衆議院

メインへスキップ



第4号 令和5年3月30日(木曜日)

会議録本文へ
令和五年三月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 英之君 理事 谷川 弥一君

   理事 坂本祐之輔君 理事 湯原 俊二君

   理事 中司  宏君 理事 中川 宏昌君

      井原  巧君    石田 真敏君

      今村 雅弘君    大野敬太郎君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      鈴木 隼人君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      深澤 陽一君    牧島かれん君

      宮路 拓馬君    保岡 宏武君

      渡辺 孝一君    末次 精一君

      堤 かなめ君    福田 昭夫君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      住吉 寛紀君    堀場 幸子君

      輿水 恵一君    鰐淵 洋子君

      西岡 秀子君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     岡田 直樹君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   内閣府副大臣       中谷 真一君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           布施田英生君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           長井 俊彦君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            野津 真生君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     深澤 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     大野敬太郎君

    ―――――――――――――

三月十六日

 子供のための予算を大幅に増やし、保育士の増員など、保育・学童保育制度の抜本的改善を求めることに関する請願(井坂信彦君紹介)(第三九二号)

 同(大西健介君紹介)(第三九三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三九四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三九五号)

 同(本庄知史君紹介)(第三九六号)

 同(牧義夫君紹介)(第三九七号)

 同(谷田川元君紹介)(第三九八号)

 同(笠浩史君紹介)(第三九九号)

 同(稲富修二君紹介)(第四四七号)

 同(笠井亮君紹介)(第四四八号)

 同(湯原俊二君紹介)(第四四九号)

 同(池田佳隆君紹介)(第四七二号)

 同(重徳和彦君紹介)(第四七三号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第四八八号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第四八九号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第四九〇号)

 同(たがや亮君紹介)(第四九一号)

同月二十八日

 子供のための予算を大幅に増やし、保育士の増員など、保育・学童保育制度の抜本的改善を求めることに関する請願(森田俊和君紹介)(第五三六号)

 同(志位和夫君紹介)(第五六〇号)

 同(枝野幸男君紹介)(第五八九号)

 同(田嶋要君紹介)(第六六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長布施田英生君、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、警察庁長官官房審議官小林豊君、消防庁審議官鈴木建一君、文部科学省大臣官房審議官原克彦君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君、農林水産省大臣官房審議官長井俊彦君及び国土交通省自動車局次長野津真生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小寺裕雄君。

小寺委員 皆さん、おはようございます。

 自由民主党衆議院議員、滋賀四区の小寺裕雄でございます。

 それでは、早速ですが、質問に入らせていただきます。

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案についてでありますが、このいわゆる国家戦略特区法は、国が指定した区域において、規制や制度を改革することを通じて経済社会の構造改革を推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を図ることを目的としており、指定された国家戦略特別区域内において規制の特例措置の整備等を総合的かつ集中的に講ずることによって、世界で一番ビジネスのしやすい環境を創出することで、民間投資を喚起し、日本経済の再生につなげようとするものであります。

 これまで既に百二十項目以上の規制改革を実現するとともに、合計十三か所の特区において、これらを活用した四百を超える事業を実行に移されているものと承知をしております。

 そこで、まず、今回の本法案の提出に至った背景と趣旨についてお尋ねをいたします。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 本法案の提出に至った背景といたしましては、昨年四月、スーパーシティ等の指定が行われたこと、それから現行の国家戦略特区法に規定されております法人農地取得事業に係る農地法の特例措置の期限が本年八月末に到来することの大きく二点が挙げられます。

 こうした背景を踏まえまして、本法案の趣旨といたしましては、スーパーシティ等における先端的サービスの早期実装等を推進する観点から、補助金等交付財産の目的外使用等に係る承認手続の特例や、データ連携基盤の整備等に関する援助の拡充を盛り込むとともに、昨年行われました法人農地取得事業のニーズと問題点調査の結果を踏まえ、対象となる法人や地域に係る要件等を維持した上で、地方公共団体の発意による構造改革特区法に基づく事業に移行するため、所要の措置を講ずるものでございます。

小寺委員 ありがとうございました。

 スーパーサイエンスシティ関係のものと、農地の法人の取得のいわば見直しにつながる措置をするということであろうと思います。

 そこで、まず、今回の改正の一つでもあります、国家戦略特区における法人の農地取得事業についてお尋ねをしたいと思います。

 我が国においては、農地法上、法人が農業に参入しようとする場合には、農地を所有できる法人というのは農地所有適格法人に限られているわけであります。その他の一般法人は、賃借によって農地の権利取得が認められているということになっております。

 この国家戦略特区においては、農業の担い手が不足する地域において、法人の参入を促すことで農業の国際競争力を強化し、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図る観点から、長期的、安定的な農業の経営環境や多様な担い手の確保を目的として、農地法の特例を設けて、一定の要件の下に、農地所有適格法人以外の法人の農地所有が認められているものというふうに理解をしております。

 そこで、具体的には、平成二十八年、二〇一六年に、兵庫県の養父市において法人農地取得事業が実施をされているところでありますが、この養父市における成果についてはどのようなものか、お尋ねをしたいと思います。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 養父市では、この特例によりまして六法人が合計一・六五ヘクタールの農地を所有しているところであり、うち一・三六ヘクタールは従前は遊休農地であったと承知をしております。

 また、養父市で本特例を活用して農地を所有しているこれら六法人の中には、元々は養父市外の企業であったが、市内で農地を所有して営農することで、本気で農業に取り組む姿勢を地域に示し、地域との協力が強くなり、周囲の農家の所有する農地の耕作も依頼されるようになり、リースによる営農面積は拡大した。あるいは、農地を自社で所有することで、回収に長期を要する投資が可能となり、大規模な水耕栽培プラントの建設、実証が可能になったなどの例があり、これらの成果は所有が認められたことで実現しやすくなったものと理解をしております。

 これら六法人による遊休農地の解消面積は、平成二十八年三月末の九・九ヘクタールから、令和四年三月末現在で十八・八ヘクタールに増加をしておりまして、六法人による延べ雇用人数は、平成二十八年三月末の一人から、同様に二十二人に増加するなど、遊休農地の再生や雇用の創出に効果を上げているというところでございます。

小寺委員 ありがとうございました。

 実は、もうこれは聞くまでもない質問であったわけですけれども、今御答弁いただいた養父市の成果というものを、これはすごいな、すごい成果やというふうに見るのか、そうか、規制改革をそこまでやって、全国的に展開するまでやるほどのことやったんかというところで評価が分かれて今日に至っているのではないかなというふうに理解をするわけです。

 そこで、やはり質問者としては、じゃ、おまえはどう考えるのやということをせっかくの機会ですから申し上げますと、私、一つは、養父市という条件設定の下ではあったけれども、成果としてはやはりあったんだというふうに評価をしてもよいのではないかというふうに思います。

 ただ、どうしても法人の農地所有のところにばかり今回の特区の中で焦点が当たって、いわゆる推進派、もっとやっていこうという人と、やはり厳しい中山間地あるいは地方の実情を知る農業の専門家と言われる人たちからは懸念の声が上がっている中で、どうしてもなかなか折り合いがつかなかったというのが正直なところであろうと思います。

 養父市の取組も、何も法人の農地所有だけをただ一点やっているわけではなくて、たくさんのことに実は取り組んでおられて、そのこと自体が一般の方々には実は余り知られていないところにこの問題の若干残念なところがあるのではないかというふうに思います。

 養父市発信の、農業委員会と市の事務負担で軽減されたことによって、所有面積を小さくして、いわば農地つき住宅が取得しやすくなるような事柄というのは、実は、私の住む中山間の地域でも、同じような希望があるにもかかわらず、農家住宅やから一般の人はなかなか持たれへんみたいな話があって、残念なことが実際ございますし、また、農業への信用保証制度の適用であったり、これは養父市発案ではないですけれども、全国展開されて、農業の支援につながっていることもあります。

 また、養父市で発案された旅館業法施行規則の要件緩和であったり、シルバー人材センターの就労時間を緩和すること、また、いわゆるオンライン方式の服薬指導の特例であったり、また、自動車を活用した、そうした、いわゆる交通利便性を向上するような取組であったり、たくさんのことをされているわけでありますから、そういう総合的な中で、この法人の農地所有の問題だけを極端にクローズアップするところにも、私は若干いかがなものかという気がしております。

 そうした地域にはそういう課題があって、それをやはり何とか解決していきたいという過程において、いわゆる一般法人にも農地所有の道を気軽にしたかったという思いがあったというふうに酌み取れます。

 一方で、現下のそういう、農地を取り巻く環境には、別の時点で大きな課題がありますので、そこに養父市がお取組をされようと今取り組んでおられるわけですけれども、国家戦略特区としてのいわゆる法人の所有というところには、別の意味での問題があったためにこうなっているのかなというふうに感じているところでございます。

 そこで、今、少し申し上げましたけれども、本来であれば、区域内で農地の売買を認めた上、五年間試行して、特段何も問題がなければ全国展開するというふうな前提であったはずでありますけれども、結果的には、国家戦略特区法から構造改革特別区域法に移行することとなるわけであります。

 いわゆる構造改革特区法は、地方公共団体が設定した区域内において、地域の特性に応じた規制の特例措置を適用することによりまして、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を実現していこうとするものであります。

 そこで、今回、この法人農地取得事業について、なぜ国家戦略特区法から構造改革特別区域法に基づく事業に移行しようとされているのか、その理由と概要についてお尋ねをしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特別区域法第十八条の法人農地取得事業に係る農地法の特例措置について、当該特例を創設した法律の施行日から七年を経過する日が期限とされているところ、当該期限が令和五年、本年の八月三十一日に到来をいたしますことから、本特例について措置を講ずる必要があるということでございます。

 このため、令和四年に行われた法人農地取得事業のニーズと問題点調査の結果、それから、国家戦略特区諮問会議等での御議論を踏まえまして、本法案では、国家戦略特区法第十八条で規定されます法人農地取得事業について、対象となる法人や地域に係る現行の要件や、区域計画の認定に係る関係行政機関の長による同意の仕組みを維持した上で、地方公共団体の発意による構造改革特別区域法に基づく事業に移行するという、このための措置を講じたいと考えております。

小寺委員 ありがとうございます。

 次に、ニーズと問題点調査の内容についてお伺いをするんですけれども、その前に、国家戦略特区と規制改革会議の両方のところでいろいろな激論が交わされたというふうに承知をしております。

 偶然、たまたまですが、私が今回この質問をするに当たりインターネットを検索していると、坂本哲志という方のブログにひっかかりまして、二〇二三年、本年の二月にこのことについて、当時、御自身が時の国家戦略担当大臣であったときの御経験も踏まえて書いていただいている文章を読ませていただきました。いろいろな議論があったんやなということが推察されるわけであります。

 私自身がよく、規制の改革側と、守旧側と言うと言葉は語弊がありますけれども、守ろうとする立場、私はどちらかというと実は守ろうとする立場の人間でありますけれども、机上で見ておられてこうあるべきというあるべき姿と、地方の現実にはやはり少しギャップがあって、そのことも大事であるけれども、それだけをもって地方の問題やそうした中山間の問題というのは、解決するには大変難しいところがあるのかな。

 それと、一つはやはり意識の壁。よく知らない人が地方にこうやからと言うてどんと入ってこられることによる拒否感であったり、文化の壁であったり、そういういろいろなことが、地域や地方にとっては、都会で考えていただいている、皆さんが考えているほど簡単なものではなくて、乗り越えることがそれほど難しい問題なんやということを御認識いただかないかぬのではないかなというふうに思うところであります。

 そこで、これからお聞きするニーズと問題点調査でありますけれども、そのニーズと問題点調査の結果というのはどのようなものであったのでしょうか。お尋ねしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年行いましたニーズと問題点調査は、ホームページを通じた法人、農家、市町村に対する調査と、中山間地域を有する全ての市町村に対する調査、それから、これらの回答者に対するヒアリングという形で実施をいたしました。

 このうち、法人、農家、市町村に対する調査では、法人農地取得事業の活用の考えがあるとの御回答が五十六、活用の考えがないとの回答が三百四でございました。

 また、二つ目の、中山間地域を有する全ての市町村に対する調査では、回答のあった六百九十の市町村のうち、法人農地取得事業についての活用の考えがあるとの回答が五十四、活用の考えがないとの回答が三百八ということでございます。

 なお、懸念、問題点に関してでございますが、この調査の中では、国家戦略特別区域以外においても法人農地取得事業を活用したいと回答した自治体もあった一方で、投機的な取得や撤退後の耕作放棄、それから地域コミュニティーとの共存など、法人による農地取得に対する懸念や問題点も示されたというところでございます。

小寺委員 ありがとうございます。

 私も、結果を一、二、三と見させていただいて、逆に言うと、そのことに対して問題と感じておられなくなったり、特段問題がないという方々から声が寄せられることはなくて、そのことを課題としながら、どうしてもその規制を外してほしいという方よりは、現状おる中で、それを行うことによる不安をなかなか解消できなかったのではないかなと。結局、農家の方々にとっても行政の方々にとっても意識の問題が大きな壁であったのかなというふうに思います。

 特に、実際そのことをつかさどっていただく市町の方々からすると、恐らく、そういうことをすることによって仕事を更に増やさないでほしいという意識も働いたのではないかというふうに思いますし、また、どうしても一般の法人が土地を所有しなければならない、必然によって農業をその場で営まなければならないという事例がどれだけあるのかなということを思うと、元々書いてありますように、いわゆるリースであったり、またあるいは適格法人を立ち上げれば、別に農業を営めないわけではありませんので、そういうことで、ルールがほかにもあるにもかかわらず、どうしてもこれでせんならぬという必然が若干見出しにくかったのではないかというふうに、私自身は読ませていただいて感じました。

 そこで、いろいろな意見があったわけですけれども、特に、今、御答弁の中にありました慎重派の意見の中には、投機的な取得であったり、その企業が撤退した後の耕作放棄地をどうするのか、さらには、転用に対する懸念というものが示されているというふうに、今も御説明があったわけですけれども、認定の確認だけではなかったり、あるいは実施段階であったり、そういう不適正利用というものが行われないような監視体制であったり、そうした懸念の声に対して具体的にどのような措置を講じようとされているのか、お尋ねしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案により構造改革特区に移行される法人農地取得事業の仕組みにおいては、これまでの国家戦略特区における法人の要件を維持することとし、農地の取得が認められる法人は、まず第一に、農地を適正に利用していないと地方公共団体が認めた場合には当該地方公共団体に農地等の所有権を戻す契約を締結していること、第二に、地域のほかの農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと認められること、第三に、業務執行役員等のうち、一人以上がその法人の行う耕作又は養畜に常時従事することが認められることの全てを満たすことが求められます。

 また、認定後の事業実施段階においても、農地を取得した法人は、農地の利用状況について、毎年、農業委員会に報告するとともに、当該法人がその農地を適正に利用していないと認める場合や、当該法人が地域のほかの農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行っていないと認める場合には、農業委員会が地方公共団体に通知をし、当該地方公共団体が農地を買い戻すことができ、御懸念のような投機的な取得などを排除したいと考えております。

 また、必要な場合には内閣総理大臣又は農林水産大臣が地方公共団体に対する報告徴収、措置要求を行いまして、認定基準に適合しなくなった場合には内閣総理大臣が認定の取消しを行うということでございます。

小寺委員 これでもかというぐらい厳しいルールを作っていただいて、不適正利用であったり、また、事前であっても事業中であっても、そうした、気がついたらえらいことになっていたということがないような策が講じられているものというふうに思います。

 そこで、今、農林水産大臣という言葉が出てまいりましたけれども、今し方の問題点調査でも明らかになったように、市町村などの地方自治体、また農業者や地域の方々からは、不適正利用に対する懸念が大変強いということがよく分かりました。

 そこで、今、法人の農地取得事業については農林水産大臣の同意が必要であるというように伺いましたけれども、これはどういう考えで行うものなのか、お尋ねをしたいと思います。

長井政府参考人 お答えいたします。

 農林水産大臣による区域計画の同意に当たりましては、地域計画との整合性、具体的には、法人が地域計画に位置づけられているのか、あるいは位置づけられる見込みであるのかを確認し、これらを満たさない場合には同意しない考えであります。

 また、地域計画が策定されていない地域にあっては、農地法第三条の要件、具体的には、法人が提出する営農計画により取得する農地の全てを効率的に利用できるのか、農地の面的集積や地域の水利用など、周辺の農地利用に支障を及ぼさないかを確認し、これらを満たさない場合には同意しない考えであります。

小寺委員 ありがとうございます。

 今、地域計画との整合性という言葉が出てまいりました。昨年、いわゆる改正農業経営基盤強化促進法というものが成立しておりまして、今までも、地域では、人・農地プラン、つまり、農地と耕作者を結びつけて、この集落あるいはこの地域ではどういう作物を誰がどういうふうに作っていくのかということを既にやってまいりました。

 私の地元は滋賀県でありますけれども、滋賀県は、集落営農法人という、いわゆる集落ぐるみの農業経営体を基盤としておりますので、過去からそうした取組を進めておりましたし、また、いわゆる法人化も進めてきて、実はそういう取組の先進地的な場所ではないかというふうに考えております。

 しかしながら、実態は、絵に描いた餅とまでは申しませんが、実際そのとおりできているところは限られておって、なかなかこの厳しい農業の現状から見ると、今後の担い手をどうしていくのか、あるいは、何を作ればこの地域ではしっかりとした収入が得られるのかといったことが、大いに不安に感じているところでもあります。

 そういう点では、これから、今まさに、たしか令和七年までにそれぞれの地域でこの地域計画を策定していこうということですが、その中に、担い手としてこうした意欲ある法人が参画していただけるということは、実は、大変地域にとっても心強いことでもあります。

 実は、私の地元で、県内二番目の建設業大手の会社が、自社の資本だけで法人を立ち上げて、お米を作ったり、また観光イチゴ園等を経営されて、大規模に成功を収めておられます。その法人の経営の会社の方からすると、地域の田んぼもみんな見てあげるよというお話を投げかけていただいているんですけれども、地域からは、あんなところと手を結んだら先祖伝来の田畑がいつの間にか全部召し上げられて、財産がすってんてんになってなくなってしまうという声があって、法人さんの方からは、そういうお考えやったら仕方がないですねと言うて、なかなか協力が進みません。ですから、私は、今度の地域計画で、農業委員さんやら市町の職員がしっかり入っていただいて、そういう企業とそういう地域の法人を結びつけていただくことによってその地域全体の農地が維持されればなというふうに願っているわけであります。

 一方で、今度、構造改革特区に変わったとしても、これまでの厳しい要件が緩和されるわけではなくて、特に思いますのは、これは議会の承認が必要になっております。私自身も地方議員をしておりましたので、いわゆる農地の売買におるときに、市町が一旦買い上げて、あるいは何かあったときにはもう一度市町が責任を持って買い上げて、いわゆる耕作放棄地を出さないというシステムはよく分かりますが、この同意が果たして議会で得られるようなことになるのかなと思うと、これは債務負担行為をせんならぬというふうに伺っておりますので、大変ハードルが高い。

 ということを思いますと、一旦これでこうして進むものの、構造改革特区としてはまた是非新しい形をつくっていただいて、所有のない形ででも、もう少し一般企業が参入しやすいような仕組みをつくり上げていくことが重要であるかなというふうに思うところでございます。

 そしてもう一つ、不適正利用で心配されているのが、これは私の地域でもあるんですけれども、いわゆる営農型の太陽光発電がどんどんどんどん、何かソーラーパネルも山林で同じようなことがあって、地域でかなり問題になっていますけれども、この営農型太陽光発電が行われるのではないかというふうな声が心配の声として上がっておりますけれども、こうした懸念に対してはどのように対応されていくのでしょうか。

長井政府参考人 お答えいたします。

 法人農地取得事業は、農地の効率的な利用を通じて地域の活性化を図るため、法人が農地を取得して農業経営を行う事業でございます。営農型太陽光発電につきましては、農地の効率的な利用が必ずしも図られず、生産性の低下につながるものであるため、本事業の趣旨に反するものと考えております。

 このため、構造改革特別区域に指定された区域におきましては、営農型太陽光発電に係る農地転用は認めない考えであります。

小寺委員 ありがとうございました。それはとても大事な視点でありまして、是非そのことを周知徹底していただいて、お願いしたいと思います。

 もう一点、土地所有の懸念の中で、外国人の方が農地を含めて土地を取得されている、このことに対する懸念の声がございました。質疑時間が終了ということでございますので、このことはまた次の機会に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主党・無所属の緑川です。

 今回の改正案では、スーパーシティ型国家戦略特区への国の支援が強化される一方で、今対象になっているつくば市と大阪市、しかしながら、それ以外の、提案してきた二十九の自治体についてはスーパーシティに指定されませんでした。その提案の内容の今後の深まりを政府として見ていくということなんですけれども、まず、これらの自治体の中で、必ずしも規制改革にこだわらないけれども、デジタルを活用した町づくりは進めていきたいという声には、国としてしっかり応えていく必要があるというふうに思います。

 そこで、スマートシティであれば、デジタル田園都市国家構想総合戦略で、二〇二五年までに、もう近くですね、百地域をつくっていくということを目指しているわけですけれども、スーパーシティに指定されなかった自治体を含めて、今後のこうした地域をつくることの支援をどのように進めていくのか、お尋ねをしたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、総合戦略におきまして、二〇二五年までに百地域の先導的なスマートシティの創出を目指すこととされているところであります。

 この目標の実現のために、国家戦略特区制度を活用して大胆な規制改革に取り組むスーパーシティについては、自動配送ロボットやドローン物流など複数分野の先端的サービスやデータ連携を実現するための支援を行っているところであります。

 さらに、スーパーシティに応募されたが選ばれなかったという地方公共団体を含めて、デジタルを活用した地方の課題解決や活性化などに取り組む地方公共団体に対しましては、スマートシティ関連事業やデジタル田園都市国家構想交付金等を活用した支援も行っておりまして、総合戦略における目標、スマートシティ百地域という目標の達成に向けて、引き続き関係省庁と連携しながら取組を進めてまいりたいと思いますし、先ほど委員から御指摘がありました、スーパーシティやデジタル田園健康特区に指定されませんでした二十六の自治体についても、これは落選というわけではありませんで、提案の熟度が高まり次第、指定について改めて検討をさせていただくことにいたしておりまして、自治体からの希望に応じ、引き続き、規制改革の提案内容に関する助言等を行ってまいることといたしております。

緑川委員 スーパーシティもスマートシティも、やはり規模の違いはあるにしても、いずれにしても、デジタル化、自治体間、あるいは民間、都市間で連携をしながら、個人の同意の下で、暮らしに関わる様々なデータを分野横断的に利活用していくということで、様々なサービス、新たなサービスの提供が可能になっていくということで、いずれにしても、データの連携基盤というものが軸になってきます。

 そのシステムの構築には、まずはITのベンダー、外部からの技術的なサポートというものがどうしてもここで不可欠になります。システムを導入して間もない時期というのは、そうしたベンダーに頼らざるを得ないと思いますが、その後、システムにも徐々に慣れていく。運用やメンテナンス、あるいはデジタルサービスの企画、あるいはサービスを提供していくという段階では、外部に必ずしも委託をせずに、委託し続ければ、当然コストがかかってきます。何のためのデジタルか分からなくなってしまいますので、そうしたシステムの導入と並行して、外部だけに依存せずに、自治体や地元の企業でやはり自前の人材を、デジタル人材を育成する。地域に根差す当事者が主体的なプレーヤーとしてやはり参加し続けられるかどうかが非常に重要であるというふうに思いますけれども、岡田大臣、御認識、いかがですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 大切な問題意識あるいは御指摘だと思っておりまして、スーパーシティ、スマートシティなどのデータ連携基盤については、国として、データ連携基盤のコア、核と申しましょうか、コアとなるデータ仲介機能の開発、無償提供などを行い、地域の事業者などが基盤を整備する際のコスト抑制などに取り組んできたところであります。

 また、データ連携基盤の整備に当たりましては、地域のニーズや提供しようとするサービス内容に応じて必要となるデータの検討や、データ連携基盤を通じて提供されるデータの品質管理が重要でありますことから、委員御指摘のように、地域内の事業者に運用を移していくためには、地域において十分なノウハウを有する人材を確保していく必要があると考えております。

 このため、本改正法案におきましては、データ連携基盤の整備主体に対する現行の援助内容を拡大し、データ連携基盤から提供される各種データの品質管理に関する情報提供や、各地域で実際にデータ連携基盤を整備する際のアドバイス等の支援などを強化し、地域の事業者など現場レベルで、先端的サービスの目的や内容に即した、きめ細やかな支援を行うことといたしております。

 また、こうしたデータの品質管理に関するルールや評価ツール、評価手法というんでしょうか、これを整備することを通じて、地域の事業者が主体となったデータ連携基盤の運営にも資するよう取組を進めてまいりたいと考えております。

緑川委員 ありがとうございます。

 地域内の事業者に、いかにそうした主体的な役割を移していくかというのが重要であると思いますし、それによって雇用を新たに生んだり、そして、その地域でノウハウを蓄積することによって、また新しい、地域に即した、地域に根差した事業者として、その地域の周辺を熟知した企業として、必要なサービスというものをやはりきめ細かく届けられることができるというふうに思うんです。

 ちょっと一点、確認をしたいんですけれども、スマートシティのデータ連携基盤でも、規制改革を必要としないまでも、そういう小規模な例えば自治体では、このスマートシティを進めようというニーズがあったとしても、地域内にそもそもそういう担い手がいないということが考えられます。町や村に多いと思いますが、そういう自治体では、デジタルを使って解決したい課題として、一方では、少子高齢化とか過疎化とか防災、産業振興、こういう優先課題が町と村で共通している場合も多いと思います。近隣のそういう地域でまとまっていく、スマートシティを一体でしっかり取り組んでいくというような捉え方も必要ではないかというふうに思いますが、いかがですか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃっていただいたとおり、近隣の市町村との関係を始めだと思いますけれども、このスマートシティをつくっていくに当たって、地域間連携というのは非常に重要だと思います。

 今回、たまたま法案審議ですので、スーパーシティに焦点を当てた御説明を申し上げておりますけれども、政府では、デジタル田園都市国家構想ということで、全体のビジョンを進めながら、地域とやり取りして進めております。その中で、一つの大事な考え方として地域間連携、もう一つは施策連携というのがございますけれども、地域間連携というのも、これを重視して進めているところでございます。

 御指摘の問題意識のとおりだと思いますので、しっかり進めていきたいと思っております。

緑川委員 御答弁ありがとうございます。

 地域の課題、やはり今、全国的な課題も共通しているところがありますので、そういう真摯に向き合っている自治体が入っていけるように、その入口は広くしていただきたいというふうに思います。

 データ連携では、活用を通じて、住民の福祉、利便性を高めていく、つまり、個人に合った情報や、そういう行政支援などのサービスが提供される、こういう仕組みの前提になるのは、様々な個人情報の連携、活用ということが前提になります。

 情報の不正利用、一方で、そういったセキュリティーリスクといった懸念についてもやはり考えていかなければならないことであるというふうに思います。特に、医療データ、そして自治体が多数保有している住民データ、こういうものを、個人情報の取扱いを定めていても、依然として、現場としては、流出のリスクを踏まえると、利活用のハードルが高いというふうに思います。

 大臣にお伺いをしたいと思うんですが、個人情報のこういう取扱い、そして一方で、その利活用を図ろうという、この利便性の向上というのを、どのように両立を図って、後押しをしていくのか、お考えを伺いたいと思います。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 スーパーシティでは、データ連携基盤を通じて幅広い分野のデータを相互に共有し、先端的サービスの実現を図るものでありますが、その指定の基準として、個人情報保護法令等の遵守を含め、個人情報の適切な取扱いを確保する、こういたしております。

 具体的には、データ連携基盤を通じて取り扱うデータに個人情報が含まれる場合は、本人確認や同意の取得、管理など、現行の個人情報保護法令等の範囲内で適切な取扱いを行うこととなります。

 こうした個人情報保護の更なる徹底のためにも、現在御審議いただいている国家戦略特区法等改正案では、データ連携基盤の整備主体に対する国の援助を拡充し、個人情報保護の適切な管理方法を含むデータ連携基盤の利用における安全性と信頼性の確保に関する情報提供等を強化すること、こういたしております。

 今回の援助の拡充により、データ連携基盤から提供される個人情報などのデータの品質管理を強化し、スーパーシティ等において、個人情報保護にも配慮した形での先端的サービスの早期実装を推進してまいりたいと考えているところでございます。

緑川委員 データ連携基盤ということが目指すところの前提ですけれども、やはり、それぞれの分野ごとに、そもそもの、庁舎内でとか自治体内ですら、情報の共有、これをどこまで情報として出していいのかということに戸惑いがございます。

 大臣おっしゃったように、住民本人が同意をする、条例に基づいて同意をしていくということを徹底する、本人が認めた範囲でしか行政がデータを使わないといういわゆるオプトイン、これを徹底していく上でデータを集めていく、それを活用するということが大切だと思うんです。

 千葉市の例では、個人情報の運用ルールを整理して、住民が自治体のサービスを利用登録する際には、条例に基づいて、その一つ一つについて住民から同意を得るようにしているわけです。例えば、税関連の情報であれば、利用者が自分の情報をデータとして活用してもいいという同意をした上で、その上で、対象となる受けられるサービスの中から通知が欲しいものをチェックしていくという仕組みを取っているんですが、問題は、登録の時点から時間がたっていて、所得の状況が変わっていたりとか出産をしたりということを経験した中で、もう自分が制度の対象でなくなったというものがいまだに情報として来ていたり、やはり煩雑になっています。あるいは、登録した当初は該当しなかったのでチェックは入れていなかったけれども、いざ必要になったときに通知されていないという制度があったりと、やはり品質管理には相当な、自治体によっても差があるというふうに思っています。

 やはり、こうしたデータの収集、利活用によって、住民サービスへ反映させるという流れがスムーズにいけばいいんですけれども、そこが滞っているような、そういう問題を残しているというふうに思います。

 こういう広域でのデータ連携、利活用となれば、これからのデータ連携基盤となれば、やはりなおさらの問題になると思いますので、こういう提供するサービスにどの程度役に立っているのか、あるいは、データ更新がなされずに支障がどの程度生じているのか、検証をしていただきたいというふうに思っていますけれども、一言いただければと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 非常に、今御紹介いただきました千葉市さんのお取組、あと、さはさりながら、実際のサービスの場面で完璧とはいかない部分があるという悩みの部分、両方あったと思います。

 多分、個人情報に関係する部分と、それ以外のデジタルガバメント一般の部分と、両方あるのかなとは思いますけれども、まず、個人情報の保護は、非常に個人情報保護法の体系も法改正を重ねてきていて、常にせめぎ合いで、保護すべきところと、あと、守るところをどういうふうにしていくか。やはり利便性を高めるためには、匿名加工情報の精度とか、そういうところもやっておりますけれども、両方のせめぎ合いの中でやって、更にブラッシュアップをしていくということだと思います。それをどういうふうに自治体さんに執行してもらいやすくするかというところも、引き続きやっていくべきところだと思います。

 それ以外のデジタルガバメントも同様に、国と地方でしっかり対話をしていくということだと思います。事このスーパーシティの文脈でいえば、今回、援助の規定というのができますと、今までは、互換性をちゃんと確保してくださいというところぐらいまでは言っていたんですが、さらに、データの中身とか、そこについても多面的に援助をするということが法律上明らかにできますので、これを是非活用して、しっかり実効が上がるように我々も努力したいと思います。

緑川委員 一か所、ある地域だけの取組での支援だけではなくて、やはり面的な広がりを今後持てるように、今の、現状、スーパーシティに指定されていないようなところでの、どのような課題があるのかということも、しっかり見ていただきたいというふうに思います。

 サイバーセキュリティーについてもちょっと問いたいと思うんですけれども、デジタル化が加速する中で、やはりインターネットがあらゆるものにつながっているわけで、サイバー攻撃によるリスクも大きくなっています。それは国家ぐるみによる攻撃だけではなくて、今やサイバー攻撃のための民間サービスなんかも登場しています。専門スキルがなくても、お金を出せば簡単にそういうサービスを利用することができるという時代になっています。

 金融業界では、今、キャッシュレス決済とか仮想通貨、あるいは投資や資産運用の分析ツール、またクラウドファンディング、こうしたいわゆるフィンテックが進んできていることで、こういう、お金がネットワーク上で組織間でやり取りされる状況の中では、攻撃されるというリスクがますます増えていくことになるわけです。

 こういうビジネスが加速していく上で、ハッキングの攻撃対象や領域が広がっていく中で、サイバーセキュリティーの対策強化に対するお考え、簡単にお伺いしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、社会全体のデジタルトランスフォーメーション、DXの推進が加速するわけですが、その中で、国民一人一人が安心してデジタル技術を活用できるように、サイバーセキュリティーを確保することは不可欠になっていると考えております。

 このスーパーシティでございますけれども、これは、データ連携基盤を通じて様々なデータを共有して、生活全般にまたがる複数分野の先端的サービスを提供するものでございますから、住民が安心して先端的サービスを利用できるためにも、スーパーシティのデータ連携基盤におけるサイバーセキュリティー対策は極めて重要と認識しております。

 国家戦略特区法においても、スーパーシティのデータ連携基盤を整備する主体が先端的サービスを行うために、国や自治体の機関等にデータ提供の求めを行う場合のセキュリティー基準として、総務省、経産省との共同命令の中で、平時それから非常時の責任体制等の明確化、サイバーセキュリティー確保のための管理体制に係る第三者認証の取得や外部監査等の実施、セキュリティーパッチ等の継続的な実施などを定めてございます。

 今後、スーパーシティにおいてデータ連携基盤事業を進めていくに当たっては、これらの基準に従ってデータ連携基盤が整備、運営されるよう、関係省庁との連携の下、しっかりと対応してまいりたいと思います。

緑川委員 今、アプリを様々、開発を急いでいるような、そうした企業なんかもあって、そういうシステムを無計画につくった結果、IT部門の管理が追いつかなくなって、例えば海外では、昨年九月にオーストラリアの大手企業で大規模な顧客情報の漏えいが起きていたりとか、また、脆弱と言われるIoTの機器、防犯カメラのアクセスもやはり脆弱性をつかれて、そこにハッカーが侵入をして、十五万台の防犯カメラが侵入を受けて、その顧客が使う防犯カメラの映像が流出したという事件が、おととしの三月、シリコンバレーのスタートアップ企業が提供している防犯カメラで発生をしています。

 こうしたイノベーションにつきものの、やはり悪意のある、脅威の可能性が高まっているという認識に立って対応していかなければならないというふうに思いますので、機会を見てまた議論させていただければというふうに思います。

 法人の農地取得事業、今日議論にもなっているところについてお尋ねをします。

 国家戦略特区として事業に取り組んだ兵庫県養父市のケースでは、農地を取得した企業六社が経営した農地面積のうち、取得した農地というのはごく僅かであって五%弱、残りの九五%以上の農地はリース契約でありました。

 農業経営にはやはりリースで十分であるということがこの養父市の数字からも明らかでありますし、リース契約であれば農地所有適格法人以外の一般の法人も農業に参入できる、それにもかかわらず、今回、法人の農地取得ができる、そのように措置する理由は何でしょうか。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 現在、企業による農地のリースは認められてございますが、一般的に、リース契約の解除や期間満了後に更新できないことによって事業が継続できなくなる可能性もございます。このため、安定的、長期的な農業の経営環境を整備し、農業者が長期的な見通しの下で投資を行うことを可能とするためには、農地のリースに加えて、農地の所有も選択肢の一つとすることが必要と考えております。

 法人農地取得事業を実施している養父市の法人は、所有又はリースしている農地を一体として農業の用に供しているという場合がありまして、法人がそれぞれの経営判断によって農地の所有とリース等を適切に組み合わせて営農することが可能になるというのが、この特例の意義であると考えております。

 実際、私も養父市へ足を運んで、法人農地取得事業で農地を所有している法人から聞いてみますと、元々養父市外の企業であったけれども、市内で農地を所有して営農することによって、本気で農業に取り組むんだなというその姿勢を地域に示して、地域の信頼を得て、そのことによって周囲の農家から土地を、農地を託される、農地の耕作も依頼されるようになって、リースによる営農面積が拡大した、こういう法人もございました。また、農地を自社で所有することによって、回収に長期を要するような投資も可能になり、大規模な水耕栽培プラントの建設、実証が可能になったといった例もございまして、これらの成果は、農地の所有が認められたことで実現しやすくなったものと理解しております。

 こうした意義があるというふうに考えております。

緑川委員 そもそも、今までに選択肢になかったものを加えるに当たっての検証がやはり十分でないと思います。

 一般法人による農地取得が認められるようになるというのは歴史的な農地法制の転換でありますし、構造改革特区というのは、やはり、今こういう規制がありますけれども、全国展開を見据えた、将来的にはそういう展開を見据えた規制改革の制度であります。そんな重い決定を下すための判断材料が、たった一か所の地域を確認しただけ。全国唯一の特区としてやはり全国から注目されてきたわけですから、そういう環境の中で問題が起きていないということだけで決定をする。判断材料としてやはり十分であるとは言えないと思うんですが、いかがですか。

岡田国務大臣 これまでは、国家戦略特区の制度の中で、兵庫県養父市という一か所で進めてまいりました。それなりの成果も上がってきたと思います。

 そして、今回は構造改革特区ということで、これは、いわゆる農地法における全国展開ということではありませんけれども、ほかに五十四でしたか、そういう自治体からニーズがある、この制度の活用ということを考えてみたい、そういうニーズもあることによって、これをその自治体の発意によって行うこともできる、こういうことで広がりを見せて、そこでまた検証していく、こういうことも考えられると思っております。

緑川委員 大臣、今御紹介いただいたニーズと問題点調査、この類似の調査でも三回行われてきたわけですけれども、農地所有の必要性が感じられないという意見の方が常に、常に多かったわけですね。

 この調査で、今、五十四という数字は、中山間地域のある六百八十九の市町村のうち、活用する考えがあるというふうに回答した市町村が五十四、割合でいうと七・八%。そして、それに対して、活用する考えがないというふうに回答した市町村が三百八ですね、四四・七%。回答していないところはこれ以外なんですけれども、要は半分近くが活用しないという声なわけですね。

 それが圧倒的なのは、農業収益に対しての農地取得が割に合わないからです。農地のリース料は農業の収益性に基づいて計算されますが、それに対しての農地の価格というのは、農地を転用した場合、それを考えた場合の利益も考慮して計算されますから、リース料よりもはるかな高額になるわけですね。

 それを活用する考えがあるというところでも、そこまでちゃんと見ているのかどうか。わざわざ農地を所有するために、多額の費用をかけて、耕作放棄地の発生防止、解消が求められているような極めて厳しい条件のところに参入していくわけですよね。しかも、こうした地域で継続して営農できる技術、人材もそろえている、そんな企業が、大臣、どれぐらいあるというふうに見込んでいらっしゃいますか。大臣、大臣。

三浦政府参考人 済みません、恐縮でございますが、若干私の方から少し御答弁させていただきたいと思いますが、議員の問題意識との関係では、およそ二つあると思います。

 一つは、確かに、おっしゃるように、総体的に活用するという考え方のお答えが少なかったというのはそうだと思いますし、あと、実際に企業の方が所有という判断をされるかどうかは、そのときそのときの経営判断だと思います。おっしゃっていただいたように、そのときのリース代と土地の購入代とを比べるなどの判断があって、全ての企業さんが今後所有の方にいくかというと、そうではないこともあるかもしれません。それが一つあると思います。

 ただ他方で、やはり大臣からもお話ありましたけれども、私自身も養父に行きましたけれども、養父でやっておられる方々が所有をしていることは、これは厳然たる事実ですし、やはり所有をする理由、こういう理由で自分は所有したんだ、あるいは所有をしてこういういいことがあったんだというふうにその方々が語られていることは真実だと思います。

 それで、今回の政策なんですけれども、そういうことなので、何か例えば全員に所有を義務づけるような、みんなに所有させるようなことであれば、確かに本当にそれが大勢なのかという御指摘、あるかもしれませんけれども、これについては、先ほどもありましたように、選択肢の一つとして御用意する、こういう位置づけのものでございます。

 本当にこれを必要としている、このニーズのある地域がある、そこで本当に農業をしっかりやっていこうという企業さんがいらっしゃる、そういうときに、こういう道も用意をするということが本質でございます。もちろん、いろいろな問題点や御懸念もあるので、そこはしっかり要件として担保をする。

 それから、大臣からもお話あったように、いきなり農地法に持っていくのではなくて、いわゆる特区の枠組みの中で、効果や、そうした代替措置の有効性については、ある種、丁寧に見ながら安全運転をしていくという形で、両面に配慮してしっかり進めていく、こういう考え方でございます。

岡田国務大臣 私、兵庫県養父市を訪れまして、広瀬市長を始め、農業に携わる方々のお話も聞いてまいりました。やはり中山間地域において担い手が極めて少ない、そんな中で、耕作放棄地が今後更に増えるおそれもある、そういった思いから、国家戦略特区で、これまで養父が一つ孤軍奮闘というか、してきたわけでありますけれども、中山間地域を始めとする条件不利地域における営農を継続していくという、そのニーズというのはやはりあって、その上に五十四の、そういう活用を考えてみたいという調査が出たものと思っております。

 このニーズと問題点調査において、国家戦略特区以外においても法人農地取得事業を活用したいという自治体、この一定のニーズというものを踏まえて、実際に御活用いただけるかどうかは、最終的には発意する地方公共団体次第という面もありますが、いずれにしても、まずは本法案について地方公共団体にしっかりと周知するとともに、相談への対応や意向の把握など、本事業に関する対話をまずしっかりと進めてまいりたいと考えております。

緑川委員 比較的高度な、高額の投資を必要とするような施設園芸とか水耕栽培などの植物工場、こうしたものでの所有のニーズということは確かに伺いますけれども、いずれにしても、資本がやはり大きい企業でなければ、そうした採算を取れるかどうかというものにやはり大きな疑問があるわけです。

 過去の例をひもとくと、過去のユニクロのように、参入した、努力した企業もありました。そこでは契約農家を増やせずに、あるいは野菜の収穫が安定しない、それで、店頭では消費者のニーズに合わせた仕入れのコントロールができずに、結果として二十六億円の特別損失を計上して事業を畳んでいるわけですね。覚悟があっても、こういう企業があるわけです。資本の大きさだけで何か挑戦をしていきたい、それだけではない世界が農業であると思います。衣料品とは違って、工業製品のような計画生産ができない、資本力があってもうまくいかない、収益性を高めることが簡単ではない産業であると思います。

 一方で、やはり規制を厳しくしなければならないというのは、農業に向き合おうとする一生懸命な企業がいるというふうに思います、そういう性善説に完全に立ちたいところなんですが、そうじゃなくて、やはり農地の優遇税制もあって、農地が悪用されるということは常に想定しておかなければならないことであります。だからこそ、農家や農業生産法人でなければ農地を取れないようになっていますし、その総議決権の過半数は農業関係者ということで、その規制によって転用ができないようにしている、不正な目的に使われないようにしているというのが、この農地法の精神であります。

 やはり、リースの方式について、しっかり深めていく必要もあるんじゃないかというふうに思っております。

 資料を御覧いただきたいと思っていますけれども、二〇〇九年の改正で、全国の法人に対して認めるようになったのがリース方式であります。改正前のおよそ五倍のペースで年間の平均の企業の参入数が増えていて、農地を利用して農業経営を行うリース法人は、およそ四千近くに上っています。

 かつてのリース特区というのは規制改革の延長にあるわけですから、ここは大臣に御所見を伺いたいんですが、所有よりも、むしろリースにこれだけの需要があるわけです。もう、むしろ、五十四のニーズというよりも、こっちを見ていただきたいと思っていますが、腰を据えて農業に取り組みたいという企業の取組を後押しするために、もっとこの方式を使いやすくする。例えば、所有に対して、リース期間を延長した際の税制上の措置を広げるであるとか、あるいは、耕作条件の厳しい農地の担い手を増やすのであれば、この農地のリース料の負担軽減を図るという方が法人のニーズにかなっていると思いませんか。

三浦政府参考人 リースについて数字もお示しいただいて、リースの意義、役割について、これはこれで非常に重要なものがあると思います。

 私、内閣府でございますので、余り農水省さんの領域に立ち入った御答弁は控えますけれども、ただ、農水省、農政全体の方角としても、法人の力をいかに活用していくかというのは大きなテーマになっていて、リースの方式についても、しっかりフォローされると思います。

 ちょっと、具体的な税制についての現状、今後については、済みません、所管外でございますので御答弁は控えますけれども、大きな農政の方向はそういうことであるというふうに承知をしております。

緑川委員 あるいは、リース法人でも信頼関係がなかなか築けないというような、先ほどの、所有の方が信頼関係につながっているという御答弁もありますが、やはり、リース法人でも、共同作業で、その土地に一生懸命に溶け込む努力をして、草刈りとか、水管理とか、これをみんなでやっていくというような作業に力を入れているような企業もあるわけであります。

 こういうところもしっかり、リース方式の中で、どういう企業が根づいてきているかというのを見ていただいて、こういう特区はそれでも必要であるというなら、また議論をさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、時間が来ましたので、これで終わりにします。

橋本委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田俊和でございます。よろしくお願いいたします。

 私の方からはスーパーシティ、特にデータ連携の関係の質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、その前に、私も今回のスーパーシティの関連の法案ということで、地元がどうなっていたかなと思って、改めて確認をしてきました。スーパーシティって何かやっていたよなというおぼろげな記憶があったんですけれども、実はそれはスーパーシティではなくてスマートシティだということが、市のホームページを調べてそこで分かって、実際に市の担当課の方にお話を伺って、どうでしょうかねと言ったら、今やっているのは、スーパーシティ、スマートシティというよりは、むしろデジタル田園都市国家構想交付金です、そういう説明がありまして、なるほどということだったんです。

 そもそも、スーパーシティがあり、スマートシティがあり、デジタル田園都市がありみたいな、多分大臣は所管なので、すらすらすらっと、これはこうだ、これはこうだというふうになるんだとは思うんですが、やはり使う側というか、どっちかというと、自治体というのは、何かをやりたいがためにいろいろな仕組みを使っていく、そういう目的意識だと思いますので、制度をよく勉強して、それにかなった何か事業をやっていきましょうということでは多分ないと思うんですが、使う側の自治体サイドから考えると、やはり同じ、同じじゃないと言われればそれまでなんですが、何となく同じ響きを持つような、似たようなイメージを持つような言葉が余り幾つも林立するようなことだとなかなか難しいかなと思っておりまして、この辺り、是非、簡潔な制度だとか、いろいろ交付金、補助金の仕組みなんかもそろえていただくのがいいんじゃないかなと思うんですが、まず最初に、大臣、この辺り、いかがでございますか。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 総合戦略において、スーパーシティとスマートシティは、地域ビジョンのモデルの一例として提示されておりまして、地方が目指すべき姿としてお示しをしておるものであります。

 共にAIやIoTなどの未来技術を用いて新しい価値を創出する取組でありますが、特にスーパーシティの方は、国家戦略特区制度を活用して、大胆な規制改革と併せて進める取組であり、スマートシティの方は、大分前からやっておりますけれども、未来技術を用いて、都市、地域課題の解決を図る、より幅広い取組といった違いがあると考えています。

 どちらにおいても、各地域が、地域の実情や資源などを踏まえて、国の施策を組み合わせて有効に御活用していただくことが重要であります。これまでも、政府一体となって、地域ビジョンの実現に資する関係府省庁の施策を取りまとめ、地方にできるだけ分かりやすい形で御提示するといった取組を進めてまいりました。

 それで、今、デジタル田園都市国家構想につきましては、スーパーシティもスマートシティも含めて、デジタルの力を活用しながら、地方の社会課題の解決、魅力向上の取組を加速化して、全国どこでも、誰もが便利で快適に暮らせる社会という理想の実現を目指すものであります。

 そして、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、相互に密接に関連する施策を推進していくためには、委員御指摘のとおり、確かに、分かりやすい説明、更に分かりやすい説明が必要であるということを考えておりまして、今後とも、地方向けの説明会など、あらゆる機会を捉えて、国として極力丁寧な御説明に努めてまいりたい、このことを申し上げたいと思います。

森田委員 是非、使い勝手、使う側の立場に立った制度設計をお願いできればなというふうに思っております。

 それから、私、そのお話を聞いている中で、デジタル田園都市国家構想交付金というものの申請書の中に、これはタイプ2、3というふうに書いてありますけれども、申請に当たってはマイナンバーカードの全住民への交付を目標として掲げることというような記述がこの書式には書いてあるんですが、こういう同じようなことが、今度、特区の申請において、このマイナンバーカードの交付率の一〇〇%ということを要件にしているのでしょうか。ちょっと手続的な確認です。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区は、規制の特例措置等の適用を受けて、産業の国際競争力の強化に資する事業等を実施する区域でございまして、したがって、都市再生、医療、観光など、多種多様な分野における取組が行われております。したがって、マイナンバーカードの活用については、これが必要あるいは重要なのかどうかというのは、事業によって、特区によって様々なんだと思います。

 したがいまして、国家戦略特区の指定に当たって、マイナンバーカードの交付率目標というのを要件とはしていないということでございます。

森田委員 分かりました。

 これは、大臣、これからまたマイナンバーの法案も出てくるわけでございますけれども、自治体にとって、このマイナンバーカードを交付するということが、そもそも義務的なものと、先ほどは、全部のいろいろな補助金に義務的なものとして位置づけているわけじゃなくて、さっきのタイプ2、3というのは、デジタルを推し進めていく中でのものだからマイナンバーカードの交付を要件に入れているんですよと、そういうことだと思うんですが、義務的なものというふうにこのマイナンバーカードの交付はお考えでしょうか。大臣にお答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 マイナンバーカード自体については所管外ではございますけれども、マイナンバーカードは安全、安心なデジタル社会の基盤であり、政府全体で普及促進に取り組んでいるところであります。

 このマイナンバーカードの普及が進んだ自治体においては、地域のデジタル化に関する取組をより一層強力に展開できると考えられることから、デジ田交付金と略して呼んでおりますが、デジタル田園都市国家構想交付金の対象の一部の、先ほど委員もおっしゃいましたタイプ2、3という、全国的なモデルケースとなるような先進的な取組、これは全体の中の、割合、限られた一部でありますけれども、ここについてはカードの一定の申請率を求めるとともに、委員御指摘のとおり、全住民への交付を目標として掲げていることも要件としております。

 これはやはり、ほぼ全ての国民の皆様にカードが行き渡ることを目指している政府の方針に即して、自治体におかれても全住民への交付を努力目標として取り組んでいただきたい旨を申し上げているものであります。

 マイナンバーカードは、あくまでも住民の方からの申請に基づき交付されるものでありまして、本要件によって直ちに自治体に対して全住民への交付を義務づけるものではございませんが、住民の方が進んで御申請をいただき、保有いただけるように、カードの利便性向上に政府全体で取り組んでまいりたい、こう考えているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 マイナンバーについては、また後ほど、法案の方で扱いたいと思います。

 具体的な内容についてお尋ねをしていきたいと思うんですが、データ連携の関係ですけれども、私の地元の熊谷市に、ラグビーのワールドカップをやった会場で、県営のラグビー場がございまして、こちらが大体二万三千、四千人ぐらいの収容の人数があるということで、ただ、駅から大体五キロぐらい距離が離れておりまして、車で十五分ぐらい、歩くと五十分ぐらいかかる、そういう距離で、見方によっては、やはりちょっとアクセスが悪いというような評価もされるところなんですが、ところが、ワールドカップをやるときには、何千万円もお金を、予算を取って、ただで駅とラグビー場の間を、これは普通の路線バスに加えて、いろいろな何とか観光というバス会社さんからバスをたくさん持ってきて、臨時のバスの停留場をつくって、観光バス、路線バスを併せて、本当にピストンをずっとやって、その二万何千人という人数をこなしたわけなんです。

 ただ、幸か不幸か、ラグビーの人気というのは、そんなにいつも二万三千人、四千人が満員になるということではないんですが、とはいっても、今、パナソニックワイルドナイツというチームもホームに、群馬県から熊谷に移ってきたということもありまして、徐々にラグビーのゲームの人気が高まっているということもあります。

 この輸送をどうするかということを考えたときに、なかなかやはり難しい問題がありまして、まず一つは、日頃の定期路線の運行をしている、例えばイベントがあるときには増便をして、普通のバス会社さんが日頃の定期便の輸送プラスアルファという形でやっているんですけれども、御承知のとおり、ドライバーの不足ということがございまして、この路線バスプラスアルファという人手でさえもなかなか割くのが難しいと。そこにお客様がぐわっと来れば、ピストン輸送で、じゃ、ドライバーを何人つけて、バスを何台回してというのもなかなか難しいだろうというような、そういうこともあります。

 ですから、将来的には、自動運転かつ連節で走るような、連節というか隊列走行ですかね、何両かつなげて走るようなイメージのものを、お客様が多いときには走らせるというようなイメージが立てられるのかなというふうに思います。

 そこで、ちょっと確認したいんですが、自動運転かつ隊列走行のバスの走行が法的に可能かどうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

野津政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、自動運転車に搭載される自動運行装置の安全性を確保するため、令和元年五月に道路運送車両法を改正しまして、令和二年四月より施行しております。

 本改正によりまして、国が定める保安基準の対象に自動運行装置が追加されておりまして、この保安基準に適合する自動運行装置を活用し、隊列走行を含む自動運転バスを運行することは、道路運送車両法上、可能となっております。

小林政府参考人 お答えいたします。

 昨年四月に成立しました道路交通法の一部を改正する法律によりまして、運転者がいない状態での無人自動運転を可能とする特定自動運行の許可制度が創設され、本年四月一日からの施行が予定されております。

 特定自動運行の許可を行うに当たりましては、特定自動運行がほかの交通に著しく支障を及ぼすおそれがないこと等の許可基準を満たすものであることが必要とされておりまして、この基準に従って都道府県公安委員会が審査を行います。この許可基準に適合し、都道府県公安委員会から特定自動運行の許可を受けることで、お尋ねの隊列走行を行う自動運転バスにつきましても、特定自動運行を行うことが可能となります。

森田委員 ありがとうございます。

 法的には可能だということで、御確認をいただきました。

 それで、今回の法案の説明資料の中に入れていただいていた、データ連携基盤の援助の例ということで、ここに書いてあるのは、ロボット走行用の最新の三次元地図データが建物所有者等から提供されることを確保すること、こういうような例示をしていただいております。

 先ほどの例に当てはめて考えますと、バスが隊列走行、あるいは自動運転のバスが出てきた場合には、バス停、バス停というのは例えば駅のロータリーの中にまずあるケースが多いと思いますが、ロータリーの中の構造であったりとか、当然、市道、県道、国道、その走行ルートのデータですよね。それから、あと、到達地点である公園の中、これは県の施設ですけれども、その状況によっては民間の施設であったり、いろいろな事例が考えられると思いますが、こういうところの仲立ちをしていくというようなイメージでいいのかなと思いますけれども、どういうことを想定していらっしゃるか、ちょっとこの辺について御答弁をお願いしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 議員のお尋ねに関連して、例えば、昨年四月にスーパーシティとして指定された茨城県つくば市では、データ連携基盤を用いて、地図、地形データあるいは建物データを活用して、屋内、屋外のロボットの自動走行などのサービスが提供される予定でございます。

 このようなサービスの実現のためには、単にこれらのデータがデータ連携基盤とつながっているだけではなくて、地図、地形データや建物データが最新のものとなっていることや、サービス内容に即した精度となっていることなど、高度なデータの品質管理、特に正確性の確保が重要となっております。

 それで、まさにお尋ねの、今回の法案の条文の役割ということになってくるわけでございますけれども、そのために、本法案では、データ連携基盤の整備等に関する援助を拡充いたしまして、国として援助する姿勢を法律上明確化したいというふうに考えております。

 具体的に行いますこととしては、国がそのデータ連携基盤の整備主体の方に対して、当該基盤から提供されるデータの内容の正確性等に関する情報の提供、相談、助言その他の援助を行うものと規定しておりまして、当該規定に基づいて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

森田委員 分かりました。

 先ほどのは地図上のデータというような話になりますけれども、同じというか、先ほどの事例で考えてみると、例えば、今度、いつ幾日に大きなラグビーの試合がありますと。もちろん、収容人数としては二万三千人とかなんですけれども、チケットの売上げのデータ等が、例えば二万枚売れているのか、あるいは、ちょっと厳しくて七、八千枚ぐらいなのか、こういうことによっても大分、例えば、仮にバスの運行にそのデータを使っていくとなると、結構な、予測だとか、データのやり取りというのが必要になってくるかなと思いますが、この辺りについてはどうなんでしょうか。同じように国の役割として想定されているものがあれば、お答えいただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 議員のお尋ねに関連して想起されますのは、つくば市と同様にスーパーシティとして指定されました大阪府・大阪市の例でございます。そこでは、チケットや入館者のデータなど万博に関する情報、それから、鉄道やバスの運行データなど移動に関する情報、さらには街角カメラとか、あと、おっしゃっていたイベントのデータなど混み具合に関する情報などを活用して、リアルタイムで渋滞とか混雑を予測するようなサービスというのをお考えというふうに考えております。

 スーパーシティなどにおいて、こうしたサービスの早期実現を図りますために、先ほど申し上げましたような国の援助規定に基づいて必要となる支援を行って、全国のモデルとなる先行事例を創出することによって、移動分野におけるデータ連携を通じた先端的サービスの実現に取り組んでまいりたい、このように考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 同じような事例で、先ほどバスの例を申し上げましたけれども、バスで、今でもイベントで、例えば学生さんの大きな、関東大会とか全国大会とかというのを、そこは陸上競技場もあったりするものですから、いろいろな大会があると、やはり臨時便のバスだけで間に合わずに、そこに更にタクシーに乗る人も出てきたりするんですよね。

 また、これとはちょっと別の事例で、うちの方、群馬の太田という辺りに、元の中島飛行機、今のSUBARUとか、あとは元三洋、今はパナソニックとか、そういう、いろいろ大きな工場があるので、熊谷駅で新幹線を降りて、そこにタクシーで移動されるなんという方もいらっしゃって、日中の時間帯に、結構、十人、十五人ぐらい、いわゆるビジネスマンの方が列をつくっているなんということもあったりするものですから、こういう、カメラを例えば待合のところにつけておいて、例えば何名ぐらいの待ち人数があるから、配車の、タクシー会社とのデータ連携みたいなものも想定できるんじゃないかなと思いますが、同じように、こういうことについても、何か、国の方で役割を果たせますでしょうか。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 確かに、カメラから取得した映像を、これは、ただ、人数集計をしたらその後はすぐに破棄するとか、そういう個人情報保護に十分配慮するということは大事だと思いますけれども、その上で、御指摘のように、交通関係事業者が連携してデータの共有を進めるということは、交通サービスの効率化にとって重要と考えております。

 実際に、もう既に実証実験でございますけれども、駅前のタクシー乗り場付近に設置されたカメラのデータを取得して、解析して、タクシー乗り場の混雑情報を提供することでタクシー会社さんの配車を改善して、混雑解消に貢献できるかどうか、こんな実証実験も行われた例が既にあると承知をしております。

 このようなサービスを安心できる形で導入するためには、先ほど申し上げましたとおり、やはり取得したデータが適切に匿名加工されているかといったような個人情報保護への配慮ということだと思います。ですので、これがもし特区の文脈で出てきましたら、まさにデータ連携基盤整備事業者において、これをしっかり確認していただくことになると思います。

 今回の法案で、データ連携基盤の整備に関する援助を拡充します。この中で、データ連携基盤の利用における安全性及び信頼性の確保に関する助言を行うわけでございますけれども、まさにこの中でも個人情報保護の確保ということについても取り組みまして、ひいては交通分野におけるデータ連携が進むというふうに、必要な支援を行いたい、このように考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 大臣、今のこの具体的な事例を申し上げたのは、やはり自治体って、こういうことをやりたいんだ、あるいは、こういう行政のニーズがあるということに対しての、いろいろな制度の申請であったり、補助金の申請であったりということだと思いますので、先ほど言ったようなスーパーシティ、これは法の何か枠組みを超えたものなのかなとか、あるいは、今の中でも、スマートシティで何かできるのかなみたいな、余り、法律の枠とか制度の枠組みとか、そういうところにかかわらずに、いろいろなものをきちっと受け止めていただいて、こういう解決策が考えられるということを、是非、使う側の自治体の立場に立ってやっていただけるといいんじゃないかなと思いますけれども、是非、大臣の御所見を伺いたいと思います。

岡田国務大臣 先ほど政府参考人からも具体的な事例を申し上げましたけれども、昨年四月に指定されたスーパーシティなど国家戦略特区においては、データ連携を活用した自動配送ロボットやドローン物流など、様々な先端的サービスの実装に向けた検討が進められているところであります。

 一方で、データ連携基盤の整備に当たっては、御指摘のとおり、地域のニーズや提供しようとするサービス内容に応じて、必要となるデータの検討や、データ連携基盤を通じて提供されるデータの品質管理が重要であり、また、こうした取組について十分なノウハウを有した人材がいない自治体においては、それをサポートする必要が極めて大きいと考えております。各自治体の先端的サービスの目的や内容に即した、きめ細やかな支援を行うこととしております。

 また、今後、先ほど政府参考人から御紹介いたしました大阪市の例、万博に向けたリアルタイムでの渋滞、混雑予測の取組をしっかりと支援し、全国のモデルとなるような事例をつくり出すとともに、データの品質管理に関するルールや評価の方式を整備することを通じて、国家戦略特区のみならず、例えば、委員御地元の熊谷市における駅前や道路の渋滞、混雑対策など、全国の自治体における先端的サービスの実現にも、これが役立つような取組を行ってまいりたいと考えております。

森田委員 使う側の立場に立って、これはうちの所管じゃありませんとか、そういうことで余り突っぱねることなく柔軟に受け止めていただいて、必要があれば必要な部署におつなぎするとか、そういったことも含めて、是非、現場の対応を大臣の方からも御指導いただければなというふうに思っております。

 それから、データ連携基盤の事例の中に医療、介護の分野のこともございまして、こちらのことについてもお尋ねをさせていただきたいなと思っております。

 私、個人的な仕事の方では介護の事業所に携わっておりますけれども、やはり御多分に漏れず人手不足でして、前はハローワークに出していればある程度の人材は来ていただいたんですけれども、今、ハローワークに出しても、あるいは、日曜日に出る人材募集のああいうチラシがありますけれども、ああいうところに載せても全く応募がなくて、逆に今度、紹介会社に何十万とか、何百万とはいかないですけれども百何十万とか払って、年収の三割というので紹介料を払って、ようやく来ていただけるような、そういう非常に厳しい状況です。

 そんな中で、できれば本当に人手が必要な分野に人手を割いていきたいという思いがありまして、じゃ、それ以外のところというのは何かというと、現場を見ていて非常に思うのが、記録の手間なんですよね。

 この記録の手間をどうやって、記録というのは鉛筆で、ペンで書いていることもあれば、あるいはパソコンで打つこともあれば、今ですからタブレットに入力することもあればなんですけれども、こういうところの手間が非常にやはりかかるということなので。

 そこでちょっと、これからのことだと思うんですけれども、現状も含めてお伺いしたいのが、まず、医療の現場から御利用者様が来るわけですね。患者さんであった方たちが、もういいよというふうに病院で言っていただいた方が例えば入所、入居されるということになるんですけれども、その入院されていらっしゃるときの病歴だとか、いろいろな状況で、医療保険から今度介護保険への切り替わりというのもありますけれども、要するに、名前から主たる介護者から何とか番号から、いろいろなものをまず基礎的なデータとして入力しなくちゃいけないというところに加えて、診療情報がこちらに、どういう病歴でどういうことに注意が必要かというのが来るわけなんですけれども、本当に、病院としては、例えば地域連携室みたいなところがあって、それを打ち込んだり何だりとされているんでしょうけれども、それも大変だと思いますし、それをまた紙に書いて、同じものを受け取って、また同じようなことを、介護計画を立てるときに同じようなものを打ち込んでいくみたいな、そういう非常に手間のかかる作業というのがあるんです。

 是非この電子カルテ、医療機関でいえば電子カルテとか、介護の事業所でいけば記録ソフト、介護ソフト、こういったものの連携が、共通化というものが何とかしてできないものかと思いますけれども、ちょっとこの辺りの状況を教えてください。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 医療と介護の連携、非常に重要な課題となっておりまして、医療、介護の関係者間で必要な情報共有を円滑に行うことが大変重要と考えております。

 医療分野におきましては、異なる電子カルテを使用する医療機関の間でも診療情報を円滑に共有できるように電子カルテ情報の標準化に取り組んでおりまして、昨年、まずは診療情報提供書などにつきまして、医療機関の間で共通の標準交換規格を定めたところでございます。

 介護分野におきましても、昨年、居宅サービス計画書等につきまして、異なる介護ソフトを利用していても介護事業所間でデータ連携ができるよう標準仕様を定めたところでございます。

 現在、介護情報利活用ワーキンググループにおきまして、関係者、専門家の方の間で、共有することが有用と考えられる介護情報の具体的な範囲等につきまして検討を進めているところでございます。

 介護事業所、それから医療機関で共有、交換すべき情報の内容でありますとか、あるいは標準化につきまして整理する調査研究事業につきましても、来年度、介護情報を含む全国医療情報プラットフォームの整備等を見据えた調査研究事業を実施することとしております。

 引き続き、医療、介護の関係者間で必要な情報共有が円滑に行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

森田委員 是非よろしくお願いいたします。

 それから、いわゆる救急搬送のときに、施設で救急をお願いして、そこには相談員であるとかあるいは看護師が同乗して、日頃のいわゆるバイタル、体温だとか血圧だとか日頃の排せつの状況だとか、そういったものを、ある程度のものを記録したものを持って、受入先の病院に一緒に同乗していくわけなんですけれども、これもやはり、書いたものだとか記録したものを持っていくという非常にアナログな作業がありまして、もちろん、病状などの日頃の、日常の様子を先生に対して説明するというのもありますので、これは必要じゃないとはもちろん言いませんけれども、非常に今アナログ的なところでの連携がなされているということがあります。

 是非、この辺りもデータ連携、救急隊の方で持っている例えばウェアラブルのもの、あるいはいろいろバイタルを計測したようなものが受入先の病院に転送できたり、あるいは電子カルテなんかを共有できていれば、例えば今までの病歴から考えてこういうリスクが考えられるということを、例えば救急隊のタブレットの方に送信ができて、こういうリスクに注意してくださいと、救急搬送のときの、搬送先を探して結構時間が経過しているケースなんかもやはりありますから、そういったリスクの警告なんかも例えばタブレット上出てくるとか、そういう連携ができるといいかなというふうには思うんですが、またこれもどうでしょうか、現状等の御説明をいただければと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 救急隊が救急搬送を行う際には、通常は、傷病者の御本人あるいは御家族から聞き取った年齢、性別、主な症状、既往歴、あるいは今御指摘いただきました呼吸、脈拍、血圧などのバイタルサインを始めとする観察結果、救急隊で行う応急処置の内容などにつきまして、救急隊から搬送先となる医療機関に対して伝達をいたしております。

 この情報の伝達は電話により行われることが一般的ではございますけれども、地域によりましては情報システムを活用しまして、救急隊がバイタルサインなどの傷病者情報をデータで入力いたしまして、そしてそれを医療機関の側におきまして参照することで、傷病者の受入れ判断あるいは受入れ体制の確保に役立てているところもあるというふうに承知しておりまして、このような取組の事例につきまして、私どもの方から全国の消防本部に対して情報提供を行っているところでございます。

 また、逆の方向ですけれども、医療機関で行われている診療情報などを救急搬送に活用することにつきましては、今年度、消防庁におきまして、オンライン資格確認等システムを閲覧いたしまして、その中で、医療機関の受診歴あるいは投与された薬剤の情報、そういったものを救急隊による搬送先の選定に活用する、こういうことに関して実証実験を行ったところでございまして、搬送の円滑化につながる効果が一定確認できましたので、その全国展開に向けて、システム開発などの検討に取り組んでいるところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 まさにいろいろとデータ連携の先進的な取組というのは、やはり全部の自治体でいきなりやってくれと言っても難しいと思いますので、今みたいな先進事例を生かして進めていただくには、やはりスーパーシティだとかスマートシティ、デジタル田園都市、こういうところの枠組みで強力に推し進めていただくというのがいいんじゃないかなというふうに思っております。

 あと、日頃、例えば皆さんされている方が多いアップルウォッチとか、いわゆるスマートウォッチ、ああいう端末をつけてバイタルを、日頃取っているというデータをやり取りできるというのも、是非できるようになればいいかなと思っておりますが、これは時間の関係で、是非進めてくださいという指摘だけにとどめさせていただきます。

 今みたいなことを含めて、やはり命に関わることですし、人手の不足というものが現場にあるという中で、医療、介護のデータ連携をきちんと推し進めていくということが、デジタル環境だけじゃなくて、私たちが暮らす環境のプラスにも大きく寄与してくれるんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非、大臣、医療、介護、あるいはさっきちょっと申し上げた救急のところも含めてですけれども、このデータ連携をしっかり進めていただきたいと思いますが、御所見をいただければと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 政府においては、医療DXを推進するために全国医療情報プラットフォームを構築することとしておりまして、その一環として、例えば、救急時に医療機関等において患者の必要な医療情報が速やかに閲覧できる仕組みの整備や、自治体、介護事業者等とも必要な情報を安全に共有できる仕組みの構築などにも取り組むこととしております。

 内閣府におきましても、こうした政府の方針に資するように、デジタル田園健康特区において、地理的に離れた自治体間における健康医療情報のデータ連携の実現に取り組んでいるところであります。

 具体的には、内閣府の予算事業により、健康医療に関する様々な情報を標準の規格に変換できるエクスチェンジ機能といったものの試作など、データ連携の実現に向けた実証を支援しているところであります。

 引き続き、こうした方針に即して、デジタル田園健康特区などにおける健康医療情報のデータ連携を推進して、個人の健康増進や、医療現場等における業務の効率化にも、促進等につなげてまいりたい、このように考える次第でございます。

森田委員 時間ですので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、住吉寛紀君。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の中の、法人農地取得事業の構造改革特区法への移行についてお伺いしたいと思います。

 私の地元は兵庫県の姫路市でございますが、これが行われているのが養父市ということで、実は、隣の隣の市でございます。二つ隣の市でございます。

 養父市は、紹介するまでもないですが、面積が四百二十二平方キロメートルあって、人口が二万人足らずという非常に小さな、兵庫県の中でも、市の中では一番人口の少ない都市でございます。

 私も、地方議員をしていたときには、何度かこの養父市の取組というのを視察させていただきました。市役所に行ったり、また、そこで農地を取得している企業にも話を伺った経緯もございます。大臣も行かれたということで、非常にありがたく思っております。

 印象的だったのは、この養父市、先ほど申したように、面積が広い割には人口が非常に少ない。いわゆる中山間地域の中で高齢化が進んでいる。若い人がどんどんどんどん都会に流出している。さらには、医療の問題であったり、交通弱者の問題。さらには、農業も、当然高齢化が進んで、どんどんリタイアすれば耕作放棄地がどんどん増えていく。五年後どうなのか、十年後どうなのかということで、養父市の市長でございます広瀬市長が、農業を活用して地方創生を成し遂げていく、非常に強い決意を持って、そして、養父市の成功事例、いろいろな課題はあると思いますけれども、PDCAを回しながら、試行錯誤を繰り返しながら、これを全国に展開していく、そして日本を盛り上げていく。そんな決意を聞いて、是非私としても応援したいなと感じたところでございます。

 まずは、本題に入る前に、国家戦略特区のことについて、評価についてお伺いしたいと思います。

 国家戦略特区は、世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくることを目的に、地域や分野を限定することで大胆な規制、制度の緩和や税制面の優遇を行う制度でございます。特に、その時代には必要だった規制も、時代がドラスチックに変化する中で、経済成長であったり地方の成長、これを阻害する規制とかはスピード感を持って見直していかなければなりません。

 二〇一四年に閣議決定された国家戦略特別区域基本方針では、「規制の特例措置は、その実施状況等について適切な評価を行い、当該評価に基づき、その成果を全国に広げていくことが必要である。」との考え方が示されております。この制度の創設時から、成果を上げた特例措置、これは全国展開をしていくということでございます。兵庫県でも、特区制度を活用して都市公園内に民間保育施設を開設した事例もあり、これが全国展開されております。

 以上の状況を踏まえて、国家戦略特区のこれまでの成果と課題について、政府の認識をお聞かせください。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 国家戦略特区全体については、平成二十五年十二月の制度創設以降、規制改革の突破口として、これまで長年にわたって実現できなかった規制改革を実現することで、地方創生や経済成長に寄与してまいっておると思います。

 これまでに、規制改革事項として合計百二十八の事項を措置し、例えば、都市計画手続の迅速化でありますとか、あるいは国際医療福祉大学という医学部の新設でありますとか、旅館業法の特例など実施をしてまいりました。全国展開についても、合計で六十二の事項を措置しているところであります。

 最近でも、令和四年四月、先ほどからお話が出ております茨城県つくば市と大阪府・大阪市をスーパーシティとして、また、石川県加賀市、長野県茅野市及び岡山県吉備中央町をデジタル田園健康特区として指定するなど、着実に取組を進めてきておると考えます。

 今後の課題といたしましては、スーパーシティ、デジタル田園健康特区の取組を引き続き着実に進めるとともに、昨年夏に実施いたしましたアイデア募集の結果を踏まえて、規制の特例措置の創設、全国展開を更に推進していく必要があると考えております。

 また、今後の内外の環境変化を踏まえて、社会課題解決の視点も包摂した幅広い視野で、例えば、女性、子育て、あるいは障害者、あるいはスタートアップ、またデジタル、こういった分野などにも取り組むことが必要であると考えていまして、引き続き、国家戦略特区の取組を力強く推進してまいりたいと考えます。

住吉委員 ありがとうございます。

 本当にドラスチックに変化していく時代の中で、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。

 次に、今回の法案の中身でございます兵庫県養父市の事例について質問したいと思います。

 養父市は、中山間地域農業における改革拠点として、二〇一四年に対象区域の指定を受けました。多様な農業の担い手を確保し、耕作放棄地の解消や六次産業化の推進によって地域経済の活性化を図り、中山間地域の先進的なモデルとなるべく、様々な特例措置を活用した取組が行われております。

 結果として、これらの特例措置を利用して農業に参入した事業者は、耕作放棄地や不作付地が活用され、農産品の売上総額も上昇いたしました。また、六次産業化により約百名の新規雇用が生まれており、養父市の推計では、雇用効果額は約一・六五億円とされております。

 養父市のホームページによると、一般企業の農地取得だけではなくて、様々な特区を活用しておりますので、いろいろな評価すべき点がございます。長期安定的な経営基盤の下、大規模な投資など思い切った事業展開を行いつつ、地域に根差した農業経営を行っており、耕作放棄地の再生と農業の成長産業化に貢献とか、今回の法案に関しても、こういったことも評価されていると認識しております。

 課題なんですが、特になしと書かれております。これは、ないことはないと思うんですけれども、恐らく、取るに足らない、むしろ進めていく方がいいんだろうという評価の表れかなというふうに思っております。

 広瀬市長は、特区は国全体の経済の再生プロジェクトであり、養父市は、生き残りを懸け、農業を中心に特区に取り組んでいるが、その成果は小さくない、早急に養父市での取組を全国に展開できるようにお願いしたいと度々関係者へ要望しております。

 このような養父市の取組について、政府はどのような認識また評価をしているのか、お聞かせください。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 養父市では、まさに今回の法人農地取得事業に関係して申し上げれば、六法人が合計一・六五ヘクタールの農地を所有されておりまして、うち一・三六ヘクタールは従前は遊休農地であったということでございます。

 そして、この特例を活用して農地を所有しているこれらの六つの法人の方々でございますけれども、あるケースにおいては、元々は養父市外の企業であったけれども、市内で農地を所有して営農することで本気で農業に取り組む姿勢を地域に示し、地域との協力が強くなって、それが、周囲の農家の所有する農地の耕作も依頼されるようになる、そしてリースによる営農面積も拡大した、こういったケース。あるいは、農地を自社で所有することで、回収に長期を要する投資が可能となった、大規模な水耕栽培プラントの建設、実証が可能になった、こういった例がございまして、こうした成果は所有が認められたことで実現しやすくなったというふうに理解をしております。

 また、これら六法人の遊休農地の解消面積も九・九ヘクタールから十八・八ヘクタールに増加、六法人による延べ雇用人数も一人から二十二人に増加など、遊休農地の再生あるいは雇用の創出という意味で効果も上がったというふうに認識しております。

住吉委員 評価しているということだと思います。

 養父市自身も、むしろ全国展開してほしいという要望があって、政府の方も評価している。

 そして、我が党も、この株式会社の農地取得においては法案も提出しているところでございます。いろいろ党内の方でもけんけんがくがくと議論あったところですが、今回、国家戦略特区から構造改革特区になることはむしろ後退だ、そういう意見も分かれたところでございます。

 また、ニーズと問題点調査、後ほどまた聞きますが、リースで十分という意見もあるんですが、購入できなければ思い切った大規模な投資ができないというふうにも聞いております。

 そして、何より、元々五年間されて、そして二年間延長されたということでございますが、その判断が遅過ぎるのではないかと思っております。農業従事者、平均年齢は七十行かない、手前ぐらいの形でございます。田園風景であるとすごくのんびりした印象を受けますが、判断ものんびりしていると非常に困るわけでございます。農業を取り巻く環境というのは、どんどん高齢化も進んでいて、そして、リタイアすれば耕作放棄地が増えていく。そういう中で、構造的なこの農業の課題に対してはスピード感を持って取り組まなければならないと思っております。

 先ほど来様々に議論がございますが、養父市の事例がなぜ構造改革特区に移行されたのか。そして、いろいろな懸念がございますが、担保しているにもかかわらず、なぜ農地法における全国展開を今回しなかったのか、その意図、経緯、理由、お聞かせください。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 この考え方でございますけれども、全国展開の御期待もある中で、去年実施したニーズと問題点調査の結果を見ますと、国家戦略特別区域以外でも、この法人農地取得事業を活用したいという御回答をいただいた自治体もございました。他方で、やはり、投機的な取得、あるいは撤退後の耕作放棄、地域コミュニティーとの共存など、法人による農地取得に対する懸念や問題点も示されたところでございます。

 このような、法人農地取得事業に対するニーズと懸念や問題点に関する意見の双方を十分に考慮した上で、国家戦略特別区域法に規定されている法人農地取得事業を、対象となる法人や地域に係る要件や、区域計画の認定に係る関係行政機関の長による同意の仕組みを維持した上で、地方公共団体の発意による構造改革特別区域法に基づく事業に移行することとしたものでございます。

 ニーズについてはあるというお声も一定程度いただいた一方で、活用する考えはないという声が、数の上では多くいただいておりました。また、懸念の声も非常に多かった中で、今回は、特区という枠組みの中で、更にその効果や弊害防止というのを引き続き丁寧に見られるような枠組みは維持をさせていただく、ただ、より地方公共団体の発意で御申請がいただけるような形には持っていってニーズには応える形にしたい、こういうことでございまして、両方の観点からバランスを取った案を工夫させていただければ、こういう思いでございます。

住吉委員 先ほどからもいろいろ、他の委員からも質疑があって、推進派とそうでない派のちょうど落としどころを図ったような、そういうところだと思います。

 一方で、地方自治体が手を挙げればできるよということなんですけれども、逆に言えば、手を挙げなければなかなかできないということでございます。

 ニーズと問題点調査の資料の中でも、この中で、「知っていた」か「知らなかった」のところなんですが、知っていたというのは二百十二、知らなかったというのは四百七十八ということになっております。養父市以外の八百三十八市町村に実施して六百九十回答があったということなので、ひょっとしたら、この回答がなかったところは、余り興味も、知らなかったのかもしれません。

 そういった中で、知らなかったという市町村が非常に多くあって、この事業の認知度、これが現段階では著しく低い状況です。これはなかなか広報戦略がうまくいっていないのではないかなと捉えるのですが、この調査結果を踏まえて、今後、広報戦略をどうしていくのか、制度の浸透のためにどのような手段を講じていくのか、御所見をお伺いいたします。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 ニーズと問題点調査の、中山間地域を有する市町村に対する調査において、御指摘のとおり、一定数の市町村の方が、法人農地取得事業を知らなかったという御回答でございました。

 構造改革特区制度において実際に本事業を活用していただけるかは、これもお話がございましたけれども、最終的には発意する地方公共団体次第になるということでございますので、本法案につきましては地方公共団体にしっかりと周知をさせていただきまして、相談への対応、御意向の把握など、本事業に関する対話はしっかり進めてまいりたいと思います。

 あと、この特例のみならずということだと思うんですけれども、国家戦略特区制度全体の広報についてもしっかりやらなければいけないと思います。内閣府のホームページ、パンフレットなどを通じて、かなりこれまでも制度内容や活用事例の周知を図ってきたところではあるんですが、これで終わりとかいうことでもなく、経済誌への広告掲載というような新たな取組も始めました。

 今後とも広報の充実に努めたいと思っております。

住吉委員 私も、実はこの結果を見て意外に思ったところです。近くの自治体だから興味を持っていたのかもしれないんですけれども、結構いろいろな、広報紙とか、市長自ら出て、トップセールスしているイメージがあったので、なかなか知れ渡っていないんだなと。非常にこの広報、大変だと思いますが、是非やっていただきたいと思います。

 ちょっと時間もないので、最後に。

 小さな自治体、養父市みたいな小規模な自治体というのは、職員がほとんどいなくて、こういうのに手を挙げれば自分の仕事が増えるとか、実際の、実態のニーズを把握して手を挙げるということがなかなか難しい、一人で幾つもの業務を兼務しているというのがそういうところだと思います。逆に言えば、そういった地域でこういう制度が本来必要だと思っております。

 国として、自治体が制度を円滑に導入、実施できるようサポートする必要があると思いますが、最後、御所見をお願いいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 法人農地取得事業の構造改革特区制度への移行に当たっては、まず、これはもう当然のことでございますけれども、自治体の区域計画の作成などをサポートするための申請マニュアルの整備などは行わなければいけないと考えております。あと加えて、養父市様がこれまで行っておられた法人農地取得事業のいろいろなお取組やノウハウなどございますので、こういったことも提供させていただくというようなことも考えたいと思います。

 いずれにせよ、本事業については、地方自治体との周知や対話をしっかり進めてまいりたいと思っております。

 特に、これは委員からも御指摘があったとおりですけれども、養父市様、人口約二万人、行政職員は二百二十人ということで、かなり小さめの自治体さんなんだと思います。ですので、こうした養父市さんの取組やノウハウをシェアさせていただくということは、御指摘のようなほかの小さな自治体さんにとっても特に有効なんじゃないかなというふうに考えております。

 あと、構造改革特区法の方は、実は昨年改正をしておりまして、その中で、まさにこれから認定申請を考えたいなというふうに思われる地方公共団体の方に対する援助規定というのを設けまして、相談対応や情報提供の体制というのを強化をしております。例えば、管理職を含む三名の職員に対して、構造改革特別区域支援調整官といったものを発令して業務に当たらせる、こういったようなことをやっておりますので、こうした取組も相まって、地方公共団体の支援にしっかり取り組んでいきたい、このように考えております。

住吉委員 時間ですので、終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子でございます。

 まず、今、住吉議員の方からずっとやらせていただいておりました養父市の件、少し私もお聞きしたいなと思っております。私自身は、養父市の方に視察に行かせていただきまして、実際にやられている方の、皆様からのお話を頂戴してきたところでございます。ですので、思いがありますので、ちょっとだけ御質問させていただきたいんです。

 そもそも、現状では遊休農地の増加を防ぐことができなかったと理解しています。そして、養父市さんで国家戦略特区になって、やってみようということで、岩盤規制を打ち砕くためにやりましょうということになったというふうに理解をしております。

 そもそも、岩盤規制というのは、役所や業界団体などが改革に強く反対し、緩和や撤廃が容易にできない規制のことを指す、一九八〇年代の、経済成長の観点から多様な分野で規制の緩和が行われてきた中で、既得権益を持つ関係者の強い反対に遭って問題の解決が後回しにされてきた規制を特に言うというふうに私はインターネットで調べさせていただきました。これを打破するために国家戦略特区というものが置かれたというふうに理解をしています。

 そして、養父市では成功だと、先ほどの住吉議員の質疑の中では、養父市というのは、今回これは成功と判断しているという政府の見解と、そして、養父市自体も、養父市市長も、私にも言っていました、是非全国展開をしていただきたい、そのように御主張をされていた。この案件です。

 質問させていただきます。国家戦略特区で実施されている規制の特例措置というのは、実施の状況の評価が行われ、そして、その結果、特段問題がなければ速やかに全国展開を推進することを原則としていると理解しています。この養父市の事例が全国展開をされない理由を教えてください。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど、住吉委員の質疑に当たって政府参考人からも申し上げましたけれども、昨年実施したニーズと問題点調査で示された、法人農地取得事業に対するニーズと懸念や問題点に関する意見の双方を十分に考慮に入れた上で、農林水産省とも協議を重ね、令和四年十二月二十二日の国家戦略特別区域諮問会議において「構造改革特別区域法に基づく事業に移行するもの」と決定された方針に基づいて、今回そのような法改正をお願いしているところであります。

 この改正は、規制が本来規定されている法律、すなわち、この場合は農地法に当たりますけれども、農地法の改正に基づく全国展開ではございませんが、地方自治体の発意による構造改革特別区域法に基づく事業に移行することによって、各市町村が、その現場の実態を踏まえ、創意工夫を発揮することができるものと考えております。

 私も、養父市をこの目で見て、広瀬市長の熱い思いを聞き、そこで新しい農業に携わろうとする、そういう方々の御意見も聞いてまいりました。その一方で、慎重な御意見というものもこのニーズと問題点調査に示された。このことによって、この期限が来てしまうと養父における国家戦略特区のこの試みというものも期限切れになってしまう、そういうことを様々勘案したときに、構造改革特区という形で、全国の自治体が、発意によって新しい農業に取り組める、法人の力も活用できる、そうした判断をいたした次第でございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 岡田大臣の、本当に分かっていただいているなというところは強く感じるところなんですけれども、この調査、先ほど住吉議員もおっしゃっていましたけれども、知らなかったという人が非常に多かった結果の中で、見ていると、リースで十分じゃないか、先ほどのここでの議論でもありました、リースの方式で十分じゃないかというようなお話が出てきていると承知しています。

 けれども、リースでは地主に返却をしなければならない。それを求められたときには応じざるを得ない。そうすると、私たちが想像している以上に、農業というのは、土地というか、土との関係性が深いものでございますよね。なので、この土に対して本当にたくさんの投資をされている。例えば、もちろん耕すこともそうですが、そのための機械もそうですけれども、堆肥であったり様々なことをされている。そういった、かなり多くの投資を土にしてきている、大事に大事に土を育ててきて、やっと十年たって育った土を、さて、すばらしい農作物にというところで、地主から返却を求められた場合にはそれに応じなければならないという大きな大きな課題があるということも御指摘をさせていただきたいと思っております。

 また同時に、私たちは、今、世界的に見ても、本当に脱炭素の話をずっとさせていただいております。そういった世界的な流れの中で、今、GX事業というのは、本当にそこに大きな可能性があると思っています。そして、農業というものも大いに、緑がたくさんあって、二酸化炭素を削減できる大きな要素ですよね。これからデジタル社会でどんどん電気を使っていく、だからこそ、グリーンももっと広げていかなきゃいけないよねという考え方が全世界的に広がっている中で、可能性として、私たちは、企業が土地を所有するということ、農地を所有するということに一つ希望があるんじゃないかな、もっとポジティブに受け取ってもいいんじゃないかなというふうに思っています。

 また、これはちょっと意見となってしまいますけれども、農業を農地としてずっと代々守ってやっていきたいという人もいてもいいし、企業が持ってやってもいいし、私たちには選択肢を広げるということが重要なんだというふうに思っています。そのためには岩盤規制というものを撤廃するんだという強い決意を持って国家戦略特区をやってきていると理解をしているんですけれども、今回、この岩盤規制を打ち砕くことができなかったということが非常に残念でならないというところでございます。

 ちょっとお時間になりましたので、スーパーシティの方に移らせていただきたいと思っています。

 スーパーシティ構想とデータ連携の基盤について御質問をさせていただきます。

 スーパーシティにおけるデータ連携の基盤で得られる情報というのは、先ほど様々、るる出ていたんですけれども、どのようなものなのか、そして、どのような活用を念頭に置いているのか、教えてください。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーシティでございますので、これは、行政手続、移動、物流、医療、介護、教育、いろいろ幅広い分野のデータについて、データ連携基盤を通じて相互に連携、共有するということになります。そして、複数分野の先端的サービスの実現につなげるということでございます。

 ただ、より具体的なことを申し上げると、例えば、スーパーシティに指定されている大阪府・大阪市の例などで申し上げますと、交通事業者の方が保有する運行情報、さらには飲食店の方が保有する店舗予約情報、それから行政が保有する道路混雑情報、こういったデータを活用して、利用者のニーズに応じた目的地周辺の周遊ルートを含めて、リアルタイムで最適な経路案内ができるような関西MaaSといったような導入の計画などもあるというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 ほかのところでも議論をしたことがあるんですけれども、どうしても、デジタルとか、デジタルのデータを連携するという議論をしたときに、必ず国民の皆さんが御不安に思うところは、個人情報との関係性だと思います。個人情報保護法がありますので守られているんですけれども、やはり、そうやると、私たちの何か大事なデータが取られて、そして流出してしまうんじゃないかという御不安を持たれる方が非常に多いのかなというふうに思っています。マイナンバーもそうですし、ほかのところのデータ連携というところでも必ず話題になると思っております。

 なので、あえてお聞きしたいと思います。

 個人情報との関係性はどのような仕組みになっているか、教えてください。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーシティでは、まさに、データ連携基盤を通じて幅広い分野のデータを相互に共有をして、先端的サービスの実現を図ることとしておりますので、まさに個人情報の点はその前提だと思っておりまして、したがって、指定の基準の中で、個人情報保護法令等の遵守を含め、個人情報の適切な取扱いを確保することとしております。

 データ連携基盤を通じて取り扱う具体的なデータというのは、先端的サービスの内容によって異なるのだとは思います。地図情報といったようなオープンデータに限らず、先ほどの関西MaaSの事例で予約情報と申し上げましたけれども、個人情報を含む場合もあり得るんだと思います。

 ただ、個人情報を含む場合であっても、本人確認あるいは同意の取得、それから、その管理、こういった、現行の個人情報保護法令の中で適切な取扱いをするということでございます。

 スーパーシティに指定された二都市については、今後、データ連携基盤整備事業を実際に行う具体的な事業者というのを区域計画に定めていくわけですけれども、その認定に当たりましても、プライバシー影響評価の実施内容でございますとか、個人情報保護法令の遵守状況等を精査、確認をしまして、スーパーシティにおける個人情報保護の徹底を図ってまいりたいと思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 モビリティーに使う情報、天気とか、先ほどおっしゃっていた地図情報とか、そういった様々な最新の情報を提供する、これに関しては多分一定程度御理解が得られるのかなというふうに思っているんですけれども、やはり課題が、課題がというか、御懸念というのがやはり医療の方なんだろうなというふうには認識していますし、今、しっかりとそういったものを厳守して、そして、そういったものを守ってやっていくというところが本当に重要なポイントだと思っておりますので、そこはしっかりと見ていただければなというふうに思っているところでございます。

 やはり、スーパーシティというのはとても、このスーパーシティ構想というのは、私は昭和ですけれども、私たちが小さなときに夢見ていたというか、漫画の世界であった二十一世紀の姿を見せてくれている、未来を見せてくれている、そういったものなんだなというふうに私自身は思っておりますし、そういったものを実際に目で見ることができる機会というのが大阪・関西万博だと思っております。

 スーパーシティの国家戦略特区と大阪・関西万博について御質問をさせていただきたいと思います。

 AIデータやビッグデータなど最先端の先端技術を活用して、様々な事業やサービスに活用できるデータ基盤を今整備をして、そして、世界に先駆けて未来の生活を実現する都市を目指している一方で、万博というのは、「いのち輝く未来社会のデザイン」、「未来社会の実験場」というテーマで頑張らせていただいていると思いますが、これとしてアクションプランに基づいて準備が進められているところだと理解しております。

 このスーパーシティ構想と万博の関係性を教えてください。

岡田国務大臣 スーパーシティ構想については、まさに二〇三〇年頃に実現される未来社会を先行実現することを目指すものであります。そして、大阪府・大阪市からのスーパーシティの提案は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした二〇二五年大阪・関西万博、私も担当大臣としてこのバッジをつけさせていただいておりますけれども、この万博を契機として、コロナ禍を乗り越えて、日本の成長、発展を牽引するために、まずは大阪で最先端の未来都市を実現しようとするものであります。

 このため、提案自体が万博を契機として日本経済の成長などを目指したものであり、その趣旨、内容がスーパーシティ構想の目的等に合致することから、昨年四月に指定されたものであります。

 内閣府としては、万博のレガシーを継承していくことも見据えて、万博アクションプランにも記載されているスーパーシティにおける空飛ぶ車の社会実装や先端国際医療の提供などを引き続き推進し、住民の生活の質向上と都市競争力の強化を図ってまいりたいと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 大阪万博、私は生まれていなかったんですけれども、その前にあった大阪万博もやはり未来を見せるということで、その大阪万博で見てきたものが、今私たちの生活に当たり前のように存在している、そういったものはたくさんあります。

 今回、大阪・関西万博なので、私の地元でございます京都も十二分に関西ですので関わり深いところで、今一緒に頑張らなきゃいけないなと私どもは思っているところなんですけれども、この未来を見せるというところで、やはりなかなか、どういったものがあるのかなというのも気になるところですので、世界の課題解決と日本の持続的な成長と発展につなげていくために、例えば、空飛ぶ車の商用運航といった未来像を具体的に見せてくれるというのが万博だと理解しております。その具体化、商用運航とかを含めた具体化の最新の状況を教えてください。

中谷副大臣 先生言われるように、未来を見せる、未来社会の実験場の具体化に向け、二〇二五年大阪・関西万博アクションプランを取りまとめまして、昨年十二月には改定もしたところであります。

 特に、空飛ぶ車は、これはまさに目玉でございまして、空の移動革命をもたらす新たな移動手段であり、未来社会の実験場のコンセプトを体現する重要なプロジェクトというふうに考えております。

 アクションプランは、「万博において、遊覧飛行や二地点間移動など、空飛ぶクルマの活用と事業化を目指す。」と明記をして、官民一体となって今取組を進めているところであります。

 具体的に申し上げますと、博覧会協会において、会場内のポートと会場外のポートをつなぐ二地点間の運航を担う事業者を募集をいたしまして、四社選定され、二月の二十一日には、岡田大臣や各社の社長等が出席をする発表会を開催をしたところであります。

 また、三月三日には、大阪府や大阪市が先行的に検討するポートの候補地といたしまして、大阪港、さらには大阪城東部、桜島の三つの地点について公表したところであります。

 今後は、万博においてどのような運航、これは何便飛ぶかとか、あとルートをどうするかというようなところをしっかり検討いたしまして、具体的な姿をお示しできるよう、関係自治体や選定された運航事業者等としっかりと連携をし、取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 空飛ぶ車で大阪城が見られるとはすばらしいと思います。私たちの誇れる、京都もそうなんですが、すごく歴史あふれる関西です。そして、私も京都にいると、多くの方に、この空飛ぶ車、京都まで飛んできてくれへんかなというお声を頂戴します。なかなか、ちょっと住宅地を飛んでいくのはとか、川の上行けるやんとか、いろいろなお声を頂戴するんですけれども、やはり、未来を見せる、私たちが見てきた、漫画の世界ですけれども、空飛ぶ車というのは、何となく、いつも飛んでいたイメージがあるんですね。なので、私はこういった未来を実際に見ることができる時代になったんだということを本当に楽しみにしていますし、大阪の大阪・関西万博がやはり成功にしていかなければいけないと強い思いを持っておりますので、このスーパーシティ構想及び様々なデータ連携に関する本当に重要な法案というものを今このタイミングで質疑させていただいていることをうれしく思っているんです。

 だけれども、何でこの二セットになったのかなというのが、私の先ほどから言っている強い思いでして、養父市で農業、私たちにとっては大事な大事な食の安全保障を担う農業というもの、これは非常に重要で、私たちは、岩盤規制を打破して、規制を改革して、もっといろいろな人に選択肢を提示して、そして、リースじゃ駄目なんだよ、やはり取得したいんだという人の声もしっかりと通ってほしい。そして、産業廃棄物とかが捨てられちゃうんじゃないかなというふうな御懸念もアンケートの中にありましたけれども、実際に養父市ではそのような件はなかったと言っているので、そういったことも全て勘案させていただくと、この法案を二つ並べて、一回でイエスかノーかを答えなさいというのは非常に難しい判断なんだなということを言わせていただきまして、本日の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 本日の法案質疑、この内容については、スーパーシティ等における先端的サービス等の推進に係る所要の措置、また、法人農地取得事業に係る所要の措置というものが主な内容でございますけれども、私からは法人の農地取得事業に係る措置につきまして主に質問をさせていただきたいと思います。

 これまで各委員からも質問があっておりまして、若干重なる質問がございますので、まず一問目、岡田大臣にお聞きをさせていただく内容につきましては、養父市における農地取得事業の政策効果については先ほど御答弁をいただいておりますので、後段の令和三年の改正。

 このときも、当時、地方創生特別委員会において私も質疑に参加をさせていただきましたけれども、そのときにおいては、この特例を二年間延長し、そして、ニーズと問題点の調査を実施するということの中で二年間延長されたというふうに認識をいたしておりますけれども、率直に、このニーズと問題点の調査の結果についての岡田大臣の御見解をお伺いをいたします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 御審議が続いておりまして、先ほども申し上げましたとおり、ニーズと問題点の調査において、法人農地取得事業に対するニーズと懸念や問題点の両方に関して御意見が示されたことを踏まえて、双方の御意見を十分考慮した上で、国家戦略特別区域法に規定されている法人農地取得事業を、対象となる法人や地域に係る要件や、区域計画の認定に係る関係行政機関の長、これは農林水産大臣のことを指すと存じますが、関係行政機関の長による同意の仕組みを維持した上で、地方公共団体の発意による構造改革特別区域法に基づく事業に移行するとしたものであります。

 先ほども一部申し上げましたが、この改正は、農地法の改正による全国展開には当たりませんが、地方自治体の発意によって構造改革特別区域法に基づく事業に移行するというものでございまして、各市町村の御判断で、現場の実態を踏まえ、創意工夫を発揮することもできるものと考え、このような法案をお願いしているところでございます。

西岡委員 今、大臣からの御答弁で、根拠法を変更した理由についても述べていただきましたけれども、その上で、構造改革特区法におきましても、特段の問題がないと判断されたものについては原則として速やかに全国展開するものということが定められております。この農地取得事業の特例の全国展開について、岡田大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。

岡田国務大臣 失礼いたします。

 今の御質問に対して、私としては、ニーズと問題点の調査、ここにおいて示されたニーズと懸念や問題点に関する意見の双方、先ほども申し上げました、これを十分に考慮しますと、現段階では、農地法の改正による全国展開よりも構造改革特別区域法に基づく事業に移行することが適切である、このように考えまして、また、農林水産省とも調整をいたしましたし、様々な御意見を勘案してこのような法案を提出し、御審議をお願いしている次第でございます。

西岡委員 大臣から、根拠法を改めて変更した理由についての御答弁ございましたけれども、岡田大臣として、構造改革特区法に根拠法は移ったわけでございますけれども、特段の問題がない場合は全国展開をするということが定められているこの法案に移行した上で、今後、このことを全国展開することについての大臣の御見解というものをお伺いをしたいという趣旨でございます。

岡田国務大臣 恐れ入ります。お答えを申し上げます。

 現在まで、兵庫県養父市で国家戦略特区の枠組みの中で行われてきた法人農地取得事業でございますけれども、もしこの法案がお認めをいただけるならば、これは構造改革特区に基づいて、これから全国の自治体の中でそうした事業を取り入れたいと考える自治体がそれぞれ発案をして、手を挙げる形で、それぞれの地域の実情に応じて、創意工夫を凝らして取り組まれるものと考えます。

 そうした意味で、それは農地法上の全国展開ということには当たらないわけではありますけれども、やはり、先ほどからお話の出ております、中山間地域で極めて担い手が不足していて、農業の存続が危ぶまれる、遊休地あるいは耕作放棄地が広がっていくのではないかという切実な懸念を抱いておられるところは、手を挙げて、この構造改革特区の事業に参加をされるところもあるのではないかというのは、先ほどから申し上げておりますこのニーズと問題点の調査で、五十四か所の自治体から、考えたい、そういう意思表示があった、このことでも分かることではないかというふうに思っております。

橋本委員長 答弁者に申し上げますが、ただいまの質問は、構造改革特区法になったときに、それで、原則的にはいずれ全国展開をするということになっているということについてどう考えるのかということなので、構造改革特区法になってどう使われるという話ではないので、的確に御答弁をお願いしたいと思うんですが。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、制度の技術的なこともございますので、補足をさせていただきます。

 構造改革特区についても御指摘のような原則は掲げられているということなんでございますが、さてどうなるかということについては、まさに大臣が今御答弁したことがやはり本質になってくるんだと思います。

 全国展開、原則と書いてはいますが、更に続けて読んでいただくと、自動的にそうなるわけではなくて、実際にその事業が構造改革特区の下で行われたのかどうか、行われてそこで何が起きたのかというのをやはりしっかり見ていくということであります。弊害があったかどうかというのは重要なポイントですけれども、ほかにも、地域活性化の観点、地域性の観点とかいろいろなところも見ていきます。

 今、まさに今日は法案を御審議いただいている最中でございます。この段階で、法案が通ってどういうふうにお使いいただけるのかということ、更にその先の、それを踏まえた評価の結果どうなるのかということについて予断を持つようなことは、これは差し控えなければならないんだと思います。

 まずはこの法案の形で、ニーズと問題点調査の結果をしっかり受け止めさせていただいて、当面は、先ほど大臣から御答弁いただいたような形でしっかりこの問題に向き合っていく、それに尽きるということだと思います。

西岡委員 私自身の質問の趣旨としては、農地取得事業の全国展開についての岡田大臣のお立場というかお考えをお聞きをしたかったという趣旨でございますけれども、今後のいろいろな状況を見ながらということで、次の質問に移りたいと思います。

 農地所有適格法人以外の法人が農地を取得した場合に生じると予想される問題点、懸念点について、農林水産省としてどのように認識をしておられるかということについて御見解をお伺いいたします。

長井政府参考人 お答えいたします。

 農地法におきましては、法人の農地取得は農業関係者が議決権の過半を占める農地所有適格法人に限定しており、当該法人は、取得する農地の全てを効率的に利用する、また、役員の過半が農業に常時従事する株主である等の要件を満たす必要がございます。

 一方、農地所有適格法人以外の法人による農地取得につきましては、農業関係者以外の者の意思決定によりまして水管理や土地利用に支障が生ずる、また、収益が上がらなければ容易に農業から撤退する、さらに、農地を他用途に転売されたり産廃置場になる等を心配する声が農業、農村現場にあることも事実であり、慎重に検討していくことが必要であると考えております。

西岡委員 今、農林水産省から御説明いただきましたように、現場においては様々な懸念が示されておりますし、私、国民民主党の部会の中でも、この農地取得につきましては大変様々な懸念の意見が出ました。

 特に、認定時の要件、認定後の監視体制における具体的な懸念について、それに対してどのような措置が講じられており、その実効性が担保されているかということについて、具体的な事例で順にお伺いをいたしたいと思います。

 まず、懸念点といたしまして、農地の不適正利用、目的外利用の懸念、また、先ほど農林水産省からもございました、収益が上がらない場合に容易な企業の農業からの撤退、また、これも先ほど御指摘がありました、農業現場の水管理、土地管理に及ぼす影響ですとか、地域の農業者や地域との調和が図られるのかどうか、また、開発行為による荒廃等の懸念、このことに対して、実効性のある対応について御説明をいただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案によりまして構造改革特区に移行される法人農地取得事業の仕組みにおいては、これまでの国家戦略特区における法人の要件を維持するわけでございますけれども、この中で、農地の取得が認められる法人は、今御指摘ございました、農地を適正に利用していないといけない、もししていなければ、利用していないということを地方公共団体が認めた場合には、当該地方公共団体に農地等の所有権を戻すことが契約の締結で担保されている、それから、地域のほかの農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと認められること、それから、業務執行役員等のうち一人以上がその法人の行う耕作又は養畜に常時従事すると認められることの全てを満たすことが求められております。

 それから、お尋ねの、認定した後はというところでございますけれども、これも、事業認定した後の事業実施段階においても、農地を取得した法人は、農地の利用状況について、毎年、農業委員会に報告しなければならない。そして、当該法人がその農地を適正に利用していないと認める場合や、当該法人が地域のほかの農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行っていないと認める場合には、農業委員会が地方公共団体に通知をして、当該地方公共団体が農地を買い戻すことができる。このような形で御懸念のような投機的な取得などは排除したいと考えております。

 また、必要な場合には、内閣総理大臣又は農林水産大臣が地方公共団体に対する報告徴収、措置要求を行い、認定基準に適合しなくなった場合には、内閣総理大臣が認定の取消しを行うということとしてございます。

西岡委員 続きまして、外国資本の参入の懸念に対してお伺いをしたいと思います。

 政府としては、前回の改正時の答弁の中で、認定時に様々な要件を課しているので、現実問題として外国資本が参入することは困難であろうという認識を示されておりました。

 外形上は認定の要件を満たしているが実態が外国資本が関連をしているという場合も考えられますし、法律上明確に外国企業が対象とならないという明示がない以上、そのリスクを踏まえて、その対策、チェック体制を強化していく必要があると考えますが、その対策についてお伺いをいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 法人農地取得事業の実施に当たりましては、外国資本が関係する法人も含めまして、農地の不適正利用を排除する措置を講じることとしております。

 具体的には、区域計画の認定のタイミングで、これは、区域に適切な経済的社会的効果を及ぼす、円滑かつ確実に実施をするといったような認定基準に適合する必要がございます。それから、農地を適正に利用していない場合には地方公共団体による農地の買戻しを行う旨の契約を締結する等の法人の要件を満たしていただく必要があります。さらに、農林水産大臣の同意というのも必要になります。こうした中で、不適正なものがあれば排除をしたいというふうに考えております。

 また、先ほど申し上げた点と少し重なりますけれども、認定後も、認定時は何かうまくやったけれどもということではなくて、その後、認定後もしっかり見て、事業実施段階においても、法人は、農地の利用状況について、毎年、農業委員会に報告するものとし、農業委員会は、当該法人による不適正な利用があれば、その旨を地方公共団体に通知をして、地方公共団体による農地の買戻しが行われることになります。あと、さらに、必要な場合には、内閣総理大臣又は農林水産大臣が地方公共団体に対する報告徴収、措置要求を行い、認定基準に適合しなくなった場合には、内閣総理大臣が認定の取消しを行うこととしております。

 こうした、認定時、認定後、両方あるわけでございますけれども、監視の措置、それから具体的な内容については、今後、構造改革特別区域基本方針、これは閣議決定文書でございますけれども、あるいは省令といった形で明確化をして、外国資本が関係する法人も含めて、農地の不適正利用を排除することとしたいと思っております。

西岡委員 食料の安全保障を含めて、安全保障上も大変問題があると思いますので、しっかりチェック体制、対策を取っていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 先ほど、認定後の監視体制の強化についてお話がございましたけれども、農業委員会による監視体制の実効性をどのように担保していかれるのか、また、農業経営基盤強化促進法によりまして地域計画を立てることになっておりますけれども、これに参画をしている市町村ですとかJA、土地改良区の皆様の力もおかりすることが必要ではないかと考えますけれども、御見解をお伺いをいたしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 区域計画の認定後も、法人農地取得事業を実施している法人から、毎年、農地の利用状況等を農業委員会に報告させることとしているわけでございますけれども、その上で、農業委員会だけではなくて、地域計画の関係者でございます市町村、JAあるいは土地改良区などとも御協力をしまして、事業が適正に実施されるように監視をしていきたいと思っております。

 また、法人の報告内容については農業委員会から農林水産省への報告を求めまして、農林水産省においても事業の実施状況を随時確認することとしております。

 なお、農業委員会は、当該法人がその農地を適正に利用していないと認める場合や、地方公共団体が策定する地域計画を含めまして、当該法人が地域のほかの農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行っていないと認める場合には、それらの事実を地方公共団体に通知をして、当該地方公共団体が農地を買い戻すことができるということでございますので、こうした形で御懸念のような投機的な取得などを排除したいと思っております。

西岡委員 時間が残り僅かとなりましたけれども、農業の持つ役割、特に、コロナ禍含めて、ロシアによるウクライナ侵攻を含めて、大変国際情勢も大きく変化をする中で、食料安全保障ということについてはもう長年言われ続けておりますけれども、農業の持つ多面的機能も含めて、大変我が国にとって、国民にとって重要でございますので、先ほどお聞きしたところの実効性のある対策をしっかり取っていただくことをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 法人農地取得事業について、多くの委員から質問がありました。

 改めてになりますが、今回、国家戦略特区から構造改革特区に移る理由は、なぜでしょうか。

 これまでは、国家戦略特区の中で、兵庫県養父市が唯一この事業を行っていました。養父市は、二〇一四年五月より国家戦略特区中山間農業改革特区の指定を受け、農業生産法人の要件緩和の特例などを進めてきました。今回の農地の所有は二〇一六年に認定されておりますが、担い手不足、遊休農地が著しく増加するおそれという特定地方公共団体に指定された上で、認定計画を、国、地方公共団体及び事業実施主体となる民間事業者で構成する区域会議が作成することになります。国家戦略特区と違って、地方自治体が主体であること、構造改革特区は税制優遇措置などはないと聞きますが、なぜ構造改革特区に移そうということでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、ニーズと問題点の調査というのを実施いたしました。その中で、国家戦略特別区域以外においても法人農地取得事業を活用したいという御回答をいただいた自治体がございました。同時に、投機的な取得や、撤退後の耕作放棄、地域コミュニティーとの共存など、法人による農地取得に対する懸念や問題点もお示しをいただいたところでございます。

 このような法人農地取得事業に対するニーズと懸念や問題点に関する意見の双方を十分に考慮した上で、国家戦略特別区域法に規定されている法人農地取得事業を、対象となる法人や地域に係る要件、区域計画の認定に係る関係行政機関の長による同意の仕組みというのは維持した上で、地方公共団体の発意による構造改革特別区域法に基づく事業に移行することとしたというのが考え方でございます。

 それから、後段のお尋ねの手続面でございますけれども、構造改革特区における区域計画については、国家戦略特区の区域計画のように、地方公共団体及び事業実施主体によって構成する区域会議が作成するという仕組みではなくて、地方公共団体が作成して、内閣総理大臣に対して認定申請を行って、要件に合致していれば内閣総理大臣が認定をする、こういう仕組みになります。地方公共団体の発意による構造改革特別区域法に基づく事業に移行することによりまして、各市町村が責任を持って、現場の実態を踏まえ、創意工夫を発揮することができるものと考えてございます。

高橋(千)委員 なぜ、ではないのかと聞いたのに対して、ではなくてというお答えでしたので、地方公共団体の責任が大きくなるということが一つの答えだったのかな、このように思います。

 養父市の国家戦略特区を認めた二〇一六年二月五日の国家戦略特区諮問会議では、二〇一四年一月の安倍元総理のダボス会議での発言、いかなる岩盤も私のドリルに無傷ではいられないなどと述べたわけですが、あれ以来、二年間の集中改革期間を設けてきた。この集中改革期間を受けて多くの岩盤規制が改革が実現したものの、国会等の事情でこの間の特区法の改正が一度だけに終わり、幾つかの極めて重要な改革事項がいまだに実現されないままとなっているとして、アベノミクス第二ステージの目標である戦後最大の経済六百兆円を確実に実現するためにも、二年間の集大成として、改正特区法案に農業生産法人の出資、事業要件の緩和などをしっかり盛り込むべきだということが位置づけられて、安倍元総理がまずは養父市からと言ったものでありました。

 そこで、質問は、かねてから、農業の分野は岩盤規制と言われてきました。国際競争力の強化やその拠点形成、いわゆる世界で一番ビジネスがしやすい国づくりという国家戦略特区の目標と、養父市で行ってきた担い手不足、遊休農地がこのままじゃ増えちゃう、この目的がどうリンクするんでしょうかね。これから更に、国家戦略特区ではなかった市町村の中山間地にも広げると言っている。それと、この世界で一番ビジネスしやすいと、どうリンクするんですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 国家戦略特区は、大胆な規制・制度改革を通じ、産業の国際競争力の強化と国際的な経済活動の拠点の形成を図り、先ほどもお話に出ました、世界で一番ビジネスをしやすい環境を整備し、経済成長につなげることを目的とするものであり、これまで、国際ビジネス、イノベーションの拠点、東京圏、創業のための雇用改革拠点、これは福岡県、また、大規模農業の改革拠点、新潟市、などを指定してまいりました。

 そこで、兵庫県養父市は、中山間地農業の改革拠点として平成二十六年に国家戦略特区に指定されたものでありまして、担い手不足や遊休農地の増大等の課題を抱える中山間地域において農業の構造改革を進めることにより、革新的農業を実践し、輸出も可能となる新たな農業のモデルを構築することで、産業の国際競争力強化などを目指すものであります。

 養父市において法人農地取得事業を始めとする取組を推進する中で、昨年実施したニーズと問題点調査では、国家戦略特区外の地域からも、担い手不足や遊休農地の解消等の地域の課題を解決するという観点から、法人農地取得事業へのニーズが示されたところであります。

 この結果を踏まえて、今回の改正で、法人農地取得事業については構造改革特別区域法に基づく事業に移行することとして、今後、本事業は、地域の担い手不足や遊休農地の解消への貢献を通じて、構造改革特区の目的である経済社会の構造改革の推進と地域の活性化のための事業として推進していくことにいたしたものでございます。

高橋(千)委員 答えになっていませんよ。これは趣旨説明と同じじゃないですか、今の答弁は。何でリンクするのかと言っているんです。

 企業が参入したいというのは、スケールメリットでしょう、本来なら。それを、条件不利地の多い中山間地で、担い手不足だ、このままじゃ遊休農地が増えちゃうというところとリンクさせるというのが、何で世界で一番ビジネスというふうになるんですか。これは、これがあくまでも一穴だからでしょう。そこをはっきり言わないと駄目なんですよ。違いますか。

 この養父市の実態について、神戸大学の研究がありますけれども、やはり、圃場条件が悪いとか、会社も、受けたところから遠くて、買い取ってくれとか、借りてくれとか農家の方から言われたけれども、それには応えられなかった、そういう声が出ていますよ。当然じゃないですか。お答えください。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最初おっしゃった、世界で一番ビジネスがしやすい場所ということと、担い手不足、遊休農地や養父ということがどういうリンクだったのかということについては、これは最初、養父でやはりこの特例をつくり、特区をつくったときは、農業というものの国際競争力をどう高めるかというイシューがあり、その中で、まさに法人が農地を取得できるという、かなり思い切った規制を初めてつくったというのがそのときだったと思います。

 今回で、現にそうした形でいろいろな法人の方が入られて、そして、養父はこの特例だけではないんですね。幾つか国家戦略特区の方を使っていますが、その中で、いろいろな企業が入って、新しい農業をやったということでございます。そういう形で、当時、結びついたということでございます。

 なお、今回やろうとしているのは、このニーズ調査をして、やはり養父以外でも、地域の担い手問題でお悩みのところがいらっしゃる、そういったニーズに寄り添いたい、ひいては地域の活性化を実現したい、そういうことが今大事になっているということが、このニーズ調査というのが示したというのが私どもの理解でございまして、そして、こういった提案をさせていただいております。

高橋(千)委員 農地所有じゃなくてもできることを示したという意味にもなると思うんですね。

 資料の三枚目につけておりますが、当時、国家戦略特区の農地所有に参入したときの養父市のプレゼンですが、地元経済団体の動きということで、住友電気、阪急電鉄、神戸製鋼所、この人たちが農業をやるわけじゃないわけですよね。養父市の農業に企業が参入しやすくし、その力を活用すべきという要望があったと。そして上に、三つの会社が既にやっているよという報告がありますが、そのうちの一番代表格だったオリックスは、今年三月末で撤退するということも聞いております。

 ですから、言っていることと、養父市が頑張っているのは分かっていますよ。それは、いろいろな取組をしているのは分かっているし、そういう中で入っている企業を否定するつもりはありません。地域と連携しながらやっている、それは分かっているけれども、しかし、本当の狙いは何なのかということをやはりちゃんと言わなきゃ駄目だということを言っているんです。

 それで、続けますが、養父市では農地保全条例を制定し、企業から積立金を拠出させています。不適正利用があった際に地方公共団体に買戻しをさせることで契約するというスキームでありますけれども、確実に企業に原状回復の責任を果たさせるように、あらかじめ条件にしなければならないと思いますが、いかがですか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係について申し上げると、養父市なんですが、そこでは、法人農地取得事業を実施する法人に関しては、今御指摘いただいた条例だと思いますが、この条例によって法人から積立金を拠出されるという形ではなくて、農地売買契約によって原状回復義務を法人に課すことで、責任を果たすことを担保していると承知をしております。

 なお、原状回復についてはこのような形で担保した上で、あともう一つ必要なのが、不適正利用があった場合の買戻し代金でございますけれども、こちらについては、債務負担行為として議会の同意を得て予算措置をしている。こうして、全体として買戻し措置の実効性を担保しているという形でございます。

 いずれにいたしましても、農地の不適正利用があった場合の自治体による買戻し措置に実効性を持たせることが重要、これはもう委員御指摘のとおりだと思います。したがって、今後、新たな制度の下で事業に取り組む自治体においても同様の対応を講じるように求めて、自治体が農地を確実に買い戻せるように措置をしたい、こう考えております。

高橋(千)委員 買戻しをしたその先はどうするんですか。結局、また耕作放棄地に戻っては意味がないわけですよね。どう考えますか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村が買い戻した農地については、もちろん市町村が自分で耕作をするということは余り現実的ではないでしょうから、地域計画に即して、新しい受け手を探す必要があると考えております。

 その際の地域計画における受け手については、認定農業者等の担い手のほか、多面的機能支払交付金あるいは中山間地域等直接支払交付金、こういった助成措置を受けていらっしゃる活動組織さんもいらっしゃいます。それから、あと、JA等のサービス事業体等もいらっしゃいます。こういったところは、地域の実情に応じて、新しい受け手に貸付けが行われるのであろうと考えております。

高橋(千)委員 新しい受け手がいるんだったら、最初から参入しなくてもいいわけですよね。受け手がいないから企業に参入してもらいたいということをやっているわけじゃないですか。これはこれで大変なハードルなわけですよね。

 それで、最初に言ったように、構造改革特区はやはり地方に大きな責任があって、買戻しの費用もそうですし、また、その先どうするかということも重大なんだ、だから、ヒアリングの中でも、やはり自治体からも、その先どうなるか心配だと。

 だけれども、最初から心配してその分お金を積んでおくというのも、自治体財政としてはやはり問題があるわけですよね。財政規律としても問題があると思う。そこをちゃんと明確にして、企業に責任を果たさせなきゃいけないと思います。

 同時に、農水省の責任というのがやはり一番大きいと思うんですけれども、農水省自身がこの問題をどう考えるのかということと、私は、やはり食料主権の基盤である農地をどうするか、元々は農業だけでは食べていけないという農政に一番大きな要因があると思うんですね。農水省としては今後どう取り組んでいくんですか。

野中副大臣 まず、構造改革特区法の移行ですが、それぞれ市町村、担い手の状況とか耕作放棄地の状況が地域ごとに異なっておりますので、この移行をすることによって、各市町村ごとで独自の農業振興を図っていただくことが可能になります。

 一方、企業による農地所有の懸念というのがありますから、構造改革特区法では、国家戦略特区法である地域や法人に関する要件、区域計画の認定に係る農水大臣の同意という仕組みは維持することにしております。

 この農水大臣の同意でありますけれども、地域計画との整合性などの農地法制に照らし判断することとしており、これらの懸念払拭措置をしっかり講ずることにより、引き続き農地の適正利用を確保していきたいというふうに思っております。

 また、農地をどういうふうに、有効にまず活用していくことが大切だというふうに思っておりますので、本年四月から施行されます改正農業経営基盤強化促進法、これをもって着実に農地の有効利用を図ってまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 第五十五回の国家戦略特区諮問会議のときは、やはりニーズ調査を見て慎重に対応する必要があるという発言をされた大臣が、これを決めるときの五十六回のときは、まあ、それでよしという発言をされているので、同意の仕組みってその程度になっちゃうのかなということを指摘をさせていただきますので、農水省は農水省らしく、きちっと対応していただきたいと思います。

 最後に一つだけ、JAXAのことで質問します。

 年末に閣議決定された安保三文書の中で、「経済・社会活動にとって不可欠な宇宙空間の安全かつ安定した利用等を確保するため、宇宙の安全保障の分野での対応能力を強化する。」国家安全保障戦略、と強調されました。

 かつ、国家防衛戦略においては、JAXAを含めた関係機関や民間事業者との間で、研究開発を含めた協力、連携を強化し、「その際、民生技術の防衛分野への一層の活用を図る」とあります。こうした決定に基づく民間事業者との連携は、JAXA法から見ますと、航空宇宙分野ということで目的内の活動になる。

 つまり、今回の法案は目的外ですから、目的内の活動になるという理解でよいか。もしそうだとすれば、これまで目的内だよということで利用していた現在の実績と、今後の拡充方向についてどう考えているのか、伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法第十八条第七号には、機構の業務として、「機構の施設及び設備を学術研究、科学技術に関する研究開発並びに宇宙の開発及び利用を行う者の利用に供すること。」と定められてございまして、安全保障分野か否かではなく、補助金交付規則に定める目的、例えば、宇宙科学に関する学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上及び宇宙の開発及び利用の促進に供することに合致するものでありましたら、民間事業者は当該補助金で整備された施設や設備を利用することが可能となってございます。

 JAXAに対する補助金の、目的内での民間事業者によるJAXAの施設等の利用実績といたしましては、二〇二一年度までの過去五年間で百四件となっているところでございます。

 引き続き、民間事業者の要望等を踏まえ、JAXAの施設及び設備の適切な利用に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 百四件というお答えでありました。

 今の安保三文書との関係では一切触れていらっしゃらなかったわけですけれども、当然、宇宙が大きく位置づけられたということで、JAXAの関係というのは、ますます役割が大きくなるのではないか、このように思うんですね。

 本当に、今、それこそ朝ドラではありませんが、空飛ぶ車などが、幅広く、これは目的内利用ということで読めることになるんですよね。それから、宇宙を目指す民間企業も多いです。

 同時に、目的の中なんだからよいというだけで民間との共同利用が進むことが本当によいのかどうか、今の安保政策の大転換の中でやはりこれは問われてくることではないか、ましてや目的外についてはもっと慎重であるべきだということを指摘をいたしまして、発言を終わります。

橋本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。末次精一君。

末次委員 立憲民主党の末次精一です。

 私は、会派を代表し、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。

 まず、スーパーシティについてです。

 私たちは、先端技術の活用を進め、便利で快適な生活の実現を後押しすることを否定するものではありません。補助金等交付財産の目的外使用等に係る承認手続の特例の例として挙げられている、地域の子育て世帯の増加に対応するため、現在使われていない小学校の空き校舎の一部を、新たな保育施設を整備するために転用することは、特区だけではなく全国的に求められていると考えます。

 しかし、住民への十分な説明や合意形成がないこと、住民のプライバシー侵害のおそれがあること、強力な監視社会になるのではないかなど、スーパーシティ構想の問題点は何も解決されておりません。

 また、当時、与党議員からもかなり指摘されていた、日本における情報セキュリティーの脆弱さはいまだに深刻です。カナダ安全保障情報局、CSISは、スマートシティ技術が機密データの採取などの攻撃や外国からの干渉の扉を開く可能性があると警告しており、国家安全保障上も極めて重大な問題であると言わざるを得ません。

 次に、法人農地取得事業の特例は、国主導の国家戦略特区から地方公共団体の発意による構造改革特区に移行することになりますが、そもそも法人の農地取得について、リースではなく所有することの必要性や効果が明らかではありません。既に兵庫県養父市からオリックスが撤退したように、企業が求める農地は条件不利地ではなく優良農地と思われ、構造改革特区によって全国展開した場合、養父市とは全く異なる展開が予想されます。

 目的外使用や転売又は開発行為等により農地が荒廃するのではないかといった疑問も解消されていません。法人が所有した農地等を適正に利用していない場合、自治体が買い戻せるとはいっても、農地の不適正利用について厳格、明確な基準がありません。また、買戻しには自治体に財政面の負担等が生じ、住民の負担増にもなりかねません。私たちは、公共財であり、食料安全保障の基盤である農地をしっかり守っていく立場から、法人の農地取得の推進には大きな懸念を抱いております。

 以上、反対の理由を申し述べ、討論を終わります。(拍手)

橋本委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 会派を代表し、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について討論をさせていただきます。

 この法案は、スーパーシティ等における先端的サービスの推進と、株式会社等の法人が農地を取得できる事業の改正という、性格も目的も方向も異なる二つの課題を一つの法律で処理しようとするものとなっています。本来なら、これらは別々の法案として、それぞれの課題についての議論を深め、賛否を採るべき性質であることをまず指摘しておきます。

 スーパーシティについては、我々日本維新の会は積極的に賛成の立場であります。補助金等交付財産の目的外使用に係る承認手続の円滑化は、施設の有効活用の点でも、新たなイノベーションを生み出す点でも、大いに期待できます。また、データ連携基盤の整備は、今後、実用化と普及が期待される自動運転ロボットによる配送事業や様々な分野へのドローンの活用に欠かせないものであり、国としても積極的に支援すべきものであります。

 こうした先端技術の活用により、中小企業を始めとする民間の創意工夫とイノベーションの創出力を最大化することにより、日本を停滞から成長に転換させるきっかけとなることを願っています。

 しかし、もう一方の法人農地取得事業に係る措置についての改正は、兵庫県養父市で行われてきた法人による農地取得について、国家戦略特区から構造改革特区へと、全国展開ではなく、いわば格下げするようなものであり、率直に苦言を申し上げなければなりません。

 我が党は、これまでから、養父市の先進事例を全国に広げていくべきだと主張してきました。民間企業にも農地の取得や農業の経営を認め、株式会社の資金力や経営のノウハウを農業に生かすことは、高齢化と後継者不足、耕作放棄地の増大といった我が国農業が抱える今日的課題を解決する大きな力になるはずであり、この取組が成功することは養父市の事例が実証しています。

 政府は、国家戦略特区から構造改革特区へと移行する理由について、昨年のニーズと問題点の調査の結果、ニーズが低かったことを挙げていますが、ほとんどの市町村にとって法人農地取得事業は未知のものであり、単純に活用するかと問われても、積極的な回答が返ってくるはずはありません。

 この間、国は養父市の成果を全国に説明、普及する努力を怠ってきたと言わざるを得ません。

 政府におかれましては、今回の法改正について、後退ではないと言われる以上は、この取組が地方公共団体の発意による構造改革特区に移行されても、今後、手を挙げる自治体が増加することによって農業の岩盤規制の改革が進み、ひいては、我が国農業が抱える課題の解決につながるよう、国が責任を持って環境醸成、環境整備に努めるべきであることを指摘し、本法案に対する討論とさせていただきます。

橋本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特区法及び構造改革特区法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対する主な理由は、法人農地取得事業についてです。法人による農地所有は、安倍元総理を始め政府や民間有識者が岩盤規制と呼んで改革を進めてきた中でも、本丸と呼べるものです。今回、国家戦略特区から構造改革特区に同事業を移行するのは、全国展開への通過点にすぎず、認められません。

 企業による農地取得には、農地の不適正利用や撤退という懸念があります。政府は、その際は自治体が農地を買い戻す契約を結んでいることをもって防げると説明しますが、担い手不足や遊休農地が動機だったはずなのに、その後処理まで自治体任せでは負担が大き過ぎます。少なくとも、買戻しの費用は、養父市のようにあらかじめ参入企業に拠出させ、原状回復の責任を果たさせることを条件にするべきです。

 本事業を実施している養父市では、六社の企業が合計三十五ヘクタールで営農しているものの、そのうち所有する農地は合計一・六五ヘクタールにすぎず、それ以外はリースによるものです。現行でもリースでの営農は可能なのです。所有したいなら農地所有適格法人になればよいのであって、特区で解禁する必要はありません。農地の所有をこれまで厳格に規制してきたのは、農地が食料生産の基盤であり、国民の食料を安定供給する保障でもあるからです。世界最低クラスの食料自給率を引き上げることにこそ、政府が役割を果たすべきです。

 補助金等交付財産の目的外使用について、承認のスピードアップや企業にとっての予見性を高めるための要件緩和となります。特定の企業を優遇することになりかねず、今後同様の手続を行えば、国の様々な研究施設、設備で目的外使用等が可能となります。公正であるべき補助金適正化法で禁じられている補助金等交付財産の目的外使用等の在り方をゆがめるものであり、本特例は必要ありません。

 スーパーシティの根幹であるデータ連携基盤に対する国の援助を追加するとしています。地図、交通、防災などの政府、地方公共団体が保有するデータを民間活用など、安全確保や国民の利益に資する場合もありますが、財界が求めているのは、ここにとどまらず、あらゆる領域を超えたデータ連携であって、政府がその基盤整備に更なる援助を行うことは、データの利活用を進めたい民間事業に便宜を図るものであり、賛成できません。

 以上指摘して、討論とします。

橋本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、今枝宗一郎君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。湯原俊二君。

湯原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 特定法人による農地取得事業については、遅くとも構造改革特別区域計画の認定の申請期限である令和九年三月末までに、その活用状況を踏まえ、制度の存廃も含めて在り方を検討すること。

 二 特定法人による農地所有を認めるに当たっては、法人が取得した農地等に係る営農型太陽光発電における農地等の収量基準を満たさない事例の発生をはじめ、当該農地等が目的外使用、転売又は開発行為等により荒廃すること等のないよう、必要な措置を講ずること。

 三 農林水産大臣が構造改革特別区域計画の認定に係る同意を行う際には、農業経営基盤強化促進法に基づく地域農業経営基盤強化促進計画との整合性など農地法制上の観点から適否を判断すること。

 四 特定法人による農地取得事業に係る構造改革特別区域計画の認定に当たっては、役員等の国籍、農地の利用目的、資本構成等の事項について確認することとし、認定後においても、これらの事項を毎年確認するよう地方公共団体を指導すること。

 五 特定法人による農地等の不適正利用を受けた買戻しには地方公共団体に財政面の負担等が生ずることから、地方公共団体が特定法人による農地取得事業の内容を十分に理解した上で導入を検討することができるよう、丁寧な情報の提供等に努めること。また、地方公共団体が買戻し等の適切かつ円滑な対応を行えるよう、適正に利用しているかどうかの判断基準を政府が示す等、必要な措置を講ずること。

 六 農地等の不適正利用が発生しているにもかかわらず、地方公共団体が農地等の買戻しを行わない場合には、当該地方公共団体に対し、報告の徴収、措置の要求又は認定の取消し等、速やかに、構造改革特別区域法に基づき必要な措置を講ずること。

 七 外国資本による農地所有に関しては、投資目的等の懸念があることから、その影響について、日本人の雇用の確保、食料安全保障等の観点から速やかに検討を行い、必要な措置を講ずること。

 八 買戻しが必要となった場合において、原状回復が企業の責任において行われるよう、書面契約を締結するに当たっての留意点を国として示すこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

橋本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。岡田国務大臣。

岡田国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 次回は、来る四月十一日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.