衆議院

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第14号 令和5年6月8日(木曜日)

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令和五年六月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 英之君 理事 谷川 弥一君

   理事 坂本祐之輔君 理事 湯原 俊二君

   理事 中司  宏君 理事 中川 宏昌君

      井原  巧君    石田 真敏君

      今村 雅弘君    大野敬太郎君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      鈴木 隼人君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中曽根康隆君    古川 直季君

      牧島かれん君    宮路 拓馬君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      井坂 信彦君    末次 精一君

      堤 かなめ君    福田 昭夫君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      住吉 寛紀君    堀場 幸子君

      輿水 恵一君    鰐淵 洋子君

      西岡 秀子君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     岡田 直樹君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府地方分権改革推進室長)          加藤 主税君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 滝澤 幹滋君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           布施田英生君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           岡田 輝彦君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 的井 宏樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       鈴木 敏之君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     古川 直季君

  末次 精一君     井坂 信彦君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     鈴木 隼人君

  井坂 信彦君     末次 精一君

    ―――――――――――――

六月五日

 健康保険証を廃止しないことに関する請願(岡本あき子君紹介)(第一四四三号)

 同(篠原豪君紹介)(第一四四四号)

 同(山崎誠君紹介)(第一四四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六一四号)

同月七日

 健康保険証を廃止しないことに関する請願(吉田統彦君紹介)(第一七七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四四号)(参議院送付)

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件

 令和五年三月予備費使用に係る低所得者世帯給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・内閣府地方分権改革推進室長加藤主税君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、内閣府大臣官房審議官滝澤幹滋君、内閣府地方創生推進室次長布施田英生君、内閣府地方創生推進室次長岡田輝彦君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官村上敬亮君、総務省大臣官房審議官的井宏樹君、総務省大臣官房審議官鈴木清君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官鈴木敏之君、スポーツ庁審議官星野芳隆君及び国土交通省大臣官房審議官楠田幹人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺孝一君。

渡辺(孝)委員 おはようございます。

 国会も終盤に近づくにつれて、大臣も大変お忙しいのではないかと思います。

 今日は、理事の先生方に、この質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 もう二か月ぐらい前からこの質問が当たっていたものですから、何回も何回も質問を書き直しては変え、変えと、まとまった質問ができるかどうか、ちょっと心配ですけれども、是非、政府参考人の皆さんにはいい答弁をしていただきたいなというふうに思います。

 さて、地方分権一括法、本当に地域の方は期待しております。今般の第十三次に至るまで、いろいろな要望、要求があったかと思います。是非、総括とは言いませんけれども、総じてどんな要望が寄せられていたのかというのをお話をいただき、今般は七つの法案に絞られておりますけれども、このことにつきましても、どのようにしてこの七つに絞ったのかというところも、ちょっとお聞きしたいなと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方の具体の意見を基に制度改正を行う仕組みであります提案募集方式におきまして、平成二十六年の導入以来、地方創生でございますとか医療、福祉、子供、子育て支援関連を始めといたしまして、地方の現場における様々な分野につきまして提案が寄せられております。

 この提案募集方式におきましては、平成二十六年から令和四年までの九年間で、地方から三千件を超える提案、先ほどのような内容でございますが、いただいているところでございます。

 昨年、令和四年に限りますと二百九十一件の提案をいただいておりまして、関係府省と調整を重ねまして、一括法による法律改正が必要となったもの八件でございますが、これに、令和三年からのフォローアップ案件となったもののうち、法律改正を措置すべきとの結論を得ました一件を加えまして都合九件、法律事項としては七事項につきまして取りまとめて、今般、法案を提出したものでございます。

 今後とも、こうした地方の現場の声を踏まえながら、地方分権改革に資する法律改正に取り組んでまいります。

渡辺(孝)委員 どうも御苦労さまでございます。

 今回の統一地方選挙で、私の選挙区の管轄で三十二の市町村がございますので、全部は回っていませんけれども、各地を回って、当然、市町村長さんたちにもお会いする機会も多うございました。

 それで、この地方分権一括法の話もちょっと話題にしながらお話ししていますと、五、六千人のちっちゃな町の町長さんがいみじくも言っておりましたけれども、千七百四十一分の一という小さな声かもしれないけれども、我々の小さな声もしっかり酌み取っていただけるということは大変ありがたいと。それがいわゆる法案に生かされるかどうかは別としても、第五次から手挙げ方式ということで、地方の声を聞いていただけるという形を非常に喜んでおりました。

 そこで、この一括法がいつまで堅持していくのかとか続いていくのかということにつきまして問われて、済みません、答えられなかったものですから、ちょっと見解をお聞かせいただければありがたいなと。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 地方分権一括法は、御承知のとおり、当初、地方分権改革推進委員会からの勧告に基づいて、国主導による集中的な取組ということで、権限移譲や義務づけ、枠づけの見直しなどを推進し、延べ三百六十七本の法律改正を行ってまいりました。

 また、平成二十六年以降は、地方の発意に根差した取組として、自治体からの提案に基づき制度改正を行う提案募集方式を導入しており、延べ百三本の法律改正を行ってまいりました。

 毎年、二百件から三百件に上る多くの提案を自治体からいただいております。令和四年までに提案を行ったことのある自治体の数は、それでも全体の四一%、七百三十五ということでありまして、都道府県単位では全ての自治体に提案をいただいているわけでありますが、町村単位では全体の二八%にとどまっているのが現状であります。

 先ほど、人口五千人あるいは六千人の町のお話も伺いましたが、特に住民に近い市町村の行政の現場では、まだまだ提案に至っていない課題が埋もれている可能性もあると考えております。

 こうしたお声をいただいて、内閣府では、自治体を対象とした研修会を実施するなど、より多くの自治体から御提案をいただけるように努めておりまして、引き続き、この提案募集方式と、それに続く法改正を含む制度改正に取り組み、住民サービスの向上と地方の負担軽減に努めてまいりたいと存じます。そうした地域のお声に本当に耳を傾けてまいりたい、これからも続けたいと考えております。

渡辺(孝)委員 大臣、どうもありがとうございます。

 やはり、地方にとってみれば、本当に救いの一手になっております。というのも、平成のたしか十五年ぐらいからですか、道州制や合併の議論が盛んになりまして、いわゆる行革というのが、行政の間でも大いにムードが盛り上がりました。

 ただ、行革というと、職員の数を減らすというふうに見がちな市町村長さんが非常に多かったような気がします。業務は、数は同じだ、そんな中で、果たして人材がしっかりと育成できるのか、あるいは行政サービスが本当に住民の方々の末端まで届けられるのか、そんな心配をよそに、とにかく、この行革をするに当たっては、国からしっかりと権限をいただき、市町村で判断できるような環境づくりを進めなきゃいけないというのが、あのときの何か話の主流だったような気がしております。

 ですから、第五次から、地方の声を聞いて、手挙げ方式で、その中から選定していただけるということは、今後も、いわゆる合理化や簡素化を主体にと言ったらおかしいでしょうけれども、どんな要望が出るか分かりませんけれども、そういう方向性でいくという形で考えていてよろしいんでしょうかね。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方から、そうした現場の実情を踏まえた提案が出てくるというふうな中、その中で、業務負担の合理化でございますとか、住民サービスの向上を目指してというふうなことで出てまいりますので、そうした提案は引き続き受けられるようにいたしまして、その地方の御意見、提案を踏まえた上で、各府省と調整の上、所要の見直しを進めてまいりたい、これは引き続き堅持してまいりたいと考えております。

渡辺(孝)委員 この基調が、ある程度は続くというふうに推測はしておりますけれども、ただ、大臣からも答弁がありましたように、毎年二百、三百だという、六団体ですか、含めて要請がある。その中で、今回も七本ということで、多分、審査する上で、あるいは決定する上では苦渋の選択なんというのもあったのかなというふうに思います。

 私が言いたいのは、今後、国の動きの中で、DXやGX、あるいは少子化対策、地方に行けば高齢化率がどんどん上がるものですから高齢者対策、まあまあまあ、数限りないぐらい問題があります。やはり、その問題を解決すべく市町村で努力はしますけれども、総じて首長さんたちの言うせりふは、人材が非常に足りないということを言われております。

 そういう意味では、この地方分権改革、どんどん推進させて、そして市町村が独自で判断して、独自で行動できるような形というのを国としてつくっていく、あるいは許可していくような形にしていかないと、市町村は、常に国や、そこに県が入りますけれども、国や県の顔色をうかがっていろいろ行政を進めるのではなくて、市町村が主体的に更に動けるように、来年の十四次には百本認めろとは言いません、是非、こつこつと積み上げるようにして、この改革を進めていただけることをよろしくお願いして、私も地元に帰ると、そのことを国はしっかり考えてくれているよということを、三十二人の市町村長さんにお伝えしたいなというふうに思っております。

 済みません、ちょっと時間の関係上、三番と五番は飛ばさせていただきまして、最後の質問にいたしますけれども、今回、七法案のいわゆる改正におきまして、交通安全計画及び実施計画につきまして、できる規定に変更するということで、実情を聞きますと、これは毎年毎年交通安全計画を立てるということになりますと、担当の者は、計画を作ることだけに、何かこう全身全霊、力を入れて、実際の交通安全の啓蒙運動や地域の交通安全に関して警察任せ、あるいは交通指導員任せというのが結構見られるのかなというふうにも思います。

 ただ、今度、できる規定にしたことによって、その地域地域の交通安全に対して何か支障とかいうのは出るんじゃないかという、選考の際にそういう話はなかったんでしょうかね。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 交通安全対策基本法においては、第四条で、「地方公共団体は、住民の生命、身体及び財産を保護するため、その区域における交通の安全に関し、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該区域の実情に応じた施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」と定められておりまして、市町村においてもその責を全うすべく、交通安全対策を推進しているところです。例えば、春、秋の全国交通安全運動では市町村も主催の一員として積極的に従事しておりますが、こうした活動も責務遂行の一環と受け止めることができます。

 今回の改正は、都道府県の計画と重なるところの多い市町村の計画について、その作成に係る労力を現場の施策の実施に振り向けたいなどの市町村の意見を踏まえたものであり、努力義務規定をできる規定に改正することにより、それぞれの市町村において、交通環境や交通事故情勢、関連する都道府県の計画、事務負担、体制等を総合的に勘案した上で、その作成の要否につき、地域の実情に応じた判断が一層可能となるものと考えております。

 今回の改正法が成立した場合には、市町村に対して、計画策定の要否にかかわらず、交通安全対策基本法四条に定める責務に変更はないこと、引き続き、都道府県や他の市町村、関係機関等と緊密に連携して交通安全対策に当たることなどについて、注意喚起を図ってまいります。

渡辺(孝)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、地方に行きますと、もう九十歳を過ぎても車の運転をして、それがなければ生活圏の中で生活ができないという状況でもございます。是非、この交通安全には国を挙げて、市町村とも協力して、しっかり生命財産を守っていただくことを心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

橋本委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 地方分権一括法につきまして、通告に従い、お伺いしてまいります。よろしくお願いいたします。

 先月五日に石川県能登地方を震源といたしまして、珠洲市で震度六強の地震が発生いたしました。政府におきましては御尽力をいただきまして、激甚指定の見込みを出していただきまして、現在、閣議決定に向け、作業を進めていただいているところでございます。

 今回の法改正で災害対策基本法の一部が改正をされ、罹災証明書の交付につきまして、地方公共団体が固定資産課税台帳等の情報を内部利用することを可能とする措置を講ずるとしております。

 罹災証明書の交付ですけれども、災害規模によりますが、遅くとも一か月程度で開始されると言われております。罹災証明書交付の手続として被災認定調査が行われるわけですが、この調査が地方公共団体としては非常に手間がかかる作業となっております。

 今回、地方公共団体が固定資産課税台帳等の情報を内部利用することが可能となるわけですが、この点につきましては、本来、早く講ずべき措置だったと思いますが、個人情報を取り扱いますので、慎重な対応も求められます。

 そこで、地方公共団体として、どのセクションやレベルの担当がどの情報を共有すると想定しているのか、また、今回の法改正により、罹災証明書の交付においての利点について、お伺いをしたいと思います。

五味政府参考人 罹災証明書は、災害対策基本法第九十条の二に基づいて発行されるものでございますが、被災者支援の判断材料として活用されていることから早期の発行が重要であり、その前提となる被害認定調査についても迅速に行う必要がございます。

 今回の改正によりまして、自治体の被害認定調査を担当する部局の職員が固定資産課税台帳等の情報であります住家の木造や鉄骨造などの構造や図面といった情報を利用することが可能となります。なお、自治体の職員には、地方公務員法第三十四条による守秘義務が課せられておりますので、被害認定調査における情報の取扱いは適切に行われるものと考えております。

 この度の改正によりまして、被害認定調査において、あらかじめ住家の構造に応じた調査票の準備が可能となること、現地で実際の寸法を測ることなく住家の図面の作成が可能となることなど、調査の迅速化、効率化を図ることができるものと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 調査の迅速化が図られる利点があるということでございます。

 この罹災証明書の交付をより早くする手段の一つといたしまして、民間との連携が議論をされております。ある民間会社の損害保険では、調査から支払いまで最短三日で完了するとのことですが、この民間会社のサービスは既に全国四十五市町村で導入されておりまして、自治体によっては損害保険経由で直接手続ができるようであります。

 ただ、これは水害だけの話でありまして、地震や暴風などは自治体と損害保険会社の被害認定方法が違うので、導入には課題があるということであります。

 政府といたしまして、このような動きが出てきている中で、罹災証明書の交付を早くする一つの手段といたしまして、地方自治体による調査と損害保険協会による調査との連携を推し進めていただきたいと思いますが、この点につきましてお伺いをしたいと思います。

五味政府参考人 被害認定調査におきまして官民連携を推し進めるべきとの御指摘でございますが、地震保険の損害認定基準につきましては、迅速な保険金支払いを実現する必要があることから、公的支援の要件となる罹災証明書の認定基準に比べまして、簡素化されたものとなっております。そうした中で情報共有を行った場合、保険金支払いの迅速性等に影響を及ぼす可能性があるなどの課題があるものと認識しております。

 一方、水害の分野におきましては、浸水の深さなど被害認定調査に有効活用できる保険会社の調査情報の提供がなされている例があることから、内閣府におきましては、昨年度、被害認定調査における民間企業の協力事例などについて調査を行いました。民間企業が調査した浸水の深さなどの情報を自治体に提供し、被害認定調査の参考とする事例ですとか、民間企業がドローン画像等を自治体に提供し、被害エリアの把握、調査計画の策定等に役立てる事例などを把握したところでございます。

 今後、こうした取組事例につきまして、被害認定業務に関する手引に掲載するなど、自治体に情報提供を行うことによりまして、被害認定調査の迅速化に取り組んでまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 地震につきましては課題がありますが、水害については有効であるというお話でございましたので、今、手引というお話もございましたが、より連携を深めていただきながらお願いしたいと思います。

 災害の視点で関連をいたしまして、今回の法改正とは少し離れますが、地方分権の観点から、今後の災害対策におきまして新たな進展がございました。

 私が石川県能登地方の地震の発生の翌日に珠洲市に駆けつけたところ、住宅が想像以上にダメージを受けており、多くの家屋で屋根瓦が剥がれたりしておりました。この応急措置といたしましてブルーシートをかけるわけですが、ブルーシート自体は無償で配給をされますけれども、かける作業につきましては、基本的に個人で行わなければなりません。これは災害ボランティアに御協力いただきたいところでございますけれども、技術が必要であり、技能を持ったボランティアでないと危険が多いので行えないという、こういった現状があります。

 今回、私は災害対策特別委員会で質問をさせていただきましたが、先日、政府の中央防災会議で、国や自治体による災害対応の基礎となる防災計画を修正して、被害者支援のボランティア活動を調整します災害中間支援組織につきまして、都道府県が育成に努めるように新たに明記をされまして、ボランティア活動の円滑化が図られるようになりました。

 災害中間支援組織は、まだ二十八県にこの組織がないということでありますけれども、この取組状況についてお伺いをしたいと思います。

五味政府参考人 委員御指摘のとおり、ブルーシートの展張作業には専門的な技能が必要となります。このため、今回の被災地でも、全国域の災害中間支援組織である全国災害ボランティア支援団体ネットワーク、JVOADが調査に入るとともに、様々な専門ボランティア団体に被災地で活動していただいているところでございます。

 被災地におきましては、被災者のニーズに合致したボランティア支援が円滑、効果的に実施されることが重要でございます。このため、内閣府といたしましては、NPO、ボランティア等の活動支援や活動調整を行う災害中間支援組織の設置、機能強化に平時から努めているところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、五月三十日に中央防災会議において修正決定されました防災基本計画におきましても、都道府県による災害中間支援組織の育成・強化、関係者の役割分担の明確化などについて、具体的に明記したところでございます。

 さらに、内閣府では、都道府県における災害中間支援組織の設置等を推進するために、今年度から新たに、これらの体制整備に向けたモデル事業を開始するなど、都道府県に対する支援に努めているところでございます。

 内閣府といたしましては、こうした取組を通じまして、全国において災害中間支援組織の設置等が促進されるよう支援を図るとともに、被災者支援の強化に努めてまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 ここのところ災害が頻発しておりますけれども、改めまして被災地にも行って、災害中間支援組織の必要性があると思いますので、特に、まだ設置していないところにつきましては、是非、国として支援をしていくようにお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 先ほど触れさせていただいたブルーシート張りでございますけれども、ボランティアがいない場合は、高齢世帯などは業者にお願いすることになります。これも先日、災害特で、何とかブルーシートを張るところまで自治体などでやってもらえないか、このような質問をさせていただきましたけれども、答弁におきましては、ブルーシートを張る作業においては、本年度から、建設作業団体等の施工費用につきまして、災害救助法の国庫負担の対象になるよう検討していく、こういうありがたいお話をいただきました。

 特に地方では、高齢化が進みまして、人手不足も深刻な状態でありますので、ブルーシート張りは大きな課題となっております。改めて、このブルーシートを張る費用を災害救助法の国庫負担の対象とするとした取組状況についてもお伺いしたいと思います。

五味政府参考人 近年、地震や台風等によりまして、多くの住家で屋根や外壁等が損傷し、その後の降雨による浸水被害により住家の被害が拡大したり、高齢者等が屋根で作業中に過って転落するなどのケースが起こってきていることから、ブルーシートの展張を救助として実施する必要性が高まっていると認識しております。

 このため、本年度から、住宅の応急修理の一類型として、雨漏り等による住家の被害の拡大を防止するため、ブルーシート等の必要な資材費及び建設業者団体等による施工費用につきまして、災害救助法の国庫負担の対象となるよう検討をしております。

 現在、パブリックコメントを実施しているところでございまして、速やかに実現を図ってまいりたいと考えております。

 引き続き、被災の現状、地域の声をしっかりと受け止めまして、適切な支援の実施によりまして、被災された方々が一日でも早く元の生活を取り戻せるように取り組んでまいります。

中川(宏)委員 前向きなお取組に感謝を申し上げたいと思います。

 ここで、大事なことですけれども、被災地で悪徳業者が横行していると伺っておりまして、この点につきまして国と地方自治体で注意喚起をまずしっかりしていただくということ、そしてもう一つ、今回新たな制度を設けていただけるということで、大変地方自治体にとってはありがたい制度でございまして、感謝を申し上げたいと思います。その上で、この制度を、決まりましたら、より周知をしていただいて、自治体に安心感を持っていただきたいと思いますので、その点につきましても、併せてよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、空き家の問題でございますけれども、空き家の問題がクローズアップされてきたのが二〇一〇年ぐらいからだと思います。

 公明党といたしまして、地方議員との連携の中で、空き家が増加をし、空き家の倒壊や崩壊、放火による火災、ごみの不法投棄、治安の悪化や景観の悪化などの懸念があるとの声を聞きまして、二〇一三年に党内に空き家対策プロジェクトチームを設置し、以後、一貫して空き家対策に取り組んでまいりました。

 今回、戸籍法改正では、管理不全の危険な空き家への対応に向けまして、所有者特定のために、来年度末に稼働予定の戸籍情報連携システムを利用した情報取得が可能となります。

 そこで、空き家対策におきましてこのシステムを最大限利用するよう、地方団体等、しっかり周知していただきたいと思いますが、更なる空き家対策の推進という観点から、このシステムの利用ができるようになった場合にどのような利点があるのか、お伺いをしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年の戸籍法改正により、本年度末から、本籍地以外の市町村においても戸籍証明書の交付を可能とする、いわゆる広域交付が実施される予定です。もっとも、その請求権者は戸籍に記載されている者などに限られており、いわゆる公用請求について、広域交付の対象とすることは予定されておりませんでした。

 本改正法案は、令和三年地方分権改革に関する提案募集において、管理不全空き家の所有者を円滑に特定できるよう、公用請求においても戸籍情報連携システムを利用して広域交付を可能とすることを求める提案があったことを踏まえ、市町村内のある部署が当該市町村の戸籍窓口に請求する場合に限り、公用請求を広域交付の対象とするよう、広域交付の請求権者の範囲の見直しを行ったものでございます。

 改正法の施行に当たりましては、法務省民事局長通達や事務連絡などによって、管轄の法務局を通じて市町村に対し、このような改正の趣旨を含めて、改正内容の周知をしっかりと行ってまいります。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 管理不全の空き家では所有者が不明の場合も多く、市町村が空き家対策をするためには、まずは空き家の所有者を探索することが必要になります。現状におきましては、市町村が空き家の所有者を特定するために戸籍情報を確認しようとする場合、所有者の本籍地の市町村に対しまして、郵送により公用請求のやり取りを行う必要がございまして、時間と手間を要しているところでございます。

 本法案によりまして、戸籍情報連携システムを活用して公用請求を行うことが可能となりますれば、市町村の空き家部局は、同じ市町村内の戸籍部局とのやり取りにおいて戸籍情報を確認できるようになりますので、所有者の特定作業の迅速化と手間の軽減が図られ、市町村による対応が迅速化、円滑化することが期待をされているところでございます。

 このため、国土交通省といたしましても、法務省と連携をいたしまして、本システムを積極的に活用した空き家対策の推進について、市町村の空き家部局にしっかりと周知をしてまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 あと一問、残ってしまったんですが、時間となりましたので、終わりにします。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 質問の順番が通告と変わってしまい、誠に申し訳ございませんが、まず最初に、児童虐待防止法の改正について質問させていただきます。

 ジャニーズ事務所における性被害問題を受け、私たち立憲民主党は、先月二十六日に、衆議院に児童虐待防止法の一部を改正する法案を提出いたしました。この法改正の内容は、現行法では児童虐待の行為主体が保護者に限定されているために、第三者による地位利用児童虐待を新たに追加し、第三者による地位利用児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者に警察への通報を義務づけるというものであります。

 一方で、先週の金曜日に公明党が政府に提言をされたとのことですが、その際のテレビ朝日のネット上のニュースに、提言を受けた松野官房長官は、現行法で対処できるとの認識を示したとありました。しかし、その後の官房長官記者会見で、記者からの、現行法で対処できると発言されたのかという質問に対し、松野官房長官は、特定の事案に限定した発言はしていないと回答しています。

 ここでお伺いいたしますが、現行法上は保護者以外の第三者からの児童虐待には対処できないということでよろしいのでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 児童虐待防止法は、本来、子供を監護する立場にある保護者からの虐待を防ぐとともに、親子に対する適切な支援を図る観点から、保護者による虐待行為に関する措置を規定しているものでございまして、保護者以外の者からの性加害、暴行等は対象としておりません。

坂本(祐)委員 現在の児童虐待防止法では第三者からの児童虐待には対処できないということでございますので、やはり法改正は必要であると考えます。

 政府は、法改正ではなく、関係府省庁会議を新設して対策を協議するとの報道がありましたが、性被害を受けたと訴えるジャニーズ事務所の元所属タレントの方々も今国会での児童虐待防止法の改正を強く求めており、今週の月曜日には、児童虐待防止法の改正を求める、およそ四万人分の署名を与野党各党に提出をしています。社会的影響が大きいにもかかわらず、勇気を持って名前を出して訴えています。彼らの思いに応え、子供たちを虐待から守るためにも、今国会、会期も残り僅かでございますが、児童虐待防止法の改正について、各党の御協力を心からお願いを申し上げます。

 それでは、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして質問いたします。

 まず、指定都市等における認定こども園の認定又は認可に係る都道府県への事前協議の事前通知への見直しについてですが、一部の県からは、少子化に伴う施設数の過剰が想定されるなど、施設の適正配置には県としても慎重な判断が必要であり、認定、認可前に指定都市等と協議等を行う必要があるとの意見も示されているとのことであります。

 政府としましては地方からの提案に基づいて見直しを行うとしていることは分かりますが、一くくりに地方といっても、地域の実情はそれぞれ異なります。政府としましては、事務負担が軽減されるからと、国が事前協議を事前通知に見直すのではなく、各都道府県に、事前協議でも事前通知でも、それぞれの実情に応じて決めてもらう仕組みにするべきではないでしょうか。それこそが地方分権であると考えますが、いかがでしょうか。政府の御見解を伺います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような御意見も検討過程でいただいておったところでございますけれども、指定都市等による市町村計画の策定、変更の際の都道府県との協議により、マクロでの需給の調整は基本的にはなされておりまして、近年の運用状況を見ても、都道府県から指定都市等に対して、広域調整の観点からの認定、認可に関する意見は出されていないことも踏まえまして、都道府県への事前協議を廃止することといたしました。

 地方分権改革に関する提案募集について、地方からの提案の最大限の実現を図る観点から改正内容を決定したところでありますので、御理解をいただきたいと思いますが、引き続き、地域の実情をしっかりと見てまいりまして、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

坂本(祐)委員 認定こども園の指定都市等以外の市町村への権限移譲については、全国知事会から、「指定都市及び中核市以外の市町村については、市町村の希望等を踏まえ、事務処理特例によって移譲することとし、全国的に移譲の実績が上がった段階で法律上の都道府県と市町村の役割分担を見直すこととすべき。」との意見も示されています。

 この件につきましても、全国知事会からの意見を踏まえて、地方側に判断を委ねていくべきと考えますが、いかがでしょうか。政府の御見解を伺います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、現状におきましても、認定こども園の認定、認可について、事務処理特例を活用しまして、都道府県が条例を定めることで一般の市町村に権限を移譲することが可能でございます。都道府県と管内の市町村で十分に協議をいただいた上で、こうした枠組みの活用について適切に御判断いただきたいと考えております。

 なお、認定こども園の認可、認定の権限を一律に一般の市町村に移譲することについては、保育所や幼稚園の認可権限の所在との関係、認定、認可に関する権限を移譲した場合の事務処理体制の整備も考える必要がございますけれども、御指摘のとおり、事務処理特例の実施状況も踏まえながら検討をしていくべきものと考えております。

坂本(祐)委員 よろしくお願いいたします。

 次に通告してある質問は、申し訳ございませんが、時間の都合で飛ばさせていただきますので、よろしくお願いします。

 それでは、大臣にお伺いをさせていただきます。

 今年の一月三十日に総務省が発表した、住民基本台帳に基づく二〇二二年の外国人を含む人口移動報告によりますと、東京都の転入超過は三万八千二十三人と、二一年よりも三万二千五百九十人増え、三年ぶりに拡大し、また、東京圏の転入超過も九万九千五百十九人と、二一年と比べて一万七千八百二十人増加いたしました。再び東京への一極集中に戻ってしまいました。また、今年の五月四日に総務省がこどもの日にちなんで発表した、二〇二三年四月一日現在における子供数についても、子供の数は四十七都道府県で減少となっております。

 二〇一四年に、東京一極集中に歯止めをかけ、少子化と人口減少を克服するためと、地方創生の取組が始まって九年がたちました。政府はこれまで、地方創生のために、交付金など地方創生名目の関連予算でおおよそ四十兆円近くを投入してきました。この四十兆円という額は、我が国のNC総務大臣の野田国義参議院議員が調べられたものでございますけれども、四十兆円を使って、二〇一四年の地方と現在の地方を比べて、地方はどのように変わったのでしょうか。よくなったと言えるのでしょうか。岡田大臣から答弁をお願いいたします。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 これまで地方創生に向けた取組を進めてきた結果、地方創生関係交付金などの活用を通じて、地域の創意工夫を生かした取組、全国各地で推進されましたことで、地域の魅力向上、にぎわい創出や、地域における雇用の創出、経済活性化につながっており、これは大変、今の日本の地方が少子化そして人口減少と困難な状況にある、そういう地域社会の下支えということは懸命に行われてきたというふうに感じております。

 そして、地方への人の流れ、企業の流れの観点からは、東京圏からの移住促進の取組は進んでおりますし、また、企業の地方移転促進の取組によって、民間の調査結果によれば、首都圏の企業転入転出動向が二年連続で転出超過になっているという具体的な成果も出ておると思っております。

 しかし、御指摘のとおり、ここ数年減少していた東京圏への転入超過がまた足下で頭をもたげている状態でありまして、地方への人の流れをより重層的で力強いものにすることが引き続き重要であります。

 また、近年のデジタル技術の進歩は目覚ましく、地方であっても都市と遜色ない暮らしができる時代になりつつあると思っておりまして、こうしたデジタル技術の進化やコロナによる意識の変化など、社会情勢の大きな変化をチャンスと捉えて、デジタルの力も活用しつつ、地方の社会課題を成長の原動力とすることで地方の活力を高めてまいりたい、このように考えてございます。

坂本(祐)委員 私は、二〇一四年十一月六日の本会議での、まち・ひと・しごと創生法案及び地方再生法の一部を改正する法律案についての反対討論で、「我が国の財政が危機的な状況にある中で、地方創生の名のもとにこれまでと同じばらまきで終わらせないためにも、地方分権による地方創生を実現するべきである」と発言しております。また、坂本哲志与党筆頭理事が地方創生の担当大臣のときの御発言について、大変重要な御発言ですので御紹介させていただきますが、二〇二一年五月十四日の参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会で、当時の坂本大臣は、「地方分権改革は、地方に対する権限移譲や義務付け、枠付けの見直し等の取組によりまして、地方の自主性、自立性を高め、地域が自らの発想と創意工夫により地域の諸課題に取り組めるようするための改革であり、地方創生の基盤となるものと考えております。 地方分権と地方創生、まさに密接に結び付いているものというふうに考えます。」と御発言をされておられます。すばらしい御発言、まさにそのとおりだと私も考えます。

 しかしながら、おおよそ四十兆円もの予算を投入してきて地方創生が進まなかったのは、地方分権改革が伴わなかったからではないでしょうか。今回の法案を見ても、地方を活性化させるような、地方分権が大きく進むような法改正や、権限、税財源の移譲は全く含まれておらず、この地方分権一括法案とは名ばかりのものになってしまっているのではないでしょうか。

 地方分権改革を強力に推し進めるべきと考えますが、岡田大臣の御見解をお伺いいたします。

岡田国務大臣 地方分権改革は、御指摘のとおり、地方が、自らの発想と創意工夫により課題解決を図り、その地方の強みや魅力を生かした取組を自主的、主体的に行えるようにするという観点で、地方創生、また東京一極集中の是正においても、地方分権は極めて重要な政策であると認識をいたしております。

 今回の一括法案でも、災害対策基本法の見直しなど七本の法律について所要の改正を行うわけでありますが、いずれも、実際に地方の現場で困っておられる具体的な支障への対応が盛り込まれており、地方における事務処理が改善され、住民サービスの向上につながるものと考えております。

 したがって、引き続き、地方の自主性、自立性を高める観点から提案募集を継続するとともに、坂本先生御指摘の、より大きな地方分権を異なる切り口から進める措置については、地方分権改革有識者会議でもしっかりと御議論をいただき、どのような可能性があるか検討してまいりたい、このように考えております。

坂本(祐)委員 異なる切り口を通して、様々な点から御検討いただけるということで、期待は申し上げますけれども、義務づけ、枠づけをやはり徹底的に見直して、権限そして税財源を地方に移譲する、そのことによって、自治体の長の経営手腕が更に発揮され、その能力も問われてくるのだと思います。

 首長や議員によって町が変わる、そして地域が変わっていくということになれば、選挙があっても、その選挙に対して一層地域住民が関心を持つようにもなります。住民参加の町づくりが更に加速していくと思いますので、岡田大臣には積極的な地方分権の推進に対する取組をお願いをいたします。

 次に、私の地元である比企郡吉見町の町長から御相談のあった件でありますが、吉見町に吉見百穴という、国の史跡に指定されている古墳時代の末期に造られた横穴墓群があります。そして、その百穴の下や周辺に、太平洋戦争末期に造られた地下軍需工場跡があり、現在、百穴と地下軍需工場跡は共に吉見町の重要な観光施設、教育施設になっています。

 しかしながら、この地下軍需工場跡は、人工的に造られた洞窟であり、最近では壁面の崩落などが発生して、安全面を考慮して見学ができない状況になっています。

 吉見町が、百穴の下にある地下軍需工場跡を再び見学できるように整備したいと、百穴の史跡を担当している文化庁の担当者に相談したところ、その担当者から、地下軍需工場跡の整備には補助金は出せない、しかし、上にある百穴を保全するために地下軍需工場跡の洞窟を埋めるのは一案であり、そのためになら補助金を出すことはできるという趣旨の説明があったとのことであります。

 町長からは、地下軍需工場跡は、町の重要な観光施設、教育施設として、百穴と一体として整備して守っていきたいからこそ文化庁の担当者に相談したにもかかわらず、埋めるのも一案と言われたときには、非常に残念でショックであったということでございます。

 地方創生の取組が始まったとき、私も、当時の地方創生担当の石破大臣に質問させていただき、縦割りをいかに排除していくかということについて議論をさせていただきましたけれども、今回のケースでも、文化庁で対応できないのであれば、他の府省庁の中で対応できるような部署、相談できそうな部署を探して、紹介して、つないでさしあげる、そのくらいのことはできたのではないかと思います。

 地方創生の取組が低迷していく中で、縦割りを排除するという意識も薄くなってしまったのではないでしょうか。国が地方に寄り添えないのであれば、なおさら国が権限、財源を抱えている必要はなく、地方に移譲するべきであると考えます。

 文化庁から、吉見町からの相談に関しての事実関係と、岡田大臣から、この件について御感想又は今後の対策等があれば、お伺いをさせていただきたいと存じます。

鈴木(敏)政府参考人 お答えいたします。

 史跡吉見百穴と地下軍需工場跡につきましては、本年二月に吉見町から文化庁に御相談をいただきました。担当課からは、本史跡の本質的価値を構成する要素であると吉見町において整理されている横穴墓自体の崩落の危険性等を踏まえ、まずは、横穴墓の保存、修理に係る支援事業等について、他の史跡等における事例も紹介しながら御説明するとともに、吉見町が本史跡の整備基本計画等を策定する際には文化庁から技術的助言を行いたい旨を提案させていただきました。

 その際に、各地における対応の事例として、城の石垣修理の際に防空ごうなどが発見された場合、遺跡を保護するために埋め戻しの措置が取られている事案があるということを御紹介させていただきました。

 他方で、地下軍需跡については、文化財の保存、修理の観点からは支援することが難しいものの、吉見町が大事にされており、観光資源等として活用したいという意向を尊重しまして、他省庁の支援などを含め幅広に御検討されてはどうかといった旨の助言をさせていただきました。

 文化庁といたしましては、今後検討される予定と伺っている整備基本計画への技術的助言等を含め、吉見町としっかりと連携しつつ、本史跡の保存、活用のために必要な支援に取り組んでまいります。

岡田国務大臣 地方創生担当としては、地方創生に取り組む自治体からの各種の御質問、御相談に対して、関係府省庁と連携の下、縦割りを排除したワンストップの相談窓口体制として、地方創生コンシェルジュ制度を運用しているところであります。

 今回の事案も踏まえまして、地方創生コンシェルジュ制度について、政府部内で連携が図られるように改めて各省庁に情報共有を行うとともに、自治体に対して更なる周知を行ってまいりたいと思いますし、吉見町に対しても、文化庁と連携し、この地方創生コンシェルジュ制度の活用をし得る可能性はあるのではないか、このように考えております。

坂本(祐)委員 ただいま答弁をいただきましたが、地方における自治体の長であれば、関係各部課にかかわらず、全体的な自治体運営を見て努力をされると思います。

 国の各種の縦割り行政については、地域の発展の阻害要因になってしまってはなりません。一例を質問させていただきましたが、全国にはこのような事例がたくさんあると思います。地域に寄り添って、共に解決策を見出していくことが地域の活性化につながると考えておりますので、岡田大臣の力強いリーダーシップもここで発揮していただければと存じます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は長年、神戸の市会議員をしておりましたので、地方分権、地域主権ということには人一倍の思い入れがございます。

 まず、国から地方への各種計画の策定義務づけについて伺います。

 今回の法改正の基となっている令和四年の地方分権改革に関する地方からの提案募集は、重点テーマが計画策定とデジタルの二つでありました。

 昨年八月、全国知事会から出された、国に対処を求める意見書にはこう書いてあります。地方公共団体における計画等の策定は、努力義務規定やできる規定であっても国庫補助金等の交付要件となるなど、実質的な義務化により、国の過剰な関与が存在しているため、法令の見直しや計画の統廃合など、横断的な見直しを行うこと、こう知事会から言われているわけであります。

 大臣に伺いますが、今回の法改正で計画策定を任意のできる規定にするなどしております。しかし、計画策定が仮に任意であっても、補助金などの財政措置の要件となることで、結局事実上の策定義務となってしまう。この問題をどう解決するでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 井坂議員御指摘のとおり、計画策定等に関しては、地方からの御要望や提案募集において、策定に係る規定が努力義務規定やできる規定であっても国庫補助金等の交付の要件として計画の策定が求められるなど実質的に義務化されているのではないかという問題点が指摘されてきたことは事実でございます。

 そこで、今回策定したナビゲーション・ガイドでは、財政支援等のあるものを含めた新規計画の抑制と既存計画の見直しを図ることとしておりまして、例えば、計画策定が財政支援等の要件になっているものでも、複数の計画を統合することや計画によらない代替手法に改めていくことによって計画に係る規定の削減を図り、ひいては自治体の負担の軽減にもつなげていくことができればと考えております。

 ナビゲーション・ガイドは、自治体の現状に寄り添うように、策定に当たって自治体や有識者の意見を十分にお伺いしましたけれども、やはり、実際に運用していく中でまた様々な問題が発生することはあり得るものと考えておりまして、この努力義務規定やできる規定と財政支援等のいわゆるひもづけの問題も含めて、不断に実効性のある進め方を検討してまいりたいと考えております。

井坂委員 大臣が今、説明いただいたナビゲーション・ガイド、私もよく読ませていただきました。今の御答弁は、計画、特に既存の計画の本数を減らすあるいは新規の計画の本数を減らすということに関しては、ナビゲーション・ガイドもいろいろな工夫をされているというふうに思います。

 ただ、私が本日質問いたしましたのは、本数を減らすのではなくて、一本一本の計画の義務づけ度合いを下げましょうと。これが知事会の要望でありますから。確かにひもづけの本数も減るのは減るんでしょうけれども、しかし、せっかくできる規定、任意なのに、結局、この策定をしていないと補助金は上げませんよ、こういうやり方をしている限りは、義務づけ度合いは全く下がらないということであります。

 ですから、本数を減らすのはナビゲーション・ガイドでできると思いますが、一本一本の計画の義務づけ度合いを下げる、任意、できる規定なんだったら、要はもう補助金の要件にはしない、これぐらいやはり思い切って縛りを外さない限りは、知事会の要望に正面から応えたことにはならないのではないかと思うんですが、一本一本の義務づけ度合いを下げるということに関してどのようにお考えでしょうか。

岡田国務大臣 自治体において策定をする政策目的に対して国が補助を行う、そうしたことの、ひもづけという表現もございましょうけれども、自治体の裁量によって計画を立てて、そこに国が支援をしていくことが有効な場合もあろうかと思っておりまして、そうしたことは、今後、努力義務規定やできる規定とこの財政支援等のいわゆるひもづけの問題も含めて、実効性のある進め方を検討してまいりたい、このように重ねて申し上げます。

井坂委員 是非、御答弁いただいたとおり、できる規定なのに、それを作っていないと補助金は上げませんよみたいなことも、ちょっとやはり知事会の要望に正面から向き合って検討していただきたいというふうに思います。

 続きまして、交通安全計画について伺います。

 今回の法改正では、これまで策定が努力義務だった市町村の交通安全計画が、任意のできる規定に変わります。

 そもそも、交通安全計画を策定した市町村というのは策定していない市町村に比べて事故件数が減っているんですかということを当局に尋ねましたところ、交通安全計画の有無と交通事故件数の因果関係を測ることはできないとの回答を当局から得ております。

 交通事故を減らすために、国は自治体に交通安全計画の策定を努力義務にしていたはずなんですけれども、交通安全計画を策定することが交通事故の減少に本当に役立っているのかどうか、政府は知ろうともしていないのではないでしょうか。市町村も、こんな計画意味ないんじゃないかと思うから、全体の半分以下の市町村しか交通安全計画を策定してこなかったのではないかというふうにも思うわけであります。無駄な計画を地方に作らせるのをやめてほしいというのが地方からの要望であり、今年の法案のメインテーマであります。

 大臣に伺いますが、これは交通安全計画に限らず、政府は、各計画について、自治体に計画を策定させることそのものの政策効果を検証し、策定しても効果のない計画は素直に廃止をすべきではないでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 やはり、一般に策定効果がない又は極めて低いと思われる計画については、これは効率的、効果的な行政の観点から適切とは言えない、このように考えております。

 今回策定したナビゲーション・ガイドでは、既存の計画については各府省において定期的に計画の見直しを行うこととしておりますし、今後、各府省においては、見直しの時期が到来した既存計画に関して、当該計画の効果を検証した上で、計画以外の他の手法によることができないか、あるいは既存計画と統合できないかなどを十分に検討を行っていただくことになりますし、また、我々内閣府も、各府省における見直しが中身のあるものとなって、自治体の業務負担の軽減につながるよう、助言等を行っていくこととしております。

 それぞれ、府省の進捗状況や新たに生じる課題を踏まえて、効率的、効果的な行政の実現に向けて取組を進めてまいりたい、このように考えております。

井坂委員 今回、ナビゲーション・ガイドでは、計画以外のやり方があればそちらを検討しましょうとか、あと、統合しやすい計画は統合しましょう、主にこういうことが書かれているわけであります。しかし、多過ぎるから減らすとか、減らしやすいものから減らす、これは本来の見直しではないのではないでしょうか。やはり、我々も、議員立法でやりがちなんですけれども、地方に計画を作らせるということで何か政策が進んだような錯覚をしがちなんですが、しかし、計画の有無と、実際その政策が進んで効果が出ることとは、実は相関関係はないわけであります。

 計画を作ったことで、さっきの例でいえば、そういう市町村は交通事故が実際目に見えて減りましたということであれば、交通安全計画は効果がある。そういう計画策定そのものの効果測定をするということが見直しには必須ではないかと私は思いますが、効果測定をすることについていかがお考えですか。

岡田国務大臣 先ほども申しましたように、策定効果がない又は極めて低い計画については、これは効率的、効果的な行政の観点から適切とは言えない、そういうふうに考えておりますので、これを今後、各府省においても、また、内閣府も関与して検討を加え、あるいは見直しも図っていく段階においては、そうした検証ということもこれは必要なことであろうというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、検討中の提案のフォローについて参考人に伺います。

 令和四年は、提案が二百三十五件あったうち、百九十八件が提案の趣旨を踏まえ対応というふうになっています。実現できなかったもの二十二件、それから今のまま対応可能なもの十五件に比べて圧倒的に多く、全体の八五%が地方の提案を実現したように錯覚をするわけです。しかし、中身を見ると、提案の趣旨を踏まえ対応が百九十八件、その中は、本当に提案どおり実現したのは五十四件で全体の僅か二三%、一部実現したものも五十四件、そして、百九十八件の半数近い、実に九十件が引き続き検討というふうにされております。

 検討されたものがどうなったのかということで、これは、一昨年の提案のうち三十四件が引き続き検討となっていて、そのうち九件だけ実現、二件は逆に実現を諦めて、残り二十三件はいまだに検討中、こういう状況になっています。

 ということで、百九十八件が提案の趣旨を踏まえて対応というふうになっているんですけれども、実態はほとんど検討ですから、この検討の結果、しかも、最後、実現される提案の割合を増やすために、検討案件のフォローを強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方からの提案のうち、専門的な検討や関係団体の調整などのために一定の期間を必要とする事項につきましては、毎年末に閣議決定しております対応方針までに結論が得られず、引き続き検討とされるものがございます。このような事項につきましては、原則として、検討の方向性を明示した上で、例えば令和五年度末までに結論を得るというように、検討の期限も対応方針に記載することとしております。

 令和四年度提案募集におきましては、御指摘のとおり、半数近くが引き続き検討という結果になっております。これは、例年に比べてやや多めになっていることは事実でございます。これは、計画策定等、デジタルといった形で重点的に提案を募集いたしましたところ、これらに関する提案につきましては、実現に向けて短時日にとどまらない期間の検討を要するものが多くあったことなどが要因ではないかと考えております。

 この引き続き検討とされた事項につきましては、対応方針に定められました検討期限までに結論が得られますよう、また、最大限、提案が的確に実現されますよう、関係府省における検討状況を見守りつつ、内閣府において適切にフォローアップを行っております。

 さらに、定期的な検討状況及び最終的な検討結果につきましては、逐次、地方分権改革有識者会議に報告いたしまして議論に供しておりますとともに、地方側にも情報提供を行い、理解を求めているところでございます。

 こうした、引き続き検討になった提案についてのフォローアップにつきましては、引き続き徹底に努めてまいりたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 私も、エクセルの、過去の案件の、その後のばあっと書いてある資料を見せていただきまして、要検討となっていて、ちょっと最終的にどうなったのかが、その先、右側が空欄でよく分からないものも、昔のやつでもちょこちょこ散見をされましたので、是非フォローアップを、遡って、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、デジタル田園都市国家構想の交付金について三点伺います。

 政府は、令和四年度補正予算で八百億円、それから令和五年度予算で一千二百億円のデジタル田園都市国家構想交付金を用意しております。そのうち半分をデジタル実装タイプとして、デジタルを活用して地域の課題を解決する地方自治体に補助金として交付をすることになっています。

 しかし、実際に交付が決定した事業を見ますと、コンビニのコピー機で住民票が取れるとか、公共施設のインターネット予約ができるとか、ホームページに既製品のチャットボットを置くとか、DX、デジタルトランスフォーメーションとはほど遠い、民間企業や多くの役所ではとっくに実現している、いわゆる昔ながらのIT化、デジタイゼーション止まりのものに補助金を出している例が大半に見受けられます。

 そこで大臣に伺いますが、交付金で推進する事業が、単なる既存事業の効率化、デジタイゼーションにならないように、例えば、業務プロセスや業務内容を根本的に組み替えるとか、異分野のデータを連携させて全く新しい価値を生み出すとか、あるいは、業務効率化以外の解決すべき新しい自治体の課題をきちんと設定するとか、こういった方向性で補助金の採択のハードルを上げる必要があるのではないでしょうか。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のデジタル田園都市国家構想交付金のデジタル実装タイプでございますが、デジタルを活用して地域課題解決等に取り組む地方自治体を支援するものであります。御指摘のとおり、単なる業務効率化にとどまらずに、解決すべき地域課題を設定して、住民の利便性向上や地域活性化に取り組むことが求められていると存じます。

 そして、デジタル田園都市国家構想の実現に向けては、単なる業務効率化にとどまらず、地域課題解決に資する優良事例の横展開を加速化することが重要であり、この交付金を活用して多くの地方自治体に地域課題解決に取り組んでいただけるよう、伴走型の支援も含めて、引き続き後押しに努めてまいりたいと考えております。

 そして、御指摘のうち、例えば異分野のデータを連携させて新しい価値を生み出すという取組は、これはこの交付金のタイプ2、3で支援をしておりまして、このタイプにおいては、オープンなデータ連携基盤の活用や中核的経営人材の確保といった要件を課しておりまして、その意味では、井坂先生がおっしゃる、ハードルを上げているということに当たるかもしれないと考えております。

井坂委員 確かに、大臣がおっしゃるタイプ2とかタイプ3というのは、DXと呼ぶべき先進的な事業が多いというふうに私も思いますし、ここに補助金を出すことに関しては、私はよいことだと考えています。

 ただ、やはり、全体の多くが、タイプ1という、いわゆる先進的な事例の横展開に補助金が使われていて、しかも、横展開までは私もいいと思うんですが、横展開する元のやつが、いわゆる今後どこの役所もやって当たり前の単純なIT化、コンビニ交付であったり、ネット予約であったり、チャットボットであったり、その辺は、もうこれは、先進事例じゃなくて、ミニマム、シビルミニマムというか、補助金を出して横展開するようなレベルのものではないと私は率直に思いますので、タイプ1で横展開を推進するにしても、展開元の、先進的だという事業そのものは、やはりDXと呼ぶにふさわしい、もう一段ハードルの高いものを横展開、そのために補助金を出していただきたいというふうにこれは思います。

 ちょっとその点、タイプ1も、横展開にしちゃって、今申し上げたような、異分野のデータ連携とか、あるいは業務プロセスの根本的組替えとか、新しい社会課題とか、そういうものをちゃんと含んだものを横展開することをタイプ1の交付の要件にするべきだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 タイプ1、横展開を図っているものについても、これは既存業務の効率化にとどまらないようにという御指摘は理解できるところでありますけれども、これが、住民の皆さんにとってもあるいは自治体の職員の方々にとっても負担軽減につながることもまた事実というふうに思っておりまして、ここについてはやはりしっかりと手当てをさせていただくと同時に、先駆的なあるいは革新的な、そうしたウェートというものもこれからは高めていかなくてはいけない。このような考えで、種々、今後も引き続き検討を続けてまいりたいと思います。

井坂委員 タイプ2、タイプ3についてもちょっと御提案を申し上げたいんですが。こちら、先進的な事業は多いんですけれども、しかし、それでも現状は必ず実現できる事業ばかりが採択をされていると思います。

 これは、デジタルが必ず実装できて、政策効果のKPI、目標数値が必ず達成されるような事業でないと補助金がもらえないので、どうしてもそうなるわけですが、デジタルを使って、新しい方法で、しかも新しい社会課題を解決する事業というのは、本来、やはり一定失敗する可能性があって当然の事業だとも思います。

 政府も、ベンチャーキャピタルのような発想で、採択した事業の七割が成功すれば社会的変革のインパクトは十分大きいから、残り三割の事業は失敗しても元が取れるというような、ポートフォリオ的な補助金の出し方を考えてもよいのではないかと思います。

 例えば、採択事業にイノベーション枠というものを設けて、採択した事業の一定割合は失敗してしまうかもしれない可能性も許容することで、更に革新的な取組を募集してはどうでしょうか。

岡田国務大臣 デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプについて、地方から実装を進めて、デジタル田園都市国家構想が目指す、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を図るものでありますので、これはやはり、採択団体においては、住民の利便性向上や地域の活性化を実現するためにしっかりと成功を目指して取り組んでいただくことは当然であり、また必要なことだと思っております。

 しかし、革新的、先駆的な事業に挑戦するために、実証などを重ねながら、社会課題解決の効果発現に至るまでに、これは芽が出るまでに時間のかかる事業というものも当然ありましょうから、複数年度にわたって取組をする必要がある場合は、交付金の地方創生推進タイプにおいて複数年度にわたる支援を可能としているところであります。

 また、イノベーションの創出に向けた実証事業や研究については各府省で補助金等により支援している例もあり、それらを活用いただくことも可能であります。

 やはり、この交付金は、地域でしっかり成果を上げていただくことが前提であり、私どもの立場として、成功しなくてもよいとはなかなか申し難いところはありますけれども、地方のニーズ等も踏まえながら、地方の意欲的でそして革新的、先ほどイノベーションという御指摘がありました、そうした革新的な取組を後押しできるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

井坂委員 ちょっと駆け足で、最後、参考人に一問だけ。

 現状、申請したときから後で、やむを得ない軽微な変更は認められるんですが、やはり、イノベーションのために、革新的な新しい技術が出たときは、大幅な変更もむしろ積極的に認めていただきたいと思います。

 新しい革新的な技術が出たら、革新的変更の申請を受け付けて、積極的に最新のツールや手法を利用することを許容できないでしょうか。

布施田政府参考人 お答え申し上げます。

 採択した事業の内容について、事業の実施過程にて変更が生じることは起こり得るものでございます。合理的な内容であれば変更を認めるべく、変更申請の手続を設けております。

 御指摘のように、事業目的に変更はなく、より優れたツールや手法を採用して地域課題の解決などを効率的、効果的に実現するための変更でありましたら、合理的な内容と認められるものと考えてございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 終わります。

橋本委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 お疲れさまです。立憲民主党の湯原俊二です。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 お手元に資料を二枚、お渡しさせていただいております。

 一枚目は、これは先ほど来話があります、国から地方における計画の義務づけ、努力義務、できる規定のグラフであります。十数年間で、地方分権、地方分権といいながら、実質的には、合計三百四十六件から五百十四件、増えてきているという。地方分権といいながら、実質的には中央集権が強まっているんじゃないかなと。先ほど井坂さんからこの中身についての話もありましたけれども、本数自体もこれだけなってきている、こういうものが一枚目であります。

 そこで、二枚目が、政府において、今年の二月でありましたけれども、地方分権改革の有識者会議で、効率的・効果的な計画行政に向けたナビゲーション・ガイド、これを提案になりまして、政府でこれをやっていると。二月からでありますので、数か月ということでありますので、実効性がどうかということを改めて聞いていきたいというふうに思っております。

 このナビゲーション・ガイドでは、そこを御覧になっていけば分かると思いますけれども、まず、現状認識として、計画の策定が自治体に対して負担になっている、こういうことを訴えております。そして、計画等の策定は原則自治体の判断にする、こういうことを訴えております。そして、計画の乱立を改善するために体系図を作成する、あるいは既存の計画の統廃合に努める、先ほど大臣からも言及あったところでありますけれども、大臣自身が直接的にというよりも、各省庁にこういうふうにしていきましょうというものでありますけれども、現在のところの進捗状況、あるいは各省庁でのこのナビゲーション・ガイドの徹底状況について御答弁願いたいと思います。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 計画策定等については、御指摘のとおり、策定に関する法律の条項数がこの十年間で約一・五倍に増加しておりまして、地方からは、過重な事務負担となっていて行政サービスの適切な提供に注力できない、集中できないといった声が高まっております。また、特に人員や体制が限られた小規模な市町村ほど事務負担が重くなっているという問題もあると存じます。

 こうした問題意識の下で、私自身も計画策定などの見直しの必要性を強く感じるようになりまして、地方分権改革有識者会議における議論の結果、三月に、各府省に対して効率的、効果的な計画行政の進め方を示す、このナビゲーション・ガイドを閣議決定させていただいたところであります。

 内閣府においては、閣議決定と同時に各府省にその内容を周知し、このガイドに沿って適切に対応いただくよう依頼いたしました。また、既存計画の見直しに向けた第一段階として、各府省に対し、それぞれの計画の計画期間や、一体的な策定が可能な計画等について調査を行い、現在、取りまとめ作業を行っているところであります。

 今後、各府省においては、順次、所管する計画の体系図の作成、先ほども申しましたが、体系図の作成や既存計画の見直しの取組を行ってもらいます。また、内閣府としては、各府省が新たな制度を内閣府に相談する際に、ナビゲーション・ガイドに沿った手順の検討が踏まれているかどうか確実にチェックをする、そして、既存の計画に関して、地方分権改革有識者会議の知見もいただいて、実効性を有する見直しの検討を行ってまいりたいと思います。その際、各府省の取組や進捗状況に関しましては、一定の時期を見計らって、内閣府においてしっかり取りまとめ、公表をしたいと考えております。

 ナビゲーション・ガイドを運用していく中で見えてくる課題もあると考えておりまして、その中で、事務的な対応では解決が難しいものについては私も担当大臣として積極的に調整に入るなど、国と地方を通じた効率的、効果的な行政の実現を期してまいりたいと考えております。

湯原委員 大臣から、この間、地方分権といいながら計画が一・五倍に増えていったことを、認識があったと思います。三月に閣議決定をして各省庁に伝達する、第一段階として、各省庁に今調査を行ってもらっている、その上で、チェックして、各役所でなかなか進まないときには、簡単に言うと政治主導ということだと思いますけれども、されるという答弁であったと思います。

 是非これは、調査したものをその都度その都度、だらだらと間延びするのではなく、その都度公開をしていただいて、公開することが一つの抑止力になると思いますので、分権がより一層促進になると思いますので、その上で政治主導、的確に執っていただきたい、これは要望しておきたいと思います。これは各省庁に対する対応でありますけれども。

 二つ目としては、実際、ナビゲーション・ガイド、計画を作っている市区町村や都道府県レベルで今どういう状況なのか。閣議決定してから三か月ほどのことでありますけれども、私、知事等と話しますと、ナビゲーション・ガイドに対して評価が高い。やっと動いてくれた、こういう喜びの声も聞いておりますけれども、これから実際に計画作りの在り方を見直す自治体の方の受けをどのように把握されているか、お聞きしたいと思います。

加藤政府参考人 ナビゲーション・ガイドにつきましては、都道府県、市区町村及び地方六団体に対しまして、本年三月末の閣議決定と同時に内容を周知したところでございます。

 地方側の反応といたしましては、このナビゲーション・ガイドの作成につきましては評価するというふうな反応、おおむね反応をいただいておりますし、地方三団体からの声明もいただいているというふうなことでございまして、引き続き、このナビゲーション・ガイドに沿って、自治体の業務負担の軽減を進めてほしいというふうな御意見をいただいているところでございます。

 今後、地方自治体への一層の浸透を図っていくため、私ども地方分権改革推進室で実施しております自治体向けの研修におきまして、ガイドの内容でございますとか、また、各府省における計画行政の見直しの進展状況、自治体における先進的な取組の具体例、こういったものにつきまして、自治体の職員に向けまして、直接、説明、紹介を行うとともに、様々な意見交換もしていくことを考えているところでございます。

 このように、自治体と密接なコミュニケーションを図りながら、効率的、効果的な計画行政の実現を期してまいります。

湯原委員 大体、私が聞いている声と同じように、自治体の方は評価している、こういうことであったと思います。その上で、自治体向けに研修をされるということで、具体例についてもいろいろ意見交換していく、これは全国の自治体で共有していこうか、こういうことであろうかと思います。

 是非、これは意見交換という言葉で一定程度受け入れますが、私が要望しておきたいのは、実際は、大臣の下というよりは、各省庁と都道府県、市区町村との関係でありますので、直接的じゃないところでそれが実行に移されているかどうかということですので、ともすると、各省庁は、やっていますよやっていますよと言いながら、自治体の方は、いやいやということも、ないこともないと思いますので、意見交換のところで、地方自治体が、本当は各省庁からは別な圧力みたいな、地方分権に反する、そういうことがあったときには是非受け止めていただいて、その意見交換の中で実効的なものにしていただくように計らっていただきたいなというふうに思います。

 次ですけれども、先ほど井坂さんも質問しておりましたけれども、できる規定、ナビゲーション・ガイドでは、できる規定を最優先にということをうたっております。先ほどグラフがありましたけれども、この緑の部分、結局、計画が右肩上がりでできる規定になっているんですけれども、実際は、先ほどあったように、ここにおいて、規定のうち四分の三が財政支援の要件になっている、あるいは、努力義務規定ではそのうち三割が財政支援の要件になっているということです。

 先ほど大臣からは、不断に検討していってより実効性の高いものにしていかなければいけないと、この計画の見直しがですね、答弁があったわけでありますけれども、この義務規定になっていることについて、もう一度御答弁いただければと思います。あわせて、より実効的にどのようにしていくかということも含めて御答弁いただければと思います。

岡田国務大臣 御指摘のとおり、計画策定等に関しては、地方からの要望や提案募集において、策定に係る規定が努力義務規定あるいはできる規定であっても国庫補助金の交付の要件として計画の策定が求められるなど、実質的に義務化されているという問題点が指摘されてきたこと、これは事実として受け止めております。

 ナビゲーション・ガイドでは、財政支援のあるものを含めた新規計画の抑制と既存計画の見直しを図ることとしておりまして、例えば、計画策定が財政支援等の要件になっているものでも、複数の計画を統合することや計画によらない代替手法に改めていくことによって計画に係る規定の削減を図り、自治体の負担の軽減にもつなげていくことができると考えております。

 自治体の現状に寄り添うべく、このガイドの策定に当たって、自治体や有識者の意見を十分にお伺いしたところでありますけれども、実際に運用していく中でまた様々な問題が発生することはあり得るものと考えていまして、先ほども一部御答弁いたしましたけれども、できる規定等についての財政支援などのひもづけの問題、いわゆるひもづけの問題も含めて、これはしっかりと実効性のある進め方を考えてまいりたいと存じます。

湯原委員 大臣からは、先ほどのを踏まえて、実効性のあるものということです。ですから、大臣のところでは、是非、チェック、先ほど来、同じことを言っているようですけれども、各省庁と地方自治体の間でどういうやり取りになっているかということを絶えずチェックをしていただいて、地方分権に逆行するようなもの、財政の支援の要件、こういったものについてもチェックをしていただいて、公表していただく。この辺で実効性を高めていただきたいと要望をしておきます。

 あわせて、ナビゲーション・ガイドでは、計画期間の終了時等において定期的に計画の在り方の見直しをということをうたっております。各自治体が業務の中で一斉に計画の見直しをしたら、これまた大変な業務の負担になるわけでありますが、これについて、計画の見直しについて、各自治体の反応等をお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 ナビゲーション・ガイドの閣議決定を受けまして、地方側からは、決定を評価いただいた上で、地方の意見を反映し、地方の負担軽減に資する取組を進めることを要請されております。

 今後、先ほども一部御答弁、重複するかもしれませんが、ナビゲーション・ガイドに沿った各省庁の対応や内閣府の取組を受けて、自治体側でも既存の計画の統合や計画そのものの策定の判断等、自治体業務の負担の軽減を図る取組を行っていただくわけであります。

 本年三月にこのガイドを作成して、実務的な動きというものはこれからという段階でありますが、率直に申し上げて、しかし、これが確実に自治体の業務負担の軽減につながるよう、一歩一歩、着実にそのプロセスを進めてまいりたいと考えております。

湯原委員 先ほど、自治体の反応はどうですかと、高評価で、なおかつ、自治体向けの研修をして、その後、具体例で意見交換をしていく。この部分についても是非その対象としていただいて、各自治体で、例えば、計画の見直し、こういうことをやってよくなったとか、負担が軽減されたとか、こういったことを、具体例をもって各自治体の中で研修、意見交換していただきたいと思います。

 そして、具体的に、この法案の中で、先ほども若干ありましたけれども、こども園の問題が出てきております。これは、事前協議から事前通知に見直すとしておりますが、私がこども家庭庁に聞きましたら、指定都市以外の域内の認定こども園の手続については、都道府県に認定、認可権限があるため、事前協議は特段求められないという回答でありました。

 まず、自治体の規模の大小で手続に違いがあることに私は疑問を持っております。こどもまんなかというのであれば、自治体の大小関係なく、地域の自治体が判断できる、こういうふうにしていくべきではないかと思います。そしてまた、地域の自治体が判断し、逆にそれを都道府県に通知、事前通知することで済むのではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この点について答弁いただきたいと思います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘につきましては、現状におきましても、認定こども園の認定、認可について事務処理特例を認めてございまして、都道府県が条例を定めることで一般の市町村に権限を移譲することは可能でございます。都道府県と管内の市町村で十分に協議をいただいた上で、こうした枠組みの活用について適切に御判断いただきたいと考えております。

 なお、認定こども園の認定、認可権限を一律に一般の市町村に移譲することにつきましては、例えば、保育所や幼稚園の認可権限の所在との関係ですとか、認定、認可に関する権限を移譲した場合の事務処理体制の整備も考える必要がありますが、事務処理特例の実施状況も踏まえながら検討をしていくべきものと考えております。

湯原委員 都道府県が条例で市区町村にということでありましたけれども、国から地方自治体への分権、権限移譲という問題もあるわけでありますけれども、都道府県から市区町村でいかに分権していくか、都道府県の条例でということでいうと、都道府県が市区町村に分権する意思が明確でないとなかなかこれが進んでいかない。この中での、都道府県という自治体から市区町村という自治体の分権の、ここでも分権のやり取りがあったわけですので、私は、平たく、都道府県で判断というよりも一律にした方がいいのではないかという思いを持っていますので、それは申し上げておきたいと思います。

 ここの地・こ・デジ特別委員会で、マイナンバーとかデジタル改革、アナログ改革のことをやっていて、河野担当大臣が答弁されておりました。

 河野大臣が、デジタル改革では、平たく言うと、全てアナログからデジタルにする、その中で不都合なものは併用とかでアナログを用いていくと。つまり、一律デジタルというものを考えた上で、ちょっとまだ過渡的で難しいよねというものだけはアナログも併用していく、こういう改革を言っている。つまりは、提案があった点という改革を、河野大臣はおっしゃっていましたけれども、点の改革ではなく面の改革でしていく、こういう発想だということでありました。

 押印の、判この廃止についても同じようなことを河野大臣は言っていました。取りあえず判この行政は一斉に見直しをかける、でも、どうしてもやはり判こを押してもらう、押印が必要なものについては残していく、こういう面の改革をおっしゃっておりました。

 私、平成二十六年から地方分権改革に関する提案募集方式、今日までやっておられて、先ほど来いろいろな数字がありました。何百という提案があるにもかかわらず、実際どの程度が実行に移されているか、こういうこともあったわけでありますけれども、この発想として、思いとして、提案募集の点の改革というよりも、一律に権限移譲できるものは全てしていって、どうしてもやはり国が権限を持つものというものは元に戻す、そうした改革の発想が必要ではないかと思いますけれども、御答弁願います。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 湯原委員おっしゃるとおり、提案を受けた内容だけに対応する、それは河野大臣の言葉を用いれば点の改革ということであろうと思いますけれども、点の改革ではなくて、やはり関連する分野に及ぶ横断的な課題と受け止めて、面の改革を行うという視点は非常に重要だと考えております。

 そのため、提案募集方式においても、令和二年以降、類似の制度改正などを一括して検討するための重点募集テーマを設定し、分野横断的な見直しを進めてきたところであります。

 特に、令和三年と令和四年と二年続きの重点募集テーマとして、まさに今御質問いただいている計画策定等については、これは、個々の自治体からの提案、様々でありましたけれども、この個々の提案から横断的な課題を抽出して、新規の計画策定の抑制や既存の計画の統合などを進めるナビゲーション・ガイドを閣議決定したところでありまして、これも面の改革の一例と言えるのではないかと思っていますし、今後とも、重点募集テーマの活用などの工夫を凝らして、国の側からも、地域の自主性、自立性を高めるための改革に資する、横断的な、ある意味で面の改革と言えるような制度改正が実現するよう取り組んでまいりたいと考えております。

湯原委員 河野大臣がデジタル改革でおっしゃっているのは、人口減少になって、片一方で各自治体の業務量は増えていっている、デジタル改革はそれに寄与するんじゃないか、業務量を減らす、スリム化する上で。分権も、まさに私はそう思っておりまして、いろいろな、国へ出す書類作り等々をする必要がなくなれば、やはりスリムになっていく、業務に対して負担が少なくなっていくと思っております。

 先ほど大臣がおっしゃった計画策定も、どちらかというと面の改革で、ナビゲーション・ガイドを作ることによってこの面の改革につながったんじゃないかという答弁だったと思いますけれども、先ほどあった事前協議と事前通知も、私は、面の改革で、一度各省庁に、事前協議であるものは全部事前通知に一回してもらって、その上でどうしても事前協議というものは戻していく、こういう発想の改革をすべきではないかと思いますけれども、御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 今回の第十三次地方分権一括法案では、先ほども御議論がありましたが、認定こども園の認定又は認可に係る指定都市等から都道府県への事前協議を事前通知に見直す改正を盛り込んでおります。これはまさに、議員御指摘のとおり、自治体間のやり取りを減らすことで業務負担の軽減に資する事例であると認識をしています。

 一方で、国と自治体、そして自治体間の手続については、それぞれの制度や事業の仕組みに応じて、何が適切な、あるいは最適な方式であるかということは、それぞれの協議によって選択されるべきであると考えております。

 内閣府としては、提案募集方式の活用によって、現場で対応する自治体や、制度を所管する省庁としっかり意見交換を行い、国、地方を通じた業務負担の軽減に取り組んでまいりたいと考えています。

湯原委員 事前協議と事前通知の件も、このナビゲーション・ガイドのように、やはり、一度事前通知にして、その上で、事前協議に戻すべきもの、机の上でそう考えてした方が、小出しで、いつまでたってもそれぞれの協議があるのでということをやれば、私は切りがないんじゃないかな、進まないんじゃないかなと懸念します。

 最後に、このナビゲーション・ガイドの下で、計画策定が自治体の負担になっているということは、知事会等からも以前からずっと言われていました。あるいは、国と地方の協議の場でずっと言われていたことですけれども、大分遅かったなというふうに思っております。

 私、議事録を見ますと、国と地方の協議の場は、総理が発言して、全国の六団体の長が発言して、総理はすぐ退席して、その後、大臣が答弁する。ある意味で形骸化しているんじゃないか。トータルで四、五十分です、国と地方の協議の場は。

 果たしてこれで、地方が抱えている、こういった業務量の負担のこと等も踏まえて、地方分権が進んでいくのかと思いますけれども、懸念するところでありますけれども、国と地方の協議の場の形骸化について質問をして、私の質問を終わりたいと思います。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 国と地方の協議の場は、平成二十三年の法施行以来、四十四回の開催実績を重ねて、骨太方針や予算編成などの国の重要政策について協議を行うとともに、近年では私が担当しておりますデジタル田園都市国家構想も議題に加えられるなど、地方からも実効性のある対話の場として期待、評価されておるものと認識をいたしております。

 さらに、国と協議の場本体での対話に加えて、個別の議題に特化した協議や意見交換も随時行っておりまして、私自身も昨日、デジタル田園都市国家構想及び地方創生に関する地方六団体との意見交換会という場で、地方六団体のトップとより深い議論を行わせていただきました。

 こうした点からも、国と地方の協議の場は、地方からも一定の評価を得ていると考えますが、今後とも、協議の場の充実に、また、地方の声を十分に聞く場として活用を進めてまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございました。質問を終わります。

橋本委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 さきの質問とかなり重複するところもありますけれども、大事なことなので、改めて、この分権一括法の案に対しまして質問させていただきます。

 平成二十六年から、これまでの勧告方式を改めて、地方からの提案によって、提案募集方式、こういう形を取られたということでございます。地方の意見を取り入れて分権改革を進めていく、こういう観点からは一定の効果があったというふうに思っておりますが、改めまして、そこで、これまでの総括と今後の意義について、大臣の見解をお伺いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 仰せのとおり、平成二十六年から開始した提案募集方式は、令和四年までの九年間で三千件を超える提案をいただきました。このうち、内閣府で調整を行った約二千件のうち約千七百件については提案の趣旨を踏まえた対応などが行われており、自治体の自主性、自立性の向上に一定の効果を上げてきたと考えております。

 一方で、令和四年までに提案を行ったことのある自治体は、全体の四一%に当たる七百三十五でございまして、都道府県では四十七全てに提案をいただいているわけでありますが、町村となると全体の二八%にとどまっているのが現状でございます。

 地方の現場に最も近いというか、地方の現場そのものである市町村にはまだまだ提案に結びついていない課題が山積していると考えておりまして、これらの課題を具体的な提案に結びつけられるよう、自治体などを対象とした、先ほども申しました研修会の実施などを通じて、提案募集方式による成果の更なる充実を図ってまいりたいと考えております。

中司委員 町村からの提案が少ないということでございますが、是非、格差なく分権改革が進むことができますように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 今回義務づけ等の見直しを行う案件についてですけれども、まず、交通安全対策基本法の改正について伺います。

 今回の改正では、市町村が策定する計画について、これまでの努力義務からできる規定に変更されるわけでございます。地方からの意見としては、廃止すべきという提案であったと思うんですけれども、あえてできる規定とした理由は何か、これをまずお伺いします。

 その一方で、地方独立行政法人法の改正では、公立大学法人に義務づけられていた年度計画と年度評価が今回の改正によって廃止されるわけでありますが、交通安全計画ができる規定の見直しであるのと比べまして、整合性はどうなのかということについても併せてお伺いします。

滝澤政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府地方分権改革推進室が実施した令和四年地方分権改革に関する提案募集におきまして、市町村交通安全計画につき、その作成に係る努力義務について見直しを求める提案がございました。

 この提案を受けまして、全国の市町村を対象に意見を求めましたところ、県の計画に基づき策定することから、重複が多くなり裁量の余地が余りない、計画作成に時間を割くことにより、より重要な現場の交通安全施策に割く時間が相対的に少なくなるなどの意見があったところです。一方、市町村交通安全計画等が関係機関への協力依頼や施策の進捗管理を行っていく上で有益であり、引き続き、法に根拠を持つ計画としての位置づけを求める意見もあったところでございます。

 こうしたことから、交通安全対策基本法における位置づけは残しつつ、その作成を努力義務からできる規定に改正することとしたものでありまして、この改正により、計画作成の要否につき、それぞれの市町村の交通環境や交通事故情勢、関連する都道府県の計画、事務負担、体制等を総合的に勘案した上で、地域の実情に応じた判断が一層可能となるものと考えております。

的井政府参考人 お答えいたします。

 今般の地方分権改革に関する地方からの提案におきまして、地方独立行政法人法における公立大学法人制度に関しまして、年度計画の策定及び年度評価の実施について廃止をしてほしい旨の地方公共団体からの御提案をいただいたところでございます。

 この提案を受けまして、提案団体以外の複数の地方公共団体や公立大学法人にも確認を行いますとともに、既に同様の制度改正を実施をいたしております国立大学法人制度の例も踏まえまして、地方公共団体からの提案どおり、年度計画の策定及び年度評価の実施について廃止をすることといたしたところでございます。

 今般の制度改正によりまして、公立大学法人におきまして、教育の質の向上でございますとかあるいは地域貢献等といった取組に今まで以上に注力をいただくことが可能となりまして、地域活性化等に向けて一層その役割を発揮していただくことを期待しているものでございます。

中司委員 もう一点、いわゆる認定こども園法の一部改正について、政令都市、中核市が認定こども園を認可する際に、知事への事前協議の義務を事前通知に改めるということでございますが、これは本来、行政手続法の審査基準によって、政令市や中核市の市長の認可権限が認められているものでありますので、認可後の通知で十分であって、廃止すべきものであると思いますけれども、事前通知が必要とするのはなぜか、これをお伺いします。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度では、指定都市等の域内の認定こども園を指定都市等が認定、認可するに当たりましては、都道府県への事前協議が必要となっているところですが、これは、認定こども園は、市町村域を超えて利用されることが想定をされることから、施設の適正配置等を担保する観点から、都道府県知事が広域的な観点から連絡調整を行いつつ、域内の需給状況を踏まえて、認定、認可の可否を判断する必要があるため設けられたものでございます。

 こうした中で、今般の法案では、指定都市等による市町村計画の策定、変更の際の都道府県との協議により、マクロでの需給の調整は基本的にはなされていると考えられることから、近年の運用状況も勘案をして、都道府県への事前協議を廃止することといたしました。

 ただ一方で、都道府県は、引き続き施設の広域的な需給を把握して動く必要があるため、指定都市等からの通知は必要であると考えておりますし、また、例えばでございますけれども、都道府県と指定都市等がそれぞれ同時並行で認定こども園の認定、認可の手続を行う場合で、一方が認定、認可を行うと供給超過になってしまうといったような場合など、個別事案については事前の調整が必要になる場合もあるということから、指定都市等からの通知は事前というふうにしているところでございます。

中司委員 それぞれ説明いただきましたが、ただ、例えば、ただいまの認定こども園、市域を超えてということですけれども、どれだけ市域を超えた需要があるのかというところもちょっと疑問なんですけれども、答弁は結構ですが、十分に納得できる答弁ではなかったところもありますので、引き続き、地方の意見をしっかりと聞いて対応していただきますようにお願いいたします。

 今回の法改正に当たってですが、自治体に義務づけ等を求めているいわゆる行政計画について、そもそも地方分権に逆行するということが指摘されています。この問題については、平成二十一年の第三次勧告を受けて成立しました第一次地方分権一括法を踏まえて、平成二十二年から二十四年までは義務づけの規定は減少したわけであります。これは先ほどの湯原委員の資料からも見て取れるわけですけれども、二十二年から二十四年までは減少している。しかし、二十五年からは再び義務づけが増加に転じているわけであります。

 本来であれば、勧告の趣旨を、受けたら行政計画の見直しが進んでいくはずなのに、逆になぜこれは増えてきたのか。その辺について見解をお示しいただきますようお願いします。

加藤政府参考人 計画策定の義務づけについてでございますが、一旦減ったにもかかわらず、このところといいますか、この十年来でまた増えているというふうなことについてのお尋ねでございます。

 義務づけの規定自体、微増ではございますが、増えていることは事実でございます。これについては様々な要因が考えられるかと思います。勧告におきましても、こういったものについては義務づけもやむなしというふうな趣旨のことも記載されておりまして、それに基づいて、私どもも各府省から協議がなされた際には必要な意見を申し上げておりますが、各府省において必要だというふうな判断をされていると。

 また、地方側に対しても、この計画策定等の規定につきまして説明を行うわけでございますが、その際、特に、法律改正を行う際には地方の課題も踏まえまして、それに対応する措置を全般的に打ち出していくというふうなことでございまして、その中で計画の策定というふうなのも一つのツールとして、提案といいますか、出されてくる。

 そういう中では、なかなか、計画自体についてはちょっとどうかなと地方も意見を持っているわけですが、議論する中では、そうした全体としてのパッケージの中で判断といいますか、国のそういう法律改正の取組につきまして判断を迫られるというふうな中で、許容といいますか、受け入れて、その結果、法律改正がなされる。その結果として、これはそれぞれの法律によりまして様々な事情があるかと思いますが、増えているに至っているというふうなことでございます。

 ただ、それがそれでいいとは思っておりませんので、今後、ナビゲーション・ガイドの実効性を確保するというふうな中、新規計画の抑制あるいは既存計画の見直しを図っていきたいというふうなことでございます。

中司委員 今、長い答弁をいただきましたけれども、結論は見直しをしていくということだと受け止めさせていただきます。

 去年の二月の総務委員会で、この問題について、地方自治体に対する計画策定の義務づけが地方の負担を増大させている、自治の主体性を阻害している、このことを指摘いたしました。その際の総務省答弁では、先ほどからも出ていますように、条項数が十年間で一・五倍に増加をしているということ、そして、有識者会議のワーキンググループにおいて議論をしていく、地方の自主性、自立性を高めるための見直しの検討を進めるということでございました。

 今回、七項目に絞られたわけですが、それぞれの内容が十分とは私は言えないと思いますし、件数も少ないと思います。その後の見直しについて、繰り返しになりますけれども、どのような検討がなされたのか、また、ナビゲーション・ガイドに沿って今後どう具体的に見直しされていくのか、もう少し具体的にお聞かせいただきたいと思います。

加藤政府参考人 計画策定等に関しまして、更なる見直しというふうなことかと存じます。

 計画策定の在り方等に関しましては、地方からの声の高まりでございますとか、ここ二年の提案募集における対応で得られた知見を踏まえまして、計画全般の見直しを進めていくため、先ほど来議論になっておりますが、本年三月、ナビゲーション・ガイドを閣議決定したものでございます。これは、各府省に対して効率的、効果的な計画行政の進め方を示す指針というふうなものでございます。

 ナビゲーション・ガイドにおきましては、政策目的に応じた計画以外の代替手法の検討でございますとか、新規計画の制度化に当たっての既存計画の統廃合、関連する計画との一体的な策定等の検討などを盛り込んでいるほか、計画等の策定を求めようとする場合には、各府省に対しまして、地方六団体の理解を得られるよう、十分な説明、理由の明示も含めた十分な説明を求めております。

 こうした取組、ナビゲーション・ガイドをまずは策定したというふうなところでございまして、先ほど来議論になっておりますが、これの周知等徹底を期すというふうなこと、それから、大臣から御答弁申し上げましたが、不断の見直しを行っていくというふうなことで、効率的、効果的な計画行政の実現を期してまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 計画の策定が必要かどうか、これは本来、自治体が判断するべきことであると思います。であるにもかかわらず、現実には義務化の見直しが進まないということについては、やはり国が、計画策定の事実上の義務づけを通して地方自治体をコントロール下に置きたいといったような国の考えが反映されているのではないかというふうに思うわけでございます。

 実際、計画の策定は自治体にとって大きな負担となっておって、例えば、住民参加の審議会の設置とか、ワークショップの開催とか、パブリックコメントの実施とか、かなり時間と労力がかかるわけでありますし、コスト面では、おととし、全国知事会のワーキングチームが行った調査では、計画策定の平均コストが、国土強靱化地域計画で一千五百三万円、温室効果ガス排出削減等実行計画では一千六百六十二万円、それから、港湾計画、港の計画ですけれども、これでは一億九千二百六十八万円、これは平均ですが、実に大きな費用がかかっているということが報告されておりまして、五百の計画のうちの大体四〇%近くで、改善の声が、見直しを求める声が上がっていたわけでございます。

 そこで、全国の自治体でどの程度の負担になって、財政にどのような影響を与えているのか、これをお示しいただきたいし、もし分からなければ、全国の自治体を対象に調査を実施すべきと思いますけれども、よろしくお願いします。

加藤政府参考人 自治体における計画策定等のコストについてでございます。

 計画は、様々なものがございます。また、様々な団体において計画が策定される、また、その手法もそれぞれの団体においては異なってくるというふうなところがございます。また、計画について、そもそも策定するかどうかが判断に委ねられているというふうなことがございまして、全体としてコストがどのくらいかということにつきましては、なかなかこちらとしても把握できていないというのが実情でございます。

 これにつきましての調査ということになりますと、内閣府においてはこれまで行っていないというふうなことでございますが、個別の提案に当たりまして、あるいは分権改革有識者会議のヒアリングの場などにおきまして多大な経費を要する事例が寄せられている、議員紹介の知事会の例等もそういったものと受け止めておりますが、そういうふうな中で、自治体においてコスト面での支障も生じさせているという認識がございまして、これまでの取組を進めているというふうなことでございます。

中司委員 次に、計画策定と表裏一体の財政支援の問題についても、これも大事な問題なので伺います。

 自治体が事業を行う際の国庫補助金、交付金などの財政支援の根拠となっている法令において、地方自治体の計画の策定が財政支援の条件となっているものがどの程度あるのか、まず伺います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 内閣府では、計画策定により、補助金の交付や税制上の特別措置、また私人等への規制緩和など、優遇措置を講ずる規定がある計画の策定に関する条項数を調査しておりますが、補助金の要件に限定した計画数については承知していないということであります。

 その上で申し上げれば、令和三年十二月末時点で、計画策定によって優遇措置を講ずる規定がある計画の策定に関する条項数は、できる規定について百六十二件、努力義務規定については二十四件、義務規定については八十一件になっていると聞いているところであります。

中司委員 分かりました。

 計画策定が補助金や交付金の要件となっているのであれば、幾ら義務づけからできる規定に要件を緩和しても、実質的には義務づけしているのと同じことではないのかと思いますので、こうした枠組みは廃止すべきと考えますが、どうですか。

岡田国務大臣 例えば、特定の政策目的の実現を目指した計画を自治体の方で作成されて、それに対して国がその政策の実現を後押しする意図で計画に関連する事業に対して財政支援を行う場合、こういう場合のように、計画策定を国庫補助金の交付の要件とすることが妥当な場合というものもあり得ると思いまして、計画策定と国庫補助金等のひもづけ全てが否定されるものではないと考えておるのですが、一方で、計画策定に係る規定が努力義務規定やできる規定であっても、国庫補助金等の交付の要件として計画の策定が求められるなど実質的に義務化されており、自治体に多くの業務負担を強いることになる、地方分権の趣旨に反するような事例は問題であると考えております。

 今回策定したナビゲーション・ガイドで、新規計画の抑制、既存計画の見直しを図ること、例えば、計画策定が財政支援等の要件になっているものでも、複数の計画を統合することや、計画によらない代替手法に改めていくことによって、計画に係る規定の削減を図り、ひいては自治体の負担の軽減につなげていきたいと考えております。

中司委員 少し時間を超過しますけれども、会派内で調整しますので、済みません、よろしくお願いします。

 更に言えば、例えば、まち・ひと・しごと創生総合戦略など、地方創生の取組に対する財政支援として地方交付税で措置する、こういうところの枠組みも設定されていると思うんです。こうした措置は、やはり財政面から見て分権改革に反していると思います。地方交付税の本来の趣旨からも反していると思っているものであります。

 こうした財政面での縛り、それから、先ほどの計画策定による自治体の負担増、そして、省庁からすれば、自治体のコントロール、こうした面全て、分権改革に逆行するものだと私は思っております。

 ですから、こうした計画行政の弊害、過去に勧告の中で指摘されていたにもかかわらず条項数が増えている、この問題に対して抜本的な改革を行うべきだと考えますが、大臣の決意をお願いします。

岡田国務大臣 先ほども申し上げたように、自治体の立てられた政策目的を国が後押しする、そういう意味での計画策定と補助金等との関連というものは全て一概に否定することはできないと思っておりますが、度々今日御指摘をいただいておりますように、交付の要件として計画の策定が求められるなど実質的に義務化されているということ、自治体に多くの業務負担を強いることになり、地方分権の趣旨に反するような事例は問題である、このことは深く認識をいたしまして、今後も検証しつつ前に進んでいきたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 担当大臣としてしっかりリーダーシップを発揮していただきますようによろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、第十三次の地方分権一括法案について質疑をさせていただきます。

 そもそも私ども日本維新の会は、先ほど中司さんもずっとおっしゃっていましたけれども、そもそも統治機構改革、これは私たちの党としては、地方から国の形を変えていく、このことを目的にできたのが私ども日本維新の会でございます。ですので、この地方分権に関しましては、非常に強い思い入れを持って、そしてかなり力強く推進していきたいというふうに思っているところでございます。

 そもそも、この地方分権というのはどんなふうになっていくのかなというのが今ちょっと見えないなと思っているので、質問させていただきたいと思います。

 平成五年に採択された地方分権の推進に関する決議から大体三十年がたったというところなんですけれども、東京の一極集中が解消され、国と地方の役割を見直し、そして国から地方への権限移譲、地方税の財源の充実強化等地方公共団体の自主性、自律性の強化を図り、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治の確立ということをうたっていたと思いますが、これが今確立したと思っていらっしゃるのでしょうか。大臣、お願いいたします。

岡田国務大臣 今のお尋ねでございます、確立したと考えるかどうか。これは、その途上にあると思っておりまして、いまだそれが完全に確立した、そういうふうには私どもは考えてございません。これは一歩一歩着実に前に進みたい、そういうふうに考えております。

堀場委員 確立していない。これは、結構、三十年間、私たちはどういう歩みをしてきたのかなというふうに思っています。

 政府は、今の岸田政権は、地方分権についてどういうふうに考えているのかなというのをお聞きしたいと思います。最終的にどういう状態が二十一世紀の地方自治だと考えているのか、まずこれについてお願いします。

岡田国務大臣 政権としてどうかということと、私としてどう考えるかということ、これが完全に一致するかどうか分かりませんけれども、私の思いを語らせていただければ、自分も、政治の道に入りましたのは、第一歩は石川県議会議員ということで、地方議会から始めたものでありますから、当時から、国と地方の役割については重要なテーマと思ってきました。やはり基本となることは、国と地方は対等、協力の関係であるということ、そして、地域のことは地域の実情を知る自治体が担うべきということについては、これは深く認識をしてきたところであります。

 平成五年から三十年間続けてきた地方分権の取組や、平成十九年に至るまで行われたいわゆる三位一体の改革の税源移譲などによって、一定の成果が得られていると考えておりますし、現在は、先ほどから申し上げている地方の現場からの提案に基づき、権限移譲、義務づけ、枠づけの見直しが地方分権の手法となっているわけであります。

 その提案募集の成果というのは地方側からも評価されているわけでありますが、私、思うに、近年、新型コロナウイルス感染症への対応に見られるように、これまで考えられなかったような事態とかあるいは規模の事務処理が必要になって、国と地方の関係の在り方が様々に問われていると思います。

 まだ二十一世紀の地方分権の在り方というものは模索中、模索しながら一歩一歩進んでいる状況であると思いますが、社会構造の大きな変化に伴って、対応すべき課題もどんどん変化していくことと思います。改めて、地方分権改革の在り方、進め方を考えていく必要があると認識しておりまして、これは地方分権改革有識者会議などの御議論もいただいて、その可能性について不断に検討を重ねてまいりたいと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 今、もうちょっとしたら選挙があるんじゃないかということで、非常に、私たちを含め、ちょっとふわふわ、そわそわしているかと思うんですけれども、そもそも、私たち、比例選挙区、衆議院には比例の選挙区がありまして、参議院とはまた違う、そういった比例の選挙区の区割りというものがあるかと思います。これは、将来の道州制の区割りというふうなものを念頭に置かれていると承知をしています。

 一九九四年には広域連合が制度化されましたし、平成時代には、平成時代と言うのはちょっと心苦しいですが、道州制の議論は非常に活発になったと思っています。特に東京の一極集中を是非是正しなきゃいけないということ、恐らく地震のこともあったと思います、首都の直下型地震があったらどうなるんだ、こういった議論もあったと思います。様々なことから、我が党としては、なかなか進まないので、少なくとも副首都構想というものも考えているところです。

 そして今回、今年、文化庁が私の地元の京都に来ていただきまして、これも地方分権の一環だったというふうに承知しています。これが完全に来たわけじゃないというところもまた、東京一極集中から抜け出せていなかったなと思っているところなんですね。

 ただ、ちょっと私が懸念をしているのは、二〇一八年に自民党さんの中の道州制の推進本部が廃止をされたというところで、これを決定したのが岸田さんだったというところも、今、岸田政権が本当にどういう地方分権を目指しているのかというものが見えにくくなっている一つの要因だと思っています。

 先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、コロナ禍で私たちは、様々な価値観及び社会の在り方の変容、特にデジタル化ということも含めて、あったと思います。そうなったときに、やはりコロナ禍で、関西の方の広域連合では、機能強化というものが非常に言われたと思います。病院のこともあったと思いますし、救急車のこととか、様々、いろいろな課題が発生して、これを解決していくためには道州制の議論がもう一度されるべきではないかというふうに私自身は考えているんですが、これについての大臣の御所見をお願いします。

岡田国務大臣 道州制は、国と地方の在り方を考える上で大変重要な論点というふうに考えております。

 先ほども申しました、元は新聞記者だったんですが、私が政治を志して、初めて県議会議員になったのは平成十四年でありまして、当時は平成の大合併ということで、私の地元の石川県でも多くの基礎自治体が統合されるなど、大変動きが出てきた時期でありました。

 そこで、過去のことを申し上げますと、私は当時、道州制について、北陸三県、これが日本で一、二を争う小さな州になるかもしれないけれども、北陸州というものをつくればどうかというようなことも考えた時期がありましたし、平成十六年に参議院に入りまして、道州制について各党から様々な御意見を伺い、議論をさせていただいたこともございます。

 その道州制に関しては、平成十八年、小泉内閣のときの第二十八次地方制度調査会において道州制のあり方に関する答申がなされてから、各党において様々な議論がなされてきたと承知しております。

 このうち、道州制の推進に関する法案の提出の動きに対して、このときかなり議論が激しく交わされたと思うんですけれども、地方六団体から様々な御意見があって、特に全国町村会の方からは、道州と住民の距離が遠くなり、住民自治が埋没する懸念があるのではないかといった異論も出されたところであります。

 もちろん、道州制推進の首長さんもそれはいらっしゃったと思いますが、そうした様々な御意見がある中で、この道州制というものは、国と地方の在り方を根底から見直す大変大きな改革でありますので、その検討に当たっては、地方の声を十分にお聞きしながら、国民的な議論を行いながら丁寧に進めていくことが重要と考えておりまして、国会における御議論も踏まえながら、私どもも考えてまいりたいと思っております。

堀場委員 やはり、人口が今減少していまして、かなり少子高齢化が進んでいる中で、当然、少子化対策をして、これからたくさん子供を産んで増えていっていただきたいという思いはもちろんあるんですけれども、一方で、人口が減っているという事実を認識した場合、やはりこの広域行政というか、国の在り方というものを考え直してもいいんじゃないかなと思っているんですね。

 廃藩置県の頃からずっと変わらない私たちは国の在り方で本当にいいのか。そして、あのときは、列強に追いつけ追い越せと思っていたので、やはり相当中央集権化された国家を目指していたと思うんですね。じゃ、今の日本で本当にそれでいいのか。そうすると、国境に接しているような離島若しくは地域に人が住まなくなってしまうというこの事実をどのように受け止めるのか。

 例えば、私は先ほども言いました京都ですけれども、私は京都市内ですが、やはり北の方に行く、南の方に行くと、大きく違います。そして、大臣のおっしゃっていた石川県も、私としては、あのジオパーク、とても大好きですので、この間も世界のユネスコになりましたし、そういった観光資源もあって、本当に大事にして、その売りがあるということを強みにしていく。

 けれども、ジオパークの考えでいったときに、石川県単独だけでいけない部分もありますよね。だから、そういうことも全部含めて考えたときに、やはり、日本という国全体で底上げしていく一つの原動力になる、そういった変革が必要なのではないかというふうに考えています。

 そしてまた、デジタル化が進行しているので、中央集権の在り方というものと地方の分権の在り方という考え方が、こっちも根底的に変わってきていると思っています。なので、そこを私たちはもっともっと議論をしなければならない中でこの委員会があると思っていますので、やはり一番大事なことは、どこに行くのかということが明確になるべきことだと思っています。ですので、是非、この議論を皆さんでやっていただいて、政府の中では、こういうふうな未来をというものをしっかりと提示していただけるようにお願いをしたいと思います。

 ちょっと私、本当は、この後、同じような、皆さんが何度も質問されていた、できる規定についてやろうと思っていたんですが、時間もそうですし、重複していますので、一つ飛ばさせていただきまして、認可保育園の話ですね、させていただきたいと思います。

 都道府県と事前協議がなくなることで、自主的な運営もできるようになってくるのかなということも考えている今回の改正なんですけれども、我が党としては、保育に関してはもっと地方分権化されるべきではないかというふうに考えています。

 そもそも、人口が増えているエリアは、保育園が足りなかったり、あとは時間も非常に長く保育にお願いをしたり、様々な状況であります。そして、一歩違う地方に行くと、保育園は本当にゆったりとしていて、定員に関しても加配等々が必要でないエリアとかもあって、様々なところで、エリアによって全然状況が違うのが子育ての環境だと思っていますので、子供の子育てに関しては地方分権化がもっと進められるべきだというふうに考えています。

 でも、私たちは、一方で、今、非常に多くの事件を目の当たりにしています。バスの閉じ込めの案件がありました。これは、私は、今回、国会が始まったときに、それをずっと、ブザーの話とかもさせていただきました。それがあっても、また起こってしまう。こういった繰り返し起こる子供たちの事件というか、本当に大人たちがしっかりしなければならないというようなことが起きているんですけれども、こういったものに関して、都道府県の役割というものをもっと明確化するべきではないかなというふうに考えるんですけれども、和田副大臣の御所見をお願いします。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 現行制度では、指定都市等、域内の認定こども園の認定、認可権限や指導監査の権限は指定都市等が有しております。

 他方、認定こども園で事故が発生した場合、市町村に報告し、その中でも重大な事故については、市町村から都道府県を通じて国に報告するというふうなことにしています。

 また、重大な事故の場合には、市町村において、再発防止のための事後的な検証を行うこととしております。その上で、市町村が事後的な事故の検証を行う場合、都道府県が必要な支援を行うこととしており、例えば、都道府県が把握する有識者の中から検証委員を紹介する、また、検証を行う際には技術的援助を行うなど、具体例を挙げて都道府県の役割を示しております。

 また、国の役割として、検証内容を有識者会議で検討いただき、年次報告にまとめるなど、再発防止に向けた全体的な取組を推進しており、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

堀場委員 数量のことがあるので、全体のバランスを見るために都道府県がというようなお話、先ほどの質疑の中でもあったと思うんですけれども、それも重要なことですけれども、もっと重要なことは、やはり、チェック機能として都道府県がしっかりとやっていくということだと思うんですね。

 いじめの問題も、設置自治体であったり学校であったり、その教育委員会が、やはり、隠蔽するとは言わないですけれども、どうしても、体質の中で、様々な事案をなかなか表に出せないというようなことが発生してしまっていますよね。

 そういったときに、やはり、もっと違う第三者的な立場でそういったものを見ていく、監視をしていく、若しくはチェックをするということをしていかなければ、やはり、子供たちの安全というのはなかなか確立が難しいのかなというふうに思っておりますので、引き続き、この件、ちょっと、こども家庭庁さんでもやらせていただきますけれども、こういった地方分権化されていく中での役割の明確化について、是非御議論をしていただきたいと思います。

 本日はありがとうございます。

橋本委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子です。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 本日は地方分権一括法の質疑ということでございますけれども、その質疑に入る前に一問だけ、マイナンバーにおけるトラブルが続出している件につきまして、大串副大臣に一問質問をさせていただきたいと思います。

 様々な制度やシステムにおきましては、ヒューマンエラーが発生をするということは当然想定をしなければいけないことでございますし、アナログ、紙媒体においても、これまで様々なトラブルが発生してきたことも事実だと思っております。また、システムにおいても、バグ、いろいろなエラーが発生することも、いろいろな技術者の方のお話を聞きますと、一定避けられないことであって、このトライ・アンド・エラーを繰り返しながら技術が革新してきたという面もあるというお話もお伺いをいたしました。

 だからこそ、様々な場面を想定をして、情報漏えいにつながらないように、最大限防止するためのいろいろな想定を準備をしていくということが必要だったというふうに思うんですけれども、マイナンバーを取得することが一定目的化をして、拙速に進めたために様々なトラブルが発生をしているのではないかというふうに私は考えておりますけれども、このことに対する御見解と、今、デジタル庁が把握をされている事案以外に問題のある事案を把握をされているのかどうか、また、国民に大変な疑念を生じさせていて、マイナンバーを是非活用してほしいと思っている国民の皆様にも大変不安を与えているという現状について、副大臣の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

大串副大臣 まず、マイナンバーカード関連サービスの誤登録の事案に関しまして国民の皆様に御心配をおかけしていること、大変申し訳なく思っております。

 一連の事案につきましては、それぞれ、コンビニ交付サービスで誤交付というのが自治体が管理するシステムの誤りであったり、健康保険証のひもづけ誤りは保険者での事務処理の誤り、また、公金受取口座の誤登録とマイナポイントのひもづけ誤りといったものは支援窓口での端末のログアウト忘れといったように、生じた理由が様々でございまして、一概にマイナンバーカードの普及促進により生じたものとは言えませんけれども、総理からの御指示も踏まえまして、河野大臣の下で関係省庁が一丸となって、既存のデータやシステムの総点検を行うとともに、新規データの誤登録防止策を徹底し、さらに、人為的ミスのリスクを低減させるため、人が介在する機会を減少させるよう今後一層デジタル化を徹底することも通じて、マイナンバーカードへの信頼確保に向けた対策を強化しているところでございます。

 また、今般の事案につきましては、情報共有が十分にできていなかったことも問題と考えております。そのため、デジタル庁では、職員間での情報共有の円滑化を目的とした会議体を立ち上げまして、関係省庁も含め、情報が適切に報告されるように措置したところであります。

 把握できている事案はこれまで発表してきたとおりでありますが、一昨日、河野大臣より、事案の把握漏れのないよう、改めて、マイナンバーやマイナンバーカードに関する問題について他省庁や自治体などから報告を受けていないか再点検するように指示を行ったところでございます。今後、新たな事案の発生が疑われる情報に接した場合などは、速やかにデジタル庁内や担当省庁との間で情報共有をしっかりと行い、誤登録の疑われる方に個別に通知をするなども含めて、速やかに対応してまいります。

 一連の事案につきましては、国民の皆様から多くの御質問や不安の声もいただいておりまして、デジタル庁としても、記者会見のほか、公式ツイッターやデジタル庁ウェブサイトでの情報発信を強化しているところでございます。今後も、国民の皆様が必要とされている情報を積極的にお届けしてまいりたいと考えております。

 マイナンバーカードの信頼確保に向けた対策を講じつつ、引き続きデジタル社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

西岡委員 御答弁いただきましたように、今後、しっかりと情報公開をして、再発防止をどのように取っていくかということをしっかり国民の皆さんに示していくことこそが、信頼を得て、制度を推進していくことにつながるというふうに思いますので、しっかりお取組を引き続きお願いを申し上げて、大串副大臣にはこれで質問を終わらせていただきます。御退室いただいて結構でございます。

橋本委員長 大串副大臣は御退室いただいて結構です。

西岡委員 それでは、第十三次となる地方分権一括法について質問させていただきます。

 我が国は、明治以来、中央集権型行政システムの下で発展を遂げてきたわけでございますけれども、地方自治が活力を失い、地域の活力の低下ですとか東京一極集中が進んだことによりまして、これまで地方分権改革が進められてきたわけでございますけれども、今なお地方への権限や財源の移譲についてはまだまだ課題があるというふうに私自身は認識をいたしております。

 また、特に近年、東京一極集中がまた進みまして、その是正がなかなか効果を示せず、また、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、国民の命と健康を守るために、国が一定の権限を持ち、対策を進めていかなければならない局面が当然あったわけでございますけれども、コロナ禍を通じて、改めて、国と地方の在り方、役割分担についてもっとしっかりと議論をして方向性を出していくことが必要だということが明確となったというふうに思います。

 今年、地制調における答申も出されたわけでございますけれども、地方分権を進める上でもまさに今後の取組が大変重要だと考えますけれども、これまでの地方分権改革に対する岡田大臣の認識と今後の課題、岡田大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 西岡議員御指摘のとおり、昨今、先ほども一部御答弁を申し上げましたが、新型コロナウイルス感染症への対応に見られるように、これまで想定できなかったような事態あるいは規模の事務処理が必要となって、国と地方の関係の在り方が問われているということは紛れもない事実であると思っております。

 中央集権化の動きがあるのではないかという御指摘もございますが、そういう見方もある一方で、例えばコロナのさなかに都道府県知事が非常に指導力というか権限を発揮された、そういう場面も見られたかと思います。

 この国と地方の関係というものが、関係性がどのように推移していくか、また、いくべきかということは、これは非常に大きな深い議論を必要とすることであると思いますが、もちろん、我々が確信して進まなくてはいけないのは、地方分権は不可逆の、逆戻りすることができない動きであって、これを中央集権化させることがないように、そのためには物理的にもこの東京一極集中ということを是正していかなくてはいけない、この国の多極化を図らなければいけないというのは、地方創生を担当する立場からもはっきりとその決意を申し上げたいと思います。

 地道な地方分権の努力も大切と思っておりまして、平成五年から三十年にわたってこの改革を行ってきて、一定の成果は上がっておると考えています。平成五年からの第一次改革及び平成十八年からの第二次改革では、主に国主導による集中的な取組を行って、国と地方の関係を対等、協力の関係へ転換するための制度改革を行いましたし、また、平成二十六年に導入した提案募集方式、地域の自治体の具体的な御意見を基に制度改正を行う仕組みは、令和四年までの九年間で地方から三千件を超える提案をいただきました。このうち内閣府で調整を行った約二千件のうち、約千七百件については提案の趣旨を踏まえた対応などを行ってきて、地方からも一定の評価をいただいておるところであります。

 今後の課題としては、先ほども申し上げました、まだ六割の市町村が提案を行ったことがなくて、まだまだ現場の貴重な気づきというものは埋もれているおそれがあるのではないかと認識しております。そのために、内閣府職員を自治体に派遣して説明会を行うなど、より多くの自治体から御提案をいただけるように努めてまいりたいと考えております。

 さらに、ナビゲーション・ガイドのように、個々の提案の検討の課題で認識された自治体共通の課題に対応する取組も今後強めていき、引き続き、地域の自主性、自立性を高めるための取組を強力に進めてまいりたいと存じます。

西岡委員 ありがとうございます。

 岡田大臣から力強い、また今後の取組についてのお言葉があったというふうに思いますけれども、この地方分権改革、一層進めていかなければいけないというふうに思いますし、地方からの提案募集方式による成果というものも大変大きいものがあるというふうに思います。

 今回、第十三次の提案につきましては、重要募集テーマが計画策定等とデジタルということで設定をされたということでございます。その中で、重要テーマである計画行政の見直しについて質問させていただきます。先ほどから質問があっておりますので重なる質問となりますけれども、お許しをいただいて、質問させていただきます。

 従来より、この計画の策定の義務づけの規定が地方自治体の業務を遂行する上で大きな負担となっておりまして、本来業務に取り組む時間を阻害しているという指摘もあっており、これまでも様々な取組がなされてきたところでございますけれども、義務規定は減少したものの、努力またできる規定は増加傾向にあり、できる規定であっても、補助金申請の要件になれば地方公共団体としては義務と同様の対応をせざるを得ない、そういう状況もあるというふうに思います。

 まず、計画等の策定に関する規定の現在の条項の数などの状況とともに、課題、問題点について政府としてどのように捉えておられるのか、その見解と今後の方針についてお伺いをしたいと思います。

加藤政府参考人 計画策定等についてお尋ねでございます。

 条項数につきましては、これまでの議論でも出てまいりましたが、この十年で一・五倍に増えている、また、義務づけについては微増でございますが、できる規定、努力義務規定が増えている、その結果として一・五倍というふうなのは、これまでも答弁してきたとおりでございます。

 また、それに伴って事務負担の面で自治体に過重な負担を生じさせているんじゃないかというふうなことも、これまで答弁してまいりました。できる規定、努力義務規定につきまして、財政支援と絡めて実質的に義務化されているではないかと。そこの問題点につきましても、こちらとしても認識しております。

 これまでの議論を踏まえまして、補わせていただくとすれば、財政支援があるものも含めてナビゲーション・ガイドは規定しているというふうなことでございまして、なかなか、努力義務とかできる規定、財政負担がついたものについての見直しが進むのかというふうなことを繰り返し問われてきたかと思います。

 そのナビゲーション・ガイドの中では、意思決定の表現形式は地方公共団体の判断に委ねることを原則とするとか、法律で形式を規定せざるを得ない場合に、計画以外の手法、代替手法を検討するというふうなことを記載しております。

 これは、財政支援があるものを含めてというふうなことでございますので、これを真摯にやっていただくことによりまして、ほかの手法になるということ、あるいはそれ以外の手法を自治体が判断できるというふうなことでございますので、実質的にはといいますか、計画の廃止にも結びついていくのではないかというふうなことでございます。

 なかなか廃止が進まないというふうなことでございますが、そのための取組といいますかは進めていきたいなというふうに考えているということでございまして、この実効性を確保することが大事ではないかというふうな認識でございます。

西岡委員 今御答弁がありましたように、質問につきましては今答弁をいただいた部分もありますので、一問飛ばさせていただきます。

 次に、地方自治体の負担軽減のためにも、地方自治法の第二百六十三条の三第二項に基づく連合組織である地方六団体に対する事前情報提供制度の実効性の確保。しっかりとそこで議論ができる場というものを設けていくということが大変重要だと思いますけれども、このことについての御見解をお伺いをいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおりでございまして、地方自治体の負担軽減の観点から、計画策定等についてでございますが、こちらの見直しを進めていく。それを進めるに当たっても、地方自治法に基づく地方六団体への事前情報の提供、これが適切に実施されることは極めて重要であると認識しております。

 このため、昨年十二月の閣議決定、これは令和四年の提案への対応方針を決定したものでございますが、その中で、計画策定等を含む法律案等に関しまして地方六団体へ早期に情報提供をすべき旨を盛り込んでおりまして、各府省に対し、適切な対応の徹底を図ったところでございます。

 さらに、議論になっておりますナビゲーション・ガイド、本年三月の閣議決定でございますが、その中では、地方六団体に対して各府省が情報提供を図る中で、職員体制などに十分に配慮した制度となるよう、可能な限り早期な情報提供を求めるという旨、これは先ほどとも重複しますが、これも改めて記載しておりますし、また、施策の内容に加えまして、計画等の形式によらざるを得ない理由等についてきちっと説明するようにというふうなことを求めているところでございまして、こうしたガイドの着実な運用、事前情報提供の確実な実施が徹底されますよう、内閣府としても各府省の対応を促してまいります。

西岡委員 早期の情報提供というのは大変重要でございますので、またしっかりこの実効性の確保に、取組を続けていただきたいというふうに思います。

 それでは、一問飛ばさせていただきまして、災害対策基本法の改正について、罹災証明書の早期発行についてお尋ねをさせていただきます。

 固定資産税台帳等の情報については、地方税法第二十二条の守秘義務の対象となっています。本改正によりまして、罹災証明書の交付に当たって必要な住宅の被害認定調査を実施する目的であれば利用することが可能となります。

 改正案において、保有する家の情報とは具体的にどのような情報を想定しているのでしょうか。また、内部で活用というふうになっておりますけれども、被害認定には、様々な外部の人材も調査を一緒に行うという事例が多く見受けられるというふうに思いますけれども、内部とはどのような範囲を示すのでしょうか。これを明確にすることが実効性を高めることにつながるというふうに思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

五味政府参考人 今回の改正案における、保有する住家の情報の具体的な内容についてでございますが、被害認定調査におきまして、固定資産課税台帳等の情報である住家の木造や鉄骨造などの構造や図面といった情報を利用することを想定をしております。

 また、内部利用についてお尋ねがございましたが、内部利用は、当該自治体の職員が利用することを想定しております。外部の人材、例えば他自治体からの応援職員等が固定資産課税台帳等の情報を直接利用することはできないと考えておりますが、被災市町村の担当部局が固定資産課税台帳等の情報を利用して作成した調査票を応援職員等が使用することによりまして、効率的に調査を実施することができるものと考えております。

西岡委員 質問はまだ残っておりますけれども、時間となりましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私は、九九年、最初の地方分権推進法のときに青森県議会におりまして、百本以上の条例案の一つ一つにマル・バツをつけました。本当に大変でしたが、一括法だから、国会で態度は反対だったからといって一律にバツをつけたのではなくて、一つ一つを審査をしたのであります。

 巡り巡って、私は今、本委員会で法案を担当しているわけですが、残念ながら、一括法であるため、国民の安全、福祉などにとって問題のある法案が一つでも含まれていれば、反対せざるを得ません。

 二〇一四年からは提案募集方式で、地方公共団体から寄せられた提案を基に規制緩和、簡素化などを図ってきましたが、今回は第十三次となって、問題なしと判断できる法案が増えていると感じる一方、デジタル関連が増えていると思います。デジタル田園都市国家構想総合戦略に、「デジタルの力によって地方創生の取組を加速化・深化させていく」と明記されたことによると思います。

 そこで、国と地方が対等、平等、できるだけ地方への権限や税源移譲などを進めてきた地方分権の考え方とデジタルがどうリンクするのか、デジタルで国と地方の関係がどうなるという考えか、大臣に伺います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 高橋議員御指摘のとおり、地方分権改革については、これまで、国と地方の関係を上下主従から対等協力の関係に変えて、国は国の本来的な任務を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が担うということを基本として、地方に対する権限移譲や規制緩和を進めてまいりました。

 デジタル技術の活用によって住民の皆様の負担軽減や、また、大変お忙しい地方自治体の業務の効率化、簡素化を図ることは、それは、例えば自治体職員の皆様の負担を軽減するということのほかに、その力をもって地方の創意工夫による仕事に注いでいただくことによって、地方の自主性、自立性を高めることにもなると考えておりますし、地方分権改革においてもデジタル技術の活用は大変重要と考えております。

 こうした観点から、平成二十六年に導入した提案募集方式においても、デジタルを昨年の重点募集テーマとして提案を募った結果、地方から五十一件の提案をいただき、デジタルを活用して自治体の負担軽減を行う規制緩和を行ったところであります。

 デジタルの活用によって地方の業務を効率化、簡素化できる事案はほかにもあると考えております。地方が創意工夫を発揮できる業務に注力できるように、引き続きデジタルを活用した事務負担の軽減に取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 言葉どおりであれば、いいことではないかと思っております。

 スーパーシティを取り組んでいる自治体の首長さんが、やはりデジタルで業務の効率化、そのことによって自治体職員が本来やるべき仕事に注力できるようにということをおっしゃっていた。そうあるべきではないかと思っておりますが、そうでない場合もあるということで議論を進めていきたいと思います。

 それで、法案に関連して、災害対策基本法の改正について質問します。

 罹災証明書は、被災者生活再建支援法や災害救助法による住宅の応急修理などに関わる被災住家の認定、また災害義援金の配分などにも参考とされるために、災害からの生活再建の第一歩に必ず必要なものであります。

 今回、この被災住家の認定に当たって、固定資産課税台帳を活用するとしています。

 被災地を回って感じるのは、この被災住家の認定は、元々固定資産税を扱う部局が行っていることが多いということです。その理由と、固定資産課税台帳が被害認定に役立つのはどの部分なのか。また、固定資産税を担当する部局であっても、それを活用できないで来た理由は何か。お答えください。

五味政府参考人 罹災証明書の前提となります被害認定調査に関するお尋ねでございますが、平時から課税のための家屋調査を行っている税務部局の職員が、その能力、経験を生かして住家の被害認定調査についても円滑に行うことができると考えられることから、税務部局の職員が、災害時におきましては被害認定調査を担当する部局の職員として調査を行うことが多いと聞いております。

 今回の改正によりまして、自治体の被害認定調査を担当する部局の職員が固定資産課税台帳等の情報であります住家の木造や鉄骨造などの構造や図面といった情報を利用することが可能となり、迅速、円滑な調査を行うことが可能となります。

 これによりまして、被害認定調査において、あらかじめ住家の構造に応じた調査票の準備が可能となること、現地で実際の寸法を測ることなく住家の図面の作成が可能となるなど、調査の迅速化、効率化を図ることができるものと考えております。

 これまで固定資産課税台帳が使えなかったのかということに関してでございますが、住家の構造や図面等の情報は地方税法上の漏らしてはならない秘密に該当するため、本来の目的以外での利用はできなかったものと認識をしております。

 引き続き、自治体と連携をいたしまして、被災者支援が円滑に進むように、被害認定調査の迅速化に取り組んでまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 調査票でまたわざわざ図面に描くところから調査が始まる、その手間を省けるということで、この点は賛成をしたいと思うんですね。

 同時に、固定資産課税台帳とは、やはり所在地や建築年などのほかに家屋の床面積と価格などが記載されているために、極めて機微な個人情報に当たると思います。ですから、きちんと守秘義務を課さなきゃならない、厳格な運用が必要だというのは当然だなと思うんですね。なので、あらかじめ、やはり必要な情報のみ、もっと簡単に、要するに図面の部分だけ活用できるようなシステムを工夫するとか、今後検討されたらいかがかなと思っております。

 それで、内閣府防災の住家の被害認定基準について、改めてこの機会に読み返しました。

 元々地震に合わせた基準ではなかったために、地盤災害に対応できないとか、液状化が評価できないとか、赤紙を張られても半壊にもならない、つまり応急危険度判定とのリンクがされていない、こうしたことを常々求めてきたんですが、それらが大分改善されたこと、また、水害との関係など、やはり規模の大きい災害のたびに見直しを行ってきたということは確認できたと思います。

 同時に、固定資産税を計算する部局は、確かにそのことは慣れているし、家屋調査は慣れているんですけれども、やはり建築部局ではないので、損壊具合をどう見るかということには専門ではないということなんです。そのことの苦情もやはり出されているんですよ。なので、二次判定、三次判定と持ち込んでようやく認められたという現場の声があってのことだと思いますので、もう住めないという被災者の実感と被害認定がなるべく一致できるように自治体を更に支援していただきたい、このことは要望していきたいと思います。

 次に、戸籍法について伺います。

 まず、全国民の戸籍副本が法務省にデータとして蓄積されていますが、この作業をいつから始めて、どのくらいの期間で全国民のデータがそろったのでしょうか。また、戸籍情報の更新が日々市町村ではされているわけですが、どのくらいの頻度で法務省に収集されている、その情報量がどのくらいなのか、伺います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍情報については、平成二十五年の戸籍法施行規則の改正により、法務省が管理する戸籍副本データ管理システムにおいて、戸籍の副本データの保存が開始されました。令和二年に、東京都御蔵島村の戸籍のコンピューター化の完了をもって、全市町村のコンピューター化された戸籍の副本データを保存することとなった次第です。

 また、戸籍副本データは、現在、一日一回の頻度で更新を行っておりますが、本年度末に稼働予定の戸籍情報連携システムにおいては、戸籍の記載に異動があった都度、随時更新が行われる予定です。

 なお、令和三年度における全国の戸籍届出事件が約三百八十八万件であることから、戸籍情報連携システムの稼働後は、この程度の事件数に対応した情報の更新が行われる、そういうふうに想定しております。

高橋(千)委員 七年かかって、全市町村が、データを寄せられたと。年三百八十八万件を処理をしている、しかも随時更新ということでは、タイムラグがあってはならないということなんだと思いますが、これはなかなかの負担だなと思って、伺いました。

 二〇一九年の戸籍法改正により、今年度末から戸籍情報連携システムが稼働されます。本籍地以外でも、本人であれば戸籍あるいは除籍の証明書を請求することができるようになりますが、今回の法案は、更にそれに加えて、公用請求でも郵送によらずに当該市町村で請求することが可能になります。

 例えば、空き家対策などで、登記には名前があるんだけれども、所有者や相続人を調査するために、年間五百件を超える公用請求を行っているなどという事情から、市町村からの要望が強かったと承知をしています。

 そこで、一人の人間に対して、実際は本籍地以外に複数の戸籍情報があるわけですよね、結婚していると本籍を移すわけですから。そういうふうなときに、法務省のシステムは、一回の請求で一人にまつわる複数の戸籍情報が整備されているのかどうか、また、この公用請求においてマイナンバーはどのように使われるのか、伺います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 戸籍情報連携システムにおいては、戸籍とマイナンバーを直接ひもづけることとはしておりません。

 請求者が在籍する現在の戸籍だけでなく、過去の戸籍に遡って謄本等を取得したい場合に、一回の請求で機械的にこれらの謄本等が出力できる仕組みとはなっておりません。

 なお、市町村の職員の事務の効率化という観点から、コンピューター化されている戸籍に限って過去の関連する戸籍を検索することができる機能を戸籍情報連携システムに備えることとしておりまして、この機能についてもマイナンバーを利用することは予定していないところでございます。

高橋(千)委員 戸籍が究極の個人情報であるために慎重な扱いをしていることが読み取れると思うんですね。

 ただ、ネットワークといいながら、実際には非常に手間であると。一回では分からない、戸籍の、複数の謄本があるときには分からないというふうなことにもなっております。そういう中で、コンビニ交付で誤交付が現れる、戸籍情報を重要視していることと矛盾しているんじゃないかなと思うんですね。

 例えば、本人確認に情報提供用個人識別符号を使うと言っています。そうすると、マイナンバーはひもづいてはいないけれども、結局必要なわけですよ。

 そういう意味で、常に情報を法務省に集中するという、地方の更新負担は変わらないということと、分権という趣旨からいってもそれは矛盾するのではないか、このように思います。

 党は、前回、これは法務省所管ですので法務委員会で、法改正のときに、この点を反対をいたしました。やはりプライバシーの侵害に関わるということで。やはり、これと切り離して、非常によくなるからというほどの根拠は残念ながら見出せないので、今回、この点は反対したいと思います。

 それで、マイナンバーカードの更新時期が近づいていることもあって、新マイナカードの導入をデジタル社会の実現に向けた重点計画の改定案の中に盛り込んだといいます。性別をなくすことなどが前回のマイナンバー法案の審議で附帯決議にもなりましたし、すぐにもこれは必要なことだと思います。

 裏面に個人番号を書くのをやめるのかどうか。トラブル続きを受けて、セキュリティー対策を盛り込むというけれども、どのようなものなのか、伺います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 六月六日に開催された総理出席のデジタル社会推進会議において、次期マイナンバーカードの検討を始めることについて記載をさせていただきました。会議の御了解もいただいております。

 一番もっともな目的は、最新の技術動向を踏まえて、特に暗号アルゴリズムを最新のものにすることによって、時代時代、暗号はキャッチアップされてしまいますので、最新の最適な暗号技術に換装するというのが一番大きいものではございますが、加えて偽造防止技術、それから、今御指摘にあった、それに伴い券面をどうするかといったようなことも、まだ結論は出ておりませんが、様々な方の声を聞きながらしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 取りあえず、ここは分かりました。

 そこで、厚労省に伺います。

 マイナ保険証の他人履歴ひもづけ七千三百件、あってはならないことです。今なら、健康保険証を持参すれば、保険給付が今までどおり受けられます。

 今年四月に更新したという厚労省保険局の医療機関、薬局向けオンライン資格確認に関する資料がありますけれども、QアンドAでも、一番最初に、「オンライン資格確認を導入したら、患者はマイナンバーカードがないと受診できないのですか?」とあって、アンサーは、「健康保険証でも受診できます。」とあります。薬剤情報が必要な人はカードが必要です、こういうものなんですね。今年更新したものでも、やはり健康保険証は使えるということと、最小限の入力で可能と書いてある。これは大事なことだと思うんですね。

 そこで伺いたいのは、来年秋に廃止という想定は、元々厚労省にはなかったのではないか。マイナカードの取得は任意である以上、一方的に廃止はできないはずです。原則廃止とは言えても、準備期間を考えても、来年秋に廃止というのは余りにも早いのではないでしょうか。

伊佐副大臣 昨年六月の閣議決定によりまして、本年四月からの保険医療機関等におきます医療保険のオンライン資格確認の導入を原則義務化をさせていただく。そしてまた、この閣議決定の中では、令和五年度中をめどに保険者による保険証発行の選択制の導入を目指す、これは、紙の保険証を併用するか、あるいは廃止するかを選択できるというものでございます。さらに、導入状況等を踏まえて、健康保険証の原則廃止を目指すということが昨年の六月の閣議決定に書かれております。

 その後、マイナンバーカードと健康保険証の一体化にはいろいろな、様々なメリットがあることを踏まえまして、この一体化を加速していこうという観点の下で、保険医療機関等においてオンライン資格確認の導入に必要なカードリーダーの申込みが九割を超えたということ、そしてまた、来年春頃からは、訪問看護等の居宅あるいは柔道整復師等の施術所等においてもオンライン資格確認を導入する予定となったということを踏まえまして、昨年の十月、来年の秋に全ての被保険者を対象に発行してきた健康保険証を廃止するということといたしました。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化のメリット、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能となりますので、引き続き周知を進めて、更なる普及に努めてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 保険者による選択であった、原則廃止であった、そしてオンラインも原則義務化であった、これが昨年六月の骨太だと思うんですね。九割普及したというのは、限りなく一〇〇に近いけれども、やはり原則がついている、この世界だと思うんですよ。それを、いきなり廃止としたということ自体は、イコールじゃないんです。このことをやはり重ねて確認をしたいなと思うんですね。

 昨年十月に河野大臣が会見をやったわけですが、その直前、九月二十九日のマイナンバーの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議で、大臣は、第一に、健康保険証、運転免許証、在留カード、その他カード、資格証など、全部マイナンバーカードに漏れなく一本化、加速をしていきたいと述べました。工程表にとらわれず、更なる前倒しをやっていきたい、最近、一本化は目指すけど、相当な期間を要するという話だ、この相当な期間、例えば五年というのは五か月に単位を読み替えていただきたい、ここまで発言をされているんですね。

 このことが最終的には廃止、原則のつかない廃止になってしまったんじゃないかと。そのことが、今になっては、急ぎ過ぎだと。結局、もろもろの準備をしなきゃいけなかったのに間に合わなかったということになるのじゃないか。やはりこのことは率直に認めるべきではないかと思います。

 もう一回、伊佐副大臣と村上統括官に、一言お答えください。

伊佐副大臣 昨年の六月の閣議決定におきましては、今申し上げましたとおり、健康保険証の原則廃止を目指すというのは、これは導入状況等を踏まえという前提がついております。

 そういった意味では、こうした様々な導入状況の進捗、そしてまた、このメリットを、一体化する、加速化する観点、こういうものを踏まえた上で保険証を廃止するということにさせていただいたものでございます。

村上政府参考人 改めまして、これまでのプロセスの中でも、マイナンバーカードに関して様々な国民の皆様への御不安を招くような事態を生み出していることにつきましては深く反省し、しっかりと再発防止に努めてまいりたいと思います。

 その上で、政府全体で決めた方針に基づいて、マイナンバーカードの利活用をデジタル社会の基盤として進めていくべく、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

高橋(千)委員 急ぎ過ぎたということを指摘して、一旦立ち止まるべきだと述べて、終わります。

橋本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、第十三次地方分権一括法案に反対の討論を行います。

 本法案は、地方自治体等からの提案に基づき、七法案の改正を一括で行うものです。

 これまでの地方分権一括法案について、我が党は、住民サービスの利便性の向上や行政手続の適正な遂行につながる改正には賛成するとともに、住民の命や安全、健康を脅かす規制緩和や人権侵害につながる見直しなどには反対してきました。

 反対するのは、次の三つの法案です。

 まず、住民基本台帳法の一部改正のうち、森林の経営権集約に住基ネットワークを活用する点です。

 森林経営管理法は、森林所有者に適時に伐採等を義務づけ、その義務が果たせない森林に市町村が経営管理権を設定、集積するもので、利益の出る森林は規模拡大を目指す経営者に実地権を渡し、それ以外は自治体に責任を負わせるもので、二〇一九年改正時に反対した経緯があるためです。

 次に、地方独立行政法人法の改正です。

 公立大学の年度計画と評価を廃止し、中期計画中の評価を減らすもので、これ自体は大学法人と設置者である地方自治体の負担軽減になります。しかし、中期計画の目標達成のため、業務効率化のための客観的指標を求めることで、業務のリストラや運営費交付金削減を促すことになりかねないからです。

 第三に、戸籍法改正案です。

 今年度末稼働予定の戸籍情報連携システムについて、市町村の担当者が同一市町村の戸籍担当部局を通して公用請求を行うことができるようになります。戸籍は、婚姻、親子など、身分関係や出自に関するデータが蓄積されている究極の個人情報です。だからこそ限定的かつ厳格に扱われてきたものであり、我が党は、重大なプライバシー侵害の危険が払拭できないとして反対しました。この戸籍情報連携システムがまだ稼働しておらず、検証もできない下で更なる利用拡大をしようとする本改正案は認められません。

 なお、残り四本の法案については、反対するものではありません。

 終わりに一言。

 本法案は、住基ネットワーク、戸籍情報、固定資産課税台帳など、根幹となる個人情報の活用が中心であります。一方、マイナカードのコンビニ誤交付や他人の公金受取口座のひもづけ、マイナ保険証に他人履歴がひもづくなど、重大なトラブルが起こっています。デジタル化は地方自治体の業務を減らし、人手不足も解消できると言われますが、元々その分野に習熟する人材が不足し、システム改修や維持に対して財政難などを抱えており、そのことがヒューマンエラーを呼び込む要因でもあるのです。デジタル社会の大前提は、国や地方行政に対する住民の信頼あってこそであり、地方自治体が豊かな個性ある行政サービスを執行できるよう、予算の裏づけ、正規雇用と増員へ抜本転換していくべきです。

 以上述べて、討論とします。

橋本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

橋本委員長 次に、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、令和五年三月予備費使用に係る低所得者世帯給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 この際、委員長から、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 今般、政府は、物価高騰の影響を受けた生活者等に対し、地方公共団体が地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細やかに実施できるよう、令和五年三月予備費により、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のうち電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を増額するとともに、新たに低所得世帯支援枠を措置したところであります。

 本起草案は、この令和五年三月予備費による住民税非課税世帯等に対する三万円を上限とする給付金について、その支給の趣旨に鑑み、その支給を受けることとなった者が自ら給付金を使用することができるようにするため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、令和五年三月予備費使用に係る低所得者世帯給付金の支給を受ける権利の差押え等を禁止するとともに、給付金として支給を受けた金銭等の差押えを禁止することとしております。

 第二に、租税その他の公課は、給付金として支給を受けた金品を標準として課することができないこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 令和五年三月予備費使用に係る低所得者世帯給付金に係る差押禁止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を令和五年三月予備費使用に係る低所得者世帯給付金に係る差押禁止等に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橋本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十五日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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