衆議院

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第3号 令和5年3月14日(火曜日)

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令和五年三月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 英之君 理事 谷川 弥一君

   理事 坂本祐之輔君 理事 中司  宏君

   理事 中川 宏昌君

      井原  巧君    石田 真敏君

      今村 雅弘君    岩田 和親君

      大野敬太郎君    勝目  康君

      熊田 裕通君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      鈴木 隼人君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中曽根康隆君    牧島かれん君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      末次 精一君    堤 かなめ君

      福田 昭夫君    緑川 貴士君

      森田 俊和君    住吉 寛紀君

      堀場 幸子君    輿水 恵一君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)   河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)    小倉 將信君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)         岡田 直樹君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  佐久間正哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府地方分権改革推進室長)          加藤 主税君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         佐脇紀代志君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         西條 正明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        吉田健一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   二宮 清治君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 内藤 茂雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            前島 明成君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩間  浩君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     熊田 裕通君

  宮路 拓馬君     勝目  康君

  渡辺 孝一君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     國場幸之助君

  勝目  康君     宗清 皇一君

  熊田 裕通君     大野敬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     渡辺 孝一君

  宗清 皇一君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

三月十三日

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

同月十日

 子供のための予算を大幅に増やし、保育士の増員など、保育・学童保育制度の抜本的改善を求めることに関する請願(道下大樹君紹介)(第三〇一号)

 同(石破茂君紹介)(第三二九号)

 同(大石あきこ君紹介)(第三三〇号)

 同(堤かなめ君紹介)(第三三一号)

 同(山崎誠君紹介)(第三三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣官房内閣審議官・内閣府地方分権改革推進室長加藤主税君、内閣官房内閣審議官佐久間正哉君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官・内閣府地方創生推進事務局審議官中村広樹君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官佐脇紀代志君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官・内閣府地方創生推進事務局審議官内田幸雄君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官・内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官西條正明君、内閣府政策統括官笹川武君、内閣府地方創生推進事務局審議官吉田健一郎君、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、内閣府子ども・子育て本部統括官吉住啓作君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官村上敬亮君、デジタル庁統括官二宮清治君、デジタル庁審議官内山博之君、デジタル庁審議官犬童周作君、総務省大臣官房審議官内藤茂雄君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、総務省総合通信基盤局電波部長豊嶋基暢君、外務省大臣官房審議官中村和彦君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官寺門成真君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、厚生労働省大臣官房審議官宮本悦子君、厚生労働省大臣官房審議官野村知司君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官前島明成君、農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人君及び農林水産省大臣官房審議官岩間浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小森卓郎君。

小森委員 ありがとうございます。自由民主党の小森卓郎でございます。

 大臣の所信に対する質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 当委員会は、今国会から地・こ・デジ、地域、子供、デジタルの三つについて議論をする委員会になりましたが、その初めての質疑をさせていただく巡り合わせをいただきました。感謝申し上げます。地域、子供、デジタルの三つが相互に深く関連しているテーマであることを意識しつつ、元気に質問を始めさせていただきます。

 まず、地方創生を所管する岡田大臣に伺います。

 大臣は先月、岸田総理に同行して御地元の石川県を視察されました。建機メーカーのコマツを訪問して、子育て支援などの説明を受けたと伺っております。仕事と子育ての両立に向けた福利厚生の充実、そして地方における子育て環境が優れていることの重要性などについて改めて実感されたのではないかと思いますが、視察の成果を伺います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 小森委員おっしゃったとおり、二月四日に、岸田総理とともに、石川県、福井県の視察を行いました。石川県小松市においては、小松製作所で、子育て中の社員など多様な人材が活躍できる育児、仕事両立支援施策のほか、地域との共生に向けた取組、また各種休暇や時短勤務を活用しやすくする取組などを伺いまして、総理も、コマツモデルというべきすばらしい取組、こういうふうに言及されるなど、代表的な地域出身企業であります小松製作所の地域活性化や子育て支援の取組を大変心強く感じたところであります。

 デジタル田園都市国家構想では、結婚、出産、子育ての希望をかなえるための少子化対策の推進に向けて取り組んでいるところでありまして、地方は、住宅、通勤、保育など子育て環境に優れていて、総じて出生率も高い状況があると考えております。こうした、地方に根差した地域企業のよい取組を踏まえながら、地域の活性化に向けて一層取り組んでまいりたいと存じます。

小森委員 御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 コマツのように企業機能の地方移転を進めることは、人口減少への対策に役立つことがデータからも読み取れます。

 資料を御覧ください。都道府県別の出生率でありますけれども、このベストテンは、九州、山陰、北陸の県が独占をしている状況にございます。一方で、最下位は東京であり、千葉、神奈川、埼玉、京都、大阪などがワーストテンに入っているところでもございます。

 少子化担当の小倉大臣に伺います。

 コマツの視察やデータからも分かるとおり、地方への移住の推進は少子化対策の観点でも重要であり、岡田大臣が担当している地域活性化や地方移住の推進は、少子化対策をつかさどる小倉大臣のお立場からもしっかりと協力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 少子化の状況は、都市や地方によってなど、地域によって大きく異なっておりまして、その要因や課題にも地域差があることから、地域の実情に応じた取組が重要と考えております。

 私も、総理とともにこども政策対話を行いまして、福井県、岡山県、そして先日は福島県に行ってまいりました。いずれの地域におきましても、様々な地域資源を存分に活用しながら、首長のリーダーシップの下で町ぐるみで少子化対策を行っている状況に、非常に感銘を受けました。

 そういった意味で、人口減少の著しい地方において少子化対策を進めることは地方創生の観点からも重要でありまして、地方創生と連携した取組を進めることが大変重要だというふうに考えております。

 岡田大臣の下で、地方への人の流れをつくり、地方創生を進めるため、地方拠点強化税制や地方創生移住支援事業等が講じられているものと承知をしております。

 これからも、地方創生を担当する部署ともしっかりと連携をしながら、地域の実情に応じた総合的な少子化対策の取組を進めまして、地方で安心して子供を産み育てられる環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

小森委員 ありがとうございます。御答弁いただいたとおり、両者の連携、大変重要だと思っております。地・こ・デジメンバーでいらっしゃる岡田大臣そして小倉大臣、関係の政府の方々の連携を今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 さて、こども家庭庁の創設が半月後に迫ってきております。内閣府の子供の育成支援、子ども・子育て本部が担当する少子化対策、厚生労働省子ども家庭局による育児支援などを統合する省庁でありまして、現在最も注目を集めている子供、子育て政策の司令塔が誕生いたします。こども家庭庁の役割は重要である一方、言うはやすく行うは難しであります。新しい組織は寄り合いの世帯になりがちですが、そうした中でも、日本の将来に関わる大きく難しい課題に取り組んでいただかなければなりません。

 こども家庭庁の創設準備に当たっておられる小倉大臣そして和田副大臣は、そうした中、新たな組織の風土をどのようにしていくのか。そこに息を吹き込み魂を入れる、最も大事なタイミングで政務三役を務めておられます。こども家庭庁をどのような風土を持つ組織にしていくか、意気込みを伺います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 こども家庭庁がこどもまんなか社会を実現するためには、職員の皆さんが持続的によい政策を立案、実施できる職場環境が必要です。全ての職員が、子育てや介護、修学、そして何より本人の健康等々、個々人の置かれた状況と両立を図りながら、心身ともに健康で、持てる能力を存分に発揮できる風土をつくりたいと考えております。

 そのため、小倉大臣の指示の下、こども家庭庁の働き方改革の基本方針及び行動目標を定め、先般公表いたしました。

 霞が関における働き方改革のサンドボックス兼トップランナーとなることを目指し、職員の皆さんとともにトライ・アンド・エラーを繰り返しながら挑戦し、そして着実に前に進んでいきたいと思います。

小森委員 草創期のありようというのは、組織のその後の発展や成長に決定的な影響を与えると思います。現在の二人の御奮闘が今後の子供政策の鍵を握ると言ってもいいと思っております。心よりエールを送らせていただきます。

 次に、子供、子育て政策の強化について伺います。

 小倉大臣は、岸田総理からの指示を受け、児童手当などの経済支援の強化、子育て支援の充実、働き方改革の三つの方向で具体的なたたき台を作っておられる途中でございますが、取りまとめの月末まであと半月です。どのような内容になるでしょうか。

小倉国務大臣 年初から総理より指示をいただきました。そうした中で、私の下で関係府省会議を開きまして、三つの大きな基本的な方向性を受けております、第一が児童手当を中心とした経済的支援の強化、第二に、幼児教育や保育の量、質両面からの強化と全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充、そして第三に働き方改革の推進とそれを支える制度の充実であります。この三つの方向性に沿いまして、今、学識経験者や子育て当事者、若者などから広く意見を聞きながら議論を進めているところであります。

 これに加えまして、若者に対する教育費の負担軽減でありますとか子育て世代に対する住宅支援の強化、こういったものも議論しておりますし、総理からは、個々の政策の内容や規模もさることながら、先ほど申し上げたように、やはり少子化対策が成功している町というのは、町ぐるみで子供や子育て世代を支える、そんな大きな機運がございます。どうやったら国全体でそういった社会機運を高めていくことができるのか、こういったことも検討しながら議論を進めてまいる予定であります。

 こういった社会全体の意識を変え、子供、子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなくて、それぞれのライフステージを通じた施策のパッケージ、これを示す必要があると考えております。

 引き続き、様々な意見に耳を傾けながら、もう今月末に迫ってまいりました、今月末を目途といたしまして、子供、子育て政策として充実する内容を急ぎ具体化してまいりたいと思っておりますし、漸進的な対策にとどまらず、様々な課題を解決に向けて一気に前進をさせることができるよう、そして子育ての不安を払拭することができるように取り組んでまいりたいとも考えております。

小森委員 ありがとうございました。

 児童手当など、経済的な支援の強化にどうしても関心が集まりがちでございますけれども、それだけではなくて、子供政策、大変複雑な問題だと思いますので、御答弁いただきましたとおり、機運を高めることも含めまして、多面的なパッケージを取りまとめていただくように、どうぞよろしくお願いいたします。

 今後、六月の骨太方針に盛り込む内容について与党でも議論が進みますけれども、岸田総理が述べられたように、従来とは次元の異なる少子化対策という言葉にふさわしい政策になるように、貢献をしてまいりたいというふうに思っております。

 小倉大臣、どうもありがとうございました。ここで退席をしていただいて結構でございます。

橋本委員長 退席していただいて構いません。

小森委員 それでは、岡田大臣に地域の活性化について再びお尋ねします。

 八年前の三月、北陸新幹線の長野―金沢間が開業し、その結果、首都圏を始め多くの人が石川や富山を訪れました。次の資料を御覧いただきたいんですけれども、輸送の人員あるいは地価などで顕著な上昇が起きました。

 また、昨年秋には西九州新幹線の武雄温泉―長崎間が開業し、長崎では百年に一度と言われる大開発が断行されました。開業時に私も現地を訪れましたが、そのスケールの大きさに驚かされました。

 このように、新幹線の開通は、単に都会と地方を結ぶだけではなく、効果の最大化を狙う地方自治体などの努力と相まって、より大きな相乗効果をもたらします。一年後に迫る北陸新幹線の敦賀延伸に当たっても、石川県、福井県の町が、魅力を高めるために知恵を絞っています。

 こうした新幹線の開業や、あるいは、岡田大臣の別の担務でもある大阪・関西万博の開催など、明るい目標を示して、そこに向けて人々の前向きな努力の足並みをそろえていくこと、これは政治の重要な役割だと思います。

 岡田大臣は、北陸新幹線の金沢開業や敦賀延伸に深く関わられましたが、新幹線による地方創生、地域活性化の効果についてどのように評価をしておられますか。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 新幹線ネットワークは、地域相互の交流を促進し、我が国の産業の発展や観光立国の促進など、地方創生に重要な役割を果たすものと認識をいたしております。

 委員御紹介になりましたとおり、昨年九月開業の九州新幹線武雄温泉―長崎間においては、各駅において周辺開発が進められ、特に長崎市では、平成二十四年の着工以降、令和四年には長崎駅前の地価が二・三倍に上昇するなど、大規模な開発により駅周辺が一変していると承知をしております。

 また、平成二十七年三月に開業した北陸新幹線長野―金沢間においては、開業一年間で前年比約三倍の利用客数を記録し、沿線各地で観光客数が増加するなど、沿線地域の活性化が図られました。さらに、金沢から西の金沢―敦賀間については、令和五年度末の開業目標、開業後は更なる地域活性化の効果が期待されます。

 新幹線の整備は、関係人口の創出、拡大や沿線地域における企業立地の促進など、昨年十二月に策定しましたデジタル田園都市国家構想総合戦略で重要な柱の一つとして掲げております、人の流れをつくることに寄与すると考えておりまして、関係省庁と連携しながら、地域活性化に向けた取組を後押ししてまいりたいと思います。

小森委員 ありがとうございます。

 新幹線は、長年、我田引鉄というレッテル貼りをされてまいりましたけれども、金沢開業などの効果は、こうしたステレオタイプの批判を払拭して、新幹線が地域活性化の最も強力なツールとなり得ることを全国に示しました。新幹線は地域活性化や成長戦略の一丁目一番地と言えると思っております。

 北陸新幹線は、来年の敦賀開業で終わりではなく、大阪までつながってこそ、災害時を含めた東海道新幹線の代替補完機能が発揮されます。コロナの影響による遅れなどで大阪開業の認可はまだ下りていませんが、地下駅などの様々な課題を解決して工期を短縮してネットワークを完成させるための予算は、令和五年度に計上されております。

 岡田大臣は直接の所管ではありませんが、新幹線ネットワークの充実は、地方再生、地域活性化の観点からも重要であることは御答弁のあったとおりでございます。国土交通大臣と協力して、内閣の中で国務大臣として尽力をしていただきたいというふうに思っております。私も、沿線議員の一人として、更に頑張ってまいります。

 次に、エネルギー価格高騰に対する対策として、現在、ガソリンなどの燃料油や電気料金等の価格が引き下げられておりますけれども、今後も電力料金の値上げの見込みなどがございます。エネルギー価格高騰に対する別途の追加的な対策も必要であります。

 そうした中で、例えば、LPガスの利用者あるいは特別高圧契約を行っている企業など、現在の支援策が十分に届いていない方々にも手を差し伸べる必要がございます。現在、自民党の中で対策の案がまとまりつつあります。

 岡田大臣は、まさに八面六臂の御活躍で、幅広い政策を担当しておられますけれども、資料にもございますが、地方創生臨時交付金も担当しており、昨年九月に、この中に六千億円の電力・ガス・食料品等の交付金を新たにつくられたところであります。

 今般の追加対策におきまして、この交付金も活用することで実情に応じたきめの細かい対応を行うことを可能にしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 各自治体におきましては、昨年九月に創設されました電気・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用し、コロナ禍で物価高騰に苦しむ生活者、事業者の立場に立って、地域の実情に応じた様々な物価高騰対策を幅広く講じていただいているところと承知をしております。

 今後の物価高騰対策につきましては、現在、先ほど御指摘がありましたとおり、与党において、エネルギー、食料品価格高騰等への追加対策について議論がなされていると承知をしております。

 政府としても、引き続き、自治体における本交付金の着実な執行に努めるとともに、物価の動向や国民生活、事業者への影響等を注視しつつ、政府全体で適切に対処をしてまいりたいと思います。

小森委員 どうもありがとうございました。週末までに案がまとまりますので、是非きめの細かい対策をよろしくお願いいたします。

 最後に、岡田大臣に、デジタル田園都市国家構想の下での地方におけるテレワークの推進や、地方への移住者の増加に向けた決意を伺いたいと思います。

岡田国務大臣 昨年十二月に閣議決定しましたデジタル田園都市国家構想総合戦略において、デジタル技術を活用した地方創生テレワークの推進や、転職なき移住の更なる推進など、地方への人材の還流を促進していくこととしております。

 コロナの拡大で、地方移住への関心の高まりやデジタル技術の急速な発展など、社会情勢が大きく変化したことをチャンスと捉えて、総合戦略に基づき、交付金等の施策を活用し、地域の社会課題を解決し、地域の魅力を高め、地方への人の流れを重層的で力強いものにすべく、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

小森委員 ありがとうございます。

 東京圏への過度な一極集中の是正は、都市圏そして地方圏の双方の住民の生活の質の向上につながるものの、同時に、これまでの一極集中の加速の歴史が表しているように、行政が大きな方向を示して推進しなければ実現できない課題でもあると思っております。今般、デジタルという新たな武器を手にしております。岡田大臣が強力なリーダーシップを発揮していただくことを望みます。

 今日は、地方と子供、そして地方とデジタルの重なり合いについて意識しながら質疑をさせていただきました。今後も精進してまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、デジタル関連を中心にお伺いしてまいりたいと思います。

 政府は、二〇二五年度までに原則全ての地方公共団体がガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムへ移行できるよう環境整備を行っており、導入においての課題の一つが人材不足であります。地方公共団体同士の人材の獲得競争が発生する事態も懸念をされており、外部人材の活用も含めまして、デジタル人材のリソース確保は喫緊の課題であります。

 そこで、デジタル推進人材につきましては、政府は、二〇二二年度末までに年間二十五万人、二〇二四年度末までに年間四十五万人育成できる体制を段階的に構築をしまして、二〇二六年度末までに二百三十万人を育成すると目指しておりますが、現在の状況と目標に向けてのロードマップはどのようになっているのか、まずお伺いをしたいと思います。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の自治体における人材確保を含めまして、デジタル技術の活用による、地域の社会課題を解決するために、その担い手となるデジタル人材の育成、確保に向けて、政府一丸となって取り組んでいるところでございます。

 そのため、御指摘のような目標を定めながら、その実現に向けて各府省連携しながら施策を講じているところでございまして、議員御指摘の目標のための各施策ごとの計画を定めまして、目標値を定めてやっているところでございます。

 例えば、デジタル人材育成プラットフォームを構築する件につきましては、プラットフォームを活用した教育コンテンツの発信等により、二四年度で十三万人、二二年度から二六年度までの累計で六十六万四千人の育成、それから、職業訓練のデジタル分野の重点化といたしましては、公的職業訓練や教育訓練給付のIT分野の訓練コースの拡充などによりまして、二〇二四年度で十三万五千人、二〇二二年度から二六年度までの累計で六十九万六千人の育成、さらには、高等教育機関等におけるデジタル人材の育成といたしまして、大学等の優れた教育訓練プログラムの認定制度等によりまして、二〇二四年度で十七万人、二〇二二年度から二六年度までの累計で七十九万人の育成を行うこととしてございます。

 また、議員御指摘の自治体における人材確保につきましては、総務省において、市町村がCIO補佐官等として外部人材を任用する際の経費に係る特別交付税の措置率を引き上げるほか、都道府県等における市町村支援のためのデジタル人材の確保のための経費につきましても、令和五年度から新たに特別交付税措置を講ずることによりまして、自治体における広域的な人材の確保にもしっかりと取り組んでいるものと承知しております。

 これらの取組などによりまして、地方において必要な人材の育成、確保が図られるよう、関係省庁連携しながら、定期的なフォローアップなどを行いながら、政府全体として計画的に取り組んでまいりたいと思います。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 是非、効果的に成果が出ますよう、これは省庁横断して是非お願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いては、二問同時にお伺いしてまいりたいと思いますが、二〇二一年度から始まったシステムの移行でありますけれども、標準仕様がこの三月ででき上がりまして、移行支援が始まるわけでございますが、これに先立ち、八つの地域におきまして、ガバメントクラウドの先行事業が行われております。

 この八つの地域におけるクラウドサービス事業を行う会社、つまりは調達先が四社採択されており、四社全てがアメリカの大手ITベンダーのメガクラウドとお聞きをしており、日本のITベンダーは手を挙げていないということでございますが、原因といたしまして、日本のIT企業のグローバル競争力の低さと、また国内市場の閉鎖性などが指摘をされているところであります。

 IT人材の育成とともに、日本のIT企業の競争力強化が大きな課題であると思いますが、まずこの点の御見解を伺うとともに、先行事業を行っている八地域ですが、クラウドサービスを行う会社は四社の中、八地域とも一社が全ての事業を行っているとお聞きをしております。先行事業での検証が一社しかないと、地方公共団体がほかの三社を選ぼうとしたときに支障がないか不安になると思いますけれども、この点について問題はないかということについて、以上二点について御説明を願います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、二問いただいた一問目の回答をさせていただきます。

 ガバメントクラウドは、クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、セキュアかつコスト効率の高いシステムを構築をし、利用者にとって利便性の高いサービスを提供するため、複数のクラウドサービスの利用環境として整備しているものでございます。

 その調達に当たりましては、最新かつ最高レベルの技術及び情報セキュリティーを確保するため、これを実現する技術要件を始め、データ保存の安全性を確保できることや、政府情報システムのセキュリティー評価制度に登録されたサービスであることなどの調達要件を明示しておりまして、この要件を満たす事業者であれば、国内企業であれ外国企業であれ御参加をいただけるものでございます。

 委員御指摘のとおり、国内企業の国際競争力強化は重要でございまして、クラウド分野などの先端的な重要技術の育成の観点等から、経済産業省などの関係省庁とも連携をいたしまして、技術開発支援などを通じて企業の健全な育成を図ってまいりたいと考えております。

楠政府参考人 後段の質問についてお答え申し上げます。

 地方自治体が安心してガバメントクラウドを利用できるようにするため、令和三年度及び令和四年度において八件十一団体を採択し、先行事業を実施しているところ、委員御指摘のとおり、いずれもAWSを選択し、検証を行っているところでございます。

 先行事業においては、これまで地方自治体の庁舎やデータセンター等に設置されていた現行の基幹業務システムを、ガバメントクラウドのテスト環境で当該システムが問題なく稼働できることに加えて、セキュリティー、可用性、性能・拡張性、移行性、運用・保守性などの要件を満たしていること、投資対効果を検証しているというところでございます。

 ガバメントクラウドは、その調達時の要件といたしまして、基本技術や標準価格等を公開することとしていることから、今般の先行事業における検証内容につきましては、ほかの三社におけるシステム構成や価格面での参考にもなるというふうに承知をしております。

 検証内容は公表するとともに、さらに、地方自治体における検討に資するよう、デジタル庁において検証を踏まえた地方自治体における利用マニュアルや推奨するシステム構成等の情報を整理し、提供することによってシステム構築に係るコストを削減することとしており、AWSのみならず、全てのガバメントクラウドのサービス事業者について整理、提供する予定としております。

 引き続き、地方公共団体が安心してガバメントクラウドを利用できるよう、御意見をしっかりと聞きながら、統一、標準化を進めてまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 大小様々な自治体から共通して心配される声の一つに、ガバメントクラウド移行後にどのぐらい運用経費がかかるかという点があります。移行費用につきましては国が出し、移行後に、運用経費は二〇一八年度比で少なくとも三割の削減を目指すとなっております。

 ガバメントクラウドへの移行の目的の一つであります業務全体のコストを下げるという部分では、この先行事業においてどのような結果となり、見通しとしてはどのようになるのか、お伺いしたいと思います。

楠政府参考人 では、お答え申し上げます。

 昨年十月に閣議決定した地方公共団体情報システム標準化基本方針におきまして、標準準拠システムへの移行後に、運用経費等は、二〇一八年度、平成三十年度比で少なくとも三割の削減を目指すということといたしております。

 投資対効果を検証するガバメントクラウド先行事業の中間報告では、ランニングコストについて八件中五件が削減が見込まれるとしている一方で、三件につきましてはコストが増加するというふうに分析をしております。

 コスト増加となった三件につきまして、中間報告はあくまで現行システムをそのままガバメントクラウドに移行した場合の試算であり、既に複数団体でシステムを共同利用している場合、試算においては単独のシステム構築、運用としていることや、既存の回線に加えてガバメントクラウドの接続回線を新設すること等によるコスト増になるというふうに分析をしております。

 今後、運用経費等の三割削減の目標達成に向けては、クラウド化によるコスト削減に加えて、技術的に推奨されるシステム構成によるコストの抑制、複数団体によるシステムの共同利用や、従来個別に構築してきた自治体共通のアプリケーションの提供による運用コストの抑制等によってコスト削減を進めていく必要があるというふうに考えております。

中川(宏)委員 このガバメントクラウドへの移行についてでありますが、当初は、二〇二五年度までに移行が終わらないと移行費の補助が受けられないとしておりましたけれども、地方公共団体のそれぞれの実情を見てみますと、全ての地方公共団体が二〇二五年度までに移行するのは難しいと判断をされるかと思います。

 地方の実情などを踏まえまして、柔軟な対応を是非していただきたいと思いますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月に閣議決定をした標準化基本方針におきまして、地方自治体の基幹業務システムについて、二〇二五年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すこととしております。

 地方自治体からは、統一、標準化の取組に関しまして様々な御意見をお寄せいただいているところ、総務省とも連携をして移行スケジュールや課題について調査を行っており、現在、各自治体の課題を個別に把握をして、解決に向けて取り組むべく対話や分析を行っておるところでございます。

 統一、標準化の取組は、地方自治体の情報システムに係る人的、財政的負担を軽減し、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにするほか、国、地方のシステムがガバメントクラウド上に構築されることで、より円滑な連携や効率化が可能となり、新たな施策に対応したアプリケーションの構築や全国的な展開の迅速化を図れるものというふうに認識をしております。

 引き続き、総務省ともよく連携をした上で、都道府県の協力も得て、地方自治体等の御意見をしっかりと聞きながら、閣議決定された標準化基本方針に基づきまして着実に取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 今の課題を様々に検証しながら、全ての自治体がしっかり移行できるように、是非とも対策をお願いしたいと思います。

 幾つか質問が残っておりますが、最後の一問になろうかと思いますけれども、5Gの環境整備であります。

 行政のデジタル化によりまして、オンライン化による行政手続などの利便性の向上も大事な観点でありまして、そこで課題となるのがネット環境であります。現状、地方におきましてはインフラ整備が遅れておりまして、デジタル田園都市国家構想の実現のためにはデジタル基盤の整備が不可欠の前提であると思います。

 政府では、二〇二七年度末までに光ファイバーの世帯カバー率を九九・九%に、また、二〇三〇年度末までに5Gの人口カバー率をそれぞれ九九%にすることが目標に挙げられておりますけれども、現在の進捗率と見えている課題についてお伺いしたいと思います。

豊嶋政府参考人 お答えいたします。

 まず、デジタル基盤の整備状況についてでございますが、令和三年度末におきまして、光ファイバーの世帯カバー率は約九九・七%、5Gの人口カバー率は約九三・二%となっております。

 他方で、特に過疎地や離島、山間部など地理的に条件が不利な地域での整備が遅れておりまして、総務省としては、このような条件不利地域における整備を加速させ、デジタル環境における地域間の格差をなくすことが重要であると考えております。

 このため、条件不利地域での整備につきまして、補助金による支援を行うとともに、自治体や通信事業者などで構成される地域協議会を開催し、個々の地域の実情を踏まえた整備を進めております。

 引き続き、地域の声を丁寧に伺いながら、国民の誰もがデジタル化の恩恵を実感できる社会の実現に向け、取り組んでまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 時間が参りましたので終わりにしたいと思いますが、全国の全ての地域がデジタルの恩恵が受けられるよう、また特段の対応をお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、末次精一君。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、地域活性化につきまして議論を進めてまいります前に、まず、これまでの政府の近年の地域振興の取組の評価を伺いたいと思います。

 政府は、平成二十六年十一月に成立したまち・ひと・しごと創生法に基づいて、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、地方創生の取組を推進してまいられました。令和三年においては、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一を策定するなどの取組を行ってこられましたが、これらの取組によって地方の暮らしがどう変わって、その成果をどのように考えているか、具体的な評価をお示しいただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 地方創生に向けた取組を進めてまいりました。この結果、地方創生関係交付金の活用などを通じて、地域の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進されたことで、地域の魅力向上、にぎわいの創出、また、地域における雇用の創出、経済活性化にもつながっているところであると思います。

 例えば、一つ例を挙げますと、鳥取県の大山町というところ、ここは、交付金を活用して、参道の中央にあった、シャッターを下ろした店舗を解体撤去をして、複合商業施設を新設することで、参道の景観改善やにぎわい復活、雇用創出につながった、こういう事例もございます。

 こうした例は全国各地にあるわけでありますけれども、制度的なことを申し上げますと、地方への資金の流れの創出、拡大の観点から、一千団体以上の地方公共団体において企業版ふるさと納税が活用されたこと、また、地方への人や企業の流れの観点から、地方創生移住支援事業を活用して、東京圏からの移住促進に約一千三百市町村が取り組んだこと、また、地方拠点強化税制などの活用を通じた地方への企業の移転推進の取組等によって、民間の調査結果によりますと、二〇二一年には首都圏の企業転入転出動向が十一年ぶりに転出超過となった、つまり首都圏から地方に移る会社の方がやや大きくなった、そういう一定の成果を上げてきたものと考えております。

 更に大きく言えば、東京圏の転入超過数は、二〇一九年に約十四・六万人だったものが二〇二二年には約九・四万人と、三年間で約五・二万人、東京圏に入ってくる転入超過が減少をしたところであります。

 ただし、これはコロナの影響というものを考えなければならないと思っていまして、直近、東京や東京圏への転入超過がまた頭をもたげている状況でありますが、こうしたことを考えても、地方への人の流れの拡大に向けたこれまでの様々な取組は一定の成果を上げてきたものと考えております。

末次委員 ありがとうございます。

 今、様々、成功事例を挙げていただきました。しかしながら、その一方で、そもそも、地域創生、地域活性化に向けた取組の所期の目的というものは、これは二〇二二年国土交通白書にもありますが、「少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、」とあります。私は、そういう視点からすると、これまでの取組がこの所期の目的をどこまで達成したのかと、甚だ疑問に思うわけであります。その一方で、政府はデジタル田園都市国家構想の具体化を進めておられます。

 そこで、お伺いいたします。

 このデジタル田園都市国家構想の具体化によって、では、今後、地方の暮らしがどのように変わっていくのか、地方の未来像について、具体的な青写真をお示ししていただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 地方においては、人口減少や高齢化などによる影響とともに、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などによって、経済的、社会的に大きな影響を受けているところであります。

 こうした中で、地方における仕事づくりや地方への人の流れの創出を進めることによって魅力的な地域をつくることで、東京圏への過度の一極集中の是正を図り、地方の活力を高めていくことが重要だと考えております。

 また、デジタル技術が劇的に進化をいたしまして、今や、地方においても都市と遜色のない暮らしができる時代になりつつあると考えております。今こそ、デジタルの力も活用しながら、地域社会の生産性や利便性を飛躍的に高め、産業や生活の質を大きく向上させて、地域の魅力を高めるチャンスであると認識しております。

 コロナというものもございました。それで、コロナは大変なピンチでありましたけれども、これも、地方への関心を、そして、地方に移ってゆとりのある生活を営みたい、そういう気持ちを高めた一面もあるのではないかと思っております。

 こうした中で、デジタルの力を活用することによって、地方の社会課題を成長の原動力として、テレワークや転職なき移住の推進など、地方に住み、働きながら、都会に匹敵する情報やサービスを利用することが可能となることを通じて、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会、こうした社会の実現を目指してまいりたいと存じます。

末次委員 ありがとうございます。

 今、未来像についてお示しいただきました。

 デジタル田園都市国家構想が掲げる、これまでの地方創生の取組に、デジタルの力を活用して加速させ、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すという趣旨は理解しております。

 しかしながら、私も、地方選出の国会議員の一人として、また地域裨益型事業の創出と人材育成を政策に掲げ取り組んでいる一人として、全国各地の地域活性化に取り組む若者や地元経済を担っている企業及び人材と昨年より意見交換を重ねてまいりましたが、本構想を実現に導く、そのポイントがずれているようにしか思えません。

 最も重要なポイントは、地域をデジタル化する、すなわち地域にデジタルを導入することよりも、その地域にどれだけデジタルを使いこなすノウハウがあるのかという点であると考えます。ところが、本構想実現の一環として示されている国の重要施策はデジタルの力や可能性そのものであり、その力や可能性を地域がどう活用、運用するのか、あるいは、活用、運用した結果、どこまでその地域の課題が解決するのかといった効果が、定量的にも定性的にもほとんど見えません。

 そこで、地方にデジタルを導入すれば、地域課題の、ひいては社会課題の解決につながるという皮算用ではなく、より現実的に、デジタル化に対応し得る地方をいかにつくるかという点につきまして、大臣のお考えを示していただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 ただいまの委員の御指摘は大変大事なところだと考えておりまして、デジタル化に対応できるような地方をいかにつくり上げていくか、このことにデジタル田園都市国家構想の成否というものは懸かっているというふうに存じます。

 そのために、この総合戦略において、デジタル社会の推進に必要なデジタル推進人材の人数を三百三十万人と推定しまして、現在の情報処理・通信技術者の人数である約百万人との差である二百三十万人の新たな人材を育成するという目標を掲げて人材育成に取り組み、そして、そのような方々が、地方にいかに、誰一人取り残さないという精神の下に、生活者の方々あるいは事業者の方々に寄り添うというか、あるいは、共に走る伴走型の、そうした支援というものを行っていくことによってデジタルに対応できる地域をつくる、このことが最も肝要なことと考えております。

末次委員 ありがとうございます。

 ということであるならば、地方のデジタル化を支援する基礎条件として今挙げられました、デジタル基盤整備、デジタル人材の育成、確保、誰一人取り残されないための取組の三つのうち、明らかに、誰一人取り残されないための取組に具体案が欠けているのはなぜでしょう。明らかに、本構想は、導入する側の視点が強く、導入される側の視点を欠いております。

 私はそのことを批判したいのではありません。まさに、誰一人取り残されないための取組、すなわちデジタル化に対応し得る地方をいかにつくるかという視点に具体性が欠けているところが、本構想の穴であり、課題であると言いたいのであります。

 そのことに関連しまして、人材の育成、確保という条件につきましても、なぜ、その育成、確保される人材の対象が、専門的なデジタル知識、能力を有し、デジタル実装による地域の課題解決を牽引するデジタル推進人材のみなのでしょうか。特定の人材、しかも外部の人材が、特定の目的のために、特定の期間、その地域の課題解決を牽引しても、なかなかうまくいかない、定着しづらいという苦い経験を、これまでの地方創生のやり方の中でさんざんしてまいりました。デジタルを導入するのも人材なら、デジタルを活用するのも人材であります。

 地域でデジタルを活用できる人材が誰一人取り残されず育成されるという視点についてはどのような対応策が検討されているのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。

内田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま先生御指摘の人材の具体策ということでございますが、先ほど大臣から御答弁申しましたとおり、まず、デジタル推進人材、地方のDXを牽引する人材を二百三十万人育成する、これと併せまして、例えば、高齢者の方々ですとか障害者の方、こういったデジタルの活用に不安を覚えている方々、こういう方がデジタル化の恩恵から取り残されないように、ただいま、デジタル庁におきまして、デジタル推進委員、そういう方々に、例えば公民館で御高齢の方にスマホの使い方を教える方ですとか、そういった方を今二万人強御用意をしてございます。

 こういった推進委員の方々を、二〇二七年度までに五万人、また、全国に配置することとしておりまして、こういうようなデジタル推進委員の津々浦々の活動を通じまして、誰一人取り残されない社会というものをつくっていきたいというふうに考えております。

末次委員 ありがとうございます。

 実現可能性のより高い構想とするために、是非、誰一人取り残されないデジタル社会に向けた具体的な検討を進めていただきたく思います。

 本構想を成功に導くには、地方というポテンシャルを活用する場合の共通条件であるデジタル化にひもづく事業や雇用を地域裨益型の事業や雇用として成立させられるか否かという視点が必要不可欠であると考えます。

 地域にとっての裨益とは、お金ではなく、人材も含みます。その地域で活動する若手人材といわゆるブティック系コンサルがうまく組み合わさり、軸となる企業と連携して、デジタルを使い尽くす必要があります。このとき、コンサルとは、大手ではなく、小規模で、広範な分野に全国的な事例を多数持っている伴走型コンサルである必要がありますし、軸となる企業やメーカーは、情報通信系のみでは足りず、生活産業系、すなわち流通系や交通、鉄道系が参画していることが重要なポイントとなります。これらステークホルダーが連携することで、地域そのものと人材のエンパワーに対する貢献に結果としてどれだけお金が流れるかが本構想の核となるのではないかと思います。

 つまり、本構想の中心は、デジタル系人材ではなく、地域の中でデジタル系をうまく活用するノウハウを持っている人材でなくてはならないのではないかということです。

 この点について、具体的な計画がございましたらお聞かせいただきたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、今、我々のデジタル田園都市総合戦略におきましては、地方に仕事をつくるということを柱の一つとして掲げておりまして、特にスタートアップ、実際に社会課題を解決するために、鋭意いろいろな、官民連携の下で、新たな技術を育てるベンチャー投資や、地域の課題を解決する、そういった施策でスタートアップが育ちやすい環境整備というのの整備に取り組んでまいります。

 具体的には、大学ですとか高等専門学校、あるいは地域の産学官、こういった幅広い主体によるプラットフォームというのを形成をしまして、我々、そういった社会課題を解決するために、スタートアップや中小企業等の取組促進、定着が見られる地域というのを、現在、全国で百四十四地域ございますが、今、こういった地域を二〇二七年度までに九百地域つくることをKPIとして掲げていまして、そういう地方発のスタートアップということにもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

末次委員 ありがとうございます。

 本構想は、大臣所信でも述べておられましたとおり、これから一層強く推進されていくものであります。

 私は、地元長崎のみでなく、全国各地の、デジタルの導入は余り進んでいないけれどもデジタルを使い尽くす条件は整っている条件整備事例の現場に足を運び、情報共有をしております。

 本構想の成功事例は、まだまだ絵に描いた餅の段階が大半であることからも、全国各地の条件整備事例をどれだけ成功事例につなげられるか、そのための後押しを国としても考えていかなければならないのではないかと思っておりますが、その点について、大臣のお考えをお示しいただければと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど来委員から大変有益な御教示を賜りまして、例えば、地域に裨益する、そうした企業を支援する人材、あるいは伴走型の人材でなければいけない、また、やはり条件整備事例、今一生懸命そうした条件整備に努めているわけでありますけれども、それを、一つ一つ実を結んで、成功事例につなげていくためには、これから、今後一層の努力が必要であろうと思います。

 そうした意味でも、デジタルを活用するということはもちろんでありますけれども、やはり、地域をいかに、地元の方々の創意工夫、これに基づいて、そして、我々、国、あるいは自治体、それから金融機関といったところが一体となってそのお支えをして、お手伝いをしていく、こういう気持ちが何よりも大切であろうというふうに思いまして、今日の質疑を通じましても有益な御教示をいただいたことをしっかりと胸に刻んで取り組んでまいりたい、このように考えております。

末次委員 ありがとうございます。

 本構想が、日本のこれからを担う若年層の収入の場の確保につながり、同時に、地域高校の活性化や濃密な関係人口の創出を生むことで、地方のポテンシャルを将来に向けてより一層高めるものになることを願い、また、地域創生、地域活性化に向けた取組の所期の目的を達成することを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめでございます。

 地域活性化に資するだけでなく、子供に優しく環境によい、持続可能な農業についてお聞きします。

 一点目に、農業基本法におけるみどり戦略の位置づけについてです。

 現在、農政の基本理念や政策の方向性を示す食料・農業・農村基本法の見直しに向けた議論が行われています。この背景には、基本法が、制定からおよそ二十年がたち、農業を取り巻く環境が大きく変わっているという状況があると聞いています。

 例えば、世界的には、EUが二〇二〇年に策定したファーム・トゥー・フォーク、農場から食卓まで戦略に基づき、欧州諸国は、二〇五〇年までに気候中立、温室効果ガスの排出ゼロを達成すべく、既に地産地消、有機農産物の拡大や食品ロスの削減など、持続可能な食料供給に向け歩み始めています。

 御案内のように、我が国においても、EUの一年遅れではありますが、方向性を同じくするみどりの食料システム戦略が一昨年五月に策定され、昨年四月にみどりの食料システム法が成立し、同年七月一日に施行されました。

 このように、我が国も、有機農業へと大きく舵を切った、農政の大転換を打ち出したからには、当然、改正農業基本法の主要施策の柱にみどりの食料システム戦略を位置づけ、更に強力に進めていただけるものと期待しておりますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省は、持続可能な食料システムを構築するため、食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための政策方針でありますみどりの食料システム戦略を令和三年五月に策定したところでございます。

 御質問の基本法でございますが、現在、食料・農業・農村基本法の検証、見直しに向けた検討を進めるため、食料・農業・農村政策審議会の基本法検証部会におきまして議論が行われてございます。委員御指摘の、みどりの食料システム戦略を含めた持続可能な農業の確立につきましても、本年、令和五年一月の検証部会の検討テーマとされたところでございます。

 引き続き検証を進め、国民的コンセンサスを形成しながら、六月を目途に政策の新たな展開方向を取りまとめてまいります。

堤委員 生物多様性を守るため、気候変動による災害リスクを減らすため、子供たちの未来のため、みどりの食料システム戦略は大変大切です。基本法の中に重きを置いて位置づけていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

 二点目に、食料自給率の数値目標についてです。

 政府は、二〇〇五年までに、カロリーベースの食料自給率を四五%にするという目標を掲げていました。しかし、この目標も、その後の二〇一〇年、二〇一五年、二〇二〇年の目標も達成されませんでした。何とこれまで既に四回も目標が達成できなかったわけです。二十年近く、多少の増減はありますが、四〇%に届かない低い値のままなんです。このままでは、二〇三〇年、七年後に四五%という目標も本当に達成できるのか心配です。スローガン、意気込みだけでは達成できません。

 二〇三〇年までに食料自給率四五%の目標、二〇三〇・四五を達成するには、もっと強力に、もっと具体的に進める必要があると考えますが、今度こそは、確実に、必ず目標を達成できるのか、お聞きします。(発言する者あり)

 済みません、私語はちょっと慎んでいただけませんでしょうか、与党の皆さん。出席も少ないし、ちょっと緊張感が足りないのではないかと思います。

 また、もし四五%を達成できたとしても、依然として先進国の中で最低レベルであることに変わりはありません。立憲民主党は食料自給率五〇%を掲げています。食料安全保障の重要性が再認識されている中、せめて五〇%に目標を引き上げるべきかと考えますが、こちらについても御見解をお願いいたします。

前島政府参考人 お答えいたします。

 現行の基本計画における食料自給率目標の設定に当たりましては、食料・農業・農村政策審議会におきまして、目標に到達するために必要な要因を検証した上で、品目ごとに消費面と生産面で克服すべき課題を具体的に明記し、令和十二年度の食料自給率目標を設定したところでございます。

 食料自給率の向上のためには、輸入依存度の高い作物の国産化が重要でございます。例えば麦、大豆につきましては、湿害や連作障害等により単収が伸び悩んでおります。克服すべき課題といたしまして、作付の団地化や排水対策の更なる強化などによる生産向上を現行の基本計画に明記しているところでございます。こうした課題に対応するため、麦、大豆の増産に取り組む産地の作付の団地化や排水対策技術の導入の支援を盛り込んでいるところでございます。

 このような取組を進めてきた中で、小麦につきましては、平成三十年度の七十六万トンの生産量が令和三年度には百十万トンに増加し、大豆につきましては、平成三十年度の二十一万トンの生産量が令和三年度には二十五万トンに増加しているところでございます。

 今後とも、小麦、大豆、加工・業務野菜、飼料作物などの海外依存の高い品目の生産拡大を着実に実施し、食料自給率の目標達成に向けて取り組んでまいります。

 続きまして、食料自給率を五〇%に目標をすべきではないかという御指摘についてでございます。

 食料自給率目標は、国内の農業生産と食料消費に関する指針として定めるものでございます。将来の農業生産や食料消費の動向を品目ごとに適切に見通して定める必要がございます。

 平成二十二年の食料・農業・農村基本計画では、カロリーベース五〇%、生産額ベース七〇%という食料自給率目標を掲げておりました。平成二十六年の食料・農業・農村政策審議会におきまして、減少が続く米の消費が五%以上の増加に転じること、二毛作可能な全ての水田で小麦等を生産することなど、現実に見合わない品目別の需要量、生産量の見通しに基づいており、適切ではない旨の分析が示されております。

 こうした検証を踏まえまして、現行の基本計画におきましては、食料自給率の目標を、カロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%と定めているところでございまして、まずはこの目標の達成に向け取り組むこととしているところでございます。その上で、更に高い目標の設定につきましては、現行の目標を達成した段階で検討することが適切と考えております。

堤委員 国の目標が何度も繰り返し達成できなければ、オオカミ少年ではありませんが、誰も国を信じなくなってしまいます。全国の市町村だって、政府目標を本気で達成しようと努力しなくなってしまうのではないでしょうか。政府目標がこれ以上軽んじられないためにも、今度こそ成し遂げていただきますよう要望しておきます。

 三点目に、有機、オーガニック給食の数値目標の設定についてです。

 みどり戦略では、食料自給率よりも意欲的、野心的な目標を掲げています。二〇五〇年までに、耕地面積に占める有機農業の取組面積を二五%、百万ヘクタールに拡大、農薬の使用量をリスク換算で五〇%低減、化学肥料の使用量を三〇%低減などです。

 諸外国と比べて農薬や化学肥料の使用が多い日本が、EUよりかなり低い目標とはいえ、世界の流れに対応していく姿勢を示したことは高く評価したいと思います。日本の未来、地球の未来のためには、これほど大事な目標値はないと思っています。これを現実離れした夢物語で終わらせてはならない、何としても確実にこれらの数値目標を達成していただきたいと強く思っています。

 さて、昨年四月二十八日に地方創生に関する特別委員会で質疑に立たせていただいた際にも申し上げましたが、有機農作物の消費の拡大で鍵となるのは給食であるということです。

 諸外国では、学校給食を始め、保育所や幼稚園、福祉施設や病院など、公共性の高い施設において提供されている給食、これらの公共食に有機農産物の導入を義務づけ、そして数値目標を設定することで大きな成果を上げています。

 資料一を御覧になっていただければと思います。学校給食における有機食材使用割合についての目標等でございます。諸外国においては、国会図書館に調べていただいた限りでございますが、もっとたくさんあると思うんですけれども、このようになっております。

 例えば、フランスでは、現大統領のマクロン氏が、選挙公約で公共調達の食材の中に有機食材を二〇%入れると掲げ、この公約をまさに実行に移されたわけです。学校給食だけでなく、何と刑務所の食事も含めた公共食の全てにオーガニックの食材を調達価格の二〇%まで入れることを義務化する法律が二〇一八年に定められ、二〇二二年一月に施行されました。さらに、昨年五月には、パリ市議会において、学校給食を二〇二七年から一〇〇%オーガニックに移行することが決議されたとのことです。新規就農を目指す人も、給食に納められるなら安定した収入になると家族も有機農家になることを応援してくれると、給食に後押しされる形で有機農家が増えていっているという状況だそうです。

 後述いたしますように、学校の栄養教諭の役割も重要です。栄養教諭などとも連携して地場産や有機の農作物への理解を深めることで、成人してからの購買行動も変わってまいります。

 我が国では、有機野菜を安定的に供給する体制が整っていない地域があるなど、まだまだ課題が多いことは重々承知しております。当面の間は低い数値であっても仕方がないと思いますが、学校給食における有機農作物の比率の数値目標を設定し、これも段階的に引き上げていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 委員から御紹介があったとおり、海外においては、数値目標を定めた上で有機給食の普及を推進している国があるほか、地方自治体レベルで定めているところもあると承知しております。

 一方で、我が国では、有機農業に積極的な市町村を中心に有機給食の取組事例が見られ始めている状況でございます。

 農林水産省としては、地域ぐるみで生産から消費まで有機農業に取り組む先進的な市町村、これをオーガニックビレッジと呼んで推進をしているところでございます。この中で有機給食の取組についても支援をしているところでございます。

 有機給食の目標でございますが、考えるに当たっては、まずはこうした取組を通じて実際の事例を一定程度創出することが今は重要だというふうに考えております。

 農林水産省としては、オーガニックビレッジを二〇二五年までに百地区、そして二〇三〇年までに二百地区創出することとしております。まずは、こうした目標に向けて取組を進めた上で、現場の課題やニーズをよく検証、そして把握をしてまいりたいと考えております。

堤委員 期待しております。よろしくお願いします。

 四点目に、有機農家や有機給食へのインセンティブについてです。

 昨今の世界情勢の変化によって、化学肥料、農薬、燃料や資材の高騰などもあり、地元の自然由来の堆肥を使う有機農業は相対的に安価となる可能性があり、大きなチャンスを迎えていると思います。

 果樹園や街路樹などの剪定した枝を炭にして使うことで土壌の炭素量を増やし土壌を改良する取組、4パーミルイニシアチブにつきましては、昨年十月に環境委員会で提案させていただきました。ほかにも、河川敷や公園などに生える草、エノキやシメジなどのキノコ類を収穫した後の廃菌床、この廃菌床は、微生物の活動も促進し、土壌改良にすこぶる効果的だそうです。このような自然由来のものは、ほぼ無料、ほとんど費用がかかりません。今こそ有機農家や有機給食に対しインセンティブを大胆に与えていただき、強力に推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、有機農業者に対する支援として、環境保全型農業直接支払交付金により、有機農業の取組による営農活動のかかり増し経費を支援、これは十アール当たり一万二千円といった支援をしているほか、令和四年度の補正予算では、新たに有機農業に取り組む農業者に対して、土づくりなど初年度に要する取組への支援として、十アール当たり二万円といった支援を開始したところでございます。

 また、有機農業指導員などによる栽培技術の指導でありますとか、今御紹介がありました、例えば有機物を堆肥化する施設の整備、さらには、生産者や小売業者のマッチング、販路の確保など様々な支援を行っておりまして、農業者が有機農業に取り組みやすくなる環境づくりを進めているところでございます。

 さらに、有機農産物の学校給食への利用については、先ほど御答弁させていただいたとおりですが、地域ぐるみで有機農業に取り組む市町村、オーガニックビレッジへの支援の中で、地域の有機農業者と給食関係者などの連携であるとか、有機農産物を実際に給食に導入する、こういったことへの支援なども行っているところでございます。

堤委員 安岡審議官、ありがとうございます。

 確かに、地方でも、首長が非常に有機農業、有機給食に積極的なところでは進んでいると思います。しかし、そうでない首長さんも、インセンティブがたくさんあればやってみようという気持ちになると思いますので、もっと十分インセンティブをよろしくお願いしたいと思っております。

 それでは五点目に、子供の貧困対策としての給食の意義と無償化、有機化についてお聞きします。

 十年ほど前だったかと思います。学校の先生から、夏休みや冬休みなどの長期休暇の後、痩せ細って学校に登校してくる子供がいると聞きまして、ショックを受けました。困窮家庭の子供たちにとって、学校給食はまさに主要な栄養摂取源となっています。

 我が党は、公立小中学校の給食無償化に最優先で取り組むべきだと強く訴えてまいりました。先週、三月十日にも、衆議院文部科学委員会にて我が党の菊田真紀子議員が、給食の年間負担額は、小学校で平均四万九千円、中学校で平均約五万六千円です、物価高で苦しむ家計において非常に重い、大きな負担だと思います、物価高が続く今だからこそ、是非政府として実現していただきたいとただしましたが、永岡文部科学大臣のお答えは、設置者である自治体において適切に御判断いただけるものと考えておりますと、氷どころか氷山のように冷たい答弁しかいただけませんでした。

 資料二を御覧ください。これは本年二月二十二日の日本農業新聞の一面でございます。学校無償化、自治体三割という大きな見出しでございます。国民の思い、我が党の訴えに耳をかすことなく、政府は全く動こうとしませんので、地方自治体が独自に頑張って給食費を無償化している事例が増え、既に三割にも達しています。下線部にありますように、「財政事情による自治体間格差が広がれば、住む場所を選べない子どもの食べる平等が損われかねない。費用負担の在り方を考え直すべき時が来ている」との指摘は、子供の人権という点からも、行政サービスの公平性という点からも無視できません。

 さきに御紹介したフランスでは、給食の有機化と無償化とをセットで公約に掲げた候補者が軒並み当選するという状況になっているそうです。

 今、世界的にも、我が国でも、給食の意義、重要性に注目が集まっていますが、改めて大臣の認識をお聞かせください。あわせて、給食の無償化は、もはや普通の次元です。三割の地方自治体ができているのですから、重要だと思って取り組んでいるのですから、国が取り組まないというのはおかしい話です。

 給食無償化は少子化対策でもあります。異次元の少子化対策と言うのであれば、無償化はもちろん、有機化にも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 学校給食につきましては文科省の所掌でございますが、その上で申し上げれば、学校給食費の無償化については、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえ、設置者である自治体において御判断されるものと承知をしております。

 また、現在、学校給食費については、経済状況が厳しい保護者に対して、生活保護による教育扶助や就学援助を通じて支援されているものと承知をしております。

 さらに、現下の物価高騰に対しましては、政府において地方創生臨時交付金の活用を促し、九九%の自治体において値上げが抑制され、保護者の負担軽減が進んでいると承知をしております。委員に御紹介をいただいた記事の中にも、無償化した市町村四百五十一のうち六割近い二百六十三の自治体におきまして、今私が申し上げた臨時交付金を活用して無償化をし、食材費の価格高騰分も補填をしている、こう書かれているところであります。

 なお、有機農産物の学校給食での利用につきましては、これも農水省の所掌ではありますが、先ほどの答弁にもありましたように、農水省において、有機給食の取組も含め、有機農業を地域ぐるみで推進する先進的な市町村の取組の横展開が進められているもの、こう承知しております。

堤委員 今御答弁にありましたように、せっかく無償化した市区町村の中には、国の交付期限の四月以降、無償化を続けられないところが出てくるという危機的状況にあるということです。この際、全国一律に無償化し、さらには有機化を目指していただきたいと強く要望しておきます。

 次に、学校における食育の推進についてお聞きします。

 一点目に、栄養教諭の役割の重要性についてです。

 世界で肥満の子供が、数十年、増加し続けています。世界保健機構、WHOは小児肥満を二十一世紀の最も深刻な公衆衛生の課題の一つとして挙げており、これまでの研究で、小児肥満は成人してからの死亡率の上昇と関連があることが示されています。本年二月には、スウェーデンのカロリンスカ研究所、私も短期間ですが研究員をさせていただいておりました、こちらが、肥満の子供は、そうでない子供に比べ、成人してからの初期の死亡リスクが三倍高く、不安やうつ病になりやすいという研究結果を公表いたしました。

 食育の目的は、適切に食を選択し、健全で健康な食生活を送ることができる人間を育てることにあり、子供の肥満の予防という点からも重要かと思います。もちろん、もっと幅広い意義を持つものかと思いますが、学校における食育と栄養教諭の役割の重要性についてお聞かせください。

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 子供たちに対し、食に関する正しい理解や適切な判断力、望ましい食習慣を身につけさせるよう学校において食育を推進することは非常に重要です。

 栄養教諭は、学校給食の管理のほか、各教科における食に関する指導や、その専門性を生かし、食物アレルギーや肥満、痩せなど、食に関する健康課題を持つ子供への個別指導を行うなど、食育を推進する上で重要な役割を果たしております。

 このため、文部科学省におきましては、学校における食育の充実に向けて、指導の手引や食育教材等を作成するとともに、栄養教諭の資質、能力の向上に取組をしているところです。

堤委員 栄養教諭の重要性について十分認識していただいているということが分かりました。

 二点目に、栄養教職員の配置の拡充についてです。

 食育における栄養教諭の役割がますます重要になっているというだけでなく、アレルギー対応の仕事も増えてきています。

 資料三を御覧ください。「増える子どもの食物アレルギー」という新聞の記事でございます。食物アレルギーを持つ子供は増加傾向にありまして、食物アレルギーのある子供の割合は、二〇一三年度、十年前の調査では、全体の四・五%、四十人学級におよそ二人でした。現在はもっと増えている可能性があります。

 原因となる食物は、牛乳、鶏卵、小麦、落花生、木の実類、甲殻類、大豆、そば、果実類、魚類など多品目にわたっています。アレルギー原因物質の除去食を作るには、調理器具も全て別にしなければなりません。栄養教職員は、除去食を作るための複雑な工程を作成し、調理員の方々に指示しなければなりません。アレルギーの子供が増えれば、栄養教職員も調理員も仕事の量は大きく増えることになります。

 また、障害を持つ子供など、飲み込みやすいように軟らかくしたり、小さく刻んだりという対応が必要な子供も増えてきています。

 しかしながら、栄養教職員の定数の算定方法は、二〇〇一年から現在まで、およそ二十年据え置かれたまま変わっていません。

 資料四、栄養教諭等の教職員定数の算定を御覧ください。例えば、真ん中のところですが、共同調理場、いわゆるセンター方式ですね、この場合、六千一食以上の給食を作るセンターに三人の栄養教職員の配置となっておりますが、最近では一万食を超えるような大規模なセンターも出てきており、それでも三人しか配置されないというのは余りにも酷だと思います。

 給食センターで働く栄養教諭は、学校給食の管理に加え、配送先の複数の学校の全ての学級の食育も担当することになります。

 そこで、例えば一万食を作る給食センターに勤務する三人の栄養教諭は一人当たり何学級担当することになるのか、教えてください。

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 共同調理場に係る栄養教諭等の定数につきましては、義務標準法に基づき、当該共同調理場が給食調理を受け持つ小中学校等の児童生徒数に応じて算定されます。例えば一万食を調理する共同調理場につきましては、三人の栄養教諭等の定数が算定されることとなります。

 なお、共同調理場が受け持つ学校における各学級の人数はまちまちであるため、栄養教諭が一人当たり何学級を担当するのかというお尋ねにつきましては一概にお答えすることが困難であるというふうに考えております。

堤委員 平均で結構ですので、お答えできるかと思います、よろしくお願いします。

伊藤大臣政務官 機械的にという形での平均的な算定になりまして、そこは御承知いただければと思いますけれども、平均の学級規模から仮に今機械的に計算をした場合には、栄養教諭一人当たり約百三十学級ほどになるかというふうに考えております。

堤委員 一人当たり百三十学級ということが分かりました。これを一人が担当するのはちょっと不可能かと思います。

 そして、そこの資料四に示しましたように、最近、加配も行われております。しかし、毎年、全国でたったの十人前後しか増えていません。百三十も担当する栄養教諭がいらっしゃるというのに、全国でたった十人なんですね。加配の総数は来年度予算で四百二十二人、全国にはおよそ千六百市区町村がありますから、単純に計算いたしますと四市町村に一人の加配ということで、全く不十分です。

 アレルギー、障害への対応など、栄養教職員の役割がますます重要になる中、定数の算定方法を見直し、栄養教諭を全校に必ず一人は配置すべきと考えますが、御所見をお聞きします。

 あわせて、本来栄養教諭の業務ではない発注などの仕事をさせられているため、本来の業務である食育になかなか携わることができない現状もあると聞いています。すぐにでも文科省から各市町村教育委員会へ通知を出すなどして本来業務に専念できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤大臣政務官 栄養教諭等の教職員定数につきましては、これまでも配置基準の引下げを行うなど計画的に改善を図ってきたほか、近年では、児童生徒に対する食の指導の充実が求められていることを踏まえ、加配定数措置も行っているところです。

 令和五年度予算案におきましてもこうした加配定数の改善を図ったところであり、引き続き、栄養教諭等の定数の改善に取り組むとともに、都道府県等に対し、学校栄養職員から栄養教諭への任用替えの促進を働きかけてまいります。

 また、令和五年一月の有識者会議の議論の取りまとめでは、栄養教諭に求められる役割を各教育委員会の学校管理規則において明確化をする必要性が示されたところでもあります。

 文部科学省におきましても、様々な機会を通じて周知を行い、各教育委員会の取組を促してまいります。

堤委員 時間が迫ってきましたので、ちょっとはしょりますが、三点目に、今お答えいただきました栄養教諭の任用替えの促進のため、栄養教諭資格取得の支援についてです。

 二〇〇五年度より、食育の推進を目的として栄養教諭制度が開始されました。それから二十数年がたち、さきに述べましたように、お答えもいただきましたが、栄養教諭の役割はますます高まっています。

 栄養教諭は、子供たち全体に対する食育だけでなく、偏食傾向、肥満傾向、食物アレルギーなどがある生徒一人一人に対して個別に食に関する指導やアドバイスをすることができます。しかし、残念ながら、この個別指導が、例えば、一人につき百三十学級とか、そこまで極端じゃなくても、十数校持っているという事例を聞いています。そうすると、この個別指導がほとんどできない状況にあります。栄養教諭の絶対数が足りないからです。

 資料五の、第四次食育基本計画からの抜粋を御覧いただきたいと思います。1、2、どちらにも学校栄養教職員の栄養教諭への速やかな移行が明記されています。しかしながら、教諭に移行できていない栄養職員の方々が全国で四千人弱いらっしゃるということです。

 確かに、様々な事情から、栄養教諭になることを望まない方もおられます。しかし、望んでいても、それがかなわない方も一定数おられるのも事実です。栄養教諭の免許を取得するには、大学などで免許認定講習と教職員検定を受ける必要があります。しかしながら、大学が遠過ぎる、業務が多忙で時間がないといった理由から諦めざるを得ない状況があります。

 そこで、リモートによる講習など、大学に通わずとも免許が取得できる制度や、講習を受けるための休暇制度、リスキリング休暇といった制度をつくり、基本計画に明記されているように、栄養教諭への速やかな移行を支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

橋本委員長 伊藤文部科学大臣政務官、申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

伊藤大臣政務官 はい。

 学校栄養職員の栄養教諭への移行を図ることは重要と考えております。

 教育職員免許法におきまして学校栄養職員が栄養教諭の免許状を取得するための特例を設けており、これに基づき、教育委員会が大学と連携し、希望する学校栄養職員に対し免許状取得のための講習を無償で実施している地域もあるというふうに承知をしております。

 引き続き、栄養教諭の役割の重要性につき教育委員会等に対して周知をするとともに、学校栄養職員の栄養教諭への移行に向けた各地域における取組事例を紹介すること等を通じ、栄養教諭の配置促進に努めてまいります。

堤委員 紹介するだけでなくて、きちんと、無償化を実施している地方自治体もあるということですので、財政措置もお願いしたいと思います。

 時間ですので、私の質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫です。

 本日は、三大臣の所信についてお伺いをいたしますので、三大臣始め答弁者は簡潔に是非お答えをいただきたいと思います。

 まず、子供政策についてであります。

 岸田政権の子供、子育て政策の強化について、小倉大臣の下で、一つとして、児童手当を中心とした経済的支援の強化、あるいは、二つとして、幼児教育や保育の量、質両面からの強化と全ての家庭を対象とした支援の拡充、三点目に、働き方改革の推進とそれを支える、支援する制度の充実ということで、三つの基本的な方向について指示があったということであります。三月末、今月末をめどに、具体的にたたき台を取りまとめるようにという指示だそうでありますけれども、私は、そこで一つ、物足りないなと思っておりますのは、もちろん、一、二、三をやることは重要なことでありますが、なぜ少子化が進んだのか、どうすれば少子化が止まるのかという視点が余りにも弱過ぎるな、こう思っております。

 その一つとして、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実についてであります。

 その第一点として、労働者派遣法の改正による働き方の改革、これを最優先にして進めるべきだと考えております。

 労働者派遣法が、当初は専門職、多分十六業種だったと思いますが、それでスタートしたものが、小泉・竹中行政改革の中で一般労働者まで全て解禁されてしまいました。そのために、非正規労働者が四割弱にもなってしまった。これが、やはり今、少子化を推し進める一つの要因にもなっております。若者が、結婚したいのに経済的な理由で結婚できない人、あるいは、結婚しても子供は一人で我慢しようという人たちがたくさんいるわけであります。

 そのためには、やはり働く人が、ちゃんと社会保険料も払って、税金はもちろん、それこそ安心して働ける環境をつくらなければ、何年たっても少子化は止まりません。今の現状では、御案内のとおり、残念ながら、あと百年後、百年後じゃないですか、もう二〇二三年ですから八十年後には、今の人口、一万二千六百人弱が六千人になってしまう、そういう予測もあるわけであります。しかも、実は、非正規雇用労働者の男性の六六%、女性の五六%は生涯未婚という資料もあります。結婚した人は一・九人子供をもうけてくれているという資料もあります。

 そんなことを考えれば、この労働者派遣法をまずしっかりと元に戻して、雇用は正規雇用、正規で働きたいという人は正規雇用で働けるようにするというのが非常に大切だと思っておりますが、仕事は厚生労働省の仕事かもしれませんが、是非、小倉大臣は、この三月末をめどに固めて、六月の骨太の方針に、厚労大臣に申し入れて、しっかりと位置づけができるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 福田委員御指摘のとおり、若い世代の非正規雇用労働者の未婚率は、特に男性で正規雇用に比べて顕著に高くなっており、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することで、若者が将来にわたる展望を描けるようにすることは重要だと認識しております。

 こうした中、厚労省におきましても、希望する若者の正社員化支援や、非正規雇用労働者の仕事と育児を両立できる環境の整備等に取り組んでいるものと承知をしております。

 御指摘の労働者派遣法につきましては、これも厚労省の所掌ではございますが、その上で申し上げれば、厚労省から、ILO第百八十一号条約も踏まえ、平成十一年法改正によって対象業務を原則自由化したものであると聞いております。

 これに基づいて、政府としては、対象業務を原則自由化する一方で労働者の保護に取り組むという方針が取られており、厚労省において、同一労働同一賃金、雇用安定措置など、必要な労働者の保護をしっかり進めていくものと聞いております。

福田(昭)委員 大臣、それができないから言っているの。厚労省がそんな考えはないから言っているのであって、そこをちゃんと強力に申し入れないと駄目だと思いますよ。

 では、第二点ですね。第二点は、所得税の壁百三万円と社会保険料の壁百三十万円、これも撤廃して、やはり女性たちがしっかり自立して働く、働ける人は自立して働く、そして税金も納めるし社会保険料も納める、そういうことの、日本の社会をつくり直す必要があると思います。

 今や単身世帯は三割ですよ。ですから、そんなことを考えれば、やはり働ける人は男も女もちゃんと働く、働いて税金も納める、そして社会保険料も納めて、老後は納めた社会保険料をちゃんといただけるような社会をつくっていくということが大事だと思っていますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 社会保険料の壁、いわゆる百三十万円の壁につきましては、これを意識せず働くことが可能となりますよう、その解消に向けて、短時間労働者への被用者保険の適用拡大が進められているものと承知をしております。

 また他方で、岸田総理が、施政方針演説におきまして制度の見直しを表明されているものと承知しており、現在、厚生労働省において検討が進められていると承知しております。

 いずれにいたしましても、引き続き、関係省庁とよく連携しつつ、希望する方々が希望どおり働くことができるような環境の整備に取り組んでまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 やはり、男女平等あるいはジェンダー平等というのは、こういうことを制度としてつくることだと思いますよ。そのことだけ申し上げておきます。

 二つ目は、子供、子育て予算の倍増についてでありますが、岸田総理も一晩でひっくり返っちゃったようでありますけれども、この出発台というか発射台はどうするのか。

 例えば、令和五年度当初予算は四・八兆円、こども家庭庁の予算は。令和四年度の補正予算を加えると五・二兆円ですけれども、どっちを発射台にして倍増しようと考えているのか。しっかり骨太の方針が決まらないとできないという話なのかもしれませんが、発射台というのはあるんですか、ないんですか。お答えください。

小倉国務大臣 子供政策に関係する予算をどう見るかについては様々な見方がございまして、令和四年度における少子化社会対策大綱に基づく少子化対策関係予算は国費で約六・一兆円、令和五年度のこども家庭庁関連予算は国費で約四・八兆円、さらに、令和二年度の家族関係社会支出は決算ベースで約十・八兆円で対GDP比にしますと二・〇一%など、様々な整理がございます。

 冒頭申し上げたように、それぞれの統計につきましては、それぞれ、子供政策と我々が思っているものが入っていたり入っていなかったり、そういった違いがございます。そういった中で、岸田総理はこれまでも、子供、子育て政策に関係する予算については、まずは政策の中身が重要であり、政策の内容を詰めなければ倍増の基準や時期を申し上げることはできないと再三申し上げております。私自身もそういった観点に立って、まずは必要な子供政策は何か、今、私の下で検討を続けております関係府省会議で議論を深めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 分かりました。答えがないということですね。分かりました。

 それでは、二番目、時間がありますので、次に、地域活性化政策について御質問をいたします。

 地域活性化策、特に東京圏への一極集中、これがずっと止められないわけです。それこそ、最初に国が立てた政策は、過疎過密の解消から始まりました。しかし、残念ながら、全くこれは、これも少子化対策と同じで、成果がありませんでした。

 そこで、私、一つ目は、東京圏への過度な一極集中の是正等について、こういう質問になっていますが、これは是正策と考えてください、是正策。これは前々から言っているんですが、地方創生担当大臣、誰もこれを答えてくれた人はいないんですけれども、石破大臣から始まって。

 岡田大臣、私はこういう提案をしているんですよ。それは、作家の童門冬二先生、元東京都の政策審議会の会長もやられた。童門先生が何と言っているかというと、東京は江戸時代から人を食う町だと言っているんですよ。つまり、北関東周辺からどんどん江戸へ来て、ただ働くだけ働いて、家庭も持てずに亡くなっちゃうということなんです。

 それは、東京都、今も同じなんですよね。ですから、東京都の合計特殊出生率は一・〇前後なんですよ。ほとんど一・〇以下が多かったと思いますが、まさに東京は、周辺から来て、働くだけ働いて、家庭も持てずに亡くなってしまう人が多い町だということなんです。

 そこで、是非、これを打開するためには、やはりフランスのパリを見習うべきだと思うんですよ。フランスは、パリに対して開発要求があっても、開発は今の面積以上認めないんですよ。周辺にマルヌラバレだとか五つの地方都市をつくって、そこに開発をさせて、人口もそちらに配置をする、そういうことをフランスはやってきたんですよね。

 そんなわけで、東京も、東京一極集中を止めるためには、建築基準法を改正して、容積率、建蔽率をこれ以上大きくしない、むしろ小さくする。小さくして、東京都、特に二十三区にこれ以上ビルディングを建てさせない、高層ビルディングを。

 今、我々の赤坂周辺、何と高層ビルが今でも四棟建っていますよ、巨大なビルが。ああいうものが建てば、当然ながら、オフィスができたりマンションができたりということで、当然、人口は集中しちゃうんですよ。しかも、東京都は一番楽しい。いろいろな文化やスポーツの催物があって、こんな楽しいところはないんですよ。

 ですから、それを止めるためには、やはりフランスを見習って都市づくりをやらないと駄目だと思っているんですよ。そうでないと、もし本当に首都直下型地震が起きたりすると大変なことになるし、どこへ逃げたらいいか分からなくなります。

 さらに、最近、びっくりしましたが、神宮外苑の再開発なども東京都は始まっているんですよね。これも、何か三千本ぐらいの並木を切ってしまうという、元環境大臣だったか何だか、信じられないようなやり方をやっているんですよ。

 やはり、明治神宮の森も、明治時代にわざわざ人工的につくった森が、百年かけたら自然の森になったんじゃないですか。これはすばらしい事業だったと思いますよ。

 まさに、そういった意味で、東京都が、やはりこれ以上、建物をいっぱい建てて、事務所を造ったり、オフィスを造ったり、マンションを造ったりすることを止めるということが、東京一極集中をやめさせるということなんですよ。これをやらなかったら、どんどんどんどん東京へ東京へと人は集まってしまう。これを石破大臣も答えられなかった。どうですか、大臣、やりませんかと言いましたけれども。この辺のことはいかがですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど、福田委員から、江戸は人を食う町、そういうお話を教えていただきましたけれども、過度な東京一極集中は地方の過疎化や地域産業の衰退につながるものであり、東京と地方とが共によくなる、やはりウィン・ウィンの関係を構築し、地方への人の流れを力強いものにしなければならないと考えております。

 このため、昨年十二月策定のデジタル田園都市国家構想総合戦略では、人の流れをつくるということを重要な柱の一つとして掲げたところであります。

 その一方で、国際競争力を強化するという点では、東京は我が国全体の成長を牽引する役割を果たす観点から、多様な機能や人材、情報等の集積による大都市の再生のための施策として、容積率の緩和等が有効とされるケースもあるところでございます。しかしながら、これは国際競争力の強化などに資するものに限定して検討されるべきものというふうに思っておりますし、むやみやたらに緩和できるものではないと考えています。

 委員の、東京の容積率等を制限すべきとの御提案そのものについては、なかなか直ちに、難しい面もあると思いますけれども、その問題意識を受け止めて、東京一極集中是正の施策として、地方拠点強化税制などによる企業の地方移転、あるいは移住政策の推進など、東京から地方への企業や人の流れを力強いものにしていく必要があると考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。多分、簡単に答えられないなと思っていますけれども。

 それで、実は、要するに、国際競争力といっても、先ほど、コマツが本社を石川県に持っていった、これが大変な効果を表していると。今、それこそデジタル時代ですから、本社はどこにあったって大丈夫なんですよ。ですから、問題は、権力が東京に集中しているから、どうしても東京に、大阪からもどんどん東京へ来てしまったというのが中央集権なんですよ。ですから、そこを、やはり政府が、もうちょっと民主的な、そういう政府になれば、もう本社はどこにあったって大丈夫なんですよ。ですから、答えはいいですけれどもね。

 二つ目ですけれども、これは回答は要りません、要望だけしておきます。実は、東京都内の大学の地方移転と魅力ある地方大学の創出についてであります。

 魅力ある地方の大学の創出については触れてありますけれども、思い切って東京を改革するためには、東京都内の大学を地方に移転させちゃうという、これもやはり大きな地方創生につながります。

 なぜかと申し上げますと、総務省がやっております地域おこし協力隊、あれは、意外や意外、地方で二年、三年頑張ったら、地方に定着する定着率、六割以上あるというんですよ。しかも、そこで起業したりするというんですよね。ですから、やはりその地域に住むということが、その地域を愛することにつながるんですよ。

 例えばですけれども、医科大学もそうなんですよ。栃木県にも医科大学が二大学ありますけれども、また、徳島県にもすごい大学がありますけれども、やはり、地方の医科大学に進学した学生は地元定着率が高いんですよ。ただ、仕事があればの話なので。

 そういう意味では、是非、大学は、むしろ地方に設置をさせて、アメリカだって、みんな地方の小都市にあるわけです、大学は。ですから、地方に移転させて、逆に企業が、コマツじゃないですけれども、大学を追っかけて地方に行くというような、そういう構造に日本をすべきだなというふうに思うんですね。これは要望だけしておきます、時間の関係で。

 次に、三番目の、デジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の現状についてお伺いをしたいと思います。

 日本は、やはり、先ほどから話を聞いておりましたけれども、日本のデジタル主権を守らなきゃ駄目だ、こう私は思っております。日本を守ろうとする視点が本当にあるのかないのか、大変心配をいたしております。

 まず一つ目でありますが、貿易協定の第二条第二項の適用範囲の現状についてということで、何点かお伺いをいたします。

 第一点は、(a)の政府調達と、(b)の政府の権限の行使として提供されるサービスを、なぜ米国の業者は適用されない、この協定、されないとしたのか。その理由を是非、外務省、教えてください。

中村(和)政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの日米デジタル貿易協定第二条第二項でございますが、御指摘のとおり、政府調達あるいは政府の権限の行使として提供されるサービスにつきまして、デジタル貿易協定を適用しないということを定めておるわけでございます。

 この規定は、日米両政府がそれぞれの立場で交渉しました結果としてこのように定められたものでございますが、その過程で、例えば特定の事業者の受注を見越してこれらの規定を設けた、こういうようなことはないということでございます。

 なお、この種の規定、政府調達、政府の権限の行使として提供されるサービスを適用除外とするという規定は、日米デジタル貿易協定特有のものではございません。例えば、日・EU経済連携協定、あるいはRCEP協定、これはASEANとか中国、韓国、豪州と結んだ地域的な協定でございますが、こうした日本がアメリカ以外の国と締結しております類似の内容を含む協定、これらにおきましても同様の適用除外の規定を設けてきておる、こういうことでございます。

福田(昭)委員 それでは、政府調達も、(b)の政府の権限の行使として適用されるサービスも、これは今、米国の四社が受注しているわけでしょう。受注するというか、ガバメントクラウドを作っているわけでしょう。(a)の政府調達が政府のガバメント、それから(b)が地方公共団体のガバメント、どっちもアメリカの四社がデータセンターを造る、こういうことになっているわけでしょう。

 そうすると、当時の、今話題の高市総務大臣が記者会見の中で、中国の業者は信用できないが、米国の業者は信用できるから米国の業者を選んだとして、クラウドサービスをアマゾンウェブサービスに採用することにしたというような発言がありますけれども、それは本当でしょうか。

橋本委員長 どなたが答弁されますか。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長 速記を起こしてください。

 河野国務大臣。

河野国務大臣 質問通告ございませんですので、答弁ございません。

福田(昭)委員 通告がなくたってこれぐらい分かっていなくちゃ、デジタル化、進められないんじゃないの、基本的に。

 いいですか、だって、これ、アメリカの業者四社を指名したんですよ、政府は。何で指名したんだか、何か分からない理由を言っていますけれども。この後言いますけれども、だって、これ、政府は、スノーデンの告発、これを承知なのか承知じゃないのかということは後で申し上げますが、第二点目ですね。

 じゃ、このデジタル協定を結んだのは、当時、安倍総理と、担当は茂木外務大臣のときかどうか、教えてください。

中村(和)政府参考人 済みません、外務省についてお答えいたしますが、日米デジタル貿易協定、二〇一九年十月署名でございますので、私の記憶に間違いがなければ、茂木外務大臣であったかと存じます。

福田(昭)委員 これはちゃんと通告してありますからね。答えられないとおかしいですよ。

 それで、これがもし本当だとすれば、私は、日本の富を失う大きな過ちを犯したということになると思っています。河野大臣もそれを御存じかどうか分かりませんし、どういうふうに理解しているか分かりませんが、河野大臣の所信には、二〇二五年度までに、地方公共団体の基幹業務システムについて、ガバメントクラウドを活用したシステムへ移行するとともに、このように、まさに二〇二五年までにアメリカの業者が作るガバメントクラウド、データセンターだそうですが、これを使って地方自治体の、公共団体の基幹業務を動かす、こういうことになるんですが、これでいいんですか。

河野国務大臣 どこの国のとは特に指定をしてございません。

 デジタル庁として要求したスペックに合っているところとは全て契約をしております。

福田(昭)委員 先ほどの質問の話、聞いておりますと、アメリカの業者は四社指定したんですけれども、アマゾンしか実際、八件ですか、八か所、実施していない、こういう話なんですよね。

 では、それは都道府県ですか、それとも市町村ですか。その区別、これは通告していませんが、それぐらいは分かるでしょう。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 こちら、八件十一団体でございますけれども、二十業務をやっている、基本的には市町村となります。

福田(昭)委員 全て市町村がやっているということですよね。

 それでは、その後、時間の関係でどんどんはしょりながら行きますが、第三点、政府と地方自治体のガバメントクラウドとして、米国の一社しか今やっていないそうですが、米国の業者が国内にデータセンターを造ってやっているということであります。共に、サーバーがぎっしり並べられたデータセンター、巨大なデータセンターをアマゾンが造っているという話なんだそうであります。

 こうしたことで、実は、先に行きたいと思いますが、第四点ですね。第四点は、地方自治体の二十の基幹業務のアプリケーションはどこの国の開発業者が作っているのかであります。

 これはまだ、これからのようでありますが、資料の一を御覧いただきたいと思いますが、地方の自治体の基幹業務というのは、二十というのは、この上の枠の中の、米印があるように、国民にとって大事な住民基本台帳、戸籍、戸籍の付票、固定資産税、個人住民税から、最後、健康管理まで二十の業務なんですよ。

 この業務をアメリカのアマゾンが、もし全部、それが造ったデータセンター、サーバーがいっぱいあるデータセンターですよ、そこにこの二十の基幹業務を、ここでアプリケーションを作って、アプリケーションはどうもその業者だけじゃなくて、実は日本の業者も入るかもしれないんですけれども、ただ、さっきの話だとアマゾン一社しか作っていないという話でしたね。

 これを全部、もし全くこの二十の基幹業務、日本の業者も入らずに、アマゾンやグーグルたちが作ったということになれば、日本人の個人情報は全部アメリカへ行っちゃうということですよ。恐ろしい話ですよ、これは。恐ろしい話ですよ。それは回答要りませんけれども。

 それで、第五点目の、本年二月九日に公正取引委員会が、アップル、グーグルに、独禁法上に問題があるからとして、アプリの決済開放を求めました。政府はそれをどのように受け止めているのかということでありますが、これも先日聞いていますから、いいです。公正取引委員会で今調査しているというので、是非これも対応をしてほしいと思っています。

 そこで、やはりエドワード・スノーデンの告発を、警告を皆さんにも見ていただきたいと思います。資料の二を御覧いただきたいと思います。「スノーデン 日本への警告」です。

 これは、御案内のとおり、アメリカの情報局で働いていた人間で、ここで、「携帯はあなたの情報を政府に知らせています。」こういうことを言っている。「世界を震撼させた元情報局員がわかりやすく解説する超監視社会の脅威」ということでありますが、右の方を見ていただきますと、「無関心と知識の欠如がもたらす脅威に目を向ける必要があります」ということでありますが、早口で読んでみますと、「メルケル首相の携帯電話をも盗聴していた監視の実態」、「無差別・網羅的な新しい監視」、そして、「すべての記録は自動的に収集され、メタデータとして保管されている」、「監視活動に関するアメリカと日本の協力関係」、「人権活動家や弁護士、ジャーナリストまでが監視対象に」、「秘密主義は政治の意思決定のプロセスや官僚の質を変えてしまう」、「テロへの不安に乗じ拡大される監視活動」、「民主主義では、市民が政府に法律を守れと言えなければならない」。「トランプ政権前にスノーデン事件があったのは、大変幸運でした」とスノーデンの弁護士が言っております。これは本当に、我々日本も、これをしっかり、スノーデンの警告をしっかり踏まえて、情報化、デジタル化を進めていく必要があると思っています。

 このことについて、実は、先日、昨年ですけれども、元米国の上級行政サービスのメンバーとして二十年以上活躍してきたリチャード・マーシャル博士の話を聞きました。そのときに、私が質問しました。スノーデンの警告は本当なのかうそなのか教えてくれと言いました。このマーシャル博士は否定しませんでした。ただ、スノーデンの告発以来、我々が情報を取りにくくなったと言っていました。

 つまり、これ以来、アメリカでも個人情報を守るための法律ができたり、ヨーロッパでも規則、ルールができました。そのために、これもアマゾンですけれども、位置情報を不正にアクセスしたというので、裁判所に五億円を納めさせられています。グーグルは、アイルランドで、個人情報を大量に流出したというので、三百八十億円も賠償金を納めさせられています。

 ですから、世界で、アメリカやヨーロッパでも、やはり個人情報をしっかり守るんだ、そういう大きな流れができているということを考えれば、これはやはり真剣に考えなきゃならないものだと思っております。

 マイナンバーについては、この次、何か法律が出ているそうですから、そこでまた河野大臣に質問させていただきます。

 その次、最後、デジタル社会形成の基盤整備の見直しについてであります。

 是非皆さんにも考えてほしいのは、資料の三と四と五と六を御覧ください。これは、まさに今政府が進めておりますデジタル田園都市国家構想の基本方針、そして、その次が総合戦略の全体像、そしてさらに、その次に、今度また、これも政府が進めております、産業、社会活動の基盤としてのビヨンド5G、その次が、6Gの実現するときのイメージ図です。

 これを考えたら、私は、デジタル化をそんなに急がずに、地方自治体の、要するに、二十の基幹業務も二〇二五年にやると言っているけれども、これもなかなか難しそうだと。デジタル田園都市国家構想の方は、地方にデータセンターを十か所ぐらい造るということで進めているわけですよ。そうすると、政府がやっているデータセンター、大型のデータセンターと、また、デジタル田園都市構想では、地方に地方拠点のデータセンターを造っているわけですよ。

 そうすると、そんなことを考えて、さらに、日本の政府が、ビヨンド5を研究開発して世界最先端のデジタル社会をつくろう、こう思っているんだったら、別に、アメリカの仕組みが今すばらしくても、二〇三〇年には追い越しちゃうかもしれない、だからそんなに慌てる必要はない。

 それよりも、私どもの末次議員が言ったように、これは三つ目ですけれども、私は、令和の学制発布をして、全国の市区町村にデジタル学校を開設して、人材を育成する。私は、デジタルは、これは物すごい便利な道具だと思っていますが、もろ刃のやいばです。ですから、いいところは生かして、悪いところはできるだけ少なくしていくことが必要だと思うんです。

 そういう意味からいうと、デジタルは令和の黒船です。黒船が来て、アメリカと不平等な通商条約を結ばされちゃった。ですから、デジタルもそうならないように、やはり、しっかり日本の独自の人材を育成し、また、システムも独自のシステムをちゃんと開発してやっていくことが、このデジタル田園都市国家構想の成功につながっていくと私は思っています。

 時間が来ましたのでやめますが、まさに、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域をつくる、この四つの課題解決は、やはり日本の自前のデジタルのシステムでしっかりとつくっていくということが、私は、地方の元気、日本の元気にもつながっていくんじゃないか、そのように考えておりますので、ここは一旦死んだふりをして、ちゃんと日本の技術開発をして、すばらしいデジタル社会をつくっていく、それが日本のためだ、こう思っていますので、岡田大臣も、河野大臣も、ひとつよろしくお願いしたいと思っています。

 以上です。

橋本委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 早速質問に移りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 地域を歩きますと、様々な課題を聞きます。免許を返納したくても車がないと生活ができない、大雨が降ったときに家の前の道路が冠水する、空き家や耕作放棄地が増え続けている、小中学校の統廃合など、課題を挙げれば切りがないわけでございます。

 一方で、マクロの視点で見たときに、少子高齢化の進展により、年々、社会保障費というのが増加の一途をたどっております。今後も何かしらの手を打っていかなければ、増大して、やがて日本は立ち行かなくなるということは容易に想像ができます。

 資料一を御覧ください。

 こちらは、厚生労働省が作成した資料を抜粋したものでございます。釈迦に説法ではございますが、少子高齢化の進展により、左のグラフは、七十五歳以上が急激に増加しております。要介護者が多い七十五歳以上の高齢者は、二〇二五年で全体の一七・八%の二千百八十万人に達します。そして、右のグラフは、八十五歳以上の人口ですが、二〇三五年頃まで一貫して増加していくだろうということを示しております。一方で、それを支える現役世代というのは減り続けているという構図になっております。

 すなわち、高齢要介護者数は急増し、生産年齢人口は急減するということが、今も起きておりますが、近い将来、間違いなく起こるわけでございます。これらが社会保障費を更に増加させ、さらには介護人材がますます不足していきます。こういった課題に対して、デジタルの活用というのは大いに期待したいところです。

 東京一極集中を是正し、国民が日本中のどこでも安全、安心して暮らしていける環境づくりは行政の大きな役割だと考えますが、岡田大臣の御所見をお伺いいたします。

岡田国務大臣 住吉委員にお答え申し上げます。

 東京圏への過度な一極集中を是正するためには、デジタルの力を活用しながら、地方において御高齢の方も安心して暮らし続けることができる環境を整備することが重要と認識しております。

 特に、今お話のあった医療・介護分野について、地方では医療資源やサービス提供人材が限られる中で、介護サービスの質の確保や介護従事者の負担軽減を図る観点から、医療・介護分野のデジタル化を進めることは大変重要であると考えております。

 このため、昨年十二月策定のデジタル田園都市国家構想総合戦略では、遠隔医療の更なる活用に向けた基本方針の策定や好事例の横展開、また、医療全般にわたる情報について共有、交換できる全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、こういった医療・介護分野でのDXに関する具体的施策を位置づけたところであります。

 また、デジタル田園都市国家構想交付金を活用して、例えば、宮崎県都城市においては、IoT機器を活用した要介護高齢者の在宅生活状況に関するモニタリングやデータ分析を実施して、ケアマネジメントの向上につなげているという事例もあるところでございます。

 こうした医療・介護分野におけるDXの取組を推進し、御高齢の方を含め、誰もが便利で快適に暮らせる社会と申し上げております、そうした社会の実現を図ることで、東京圏への過度な一極集中の是正にもつなげてまいりたい、このように考えております。

住吉委員 交付金を活用して、医療・介護DXを是非進めていただきたいと思います。

 後ほどまた質問をさせていただきますが、まずは、その中で介護についてお伺いしたいと思います。

 先ほど申し上げたように、少子高齢化の進展に伴い、社会保障費というのは今の制度のままであれば当然上がっていきます。行政サービスの質を低下させずにこの社会保障費をいかに抑制していくということは、ある意味、政治家の腕の見せどころだと考えております。

 昔と違い、今は、おじいちゃん、おばあちゃんも、意欲があれば働いて、税金を払う時代になってまいりました。岸田総理が次元の異なる少子化対策をするという方向性には我が党ももろ手を挙げて賛同するところで、少子化対策については、いろいろとクローズアップされて、後ほど堀場議員からも質問がありますが、いろいろな分野において進められようとされております。少子化対策と同等に、介護の問題は深刻だと考えております。

 先日、介護事業所の方々と意見交換をさせていただきました。いい介護とは、事業者の方々が努力をして、サービス利用者の要介護度が改善していくことだと述べられておりました。しかし、今の国の介護保険制度は、要介護度が改善することにより、提供する介護のサービスが減り、受け取れる介護報酬が減額されてしまうとのことで、いい介護を提供しようとするインセンティブが働かない制度になってしまっているということでした。

 介護の現場というのは、慢性的に人手が足らず、また重労働であります。特に、介護において負担を感じることの上位が排せつでございます。適切な排せつ支援をせずに、おむつをはかせているだけで対応する事業所もあるというふうに聞いております。これでは、要介護者にとっては生活の質の低下リスクになっていきます。むしろ、今後改善しなくてもいいという介護報酬の体系となっているのが今の現実でございます。

 現在の介護報酬制度の認識について、厚生労働省の御所見をお伺いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度におきましては、介護が必要とされた要介護者に対しまして介護の必要の程度に応じた介護サービスが提供され、その費用が介護保険から給付される、こういった仕組みになってございます。したがいまして、より多くの介護サービスが必要となります重度の方への給付は大きくなる傾向があるということは、御理解いただければと存じます。

 その上で、御利用者の方の自立支援でありますとか、あるいは重度化防止の取組を推進することにつきましては、これは介護保険法にも明記されているところでございます。

 こうした現場での取組を後押しする観点から、介護報酬においては、利用者の日常生活動作や排せつの改善等に着目した加算を導入したところでございます。

 先生がおっしゃいましたように、介護現場において重度化防止の取組を行うことは、利用者の尊厳、それから、生活の質を向上させるだけでなく、介護職の方々のやりがいの向上にもつながると考えております。

 引き続き、こうした取組への支援に取り組んでいきたいと考えております。

住吉委員 自立支援の加算等考えられているということではございますが、実際、じゃ、自立支援、改善された場合に支払われる額というのは、ある意味微々たる額だと思います。

 資料二を御覧ください。

 こちらは一月の二十五日の読売新聞の記事ですが、東京都が、要介護度が改善した事業者に対して報奨金を支給する制度を設ける方針で、新年度当初予算案に約二億円計上し、介護の質を上げて、高齢者を後押しする狙いとあります。本来では、全国でもこのような制度を導入する、すなわち国がやることにより、元気な高齢者がこれまで培ってきた経験を地域に還元し、社会保障費の抑制のみならず、地方創生や、タックスペイヤーとなり、税収が上がるかもしれません。このようなインセンティブをつけることによって、この記事にも記載がありますが、他の自治体で、改善した利用者の割合が全国平均を上回る結果も出しております。

 国の制度、先ほど御答弁ありましたが、自立支援の加算、これはもちろん反対ではないんですが、まだまだ足りない、不十分だと考えております。この東京都も含めて、本来国で行う制度だと思いますが、このように、国がやらないから地方自治体で取組を始めている、頑張っているような自治体を国が応援していく、後押ししていく必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいますとおり、重度化防止の取組は非常に重要でございまして、介護報酬制度の中で後押しする加算を設けているわけでございますが、東京都の例がございましたが、自治体においては独自の補助を行っているという場合がございます。

 こうした取組は、それぞれの地域の介護現場の実情を踏まえたものというふうに理解しておりますが、一般論として申し上げますと、こういった介護状態のアウトカムに基づいて金銭的なインセンティブを与えることにつきましては、元々改善が見込まれている利用者の方を介護事業者が選別する可能性ということ、それから、高齢者というのは状態像が変化しやすいというふうに指摘されておりまして、評価時点の設定が必ずしも容易でないこと、それから、どのような項目をアウトカム評価の項目として設定すべきかということについてはこれまた様々な価値判断があろうということ、それから、提供される介護サービスとアウトカムの間の因果関係の特定が必ずしも容易でないといったような課題も指摘されているところでございます。

 政府といたしましては、介護報酬上の加算に加えまして、介護予防に資する通いの場の推進でありますとか、科学的介護の推進に向けた自治体の役割に関する研修を実施したり、それから、介護事業所のケアの質向上を支援するための自治体向けの手引を作成したり、介護事業所における好事例集の作成を行ったりと、様々な支援を行っております。

 引き続き、介護の質の向上に向けた支援に取り組んでまいりたいと考えております。

住吉委員 できない理由というのはいろいろあると思います。いろいろなハードルもあるんだと思います。元々改善するだろうという人を受け入れる、そんな話をし出すと、私の意図というのは全く伝わらないと思っております。

 重度化を防止することによって社会保障費というのもある程度抑制できていくということにおいては、これは、各々の自治体に任せるのではなくて、私は国がやっていくべきだと思っております。またちょっと、引き続きこれについては議論していきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 次に、介護のDX化についてお伺いいたします。

 様々な課題がある中で、介護人材や、よい介護を提供するツールとして、介護DXの推進、これは急務でございます。介護のベンチャー企業も非常に増えており、海外においても、海外も介護というのは大変なようで、非常に日本のベンチャー企業が注目されている、そういうツールもたくさんあるわけでございます。

 一方で、介護事業者にお話を伺うと、導入のコストが高いことや、それらのツールを使いこなせる人材が不足しており、導入に二の足を踏んでいる事業者が数多くあるとのことでございます。

 今後、介護人材不足を補い、社会保障費を抑制する介護DXの推進についての御見解、お伺いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 介護DXの推進、非常に大事であるという御指摘、全くおっしゃるとおりでございます。介護ロボット等のテクノロジーを活用いたしまして、業務の改善でありますとか効率化等を進めることによって、職員の業務負担の軽減が図られます。また、業務の改善や効率化により時間が生み出されますと、直接的な介護ケアに充てることができるようになりまして、介護サービスの質の向上にもつながっていくというふうに考えております。

 来年度予算案におきましては、私ども、介護ロボット、ICT機器の導入支援、それから介護ロボットの開発、実証、普及の各段階での事業者支援に取り組む拠点を整備するという予算を引き続き盛り込んでおりますとともに、生産性向上に資する様々な支援メニューを一括して取り扱って支援に適切につないでいくワンストップ型の事業者相談窓口を各都道府県に設置するための予算を計上しているところでございます。

 また、人材的なところにつきましては、ICT機器の導入支援につきまして、職員に対する研修費用も補助対象として、テクノロジーの活用に関する職員の知識、技能の向上にも取り組んでいるところでございます。

住吉委員 済みません、もう時間も来ました。一問残しておりますが、最後は意見だけ述べさせていただきます。

 自立支援を促すようなこの介護DXの導入は、積極的に特定福祉用具に加えていただいて、介護のDXを強力に進めていただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 岡田大臣の所信では、我が国の経済を再生するために、地方創生を進めて、地方が元気になることが重要である、そして、東京圏への過度な一極集中を是正する、解決の鍵としてデジタルの活用を推進するという考えが示されております。

 デジタルの力による地方創生についてはしっかり進めていただきたい、そう思うのですけれども、私は同時に、全国知事会など地方団体から毎年要望が出ているとおり、地方分権改革の動きをより一層加速するということが地域の活性化や東京一極集中の是正につながると考えております。

 今国会でも第十三次地方分権一括法が審議されるわけですけれども、まず、地方分権改革について、大臣のお考えをお聞きいたします。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 地方分権改革は、地方が、自らの発想と創意工夫により課題解決を図り、また、その地方の強みや魅力を生かした取組を自主的、主体的に行えるようにするという観点で、地方創生や東京一極集中の是正においても極めて重要なテーマと認識しております。

 現在は、地方からの提案を広く募集して、その実現に向けて検討を行う提案募集方式を導入して、地方の実情に応じた取組を行うことで住民サービスの向上を図る取組を推進しております。さらに、令和二年からは、これまでの地方からの提案等も踏まえて、重点募集テーマというものを設定しております。令和四年においては、多くの自治体で負担と感じられている計画策定などや、大きな可能性を有する、先ほどから、私はデジタルは地方創生の鍵と申し上げたわけでありますけれども、このデジタルについて集中的に検討を行い、一定の成果を収めたところでございます。

 引き続き、先ほど全国知事会のお話がございましたけれども、六団体でありますとか地方の声を真摯に伺って、地方分権改革を着実に推進してまいりたいと存じます。

中司委員 思いは確認させていただきましたので、是非、地方創生の柱に据えて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 平成五年の衆参両院の地方分権の推進に関する決議以降、地方分権改革が進む中にあって、道州制ですけれども、これは日本の統治機構改革の目標とされてきたわけであります。平成十八年の第二十八次地方制度調査会では、道州制に関して、区割り案も添えた答申も出されております。その後、政権交代もありまして、残念ながら、この議論についてはいわば塩漬けの状態のまま現在に至っているわけでございます。

 しかしながら、また、コロナ禍を踏まえて、一極集中のリスクとか、地方の権限の不足している点、また、国と地方との役割分担の在り方の議論の中で、令和二年には、関西経済連合会が道州制も含めた新しい国づくりの議論というものを進めるべきであるという提言を政府に提出されています。

 こうした背景にもかかわらず、大臣所信では、道州制に触れておられるのは、全体で七十行の中で僅かに二行、国と地方の在り方を大きく見直すものであって、国会における論議も踏まえつつ取り組む、こういうくだりだけでありました。

 道州制について、大臣の思うところを述べていただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 私が政治に志して、初めて石川県の県議会議員になりましたのは平成十四年でありまして、当時、平成の大合併があって、私の石川県でも多くの基礎自治体が統合されるなど、大変大きな動きがございました。そこで、私は、当時、県議会議員として、道州制についても北陸州というものを考えたわけであります。日本で一、二を争う小さな州になるかもしれないけれども、中部州でもない、北陸信越州でもない、北陸三県だけで北陸州ということを考えたこともございました。

 その後、平成十六年に国会議員になりまして、各党から様々な御意見を伺い、これは真剣に考えてきたところであります。特に、平成十八年の小泉内閣のときの第二十八次地方制度調査会において道州制のあり方に関する答申がなされて以降、各党様々な御議論をなされてきたと思っております。

 そのうちに、道州制の推進に関する法案の提出の動きに関して地方六団体から様々な御意見が出てきて、とりわけ全国町村会から、道州と住民の距離が遠くなり、住民自治が埋没する懸念がありますという強い御懸念の声もあったというふうに承知しております。

 この道州制は、やはり国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革でありますので、その検討に当たっては、地方の声を十分にお聞きしながら、所信でも申しました、国民的な議論を行いながら丁寧に進め、国会における御議論も踏まえながら対応してまいりたい、こういう考えでございます。

中司委員 今、御丁寧にお答えいただきまして、大臣のお気持ちは理解をさせていただきます。

 是非、道州制、いろいろな声もありますけれども、これからの日本の未来の姿として進めていただきたいと思っています。つまり、国は、国にしかできない、外交、防衛とか、金融政策であるとか、そういうところに特化をする。そして、国民生活に関わる広域的な部分については道州政府が行っていく。そして、地域社会の身近な出来事は、身近なことについては市町村がそれぞれ権限を持って担っていく。これがこれからの、ふさわしい日本の国の姿と私たちは考えておりますので、今後また議論してまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、大臣所信の中で東京一極集中に関して何度か触れられておりますけれども、その問題点とか弊害についての大臣の認識、それから、一極集中に歯止めをかけて、課題解決に向けて今後どう取り組んでいかれるのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 人口減少や少子高齢化が進む中で東京圏への過度な一極集中が進むことで、地方の過疎化、コミュニティーの弱体化に加えて、地域経済の縮小や担い手不足による地域産業の衰退、こうした弊害が顕著になってきておると認識しております。

 こうした課題の解決に向けて、昨年十二月にデジタル田園都市国家構想総合戦略を策定し、その中で、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、これを重要な柱として掲げたところであります。

 具体的に申し上げれば、スマート農林水産業の推進や農林水産物の輸出促進等による稼ぐ地域づくり、また、観光DXの推進による観光産業の生産性向上や観光地経営の高度化、また、企業の地方移転の更なる推進、そして、地方移住に対する一層の支援や地方創生テレワーク、転職なき移住の更なる推進などの取組を進めております。

 また、政府関係機関の地方移転についても、いずれも関西広域連合のエリアとなったわけでありますけれども、京都への文化庁の全面的移転、徳島における消費者庁の恒常的拠点の設置等々、取組を進めております。

 引き続き、デジタルの力も活用しながら、こうした取組を進めてまいりたいと存じます。

中司委員 課題を十分に整理をしていただいて、あらゆる総合的な対策を打っていただきたい、こう思うわけであります。

 私たちは、そこで、副首都ということについて触れておきたいと思いますが、三月十一日は東日本大震災から十二年目で、今なお爪痕が残り、当時の光景は、忘れられない、あるいは忘れてはならない記憶として心に焼きついているところであります。

 今年は関東大震災から百年の節目にも当たりますが、東京、首都圏でもう一度あのような大規模な震災があったときには、また、その他の有事、これが長期にわたって発生した場合には、首都中枢機能をバックアップする拠点も必要かというふうに思います。

 一方で、東京一極集中によって東京圏とその他の地域との間に格差が広がっている。そして、その地域の格差が、人口減少とか少子化、これの進行の要因にもなっている、そんな状況がございます。

 こうした課題を解決するために、東京圏以外に複数の副首都を定める、指定をする。そして、東京と並んで国全体の経済を牽引する、引っ張っていく。そして、非常時の際には首都中枢機能のバックアップを担っていく。こうした副首都機能を整備するため、副首都機能整備推進法案を、先般、日本維新の会として提出をさせていただいております。

 例えば、副首都に指定された地域においては少子化に的確に対処するために良好な子育て環境を整備すること、これらを基本理念の一つに掲げていって、都市戦略の目標に据える、こういうことにもしております。

 このように、東京一極集中による課題を解消するため、二極、三極の拠点となる副首都を位置づけをして、そして整備を行う、推進するということは、地域創生の観点からも有効と考えますけれども、どのように受け止めておられますか。大臣の御見解をお聞きいたします。

岡田国務大臣 人口減少、少子高齢化や地域産業の衰退の観点に加えて、今御指摘のあった大規模災害時の危機管理の観点も含め、東京圏への過度な一極集中を是正し、多極化を図ることは喫緊の課題と認識をしております。

 こうした認識の下で、地方創生の取組を加速化、深化し、地方から全国にボトムアップの成長を目指すデジタル田園都市国家構想を実現しようとしているところであります。

 また、所管外でありますけれども、政府においては、新たな国土形成計画の骨子案で、国土全体にわたる広域的な機能の分散と連結の強化を通じて、新時代に地域力をつなぐ国土を目指すことが掲げられているほか、各府省の地方局が集積する各都市を中心に、首都直下地震における緊急災害対策本部の代替拠点の確保等に係る検討など、政府機能のバックアップ体制の整備に向けた取組が行われていると承知をいたしております。

 こうした取組を着実に実施して、東京圏への過度な一極集中の是正と多極化を図ってまいりたいと考えておるところでございまして、議員立法の内容につきましては、恐縮ながら、政府の立場からお答えは控えさせていただきたいと存じます。

中司委員 ありがとうございます。

 大きな課題ですので、これは縦割り行政ではなかなかできにくいことであります。是非、政府を挙げてそうした課題について取り組んでいただけますようにお願いしたいと思います。

 いわば、東京とともに首都の中枢機能を持っている地域を副首都として整備をしていく、そのことは、日本自体が、複数の推進力、そうしたエンジンを持つ国になるということであります。それは、災害時のバックアップであり、また少子化対策でもあり、そしてまた、経済成長にもつながりますし、格差を解消することにもつながるというふうに思っておりますので、この国の未来のためには有効な手段だと考えております。

 是非進めるべきであると私たちは考えておりますので、ここで指摘をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 今日もまた、子育て政策について小倉大臣に質問させていただきたいと思います。

 何度か同じ質問をさせていただいているんですけれども、時期がずれていますので、また同じような質問で恐縮なんですが、お答えいただければと思います。

 二月の二十日の日に、私ども日本維新の会は、立憲民主党さんと一緒になりまして、児童手当の所得制限撤廃についての法律案を提出させていただきまして、また同時に、そのほかの、児童福祉手当若しくは障害者の皆様の福祉サービスに係る所得制限等を包括的に見直していただきたいという法案を出させていただきました。

 小倉大臣にお尋ねいたします。

 児童手当の所得制限は、撤廃は行いますか。

小倉国務大臣 まず、平成二十四年に児童手当が現在の制度となってから十年が経過をし、さらに、少子化が進展するなど社会経済情勢が大きく変わると同時に、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の中身も変化をしてきております。

 こうした中、先般、私が総理から頂戴をした指示の中にも、三つの大きな方向性の中の一つとして、児童手当を中心とした経済的な支援が掲げられたところでございます。

 ただ、今、三月末を目途に作成を進めておりますたたき台、これに向けて関係府省会議をまさにやっている最中でございますので、現時点では、所得制限をどうするか、様々なお声をいただきますが、予断を持って個別の施策の是非を述べる段階にはないというふうに思っております。御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

堀場委員 では、全ての子育て家庭を対象とした支援というふうにおっしゃっているかと思いますが、具体的には何を指しているのか、そしてまた、そこには給食や教育の無償化というものが含まれるのかどうか、お願いいたします。

小倉国務大臣 堀場委員は、総理からいただいた指示の三つの基本的な方向性のうちの二つ目を御示唆されているかと思います。

 この二点目は、前段で、保育と幼児教育の質、量共の強化を掲げた上で、後段で、伴走型支援、産後ケア、一時預かりなど、全ての子育て家庭を対象とした支援の拡充を進めることということが文書として書かれております。

 このため、ここの部分につきましては、伴走型支援、産後ケア、一時預かりなどが該当するものと承知をしておりまして、そういったものの充実につきまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 三つ目ですね、働き方の改革の推進というふうにおっしゃっていたんですけれども、具体的にどのような施策を推進されるのか、教えてください。

小倉国務大臣 少子化対策、子育て支援のためには、子育て期の男女の働き方改革ですとか固定的な性別役割分担意識の解消など、子育てに対する社会全体の意識改革が重要であるという認識を持っております。

 子供、子育て政策の充実を検討するに当たりましては、出産を契機に女性が非正規雇用化するいわゆるL字カーブの問題を含め、仕事か子育てかの二者択一を迫られる状況も是正をしなければいけないことから、働き方改革の推進とそれらを支える制度の充実が、先ほど申し上げた三つの基本的な方向性の一つとして挙げられております。

 現在、厚労省におきましても、男女共に仕事と育児が両立できるよう、昨年の十月から施行されている産後パパ育休の着実な実施のための周知啓発や、育児休業を取得しやすい雇用環境整備等に関する取組に対する助成金の支給などを行っていると承知をしております。

 加えまして、子育て期の長時間労働の是正やフレックスタイム制を含めた柔軟な働き方を可能とする仕組みなど、今後の仕事と育児の両立支援制度の検討も厚労省におきまして行っていると伺っております。

 こういったことを踏まえまして、今議論をしているところでございますが、先ほど来繰り返しになって恐縮でございますが、ただいま関係府省会議において議論中でございますので、やはり、個別の施策ではなく、働き方改革につきましても全体のパッケージでお示しをする必要があると思いますので、現段階では是非については申し上げることはできません。

堀場委員 ありがとうございます。

 本当にいろいろるるお聞きしたんですけれども、遅くないですかということを言いたかったんですね。

 子供というのは、うちの子の場合、三か月たったときにはもう首が据わり始めまして、大分きゃっきゃきゃっきゃ言うようになってきたなということを覚えていますし、六か月たったら腰が据わって、補助的な椅子にだったら座れるようになって。子供というのはとても成長が早いと思っているんですね。そういった成長の観点から考えたときに、その時間軸がやはり大人の時間軸と違うのではないかなというふうに感じています。

 日本維新の会は、私が衆議院選挙のときに日本大改革プランを掲げさせていただきました。税制の改革、ここには、N分のN乗とか、それにベーシックインカム、給付つき税額控除、こういった課題、税制の改革をするということ、働き方の改革をするということ、社会保障の改革をするということ、そして、先ほど中司委員も言っていましたけれども地方分権、これが本当に重要なことなんだというようなことを全部、フルパッケージにしてお示しをして、私は今、この場に立たせていただいています。

 これが私たちの少子化対策であり、異次元の、皆さんの価値観を変えることができるような改革なのではないかなというふうに自負しているところでありますけれども、政府がしようとしていることというのは、いっぱい小手先の改革というのはあるんですけれども、それでは非常に遅いと感じておりますし、その決断も遅いですし、政策の姿も見えてこないということに対して、恐らく、子供を育てている皆さんはちょっといらいらしているんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、大臣の御所見をお願いします。

小倉国務大臣 少子化は急速に進展をしておりまして、御案内のとおり、昨年の出生数は八十万人を割り込み、私どもとしても、子供、子育て政策への対応は待ったなしの、先送りの許されない課題だと認識をしております。

 このため、不妊治療の保険適用、出産育児一時金の大幅増額、伴走型相談支援と十万円の経済的支援の一体的実施、こういったものをこの一年だけでも先行させて取り組んできたところでございます。

 そういったものの上に立って、年初、岸田総理は、次元の異なる少子化対策に取り組む方針を示し、速やかに、私に対して、子供、子育て政策として更に充実する内容を具体化するよう指示されたところでございます。

 この関係府省会議につきましては、一月十九日の立ち上げから約一か月の間に既に三回開催をし、こども政策対話につきましても、先週末の福島県での開催を含めて、全て総理が出席した中で三回開催をするなど行ってまいりました。また、私がたたき台を取りまとめた後は、総理の下に更に議論を深め、六月の骨太方針までに将来的な子供予算倍増に向けた大枠を提示することといたしております。

 そういう意味では、子供、子育て政策というのは、政府の中でもかなり広範に、多岐にわたりますので、各省庁が関わるものでございます。あるいは、子供、子育て政策を応援してくださっている関係者も非常に多種多様にわたります。さらには、先日の予算委員会の場でも障害児の声に耳を傾けていただきたいという話がありましたりとか、今日のこの委員会でも子供の貧困の話が出ました。子供というのは、その数や規模だけではなくて、それぞれの御家庭や子供によって状況がかなり異なるものですから、やはり、そこは丁寧に聞きつつ、スピード感を持ってやらなければいけないというふうにも考えております。

 そういう意味では、まだまだスピード感が足りないという御指摘はしっかり受け止めていかなければいけないものの、私たちとしては、そういった状況を踏まえた上で最大限スピード感を持ってやっているつもりでございますし、引き続き、そういったことをきちんと踏まえながら、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

堀場委員 大臣所信の中でも、学識経験者、子育て当事者、若者を始めとする有識者から広く意見を聞きながら、子供、子育て政策として充実する内容を具体化していきたいというふうにおっしゃっているんです。

 私は、小倉大臣であったり総理がいろいろなところに行っていろいろな方の声を聞かれているのを報道等で見ていたりするんですけれども、私自身も、子育てしていて、ここで一生懸命言っているんですけれども、全く聞いていただけないなというふうに思っているし、学校で、例えば子供といっても、本当に、先ほど大臣のおっしゃるように、多岐にわたるんです。こんな全員の声を大臣とか総理が一個一個聞いていたら決まらないと私は思うんですね。そうじゃなくて、もうちょっとしっかりと、国全体としてどういう改革が必要なのかという視点で、もっと大局的なところから見ていただきたいなと思っているのが一点目です。

 というのも、子供に関する政策というのは、子供に直接利益が、享受できるものであってほしいなと思っているんですね。例えば、私どもが言っている給食の無償化とか教育の無償化というのは、どんな家庭に生まれてもしっかりと給食を食べることができるし、どんな家庭に生まれても自分の望む進路を選ぶことができるという、子供が直接利益を享受していると思っているんです。おっしゃっている保育の充実であったり教育の質の向上というのは、まさしく子供たちが直接享受する、そういった施策なんだと思います。

 でも、一方で、給付金というものは、子育て世帯へのあくまでも家計支援なんだなと思っているんですね。確かに、子供を育てていて、お金をもらえると私もうれしいです。一人親ですし、うれしいなとは思いますけれども、子供たちに対する施策というものと家計支援というものをしっかりと見分けないといけないかなというふうに思っています。

 出産費用の、妊娠したら五万円、出産したら五万円、ほら、お金を上げるから産んでくれみたいなふうに受け止めざるを得ないなというふうに感じる人もいるんだろうなと思うような施策も本当に重要なんですけれども、病院に行ったらお金がかからないで診てもらえるというような形を取るとか、そういった保険適用とかという、私たちが議論と言うのはそういう意味合いを持っているというふうに考えています。

 大臣にお尋ねします。

 今必要なのはどのような子供、子育て政策なのか、大臣の御所見をお願いします。

小倉国務大臣 私も委員会で、堀場委員の質疑を通じて御意見を承っているつもりであります。承っていないように見えたら私の不明を恥じるところでございますし、いつまでたっても決まらないという話でございますが、当然、総理も六月の骨太の方針に子供予算の将来的な倍増の大枠を提示をするということは申し上げております。そういう意味では、しっかりと、聞くことはきちんと聞いた上で、期限を区切って最終的には決定をするというところは変わらないんだろうというふうに思います。

 その上で、子供政策についてであります。

 多種多様な子供政策がございますが、子供政策に限らず、支援の在り方を考えていく上で、どのような支援方法を取るかということについては様々な御意見や考え方があると思います。その上で、各制度においては個々の制度の目的などに応じて判断されるものと考えております。

 子供、子育て政策、これを考えていく上では、子供や子育て世帯の皆様が置かれている状況は先ほど申し上げたように様々であって、支援のニーズもそれに応じて多様であるという視点を持つことが重要であると思います。

 そういった中で、サービスの提供という話がございました。この十年、何をしたかと考えますと、待機児童数がかなりの数に上る中で、保育の受皿整備でございましたりとか、あるいは幼児教育や保育の無償化、まさに、子育て世帯に対してサービスの提供によって子育てを支援をするということにかなり注力をしてきたわけでございます。

 ただ、子育て政策というのは、一つをやるとそれに応じて子育て当事者のニーズも変化をしてきますし、そもそも、その前提にある経済社会というのも政策をやっている中でも変化をするものであります。

 そういった視点も踏まえながら、様々な支援を重層的に、しかも機動的に講じていくことによって、子供、子育て政策として子供や子育て世代を柔軟に支えていくことが重要ではないか、このように考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 この政策等については、また御議論する場が出てくるのかなというふうに思っています。

 ちょっとお時間がないので、こども家庭庁について少しお尋ねをさせていただきたいと思います。

 子供の貧困という課題が非常に大きいと思っています。それはもうここにいる誰もが感じていることなんだろうと思いますけれども、この子供の貧困というものは、こども家庭庁は、どのように発見し、支援していくのか、教えてください。

小倉国務大臣 貧困の状況にある子供については、SOSを発することが困難である、必要な支援制度を知らないなどの理由により支援が行き届きにくいとの課題があり、それらを踏まえて施策を進めることが重要であります。

 こども家庭庁においてはということでございますが、地域のネットワークを通じた貧困状態にある子供の発見につながる取組として、地域子供の未来応援交付金等により、子供食堂等の子供の居場所における現場の気づきを支援につなげられるよう、NPO等との連携体制の整備を行う地公体への支援を行うと同時に、全ての子供が安心して過ごすことができる居場所づくりに取り組まねばならないというふうに思っております。

 困難を抱える子供や家庭を早期に発見をし、必要な支援が抜け落ちることのないよう、関係省庁とこども家庭庁で連携をして取組を進めてまいりたいと思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 こども家庭庁でどういうことができるのかというお答えで、子供食堂であったり、子供の居場所ですよね、あと、放課後の過ごし方というのもあると思います。学童の課題、これもほかでもしかしたらやらなきゃいけないなと思っていますけれども。やはり、待機学童というのは、実はもう最初から、駄目だったら待機もしないんですよね。私も、待機しないで、そのまま直接来館制度というのを利用させていただいていた口ですけれども。

 なので、見えないことというのはいっぱいあって、私たち、今、日本維新の会としては、教育の現場の中で子供の貧困というのを発見していこうと。たくさんの大人の目で見て発見することはできるんじゃないかというふうに思っています。

 先生たちは、学級指導等を通じて子供を見ていますから、大体気づきますよね。給食の喫食状況であったり、お風呂に入っているとか、お洋服がずっと一緒とか、様々な観点から、学校というのは非常に、気づきの現場だと思っています。

 静岡市の事例などを見ても、SSWの活用で、しっかりと子供の貧困を発見して、支援につなげることができている事例もありますので、そういった観点から考えたときに、やはり私は、こども家庭庁のときに、文部科学省との縦割りが解消していないから難しいんじゃないかということを常に主張させていただいていたんですが、それがきっと子供の貧困、子供たちを助ける大きなツール、大人側が一つにならないとできないんじゃないかなというふうに思っているということも併せてお伝えをさせていただきました。

 もう一つ、いじめの問題です。

 いじめというのは本当に深刻です。重大事案になるかどうかというところも、やはり大人の気づきが非常に重要になってきているというふうに考えています。これは本当に、その場にいてもそういうふうに感じるものですので、大人のいじめがこれだけあるのになかなか子供のいじめはなくならないと言うような人もいるので、私もちょっとしっかりと襟を正さなきゃいけないなと思うところではありますけれども、学校外のいじめ、これについては、どのように発見し、支援していくのか、教えてください。

小倉国務大臣 まず、学校内におきましては、文部科学省において、いじめの早期発見と早期対応が極めて重要と考えた上で、学校現場におけるいじめの積極的認知を促してきたと承知をしております。

 その上で、学校外につきましては、いじめの問題は学校内だけでは解決が困難だと思っておりまして、警察や児童相談所、法務局などの関係機関との連携が必要なケースですとか、学校や教育委員会になかなか相談できない子供もいるのも事実であります。

 このため、こども家庭庁設立準備室におきましては、来年度の予算案において、学校外から首長部局がいじめ防止対策に取り組む手法を開発、実証するためのモデル事業に取り組むことといたしております。

 こうした事業などを活用し、これまでの学校、教育委員会における取組等に加えていじめの相談体制を充実をして、相談から解決まで取り組む新たなモデルの構築に取り組み、文部科学省とも連携をして、いじめの早期発見が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 恐らく、寝屋川市で取り組まれているような、そういったことを念頭に置かれているんだと思うんですけれども、これも本当に急がないと、今この瞬間もいじめを受けている子供がいます。

 私たち大人というのは一体どういうふうにして子供の声を聞いてあげられるのかなと思ったりもするんですけれども、私ちょっと、現場に行ったときに思うのは、本当にしんどい子は声を上げられないと思うんですね。何か、子供が集まって、学校を代表していろいろなことを言うことができる子供も非常に重要で、そういったところで話を聞いてあげることもとても大事なことなんですけれども、本当にしんどい子は、手を握ってあげないと分からないというか、こちらが気づいてあげないと何もできないんだと思うんですね。

 これは、宗教二世の皆さんのしんどさという話のときも、やはり、学校で自分がちょっとずつ、ちょっとほかの家庭と違うんじゃないかと気づいたときに、大人が気づいてくれるのか、気づいてくれないかというのが非常に大きいポイントだというふうにお話もお伺いしています。

 なので、やはり気づくための体制をできるだけ早く構築するということに、是非是非、こども家庭庁そして文部科学省さんには御注力いただきたいなと強い要望をさせていただきまして、本日の質疑は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十四分開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、地方創生に関する特別委員会から新しく再編されました地・こ・デジ特別委員会において初めての質疑となります。改めて、岡田大臣、河野大臣、小倉大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 従来より、地方創生の視点として、デジタル田園都市構想とともに、少子化対策、そして子供政策についても一体として議論すべきであるというふうに思っておりましたので、子供や女性を真ん中に置いた地方創生の取組が必要だということを思っていた中で、このような委員会が誕生したことは大変意義深いことであると思いますし、有効な議論を進めていきたいというふうに思っております。

 それではまず、東京一極集中是正につきまして岡田大臣にお伺いをいたします。

 新型コロナウイルス感染症感染拡大を受けまして、テレワークの進展など、新しい働き方や社会、生活様式の変化によりまして地方回帰の流れが生まれ、一時期においては東京圏からの転出超過に転じた時期もございました。しかし、再び転入超過に転じ、昨年の統計によりますと、東京都が最も拡大をし、三万八千二十三人、次いで神奈川県が二万七千五百六十四人となっております。

 一方で、三十道府県で転出超過となり、前年に比べて転出超過数が拡大している道県が二十二道県に及んでおります。昨年の数字からも、緩やかな拡大傾向を示しているというのが現状だと認識をいたしております。

 再びいわゆる東京一極集中が進展している状況について、どのように分析をし、また認識をしておられるのかということについてお伺いをさせていただきます。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 東京圏の転入超過数は、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症拡大前の二〇一九年の約十四・六万人から、二〇二二年には約九・四万人と、三年間で見れば約五・二万人減少しております。

 新型コロナウイルス感染症の影響にも留意する必要があるものの、地方への人の流れの拡大に向けたこれまでの様々な取組もあって一定の成果を上げてきたものと考えておりますが、直近で見ると、先ほど御指摘があったとおり、二一年と二二年の比較で見ますと、東京圏の転入超過は、二二年が二一年より約一・四万人増加をしている、また少し頭をもたげてきている、このことは注意をすべきことであると考えております。

 また、進学や就職を契機とした十代後半から二十代の若年層の東京圏への転入超過は依然として継続をしており、このことを踏まえると、地方への人の流れをより重層的で力強いものにすることが大切であると認識をしております。

西岡委員 私の地元も大変深刻な転出超過という中で、様々な課題があるというふうに認識をいたしておりますけれども、昨年末、デジタル田園都市国家構想総合戦略が新たな五か年計画として策定をされました。それによりますと、二〇二三年度から二〇二七年度までの間に地方と東京圏との転入転出均衡という目標が掲げられました。

 これまでの経緯を考えると、また、昨年の数字を見てみると、大変ハードルの高い目標ではないかというふうに思いますけれども、国家として、地域活性化はもとより、少子化対策としても達成すべき大変重要な課題であると認識をいたしております。各省庁一丸となって取り組んでいく必要があると思いますけれども、大臣所信の中で、岡田大臣におかれましては、改善を加えながら取組を更に強力に推進していくというふうに述べられております。

 やはり、これまでの政策をしっかりと検証した上での取組が必要であると考えておりますけれども、ただ、新型コロナウイルス感染症も、御承知のように、五月八日から二類相当から五類に変わるという中で、今後、コロナ禍で一定生まれてきた地方への移住を含めた人の流れを持続的なものに、確実なものにしていくためには、今後どのような、大臣として、改善によって地方への人の流れをつくり出されていくというふうにお考えであるのか、岡田大臣に決意も含めてお伺いをさせていただきます。

岡田国務大臣 ただいま西岡委員御指摘になりましたとおり、二〇二七年度に地方と東京圏との転入転出を均衡させる、これは野心的な目標であると。確かに野心的な目標であると思いますが、達成しなければならない目標と考えております。

 このために、昨年十二月策定のデジタル田園都市国家構想総合戦略の中では、人の流れをつくるということを重要な柱の一つとして掲げた上で、二〇二一年には首都圏の企業転入転出動向が十一年ぶりに転出超過となった、こういう民間調査結果もありますので、こうした流れを更に加速化させるために、企業の本社機能の配置見直しなど、企業の地方移転の更なる推進を図ること、さらには、デジタル田園都市国家構想交付金を用いまして、移住における子育て世帯加算額を子供一人当たり最大三十万円から百万円に増額する、また、移住や二地域居住に、その受皿となる集合住宅など民間事業者の施設整備に対して間接補助を創設する、こういった地方移住や地方創生に資するテレワークの更なる推進を図り、これまで進めてきた取組を更に強化していくことといたしております。

 引き続き、デジタルの力も活用しながら、こうした取組を推進し、東京圏への過度な一極集中の是正、裏を返せば、地方にもっと人の流れを強めていく、こうした使命に全力を尽くしていきたいと考えております。

西岡委員 今大臣からも野心的な目標だということが言及されましたけれども、かなり総合的な施策が必要だと思っておりまして、省庁一体となったと申し上げましたのは、やはり、地方への移住といったときには、仕事もそうですし、住まいもそうですし、子供さんの教育というのも大変大きな、それを決めるときの指標になると思いますので、しっかり省庁一体となった総合的な取組が必要だと思います。質問の中でも申し上げました、これまでの施策に対する不断の検証、何が効果があって何が効果がないのか、どういうことをしていけば地方への流れが出てくるのか、やはりその不断の検証というのが大変重要だと思っておりますので、是非この目標達成のために総力を挙げて取り組んでいただくことをお願い申し上げたいと思います。

 先ほどの大臣からのお話にも関連をいたしますけれども、やはり地方への移住促進については、様々な施策が今、全国のそれぞれの自治体が独自の支援策というのを展開しておられます。

 自治体による地方創生移住事業、また起業の支援をする事業、それに対して国として地方創生推進交付金で支援をしているわけでございます。その実績について、どのような効果があったのかということを御説明いただき、また、どのように評価をされておられるかということを、見解をお伺いをしたいと思います。加えて、国民民主党としては、地方への人の流れをつくり出すためには、移住促進やUIJターン促進税制などの税制上の更なる整備が必要であると考えておりますけれども、あわせて、このことに対する大臣の御見解というものをお伺いできればと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 地方創生移住支援事業については、令和元年度に創設された後、令和三年度にテレワークでの移住を対象とするなど、制度の拡充に努めてきたところでありまして、令和三年度の移住人数は約二千四百人、さらに、令和四年度は昨年十二月末までの暫定値でありますが約三千人と、着実に増加をしております。

 同様に、地方創生起業支援事業についても、交付件数が着実に増加をしているところであります。令和元年度が三百七十八件に対して、令和三年度は五百二十一件というような数字が挙がっております。

 先ほど、移住促進、UIJターン促進税制という御提案もございましたが、地方への人の流れをより一層力強いものとすることにより、まずは、これまでの施策、万全を期して、着実に成果を上げていくということを考えてまいりたいと思っております。

西岡委員 いろいろな事業を推進していかれる上で、やはり促進税制というものは大変効果があるというふうに考えておりますので、また是非お考えをいただきたいと思います。

 それでは、先ほど本会議でも趣旨説明、質疑がございました地域公共交通の在り方について、岡田大臣にお伺いをしたいと思います。

 午前中の質疑で、小森委員からも、地方創生における整備新幹線ネットワークの重要性について言及をいただきまして、私の地元長崎の西九州新幹線のことも言及をいただきました。

 昨年九月、半世紀にわたる時を経まして、多くの皆様の長年の御尽力を結集して開業をしたわけでございますけれども、開業効果としてはまず百億円超と試算されておりますし、二月には利用者が百万人を突破いたしました。

 ただ、今後の課題としては、持続的な利用を促進することや、沿線自治体以外の西九州全域に幅広くその開業効果というものを波及させていくということが地方創生の面からも大変重要であると思っております。

 また一方で、地域公共交通でございますけれども、少子高齢化の進展や人口減少の進展、また、自家用自動車依存率が大変地方は高いということもありまして、元々、従来から利用者が減少しておりました。そこにコロナ禍が本当に大きな影響を与えておりまして、また、長期化によって人の移動が制限を受けたことによりまして、JRを始めとして地域鉄道事業者、バス事業者、タクシー事業者、地域の電車等、あらゆる公共交通事業者が大幅赤字となりまして、大変厳しい経営環境が続いております。その上で、ロシアによるウクライナの侵攻によって、燃料油、物価高騰が拍車をかけております。

 一方で、ウィズコロナの中で社会経済活動が通常に戻りつつある中で、逆に今、人手不足というものも大変深刻な状況になって、需要はあるのに対応できないという事態も生まれてきております。

 地域公共交通の維持、確保は、国家としての重要な責務であると考えておりますし、地方創生の面からも大変重要な課題です。特に、中山間地、過疎地、離島、半島地域における条件不利地域においては、あらゆる人が移動サービスを享受できる地域社会を形成するということが大変重要な課題でございます。

 昨年、政府の骨太方針二〇二二で、分散型国づくり、地域公共交通ネットワークの再構築というのが示されまして、先ほど本会議でございました地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案が今国会に提出をされたところでございます。

 学生の皆さんの通学の足でもございますし、免許返納後の高齢者の皆様の安心な生活を支える、また日々の地域住民の生活の足としてこの役目を担っていただいている公共交通は、社会のインフラでありますし、町づくり、また環境政策とも一体となったものです。また、二〇五〇カーボンニュートラルの視点からも、地域公共交通の果たす役割は今後ますます重要となると思っております。

 そういう意味でいくと、事業者ですとか地方公共団体に任せるのではなくて、もっと国がしっかりと支えていくという方針に転換をすべき時期に来ているのではないかと思っております。

 まず、国による財政的な支援も含めた総合的な支援が不可欠だと思っております。その中で、私たち国民民主党として、地域公共交通維持のための基金を創設するというものが有効であるということも提案をさせていただいておりますけれども、この地域公共交通、これは国土交通省の所管であるものの、地方創生、地域活性化にとって極めて重要な課題でございますし、皆さんの通学の足を確保しているという意味でも、子育て政策の中でも大変重要だと思います。省庁横断的に取り組む課題であると思います。

 地方創生の立場で、岡田大臣の御見解というものをお伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 まずもって、長崎の皆様の長年の悲願がかなって新幹線が開業になりましたこと、誠に喜ばしいことと存じます。

 午前中の質疑で北陸新幹線の話も出ましたけれども、こういう整備新幹線というものは、地方創生の大動脈というべき交通ネットワークであろうと思います。それに比して、この地域公共交通というものは、本当に毛細血管のように、体内に血流を巡らすためには必要不可欠なものと考えております。

 この重要な社会基盤をどう維持していくか。このことは、デジタル田園都市国家構想総合戦略の中に重要施策分野として位置づけるとともに、国土交通省においては、地域公共交通のリデザインを始め諸施策を進めるために、令和四年度補正予算及び令和五年度本予算案において、社会資本整備総合交付金に地域公共交通再構築事業を追加するとともに、交通分野のDXやGXに財政投融資を活用する、こういった新しい枠組みを含めて、関係の予算を充実強化しているものと承知をいたしております。

 政府として、まずはこうした措置の執行をしっかりと行い、地域公共交通の再構築を図っていくことが大切である、このように考えております。

西岡委員 地域におきましては、あらゆる公共事業を担う事業者の皆様が、業種を超えて、チーム公共交通として連帯をした取組を進めていただいております。岡田大臣におかれても、地域活性化、地方創生の視点から、国土交通大臣と連携をしていただきまして、積極的な御提言や御提案のお取組を是非お願いをしたいと思います。

 続きまして、デジタル人材の育成、確保について、岡田大臣に引き続きお尋ねをさせていただきます。

 みずほ情報総研のIT人材需給による調査によりますと、二〇三〇年には最大で七十九万人のデジタル人材が不足するというデータがございます。その中で、内閣府は、デジタル推進人材を二〇二六年までに二百三十万人育成する方針を打ち出されております。

 そもそも、政府の言う、デジタル人材と一口に言いましても、DXに必要なスキルを持った多様な人材の総称でありまして、どのようなスキルを持った人材がどの程度不足しているかなど、省庁横断的に、国として、教育界ですとか産業界と一体となった明確なビジョンを持って、体系立って人材育成していかなければいけないと考えますし、その全体像というものを明確に示す必要があると考えております。

 また同時に、幼少期からのICTリテラシー教育ですとか、リカレント、リスキリング教育の体制整備も重要であると考えます。

 政府のお取組について、岡田大臣にお伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 デジタル田園都市国家構想総合戦略においては、デジタル社会の推進に必要なデジタル推進人材の人数を三百三十万人と推計し、現在の情報処理・通信技術者の人数である約百万人との差である二百三十万人を育成目標として、人材育成に取り組むこととしております。

 委員御指摘のとおり、このデジタル推進人材には様々な類型というものがあって、それぞれの役割に応じて、デジタル人材の育成に係る指針として経済産業省が策定したデジタルスキル標準に五つの類型が示されておると承知しております。多少横文字が続きますけれども、デジタル技術導入の全体設計を行うビジネスアーキテクト、また、データから新たな知見を引き出すデータサイエンティスト、システム等の設計、実装、運用を担うソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティーリスクの影響抑制対策を担うサイバーセキュリティー、ビジネスの総合的視点から製品、サービスの在り方を設計するデザイナーとされております。

 これらの人材を育成し、製造業等の事業分野や公的分野などにおいて、現場の実態やニーズを踏まえて、DX等の担い手となる人材を供給してまいりたいと政府として考えているわけであります。

 そして、このようなデジタル推進人材の育成に向けて、経産省とデジタル人材育成プラットフォームの構築という点で連携をしたいと存じますし、また、厚労省の関係では職業訓練のデジタル分野の重点化、また、文科省とは高等教育機関等におけるデジタル人材の育成、こうした政府、各省庁にまたがる育成に努めてまいらなければならない。

 これらの取組を中心に、必要な人材の育成、確保が図られるように、関係府省庁で連携し、定期的なフォローアップなども行いながら、政府全体として計画的に取り組んでまいりたいと存じます。

西岡委員 今大臣から御説明がありましたように、五つの類型があるということでございますけれども、若い学生の皆さんに対して、もっとしっかりこの辺りのことを明確にする中で、自分はどこを目指そうかということの指標にもなりますし、省庁一体となった体系的なお取組というものをもっと明確にお示しいただくということが人材育成の面でも有効であるというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 今、五つの類型の中の一つ、セキュリティーにつきまして質問させていただきます。

 高度情報社会におきましては、国家、行政、医療、教育、防衛、あらゆる企業や個人においても、全ての分野で、情報漏えいですとか不正アクセス、サイバー攻撃のリスクにさらされているのが現状です。

 世界的にもサイバーセキュリティー人材の不足が指摘をされておりまして、民間企業の調査によりますと、他国に比べて、日本は企業の九割がセキュリティー人材が不足していると感じているというデータもありますし、なかなか改善に結びつかないという現状もあると聞いております。

 我が国においても喫緊の課題であると認識をいたしますけれども、情報セキュリティー人材の育成について、政府の取組について内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターにお伺いをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サイバー攻撃が深刻化、巧妙化する中、あらゆる分野において、サイバーセキュリティーの確保に向けた人材の育成が不可欠と認識をしております。このため、政府全体として、サイバーセキュリティ戦略に基づきまして、幅広くサイバーセキュリティー人材の育成に取り組んでいるところでございます。

 例えば、サイバーセキュリティーの専門人材の育成については、総務省、経済産業省、文部科学省と連携をして、所管する法人において、社会インフラや産業基盤のサイバーセキュリティー対策の中核を担う人材の育成や、若手ICT人材を対象とした最先端のサイバーセキュリティー人材育成プログラムを提供しているほか、大学、高専においても強化した取組を実施をしているところでございます。

 また、政府機関や地方公共団体、独立行政法人といった組織で情報システム等を担当する職員のサイバー攻撃への対処能力を強化するため、サイバー攻撃への一連の対処を体験する実践的サイバー防御演習を年間三千人規模で実施をしているところでございます。

 さらに、政府機関においては、各省庁において、サイバーセキュリティ・情報化審議官が指揮監督する体制の下、デジタル人材確保・育成計画を策定しており、また、政府統一の各種研修、訓練を行っているところでございます。

 加えまして、実務家、技術者以外が時宜に応じてセキュリティーに関する知識やリテラシーをプラスとして身につけるのが重要と考えておりまして、そのためのプログラムの普及に努めているところでございます。

 このような取組を進めることにより、引き続き、政府一体となってサイバーセキュリティー人材の確保、育成に取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、次の質問に移らせていただきます。

 地方創生臨時交付金につきましては、地方単独事業分について不適切な使途が問題となりましたけれども、昨年、制度要領が改定されまして、実施状況、効果の公表が義務づけられたところです。

 適切な使途に使われることを大前提とした上で、予備費を活用して昨年創設されました価格高騰重点支援地方交付金によって、四月からの更なる電気代を始めとしたエネルギー価格の高騰に対応すべく、今後また、長期化も見据えて先手で対応していく必要があるというふうに思いますけれども、岡田大臣の見解をお伺いさせていただきます。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金の効果的な活用に向けては、使途や効果について自治体において公表がなされることが重要と考えており、委員御指摘のとおり、昨年末の制度要綱の改正において公表を制度化いたしました。

 また、昨年九月に創設した電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金については、コロナ禍において物価高騰に苦しむ生活者、事業者への支援として効果的と考えられる推奨事業メニューを国から提示しておりまして、各自治体においては地域の実情に応じた様々な物価高騰対策を幅広く講じていただいていると考えております。

 引き続き、自治体におけるこの交付金の着実な執行に努めるとともに、今後については、物価の動向や国民生活、事業者への影響などを注視しつつ、政府全体で適切に対応をしてまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 岡田大臣におかれましては、ここで退室をしていただいて結構でございます。ありがとうございます。

橋本委員長 どうぞ、退室いただいて結構です。

西岡委員 それでは、河野大臣にお尋ねをさせていただきます。

 群馬高崎デジタル・技術大臣会合の開催について。四月に開催予定の会合におきましては、信頼性のある自由データ流通を始めとして、議論するテーマについて所信で述べていただいております。この重要な国際会議が日本で開催されるに当たり、主要国のデジタル担当大臣として、どのような議論を国際社会に向けて先導して、どのような成果を目指して臨まれるのかにつきまして、決意も含めて御見解をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 四月の二十九日、三十日、高崎でG7のデジタル・技術大臣会合を開催をいたします。

 二〇一九年のダボス会議で当時の安倍首相が提唱されたDFFT、G7、G20、これまで様々な場で議論されてまいりました。今年は、いよいよ、事務局を置く国際的な枠組みというものをこのG7のデジタル大臣会合の中で提唱して、合意が得られれば首脳会談でオーソライズしていただきたいというふうに思っております。

 まず、その中で、ヨーロッパ、アメリカ、方向性は違いますけれども、各国、各地域のデータ流通に関する規制の透明性を高め、相互運用性を高めていく、そんな仕組みの導入から入ってまいりたいと思っておりますので、そこはしっかりやってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

西岡委員 国際社会に向けて、河野大臣のこれまでの様々な知識も含めて、リーダーシップを持った、また、成果を是非上げていただくことを御期待申し上げたいと思います。

 小倉大臣、大変申し訳ございません。時間配分がうまくいきませんで、質問させていただくことができませんでしたことをお許しをいただきまして、私、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、主に小倉大臣に質問をさせていただきます。

 昨年の出生数が八十万人を割り、一九八二年の出生数が百五十一万二千人だった頃から四十年間で半減という衝撃が走りました。

 岸田総理は、二月二十日、第三回こども政策強化に関する関係府省会議で、年齢、性別を問わず、皆が参加する、次元が異なる子供、子育て政策を進め、日本の少子化トレンドを何とか反転させたいと述べました。当初は、総理が異次元の少子化対策と述べたことですから、今国会も何度も議題に上ったわけですが、代表質問のときは、次元が異なるという表現に変わって、意味は同じだという答弁でありました。しかし、皆が参加することが異次元だというのであれば、それは異次元どころか当たり前のことができていなかっただけだと言わなければなりません。

 結局、予算を倍増すると言うけれども、何を倍増するのかすらはっきりしません。ひたすら、三月中に小倉大臣の下で、そのメニューというのでしょうか、まとめを出すという答えに終始してきたと思います。

 そこで、率直に、大臣はこの子供政策で何を目指しているのか。こどもまんなか社会ということを大臣は打ち出していらっしゃって、子供との対話など力を入れていらっしゃる、大事なことだと思います。でも、少子化対策といえば、将来の子育て世代も視野に、社会全体の課題だと思いますので、是非お聞かせください。

小倉国務大臣 委員御指摘のとおり、昨年の出生数は八十万人を割り込みまして、非常に危機的な状況だと思います。私も、かねてから申し上げていたように、静かなる我が国の有事として、重要課題として位置づけて、本気で取り組まなければいけないと思っております。

 他方で、子育て当事者や子供を持ちたいという希望を持つ若者に対しては安心感を与えなければいけないというふうに思っております、やはり、結婚から妊娠、出産、育児、様々な障害がございます。その障害につきまして一つ一つ取り除いて、子育て当事者の皆様におかれましては、子供と向き合う喜び、これを感じてもらえるような、そういう社会をつくっていかなければいけないというふうに思っております。

 だからこそ、今回のたたき台におきましては、先ほど来申し上げておりますように、児童手当を中心とした経済的な支援、あるいは、幼児教育、保育といったサービスの充実、さらには全ての子育て家庭を対象とした伴走型支援や産後ケア等の充実、三本目の柱といたしましては、働き方改革を通じた仕事と子育ての両立、それに加えまして、教育費の負担軽減でありましたりとか住宅支援、こういったものも含まれます。

 今課題とされているあらゆるものについて、これまでのような漸進的な歩みではなくて、課題を一挙に前に進めるような、そういう少子化対策であらねばならないというふうに思っておりますし、総理も、何も社会意識を変えることだけを強調されているわけではなくて、今申し上げたような個々の政策の中身や規模はもとより、それに加えまして、やはり社会全体で子育て世帯を支えるような温かい社会をつくっていかなければいけない、そのためにこそ社会意識を変える必要があるということは申し上げているとおりだと思いますので、それも含めてしっかりと議論を進めてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 子供と向き合う喜びをという表現など、なかなかよかったかなと思います。

 そこで、令和三年十一月二十九日に、こども政策の推進に係る有識者会議報告書が出されています。非常に示唆に富んだ中身だと思って読みました。報告書には、「全ての国民に基本的人権を保障する日本国憲法の下、児童の権利に関する条約に則り、」「全てのこどもが生命・生存・発達を保障されること」「こどもに関することは、常に、こどもの最善の利益が第一に考慮されること」、これを強調しています。

 この立場は変わらないか、確認させてください。

小倉国務大臣 おととし出していただいたこの報告書を土台として、昨年、こども基本法、そしてこども家庭庁の設置法をお通しをいただきました。その法律がまさに四月に施行され、来月こども家庭庁が発足するわけでありますので、端的に申し上げれば、立場は変わらないということでございます。

 こども基本法では、児童の権利に関する条約を踏まえて、全ての子供について、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されることなどの権利がひとしく保障されることや、全ての子供について、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることなどが基本理念として規定されております。

 また、先ほど申し上げたこども家庭庁の設置法では、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることなどが、こども家庭庁の任務として規定されております。

 このこども基本法及びこども家庭庁設置法に基づき、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を図るための司令塔となるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

高橋(千)委員 はい、確認をしました。

 では、同じ報告書で、もう一つ大事な指摘があります。子供を持つ世代について、「結婚や出産を当然と考えている社会の価値観などから自らが望む選択がしづらいと感じる若者もいる。結婚や出産をするかしないかは個人が選ぶ権利があることが大前提であるとの認識の下で、結婚や出産の希望を叶えることができる環境整備を進めることが求められる。」このように書いてあります。

 また、昨年の少子化対策大綱の推進に関する検討会中間評価の中にも、国や社会の都合で若い世代に特定の価値観を押しつけたり、プレッシャーを与えたりしてはならないという指摘があります。ここが大事だと思うんですね。

 つまり、少子化だからとにかく結婚せよ、結婚してくれれば何とかなるという議論とか、子供を産んでくれみたいな、そうではなくて、やはり一人一人の多様性を認める、今国会で焦点になっている同性婚の問題なども、生産性がないなどと言った政治家がいましたが、そういう目線で、受け入れられない社会になってはいけないんだと。

 大臣、価値観を押しつけてはならない、その立場も共有できるでしょうか。お願いします。

小倉国務大臣 先ほど私は、我々はこの少子化は危機として捉まえなければいけませんが、当事者の皆様方にとっては、大いなる安心感、これを感じていただかなければいけないというふうに思っております。プレッシャーはもちろん駄目でございます。

 政府は従来より、結婚、妊娠、出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押しつけたり、プレッシャーを与えたりするものではないことに十分留意する必要があるとの認識に立っております。その上に立って、国民の皆さんが結婚、妊娠、出産、子育てに希望を見出せるとともに、男女が互いの生き方を尊重しつつ、主体的な選択により結婚や子育ての希望をかなえられる、そんな社会をつくっていくため、経済的支援やそれ以外の支援も含め、様々な施策を講じていくことにより、必要な環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 大体理念については確認ができましたので、では、具体の話で進めていきたいと思います。

 関係府省会議における有識者ヒアリングの中で、政府の別の会議において、有識者から、若い世代の残業は雇用の安定につながるし所得のプラスになるという話があった、残業を一律に規制することは子育て世帯の目線からも違うのではないかという驚くべき発言がありました。

 資料の一枚目を見てください。出生率を低迷させている主な要因として、未婚化を進める要因、経済的な問題や雇用の形態の在り方、これが左に書いてあります。右は、夫婦なんですが、子育てや教育にかかる経済的負担の重さというのが書いてあるんです。その中の五番のところ、夫の労働時間が短いこと、それが長いほど第一子出生ハザード率が高い、通説と逆だ、こういう表現をしているんです、中京大学の松田先生ですけれども。

 多分、この趣旨は、前後から見ても、経済的に大変な若い皆さんが一定の所得の安定をするために残業するというのはやむを得ない、そういうことを言っているのではないか。良心的に考えるとそうなんですけれども、しかし、そもそもそれが問題なのであって、やはり最低賃金を引き上げていくことや雇用の安定を図って、残業しなければまともに暮らせないし子供を産みたいと思えない、そういうことがやはりあってはいけないわけです。

 今、政府は、働き方改革を三つ目の課題にしているわけですが、賃上げをしていくということも言っているわけですよね。ですから、残業規制をしない方が子育て世帯のためによいなどということは政府の目指す方向ではない、ここを確認させてください。

小倉国務大臣 委員が御指摘されました有識者の発言、この発言は、関係府省会議、様々有識者を呼んでございます、それぞれ自由な討議をする中で御自身の見解を示されたものと承知をしております。

 内閣府といたしましては、長時間労働は我が国において仕事と子育ての両立を困難にしている一つの要因であると認識しておりまして、長時間労働の是正を含め、男女共に仕事と子育てを両立できるようにするための環境整備は少子化対策の観点から極めて重要であると考えております。また、長時間労働によらずとも収入を確保できるような構造的な賃上げを含め、若い世帯の所得を向上させていくことや、子育てや教育にかかる経済負担を軽減していくことも同様に重要であると考えております。

 こうした様々な政策を組み合わせることによって、子供を産み育てることを希望する全ての方が安心して子育てできる環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 三つ目の課題がしっかり進むようにお願いしたい。世界でも韓国に次いで二番目に長時間労働の国でありますので、お願いしたいと思います。

 そこで、資料の二枚目です。「保育士の配置基準 延々たなざらし」という、東京新聞二月二十一日付の記事ですね。四、五歳児に対して保育士一人というのが、この基準が七十五年間放置されていると。記事では、イギリスの十三人に一人やニュージーランドの十人に一人に比べても大きいと指摘をして、保育士をもう一人増やしてという運動も広がっていること、今国会でも大きな注目になっていると思います。

 厚労省に伺います。具体の検討はされてきたのでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の配置基準の改善でございますけれども、これは重要な課題であると考えておりまして、まず、平成二十七年度には、三歳児でございますけれども、ここの保育士の配置を二十対一から十五対一に改善した保育所に対して公定価格上の加算というのを設けて改善を図ったところでございます。

 一方で、消費税以外の部分で財源を確保することとされております、いわゆる〇・三兆円超、三千億円超の質の向上事項に含まれております、一歳児、あるいは今し方御指摘がございました四、五歳児に対する保育士の配置改善につきましては未実施となってございます。こちらにつきましても、引き続き安定的な財源の確保と併せて検討してまいりたいというふうに考えております。

 令和五年度予算の中におきましては、こうした中で、チーム保育推進加算という事業がございまして、この中で、定員百二十一人以上の保育所につきまして保育士二人までの加配を可能にするでございますとか、あるいは、保育体制の強化事業の中で、多くの人の目が必要な時間帯に支援員の配置の充実を図るなどの改善を図っておりますけれども、先ほど御指摘のあった四、五歳児の保育士の配置改善については未実施となっておりまして、今後とも引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 重要だと言いながら、七十五年間放置していたというのはやはり許されないと思うんですね。

 保育の問題は、子ども・子育て新システムの前から私自身もよく取り上げてまいりましたが、先日、福祉保育労、北海道、東北の、福祉職場で働くみんなの要求アンケートをいただきました。五百四十四人分読みました。本当に切実です。休みが自由に取れずに、帰宅しても仕事のことを考えることがほとんどで、気持ち的な休みが無に近く、心が壊れてしまうことが多々ある、周りの友達はみんな辞めている、もう保育士に戻りたくないと口をそろえて言います、今のままでは保育士がいなくなります、業務と給料が全く見合っていないです、子供たちを守ることが今のままではできませんなどなど訴えられているんですね。子供から目を離せないために日中休憩が全く取れず、そのために、休憩をちょっとでも取るために残業するしかない、要するに、夜仕事をして、日中少しでも休むしかない、こういう訴えもありました。

 さっき、百二十一人以上の施設の加算をやりますということを言っているんですが、今言ったように、ちょっとも休む暇もないわけですよ。それに対して加算だとかというのは、全部その実務を増やしていくことになるので、そうではなくて、元々の基準を増やしていくべきだと言わなければなりません。

 そこで、資料の3を見てください。今、厚労省のお答えにもありましたし記事にもあったんですが、社会保障と税の一体改革のときに、〇・三兆円、右の下です、こうした処遇改善、職員配置の改善に使うはずだったという資料であります。よく見ると、この赤い字は実施済みの項目と書いているんです。一応、職員給与の改善、プラス二%改善されたということになっているんですが、だけれども、配置基準そのものはまだ残っている。四、五歳児の職員配置、三十対一を二十五対一にする、こうしたものが残っているわけですね。

 そうすると、三千億円といっても一部はもうやっている、ということは、ここの部分、職員配置を改善する部分は幾らあれば足りるのか。それぞれお答えください。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年に実施した試算に基づきますと、四、五歳児の職員配置について、現行の三十対一から二十五対一に改善するための所要額は、国と地方を合わせた公費合計で五百九十一億円程度、一歳児の職員配置について、現行の六対一から五対一に改善するための所要額は、同じく公費合計で六百七十億円程度となっております。

高橋(千)委員 足しても千三百億いかないと思うんです。私たち、ずっと三千億と言ってきて、実はその半分でできるんだということ。そのくらい捻出できないはずがないじゃありませんか。いかがですか。

小倉国務大臣 それでは答弁させてもらいます。

 先ほど来申し上げておりますように、三歳児の職員の配置改善を行いました。チーム保育推進加算ですとか、人目を必要とするような、支援員の配置、これも来年度予算に入れさせていただいております。また、保育士の処遇改善、二%だけではなくて、累次の処遇改善に取り組んでおりまして、累計一八%の給与改善にも努めてきたところであります。

 ただ、他方で、委員御指摘のような、保育の現場、非常に業務が多忙だというような声も伺っております。総理からは、保育の量、質両面からの強化を柱の一つとして、子供、子育て政策として充実する内容の具体化という指示をいただいております。

 まだこのたたき台を作っている最中でございますので、個別の施策の是非を申し上げる段階にはないというふうに思っておりますが、引き続き、様々な意見に耳を傾けながら、まさにこの指示を踏まえて、子供、子育て政策として充実する内容を具体化をしていきたい、このように思っております。

高橋(千)委員 大臣が立ってくれたということは、進むのかなと思っております。

 次の質問を大臣に聞くつもりだったんですが、それであれば、時間の関係で、要望にしたいと思います。

 保育士自身が子育て世代であって、仕事と家庭の両立に悩んでいるということ自体をやはり自覚していただきたいと思うんです。保育所は、親の実態がそのまま反映される、社会の鏡みたいな場所なんですよね。不規則な働き方、長時間労働、不安定雇用、月々で仕事が変わる派遣など、そうした親の事情を全部引き受けているのが保育所なんです。

 しかし、その保育士たちも一人親だったりします。子供が熱を出したら途方に暮れる親であり、この給料では進学させられない、産休に入るけれども職場に迷惑をかける、こういう悩みを抱えているんです。

 アンケートの中に、辞めたい、周りは辞めているというのが多いんですけれども、資料の4に、保育士さんが今従事者六十六万人くらい登録しているんだけれども、資格は持っているけれども福祉施設で働いていないという方が百万人を超えているわけなんですよ。ここを本当に、子育てを応援する保育士さんが自らの子育てと仕事の両立を諦めて離職する、こんな状況は絶対変えなければならない。このことを重ねてお願いをしたい、このように思います。

 それで、児童手当の所得制限を取り払うことが、自民党の幹事長から発言が飛び出したことで注目されています。子供を社会が育てるの理念を具体化する上で大変重要だと思いますし、もちろん賛成です。しかし、生活が苦しい、そこに声が上がっているのは、十八歳まで支給してほしいということなんですね。

 資料の5。ちょっと急ぎます。セーブ・ザ・チルドレンの資料ですが、五千世帯のうち八割以上が、物価が上昇して苦しいと答えています。

 次の資料なんですが、上の段を見ると、児童手当を十八歳までという声が集中しているんです。今までと比べようのないくらいお金がかかり、毎日お金の計算ばかりしていますとか、児童手当、何で中学生までなのか、高校生は給食ないし、食べる量も増えますと。もっともな御意見なわけですよね。

 だから、今見直しをするというのであれば、本当にここに切り込んでいかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年に児童手当が現在の制度となってから十年が経過し、さらに、少子化が進展するなど、社会経済情勢は大きく変わるとともに、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容も変化しております。

 児童手当については、令和三年の改正法附則において、児童の数等に応じた効果的な支給、その財源の在り方、支給要件の在り方について、子供、子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえ、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を加えることとされたところであり、こうした中、所得制限の撤廃、多子世帯への加算、それから先生御指摘の対象年齢の拡大など、様々な御意見があると承知しております。

 現在、子供、子育て政策の強化について、小倉大臣の下、関係府省会議において議論を進めているところであり、様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途に、子供、子育て政策として充実する内容をパッケージとして具体化してまいります。

高橋(千)委員 もう三月、半分になっちゃいましたからね。これまで本当に、三月中にまとめます、まとめますと言って、今答えられないというのは非常にまずいと思うんですよね。やはり、これだけ意見があるというのは分かっている、状況が変わっているというのは分かっている、だったら踏み込まなきゃいけない、このように思います。

 それで、資料の7も見ていただきたいんですが、これはしんぐるまざあず・ふぉーらむの調査です。上の段は、子供への影響、我慢の体験。これはたくさんあるんですが、紹介できません。下の方、クリスマスと年末年始もしてあげられない。真ん中を見てください、どちらもできないというのが六八・三%です。自由に、子供にクリスマスプレゼントが買えない、十二月だけれども手当がないから買えないということ、お正月らしいことは何もしてあげられない、お餅くらいは食べさせてあげたい、こうした声が切々と訴えられているんです。

 ですから、少子化対策と言うのであれば、まず本当に、子供の貧困、ここから優先的にやっていく必要があるんじゃないかと訴えられているんです。

 予算委員会でも質問しておりますが、一人親家庭への児童扶養手当の所得制限の見直し、そして、多子世帯、二人目、三人目といったら、減っていくのではなくて見直しをしていく、これは急がれると思いますが、いかがでしょう。厚労省に伺います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の児童扶養手当でございますけれども、子育てと生計の維持を一人で担い、経済的、社会的に様々な困難を抱えている一人親家庭などの生活の安定と自立の促進に寄与するということ、さらには、その一人親家庭に暮らす児童の福祉の増進を図るといったことを目的とするものでございます。

 そうした児童扶養手当につきまして、これまで、多子加算額の倍増、これは平成二十八年の八月支給分からでございますけれども、あと、全部支給の所得制限限度額の引上げ、これは平成三十年からとか、あとは、支払い回数の、年三回から年六回の細分化への見直しであるとか、そういった累次の改善などを実施をしてきたところではございます。

 更なる見直しを、何かを行うという場合には、一人親世帯などの家庭の生活の安定、それと自立の促進という制度の目的なども十分踏まえて考えていく必要があるかなというふうに考えてございます。

 また、一人親世帯などへの支援に際しましては、この児童扶養手当による経済的支援に加えまして、就業への支援であるとか、あるいは、子育て・生活支援なども含めた、一人親世帯の生活全体を総合的に支えていくという視点もこれまた重要であるというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、先ほどから都度話題になっております、三月末を目途に具体化をしていくたたき台などの議論も行われているところでございます。厚労省としても、必要な連携協力をしてまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 今答弁にあったこれまでの見直ししてきた過程は、全部、当然、一緒にやっていたので分かっております。問題は、就業支援もやっている、それはそうだ、でも、そこで本当に自立していけば、おのずと手当ては要らなくなるわけですから。だけれども、そうじゃないから、今、そもそも研修に行きたいんだけれども、仕事との関係でできないだとか、子供との関係でできないだとか悩んでいるわけです。だから、まず生活の安定が当然だというのは分かっていただきたいと思うんですね。

 まず、メニューに入るのかどうか、検討に入るのかどうか、そこだけお答えください。内閣府。

野村政府参考人 失礼いたします。

 子供政策の強化全般ということで、先般の総理指示を踏まえまして、三つの基本的方向等を踏まえつつ、今、こども政策の強化に関する関係府省会議で具体的な検討、議論が進められているところでございます。

 そうした中で、今話題になっている、この児童扶養手当を始めとする個別の政策課題が検討対象となっているかどうかにつきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますので、御容赦いただければと思います。

高橋(千)委員 かなりそこら辺が、ずっとそうやって、検討します、まとめをやるまではお答えできませんといって、テレビ討論でも、自民党の萩生田さんが、まとめを今やっていますからとおっしゃった。だけれども、資料の中には、そもそも有識者ヒアリングの中の資料にも全く出てこないんですよ。だったら入るわけがないじゃないですか。その認識をまず持っていただきたいと重ねて指摘をしたい。入ってから、うまく改善できるかどうかさえ分からないんですから、メニューに入らなかったら議論が進まないでしょう。このことを言いたいと思うんです。

 もう一つ、文科省に来ていただいているので。子供の中に家庭の経済的事情による格差を持ち込んではならないと思うんですね。学校給食の無償化、義務教育の完全無償化、高校授業料の無償化に公私間格差をつけないこと、これがポイントだと思います。

 資料の8の左側を見ていただきたいんですが、高校等、私立の授業料支援の仕組みが違います。私立の授業料が高いからというのもあるんですけれども、高いからというのは、所得が高いこととイコールではないわけなんです。それなのに、所得制限が、公立高校は九百十万円なのに、私立高校は五百九十万円ということで、階段になっているんですね。どうしてこうやってちょっとずつ差をつけるのか。本当に、子供たちに格差を持ち込んではならないと思うんですね。ここを見直していくべきだと思いますが、文科省に伺います。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の義務教育段階におきましては、学校給食費、学用品等につきましては、経済状況が厳しい保護者に対して、生活保護による教育扶助ですとか就学援助を通じて支援をしているところでございます。

 また、御指摘の高等学校の就学支援金につきましては、委員御案内のとおりでございますけれども、令和二年度に五百九十万円未満の私立校に通う生徒への就学支援金の加算を拡充してございます。

 教育機会の均等という点は大変重要だと認識してございますので、引き続き、安定的な財源の確保を図りながら、教育の機会均等の取組に充実をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 最後に大臣に、いろいろとメニューを握っている大臣の決意を伺いたいということと、最も子供の成長に深く長く関わる学校教育をしっかりと位置づけるべきだと思いますが、一言お願いします。

小倉国務大臣 少子化対策という意味では、少子化対策の観点で教育施策を捉えた場合、少子化の主な要因として子育てや教育にかかる費用負担の重さが指摘されているところでありまして、教育費の負担軽減は、これは重要な論点であると考えております。

 繰り返しになって恐縮ですが、今たたき台を取りまとめている最中でございますので、個別の施策の是非は述べる段階にないと思っておりますが、引き続き、様々な意見に耳を傾けながら、取りまとめに向けて議論を加速をしてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 もう半月しかないのにそういうことを言うんだなとちょっと思ったんですが、委員長、是非、この取りまとめができたら、この委員会でまた議論させていただきたいと思います。お願いします。

橋本委員長 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議いたします。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。岡田国務大臣。

    ―――――――――――――

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡田国務大臣 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国家戦略特区では、経済社会の構造改革を推進するため、これまでに百二十項目以上の規制改革を実現するとともに、合計十三か所の特区において、これらを活用した四百を超える事業を実行に移してまいりました。

 全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すデジタル田園都市国家構想を実現するためには、その先導役となるスーパーシティー型の国家戦略特区等における先端的サービスの早期実装等を推進するための規制・制度改革に着実に取り組んでいく必要があります。

 本法律案は、地方自治体からの提案等を踏まえ、国家戦略特区諮問会議等において検討した結果に基づき、スーパーシティー等における先端的サービス等の推進に係る所要の措置を講ずるほか、国家戦略特区法に規定されている法人農地取得事業を構造改革特区法に基づく事業に移行するための規定の整備を行うものです。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、補助金等交付財産の処分の制限に係る承認手続の特例として、特定事業の実施に当たっての補助金等交付財産の目的外使用等に関する事項を定めた区域計画について、国家戦略特区区域会議が内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、補助金等交付財産の目的外使用等に係る各省各庁の長の承認があったものとみなすこととしております。

 第二に、情報システム相互の連携を確保するための基盤を整備する者に対して国が行う援助の内容として、当該基盤から提供されるデータの内容の正確性の確保その他の当該基盤の利用における安全性及び信頼性の確保に関する情報の提供等を追加するなどの措置を講ずることとしております。

 第三に、国家戦略特区法に規定されている法人農地取得事業について、対象となる法人及び地域に係る要件並びに区域計画の認定に係る関係行政機関の長による同意の仕組みを維持した上で、地方公共団体の発意による構造改革特区法に基づく事業に移行するための規定を整備することとしております。

 このほか、国家戦略特別区域処方箋薬剤遠隔指導事業に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の特例措置の削除その他の措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

橋本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十九分散会


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