衆議院

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第6号 令和4年5月12日(木曜日)

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令和四年五月十二日(木曜日)

    午後一時二十三分開議

 出席委員

   委員長 石田 真敏君

   理事 小林 茂樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 谷川 弥一君 理事 永岡 桂子君

   理事 白石 洋一君 理事 福田 昭夫君

   理事 守島  正君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井原  巧君

      今枝宗一郎君    今村 雅弘君

      国定 勇人君    小島 敏文君

      小森 卓郎君    斎藤 洋明君

      杉田 水脈君    田野瀬太道君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中野 英幸君    野中  厚君

      平沼正二郎君    藤丸  敏君

      宮路 拓馬君    盛山 正仁君

      保岡 宏武君    山本 左近君

      吉川  赳君    和田 義明君

      おおつき紅葉君    坂本祐之輔君

      田嶋  要君    堤 かなめ君

      野間  健君    緑川 貴士君

      森田 俊和君    阿部  司君

      沢田  良君    住吉 寛紀君

      中川 宏昌君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     野田 聖子君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   デジタル副大臣      小林 史明君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        渡邉その子君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            高原  勇君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森田 正信君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀内  斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           苗村 公嗣君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大澤 一夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           倉野 泰行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       吉田  誠君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     山本 左近君

  谷川 とむ君     杉田 水脈君

  土屋 品子君     盛山 正仁君

  野中  厚君     井野 俊郎君

  坂本祐之輔君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     野中  厚君

  杉田 水脈君     平沼正二郎君

  盛山 正仁君     土屋 品子君

  山本 左近君     今枝宗一郎君

  野間  健君     坂本祐之輔君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     谷川 とむ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣府地方分権改革推進室長寺崎秀俊君、内閣府地方創生推進事務局審議官黒田昌義君、内閣府地方創生推進事務局審議官渡邉その子君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官高原勇君、総務省大臣官房審議官阿部知明君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、文部科学省大臣官房審議官森田正信君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省大臣官房審議官堀内斉君、厚生労働省大臣官房審議官榎本健太郎君、農林水産省農村振興局農村政策部長山口靖君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官苗村公嗣君、国土交通省大臣官房審議官大澤一夫君、国土交通省大臣官房審議官倉野泰行君、国土交通省大臣官房審議官塩見英之君、国土交通省不動産・建設経済局次長吉田誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小森卓郎君。

小森委員 自由民主党の小森卓郎です。

 地方創生特別委員会では初めての質問をさせていただきます。

 今日、委員長からございましたとおり、第十二次地方分権一括法案と呼ばれております法案の質問に立たせていただきますけれども、ほかの委員会も含めまして、法案に関する質問に立つのも初めてのことでございます。二十分という時間でございますが、委員長、大臣始め皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、この第十二次地方分権一括法案でございますけれども、平成二十六年から導入されている提案募集方式にのっとって、地方公共団体等から地方分権改革に関する提案を募集し、政府において有識者会議の議論を交えながら検討を行い、その結果、改正を行うこととなった内容を束ねた法案でございます。

 まず、政府にお尋ねいたします。

 この法案は、主に九つの事項に関して事務負担の軽減などを図るものでありますけれども、その効果、例えばどれぐらいの量の事務の軽減が見込まれているのか。医師法などに基づく届出について説明をお願いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今言及いただきました医師法に関して申し上げますと、医師、歯科医師、薬剤師、これらは、それぞれの法令に基づきまして、二年ごとに、住所、氏名、従事先等を、都道府県を経由して厚生労働省に届出をいただくこととなっております。

 ただいま現在におきましては、医師等におかれては、紙の届出票に手書きで必要事項を記載していただき、まず都道府県に提出をいただきました後、都道府県においては、この記載内容の確認等々を行った上で、管内の届出票を整理の上、国に提出をいただいているところでございます。

 今般の医師法等の改正によりましてこうした届出がオンライン化されることによりまして、ボリューム感でいいますと、令和二年度の三師統計でいいますと、医師、三十四万程度のうち医療施設の従事者が三十二万程度、また、歯科医師の場合は、十一万人のうち医療施設で従事されている方が十万人、薬剤師の場合は、三十二万のうち従事者が二十五万人、こういった方々がまず令和四年から届出票に手書きで記入する負担が軽減されるほか、四十七の都道府県におかれましても、届出票の受付、整理を行う負担が軽減されるものと考えております。

小森委員 ありがとうございました。

 今数字も御紹介いただきましたけれども、これまで二年ごとに紙で届出を行っていたお医者さんなど、今の数字を足し合わせてみると七十万人近い方だと思うんですけれども、その分の紙の届出がなくなるということだと承知をいたしました。これが今後はオンラインによって行われることで、都道府県の事務、またお医者さんたちの手書きの事務というのが、負担が軽減されるというものでございます。

 昨今、EBPM、証拠やデータに基づいた政策の形成というのが盛んに言われているところでございます。今御説明もいただきましたように、例えば七十万件近くの負担が軽減されるですとか、そうした御説明を更にまた推し進めていただければというふうに思っております。

 例えば、今回は七十万件ということでございますけれども、これによりどれくらいの時間の事務負担が減るのだとか、国民の皆様にとって更により分かりやすい形で定量的に発信していただいて、今回の法律を改正する意義というのを訴えていただければというふうに思っているところでございます。答弁は結構でございますけれども、要望としてお伝えしたいと思います。

 さて、先ほど申し上げました提案募集方式でありますけれども、平成二十七年の第五次地方分権一括法から用いられておりまして、毎年一本ずつ法案が提出されまして、今回の法案が八度目の法案ということでございます。

 この提案募集方式につきましては、今後の改善の可能性も含めまして、これまでの成果などを振り返ってみる時期が近づいているのではないかというふうに思っております。

 まず、この方式がなぜ採用されることになったのか、その経緯、そしてまた、これまで八本の法案を出してきておりますけれども、その中で最も成功したよい事例というのを教えていただければと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方分権改革につきましては、御指摘のとおり、平成二十六年から提案募集方式を導入したところでございます。それまでは、時限で設置されました委員会の勧告に基づきまして、国主導による集中的な取組を行っておったわけでございますが、この提案募集方式の下では、政府として、恒常的な推進体制の下、地方の発意に根差した息の長い取組へ転換して、地方の自主性、自立性を高める取組を進めてまいったところでございます。

 具体的な成果といたしまして、一例ではございますが、例えば、地方版ハローワークの創設によります就労支援の充実、さらに、職員の確保が困難な地域におきまして、放課後児童クラブを開きやすくするための職員の配置基準の緩和などが挙げられようかと思っております。

 これらはあくまで一部の例にすぎませんけれども、こうした提案募集方式によりまして住民に身近な課題を解決することを通じて、個性を生かし自立した地方の実現や、住民サービスの向上に寄与してきているものと認識しているところでございます。

小森委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたように、それ以前は、国に置かれた委員会で勧告をいただいて、それから法律を出していたということだったと思いますけれども、平成二十六年度以降、地方の発意に根差した形で成果を上げてきているということだと思っております。

 このように成果が上がってきている一方で、例えば、提案される件数が右肩下がりになっている、あるいは、地方自治体の規模によってはなかなか提案を行うことができないといったような様々な御指摘もあるところでございますけれども、この提案募集方式の課題等について政府がどのように認識しておられるか、お答え願います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この提案募集方式におきましては、平成二十六年から令和三年までの八年間で、地方から合わせて三千件もの提案をいただいているところでございます。毎年こうした提案に関する対応方針を閣議決定しております。

 一方で、委員御指摘の課題につきましては、提案を行ったことがある地方公共団体、都道府県につきましては四十七全ての団体にいただいているところでございますが、町村で見ますと全体の二四%にとどまっているのが現状でございます。

 私どもといたしましては、地方の現場にはまだまだ課題が山積しており、多くの提案に結びつく支障事例があると考えております。今後は、これまで提案を行ったことのない市町村からも多くの提案が寄せられることを期待しているところでございまして、内閣府といたしましても、こうした課題を具体的な提案に結びつけていただけるようしっかりと支援を行い、地方分権改革のより一層の前進に向け、提案募集方式の充実を図ってまいりたいと考えております。

小森委員 どうもありがとうございました。

 今御紹介もいただきましたけれども、小規模な自治体からも提案が行われるようにするための様々な工夫というのも行っていただいているところだと思います。

 おっしゃったとおり、なかなか、声の小さなところにも課題があるというのは事実だと思いますので、また引き続きそうした取組についても続けていただきたいなというふうに思うところでございます。

 さて、今日は、地方公共団体による計画策定等についてお話を伺いたいというふうに思っております。

 法律に基づきまして、都道府県や市町村などの地方公共団体が何らかの形で計画の策定を行うということは、間々見られるものでございます。例えば、今回の一括法においても改正の対象になっております通称農村産業法、この枠組みにおきましても、国の基本方針に沿って都道府県が基本計画を策定し、市町村が実施計画を策定する、このような仕組みになっているところでございます。

 こうした地方公共団体による計画等の策定につきましては、かつて、平成二十年そして平成二十一年、地方分権改革推進委員会の第二次そして第三次の勧告におきまして、義務づけや枠づけを見直す一環として、計画策定等についても見直しが行われてきたという経緯があるところでございます。

 当時は計画の策定の義務づけが見直されましたけれども、具体的には、この計画等の策定をそもそも廃止してしまうということや、あるいは、より多い例でございますけれども、法律上に計画を作らなきゃいけないという義務の規定があったところを努力義務の規定に変えたり、あるいはできる規定へというふうに変更がなされたというような状況でございました。

 お手元に資料でその当時のものを置いておりますけれども、義務規定の数、お手元の資料ではオレンジ色でありますけれども、義務規定の数はこの際に結構大きな減少もいたしまして、一定の成果が上がってきたというふうに評価がなされているものだと思っておりますけれども、グラフを御覧いただければ分かりますように、近年は青色のできる規定などが大幅に増加をしてきているところでございます。計画等の策定に関する法律の条項の数が大きく増えているというのが現状でございます。

 まず、この計画の策定等に関する条項数の推移、そしてその受け止めについて政府の方から御答弁をお願いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 計画策定等に関しましては、策定に関する法律の条項数が、ただいま御紹介ございましたように、この十年間で比較しますと全体で約一・五倍に増加しているところでございます。そのうち、努力義務規定が、増加が最も大きく約三・五倍、次いで、できる規定が約二・四倍に増加しているところでございます。

 これにつきまして、ただいま御指摘ございましたように、過去の地方分権改革におきましては、義務規定について見直しが行われたものの、努力義務規定やできる規定につきましては許容してきたということが一つの要因であると考えているところでございます。

 義務規定につきましては、平成二十四年以降も増加傾向が実は続いているところでございまして、現在、法律によりまして地方公共団体に策定を義務づけている計画等の数は、これは地域限定などの策定の条件があるものも含めますと、全体で二百以上あるというふうに承知をしております。

 こういった状況を踏まえまして、令和四年の地方分権改革における提案募集におきましても、この計画策定等を重点募集テーマとして設定した上で、具体的な検討の視点もお示しして、三月一日から提案の募集を開始したところでございます。

 この中で、地方公共団体における計画策定等に係る事務負担等の実情をしっかり伺った上で、努力義務規定やできる規定、さらには通知などによります計画等も含めまして、地方の自主性及び自立性を高めるための検討を更に進めてまいりたいと考えております。

小森委員 ありがとうございます。

 今御答弁もいただいたとおり、全体で見ると、この十年間で三百四十五件から五百五件ということで、一・五倍の増加が起きているところでございます。できる規定や努力義務規定であったとしても、物によりましては実質的な義務づけに近いようなものとなって、地方自治体の計画策定等の負担が重くなっているのではないかというような声も聞かれているところでございます。地方公共団体にとってこうした計画策定等が過剰な負担となれば、本来、更に優先順位が高いはずの行政サービスの住民への提供にも影響が生じかねないのではないかというふうに危惧をしているところでございます。

 こうした中、先ほど政府における議論も御紹介いただきましたけれども、地方分権改革有識者会議でも議論をしていただいているところでございます。本年二月には、計画策定等における地方分権改革の推進に向けてという報告を取りまとめていただいております。

 この報告の中におきましては、こうしたできる規定などについても今後はできる限り新たに設けることのないようにする、また、設ける場合であっても、計画等の内容あるいは手続について、地方の自主性の尊重などの留意をすることなどの基本原則を唱えているところだと承知をしております。

 こうした地方分権改革有識者会議の提言につきまして、政府としてはどのように受け止めておられるのか。政府としても、例えば、骨太の方針なども迫っておりますけれども、閣議決定を行いまして計画等の策定の適正化を強力に進めるべきではないかというふうに思うところでございますけれども、今後の取組につきまして、野田大臣の見解を承りたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方分権改革有識者会議の取りまとめにおいては、計画策定等における基本原則について、政府の方針として定めた上で、各府省自ら遵守に努めるとともに、法令上の措置については内閣府においてチェックを行うべきと指摘されているところです。

 四月十三日に開催された経済財政諮問会議において、有識者議員からの、国は法令上の新たな計画等の義務づけ、枠づけについて必要最小限とすべきという指摘に対し、私から、地方分権の観点からも、地方公共団体に策定を求める計画等の抑制、既存計画との統合などの基本原則を確立することが重要である旨申し上げたところです。

 今後、この基本原則については、御指摘がありました閣議決定等を含め、政府の方針として位置づけが明確になるよう取り組むとともに、計画策定等に関し、地方の自主性及び自立性を高めるための検討を更に進めてまいりたいと思います。

小森委員 大臣から大変力強い御答弁をいただきまして、本当にどうもありがとうございます。

 経済財政諮問会議でも御議論もいただいているということでありますので、政府として今後是非強力に見直しを進めていただき、御答弁にもありましたけれども、地方分権改革室におきましても、法の条項の、規定のチェックでございますとか、あるいは計画策定の条項の件数を定期的に公表するなど、こうしたことも含めて今後御検討をいただければというふうに思っているところでございます。

 計画策定の話はこれで終わりにさせていただきまして、今回の法案は、現在のやり方になって八本目の法案だということを申し上げさせていただきました。そして、先ほど参考人の方からも御紹介がありましたけれども、三月から九回目の提案募集のプロセスというのも始まっているというふうに承知をしております。したがいまして、来年の三月以降には十回目のプロセスが開始される、そういう節目の状況に迫ってきているということだと思います。

 現在用いられております提案募集方式は、地方の発意に基づいて息の長い改善を行うものとして既に定着をしているものだというふうに思いますし、これに代わる新しいやり方が見えているわけではありませんけれども、今日もやり取りをさせていただきましたけれども、幾つか問題が、問題というか、改善できるところというのもあるのではないかというふうに感じているところでございます。

 例えば、提案団体が偏っていないか、あるいは提案数が右肩下がりになっていないかといったこともありますし、今申し上げた計画等の策定につきましても、十数年前につくっていただいたフレームワークでは捉えていなかった新しい問題が生じてきているところでございます。

 また、政府による法案の効果の説明についても、より定量的な形で分かりやすく発信をする、先ほど私、EBPMということも申し上げましたけれども、データや証拠に基づく政策づくりが求められるようになった昨今の流れというのは、十年前にはここまで広がっていなかったというふうに思うところでございます。

 この提案募集方式の十年の節目を前にいたしまして、この間の成果あるいは取組を振り返って、更によいやり方へと進化させていくことがお願いできないかというふうに思っているところでございます。

 現在の提案募集方式が始まる前、平成二十五年には、地方分権改革の実態調査というのを政府において行われ、状況の把握を行っておられますけれども、今回も類似の実態調査を行った上で、今後のやり方や改善を考える材料を得るべきではないかというふうに思うところでございます。

 提案募集方式のレビューの実施、そして、その前段としての実態調査の実施について今後検討していただけないかと思いますけれども、大臣のお考えを伺えればと思います。

野田国務大臣 平成二十六年に導入した提案募集方式については、これまでも、毎年、地方に対して提案募集の取組に関するアンケート調査を実施し、改善意見を伺っているほか、提案募集方式により実現された制度改正等の活用状況についても調査を行い、提案団体の負担軽減や横断的な制度見直しにつながる地方分権改革が実現するよう、不断の見直しに取り組んでいるところでございます。

 例えば、平成二十七年からは、提案団体には内閣府地方分権改革推進室への事前相談をお願いしています。これにより、支障事例や求める措置が曖昧な段階であっても、事前相談を通じ内閣府から様々な助言を行い、提案団体の負担を最小にしながら提案内容を改善充実させることが可能になったと考えています。

 また、令和二年からは、分野横断的な制度改正等を一括して検証、検討するため重点募集テーマを設定するとともに、令和四年における募集に当たっては、具体的な検討の視点をイラストなどにより分かりやすくお示しをしているところです。

 御指摘のように、来年で十年目の節目を迎えることから、各種の調査等を通じ地方の声をしっかり伺いながら、提案募集方式の更なる充実等を通じて地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと考えています。

小森委員 どうもありがとうございました。様々な努力をこれまでしてきたということで御紹介もいただきましたし、重点方式において今回の計画策定についても取り上げてきていただいているところだと思います。

 大臣も御答弁いただきましたとおり、十年目を迎えるところでもございますので、今後また、さらに来年以降、新しいプロセスがスタートするに際しましては、また改めてリーダーシップも御発揮いただいて、更に充実した形で地方分権改革が進めていけるように、格段の御尽力をお願いしたいというふうに存じます。

 これで終わります。どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 本日は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、いわゆる第十二次一括法案について質問をいたします。

 我が国の中央集権型の行政システムの弊害が顕在化して、中央集権から地方分権型のシステムへの転換の必要性は、与野党を問わず共通認識となっているかと思います。私ども日本維新の会としましても、地方分権と地方の自立を基本政策の一つとして掲げ、活動を続けてまいりました。

 我が国における地方分権改革を簡単におさらいをさせていただきますと、一九九〇年代から取組が始まり、二〇〇〇年の地方分権一括法の制定によりまして、国と地方は対等との理念の下、機関委任事務が廃止され、小泉政権下の三位一体改革で税財政改革が進められ、その後のいわゆる第二次分権改革で義務づけ、枠づけの見直しが進められてまいりました。さらに、二〇一四年以降は、地方自治体からの提案により分権改革を進める提案募集方式、こちらが取られるようになるとともに、安倍内閣以降は地方創生が中心テーマとして位置づけられてまいりました。

 このように、地方分権は時々の政治が取り組んできた課題でございますけれども、私は、目に見えて国と地方の関係が変化し、地方が活性化したという実感を持つことがまだできておりません。むしろ、多様性が失われてきつつあるようにも感じております。ますます疲弊してきているのではないか、そうした危機感も感じております。

 そこで、これまで足かけ三十年にわたりまして取り組まれてきた地方分権改革についての野田大臣の評価をお聞かせ願います。あわせて、二〇一四年から始まった提案募集方式に対する政府の評価及び地方の声をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 地方分権改革については、平成五年の衆参両院における地方分権の推進に関する決議、これをスタート、起点とし、平成七年の地方分権推進法以来行われてきた第一次の地方分権改革においては、委員もお話しになられましたけれども、機関委任事務の制度を廃止、これは当時は大変大きな話でございました。国と地方の関係は、それまでの上下主従の関係から、対等、協力の関係へと大きく転換されたものだと考えています。

 また、平成十八年の地方分権改革推進法以来の第二次地方分権改革、ここにおいては、時限で設置された委員会の勧告に基づいて、基礎自治体への権限移譲や義務づけ、枠づけの見直しなど、地方の自主性、自立性を高めるための多くの改革を積み重ねてきたところであります。

 こうした改革を踏まえ、平成二十六年からは、地方の発意に基づく提案を広く募集した上で、その実現に向けて検討を行う提案募集方式を導入しました。住民に身近な課題を現場の知恵と創意工夫で一つ一つ具体的に解決できるような取組を進めてきたところです。

 この方式は地方側からも大変評価をされており、地方分権改革は着実に進んできたものと考えていますが、今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方の自主性、自立性を高めるための地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいります。

 私個人の感想としては、私も国会議員歴が来年で三十年で、地方分権とともに歩んできた女でございます。やはり、最初のことを思えば、地方と国が意識として、立場として対等になるということすら当時は考えられなかったことなので、それをしっかりと形に実行していくことが、住民に対して届けていくことが更なる地方分権の仕事なのかなと理解しています。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 野田大臣の国会議員歴三十年の歴史からすると、随分進んできたといった御答弁をいただきました。私はまだ半年ですので、大変参考になる御意見をありがとうございました。

 非常に多くの改善に結びついてきているといった御答弁でしたけれども、今、本委員会に付されている十二の法律案を見ましても、実際の実務の中から出てきた規制改革案でありまして、細かいことながら、地方自治体の事務がやりやすくなり、ひいては住民サービスの向上につながるものであると私も受け止めております。

 そうした意味で、提案方式はなかなか優れた方法であるとも考えておりますけれども、一方で、私が問題と考えるのが、近年の立法において、地方自治体に計画策定の義務づけをする規定、先ほどもちょっと御質問がありましたけれども、この規定を設けることが増えておりまして、それが自治体の負担になっているという点でございます。

 今回、計画策定を重点募集テーマとしたと聞いておりますけれども、地方自治体への計画策定義務づけ規定見直しの状況及び今後の改善の取組について改めて御見解をお伺いいたします。政府参考人にお願いします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 計画策定等につきましては、策定に関する法律の条項数がこの十年間で約一・五倍に増加しております。法律により地方公共団体に策定を義務づけている計画等の数は、地域限定など策定の条件があるものを含め、二百以上あると承知しているところでございます。

 令和三年の提案募集におきましては、この計画策定等を重点募集テーマといたしました。この結果、地方公共団体からは二十九件の提案が寄せられ、うち二十八件は提案の趣旨を踏まえ対応、一件は現行規定で対応可能という結果が得られたところでございます。

 あわせまして、昨年十二月二十一日に閣議決定された令和三年の地方からの提案等に関する対応方針におきましては、「地方公共団体に対して一定の方式による計画の策定等を求める手法を用いた国の働きかけの在り方については、地方の自主性及び自立性を高めるための検討を引き続き行う。」とされたところでございます。

 これを踏まえまして、令和三年に引き続きでございますが、令和四年の地方分権改革における提案募集におきましても、この計画策定等を重点募集テーマとして設定させていただいた上で、具体的な検討の視点もお示しし、三月一日から提案の募集を開始したところでございます。

 この中で、御指摘ございましたような地方公共団体における計画策定等に係る事務負担等の実情をしっかりとお伺いした上で、地方からの提案ができる限り実現するよう、関係府省との議論や調整を丁寧に行い、計画策定等に関し、地方の自主性及び自立性を高めるための検討を更に進めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 せっかく地方から提案を受けて改善が図られたとしても、国の政策実現に向けて様々な分野で地方自治体が計画作りに追われるような姿は本末転倒だと思いますので、計画策定の努力規定やできる規定も含めまして、有識者会議の必要最小限にすることを原則といった文言が担保されるようなモニタリングの実施及び仕組みの構築等を強く要望させていただきます。

 続きまして、冒頭でも触れさせていただいたんですけれども、私ども日本維新の会では、地方分権と地方の自立に向けて、国から地方への権限移譲、そして、多様な自治制度に向けた法整備、さらには、消費税を地方の基幹財源として位置づけるなどなど、国と地方の在り方の抜本的改革を提案しているところです。

 こうした立場からしますと、提案方式を含め、これまでの分権改革は不十分、まだまだだと思っておりまして、特に、地方への財源移譲については大きな課題が残っていると考えています。

 そこで、地方自治体の財政的な自立に向けた今後の取組について、野田大臣に御見解をお伺いいたします。

野田国務大臣 まず、国と地方の税財源配分の在り方については所管外でありますので、私から政府としての具体的な答弁は差し控えたいと存じます。

 その上で、私の考えを申し上げるとすれば、地方自治体の財政的な自立のためには、基盤となる地方税財源の充実確保が必要不可欠であると認識しています。

 国と地方の税財源配分については、制度全体を視野に入れ、専門的に検討する必要があり、総務省等の所管省庁において検討されるべきものと考えておりますが、いずれにせよ、国と地方の役割分担を踏まえた適切な税財源配分を通じて地方の税財源の充実確保に努めることは重要な課題であると考えています。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 所管が異なるといったお話だったんですけれども、是非とも、ますます地方分権を進めていくためにもこの御議論をリードしていっていただきたい、そして、私もしっかり引き続きやってまいりたいと思います。

 続きまして、関連テーマとして、デジタル田園都市国家構想について少しお伺いをしてまいりたいと思います。

 本国会の施政方針演説におきまして、岸田総理は、デジタル田園都市国家構想を強力に推進すると表明されていらっしゃいました。そこで、まず、デジタル田園都市国家構想の目的について改めてお伺いしたいと思います。

 また、構想の中身がよく分からないとの声が聞こえておりますけれども、国民や地方自治体の皆さんのこうした声に対しましてどのように対応していくのか、お伺いをいたします。政府参考人、お願い申し上げます。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のデジタル田園都市国家構想は、人口減少や少子高齢化、産業空洞化などの社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあることなどを踏まえ、デジタル技術の活用によって、地方の個性を生かしながら地方の課題解決あるいは魅力の向上といったことを実現し、地方から全国へのボトムアップの成長を目指すものであります。

 本構想につきましては、デジタル田園都市国家構想実現会議におきまして、各地域で行われておりますデジタル活用の取組をヒアリングしますとともに、地方自治体の首長の方々にも参画いただきながら検討を進めてまいりました。加えまして、地方自治体関係者に対しましては、デジタル田園都市国家構想の検討状況等について、適宜、情報共有や意見交換を行ってまいりました。

 今後、本会議における議論等を踏まえながら、デジタル田園都市国家構想基本方針、これを取りまとめまして、地方自治体や経済界等、関係団体への説明や国民への広報を積極的に行ってまいります。

 また、Digi田甲子園といったものを開催をしまして、この構想の実現に取り組む主体のモチベーションや構想に対する国民の関心や御理解の向上を図り、様々な主体や国民の皆様を幅広く巻き込んだムーブメントへとつなげてまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 国民全体を巻き込んでムーブメントを起こしていくといったお言葉を頂戴できましたので、是非ともしっかり進めていっていただきたいと思っております。

 先日、デジタル田園都市国家構想基本方針の骨子案が発表されまして、そこで、デジタル田園都市国家構想実現会議の議長を務める岸田総理は、構想展開にはデジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードの普及が不可欠と、マイナンバーカードの普及を強く訴えました。

 政府では、二〇二二年度末までに国民のほぼ全員がマイナンバーカードを保有することを目標に日夜御努力されていることと思います。こちらは内閣委員会でも質問させていただきましたけれども、こうした中で、六月からは、マイナポイント第二弾として、健康保険証と公金受取口座に関する各七千五百ポイントの付与がスタートしようとしています。

 ところが、マイナ保険証が使える医療機関は全体の二割に満たず、さらに、マイナ保険証を利用することでかえって患者負担が増えるという事態となっております。負担増となる額は少額でありますけれども、ネット上では、少額でも費用がかかるのは嫌だ、政府はマイナンバーカードを普及させる気があるのかといった声があふれております。

 総理自ら並々ならぬ意欲を示すマイナンバーカードの普及に向けて、健康保険証活用が可能な医療機関を速やかに増やすとともに、マイナ保険証利用の際の患者の超過負担問題、こちらを直ちに是正すべきかと思いますけれども、うちの維新の足立議員からもそうした質問をさせていただいておりますけれども、この是正に向けた具体的な対応の方策をお伺いいたします。政府参考人、お願い申し上げます。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーカードを今お話ありました健康保険証として利用できるオンライン資格確認の普及に向けましては、国民の皆様にマイナンバーカードを保険証として利用できるということの周知と併せて、オンライン資格確認を利用できる医療機関を増やすというのは、今先生がおっしゃったとおり、非常に重要な課題だと考えております。

 このため、医療機関等での導入の加速化に向けて、医療関係団体に推進協議会を新たに設置をする、それから、令和四年度の診療報酬改定において評価を新設する、そして、それぞれの医療機関などの状況や種別等の特性に応じて導入支援、働きかけを強化をするといったような取組などで集中的に取り組んでいるところでございます。

 一方で、オンライン資格確認の仕組みにつきましては、保険者、医療機関等、患者、それぞれにメリットがあるものでございまして、このため、それぞれがその役割に応じて費用を負担して運営するという形を取っているところでございます。

 具体的には、国は、オンライン資格確認が全国で導入されるような環境整備を図るという観点から、保険者や医療機関等のシステム整備に対する支援を行っております。また、医療保険者は、オンライン資格確認の基となる資格情報や薬剤情報等を管理、提供する実施者として、オンライン確認システムの運用費用を負担するということにしております。また、医療機関等は、確実な本人、資格確認の下、医療を提供するために、内部のシステム改修経費などを負担するということになっております。そして、今回御指摘がありました患者さんにおきましては、よりよい医療を受ける対価として窓口で一部負担を行うという形となっているところでございます。

 この窓口負担の在り方について今御指摘を頂戴したところでございますけれども、今回新たに設けました加算でございますが、患者の方々にとりましては、自ら同意をしていただいた上で、過去の薬剤情報あるいは特定健診の結果を医療機関等に提供することで、より多くの種類の正確な情報に基づいた総合的な診断、あるいは重複する投薬を回避して適切な処方を受けられるといった、よりよい医療が受けられるメリットがございますことから、支払い側委員、診療側委員、公益委員の三者で構成されております中央社会保険医療協議会におきまして専門的、技術的な観点から審議が行われて、評価をするということが決定されたところでございます。

 医療機関等がこういった患者さんの情報の提供を受けて、それを活用することを診療報酬で評価をするということは、実は、今回に限らず、例えば、クリニックから診療情報提供書、いわゆる紹介状でございますが、それと併せて、クリニックから電子的に画像情報や検査結果などの提供を受けた病院がそれらを診療に活用した場合に算定できる電子的診療情報評価料など、これまでもそういったような例がございまして、今般の加算も合理的なものであるというふうに考えてございます。

 診療報酬改定につきましては二年に一度実施されているところでございますが、今回の改定の影響を今後厚生労働省で調査、検証するとともに、オンライン資格確認の導入状況や今般の国会での議論の状況もよく共有させていただきながら、評価の在り方につきまして中医協において議論してまいりたいと考えているところでございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 まず取扱医療機関を早急に増やしていただくことを改めてお願いしたいということと、今、いわゆる手数料が増えてしまうといった問題、もちろん、医療の価値がアップするといったことはそれも分かるんですけれども、いわゆる情報を提供して、その分、医師の方の診療の負担がむしろ減るといった効果もあるわけですから、そこは公平に見ていただきたいと思っております。少しでも患者負担が減るのであればともかく、増えるということであれば、普及する気があるのかというふうに取られるのは国民感情としては当たり前の話かなと思っております。

 額の問題ではなく、患者の超過負担問題をしっかり解決しないことには、マイナンバーの今年度末ほぼ国民全員は非常に難しいのかなと思うんですけれども、ここで、カード普及に御尽力されているデジタル庁の小林副大臣に、厚労省の今の御答弁に対する政治家としての御見解をお伺いしたいと思います。

小林副大臣 阿部委員から、いつもデジタル化に関して前向きな御提言をいただきまして、本当にありがとうございます。

 今の議論を少し整理をしますと、厚生労働省から言った発言の要約は、ほかにも、診療報酬でやった結果、患者さんの負担が増える場合、これは医療の質を上げるためにそういうことを行ってきているということです。

 では、今回の話は、それによってマイナンバーカードの普及が遅れるのかどうかということなんだと思うんですけれども、健康保険証と一体になるからマイナンバーカードをたくさん取るということが起こるかというと、それはもちろん一助になると思っていますが、それがクリティカルなものではないと私は考えています。

 むしろ、カードを持ってオンラインで手続ができる、コンビニで様々な証明書が出せる。この間、法改正をやって、パスポートの更新がオンラインでできるように将来なるということができました。こういったことの方が実は全体として捉えると大きいんです。

 かつ、ほぼ全国民にといったときに、高校生とか中学生とか、若年層がマイナンバーカードを持つ意義というのは何なのかということをつくっていくということが私は全体として本質的だと思っています。

 そういう点で、ちゃんと全体で、マイナンバーカードを持つと国民が便利になった、どこに暮らしていても豊かさを感じられる、それがデジタル田園都市の根幹だというふうに思っていますので、そこを追求して取り組んでまいりたいと思っています。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 利便性が高まることによって、そのことによって普及も広がっていくといったことももちろんそのとおりだと思うんですけれども、一方で、繰り返しになりますけれども、負担感、こちらをいかに軽減していくかというのも私は重要な要素だと思いますので、引き続き御検討いただきたいと思います。

 では、次の質問に参りたいと思います。

 デジタル田園都市国家構想基本方針骨子案では、地域の取組を後押しするための五つのビジョンが示されました。その中の一つにスマートシティーがあります。既にスマートシティーについては、関係省庁、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省が関連事業を展開してきておりますけれども、元来、スマートシティーは、エネルギー消費の無駄をなくして、脱炭素、環境負荷を抑制したデジタル社会の構築ということに主題があったのかなと認識をしております。しかし、最近は、スマートシティーの主題が先端技術を導入しての便利で暮らしやすいまちづくりへとシフトしてきたように感じております。

 私は、スマートシティーの政策展開は、脱炭素、エネルギーもテーマの主軸に据えて、環境省も含めて強力に推進していくべきと思いますけれども、政府参考人に御見解をお伺いいたします。

高原政府参考人 お答えします。

 スマートシティーにおいて、エネルギー分野については当初から取り組まれていますが、二〇二〇年のカーボンニュートラルの宣言を機に環境分野のものが出てきたところであります。

 一方で、現時点では、脱炭素を掲げてトータルで取り組まれているものは限られており、スマート化とグリーン化を同時に目指す取組を更に進め、事例を横展開していくことが必要と認識しております。

 スマートシティーに関係する府省の連絡会議を我々は内部でタスクフォースと呼んでおりますが、環境省も参加しており、御指摘を踏まえて、具体的な連携の取組について更に検討してまいります。

阿部(司)委員 済みません、野田大臣と小林副大臣は、もう質問はございませんので、退席いただいて結構です。

石田委員長 それでは、小林副大臣はどうぞ。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。しっかりタスクフォースに入っているということで、こちらのスマートシティー、環境省も含めて進めていっていただけたらと思います。

 スマートシティー推進において、その構成要素であるデータ連携基盤、いわゆる都市OSについてお伺いをいたします。

 地域が抱える様々な課題解決、地域活性化に向けてデジタルの力を生かすには、データ連携基盤である都市OSの整備を推進していくことが重要であると考えております。しかし、都市OSを小規模自治体が導入するには財源、人材、ノウハウの壁が非常にあると言われております。

 そこで、都市OSの整備をするに当たり、共同利用そして広域化を推進していくことでこうした小規模自治体での整備のボトルネックを解消していくことが可能になってくるのではないかと考えますけれども、政府参考人に御見解をお伺いいたします。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 都市OSは、スマートシティーにおける機能やデータの連携を実現する際の基盤となるシステムですが、御指摘のとおり、単独の市町村で独自に都市OSを構築する場合、負担が大きくなる場合があります。このため、複数の市町村が共同で利用する方法や、共同利用する都市OSを都道府県が整備する動きを始めており、広域で連携して整備を進めることが有効な方法であると考えております。

 現在、政府のスマートシティー関係事業や本日御指摘いただきましたデジタル田園都市国家構想推進交付金ではこのような広域化による整備を支援対象としており、政府としては、地域の取組をしっかりと後押ししてまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。小規模自治体の広域化は非常に有効だということで、是非推進をしていっていただきたいと思います。

 次に、スマートシティーの海外展開についてお伺いをいたします。

 海外のスマートシティー市場では、中国やMOSIP、これは、インディア・スタックという共通のプラットフォームがありますけれども、こちらのオープンソースをインドが新興国発のモデルとしてどんどん周辺諸国にも普及を目指していっていると言われておりますけれども、今後世界各地でスマートシティーの取組が本格化するときには、いかに日本のモデルを輸出していけるのかといった視点が重要になってくると考えます。

 そこで、スマートシティーの海外展開を視野にした戦略の必要性について、政府参考人の御意見をお伺いいたします。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートシティーは、技術面からも市場の観点からも国内外の様々な取組と関連が深く、その裾野は大変広いものです。このため、国内での普及だけではなく、海外展開を含めた両方の視点を持って取組を進めることが重要と認識しています。

 政府においては、令和二年十二月に策定いたしましたインフラ海外展開戦略二〇二五に基づき、関係府省が連携して取組を進めているところであります。

 これまでにも、世界に対して、日本のスマートシティーの取組や技術面について関係府省から情報発信を行っているところであります。また、ASEANを始めとする関係国、都市において、具体的な案件形成を目指した調査を実施しております。

 引き続き、関係する議論の動向も踏まえ、関係府省とともに官民が連携して日本のスマートシティーの発信、展開に努めてまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。海外展開も視野に入れた戦略の下でスマートシティーを展開し、国内の課題には最適化しても海外で全く通用しないガラパゴス・モデルとならないようにお願いしたいと思います。

 ところで、海外では、シンガポールの都市計画コンサルタント会社、スルバナ・ジュロン・コンサルタンツのように、複合都市開発、インフラ開発に関するコンサルティング、エンジニアリング業務にアドバンテージを有する会社があります。スルバナ・ジュロンは、スマートシティーを含めた複合都市開発、インフラ開発を手がけるなど、アジアでのスマートシティープロジェクトにも大きな力を発揮していると言われております。

 しかし、残念ながら、現在、我が国にはこうしたノウハウ、実績を有する企業が見当たりません。スマートシティーは本当に様々な要素が絡んできますので、こうしたコーディネーションだったりコンサルティングを行うような会社が非常に重要になってくるのかなと思っておるんですけれども、この日本版スルバナ・ジュロンのような組織体を国が主導して立ち上げたらどうかなと思うんですけれども、政府参考人の御意見をお伺いいたします。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のスルバナ・ジュロン社は、シンガポールのコンサルティング会社として、スマートシティーを含む幅広い分野の都市、インフラ開発等を手がける企業と承知しております。

 スマートシティーの推進には、産官学民など様々な主体の参画が必要であり、その体制構築や人材の確保などが課題となる。そのため、政府各府省が連携し、官民連携プラットフォームの活動を通じて、様々な地域の実情に応じた連携体制構築の取組を支援するとともに、国レベルでの官民連携の強化について現在検討しているところであります。

 御指摘いただいた海外の取組についても、実施、構築の一つの形として、都市、里山、里海など、多様な我が国の地域の実情を踏まえ、参考になる部分については横展開を行い、地域の官民連携の取組をしっかりと後押ししてまいります。

阿部(司)委員 ありがとうございます。しっかり官民連携を進めていただきたいと思います。

 ここまで、スマートシティーを中心にデジタル田園都市国家構想について聞いてまいりました。こちらは複数省庁が関わる構想であり、これが絵に描いた餅で終わらないためには、全体デザインの明確化、司令塔機能の発揮が肝要と思います。

 そこで、今後策定するデジタル田園都市国家構想に係る基本方針、総合戦略では、全体デザインを明確化するとともに、関係省庁を取りまとめる司令塔機能をしっかり位置づけるべきと考えますが、宮路政務官の御見解をお伺いいたします。

宮路大臣政務官 昨年十一月の第二次岸田内閣発足に伴い、新たにデジタル田園都市国家構想担当大臣が置かれたことは、関係省庁を束ねる司令塔として、現内閣の成長戦略の柱の一つであるこの構想を強力に推し進めてほしいとの総理の御意思というふうに受け止めております。

 若宮大臣の下、内閣官房に加え、デジタル庁と内閣府科学技術・イノベーション推進事務局等からの併任職員を含めた事務局体制を整備し、司令塔機能をフルに発揮しつつ、具体的な構想の取りまとめに向けて鋭意作業を進めているところでございます。

 私自身も、担当大臣政務官として若宮大臣をお支えし、デジタル田園都市国家構想の取りまとめとともに、その実現に向け、御趣旨はもっともだと思っておりますので、早期に目に見える成果を上げるべく、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 力強い御答弁をありがとうございました。よろしくお願いします。

 時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

石田委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 お疲れさまでございます。立憲民主党・無所属の緑川貴士です。

 地方の自主裁量を高めるための地方分権改革は、これまで大学に対しても行われてきました。第九次一括法では、公立大学の法人が、自治体など設立団体の長の認可によって、大学の業務などに関係しない土地を外部に貸し付けることができるようになりました。また、前回審議した構造改革特区法では、こちらは特区ではありますけれども、全国展開を視野に入れながら、実情に合わなくなった国の規制を緩和することで地域の活性化を図ろうというものであります。前回は、国立大学法人が研究開発の成果を活用する拠点の整備を行う事業者に対して大学の土地や建物を貸し付ける、そういう要件が緩和されています。

 どちらの要件緩和も、大学法人に資産運用を促して、財務基盤あるいは経営力を高めてもらうということを一つの狙いにしています。

 もちろん、自分たちで財源をつくるということはどの大学も目指したいところではあるんですけれども、都心に一等地を持っているような恵まれている大きな大学と、そうではない地方にある大学とでは、保有する資産の価値にはやはり大きな開きがあります。一律に資産運用をしろというふうに促しても、都心と地方では運用の利益がまるで違うわけです。

 この資産運用の違いによって大学財政の差が広がっていくという懸念があるんですけれども、この辺りの御認識を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 大学における資産運用の在り方については所管外でありますので、私から政府としての具体的な答弁は差し控えたいと思います。

 その上で、私の考えを申し上げるとすれば、これまでの土地等の貸付制度の活用状況は、地方大学からの申請も一定数あり、都心に立地する大学のみが活用しているわけではないと聞いています。実際に文科省の資料も届きました。

 このため、構造特区の特例は、必ずしも都心部の土地等が有利というものではないと考えています。

緑川委員 ありがとうございます。

 全国に八十六の国立大学があるわけでございますし、必ずしも地方対都市というような構図にはならないにしても、都心にある大学の方がやはり多いわけなんですね。国立大学の中で教員や研究者を多く抱えることができるところであれば、そうした研究成果の活用については、民間とタイアップをしながら、そこに貸し付ける土地や建物による収益も見込める大学というのはあると思います。しかし、そこは、そもそも研究基盤がしっかりしていることが前提で、その上での規制改革、資産の活用なんですね。

 そもそも、国立大学については、二〇〇四年に法人化されて以降、基盤的な経費と言われる運営費交付金が年々削られてきました。安定して教育研究活動を行っていくための必要な経費である交付金が減らされてきたということが、研究活動を促す前に、日本全体としての大学の研究力を低下させていく要因の一つになってきたというふうに思います。

 これらの予算額以上の地方への財政支援というものもこれまで確かに行われてきているんですが、地方大学・地方産業創生交付金、今年度の予算額では、しかしながら、これは僅か七十二億円。十兆円の大学ファンドの支援の対象にならない大学向けにもあるんですけれども、これは地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージがあるんですが、これも今年度予算で僅か四百六十二億円です。これらの予算額以上の規模で削られてきたというのが運営費交付金です。

 この交付金の額というのが、財務省の財政審によれば、基本的には教員の数に応じた配分であるというふうにしているんですが、それによって、結果として、教員の数が多い旧帝国大学、この七つの大学に運営費交付金の総額の実に三四%が行っています。申し上げたように、全国で八十六の国立大学があるのに、特定の大学に交付が集中していますし、教員の数に応じた配分というものが結果としてそこに通う学生にも影響しています。

 お配りしている資料一を御覧いただきたいんですけれども、一枚目、青の棒グラフは、都道府県にあるそれぞれの国立大学の運営費交付金を都道府県別に足し合わせているものです。青い棒グラフの隣の黄色の棒グラフは、その都道府県にある国立大学に通う学生の数です。学生が多いところには確かに交付額が多い傾向に見えるんですけれども、もう少し細かく見ていったものが緑の折れ線グラフです。学生一人当たりに対する交付額なんですが、そこには明らかな差がありまして、グラフの数字を読むと、例えば、突出している東京や京都、また宮城で見ていただくと、学生一人当たりの交付額、緑の棒グラフは、二百万円前後のところがあるのに対して、ほかでは、よく見ると、一人七十万円ほどしかもらっていないようなところがあります。多いところとそうでないところで実は三倍前後の差があるわけなんですね。

 ここでお尋ねをしたいんですけれども、都道府県ごとの学生一人当たりから見ても、このように不平等なものになっているということが見て取れると思いますし、これを解消するためには、交付金の基盤的な部分、特に教育の部分については学生の数を明確な基準にする、その上で、学部ごとのコストを踏まえた加算などにして、それに基づいて交付金が交付されるべきであるというふうに考えていますけれども、お考えはいかがでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人運営費交付金についてでございます。

 これは、平成十六年度の法人化によりまして、この運営費交付金は、国立大学について、基盤的な教育研究活動を支える、そういう交付金でございますけれども、この配分に当たりましては、学生数や教員数の規模に基づいて算定されておりました法人化前の国費投入額、これを基に算定されている部分が大宗を占めているところでございます。

 御指摘のように、大学によって差があるということにつきましては、例えば、理工学系の分野が多い、あるいは医学系の学部の規模が大きい、そういった分野の構成でございますとか、あるいは、博士課程を中心として大学院の規模が大きいかどうか、さらに、大学附置研究所、附置センター、附置研究センター、そういった施設を多く擁しているかどうか、こういった各大学の組織構成の特性が反映しているものでございまして、都市部であるか地方であるかといったようなことでその配分に差を設けることになっているものではないというふうに考えているところでございます。

緑川委員 学生の数というものがこれまで法人化前には踏まえられてきたものが、その影響というもの、その基準というものがどんどん優先度が低くなってきているわけですよね。結果として、そこの地方に通っている、そこの大学の学生にとってはこの額に差が出てきているという結果になっています。

 諸外国では、一般的には学生の数などを基準として算定されていますので、基盤的な教育に係る部分が減ることは実はありません。日本は、運営費交付金を含めた高等教育への全体の支出もそもそも少ないんです。対GDPで見た場合の高等教育への支出額は、OECD加盟国三十八か国の中で最下位という状況であります。

 高等教育への国の支出が少ないのに、その中でも、日本では学生ごとに見た場合の配分には偏りが生まれているということになっていますし、研究力を底上げするための基盤である交付金が、近年では、まずは研究業績を上げていなければ交付をしませんと、成果を先に求めて、それによって交付額に差をつけるという傾斜配分の仕組みが取られています。

 運営費交付金を研究業績で傾斜配分できてしまうというのはなぜかといえば、教育の部分と研究の部分というものが資金が分けられていないということが原因であります。業績連動型の部分が教育の部分に影響しないように財源を明確に分けることが必要じゃないでしょうか。いかがでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人運営費交付金の仕組みでございますけれども、教育経費か研究経費か、これを完全に分けるというのが、実際、教育研究一体で行われている中でそういうふうになっているわけではございませんけれども、ただ、運営費交付金の中には、各大学の教育研究活動を確実に、継続的、安定的に支えるために必要な基幹経費の部分というのがございまして、この部分は、教員の必ず必要な給与費でございますとか、教員にとって必ず必要な教育経費、研究経費、これが確実に措置されるように、どの大学についても確保されるようにする。そのための基幹経費という部分は確実に安定的に措置をする。

 その上で、先生から少し御指摘がございましたけれども、大学の意欲的な取組、積極的な改革意欲、そういったものにインセンティブが働くように、意欲的な組織改革をするような場合には加えて措置するミッション実現加速化経費という部分がそれに加わる形で措置されるという仕組みになっております。

 したがって、各大学の教育研究活動に確実に必要な部分を安定的に確保するという部分、プラス、各大学の意欲的、積極的な改革の取組、そういったものにインセンティブが働くようにめり張りづけをする部分がございますが、全体のトータルとしては前者が大宗を占めているところでございます。

緑川委員 そうした各大学の意欲を酌んだ配分というものについて、評価に基づいて配分をしていくということ自体の課題というのもあると思います。

 中期計画は大学ごとに異なる目標をそれぞれ評価しなきゃいけないので、主観的になりがちです。そこで資金に差をつけるということがやはり一つの課題になっていると思いますし、実績評価についても、研究業績と関係があるのは、確かに研究費とか若手の研究者の数というのも入っているんですけれども、そのほかにも、大学の会計とか人事とか、研究業績を上げることとは直接関係のないような指標も含まれているということが、これがどのぐらい配分に生かされるかどうかというのはしっかり考えないといけないというふうに思います。

 配分を受けるための大学ごとの目標設定、また、指標を設定するという各大学の業務量も膨大です。規模の小さい大学ほど不利になっていますので、こういう評価とか業績連動の仕組みももっと簡易なものにしていかなければならないというふうに思います。

 こういう傾斜配分の仕組みがいずれにしても強化をされてきている中で、しかも、年々交付金の総額が減らされている中で、安定して教員を雇えない、また、若手研究者の登用もできない、研究の裾野が狭まってしまう。そして、教員を多く抱えて交付金を選択的に受け取れるような、潤沢に受け取れる大学との格差というのは、残念ながらそれが広がっていることにつながっています。

 それが都心と地方という構図で際立っていると思いますし、地元の地方大学に自宅から通うよりも、学費とか交通費がかかっても都市部の大学への進学を希望する学生が多いわけですね。

 コロナ禍では、人の流れは確かに変化があります。去年一年間の東京圏への転入超過は二〇一四年以来最も少なくなっていますが、男女別に見ますと、実は、男性が転出超過、東京を出ていく人の方が多かったんですが、女性は転入超過に相変わらずなっています。つまり、東京圏の転入超過というのは女性によって去年も維持されていますし、この転入超過の女性の数が常に男性を上回って推移してきているというところを考えると、これまでと傾向は変わっていないわけです。

 昨年時点の、昨年以前の人口移動も含めた意識調査の一つの抜粋を資料二でお配りをしているんですけれども、これは内閣府による意識調査の資料でございます。

 なぜ地元を離れる選択をしたのかについて、地元と異なる地域になぜ進学をしたのか、進学についての男女別の回答です。左から二番目の、自分が関心のある分野を学べる学校が地元になかったからというのが女性では最も多くなっています。

 コロナ禍でも東京圏への転入が二十歳から二十四歳の女性の層で顕著でありますし、大学や短大への進学をきっかけに地方を離れて、まずは政令指定都市で暮らしていこうと、私の地元秋田でも、宮城の仙台の方に進学をして、その後、東京に入っていくという方がやはり多いんですが、一度政令指定都市で暮らして、その卒業後に東京圏に就職をするという流れがやはり多いようです。男性でも左から二番目の回答が多いんですけれども、女性の回答割合がより高くなっています。それは、逆に言えば、そのニーズにかなう地方の大学があるならば選択肢に入れたい、そのように捉える女性が多いんじゃないかということが言えると思います。

 卒業後の就職や結婚に係る課題への対策というのは必要なんですが、まずは地方の大学の教育環境というものが、こうした調査にあるような関心の持てる多様な分野、研究のニーズに応えられるように国として後押しをしていくことが地元にとどまる一つのきっかけになって、子育て世代の地方からの流出を防ぐ、大学がこの最初のとりでになるというふうに思いますけれども、野田大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 地方から東京圏へ人口が流出している要因の一つとして、委員御指摘のとおり、ニーズに合った高等教育機関の不足が挙げられ、分野によっては地元で学ぶ選択肢が限定的になる場合があると認識しています。

 このため、地方においてニーズに即した高等教育の機会が確保されることは、地方創生の観点からも重要であると考えています。

緑川委員 御答弁ありがとうございます。

 時代に合わせたそれぞれの大学の工夫で学生の獲得に努めている状況が、それぞれの大学で見受けられます。女子学生に人気のある国際関係の学部を再編して女性の学生割合が高くなっていたりとか、また、理系の学部では、女性研究者、こうしたビジョンを卒業後のキャリアもイメージできるように大学が支援していく、そこに力を入れていたりとか、あるいは、文系とか理系の学部を融合して、より入りたいという魅力を高める取組というものも聞いております。

 こうした地方大学を含めた息の長い多様な教育に対する取組というものを続けることがイノベーションにつながっていくと思いますし、学生の人気を呼んで地元への定着にもつながっていく、そんな後押しができる国の支援、予算の確保というものを是非お願いをしたいというふうに思います。

 地方分権改革について個々の自治体からの提案を募集して、その実現を目指す提案募集方式について伺います。

 今日もるる御議論になっていますけれども、この方式が取られて九年目になりますけれども、昨年までの市区町村の提案の実績を都道府県ごとに見ますと、大分県そして愛媛県のように県内全ての市町村で提案している県がある一方で、その県内で一割未満の市町村しか提案がなされていないというところがいまだに多くあります。

 地域ごとの提案の実績には差が出てきているというのが先ほどの議論でもあったと思います。地域の実情や課題に精通した地方の発意を起点としたスキームでありますので、より多くの自治体に声を上げてもらう、その熱量をより高めていくには国としてどのように今後対応していかれるのか、伺いたいと思います。

野田国務大臣 御指摘のように、提案募集方式の現状として、地域によって提案実績に差があることも課題であると認識しています。

 小規模な市町村では、自ら提案主体となるにはハードルが高いケースもありますが、市町村の提案実績の高い都道府県では、例えば、その都道府県内の市町村からの提案について他の市町村にも共同提案を呼びかけることで、複数の市町村の共同提案とすることを促していただいている場合があります。こうした共同提案を通じて、より多くの市町村が、支障事例や制度改正による効果が集まれば提案内容の説得力を高めることができるため、こうした都道府県の取組は提案の実現を目指す上で有効なものと考えております。

 内閣府としても、小規模な市町村については、まずは共同提案から参画いただけるような、必要な支援をしてまいりたいと考えています。

緑川委員 九年目で、積極的に出してきた自治体あるいは都道府県というものも次第に少なくなってきているというふうに思います。昨年でも、この提案募集は、提案件数だけではなくて、提案する市町村の数も減っています。

 共同提案も含めて、これまで提案のなかったところにいかに出してもらうかということが重要であると思いますし、事務手続がなかなか煩雑なのではないか、ノウハウが必要なのではないか、提案になじみのない自治体ほど業務の負担というものを気にしてなかなか動き出せない自治体があると思いますので、新たな発意、貴重な発意というものをしっかりと形にできるようにサポートをお願いしたいというふうに思います。

 今回の法案では、医師や歯科医師、薬剤師のオンラインでの届出が可能となる見直し、先ほども御答弁をいただいた面があります。これらの免許を持っている方は、二年に一度、十二月三十一日現在の住所や勤務先などを届けるということが法で義務づけられています。これまで都道府県を経由して紙での提出しかできなかったんですが、今年の十二月三十一日以降の届出についてはオンラインで国に直接提出することができるように見直すということなんです。

 ただ、直近でオンラインで行えるというのが、医療機関、また歯科医療機関、薬局に勤務する方だけ。そうでない方、例えば医師でいえば、就活中の方、霞が関を始め官公庁に勤めている方、そして医師の資格とは関係のない仕事をしている方、そしてフリーランスの方、こうした方々は、今回オンラインでできず、従来どおり紙で届けることになりますけれども、これがオンラインでできるのが再来年の十二月三十一日以降の届出からということになっています。要は、前者と後者でオンライン化の時期に違いが生じました。

 二つ目の問いだけにしたいと思うんですけれども、オンライン化は二〇一九年の提案募集の段階で既に提案されていたものなんですが、政府は、そのときは、オンライン化するには準備期間が短い、実務上の対応が難しいという理由で先送りにしています。しかしながら、法改正自体はそのときにできたわけであります。それによって、今回違いが生じてしまったオンライン化の時期というもの、これも一本化できたはずです。

 このほども、デジタル化を進める際には、いろいろなシステムで一連の不具合の問題が起きているということも考えますと、やはり早期に改正を目指して準備を進める必要があったのではないかというふうに思いますが、そのお考えを伺いたいのと、今後、システムの不具合への備えというものは、法改正には時間がかかりましたけれども、この間、十分に不具合への備えは取られているという認識でよろしいでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのありました三師届の調査でございますが、このオンライン化につきましては、令和元年の地方分権改革に関する提案募集でいただいたというのは、そのとおりでございます。

 令和元年の十二月二十三日に閣議決定をされた内容でございますが、令和元年の地方からの提案等に関する対応方針において、令和四年度の届出からのオンライン化に向けての検討を行うことというふうに対応方針で閣議決定をいただいたところでございます。

 それを受けまして、私どもといたしましては、令和元年十二月以降、届出のオンライン化の実務的なフロー、それから、先生御指摘いただきましたようなオンラインに当たっての技術的な内容、こういったことを今現在も並行して行っておるところでございます。

 これにやや時間がかかったことは事実でございまして、都道府県の業務負担などにも配慮しながら、今般この法案を提出するというところに至ったというものでございます。

緑川委員 大臣からも、通告しておりますので、一言いただければと思います。

野田国務大臣 御指摘のとおり、本提案は令和元年になされたものであり、令和元年の地方からの提案等に関する対応方針において、令和四年度の届出からのオンライン化に向けて検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされたものです。

 内閣府において、過去の対応方針についても閣議決定に基づくスケジュールや内容どおりに検討が進んでいるかどうかフォローアップを行っているところですが、本件についても、厚生労働省との必要な調整を続けた結果、令和三年の地方からの提案等に関する対応方針においてオンライン化に関する措置内容が決定されたところです。

 現在の提案募集方式においては、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って各府省と調整をしているところですが、本件のように検討期間を要する提案に関しても、内閣府において引き続きしっかりとフォローアップを行うことにより、実現に結びつけてまいりたいと考えています。

緑川委員 今年十二月ですので、システムの運用テスト、綿密なこれまでの取組もあると思いますけれども、あるいは関係機関への十分な周知を徹底していただいて、万全を期していただきたいというふうに思います。

 医療機関に関連する課題として私の方から質問させていただきたいものが、保険診療として往診を行う際の距離制限についてお尋ねをしたいと思います。

 最後、資料の三を御覧いただきたいんですが、令和四年の診療報酬点数表の往診料に関する通知の抜粋です。

 これは、患者の急変など、いつ起こるか分からない突発的な事態に対応するのが往診なんですが、保険診療で行えるというのがこの円形に書かれている範囲なんですね。その患者の家から半径十六キロメートル以内の保険医療機関だけで、それ以上離れた地域からの保険診療による往診は原則認められていません。

 この十六キロルールは、定期的に医師が患者の家を訪れる訪問診療にもあるんですが、例外として、書いてあるように、二つの場合があります。その患者の家から半径十六キロメートル以内に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合と、また、専門の医療機関があっても往診を行っていない場合など、絶対的な理由がなければ、十六キロを超えている医療機関による往診は保険外診療になりますので、患者負担になるという規定です。

 ただ、この十六キロルールは、確かに、外の地域からの特定の医療機関に患者が集中することを防いだり、緊急時には近場が対応する、そうしなければ間に合わないこともあることを考えれば、距離制限には一定の合理性があるんですが、例えば、十六キロ以内に専門の対応ができて往診を行える診療所があっても、そこに医師一人だけしかいない診療所、その体制で外来中心の診療所であるような場合には、外形的にはそういう範囲に医療機関があっても、その診療所が実質十六キロ以内の範囲を全て在宅医療をカバーできるのかという問題があります。

 高齢化が進む地域の中でどんどん増えている通院が難しいという患者さんに対して在宅医療を提供できるかという観点から、この十六キロルールというのは昭和の本当に古いルールですので、地域に即して考える必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の御指摘を頂戴いたしましたとおり、往診、訪問診療につきましては、患者の急変時などに緊急の往診をするなど、地域において適切な医療を提供するに当たって、保険医療機関の所在地と患者の家との距離が近い距離内にあることが望ましいことなど、いろいろな事情を踏まえまして、その距離が十六キロメートルを超えるものは、その保険医療機関からの往診等を必要とするやむを得ない場合に限り認められるものとする運用としているところでございます。

 やむを得ない理由につきましては、先生から今資料でお示しいただいたとおり、専門的に対応できる保険医療機関が存在しないとか、あるいは、存在していても、その当該保険医療機関が往診等を行っていないといったような場合などが考えられるということについて、疑義照会などでお示しをしてきたところでございます。

 今先生御指摘のとおり、やはり都会部と過疎地とでいろいろと状況は違うだろうというのは、私どもとしてもそこは確かに違う面があるかと思っております。確かに、過疎地域においては、医療提供体制が非常に脆弱な中で、必要な体制をどう確保するかというのは大きな課題でございますし、一方で、都市部においては、多くの医療機関が存在する中で、過疎地域とは必ずしも同じ状況とは言えないということも考えられるかと思っております。

 いずれにしましても、改定結果の検証と併せて、現場の御意見をよく伺って実態を把握しながら、どのようなやり方がよいのか検討してまいりたいと考えております。

緑川委員 これは自治体を通していろいろと提案という今回の議論でもありますので、意見をしっかりと集めていただくということがとても大事かというふうに思います。

 大臣、済みません、地方の活性化という観点でこの問題について一言頂戴したいと思うんですが、紹介手続とか逆紹介の手続を取っている間に患者が急変した場合に、間に合わない場合があると思います。やはり範囲外からしっかり駆けつけられる医療機関というものが必要であるというふうに思っています。この支障が生じ得る地域を細かく調査して、自治体からの意見も聞きながら、全国一律の距離設定ではなく、十六キロに定めず、地方の目線でその実情に即したルールに柔軟に変えていくことについて、御見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 委員も御了解いただいておりますが、この件については所管外でありますし、また、まだ地方からの提案がなされている案件ではございませんので、具体的な答弁は差し控えたいと思います。

 保険医療機関の往診等に関する取扱いについては、厚生労働省において、今も説明がございましたが、地域の実情等を踏まえながら、適切に判断されるべき問題だと考えています。

石田委員長 もう時間が参っております。

緑川委員 これで質問を終わります。引き続きまた議論をさせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、おおつき紅葉君。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 前回に続き、質疑の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。

 初めに、現在も安否不明者の捜索が続いている知床遊覧船事故に関して、決して看過できる事態ではないことから、徹底した事故の原因究明と、そして情報の開示を政府には求めたいと思います。

 では、法案質疑に先立ちまして、前回、初めての一般質疑において、地方創生に係るそもそも論を質疑させていただきました。そのときの野田大臣の御答弁で、これまでの取組の中で女性や子供に焦点が当てられていなかったとの御指摘がありましたので、女性の視点で一点お伺いさせていただきたいと思います。

 先月、企業の制服に関するアンケート調査が発表され、その結果、現在の女性銀行員だけが着用する制服を銀行業界が廃止する動きを、よいと思うと回答したのは四五・八%で、よいとは思わないの二四・二%を大きく上回ったことが分かりました。

 ただ、依然、職場での制服を求める声も約半数に上ることも分かりましたが、女性行員だけ制服着用の廃止に半数近くが好意的という結果は、企業の職場での制服の有無よりも、女性のみと、特定の性別を対象とした部分に反対という考えを持った方が多かったのではないかと思っております。

 今回の調査結果から、今後職場での制服はどう変わっていくのでしょうか。近年、コロナ禍における在宅や時短勤務、そしてフレックスタイム制など様々な働き方が導入される中で、ダイバーシティーの推進を企業が率先して牽引していくためにも、このような調査結果を受け止めて、これからの時代に合わせて、企業の活性化、そしてやる気の促進のためにも、強要するよりも選択肢を広げることが求められているのではないでしょうか。

 そこで、職場における特定の性別を対象とする制服の着用や、お化粧までも強要する就業規則について、現在大臣が兼任されている男女共同参画や女性活躍の趣旨に反し、性差別につながりかねないと思うんですけれども、野田大臣の御所見をお伺いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 こういう地方創生を議論する場で女性というワードが出てくることは大変喜ばしいことだと思いますので、積極的に皆様方にも、地方創生の要の一つが女性である、そういう運びが進んでいくことを期待しているところですが、今回は制服着用について。

 職場における制服着用は、安全性や信頼感など、様々な観点から導入されているものだと思われていますが、少なくとも、女性にだけ制服や化粧を義務づける、これについては、この令和の時代においては合理性があるとは言えないのではないかと考えています。使用者側と労働者側の双方に、固定的な性別役割分担意識を持っていないかどうか、考える機会を持っていただきたいと思います。

 更に言えば、女性だけが制服を着用することが多いことの背景には、女性の仕事は受付や事務、男性の仕事は営業や企画といった職域に関するアンコンシャスバイアスがあることも考えられます。

 このようなアンコンシャスバイアスの解消に向けて、昨年度、内閣府男女共同参画局が作成したチェックシートや事例集、フリーイラストを活用するとともに、全国の地方公共団体等を対象としたワークショップを実施するなど、啓発をしっかり行ってまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 選択肢を広げていただくことで女性の働きやすい環境というのは整えられると思いますので、是非推進のほどをよろしくお願いいたします。

 さて、地方分権改革に係る成果についてお伺いいたします。

 地方分権改革は、平成五年の衆参両院の地方分権の推進に係る決議を契機として、これまで、機関委任事務の廃止、そして国の関与に関する制度の創設、国から地方公共団体への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直しなど、地域の自立性、自主性を高めるための多くの取組が四半世紀にわたって進められてきました。

 一方で、今年三月に公表された総務省のデジタル時代の地方自治のあり方に関する研究会報告書では、新型コロナウイルス感染症への対応に関して、地方自治、地方分権を重視する意識が施策の円滑、効果的な実施の支障となる面があったとの指摘が見受けられたと記載されています。例えば、医療提供体制の確立や休業要請の在り方、経済振興の進め方等をめぐって、国と都道府県、あるいは地方公共団体間の意見の相違や連携不足が顕在化したこと、また、国や地方公共団体において感染症対策に関する複数のシステムが併存又は急造されることによって、地方公共団体や保健所、医療機関での混乱や作業負担が生じたことなどです。

 そこで、まず、これまでの地方分権改革の取組の成果について大臣はどのように評価されているのか、御見解をお伺いいたします。あわせて、これまでの地方分権改革の取組が新型コロナウイルス感染症対応の円滑そして効果的な実施の支障となる面があったとの指摘に対する政府の受け止めをお願いいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方分権改革につきましては、平成五年の衆参両院における地方分権の推進に関する決議、これを起点とし、平成七年の地方分権推進法以来行われてまいりました第一次地方分権改革において、機関委任事務制度を廃止し、国と地方の関係は、それまでの上下主従の関係から、対等、協力の関係へと大きく転換されたものと考えています。

 また、平成十八年の地方分権改革推進法以来の第二次地方分権改革においては、時限で設置された委員会の勧告に基づいて、基礎自治体への権限移譲や義務づけ、枠づけの見直しなど、地方の自主性、自立性を高めるための多くの改革を積み重ねてきたところであります。

 こうした改革を踏まえ、平成二十六年からは、地方の発意に基づく提案を広く募集した上で、その実現に向けて検討を行う提案募集方式を導入して、住民に身近な課題を現場の知恵と創意工夫で一つ一つ具体的に解決できるような取組を進めてきたところです。

 この方式は地方側からも評価をされています。地方分権改革は着実に進んできたものと考えていますが、今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方の自主性とか自立性を高めるための地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいります。

 御指摘がありました総務省における研究会の報告書については、詳細を承知しておりません。

 なお、今般の新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえた国と自治体及び自治体相互間の関係などについては、本年一月十四日に発足した第三十三次地方制度調査会、ここにおいて検討が進められていると承知しています。もちろん、内閣府としても地方制度調査会の動向を十分注視してまいりたいと考えています。

 また、新型コロナウイルス感染症への対応に当たって、国は基本的対処方針で大きな方針を示し、各地方公共団体は、対処方針を踏まえて、地域の感染状況等に応じて講ずるべき措置を判断するという役割分担の下、国と地方公共団体が緊密に連携をしながら、それぞれの立場で役割を果たすことが重要であります。

 これまで、国と地方がそれぞれの立場で役割と説明責任を果たしながら、共に難局に対処してきたと私は考えております。

 今般の感染症対応で直面した課題等については、繰り返しになりますが、第三十三次地方制度調査会において、岸田総理より、デジタル化の進展及び感染症対応で直面した課題等を踏まえ、国と自治体及び自治体相互間の関係などについて諮問があり、検討が進められていると承知しています。

 しっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

おおつき委員 今ありました中の地方からの提案について更にお伺いいたします。

 平成二十六年から始まりました提案募集方式ですけれども、八年目となった昨年も地方からの提案が二百二十件あったと伺っております。しかし、この提案募集方式も、初年度の平成二十六年には九百五十三件の提案があったのに対し、その後は三百件程度となって、令和二年には二百五十九件、そして昨年においては二百二十件と減少傾向にあるんです。

 そこで、このように提案件数が減少傾向にある原因について、政府はどのように認識しておりますか。また、地方公共団体がより提案しやすい仕組みを整えるなど、新たな提案の掘り起こしや分野の拡大に向けた取組について、政府の見解をお願いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました提案件数の減少につきましては、まず、現在の新型コロナウイルス感染症への対応等によりまして地方の業務負担が増大していると考えられることに加えまして、複数の地方公共団体によります共同提案が増えております。以前であればばらばらに提出されておりました提案が、一つの提案にまとめられるようになったという傾向がございます。

 さらに、提案に先立って、私ども内閣府で行っております事前相談の中で地方の現場での支障や問題意識を丁寧に酌み取ることで、提案の的が絞られていくということなどが要因として考えられると思っております。

 一方、提案の趣旨を踏まえ対応した件数について見ますと、直近の五年間でございますけれども、毎年百五十件前後と一定の水準を維持しているところでございます。提案募集方式は着実に成果を上げているものと認識しております。

 御指摘ございました新たな提案の掘り起こしに資するような取組といたしましては、例えばでございますが、令和四年における募集に当たりましては、重点募集テーマを設定いたしまして、具体的な検討の視点をイラストなどによりましてより分かりやすくお示しをしております。

 さらに、地域の課題発見や解決能力の向上に結びつくよう、都道府県等と連携いたしました市町村向け研修会の実施や、提案募集方式について実例を含め分かりやすく解説をいたしましたハンドブック、さらに、具体的な提案実現の成果をイメージしやすくするための成果事例動画、こういったものを作っておりまして、提案の検討の支援のためのツールを充実してまいったところでございます。

 今後とも、地方の現場の課題を具体的な提案に結びつけていただけるよう、提案募集方式の更なる充実に取り組んでまいりたいと考えております。

おおつき委員 岸田総理も聞く力ということを掲げておりますので、是非、地方の声を引き上げられるように、聞けるような体制を更に整えていただきたいと思っております。

 次に、本法案に係る住民基本台帳の一部改正案について質問いたします。

 現在、地方における空き家対策や地籍調査は、防災や災害復旧、そして生活環境の保全などの様々な効果があり、重要であることは言うまでもありません。

 市区町村が空き家対策や地籍調査を進めていくには、その所有者などを特定する必要がありますが、転居や相続などによって特定できない場合も多く、その場合、住民票等をほかの市区町村に請求する、いわゆる公用請求によって確認する必要があります。

 例えば、令和三年度の提案募集において、地籍調査にあっては、提案団体から、千五百人程度の公用請求が必要だったなどの支障事例が挙げられており、過大な事務負担が生じていたとされています。

 さて、今回の法改正によって、空き家や土地の所有者などを調査する際に住民基本台帳ネットワークシステムが使えるようになることで、住民票の公用請求に要していた時間や費用が削減されることが考えられます。

 そこで、これまで一般的に住民票の公用請求はどれだけの時間や費用がかかっており、今回の法改正でどれだけ削減できると見込んでいるのでしょうか、お伺いいたします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 今回の地方分権一括法案におきましては、住民基本台帳法の改正によりまして、住民基本台帳ネットワークシステムを利用できる事務に、国土調査法に基づく地籍調査の実施、空き家法に基づく調査等の事務を追加することとされてございまして、これによりまして、地方団体が土地の所有者等の現住所を特定するために行う住民票の写しの公用請求が不要となります。

 住民票の写しの公用請求につきましては、一般的に、職員の事務負担、それから郵送のための経費がかかってございます。また、今回の提案の中では、公用請求のやり取りに一か月程度要する場合もあったということで意見が上がったものと承知してございまして、今回の法改正によりましてこれらが削減されまして、市区町村の負担軽減や事務の迅速化につながるものと考えてございます。

 なお、総務省におきまして個別の法律に基づく公用請求の件数等は把握してございませんので、大変申し訳ありませんけれども、調査全体で削減した具体的な時間や経費につきましては、お答えすることは困難でございます。

おおつき委員 さて、住基ネットを利用することで地方公共団体の事務の効率化が図れるのであれば、それについて反対する理由はありません。むしろ、なぜ今まで使えなかったのかという気がいたします。

 住基ネットを利用する事務を追加するという改正はこれまでも行われてきました。そうなると、今回追加される事務以外にも、地方公共団体が行っている事務の中には、住基ネットを活用することで効率化できるものがまだあるのではないでしょうか。

 さきの参議院における本法案の審査において、先輩の岸真紀子議員からも、提案募集方式で提案のあった部分に限らず、住民基本台帳法の改正であれば、地方公共団体の住民係はどこから公用請求が来ているかが分かるはずだから、ほかにも事務負担軽減につながる課題が残っていないか聞くのはどうかという旨の提案がありましたが、私も全く同意見です。

 住民基本台帳の担当部署においてほかの市町村などからの公用請求を業務として真摯に対応している職員が、公用請求が多くて困るといった支障事例の提案をすることはなかなか思い至らないのではないでしょうか。だとしたら、住基ネット利用事務の拡大に向けて、地方公共団体からの提案という形にこだわらず、政府から積極的に聞き取りを行って対応していくことも必要なのではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 住民基本台帳ネットワークシステムは、その利用によりまして最新の住所等の本人確認情報が把握可能となることで、地方団体における事務負担の軽減や事務の迅速化につながるものと考えてございます。

 令和四年の分権提案の提案募集におきまして、住民基本台帳ネットワークシステムの利用も含めまして、デジタル活用によって事務の効率化、簡素化につながるよう、デジタル、情報通信技術の活用を重点募集テーマとしているものと承知してございます。

 住基ネットの利活用につきましては、住民の利便の増進と行政の効率化に資するよう、重点募集テーマへの御提案も踏まえつつ、自治体のみならず関係省庁とも丁寧な議論を行いながら対応していきたいと考えてございます。

おおつき委員 是非自治体の声を聞いていただけたらと思います。

 続きまして、農村地域への産業の導入の促進等に関する法律の一部改正案について伺いますが、農水省の所管ですので、一言、私の地元北海道の熊被害について触れさせていただきたいと思います。

 近年、地方だけではなく、札幌市など大都市の市街地まで出没する熊が深刻な問題となっております。先日も、私が朝街頭に行く高速道路の途中で、電光掲示板に熊出没通行止めということがありました。都会ではあり得ない、地方での熊による通勤通学への影響はもとより農業被害は、熊だけでなく鹿も地方経済や社会に甚大な影響を与えておりますので、地方創生推進に資する上でも、例えばフェンスの設置だとか狩猟後継者の育成など、今後、更なる被害の防止施策への支援をお願いしたいと思っております。

 さて、この農村地域産業導入促進法は、昭和四十六年に、農村地域における工業の導入を促進し、新たな雇用を創出することを目的として制定されました。その後、昭和六十三年の改正により対象業種が工業や道路貨物運送業等の五業種となって、平成二十九年の改正により対象業種の限定が廃止されたという経緯があります。

 農村地域への産業の導入に当たっては、都道府県が作成する農村地域への産業導入に関する基本計画において、義務的記載事項として導入する産業の業種の記載が必要とされており、また、市町村は、この基本計画の内容に即して、農村地域内の地区の産業の導入に関する実施計画を定めることができるとされています。

 そこで、まず、平成二十九年の改正後に工業や道路貨物運送業等の五業種以外の新たな業種が位置づけられた実施計画は何件策定されたのでしょうか。また、そうした実施計画に基づいて行われた事業の具体的な事例についても併せてお答えください。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 農村産業法の導入業種につきましては、平成二十九年七月にそれまでの工業等五業種の限定が撤廃され、それ以降、五業種以外の業種が追加された市町村の実施計画数は、令和四年三月末時点で十四計画となっております。

 また、市町村の実施計画において新たに導入された業種の具体的事例といたしましては、自動車整備業五件、情報サービス業四件などとなっております。

おおつき委員 今回の改正では、都道府県が定める農村地域への産業導入に関する基本計画の義務的記載事項から、導入する産業の業種を削除することとしています。導入産業の業種に関しては、国が定める農村地域への産業導入に関するガイドライン等では、地域の農業と導入産業が相互に補完し合い、そのいずれもが発展するような、地域に賦存する資源を活用する地域内型産業や農村地域での立地ニーズのある産業の導入を推奨するとしています。

 地方公共団体からの提案では、具体的な支障事例として、市町村が基本計画にない業種を導入する際、都道府県はその都度基本計画の変更に伴う主務大臣との協議が必要となり、計画変更に要する過大な事務負担が生じていることが挙げられています。

 そこで伺いますが、平成二十九年改正の対象業種の限定廃止にとどまらず、今回の改正によって導入する産業の業種についての記載義務が廃止されることになると、様々な業種が導入される余地があるように思えます。そうなると、例えば農村地域の振興にそぐわないような産業が導入されてしまうおそれがあるのではないでしょうか。そうした懸念を払拭するためにも、政府の見解をお答えください。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 農村産業法につきましては、国が基本方針を定めまして、これに即しまして都道府県や市町村が計画を策定するというスキームになってございます。

 御指摘のように、市町村によっては、農村地域の振興にそぐわないような業種が選定される、そのような懸念の声もあるところでございます。こうしたことがないようにするため、国としては、国の定めます基本方針におきまして新たに業種の選定の考え方を明確に示すことを想定し、それにつきまして都道府県や市町村に明示をしていくということとしたいと考えております。

 この業種選定の考え方に沿って都道府県が市町村の実施計画をチェックし、同意をすることによって、市町村において農村地域の振興にそぐわないような産業が導入されないようにしてまいりたいというふうに考えております。

おおつき委員 最後に、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部改正案について質問いたします。

 さて、この通称液石法は、高圧ガス保安法から液化石油ガスの一般消費者等の保安に関する部分を抜き出した法案だと承知しております。

 本改正案では、液石法に基づく都道府県知事の事務、権限について、指定都市長へ移譲することとしています。これによって、これまで都道府県と指定都市の双方に必要だった手続が、指定都市が一体的に所管することで、行政事務の効率化及び液化石油ガスの保安に関する統一的な指導等が可能になるほか、窓口が一本化されることによって事業者の利便性向上が図られることが見込まれています。

 しかし、都道府県知事から指定都市長への権限移譲について、現行においても、地方自治法に基づく事務処理特例制度を活用することで対応が可能となっているところです。

 今回の液石法に基づく事務、権限の都道府県知事から指定都市長への移譲については、経済産業省が令和元年十月に、政令指定都市そして政令指定都市を持つ道府県及び道府県LPガス協会に対してアンケート調査を行っています。この調査によりますと、液石法の改正による権限移譲について、十五道府県及び二十政令指定都市のうち、十団体がどちらとも言えない、五団体が反対と回答しています。その理由として、既に事務処理特例で権限移譲を行っている道府県がある中で、あえて権限移譲を法制化する必要があるのかという疑問の声や、支障事例などの状況は団体ごとに異なるため、事務処理特例の活用が望ましいという声がありました。

 そのほか、道府県LPガス協会は、保安の指導内容や事務処理の統一性の観点から都道府県が一元的に管理することが望ましく、行政の効率化のみで権限移譲を進めるべきではないとコメントしています。

 そこで、まず、こうした声もある状況において、今回の改正により全国一律の権限移譲とした理由、また、権限移譲により事務負担が増加となる指定都市への体制整備に向けた支援について、政府の見解を伺います。

苗村政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年地方分権改革に関する提案募集におきまして、三県三市から、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、いわゆる液石法の都道府県知事の事務、権限を指定都市の長に移譲することを求める旨の提案がなされました。

 この提案を踏まえまして、経済産業省において同年に都道府県及び指定都市に対して意向調査を実施したところ、一県四市から権限移譲に反対との回答があったことは事実でございます。

 その後、権限移譲の内容等につきまして説明を丁寧に行いました結果、令和二年に改めて意向調査を実施した際には、おおむね理解が得られたということが確認できましたので、全国一律の権限移譲とすることといたしました。

 また、指定都市の体制整備に向けた国の支援につきましては、当省が実施しております都道府県等の職員向けの研修に関しまして、令和三年度より、今回の法改正により権限移譲が予定される指定都市に対しても御案内を行っているところでございます。

 さらに、同じく令和三年度より、指定都市の職員を対象といたしまして、液石法に係る執行業務の実務を身につけるための講習会を新たに開催いたしまして、全ての指定都市の職員に参加をいただいたところでございます。

 こうした研修につきましては、自治体間の運用の差を解消していく上でも、当方としては有効というふうに考えております。今年度も、研修及び講習会を実施いたしまして、指定都市の体制整備に向けた支援に努めてまいりたいと考えております。

おおつき委員 苗村審議官、最後にもう一点お願いいたします。

 この液石法の権限移譲についてなんですけれども、令和二年の九月に政令指定都市と政令指定都市を持つ道府県に対して行った聞き取り調査において、既に事務処理特例によって権限移譲を行っている政令指定都市、私の地元、北海道の札幌市など、全国一律に権限移譲が行われた場合、同特例による道府県から政令指定都市への交付金がなくなるので困るという意見があったと承知しております。

 そこで伺いますが、今回のこの液石法に基づく事務、権限の都道府県知事から政令指定都市長への移譲に伴ってどのような財源措置を講じる予定でしょうか。これを最後にいたします。

苗村政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年十二月に閣議決定されました令和三年の地方からの提案等に関する方針では、事務、権限の移譲に伴う財源措置については、地方公共団体において移譲された事務、権限を円滑に執行できるよう、地方税、地方交付税や国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずるとされております。

 権限移譲に伴って都道府県から指定都市に移行すべき財源の規模の算定については、適切に対応してまいりたいと考えております。

石田委員長 もう時間が参っております。

おおつき委員 ありがとうございます。適切な措置をお願いいたします。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございますけれども、第十二次地方分権一括法案並びに関連事項につきまして質問をさせていただきます。

 初めに、医療等の届出に係る都道府県経由の事務の廃止について確認をさせていただきたいと思います。

 今まで、医師、歯科医師、また薬剤師は、二年ごとに、住所、氏名また従事先等を書類で住所地の都道府県を通して国に届けなければならなかったものが、今回の改正で、オンラインで直接国に提出できるようになります。平成三十年の届出は、医師が約三十三万人、歯科医師が約十万人、薬剤師が約三十一万人となっており、これらの届出が紙ベースからペーパーレスのオンラインに変わることにより、医師等や都道府県の事務負担は大幅に軽減されるものと期待をしているところでございます。

 ここで、国に直接オンラインで届けられるのであれば、国の再登録業務においても、内容のチェックから再登録について自動化を進めることも有意義かと思いますが、この点について見解をお聞かせください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の、医師法等におきまして二年ごとに届出を行う仕組みにつきまして、現在紙で行っているところでございますが、この改正がなされまして届出がオンライン化されました後には、先生御指摘のとおり自動的に、例えば、記入漏れのチェックですとか、数値の明らかな誤り、こういったものがはじかれるような仕組みということが可能なのではないかというふうに考えておりまして、そのような仕様にすることを検討しているところでございます。

 引き続き、届出業務が医師側、都道府県側双方にとって効率的になるように検討してまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 入力のときから最後まできちっと、トータルで、一貫した、そういったシステムにしていただければ、このように思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、ここで、地元によい医師や看護師がいて、よい病院があれば、誰もが安心して暮らせる地域ではないか、少子高齢化社会にあって、どこに住んでいても質の高い医療が提供される環境を整えることは大変に重要なことであると思います。

 一方で、我が国においては、医師や看護師の偏在の進行や全国三百四十四の二次医療圏にある基幹病院の治療能力の格差も広がりつつあるとの声を聞いているところでございます。

 そこで、まず、都道府県別の医師の偏在について、また、日本における治療能力も含めた医療の格差について、当局の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねの医師の偏在状況についてでございます。

 医師の偏在指標、すなわち、地域の人口構造などの需要側の状況と、あとは医師の性別や年齢分布などの供給側の状況、こういったことを加味した医師偏在指標というものを作っております。

 これを見ますと、最も高い県が東京都、最も低い県は新潟県というふうになっているところでございます。

 こういった偏在への取組といたしまして、平成三十年に成立をいたしました改正医療法に基づきまして、まず、各都道府県におきまして医師確保計画を策定していただくことにしております。これに基づきまして、都道府県の中で地域医療対策協議会を設けていただき、よく協議をしていただいた上で取組を進めていただくこととしております。

 具体的には、医師不足の地域で一定期間勤務することを約束して入学をしていただく地域枠の医学生、こういった者に対する修学資金の貸与、こういった取組を行っておりまして、これは国としても、地域医療介護総合確保基金から支援を行っているところでございます。

 また、それ以外にも、改正医療法に基づいて地域医療対策協議会ができたわけですけれども、そこで、地域枠の医師の派遣、医師の少数区域への派遣、こういったことも協議をしていただくこととしております。

 加えまして、今度は医師の養成課程のところでの偏在対策としては、臨床研修においての定員の設定、また専門研修におけます都道府県、診療科ごとに将来必要な医師数に基づくシーリング、こういったことを行っております。

 引き続き、自治体とよくお話をしていきながら、具体的な取組を続けてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 医師の数と、また育成ということで、地域で安心して医療が受けられる環境を進めていただければと思います。

 ここで、地域の医療格差の解消の一つとして、AIホスピタルということについて伺いたいと思います。

 例えば、二人に一人が罹患すると言われているがんに対して、初期の正確な診断が重要であると同時に、手術や放射線治療、あるいは化学療法など、それぞれの専門性があるため、専門家がたくさん集まっている拠点病院が必要になると思います。

 また、心筋梗塞や脳梗塞などの緊急的な医療が必要な疾病についても、定期的な健診の中で的確に病根を把握し、事前にカテーテル等による措置を施すことにより発症を防ぐこともできるかと思います。

 国民は全国一律の保険料と治療費を払っているのに、現実には受けられる治療に差があるのでは不公平ではないのか。

 そこで注目されているのが、AIホスピタルでございます。二〇一八年度の内閣府戦略的イノベーション創造プログラム、SIPの第二期において、医療分野におけるソサエティー五・〇の実現に向けた課題として、AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム研究が採択されました。

 そこで、伺います。

 まず、AIホスピタルの研究の目的はどこにあるのか、また、現在、社会実装に向けてどのような取組が進められているのか、お伺いをいたします。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、SIP第二期の課題の一つとして、AIホスピタルによる高度診断・治療システムについて、厚生労働省等、関係省庁と連携して取り組んでいます。

 AIホスピタルでは、医療分野におけるソサエティー五・〇の実現に向けて、AI、IoT技術を用いて大量の医療情報を有効活用し、高度で先進的かつ最適化された医療サービスの提供や、医師、看護師等の医療従事者の負担軽減や、医療の効率化にも資することなどを目指しており、AIホスピタルの社会実装により、患者の皆様の満足度を高め、安全、安心な医療を提供することが期待できると考えています。

 本課題における取組として、セキュリティーの高い医療情報データベースの構築、音声入力によるカルテの作成、医療従事者の負担を軽減するAI機器の開発、さらに、医療分野におけるAIの開発、利活用を促進するためのプラットフォームの構築などを進めており、二〇二二年度を目途に、医療機関にAIやIoTシステムを導入したモデル病院の運用開始に向けて取組を進めているところであります。

輿水委員 ありがとうございます。

 ここで、AIホスピタルの社会実装に向けて、医療AIプラットフォーム技術研究組合あるいは日本医師会AIホスピタル推進センター、そういった形で今組織がつくられる中で進められていると思いますけれども、それぞれどのような役割を果たしていくのかについてもお聞かせ願えますでしょうか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 AIホスピタルの社会実装に向けて、AIを用いた画像診断などの新たな技術が医療現場で広く利用されて定着するためにも、現場にとって使いやすいプラットフォームを構築することが重要であると考えております。

 このため、AIホスピタルにおける研究開発体制と役割ですが、医療AIプラットフォーム技術研究組合は、医療AIサービスを多くの医療機関等に廉価かつ公平に提供するための基盤や、新たな技術開発のためのデータを提供する開発基盤など、基盤技術の開発を担います。

 一方で、日本医師会に設置されたAIホスピタル推進センターは、医療AIサービスを提供する事業者の認定などのルール整備を担うことにより、技術開発から社会実装に向けたルール整備など、一気通貫に取り組んでまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 それでは、現在、医療AIプラットフォームの試行運用も進められていると伺っておりますが、その状況についてお聞かせ願えればと思います。そして、そこで、医療AIプラットフォームを医療の現場で活用するに当たって、現在見えている課題と対策等についてもお聞かせ願えますでしょうか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 AIホスピタルの社会実装に向けて、医療AIを搭載するためのプラットフォームや、プラットフォーム事業に対するルール整備の検討を進めるために、医療機関における試行運用を実施しているところであります。昨年十二月から、日本医師会AIホスピタル推進センターにより、試行運用に参加する医師の募集が行われておると承知しております。試行運用を通じた課題の抽出や、更なる研究開発について取り組まれているものと認識しています。

 内閣府としては、見出された課題への対応を含め、AIホスピタルの社会実装を通じ、医療分野におけるソサエティー五・〇の実現や地域の医療格差の解消に資するよう、関係省庁とも連携して取り組んでまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 医療格差の解消に向けて、AIホスピタルの一日も早い社会実装を期待をしたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 土地改良法に基づく市町村応急工事計画に係る手続の見直しについて伺います。

 現在、市町村が土地改良法に基づき災害復旧工事を実施する場合は議会の議決が必要となっていますが、今回の改正で、応急工事計画に係る議会の議決が不要となります。この改正により、農業者の営農再開や、農民の安全のための災害復旧工事が迅速に進められるようになります。

 当然、予算措置につきましては市町村に適切に措置がされるものと認識をしているところでございますが、ここで、年々激甚化、頻発化する自然災害に対して、その復旧を推進する計画を立てる土木技術者や技能者が不足しているとの声を聞きます。また、地方においては、道路や橋や下水道などのインフラの老朽化も大きな課題となっており、この土木技術者や技能者の仕事は増えることが予想されています。

 ここで、土木技術者、技能者について、今、離職率が非常に高く、また団塊の世代のベテランの皆様が大量に引退する、そういった時期に来ている、さらに、若手が入職してこないことなど、危機的な状況であるとも伺っております。

 そこで、地域の防災・減災、復旧復興を支える土木技術者及び技能者の不足について、当局の認識と今後の確保策についてお聞かせ願えますでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 建設業は、議員御指摘のとおり、地域の守り手としての重要性というのはますます高まってございますが、ほかの産業と比べますと高齢化が進んでおり、近い将来には高齢者の大量離職によります担い手の減少が見込まれております。将来の建設業を支える担い手の確保は待ったなしの課題と言えると考えてございます。

 国交省といたしましては、建設業が、給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる、新三Kと呼んでおりますけれども、魅力的な産業となりますように、業界等と連携しながら担い手確保に向けた取組を進めてございます。

 具体的には、若手入職を促進する観点から、建設現場におきます週休二日の促進、働き方改革を促進するとともに、公共工事の設計労務単価の十年連続での引上げ、建設キャリアアップシステムの普及などによります担い手の処遇改善に取り組んでいるところでございます。

 さらに、昨年十一月、有識者から成る検討会を設置しておりまして、優秀な人材の入職促進、生産性向上の観点から、建設業法に基づきます技術検定の受検資格の見直し、最近のICTの活用によります現場技術者の配置要件の合理化などの検討を行っておりまして、今月中を目途にいたしまして今後の検討方針を取りまとめまして、必要な調整を経た上で、措置できるものから対応していきたいと考えてございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。全力で推進をしていただければと思います。

 そこで、近年、激甚化する豪雨災害において、山地災害というのが多発しております。早急に山林を適切に整備し、住民の安全と安心を向上させることも必要だと思います。

 そこで、具体的に必要なことは、山林の地籍調査であると思います。この地籍調査は、今までは山に入っての測量や境界確認が必要でしたが、今日、リモートセンシングにより、ドローンによる遠隔での測量と、山に入ることなく町場において画像による境界確認が可能になってきたと伺っております。

 そこで、伺います。

 現在、リモートセンシングによる地籍調査は、今までの地籍調査に比べ時間や費用がどのように改善されるのか、また、その活用状況と今後の展開についてもお聞かせください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 リモートセンシング技術を活用した地籍調査につきましては、まさに山林部を念頭に置きまして一昨年の国土調査法の改正で措置していただいたものでございまして、これをしっかり普及していくことが大事だと考えております。

 その効果でございます。これは、調査地区の地形でありますとか、あるいは、もちろん大きな面積の方が低コストということはあるんですが、要は、従来の地面を測量する方法と比較して費用で約五割縮減されるという試算結果を得ているところでございますし、また、山林に入りませんので、安全に危険なくできるということでございます。

 今後、市町村におきます実際の導入事例などをしっかり検証することによりまして、時間や費用がどの程度効率化されるか、更に定量的な分析を進めてPRしてまいります。

 これまでの実績でございます。令和三年度に十六の市と町で導入されておりまして、本年度、令和四年度には二十八の市町村で導入が予定されているところでございます。

 この導入促進に向けまして、私ども国交省におきましては、例えば、地方公共団体職員向けの調査マニュアルでありますとか、あるいは研修を実施してまいりまして、今後とも更にそれをアップデートしつつ継続をしていくとともに、やはり今課題となっておりますのが、市町村等におきまして、このリモセン手法はとても費用がかかるのではないか、とても難しく大変じゃないのかという、誤解も含めた心理的ハードルがございます。これを下げていくことが重要と考えておりまして、私ども国交省の方で、各地で直轄でデモンストレーション的なモデル調査を実施しまして、その有効性とかあるいは円滑に導入するためのポイントにつきましてしっかりPRして理解していただく、こういった取組を通じて当該手法の普及に一層努めてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 今までの半分の予算でできるということで、山に入らないで済むということで、大分と境界確認もやりやすくなるのかなと。是非お願いいたします。

 今、まさに木材の価格が高騰する中で、国内の林業の再建というのは今がチャンスなのかな、このように思うところでございます。そして、山林の地籍調査の推進と同時に、山林の区画整理をうまく進めながら、そのことによって民有林への林道の整備が進んでくる。林道ができれば、今度は、そこの山の植栽や伐採や運搬、また製材、更にそこから建築、内装など、林業の六次産業化もどんどん進んでくるのかな、このように期待をしているところでございます。さらに、ただ林業用の針葉樹だけではなく、広葉樹の、バランスの取れた森林の整備により、山林の再生も進むものと思います。

 このような中で、リモートセンシングによる地籍調査と同時に、山林の区画整理についても積極的に進めるべきと考えますが、この点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 森林の持つ多面的機能を十全に発揮していくためには、長期的な視野に立った計画的かつ適切な森林の整備、保全を推進する必要がありまして、森林法において森林計画制度というものがございます。その中に、先生御指摘の、いわゆるゾーニングということをすることになっています。

 具体的には、民有林では、市町村が市町村森林整備計画において、水源涵養とか山地災害防止、そういった公益的機能の発揮を重視する、そういう区域を指定する、さらには、木材生産機能の維持増進を図る、いわゆる林業で循環利用をしていくような区域を定める、そして、それぞれの区域に関して施業の方法等の森林の取扱いを示すことによって適切な森林整備、保全を誘導していく、そんな仕組みがございます。

 このような森林計画制度の適切な運用を進めることによって、我が国の森林全体について、森林の機能に応じた計画的かつ適切な整備、保全を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

石田委員長 時間が参っておりますので。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

石田委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほどからの議論でもあっておりますけれども、地方分権の歩みというのは、平成五年六月に、衆参両院におきまして全会一致で地方分権推進を決議をしたということから本格的なスタートが切られたということでございます。

 衆議院における決議の中身を見てみますと、ほぼ三十年ぐらい前のことになりますけれども、東京一極集中の排除、その上で、国土の均衡ある発展を図る、また、国と地方の役割の見直し、国から地方への権限移譲、地方税財源の充実強化、そして地方公共団体の自主性、自律性の強化を図ること、また抜本的な施策を総力を挙げて断行するということがこの決議の中には書かれております。

 そのスタートを切った中で、第一次分権改革においては、この動議を契機といたしまして地方分権推進法が制定をされまして、平成十年には第一次の地方分権推進計画が閣議決定をされ、これに基づいて地方分権一括法が平成十二年から施行されたという経緯がございます。

 このことによって、国と地方の関係を対等、協力の関係に変える方針の下で、機関委任事務制度が廃止をされ、その代わりとして、新たに法定受託事務と自治事務に整理をされました。

 これまで様々な取組が続けられてきたわけでございますけれども、今般の新型コロナウイルス感染症における対応の際に直面をした国と地方の権限の在り方、役割分担、また、例えば情報共有の在り方ということ、それにプラスして、自治体間の連携の在り方については早急な検証や議論が必要だという中で、先ほど議論の中でありました第三十三次地方制度調査会において議論がスタートをいたしております。

 これまでのコロナ対策の中で直面した課題といいますと、例えば、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の発令等の判断の在り方ですとか事業者に対する休業要請の範囲の調整、また、保健所設置主体の連携の問題、ワクチン接種の進め方など、様々な局面で国と地方の役割分担の在り方を明確にしていく重要性というものが明確になったというふうに思いますけれども、このことに対して、今後どのような方針で取り組んでいかれるのか。

 先ほど、地方制度調査会の議論をしっかり見ていくという御発言がございましたけれども、今大変感染も高止まりして、第七波の懸念もある中で、この問題に対して野田大臣の御所見というのをお伺いをしたいというふうに思います。

野田国務大臣 お答えします。

 本年一月十四日に発足した第三十三次地方制度調査会においては、岸田総理より、デジタル化の進展及び新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえ、国と自治体及び自治体相互間の関係などについて諮問があり、検討が進められていると承知しているところです。

 この地方制度調査会には、御承知のとおり、地方公共団体の代表も委員として参加していますので、地方の意見や実情を十分に伺いながら議論がされていくと考えております。内閣府としてもそうした動向をしっかり注視してまいりたいと考えています。

西岡委員 ありがとうございます。

 二年をかけて議論をしていくということをお聞きをしているんですけれども、中間報告も含めて、一定の方向性というのをスピード感を持って出していくということも必要ではないかと考えておりますので、しっかり議論を進めていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、今、特にコロナ対策が中心でございますけれども、地方六団体、特に全国知事会からは、コロナ対策や地域経済、また外交、国の施策に対して様々な要望ですとか提言が行われておりますし、様々な機会に協議の場や要請ということが行われております。

 今、コロナ対策も含めて、また、地域経済が大変深刻な状況がございます。燃油価格の高騰を始めとして、原材料価格や生活必需品、穀物を始めとした食料価格の高騰、地域は大変様々な、大きな課題を抱えております。

 その中で、今後、全国知事会を始めとした地方六団体との協議の場というのをしっかり、常設の協議の場というものが必要ではないかというふうに思うんですけれども、このことについての御見解をお伺いをしたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、立法プロセスに地方が関与するという仕組みは、まず、地方自治法において、いわゆる地方六団体は、地方自治に影響を及ぼす法令等に関しまして、内閣に対する意見の申出又は国会に意見書を提出することができるとされているものと承知をいたします。

 また、国と地方の協議の場に関する法律に基づく国と地方の協議の場におきましては、地方分権改革、地方創生、骨太方針や予算編成、さらに、最近では新型コロナウイルス感染症対策など、国の重要政策について幅広く協議を積み重ねてきております。地方からは、国と地方の協議の場は、実効性のある対話の場として期待、評価されているものと認識をいたしております。

 さらに、国と地方の協議の場の対話に加えまして、関係大臣と地方の代表等との間で個別テーマに関する協議や意見交換を随時行っているものと承知しております。

 引き続き、地方の声に十分耳を傾けてまいりたいと考えております。

西岡委員 様々、情報共有の在り方ですとか進め方について、コロナ対策でいろいろな課題もあったというふうに思っておりますので、しっかり、やはりそういう協議の場というものを常設でというか、そういうことも必要ではないかということを問題提起をさせていただきたいと思います。

 続きまして、質問の順番を入れ替えさせていただきまして、提案募集方式についてお尋ねをさせていただきます。

 この提案募集方式については、平成二十六年四月に地方分権改革に関する提案募集の実施方針が決定されまして導入をされました。これまで八年間にわたって事務や権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直しが行われてきました。地方分権改革として、また、地方創生の推進という視点から、どのような成果があったというふうに野田大臣が分析をされて、評価をされているかということをお伺いをいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 地方分権改革については、平成二十六年の提案募集方式の導入以降、それまでの、時限で設置された委員会の勧告に基づく国主導による集中的な取組から、政府としての恒常的な推進体制の下、地方の発意に根差した息の長い取組へ転換して、地方の自主性、自立性を高める取組を進めてきたところです。

 この提案募集方式では、平成二十六年から令和三年までの八年間で、地方から計三千件もの提案をいただきました。毎年、こうした提案に関する対応方針を閣議決定しています。地方側からも、地方の具体の意見を反映させる仕組みとして評価されております。

 地方創生においては、少子化による人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力のある日本社会を維持することを目的としており、各地域が意欲と熱意を持ち、その地域の強みや魅力を生かした取組を自主的そして主体的に行うことが重要です。

 例えば、過疎地域におけるタクシーによる貨物運送を可能にする規制緩和を行いましたが、これにより、地域の実情に応じた地域交通の確保など、地方創生にもつながったと認識しているところです。

 引き続き、地方創生の担い手である地方の現場の声をしっかり伺いながら、地方の自主性、自立性を高めるための取組を進めてまいりたいと考えています。

西岡委員 ありがとうございます。

 地方創生にも大変効果があったということで、今大臣から御見解をいただいたわけでございますけれども、その一方で、その内容については、改革というよりも事務的な改善にとどまっているのではないかという指摘も一方であっておりますけれども、このことに対して、野田大臣の御見解というのをいただければと思います。

野田国務大臣 地方分権改革において、住民に身近な行政はできる限り地方に委ねることが重要であると考えており、権限移譲と規制緩和が重要であると考えています。

 繰り返しになりますが、平成二十六年の提案募集方式の導入以降、これまでの地方分権一括法において、国から地方への権限移譲に関して五十三法律を改正するなど、着実に取組を積み重ねてきているところです。

 一方、近年では、行政課題の複雑化、多様化等に伴い、地方の業務負担が増大しております。特に、一昨年からは新型コロナウイルス感染症への対応、これにより、その負担は更に重くなっているところです。

 このため、地方に対する義務づけ、枠づけの見直しにより、地方の現場で判断、決定できる自由度を高め、地方の事務負担を可能な限り軽減することも地方分権改革において重要なテーマであると私は認識しております。

 こうしたことから、近年の提案募集では、地方からの提案のうち九割超が、権限移譲ではなく義務づけ、枠づけの見直しを求めるものです。提案募集の成果は地方側からも評価されておりまして、こうした取組は地方の自主性、自立性を高めることに貢献しているものと考えています。

 今後とも、提案募集方式の充実等を通じて、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいります。

西岡委員 今大臣から御見解があったことと関連いたしますけれども、ちょっと質問は戻りますけれども、地方六団体により、義務づけ、枠づけに関する立法の原則の法制化と政府によるチェックの仕組みの実現というものが要望されています。地方分権改革推進委員会第三次勧告によりますと、今後制定、改正される法律は、地方分権改革で実現した義務づけ、枠づけに係る国の立法に関する原則に沿ったものではなくてはならず、今後、この原則を法制化することも検討すべきであるとしておりますが、いまだ法制化は進んでいないと理解をいたしております。

 今の現状についての御説明と、また、現在、法律案が義務づけ、枠づけに関する立法原則に沿ったものであるかどうかをどのような形で確認をされているかということについてお伺いをいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございましたように、平成二十一年十月七日の地方分権改革推進委員会第三次勧告でございますが、義務づけ、枠づけに関する原則に関しまして、まず、地方分権改革推進計画において明確に位置づけるべきであるということと併せて、今後、法律上明確にすることも検討すべきであるとされたところでございます。

 この勧告を踏まえまして、平成二十四年の十一月三十日に閣議決定されました地域主権推進大綱におきましては、地方公共団体に対する新たな義務づけ、枠づけについて、必要最小限のものとする旨を明記したところでございます。

 この閣議決定等を踏まえまして、地方公共団体に対する新たな義務づけ、枠づけに関しましては、法令協議等の段階で必要最小限とするとともに、地方の意見を十分に聞くように、内閣府といたしまして必要な意見を出し、調整を行っているところでございます。あわせて、既存の制度に関しましても、地方からの提案に基づきまして、個々の義務づけ、枠づけについての見直しを進めているところでございます。

 引き続き、地方の自主性、自立性を確保する観点から、新たな義務づけ、枠づけの抑制やその見直しに取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 是非、お取組を続けてお願いをしたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移ります。

 令和二年度より、類似する制度改正などを一括検討する、重点テーマを設定する取組が開始をされました。令和三年度は、計画策定等がテーマとして設定をされました。

 このテーマとされた計画策定等の提案というのはどれぐらい寄せられたかということをまずお伺いをし、また、個別の計画の見直しももちろん重要であるものの、計画策定等における地方分権改革の推進に向けての中で、国が地方公共団体に法令上新たな計画策定を義務づける場合は最低限とすること、先ほど言及がございましたけれども、最低限とすることや、計画策定の基本原則となる更なる検討を始めるべきであるということが、計画策定等における地方分権改革推進に向けてという中で述べられておりますけれども、このことを踏まえた上で、更なる検討を始めるべきということも踏まえて、テーマ自体の解決のための取組、例えば定期的な検証ですとか原則の法制化が必要ではないかというふうに思いますけれども、その部分について、もしお取組や方針があれば教えていただきたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 計画策定等につきまして、令和三年の地方分権改革に関する提案募集におきまして、まず、計画等の策定義務の廃止を求めるものや、既存計画等との統合や一体的策定を可能とすることを求めるもの、また、計画等の内容や策定手続の簡素化を求めるものなど、地方からは二十九件の提案が寄せられ、うち二十八件は提案の趣旨を踏まえ対応、一件は現行規定で対応可能という結果が得られたところでございます。

 また、御指摘の有識者会議の取りまとめにおきまして、この基本原則につきまして、政府の方針として定めた上で、各府省自ら遵守に努めるとともに、法令上の措置については内閣府においてチェックを行うべきと指摘をいただいているところでございます。

 今後、この基本原則につきましては、政府の方針としての位置づけが明確になるよう内閣府としても取り組みますとともに、計画策定等につきまして、引き続き地方の自主性及び自立性を高めるための検討を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 残りもう僅かとなりましたけれども、最後の質問となります。

 地方分権改革の取組として、国の出先機関改革ですとか、国と地方の財源配分の見直しや税制改正等が不可欠であるというふうに思いますけれども、国の組織や財政に関する大きなテーマについては対象となっておりません。

 このことについて、大臣の御見解と、今後、コロナ禍を経て、地方分権改革をより進化させていくための野田大臣の方針というものがあれば、御見解をお伺いをして、私の質問を終わります。

野田国務大臣 まず、国の出先機関改革については、現在の提案募集方式では、国の組織の在り方そのものに関する提案は対象となりませんが、出先機関を含む国の権限の地方への移譲を求める提案は対象としているところです。

 また、国と地方の税財源配分や税制改正については、これまで三位一体の改革による国から地方への税源移譲や社会保障・税一体改革における地方消費税等の充実が行われてきたものと承知をしていますが、これらについては、制度全体を視野に入れ、専門的に検討する必要があることから、個別に制度改正の提案を検討する提案募集方式にはなじまないため、対象外としているところです。

 地方分権改革においては、平成二十六年以降、それまでの改革の成果を踏まえ、提案募集方式を導入し、地方の発意に根差した息の長い取組へ転換したところです。

 この方式は地方側からも評価をされており、国及び地方が直面する課題解決において有効な制度であり、更に充実させつつ継続させていくことが適当と考えております。

 今後とも、地方の声をしっかり伺いながら、提案募集方式の更なる充実等を通じて、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと考えています。

西岡委員 終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 少し重なる部分がありますが、整理の都合上、始めたいと思います。

 二〇二一年の地方分権改革の提案募集は、計画策定などを重点募集テーマとして設定したところ、地方から二十九件の提案があったといいます。

 計画などの策定及びその手続に関する義務づけ、枠づけについて見直しすべきとした第三次勧告から十年間で、その計画等の策定が義務又は努力義務、できる規定などの条項が約一・五倍にもなりました。私自身も議員立法に数多く参加してきたし、確かにどれも大事なんですけれども、自治体にとっては本当に負担だなと、正直思っておりました。

 先日も、懇談したとある市の幹部職員が、自分の担当課はこれこれこれこれと、六つの担当を兼ねているんだ、とても大変だと訴えられました。国の縦割り行政も問題ですけれども、地方のかけ持ちというのは非常に大変だと思うんですね。

 それで、資料の一枚目の逆三角形の図を見ていただきたい。これは内閣府が作ってくれた資料ですけれども、例えば、国が十一の計画を策定するとすれば、内閣府、厚労省、農水省、三つのところで分け合うことができる。それに対して、県であれば、健康福祉部、担当者十三人くらい。市であれば、福祉部五人、市民保健部三人、この時点で既にかけ持ちをしていることになるわけですよね。それが、町になれば、五人で十一の計画策定に関わるということで、もうかけ持ちがすごいことになります。

 資料の二を見ていただきたい。全国知事会の調査ですが、都道府県が策定主体の計画について、調査対象二百九十六のうち百七、三六・一%の計画、市町村が策定の場合は、二百二十一のうち八十三、三七・六%が何らかの支障や課題があると答え、その中身として最も多かったのが、多大な人役や予算を要するというものでありました。

 資料にはないんですが、二次調査で示されたのは、一本の計画策定に一人が丸一日集中しても約五十三日間かかるという平均のデータですとか、都道府県の港湾計画策定に要したコストは平均で一億九千二百六十九万円という驚きの数字でありました。

 そこで、大臣に基本的認識を伺いたいと思います。

 計画策定は地方自治体の人的、財政的負担にもなっていること、できる規定、一番増えたのがそこなんですが、などといっても、実質はやってくださいと指示されているようなものなど、課題があると思いますが、認識を伺います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 計画策定等については、策定に関する法律の条項数がこの十年間で約一・五倍に増加しており、法律により地方公共団体に策定を義務づけている計画等の数は、地域限定など策定の条件があるものも含めると二百以上あると承知しています。

 様々な行政課題に対応した施策を計画的に進めることは重要でありますが、特に小規模な市町村の現場では、限られた人員体制の中で国が求める数多くの計画策定等に関する事務負担が重くのしかかり、必要な施策実施そのものがおろそかになるといった状況も生じかねないと懸念しています。

 こうした状況を踏まえ、令和四年の地方分権改革における提案募集においても、計画策定等を重点募集テーマと設定した上で、具体的な検討の視点もお示しし、三月一日から提案の募集を開始するとともに、各府省にも見直しを要請したところです。

 今後、地方からの提案等をしっかり受け止め、関係府省との調整を丁寧に行い、計画策定等に関し、地方の自主性及び自立性を高めるための改革を更に進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 地方にとって大変負担であるということは共通認識になったかなと思います。

 そこで、お答えの中にかなり含まれてはいたと思うんですけれども、今回の法案の中にも計画策定の改善が含まれていると思います。こうした点の紹介を含めて、取り組んできたことと、今後の取組について御説明ください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 重ねてになりますが、令和三年の提案募集に関しましては、地方から二十九件の提案が寄せられ、二十八件は提案の趣旨を踏まえ対応、一件は現行規定で対応可能となったところでございますが、御指摘のとおり、ただいま御審議賜っております一括法の中に、まず、土地改良法に規定される応急工事計画の手続の簡素化、二つ目が、農村地域への産業の導入の促進等に関する法律に規定される農村地域産業等導入基本計画の内容の簡素化、さらには、下水道法に規定される流域別下水道整備総合計画の手続の簡素化、この三件につきまして法案の中に盛り込ませていただいたところでございます。

 先ほど大臣からもございましたように、令和四年の提案募集におきましても重点募集テーマとして設定いたしまして提案の募集を行っているところでございまして、今後とも、計画策定等に関しまして検討を更に進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 総務省にも伺います。

 四月五日に、複数の市町村による共同策定が可能な法定計画についてという事務連絡を出しています。これはどういった趣旨でしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 市町村が策定主体とされております法定計画の中には、市町村の行政区域にとらわれず一定の圏域で策定することが効果的なものや、単独の市町村による策定が困難なものが含まれてございます。また、複数の市町村で共同して計画を策定することによりまして、計画策定や当該計画の進捗管理に係る負担の軽減につながることも期待されると考えてございます。

 一方で、市町村が策定主体とされてございます法定計画のうち、どの計画が共同で策定できるかについては、これまで必ずしも明らかになってございませんでした。

 そこで、今般、関係府省との協力の下で、市町村が策定主体とされている法定計画について、次のような三つの計画例を整理しました。一つ目としまして、複数の市町村による共同策定が可能であることが法令上明確にされている計画。二つ目としまして、運用上、複数の市町村による共同策定が可能な計画。三つ目に、計画の目的や内容に鑑みまして、複数の市町村が共同で策定することが効果的であると考えられる計画。この三つの例を整理しまして、これらについて、委員御指摘の四月五日付の事務連絡で地方公共団体に対して広く周知を行ったところでございます。

 今回整理した情報につきましては、各市町村が、計画の目的やその内容、地域の実情等に応じまして、複数の市町村で共同して策定することを検討する際に御活用いただけるものと考えてございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 共同でやった方が合理的だという場合があるという例示を示していただいたと思います。ただ、それだけでは、やはり計画がこれだけ増えてきたよねということで、地方の負担を根本的に変えるというものではないと思います。

 それで、やはり、計画だけではなくて通達行政そのものを見直していくことや、最初に言った、かけ持ちが大変だということの根っこにあるのは人員そのものですので、そこについてやはり思いを致して、改善をしていただきたい、これは要望にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それで、今日は、国と地方の関係で、具体の問題で質問したいと思います。

 青森県の八戸市が、下水道工事について、新井田地区二十二工区と二十三工区をそれぞれ別の会社に四千万円前後で発注しました。昨年四月から十一月までを工期としていたんですけれども、この二十三区の工区の延長三百二十四メートルの全区間が国道四十五号線の地下を通るということで、市の下水道部が昨年五月に、国交省青森河川国道事務所に占用許可を申請しました。しかし、許可が出たのは五か月後の十月十四日。何と二十五回もの修正を求められて、とうとう市は工期に間に合わなくなったために、一部の契約を解除、合わせて二千二百五十三万円の違約金を払うことを余儀なくされました。

 これは、市の側にも手続上の不備があったのは間違いないと思うんですが、しかし、二十五回は行き過ぎではないか。要件や書類の作成の仕方など、出せば次、出せばまた次、また次というふうな形で、次々とやり直しをさせていく。そうではなくて、最初からちゃんと教えてあげればいい、親身に相談に乗ってあげればいい、そういう立場で臨むべきと思いますが、国交省に伺います。

倉野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の青森県八戸市の下水道事業に係る占用許可申請は、国が管理する直轄国道四十五号について行われたものでございます。直轄国道の場合、占用許可は各地方整備局長等が行うこととされており、実際の審査業務は各国道事務所や出張所の職員が実施しております。

 本件の場合、具体的には、令和三年五月七日に、八戸市長から東北地方整備局長宛てに申請がなされ、その後、所轄の事務所や出張所におきまして、道路法令に定められました占用許可基準に照らして審査が行われています。同年十月十四日に占用許可が行われていますが、その間、事務所等の職員から八戸市の職員に対しまして、委員御指摘のように二十回を超える回数にわたり申請書類の補正やその内容の確認を求めており、そのやり取りに約五か月を要したものと承知しております。

 今回の審査の進め方につきましては、申請者に対しまとめて指摘することが可能であった事項にもかかわらず、五月雨式に新たな補正を随時求めたということ、それから、申請者側に丁寧な説明を行わなかったことから、道路管理者側の求める補正内容が正確に伝わらず、意図した補正がなされなかったため、再度同一の補正を求めるということになったこと、申請者である八戸市との情報共有が不十分であったため、八戸市側の契約の工期について道路管理者側として当初から十分認識できていなかったことなどの問題点があったと認識しております。

 このように、道路管理者として申請者に寄り添った丁寧な対応を行わず、また、申請者との意思疎通が不十分であったことが、許可までの期間が不要に長期化することにつながり、今回の事態に至った原因の一つであるというふうに認識しております。

 今後は、同様の問題が再発することのないよう、申請者とのコミュニケーションを丁寧に行う等により、効率的かつ円滑に道路占用許可事務を進めるよう、各地方整備局等に対し、指導を徹底してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 大変誠実な答弁だったと思います。やはり、市に対して寄り添った丁寧な対応が求められているということを率直におっしゃってくださったのは、市の担当者にとっても大変ありがたいことではないかと。

 やはり国と地方の関係というのは、本当は上下関係じゃないんだけれども、こういう場面というのは結構あると思うんですね。それが、やはりこれからも、全体として、同じ仕事をやっていく立場として協力し合っていく、本当に親身になっていくということの教訓にしていただければいいなということで紹介させていただきました。ありがとうございました。

 次に、宮城県仙台市、名取市、亘理町など十市町において営業していた二つの障害福祉サービス事業者が、人員基準違反及び不正請求などが発覚して指定取消処分を受けました。これにより、事業者が不正に受給した自立支援給付額は総額五千五百万円に上ります。そのうち名取市では、二〇一四年から昨年までの合計七百八十三万五千九百三十六円を返還したわけです。補助金適正化法に基づいて、市町が事業者から回収できなければ代弁しなければならないんです。

 そこで、許認可権、監督権は県にあるわけです。市町村は、そこに事業者が営業していたというだけであって、だけれども、法のたてつけからいくと市町村が代弁しなければならないというのは余りにも理不尽ではないか、地方自治体財政を圧迫するじゃないかと思うわけですね。

 そこで、厚労省に伺います。

 こうした指定取消し事案というのが障害の分野ではどのくらいあるのか。こうした事案に対応するために、二〇二一年、地方からの提案に対する対応方針が示されていると思いますが、どのように措置をしたのか、説明いただきたい。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問いただきました指定取消しの件数でございますが、指定障害福祉サービス事業者に対する指定取消しの件数、令和二年度では九十九件となっているところでございます。

 また、委員から御指摘ございました許認可権限等が都道府県にある一方で、不正などが事業者にあった場合に市町村が補助金適化法に基づいて返還等の事務を行うこと、こうしたことについて自治体の方から改善してほしいという要望の声は私どもにも届いておりましたし、また、地方分権改革のプロセスでもそうした御要望があったところでございます。具体的には、令和元年の地方分権改革に関する提案募集におきまして、自治体の方からこうしたことへの御要望がありました。

 それを受けまして、令和元年の十二月の閣議決定、令和元年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、指定障害福祉サービス事業者の指定等に係る事務、権限を市町村に移譲することの必要性等について、地方公共団体に調査を行い、その結果に基づき必要な対応を検討し、令和二年度中を目途に結論を得る、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされたところでございます。

 厚生労働省におきましては、この閣議決定に沿いまして、必要な調査を実施の上、関係審議会でも議論をしていただき、令和三年九月七日に事務連絡を発出いたしまして、都道府県が行う指定権限等の移譲について、地方自治法に基づく事務処理特例制度を利用して市町村にその事務、権限を移譲することが可能である、そうしたことを周知したものでございます。

 委員から言及いただきました令和三年の地方からの提案等に関する対応方針、これは昨年十二月に閣議決定していただいたものでございますが、その中では、今申し上げました厚労省の取組を盛り込んだ上で、令和元年の地方分権改革に関する提案について措置済みということで整理されたものでございます。

高橋(千)委員 まず、前段の指定取消処分が令和二年度九十九件というお答えでありました。その前の三年間を遡って数字をいただいているんですが、二十九年九十八件、三十年百六件、令和元年八十二件ということで、何かコンスタントに百前後にこうした事案が続いているんだなと思います。

 ちょっと資料が飛んでしまうんですが、資料の五に、指定障害福祉サービス事業者の指定権限の移譲についてということで、厚労省の資料をつけてあります。

 その中のところに、今私が言ったように、指定権限は知事がやっているので、事業所が設置される市町村はどのような事業所が開設されるか分からない中で給付費の支払いを行っている、また、事業所が不正を行った場合、行政処分は都道府県が行い、その処分に伴う返還金の請求事務は市町村で行うことになっている、なので、一貫して市町村が行えないので、主体的に管理することができないと。

 それで、今お答えは、だから意見を聞きました、権限移譲しますと。そうすると、市町村にとっては物すごく負担が増えることにならないかということなんです。本当の解決になるでしょうか。

 だから、市町村が自ら事業所を追っていく場合もあると思うんですよ。例に出している大府みたいに大きなところはそうかもしれない。でも、一つ、ちっちゃな自治体に全部それをかぶせるんですかということもあるわけですよね。

 今言った宮城の場合は、十の市町で同じ事業者を受けているわけです。やはり県の責任はしっかりと持ってもらって、返還についても県も半分持ってもらうとか、救済策を何らか用意しないと、これはもたないんじゃないか、本当の解決にはならないんじゃないかと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしました自治体等への本件調査におきましても、権限を必ず移譲するというようなことについては、やはり市町村の方でも、マンパワーの問題、専門知識の問題があるということで、必ずしも全面的にその権限を移譲していただくということについて賛成があるような御意見ではなかったというふうに承知しております。

 そうしたことから、やはり地方自治法に定める事務処理の特例制度につきまして、これは都道府県の方から権限を移譲することもできますし、また、市町村の方で、そうしたことについて議決をした上で都道府県に申し出るという制度になってございます。そうした制度を活用していただくということで厚労省の方としては対応したところでございます。

高橋(千)委員 ですから、措置済みにしないで、更に検討していただきたい。実態を見ていただいて、やはりマンパワーもあるから、市町村もそのまま受けるというわけにいかないよという意見があったという答弁だったと思うので、そこをもう少し大事にして、引き続き検討していただきたい、このように思います。

 それで、今日もう一つ取り上げたいのは、民生委員の問題です。

 二〇一三年の分権改革で、定数については参酌基準となりましたが、その基準に照らして、現在何人いて、定数不足はどのくらいになるのか。また、二〇一六年の提案では、民生委員と児童委員の兼任というのは元々必須になっているわけなんですよね。それを、必ずにしなくても、できる規定にしていいんじゃないかという要望がありましたが、なぜ兼任が義務なんでしょうか。お願いします。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、民生委員の数でございますけれども、全国で活動されていらっしゃる民生委員の方々の総数は、令和三年三月末時点で二十三万六百九十人でございます。地方自治体が条例で定める定数は、同じく令和三年三月末時点で二十三万九千四百九十七人ですので、充足率は九六・三%、八千八百七人の不足となっております。

 民生委員と児童委員の兼任につきましては、児童の問題と保護者の問題が同時に起きることが多いことから、また、その際に複数人で家庭訪問等を行うようなことは支援対象者にとっても負担になると考えられますので、一人の委員が一体的に対応できるよう、児童福祉法では、民生委員は児童委員に充てられると規定しております。

 一方、平成二十八年の、先生の御指摘のありました分権提案におきましては、最終的には、民生委員、児童委員の兼務を前提とした上で、その業務に関する運用の改善が求められたものでございます。

 この提案に対しましては、従来から、民生委員と児童委員を兼任していただいている状態でも、そのどちらかに軸足を置いて活動するといったことは自治体の裁量で可能だったわけですけれども、それを更に明確化する通知を発出したところでございます。

高橋(千)委員 この提案を行った資料を読みましたけれども、結構前向きな話なんですよね。やはり児童の相談というのは、これは広島市ですが、大体四分の一くらい児童の相談になっていて、引きこもりだとか不登校だとか虐待だとかいろいろある。だから、今お答えになったように、子供の問題は必ず保護者がいるんだ、そういうステレオタイプな議論では本当はないんですよ。それを前向きに取り組もうという中で、できる規定でもいいじゃないかという提案に対して、いやいや、必ず子供の問題は保護者だから一人の民生委員なんだという答え方というのは、これは違うんじゃないかと私は言いたいんですね。児童の問題にもっと取り組みたいということ、若い世代の対応をしなきゃいけないということもあっての話でありますから、少し前向きに考えた方がいいんじゃないかなと思います。

 この民生委員の活動状況については、資料の三枚目にあって、都市部と町村部で世帯に対する基準が違うよという話と、四枚目には、先ほど言った、定員が八千八百人も欠員しているということでありますが、グラフを出しておきました。

 その上で、質問は、民生委員、児童委員の仕事がどんどん増えて、かつなり手がいないというのは深刻に思うんです。私自身もたくさん話を聞いていますけれども、一度引き受けるとなかなか辞められないということや、隣の区域で民生委員がいなくなったら、自分がその分もやらなきゃいけなくなって、どんどん範囲が広くなって、もう忙しくて大変だ、そういう訴えを聞いています。

 高齢化の状況とか平均年齢という問題もあると思うし、現状認識、どう思っているのかというのと、その対策について伺います。

本多政府参考人 民生委員の方々には、委員のおっしゃられましたとおり、地域における最も身近な相談相手として、様々な課題を抱える住民への相談支援や、訪問見守り活動など、住民ニーズを踏まえた非常に多様な活動に御尽力をいただいております。また、自然災害時の安否確認や支援団体へのつなぎなど、防災面からも重要な役割を担っていただいております。

 このように、期待される役割が増している一方で、民生委員の方々は高齢者が多くを占めているという状況もございまして、こういった状況を踏まえますと、日頃の民生委員活動の負担の軽減に取り組むことが重要であると考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、地域の実情に応じた自治体の創意工夫による民生委員活動の負担軽減のための取組、これを横展開していただくために、全国会議の場などを通じて周知をしているところでございます。

 具体的には、自治体での取組の例といたしまして、民生委員協力員というものを配置をして、民生委員の指示、指導の下で見守り等の活動に対する補佐、協力を行っていただくですとか、あるいは、行政のサポート体制を強化していただく、こういった取組がございます。

 厚生労働省といたしましては、地方公共団体や関係機関の協力も得ながら、より多くの方に民生委員の担い手となっていただけるように努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今お話があったように、仕事はどんどん増えていく、期待される仕事がどんどん増えていくわけなんですよね。それで、民生委員は無報酬なわけですよね。特別職の公務員。まさに、大事な役割を持っているわけなんだけれども、無報酬である。その代わり活動費が支給されているわけですが、今、さっきの資料にもあったように、単価は六万二百円。余りにも低く、これは年間ですからね、私は増やすべきだと思っています。

 活動費を支給しているその趣旨、やはり、何に対して必要だと思って出しているのか、それをお答えいただきたい。

 それから、ちょっと時間の関係で、もう一つ質問をしてしまいますが、資料の最後に、これは三月十三日付の河北新報なんですが、見ていただくと、宮城県の「最大五万九千円、ゼロも」という見出しなんです。民生委員に対して、今言ったように、活動費が出ているんだけれども、実際には自治体に物すごく格差があって、ゼロ円のところもあるということで、県議会でも大きな問題となりました。ほかにもこうしたことがあるんだろうかと。

 やはり、せめて、無報酬とはいえ、活動費だけはしっかりと支えて、報いるべきだと思います。これは、そういうことが、その趣旨でお金を出しているのであれば、それが届いていない、本人に届いていないということがあってはならないと思うんですね。その考え方について是非伺いたいと思います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 民生委員の報酬につきましては、民生委員法第十条において、民生委員には給与を支給しないとされておりまして、社会奉仕の精神をもって、住民の相談等に応じて、必要な援助を行うということとされております。

 そのように、報酬は支給されていないところでございますが、住民への相談支援や訪問見守り活動などの活動に必要となる交通費や通信費等の実費の弁償として活動費が支給されるよう、地方交付税措置を講じているところでございます。

 一方、各自治体の活動費の全体の予算措置状況というのは厚生労働省の方でも把握しているところでございますけれども、個々の民生委員への活動費の支給方法や支給額につきましては、それぞれの地域の実情に応じて様々であると承知をいたしております。

 この実態につきましては令和四年度から状況を確認をすることとしておりまして、既に、今年三月の全国会議におきまして、把握する、確認をする旨を関係者に周知をいたしました。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、民生委員活動が円滑に行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 では、最後のお答えは周知を図るということですので、ちゃんと払われているのかどうか、自治体の実態を調べるというお答えですよね。だとしたら、やはり大事なことだと思う、調べていただいて、実態も公表していただいて、本当に届くように、是非生かしていただきたいということを強く求めて、時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十八分散会


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