから、大臣からもあっております、やはり地方には都市部に比べてアンコンシャスバイアスというものが存在をして、男女の役割分担というのが都市部に比べて大変強いということは、私も地方出身として実感をいたしております。

 その中で、特に、先ほどから議論があっている、やはり地方から若い女性が首都圏に流出をしていっていて、このコロナ禍でもそれがなかなか歯止めが利いていないということも含めて、地方における女性の活躍というものを考えていくときに、特にジェンダーギャップ指数が諸外国に比べて大変深刻な状況なのは経済分野と政治分野でございます。

 七月には参議院議員選挙がございますし、来年には統一地方選挙がございます。やはり女性の議員を増やしていく、地方議会で増やしていくということも大変、子供政策、女性政策を、当事者として議会で様々な政策実現をしていくということも、一つの大きな地方創生につながる取組に、まさにつながっていくというふうに私は思っておりますけれども、昨年六月に、政治分野における男女共同参画推進法が改正され、施行されたわけでございますけれども、残念ながら、衆議院選挙においては女性の割合がより低下をしたという状況もございました。

 一方で、地方議会の活性化というものが、先ほども申し上げたように、大変大事だというふうに思っておりますけれども、改正案においては、国及び地方公共団体の施策強化として、セクハラ、マタハラ等への対応というものが、この改正案の中で新設をされ、他の補助的な項目についても具体的な明示の追加というものがなされました。

 その中で、この改正を受けて、セクハラ、マタハラへの対応として内閣府で作成をされた、政治分野におけるハラスメント防止のための研修教材が完成をして、今ユーチューブ上でもアップをされ、いろいろな方が視聴をされております。

 今後、この研修教材をどのように活用していかれるかということについてお尋ねをいたします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この度、政府における初の取組といたしまして、地方議員の方々から寄せられた千三百二十四のハラスメントの実例を基に、各議会等で研修に活用していただけるような動画の教材を私ども内閣府男女共同参画局で作成をいたしまして、私どもの局の公式ユーチューブにおいて公表をいたしております。

 この教材につきましては、内閣府から、衆議院及び参議院の事務局、都道府県及び市町村の議会、地方三議長会、地方公共団体の所管部局等宛てに通知を発出をいたしまして、情報提供等を行っており、今後は、各議会等における積極的な活用を推進するとともに、その活用状況について定期的に把握してまいりたいと存じます。

西岡委員 是非有効に活用していただいて、なかなか議員として立候補するというところに至るまでには大変いろいろな葛藤があって、思いがあってもなかなか一歩踏み出せないという方もおられますし、選挙に出ることによって様々な、ハラスメントですとかセクハラですとか、そういう経験をされた地方議員の方も多くいらっしゃるという中で、この研修教材が大変有効に今後活用されるということを心から祈りながら、そして、またこの有効活用についてはしっかり定期的な確認を、活用されているかということも含めて、いただきたいというふうに思います。

 続きまして、内閣府において、二〇二一年七月現在の地方議会における両立支援に係る会議規則の整備状況についての調査が行われ、結果が出たというふうに聞いております。この結果について御説明をお願いいたします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 議員活動と家庭生活の両立を可能にするための環境整備の一環といたしまして、令和三年一月に第五次男女共同参画基本計画に基づき要請を行い、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会及び全国町村議会議長会に標準会議規則の改正をしていただきました。

 それを受けて、各地方議会での会議規則の改正が行われまして、委員御指摘の令和三年七月一日時点の状況の調査を内閣府でいたしました。

 その結果、都道府県議会では、育児及び介護を欠席事由として明文化している議会が大幅に増え、約八割となりました。また、市区町村議会では、育児、家族の介護のほか、本人の疾病や配偶者の出産、家族の看護についても明文化している議会が大きく増加し、約六割となりました。令和二年度から大きく増加をしております。

 今後とも、地方議会における女性の参画状況の見える化などを通じて、両立支援に係る環境整備が図られるよう後押しをしてまいりたいと存じます。

西岡委員 ありがとうございます。

 明文化が進んだことによって、様々な効果もこれからまたより一層出てくるというふうに思います。例えば、出産による欠席というものが可能となる期間についても、標準会議規則の改正を踏まえて、各議会の中で労働基準法相当の欠席が可能となったということは大変大きなことだというふうに思います。このことをまたしっかり今後も進めていただきたいと思います。

 そのことに関連いたしまして、今、国会では、オンライン国会の議論が各会派で進んでおります。

 今、出産による欠席ですとか本人の疾病や配偶者の出産、家族の介護という、育児、介護を含めたいろいろな要因が明示をされたわけでございますけれども、そのような状況の中でも、例えばオンラインで本会議に参加するということが地方議会で可能となれば、欠席をしなくてもいいという状況も出てくるというふうに思いますし、特に今、コロナ禍において、感染が拡大したときにはなかなか地方議会も議会に集まれないという事態も起こってきますし、自然災害、緊急時に議会機能を維持するということも大変重要でございます。

 また一方で、そのような意味でいくと、議員活動との両立というものが今以上にオンラインを活用することで図られるということで、近年の地方議員のなり手不足というものも解消される一因になるのではないかと思います。このことによって多様な人材が政治に参画していく可能性が、この地方議会のオンライン化によって広がるのではないかと思います。

 是非、地方議会においてもオンライン化を早急に進めていくべきではないかと思いますけれども、政府の見解をお伺いをいたします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 地方議会のオンライン開催につきましては、まず、委員会につきまして、本会議における審議の予備的審査を行うものであること、地方自治法上、委員の選任その他委員会に関し必要な事項は条例で定めることとされておりますことから、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点等からオンラインによる方法を活用して開催することも差し支えない旨を令和二年四月の通知によりお示ししてございます。

 総務省の調査によりますと、令和四年一月一日時点で、実際に委員会をオンラインで開催した団体は三十五団体ございます。このうち十団体につきましては、委員会のオンライン開催要件として、育児、介護を定めているものと承知してございます。

 一方、地方議会の本会議でございますが、その団体意思を最終的に確定させる場であり、国会における本会議と同様に、議員の意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要があるほか、住民が議論の様子を十分に知り得るよう、会議の公開の原則も求められてございます。

 オンラインによる本会議の開催を可能とすることにつきましては、国会における対応のほか、地方議会におけるオンラインによる委員会の開催状況や、そこで生じている課題、運用状況などをよく踏まえて、慎重に検討しなければならないものと考えてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣がおっしゃった、男性も育児をというお話があったんですけれども、まさに男性の、育児休業法についても先般法律が改正をされました。その意味でいくと、これは女性だけの問題ではなくて、男性議員も含めて、私は、このオンラインを取り入れるということによって様々な家庭生活との両立が図られていくことになるというふうに思いますので、引き続き、是非その取組が実現をするように、私ども国民民主党としても、今、オンライン国会、大変力を入れて取り組んでおりますので、今後も取り組んでまいりたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 女性のデジタル人材の育成の推進についてお尋ねをいたします。

 重点方針二〇二一の取組として、女性のデジタル人材育成が進められております。特に、デジタル社会における地方の女性活躍推進に資する大変重要な取組であるというふうに思います。

 現状の地域女性活躍推進交付金による支援状況、取組状況について政府にお伺いをいたします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 女性のデジタル人材育成につきましては、女性の経済的自立に向けて、また、女性人材の成長産業への円滑な移動支援を図る観点から、極めて重要であると認識しております。

 こうした認識の下、政府といたしましては、今月二十六日に官邸で男女共同参画会議を開催いたしまして、新たに女性デジタル人材育成プランを決定したところでございまして、関係省庁ともしっかりと連携し、取組を進めてまいります。

 また、お尋ねの地域女性活躍推進交付金でございますが、内閣府では、この交付金を活用いたしまして、地方自治体における地域の実情に応じた取組を支援しております。

 例えば、令和三年度の事業といたしましては、デジタル技術など、能力向上のための実践的なセミナーの開催や、デジタルを活用した業務改善などのワークショップの開催を始めといたしまして、女性を対象とした様々な取組が行われているものと承知しております。

 こうした好事例を周知し、全国各地域での横展開を図ってまいりたいと存じます。

西岡委員 ありがとうございます。

 続きまして、一つ質問を飛ばさせていただきまして、次の質問に移ります。

 女性活躍・男女共同参画重点方針二〇二二、女性版骨太の方針について、六月の取りまとめへ向けて議論がなされていると聞いております。

 現在、重点施策二〇二一が今年度まで重点的に取組が進められておりますけれども、新しい女性版骨太方針の方向性について、政府の御見解というものを御説明がいただければというふうに思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの女性版骨太の方針につきましては、四つの柱、まず、女性の経済的な自立、第二に、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現、第三に、男性の家庭、地域社会における活躍、第四に、女性の登用目標の達成の四つの柱に基づいて検討を行っているところでございます。

 この中で、例えば女性の経済的な自立につきましては、岸田政権が掲げる新しい資本主義の中核と位置づけられております。また、人生百年時代を迎え、女性の半数以上が九十歳以上まで生き、また、離婚件数が結婚件数の三分の一になるなど、女性の人生と家族の姿が多様化しております。

 こうした中で、女性の経済的な自立は、女性本人の人生にとってはもちろんですけれども、我が国の経済、財政にとっても極めて重要と考えております。男女間の賃金格差の是正や、女性の視点も踏まえた税制や社会保障制度の検討など、構造的な課題に取り組んでまいります。

 また、男性の家庭、地域社会における活躍につきましては、男性の育児休業取得の促進や父親の育児参画を阻む身近な慣行の見直しなど、男女問わず育児参画しやすい環境づくりを強力に進めてまいります。

 今月二十六日に開催をいたしました男女共同参画会議におきましても、有識者議員の皆様方から盛り込むべき施策について御意見をいただいたところでございまして、こうした御意見も踏まえ、五、六月の取りまとめに向けて、各府省一体で検討を進めてまいります。

石田委員長 質問時間が終了いたしております。

西岡委員 はい。質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今日は、地方にとって今大きな課題となっている二つの統合問題、病院統合と学校統合について質問したいと思います。

 資料の1を御覧になっていただきたいのですが、三月二十九日に総務省自治財政局長通知で、公立病院経営強化の推進についてが発出されました。いわゆる第三次の公立病院改革ガイドラインと呼ぶべきものでありますが、ここにあるように、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインという長い名前になって、しかも、策定したとあります。

 これを受けて、資料の2ですが、これは産経新聞ですけれども、地方紙が一斉に「公立病院 統廃合撤回 総務省方針転換」と書きました。

 公立病院改革ガイドラインについては何度も私は取り上げてまいりましたが、正直、統廃合撤回とまで書くかなとは思いました。ただ、方針変更には違いないと思います。これまで二度のガイドラインでは、三つの選択肢、一つは再編・ネットワーク、一つは指定管理制度などの経営の効率化、そして、三つは地方独立行政法人など経営形態の見直し、そのいずれかを選択するよう求めてきたと思います。

 そういう中で、資料の三枚目ですが、百九十三の公立病院が再編の対象となり、全国の公立病院は、ピーク時の平成十四年、二〇〇二年には一千七あったのが、今、八百五十三になって、十五・三%も減少しているという状況であります。

 それで、新ガイドラインは、コロナ禍で公立病院の役割が改めて見直されたことが一つの契機になっていると思いますが、いかがでしょうか。公立病院の果たした役割について、受入れ割合だとか、なるべく具体的にお答えください。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 今般の新型コロナ対応におきましては、全国の病床数の約一四%を占める公立病院が都道府県の計画に位置づけられた即応病院の約三分の一を担うなど、公立病院が、積極的な病床確保と入院患者の受入れを始め、発熱外来の設置やPCR検査、ワクチン接種などで中核的な役割を果たしており、その重要性が改めて認識されたと考えております。

 一方で、病院間の役割分担や医師確保などの取組を平時から進めておく必要が浮き彫りになったところでもございます。

 また、公立病院は医師不足等による厳しい経営状況に直面しておりまして、その中で、地域に必要な医療提供体制を確保するためには、医師、看護師等の確保を進めつつ、限られた医師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用することが重要と考えてございます。

 そのため、この三月に策定いたしました持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインにおきましては、各自治体に対して、地域の中で各公立病院の役割、機能を明確化、最適化し、病院間の連携を強化する機能分化・連携強化や、医師、看護師等の確保と働き方改革、それから新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組などを盛り込んだ経営強化プランを策定するよう要請してございます。

 各自治体がこのような公立病院の経営強化に主体的、積極的に取り組んでいただくことで、新興感染症等への対応という視点も含めまして、持続可能な地域医療提供体制の確保に資するものと考えてございます。

高橋(千)委員 コロナの役割について聞いたのが、全部ガイドラインの中身を大体網羅する答弁をされていたと思います。

 先ほどの産経新聞の中にも書いてあるんですけれども、やはりコロナ対応の即応病床、直ちに対応する、その三分の一を公立病院が担ったということが、大きな価値が見直されたのかなと。そのために、やはり経営を強化するということで出されたわけなんですが。

 そこで、資料の四枚目に、経営強化プランの主なポイントというのがあるんですが、全部答えなくていいですから、聞いたことだけに答えていただければと思うんですが、前ガイドラインのときは再編・ネットワークというふうに書いていたわけですが、それが、機能分化・連携強化という表現に変わっております。変わっているということを資料にもちゃんと書いているし、そこが多分、報道が、変わったというふうに受け止めてくださったポイントだと思うんですね。

 この違いを明確にお答えください。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 今回のガイドラインにおきましては、前ガイドラインの再編・ネットワークに代えまして、機能分化・連携強化というタイトルを掲げてございます。これは、病院や経営主体の統合よりも、病院間の役割分担と医師派遣等による連携強化に主眼を置いた機能分化・連携強化の取組を推進することとしているということでございます。

 こうした方針の下で、総務省におきましては、機能分化・連携強化を図るための施設整備等については、複数の病院を統合する場合のほかに、基幹病院が不採算地区病院への支援を強化し、その機能を維持する場合も対象に追加するなど、病院事業債の特別分、これは通常の地方交付税措置が手厚いものでございますが、そうしたものの対象経費を拡充することといたしました。

 この新たなガイドラインは、もとより公立病院の病床削減、統廃合を前提としているわけではないんですが、各自治体において、地域の実情を踏まえつつ、公立病院の経営強化に主体的、積極的に取り組んでいただきたいと考えてございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 例えば、少しイメージが湧くようにお話ししてみたいと思うんですが、私の地元の秋田県大館市で、市民病院に扇田病院という、要するに合併前の旧町の病床を統合して、百四床をまるきりゼロにするという計画が持ち上がって、地域で大きな課題となっています。

 地域包括ケア病床が四十、療養病床が四十二あって、これがゼロですから、ちょっと極端じゃないかと。ゼロになっちゃったら、やはり入院した後に行くところがないんだ、要するに回復期ですとか、そういうところが全くない。療養病床がそこにしかないのにどうすればいいかという声がすごく寄せられているんですね。

 そうすると、今の御説明や第三次ガイドラインから見ると、急性期の機能は旧大館市市民病院、総合病院の方に集約したとしても、やはりその受皿として大事な機能も残していく、そこに支援していく、そういうイメージでいいのかなと思うんですが、どうでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 基本的に議員のおっしゃったことだと思いますけれども、要は、地域において、先ほども申し上げましたけれども、医師不足等によりましてなかなか病院自身が厳しい状況にある中で、地域における医療を確保していくためには、やはり病院間の連携、それからお医者さん、看護師さんの派遣によって機能を確保していくということが大事だと思いますので、そういう意識を持って今回ガイドラインを策定いたしまして、各自治体においてもそうした私たちの問題を受け止めていただいて経営強化プランを作っていただきまして、あとは現場の、自治体とそれから病院経営者の方々でよく話し合っていただいて、解決策を探っていただきたいというふうに思ってございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 それで、厚労省に聞きますけれども、地域医療構想の中で、公立病院も位置づけられております。ガイドラインも、当然、地域医療構想を踏まえてということは書いています。

 私は、統合や病床削減が必要と判断するときに、公立病院がその受皿となりやすいのではないかと指摘してきました。なぜかというと、民間病院には経営がありますから言いにくいということなんですよね。経済財政諮問会議などからも、公立・公的病院の再編の進捗が遅いではないかということで指摘をされて、四三六公的病院リストの問題が起きたのではないかなと思っております。

 そういう中で、資料の5、三月二十四日付で厚労省医政局長通知が出されました、地域医療構想の進め方について。これはなお書き、アンダーラインを引いていますが、「地域医療構想の推進の取組は、病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が、地域の実情を踏まえ、主体的に取組を進めるものである。」と書かれました。

 これまでも、答弁としては、決めるのは地域だと答えてきたわけですが、とはいえ、実質、病院名をリスト化して公表して再検証を求めてきたこと、コロナ禍がなければとっくに再検証の期限が来ていたわけですよね。全額国庫補助による病床削減支援給付金で後押しもしてきた。そういう中でこの通知が出された、その趣旨を確認します。

島村大臣政務官 お答えします。

 厚労省でも、従来から、地域医療構想に関しましては、病床の削減や統廃合ありきではなくて、各地域においてその実情を踏まえて十分に議論いただき、不足する機能の確保、医療機関の間の役割分担、連携等の取組を進めることが重要だと考えております。

 一つ、具体例としましては、山形県の最上区域では、急性期の病床五十五床を回復期の病床に機能転換する、こういう事例もございます。ですから、病床の削減や統廃合ではない事例もしっかりとあることを御理解していただきたいと思っております。

 その上で、御指摘の通知は、各都道府県に対しまして、第八次医療計画、二〇二四年度から二〇二九年度の策定作業が二〇二三年、来年にかけまして進められる際に、これと併せまして、地域医療構想に関する各医療機関の対応方針の策定や検証、見直しを行うことをお示しした通知でございます。

 この中で、地域医療構想に関する基本的な考え方は、すなわち、病床の削減や統廃合ありきではないことを改めて今回お伝えしたものであり、このように、地域医療構想に関しまして、厚労省としましても方針転換を行ったものではありません。

 今後とも、各都道府県や医療機関、医療関係者の御意見をしっかりと伺いながら、着実に取組を進めたいと考えております。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 変わっていないんだということを何度も言われたんですが、しかし、改めて、ありきではないという意味で通知したんだとお答えになった、そのことが私は大事だと思うんですね。

 実は、資料には裏をつけていないんですが、この通知の裏のところに、公立病院については、今私が紹介したガイドラインを踏まえ、病院ごとに公立病院経営強化プランを具体的対応方針として策定した上で、地域医療構想調整会議において協議をすると書いておりますので、今、ガイドラインで、ちゃんと連携を取り合って、決めて、それから地域医療、だから、ありきではないということはそういう意味でも担保されているんじゃないかと確認をさせていただきたいと思います。

 そこで、経営難や再編統合の対象とされた最大の要因は、医師不足だと思います。

 青森市では、県立病院と市立病院の統合が検討されています。しかし、比較的充足率の高い県都で統合してしまうと、やはり他の医療圏はどうなるのかと不安になってしまうわけなんです。

 資料の6にあるように、県立病院は、これまで全県、例えば下北地域などの過疎地に対して、医療偏在の地域に派遣するという役割を果たしてきました。本当に困ったときは県立病院が頑張ってくれたと私は思っているんですね。下の段は、これは岩手です。岩手は元々県立病院が多いので、この表にあるように、中小の病院に医師を派遣するという役割を果たしてきたんですね。

 そこで総務省に伺いますが、資料の7のガイドラインの概要のところの第三に「都道府県の役割・責任の強化」と明記してくださった、その趣旨を伺いたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 多くの公立病院におきまして、医師不足等により厳しい経営状況が続いてございまして、中でも、不採算地区病院を始めとする中小規模の病院におきましては特に厳しい状況にございます。

 こうした中で、都道府県は、地域医療構想や医師確保計画等を策定するとともに、これを実現するための措置を講じることができることとされてございまして、持続可能な地域医療提供体制を確保していく上で大きな役割、責任を有していることから、市町村への積極的な助言等を求めることとしてございます。

 また、市町村の中小規模の病院の経営を強化する観点からは、比較的医療資源が充実し、経営基盤も安定した都道府県立病院等の果たす役割は大きいと考えられます。

 このため、今回のガイドラインでは、そのような病院が過疎地域や離島における医師の確保に重要な役割を果たしている事例があるということも踏まえまして、都道府県立病院等に対しても、不採算地区病院を始めとする中小規模の公立病院との連携支援を強化していくよう求めることといたしました。

 さらに、都道府県におきましては、市町村担当部局、医療政策担当部局や病院事業担当部局が連携協力して、市町村の経営強化プランに必要な取組が盛り込まれるよう積極的に助言や調整を行うとともに、都道府県立病院等と市町村の病院との連携支援の強化についても進んで提案を行うなど、これまで以上に積極的に取り組んでいただきたいと考えてございます。

高橋(千)委員 都道府県の役割もはっきりとしたところです。

 そういう中で、大臣に一言お願いしたいんですが、公的病院の問題、四三六リストの問題、大臣もよく御存じだと思います。急性期病床のみに着目して、ある意味、機械的な計算が最初はされたと思うんです。でも、それが、やはり地域で決めるんだということを今確認をしてきました。

 病院は、地域にとって命綱であるとともに、雇用であり経済だと思うんですね。感想も含めて、地域に必要な病院の存続、大前提である医師確保のための環境整備など、地方創生の分野から応援することができるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 公立病院の存続や医師確保については所管外でありますので、私から政府としての答弁は差し控えたいと存じます。

 その上で、私の考えを申し上げるとすれば、地域に住む全ての人々が安心して暮らすために地域の医療を確保することは重要な課題である、当然認識しております。

 なお、地域の需要に応じた必要な医療の確保については所管省庁において必要な対応がなされているものと承知しておりますし、各地域において、厚生労働省や総務省とも連携しながら地域医療の確保に向けた取組を進めていただきたいと考えています。

高橋(千)委員 どうしても、所管外というお話でありましたが、やはり地方創生の推進交付金をうまく使うですとか、そうしたことも含めて是非検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 次に、学校問題なんですけれども、資料の8ですね。公立小学校の数と児童数の推移ということで、残念ながらずっと減少しています。下のところにまとめがあるんですが、平成の大合併があった九九年から二〇一〇年までの間に、市町村数が千五百二減って、児童数が五十一万五千七百五十名、小学校が二千二百三十一校減少しました。しかも、その後も同じペースで減少しているとあります。平成元年から見ると、二〇二一年、令和三年は一万九千三百三十六校であって、五千二百七十二校も減少しています。引き続き、少子化と学校の統合は各地で大きな問題となっていると思います。

 文科省が二〇一五年に公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を発表して以降、これを基準として統廃合を進めている自治体、あるいは独自の基準を定めている自治体などがあります。

 文科省は、適正規模の名の下に学校統合をどんどん進める立場なのかなと正直思っていました。しかし、手引の中には、適正規模ありきではなく、小規模校を存続させることが必要であると考える地域、あるいは一旦休校とした学校をコミュニティーの核として再開することを検討するなど、市町村の判断を尊重していくという旨が書かれています。この趣旨を確認したいと思います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 学校は、児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて思考力や判断力、表現力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身につけさせる場所でございます。このため、学校規模の適正化の検討は、児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据えて、学校教育をよりよく実現するために行うべきものと考えております。

 その一方で、学校は教育の場であるだけでなく、各地域のコミュニティーの核としての性格を有することが多く、防災、保育、地域の交流の場など、様々な機能を併せ持っております。また、学校教育は地域の未来の担い手である子供たちを育む営みでもあり、まちづくり、地域づくりの在り方と密接不可分であるという性格も持っております。

 特に、山間僻地、離島といった地理的な要因や、学校が地域コミュニティーの存続に決定的な役割を果たしているなどの地域事情により、小規模校を存続させることが必要であると考える地域ですとか、一旦休校とした学校をコミュニティーの核として再開することを検討する地域も存在してございます。

 文部科学省としましては、こうした市町村の判断は尊重されるべきものと考えておりますけれども、その場合にありましては、学校が小規模であることのメリットを最大化するとともに、デメリットを最小化するような工夫を講じていくことが必要であると考えておりまして、引き続き、こうした考え方をお示ししますとともに、優れた取組の普及などに努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。尊重するというお答えがあったと思うんですね。

 令和三年度の文科省の実態調査の中でも、域内に小規模校があると答えた市町村が八四%ある中で、過半数の自治体が、今言ってくださった小規模校のメリットを最大化、デメリットを最小化する、そういう取組に取り組んでいると思います。

 済みません、島村政務官、よろしいです、失礼しました。ありがとうございます。

 それで、資料の9ですが、文科省は、少子化に対応した活力ある学校教育への支援策ということで、元年度の予算が書いてありますが、小規模校を存続させる場合の教育活動の高度化とか、休校している学校の再開支援などをメニューに持っていました。下段が、学校存続の事例として、北海道の占冠村や長野県伊那市などの取組を紹介しています。

 こうした、予算をつけてきたんだけれどもその実績がどのくらいになったかなというのを聞きたいのと、今年度はそういう同じ名目の予算が見当たらないんですが、名前は違うけれども使えるよというのがあったら教えていただきたいなと。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の予算事業におきます小規模校を存続させる場合の教育活動の高度化といたしましては、少子化・人口減少に対応した活力ある学校教育推進事業、小規模校への教員定数の加配がありまして、休校している学校の再開支援としては、公立学校の施設整備への補助、スクールバス、ボート購入費補助がございます。

 平成三十年度の実績でございますけれども、統合困難な地域における教育環境の充実の取組モデルの創出、普及事業として行われた、少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業は、予算三千六百万円のところ、実績三千百万円でございます。小規模校への教員定数の加配は、六十七名を措置をしたところでございます。公立学校の施設整備への補助事業の予算は六百八十二億円で、実績はこの内数ということになってございます。スクールバス、ボート購入費補助につきましては、予算五億九千七百万円のところ、実績五億二千万円ということでございます。

 このうち、現在も存在をいたします予算につきましては、小規模校への教員定数の加配、公立学校の施設整備への補助、スクールバス、ボート購入費補助というものが引き続いてございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 ちょっと地元の存続した学校の話をしたいのですが、時間がなくなると困るので、先に予算のことを聞きたいと思います。

 具体の提案を二つします。

 一つは、資料の10にありますが、学校規模の適正化についての市町村の要望のトップは教職員定数の加配であります、八六%です。今も加配の予算がついているというお話であったんですけれども、ところが、下の段を見ますと、統合後における教職員の人数の変動、二校が統合した場合、両方の学校にいた教職員を足し算すると、平均で三十六・六人に対して、統合後は二十八・三人というように減ってしまうんですよね。

 せっかくの小規模校だからこそ、一人一人に目の届く教育というよさがあったと思うんですが、国庫負担の対象ではないという理屈で削られてしまうのは何とも残念で、ここをやはりなるべく維持するようにするべきだと思いますが、いかがかということです。

 それからもう一つ、今、スクールバスの予算はついているというお話があったんですが、へき地児童生徒援助費等補助金、学校統廃合に伴う遠距離通学への交通費、電車代、バス代などの補助なんですが、五年で終わりなんですね。小学校を卒業できないと。やはり期限を区切らずに行うべきじゃないか。いかがでしょうか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の教職員の配置につきましては、先生御案内のとおりかと思いますけれども、義務教育につきましては、義務標準法に基づきまして、学校のクラスの数をベースに教職員数を算定をしてございます。

 統合後につきましてもその子供たちをベースにした学級数を基に算出をされますので、統合された学校におきましても、基本的な教員配置というものはほかの地域の学校と同じものを算出してございますけれども、ただ、その統合後における激変緩和ということで、この統合に関する予算も加配定数を措置をしているという状況でございます。

 また、スクールバスの五年の措置費につきましては、予算補助といたしましては五年ということになってございますけれども、交付税の関係で、特別交付税をその後も措置するといった取組をしているところと承知をしております。

高橋(千)委員 五年過ぎたら急に交付税と言わないで、やはりきちっと見るのが筋ではないかとお話ししたいと思います。

 宮城県の気仙沼市、本当に、出生数が、二〇〇〇年六百四十八人から二〇一五年にはその半分まで減少しているという少子化を背景にして、学校の統合をずっと進めてきたんですね。その中で、四年前に、私が統合の対象となった小学校の保護者から訴えられたことがありました。

 山合いにある小規模校、水梨小学校、児童三十三人、月立小二十二人、それぞれの近隣校と統合が計画されて、二〇一九年四月にはもう統合されている予定だったんですね。だけれども、住民の皆さんがずっと反対をしていまして、ずっと話合いを持たれてきました。

 そういう中で、後に、月立小学校の方は統合を撤回しました。このきっかけは、先ほど私、小規模校の存続を尊重するといった文科省の方針と予算を説明したことによって、保護者の皆さんも勇気をもらって頑張ったということだったんです。大事なことは、やはり学校と子供たちを大切に思って、積極的に関わる大人がいるということなんですね。

 市議会の教育長の答弁を見ていると、懇談会を重ねても、最初は同じ人しか来なかった。だけれども、チラシを配って毎戸にお知らせをしたり、場所を、学区内、もっと細かくやったりしたことで、三倍近い参加者、月立の方は五倍の参加者があって、本当に、単純に賛成か反対かではなくて、地域の、もっとPRしたらいいんじゃないかとか、大人がもっと頑張ったらいいんじゃないかという議論がされたと。やはりそういう、地域の声を尊重するということが本当に大事だと思います。

 そこは質問するつもりでしたが意見にして、最後、大臣に意見を伺います。

 こういう小規模校を本当に地域で支える取組、やはり地方創生にとってどうしても必要だと思います。応援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 小学校や中学校等を拠点とした地域住民の交流等の取組が進められることは、地方創生の観点から有意義なことであると認識しています。

 これまで、地方創生に向けた地方公共団体の自主的、主体的で先導的な事業に対して、地方創生関係交付金を通じて支援を行ってまいりました。例えば、具体的には、群馬県富岡市において、令和二年度から、市内の中学校等を活用し、中高生と地域の大人が対話する機会を創出する取組を地方創生推進交付金により継続して支援しています。

 同様の取組が全国的に広がることとなるよう、機会を捉えて地方公共団体への周知等を図ります。そして、今後とも市町村等の相談に丁寧に応じつつ、地方創生関係交付金による支援を進めてまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 終わります。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。野田国務大臣。

    ―――――――――――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方分権改革は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマです。

 本法案は、昨年十二月に閣議決定した令和三年の地方からの提案等に関する対応方針を踏まえ、都道府県から指定都市への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、住民に身近な行政を地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、都道府県から指定都市への事務、権限の移譲を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。

 第二に、地方が自らの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月十二日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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