衆議院

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第15号 令和5年6月15日(木曜日)

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令和五年六月十五日(木曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 橋本  岳君

   理事 今枝宗一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 田中 英之君 理事 谷川 弥一君

   理事 坂本祐之輔君 理事 湯原 俊二君

   理事 中司  宏君 理事 中川 宏昌君

      青山 周平君    東  国幹君

      井原  巧君    石田 真敏君

      石原 正敬君    今村 雅弘君

      大野敬太郎君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中曽根康隆君    鳩山 二郎君

      牧島かれん君    宮路 拓馬君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      堤 かなめ君    野間  健君

      福田 昭夫君    緑川 貴士君

      森田 俊和君    住吉 寛紀君

      堀場 幸子君    輿水 恵一君

      鰐淵 洋子君    西岡 秀子君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)   河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          小倉 將信君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   政府参考人

   (内閣官房孤独・孤立対策担当室次長)       榊原  毅君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         三原 祥二君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           森  政之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       佐藤 一絵君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木村 典央君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     青山 周平君

  宮路 拓馬君     杉田 水脈君

  保岡 宏武君     石原 正敬君

  渡辺 孝一君     東  国幹君

  末次 精一君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     牧島かれん君

  東  国幹君     渡辺 孝一君

  石原 正敬君     保岡 宏武君

  杉田 水脈君     鳩山 二郎君

  野間  健君     末次 精一君

同日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

六月十二日

 健康保険証を廃止しないことに関する請願(坂本祐之輔君紹介)(第一八四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八五〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九二四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇四五号)

 同(本村伸子君紹介)(第二〇四六号)

同月十三日

 子供のための予算を大幅に増やし、保育士の増員など、保育・学童保育制度の抜本的改善を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二二四二号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第二三七五号)

 同(松原仁君紹介)(第二五五一号)

 同(山岸一生君紹介)(第二五五二号)

 健康保険証を廃止しないことに関する請願(櫻井周君紹介)(第二二四三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二二四四号)

 同(小川淳也君紹介)(第二三七七号)

 同(青山大人君紹介)(第二五五四号)

 同(米山隆一君紹介)(第二五五五号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第二五五六号)

 健康保険証廃止の中止を求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(本村伸子君紹介)(第二三七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五五三号)

同月十四日

 健康保険証を廃止しないことに関する請願(重徳和彦君紹介)(第二七〇〇号)

 同(下条みつ君紹介)(第二七〇一号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第二八一五号)

 同(小川淳也君紹介)(第二八一六号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第二八一七号)

 子供のための予算を大幅に増やし、保育士の増員など、保育・学童保育制度の抜本的改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二八〇四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二八〇五号)

 同(菅直人君紹介)(第二八〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二八〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八〇九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二八一〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八一一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二八一二号)

 同(宮本徹君紹介)(第二八一三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二八一四号)

同月十五日

 子供のための予算を大幅に増やし、保育士の増員など、保育・学童保育制度の抜本的改善を求めることに関する請願(落合貴之君紹介)(第二九一九号)

 同(江崎鐵磨君紹介)(第三〇九一号)

 同(城井崇君紹介)(第三〇九二号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第三〇九三号)

 同(仁木博文君紹介)(第三〇九四号)

 同(末松義規君紹介)(第三一五九号)

 同(手塚仁雄君紹介)(第三一六〇号)

 健康保険証廃止の中止を求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第二九二〇号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第三〇九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三〇九六号)

 健康保険証を廃止しないことに関する請願(岡本あき子君紹介)(第三〇一八号)

 同(緑川貴士君紹介)(第三〇一九号)

 同(堤かなめ君紹介)(第三〇九七号)

 同(湯原俊二君紹介)(第三〇九八号)

 同(仁木博文君紹介)(第三一六一号)

 同(山田勝彦君紹介)(第三一六二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

橋本委員長 これより会議を開きます。

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房孤独・孤立対策担当室次長榊原毅君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣官房内閣審議官鹿沼均君、個人情報保護委員会事務局次長三原祥二君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官村上敬亮君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、出入国在留管理庁在留管理支援部長君塚宏君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、文部科学省大臣官房審議官西條正明君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官森政之君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官堀井奈津子君、厚生労働省大臣官房審議官朝川知昭君、農林水産省農村振興局農村政策部長佐藤一絵君、国土交通省大臣官房審議官木村典央君、国土交通省道路局次長佐々木正士郎君及び環境省大臣官房審議官針田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橋本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橋本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 冒頭、旧文通費について、ちょっと通告がないんですが、小倉大臣に、心を込めてお答えをいただきたいと思っております。

 先月、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数は四%を超え、十一か月連続の上昇となり、第二次オイルショックの一九八一年以来、約四十二年ぶりの高水準となりました。調理食品やお菓子類、一割以上値上がりするなど、物価高による家計負担率増は歯止めがかからない状態にあります。大臣、スーパーに行かれるか分からないですけれども、私は、もうスーパー、御用達だと、本当に物価が高くなったなというのをすごく実感しています。

 そこに来て、大手の電力会社七社による一般家庭向けの電気料金の大幅値上げがされようとしております。標準的な家庭で月に大体二千円程度の値上がりがある地域もあるというふうに言われています。加えて、今年の国民所得に占める税金や社会保障費の割合、すなわち国民負担率は約四七%となる。そこに防衛費財源確保のための増税が上乗せされる。さらに、政府は、子供、子育て支援のための社会保障費の増額を行うと言っています。これは後でやらせていただきます。国民負担増のオンパレードです。

 その一方で、痛みを伴う歳出削減や既得権に切り込む規制改革による経済成長を促し、財源を確保する努力というのは全く足りていないと考えています。特に、自民党の政治家は、自分たちの身分を守ることに余りにも熱心なのではないですかということを何度も御訴えをさせていただいています。

 旧文通費の改革は、去年の国会で我が党が提案した使途公開と残金返金を軸として各党協議が進んでいましたが、去年の国会中に結論を得る約束を自民党が一方的にほごにしたため、たなざらしになっている状態であります。

 自民党に所属する一人の政治家として、国民の苦しみを無視し、政治家が我が身を守ることを第一にすることでいいと本当に思うんですか。今国会中に結論を出すのが当然と考えているんですが、大臣はどのようにお考えですか。国会で御議論いただくといった逃げ口上はやめて、政治家として自分の言葉でお答えいただきたいと思います。お願いします。

小倉国務大臣 堀場議員御指摘の旧文通費、調査研究広報滞在費の使途公開等につきましては、議員活動の在り方に関わる重要な課題と考えております。

 私自身は、国会議員としてもう十年以上仕事をさせていただいております。決して、保身に走ったことは一度もございませんし、常に、我が身を賭してでも国難とも言える様々な課題に取り組んでいく、そういう覚悟でこれまでもやってまいりましたが、ただ、この問題につきましては、私個人の問題ではなくて、全ての議員に関わる、そういう課題でもございます。

 したがいまして、現在、各党各会派において御議論いただいており、国会でお決めいただくことと承知しておりますので、政府の立場から答弁することは差し控えたいと考えております。

 なお、国民負担の点につきましては、総理が、税制措置は政府においてあらゆる行財政改革の努力を尽くすことが大前提と内閣の方針を答弁されておりますように、政府としては、国民の負担増ありきの議論を行っているということは決してございません。

堀場委員 ありがとうございます。

 私の質問に入らせていただきたいと思います。

 このような、現状として非常に国民の皆様が、負担が厳しいよということをおっしゃっている状況にあるところで、こども未来戦略方針というのが先日発表されたと思います。子供手当について、所得制限の撤廃、これは私たち、立憲さんと一緒に法案も出させていただいておりますので大歓迎なんですが、高校までの延長、第三子への拡充、この三点が確定したと承知をしております。高校まで児童手当が延長されるということは、現行の制度である扶養控除というものは見直されると考えるんですが、いかがでしょうか。お願いいたします。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 今週閣議決定されましたこども未来戦略方針におきましては、ただいま御指摘賜りました三人以上の場合の三万円、所得制限の撤廃、そして、今まさに御指摘を賜りました高校生までの延長が、決定をさせていただきました。

 その上で、二〇一〇年、これは民主党政権のときだったと思いますけれども、子ども手当が導入された際に廃止をされた残りの部分、高校生の部分をどうするかということに関しましては、今後その扶養控除との関係をどう整理するかと書かせていただいているところであります。

 いずれにせよ、この扶養控除に関しましては、見直す、見直さないことを含めて今後の税制改正プロセスの上で、国会の中で、若しくは与党税調の中で議論をされていくものだというふうに思っております。

堀場委員 ということは、今のお答えということは、扶養控除プラス高校までの児童手当があり得るということでよろしいですか。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 今後の税制改正のプロセスの中で検討されていくものでございますので、今どうなのかということを決定されているものではないというふうに考えております。

堀場委員 これは多くの方が御不安に思っていらっしゃると思います。第三子についても、該当しない方が出てきますよね。年齢層、年齢がすごく離れていたら該当しない。第二子に換算されてしまう。こうやって必ず漏れ落ちる方がいる政策というのはどうなのかということを私たちはいつも言っています。我が党はいつも、しっかりと安心のセーフティーネットを引く、漏れのない福祉を考えるということを前提にお話をしているところです。

 小倉大臣にお尋ねします。

 扶養控除が見直されると、所得制限により無償化されている政策に影響が出ると思うんですけれども、大臣の御見解をお願いします。

小倉国務大臣 今財務政務官から答弁させていただきましたとおり、扶養控除につきましては今後整理をするということでございまして、あと、見直すとも見直さないとも方針として打ち出していないところでございます。

 したがいまして、扶養控除が廃止された場合での影響という仮定に基づいた質問につきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

堀場委員 なるほど。ということは、扶養控除が見直されるということが決まっていないのでお答えすることはできないということは、ちょっとこれは余りにも逃げがひどいんじゃないかなと思うんです。最初にいい政策は言うけれども、マイナスの方は言わないということですよね。プラスのことは言うけれども、マイナスのことが生じる可能性がある、そしてそれを国民の皆さん、特に子育て世代、そして私たちのように、今うちの子は中三ですから、次、高校生に上がってくる、この世代にとってはすごくリアルタイムなお話なんですけれども、ここについてはお答えはしないというお答えだったというふうに考えます。

 次、もう余り時間がないので一つだけ、小倉大臣にお尋ねします。

 社会保障保険料を上げるというお話が出ておりますが、現役世代の負担を増やして子育て政策を行うというのは、いわゆるつけ替えと言われても仕方ないと思うんですが、これについての大臣の御所見をお願いします。

小倉国務大臣 まず、社会保障保険料につきましては、全世代型社会保障構築本部事務局において、後藤大臣の下で議論が進められていくものと承知をしております。

 現役世代の負担について御質問いただきましたが、そもそも今回のこども未来戦略方針は、経済成長実現との両立を図り、若者、子育て世代の所得を伸ばすことを基本的な考えとしております。したがいまして、構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすことを基本理念の第一として、児童手当の強化、高等教育費の支援拡充など、抜本的に対策を強化をいたしております。

 また、財源につきましては、歳出改革等による公費と社会保険負担軽減等の効果を活用することによって、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指して取り組むということを総理も申し上げております。

 このように、子育て世代の負担がかえって増え、必要な子育て支援と両立しないというような形で少子化対策を進めることは考えられていないもの、このように承知をしております。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、これだけ国民負担が厳しい中で更に負担を強いるのではなく、我が党は常に、国民負担の前にやるべきことがあるでしょうと御訴えをさせていただいておりますので、是非耳を傾けていただきまして、歳出削減はもちろん、我々国会議員の身分も、そして議員定数の削減も併せて御議論いただければと思います。

 本日はありがとうございました。

橋本委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、私からはこども未来戦略方針の決定についてお伺いをさせていただきます。

 六月十三日、こども未来戦略方針が閣議決定されまして、岸田総理も記者会見をされました。三月に小倉大臣の下で取りまとめられた試案がベースとなり、こども未来戦略会議の議論を経て決定されたものだと理解をいたしております。

 この方針の概要について、大臣が取りまとめられたたたき台が基になっているという中で、それにプラスされた部分もあるかというふうに思いますけれども、小倉大臣からその概要について御説明をいただきたいと思います。

小倉国務大臣 御指摘いただきましたこども未来戦略方針のポイントについて説明をさせていただきます。

 まず第一に、経済成長実現と少子化対策を車の両輪とした大きなパッケージを実行すること。第二に、二〇三〇年代までがラストチャンスであることを踏まえまして、三兆円半ばの規模を確保すること。第三に、同じく二〇三〇年代がラストチャンスであることを踏まえて、私の三月末のたたき台、いわゆる試案から、高等教育の更なる支援拡充等を更に前倒しで、スピード感を持って講じる、スピード感を重視をしたものであることなどが考えられるのではないかと思います。

 この第一のポイントにつきましては、私のたたき台の諸施策がいずれも抜け落ちることなく具体化をされ、更に充実したものとなっております。例えば、私の所管する施策について申し上げますと、児童手当のかつてない大幅な拡充、こども誰でも通園制度の創設、七十五年ぶりとなる保育士の配置基準の改善などの重要な施策を盛り込んでございます。

 また、財源につきましては、歳出改革の徹底等を先行させ、それによる公費の節減等の効果等を活用しながら、実質的に負担増を生じさせないことを目指すという方針を明記してございます。

 第二のポイントについては、これにより、我が国の子供、子育て予算は、子供一人当たりの家族関係支出で見てOECDトップ水準のスウェーデンに達する水準となりまして、大きな前進をもたらすものと考えております。

 最後に、第三のポイントにつきましては、私の所管する施策についてこれも申し上げますと、こども未来戦略方針に盛り込まれております施策のうち、今後こども大綱の中で具体化をする貧困、児童虐待防止、障害児、医療的ケア児に関する支援策について、今後の予算編成過程で施策の充実を検討することといたしております。

 こども政策担当大臣として、この方針に盛り込んだものができるだけ早く実現できるように、これからもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 今、小倉大臣から、たたき台と関連をした中で御説明をいただきました。

 その中で、財源についても言及があったわけでございます。予算規模については三兆円半ばというふうにされましたけれども、このこども未来戦略会議の議論も含めて六月には明確にするということをたたき台の時点では大臣もおっしゃっていたというふうに思います。

 この子育て予算の財源確保策については、私たちの受け止めとしては、やはり年末まで先送りされたのではないかという受け止めをいたしております。また、子育て当事者世代の方々にもそういう受け止めが大変大きいというふうに承知をいたしておりますけれども、年末まで先送りをされたことの理由を含めて、小倉大臣の御見解、この財源論についての御見解をお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 これまでの私の答弁は、骨太の方針までに、子供政策に関する必要な政策、予算そして財源に関する検討を深めていくということと、将来的な子供予算の倍増の大枠をお示しをするということでございます。

 後半につきましては、後ほど質問があればお答えをしたいと思いますし、前半についても、このこども未来戦略会議においてしっかりと議論を深められたのではないかなというふうに思います。

 財源については先送りをしたというふうな、そういう御指摘をいただきました。これにつきまして、総理は、「歳出改革等を通じて財源を確保するに当たり、歳出改革の内容は毎年の予算編成を通じて具体化していくこととなりますが、こども未来戦略方針で決定した、全世代型社会保障を構築する観点から、歳出改革等の取組を徹底する、このことによって、実質的に追加負担を生じさせないことを目指すとの方針は揺るぎないものであり、先送りとの指摘は適切ではない」、こう述べているものと承知をしております。

 この点については、しっかりと、私たちとしては説明を繰り返し粘り強く申し上げさせていただきたいというふうに思っておりますし、こども未来戦略方針に沿って、関係省庁とも連携をしながら、こども家庭庁としても、今申し上げた方針についてしっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 今、大臣から御説明をいただいたわけでございますけれども、やはり受け止めとしては先送り、年末まで先送りをされたのではないかというふうに思うわけでございます。

 特に、次元の異なる子供政策、これには本当に大きな期待があるというふうに思います。

 政策を述べる場合に、やはり財源論が伴うということが、より当事者の方にとっては現実味を持って受け止められるというところがあると思います。

 国民民主党としては、従来から申し上げております教育国債、これは、つなぎの国債ではなくて、しっかりした、理念を持った教育国債を提案をさせていただいておりますし、日銀保有国債の一部永久化ということも私たちは政策として掲げさせていただいているわけでございますけれども、今大臣の方から、歳出改革に取り組む、これは岸田総理からも御説明があったわけでございますけれども、その具体的な内容について、全世代型社会保障構築本部事務局より御説明をいただければというふうに思います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今先生おっしゃられた少子化対策の財源確保に向けた歳出改革についてでございますが、今週の十三日に閣議決定しましたこども未来戦略方針においてお示しをしておりますが、「全世代型社会保障を構築する観点から歳出改革の取組を徹底するほか、既定予算の最大限の活用などを行う。」というふうにしております。

 その歳出改革の具体的な内容につきましては、具体的な改革工程表を策定する中でお示しをした上で、二〇二八年度までの毎年度の予算編成過程において実施して、きちっと積み上げていきたいというふうに思っているところでございます。

西岡委員 今、毎年の予算方針で具体化していくというところで、この歳出改革について今具体的なことを述べられるというところは大変難しいところはあるというふうに承知をいたしますけれども、やはり、この歳出改革をした上で財源を確保していくということ自体が明確な財源を示しているということにはならないのではないかということを御指摘をさせていただきたいと思います。

 また、先ほど堀場委員からも御質問がありましたけれども、総理が会見で、財源については若者、子育て世代の追加負担とならないことを目指すということを記者会見の中で述べられておりました。これまで議論になっております、社会保険料の負担を増やすことですとか、扶養控除の廃止等、これは明確に負担増につながる政策だというふうに考えますけれども、このことは実施しない、追加負担とならないことを目指すということは、このことについては確保策としては考えないという理解でよろしいのかどうか、このことについても引き続きお伺いをしたいと思います。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 高齢化等によりまして、医療、介護の保険料率、これは当然ながら上昇していくというふうに考えておりますが、少子化対策の実施に当たって、経済成長を阻害し、若者、子育て世代の所得を減らすことがないよう、徹底した歳出改革等によって得られる公費の節減等の効果、また社会保険負担軽減等の効果、こういったものを活用する中で、新たな支援金の枠組みを構築し、実質的な追加負担とならないことを目指していくものと考えております。

 また、扶養控除についてのお話もございました。

 こども未来戦略方針においてお示しさせていただいていますとおり、児童手当の所得制限を撤廃し、支給期間を高校生年代まで延長する際に、中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理するというふうなこととしております。

 さらに、財源の基本骨格におきまして、そもそもとしまして、少子化対策の財源確保のための消費税を含めた新たな税負担は考えないというふうにしておりまして、少子化対策の財源確保を目的として検討することは考えておりません。

 以上でございます。

西岡委員 今、鹿沼内閣審議官から御答弁をいただいたわけでございますけれども、若者や子育て世代の負担を増やさない、このことは、この政策を進めていく上で、少子化対策としても大変重要な視点だというふうに思います。

 小倉大臣の御見解をお伺いをしたいこと、また、それと加えまして、こども家庭庁予算を二〇三〇年代の初頭までに倍増するという方針も示されました。そのことについても小倉大臣に併せてお伺いをしたいと思います。

小倉国務大臣 まず、財源につきましては、先ほども鹿沼審議官から御答弁させていただきましたように、歳出改革等による公費と社会保険負担軽減等の効果を活用することによって、国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指して取り組むということでございます。

 その上で、先ほども堀場委員の御質問にお答えをいたしましたが、今回のこども未来戦略方針は、経済成長実現との両立を図り、若者、子育て世代の所得を伸ばすことを基本的な考え方といたしております。

 このため、構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすことを基本理念の第一として、児童手当の強化、高等教育費の支援拡充など、抜本的な施策も強化をさせていただいております。

 こうしたことを通じて、子育て世代の負担がかえって増え、必要な子育て支援と両立しないという形で少子化対策が進められていくことは考えられていないものと考えております。

 また、次に、こども家庭庁の予算の倍増に向けた取組についても御質問いただきました。

 戦略方針では、「二〇三〇年代初頭までに、国の予算又はこども一人当たりで見た国の予算の倍増を目指す。」こととしております。

 まずは加速化プランの施策をしっかりと実現をすることが重要だと考えております。

 その上で、加速化プランの効果の検証を行いながら、施策の内容を吟味をし、内容に応じて、社会全体でどう支えるか、更なる検討を進めてまいりたいと考えています。

西岡委員 ありがとうございます。

 今大臣からもありました、若者や子育て世代の所得を向上していく、本当にこれが大変重要だと思いますし、構造的な賃上げ、これをしっかりと持続的に続けていくということが大変重要だという視点で我が党としても取組を続けているわけでございます。

 今、小倉大臣からも、そして十三日には総理からも、所得を向上させていくという取組方針が明確に示されたわけでございますけれども、この施策の中身につきまして、厚労省、畦元厚生労働大臣政務官から、具体策についてお伺いをさせていただきます。

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 こども未来戦略の基本理念の第一に、若い世代の所得を増やすことを位置づけており、厚生労働省としても、いわゆる百六万円、百三十万円の壁を意識せずに働くことが可能とすることを考えております。また、リスキリングによる能力向上支援等を行うことなどの取組を行っていくこととしております。

 社会保険におけるいわゆる百六万円、百三十万円の壁については、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに取り組んでいるところでございます。被用者が新たに百六万円の壁を超えても手取り収入が減少しないよう、労働時間延長や賃上げに取り組む企業に対して必要な費用の補助をするなどの支援強化パッケージを本年中に取りまとめ、その上で、更に制度の見直しに取り組むこととしております。

 以上です。

西岡委員 今、畦元政務官から言及された内容は大変重要だというふうに思います。しっかりそのことに、具体策を持って取組を続けていただきたいと思います。

 最低賃金の言及もございました。

 やはり、地方と都市部と最低賃金に大きな差がございまして、地方における若者ですとか子育て世代、今、いろいろな施策については政府からも言及があるんですけれども、現実としては大変厳しい状況に地方は置かれているということを是非認識をしていただく中で進めていただくことをお願いを申し上げたいと思います。

 畦元政務官については、これで質問を終わらせていただきますので、退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。

橋本委員長 畦元政務官、御退室いただいて大丈夫です。

西岡委員 今、小倉大臣からもいろいろお話をいただく中で、やはり、今回の支援策の中で、若者や子育て世代に追加負担とならない政策に是非取り組んでいただきたいということと、やはり所得向上に向けた取組に、是非大臣が先頭に立って、先ほど、スピード感を持って、今回前倒しをされたというお話もございました。二〇三〇年までがラストチャンスという総理のお言葉もございます。今後、小倉大臣が是非リーダーシップを持って取り組んでいただくことをお願いをいたしまして、小倉大臣につきましても、ここで質問を終わらせていただきますので、御退席いただいて結構でございます。

橋本委員長 では、小倉大臣、御退室いただいて結構です。

西岡委員 続きまして、高等教育費の負担軽減、奨学金制度等の拡充、改善について質問させていただきたいと思います。

 日本の対国民所得比の国民負担率は、OECD各国の中でほぼ真ん中に位置しているわけでございますけれども、高等教育費の公的教育支出の部分につきましては、対GDP比率、公的負担分は最低位にあるということから、高等教育への公的教育支出の拡充が求められているところでございます。

 二〇二二年九月に、労働者福祉中央協議会が、奨学金の利用者二千二百人に対しまして、三回目となるアンケートを実施いたしました。コロナ禍で、より返済状況が厳しくなっていること、奨学金の返済が結婚や出産などの人生の節目に影響しており、食事や医療受診など、日常生活の根本的なところにまで影響を及ぼしていることなどの結果が出ております。

 奨学金の負担が、若者が将来に希望を持つことができなくなっている大変大きな要因の一つであるということは共通の認識であるというふうに思います。教育機会の均等や家計における負担軽減のためにも、より一層の高等教育費の負担軽減策、この充実が必要であると考えますけれども、文部科学省の御見解をお伺いしたいと思います。

西條政府参考人 お答えいたします。

 教育の機会均等や少子化対策といった観点から、高等教育費の負担軽減は喫緊の課題であると考えております。

 このため、十三日に閣議決定されましたこども未来戦略方針においても、今後三年間の集中取組期間の加速化プランにおいて実施する取組といたしまして、給付型奨学金等の対象拡大など進学、在学者向けの支援と併せまして、既に卒業された若者への支援として、貸与型奨学金の返還支援制度における年収要件の緩和などが盛り込まれております。

 文部科学省といたしましては、高等教育費の負担軽減のため、加速化プランの着実な実行に向け、必要な取組をしっかりと進めてまいります。

西岡委員 時間が限られておりますので、次の質問に移りたいと思います。

 高等教育修学支援制度の支援対象を中間所得層までより拡大する必要があると考えますけれども、文部科学省の御見解をお伺いいたします。

西條政府参考人 お答えいたします。

 高等教育の修学支援制度につきましては、令和六年度から、年収六百万円程度までの世帯を対象に、多子世帯や理工農系の学生等の中間層に支援を拡大する予定としております。

 さらに、六月十三日閣議決定のこども未来戦略方針においては、執行状況や財源等を踏まえつつ、特に、多子世帯の学生等に対する授業料等減免について、対象年収の拡大も含め、更なる支援の拡充を検討し、必要な措置を講ずることとしております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、関係省庁とも連携協力するとともに、今後とも、教育に係る経済的な負担軽減の取組を続け、教育の機会均等に努めてまいります。

西岡委員 家計が急変した場合の学生さんなんですけれども、やはりなかなかこの修学支援制度の詳細については御存じない学生の方が大変多くて、修学を諦めざるを得ない状況も出てきているというふうに思いますので、これをもっと、困ったときにはこういう制度があるですとか、そういうことをもっとしっかり学生の皆さんに周知する、徹底するということが大変重要だと思いますけれども、最後にそのことについての御見解をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

西條政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの修学支援新制度におきましては、毎年春と秋の年二回の申込みを受け付けまして、前年の課税所得等を基準に、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯を対象としておりますが、委員御指摘のように、災害、生計維持者の死亡、事故、病気による就労困難、また非自発的失業等により家計が急変した場合には随時申込みを受け付けまして、急変後の所得見込みに基づいて採用判定をする特例措置を行っております。

 御指摘の家計急変の場合の特例につきましては、これまでも、支援を必要とする学生等に情報が行き渡るよう、文部科学省や日本学生支援機構のホームページで周知するほか、各学校に対しまして累次にわたって通知をしており、本年二月一日にも大学等に発出したところでございます。

 文部科学省といたしましては、学生等が進学、修学を断念することがないよう、引き続き本制度の周知に努めてまいります。

西岡委員 奨学金の負担が大きくのしかかっている、このことをしっかりと中心に置きまして、今後もしっかり進めていただくことをお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

橋本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十三日、岸田総理は、こども未来戦略方針を閣議決定、発表しました。まず、三年間の集中的な取組として、児童手当の所得制限の撤廃、高校生まで拡充、第三子以降三万円などを盛り込んだ加速化プランにより、子供一人当たりの家族関係社会支出について、OECDトップ水準のスウェーデンに並ぶと説明をしております。現状が、今、資料の一枚目につけておりますけれども。

 三年間でこども家庭庁の所管予算四兆七千億円を五割増し、二〇三〇年代初頭には倍増が視野に入るとしております。ただし、「「加速化プラン」とは別に公教育の再生等のための支出が行われる。」と注釈がついています。

 日本のGDPに占める教育支出は、先ほども議論がありましたけれども、二〇一九年時点で二・八%、OECD三十七か国中三十六位にとどまっておりますが、やはり、次元の異なると言う以上、教育支出においても、少なくともOECD平均を上回る目標を持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 教育につきましては文科省の所管になりますが、その上でお答えをさせていただきますと、OECDの国際比較のデータには家族関係社会支出と教育関係の公財政教育支出がございまして、文科省からは、公財政教育支出については、各国ごとに全人口に占める子供の数等が様々であり、国により国民負担率などが異なりますことから、単純に比較することは適当ではなく、様々な見方があると考えられる、このように伺っております。

 他方で、今回のこども未来戦略方針におきましては、令和六年度から、給付型奨学金等について、多子世帯や理工農系の学生等の中間層に拡大すること、これに加え、執行状況や財源等を踏まえつつ、多子世帯の学生等に対する授業料等減免についても更なる支援拡充を検討することなどの施策が盛り込まれてございます。

 文科省においてこうした取組をしっかりと進められることと思いますが、こども家庭庁としても、文科省と連携しながら、こども未来戦略方針に掲げた数々の施策の実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

高橋(千)委員 こども家庭庁という以上は、ここは文科省の所管であるという立場に立たずにという意味で質問させていただきました。非常に残念な一言であったかと思います。

 資料の2に見るように、家族関係社会支出だけ伸ばしても、下にあるように、高等教育費に占める公的支援の割合が極めて小さい。ここも思い切って伸ばすべきだと思うんですね。人口は様々だからとか、そういう問題ではないわけです。

 加速化プランの中に、確かに「高等教育費の負担軽減」は入っております。しかし、中身は、貸与型奨学金の減額、つまり、奨学金を返すときに半分にするとか減らしますよ、その条件となる所得制限を若干緩和するという、それだけなんですね。授業料減免や給付型奨学金、つまり返さなくてもよい奨学金の対象世帯を理工系かつ中間所得層などに広げるというだけで、本当にしょぼいものだと言わなきゃなりません。

 日本共産党は、先週六日に、高等教育の無償化へ、直ちに学費、奨学金返済を半額にし、計画的に無償化を進めていくということを発表しました。これには入学金はゼロが入っているんです。毎年二兆円程度の予算が必要になりますが、岸田総理自身が前に主張していた一億円の壁、大企業、富裕層への優遇税制の見直しや、不要不急の支出の見直しでできると考えております。学生、保護者の強い願いでもあり、ここは本当に踏み出していくべきだと要望しておきたいと思います。

 そこで、注目されているのは財源問題なんですが、新たな負担増は起きないけれども予算倍増とはこれいかに。つなぎの特例公債を発行するというのですが、当初取り沙汰されていた、児童手当の拡充を扶養控除の廃止で行うということ、それから社会保険料の上乗せ、これはどうなるんですか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 今般閣議決定をされましたこども未来戦略方針におきましては、加速化プランを支える安定的な財源の確保、この中で、その財源につきまして、国民的な理解が重要であり、二〇二八年度までに徹底した歳出改革等を行い、それらによって得られる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを目指すとされたところでございます。

 また、将来に向けての子供、子育て予算倍増に向けましては、この加速化プランの効果の検証を行いながら、政府の内容、予算を更に検討し、こども家庭庁予算で見て、二〇三〇年代初頭までに、国の予算又は子供一人当たりで見た国の予算の倍増を目指すとされたところでございます。

 それで、こども家庭庁といたしましては、これらを踏まえまして、予断を持たずに取組を進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今の答弁からは、到底財源が出てくるとは思えないですね。理解を得ながら徹底した縮減、そこの効果を得て予算を見つけていくと言っているわけですよね。

 報道でありましたけれども、小泉内閣のときに、毎年毎年、自然増二千二百億円を抑える、そのためにどこから財源を持ってくるかということで大変な苦労を厚労省はされた。我々は大反対をしたわけですが。そのこと自体が、血のにじむようなという表現をしているわけなんですよね。

 でも、皆さんの発想というのは、結局、今のように、社会保障の枠内でどうにかしようとしている。縮減といったって、結局、利用の制限、サービスの切捨てにしかならないわけですよ。発想はその中なんですか。このことを伺います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、今後のその財源の在り方につきましては、今般閣議決定いたしました未来戦略方針の加速化プランの財源の基本骨格に記されたとおり、国民的な理解が重要であり、徹底した歳出改革等を行い、公費の節減等の効果、社会保険負担軽減効果を活用しながら、実質的な負担を生じさせないことを目指す、そして、この加速化プランの効果の検証を行って、二〇三〇年代初頭までに、国の予算又は子供一人当たりで見た国の予算の倍増を目指すとされたところでございます。

 こども家庭庁といたしましては、これをちゃんと踏まえまして、予断を持たずに取組を進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 絶対これは理解されないと思いますね。

 最初にヒントとしてあったのが、出産育児一時金ですよね。これは八万円プラスして五十万円にする。その財源は後期高齢者の保険料を倍増にする。これは世代間の対立なんですよ。結局、社会保障の枠内でやるというのはそういうことになるわけなんです。

 逆に、今ちょっと話題になりましたけれども、防衛費のためには、倍増するために、コロナの支出の余りだとか、あるいは国立病院の余りだとか、我々にとっては余りじゃないんですよ。きちっと使っていないということが問題なわけです。そういうことまで防衛費に入れるんだと言っているわけですよ。それは逆でしょう。もし本当にそこから、余りがあるんだったら、こっちにお金を出さなきゃいけないでしょうということなんです。

 順序が逆だ、本当に少子化対策、子育て支援、子供の未来というんだったら、逆のメッセージを今政府が出しているんだということを指摘したいと思います。

 こども未来戦略方針は、子供、子育て政策の課題として、雇用形態別で見て、非正規より正規の方が、年収が低いより高い方が有配偶者率が高いと指摘をしております。この年収別というのは、資料の3の下段にグラフをつけております。

 これはよく見る資料なんですけれども、この三十年間、ドイツ、イギリス、フランス、スウェーデンなどが平均賃金が右肩上がりになっているのに対して、日本だけが横ばい。こういう中で、やはり年収が低ければ、結婚するということがどうしても見えない。

 これは、これから先、子供の生活を保障できるほどお金を稼げる自信がない、コロナ禍で突然仕事がなくなったり、解雇されたりすることへの不安が強くなったと、若者の声を戦略方針の中で紹介しているんですね。まさに実態だと思うんです。だけれども、そうした背景をつくってきたのは政府自身ではないかということなんです。

 急激な少子化、人口減少に歯止めをかけなければ、世界第三位の経済大国という立ち位置に大きな影響を及ぼすと考え方に書いています。だけれども、そこかと思ったんですよね。その経済成長のために、デフレの中でも内部留保は着実に大企業は増やしてきた。不安定雇用と低賃金の中に若者を置いてきたわけなんです。若者の自己責任ではなく、政治の責任として向き合うべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 少子化対策においても賃上げが重要だ、そういう御指摘だったかと思います。

 全くそのとおりでありまして、今回の方針におきましても、経済成長実現との両立を図り、若者、子育て世代の所得を伸ばすことを基本的な考え方としており、総理も、子供、子育て政策の範疇を超えた大きな社会経済政策として、最重要課題である賃上げに取り組むことを申し上げております。

 実際に今年の春闘は三十年ぶりの高水準だったわけでありますので、引き続き政府を挙げて賃上げに取り組むことによって、若い方々の結婚や子育てに対する不安を解消していくということが重要であろうかと思います。

 それに加えまして、リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革を加速すること。男女共に働きやすい環境の整備、同一労働同一賃金の徹底と必要な制度の見直しの検討、希望する非正規雇用の方々の正規化を進めること。さらには、いわゆる百六万、百三十万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げなどに取り組むことなども、併せて方針に盛り込まれたところであります。

 経済的な支援についても、先ほど申し上げたような、児童手当を始めとする支援の拡充など、抜本的に施策を強化をしてございます。

 今申し上げたような、主に労働政策については厚労省の所管になりますが、こども家庭庁としても、子供政策、責任を持ってございますので、他人事とならずに、しっかりと関係省庁と連携をして、政府全体として若者、子育て世代の所得の増加に取り組んでいきたい、こういう意気込みでございます。

高橋(千)委員 大臣、自分で笑っちゃ駄目なんです。

 賃上げという点では、それは一致していますよ。だけれども、背景は何かというところで一致しなければ、やはり対策の中身が違ってくるんですよ。失業なき労働移動と言ってリストラと呼ばないだけだ、だけれどもレベルは下がっちゃう、そういうことを国として進めてきたわけでしょう。だから大企業の内部留保だけが積み上がってきたんじゃないですか。そこにメスを入れなきゃ駄目なんだと。

 これを厚労省にやってもらうのは当然だけれども、だけの責任にしないということをやはり今大臣はおっしゃったんだから、その立場で頑張っていただきたい。指摘にとどめたいと思います。

 それで、マイナンバー問題に入りたいと思うんですが、本日は個人情報保護委員会の事務局に来ていただいております。

 二〇二二年度の年次報告で、特定個人情報、いわゆるマイナンバーの漏えい事案などの報告が百七十一件あり、そのうち、不正利用や不特定多数に閲覧されたなどのおそれがある、そうした報告対象事態に該当するものが三十六件と聞いています。

 そこで、現在明らかになっているマイナ保険証の他人履歴とかコンビニ誤交付、公金受取口座の別人ひもづけや他人の年金履歴など、いずれも最も機微な個人情報だと考えますが、こうしたトラブルは個人情報保護においてどのような重みを持つのか、また、これらのトラブルが既に個人情報保護委員会に報告されているのかどうか、伺います。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、個人情報保護法第一条は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することが法目的であることを規定してございます。行政機関等においてマイナンバーを含む個人情報の適正な取扱いが確保されることが重要であるというふうに考えてございます。

 コンビニでの住民票等の誤交付、マイナンバーカードの健康保険証利用におけるひもづけ誤り、公金受取口座の誤登録等の一連の事案につきましては、マイナンバー及びマイナンバーカードを活用したサービスを利用する国民が不安を抱くきっかけになり得るといった、影響範囲が大きいものと認識してございます。

 また、既に漏えい等の報告を受けているものもございまして、詳細な事実関係を把握した上で、マイナンバーを含む個人情報の適正な取扱いが確保されるよう、個人情報保護委員会として適切に対処していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。既に報告が入っているということでありました。

 そこで、河野大臣に伺います。

 大臣はこれまで、自身を処分するなどという様々な発言をされておりますが、この事態をどう受け止めているのかということが聞きたいんです。

 ヒューマンエラーだから、そこをやり直せば問題ないのか。そうじゃないと思うんです。ヒューマンエラーだからこそ、二度と起きないとは絶対言えないし、まだ表面化していないトラブルや漏えいもあり得るのではありませんか。

 もし個人情報が漏えいした場合、自分の履歴がひもづいてしまった先方が、私のじゃないよと言ってくれなければ、分からないわけですよね。そういう意味で、本当の漏えいの影響というんですかね、分からない。だからこそ重大な事案なんだと私は受け止めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 今回の様々な事案、大変申し訳なく思っております。

 委員おっしゃるように、人間がこの中に介在をすれば、それは確率の問題で人為的なミスというのは起こる。そのために、いかにシステムでできるだけのものを完結するかというのが大事なんだというふうに思います。

 先般のマイナンバー法の改正の中で、氏名に仮名をつけて公証するということをお認めをいただきました。これまでは、漢字氏名と、例えば口座名のような仮名氏名の突き合わせができなかった、そういうこともございましたが、これは、法施行になりますと、仮名氏名同士でシステムで突き合わせをすることができるようになります。

 また、年金口座を公金受取口座にひもづけをさせていただくということも法改正の中でお認めをいただきましたので、システムで年金口座を公金受取口座にひもづけをすることができます。

 先般、公金受取口座の誤登録がございましたが、支援窓口などで、やはり人間の行う登録で誤りがございましたので、これをシステムでやらせていただければ人為的なミスというのはなくなります。その間、きちんとログアウトを確認するシステムの変更を公金受取口座あるいはマイナポイントの登録に入れさせていただきましたので、ヒューマンエラーをシステムできちんと防ぐ、警告をする、そういうことをやらせていただきます。

 先般のマイナンバー法の改正は野党にも一部御賛同をいただきましたので、しっかりと、システムでできるところはシステムできちんとやっていくということにいたします。

 また、委員御指摘のありました、これまでに起きている可能性がないかということでございますので、例えば、保険証のひもづけ、あるいは年金の情報のひもづけ、こうしたものに間違いがないか、これは点検をしっかりしております。

 また、それと同時に、マイナンバーできちんと個人を確認をし、マイナンバーで検索して出てきた五情報が全て合っているときに登録をする、それを徹底することで、このヒューマンエラーが起きる可能性をなるべく小さくしてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 残念ながら、深刻な受け止め自体も、言葉がなかったと思います。システムで可能なことはあると思います。だけれども、なくすことはできない、これをきちんとお認めになるべきだと思うんですね。

 今、点検のお話がありました。だけれども、その点検自体ができないと自治体から悲鳴が上がっているわけなんです。

 もう一度、個人情報保護委員会に聞きます。簡潔にお願いします、時間がありませんので。

 資料の4にありますが、昨年八月に公表した……あれ、時間ですか。

橋本委員長 はい、時間でございます。

高橋(千)委員 八月に公表した今後の地方公共団体等に対する監視・監督活動の方向性、これは重大なんですよ。立入検査をして、管理体制がおおむね整備されているという評価は二割にとどまっている、八割は不十分だ、そのうち二割は最低のEランクですよ。重大な問題点。

 つまり、今までのマイナンバーに基づく情報自体の扱いが重大な到達なんでしょう。それが、今の状態であって、そこに今の点検だとか、さらに、新しいひもづけだとかがかぶさっている、そういうことなんじゃないでしょうか。

 今、体制が整っていない状態だという認識を一言伺いたいと思うし、大臣に、その上で、こんな事態で進んではいけないということを言いたいと思います。一言お願いします。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー法に基づく地方公共団体における立入検査の結果として、委託先の監督や研修の着実な実施等、安全管理措置として求められる管理体制が不十分である市区町村が少なからず認められております。

河野国務大臣 信頼回復にしっかり努めてまいります。

高橋(千)委員 こうした事態の中で、そのまま突き進むということがあり得ないと思うんです。あした骨太が決定されると思いますが、議論の中で、マイナンバーの更なる利用拡大などと言っています。なぜ立ち止まらないのか。国民の信頼が、不安だと世論調査でも七六%が答えている。そこに一切向き合わないで進むということは絶対あってはならない。一旦立ち止まり、保険証の廃止はやめるべきだ、このように訴えて、終わります。

 ありがとうございます。

橋本委員長 次に、今枝宗一郎君。

今枝委員 自民党の今枝宗一郎です。

 質疑を任せていただき、関係の皆様に感謝を申し上げます。

 本日は、地方創生、デジタル、そして子育て、それぞれについて政府に質疑いたしますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、先日の豪雨で亡くなられた方に心からお悔やみを、そして、被災された方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 やはり、国土強靱化は重要でありますし、地方創生の観点も非常に重要であるということを改めて実感したわけであります。そういった観点から、ミッシングリンクの解消と四車線化の加速は非常に重要だというふうに思っております。

 折も折、自動運転レベル4が今年度から実現をし、今後は、地方の移動の確保も考えると、高規格道路での自動運転レーンの整備が必要であります。

 そんな中、私もこれまで強く必要性を主張してまいりましたデジタルライフライン全国整備計画が構想されるようになりました。これは、自動運転のレーンや、また、ドローンや空飛ぶ車が運航する空の道などが入るものでありますが、非常に画期的であります。

 そして、いよいよ二〇二四年度には、新東名高速道路で社会実装もされるようになりました。自動運転のレーンの確保のためには、最低四車線、片側二車線が必要であります。そこで、ミッシングリンクが解消して、暫定二車線で通行できるようになったその日からでも、四車線化事業を始めるための交通量調査等をやっていくべきであるというふうに強く思っております。

 特に国道二十三号線蒲郡バイパスなどはその好事例になると考えますけれども、いかがでございましょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、暫定二車線整備の事業を含めて、新たな道路が開通する際には開通後の交通量を調査し、整備効果の把握や事後評価のためのデータとして活用しております。

 御指摘の国道二十三号蒲郡バイパスについては、令和六年度を開通目標として、現在、工事を推進しているところであり、開通直後から交通量の調査を行い、整備効果等を把握することと併せて、四車線化の必要性についても検討してまいります。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 次に、デジタルでありますが、実は今、登記に社長の住所が記載をされておりまして、誰でも閲覧できるようになっております。そうすることでストーカーのリスクが発生をするという問題についてお聞きをします。

 これは、当初、インターネットのみで開示をしないことで対応しようとしたわけでありますが、デジ庁が、デジタルとアナログで情報の取扱いに差異を設ける内容に対して問題意識を持ち、パブコメの意見もあり、一旦止まってしまいました。

 個人情報、プライバシーは絶対に守るべきだと考えます。一方で、弁護士などが、訴訟をする場合に代表者を特定できるようにするために、消費者保護の観点からも何かしらの対応が必要であるというのも分かります。

 しかし、やはり問題が大きいので、年内には、ストーカーリスクを何としてでも発生させない、そうするような形で改めていただきたいというふうに強く思っております。骨太の方針や新しい資本主義実行計画でもそのように書いてもらうべく、我々も努力をしてきました。

 そこで、お聞きをいたします。

 登記の申請には住所を記載するものの、公開はせず、例えば正当な目的があるときに、利害関係者が閲覧することで対応するとか、弁護士法の照会制度を活用するなどの対応で、この問題解決を年内に実現をしていただきたいと考えますけれども、政府としてはいかが考えますでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 会社代表者住所の公開の問題は、会社代表者のプライバシーの保護の要請と、会社代表者の情報の公開という取引上の要請、民事裁判における送達の場面での利用などの社会的役割との間でどのようにバランスを取るかの問題であり、経済界を含めて様々な意見がある問題と認識をしております。

 この問題については、現在、消費者訴訟等における代表者特定のニーズへの対応なども含め、関係団体との意見交換を行っている状況でございます。

 デジタル社会における登記上の代表者住所の在り方について、委員の御提案も含め、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

今枝委員 どうもありがとうございます。必ず年内にお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、給食費の無償化の推進についてお聞きをいたします。

 六月十三日のこども未来戦略方針で、給食費無償化に向けた実態の把握と課題の整理、調査を行って、一年以内に結果を公表し、具体策を検討していくというふうになりました。できるだけこの調査結果を早く出してほしいと思いますけれども、定例調査は令和六年七月頃にしか出ません。しかし、小学校給食はほとんどもう一〇〇%に近いので、次回定例調査でなくても、大きく変わるとは考えにくいわけでありますので、前回の令和五年一月に出した定例調査を参考にすることとして、それ以外の、例えばアレルギーの調査などはいち早く行って、無償化の検討を急ぐべきだというふうに思います。

 調査結果が出て、その後に課題を早急に整理すれば、小学校だけでも先行していち早く、例えば少なくとも再来年度には給食費の無償化が始められると考えますけれども、政府の考え方はいかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 政府におきましては、今御指摘ありましたように、子供、子育て政策の強化に向けまして、総理を議長としますこども未来戦略会議において議論を進めてきたところでございまして、先日、こども未来戦略方針が閣議決定されたところでございます。

 その中で、学校給食費の無償化については、子供、子育て政策の課題として、学校給食の無償化の実現に向けて、まず、学校給食費の無償化を実施する自治体における取組の実態や成果、課題の調査、全国ベースの学校給食の実態調査を速やかに行い、一年以内にその結果を公表する、その上で、小中学校の給食実施状況の違い、法制面も含めて課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討するとされたところでございます。

 文部科学省におきましては、御指摘のありました既存の統計調査、これもありますけれども、この活用も含めまして、さらに、この統計調査以外の項目も含めまして実態把握のための調査内容、調査方法、スケジュール等について検討を行っているところでございますので、また、こども未来戦略方針に基づいて速やかに必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 早急にお願いをしたいと思います。これは、できれば来年度、遅くとも再来年度までには是非とも実現をお願いしたいというふうに思っています。

 次に、実際に、この学校給食の中身についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 給食費無償化をしていくからといって、安かろう悪かろうの給食になってしまっては、食育の観点からも、子供たちにとっても、何よりもいけないわけであります。

 そこで、地産地消による、地元農水産品の活用が必要だと思います。しかし、そのためには様々なノウハウが必要であります。地場産品の使用を増やすための農水省のコーディネーターの推進、これも、このタイミングに合わせて千七百四十一全自治体で行えるように、これも、来年度や、本当に遅くとも再来年度までには絶対に、目指してやっていくということはどうでしょうか。農水省にお聞きします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の地産地消コーディネーターにつきましては、学校給食向けに地元の農水産品を調理しやすい形で納品できるように調整するなど、給食現場と農業の現場をつなぐ役割を担っていただいておりまして、その数を増やしていくということは大変重要であると考えております。

 このため、農林水産省におきましては、平成二十八年度から、このコーディネーターの派遣や、コーディネーター人材の育成のための研修会を支援しているところでございます。昨年度まで、この研修会につきましては、延べ千八百七十名の方が受講をしていただいております。

 今後もこの育成に力を入れていくとともに、特に、学校の栄養教諭の先生、それから地方自治体や農協の職員、こういった方々が地産地消コーディネーターになり得る方々として期待しているところでございまして、こうした方々に研修会への参加を呼びかけ、一層の人材確保と現場での活躍を後押ししてまいりたいと考えております。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 もう本当に頑張っていただいて、地元の農水産品を使う、特にオーガニックであれば更にすばらしいわけでありますので、どんどん実現をしていただきたいというふうに思います。

 そして、次の質問であります。

 厚労省のデータによりますと、現在、日本に入院している子供は約三万人であります。制度上、親御さんたち、保護者の付添入院は原則不要でありますけれども、例えば、聖路加国際大学の調査によれば、泊まりつきの付添経験率は何と八五%であります。病院が保護者に要請するケースも実はあります。同調査では、例えば、親の食事や睡眠の不足は何と九五%、退職だとか就学に七〇%の方々に影響があった、そして半数が経済不安を感じたとのことであります。そして、長期入院が兄弟姉妹の子供たちに精神面で影響があったという方の割合も五八%、約六割に上るという状況であります。

 実は、私自身、子供時代に三年間入院を繰り返していたというつらい時代がありましたけれども、その間親は、ずっと泊まり込んでもらって、本当に大変だったというふうに、子供ながらに強く、本当に申し訳ないというかありがたいというか、本当にそんな思いを抱きましたし、私は妹がおりますけれども、妹にも本当に寂しい思いをさせました。私にとっても、これは何としてでも解決したい問題であります。

 そこで、居宅訪問型保育制度がありますけれども、これの利用場所が実は自宅のみに限定されていることを、例えば入院中も病院で使えるようにするのはどうでしょうか。実は児童福祉法に居宅と書かれているので現行法では難しいという場合であれば、解釈を変えてやるというのが難しいという場合であれば、この問題を解決するために、これは法改正も含めて何とか解決できるよう対応していただきたい。大臣の、リーダーシップを取っていただきたいと思いますけれども、小倉大臣にお聞きをします。

小倉国務大臣 子供の心身の健やかな生育を確保する観点や、家族の身体的、精神的負担を軽減する観点から、病気の子供や家族が安心して入院生活を送ることのできる環境の整備は重要な課題であると認識しております。

 御指摘の居宅訪問型保育事業は、子供の居宅において保育を行う者が想定されておりまして、訪問先として医療機関は想定されておりません。

 こうした中、子供の入院患者への対応については、診療報酬上、子供の療育、療養生活や成長、発達等に着目した評価として、病棟への保育士の配置について加算が設けられていることも含め、基本的には医療機関において対応されるものと考えております。

 入院中の子供に付き添う家族の厳しい実態について、委員から御指摘がございました。

 こども家庭庁としても問題意識を持っておりまして、今年度、厚労省と連携して、小児の入院医療機関を対象として、家族の付添時の課題等について調査を実施することといたしました。

 この調査の結果も踏まえながら、病気の子供や家族が安心して入院生活を送ることのできる環境の整備のためにどのような方策が考えられるか、しっかり検討してまいりたいと思います。

今枝委員 ありがとうございます。

 調査をまずしていただくということで、新たな一歩を踏み出していただいたことに心から感謝を申し上げます。ただ、調査だけで終わるのではなくて、具体的に解決する方法まで早急に進めていただきたいというふうに思います。

 では、続いて、放課後児童クラブについてお話をお聞きしたいというふうに思います。

 こども未来戦略方針では、新・放課後子ども総合プランに加えて、常勤職員配置の改善と記載されています。今は四十人の子供に対して二名の配置というふうになっておりますけれども、補助金の積算単価が非常勤職員の単価になっております。まずはこれを常勤職員並みにしていくことで、いわゆる、本当に放課後児童クラブで頑張っていただいている先生方にしっかりと支援をし、子供たちに、質のいい学童保育とか、放課後児童クラブの教育であったり保育であったりを提供していくという必要があると思いますが、大臣はどう考えますか。

小倉国務大臣 放課後児童クラブは小学生が放課後に安全、安心に過ごせる生活の場と認識しておりまして、受皿の拡大を着実に進めることが重要と考えております。

 また、子供との安定的、継続的な関わりも重要でありますことから、職員が長期に安定して就業できる環境を整備し、クラブの安定的な運営を確保する必要があるとも考えております。

 このように、放課後児童クラブについては量の整備と同時に質の向上も重要と考えておりますため、委員の問題意識もございました、それに沿った形で、先日公表したこども未来戦略方針におきましても、常勤職員配置の改善を図ることを盛り込んだところでありまして、まずはその実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

今枝委員 どうもありがとうございます。頑張っていただきたいというふうに思います。

 また、学童の待機児童問題もあります。二〇二三年度までに、この新プランに基づいて受皿の整備を進めておりまして、百五十二万人分の確保を目指しております。

 コロナがありまして、学童保育の整備がちょっと遅れてしまったという問題もありますので、今、最近は毎年四万人ずつ増えています。このままでは二〇二五年度とか六年度の達成になってしまうので、これを早めるために、本年度から補助メニューを追加してやっていただくということになっています。

 これは、いち早い百五十二万人の達成をしていただきたいということ、時間が来てしまいましたので、これは強く要望するということで、終わらせていただきたいと思います。

 質問させていただきまして、ありがとうございました。

橋本委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめです。

 二〇一三年、十年前になりますが、制定されました障害者差別解消法では、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進するとしています。

 この理念に基づき、地域とのつながり、周りとのつながりを大切にするインクルーシブ教育を進める立場から、以下、質問いたします。

 初めに、特別支援学校の寄宿舎の諸課題についてです。

 現在、特別支援学校の寄宿舎で生活している子供たちの中には、自宅が遠いという理由による寄宿舎の利用、いわゆる遠隔地保障というだけではなく、寄宿舎で生活を整えて学校に通っている子供であったり、保護者が養育をする上で厳しい状態にあることから寄宿舎を選ぶ、教育的入舎も多いと聞いております。

 障害のある子供たちが、寄宿舎で歯磨きの習慣をつけたり、お小遣いの管理など、日常生活について学ぶことは大変重要かと思いますが、特別支援学校の寄宿舎が持つ役割についてどのように考えておられるのか、文科省の御見解をお願いいたします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 特別支援学校の寄宿舎につきましては、通学が困難な児童生徒のために設置されているところでございます。

 寄宿舎には寄宿舎指導員が置かれておりまして、例えば、日常的な食事、入浴、洗濯等に対する支援を通じた基本的な生活技術の習得、また掃除等を通じた周囲と協力する態度の涵養、また日用品費の管理を通じた金銭を適切に扱う能力の習得のための指導等が行われており、障害のある児童生徒の自立と社会参加を図るための役割も果たしていると考えております。

 具体的な寄宿舎の在り方につきましては、設置者において、児童生徒の障害の状態等、地域の特性などを踏まえて適切に判断すべきものですが、文部科学省としましては、寄宿舎に入居する子供を含め、障害のある子供の支援が適切に行われるよう努めてまいりたいと考えております。

堤委員 安彦審議官、ありがとうございます。

 働き方改革の観点から、寄宿舎指導員の宿直業務の勤務時間についても管理職は把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。文科省のお考えをお聞きします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 校務をつかさどる校長とその上司に当たります教育委員会は、学校の管理運営一切において責任を有するものでございますが、業務分担の見直しや適正化、また必要な執務環境の整備に加えまして、寄宿舎指導員を含め、教職員の在校等時間の管理や把握につきましてはそれぞれ責任を有しております。

 このため、校長と教育委員会に対しまして、令和元年度改正給特法に基づく指針におきまして、ICTの活用やタイムカード等による客観的な勤務実態の把握や業務量の縮減を図ることなどの在校等時間の長時間化を防ぐための取組を行うこと等を求めております。

 文部科学省としましては、校長や教育委員会において、適正な勤務時間の把握や管理、教師の業務量の適切な管理等ができるよう、引き続き、改正給特法や指針の周知徹底とともに、学校における働き方改革について、好事例の周知、また取組状況のフォローアップ等に取り組んでまいりたいと考えております。

堤委員 寄宿舎指導員の方の勤務時間の管理についてはまだまだ進んでいないところが多いと聞いておりますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、寄宿舎指導員の採用について、各自治体の責任において採用試験を実施しているということなんですが、正規の指導員の採用試験を長年実施していない自治体では非正規率が高いと聞いております。

 そこで、五月二十六日に、福岡県と石川県の教育委員会に非正規率について問い合わせましたところ、その日のうちに回答をいただきました。福岡県では、寄宿舎指導員百五十四人のうち、正規の指導員が七十二人、四七%、非正規の指導員が八十二人、五三%と、近年、採用試験を実施し、非正規率を下げるべく御努力されているということですが、それでも非正規の指導員が約半数を占めています。石川県では、寄宿舎指導員二十四人のうち、正規の指導員が九人、三七%、非正規の指導員が十五人、六三%、非正規の比率はおよそ六割と、福岡県よりも高いことが分かりました。

 寄宿舎で暮らす子供たちの中には、小学校の低学年の子供たちや就学前の幼い子供たちもいます。そういう子供たちが親元を離れて集団の中で暮らすわけですから、夜中に泣きじゃくったりうろうろしたりする子供がいるのも当然かと思います。指導員の方々は、夜中であっても、そういう子供たちをあやしたり添い寝をしたりしていらっしゃるということです。まさに親代わりのような役割を担っておられるわけです。指導員の方が定着しないでころころ替わるようでは、子供たちと安定した信頼関係を築くのは難しいかと思います。また、子供たち一人一人の様々な障害に応じ、声のかけ方、関わり方も、関わってきます。つまり、高度な専門性も必要になるということです。

 このような安定性、専門性という観点から、正規の寄宿舎指導員の比率を今よりももっと高めるべきと考えますが、いかがでしょうか。文科省の御見解を教えてください。

 その上で、指導員の採用は自治体の責任というのは承知しておりますが、文科省として、自治体に対し、計画的な採用が進むように、全国の自治体における寄宿舎指導員の非正規率や採用試験の実施状況を毎年度把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省としましては、寄宿舎指導員が行っている日常生活上の生活指導等は、障害のある子供が毎日の生活を営みながら生活のリズムをつくるなど、生活の基盤を整え、自立や社会参加に向けた重要な役割を果たしていると考えております。

 この寄宿舎指導員を含め、正規、非正規といった学校の教職員の雇用形態につきましてでございますが、これは、任命権者であります都道府県教育委員会等の権限と責任に基づき適切に判断されているものと認識しております。また、お尋ねの実態調査につきまして、自治体の作業負担、様々な観点を踏まえ、慎重にすべきものと考えております。

 その上ででございますけれども、文部科学省としましては、令和三年九月に、寄宿舎指導員の適切な配置が可能となるよう努めるよう都道府県教育委員会に通知したところでございまして、引き続き、設置者において寄宿舎指導員の適切な配置がなされるよう促してまいりたいと考えております。

堤委員 やはり、先ほどほかの委員からもありましたように、先進国最低レベルの日本の教育費を増やさないと、こういった、教員や教職員の非正規率も高いという状況も変わらないのではないかと思いますので、その辺りも含めてよろしくお願いいたします。

 次に、特別支援教育就学奨励費の課題についてお聞きします。

 一点目に、小中学校における特別支援教育就学費の課題についてです。資料一、医療的ケア生徒の修学旅行付添い、全額自己負担ということ、この新聞記事を見ていただきたいと思います。

 特別支援学級は、学校ではなくて学級は、補助がないということなんですね。特別支援学級に在籍する障害のある小中学生には、修学旅行に行く際、本人の経費に対する補助はありますが、付添人の経費に対する補助はありません。そのため、この資料に載っています事例のように、往復の飛行機代、宿泊費など約三十万円が全額自己負担となってしまうということです。特別支援学校に通う子供たちには、学校に通う子供たちには補助があるのに地域の通常学級に通う子供たちには補助がないというのは制度としておかしい、矛盾があると思います。

 また、裏の資料の表を御覧ください。

 この表にありますように、文科省としても、障害のある子供たちが、現在、様々な学級、学校に在籍していることは御承知と思いますが、在籍する学級や学校によって負担の割合が違うということについて、文科省はどのようにお考えでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありました特別支援教育就学奨励費につきましてでございますが、特別支援学校への就学奨励に関する法律に基づきまして、元々これは特別支援学校を対象として昭和二十九年度から支援を行ってきたものでございますけれども、それ以降、法律に規定される経費以外の経費につきましても、関係者の要望等も受けながら、予算補助というような形でその対象経費の拡充を図ってきたところでございます。

 具体的には、昭和四十六年度からは小中学校の特別支援学級を支援の対象に加えるとともに、平成二十五年度からは通常の学級に在籍する学校教育法施行令第二十二条の三に規定する障害の程度に該当する児童生徒についても対象に加えるなど、順次その支援対象の拡充に努めてきたところでございます。

 補助割合につきましては、御指摘のとおり、学校種で異なる現状ではありますけれども、この十年でその受給者が二十一万人から約三十二万人と約一・五倍になっているところでありまして、このような中、予算額というのは約一・六倍の約五十一億円の増を図ってきたところでございます。

 文部科学省におきましては、引き続き、そういった支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

堤委員 是非、引き続き支援の充実、お願いいたします。

 文科省は、修学旅行の目的を、平素と異なる生活環境の中にあって、見聞を広げ、集団生活の決まりを守り、公衆道徳について望ましい体験を得ることなどとしています。経済的理由から子供たちが修学旅行を諦めることがないように、関係者の皆様の御尽力をお願いしておきます。

 二点目に、高等学校、高校における特別支援教育就学奨励費の課題についてです。

 街頭活動をしていますと、様々な御相談をいただきます。少し前ですが、中三の生徒さんから、高校に進学すると拡大教科書が一冊四万円くらいします、普通の教科書一冊は拡大教科書では三、四冊になるので、一教科十六万円、五教科で年間八十万円くらいかかる、高校三年間で二百万を超えてしまいますと。中学までは無償だったのにと悲しそうな表情をされていました。

 そこで、文科省に問い合わせましたところ、本年度より高等学校の生徒が使用する拡大教科書についても無償とすることが可能になったということをお聞きしまして、大きな前進だと喜んでおります。これによって、都道府県が拡大教科書の費用を負担すればその額の二分の一を国が負担することになる、つまり都道府県が決定権を持っているということなんですが、四十七都道府県の全てで同じ対応になり、全国のどこであれ、高校生が拡大教科書を無償で支給してもらえるようになった、その費用について心配しなくてよくなったということでよろしいのでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 教科書につきまして、義務教育段階では無償で提供されておりますけれども、高等学校段階は有償となっておりまして、拡大教科書についても同様に、高等学校段階では有償ということになっております。

 その拡大教科書の費用負担に対する特別支援教育就学奨励費による支援につきまして、これまで、特別支援学校の就学に関する法律に基づきまして、特別支援学校高等部の生徒を対象にその全額を支援してきたところでございます。

 御指摘ありましたように、令和五年度からは高等学校の生徒につきましても、同法の趣旨を踏まえまして、自治体の申請に基づきまして、予算補助として支援の対象とすることを可能としております。

 高等学校の生徒が使用する拡大教科書の支援の実施につきましては各自治体の判断ということにはなりますが、文部科学省におきまして、そういった支援の充実に努めてまいりたいと思いまして、そういった周知の方もしっかりと努めてまいりたいと思っております。

堤委員 ありがとうございます。

 福岡県に確認しましたところ、福岡県はちゃんと申請をしているということで安心しました。そして、県立学校への進学を希望する障害のある生徒さんについては、中三の冬に四者協議、つまり、中学の先生、志望する県立高校の先生、本人、保護者の四者による協議を行っており、その際に、入試の際の配慮ですとか、合格した後の支援の在り方について聞き取るということで、その場で拡大教科書の無償化についても確実に周知ができるということでした。

 しかし、残念ながら、高校では、拡大教科書以外の奨励費のうち、例えば、さきに述べた修学旅行費についてはいまだ改善が図られておりませんので、現在の特別支援教育就学奨励費の制度では、特別支援学校高等部に進学すれば引き続き就学奨励費を受けられますが、地域の高校に進学すると対象外になったりするということで、同じ生徒でありながら、通う学校によって対象になったり対象から外れたりする制度の矛盾が残されたままとなっております。

 一方、小中学校では、二〇一三年から、通常の学級、普通級に在籍する障害のある子供は全て就学奨励費の対象になっています。インクルーシブ教育を進める観点から、地域の高校に通う生徒も全て対象とするように是非お願いしたいと思いますが、文科省の御見解をお聞かせください。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど説明をしました特別支援教育就学奨励費につきましてでございますが、法律で規定される経費以外の経費についても、関係者の要望等を受けまして、予算補助として順次その拡充を図ってきたところでございます。

 具体的には、二十五年度から通常の学級に在籍する児童生徒を支援の対象に加えたり、また令和二年度からオンラインの学習通信費を新設したり、また令和五年度からは、先ほど申し上げました拡大教科書、点字教科書の支援を対象に加えております。

 順次その拡充を図ってきたところでございますが、また、文部科学省につきましては、引き続き、現場のニーズにしっかり耳を傾けながら、支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

堤委員 次に、子供たちへの有害な化学物質への暴露の防止についてお聞きしたいと思いますが、ちょっと時間がなくなってしまいました、二分しかないんですが、一点目に、学校や児童福祉施設など、公共施設におけるアスベスト除去についてです。

 そこでお聞きしますが、調査未実施の施設、処理を行っていない施設は現時点でそれぞれ何施設あるのか、また、五年前の調査時にはアスベストの存在を見落としてしまったという事例もあると聞いていますが、有資格者による科学的な調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省が所管いたします学校、社会教育施設、社会体育施設等につきましては、委員御指摘の平成三十年十月時点の調査が最新となっております。以降は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮いたしまして、その実施を見送ってきておりました。

 この調査の結果といたしましては、室内等に露出した保温材等の使用状況については、調査未完了の機関数は七百九十七機関、劣化、損傷等がある保温材等を保有する機関数は二百十機関となっております。また、石綿保有煙突用断熱材につきましては、調査未完了の機関数は千百二十一機関であり、劣化、損傷等がある煙突用断熱材を保有する機関は二百十二機関となっております。

 安全対策の完了予定につきましては、改めて調査を実施し、各設置者における対策の進捗状況などを考慮した上で検討したいと考えております。

 なお、調査における見落としを防ぐ点につきましては、これまでの調査においても、室内等に露出した保温材等については、石綿含有の有無にかかわらず全てを調査対象とするとともに、煙突用断熱材につきましては専門知識を有する者による調査を実施するよう、各設置者に対して要請しております。次回調査におきましても、例えば、煙突用断熱材につきまして、有資格者も含め、専門知識を有する者による調査を実施するよう要請する予定としております。

 子供たちを始めとする施設利用者の安全対策に万全を期して、速やかに対策を講じるよう指導してまいります。

藤原政府参考人 続きまして、社会福祉施設の状況についてお答え申し上げます。

 社会福祉施設等におけるアスベストの使用実態につきまして、御指摘いただきました平成三十年度の調査では、児童関係施設六万九千三百七十九施設のうち、分析調査未実施が六千五百六十六施設、九・五%でございました。また、調査を実施した施設のうち、アスベスト除去の措置が未実施のところが百二十三施設ございました。その後、令和三年度末にも調査を実施をいたしましたけれども、現時点で集計中、公表には至っていない状況でございます。社会福祉施設の全体調査を、取りまとめを行っていただいている厚労省とも調整しながら、最新の調査結果が明らかになり次第、速やかに公表してまいります。

 その上で、分析調査やその後の措置が未実施となっている施設を有する自治体につきましては、個別にヒアリングを行うなど、速やかな対応について指導してまいりたいと考えておりますし、また、御指摘の有資格者の活用でございますけれども、個別に自治体を指導する際には、有識者の活用についても助言するなど、働きかけを行っていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

堤委員 随分進んできているということですが、まだ未実施のところが、対策が取られていないところがあるということです。

 アスベスト、これは潜伏期間が長いことから、大人と比較すると子供の平均余命が長いため、結果的に疾病の生涯リスクが高まるとする研究結果があります。子供たちが長時間過ごす学校や福祉施設などでは速やかに除去や囲い込みなど処置が完全に行われますよう要望しておきたいと思います。

 では、質問を終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、交通弱者対策について質問させていただきます。

 私も、地域を回る中で、私の地域の中では、免許を返納したい、けれども、返納すると、買物に行ったり、また病院に行ったり、そういうことができないんだという地域の声を肌感覚で一番多く聞いております。

 二〇二二年十二月の静岡経済研究所調査月報によると、モータリゼーションが浸透した現代において、自動車を運転することができない一方、公共交通が不便な地域に住んでいるために、日常生活の移動に不自由を強いられている交通弱者が増えている。これまでは中山間地域の住民が中心だったが、かつて開発が進められた郊外の新興住宅地にも広がっているとのことです。まさしく、私の選挙区であります姫路市、決して田舎というわけではありませんが、こういう状況になっております。

 さらに、農林水産政策研究所の調査では、店舗まで五百メートル以上で自動車利用が困難な六十五歳以上の買物難民は三大都市圏が四割を占めるなど、問題は地方の過疎地にとどまらなくなっております。

 このような交通弱者が増えると、地域の活力が失われ、交通弱者の方や地域の商店街などが経済的に厳しい状況に陥ってしまいます。

 その対策として、国土交通省では、地域の特性に応じた生活交通の確保、維持のため、地域公共交通確保維持事業を実施し、バス交通や離島航路、航空路といった生活交通の確保、維持を支援しております。

 一方、地方に目を向けると、一般路線バスやタクシーによる地域交通の維持が困難となる中、各自治体は、地域の足としてコミュニティーバスやデマンド交通の導入を進め、二〇二〇年度には、全国の千三百六十七市区町村においてコミュニティーバスが、五百七十三市町村においてデマンド型乗り合いバスが導入されているという状況です。

 しかし、こうした取組を支えるための自治体の財政負担は増加しており、例えば、静岡県が不採算バス路線を抱える民間事業者や市町に対して支払う補助金額は、一九九五年には約一億円でしたが、二〇一九年には六億円を超える、非常に増えているという現状があります。

 このような、地域活性化のために不可欠な交通弱者対策、これをきめ細かく行っている地方自治体や民間事業者の取組は、今後も重要性が増し、継続すべきものと考えますが、そのような取組に対して、国としての支援、補助についてお伺いしたいと思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 地域公共交通は、交通弱者の足の確保など、国民生活や経済活動を支えます大変重要な社会基盤であり、これを支えるため、国といたしましても、従来より、地方公共団体とも連携し、様々な支援措置を講じてきたところでございます。

 具体的に申し上げますと、バス等に対する赤字補助に加えまして、委員からも御指摘ございましたようなコミュニティーバス、それからデマンドバスなど、地域の実情に応じた、創意工夫を凝らした取組に対する支援を行ってきたところでございます。

 また、地域公共交通の持続可能性や利便性を更に高めるため、今国会で成立いたしました改正地域公共交通活性化再生法及び予算におきまして、デジタル技術などを活用し、交通事業者と教育や医療、福祉など地域の多様な関係者間の連携、協働により地域公共交通の再構築を進める取組に対する支援の枠組みを大幅に拡充したところでございます。

 国土交通省といたしましては、地方運輸局などの現場力を生かしつつ、拡充した枠組みを最大限活用いたしまして、地域の取組をしっかり支えてまいりたいと考えているところでございます。

住吉委員 ありがとうございます。

 私ごとでございますが、ちょうど一年ほど前、義理の父が、車がなければ生活できない地域に住んでおります、買物に行って、その買物中に倒れたというような連絡がありました。これがもし運転中だったなら、ひょっとしたら命を失っていたかもしれない、逆に、事故を起こして誰かの命を奪っていたかもしれない。身近にこういうような状況はあるんだなというのは、非常に自分としても実感しているところでございます。

 これは姫路市の問題だけではなくて、皆さんの、先生方の御地元でもたくさんあると思っております。いろいろな策を講じながら、是非この交通弱者の足を確保していただきたいと思います。

 また、海外の事例を紹介させていただきますと、シンガポールでは、ファーストワンマイル、ラストワンマイルをより快適にする交通手段として、また、高齢者、障害者などの移動弱者対策として、オンデマンド自動運転バスの開発を進めていると聞いております。

 技術開発や規制緩和、こういったことにも今後より一層取り組む必要があるということは言うまでもございません。いろいろ御議論ありますが、例えばライドシェアなんかも、実証実験なども部分的に進めていかなければならない、そういう時代に突入しているのだと思っております。

 フィンランドの方では、あらゆる公共交通機関やライドシェア、シェアサイクルといったサービスをICTを活用してシームレスに結びつけ、マイカー以外の交通手段による移動を一つのサービスとして捉えるMaaSを国策として進めております。

 このような、オンデマンド自動運転バスやMaaSにおいてはデータが重要であり、フィンランドでは、データを重要な都市交通のインフラとみなして、制度整備に先んじる形で省庁再編を行い、交通通信省を、それまで陸、海、空という交通の形態ごとに縦割りで組織されていた部局を、データ局、サービス局、ネットワーク局から成る体制に変えております。これにより、各交通機関のデータの一元化が可能になり、鉄道やバスなどの交通機関の間で運行データなどが共有できて、初めてMaaSが実現できることになります。

 そのような観点から、現在の我が国のデータ一元化の現状について、政府の見解をお伺いいたします。

木村政府参考人 委員御指摘のとおり、MaaS等の新たな交通サービスの導入や、地域のニーズに対応いたしました公共交通ネットワークの再編等によって、交通弱者の方々を含みます利用者の利便性の向上を図るためには、交通分野における旅客の移動情報等のデータを一元化し、それらの分析、活用を図ることが重要でございます。

 国土交通省では、こうした考え方の下、従前より、データ一元化の前提となるデータ形式の標準化、交通事業者間や交通事業者と観光、商業など他分野の事業者間におけるデータの一元化、連携や活用を前提としたMaaSの実装やデジタル化に向けた支援、MaaS関連のデータ連携に関するルールなどを整理したガイドラインの作成、周知などを通じて、関係者間でのデータの一元化、連携を促してきたところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁とも十分連携を図りながら、交通分野のデータの一元化、連携や利活用を進めるための取組を講じてまいりたいと考えているところでございます。

住吉委員 今述べたように、データ一元化というのは重要な課題です。そして、自動車なら自動車、鉄道なら鉄道、航空なら航空というように、部分で見るということは重要なことですが、モーダルの壁を撤廃することで、交通機関ごとの最適化でなく、全体最適の観点から交通政策を立案、実施することができます。

 この考えを更に進め、交通政策と、都市計画や観光等の分野、さらには教育や介護やその他の分野までもデータ一元化していけば、従来の思考の延長線上には見られなかった結論が浮かんでくるかもしれません。

 今までは、財源が限られている中、声の大きな団体によって必要のない道路や駅が造られたりしておりましたが、そのような人為的な判断、偏った判断ではなく、ビッグデータを活用して、それを基にした客観的な政策立案を進めていくべきではないでしょうか。

 その中心となって、期待したいのがデジタル庁です。様々なデータの連携の推進のための取組について、政府の見解をお伺いいたします。

河野国務大臣 データというものが価値や競争力の基盤になってきたと言ってもいいんだろうと思います。様々な分野のデータを連携していくことで、データを活用して、エビデンスに基づいた政策というものをしっかり進めることで、競争力の強化ということも図れる、そして国民の生活の利便性も高めていくことができるようになるんだろうと思います。

 先週、デジタル社会の実現に向けた重点計画を閣議決定をいたしましたが、その中でも、そうしたデータの連携の重要性、これを記載しておりまして、モビリティーを始めとする準公共分野でもデータ連携の様々な取組を推進していこうということにしてございます。

 デジタル庁としては、デジタル社会形成の司令塔として、この重点計画に基づきまして、先ほどから委員が提起されている交通の分野など、国土交通省を始め関係省庁としっかり連携をして、モビリティーロードマップの取りまとめを進めるなど、官民あるいは様々なサービスの主体といった分野を超えたデータ連携を更に進めていきたいというふうに思っております。

住吉委員 ありがとうございます。

 今回は交通弱者ということで取り上げさせていただきましたが、このデータ自体は、医療であったり、そういったところにも、いろいろとビッグデータとして今後価値が出てくると思います。マイナンバー、どこまでできるか分かりませんが、ひょっとしたら、地域によって血圧が高いであったり、糖尿の多い地域とか、そういったところに対しても、予防医療とかそういったことをできる可能性があるものだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 質疑時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

橋本委員長 次に、保岡宏武君。

保岡委員 自由民主党、鹿児島の保岡宏武です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、十五分しかございませんので、質問に入らせていただきます。

 まず一つ目でございますが、この委員会名、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会というふうな名称でございますが、昨年までは地方創生に関する特別委員会というような名称だったというふうに記憶をしておりまして、私もその委員でございました。

 一番目の質問は、地方創生の元年がたしか二〇一五年であったかと思いますが、これから八年が経過をして、委員会名も変わったということで、この八年の総括、うまくいった点、足りなかった点。また、まち・ひと・しごと長期ビジョン、総合戦略というのを国の方では立て、そして、地方公共団体においては、地方人口ビジョン、地方版総合戦略などというのも立てられました。その進捗状況や、今後の確認作業などのことも含めて、現状の分析と申しますか、見解をお示しいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、地方創生関係交付金の活用等を通じ、地域の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進されたことで、地域の魅力向上、にぎわい創出や雇用創出、経済活性化につながっており、人口減少や少子高齢化といった困難な状況にある地域社会の下支えができたものと感じております。

 実際に、地方への人や企業の流れの観点から申しますと、東京圏からの移住促進の取組が進んだこと、また、企業の地方移転の推進により、民間の調査結果になりますが、首都圏の企業転入転出動向が二年連続の転出超過となったことなど、具体の成果が出てきているものと考えております。

 他方で、近年、東京圏への転入超過が再び増加している状況にあり、地方への人の流れを重層的で力強いものにしていくことは引き続き重要な課題であると認識をしております。

 また、私ども、昨年末にこのデジタル田園都市国家構想の総合戦略を策定をいたしましたが、現在、それを受けまして、各地方におきまして、地方版の戦略、これを策定をしていただいております状況であります。その進捗状況につきましても適宜フォローアップをしてまいりたいというふうに考えております。

保岡委員 ありがとうございます。

 今お話を伺いましたけれども、私個人の感想としては、鹿児島という地域性もあるのかもしれませんけれども、失敗とは言いませんが、大きな成果が上がったとも言いづらいのではないかなというふうに感じております。(発言する者あり)ありがとうございます。

 元々、東京一極集中を是正をして、人口減に歯止めをかけようというふうに策定をされたのが政府の総合戦略。それに基づいて全国の自治体が求められたのが、地域ごとの中長期の計画作り。この結果というか、これをデジタル田園都市国家に移すということはいいんですけれども、その総括をきちんとしていただきたいなというのが一つ、希望としてございます。

 そしてまた、当時は、たしか高齢者の地方移住なども話題になりました。そして、隗より始めよということで、政府機関の地方移転計画。自治体が誘致を希望する中央省庁、国の研究機関、六十九機関についても、その後どうなったのか。これはもう問いはいたしませんが……(発言する者あり)いいですか。

 では、聞いた方がいいということで、ちょっと質問通告がありませんが、是非よろしくお願いいたします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の計画の評価ということでございますが、先生御指摘のとおり、本年度からデジタル田園都市国家構想総合戦略という形に衣替えをいたしました。この計画、五年間の計画でございまして、中間年に当たる令和七年度におきましてしっかりと、KPIの進捗も含めて、中間評価といったものを行っていきたいと思っております。

 また、御質問の政府関係機関の移転でございますが、先般、文化庁が京都にて勤務を開始したというところはございますが、これにつきましても、今年度の政府関係機関の移転の成果というか評価、これを総括的に評価してまいりますので、そういった総括的な評価も踏まえまして、今後の政府関係機関の移転の在り方についてもまた検討していきたいというふうに考えております。

保岡委員 今お答えにありましたとおり、私は、これは結局、行政主導の地方創生の限界なんだろうというふうに考えております。

 これからしていただきたい、私の希望する地方創生は、民間中心、民間主導の地方創生、それを行政がサポートするという形に転換をしていっていただきたいということでございます。

 そういう点におきましては、確実に萌芽が、芽吹きつつあるというのはこの八年間の成果であったのかなと。例えば、地域おこし協力隊OB、OGが、地元でも大分活躍をして、卒業してから後、地域おこしに貢献をされていますし、また、地域商社や町づくり会社が地元でも立ち上がったりして、ビジネスを通じて地域課題を解決しようというパブリックマインドを持った民間人が増えてきているということも実感をしております。

 そのような中で、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画には以下のように書かれています。自由放任主義から福祉国家、新自由主義、そして今まさに第四ステージ、新しい資本主義というのは第四ステージだということでございます。

 その基本的な思想は、市場も国家も、官も民もによって問題解決をするということ、そして社会課題の解決と経済成長の二兎を実現するということ、そして課題解決を通じて一人一人の国民の持続的な幸福を実現するということでございます。

 民間も公的役割を担う社会の実現というのが、この新しい資本主義にとっては非常に大事なポイントだというふうに私は考えておりまして、民間が主体的に課題解決に取り組める社会を目指す、課題解決の一つの鍵が、デジタル技術の活用、規制、制度をデジタル時代に合わせたものにアップデートをするということだという認識をしております。

 次の質問ですが、歴代政権が挑んできたこの難題。大都市への一極集中是正と、地域間の均衡ある発展。

 従来の地方創生は、今後はデジタル田園都市国家構想や新しい資本主義という名の下に昇華されていくというふうに考えていますが、どのように挑んでいくのか、見解をお示しください。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、このデジタル田園都市国家構想の実現に向けては、官民の多様な主体が、地域外の主体も巻き込みながら、連携して取組を進めていくことが重要であります。こうした考え方は、まさに、成長と分配の好循環により持続可能な経済社会の構築を目指す新しい資本主義の基本的思想とも共通しているというふうに考えてございます。

 近年はデジタル技術が劇的に進化しており、今こそ、デジタルの力も活用しながら、地方の生産性向上や地域発のイノベーションの創出に取り組むことで、地域活性化を図る絶好のチャンスであると認識をしております。

 こうした認識の下、昨年末に閣議決定しましたデジタル田園都市国家構想総合戦略では、中小・中堅企業におけるDXの推進や、地域発のスタートアップの促進等に取り組むこととしておりまして、こうした取組を通じて地域の稼ぐ力を育むことによって、引き続き、官民一体となった地域活性化を図ってまいりたいと考えております。

保岡委員 今、お話の中に出てきました稼ぐ力、地域の稼ぐ力というのがございました。ここは大事なポイントかと思います。

 まず、稼ぐということの意味を、ちょっと共通認識として持っていただきたいと思うのは、例えば、私が考える稼ぐというのは、お花を五百円で買ってきました、それをフラワーアレンジメントをして千五百円で売りました、いろいろな諸経費を引いて八百円利益が出ました。これを、行政の方が、このような経験をどれくらいの方がされていらっしゃるかということでございます。私も民間で働いていましたけれども、サラリーマンでしたので、日々これを考えてやっていたかと言われれば、恐らくしていなかったと思います。

 何が申し上げたいかというと、民間の方は、どんな小さな商店でも、こういうことを日々、毎日毎日しながら、持続可能というか、それが、稼げなければ持続可能にならないんだ、持続可能イコール稼ぐことなんだということが、明らかに行政と違うポイントだと。この違いは是非認識をしていただきたいというふうに思います。

 それと、時間の大切さ。これも、デジタルで解消できるのであれば、民間の場合は、お金よりも時間、タイミングが大事だということは多々あります。まずはこの違いを理解をしていただいて、これをデジタル活用によって解消して、例えば、これからまた質問しますが、介護の外国人労働者などが日本に来る際に、デジタル技術を活用して一か月でも前倒しができないかとか、そういうこともお考えいただけたらと思います。

 ちょっといろいろ、時間が足りなくなってきましたので、あともう一つ、悪い例。

 指定管理などがよく地方でされます。その際に、最初の契約の状態から、行政が持っている公園や土地を使って商売していいよと言いながら、その後、景観が、これは駄目だ、あれが駄目だとか、いろいろな規制を後から加えてきて、最初の契約とは全く違うというふうな状況になることも多く聞いております。また、今のいろいろな積算方法、時給掛ける時間計算というのも、民間からすればできるだけ時間を短縮していった方がもうけが出るのに、そこにインセンティブが働かないような公共の発注の仕方になっているところもあるのではないかというふうに、個人的には感じております。

 いずれにしましても、民間の稼ぐ力、時間の大切さなど、民間との感覚の違いを行政の方はよく理解をして、プライベートマインドを持った行政マンが増えて、パブリックマインドを持った民間に寄り添って、民間中心、民間主導の地方創生を、内閣府だけではなくて全省庁で意識をして、一つ一つアジャイル型で積み上げていっていただきたいというふうに考えております。

 本来、これの覚悟を大臣に伺いたかったのですけれども、今日は大臣も政務官も副大臣もいらっしゃいませんので、行政の方で簡潔に、覚悟をお示しいただけるようでしたら、お願いいたします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地方創生の問題はなかなか一省庁でできるものではありませんので、我々内閣官房が、横串と申しますか、そういう総合的な調整機能を発揮して、各省庁ときちっと連携しながら、かつ束ねつつ、政府一丸となって地方創生に取り組んでまいります。

保岡委員 息の長い取組になるかもしれませんけれども、地道によろしくお願いいたします。

 今日は高見政務官にお越しいただいていますので、最後に。

 地元を歩いていると、担い手不足の話が連日のように聞こえます。仕事はあるが担い手がいない、人手がないということを聞きます。特に、今、現状を考えたときに、都会から地方にという流れを日本人でもつくるのがなかなか難しいという現状がありまして、今後、キーになってくるのは外国人の労働者なのかなというふうに、地方においての労働力確保というのは外国人労働者かなというふうに考えております。

 その点において、前段で、今の現状も、問題点も、課題なども伺いたかったのですが、時間がもう足りませんので、率直に質問をいたします。

 これから、今まで国際貢献を名目にしていた技能実習が廃止をされ、そして、特定一号、二号、労働力として外国人の方を認めて、日本に長く暮らしていただこうというようなふうにかじを切っていくというような議論も今はされていると伺いますが、その際に、地方にアドバンテージというか、これが、都会の方にまた人が流れるような、外国人の労働者が流れるようなことがあっては本末転倒かなというふうに感じております。

 政治家として、その辺りをどのようにお考えになられるのか。地方に外国人の労働者を置いていただく、何かインセンティブのようなものというか、そういったものを考えていただけないのか、留意していただけないのかということを、率直にお答えいただけたらありがたく存じます。

高見大臣政務官 お答えいたします。

 私自身も、地方に生まれ育ち、選出いただいている人間でありますので、保岡委員と問題意識を全く共有するところでございます。

 御指摘くださいましたように、地方において、この外国人労働者の受入れの観点、地方における観点から見直しを進めていくことは極めて重要だと考えております。

 今行われております技能実習制度と特定技能制度の在り方に関する有識者会議でも、このような観点から二点のことが示されております。

 地方における中小・小規模事業者が必要とする人材を確保して育成するという観点からは、その業務を所管する省庁だけではなくて自治体においても外国人が安心して働き暮らせる環境整備に向けた取組を検討すること。そして二点目が、今委員まさにおっしゃいました、転籍の制限の在り方についてであります。産業分野や地方における人材確保、人材育成など、新たな制度の目的である人材確保や人材育成との関係を踏まえた総合的な観点から、最終報告書の取りまとめに向けて具体的に議論していくことということが、地方の視点から盛り込まれています。

 政府におきましては、まさに委員がおっしゃいましたように、現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消して、人材確保と人材育成を目的とした新たな制度を創設する方向で検討することとしておるところでございます。今委員が御指摘になった地方にとってのインセンティブ、そうした視点も踏まえながら、今後、有識者会議において取りまとめられる最終報告書も踏まえまして、制度の具体化に向けて、関係省庁とも連携しながら、政府全体としてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

保岡委員 ありがとうございました。

 東京一極集中の是正、これも、少子化と同様、今が本当に絶好のタイミング、最後のタイミングだという危機感を持って、全省挙げて取り組んでいただけたらと思います。

 質問は以上になりますけれども、最後に、済みません、この今日の……

橋本委員長 時間が来ておりますので、質疑を取りまとめてください。

保岡委員 はい、済みません。分かりました。

 では、もう質問を終わらせていただきます。済みません。ありがとうございます。

橋本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十三分散会


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