衆議院

メインへスキップ



第5号 令和5年4月11日(火曜日)

会議録本文へ
令和五年四月十一日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 英之君 理事 谷川 弥一君

   理事 坂本祐之輔君 理事 湯原 俊二君

   理事 中司  宏君 理事 中川 宏昌君

      井原  巧君    石橋林太郎君

      石原 正敬君    今村 雅弘君

      大野敬太郎君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    鈴木 隼人君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中川 郁子君    中曽根康隆君

      深澤 陽一君    牧島かれん君

      宮路 拓馬君    保岡 宏武君

      山口  晋君    渡辺 孝一君

      末次 精一君    堤 かなめ君

      福田 昭夫君    緑川 貴士君

      森田 俊和君    住吉 寛紀君

      堀場 幸子君    輿水 恵一君

      吉田久美子君    鰐淵 洋子君

      浅野  哲君    西岡 秀子君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          小倉 將信君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         滝澤 依子君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本  圭君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           朝川 知昭君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     深澤 陽一君

  宮路 拓馬君     山口  晋君

  輿水 恵一君     吉田久美子君

  西岡 秀子君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     石原 正敬君

  山口  晋君     宮路 拓馬君

  吉田久美子君     輿水 恵一君

  浅野  哲君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     石橋林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     石田 真敏君

    ―――――――――――――

四月五日

 健康保険証廃止の中止を求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(穀田恵二君紹介)(第六八二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第七一一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七三六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七七三号)

 同(笠井亮君紹介)(第七七四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第七七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七七七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七七八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七七九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七八〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第七八一号)

 同(本村伸子君紹介)(第七八二号)

 健康保険証を廃止しないことに関する請願(山岸一生君紹介)(第八二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件(こども政策)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件、特にこども政策について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官滝澤依子君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官寺門成真君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、スポーツ庁審議官星野芳隆君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官松本圭君、厚生労働省大臣官房審議官宮本悦子君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君、厚生労働省大臣官房審議官森光敬子君及び厚生労働省大臣官房審議官朝川知昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中英之君。

田中(英)委員 おはようございます。自由民主党の田中英之でございます。

 今日は、小倉大臣始め、関係政府参考人の皆さんに子供政策について質問させていただきたいと思います。

 早速でありますけれども、この四月の一日にこども家庭庁が発足をして、そして、三日から実際の業務が新たにスタートをしたということであります。冒頭でありますので、小倉大臣から、一週間ちょっと仕事をそのところでしていただいたと思いますが、決意、意気込みをまず冒頭聞きたいと思います。

小倉国務大臣 田中委員御指摘のとおり、四月一日のこども家庭庁の発足から約一週間が経過をしました。まだ一週間でありますが、この一週間の間にも、当然、こども家庭庁の発足式、そして、初めての試みとして、こども記者会見、また、将来的な子供、子育て予算の倍増の大枠を示すことになる、総理を議長といたしましたこども未来戦略会議の開始、こういった様々な子供政策を推進をしてきました。

 この間、様々な方から、こども家庭庁に対する期待の声を頂戴をしております。改めて、私どもには、省庁間の縦割りの打破、子供や若者の視点に立った政策づくりの二つの視点が特に重要であると感じております。

 こども家庭庁は、これまで各府省において別々に担われていた子供、子育て支援、少子化対策、児童虐待対策などの子供政策に関する総合調整権限を一元化し、子供や子育て当事者、現場の視点に立って強い司令塔機能を発揮をすることになっております。また、未就園児も含む就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくりに関する施策などについても、自らが事務を実施しつつ、関係省庁と連携しながら政府全体における取組を主導することとしており、これまで省庁間、制度間のはざまに陥っていた課題や新規の政策課題を含め、誰一人取り残さないという観点を大切にしながら、子供や子育て当事者に対する支援を一元的に担ってまいります。

 さらに、「こども若者★いけんぷらす」プロジェクトとして、小学生から二十代までの一万人規模程度の子供や若者から子供政策に対する意見を聞く新たな事業もスタートしたところであり、子供や若者の意見も政策に積極的に反映をしたいと思っております。

 今年の秋には、こども大綱の初の策定も控えております。子供、若者や子育て当事者などの声を真ん中に据えた政策を推進し、こどもまんなか社会の実現を目指すべく全力を尽くしてまいる所存です。

田中(英)委員 ありがとうございます。

 本当に、省庁間を超えてやらなければならなかったことが一元化されて、そういった意味では、政策を進めるという意味ではスピード感が出ると思いますし、でも、一方で、その業務をこれから束ねてやっていただくという意味では、大変な仕事をしていただかねばならないというふうに思っております。

 とりわけ、若い世代の皆さんの声を直接聞くというのは、本当に、何かわくわくするというか、その方々もうれしいと思います。積極的に、そういう姿勢を基に子供政策全般のことを先頭に立って進めていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 子育て政策、本当に幅広くあると思います。今日は、その中から四点ばかし、少し聞かせていただきたいと思います。経済支援の問題、また、小学校就学前の子供たちの育み方、幼保の量や質の面の強化のこと、さらには、働き方改革、そして、子供の命をどう守るか、この観点から今日は質問させていただきたいと思います。

 次元の異なる少子化対策の実現に向けて、こども・子育て政策の強化について、取りまとめが先般発表されました。集中期間三年間、そして、こども・子育て支援加速化プランは、ある意味では多くのチャレンジ、これが含まれているというふうに思っております。

 プランの発表前から特に話題となっていたのが、児童手当の所得制限の撤廃の話と、さらには、育児休業の際の給付率を十割、これを維持していきたいなというようなことが言われていたわけであります。この点については、子育て世代、大変大きな期待を持っているというふうに思っております。

 この二つ、それぞれ、多くの人がやはり知りたいのは、ほんまに実現するんやろうかなということ、さらには、もしやってくれはるのであればいつからなんてことが、実は、地元に戻るとそんな話をよくお聞きすることになります。特に、児童手当の所得制限の撤廃は、先般、こども未来戦略会議でもいろいろな議論が有識者の中でされているとも聞いております。恐らく、この後の工程では、骨太の方針や様々な手順はあると思いますけれども、国民の皆さんや子育て世代の皆さん、この方々の思いに是非とも応えていただきたいと思います。

 仮に、今、いつからということが言えないまでも、例えば経過を踏まえたゴール地点なんか、そのことを、今の時点で言える範囲で御答弁願いたいと思います。

小倉国務大臣 御紹介いただきました今回の加速化プランは、二〇三〇年までの六、七年間で少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであることを踏まえ、まずは、今後三年間を集中取組期間として、優先的に取り組むものをお示しをさせていただいております。

 このプランにおいて、児童手当につきましては、次代を担う全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援としての位置づけを明確化をするため、田中委員御指摘の所得制限の撤廃ですとか、支給期間を高校卒業まで延長すると同時に、多子世帯が減少傾向にあることや経済的負担が多子になるほど強いことなどを踏まえ、手当額についても、諸外国の制度等も参考にしつつ、見直しを行うとしたところであります。

 また、育児休業給付につきましても、田中委員御指摘のとおり、出生後一定期間内に両親共に育休を取得することを促進するため、男性が一定期間以上の産後パパ育休を取得した場合には、その期間の給付率を手取りで十割相当へと引き上げるとともに、女性の産休後の育休取得についても、産後パパ育休と同じ期間を限度に給付率を手取りで十割相当へと引き上げることなどとしたところであります。

 今後のスケジュールでありますが、こうした各種の施策を実施するためには、制度の詳細、予算、財源について国民的な理解を得ながら進めていく必要があり、このため、先般、総理を議長としたこども未来戦略会議、先ほど申し上げた会議を設置し、後藤大臣の会議運営の下、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に議論を深めているところであります。

 個別施策の実施時期やスケジュールについては、こども未来戦略会議での議論などを経て定まっていくものと考えておりますが、こども政策担当大臣としては、可能な限り早期にこの加速化プランの施策が実現できるよう、引き続き議論を進めてまいりたいと思っております。

田中(英)委員 今、小倉大臣からも、担当大臣としてはやはりスピード感の部分、できるだけ速やかにということでありますので、議論の過程、これはいろいろあると思いますが、本当に望まれているのは多分スピード感だと思います。積極的に、小倉大臣のリーダーシップをそこで発揮いただければというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 次でございますけれども、幼保に関しての量、質両面の強化についてお伺いしたいと思います。特に質の方であります。

 以前にも、決算行政監視委員会でも実はお伺いしたのが、四、五歳児の保育士の配置基準の件で、当時は、七十三年前の基準を使っているということで、ええっというようなことがございました。今、仮にこれを取り組んでいくとなると、恐らく七十五年越しのことになるというふうに思いますけれども。

 幼児教育また保育の量に関しては、これまでの間、子供を受け入れる、乳幼児数、子の数は、保育施設を増やすことである意味拡充を図ってきたのは事実だと思います。そういう意味では、やはり質の向上が次は望まれるわけでありますけれども、三歳児の配置基準は改善をされてきました。さらには、今年度の予算では、百二十一名以上の定員の保育施設、保育士二名の加配がされたり、また、多くの人の目が必要な時間帯、ここには支援員を配置するということが実施されようとしております。

 次にやらなければならないのが、先ほど申し上げた四、五歳児や一歳児の配置基準、これをやっていただきたいと思います。プランによってようやく改善に向けての期待感が、これは事業者も、実は御家庭のお父さんやお母さんも、安心するためには、期待が膨らんでいるところであろうかと思います。

 保育士の配置基準でありますけれども、四、五歳児は、もう皆さん御承知のとおり三十対一、これを二十五対一に、一歳児さんは六対一を五対一にしていければなという、この検討だというふうに思います。

 具体的にやっていこうとすると、まずこれは財源の話があると思いますし、それから、保育士の確保というものも今大変な状況です。それと、やはり改善するこういった時期、この課題に対してどのようなめどを立てようとしているのか、特に、七十五年間変わっていない四、五歳児、この部分について見解をちょっとお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 私が大臣に就任をしてからも、認定こども園における送迎バスでの子供の置き去り事故がございました。また、保育所における不適切な保育の事案もございました。大半の子供を預かる園におきましては、しっかり子供のことを面倒をいただいておりますし、そういった事案に関しては別途しっかり再発防止策を講じているところでございますが、その背景の一つとしてありますのはやはり保育所等の現場における業務の多忙さだ、そういう指摘をする声に私もたくさん接してきたわけであります。

 そういった中で、田中委員に御紹介をいただいたように、今年度の予算におきましても、大規模な保育所におけるチーム保育推進加算の実現でしたりとか、支援員の配置ですとか、そういった予算を盛り込んできたところでございます。

 それに加えまして、今般取りまとめたこども・子育て政策の強化に関する試案においては、長年の課題を解決する施策として、公定価格の改善について、費用の使途の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係を整理しつつ取組を進めること、一歳児及び四、五歳児の職員配置基準について、一歳児は六対一から五対一へ、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善することを明記をしたところであります。

 財源についての御質問がございました。

 先ほど申し上げたように、今後、この試案、私が作成した試案を踏まえて、総理を議長とした会議において、必要な施策、予算、財源について更に議論を深め、六月の骨太の方針までに、将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示をすることになろうかと思いますが、今回、私が試案を取りまとめるに当たっては、関係省庁と綿密に調整してきたところであります。

 したがいまして、試案でお示しをした施策は、制度設計などの詳細は今後の議論に委ねられるものの、基本的には全て政府として責任を持って実現に向けて取り組んでいくもの、このような認識をいたしております。

田中(英)委員 この間、保育士不足による、ああいったバスの置き去り等々があったということも含めて、ここの部分というのは、全体像、保育士の全体像の確保も必要であろうかと思います。本当に政府として責任を持ってここの対処に関しては考えていただきたい、そういうふうに思います。特に四、五歳児、ここは七十五年間、ちょっとやはり時代に合わない部分もございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次でございますけれども、働き方改革の推進です。

 今の保育士のことに絡むわけでありますが、保育士不足と言われているのですけれども、やはり、何でなんだろうなという思いがあります。

 給与面なんかでは、この十年間で、高いとは言えませんけれども、一八%、実は給与の改善がありました。大体五万四千円から七千円だと思います。また、経験年数七年程度働いていただいているような専門リーダー、こういった方々が研修を受けると月四万円程度、さらには、経験年数が三年程度の職務分野別のリーダーの方々も、研修を受けることによって月五千円程度の手当がつくということになってまいりました。

 でも、それでも保育士は不足するんですね。原因は間違いなくほかにあるわけでありまして、給与が増えるということは、これは現場の皆さん、本当に喜んではおられます。でも、もう一方であるのが、長時間労働だというところです。

 特に、女性の先生にお伺いすると、自分の子供を見る時間がなくなると思うだけで、やはり保育士に復職するのをちょっとちゅうちょするという声がございます。保育士に復職できる環境をつくって確保することがやはり必要だというふうに思います。そういう意味では、保育士の働き方改革というのは子供、子育て世代を支える、このことにもつながってこようかというふうに思います。

 例えば、単純に考えますけれども、小学校就学前の子供がいる御家庭、短時間勤務また労働であれば、例えば六時間勤務であれば、そう考えると、預けに行くのは今よりも一時間ゆっくり行こうかなということができるでしょう。さらに、一時間早く迎えに行くこともできるでしょう。特例の朝夕、こういった延長保育はあるにしても、基本的な形は労働時間が短く、先生方もなってくると思います。

 今、保育士は、ともすれば一日十一時間労働で、週六日で六十六時間働かなければならないような、長時間と言われることもあります。そういう意味では、一般の労働から比べると、そこには少しかけ離れた現実があって、本当に重労働で、長時間ということに悩まされているのが保育事業者の悩みでもあろうかと思います。

 そこで、育児休業法で短時間勤務制度が拡充できて、ある意味では有給でできるので、満額そういったものができればいいなとは思うんですが、なかなかそういったところに至るのは難しいかなと思います。本当は小学校就学前までこの措置ができれば、育休とある程度同じような形で育児休業給付金が適用されたら、給料はやはりありますし、無給という形にはならないので、本当は望ましいなと思うんですが、まず、でも、先にやらなければならないのは、今回のプランにも示されているように、短時間勤務に併せて、例えばテレワーク、そして出退社の時刻の調整、また休暇など、柔軟な働き方を職場にきっちりと導入することを積極的に進めていただく必要があると思います。

 例えば、先ほども少し言いましたけれども、お父さんが遅出の出社になって保育園に送っていく、また、お迎えはお母さんが早く仕事を切り上げてお迎えに行く。そうすることで、ある意味、一定の有給というものは、給料があるということは、これは維持ができるんだと思います。

 こういう制度をつなげることによって、保育士の働き方改革が可能になってくるのではないかとも思いますし、これは保育士不足を解決する一つの方法でもあろうかと思います。

 先ほど、配置基準の改善についても、保育士をちゃんと確保しないといけませんねという話でありましたし、そして、この育児・介護休業法の短時間勤務制度を始め、テレワークや出退社時間の調整をすることによって、やはり有給であるということ、給料があるということが大きいと思います。経済的な支援にもこれはつながるというふうに思っておりますので、このことをもっと強く積極的にこれから進めていただければと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 保育士の働き方に関しては、田中委員の問題意識のとおりでありまして、例えば、東京都の保育士実態調査においては、過去に保育士として就業した方が退職した理由として、職場の人間関係や給料が安いに次いで、仕事量が多い、労働時間が多いことが上位に挙げられており、保育士の働き方も保育士不足の要因の一つであると考えております。

 今般の試案におきましても、先ほど来議論になりました保育士の配置基準改善や更なる処遇改善を盛り込んでおりますが、加えて、保育士の業務負担軽減を進めていくことが非常に重要であるとも考えております。

 このため、保育士の補助を行う保育補助者の配置、清掃や消毒、園外活動等の見守り等の保育の周辺業務を行う保育支援者の配置、登園管理システムの導入などICT化の推進などに対する支援を行っておりますほか、保育所等の勤務環境改善を進めるため、労務管理の専門家による巡回支援などの保育士の確保に総合的に取り組んでおります。

 このほか、保育士の負担軽減について、運用面で見直し、工夫が考えられる事項についても指摘されており、今後周知していきたいと思います。

 引き続き、厚労省と連携しながら、保育士の勤務環境の改善、業務負担の軽減を推進し、保育士の働き方改革に資するように取り組んでまいりたいと思います。

田中(英)委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

 最後になりますけれども、子供の命を守る対策についてであります。

 令和四年の児童生徒の自殺者数は五百十四人と過去最多になっております。そういったこともあって、自殺対策を推進する議員の会から、自殺の危機から「子どもの命を守る」ための十項目の緊急要望があったというふうに思います。

 こども家庭庁として、この自殺者数が過去最多という事実を重く受け止めて、しっかりとした体制を組んで子供の自殺対策に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 子供が自ら命を絶つことはあってはならないことです。令和四年の児童生徒の自殺者数が五百十四人と過去最多となったことは、大変重く受け止めております。

 また、先般、御指摘のとおり、超党派の自殺対策を推進する議員の会が、岸田総理に対して、自殺の危機から「子どもの命を守る」ための緊急要望を申し入れたと承知をしております。

 このような状況も踏まえ、こども家庭庁に、子供の自殺対策に関する事務を担当する室を新たに設置をし、警察庁、文部科学省、厚労省などの関係省庁と連携して子供の自殺対策に取り組むことといたしました。

 子供や若者の自殺対策について、子供政策の司令塔であるこども家庭庁として、こうした体制の下、しっかりと取り組んでまいります。

田中(英)委員 本当に子供政策、そういった意味では多岐にわたります。命のことも大切でありますので、総合的によろしくお願いしたいのと、宮本さん、済みませんでした、答弁の機会がちょっとなくなってしまいましたけれども、申し訳ございません。

 以上で終わります。

橋本委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日の案件はこども政策ということでございますので、小倉大臣を中心に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 私からも、こども家庭庁発足に当たりまして、まず大臣に御決意をお伺いしたいと思っております。

 まず、同庁の設立につきましては、我が党も一貫して訴えてまいりましたので、いよいよと、感慨深いものがございます。改めて、設立準備室の皆さんを始めまして、関係者の皆様に心より敬意を表し、感謝を申し上げたいと思っております。

 こども家庭庁の設立に期待されること、それは、こどもまんなか社会、また子供の幸せを最優先する社会の実現にあります。その実現に、総理また小倉大臣を先頭に全力で取り組んでいただきたいと思いますし、私たちもしっかりと心を合わせて取り組んでいきたいと思っております。

 そして、こども家庭庁の始動に当たりましては、子供や若い方、どのようにこういった方々の声が反映されていくのか、そのことによって政治や社会がどのように変わっていくのか、誰よりも子供たち、若い方々が本当に期待をしてくださっていると思っております。

 小倉大臣の下、こども家庭庁、こどもまんなか社会の実現に向けて、そして子供、若者の期待にどのように応えていくのか、お取組と大臣の御決意をまずお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 まず、子供や若者は、意思表明と自己決定の主体、いわば権利の主体であるということを申し上げたいと思います。

 その上で、こどもまんなか社会の実現に向け、何よりも大切なのは、子供や若者の意見を聞き、それをしっかりと受け止め、実際に政策に反映させることだと考えております。

 したがいまして、小学生から二十代までの一万人規模の子供や若者から子供政策に対する意見を聞く「こども若者★いけんぷらす」という事業を新たにスタートしたところであります。この事業の中では、省庁の側が設定したテーマについて意見を聞くだけではなく、子供や若者の皆さんが意見を言いたいテーマを自ら設定をしていただくようにしております。

 さらに、子供や若者の意見がどのように反映をされたのか、どのような理由があって反映をされなかったのか、あるいは、それに代わってどういう政策が実現をされたのか、こういったことについて子供や若者にきちんと説明をし、フィードバックもさせていただきたいと思います。

 これらによりまして、子供や若者にとって、政策を決めるプロセスに、大人と同じように、社会を構成する重要なパートナーとして主体的に参画する機会や場をつくると同時に、子供や若者の意見を政策に反映をすることで政策をよりよいものとし、さらには、この取組を広く発信をすることで、子供や若者の意見を聞き、一緒に社会をつくり上げていくことの大切さについて理解を広げていくことができると思います。

 こういった私どもが考えていることをより多くの国民の皆さん方に理解をしてもらうと同時に、やはり重要なのはこども家庭庁ならではの施策を実現をしていくことだと思いますので、意見を聞くだけではなくて、やはり、いかに多くの施策を実現をしていけるかということについても、担当大臣としてしっかり注力をしてまいりたいと思っております。

鰐淵委員 ありがとうございます。小倉大臣のリーダーシップに期待をしたいと思います。

 大臣の方からもございました。やはり、子供たち、若い方々も、社会の一員ということで、そうやって関わっていくことが、まず、子供たち、若い方々にとっても、そこからまた力も発揮できるでしょうし、また、一緒になって地域社会をつくっていくという自覚にもつながっていくかと思います。

 おっしゃっていただいたように、声を反映させること、結果を出すことがまた求められてくるかと思いますので、是非とも、こどもまんなか社会の実現ということで、引き続き、大臣の下、よろしくお願い申し上げたいと思っております。

 次に、岸田総理が掲げます、次元の異なる少子化対策の具体策をまとめましたたたき台につきまして質問させていただきたいと思います。

 このたたき台は三月三十一日に発表されておりますが、それに先立ちまして、公明党といたしまして、少子化対策の、このたたき台に盛り込んでいただきたいということで、それを念頭に、次世代育成のための緊急事態宣言等についての提言、これを我が党として取りまとめをさせていただきまして、三月二十八日に、岸田総理また小倉大臣に提出をさせていただいております。

 この提言は、我が党が昨年十一月に子育て応援トータルプランを策定させていただいておりましたので、このトータルプランを、二〇二三年度から三年間、次世代育成・集中期間と定めまして、集中的に、また緊急的にしっかりと実行していく、そういったことを求めているものでございます。

 具体的には六つの柱がございまして、経済的支援の強化、また、子育てサービスの拡充、働き方改革の推進、若者の経済的基盤の強化、様々な課題を抱えているこども・若者支援、そして、次世代育成推進体制の整備、この六つの柱の下、具体的に提案をさせていただいております。

 この我が党の提案につきましては、政府のたたき台におおむね反映されていると評価をさせていただいておりますが、改めまして、我が党の提案も踏まえまして子供、子育て政策を着実に実行していただきたいことを大臣に要請をさせていただきたいと思います。

 その上で、こども・子育て政策のたたき台の実現に向けまして、こども家庭庁が果たす役割、どのように関わっていくのか、それを併せてお伺いをしたいと思います。

小倉国務大臣 まず、従前に作っていただきました御党の子育て応援トータルプラン、私もよく拝読をさせていただいております。このトータルプランに掲げられております、出会いから結婚、妊娠、出産から子供が育つまでのライフステージに応じた切れ目のない支援の考え方は、私も大変重要だと考えております。

 加えまして、先般、御党の提言を踏まえつつ、こども・子育て政策の強化に関する試案を取りまとめさせていただきましたが、この試案におきましても、全ての子育て世帯を切れ目なく支援をすることを基本理念の一つに掲げ、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や、全てのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充といった柱に沿って各種の施策を盛り込んだところでございます。

 先般、参議院の委員会におきましても、同僚議員に対しまして、この提言の内容を試案においてもおおむね盛り込むことができたのではないか、このように評価をさせていただいたところであります。

 今後につきましては、今月の七日に、総理を議長としたこども未来戦略会議が設置をされたところでございます。今後は、後藤大臣の会議運営の下、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に議論を深め、六月の骨太の方針までに、将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示をすることといたしております。私もこの会議に、後藤大臣とともに副議長として参加をさせていただいております。

 この試案の取りまとめに当たりまして、たくさんいただいた子供や子育て当事者さらには子育て関係者の皆様方の意見をこども未来戦略会議においてもしっかり伝えていけるように、私も担当大臣として、この会議においてもしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

鰐淵委員 ありがとうございます。

 このたたき台におきましても、やはり多岐にわたる課題にもなっております。先ほどもお話がありました、スピード感も求められますし、しっかりと実現していくということが何よりも重要になってくるかと思います。その上で、小倉大臣の調整役ということも大変に重要になってくるかと思いますので、是非とも大きな役割を果たしていただきたいと思いますし、重ねて、私たちもしっかりと力を合わせて取り組ませていただきたいと思っております。

 その上で、我が党が提出しました提言の中の話で少し具体的に伺いたいと思いますが、若者の経済的基盤を安定させ、若い世代の方々が将来に見通しを持てる、希望を持てる雇用環境を整備することを明記をさせていただいております。具体的には、最低賃金の引上げや男女間賃金格差の是正等賃金引上げに向けた取組の抜本的な強化、また、非正規雇用労働者の処遇改善や正社員への転換など、こういったことを盛り込ませていただいております。

 しかし、政府のこども・子育て加速化プランを拝見いたしますと、この内容が記載がございませんでした。たたき台の基本理念の冒頭には、若い世代の所得を増やすとありましたので、重要課題との認識の下、しっかりと取り組んでいかれると思うんですけれども、改めて認識とお取組をお伺いをしたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 若い世代の雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することで、若者が将来にわたる展望を描けるようにすることが重要であると考えております。

 そのため、厚生労働省におきましては、正社員として働くことを希望する若者については、わかものハローワーク等における安定就労に向けた支援や、正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金による支援を行っているところでございます。

 また、雇用形態にかかわらず、処遇改善に向けた同一労働同一賃金の遵守の徹底を図るとともに、昨年夏には、男女間賃金格差の解消のため、大企業に対して男女の賃金の差異の情報公表を義務づけたところでございます。

 さらに、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指して、最低賃金の引上げに取り組んでいるところでございます。

 さらに、非正規雇用労働者を含めまして持続的に賃金が上がる構造をつくり上げるため、関係省庁と連携しながら、リスキリングによる能力向上支援、それから、職務に求めるスキルが適正に評価され賃金に反映される職務給の確立、また、成長分野への円滑な労働移動を進めるという三位一体の労働市場改革を働く人の立場に立って加速してまいりたいと考えてございます。

 これらの取組によりまして、若者の経済的基盤の安定を図るとともに、若い世代が将来の展望を持つことができ、結婚や出産、子育ての希望がかなえられる環境整備を進めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、具体的なお取組を厚労省から伺いました。この課題はやはり、経産省も含めて、政府全体でしっかりと取り組んでいく課題だと思っております。

 繰り返しになりますが、早急に取り組むべき課題であると思っておりまして、改めて大臣、このことについてしっかりと取り組んでいただくという思いでいらっしゃると思うんですが、一言御見解をいただけますでしょうか。

小倉国務大臣 先ほど厚労省の政府参考人から答弁をさせていただいたとおりであります。もちろん、鰐淵委員が今お示しをいただいた若者の経済的な基盤の強化、これは子育てや少子化対策においても非常に重要な課題だというふうに認識をいたしております。

 こども家庭庁の範囲外の様々な施策もあるとは思いますが、政府一丸となって取り組むべき課題だというふうに思っておりますので、我々といたしましても、私どもの所掌に関わる部分についてはしっかり取り組んでいきたいというふうな思いでおります。

鰐淵委員 ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。

 では、続きまして、不登校対策について質問させていただきます。

 令和三年度の不登校児童生徒数は、小中学校合わせまして約二十四・五万人と過去最高になっております。残念ながら九年連続で増加の一途をたどっております。

 不登校の原因は様々でございますが、子供たちの置かれている環境はそれぞれ違いますし、また、子供たちの個性や能力も様々違いますので、その多様な子供たちに合った魅力ある教育、学校づくりに取り組むことが求められていると思います。

 子供たちの個性や能力を引き出す、子供たちの主体性を育む教育の転換、これは中長期的な課題になりますので、それはしっかりと目指しつつ取り組んでいきながら、その上で、今すぐ取り組まなければならないこと、具体的には、不登校により学びにアクセスできない子供たち、その御家庭への支援、これをしっかりと行っていくことが重要であると思っております。

 我が党の中に、不登校支援プロジェクトチームがございまして、これまで、関係者の皆様から直接お声を伺ったり、また不登校特例校の視察も重ねてまいりました。それを踏まえまして、不登校対策につきまして永岡文部科学大臣に具体的に提言をさせていただいております。不登校特例校の設置促進だったり、また教育と福祉の連携によりまして支援体制を確保していくこと、また保護者会の役割も大変に重要になってまいりますので、そこを支援していくこと、またそのほか、フリースクール等の民間施設の連携強化、こういったことをしっかりとやっていただきたいということで提案をさせていただきました。

 その上で、文科省といたしまして、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策ということで、COCOLOプランを発表していただいております。早速、小倉大臣と永岡大臣におきましては、この不登校児童生徒への対策ということで、意見交換を既に四月五日にしていただいていると伺っております。

 そこでまず、文科省に、この発表していただきました、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランについてお伺いをしたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、不登校児童生徒数、過去最多となっております。小中高等学校で約三十万人ということになっております。

 こうしたことを踏まえまして、文部科学省としまして、三月三十一日に、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランを取りまとめたところでございます。このプランにつきまして、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えること、また、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援すること、また、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることを柱としております。

 また、御指摘いただきましたように、四月五日には、永岡文部科学大臣がこども家庭庁を訪れまして、小倉こども政策担当大臣と本プランにおける両省庁の連携につきまして意見交換をさせていただくとともに、永岡文部科学大臣を本部長とする、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策本部を立ち上げることとしまして、こども家庭庁の参画も要請しているところでございます。

 文部科学省においては、関係省庁と連携しながら、本プランの着実な実施に向けてしっかりと取り組んでまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 文科省におかれましては、これは今すぐできるということで、着実に実行していただきたいと思っております。

 その上で、今御紹介もいただきましたが、このプランの中に、こども家庭庁との連携ということでございました。この連携が、言葉だけではなくて、具体的に何をしていくのかということが重要であると思っております。

 先ほども申し上げましたが、小倉大臣と文科大臣が意見交換をしていただいたと。そこで認識を共有していただいていると思っております。

 改めて、この不登校の子供たち、その御家族をしっかりと支えて支援していく、また学びの場を確保していくために、こども家庭庁が具体的にどのように取り組んでいくのか、大臣の決意と併せてお伺いをしたいと思います。

小倉国務大臣 私としても、学校に行きづらい子供に対して学びを保障していく、居場所づくりをするということは大変重要な課題だと認識しておりますし、文科政務官も務められました鰐淵委員の問題意識のとおり、いじめに加えまして、この不登校対策におきましても、私どもと文科省の連携というのは非常に重要だと認識しております。

 具体的にということでございますが、こども家庭庁においては、子供の育ち支援、子育て支援の観点から、不登校の子供を含めた全ての子供の多様な居場所づくりを推進するとともに、こどもデータ連携実証事業の推進や、こども家庭センターでの不登校相談などにおける教育支援センター等との連携強化などに取り組んでまいります。

 さらに、先ほど申し上げた「こども若者★いけんぷらす」事業におきまして、文科省においても活用することができる、不登校対策を含め、子供たちが多くの時間を過ごす教育現場の様々なテーマについて子供たちの意見を聞き、子供目線の政策立案に役立てることができるのではないかということを考えておりまして、こういった観点からも、文部科学省と、先ほど文科省から答弁ありましたように、不登校対策推進本部に私どもも参画をすることになっておりますので、協力をし合いながら、我々の強みを生かして、しっかりと貢献をしてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 誰一人取り残さないということで、しっかりと文科省、こども家庭庁連携の下、お取組をよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、若い女性の健康と命を守るという観点から、HPVワクチンにつきまして質問をさせていただきたいと思います。

 これは、皆様御存じのとおり、ワクチンと検診によって若い女性を子宮頸がんから守ることができるということで、まず情報提供が重要になってくるかと思っております。九価ワクチンにつきまして本年四月から定期接種化されるということで、まず、このワクチンの効果、リスク、有効性について、厚労省の方からお伺いをしたいと思っております。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 九価HPVワクチンは、子宮頸がんの原因の八〇%から九〇%を占める七種類のヒトパピローマウイルスを含んだ九種類のヒトパピローマウイルスの感染を防ぐワクチンでございまして、おっしゃったとおり、本年四月一日から定期接種における使用が開始されております。

 これは、頻度の高い副反応といたしましては、接種した部位の痛み、腫れ、赤み等が報告されておりますが、その安全性の評価については、審議会におきましては重大な懸念は認められないと結論づけられております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、簡潔にいろいろお話ししていただきました。改めて、繰り返しになりますが、やはりこの子宮頸がんワクチンは、九価ワクチン始め、ワクチンと検診で防ぐことができるがんということで、有効性、またリスク、そういったことも含めて厚労省におきましては周知をしていただいて、当事者やその御家族がしっかりと判断できるように、情報提供が重要になってくるかと思いますので、しっかりと対応をお願いしたいと思っております。

 時間の関係で、要望で終わらせていただきたいと思いますが、あわせて、文科省におきましても、この対象者が小学校六年生から高校三年生相当ということですので、やはり学校現場におきましても、情報提供、がん教育の充実が求められると思います。しっかりと、課題はありますけれども、取り組んでいただきたいことを改めて、最後、要望させていただきまして、質問を終わります。

 大変にありがとうございました。

橋本委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 おはようございます。立憲民主党の堤かなめです。

 我が国の静かなる有事である超少子化を食い止めることは、子供の笑顔があふれ、高齢者や障害を持つ方々など、弱い立場にある人々とともに、支え合って暮らせる豊かな社会を実現するためにも重要です。私は、幸せの土台をつくることが政治の役割だと考えます。子供を産み育てたいと思える幸せな環境の実現に向け、以下質問いたします。大臣の認識や見解をお聞きする質問については通告しておりませんが、簡潔明瞭な御答弁をお願いいたします。

 初めに、去る三月三十一日、政府が発表した少子化対策のたたき台である、こども・子育ての政策の強化について(試案)についてです。この日、三月三十一日は地方自治体選挙の告示日でしたが、これは偶然なのか、それとも選挙目当て、選挙のためのアピールだったのか、お聞かせください。

小倉国務大臣 一月末の総理の指示は、基本的な三つの方向性に沿って、子供に必要な施策を体系的に取りまとめてほしい、その取りまとめたたたき台について、三月末を目途に取りまとめてほしい、そういう御指示をいただきましたので、かなり日程はタイトでありましたけれども、たしか六回ほど関係府省会議を開催をし、その間、こども政策対話ということで、総理とも地方に出張をし、当事者の意見を聞き、三月三十一日にこれを取りまとめたということでございます。

堤委員 三月三十一日が地方自治体選挙の告示日というのは、もうずっと前から分かっていたことでございます。また、お立場上、選挙目当て、選挙目的であったとは口が裂けてもおっしゃられないとは理解しております。でも、子供たちの曇りのない瞳には、選挙のためのアピールと映っているのではないでしょうか。

 先日のこども記者会見で、小倉大臣はこども記者から、こども家庭庁の政策は選挙のためのアピールなど一時的なものではなく、私たちが大人になるまでずっと続くものになりますかと質問されておられました。小倉大臣は、しっかりと、選挙目当てだと思われないようにしっかりやっていきたいと、しっかりを二回繰り返してお答えになりました。

 今回の試案は、選挙目当て、選挙のための一時的なアピールではないということでよろしいですね。

小倉国務大臣 一時的なアピールではありません。

堤委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、選挙告示日に発表された試案は大きく報道され、児童手当の拡充、給食の無償化など、国民の皆様の中には、政府はようやくあれもこれもやってくれると大きな期待を抱いた方もおられたかと思います。

 しかし、実現に必要な金額も実現の時期も明らかにされておりません。レストランのメニューのようにずらりと並べられた項目、三十四項目あると聞いておりますが、これらの項目それぞれについて、いつまでに実現するのかだけでもお聞かせください。

小倉国務大臣 堤委員には、たたき台といいますか、この試案の中身、御覧になっていただいていると思いますが、この加速化プランというのは、まず三年間という期限を区切ってございます。その三年間の中で、政府として行うべきことというものも書いております。その中には、検討をするものもあれば、課題の整理をするものもあれば、具体的な年限、これを書いているものもございます。

 例えば、児童手当の充実につきましては、対象や金額など見直しの具体的な内容を骨太の方針二〇二三までに結論を得ると書いてございますし、授業料等減免及び給付型奨学金につきましては、令和六年度という年限を明確化をした上で、この年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層に拡大をするなど、具体的な時期を記載をしているものと承知をしております。

 こういったものも含めて、従来から申し上げているように、こども未来戦略会議において、必要な政策の内容、予算、財源、これを議論をして、さらに、骨太の今年の方針までに、子供、子育て予算の将来的な倍増に向けた大枠をお示しをさせていただく、こういうことでございます。

堤委員 つまり、今明らかになったのは、この三十四項目全てがすぐに実現できるわけではなくて、まず検討したり課題を整理したりという項目もたくさん含まれているということでございます。しかし、選挙の前に、これだけを実現するというふうに誤解された国民の方もいらっしゃるのではないかというふうに思います。

 また、報道によれば、政府の中では、年金、医療、介護など、国民が毎月支払う社会保険料を財源に充てるという案が検討されているとのことですが、本当でしょうか。

小倉国務大臣 財源につきましては、まず、必要な政策の内容そして予算、これを確定せねばなりません。その上で、この財源につきましては、社会保険の在り方、国と地方の役割分担、さらに、高等教育支援の在り方、こういった様々な工夫を重ねながら行っていくということは従前申し上げたとおりであります。

 まさに、必要な政策、予算そして財源を議論をするのが、先般立ち上がりましたこども戦略未来会議でございます。より多くの国民の皆様方の理解をいただくために、この会議には、経済界や労働団体、様々な学識経験者にも参加をしていただいております。まだ始まったばかりでありますので、予断を持って私からこの財源についてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、このこども戦略未来会議の中で六月までにしっかり議論を深めていく、そういうスケジュールになってございます。

堤委員 社会保険料の増額は、現役世代、子育て世代を直撃し、可処分所得が減り、経済全体に悪影響を与える可能性が高いと思います。そうなれば、更に少子化が加速化してしまいます。岸田増税、岸田負担増は、まさに本末転倒です。防衛費を大幅に増やすための財源は短時日で工面されましたが、最優先されるべきは少子化対策です。

 そもそも、この試案は遅過ぎと言わざるを得ません。

 民主党は、二〇〇九年、十四年前の衆議院選挙で、社会全体で子供の育ちを支援すると掲げ、政権交代後、速やかに所得制限のない子ども手当を導入いたしました。私自身、それまで政治には少し距離を置いておりましたけれども、このときの民主党が掲げた理念と方向性に賛同し、政治の世界に飛び込むことを決意いたしました。

 これに対し、当時野党であった自民党は、ばらまきだ、子ども手当はポル・ポトやスターリンと同じなどとさんざんに批判したと聞いております。その後、政権に復帰した自民党は、時計の針を巻き戻すかのように、児童手当と高校授業料無償化に所得制限を導入し、さらに、昨年十月には、児童手当の特例給付五千円を廃止しました。つまり、子育て家庭の経済的負担を増やしてしまったわけです。

 この十年、少子化を食い止めるどころか、少子化に拍車をかけ、少子化を加速させたのは、ほかならぬ政府・与党です。この十年間の少子化対策の失敗、まさに失われた十年についての反省の弁をお聞かせください。

小倉国務大臣 先生は、当時は民主党でありますので、立憲民主党とは関係のない政党だとは認識をしておりますが、二〇〇九年の話をされました。二〇一二年に今の児童手当が今の形になるまで、三党合意があったと思います。そこには民主党も含まれた中で三党合意がございまして、児童手当の所得制限が導入される一方で、〇―二歳児のところの児童手当の上乗せ、さらには三子以降の多子加算、これが当時の議論の中で導入されたと思います。

 それから十年が経過をいたしました。その間、待機児童の解消というのが大きな課題となっている中で、待機児童の保育の受皿の整備、さらには幼児教育、保育の無償化、こういったことを実現する中で、待機児童の数も、二万六千人を超えていたところから、足下、三千人程度まで減少しております。

 この十年間、そういった中で、子育て政策、進捗するところは進展をしておりますし、他方で、経済社会環境は大きく変化をいたしております。こういった子育て政策が進むことによって、例えば現金給付と現物給付の割合、これはかつては現金給付が三対二でありましたところを、先ほど申し上げたように、保育の受皿等々を進めてきた結果、現物給付が三に対して現金給付が二となりましたので、こういった経済状況の変化、さらには子育て政策の進捗状況を踏まえて、今この児童手当の在り方を見直すべきだというような総理の指示を踏まえて、今回、児童手当の拡充というたたき台での提言をまとめた次第であります。

 そういう意味では、子育て政策も進んでいるところは進んでおりますし、経済社会の変化というものもこの十年の間であります。二〇一二年、民主党も含めた三党合意での御判断もあったと思います。そういうのも全て含めて、今こういうたたき台をお示しをしているわけでありますから、十年まとめてこの少子化対策が失敗をしたという堤先生の御意見は当たらないのではないかというふうに私は考えております。

堤委員 進んでいるところはもちろん進んでおりますが、進んでいないところはもちろんあるかと思います。予想どおり、反省の弁は残念ながら聞けませんでした。

 松下幸之助氏は、反省なくして進歩なしという名言を残されています。なぜうまくいかなかったのか。なぜ、この十年、少子化対策の効果が上がらなかったのか。余りにも的外れで小粒だったのではないか。その原因をよく分析し、検討する、そして正すべきは正し、次に生かすべきは残す、そうした反省の上に着実な進歩が生まれてくるということですから、きちんと反省すべきと申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 また、我が国の、泉代表が指摘したように、国民にメニューだけを見せて実際の食事が届かないという状況になってしまうのかと暗たんたる気持ちになってしまいます。長妻政調会長が求めておりますが、政府・自民党には、この遅れた十年を取り戻すように急ピッチで進めていただきたいと強く要望しておきます。

 次に、具体的な政策についてですが、子育て支援の質の向上についてお伺いします。

 一点目に、保育士の配置と処遇の改善についてでございます。

 先ほど三党合意の話もございましたけれども、今、今後六、七年が少子化の流れを変えるラストチャンス、時間との闘いです。政府はようやく、やっと試案を出して、今後三年間で加速して取り組むこととして、「子育て支援については、量の拡大から質の向上へと政策の重点を移す。」としています。したがって、保育士の七十五年ぶりの配置基準と処遇の改善については、年度途中でも、遅くとも来年度には是非実現できるのだというふうに期待しております。

 そもそも、十一年前、こちらも自公民の三党で、幼児教育、保育、子育て支援の質と量の充実を図るためには一兆円程度の財源が必要であり、今回の消費税率の引上げにより確保する〇・七兆円程度以外の〇・三兆円超については速やかに確保の道筋を示すとともに、今後の各年度の予算編成において財源の確保に最大限努力するというふうに合意しています。

 また、その後、二〇一五年に子ども・子育て支援新制度が始まる際、政府は、一歳児で六人に一人から五人に一人、四、五歳児で三十人に一人から二十五人に一人に改善すると明言されたわけですけれども、それから八年後の今になっても、これらの改善は実現していません。そのため、この間、多くの野党議員が、いつ実現するのかと何度も質問を重ねてきましたが、そのたびに同じ答弁の繰り返しでした。

 そこで、二〇一五年から現在までのおよそ八年間に、保育士の配置の改善について財源確保と併せて検討が必要という答弁を政府は何回繰り返されたのか、お聞きします。その上で、今度こそ保育士の配置と処遇の改善の約束を守っていただけるのか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの保育士の配置改善につきまして、財源確保と併せて検討が必要という趣旨で政府側が答弁した回数でございますけれども、事前に通告をいただきましたので議事録から検索をいたしました。二〇一五年から本年三月末までの間で七十七件確認をできました。

 一方、今般取りまとめたこども・子育て政策の強化に関する試案においては、長年の課題を解決する施策として、一歳児、四、五歳児の配置基準について、一歳児は六対一から五対一、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善するとともに、保育士等の更なる処遇改善の検討ということを記載をしたところでございます。

 今後、この試案を踏まえまして、こども未来戦略会議において必要な施策、予算、財源について更に議論を深めて、六月の骨太方針までに将来的な予算倍増に向けた大枠を提示するということとしております。

 以上でございます。

堤委員 八年間で、検討、検討、検討と七十七回も繰り返したということが分かりました。これこそ国会の質疑時間の無駄だと思います。時間を無駄にしているのは、野党ではなく政府・与党です。野党は追及ばかり、いつまで同じことをぐちぐち質問しているのかと支援者からも批判され、悲しい思いをすることがございますが、追及せざるを得ない状況をつくり出しているのは政府・与党の側でございます。まさにこの件がそうで、三党合意で、速やかにする、最大限努力すると約束したのですから、野党は、なぜ約束を守らないのかと追及せざるを得ませんし、保育の現場での子供の事故や不適切な対応をなくすために必要な政策だから、是非実現してほしいから、何度問いただしても、木で鼻をくくったような同じ答弁しか返ってこないから、何度も質問をせざるを得なかったわけです。

 七十七回ですね。もうこれ以上、質疑時間が無駄にならないよう、この私の質問が最後になるよう、今度こそ、速やかに保育士の配置基準と給与の改善を実現していただきたいと思います。強く要望しておきます。

 二点目に、保育所の入所条件についてです。

 立憲民主党は、さきの三月十六日に、政府より一足早く、「もっと良い「子ども・子育てビジョン」」を発表し、就業に関係なく保育の利用を可能にすると明記しました。政府の試案にも、こども誰でも通園制度という仮称で、同様の政策が盛り込まれました。

 内容にはもちろん賛成です。なぜなら、ゼロ、一、二歳児の約六割の、保育園や幼稚園に通っていない、いわゆる未就園児の家庭、特に専業主婦家庭では、子育てを母親一人で担う、いわゆるワンオペ育児が多く、子育ての悩みや不安を感じる割合が高いと言われているからです。

 とはいえ、懸念もございます。政府は、時間単位などで柔軟に利用できる通園給付の創設を検討するとしておりますが、受け入れる側の園では、時間単位で不定期に保育士を確保するのは困難であり、通園給付が園が負担する実際の経費を下回るような事態になれば、ただでさえ苦しい園の経営を圧迫することになりかねず、持続可能な制度になりません。

 丁寧な制度設計、園や保育士の過剰な負担にならない制度設計が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の保育制度は、利用できる者が就労等の保育の必要性がある方に限定をされており、専業主婦家庭等も含めた未就園児のいる全ての御家庭に対する支援を行うには限界がございます。

 このため、現行の仕組みとは別に、専業主婦家庭等を含む二歳までの未就園児のいる全ての家庭への支援の強化に向けて、就労要件を問わず、時間単位で柔軟に保育所や認定こども園などに通園が可能となるような新たな給付を創設することを検討するということとしております。具体的には、保育所の空き定員の状況も踏まえながら、子供一人につき、月一定時間までの利用可能枠の中で、時間単位で柔軟に通園が可能な仕組みとすることを想定しております。

 いずれにいたしましても、具体的な制度設計は、御指摘いただきましたような、丁寧な制度設計ですとか、園や保育士の負担に過剰にならないように、そういった御指摘も踏まえながら、今後、議論をしていきたいと考えておりますが、当面は、令和五年度予算案に盛り込みました、未就園児の定期預かりを行うモデル事業の拡充を行いつつ、基盤整備をしっかりと進めてまいります。

堤委員 よろしくお願いします。

 三点目に、小規模保育所の危機的状況の救済についてです。

 三歳の壁という言葉をお聞きになった方も多いかと思います。小規模保育所に預けている保護者が直面する壁のことです。小規模保育所という制度は、保育園落ちた日本死ねという匿名の投稿などにより、いわゆる待機児童を短期間で減らすために始まったものです。

 ところが、新たな問題として出てきたのが、この三歳の壁です。小学校就学前までの保育所に入園できれば関係ないのですけれども、ゼロ、一、二歳の子供しか預かれない小規模保育所の場合、三歳になる前に再び保活、預かってくれる保育園を探さなければならないというものです。

 三歳の壁は、保護者にとってだけでなく、子供たちにとっても大きな壁となっています。子供が、保育所が大好きで帰りたがらなかったのに、大規模な保育所に替わったら、新しい環境になかなか慣れず、泣き続けるというケースも少なくありません。

 小規模のメリットは、子供が環境に慣れやすく、落ち着きやすい、保護者と保育士の距離が近く、親密な信頼関係がつくりやすいなどがあります。子供が起きている間に触れ合う時間は、家族よりも保育所の先生たちの方が多く、まさに昼間の家となっています。だからこそ、退所しなければならないときは、子供も保護者も先生方も切なくて、涙、涙の別れになり、保護者も保育士も、なぜ小学校に上がるまで同じ園では駄目なのかという思いでいっぱいになるとのことです。

 さらには、小規模保育所を運営する事業者にとっても、分厚い壁として立ちはだかっております。

 小規模認可保育所の対象児童はゼロ、一、二歳ですので、機械的に計算すれば、毎年三分の一が退所するということになります。しかし、小学校入学まで預かってもらえる保育所に早く移っておかなければ働き続けられなくなるという危機感から、もっと早く退所する子供が多く、実際には毎年半分ぐらいが退所してしまうということです。また、三、四、五歳の年長の兄弟がいる保護者にとって、保育所二か所の送迎は負担が大きく、やむを得ず、年長の兄弟と同じ保育所に移る方もおられます。一方、ゼロ歳児は、四月からではなく、五月雨式に年度途中に入ってきます。

 つまり、小規模保育園は、毎年度、前半の数か月は構造的に大きな赤字を抱えざるを得ないという状況になっています。経営者からは、もうやっていけない、これでは保育士の人件費を引き下げるなどブラックにならざるを得ないという悲鳴が上がっています。このままでは、税金を投入して小規模保育所を全国につくったのに、数年で多数が閉じてしまい、せっかく投じた税金が無駄になってしまうのではないでしょうか。

 そこで、待機児童が解消しつつあることは歓迎いたしますが、小規模保育所の定員充足率が低くなり、事業所の経営を圧迫しているのではないかと懸念しますが、どうなのか、お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、小規模保育事業の定員充足率ですが、令和四年四月現在、約八〇・四%となっております。

 委員御紹介いただきましたように、小規模保育事業は、原則、ゼロから二歳児を対象として、例外的に、地域の実情として市町村が特に必要と認めた場合には、三から五歳児を対象としているところでございます。

 実は今、国家戦略特区で、小規模保育事業者が自らの判断で、ゼロから五歳の間で柔軟に定員を定めることが可能という取組をしておりますけれども、この特例措置につきまして、令和五年二月に開催をされた国家戦略特区のワーキンググループにおきまして、全国展開をするという方針を御説明申し上げたところでございます。保育の選択肢を広げる観点から、小規模保育における三歳児以上の受入れに当たり、勘案する地域の実情の解釈について、市町村がニーズに応じて柔軟に判断できるような、そういった新しい解釈を通知で示すということにしたいと思っております。

 それから、運営費について、非常に経営が不安定であるという御指摘もいただきました。

 公定価格の基本分の単価につきましては、人件費、事業費、管理費、それぞれの標準的な経費を積み上げて、これはいわゆる積み上げ方式と呼んでおりますけれども、その総額を定員区分に応じて児童一人当たりの単価に割り戻して公定価格を設定する、こういった仕組みになってございます。

 これは、子ども・子育て支援法におきまして、教育・保育給付の認定を受けた子供が保育所などから教育、保育の提供を受けた場合に、それに係る給付を行う仕組みというふうな、そういう仕組みからきているものでございまして、別途、固定的な経費を支援するような形というのは、なかなか難しいものではあると思っております。

 ただ、一方で、人口減少局面で、委員がおっしゃったような、小規模保育を中心とした、経営が非常に不安定になるような局面というものは当然想定しておりますし、課題としても認識をしております。

 令和三年に、地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会取りまとめを行ったところでございますが、人口減少が進んでいる地域におきまして、保育所の機能を踏まえた支援の在り方について検討すべきといった提言もいただいておりますので、今後の小規模保育事業の在り方も踏まえ、引き続き、必要な財源確保策と併せてではありますけれども、検討をしてまいりたいと思っております。

堤委員 藤原局長、ありがとうございます。

 国家戦略特区において、定員をゼロ、一、二だけじゃなくて、もっと柔軟にということを全国展開していただけるという方針だということで、安堵いたしました。

 また、特に今、定員充足率八割ということで、今後少子化が進めばもっと苦しくなる。八割が平均ですから、六、七割という充足率のところもあろうかと思いますので、是非、先ほどお答えいただきましたことをやっていただき、早く財源を確保していただきたいと思います。本当に小規模保育所は、非常に定員が少ない状況が年度前半に続きますし、しかし、子供が一人でも在籍していれば、保育士二名と、自園調理の場合は調理員一名を必ず置かなければならないわけです。これらの人件費を含む水光熱費や火災保険料などの固定費を最低支給額として設定していただけたらというふうに思っておりますので、是非御検討をよろしくお願いいたします。

 四点目に入ってと思ったんですけれども、いいですかね、ちょっと時間が厳しくなってきましたが、賃借料加算についてお聞きします。

 保育所の家賃に対する加算ですけれども、都道府県別に算定基準が決まっています。福岡県の例えば実勢家賃は、b地域に区分されている奈良県や静岡県と同程度なんですけれども、c地域に実際には区分されています。そのため、賃借料加算を活用している福岡県内の四十三の保育所は、平均すると毎年およそ八十三万円を手出ししなければなりません。公平性という点から、区分を早急に見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、賃借料は変動するものですから、数年置きに定期的に見直してはいかがかと思います。御見解をお聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所等の運営費となる公定価格におきまして、保育所等が賃貸物件である場合の加算として、委員御紹介いただきましたような賃借料加算を設けてございます。また、賃借料加算の金額と比べて実際の賃借料が大きく超過をしている場合には、その超過額の一部を補助するという事業も別途実施をしているところでございます。

 委員御指摘の、賃借料加算における地域区分でございますけれども、実は令和元年に、子ども・子育て支援新制度施行後五年後の見直しに当たりまして、子ども・子育て会議において検討を行っておりますけれども、その取りまとめの中では、見直しに係る対応方針といたしまして、仮に見直しを行った場合には減額になる自治体も出てくるということもありますので、現行の地域区分を維持すべきというふうな取りまとめが一旦行われております。こうした対応方針を十分踏まえていく必要があると考えております。

 引き続き、地方自治体や事業者団体、有識者の御意見も丁寧に伺いながら、また、安定的な財源の確保と併せて検討していく必要がある課題であると考えております。

堤委員 確かに、賃借料加算の三倍を超える保育所については、その乖離分を補助するという制度があると聞いておりますが、例えば福岡県で賃借料が三倍ではなく二・五倍を超える保育所を仮定しますと、おおむね賃借料が五百九十六万円に対し、加算は三百二十二万円、手出しは年間二百七十四万円もの金額になってしまいます。三倍を超えなければ加算がないというのは余りにも厳しいと思います。賃借料を超える場合には、乖離分のその九割を補助するなどの方が公平性が高いのではないかと思いますので、その点の御検討もよろしくお願いいたします。

 それでは、時間となりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田俊和でございます。

 引き続き、子育てを中心に質問をさせていただきたいと思っております。

 内閣委員会のときに野田大臣にもいろいろ御質問をさせていただいたときにも、あらかじめということでお話をさせていただいたんですけれども、録画を見た私の妻が、あなたに子育てを論じる資格はないというふうに言われまして、一体あんたが子供たちが小さいときに何をやってきたんだということを、多分今日もまた帰ったら言われると思いますけれども、そういう自分の反省をしっかり受け止めながら質問をさせていただいているということで、まずは大臣、委員の皆様にも御承知おきをいただければなというふうに考えております。

 支援という話は本当に大事なことだと思っています。お金の手当を出したり保育園の充実をしたりとか、こういったことが本当に大事なことだと思っていますけれども、よく引き合いに出すのが、車を買うつもりがない人たちに、割引をしますよとか、このハイブリッドの車の性能はすごくいいですよと幾ら言ってもなかなか響かないということと同様に、元々、子供を別にそんなに持ちたくないとか、あるいは、そんなに家庭を持とうと思っていないという人が増えれば増えるほど、子育て支援の意味というものが相対的に薄くなってしまうということがやはり私は否定できないなと思っております。

 そういった意味では、昔でしたら、例えば大きな家族の中で、自分ちのおじさん、おばさんとかと住んでいたり、めいっ子、おいっ子、小さい、おぎゃあと生まれたばかりの子供を見ていたりとか、そういう環境が例えばあった。農作業をお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんがしているときにちょっと子守をしていたとか、こういうことがあったりとか、あるいは、餓鬼大将がいる中で、近所の子供たちと一緒に遊んでいる中で、小さい子供たちの世話をしたり面倒を見たりもした。

 こういうことが普通にあった時代もあったとは思うんですが、今、核家族になってしまったりとか、あるいは、自分の家庭の環境がそれほど例えば恵まれた環境ではない、いろいろな複雑な環境があったりして、なかなか家庭とか子供に対しての前向きなイメージを持てないということも恐らくあり得るんじゃないかなと思っていまして、まず、小さいときから触れるというか、それはいい悪いじゃなくて、私は、子供たちというのは神様からの授かり物だと思っておりますから、子供たちの力をやはりどれだけ身近に感じるか、こういう場面をいかに持っていくかということが非常に、まず動機づけの面ですよね、支援云々の前の段階として非常に大事な部分だと思っております。

 そういった意味では、どちらかというと、子育てが大変とか、もちろん大変だと思います。うちも、どれだけあんたやったのと言われながらも、うちは三人年子、娘が三人年子でして、三人目が年子でできるということが分かったときに、下ろしたいと言われました。もう産めない、おむつを使っている子供が三人いて、乳飲み子も三人いて、とても私はもたないというふうに言われて、そこで、せっかくの授かり物だから、私が全面的に応援するから産もうと言って、そこで私は白紙手形を切ってしまった以上は、いろいろなことを言われてもやらざるを得ないというか、そのときはそうだったんですけれども、ということがあったんですね。

 だから、大変なんです、確かに。確かに大変で、私も青年会議所の役をやっているときに、スタッフ会議、役員会議とかに真ん中の子をおぶって出ていったんですけれども、ふざけるなとか、あるいはいろいろな行事に出ていったときも、やはりそういうことを言われました。

 だけれども、一方で、先輩で役員をやっているメンバーが、じゃ、ちょっとお前が上程しているとき俺が見ていてやるよと言って、隣の部屋に行ってよいよいよいとやってくれたりとか、そういう大人だってやはりいて、そういういろいろな人たちに助けられて今の私があるんです。

 そういうことで、いろいろな子供たちとの触れ合いというものがある中で、ああ、やはり子供たちっていいな、子供の存在ってすごい大事だよなというのが、理論、理屈じゃなくて、やはり肌身のものとして感じられる機会というのを、例えば保育体験、保育所、保育園に行ったりするのもいいと思いますし、あるいは、小さい町とか村だったら子育てホームステイとかといって、それは泊まるか泊まらないかは別ですけれども、何日か継続的に子育てをしている家庭に行ったりしながらそういう経験を積むというのも、非常に人生経験にとっても大事なことなんじゃないかなと思いますが、本当に大枠の質問ですけれども、この辺について、大臣の御所見、伺えればなと思っております。

小倉国務大臣 まず、森田委員の話で非常に重要だなと思ったのは、森田委員が三番目のお子さんが生まれたときに、最初は、白紙手形を切った以上は育児せざるを得なかった、そういう意識だったと。周りの皆さんも、父親が子供をおぶっていることに対して、非常に冷たいまなざしを向けられたということだと思います。

 ただ、今や、森田委員も立派にお子さんを育てていらっしゃるというふうに推察をいたしておりますし、周りの意識も大分変わったと思います。今や、男性が子供をおぶっていても、白い目で見たりとか、なぜそんなことをするんだと言う人はほとんどいないというふうに思います。

 かように、やはり子育てしやすい社会をつくるというのは、社会意識を変えていくということが重要だと思います。個々の政策をしっかり充実をさせていくことはもとより、やはり社会全体で子育て当事者を温かく支える、そういう意識、あるいは家庭においても、女性だけではなくて男性も育児をするという意識、こういった意識を高めることこそが、やはり少子化トレンドを変えることにもつながるのではないかというふうに思っております。

 まさにそういった視点も今回試案に盛り込んだところでありますし、もう一つのお話の、子供との触れ合いでございますが、確かに、第十六回の出生動向基本調査、二〇二二年に行われたものを見ますと、子供との触れ合いの経験が多い未婚者は結婚意欲が高い傾向があるとの分析がなされております。

 こうした中、学校教育においては、学習指導要領に基づいて、学校や地域の実態に応じて、例えば小中高等学校の児童生徒が保育園に行き、乳幼児の抱き方やあやし方、遊ばせ方など具体的な方法を体験するなどの学習が行われておりますし、こども家庭庁としても、保育所や認定こども園に対して、小学校、中学校、高等学校が実施する乳幼児との触れ合い交流や保育体験に保育所が協力することを求めておりますほか、児童館の活動内容としても、乳幼児と中高生世代等との触れ合い体験の取組を行うことを例示しており、様々な機会に保育や子育て経験ができる環境整備に努めてまいりたいと思っております。

 繰り返しになりますが、委員御指摘のとおり、小さい頃から、子供、子育てに関する経験や機会を通じて、子供や家庭に親しみを持つことは重要であると考えておりますので、引き続き、文科省とも私ども連携しながら取組を進めてまいります。

森田委員 御理解をいただいているというふうに思っておりますが、やはり、発達段階に応じて、本当に小さい、例えば小学校の頃だったら、一緒に遊ぶとか、あやすとかというぐらいになると思いますし、もう少し、例えば中学校とか高校生とかになったりすると、若干親に近い立場の関わり方というのも持てるようになってくるんじゃないかなと思っておりまして、こういった場面場面に応じて、先ほど申し上げたような保育士体験なんかも、それぞれの段階でテーマ性を持って取り入れていくとかということも必要なんじゃないかなと思いますけれども、是非そういった、年代というか、発達段階に応じた機会を持つということについて御検討いただけないかなというふうに思っているんですけれども、御見解をもう一回お願いできればと思います。

小倉国務大臣 そうですね、子供の成長に応じて、そういった機会や、あるいは知識をお教えをするということは重要だと思います。

 実際に学校教育における取組としては、例えば中学校の学習指導要領の技術・家庭科においては、家族、家庭の基本的な機能、家族の役割等を理解することとされておりますし、高等学校学習指導要領の家庭科においては、保育の重要性について考え、子供との適切な関わり方を工夫すること、また、生涯を見通した自己の生活について主体的に考え、将来の家庭生活及び職業生活について考察し、生活設計を工夫することなどが記載されており、年代に応じた指導要領の中で、学校や地域の実態に応じた指導が行われていると承知をしております。

 こども家庭庁としても、子供、子育てに関する経験や機会にも接し、若いうちから子供、子育てに関心を持ってもらうことは大切なことと先ほど申し上げたように認識しております。

 引き続き、政府といたしましても、学校教育におけるこうした取組を推し進めつつ、地域社会や企業など、社会全体の子供、子育てに関する意識改革を進め、こどもまんなかの実現に向けて取り組んでいきたいと思っております。

森田委員 今みたいなお話を実現していく中で、公務員の皆さんですね、若手の特に公務員さんになると思いますけれども、やはり仕事に集中していると、いつの間にか、生物学的に言う出産に適した年齢を超えてしまうとかということもあるのではないかなと思いますが、今の教育というか研修みたいなものの中で、こういったものが、人生を考えたり、子育てというか、家庭を考えるような機会があるのかどうなのか、ちょっとこの辺りについて御説明いただければと思います。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 若手の国家公務員が子育て、家庭、人生の在り方について考える機会を提供するということ、重要と考えているところでございます。

 その上で、内閣人事局では、出産、育児等のライフイベントを経た将来のキャリアイメージを若いうちから持つことができるように、ライフイベントを迎える前の若手の女性職員を対象とした若手女性職員キャリアセミナー、また、男性職員の育休取得促進に向けた支援ツールの提供といったことに加えまして、育児、介護等と両立しながら活躍できるための取組として、妊娠、育児、介護などの際に利用できる両立支援制度の概要をまとめて説明をした動画の作成、配信などの取組を実施をいたしまして、若手職員が考える機会を提供しております。

 さらに、ワーク・ライフ・バランスに関する研修による管理職の意識改革や働き方改革、キャリア形成支援等も推進をしておりまして、引き続き、ライフイベントを経た上でのキャリアイメージを持つ機会の提供や、働きやすい職場環境の整備を推進してまいりたいと考えております。

森田委員 そういうことをいろいろやっていただいているという前提でありますけれども、大臣、やはり私も、自分が、さっき言ったように、子供をおぶって外に行っている時期というのは、ちょうど県議に挑戦して、一回浪人している時期だったんですけれども、そんな中で、やはり周りの同級生とか友人、知人たちは普通に勤務をしてやっている。あるいは、候補者という意味で見れば、浪人中ではあっても、現職の議員はいろいろな行事に出たり、華々しく活躍をしている中で、自分が取り残されている感じ、孤立する感じというのがどうしてもやはり出てきてしまう。

 でも、やはりそこは、ちゃんと人生のステージの中ですごく大事な部分なんだよと。私自身でいえば、そのときの経験があったからこそ、今こうして、足りない足りないと家庭の中では言われながらも、まあそれなりの思いを持って子育てのことを論じることができる、こういう環境に私自身、今いることができるというわけですから、やはり、子供だとか子育て、家庭というものにきちんと関わりを持ったからこそのいろいろな政策提案だとか、国家公務員の方であれば、いろいろな、例えば将来、部下に寄り添える姿勢を持てるとか、だから、こういうものをきちんと持てるということを国家公務員の皆さんの中でも共有できるような、そんなことを是非大臣からも発信をして、制度的なものとして組み込んでいただければありがたいなというふうに思っております。

 私、自分の仕事の中で高齢者介護をやっておるんですけれども、ケアマネジャーという存在がおります。介護計画の中でケアマネジャーがいて、そのケアマネジャーがいろいろな、例えば訪問介護だとかショートステイだとか訪問看護だとか、あるいは福祉用具を入れるとか、こういうことを、全体の統括をしている立場の人がいるんですけれども、どちらかというと、子育てというのは、保育園に行ったら保育園、支援センターに行ったら支援センター、こういったぶつ切りになってしまうようなリスクがやはりあるんじゃないかなと。

 そういう意味では、例えば、伴走型支援という言葉を今回の試案の中にも入れていただいてありますけれども、その寄り添っていただけるという感覚を得るためには、やはり誰か、ここに電話をすれば、この人がちゃんと相談に乗ってくれる、こういう立場の人をつくっていくということも必要なんじゃないかなと。いわば子育てマネジャーみたいな、こういった方がいてくれるのがすごく、伴走型という意味では精神的な支援にもなっていくんじゃないかなと思いますが、これはまだ本当に発想というか、御提案なんですけれども、大臣の御所見をいただければありがたいです。

小倉国務大臣 核家族化が進みまして、孤立感や不安感を抱く妊婦や子育て家庭も少なくない中で、全ての妊婦、子育て家庭に対する支援の充実を図る観点から、令和四年度補正予算において出産・子育て応援交付金を創設をし、とりわけゼロ歳から二歳の子を持つ家庭への伴走型の相談支援を強化をしているところであります。

 この事業については、今年の一月以降、約九割の市町村で開始をされておりますが、妊娠期から出産、子育てまで一貫して相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐとともに、子育て関連イベント等のプッシュ型の情報発信や随時相談対応を行うよう実施要綱で示しているところであります。

 森田委員が御指摘のとおり、実際に子育て当事者の方が何かしらの不安を感じたときに、安心をして相談をできる先がどこかにあるというのは非常に重要だと思っております。

 御案内のとおりだと思いますが、フィンランドのネウボラでは、妊産婦に対して一人の保健師が継続をして相談に乗ってあげることによって、相談に乗る心理的な障壁を下げるというふうなこともされております。

 そういう意味では、御提案の子育てマネジャーについても非常に興味深い提案かなと思いながらお伺いしていましたが、まずは、この伴走型相談の実施主体となる各自治体の子育て世代包括支援センター、そして地域子育て支援拠点等の職員が、まさに個々の家庭に寄り添い、必要なサービスにつなげる役割を果たすことになると思いますので、こういった拠点の強化、そして職員の支援、こういったことが政府の役割になるのかなと考えております。

 今後は、より子育て家庭のニーズに寄り添った対応ができますよう、地方自治体の実施状況や創意工夫の取組事例の収集等を通じて、本事業の実施に係る課題を分析、整理するための、令和五年度に調査研究を実施するとともに、制度化等を検討することを含め、事業の着実な実施に努めてまいりたいというふうに考えております。

森田委員 是非、先ほど申し上げたように、いろんな制度の設計というのはあると思いますけれども、これから、保育園に入ったら終わりということではない、いろんな多面的な支援ができるように御検討いただければありがたいなと思っております。

 それで、野田大臣のときからこどもまんなかという言葉を使っていただいているんですけれども、確認なんですが、こどもまんなかというのは、子供の意思を尊重するということで、親真ん中ではないという考え方でよろしいでしょうか、大臣。

小倉国務大臣 御指摘のとおり、こどもまんなか社会とは、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、施策が我が国社会の真ん中に据えられる社会ということを考えております。

 御党を含めました与野党を超えた賛同を得て成立をし、今月施行されましたこども基本法におきましても、「全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。」が基本理念として掲げられております。

 また、こども家庭庁では、設置法において、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」「事務を行うことを任務」としております。

 こうした役割をしっかりと果たすことを目的として、こども家庭庁では、先ほど来申し上げておりますように、「こども若者★いけんぷらす」事業をスタートをし、多くの子供や若者から子供政策に対する意見を聞く新たな事業をスタートしたところであります。

 子供や若者、そして子育て当事者等の声を真ん中に据えた政策を推進をし、今申し上げた意味でのこどもまんなか社会の実現を目指して全力を尽くしたいと考えております。

森田委員 非常に難しいのが、子育て支援といえば、やはり大人の支援というか親への支援ということになると思いますし、子供支援という言葉があるかどうかはちょっと分からないですけれども、子供というその本人に焦点を当てるのかによって、微妙にやはり政策の重心の置き方というのが変わってくると思っています。

 昨年だったかな、内閣委員会で呼んだことがあるんですけれども、松居和さんという方がいて、「ママがいい!」という本がありまして、これはアマゾンなんかでは結構ジャンル別でいいところの販売実績を持っている本なんですけれども、ここでは、ママがいいって、別にママだけに押しつけるという意味じゃなくて、私、自分が三歳児、年少さんのときに登園拒否をしていまして、保育園に行きたくなかったんですよね。私はそのときのことを覚えていないですけれども、今でも親に聞かされるのは、うちは両親が共働きなので、おばあちゃんが植木屋さんの片づけをしているから、それを手伝わなくちゃいけないから帰らなくちゃいけないんだと。今考えても、すごい何かうまい言い訳を考えたなと思いますけれども。

 ということで、結局保育園に行くんですけれども、嫌だ嫌だで、そういう、ある意味、冷静な言い訳をして保育園から帰ったということで、結局私の粘り勝ちで、年少のときは行かずに、四歳児になってからもう一回保育園に入り直したというのはありましたけれども。

 やはり、本人の意思って、親の意思とは、ここは違うところがあると思うんですが、今非常に難しいところが、親を支援するということを考えると、先ほど申し上げたような、大変さを緩和するという意味で、低年齢のとき、ゼロ、一、二から含めて、二歳児からじゃ入れないから一歳児から、一歳児からじゃ難しいからゼロ歳児からということで、結局かなり早い段階から、しかも十一時間保育とかといって、パートさんとパートさんの間に挟まれた正職員さんが見るような感じで、結局、なかなか、バトンタッチをしながらの保育とかということで、非常に身の置きどころとしては難しい状況が保育園の中にも発生しているということもありまして、果たしてゼロ歳児から長時間保育園に行くということが子供の意思なのかどうかというと、非常に難しいところがあると思うんですが、大臣、この辺りについて、どうお考えでしょうか。

橋本委員長 ちょっと済みません、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長 速記を起こしてください。

 小倉国務大臣。

小倉国務大臣 まず、子供の誕生前から乳幼児期の育ちこそ、生涯のウェルビーイングに向け、人生の確かなスタートを切る最も重要な時期だと考えておりまして、先ほど、子育てか子供かという話がありましたが、その意味では、大人目線の子育ての視点ではなく、子供の育ちそのものの質にも着目した子供政策を実行しなければいけないと考えております。

 こうした視点から検討をいただきました、就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針というものがありまして、その指針の策定に向けた有識者懇談会の論点整理が先月末にまとめられたところであります。

 ゼロ歳からの子供の意思につきましては、報告書において、乳幼児期の子供は、明確な意見に限らず、多様な形で声を発するとしつつ、安心したい、満たされたい、関わってみたい、遊びたい、認められたいといった思いや願いを持っているとされております。

 また、報告書において、発達の鍵となる安心と挑戦の循環における身近な大人との愛着、アタッチメントの形成を土台としつつ、乳児期では、保護者、養育者が安心して子育てできることが子供の育ち自体にも間接的には大きな影響を与えること、おおむね一歳から三歳では、特定の大人への安心感を基盤として、徐々に人間関係を広げて、子供同士や保育所との関わりを通じて社会性を身につけていくことなどが指摘をされております。

 こうした観点も参考にしつつ、乳幼児期の子供を主に家庭で育てるか、保育所等を利用するかなどについては、子供の思いや願いを受け止めながら、子供の最善の利益を考えての各家庭のお考えを尊重すべきと考えております。

 基本的な指針に関しましては、今後、本報告書を踏まえ、子供の育ちの視点に立って、こども家庭審議会で更なる具体化のための検討を行うこととしておりますが、いずれにしても、保護者、養育者の就労、養育状況などにかかわらず、全ての子供が安心、安全に生きることができ、育ちの保障がされていることが大切だと思い、こういった環境の整備に引き続きこども家庭庁として取り組んでまいりたいと思っております。

森田委員 ちょっと時間の都合で、順番を少し飛ばしたいと思います。

 厚労省にお伺いしたいと思うんですが、親が勤務しているときに休みたいといったときに、事業者の負担としては、やはり引継ぎの期間等、重ねて人件費をかけなくちゃいけない部分があると思うんですが、この辺りの支援、今どうなっているか、お聞かせください。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 育児休業の取得時には、企業におきまして、育児休業取得期間の前後を含め、代替要員の確保や周囲の労働者によるカバー、業務の見直し、引継ぎ等に、実情に応じて様々な取組がなされているものと考えてございます。

 中小企業におけますこうした取組を支援し、労働者が育児休業を円滑に取得できるようにするため、中小企業事業主が、業務の引継ぎに関する措置等を定めた育休復帰支援プランを作成して、育児休業の取得、職場復帰に取り組んだ場合や、また、育児休業取得者等の妊娠の事実について知った日以降に育児休業取得者の業務を代替する労働者の確保等を行った場合に、両立支援等助成金による支援を行っているところでございます。

 また今般、小倉大臣の下で取りまとめられましたこども・子育て政策の強化に関する試案におきましては、男女共に職場への気兼ねなく育休を取得できるようにするため、周囲の社員への応援手当など育休を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化することなどが盛り込まれているところでございます。今後の議論も踏まえつつ、検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、希望に応じて男女共に円滑に育児休業を取得できる職場環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

森田委員 大臣、先ほどお話を挙げていただいて、その補助を出しているという話なんですけれども、今非常に、中小企業は特に人材不足でして、うちの介護の施設なんかも、一人、人を雇おうと思うと、ハローワークとかいろいろな広告なんかでは全く歯が立たずに、今は紹介会社にお願いして、年収の三割の紹介料を払って来てもらう、こういうことになっていまして、今、三十万円とか五十万円とかというお話が出てきましたけれども、百万円ぐらいのお金をつけないと一人追加で雇うことが難しいというような、正職員なんかで考えますと、そういう状況になっています。

 ですから、もちろん、ああいうような手当を、補助を出していただけるというのは非常にありがたいことなんですけれども、例えば、アラカルト方式とか申請ベースの補助とかで、そういった、かかるものをきちんとバックアップするよという姿勢を、是非、国の方としても出していただけるとありがたいなというふうに思っております。

 それで、ちょっと時間の都合で幾つか先に行きたいと思うんですが、今、箱をたくさん造った、保育所、保育園をたくさん造ったという中で、例えば、この前も読売新聞のデータが出ていましたけれども、箱を造ったはいいけれども、保育士さんがいないので定員いっぱいの枠をつくれないとか、あとは、これから、特に町とか村になってくると需要が減ってくるということも考えられます。

 是非、このバランスを見直すという中で、先ほど申し上げたような、ゼロ、一、二は休める環境をまずつくる、両親を問わず、これは男、女にかかわらず休めると。それで、三歳以上に、先ほどの田中委員の方からも御指摘があったような、配置基準なんかを手厚くするという方向で、保育士さんの中での移動が可能になるようなことも含めて、手厚くしていくということも考えられるんじゃないかなと思いますが、この辺りの御所見をいただければありがたいなと思います。

小倉国務大臣 繰り返しになりますけれども、乳幼児期の子供を主に家庭で育てるか、保育所等を利用するかなどについては、各家庭の様々な事情を踏まえつつ、子供の思いや願いを受け止めながら、子供の最善の利益を考えての各家庭のお考えを尊重すべきだと考えております。

 そういった中で、実際に育児休暇を取って御家庭で育てられたいという方に対しましては、先般の試案におきましても育休制度の強化について方向性を示させていただきましたし、去年、産後パパ育休制度もスタートさせていただいて育休制度の充実を図りましたところでありますし、保育所の人手不足の話もございました。処遇改善を引き続き努力をさせていただきますと同時に、もう既に一八%の処遇改善を実現をし、今後も努力をしていきますと同時に、加えまして、今、潜在保育士の方の数も非常に多数に上っておりますので、潜在保育士の方々の復職支援。

 こういったものと併せて、実際に保育士になりたいといった方の資格の取得支援、あるいはICTを活用した業務の負担軽減、こういったものを行うことを通じて、保育人材の確保をしていただけるような環境整備にも努めさせていただきたいと思っております。

森田委員 ありがとうございます。

 最後に、ちょっと今日は文科省にも来ていただいたんですが、細かい説明をしていただこうと思ったんですが、最後にちょっと一言、大臣からお答えをいただいて、終わりにしたいと思いますが、不登校の話を最後にお聞きしたいと思います。

 いろいろと調査等で、どういう原因で学校に通っていないかということ、いろいろな方がいらっしゃると思いますが、やはり親を支えるというのも、子供さんそのものを支えるということももちろん大事なことだと思いますが、いろいろな都合で、親が結構困ったり悩んでいるという家庭が多いと思うんですが、この辺りについて、最後、御所見を大臣にお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 不登校等の子供に対して支援を行う上で、おっしゃるように、子供の支援だけでなく、保護者についても個々の状況に応じた支援をしていくことが重要だと思います。

 保護者自身が子育てに対する自信を失っている場合や、就労等の事情で子育てに関わる余裕がなく支援を必要としている場合、福祉や医療行政等と連携した支援が必要となる場合などもあると考えております。

 このため、こども家庭庁においては、こども家庭センターにおいて、こうした不登校等の子供の保護者も含め、子育て世代からの相談の内容に応じて様々な支援メニューにつなぐとともに、教育支援センター等との連携強化も促進をしてまいります。

 また、文科省におきましては、先般取りまとめられた不登校対策に関するプランに基づき、保護者が一人で悩みを抱え込まないよう、相談窓口の整備や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる保護者への支援等も進めることといたしております。加えて、こうした取組を、子供本人や不登校等の子供を抱える御家庭にも分かりやすく届けていくことが必要だと思います。

 こうした考え方にのっとって、先般、永岡文科大臣とも会談を行い、文科省とこども家庭庁、これまで以上に、不登校についても連携をしっかりやり取りして取り組むことを確認したところでありますので、子供だけではなく親への支援、こちらについてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。

森田委員 大臣、ありがとうございました。

 本当に、引き続き、大事なテーマですので、また継続して議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。質問を終わります。

橋本委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 先週から今週にかけて全国で入学式が行われています。子供たちには、新たな生活に期待や不安もあるかもしれませんが、大きな夢に向かって元気いっぱいに学校生活を送っていただきたいと願っています。そして、子供たちが安心して安全に学校で生活が送れるように、そして成長していけるよう、また、その御家族も安心して子育てができるよう、国会においてはしっかりと議論していかなければならないと意を決しているところであります。

 さて、卒業式や入学式は、子育てにおいては子供の成長を感じる大切な節目であります。こども家庭庁の職員の皆様の中にも卒業式や入学式を迎えるお子さんをお持ちの方々もいらっしゃると思いますが、卒業式や入学式に参加できているのでしょうか、大臣にお伺いいたします。御存じでしょうか。

小倉国務大臣 まず、今月発足しましたこども家庭庁においては、働き方改革の基本方針及び目標を定め、子育ての両立はもとより、霞が関における働き方改革のトップランナーとなることを目指しております。初日の私の大臣訓示におきましても、子供の事情で親が休む場合、周りの職員がそれを温かく受け入れてほしいということを直接申し上げた次第であります。

 公務員の年次休暇取得の運用ルールにおきましては休暇取得の理由を聞かないこととされているため、入学式を理由とした休暇の総数などについては把握することはできませんが、少なくとも、入学式を理由とした休暇の取得に困難を感じたという声は現時点では聞いておりませんし、実際に入学式のために休暇取得をした職員がこども家庭庁にいるという話も聞いているところであります。

 こども家庭庁といたしましては、引き続き、個々人の置かれた状況と両立を図りながら、心身共に健康で、持てる能力を存分に発揮できる職場風土を率先してつくってまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 もし、今回、卒業式や入学式に参加できないという方々がいらっしゃるようでしたら、是非参加できるように御配慮いただければと思います。

 もちろん、卒業式や入学式だけでなく、ふだんから、子供との関わりや家族の中でのイベントもあります。岸田総理も、子育ての当事者として率先して子供と過ごす時間をつくってほしいと家庭庁発足に当たり呼びかけています。各府省庁においても、職員の皆さんが子育てしやすい環境づくりに取り組んでいただければと願っております。

 さて、本題の、こども・子育て政策の強化についての試案について、質問に入らせていただきます。

 中身を拝見いたしますと、児童手当の所得制限撤廃など、我々立憲民主党が議員立法を提出する等訴え続けてきた政策がようやく盛り込まれたところもあれば、給食費の無償化など不十分なところも見受けられます。

 総理は、今回の少子化対策について、異次元であるとか次元の異なるといった表現を使って語られてきました。そして、この試案につきましても、副題として「次元の異なる少子化対策の実現に向けて」とありますが、我々立憲民主党が提案している少子化対策に及ばないものであると考えます。

 我々が提案している少子化対策については、私は、異次元ではなくて最低限のものであると考えています。我々の最低限にも及ばない今回の政府の試案のどこが異次元と言えるのか、大臣の御見解をお伺いいたします。

小倉国務大臣 今回の、私が取りまとめましたこども・子育て政策の強化に関する試案において、どこが従来と次元が異なるポイントかというお尋ねがありました。

 例えば、第一に、制度のかつてない大幅な拡充をするものとして、児童手当の所得制限の撤廃、高校生までの延長、多子世帯の経済的負担を踏まえた手当額の拡充、第二に、長年の課題を解決するものとして、七十五年ぶりとなる保育士の配置基準の改善など、第三の点としては、時代に合わせて発想を転換するものとして、就労要件を問わない、こども誰でも通園制度の創設など、第四に、新しい取組に着手するものとして、授業料後払い制度の創設など、そして最後、第五点としては、地域・社会全体で「こどもまんなか」を実現するものとして、こども家庭庁の下で国民運動をスタートするなど、多数盛り込んでいるものと考えております。

 こうした、従来とは次元の異なる様々な施策、これを実現をすべく、先般、総理を議長としたこども未来戦略会議を設置をし、後藤大臣の会議運営の下、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に議論を深めているところであり、六月の骨太の方針までに、将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠をこうしたスケジュールの中で提示をさせていただきたいと思っております。

坂本(祐)委員 また、先ほども御指摘がありましたけれども、この試案は、統一地方選挙の告示日と同じタイミングになりました。政府の示すものとして、担当大臣のたたき台であるとか試案ということで国民に示されることは非常に珍しいのではないでしょうか。先ほどの質問でもありましたが、誤解をされた方もいらっしゃるというふうに伺っております。一部で、この試案は選挙対策であって、選挙が終われば骨抜きになるのではないかという懸念の声が聞かれます。

 政府としては、この試案を基に六月の骨太方針までに正式に取りまとめるとのことでありますけれども、六月の骨太で、今回の試案に示された項目がなくなったり後退したりする可能性があるのでしょうか、お伺いいたします。

小倉国務大臣 今回の試案を取りまとめるに当たりまして、関係省庁と綿密に調整をしてきたところであります。したがいまして、試案でお示しをした諸施策については、制度設計などの詳細は今後の議論に委ねられておりますものの、基本的には、全て政府として責任を持って実現に向けて取り組んでいくものと認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、こども未来戦略会議において、このたたき台、いわゆる試案をベースにいたしまして、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に議論を深めることといたしておりますので、この加速化プランの施策が実現できるよう、私も担当大臣としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

坂本(祐)委員 我々立憲民主党は、日本維新の会と共同で、児童手当の所得制限撤廃の法案を提出しております。この児童手当の所得制限撤廃につきましては、政府も自民党も公明党も同じ方向を向いています。政府・与党がその気になれば、すぐにでも成立させることができます。

 次回の児童手当の支給は六月です。まだ間に合います。ぎりぎりになれば、自治体に大きな負担をかけてしまうことにもなります。すぐに成立させるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 大変恐縮ではありますが、御指摘の法律案につきましては議員立法でありますことから、まずは国会において御議論いただくべきものであると考えております。

坂本(祐)委員 議員立法ということでありますけれども、大臣の力強いリーダーシップの下に、まあ、本来であれば、首長がこのような試案を出す、あるいは、市民の要望に応える、こう発表した以上は、必ず私は実現できる、だからこそ大臣もその実現に向けて協力をしていただきたいと私は願っております。

 ここまで各政党が同じ方向を向いていて、すぐに成立させることができるにもかかわらず、児童手当の所得制限撤廃をしないのはなぜなのか。今私が申し上げましたように、それは、基本的には、大臣がやる気がない、やりたくないということなのかどうか、これもお伺いをいたしたいと存じます。

小倉国務大臣 児童手当について、所得制限の撤廃、高校までの延長もろもろ、そういった拡充の方向性について私が取りまとめた試案にお示しをしたということは、私は、担当大臣としてそういった政策を実現すべきだ、そういう思いの下で試案でお示しをしたということであります。

 なお、児童手当の実施につきましては、例えば法改正ですとか、さらに、実施するに当たっては、自治体が児童手当を支給をいたしますので、児童手当の設計を変えるということは、先生も首長をされていたので実務はよく御存じだと思いますが、自治体の児童手当を支給するためのシステムの改修というものも相応の期間を要するわけでございますので、政府としてしっかり、児童手当の拡充をしていくとなった場合においても、やはりそれを実際に実現するに当たっては、法律上どうしていくのか、あるいは自治体の実務やシステム改修をどうしていくか、様々な課題を解決をしない限りは実現をしないということはどうか御理解をいただきたいというふうに思っております。

坂本(祐)委員 大臣も深く関わられたということでございますので、是非、大臣の力強い、成立に向けての働きかけを今後もお願いをいたしたいと存じます。

 次に、高校授業料無償化の所得制限撤廃については触れられておりませんけれども、今回の試案の作成に当たっては検討されなかったのでしょうか。また、高校授業料無償化の所得制限撤廃についてもすぐに実行するべきと考えますが、いかがでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 高校授業料の無償化の話でございますけれども、個別の施策につきまして検討したしない、これについては申し上げませんけれども、今回の試案、特にその中核となる加速化プラン、これは、二〇三〇年までの六、七年間で少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであるということを踏まえまして、まずは今後三年間を集中取組期間として、優先的に取り組むものを整理したものでございます。

 加速化プランにおきましては、教育費については、特にその負担軽減が喫緊の課題とされております高等教育費の負担軽減策を中心に盛り込んでいるところでございます。

 また、加速化プランのPDCAとして、その実施状況や効果等を検証しつつ、高等教育費の負担や奨学金の返済などが少子化の大きな要因の一つになっているという指摘があることに鑑みまして、奨学金制度の更なる充実や授業料負担の軽減など、高等教育費の負担軽減を中心に、ライフステージを通じた経済的支援の更なる強化について、適切な見直しを行うこととしております。

 子供、子育て政策につきましては、この試案をベースに、こども未来戦略会議におきまして更に検討を深めてまいります。

 いずれにいたしましても、委員御指摘の点も踏まえつつ、引き続き、文部科学省とよく連携をしながら対応を検討してまいります。

寺門政府参考人 後段のお尋ねの、高校授業料無償化の所得制限の撤廃についてお答えを申し上げます。

 高等学校等就学支援金につきましては、平成二十六年度に、所得制限を設けることで捻出いたしました財源を有効に活用することで、私立高校等へ通う生徒への就学支援金の加算拡充、授業料以外の教育費の支援である高校生等奨学給付金の創設などの見直しを行ったところでございます。これらによりまして低所得者世帯への支援を拡充することで、より教育の機会均等に資する制度になっているのではなかろうかと考えてございます。

 所得制限の是非につきましては、限られた財源を使ってどのような子供、御家庭へ支援していくかという観点から考えていく必要があるというふうに考えるところでございます。

坂本(祐)委員 検討されなかったのかという、申し上げられないということはよく分かりませんけれども、ラストチャンスであり、また、この三年でということであれば、三年はもう時間が余りにもなさ過ぎます。すぐに、実現できる検討を私は進めるべきだというふうに考えております。

 児童手当につきまして、三歳未満は一万五千円、三歳以上は一万円となっています。また、この試案において、二歳までの支援を強化するとも書かれています。ゼロ、一、二歳への支援強化も重要と考えますが、食費や学校教育費、塾や習い事などの学校外の教育費と、家庭において子育てにかかる経済的負担は、子供が成長するに従って大きくなります。

 少し前の調査になりますけれども、平成二十二年三月に内閣府政策統括官から発表されているインターネットによる子育て費用に関する調査報告書を見ましても、これは中学生までの調査で、高校生について調査は行われておりませんが、第一子一人当たり年間子育て費用額について、子育て費用が最もかかるのは中学生で、未就学児の約一・五倍となっており、さらには、その中で比重の高い費目は、小中学生は食費、中学生は学校教育費、学校外教育費の比重も高いとの結果になっています。

 この調査結果からも、家庭における経済的な負担は子供が成長するに従って大きくなるものでありますから、家庭の負担増加に応じた経済的支援こそ必要と考えますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 坂本委員御指摘の調査におきましては、子供が成長するに従って経済的な負担が増加している、これを表しているものと承知をいたしております。

 こうした事情も勘案をしながら、今回の試案の加速化プランにおいて、まず、小中学生については学校給食費の無償化に向けた課題の整理、高校生につきましては児童手当の支給期間の高校生までの延長、大学生につきましては、貸与型奨学金の減額返還制度の年収上限の引上げ、授業料減免及び給付型奨学金の拡大、授業料後払い制度の導入などをそれぞれ盛り込んだところでございます。

 このように、加速化プランでは、子供が成長するに従って、それぞれのライフステージに応じた経済的な支援を充実させることといたしております。

 今後、こうした考えの下、予算、財源とともに、総理の下での会議での議論を深めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 次に、年少扶養控除についてお尋ねいたします。

 民主党政権時の子ども手当の創設に当たり廃止されておりますけれども、その復活につきまして、今回の試案の作成に当たって検討はされたのでしょうか。元に戻すべきと私は考えておりますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 御指摘の年少扶養控除につきましては、当時の民主党政権において、子ども手当の創設と相まって廃止されましたが、その当時の事情といたしましては、結果として高所得者に有利な制度となっていた所得控除制度を、相対的に支援の必要な人に実質的に有利な支援を行うことができる手当に振り替えるという考えに基づいて実施されたもの、そう伺っております。

 今回の加速化プランでは、二〇三〇年までの六、七年間で少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであることを踏まえ、まずは今後三年間を集中取組期間として、優先的に取り組むもののお示しをしております。

 例えば、児童手当について、先ほど来議論にありましたように、これを基礎的な経済支援として位置づけた上で、所得制限を撤廃をし、支給期間の延長というものも盛り込んでおりますし、多子世帯が減少傾向にあることや経済的負担感が多子になるほど強いこと等を踏まえて、手当額についても、諸外国の制度等も参考にしつつ、見直しを行うとするなど、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化について盛り込んでおります。

 なお、試案の取りまとめに当たりまして、税制に関わる事項については、現行制度との関係整理等を踏まえ、税制全体の議論の中でその是非を含めて議論すべきものとして今回整理をしたところであります。

坂本(祐)委員 民主党政権時の子ども手当は一万三千円でしたけれども、二万六千円にするために扶養控除を廃止したのではないでしょうか。自民党政権になって一万円に引き下げたのであれば、扶養控除は復活して、税の控除対象にするべきではないかと考えております。是非御検討をお願いをいたしたいと存じます。

 時間の都合で質問を少し飛ばしていただきます。

 先月三十一日の報道で、京都府長岡京市の小中学校における健康診断に関わる問題について取り上げられていました。

 毎日新聞の記事によりますと、

  小中学校の健康診断を子どもの上半身を裸にして行っている京都府長岡京市教育委員会は、二〇二三年度から、内科検診の際にタオルで胸を隠し、必要に応じてめくり上げる対応を全校で取り入れることを決めた。子どもの不安に一定程度は歩み寄った形だが、保護者からは「異性の医師に胸を見せないといけない状況は変わらず残念」との声も上がっている。

  市は二二年度の健診を、全十四小中学校で上半身の服を脱がせて実施した。保護者らで作る「子どもたちの安心できる健康診断をめざす会」は十一月、下着などを着けたまま健診を受けられるよう求める約五千三百筆の署名を市教委に提出し、対応が議論されていた。

  市教委は二十九日の定例会で、タオルにひもを取り付けて首からかける、自作の「エプロン型タオル」で胸を隠すことを提案した。肩や背面は露出されるため、背骨が曲がる「脊柱(せきちゅう)側湾症」の診断には影響しないと判断した。一方、地元医師会の見解も踏まえ、胸がへこむ「漏斗胸」の診断や聴診などの際には、タオルをめくり上げる必要があるという。

という内容の記事であります。

 脊柱側彎症や漏斗胸の発見は重要ですが、児童生徒や保護者の心情に配慮することも重要です。実際に、衣服を脱がないで健診を行っている学校もあります。

 一つの問題としましては、脊柱側彎症の検査に対する国としての統一的な見解がないことであると思います。文部科学省は、児童生徒等の健康診断時の脱衣を伴う検査における留意点という事務連絡や、児童生徒等の健康診断マニュアルは示しているものの、結局は各教育委員会任せになってしまっています。また、脊柱側彎症の見落としで訴訟が起こったケースもあれば、医師が盗撮で逮捕されているというケースもあり、現場だけでは判断が難しい状況になっているとも考えられます。このような問題が発生している以上、教育委員会任せにしておいたのでは問題の解決につながらないのではないでしょうか。

 最近では、着衣のままでも診断できる検査機器導入の動きもあるとのことであります。文部科学省は、児童生徒の健康を第一に考え、しかし心情にも配慮した形で、かつ保護者の意見も聞きながら、エビデンスに基づいて効果のある統一的な検査方法を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の脊柱側彎症につきましては、家庭による保健調査票等の情報を参考に、学校医が視触診等により検査を行ってございますけれども、一部の自治体では専用の検査機器を用いた検査を行っていると承知をしてございます。

 この検査機器の導入によりまして、客観的な根拠に基づく、より正確で均質な検査の提供などが見込まれることから、文部科学省では、令和四年度から脊柱側弯症検診に関する調査研究事業を実施いたしまして、機器検診を導入しようとする自治体の参考となるマニュアル等の作成に取り組んでいるところでございます。

 また、学校における健康診断を実施するに当たりましては、正確な検査、診察を実施するとともに、検査時の具体的な服装の着脱等については児童生徒等のプライバシーの保護や心情に配慮が必要なこと、ごもっともだと存じます。

 このため、文部科学省におきましては、脊柱側彎症の検査も含めまして、学校健康診断時の児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した正確な検査、診察の在り方につきまして、今後、日本医師会にも御協力いただきながら検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

坂本(祐)委員 是非、調査研究そして検討を行って、早急にその指針を私は出していただきたいと願っております。

 もう一点、ただいまの健康診断の件とは異なりますけれども、学校での水泳授業における水着のことでも、女の子で、水着になるのが抵抗がある、男の子で、上半身裸になりたくないといったことで悩む子供もいます。LGBTQや体形や体毛、アトピー等、様々な事情を抱えた子供たちがおります。

 文部科学省からは、二〇一五年四月に、各自治体の教育委員会等に対し、水泳の授業で着用する水着については、それぞれの児童生徒の心情等に十分配慮した対応をするよう要請しているとのことですが、自治体によって対応に差があったり、学校によっては校長先生の許可が必要であるなど、子供たちの心情等に十分配慮されていない状況が続いています。校長先生に許可を取らなくてはいけないとか、自分だけ違う水着を着なければならないというのもまた子供にとっては精神的な負担になります。

 最近では、上下セットで、男女同じデザインで、体のラインが分かりにくいジェンダーレス水着という水着も出ています。

 学校教育の中で子供たちを裸にすることが、子供たちの立場に立ったときにどうなのか、よく考えて、子供の心情に寄り添った配慮をするべきと考えますが、いかがでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 水泳授業で着用する水着については、国として特定のものを指定してはおらず、各学校等において適切に判断することとしております。

 実際の水着の着用実態について全国の状況を網羅的に把握しているわけではございませんが、現在でも、例えば、学校として特定の水着を指定せず、持っているもので可とする、あるいは、華美であるなど、授業で泳ぐのに適していないもの以外であればおおむね可とする、また、学校として水着の購入案内はするが、上半身が隠れるものやスパッツ型などの他の水着あるいはラッシュガードの着用も認めるといった柔軟な対応をしたり、保護者の判断を尊重したりしているものと承知しております。

 どのような水着を着るかについては、委員御指摘のとおり、児童生徒の心情等に十分に配慮することが重要と考えており、特定のものを強制せず、自ら選択することも重要であると考えております。

 この観点から、国が一律に指定するよりも、各学校等において、児童生徒の状況等に応じ、適切に対応していただくべきものと考えております。

坂本(祐)委員 先ほどの健康診断のこともありましたけれども、これからは、子供の成長や疾患等について注意しつつも、子供の側の立場に立って、学校現場においては、脱衣を行うことには十分子供たちの心情に配慮していただくようにお願いをいたします。

 子育てに専念していただいているお母さん方も、お父さんももちろんいらっしゃいますけれども、日頃の育児の中での悩み事や御苦労もあると思います。そういったお母さんが家庭で子育てをする中で孤立をして子育てに行き詰まることのないように、経済的支援だけでなく、安心して子育てができる環境整備にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。このことを要望して、質疑を終わります。

橋本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 こども・子育て政策の強化(試案)、次元の異なる少子化対策の実現に向けて、午前中に引き続き質疑したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 少子化対策というのは、待ったなしの状況でございます。私が二〇一五年に兵庫県議会に初当選したとき、そのときは、どちらかというと地方自治体は、それまで、人口流出を食い止め、人口流入するような施策や、インバウンドの交流人口の増加ということに主眼を置かれておりました。二〇一六年に出生数が百万人を割ったというニュースが二〇一七年に出たわけですが、それが非常に衝撃的で、各自治体も少子化対策について議論が、本会議場でも行われるようになったというのを記憶しております。しかし、そのような努力もむなしく、二〇二二年には、国の予測よりも八年早く出生数が八十万人を下回りました。

 少子化の要因は多種多様ですが、経済的な理由を挙げる人が多いということはデータが示しております。海外に目を向けますと、北欧諸国やフランスなどでは政策対応により少子化を克服しております。

 次元の異なる少子化対策の今回の試案ですが、どうしてもこれまで議論されていた少子化対策や子育て支援など、考え方、見方の違いかもしれませんが、同じ次元での内容の列挙という印象を持ちます。

 我が党は、ベーシックインカムの導入を訴えております。少子化対策にも有効な最低所得保障制度、ベーシックインカム又は給付つき税額控除が実現するまでの間、子供の数が多いほど税負担の軽減が大きくなるN分N乗方式を採用を目指すと政策集にも記載しておりますが、子育て世帯の経済的負担を軽減することが目的でございます。

 我が党のベーシックインカムは、月々六、七万円を国民一人一人に給付する制度でございます。もちろんすぐには、なかなか財源の問題もあるので、実現は難しいですが、例えばゼロから十五歳未満まで月々六、七万円を給付することから始めても、十分効果が出ると思います。

 次元の異なる少子化対策としても名前負けしない政策ですし、少なくとも経済的理由で妊娠を諦めている方の願いがかなう政策であると思いますが、小倉大臣の御見解をお願いいたします。

小倉国務大臣 住吉委員が御紹介をいただきましたベーシックインカムにつきましては、厚労省が従前、答弁を申し上げたと思います。

 それによりますと、我が国の社会保障制度は、病気等の人生における様々なリスクに対し、本人と事業主が保険料を拠出することで備える社会保険方式を基本としていること。政府としては、社会保険方式というこれまでの基本の姿を維持した上で、被用者保険の適用拡大などにより、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保され、誰もが安心して希望どおりに働くことを可能とする、働き方に中立的な社会保障制度にしていくことが重要と考えていること。御提案のベーシックインカムにつきましては、年金や生活保護などの既存の制度との関係をどうするのか。例えば、給付の重複、追加の必要財源の確保、御指摘されたと思いますが、それに加えて、既に支払った保険料積立金の扱いなど、現実的に乗り越えなければならない大きな課題があり、現実的にその方式を採用することが可能かどうかという点も含めて慎重な検討を要する、そういった趣旨の答弁がなされているものと承知しております。

 こども家庭庁としても厚労省と同様の認識であり、慎重な検討を要するものであると考えておりますが、ただ、委員が御指摘をいただきました、希望する子供が持てない理由の上位に経済的な理由が来るというのは御指摘のとおりでございます。だからこそ、今回の試案におきまして、児童手当の拡充を始めとする経済的な支援、これの充実をたたき台の中でお示しをしたということでございます。

住吉委員 ベーシックインカムは、誰もが希望を持てるような、そんな世の中をつくっていく、それのあくまで手段、手法であると認識しております。共通の目指すべき方向は一緒だというのが、今、小倉大臣の答弁で認識したところでございます。

 今回提出された試案についてなんですが、事業の予算規模も明記されておりません。また、それぞれの数値目標についても明記されておりません。六月の骨太方針までには出されるということですが、恐らくそれなりの規模が見込まれるであろうと思っております。一部報道には、八兆円というような報道もございました。

 多くのお金が投じられるのに、数値目標がなければ、それが成功だったのか失敗だったのか、効果検証することができません。

 そもそも、少子化対策というのはいろいろな目的があると思います。経済成長を成し遂げるため、現在の社会保障制度を維持し、持続可能な制度にするなど、るるあると思いますが、どのようにしていきたいのか。また、なぜそのようにしていかなければならないのか、明確に示すべきだと思っております。

 また、この試案というのはどのような位置づけなのか。この試案に記載しているものを必ず実行するのか、記載のないものは今後議論していかないのか。さらには、子供の成長というのは非常に早く、一年遅れて、例えば、受けられる制度、受けられない制度で人生が変わるというようなことも考えられます。現在列挙されている施策は、すぐにでも実現できるものもございます。

 しっかりと議論していくこと、これはもちろん大事だと思っておりますが、この少子化の進行は政府の予測よりも八年も早くなっているという危機的な状況です。今後六年から七年が、少子化の傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとも明言しております。

 今後のスケジュールも併せて、大臣の御答弁をお願いいたします。

小倉国務大臣 今回の試案におきましては、結婚や子供を産み育てることに対する多様な価値観、考え方を尊重しつつ、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子供を持てるようにすること、すなわち、個人の幸福追求を支援をすることで、結果として少子化のトレンドを反転させることを少子化対策の目指すべき基本的な方向性としております。

 目標についてのお尋ねがございました。

 施策に関する目標を適切に設定することは重要であると考えております。現に今、少子化社会対策大綱というものを政府は作っております。今年の秋にそれがこども大綱に替わるわけでありますが、その少子化社会対策大綱の中にはKPIが設定をされておりまして、そのKPIの下に効果検証をしているわけでございますが、他方で、出生率それ自体を目標として掲げることについては、結婚や出産は個人の選択に関わる問題でありますことから、特定の価値観の押しつけや、プレッシャーを与えることにならないよう、慎重な検討を要するものとも考えております。

 実際に、先般私がスウェーデンを訪問した際も、スウェーデンでも出生率は目標ではなくあくまでも結果であるとの説明を受けており、国際的にもそうした考え方が一般的ではないかというふうに考えている次第であります。

 また、今後のスケジュールについて御質問がございました。

 現在、総理を議長としたこども未来戦略会議において、必要な施策、予算、財源について更に議論を深めているところであり、六月の骨太方針までに、将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大枠を提示することといたしております。

 午前中の議論にもございましたたたき台につきましては、関係各省とも綿密に調整をしたところでありまして、具体的な制度設計は今後の議論に委ねられていますものの、基本的には、全て政府として責任を持って実現に向けて取り組んでいるものが含まれていると認識をしております。

 午前中も議論がありましたように、例えば、たたき台の中でも具体的に、令和六年度ですから、来年度から実施をするということも書かれているような施策もございます。

 そういったことが更に今後議論の中で具体化をしていくわけでありますので、そういった具体化をする中で、しっかり速やかにたたき台に書かれているような施策が実現をしていけるように、担当大臣としても努力を重ねていきたいというふうに思っております。

住吉委員 今ありましたが、出生率の目標値を掲げることはいろいろプレッシャーにつながる、それはそうなんだと思います。

 一方で、冒頭質問したときに、二〇一六年に百万人を下回って、そして二〇二二年に八十万人を下回っているという状況で、この少子化対策、そもそも、いろいろな目的があると思うんですけれども、その一つが、日本の社会保障制度を維持していくこと、これも一つの目的だと思っております。

 じゃ、どれぐらいになれば社会保障制度が維持できるのか、そういったことぐらいはせめて示していただきたい。もちろん、目標値にするとプレッシャーになるので、参考値ということで示していただいて、その中で議論もしていただきたいなというふうに思っております。

 いろいろな、一部報道には八兆円規模という報道もございます。規模についてはこれから議論していくということなんですけれども、これだけ大きな、巨額の費用を投じて効果検証ができない仕組みというのはいかがなものかなと思っておりますので、この点、指摘させていただきます。

 次に、財源について伺いたいと思います。

 少子化対策であったり、子育て支援、未来への投資というのは、我が党も前向きに議論していきたいと思っているところでございます。一方で、財源の問題でもあります。我が党は、大阪では、徹底的に身を切る改革、行財政改革、また成長戦略で財源を生み出し、未来への投資の原資にしてまいりました。

 報道では、社会保険料への上乗せが報道されております。受益と負担の関係についても、社会保険料を財源とすることに整合性が取れません。そもそも、社会保険料をアップさせたら、出産、子育て世代の所得減にも直結いたします。様々な施策や事業の恩恵を受けるのであればまだしも、例えば新入社員など、これから結婚する世代にとっては、可処分所得が減少し、ますます結婚が遠のくのではないでしょうか。

 昨年の八月には国会議員の報酬がアップしておりますし、いわゆる旧文通費の改革にもまだまだ踏み込みが甘い状況でございます。

 我が党は、徹底的な行財政改革を行い、それでも足りない場合は初めて国民に負担を求めるというのがスタンスでございますが、最初から国民に負担を求めるというスタンスには異を唱えたいと思います。

 財源を社会保険料で捻出するという考えについて、大臣の見解をお伺いいたします。

小倉国務大臣 まず、こども・子育て支援加速化プランを実施するための財源については、繰り返しになりますが、現在、総理を議長としたこども未来戦略会議において、後藤大臣の会議運営の下、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に具体的な議論が進められているところであります。

 そうした中で、こちらも従前から答弁申し上げているとおり、徹底した歳出削減は図った上で、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に考えていくかを考えねばならないと思っておりますが、しかし、現時点において、御指摘の社会保険料など特定の財源を具体的に想定しているものではございません。

 いずれにいたしましても、今後、こども未来戦略会議において、御参加をいただいている有識者や経済界、労働界などの意見を聞きながら議論を進めていかなければならないと思っております。こうした方々に自由な御議論をいただくために、現時点でもって予断を持ってお答えすることも差し控えさせていただきたいと思っております。

住吉委員 財源については今後考えていくという答弁でございました。

 繰り返しになりますが、我が党は、徹底的な行財政改革、また成長戦略をもって財源を生み出す、それを原資にしていただきたい、そして、安易に国民に負担を求める、そういうやり方は、異を唱え、指摘させていただきたいと思います。

 最後に、不妊治療についてお伺いしたいと思います。

 近年、晩婚化が進み、不妊治療の重要性が増しております。その中で、菅政権時代に、政府が看板政策として、不妊治療の保険適用、これが進められました。この結果、昨年の四月に不妊治療の保険適用が開始されたわけですが、国民のハードルが下がるという意味では非常に評価したいと思います。

 諸外国に目を向けますと、例えばイスラエルなどでは、十八歳から四十五歳の女性は、子供二人まで無料で体外受精を受けられるなど、まさに次元の異なる少子化対策を実施しており、出生率は三・〇となっております。

 まずは、不妊治療、保険適用が開始された効果と現状について、厚生労働省にお伺いいたします。

森光政府参考人 不妊治療につきまして御質問いただきました。

 不妊治療につきましては、従来、助成金事業により支援を行ってまいりましたが、子供を持ちたいという方々が有効で安全な不妊治療を受けられるよう、関係審議会における議論、それから関係学会が作成しました診療ガイドラインを踏まえて、令和四年度から保険適用としたところでございます。

 現在、不妊治療の実績でございます。これにつきましては、保険適用をしました直後、令和四年四月の実績ですが、これが約八・一万人でございました。九月には約十一万人と、三六%増加をしております。治療の標準化につながりまして、国民が安心して不妊治療を受けられるようになったものと考えておるところでございます。

 引き続き、こども家庭庁とも連携を取りながら、子供を持ちたいという方々が安心して不妊治療を受けられるよう、取り組んでまいりたいと思っております。

住吉委員 ありがとうございます。

 今御答弁あったとおり、一定の効果があったと思います。また、従来は助成金事業でしていたという御答弁もあったと思います。

 従来の助成金事業なんですが、保険適用される治療の手段というのが非常に限定的になっております。保険適用以前は、特定治療支援事業で国と地方自治体で三十万円の補助を出しておりました。保険適用が開始されたことにより、限定的なので、この保険適用から漏れている、そういう治療もあります。従前より受けていた方については、逆に費用の負担が増える、そのことによって諦めてしまう、そういう人もいるというふうに聞いております。本末転倒のケースも発生しているわけでございます。

 鳥取県などでは、これまでの特定治療支援事業を県費で維持している自治体もあります。このような自治体を支援していく、若しくは、これは本来は国がする事業だと思いますし、これから骨太の方針が示されるということなんですが、不妊治療については、それに対して議論していくべきだと思いますが、御見解をお伺いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 不妊治療につきましては、これまで自由診療で実施をされ、具体的な診療内容が様々でございましたけれども、関係学会が作成した診療ガイドラインにおいて治療ごとの有効性、安全性が示され、その内容を踏まえて、厚生労働省の中央社会保険医療協議会で議論が行われ、令和四年四月から、生殖補助医療については、採卵から胚移植に至るまでの一連の基本的な診療は全て保険適用され、また、先進医療として実施される不妊治療の医療技術については、保険診療と併用可能となったところでございます。委員御指摘のとおりでございます。

 以前は助成金で支援をしてきたわけですけれども、そのような中で、先進医療として実施をされる不妊治療も含めて、有効性や安全性の確認がまだ行われていない治療や検査に対する助成を別途行うということについては、慎重な検討が必要であると考えております。

 なお、先進医療として実施をされる医療技術につきましては、有効性、安全性のエビデンスが確認されれば保険適用となります。加えて、令和四年四月以降も、将来的な保険適用の可能性があると見込まれる医療技術については、先進医療に随時追加をすることが可能となっております。

 また、医療保険制度においては、原則として給付に対する応分の負担ということで、窓口で三割分を御負担いただくわけですけれども、所得に応じて高額療養費制度における負担軽減が図られているものと承知をしております。

 今後とも、医療保険制度を所管される厚生労働省とよく連携しながら、有効性、安全性の確認された治療の普及に努め、子供を持ちたいと願われる方々が安心して不妊治療を受けられるように支援をしていきたいと思っております。

住吉委員 ありがとうございました。スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。

 近年、晩婚化が進んでいる中で、高齢出産というのも非常に増えております。結婚した当時は子供は別に要らないなと思っていた人も、少し時間がたって、やはり欲しいなと思ったときに年齢的なハードルで諦めてしまう、そういうことがないように、今実際やられている治療で安全性が確認できたものにはスピード感を持って保険適用なり支援をしていただけたらと思います。

 これで私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 子供政策について質疑をさせていただきたいと思っております。

 この今出されましたこども・子育て政策強化についてというところ、これについて、まず、この今出されている政策というのは、少子化対策を主な目的とされているのか、こどもまんなか社会の実現を主な政策とされているのか、それについてお尋ねしたいと思います。そして、それはつまり、こどもまんなか社会にすると少子化は食い止められるという御理解をされているのか、これについても大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。

小倉国務大臣 まず、今般取りまとめたこども・子育て政策の強化に関する試案は、その副題を「次元の異なる少子化対策の実現に向けて」とさせていただいており、急速に進展する少子化の中、二〇三〇年までの六、七年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであるということを踏まえ、少子化対策の観点から、今後三年間で加速化して取り組む施策等を取りまとめたものになっております。

 今後は、今回の試案を踏まえながら、総理を議長とした会議において、必要な施策、予算、財源について議論を深め、六月の骨太の方針までに、子供予算倍増、将来的な倍増に向けた大枠を提示をしてまいります。

 お尋ねの、こどもまんなか社会の実現に向けては、今般の試案に盛り込んだ少子化対策はもちろんのこと、子供の意見の政策への反映や、子供の居場所づくりといった、より広い子供の施策に総合的に取り組んでいく必要があり、今後、御党を始め与野党を超えて賛同いただいて成立をし、そして今月に施行されたこども基本法に基づき、こども大綱の策定に向けた議論を進めてまいりたいと思いますし、こどもまんなか社会を実現をすれば少子化対策につながるのかというお尋ねにつきましては、少子化対策の中には、例えば、この試案の中の基本理念の一のところにありますように、若い世代の所得を増やすというテーマもありますし、あるいは、仕事と育児の両立支援という働き方改革の話もございます。そういう意味では、こどもまんなか社会の実現と少子化対策というのは、今御説明申し上げたように、重なっている部分も多いと感じておりますが、必ずしも全てがオーバーラップしているわけではないというのが私の考えでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 ちょっと後半に時間がかかりそうなので、二番目の質問を飛ばさせていただいて、無償化というものについて議論をさせていただきたいなというふうに思っています。

 子供政策の費用というのは原則公費で負担するというのが無償化だと思っています。個人に支出を求めない無償化であるべきだと思っています。限定されたカテゴリー、低所得者世帯とか母子家庭とか、そういったところに、カテゴライズされたところに支援をするというよりかは、全ての子供たちに行き渡るようにしてほしいというのが私ども日本維新の会の考え方だというふうに理解をしています。例えば、教育の無償化、給食費の無償化、出産費用の保険適用でクーポンをつけて無償化する、様々私たちは言わせていただいています。例えば、医療費についても、病院に行ってお金を払う必要がない。これは、例えば給料日前には病院に行けないなという大人の事情で病院にかかれないといった子供を減らしていくには非常に重要な施策だというふうに考えています。

 こういった無償化するということについて、国や自治体がその責務を負っているんだという強い意思表示でもあると思っているんですが、それについて、大臣のお考えをお知らせください。

小倉国務大臣 先ほど同僚の住吉議員にも申し上げましたが、子育てに関する経済的負担の軽減は我々も大変重要と考えております。

 したがいまして、今回の加速化プランにおいても、学校給食費の無償化に向けた課題の整理、子供医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置の廃止、貸与型奨学金の減額返還制度の年収上限の引上げ、授業料減免及び給付型奨学金の拡大や、授業料後払い制度の導入などに取り組むことを盛り込んだところでございます。

 他方で、国や地方公共団体の財政状況等も鑑みれば、子供、子育て政策の費用を一律に公費負担として無償とすることは難しいとも考えてございます。

 まずは、今回お示しをした加速化プランの実現に向けて、総理を議長としたこども未来戦略会議において、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に議論を深めていきたいと考えています。

堀場委員 今の大臣の御答弁の中でもありました給食の無償化、これのタイムスケジュールを教えていただきたいという質問をしたいんです。

 私たち、立憲民主党さんと一緒に、三月二十九日に、給食無償化法案、つまり、学校給食法の一部を改正する法律案を提出させていただいたんですけれども、それについて大臣が御存じなのかなというのは、ちょっと私には分からないんですけれども。

 このプランの中に、学校給食の無償化に向けて、給食の実施率や保護者負担軽減施策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行うということを書いてあるんですね。これは、文部科学省は、この実態調査については知らない、調査として把握をしていないということですか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食の実施状況ということでございますが、これは、学校給食の調査、令和三年度に調査しておりまして、国公私立学校における学校給食の実施状況というのが、学校数、全国で二万九千六百十四校ありまして、実質率は、小学校では九九%、中学校においては九一・五%となっております。また、給食費の平均月額についても、小学校で四千四百七十七円、中学校で五千百二十一円というような調査はしております。

堀場委員 ということは、これは分かっているということなので、これを理由に三年待つ必要はないのかなというふうに思っています。

 私たち、学校給食法の一部を改正する法律案には、やはり、かなり、プログラム法案ではない実施法という形で出させていただいておりますので、実際にもう、文部科学委員会だとは思いますが、質疑をさせていただきたいというふうにいつもお願いをしています。

 ここにも書かれている、この学校給食の無償化、これについてのタイムスケジュールを、大臣、教えてください。

小倉国務大臣 加速化プランにおきましては、学校給食費の無償化に向けて、給食実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行うことといたしております。

 確かに、足下、物価高騰対応等を企図した地方創生臨時交付金を御活用いただいて、給食費の無償化に踏み切った自治体の数も増えてございますが、例えば、公立中学校の給食、完全給食実施率は、児童生徒数比で見ると九五・三%でありますが、県によって大きなばらつきがあって、低いところでは六割を切るようなところもございます。また、こういった完全給食を実施していない理由についても、自治体によって様々であると思っております。

 そういった実施を現状していない自治体の皆様方の御理解、御協力もいただかなければなりませんし、実際に給食を実施をしていらっしゃる自治体に関しましても、例えば、個々の学校で給食を作っていらっしゃる自治体、センター方式を採用していらっしゃる自治体、様々やり方も異なります。また、給食の標準的な経費も自治体にとって様々ということでありますが、しかし、全国的に学校給食の無償化ということを検討するに際しては、やっていない自治体、給食を実施していない自治体の御理解もさることながら、やっている自治体間の違いというものも、標準化をすべき様々な議論が必要になろうかというふうに思っております。

 そういったことを踏まえまして、文部科学省において、まずは、給食の実施状況や保護者負担軽減策の実態を把握をするとともに、課題の整理を行っていくべきものと承知をしておりますし、こども家庭庁といたしましては、この施策の、加速化プランに書かれました学校給食費の無償化に向けて、可能な限り早く課題の整理が進むよう、文科省とも連携をして取り組んでいきたいというふうに考えております。

堀場委員 さっきのセンター給食と自校式って、これの差というのは運営費ですから、これはもう既に学校給食法の中で書かれているとおり、自治体で負担している。私たちが今話しているこの学校給食の無償化って、保護者負担の材料費の話ですよね。それがどのぐらいかというのは、文部科学省は理解もしているし、どれだけ保護者が負担しているかということも分かっているし、それの調査というのは文部科学省はやっているんですよね。

 だから、小倉大臣が今おっしゃられた答弁の中の内容というのは、運営費の話ですよね。運営費はもう既に国費で負担、国費というか、学校で、自治体でやられているわけですから、保護者は一切負担していない。

 私たちが言っているのは、保護者負担を無償化するということであって、そこに関しての議論というのは、もうそんなに複雑な議論は全くなく、検討されることも恐らくほとんどないと思っているんですね。だから、これはやろうと思ったらできますし、私たちが今立憲民主党さんと出された法案をやっていただければ、議論ができるわけですよね。実は、それをやらないということは、議論すらさせていただけない。

 私自身は、この学校給食の無償化、大阪でも実現したということも含めて、すごい強い思いを持ってやっています。というのは、子供たちの貧困の状態というのはかなり厳しい。それは小倉大臣も御存じだと思います。

 今はやはり隠れ貧困で、食事代よりも携帯代の方を優先したり、ママランチに行けたり、そういう、お洋服もきれいだけれども、なかなかここで、食べることに対して非常に困っているという御家庭はたくさんあって、子供たちが、食べられない子がいるし、給食費を親が払わないから恥ずかしい思いをしている子供たちがいるわけですよね。それを早くしてほしいということを言うために、私も含めて、学校給食法の一部を改正する法律はもうここまでできているので、できるんですよね。

 だから、これをやらない理由を逆に聞きたいんですけれども、この学校給食の無償化、三年待たずにできると思うんですが、タイムスケジュール、その長い答弁の中で、会議で云々ではなく、できると思うんですけれども、もう一回だけ、その御答弁、やるなら、文部科学委員会にやるように、司令塔機能で言っていただきたいんですけれども。

小倉国務大臣 補足させていただきますと、給食を実施していない自治体に対して、実施していただく場合には、例えばセンター方式を取るのか自校方式を取るのか、実際に初期の費用が発生をするのは事実であります。なので、この学校給食の無償化をお願いをする際には、運営費だけではなくて、やはり、やり方についてもある程度のコンセンサスを得なければ、国として実施に踏み切れないというのは事実だと思います。

 その上で、先ほど来申し上げているように、やっていない自治体に対して御理解をいただく、国としてどういったやり方が望ましいかというのをしっかり議論として詰めていくということは、そこまで簡単な話ではありませんし、期限をということでありますが、期限ありきで議論を進めてしまうと、かえって、自治体あるいは学校の現場、関係者、様々な御迷惑がかかる事態にもなろうかと思います。

 そういう意味では、期限ありきで議論を進めるのではなくて、学校給食の完全無償化に向けて、しっかりと課題の整理をすることが先決だと思っておりますし、その課題の整理に関しては、できる限り早く整理が進むように、こども家庭庁としても努力をするというのは、先ほどの答弁で申し上げたとおりでございます。

堀場委員 ちょっと次もやりたいので、余り長くはやりませんけれども、中学校の給食、やっていないところがあるのは十分承知しております。私の住んでいる京都市も、中学校給食、全員にはやっていないですから、それはそうなんです。

 でも、例えば給食無償化したときに、アレルギーがあってお弁当を持ってきている人には補助金を出している自治体とかもあります。つまり、やり方っていっぱいあるんですよね。だから、給食費を無償化にするということは、いろいろなカテゴリーでできると思っていますし、今、文部科学委員会に出させていただいているこれを、私は、司令塔機能の強い権限があるというのであれば、文部科学省に言って、質疑をするように是非言っていただきたいなということをお願いして、この学校給食の話は終わりにしたいと思います。

 出産費用の保険適用に関して質問します。

 我が党は、先ほどの七十何回には勝てませんが、十二回ほど質疑をさせていただいております。私自身、前回の臨時国会の予算委員会で質疑をさせていただきました。

 そのときの総理や厚労大臣のお答えというのは、身体の一時的な異常である病気やけがに対して行う公的医療制度の療養の給付という基本的な考え方を見直す必要があるので慎重な検討が必要だというふうに御答弁されてきました。

 何が変わってこの骨子案に含まれることになったのか、これは大きな政策転換だと思うんですけれども、慎重な検討を重ねた上でこの政策転換が行われた経緯について教えてください。

小倉国務大臣 従前より政府からは、様々な課題があるので慎重な検討が必要だということを答弁をさせていただいたとおりでございますが、今回の少子化対策、午前中も、先ほども、何が異次元なのかというようなお尋ねもいただきました。まさに、従来とは次元の異なる少子化対策をたたき台においてお示しをするべく、従来の答弁よりも一歩も二歩も踏み込んだ、そういったたたき台を今回提示をさせていただいたということでございます。従来答弁どおりの中身を提示をしていたら、それは従来とは次元の異なるということにはならないだろうというふうに思っております。

 ただ、これまでも、昨年末の厚労省の審議会の取りまとめにおきまして、出産費用については、年々上昇しており地域差もありますことから、詳細な出産費用の分析を行うとともに、出産費用の見える化の効果等を踏まえ、引上げ後三年を目途に、出産育児一時金の在り方について検討すべきとされたものと承知をしております。

 その後、国会の審議等において出産の保険適用について様々な御指摘をいただいたこと等も踏まえて、今般の試案において、今後三年間で加速化して取り組むべき子供、子育て政策として、出産費用の見える化の効果等の検証を行い、その上で、順を追って、御指摘の出産費用の保険適用の導入も含め、出産に関する支援等の在り方について検討を行うこととしたというのが経緯でございます。

 いずれにいたしましても、今回の試案を踏まえ、こども未来戦略会議が設置をされ、そして、後藤大臣の会議の運営の下で、必要な政策強化の内容、予算、財源、これの議論を更に深め、六月の骨太の方針までに大枠をお示しをすることになっておりますので、厚労省と連携しながら、出産に関する支援等の在り方についても、私といたしましても、検討に協力をしてまいりたいというふうに思っております。

堀場委員 ちょっとお時間がなくなってきてしまったので、三番を飛ばさせていただいて、四番の、文部科学省と連携した施策についてというところを御質問させていただきたいと思います。

 今回のこれを読ませていただいて私が一番思ったことは、学校という文字が全然なく、学校現場における先生方が非常に御苦労されて、工夫をされて今やられている様々な福祉的な業務について言及が一つもなかったというのが非常に残念であり、これが、私どもがこども家庭庁をつくられるときに懸念をしていた、大きな縦割り行政の打破はできないんじゃないかということの懸念だったというふうに思っています。

 子供たちが多くの時間を過ごす学校、この学校で、福祉的な支援が必要な子供たちがたくさんいます。発見することができますし、先生方はよく子供たちを見ていますので、分かっていらっしゃる。ただ、分かっているけれども、どうしていいのかが分からないというのが現状です。そして、その対応に追われていて、先生方の業務が非常に大きくなっているということも事実であり、文部科学委員会ではそういったことを議論していくというところだと思います。

 また、この発見機能、子供たちの困っていることを発見していく機能というのを上げていく、学校から福祉へとつないでいくことができれば非常にスムーズである。これは、専門職協同型学校プラットフォーム、静岡市の取組等で、もう実証されている。子供の貧困対策としてスクールソーシャルワーカー、そして、子供たちのいじめや不登校に対する早い段階でのケアという意味でスクールカウンセラー、又は、養護の先生そして学級担任を含めたチーム学校のメンバーというのが理解をしてやっていっているということなんですけれども、こういうことが事例としてたくさんあるにもかかわらず、今回の骨子案にそれが盛り込まれていないということについて、大臣の御所見、そして、なぜなのかということを教えていただきたいと思います。

小倉国務大臣 学校の現場の話がたたき台になぜ入っていないのかということでございます。

 当然、文科省にも私の関係府省会議に入っていただいて、だからこそ、「高等教育費の負担軽減」のところ、給付型奨学金の拡充あるいは授業料後払い制度の導入、こういった負担軽減策を試案のところに盛り込ませていただいたところでありますし、実際にたたき台の中でも、公教育を再生するための諸施策を進めていくことが重要であるということを、五ページ目で述べさせていただいているところであります。

 それに加えまして、たたき台とは別に、やはり、こども家庭庁としては、学校の現場あるいは外にかかわらず、文科省と連携をしながら子供の健やかな育ちというのを保障しなければいけないというふうに思っておりますので、たたき台に加えまして、こども家庭庁の通常業務の中でも、文科省としっかり協力をしながら、学校現場の皆様方の負担軽減、あるいは子供たちの健やかな成長につながるような施策を実現をしたいというふうに思っております。

堀場委員 公教育をしっかりと立て直していくというようなお話があるんですけれども、学校の現場についての言及がない。つまり、学校というものは何なんだろうかという根本的な議論からして、私たちは、こども家庭庁及びこの子供のための政策をつくっているときに議論すらされないというのはすごく不自然だと思っていますし、自民党の議員の皆さんの中からもそういったお声があるということも、報道等で少し耳にしています。

 文部科学省は、学校内にて子供の貧困やヤングケアラーを発見することができると分かっていると思っています。この議論はすごく何度もやっています。それにもかかわらず、今回のこども家庭庁でつくられた政策に、教育の質の向上や福祉的人材の投入といった事案が入っていないということに対する簗副大臣の御所見をお願いします。

簗副大臣 学校の教職員は困難を抱える児童生徒を発見しやすい立場にあると考えており、文部科学省としては、家庭の経済状況に左右されることなく質の高い教育を受けられる環境の整備や、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置による教育相談体制の整備等に取り組んでいるところでございます。

 先般、小倉大臣の下で取りまとめられたこども・子育て政策の強化についての試案については、今後、総理の下に設置される新たな会議において更に検討を深めるとされているものと承知をしております。

 この小倉大臣の試案においても、「公教育を再生するための施策を進めていくことが重要」との認識が示されているところであり、子供、子育て施策と教育施策は十分に連携しながら進めていくべきものでございます。

 文部科学省としましても、引き続き、学校において、困難を抱える児童生徒を含め、全ての児童生徒が安心して学べるよう取組を進めていくとともに、こども家庭庁を始めとした関係省庁と連携して、その取組の充実を図ってまいりたいと考えております。

堀場委員 この政策は、子供のこと、つまり少子化対策にもなると思いますけれども、子供を安心して育てることができるようになるためにつくっているはずなんですよね。だけれども、学校のことは、文部科学省もその会議には入っているけれども、この中には特に入れない、入れる必要がない、どういう意図で入っていないのかが全く分からないですけれども、私たちは、日本維新の会は、こども家庭庁をつくるときの大きな議論として何度も何度も申し上げさせていただいていたのは、やはり学校というところに多くの子供が来ている、そこで困難さを抱えることもあるけれども、でも多くの子供たちはそこでしっかりと学びを深めて社会に出ていくということをやっているわけですよね。

 さっき言いました、子供の貧困という問題はなかなか外から見えにくいんですよね。例えば、ママとかパパのおつき合いには行けるけれども子供の御飯はなかなか食べられないとか、あとは、喫食率で見たりとか、あと、子供の爪が伸びているとか、お風呂に入った様子がないとか、何か悲しい顔をしているとか、本当にたくさんの気づきの小さなポイントを拾って先生方というのは気づいていると思います。それを、こども家庭庁はどうやって気づくのかということを聞きたいんですね。

 大臣は、子供にいろいろな記者会見をやってもらったり、いろいろなことをしてくださっていると思います。それは、子供にとって、その子たちにとっては貴重な機会だと思いますし、声を大きく上げることができる子供たちにとってはとてもいいことだと思うけれども、何度も申し上げているように、こども家庭庁で救っていただきたいというのは全ての子供たちで、声を上げられない貧困家庭にある子供たちをどうやって見つけるのかということを何度もお聞きしています。

 もう一度だけ小倉大臣にお尋ねします。

 学校という現場を無視して、どうやって子供たちのお困りを把握しようとされているのか、教えてください。

小倉国務大臣 誤解なきよう申し上げておきますと、こども家庭庁は、これから、今年の秋に、こども大綱というものを作ります。まさに子供の貧困等々も含めた、幅広い子供に関する施策をこのこども大綱で取りまとめることになりますので、当然、学校との連携、学校の中でのことにつきましても、このこども大綱におきましてしっかりと記載をしていくことになるのではないかと思っておりますし、今回の試案は少子化対策を中心にということでやりましたので、少子化対策を中心に子供政策を取りまとめたわけでありますが、ただ、こども家庭庁としては、今回のたたき台だけではなくて、今年の秋のこども大綱を含め、様々な施策に取り組んでいる、そういう組織であるということは、どうか御理解をいただきたいというふうに思います。

 その上で、子供の貧困や、困難に直面をしている子供をどう見つけるのかという点につきましては、例えば、これはまさに大阪府の箕面市さんがやられているような取組、データ連携を活用してアウトリーチで支援を行うというような、そういう検討会も、こども家庭庁発足を待たずに、いろいろと研究をし、モデル事業もやっていただいておるわけでありますし、あるいは、こちらも同じ大阪の門真市でありますけれども、そこは、実際に食材を家庭に届けることによって、家庭内の様々な課題というのをそこで見つけ、支援へとつなげていく、そういった取組もされております。それぞれの自治体が工夫を重ねながら、そういう子供の貧困なり、困難を抱える子供を見つけて、しっかり支援の手を差し伸べていくという工夫をされております。

 こういった様々な自治体の先進的な取組というものも私たちは勉強をさせていただいて、そういった先進的な取組が全国に広まるよう、そういった取組を支援をすることで、委員がおっしゃるような子供の貧困対策というのを、こども家庭庁としても責任を持って取り組んでいきたいということでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 箕面市の場合は、子供政策のトップは教育長ですから、厚生労働省管轄ではなくて、どちらかというと文部科学省の、教育長が学校で発見したものをどうやって福祉につないでいくかというやり方を箕面市はやっていると私たちは理解をしています。私も箕面に行かせていただいて、市長ともお話をさせていただきましたし、教育と福祉の一体化、これについては箕面が先進的な取組をしているというのは重々理解をしているんです。だから、箕面のように、やはり学校というところを、教育という観点から、大人たちがたくさんの目を通じて子供たちを発見していってほしいということをお願いをしているところでございます。

 ちょっと最後に、時間が少しだけしかないのですが、三番目の、若い世代の所得を増やす政策について。

 若い世代の所得を増やさなければならないというのは、少子化対策において、多分、一番重要なところだというふうに理解をしています。若い世代の所得を増やすというのは、具体的にどのようなことをしているのか、ちょっと時間がないので、簡潔にお願いします。

小倉国務大臣 まず、先般取りまとめた試案におきまして、子供、子育て政策の範疇を超えた大きな社会経済政策として、最重要課題である賃上げに取り組むことや、賃上げが持続的、構造的なものとなるよう、希望する非正規雇用の方々の正規化を進めること、リスキリングによる能力向上支援、職務に応じたスキルが適正に評価され、賃上げに反映される職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動を進めるという三位一体の労働市場改革を加速させること、さらには、いわゆる百六万、百三十万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げなどに取り組むことなどを盛り込んだところでありまして、こうした施策を通じて、政府全体として、若い世代の所得の増加に取り組んでまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 先ほど、我が党の住吉委員からも、ベーシックインカムについて質疑をさせていただきましたが、私たちが思うのは、やはり安心感がないというか、失敗したらどうしようという強い懸念があって、なかなか挑戦ができない、ポジティブな意味で仕事を辞めて、次の挑戦ができないというのが大きな課題なんじゃないかなというふうに認識をしているので、分厚いかどうかは別として、セーフティーネットをしっかりと引いて、漏れのない福祉を実現したいというのが思いです。

 やはり若い世代の所得を増やすといえども、中小企業において育休取得や賃上げというものは、非常に現状、困難だというふうに思っています。うちの父親も中小企業でしたけれども、もう電気代、ちょっと亡くなってもうあれですけれども、賃上げというのはやはり非常に難しいし、子供ができてしまうと、本当にどうしようと。仕事が割り振りができない、技術職だったとしたら代替する人がいないので、それは非常に厳しくなる、会社の経営を直撃するというような状態になってしまうというのが、中小企業の多くの課題だと思います。

 そして、今言っている育休取得についても、それは非常にハードルが高いというふうに理解しています。そして、社保の負担がとても大きくなる。これは、まだちょっと、今度のこども未来戦略会議で決められるそうなので、多くは言いませんけれども、そこの部分も結局は子育て世代の負担が増えるということになって、たくさん政府が持っていって、分配してあげるよというようなシステムなんだなというふうに思っています。

 具体的に、中小企業について、育休取得や賃金の引上げは現状困難であるが、どのようにして実現するか、大臣の御所見をお願いいたします。

小倉国務大臣 まず、中小企業の賃上げにつきましては、先ほどの答弁の繰り返しになりますので割愛をさせていただきますが、先ほど申し述べたような様々な施策を通じて取り組んでいくということでございます。

 また、育休に関しましては、現状も、厚労省において、男性が育児休業を取得しやすい雇用環境整備等に関する取組に対する助成金の支給や、労務管理の専門家による、育児休業の取得や円滑な職場復帰に関する相談支援が行われております。

 その上で、先般取りまとめた試案においては、まず、男性の育休取得率の政府目標を二〇二五年に五〇%、二〇三〇年に八五%に引き上げることとしており、まさにこれを実現をするため、今も委員からは人繰りが難しいという話がございました、そういった中小企業に対しましては、周囲の社員への応援手当もできる、そういった育児、育休を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化をするとしたところでございます。

堀場委員 お時間ですので、終わらせていただきます。

 今こうやってやっているのは、本当に前に進んでほしいから議論をさせていただいています。なので、またお時間を頂戴して議論を進めさせていただきたいんですけれども、学校給食だけ、大臣の強いリーダーシップに期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

橋本委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 今日は、この地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会としては、私、初めて質疑をさせていただきますし、今回からこのような特別委員会となりまして、今後、より多くの地域活性化や子供政策、デジタル関連の政策が当委員会において充実したものとなりますように、私自身も協力をしていきたいと思っております。

 今日は、こども・子育て政策の強化について(試案)というものが先日政府から発表をされたということで、その内容を中心に小倉大臣に質問させていただきたいと思います。

 国民民主党としては、かねてから様々な、子供、子育て関連施策の所得制限の撤廃というのを求めてきた経緯もございますし、この中で触れられております奨学金関連制度の拡充や給食費の無償化、今、堀場委員も触れられておりましたが、こういったものも進めるべきだという立場で議論を重ねてまいりました。

 これらのキーワードが、今回、一部でもこの試案の中に盛り込まれたこと自体は我々率直に評価をしておりますけれども、あくまでも試案であり、そして具体的な内容がこれから決まっていく、予算についてもこれからということで、注視をしていきたいと思っております。

 まず、この試案の中に書かれている基本理念という文章があるんですけれども、このように書いてあります。読み上げますが、「若い世代が希望通り結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、ストレスを感じることなく子育てができる社会、そして、こどもたちが、いかなる環境、家庭状況にあっても分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会、これが目指すべき社会の姿である。」この文章がそのまま記載をされておりまして、非常に、この文章を読んだ限りではいい内容だなというふうに思っているんですけれども、ただ、やはり人それぞれ、あるいは、政府の皆様と我々議員とでも、この一つ一つの言葉の解釈を一致させなければいけないと思っています。

 最初の質問は、ここに書いてあるストレスという言葉ですね、単語。「ストレスを感じることなく子育てができる社会、」というふうな記述があるんですが、ここで言うストレスというのは何を指しているんでしょう。どういうときにストレスを感じるということを政府は考えているんでしょうか。

小倉国務大臣 子育て当事者が抱えるストレスというのは、まさに人それぞれだとは思いますが、例えば、子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境であること、また、子育ての経済的、精神的、肉体的負担感があることなどが挙げられるのではないかと思います。

 子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境については、例えば、子育て中の方々から直接伺った意見といたしましては、電車内のベビーカー問題など、社会全体が子育て世代に冷たい印象がある、子連れだと混雑しているところで肩身が狭いなどの声が上がっており、社会全体の意識、雰囲気が子供を産み育てることをためらわせる状況にある、そのような声も聞いたところでありますし、また、保育園の迎え、夕食、入浴、就寝などの育児負担が女性に集中する、ワンオペになっている傾向もございます。

 また、二点目の、子育ての経済的、精神的、肉体的負担感につきましては、例えば、理想の子供の数を持たない、持てない理由としては、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという経済的理由が五二・六%で最も高く、また、これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないからが高い状況にございます。

 子育て支援拠点が行った調査によりますれば、拠点を利用する前の子育て状況として、子育てをしている親と知り合いたかった、子育てをつらいと感じることがあった、子育ての悩みや不安を話せる人が欲しかったなど、孤立した育児の実態もうかがえるところであります。

 こういったことを踏まえまして、基本理念では、これらのストレスを感じることがなく子育てができる社会を目指すべき社会としたところであります。

浅野委員 ありがとうございました。

 今の答弁を聞いている中では、かなり多面的な、多様な側面からストレスというものを認識しているということは理解できました。

 その中で、経済的負担感という言葉を今大臣も発せられたと思うんですが、次の質問で、この基本理念の中には、「こどもたちが、いかなる環境、家庭状況にあっても分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会、」という言葉もあります。環境あるいは家庭状況という言葉があるんですけれども、この環境や家庭状況という言葉の中に、今大臣がおっしゃった経済的な部分、あるいは、もっと具体的に聞きますと、世帯収入などの家庭の経済状況、経済環境という概念は含まれているんでしょうか。

小倉国務大臣 委員御指摘の、試案における「いかなる環境、家庭状況」とは、例えば、一人親、障害児、社会的養護など、家庭を取り巻く様々な状況を指しており、その中で家庭の経済状況も含むものと認識をしております。

 このため、今般の加速化プランでは、一人親を雇い入れ、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援ですとか、資格取得を目指す一人親家庭に対する支援の充実、児童発達支援センターの機能強化による、地域における障害児の支援体制の強化や巡回支援の充実、社会的養護の下で育った子供の自立支援に向けた取組の強化、全ての子供の育ちを支える経済的支援の基盤の強化としての児童手当の所得制限の撤廃、高校卒業までの延長、多子世帯の経済的負担を踏まえた手当額の拡充などに取り組むこととしたわけでございます。

浅野委員 今、大臣の答弁の中にもありました、次の質問は障害児支援について伺いたいと思うんですが、やはり、今、大臣の答弁を聞いておりましても、様々な、一人親家庭ですとか障害を持ったお子様を育てている家庭ですとか、いろいろな状況、それとある程度相関を持った形で、その家庭の経済的負担であったり経済状況というのが今あるんだということを、これまでいろいろな機関が分析をしているわけです。

 やはり、先ほど確認させていただいたように、これからの子供、子育て政策の在り方として、いかなる環境、家庭状況、つまりは経済環境も含んだ、いかなる環境にあっても全ての子供を分け隔てなく大切にする、育む社会があるべき姿だというふうに、今、政府は、こう書いてあるわけですよね。

 そう考えると、今回、私たち国民民主党としては、従前から、障害児福祉に関わる、障害児支援策に係る所得制限の撤廃というのを最優先事項に挙げて求めさせていただきましたし、大臣の下にも我々国民民主党の所属議員と当事者の親御さんと一緒に伺って、いろいろな話を聞いていただきました。

 今回、この試案の中には、障害児福祉に係る経済的支援の具体策、あるいはその所得制限の撤廃に関する記述というのは余り見受けられませんでした。書いてあるのは、伴走型支援体制を強化したりだとか、あるいは、今後のこども大綱の中で検討していくというような記述はあったんですが、もうこれだけやはり現場が困っている中で具体策がないというのは、ちょっと、私としては問題視をしてございます。

 大臣はこれまでもいろいろな当事者の声を聞いてきたというふうに、今日も答弁の中で触れられておりましたが、その中に、障害児支援策の所得制限を求める声というのはありましたでしょうか。

小倉国務大臣 今回の試案の取りまとめに当たりましては、関係府省会議やこども政策対話等を通じて、今まさに子育てをしている方々、学識経験者の方々など、様々な意見を伺いながら、あるべき政策についての議論を重ねたところでございます。

 例えば、関係府省会議におきましては、障害児を育てている親御さんではありませんが、障害児を育てている親御さんとも直接関わりながら障害児支援を行われている有識者の方から意見を聞いており、児童発達支援センターの機能強化や家族支援の充実などについて御意見をいただき、これは今、先ほど申し上げたような試案にも盛り込んだところでございます。

 また、私自身が、こども政策担当大臣に就任して以来、障害のあるお子様を育てる親御さんと直接お話をする機会もいただいております。このような機会に加えて、様々な機会を通じて御意見を伺っており、障害児を育てる親御さんの御意見の中には、障害児支援に係る施策の所得制限を撤廃するべきとの意見もあるものと承知しております。

浅野委員 ありがとうございました。

 やはり、そういう声は私も何回も聞いておりますし、大臣自身も聞いてきたということですが、やはり、冒頭のこの基本理念に立ち返ると、何回も申し上げて恐縮ですが、経済環境を含めたいかなる環境、家庭状況にあっても分け隔てなく子供が大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会が目指すべき社会の姿だと、これは政府が言っているわけですから、やはり、この所得制限というのは、まさに家庭の経済環境で支援対象を区別する、そういう制度ですから、これは撤廃をするのが基本理念にも矛盾しない対応だというふうに思います。

 今日は、是非、障害児福祉に係る所得制限を撤廃すべきだという立場から、資料を一枚だけ用意をさせていただきました。

 これは、先日、ウェブニュースで掲載された記事から私の事務所の方で作成をした比較表なんですけれども、重度心身障害のあるお子様がいる家庭をモデルにした場合で、年収が七百五十万円の場合と千二百万円の場合でどのくらい政府からの支援に差があるのかというのをモデルとして比較をした表になります。

 こちらを見ていただきますと、年収七百五十万円の御家庭の場合、児童手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、これはそれぞれ年間でこれぐらいもらえるという金額が書いてあるんですが、合計すると百四万七千円程度になります。そして、出るお金ですね、デイサービスやショートステイにかかる費用や、車椅子ですとか、移動のために必要な補装具にかかる費用、それぞれ、合計をすると九万円強、十万円弱ぐらいの金額になります。それを、単純計算ですが、足し引きすると六百七十五・五万円くらいが生活にかけられるお金というふうに計算がされるんだそうです。

 一方、年収千二百万円の御家庭の場合、先ほど申し上げた児童扶養手当や特別児童扶養手当、障害児福祉手当は、所得制限のため、もらうことができません。そして、デイサービスやショートステイにかかる費用は、毎月三万七千二百円負担で十二か月分計算しているんですが、大体四十五万円。さらには、補装具。これは、車椅子、車に乗せるときのカーシート、そして、座るための装置ですね、座位保持装置といいますが、例えばこれを自宅と学校に置いた場合、これで百三十五万円程度かかるんだということだそうです。そうすると、生活にかけられるお金が六百七十万円ちょっとということで、逆転をするんだというような、こういう指摘内容を表した表になります。

 これはあくまでもモデルですから、決してこのとおりになるわけではないんですけれども、現実問題、補装具に関する経済的負担、非常に大きなものがあるというのは大臣も御認識されているかと思います。

 そして、子供がどういう障害を持っているのか、あるいは、どういう生活、ライフスタイルを送っているのか、自宅と学校の位置関係や、あるいは、移動のために子供のことを守る補装具をどのくらい必要としているのか、こういったことは多様でありますが、やはり、こうした現実を考えると、補装具費支給制度の所得制限、特にこれは所得制限を撤廃すべきだと思いますし、障害児支援に係る所得制限全体を速やかに、撤廃に向けて動くべきだと思うんですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 今回の試案は、特にその中核となる加速化プランでありますが、二〇三〇年までの六、七年で、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであることを踏まえ、まずは、今後三年間を集中期間として、その期間、取り組むものを整理をしたものでございます。

 その加速化プランでは、国際比較において相対的に割合が低い現金給付を強化することとしておりますが、その際、まず、全ての子供の育ちを支える経済的支援の基盤を強化することとし、具体的には児童手当を基礎的な支援と位置づけた上で、所得制限の撤廃、高校卒業までの延長、多子世帯の経済的負担を踏まえた手当額の拡充を行いますほか、高等教育費の負担軽減や住宅支援の強化などを行うことといたしております。これは、障害児の御家庭の経済的負担の軽減にも大きく資するものではないかというふうに考えております。

 それに加えて、障害児支援につきましては、先ほど申し上げたように、支援基盤の拡充を中心に速やかに取り組むことに重点を置いておりまして、具体的には、インクルージョンの推進、非常に要望が大きかった点でありますけれども、このインクルージョンの推進の観点から、児童発達支援センターの機能強化による、地域における障害児の支援体制の強化や巡回支援の充実などを行うこととしたわけでございます。

 特に、御指摘いただいた障害児等に対する補装具費支給制度等につきましては、これは御党の議員に対しまして総理も他委員会で申し述べたように、制度の持続可能性や公平性等を踏まえて所得制限が設けられているものであり、その撤廃については、他制度との関係も含めて慎重な議論が必要であると考えております。

浅野委員 今の答弁を聞いて納得する人がどれだけいるのかということであります。

 これはちょっと更問いになりますから参考人でも構わないんですけれども、やはり、大臣は今、児童手当の所得制限撤廃と、高等教育の、いわゆる奨学金制度を始めとする高等教育に対する支援拡充と、住宅支援というのを例に挙げられましたが、特に障害をお持ちの子供が高等教育にどれだけ進学しているか、そして、一般の家庭と比較して、特に身体的障害を持っているお子さんの家庭というのは、例えば家庭用エレベーターの設置が必要であったりですとかいろいろな、通常の健常者だけの御家庭とは違う対策をしなければならず、それだけ経済的負担というのは高いんですね。

 そもそも、参考人に聞きたかったのは、今の児童手当の所得制限撤廃、高等教育の支援拡充、そして住宅支援、これがあれば障害児福祉の制度が現状のままでも公平だと言えますか。十分にその支援が充実されれば、障害児を育てている御家庭の、こういった経済的に困窮している状況、困っている状況というのは解消されると言えるんでしょうか。(発言する者あり)

橋本委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長 速記を起こしてください。

 こども家庭庁吉住支援局長。

吉住政府参考人 済みません、通告はなかったんですが、答弁をさせていただきます。

 障害児支援に関する福祉サービスの利用に際しては、いわゆる所得制限、まさに所得が一定額を超えると全額負担となる制限が設けられているものではなく、過剰な負担とならないよう所得に応じた自己負担額を設定といった仕組みとなっているものというふうに承知をしております。

 いずれにいたしましても、社会全体の意識を変え、子供、子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなく、ライフステージを通じた施策のパッケージを進める必要があるということで、今回のたたき台がまとめられたというふうに認識をしております。

 なかなか、いろいろと、先生からの御指摘もございますけれども、いずれにいたしましても、今後、いろいろと先生からの御指摘を踏まえて検討をしてまいります。済みません。

浅野委員 先ほどちょっと通告にない質問をしてしまいましたが、先日、総理が答弁した際も、公平性というキーワードを使ったんですね。ただ、障害児を育てている世帯から見れば、ほかの家庭と自分の家庭を比較して公平かどうかなんということよりも、とにかく今子供を育てるので精いっぱいですし。

 表を見てください。所得制限に係ることで、年間、デイサービスとか補装具にかかる費用を合計すると百八十万円ぐらいかかる計算になるんですね。必ずかかるものではないというのは先ほど申し上げたとおりなんですが、ただ、百万円を優に超える費用が一つの家庭に、障害児一人に対してかかっている現実というのがあるんですよ。だから、これを、公平性を保つために所得制限を肯定する考え方というのは、私は、余りにも一隅を照らさない、そういった社会的に支援が必要な国民に対して目を向けない発言だと思うんですね。

 ですから、これはよくよく今後、どういう言葉を使って説明をするのかというのは注意をいただきたいですし、私、調べたら、補装具費支給制度の全体予算って百五十億円ぐらいらしいんですが、この所得制限にひっかかっている世帯の割合というのは、多く見積もっても一割いるかいないかだそうなんです。つまり、十五億円の予算が追加できれば、この問題は解決するんですよ。

 今回、防衛費も含めていろいろな予算が確保されていますし、また、少子化対策で様々な予算をこれから考えていくに当たって、この十五億円で日本に住む補装具を必要とする子供たち全員に支給ができる、これは是非実現をしていただきたいと思います。これは再三大臣にも申し上げていますから答弁は求めませんが、やはり、支援を必要としている子供たち、あるいはその御家庭、この基本理念にもあるように、いかなる環境、家庭状況にあっても分け隔てなく、笑顔で暮らせる社会、これが日本が目指す社会なのであれば、このくらいの政治判断はしていただきたいということをお伝えしたいと思います。

 では、次の質問ですが、次は高等学校就学支援金制度について質問させていただきます。

 高校授業料の無償化は、二〇一〇年に、特定扶養控除を縮小し、その財源をもって所得制限を設けずに導入された制度でありましたが、その後、二〇一四年に所得制限が導入されたという経緯がございました。問題としたいのは、この頃と、やはり今、共働きの世帯が非常に増えてきていて、所得制限制度というものがちゃんと時代についてきているのかという問題であります。

 高校授業料無償化は、共働き世帯では目安年収九百十万円が基準となっていますが、この九百十万円を超える世帯はどの程度の割合いるのか、まずその実態を教えていただきたいと思います。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの点につきまして、高等学校等就学支援金の対象となる生徒のうち、この支援金を受給していない生徒の割合についてお答え申し上げますが、令和三年度の受給実績からいたしますと、おおむね二割というふうに私どもは承知してございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 やはり、先ほども申し上げましたが、高校授業料の無償化が導入された経緯や、共働き世帯が現に増えている状況を踏まえれば、今答弁いただいたような、約二割ぐらいの世帯が所得制限の影響でこの支援を受けられない状況になっている。

 ということは、それでもやはり今、日本の国民の生活というのは苦しいわけですよね。学費が家庭では捻出できず、今、奨学金を申請する学生が昔と比べれば物すごく増えているわけですよ。ですから、高校授業料に関する所得制限も撤廃する必要があるのではないかというふうに思います。

 少なくとも、奨学金と同様に、今回、「多子世帯への配慮」という記述が奨学金に関しては盛り込まれましたが、高校授業料の無償化についても、この多子世帯への配慮という考え方は是非導入すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 今までの議論をお伺いしていて、公平性というのは非常に難しい課題かなと感じております。

 と申しますのは、やはりそれぞれの御家庭に様々な事情があると思います。浅野委員議論いただいたように、障害児のお子さんを持つ方、一人親の方、あるいは高校生の子供を持つ方、大学に進学をした人、様々あると思います。そういった一つ一つの家庭の御事情に鑑みて、きめ細かい支援をしていくというのも重要だと思います。多層的に支援をしていくというのも重要でありますが、しかし、それぞれの家庭の御事情があるわけですから、だからこそ、全ての家庭に通ずる基礎的な給付として、児童手当の所得制限の撤廃と高校までの延長、さらに、多子世帯に関しましては国際的な議論を踏まえながら拡充をしていくという方向性を示したわけでございます。

 そういう意味では、加速化プランでまさに基礎的と位置づけられる児童手当の拡充を行うことによって、様々な事情を抱える御家庭の経済的な負担を、どの家庭がというわけではなく、しっかり底上げをしていくというのが私どもの考え方でございます。

 その上で、この加速化プランのPDCAとして、しっかり実施状況や効果等を検証しつつ、その上でライフステージを通じた経済的支援の更なる強化については適切に見直しを行うこととしておりますので、まずは加速化プランに書かれております様々な施策について議論を深めていくことを今優先をしているということでございます。

浅野委員 私は、児童手当の今回の所得制限撤廃や対象年齢の拡大や、あるいは多子世帯への配慮規定が明記されたことを大変評価しておりますし、むしろ、その考え方をいろいろな施策に横展開をしていただきたいと思っているんです。

 ただ、その中でもいろいろな優先順位の議論はあってしかるべきだと思いますし、特に今日は、障害児支援そして高校授業料の無償化については優先度が高いのではないかということで取り上げさせていただきましたが、是非、児童手当のその考え方をもっと広げていただきたいということは繰り返し申し上げたいと思います。

 時間がなくなってきました。次は、この財源についての話に移りたいと思ったんですが、まず一問だけ質問したいと思います。

 これらの施策をするための財源は、これから議論をして骨太方針までに示すというふうに言われておりますし、一部報道では社会保険料への上乗せの可能性も触れられております。

 社会保険料というのは、国民や事業者が払った保険料を財源にして給付を行うという仕組みです、これはもう釈迦に説法ですけれども。いわゆる医療や死亡、障害などのリスク分散を活用した保険原理というのを適用しているんですが、子供、子育てに関する施策を、この保険原理に基づいて社会保険料を財源とするというのは、ちょっと違和感があるんですね。

 なぜなら、子供、子育てはリスクなのかということなんです。リスクであれば社会保険料で手当てをすることは妥当だと思いますけれども、リスクでないのであれば社会保険料で手当てをするというのは若干不適切なのではないか。若干ではないですね、間違いじゃないか、こういうふうに感じるわけでありますが、その辺りを政府が今どう考えているのか、伺いたいと思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいますとおり、社会保険は、人生の様々なリスクに備えまして、人々があらかじめ保険料を出し合い、実際にリスクに遭遇した方に必要なお金やサービスを支給する仕組みであると承知しております。

 現在、子供、子育て関連施策の財源につきましては、それぞれの制度の趣旨に応じて制度設計が行われております。

 例えばですが、二つほど申し上げますと、現行制度においては、出産育児一時金につきましては、健康保険法において、出産は経済的負担の発生する保険事故の一つとして位置づけられておりまして、その一環として、出産に要する経済的負担を軽減する観点から、医療保険の保険料により拠出されております。

 また、育児休業給付につきましては、雇用保険の被保険者が育児休業期間に賃金の全部又は一部を喪失することを失業に準じた保険事故として捉えて、給付を行うことによって労働者の雇用の継続を援助、促進するという趣旨によって、雇用保険制度において実施しております。

 いずれにいたしましても、今後の子供、子育て予算の財源につきましては、総理を議長といたしますこども未来戦略会議において具体的な検討を深めていくことになると承知しております。

浅野委員 ありがとうございました。

 出産育児一時金ですとか、あるいは育児休業給付金については今の答弁のとおりの考え方だと理解しているんですけれども、ただ、今回の試案の中にはそれ以外にもいろいろな、住宅支援ですとか児童手当ですとか、幅広い支援策が盛り込まれておりますから、これはこれからの議論になりますが、是非、リスクとして手当てをするものと、国が責任を持って支援をする、つまりは社会保険では手当てをしないもの、これはしっかり整理をしながら議論をしていく必要があることを指摘させていただいて、今日は時間が参りましたので、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 岸田総理が三月までにまとめるとした、次元の異なる少子化対策の実現に向けて、いわばたたき台が発表されました。率直に言って、異次元という言葉に今更こだわる必要はないと思います。着実に、意味のある施策を重ねていけばよいのではないでしょうか。

 そこで、まず、「今後三年間で加速化して取り組むこども・子育て政策」の中に、子供医療費助成についてがあります。おおむね全ての地方自治体において実施されている子供医療費助成について、国保の減額調整措置を高校卒業まで廃止すると明記しました。

 減額調整措置、簡単に言えば、我々は制裁措置、ペナルティーだと指摘してきました。イメージ図は資料1にありますけれども、自治体が頑張って窓口負担をなくする、窓口でも無料にすると、無駄に病院に行き過ぎるからなどといって、その分国保に対する国の補助金を減額するということをやってきたわけです。おかしくないかと。自治体が厳しい財政の中から子育て世代の負担軽減のためにと頑張っているものを、国が制裁する。本当におかしいと思うんです。

 今回はそれを一気に高校生まで減額しないことを決めたというのは、私は、ずっと取り上げてきた立場からいっても、やっとと思いますけれども、率直に喜びたいと思います。直ちに、すぐやっていただきたい。

 そこで、現在、減額調整されている自治体数は幾らかと、その減額されている総額は幾らか、お答えください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 国民健康保険の減額調整措置、これは、市町村が行う医療費助成により窓口負担が減額される場合に、国保財政に与える影響や限られた財源の公平な配分などの観点から、負担軽減に伴い増加した医療費分の公費負担を減額調整しているものでございますけれども、令和三年度におきまして、この減額調整措置の対象となっている市町村、こちらは全体で千五百四十二市町村ございまして、減額調整措置の規模は四百四十九億円となってございます。

高橋(千)委員 自治体数が全国千七百四十一あるわけですが、そのうち千五百四十二ということでは、ほぼ九割ということだと思います。今や、中学校卒業まで、あるいはそれ以上無料が市町村で九五%にまで広がっています。

 私がこの問題を初めて国会で取り上げたのは二〇〇四年ですが、そのときはまだ、中学校卒業まで通院で無料というのは三七・五%でした。また、ペナルティーの額は二〇〇九年度で七十一億円でした。それが今、四百四十九億円にまで広がるということは、たとえ減額されても窓口無料を行う自治体が広がったことの証左だと思います。ほとんどがやっているのだから、もういわゆる公平性を語る意味がないわけです。

 たたき台には、「減額調整措置を廃止」の後に、「あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、今後、国と地方の協議の場などにおいて検討し、」と書いています。この趣旨は何か、なぜこれを書き込んだのか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先日取りまとめを行いましたこども・子育て政策の強化に関する試案におきましては、今後三年間で加速して取り組む子供、子育て政策として、地方自治体から特に要望の強かった子供医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置の廃止を盛り込んだところでございます。あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、子供にとってよりよい医療の在り方について、今後、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずることとしております。

 このような文言が盛り込まれた背景についてお尋ねがございました。

 子供の医療費について、窓口での負担を求めず無償化することについては、不適切な抗生物質の利用などの増加が懸念をされること、比較的健康な子供の外来受診を増やすなど様々な課題があるといった実証研究の指摘があると承知をしておりまして、こうした指摘を踏まえて、子供の医療の在り方について丁寧に検討していく必要があるというふうに認識をしております。

 いずれにしても、今回の試案を踏まえましてこども未来戦略会議が設置されたところであり、今後、この会議の下で議論を深めて、医療保険制度を所管する厚生労働省とよく連携しながら対応してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 これは厚労委員会や参議院の予算委員会でも議論をされたことですので。

 東大の研究テーマ、データにおいて、でも、たった一つの論文なわけですよね。抗生物質を使い過ぎているとか、二百円の自己負担を取れば一〇%医療費が減るけれども、逆に、取らなければ、無料にすれば一〇%分医療費が増える、こうしたデータを何か振りかざすようにして、受診が増えるんだとか、適正じゃないなどということを言っているというのは、非常に残念なことだと思いますね。

 だって、もしも薬を使い過ぎているというのであれば、それは医師の問題であって、子供さんがそれを望んでいるわけではないわけですから。忙しい子育て世帯が時間をつくって病院に行くのに、それを不適切だなどと言う必要は全くないと私は言いたいと思うんですね。

 それで、大臣に伺いたいのですが、子供医療費無料化を人口減少、少子化対策として位置づけている自治体も多いと思うんですね。そのことをどう思うのかということと、そのことを横並び圧力などと批判をするわけなんですね。逆に、住民の方が、隣の市だったら無料だったのに何でこの町に来たら無料じゃないのかと声が上がる、そこに応えるためなんですよね。

 ある首長さんから、市議会で共産党の議員さんが質問をしてくれると。うちもやりたいんだ、だけれども財政力がなくてどうしようもない、だからこれは国の制度としてやってほしいと強く求められたことがありました。逆にここは、自治体に格差を生んではならないと思うんです。

 国が医療費を無料化すれば、そこまで自治体が独自に出していた支援策を別の子育て支援に回すことができます。そこに特色を生むことができるわけなんですよね。最近は、例えば、おむつを配りながら育休とか産休中のママへの声かけをして相談窓口につなげる、そういう支援を行っている自治体もあります。そういう特色を出す財源をつくり出すことができるんですよ。

 これだけ広がっているということを踏まえて、国として無料化に踏み切るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 まず、子供の医療費減額あるいは無償化措置と政策目的についてであります。

 それぞれどういうふうな目的で自治体において施策を実施をするかというのは、自治体ないしそこの自治体の首長の御判断だと思いますし、私が口を挟むべきことではないと思いますが、私といたしましては、やはり、子供の医療費については、人口減少というよりも、むしろ、いかに子供にとって、健やかに、成長を促すような、よりよい医療につながっていくかという観点や、あるいは、保護者にとってみれば、子供に何かあったときに安心をして子供が医療にかかれる、そういった安心感をいかに醸成をしていくかといった観点がより重要ではないかというふうに考えております。

 施策についての御指摘がございました。

 高橋委員に一定の御評価をいただきました国保の減額調整措置につきましてでありますが、これまでの議論は自治体間の公平性の観点でということで、中学まではほぼ全ての自治体で実施をしているわけだから自治体間の公平性の問題はないではないかという御指摘もあったかと思います。今回、仮に高校までこれが延長することができれば、数字でいえば、高校はまだ自治体の実施率は五五%から六〇%まででありますから、仮に高校生までそれを延長、減額調整措置の廃止を含めるとすれば、やはり一歩でも二歩でもこれまでの議論よりも踏み込んだ、次元の異なると言うかどうかは別として、踏み込んだ、そういった施策になるのではないかというふうに思っております。

 他方で、国の制度としてどうするかということでございます。

 子供の医療費の助成制度を創設することについては、現在の地方自治体による子供医療費の助成の内容が、一部負担の徴収の有無、所得制限の有無など自治体により様々であり、また、医療提供体制や受診行動への影響なども見極める必要があることから、課題が多いものと考えております。

 そういった中、いずれにいたしましても、経済的負担の軽減という視点だけではなく、先ほど私が申し上げたような、子供にとってよりよい医療の在り方についても、今後、国と地方の協議の場においても検討していかなければならないというふうに思っております。

 厚労省を中心に検討していくことになろうかと思いますが、私どもこども家庭庁も、国と地方との定期協議の場を設けておりますので、そういった場においてこども家庭庁の観点からも議論をしてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 少なくとも高校生までは減額措置はしないということでお話をいただいたので、それはなるべく早く実現をして、ただ、国の制度としても、あれこれ、適正な動向を見てとか、そういう言葉を入れずに、真っすぐに取り組んでいただきたいと思います。

 やはり、あれこれ、もしかして一部には問題があるかもしれません。だけれども、それよりも問題なのは、お金がないから病院に行くのを我慢する、それこそが問題なのであって、そこに応えるということを是非取り組んでいただきたい、このように思います。

 それからもう一つ、同じたたき台の中に、児童扶養手当の問題なんですけれども、これも予算委員会で私質問して、所得制限の見直し、すぐやってほしいということを言ったわけですが、それは残念ながら盛り込まれずに、「ひとり親家庭の自立促進」、自立促進という言葉が入りました。これが強調されたのはなぜでしょうか。

小倉国務大臣 今回取りまとめた試案、この試案における中核となる加速化プランでは、二〇三〇年までの六、七年間で少子化傾向を反転させるため、まずは今後三年間を集中取組期間として、取り組むべきものを整理をしたものであります。

 この加速化プランにおきましては、先ほどの答弁とかぶりますけれども、国際比較において相対的に割合が低い現金給付を強化することとしておりますが、その際、まず、一人親家庭も含めて、全ての子供の育ちを支える経済的支援の基盤を強化をすることとし、具体的には児童手当の拡充を行うこととしたところでありますし、高等教育費の負担軽減や住宅支援の強化なども併せて行うことといたしておりまして、これらの施策は一人親家庭の経済的負担の軽減にも大きく資するものではないかというふうに考えております。

 他方、児童扶養手当につきましては、これまで、多子加算額の倍増や全部支給の所得制限限度額の引上げ等、累次の改善等を実施してきたところでありまして、児童扶養手当の在り方については、就業支援や子育て・生活支援なども含め、生活全体を総合的に支えていく視点や、児童手当など他制度との関係も含めた慎重な議論が必要です。

 また、一人親家庭の自立促進が強調されたのはどういう事情かということでございますが、関係府省会議におきまして、有識者から一人親家庭の支援についていただいた御意見の中で、背景に経済的な貧困があることが多く、世代間で連鎖しており、その連鎖を食い止めるためには強力な就労支援が必要になるとの御指摘もいただいたところでございます。

 このようなことから、今回、一人親家庭の自立支援について、児童扶養手当ではなく就業支援を促進、推進する観点から、一人親を雇い入れ、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援や、資格取得を目指す一人親家庭に対する支援の充実を行うことを盛り込んだところでございます。

高橋(千)委員 次にやりたいテーマがあるのでここは指摘だけにとどめますけれども、今の有識者の話というのは、議論が逆さまなんです。

 このたたき台の中には、一割が一人親家庭であり、そのうち二分の一が貧困であるということまで書いているわけ。だから、生活が安定しないからダブル、トリプルのワークをしているわけですよね。スキルアップしたいけれども、その余裕がないんですよ、生活が安定しないから。スキルアップするための訓練に通う時間もない。だったら自立するチャンスがないわけですよ。だから生活を安定させるということが大事なんだということを、やはり議論が逆転していて、安定すれば当然、児童扶養手当だって必要なくなるわけですから、そういうふうに、物事の発想を変えていくというのが大事なんじゃないかということは指摘しておきたいと思います。

 今日は、朝からも少し議論が出ているんですけれども、不登校の問題で少し質問したいと思います。

 文科省の下に、不登校に関する調査研究協力者会議が開催されています。このほど、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランが発表されました。資料の2に、永岡文科大臣からこの協力者会議のときに報告された「不登校対策の検討にあたっての方向性(目指す姿)」が出されましたので、それをつけました。小中高合わせて約三十万人が不登校になっていると言います。文科省は、全ての子供たちの学びの場を保障するなど四つの柱の方向性を示しています、ここに書いてあるとおり。

 例えば、二〇一六年九月十四日の通知では、文科省が、不登校は問題行動ではないというメッセージを出した。これは当時、多くの当事者を励ます力にもなったと思います。今回のCOCOLOプランは何がこれまでと違うのか、簡潔にお願いします。

伊藤大臣政務官 お答えいたします。

 小中高等学校で不登校の児童生徒が約三十万人と過去最高となりましたことを踏まえて、文部科学省としましては、有識者会議を設置し、二月十四日の同会議におきまして、永岡文部科学大臣より、これからの不登校対策の方向性について案をお示しをいたしました。この実現のための具体策として、先ほど御紹介いただきましたけれども、三月三十一日に、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランを取りまとめ、同日付で各都道府県教育委員会等へ通知を行ったところです。

 この通知では、これまでの不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方、これは変更するものではないということと併せて、本プランの取組を通じて、不登校対策の一層の充実を図るために、新たにという視点の中で、不登校特例校について、分教室型を含め全国三百校の設置を目指すこと、また、不登校児童生徒の保護者の支援のために相談窓口を設置し、必要な情報を整理し、提供すること、児童生徒の心身の変化に関して、一人一台端末を活用して、早期発見や早期支援を図ること、並びに、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることなどをお示しをしているところです。

 今後は、当プランを踏まえ、こども家庭庁とも連携をしつつ、不登校児童生徒への支援を推進をしてまいります。

高橋(千)委員 今御紹介いただいた中に、例えばオンライン学習もできるよとか、一人一台端末で子供たちの小さな声が可視化されるとあります。

 実際に、私、現場の先生方や保護者の皆さんと懇談する機会があって、現場の実態や受け止めは全然違うというのを感じました。まず、不登校の予防という考え方は駄目だと。なぜそうなのかというのを順々に議論していきたいと思うんですが、毎日子供たちは、タブレットを家に持ち帰り、そうじゃない学校もあるんですが、私の地元の学校はそうなんですね、家に持ち帰り、健康観察のチェックをするのだそうです。今回の協力者会議では、このタブレットを活用して、心の健康状態をチェックする先進事例を紹介しています。

 まず、質問は、この子供の健康観察、最初は多分コロナの熱を測るというところから始まったんだと思うんですが、今後も毎日行うんでしょうか。その健康観察をやるために、民間会社のアプリはいろいろなものがありますけれども、この契約に際して、現場に任せているのか、その費用も含めてお答えください。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、そもそも不登校につきましては、不登校の態様は様々でございますので、不登校に置かれた児童生徒、保護者、その態様を十分踏まえて対応していくことが必要だろうということは従来からと変わってございません。

 その上で、御指摘の点でございますが、まず、学校におきましては、学校保健安全法に基づきまして、児童生徒等の健康状態の日常的な観察によりまして、児童生徒等の心身の状況を把握するとされてございます。その実施に当たりましては、例えば、御紹介をいただきましたように、ICT等を活用し、心や体調の変化を早期発見する取組、これはもう既に実際に行われてございますというふうに承知してございます。

 当省におきまして、教育委員会に対しまして今年二月に調査を行いましたところ、学校において、児童生徒の心や体調の変化にいち早く気づくために一人一台の端末のアプリ等を用いている市区町村は四百十一というふうに承知をしてございます。また、民間会社の提供するアプリを活用する際の契約等につきましては、自治体等の適切な御判断の下に行われているものと承知をしてございます。

高橋(千)委員 自治体の判断、今、最後のところ、予算も聞いたんですけれども、それについてはどうなんですか。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 全ての実例について詳細を把握しているわけではございませんけれども、例えば、アプリにつきましても、そもそも無料だというようなアプリを使っている自治体もございます。当然、保護者等への御理解等をいただいて、また、児童生徒等への負担がないようにということでございますので、この点も含めて自治体の適切な御判断の下に行われているものというふうに承知をしてございます。

高橋(千)委員 そこを任せているというのも問題だと思いますよね。無料なら無料なりにコマーシャルがついてくるわけですから、それを毎年取り替えているという実態もございます。

 話を続けますけれども、今御紹介いただいた、学校における取組について、資料の3にあります。さっき市町村の数字をおっしゃってくださったんですけれども、これは都道府県教育委員会のアンケートですが、傾向も同じだと思います。生徒の心や体調の観察などデータに基づく早期発見、早期支援ということで、アプリを用いていると答えたのが二十六教育委員会のうち十五、今後使うことを検討しているというのが九ということで、圧倒的にアプリを使おうとしているということなんですね。

 資料の4にありますけれども、メンタルヘルス調査ということで、これはNiCoLiというアプリを紹介しておりますけれども、こうしたことで、調査研究協力者会議の中で、ある委員が具体的に紹介をしています。デイリー健康観察は毎日子供の行動の変化を見ていたものですが、子供の内面が見えると更に効果的であるとして、熊本市や高知県などで、きもちメーターとか心の天気というアプリを使っていると紹介されています。

 ですから、心が曇りなのか晴れなのか雨なのかということをずっと取っていって、その子が抑うつ状態にあるとか、不登校の、言ってみれば予備軍というのか、そういう状態を見るということを意味しているんだと思います。

 でも、同じ会議で別の委員の方がこう言っています。子供たちは、学校にいても常に何か調べられている、理解されようとされている、家にいても何か調べられているというのでは心が休まらず、調査の趣旨とも異なるので本末転倒であると。このとおりだと私は思います。

 子供一人一人のデータの積み上げ、これを追跡していくのでしょうか。それから、横連携、つまり利活用を考えているのですか。お答えください。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の一人一台端末を用いた心と体の健康観察、既に自治体での、実施例等から考えますと、例えば、子供たちが毎日一人一台端末のアプリを用いて気持ちや体調を入力する、また、先生に相談がある場合にはその旨を入力することなどによりまして、教職員が児童生徒の変化にいち早く気づき、不登校に至る前の早期の支援につなぐことが可能だというような効果が期待できると認識してございます。

 また、こうした情報を一人一台端末を用いて入力することによりまして、子供一人一人の中長期にわたる健康状態の変化を記録するほか、他の情報と関連づけることで、多角的な分析というものも可能になろうというふうに考えてございます。

 先般公表いたしました、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランにおきましては、具体的なデータの活用方法にまでは触れておりませんけれども、それぞれの自治体ですとかの創意工夫によりまして、有効な活用方法が検討、蓄積されていくものというふうに考えてございまして、当省といたしましては、この好事例の展開に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 政務官にもう一度伺います。

 オンライン学習や健康観察など、デジタルが不登校の解決や予防の決め手になると考えていらっしゃるのでしょうか。さっきの質問に、方針は変わりませんとおっしゃいましたけれども、私が一番最初に言ったように、不登校は問題行動ではない、それ自体が問題なんじゃないんだ、とにかくなくそうとしているわけじゃないんだということを、やはりちゃんと言わなきゃ駄目だと思うんです。まずそのことを聞きたい。

 それから、不登校の子供が家にいてオンライン学習できるというのは、何か、家でネットばかり見ていると思っているんじゃないでしょうか。子供たちは学校との関係を遮断したいのです、だからネットは見ないよと先生方に言われました。御存じでしょうか。

伊藤大臣政務官 まず、一点目の御質問の、オンライン学習や健康観察などのデジタルの利活用について、不登校対策、予防として考えているかという観点だったかと思います。

 この点につきましては、先ほど御紹介をしましたCOCOLOプランにおきましては、不登校により学びにつながることができない子供たちをゼロにすることを目指して、まずは地域や家庭、NPO等とも連携をして取組を進めることもしております。その中で、不登校特例校の設置促進、教育支援センターの機能強化など、全ての児童生徒の学びの場を確保すること、そのことと併せて、自宅や様々な学びの場におけるオンラインを活用した学習、また相談などの対応も含めた実施をしていくことというふうに考えております。

 この不登校の児童生徒への対応だけでなく、一人一台端末を用いた健康観察により、先ほど来御紹介ありましたけれども、心や体の変化をいち早く捉え、早期発見、早期支援につなげること、また、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることなども同時に進めていくことが重要であるということを考えております。

 オンラインの活用を含め、こうした取組が着実に実施されるよう、文部科学省としても必要な支援等を行ってまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 デジタルの活用を私は全否定しているわけじゃないんです、うまく使いこなせばいいと。だけれども、コロナの中でずっと子供たちは友達に会えなくて、だけれどもデジタル環境もなくて、学校でオンラインを、学ばせられて、それが嫌で通えなくなった子供もいるわけなんですね。デジタル万能にしてはいけない。

 やはり、そのことを考えたときに、教員を増やし、子供たちのシグナルをちゃんと受け止められる。学校の風土をわざわざ私は数値化する必要はないと思いますよ、十分雰囲気で分かるわけですから。そうしたことも含めて、先生方が子供たちときちんと向き合える環境づくり、つまり、先生そのものを増やしていかなきゃいけないと思うんですが、一言お願いします。

伊藤大臣政務官 ありがとうございます。

 まず、デジタルだけで解決をしようというふうに考えているわけではなく、デジタルでの早期発見等と併せて、今委員からも御指摘をいただきました、先生が早く気づくこともできる、そういう環境づくりもしっかりと支えていくということも併せて大事だというふうに考えております。

 その中で、質の高い教育の実現、また複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、教職員定数の改善に関してはとても重要だというふうに考えております。

 このため、令和五年度予算におきましても、まずは、義務標準法の改正に伴う小学校における三十五人学級の計画的な整備、発達障害など障害のある児童生徒への通級による指導、外国人児童生徒に対する日本語指導教育等の充実に必要な基礎定数の改善を盛り込んでおります。さらに、小学校高学年教科担任制の推進や、生徒指導など様々な課題に対応するための加配定数の改善についても計上をしております。

 今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、引き続き、基礎定数を含む教職員定数の改善に全力で取組を進めてまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 最後に、大臣に質問します。

 協力会議のメンバーで立花高校の齋藤校長先生がペーパーで意見を出しています。学校に登校すべきだという前提、いかにして学校に戻すかという考え方が相当根強いのではないか、学校がもっと柔らかくあるべきだという意見を主張し続けてきた、言葉が過ぎるかもしれませんが、学校が慢性的に持つ同調圧力はもはや日常的な人権侵害に等しいという危機感を持っていますと。最初、不登校特例校を三百に増やしたいという話がありましたけれども、その不登校特例校でやっているような教育が全国標準になればよい、そういうことを先生はおっしゃっていて、全くそのとおりだなと私は思います。

 アプリで子供の心を観察しても、正直に書かないんです、誰も。毎日毎日、今日の心は土砂降りですなんて書くわけないんですよ。それを、そこで満足しちゃって、何か、解決、ほとんど問題のある子がいないよみたいになっては駄目だということを言わなきゃいけないと思います。

 これまで話してきたことも含め、不登校対策についての大臣の所感と、こども家庭庁がどう頑張るのか、一言お願いします。

小倉国務大臣 まず、不登校対策に関しましては、先日、永岡大臣、文科大臣とも会談を行いまして、文科省と私どもこども家庭庁が緊密に連携して対策を進めることが確認をされました。文科省が立ち上げる不登校対策推進本部にも私どもこども家庭庁が参画をすることになり、より一層緊密に連携を図っていきたいと思います。

 そういった中で、やはり重要なのは、もちろん、学校に戻れる子が学校に戻って学びをしっかり続けてもらうということも重要でしょうけれども、それでも行きづらい子にとって一番の最終的な目標というのは、社会に巣立っていく、自立をしていく、社会に復帰をしていくということなのではないかというふうに思っております。

 そういう意味では、私どもこども家庭庁の役割といたしましては、子供たちが、自発的に居心地がいいと思い、いたいと思う居場所づくりをあちこちの場でつくっていき、そこの居場所においてしっかり学びを保障していくことではないかというふうに思っておりますので、不登校の子供を含めた全ての子供の多様な居場所づくりを推進をしてまいりたいと思いますし、前回の答弁でも申し上げたようなそれ以外の様々な施策に関しましても、文科省と連携をしてまいります。

 また、最後に、子供や若者の意見を聞くことも重要でございますので、それをしっかりと聞いた上で、この不登校対策についても文科省と連携をしてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次回は、来る十八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.