衆議院

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第3号 令和4年11月17日(木曜日)

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令和四年十一月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 英之君 理事 谷川 弥一君

   理事 坂本祐之輔君 理事 湯原 俊二君

   理事 中司  宏君 理事 中川 宏昌君

      井原  巧君    石田 真敏君

      今村 雅弘君    大野敬太郎君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      斎藤 洋明君    鈴木 隼人君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中川 郁子君    中曽根康隆君

      西野 太亮君    古川 直季君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      おおつき紅葉君    末次 精一君

      堤 かなめ君    福田 昭夫君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      池下  卓君    住吉 寛紀君

      守島  正君    金城 泰邦君

      山崎 正恭君    西岡 秀子君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)         岡田 直樹君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府地方分権改革推進室長)          加藤 主税君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長)           布施田英生君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         佐脇紀代志君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         森田 正信君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        吉田健一郎君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        北波  孝君

   政府参考人

   (警察庁警備局警備運用部長)           迫田 裕治君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   二宮 清治君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     岡本 裕豪君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       藤野  克君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           田辺 康彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           野沢 和也君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  森友 浩史君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           坂  勝浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     池光  崇君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松本 啓朗君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          立林  理君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     古川 直季君

  宮路 拓馬君     西野 太亮君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     宮路 拓馬君

  古川 直季君     穂坂  泰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役立林理君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官、内閣府地方分権改革推進室長加藤主税君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進室次長布施田英生君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進事務局審議官中村広樹君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官佐脇紀代志君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官森田正信君、内閣府地方創生推進事務局審議官吉田健一郎君、内閣府子ども・子育て本部審議官北波孝君、警察庁警備局警備運用部長迫田裕治君、デジタル庁統括官二宮清治君、デジタル庁審議官山本和徳君、デジタル庁審議官阿部知明君、デジタル庁審議官内山博之君、デジタル庁審議官犬童周作君、復興庁審議官岡本裕豪君、総務省情報流通行政局郵政行政部長藤野克君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、消防庁審議官鈴木建一君、消防庁国民保護・防災部長田辺康彦君、外務省大臣官房審議官竹谷厚君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官野沢和也君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官森友浩史君、スポーツ庁審議官星野芳隆君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官宮本悦子君、農林水産省大臣官房参事官坂勝浩君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、観光庁審議官池光崇君、環境省大臣官房審議官松本啓朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。保岡宏武君。

保岡委員 ありがとうございます。自由民主党の保岡宏武です。

 質問の機会をありがとうございます。

 本日は、経験豊かな岡田直樹地方創生特命担当大臣に政治家としての力強い御答弁をお願いしたく、質問通告をさせていただきました。一回生の国会議員ですが、国民を代表して、この場の質疑に全力投球をしたいと思います。

 さて、本来、地方創生というのは行政だけでは達成され得ない課題で、民と官との協働作業であると認識をしています。

 例えば、国立公園などは、行政管理の区域において、最近では民間事業者がグランピング施設を公民連携事業で運営するなど、PPP、PFIの手法を用いて、民間のノウハウを生かした運営などもなされているようです。

 私の地元鹿児島にも、奄美群島国立公園を始め、三つの国立公園があります。昨年、世界遺産登録もされましたし、多くの観光がまた見込まれるところではございますが、さて、国立公園を管理する環境省では、コロナ禍における新しい働き方として、国立公園でのワーケーションを推進していると認識をしておりますが、今後も推進をしていくのか。推進をするのであれば環境省が率先してはいかがかと思いますが、環境省職員自らの国立公園でのワーケーション実施状況や今後の方針をお聞かせください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 令和二年以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして、テレワークが急速に普及するとともに、自然に触れることへの関心が高まってまいりました。こうしたことから、環境省では、国立公園満喫プロジェクトの一環といたしまして、ワーケーションのための環境整備を推進してまいりました。

 また、環境省自らも、職員によるワーケーションの推進を目指し、令和二年七月にテレワークの実施要領を改定いたしまして、国立公園等におけるリモートワーク、これを実施できるようにしたところでございます。

 例えばですけれども、令和二年九月から十一月にかけまして、環境省の職員二十名以上が国立公園でのリモートワークに取り組むワーケーション・デイズというものを実施いたしました。その他にも、個々の職員によりまして取り組まれた事例があることを承知しております。

 環境省といたしましては、引き続き、これらの取組を進めることで、豊かな自然あふれる国立公園の利用を促進し、働き方改革、そして地域の活性化にもつなげてまいりたい、このように考えております。

保岡委員 実際に霞が関から地方に行くと見えてくるものも多くあるかと思います。役人と地方の交流は国益にかないますし、何より、福利厚生を始め、役人の皆さんがその能力を十分発揮いただく環境の整備も私たち政治家が心がけることと思います。

 先日も、十分睡眠が取れないのか、充血した眼で役所の方が質問通告の際に見えました。少しでも公務員の働き方改革、福利厚生の向上につながるよう、役所よし、地元よし、国民よしの国立公園のワーケーション利用、是非、環境省が先駆けて、他の霞が関の省庁にも広げていただきたいと思います。後の質問にもつながる、公民連携のプライベートマインドを持った行政マンが増えるためにも、私もしっかり応援をしたいというふうに思います。

 さて、先ほども申しましたが、地方創生というのは行政だけでは達成され得ない課題で、民と官との協働作業です。内閣府では、地方創生SDGs官民連携プラットフォームにおいて民間企業と地方自治体との協働の場を用意し、地方創生への民間参画の促進を推進していると承知しています。そこから更に一歩踏み込み、民間主導の地方創生、若しくは、民間主導、行政サポートの公民連携を考えてみたいというのが、本日の私の質問の大きなテーマです。

 私ごとですが、一昨年、コロナ禍において、民間主導の地方創生の第一人者でもある木下斉さんの主宰する公民連携プロスクールというオンラインスクールで、全国から集まる民間、行政の志高い仲間と、共に学ぶ機会を得ました。ふだん永田町や霞が関で語られているのは行政の視点から見た地方創生ですが、そこでは民も官も一緒になって、むしろ民間の稼ぐ力をエンジンにまちづくりをするという視点で地方創生が語られていました。今では、そこで知り得た人脈含め、受講料以上の価値はあったと思える学びでしたが、最近、そのスクールの劣化コピーのようなものが霞が関の政策メニューに並んでいると聞いています。その手のものは民間に任せた方がいいのではないかと個人的には思います。

 話がそれましたが、民間の視点から見た地方創生は、民間が稼ぐことで地方が元気になる、自分たちの町は自分たちでつくるというシンプルなものです。地方の企業が稼ぎ、その稼ぎで地元のお祭りなどを支援する、そんな企業や産業を自分たちで興そうというのが一つ目の切り口です。

 これからの地方の産業といえば、農林水産品、加工品は大きな可能性を秘めています。例えば、福岡の博多めんたいこ、皆さん御存じかと思います。めんたいこは、ふくやの創業者、川原俊夫夫妻が開発、販売をいたしました。調味液の配合以外、材料、仕入れ先、作り方など全てを公開したところ、どんどん参入者が増え、現在、千二百億円規模の市場まで拡大、個人の事業から福岡を代表する産業にまで発展をしました。詳しくは、「福岡市が地方最強の都市になった理由」という本に書いてありますので、御興味のある方は手に取って御覧ください。

 さて、このめんたいこのように、今後の地方創生において、農林水産品、加工品の活用は大事なポイントになります。

 私は、三十七歳のとき、大学院で焼酎を学びました。焼酎に限らず、お酒のおいしさとは、そのお酒の味や香りそのものだけではなく、お酒の造り方、お酒の産地の風土、お酒の歴史や文化など、頭で味わう楽しさも加味されたものであるということを知りました。いわゆる知的資産の活用です。

 今、日本産ウイスキーが大人気を博しています。ワインも全国でよいものができている。地元鹿児島には、黒牛、黒豚、黒さつま鶏、ブリやカンパチ、知覧や霧島のお茶もあります。

 フランスのテロワールのように、知的資産の保護、活用は、農水産品、加工品輸出においても非常に大事なポイントとなりますが、地方の民間が域外から稼ぐ力を高めるために、農水省としてどのようなサポートをしているか、今後していくかを簡潔にお答えください。

坂政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の各地方には、その土地ならではの魅力ある農林水産品や植物の品種が多く存在しております。そうした産品や品種を知的財産として戦略的に保護し活用していくことは、地方創生に大きく寄与するものでございます。大変重要と考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、地域特有の環境、要因の中で育まれた特性のある産品の名称を知的財産として保護する地理的表示保護制度の活用を推進しておるところでございまして、委員御指摘の、御地元の鹿児島黒牛などもこの制度によって名称が保護されているところでございます。

 地理的表示の保護を受けた名称の違法な使用を国が取り締まることを通じましてそのブランドを保護するとともに、地理的表示産品の普及拡大を図るために、産品の特性を生かした新商品の開発やEコマース等への販路の拡大などの支援を行っておるところでございます。

保岡委員 ありがとうございます。

 将来、日本からシャンパーニュやボルドーのような一大産業を興すような地方が現れるよう、政府によるサポートを引き続きよろしくお願いをいたします。

 さて、民間主導の地方創生、もう一つの切り口は、民間主導、行政サポートの公民連携です。

 お手元の資料一枚目を御覧ください。こちらの資料は、令和二年、私が通いました、先ほどのプロスクールにおいての、オンラインスクールでの資料でございます。

 このお手元の資料にあるように、今後、人口減少の進む日本で、今のような大きな公共を大きな政府で担うと、財政破綻をいたします。小さな公共を今より小さな政府で担うと、財政は破綻しないかもしれませんが、国民は不満を抱きます。国民に不満がないよう、大きな公共を小さな政府で担おうとするなら、その隙間を埋めるのが民間活用だということです。

 私が五年前、PTA会長をしていたときに、プールの改修がありました。調べてみると、文科省のひもつきの補助金で、プールの改修か体育館の耐震化に使えるというものが順番で回ってきたとのこと。当時、予算規模で一億二千万から一億五千万でした。

 ちなみに、小学校の近くの商業施設には、民間のプールつきのスポーツセンターが入っています。仮にプールの耐用年数が三十年として、一年ごとで五百万。小学校の児童数は三百六十人。一人一万円でプールを民間委託ができたら、百四十万円余ります。児童数は、今後、少子化で減ることはあっても大きく増えることはないと見込むと、新しく建て替えるより、プールの授業を民間委託ができた方がいいのではと頭をよぎりました。

 民間委託で、児童は水泳専門のコーチに教えてもらえるので水泳が上達する、スポーツセンターも売上げが増える、そして、学校もプールの授業の負担が減る、予算も縮小と、いいこと尽くしのように思います。

 さらに、周辺の小中学校が同様にできるなら、そのスポーツセンターのプールは温水プールなので、年間二、三千万の売上げを見込める。年間それだけの売上げが見込まれると、そのような施設がない地域では、民間が新たにプール付設のスポーツセンターを自ら建設、運営をするかもしれない。

 地域への波及効果もある公民連携的なもの、もっと民と官で柔軟にできればと思いますが、文科省、地方創生に関わる地域への波及効果のある政策、学校外民間施設の活用等について御見解を伺いたいと思います。

野沢政府参考人 お答え申し上げます。

 各自治体におきましては、公立学校におけます教育環境の整備に当たっては、それぞれの地域における少子化の状況や地域活性化の観点等も踏まえつつ、中長期的な視点から取組を進めていただいているものと承知してございます。

 そうした中で、各自治体自ら学校施設を整備するのみならず、教育委員会や学校の判断によりまして、民間施設を活用した教育活動を展開することも考えられるところでございます。

 例えば、学校の体育の授業で水泳を行う際に、民間事業者の協力を得まして、民間のプールを活用している例もございます。こうした事例の中では、民間施設の指導員の協力を得ることで、学校職員の負担の軽減を図ることができた、あるいは自治体の費用負担の軽減にもつながったというお話も伺っているところでございます。

 公立学校の教育環境整備につきましては、学校設置者である各自治体において、地域の実情を踏まえて進めていただくものと考えておるところでございまして、文部科学省といたしましては、御指摘の手法も踏まえまして、子供たちの学びや生活の空間として、持続的で充実した環境を整備していただくことが重要と考えておるところでございます。

保岡委員 ありがとうございます。

 柔軟な対応がなされているということを聞きまして、非常に期待が持てる御答弁でした。ありがとうございました。

 最後に、プールではありませんが、公民連携の具体的な好事例として二つ挙げさせていただきます。一つ目が、岩手県紫波町でのオガールプロジェクトです。バブル崩壊後、雪捨ての空き地としてしか利用されていなかった町有地を、図書館を始めとした公共施設とマルシェや飲食店など民間施設の融合で、人が暮らしたくなるようなエリアに生まれ変わらせました。もう一つが、全国初の公民連携による市営住宅の建て替え、再開発プロジェクトとして二〇二一年に町開きをしたばかりの大阪府大東市の北条プロジェクトです。

 この二つの共通点は、元々行政の経験もある人が民間の経営者となり、借入れや出資など、民間のファイナンスでそれぞれの町を再生させるプロジェクトを実行しているところです。より民間主導度が高いPPP、PFIとなっております。

 最後に、岡田大臣に伺います。もう少しこの話はしたかったんですが、もう時間がないので、最後に岡田大臣に伺います。

 大臣、岸田総理が掲げる新しい資本主義という意味でも、また、格好いい日本をずっと待っている、未来を担う子供たちに、自分たちの町は自分たちでつくれるというメッセージを発信する意味でも、大臣の、格好いい政治家としての、格好いい大人としての力強いメッセージを、この民間主導、行政サポートの地方創生に込めていただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 余り格好いい男ではありませんし、格好いいことも申し上げられませんけれども、地方創生の取組を進める上では、公共の施設とサービスに民間の創意工夫を最大限活用するPPP、PFIを導入することにより、官民の多様な主体が参画し、地域内外の主体をも巻き込みながら、地域が一丸となって地域の社会課題解決や魅力向上の取組を進めることが重要と思っております。

 委員御指摘の岩手県紫波町の試み、あるいは大阪府大東市の試み、にぎわいや雇用の創出につながったと考えております。

 引き続き、こうした良好な公共サービスの提供や民間の収益事業の展開、こうしたことで地域のにぎわいの創出、地域の課題の解決を図ってまいりたい。引き続き、魅力的なまちづくりの推進に、地域づくり、国づくりの推進に全力を傾けてまいる所存でございます。

保岡委員 ありがとうございました。終わります。

橋本委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 おはようございます。公明党、金城泰邦でございます。

 本日、十一月十七日、公明党は結党記念日を迎えました。これまで先輩方々が、大衆とともにという立党精神を胸に頑張ってこられました。その先輩に連なり、私も、共に、大衆とともにという目線で、生活者目線で頑張ってまいりたいと思います。

 本日は、初質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今、日本社会は、多くの食料品、生活用品の値上げ、また、ガソリン等燃料油価格、電気代、ガス代の価格上昇が起きています。国民、生活者は大変厳しい生活を強いられています。

 そのような状況の中、政府は、この度、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策を打ち出しました。

 私の地元沖縄県のことを申し上げますと、沖縄県内はほとんどの地域がLPガスです。都市ガスを利用できる地域はごく一部です。沖縄県の都市ガス普及率は二〇一二年のデータで三三・二%で、全国第三十八位です。全国平均普及率は七一・六%で、沖縄は都市ガス普及が大変遅れています。また、都市ガスの普及率が全国平均より下回っている都道府県は三十七道県で、全国的に都市部は普及が進んでいますが、それ以外の地域は普及が進んでいないというのが現状ではないでしょうか。

 そこで、LPガス支援について、今後課題等になると思われる点について質問いたします。

 都市ガスとLPガスとの対応の違いについてです。総合経済対策では、都市ガス料金に対しては、「家庭及び都市ガスの年間契約量が一千万立米未満の企業等に対して一立米あたり三十円の支援を行う。」となっており、国から直接支援があります。それに対して、LPガス料金に対しては、「LPガスについては、価格上昇抑制に資する配送合理化等の措置を講ずる。」とあり、具体的な支援額は明示されておりません。

 岡田地方創生担当大臣は、所信表明の発言で、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金により、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対して、より重点的、効果的に支援を行ってまいります。」と述べられております。具体的には、地方創生臨時交付金である電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の対象事業となる推奨事業メニューにLPガス料金支援を新たに明示し、自治体が事業化して、LPガス料金の補助を実施するということです。

 そこで、質問いたしますが、都市ガス料金の支援は具体的な支援額が明示されていますが、LPガスは明示されておりません。LPガス料金への支援額は都市ガスと同様なのでしょうか。都市ガスの利用者とLPガス利用者で支援額に差が出ないように措置すべきと考えますが、里見経済産業大臣政務官の御所見を伺いたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 主に地方で使用されるLPガスは、LPガス事業者が全国で約一万七千社ございまして、大半が中小零細事業者であるため、電力、都市ガスと同様の価格支援では事業負担も大きくなります。また、原料であるプロパンは、都市ガスの原料であるLNGと比べ、価格が安定しており、今後、大きな上昇は見込まれておりません。他方、ボンベに詰め、家庭に配送するため、人件費、配送費は大きい状況でございます。

 このため、LPガスについては、今後も価格上昇が見込まれる都市ガスのような価格支援ではなく、価格の抑制にもつながる事業効率化に向けた支援を行うことといたしました。具体的には、LPガス販売事業者の人手不足解消、配送業務の効率化に資する遠隔でのガス栓の開閉や遠隔検針が可能なスマートメーターや、LPガスのボンベ充填の自動化に資する設備の導入に対する支援を行ってまいります。さらに、需要家のLPガス購入のコストの低減や燃料備蓄を推進する観点から、LPガスタンクの大型化等の設備導入を支援してまいります。

 これらの支援によりましてLPガス事業全体の合理化を図ることで、小売価格の上昇を抑制するとともに、各県のLPガス協会を通じて需要家への周知を行ってまいります。

 加えて、九月に予備費で措置されました、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金六千億円の推奨事業メニューにLPガス料金支援を新たに明示しており、LPガス料金に対して集中的に充当するよう働きかけてまいります。

金城委員 里見政務官、ありがとうございました。

 経産省として、LPガス利用者に支援が行き届きますよう、適切に対応していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 先ほども申し上げましたとおり、沖縄県はほとんどの地域がLPガス利用地域です。経済産業省の対策に加えて、地域の実情に応じて、地方創生臨時交付金を活用したLPガス利用者への支援ができると思います。

 地方創生臨時交付金の推奨事業メニューには、「消費下支え等を通じた生活者支援」として、「LPガスをはじめエネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者に対してプレミアム商品券や地域で活用できるマイナポイント等を発行して消費を下支えする取組などの支援」とあります。

 自治体がこのLPガス料金支援の事業化を行う選択をしていただけるように積極的に取り組んでいただきたいと思います。岡田大臣に御答弁願いたいと思います。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 地方創生臨時交付金は、各自治体が地域の実情に応じて必要な事業を実施できるように措置されております。委員御指摘のLPガスに関する支援については、経済産業省による取組に加えて、自治体が地域の実情に応じた対策を講じることができるよう、先ほど里見政務官からも御答弁がありましたけれども、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の推奨事業メニューにおいて、LPガスの価格上昇の影響を踏まえた支援についても支援対象に含まれることを明示することとして、その旨を今月八日付で自治体の方々に周知をさせていただいたところであります。

 これを受けて、自治体がLPガスに関する支援を実施しようとする場合には、内閣府において質問や相談に丁寧に御対応するとともに、経済産業省と連携をして、例えば沖縄のような、地域の実情に応じたきめ細かい支援が現場に行き渡るよう後押しをさせていただきたいと考えております。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 この度の総合経済対策には、電気料金についても支援施策が盛り込まれております。「低圧契約の家庭等に対して一キロワットアワーあたり七円(家庭の現行の電気料金の二割程度に相当)、高圧契約の企業等に対しては、FIT賦課金の負担を実質的に肩代わりする金額(一キロワットアワーあたり三・五円)の支援を行う。」ということです。様々な価格上昇が起きている中でこの電力料金の支援は、御家庭も事業者も大変ありがたい措置と思います。

 ところで、私の地元沖縄県は離島県であります。沖縄電力は三十七の有人離島に電力を供給しており、そのうち二十六島が離島ユニバーサルサービスの対象となっております。離島ユニバーサルサービスとは、周知のとおり、一般送配電事業者に義務づけられた、離島電気料金に対する供給区域内、沖縄では沖縄本島のことですが、その供給区域内の料金水準での供給です。

 沖縄電力によりますと、平成二十六年度の沖縄電力全体の販売電力量は七十五億一千九百万キロワットアワーで、このうち六万三千七百・万キロワットアワー、全体の八・五%が離島への販売電力量です。

 沖縄は離島県であり、観光立県なので、沖縄の地方創生は安価な電気料金でなければ推進することができません。沖縄県は毎年、台風などの自然災害が起こり、電柱や送電施設等が被害を受け、沖縄電力は、その復旧費用など、経営上大きな負担があります。

 一般送配電事業については、来春から新たにレベニューキャップ制度が導入されることになっています。離島が多いとか自然災害への復旧費用がかさむとか、電力のエネルギー源を化石燃料に頼らざるを得ないなど、沖縄電力特有の状況をしっかり把握でき、健全経営が可能となるよう、経済産業省の支援が必要と考えます。里見政務官の御所見をお伺いいたします。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 離島の多い沖縄エリアにおいても安定供給を確保することが大変重要でございます。このため、離島における電力供給に係る費用については、沖縄本土の需要家の皆様も含めて、エリア全体で薄く広く御負担いただく離島ユニバーサルサービス制度によりまして、離島供給を行う沖縄電力が費用を回収することが可能となる仕組みとなっております。

 また、御指摘の自然災害の復旧につきましては、二〇二〇年の電気事業法改正によりまして、迅速な停電復旧に資する電源車の確保の費用など復旧作業の費用の一部や、他地域からの作業要員の派遣費用等を送配電事業者に交付する相互扶助制度を創設しておりまして、沖縄電力に対しては、これまでに約一・七億円を交付しております。

 また、沖縄電力は火力発電比率が高く、国際的な燃料価格高騰の影響を受けやすい構造でございます。沖縄電力においては、既に規制料金の燃料費調整の上限に達しており、転嫁が困難なため、安定供給を継続していくために、来年四月の料金値上げの実施に向け、具体的な検討に着手しているものと承知しております。

 いずれにせよ、沖縄の特性も踏まえた電力の安定供給に万全を期す上で必要な燃料調達や資金調達等の要素も十分に考慮しつつ、対応してまいりたいと考えております。

金城委員 里見政務官、御答弁ありがとうございました。

 最後に、地方公共団体における奨学金返還支援の取組についてお伺いいたします。

 平成二十六年に策定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略では、奨学金を活用した若者の地方定着を促進する旨が記載され、同戦略に基づき、平成二十七年には、日本学生支援機構と地方公共団体との協力による無利子奨学金の特別枠として地方創生枠を新設するほか、自治体による返還支援への財政措置として、特別交付税の対象とするなどの対応を講じてきたと理解しています。

 沖縄県では、本年六月十三日から令和五年二月二十八日までの間、奨学金返還支援事業を実施しています。事業の趣旨としては、県内中小企業の人材確保、定着を支援するため、企業が従業員に対して行う奨学金返還支援に対し、企業が負担する経費の一部を補助するとなっています。ただし、予算の上限に達し次第終了となっています。

 県以外では、西原町、南大東村、多良間村の一町二村しか実施していません。県が同事業を実施していても、別条件で市町村も実施できるとのことです。ちなみに、市町村が同事業を実施している都道府県で三市町村しか実施されていないのは佐賀県と沖縄県で、全国で最少です。

 私は、若い人材が沖縄県にUターン、Iターンしていただけるように、この制度を引き続き実施され、拡充されることを希望しています。

 国は、奨学金返還支援事業で地方公共団体が支出した経費に対し特別交付税措置されますが、措置率は現在〇・五です。沖縄県が引き続き奨学金返還支援事業を継続できるように、また、離島など市町村がこの事業を新たに事業化していただけるように、一層の支援が必要と考えます。

 そこで、質問します。

 奨学金返還支援の取組の実施や特別交付税措置を活用していける地方公共団体はいまだ限定的であり、過疎市町村や離島市町村を始め、より多くの地方公共団体が実施していただけるように、国として取り組む必要があると思います。これまでに実施した地方公共団体が継続して事業を実施できるよう、一層の支援を行うべきと考えます。岡田大臣の御答弁をお願いいたします。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 地方公共団体による奨学金の返還支援は、御指摘のとおり、地域の未来を担う若者の地元就職やUIJターン、こうしたものを促す重要な取組であると考えております。

 政府としては、返還支援を行う自治体に対して平成二十七年度から特別交付税措置を講じており、令和四年度には、若年層人口が流入超過の都道府県の区域内における条件不利地域についても措置率の引上げを行ったところであります。

 この実施自治体数については、平成二十七年度の五県九十七市町村から、令和四年六月時点では三十六都府県六百十五市区町村まで大幅に増加しておりますけれども、まだ一定数にとどまっております。奨学金支援を受けた方からは、学生さんからは、就職先を決める上で後押しとなったという声も伺っており、活用いただければ効果が実感できるものと認識をしております。

 今後も、措置率の引上げなどの制度変更の周知も含めて、効果が出ている自治体の取組を御紹介するなどして積極的な周知、広報を行い、関係省庁と連携して頑張ってまいりたいと存じます。

金城委員 質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔です。

 地方創生の取組について質問いたします。

 厚生労働省が九月十六日に発表した人口動態統計によりますと、二〇二一年に生まれた日本人の子供の出生数は八十一万一千六百二十二人となり、データがある一八九九年以降で最少になりました。国立社会保障・人口問題研究所が二〇一七年に公表した将来推計の、政府が通常使うシナリオの二〇二一年の出生数八十六万九千人を大きく下回る出生数となり、少子化の進行は非常に深刻な状況と言えます。

 地方創生の取組は、故安倍元総理の肝煎りで、東京への一極集中の是正と、少子化、人口減少対策の目的で始まりました。今回の出生数について、地方創生の観点からどうお考えになるか、岡田大臣の御見解をお伺いいたします。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 坂本委員の御指摘のとおり、コロナ禍の影響もあって、少子化の問題は現在大変深刻な状況となっておりますが、その状況は地域によって大きく異なるとともに、少子化の要因や課題には地域差もございます。また、地方創生の観点からも、地方における結婚、妊娠、出産、子育てしやすい環境の整備について、地域の実情に応じた取組を支援していくことが重要だと考えております。

 加えて、東京圏への流入人口は女性が多い傾向にありますことから、地方での仕事や地方への人の流れの創出など、東京圏への過度な一極集中の是正や多極化、これが地方創生の原点でございますけれども、これについても引き続き重要な課題であろうと思っております。

 このため、私の直接の所管ではございませんけれども、仕事と子育ての両立支援や保育の受皿整備など国全体の取組に加えて、結婚、妊娠、出産、子育てに関する地方公共団体の取組に対する支援や、地方に住み、働きながら都会に匹敵する情報やサービスを利用可能となるように、テレワークや転職なき移住を積極的に推進すること、こうしたことで、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、子育ての希望がかなう魅力的な地域をつくっていく。こうした地方創生を推進することによって、少子化に歯止めをかけ、出生数の減少にも歯止めをかけてまいりたい、このような決意でございます。

坂本(祐)委員 まさに、府省庁をまたいで取り組まなければならない重要な問題だと思います。

 我が国の少子化の進行に歯止めがかからない一番の原因は、第二次安倍政権以降、一貫して、子育て、教育に関わる支援、政策が不十分であったことだと考えます。岸田総理も、子供、子育て予算を倍増するとは言っているものの、かけ声だけで具体的な取組は全く見えません。

 OECDが公表している公財政教育支出の対GDP比は、二〇一八年のデータで日本は三・〇%と、ついにOECD加盟三十八か国中三十八位と最下位になってしまいました。少子化を止めるには、これまでにない思い切った子育て、教育の支援が必要であると考えます。

 立憲民主党は、小中学校の給食費の無償化、高校、大学の授業料の無償化、児童手当の所得制限の撤廃など、更なる教育の無償化の推進や子育て支援の拡充を掲げております。今回の出生数の減少を受けて、政府として、今後、子育て支援、教育政策は具体的にどうしていくか、お伺いいたします。

北波政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、少子化の進行というのは我が国にとっても非常に大きな課題だということでございます。

 少子化の背景につきましては、個々人の結婚や妊娠、出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っております。このような要因を一つ一つ取り除くことが必要でありまして、政府としては、安定的な財源を確保しつつ、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に取り組んでおります。

 今回の総合経済対策におきましては、妊娠から出産、子育てまでの身近な伴走型の相談支援と経済的な支援を合わせたパッケージとして実施する事業を新たに創設するなど、少子化対策、子供・子育て世代への支援を強化することとしております。

 さらに、現在、全世代型社会保障構築会議においては、親の働き方にかかわらない、子供の年齢に応じた切れ目のない支援強化、これの在り方について議論を行っているところでございます。

 また、来年四月からこども家庭庁が発足しまして、これまで内閣府や厚生労働省などに分散していた司令塔機能というのを一本化することとしております。各省庁より一段高い立場から少子化対策の企画立案、総合調整を行います。

 いずれにしましても、今後の子供政策に関する予算につきましては、こども家庭庁の下で、必要な子供政策が何かをしっかり議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて子供政策の充実に取り組んでいきたいと考えております。

坂本(祐)委員 そうであるならば、国ばかりでなく、少子化対策は、政府の支援の下に、地方自治体のそれぞれの地域特性に合わせたきめ細やかな対応が必要だと考えております。そのためにも思い切った財政措置をお願いをいたします。

 今、学校給食費の無償化について触れましたけれども、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を受け、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が拡充され、この中で、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分として、対象事業の取組例に学校給食等の負担軽減が示されており、一部の自治体においては学校給食費の一部負担軽減や無償化が実施されています。また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金において新たに、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が創設され、その交付金の中でも、学校給食費の保護者負担軽減支援が推奨事業メニューに位置づけられております。

 現下の物価高騰による家計への影響を考えると、学校給食費について家計の負担を軽減させることは重要と考えますけれども、地方創生臨時交付金で対応するべきものなのか。また、無償化する自治体、一部軽減する自治体、軽減しない自治体というように、自治体間で差があってよいのでしょうか。

 現在の物価上昇は、一部の地域で起こっているわけではなく、我が国全体に関わる問題です。また、義務教育下における学校給食ということであれば、公平性の観点からも全国一律に対応するべきであり、地方創生臨時交付金ではなく、文部科学省がきちんと予算措置を行って対応するべきであると考えますし、さらには、子育て、教育支援をしっかりと行っていくのであれば、学校給食費については、物価高騰対策としてではなく、子育て支援、教育政策の一環として恒久的に無償化していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食費の無償化についてでございますが、これは、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえまして、各自治体において適切に御判断いただくべきものと考えております。

 その上で、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の学校給食費につきましては、生活保護による教育扶助や就学援助により支援を実施しているところでございます。

 なお、御指摘いただいたとおり、今般の学校給食における物価高騰対策につきましては、四月の新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金の予備費における拡充に加えまして、九月に、足元の物価高騰に対する追加策として、六千億円規模の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が創設されておりまして、各自治体に対しましてこれらの積極的な活用を促して、保護者負担軽減に取り組んでいるところでございます。

坂本(祐)委員 私は、家庭の経済環境にとらわれずに、子供たちが安心をして、安全に学校で学ぶことができる、教育を受けることができる環境を整えていく、これをしっかりと政府が進めるべきではないかと考えています。

 地方創生臨時交付金につきましては、今や地方創生とは名ばかりで、当初の地方創生本来の目的はもう既にどこかに行ってしまっていて、その場しのぎの経済対策になってしまっているのではないでしょうか。

 平成二十六年にこの地方創生の取組が始まって、多額の税金が投入されましたが、結果としては、地方創生の取組の目的である東京一極集中は是正されず、過疎自治体は増えている状況です。先ほども申し上げましたが、少子化は止まらず、出生数は、データがある一八九九年以降で最少になってしまいました。平成二十六年に地方創生の取組が始まって、どれだけの地方の自治体が創生を果たしてきたのでしょうか。

 政府は、一度立ち止まって、これまでの地方創生の取組の検証を行うとともに、国と地方の在り方について見直すべきところに来ていると考えますが、いかがでしょうか。岡田大臣、御答弁をお願いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 これまでの地方創生に向けた取組を進めてきた結果、地域の魅力向上、にぎわいの創出の観点から、地方創生関係交付金の活用等を通じて、それぞれの地域の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進されてきました。この地域の皆様の御努力というものは高く評価しなければならないと思っております。また、地方への資金の流れの創出、拡大の観点から、千団体以上の地方公共団体において企業版ふるさと納税が活用されたこと、これも目標を前倒しで達成することになりました。また、地方への人の流れの観点から、東京圏からの移住が全国約千三百市町村において進んだこと、こうした一定の成果を上げてきたものとは考えておりますが、一方で、仕事、交通、教育、医療、福祉を始めとして地方には様々な社会課題が残っており、委員御指摘のとおり、結果として東京圏への転入超過が継続しているところであります。

 こうした事情を踏まえて、デジタルの力も活用しながら地方の社会課題の解決や魅力向上の取組を加速化、深化させていくことが重要と考えていて、この年末には、まち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改訂し、デジタル田園都市国家構想総合戦略を策定する考えであります。

 新たな総合戦略の策定に当たっては、これまでがどうであったかという、まち・ひと・しごと創生総合戦略で定めているKPIの進捗状況なども踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、国と地方の在り方についても御指摘がありました。

 地方分権ということでございますが、平成二十六年からは、地方の発意に根差した提案募集方式を導入して、国から地方への権限移譲を含む地方分権改革の取組を進めております。令和三年までの八年間で、地方からの提案千二百三十二件について趣旨を踏まえた対応を行っておりまして、特に、国から地方への権限移譲については、平成二十六年以降、地方分権一括法において、農地転用許可権限の移譲や地方版ハローワークの創設を始めとして五十を超える法律を改正するなど、地方公共団体の目線に立って取組を積み重ねてまいりました。

 引き続き、大事なことは、住民に身近な行政はできる限り地方に委ねることが重要であるとの認識の下、取組を進めてまいりたいと存じます。

坂本(祐)委員 まさに、住民に一番近いところにいるのは基礎的自治体です。地方の時代と言われてもう四十年が経過をいたしました。千七百十八市町村には千七百十八のまちづくりがあります。まさに、権限、財源の移譲をしっかりと行っていく、これが地方分権に最も大切なことであろうと思います。地域が豊かにならずして国の発展はありません。是非、しっかりと検証を行う中で、更なる御支援をいただくようにお願いいたします。

 次の質問ですが、地方における学校の再編整備による地域の影響について質問いたします。

 現在、埼玉県では、少子化による生徒数の減少や教育ニーズの多様化など、社会情勢の変化に対応するため、県立高校の再編整備が進んでいます。

 十月二十七日に、埼玉県教育委員会で、魅力ある県立高校づくり第二期実施方策が承認され、県立高校十二校を六校に再編整備するという方針が示されました。私の地元の鳩山町にある県立鳩山高校が今回の再編整備の対象校となっており、もう一つの越生高校に統合されてしまい、鳩山高校は廃校してしまう見通しになっています。鳩山町には、現在、高校はこの鳩山高校しかなく、統合されてしまうと、高校が一つもない町になってしまいます。

 鳩山町では、鳩山高校の生徒が、地域の子育て支援の取組に参加したり、夏祭りに参加したり、地域清掃に参加したりと、地域の住民の方々との交流を盛んに行っています。また、鳩山高校があることで隣の町の駅からもバスが運行されており、住民の重要な交通手段にもなっています。しかし、鳩山高校がなくなれば、生徒と地域との交流はなくなり、地域の重要な交通手段であるバスの運行にも支障が生じる可能性があり、地域の住民の皆さんからは心配の声も上がっています。

 今回の再編整備は埼玉県の取組であり、少子化や教育ニーズの多様化など、現下の社会情勢の変化を考えれば理解できる面もありますが、一方で、地域の活性化という観点から考えれば、高校は、生徒が学ぶためのところであるだけでなく、地域社会の活力の原動力であります。地域から高校がなくなることでその地域が失う、損失というものは計り知れないものがあります。

 この鳩山高校のケースだけでなく、日本全国で同じような、小中学校や高校の再編、統廃合が進んでいます。一度廃校にしてしまえば、また元に戻すことはできません。政府につきましては、地方の活性化が本当に重要であるということであれば、地方における小中学校、高校の価値をもう一度見直し、地方と一緒に今後の在り方を検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校は、児童生徒が集団の中で、多様な考え方に触れ、認め合い、協力し合い、また切磋琢磨することを通じて思考力や判断力、また表現力、問題発見・解決能力などを育み、社会性や規範意識を身につけさせる場所でございます。このため、学校規模の適正化の検討につきましては、児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据えまして、学校教育をよりよく実現するために行うべきものと考えております。

 その一方で、学校は教育の場であるだけでなく、各地域のコミュニティーの核として性格を有することが多く、防災、保育、地域の交流の場など、様々な機能を併せ持っております。また、学校教育は地域の未来の担い手であります子供たちを育む営みでもございます。まちづくり、地域づくりの在り方と密接不可分であるという性格も持っております。このため、小規模であることのメリットを最大化するとともに、デメリットを最小化するような工夫を講じながら小規模校を存続させる地域もあると承知しております。

 文部科学省としましては、各学校の配置につきましては、こうした点も踏まえまして設置者において適切に判断されるべきものと考えております。また、今後、中央教育審議会等におきまして、少子化が加速する地域における高等学校教育の在り方などについて御議論をいただくこととしているところでございます。

坂本(祐)委員 急速な少子化の下に、このような統廃合もこれからも進んでいくと思います。小規模校として存続することができるのかという視点もあります。様々な視点に立って、設置者だけに任せるのではなくて、文科省もしっかりとした指針を出していただきたい、支援をしていただきたいと願っています。

 学校の整備再編に関しましては、地元からは閉校後の校舎についても心配する御意見をいただいております。閉校後の校舎については、地域によってはうまく活用されているケースもあると伺っておりますが、放置され荒れてしまっているところもあり、地域の活性化の妨げになるだけでなく、防犯上の問題も懸念されています。

 閉校後の校舎について、政府としてどのように対応されているのか、お尋ねいたします。

野沢政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設は地方公共団体にとって貴重な財産であることから、廃校となった後も、地域の実情やニーズに応じ有効活用していくことが重要と考えております。

 廃校施設の活用状況につきましては、平成十四年度から令和二年度に発生した廃校の七四・一%が社会教育施設や福祉施設などの様々な施設として活用されている一方、一九・二%は活用用途が決まっていない状況でございまして、その有効活用が課題となっております。

 そのため、文部科学省におきましては、廃校施設の有効活用に向けまして、廃校施設の活用事例集や、文部科学省のホームページにおきまして、全国の廃校施設に関する情報の掲載や、廃校活用を希望する事業者や地方公共団体に対する廃校活用推進イベントの開催、また、廃校施設の活用に利用可能な各省庁の補助制度の紹介等によりまして、地方公共団体の取組を支援しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、地方公共団体による廃校施設の活用が一層推進されますよう、今後とも支援してまいります。

坂本(祐)委員 県立の学校であれば、県の予算の下に、例えば研究機関等に生まれ変わるケースもあります。しかしながら、市町村立の学校では財政規模も少ないわけでございまして、こういった現状を把握していろいろな例示をされているとお伺いいたしましたけれども、現状をしっかりと調べていただき、適切な御支援をいただければと願います。

 次に、地域における子供会活動への支援について質問させていただきます。

 地域の活性化には、子供の存在は欠かすことができません。そして、地域とその地域の子供たちをつなぐ重要な役割を果たしているのが子供会ですけれども、近年、少子化や価値観の多様化など、様々な社会環境の変化の中で、子供会に参加する子供が減ったり、あるいは子供会を運営する大人が減ったりと、様々な理由で子供会の活動が低迷しつつあります。

 地域の活性化のためには子供会の存続と活性化が重要と考えておりますが、子供会活動についての政府の認識と支援状況についてお尋ねいたします。

森友政府参考人 お答え申し上げます。

 子供会におきましては、各地域における子供たちの異年齢交流やボランティア活動、地域行事への参加などを通じまして、子供の健全育成に資する活動に取り組まれております。我が国の将来を担う子供たちのために重要な役割を果たしているものと認識をしております。

 一方で、御指摘のように、少子化やコロナの影響などによりまして、子供会への加入者が減少している状況と承知をしております。

 文部科学省におきましては、地域における子供会の活動を支援するため、独立行政法人国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金事業によります子供の自然体験や文化体験活動等に対する助成、また、公益社団法人全国子ども会連合会が行います全国子ども会育成中央会議・研究大会への支援、さらに、全国子ども会連合会との定期的な意見交換の場の設定などを行っております。

 文部科学省といたしましては、地域における子供会の活動が更に活性化するよう、引き続き、全国子ども会連合会とも連携しながら、様々な支援に取り組んでまいります。

坂本(祐)委員 子供会の活動にも、年会費や行事ごとにかかる参加費など、様々な費用がかかります。子育て家庭にとっては大きな負担となることもあります。子供を子供会に参加させない理由として、保護者が運営やその手伝いが負担になるため参加させないという理由もありますが、経済的な理由で参加させることができないというケースもあると伺っております。

 一人でも多くの子供たちが子供会に参加し、地域とのつながりを持てるようにすることは、子供の成長にとっても地域にとっても重要なことであると考えます。子供やその家庭が経済的な負担のことを心配することなく参加できるよう、国としても、子供会の活動に対し、財政的な支援を含め、様々な形で支援をしていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

森友政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、子供会が行う体験活動に対しましては、国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金によります活動費への助成を行っておりまして、本基金におきましては、通常の体験活動に対する助成に加えまして、子供会等の民間団体が、経済的に困難な状況にあります子供を対象に、地方公共団体などと協力をして体験活動を行う場合に、通常は対象外とされております参加者の交通費、宿泊費、飲食代等の自己負担経費についても助成の対象としているところでございます。

 文部科学省といたしましては、地域における子供会の体験活動を支援するため、都道府県、市町村教育委員会とも連携しながら、このような子どもゆめ基金の助成内容の周知に努めてまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 子供会は、子供たちが中心となった活動です。例えば、自然との触れ合い、そして地域との触れ合い、そして高齢者の方々との触れ合い、そして、お姉さん、お兄さん、弟、妹たち、年齢を超えた様々な触れ合いを通して、自ら考え、行動する力を養っていきます。是非、これからもきめ細やかな対応を、支援していただきますようにお願いを申し上げます。

 次の質問でございますけれども、時間の都合で一つ飛ばしていただきまして、Jアラートが発出された際の対応について質問いたします。

 十月四日午前七時三十分頃、北朝鮮によるミサイル発射を受け、五年ぶりにJアラートが発出され、さらに、十一月三日午前七時五十分頃にも発出されました。多くの国民が不安と恐怖を感じたと思います。

 この中で、地域での、人が大勢集まるようなイベントの開催中にJアラートが発出された際、大勢の人たちが一斉に動くことで将棋倒しなど転倒事故が発生する可能性も考えられますが、政府としてはこのような視点も想定されているのでしょうか。また、対応方針など、地方自治体に周知しているのかどうか、お伺いいたします。

迫田政府参考人 お答えいたします。

 従前から、警察におきましては、多数の人が集まる行事等に際しまして、雑踏事故が発生するおそれがある場合には、あらかじめ、行事の主催者や施設の管理者などに対して、自主警備計画の作成、警備員の配置、資機材の活用などの安全対策を取るよう指導することとしております。また、自主警備に加えまして、警察官による対応が必要と判断される場合には、制服警察官による雑踏整理や交通整理などを実施し、雑踏事故の未然防止を図ることとしております。

 先月、韓国の梨泰院におきまして大きな雑踏事故が発生しましたけれども、その事故の発生を受けまして、警察庁から全国警察に対し、地元の自治体や行事の主催者などと連携しつつ、雑踏整理や交通整理などを実施し、雑踏事故の防止を図るよう、改めて指示をしたところでございます。

 また、大きな行事などの最中に、災害の発生や、御指摘のJアラートの使用などにより、雑踏に伴う危険が具体的に予想される状態になった場合には、警察としては、行事の主催者、施設の管理者などと連携し、参集者を安全に避難誘導することとしております。

 引き続き、雑踏事故の防止に万全を期するよう、都道府県警察を指導してまいります。

坂本(祐)委員 Jアラートの発出につきましては、課題も多くあります。日本にお見えになっている外国人の皆様方にどう対応するか、あるいは、学校に登校する途中の子供たち、そして親たちの不安、いろいろな課題があると思いますが、こういったことに対して正確でしっかりとした対応を取っていただくようにお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今年は、太平洋戦争敗戦後七十七年目、戦後最大の危機にあります。喫緊に対応しなければならない課題は三つだと言われております。

 一つは、今、坂本筆頭からも質問がありましたが、少子化、働き手不足、どうするんだ。二つ目は、財政危機。アベノミクスの過度な円安や物価高で、外国との、貿易収支、所得収支を合わせた経常収支が、実は赤字、今年度の上半期、十一兆円を超える赤字。下半期も同じような赤字になると、実は経常収支も赤字になる可能性が出てきた。そうなると、財政破綻の心配もしなくちゃならない。財政危機であります。三つ目は、デジタル敗戦、デジタルファシズムの心配です。こうなると、日本の資産と主権が実は外国に流れてしまうおそれがある。

 本日は、地方創生特ですから、デジタル危機を中心に政府の考えをただしてまいりたいと思います。簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 まず最初に、新しい資本主義の定義についてです。

 一つ目は、岡田大臣の認識についてであります。大臣も、新しい資本主義の主役は地方だ、こう言っておりますけれども、しかし、岸田総理が掲げる新しい資本主義というのがどうもはっきりしないわけでありますが、どのようなものだと考えているのか、簡潔にお答えください。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 新しい資本主義に関する私の認識というお尋ねでございまして、地方創生担当大臣としてお答えを申し上げれば、これはやはり、官民が連携をして社会課題を解決し、それを力強い成長につなげていくという考え方であると認識いたしております。

福田(昭)委員 簡潔に答えていただいて、ありがとうございます。

 二つ目ですけれども、岸田総理は、さきの通常国会での予算委員会で、与党の議員の質問に対して、こう答えているんですね。資本主義のバージョンアップだ、こう言っている、簡単に言うとですよ。ですから、岸田総理は、新自由主義の弊害を直すと言っているのに、新自由主義の本質を本当に理解しているのか、私はそういう心配をいたしております。

 私が言うと釈迦に説法になるかもしれませんが、新自由主義の本質は、株主第一主義、市場万能主義で、強欲資本主義そのものです。ですから、これを直さず、改めなくてバージョンアップしたら、格差と貧困は一層拡大していく、そして、社会の二極化を進め、分断を推し進めることになるんじゃないかと心配をしております。回答は要りません。

 次に、デジタル日米貿易協定についてであります。

 二〇二一年の一月一日に発効いたしましたが、一つは、まず、第二条、「適用範囲」についてであります。

 第一項、「この協定は、締約国が採用し、又は維持する措置であって、電子的手段による貿易に影響を及ぼすものについて適用する。」と書いてありますが、第二条では、「この協定は、次のものについては、適用しない。」と書いてあります。「(a)政府調達」「(b)政府の権限の行使として提供されるサービス」とありますけれども、これはどういう意味なのか、外務省にお伺いをいたします。

竹谷政府参考人 お答えいたします。

 日米デジタル貿易協定、今お問合せありました第二項でございますけれども、いわゆる例外規定を定めております。

 この例外には三つの類型がございまして、一つ目が政府の調達、二つ目が政府の権限の行使として提供されるサービス、三つ目が、締約国により若しくは締約国のために保有、処理される情報又は当該情報に関連する措置については適用しない、以上の三つについて定めているというものでございます。

福田(昭)委員 それでは、今回、政府が、デジタル庁が進めておりますガバメントクラウドですけれども、政府が調達するもの、政府の共通のシステムと、それから、今回、地方自治体の統一、標準システムをつくっておりますが、これは(a)と(b)に該当するという考えですか。確認をさせてもらいます。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん政府調達の定義にもよるわけでございまして、私、直接デジタル庁のものを担当しているわけではございませんけれども、一般的に申し上げまして、政府が調達するものでございますので、政府調達の定義に当たるというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 そうすると、今、デジタル庁がやっているのはとんでもないことになるんじゃないかと思っていますが。

 令和四年度、政府が契約したガバメントクラウドは、何と四社とも全部アメリカの会社です。一つがアマゾン、二つがグーグル、三つ目がマイクロソフト、四つ目がオラクルの四社です。

 そうすると、この四社はこの協定に違反しているとはならないんですか。それとも、この協定で、協定の対象外として使える、こういう話なんですか。これはどっちなんですか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ガバメントクラウドということで、それを含む政府調達につきましては、お答え申し上げましたとおり、適用しないということになっておりますので、この協定の外ということでございます。

福田(昭)委員 そうすると、この協定を全く無視して政府はガバメントクラウドにアメリカの四社を今回は選んだと。これでも問題はない、こういうことなんですか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、日米デジタル貿易協定というのは、政府調達は適用しないというふうに定めてございますので、政府が調達するそうしたサービスについては、この貿易協定は適用されないということでございます。

福田(昭)委員 分かりました。

 では、このデジタル協定は何のために結んだんですか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 このデジタル貿易協定については、貿易に影響を与えます各国のデジタル上の取組について規定をいたしまして、貿易が促進されるようにということで設けている協定でございます。

福田(昭)委員 そうしたら、政府のつくる共通システムのガバメントクラウドも、地方自治体の統一、標準ガバメントクラウドも、これは大きく影響するじゃないですか。物すごく影響しますよ。日本の国の存亡にも関わるような大事件ですよ。だから、何のために結んだのかということで。

 二つ目ですけれども、第十二条の「コンピュータ関連設備の設置」についてですけれども、第一項には「いずれの締約国も、自国の領域において事業を実施するための条件として、対象者に対し、当該領域においてコンピュータ関連設備を利用し、又は設置することを要求してはならない。」というふうにありますが、これはどういう意味なんですか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 第十二条の規定でございますけれども、コンピューター関連設備の設置について定めている規定でございます。

 第一項では、いずれの締約国も、企業等が自国の領域内で事業を実施するための条件といたしまして、企業等に対し、コンピューター関連設備を自国の領域内において利用、設置することを要求してはならないと規定しているものでございます。

福田(昭)委員 そうしたら、具体的に聞きますけれども、今申し上げたアメリカのデジタル業者、GAFAなどは、日本で商売をするのに、日本にデータセンターやサーバーを置かなくても商売していいよ、あるいは、日本のデジタル業者はアメリカにデータセンターだのサーバーを置かずに商売してもいいよ、こういう意味なんですか。

竹谷政府参考人 繰り返しのお答えとなりますけれども、第十二条の規定によりますと、コンピューター関連設備の設置についての規定でございますけれども、いずれの締約国も、企業が自国の領域内で事業を実施するための条件といたしまして、企業などに対して、コンピューター関連設備を自国の領域内において利用、設置することを要求してはならない、そういう規定となってございます。

福田(昭)委員 私が言ったでしょう。具体的に言ってください、具体的に。

 だから、アメリカの業者が日本でデータセンターやサーバーを置かなくても日本で商売できる、こういうことなんですか。

竹谷政府参考人 この十二条の規定によれば、委員御指摘のとおり、アメリカの企業が、我が国、自国の領域内で事業を実施するに当たっても、我々日本政府は、そのアメリカの企業に対し、そのコンピューター設備を自国の領域内において利用したり設置したりすることを求めてはならないという規定でございます。

福田(昭)委員 ちゃんと答えないけれども、結局、アメリカのGAFAなどのデジタル業者は、何も日本にそれこそデータセンターだのサーバーを置かなくても商売できる、こういう話なんですね。

 先日、グーグルのCEOがやってきて、岸田総理に会って、その後、記者会見をいたしました。今後グーグルは日本に一千億円投資をする、データセンターも造る、こう言っておりましたけれども、そうすると、今回のまさにデジタル協定が実は政府のつくるガバメントに全く左右されないということになると、日本は最高のもうけ場所だと思って、グーグルは一千億投資するんですよ。そういうことの心配はないですか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 協定の意義でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、我が国とアメリカ合衆国との間のデジタル貿易が促進され、両国間の貿易が安定的に拡大するということを目指しまして締結したものでございます。

 委員御指摘の、データセンターの設置については、もちろん、各企業の判断でいろいろなされるものであるというふうに認識をしてございます。

福田(昭)委員 この問題は大きな問題だから、後でまたしっかり議論する機会をつくりたいと思っています。

 括弧三、三つ目、これは同じような問題だと思うので、省略いたします。

 次に、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律ですけれども、これが二〇二一年の二月一日に施行になっております。担当は経産省だそうでありますが、この法律の作った目的と政府が指定した特定デジタルプラットフォームの提供者について、是非、どんな会社を指定したのか、名前と国の名前を教えてください。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律でございますが、この法律は、デジタルプラットフォームのうち、特に透明性、公正性を高める必要性が高い分野として、オンラインモールであるとかアプリストアであるとかデジタル広告を規制の対象というふうにしております。

 それぞれの事業分野におきまして、オンラインモールでありますとアマゾン、楽天、ヤフーでございまして、アプリストアではアップル、グーグル、さらに、デジタル広告ではグーグル、メタ、ヤフー、これを特定デジタルプラットフォーム提供者として規制の対象というふうにしております。

 本法でございますが、日本市場における取引の保護を目的とするものでございまして、日本市場においてデジタルプラットフォーム事業を行っている者が規制の対象となるということでございます。

福田(昭)委員 そうすると、例えばですけれども、日本の企業は楽天とヤフーだけということなんですかね。それで、今回は中国のプラットフォームを扱う業者は全く指定されていないということなんですか、確認をさせてもらいます。中国や韓国もですね。

門松政府参考人 お答えいたします。

 これは、法律のたてつけが、指定基準が、国内の売上高であったりとか国内の流通総額、これが一定以上のものが影響度があるとして判断をしています。

 すなわち、先生御指摘のような、国とおっしゃっている、そのような、これ以外の企業はそれに達していないので、指定されていないということでございます。

福田(昭)委員 今後、私の聞くところによると、中国の業者もかなり日本の国内で商売をしていると伺っておりますけれども、そんな中で、政府はRCEP協定を結んだんですよね。そうすると、RCEP協定の中でも、まさにデジタル日米協定と同じような電子商取引が実は決められております。中国から要求があったときに、このRCEP協定に違反ではないか、こう言われる心配があるんじゃないかと思っていますが、その辺はいかがですか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 済みません、ちょっと御通告がなかったのであれですが、基本的にこの法律は、国籍どうこう云々全く関係なく、まさに国内流通量というメルクマールで全て切りますので、それをもって、ほかの国とかほかの条約等との関係で摩擦が起こるとは思えないというふうに認識をしております。

福田(昭)委員 分かりました。

 では、こればかりやっていると時間がなくなりますから、次に行きたいと思います。

 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律及び標準化基本方針及び基幹業務システムの統一、標準化等についてでありますが、時間の関係でちょっと飛ばしていきたいと思っていますが、ガバメントクラウドに関する要件についてお話を伺いたいと思います。

 まさに主な要件が七点指摘されておりますけれども、しかし、この七点指摘されている中で、実は、アメリカの情報局の元職員であったスノーデンによれば、アメリカ政府による監視の仕組みは三点あって、どんな電話の話にしても、あるいは情報にしても、全てちゃんとアメリカの情報局が手に入れることができる、そういう仕組みがあるそうでありますが、そうした仕組みを、セキュリティーを適切に講ずる予定だとありますが、そうしたものからちゃんと守れるという仕組みができているんですかね。いかがなんですかね。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウドは、その調達に当たりまして、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度、ISMAPに登録されたサービスであること、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて最新かつ最高レベルの情報セキュリティーが確保できること、データ暗号化はデジタル庁で独自に生成した暗号鍵の使用が可能であること、また、データセンターの物理的所在地が日本国内にあり、一切の紛争は日本の裁判所が管轄するとともに、契約の解釈が日本法に基づくものであることを契約により担保することなどを要件としているところでございます。

 先生御懸念の、外国政府にデータが流れてしまうのではないかという御懸念につきましては、これらの保護措置を契約やシステム上でしっかりと担保をしているところでございます。

福田(昭)委員 それは守られるかどうか分かりませんよね。

 アメリカ政府は、電話のメタデータ、バルク・コレクションということで、全ての情報をアメリカの業者に政府に毎日提出させているそうであります。それから、PRISMというシステムがあって、フェイスブックやグーグル、アマゾン等々、アメリカに本社を置く九社のデジタル会社に命じて、電子メールプラスSNSによる内容などを少なくとも秘密に提出させるプログラムがあるそうであります。それから、アップスドームということで、アメリカ本社につながる海底ケーブルなどに捜査官がアクセスして目当ての情報を直接入手するプログラムもあるそうです。

 したがって、スノーデンが警告しているように、日本への警告ということでやっていますが、携帯電話はあなたの情報を政府に知らせています、前にニュースにもなりましたけれども、メルケル首相の携帯電話も盗聴していた監視の実施です、無差別、組織的な監視、全ての記録は自動的に収集され、メタデータとして保管されております、まさに、こうしたことに対して、監視活動に関するアメリカと日本の協力関係がありますというところまでスノーデンは実は皆さん方に警告をしております。

 したがって、皆さん方がいかにセキュリティー対策を万全にしたといっても、残念ながら、そもそも、インターネット、デジタル化はアメリカが軍事開発した仕組みですから、ですから、敵の情報を必ず手に入れるというのがこのインターネット、デジタル化ですから、ここはしっかり心配しながら慎重にやるべきだと思います。

 そこで、時間がなくなってきましたので先に進みますけれども、令和四年度のガバメントクラウドについては、先ほど申し上げたように、アメリカの四社に発注したわけでありますが、この四社の請負額、契約額がいかに安いからといっても、私は、日本人の一億六千五百万人弱の個人情報をわざわざお金をかけてアメリカに提供する必要はない、こう思っておりますが、いかがですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、ガバメントクラウドの調達に当たりましては、様々なセキュリティー対策を講じられているところでございます。

 ガバメントクラウド上にございますデータにつきましては、これは全ての機関が自由にアクセスできるというものでは決してございませんで、データへのアクセス権限につきましては、データを保有する行政機関がそれぞれ設定するということでございます。そのデータの格納されているクラウド上の領域につきましても、他のデータが格納される領域と論理的に分離されるということになっているものでございます。

 したがいまして、従来どおり、データを保有する行政機関以外が当該データにアクセスすることはできないということでございますので、御懸念は当たらないと考えてございます。

福田(昭)委員 それはあなたが懸念しないだけであって、多くの人が懸念しているわけですね。

 それで、私、委員長に提案したいんですが、この問題は本当に日本国民のそれこそ人権や資産までおかしくするような話だし、日本の国益も失うような話ですから、今後、是非理事会で相談してほしいと思っています。政府から、どんなデジタル社会をつくるんだという具体的な、法律はできていますけれども、具体的にどんなふうに進めていくんだということのヒアリングをして、その上で、今度は、外部の専門家から参考人の質疑をして、これをどうやって進めていくかというのをしっかり協議をして、この地方創生特で議論をしていくようにお願いしたいと思っています。

 と申しますのは、実は、我が国は、ビヨンド5、6Gの推進戦略というのも作っているんですね。それを見ると、二〇三〇年以降に使えるようにしたい、こういうことですから、そうすると、デジタル田園都市国家構想も、二〇二五年度末までに、日本周回の海底ケーブル、デジタル田園都市スーパーウェーというんだそうですが、これを整備をする、二〇二七年度までに光ファイバーの世帯カバー率を九九・九%にする、二〇三〇年度末までに5Gの人口のカバー率が九九%に達成するようにしたいというのがこのデジタル田園都市国家構想なんだそうです。

 そうすると、まさにこのビヨンド5が二〇三〇年から使えるようにしたいということですから、これを踏まえた上で、これはどうも、ネットワークをつくるという、世界最先端のものを開発しようという話だそうですが、この最先端のネットワークをつくるシステムと、それから、まさにこのガバメント、これを連動する形で日本の国益をしっかり守る、国民の生命と財産も守る、そういうやはり未来像が必要だと思うんですよ。

 ですから、ここは、どこか、内閣府でやるのなら内閣でもいいけれども、今まで、どこもやるところがないので、どこも議論しているところがないので、ここはしっかりこの地方創生特で議論して、デジタル田園都市国家構想がきちっとできるように。

 私も、このデジタル都市国家構想基本方針、一応一読させてもらいました。これはこれとして、私はかなりよくできていると思っています。しかし、問題は、どこのデジタルのメーカーを使うかということだと思うんです。ですから、是非、私は、デジタル人材も、デジタルの業者も、日本の国の、自前の人材を育成したい、自前の事業主を育成して、やはりしっかり個人情報も諸外国に漏れないようにして慎重に進めるべきだと思っております。

 岡田大臣、なかなか時間がなくてよく質問できませんでしたけれども、このデジタル田園都市国家構想、是非、じっくり進めていく、二〇三〇年が目標であるならば、是非、ビヨンド5の推進戦略もありますから、それと併せて、しっかりデジタル社会をつくっていくということを考えたらいいんじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 デジタルの力を活用しつつ、地方の社会課題の解決や魅力向上の取組を深化させていくために、この年末に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改訂いたしまして、デジタル田園都市国家構想総合戦略を策定する予定といたしております。

 新しい総合戦略は、来年度をスタートとして、五か年の戦略として、各府省庁の施策の充実、具体化を図り、二〇二七年度までのKPI、目指すところとロードマップを策定するとともに、地域の目指す理想像、地域ビジョンの実現に向け、政府一丸となって総合的、効果的に支援する観点から、施策間連携、地域間連携の具体的方策を位置づけることといたしております。

 年末に向けて具体的な内容について検討を進めてまいりたいと思いますし、もちろん、迅速に進めてまいりたいと思う反面、委員御指摘のようなことを様々念頭に置きながら進めてまいりたいと思います。

福田(昭)委員 時間が来ましたからやめますけれども、これは本当に重大なことですから、しっかり、政府を挙げて、あるいは与野党挙げてちゃんとやらないと私は駄目だと思っているので、それは与党の皆さんにも是非一緒に考えてほしいと思っています。

 以上です。

橋本委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 早速、質疑に入りたいと思います。

 大臣所信において、地方創生臨時交付金のより効果的な活用を述べられていましたので、その点に関して聞きたいんですが、その前提として、地方創生臨時交付金が多く積まれているコロナ予備費について、まず財務省にお伺いします。

 予備費は、憲法八十七条第一項、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」とあります。

 確かに、世界はこの三年、コロナ禍という未曽有のパンデミックにあり、社会のありようも大きく変わってきた中で、予見し難い予算の措置等は必要であったと考えますが、とはいえ、結果として何にどのように使われたというのは、財政規律の観点からも、これはしっかり把握しておくべきというふうに思っています。

 こうした状況下、日経新聞が今年四月二十二日に、コロナ予備費使途九割追えず、十二兆円、コロナ以外流用懸念という見出しの記事を報じておりまして、最近の十月二十五日にも、コロナ予備費の使い道の多くが判明していない旨を、参考資料一のように、新聞において丸々広告掲載されたということで。

 コロナの予備費は、この三年の総額、もう二十兆に上っているんですが、日経新聞の指摘にあるような十二兆円や、そのうち使途が判明しているとされている一割というのが何を指すのかというのをちょっと教えてください。

金子大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 予備費に限らず、予算の執行に当たっては、各事業を所管する関係省庁においてしっかりと、内容が適切であったか、どのような効果があったかという点に関して事業の評価を行うとともに、国民の皆様方に丁寧に説明していくことはもとより重要であると思っております。

 その上で、今御質問いただきました予備費の使用に関しまして、補正予算を含めて、既定予算の不足を補う場合には、既定予算と一体となって支出されているため、予備費のみを切り出してその執行状況を明確に把握することについては実務上の課題があると考えております。

 他方で、執行状況についての説明責任は重要であり、財務省としては、事業を所管する各省庁においての情報提供、また丁寧な説明を行っていただくとともに、各省庁と連携し、情報開示の在り方について検討してまいりたいと考えております。

守島委員 政務官、ありがとうございます。

 ということは、省庁が、当初とか補正とか、予算とかに混ぜ込んでやってしまっているので、なかなか予備費としてひもついたものの使途をチェックするというのが困難という回答だったと思うんですが、性質上ひもついた形で追いにくいのであれば、なおさらチェック機能というのを事後でも働かせないといけないかなというふうに思っています。

 そこで、憲法八十七条の二項において、全ての予備費の支出については、内閣は事後の国会の承諾を得なければならないとされておりまして、財政法においては、政府が予備費に関する調書を次の通常国会において国会に提出して、その承諾を求めなければならないと定められていますが、これも、過去においては新聞等で、このプロセスが守られていないという批判をされてきました。

 実際に、調書作成から国会承諾といったプロセスの履行状況を教えてください。

金子大臣政務官 守島議員にお答えをいたします。

 御指摘いただきましたように、予備費に関しましては、財政法に基づいて、予備費使用総調書等を次の常会において国会に提出されていることとされております。

 直近の国会の審議状況を申し上げますと、令和二年度分については、本年四月、五月に衆参それぞれで御承諾をいただいております。

 令和三年度分については、予備費使用総調書を提出させていただいておりますが、まだ国会で審議をいただいていない状況であります。

 政府としては、早期審議に引き続き努めさせていただきまして、また、調書等の早期提出も引き続き努力をさせていただきたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 省としては、調書は提出しているということで、順調にやっているということで、それはありがたいんですが、令和二年度分は終わっている、令和三年度分はまだ国会での審議が停滞しているということで、これは国会側の問題だと思いますし、長年、次の常会で承諾というプロセスが経られていないというのが、いろいろな予備費の使われ方で実態となっていますので、これは、政治家の立場として、ここにいる皆さんも、決算委等でこういう審議が進むように議員各位にもお願いする次第です。

 ちなみに、コロナ予備費は、今回の補正予算でも新たに三兆七千億円積み増しなど、巨額化というのが進んでいると思うんですけれども、これは、政府への白紙委任の予算を増やすことになりまして、財政規律や財政民主主義の観点に反しているんじゃないかという専門家などからの指摘もあるんですが、こうした指摘を踏まえて、考えがあれば教えてください。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 守島議員にお答えします。

 これまで、新型コロナの感染拡大、また、ウクライナ情勢等の原油価格、物価高騰に関して、予測困難な事態に対して臨機応変に、かつ時機を逸することなく対応していくために、その趣旨に合致したものについて予備費の使用を決定をしてまいりました。これは、国民の命と暮らしを守る観点から適切な対応であったと考えております。

 その上で、予備費は、予算の事前議決の例外として、内閣の責任で支出をさせていただくものでありまして、憲法、財政法の規定に従って、国会での審議の上、承諾、御判断をいただいております。

 特に、今回のコロナ、物価予備費の使用に関しましては、国会の判断を踏まえ、予算委員会理事懇談会等で報告や説明を行ってまいりました。

 今後も、財政民主主義の観点から、予備費の使用に当たっては、憲法、財政法の規定に従って適切な使用を判断していくとともに、また使用については、国会、国民に対して説明責任を果たしていくために、丁寧な説明を果たしていく所存であります。

守島委員 予算委等でも特に丁寧に説明されてきたということなので予備費は適切だったということですが、あくまで例外という認識はしっかり持っていただいて。

 これは、事後審査しても、執行した予算というのは、予備費の場合は取り消すことがもうできないので、その点は留意していただきたいというのと、予備費の使用調書を僕も読んだんですけれども、所管調書ごとに使用額が書かれているものの、その後の執行状況までは読み込めないので、一定、日経新聞のような危惧をされるというのも理解はするところなので、だから、予算編成に当たっては、使い道の精査とその後の迅速な審査というのを議員各位にも政府にもお願いしたいところであります。よろしくお願いします。

 さて、続きまして、参考資料二枚目に、令和二年度の予備費の一覧を配付しています。この予備費の一覧が、じゃ、GoToトラベルなど、そもそもコロナ予備費として計上すべきかどうかとか、そういう疑問はありますが、それはさておき、三割以上という大きい部分が地方創生臨時交付金に回っておりまして、この点、質問します。

 参考資料三枚目に、臨時交付金について、これまでの総額や項目別の支出一覧を配付しておりますので、それも御覧ください。

 この地方創生臨時交付金のうち、ほとんどは大まかな用途が決められているというのが実態ですが、地方の裁量が大きく、ほぼ用途に制限がないものが、1の地方単独分、この四・六五兆円で、この中に、ある種象徴的であった、佐賀の誓いの鐘とか、公用車の購入とか、着ぐるみ作製とかイカのモニュメント、そういったものが、コロナと関係あるのかどうか分からないですけれども支出され、マスコミ等でも取り上げられてきました。

 これを見ると本当に何でもありで、内閣府としては、地方の裁量を認める予算というものの、自治体に実施計画は提出してもらった上で、確認作業というのをしてきたはずなんですけれども、内閣府のチェックは機能していたのかというのが気になりまして、実施計画段階で落とした事業とかはあったのか、教えてほしいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金につきましては、これまで、各自治体が地域の実情に応じまして、新型コロナウイルス感染症の拡大防止とともに、その影響を受けております地域経済や住民生活への支援に取り組めるよう措置してきたところでございます。

 御質問にありました、自治体から提出された実施計画、これにつきましては、内閣府におきまして、感染拡大の防止であるとか、地域経済、住民生活支援といった経済対策との関係、また、対象外経費等の有無について確認をさせていただいているところでございます。

 また、実際の実務におきましては、個々の事業につきまして、内閣府から地方公共団体に交付限度額というのを通知した後に、実施計画を提出する前の期間、こういう期間の中で自治体からの事前相談を広く受け付けておりまして、事業の修正であるとか取りやめなどを求めることによりまして、実施計画の提出の後に手戻りがないよう、円滑、迅速な手続によりまして、時機を逸することのないよう必要な事業が進められるというふうに心がけております。

 そのような手続でございますので、認められなかった事業数というような形で把握すること自体がちょっと困難でございまして、そうした整理もしていないというようなことでございます。

守島委員 ありがとうございます。

 だから、内閣府としては、用途の正しさのチェックとか地方の活性に効果的かというベクトルで見ていないんですね。どちらかというと、限度額まで執行すること、予算を執行し、支出するようにすることが目的となっていて、それ自体、僕は税金の使い方としてどうなのかなという疑問を持ちます。

 結局、これは、コロナといいながら、地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るための措置という抽象的な表現をしてきたことで、正直、線引きなく何でも受け入れてきたというのが現状でして、例えば、この交付金を使って、東京の千代田区のように、千代田区というのは全国でも圧倒的に平均所得が高いような場所だと思うんですけれども、その全区民に一律十二万円を配ったことなどを鑑みると、そもそも、自治体と内閣府や総務省でいろいろなやり取りとか手続を経るような面倒な事業にせず、減税とか一律にお金を配った方が効率は高いし、本当に困っている人はそっちの方が救われるんじゃないかなというふうに思っています。

 地方単独分を措置することで国も地方も大きな職務上の負荷を抱えるし、事業においては間接的な経費などもかかるということが想定されますが、この事業自体、内閣府としてどう評価しているのか、教えてください。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 臨時交付金の地方単独事業分、これにつきましては、先ほど申し上げましたが、地域の実情に応じまして必要な事業に取り組めるよう、これまで措置をしてまいりました。

 具体的な中身につきましては、感染拡大の防止であるとか医療提供体制の確保、また、事業継続への支援、生活困窮者対策、オンライン診療やオンライン教育の実施等に臨時交付金が活用されておりまして、こうした事業を通じまして、基本的な感染拡大の防止であるとか地域経済の下支えに寄与してきたというふうに考えております。

 今回御指摘ありました、令和二年度、この地方創生臨時交付金の実施計画に記載された事業を対象とした効果検証というものを行っておりまして、自治体にアンケートを取りましたら、ほとんどの自治体におきまして、臨時交付金につきましては感染拡大の防止及び経済活性化に関して効果的であったという評価をいただいておりますし、また、有識者からも御意見をいただきまして、感染拡大の初期の段階におきましてプッシュ型でマスクの購入であるとか初動対策をしたというようなこと、また、地域経済を支える上で意義があったというふうな評価もいただいているところでございます。

 ただ一方で、自治体が地域の実情に応じた必要な事業、これをきめ細かく行えるというメリットがある一方で、その使途や効果、これにつきましては自治体が地域住民にちゃんと公表して説明するようお願いをしておりますので、そうしたところについてはまだ十分な状況とは言えないということで、引き続き強く要請してまいりたいというふうに考えております。

守島委員 僕も、全否定しているわけではなくて、全てが正しいと言い切るのも違うと思っているので、しっかり、自治体への効果検証、発表も含めて内閣府が促して、意義があったというのであれば、そういうふうな説明をできるように裏づけをしていってほしいなというふうに思います。

 意義があるという抽象的なことより、やはり、税金からの支出なので、しっかり費用対効果というのを検証してほしいと思うんです。

 というのも、僕も、先ほどおっしゃった、自治体へのアンケートを基にした効果検証の取りまとめを見たんですけれども、ほとんどの自治体が効果的であったとおっしゃるんですけれども、それは、地方にアンケートを取れば、このように自由な裁量でお金を使えるのであれば効果があったと言うのは当然で、引き続き、今なお多くの自治体から、追加のこの地方単独分の予算執行を望む声というのも出ているというふうにも聞いています。

 なので、今後のことも踏まえて、感覚でやってよかったというよりかは、事業を継続するというのであれば、しっかり費用対効果の検証をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ちなみに、財務省の財政審議会においては、新型コロナ対策が新たな段階に移行していく中で、これまでの措置が地方財政に与えてきた影響を考えれば、臨時交付金については縮減、廃止していく必要ありと指摘されました。

 財政審の指摘のように、地方自治体を総じて見ると、基金は増えて、財政は健全化しているというふうに見えるという実態もあるんですけれども、大臣はこの点についてどう考えるのか、時間は会派内の中で調整しますので、よろしくお願いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 地方創生臨時交付金は、今も政府参考人からも御答弁申し上げましたが、長引くコロナ禍において、自治体が財政上の不安なく必要な対応を講じられるように措置してきたものでありまして、最近では、これが、物価高の影響を受けた生活者、事業者をより重点的、効果的に支援できるような推奨事業メニューを示すなど、コロナ禍の長期化や国際情勢の変化などによる国民生活への影響に自治体が適切に対応できるよう措置してきたところであります。

 もとより、これは臨時交付金でありますから、この制度は補正予算や予備費に基づく臨時の措置であります。しかしながら、ウィズコロナの下での感染症対応の強化や、コロナ禍における物価高により厳しい状況にある生活者、事業者への支援などの社会的要請に自治体が今後とも適切に対応できるように、そして、しっかりとしたチェックもまた必要か、こういうふうに考えております。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 予備費や臨時交付金について触れましたが、コロナ禍で、今、大臣もおっしゃったように、迅速性を求められるということを背景に一定こうした税の使い方がされることに関しては、信頼が揺らぎかねない状況というのもあり得ると感じていますので、国民の理解が得られる税投入を意識し、今後も予算編成に努めていただくことをお願いしまして、私の質疑とします。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 短い時間ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 デジタル田園都市国家構想について質問いたします。

 デジタル田園都市国家構想、これは岸田内閣総理大臣が掲げる地方活性化策であり、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方にいながら都市と同じような利便性を享受するもので、そのため、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めるものでございます。

 デジタルという手段を使い、地域の課題や地域の魅力、これを引き出していくことには異論はございません。日本は古来より、地域によってそれぞれの歴史、文化、産業、また宝があり、特色豊かで個性あふれる地域でございます。デジタル化はあくまで手段であり、大事なのは、地域が目指す姿を、地域で当事者意識を持って取り組むことが大切であります。

 我々日本維新の会は、地方分権や規制緩和など、地域が主体的に頑張る仕組みをつくり、地域が特色ある発展を遂げるように政策提言をしているところでございます。

 画一的にデジタルを配備して、その地域の環境下だからこその成功した事例の横展開だけでは、より地域の没個性化が進展していくということを危惧しております。どのように地域の特徴を生かしつつデジタル田園都市国家構想を進めていくのか、御所見をお伺いいたします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 デジタルの力を活用しつつ、地方の社会課題解決や魅力向上の取組を進めていくわけでありますけれども、委員おっしゃるとおり、画一的にデジタル実装を進めるというのではなくて、先ほど日本各地の宝ということもおっしゃいましたけれども、そうした地域の個性や魅力を生かすことが大変重要であると考えておりまして、六月に閣議決定したデジタル田園都市国家構想基本方針においても、個性あふれる魅力的な地域をつくることを大きな柱の一つに据えているわけであります。

 こうした魅力的な地域づくりの一環として、国家戦略特区を活用したスーパーシティー、まずは大阪とつくばということでありますけれども、こうしたスーパーシティーやデジタル田園健康特区では、それぞれの地域の課題に応じて、大胆な規制改革を伴った複数分野のデータ連携や先端的サービスの実現に向けて取組を進めているところであります。

 また、地方における魅力的な地域づくりを後押しする観点から、地方公共団体に対して、デジタル田園都市国家構想交付金による支援も行っております。

 今後とも、こうした取組を通じて、デジタルの力も活用しつつ、地域の個性や魅力、それぞれの地域のかけがえのないこうした特徴というものを生かして、地方創生の取組を進めてまいりたいと考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 個性あふれる地域をつくっていくこと、非常に重要だと思っております。先ほど来より、そのためにはやはり、国と地方の在り方、こういったところまで踏み込んで考えていかなければならないのではないかなというふうに思っております。小手先だけの対応ではなくて、やはり、大臣所信にも毎回記載がありますが、我々も、道州制、これも手段の一つとして考えているところでもございます。

 また、デジタル交付金、この話もございました。ちょっとこれについて、交付金の方に質問を移させていただきたいと思います。

 この交付金ですが、私が思い浮かべるのが、地方創生交付金、これを思い浮かべています。この地方創生交付金というものを使い、地方の地域がこういうことをしたいということに対して国が財源を分配してきたというのは承知しております。

 今、地方創生交付金というと何でもありの状況ではございますが、当初、始まったときは、非常に使い勝手が悪いということで、私の兵庫県の中でも、自治体の中で、結構多くの自治体が、この地方交付金、これを活用することをもう諦めている、ギブアップしている、そういう状況でもございました。

 実際、諦めている自治体の多くは、規模が余り大きくない自治体でございました。様々な要因がありますが、その一つの自治体の当時の町長さんともそのときにお話しすると、財政が逼迫している中で、職員も様々な業務を兼務しているため対応できないということをおっしゃっておりました。政令市や中核市の地方自治体なら大丈夫ですが、地方の市町村は職員数が圧倒的に少ないです。

 そこで、この課題を解決するために、兵庫県の方では、二〇一八年度に、国の支援制度から漏れている、地域振興や活性化、地域課題の解決などに係る市町の取組を支援する独自の交付金制度を創設してきたところでもございます。私も、当時、県会議員でございましたので、特に規模の小さい市町への事務負担を減らすような制度設計、また、政令市や中核市に比べて負担割合も減らすように制度自体を工夫してきたところでもございます。

 話は戻りまして、このデジタル田園都市国家構想推進の交付金、この交付金の趣旨、すなわち、地方にいながら都市と同じような利便性を享受するという趣旨からすると、どちらかというと規模の小さい自治体に配分していくべきだと考えております。

 しかし、限られた人や財源を地方同士で奪い合う構図が共通します。地方が知恵を競い、活性化を図る取組は大切ではありますが、成果が上がらない自治体が切り捨てられるような制度では、地方は疲弊するばかりです。さらに、都市と地方の格差がより広がってしまいます。

 規模の小さい自治体へのフォロー体制、こういったことも必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 地方におけるデジタル実装を進めるため、デジタル田園都市国家構想交付金にデジタル実装タイプを設け、デジタルを活用した地域課題の解決や魅力向上に取り組む地方公共団体を支援することとしております。

 令和三年度補正予算のデジタル田園都市国家構想推進交付金において、他の地域で既に確立されている優良モデルを横展開する四百三の地方公共団体の事業を採択しており、中山間地域などの規模の小さい地方公共団体を含め、多くの地方公共団体に御活用いただいているところでございます。

 次回の募集に向けまして、交付金を更に多くの地方公共団体に御活用いただくため、地方公共団体向けの説明会を重ねて開催するとともに、事前相談を受け付けるなど、丁寧な支援に取り組んでまいります。

 さらに、条件不利地域における地方公共団体を対象に、これからデジタル実装に取り組もうとする計画作りを伴走支援する事業を新たに創設することも検討してございます。

 引き続き、地方のニーズや様々な御意見を踏まえつつ、小規模な団体を始め、地方公共団体のデジタル実装の取組をしっかり後押しできるよう、国として取り組んでまいります。

住吉委員 ありがとうございます。

 本当に、中山間地域の自治体というのは、職員が足りない、いろいろなことを兼務しているという中で、なかなか手が回らないような状況でございます。逆に、そういったところにしっかりとこういった交付金を活用していただくというのが非常に重要になってくると思いますので、引き続きフォローをよろしくお願いしたいと思います。

 規模の小さい自治体へのフォローについてお聞きしましたが、次は、それを実際に使う人についてお聞きしたいと思います。

 地方の主役、それは間違いなく、そこに住む人々でございます。私も地域を回る中で様々な要望を受けます。

 私の選挙区の姫路市、これは都市部もあり、中山間地域もございます。姫路市内でも非常に地域性が分かれるところで、様々な課題を考えるきっかけにもなります。

 ごくまれに、おじいちゃん、おばあちゃんから携帯の使い方を教えてくれと言われたりもします。高度な質問をされても私も答えられないわけですが、中には、電話のかけ方とか名前の登録の仕方、また、写真を撮った、それの見方とか、それを人に送るとか、非常に基本的な操作、使い方、こういったことを聞かれます。

 これからデジタルを実装して様々なサービスが開始されると思いますが、そのような高齢者というのは、とてもじゃないですけれども、こういった恩恵を受けられないのではないかと危惧するところでもございます。

 地域の課題は、交通弱者の問題、介護の問題、また、耕作放棄地の問題、挙げていけば切りがないわけですが、そういった高齢者がデジタルの恩恵を受けられなければ意味がないわけでございます。

 ネット通販であったりネットでの病院の予約など、既にあるデジタルのサービスを利用できていない方々に対してどのようにフォローしていくのか、御所見をお伺いいたします。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向けて、御指摘のとおり、高齢者を始め、デジタル機器、サービスに不慣れな方にきめ細かくサービスしていくことが必要だと考えてございます。

 このため、デジタル庁では、デジタル田園都市国家構想基本方針に基づきまして、スマホの基本操作を始め、マイナンバーカードを利用した行政オンライン手続など、こういったものをサポートいただける方々に対して、デジタル推進委員になっていただく取組をやっています。これまで二万人を超える方々にデジタル推進委員になっていただいてございます。

 また、デジタル機器を積極的に利用されない方もいらっしゃいますので、こういう方々にもデジタルのメリット、恩恵を受けていただける環境整備も必要だと考えてございます。

 例えば北海道北見市の、書かないワンストップ窓口の事例でございますけれども、住民の方が窓口に来られると、そのときに、マイナンバーカードなどの本人確認書類を持ってきていただければ、窓口の職員がタブレットで、一緒に会話をしながら、市役所の共通のデータベースを活用しながら一緒に申請書を作っていくというような取組も始まってございます。

 こういう取組は、まさに住民の方に、申請の手間とか時間を削減するというデジタルの恩恵が受けられるような取組でございますので、こういった取組をしっかりと優良事例として全国にも展開しながら、引き続き、誰一人取り残されないデジタル社会の実現に取り組んでまいりたいと考えてございます。

住吉委員 ありがとうございました。

 もう時間もございませんので終わりますが、デジタル自体は、別に私も反対しているわけではないので進めていきたいわけですが、あくまで手段ですので、地域が輝けるような、そんな社会を一緒につくっていきたいと考えております。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は大臣所信に対する質疑ということで、岡田大臣には、御就任誠におめでとうございます。本日の質疑、何とぞよろしくお願いいたします。

 岡田大臣は、地方創生担当など八つの職責を担われるということで、全閣僚の中で一番多いというふうにお聞きをいたしております。多くの課題を担われるので大変激務であるというふうに思いますけれども、兼務をされている様々な課題の視点を生かしまして、是非、地方創生に御尽力、お取り組みをいただきたいということをまず冒頭申し上げて、質問に入らせていただきます。

 大臣所信の中で、地方創生につきまして、その取組について述べられているわけでございますけれども、この地方創生というのが打ち出されましたのは、二〇一四年、この取組が始まりました。

 背景には、大変急激に進展をする人口減少、少子高齢化に加えまして、東京圏への一極集中による地方からの人口流出の流れが止まらず、地方の停滞、衰退が深刻な状況にあったこと、また、具体的には、当時、消滅可能性都市一覧というものが発表されたことによりまして、大変危機感を持つことになったということが挙げられるというふうに思います。

 これまで様々なお取組が続けてこられましたけれども、特に東京圏一極集中是正や少子化対策などについては、なかなか成果が上がっていないのが実情だというふうに思います。

 一方で、現在、長期化するコロナ禍で大きく私たちの社会や暮らしが変化をして、加えて、ウクライナ危機が拍車をかけました燃料油、物価高騰の状況によって、地方の暮らし、地域経済が疲弊をして、大変厳しい状況になっております。

 今、このような状況の中、ある意味激変をしている今の状況の中で、岡田大臣には、今後、どのような長期的なビジョンを持って地方創生に取り組んでいかれるのか、また、所信の内容では、年末には、まち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改訂をすること、また、デジタル田園都市国家構想総合戦略を策定するということを述べられておりますけれども、この両戦略を、どのような位置づけで、どのような方向性で取り組まれるのかということについて、まず冒頭、お伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

岡田国務大臣 御答弁申し上げます。

 先ほど委員から、私の担務が主なもので八つ、大変多岐にわたるというお言葉をいただきました。自分でもそう認識をいたしておりまして、地方創生、デジタル田園都市国家構想担当大臣であると同時に、大阪・関西万博を実施する国際博覧会担当大臣も務めておりますし、また、沖縄北方対策担当大臣、そしてアイヌ施策担当大臣、またクールジャパン戦略、そして規制改革、行政改革と多岐にわたります。

 こうした業務をそれぞればらばらに進めていくというのではなくて、やはり一つの方向性を持って、関連づけて務めてまいりたいというふうに考えておりまして、しかし、そのキーワードはやはり地方であろうというふうに思って、この地方創生特別委員会で誠心誠意、御答弁を申し上げたいと思いますし、また、先生方の御指導を賜りたいと思っております。

 地方においては、人口減少や高齢化等による影響とともに、西岡委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症、物価高騰等によって、経済的、社会的に大きな影響を受けている現状であります。こうした見通しの利きにくい時代ではありますけれども、やはりビジョンというものを持って進んでまいりたいと考えております。

 こうした中で、デジタルの力も活用しつつ、地方における仕事づくりや地方への人の流れの創出を進めるとともに、魅力的な地域をつくることで、東京圏への過度の一極集中の是正や多極化を図り、地方の活力を高めていくことが重要であります。これまでの地方創生の取組の上に、こうした新しい展開を図ってまいりたいと考えております。

 デジタルの力を活用することによって、地方の社会課題をむしろ成長の原動力といたしたい、また、テレワークや転職なき移住といったことの推進によって、地方に住み、働きながら都会に匹敵する情報やサービスを利用することが可能となることでデジタル化の恩恵を国民や事業者が享受できる社会、いわば全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を図ってまいりたいというのがそのビジョンであろうと思います。

 こうした社会を実現していくためには、年末に、これまでの地方創生の基本計画であります、まち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改訂し、二〇二三年度から二〇二七年度までの五か年の新たなデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定することといたしております。

 新たな総合戦略においては、各地域の自主的、主体的な取組を政府一丸となって総合的、効果的に支援する観点から、各府省庁の政策間の連携を更に強化することとともに、複数の地域において共通する社会課題の解決を効果的、効率的に図る観点から、地方自治体の枠組みを超えた地域間の連携、これも推進することとしておりまして、これらについて具体的な方策を位置づけることにより、デジタル田園都市国家構想の理念が全国津々浦々に広がっていくことを目指してまいりたいと考えております。

西岡委員 御答弁ありがとうございます。

 続きまして、地方創生には欠かすことのできない交付金についてお尋ねをさせていただきます。

 地方創生の推進につきましては、地方財政計画における関係事業費の拡充ですとか地方創生関連交付金の確保が必要です。

 これまで、地方創生に資する先導的な施設整備への支援につきましては、地方創生拠点整備交付金が創設されておりますが、地方創生は、御承知のとおり、産学官など多様な関係者で取り組むことから、交付金の自由度をもっと拡大をして、国や地方が真に地方創生に資すると公共性を認める場合につきましては、民間事業者等が実施する施設整備についても交付金の対象とする制度改正の要望というものが地方から出されておりました。

 今回新設されるデジタル田園都市国家構想交付金の新設によって、そのことが可能となるのかどうか、内閣府に御説明をお願いいたします。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 お答えいたします。

 今般、デジタル田園都市国家構想の実現による地方の課題解決、魅力向上の取組を加速化、深化する観点から、デジタル田園都市国家構想交付金を創設することとしております。

 このデジタル田園都市国家構想交付金では、これまでの地方創生拠点整備交付金から支援内容を拡充し、官民一体で取組を進められるよう、民間事業者等の施設整備も支援対象とすることとしております。

 具体的には、民間事業者等が一定の要件を満たす公共性、公益性を有する拠点施設等を整備する取組に対し、地方公共団体が整備費の全部又は一部を補助した場合に、国が当該補助経費の二分の一を交付することを可能とするものです。

 今後とも、地方のニーズや様々な御意見を踏まえ、地方公共団体の意欲的な取組を後押しできるよう、しっかりと取り組んでまいります。

西岡委員 今般の新設される交付金によって、民間の施設についても公益性をしっかり判断をした上で御支援いただけるという御答弁をいただきました。是非また地方の声をしっかり受け止めていただいて、その交付金の在り方についても是非推進をしていっていただきたいというふうに思います。

 それでは、地方創生の取り組み方につきまして、引き続き岡田大臣に質問をさせていただきます。

 地方創生の政策としては、これまでその中心に女性や子供があったかというと、必ずしも、その視点が十分に取り入れられていたとは言い難い面があったというふうに思っております。

 まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一では、感染症の影響を踏まえた上で、地方創生の取組として、ヒューマン、デジタル、グリーンという三つの視点に基づく政策を打ち出されておられます。そのヒューマンの視点に関して、新型コロナ感染症拡大によって多くの国民が深刻な影響を受けた中で、特に女性や子供たちに極めて深刻な影響が及んでおります。

 このコロナ禍を経て、地方回帰の流れが出てきている中で、依然として、若年女性につきましては、首都圏への転出の流れに変化がない状況となっております。地方における女性活躍、地方で女性が自分らしく生きて活躍できる環境を整備していくというのが、この地方創生という意味でも大変必要なことだというふうに思っております。

 前任者の野田大臣は、男女共同参画担当、こども政策担当大臣を兼務されておりまして、女性と子供を地方創生の中心に据えて、パッケージとして取り組みたいという方針を示されておりました。

 岡田大臣の御見解、そしてまた、六月に取りまとめられました女性版骨太の方針二〇二二を今後地方創生にどのように生かしていかれる方針かということについて、岡田大臣にお伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 西岡委員御指摘のとおり、近年、女性の東京圏への転入超過数が男性を上回る傾向にありますことや、少子化の要因や課題には地域差が大きくあることを踏まえますと、地方創生の観点からも、地方における女性活躍の推進や、結婚、出産、子育てしやすい環境の整備について、地域の実情に応じた取組を支援していくことが重要だと考えております。

 先ほどお話がありましたとおり、野田聖子前大臣から地方創生の担務を引き継いでおります。それで、女性活躍の分野については、私の直接の所管ではありませんけれども、野田聖子前大臣から、地方創生の推進の中で女性の観点を大切にしてということはしっかり引き継がせていただいております。

 そして、女性活躍の推進については、私の直接の所管ではございませんけれども、あえて申し上げますが、女性版骨太の方針二〇二二でも、地域におけるジェンダーギャップの解消が重要との方針が示されていることを踏まえて、各地方公共団体が地域の実情に応じて行うジェンダーギャップの解消に向けた女性活躍推進の取組に対して支援を行うことなどにより、地域における女性活躍の推進に取り組んでまいりたいと存じます。

 また、少子化対策についても申し上げたいと思いますが、仕事と子育ての両立支援や保育の受皿整備など国全体の取組に加えて、結婚、妊娠、出産、子育てに関する地方公共団体の取組に対する支援や、また、地域の課題の見える化の推進などによる地域の実情に応じた少子化対策への支援、こうしたことにより総合的な少子化対策を進めて、結婚、出産、子育ての希望がかなう魅力的な地域をつくっていくことにより地方創生を推進してまいりたいと考えております。

西岡委員 もう時間となりました。

 大臣から、女性そして子供を中心に、また、地方創生に取り組んでいくというお言葉をいただきました。

 是非、生まれ育った地元を若い女性が離れていく、又はいかざるを得ない要因を、しっかりこのことを分析をしていただきまして対策を講じていただくことをお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先月、一斉に、デジタル田園都市国家構想交付金の申請に際してマイナンバーカードの普及率を条件とするという報道が出ました。全国平均を下回る自治体は申請がそもそもできない交付金があるとも聞きました。

 資料の1を見ていただきたいんですが、十月末現在で、全国の交付枚数は、六千四百三十八万四千八百三十三枚、五一・一%にとどまっております。

 私の地元東北六県とも全て下回っておりますし、下に一覧表をつけておきましたけれども、赤い目印がつけてあるように、単純に見ると、四十七都道府県のうち二十位の鳥取県までしか平均を上回っていないという状況であります。国を挙げて取り組む施策であるならば、極めて筋が悪い、こう思います。

 二枚目に、同交付金の予算について、新設される交付金についての資料をつけてありますので、マイナンバーカードの普及率をデジタル田園都市国家構想交付金申請の条件にしたのはなぜなのか、伺います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの普及促進は、デジタル庁を中心に、政府全体で取組を進めているところでございます。マイナンバーカードは、安全、安心なデジタル社会の基盤であり、その普及が進んだ自治体においては、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた取組をより一層強力に展開できると考えられることから、マイナンバーカードの普及促進は、デジタル田園都市国家構想の実現においても重要と考えております。

 このため、現在、デジタル化に関する交付金の事業内容に応じた対応を検討しておりまして、交付金の対象の一部の、全国的なモデルケースとなるようなデジタルを活用した先進的な取組につきましては、現状交付率全国平均以上かつ全住民への交付を目標として掲げていることを申請条件とすることを検討しております。

 一方で、他の地域で既に確立されているデジタル活用の優良モデルを横展開する取組などについては、交付金の採択に当たって、交付率は勘案事項として、交付率にかかわらず申請可能とする、また、デジタル実装のための計画策定、開発、実証などを主内容としない従来の地方創生の取組については、交付率は考慮しないことを検討しております。

高橋(千)委員 ちょっと今、確認させていただきますね。

 三つのレベルを言ったと思います。従来の地方創生については勘案をしない、普及率は見ないということを、申請できるということだったと思うんですが、問題は、一つ目は、先導的な取組については、全国平均を上回っていなければ申請できないということだったと思う。ただし、それに併せて、全住民への交付という言葉がありました。つまり、普及率は平均以上だけれども、マイナンバーカードが全部に、全住民が持っていなきゃいけないという意味に聞こえますが、どういう意味かと。

 それから、二つ目に、そういう先導的な取組をモデルケースとして我が町でも取り組むというところは、勘案するという表現だったと思うんですね。つまり、申請はできるけれども、限りがあるので、全部、やはり普及率が順位になる、採択の目安になるんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目の、先進的な取組を目指す自治体に関しましては、申請条件として、現状交付率全国平均以上かつ全住民の交付を目標とする、全住民へマイナンバーカードの交付をしていくということを目標として掲げていることを申請条件としてございます。

 二つ目の、ほかの地域で確立している優良モデルを横展開する取組につきましては、交付金の採択に当たりまして、マイナンバーの交付率を勘案事項といたします。普及がより進んでいるところを加点要素として考慮するということでございます。

高橋(千)委員 いずれにしても、普及率というのが決定的だということになると思います。

 今年六月七日に閣議決定されておりますが、デジタル田園都市国家構想基本方針によれば、デジタルは地方の社会課題を解決するための鍵という表現をされておりますし、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートとも言われているわけですよね。

 そこで、大臣に伺いますが、もうマイナンバーカードなくして地方行政も回らなくなる、そういう認識なんでしょうか。任意と言っているけれども、結局は一〇〇%を目指していく、そういうことなんでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 マイナンバーカード自体につきましては私の所管外ではございますが、あえて御答弁を申し上げます。

 政府としては、マイナンバーカードは、対面に加えてオンラインでも確実な本人確認ができる安全、安心なデジタル社会の、先ほどおっしゃいましたパスポートであり、政府全体として、令和四年度末までにほぼ全ての国民に取得いただくという目標を掲げているところであります。

 マイナンバーカードは、あくまで国民の申請に基づき交付されるものであり、国民が進んで申請し、保有いただけるようにメリットの拡大を進めていくことが私は重要であるというふうに考えております。

 また、マイナンバーカードの普及のためには、自治体による出張申請など、自治体の御協力をいただきながら、マイナンバーカードを取得しやすい環境を整えていくことも重要と認識しております。

 政府全体として、令和四年度末までにほぼ全ての国民に取得いただくという目標に向けて、引き続き、御理解をいただきながら、マイナンバーカードの普及に取り組んでいくというのが政府の方針でございます。

高橋(千)委員 分かりました。

 国民の申請に基づき、あくまでとおっしゃいましたので、あくまでも任意であることは変わりはないと思うんですね。ただ、政府としては目標に掲げている。やはり、メリットばかりを強調しますが、メリットがあるということは必ずデメリットもあるわけであって、メリットだけで必須である、絶対必要だという理屈にはならないということで指摘をしておきたいと思います。

 全国の自治体が競い合って頑張れば、ますますハードルが上がるわけです。

 資料の3を見ていただきたい。これは十月十六日付の岩手日報です。二段目の真ん中ら辺を読みますけれども、「六三・四%と県内で最も取得率が高い葛巻町は休日にも役場で申請を受け付け、きめ細かくPRを続けてきた。約百五十人の町職員もほぼ全員が取得。ただ高齢化も進む中で、さらに高めるのは容易でなく、鈴木重男町長は「国からさらなる支援がなければ交付率一〇〇%の達成は難しい。カメラやパソコンを備えた専用車による戸別訪問などが必要になる」」、このようにおっしゃっています。

 デジタル庁に聞きますが、国はそこまでして一〇〇%の普及を目指すんでしょうか。この専用車という言葉が、びっくりしたんですけれども、ただ、これはデジタル庁の中でも、実際こういう考え方というのはもう既にされているのではないかと。例えば、普及が、やったとしても、スマホを持っていない、いわゆるガラケーしかない人たち、そういう人たちが、じゃ、実際マイナポータルにつながることさえできないじゃないか、そういう議論だってあるわけですよね。伺いたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 先ほど岡田大臣からもお答えしましたとおり、マイナンバーカードは、対面に加えオンラインでも確実な本人確認ができる安全、安心なデジタル社会のパスポートであるということで、この普及に努めてきているところでございます。

 そういう意味では、カードの普及については、先ほど委員から御指摘もありましたように、いろいろなメリットを実感していただけるように、そうした取組も企画しておりますし、さらには、こうしたメリットの拡大等に加えまして、いろいろな自治体の御協力をいただきながら取得しやすい環境を整えているところでございまして、令和四年までにほぼ全ての国民に取得していただくという目標に向けて、引き続きこの普及に取り組んでいきたいと思っております。

高橋(千)委員 具体的にやり取りしているのに、ちょっと抽象的な答弁だったと思います。

 時間の関係で、ちょっと進みます。

 今の記事の下の段にもあるように、保険証を二年後に廃止という、事実上義務化をするということも、いやが応にもマイナンバーカードを作らざるを得ない状況を生み出そうという考えではないかと思うんですね。

 保険証を二年後に廃止と打ち出しましたが、マイナンバーカードは、さっきから言っているように任意なわけです。これを持たない人の受診する権利はどう守るのか、厚労省に伺います。

伊佐副大臣 高橋委員おっしゃるとおりで、保険料を納めている方が保険診療を受けられるということは当然のことだというふうに思っております。そういう意味では、受診する権利はしっかりと保障したいというふうに思っております。

 その上で、例えば紛失、あるいは何らかの事情で手元にマイナンバーカードがないような方々に対して、いろいろな、様々な例外的なケースが考えられるというふうに思いますので、それぞれに対応してどういった細部の対応をするのかということについては、今、関係省庁で検討会を設置させていただいておりまして、この中で国民の皆さんの声をしっかりと踏まえて丁寧な検討を進めて、令和六年秋に向けて円滑に移行できるように環境整備を行ってまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 結局、まだ検討の段階なわけですよね。ということは、原則廃止を目指すと言っていたことが、廃止とまで言ってしまったのは、やはり早まったのではないかと。まして、この二年で決着をつけるというのは乱暴な議論ではないか、ここはちょっと指摘しておきたいと思うんです。

 これは、突き詰めていけば、マイナ保険証も、将来的には、自ら届出しなくても資格確認や変更ができるようになっていくんじゃないか、このことを少し考えたわけなんですね。

 それで、資料の4を見ていただきたいと思います。マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループの第一回の資料です。これは昨年十月二十二日に開催されております。

 このときに、これまでとこれからが書いてあるんですけれども、住民サービスを受けるためには、先ほど来議論しているように、申請書類と証明書類が必要です。それが、赤字のところになりますが、利用可能なサービスがお知らせされ、意思表示を通じて簡単にサービス利用が可能になると。ポンチ絵にもあるんですけれども、民間アプリやポータルも行政サービス利用手続のフロントエンドとして利用できるようになると。

 つまり、これから先は、スマホでぽちっと通販を申し込んでしまうような気楽さで行政サービスも提供できる、こういうのを描いているということでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきましたように、このデジタル庁のワーキンググループの資料でもございますように、このような形での行政サービスの御利用が可能となれば、住民の利便性の向上に資するものと認識をしております。このような取組につきましては、例えば、現時点におきましても、自治体内で有している情報を連携することによりまして、子育て支援の給付金事業をプッシュ型に近い形で実現している事例があると承知しております。

 このサービスの利用に当たっても、委員御指摘がありましたとおり、住民の方の利用の意思表示があってサービスを利用するということでございますけれども、この行政サービスについては、さらに、行政手続時の入力を最小限にするため、あらかじめ申請内容を表示する、住所等があらかじめ表示されるような機能でありますとか、関連する手続などを推奨したりするプッシュ機能等を備えた行政サービス、こういったものが提供されることによりまして、住民の皆様にとって利便性の高いデジタルサービス、こういったものを実現を目指してまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来てしまって、今日。

 やはり、利便性を強調されますけれども、その裏がどうなのかということはきちんと見ていかなきゃならないと思うんです。

 資料の最後に、第三回ワーキンググループでの御指摘というまとめがありますけれども、本人の望まない形でほかの目的に利用されないことを担保するアーキテクチャーが必要だとか、知らないうちに行政等に監視、不利益に利用されないようにすることが重要と、有識者会議の中でも指摘がされているんですね。そういう仕組み、設計になっているのか。全てはオプトイン、本人同意取れているからいいよ、それでどこまで進んでしまうのかということは、やはり非常に重要な問題だと思います。これはまた次の機会に質問したいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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