衆議院

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第1号 平成31年3月28日(木曜日)

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平成三十一年三月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  内閣委員会

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大西 宏幸君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      松野 博一君    松本 洋平君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      大河原雅子君    岡本あき子君

      近藤 昭一君    篠原  豪君

      初鹿 明博君    森田 俊和君

      山岡 達丸君    太田 昌孝君

      佐藤 茂樹君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君

  文部科学委員会

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 神山 佐市君 理事 馳   浩君

   理事 宮川 典子君 理事 村井 英樹君

   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君

   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      下村 博文君    白須賀貴樹君

      高木  啓君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福井  照君

      船田  元君    古田 圭一君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      中川 正春君    初鹿 明博君

      村上 史好君    吉良 州司君

      牧  義夫君    稲津  久君

      中野 洋昌君    畑野 君枝君

      杉本 和巳君    吉川  元君

      笠  浩史君

  厚生労働委員会

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 後藤 茂之君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    石崎  徹君

      上野 宏史君    小倉 將信君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      木村 弥生君    小林 鷹之君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    新谷 正義君

      鈴木 隼人君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    冨樫 博之君

      福田 達夫君    船橋 利実君

      穂坂  泰君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    三ッ林裕巳君

      務台 俊介君    山田 美樹君

      池田 真紀君    稲富 修二君

      岡本 充功君    桝屋 敬悟君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      丸山 穂高君    中島 克仁君

    …………………………………

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          清水  明君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          永山 賀久君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより内閣委員会文部科学委員会厚生労働委員会連合審査会を開会いたします。

 先例により、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきます。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 自由民主党の三谷英弘でございます。

 本日は、連合審査会の場におきましてこうやって質問の機会を与えていただけますこと、与党、野党の理事の皆様、そして各委員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 それでは、時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 この子ども・子育て支援法につきましては本当にさまざまな議論が行われておりまして、きのうも内閣委員会においては参考人質疑が行われました。さまざまな角度からの御意見というものは私も聞いていて非常に勉強になりまして、ぜひ本当に厚労委員会そして文科委員会の先生方にも、お時間があれば見ていただきたいなというふうに率直に思うわけでございます。

 その中でも二名にちょっと触れさせていただきたいと思いますが、松居和さん、本当に教育の現場に長くいらっしゃった松居さんのあくまでも子供の視点に寄り添う御意見というのは、ふと、どうしても大人になってから、保育の必要性という観念だけで物事を考えがちな立場、自分もそうではありましたけれども、そういった中で見過ごしがちな論点というのを多く教えていただいたような気がします。

 また一方で、弁護士でもあり保育士でもいらっしゃいます寺町東子さん、寺町さんの、認可外保育施設が持っている危険性というものについても本当にさまざまな意見をいただいたなというふうに思っておりますし、よりよい保育の環境を確保しなければいけないという観点から非常に参考になったというふうに思っております。

 本当にさまざまな議論が進んできたこともありますので、そういった意見も踏まえましてきょうは質問させていただきたいと思います。

 まず、この議論の前提といいますか、松居さんもさまざまな観点で懸念を示されている部分でもあったわけですけれども、今回の法律によって、起きているさまざまな懸念というものがこれ以上広がらないようにした方がいいんじゃないかなという観点からちょっと質問させていただきたいなと思うわけです。

 人格を築いていく上で極めて重要な愛着形成の時期というものがあります。それは、一般的にはゼロ歳、あるいは人によってはゼロ歳から生後半年後と言う方もいらっしゃいますけれども、それから大体二歳ぐらいまでというふうに言われております。この法律が通ったら、保育の必要性がそんなに高くないのにもかかわらず、何か預けないともったいないというような観点から、そういった時期にでも保育施設に子供を預けてしまうというような家庭がふえるんじゃないか、そんな懸念を持っている方も、自分の周りにも実はいらっしゃるわけです。

 この法律というのは、実はゼロから二歳とそれから三歳から五歳ということで大きくたてつけを異ならせておりまして、ゼロから二歳に関してはあくまでも住民税非課税世帯のみが無償化の対象となっているというふうになっております。具体的には、年収というものに関して幾らまでの世帯なのか、そして、今現在保育園を利用している方々の中でどれぐらいの割合がいるのかということをまず教えていただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 ゼロ歳から二歳までの子供たちにつきましては、待機児童の問題もありますことから、その解消に最優先で取り組むこととし、今般の無償化は、委員御指摘のとおり、住民税非課税世帯を対象として進めることとしてございます。世帯構成によっても違いますけれども、大体約二百六十万程度だというふうに認識してございます。

 平成三十一年度予算におきまして、今般の無償化の対象となる保育所等に通う〇―二歳児は十五万人でございまして、これは保育所等に通う〇―二歳児全体の一二%に当たるというふうに認識してございます。

三谷委員 一二%ということです。そして、二百六十万円までというようなことが一般的と言われております。

 二百六十万円という家庭においては、恐らく現時点でも例えば共働きになっている、あるいは、シングルマザーあるいはシングルファーザーの家庭というような場合にはもう既に働いているわけでありまして、この法案が通る通らないにかかわらず、既に保育の必要性が極めて高くて、現時点でも保育施設に子供たちを預けているというようなことが一般的なのではないかというふうに思っております。

 そういう意味では、この法律が通ったから慌てて、じゃ、得だから預けよう、例えば、もっともっと収入が多い家庭で現在専業主婦なりをしている家庭が、この法律が通ったら働いて子供を預けようかなというような家庭というのはあり得るかもしれないですけれども、ゼロから二歳に関してはそういうのはないわけですから、これは子供が生まれたらすぐに子供を預けるべきだというような風潮を広める法律ではないということを今のお答えから確認させていただいたというふうに理解をしております。

 議論を次に進ませていただきたいんですけれども、その上で、あくまでもメーンとなるのは三歳から五歳というようなところなんだろうというふうに思っております。

 この三歳から五歳に関しても、もちろん一部ではありますけれども、やはり認可外施設に子供を預けなければいけないというような家庭が少なからずあるんだろうというふうに思っております。教えていただいた中では、極めて少数、例えば三歳に関して言うと全体の五・二%、四歳だと二・七%、五歳だと一・七%のみがいわゆる認可外施設を使われているということでありますので、三歳から五歳に関する認可外施設の利用というのはあくまでも非常に限られているとは思います。

 ただ、今回の法律のたてつけというのは、あくまでも保育の必要性が高い家庭に対してしっかりとそういう保育施設が使えるようにするという観点から、広く認可外施設も対象としますよというようなところが特色なんだろうというふうには思っております。

 その中で、これは確認しなければいけないんですけれども、五年間という猶予期間を設けて、その期間に関しては認可外施設も利用できるということになって、複数の施設を利用した場合であっても三・七万円までは無償というふうになっているわけです。もちろん、認可外施設に関しては、指導監督基準、これから策定されるんだと思いますけれども、そういったものを満たすことが望ましいけれども、そうでない施設も今回対象とするということで、既にさまざまな懸念が示されているというところであります。

 きのうも含めて、宮腰大臣がそういった懸念に対して誠実に答えられている姿というのは、委員会の中での質問の中にもありましたけれども、誠実な印象を受けているということで与野党ともに評価しているんじゃないかというような質問もあったということは記憶しております。なので、そういった意味では、懸念というのは大分少なくなっているんじゃないかとは思っているものの、僕がきょう質問させていただきたいのは、保育の中身というよりは、この新しい制度を悪用して利益を得るというような人が出てこないようにするために、そういった観点でどのような対策を講じているのかということを伺わせていただきたいと思います。

 まず、全く施設でもないようなところが、この法律ができたということで施設だと言い張って子供の保育事業を始めるというようなことが想定されるわけです。例えば、自分の娘の子供、おじいちゃん、おばあちゃんの立場からすると孫を、娘が働きに出るから預かりますということで、それが保育施設だ、特定の子供を、孫を育てるための保育施設だと言って、それで保育施設として届けるというようなことでこの制度が利用できるかどうかという観点でいくと、これは先に言いますけれども、それは法律上できないというような形になっております。

 ただ、それに限らず、本当にさまざまなところが保育施設だと言い募ることが予想されるわけでございまして、どういった形で本当に保育施設だということを確認できるのか、この法律の対象となり得る保育施設をどういうふうに判断されるかということについてお答えいただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 今般の給付の対象となります認可外保育施設も含めましての施設、事業につきましては、法律上一定の基準を満たすかどうかをまず自治体が確認した上で対象にしていくということになってございます。まずその段階でしっかりと確認をさせていただきますし、その後も、事業者に対しましては都道府県による指導監督が適切に行われるとともに、その結果が給付の実施主体である市町村にも共有され、必要に応じまして市町村において報告聴取あるいは確認の取消しなど、そうしたことを行うことによりまして不正行為の抑制、是正ができる仕組みとなってございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 その中で、今回非常に懸念をしているところが、不正受給というものがあり得るのではないか。特に、今までの保育園なり幼稚園に関して言うと、子供を実際に預けています、もちろん保育の必要性があるから子供を預け始めるわけですけれども、途中で保育の必要性がなくなった、あるいは低くなったということで、月に一回、二回しか子供を預けませんというようなことが出てきた場合に、例えば今までの認可施設であれば、当然ながら施設の側にもさまざまな補助金が入るなりしているので、子供を預けなくなった時点で、本当に保育の必要性が現在でもあるんですかということを各家庭に対して問合せをするというのが一般的にあるわけでございます。

 ただ、これからに関して言うと、あくまでも施設においては、利用者からただ単にお金をもらうだけになります。利用者からすれば、保育ができるという枠さえとってしまえば、必要がなくなれば子供を実際に預けなくても、例えば月二万円でも三万円でもいいんですけれども払っておけば、その後市町村に行って還付が受けられるというような形になりますので、ある意味、国以外は誰も懐が痛まないというようなことになりかねません。

 ですので、保育の必要性が仮に下がった場合に、保育施設の側からすると、ある意味、利用料を払ってくれるありがたい存在ですから、子供を実際に預けてこようがこまいが、別にそこでとやかく言うインセンティブはありません。利用者からすると、どうせ利用料を払ったところで市町村にお金をもらえるわけだから、ある意味、保育の必要性が低くなったからといって、そういった施設を退園する手続をするというインセンティブはありません。

 なので、実際に子供を預けていないにもかかわらず、預けられるという安心感のために国なり市町村がお金を出し続けるということが出てきかねないので、それに対してしっかりと監督なり立入調査をしていただきたい、その中でそういった不正受給があるとしたら発見をしていただきたいと思いますけれども、その点について見解をいただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 利用者に対してでございますが、まず、認可外保育施設を利用するお子様の保護者が無償化の給付を受けるためには、現行の保育所と同様に、就労証明書などの就労等に関する客観的な書類に基づきまして市町村から認定を受ける必要がございます。

 その認定を受けた後の場合でございますけれども、現行の教育・保育給付では保育の必要性の認定の有効期間をそれぞれ定めてございますし、その有効期間内でありましても、就労状況等につきまして保護者に年一回現況届を提出させること、また、適切な給付を行うため必要があると認めるときは保護者に対し報告を求めたり質問を行うこと、不正があった場合に保護者から給付相当額の返還を求めること、こうしたことを市町村ができることとされてございます。

 こうした仕組みを踏まえまして、今般の法改正により新たに設ける認可外保育施設等に係る給付につきましても、同様なことを念頭に置きながら適切に実施されるようにしてまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたとおり、ぜひそういった調査をしていただきたい、監督をしていただきたいと思うわけですけれども、一方で、今回の認可外施設を広く含むというようなことは、捉え方によっては、危険だ危険だというだけではなくて非常に前向きな側面もあるんじゃないかというふうに私自身は考えておりまして、きのうも内閣府の方々とさまざまな意見交換をさせていただいて、ちょっといろいろな意見の相違みたいなものもあったはあったんですけれども。

 つまり、今回、例えばベビーシッターを利用できるというようなことがあるわけですけれども、ベビーシッターというのはあくまでも保育機能が前提とされるサービスではありますけれども、ある意味これは、見方を捉えれば家庭教師でもあるわけでございます。つまり、その時間、二時間なり三時間は子供の面倒を見る、面倒を見るんだったら教育もすればいいじゃないかということで、教育的な機能を有する時間としてベビーシッターを利用するということになって、この制度を使うことができる。あくまでも五年間の猶予期間の中ではございますけれども、認可外のものを広く含んでいるというたてつけにおいて、そういったこともあり得るわけでございます。

 一方でまた、保育施設の中でも、例えば幼児教育に特化しているものですとか、英語ですとか音楽、体育、そういったさまざまな特色のある教育をサービスとして提供する保育施設というのもあるわけでございます。幼稚園に通いながら、その後のあいた時間にそういったところに通わせるというところ、その後の時間についても今回の制度で月額一万数千円、そういったことを充てることもできるということで、本当に多様な保育サービスというものが今回の制度によって芽を吹いてくるというようなことの後押しにもなるんじゃないかというふうに思っております。

 あくまでも、それについては、今回は猶予期間の中で例外的に設けたものなので、余りそういった教育の部分について特化するような質問はしないでくれというふうに言われているのであれなんですけれども。

 ただ、ぜひこの点で伺いたいのは、猶予期間は五年間ある、二年後には猶予期間の取扱いは変わってしまうかもしれないということで、五年間が二年になるかもしれないし、五年間をもっと長くしろという話になるかもしれないんですが、文科大臣にちょっと質問させていただきたいと思います。そういうような形で、今さまざまな教育ニーズというのはあるんだろうというふうに思っております。その中で、各民間の事業者が意欲的な取組を行われているということなんだろうというふうに思っております。そういった、幼児教育を含めた教育の質の向上について、大臣の御意見を伺えればと思います。

柴山国務大臣 委員が先ほども御指摘になったように、幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を担う重要なものである、最近はそういった研究も大変進んできておりますので、今般の幼児教育の無償化に当たってあわせてその質の向上を図るということは、御指摘のとおり大変重要であります。

 この教育内容については、二〇一八年度から実施をされている幼稚園教育要領の中で、幼稚園教育において育みたい資質あるいは能力の明確化、また小学校教育との接続の推進に関する内容の充実を図っているところでありまして、これらの内容が着実に現場の実践に反映されるよう、理解の推進に努めているところであります。

 また、きのう成立をさせていただきました二〇一九年度予算では、幼児教育実践の質向上総合プランとして、幼児教育アドバイザーの配置など幼稚園、保育所、認定こども園の垣根を越えた研修支援ですとか、小学校教育との接続に取り組む自治体に対する支援などの取組も新たに計上しているところであります。

 今後とも、内閣府、厚労省と密接に連携しつつ、幼児教育の質の向上にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございました。

 非常に意欲的な御答弁をいただけたように思っております。ありがとうございます。

 幾つか質問の準備をさせていただいたんですけれども、ちょっと飛ばさせていただきまして、最後の質問に移らせていただきたいんです。

 今回の法律というのは、保育の必要性が高いというような家庭に救いの手をある意味差し伸べることでその負担を軽減していこうというようなことなんだろうというふうに思っております。ただ、負担を軽減するという観点からいいますと、やはり育児というものにかかわることができる人を家庭内においてふやしていくということは極めて重要な観点ではないかというふうに思っております。

 その意味では、今、産休、そして女性に関しては育休というものが非常に多くとられているわけでございますけれども、一方で、男性の側の育児休暇というものをとっている割合がまだまだ低いというような状況であります。年々少しずつ上がっておりますけれども、国家公務員の男性職員に関して言うと、平成二十九年度は一〇%ということでございます。一方で、民間企業に関して言うと、実はまだ五%ちょっとなんですね。なので、本当に極めて低い割合にとどまっている。

 そういった過程で、じゃ、自分がどうだったんだと言われると、私もとれなかったのは間違いありませんし、とったら仕事に差しさわりがあるんじゃないかというようなプレッシャーの中で生活していたのは間違いないんですけれども、そうだとすると、やはり法律で育休を義務にするということも一つ考えなきゃいけないと思うんですが、そういった育休の義務化等も含めて、育休を推進していくということについて厚労大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 委員の問題意識は私もよくわかります。やはり男性が積極的に育児を行うこと、これは子育て環境の充実あるいは女性が継続して就業するという観点からも重要だと思います。

 男性の育児参画を推進するために、育児・介護休業法、これは夫婦で育児休業を取得した場合のメリットなどを設けております。例えば、同時に可能ですよとか、あるいはパパ休暇とか、配偶者の出産後八週間の時期に男性が八週間内に育児休業を取得した場合に、もう一回育児休業を取得できる制度、これはパパ休暇と言っていますけれども、さらに、パパ・ママ育休プラス、こういうものを制度的に設けています。

 ただ、残念ながら、男性の育児休業取得率、これは低水準にあります。男性が育児休業を取得しない理由として、職場の雰囲気などの要因が多く挙げられておりますので、厚生労働省では、男性が育児休業を取得しやすい職場風土の醸成、これを企業に促しております。

 委員の提案された育児休業取得の義務化、これも考え得る手法の一つではありますが、これは実はさまざまな、今、育児休業は権利になっていますから、これを義務化することについては課題が多いと思われます。

 いずれにしても、今後、仕事と育児の両立支援を進めていく上で、制度の周知や啓発に努めるとともに、引き続き、委員がいろいろ考えられて御提案がありましたが、男性の育児参加が一層進むように、効果的な施策について検討していきたいと思います。

三谷委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、木村弥生君。

木村(弥)委員 自由民主党の木村弥生です。

 本日は、幼児教育の無償化、保育の無償化等について質問をさせていただきます。

 まず、皆様のお手元に資料がございます。この具体的なイメージの中で、下の段、専業主婦家庭などで、幼稚園の預かり保育また認可外保育施設については無償化の対象外というふうになっております。こちらについてお尋ねをいたします。

 私の地元には、現時点では幼稚園としての認可は受けていないものの、昔から地域の子供たちを受け入れて質の高い幼児教育を実践してきた園がございます。この園は、既に開園から四十年ほど経過し、現在もその教育姿勢また理念にほれ込んで共鳴した入園希望者が増加していると伺っております。

 このように、地域の幼児教育を数十年にわたり担ってきた園、あるいは自然保育を始めとするユニークで質の高い幼児教育を実践してきたそういった多種多様な園がありますが、いずれも今回、幼児教育の振興に大きな役割を果たしてきたものの、対象外となっているのが現実でございます。

 もちろん、このような施設であっても、保育の実態があって、また認可外保育施設としての届出があれば、保育の必要性がある子供については無償化の対象になるということは承知しております。

 この法律案におきましては、幼児教育、保育の重要性を踏まえた質の確保と保護者の経済的支援という二つの観点のもと、幼児教育、保育を行う施設等の利用に係る給付制度を創設し、無償化を実施するとしており、そのような観点からは、ある一定の基準、地域の幼児教育を数十年にわたり担ってきた実績があり、そしてその質も高く評価されている場合には、やはり無償化として検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

永山政府参考人 今般の幼児教育の無償化の対象範囲でございますけれども、法律により、幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所それから認定こども園、これを基本としてございます。しかしながら、待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れない方もいることから、代替的な措置として認可外保育施設等も対象としているというものでございます。

 お話のありました、いわゆる幼児教育の類似施設につきましてですけれども、これは法令上の定めや基準等がございませんで、多種多様なものがございます。設置形態等も施設によってさまざまでございまして、これらの施設を取り巻く地域の状況もさまざまでございます。そういったことから、全国共通の基準になじむものではないと考えておりまして、一律に無償化の対象とすることは困難であると考えております。

 もちろん、お話のありましたとおり、それらの施設の中には、地域や保護者のニーズに応え、重要な役割を果たしているものもあると承知をしておりまして、そこに通う保育の必要性のない子供の保護者負担軽減のあり方につきましては、まずは各自治体において御検討いただければと考えているところでございます。

木村(弥)委員 これは、今の時点では、私は、幼児教育の無償化というよりは、結局、福祉、保育の無償化という観点ではないかと思うところでございます。

 今回の幼児教育の無償化という言葉が出てきたとき、私は素直に、幼児期の愛着形成だとか非認知能力、やり抜く力、自己肯定感、達成感、感情をコントロールする力、その後の人格形成に非常に必要な力を培っていくということを国が推進していくのだというふうに思ったんですけれども、現時点では、ただ働き手をふやすという保育、福祉の視点のように思えてなりません。

 裕福な家庭でも、保育園に通っている場合もあります。あるいは、専業主婦家庭が必ずしも経済的なゆとりがあるわけではありません。小さいうちは手元で子供を育てたい、こういった教育観のもとで育てている保護者も少なくないはずであります。保育を必要とするという言葉の解釈次第というのが、私はどうも納得がいきません。

 そもそも、全世代型の社会保障をうたい、保護者への経済的支援という観点も含めての無償化であるのなら、こういったこともしっかりと検討していただきたいということを強くお訴え申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 次に、保育士の確保でございます。

 各地で保育士の就職フェアというものが開かれております。私の地元の京都市におきましても、「みやこめっせ」におきましてこういった対象者に保育のフェアが行われているわけですけれども、そこで聞いたお話でございますが、正規よりも非正規で働きたいという声が多く聞かれております。これは結局、正規職員だと、会議だとかさまざまな計画の作成だとか保護者対応だとか、非常に負担が大きいので、非正規を希望する、そういった声があるというふうに伺っております。

 三年前、我が党におきましては、待機児童問題等緊急対策特命チームというものを設置いたしまして、私が座長を務め、平成二十八年の三月二十五日に緊急提言を安倍総理に手渡しいたしました。二十八日には、厚生労働省からそれに伴いまして施策が発表されたところでございます。その中では、企業主導型保育事業の設置や保育士さんたちの業務負担軽減のためのICT化の推進、また、利用者が少ない土曜日の保育を、近隣の保育所が連携して一カ所の保育所で共同保育する、こういうことを提言いたしまして、これを実施することを求めた次第でございます。

 そこで、一番目の質問が、ICT化の推進と標準仕様でございます。

 ここのICT化については、本来の業務で時間を割くことができるように、負担軽減につながるようにICT化を推進する、そして、党の提言ではデータの標準化というのも提案したわけでございますが、現在、残念ながら、このICT化が逆に負担になっているといった声も聞くわけでございます。

 地方自治体が行っている保育関係の書類作成、これが自治体ごとに申請の様式や方法が異なるから非常に業務負担が大きい。医療や介護の世界におきましては、既に請求フォーマットが統一されていて事務作業の負担の軽減につながっているわけであります。

 こうした問題を解決するために、内閣府がこの統一フォーマットについて昨年調査をかけて、ことしの四月から通知を出すということは承知しております。これに引き続き取り組んでいただきたいと思いますので、ぜひ政務官に意気込みをお尋ねしたいと思っております。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 子ども・子育て支援新制度における施設型給付費の請求事務において自治体、保育事業者の双方に負荷が生じているといった御指摘があったことから、昨年度、子ども・子育て支援新制度に係る給付事務の実態等に関する調査研究事業により現状把握を行ったところです。

 さらに、今年度は、保育事業者から自治体に提出する請求書様式等の標準化を図った上で、数値等を入力することで自動的に計算できるような請求書標準様式を国で作成し、来月分の請求から適用することができるよう、電子媒体により各自治体に配付する予定です。

 今後、請求書標準様式の活用を促進していくとともに、引き続き、先進的な優良事例を共有するほか、事業者、自治体、システム専門家等の皆様方から御意見をいただきながら給付事務の効率化に努めていきたいと考えております。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 やはり、保育士の負担軽減のためにICT化を進めているというところで、どのようにしてこの負担を軽減していくのか、政府の見解も重ねてお聞かせください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、保育士の確保のために、業務負担の軽減は極めて重要であるというふうに考えております。

 厚労省といたしましては、平成三十年度補正予算におきまして保育業務のICT化に対する支援を計上いたしまして実施しております。この事業の活用例といたしまして、例えば保育に関する計画、記録につきまして、手書きで作成していた指導計画、保育日誌について、関連する項目が自動的に入力されるようなシステムの導入、あるいは保護者との連絡につきまして、アプリを活用して保護者への連絡事項をスマートフォンへ配信する、こういった活用もされております。

 また、来年度におきましては、保育士の業務状況の把握のための調査を行います。また、保育所におきまして日常的に作成する指導計画等の文書の調査を行いまして、その標準化ができないか検討いたします。

 保育業務のICT化による業務効率化を一層進めまして、保育士の業務負担の軽減が図られるよう引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。

木村(弥)委員 内閣府と厚労省からの見解を伺いました。標準仕様に、オール・ジャパンにすることで、その地域の強みだとか課題だとかそういったこともビッグデータとして集約することもできますので、ぜひ進めていただきますようお願い申し上げます。

 土曜日の共同保育等々もまだなかなか進んでいないところもありますし、また企業主導型等も課題がございますが、これはまた後日きちんと検証させていただきたいということで、次の質問に移らせていただきます。

 今回、児童虐待の大変さまざまな報道がある中で、この対応というのが非常に課題となっております。また、グローバル化が進みまして、保育の現場でも外国人家庭がふえており、さまざまな課題が山積しているところで、また児童虐待についてもDVなど複雑な問題が絡んでいるわけでございます。

 そこで、居宅訪問型保育事業について質問いたします。

 私の資料の裏をごらんください。

 居宅訪問型の保育事業というのは、今まで居宅訪問型の介護とか看護というのはあるんですけれども、ベビーシッターは福祉の観点ではなかったところから余り認識されておられませんでしたけれども、この居宅訪問型というのをもっと活用することによって、子供だけではなく、そこの家庭や親へも支援していくといった姿勢がこれから重要なのではないかと思っております。ですので、ソーシャルワークの機能も担える形態であるところから、子育て支援、またその保護者支援という点でやっていけるのではないかということを提案したいのですが、見解をお聞かせください。

 それに伴いまして、ちょっと一つにまとめますけれども、地域全体、例えば小学校区にソーシャルワークを行う保育のソーシャルワーカーを置くことによって、児童虐待だとかそういった課題のセーフティーネットを少しでもきめ細かくやっていけるのではないかということを提案させていただきたいのですが、厚労省の見解を伺います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、子供の育ちにつきましては、先生御案内のとおり、人とのかかわりの中で培われていくものでございます。子供が人とかかわる力を育てていくためには、子供みずからが周囲の子供あるいは大人とかかわっていくことができる環境を整備することが重要であるというふうに考えております。このため、基本的には、集団保育を行う保育所等での保育が基本というふうに考えております。

 一方で、居宅訪問型保育事業でございますけれども、この事業は、子供が一対一で対応することが基本となる事業の特性を踏まえまして、一つは、障害、疾病等の程度から集団保育が著しく困難である場合、二つ目には、一人親家庭で夜間の勤務がある場合など家庭等の状況を勘案して必要な場合といった形で、保育所等の利用が困難である場合を想定して制度化した事業でございまして、利用の際の条件を付しております。

 そういうこの事業の趣旨からいたしますと、御指摘のようなケースについては、なかなかこの事業を活用するというのは難しいかなというふうに考えております。

 一方で、先生御指摘のとおり、保育所に入所する子供の保育だけではなくて、地域の子育て家庭が抱えるさまざまな課題につきましてソーシャルワーク的手法を用いまして適切に把握し、支援につなげていく仕組みを持つことは極めて重要であるというふうに考えております。

 保育所につきましても、保育所保育指針におきまして、入所する子供の保護者や地域の子育て家庭に対する支援の役割を担うことを明示いたしております。また、こうした役割を果たせるように、主任保育士が子育て支援等の業務の専任となる場合には、代替保育士を配置するための加算を公定価格上設けるなどの支援も行っております。

 また、先生の御提案に最も近い現行の事業でいいますと、利用者支援事業というものがございます。この事業は、平成二十七年度の子ども・子育て新制度の施行とともに新たに制度化されたものでございますけれども、子育て家庭にとって身近な場所で相談に応じ、その個別のニーズを把握し、適切な施設、事業を円滑にできるように支援するいわゆる利用者支援、それから、日常的に地域のさまざまな関係機関、子育て支援団体とネットワークを構築し、状況に応じて不足している社会資源を開発していくいわゆる地域連携、こういった二つの機能を持つものでございまして、当面、三中学校区に一カ所程度の整備を目標といたしております。

 こうした事業の活用も含めまして、先生御提案のような、地域の子育て家庭が抱えるさまざまな課題を解決していくためにどのような方策が考えられるのか、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

木村(弥)委員 地域では、要対協という、全国の行政の九割でありますけれども、要対協以前のところでそれを支援していけるそういった仕組み、多分まだまだ難しいのは承知していますが、人材確保という点では、例えば保健師。定年を終えたシルバー保健師、プラチナ保健師の活用、あるいは、保健師の資格を持っていながら、行政保健師はフルタイムだからなかなか働くことができないけれども、週に何回でも、そういった意欲のあるような潜在保健師の皆さんの活用を私はぜひ提案したい。なぜなら、保健師なら、そういったいろいろな社会資源とのつながりを持つことができるし、そういう力量も、地区診断といった形で地域のことをいろいろとつなぐことができますので、ぜひシルバー保健師のこともお願いしたいと思っております。

 もう時間がないので、最後に、液体ミルクでございます。

 この液体ミルク、本当に販売にいくことができまして大変うれしく思っております。次の課題は、各行政で災害の備蓄に液体ミルクを使っていただきたい。しかしながら、賞味期限があるので、それを食品ロスにするのではなく、各保育園との連携を持ってフローで使っていただきたいといった課題がありますが、保育園によっては非常に懸念を示すところもあると聞きますので、ぜひそこのところの厚労省のお考えをお聞かせください。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 保育所における授乳の方法等については、保護者の希望や園の方針によって判断されるものと考えているところでございます。それぞれ適切に保育所において授乳が行われることが重要と考えております。

 その中で、液体ミルクにつきましては、平成三十年八月に、国内で製造、販売を可能とするための規格基準を策定し、販売に必要な承認等の手続を経て、本年三月五日にまさに販売を開始しているところでございます。

 現在、委員御指摘の災害の備えとして、液体ミルクの活用等も含め、支援ガイドの改定を進めているところでございます。改定後のガイドについても広く周知を図って、適切に保育所において授乳が行われるよう、知識の普及啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。

    〔牧原委員長退席、亀岡委員長着席〕

木村(弥)委員 ありがとうございます。ぜひ普及をお願いいたします。

 最後に一言申し上げます。

 今回の無償化につきましては、現場はさまざまな不安を抱えております。また、給食費は実費ということも余り保護者に周知がされておらず、価格競争が始まるのではないかといった懸念も伺います。

 どうか現場の混乱のないように、大人の都合ではない、子供を真ん中にした真の子育て支援をお願い申し上げます。私も、そのためにもちろん汗をかいてまいりますことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日は、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。

 これまで内閣委員会を中心に審議が進んでいると思いますけれども、多少重なる点もあるかと思いますが、私の方からも、お時間をいただきまして何点か質問させていただきたいと思います。

 改めて、本法案の意義について、まず冒頭、宮腰大臣の方にお伺いをしたいと思います。

 公明党は、国づくりの基本は人づくり、すなわち教育である、そういった認識のもと、結党以来、子育て、また教育を一貫して政策の柱と掲げまして、その充実に取り組んでまいりました。二〇〇六年には少子社会トータルプランを発表いたしまして、幼児教育の無償化や返済不要の奨学金制度の創設、こういったものも推進してまいりました。

 そして、今後、子供や若者を含め、誰もが安心できる全世代型の社会保障へと大きくシフトチェンジする必要がある、そういった認識のもと、本年十月から一〇%へ引上げが予定されております消費税の財源を生かしまして、幼児教育の無償化、また、現在、文部科学委員会でも審議をしておりますが、高等教育の無償化、この実現等に向けて取り組ませていただいております。

 また、今後、私立高校の授業料実質無償化、この実現に向けた取組と相まって、いよいよ教育の三つの無償化が実現の運びとなっております。

 これによりまして、経済事情や住んでいる地域に関係なく、希望すれば必要な教育を受けることができる、この環境整備が大きく前進するものでございまして、未来の宝である子供たちの夢や希望が大きく広がる、将来が大きく広がるものと、大変に意義があるものだと思っております。

 その中でも、やはり、幼児教育といいますのは、生涯にわたりまして人格形成の基礎を培うものでありまして、大変に重要な役割を担っているところでもございます。他方で、幼児の保護者は若い世代が多いということもございまして、経済事情が厳しいということも少なくございません。

 今回の幼児教育の無償化は、幼児教育の機会を保障することにもつながりますし、また、子供たちを安心して産み育てることのできる環境整備を推進する上でも極めて重要な法案であると思っております。

 改めまして、この法案の意義につきまして宮腰大臣の方にお伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化は、少子高齢化という国難に正面から取り組むため、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へと変えていくものです。

 二十代や三十代の若い世代が理想の子供の数を持たない理由として、八割前後の方が子育てや教育にお金がかかり過ぎることを挙げておりまして、これが最大の理由となっております。幼児教育、保育の無償化を始めとする教育費の負担軽減は、重要な少子化対策の一つであると考えております。

 また、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎や義務教育の基礎を培うものであり、三歳から五歳までの全ての子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障することは極めて重要です。

 こうしたことから、幼児教育、保育の無償化を実施することとしたものです。

 今後とも、御党とともに、子育て世代の皆さんの希望をかなえ、子供たちを産み育てやすい日本へと大きく転換していくため、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 国全体で、社会全体で子供たちを育てていく、また明るい未来を切り開いていくという上で、大変に重要な法案であると思っております。

 また、この法案の幼児教育の無償化、これにあわせまして、重要なことは、質の確保、向上になってくるかと思います。そういった上で具体的な取組として、例えば受皿の確保だったり、また先ほどもお話がございました処遇改善、こういったことにもしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っておりますが、改めて、この質の向上、確保にどのように取り組んでいくのか、大臣の方にお伺いしたいと思います。

宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化とあわせて、その質の向上を図ることは大変重要であると考えております。

 消費税率が一〇%に引き上げられたときに実施することにしておりました〇・七兆円のメニューにつきましては、消費税率が八%に据え置かれる中にありましても、三歳児の職員配置の改善あるいは小規模保育の体制強化など、質の向上も含め、全ての事項を既に実施済みとなっております。

 また、消費税財源以外の財源により実施することとされております、さらなる質の向上を実施するための〇・三兆円超のメニューにつきましても、これまで保育士等の処遇の二%の改善などを実施いたしまして、ことし十月からは新たに栄養士を週三日程度配置する費用の補助を行うことにしております。

 この〇・三兆円超のメニューにつきましては、骨太の方針二〇一八におきまして「適切に財源を確保していく。」とされておりまして、引き続き、各年度の予算編成過程において安定的な財源確保に努めてまいります。

 また、保育士等の処遇改善についても着実に取り組んできております。具体的には、二〇一三年度以降、月額約三万八千円に加え、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してまいりました。さらに、ことし四月からは月額約三千円の処遇改善を行うことにしております。

 今後とも、幼児教育、保育の質の向上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、さまざまお取組を御答弁いただきました。質の確保、向上につきましては、引き続き取り組んでいく重要な課題だと思っておりますので、ぜひともまた大臣を先頭にしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、今回の制度における給付のあり方についてお伺いをしたいと思います。

 今回新たに、子育てのための施設等利用給付が創設をされまして、利用料が無償化されることとなりますが、その中で、特に幼稚園関係者、幼稚園の利用者の方から御意見をいただいておりますが、保護者が一時立てかえの負担を負うことがないよう、また、この無償化の実感を得ることができるよう現物給付方式にすべきだと考えておりますけれども、文科省の御見解をお伺いしたいと思います。

永山政府参考人 子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園につきましては、今回の無償化に当たっても、現行の就園奨励費と同様に、償還払いとするかあるいは現物給付とするか、これは実施主体である市区町村が実態に応じて柔軟に支給方法を選択できるようにする、そういった方針でございます。

 一方で、御指摘ございましたように、償還払いに比べまして現物給付は保護者が一時的な利用料の立てかえが不要となりまして負担感が軽減するということがございます。それから、市区町村の方でも個々の利用者への給付事務が不要となりまして事務負担が軽減する、そういった利点がありますことから、国としても、各市区町村が現物給付を行うことを支援するために、例えば市区町村や幼稚園の資金繰りに支障を来さないように、年度当初に国費を交付するなどの支援策を検討してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 実施主体が市区町村ということでございますけれども、実態に応じて柔軟な対応をしていくということでございましたが、負担感の軽減を図るためにも、現物給付、こういった対応が重要かと思っておりますので、ぜひとも自治体の方にもそういった方向で促していただきたいと思いますので、重ねてお願い申し上げたいと思います。促していただきたいと思いますので、強く要望しておきたいと思います。

 続きまして、企業主導型保育事業について質問させていただきたいと思っております。

 この企業主導型保育は、一六年のスタート以来急速に増加をしておりまして、一八年三月現在で全国に二千五百九十七施設が整備をされまして、受入れ枠は五万九千七百三人に上っていると聞いております。特に待機児童が集中する都市部におきまして待機児童解消の有効な手だてとなっており、果たす役割は大変に大きいと思っております。

 しかし、これまでも内閣委員会等でも取り上げられておりますが、一部の施設で運営体制の不備や突然の閉鎖等が問題となっております。私も、先日、企業主導型保育園を利用している後輩から伺いまして、そこは保育事業者設置型のようですけれども、利用している中で、突然というか、保育事業者がかわりまして、それに伴って支払いしている内容だったり金額が変更があり、年間約三万円から四万円負担がふえた、こういった実態がある。

 また、保育事業者がかわるということは企業主導型保育だけのことではないんですけれども、この事業がスタートして三年目ということで、この短期間に保育事業者がかわらざるを得ない、また事業が継続できないということは、やはり、これは一部かもしれませんが、課題があると思っております。

 これまで我が党からも政府に対しまして、企業主導型保育事業につきまして、保育の質の確保でしたり、また継続性について求めてきたわけでございますが、改めて、この企業主導型保育事業の改善策にどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童解消に貢献する事業でございます。

 しかしながら、制度創設から三年目を迎え、事業の継続性や保育の質の確保などの課題につきまして指摘されており、先般、当面、早急に改善すべき事項を示した検討委員会報告がまとめられました。

 その報告におきましては、子供の安全第一の観点から、保育の質の確保、向上を重視し、審査、指導監査のあり方を検証、見直すこと、また、子供にとって安全で安定的な保育が可能となるよう、事業の継続性、安定性を確保することなどを基本的考え方とし、審査、指導監査、相談支援、情報公開、自治体との連携などを充実強化するための改善方策が示されたところでございます。

 具体的には、指導監査の内容につきまして、財務面、労務面を強化することとし、そのために、さまざまな法人種別に対応した専門人材の確保、監査の専門的なルールをつくりつつ、充実を図るべき、事業の透明性を確保するとともに、事業の運営規律の徹底に資するよう、各施設の決算情報を公開していくべき、設置者が地域枠を設定しようとする場合、自治体と相談の上、地域の保育需給状況を踏まえたものとなるようにすべきなどといった内容が示されているところでございます。

 この報告書を踏まえ、内閣府としまして、できることから速やかにかつ着実に改善を図ってまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。今、さまざま改善策ということで御答弁いただきました。

 やはり需要は大変大きいものがあると思いますので、利用者の皆さんが安心して利用できるような環境づくりということで、質の確保を含めてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、こういった利用者の方から、例えば今回も、相談したいといったときに、どこに相談すればいいのかということでお伺いしましたら、児童育成協会というお話がございました。こういった利用者の皆さんの相談ということで対応していただけるのか、ちょっと確認をしたいと思います。

小野田政府参考人 お答えします。

 実施主体は協会になってございますので、協会の方で相談対応はさせていただいておりますが、今回の報告書の中でもさまざまな相談に対応できるような相談体制の充実ということも提言されておりますので、そうした点の改善もしっかりと図ってまいりたいと考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 ここも、そのほか課題があるのは存じ上げておりますが、きょうは利用者の相談というところで再度要望させていただきたいと思います。

 けさもちょっとホームページを見てみたんですが、相談を受けるようなそういった雰囲気というか場所もなく、ですので、利用者の方の相談を受けていただけるのであれば、その整備ということで、今お話がありましたが、しっかりと充実を図っていただきたいということで要望させていただきたいと思っております。

 次の質問に移らせていただきますが、児童虐待の防止について、その観点で質問させていただきたいと思います。

 子供や保護者の変化等を早期に発見することは児童虐待事案の発生の防止に大きくつながるものでございまして、日ごろから子供たちや保護者とかかわり、それぞれの様子を見てくださっている先生方の役割は大変に大きいと思っております。

 幼稚園や保育園等に通うこの世代の子供たちというのはSOSを、助けてほしいとかこういったことがあるということを自分たちで発することができませんので、日ごろ先生たちがかかわってくださる中で、ふだんは服に隠れていて見えないけれども例えば体に傷があるとか、また、最近急に元気がなくなったとか、また情緒不安定になっているとか、そういった子供たちの変化をしっかりとキャッチをしていただいて、虐待が疑われるときに児童相談所等につなげるとか、先生方にもぜひともそういった対応もお願いしたいと思っております。

 このような児童虐待事案の早期発見、また問題の解決につなげていくという大きな役割もあるわけでございますが、そのことも含めて、児童相談所との連携のあり方、そういったことをしっかりとやっていただきたいと思いますが、御見解をお伺いをしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、幼稚園、保育所におきましては、子供の心身の状態や家庭での生活、あるいは保護者の養育状況なども把握ができやすい機関でございます。そういう意味では、児童虐待の兆し、疑いを直接的に発見しやすい立場にあるというふうに考えております。

 このため、児童福祉法等におきましても、幼稚園、保育所が支援を要する児童等を把握した場合には、その情報を市町村に提供するよう努めるというふうにされておりますし、児童相談所や市町村から児童虐待に係る情報の提供を求められた場合には、情報提供できる、こうした規定も置いておりまして、そういう意味では制度上も連携協力体制を構築しております。

 また、運用面におきましても、虐待ケースといたしまして要保護児童対策協議会に登録されております幼稚園児、保育園児につきましては、毎月定期的に幼稚園、保育所から出欠状況等の情報提供を受け付けまして、児童相談所や市町村が状況把握及び対応方針の検討を組織的に行うことといたしております。

 またさらに、今般の野田市の事案を受けまして、二月二十八日に、児童虐待死の再発を防止する厚生労働省・文部科学省合同プロジェクトチームで決定いたしました新たなルールにおきましては、虐待ケースとして要保護児童対策地域協議会に登録されております幼稚園児、保育園児が休業日を除きまして引き続き七日以上欠席した場合には、幼稚園、保育所は定期的な情報提供の期日を待つことなく当該子供の出欠状況等を児童相談所や市町村に情報提供するよう、緊急時の取扱いを徹底したところでございます。さらには、今月十九日に関係閣僚会議で決定した決定におきましても、同趣旨の内容を定めております。

 今後とも、こうした取扱いを徹底いたしまして、幼稚園、保育所等の関係機関と連携の上、児童虐待の早期発見、早期対応に努めてまいりたいというふうに考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 社会全体で、関係者全ての方で力を合わせて児童虐待を防止していくということで、特に保育園、幼稚園の先生方の役割は大きいと思いますので、現場での対応をしっかりとお願いしたいと思います。

 大変に申しわけありません、順番がちょっと入れ違って、間違って申しわけありません。先ほど企業主導型保育園のことについて質問させていただきましたが、そのことに関連して、最後、根本大臣の方にお伺いをしたいと思っております。

 企業主導型保育園に通う場合、通勤ラッシュ時に保護者がお子さんを連れて例えば電車とかバスを利用しながらということも考えられると思いますが、現実は、親子ともに通勤、通園するというのは環境的にも現状的にも大変に厳しいのではないかと思っております。

 今後、企業主導型保育事業を更に充実させていくのであれば、例えば勤務時間を弾力的に設定できるフレックスタイムの活用など、こういった子育てをする社員への配慮が雇用企業側にも求められると思っております。

 いずれにしても、企業また社会全体で子育てを進めていく上で、こういった取組は働き方改革にもつながりますし、男性の育児参画の後押しにもなるかと思います。ぜひともそういった取組を強力に進めていただきたいと思います。大臣の方に御答弁お願い申し上げます。

根本国務大臣 委員御指摘のとおり、子連れで通勤する労働者がフレックスタイム制度などの柔軟な働き方を選択できる環境を整備して負担軽減を図る、これが重要だと思います。

 育児・介護休業法においては、事業主に対し、小学校就学前までの子を持つ労働者について、フレックスタイム制や始業時刻の変更等の措置、これを講ずる努力義務を課しております。育児のための柔軟な働き方ができる環境の整備に取り組んでおります。

 引き続き、育児・介護休業法の周知などを通じて、まさに委員がおっしゃられたように、育児と仕事の両立支援、これをしっかり進めてまいりたいと思います。

鰐淵委員 ありがとうございました。まだまだそういった環境整備が進んでいないのが現状かと思っております。

 繰り返しになりますが、企業、社会全体で子育てを進めていくという上で、さまざまな方面での取組は引き続き重要になってくるかと思いますが、この点におきましても、ぜひ、大臣を先頭に更に推進していけるように取組をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

亀岡委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの池田真紀です。

 きょうは、連合審査での質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 まず、この間、子ども・子育て支援法に関する改正につきましてはさまざまな論点の審議が行われてまいりましたが、今の段階で整理をし直しますと、立憲民主党の中で一致できているところというのは、まずやはり保育の全入化だということではあるかと思います。これが一点目。

 その保育の全入化は、行政が行っている待機児童だけではなくて、さまざまな保育を必要とする人々、まだまだその申請にも至っていないけれども必要とする人々、子供たちに対しても同様に言えるかと思います。それがまず先であろうということが言える。

 そして、もう一点ですが、無認可ですとかベビーシッター、さまざまなものが、無償化で、今回、保育の保障ということになっていますが、安全面につきまして、保育の質を担保していくということがまず重要だというふうに思っております。その前提の上できょうは質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の無償化に伴いまして、認定こども園等では、特に預かり保育の需要が伸びるのではないかということで体制整備が急務となっている現状がございます。また、幼稚園の方の免状と保育士の資格の両方の資格を有するようにというこの間の国の通知もあって、各園の方ではさまざまな努力をしている状況であります。

 先週末、私も地元のさまざまな園の方を訪問させていただきまして、一年間の振り返りと来年度に向けての協議に参加をさせていただきました。

 そのところですけれども、人材確保の点が非常に重要な問題になっておりまして、かつてから人材不足で応募してもこないという状況がありましたけれども、このところ連続して、今回は養成校からの新卒の応募もゼロというところが多発している状況でありました。やはり、人材の獲得というのは処遇の改善がまず必要であるというふうに思います。

 もう繰り返しませんけれども、保育士では全産業の所得に比べますと百四十九万も、大きな差があるということはもう皆さん御承知のとおりでありますので、まずこの処遇改善をしなければというふうに思っております。

 立憲民主党を始め野党六会派で、昨年、保育士等の処遇改善法案を提出しておりますが、いまだ審議に至っておりません。今回、このような状況でありますので、ぜひこういった保育士処遇改善法案もあわせて審議をいただきながら進めていただければなというふうに思うところであります。

 これは大臣に申してもあれですので、内容についてですが、きょう添付資料で一枚目につけておりますが、こういった提案をしていることに対して、それぞれの大臣から一言ずつ御所見といいますか感想でも結構です、コメントをいただければというふうに思います。

宮腰国務大臣 委員御指摘の法案につきましては、議員立法として提出されたものと承知をしておりまして、国会での動向を見守りたいと思いますが、いずれにいたしましても、保育士の処遇改善は大変重要な問題であると認識をいたしております。

 これまでも、財源を確保しながら、二〇一三年度以降、月額約三万八千円に加え、昨年度からは技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施し、さらに、ことしの四月から月額約三千円の処遇改善を実施いたします。

 来年度に実施する予定の経営実態調査におきまして保育士給与の状況を把握し、施策の効果をよく検証しながら、さらなる処遇改善に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

柴山国務大臣 私ども文部科学省としても、内閣府そして厚労省と連携しつつ、子ども・子育て支援新制度及び私学助成の双方において幼稚園教諭の処遇改善を進めるとともに、幼稚園の人材確保支援事業において各地域の先導的な取組を支援するなど、人材確保に向けた取組を総合的に進めているところであります。

 お尋ねの法案につきましては、議員立法ということでもございますので、政府としてその扱いなどにコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、一般論といたしましては、まさに、幼稚園、認定こども園、保育所等で保育に従事する職員の処遇改善は大変重要であるというように認識をしておりますので、いずれにしても、政府として引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。

根本国務大臣 お尋ねの法案については、もう両大臣が答弁したとおりで、私もそういう対応だと思います。

 そして、一般論として、保育士等の処遇改善を進めること、これは保育人材の確保のために重要で、それは委員御指摘のとおりであります。処遇改善については、既に宮腰大臣から御答弁がありました。

 そして、処遇改善のほか、新規の資格取得の促進や就業継続、離職者の再就職の促進、保育士について、といった観点から、総合的な支援に力を尽くしていきたいと思います。

池田(真)委員 ありがとうございました。

 今回の消費税の使い道というところはちょっとまた後でというふうに思いますけれども、まず優先的に進めていただかなければ受皿は確保できないというふうに思っております。

 それでは、次の質問に参らせていただきたいと思いますが、今回の目的なんですが、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性について鑑み、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るという少子化対策の一環であるということで、幼児教育の重要性とそして子育て家庭の経済的負担軽減という、その二つの要素ということを大きな目的としているかと思います。

 順に質問してまいりたいと思いますが、まず、教育ですね、幼児教育の必要性は私も当然思いますけれども、教育というふうに言ったときに、まず幼児教育だけで言いますが、資料の二枚目、一枚目の裏にありますけれども、これは参考資料までですので資料の中身の説明は割愛させていただきますが、私立の幼稚園の実費負担、公立幼稚園との差があるよということ。

 そして、生活保護を含む多くの低所得者の方々あるいは一人親の方々は保育園へ行っていることで、幼稚園の教育を受けたいなと思っても、経済的な意味と保育の時間の確保ということでなかなか利用ができていない現状があるということをまず前提に申し上げていきたいというふうに思います。

 そして、この幼児教育の必要性の部分でちょっと一つ質問をさせていただきますが、今回、国が保障していこう、進めていこうという幼児教育というのは、どういうところを目指すといいますか、どういう範囲のどういう幼児教育なのかというところで、文科大臣に具体的にコメントをいただければと思います。

柴山国務大臣 今回の無償化によってどのような幼児教育を目指すかということなんですけれども、まず、前提として、今回の無償化の対象範囲は、法律により、幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園などを基本としているところであります。

 今紹介をさせていただいた幼児教育施設においては、幼稚園設置基準ですとか幼稚園教育要領などによって、教育や保育環境の整備、また、教育内容面の質の確保が組織的、計画的に行われているところであります。

 それぞれの施設の教育内容については、私ども、関係府省での連携によって整合性を図っているところでありまして、二〇一八年度から、幼児期の教育において育みたい資質、能力などの明確化ですとか、あるいは、今取り組んでいる小学校教育の新たなステージとの接続の推進に係る内容などの充実を図り、これらの内容が着実に現場の実践に反映されるよう、理解、推進に努めているところであります。

 幼児教育、人格形成の基礎を担う大変重要なものでありますので、保護者の幼稚園等に係る費用等の負担の軽減に加えて、そういった質の高い幼児教育をしっかりと目指していきたいと考えております。

池田(真)委員 そうしますと、そういう施設に入れた子供と入れなかった子供の差がすごく大きくなるというふうに思います。国が進めようということであれば、全ての子供たちがその教育を受けられるように整備をしていくということが優先すべきことではないかというふうに私は考えますので、それをもう一度ぜひ御検討いただきたいと思います。

 例を申しますけれども、幼児の方ではないんですが、所得によって違うという話は幼稚園の話は言いましたけれども、参考資料の三ページ目にありますとおり、こちらはアンケートの結果を新聞が報道しています。貧困家庭の七割が塾とか習い事、これは習い事に関するお勉強の話ですけれども、断念をしているということがあります。

 また、北海道で行われた調査によりますと、こちらもですが、アルバイトの家計ですけれども、アルバイトに関しては家計のためというのが低所得者世帯では多く利用しています。そして、学習塾や家庭教師なんかの塾、お勉強についても、母子家庭、父子家庭では九割近くが利用していないというような結果になっています。

 非常に、経済的な理由といいましても、子供さんのアルバイトでいいますと、お友達とのつき合いとか遊びとかというのが六割以上だったり、趣味や娯楽のためが七割だったりとする中で、年収四百万未満の階層では、授業料のため、そして教材費のため、生活費のため、家族を支えるためというような回答があるというような実態であります。

 ですので、幼児教育も重要なんですけれども、それであれば、その目指す教育を全ての子供たちにぜひ整備ができるようにということをお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それで、そこに関連はしてくると思いますけれども、そういう中で、今みたいな実態の中で、昨年ですが、生活保護におきましては非常に大きな引下げがなされました。生活扶助費は最大で五%、そして、子供のいる生活保護の家庭のうち四割は生活扶助額が減額、さらには、児童養育加算はゼロ歳から三歳までは五千円の引下げ、そして、小学生の学習支援費は半分も引下げというふうになっています。

 人格形成等の幼児教育の環境整備といったものは小さいころから始める方がいいよということは、これまでの答弁の中でもあるし、さまざまな研究の中で証明をされているかと思いますけれども、そういう中でこういう引下げが行われた事実があります。

 法律は別だとしても、その事実について、厚労大臣、どうお考えでしょうか。

根本国務大臣 では、まず事実についてお話をいたします。

 平成三十年十月に生活保護基準の見直しを行いました。これは、審議会における検証結果を踏まえて、一般低所得世帯の消費の実態との要は均衡等を考慮して行ったものという認識であります。

 その結果、加算を含めた生活扶助基準額は、ふえたり減ったり世帯によっていろいろ違いますが、子供がいる世帯では五七%、うち母子世帯では六一%の世帯で増額となったものであります。

 例えば学習支援費というのがありますが、学習支援費は例えばどういう対応になっているか。学習支援費は、クラブ活動費用として活動の状況に応じて実費で支給することといたしました。その結果、実費で支給ですから、小学生では減額となる一方、クラブ活動が盛んになる中高生では増額になった、こういうことであります。

池田(真)委員 中身の話をしているものではなくて、そういうのは矛盾しませんかということなんですね。

 今回、連合審査でもありますし、こういう法律が他のところで出るということであれば、我が省のところの子供たちはこういう状況があるのでぜひそこにアクセスするように配慮してほしいとか、そこに乗っかるように何かしてほしいというようなことをもっと厚労大臣から厚労省として言わなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思っているんです。

 そういう意味で、子ども・子育て支援といいながらも、低所得者の子供たちや生活保護の子供たちが置いてきぼりだというふうに、そのことを指摘したいと思います。

 そして、次の質問、まだ大臣にはありますからお待ちください。ありますので、引き続き御質問させていただきたいというふうに思います。

 幼児教育の話はまた後ほど時間を割いてと思いますけれども、関連してですけれども、もう一つの要素として、今回は保育の無償化まで入ってきました。保育という保育は、どこまで、どういう保育を求めるのかというところで、安全性とかそういう意味では全く今回矛盾をしているというか足りないというふうに思っています。

 まず安全性と質の確保が優先すべきであろうと思いますけれども、とりあえずベビーシッターとか何でもいいから入れてしまえというようなところに矛盾を感じながらも、この現状に対してですが、児童福祉法で行います保育という文言は、誰が行うべきだというふうにお考えでしょうか。厚労大臣にお願いします。

根本国務大臣 先ほどの私の答弁について多少補足しますが、委員が事実についてということなので私は先ほど事実を申し上げましたが、当然のことながら、幼児教育保障の無償化、これは、子育て、教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策、そして一方で、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育保障、保育の役割の重要性ということですから、実はそれぞれの制度の趣旨に沿った見直しを行うもので、それぞれの制度の趣旨で私は対応する必要があって、子育て支援については内閣府等の関係省庁とも連携しながら適切に取り組んでいきたいと思います。

 それから、今の、保育は誰が行うべきか。これは、児童福祉法第二条において、「児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」とされております。

 その上で、同法二十四条においては、保護者の労働等の事由によって乳幼児が保育を必要とする場合の市町村による保育の実施義務などを規定しております。

 要は、地域や市町村、国が、基本的には児童の保育は保護者が第一義的責任を負いますが、そこは、あわせて国や公共団体もその責務や保育の実施義務に基づいて、保護者を重層的に支えるべきものだと思います。

池田(真)委員 お答えいただけなかったので残念なんですが、まず、保育園、保育入所についてよく考えてください、振り返ってください。

 一九九七年に、保育入所はそれまでは措置だったわけですよね、措置入所から利用契約制度に変わったわけです。でもまだ普遍的にみんなが利用できるような状況にはなっていない。それは受皿の問題、いろいろあるかと思います。まずそこで大きな転換点があったということです。

 この間に、社会保障サービスだけを考えても、介護だとか障害とかいろいろありますけれども、これらについても、保険制度に移行したりとか、あるいは措置から利用契約制度に移行されています。

 でも、その中で整備されてきたものというのは、権利擁護の仕組みなんですね。オンブズマンがあったりとか、権利擁護、成年後見制度ができたりとかさまざまな仕組みがありながら、そして加えて、さまざまな虐待防止法。でも、その虐待のときにつながっているのは、虐待防止、高齢者なり障害者なりの養護者に対する支援等に関する法律という法律名に、負担軽減を、取り巻く人たちの明記もきちっとなされている。でも、児童だけは違うんですよ。児童はそこに併記されていないんです。

 だから、児童については、アドボケート機能も含めて、児童自体は非常におくれているんだということをまず認識しなければいけない、ふわっとした形で、重層的に支えていますって、支えられていないからいろいろな事件が起きるわけじゃないですかということをまず申し上げておきたいと思います。

 一つの例ですけれども、これは札幌市の調査の中の一部ですけれども、今回、教育というところの推進と、幼児教育の推進と、あとは子育て支援ということでございますので、一人親が病気のときに見る人がいるかいないかというところなんですね。

 このアンケート結果で、同居していない親というのが一番頼みやすいようで、そういう方がいらっしゃる方々が三七%います。でも、誰もいないという方が、父子家庭も母子家庭も二〇%以上の方々が誰もいない状況なんですね。

 誰もいないから病院に行かなかった、それでもうネグレクトと言われちゃいますよね。そして、誰もいないから置いていった、それもネグレクトと言われちゃいますよね。そういう中で育児の環境があるんだと。

 その中で、一つ言いたいことは、今、重層的に支えていると言いますけれども、この中で、児童保護施設等の一時入所が、トワイライトステイも含めてですけれども、〇・七%なんです。一%にもまだ満ちていないんですよ、必要なときに受皿として公的に支えていく仕組みが。そして、こども緊急サポートネットワークも〇・三%、ホームヘルパーも〇・三%、子育てサポートセンターも〇・一%、急に必要になったときに使えない。

 これが今の実態なんだということでありますから、軽々しく、重層的に支えているなんということはないというふうに思います。この現状からきちっと見直していかなければいけないんだということ。

 そして、最後の質問に行く前に、一点だけ。先ほど教育の話、幼児教育から進めましょうと言いましたけれども、もう一点、低所得者にかかわる重要な問題としては、ここで共有をしておきたいと思います。せっかく文科大臣もいらっしゃいますので、共有しておきたいんです。

 生活保護の御家庭に関してであります。これは幼児教育ではありません。幼児教育ではなく、高校の教育、高等教育でもないです、高校の教育です。

 ここの部分につきまして、一九五〇年の教育扶助、要は教育扶助の創設時においての高校進学率は四二%、男性が四八%で女性が三六%と男女差があるのもその時代だなというふうに実感するところなんですが、そこから、その後、学資保険の訴訟がありました。そのときに、一九九一年、当時、提訴時におきましては、九五%の進学率なんです。高校に進学するんだというのは一気に当たり前の世の中になっている中で、生活保護受給の家庭だけは置いてきぼりだった。この差は物すごく大きくて、この間に子供の貧困を生み出していたんだということを私たち政府はしっかりと受けとめなければいけないと思います。

 その後、最高裁の判決が二〇〇四年にあって、あり方検討委員会、当時の厚労省の検討会の中でも進められて、二〇〇五年、平成十七年にようやっと生業扶助で授業料ができたというような状況でありますから、この御時世で、生活保護家庭、高校の生業扶助で受給されるようになったのは、まだ十三年ですよ。こんな状況であります。

 ですので、いま一度、教育というような、無償化といったときには、公教育全体を見直したりとか、全てのところを見直していく必要があるであろうというふうに思います。中身のことはもちろんでありますけれども、と思います。それをつけ加えさせていただいて、もう一つ、次の質問になります。

 今度はぐっと年齢が下がりまして、三月二十二日の委員会の質疑のときに、宮腰大臣が産後ケアの話について大変関心を持たれた答弁があって、私は非常に、こういうニーズがあるのかなというふうに思ったとおっしゃっていただいて、もっともっと知っていただかなければいけないなと思いましたので、もう一度ここで、産後ケアといいますか、産んだ直後のケアについては必要性を訴えていきたいと思います。

 核家族化が進んでいてサポートする人がいない状況の中で、産んだ後、ケアが必要だということと、今回ゼロ歳から二歳までが所得の制限がかかったということでありますけれども、実は、一番小さい子供たち、乳児、ゼロ歳から一歳、特にゼロ歳児のときには多くのサポートが必要なんだ、お母さんたちのサポートが必要なんだということを申しておきたいと思います。

 それももう一つ、議員立法で、きょうは資料をつけておりませんが、野党六会派の中で、産後ケアセンターということで、誰もが直後に利用できる産後ケアセンター設置法といったものも提出をさせていただきました。ぜひこの中身についても御検討いただければなというふうに思いまして、宮腰大臣の方に一言コメントをいただければなというふうに思います。

宮腰国務大臣 内閣委員会の質疑におきまして、初鹿委員から産後ケアの充実に関する御質問をいただいた際にも少し述べさせていただきましたけれども、近年、核家族化の進展や地域のつながりの希薄化によりまして、祖父母、じいちゃん、ばあちゃんや近隣の住民の皆さんから支援や協力を得ることが困難な状況になってきております。そういう時代に入ってきているということから、悩みや不安を抱えながら出産、子育てを行っている方々が多くいらっしゃるというふうに思います。

 特に、出産直後は、御自身の心身の状態の変化や疲労、また子育てへの心配や不安を抱える女性も多くいらっしゃると承知をいたしております。このため、産後の母子の心身に対するケアを行うことは大変重要であるというふうに認識をいたしております。

 委員御指摘の法案につきましては、議員立法として提出されたものと承知をいたしておりまして、国会での動向を見守りたいと思いますが、私なりにも勉強させていただきたいなというふうに考えております。

 また、厚労省におきましては、産後ケアの充実ということで産後ケア事業というのが始まっておりまして、平成二十九年度で三百九十二市町村で実施をしておいでになるというふうに聞いておりますし、また、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援を実施する子育て世代包括支援センターの全国展開を図っておいでになります。

 引き続き、母体や子供へのリスクを低減し、安全かつ安心して妊娠、出産ができる環境の整備、またその後のケアについてもしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

池田(真)委員 前向きな答弁ありがとうございます。ぜひお願いします。

 やはり、大変だとか不安だとかじゃなくて、みんなが利用できる、ユニバーサルに利用できるということが非常に重要な点だというふうに思います。

 困っている人が行くところではないんだというところで、先ほどの札幌市のアンケートでも、児童相談所イコール虐待のイメージしかないとか、要はSOSがしづらいとか、自由回答の中の記述そのものでありますけれども、そういう声がたくさんあるわけなんですね。

 なので、みんなが利用できるというところが、利用しやすくなる、声が出しやすくなる、結果、これが負担軽減になるということだというふうに思います。

 最後になりますけれども、今回の見直しに当たりましては、やはり保育の全入化を優先すべきだと思います。

 保育を必要とする人たちがまだまだたくさんいて、その手が届いていません。行政で言っている待機児童だけではなくて、そういう人たちをまずどうやって地域で支えていくことができるのかという、保育の、子育ての質、安全のところです。何でもいいということではなく、安全のところの質の確保と全入化をぜひとも目指していただきたいと思います。

 私も、いろいろな御家庭を見ている中で、関係している中で、SOSがあったら、ああしなさい、こうしなさい、相談、助言とか要らないんですね。そうじゃない。まず行って、まず赤ちゃんをだっこして、子供をだっこして、お母さんを休ませてというような、とにかくそういう状況がありますので、まずは、全入化というところで苦しんでいらっしゃる方々がたくさんいるので、それにもっと力を入れていただきたい。

 そして、教育に関しては、全ての子供たちにきちんと行き届くように、どこを今回はやりますと決めたら、そこがどういうアクセスがあればできるのかというところをぜひ厚労の方から丁寧に提案をしていくようなことが必要だというふうに思います。

 三点目になりますけれども、最後ですが、消費税を財源とするというところで申し上げますと、やはり低所得者世帯の方々へ、繰り返しませんけれども、もう既に利用料は公費が出ているというような答弁が何度もありましたけれども、でも、利用率も非常に少ないんですね。グラフはもう皆さん御存じだと思います。階層別の利用している割合が非常に少ない。その背景は何なのかということですね。利用できていないんですよ。

 だから、そういう保育とか幼稚園の利用を上げていくということ、それは何なのかといえば、先ほど言ったように実費負担があるから行けないんだということもありますから、消費税財源ということで、まず低所得者の方々へきちっと財源の方を確保していきながら、地域の中で消費が回るような形で還元していくことが重要であろうというふうに思います。これは、保育士さんも同様であります。

 先ほどから申しておりますけれども、最後に、一枚だけ資料をつけさせていただきました。先ほどの、あすのばさんのアンケートの中、また目を通していただければと思いますが、子供さんがじきじきに書いたアンケートで、「たすけてと言いたいときもある」とか、こういうのを書かせちゃうこの国だということをすごく悲しく思いませんか。

 まずここから私は直していきたいなというふうに思いますし、この間、大人に近づくことが発達するのではなくて、単に大人になる過程が幼児期なのではない、幼児期は、人間の一生にとって、これは今回の法律の目的でもあるかもしれませんが、他の時期とはかけがえのない独自の時期なんだということを肝に銘じておきながら、さまざまに現代を生きる子供たちが自己肯定感を持って、自分は大切なんだということをしっかり認識して、そして他者を信頼できるような、そういうような保育とそして教育といったものが行われるべきだと思いますので、ぜひそこは与野党問わず一緒にやっていきたいところ、目指していきたいところでありますので、そこをお願いを申し上げまして、時間になりましたので質問を終了させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

    〔亀岡委員長退席、冨岡委員長着席〕

冨岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、連合審査会で質問させていただきますが、まず冒頭、限られた時間ですので、端的にお答えいただきたいと思います。

 今回、幼児教育の無償化がうたわれていますけれども、三から五歳の子供さんがいる御家庭に、世帯の所得に関係なく幼児教育の無償化のサービスを届けるというこの考え方、これは、かねてから自民党さんまた公明党さんが主張してきた考え方と違うのではないかということをまずお伺いしたいと思います。

 そもそも、民主党政権下で高等学校の授業料の無償化をいわゆるユニバーサルサービスとして全ての世帯に届けたとき、それから子ども手当を全ての世帯に届けたときに、これをばらまきだといって、さまざまな御批判をいただいてまいりました。

 そこに、関連する資料で私が見つけられた範囲で載せていますけれども、高等学校の無償化法案については、所得制限を設けることが必要だ、支援の必要のない者に支援をすることはばらまきになっていくのではないか。また、子ども手当、高速道路無料化、戸別所得補償、高校無償化の四Kばらまき政策を続ける一方で、国民から預かっている税財源で補正予算を編成することは間違いだと思いますと、これは第百七十六国会であります。

 また、それ以外でも同様の話があって、いわゆる所得制限なく金銭的な経済的な支援をすることはばらまきだと言ってきたこれまでの考え方を変えたのか、それとも新たな何らかのロジックがあるのか、これについて御説明をいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 改正法案を御審議いただいている子ども・子育て支援法は、社会保障・税一体改革の中で大変厳しい議論を経て、自民党、公明党、民主党などの賛成により平成二十四年に成立し、全世代型社会保障への転換の第一歩を踏み出したものであります。

 その際の附帯決議におきまして、この附帯決議も民主党、自民党、公明党の共同提案によるものでありますが、「幼児教育・保育の無償化について、検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。」などが盛り込まれまして、政府としては、財源の確保などの検討を行い、平成二十六年度から段階的に無償化を実現してまいりました。

 そして、今般、我が国最大の課題である少子高齢化を克服する観点から、一昨年十二月の新しい経済政策パッケージ及び昨年六月の骨太の方針二〇一八において、消費税引上げによる増収分の使い道を見直し、幼児教育、保育を一気に無償化することとしたものです。

 今般の改正法案は、少子高齢化、人生百年の時代にあって、全世代型社会保障への転換をなし遂げるための重要な取組であると考えております。

岡本(充)委員 いや、全世代型は結構ですけれども、全世帯なんですか。世代ではなくて、世帯を問わず、つまり収入を問わず、全世帯型であるのかどうか、そこについて聞いているわけでありまして、そういう社会保障を目指すということでいいんですね。

宮腰国務大臣 世界で最も速いスピードで進む少子高齢化を克服するためには、もはやこれまでの政策の延長線では対応できず、次元の異なる政策が必要であります。そのため、消費税率の引上げの分の使い道を変更し、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼児教育、保育を無償化することにいたしました。

 これは、少子化対策、幼児教育の重要性の二つの観点から実施するものでありまして、まず、少子化対策の観点からは、調査によれば、二十代から三十代の若い世代において、理想の子供の数を持たない理由として、八割前後の方が子育てや教育にお金がかかり過ぎることを挙げておりまして、これが最大の理由となっております。

 また、どのような……(岡本(充)委員「委員長、もう一回ちょっと質問させてください。違うことを答えています」と呼ぶ)支援があればあなたは子供が欲しいと思いますかとの質問に対して、全ての所得階層で、将来の教育費に対する補助、あるいは幼稚園、保育所などの費用の補助との回答が、最も多い二つの回答となっております。(岡本(充)委員「質問をもう一回させてください」と呼ぶ)

冨岡委員長 はい。もう一度質問を。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、全世代型ではなくて全世帯型を目指す、こういう考え方に立つ社会保障制度をこれから構築していくんですね、こう聞いているんです。

宮腰国務大臣 既に、小学校、中学校、義務教育については、七十年前に無償化をいたしてきております。

 今回、小中学校に接続する幼児教育、保育の部分について、特に、教育費の負担が原因でなかなか思ったとおりの子供の数を産めない、持てない、あるいは、高等教育も含めてそういうところの負担の軽減をやっていかないことにはなかなか少子化という大きな困難を克服できない、全世代型社会保障制度に転換をするという観点から行うということにしたものです。

岡本(充)委員 全世帯を目指すんでしょう。全世帯型なんでしょう、三―五歳は。そうですよね。だから、全世帯型の社会保障制度を目指すということでいいんですね。これまでは、ばらまきだと言ってきたり、また、将来の子供たちにツケを回しているとか財政破綻国家に転落すると言ってきたけれども、これを変えて、全世帯型の社会保障制度を目指すということでいいんですね、こう聞いているんです。

宮腰国務大臣 先ほどお答え申し上げましたけれども、子ども・子育て支援法は、社会保障・税一体改革の中で相当の厳しい議論を経て、自民党、公明党、民主党などの賛成により平成二十四年に成立をいたしました。全世代型社会保障への転換の第一歩を踏み出したということであります。その附帯決議において、幼児教育、保育の無償化について検討を加えて所要の施策を講ずるものとすることということを確認いたしました。

 政府としては、財源の確保などの検討を行い、平成二十六年度から段階的に無償化をやってまいりました。今回は、幼児教育、保育の重要性、あるいは少子化対策としての重要性、この二つを目的に無償化を進めていくということにしたものであります。

岡本(充)委員 三党で合意したからということで、これは、じゃ、特例的に全世帯型にするという理解でいいんですか。ほかの年齢、例えば〇―二歳、高等学校の授業料、こういったものは全世帯型にしていかない、こういう理解でいいんですか。

柴山国務大臣 今、宮腰大臣の方から答弁をさせていただいたとおり、これまで、義務教育段階では、授業料等の無償化ということは既に確保されているわけであります。

 その上で、今回、今御答弁にあったとおり、それに接続する幼児教育の部分について次元の異なる政策を打ったということでありますけれども、今お尋ねにある、じゃ、それ以外はどうなんだということで、私の所管からすれば、まず高等教育についてお話をさせていただきますと、高等教育の負担軽減については、これまでも、当然のことながら、授業料の減免の拡大とともに、給付型奨学金制度の創設ですとか無利子奨学金の充実ですとか、あるいは奨学金の返還が困難となった場合の救済策の充実に取り組んできたところでありますけれども、その上でなお経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低いというような状況にあることなども踏まえて、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限ってではありますけれども、今般の支援を大幅に拡大して実施をするということでありまして、そういう意味では、一定の階層に着目したということでありますので、これまでの取組と哲学においてそごを来すものではないというように考えております。

岡本(充)委員 私は、大学じゃないです、接続する領域ですから、高等学校を聞いています。高等学校の授業料の無償化をユニバーサルにするのかということです。

柴山国務大臣 失礼いたしました。

 高等学校についてでありますけれども、高等学校等就学支援金は教育の機会均等を目的とした制度でありまして、依然として負担が大きかった低所得世帯の生徒に対する支援を充実しなければいけない。また、公私間の教育費の格差の是正のため、平成二十六年度より、年収約九百十万円未満の世帯に支給を限定する所得制限を設け、捻出した財源で、私立学校等に通う生徒への就学支援金の加算の拡充などを行わせていただいたところでございます。

岡本(充)委員 制度を聞いているわけじゃないんです。これもユニバーサルに戻すつもりなんですかと、ここを聞いているんですから、大臣、そんな、制度の説明なんかは結構です。

 戻す、哲学が変わったのなら、全世帯型ですから、それは戻していく、財源が見つかるかどうかは別の話としてあるけれども、それを目指したいという考えなのか、それは財源があっても目指さないのか、どちらですか。

柴山国務大臣 よく民主党がかつて高等学校の無償化ということについてマニフェストに掲げていたということを踏まえて御質問になっているんだろうなというように思いますけれども、現時点において、我々としては、我々が基本的に持っている義務教育外の方々に関しては、やはり低所得の方が学びたいのに学べないというところを改善していくスタンスであるということについては変わっていないということでございます。

岡本(充)委員 であるとすると、幼稚園も、低所得の人が学べない方がいるのなら学べるようにしてあげる、それはわかるけれども、高所得の人にまで、なぜ、じゃ、今回、幼児教育の無償化をするんですか。

宮腰国務大臣 先ほどもちょっと申し上げたのでありますけれども、どのような支援があればあなたは子供が欲しいと思いますかとの質問に対しまして、全ての所得階層で、将来の教育費に対する補助や、幼稚園、保育所などの費用の補助との回答が最も多いという状況にあります。

 幼児教育の役割の観点からも、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培うものであり、保護者の所得にかかわらず、全ての子供にとって重要であるという観点から、このために、所得制限を設けることなく、三歳から五歳までの全ての子供たちを対象に、幼稚園、認可保育所、認定こども園などを無償化することにしました。

岡本(充)委員 では、大臣は、高等学校の教育は全ての子供に重要ではない、だから所得制限があっても仕方がない、今そういう理解を私はしたんですけれども、それでよろしいですね、その考え方で。全ての子供に重要だから、アンケートで必要だと言われているから、だから、高等学校は無償化しないけれども幼児教育は無償化する、要約するとこういう考え方でいいですね。

宮腰国務大臣 今ほど申し上げたのは、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培うという意味で極めて重要であるということを申し上げた次第であります。

岡本(充)委員 三から五はそうだという話は、それは聞きました。

 ただ、高等学校の授業料は押しなべてみんな無償化にしない、そういう政策を政府一体としてとっているわけですね。したがって、そこにはそごがあるということを言っているんです。

 ちょっと時間の関係で、〇―二歳も聞きたいと思います。

 財源があれば〇―二歳も保育を広げていく、こういう考えはあるのか、それとも、財源があってもこれは理念としてやらないという方向なのか、ここを聞きたいと思います。

根本国務大臣 今回の幼児教育無償化は、もう繰り返しになりますが、三から五歳で、要は、子供の教育、人格形成とそれから経済的負担の緩和、少子化対策、こういう観点で、三から五ということが対象にされました。

 〇―二はどうなんだという話になると、宮腰大臣からお答えいただきたいと思いますが、一般論として、それぞれ制度は、それぞれの制度の趣旨、目的、あるいは、例えばそこの負担をどう緩和するか、あるいは財源、一般論としていろいろな要素があると思いますが、今の〇―二を無償化するかどうかという観点では、これは今回の少子化対策の観点ですので、宮腰大臣からお答えいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 今般の無償化におきましては、ゼロ歳から二歳までの子供たちにつきましては、待機児童の問題もあることから、その解消に最優先で取り組むことといたしておりまして、住民税非課税世帯を対象として進めることにいたしました。

 さらなる支援につきましては、少子化対策あるいは乳幼児期の生育の観点から、安定財源の確保とあわせて検討することにしております。

岡本(充)委員 つまり、安定財源が確保できればやりたい、こういう思いがあるという理解でよろしいですか。

宮腰国務大臣 〇―二歳児については、一律に三―五歳と同じように考えることはなかなか難しい面もあるのではないかな。育ちの様子がまた、それぞれ個々の子供たちによって違う。あるいは、家庭で子育てをしたいという方も当然おいでになる。現在のところ、〇―二歳児については、入所しておいでになる方々が大体三割から四割おいでになります。

 そういう実態がある中で、一律に三歳から五歳児までの段階の子供たちに対する政策と全く同じということにしていいものかどうかということも含めて、やはり検討すべきではないかというふうに考えております。

岡本(充)委員 ということですと、お金があっても、財源があってもこれをやるかどうかわからない、こういう理解でよろしいわけですね。いいですかね。

宮腰国務大臣 今申し上げたように、三から五歳までと〇―二歳というのはやはり違う部分があるので、一律に考えていくということについては、やはり検討を要する課題ではないかなというふうに考えております。

岡本(充)委員 ぜひ、こういった理念を示されているわけですから、それは、先ほどの話じゃないですけれども、高等学校の授業料はばらまきだと言っておきながら、結局、三から五歳の子供の教育は同じ義務教育外でも無償にする、やはり矛盾していると私は思いますよ。

 そういう意味で、子供にとって重要な教育の機会を提供する、これを、今回、所得制限を入れずにやるということ自体を私は批判しているわけではないんです。考え方を統一するべきではないか、こう言っているわけでありまして、そこはもう三大臣ともよくおわかりだと思いますから、理念をしっかり統一していただきたい。

 続いて、待機児童解消について、時間が限られていますから、聞きたいと思います。

 二〇二〇年度末までにゼロにすると。本当にできるのかな、私も正直言って難しいんじゃないかと思っています。

 この待機児童ゼロが二〇二〇年度末に達成された、つまり、二〇二一年の四月からは、お母さん方若しくは保護者の方が仕事に復帰をしたいと思えば必ず保育の受皿がある、こういう状況になるという理解でいいですか。それとも、極端な話、とんでもなく遠くのところまで預けに行かなきゃいけないとか、結果として、仕事に復帰することができないような保育の受皿を提示されて、結局待機せざるを得ない、こういう方が出てくるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

根本国務大臣 我々も、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿確保、これを目標に掲げて、そして今やっております。これは、現状、今、市町村が毎年毎年計画をつくって、そして進捗を我々は見ながらやっていくわけですが、この目標達成は可能だろうと今考えております。

 それから、これを達成すれば全部待機児童を解消できるか、こういうお尋ねでしたが、この三十二万人分の受皿の整備、委員は非常にお詳しいので私が言うまでもないと思いますけれども、要は、女性の就業率は今上がっていますが、この女性の就業率八割にも対応できるようにということでこの三十二万人の保育の受皿確保ということを設定しておりますので、我々、とにかくこういう待機児童の解消を目指して、この三十二万人分の受皿の確保、これはしっかりと取り組んでいきたいと思います。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、受皿の確保はわかりますよ、要するに、受皿の確保ができたときの社会の状況はどうなっているんですか。

 そのときに、働きたいと思っている女性が、自分の子供をどこかで保育、受け入れてくれるところを探す、そのときにしかるべきところが見つかって職場に復帰ができるという環境ができるのか、しかしながら、この二〇二一年四月一日をもってしても、職場復帰を保育がないがゆえに諦めざるを得ない女性が出てくるのか、これについて聞いています。明確にこの点についてお答えいただきたいと思います。

根本国務大臣 実際に個々の状況はさまざまな状況があり得るとは思いますが、要は、女性の就業率が八割まで高まっても対応できるような受皿整備として三十二万人分の受皿を整備しようということですから、待機児童がないようにするということを目標として今我々は進めております。

岡本(充)委員 これはちゃんと定義を教えてほしいわけですよ。

 じゃ、大臣、こだわりますけれども、今の受皿は、保育の申込者数と受皿はどっちが多いんですか。

根本国務大臣 それは、いろいろな地域によって状況が違うと思います。

 例えば、東京あたりだとすると、それは申込者数の方が多いですよね、東京あたりは。ただ、地方は対応できているところもありますから、そこは、私は、大都市を中心に申込者数は、特に東京あたりは申込者数が多いと認識をしております。

岡本(充)委員 お配りしていますように、いや、全国で見れば、申込者数より受皿の方が多いわけでしょう。だけれども、結局、待機児童は出てくるわけですよ。

 今、三十二万人とざくっと言っているけれども、大都市を中心にと言っていますけれども、大都市といったって、いろいろなところが大都市はあるわけです。

 三十二万人分受皿をつくったからといって、だから確認したいんです、働く女性にとって、保育を理由に仕事を諦めなければならない環境は二〇二一年四月一日以降発生しない、これがまさに待機児童ゼロである、こういうふうに言っていただけるのか、それは違う、そこまではできない、そういうことなのか、そこをはっきりしていただきたい。

根本国務大臣 この保育の受皿三十二万人分を整備することとしている子供安心プラン、これに基づいてやっていますが、これは、各市区町村が二〇二〇年度末までに待機児童を解消する計画を策定して、その結果を積み上げて進捗をしていくわけですけれども、そこは基本的に市区町村が、我々も今、積み上げて、例えば受皿拡大量の見込みというのは昨年九月の積み上げた公表時点では二十九・三万人になっていますが、これは毎年毎年市町村が計画を見直していきますから、これで我々は三十二万人分の目標は達成可能だと思っております。

 基本的には、各市町村がその市町村の状況を踏まえながら計画的に整備をしていくということですので、我々はとにかく三十二万人の受皿で二〇二〇年度末までに待機児童が解消できるような目標を掲げてやっている、こういうことであります。

岡本(充)委員 つまり、三十二万人分は、全国を足し合わせたら三十二万人分であってはいけなくて、それぞれ積み上げてきた市町村が欲しいと思っている受皿分だけ全部できる、こういう理解でいいんですね。

 つまり、世田谷区が何人欲しいと思っているけれども、世田谷区で何人はつくれないから、かわりにどこか地方でつくって、結果として足し合わせたら全国で三十二万人分になりました、だから私たちは目標を達成したんですと。でも、本当に必要な都市部で、今、世田谷区だ、杉並区だ、そういうところで大変待っている方がいらっしゃるらしい、そう聞きますよ。こういうところが結局ふえませんでしたということにはならない、それぞれの市区町村が欲しいと思っている数はできる、市区町村ごとにできる、そういう理解でいいんですね。

根本国務大臣 先生と議論すると、私、かみ合うと思っているんですが。

 要は、まさに市区町村が計画をつくって、そしてそれを国が支援していくわけですよ。そして、とにかくその結果のトータルとして三十二万人分確保しましょうねということですから、これはそれぞれの市区町村が整備を進められるように国としても支援をしてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 結局、三十二万人分ができた、プランが達成できましたといっても、仕事につきたいと思っても仕事につけない女性がいることは否定できない、こういう答弁でありますね。そういう答弁ですね。そういう女性は存在し得るということですね。そこだけ最後に、存在し得るか、いや、そういう人はいないように頑張ってやっていくのか、どっちですか。

根本国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、市区町村で状況はいろいろありますけれども、とにかくその市区町村で計画をつくって、我々が支援をして、そして、岡本議員が指摘するような状況にならないように我々も頑張っていきたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひ、それが必要な方に届くようにしなければならないと思いますよ。

 その中で、一つ聞きたいのが、居宅サービス、いわゆるベビーシッターの使用についてです。

 今回のプランでもベビーシッターは対象になるわけでありますけれども、今後の待機児童解消に向けて、ベビーシッターを活用していくという考え方は政府としてあるのかどうか。要するに、ベビーシッターをもっとふやしていく、こういう方向にあるのか、それとも、やはりそうではなくて、認可施設の方に何とか受皿をつくっていく、こういうことなのか、どちらでしょうか。

根本国務大臣 ベビーシッター、これは、保育を必要とする乳幼児の居宅において一対一で保育を行う事業であります。子ども・子育て支援新制度、これによって新たに認可事業として、認可の居宅訪問型保育事業を位置づけました。それと、今、認可外のベビーシッターが存在いたします。

 保育の受皿の拡充と保育の質の確保、向上、これは車の両輪として進めることが重要であると考えています。そして、一定の質が確保された認可保育所など、これは認可の居宅訪問型保育事業を含めてですけれども、これを中心に整備を進めたいと思っております。

 また一方で、子供の健全な発達のためには、周囲の子供とのかかわりといった視点が重要であって、発達に即して集団保育の機会を確保することが必要だと思います。

 こういう観点から、認可の居宅訪問型保育事業においては、その対象を、ゼロから二歳の障害や疾病などによって集団保育が著しく困難な乳幼児等を原則としているところであります。

 その意味で、この認可の居宅訪問型保育事業、これを待機児童解消のための保育の受皿整備の中心となる……(岡本(充)委員「中心じゃない、活用するか」と呼ぶ)中心となるとまでは考えておりませんが、これはやはり、私はいい仕組みだと思っていますから、ぜひ活用していきたいと思います。

岡本(充)委員 中心だと言われたからびっくりしましたけれども、中心ではないと聞いて安心しました。

 最後に、保育の質と量の確保、充実。特に、〇・三兆円要るということで、なかなかできていないところがありますけれども、これについても財源が確保でき次第実施をしていく、財源確保に向けて努力をしていく、こういう方針で間違いはないのか、最後にそれだけ聞いて、終わりにしたいと思います。

宮腰国務大臣 幼児教育、保育、子育て支援の質、量の充実を図っていくためには一兆円を超える程度の財源が必要であることが、二〇一二年六月に、自民党、公明党、民主党の三党による社会保障・税一体改革に関する確認書で確認をされております。このうち、消費税率が一〇%に引き上げられたときに実施することにしておりました〇・七兆円のメニューにつきましては、消費税率が八%に据え置かれる中にあっても、三歳児の職員配置の改善など、質の向上も含めて、全ての事項を既に実施済みとなっております。

 委員御指摘のさらなる質の向上を実施するための〇・三兆円超のメニュー、これは消費税財源以外の財源により実施することとされておりますが、これまで、保育士等の処遇の二%の改善などを実施し、ことし十月からは新たに、栄養士を週三日程度配置する費用の補助を行うということにしております。

 この〇・三兆円超メニューについては、骨太の方針二〇一八において適切に財源を確保していくとされておりまして、各年度の予算編成過程において安定的な財源確保に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私たちも、幼児教育の無償化そのものに反対ではありません。順々に無償化を進めてきて、今回の措置というのは承知をしています。しかしながら、財源を消費税にするべきではなかった、このことはまず指摘をしておきたいと思います。

 二〇一二年五月十日、子ども・子育て支援法の本会議質疑がされました。私は、冒頭、次のように述べました。「民主党は、〇九年総選挙で、チルドレンファーストを掲げて政権交代を実現しました。その中心施策だった子ども手当は、一度も完成形を見ないまま、児童手当に戻りました。私は、増税だけが残ったと、この壇上で討論を行ったばかりであります。」と述べたのです。

 一度も完成形を見ないとは。政権交代前、民主党が、子ども手当二万六千円を一律に、高所得者に対しては応能負担という形で税金で負担をしてもらうのだからと言っていたことは、合理性があったと思います。しかし、当時の自民党らに、社会が子供を育てるとは、親の育児放棄につながるのではないかなど激しい批判を浴びせられ、一度も当初の案が提出されることはなかった。これは大変残念でなりません。

 今回、十二日の本会議で、本法案に対する代表質問において自民党の質問者は、「いま一度、国民全体で子供を育てるという意識を共有することが大切です。」と強調されました。本日も、与党の委員から同様の趣旨の発言がありました。そのとおりだと思います。でも、かつての自民党の主張とは余りに整合性がとれません。

 私は、どちらの政権にも入っておりませんので、よいものはよいと言ってきた立場で質問をしています。

 宮腰大臣、当時は民主党政権だから反対したんですか、今回の法案はこれまでの自民党の政策や対応についての反省なり教訓を何か踏まえたものなのでしょうか、伺います。

宮腰国務大臣 今ほど岡本委員の御質問にもお答えをさせていただいたわけでありますけれども、現在改正法案を御審議いただいている子ども・子育て支援法は、社会保障・税一体改革の中で、自民党、公明党、民主党などの賛成により平成二十四年に成立をし、全世代型社会保障への転換の第一歩を踏み出したものであります。

 その際の附帯決議におきまして「幼児教育・保育の無償化について、検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。」などが盛り込まれまして、政府としては、財源の確保などの検討を行いまして、平成二十六年度から段階的に無償化を実現してまいりました。

 そのほかも大体先ほどの答弁のとおりなのでありますけれども、なお、子ども・子育て支援法にありますように、子ども・子育て支援は、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識のもとに進めるという考えは変わりませんが、今般の無償化は、子供たち、子育て世代に大胆に投資することにより、子育てや教育に係る負担を大幅に軽減するものであり、日本を、子供たちを産み育てやすい国へ大きく転換してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 直接は何もお答えになっていないと思いますね。

 三党合意は、私は本当に残念に思います。第一義的に保護者に責任があるということ、それを、言われなくたってわかっていることをあえて法律に書いた、そこに大きな趣旨の転換があったんですよ。それを、でも今は国民全体で子供を育てるとおっしゃっているんだから、そのときの考えはそうじゃなかった、違っていたと一言おっしゃってもよろしいんじゃないかと思うんですね。チルドレンファーストのはずが、結局子供が置き去りにされていないか。昨日の参考人質疑でも、松居和参考人も同様の発言をされていました。私、そのとおりだと思っております。このことは指摘にとどめます。

 幼児教育の無償化は、総選挙の際の総理発言を契機に、二〇一七年十二月八日の新しい経済政策パッケージとして体系化されました。しかし、そこでは、人づくり革命というのが中心主題だったと思います、何しろ政策パッケージですから。ですが、法案の趣旨説明は「我が国における少子高齢化という国難に正面から取り組む」と説明をされています。

 この法案の目的は少子化対策なんでしょうか。なぜ少子化対策が幼児教育無償化なんでしょうか。

宮腰国務大臣 今回の幼児教育、保育の無償化の目的は、まず第一には、我が国最大の課題である少子高齢化を克服するという少子化対策の観点から行うものである、それからもう一つは、幼児教育の役割の観点から、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎あるいはその後の義務教育の基礎を培うものであって、全ての子供にとって極めて重要であるという考え方、この二点から行うものであります。

高橋(千)委員 なぜ少子化対策が幼児教育無償化なのかと聞きました。

宮腰国務大臣 今ほど申し上げましたけれども、生涯にわたる人格形成の基礎あるいは義務教育の基礎を培うものであって、三歳から五歳までの全ての子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障することは極めて重要である、そういった観点から行うものであります。

 少子化対策の観点からは、二十代、三十代の若い世代が理想の子供の数を持たない理由として、八割前後の方が子育てや教育にお金がかかり過ぎるということを挙げておりまして、これが実は最大の理由になっております。

 若い世代の方々は、当然、まだまだ所得が少ないという段階で、子育てに係る負担というのは極めて大きなものがあるというふうに考えておりまして、今回、三歳から五歳児までについて無償化するということで、教育費負担の大きな軽減につながっていく、そして、若い世代の方々が理想の子供の数を持たない理由ということで八割の方が挙げておいでになる教育費負担、この軽減につなげることで、少子化対策にも大変大きな意味があるというふうに考えております。

高橋(千)委員 今御紹介された調査、子育て、教育にお金がかかり過ぎる、これは、国立社会保障・人口問題研究所の二〇一五年の調査であります。

 ただ、その調査の中身を追っていきますと、やはり、結婚意思のある未婚の男性、女性ともに、持ちたい子供の数が過去最少になっています、男性は一・九一人、女性は二・〇二人。夫婦の理想子供数は二人というのが初めて五割を超えて、三人以上が減ってしまって、一人というのがふえているんですね。

 そのときに、予定の子供数を実現できない可能性がある、これが八七・六%なんです。五年間で九・二ポイントもふえています。その理由が、年齢や健康上の理由、あるいは家事、育児の協力者がいない、保育所など預け先がない、これを足すと二八・四%で、四・四ポイントふえています。収入が不安定というのは、少しは減っているんですけれども、二五・八%と高く、働き方や保育などの受皿に要因がある、単なる教育費、幼児教育の問題だけでないんだということをちゃんと見ていく必要があると思うんですね。

 もう一つ指摘をしている内閣府の調査ですと、年収が八百万未満だと経済的にやっていけるのかが最も高いのに対して、八百万以上だと、仕事をしながら子育てするのが難しい、子供と一緒に過ごす時間が十分にとれない。つまり、働き過ぎなんですよ。

 今の働き方の問題をちゃんと見ないと、本当に、がばっと幼児教育のところにお金をかけてしまっただけでは解決にならないんだということを指摘しておきたいと思います。

 その上で質問を続けますけれども、二〇一二年の子ども・子育て法案の審議のときに、株式会社の参入で保育の市場化は問題だと私は指摘しました。それに対して、まず、自民党の、当時は修正案がありましたので、提出者の皆さんは、まずは量を確保するんだ、そして質だという答弁でありました。それどころか、質のいい株式会社にお願いをする、こういう答弁もあったわけですね。

 まずは量の受皿となったのが企業主導型保育だったと思う。だけれども、今になって需要とマッチしていないなどと指摘がされて、待機児童問題はほとんど変わっていない、そして企業主導型の改善について改めて検討会をやらなければならないという、この事態をどう見ていますか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、これまで内閣府が事業を進めてまいりました。量の整備について重点が置かれ過ぎて、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか、ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか、私としては、そういう厳しい認識のもとに、昨年十二月に、実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げてまいりました。

 三月十八日に公表された、当面、早急に改善すべき事項についての検討委員会報告において、「子供の安全第一の観点から、保育の質の確保・向上を重視し、審査、指導監査の在り方を検証し、見直す。」といった改善方策が示されております。

 今後、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 まずは量というのも、ある意味合理性があったわけなんですよ。だけれども、例えば基準を満たしていない保育所であれば保育士さんはしっかりと確保するとか、そういう形で確実に質を担保しながらやっていかなければ子供は守れないわけです。企業主導型の問題だって、結局予算をそこに誘導的につけたから、ハウスメーカーが、箱物は得意ですよということで、別に保育のニーズがない事業所に対してまでもいかがですかと回っている。こういう実態があって今の事態が起こっているんだ、その分をもっと違うところにつければよかったんじゃないかと言いたいと思います。

 資料の一を見てください。認可保育所と認可外保育所の設置基準の比較であります。

 これはやはり、大きくは、保育士さんの配置がかなり違う。三分の一以上が保育士又は看護師資格がいればいいというふうにとどまっているところなどは、大きく違いがあると思います。

 それから、資料の二は全国市長会の資料なんですけれども、認可外指導監督基準、これは劣悪な施設を排除するための基準だと指摘をしています。下からずっと見ていくと、保育士ゼロ、保育士三分の一未満と、ずんずんと上がっていくんですが、マル・バツは、いわゆる何らかの補助があるかというところなんですね。この一番下のところから今回実は無償化の対象になる。そして、これらの施設は五年間の猶予措置を設けていますが、では、五年後に認可施設になるんでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の無償化におきましては、待機児童問題によりまして、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいらっしゃることから、代替的な措置といたしまして、認可外保育施設を幼児教育の無償化の対象といたしました。

 この対象となる施設につきましては、届出を行いまして、指導監督基準を満たすことが原則必要でありますけれども、指導監督基準を満たさない施設を利用せざるを得ない場合を考慮いたしまして、施設が基準を満たすために五年間の猶予期間を設けることとしたものでございます。

 この五年間の猶予期間の間に、まずは認可外保育施設の指導監督基準を満たしていただくことが必要であるというふうに考えております。その上で、指導監督基準を満たした施設が更に認可保育所などに移行することも重要であるというふうに考えております。

 このため、巡回支援指導員の配置の拡充、あるいは指導監督の手法、ルールの明確化等による都道府県等によります指導監督の徹底、また、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たし、更に認可施設に移行するための運営費の補助等の支援などの取組を行ってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 いろいろ言ったんですけれども、五年たって別に認可園にはならなくても問題じゃないというか、必須ではないんですね、この制度は。しかも、満たさないというのも、指導監督基準さえも満たさないでスタートできる、これはやはり余りにも無責任です。最低でもスタート時点で指導監督基準を満たしていることを条件とする、猶予措置を短縮して認可園になることを目指す、これを条件とすべきではありませんか、大臣。

宮腰国務大臣 今ほど厚労省の事務方から答弁があったわけでありますけれども、原則、指導監督基準を満たす認可外保育施設が対象になっておりますが、現に基準を満たさない認可外保育施設にお子さんを預けていらっしゃる方々もおいでになることから、そうした施設が基準を満たすために五年間の猶予期間を設けたものであります。

 五年間の間にぜひ認可保育施設に移行していただく、あるいはそのための後押しもしていくということをやっていくわけでありますけれども、五年後には、そうした基準を満たさない認可外保育施設は無償化の対象にならないということになっております。

 さらにまた、実施主体である市町村の役割は極めて重要であると考えておりまして、改正法案においては、市町村長に対し、対象となる施設を特定する確認や、必要に応じた施設への報告徴収、勧告、命令、確認の取消し、さらには都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定を設けております。

 加えまして、待機児童の状況等が地域によって大きく異なることを踏まえまして、市町村が地域の実情に応じて柔軟な運用ができるよう、改正法案では、市町村が、保育の需給状況等を勘案し、条例により対象施設の範囲を定めることを可能とする仕組みを盛り込んでおります。

 無償化を契機に、認可外保育施設の質の確保、向上にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 地域の実情に応じた条例によりって、これ以上下げるという意味ではありませんよね。一言。

宮腰国務大臣 これは、認可外保育施設が多いというところは恐らく相当厳しくやっていくのではないかなと思いますが、例えば私の地元の富山県のように、認可外保育施設であっても認可保育所の基準をもう既に満たしている、かつ待機児童がいないというところについては、これはやはり相当厳しくしていくのではないかなというように思います。

高橋(千)委員 そうなんです。あくまでも自治体がやる条例は上乗せですから、今の指導監督基準も満たしていなくて、それより下げるようなことがあってはならないということを言っております。当然でございます。もちろん、認可園に移行を進めてきたわけですし、そういう保育所があるのも当然です。

 それで、時間の関係で、二問を一つにして聞きます。

 今、認可外施設が実際幾らで、そのうち立入り指導がどのくらいできていて、指摘率、何らかの違反が指摘された割合が幾らか、これを簡潔にお答えください。

 その上で、今、宮腰大臣がおっしゃった第五十八条なんです。確認の取消しができます。ただし、取り消された保育所に入っていた子供たち、保護者、結局、この給付というのは、子供の負担、親の負担を軽減するために、そこに出しているお金なんですね。だけれども、施設が取り消されたときに、じゃ、保護者の救済策があるのかというのは実は書いていないはずなんですね。どうするつもりなんですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 私からは、認可外施設の現状について申し上げます。

 まず、認可外保育施設でございますけれども、平成二十九年三月三十一日時点におきまして、届出施設数は七千九百十六カ所であります。指導監督基準におきまして立入りを義務づけられておりませんベビーシッターを除く七千十三カ所のうち、二十八年度に立入調査を実施した施設は約六八%、四千七百七十一カ所。この立入調査を実施した四千七百七十一カ所の施設のうち、指導監督基準を満たさない施設の割合は約四三%でございます。

小野田政府参考人 保護者に対する対応でございます。

 今回の改正法案におきましては、児童福祉法に基づく都道府県等の調査や、子ども・子育て支援法に基づく市町村の調査などを契機に、認可外保育施設が指導監督基準に違反し、給付の対象施設として適正な運営ができなくなったと認めるときは、市町村は施設の確認を取り消すことができることとしてございます。

 これは、直ちに確認の取消しを行うよう求めるものではなく、個別具体的な状況に応じまして、基準の遵守を勧告し、勧告が守られない場合に措置命令を発することにより、まずは施設を指導することができる仕組みとしてございます。

 そうした指導を講じてもなお運営の改善が期待できないような場合には、その施設を継続して利用いただくことには問題が多いと想定されてございます。こうした場合、市町村におきまして、保護者に対し適切に助言等を行っていただけるものと考えてございます。

高橋(千)委員 適切に助言するだけでは、何の救済策にもなりませんよね。

 だから、先ほどから言っているように、基準をちゃんと満たして、そこからスタートしなければだめなんだということなんです。結局、犠牲になるのは子供じゃないか、そこがわかっていない。不備だと思います。ここは早急に検討していただきたい。指摘をいたします。

 資料の三を見てください。

 給食費の実費負担、随分議論されてきたと思うんですが、これは、もともとは財政審の議論の中で、幼稚園がもともとは実費なんだから、保育所は保育料に含まれている、それで不公平だからといって、逆にすればよいのに、この副食費四千五百円というのを実費負担にするというふうになった。本当はこれを逆にすれば、どっちもちゃんと無償化の対象にすればよかったと私は思うんです。

 ただ、この主食三千円、副食費四千五百円という金額の根拠、随分昔から使われていた金額といいますが、実態に合っているんでしょうか。どういう根拠でしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、根拠でございますけれども、公定価格における保育所の食材費の積算につきましては、昭和三十八年度当時に設定されました単価をもとに、毎年の消費者物価指数等の変動を勘案して見直してきております。現在、主食費については三千円、副食費については四千五百円となっております。

 主食費、副食費の実態でございますけれども、今年度実施いたしました保育所等の運営実態に関する調査結果におきましては、平成三十年三月の保育所等における児童一人当たりの食材費の月額は、〇―二歳児の主食費は六百十九円、副食費は四千三百五十八円、三―五歳児の主食費は七百三円、副食費は四千七百二十円となっております。

高橋(千)委員 要するに、昭和三十八年から変わっていないんですよ。当時、三歳以上副食費は日額十五円だったそうです。それが、今物価スライドをしているだけであって、考え方は変わっていない。

 しかし、それでいいのか。本当は、副食費の中におやつも含まれています。どんな苦労をしているのか。今、これが実費だということで、一万円取るよという保育園も出てきているそうです。これをどう考えるのかということなんですね。

 宮腰大臣、給食が保育に必須であったその理由を伺いたいと思います。一度にたくさん食べられない子供にとって、おやつの役割は本当に大事です。あるいは、アレルギー食への対応など、今後一層重要だと思いますが、それを踏まえて、目安をどのように決めていくおつもりですか。

宮腰国務大臣 委員御指摘のように、保育所の制度が始まったころから、保育内容の充実を図るためには、乳幼児に対し適切な栄養給食を行うことが必要との考え方から、保育と給食は不可分の関係にあり、給食の提供を義務づけていると承知をいたしております。こうした保育における食の重要性は今後とも変わるものではないと認識をいたしております。

 委員お尋ねの副食費の目安となる額については、著しく高額になることや、反対に食の質を下げて著しく低額になることがないよう、これまで保育料に含んで徴収していた額と同額の四千五百円を目安として、通知等によりお示ししたいと考えております。

 また、保育現場におけるアレルギーのある子供への対応も非常に重要でありまして、十月から栄養士の体制充実等を図ってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 また続きをやりたいと思います。ありがとうございました。

    〔冨岡委員長退席、牧原委員長着席〕

牧原委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 今、宮腰大臣は外されましたけれども、率直に感じるのは、大変重要な法律案であり、そして、日本の少子化問題への対応という意味では極めて重要な法案だと私は思っています。そもそも、三大臣が携わるということ自体が、今の、とにかくつくらなきゃいけないという現状はわかりますけれども、本来であればお一人の大臣がこういうことを決めるというようなことが、実はちょっと後ろで見ていて率直に感じたところでございます。

 それで、今回の法案は少子化対策という一環も当然あるわけなんですけれども、ちょっとデフレの原因というのを考えると、今、いわゆる金融緩和を続けているということで我々は対策を打っているところなんですけれども、本質的な問題はやはり少子化であるということで私は理解をしていて、ちょっと例えますと、日銀の白川方明前総裁、間接的な表現で、少子化がデフレの根本原因であるというようなことを言っておられますし、日本在住三十年のアナリストのデビッド・アトキンソンさんも最近の書籍で、やはり本質的な問題は少子化だと直接はっきりと書かれている。そして、デフレ、何とか今対応していますけれども、本当に少子化対策に対応しないと、大きなデフレの圧力がかかってくるということの中で、この子ども・子育ての幼児教育の無償化というのをぜひ、私ども維新は、御案内のとおり、憲法で議論しようではないかということで、幼児期から大学までの無償化を訴えさせていただいているということでございます。

 それで、きょう、論点は大きく二つですが、時間がないので、できる範囲でということでございますけれども、率直に、幼保一元化という単語で言ってしまっていいかどうかは別かとも思うんですけれども、幼稚園と保育園というのはそんなに違うのかという感じが、違うぞという御意見もあるかもしれませんが、私は、ある意味で子供たちのためにというくくりからすると、特に先生方のお立場というか資格でいうと、例えばなんですけれども、浦和大学では保育士や幼稚園教諭一種免許状の資格取得を想定したカリキュラムを準備しているというような現実もあるわけで、保育士資格と幼稚園教諭というものは、むしろ先生方の方を一本化していくことによってお役所の方も最終的には一元化されるということで、演繹と帰納で、帰納の方というか現場の方から変化が起きるべきではないかというふうに私は率直に思っています。

 そこで、せっかくお二人の大臣がおそろいなので、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。

 まず根本大臣にお伺いいたしますけれども、保育士資格、細かく言っていただくと長くなるので、要点だけ伺いたいんですけれども、主な必要条件、要件というのは何なのか、そして幼稚園の教諭と一体化させていく必要はお感じになっておられないか、あるいは長い目で見てそう感じていただけないか、このあたり、御答弁いただければと思います。

根本国務大臣 私の記憶によれば、幼保一元化の議論というのは、これは百年ぐらい前からずっとあった議論だと思います。そして、本質的には教育か保育か、これがそれぞれずっと議論があって、そして今回、要は、できるだけ一体化してやりましょうねというような方向性になったんだと思います。

 今、端的にお答えしますが、保育士の資格を取得するためには、指定保育士養成施設で所定の単位を取得して卒業するか、あるいは、各都道府県で実施している保育士試験に合格した上で、各都道府県に登録をすることが必要です。

 中身ですが、指定保育士養成施設では、外国語や体育などの教養科目を八単位と、それから子ども家庭福祉や社会福祉、保育実習などの必修科目を六十単位、合わせて六十八の単位が必要となっております。

 それからまた、認定こども園の保育教諭は、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方が必要とされておって、文部科学省と連携しながら、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有促進、これに取り組んでおります。

 具体的には、幼稚園教諭が保育士資格を取得しようとする場合、履修科目、試験科目は、幼稚園教諭を所有する方はもう既に一定の科目を履修していますから、そこは軽減する。そして、幼稚園教諭免許を有する者が保育士資格を取得しようとする際の受講料の支援等を行って、両資格を取得しやすい環境整備、これを行っています。

 そして……(杉本委員「ポイントだけでいいです」と呼ぶ)これでいいですね。では、あとは文科大臣に。

杉本委員 できるだけ本音のところを伺いたいので、形のところは理解していますし、本当に大臣という重職にあられるので、やはり強い意思を示していただきたいと思うので、大体、お気持ちは最初の枕のところで理解させていただいたつもりです。

 そこで、日ごろ文科委員会で御一緒させていただいていますけれども、柴山大臣の方に質問をかえさせていただきます。

 幼稚園の教諭免許の主な必要条件、要件は何か。保育士資格と一体化させていく必要はないのかどうか。今も根本大臣の話を伺っていますと、併有促進というお言葉があり、文科省と連携してとかというお言葉がありましたけれども、本当に一本化してしまえば、先生が一本化されれば幼保も一元化される可能性は出てくると思いますので、このあたりの御答弁をいただければと思います。

柴山国務大臣 だからこそ認定こども園という制度ができたんじゃないかなというふうに思います。

 今御質問の、幼稚園教諭免許状の取得に当たっての条件等ですけれども、原則として、学士の学位などの基礎資格を得るとともに、大学などの教員養成課程において教職の意義及び教員の役割、職務内容などの所定の単位を修得し、免許状の授与権者である都道府県教育委員会に申請をしなければいけないということであります。

 現在、先ほど根本大臣から御指摘があったように、幼稚園の教諭免許と保育士資格の併有を促進するため、特例により一定の単位軽減措置などをとっておりまして、今国会に提出している第九次地方分権一括法案において、当該特例の期間を二〇二四年度末まで延長して、この負担軽減をずっと続けることとさせていただいております。

 また、これも根本大臣から御指摘になったように、両資格を取得しやすいさまざまな支援等の環境整備も行っているところでありまして、こういう措置によって両資格の併有を促進していくということを通じて、現場でのさまざまな取組がその後、委員の言葉をかりれば、どのようになっていくかということをしっかりと見守っていきたいと考えております。

杉本委員 時間となってしまうようなので、ぜひ、二つの資格の併有というところの先に統一化みたいなところを目指していただければということを提案申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 お時間をいただきましたので、質問をさせていただきます。

 会派、私個人としても、幼児教育無償化、保育の無償化、子供に予算を手当てしていくことそのもの自体に異論はありません。本改正案が本当に子供目線であって、子供の明るい未来に資するものかどうか、至った経緯また内容について確認したいところを、重複するところもあるかと思いますが、御質問させていただきたいと思います。

 まず、経緯でございますが、社保・税一体改革で社会保障分野への配分、スケジュールが決まっていたところ、一昨年の総選挙前に突如その使い道が幼児教育、保育の無償化へと変更された。子供を取り巻く環境、さまざま課題はありますが、この幼児教育、保育の無償化が消費税増税増収分の大優先となっているその理由について、改めてお尋ねをしたいと思います。

宮腰国務大臣 少子高齢化そして人生百年の時代にありまして、社会保障のあり方もまた大きく変わらなければならないという時代になってきていると思います。お年寄りだけではなくて、子供たち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていく全世代型社会保障への転換をなし遂げる必要があります。これは、平成二十四年の税と社会保障の一体改革の中でも確認をされているというところであります。

 今回の無償化は、その重要な第一歩として、消費税引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するものでありまして、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性の観点から実施するものです。その財源負担につきましては、未来の世代に回すことなく、安定財源を確保した上で進めるため、消費税率引上げの増収分を活用することとしたものであります。

中島委員 全世代型社会保障確立もいいですし、子育てに係る費用軽減がされることは誰でも喜ばしいことだとは思います。しかし、きょうもさまざま議論がありましたが、やはりそうであれば、まずは誰もが希望する保育園また幼稚園に入れるような体制を前提として整えるのが優先だと私自身も思いますし、そうでなければ、無償化されて、結果的に入れない、入れる人、この格差は更に広がってしまうというふうにも思います。

 加えて、至った経緯。三月十二日の本会議でも私は安倍総理に質問をさせていただいておりまして、今回の幼児教育無償化は一昨年の総選挙の政争の具として利用されたのではないかという質問に対して、総理は、自民党において、政権を奪還したときから公約の中に幼児教育の無償化を進めていくと申し上げており、私の独断あるいは政争の具といった指摘は当たらないと。私は強弁だと思いますが。

 加えて、三月二十日の内閣委員会で、共産党の塩川委員と政府とのやりとりの中で、政府として、もちろん幼児教育、保育の無償化については段階を踏んでという議論はされておりましたが、消費税の使い道としてどこでどういう検討がされたのか、この議論の中で消費税の使途が変更されることは全く政府として検討されていないと、政府参考人も明確に答えていたわけであります。

 これは財源を確保しながら段階的に進めると、骨太の方針二〇一七年ですね、これにも書いてありますが、一気に無償化するとは全く書いていない。参考人からも、政府内で使い道について具体的に変更するという検討は全くされなかったと。実質、あの一昨年の安倍総理の解散、その記者会見で突如としてあらわれた、これは間違いない事実だ。昨年の二月に、我が会派の代表の野田議員が、やはり社保・税一体改革の精神、政争の具にはしない、御理解いただいておるかという質問に対して、総理は、政争の具にはしていないけれども選挙の争点にしたと、本当にひっくり返るような意味不明の答弁をされているわけです。

 改めて大臣に聞きますが、全世代型社会保障を築いていく、そして今回は子供に重点的にというふうにおっしゃいましたが、優先順位を変更したのは総理が言ったからなんじゃないんですか。

宮腰国務大臣 今ほどおっしゃった総理と代表のやりとりについてはちょっと承知をしておりませんけれども、平成二十四年に成立した子ども・子育て支援法の附帯決議においては、「幼児教育・保育の無償化について、検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。」とされておりまして、政府としては、財源の確保などの検討を行いながら、平成二十六年度から段階的に無償化を実現してまいりました。

 今回、例えば高所得者優遇ではないかという御批判もありますけれども、これまで、生活保護世帯あるいは住民税非課税世帯を中心にして、年間約四千五百億円程度の公費を投入して段階的な無償化を進めてまいりました。今回、新たに全世帯を対象にした無償化に踏み込むということになったわけでありますけれども、この方針については決して総理の独断で決められたものではなくて、やはり段階的に無償化を行ってきて、今回、消費税引上げの二%の財源の一部を安定財源として行うということにしたものであります。

 今回の引上げの二%の一部というのは、その一部については国債の償還に充てる、あるいは地方にとっては臨時財政対策債の償還に充てる、その予定のうちの一部を活用して今回の無償化に充てるということにしたものであります。とりわけ、三―五歳児の幼児教育、保育の重要性に鑑み、あるいは少子化対策として負担軽減を行うことの重要性に鑑み、今回無償化を進めるということにさせていただいたものであります。

中島委員 先日の塩川委員とのやりとりの中で、今大臣が御答弁され、さまざまおっしゃいましたけれども、一昨年の総選挙の前に消費税の増収分の使い道を具体的に変更する政府内での検討の場はなかったと明確に答えているわけです。

 私、冒頭にも言ったように、幼児教育、保育の無償化、子供に手当てをしていくことは我々もいいことだと思っているんです。ただ、何かしっくりこない。その原因は、やはり先ほどどなたかも質問していましたが、今回の法改正が大人のためのものではなく子供そのものにとってどういうものなのか、この深い議論をして、そして結びつけてつないでいかなければならないというふうに私は思っているんです。

 本来であれば、今回の幼児教育、保育の無償化は、財源も含めてどのような形で進めていくのか、消費税増税の増収分の使途も含めて、政府のみならず国会の場で十分その内容そしてあり方について検討していくのが先だ。政策の企画立案過程や政策の意思決定過程が全く不透明、こういう状況の中で審議が行われることは大変遺憾だということだけは明確に伝えさせていただきたいと思います。

 次の質問に移りますが、本改正案において、政府は、幼児期の教育の重要性と少子化対策を推進する一環とされております。

 幼児教育無償化の制度の具体化に向けた方針には、少子化対策と生涯における人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性を車の両輪として掲げています。生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育とは一体何を意味するのか。認可外保育施設を始め今回無償化の対象となっている施設に入ることが既に生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の場所となっていると考えているのか、それとも、さらなる教育の質の向上が必要と考えているのか。

 加えて、新しい政策パッケージ、第二章の「人づくり革命」というところでこの幼児教育、保育の無償化があるわけですが、今回の無償化が人づくり革命にどのようにつながるのか、御答弁いただきたいと思います。

宮腰国務大臣 幼児期の教育は、子供の基本的な生活習慣を形成し、道徳性の芽生えを養い、学習意欲や態度の基礎となる好奇心を養い創造性を豊かにするなど、生涯にわたる人格形成の基礎を培う上で重要な役割を担っております。

 また、幼児教育の重要性につきましては、さまざまな国際的な研究におきましてもその重要性が認められてきておりまして、国際的な共通認識になりつつあるというふうに承知をいたしております。

 こうしたことから、法律により、今回、幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園を対象とするとともに、やむを得ず認可外保育施設等を利用せざるを得ない人がいることから、こうした方々も負担軽減の観点で対象としていますが、あわせて、厚生労働省を中心に、認可施設への移行促進や児童福祉法に基づく都道府県等の指導監督の充実を図ってまいります。

 人づくり革命なのかどうかという御質問でありますけれども、人生百年時代を見据えてしっかりと人への投資を行うことで、我が国の社会保障制度を子供から子育て世代、現役世代、高齢者まで広く安心を支えていく全世代型へと大きく転換していくものであります。

 幼児教育、保育の無償化は、その重要な第一歩として、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へと変えていくという考え方に基づきまして実施するものでありまして、人づくり革命を進めている中で人への投資をしっかりと行っていくという観点から行っていくものと考えております。

中島委員 何だかよくわからないんですけれども。

 要するに、現状で、殊さら政府は、幼児教育の重要性、一方では少子化、車の両輪とおっしゃるわけですが、今回の改正案の中に、幼児教育の質、またどういう教育が我が国の幼児教育としてふさわしいのか、そういう議論は、先ほど他の議員の質疑の中で、文科大臣も、今、プロジェクトをさまざまやられておると言いますが、これはやはり同時進行で進めていかなければいけない。しかるに、今回の法律案には、その内容がほとんどというか全く含まれていないということ。

 きょう、資料にも、これは政府が言っている、よくその根拠に出されるペリー就学前計画プロジェクトですね。このプロジェクトの教育的効果、さらには四十歳時点での経済効果、就学前教育を受けた子供とそうでない子供に明確な違いが出ていると。

 政府として、今後、教育の質、例えばペリー就学前プロジェクトの効果を念頭に、ただ、このペリー就学前プロジェクトは、期間は二年、授業は午前中二時間、週に一回の家庭訪問九十分、さらに生徒一人当たり六人担当、その先生は全て学位を持った専門職という内容です。政府として、今回、幼児教育、保育の無償化そして幼児教育の重要性を鑑みるならば、こういう体制を念頭に置いておるのか、見解をいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 御指摘のペリー就学前計画、これは、二〇一七年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージの策定過程においても、幼児教育の効果に関する研究例の一つとして参考とされたものであります。

 幼児教育の重要性につきましては、ペリー就学前計画だけではなくて、OECDなどさまざまな国際的な研究においても指摘されておりまして、また、我が国においても、文部科学省の中央教育審議会の答申において指摘されているなど、国内外を問わず共通認識になりつつあると承知をいたしております。質の高い幼児教育は、幼児期の発達やその後の学校段階における学力や社会情緒面に大きな影響を与える、その後の人生における健康、労働市場への参加、貧困等の防止に長期的な影響を与えるということが明らかになっていると思っております。

 我が国においても、いろいろな意味で、幼児教育及びその振興の重要性は国民的な共通認識になっていると思っておりまして、この幼児教育の重要性に鑑み、今回、無償化を進めていくということにさせていただいたものと思っております。

中島委員 質問を終わりますが、子供目線で、子供にとって、そして我が国の幼児教育がどうあるべきか、そういうビジョンが全く示されていないことは問題だということを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 早速質問に入ります。

 幼児教育、保育の無償化、それから、低所得者世帯への修学支援、それ自体を真っ向から否定する人はいないというふうに思います。しかし、子ども・子育て支援にせよ、高等教育の修学支援にせよ、何から手をつけていくかという優先順位は当然あるはずだというふうに思います。予算は無尽蔵にあるわけではありませんから、まず何を最初に手をつけるべきなのか、これが非常に重要だ。その点からいいますと、今回提出されている法案の内容はいささかやはり疑問が拭えません。その観点からお聞きをしたいというふうに思います。

 まず、この無償化措置、低所得世帯の負担軽減効果は大きいとお考えなのでしょうか。

 見ますと、今回の無償化措置、住民税非課税世帯での保育に充当される公費は全体の一%にすぎず、約半分は年収六百四十万円を超える中所得世帯、高額所得世帯に充てられるということになります。一方で、消費税は、当然、財源とする消費税負担はプラス二ポイントということでかかるわけですから、これでは格差の是正にもつながらないのではないかというふうに思いますけれども、この点、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 低所得世帯への教育に係る負担の軽減につきましては、もともと所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図っておりまして、これまで低所得世帯を中心に先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきております。

 例えば、今ほど申し上げましたけれども、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対し、合わせてこれまでに約四千五百億円の公費を投じて負担軽減を図ってきております。

 また、これまでに投じた公費と今回の公費負担を合わせ、全体として見れば、三歳から五歳までの一人一人の子供に対して、低所得世帯にも高所得世帯にも等しい公費が投入されるということになります。具体的に言えば、認可保育所に通う三歳から五歳までの子供一人当たりの一年間の公費負担額はひとしく六十六万円程度ということになっております。

 今回、無償化の範囲を拡大していくということにいたしたわけでありますけれども、全体として、低所得世帯の子供を対象とした高等教育も無償化が進むということから、低所得世帯への教育に係る負担を軽減し、教育の機会を保障することに資するものというふうに考えております。

吉川(元)委員 私は、無償化そのものに反対しているわけじゃないんです。順番があるでしょう、予算に限りがある中で。きょうは触れませんけれども、例えば待機児童対策をどうするのか、そちらに優先的に予算を配分するという考え方も当然あるわけです。

 きょうは保育の質ということについて、その点から少し質問させていただきたいと思いますけれども、最近の調査結果、二〇一七年の教育・保育施設等における事故報告集計を見ますと、二〇一七年の死亡事故件数は八件で、そのうち半分が認可外、四件が認可外で起きております。

 また、二〇〇四年から二〇一七年までの十四年間では、百九十五件の死亡事故のうち三分の二を上回る百三十一件が認可外保育施設で起きております。また、睡眠中のうつ伏せ寝による死亡事故は、二〇一二年から二〇一七年の六年間で二十九件発生しておりますが、そのうちの八割が認可外で発生をしております。

 認可外は認可保育園よりもはるかに数が少ないわけですから、非常に高い発生率だと言わざるを得ません。この原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平成二十九年の事故報告集計によりますと、教育・保育施設等の死亡事故数は八件で、そのうち認可外保育施設で四件発生しております。また、死亡事故の過去の推移におきましても、平成十六年から平成二十九年までの合計が百九十五件、そのうち認可外保育施設では百三十一件となっております。(吉川(元)委員「それは私が指摘した話だから、原因を言ってくれればいいんです」と呼ぶ)はい。

 それで、死亡事故の要因でございますけれども、これはさまざまでございまして、一概には言えないと考えておりますけれども、認可外保育施設、認可保育施設などの施設類型にかかわらない傾向といたしましては、まず、年齢別ではゼロ歳児、一歳児が多い、発生状況といたしましては睡眠中が多い、それから、入園からの日数といたしましては預け始めが多いなどといった状況となっております。

 子供たちが成長していく過程の中で、認可外保育施設での死亡事故はあってはならないものでございまして、死亡事故の防止や予防に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、なぜ死亡事故が起こるのかではなくて、なぜ認可外で高い率で死亡事故が認可保育園に比べて起こっているのか、その原因がどこにあるのかというのを聞いているわけで、ゼロ歳児でうつ伏せ寝で死亡事故が発生をしているというような話で尋ねたわけではないわけです。

 一言で言えば、保育士の数が圧倒的に認可外の方が少ないというのが原因なんじゃないんですか。保護者からすれば、当然、保育所に子供を預けたいという思いで保育所を探して、結果的に認可保育園が見つからず認可外に預けざるを得ない、ところがそこに預けたら子供の命が守れない、これではお話にならないというふうに私は思います。

 それで、今回、先ほども少しやりとりがありましたけれども、五年間の猶予期間を設けて認可外も無償化の対象にするというふうになっておりますけれども、保育の質が高いとは言えない認可外保育施設の温存あるいは増設につながってしまうのではないか、この点、いかがお考えですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、るる御説明申し上げておりますけれども、今回の無償化におきましては、待機児童問題によりまして、認可保育所に入りたくても入れない、やむを得ず無認可保育施設を利用せざるを得ない方々がいらっしゃることから、あくまで代替的な措置として認可外保育施設を幼児教育の無償化の対象としたものでございますし、また、原則として指導監督基準を満たすことを必要としておりますけれども、これを満たすためには一定の猶予期間が要るだろうということで五年間の猶予期間を設けることとしたものでございます。

 また、今回の無償化を契機といたしまして、議員御指摘のとおり、安全の確保等、質の確保、向上を図っていくことが重要であるというふうに考えております。このために、巡回支援指導員の配置の拡充、指導監督の手法、ルールの明確化等による都道府県等による指導監督の徹底、それから、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たし、さらには認可施設に移行するための運営費の補助等の支援をしっかり行ってまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 これは宮腰大臣なんですかね、確認なんですけれども、この猶予期間五年間というのはこれでおしまいということでいいんですか、五年間でおしまいということで。

宮腰国務大臣 五年間の猶予期間というのは、その五年の間に確実に認可施設あるいは指導監督基準を満たす施設になってもらいたい、そのための期間でありますので、その後まで継続するというような考え方は想定されておりません。

吉川(元)委員 といいますのは、なぜこれを聞くかというと、きょうの法案とは直接は、関係はあるんですけれども、第九次の地方分権一括法案、先ほど少し議論されておりましたけれども、幼保連携認定こども園の保育教諭の資格要件等を緩和する特例の延長というのが行われています。

 もともとは、幼保連携認定こども園については保育士と幼稚園教諭の免許を両方持っていなければいけない、だけれども、制度発足時そういう人が少ないということで、五年間どちらかを持っていればいいという話をしたわけです。その間に両方の資格を取ってくださいと。ところが、実態としてそれが進まなかった。進まないから、これはやむを得ないとは思いますけれども、更に五年間この特例を延長しているんですよ。

 ということは、今回のこの五年間の特例の間に基準を満たすようにしてほしいという希望はあったとしても、仮にそれが満たせていなければ、更にまた五年間延長するというような話が出てくるんじゃないんですか。分権一括法では実際にそういう話になっちゃっているわけですよ。

 この点、いかがなんですか。

宮腰国務大臣 今回、認可外であっても一定の基準を満たす場合には対象にするということで、満たしていないところについては五年間の猶予期間を設けて移行していただくということにいたしております。

 これは、資格の問題というよりも、やむを得ず認可外保育施設に入らざるを得ない状況が現実問題としてあるというところから、公平性のことなども勘案をしてそういう措置をとることにしたものであります。

 今回、保育の受皿の確保、あるいは保育士の皆さん方の人材の確保などを進めていって、そういう状況でないようにしたいということでやっているわけでありまして、今回は五年間の間にしっかりと認可施設に移行、あるいは指導監督基準をしっかり満たしていただくということを前提にして、どうしても現実問題として認可施設に入れない方々がおいでになるということを念頭に置いて、この措置を講じるということにしたものであります。

吉川(元)委員 時間が来たので終わりますけれども、やはり優先順位が間違っているということを最後に指摘して、質問を終わります。

牧原委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時八分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案は内閣委員会議録第五号に掲載


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