衆議院

メインへスキップ



第9号 令和5年4月25日(火曜日)

会議録本文へ
令和五年四月二十五日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 英之君 理事 谷川 弥一君

   理事 坂本祐之輔君 理事 湯原 俊二君

   理事 中司  宏君 理事 中川 宏昌君

      井原  巧君    石川 昭政君

      石田 真敏君    今村 雅弘君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      中曽根康隆君    深澤 陽一君

      穂坂  泰君    牧島かれん君

      宮路 拓馬君    保岡 宏武君

      山口  晋君    渡辺 孝一君

      岡本あき子君    末次 精一君

      堤 かなめ君    福田 昭夫君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      足立 康史君    住吉 寛紀君

      堀場 幸子君    輿水 恵一君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      塩川 鉄也君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)     河野 太郎君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   デジタル大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         三原 祥二君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     石川 昭政君

  土屋 品子君     穂坂  泰君

  中曽根康隆君     深澤 陽一君

  末次 精一君     岡本あき子君

  堀場 幸子君     足立 康史君

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     鈴木 貴子君

  深澤 陽一君     中曽根康隆君

  穂坂  泰君     山口  晋君

  岡本あき子君     末次 精一君

  足立 康史君     堀場 幸子君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     大野敬太郎君

  山口  晋君     土屋 品子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官小林豊君、個人情報保護委員会事務局次長三原祥二君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官村上敬亮君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堤かなめ君。

堤委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめでございます。

 いわゆるマイナンバー法等改正案について質問いたします。

 先週、四月二十日の本特別委員会におきまして、参考人の長島公之氏、冨田珠代氏、森信茂樹氏、太田直樹氏より、それぞれ多くの示唆を頂戴いたしました。

 公益社団法人日本医師会常任理事を務めておられる長島氏から頂戴した御意見により、医療分野のデジタル化、ITによる変革である医療DX、デジタルトランスフォーメーションについては、医療を取り巻く様々な状況の変化に対応するためにも大変重要であると理解を深めることができました。

 と同時に、長島氏は、国民の皆様はもちろん、国民に医療を提供している全国の医療機関や介護施設、ここが取り残されてしまえば、肝腎の医療、介護が提供できなくなるという強い懸念も表明されておられました。

 我が国は、日本医師会の皆様始め先人の方々の多大なる御尽力により、健康保険証さえあればいつでも誰でも必要な医療サービスを受けることができる国民皆保険制度を有しています。一九六一年に始まったこの国民皆保険制度は、まさに誰一人取り残されないという理念を体現した、世界に誇れる制度です。

 そこで、まず、誰一人取り残されないデジタル社会の形成に向け、マイナンバーカードの取得が困難な方々への対応について質問いたします。

 御高齢の方、障害のある方、引きこもりの方など、いわゆるマイナンバーカードの作成を本人又は家族ででもできない方、いわゆる取得困難者については、行政が出向いて手続を行う出張申請、あるいは代理で行う代理申請が可能であるとのことですが、具体的に考えると様々な課題が出てくるのではないかと思います。

 一点目に、意思確認についてです。

 カードの取得は申請に基づくものとなっています。取得困難者のうち、成年後見制度による後見人が選定されていない場合、御本人の意思の確認をどのように行うのか、お聞かせください。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードにつきましては、申請者本人が役所に出向き、市町村職員による本人確認を経て交付を受けることを基本としております。その上で、高齢者や障害のある方など、カードの円滑な取得に課題がある方につきましては、今御指摘がありました出張申請受付や代理交付の仕組みを活用していただくことも考えられるところでございます。

 その際、介助者や市町村職員により、必要な説明をしつつ、申請者御本人の意思を丁寧に確認しながら、個別に申請や交付を支援いただくことが重要であると考えております。

 例えば、出張申請受付におきましては、申請者本人がいる施設等に市町村職員が出向き、申請者本人の本人確認を行うものでございまして、その際に、申請者御本人の意思を確認することとなります。

 また、代理人に対して交付する際には、申請者本人に宛てた照会の回答書の提示を求めますとともに、代理権の付与を委任状等により確認することで、申請者御本人の意思を確認することとしております。

 引き続き、取得に課題がある方につきましても円滑にカードを取得していただけるよう、申請環境の整備に取り組んでまいります。

堤委員 今、本人の意思を丁寧に確認するというお答えでございました。しかし、認知症の高齢者の方ですとか、寝たきりの方など、なかなか意思を確認するのが難しい方もいらっしゃるかと思います。そういったことについてどうなるのかという疑問は残されたままという気がいたします。

 二点目に、出張申請についてです。

 取得困難者がお住まいになっている自宅や施設に出向いて申請を行うのは、具体的には行政の職員の方なのでしょうか。また、出張申請に係る人件費などの費用は、全額国が負担されるのでしょうか。教えてください。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも安全、確実に本人確認ができるデジタル社会の基盤となるツールでございまして、成り済まし等による不正取得を防ぐために、申請時又は交付時に市区町村の職員による対面での厳格な本人確認を経て交付することを原則としております。国民の皆様にデジタルのメリットを享受していただけるよう、マイナンバーカードの取得に課題がある方につきましても、円滑に取得していただける環境整備に取り組んでいくことが重要と考えております。

 このため、本年二月に公表されました、デジタル庁、総務省、厚労省の三省庁によるマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の中間取りまとめでは、カードの取得に課題がある方に向けた環境整備について方向が示されております。

 総務省ではその具体化に取り組んでおりますが、その一つとして、市区町村の職員が市区町村役場以外の場所に出向き、そこで交付申請の受付、本人確認を行い、後日、市区町村から郵送によりカードを交付する出張申請受付の推進がございます。

 これに伴います費用、例えば正規職員の時間外勤務手当や、会計年度任用職員や任期付職員に係る報酬又は給料等の人件費、さらには出張申請受付に必要なタブレット端末やモバイルプリンターなどの備品購入費などにつきましても、基本的に全額国費により支援しているところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き円滑にマイナンバーカードを取得できる環境の整備に取り組んでまいります。

堤委員 よく分かりました。

 では、三点目に、代理申請と同行申請についてもう少し具体的にお聞きしますが、社会福祉協議会は日常生活自立支援事業を行っています。そういう支援をされている方々が、マイナンバーカードを代理で申請してほしいといったときに、この代理申請は現時点では国庫補助となっていないため、基本的に本人に代わって申請することはできないと聞いていますが、いかがでしょうか。また、行政の窓口に同行して申請する同行申請が可能であれば、その場合は利用料が必要となってきます。この利用料は、利用者が負担しなければならないのでしょうか、それとも、全額国が負担するのでしょうか。教えてください。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 日常生活自立支援事業では、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等の判断能力が不十分な方々が地域において自立した生活を送れるように支援をしております。

 支援の方法は、利用者本人の自己決定を尊重するため、情報提供、助言、契約手続や利用手続等の同行等を基本としております。

 一方、代理につきましては、運用上、金融機関口座の払戻しや解約、預け入れの手続、福祉サービス利用料等の支払い手続などに限定をしております。

 そのため、議員お尋ねのマイナンバーカードの代理申請につきましては、この日常生活自立支援事業の利用契約上の代理権をもって行うことはできませんが、本人が窓口に申請に行く際に同行することは可能でございます。

 なお、その際の利用料でございますが、初期相談、支援計画の策定、利用契約の締結に至るまでは国庫補助の対象としております。同行など援助の実施に関する部分の利用料につきましては、援助を行うために必要となる経費等を勘案した額を、平均一回千二百円程度ですけれども、こちらを利用者御本人に負担いただくこととしております。

堤委員 同行が、支援が一回千二百円ということで、これが、結局、国が制度を変えたということで利用者が払わなければならないということになるわけですから、やはり、一回千二百円といえども、そういう利用者にとっては大きな金額になるかと思いますので、国の負担も考えていただきたいと思います。

 四点目に、マイナ保険証の管理についてです。

 政府は、これまでの健康保険証を来年秋にも原則廃止し、マイナンバーカードを保険証として利用するマイナ保険証に一本化するとしています。

 現在は、高齢者や障害者の施設にお住まいの方々の多くが保険証やそのコピーを施設に預けておられ、医療機関を受診するときは施設の方がそのコピーなどを持って医療を受けておられます。

 ところが、様々な機能を持つマイナンバーカードにこれが替わってしまいますと、家族の中にも施設に預けるわけにはいかないと考える人も出てくると思われますし、施設の側も預かるのは責任が重いというふうになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省、厚労省、デジタル庁、三省でやっていますマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会では、施設、管理する側の方も、入られる側の方も、両方からお話をいただいておりまして、それぞれに、預けたいという人、預けるのに不安があるという人、預かりたいという人、預かるのに不安があるという人、いろいろな角度から戸惑いや心配をいただいております。

 このため、二月十七日に公表した中間取りまとめでも方針は発表しておりますが、このレベルでこういうふうにすればいいんじゃないかというところの取扱い上の留意点をまとめて、双方の側に広く知らせていくということで、相場感をつくり、皆さんに安心して利用していただけるように努めてまいりたい、このように考えてございます。

堤委員 留意点をまとめてお知らせするということですけれども、やはり、御存じのように、介護施設の側などは、もう既に今の状態でも人手不足でございますし、それに、さらに、こういった管理の手間暇や非常に留意しなくてはならないところがたくさん出てくるということになりますと、御負担が大きいのではないかと思います。

 五点目に、健康保険証の存続についてです。

 今るる言った、いろいろな心配があるわけですが、健康保険証であれば、紛失した場合であっても、協会けんぽへ直接、健康保険被保険者証再交付申請書ですとか、そういった申請書を提出すれば、保険証が郵送されてきます。取りに行ったり、同行したりしなくていいわけです。ところが、カードの場合、また発行時と同じ、同様の手間暇がかかるということです。またしても代理申請、出張申請、同行申請が必要となってまいります。

 御存じのように、施設の職員の方々は、本当に、先ほども申し上げましたが、人手不足で業務多忙です。これまでるる述べましたように、健康保険証を廃止するという、行政が一方的に決めた、拙速に決めた方針によって、取得困難な方々、そしてその御家族や支援者が直面する様々な問題を根本的に解決するためにも、健康保険証をやはり存続すべき、あるいはマイナンバーカードと併用すべきと考えますが、いかがでしょうか。デジタル大臣にお聞きします。

河野国務大臣 マイナンバーカードと健康保険証を一体化することで、医療機関、薬局を受診するときに、本人同意の上で、過去の医療、健康情報に基づいた医療を受けられるというメリットがございます。施設等に入所されている方たちに、こうしたメリットを踏まえてマイナンバーカードを活用していただきたいというふうに思っております。

 健康保険証の利用を継続することは、医療機関や薬局あるいは保険者に手作業による事務負担が残ります。また、成り済ましによる受診などのリスクが残ることになります。

 医療DXを実現して、安全、安心でよりよい医療を提供するだけでなく、医療保険制度の事務を効率化し、質を高めていくために、マイナンバーカードによる受診を原則として、紙やプラスチックカードからICチップつきのマイナンバーカードに移行していくことが重要でございますので、現行の健康保険証を廃止するための様々な準備を進めていきたいと思っております。

堤委員 全然答えになっていないということだと思います。

 通告しておりませんけれども、寝たきりや認知症の方々、あるいは精神や知的に障害があって判断能力が不十分であるなど、意思確認が難しい方々はどのくらいおられると把握されていらっしゃいますでしょうか。デジタル大臣にお聞きします。

河野国務大臣 通告をいただいておりませんので、資料がございません。

堤委員 大体、おおよそでいいんですけれども、ある推計では、寝たきり高齢者が約二百万人、そして認知症の患者の方が約七百万人、計九百万人という推計がございます。

 健康保険証がなくなると、このような方々、そして支援する方々は、そういった非常に手間暇もかかる困難に直面せざるを得ないわけです。そういう方々がどれくらいおられるかという基本的なことですけれども、これもお答えできないんでしょうか。よろしくお願いします。

河野国務大臣 通告をいただいておりませんので、手元に資料がございません。

堤委員 大体どのぐらいなのかということですとか、それをどういうふうに、それでは、そういう方々がかなりの数、九百万人、それに障害者の方を加えると一千万人以上の方がいらっしゃると思うんですけれども、この方たちにいきなり健康保険証を廃止するということを決めるのは余りにも拙速だったと思いますけれども、では、その点の御認識についてはいかがでしょうか。

河野国務大臣 繰り返しますが、健康保険証とマイナンバーカードを一体化することで、よりよい医療を受けていただけることになると思っております。また、医療のDXを進めることで、様々な事務コストを削減する、これはひいては医療費の削減にもつながることだと思っております。

堤委員 やはり移行する期間というのが何でも必要だと思うんですね。ですから、急にそういったことを決められても、なかなか対応することができない。やはり、健康保険証をしばらくの間は少なくとも存続すべきであるということを申し上げておきます。

 次に、運転免許証との統合について質問いたします。

 一点目に、警察の閲覧範囲についてです。

 二〇二四年には、運転免許証の代わりに、マイナンバーカードに免許情報を入れられるようになります。運転免許証とマイナンバーカードが一体化されますと、交通違反の取締りなど、運転免許証を確認する際に例えば個人の収入や病歴などを閲覧されてしまうのではという懸念の声がありますが、警察は個人情報のどの範囲まで閲覧できるようになるのか、お聞きいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードと運転免許証の一体化に当たりましては、マイナンバーカードのICチップに、免許情報記録の番号、免許の年月日、免許情報記録の有効期間の末日、免許の種類、免許の条件など、現在運転免許証の券面に記載されている事項等を記録することとしており、警察官が読み取ることができる情報は、これらの免許情報に限定されることとなります。

堤委員 免許情報に限定されるということが確認できました。

 二点目に、紛失や盗難の際の問題についてです。

 お財布を落としてしまったという経験は私もございますが、もう本当に真っ青になってしまいます。しかし、クレジットカードやキャッシュカードは、紛失したとしても、手続も簡単で、再発行も一週間程度で完了できます。紛失したカードの中で、再発行が最も大変で時間がかかったのがマイナンバーカードだったという方も多いのではないでしょうか。

 運転免許証であれば、試験場などで原則即日再発行ができますけれども、マイナンバーカードを紛失した場合の再発行には約一か月近くかかり、さらに、役所へ取りに行く必要があると聞いています。

 運転免許証と一体化されることによって、マイナンバーカード紛失で一か月車に乗れなくなる、再発行を待つ間の代替の身分証明書、今まで運転免許証を身分証明書として使っていたけれども、それがなくなるといった課題も懸念されますが、このような懸念をどう払拭されるのでしょうか。

 あわせて、発行や再発行の期間を短くする、いわゆる特急発行、これが考えられていると聞いておりますが、それでも五日間はかかると聞いています。バス、タクシー、トラックのドライバーの方々など、運転を仕事としている方々にとっては、五日間も仕事ができないということになると生活への影響が大きいと思いますが、この点についてはどうなるのでしょうか。教えてください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードと運転免許証の一体化につきましては、令和六年度末までに実施されることとされておりますが、運転免許証と一体化したマイナンバーカードを紛失した方などに対処するため、より円滑に交付がなされるよう、関係省庁において、御指摘の特急発行のような検討が進められているものと承知しております。

 警察庁としても、令和六年度末までのマイナンバーカードの一体化の施行までの間に、関係省庁と緊密に連携しながら、利用者の負担が軽減されるよう、その運用について検討を行ってまいります。

橋本委員長 特急発行については、特に答弁はないんですか。

 堤かなめ君。

堤委員 今、特急発行についてのことはお答えいただいたんですけれども、五日間も仕事ができないということについてどうなるのかということについては、お答えがちょっと確認できなかったような気がしますが。

小林政府参考人 その点につきましても、利用者の負担の軽減に資するものとなるように、関係省庁とともに検討してまいりたいと考えております。

堤委員 これから検討されるということですね。

 運転免許証は、存続される、すぐには廃止されないと聞いていますが、それでよろしいでしょうか。

小林政府参考人 免許証の扱いにつきましては、六年度末までの一体化、その運用状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。

堤委員 六年度末ですから、まだ一年以上あるということ。そして、それを状況を見て決めると。非常に慎重な対応がなされていると思います。同じような慎重な対応が健康保険証についても必要ではないかということを指摘しておきたいと思います。

 次に、冨田参考人からは、戸籍などの記載事項に氏名の仮名表記を追加するに際しての懸念が示されました。

 冨田氏は、一億二千万人を超える全ての国民が自ら届け出る必要があり、高齢者やDV被害者など、届出が困難な層への特段な配慮が不可欠と述べておられますけれども、戸籍などの記載事項に仮名表記を追加する際にどのように配慮されるのか、お聞かせください。あわせて、DV被害者などについては世帯単位ではない対応が求められると思いますが、どのように対応されるのか、お聞きいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 現に戸籍に記載されている方に係る氏名の振り仮名の届出については、戸籍窓口に出頭する方法によるほか、郵送による届出や使者による届出も可能でございます。また、マイナポータルを利用して届出をすることも可能とする方向でデジタル庁と調整中です。

 制度の導入に当たっては、高齢者など、届出等が困難な方々に十分に配慮し、このような届出の方法が可能であることについて周知、広報に努めてまいります。

 なお、氏の振り仮名の届出は戸籍の筆頭者が行いますが、名の振り仮名の届出は各人が行うこととされております。また、市区町村長が戸籍に記載しようとする振り仮名の通知につきましては、世帯単位ではなく、個人単位で通知をするということを検討しております。

堤委員 世帯単位ではなく個人単位でというお答えをいただきました。

 次に、国家資格や各種免許などのマイナンバーへのひもづけについて質問いたします。

 新たにマイナンバーを利用できるようになる国家資格などとして、行政書士、小型船舶操縦士、教員など、およそ五十の資格が予定されていますが、実際にどのような運営になるかなどの詳細については明らかにされていません。

 教員を例にしてお聞きいたします。

 一点目に、マイナンバーに教員免許がひもづけられる場合、どのようなメリットがあるのか、教えてください。

里見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のマイナンバー法改正案では、国民の利便性向上及び行政の効率化の観点から、従来、マイナンバーの利用及び情報連携が可能であった社会保障、税制、災害対策以外の分野での行政事務においてもマイナンバーの利用の推進を図るとの考え方によりまして、教員免許に関する事務につきましても、他の資格と同様に、マイナンバーの利用及び情報連携を可能とする案となっております。

 教員免許状に関する事務にマイナンバーを活用可能とし、さらに、デジタル庁で構築中の国家資格等情報連携・活用システムと連携をすることによりまして、本人が希望すれば、免許状授与申請時の戸籍謄本等の提出が不要になるとともに、戸籍情報が変更した際にはオンラインにて免許状の書換え申請が可能となる、採用時にはマイナポータルにより免許状の種類や有効性の証明が可能になるなど、教員免許状の申請者や保有者の利便性の向上に資するものと考えております。

堤委員 二点目に、どこまでひもづけされるのか、その内容について教えてください。

 その上で、研修の受講履歴などとはひもづけされないということでよいのか、確認させてください。

里見政府参考人 お答えいたします。

 今回のマイナンバー法改正案におきます対象事務は、教育職員免許法による教育職員の免許に関する事務のみとなっておりますので、それ以外の目的でマイナンバーを利用することはできません。したがいまして、免許状の授与等に必要な情報、具体的には、免許状を授与する際の免許原簿及び免許状へ記入するための氏名や生年月日、本籍地がマイナンバーとひもづけられることになります。

 なお、免許状の種類などの資格情報をマイナポータルと連携する場合については、別途の連携のための識別子を用いることとなっております。

 一方、委員から御指摘がございました教員研修の受講履歴などは、マイナンバーにひもづけをするということは想定されておりません。教員研修の受講履歴等につきましては、教育公務員特例法に基づきまして、別のシステム等により記録をすることになります。

堤委員 ありがとうございます。

 三点目に、誰が、何のために閲覧でき、どんな情報が、どういう使われ方をするのか、お聞きします。

里見政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーの活用は、マイナンバー法別表第一に掲げる者が、同表に掲げる事務に限り利用するということになってございます。

 今回の改正案では、教員免許につきましては、教員免許の授与権者である都道府県教育委員会が、教育職員免許法による教育職員の免許に関する事務について利用すると規定をしております。

 その具体の内容ですが、教育職員免許の管理者である都道府県教育委員会が教育職員免許法に定められた教育職員免許という資格に関する情報を正確かつ最新の状態に管理するために活用するものでありまして、例えば免許状を授与する際の免許原簿及び免許状へ記入するための本籍地の確認、免許状の書換えに当たっての氏名や本籍地の変更の確認などに活用されることとなります。

堤委員 四点目に、仮に、臨時非常勤教員の頃の精神疾患などの既往歴が閲覧でき、採用試験の選考資料として利用されるようなことになれば本人にとって採用に不利になるとの警戒心から、医療機関の受診控えが起こるなど、適切な医療が受けられなくなる可能性を心配する声もあります。

 今お聞きすると、そうではないということが分かってまいりましたが、教員免許データベースと医療機関受診に関わるデータベースとがひもづけられるということはないということでよろしいでしょうか。

里見政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では、教育職員免許に関するマイナンバー法における対象事務は、教育職員免許法による教育職員の免許に関する事務のみとなっており、教員採用やその他のものは含まれておりません。

 このため、今回の改正法案におきましては、委員が御懸念のような、教員免許データベースと医療機関受診に関わるデータベースとをひもづけし、活用するということは想定しておりません。

堤委員 時間になりましたので、終了させていただきます。来ていただいて質問できなかった皆さん、申し訳ございませんでした。

 失礼いたします。

橋本委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速、マイナンバー法の改正案について伺いたいと思います。

 マイナンバー制度は、公正な給付と負担はもちろんですけれども、私は、第一義的には、本来、国民や住民が必要な、かつ、よりよい行政サービスを、確実に受けられ、かつ、簡素化による負担の軽減や利便性の向上を国民が享受できること、これが大前提になければならないと思いますが、このお考え、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 マイナンバー制度は、行政の効率化と国民の利便性向上を重視して、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤であります。国民の利便性向上が大きな目的であることは言うまでもありません。

 これまで、マイナンバーの利用によって、児童手当の申請など、約二千五百の社会保障制度、税制、災害対策といった事務におきまして、行政機関の間での情報連携によって、住民票の写しあるいは課税証明書の添付書類を省略する、それができるようになりました。また、国民の皆様が各種書類の取得のために市役所に出向くことや、取得した書類の提出といった負担が軽減されております。

 今回のこの改正案では、社会保障制度、税制、災害対策分野以外の行政手続においてもマイナンバーの利用の促進を図り、具体的には、国家資格ですとか自動車登録、在留期間更新に関する事務においてマイナンバーの利用を可能とすることにより、これらの手続においても、これまで提出を求めていた書類の取得、添付が不要となり、より一層国民の皆様の負担の軽減につながると考えております。

 引き続き、国民の皆様の利便性向上につながる点も含めてしっかり周知しながら、マイナンバー制度を推進してまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 この点は共有できていると思います。

 そしてもう一つ、やはり、このマイナンバー、そしてデジタル化ということになりますが、これは、誰も取り残さないということも大前提になければならないと思います。この点についても、大臣、お答えください。

河野国務大臣 誰一人取り残されないデジタル社会というのを実現する、これが大事だと思っておりまして、高齢者、あるいは障害を持つ方々を始め、デジタル機器やサービスに不慣れな方々への配慮というのが重要だと思っております。

 デジ庁では、スマホの基本的な操作方法ですとかマイナンバーカードの利用方法などをサポートするデジタル推進委員を二万四千人を超えて任命をさせていただいておりまして、中には、障害を持っていらっしゃる方が、デジタル推進委員として、ほかの障害を持っている方にこうした指導、援助をするというようなことも行われております。

 また、スマホで行政手続をできるようにいたしますが、スマホを使うのが苦手だ、スマホを使えないという方にとっては、窓口に来ていただくことになりますけれども、そういう方が窓口に来られたときも、今までと違って、一々書類の記入をしなくても、本人確認をすれば、後はもう口頭で、今日はこの手続と言っていただければその手続がスムーズに進む、書かない窓口、こういう導入が始まっておりまして、デジ庁としては、書かない窓口の全国への横展開というものをしっかり進めていきたいと思っております。

 様々な取組を通じて、誰もがいつでもどこでもデジタル化の恩恵を受けることができる、誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向けて、しっかり努めてまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 御努力をいただいているところは敬意を表したいと思います。

 私、今ほど堤委員からのやり取りも聞かせていただいて、誰一人取り残さないという意味の中に、先ほど御答弁で、デジタルを使えないという方に対する配慮も言っていただきました。全員にデジタルを使うことを強要するということであってはならないと思います。個々人の事情や最大限の意思を尊重して、例えば、デジタルを使わない、使えない、使いたくない、こういう方々を制度から排除しないという意味でも、誰一人取り残さないという意思を確認させていただきたいと思います。

 まして、行政サービスは、これはサービスを公正に受けていただく前提なので、この違いでサービスを公正に受けられないということはあってはなりません。今回、マイナ保険証のやり取り等もありますが、あくまでも個々人の事情や最大限の意思を尊重した上で、こういう方々を制度から排除しない、この意味での誰も取り残さないデジタル化ということでよろしいでしょうか。もう一度お答えください。

河野国務大臣 デジタル庁発足当初、誰一人取り残さないと申しておりましたが、国民の皆様の側から見て、これは誰一人取り残されないデジタル化ということで、今は、誰一人取り残されないデジタル化と言うようにしております。

 その意味するところは、国民お一人お一人にとって、デジタル化のメリットをしっかり享受していただけるようにやっていかなければならないということで、スマホを使える方はスマホで便利に、そうでない方もデジタル化で便利にということでございます。例えば、御高齢の方、施設に入られている方、障害を持たれている方、今までできなかったことがデジタル技術を使うことによって可能になるということがもう既にいろいろな場面で起きておりまして、そういうことを進めていくというのも大事なことなんだと思います。

 しっかりと、公平公正な社会、これをデジタル技術を進めることで実現をしていきたいというふうに思っております。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 誰一人取り残されない、とてもいいスローガンだと思いますので、是非これは共有しながら取り組んでいきたいと思います。

 一方で、やはり、デジタル化の中で、信頼ということも大前提として必要なものです。やはり、個人情報、個人データを扱う中では、個人データというのは、本人にとっても貴重な自分の財産でもありますし、また、政府はやらないと信用していますが、技術的には、個人情報を、ビッグデータとはいえ、プロファイリングに使えたり、情報を恣意的にコントロールすることも技術的に可能な場合があります。

 是非、信頼を損ねるようなことがないこと、その認識でいくと、一定程度抑制的であるということも心得ながら、国民の理解をいただきながら取り組むべきものだと思います。もし、この点についても大臣からありましたら、お願いします。

河野国務大臣 個人情報を扱う以上、そこのところはしっかりと抑制的に、国民の皆様から信頼される形で努めてまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 時間の関係があるので、先にちょっと他省庁の件を伺わせてください。

 こども家庭庁にお伺いをしたいんですが、先ほど大臣から、児童手当を簡便にというお話がございました。賛成です。今、児童手当というのは申請主義なんです。本人が、マイナポータル等で、窓口に来なくても、確かに簡単にできるようになりました。

 ただ、この児童手当、今、方向性として、所得制限も撤廃する方向もありますが、所得制限、マイナンバーの活用では所得も分かることを考えると、そもそも申請主義から脱却して、児童手当は、何の手続も取らずに、出生届が出たら、おめでとうございます、来月から児童手当を振り込みます、だから公金の口座を一つ登録をしてください、こういうような流れになったら、皆さん喜んで信頼をしていくんだと思うんです。

 デジタル化のところは、申請主義から脱却するというメリットも持ち合わせているんじゃないかと思いますが、この点、こども家庭庁としてはいかがでしょうか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 一般的に、行政からの給付につきましては、給付者からの申請に基づいて支給されるものでありまして、児童手当も同様の仕組みとしておりますが、他方、手続に関する利便性の向上や負担軽減は重要であると考えております。

 このため、児童手当については、マイナンバーカードを活用したマイナポータルのぴったりサービスの対象として、オンラインの申請を可能としておりますほか、受給者に毎年提出を求める現況届について、昨年、令和四年から、自治体が公簿やマイナンバーによる情報連携等により必要な情報を確認できる場合には省略することを可能とするなど、利便性の向上や事務負担の軽減を図っております。

 引き続き、デジタル庁とも連携しながら、手続に関する利便性の向上や負担軽減に努めてまいります。

岡本(あ)委員 いや、この点はちょっとこだわらせてください。

 デジタル庁とも連携してということです。大臣、どうでしょうか。

 デジタル化ができて、対象が全て、逆に、欲しくないという人は申請してくださいは全然いいんですよ。受け取りたくないという人は、私は要りませんという意思表示をするということはあってもいいと思うんです。ただ、基本的に、全員が対象にでき得るこの制度、しかも少子化だし、技術的には、デジタルの技術であれば、今回、マイナンバーも適用になる中では可能なものです。こういう恩恵が受益者にあることを実感してもらうことこそ、デジタルを進める最大限のメリットじゃないかと思います。

 デジタル庁としては、連携されるデジタル庁としては、もう発想の転換が必要じゃないですか、そういう思いはありませんか。

河野国務大臣 個別の手続、手当、いろいろな支給要件があると思います。その支給要件をどう確認するのかというような技術的な点はあると思いますが、少なくともデジタル化を進めるというのは、手続を簡便にする、申請を簡単にする。申請を簡単にするというものの最たるものは、申請がなくても、要件に当たる人のところにはプッシュ型で来るということだと思いますので、デジタル庁としては、プッシュ型でできるものはもうこれはプッシュ型でやりたいというふうに思っております。

 済みません。児童手当についてどういう要件があって、何が今問題になっているかというのは、私はこの場で把握しているわけではありませんが、最終的には、申請なしというのが一番簡単な手続でありますので、それをデジタル庁としては目指していきたいと思っております。

岡本(あ)委員 是非、こども家庭庁とデジタル庁の連携を期待したいと思いますし、元々ある発想から脱却をすることができる、申請主義から脱却をすることができる、こういうのもデジタルの技術があればできるんだよというところも是非強調していただきたいんです。

 多分、申請主義というのは、全員を政府あるいは役所側が把握することが困難だから申請に基づいてやってきたという歴史があると思いますので、この点は期待をさせていただきたいと思います。

 それから、ちょっと他省庁で、今、法務省にもお越しいただいているので、先にお伺いします。

 戸籍記載事項等への氏名の振り仮名の追加の件です。

 これは、先ほど堤委員からも、膨大な作業量になるし、非常に慎重に行わなきゃいけない。これの実務は自治体になると思うんです。作業量、事務負担、それからかかる経費、是非これは国が責任を持って、体制それから財政的支援、この点は国が責任を持っていただきたいと思います。お答えください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍の記載事項として氏名の振り仮名を追加するに当たって、市区町村においては、既に除籍されている方を除いて、現に戸籍に記載されている方に対する戸籍に記載する予定の氏名の振り仮名の通知や、届出があった氏名の振り仮名に関する審査及び戸籍への記載など、一定程度の作業が発生するほか、これに対応した既存システムの改修も必要となります。

 法務省といたしましては、振り仮名の収集について、書面による通知のほか、マイナポータルを活用することを含めるなど、市区町村において極力負担が生じないよう配慮するほか、既存システムの改修につきましても、市区町村において極力負担が生じないよう配慮してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 配慮という言葉でした。

 先ほどのカード交付には、もう交付金でしっかり国が責任を持ってやるという御答弁がありましたが、戸籍のこの事務に関しても、国が責任を持ってしっかりやるということを期待させていただきたいですし、これからもしっかりチェックをしてまいりますので、よろしくお願いします。

 こども家庭庁それから法務省の方、もしお時間があれでしたら、ここで御退席いただいても構いませんので、よろしくお願いします。

橋本委員長 和田副大臣、法務省、退室していただいて結構です。

岡本(あ)委員 では、マイナンバー制度に戻りますが、資料一の1、2を御覧いただきたいと思います。

 先ほど戸籍の話がありましたが、ごめんなさい、私は、戸籍法の改正は、このまとめ法案、一括法案で出すというのは非常に心外だと本来は思っております。戸籍に関しては、やはり最高位のプライベートな情報です。これを改正するのであれば、どんな細かい点であろうとも、本来は単独できちんと法務省の責任で提案をするべきだということを議事録に残していただければと思います。済みません、退席いただいた後に申し上げて申し訳ありませんが。

 資料一の1、2を御覧ください。

 今、マイナンバー法改正の中で、ちょっと大臣の方向性と違っているんじゃないかというコメントを見たものですから、今回のこの改正法案に非常に重要に関わる部分ですので、確認をさせてください。

 デジタル庁参与の向井治紀氏が雑誌のインタビューに答えております。

 資料一の2を御覧ください。

 赤線を引いておりますが、「今回の法改正で十分かというと全然十分ではなくて、最終的には、必ずしも法律で(マイナンバー利用事務を)書かなくても利用できるようにすべきだと」、「法律ではなく、政令に書くことでできるようになればよいと考えます。」。それから、別表第一をなくすということかということに対して、「そうです。」と言い切っております。「本来法律で書く必要はありません。」とまで言い切っていらっしゃいます。

 今回の法改正の案では、準ずる事務に関しては主務省令で取り扱えると。ただ、米印に書いていますが、このポンチ絵なんですが、「個別の法律の規定に基づく事務は、従来通り法律改正で追加」となっております。

 この点、法改正の目的、方向性として、どちらが事実なんでしょうか。

 まず、参与のこのコメントは、参与のお考えとして事実かどうか、まず、この点、お考えをお聞かせください。

河野国務大臣 政府として、マイナンバーの利用は別表第一に記載をして国会で審議をしていただくというのが、これが政府の考えでございます。

 デジタル庁の参与というのは、デジタル庁にいろいろな意味で助言をしてくださる方を参与にしておりまして、参与は非常勤で、デジタル庁の意思決定に関わる者ではございません。助言をいただく方々でございますから、いろいろな御意見を持っていらっしゃるということなんだろうと思いますが、参与の意見イコールデジタル庁の意見ということでもございませんし、政府の考え方は今回提出させていただいた法律案のとおりでございます。

岡本(あ)委員 ただ、この参与、資料一のタイトルにもあるように、ミスターマイナンバーと言われております。これだけに限らずなんです。いろいろな場面で御講演されていらっしゃいます。非常に中身に詳しい方ですし、この方の人格を全く否定するものではありません。ただ、昨今でいきますと、向井氏の、外でお話をされる内容を受けた方は、デジタル庁の参与ということで、ミスターマイナンバーとして、政府の方針を踏まえたものとして受け取る方が多いんじゃないかと思います。

 改めて、提出している今回の法改正の案、デジタル庁の大臣としては、今回の法改正案は不十分という認識を持っていらっしゃいますか。それから、別表一はなくすべきだということ、これについては、大臣としてはいかがお考えでしょうか。

河野国務大臣 所管大臣として、ベストの案を出させていただいたと思っております。

 別表第一はしっかりと国会で御審議をいただいてマイナンバーの利用について国会の御了解を得るというのが、これは国民からの信頼を得る意味でも非常に重要だと思っております。

岡本(あ)委員 そうであれば、なおさら、この参与の発言、全く同じタイミングで国会で審議をするための法案を提出している現在の政府の認識とは、やはり違っていると思います。

 先ほど申し上げましたとおり、この方、非常に著名な方ですし、そして非常に知見にも富んでいる方、それから人格は全く否定するものでもありません。ただ、このタイミングで、ミスターマイナンバーという肩書を持っている方が外部でこういうお話をされるというのは、受け手からすると、政府の考えを踏まえた立場でお話をされているんじゃないかという誤解を招いてもしようがないんじゃないかと思います。

 この点は問題ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 デジタル庁に御助言をいただく方、向井さんのほかにも、ミスターインターネットと言われている村井純先生とか、ミスター何とかという方はたくさんいらっしゃいますが、これは別に称号でも何でもなくて、みんなが勝手にそう呼んでいるだけでございますので、それは、ミスターマイナンバーと言われたからといって、別にこれは私がどうこうということでもないんだろうと思っております。

 デジタル庁としては、いろいろな方の御意見を伺いながら、デジタル庁としてしっかりと意思決定をしていく、そしてデジタル庁としての意思をしっかり広報、周知していくのが大事だと思っておりますので、そこの広報については、これからもしっかりやらせていただきたいと思います。

岡本(あ)委員 せっかく政府が今の時点でベストな案だと提案をされて、そして今まさに国会で審議をしている最中です。このときに広報としてこういう形で広がっているということに対しては、残念ながら、国民の理解をいただいたり、あるいは国会で審議をする上で、要は、これは法律で書かなくてもいいよということは、国会を通さなくてもいいよということもうたっていることにもなりかねません、これは最終的にという意味ですよね。

 そういう誤解を招くようなことを、要は、デジタル庁の参与という肩書で、例えば御講演されたり、あるいはインタビューを受けたりということに対しては、御懸念はございませんか。

河野国務大臣 日本は自由社会でございますから、いろいろな方が御自分の御意見を述べられるというのは、これは自由なんだと思っております。どこかの国の独裁政権のように、政府の意見と違うことを言ったら捕まっちゃうみたいなことにならないというのは、それはとても大事なことだと思っております。

 デジタル庁として、御助言をいただく方に参与という資格でいろいろ御助言をいただいているわけでございまして、そうした方々の意見が全部デジタル庁の意見ではないということはしっかり申し上げていかなければいけないかな、そこのところの広報はきっちりやっていかなければいかぬかなと思います。

岡本(あ)委員 やはり誤解を招いているというところもありますし、まさに国会審議のこのタイミングでこういう情報が、これは四月十三日の日付なんですね。なので、国会の法案がもう提出された後にこういうことをおっしゃっているということは、私からすると、デジタル庁はダブルスタンダードで行ってしまうんじゃないか。

 今は、河野大臣が誠意を持って、今がベストな法案だとおっしゃっているけれども、やはり最終的には、国会を通さない形で、政府が恣意的に対象を拡大すること、これも可能としているんじゃないか、こういう誤解を招くんじゃないかと思います。

 冒頭に私は、国民の理解をいただく、それから信頼がなければデジタル化というのは非常に難しいと思っている、この指摘もさせていただきましたし、その前提は同じなんだということで、御理解もいただいたと思います。

 やはりこの点では、私は、本当は向井参与御自身に、この場で、どんなお考えなのか、今法案審議されているこのさなかでこのコメントを出すという影響をどう思っていらっしゃるのか、お聞きをしたかったんですが、残念ながら、非常勤ということで来ていただくことはできずに、大臣が責任を持ってお答えをいただくということでしたので、御指摘をさせていただきます。

 やはり、ダブルスタンダードで行ってしまうんじゃないかという国民の不安を、この場合、増長しているんじゃないかと思います。先ほど広報の在り方とおっしゃいましたけれども、やはり、このタイミングで、最終的な狙いはここにあるよというようなことがないように、私は、大臣からは、できれば向井参与に、この部分については政府の方針とは一致していないということをお伝えいただくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 デジタル庁には、参与のほかに、様々な有識者会議の委員といった方もいらっしゃいます。そういう方が様々御発言をするときに、デジタル庁の何とか会議の委員というタイトルがつけられることもそれはあるんだろうと思います。

 有識者会議でございますから、幅広い方にお入りをいただいて、様々な御意見をいただくということは当然あります。そういう方々からの意見や御発信を、政府の方向性と同じでなければならないということになれば、どこかの独裁政権のようになってしまいますので、デジタル庁のいろいろな役割をお願いをしている方々の御意見を、デジタル庁として、ああせいこうせいということはするつもりはございません。

 デジタル庁としては、責任を持って、所管大臣の下、デジタル庁としての意思決定をするわけでございます。参与を始め、非常勤の方々がその意思決定に関わるということはございません。

 もちろん、広く御意見をいただいて助言をいただく、それを参考にはいたしますが、意思決定をするのはあくまでもデジタル庁でございますので、そういう方々の発言がデジタル庁の意見であると取られる国民もいるかもしれませんけれども、そこのことは分かっていらっしゃる国民も大勢いらっしゃると思っております。

岡本(あ)委員 そこの点は私は異議を唱えたいと思います。

 有識者会議と参与はやはり違います。

 有識者会議は、確かに、いろいろな、多様な、あえて多様な方にお集まりいただいて、多様な御意見をいただいています。

 デジタル庁の参与ということであれば、基本は、デジタル庁、政府の方針を前提として、例えば、デジタルを否定するような方に参与をお願いするということはほぼほぼあり得ないと思うんです。あるいは、マイナンバーカードはなくてもいいよとか、マイナンバーは使わない方がいいよという方に参与をお願いするということはほぼほぼ、よっぽど極端な例として、ゼロとは言いませんけれども、ないと思っております。そういう意味でいくと、政府の方針に対して、より効果的にできる方、あるいはそういう方向で御助言いただける方が、少なくとも政府の参与という形になるのではないかと思います。

 向井参与は政府の方針とは全く違うことを言っているんだということを御理解いただいている方もいらっしゃるとおっしゃいましたが、少なくとも、このタイミングであえて、今、ベストだと言われている法案に、同じタイミングで、最終的には違うことを狙うよと言われていることについては、やはりこの点は、大臣から参与に対して、政府の方針と相入れないということについてはしっかり向井参与にお話しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 参与もそこは分かっていらっしゃると思いますが、委員からの御提起でございますので、そこはしっかり話をしたいと思います。

岡本(あ)委員 是非お願いします。

 委員会はこの後も続くと思いますので、しかるべきときにその後の結果というところをお聞きをしたいと思いますし、私は、やはり、このタイミングでこのインタビューに答えて、政府の方針と違う、要は、国会の関与をなくしてもいいんだ、それから、マイナンバーの利用拡大は政府の考えでどんどん変えていけるんだと。

 私は、国会は、国民に説明をして、国民の意思を確認したり国民の皆さんに理解をいただく貴重な場だと思っています。そういう意味で、法律という扱いはとても意味もありますし、重要なことだと思いますので、この点は、その後、どういうふうになられたのか、あるいは、私は、やはり向井治紀参与についてはこの点は撤回をしていただきたいということを強く求めたいと思います。

 そして、もう時間がなくなりましたので、残余の件は、機会があればまた質問させていただきたいと思います。

 今申し上げた点は、強く、大臣にも向井参与と向き合っていただきたいということを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 マイナンバー法案について質問をいたします。

 現行のマイナンバー制度は、社会保障、税、災害対策の三分野に限定して導入をされました。利用する事務、情報連携も法律に規定をし、追加する場合は法改正を必要としております。マイナンバーを含む個人情報を収集、保管することは本人の同意があっても禁止をすると厳格に法律で定められているとなっています。

 そのことは、国民総背番号制導入やプライバシー侵害に対して国民の批判が背景にあったからではないでしょうか。大臣の方からお答えいただきます。

河野国務大臣 マイナンバーの利用範囲というのは、法令又は条例で定められた行政事務に限定するとともに、第三者提供の制限や罰則の強化など、制度面やシステム面での各種のセキュリティー対策を講じております。

 具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して漏えい防止などの安全管理措置を義務づけ、個人情報保護委員会が必要な指導などを行うこと、個人情報を一元管理せず、各行政機関において分散管理することなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしており、この改正案でもこれらの仕組みに何ら変更はございません。

 そもそも、マイナンバー制度は、その導入時から、将来的に幅広い分野での利用も目指すこととされており、今回の改正案はその趣旨を踏まえたものでございます。

 この改正案におきまして、社会保障、税、災害対策以外の行政事務においても利用の促進を図ることといたしますが、個別の法律の規定に基づく事務について新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続きマイナンバー法に個別に規定する必要があり、国会において御審議をいただくことというふうにしております。また、情報連携できる主体、事務は法令で厳格に限定しておりますことから、政府の裁量が大きくなるということもございません。

 今後とも、個人情報保護に十分配慮して、制度の趣旨に沿ってマイナンバー制度を運用してまいりたいと思っております。

塩川委員 答弁の中身は今までと変わるものではありません。

 そういうことで、マイナンバー制度をめぐる個人情報保護に関して、やはり国民の理解が得られているというふうに思いません。だからこそ、マイナンバーの利用や情報連携について、例えば、二〇二一年十二月の重点計画では、国民の理解が得られたものについて法整備をするとしていました。それなのに、本案は、基本理念を変更し、三分野に限定せず、全ての行政分野においてマイナンバー利用を推進していくとしております。

 全ての行政分野に拡大することについて、一体どこで国民の理解が得られたというんでしょうか。

河野国務大臣 この法案は、有識者や関係者などから意見聴取を行い、丁寧に検討を進めてまいりました。

 具体的には、マイナンバー制度については、有識者を構成員とするマイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ、通称マイナワーキンググループにおきまして、自動車の変更登録や在留資格の許可等に関する行政手続などにマイナンバーを活用できるようにすること、新たに行政機関の間でマイナンバーを用いた情報連携を行う際、より速やかに開始できるようにすることなどについて、メディアを含め、オンラインかつフルオープンの形式で半年以上かけて御議論をいただき、具体的な検討を進めてまいりました。

 ワーキンググループでも一定の理解を得られたところでございますが、こうした議論や報道を通して国民の理解も深まってきたものと認識しております。

 引き続き、この法案の国会での審議も含め、国民の理解を得られるよう十分説明を尽くしてまいります。

塩川委員 ワーキンググループの議論の話もありました。

 デジタル庁のマイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループにおきましても、「何かよく分からない間に利用範囲を広げたように伝わらないように、プロセスとしてどういう観点で広がったのかというのはちゃんと記録として残るようにしたほうがいい」という指摘があったにもかかわらず、議事概要しか公表されていない状況であります。

 委員からは、これまで三分野に限っていたのに、利用範囲を拡大していく理由、利便性とリスクについて国民に説明が必要だ、これまで一元管理されるのではないかとの国民の不安に応えた設計であった、仕組みの変更について議論が足りない、利用範囲を広げることは慎重に、政府が情報を管理する、データ利活用するということに対する国民の信頼は高いとは言えない、こういう委員の懸念の言葉も紹介をされていたわけであります。

 ワーキンググループで一定の理解と言いましたけれども、こういった懸念というのは拭えないままではありませんか。

河野国務大臣 丁寧な議論の中でそうした懸念を拭って、今改正案にたどり着いたものでございます。

塩川委員 国会審議も含めて理解を得られるようにという話もありました。

 しかし、今回の法案では、マイナンバー利用できる事務を、法定されている事務に準ずる事務であれば法定せずに利用可能としております。国会の審議も法案としては行わないということになってくるわけであります。

 お尋ねしますが、このいわゆる準法定事務が無限定に広がることとならない歯止めというのはどうなっていますか。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 準ずる事務とは、例えば、住民の側から見れば同じ事務であるのに、個別の法律に基づかない事務が含まれているためにその事務にだけマイナンバーの利用が許されず行政機関等の間の円滑な情報のやり取りができなかったり、住民票の写しなどの添付書類の取得、提出を求められたりする状況を解消し、国民の利便性向上や行政の効率化を図るものでございます。

 この住民の側から見て同じ事務であること、すなわち、事務の性質が法律でマイナンバーの利用が認められている事務と同一であることや個別の法律に基づかない事務に限られていることといった基準は、これはいずれも法律で規定をされておりまして、政府の判断でこれを超えて拡大できるものではございません。

 また、主務省令の改正に当たっては行政手続法に基づくパブリックコメントを行う必要がありまして、国民の皆様に見えないところでマイナンバーを利用できる事務を追加するといったことは起こらないような仕組みとしております。

 なお、この準ずる事務についても、自身に関係する情報連携が行われた場合には、その記録や連携された情報についてマイナポータルで確認可能としております。

 引き続き、十分に個人情報保護に配慮しつつ、マイナンバーの利用を推進してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 当該事務の性質が法定事務と同一であることその他政令で定める基準に適合する事務に限る、こういうのは具体的にはどんなものを指しているんでしょうか。

楠政府参考人 例えばですけれども、コロナ禍におきましては、日本でまだコロナのワクチン接種が始まる前に米軍基地において日本人向けのワクチン接種が行われた、こういった場合に、これは同じ予防接種で、当然、後々、二回目、三回目以降は自治体が行うわけですけれども、一回目の接種情報というのは非常に重要でございますけれども、これは予防接種法で当初規定されておりませんでしたので、そっちの法律で直しましたので結果として連携はできておりますけれども、こういった場合ですとか、あるいは、生活保護等についても、日本人に対する生活保護というのは、これは法定されておりますけれども、外国人向けにはいわゆる条例において個別の自治体で定めていたりもしまして、こういったところも含めて、なかなか法技術的には別表に書けないけれども、全く同じ事務であってもマイナンバーが利用できないということが現時点では起こっているというところでございます。

 あとは、例えば、いわゆる特定公的給付に指定したものに関して、ほかの団体から転入されてきたときに、個別の自治体で行っている給付について転出元の団体に対して問い合わせるというようなことが難しかったりといったことはございました。

塩川委員 元々、このマイナンバーをめぐっては、やはり特定個人情報として、非常にその利用については慎重にということで、その利用する事務あるいは情報連携についても法律で規定をする、追加をする場合は法改正を必要としてきた、そういう重いものですから、それを踏まえた対応が当然政府として求められているわけでありますけれども、今回はそういう格好で、法定しない形でもできるようにするといったこと。

 今、具体の例示がありましたけれども、例えば予防接種の話につきましても、実際には予防接種法を改正をして連携ということで措置もできたわけですし、また、外国人の生活保護事務などについても条例で定めるという形というのもあるとなれば、もし必要なものというのがあれば、僅かな項目でもあり、これまでどおりそれを法定するということでも、それはあり得る話じゃないですか。

楠政府参考人 もちろん、コロナ禍において実際にそういった形で法律を通していただいておりますので、そこは当然法定するということもあり得るとは思うんですけれども、あくまで、非常に、その準ずる事務ということで、全くその事務の性質として同一のものに限っては是非迅速に御対応いただけるとよろしいのではないかということで法案を提出させていただいているところでございます。

塩川委員 国民の理解を得るということで、法案として出されて法改正となれば、当然国会での議論を通じて国民の理解を深めてもらう機会になるといった点でいっても、政府が、法定することで国民の理解を得る機会としていると説明してきた、それを行わずに、国会の関与なく政府の一存で決めること、ここについても国民の理解を得られないのではないのかということを申し上げておきます。

 次に、マイナンバーカードの安全確保策に関連してですけれども、政府は、マイナンバーカードは、市町村での厳格な本人確認を行い、顔写真があるので成り済ましができない、オンラインでの電子証明書の利用には暗証番号か顔認証が必要で安全性が高い、万全なセキュリティー対策を取っていると説明してきました。

 一方で、マイナ保険証を始め、あらゆる場面でマイナンバーカード利用を進めるために、マイナンバーカードの本人確認のハードルを下げる中身の法改正が今回の中にも出されているところです。

 そこで、マイナンバーカードの代理交付についてお尋ねします。

 代理交付の要件及びいわゆる疎明資料の見直しについてはどのようなことを行ったんでしょうか。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも、安全、確実に本人確認ができるデジタル社会の基盤となるツールでございます。成り済まし等による不正取得を防ぐために、申請時又は交付時に市区町村職員による対面での厳格な本人確認を経て交付することを原則としております。

 一方、番号法施行令の規定に基づきまして、病気、身体の障害等やむを得ない理由により交付申請者の出頭が困難であると認められるときは、例外的に交付申請者の指定した者の出頭を求めて、その者に対し交付することを可能としております。これが代理交付という仕組みでございます。

 この仕組みにつきましては、カードの取得に課題がある方が円滑に取得いただける環境整備を行う観点から、カードの交付に関する事務処理要領の改定を行いまして、活用できるケースの拡充や明確化などを行ったものでございます。一例を申し上げますと、例えば、身体以外の障害がある者につきましても、やむを得ない理由に該当することを明確化いたしまして、それらを説明するための疎明資料として、従来から命じておりました障害者手帳に加えまして、障害福祉サービス受給者証、自立支援医療受給者証についても使用可能である旨を明示したところでございます。

塩川委員 既に事務処理要領で示して、代理交付の要件や疎明資料の見直しを行ってきたわけであります。

 答弁でもありましたが、マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも安全、確実に本人確認ができるデジタル社会の基盤であり、成り済まし等による不正取得を防ぐため、申請時又は交付時に市区町村の職員による対面での厳格な本人確認を経て交付することを原則にしていた。それにもかかわらず、この代理交付の要件を緩和したということは、まさに根幹の安全確保策の後退ではありませんか。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 代理交付の仕組みにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、カードの取得に課題がある方が円滑に取得いただける環境整備を行う観点から、カードの交付に関する事務処理要領の改定を行いまして、活用できるケースの拡充、明確化などを行ったものでございます。

 その場合でありましても、実際に代理人に対して交付を行う場合は、まず第一に、申請者御本人の住所に宛てた交付通知書を御提出いただきまして、その中で、当該代理交付の申請が交付申請者の意思によるものであることを確認いたしますとともに、第二に、代理権の付与を委任状等により確認し、また、第三に、代理人本人に対しましても本人確認を行い、さらに、第四でございますけれども、申請者御本人の顔写真付本人確認書類を必須ということにいたすということで、厳格な本人確認を行っております。

 さらに、今年度からは、代理人が同一世帯又は法定代理人以外の場合には、代理人に対して交付した旨を申請者に通知することで、代理交付の制度がより適切に運用されるための措置を講じているところでございます。

 これらによりまして、適切な本人確認が行われるように努めてまいります。

塩川委員 代理交付の範囲を逆に広げるということまでやっているわけですから、やはり個人情報の流出、不正利用などの懸念は拭えないものであります。国民の不安に応えずに、マイナンバーカード普及のために安全確保策を後退させるということは、本末転倒だということを申し上げたいと思います。

 そもそも、あらゆる機能、様々な機能をマイナンバーカード一枚に集めることについて、政府はメリットばかり強調して、リスクをきちっと説明していないのではないか、その点が問われていると思うんですが、いかがでしょうか。

三橋政府参考人 マイナカードにつきましては、私ども申し上げておりますとおり、対面でもオンラインでも安全、確実に本人確認ができるデジタル社会の基盤たるツールということでございます。

 今申し上げましたとおり、申請時又は交付時に市町村の職員による対面での厳格な本人確認を経て交付することを原則としておりますし、代理交付につきましても、厳格な本人確認を維持するというふうな仕組みを持っているところでございます。

塩川委員 メリットばかり強調して、リスクについてちゃんと説明していないんじゃないかということについてのお答えはありませんでした。

 内閣委員会で、一昨年、デジタル関連法案の審議を行いました。

 私がその際に質問したとき、平井大臣は、デジタル社会の形成は、デジタルの活用によって、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことを可能とすることで、多様な幸せを実現するために行うものであって、その趣旨を踏まえると、個人がデジタル機器を利用しない生活様式や選択も当然尊重されると答弁をしているわけであります。

 それなのに、健康保険証廃止のように、マイナンバーカードを押しつけるような、マイナンバーカードを使わないという選択肢を示さないというのは極めておかしいことではないでしょうか。

河野国務大臣 先ほどから答弁申し上げておりますように、マイナンバーカードと保険証を一体化することで、全ての国民の皆様によりよい医療を受けていただくことができるようになります。

 また、利用者、医療機関、保険者、様々な場面で事務効率が向上し、コストが下がる、ひいては国民医療費の低減にもつなげることができると考えておりますので、これは全ての国民がこの利益を享受することができる、そういうふうに思っております。

塩川委員 平井大臣が言っていた、デジタル機器を利用しない生活様式や選択も当然尊重されると述べているわけなんですけれども、マイナンバーカードを使わないといった生活様式というのを当然保障されるということ、その点はどうですか。

河野国務大臣 多くの国民の皆様にメリットがあるということをしっかり広報、周知して、使っていただくように努めていきたいと思います。

塩川委員 ですから、メリットばかり強調して、リスクを説明しないという姿勢に変わりがないということでもあります。

 そもそも、マイナンバーカードをめぐっては、マイナンバーと身分証明書、身元証明書の役割と公的個人認証の三つを一緒にしている、こういう制度設計そのものに無理があると思いませんか。

河野国務大臣 思いません。

塩川委員 ワーキンググループの委員から、マイナンバーカードを使って本人を特定する公的個人認証サービスの仕組みと、変更が非常に難しいマイナンバーを使って本人を特定する仕組みに関して、元々の議論は分かれていたはずだという発言もありました。

 そもそも、マイナンバーと身元証明書と公的個人認証と、個人情報保護のレベルが違うものを一枚のカードに載せることに無理があるんじゃないでしょうか。

河野国務大臣 そこのところで個人情報保護がしっかりできるように、法制的にも技術的にも様々な運用面でも整備をしてまいりました。

塩川委員 その点での、こういう機能が複合的に一枚のカードに担われているということについて、国民の方々が十分にその内容を把握をしているということについての危惧の声、懸念を私自身は思いますし、そもそも、そのことについての懸念を述べている国民の方々もいらっしゃるわけです。

 ドイツなどでは、ナチス・ドイツの反省から、徴税目的のみの納税者識別番号を使用して、共通番号とは別に、eIDカードを用いた本人確認、個人認証が行われているということで、こういった仕組みなどについての検討がどうだったのかという点も、本来、しっかりとした議論が必要なところだと思っています。

 そこで、政府は、マイナポータルでの情報連携を強化をしています。しかし、このマイナポータルについて、個人情報保護法やマイナンバー法に個人情報提供の根拠となる具体の規定というのは置かれているんでしょうか。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 元々、マイナンバー法、最初に通ったときに、附則として、きちっと情報連携の履歴というものを国民に見せるようにというふうに附則が入りましたものですから、それを具現化する手法として、マイナポータル、情報提供等記録開示システムの構築を行ったわけですけれども、私はその当時設計等を担当しておったんですけれども、当時の議論において、履歴だけを見ても一体何の情報がやり取りされているか分からないじゃないかというところで、これをきちっと、情報提供の履歴だけではなくて、そこでやり取りされている情報を自己情報として取れる必要があるだろうということでこういった機能を設けておりますけれども、法令上の規定があるわけではなく、あくまで本人に対して情報提供をするという仕組みとして提供しているものというふうに承知をしております。

塩川委員 国が制度設計して運用しているといったマイナポータルについて、個人情報保護法、その特別法であるマイナンバー法に特段の個人情報保護に関する規定が定められていないという形で運用されているといった点も危惧されるところであります。

 こういったことを含めて、国民の理解が得られているとは思えないということを改めて申し上げておきます。

 最後に、戸籍への氏名の振り仮名記載についてお尋ねをいたします。

 本案は、戸籍等の記載事項に氏名の振り仮名を追加をするものです。氏名の振り仮名は、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない。」としています。一般的な読み方の詳細については、法務省民事局長通達などで示すこととされており、法令では定めないということです。

 政府は、幅広い名のり訓等を許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用としていますが、基準が曖昧で、自治体の判断にばらつきが生じる可能性があるのではないでしょうか。お答えください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものかどうかは、社会において受容され慣用されているかという観点から判断されることになります。具体的には、漢和辞典など一般の辞書に掲載されている読み方については幅広く認めることが考えられ、一般の辞書に掲載されていない読み方についても、届出人から個別に説明を聞いた上で、社会において受容され慣用されているものかどうかを判断することになります。

 委員御指摘のとおり、氏名の振り仮名の許容性及び氏名との関連性については、いわゆる名のり訓を幅広く許容してきた我が国の命名文化を尊重する観点から、氏名の振り仮名を幅広く許容するべく柔軟に運用することが適切であると考えています。このような命名文化の尊重という観点は、法制審議会が取りまとめた戸籍法等の改正に関する要綱におきましても明記がされているところでございます。

 こうした運用の基本的な在り方については、法務省民事局長通達等でその内容を明らかにし、各市町村の戸籍窓口において統一的な取扱いが確保されるように法務省としても取り組んでまいりたいと考えているところです。

塩川委員 民事局長通達などで統一的な対応ができるようにという話です。

 現在、戸籍に記載されている人の氏名の振り仮名については、本人からの届出がなければ、本籍地の市町村長が管轄法務局長等の許可を得て戸籍に振り仮名を記載するとしています。あらかじめ記載しようとする振り仮名を当該者に通知をする本籍地市町村長により記載された振り仮名は、家庭裁判所の許可なく変更の届出ができるとしています。

 しかし、知らない間に現に使っているのと違う振り仮名が記載される可能性は否定できないのではないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

松井政府参考人 まず、この制度の運用の開始に当たって、国民への周知、広報が重要であると考えております。そして、氏の振り仮名について、国民の皆様が届け出るに当たって、戸籍の筆頭者と同籍する配偶者とが調整した上で氏の振り仮名を届け出ることが望ましいことを周知するということを考えております。

 また、そのような届出がされない場合には、市区町村長の方で、今回の改正法案の附則に基づきまして、職権で氏名の振り仮名を記載するということになりますけれども、あらかじめ国民の皆様にどのような記載がされるかという予定を通知をするということを考えているところでございまして、そのような取組を通じまして、国民の皆様方にとって御理解を得られるように努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 通知が来ても、本人がうっかりしてということでいえば、職権で措置された振り仮名が使われる。その際に、自分が使っているのと違うということもありかねないということがあります。

 本案は、今後生まれてくる子の名前については、行政が一般的な読み方であるかどうかを審査を行うことになります。審査を行うのはどこになるんでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍に記載する氏名の振り仮名については、届出を受けた市町村の戸籍事務担当者が氏名として用いられる文字の読み方として認められているものかどうかを審査することになります。

塩川委員 自治体においてやる場合について、当然、地方独特の読み方、振り仮名とかというのは当然あるわけで、そういった際に、それをどうするのかということについては、当然、地方法務局に問合せをするなりして、先ほど言ったような、法務省の民事局長通達などに基づいての具体の協議を行っていくということです。

 いずれにせよ、今後生まれてくる子供の名前について、行政が一般的な読み方であるかどうかの審査を行うということには変わりがないわけで、その点でも、氏名は個人の人格を象徴するものであり、氏名の読み方は個人の権利として尊重すべきものであって、その命名に国家が介入するようなことがあってはならない、命名権の侵害となりかねない問題だということを指摘をして、質問を終わります。

橋本委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、ちょっと同僚議員にお願いを申し上げて、出張してまいりました。

 マイナンバーということでありますが、本当に感慨深いというか、河野大臣のリーダーシップで本当によくここまで来たということで、私も、野党の中では多分一番マイナンバーに力を入れてきた議員の一人として、敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 維新以外の野党は、立憲とか共産が今質問されましたが、政府・与党がやろうとしている仕事の足を引っ張るというか、進もうとしているものを進むなという競争、戦い、こういう時代はもう終わりにして、これからは、マイナンバーを使うんだけれども、それをより迅速に、より有効に、より合理的に使う、その競争、プランAとプランBと言いますけれども、そういう競争を自民党と、政府・与党と日本維新の会でやっていきたい、こう思います。

 マイナンバーの活用というときに、思い起こされるのは持続化給付金です。公金受取口座ということで、特定公的給付ということができるようになっています。この概要をまず御紹介いただきたいと思います。

河野国務大臣 個別の法律の規定によらない公的給付のうち、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある災害や感染症が発生した場合に支給されるもの、又は経済事情の急激な変動による影響を緩和するために支給されるものにつきまして、公金受取口座登録法に基づき、内閣総理大臣が特定公的給付に指定することによって、当該給付事務のために、地方税情報、児童手当や生活保護の関係情報など、行政機関が保有する情報を取得、利用することや、それらの情報をマイナンバーを利用して管理することが可能となります。

足立委員 すると、例えば、今改めて、改めてというか、ないほうがいいんですが、再び新型コロナウイルス感染症のような緊急事態が起きたときに、持続化給付金というのはまさに事業者にお配りをしたわけでありますが、そういう個人事業主に対する給付においても、例えば、当時は中小企業庁、中小企業庁の給付主体がマイナンバーを利用することができる、これはそういうことでいいですね。確認です。

河野国務大臣 そのとおりでございまして、二〇二一年五月、特定公的給付に関する制度を開始して以来、個人事業主を対象とした地方自治体独自の給付、四件が特定公的給付に指定されてきております。

足立委員 ここまではよく進んできたということで、私も議員立法を出したりしてきた立場から、評価を、評価と言うと偉そうですが、高く評価をしています。

 問題は、今回の法案もそうですが、これからこのマイナンバーをどう使っていくか、さっき申し上げた、政策競争を大臣とさせていただく、補佐官でもあるわけですけれども、競争しているわけですね。

 そうしたときに、例えばインボイス番号というのがあるわけですね。何でインボイス番号を新しく振り出すんだと。インボイス番号というのは、まさに個人事業者がインボイス発行事業者になりたいときは手を挙げて、インボイス番号を国税庁が振り出すわけですね。マイナンバーでいいじゃないかということを前回も申し上げました。

 ここからは、何か通告をいろいろさせていただいていますが、もう問いは一つなんです。問いは一つ。結局、マイナンバーを使うのか、マイナンバーを使い切らないのであれば、別途、個人事業者番号、要はインボイス番号をより普遍化した個人事業者番号を振り出せばいいじゃないかと。それは、独り国税庁による国税庁のための制度ではなくて、国家、国、日本国、政府全体による国民のための制度として個人事業者番号というのをつくるべきではないか。

 前回も討論をさせていただきましたが、その後、大臣の方でも御議論いただいているはずでありまして、期待をしております。

 だから、私の問いは、ごめんなさい、時間はまだまだあるんですけれども、もうこれで終わりそうなんですけれども、問いは一つなんです。マイナンバーをもっと使いますか。いや、やはりマイナンバーというのは怖いから。いや、怖くないんだと前もやりました。個人番号が流出したところで、機微な情報が芋づる式に出ていくことはないんだと言っているわけです。じゃ、マイナンバーをもっと使ったらいいじゃないですかと。ところが、いやいや、ちょっとそれは、怖いからと。

 今回の法律、閣法にあっても、それはやはりまだ一般に活用する形にはなっていないわけです。法人番号は使われますね。だから、法人番号類似の個人事業者番号というのがあった方がいいのか、いやいや、もうマイナンバーで勝負するんだと。これは大臣がどこかでお決めいただくしかないと思うんですね。

 もう御決断はされましたか。

河野国務大臣 これは前回も補佐官とこの話をさせていただきまして、マイナンバーは悉皆性があるけれども法令で利用の制限がある、法人番号はいろいろ使えるけれども網羅性がないということで、どっちにするかそろそろ決めにゃいかぬなと思っておりまして、実はこれは、あしたからデジタル臨調、デジ臨の方で、どっちにするか議論を開始をするところでございますので、補佐官もいろいろと発信をしていただければ、その御意見をデジ臨の議論の中で取り入れていきたいというふうに思っております。

 だらだら議論するつもりはありませんので、なるべくコンパクトに議論して、方向性を決めたらしっかり走っていきたいと思います。

足立委員 事務方でもいいです。デジ臨であしたからやると。これをもうちょっと、せっかくだから、今大臣がおっしゃったデジ臨、あしたからやるぞと。普通、私も役人を二十年やっていましたから分かるんですけれども、大体、審議会をスタートするときには結論が決まっているはずなんですけれども。いや、それを言っちゃうと、まあ、そんなことはないですね。議論をする。特に河野大臣率いるデジタル庁はほんまに議論しているわけですから。

 それはデジ臨であしたからやる。それは多分、傍聴できるのかな。傍聴というか、ネットで、まあいいや、それはどうでもいいですよ、適当にフォローしますから。だから、あしたからどんな感じでやるか、できるだけしゃべってください。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル臨調において、かねてベースレジストリーをどのように構築していくかというところを議論をしているところでございますけれども、その中で、重要な課題として、事業者、事業所の扱いをどうしていくかというところの議論がございました。

 これはなかなか、当初やはり、協力金等を含めて、事業所というものをきちっと捉えていきたいわけです。事業所というのは必ずしも法人ではなくて、個人事業主がやられている場合もいっぱいある。ただ、これは法律において、それぞれ食品衛生許可における事業所と労災における事業所といろいろな違いがあるものですから、こういったものをどういうふうに捉えていくべきかみたいな、こういったベースレジストリーをどのように構築していくかという議論の中の一部として、個人事業主をどのように捉えていくかといったことも含めて、明日以降議論してまいるというところでございます。

足立委員 もうむちゃくちゃ大事な議論で、今御紹介があった事業所の話、厚生労働省とかは事業所、事業所と言っているわけでしょう、いろいろ。でも、事業所と事業者、大体、内部管理、大企業とかが、事業所がいろいろなところにあります、そのときに、いろいろな内部管理は集中的にやっていて別に個々の事業所で全部やっているわけじゃないんだけれども、厚生労働省とおつき合いをするときは全部事業所ベースでやらなあかんから、やらぬでいい仕事を千か所の事業所でやっていますみたいな。日本が成長しない理由はこれですよ。

 だから、楠統括官は個人的にはどうすべきだと思っているんですか。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 大変難しい、もう本当にこの一年、二年近く、ずっと私ども、コロナのときの対策というか反省を踏まえて、マイナンバーをどうしていくかというところは、本当にこの一年議論が進展して、今回こうやって法律を出させていただいているところでございますけれども、事業者、事業所をどうするのかというところは、本当にまだ困っているところでございます。

 具体的に申しますと、これは、一言に事業所と申しましても制度ごとに全然中身が違っておりまして、例えば、工事であれば工事現場の単位でありますとか、飲食店であれば自家厨房の単位で見ております。それは、それぞれの、食品衛生許可であれば食品衛生許可の政策目標があって、労災であれば労災の政策目標があって、それぞれにおいて事務手続を定め、そのためのデータベースを調整している。

 なかなかこの中で画一的な識別子をつけていくということは、戸籍、住民票によってしっかりと一人、人間というのは非常に明確な単位でございますけれども、それと比べると、事業者、事業所というのは本当に制度ごとに捉え方が違っていて、それぞれ所管府省ごとに自分たちで所掌されている事務をどのように責任を持って回していくかというところでデータベースを調整されてこられているので、これは横串を刺そうとすると非常に多くの課題がございます。

 なので、私どもとしては、やはり、またコロナのような、あるいは地震を始めとした様々な災害がある中で、次、同じようにならないために、きちっと迅速に給付できるようにするためにどうしていくかということを真剣にこの一年以上議論してきたんですけれども、誰がどうやって責任を持ってこのデータベースを作っていくかというところは、もうこれは、本質的には、デジタルの問題というよりも、きちっと住民の方一人一人と向かい合う行政そのものの課題でございますので、これは決してデジタル庁としてデジタルでどうやるという話だけではなくて、かなり制度所管府省と丁寧に議論をしていきながら取り組んでまいる必要があるということで、これまでの検討の途中につきまして明日のデジタル臨調においても御報告をさせていただく予定となっております。

足立委員 まさにこれは、だから、楠さんは、あるいは河野大臣はもうやりたいんですよね、本当は。ねえ、大臣。やりたいんだけれども、デジタル庁はやはり権限が足りないんですよ。総理大臣がいるんだけれども、明らかに、予算は何かまとめているんだけれども、今おっしゃった、全部縦割りで、それぞれのロジックがある。それぞれのロジックを尊重していたら絶対できませんよ。ねえ、大臣。

 だから、全力で応援しますよ。デジタル臨調をやるというのは、デジタル臨調をつくった自民党の仲間、仲間というか友人たちから聞いているのは、やはりそうやって表で、テーブルの上でやることによって筋を通していく。本来の筋が通らないわけですよ、縦割りで。それをデジタル臨調でやっていくということだけれども、審議会もいいけれども、今日のこの国会も大事ですね、国権の最高機関ですから。

 私は、だから、こういう国会の場も使って、そういう縦割りはもうはじいていくと。だから、何か邪魔する人をここに呼んで、各省庁、全部呼んだらいいんだ。それで、どうなんだどうなんだということをやり続けて、まさに国会が遊んでいるから仕方なくデジ臨をつくったわけですから。本来は、それを国会でやりましょうよ。

 だから、楠さん、余り言い過ぎるとまた角が立つんでしょうけれども、事業所についてはいろいろな概念があるが、一定の定義を、一つ筋の通ったものを河野大臣のリーダーシップで提案をしていって、何とか各省庁もそこに合わせていただくということでやらないと、結局何だったんだということ。

 まだ時間はあるんですけれども、大臣、ちょっと、そこはやるということで。

河野国務大臣 別にデジタル庁に権限がないと言うつもりは全然なくて、これまでも省庁を張り倒していろいろなことをやってきましたので、そこはしっかり進めていきたいと思っております。

 ただ、さっき答弁があったように、厨房の数を数えるのか、工事現場の数でやるのか、工事現場も厨房もない事業所はどうするのか、いろいろな課題がありますので、そこはある程度網羅的に、悉皆的にやっていかないといけないのかなと思っておりますので、そこはさっさと議論をして結論を導きたいと思っておりますが、まだ委員の持ち時間もあるようでございますから、たまには委員の御意見もちょっと開陳していただけたらと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 是非私も申し上げたいと思いますが、まず、デジ臨の話だけ終わりにしたいんです。

 これは、期限というかスケジュールをちょっと教えてもらえますか。事務方でいいです。今大臣、だらだらやらないと。一体何月までにこれは結論を出すのか。

河野国務大臣 最初の議論を見ながらお尻を決めていきたいと思います。すぐできるようならすぐやりますし、込むようなら、毎週一回でも開催しながら、どんどんやっていきたいと思います。

足立委員 六月、七月に骨太もあるわけですから、是非お願いします。

 大臣、残る時間で、まさに個人事業者番号の話をもう少しやりたいと思います。

 今の話は、デジ臨の話があったので事業所という話が出ましたが、それは、別の観点からいえば、個人事業者というものがあると。事業所の話は、一つの大法人の中にも事業所がいっぱいあるので、その話とまた絡んでくるので、話はまたちょっと別の話。

 今日は、マイナンバーか、個人番号か、個人事業者番号かの話にちょっと戻したいと思いますが、これも、しっかりと今回のデジ臨の中で迅速に、要は個人番号以外の個人事業者番号みたいなものに手をかけるのか、かけないのか、これも御判断されるということでいいですか。

河野国務大臣 個人番号、マイナンバーでやるのか、法人番号でやるのか、あるいは個人事業者番号みたいなことでやるのか、そこはいろいろな議論があると思いますが、ここのところが一番ややこしくなっておりますので、方向性はしっかり出したいと思っております。

足立委員 結局、聞いていただいている皆様にも、あるいは国民の皆様にも、もう一回、一言、整理すると、要は、個人についての番号はこうやって今回法律で大きく前進してきたわけです、個人は。問題は事業系なんですよ。

 だから、先ほど楠さんからもあった、ベースレジストリーということを考えたときに、個人はマイナンバーでもうやるわけだから、やったらいいんですよ。だから、先ほど、冒頭御紹介いただいた特定公的給付なんかもどんどんやればいい、総理が指定したらできるのならどんどんやればいい。それは大前進してよかったね、使いましょうということですね。

 問題は事業系なんですよ。持続化給付金のときに混乱しましたね、事業系といったときには二つある、法人と個人事業主だと。法人は法人番号があって、検索したら全部、私が代表を務める会社も、全部、検索したら出てくるわけです、住所まで。個人の住所とかがだあっと出るとまずいけれども、個人の氏名とかがだあっと出るとまずいけれども、例えば屋号をかぶせて個人事業者もちゃんと法人番号システムと、だって、法人番号は誰が運用していますか。国税庁ですよ。国税庁が法人番号制度を持っているわけですよ、税金を取るために。今度は、税金を取るためにインボイス番号をつくるといって、インボイス番号サイトができ上がっているわけですよ。

 でも、繰り返しになりますけれども、インボイス番号というのは中途半端で、国税庁による国税庁のための、税金を取るためだけの、要は、年貢を取るための制度は一生懸命つくるわけです、日本政府は、自民党は。だけれども、国民の利便性、行政の利便性、行政の効率化、国民の利便性、そして給付と負担の公正な負担、公正な、透明で公正公平な給付と負担の仕組みづくりは、だらっとして、何年たってもやらない。

 だから、政策競争しているわけです。遅い。昭和じゃないんだから、令和なんだから、早くそれはやろうじゃないかということで、私は、私たちは、個人事業者番号法案というのを今党内で整備をしています。

 補佐官として、前回、内閣委員会かな、どこかで大臣とやらせていただいたときに、幾つか大臣から課題みたいなことをおっしゃいましたが、私は課題はないと思うんだよな。

 だって、例えば、どうやって個人事業主がいなくなったら確認するんだと。それは個人番号とひもづけておいたらいいじゃないですか。だから、個人事業者番号、要は、どうせもうできちゃうんだから、インボイス番号が。国税庁がインボイス番号を、あるんだから、今そこに。法人番号とインボイス番号があるわけです。インボイス番号というのは、年貢を取るためだけに使う個人事業者番号なんです。委員長、そうですよね。まあ、委員長に語りかけたらあきません。

 でしょう。だって、あるんですよ。じゃ、それを、年貢を取るためのことばかり一生懸命やるんじゃなくて、法人番号と同じぐらい自由度のある、要は、民間のコンサルタントとか民間の中小企業支援事業者とかも使える、検索すれば一発で出てくる、名前を出したくない人は隠しておいたらいいんですよ、屋号を出したらいいんですよ。それは個人事業者番号を欲しい人だけやればいいんですよ。

 先ほど、今日そこの机に来たら、これは岡本あき子さんが向井さんの記事を取り立てて、僕はちょっと聞いていなかったんだけれども、どうせ何か向井さんがひどいことを言っているとかいって文句を言っていたんじゃないですか。違う。逆。すばらしいという応援演説しましたか、立憲民主党。(発言する者あり)ああ、余計。御無沙汰しております、先生。

橋本委員長 どうぞ質問をお続けください。

足立委員 だから、民間事業者に、マイナンバーをもっと使いたいという声がある、何のためにマイナンバーを使いたいのかと聞くと、皆さん、住所を知りたいと。いや、僕らだって知りたいよね、住所を。政治家の事務所も一緒なんだけれども、銀行などがマイナンバーを使って引っ越した後の住所を知りたいという、そういうことをやる。

 でも、個人の情報は、これはやはり、だって、個人の住所とか何とかというのが事業者に全部総ざらいされて、何でもDMを送ってくるって、そんなことがいい社会かというと、それは議論があるから、個人番号の利用については一定の制約がある形で進んできているし、河野大臣といえども、個人番号をそこまでフル活用、いや、個人番号が法人番号のような使われ方をすることは、多分、考えていないと思うんですよ。

 じゃ、個人番号ではない何かが要るね。あっ、よく見たら、そこにインボイス番号があるじゃないか。年貢を取るためだけに国税庁が懸命にやっているけれども、よく考えたら、もっとそれを普遍化していけば、もっと便利な、まさに、ここに向井さんがおっしゃっているような、中小企業支援に使える。それは中小企業庁も使えるけれども、民間も使える。むしろ、個人事業者からすれば使ってほしいんです。どんどん教えてくれ、サービス、売り込んでくれと。だから、屋号と住所とかも、住所も公開したければですよ、したければ公開できる、そういう拡大インボイス番号制度というのがあれば、日本は世界に冠たる透明で公正公平な経済社会が、そんなことができている国は余りないですから。

 ということで、ここにあるんです、私の議員立法が。事務方にはお渡ししていますので。大臣、これが終わったら、個人事業者番号に係る制度の導入に関する法律案、骨子案というのがございます。そこには全部、課題も全部潰してあります。だから、さっき申し上げた、いつの間にか亡くなっていらっしゃったらどうするんだ、いや、マイナンバーとひもづいていたら消せるでしょう、すぐ。ボタン一個ですよ。課題なんかない。

 大臣、課題はもうないでしょう。だから、今の私の話を聞いていただいて大臣は多分決断できたと思います、やろうと。課題はない、課題はないんですよ。やるしかないんですよ。

 だから、大臣、国会と臨調、どっちが先に進むか。国会が先でもいいじゃないですか。大臣、もうここで決断してください。足立さんが言うことはそのとおりだ、今日決めた、国税庁と交渉して、インボイス番号を拡大して個人事業者番号をつくる。今ある法人番号と個人事業者番号を隣り合わせにすれば事業系は完璧に管理できる。それは民間も活用できる。いいことずくめで悪いことは一つもない。義務じゃないですよ、手を挙げたい人だけやればいいんです。手挙げ方式で、マイナンバーと裏でひもづけする。完璧。課題はありますか。

河野国務大臣 やっと補佐官が仕事をしてくれたなという感じでございます。ありがとうございます。

 補佐官の法案もまだ見ていないので、それを見て、そこに本当に課題がないのかどうか確認しながら、なるべく迅速に結論を出していきたいと思います。

足立委員 こうやって河野大臣が、これがありますから、これを今、条文化しています。衆議院法制局という国会官僚の皆様が手伝ってくれて、これを条文化していて、普通の流れでいくと、これを議員立法だとかいって出して、それで、マスコミに議員立法を出しましたとかいって、衆議院の事務総長のところだっけ、ばあっと並んで、野党も仕事をしていますとかいってやる。そんなのはどうでもいいから。皆さんもどうでもいいと思っているでしょう、ああいうの。

 大事なことは政策競争なんです。私が、日本維新の会が、こういう透明で公正公平な経済社会をつくりたいと国会で、永遠に残る議事録で提案をしている。もう十分ですよ。それを政府・与党が、これは足立さんの言うことをちゃんと聞いておかないと次の解散・総選挙でえらいことになる、これが競争ですよ。そうやって自民党と維新の会が政策競争する。さっきみたいに足を、共産党みたいに、いや、マイナンバーは危険だから、そういうおどろおどろしい、とても支持率が上がらない、そういう戦いではなくて、玉木さんがよく何とかより何とかとか言っていますよね。(発言する者あり)対決より解決ね。そんなの当たり前じゃないですか。それをキャッチフレーズに掲げなければいけないところに今の野党のあほさがあるのでね。あほというのは撤回します。最近、猿とかあほとか言うとえらいことになるのでもうやめておきますが。

 だから、私は、河野大臣がこれをちゃんとやってくださるのであれば、この点で競争するつもりはない。外交、安全保障とか原発とかマクロ経済運営でけんかする必要はないんですよ、国家の基本で。国家の基本でけんかなんかする必要ないんです。これだって国家の基本じゃないですか。こんなものが政権交代するたびにがらがら交代、中止とかなっていたら困るわけですよ。

 だから、完璧なものを、明らかにこの令和の時代にふさわしい制度を河野大臣が、足立さん、いや、申し訳ないけれども、これを提案しているのは僕ですからね、維新の会の提案だけれども、これは争点にする必要もない。国税庁に独りやらせておくのではなくて、国税庁にやらせたらいいですよ、でも、それはデジタル庁がリーダーシップを取って。法人番号といったって国税庁がやっているんだから、国税庁のままやらせてあげたらいいですよ、国税庁、全部やりなさい、管理は。でも、民間も使えるようにしましょうねというガイドを臨調でもしていただいて。

 これが今日の質疑を経て実現すれば、私はもうこの番号制度で、ベースレジストリーのところで余り自民党に何か申し上げることはない。むしろ、これからは、社会保障とか、あるいは補助金行政みたいな経済、ミクロの経済政策です。マクロはいいですよ、一緒にやったら。でも、競争すべきはミクロの経済政策と社会保障、社会政策です。

 この点で、私たち日本維新の会は、来る解散・総選挙に向けてしっかりと自民党と戦っていくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、この法律の所管省庁でありますデジタル庁の働き方についてお尋ねいたします。

 デジタル庁は、二〇二一年九月一日に発足いたしました。約一年半経過しているわけでございますが、組織を新しく立ち上げると、最初はいろいろ大変なことが多いと思います。出身の文化の違いであったり、また、ある上司に指示されたことをやっていると、違う上司から何をやっているのかと怒られるなど、こういったことは民間の企業でも往々にしてあることだと思います。

 しかし、特にデジタル庁は、従来の霞が関の役所とは異なり、民間の方も多く、皆様の働き方が霞が関全体に波及すれば、省庁の働き方にも大きな変化が生じるのではないかと思います。

 デジタル庁では、職場満足度のアンケートを取って、ワーク・ライフ・バランスを意識してやっているとのことですが、そのような取組内容も踏まえて、例えば、一つの目安である定量的な有休取得率等を始めとしたデジタル庁の働き方とその働き方を他省庁にも横展開しているかについてお伺いいたします。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

河野国務大臣 二〇二一年九月にデジタル庁が発足しまして、立ち上げは様々いろいろなことがあったと思いますが、平井大臣、牧島大臣の下、立ち上げをうまく乗り切ったのではないかなというふうに思っております。

 今委員からお話ありました年休取得も、大体、霞が関とほぼ同じような日数になっていると承知をしております。

 働き方の中では、デジタルでございますから、テレワークでそもそもデジタル庁に来ない職員もたくさんおります。また、国会業務などは、チャットツールや文書の共同編集といったものを駆使して、それなりにうまくできているのではないかと思っておりますし、私のところのいろいろな打合せなども、紙を持ち込むのではなくてペーパーレスでやろうということで、ドキュメントを電子で送ってもらったり、そういうことをやっております。

 デジタル庁の職員がミッション、ビジョン、バリューといった目的、行動指針を共有して一体となってやっていこう、これはもう平井大臣、牧島大臣がそういう機運を醸成をしてくれておりますし、毎月、私以下、副大臣、政務官を含め全職員がオンラインで情報共有を行うオールハンズミーティングといったものも実施をしております。

 また、職員アンケートを定期的にやっておりますが、おかげさまで、満足度は一定程度向上してまいりました。若干ばらつきはありますが、全体的には上向いてきておりますので、こうした事例を、先進的と言われ、いいものについては積極的に霞が関の中で横展開していきたいというふうに思っております。

住吉委員 今大臣の方からるる御説明ありました。例えばテレワークなんかは、私は、東京一極集中是正、そして、例えばですけれども、省庁の地方移転とか、それが可能になれば、そういったこともできると思っております。

 また、業務によって、これはどの社会もそうですが、どの民間企業もそうですが、ばらつきがあるということ、そこもしっかりと改善していただきたいなと思います。いずれにせよ、非常に効果のあることについては是非横展開して、すばらしい働き方、デジタル庁の働き方を横展開していただければと思っております。

 続きまして、マイナンバーカードの普及率と申請促進やマイナポイント事業の経費についてお伺いしたいと思います。

 これまで、政府は、マイナンバーカードの普及に努め、様々な工夫をされてきたと思います。

 少し古いですが、二〇二一年十一月の朝日新聞デジタルによると、

  政府は二〇二一年度補正予算案で、新たなマイナポイント事業に一兆八千百三十四億円を計上した。マイナンバーカードの取得者に最大二万円分のポイントを付与するもので、全人口の約七五%にあたる九千五百万人が申請することを想定して総務省が積算したという。

  総務省によると、これまでにカードを取得した人は五千万人余り。今回の事業費は、少なくとも取得者がほぼ倍増することが前提となっている。最大五千円分のポイントを付与する今の事業が始まる前、取得者は全人口の二割弱だったが、現在は約四割と倍増した。そうした実績をもとに、ポイントを最大二万円分に増やすことでカードを取得する人が大幅に増えると期待する。政府は「二二年度末までにほぼ全ての国民に行き渡らせる」との目標を掲げている。

とのことです。

 かなり古い新聞記事でございますが、まず、マイナンバーカードの普及率とこれまで使った申請促進やマイナポイントの事業のための経費について確認させてください。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの累計の申請件数は、令和五年四月二十三日時点で約九千六百五十万件でございまして、人口に対する割合は約七六・六%となっております。

 また、累計の交付枚数は、同日時点で約八千七百四万枚でございまして、人口に対する割合は約六九・一%となっております。

 また、お尋ねがありました経費でございますけれども、総務省が実施いたしましたマイナンバーカードの広報を含む申請促進に係りますこれまでの予算額は、テレビCM、新聞広告等を用いた広報活動や、ショッピングセンターなどにおける出張申請受付キャンペーン、全国での携帯ショップにおける申請サポート事業などの合計で約二百五十九億円となります。

 さらに、マイナポイント事業でございますけれども、マイナポイント事業は、カードの普及のみならず、キャッシュレス決済の拡大や消費の喚起、さらにはカードの健康保険証利用や公金受取口座の登録促進によるデジタル社会の実現を図ることを目的に実施されたものでございますけれども、マイナポイント第一弾の予算額は約二千九百七十九億円、マイナポイント第二弾の予算額は約一兆八千百三十四億円でございまして、第一弾、第二弾の予算の合計は約二兆一千百十三億円となります。

住吉委員 今るる説明がございました。マイナンバーカード、これは九千六百五十万件で、そのための経費というのが約二兆一千億円とのお答えでした。

 マイナポイントについては、いろいろな政策的な手段があったとはいえ、これだけ莫大な費用を費やしているわけですが、これらの費用対効果を政府はどのように捉えているのでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、一番大きいのはオンラインでの本人確認機能を、これだけの、交付ベースでございますが、九千六百万人の方が持とうとしている。アナログの時代は、対面で証明書を見せて、顔写真を見てと。これが、目の前になくても、オンラインで本人であることが確認できる。これは本来、官民、誰でもお使いをいただける。それが、これだけの枚数が普及しつつあるというところが一番大きいかなと思っております。

 当然、それは、まず政府が、オンライン市役所サービスと我々は呼んでおりますが、例えば最近でいいますと引っ越しサービス、それから、例えば確定申告の際の医療費控除やふるさと納税の手続、こういったようなものがどんどんオンラインで簡単にできるようになる。

 それから、るる御議論もいただいています健康保険証としての利用、こればかりではなく、国家資格等々のいろいろな証明も一本化をしていく。

 それから、自己情報の取得という意味では、薬剤情報や特定健診情報の閲覧利用、医療費の情報の閲覧利用、それからワクチン接種証明書の取得、こういったような様々なサービスができ、かつ、行く行くは、市民カード化ということでは、図書館カードや避難所の受付、いろいろなところで、このカード一枚でいろいろなことができるようにしていきたい。

 何より、これも同じように、民間の事業者の方にも今後使っていっていただきたい。

 今、オンラインで、金融機関の口座開設であるとか、一部ではございますが社員証で使うとか、いろいろな用途が出始めてきておりますが、様々な形で更にマイナンバーカードの本人確認機能を使っていただけるようになれば、それが御質問の費用対効果ということにもつながってくるのではないかと考えてございます。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

住吉委員 マイナンバーカードの非常に優れた点といいますか、いろいろな活用事例を御紹介いただきました。

 今回の法改正の内容の一つとして、マイナンバーカードの利用範囲の拡大、これが盛り込まれております。マイナンバーであったり、マイナンバーカードができることが増えるのはいいことだと思っております。

 しかし、その進み方がちょっとずつというか、便利になることを、これも使えるなというようなことを一個一個やっているというような印象を受けております。石橋をたたきながらゆっくりと慎重に進んでいる、そんなイメージです。しかし、そのようなやり方では、国民が、マイナンバーカードは何ができるのか、この理解がなかなか進んでいない、イメージを持ちにくいというのが実際はあるのではないでしょうか。

 そうではなくて、やはり、マイナンバーカードの利用の目指すべき全体像、これを国民に示していく、このゴールを提示した方が国民もイメージがつかみやすく、これまで巨額の費用を使ってマイナンバーカード、これを普及してきたわけですが、この普及促進にも弾みがつくと思っております。

 そこで、マイナンバーカードを利用して最終的に何がしたいのか、国民がどういうメリットを享受できるのか、どのようなグランドデザインを描いているのか、河野大臣にお伺いいたします。

河野国務大臣 幾つかゴールはあると思いますが、一つは、行かない市役所、書かない窓口。マイナンバーカードの機能をスマホに搭載、これは五月十一日からやります。そうすると、様々な手続はオンラインで申請できるようになります。

 また、今、デジ庁の作ったキャッシュレスのシステムを宮崎県の都城市で試してもらっておりますが、オンラインの申請ができるだけでなく、キャッシュレスで手数料の納付をすることができるようになります。

 また、来年の確定申告から、給与所得の自動入力もできるようにしようと思っておりまして、そうすると、行政の手続、あるいは手数料納付、税金、罰金の納付、こういうものは、役所や金融機関などに行かなくとも、オンラインで全部できるようになる。行かない市役所、書かない窓口。

 書かない窓口というのは、スマホを使えない方は窓口に行ってもらわないといけませんけれども、行っても、一々申請の手続の書類を書かなくても、本人確認ができれば、口頭で、今日はこの手続と言っていただければ全部終わるようにしたいというふうに思っております。

 それから、マイナンバーカード、もう一つは、市民カード化。

 これは、今、健康保険証、介護保険証、診察券、運転免許証、在留カード、様々カードがあると思いますし、また図書館のカードだったり、いろいろなものがありますが、こういうものを一つにまとめて市民カード化、マイナンバーカードがあれば行政のいろいろなサービスを受けることができるということが二つ目のゴールでございます。

 また、三つ目は、行政だけではなくて、民間のサービスの利用。

 これは、今、口座の開設時ですとか、あるいは引っ越し、今度五月の十六日から四情報の提供サービスを始めますが、そうすると、民間も、マイナンバーカードの提供する様々なサービスを活用してもらって世の中を便利にすることができると思っておりまして、まだ約四百四十社でございますが、この活用を日本の企業はどんどん広げていっていただきたいというふうに思っております。

 行かない市役所、書かない窓口、二つ目にマイナンバーカードの市民カード化、三つ目に民間サービスでの活用、この三本柱がいわば当面のゴールということで、いろいろな機能の拡充をやってまいりたいと思っております。

住吉委員 そのゴールに向けて、河野大臣のリーダーシップの下、スピード感を持って進めていただけたらと思います。

 また、普及、利用促進についてもお尋ねしたいと思います。

 本法案では、マイナンバーカードの普及、利用促進の方策として、市町村から指定された郵便局においてもマイナンバーカードの交付申請の受付ができるようにすることが定められております。

 最初、これを聞いたとき、郵便局に行けば、どの郵便局に行ってもマイナンバーカードが作れるようになるのだと思いました。しかし、詳しく説明を聞いたら、郵便局と市役所をオンラインでつないで、本人確認は市役所の職員が行うとのことでした。

 そうであれば、郵便局、市役所、両方とも負担増につながるのではないかとの懸念が生じます。郵便局と市役所の両者が同時刻に対応しないといけないといった負担や、ビデオ会議システムを使用するとのことですが、その導入費用といったコストの負担などが考えられます。

 メリットとしては、住民の方が市役所まで行かなくてもマイナンバーカードの申請ができることが考えられますが、その必要性が高いのは、一例ですが、中山間地域のような、広くて交通アクセスの余りよくない地域の方であり、そのような地域では、郵便局も小規模で人手が少なく、このようなシステムを導入する余裕がない、また、人的な配置をするところが苦しいというようなことも考えられます。

 例えばクレジットカード、これは情報が漏れると実害の出るカードでございますが、今では当然オンラインで作成可能です。民間のサービスの多くがオンラインによって申請可能であり、マイナンバーカードも将来的にはオンラインでできるようにする必要があると感じております。

 この郵便局窓口でのカード申請については、利便性が向上しているようでいろいろな負担が増えており、住民が求めているところほど郵便局が手を挙げないのではないかと思いますが、この点に関する政府の見解をお伺いいたします。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、対面やオンラインで安全、確実に本人確認を行うためのツールでございまして、成り済まし等による不正取得を防ぐため、申請時又は交付時に市区町村職員による厳格な本人確認を経て交付することを原則としております。

 今回の郵便局事務取扱法の改正案につきましては、市町村が指定する郵便局と市町村とをビデオ会議システムを用いてオンラインでつなぐことによりまして、郵便局においても本人確認が可能となる交付申請受付等を行えるようにいたしまして、これにより交付申請者の利便性の向上等に資するものというふうに考えております。

 実際に郵便局を活用したカードの交付申請受付を行うためには、その意向を有する市町村が、あらかじめ日本郵便株式会社と協議し、議会の議決を経て郵便局を指定するという仕組みになっております。市町村又は郵便局の意向にかかわらず、郵便局で事務を行うことができるというようなものではございません。

 総務省としては、市町村と郵便局がマイナンバーカードを交付するための標準的な業務フローをお示しすること等によりまして、市町村と日本郵便株式会社との協議を円滑に進めることができるようにするとともに、制度を導入することとした市町村や郵便局における事例や工夫を共有するなど、市町村と郵便局が事務を円滑に行えるような環境を整備してまいります。

住吉委員 別に、特段反対することもないんですが、果たして、役所とそして郵便局の負担増であったり、また、そういった中山間地域の小さい郵便局、これが果たして手を挙げるのかなという懸念がありまして、ちょっと質問させていただきました。

 また、これから実際に運用が始まる中で、いろいろな課題が出てくると思います。また、それもしっかりと都度対応していただけたらと思います。

 次に、マイナンバーカード取得の義務化についてお尋ねいたします。

 先ほど普及率というのがかなり高い、七六・六%との答弁がございました。かなり、ほとんど、多くの国民が持っているなという印象なんですが、これは結局、持っている人と持っていない人が存在すると、いろいろな便利な行政サービスを受けられるとしても、行政側としては、持っている人、持っていない人、二パターンありますと二重のフローが必要となり、行政側の効率化という点ではそこまで進まないことになります。

 また、政府は、二二年度末までにほぼ全ての国民に行き渡らせるとの目標を掲げ、先ほど質問させていただきましたマイナポイントの付与などの施策を行っていながら、取得は任意ですというのは、我々日本維新の会からすると少し矛盾しているのではないかと思っております。

 国民全員がマイナンバーカードを取得すれば、行政の効率化、これは図れますし、マイナンバーカードを取得した方は利便性を享受できます。現在の普及率七六%程度で、これ以降、いろいろ対策を講じて、ある程度までは増えていくかもしれませんが、それでも一〇〇%にするというのはかなりハードルが高いわけでございます。任意ということであればなかなか難しいと思っております。

 もし、その取得率向上のために更に何かしらの費用をかけるというのはおかしな話だと考えます。

 少し乱暴かもしれませんが、ここまで来たのであれば、マイナンバーカードの取得を義務化していくことも一つの方法だと考えますが、マイナンバーカードを義務化する考えはありますでしょうか。また、全ての国民にメリットがあるのであれば、自信を持って国民全員に取得してもらう、この義務化をしていくこと、これも検討すべきだと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

大串副大臣 マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも確実な本人確認ができる最高位の身分証でもありまして、厳格な本人確認の下で交付する必要がございます。

 このため、カードに必要な顔写真を撮影するとともに対面での厳格な本人確認を必要としていることから、取得を義務化せず、申請によることとしたところでございます。現段階では、カードの義務化は難しいというふうに考えております。

 その上で、御指摘のように、行政手続におけるカードの保有者、非保有者の双方に対応するための負担を軽減していくためにも、カードの普及に引き続き丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、カードの普及を更に進めるためには、民間事業者のサービスへの申込みなども含めて、利用シーンを拡大してメリットを実感していただくことが重要だと考えております。

 現在、オンラインでの口座開設など約四百四十社に活用いただいておりますけれども、マイナンバーカードの普及が進む中で事業者の関心も高まってきているのではないかと感じております。

 今年一月より電子証明書利用料を当面無料としたほか、五月からは、最新の住所情報等の提供サービスやスマホ用電子証明書搭載サービス、これらを開始するところでありまして、こうしたメリットを積極的に打ち出していく中で、更に民間の利用を推進していきたいというふうに考えております。

 引き続き、カードの利用シーン拡大を積極的に進めて、カードの取得が進むように取り組んでまいりたいと考えております。

住吉委員 なかなか義務化は難しいというのは、想定していた答弁でございます。現時点ではそうかもしれませんが、今後、またこの件については、議論しながら、引き続き検討していただければと思っております。

 続いて、マイナンバーカードの現行のセキュリティーについてお尋ねいたします。

 マイナンバーカードの現行のセキュリティー、今回、保険証との一体化などもありますが、このセキュリティーは顔写真が入っているから悪用ができないと言われておりますが、少し意地悪な質問かもしれませんが、例えば、双子や兄弟、あるいは他人であってもそっくりな方が悪意を持ってマイナンバーカードを使用すれば、悪用ができるのではないでしょうか。

 また、今はマスクをしている方が多い中で、果たして顔写真入りの本人確認が有効なのか疑問です。整形技術も進歩しております。極端な例かもしれませんが、実際に起こり得ることでございます。週刊誌などには外国人が健康保険証を使い回しているという報道もあり、それは真実かどうか分かりませんが、やろうと思えばできてしまいます。

 確かに、顔写真があれば一定の悪用防止効果があり、一歩前進かもしれませんが、完璧ではありません。

 また、四桁の暗証番号があると言われておりますが、それだとマイナンバーカードと暗証番号があれば他人がマイナポータルなどに入って使用できることとなり、より危険ではないでしょうか。民間のサービスでも、こういったIDとパスワードを盗んでそういうサービスを受けることが多発しており、マイナポータルへのアクセスの手段もカードと暗証番号が取得できれば可能となっております。

 そこで、例えば、指紋認証や静脈認証といった、あとは顔認証とか、唯一無二の生体認証を導入する考えはないでしょうか。セキュリティーを更に高めると、より多くのこと、例えば、統一地方選挙もこの前行われておりましたが、ネット投票とかにもこのマイナンバーカードを活用できることになります。

 せっかく最先端のカードですので、セキュリティーをより高めれば、もっと活用方法が広がり、義務化のハードルも下がると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 顔写真につきましては、現場では大変便利とは承知をしておりますが、やはり、厳密に本人確認が必要な場合は、マイナンバーカードが持っています暗証番号の機能を併せて使っていただければ、こういうふうに考えてございます。

 そうしますと、今度は、次に御指摘がありましたとおり、暗証番号が特に意図せざる第三者に渡った、そういう場合はどうするんだ、こういうことでございます。

 現状、本人確認の手段として、暗証番号を組み合わせたツーステップ認証が一番いいことであると思いますが、もし万が一、意図せざる第三者に暗証番号が出たという場合については、二十四時間三百六十五日、電話一本で止められる体制になってございますので、そういう場合は直ちに止めていただいて、その後の再発行はできるだけ迅速にできるようにということで、今いろいろ工夫をさせていただいているところでございます。

 最後に、御提案のありました生体認証でございます。

 当然、研究は必要だと考えてございますが、顔認証のように、逆に、顔写真だけじゃなくて、顔認証の方も若干現状の精度ですと別人も読み取ってしまう可能性があるとか、逆に言えば、指紋や静脈についてはかなり精度は高うございますが、今度はそうすると読み取りに専用の端末が必要になってくるということで、また使える人は限られてくるといった課題もございます。

 引き続き、そういったメリット、デメリットをよく検討しながら、何ができるかということは、将来に向けてきっちり考えていきたいというふうに思ってございます。

住吉委員 是非、将来において考えていただきたいと思います。

 最後の質問をさせていただきます。

 住民票や印鑑登録証明書等を用いた旧来の本人確認、二〇二三年四月七日に横浜市は、マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しなどの交付を受けようとした人に別人のものが発行をされ、誤交付が計十件に及んだと発表されました。原因はシステムの不具合ということですが、これについては、しっかりと再発防止に向けて対策を講じていただきたいと思います。

 しかし、そもそも、マイナンバーカードという最先端のシステムを使って住民票という古い本人確認手段を入手するというのは少し皮肉な状況であり、住民票等をマイナンバーカードに置き換えることはできないのでしょうか。

 確かに、コンビニ交付、これは私も利用させていただいておりますが、非常に便利になりましたが、令和の時代になり、根本的に見直していく必要はあるのではないでしょうか。マイナンバーカードを本人確認のツールとしてもっと広く活用すべきではないかと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

大串副大臣 もう御指摘のとおり、現在、住民票の写し等のコンビニ交付サービスを実施しておりますけれども、マイナンバー制度における情報連携であったりマイナンバーカードの本人確認機能を使って、そもそもこうした書面が必要な手続を減らしていきたいというふうには考えております。

 まず、行政手続におきましては、マイナンバーの利用によって、現在、児童手当の申請を始め、社会保障制度、税制、災害対策といった約二千五百の事務において、行政機関等の間での情報連携により、住民票の写しや課税証明書等の添付書類を省略可能としておりますけれども、本改正法案では、これら以外の行政手続におきましてもマイナンバーの利用の促進を図ることとした上で、具体的な手続といたしましては、国家資格、自動車登録、在留期間更新に関する事務等においてマイナンバーの利用を可能とすることで、これまで提出を求めていた書類の取得や添付が不要となります。

 また、民間の手続におきましても、マイナンバーの普及が進む中で、公的個人認証サービスについての事業者の関心も高まっているというふうに認識をしておりまして、デジタル庁としても、例えば不動産業界に対して、手続のオンライン化のためにマイナンバーカードの電子署名を活用いただきたいといった働きかけも行っているところであります。

 マイナンバーカードがオンラインの本人確認のインフラとして活用されるよう、今後も積極的に取組を進めてまいりたいと考えております。

住吉委員 マイナンバーカードは対面でもオンラインでも最高位の本人確認ということなので、是非、しっかりと活用していただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 前回、四月二十日には、参考人質疑におきまして、長島参考人、冨田参考人、森信参考人、太田参考人、それぞれの専門分野における知見に基づいた大変貴重なお話を伺うことができました。参考人の皆様からの御意見も踏まえて、また、国民の皆様が疑問、不安に思っている問題について明確にしていくという立場で、引き続き、十九日に続いて質問をさせていただきます。

 まず、戸籍等の記載事項への氏名の振り仮名追加について質問させていただきます。

 本改正案によりますと、氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められるものでなければならないとされております。振り仮名について直接審査を行うのは市町村でございますけれども、地域によってその審査の対応が違うという事態はできるだけ避けなければなりません。

 十九日の私の質問に対する御答弁で、松井参考人から、名のり訓の許容性の確保のところで、運用の基本的な在り方については法務省民事局長通達で内容を明らかにしていくという御答弁がございました。

 運用基準を設けられるということでございますけれども、また一方で、幅広く柔軟な対応も求められております。窓口担当者が大変苦慮する局面が想定をされます。その対応につきましては十分な配慮が必要だと考えますけれども、御見解をお伺いをいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍窓口における運用を統一するため、運用の基本的な在り方のほか、氏名の振り仮名に関する審査方法については、先ほど御紹介にありましたとおり、法務省民事局長通達等において具体的に定めることを検討しておりますが、市町村において判断に苦慮する事案については、管轄法務局に対する当該届出の受理の可否についての円滑な照会体制を整備するなど、現実に事務処理を行う市町村が対応に困らない体制を構築したいと考えております。

西岡委員 いろいろな、今お話がございましたことも含めて、対応をしっかり取っていただくことになっているというふうに思いますけれども、かなり判断する局面で苦慮されるという状況も起こってくるというふうに思いますので、きめ細やかな対応、対策を是非講じていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、本改正案に振り仮名の追加が盛り込まれておりますけれども、戸籍関連情報とマイナンバー、個人番号というものは、令和元年にひもづけられております。一方で、戸籍には大変個人的なプライバシーに関わる情報というものが記載をされておりまして、この戸籍記載情報についてどのような取扱いになっているかとの国民の皆様からの懸念の声というものも聞いておりますけれども、この情報管理について、どのような状況になっているかということについて御説明をお願いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍事務については、令和元年に戸籍法が改正されたことを受け、法務省において、新たに構築する戸籍情報連携システムを通じて、戸籍に関する情報をマイナンバーを活用して行政機関に提供する仕組みの構築を現在進めているところでございます。

 ただし、戸籍とマイナンバーを直接ひもづけることとはしておらず、行政機関に提供される戸籍に関する情報は記号や符号で構成されるため、御懸念の十二桁のマイナンバーそのものから戸籍証明書の内容が閲覧可能になるといったようなことはございません。

西岡委員 今の、しっかり閲覧ができない状況になっているということをこの場で確認をさせていただきました。

 続きまして、四月二十日の参考人質疑におきまして、連合の冨田参考人に私が質問をさせていただいた内容なんですけれども、これについて質問させていただきたいと思います。

 既に戸籍に記載されている者に係る氏名の仮名表記の収集につきましては、施行後一年以内に本籍地の市町村に、氏については戸籍の筆頭者が、名については戸籍に記載されている者が、届出をするものとされております。氏につきましては、届出が戸籍筆頭者に限定をされているために、配偶者等は届出ができないこととなります。

 除籍をされている場合以外の事情、例えば、長期入院ですとか、失踪されている場合、また、現実的に筆頭者が届けることが困難な場合に配偶者等が届けることができるということも担保する、柔軟な対応が必要ではないかと考えます。

 このことについてまず御見解をお伺いをし、また、家庭内で認識を共有した上で筆頭者が届けることとされておりますけれども、その話し合う環境にない場合、また、筆頭者と配偶者の間で氏の読み方の認識が異なっている場合など、様々なケースが想定されますけれども、このような場合、DV被害者の場合ということも当てはまりますけれども、このような様々想定される場合にどのように対応していかれる方針であるかということについて、お伺いをさせていただきます。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案においては、氏の振り仮名については、戸籍の筆頭者に届出をしていただくこととしております。これは、戸籍に記載されている方全員が共同して届出をすることとすれば大きな負担となること、戸籍に記載される氏は戸籍の筆頭者の氏であり、氏の振り仮名は、その戸籍に記載された氏の読み方であることから、その氏を従前から使用しており、読み方に最も詳しいと考えられる戸籍の筆頭者が届け出ることが適切であると考えたものでございます。

 その上で、戸籍の筆頭者が長期入院中で市町村役場に出頭することができないような場合には、郵送による届出や、代理人、使者による届出が可能でございます。また、マイナポータルを利用して届出をすることも可能とする方向でデジタル庁と調整中です。

 戸籍の筆頭者が失踪宣告を受けたという場合には、その筆頭者は除籍されますので、この法律案附則第六条第三項によって、第二順位として、配偶者による届出が可能となります。

 戸籍の筆頭者と配偶者等が話し合う環境にない場合などにおきましては、戸籍の筆頭者から配偶者等が認識しない氏の振り仮名の届出がされる余地もございますが、配偶者等は、実際に使用していたものと異なるような場合には、戸籍の記載に錯誤があるものとして、戸籍法百十三条により、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することも考えられます。

 国民への周知、広報に当たっては、まずは、氏の振り仮名について誤りがないよう、戸籍の筆頭者と同籍する配偶者が調整した上で、氏の振り仮名を届け出ることが望ましいことを周知することになりますが、様々な事情を有する国民に応じた柔軟な対応を行うよう取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 戸籍法との関係がありまして、やはり筆頭者がということで、氏は筆頭者がということになるというふうに聞いておりますけれども、様々な事情がございますので、配偶者、また子供を含めて、柔軟な対応というものも求められるというふうに思いますので、是非きめ細やかな対応をお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、先ほどからの委員会質疑の中でもあっておりますけれども、一年が経過しても届出がない場合には、読み仮名を本人に通知した上で市町村が職権で付すこととなっております。

 本人に通知をした後でということになっておりますけれども、当該本人とのやり取りを含めまして、自治体の事務負担が大変増大することが予想されます。先ほど予算措置のお話もございましたけれども、負担軽減策につきまして御説明をお願いしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍の記載事項として氏名の振り仮名を追加するに当たり、市町村においては、現に戸籍に記載されている方に対する戸籍に記載する予定の氏名の振り仮名の通知や、届出があった氏名の振り仮名に関する審査及び戸籍への記載など、一定程度の作業が発生するほか、これに対応した既存システムの改修も必要となります。

 法務省としては、振り仮名の収集について、書面による通知のほか、マイナポータルを活用することを含めるなど、市町村において極力負担が生じないように配慮するほか、既存システムの改修についても、市町村において極力負担が生じないよう配慮してまいりたいと考えているところです。

西岡委員 続きまして、これは参考人質疑の中で冨田参考人からございましたけれども、自己の氏名を正しく呼称される権利の保護を担保するためにも、最後まで国民一人一人が自分自身で申請することを政府として進めるべきではないかという意見が述べられました。

 例えば、一度文書で通知をして、返事が一年以内に来ないので、職権でということではなくて、いろいろな機会を捉えて、自ら申請するということを政府が進めていくということが必要だと思いますけれども、これについてどのように対応を取っていかれるか、御説明をお願いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 現に戸籍に記載されている方の氏名の振り仮名については、現に使用されている読み方を尊重する取扱いとする観点から、氏については戸籍の筆頭者に、名についてはそれぞれの方に届出いただくことを予定しております。

 また、一般に認められている読み方以外でも、現に使用されている氏名の読み方であれば許容するということを予定しております。

 法務省としても、現に使用している読み方の尊重の観点から、本人が自ら振り仮名の届出をすることは重要であると認識をしており、そのためには、国民の皆様の理解を得ることが必要と考えております。

 振り仮名の収集の全体像や許容される読み方のルールについても、国民に分かりやすく周知をするなど、市町村や関係府省等と連携しつつ、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 今、ちょっと詳しい御説明はございませんでしたけれども、通知をした後、一年以内にということがございますけれども、その間どのようなお取組をされていくという、もし事務的な流れというか方針が決まっておりましたら、教えていただきたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、法務省のホームページですとかパンフレットなど、必要なものを機会を捉えて周知してまいりたいと考えております。

西岡委員 しっかり周知をしていただいて、国民一人一人がなるべく申請をする環境づくりに是非努めていただきたいと思います。

 続きまして、公金受取口座の登録促進について、この特例制度の創設について質問させていただきます。

 この口座登録についても、書面が到達してから一定期間に不同意の意思を明確にしない場合については、公金受取口座の登録に同意したものとみなされるというたてつけとなっております。

 この進め方自体には問題があるというふうに私自身は思っておりますけれども、同意をしていないのに勝手に登録されたという国民の受け止めがもし発生したとすれば、制度自体への不信感にもつながることを懸念をいたしますけれども、このことについての御見解をお伺いをいたします。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の特例制度においては、対象者に対し、書留郵便等により個別に事前通知を行う旨法律に規定をするとともに、広報等を通じて前広に本制度の周知徹底を図ることを予定しておりまして、登録を行いたくない方については、不同意の回答を行う機会を確実に確保することにより、本人の登録に係る意思の確認をしっかり行うこととしております。

 さらに、不同意の回答を失念していた等により、本人が希望していないにもかかわらず口座を登録してしまった場合であっても、マイナポータルや金融機関経由で登録口座の変更や抹消はいつでも可能であり、登録完了後の本人への通知においてもその旨案内するなど、万全の対応を期してまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 この一定期間ということの期間については、具体的な期間設定はこれから決定をされるということであるのかというふうに思いますけれども、本人が十分に理解をして認識をする時間、この期間をどれぐらい想定をされているかということについて、お伺いをしたいというふうに思います。

楠政府参考人 今般の特例制度においては、事前通知に係る書面が到達した日から起算して三十日以上が経過した日までの期間としてデジタル庁令で定める期間を経過するまでの間に同意又は不同意の回答がないときには同意をしたものとして取り扱うこととしておりまして、委員御指摘のように、具体的な期間につきましては、今後、デジタル庁令において定めることを予定をしております。

 今般の特例制度について、本当に対象者御本人にしっかりと御認識いただくことが非常に重要でございまして、この具体的な期間につきましては、周知に係る期間等を踏まえまして、適切に検討してまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 周知していただく期間も含めてということが今ございましたけれども、しっかりこの時間というものを、適切な時間を確保していただくことをお願い申し上げたいと思います。

 また、これも先ほどからの委員会質疑でございましたけれども、関連いたしまして、年金機構や自治体に過度な事務負担を強いることがないということ、これも大変重要な観点だと思いますけれども、この面も含めた準備期間というものを十分確保していただくことも重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 我が国のデジタル化の遅れによりまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のときの定額給付金が大変遅れて、プッシュ型支援が大変必要であることや、命を守る、命のセーフティーネット口座ともいう議論もございましたけれども、そういう口座が必要であるということはもう明確なことだと考えております。

 そもそも、マイナンバー制度の導入の目的としては、税による所得再分配機能の強化、社会保障と税を一体で運営し、効果的、効率的な施策を推進することとされております。

 森信参考人からは、参考人質疑の中で、マイナンバーカードを持つことの利便性の向上はかなり進んできたけれども、導入の主な目的であった、所得を把握して国民生活の安心につなげる制度構築が遅れているという御指摘がありました。森信参考人からは、デジタルセーフティーネットの構築の必要性ということで述べられております。

 自然災害や新たな感染症危機、緊急事態にも備えて、デジタル社会におけるセーフティーネット構築の在り方について、河野大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 デジタルだからできるセーフティーネットというのはあるんだろうと思います。先ほどの御質問でもありました、申請主義からプッシュ型への転換というのも、これはデジタル技術があるからこそできる、そういうことになるんだろうと思います。

 デジタル庁としては、行政サービスの品質、コスト、スピード、これを根本から改めるべく、アーキテクチャーから見直す、そして必要な基盤整備を進めているところでございまして、公金受取口座の登録の推進、これは、緊急時の給付金、税金の還付、年金、手当、様々な公的給付の支給に利用することができます。また、自治体が保有する住民情報を住民向けのサービスで円滑に活用したり、マイナンバー制度に基づく行政間の情報連携を更に進めるための情報連携基盤、これを二〇二五年までに遅くとも整備をしていきたいというふうに思っております。

 委員からお話のありましたきめ細やかな給付に関しましては、これは、様々、社会保障の制度を所管する省庁において、まずは給付制度に関する検討が行われると思います。それが行われた上で、システムでそれをいかに実現するかということになろうと思いますので、デジタル庁としては、いかなる給付制度になっても、それをデジタルでしっかり対応できるような基盤整備、これをしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

西岡委員 やはりデジタル社会のセーフティーネットというのは大変重要だと思いますので、今大臣から御答弁がございましたけれども、各省庁とのしっかりした連携も含めながら、今後、しっかりセーフティーネット制度というものをデジタルの中で構築をしていただくということに御尽力をいただきたいというふうに思います。

 関連しての質問になりますけれども、給付型税額控除の導入に向けた検討状況について御質問をさせていただきます。

 マイナンバーを活用することによって、給付つき税額控除の導入が可能となります。そのときに、預貯金とのひもづけなど大変様々な課題が山積をいたしておりますけれども、国民民主党としては、日本型ベーシックインカム、また給付つき税額控除の導入が必要であり、尊厳ある生活を支える基礎的な保障というものを提案をいたしておりますけれども、現状の政府の検討状況、また、河野大臣がどのように考えておられるかという御見解をお尋ねをさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 給付つき税額控除、あるいはベーシックインカム、所得の低い方への対応としていろいろなところで提起されている制度でございます。

 デジタル庁といたしましては、どのような社会保障に関する制度が導入されることになりましても、それをしっかり支えることができる基盤をつくっていくというのが大事だというふうに考えております。

西岡委員 政府の導入状況については、今日は大臣の方からの御所見ということで承らせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、諸外国におけます共通番号制度を活用した行政手続制度を踏まえまして、デジタル社会にあって、先ほども議論があっておりましたけれども、どのような政府を目指していくのか、この将来像が私も明確に示せていないのではないかという問題意識を持っております。

 先ほど、三点、大臣からはこういう将来像だという御指摘がございましたけれども、今日お配りをいたしております、諸外国の制度についての調査ということでデジタル庁のホームページから抜粋をさせていただいておりますけれども、様々な、先行している諸外国につきましては、それぞれの国の事情もございますし、我が国独自の様々な事情もあるという中で、先般、私が同様の質問を太田参考人に質問させていただいたところ、やはり、デジタル先進国については、税、社会保障の国民所得に占める比率が大変高い、国民負担率が高いということから、データを使ったプッシュ型支援のシステムが構築されたという背景がある、また、日本においても最近国民負担率というものが変化をしておりまして、特にまた、世代間での負担率が大きく異なるためにデータ活用に対する意識が世代で大きく異なるということについての御指摘がありまして、こういうところの議論を丁寧にやっていくことが必要ではないかという御提起もいただきました。

 そういう中で、河野大臣として、例えばこういう国の制度の在り方が将来的なイメージとして日本が導入すべきなのではないかという、先ほどあった三点も含めて、今後の、大臣が考えられる在り方、政府の在り方、社会の在り方を含めた制度設計をどのように考えていくおつもりであるかということについて御見解をお伺いできればというふうに思います。

河野国務大臣 我が国の国民負担率も徐々に上昇して、北欧に近づいてきているというところはあるだろうと思います。また、高齢化率が非常に日本は高いというところを考えますと、やはり公平公正な負担と給付の関係というのは大事ですし、セーフティーネットの構築というのが非常に重要になってまいります。

 セーフティーネットをしっかりと張っていくためには、やはり、デジタル技術を使って網羅的に様々なデータを把握し、そのデータに基づいた施策の実行、EBPMというのが重要だと思います。

 重点計画を昨年六月に閣議決定をいたしましたけれども、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」というのをその中に掲げております。引き続き、それを目指すために、デジタル社会の基盤整備を急ぎながら、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル社会の実現というものの取組を強力に進めてまいりたいというふうに思っております。

西岡委員 もし御見解がいただければですけれども、諸外国の中で、こういうデジタル政府の在り方が日本にとって理想的なのではないかともし大臣が考えられることがあれば、ちょっと教えていただけたらと思います。

河野国務大臣 デジタル基盤の実装という意味では、デンマークですとかエストニアといった国が非常に進んでいると思います。また、シンガポールでは、デジタル技術を使ってスマホ一つでいろいろなサービスを簡単に享受することができるというのを、私も実際に見てまいりました。また、インドでは、中国をしのいで最大の人口になりましたけれども、十数億の方に本当にデジタルの恩恵が行き渡り始めている、そのスピード感というものも非常にすごいものがあるなと思いましたので、そういうデジタルの技術をいかに進めていくかという中では、そうした国々を参考にしながら我が国もやっていかなければいけないかなと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 我が国もスマホ搭載というものが始まりますので、大きく利便性が向上するというふうに思っておりますし、スマホについては高齢者の方も大変受け入れやすいという面があるというふうに思いますので、またしっかり、様々、諸外国の制度のいい面を取り入れながら、日本独自の、日本に根差した、日本社会にマッチをした制度設計を是非お願いをしたいというふうに思います。

 一点、太田参考人からの質疑の中のお言葉の中で、お上に任せるのではなくて、国民がそこに参加をすることが重要だという御指摘がございました。大変私はここは重要な視点だというふうに思います。国民が一緒になって参加できる、そういう体制が必要だというふうに考えております。

 それでは、次の質問に移ります。

 マイナンバーカードの普及促進に向けましては、今後、国民の利便性を高めるために、各自治体においてもマイナンバーカードの利活用の拡大に積極的に取り組んでいくことが重要でございます。民間での活用ということも、先ほど大臣からも御見解がございましたけれども、これも大変重要でございますけれども、一番身近な住民サービスを担っている自治体において積極的な取組が進むことが大変重要だと思います。先般、総務省も通達を発出をいたしまして、積極的な活用というものを呼びかけたところでございます。

 その中で、デジタル庁、総務省の連携、しっかりもう既に連携しながら進んでいただいているというふうに思いますけれども、今後、連携をしっかり強めながら、どのように対応していかれるかということについてお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 交付事務を担当していただいている総務省さんとは常日頃連携を取っておりまして、多くの事務は自治体事務でございます。日がなよく御指導を総務省ともいただきながら、しっかりと密に連携をして進めてまいりたい、このように考えてございます。

西岡委員 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫です。

 私は、立憲民主・無所属を代表し、デジタルファシズムを思わせるような行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。

 今回の法案は、大きく六項目の束ね法案となっています。

 マイナンバーやマイナンバーカードの利用の拡大により、利便性が向上し、プッシュ型支援につながること、在外公館でカードの交付などが可能になり、郵便局で受付できるようにすることには賛成です。

 しかし、法案に反対する最大の理由は、健康保険証の廃止です。立憲民主党は、希望者がマイナンバーカードに保険証を登録することに反対するものではありませんが、カードの取得促進のための廃止は強引過ぎます。

 カード取得自体は申請主義で任意でありながら、国民皆保険の下での健康保険証を一方的に廃止をし、不利益を生じさせることは認められません。資格確認書も申請に基づくものであり、国民皆保険に漏れが生じかねません。漏れが生じます。そもそも、資格確認書が今後どうなるかもはっきりしていない見切り発車です。

 高齢者施設では、カードの暗証番号の管理が大変だとの声が上がり、過疎地や中山間地では、オンライン資格確認等システムへの対応が難しいことから病院を閉じる、閉院となるなど、医療アクセスが困難になる可能性があります。大であります。

 国民皆保険の下、誰もが必要なときに必要な医療が受けられる体制を堅持するため、健康保険証を存続させるべきであります。

 もちろん、マイナンバーの利用範囲及び情報連携の拡大に当たっては、国民に対して丁寧に説明し、十分な理解を得る必要があります。その時間が足りておりません。

 法定事務に準ずる事務におけるマイナンバーの利用及び利用事務に係る情報連携について、その実施状況を定期的に国会に報告するべきであります。

 公金受取口座の登録促進について、一定期間内に返事をしない場合に登録に同意したものとしてしまうのは余りにも強引であり、十分な周知の上、国民の理解を得ることが必要であります。これもおかしな話です。

 政府が行うべきは、強引な政策誘導ではなく、政府への信頼を高め、利便性の向上を図るとともに、個人情報の漏えい防止や安全性の向上に努め、国民のマイナンバー制度やカードに関する不安や懸念を払拭し、丁寧な説明と国民的議論を行うことです。

 最後に、立憲民主党は、今後も、国民のための行政と社会のデジタル化を推進する政党として、少なくともデジタルファシズムにはならずに、個人情報保護とセキュリティーを十分に確保し、行政の監視や統制の手段ではなく、国民の利便性の向上に資するデジタル化を目指していくことを表明し、反対討論を終わります。

 以上です。(拍手)

橋本委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 日本維新の会の住吉寛紀です。

 私は、会派を代表して、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論をいたします。

 日本維新の会は、かねてより政策提言において、マイナンバー法を改正して使途を拡大し、マイナンバーのフル活用を推進することや、マイナンバーと全ての銀行口座のひもづけを義務化するとともに、戸籍から不動産登記、外国人在留管理までをひもづけし、ワンストップサービスの拡張、有事の際の給付金の速やかな支給など、透明で公平公正、迅速な行政施策の実施の実現を訴えてまいりました。

 一方、政府のマイナンバーの利用促進の進め方は慎重であり、多くのコストをかけてマイナンバーカードを普及させてきたことも勘案して、マイナンバーをより幅広く活用することを強く求めるものであります。

 本法律案は、マイナンバーカードについての国民の利便性向上等の観点から、マイナンバーの利用範囲の拡大や、マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、マイナンバーカードの普及、利用促進及び公金受取口座の登録促進等の内容です。

 進むべき方向は我が党の主張と一致しており反対ではありませんが、今後もより一層のスピード感を持って取り組んでもらうよう強く要望いたします。

 また、後ほど説明される附帯決議につきましては、公金受取口座の利用目的や拡大等を行わない等のマイナンバーの利用促進を妨げる条項もあり、マイナンバーのフル活用を求める我が党としては賛同できません。

 以上より、本法律案に対し賛成、附帯決議に対し反対することを申し述べまして、私の討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

橋本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、マイナンバー法等改正案について、反対の討論を行います。

 連日、多くの方々が、健康保険証廃止やめよと反対の声を上げています。資格を有することを示す保険証を被保険者に届けることは、国、保険者の責務です。マイナ保険証も本案の資格確認書も、本人からの申請に応じた交付です。保険証を廃止して申請交付とすることは、国、保険者の責任放棄であり、国民皆保険制度を揺るがすものです。認められません。

 そもそも、マイナンバーカードの取得は義務ではありません。保険証を人質に、マイナンバーカードの取得、利用を強要することは許されません。

 参考人質疑で、唐突な政府方針の発表が大きな混乱になったと指摘されました。施設の子供や高齢者の暗証番号の設定、顔写真の問題なども残っています。医療関係者らの危惧を無視して、マイナ保険証利用を強引に進めることは、あってはなりません。

 マイナ保険証利用の押しつけ、保険証の廃止は撤回すべきです。

 そもそも、マイナンバー制度は、プライバシー侵害のリスクが避けられないものです。それゆえ、現行制度は、社会保障、税、災害対策の三分野に限定して使用し、利用する事務、情報連携も法律で規定し、マイナンバーを含む個人情報の収集、保管は、本人同意があっても禁止としています。これを三分野に限定せず、全ての行政分野においてマイナンバー利用を推進し、さらに、法定事務に準ずる事務や条例で措置した自治体事務は法定することなく利用できるとしています。また、マイナンバーの情報連携は、法定から外して、国会審議もなしに拡大できるようにしています。

 現行制度で厳格な縛りを設けたのは、国民総背番号制導入やプライバシー侵害に対して国民の批判があったためです。国民の不安は今なお続いていますが、政府はこれに応えようとしていません。マイナンバー制度の仕組みを大きく変え、プライバシー侵害の危険性を一層高めるものであり、認められません。

 また、マイナンバーカード普及のために、直接交付の原則など、安全確保策を後退させています。本末転倒です。

 さらに、年金受給口座を手始めに、本人から不同意の回答がなければ自動的にマイナンバーとひもづける特例を盛り込んでいます。このようなやり方では、制度に対する国民の不信は一層高まります。

 最後に、デジタル化の推進のために盛り込んだ、戸籍等の氏名の振り仮名の問題です。

 氏名は個人の人格を象徴するものであり、その読み方は尊重されなければなりません。法案により、今後、生まれてくる子の名は、行政が一般的な読み方であるかどうか審査を行うことになります。命名権の侵害に当たりかねず、認められません。

 以上、マイナンバー制度は廃止すべきだと申し述べ、討論を終わります。(拍手)

橋本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、今枝宗一郎君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堤かなめ君。

堤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 マイナンバーの利用範囲及び情報連携の拡大に当たっては、マイナンバー制度に対する国民の不安の払拭に努めるとともに、拡大の必要性について国民に対して丁寧に説明し、十分な理解を得ること。

 二 法定事務に準ずる事務におけるマイナンバーの利用及び利用事務に係る情報連携については、本法によって法律改正が今後不要となることに鑑み、国民に広く公開するとともに、その監視・監督状況を定期的に国会に報告すること。

 三 マイナンバーカードの取得が任意であることに鑑み、マイナンバーカードの取得を強制しないこと。また、マイナンバーカードを取得していない者に対する不当な差別的取扱いは行わないようにすること。

 四 マイナンバーカードの利便性の向上を図るとともに、個人情報の漏えい、システム障害の防止及びセキュリティの向上に万全を期すこと。また、マイナンバーカードを取得する際の厳格な本人確認を徹底すること。

 五 健康保険証の廃止に伴い、資格確認書の申請漏れ等により現物給付による保険診療を受けることができない者が生じないよう、保険者が資格確認書を速やかに交付するなど、全ての被保険者が確実に保険診療を受けることができるための措置を講ずること。

 六 オンライン資格確認等システムの医療機関等における整備を速やかに完了させるため、必要な措置を講ずること。また、電子証明書の有効期限切れに伴って医療機関等での利用に支障が生じないよう、対応について速やかに検討を行い、必要な措置を講ずること。

 七 マイナンバーカードの券面記載事項については、性別を削除するなど、性の多様性や人権に配慮するよう検討すること。

 八 マイナンバーカードの交付日数の更なる短縮を図るため、必要な措置を講ずること。また、マイナンバーカードの紛失・盗難時における速やかな再発行が可能となるよう、発行体制の在り方について検討すること。

 九 地方公共団体が指定した郵便局におけるマイナンバーカードの交付の申請の受付等を開始するに当たっては、過疎地の郵便局における負担の軽減に努めるとともに、必要な支援を行うこと。

 十 戸籍等の記載事項へ氏名の振り仮名を追加するに当たっては、本法の趣旨や振り仮名の届出等に関して、届出等に係る国民や地方公共団体の負担の軽減を図るため、国民へ丁寧な説明を行うとともに、地方公共団体の業務の支援策を講ずること。また、高齢者や障害者等、届出等が困難な層に対しては、十分に配慮すること。

 十一 戸籍等の記載事項へ氏名の振り仮名を追加するに当たっては、本人が現に使用している振り仮名とは異なる振り仮名が記載されることのないよう配慮するとともに、「戸籍法等の改正に関する要綱」において「幅広い名乗り訓等を許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用とする」とされたことに鑑み、今後新しく生まれる名乗り訓の許容範囲を幅広く担保すること。

 十二 公金受取口座の登録の通知に際しては、登録の趣旨等を国民に広く周知するとともに、通知から回答に要する十分な期間を確保すること。なお、本法に基づき登録された口座の利用目的の拡大や流用は厳に行わないこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

橋本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河野デジタル大臣。

河野国務大臣 ただいまの御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.