衆議院

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第1号 令和4年10月13日(木曜日)

会議録本文へ
令和四年十月十三日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

  安全保障委員会

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大野敬太郎君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      齋藤  健君    鈴木 憲和君

      関  芳弘君    中曽根康隆君

      長島 昭久君    平沼正二郎君

      細野 豪志君    松島みどり君

      山本ともひろ君    新垣 邦男君

      玄葉光一郎君    重徳 和彦君

      渡辺  周君    浅川 義治君

      美延 映夫君    河西 宏一君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

  外務委員会

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      熊田 裕通君    島尻安伊子君

      新藤 義孝君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    辻  清人君

      平沢 勝栄君    青山 大人君

      篠原  豪君    松原  仁君

      青柳 仁士君    杉本 和巳君

      金城 泰邦君    鈴木  敦君

      穀田 恵二君    吉良 州司君

  北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会

   委員長 亀岡 偉民君

   理事 江渡 聡徳君 理事 斎藤 洋明君

   理事 中川 郁子君 理事 義家 弘介君

   理事 梅谷  守君 理事 松原  仁君

   理事 美延 映夫君 理事 浜地 雅一君

      池田 佳隆君    加藤 鮎子君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    辻  清人君

      藤井比早之君    細田 健一君

      山口  壯君    重徳 和彦君

      西村智奈美君    太  栄志君

      高橋 英明君    中川 宏昌君

      鈴木  敦君    笠井  亮君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  下田 隆文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山碕 良志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房政策立案参事官)         岡野結城子君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   御巫 智洋君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   外務委員会専門員     大野雄一郎君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          水野 真司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国の安全保障に関する件(北朝鮮による弾道ミサイル発射等に関する件)


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより安全保障委員会外務委員会北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 国の安全保障に関する件、特に北朝鮮による弾道ミサイル発射等に関する件について調査を進めます。

 この際、防衛大臣及び外務大臣からそれぞれ報告を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 北朝鮮による弾道ミサイル発射等に関し、防衛大臣として御報告申し上げます。

 北朝鮮は、今年に入ってからも、かつてない高い頻度で、かつ、新たな態様のミサイル発射を繰り返しております。先月末からの短期間でも七回、特に今月四日には我が国の上空を通過させる形での発射を強行するなど、挑発を執拗かつ一方的にエスカレートさせております。

 一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。

 一連の北朝鮮の行動に対し、防衛省・自衛隊としては、引き続き関連情報の収集と分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期してまいります。

 関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意であります。

 今月四日には、オースティン米国防長官と電話会談を行い、北朝鮮の挑発行動に対して、日米同盟の抑止力、対処力を強化するため日米の国防当局が引き続き緊密に連携するとともに、日米韓三か国での緊密な協力を進めていくことを確認をいたしました。

 また、国民の命と暮らしを守り抜くため、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、スピード感を持って防衛力を抜本的に強化してまいります。

 皆様におかれましては、一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 以上です。

鬼木委員長 次に、林外務大臣。

林国務大臣 北朝鮮による弾道ミサイル発射について御報告をいたします。

 十月四日に北朝鮮が我が国の上空を通過させる形で弾道ミサイル発射を強行するなど、極めて高い頻度で続く一連の挑発行動は、国連安保理決議に違反するものであるとともに、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威です。また、地域及び国際社会の平和と安全をも脅かすものであり、断じて容認できません。北朝鮮によるいずれの弾道ミサイル発射に対しても厳重に抗議をし、四日の発射に際しても、直ちに北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い表現で非難をいたしました。

 我が国としては、北朝鮮に対し、改めて、関連する国連安保理決議を即時かつ完全に履行するとともに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け具体的な行動を取るよう強く求めます。

 四日の弾道ミサイル発射を受け、岸田総理がバイデン米国大統領及び尹錫悦韓国大統領と、また、私自身もブリンケン米国務長官及び朴振韓国外交部長官とそれぞれ電話会談を行うなど、米国及び韓国との間で、日米同盟、米韓同盟の抑止力、対処力を更に強化することの重要性について認識を共有するとともに、日米韓協力を含む関連の取組を促進していくことを確認しました。訪日中のアクイリノ米インド太平洋軍司令官との間でも、インド太平洋軍としての見解について直接確認をいたしました。また、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向け、安保理における更なる対応等についても、引き続き、日米、日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認をいたしました。

 米国、韓国を含む関係国とも緊密に連携をしながら、国連安保理決議の完全な履行等を全ての国連加盟国に強く働きかけてまいります。

 最重要課題である拉致問題について、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。岸田総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。

 我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指してまいります。

鬼木委員長 以上で報告は終わりました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小田原潔君。

小田原委員 自由民主党の小田原潔であります。

 第二百十回国会、最初の連合審査会で質問の機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。

 早速お尋ねいたします。

 北朝鮮は、四日前の九日にも、今年に入り二十五回目のミサイル発射を行いました。我が国と国際社会に対する無謀な挑発でありますが、我々の抗議をあざ笑うかのように、ロフテッド軌道やミニマムエナジー、低空弾道、変則軌道など、複数の撃ち方を実践しています。

 国際社会に警察はおらず、第三国の意図は誰にも分からない。だからこそ、私たちは最悪の事態を想定して備えなければなりません。

 現在、我が国の防衛力は、例えば今年に入って二十五回分、全て守り切る実力を備えているのでしょうか。

 三日の首相所信表明演説で、防衛力の抜本的強化に必要となる内容の検討、予算規模の把握、財源の確保、強力に進め、予算編成過程で結論を出すとされています。

 国民の不安に向き合い、防衛費を増やさねばならない現実を御理解いただくためにも、迎え撃つ体制も含めて、防衛大臣の御意見をいただきたいと思います。

浜田国務大臣 我が国の弾道ミサイル防衛は、イージス艦による我が国全域の防護と、そして、全国に分散配置されたPAC3の機動展開による拠点防護を組み合わせた多層防衛により対応することとし、万全を期しているところであります。

 個別の迎撃の可否については、我が方の能力を推察され得ることからお答えすることは困難でありますけれども、北朝鮮は弾道ミサイル攻撃の強化を着実に図っており、例えば、発射台付車両、いわゆるTELや、変則軌道で飛翔するミサイル等によって、発射兆候の早期把握や迎撃はより困難になっております。

 このため、迎撃能力を高める不断の努力も重要であり、具体的には迎撃ミサイルPAC3の能力向上など、取組を引き続き進めてまいります。

 また、こうした状況を踏まえ、いわゆる反撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであり、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでまいりたい、そのように思っているところであります。

小田原委員 単純に援用するのは不適切とは思いますが、クリミア橋を爆破した後のロシアによる報復、八十四発のミサイルに対し、ウクライナが撃墜できたのが半分ということでありました。これをどう評価するかは意見の分かれることもあると思いますが、我が国の迎撃能力、ほぼ一〇〇%でなければならないという思いを酌み取り、私たち国会議員も協力をしてまいりたいと思います。

 私の選挙区には立川駐屯地があります。滑走路は、昭和五十八年の落成以来、ひび割れの補修はなく、マラソン大会などで私も踏み締めるわけでありますが、深刻な状況に見えます。正面装備もさることながら、施設設備が常に戦える体制に整備されていることが大前提であろうと存じます。

 喫緊の老朽化対策を含め、防衛大臣の御見解をお聞かせください。

浜田国務大臣 安全保障環境が急速に厳しさを増す中でありますけれども、防衛力の持続性、強靱性の基盤となる防衛施設の十分な機能発揮を確保することは大変重要であるというふうに認識をしております。

 このため、武力攻撃等に対して自衛隊施設の抗堪性を向上させるため、施設の重要度に応じた地下化、そして、大規模自然災害に対して、被災による機能低下を局限するために、津波対策や浸水対策、さらに、既存の施設の機能発揮が確保できるよう、施設の重要度に応じた防護性の付与等といった取組が重要であると認識をしております。

 新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論が加速する中で、これらの点についてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っているところであります。

小田原委員 ありがとうございます。

 去る六月八日、私は、国連総会で、我が国の外務副大臣として、北朝鮮の度重なるミサイル発射と核開発を非難し、同内容の決議を可決できなかった国連安保理にも苦言を呈する演説を行いました。そのかいむなしく、本日に至っています。

 翌六月の九日、選挙に私、参加いたしまして、その結果、来年から我が国は安保理の非常任理事国となり、世界の平和をリードしていく立場になるわけでありますが、対話の意思がない北朝鮮の暴挙を外交努力でどのように抑えていくのか。

 北朝鮮の労働新聞によりますと、金正恩委員長の評価として、敵は依然として引き続き対話と協議を云々しているが、我が方は敵と対話する内容もなく、またその必要も感じないと報じています。

 対話の意思のない相手に対し、国連との有効な協力の在り方も含め、外務大臣に見解をお尋ねいたします。

林国務大臣 北朝鮮は、今年に入ってから、弾道ミサイルを計二十二回にわたって発射をしております。これらの極めて高い頻度で続く一連の挑発行動の中で、四日、我が国上空を通過する形で弾道ミサイル発射を行ったことは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かす暴挙でございます。

 岸田総理はバイデン米国大統領及び尹錫悦韓国大統領と電話会談をそれぞれ行われ、また、私自身、ブリンケン米国国務長官及び朴振韓国外交部長官と電話会談をそれぞれ行い、北朝鮮の完全な非核化に向け、安保理における更なる対応等について、引き続き、日米、日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認をいたしました。

 今後とも、米国、韓国を始め国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の非核化を目指してまいります。

 また、国連においては、本年五月、今お話がありました対北朝鮮措置を強化する安保理決議が中ロの拒否権行使で否決をされるなど、安保理が、一部の国々の消極的な姿勢により、北朝鮮による深刻な挑発行為と度重なる安保理決議違反に対して行動できていないということは、大変遺憾でございます。

 我が国としては、今般、安保理理事国入りするに当たって、米国を始めとする各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じて、北朝鮮問題に係る議論に積極的に取り組み、安保理が所期の役割を果たすように協力をしてまいりたいと思っております。

 また、ロシアのウクライナ侵略もあり、損なわれた国連そのものの信頼を回復すべく、安保理改革を含む国連の機能強化にも粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

小田原委員 ありがとうございます。

 世界の平和を乱す暴挙には毅然とした外交姿勢で臨み、また、いかなる事態にも対処できる防衛力の整備を望み、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 まず、防衛大臣に一問質問したいと思っています。

 十月の四日の、あの四千六百キロメートル飛んだ北朝鮮のミサイル、日本列島を飛び越えたことで我が国の国民に対しても不安を与えまして、この三合同連合審査もそれに端を発しているというふうに思っております。

 しかし、私が気になるのは、この日本列島を飛び越えたミサイルではなく、日米また日米韓共同演習の中で、この短期間で十一発北朝鮮がミサイルを撃ったわけですが、そのうちの七発が変則軌道型のミサイルでございます。

 当然、これは追尾しにくい、迎撃しにくいと一般的には言われておりますけれども、実は、去年の令和三年の九月の十五日にも北朝鮮はこの変則軌道型のミサイルを撃ちました。このときに、我が国のEEZ外に着弾したという発表を防衛省は当初行ったんですが、その後修正をされまして、実はEEZ内だったという事態が生じたわけでございます。あのとき、韓国は約八百キロ飛んだというふうに言っておりましたが、日本は、それより短い距離を報道をし、その後修正をして七百五十キロに変えたわけでございます。

 ですので、この変則軌道型のミサイル、本当に日本のレーダーが捕捉、追尾できているのかなという問題意識がございます。だからこそ反撃能力という話にはなるんですが、しかし、やはり日本のミサイル防衛の基本はBMDでございますので、まずここをしっかりと強化することが私は必要だと思っております。

 この変則軌道型のミサイルについては、私自身も非常な関心を持っておりますので、この辺りの、レーダーとしての変則軌道型の捕捉、追尾、この強化について防衛大臣に御答弁いただきたいと思います。

浜田国務大臣 北朝鮮は、弾道ミサイル攻撃能力を着実に強化をしておりまして、御指摘のように、変則的な軌道をした可能性がある短距離弾道ミサイル等を発射したこともあると認識をしております。

 防衛省・自衛隊としては、これまでも探知、追尾に必要なレーダーの能力の向上をしております。地理的に離れた地点における短距離弾道ミサイルの発射であっても探知、追尾を行い、国民の皆様の安全、安心のために迅速に必要な情報の公表を行うように努めてまいりたいというふうに思っていますし、その上で、探知、追尾能力の更なる向上に向けた不断の検討を行うとともに、対処に際しては迎撃ミサイルPAC3の能力向上などの取組を引き続き進めてまいります。

浜地委員 ありがとうございます。

 シューター部分の、最後の迎撃するところのPAC3、大事でございますが、やはり、正確にこれは捕捉できないと迎撃できませんので、その辺り、必要だと思っています。

 特に、ミサイルを発射するときは、熱源で、赤外線で発射する兆候が分かりますけれども、当然、地球は丸いですから、最初撃った瞬間の、恐らく一分、二分は、日本のレーダーはどうなんだろうという意識がございますので、韓国との連携も含めて、もっと防衛協力していくべきであろうというふうに私自身は思うところでございます。

 続きまして、今回の北朝鮮のミサイルは、安保理でも言われておりましたけれども、日米若しくは日米韓、米韓の共同演習に対する北朝鮮方の抗議だったわけでございます。中国、ロシアは、共同演習をするから北朝鮮がそういう行動に出たんだということを発言しましたが、これは言語道断の発言だろうと思っております。逆に、私は、もっと日米韓の共同訓練を強化すべきだという立場でございます。

 なぜかというと、やはり北朝鮮が脅威に感じなきゃいけない。相手が脅威に感じるというのは、もう御案内のとおり、いわゆる日米韓に北朝鮮に対する様々な抑止としての意思がある、又は能力があるということを相手方が感じることによって脅威となるわけでございます。

 二〇一七年の日米共同演習、これは空母打撃群が三つ集結をいたしました。このときはアメリカの爆撃機も飛んだわけでございます。二〇一七年のこの空母打撃群の大規模な共同訓練によって何が起きたかというと、米朝首脳会談が実現をしたわけでございますので、しっかりとこれは北朝鮮に対する、恐らく彼らは脅威を感じたんだと思います、そこで話合いに応じたんだというふうに私自身は感じておりますので。

 これに屈することなく、特に、日米だけでなく日米韓の共同演習というのは、より練度を高め、大規模なものを行っていくことが北朝鮮に対するプレッシャーだというふうに私は感じますが、防衛大臣の御答弁をいただきたいと思います。

浜田国務大臣 厳しい安全保障環境の中、十月一日から十日までの間、日本海等で日米共同訓練を実施したほか、十月四日には日米の戦闘機が共同訓練を、日米韓三か国では九月三十日に対潜訓練を、そしてまた、十月の六日には弾道ミサイル情報共有訓練等を実施をいたしました。これらの訓練は、日米同盟の緊密な連携を内外に示すとともに、地域の安全保障上の課題に対応するための三か国協力を推進するものであります。

 防衛省・自衛隊としては、委員御指摘のとおり、二〇一七年に日米で実施したような訓練も含め、あらゆる事態に即応すべく、抑止力、対処力を強化するために必要な訓練について不断に検討してまいりたい、このようにも考えているところであります。

浜地委員 防衛大臣、ありがとうございます。

 当然、これは抑止力を高めるわけでございますので、そういった訓練の後に、次は外務大臣のお力によって様々な会談に結びつくように、是非御努力をしていただきたいと思います。

 最後に、拉致の問題について質問をいたしたいと思っています。

 御案内のとおり、今、特定失踪者問題調査会の皆様方が運営主体となって、茨城の方で、北朝鮮に向けまして、拉致被害者やまた特定失踪者の皆様方に対して短波放送を現在行われております。内容としては、御家族からのお手紙の代読であるとか、また、拉致問題に対する様々な情報提供、そして、日本政府からのメッセージということで、特定失踪者問題調査会の皆様方が短波放送を頑張っていらっしゃるわけでございます。短波放送は地球の裏側まで電波が届くということでございますので、これは、拉致問題について、北朝鮮にいらっしゃる皆様方に力強いメッセージを送る上で、非常に私は重要な取組であろうと思っております。

 前回の通常国会のときに、この特定失踪者問題調査会の幹事長でございます村尾さんがいらっしゃいまして、我々、様々なお話を聞きましたが、現在、この「しおかぜ」、短波放送が非常に老朽化をしている、施設が老朽化をしている、これについて是非政府側の御協力をというお話がございました。

 これは、北朝鮮に対する、また、北朝鮮にいらっしゃる被害者の皆様方、特定失踪者の皆様方に対する最後の希望のともしびでございますので、絶対にこれは絶やしてはならないと思っておりますので、この短波放送の重要性、そして政府の支援について、拉致対策本部の方から最後に御答弁をいただきたいと思います。

平井政府参考人 北朝鮮内への情報伝達手段が限られている中で、北朝鮮にとらわれている拉致被害者等の日本人、北朝鮮市民や北朝鮮当局に対しまして、日本政府や日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段として、北朝鮮向けのラジオ放送は極めて効果的であります。

 このような観点から、日本政府は、自ら北朝鮮向けのラジオ放送「ふるさとの風」及び「日本の風」を運営するとともに、民間団体、特定失踪者問題調査会に業務委託をして、その運営する北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」の中で政府メッセージを送信しているところでございます。

 政府自ら運営する「ふるさとの風」、「日本の風」については、北朝鮮におけるこれらの番組の聴取機会を増やすべく、これまで、予算措置を講じつつ、周波数の増加、出力増大及び時間枠拡大を図ってきているところでございます。

 「しおかぜ」に関する特定失踪者問題調査会への業務委託に関しては、その放送時間や放送回数を拡大するとともに、そのために予算を増額してきております。令和四年度は四千百二十九万円に更に予算を増額するなど、「しおかぜ」との連携強化にも積極的に取り組んでおります。

 今後とも、北朝鮮向けのラジオ放送の充実強化について積極的に取り組んでまいります。

浜地委員 時間になりましたので、終わります。

 しっかり、「しおかぜ」の件、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。よろしくお願いいたします。

 先ほど防衛大臣から報告がありましたように、北朝鮮ミサイル発射、これまでにない高い頻度、そして新たな発射形態で行われているということでございます。

 今の開発状況を見ると、私も、新たな段階の脅威になったなというふうに認識をしているところでありますけれども、まずは、核・ミサイル能力及びサイバー能力の現状に対する政府の評価を聞きたいと思っています。

 一つは、二十四時間前に通告しておりますけれども、北朝鮮は既に核を保有し、ノドン、スカッドに搭載可能な弾頭の小型化を実現をして、我が国を攻撃する能力を有しているというふうに考えているかどうか、政府の評価をまずお聞きをしたいと思います。

浜田国務大臣 北朝鮮の核兵器計画については、これまでに既に六回の核実験を行ったことを踏まえれば、相当進んでいるものと考えられます。

 その上で、技術的な観点から申し上げれば、弾道ミサイルに核兵器を搭載して攻撃するためには、核兵器をミサイルの弾頭として搭載できる程度まで小型化することなどが必要であります。

 この点、北朝鮮は、少なくともノドン、スカッドERといった我が国を射程に収める弾道ミサイルについては、これらに核兵器を搭載して攻撃するために必要な核兵器の小型化、弾頭化などを既に実現しているものと見られます。

玄葉委員 改めて確認しますけれども、技術的に核の弾頭の小型化を実現して、日本を攻撃できる能力を有している、核も持っている、こういうことでよろしいですね。

浜田国務大臣 今私が御説明したとおりでありますので、今そういうふうに私の方から、確実にというふうには思いませんが、今そこの域まで達しているというふうには考えられると思います。

玄葉委員 私もそうだと思います。

 他方で、NPT上の核保有国だというふうに、現時点で、当然ながら認めるわけにはいかないわけで、これからもそうですけれども、いかないわけですけれども、そういう認識なんだろうと思います。ですから、核を持って、日本を攻撃できるという前提で対処が必要だということだと思います。

 特に、また最近気になるのは、低出力の戦術核を持とうとしている、持っているのかもしれない、低出力の戦術核を持とうとしている。私はとてもこのことに脅威を感じます。

 数年前、ペリーさんという、御存じだと思いますけれども、元アメリカで国防長官をお務めになられた方とお会いしたときに、ペリーさん、北朝鮮の問題で、かつてペリー・プロセスをまさに主導した方ですけれども、何と言われたかというと、北朝鮮の目的は体制維持だ、だから、現在も体制を維持しているのだから目的を達成している、体制維持のための核・ミサイル開発だ、撃ってしまえば終わりであることを知っている、使わなければ体制は維持できると考えている、こういうことを私に言って、そのとおりだなと私も当時思ったし、基本的に今もそう思っているんですけれども、ただ、この低出力の戦術核ということになるとハードルが下がるのではないか、使用することへのハードルが下がるのではないかということを結構考えてしまいますね。

 そのことについて、防衛大臣、どういうふうに見解をお持ちですか。

浜田国務大臣 今、北朝鮮、戦術核兵器を実用化するために、更なる核実験を通じ核兵器の一層の小型化を追求するとの指摘もあるのは承知をしているところでありますが、この件に関しては余り、私自身、個々の情報の内容について、事柄の性質上お答えが困難ですが、いずれにせよ、昨今の北朝鮮による核・ミサイル技術の著しい発展は、我が国もそうですが、地域の安全保障にとって看過できませんので、防衛省としては、核、弾道ミサイルの開発動向を含め、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国とも緊密に連携しながら、情報分析に全力を挙げていきたいというふうに思っています。

玄葉委員 外務大臣、最後にお聞きしようと思っていたんですけれども、事実上北朝鮮が核を持ったということになりますと、これまで六者会合を含めて幾重もの外交努力がこの間あったわけでありますけれども、これは水泡に帰したというふうに考えるのか。つまり、これまでの外交上の非核化のプロセスというものは失敗に終わった、こういうふうに考えるのか、その評価をお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 今防衛大臣から、政府として、北朝鮮の核の能力についてのお話がございました。

 我々としては、国連安保理決議の下での義務に従うことをずっと求めてきたわけでございますし、また、国連安保理には、北朝鮮制裁委員会、また同委員会の専門家パネルというのがございまして、これもずっとやってまいりまして、安保理決議、まさに非核化ということが書いてありますが、この実効性の向上に取り組んできております。

 そういう中で、今委員から御指摘のあったような状況が推定されるというお話でございますけれども、今後とも、この安保理決議の完全な履行というものをしっかりと求めていくという点については我々の姿勢は変わらないわけでございまして、特に日米、日米韓で連携して、関連安保理決議の実効性の向上には引き続き取り組んでまいらなければならないと思っております。

玄葉委員 専門家の方々の一部には、もう核を持ってしまったので、現実問題、非核化といっても現実的じゃないから、いわゆる核のリスクを下げるということに対してどうするかということを現実的に考えた方がいいんじゃないかと言う方もいるのでありますけれども、基本的に、これまでどおりあくまで非核化を目指していく、そういう姿勢だと認識してよろしいですか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、北朝鮮の非核化に向けて国際社会が一致して対応する必要がある、様々なレベルで国連安保理決議の完全な履行の重要性ということを確認してきておると申し上げたとおりでございまして、関連安保理決議の実効性の向上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

玄葉委員 やはり北朝鮮の制裁が、これだけ核開発、ミサイル開発ができるということは開発資金があるということでありまして、その制裁のたがが緩んでいるんじゃないかというふうに私は考えています。二〇〇六年から十一回安保理決議があって、日本の提案もあって、かなり厳しい安保理決議になっています。制裁の実効性を握るのは、御承知のとおり、私は中国だというふうに思っています。

 中国の貿易は北朝鮮の貿易の九割を占めています。その四割は石炭輸出です。要は、北朝鮮から石炭を中国は買ってあげて、かつ、北朝鮮に石油を流している、これがいわば北朝鮮の命綱だと私は申し上げて間違いないと思っていますけれども、そのことに対する認識と、その制裁が緩んでいるんじゃないか、このことについて、日本の提案もあって、かなり厳しい制裁になっているのでありますけれども、それが緩んでいるのであれば、きちっとたがを締め直すという外交を展開をしてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほど少し触れさせていただきました、国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネル、この報告書では、中国企業等による北朝鮮への石油精製品の不正輸出や海上制裁回避のネットワークへの関与、中国領海における北朝鮮船籍の瀬取りによる北朝鮮産の石炭の不正輸出等々のことが指摘はされておるわけでございます。

 我が国としては、この制裁委員会専門家パネルの作業に積極的に協力をするとともに、今委員からも御指摘がありましたけれども、中国を含む関係国に対して様々なレベルで決議の完全な履行を働きかけまして、安保理決議の実効性の向上に取り組んできておりますし、今後も取り組んでまいらなければならないと思っております。

 この報告書の指摘を踏まえて、引き続き、関連安保理決議の実効性の向上に向けて、中国を含む国際社会と緊密に連携をしてまいりたいと考えております。

玄葉委員 この中国、二十一世紀最大の外交課題なので、向き合い方は非常に難しいと思います。しかし、ロシアの問題も、ウクライナ戦争の問題もあるので、中国と今は話をするという時期なのかもしれないなという思いも私の心の一部にはございますけれども、そのことも含めてどうお考えですか。

林国務大臣 今委員がお話しされましたように、中国とは、主張すべきは主張する、大国としての責任を求める、そして、地球規模的課題、パンデミックですとか気候変動、こういった問題については協力すべきは協力するという建設的で安定的な関係ということを、岸田政権、ずっと申してきたところでございまして、まさに、対話のチャンネルというのを閉じずに、しっかりと意思疎通をしていくということは大事であるというふうに考えております。(玄葉委員「このこと、この北朝鮮の話」と呼ぶ)

 あらゆる懸案について、今御指摘のあったことも含めて、意思の疎通をしていくということは非常に大事なことだと考えております。

玄葉委員 それでは次、日本領土に撃たれたときの対処ということでございますけれども、いわゆるミサイル防衛ということで、先ほどもお話がありましたけれども、二段構えで対処する、八隻のイージス艦と、二十八個の高射隊でPAC3を、いわば落ちてくるところを撃つということになっております。

 率直に、この防空システム、かなりレベルの高いものにだんだんなってきているというふうに認識をしていますけれども、日本が、今建造中のイージスシステムも含めて、例えば北朝鮮がHGV、つまり極超音速滑空兵器などを持ったときに、そういったことに対しても含めて日本の防空システムというのは対処できるようにつくられているのかどうか。あるいは、例えば一斉発射のようなことがあって、北朝鮮も五千か所も六千か所も軍事施設があると言われていますけれども、一斉発射のようなものがあったときに、それは対応できる防空システムになっているというふうにお考えかどうか、そのことをお伺いをしたいと思います。

浜田国務大臣 ただいま御指摘のあった点でありますけれども、個別のミサイルや攻撃様相に対する迎撃の可否については、我が方の能力が推察されるため、お答えすることが困難であることは御理解いただきたいと思います。

 他方、一般論で申し上げれば、超音速滑空兵器等の新たな脅威の中には、従来の装備品では対処が困難と指摘されるものもございます。また、同時にミサイルが飛来した場合には、複数の目標に同時に対処を行う必要があります。

 防衛省としては、こうした脅威に対し、適切に対応していく考えでおります。

 その上で、あらゆる空からの脅威について、探知、追尾能力や迎撃能力の向上に向けた不断な検討を行うとともに、ネットワークを通じて装備品を一体的に運用する総合ミサイル防空能力の強化に努めてまいりたい、このように思っております。

 また、急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識の下、いわゆる反撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、防衛力の基本的な強化に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

玄葉委員 私は、迎撃能力を高めていく、バージョンアップしていくということに賛成です。

 その上で、同時に、防空能力に、いわゆるミサイル防空システムに一定の限界があることも私は事実だと思っておりますが、一定の限界はあるという認識でよろしいですか。

浜田国務大臣 今御指摘のあった点に関しては、これは当然、全て、全部確実に落とし得るというようなものが、私、今、仮定としてはなかなか言えないわけでありますけれども、しかし、今我々が考えているのは、あらゆることを検討して、反撃能力も含め検討して、その可能性を追求していくというのは、これは我々がやらなければならないことだというふうに考えておりますし、おっしゃるとおり、もしも限界があるのならば、それを補うものを考えなければならないというふうに考えておるところであります。

玄葉委員 ウクライナでザポリージャ原発というのが、いわば攻撃の対象になったり、あるいは盾になったりしているわけです。非常に危険な、弄び行為みたいなものが行われているわけでありますけれども、防衛大臣、ミサイル防衛に一定の限界があるとしても、仮に日本の原発に向かうような弾道ミサイルあるいは巡航ミサイルがあったときに、少なくとも原発に向かっているものについては確実に、ほぼ確実に迎撃できる、そういう体制になっていると考えてよろしいですか。

浜田国務大臣 御指摘の原発に対するミサイル攻撃については、まずは、我が国全域を防護するためのイージス艦によってしっかりと対応することが基本となります。その上で、拠点防護のため全国各地に分散して配備されているPAC3を、状況に応じて原発近傍に機動的に移動、展開させることにより対応することも一般的に考えられます。また、巡航ミサイル等に対しては、航空機、艦艇、地上アセットから発射する各種対空ミサイルで対応することとしておるところであります。

 その上で、個別の迎撃の可否については、我が方の能力が推察され得るため、お答えをすることは困難でありますけれども、ミサイルに関する技術が急速なスピードで変化、進化する中で、迎撃能力を高める不断の努力が重要であり、PAC3の能力向上等、取組を引き続き進めてまいりたいというふうに思っているところであります。

 いずれにしても、我が国に対する武力攻撃が発生した場合には、武力攻撃事態に認定し、日米で共同して対処することになりますが、そもそも我が国に対する武力攻撃等が発生しないよう、今後とも、我が国自身の防衛力を抜本的に強化するとともに、様々な取組を通じて日米同盟の抑止力、対処力を強化していきたいと考えております。

玄葉委員 ミッドコースで撃ち落とすイージス艦があって、そして、ターミナル段階で撃ち落とすパトリオット、PAC3があるということですけれども、やはり、原発に向かうミサイルに対しては万全を期す、私はそれが必要だと思っています。

 特に、原発が狙われるリスクというのが、当然ですけれども時代によって変わってきていて、今、私はリスクが高まっていると思います。ですから、パトリオットの、PAC3の配備というのはここに公表されているわけでありますけれども、私は、この二十八個の高射隊のこの配備の仕方では原発を守れないんじゃないかと大変心配をしているんです。

 やはりもう少し、最重要防護施設とは何かということをもう一回省内でしっかりと検討して、そのことも踏まえて、もう一回、この二十八個の高射隊のいわゆる配置の仕方も含めて柔軟に検討していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、防衛大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 今委員御指摘の点については、まさにそうだと私自身も認識をします。

 是非前向きに、遺漏ないように今後とも検討してまいりたいというふうに思います。

玄葉委員 どうもありがとうございます。

 やはり、撃たれたときの対処、Jアラートも、まあ今日は余り言いませんけれども、大変お粗末でありました。

 今日、木原官房副長官にもお忙しいところを来ていただいているわけでありますけれども、原子力の総合防災訓練、これは武力攻撃の想定がないということでございますけれども、国民保護法とか武力攻撃事態法に基づいて、いわゆる原子力発電所がある地域の中でしっかりとした訓練を、いわゆる国民保護法の下での訓練をきちっと行うべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

木原内閣官房副長官 まず、国と地方公共団体で共同で行う、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練ということについて、まさにこの九月から再開をしたところであります。

 そして、今、原発を含めた中での訓練というお話がございました。非常に重要な御指摘だというように思いますので、政府として、今後、全国各地、多くの地域できちっと行われるように、しっかり前向きに、積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。

玄葉委員 副長官、原発だけじゃなくて、南西諸島でもほとんど、実は国民保護法に基づく訓練というのは行われていないんですよね。これは、もちろん自治体の中でいろいろな考え方があるとは思います。何となく、みんな脅威に感じちゃって、恐怖感を感じるとか、いろいろあるかもしれないんだけれども、やはりこれは政府の責任でしっかり自治体とコミュニケーションを取って、必要な国民保護法の下での訓練は行うべきだと思います。いかがでしょう。

木原内閣官房副長官 まさに御指摘のとおりだというように思います。

 平成三十年の六月以降実施を見合わせてきたところでありますが、先ほど申し上げたとおり本年九月から再開をし、そして、再開以降、既に三か所で実施をしてきたわけですが、本年度内で十一の市町村で実施をするということになってございます。

 これで足りるのかといえば、そうではない、このように思いますので、政府として、政府の責任においてというお話もございましたが、地方公共団体に対して、きちっと、この訓練の必要性を丁寧に説明をさせていただいて、そしてまた、訓練から得られる様々なノウハウを周知、共有することの重要性、こういったこともしっかり御説明をさせていただいて、全国各地、より多くの地域で訓練が実施されるように責任を持って取り組みたい、このように考えております。

玄葉委員 副長官、もうこれで結構です。ありがとうございます。

 それで、ちょっと元に、若干戻るんですけれども、サイバー、この新領域、大変大事な領域だと思っていて、これだけ非対称な分野でかなりの能力を国家として有することができれば非常に優位に立ってくると思うのでありますけれども、北朝鮮のサイバー能力というものを日本政府としてはどういう評価をしているのか、お聞かせいただければと思います。

浜田国務大臣 北朝鮮は、いわゆる非対称戦力としてサイバー部隊の強化を図っており、国際的な統制をかいくぐり通貨を獲得するための手段としてサイバー攻撃を利用していると見られるほか、軍事機密情報の窃取や他国の重要インフラへの攻撃能力の開発などを行っているとされております。また、軍の偵察総局を中心に、サイバー部隊を集中的に増強し、約六千八百人を運用しているとも指摘されております。

 防衛省としては、サイバー部隊やその能力を含む北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、情報収集、分析に全力を挙げていく考えであります。

玄葉委員 一言で言うと、結構な能力を持っているんじゃないかというふうに思っているんです。

 この間も、それこそ先ほど出ていた安保理のパネルの中で、どうも北朝鮮には、軍の下部機関、偵察総局の下にハッカー集団があって、暗号資産のハッキングをして成功している、数百億円なのかな、どうも成功しているということのようであります。

 今おっしゃったように、北朝鮮六千八百人、日本のサイバー部隊というのはどのぐらいなのか分かりませんけれども、多分五百人ぐらいなんじゃないかと推測しますけれども、中国は恐らく十五万人以上いるんじゃないかと。だから、こういったことに対してどう対抗していくのか、これから反撃能力の議論というのが行われていくと思います。実は、立憲民主党としては、今、いいとも悪いとも言っていないんですけれども、私は、その保有について、必ずしも頭から否定するつもりはありません。

 他方で、様々検討していかなければならないことがあると思っているんです。その一つは、やはり莫大なコストがかかる。今申し上げたように、北朝鮮だって中国だってサイバー能力がある。電子戦能力で相手のバリアを破らなきゃ反撃も何もないわけで、これは全体をフルセットでそろえるのかどうかとかも含めて、アセット全体でそろえるのか、もし本当にそろえる気なら、ほかにどれだけしわ寄せが行くのかとか、本当によくよく検討していかないといけないなというふうに思う。

 そして、もう一つだけ、時間が来ましたので。ちょっとややこしいんですが、事前に相当事務方に説明しておきましたので、御答弁いただければと思うんですけれども。

 当然、先制攻撃、反撃能力という言い方を最近しています、敵基地攻撃能力よりよいと思います、私も。敵基地攻撃能力とかつて言ったときは、よく引き合いに出されたのは鳩山一郎答弁で、いわゆる策源地攻撃を、撃たれる前にやるんだ、こういうことを言ったわけですね。これは先制攻撃には当たらないと。だけれども第一撃ですよね、だけれども第一撃だ。

 でも、私は、この第一撃というものに対して、やはり相当慎重に考えないと、撃たれたら撃つ、この反撃能力は、私は理解できるんです。撃たれたら撃つ、その結果、抑止になる。移動発射台で、今の軍事技術で、四千か所、五千か所に発射台があって、どこから出てくるか分からないという状況の中で、第一撃を、撃たれる前に打つのか。失敗したら、こちらから戦争をしかけたということに事実上なる。

 そういうことも含めた、この第一撃との整理も私はすごく大事なことだと思っていて、この第一撃についての考え方を防衛大臣としてどうお考えになられますか。

浜田国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増しておるということはお話をさせていただきましたが、例えば北朝鮮、弾道ミサイル攻撃能力の強化、向上を着実に図っておって、発射台つきの車両、TEL等によって、発射兆候の早期把握や迎撃はより困難ということになってきておるわけでありますが、こうした中で、急速なスピードで変化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているか、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討をしているところであります。

 今般の結果を予断することはできませんが、いずれにせよ、御指摘のいわゆる先制攻撃について、これを行うことは許されないとの考え方に変更はございません。

 この点も含め、政府としては、憲法及び国際法の範囲内という前提の下でしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

玄葉委員 これはもう時間がないから終わりますけれども、今まだ誤解があるんですけれども、事務方には相当説明したんですけれども、先制攻撃に当たらない第一撃というのが、当然、理屈上ある、理屈上も実際上もあると思うんです。つまり、日本に間違いなく向けているミサイルというのがあったときには撃っていいということに、これは先制攻撃に当たらないから国際法上も撃っていい、憲法上もいいとなっているわけです。ただ、今手段がないからやらなかったというだけなんですけれども。

 私は、反撃能力を最終的にきちっと整理していくときには、この第一撃との関係をしっかり整理していくことが大事な条件になっていくんじゃないかなということを申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

    〔鬼木委員長退席、黄川田委員長着席〕

黄川田委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 立憲民主党の徳永久志です。

 十月四日、北朝鮮のミサイルが日本上空を横切ったことについて、私たちは、もっともっと深刻かつ重大に受け止めなければいけないという思いをしています。

 早朝の町に警報が鳴り響き、電車は止まり、住民は窓を閉ざして自宅に引きこもり不安な時を過ごす、これは平和な国の日常風景では決してありません。そして、加えて言うならば、北朝鮮のミサイルに脅威を受けている日米韓のうち、国土の上空を通り越してその先に落とされた国というのは日本だけなわけですから、ここはもっともっと、私たち、重大かつ深刻に受け止めるべきだという問題意識を持っています。

 その問題意識について、両大臣に、共有をしていただけるかという質問通告をさせていただきましたが、冒頭の報告並びにこれまでの御答弁を聞かせていただいて、十分に共有をしていただいているというふうに思いますので、飛ばさせていただきます。

 それで、北朝鮮のミサイルは、今年に入って二十五回、そして九月末以降で七回という異常な頻度となっています。これほど数多く乱発をされると、これは決してあってはならないことだし、今もないことだとは思いますけれども、何か慣れのようなものが生じてしまって、対応も、何かマニュアルに書かれていることを淡々とやっていればいいという形になっては絶対にいけないというふうに思っています。

 そういった意味において、やはり、今回の十月四日で、私は、大きく局面が変わって、政府の対応も、これまでの対応から更にもう一歩前へ踏み出したものであるべきだという思いを持っています。

 そうした中で、一つお聞きをします。十月四日、弾道ミサイル発射直後の外務省の対応について、林大臣、御説明を願います。

林国務大臣 ミサイル発射直後でございますが、官邸において岸田総理の下に開催されました国家安全保障会議に私は出席をしまして、対応を関係閣僚と確認をいたしました。

 今お話があったように、我が国上空を通過させる形での弾道ミサイル発射、これは、航空機や船舶はもとより、上空を弾道ミサイルが通過したと判断される地域の住民の安全確保の観点からも、極めて問題のある行為であります。我が国として断じて容認できず、北朝鮮に対して北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議をし、最も強い表現で非難をいたしました。

 冒頭申し上げたとおりでございますが、総理がバイデン米国大統領と尹錫悦韓国大統領と電話会談、私自身もブリンケン米国国務長官、朴振韓国外交部長官と電話会談をそれぞれ行いまして、北朝鮮の完全な非核化に向け、安保理における更なる対応等についてすり合わせを行ったほか、日米韓次官電話協議や日米韓六者会合首席代表電話協議、これを実施するなど、様々なレベルで引き続き、日米、日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認をいたしました。

 日本時間は六日になりますが、国連安保理会合、我が国からは、石兼国連代表部大使が出席の上で、累次の安保理決議違反である今回の弾道ミサイル発射等を強く非難をするとともに、安保理が国際の平和と安全の維持という本来の責任を果たすべく行動するように求めたところでございます。また、会合後には、日米韓英仏などの有志国からの、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射を強く非難する等の内容の共同の発言を行っております。

 今後とも、米国、韓国を始め国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の非核化を目指してまいりたいと考えております。

徳永委員 るるお取り組みをいただいております。

 ただ、十月四日以降、私も、地域を回っておりますと、市民の方々から、日本としての怒り、あるいは憤り、それが北朝鮮当局にちゃんと伝わっているのか、北朝鮮は、日本はこれだけ怒っているぞというのがしっかりと伝わっているのかというお尋ねをよく聞くようになりました。

 そうした中で、先ほどさらっと大臣は、政府として、北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議を行い、最も強い表現で非難したというふうに言われました。この表現がマスコミを通じて報道され、国民が読んで、北朝鮮への抗議をしたというふうに外務省の対応を分かるわけですけれども、これはちょっと、何をどのように抗議をしたのかというのはなかなか分かりにくいのではないか。

 先ほど申し上げましたように、日本上空を横切ったということについては、これは新たな局面だ、新たな一歩を踏み出すという観点からすれば、例えば、この十月四日の直近の北朝鮮のミサイル発射は九月二十五日と二十八日でした。このときに外務省として発表されたのは、政府として、北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議を行い、強く非難したと。

 つまり、北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議を行いまでは、十月四日も、それから九月二十五、二十八も同じ表現です。違っているところといえば、二十五、二十八、いわゆる日本上空を通過しなかったときには強く非難した、そして、通過したときには、強い言葉で、最も強い表現で非難した、ここは変わっているわけですけれども、ちょっと、まずは具体的にもう少し、何をどのような形で抗議をしたのかというのがやはり国民は知りたいところだと思うんですが、そこらあたりはいかがでしょうか。

林国務大臣 この北朝鮮に対する抗議でございますが、北京の大使館ルートを通じて行ったわけでございますが、抗議の内容、形式を含めて、今委員から御指摘のあったお話、先ほど申し上げたところでございますが、これ以上の詳細を説明をすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあるということから、差し控えさせていただきたいと思います。

徳永委員 分からないでもないんですが、何も、いつ、誰と、どこで何をしゃべったかをつまびらかにせよと言っているのではありません。せめて、北朝鮮当局者に対し口頭で厳重に抗議した、あるいは北朝鮮当局者に対し文書を手渡した云々、そこぐらいまでは、言って何か差し支えが出てくるんでしょうか。

林国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、抗議の内容、形式を含めて、先ほど申し上げた以上の詳細を御説明するということは、今後の対応に支障を来すおそれがございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

徳永委員 これ以上はやりませんけれども、是非もう少し改善をしていただいて、そこらあたりの説明の在り方というか、それについて、このミサイル発射について、日本、切迫感がどうも感じられないというか、危機意識というのが国民の方になかなかストレートには伝わりにくい表現を使っておられるということは指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、ちょっと違う角度から同様のラインで話をします。

 十月四日に発射されたミサイルは日本上空を横切りましたが、これは何らかの国際法違反に当たるのですか。外務省、事務方で結構です。

實生政府参考人 お答えいたします。

 十月四日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を含め、国連安保理決議一七一八号を始めとする一連の安保理決議は、北朝鮮に対して核実験や弾道ミサイル技術を使用した発射を実施しないように求めております。

 そういうことで、御指摘の十月四日の発射を含めた一連の弾道ミサイル発射というのは、これは累次の安保理決議に明白に違反するものであるということが言えるかと思います。

徳永委員 次に、今回、十月四日発射のミサイルに対して、これは、日本上空を横切っていて、明確に安保理決議違反であるということでありますので。そういったことを踏まえながら、破壊措置を行われませんでした。破壊措置を行わなかった理由について、防衛大臣に伺います。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊として、十月四日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについては、自衛隊の各種レーダーにより発射直後から落下まで探知、追尾していたところであります。

 各種レーダーによる航跡情報の解析の結果、当該ミサイルについては、我が国の領域に落下するおそれがないと判断したことから、自衛隊法第八十二条の三に基づく弾道ミサイル等破壊措置は行いませんでした。

徳永委員 レーダーによる追尾等で、日本に落下する可能性はほぼないということで破壊措置は行わなかったということでした。

 しかしながら、一〇〇%ではないんですよね。ですから、万が一のことを考えてということで、例えばJアラートが鳴り響いて、そして国民の皆様方には一定の警戒をしていただくように呼びかけているわけですから、これは一〇〇%ではないんですよね。

浜田国務大臣 今お話ししたとおりでございまして、我々とすれば、我が国領土に落ちないということを確実に我々は判断をして破壊措置をしなかったということでございますので、今、一〇〇%ではないと言われると、それは、我々とすれば、一〇〇%に近い形で対応したというふうに私どもは思っているところであります。

徳永委員 何が言いたいかといったら、破壊措置をしろと声高に言っているわけではないんです。もちろん、実際に破壊措置をした場合には、様々なハレーションが起きるということは十分に承知をしています。

 その上で申し上げたいのは、そういう安保理決議違反のミサイルが飛んでくることについてのしっかりとした強い日本の意思というのを表現する上で、ちょっと言葉尻は悪いですけれども、パンチ力を利かせた表現で相手にしっかりと意思を伝えるということが必要だろう、ということであるならば、例えば、今後は破壊措置を行うという選択肢も排除せず強い意思で臨むんだというようなぐらいのことは言っていいのではないか。本当にやるか、やらないかというのはその時と場合によるんだと思いますけれども、それぐらいの強い表現を使ってでもこちら側の強い意思を示すべきではないかというふうに思うんですけれども、防衛大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 我々、今お話にあった我々の意思というのは、あらゆる防衛の備え、そしてまた、そういったものをしっかりと示すことによって、相手にこういったことがあるということを示すというのが我々の対応でありますので、今おっしゃられたことに関しては、言葉で外務省が伝え、そして我々は我々として毅然とした態度でこれに向き合っていくということが大変重要だというふうに考えているところであります。

徳永委員 何も、行け行けどんどんで勇ましい言葉を並べ立てよと言っているわけではないということだけは、林大臣も御理解をいただきたいというふうに思います。

 国際社会の一致した対応で北朝鮮を抑え込むということは大事なんですが、今の国連安保理の状況を見ると、本当に絶望的な気持ちになってしまうんです。そうなっていく以上、残るは、日本独自の制裁というものをしっかりとやって強めていくということなんだろうと思います。

 その中で、団体、個人の資産凍結が行われていますが、これは、それぞれ対象となる数、外務省、お願いします。

實生政府参考人 お答えいたします。

 これまで我が国は、安保理決議等に基づく資産凍結等の措置の対象の指定と、そういうものでない形での凍結の指定とがございます。

 総数としては、これまで我が国が資産凍結等の指定をした団体、個人は百二十九団体、百二十個人でありますが、そのうち、安保理決議等に基づく資産凍結等の対象としては八十団体、八十一個人、あと、我が国として、そういったものによらずに資産凍結等をした対象が六十団体、七十一個人というふうになっております。

 ただ、このうち十一団体、三十二個人は、我が国として措置を、まだ安保理決議がないうちに取った後に安保理決議の対象になったということもあります。重複しているというような、そういう状況でございます。

徳永委員 大きく捉まえて百二十九団体を資産凍結の対象としているということですが、その中に在日本朝鮮人総聯合会、いわゆる朝鮮総連は入っていますか、外務省に伺います。

實生政府参考人 お答えいたします。

 政府としては、現時点において、朝鮮総連が、外為法上の要件の下、資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものとは認識をしておらず、外為法に基づく資産凍結等の対象として指定はしておりません。

徳永委員 その理由も含めて分かりましたが、もう朝鮮総連は、裁判の陳述において、日本と国交を有する諸外国における大使館にも比すべき活動を行っていると自ら述べているわけですよね。言ってみれば在外公館宣言です。

 したがって、ここを制裁の対象として検討するよというぐらいはメッセージで発しなければ北朝鮮にはなかなか伝わっていかないのではないかというふうに思いますけれども、その辺り、是非について、外務大臣の見解を伺います。

林国務大臣 我が国といたしまして、日朝の平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案、これを包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すというのが我が国の対北朝鮮外交の基本方針でございます。

 政府としての具体的な対応については、こうした諸懸案の解決のために何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、引き続き検討をしてまいりたいと思っております。

 今、徳永先生からございました朝鮮総連ですが、現時点において、今事務方から説明いたしましたように、資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものとは認識をしていないわけでございますが、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体である、こういうふうに認識をしておりまして、各種動向について、引き続き、関係省庁間で連携しながら、重大な関心を持って情報収集等を行っていきたいと考えております。

徳永委員 柄にもなく勇ましいことをずっと言ってきましたけれども、要は、今回の事案を受けて、アメリカには安易な譲歩をしないようにくぎを刺しつつ、より厳しい制裁等によって、軍事的緊張を高めて、それを交渉材料にして規制緩和や支援を得るという北朝鮮の今までのやり方はもう通用しませんよということを毅然として意識させるべきだという思いから、るるお尋ねをしてきたということで御理解をいただきたいと思います。

 次に、拉致問題について質問をいたします。ちょっと時間が限られておりますので、簡単に御答弁をお願いしたいと思います。

 今年五月、尹錫悦大統領が就任をいたしました。この大統領就任式に来日経験もある李美一さんや崔成竜さんという拉致家族会の方々も招待をされていたのは、非常に画期的なことだと思います。

 つまり、尹新政権は、前の政権とは異なって、拉致問題に対して積極姿勢を明らかにしているのではないかと私は感じるのですが、こうした尹新政権の拉致問題についての姿勢をどう評価されておられるのか、拉致担当副大臣に伺います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 今お話ございましたとおり、本年五月十日に行われました尹錫悦韓国大統領の就任式におきまして韓国の拉致被害者家族会が招待され、同六月二十八日には権寧世韓国統一部長官が、韓国政府は韓国人拉致被害者の生死の確認と送還を目指して最善の努力を尽くすということを表明いたしました。

 拉致問題の解決のために、我が国の取組に加え、国際社会との緊密な連携も重要でございます。

 韓国との間では、例えば直近では、九月のニューヨークでの日韓首脳間の懇談、今月六日の日韓首脳電話会談において、岸田総理から拉致問題の解決に向けた韓国の引き続きの理解と協力を求め、尹大統領から引き続きの支持を得ているところでございます。さらに、九月九日でございますけれども、尹徳敏駐日韓国大使のお声がけで拉致被害者御家族との面会も行われ、拉致問題の解決に向けて韓国としても協力していきたい旨の発言をされております。

 このように、韓国からは、拉致問題の解決に向け、累次の機会に支持の表明を得ており、引き続き、韓国とも緊密に連携をしながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、全力で取り組んでまいりたいと思います。

徳永委員 日韓関係は戦後最悪という言われ方もしますけれども、こうした新たな新局面になっておりますので、是非、外交当局とも協力をしながらやっていただきたいというふうに思います。

 それで、次に取り上げますのは、先般の衆議院代表質問におきまして我が党の西村智奈美代表代行が取り上げました、いわゆる拉致被害者の田中実さんと、拉致可能性を排除できないとされる金田龍光さんの件について伺いたいと思います。

 これは一連の共同通信の報道によって我々は問題意識を持っているわけなんですけれども、この共同通信の報道は、その情報元は政府高官といった形で匿名でした。しかしながら、今回、新たに、九月の十七日、朝日新聞デジタルで、元外務事務次官の斎木昭隆さんがインタビューに答える形で語っています。

 北朝鮮からは拉致被害者の田中実さんや知人の金田龍光さんの生存情報が提供されたと報じられていますがというインタビュアーの問いに対して、斎木元次官は、北朝鮮からの調査報告の中にそうした情報が入っていたというのはそのとおりです、ただ、それ以外に新しい内容がなかったので、報告書は受け取りませんでしたと明確に答えています。

 繰り返しますけれども、政府高官という報道だった共同通信から一歩踏み出して、まさに外交のど真ん中にいた、中枢にいた、そして、この生存情報がもたらされた二〇一四年段階では外務事務次官ですから、この方の証言というのは非常に重いというふうに思うんですけれども、外務大臣として、この斎木元次官の証言、どのように受け止められておるんでしょうか。それでもなお、西村代行の代表質問に総理は事実関係すら明らかにしませんでしたけれども、同様の姿勢を貫かれるのですか、お聞きします。

林国務大臣 この報道については承知をしております。

 今お話のありました、田中さんや金田さんを含む北朝鮮による拉致被害者や拉致の可能性を排除できない方々につきましては、平素から情報収集に努めておりますが、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、その具体的内容や報道の一つ一つについてお答えすることは差し控えたいと思います。

 ストックホルム合意以降、北朝鮮の特別調査委員会による調査について、北朝鮮からは調査結果の通報がなく、報告書も提出されておらないところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保、即時帰国、真相究明を目指す考えでございます。

徳永委員 政府高官という匿名の報道を受けての答弁だったら、その御答弁でもやむを得ないかなとは思いますけれども、今回、元外務事務次官の方の赤裸々な証言ですよ。これについてはどのように受け止めておられるのかということなんです。

 これは、全くそれは事実じゃないというなら、事実じゃないとはっきりとおっしゃっていただかないと、これが報道で流れるたびに、国民は、どうなっているんだという話になるんじゃないですか。

 もう一度お願いします。

林国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、今お話のありました、田中さんや金田さんを含む北朝鮮による拉致被害者や拉致の可能性を排除できない皆様方については、平素から情報収集に努めておりますが、今後の対応に支障を来すおそれがありますことから、その具体的内容、また報道の一つ一つについてお答えするということは差し控えたいと考えております。

徳永委員 報道の一つ一つということ以上に今回重いでしょうということなんです。元外務事務次官ですよ。そこをもう一度しっかりと答えてください。

林国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、拉致被害者や拉致の可能性を排除できない皆様方については、平素から情報収集に努めているわけでございますが、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、その具体的内容、報道の一つ一つについてお答えすることは差し控えたいと考えております。

徳永委員 それでは、角度を変えます。

 今後の対応に支障を来すとおっしゃっていますが、今後の対応とは田中さんとか金田さんについてなんですか、具体的にお答えください。また、支障を来すとはどのような事態を想定してそのように言っておられるのかについて教えてください。

黄川田委員長 林外務大臣、答弁は簡潔に願います。

林国務大臣 申し上げましたように、情報収集等に努めてきておりますが、被害者の全員帰国を含めた解決に向けて多種多様な努力を続けておるところでございまして、そうしたことで、先ほど申し上げたように、今後の対応に支障を来すおそれがあるからということでございます。

黄川田委員長 徳永君、申合せの時間が経過しております。

徳永委員 もう時間ですので、じゃ、この問題は引き続き拉致特で、私よりも数段格上の方がしっかりと質問されますので、御対応ください。

 終わります。

黄川田委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 本日は、北朝鮮のミサイル発射に対して、日本としてどう対峙していくのかということを三委員会連合審査会で審議するという機会ですので、日本の防衛に対して前向きな議論、答弁を期待をしております。よろしくお願いをいたします。

 また、北朝鮮には強い抗議を表すものでございます。

 まず一つ目の質問なんですけれども、昨日、北朝鮮の報道から、新聞に戦術核運用部隊の話が載っておりましたので、まず一番目の質問ではなくて三番目の質問から行わせていただきたいと思います。申し訳ございません。

 まず、核の脅威についてお伺いいたします。

 北朝鮮の国営メディアは、九月二十五日から十月九日に計七回、十二発に及んだ一連の弾道ミサイル発射は戦術核運用部隊の軍事訓練であったと伝えました。また、北朝鮮が七回目の核実験を行う危険性があると言われています。

 日本の置かれている状況は、北朝鮮の核だけではございません。中国、ロシア、北朝鮮という核保有国に囲まれているのが日本の状況でございます。

 米国防総省は、中国は二〇三〇年までに現在の推定三百五十発から千発の核弾頭を保有する可能性があると分析をしています。千発もあれば、米国と同様の核戦力となることを意味をしております。

 また、今回の北朝鮮の実験では、核の弾頭が小型化されて、核、戦術核が無事に成功したという報道がございますので、こういった核、戦術核に対する日本の防衛についてお伺いしたいと思います。

 例えば、台湾有事で仮に日米が中国と対峙した場合、中国は、上空で戦術核を爆発させて電磁パルスを発生させ、米軍や自衛隊、防衛施設、企業、インフラの電子機器に影響を与える可能性を想定していると思います。今回の北朝鮮の戦術核運用部隊によるミサイル発射も、電磁パルスでの攻撃を想定しての実験ではないでしょうか。

 そこで、戦術核に対する日本の対処はどう進んでいるのか、お伺いいたします。

浜田国務大臣 今御指摘のありました点につきまして、我々とすれば、核の恫喝を受ける可能性の有無というようなことだと思うわけでありますけれども、仮定の問題に対してはお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

 その上で、委員が御指摘のとおり、我が国周辺には、中国、ロシアといった核保有国が存在をしております。

 中国は、保有する核弾頭数を増加させるとともに、多様な運搬手段の開発、配備を行い、核戦力の能力向上を継続していると見られます。ロシアも、通常戦力の劣勢を補う観点から、核戦力を重視し、核戦力の近代化を進めております。今般のウクライナ侵略の中で、核兵器が使用される可能性を深刻に懸念をしております。また、北朝鮮も、累次にわたり核武力の評価を言及し、核兵器の開発も進めており、今後、更なる核実験を強行する可能性もあると考えております。

 こうした核兵器の開発、保有の動向については、防衛省としては引き続き、米国とともに緊密に連携しながら、必要な情報収集、分析に努めてまいりたい、このように考えております。

三木委員 電磁パルスによる攻撃についてはいかがでしょうか。日本は対処できるんでしょうか。

浜田国務大臣 一般的に、電磁パルス兵器は、核爆発などにより瞬時に強力な電磁波を発生させ、電子機器に過負荷をかけ、誤作動させたり破壊させたりするものと承知をしております。このような電磁パルスを用いた攻撃については、その可能性を含め、関連の動向を注視しているところでありますが、様々な抗堪性の強化が重要であると認識しております。

 防衛省は、自衛隊が保有する装備品については基本的に一定の電磁パルスに耐えられる性能を有しているほか、令和元年からは、電磁パルス攻撃に対する装備品の防護に関する研究を実施し、そして、成果の取りまとめを行っているところであります。自衛隊施設については、重要機能が電磁パルス攻撃下であっても維持されることが重要と認識しており、予算編成過程で所要の施策の検討を進めておるところであります。

 また、実際に電磁パルス攻撃が行われるといった万が一の事態への備えとして、そのような場合の国民生活への影響を最小限とするための努力も重要であると認識しており、この点については政府全体で必要な対策について検討をしてまいりたいと思っているところであります。

三木委員 サイバー攻撃も同様だと思うんですけれども、自衛隊は大丈夫ということは御答弁いただけると思うんですけれども、八百人以上のサイバー隊員をもって対処していると。今のお答えでも、自衛隊は大丈夫というお答えだったと思うんですけれども、やはり企業とか、インフラとか、基幹インフラとか、そういったところに電磁パルスの影響が起きて民間の方が混乱をするということは十分に考えられると思いますので、そちらの方の対処も是非検討の中に入れていただきたいなと思います。

 それで、ウクライナでは、一九九四年のブダペスト覚書で、ウクライナの核はロシアに移送し、代わりに米、英、ロシアが安全を保障するとして核を放棄しました。ウクライナでは、元々世界第三位の核保有国であったウクライナが十発でも二十発でも核を保有していたら今回の侵略は起きていたのだろうかということが言われています。

 日本は周囲を核保有国に囲まれていることを念頭に、核を使用されないためにどのような防衛策を講じるのか、核の脅威に対してどう対峙していくのか、核というとタブー視されることが多いと思いますが、積極的に議論をすべきと考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境や現実に核兵器が存在していることを踏まえれば、核抑止力を含む米国の拡大抑止は不可欠であると考えます。その信頼性の維持強化のためには、米国と緊密に協議、協力していくことが重要であり、日米間では、日米拡大抑止協議の場を含め、様々なやり取りを行っているところであります。

 私自身も、先月の日米防衛相会談においても、核を含めた米国の拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けるための取組について、閣僚レベルでも議論を深めていくことをオースティン長官と確認をいたしました。

 今後とも、こうした協議等を通じて米国と緊密に連携し、日米同盟の抑止力、対処力の強化に取り組んでまいりたい、このように考えているところであります。

三木委員 核については、非常に繊細な議論になると思いますけれども、是非ともタブー視することなく積極的に議論を進めていっていただきたいと思っております。

 それでは、一番目の質問に戻りたいと思います。

 防衛費、GDP比二%以上というお話でございます。

 冷戦後、これほどロシア軍が活発に日本近海で動くのは極めて異例のことだと思います。狙いは、日本のみならず、日本にある在日米軍基地だと考えております。ウクライナへの侵攻を見れば、日本の基地、施設、在日米軍基地へのミサイル攻撃は、架空の話として笑い飛ばすのではなく、想定内としておくべきだと考えております。

 ロシアと中国は既に、日本の防空システムでは防ぐことができない質の高い近代的ミサイルを保有し、自衛隊が対処困難な飽和攻撃も可能な量を備えています。中国だけを見ても、アジア海域では中国と日米の軍事力の逆転が近づいており、東アジアなどで二〇三〇年頃には海上での優位が崩れるとの指摘が米国から出ています。また、中国とロシアの海軍の増強と近代化は米国の軍事的優位性を失わせつつあるとの見解が米海軍から示されています。

 単純な比較ですが、中国の戦艦の総重量は二百十二万トンと五年間で四割も増える一方、西太平洋、インド洋を担当する米第七艦隊は四十万トン、日本五十一万トン、台湾二十万トンで計百十一万トンです。韓国の二十六万トンを入れたとしても百三十七万トンで、中国の六割ほどです。ちなみにロシアは六十一万トンとなっています。

 航空機をざっと見ても、戦闘機や哨戒機などの作戦機は中国軍が二千九百機と圧倒しています。戦闘機の数は、今は日米、台湾、韓国を合わせるとほぼ互角ですが、中国は最新型をこの二十年間で約十三倍に増強しており、このままでは艦船も、戦闘機、ミサイルも大差がついていく可能性は高いと推定されています。

 まず、政府は、今年末までにかけて防衛三文書の改正をやっていく、その中で日本の防衛力の強化ということを当然打ち出していく、防衛費に関しても実質GDPの二%以上を防衛費に充てると言われております。これ自体は、やっと防衛力が強化できるとの声も多数聞いておりますし、私もよいことであると考えております。

 そのような中、九月三十日に、GDP比二%以上ということで、NATOの国防関係支出の共通定義を参考にする資料が、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議に出されました。

 まず、NATO定義を参考にすることの意義をお伺いいたします。

 NATO定義を参考にした我が国の安全保障に関連する経費の試算として示されているものが、防衛省以外の予算が様々提案されているわけですが、私が懸念をするのは、ただ単なる予算のかけ替えが行われて、本当に必要な予算が削られてしまうのではないかということです。例えば海上保安庁の予算が挙げられていますが、これはただ単に国交省から、また、科学技術関係の予算は文科省からの予算のかけ替えになっているのではないかと懸念いたします。そうならないように、必要な予算を防衛費、防衛省・自衛隊につけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 NATOという民主主義国家の集まりが、安全保障環境を維持するために、各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点で、NATO定義に基づく対GDP比は指標として一定の意味があると考えておりますが、いずれにせよ、我が国の防衛費の内容や規模等については、新たな国家安全保障戦略等の策定や、今後の予算編成過程において検討してまいりたいと思っております。

 他省庁の取組と防衛関係費との関係をどう整理するかについては、今後とも有識者から御意見を聞いていくものと承知しており、現時点において私からコメントを述べることは差し控えますが、いずれにせよ、防衛省としては、我が国の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化していく考えであり、そのために必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと考えておるところであります。

三木委員 まだこれから年末にかけて検討していく事項であると思いますので、今何かが決定しているというわけではなく、今から有識者会議での御意見も賜りながら決めていくということだと思うんですけれども、NATOの定義によると、軍隊以外の武力組織にも防衛費を充てるということで、では、その軍隊以外の武力組織とはどういった定義なのかということが示されています。軍事的戦術の訓練を受け、軍事組織としての装備を有し、軍隊の直接指揮下での活動ができ、かつ、軍隊を支援するため国家領域外での活動が可能な部分については国防関係支出に含まれるとあります。私は、この定義で、海上保安庁が該当するというふうには考えておりません。

 海上保安庁の任務には、日頃から敬意と感謝を持っております。日本の海上保安庁に相当すると言われている中国の海警局は、日本の巡視船のほぼ倍を保有している上、中国共産党の新聞は、中国海軍が保有するコルベット艦056型、いわゆる軍艦二十隻を海警局に移管する計画と伝えています。予算の面でも海上保安庁が任務を果たす上で十分な予算を国交省から出していただき、日本の警備に当たっていただきたいと思っております。自衛隊と同様に、海上保安庁の予算が十分であると私は全く考えておりませんので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、もしも仮に海保の予算が防衛関係から出されるとなれば、私は、やはり海上保安庁法第二十五条が問題になってくると思っております。

 私は、この海上保安庁法第二十五条が決して賛成できるものではないと思っておりますので、グレーゾーンの対応とか海自と海保の連携向上という意味で、こういった法案を改定をしていく、そして、その上で防衛関係費として計上されるというのであれば私は筋が通っていると思っておりますので、是非とも今後そういった対応をお考えいただきたいなと思いますとともに、防衛三文書には、必ず、当然、海上自衛隊と海上保安庁の連携というのも入ってしかるべきだと思いますので、それを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 今御指摘のあった点、我々は常日頃から、海上自衛隊そして海保との間でお互いに、自分たちの立場をしっかりと認識しながら、訓練等にも一緒に関わったり、今も、現在、尖閣において、そういう意味では、海保、頑張っておられるわけでありますし、我々は、その外側で常に見守っている状況であるわけでありますので、今御指摘の点、いろいろとまだまだ整理しなければならない点があると思いますので、今後とも、いろいろな方々からの御意見をいただきながらまた検討させていただきたい、このように思っている次第であります。

三木委員 様々、海上自衛隊と海上保安庁が連携をして、大規模災害に備えて燃料を給油する訓練が行われたという報道があったんですけれども、訓練は災害協定に基づく防災総合訓練の一環として実施され、自衛官と海上保安官六十六人が参加した、海上自衛隊の掃海艇「なおしま」から海上保安部の巡視艇「おきなみ」に給油ホースが渡されました、しかし、今回の訓練では給油口の接続部分のサイズが違うことが分かりました、これは二〇二二年の六月の記事なんですね。

 だから、こういった給油口のサイズの違いとか、そんなものは連携をちゃんとしていればちゃんとできると思いますので、そういったことからまずやらなければならないのかなということは、私は、尖閣諸島沖の問題であるとか海上保安庁の方が頑張っていることとかを考えますと非常に心配になりますので、よろしくお願いをいたします。

 また、科学技術関係予算なんですけれども、以前は軍事技術が汎用品に転用されるという事例が多かったと思いますが、現在は汎用技術の研究が軍事に転用されることの方が多いのではないかと思います。

 私は、軍事研究にのみ防衛費の予算をつけるべきと考えます。そして、科学技術研究費を防衛費の中に組み込もうとするのであれば、どういった形で防衛省と連携していけるのか、そういった点をしっかりと御説明いただきたいと思いますので、これは要望といたします。

 質疑時間が終了いたしました。もっともっと質問したかったんですけれども、また次の機会に代えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

    〔黄川田委員長退席、亀岡委員長着席〕

亀岡委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。

 早速質問をさせていただきます。

 先ほども質疑がありましたが、私は、特定失踪者問題調査会が北朝鮮向けに流している短波放送「しおかぜ」に絞って本日は質疑をさせていただきます。

 この「しおかぜ」の問題については、特定失踪者問題調査会の村尾幹事長が、去る五月二十日の拉致特別委員会の参考人質疑でも貴重な御意見をいただきました。また、私自身は、維新の会の議員の有志並びに拉致特別委員会の理事として、都合二回にわたり、「しおかぜ」の送信所であるKDDI八俣送信所に視察に行かせていただきました。現状は十分に理解をしておるつもりであります。

 現在、NHKが独占使用権を持つこのKDDI八俣送信所は、人道的な見地から、「しおかぜ」に送信使用を認めています。また、デジタルが主流の昨今においても、有事の際には、短波放送はアンテナと送信機があれば地球の裏側でも情報伝達が可能であり、KDDI八俣送信所は国益にかなう重要な施設であり、そして、「しおかぜ」に対して、北朝鮮当局による猛烈な妨害電波の発信は、北朝鮮への短波放送が効果を上げている証拠と考え、北朝鮮に対するプレッシャーと考えます。

 そんな中、日本が短波送信縮小に向かえば、割当て周波数の他国への流出、技術の喪失につながり、国益を失う懸念があります。

 短波放送縮小における割当て周波数の他国への流出、技術喪失に対する総務省の見解、これは、今日、資料を出させていただきましたけれども、確かに、短波の周波数、各国とも減少になっているんですけれども、減少傾向はあるんですが、イギリスは二百五十八、アメリカは四百六十三、中国に至っては七百六十三、ここからの分母ですから、日本は僅か九十一。これに対して総務省はどうお考えか、教えていただけますでしょうか。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。

 NHKが実施いたします短波放送による国際放送は、海外に向けて我が国の情報を届ける重要な手段の一つというふうに認識しております。NHKにおいては、放送法第二十条第一項第四号に定める必須業務として実施しているものでございます。

 このため、我が国の短波放送の送信施設であります八俣送信所は、施設を所有、管理するKDDIが、使用者であるNHKとの契約に基づき、安定的に維持管理をしておるところでございます。現段階で、御指摘の、短波放送技術が喪失するような状況にはないのではないかと承知しております。

 また、割当て周波数につきましても、これまでも、半年ごとに国際調整が行われますけれども、これを通じて、我が国として必要な周波数を確保してきたところでございます。総務省としては、今後も引き続き短波放送に必要な周波数を確保してまいる所存でございます。

 以上でございます。

美延委員 これは反論したいんですけれども、今日は時間がないので、また次回にさせていただくとして。

 この「しおかぜ」が運用している百キロワット送信機は、KDDIの八俣送信所のパンフレットによると、昭和六十年に製造されて、既に三十六年余りが経過しております。そして、この百キロワット送信機、最近では八月十三日に送信機障害を起こしており、老朽化による故障はいつ起きてもおかしくない状況であります。

 このような現状において、NHKは、合理化や予算の削減という見地から、二〇二四年度に、現行の送信機七機体制のうち、老朽化した三百キロワット一機、そして「しおかぜ」に使われている百キロワット二機を破棄し、残された四機体制へと移行する方針を固めており、新設する予定はないと明言しております。

 NHKは、総務省との協議の中で、破棄が予定されている百キロワットの代替機として、現用の三百キロワット送信機へ移行する案を出していますが、移行に伴うアンテナつけ替え工事期間は約十か月とされ、その間、北朝鮮に対する、妨害電波対策の要である二重放送ができなくなります。この二重放送が一時的にできなくなるということは、国家の最重要課題として掲げる拉致被害者救出と矛盾を感じざるを得ません。

 私は、老朽化した百キロワット送信機二機の新規更新が、アンテナつけ替え工事も不要となり、全ての継続性を損なうことなく、安定的な「しおかぜ」を放送できるものと確信しております。

 ただいまの私の説明で、北朝鮮による拉致被害者の救出を目的とした「しおかぜ」の安定的な送信の確保、また有事の際の情報伝達の手段として、短波放送の重要性は理解していただけたかと思います。「しおかぜ」の安定的な放送や、在外邦人保護など安全保障及び危機管理の観点から、NHKによる送信所の管理の見直し、政府の積極的な関与の下、設備の維持管理が必要であることは言うまでもないことだと考えますし、短波放送の縮小は重大な国益を損ねる懸念があるとも考えます。

 以上のことから、現在最善と考えている老朽化送信機二台の新規更新に併せ、もしNHKが予算削減を実行するのであれば、政府が予算を持ってNHKに百キロワット送信機二台の更新を実施させるべきだと思います。このままでは、二〇二四年度の送信機移行どころか、重大な故障で放送が止まる可能性すらも考えられます。

 この八俣送信所の送信機の問題、また送信所の運営管理、短波放送の重要性に関して、内閣府及び総務省のそれぞれの見解をお聞かせください。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。

 「しおかぜ」につきましては、特定失踪者問題調査会からの要望を受けて、二〇一九年四月から、それまでの一波での送信から、二波での同時送信を現在実施しているところでございます。

 御指摘のとおり、「しおかぜ」に使用している送信機の移行作業中は一時的に一波での送信となると聞いておりますが、この作業は、今後とも「しおかぜ」が二波体制で安定的に継続していくために必要な作業であるというふうに考えてございます。

 「しおかぜ」の短波放送設備の使用につきましては、免許人である特定失踪者問題調査会と、短波放送設備を管理するKDDI、使用権を有するNHKとの間の取決めに基づき定められておりますことから、まずはこれらの関係者の間で運用面についての調整を尽くしていただきたいと考えてございます。

 また、老朽化した百キロワット送信機の扱いについてでございますが、この点に関して、NHKからは、老朽化した百キロワット送信機を廃棄しても、NHKが現在使用している三百キロワット送信機によって、国際放送及び「しおかぜ」を継続して運用することができるというふうに聞いてございます。

 総務省といたしましても、拉致被害者等の皆さんに向けた情報発信に支障が生じないよう、適切に対応してまいる考えでございます。

 以上でございます。

平井政府参考人 短波放送「しおかぜ」の重要性についての政府の考えについて、お答えさせていただきたいと思います。

 北朝鮮域内への情報伝達手段が限られている中で、北朝鮮にとらわれている拉致被害者を始め北朝鮮市民や北朝鮮当局に対し、日本政府や日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段として、北朝鮮向けラジオ放送は極めて効果的であると考えております。

 八俣送信所から送信されております北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」を放送している特定失踪者問題調査会との間で、同番組の中で政府メッセージの送信を行う等の目的で業務委託契約をしているところでございます。

 この業務委託につきましては、放送時間や放送回数を拡大するとともに、その関連予算として、委託業務の拡大に伴い、予算を増額しているところでございまして、令和四年度は四千百二十九万円に更に増額するなど、「しおかぜ」との連携強化に積極的に取り組んでいるところでございます。

 いずれにせよ、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。

美延委員 この問題は、また拉致特で続けて審議させていただきます。

 ありがとうございました。

亀岡委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦でございます。

 北朝鮮による度重なるミサイルの発射、もはや乱射と言ってもいいと思いますが、これは、私は、北朝鮮国内の焦りもあろうかと思います。

 今までCOVAXで割り当てられていたワクチンの受取を北朝鮮は拒否していたわけですが、八月の末からワクチンの接種を開始したということで、さすがの北朝鮮でもコロナの流入は防げなかったのだろうと思います。我が国の大流行を考えても、北朝鮮のような状況でコロナが蔓延すれば大変な事態になっているのであろうということは予測されるわけですが。

 今ほどの美延委員からの質問の続きにもなろうかと思いますけれども、短波放送について伺いたいと思います。

 我が国は、今まで、次の一手、決め手を欠いてまいりました。岸田総理はずっと、何度も何度も、前提条件なしで向き合う覚悟だとおっしゃっておられる。ただ、今日の委員の中の質問にもありましたとおり、北朝鮮はもはや対話をする気がないんだと。このような膠着した状況の中で、北朝鮮国内にいる拉致被害者の皆さんや特定失踪者の皆さんに対して、我が国がどんな取組をしているのかということを明確に放送する意味でも、この「しおかぜ」あるいは「ふるさとの風」といった短波放送は非常に重要であると思います。

 そして、もう一つ、今、世界的には短波放送は縮小傾向にあります。例えば、二〇一七年に、オーストラリアは、公共放送のABCが太平洋島嶼国に向けての短波放送をやめてしまいました。その結果どうなったか。その空いた周波数を中国が使って、中国のフィルターを通したニュースを太平洋島嶼国に向かって放送をしている。これはまさに、短波放送がネットの時代だから要らないだとか、予算の問題で削減するとかという問題ではなくして、外交手段として有益であるということの何よりの証拠であると思います。

 中国がやっている以上、我が国だってやらねばなりません。「しおかぜ」の安定的な二重放送の確保はもちろんのことです。これは当然やるべきだと思います。そして、それだけではなくして、外務大臣の強力なツールにもなり得ます。外交政策を進めていく上で、我が国に対しての日本語放送だって、タイですとかインドネシアとかからたくさん短波放送が届いているんです。我が国だってどんどんやるべきです。現状維持ではなくして、拡充するべきだと思います。

 これの所管は総務大臣であろうと思いますが、外交ツールですから、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 政府といたしましては、国際社会から、我が国の政策や取組、立場に対する理解と支持、これを得るための戦略的な対外発信を展開してきておるところでございます。

 今、鈴木委員からお話がありましたように、短波放送は所管ではございませんけれども、NHKワールドJAPANが、英語、中国語、ロシア語、韓国語、こうした多言語での短波放送を実施しておりまして、我が国の最新情報を発信することで日本に対する理解促進に寄与しているものと認識をしておりまして、外務省としてもNHKワールドJAPANと緊密に連携をしてきております。

 引き続き、国際社会の理解と支持を得るべく、政府一体となって、様々な手段を活用して、戦略的かつ効果的な発信、これを一層強化していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 太平洋島嶼国に対しての影響力を強めるべきだということは、外務委員会でも何度も大臣に申し上げてまいりました。また、「しおかぜ」の件についても、拉致問題の特別委員会でも申し上げてまいりました。両方とも大臣は一緒ですから、今国会でもよろしくお願いします。

 さて、ミサイルの話に移りますわけですが、既に我が国の防衛体制あるいは北朝鮮の装備品についての議論は諸先輩方からもあったとおりでございますので、私からはソフト面についてお話を伺いたいと思います。

 私、調べましたところ、弾道弾というのは、飛行するのは、大半ははるか上空を飛行しておるわけですが、宇宙条約を始めとする五つの国際条約、あるいは国内法、海外の立法を含めましても、宇宙空間という定義は存在をいたしません。

 例えば、アメリカ軍に関しては上空五十海里、連邦航空局は八十キロ以上を宇宙と定義をしておりますが、今後の議論に資するため、防衛大臣に、まず、我が国は高度何キロから先が宇宙空間であると認識をされているのか、伺いたいと思います。

浜田国務大臣 宇宙空間の定義については、我が国の現行の法令において規定されたものはありません。そして、一般的に申し上げれば、大気がほとんどなくなる、地表からおおむね百キロメートル以上を指す場合もあるものの、国際法上の領空と宇宙空間との境界は明確になっていないのが現状と承知をしております。

鈴木(敦)委員 そうです。ないんですね。

 まあ、これは、私も予備自衛官でしたからお話をいろいろ聞いていますが、宇宙空間であろうと領空であろうと、航空自衛隊宇宙作戦隊は適切に切れ目なく対処をしていただけるということであると思いますし、防衛体制も強化をされているところだと承知をしております。

 なぜこれを伺ったかといいますと、昨日ですが、我が国の最新鋭ロケットでありますイプシロン六号機、打ち上げに失敗をいたしました。プレスリリースによりますと、打ち上げから約六分弱後に自爆させたということでありますが、過去の打ち上げデータを見ますと、打ち上げから六分だと高度二百キロ以上に達しているわけであります。この距離で、はるか上空で破壊をしたわけでありますが、詳細の検討というか調査はまだ終わっていないので何とも申し上げられませんが、高度二百キロぐらいであれば地球に帰ってくるんだろうと思います、破片については。

 北朝鮮の弾道弾について、今回発射されたものは、横、長さで、レンジでいうと四千六百キロ、最高高度千キロという超高度で飛行しておるわけですが、仮に、我が国に落下をしてくる、弾着をするというような予測になった場合、宇宙空間で弾道弾を破壊することになります。これはもう御案内のとおり、中国やロシアは、衛星破壊兵器の実験をして、宇宙空間に大量のごみをばらまいて、国際的にも大変な非難を受けたわけであります。

 我が国においても、自衛のためですから、これはちゅうちょなく破壊をしていただきたいと思いますが、仮に破壊した場合、例えば高度四百キロという高さには国際宇宙ステーションが飛行しています。そういった低軌道でごみをばらまいてしまった場合、これは自衛のためだとはいえ、世界各国あるいは様々な協力機関に対して報告ないし警告を発する必要があると思います。

 実際に、今もう現実問題として破壊をする可能性が高まってきた段階において、この後始末、破壊した後、どのように対処されていくのか、防衛大臣、今何かお考えがあればお願いします。

浜田国務大臣 宇宙空間で弾道ミサイルを迎撃してデブリを発生させた場合について国際的な約束等は存在いたしませんが、いずれにしても、当該国が、弾道ミサイルを発射した事実も含め、必要な情報を関係国、関係機関等に適切に提供していくものと考えます。

 なお、弾道ミサイルを迎撃した際の破片の飛散については、多種多様な要素に大きく影響を受けるものであることから、予測することは極めて困難でありますけれども、一般論として申し上げれば、弾道ミサイルを迎撃した際に生成された破片は、大気圏への再突入時に、大気との摩擦により小さなものは焼失するものと考えております。

鈴木(敦)委員 地表に対しての落下についてはそれで結構なんですが、フェアリング一枚、ねじ一本、宇宙空間を漂っただけで大変危険なものになろうかと思います。「ゼロ・グラビティ」という映画がありましたけれども、宇宙空間でデブリをばらまいた場合には、まだ、日本人宇宙飛行士だって今宇宙にいるわけですから、我が国の邦人を守るという意味でも、破片の取扱い、これについては詳細を詰めていただきまして、これは、防衛大臣、外務大臣、御協力いただいて、国際社会でも連携をしていっていただきたいと思います。実際に、前の委員の説明でもありましたが、自国の領土の上空を弾道ミサイルが通過をする国は我が国ぐらいですので、これをどうするのか、我が国が積極的に国際社会に働きかけをすべきだと思います。

 続いてですが、少し離れますけれども、弾道ミサイルということでいいますと、我が国の周辺には、もう一つ、弾道ミサイルを撃ってくる国がございました。

 北朝鮮については乱射しているわけですけれども、もう一方の国、中国については、指定した海域に正確に弾着をさせる能力を有していることがこの前の実験でも分かったとおりでございます。そして、演習ではなくて演訓という言葉で、演習と訓練を組み合わせたもので、より実戦的な仕組みとして行っていたわけでございますけれども、北朝鮮による弾道弾の弾着でEEZに落下した場合のときにはNSCを開いているかと思いますが、中国が弾道弾を弾着させた場合にはNSCは開かれておりませんでした、直後に開いていないというだけなのかもしれませんが。

 これについて、所管は総理が議長ですけれども、防衛大臣として、これを開かなかったことについての御所見を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 NSCについては、会議の議長たる内閣総理大臣の指示の下、総合的に判断の上、適切に開催されることとなっております。

 その上で、中国が我が国EEZを含む我が国の近海に設定された訓練海域に向けて弾道ミサイルを発射したことは、我が国の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題であると考えます。

 いずれにしても、中国の軍事動向は我が国を含む地域と国際社会からの安全保障の強い懸念となっていることから、今後も警戒監視に万全を期してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(敦)委員 弾道ミサイルに限らず、我が国を守ろうと思いますと、ISR能力と打撃力と、どちらも両輪で議論を進めていかなければならない点でございます。なので、総合的な御判断の中にそれがちゃんと含まれていなければならないと思います。

 その点では、事こういう防衛のことに関しては、防衛大臣がイニシアチブを是非取っていただいて、岸田総理にしっかり御助言をいただきたいと思います。

 そして、最後になりますけれども、つい先日のことですが、ドイツのサイバーセキュリティーの担当者がロシアと内通したということで解任をされました。これは、情報管理というものがどれだけ重要であるかについて、EUは進んでいると私は思っております。

 我が国はどうかといいますと、セキュリティークリアランスの体制が非常に希薄であると言わざるを得ないわけでございます。

 これは内閣委員会でしたか、私も質問させていただいたことがありますが、その際には、役所からの説明ですと、セキュリティークリアランスが必要なのは官ではなくてむしろ民なんだという御説明でした。

 それだけではなくて、じゃ、防衛省あるいは経産省が次期戦闘機のF3をイギリスのBAEと共同開発するのかという話になると、そうではなくて、民間企業と民間企業の間でやるわけですが、セキュリティークリアランスがしっかりした国とそうではない我が国との間で機密情報をどう取り扱っていくのかについては、きちっと道筋を整理しておかなければならないわけです。

 特定秘密保護法で特定秘密というものをつくって、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルをつくったんですが、それだけではなくて、どの秘密を誰が取り扱うかは、全ての秘密に関わる人たちにあまねく適用されなければいけないもので、そこについては、セキュリティークリアランス、何としても法律が必要だと私ども国民民主党は思います。

 私たちはこのセキュリティークリアランスも含めた法案の準備をしておりますけれども、この必要性について、所管ではないとおっしゃるかもしれませんが、秘密を取り扱うという意味では、外務、防衛両大臣には特別大きな秘密を抱えておられると思いますので、それぞれ両大臣からセキュリティークリアランスの必要性について御所見を伺います。

林国務大臣 機微技術に関するものを含めまして、情報流出対策を進めることは外交当局の責任者として重要な課題であると認識しております。

 その上で、セキュリティークリアランスにつきましては、経済安全保障推進法の衆参両院の附帯決議で示されまして、また、政府としても、骨太の方針二〇二二に示したとおり、今後検討していくべき課題の一つであると認識しております。

 政府全体として、必要な取組に引き続き努めてまいりたいと考えております。

浜田国務大臣 今、外務大臣からお話があったとおりでありますけれども、我々とすれば、先進技術などに関する情報を、他国に不当に渡ることがないよう、防衛産業を含む防衛省の情報保全について一層強化することが重要であると考えております。

 取り得る施策については現在関係省庁と検討しておりますし、外国の防衛担当者と会ったときにこのセキュリティークリアランスが話題に上ることも多いわけでありますので、今後とも政府内でしっかり検討させていただきたいと思っております。

鈴木(敦)委員 レールガンだけではなくて、X2で作ったときの推力偏向パドルとか、非常に重要な技術がありますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。

    〔亀岡委員長退席、鬼木委員長着席〕

鬼木委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 北朝鮮問題に先立って、重要な政治問題である統一協会をめぐる問題について林外務大臣に伺いたい。

 林大臣は、二〇一二年当時、統一協会系の世界日報から取材を受けた事実を認め、今後は当該団体と一切関係を持たないことを約束すると表明された。しかし、林大臣は、統一協会について、社会的に問題になっている団体と述べるだけで、反社会的団体であるとの認識を一切語っておられません。

 林大臣は、統一協会が反社会的団体であると認識しているのかどうか、お答えください。

林国務大臣 反社会団体という言葉を限定的かつ統一的に定義することは困難だと考えますが、いずれにせよ当該団体については社会的に問題が指摘されておりまして、これまで申し上げているとおり、私としては、当該団体とは今後一切関係を持たないということをお約束をする次第でございます。

穀田委員 統一協会というのは、日、韓、そして北朝鮮でも蠢動している団体でもあるということは御承知かと思います。

 統一協会は、正体を隠した伝道活動、多くの市民に被害をもたらした霊感商法や高額献金、当事者の意思を無視した集団結婚など、数々の反社会的行為を行って、そのいずれに対しても違法との判決が確定している団体であります。にもかかわらず、今お話にあったように、社会的に問題が指摘されている団体などと言うだけでは、統一協会が反社会的団体だと述べることを避けるというのは、私は非常に重大だと思います。

 そのことを語らずに、幾ら今後は関係を持たないと言っても、それは世論に追い詰められての口先だけの対応としか理解されない、そのことを厳しく指摘して、北朝鮮問題について移りたいと思います。

 北朝鮮は、先週四日、太平洋上に向けて日本列島の上空を飛び越える弾道ミサイルの発射を強行しました。これは、弾道ミサイルを含め、北朝鮮による核兵器関連のあらゆる活動を禁じた累次の国連安保理決議及び日朝平壌宣言に違反し、世界の平和と安全に逆行する暴挙であり、我が党は強く非難し、抗議するものであります。

 北朝鮮は、今年に入り、ミサイル発射を繰り返すだけでなく、核兵器開発の推進を宣言するなど、軍事的挑発をエスカレートさせています。こうした北朝鮮の軍事的挑発を抑えるため、国際社会が協調して外交的対応を強化することが急務となっていると思いますが、外務大臣の所感を伺いたいと思います。

林国務大臣 北朝鮮は、今年に入りましてから弾道ミサイルを計二十二回にわたって発射しております。これらの極めて高い頻度で続く一連の挑発行動の中で、四日、我が国上空を通過する形で弾道ミサイル発射を行ったことは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かすものでありまして、断じて容認できないと考えております。

 北朝鮮による挑発行為への対応や北朝鮮の完全な非核化に向けた今後の対応につきましては、米国及び韓国を始めとする関係国と緊密に意思疎通をしており、外交の重要性についても認識を共有をしております。

 政府としての具体的対応につきましては、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案、これを包括的に解決するために何が最も効果的かという観点から不断に検討してまいりたいと考えております。

穀田委員 国際社会が協調して外交的対応を強化することを改めて求めるものであります。

 先週、衆参の本会議で全会一致をもって採択された抗議決議は、「国際社会は、国連安保理決議等を踏まえ、結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。」と強調しました。

 国際社会が協調して外交的対応を強める上で何より重要なことは、対話による平和的、外交的解決に徹することだと私は考えます。これが何より北朝鮮問題を解決する唯一の方策であり、そのことを進めるべく、私どもは重ねて指摘したいと思います。

 北朝鮮の軍事的挑発に軍事力の強化で臨めば、軍事対軍事の悪循環をもたらすことは明白であります。岸田総理は、北朝鮮のミサイル発射を受けて、反撃能力の検討を加速し、防衛力を抜本的に強化すると表明し、これまで、自民党の安全保障調査会が四月下旬に提出した提言を参考に検討を進めると説明してきました。

 自民党の提言は、敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換え、攻撃対象を、相手国のミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含むよう政府に求めました。問題は、指揮統制機能等とは具体的に何を指すかであります。

 そこで、浜田防衛大臣に伺いたい。

 防衛省本省には、中央指揮システムと呼ばれる機能が置かれています。この中央指揮システムは、弾道ミサイルの発射などに対して防衛大臣が指揮統制を行うためのもので、総理官邸や関係省庁、在日米軍とつながっています。間違いありませんね。

浜田国務大臣 中央指揮システムは、弾道ミサイル対処、大規模災害等の各種事態に迅速かつ柔軟に対応するため、各自衛隊の指揮システムと連接し、各自衛隊が保有するオペレーション上必要な情報を一元的に集約する機能を有するシステムであり、防衛大臣が指揮統制を円滑に行うためのシステムとなります。

 また、この中央指揮システムについては、総理官邸、関係省庁、そしてまた在日米軍とつながっております。

穀田委員 中央指揮システムは、防衛大臣が弾道ミサイルの発射などに対して指揮統制を行うための機能で、お話があったように、総理官邸や関係省庁、在日米軍とつながっているということであります。つまり、敵基地攻撃の対象に相手国の指揮統制機能等を含むということは、日本でいえば、防衛省本省、総理官邸、関係省庁などを攻撃対象にするようなものであります。

 防衛省はこれまで、法理上は、その対象を攻撃することが誘導弾などによる攻撃を防ぐのに万やむを得ないか否かという観点から個別具体的に判断されると説明してきました。この説明に照らせば、政府が万やむを得ないと判断しさえすれば、相手国の軍司令部や政治中枢も反撃能力の攻撃対象になるということではないんですか。お答えいただきたいと思います。

浜田国務大臣 政府としては、従来から、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置を取ること、例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他の手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能だと考えております。

 その上で、ここで言う誘導弾等の基地については、他国の領域における武力の行使が憲法上許容される場合の例示の中で言及されているものであり、法理上は、その対象を攻撃することが誘導弾等による攻撃を防ぐのに万やむを得ないか否かという観点から個別具体的な状況に即して判断されるものであると考えます。

穀田委員 私が質問したことにそういう形で答えていますけれども、つまり、反撃能力の攻撃対象では、結局のところ、相手国の軍司令部や政治中枢も排除されないということに結果としてはなるということになります。また、まさに相手国を丸ごと攻撃対象にすることになるということであります。

 石破茂元防衛大臣は、今年の四月、朝日新聞の取材に対し、「例えば、相手の首都や政府中枢施設に対する反撃も予定するとなれば、相手が日本を攻撃する意思を強めかねないし、専守防衛の趣旨からもどんどん離れていくことになる。」と語っています。

 また、岩屋毅元防衛大臣も、今年の六月、東京新聞のインタビューで、「反撃能力の対象に「相手国の指揮統制機能等も含む」と明記したことは、いたずらに周辺国を刺激するだけでなく、対処のための準備を促し、軍拡競争につながる恐れがある。「安全保障のジレンマ」という言葉があるが、かえって衝突の危険を高めることにつながりかねない。無益であるばかりでなく、むしろ有害なことではないか。」と答えています。

 この見解について、どう思われますか。

浜田国務大臣 我々とすれば、現時点で検討の内容等についてお答えをできる段階にはありませんけれども、今後とも、憲法及び国際法の範囲内で新たな国家安全保障戦略を策定する過程で、しっかりと議論してまいりたいというふうに考えているところであります。

 我々は、今後も、そういう意味では、しっかりといろいろな意見を聞きながらこの検討を進めてまいらなければならないというふうに思っておりますし、いろいろな御意見があることは十二分に承知をしておりますけれども、極めて慎重かつ冷静に対応してまいりたい、このように思う次第であります。

穀田委員 私は、外務委員会でもこの問題について林外務大臣に質問をしました。そのときも提起したんですけれども、指揮統制機能の問題ですけれども、これは、内閣法制局長官を務めた阪田氏も、自民党の提言が相手国の指揮統制機能等も攻撃対象になるということについて、指揮命令の中枢部まで破壊するということになれば、敵国を全面的に攻撃することにほぼ等しくと、法理の関係者がそう言っておられ、そして、他国の軍隊と何が違うのかということを言っておられます。つまり、明らかに専守防衛という憲法の考え方と相反するんじゃないかということも含めて提起し、それが、こういう事態まで立ち至っている問題について、多くの方々が警告を発しておられるということが今日の現状だと思います。

 その点について、いかがお考えですか。

浜田国務大臣 我々とすれば、いかなる場合であれ、我が国の武力の行使は新三要件に基づいて行われ、その第三要件として、必要最小限度の実力行使にとどまることに変わりはありません。

穀田委員 最後にしますが、必要最小限ということと、それで、あとは憲法の範囲内だ、そういう言葉として、実際は排除しないという実態になるということを私は言っているわけですよね。そこが大事な問題だと思うんです。

 今政府がやるべきことは、地域の緊張を高め、戦争の危険を呼び込む軍事力強化ではありません。東アジアに平和的な環境をつくるための憲法九条を生かした徹底的な外交努力が私は必要だと思います。

 敵基地攻撃能力の保有や、そして軍事費倍増の検討は中止すべきだ、そういう意見を我々は明確に述べて、質問を終わります。おおきに。

鬼木委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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