衆議院

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第3号 令和5年11月14日(火曜日)

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令和五年十一月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 上杉謙太郎君

   理事 黄川田仁志君 理事 牧島かれん君

   理事 坂本祐之輔君 理事 湯原 俊二君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      東  国幹君    石田 真敏君

      今村 雅弘君    小寺 裕雄君

      小林 史明君    杉田 水脈君

      田中 英之君    橘 慶一郎君

      谷川 弥一君    土田  慎君

      土井  亨君    中川 郁子君

      仁木 博文君    橋本  岳君

      福田 達夫君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    堤 かなめ君

      福田 昭夫君    緑川 貴士君

      森田 俊和君    山井 和則君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      佐藤 英道君    山崎 正恭君

      西岡 秀子君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル行財政改革担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)         河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   文部科学大臣政務官    安江 伸夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹林 悟史君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進室次長)           岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         大森 一顕君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局次長)   佐脇紀代志君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局次長)   渡辺 公徳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)          佐々木正士郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           中村 広樹君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           西  経子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           豊岡 宏規君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        安楽岡 武君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        大槻 大輔君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   蓮井 智哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 濱田 厚史君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         松本  平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     杉田 水脈君

  橋本  岳君     東  国幹君

  浮島 智子君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     仁木 博文君

  杉田 水脈君     谷川 とむ君

  山崎 正恭君     浮島 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

十一月十四日

 現行の健康保険証を残すことに関する請願(枝野幸男君紹介)(第一六号)

 同(笠浩史君紹介)(第四五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四七号)

 同(笠井亮君紹介)(第四八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四九号)

 同(志位和夫君紹介)(第五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五四号)

 同(宮本徹君紹介)(第五五号)

 同(本村伸子君紹介)(第五六号)

 同(山崎誠君紹介)(第五七号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第八四号)

 同(大島敦君紹介)(第八五号)

 同(後藤祐一君紹介)(第九七号)

 同(森田俊和君紹介)(第九八号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第九九号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六二号)

 健康保険証廃止の中止を求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四号)

 同(宮本徹君紹介)(第二五号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一六八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官竹林悟史君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官・内閣府地方創生推進室次長岩間浩君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官大森一顕君、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局次長佐脇紀代志君、同じく次長の渡辺公徳君、内閣府地方創生推進室次長佐々木正士郎君、同じく次長中村広樹君、同じく次長西経子君、同じく次長豊岡宏規君、内閣府地方創生推進事務局審議官安楽岡武君、個人情報保護委員会事務局審議官大槻大輔君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく統括官楠正憲君、同じく統括官村上敬亮君、同じくデジタル庁審議官蓮井智哉君、総務省大臣官房地域力創造審議官山越伸子君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、同じく大臣官房審議官濱田厚史君、総務省自治税務局長池田達雄君、外務省大臣官房審議官竹谷厚君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、文化庁審議官小林万里子君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君、同じく官房審議官日原知己君、同じく官房審議官原口剛君、農林水産省大臣官房審議官関村静雄君、農林水産省農産局農産政策部長松本平君及び経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柳本顕君。

柳本委員 自民党の柳本顕です。大阪でございます。

 本日は、谷委員長を始め理事、委員の各位の皆様方におかれましては、質疑の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 本臨時会の冒頭の所信表明で、岸田総理から、デジタル技術は、社会課題を新たなアプローチで解決する力を持つというような発言がありまして、まさにそのとおりであるというふうに考えております。

 国、地方自治体、企業、個人、それぞれにおいて新しい時代に対応したデジタル活用の仕組みを構築し、全ての自治体、企業、個人、そして国全体として利益を享受するようにしていかなければなりません。

 少し話題は変わりますが、私は、本年七月に、京都の方に一部移転されました文化庁の方に訪問してまいりました。今年春からの本格稼働ということでございまして、まだ動き始めたばかりの印象ではございましたけれども、室内に入ると霞が関内にいてるかのような空気感を感じることができましたし、デジタルの活用は事務スペースの移転をスムーズにさせる効果があるのではないかと改めて確認できたところであります。

 庁内のウェブ会議の現場は、まさに離れた場所においても臨場感あふれる形で体験することができました。

 文化庁の京都移転に伴いまして、デジタルはどのように活用され、効果を得ているのか。あわせて、課題なども見えているかと思いますので、文化庁の認識をお伺いいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁は、本年三月に京都へ移転したところですが、皆様の御理解を得ながら、デジタル技術を活用して業務に取り組んでいるところです。

 具体的には、国会議員の先生方への説明や会議、関係省庁との打合せにおいては、ウェブ会議システムを活用しております。また、文部科学省本省や文化庁内での打合せにおきましては、専用のテレビ会議システムを導入しながら、移転前と同等のパフォーマンスを出すよう努めているところです。

 課題としましては、国会対応や他省庁との調整において急な業務が生じる場合に迅速な対応が取りにくいということがございますが、デジタル技術の活用と東京で勤務する職員との機動的な連携により、状況に応じて工夫しながら対応しているところです。また、対面での対応が必要な場合には出張対応もしているところです。

 今後とも、京都移転を契機としたデジタル技術を駆使した新たな働き方により、文化行政の充実に向けてしっかりと取り組んでまいります。

柳本委員 政府関係機関の地方移転、とりわけ省庁移転というものは、分散型国土構造をつくり、地方創生を進めるに当たって極めて重要であると考えております。文化庁の実例を聞いても、デジタルを活用することで京都であっても基本的に対応できていると感じるし、地方に移る効果を最大限に引き出していけるのであれば、これはすばらしいことであると考えております。

 省庁等の移転については五十七件の検討を進めるということでありますが、実例を踏まえて、今後、更なる一歩を踏み出していくことが東京一極集中からの分散型国土構造への転換を図っていくことにつながっていくと考えますが、いかがでしょうか。また、デジタル田園都市国家構想という視点も踏まえて、河野大臣の見解をお伺いいたします。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 私もかつて消費者担当大臣をやっていたときに、消費者庁の徳島移転ということがありまして、一部移転をいたしました。

 ただ、このコロナ禍で、オンライン会議その他が飛躍的に、技術的にも進み、また世の中的にもそれが受け入れられるようになった今、省庁をまとめてどこかの地域に移転するというよりは、もうどこででもテレワークができるという時代になったんだろうというふうに思っております。そういうことを考えると、これから先は、霞が関に有為な人材を集めるという視点からも、あるいは地域の振興というところを考えても、いろいろな場所で省庁の職員がテレワークできるというものを進めていく、技術的にも文化的にもそういうものを進めていくということなんだろうと思います。

 その際、例えば国会対応をどうするのかとか、いろいろなことが考えられますが、そこは立法府の御理解もいただきながら、技術的に可能なものは少しずつ進めていきたいというふうに思っております。

柳本委員 ありがとうございます。

 まさに、コロナ禍におきまして、そういった対応が可能であるということが全国各地で確認できたわけであります。

 その一方で、私の地元であります大阪におきましても、特許庁や中小企業庁の移転についていろいろと検討を進め、一部機関などについては具体的に移転が進められることとなりました。

 ただ、こういうことでは何かドラスチックなイメージにつながることはないんですね。そういった意味では、実務的な意味におきましては、先ほど大臣がおっしゃったみたいに、いろいろ会議等々はウェブ会議でまさに対応できる部分はあるかというふうに思いますけれども、地方創生ということを考えたときに、やはり省庁が動くということは一つの大きなインパクトになるというふうにも考えておりますので、引き続き、この辺りも含めて御検討いただくように要望をさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、岸田総理の所信表明演説に合わせて、新型コロナ対策のデジタル敗戦を二度と繰り返さないという言葉が出てくるように、コロナ禍を経て、我々は今、そして来るべき困難に対して打ちかつ体制を整えていかなければなりません。体制づくりにおいては、国が大きな方向性を示しつつも、全ての自治体が足並みをそろえる必要があります。

 現在、第三十三次の地方制度調査会では、社会全体におけるデジタルトランスフォーメーションの進展及び新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえ、ポストコロナの経済社会に的確に対応する観点から、国と地方公共団体及び地方公共団体相互の関係その他の必要な地方制度の在り方が諮問され、議論が進められています。年末にも答申が出されるということでありまして、ちょっとこの部分もお聞きしようと思ったんですが、時間の関係もありまして、時間がありましたら最後のところで状況をお聞かせいただけたらと思っております。

 その上で、デジタル庁としても先んじて地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化に取り組んでいるということであります。非常に大きな取組となりますが、コロナ禍における反省を踏まえ、各自治体の理解を得ながら、スピード感を持って対処していく必要があると考えております。

 二〇二五年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行するという目標に向けて、進捗状況はどのようになっているのでしょうか。実情についてお聞かせください。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体情報システム標準化基本方針において、移行スケジュール及び移行に当たっての課題把握をするとの規定に基づきまして、移行スケジュールに関する調査や自治体及びベンダーへのヒアリングなどを実施したところ、二〇二五年度までの移行が、極めて高いというふうに考えられるケースの存在が明らかとなっております。

 これらを踏まえまして九月に基本方針を改定し、標準準拠システムへの移行期限につきまして、原則二〇二五年度を目指すことは維持しつつ、システムの移行作業をできる限り前倒すことによる移行時期の分散が可能となるように国として集中的に支援するとともに、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムにつきましては、状況を十分に把握をした上で適切な移行期限を設定することを規定をしております。

 こうした移行困難システムにつきましては調査を実施しておりまして、自治体から申出があったものに関して、都道府県や総務省と連携をいたしながら、現在、ヒアリングを行うなどの状況の確認を進めているところでございます。

 また、自治体の進捗確認や課題把握のために、各都道府県からの派遣職員等による支援体制を構築いたしまして、総務省及び都道府県と連携をして自治体の支援を行っているところでございます。

 引き続き、標準準拠システムへの移行が円滑かつ安全に実施されるように、自治体や事業者の皆様の意見を丁寧に聞きながら、総務省とも連携をして支援してまいりたいというふうに考えております。

柳本委員 各自治体はそれぞれ大変な事情を抱えているかと思いますが、ここが基本業務、基幹業務のベースとなりますので、まさにスピードを上げて取り組んでいただくように改めて要望させていただきます。

 基幹業務のみならず、ある程度一体性ある形での対応が必要なほかの業務もあるのではないかというふうに考えるわけであります。例えば防災対策など広域にまたがる業務についても、自治体ごとの対応では国民にとって分かりにくいという状況になることも想定されます。

 災害というものは、住んでいるところ、働いているところ、あるいは観光などで訪れたその場所ということで、一体どこで起こるかというのは分からないわけですよね。そして、住んでいるところ、働いているところでそれぞれ対応が異なれば、国民にとっては、いろいろ活用しているアプリなどがあったとしても、不便であるということにもなりかねません。

 また、最近、降雨情報であるとか気温の動向、避難所がどこにあるのかといった情報、また、来年からは熱中症対策について避暑避難施設というものも各自治体で設けられるというような状況になってくるわけですけれども、こういった様々な災害情報などを、全国どこにいても、一定、見慣れた画面、見慣れた状況で確認できるということを、誰もがアクセスできるような方向性をつくっていくということが必要なのではないかというふうに考えております。

 過日、予算委員会で牧島先生の方からも、神奈川県で行われたマイナンバーを使った防災アプリの実証実験のことについて河野大臣に質疑があり、答弁があったところでもあります。

 こういった内容もこれから広げていくことによって、各自治体ごとの特性というのも出てくるかと思うんですけれども、どういったことが基本的に書かれているのかといったことについては、一定、データを連携していくということが必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、デジタル庁として、このような課題に対してどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘もいただきましたとおり、防災分野では既に民間のいいアプリ、いろいろなものが出ているのですが、片方で、基本的な情報を全部一々打ち返さなきゃいけないとか、御指摘いただいた、防災情報の連携ができていないといった問題もございます。

 このため、デジタル庁では、データ連携基盤というものの構築作業を進めようとしてございまして、こういった異なるアプリを使ってもなお必要なデータが共有できる、なじみのある画面等で見ていただけるようにすると同時に、あと、いたずらに質の悪いものをやらないように、モデル仕様書を作る、カタログを作るといったようなところで、いいアプリを採用しやすく、調達しやすくするような環境、これは今、民間二百八十五社、自治体八十九入っております官民共創の協議会、河野大臣にも御指導いただき立ち上げてございまして、こういったところでいいものの活用を普及させるといったような形で、先生御指導の方向で進めてまいりたいと思ってございます。

柳本委員 ありがとうございます。

 基幹業務については、一定、ベースを固めていきつつ、その他の業務についても、モデル仕様書などを作成して、あちらこちらでいろいろなものが開発される、これはすばらしいことではありますけれども、データ連携基盤を整備していっているということであります。

 さらに、最近では新たなAIの進化もあるわけですね。そういった中で、各自治体では、市民ニーズが多様化する中、限られた職員数で対応していくに当たっては、デジタル活用で攻めに転じていくことも非常に大切であります。業務の効率化を図るとともに、市民に対しても利便性を高めていくことができるようにデジタル活用を進めていかなければなりません。

 大臣の所信表明にもあったデジタル行財政改革については、課題発掘対話が十月からスタートしまして、精力的に四回開催されているということでありますけれども、デジタル行財政改革とはどのような方向性を目指して進めていくのか、大臣の御見解をお伺いいたします。

河野国務大臣 今、我が国には千七百四十一の市区町村がございます。地方自治というのは非常に大事でございますが、どういう政策を取るかという政策の選択は、これはもう地方自治そのものでございます。

 ただ、地方自治という中で、書類の様式あるいは仕事のやり方までそれぞれの自治体がばらばらにやってきたというところがあって、例えば保育園の就労証明書、これは、千七百四十一の多くは独自の書式を持っております。

 そこまでやる必要があるかといえば、それはないんだろうと思いますので、政策の選択は地方自治、これは大事ですけれども、その前段階の、例えば書式あるいは業務の流れ、こういったものはできる限り統一をして効率化を図っていく。その中で、やはりデジタル技術というのは非常に有効な技術だと思っておりますので、デジタル行財政改革の一つの方向性として、デジタル技術で、いわば自治体のバックエンドの業務は統合していく、そして政策の選択に自治体は注力することができるような方向でいきたいというふうに思っております。

柳本委員 ありがとうございます。

 各自治体、まさに千差万別で、規模も人口も面積も異なるという中で、それぞれが自由度を生かしながら自治を行っているということでありますけれども、そのベースとなるものをデジタルを活用して進めていくということでありますので、大変有意義なことであるというふうに考えております。そのことが各地方自治体における事務の効率化にもつながり、ひいては市民サービスの利便性にもつながっていくものと考えております。

 一方で、自治体だけではなくて、各自治体における事業者、企業さん、そういった方々に対する支援も求められるところであります。

 今現在、インボイスに伴う電子帳簿など、事業者にとっては、最近本当に負担感が非常に重くのしかかっております。また、行政においてどのような補助金の制度があるのかということを知りたくても、何があるのか、国や各自治体、どこでどのような形で実施しているのかということで、分かりにくいということはこれまでからも多く聞かれてきたところであります。

 デジタル庁では、補助金申請プラットフォーム、Jグランツを二〇二一年より本格版リリースということで開始しております。事業者にとっては、とりわけ補助金などを得たいという中小企業やスタートアップなどにとっては大変ありがたい事業であると感じております。

 検索して、そしてどのような形で申請すればいいのか、簡素化も図っているということなんですが、このJグランツについて、最近の実績と今後の展望について、土田政務官にお伺いいたします。

土田大臣政務官 先生に今御紹介いただきましたJグランツは、国、自治体の補助金について、事業者がインターネット上で条件を指定して補助金を検索し、その後、申請から補助金の交付までの手続全てをオンラインで可能としております。

 令和三年一月より本格的なサービスを開始しているところでございますけれども、令和五年十月末時点で、国、自治体合わせて六百を超える補助金に活用されておりまして、そのうち約半数を自治体の補助金が占めているところでございます。

 Jグランツを利用して事業者が申込みを行った件数を示す申請事業数は、昨年度一年間で十六万四千件、本年度は十月末時点で前年同月比一・六倍の十四万三千件となるなど、多くの事業者に御活用いただいているところでございます。

 事業者や自治体のニーズを踏まえた機能拡充を行うとともに、引き続き、Jグランツをより多くの事業者、自治体に御利用していただくよう、改善を続けてまいる次第でございます。

柳本委員 まだまだ参画していない自治体もあるようでございますので、更に広げていただきたいと思います。

 そして、何よりも、平成生まれ初の政務官となられる土田政務官におかれましては、デジタル社会をしっかりと牽引していただきたいと期待しております。

 ただ、世代がどんどん上がっていきますと、なかなかデジタル対応ができないというような状況があったり、デジタルも非常に幅広いものですから、それぞれの分野において、アプローチできないとかこぼれ落ちてしまうような層もあるわけであります。

 デジタル社会推進に当たっては、経済性やセキュリティーといった視点ももちろん重要であるものの、誰一人取り残されないユニバーサルデザインにしていくという理念を根本的に持っておく必要があると考えます。

 また、日々新たな機能や技術が急速なスピードで増えていき、国際的にも様々な活用がなされる中で、全ての人の情報リテラシーの向上にも努めるべく、普及啓発にも官民連携で対処していく必要があります。

 大臣の見解をお伺いいたします。

河野国務大臣 デジタル技術を全ての人に使っていただけるような使いやすいUI、UXというのは、これは非常に大事だと思います。デジタル庁でも、その分野の専門家にも来ていただいてそこに努めようと思っておりますし、また、デジタルの使い方をアナログに教えるデジタル推進委員、これも全国に多くお願いをしているところでございます。

 また、デジタルでできるものはデジタルで便利にするわけですが、例えば、スマホで行政手続ができますといっても、スマホをなかなか使えないという方もいらっしゃいます。そういう方には、例えば、市役所に来ていただかなければいけないわけですけれども、今までと違って、一々申請書を書かない、あるいは窓口を回らない、書かない窓口というもの、これはデジタル技術でバックエンドのデータ連携をやるからこそできるようになるわけで、様々な分野にデジタルを使いながらアナログの部分も便利にしていきたいというふうに思っております。

柳本委員 ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わります。

谷委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、子供政策、若者活躍について、加藤大臣にお伺いをいたします。

 大臣は所信で、子供、若者や子育て支援の当事者の声を聞いていく、こういった御趣旨を繰り返し言及をされております。これは、昨年の四月二十七日の内閣委員会、まさにこの場で、当時の野田大臣から、こども家庭庁が縦割りを打破するという、そのために設けられた勧告権、これを行使する際には、まず何よりも、子供、若者から直接意見を聞く様々な取組をしっかり行う等の重要な御答弁があり、そして、その後に成立したこども基本法の基本理念、これを踏まえたものというふうに承知をしております。

 そこで、大臣に何点かお伺いをいたしますが、その前に、まず、お手元に資料を配付させていただいておりますけれども、少しデータを、統計を御紹介したいと思います。

 日本財団が従前、計五十八回行ってきた十八歳意識調査でありますけれども、まず、資料の1、第一回目は二〇一八年、成人年齢を引き下げる民法改正が成立をした六月直後のものでありますけれども、十七歳から十九歳の六二・九%が自分を子供と感じていると。その理由として、経済的に自立していないとは、ある意味当然のことでありますけれども、三番目に多い、いわば精神的自立とも関連をしてくると思いますが、十分な判断力があるとは言えないから、三六%。これが我が国の特徴を表しているのではないかというふうに思っております。

 また、めくっていただいて、資料2でありますけれども、昨年の第四十五回調査でも、十八歳の自分が子供のままと回答した方が過半数を超えておりまして、例えば、その理由として、裁判員に選ばれた場合に不安に感じることとして、間違った判断をしてしまうことが最も多く挙げられているわけでございます。

 加えまして、これは政府の調査でありますが、資料3でございますけれども、平成三十年の内閣府の調査、自分自身に満足をしていると明確に答えた、そう思うと明確に答えた若者、これは満十三歳から満二十九歳の男女でありますけれども、その割合、我が国では一割にとどまっているわけであります。残念ながら、他の、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、この六か国と比べても極端に低いと言わざるを得ないわけでございます。

 これらのデータを踏まえつつ、ちょっと大臣にお伺いをしたいんですが、現在、こども家庭庁では、こども若者★いけんぷらすといった形で、子供、若者が政府に意見を伝えて、政策決定プロセスへの参画を目的とする取組を実施をしておりますけれども、この取組を通じて、子供、若者の意識、これにどういう変革を期待をしてこういった事業を行っているのか、御見解をいただきたいと思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供や若者の意見を聞いて施策に反映することや、子供や若者の社会参画を進めることは、子供や若者の状況やニーズをより的確に踏まえることができ、施策がより実効性のあるものになることに加え、子供や若者にとって、自らの意見が十分に聞かれ、自らによって社会に何らかの影響を与える変化をもたらす経験は、自己肯定感や自己有用感、また、社会の一員としての主体性を高めることにつながるといった意義があると考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 よく言われる、我が国の子供、若者は自己肯定感が低いという、そういった中で、こういう取組を通じて、そういった向上を図っていくということでありました。

 まさに、自己肯定感は非常に大事でございます。国際社会で胸を張って活躍をする人材を輩出していくためには、こういったこども若者★いけんぷらすのような、いわば行政が用意をした枠組みで意見を集める、こういう形態でありますけれども、私個人としては、更にそこから、この取組の在り方、形態を進化をさせていく必要があるんだろうというふうに考えているわけであります。

 その具体論に入る前に、一つ確認でございますけれども、こども基本法の基本理念、これをうたった第三条の三号の後段に、このようにあります。全ての子供に「多様な社会的活動に参画する機会が確保される」と。そのための取組を様々行っていただいているわけでありますけれども、この部分は、こども基本法の検討のときにも、公明党としても非常に重要視をさせていただいた部分であります。

 そこで、この趣旨の中には、欧州等で活発な、若者自らが団体を立ち上げて、主体的な研さんや議論を通じて政策案をゼロから練り上げていく、先ほどのこども若者★いけんぷらすは行政が用意した枠組みで今行っていただいているわけではありますけれども、そうではなくて、若者オリジナルのものですね、そういった団体がそういった活動を通じて、場合によっては政治家と意見を交換をしていく、いわば、若者の若者による若者のための活動、これを後押しする取組もこのこども基本法の基本理念に含まれると解されるか、大臣から御見解をいただきたいと思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども基本法第三条第三号に規定されている多様な社会的活動に参画する機会には、ボランティアなどの活動に参画する機会のほか、同法第十一条で規定されている、子供施策の策定等に当たっての子供の意見反映の機会などが想定されております。

 この規定は、様々な分野における活動に子供、若者が主体となって参画することを後押しする趣旨であり、先ほど申し上げたとおり、子供や若者の社会参画を進めることには、社会の一員としての主体性を高めることにつながるといった意義があることを踏まえますと、御指摘のような活動の後押しも含まれるものと考えます。

河西委員 御答弁ありがとうございます。まさに含まれるということでございました。

 私は、度々、当時のこども基本法あるいはこども家庭庁設置法の中でも確認をさせていただいて、どうしても子供という言葉が先行しますので、そこに若者もしっかり含まれているんだということは、累次にわたって確認をしなければならないと思っております。

 若者が主体者として活動するには、いわゆる若者団体の存在が不可欠であります。そういったことをなかなか一人で、個人でやっていくというのは難しいわけでありまして、この若者団体というのは、若者のみならず、そのバックヤードに、場合によっては、四十代、五十代のプロパーの、いわゆる団体の職員みたいな方々も必要でありまして、要は、人的リソースも、またいわゆる財的なリソースも必要であるわけであります。

 この若者団体、我が国では、実は長続きしない実態があるわけでございます。その背景には、先ほど申し上げましたような若者団体の財政基盤、実はこれが必要なんだけれども弱い。現状、国からの財政措置も、貧困対策等の支援団体が主な対象でありまして、若者団体をメインターゲットにした助成金というのは存在をしていないという、こういった現実がありますし、団体の当事者の皆様からも、例えば人件費に使えないというような、そういった助成金自体の我が国の考え方もありまして、非常にハードルになっているということであります。

 一方、歴史的に子供の権利を重視してきた欧州でありますけれども、若者団体に限定した財政措置が非常に充実をしております。

 例えば、スウェーデンでありますけれども、若者市民社会庁の目玉事業、これが若者団体への助成金でありまして、二〇一九年の実績で約二十五億円、これは当時のレートでありますが、これを百五の子供、若者団体に助成をしております。日本ではなかなか考えられないような規模でありますけれども、当然、審査基準も設けられておりまして、二年間の活動実績とか、あるいは、会員の六割が六歳から二十五歳で構成をされることなどが挙げられているわけであります。

 同様の制度、これはドイツやフィンランド等でも見受けられるわけですが、いずれの国でも、若年層の投票率、七割から八割と極めて高い水準で維持をされておりまして、その背景には若者団体の役割がある点は、これはあらゆる有識者が指摘をされているとおりであります。

 また、これは私自身の考え方でありますけれども、我が国がいわば大きな曲がり角を迎える中で、画一的な方向だけではなくて、若者自らがこの国の未来を描き、社会を創造していく素地というのを整備していくということは、国家戦略上も極めて重要なんだろうというふうに考えているわけであります。当然、秩序ということも大事でありますが、各個々人の力をエンパワーメントして引き出していくということが大事であります。

 こうした問題意識、我が党が若者団体の皆さんとともに政府に要望して、私自身も何度も議論を交わしてきましたが、その中で、こども家庭庁としては、まず、今後提出をされる令和五年度補正予算案に、意識改革に向けた戦略的広報、六・一億円、うち〇・一億円を若者団体に関する調査研究に充てて、若者団体に関する国内外の取組事例、これを調査研究する方針と承知をしております。

 そこで、当該事業の狙いについて伺うとともに、先ほど御答弁いただいたこども基本法の基本理念も踏まえまして、是非とも、我が国においても、若者団体への財政措置を実現し、国内の若者団体の持続可能性を支え、ひいては、日本の活力、これを生み出していただきたいと思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供や若者が主体となって活動する取組を支援することは、子供や若者の意見反映や社会参画を進める上で重要であると考えております。

 こうした認識の下、若者団体に関する調査研究におきましては、国や地方自治体等と若者が主体となって活動している団体との連携の好事例など、若者団体の実態を把握することを狙いとしております。

 まずは、どのようなことができるか、しっかりと研究を進めてまいりたいと考えております。

河西委員 是非とも、前向きな、また精力的な取組をお願いをしたいというふうに思っておりますし、私も、しっかり責任を持って、この政策、後押しをさせていただきたいと思っております。

 最後に、一点。子供、若者にとって、国とか政府ではどうしても距離感があります。リアリティーに欠ける面は構造的に生じてしまうんだろうというふうに思っておりまして、そこで、最も身近な地域、地方自治体、自分が住んでいる地域は、自分の意見が形になった成功体験を積みやすい、重要なステージであるというふうに考えております。例えば、公園がこういうふうになったとか、図書館がこういうふうになったとか。

 こども家庭庁として、子供、若者の意見表明、社会参画を推進するべく、地方自治体と具体的にどう連携をしていくのかということとともに、例えば、加藤大臣自ら、知事会や市長会などで首長の方々と直接、子供、若者の地域における社会参画の意義や目的、これを確認していただいて、今日の資料の最後の4にもお配りをしておりますけれども、例えば、愛知県新城市に代表され、また我が党も推進をする子供若者議会、実際に予算も与えて議論をしてもらって、いろいろ地域の変革を自分たちで起こしていただくという、こういった具体的な取組を深掘りする場、これは大変有意義だというふうに考えているわけでありますけれども、最後、大臣のお考えをいただきたいと思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども基本法におきまして、地方自治体は、子供施策を策定、実施、評価するに当たり、子供や若者等の意見を反映させるために必要な措置を講じることとされており、地方自治体における取組を国としても後押しすることは大変重要だと認識をいたしております。

 私自身、先月、川崎市において、小学校高学年から高校生年代までの子供や若者が自ら定めたテーマについて意見をまとめて市長に提出する、川崎市子ども会議を視察した際に、子供たちが率直に意見を言う場を拝見し、本音で意見を言える場づくりの重要性を改めて感じました。

 また、こども家庭庁創設前に行った調査研究におきましては、子供や若者の意見の政策への反映に関する流れや取組のポイント、先進的な取組を行う地方自治体の事例等をお示しし、公表をしているところであります。

 さらに、今年度は、子供や若者が意見を言いやすい環境をつくり、子供や若者の声を引き出すために必要となるファシリテーターを養成するためのプログラムや、意見聴取の取組を適切に理解し、実践できるよう、行政職員向けのガイドラインの作成に取りかかっているところであり、成果がまとまりましたら、地方自治体に対してもしっかりと周知をしてまいりたいと考えております。

 これらの取組を通じ、地方自治体における取組をしっかりと後押しをしてまいります。

河西委員 是非ともよろしくお願いをいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、堤かなめさん。

堤委員 皆様、おはようございます。立憲民主党の堤かなめです。

 質問に入る前に、一点お願いがございます。

 立憲民主党は、国民の不安を払拭するため、十月二十日、二〇二四年秋の保険証の廃止を延期するための法案、保険証廃止延期法案あるいは保険証併用法案を衆議院に提出いたしました。さらに、十月二十三日には、一人親家庭に支給されている児童扶養手当を一律月額一万円増額するための児童扶養手当増額法案を衆議院に提出いたしました。

 いずれも国民生活に関わる大事な法案ですので、当委員会での審議を是非お願いしたいと存じます。委員長のお取り計らいをお願いいたします。

谷委員長 後日、理事会で協議いたします。

堤委員 よろしくお願いします。

 では、質問に入ります。

 本年四月にようやく発足したこども家庭庁の政策の柱には、成育環境にかかわらず誰一人取り残すことなく健やかな成長を保障することが掲げられています。この政策を確実に実施していただきたいという思いから、二点お聞きいたします。

 初めに、物価高が学校教育に与える影響について質問します。

 物価高騰により、給食の食材、ノートなどの学用品、理科の実験用具など、学校教育に欠かすことができないものの費用が高くなってしまっています。現場の栄養教職員の方々からは、卵、牛乳、魚、鳥肉、揚げ物の油、給食配送用のガソリンにも影響が出ている、事務職員の方々からは、教育活動に影響がないように、不足する予算を工夫し、節約を呼びかけ、懸命に業務に当たっているといった声が上がっています。

 慢性化している予算不足に対し、文科省としてどういう対策を取っているのか、十分な予算を確保できているのか、お聞きいたします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校給食費につきましては、食料費高騰の影響を受ける保護者の負担軽減を図るため、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、こちらの活用を教育委員会等に対して促してきたところでございまして、ほとんどの自治体において、学校給食費の食材等の値上がり、そういったものに対応するものが抑制され、保護者負担軽減に向けた取組が進んでいるところです。

 また、教材費についても、各自治体に対して、この交付金の活用が可能な旨周知しているところでございます。

 今般の総合経済対策を踏まえた令和五年度補正予算案においても、重点支援地方交付金が積み増しされ、推奨事業メニューとして〇・五兆円が追加計上されたことから、引き続き、政府全体の取組の中で、保護者負担軽減の観点から、関係省庁と連携を図りつつ、適切に対応してまいります。

堤委員 今、重点支援地方交付金によって支援しているということでした。学校給食等の支援を推奨メニューとしているというふうにも聞いています。しかし、この推奨メニューには、プレミアム商品券、マイナポイント等の発行による消費下支えなどの事業も含まれています。つまり、必ずしも学校給食などの支援に充たっているかどうかは分からないということだと思います。

 では、給食等支援事業を実施した自治体は、ほとんどと今お答えはありましたけれども、何割ぐらいだと思っていらっしゃいますでしょうか。正確な数字ではなく、八割とか半数とか、そういう大まかなお答えで結構です。通告しておりませんが、お答えいただけませんでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、学校給食費の関係でございますけれども、物価が高騰したものに対応してその高騰分を措置する、実施するというところが千百六十九自治体、実施を予定している、四百八十三自治体、小計で千六百五十二自治体がございまして、物価高騰の影響を受けていないというところも含めますと、九九%の自治体がそういった給食費の保護者負担の軽減に取り組めるというような状況と聞いております。

堤委員 ありがとうございました。

 では、次に、物価高に負けない就学援助費についてです。

 学校教育法第十九条は、経済的理由によって就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならないと規定しており、学用品や通学費などを援助する就学援助制度があります。

 しかし、最近の物価の高騰は、経済的に厳しい家庭を直撃しています。物価高に即応した援助、物価高に負けない就学援助費になっているのか、お聞かせください。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村では、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の保護者に対しまして就学援助を行っております。このうち、生活保護法に規定する要保護者への支援につきましては、国が経費の二分の一を補助しております。

 また、物価高に対応するために必要な額として、令和五年度予算におきましては、中学校の新入学児童の学用品等の国庫補助、この予算単価を対前年度三千円増の六万三千円とするということを対応しております。また、令和六年度の概算要求におきましても同様に、予算単価を、新入学児童生徒学用品等につきまして、小学校について三千円増を図る。また、学用品について、小学校七百六十円増の一万二千三百九十円、中学校千四百八十円増の二万四千二百十円。また、修学旅行費についても、小学校三千四百九十円増の二万六千百八十円、中学校千三百九十円増の六万二千三百円、こういった要求をしているところでございます。

 文部科学省としましても、今後とも、教育に係る経済的な負担軽減に向けた取組を進め、教育の機会均等に努めてまいります。

堤委員 安彦審議官、ありがとうございます。

 今お答えいただきました基準は、物価の全国平均に基づいた算出方法になっているものではないかと思います。したがって、地域によっては、就学援助費では足りない、賄えないこともあるということかと思います。例えば、卒業アルバムが就学援助費よりも五、六千円高いといった地域もあると聞いております。そういうことも念頭に置いていただきまして、更なる充実をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、インクルーシブ教育の推進について質問します。

 世界的に、SDGsが掲げる、誰一人取り残さないの概念、DアンドI、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンという言葉が広がる中で、教育分野においても例外ではなく、インクルーシブ教育への注目が世界的に高まっています。

 そのような中、昨年九月九日に国連障害者権利委員会が公表した、日本の報告に関する総合所見では、日本政府に対し、インクルーシブ教育について政策の改善が勧告されました。日本が障害者権利条約を締結した、二〇一九年以降初めてのことです。

 そこで、まず、この総合所見を受け、政府はどのように対応するのかについて、三点お聞きします。

 一点目に、通常学級の在り方についてです。

 日本政府からは、特別支援教育の枠組みはあくまでも維持しようとする姿勢、特別支援教育ありきの姿勢を感じます。これに対し、国連の障害者権利委員会は、通常学級の側からの体制整備や教員研修の充実などの取組を求めています。これは、日本政府が進めてきた方向性とはかなり異なるものです。

 本来の豊かなインクルーシブ教育を実現するためには、例えば、通常学級の規模をもっと小さくする、授業時数や教育課程を見直す、支援員を増やすなど、根本的な通常学級の在り方に関する議論が必要だと考えますが、国連の総合所見を踏まえ、インクルージョンの視点からの通常学級の在り方についてどのような改善が必要とお考えか、文科省の御見解をお聞かせください。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 通常の学級の在り方につきましては、本年三月に取りまとめました、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議、この報告におきまして、全ての教師が、障害のある児童生徒を含め多様な児童生徒が通常の学級に在籍していることを前提として、分かりやすい授業づくりを進め、その上で、座席の配置やICT活用を含む必要な合理的配慮の提供、また、学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置、特別支援学校の有する専門性や外部の専門家を活用した支援、通常の学級に在籍したまま特別な指導を受ける通級による指導の充実などの、障害のある児童生徒が通常の学級で学べるよう、通常の学級の教育力を高めるための方策について示されました。

 文部科学省としましては、この報告を受けまして、各都道府県教育委員会等に対しまして、校長のリーダーシップの下、通常の学級において特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対し、適切な指導や必要な支援を学校全体で組織的に行うための校内支援体制を充実させることなどについて、通知を発出したところでございます。

 文部科学省としましては、障害者権利委員会における勧告の趣旨等を踏まえまして、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための環境の整備を始め、よりインクルーシブな社会の実現のため、関連施策等の一層の充実に努めてまいります。

堤委員 日本政府には、分離された特別支援教育を中止することを目的として、豊かなインクルーシブ教育に関する国家行動計画を採択することが求められています。今、三月に指針のようなものをまとめられたということですが、文科省はこの勧告をどのように受け止められたのでしょうか。文科省の見解をお聞きいたします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある子供の教育につきましては、各国ごとに様々な制度があるものと承知しております。その上で、障害のある子供を包容する教育を推進すべきという勧告の趣旨につきましては十分に受け止め、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取組を進めていく必要があると考えております。

 具体的には、障害のある子供の教育については、我が国において特別支援教育を受ける子供が増加する中、本人及び保護者の意向を踏まえつつ、特別支援学校、特別支援学級、通常学級、いずれにおいても、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学べるよう、環境整備を進めてまいりたいと考えております。

堤委員 今お答えいただきましたけれども、実際には、いろいろな現場から、学校から通常学級ではなく特別支援学級や学校を当然のように勧められたですとか、迷惑をかけるから通常学級は諦めたと悩む保護者さんの方もいらっしゃると聞いています。

 文科省は、本人の希望、保護者の希望と受け止めておられるのでしょうが、本当は、心の底は、遠慮して、忖度して通常学級を諦めているのかもしれません。不本意の選択の可能性もあるのではないでしょうか。

 また、後述しますように、通常のクラスの在り方が変われば、つまり、支援員が十分に配置されたり、通常学級が過度に競争的な環境でなくなれば、通常学級を選べる子供が増える可能性もあるということを指摘しておきたいと思います。

 三点目に、希望する障害のある子供が通常学級への就学を拒否できないようにすること、これも日本政府に求められています。このことを確実にするには、学校教育法施行令に規定すべきと考えますが、当面、すぐにでも可能なこととして、全ての子供に、まずは地域の通常学級への就学通知を出すべきではないでしょうか。そうすれば、通常学級への就学拒否は起こり得ない、制度的には起こり得ないと考えますが、いかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 就学先の決定につきましては、本人及び保護者の意向を最大限尊重しまして、保護者等との丁寧な合意形成を図った上で、市町村教育委員会において総合的な観点から決定するという仕組みになっております。

 このことにつきましては、令和三年六月にも各教育委員会の就学事務担当者等に対して改めてお示しするなど、その徹底を図っているところでございます。

 就学事務は自治事務でありまして、具体的な通知の方法については各自治体の判断するところでございまして、御指摘のような取組をしている市町村もあるとは承知しております。

 文部科学省としましては、引き続き、就学決定事務が適切に行われるよう、周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

堤委員 通常学級をデフォルト、初期設定にしている自治体もあるということでしたので、どのくらいあるのかということを、是非、資料をこの本委員会に提出していただきたいと思います。委員長のお取り計らいをよろしくお願いいたします。

谷委員長 後日、理事会で協議します。

堤委員 よろしくお願いします。

 今、文科省がおっしゃったように、本人、保護者の意見を最大限尊重するためにそういう、まずは通常学級に、就学通知を全ての子供たちに出すということは大事だと思いますので、是非、御検討をお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 条約が示すインクルーシブ教育を実現するには、大胆な政策転換が必要です。障害は、障害者にあるのではなく、社会がつくり出しているものです。国民の意識を変えながら共生社会に近づいていくため、国の障害者政策を根本から見直していただきますよう要望しておきます。

 次に、特別支援教育支援員についてお聞きします。

 支援員の方々は、通常学級で学習と生活の両面から子供たちを支援しておられます。

 そこで、まず、インクルーシブ教育の推進に支援員が果たしている役割について、子供たち、保護者、教員はどのように評価しているのか、お聞かせください。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 特別支援教育支援員は、小中学校等において、障害のある児童生徒等の学校生活上の介助や学習活動上のサポートを行っておりまして、大変重要な役割を担っております。

 近年の障害のある児童生徒等の増加傾向を踏まえれば、特別支援教育支援員の活用及び適切な配置が今後ますます重要となってくると認識しております。

 例えば、各自治体や学校現場からは、読み取りに困難を示す児童生徒に対して支援員が読み上げを行うことで学習に集中できるなどの声があると承知しております。

堤委員 では、この資料一を御覧ください。

 特別教育支援員について、地方財政措置された人数と実際に活用された人数の推移を示したものです。幼稚園でも小中学校でも高等学校でも、地財措置、地方財政措置された人数よりも活用人数の方が多い年度がかなりあることが分かります。例えば、一番右の計の欄を見てください。この十八年間で地財措置では賄えなかった年度が十四年度、十八年のうち十四年、不足分を市町村が補填してでも支援員を雇用しているということです。

 このような状態では支援員のニーズに応えることができないのではないかと懸念しますが、文科省の見解をお聞きいたします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 地方交付税は地方公共団体固有の一般財源でありまして、その使途はあくまでも交付先である地方公共団体の判断に委ねられておりますが、財政状況にかかわらず各自治体において必要な配置が適切に行えるよう、財政的措置を講ずる必要があると認識しております。

 御指摘の特別支援教育支援員に関する地方財政措置につきましては、開始された平成十九年度以降、毎年各自治体における配置実績等を把握し、翌年度にはその実績を踏まえた、毎年度、措置額の拡充がなされてまいりました。その結果、制度開始以降、各自治体において配置実績が着実に伸びてきているものと認識しております。

 文部科学省としては、今後とも、各自治体における支援員のニーズに応えることができるよう、特別支援教育支援員の配置促進に努めてまいります。

堤委員 配置の促進に努めるとお答えいただきました。

 保護者の皆さんは、通常学級では授業についていけないのでは、いじめられてしまうのではなどの不安を持つ方々もいらっしゃると聞いています。通常学級での受入れ体制が整わず、通いたくても通えない子供がいる現状は見過ごせません。

 支援員の方々は、通常学級で子供たちの困り事に対応したり、授業の流れに乗り遅れた子供に声をかけるなど、大きな役割を果たしておられるというのは文科省の方からもお答えいただきました。インクルーシブ教育を前に進めるためにも、支援員の方々を十分に配置できるよう、更にどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、インクルーシブ教育を阻害する要因について質問いたします。

 さきに述べましたように、国連の障害者権利委員会は、インクルーシブ教育の実現のためには通常学級の在り方を見直すことが必要だと指摘しています。

 また、二〇一九年には、国連子どもの権利委員会から、日本の教育システムが余りに競争的なため、子供たちから、遊ぶ時間や、体を動かす時間や、ゆっくり休む時間を奪い、子供たちが強いストレスを感じていること、それが子供たちの発達上のゆがみを与え、子供の体や精神の健康に悪影響を与えていることが指摘され、適切な処置を取るよう勧告されています。

 私は、過度に競争的な日本の教育システムは本来の豊かなインクルーシブ教育を阻害する要因の一つでもあるのではないか、過度に競争的な環境が、通常の学級で包摂されにくい子供、そこで強いストレスや生きづらさを感じる子供が増えているのではないかと考えます。その証左というべきものが、子供全体の数はどんどん減少しているのに、特別支援教育を受ける子供の数が増加、そして、不登校、いじめ、自死が増加しているという特異な現象ではないでしょうか。

 そこで、文科省にお聞きします。

 この十年で、小中学生の数、全体は何人減少、何%減少したのか、その一方で、不登校、いじめ、自死は何人、何%増えたのか、お聞きします。その上で、これらの増加の原因をどのように捉えているのか、御見解をお聞かせください。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年度から令和四年度までの十年間で、小学生は、四十八万二百三十二人、七・二%減少、中学生は、三十万七千六十人、八・六%減少、合わせて小中学生が七十八万七千二百九十二人、七・七%減少しております。

 この間、小中学校におきまして、不登校児童生徒数は、十七万九千四百三十一人、一五〇%増加、いじめの認知件数につきましては、四十八万九千三百五十二件、二八一%増加、自殺者数は、五十四人、五一%増加しております。

 また、それぞれの増加要因につきましては、様々な要因が複雑に関わっている場合が多く、一概には申し上げにくいところでございますけれども、例えば不登校児童生徒数が増加した要因としましては、学校に対する保護者、児童生徒自身の意識の変化など、社会全体の変化の影響や、新型コロナウイルス感染症により学校生活においても様々な制限がある中、交友関係を築くことが難しかった子供や登校する意欲を持ちにくい子供がいた可能性があること、そういったことが考えられます。

 また、いじめの認知件数が増加した要因としましては、学校現場において、いじめ防止対策推進法の定義に即した、いじめの積極的な認知が図られてきているということ、また、コロナ禍から通常の学校生活に戻りつつある中で、日常の授業におけるグループ活動や学校行事、部活動など、様々な活動への制限が緩和され、児童生徒同士の関わりが増加したこと等が考えられます。

 最後に、自殺者数が増加した要因についてでございます。コロナ禍から、在宅ワークの増加等による家庭内の過密化により家庭内葛藤等の家庭環境の不和が生じたこと、目標や夢、達成感等が得られる機会となる学校行事や大会等の中止、縮小等学校環境が変化したこと等が考えられます。

堤委員 今お答えいただきましたように、子供の数は七・七%減っている。その一方で、不登校は一五〇%増ということは、十年前の二・五倍に増加しています。しかも、この数字は、年間三十日以上欠席した者のうち病気や経済的な理由によるものを除いたもので、行き渋りと言われる子供たちも含めると、実際には、もっと多くの学校に行けない子が存在するということかと思います。

 いじめ件数も過去最多を更新し続け、十年間で何と四倍近くになっています。近年、いじめとようやく認知されるようになってきたということもありますが、この数字は氷山の一角にすぎないかもしれません。もちろん、学校に行くことが全てではありませんが、通常の学級が全ての子供たちを包摂するもの、インクルーシブなものであるべきなのに、そこに行けない、そこでつらい思いをしている、そこに居場所がないと感じる子供が増えているのではないでしょうか。

 こども政策担当大臣、通告はしておりませんけれども、このような子供たちの現状について率直な感想をお聞かせください。

加藤国務大臣 私の感想ということで、委員からの御質問がございました。

 不登校の子供たちや、いじめを受けている子供たち、自死を選んでしまっている子供たちが増加をしているということについては、政府としても、またこども家庭庁として、大変重く受け止めているところでございます。

 原因について、先ほど文科省よりお話、見解がありましたが、しっかり文科省とも連携を取りながら、学びについては文部科学省、そして、居場所づくりですとか育ちの支援、子育ての支援の観点からはこども家庭庁がしっかりと支えることによって、子供たちが生きやすい社会、こどもまんなか社会を実現していくことに全力を挙げてまいりたい、このように考えております。

堤委員 居場所づくりについてはこども家庭庁というふうにありましたけれども、学びについては文科省とお話がありましたが、びほう策ではなくて、穴の空いたバケツの水をすくうような方策ではなく、やはり、穴を塞ぐこと、学校の在り方、学級の在り方、そういったことを根本から変えていかなければならないのではないかと思っております。

 次に、過度に競争的な学校空間をつくり出している要因の一つ、インクルーシブ教育を阻害する要因の一つとして、授業時間の増加について質問いたします。

 資料二、増加する授業時数を御覧ください。

 この十七年で、小学校では七十時間、中学校では三十五時間、授業時数が増加しています。こういった、いじめや不登校や自死が増えているにもかかわらず、授業時数がどんどん増えていっているということでございます。

 文科省は、このような標準授業時数を超える実態を放置してきたことを猛省し、学校を主体に教育委員会とともに削減を進める必要があると思います。また、次期学習指導要領では指導内容と標準授業時数の削減が必要と考えますが、御見解をお聞かせください。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 総授業時数を含みます各学校の教育課程につきましては、各学校や地域の実情を踏まえて、学習指導要領等の規定に基づき、各学校の判断において編成するものでございます。

 実際に、文部科学省が実施した調査によれば、標準授業時数を大きく上回って授業時間を確保している学校がある一方で、そうではない学校も多くあるところでございます。

 こうした状況も踏まえまして、今般の令和五年九月の通知では、全ての学校において授業時数の点検を行うことを求めるとともに、特に標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成している場合に、見直すことを前提に点検を行い、指導体制に見合った計画とするよう求めたところでございます。

 各学校におきましては、児童生徒の学習状況や指導体制を踏まえつつ、自校の授業時数についてしっかりと検証し、必要に応じて改善に努めていただくことが重要と考えており、文部科学省として必要な指導助言に努めてまいります。

 その上で、国が定める学習指導要領は、中央教育審議会での専門的な御議論も踏まえながら、これからの社会を生きる子供たちに必要な資質、能力を育成するために必要な内容を記載しているものでございます。その改訂に当たっては、現行の学習指導要領の実施状況などを十分に踏まえつつ、専門的な御議論もいただきながら検討してまいります。

堤委員 やはり、学校現場が過度な、今日は質問には入っていませんが、学力テスト、学力調査もあるかと思うんですね。そういった中で、学校の評価が、学力テストの結果によって、学校や学級の評価、学校や先生の評価が学力テストによって左右されるということになりますと、やはり、授業時数をどんどん増やして子供たちの成績を上げたいというふうに考える学校や先生たちが出てくるというのは当然ではないか、ある意味当然かと思います。やはり、学力テストの在り方も見直していただきたい。

 そして、授業時数については、私は、個人的には、上限を決める、残業時間も上限を決めておられますけれども、守られておりませんが、上限を決めていくということも大事ではないかと思っております。

 じゃ、次に行きます。

 最後に、ニューロダイバーシティー、神経多様性について質問します。

 このニューロダイバーシティーとは、オーストラリアの社会学者ジュディ・シンガーが一九九〇年代に提唱したものです。決して発達障害の言い換えではなく、人間の脳や精神の働き方は一人一人違うという基本的な人間理解の枠組みであり、一人一人の違いを個性として受け入れるという考え方のことです。

 日本でも、イノベーションや生産性を促すダイバーシティー経営が、就労人口の維持のみならず、企業の競争力強化の観点からも不可欠であるとして注目されてきています。中でも、ニューロダイバーシティーを、脳や神経に由来する個性として、企業の中で、社会の中で生かしていこうという動き、多様な個性を発揮できるよう環境を整える動きが国内外の企業で推進されつつあるようですが、このような動きについて今後どのように進めるのか、経産省の考えをお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省としては、現代のように先行きの予測が困難な時代において、多様性の確保がイノベーションを生み出し、企業の成長、ひいては日本経済の成長につながると考えておりまして、企業のダイバーシティー経営を推進しているところでございます。

 委員御指摘のニューロダイバーシティーの推進につきましても、個人が特性を発揮できる環境の整備の観点から重要と考えておりまして、経済産業省としても、障害のある方の採用や活躍に関して企業が取り組んでいる事例を調査しつつ、企業の採用、体制づくり等の方策を整理をしたところでありまして、その普及啓発に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、こうした取組によりまして、企業のダイバーシティー経営を推進していきたいというふうに考えております。

堤委員 オーストラリアでは、ニューロダイバーシティーの観点から、インクルーシブ教育を推進するということが各教育機関で進んでいるとも聞いています。ニューロダイバーシティーの概念の下、インクルーシブ教育を推し進めていくことも今後の課題になっていくのではないかと思います。

 教育の目的は人格の完成であって、企業のための人材育成ではありませんが、職場においてニューロダイバーシティーを進めるためには、成人してから初めて障害のある方々と出会う、就職して初めて障害のある方々と同じ空間で働くというのでは遅過ぎるのではないでしょうか。社会人になってから、いきなり多様性を正しく理解し、採用プロセスから、特性に合った配置、仕事の進め方などを、一人一人の個性が輝くような職場環境をつくる立場になれるとは思えません。やはり、子供の頃から、多様な子供たちと学び、共に支え合うという経験が大事ではないかと思います。

 ユーチューブでは、今いろいろな、例えば全盲の子供さんたちも通常学級で学んでいる。私も、全盲の子供たちが通常学級で学ぶというのは難しいんじゃないかなと実は思っていたんですけれども、ユーチューブでは、そういういろいろなインクルーシブ教育の先進事例がアップされています。

 そういった、全盲であるとか書字障害であるとか医療的ケアの子供たちが通常学級で普通に友達と一緒に遊んだり勉強したりする姿を見て、私も、やはりインクルーシブ教育が重要だなということをつくづく感じております。是非、機会がありましたら、大臣にも、そういったユーチューブを見ていただいたりして、理解を深めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫です。

 今日は大臣所信ということなので、せっかくなので三人の大臣においでいただきました。大臣始め答弁者は、簡潔にお答えいただきたいと思います。

 まず、地方創生についてであります。

 一つ目は、東京圏への過度な一極集中是正の具体的な施策についてであります。

 政府も、様々な取組、特に、今回は半導体等の戦略分野に関する国家プロジェクトの生産拠点の整備に際して必要となる関連インフラの整備を支援するため、新たな交付金を創設するなど頑張っておりますけれども、しかし、東京圏への流入を防ぐ根本的な施策はずっと前からいまだにありませんけれども、何か自見大臣に特別なアイデアがあったら、今回の所信で述べていないことで特別なアイデアがあったら、是非教えてください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 過度な東京一極集中は地方の過疎化や地域産業の衰退等につながるものでありますので、東京と地方との間でウィン・ウィンの関係を構築し、地方への人の流れを重層的で力強いものにするということは非常に重要であると考えております。

 このため、昨年十二月に策定をいたしましたデジタル田園都市国家構想総合戦略におきましても、人の流れをつくることを重要な柱の一つとして掲げておりまして、東京一極集中是正の施策といたしまして、東京二十三区からの移転等を促進する地方拠点強化税制などによる企業の地方移転の更なる促進などについても取り組んでいるところでもございます。

 委員の問題意識も十分に承知をしておりますが、様々な企業、また移住を促す、そういった取組を総合的に促進していくことが重要だと思ってございます。

福田(昭)委員 大臣、これはずっと日本の国ができないことなんですよ。さきに全国総合開発計画を立てたときには、過密、過疎の解消というのが始まった。それは絶対、今まで止められなかった。

 今、私、よく考えてみると、これはやはり東京を余りにも魅力的な都市にし過ぎちゃった。江戸時代からそうなんですけれどもね、実は。ですから、私の大変お世話になっている童門冬二先生という作家は、東京は江戸時代から人を食う町だと、こう言っている。北関東三県あたりから東京へ来て、結婚もできなくて亡くなっちゃう、働くだけで。だから、出生率がずっと東京都は一前後なんですよ。結婚もできないんだから、子供もなかなか生まれない、こういう話です。

 そんな中で私がずっと提案しているのは、フランスのパリを見習えと言っているんですよ、パリを。パリは、開発要求があってもそれ以上大きくさせないんです。周辺に新都市を五つつくったんです。その一つにユーロディズニーランドなんかが実は立地している、こういう話です。

 ですから、そのためには、東京二十三区のやはり建物等の建蔽率、容積率をちょっと、これをやはりこれ以上大きくさせない、こうやることが大事だと思うんです。これはもう、今、見てください、赤坂周辺。もう巨大なビルがばんばんばんばん建っている。しかも、そのほか、遊び場所まで巨大なビルディングにできている。これだけ魅力的では、どんどんどんどん東京に集まります。これは止めなかったら、巨大な人を集めるダムのようなものですから、東京は。ですから、二十三区は少なくともそういうことをやらなきゃ駄目。これだけやれる政権はないかもしれないけれども、残念ながら。それが一つ。

 それから二つ目は、まとめて伺いますが、東日本大震災あるいは原発事故を踏まえて、国家プロジェクトとして国家戦略特区の創設も含めた地域活性化施策、大胆な活性化政策をやらないと、なかなか地方に元気が出てこない、こう思っています。

 その一つが、リニアコライダー国際研究所の誘致であります。

 これは、十年前ぐらい、議員連盟もできて、自民党の河村先生が会長で頑張ってきた。私も入っておりましたけれども。リニアコライダー国際研究所、こういうものを、やはり宮城、岩手県が候補地だと言われているんですが、その辺、やはり造るということを考えたらいいと思っているんですよ。

 それは、実は大学ファンド、十兆円もつくっている、その一兆円取り崩せば一兆円の金ができちゃう。あと一兆円はほかの外国の国が出してくれますから、幾らでもこれはできちゃう。こういうものをやはりやる、これがそれこそ成長戦略になるんじゃないですか。地方が元気になるんじゃないですか。

 それから二つ目は、日光、尾瀬国立公園を周遊する登山電車の設置についてであります。

 これも、今円安でインバウンドが急増しておりますけれども、観光振興は政府の大方針です。これから本当に、そういった意味では、我が国の四季折々の自然とすばらしい文化を、そこにおいしい料理も提供して日本のよさを内外の人たちに知っていただく。そして、地域活性化につなげていく。それこそ選挙のたびに私も回りますけれども、田舎はどんどんどんどん今人口減少とともに疲弊していますよ。

 ですから、本当に、こういうリニアコライダーの国際研究所など、日光、尾瀬国立公園を周遊するような登山電車を造って、この場合は特に冬が問題なんです、冬が。地元の、実は三市町が、金精峠、日光の金精峠から群馬へ出るんですが、片品村と沼田と日光市なんですが、ここの三市町が、金精峠は冬、実は閉鎖されちゃうんですよ、ここを通年通行させてくれという期成同盟をつくってやっているものですから、この間、地元の総会に行って、こういうのをやって、もしラッセル車で雪かきをしながらぐっと回れれば、もしかすると可能性がありますよと。地元の人が、雪がどれくらい降るのか是非よく調査してみてください、そんな話をしてまいりましたが、こういうことでもやらないと、地方はどんどんどんどん、働く場もないし、住む人もいなくなっちゃう。

 だから、国土を本当に守るというんだったら、北海道から沖縄まで人が住んでなくちゃ駄目です。人が住んでいなければ国土を守れませんからね。ですから、そういう観点から、こういうことも是非、地方創生担当大臣として考えてみてください。時間がありませんから返事は要りませんけれども、以上です。

 それでは、次に行きますね。

 次は、子供政策、少子化対策及び若者活躍についてであります。

 一つ目は、少子化対策、加速化プランの事業費三・五兆円規模の財源は確保できるのかという話であります。1と2、これもまとめて伺います。

 一つは、社会保障の歳出改革はどの費用をどのように削減するのかというのが一つ。それから、二つ目は、既定予算の活用、既定予算のどの予算をどの予算へ活用するとしているのか、この二つ、まとめて簡潔に教えてください。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 少子化対策の当面の集中的な取組、いわゆる加速化プランの財源確保に当たりましては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することとしており、こうして追加的な国民負担が生じないことを目指すこととしているところでございます。このほか、既定予算の最大限の活用などを行うこととしております。

 具体的な歳出改革の内容につきましては、サービス提供側の質の向上や効率化、例えば医療提供体制の効率化や介護分野におけるITの活用など幅広い取組を視野に入れつつ、年末までに策定する具体的な改革工程でお示しし、また、毎年実施しているように、二〇二八年度までの毎年度の予算編成過程を通じて実施してまいりたいと考えております。(福田(昭)委員「結構です」と呼ぶ)既定予算の方はよろしいですか。(福田(昭)委員「いいです」と呼ぶ)はい。

福田(昭)委員 それでは、次に第三点ですけれども、今お話のあった支援金制度ですけれども、これは各医療保険組合にどの程度支援してもらうのか、その使い道は何を充実させようとしているのか、大臣にお伺いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、支援金制度の具体的な設計につきましては、現在、関係団体や有識者などの御意見を伺いながら、こども家庭庁として検討を進めているところであり、具体的な方針を決定しているものではありません。

 その上で、支援金制度につきましては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築することとしておりますが、お尋ねの支援金の規模を含め、支援金制度の詳細につきましては、関係省庁と連携して、年末に向けて検討を進めてまいります。

福田(昭)委員 新聞報道にあるようなことは答えられないということですか。

 私は、医療保険から支援をしてもらう、拠出してもらうということは、多分、経団連も連合も反対しているところでありますが、これは非常に難しいと思いますよ。今、国保組合を始め、各医療保険組合は相当厳しい経営をしています。ですから、そこに上乗せをするなんというのは、とてもとても私は難しいことだと思っています。

 一番いいのは、法人税ですよ、法人税。経団連は全く自分らのことに口をつぐんでいますけれども、経団連に所属しているような企業はみんな、今、円安で、もう最高ですよ、利益を上げています。ですから、経団連にちゃんと要請をして、法人税でちゃんと負担してもらう。

 だって、せっかく国や地方自治体が、あるいはそれぞれ国民の皆さんが大切に育てた子供たち、その子供たちがいずれそれぞれの企業で一生懸命働くんじゃないですか。ですから、育てた成果の子供たちを、一番その恩恵にあずかるのは法人、企業じゃないですか。そしたら、法人税で賄うのが一番ぴったりするじゃないですか。

 だから、難しいところから、大変厳しい人たちから財源をつくるなんというんじゃなくて、法人税にちゃんと実は累進税率を入れると、税金はあっという間に増えます。隣の韓国も四段階入れています。アメリカも、トランプ大統領以前、四段階入れていました。ですから、アメリカを参考にしてつくると、きっと法人税は相当増えますから。

 ですから、この後の質問でも実は確認をさせていただきますが、子供の予算倍増は二〇三〇年代までに延期したと思ったらば、そこまでにつくるんだという話をこの間、昨日ですかね、伺いましたけれども、今、昨年の出生数は八十万人を切って、合計特殊出生率も一・二六と最低なんじゃないですか。これからますます人口は減っていくんですよ。減っていくその人たちからお金を取るといったって、難しくなりますよ。ましてや、赤ちゃんから寝たきりのお年寄りまで取るのが消費税ですからね。ですから、一人頭幾らよこせといったって、働くことのできない赤ちゃんや寝たきり老人からも取るのが消費税ですから。

 ですから、そんなことを考えたら、やはりそんな残酷な税金はやめて、しっかりと、ちゃんと元気でいっぱい収益を上げている法人から負担をしていただく。そして、法人が負担をすれば、その恩恵は法人が受けるんですから。働く人がいなくちゃ企業も成り立たないんですから。企業だって何と言っているかというと、経営陣は何と言っているか。組織は人なりと言っているじゃないですか。まさに、いい人材を雇うために給料も上げるんじゃないですか。

 ですから、そういう意味で法人税がぴったりだと思っておりますが、三〇年代に延期したのは、延期したというか、それまでに出すというのはどういう意味なんですか。

加藤国務大臣 子供予算倍増について、二〇三〇年代まで延期したのかという御質問としてお答えを申し上げます。

 本年六月のこども未来戦略方針におきましては、加速化プランとして、全体として三兆円半ばの充実を図ることとしております。これによりまして、我が国の子供、子育て関係予算は、子供一人当たり、家族関係支出で見て、OECDトップ水準のスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進するとともに、こども家庭庁予算は、二〇二二年度の四・七兆円から約五割増加すると見込まれます。まずは、この加速化プランの実現に全力で取り組んでまいります。

 その上で、同戦略方針におきましては、「こども・子育て予算倍増に向けては、「加速化プラン」の効果の検証を行いながら、政策の内容・予算をさらに検討し、こども家庭庁予算で見て、二〇三〇年代初頭までに、国の予算又はこども一人当たりで見た国の予算の倍増を目指す。」としており、こうした方針に沿って着実に取組を進めてまいります。

福田(昭)委員 総理も、最後のチャンスだと言っていたじゃないですか。それは、だから、三年間で答えを出さなかったら、最後のチャンス、二〇三〇年はもっとひどくなりますよ。もっとひどくなりますよ。

 私が総理の頭の中を想像してみると、何で二〇三〇年代だろうか。それは、経団連が消費税を上げろと言っているんですよ。消費税で充てろと言っているんですよ。そうすると、安倍元総理が一〇%にしたときに、十年間はこれで大丈夫です、上げません、こう言っちゃった。そうすると、岸田総理は、安倍総理の話を踏襲しているから、十年間は消費税を上げられないと思っている。でも、財務省は早く上げたくてしようがない。

 だから、二〇三〇年代になると十年たつんですよ、実は。二〇一九年ですからね、一〇%に上げたのは。

 総理の頭を想像してみると、総理はそういう考えなのかなと私は想像しておりますが、当たらなければいいんですけれども、当たってしまうような気がしております。

 次に行きたいと思います。

 次、デジタル行財政改革についてであります。

 一つ目は、個人情報保護委員会はデジタル庁に対してどういう指導をしたのかであります。

 マイナンバー制度における個人情報の管理は、共通データベースによる一元化管理ではなく、情報提供ネットワークシステムを使う分散管理だ、こういうふうにしてあったわけでありますけれども、今回、集中管理のような形の方に向かっているようでありますが、今回、デジタル庁に対してどのような指導をしたのか、ちょっと教えてください。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの個人情報保護委員会によるデジタル庁に対する指導につきましては、本年九月二十日、公金受取口座の誤登録事案に関し、番号法及び個人情報保護法に基づいて行っております。

 その内容は大きく分けて三点ありまして、一つ目は、本人確認の措置に関して、公金受取口座登録手続全体を通じた実効的な本人確認の手法について検討することが望ましいこと、二つ目は、安全管理措置等に関して、保有個人情報の漏えい等発生時における報告体制や特定個人情報等の取扱手順の見直し等について適切な措置を講ずる必要があること、三つ目は、特定個人情報保護評価に関して、評価書に記載したリスク対策につき不断の見直し、検討を行うとともに、今後、リスクを変動させ得る事実関係の変更が生じ、当該変更に応じたリスク対策を講ずる際などには、必要な評価を適時適切に実施する体制を有効に機能させることが求められることとして、これらにつきまして指導を行ったところでございます。

福田(昭)委員 それでは、マイナンバー保険証との一体化については何も指導していないんですか。簡潔でいいですよ、指摘していないかだけ。

大槻政府参考人 はい。現在のところ、政府の総点検本部において点検が実施されていると承知しておりますので、これらの状況を見ながら、必要な対応を今後検討したいと思ってございます。

福田(昭)委員 それじゃ、総点検が終わっちゃうじゃないですか。終わる前に問題点を指摘しなきゃ直らないじゃないですか。駄目ですよ、そんな仕事の仕方じゃ。ちゃんとやってください。

 二つ目ですけれども、マイナンバー情報総点検は、原則としてとありますけれども、本当に十一月末までに点検が完了するのか、大臣に伺います。

河野国務大臣 ひもづけ機関には、原則として十一月末までに点検をしてくださいとお願いをしておりますが、期限ありきではなくて、これは、ひもづけ機関で丁寧にやっていただくことが大事だと思っております。

福田(昭)委員 何か大々的に総点検するんだと言うけれども、原則としてとあるので怪しいなと思っていたんですよ。だから、とてもこれは十一月末は無理だな、こういうふうに思っております。

 三つ目ですけれども、政府が八月に公表したマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終取りまとめには、マイナ保険証を保有していない者には資格確認書を一律に発行すると修正をしておりますけれども、現在のマイナ保険証の低い利用率、五%以下のようでありますが、利用率を考えれば、一体化は中止すべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 全く考えておりません。

福田(昭)委員 いつものとおり、全く考えていないということでありますけれども、しかし、来年の秋になって、これが全く利用率が上がらなかったらどうするのかと心配をしておりますし、そのときは大臣もやめるようでしょうけれどもね。まあ、そんなことだと思います。

 それで、四つ目は、デジタル行財政改革で予算、決算の見える化はどう進めるのかということであります。これは、行政改革担当大臣として、大臣の御所見をお願いします。

河野国務大臣 当委員会は、行革担当大臣は所管外でございます。

福田(昭)委員 所管外って、所信でしゃべっているじゃないの。大臣所信でしゃべっているんだよ、あなたが。おかしいじゃない。

 委員長、どうですか。だって、この大臣所信でしゃべっているんだよ。

河野国務大臣 当委員会は、デジタル大臣の所管でございます。

福田(昭)委員 じゃ、何でしゃべるの。ちょっと協議して。速記止めて。だって、これは何でしゃべっているの、じゃ。整理した方がいいよ。

谷委員長 整理は一応理事会で終わっておりますので、また疑問があれば、後日、理事会で協議させていただきます。

福田(昭)委員 デジタル大臣、デジタル行政改革担当大臣、デジタル田園都市国家構想大臣として一言御挨拶申し上げますと。大臣として一言申しておられる。(発言する者あり)

 とにかく、そういうでたらめをやっちゃ駄目だよ、基本的に。本当に。(発言する者あり)そんな、だって、しゃべっているんだもの。(発言する者あり)だから、デジタル行政改革で予算の見える化をやると言っているんだよ。(発言する者あり)だから、そう言っているんだよ、私は。デジタルでって。デジタルで……

谷委員長 福田昭夫君、質問を続けてください。

福田(昭)委員 はい。

 ちょっと速記止めて。整理して。ちゃんとここに書いてあるじゃないですか。(発言する者あり)

 とにかく自民党の皆さんも駄目だよ、そんなことじゃ。(発言する者あり)デジタル行革だよ。(発言する者あり)だから、そう言っているんだ。だから、そんなの質問取りでそう言っているの。誰だよ、この質問取りに来たの。

 だから、委員長、ちゃんと質問取りで、デジタル行財政改革で予算、決算の見える化はどう進めるのかと聞いているんですよ、私は。間違っていないですよ。

谷委員長 もう一度、質問を行ってください。

福田(昭)委員 はい。

 デジタル行財政改革で予算、決算の見える化はどう進めるか、そういう質問を質問取りでちゃんと聞いているんですよ。そうしたら、担当者は何と言ったと思いますか。担当者がかわいそうだから言いたくないけれども、まだ文言だけで何も決まっていませんと言っている。

渡辺政府参考人 デジタル行財政改革でどういうような今状況になっているかというファクトについて、政府参考人の立場でお答えを申し上げます。(福田(昭)委員「だから、予算の見える化はどう進めるのか」と呼ぶ)はい。

 先月、御指摘のとおり、政策効果を高めるために、あらかじめ成果目標を適切に設定して、その成果を把握して、不断の見直しを行う、これは非常に重要なことだと思っております。

 先月開催されました第一回デジタル行財政改革会議において、総理から、行政事業レビューを活用した予算の更なる見える化を進めるように指示をいただいているという事実がございます。その場で、その会議で、大臣の方から、行政事業レビューシートにIDを付して、データベース化、ダッシュボード化を進めることなどを検討する旨申し上げておるというところ、事実として申し上げました。

福田(昭)委員 だから、予算の見える化をやると言っているからね。予算と決算は一体なんだから、予算中心主義でやっているからおかしな財政になっちゃうんだからね。だから、予算の見える化だけ答えればいいのに、駄目だよ、あなた、答えないと。予算の見える化はどうやったらいいか分からないと質問取りで言っていたよ、担当者が。だから、私が今指摘したのに。まあ、しようがないね。

 それでは、次に行きます。

 時間もなくなってきましたからね。これは、委員長、何分までですか。

谷委員長 四十八分までとなっております。

福田(昭)委員 四十八分。じゃ、さっき止めてくれなかったんだ、速記は。

谷委員長 止めておりません。

福田(昭)委員 はい。それじゃ、それなりに、委員長の指摘じゃしようがないからやりますけれども。

 五つ目ですけれども、しようがないから、指摘をして、あと、最後の方を質問して、終わりにしたいと思っていますが、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化が、二〇二五年、令和七年度までに間に合わないので、基本方針を一部変更したということですが、これは本当に千七百四十一の市区町村で、多分、デジタル庁からもらった資料によれば、五割、約五割が最終年度に、この辺までに進めると報告しているんですよね。実際聞いてみると、それこそ、先導して始まったところさえなかなか難しいというような話があります。ですから、本当にこれはもうできるのかという疑問があります。答えは要りません。

 六つ目ですけれども、デジタル庁には、デジタル化を進めるための基本的な考え方、哲学があるのかでありますが、これも、この間聞いたらば、なるほど、それなりのちゃんと考え方があるようでありますが、しかし、一番駄目なのは、やはりデジタル技術は元々アメリカが軍事開発したものだと。したがって、敵の情報をいかに取得するか、そういうために開発したものでありますから、今は、日本は、残念ながら、クラウド、情報の集積場所については、国内のメーカーに頼むことができずに、アメリカのメーカーに、四社にみんな頼んじゃっているわけですよ。これはもう完全に日本の一億二千五百万人強の国民の情報が全部アメリカに行ってしまうという話であります。

 七つ目は、日米デジタル貿易協定におけるデータローカリゼーション、公共政策の正当な目的を達成するため必要な措置は除く、は守られているのかどうか、外務省に簡潔にお伺いします。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 日米デジタル貿易協定は、第十一条におきまして、データの越境移転の自由化について規定をしておりますけれども、同条の2におきまして、一定の条件の下、「締約国が公共政策の正当な目的を達成するために必要なものを採用し、又は維持することを妨げるものではない。」ということを定めております。

 それ以外にも、第三条におきまして一般的な例外について、第四条において安全保障のための例外についても規定をしておりますし、加えまして、第二条の2におきまして、政府調達、政府の権限の行使として提供されるサービス等について、この協定を適用しない旨を定めております。

福田(昭)委員 一応、ルール上は、このデータローカリゼーションを協定上は守るように書いてあるそうであります。しかしながら、問題なのは、スノーデンのやはり警告ですよね。このスノーデンの警告で、アメリカは三つのプロジェクトで世界中の全ての情報を集めているという告発ですね。これはどうやら本当みたいなんですね。

 私は、昨年の十二月にアメリカの情報局、CIAの上席研究員として勤めておりましたマーシャルという博士の話を聞きました。マーシャル博士に確認をいたしました。スノーデンの告発は本当なのかうそなのか。マーシャル博士は全く否定しませんでした。ただ、彼が言ったのは、私たちの仕事がやりにくくなりました、そう言いました。そのため、アメリカでも個人情報を守るための法律ができたり、ヨーロッパでも守るための規則ができてきた。

 さらに、ここでやはりAIがどんどんどんどん普及してきて、世界中で今、AIについても、それぞれの世界の国が共通して管理しなきゃ駄目なんじゃないか、そんな話まで今できているわけであります。したがって、スノーデンは日本人のために警告書を書いたんですからね。ですから、そこをやはりちゃんとしないといけないと思っております。

 それで、最後に河野大臣にお伺いしますが、スノーデンの警告は、前回、陰謀論と言っておりましたが、いまだに陰謀論と思っているのかどうか、お伺いをいたします。

河野国務大臣 真偽不明の情報に基づいた御質問にはお答えいたしかねます。

福田(昭)委員 それは、真偽不明のことだと言うけれども、全くその警告を読みもしないでそんなことを言っちゃ駄目で、しかも、多くのデジタルの専門の方々は、これをみんな知っていますからね。ですから、知らないのは河野大臣だけ。ですから、みんなに聞いてみると、そうだそうだ、もう日本のデジタル化は間違っている、こういうことをみんな言っております。

 ですから、そういうことからいうと、河野大臣は、先ほどデジタル敗戦国の話がありましたけれども、デジタル敗戦は、コロナに関わった特別給付金を支給できなかったというのがデジタル敗戦じゃないですから、デジタル技術をアメリカに任せちゃったというのがデジタル敗戦ですからね。ですから、これはこのまま行ったら、残念ながら日本の国の国富もやはりほかの国に行っちゃうんですよ。ですから、そんなことになれば、それこそ、やがて河野大臣も、やはり、もしかすると、あれですよ、売国奴なんて言われてしまうかもしれないので、そうならないように、是非ともこれは考え直すことをお勧めしたいと思っております。(発言する者あり)それは、歴史が決めることだから分からないですよ。ですから、そうならないように、変わることをお勧めをして、私の質問を終わります。

 以上です。

谷委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 当委員会で十一月二日、自見地方創生大臣、日本経済を再生するためには、地方創生を進め、地方が元気になることが重要ですと述べられました。本当に、まさに思いは我々と一緒ではないかなというところで、今日の質疑の最後のところでまた御所見を伺いたいと思うんです。

 まず、本当に、地方が創意工夫をして活力ある地域をつくる方法として、ふるさと納税制度がつくられました。資料一にありますように、このふるさと納税制度には三つの大きな意義がありまして、納税サイトにもうたわれているんですけれども、運用は、二〇一九年、返礼品の規制強化がされて、本年十月、募集適正基準、地場産品基準が改正されて、やはり、残念ながら、ちょっと、自治体、利用者に混乱が生じているのも事実なんですけれども、以下、ちょっと御質問させていただきたいんです。

 さきの予算委員会におきまして、我が党の漆間譲司議員が、大阪府では、ふるさと納税制度を活用した母校応援プランというのを計画しています。これは資料二にあるんですけれども、ふるさと納税制度の税額控除を利用して、学校側がお金を集めやすい仕組みになっております。

 予算委員会のときの議事録もありますし、その予算委員会を私も拝聴していたんですけれども、この仕組みをつくったとしても、制度自体が変更となれば計画自体に影響が生じるということを指摘したんですけれども、ルール変更の可能性について漆間議員が御質問したんですけれども、ここの部分に関して明確な回答はなかったので、ちょっと改めてお答えいただければと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税に受け入れた寄附金の使途についてのお尋ねだと存じます。

 ふるさと納税の寄附金より受け入れた寄附金の使途については、各地方団体が適切に御判断いただくものと考えております。

伊東(信)委員 ちょっと質問の仕方が不明瞭やったのかなと私自身も反省しているんですけれども、要は、制度変更が度々行われると、こういった、地方をしっかりと支えていきたい、かつ、子供のためにこのふるさと納税制度を使っていきたいけれども、度々の変更がないですよねというところの確認をしたんですけれども、ちょっと質問を続けていきますね。

 十月からのルール変更に関して、まずは経費の寄附額五割以下基準に関してなんですけれども、送料とかの負担が重い地方の自治体では結構五割以下基準について厳しいところもありまして、返礼品の量を減らすか、寄附額の設定を引き上げるしかない。これまで努力してきた自治体にとっては大きな変更となるんですけれども、送料などが変動する中で、全国一律で五割の基準を守らなければいけない妥当性について、総務省の二役の方にお聞きします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税の指定制度の下では、寄附金の募集に係るルールとして、返礼品の調達費や送料を含む募集費用の総額を一年間に受領する寄附金額の五割以下とすることが定められております。

 これは、地域を応援したいという納税者の思いに応えるためには、寄附金のうち少なくとも半分以上が寄附先の地域のために活用されるべきという考え方に基づくものでございまして、この考え方は全ての地方団体について当てはまると考えております。

伊東(信)委員 私は大阪府十九区選出の議員なんですけれども、大阪ではなく、地方の自治体の中でも影響が大きいという声を聞いたので、そのことに関しては、今後幅広く聞いていただければなと思うんですけれども。

 それ以上に、では大阪の話をさせていただくんですけれども、泉佐野市が、ふるさと納税制度に関して、各自治体というのは、事業者との共創の取組によって、新たに地域資源の発掘や地域における雇用の創出を図って、地域経済の活性化に取り組んだわけです。

 泉佐野市は、本年七月三日、ふるさと納税指定制度に関する質問書を提出しました。これが資料の三に当たるわけなんですけれども。七月十四日に回答がなされているんですけれども、大まかなことを言うと、泉佐野市の意図を外した回答ではないかと受け止めているんですけれども、この質問書に対して、副大臣若しくは政務官の皆さんは把握はされていますでしょうか、まず。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 令和五年三月三日付で泉佐野市から総務省宛てに、熟成肉や精米に限って地場産品基準を改正した趣旨等について質問書が提出されました。

 これに対して総務省からは、七月十四日付で、熟成肉や精米については、地場産品基準のうち、製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているものという基準への該当性の判断が困難であったことから、地方税法の規定を踏まえ、告示等の改正を行ったものである旨など回答をさせていただいております。

伊東(信)委員 その該当性が困難ということについてお聞きしたいんですけれども、この資料三にありますように、告示第五条第三号における熟成肉の熟成の定義について、具体的に、総務省若しくは農水省の方にお聞きしたいと思います。

関村政府参考人 お答えさせていただきます。

 熟成肉について、農林水産省として、公的な基準や確立した明確な定義はないと理解しております。

伊東(信)委員 農水省さんのお答えによると、明確な定義がないということですよね。

 じゃ、ちょっと事実関係の確認なんですけれども、資料四、これは読売新聞なんですけれども。九月二十三日付です。総務省によると、冷蔵しただけの肉と熟成肉を判別する基準を農水省と検討したが、策定に至らなかったと。一律の規定に至ったと報じられていますけれども、このことは、総務省さん若しくは総務二役の方、事実でしょうか。

池田政府参考人 事実でございまして、熟成肉につきまして、改正前の告示第五条第三号におきまして、製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことで相応の付加価値が生じているもの、これを地場産品としているわけでございますけれども、我々、できれば、もし農水省さんなりで熟成肉の定義がちゃんとあってとか、若しくはJASによるような規格化が進んでいるのであれば、そういったものを熟成肉として返礼品と認めるということも考えたわけでございますけれども、それはなかなか難しいということでございましたので、熟成肉にもドライエイジングだとか冷温熟成だとかいろいろございますので、それについて何かそこで線引きをするのは難しいという結論に至ったところでございます。

船橋大臣政務官 恐れ入ります。先ほど私、泉佐野市からの質問書の関係で御答弁をさせていただきましたときに、七月三日と答えるべきところを三月三日というふうにお答えしておりますので、訂正をさせていただきたいと思います。

伊東(信)委員 回答書の中に、熟成についての一般的にという定義を述べられた後、これに照らして該当するものを広く含むものと解釈しているとなっているんです。だから、ちょっと今の御答弁と若干、私自身は矛盾も感じているんですけれども、ちょっとこれでは運用する側としては混乱が生じ、その判断がつかない場合が出るのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省とも、お話を聞きまして、熟成肉の定義がない中で私どもが独自に熟成肉の定義を作ったりいたしますと、また、じゃ、それじゃないような、似たようなものが出てくるという抜け道ができまして、やはりイタチごっこになってしまう、そういう懸念もございましたので、熟成肉と言われるもの広く一般を対象とした告示改正を行ったところでございます。

伊東(信)委員 今回のふるさと納税の指定基準について、各自治体ごとの状況や取組方法など様々でございます。先ほど総務省さんからお答えいただいたんですけれども、じゃ、本指定基準の見直しに当たって、各自治体に対してどのような調査を行ったかを教えてください。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 地場産品基準の見直しの検討に当たりましては、各地方団体の熟成肉や精米の返礼品の提供実態や、各地方団体がこれらを地場産品としている理由の確認、肉や米の生産地である地方団体と意見交換を行うことなどを通じて、地方団体の実情の把握を行っております。

伊東(信)委員 船橋政務官、ありがとうございます。

 であれば、泉佐野市から、また資料一に戻っちゃうんですけれども、この質問趣旨の中で、食肉の熟成又は玄米の精白について、基準を厳格化し、当該地方団体が属する都道府県の区域内において生産されたものを原材料とするということで影響がある地方団体は本当にごく一部、制度全体に与える影響は限定的になるものと思われるとの問いがあるんですけれども、この主張に対する言及はなされていないんですけれども、果たして影響は限定的なのでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 熟成肉と精米に関する告示等の改正は、昨今、区域外産の肉を区域内で保存等した熟成肉や、区域外産の米を区域内で精米したものなど、地場産品基準への適合性に疑義が生じている事例が多く見られたことから、告示及びQアンドAの改正を行ったものであります。

 令和四年度段階で、返礼品の申出団体数で見ると、熟成肉については百五十八団体、精米については九十九団体ございまして、特定の団体を狙い撃ちにした改正との御指摘は当たらないものと考えてございます。

伊東(信)委員 今の御答弁では、限定的ではないと。ということは、この制度変更自体の問題があると考えるんですけれども、では、影響がどの程度あると予想したか、又は、その分析方法はどのようにされたか教えてください。

池田政府参考人 告示改正の段階で影響がどの程度及ぶかというのはなかなか測り難いわけですけれども、百五十八団体、例えば熟成肉であれば返礼品の申出団体があったわけですけれども、相当数これが縮小することが予想されたわけでございます。

 実際、令和五年度のこの熟成肉で見ますと、令和四年度、先ほど船橋政務官が御答弁申し上げましたとおり、百五十八団体、返礼品として提供を申し出ていた団体数が、令和五年度には二十九団体、このようになってございます。

伊東(信)委員 結局、これまでの御答弁をお聞きすると、やはり限定的だと予測したと感じてしまうんですけれども、その場合、一部の自治体のみに不利な状態が生まれることになるんですけれども、その状態をつくってしまうことを容認するものであったと解釈してよろしいんでしょうか。

池田政府参考人 これにつきましては、ふるさと納税の趣旨、それから地方税法の規定に基づきまして、返礼品の募集基準を我々としては適正に見直したものだというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 それでは、質問の仕方を変えまして、この新ルールについて総務省が六月に通知して、十月から適用となったんですけれども、対応期間、本当に僅か三か月。実際は、本当に、八月にいきなり聞いて十月までと、二か月しかない面もあるんですけれども、制度移行の期間として少なくとも半年、期間は必要ではなかったか。農林水産省の方としっかりと協議して、まずは熟成肉の定義についてしっかりと明確に国民の皆さんが、そして地元の皆さんが、各地方が分かるようにしてからでも遅くはなかったのではないかと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 先ほども申し上げたとおり、熟成肉等については、まず、令和四年九月二十二日の通知において、今後告示やQアンドAの改正を行うことを検討することとしており、これらを返礼品として用いることを見合わせることも含め、適切な対応を取っていただきたい旨をお示しをし、一年前の早い段階から注意喚起を行っております。

 その後、令和五年春季には、全国市長会の各ブロック会議においても繰り返し同様のお話をお伝えをさせていただいております。

 その上で、告示及びQアンドAを令和五年六月に改正し、十月から適用しているところでございます。

伊東(信)委員 残念ながら、我々の地元ではそのように解釈はしていないんですね。変更が、十月一日からルールが厳格化された、そういったところなんですよね。

 加えて、駆け込み需要もあったと思うんですけれども、逆に、突然の注文増加に追われる業者があり、もっと早くルール変更を教えてもらいたかったとの声も実際あるんですね。逆張りという、ちょっと今はやりの言葉なんですけれども、逆の話にしていまして、年末需要を先食いしている可能性もあり、事業者から予想外の在庫を抱える懸念も言われているんですけれども、では、駆け込み需要問題について、政府としてどのような対策を講じていましたでしょうか。

船橋大臣政務官 九月に多くの寄附がなされたことは承知をいたしております。その要因については、制度見直しの影響もあると思いますが、そのほかにも、昨今の物価高に伴う返礼品の内容見直しなど様々な要因があるものと考えております。

 また、ふるさと納税は個人の意思に基づく寄附でございますので、団体ごと、年度ごとに受入額の変動等があるものと考えております。

 一方、必要に応じて地場産品基準など指定制度における基準の見直し、明確化等を行うことは、ふるさと納税の制度趣旨を踏まえた適正な運用を確保する上で必要なことと認識しております。

伊東(信)委員 いずれにしても、地方の自治体の事務方にやはり負担が生じているのも事実でして、事業者がルールを、もちろん、ルールに基づいてやっているので、ルールを破ってはいけない、この認識は一緒なんです。ただ、泉佐野市はルールに従ったのでという主張もあることをお考えいただいた上で、一般的に、事業者がルールを破って制度から除外されないように、改めて産地や製造工程を報告するように通知して、担当職員が一つずつチェックする作業に多くの時間を費やしているんですけれども、地方を応援する、自治体を応援するという立場であれば、各自治体の負担軽減に関する対策を講じておられるのでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 制度の変更に当たりましては、先ほども申し上げてございますけれども、令和四年九月二十二日の通知において、告示やQアンドAの改正を行うことを検討することとしており、適切な対応を取っていただきたい旨、お示しをし、その後も、各地のブロック会議等の場において説明するなど、前もって地方団体に対して周知をさせていただいております。

 ふるさと納税制度は、各地方団体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、制度本来の趣旨に沿って適正に運用されることが重要でございまして、各地方団体におかれましても、ふるさと納税を健全に維持発展させていくためにも、制度改正の必要性等について御理解いただきたいと考えております。

伊東(信)委員 では、方法論についてお聞きしたいんですけれども、やはり特定の自治体に大きく影響が生じると考えられるものを、今回は告示で決められたんですけれども、告示で決めたことに関しての御見解をお願いいたします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税に係る寄附金の募集の態様や提供される返礼品等の内容に関する具体的な基準の策定につきましては、総務大臣の専門技術的な裁量に委ねるのが適当であることから、地方税法の規定により、基準の詳細については総務大臣告示に委ねられているものでございます。

 繰り返しになりますが、六月の告示等の改正に当たりましては、前年度から通知やブロック会議等において地方団体に対し周知をさせていただいておりました。また、六月の改正は、特定の自治体に対して行ったものではなく、ふるさと納税の指定制度に係る全ての地方団体に適用されるものでございまして、地方税法の規定やふるさと納税の趣旨を踏まえて行ったものであると認識をしております。

伊東(信)委員 我々というか、地方におきましては、やはりちょっとふるさと納税の根幹を揺るがすような話ではないかなと懸念はしているんですけれども。

 そんな中で、財務省が十月四日に、ふるさと納税に基づく自治体への寄附金に関して、地方財政上の扱いを現在の寄附金収入から自治体が自由に使える一般財源に変更することを提案した。資料五に書いてありますけれども、このことをふるさと納税を扱う総務省としてはどう捉えているかということを、御見解を教えてください。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税による寄附については、地方財政計画において、寄附金収入の一定額を歳入として計上しております。その際、ふるさと納税は、地方税と異なり、個人の意思に基づく寄附であること、その受入額は団体ごと、年度ごとに大きなばらつきや変動があることから、社会保障や教育に充てるために、標準的な歳入として地方税収等と同様に扱い、一般財源として計上することは、その性質上なじまないと考えております。

 いずれにしても、今後とも、各地方団体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用されるよう取り組む必要があると考えております。

伊東(信)委員 ふるさと納税に関して、地域の立場に立ちまして御批判させていただきましたけれども、逆にここは、ちょっと総務省さん、財務省さん相手にちょっと頑張っていただければと思います。

 ちょっと話題を変えます。

 十一月二日で、河野大臣が自治体のDXに関して言及されまして、地方公共団体情報システムの標準化基本方針が本年、閣議決定いたしまして、これは資料六にそろえているんですけれども、地方公共団体のこのシステム移行に関して、なかなかちょっと、不安の声も聞いているわけなんですね。二〇二六年度以降に移行完了時期を変更を可能とする条件は限定的で、柔軟に対応していただくことを改めて要望したいと思いますし、この対応に関して、担当大臣である河野大臣に御意見をお聞きしたいと思います。

河野国務大臣 自治体のシステムの標準化につきましては、二五年度末という原則は維持したまま、難易度の高いところにつきましては、デジタル庁で今、いろいろと御相談に応じているところでございます。

 ベンダーの物理的な人数というのもございますので、二五年度末までに移行するのが困難というところは少し後ろへ下げていただいて、前倒しが可能なところは前倒しをしていただいて、全体的に少しでもばらけるようにしていきたいというふうに思っております。

伊東(信)委員 河野大臣より、検討しているということで、具体的に、前倒しであったり、後ろに持っていくことを御答弁いただいたと思います。

 加えて、ベンダーのお話をされたので、ベンダー対応、つまりシステムを供給できるところのベンダー対応もちょっと問題になっておりまして、やはり価格交渉が、その場合に期限が迫られているところもあるわけなので、今、後ろ倒しに当たらないところとかだったら、実際に、ちょっと難しいよということで、ベンダーのおっしゃる価格どおりと。ただ、やはり供給数がそもそも少ないことによるベンダー優位性の問題というのはあるので、依頼する側の自治体で解消できない問題だと考えているんですけれども、今言った時期的なものをずらす以外に何か対応策はございますでしょうか。

河野国務大臣 自治体の方からベンダーからの見積りをデジタル庁の方へお寄せいただければ、デジタル庁のところでそれを精査していろいろなアドバイスをするということもやっておりますし、デジタル庁の方でベンダーの方と話すということも必要に応じてやっていきます。

伊東(信)委員 河野大臣のSNSとかも読まさせていただいて、DXのところに対してしっかりとやっていかれるという御覚悟は私も存じ上げているとは思うんですけれども、その際になんですけれども、やはりDXの前のデジタライゼーション、デジタル化でもかなり地域においては止まっているように感じるんですけれども、これは総務省からのお答えになるんですけれども、地方におけるデジタライゼーション若しくはDXの人材確保というのは難しいんですけれども、政府の人材確保に関して何か取組というのはされていますでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 標準化への対応を始め、地方自治体におけるDXを着実に推進するためには、デジタル人材の確保、育成が喫緊の課題であるというふうに認識をしております。このため、今年度、デジタル人材の確保、育成を推進する取組を大幅に強化をいたしております。

 具体的には、都道府県等による広域的な人材確保や地方自治体におけるDX推進リーダー育成に対する地方財政措置、標準化の取組が遅れている団体等への専門アドバイザーの派遣制度を創設をいたしております。

 引き続き、デジタル人材の確保、育成が着実に進んでまいりますよう、地方自治体を支援をしてまいります。

伊東(信)委員 船橋政務官からは、具体的に職員全体のDXの育成や、全体のということでシェアリングの話をされたと思うので、この質問をこの後しようかと思ったんですけれども、お答えいただいたということで。

 では、先ほど泉佐野市の話をしましたけれども、泉南市の山本優真市長とも話したんですけれども、いわゆる人材に関して、短期的なリカレント教育を地域でやって、同時並行に職員の人もその人たちから技術を教えてもろたりとかという、このリカレント教育に関しては何か体制を構築するような議論とかというのはあるのでしょうか。なければなかったでいいです。

山越政府参考人 お答えいたします。

 リカレント教育によります人材の確保、これもデジタル田園都市国家構想総合戦略の下、政府として取り組んでいるところでございますが、総務省としては、女性向けにデジタルスキル講座等に取り組む自治体もあると承知をしていて、そのような取組が有効であるという観点から、事例集の中でそのような取組を周知をし、横展開にも取り組んでいるところでございます。

伊東(信)委員 本当に、今ある方々を教育したり、職員を教育したりシェアしたりとか、今いろいろな方策があるので、地域はやはりDXについて困っているので、その辺りは本当に政府としてお支えいただければと思うのと、加えて、文科省さんにGIGAスクールについてちょっとお伺いしたいんですけれども、結局、タブレットを使ったりとかスマホを使ったりは若い子はたけているんですけれども、じゃ、現在、エクセルとかワードとか、そういったところのデジタライゼーションの部分にはちょっと不得手な子もおると聞いているんですけれども、このGIGAスクール構想が目指すものに関して、ちょっと時間がないのでまとめて質問しますけれども、目指すものについて、また、これまでの効果についてお答えいただければと思います。

安江大臣政務官 お答え申し上げます。

 GIGAスクール構想の効果と、また、今後目指すべき方向性について御質問いただきました。

 まず、効果の点でございますけれども、GIGAスクール構想も三年目の半ばを迎えておりまして、整備された一人一台端末の活用が本格化しつつございます。それによりまして、教師が一人一人の反応や考えを即時に把握し、きめ細やかな指導を行ったり、クラウド環境やデジタル教材を活用して一人一人に応じた課題を提供したり、児童生徒が相互の意見を参照しながら協働して学習に取り組んだりすることが格段に容易になっております。

 また、不登校や病気療養中の児童生徒への授業を可能としたり、特別支援の児童生徒の学びの保障に大きく寄与しているほか、クラウドツールを活用してテスト、アンケートを効率的に実施できて、働き方改革にも大きな役割を果たしているところでございます。

 また、今後目指すべき方向性についても御指摘いただきましたけれども、社会の情報化、デジタルトランスフォーメーションが加速度的に進む中、我が国の学校教育においてデジタル人材の育成を重視していく必要性がございまして、このため、令和二年度から四年度にかけて順次実施されております新しい学習指導要領では、小学校でのプログラミングを新たに導入をする、中学校で技術分野においてプログラミングに関する内容を充実させる、また、高等学校の必履修科目として情報1を新設して、全ての生徒がプログラミング等について学習するなどの改善を行わせていただいております。

 GIGAスクール構想、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実という、より大きな目的の下に推進をしているものでございますけれども、一人一台端末が整備されることによりまして、プログラミング教育の更なる充実やデジタル人材の育成にも大きな効果を発揮していくものと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 デジタル化、DXに関しては、河野大臣を中心に、総務省、文科省、本当にそれぞれ横串にやっていただいているものと理解します。

 一方で、前段のふるさと納税に関して、やはりちょっと地方で不満なところもあります。

 そのような中で、所信表明で岸田総理は、地方こそ日本の宝、そして底力です、皆さん、今こそ、共に地方創生に力強く取り組もうではありませんかというところに、やはりちょっと、非常に違和感を感じます、今回のふるさと納税の形を見ますと。

 ところが、ここでやはり自見大臣、地方の思いを大切にし、地方創生に取り組む幅広い関係者の声に耳を傾け、地域の困り事を地方と一緒になって解決できるよう、時代の変化を捉えながら、活力ある地域社会の実現を図ってまいりますと、本当に力強いお言葉をいただいています。

 今回の、ちょっとふるさと納税のことに関して、地域が困っているということに関して、是非とも自見大臣にここはリーダーシップを図っていただきたいんですけれども、御所見をよろしくお願いいたします。

谷委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

自見国務大臣 ふるさと納税の制度につきましては、所管外でございますので、所管省庁等で本来の趣旨に沿った運用がなされるように取り組んでいくことが重要であると思いますが、地方創生担当大臣としては、四十七都道府県、また、千七百を超える基礎自治体の思い、悩み、そして、元気にしたいという自主的な取組にしっかりと寄り添って対応してまいりたいと思います。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 終わります。

谷委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということで、質問の機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、河野大臣にお伺いをさせていただきます。

 現在、マイナンバー情報総点検が、十一月末日までの点検満了に向けまして、取組が進められております。この点検を経まして、国民にマイナンバー制度に対する信頼を回復をしてもらうということが大変重要であります。そのためにも、この総点検の持つ意味は大変大きいというふうに思っております。

 現在の点検の進捗状況と点検結果につきましてはどのような形で国民に報告、説明をされることを想定されておられるのか、また、人為的なミスによるひもづけ等の誤りが発生しない再発防止策につきまして、併せて河野大臣にお伺いをいたします。

河野国務大臣 二十一の事務につきまして、それぞれのひもづけ機関でデータの点検を行っていただいております。原則として十一月末までに点検をやっていただく予定ではありますが、期日よりも丁寧にやっていただくことを優先をしたいというふうに思っております。

 現在のところ、点検作業は順調にいっておりまして、二十一のうち恐らく七つぐらいの事務については点検が終了しているということでございます。十一月末の結果を踏まえまして、十二月の上旬に総点検本部を開催をし、そのときに、二十一の事務について点検状況がどうであったのか、誤りがあったとすればそのときまでに修正をしていただいて、その状況をしっかりと御報告をさせていただきたいと思っております。

 これまでひもづけ誤りがありましたものは、いろいろな事務においてマイナンバーのひもづけをする際に、マイナンバーが提供されなかった、マイナンバーが提供されなかったので、マイナンバーを検索するときに、本来なら氏名、住所、生年月日、性別の四情報で当てるべきところを、氏名と生年月日のみで当ててしまって、ひもづけの誤りがあったということでございましたので、まずは、このマイナンバーのひもづけに当たって、マイナンバーを提供をしていただくことを原則とするように省令その他の改正を行っていただきました。

 また、万が一マイナンバーの提出がなかった場合につきましては、先ほど申し上げました四情報、あるいは氏名、生年月日、住所までをきっちりと当てていただいて、該当がない場合には本人に直接確認をしていただくという作業に変えたところでございます。

 また、それでも、マイナンバー十二桁を人間が入力をしておりますので、何万回、何十万回に一回かもしれませんが誤入力が起こる可能性というのはあるわけですので、最終的には、マイナンバーカードのチップからマイナンバーを読み込んで、それを人手を介さずに登録をする、そういう作業にシステムをいずれ変更していかなければならぬと思っておりまして、その準備作業をしているところでございます。

西岡委員 御説明をいただきました。

 二十一のうち七つの事務が終了をしているということでございますけれども、丁寧に進めていくということの中で、十一月末までに終了しない項目につきましては引き続き点検を続けていただくということになると思いますけれども、しっかりある程度の期限を切ってということは必要だというふうに思いますし、今回の点検が、先ほども申し上げましたけれども、大変重要な意味があるというふうに思っておりますので、引き続き、国民の皆さんにしっかり報告を含めて理解をしていただく、このことに是非、大臣、全力で取り組んでいただきたいということを御要望をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、こども未来戦略方針につきまして、加藤大臣に初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 政府は、経済成長と少子化対策を車の両輪として、若者、子育て世代の所得を増やすための取組を掲げておられます。実質賃金の低下と出生率の低下の相関係数は〇・九三でありまして、相関係数が一に近づくほど相関が強いというふうに言われておりまして、少子化対策としても持続的な賃上げの実現が大変重要でございます。特に、若者、子育て世代の給与水準の向上は喫緊の課題でございます。

 米国と比較した場合に、日本の五十代の給与水準は九二%、二十代は七二%、十代については五〇%という数字も出ておりまして、圧倒的に日本は米国の若者と比較しても若者の所得水準が低い状況がございますし、加えて、奨学金など、高等教育を受けている二人に一人が奨学金を利用しておりまして、学生にとっても貸与型奨学金の返済等が大変重い負担となって、そのために将来にわたった人生設計がなかなかできずに、結婚、出産をちゅうちょせざるを得ない今の現状がございます。

 加藤大臣として、この今の現状をどのように転換していかれる方針であるか、大臣としての決意も含めて御説明をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども未来戦略方針におきましては、特に重視していることとして、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできないということが明確に打ち出されてございます。そして、若者、子育て世代の所得向上に向け、賃上げに取り組むとともに、三位一体の労働市場改革を加速するほか、非正規雇用の方々の正規化を進めることとし、併せて、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や、共働き、共育ての推進などに取り組むこととしております。

 若い世代が希望どおり結婚をし、希望する誰もが子供を持ち、安心して子育てができる社会の実現に向け、若者、子育て世代の所得の向上と次元の異なる少子化対策を車の両輪として、政府を挙げて推進をしてまいります。

西岡委員 今、加藤大臣からもお話がありましたけれども、やはりこの若者、子育て世代の所得を増やすこと、これは大変重要な課題であるというふうに思いますし、特に子育て世代につきましては、やはり子供をもう一人持ちたいと思ってもなかなかちゅうちょされている方も多いというふうに聞きますし、私も若い方から、やはり今の状況では結婚できるような経済状況じゃないというお声も、大臣もお聞きになっているというふうに思いますけれども、本当にお聞きをいたしておりますので、このことは本当に一丁目一番地で、是非大臣、強力に取り組んでいただくことをお願い申し上げたいと思います。

 続いての質問でございますけれども、今年の春闘では全産業平均で三十年ぶりに三・五八%の高水準の賃上げとなりましたが、持続的な賃上げを推進するためには、公定価格であります介護、看護、福祉従事者の賃上げを実現をして、待遇改善を図ることが大変重要だと考えます。処遇改善施策を講じなければ、賃金格差が一層拡大するばかりの今の状況でございます。

 しかし、例えば、経済対策に盛り込まれております介護職の月額六千円という数字では極めて不十分でありますし、人材確保の意味でも、また、高い志を持って取り組んでいただいている方々がやりがいを持って働き続けていただける、そういう待遇改善が必要だと思います。

 厚生労働省の見解と今後の取組についてお伺いさせていただきます。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの処遇改善に向けた累次の取組によりまして、介護職員等と全産業平均との賃金の差は縮小してきております。

 他方で、政府全体で賃上げを進める中、今委員御指摘のとおり、春闘で全産業の賃上げ率が三%台となりました。一方で、介護分野は賃上げ率が一%台にとどまっていると指摘されております。このため、先般閣議決定された補正予算案におきましては、御指摘のとおり、当面の対応として、介護職員の収入を二%程度、月額平均六千円相当引き上げるための措置を盛り込んだところでございまして、まずはこの対応にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 その上で、来年度の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定におきましては、経済対策における様々な対応も踏まえながら、骨太方針でお示ししておりますとおり、物価高騰、賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者、利用者負担、保険料負担への影響を踏まえ、患者、利用者が必要なサービスが受けられるよう必要な対応を行っていくこととしております。

西岡委員 当面の対応として月額六千円というお話でございましたけれども、やはり、もっと待遇改善は必要だというふうに思いますし、来年に向けてというお話もございました、しっかり引き続き取り組んでいただくことを強く要望させていただきます。

 続いて、今の質問と同様でございますけれども、保育士の公定価格引上げによる待遇改善も喫緊の課題です。

 従来から、全産業と比較して遜色のない賃金を確保する必要性が指摘をされてきました。そしてまた、今回、親の就業にかかわらず時間単位で保育所を利用できる誰でも通園制度が前倒ししてスタートするという中で、保育士の方々の不足という状況の環境の中で、現在の保育士の先生方への負担も大変重くなるということが懸念をされております。

 こども家庭庁のこのことに対する見解と今後の取組方針についてお伺いをさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士等の処遇改善につきましては、平成二十五年度以降、累次の処遇改善に取り組んできており、累計でプラス一八%の給与改善を進めているところでございます。また、これとは別に、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善を平成二十九年度から行っているところでございます。

 こうした取組によりまして全産業の平均賃金との差は縮まってきているところではありますが、引き続き処遇改善を進めていくことは重要と考えており、公的価格評価検討委員会の中間整理も踏まえまして、費用の使途の見える化についても検討を進めているところでございます。

 また、未来戦略方針では、民間給与動向を踏まえた保育士等の処遇改善を検討することとしておりまして、今般の令和五年人事院勧告、これを踏まえまして、更なる処遇改善の対応を図ってまいります。

 こども誰でも通園制度という御指摘もございました。こちらについては、本格実施を見据えた試行的事業について今年度中の開始も可能となるように支援を開始するということにしておりまして、検討会を創設をしながら、配置ですとか、体制ですとか、受皿ですとか、留意事項を、今現在、鋭意検討中でございます。

 また、こうした処遇改善の取組と併せまして、保育人材の確保は非常に重要でございます。養成校に通う学生への修学資金の貸付けですとか、保育所のICT化の推進による業務負担の軽減、保育補助者、保育支援者の配置の支援、こういった人材確保対策にも総合的に取り組んでいきたいと考えております。

西岡委員 今お話がありましたけれども、やはり保育人材をしっかり確保していくことは大変重要な課題だと思っておりますので、引き続き、このことは本当に強くお取り組みをいただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、財源について質問させていただきます。

 こども未来戦略方針におきましては、安定的な財源、三・五兆円を確保するために、歳出改革の徹底、社会保障費の歳出改革に努め、新たな支援金制度を構築することが発表されました。

 歳出改革の具体的な内容の御説明を明確に求めるとともに、支援金制度の負担の在り方について、政府の行う所得税減税、賃上げに対して逆のメッセージになるのではないかという指摘に対する加藤大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化対策の財源につきましては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより追加的な国民負担が生じないことを目指して、具体的な設計を行っているところであります。

 また、加速化プランは継続的な取組であり、安定的な財源が必要となります。その上で、支援金制度の構築に当たっては、こども未来戦略方針において、経済基盤、財源基盤を確固たるものとするよう、構造的賃上げと官民連携による投資活性化に向けた取組を先行させることとしております。

 これに対し、今般の所得税減税は、デフレ脱却を確実にするために、賃上げが物価高に追いつくまで政府として支える観点から実施されるものと承知をしており、これらの政策の整合性が取れていないとの御批判は当たらないものと考えております。

 歳出改革の具体的な内容につきましては、この後、内閣官房から答弁をしていただければと思います。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な歳出改革の内容につきましては、サービス提供側の質の向上と効率化、例えば医療提供体制の効率化や介護分野におけるITの活用など幅広い取組を視野に入れつつ、年末までに策定する具体的な改革工程でお示しし、毎年実施しているように、二〇二八年度までの毎年度の予算編成過程を通じて実施してまいりたい、このように考えております。

西岡委員 ちょっと時間が限られてまいりましたので、次の質問と次の質問、一緒に質問させていただきます。

 子育て支援、教育に関する関係諸施策の所得制限撤廃についてお伺いいたします。

 国民民主党は、人づくりこそ国づくりを政策の柱といたしまして、子育て支援、教育に関する諸施策の所得制限撤廃をこれまで提案し続けてまいりました。今般、児童手当について所得制限が撤廃されたことは、大きな一歩であると考えております。本来、当事者である子供に対する諸施策であって、保護者など世帯の所得とは関係なく、子供に支援が届けられるべきだというふうに考えております。

 このことについての大臣の御見解と、特に、喫緊の課題として障害児福祉の所得制限撤廃を、私たちはずっと法律も提出をして要望させていただいておりますけれども、この障害児福祉の所得制限撤廃に対する御見解をお伺いさせていただきます。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本年六月にまとめたこども未来戦略方針では、全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援としての位置づけを踏まえ、児童手当の所得制限を撤廃することとしました。この措置は、他の制度において所得制限に服する子育て世帯の経済的負担についても、その軽減につながっていることに留意する必要があります。

 その上で、各制度における所得制限の在り方につきましては、個々の制度の目的や支援方法に応じて、それぞれ定められているところであります。その取扱いにつきましては、制度の持続可能性や公平性等も踏まえ、個々の制度の目的や他制度との関係も含めた慎重な議論が必要なものと考えております。

 また、障害児福祉に係る所得制限撤廃についての御質問であります。

 特別児童扶養手当や補装具費支給制度を含め、各制度における所得制限の在り方については、個々の制度の目的や支援方法に応じて、それぞれの制度において定められております。こうした所得制限につきましては、繰り返しになりますが、制度の持続可能性や公平性等を踏まえて設定されており、その撤廃については、個々の制度の目的や他制度との関係も含めた慎重な議論が必要と考えております。

 一方、障害児支援につきましては、児童発達支援センターの機能強化による地域における障害児の支援体制の強化など、支援基盤の拡充を中心に速やかに取り組むことに重点を置いております。

 いずれにいたしましても、障害児とその家族の支援は大変重要だと考えており、障害児とその家族の皆様が安心して暮らすことができるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

西岡委員 時間となりましたので、自見大臣に質問をさせていただきたかったんですけれども、大変申し訳ございません、次回、是非質問させていただきます。大変失礼をいたしました。

 これで質問を終わらせていただきます。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 まず、河野大臣に質問をいたします。

 大臣は、デジタル行財政改革会議課題発掘対話、また、昨日は規制改革推進会議の地域産業活性化ワーキング・グループがあったわけですが、いずれの機会においても、守るべきは規制ではなく、移動の自由と述べております。

 道路運送法七十八条は、白タク行為の禁止の例外として、自家用有償旅客運送を認めております。しかし、あえてライドシェアの課題と岸田総理が述べているわけでありますので、河野大臣が目指すライドシェアの姿とはどのようなものなのか、伺いたいと思います。

河野国務大臣 今、我が国は、人口減少と都市への人口の集中で多くの地域で過疎化が進み、公共の交通機関がなかなか住民の移動のサービスを提供できないという地域が増えているという状況にある中で、やはり、移動の自由というのは非常に大事なことでございます。

 そのために、一つは自動運転、これを早期に導入をする、二つ目として、タクシーの規制緩和あるいはタクシーを運転するための二種免許の規制緩和、これをやっていく、三つ目に、俗に言われるライドシェアの導入拡大ということを通して、日本のそれぞれの地域での移動の自由というものをしっかりと保障していきたいというふうに考えております。

 ライドシェアという言葉にはなかなか定義がなくて、諸外国を見てもいろいろなことが行われておりますので、ざっくりそういうものをどう拡大していくかということを考えていく必要があるかなというふうに思っております。

高橋(千)委員 俗に言われるライドシェアと。それで、ざっくりとおっしゃいましたが、そこが大きな争点になっていると思うんですね。なぜなら、やはり、国交省ではなく、なぜ河野大臣か、そこが何を狙っているのかということになると思うんですね。

 十月十六日のデジタル行財政改革課題発掘対話において、アドバイザリーボードの委員である金丸恭文氏は、未来投資会議では、今日のようなテーマで、ライドシェアという言葉がなかなか当時の政治情勢では言えなかったんです、今回、河野大臣になられて、ライドシェアという言葉がこうやって政府の会議で使えることになったのは大きな進展、こういうふうにお話をされているんですね。

 では、当時、未来投資会議、どんなことを議論していたのかと思って見ますと、二〇一九年五月十五日の未来投資会議で、竹中平蔵氏が、アメリカ、中国、シンガポール、インドネシア、それぞれで成功事例がある、ライドシェア市場は間もなく十兆円と言われる、日本が早い時期に出ていて、一割のシェアを取っていたならば一兆円だ、重要なものを逃していたと発言されています。つまり、もっと早く導入していれば一兆円云々の利益があったんだと。それを今度は逃がさないための河野大臣なのではないのか。

 大胆な規制緩和で営利型ライドシェアの導入を考えているのか、新経済連盟などは三兆八千億円という経済効果の試算もしておりますが、いかがお考えでしょうか。

河野国務大臣 今、地域によっては、買物に行きたくても、そこまでの足がないというようなところもございます。移動の自由というものがきちんと保障されれば、買物の回数も増えて、あるいは、歩いて帰らなきゃいけないから手に持てるだけにしようというものも、もう少し余計に買おうかということになる。そういう意味での経済効果はあるのかもしれません。

 買物だけでなく、高校生などの登校にもやはり公共交通機関は必要でございますし、病院へ行くということにも必要です。また、特に目的もなく動くことができないということでは、これはなかなか豊かな暮らしというわけにはいきませんので、地域の移動の自由を保障するというのは、これは非常に大事な政治課題というふうに思っております。

高橋(千)委員 意外に、河野大臣にしては慎重な答弁であったかなと思います。

 買物で足があればもっといっぱい買えるので経済効果と、本当にそれだけであれば、やはり地域公共交通をどうしていくかという課題なんですね。やはりタクシーというのは地域公共交通の大事な担い手の一つである、これは、国交大臣、お認めになっております。

 だからこそ、まあ、タクシーの規制緩和というのも話題に上っているのは存じ上げておりますが、そうしたことをやはりもっと突き詰めていってタクシーを地域でもっと活用することができるはずだ、そのために地域交通に位置づけてということは議論しているんですよ。だけれども、規制改革の文脈で河野大臣が登場するというのはそこだけですか、それだったら別に河野さんの出番はないんじゃないですかと思うから聞いております。

河野国務大臣 ちょっと今のが質問だったかどうかよく分かりませんが、私はもう慎重居士として有名でございます。

高橋(千)委員 この答弁も議事録に残るわけですから、しっかりとその後の対応を、全然言っていたこととやっていたことが違うじゃないかということにならないようにお願いをしたいと思います。

 やはり今、OECD加盟国三十八のうち三十か国で禁止をされております。これはもう既に確認をされていることでありますが、決して世界がライドシェアに突き進んでいるというわけではないので、そのために河野大臣に期待している方がいらっしゃると思いますが、今のお言葉、地域を大事にするということだけを引き受けたいと思います。

 では次に、加藤大臣に伺います。

 九日に支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会が開催されて、こども未来戦略方針に盛り込まれた加速化プランの財源の在り方について検討が開始されました。

 資料はその抜粋でありますが、まず三枚目を見ていただきたいと思います。最初の1の四行目、「消費税などこども・子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わない。」と書いてあります。経団連が、九月に、少子化対策へ消費税増税は有力な選択肢とする提言を行いました。これまでも社会保障四分野に消費税は使われておりますし、子育てもその一つとして使われてきたと思います。

 今回創設しようとする支援金制度も、広く国民に負担増になることに変わりはないと思いますが、消費税ではなく支援金にした違いは何でしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども未来戦略方針に掲げられた加速化プランを実施していく上では、二〇三〇年代に入るまでが少子化傾向を反転できるラストチャンスであり、我が国にとって待ったなしの課題であること、また、企業も含めた社会経済の参加者全員が子育て世帯を支え、応援していくという視点が重要であることを国民の皆様に広く御理解をいただくことが重要であると考えております。

 その上で、政府におきましては、本年六月に策定したこども未来戦略方針の加速化プランを支える財源について、消費税など子供、子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わないこととしております。

 支援金制度につきましては、現在、企業を含め社会経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で広く負担していく新たな枠組み、すなわち、新しい分かち合い、連帯の仕組みとして検討を進めており、租税とはその性格が異なるものであると考えております。

 また、少子化対策の財源につきましては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより追加的な国民負担が生じないことを目指しており、引き続き、年末に向けて具体的な設計を行ってまいります。

高橋(千)委員 消費税はやはり国民の拒否感が強いから、こうした支援金という制度にしたんじゃないでしょうかね。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度は、企業を含め社会経済の参加者全員が連帯をし、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組みでありまして、税以外の形式のものとして検討をしております。具体的には社会保険の賦課徴収ルートを活用することとされており、関係省庁と連携しつつ、具体的な制度設計を速やかに進めてまいります。

高橋(千)委員 企業を含め全員が参加をするということをお答えになりました。しかし、広く国民に支援金負担を求めるということが、確かに企業は参加しております。でも、どういう説明をしているかといいますと、財政制度審議会の分科会の資料の中に出てくるわけですが、子供、子育て支援強化の財源として、広く国民に支援金負担を求める以上、現行の事業主拠出金について、最大限の活用を図ることも必要不可欠であり、加速化プランが完了する二〇二八年まで現行の料率を維持することを前提に支援の拡充を検討すべき、つまり、事業主の拠出金については増やさない、その上で広く皆さんに負担を上乗せするとおっしゃっている。違いますか。

加藤国務大臣 いずれにしましても、具体的には社会保険の賦課徴収ルートを活用されることとされておりまして、関係省庁と連携しつつ、具体的な制度設計を速やかに年末に向けて進めてまいります。

高橋(千)委員 ですから、今、結局お答えができなかったと思うんです。経団連が、自分たちの法人税などは減らしながら、消費税を増税しろと言っている。それには応えないけれども、結局、負担は増やさない形で、国民に社会保険料を求めると言っているんですよ。これは同じ立場なんだということを指摘したいと思います。

 支援金制度の具体的設計に関する大臣懇話会で示された位置づけについて、資料の1の三つ目の丸を見てください。支援金が創設されても、全体として実質的な追加的な国民負担を生じさせないことを目指すとあります。この根拠を説明してください。

熊木政府参考人 お答えさせていただきます。

 少子化対策の財源につきましては、「二〇二八年度までに徹底した歳出改革等を行い、それらによって得られる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す。」これが本年六月に閣議決定されましたこども未来戦略方針に記されていることでございます。

 現在、政府全体、そして、こども家庭庁におきまして、この方針に沿って具体的な設計を行っているということでございます。これを根拠といたしまして、具体的な設計を行っているということでございます。

高橋(千)委員 歳出削減の効果が、それが国民負担の軽減と言い切れるのか。それは何を削減するかをちゃんと示していただきたいと思うんですね。歳出改革については特に指定されていないんです。かつて小泉構造改革のときのように、毎年、自然増だということで、二千二百億円削減するということが大変な改悪、痛みだったことは皆さんもよく御存じだと思います。

 社会保障サービスの削減や抑制が歳出改革という名でされるというのであれば、実質、国民負担増と言えるのではないでしょうか。

熊木政府参考人 お答えをいたします。

 歳出改革の中身につきましては、これはまた政府全体として現在検討しているところでございます。

 サービス提供側の質の向上ですとか効率化、それから例えば、医療提供体制の効率化、介護分野におけるITの活用、そういった幅広い取組を視野に入れてございます。

 年末までに策定する具体的な改革工程の中でお示しをし、現在も毎年実施していますように、二〇二八年度までの毎年度の予算編成過程を通じて着実に実施してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 例えば、介護の利用料の負担増ですとか、あるいは利用が抑制されるですとか、そうした意味の実質負担増、私が言っている、そういうことはないとおっしゃっているんですか、確認します。

熊木政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁のみならず、政府全体で検討してまいる事柄ではございますけれども、現在、社会保障につきましては、全世代型の社会保障を構築する、そういう観点から幅広い検討を行っていることでございます。これは引き続き続けていく必要がございます。

 その内容につきましては、先ほど申し上げたものを例示させていただきました。具体的には、改革工程というものをつくる中で、そして、毎年度、それぞれの改革についてしっかりと議論する中で実現してまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 これも具体的にはお認めできなかったと思うんですね。実質負担増とはしないということを言い切っていただきたかったなと思います。

 それで、資料の2の四つ目の丸のところで、「子育て世帯にとっては、給付が拠出を大きく上回る」、こう書いております。これも根拠は何でしょうか。

熊木政府参考人 まず、こども未来戦略方針におきまして、支援金制度、先ほど大臣から御答弁させていただいたとおり、企業を含め社会経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく枠組みとされております。

 なお、支援金制度につきましては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせて、その範囲内で構築するということとしてございます。

 その上で更に申し上げますならば、支援金制度というのは、今申し上げましたように、企業、そして全世代、さらには歳出改革の努力によって生み出された公費、こういったものを合わせて、それらを全て子育て世帯を支えるということで仕組みとするものでございます。

 そうした枠組みでございますので、加速化プランに基づく給付の拡充の対象となる子育て世帯にとりましては、給付が拠出を大きく上回る、そういう枠組みになると考えてございます。

 その支援金制度の規模等々につきましては、年末にかけての予算編成過程を経て決定されることとなりますので、現時点で結論を出しているものではございませんが、引き続き、政府全体として検討を進めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 どれも確信はないし、どちらかというと希望的観測みたいな答弁だと思うんですね。

 総理の賃上げの答弁を聞いていても、景気が上向いて、デフレ脱却して、結果として賃上げになる、こういうような答弁をされるわけですね。今のおっしゃっていることも結局そうなんですよね。歳出改革をやって、徹底して見直していって、賃上げが進んで、そうしたら拠出よりも給付が上回るというふうな答弁にすぎないと思うんです。

 だったら、これは給付が拠出を上回るということは絶対原則なんだ、それから、新たな負担はもう絶対ないんだ、そのためにどうやったら制度設計ができるのかということを、やはり説得力を持ってやっていく必要があるのではないか。そういう意味では、私たちは賃上げの問題も含めて改革プランを出しておりますけれども、そこは曖昧にしないで議論していただきたいと思います。

 あと、最後に一言。加速化プランというのは、もう時間が来たので、じゃ、言い切りにします。三年間の集中的な取組という理解でありました。

 ただ、三年間は、もう歳出改革とかいろいろやっていって、その先に支援金制度。でも、支援金制度というのは、多分恒常的なものだと思うんですよね。じゃ、三年間のこの加速化プランがここでとどまってしまったら、こども未来戦略方針としても、異次元のという言葉はもう使っていないようですけれども、非常にちっちゃなものに終わってしまうなと。もっともっと議論すべきことがあったなということを指摘をしたいんです。

 その点では今日もう一つお話しするつもりでしたが、時間が来ましたので、次の機会を是非いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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