衆議院

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第3号 令和6年3月13日(水曜日)

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令和六年三月十三日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      城内  実君    黄川田仁志君

      国光あやの君    高木  啓君

      橘 慶一郎君    谷川 とむ君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 郁子君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      本田 太郎君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      屋良 朝博君    早稲田ゆき君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      伊佐 進一君    鰐淵 洋子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル行財政改革担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹林 悟史君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官)  吉田 宏平君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官)  渡辺 公徳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 瀧澤  謙君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          恩田  馨君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      岩成 博夫君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   布施田英生君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 中井 幹晴君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           須田 俊孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           舟本  浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鎌原 宜文君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     城内  実君

  小寺 裕雄君     高木  啓君

  橋本  岳君     国光あやの君

  城井  崇君     屋良 朝博君

  浮島 智子君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     今村 雅弘君

  国光あやの君     本田 太郎君

  高木  啓君     小寺 裕雄君

  屋良 朝博君     城井  崇君

  鰐淵 洋子君     浮島 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官竹林悟史君、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官吉田宏平君、同じく渡辺公徳君、内閣府大臣官房審議官瀧澤謙君、内閣府地方分権改革推進室長恩田馨君、内閣府地方創生推進事務局審議官岩間浩君、同じく中村広樹君、公正取引委員会事務総局経済取引局長岩成博夫君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく楠正憲君、同じく村上敬亮君、同じく布施田英生君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、同じく中井幹晴君、同じく鈴木清君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君、同じく須田俊孝君、同じく宮崎敦文君、国土交通省大臣官房審議官舟本浩君及び同じく鎌原宜文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川郁子君。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子です。

 質問の機会を頂戴しましたこと、誠にありがとうございます。

 最初に、自見はなこ大臣にお伺いしたいと思います。

 人口減少、少子高齢化、そして、地方は過疎化。その中でも、たゆまぬ努力を続けて、政府が進めているデジタル田園都市国家構想交付金の活用を始め、デジタルも活用して地方の課題解決に取り組んできた結果、着実に都市部から地方に人の流れをつくっている自治体が私の選挙区にもあります。

 今後、デジタル行財政改革のモデル地域など、積極的にチャレンジする自治体もあると思いますが、地域の自主性及び自立を高める改革を更に推進していく必要もあると思います。

 大臣の所信表明の中で、第十四次地方分権一括法案を提出されると伺いました。平成二十六年から導入された地方分権改革でありますが、昨年十二月に閣議決定した対応方針に基づく地方分権改革について、改めて、自見大臣の意気込みを聞かせていただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 中川委員におかれましては、常日頃から地方創生に関しましても御指導賜りまして、感謝を申し上げます。

 地方創生を進めていくために当たりましては、委員も十分同じ問題意識かと思いますが、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、また、それぞれの地域で結婚、出産、子育ての希望をかなえる、また、魅力的な地域をつくる、こういった大きな四つの柱を重点的に構えまして、デジタル田園都市国家交付金などにより、地方の取組を後押ししているところでございます。

 また、お尋ねをいただきました地方分権でございます。

 昨年の十二月に閣議決定をいたしました令和五年の地方からの提案等に対する対応方針を踏まえまして、地方からの提案の実現を図っていくために法改正が必要な事項を取りまとめまして、第十四次地方分権一括法案として今国会に提出すべく、現在、調整を行っているところでございます。

 政府といたしましては、地方の現場における具体的な課題に対しまして、地方自治体が自らの判断と責任においてそれらを実施できるようにするために、本法律案の早期の提出また成立にしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。

中川(郁)委員 自見大臣、ありがとうございます。大変力強い決意のほど、聞かせていただきました。

 ここからは、子供の性被害とその対応について、加藤鮎子大臣にお尋ねしたいと思います。

 昨日から、高校生のときに実の父親に性被害に遭った女性の会見が報道されています。

 子供が一たび性犯罪に遭えば、その被害は生涯にわたって続くことになり、その影響は甚大なものとなります。そのため、子供たちを性被害から守り、教育、保育などを安全な環境で受けることができるようにすることは、子供の心身の健全な発達のためにとても大事なことだと思います。教育、保育の場で子供たちをそのような性被害から守るためには、事業者やその従事者に対する規制も必要であり、法的なルールを設けて対応することも必要なのではないかと思っています。

 現在、こども家庭庁におきまして、教育、保育等の現場で子供たちを性被害から守ることを目的とした日本版DBSに係る法整備を進めているものと承知しています。教育、保育などの場で子供たちを性暴力から守る法整備の必要性について、加藤大臣の御見識、御認識をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 児童や生徒に対する性暴力の被害は、被害児童等の権利を著しく侵害し、委員御指摘のとおり、被害児童等に対し、生涯にわたって回復し難い有害な影響を与える極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。こども政策担当大臣として、また、子を持つ一人の親として、かけがえのない子供たちの尊厳を守ることが必要だと感じております。

 このような考えの下、子供たちを性被害から守るため、その対策を早急にかつ実効性を持って進めることが重要であると認識をしてございます。

 現在検討中のいわゆる子供性暴力防止法案につきましては、教育、保育等の場での子供の安全、安心を確保するため、極めて重要な施策であると考えており、各方面から法案に期待するとのお声もいただいているところでございまして、私としましても、今国会での法案提出に向けて、最大限努力をしてまいります。

中川(郁)委員 三十年以上も前の話になりますが、地方のある町に住んでいる私の親しい友人の一人から、小学一年生の娘さんの話として、学校が楽しい、担任の先生が優しくて大好きだ、先生の膝の上でだっこしてもらうことがとてもうれしい。けれども、その先生が下着の中に手を入れてとても痛いことをする、こう打ち明けてくれたと私に相談がありました。

 その後、その小学校では保護者会が連日開かれるようになりました。すると、そのお嬢さん以外にも複数の児童が同じ被害に遭っていたことが判明した。また、当該小学校教諭は、前任の小学校でも同様の行為を行っていて、そのために学校を転校した、転勤したということが分かりました。保護者会を重ねていくうちに、これ以上問題を大きくすることで子供たちが好奇の目にさらされるのではないか、当該教諭の将来も考慮すべきという結論に至ったそうで、当該教諭の行為を不問にしたと聞かされて大変驚きました。もう三十年以上も前の話です。

 その後、当該小学校教諭は教育委員会に配属になって、一旦は子供たちと直接接する現場を離れましたけれども、数年後、ほかの小学校で現場に復帰したと聞きました。再犯があったかどうかは知りません。三十年以上も前のことで、今は社会の受け止めも大きく変化していると思います。

 加害を防ぐためには、未然防止、早期発見が必要ですが、子供は被害に遭っても、性被害と認識できず、どう対応してよいか分からないし、保護者も、子供の被害に気づくこと、そして適切な対応はとても難しいと思います。

 友人の例は、小学一年生としては大変聡明で、親御さんに的確に状況を伝えられたこと、ふだんから親子間のコミュニケーションがきちっと取れていたことで早期発見につながったと思います。しかしながら、子供が一人で悩みを抱え込んでしまい、結果として、生涯にわたる心身の傷になってしまうことが多いようです。

 令和五年九月に、こども家庭庁から、「こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議」報告書を示されて以来、自民党においても、性被害当事者や有識者、事業関係団体等幅広い関係者にヒアリングを行うとともに、子供の性被害を未然に防止するための仕組みづくりについて議論を重ねてまいりました。

 既に性犯罪を起こしたことがある人は再び性犯罪を行う可能性があるとも考えられるため、教育、保育の場において子供を性被害から守るために、性犯罪歴を確認する仕組みを導入することは必要であると思います。一方で、性犯罪で検挙される人のうち九割は前科のない初犯者であるとも言われており、初犯を予防するという視点も重要であると考えています。

 九割の初犯を含め、初犯か再犯かはいずれであっても、教育、保育の場で子供を性被害から守るための実効的な制度を構築していくことが必要です。この点について、大臣のお考えを聞かせてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、性犯罪で検挙される者のうち九割は初犯と言われており、私としても、教育、保育等の場において初犯を含む子供の性被害防止対策を進めること、初犯を含めた対策が行われるよう事業者の責務を明確にすることが重要であると考えております。

 そこで、本制度を検討するに当たり、まずは、初犯か再犯かに関わりなく、性被害を予防するため、学校設置者等のみならず、学習塾などの民間の教育、保育等の事業者も対象として、児童等に対する性暴力等を防止する責務を有することについて法案に明記し、被害防止のための安全を確保する措置を義務づけるとともに、そのためのツールの一つとして新たに性犯罪歴の確認の仕組みを設けることについて検討をしてございます。

 本制度は、単に性犯罪歴の確認を行うだけではなく、このような制度の創設を起点に社会全体で子供たちを性暴力から守る社会的意識を高めていく観点からも大変重要であると考えております。本制度により子供たちを性暴力から守ることができるよう、引き続き検討を進めてまいります。

中川(郁)委員 大変ありがとうございました。

 法律による規制以外にも、性犯罪を防ぐ総合的な取組も大変重要と考えています。総合的取組について少しお聞かせをいただければと思います。

加藤国務大臣 御指摘のとおり、本制度だけで全ての子供に対する性暴力を防げるわけではありません。子供性被害防止対策については政府を挙げた総合的な取組が必要であり、そのため、こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージにおいて、性犯罪の成立要件をより明確化するなどの改正刑法等の趣旨、内容の周知及び厳正な対処、取締りの強化など、様々な取組について着実に実施をしてきたところでございます。

 また、パッケージの更なる加速化を図るため、令和五年度補正予算の措置により、業界横断的な標準的指針の作成と広報を通じた教育、保育業界による性被害防止の取組の促進、児童福祉施設等における性犯罪防止対策に係る設備支援を新たに実施するなどの取組を進めていきます。

 引き続き、子供性暴力防止法についての検討を進めるとともに、これらの取組を総合的に推進することで性被害防止をしてまいります。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 児童対象性暴力は、児童の心身に回復し難い重大な影響を与えるものです。まずは、一歩一歩確実に進めていくことが大切であるというふうに思います。加藤大臣、大変ありがとうございました。

 今日は、工藤内閣府副大臣にもお越しをいただいていますので、こどもまんなか政策について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 出産、育児、いろいろな悩みが多い中で、政府、自治体がしっかり応援すること、重要であるというふうに思います。私も地元でいろいろな皆様方にお伺いをしておりますと、里帰り出産についてのいろいろな御懸念があるということを御質問される場合が多いです。

 住所地を離れる場合に、産前産後などのサービスが受けられなくて困った、あるいは、上の子が帯同しているわけでありますが、様々なサービスが受けられなくて困った、どこに相談していいのか分からない、こういうお話があるわけでありますが、その点について、工藤副大臣、よろしくお願いいたします。

工藤副大臣 中川議員にお答え申し上げます。

 現行制度においては、里帰り先と住所地の自治体間で情報共有の仕組みが整備されていないことから、妊産婦の情報を里帰り先自治体が把握できず、里帰り先での支援が困難であるといった指摘を地方自治体から受けていたところであります。

 このため、政府において、里帰り先の市町村への妊産婦の情報提供を可能とするための法案提出の準備を進めております。この制度改正により、住所地と里帰り先の自治体間で必要な情報共有が行われることで、里帰り先の自治体が個々の妊産婦の状況を把握した上で妊産婦に寄り添った支援が行われると考えております。また、この情報提供は、妊産婦のみならず、きょうだい児の情報も対象であるため、里帰り先自治体では、きょうだい児も含め、より効果的なサービスの提供が可能となると考えております。

 今後、母子保健情報を迅速に共有するための情報連携基盤の整備、活用も含め、里帰り出産等における情報連携の仕組みの構築を推進してまいります。

 ちょっと済みません、言葉が詰まりまして申し訳ないんですが、自治体間でしっかり連携する、それを早くしないと、大変、妊婦、出産の方が困ってしまいますので、そういうことがないように早く国としてはやっていきたい、そういう答弁でありますので、御理解賜りたいと思います。

中川(郁)委員 工藤副大臣、大変ありがとうございました。

 里帰り出産といってもいろいろなケースがあるそうで、妊娠して出産する前に里帰りをする、あるいは、出産をした後、御両親がいらっしゃるおうちの方に里帰りをして、自治体間をまたがって病院に行く、サービスを受けられるようにするということが重要であるというふうに聞いております。そういう中でも、やはり医療DXをこれから進めていくことによって様々なニーズに対応することができるようになるというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして、どこの地域にあっても、幼稚園、保育の先生、担い手が少なくなっているというところは共通の課題であるというふうに思います。幼稚園教諭免許状、保育士資格のいずれか一方のみで幼保連携型こども園の保育教諭となる特例の期限が切れるわけであります。今その保育、幼稚園教諭の担い手が減少していく中で、この特例の期限が切れます。そして、その中でどのように担い手を確保していくか、工藤副大臣に続けて御答弁をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 認定こども園において、幼保連携型認定こども園の保育教諭等になるためには、幼稚園教諭免許状及び保育士資格の両方が必要とされていますが、令和六年度末までの特例措置として、いずれか一方の免許、資格を有していれば保育教諭となれる措置等を設けております。

 幼保連携型認定こども園に勤務し、両方の免許、資格を有する保育教諭等の割合は着実に改善しておりますが、現在も約一万二千人の免許、資格の保有状況がいずれか一方のみの状態であり、特例措置の期限が到来すると、幼保連携型認定こども園の保育教諭等の確保が困難になることが懸念されております。

 このため、令和五年十二月に閣議決定した令和五年の地方からの提案等に関する対応方針において、いずれか一方の免許、資格を有していれば保育教諭等となれる特例と、もう一方の免許、資格を取得する際の要件を緩和する特例の期間を延長することとし、所要の措置を講ずることが盛り込まれたところであり、このための改正法案を早期に国会に提出できるよう取り組んでまいります。

中川(郁)委員 大変ありがとうございました。

 子供が減少している中で、やはり安心して子育てができる仕組みが必要であるというふうに思います。子育てをしている御家庭に寄り添い、そして、やはりこれから子供を持とうとする皆様方に背中をしっかり押せるような対策を取っていただくようにお願いを申し上げさせていただきまして、時間になりましたので終了させていただきます。

 今日は大変ありがとうございました。

谷委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございました。

 一月一日に能登半島地震がありました。そして、今週十一日には、東日本大震災から十三年を迎えました。私は、出身が宮城県仙台でございます。改めて、命の大切さ、これを思う時期とさせていただき、また、みんなで、やはり命、特にお子さんの、これから生まれる命も含めてしっかり社会で育んでいく、この決意をさせていただければと思います。

 まず最初に、こども未来戦略方針、子ども・子育て支援金制度について、加藤鮎子大臣に伺いたいと思います。

 資料一を御覧ください。今回の支援金の中身に直接関わるものではないんですが、このグラフ、実質賃金指数と婚姻率には相関関係、これは強い相関関係があると分析がなされています。

 子供が生まれるとき、生まれての子育て、これは今回、支援金制度で拡充される部分、期待される部分がありますが、それ以前の、やはり結婚をしたい、カップルになりたい、そう思うときの障害としては、やはり実質賃金というのは大きく影響しているのではないかと私は考えます。

 この資料一を御覧いただいて、少子化担当大臣として、加藤鮎子大臣はいかがお考えでしょうか、伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のグラフにつきまして、これは一九九〇年からになってございますが、これ以前の一九七〇年代以降、婚姻率の方は長期的な低下傾向にあり、実質賃金指数は一九九〇年代まで上昇傾向にあったことを踏まえますと、婚姻率と実質賃金指数が相関関係にあると一概に言い切ることは難しいとは思いますものの、少なくとも、二〇〇〇年代以降は同じような動きをしていると承知をしてございます。

 若い世代の婚姻率につきましては、特に男性について、正規雇用の方々の方が非正規雇用の方々に比べて有配偶率が高い傾向にあるほか、所得が高いほど有配偶率も高い傾向にあることが指摘されていると承知をしてございます。

 こうした状況を踏まえて、こども未来戦略におきましては、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り少子化を反転させることはできないことを明確に打ち出しております。

 これに基づきまして、最重要課題である賃上げに加え、それを持続的、構造的なものとするための労働市場改革、さらには、同一労働同一賃金の徹底や、希望する非正規雇用労働者の正社員化への支援など、所得の向上や雇用の安定など、若い世代の経済的基盤の安定を図るための取組を政府全体として進めてまいります。

岡本(あ)委員 これ以前はという御説明がありましたけれども、少子化が危惧され出したここ三十年、やはりここの影響というのは非常に大きいと思います。この点は共有をさせていただければと思います。

 あわせて、今、同一価値労働同一賃金のお話がありました。私は、やはり不本意な非正規は撲滅しなければいけない。

 それから、残念ながら、昨今、コース別人事というものが余りにも強くなって、結果としてコース別を選ばざるを得ないというか、そうなった結果、男女の格差が非常に大きくなっている。それは、こっちのコースを女性が選んだから、安いコースを選んだんですねということにもなりかねないんですが、決してこれは、皆さん、人生で、望んでその処遇のところを選んでいるかというと、やはり課題がありますので、この点は改めて、また機会があれば議論させていただければと思います。

 さて、もう一つ、政府が示してきた中で、支援金制度、それから、そもそものところで、総理が発言したところについても、加藤大臣にも伺わせていただきたいと思います。

 資料三を御覧ください。

 岸田総理、施政方針演説において、一人当たりの家族関係支出、対GDPですね、一人当たりの家族関係支出は、GDP比で一六%とOECDトップのスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進します。これは、子育てのための三・六兆円、加速化プランの予算をつけると一六%になりますと。スウェーデンがこの資料三では一五・四。日本が一一・〇となっているのが、加速化プラン実施後は一六%ということをもってしていると思います。

 ただ、この指標、スウェーデンと比較をしているので、国際比較としてどう使われるのかというのを調べましたところ、どこにも使われておりません。こども家庭庁に伺ったら、こども家庭庁が独自にこの指標を作ったとレクのときには私は説明を受けました。

 通常でいきますと、下の参考と書いているところ、家族関係支出の対GDP比、これは歴年でもずっと国際指標としてOECDの機関が公表しております。これが、スウェーデンが三・四%。現在日本が一・七%が、加速化プランで二・四になるよう頑張ります。これは分かります、国際比較でずっと公表している数値ですので。

 何で岸田総理は、上の、こども家庭庁が独自に作った指標と言われていますが、これをお使いになって、自信たっぷりにおっしゃった、この指標の意味は一体何でしょうか。大臣、お答えください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 子供一人当たりの家族関係支出という指標を用いておりますのは、しっかりと子供一人一人に対して予算を充てることが重要であることから、その点を国際比較するために用いているものでございます。

 こども家庭庁としましては、こうした趣旨についてこれからも丁寧に説明をするとともに、加速化プランをスピード感を持って実行していくことで、子供、子育て政策を画期的に前進をさせていきたいと考えております。

岡本(あ)委員 私は、これは国際的にはちょっと恥ずかしいと思っています。今後もこの指標は使われるんでしょうか。そして、目標をどうしたいと思っているのか、お答えください。

 資料四を御覧ください。

 これは、何でかと申しますと、実は、上の段の計算式が今御説明いただいた子供一人当たりの家族関係社会支出。これをGDPの比較で、一人当たりのGDPで見たので、多分子供一人当たりという表現を使ったと思うんですが。

 下の段を御覧ください。これは、同じ結果になる計算式を組み替えました。そうすると、左側のGDP分の家族関係支出、ここは国際比較でずっと公表しているものです。これは、私は、ほかの国と比較する意味でも、ここはあると思います。これを全人口分の十八歳以下人口で割るんですね。なので、逆に言うと、少子化が進めば進むほどこの数字は上がるんです。要は、分母のところの全人口分の十八歳以下人口、これは割るので、分子、分母をひっくり返すと、子供の数分の全人口を掛ける式になるんですね。

 そうすると、別に、三・六兆円用意をしなくても、残念ながら、日本は、深刻な少子化がどんどんどんどん進むと、この指標の数値はどんどん上がってしまうんです。これを用いながら、なぜ子供一人当たりということの指標として使うのか。

 それからもう一つ、じゃ、今後この数字はどう目指していくんですかという、この今後の指標について目標をお答えいただければと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、なぜこの数字をというところを繰り返し申し上げますけれども、子供一人当たりの家族関係支出を使っているのは、少子化の大きな要因は子育てに係る経済的負担が高いことであり、しっかりと子供一人一人に対して、総体ではなくて、一人一人に対して予算を充てることが重要であることから、その一人一人にはどのぐらい充てられているのかというところを国際比較するためにこの指標を用いているところでございます。

 また、少子化が進むと十八歳以下人口は減るものの、全人口にも影響を与えること、また経済状況の変動がGDPの値を通じて影響を与えることから、結果として数値が上がるかどうかは一概には言えないものと考えてございます。

 また、こども未来戦略におきましては、加速化プランの実施によりまして、子供一人当たりの家族関係支出で見てスウェーデンの水準となることに加え、今後、こども家庭庁予算が約五割増加することを示した上で、この加速化プランをしっかりと実施してまいります。

 これは、この指標は目標ではなく、こういった取組をしっかり進めていった結果として上げていく指標として用いているものとお考えいただければと思います。

岡本(あ)委員 私は、やはりこの指標を使うべきではないと思います。

 では、指標の数値を、今お答えでは数値を上げていくんだとお答えになりました。同じ計算式でほかの国も私、計算させていただきましたが、予算を一生懸命組んで少子化をクリアして日本よりは子供の数を増やしているイギリスが、この指標でいくとイギリスの方が低いんです。日本の方がはるかに超えた数字になってしまいます。全くこれは、私、国際比較で意味を成さない指標としか思えないんです。

 ちょっと残念ながら、総理が施政方針で、何か、この加速化プランをしたら、こんなに頑張っているよという、やっている感を出すためだけに使った指標ではないかと思うんですが、改めて加藤大臣、この指標、こども家庭庁が作られたという説明で私は聞いておりますので、こども家庭庁としては、この指標、本当に今後も国際的に使っていこうという意思を持っているのか。

 私は、もうここで一回やめて、元々の国際比較で、確かに一・七から二・四に頑張るんですよ、これは今後も努力しますは分かります。あるいは、子供一人の家族関係支出を単純に割り戻して、これを国際的に見ていきますなら分かりますけれども、この少子化率を計算に入れるというのは、多分国際的には全く評価されないんじゃないか。結果として、こんな使い方を国際比較で使った例がないということも指摘をさせていただきます。

 加藤大臣、改めて、この指標を今後も使うつもりなのか、いや、これはちょっとやり過ぎましたということなのか、もう一度お答えください。(発言する者あり)

谷委員長 静粛に願います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 対GDP比で見ている要素を加味していることにつきましては、家族関係支出といった歳出に国全体としてどれだけ充てているかについて国際比較を行う場合には、国の経済規模を考慮に入れる必要があり、子供一人当たり家族関係支出そのものだけではなく、対GDP比で見るのが適切であると考え、この指標を用いているところであります。改めまして、子供一人当たりの家族関係支出という指標を用いているのは、やはり子供一人一人に対して予算を充てることが重要であるということ。この二点を鑑み、子供一人当たり、そして対GDP比の要素を入れ込んだこの指標を用いてございます。

 こども家庭庁としましては、こうした趣旨について今後とも丁寧に説明するとともに、加速化プランをスピード感を持って実行していくことで、子供、子育て政策を画期的に前進をさせてまいりたい、このように考えております。

岡本(あ)委員 答えていません。この指標、今後も使われるんですか。そして、使うとしたら、どこを目標にしていくんですか。私は、これは使うべきではないと指摘をさせていただきます。やめた方がいいと思います。この点、お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 この指標の意味をこれからも丁寧にしっかりと説明をしつつ、これは目標ではなくて、あくまで政策の結果としてどのように進んでいるかということをお示しする指標として活用させていただく、そしてそれを基に加速化プランをしっかりと実行してまいりたい、このように考えております。

岡本(あ)委員 重ねてになりますが、私はちょっと、残念ながらこれは恥ずかしい指標だということを指摘させていただきますし、やはり、今後は使うべきではないし、ましてや、スウェーデンと比較する、ほかの国と比較するということ自体は論外だと思います。

 今、使っていくというお答えでしたが、間違いないですか。もう一度お答えください。

加藤国務大臣 趣旨を丁寧に説明しながら、これからも活用していきたいと考えております。

岡本(あ)委員 活用するということでした。非常に残念ですし、何回も申し上げますが、やはり、これを国際的に使うということは、日本の恥ずかしさというか、少子化をごまかす数値として使っているということが見え隠れするということになりかねないので、この点は強く指摘をさせていただきます。やはり、ごまかしている部分があるということになります。

 もう一つ、ごまかしということでいきますと、資料二を御覧ください。

 予算委員会からずっと支援金のこの負担金、支援金ではなく私たちは負担金と言わせていただいています、私たちの健康保険組合から使わせていただくということだったので、保険料を払っている方々がそれぞれどのぐらい負担をしなきゃいけないのか、この点をずっと求めておりました。法案審議のときまでには出すと言っておりますが、ずっと、加入者一人当たり、要は、資料二で見ていただくと、加入者一人といいますと、五人家族といいますと五人なんですね、加入者は。私たちは、保険料を払っている丸で囲んでいる三人が実際自分はどのぐらい負担をするのか、このことを求めています。

 法案審議、もう間もなく始まりますし、もう既に予算委員会でも、今、この地・こ・デジ、大きな関わる委員会です。ここにもまだ保険当たりの設計、負担金、幾らになるか示されていませんが、改めて、保険当たりの負担金、幾らになるのかお示しください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子ども・子育て支援金の拠出額につきましては、支援金総額が一兆円となる令和十年度において、加入者一人当たり月五百円弱と申し上げてまいりました。その考え方としましては、国民健康保険、後期高齢者医療制度を含め医療保険制度全体の支援金額をお示しする場合は、加入者一人当たりで統一してお示しすることが適当であると考えております。

 具体的な拠出額につきましては、加入する医療保険制度、所得の多寡、世帯単位か個人単位か等によって異なることとなります。今後の賃上げの効果など、様々な仮定の置き方について更に精査をした上で、遅くとも法案審議に間に合う形でお示しができるようにしたいと考えております。

 以上です。

岡本(あ)委員 もう日にちがどんどんたっていますけれども設計が進んでいかないというのは、国民に対して不誠実だと言わざるを得ません。

 資料二の家族構成でいきますと、やはり、保険料を払っているこの丸で囲んでいる方々が、子供に対するお金が必要だというのは多くの国民は理解はしてくれると思います。ただ、自分たちが一体幾ら負担するのか、これを知りたいと言っているのにずっと答えないということは、ごまかしであり、不誠実だということを指摘させていただきます。

 済みません、ちょっと時間がないので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。

 デジタルの関係で伺わせていただきます。

 大臣の所信的発言に、ライドシェア、自動運転という項目がございました。このライドシェアですが、元々は、過疎地など、地域の足不足のためのアイデアから始まったはずなんですが、いつの間にか都市部、観光地の稼ぐ手段としてのライドシェア問題にすり替わってしまいました。

 私の地元仙台は、二〇〇二年のタクシーの規制緩和に翻弄された自治体です。当時、ドライバーさんの処遇が三割以上も給料が減ってしまった、タクシー台数が激増して、一千台ですね、宮城県の仙台市ですが、タクシー一千台とやゆされるぐらいの自治体になってしまい、客待ちのタクシーが車線を埋めちゃって車が通れない、こんなことも起きて、十年たって、特措法で台数制限になりました。

 人を安全、安心に輸送して対価を得ること、これには責任が当然伴います。これは既得権益でもなく、当然のサービスの質です。四月に一部解禁、六月にすぐ見直しなど報道がありますが、安全輸送するサービスの責任は、当然、お客様とドライバーをつなぐところから始まると私は考えます。アプリ提供も含めて、事業者が負わなければならない責任だと思いますが、国交省、いかがお考えでしょうか。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 地域交通の担い手や移動の足の不足に対応するため、国交省といたしまして、現在、地域の自家用車、ドライバーの活用を図っているところでございますが、その際、車やドライバーの安全性、事故の起こった際の責任、適切な労働条件、この三点が大変重要であるというふうに考えてございます。

 委員御指摘の法制度につきましては、現在行っている自家用有償旅客運送制度の見直し、タクシー規制の緩和、四月からの自家用車活用事業などの効果をしっかり検証しながら、先ほど申し上げました三点を慎重に考慮しつつ議論をしてまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 資料五につけておりますけれども、やはり、安全、そのための第二種運転免許制度ですとか、あるいは事業者に対するいろいろな規制があるんだということは大前提としなければいけないということを強く指摘いたします。

 そして、次のテーマに行きます。自治体の情報システムの標準仕様の移行について大臣に伺わせていただきます。

 今、全ての政令市を含んで、予定のときまで移行が間に合わないという報道があります。私自身は、千七百の自治体で一斉に急ぐ必要よりも、まずは正確を期すこと、それから国産のガバメントクラウドも期待をしたいと思いますし、日本のデジタル力にこそ力をつける機会になるように望んでいますが、標準化に向けての進捗それから思いについて大臣に伺いたいと思います。

河野国務大臣 千七百四十一の市町村、それに四十七都道府県、合わせて千七百八十八の自治体の三万四千五百九十二のシステムがございます。この大半は、二五年度末、二六年三月までに標準システムに移行が完了できるという見込みでございますが、システムにして約二%程度が移行困難というふうに今、我々判断をして、これは二五年度末に間に合わないということになります。

 そのほかに、約一%のシステムについて、今、更に詳細を調べておりまして、それが一%ですから、全部移行困難になったとしても、全体の三万四千五百九十二の三%が二六年三月に間に合わないということになります。

 委員おっしゃるように、期限よりも、やはりこれは確実にシステムの移行をするということが大切でございますので、ベンダーの事情、あるいは自治体の様々な事情を考慮して、適切なタイミングで移行ができるようにしてまいりたいというふうに思っております。

岡本(あ)委員 申し上げましたとおり、やはりデータが伴いますので、正確性を期すること、それから住民サービスに支障がないこと、これを大前提に進めていただければと思います。

 最後に、自見大臣、済みません、時間がなくて申し訳ないです。

 トップダウンの経済やコロナを契機に中央集権的な動きが加速しているように私には見えるんです。地方創生にはやはり分権が一番必要ですし、財源もしっかり地方にお渡しをして、地域が元気になることを求めたいと思います。最後に大臣にお伺いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方分権は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図り、また、質の高い行政サービスを実現するための基盤であると考えてございます。持続可能な地域社会を実現していくためには、地方自治体の力をしっかりと生かしていくことが非常に大切でございます。

 現在、地方分権改革におきましては、提案募集方式を通じまして、毎年、地方から、現場で実際に困っている具体的な支障を踏まえた多数の御提案をいただいておるところでありまして、その解決と実現に向けた調整を行っているところであります。今国会におきましても、地方からの提案の実現を図るために、第十四次地方分権一括法案の提出を予定しているところであります。

 今後とも、地方の自主性、自立性を高めるための取組を着実に進めてまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

谷委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私からは、まず、加藤大臣に仕事と子育てと少子化対策等について伺ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 加藤大臣の御子息とうちの娘が実は同級生でございまして、同じ学びやで学ばせていただいておりまして、よく遊んでいただいて、いつも本当にありがとうございます。

 その御縁で、率直に、加藤大臣のこういう公の仕事以外の部分でお姿を拝見させていただく際に感じていることといたしましては、大臣と国会議員を務めながら母として子育てと両立すること、これはとても大変なことなんじゃないかなというふうに感じております。私も父親として、幼い娘二人を妻とともに子育てをして国会議員としての仕事を行うことは、やりがいを感じながらも、やはり大変だなと思うときもありまして、そういった中で、加藤大臣はこれに加えて大臣の公務まで務められていらっしゃいますので、とても御苦労されているんだろうなと推察をいたします。

 ただ、こうした貴重な経験をされている加藤大臣にしか分からない御苦労というのは、後進の子育て世代の政治家であったりとか子育てをしながら政治家を志す者にとっては非常に意味のある情報だと思いますので、是非教えていただきたいと思うんですが、加藤大臣は、大臣、国会議員を務めながら母として子育てとの両立をしている現状下においてどういった悩みや課題に直面をされているのか、そして、その直面をされている課題はどのようにすれば改善をしていくことができるのか、その改善策を進めていくためには、大臣自身は、どのようにロールモデルとして世の中に対して模範を示していく必要があると考えているのか、教えてください。

加藤国務大臣 まず冒頭、私も息子が大変お嬢さんたちにはお世話になっておりまして、誠にありがとうございます。委員も、小さなお子さんをお育てになられながら議員活動をされておられて、本当に頑張っておられると心から敬意を表したいと思います。

 子育て、子供はやはりいとおしい存在ですし、おっしゃるとおり、子育ては大変やりがいに満ちあふれたものでございます。一方で、本当に、子育て世帯、我々はみんな必死に頑張って、そして、共働きの御家庭も、また、お仕事と子育てを役割分担されている御家庭も、それぞれの大変さがあるんだろうというふうに思っております。

 みんな頑張っているからこそでありますけれども、私自身も、自分は駄目な親なんじゃないかなと思う瞬間が多々ありますし、部屋はあっという間に散らかりますし、こんなこと、こういった悩みを人に頼っていいのかとか相談をしてもいいのかとか、みんな頑張っているんだから、自分だけじゃないんだからと思えば思うほど、なかなか周りに相談をするのに勇気が要る、あるいは人の手をかりることに勇気が要る、これ自体が、ある意味悩みかなというふうにも感じております。

 一方で、それを通じて、自分自身のその体験や経験を基に、子育て経験者の方々の御苦労に思いをはせながら、それを施策ですとか運用にしっかり反映させていきたいな、生かしていきたいな、このようには思っておりますが、その中で、是非とも、私自身は、自分自身も周りの人の助けをかりながらですとか、あるいはいろいろな支援を受けながら頑張っているということを、もがいているところをあえてお示しをしながら、周りの子育て世代で悩んでいる方々も是非周りの人に相談をしていただきたい。それから、いろいろな施策やいろいろな支援があるということを是非とも知っていただきたい。こういう思いで、政府として子育て支援等々、取り組んでまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 率直な思いを共有いただきまして、ありがとうございます。

 大臣のお姿を見ておりますと、本当に大変そうだなと私自身も見ていて感じることがございまして、うちも私と妻が共働きなものですから、妻の母にうちに来ていただいて娘の世話を一緒にしていただくようなサポートをしていただいたりとか、そういったことをしながら何とか、私自身ももがきながら、国会議員と子育ての両立をしている現状があるんですが。

 私たち世代は、少なくとも、自分たちも苦労したからみんなも頑張りなさいじゃなくて、僕たちが苦労したことを、後進の政治家であったりとか後進の子育て世代にその負担を残さないようにどう改善していくのかということがやはり求められていると思いますので、大臣にはその範をしっかりと示していただいて、ロールモデルとなるような活動を是非お願いできればと思っているんですが、それについての御感想をいただければと思います。

加藤国務大臣 本当におっしゃるとおりでございまして、我々世代は、特にもっと上の世代は、本当に御苦労を、まさに絵に描いたような両立をされてきたと思います。

 私自身は、我々は今過渡期にあるというふうに思っておりまして、もがき苦しみながらも、でも、やはり楽しい、やりがいがあるんだということ、そして、これからは社会みんなで支えていく、子育て世帯を支えていく、そういう社会にしていくんだということを示しながら、若い世代が希望を持って子供、子育てに、そして両立もできるようにしていけるように努めていきたいと考えております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 与野党、山の登り方は違えど、日本をよりよくしたいという思いは共有していると思っています。その中で、やはり、共に、チルドレンファースト、子育てフレンドリーな社会をつくっていきたいという思いは共有させていただいていると思っておりますので、今後、切磋琢磨しながら頑張っていければと思いますので、よろしくお願いします。

 ここからは、少子化対策について入らせていただきたいと思います。

 こちら、資料を配付をさせていただいておりますが、そもそも人々はなぜ子供を持つのかという問いに対して、関東学院の吉田千鶴教授によれば、経済学ではこの問いに対して、人々がより幸せになれるよう、子供を持つか否か、持つとすれば何人かを決定すると答えるとしています。

 ここで言う幸せについて、経済学的な視点では、子供を持つ喜び、物質的豊かさ(消費量)、余暇時間量(好きなことに使える時間)の三つで構成されます、人々は自らの嗜好に基づき、最も幸せになれるよう、子供の数、労働時間量、余暇時間量を決めますが、活動可能な時間が有限である以上、三つの構成要素を同時には増大させられないと説いています。

 労働時間を増やしてより多くの所得を得れば消費量を増やせますが、余暇時間は減ります、所得が増えれば子供のための支出を増やせますが、子育てに使える時間が減ります、そのため、持てる子供の数には限界があるということですが、まず、こうした考え方について政府としてはどのように捉えているのか、教えてください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 御紹介をいただきました学説を拝見しますと、妻の幸福度には余暇時間が影響しており、子供が生まれたときに妻の余暇時間が大きく減らなければ妻の幸福度の低下を抑制できるため、夫の家事、育児への参加が重要とされていると承知をしてございます。

 これに関して、今般の加速化プランにおきましては、共働き、共育ての推進を大きな柱の一つとして掲げております。

 政府としては、育児休業取得の促進を図るほか、柔軟な働き方を実現するための育児・介護休業法等の改正法案を今国会に提出するなど、仕事と子育ての両立支援に向け、様々な取組を進めているところであり、引き続き全力で取り組んでまいります。

中谷(一)委員 私も、第一子が生まれたときに男性の育休を取得をさせていただいたんですけれども、そのときは、四年ぐらい前でありましたので、まだ男性、しかも政治家が育休を取るということが余り世間の中でも是とされているような時代ではありませんでした。

 しかしながら、月日がたって、今もう四年たつと、そういったことを言う方というのは非常に減ってきておりまして、これが更に五年、六年たちますと、男性が育休を取っちゃ駄目だなんということを言っていた人がいたんだねという時代に、どんどん時代というのはこんな感じで移り変わっていくものだと思うんですね。

 コペルニクスが天動説が主流の時期に地動説を唱えたように、エポックメイキング的な、百八十度価値観が変わるというのはいつの時代でも起こるわけなんですけれども、そういったことを、その先進的な取組、必要なことというのを、ぶれずに、やはり僕たち若い世代は、異端であったとしても、それを推し進め続けることが十年後の常識、未来のスタンダードをつくることにつながるというふうに思いますので、大臣には、まさにそういったことを体現するような政策を講じていただきたいということを思うわけなんですけれども。

 その中でも、残念ながら、今、子供を持てない理由の断トツの最多が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからということになっておりまして、結婚はぜいたく品、子供は嗜好品、近頃こんな言葉を見受けるようになりました。私自身も長く貧困家庭で生活をしておりましたので、その気持ちはよく理解できるわけでありますが、やはり私自身も、現在、二人娘がいるんですけれども、我が家でも実は三人目が欲しいという話はするんです。するんですが、やはり資金面での不安であったりとか職の不安定さ、こうしたものがネックとなりまして、なかなかその一歩を踏み出せないという現状が我が家でもございます。

 こうした中で、少子化対策に力を入れている諸外国の状況からうかがえる我が国に必要なインプリケーションは、私自身は、少子化対策は総合政策であるという認識を持って、持続性のある政策で若い世代の経済や雇用の状況を改善することを目指して、家族向けの社会支出の増額を行い、絶えず、よりよい未来を提示することが不可欠だと認識をしておりますが、政府は、どのような支援を行えば、私たち若者世代、子育て世代が希望する数の子供を産み育てることができる環境をつくれると考えていますか。教えてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども未来戦略におきましては、子供、子育て政策を抜本的に強化していく上で乗り越えるべき課題として、若い世代が結婚、子育ての将来展望を描けないこと、子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境があること、また、御指摘のとおり、子育ての経済的、精神的負担感が存在することの三点が指摘をされております。

 これらを踏まえまして、加速化プランに基づき、今後三年間の集中的な取組として、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化ですとか若い世代の所得向上に向けた取組、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き、共育ての推進、子供、子育てに優しい社会づくりのための意識改革に取り組むことにより、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てができる社会を実現したいと考えております。

中谷(一)委員 ドイツでは、まさに総合政策をしっかりと強化していくことが必要だということで、現金だったり現物の給付、適切なバランスと総額の積み増し、賃上げ、働く世代へのサポート、これを同時並行的に進めています。そして、ハンガリーでは、家族政策に二〇二二年度予算でGDP比の六・二%を充てるということで、これこそ、本当の意味での異次元の少子化対策だなというふうに感じております。

 日本においても、先ほど岡本あき子議員からもお話がありましたが、対GDP比一・七%程度から二・四%、もちろん上がっていくのはいいことなんですけれども、やはり三%を超えるぐらいの水準には最低限していただかないと、異次元とはまだほど遠い現状があると思いますし、今のプランも、やはり私自身は、出産費用の無償化であったりとか教育の無償化、子供の給付はやはりもっと拡充をして、子供、子育て世代への支援の強化、これを行っていただくことで、少子化対策を、今のこの下降トレンドじゃなくてしっかりと上昇に持っていくような政策を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 出生動向基本調査によれば、理想の子供数を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという経済的理由が五二・六%で最も高く、特に、第三子以降を持ちたいという希望の実現の大きな阻害要因になっていると認識をしております。

 こうした課題を踏まえまして、加速化プランにおきまして、ライフステージを通じた経済的支援の強化に取り組むこととしており、具体的には、児童手当の抜本的拡充、出産・子育て応援交付金の制度化、そして高等教育費の負担軽減などに取り組んでまいります。

 さらに、こども未来戦略におきましては、加速化プランの実施により、一人当たりの家族関係支出で見てスウェーデン水準となることに加えて、さらに、こども家庭庁予算が約五割増加をすることを示した上で、子供、子育て施策の充実は、決して加速化プランで終わるものではなく、政策の内容、予算を更に検討し、こども家庭庁予算で見て、二〇三〇年代初頭までに国の予算の倍増を目指すとしており、今後、これに沿って検討をしてまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 私は、出産の無償化であったりとか、こういったものを無痛分娩まで含めてしっかりとやっていただきたいということを思っております。

 今、出産育児一時金の財源というのが二〇二一年度で三千五百億円なんですけれども、無痛分娩まで含めた出産費用を無償化しても、予算感は五千億円と試算をされておりまして、こういう支出は、少子化対策としても、私は、国からのメッセージとしては非常に大きな意味があると思いますので、こうした、具体的に、みんながもっと分かりやすい、ああ、こういう支援なら子供を産み育てやすい環境だなと思ってもらえるようなことをしっかりと進めていただきたいということを思っております。

 先ほども岡本議員の話でもございましたが、子供支援金制度が子育て負担金制度になっては意味がありません。やはり、月額の負担額についても、千円を超える事例がある、こういったことを踏まえますと、この異次元の少子化対策が、異次元に少子化を改善する対策でなくて異次元に少子化させてしまう対策になってしまったら本末転倒でありますので、その辺り、しっかりと分かりやすく、そして、みんなが納得できる支援体制をつくっていただくことを要望させていただきたいと思います。

 続きまして、河野大臣に質問させていただきます。よろしくお願いします。

 私からは、インターネット投票に関する様々な全般的な考え方について伺ってまいりたいと思います。

 二〇二二年の九月に、大臣、オンラインでの在外投票を実現されたいということを、次の国政選挙までにはということを述べられておりましたので、この点について伺ってまいりたいと思うんですけれども、私自身も、インターネット投票を実はライフワークでずっとやってまいりました。

 配付資料をお配りをさせていただいているんですけれども、こちら、実は、ネット投票法案を私ども立憲民主党として二〇二一年に提出をさせていただきまして、私が筆頭提出者で出したものの概要図が今大臣のお手元にある資料かと思いますが、大学院でも実はライフワークでネット投票の実現をテーマに研究を行いまして、そのときの研究が基になって作った法案でございます。

 ネット投票は、年齢や身体的な条件、離島、山間部などの地理的な制約や、感染リスクや悪天候などの外的な要因に左右されることなく、投票の自由度を広げることとなり、今の投票制度に不自由を感じている多くの人たちの不便を解消することができると私は確信をいたしておりますので、速やかに実現をしたいと思っております。

 その中で、河野大臣も度々インターネット投票の解禁に意欲を示されており、二〇二二年九月には、在外投票に関して、次の国政選挙には、できれば投票までをオンラインでできるようにしたいという旨を述べられておりますが、それから一年半たった現状、今についてはどうなっておりますでしょうか。

河野国務大臣 オンライン投票、恐らく、三つくらいの要素があるんだと思います。

 一つは、百三十万人、在外邦人がいらっしゃいますけれども、投票率、国政選挙で僅か二%でございます。それからもう一つは、様々な自治体で投票所を維持するのが極めて難しくなってきて、投票所の統廃合が進んでしまうと、かなり遠距離まで歩いていかないと投票ができない、結果として投票されない方が、高齢者あるいは障害を持たれている方など増えるのではないかという危惧。それから、若い方から非常に、マイナンバーカードを持ったんだから、オンライン投票、これでできるだろうという御意見は非常に多く寄せられておりまして、デジタル行財政改革推進会議でも、課題発掘会議でこの問題を取り上げているところでございます。

 そのうち、在外邦人のインターネット投票、これは今まで選挙人登録を郵便でやらなければいけないということで、恐ろしく時間がかかって、選挙があるんだと気づいてから申し込んだら間に合わなかったみたいなことがあったものですから、これは総務省、外務省の御協力をいただいて、オンラインで選挙人登録ができるようになりました。

 この次は、オンラインで在外の方に投票していただくところまで踏み込みたいと思っておりますが、この選挙に関する法律は議員立法でございますので、これはもう各党各会派で御議論をいただいて、是非法改正をしていただければ、総務省の方でいろいろと考えて、デジタル庁でそれをシステムに落としていく、そういうことになろうかと思いますので、これは各党各会派に是非インターネット投票ができるような法整備をお願いをしたいところでございます。

中谷(一)委員 御知見を披露いただきまして、ありがとうございます。

 私も、第五回デジタル行財政改革会議の課題発掘対話、拝見を全てさせていただきました。その中で、大臣、まさに、公選法は議員立法なので政府の方で法案の作成はできないけれども、問題点を把握し、問題の提起はできると思うという趣旨の発言をされているのと、権利の行使をできない、しにくい方がいて、それを解消するすべがあるのにやらないのは怠慢と言われても仕方ない、今日の議論をしっかりと立法府へ我々としても伝えていきたいと思っているという発言をされています。私、率直にすばらしいなと思いました。

 やはり、立法府の議員の皆さんとともに、こういうルールの改正に向けた機運の醸成ももちろんなんですが、やはり理解を深めていくということが非常に重要だと思いますので、本日も私の方から質問させていただいているのはそういう意味合いもございまして、みんなでインターネット投票とはどういうものなんだろうということを知っていく機会にしていきたいというふうに思っております。

 その中でなんですけれども、自由民主党内で合意形成を目指すということは大変なことだと思います。ただ、私たち立憲民主党の中でも、実はこの議論は三年かかりました。平場で三十回やりまして、その中で、各議員の懸念点、システムダウンや不正投票などの問題点に対して、解を研究して、その内容を詰めて丁寧に答え続け、党内の理解を深めた結果として、ネット投票法案の提出に至りました。

 そして、この法案は、国民民主党や日本維新の会とも共同提出をしてきた経緯がありますので、与党自民党がやると言っていただければ、明日からでも実施に向けた具体的な作業を進められると私どもは考えておりまして、政権与党内でネット投票の合意形成、これを是非目指していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 自民党は、逢沢一郎選挙制度調査会長、岩屋毅会長代理ということで、私もお二人にはこの話はしてございますので、自民党の中でもしかるべきタイミングで議論が始まると思いますし、また、公明党の方にもお話をしているところでございますので、与党の方も遅れずに議論をしていただけるというふうに考えているところでございます。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 是非、与党内でも議論を進めていただき、与野党しっかりと力を合わせて、このネット投票、特に在外の投票に関しては、もうシステムもございますので、私は実装ができると思いますから、進めていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いします。

 そして、次の質問でございますが、デジタル行財政改革の観点から、ネット投票を導入したときにはどのような行財政改革効果が出るのかということを示すことも、私自身は非常に有用であると考えておりまして、二〇一八年にタリン工科大学の五人の研究者によって発表された論文では、こちら、一票当たりのコストがユーロで計算をされています。一ユーロ当たり百六十円で日本円に交えて計算をしますと、ネット投票は二・三二ユーロ、約三百七十二円、比較的国の中心部に近い投票所における投票日の投票は四・六一ユーロ、約七百四十円、比較的国の中心部に近い投票所における事前投票は六・二四ユーロ、約千一円、国の一般的な投票所における投票日の投票は四・三七ユーロ、約七百一円、比較的国の中心部から距離のある地方の投票所における事前投票は二十・四一ユーロ、約三千二百七十六円となっており、インターネット投票が非常に安価であることが分かります。エストニアでは、インターネット投票の利用者が五一%となっており、経費も五割程度減ったと伺っております。

 現在、日本の国政選挙でかかっている費用は、二〇一九年の参議院選挙では、執行経費に臨時啓発費を加えたコストが約五百七十一億円、二〇二一年衆議院選挙では、執行経費に最高裁判所裁判官の国民審査に要する経費及び臨時啓発費を加えたコストが約六百七十八億円、衆参合わせた国政選挙でかかったコストが約千二百五十億円。仮にこれを五割削減できたら、六百二十五億円の削減となります。これに四十七都道府県と約千七百の市区町村における費用の削減もできれば、更に大きな行財政改革効果額となります。

 こうした試算を、デジタル庁、総務省、政府の皆さんでしていただいて、しっかりと公表をしていただけたならば、国民理解も深まり、与党内での議論も合意形成が得られやすくなるんじゃないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 各党各会派の議論を踏まえて、総務省の方で様々試算が行われることと思います。

中谷(一)委員 大臣、それは、デジ庁としても、デジタル行財政改革の観点としては、こういった財政効果額の検証というのは意味のあることだという理解でよろしいでしょうか。

河野国務大臣 今の時点では、コストについて特に議論をしているわけではございません。むしろ、投票をいかに便利にやっていただけるようにするか、そういう視点でやっているところでございます。

中谷(一)委員 もちろん、投票をどう便利にするかという視点が一番、一丁目一番地、大事な部分であります。憲法に保障されている参政権をどう守っていくのかという議論が大事でございますが、行革の担当大臣でありましたので、こういった観点も非常に重要じゃないかなと思いましたので、提言をさせていただきました。是非前向きに検討していただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 デジタル行財政改革推進会議としては、利便性の方から議論をしているところでございます。

中谷(一)委員 堅いので、これ以上はやめておきますけれども、大臣、財政効果額はやはり非常に重要な観点だと思いますので、もし行革を進めていただける気があるのであれば、是非御検討をいただければと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、再投票方式に対する大臣の見解を教えていただきたいと思います。

 インターネット投票で、エストニアでは再投票方式が導入をされておりまして、成り済ましや投票干渉を防ぐ目的として使われておりまして、立憲の案でも、実はこれを導入をさせていただいております。大臣としてはこの考え方をどのように思われているか、教えてください。

河野国務大臣 選挙、インターネット投票については、これは各党各会派で御議論いただくものと承知しております。

中谷(一)委員 時間が参りましたので、この辺りで終わらせていただきますが、ネット投票については、まだ盛りだくさんに一緒に検討したいことがございますので、また折を見て取り上げさせていただきます。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、加藤大臣に、私も、子ども・子育て支援金についてお伺いをさせていただきます。

 当該支援金制度の徴収額、様々話題になっておりますけれども、政府の粗い試算として、国民一人当たり月額約五百円弱、これは令和十年度段階ということで、こういった説明ですとか、また、過日の我が党の中野洋昌衆議院議員の質疑に対しまして、大臣の方からも、この支援金による給付の拡充の額、これは、児童手当の拡充分ですとか、あと、こども誰でも通園制度など、この支援金を充てる給付拡充の額というのは、子供一人当たりで約百四十六万円、こういった御説明を頂戴をしております。

 その上で、こういった議論も続いておりますので、私は、そろそろ平均値から脱却をして次のフェーズに行く、そういった段階も迎えているのではないかというふうに思っております。

 私も党の会合とかでも、我々も、これは何も指摘をするというよりかは説明をしていきたいと思っております。国民の皆様に真正面から説明をしていきたいというふうに思っておりまして、例えば、中小企業あるいは大企業の労働者、あるいは自営業者や年金生活者といった具体的なモデルケースを示していただいて、国民お一人お一人が自分の立場に置き換えて捉えやすいような説明というのが今後重要なんだろう、このように思っているわけでありますけれども、大臣のお考え、御見解をいただきたいと思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子ども・子育て支援金の拠出額につきましては、支援金総額が一兆円となる令和十年度において、加入者一人当たり月五百円弱と申し上げてきたところでございます。その具体的な拠出額につきましては、加入する医療保険制度、所得の多寡、世帯単位か個人単位か等によって異なることとなります。

 今後の賃上げ効果など、様々な仮定の置き方について更に精査をした上で、遅くとも法案審議に間に合う形でお示しができるようにしてまいりたいと思います。

河西委員 是非よろしくお願いいたします。

 その際は、国民健康保険あるいは後期高齢者医療制度によって低所得者に対する軽減措置がございますし、また、国民健康保険においては、十八歳以下の支援金の均等割分、これは十割軽減をしていただく、こういった措置もしっかり伝わるような丁寧な御説明をお願いをしたいというふうに思っております。これは要望のみにとどめさせていただきます。

 この支援金制度は、創設に当たって、今後、健康保険法を改正するというふうに伺っております。これは厚労省に伺いますけれども、一般保険料とそして介護保険料とは別に、新たに、これは仮称でありますけれども、子ども・子育て支援金率がこの保険料率に位置づけられる、こういうふうに承知をしております。この新たな保険料率というのがいかような考え方で設定されるのかということが非常に大事なんだろうと思っております。

 令和十年度までの六年間で社会保険負担の歳出改革、これは便宜上ちょっとプラマイで言わせていただきますけれども、保険料負担の歳出改革をマイナス一兆円分行った上で、新たに、今申し上げた子ども・子育て支援金率を保険料率に加えて、加速化プランに必要なプラス一兆円を徴収をすると。つまり、マクロではプラマイ・ゼロですので実質負担なし、社会保障の国民負担率は上昇しない、こういう御説明を政府からいただいてまいりました。

 その上で、その理由に、今申し上げた歳出改革に加えて、賃上げというファクターが昨年の下半期ぐらいから加わってまいりまして、ここが非常に我々も説明に苦慮しておりまして、ちょっと分かりにくいというお声をいただいております。

 まず、確認でありますけれども、政府は、歳出改革一兆円を行う六年間のうち最初の二年間、つまり令和五年度及び六年度は薬価改定を中心に〇・三三兆円分の歳出改革で社会保険負担を軽減をしている、こういう御説明であります。一方で、いただいた御説明では、ここに、この〇・三三兆円に算入されていない追加的な社会保険負担があるというふうに伺っております。

 この項目と額、また算入しなかった理由、これも含めて厚労省の方に御答弁をいただきたいと思っております。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 支援金制度につきましては、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担軽減効果を生じさせまして、その範囲内で構築していくことにより実質的に負担が生じないこととされておりますが、今御指摘のございました点についてお答えしますと、令和五年度、六年度の予算編成では、薬価等改定による医療費縮減等の歳出改革により保険料負担が三千三百億円軽減されたわけでございます。

 その際に、御指摘のございました追加的な社会保険から控除するもの、これについても併せて公表しておりますが、その内容は、一つは、政府が総力を挙げて行う賃上げの取組の一環として必要となる報酬改定での医療、介護における現場従事者の賃上げ措置として二千百億円、また、前期財政調整の報酬調整の導入、介護一号保険料見直しといった、全世代型社会保障改革の観点から行う、負担能力に応じた負担を求める等のための措置として千三百億円、計三千四百億円となってございます。

 これらは、こうした賃上げの取組等によりまして雇用者報酬の増加率が上昇することを通じて生じる社会保険負担軽減効果も踏まえまして、控除することとしたものでございます。

 今後も歳出改革の取組を継続して、令和十年度までに約一兆円の保険料負担の軽減効果をしっかりと積み上げてまいりたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 医療・介護従事者の賃上げは非常に大事であります。これに二千百億円、また、全世代型社会保障の構築を目指す制度改革、これに対して千三百億円、計〇・三四兆円、これは追加的な社会保険負担からは、考え方としては控除したということであります。これは、賃上げ、そして少子高齢化を見据えた持続可能な制度改革ということで、そういった考えから控除をしているということであります。

 ただ、国民にとっては当然社会保険負担であることには変わりはないわけでありますが、そこでどう考えるかということで、社会保険料で見た国民負担率というのは、分子は社会保険負担で考えられ、そして分母は雇用者報酬、またその伸びで考えれば、相殺をできる、あるいは許容できると。ここが多分余り伝わっていないというふうに私は思っているわけであります。

 この論点について伺いますけれども、政府として、直近の雇用者報酬の統計を踏まえると、令和五年度及び六年度の社会保険負担について、名目でどこまで相殺、要するに許容ができるのか、国民負担率を維持できると試算をしているのか、これは定量的にお答えいただきたいと思います。

 また、あわせて、令和七年度から十年度までの四年間においても、歳出改革と雇用者報酬、いわゆる賃上げ、これを軸に国民負担率を据え置く、こういった方針は変わらない、こういう見解でよろしいか、御答弁をいただきたいと思っております。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、支援金制度の構築に当たって重要なのは社会保障負担率であると考えておりまして、この点、歳出改革と賃上げによりまして、この負担率を増加させないことを目指しております。社会保障負担率の分母は国民の所得でございまして、賃上げによって雇用者報酬の伸びが高まれば社会保障負担率の軽減につながるということで、先ほどのような控除に関しての御説明になったわけでございます。

 先ほど申し上げた、控除した医療従事者の賃上げ加算等の制度改革分については、この令和五年、六年度における賃上げ、これは政府経済見通しによる雇用者報酬の伸びを前提として、一定の仮定を置いて試算をすると約六千億というふうに見込んでおりますけれども、これによりまして、こちらの方が十分、三千四百億円を大きく上回るという状況だというふうに想定をしております。試算をしております。

 その上で、令和七年度以降につきましては、これも繰り返し国会等の場で政府側から答弁させていただいておりますように、徹底した歳出改革を基本といたしまして、実質的に負担が生じないという状況を実現できるようにしっかりと取り組んでまいることで、歳出改革と賃上げによる社会保障負担率を増加させないということの実現を図ってまいりたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 今、六千億という定量的な御答弁がありました。いわゆる令和五年度及び六年度は、見込みでありますけれども、雇用者報酬の伸びが六千億で見込めるので、先ほどの控除、最初は控除ということで、途中から許容するんだというお考えでありますけれども、この三千四百億円は許容ができるということで、ですので、これはまさに春闘、いよいよ本格化しますけれども、持続的な賃上げ、また、これはあくまでマクロ的な、国民負担率というのはマクロでしか語れない話でありますので、やはり、我が党としても重点的に取り組んでいる中小企業の賃上げ、これは非常に大事になってくる。これは引き続き自覚をしながら取り組んでいきたいということを申し添えさせていただきたいというふうに思っております。

 残り四分少々いただきまして、少しちょっと話題を変えて、関連して高等教育の無償化について、政府の姿勢をお伺いをしたいと思っております。

 その上で、確認でございますけれども、少し堅い話になるんですが、今議論させていただいた子ども・子育て支援金でありますけれども、これは社会保険のスキームを通じて今回は行います。

 社会保険というのは、本来、対価性というものを有しているわけであります。保険料の拠出に応じて受給権が発生する、こういった考え方であります。従前の児童手当の財源等にも活用してきた子ども・子育て拠出金というものもございましたが、これと同様、支援金も、法的性格としては、学説やあるいは司法の立場から、租税の性格ということもあるんじゃないか、こういった指摘もあり得ると思います。

 その上で、今回は、この子ども・子育て支援金は、租税ではなく医療保険のスキームを使って徴収をすると御判断をされたわけでありますけれども、対価性の観点から、この子ども・子育て支援金の法的性格、これはいかに説明をされるべきか、どのように考えているのか、御答弁をいただきたいと思っております。

熊木政府参考人 お答えいたします。

 まず、社会保険制度というものは、社会連帯の理念を基盤にして共に支え合うという仕組みでございます。支援金も、こうした連帯の理念を基盤といたしまして、子供や子育て世帯を少子化対策で受益がある全世代、全経済主体が支える仕組みでありまして、支援金は保険料と整理されるというふうに考えてございます。

 対価性の議論でございますが、現行の公的医療保険制度におきましても、病気やけがの治療に限らず、出産や死亡に関する給付など幅広い給付が設けられてございます。また、後期高齢者支援金など、世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれております。こうしたことで給付と負担の関係は様々であると承知をしてございます。

 また、少子化、人口減少に歯止めをかけるということは、将来の医療保険制度の担い手の育成を支援し、その持続可能性の確保に資するもの、あるいはその存立基盤を強固にするものであるということでございます。したがいまして、医療保険制度、ひいては被保険者にとって受益となるものと考えてございます。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 当該支援金制度は、少子化また人口減少に歯止めをかけて、そして担い手を維持をする、そして医療保険制度の存立基盤を強固にして、ひいては、当然、これは被保険者に重要な受益をもたらしていくということでございました。そこに対価性を認めるということであります。

 ですので、私は、このお話を伺って思ったのは、今回の支援金制度を含むこども未来戦略、まさに少子化に明確な結果を出していくということが、この政策の整合性を維持する上でも非常に大事なんだということでございます。

 そこで、最後、大臣にお伺いをいたしますけれども、昨年二月のこども政策の強化に関する関係府省会議で中京大学の松田茂樹先生がお示しになった資料、非常に私、参考とさせていただきました。その中に、効果の高い少子化対策の一つとして、ビネット調査による少子化対策が有配偶女性の追加出生意欲に与える効果ということで、こういったグラフがあります。その中で、全世帯対象、すなわち、所得制限なしの大学の入学金及び授業料の軽減、これを効果の高い少子化対策として指摘をされております。

 我が党も、公明党も、昨年五月、国の仕組みとして、高校、大学の授業料の無償化を二〇三〇年までに段階的に実現すべきと御提言を申し上げたところであります。政府は、二〇二五年度から、加速化プラン財源の三・六兆円のうち、既定予算二千六百億円を使われて、多子世帯から大学等の入学金及び授業料の無償化をされると承知をしておりますけれども、これは当然、少子化対策としてはまだまだ道半ばという、そういったお考えなんだろうと思っております。

 先ほど申し上げたように、少子化対策に明確な結果を出すことは、政策の整合性ということもそうですし、何より、国民に、日本の未来、将来にとって安心と希望をもたらす、そういう意味で非常に重要だというふうに思っておりまして、私は、この高等教育の無償化は今後更に加速をさせて重点的に取り組むべきだというふうに考えているわけでありますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 加速化プランにおきましては、高等教育費の負担軽減に向けて、御指摘の多子世帯の学生等の授業料の無償化のほか、貸与型奨学金の月々の返還額を減額できる制度の収入要件等の緩和、修士段階の授業料後払い制度の導入などを盛り込んでおり、まずは、これらの施策を所管の文部科学省と連携し、実行に移してまいりたいと考えております。

 その上で、こども未来戦略では、加速化プランの実施状況や効果等を検証しつつ、高等教育費の負担や奨学金の返済などが少子化の大きな要因の一つとなっているとの指摘があることを鑑み、奨学金制度の更なる充実や授業料負担の軽減など、高等教育費の負担軽減を中心に適切な見直しを行うこととしており、これに沿って関係省庁と連携しながら、しっかり取り組んでまいります。

河西委員 ありがとうございました。

 私は、教育にお金のかからない社会、これを実現してこそ少子化対策は異次元になるんだろう、このことを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 旧優生保護法一時金支給法に基づく一時金の請求と支給件数が伸び悩んだまま、四月二十三日で請求期限を迎えます。資料の一枚目に概要ペーパーをつけておきました。私も議連のメンバーとして立法化に携わってまいりましたので、本当に苦しく思います。

 当時、請求期限そのものをなくすべきとの意見もありました。しかし、むしろ五年と区切ることで、なるべく早く届けたいという思いがありました。また、五年後の見直し規定を書くことで、例えば、支給金の水準や配偶者など支給対象者の範囲、そして名簿で把握できている方に直接通知すべきではないかなど、当時は議論にはなったんだけれども合意できなかった論点も含め、五年間の施行状況を見ながら必要な見直しも検討するとしたものでありました。

 優生保護法の訴訟は、全国十二地裁、支部に二十件提訴され、現在、最高裁、三つの高裁、九地裁、支部において係争中ですが、旧優生保護法が憲法違反であることに争いはなく、判決が分かれているのは、公訴時効を適用するかどうかだと思います。既に、原告のうち五名が死亡されています。皆さん、御高齢になっております。

 少なくとも、政府が把握している約二万五千人の強制不妊手術が実施されたにもかかわらず、一時金が支給されたのは、令和六年一月末現在で千八十四件にすぎません。このまま終わりにすることはできないと思います。

 法律で一時金としたのは、裁判が勝訴したり、損害賠償の支払い命令が出た際に、一時金支給法に基づく給付分が控除されるというようなことではなく、性格の違うものだということを明確にしたものだと思います。

 一時金の支給には時効はありません。本来、裁判に影響されるものではないわけですが、残念ながら、与党は、最高裁を待つということで、慎重姿勢を崩しませんでした。しかし、それでは時間がかかり過ぎます。こうした点で、期限を延長すること、そして、延長してもっと多くの方に請求していただけるように特別な相談支援などを検討するべきと思います。

 加藤大臣には、この問題で初めて質問しますので、是非率直に、この優生保護法の問題、どうお考えなのか伺いたいと思います。そして、政府としても、期限を延長し、一時金を受け取る資格のある人全てに届くための特別な手だてを取るべきと考えますが、御意見を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術を強いられた方々に対しましては、平成三十一年四月二十四日に、議員立法である旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律が成立した際、内閣総理大臣及び厚生労働大臣からそれぞれ真摯な反省と心からのおわびを表明をしており、政府のこうした立場は今も変わりはございません。

 こうした経緯を踏まえまして、政府としては、できるだけ多くの優生手術等を受けた方々に一時金を請求していただくために、様々な機会を捉えて周知、広報や相談支援を行うほか、障害特性を踏まえた、手話、字幕付動画等の作成、配布もしているところでございます。

 また、こども家庭庁が設置する旧優生保護法の一時金相談窓口では、御事情をお聞きした上で具体的な請求窓口を御案内するなど丁寧な対応を心がけており、請求窓口を設置する都道府県に対しましても、障害のある方への配慮等も含めて、請求者が相談や請求をしやすい、そんな体制の整備について依頼をしているところでございます。

 引き続き、周知、広報を推進するとともに、申請者の皆様に寄り添った丁寧な相談対応を通じて、一時金の着実な支給が進むよう全力を尽くしてまいります。

高橋(千)委員 周知徹底や丁寧な相談対応というのは、この五年間も一応目指してきたわけでありますね。

 ですから、私がお話ししたのは、当時は議論が分かれたわけですけれども、政府自身が把握している人がいると。例えば、今回であっても、千八十四件が認定をされたわけですけれども、審査が不要となっている、もう審査する必要がない、政府として分かっている人が、そのうち百三十件いたわけなんです。これが、いわゆる二万五千のベースでいきますと、もっともっといるはずなんだ、そういう方たちにやはり時間を惜しんで一刻も早く通知するべきじゃないか。もうこういうことが今表面化していると思うんですね。それをやっている自治体もあるのは承知していると思います。

 また、当時、いろいろな相談、議論をする中で、弁護士さんなどが、自分たちが、その橋渡し役というんでしょうかね、相談役としても力になってあげたいということを表明していただきましたので、やはり、そういうことを、もっと踏み込んだ対応をしていただきたいということを重ねてお願いしたいと思うんです。

 昨日も、名古屋地裁で原告勝訴の判決が出ました。夏には、最高裁の大法廷が開かれ、統一見解が示されることになります。

 国会の責任も問われています。今日、議員立法でこの延長ということが話題に上ると思うんですが、どうか大臣におかれましても、原告と直接会い、訴えを聞いて、また、踏み込んだ対応をしていただきますように、重ねてお願いをしたいと思います。今日は指摘だけにとどめます。

 次に、子ども・子育て支援法の改正案が提出されたわけですが、子ども・子育て支援納付金については、衆参の予算委員会でも、まあ本日もそうですが、大きな争点となり、衆議院の中央公聴会では、与党推薦の参考人も含めて、撤回すべきだとか、反対ですと明確な意見も出されたところであります。

 資料の二は、こども未来戦略の加速化プラン、三兆六千億円の施策の中身であります。加速化プラン、三兆六千億円は、加速化プラン完了時点での所要額と書いてあります。単純な質問で恐縮ですが、それは二〇二八年度ということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 加速化プランの予算規模は、各年度の予算編成を通じて決定されていくこととなりますが、現時点の見込みでは、全体として三・六兆円程度の充実となると考えております。

 少子化対策のラストチャンスを逃さぬよう、その大宗を今後三年間で実施するとともに、二〇二八年度には加速化プランの実施を完了させ、その予算規模が三・六兆円に達するよう取り組んでまいります。

高橋(千)委員 二〇二八年度ということが確認をされました。

 資料の三枚目を使って少し進めたいと思うんですけれども、今、短い答弁の中でも、各年度の予算編成でというお話がありました。

 これは、予算編成の中で所要額が積み上げられて、そして、ここに書いてあるような、既定予算の最大限の活用ですとか、歳出改革の徹底ですとか、様々なことがあり、かつ、関係者ともよく意見を聞きながらという、幾つもの段階を踏んでいくんですね。それで、二〇二八年度までかけて三兆六千億円になるであろうということで、大変この制度設計が複雑なパズルのようになっている。何でこんなにも複雑にしてしまったのかと、正直言いたいと思うんですね。

 少しずつ聞いていきたいと思うんですが、まず左の方です。加速化プランの財源の基本骨格の中で、既定予算の最大限の活用一・五兆円、歳出改革の徹底で二・一兆円、そのうち一兆円が、子ども・子育て支援納付金を創設するんだけれども、それが満額になるまでは、特例公債、つなぎ国債を発行するとなっています。

 それで、まず、既定予算の最大限の活用、これは、現在、厚生年金の保険料徴収のルートで子ども・子育て拠出金、これは事業主のみ〇・三六%なわけですが、児童手当に既に使われているわけですよね。今回の既定予算というのは、この子ども・子育て拠出金のほかに、どんなものを想定しているんでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の既定予算の最大限の活用等といたしましては、御指摘いただきました子ども・子育て拠出金、これ以外にも、例えば育児休業給付のための雇用保険料などの保険料等の財源、それから社会保障と税の一体改革におきます社会保障充実枠、これを改めて精査をいたすことによる財源、これを活用することとしております。そして、二〇二八年度までに、全体として一・五兆円程度の確保を図るということとしていると承知をしてございます。

高橋(千)委員 後ろの方で通告しているんですけれども、ちょっとここで聞いておきたいんですが、今の既定予算の最大限の活用の中に、インボイスによる消費税税収、これはフルで、年間であると二千四百八十億円くらいと言われておりますが、これも入っているという理解でよろしいでしょうか。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 そのように理解をしてございます。

高橋(千)委員 それ自体が非常に問題があると私は思っていますが。

 それで、続きまして、資料三の囲みの中にあるように、既定予算の最大限の活用を行うほか、二〇二八年までに徹底した歳出改革を行い、それによって得られる公費削減の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用するとあるわけですね。それで、二つ目には、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、実質的な負担が生じないこととすると。非常にたくさんの要素が入っている。

 それで、最初にこの答弁を聞いたときに、単純に、賃上げが進まないと加速化プランはやれないという意味なのかな、そう思っちゃったんですね。そのくらい分かりにくい。それから、批判が集まるのも、そうした金額が多い少ないとか、中身以前に、なぜそうした幾つもの条件を並べ立てて複雑な制度にする必要があったのかということなんです。逆に言うと、これだけ必要なんだったら、その分その予算をこういうふうに、負担増にしないとか、差引きゼロですとか、そういう話ではなくて、こういうふうに必要なんですというちゃんとした説明をするべきだ、そう思うんです。

 それで、歳出改革の徹底は社会保障改革の工程表によるといいます。最近も、出生数が過去最低であったと報じられたばかりです。少子化対策は、若年人口が急激に減少する二〇三〇年度までがラストチャンスだと政府は言っているわけです。それで、このため、政府としても、若者、子育て世代の所得向上に全力で取り組むと言っています。

 では、質問しますが、この加速化プラン、こども未来戦略、国を挙げて取り組むと言っているわけですよね。それをなぜ、社会保障改革の中でのみ、やりくりをするんでしょうか。内閣官房に。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 今般の少子化対策は、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という従来の社会保障の構造を転換し、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合う全世代型社会保障の構築に向けた柱の一つとなっております。

 今般の少子化対策のための財源確保に向けた歳出改革、今御指摘いただいたことにつきましては、こうした全世代型社会保障の考え方を踏まえまして、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略におきまして、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程における医療、介護制度等の改革を実現することを中心に取り組むこととされているところでございます。

 なお、社会保障関係費以外の経費を対象とする歳出改革につきましては、防衛関係費が非社会保障関係費であることを踏まえまして、防衛力強化のための財源として整理されているものと承知をしております。

高橋(千)委員 今はっきりとお答えになったと思うんですね。

 全世代が支え合う社会保障だといって、全世代型社会保障改革の報告書には、この少子化を克服できるかどうかが国の存亡に関わる問題だとはっきり書いているんですね。国の存亡に関わる問題なのにどうして社会保障のやりくりだけなのかと聞いたら、いやいや、社会保障予算以外は防衛力強化に使うからだと。これはちょっと驚きの答弁だと思うんですね。国を守ることと子供たちの未来を守ることは同じだと、岸田総理がいつぞやおっしゃいました。これは突っ込みどころ満載過ぎて、国を守るどころか、殺傷能力のある武器を外国に輸出するとか今言っているわけですね。

 つまり、防衛どころか、攻撃に国がシフトしようとしている。一方では、そのための予算として国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金の流用や復興財源の流用から商工中金の積立金まで、ありとあらゆる流用で社会保障も傷つけているじゃありませんか。違いますか。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 申し上げましたように、今回の少子化対策は全世代型社会保障の構築の一つの柱ということになっておりまして、その中には、医療、介護の改革を行うこともセットで書かれているところでございます。

 そうした考え方、防衛財源の話につきましては直接私は担当でございませんのであれなんですけれども、あくまでも、その社会保障の在り方を全世代型に転換していく、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合うという考え方に沿って少子化対策の財源をしっかり確保し、一方で、医療や介護の改革も進めていくというものと考えております。

高橋(千)委員 到底答弁にはなっていなかったと思いますし、国民も納得できるものではない、このように思います。

 それで、今年一月十九日の社保審、社会保障審議会医療保険部会では、支援金ということは結局はお金が出ていくわけで、被保険者の追加負担になるのではないかとか、どうして税金ではなくて医療保険の仕組みを通じて財源を求めるのかという意見とか、社会保障改革の中で一兆円を生み出しますよという議論に医療保険部会も関わるならなかなか大変だ、こうした意見が噴出しています。当然だと思うんですね。

 それで、政府の説明とすれば、例えば利用料が二割負担のところを三割負担にすれば、保険者は、これまで八割給付していたものが七割に減るわけで、そういう意味で公費が減るんですよと説明しているんだと思うんですね。だけれども、この委員の中には、例えば薬価が安くなって自己負担分も安くなりますよといったって大した額じゃないよ、せいぜい薬価くらいでしょうというふうな指摘がありました。一方で、医療の負担増というのは命に関わる問題なんだという指摘もあったんです。

 改革の工程表には、入院時の食費の見直し、生活保護の医療費扶助の適正化、更に過激なのは、生活保護については医療保険、介護保険へ加入することも検討する、つまり、医療扶助をなくしてしまうという意味ですよね。介護保険は、ケアマネの有料化、利用者負担二割、三割の見直しなどが盛り込まれていますが、これらは負担増そのものじゃないでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘がございました項目を含めまして、昨年末に閣議決定された改革工程におきましては、これから生まれる将来世代を含む全ての世代にとって安心できる社会保障とするために、将来にわたって社会保障制度を持続させる観点や、あるいは、年齢に関わりなく全ての国民の皆さんがその能力に応じて負担し支え合うことによって、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障がバランスよく提供されることを目指す観点から、社会保障制度の改革や、あるいは、これらを通じた歳出の見直しに取り組むこととしております。

 この改革工程の中には、今御指摘のございました入院時の食費の見直し、あるいは医療、介護の窓口負担、これにつきましては一定以上の所得の方の範囲についての検討といった項目も含まれておりますし、一方で医療DXによる効率化や質の向上など、幅広い検討項目を盛り込んでいるところでございまして、こうした検討項目を検討した上で、全世代型の社会保障の実現に向けて取り組んでいくということでございます。

 実際に実施する取組につきましては、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において検討し、決定をしていくこととなりますけれども、これらの検討、実施に当たっては、当該取組が与える影響を十分配慮しながら、必要な保障が欠けることがないように進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 負担増の一部であるということをお認めになったと思います。

 この手法としては、小泉改革のとき、毎年二千二百億円削減する、これに近い考え方だと思うんですね。あのときは自然増分を見込まないという考えを予算にしたものでありました。毎年何をやるのかと大変悩まれたと思うんですね。生活保護の老齢加算の廃止などがやられて、毎回毎回いろいろな削減メニューが加わっていきますので、猛烈に大変でした。これが今回と同じように五年間で一兆一千億円の削減と積み上げたわけです。

 現在の社会保障予算は、自然増分にとどめるというふうに考え方、基本となっていると思うんですけれども、その上での今回の社会保障改革というのはどういうふうに理解すればいいんでしょうか。自然増分だけは確保した上でという理解なんでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも歳出の改革につきましては、骨太の方針等におきまして決定をいたしました一定の目安の対応など、一定のルールを決めた上で、持続可能な社会保障制度の確立のために必要な改革を様々な関係方面とも検討しながら進めてまいりました。

 今後の、改革工程でお示しした内容も、これまでの歳出改革の努力を引き続き続けていくことで必要な社会保障制度の構築に向けて必要な改革を行っていくということで、そのような観点から改革を行います。その改革の効果として、少子化対策における財源についても、公費、保険料における影響が出てくるということで、そういう枠組みの中で今取組を進めているところでございます。

高橋(千)委員 はっきりしないですよね。

 それで、大臣に伺うんですが、総理は何度も、新たな負担は生じさせないときっぱり答えているわけですね。何をもってそう言えるんでしょうか。

熊木政府参考人 少子化対策の財源、何をもって新たな負担を生じさせないと言うのかということでございました。

 医療保険料と併せて支援金というものをつくってまいります。その中で全体として実質的な負担が生じない、こう申し上げております。

 したがいまして、この支援金を構築するに当たりましては、社会保険の負担の軽減というものを図るということが重要でございます。徹底した歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせまして、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただく、こういうことをもって、一つ、新たな負担を生じさせないということを申し上げております。

 もちろん、三・六兆全体の中で、歳出改革と既定予算の活用、これを最大限行いまして、まず一・〇兆円の支援金まで収めるといいますか、そういった、先生おっしゃいました複雑な財源構成をした上で、今申し上げたような歳出改革の中で、その支援金についてはその効果を相殺するという考え方でございます。

高橋(千)委員 ですから、今、社会保障の改革の中で、負担増になりますよね、痛みがあるわけですよ、それを言ってから聞いたのに対して、社会保険の軽減で実質負担増にならないって、これは全然答弁がやはり矛盾していると思うんです。

 それで、先ほど質問もあったんですが、ここに賃上げというのが、資料の三枚目のところに、これは後から追加されているわけなんですよね。こども未来戦略のときにはなかったものが追加されている。

 それで、確かに今、春闘で満額回答とか要求を上回る回答といった、これまでにないベースアップの動向が報じられています。多分総理はそれをチャンスと言っているんでしょうけれども。

 それで、十二月に行われた第二回支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会の席上、経団連の代表から、財源については歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険料負担軽減の効果を生じさせるとあり、新たに賃上げの効果というものも加わっているということを指摘をした上で、私ども経済界も今年以上の熱量で取り組むつもりでありますけれども、あくまでそれは個々の企業の労使の交渉ということでございますので、政府が賃上げをすると受け取られるような書きぶりは若干違和感を覚えますと述べておられます。全くごもっともだと思いますが、なぜここで賃上げと出てくるのか、大臣、お答えいただけますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の少子化対策で特に重視しているのは、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り少子化を反転させることはできないことを明確に打ち出した点にございます。

 こども未来戦略におきましては、子供、子育て政策の範疇を超えた大きな社会経済政策として、賃上げに取り組むことに加え、同一労働同一賃金の徹底や、希望する非正規雇用の方々の正規化など、雇用の安定と質の向上に取り組むことを明記をしてございます。さらに、加速化プランにおきましても、いわゆる年収の壁への対応など、具体的な施策としてしっかり位置づけてございます。

 その上で、子供、子育て政策の充実は決して加速化プランで終わるものではなく、加速化プランの効果の検証を行いながら、今後も必要な対応が遅れることのないように取り組んでまいります。

高橋(千)委員 資料の二枚目に戻っていただきたいと思うんですが、今大臣がおっしゃった、若者、子育て世代の所得向上ということで書いていることは、賃上げ、成長と分配の好循環と賃金と物価の好循環の二つの好循環と書いてあります。

 これが、今私が読み上げたのは、経団連が、労使の交渉によるものでしょう、民間の努力でしょうと。政府の努力を言っているわけじゃないわけですよ。じゃ、政府が何をやるんですかということが問われているんですよ。

 それに書いているのは、リスキリングによる能力向上支援とか、正規、非正規問題への取組、同一労働同一賃金の徹底、希望する非正規雇用者の正規化、これは本当に今の不安定雇用に対して少し安定にしましょうねというだけなんですよ。政府が賃上げに責任を持つというのであったら、最低賃金を引き上げますとか、もっとはっきりとした政府が責任を持てることを言うべきじゃありませんか。

加藤国務大臣 様々御指摘をいただきましたが、子供、子育て政策の充実は、加速化プランで示しているものに加え、これだけで終わるものではなく、今後も効果の検証等を行いながら必要な対応にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ですから、そもそも、ここの欄外に書いてあること自体がそういう位置づけなんですよ。そして、今の好循環に、民間が頑張ってくれるだろうと、それに期待して、実質負担増にはなりませんなんて大威張りで総理が答弁している、これが、政府の姿勢が問われていると思うんです。

 結局、この三兆六千億円をやり切ったって、子育て世代の応援にはなるけれども、本当の所得向上まではいきませんよ。だけれども、これが二〇二八年に完成するまで、それすらも手がつけられないということになるじゃないですか。全く立ち遅れていると指摘をしなければなりません。

 たくさん問いを残しましたが、また次の機会にしたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。会派を代表して質問させていただきます。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、地方創生に関連して、ちょっとふるさと納税に関する質問をさせていただきます。大体、年末になると、ふるさと納税で、寄附される方もそうですし、自治体側、団体側も忙しくなるんですけれども、新年度を迎えるに当たって、今年のふるさと納税、どう戦略を練ろうかという団体も非常に多いので、あえてこのタイミングで質問させていただきます。

 ちょうど、令和四年度、もう寄附の受入額が九千六百億円、もうすぐ一兆円に迫る金額です。あと件数も五千万件を超えているということで、前年比の一・二倍、そして毎年一千億以上の増加を実現しています。これまでにも衆参含めて様々な委員会でテーマになっていますが、つい先日も、いわゆるポータルサイトにアマゾンさんが参入することを受けて株価にもかなり影響が出ましたし、実際に、国民の皆様の選択肢という意味でも非常に大きな影響がある制度と認識しています。

 そこで、ちょっと質問に入っていくんですけれども、まず最初に、ふるさと納税によって地方交付税の負担が増大しているんじゃないかという議論が見受けられます。言い換えると、ふるさと納税に伴って、所得税控除、住民税控除が結果的に地方交付税を毀損しているんじゃないかという議論があると思うんです。

 まず、ちょっと数値の確認になりますが、ふるさと納税に伴って、所得税控除、住民税控除に関して、それぞれ、どれぐらいの額が控除されているのか、また、どれぐらいの人数が控除に該当しているかということを教えていただきたいのと、もう一つ、個人の住民税からの控除によって地方税が減少することに対して、地方交付税で補填されていると思うんですけれども、この補填されている額と、あと対象になっている団体数について教えていただけますでしょうか。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 所得税からの控除額につきましては、国税庁に確認をいたしましたところ、所得税に係る寄附金控除の適用を受ける場合、確定申告書に寄附先やその金額を記載することとされていますが、国税庁においては寄附先や寄附の種類ごとの金額を集計していないため、ふるさと納税による所得控除の総額についての数字を持ち合わせていないとのことでございました。

 住民税からの控除額につきましては、足下の令和五年度個人住民税からの寄附金税額控除額の合計額は約六千七百九十七億円、控除適用人数は約八百九十一万人となっています。

 ふるさと納税の減収に伴います地方交付税の補填額につきましては算出することができませんが、個人住民税の減収分の七五%である約五千億円が基準財政収入額に反映されることとなります。また、基準財政需要額が基準財政収入額を上回り、令和五年度の交付団体となった団体は千六百八十八団体あるものと承知しております。

赤木委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたみたいなのは、所得税の控除の額が実は把握できていないというのは、意外に、意外というか、確かにすごく複雑な計算になるので大変さは分かるんですけれども、やはり、税金という非常に大事なものがふるさと納税によってどれぐらい毀損というか動きがあるかというのを把握することは非常に大事ですので、何か規模感だけでも公表していただけるように、改善していただければなと考えております。

 もちろん、個人住民税が、交付団体のみを切り離して把握することとかそういった部分が、千七百以上ある団体をクロスしながら、それぞれ行ったり来たりしているので、そこを何か精緻にやればやるほど自治体の負担が増えていくとなると、ちょっと本末転倒な部分はあるんですけれども、やはり、繰り返しになりますが、税というのは非常に重要な数値なので、この数値把握を、何とか捕捉する方法を考えていただければと考えております。

 次に、もう一つ、今の議論に関連する話にはなるんですが、ふるさと納税に伴って地方交付税の負担が直接的、間接的に増大していて、いわゆる国、地方間の垂直の財政関係に問題が生じているんじゃないかという議論があるんですけれども、これについて政府の見解をいただけますでしょうか。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

中井政府参考人 お答えいたします。

 地方財政計画上、個人住民税の収入見込額を計上する際に、ふるさと納税に係る減収見込額を反映させてございます。その上で、地方自治体が必要な行政サービスを提供できるよう、地方交付税などの一般財源総額を確保しております。

 今後も地方自治体が安定的な財政運営を行っていけるよう、必要な財源を確保してまいります。

 以上でございます。

赤木委員 そうですね。私も直接お聞きしたこともあるんですけれども、地方交付税の負担は生じていないという御回答をいただいてはいるんですが、本来すごくシンプルな制度に後からふるさと納税が乗っかってきているので、実は、一見するとすごく複雑で分かりにくくなっている部分があるのかなと考えております。

 特に、寄附額が非常に多くて、一方で寄附が少なくて出ていく側、住民税の控除額が非常に多くなるような団体もあれば、交付税の交付団体、不交付団体とが入り交じっていて、なかなかちょっと実態が見えづらくなっていますので、ここに関しては、もう少し分かりやすい説明を更に加えていただければと考えております。

 そこで質問になるんですけれども、ふるさと納税の寄附額から控除額を引いて、いわゆる収支、これがプラスになる公共団体数がどれぐらいあって、なおかつそのプラス額が幾らなのか、逆に、寄附から控除額を引いた収支がマイナスになる団体数とマイナスの額について御回答いただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税につきましては、毎年度、寄附受入額や住民税からの控除額の調査を行っておりますが、この調査の寄附受入額と控除額とでは対象期間がそれぞれ年度と暦年とで異なってございまして、単純な比較はできませんことから、総務省としては、お尋ねのような分析は行っておりません。

 したがいまして、お尋ねの収支のプラス、マイナスとは異なりますが、仮に、この調査に基づきます令和四年度の寄附受入額と令和五年度分の住民税からの控除額を、都道府県を含めた全国の千七百八十八団体について、対象期間の違いを捨象いたしまして単純に比較いたしましたらば、前者の寄附受入額が上回る団体が千三百七十団体で、上回った額は八千九十七億円、後者の控除額が上回る団体が四百十八団体で、上回った額は五千二百三十九億円となります。

 なお、ふるさと納税は個人住民税の一部を実質的に地方団体間で移転させる制度でございますので、結果として個人住民税の控除額が増収額を上回る団体が生じ得る制度となってございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね。今のお答えのとおり、プラスになっている団体が多い一方で、マイナスになっている団体は、非常に大きなマイナスを生じている団体もあるというふうに認識しております。

 ここで、私の自治体、選挙区もそうなんですけれども、やはり、すごく寄附が多い自治体とそうではない自治体で結構不公平感を感じられているのも事実で、ちょっと細かい制度かもしれないんですけれども、ふるさと納税の寄附金をいわゆる基準財政収入額に、今は入っていないと思うんですけれども、それをやはり入れた方がいいんじゃないかという議論もあったりとか、一方で、ふるさと納税の寄附額から控除額を引いてマイナスになる団体のみに、地方税から控除に対する補填、地方交付税の補填措置を行うべきじゃないかという、そういった制度変更の議論があると思うんですけれども、そういった制度変更を行うような検討可能性を含めて、ありますでしょうか。御見解をお願いいたします。

中井政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税による寄附金は、他の寄附金と同様、個人の自発的な意思に基づくものでありまして、経常的な収支とは言えないことから、義務教育や社会保障を始めとする基準財政需要額で算定している経費を賄う財源として位置づけることは適当ではないと考えております。したがいまして、ふるさと納税による寄附金につきましては、他の寄附金と同様、基準財政収入額には算入しないこととされております。

 また、基準財政収入額は各地方団体の標準的な税収見込み等を合理的に測定するものであるため、委員御指摘のような制度変更は考えておりません。

赤木委員 まさに、おっしゃられる部分は一理あって、来年、本当に寄附があるのかどうかというのが確証を持てない中で、そういった制度変更は難しい部分は理解はできるんですけれども、やはり、少し何か不公平感を感じていらっしゃる自治体もあるのも事実なので、今おっしゃられたような説明というのをもう少し広めていただければと考えております。

 次に、ちょっと話題が少し変わって、今年の年明け早々の能登半島の地震も受けて、ふるさと納税の代理寄附というのが非常に活発に進んでいると思います。ふるさとチョイスという一つの大手ポータルで私も見たんですけれども、大体二十億ぐらい寄附されているうちの十五億分ぐらいが代理寄附で行われているということになっております。

 これは、個人的にはとてもすばらしい仕組みだとは考えているんですけれども、そもそも、ふるさと納税は、本来的に、助けたいとか援助したいふるさとのために直接寄附をして、そこで直接使っていただくというものがベースだったというふうに理解しているんですが、これについて、代理寄附もそうですけれども、あとウクライナに対する支援のための寄附、これに関しては、そもそも、その自治体どころか、日本以外のところに支援金、支援金というか寄附金が使われるというふうになっているんですが、こういった代理寄附若しくは海外寄附について政府としてどのように整理をされているかについて、御見解をいただけますでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を国民の皆様方御自身の意思でお決めいただくことを可能とするものとして創設された制度でございます。

 被災団体へのふるさと納税による代理寄附につきましては、ふるさと納税の制度上、規定があるものではなく、寄附の受付に伴う被災団体の事務作業の負担軽減などを目的に、各地方団体における自発的な取組として広がっておりまして、このこと自体は、ふるさと納税の趣旨からも好ましいというふうに考えてございます。

 ふるさと納税により受け入れられた寄附金の使途につきましては、海外への支援に使うことも含め、本制度の趣旨を踏まえ、各地方団体において適切に御判断いただくものと考えてございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね。少し不安を持ちながらこの代理寄附とかを進められている自治体の現場の担当の方も実際にちょっといらっしゃいましたので、そういった見解を持たれているということは周知していただければなと考えております。

 時間がどんどん迫ってきていますので、少しずつ、ちょっとはしょりながら進めさせていただきます。

 次はワンストップ特例制度についての質問になるんですけれども、私も実際に支援者の方たちからも、ふるさと納税を五団体以上したい、ただ、確定申告はしたくないのに何でワンストップは五団体のマックスなのというのを結構聞かれて、私もなかなか答えを持っていなかったことがあるんですが、実際にワンストップを使って五団体、いわゆるマックス寄附をされている方たちの人数若しくは割合のようなものが分かれば教えていただきたいのと、あと、この五団体に設定された理由を教えていただければと考えております。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 ワンストップ特例利用者のうち、寄附先の団体数が五つである寄附者の人数や割合については把握しておりません。

 ワンストップ特例の適用上限を五団体以内としている理由でございますが、実際に寄附金税額控除を行った際の個人住民税が減収する課税団体側の事務負担を考慮したものでございます。また、五団体を超えて寄附をした方におかれましては、確定申告を行うことにより個人住民税からの寄附金税額控除が行われますため、寄附を行おうとする方の阻害要因には当たらないと考えております。

赤木委員 そうですね。先ほどの数値を取るのと少し関連していると思うんですけれども、実際に団体若しくは自治体の事務手間が非常に増えるというのは非常に分かる理屈ではあるんですけれども、何とか今後、技術的にデジタル化を進めるような形で、この五団体という上限を外して、もっと寄附しやすいような仕組みに変えていただければと考えております。

 次に、ふるさと納税の高額所得者が優遇されているんじゃないかという議論があるので、これについて質問をさせていただきます。

 実際に私もちょっと調べてみたんですけれども、有名なポータルサイトですが、三億寄附すると防災シェルターが返礼品になっていたりとか、あとは、寄附額が五十万以上、年収二千万以上の方向けの、いわゆるコンシェルジュサービスのようなものが実際に存在していたりするんですけれども、これに関して、実際に高額所得者ほど返礼品の影響というか効果というのは大きくなるとは思うんですけれども、こういった金持ち優遇と批判されることについて政府としてどのような見解を抱かれているか、お答えいただけますでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税における特例的な控除額は、個人住民税所得割の額の二割が上限となってございまして、一定の制限が設けられております。また、高所得者優遇との御指摘についてでございますけれども、過去に一部の地方団体が過度な返礼品を提供していたこと、こうしたことも御批判の要因の一つでございましたが、令和元年度に指定制度を導入いたしまして以降は、返礼割合を三割以下かつ地場産品とすることなどの基準の下で運用がなされているところでございます。

 今後とも、指定制度の下、各地方団体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、このふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用がされるように取り組んでまいります。

赤木委員 そうですね。確かに、この上限というか、その二割とか、あと指定制度によって少し緩和はしているとは思うんですけれども、やはり公平性を感じられないような方が多いのも事実なので、何かしら、そこら辺の、この制度の改革なのか、説明を進めていただければと考えております。

 次に、ふるさと納税による地方団体間の水平的な財政関係というか、とてもたくさん寄附を受け付けている団体もあれば、逆に寄附が少なく、出ていく側、住民税が減っている団体の、そこの差が非常に大きくなっていると認識しています。令和四年度の場合は上位二十位で二〇%の寄附額を占めている状態なので、実際これは偏りがあるのかなと考えております。

 こういった、ふるさと納税の流入の上位団体がだんだん常連化してきたり、寄附が増加傾向にあることについて、政府の御見解をいただけますでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税につきましては、年々認知度が高まっていることを受け、全体の寄附額が増加をしているところでございます。

 一部の団体への寄附の集中につきましては、指定制度を導入いたしましたことによりまして、例えば、寄附金受入額の上位十団体が全国に占めるシェアというものは、指定制度導入前の約三割から令和四年度には約一割に低下をするなど、一部の団体に寄附が集中をする状況というのは緩和されている傾向にございます。

赤木委員 そうですね。税の移転というか、そういったものがだんだん平準化されているとはいえ、今のお話があったみたいに、やはり人気のある返礼品がある団体はとても寄附金をいただきやすいような仕組みになってしまっているというのが現状ですので、何とか歳入格差につながらないような仕組みというのを少しずつ改善していただければなと考えております。

 最後の質問のまとまりになるんですが、ふるさと納税が地方創生にどれぐらい貢献しているのかというような議論になるんですけれども。

 ふるさと納税自体、寄附によって収入が増えるという側面もあれば、一方で、返礼品の売上げが増えるということで、自治体が返礼品を一旦買い受けて、返礼品の事業者からしてみれば、自治体に対して返礼品を売っていくという公共事業みたいな側面もあるとは思うんですけれども、これに関して、そういった返礼品の売上げ向上による税収拡大策として捉えた場合の税収拡大効果の試算のようなものがあれば教えていただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税の返礼品となることに伴う返礼品提供事業者の売上げ向上額を把握することは困難であるため、そのことに伴う税収拡大効果について具体的に試算することは難しゅうございますが、返礼品は地場産品に限ってございますことから、地域経済の活性化につながっているものと考えております。

赤木委員 そうですね。今おっしゃられたみたいに、確かに、返礼品の売上げ効果というのは非常に捕捉するのは難しいし、先ほどの話にもありましたけれども、やはり煩雑な事務作業が増えるというのも理解できるんですけれども、是非、やはり地方創生にとってはとても分かりやすい指標でもありますので、地方の産業がどんどん拡大していっていることを把握できるような、そういった指標を何かしら作っていただければと考えております。

 もう少しちょっと広い質問になるんですけれども、今の話も含めて、ふるさと納税が雇用創出若しくは住民の便益の向上に役立って、最終的に、結果的に地方創生に貢献しているというふうに評価されているかどうかについて、政府の見解をいただけますでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方自治体、地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度でございます。

 ふるさと納税により受け入れられた寄附金の使途については、本制度の趣旨を踏まえ、各地方団体において適切に判断いただくものと考えてございます。

 近年では、この制度を活用して寄せられた寄附金は、子供食堂などの子育て支援、遠距離通学者支援などの教育に関する取組や災害時の被災者支援など、様々な地域の課題解決に活用されているものと承知してございます。

 また、返礼品として地場産品を提供することにより、新たな地域資源の発掘を促し、雇用の創出や地域経済の活性化にもつながっているものと考えてございます。

赤木委員 時間も迫ってきましたので最後の質問にさせていただきますが、いろいろな効果が出ているということは認識できるんですが、だからこそなんですけれども、このふるさと納税の制度が廃止されたらどうしようと、これに頼った自治体の経営をしている、頼ったというか、そこに大きな影響を受けている自治体も増えつつありますので、この制度が廃止される可能性若しくは廃止された場合の影響についてどのように考えられているか、御見解をお願いいたします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税制度は、これまで平成二十七年度改正などにおきまして、地方六団体からの御要望も受けて、制度の拡充として、個人住民税の所得割の一割から二割への引上げ、ふるさと納税ワンストップ特例制度の創設などを行ってきたところであり、制度を廃止をするということは考えてございません。

 一方で、ふるさと納税制度が健全かつ適正に運用されることは重要と考えてございますので、昨年は募集費用五割以下基準や地場産品基準の見直しを行ったところでございまして、今後もこうした取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 様々な御指摘ございますが、今後とも、指定制度の下、各地方団体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用されるよう取り組んでまいります。

赤木委員 ありがとうございました。

 ふるさと納税の改善できる部分とか少し誤解を受けている部分というものはどんどん改善していただければと思います。そして、当面廃止されることはないという言葉を受けて、また自治体の方たちもそれに向けて進めていかれると思いますので、是非、引き続きよろしくお願いいたします。

 どうも、質問、ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久でございます。

 私も、赤木議員に続きまして、まずは地方創生に関連しての、ふるさと納税制度について御質問させていただきます。

 それでは、先ほど船橋政務官にもお聞きしたんですけれども、今回は、やはり、このふるさと納税制度自体は、うまく制度を活用していくことは、それぞれの地域で住みやすい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目指す地方創生に貢献する仕組みだと私は考えているんですけれども、地方創生担当大臣の所見をお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 ふるさと納税制度については、所管外ではございますが、所管省庁におきまして、本来の趣旨に沿った運用がなされるように取り組んでいくことが重要であると考えております。

 その上で、私、地方創生担当大臣といたしましては、各自治体がふるさと納税制度を活用いたしまして地方創生の推進に役立てるということは、意義があると考えてございます。

 引き続き、地方創生に取り組む幅広い関係者の皆様のお声にしっかりと耳を傾けて、そして地方を元気にしたいという自主的な取組に寄り添って対応してまいりたいと存じます。

伊東(信)委員 それでは、まず、その中身についてお聞きしたいと思いますけれども、先ほど船橋政務官の中で、地場産品の基準の話をされていたんですけれども、そのうちの熟成肉についての改正がありました。

 総務省は、一年前、つまり一昨年から改正を市町村に周知したと答弁されていました、前回の委員会では。しかし、改正の一年前の時点では、熟成の方法について規制すると通知をしております。

 しかしながら、昨年六月のルール改正では、その熟成方法自体の規制が難しいということで、原材料の産地を都道府県内産に縛るという、これは、最初のときには事前には通知をしていなかったと認識しているんですけれども、この変更規制を行ったために、非常に地方において混乱が起こったという事象が起こりました。

 そこでお聞きしたいのは、今後についても、ふるさと納税の地場産品基準に係る規制強化や告示改正があるのか、船橋政務官にお聞きいたします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 今ほど委員から御指摘をいただきましたとおり、昨年六月、ふるさと納税制度の更なる適正な運用に向けて、地場産品基準やふるさと納税の募集費用に係る基準を改正をし、昨年十月から適用を開始をしたところでございます。

 今後につきましても、ふるさと納税本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われるよう、基準の見直しや明確化等については必要に応じて検討してまいります。

伊東(信)委員 必要に応じてということなんですけれども、令和五年九月二十八日付の市町村宛ての通知、資料一、ちょっと長いですけれども、資料一の中の後ろの方に、赤枠で囲っていますけれども、屠畜、枝肉の加工、役務のうち地域との関連性が希薄なもの、区域内で生産、加工されていないもの、これに関しまして、今年十月、指定更新に向けて規制を強化するということなんですけれども。

 では、一つ目の屠畜、枝肉の加工について質問させていただきますと、告示第五条第三号の加工に該当するとして、令和元年五月に地場産品基準が示されて以降、これまで四年間以上認められてきたんですけれども、このタイミングで規制強化の対象になった理由、つまり、何らかの理由があってのことだと思うんですけれども、どのような問題や事象が発生して改正することになったか、船橋政務官にお聞きします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税の返礼品につきましては、地場産品である返礼品の提供を通じて、雇用の創出や地域経済の活性化につなげることが重要と考えられることから、地方税法におきまして、当該都道府県等の区域内において生産された物品又は提供される役務その他これに類するものであって、総務大臣が定める基準に適合するものであることを要することとされてございまして、同法に基づき地場産品基準を設けてございます。

 御指摘の、区域外産の肉で、区域内で屠畜や枝肉からの精肉加工を行っているものにつきましては、地場産品基準における、地方団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているものであることという基準に該当しているかどうか疑義が生じておりますことから、令和五年九月の通知におきまして、今後、地場産品基準への該当の適否に係る線引き等を検討した上で、告示やQアンドAの改正を行うことを検討することとしている旨、周知をさせていただいたところでございます。

伊東(信)委員 疑義が生じているということですけれども、これまで四年間以上認めていたものに対して、どこの自治体が提供したどの返礼品に関してどのような疑義が生じたかというのを教えていただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど政務官からお答え申し上げましたとおり、相応の付加価値がついている、地方公共団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているものであることという基準に該当しているかどうか、このようなことにつきましては、毎年の指定の審査の際に、地方公共団体とも意見を交換しながら検証しているところでございます。

 そのような議論の中で、ここの部分につきまして一部疑義が生じているのではないかという認識を持つに至りましたことから、このような形で通知をさせていただいたということでございます。

伊東(信)委員 四年間認められていたものに対してですので、お聞きしたいのは、どこの自治体が提供したどの返礼品に対してどのような疑義が生じたか。

 つまり、それに対して、やはり地方は、地域は、地域の中のいろんな、本当に、例えば泉佐野市であれば、プールを造ったりとか学校のエアコン化とか、そういったところに使わせていただいているわけなんですけれども、疑義が生じているのであれば、それを参考にして改善するべきものだと思うんですけれども、具体的に、どこの自治体が提供したどの返礼品か、どのような疑義かというのを教えていただけないでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、指定団体の審査の過程等を通じて検証を行ってございます。そのような中で疑義が生じてきたということでございまして、具体の団体名については申し上げられません。

伊東(信)委員 個別自治体の情報になりますので、政府としては回答を差し控えるというのは一定程度理解できます。

 それでは、船橋総務大臣政務官、四年間認められたもので今申し上げているように疑義が生じたんですけれども、この過程の中で、どれぐらいの割合でこの疑義が、どれぐらいの件数で疑義が生じたかというのを把握されていますでしょうか。

鈴木政府参考人 繰り返しになり申し訳ございませんけれども、こういったことについて、相応の付加価値がついているかどうかということについて定性的に疑義が生じたということでございますので、今まさに検討を進めているところでございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 お聞きしたかったのは政府三役として政務官は把握されているのかどうかということで、お答えがなかったので、把握をされていなかったということなんでしょうね。

 つまり、このふるさと納税自体、先ほどの赤木議員の話にもありましたけれども、一方で、やはり、歳入格差もあってはいけないわけで、こういったふるさと納税という、税と名前がついている上、公平公正であるべきだと考えます。

 それで、ふるさと納税は、やはり自治体間競争ですよね。生産地の意見ばかり聞いて告示改正して地場県産の定義を定めていくと、加工産業の自治体がだんだんと、どんどんとふるさと納税の取組をしづらくなる、そう考えています。恐らく、市町村税課の担当職員に、昨年七月四日に、この熟成肉、自治税務局からお聞きしたところ、生産地の自治体から熟成肉を出すのはやめさせてほしいという声が多かったらしいんですね。

 ある程度そういったところの気持ちも分かるんですけれども、やはり都市間競争で、この加工というところに関して地方創生担当大臣に所見をお伺いしたいんですけれども、このふるさと納税制度についての加工をどのようにしていきたいと考えられていますか。これは、でも、船橋政務官にお聞きします。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 先ほども述べさせていただいてございますけれども、ふるさと納税の返礼品につきましては、地場産品の提供を通じて、雇用の創出や地域経済の活性化につなげることが重要と考えてございますので、地場産品基準を設けているところでございます。

 そのような観点から、加工等に関する基準も含め、地場産品基準につきましては、返礼品の提供状況等を踏まえつつ、今後とも、指定団体の審査の過程等を通じて検証を行って、必要に応じ見直し、明確化等を検討してまいります。

伊東(信)委員 私が申し上げたいのは、産業に関して公正に扱ってほしいということなんですね。やはり、牛とか豚とか、食肉に提供されるときに必要になる屠畜とか枝肉の加工というのはしっかりとした産業ですし、この産業に従事されている方々にとって本当に、ここから生み出された産品を地場産品と認めないというのは、やはり、そこに携わっている地域、地元としては乱暴に感じますし、従事している方々とか地域に対して失礼だと思います。

 総務省はその辺りのことをどのように捉えているんでしょうか。船橋政務官にお聞きします。

船橋大臣政務官 先ほども御答弁をさせていただいてございますけれども、ふるさと納税本来の趣旨に沿った運用がより適正に行われるよう、基準の見直しや明確化等につきましては必要に応じて検討する必要があると考えてございます。

 その上で、総務省といたしましては、地域経済に与える影響も考慮し、具体的に検討を行うこととしているものにつきましては、それを返礼品として用いることを見合わせることも含めて、適切な対応を取っていただきたいという旨を、基準の見直し等が適用される一年前の早い段階から地方団体に通知をさせていただいて、注意喚起というものを行ってございます。

伊東(信)委員 その注意喚起に関して、前にも質問したので申し上げるつもりはなかったんですけれども、最初にお話ししましたように、熟成肉に対しての疑義に対しての解決がされていないわけなんですね。つまりは、冷蔵だけしていて熟成肉としているところもあると。それはそういったところが悪いわけですよね。ふるさと納税で熟成肉を返礼品にしていたところの泉佐野市とかは、そのための基準のために企業といろいろやり取りをして、企業誘致もして、その方法に対して問題があるかということをお尋ねしてきたわけなんですけれども、その回答もなかったということを私は申し上げたいと思っているわけなんですよ。

 だから、じゃ、ふるさと納税のそもそもの趣旨とは何ぞやという話になりますよね。

 先ほど地方創生大臣からは、管轄外ではあるけれども、地方創生にとってはやはり大事なものだという捉え方をしているという答弁をいただきました。

 今、毎年このような強化をしていますけれども、今回の改正もそうですけれども、地場産品の定義を狭めることに果たして意義があるのかどうかということですね。

 大阪は大阪で頑張っているし、北海道や九州も頑張っているんですよ。北海道、九州にも自治体に寄附が集中して、資料の二にありますけれども、これがやはり二極化になっているわけなんですね。だから、赤木議員が歳入格差の話をされましたけれども、実際にこうなっているわけなんです。二〇一八年に総務省が地場産品の規制を検討されるときに、泉佐野市が東京で記者会見を実施して、返礼品を地場産品に限定すれば資源を持つ者と持たざる者で格差が生じ得ると警鐘を鳴らしていました。資料三にもありますように、まさに今起こっている二極化というのは、総務省がやったこの地場産品規制がもたらした結果だと考えています。

 返礼品が何でもいいとも考えていないです。ただ、この二極化問題をどう考えているか、そして地場産品の定義を狭めていくとふるさと納税の未来がどうなると考えているかという見解を船橋政務官にお聞きしたいと思います。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とすることとして創設をされた制度でございます。

 地場産品基準のうち、加工等については、地方税法において規定をする当該都道府県等の区域において生産された物品又は提供される役務その他これに類するものに該当するか否かの観点から、必要な地場産品基準の見直し、明確化を行っているものでございます。

 その上で、寄附は返礼品のみを目的として行われるものではございませんで、寄附先の地域とのつながりや、被災地など応援したい地域への支援、各地方団体における募集した寄附金の使途などを考慮して行われております。このため、地場産品基準の見直し等により一部の地域に寄附が集中するとは一概には言えないものと考えてございます。

 いずれにしても、各地方団体におきましては、指定制度におけるルールの遵守を徹底していただくとともに、制度の趣旨を踏まえた取組を行っていただくことが重要と考えております。

伊東(信)委員 ただ、こういった地場産品規制の話に対して、泉佐野市、地方から批判の声が上がっただけじゃなくて、例えば、政権与党、自民党、公明党の、与党の両幹事長からも、市町村の区域内ではなく県内産に広げるべきとの意見が出ているんですね。公明党の山口代表からも、柔軟な対応を求める、そういった意見も上がった、これは資料にあります。

 地場産品の規制を規定する告示第五条は一号から九号まであるんですけれども、今回、ウェブサイトに記載されている、ふるさと納税の三つの大きな意義にも書かれているように、これは資料にあります、ふるさと納税は自治体間の競争でございます。

 だから、三位一体改革以降、財政的に余裕のある地方自治体というのはほとんどないわけです。ここは地方創生の委員会なので、やはり、ふるさと納税は地方の財源としてなくてはならないものになっているのも、それはそれで一方では事実なので、このかけがえない制度を守るためにも、本当に、一方的な見解とは言いませんけれども、ちょっと声を聞いていただければ。僕の厳しい問いにもしっかりとお答えいただいているとは思うんですけれども、地方を創生、そして輝かすという意識は、多分、与野党一緒だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと子供政策についてお聞きしたいと思います。

 加藤大臣にお聞きするんですけれども、自見大臣、医学部を出られてお医者さんになられているわけなんですけれども、僕も、医学部を出て、医者なんです。自見大臣も、別の大学へ行かれて、医学部へ行かれて、もう本当にしっかりとされていると敬意を表しています。済みません、加藤大臣、質問しますので、ちょっと待ってくださいね。

 何でこんなことを言うかといいますと、僕は、うちは医者じゃなくて、自分でアルバイトをしながら、大阪に東通り商店街というところがあるんです、そこでバーテンダーをしたりとか、ラグビーをやっていて力があるので力仕事をしながら、医学部を受けて、勉強がそのときできなかったからというのが原因なんですけれども、六浪したんです、僕。六年間浪人して入りまして、二十四歳で入りました。

 ところが、そこですぐ金持ちになるわけじゃないから、奨学金をもろて、三十一で医者になりました。四十代のときに開業できて、四十八で国会議員になって、今お話しさせていただいているんですけれども。私は昭和三十九年一月生まれで、六十歳になって、今年やっと奨学金を払い終わるんですよ。だから、本当に、この奨学金制度、ありがたいんです。ただ、給付型の奨学金の話もありますけれども、やはり返せない人もいてるんですね。

 だから、そのことについて、まずは奨学金制度の充実に関して、加藤大臣にお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 奨学金制度の拡充は、少子化対策としても重要と捉えてございます。

 御承知のとおり、今回の加速化プランにおきましては、高等教育費の負担軽減の一環として奨学金制度の充実を盛り込んでおりまして、所管の文部科学省と連携をし、しっかりと実行に移していきたいと考えております。

伊東(信)委員 本当に、返せるような立場になれたからよかったんですけれども。

 企業の奨学金返還支援について、返せない人のためにこういった支援があって、代理返還というわけですけれども、これは、地域の企業と人材のマッチングを促進し、人材定着となるわけなんですけれども。資料六にありますように、大阪府の事例なんですけれども、大阪府奨学金返還支援制度導入事業というのをやっていまして、高校生向けの、これは育英会なんですね、奨学金や、そして大学生や専門学校向けの日本学生支援機構の奨学金を返還する府内の事業者に対して最大五十万、大阪府は支給していると。

 私の選挙区の、さっき泉佐野の話をしましたけれども、そのお隣の貝塚市でも、貝塚市企業人材奨学金返還支援制度とかがありまして、これは資料七ですね。自社の従業員の奨学金返還を支援する市内の企業において、市がその返還額の一部を補助するということです。

 そこで、考えるに、国はこのような自治体の取組を支援する形で携わるというのも一つの方策としてはよいのではないかと考えておりますけれども、国において、大阪府や貝塚市のような、奨学金返還支援に取り組む企業を後押しする自治体の施策に対して、補助制度や交付税措置等による財政支援を行うべきと考えますけれども、加藤大臣に政府の見解をお伺いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 企業等による貸与型奨学金の代理返還は、高等教育費の負担軽減につながる取組であることから、少子化対策の一環としても重要であると考えております。

 その上で、奨学金の代理返還制度の在り方につきましては、まずは所管する関係省庁において検討すべきものと考えてございます。

 その上で、こうした取組を周知し、全国での利用拡大を進めることは重要であり、引き続き、関係省庁と連携をして、周知にしっかりと努めてまいりたいと考えます。

伊東(信)委員 重要であると答弁いただきました。ありがとうございます。

 これで終わります。

谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四分開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 それでは、通告に従いまして、まず、河野大臣に伺ってまいります。マイナカード、そしてマイナ保険証に関してでございます。

 まず、三の資料を御覧ください。

 これを見ていただきましても、今年の状況でも、マイナ保険証の利用率、二月二十九日、医療保険部会で公表した今年一月のマイナ保険証利用率が四・六%。微増はしておりますけれども、全然五%にも満たないという状況でありまして、更に深刻と思われますのは、薬剤情報の閲覧も二八・五%足らずであります。むしろ減ってきている、横ばいという状況になっていて、国民の皆さんにその利便性が全く伝わっていない。そしてまた、国民の皆さんから言わせると、何のためにあるのかよく分からない、そんなお声もたくさんいただいているところであります。

 それから、まず、所信の中で河野大臣は、マイナンバー情報総点検の中では、判明したひもづけ誤りは既に解消するなど対応を行っており、引き続き正確性の確保に関する取組を推進してまいりますというふうに述べておられますけれども、現場の実情を御存じないのではないかと言わざるを得ません。

 この実態を見ますと、保団連の調査でも、昨年、そのひもづけ誤りを直した後の十月以降の医療現場のトラブルの調査も、やはりまだ、この時点ですけれども、六割、トラブルがあったというところが出ております。さらにまた、この保団連の資料だけでなくて、国分寺市議会などでもこうした調査を医療機関にかけていますけれども、これもトラブルがあるが五四%、それからまた、延期、それから廃止をやめてほしい、廃止延期、それから存続してほしいという意見は九割超になっているわけなんです。

 そこで伺いたいのですが、さらに、厚労省が公表をいたしました、昨年の十一月時点でありますが、国家公務員の利用率、これが平均で四・三六%でございました。そして、先ほどの午前中の質疑でも厚労大臣に伺いまして、厚労省の方でも四・八八%だということであります。

 こんなに低い。国が提唱して政府がやろうとしているところも、まだまだ国家公務員さんでさえそういうふうになっているということですが、デジタル庁は何%でしょうか。

河野国務大臣 通告いただいておりませんので存じません。

早稲田委員 御存じない。大体でもイメージが湧くのではないかと思いますが、内閣府ということで五・六一%でございます。

 デジタル庁でさえ五・六%、そんなような状況であるわけなんですけれども、このことについて、大臣はどのように改善をされようと思われますか。

河野国務大臣 日本のデジタル化の遅れはかなり危機的な状況にあると思いますので、何か問題があるからといってやめていたら、これは全く進みません。今更二十世紀に戻るわけにもいきませんし、今更紙の保険証に戻るわけにもいきませんので、国民の皆様の御理解をいただいて、着実に進めてまいります。

早稲田委員 私たちは、デジタル化、DX化をもちろん推進したいと思っています。でも、そこで取り残される方があってはならないという思いでこの質疑をしております。前に戻すとか紙の保険証が云々とかそういうことではなくて、実際に今九割の方がまだ紙の保険証を使っておられるという現実をやはり直視すべきではないでしょうか。そのことを大臣には申し上げたいと思います。

 さらに、この資料の一、二を御覧ください。

 この中で、大臣は、能登半島地震、早速ツイッターでもいろいろ発信をされましたけれども、そのところでマイナカードが機能しなかった。私たちは、ずっと議論の中でも、災害が起こって一旦停電になれば、当然システムがダウンしてこういうことが起こるのではないかと言っておりましたけれども、これに対して明確な答弁がないままに、こうしたことが起こると全然使えなかったと。

 しかもまた、状況把握どころか、JR東さんの方で御提供いただいて、Suicaで代替をしたということでありますけれども、なぜSuicaはできるのにマイナの方はできなかったのか、こうしたこともきちんとした検証が必要だと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょう。

河野国務大臣 少なくとも、停電していない避難所ではマイナンバーカードを使って様々な機能が役立った、そういうことはあると思いますので、何か、一か所停電で使えなかった、数か所停電で使えなかったから全部駄目ということではありません。これは、今までに更に新たな選択肢が加わるということですから、それによっていろいろなことができる方がいれば、これはいいことなんだというふうに思っております。

 ただ、残念ながら、委員おっしゃるように、今回、マイナンバーカードのリーダーその他の用意ができていないうちの災害でございましたので、残念ながら、本来ならばマイナンバーカードで避難所の入所登録であったり、あるいはアレルギーだったり薬剤の準備に情報を役立てるということができなかったのは事実でございます。JR東日本の御協力でSuicaとSuicaのリーダーの御用意があった、これを貸していただきましたので、今、Suicaを使って被災地でいろいろなことをやっているところでございます。

 マイナンバーカードでできれば、白紙のSuicaに四情報を読み込ませるという手間がかからずに済んだところでございますので、これは、いつ来るか分からない災害ではございますが、次の災害に何とか間に合うように、様々なハード、ソフトの用意、これはしていかなければならないというふうに思っております。

早稲田委員 今、できたこともあったと。そうですね、マイナポータルから罹災証明書ということをやられた方もあるようですけれども、結局、自治体とその地域とのいろいろなことがあって、このマイナポータルでやったことが、実際はそれは使われなかったということもおっしゃっております。

 全て一遍にはできないとは思いますけれども、大臣がそうやってマイナ避難ということを、かけ声を大きくかけられたわけですから、そのためには、きちんとカードリーダーもそろえておくというようなことは最低限していただかないと国民の方も混乱いたしますし、今回のことを教訓に、是非そうしたことも進めていただかなければならないと思っております。

 それで、今、デジタル庁の職員さんでも五・六%、全体では四・三六ですか、そういうような状況が国家公務員の皆さんでもある。それから、国民の間では四・六であります。それから、災害時にも役に立たなかった、申し訳ないですけれども、そういうことを言わざるを得ません。それから、平時においても利用のメリットが感じられないということになってまいりますと、これから、じゃ、どのように理解を得て、理解を得てと政府はおっしゃいますけれども、この利用率を上げていくのかというのは大変疑問であります。

 その中で、じゃ、大臣に伺いたいのですが、それでも、このマイナ保険証、利用率が上がらなくても、低調でも、九割の人が現在使っている紙の保険証を十二月の時点で廃止をするということは強行されるんでしょうか。それとも、そこは一旦立ち止まるんでしょうか。やはり、今年の十二月の時点で、そういうことが、利用が低迷していてもこのまま強引になさろうとされるのか、伺いたいと思います。

河野国務大臣 これは国会で法律を改正していただきましたので、今年の十二月の二日で廃止をいたします。ただ、そこから最高で一年間の猶予期間もございますし、保険証が廃止されれば、マイナンバーカードあるいは資格確認書で受診をしていただくということになりますので、何か問題が起きるわけではございませんので、そこはしっかりデジタル化を進めてまいります。

早稲田委員 九割の方が、まあ、九割が下がって八割、七割になるのか分かりません、五割の方が紙の保険証を十二月時点で使っておられるのか分かりませんけれども、何割であろうとも、大臣は、十二月にはそれを一旦、もちろん決まったとおり廃止をするということですね。

 私は、これは確認いたしましたが、やはり、このデジタル化、DX化は必要だし、どこの先進国でもやっているように、取り残される方がないようにしていくというのは大前提だということを先進諸国でもおっしゃっています。そうした取組が非常に希薄なのではないかと言わざるを得ません。

 それでは、次の質問に移ります。

 もっとこのマイナ保険証のことについてもやりたいんですけれども、ちょっと時間がございませんので、マイナ保険証から、ライドシェアについて伺います。

 これは、自家用有償運送について、首長の判断のみでライドシェアが導入できてしまう仕組みが今検討されているということですが、これでは、今まで培ってきた地域公共交通会議、これの協議が調わない場合でも首長の判断によって導入ができる、道路運送法に基づく地域公共交通会議がないがしろにされてしまうのではないかと懸念がありますが、このことについて国交省参考人に伺います。

舟本政府参考人 お答えいたします。

 地域公共交通会議における議論の進め方につきましては、地域の議論の助けとなるように、国土交通省の方でガイドラインを定めておるところでございます。今般、このガイドラインに、地方自治体自らが地域公共交通会議に対しまして自家用有償運送の導入を提案する仕組みを新たに加えることとしております。現在、そのパブリックコメントを実施しているところでございます。

 この仕組みを活用していただくことで、従来の、地方自治体が交通事業者に対して乗り合いタクシー等の提案を求めることからスタートする仕組みと比較いたしまして、検討や議論に要する時間を短縮することは可能だと考えておりまして、その目安として二か月程度をお示ししているところでございます。

 また、地域公共交通会議の議論の終結の方法につきましては、従来から各会議の会則で定めていただくこととなっておりますけれども、地域の総合行政を担う地方自治体の長がその会則に沿って最終判断をされる場合におきましても、会議での議論をしっかり踏まえた上で判断がされるように、私どもといたしましても制度設計を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

早稲田委員 交通事業者、それから、その地域の方々、住民の方々、そうした方々の意見がないがしろにされることがないように、あくまでも、首長はもちろんトップでありますけれども、それでもやはり、いろいろな利害が対立する場面が多々ございます。そうしたときに、首長だけではなく、しっかりと交通事業者の意見も聞いていただけるように強く要望したいと思います。

 それでは、大臣に伺いますが、デジタル行政改革担当大臣として大臣が目指す欧米型のライドシェアでは、非常にギグワーカーあるいはワーキングプアが増えるといった雇用問題が生じてしまうのではないか。実際に発生しているところもございます。政府は所得増加方針を打ち立てておりますけれども、逆行することになるのではないか。そしてまた、時間を、稼ごうと思えば休日も返上して働かざるを得ない。そんなことでは本末転倒になろうかと私は思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

河野国務大臣 今、日本全国至る所で、移動ができない、移動が制約されているという現状がございます。御高齢の方が病院に行きたいんだけれども、タクシーはつかまらない、バスの路線は一日に何本かしかない、家族が会社を休んで病院に送り迎えをしなければいけないとか、様々な移動の制約に起因する問題が全国至る所で起きております。

 残念ながら、今の公共交通機関ではそうした問題の解決ができていないということでございますから、これはもう新たな移動の手段というものをなるべく早く導入をせざるを得ないんだというふうに思っております。

 その中の一つが、自家用車を活用して、そこで報酬を得ながら移動の足を提供をしていただくということでございますから、これは、副業として新たな収入を得たい、自家用車を持っていて免許を持っている、そういう方に移動の足を供給をしていただいて困っている方を助けるというものでございますので、四月から導入をして、これはデジタルでデータを取ることができますので、そうしたデータをモニタリングしながら、移動の自由の制約というものがこの国で一刻も早くなくなるようにしっかり対応してまいります。

早稲田委員 今大臣がおっしゃったのは、国民の移動の自由が制限をされている、あちらこちらで、地域で、地方でということですけれども、どこまで不足をしているのかということ、この不足の定義もまだ決まっていないと聞いております。

 大体、タクシーは、今まで改正タクシー特措法によりまして需給調整がなされてきた現状もございます。それで台数を減らされてきた、そういうところもあるわけです。そして、ライドシェアの導入により逆に供給過剰となった場合はどうするのかとか、それから、空白地帯はそもそも需要が少ない。それから、白タクのようなことを想像しても、担い手が不足しているということも出てくるでしょう。ライドシェアのドライバーだけ確保できるというのは非常に根拠がないように私には思えます。

 それからまた、国交省の方でも、労災、社会保険、雇用の問題もまだ検討中と聞いております。全て検討中の中でこうやって走り出すということが安全、安心の運送ということにどれだけ影響があるのかということは、非常に課題があると思っています。

 そもそも、タクシードライバー不足は、この労働環境にあります。特に長時間労働で低賃金という部分があります。こうしたことも、もちろん運賃を上げていただいたりはしておりますけれども、ライドシェアが都市部で導入されてしまった場合、利用者の取り合いによって、更にそうした労働環境が悪くなることも考えられるのではないでしょうか。

 私は観光地鎌倉に住んでおりますけれども、そこでも、もうなくてなくて困ると。それはもちろん、ないときもあります。それから余っているときもある。それは、いろいろそのときの時間であったり季節であったりありますけれども、だからといって、有償運送、白タクのようなものを増やしていいというふうに世論がなっているかというと、私の地元では少なくともなっていないと思っています。

 その中でありますが、観光地でのライドシェア、拙速にやること、解禁をされること、これは、この資料の方をお読みいただきたいと思います、お目通しいただきたいと思います、やはり、非常に安全と、それからまた犯罪などについてもアメリカでは大変な件数が出ておりまして、こうしたこともしっかりともっと議論をしていただいて、その中で考えるべきだ。拙速な解禁はやめていただきたい。そして、公共交通をそれだったらどうしたら改善ができるのかということを、公共交通事業者も含めて、もう一度考えるべきではないかということを強く申し上げたいと思います。

 次の質問に移ります。加藤大臣、お願いいたします。

 予算委員会では、子育て支援金については大分議論いたしましたので、順番を変えまして、これは最後に持ってまいります。共同親権について、加藤大臣のこども家庭庁の立場から伺います。

 この共同親権法案ですけれども、離婚後にも父母双方が親権を持てるようにする共同親権の導入を柱とした民法改正案が八日に閣議決定をされまして、衆議院に提出をされました。

 御存じのように、パブコメについては三分の二が反対でございます。昨年十二月に大阪弁護士会が行ったシンポジウムで登壇された立石直子愛知大教授によれば、海外で共同親権が主流というのはミスリードであるとおっしゃっています。もちろん、やっているところは多いわけですけれども、共同親権が原則となっているフランスにおいても、父との面会を強要される子供が追い詰められるケースもある。二〇〇六年に共同親権を導入したオーストラリアでは、やはり暴力的な親との交流が強制されるリスクがあったとして、二〇二三年三月には、子供の安全、福祉を優先するための法改正も行われました。

 ですから、私は、子供の権利と安全の観点から、この共同親権についての導入については非常に慎重であるべきだと思っています。とりわけ、ジェンダーギャップ指数がG7では最下位、百四十六か国中百二十五位となっている。つまりは、配偶者間の力関係で強制をされて、DVや虐待の加害親が共同親権者になる可能性もございます。こうしたことを非常に心配する女性の方、それからDV被害者、あるいは自治体の現場からも声が上がっていることは大臣も御存じのとおりだと思います。

 私は、共同親権を拙速に導入する前に、まずは養育費の受領率の引上げ目標、これは二〇三一年までには現在の二八・一%から四〇%に引き上げるということを前小倉大臣も表明されていますよね、こういうことを是非実現をしていただきたい。また、DV防止などの被害者を守る制度拡充が先ではないかと思いますが、こども家庭庁の大臣としてお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 養育費の履行確保につきましては、政府として取り組むべき重要な課題と認識をしており、令和五年四月には、内閣府が中心となり、こども家庭庁、法務省とともに、養育費受領率の達成目標を御指摘のとおり設定をさせていただきました。

 今般の民法等改正法案におきましては、養育費の確保に向けた見直しも盛り込まれていると承知をしてございます。また、こども家庭庁としましても、令和六年度予算案において、離婚前後親支援事業等によりまして、養育費の確保に取り組む自治体への補助を盛り込んでいるところでございます。

 また、DV被害者等の保護の方につきましては、内閣府において、精神的な暴力も暴力であること、本年四月の改正配偶者暴力防止法施行により、重篤な精神的被害が生じた場合にも接近禁止命令等の対象になることなどの理解の促進に努めるとともに、SNS等を通じた相談窓口の一層の周知を行い、被害者が相談しやすい環境の整備を進めているところでございます。

 引き続き、法務省等の関係省庁と連携をし、民法等改正法案と周辺の施策を並行して進めることによって、より一層子供の利益が確保されるよう、養育費の確保やDV被害者等の保護にもしっかりと取り組んでまいります。

早稲田委員 今、加藤大臣から御答弁いただきました。養育費についても、しっかり前に進めるために自治体も支援するんだということがございましたし、DVについてもそうなんですけれども、本当に実効性が担保できるかということなんです。養育費を支払われていない家庭がたくさんあって、そして逃げているものですから、逃げていらっしゃる家庭もあるので、相談もできないというのが実情です。それなのに、共同親権だけが前に前に進んでいくのは、大変もっと慎重であるべきだと私は思います。

 それから、こども基本法の第三条の基本理念であります。ここに、全ての子供について、その年齢や発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会、これは大変重要だと思います、そして、多様な社会的活動に参画する機会が確保されること、そういうふうに出ているわけですね。

 今回の民法改正案につきましては、子供の意見表明権が書かれておりません。法務省に尋ねますと、第八百十七条の十二において、父母は、子の心身の健全な発達を図るために、その子の人格を尊重する、その人格尊重の中でそれが含まれるとおっしゃいますけれども、それは余りにも解釈がひど過ぎるし、意見を表明するというのはきちんと意見を聞くということですから、それが担保されていないことは非常に不十分だと私は思っています。

 こども基本法の基本理念と整合性がないのではないかと私は考えますが、大臣のお考えを教えてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供の意見の表明につきましては、こども基本法の基本理念にあるとおり、全ての子供について、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保されることは重要であると考えております。

 子の意見等が適切な形で尊重されるべきという考え方は、改正後の民法第八百十七条の十二の、父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとの規定に含まれているものと理解をしております。

 今般の民法等改正法案は、子供の利益を確保するために行われるものと承知をしており、こども基本法の基本理念と整合性がないというふうには考えていないところでございます。

早稲田委員 いや、大臣、逆なんですよね。やはり、子供の意見を表明する機会ということは大変重要なので、この中に包括されるというような消極的な考えでなく、大臣は、こどもまんなか社会をつくるための大臣なんですから、だったら、法務省の方ともっと折衝をして、意見表明権を入れるべきだ、そういうふうに言っていただきたいんです。その質問を私はしております。是非、大臣には、そのことも前向きにお考えいただきたいと強く要望させていただきます。

 そして三点目、今回の民法改正については、単独親権が可能な場合は急迫な事情としておりますけれども、つまりは、協議が調わない、いろいろなことで合わないから離婚という状況になっているわけなんです。そしてまた、協議が調わないとき、その都度裁判沙汰になる可能性もあるわけで、急迫な事情という文言は、非常に国民にとっても司法にとっても、特例なレアのケースというような心証も与えてしまいます。

 それから、結果的に、そういうことによって、この資料を、最後の六ページを御覧ください、こうした自治体職員からも強い意見が届いています。加害者の親権を意識しかねない状況にあり、共同親権導入によって現場は更に萎縮してしまう可能性も指摘されているんです。

 子の利益を守るこども家庭庁の大臣として、そのリスクをどのように回避されようと考えているか、教えてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 民法等改正法案では、父母の双方が親権者である場合には、親権は父母が共同して行うこととした上で、子の利益のため急迫の事情があるときは、親権を単独で行使することができるというふうにしてございます。

 御指摘の急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時の親権行使をすることができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合をいうものと承知をしており、狭い範囲に限定されるものではないと認識をしております。

 この具体的な解釈につきましては、民法を所管する法務省において示されるものでありますが、こども家庭庁としましても、今般の民法等改正法案の目的である、子の利益を確保するということが真に達成されるよう、法務省としっかり連携をしつつ、現場で適切な運用が図られるべく、周知等、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

早稲田委員 時間が来ましたので終わりますが、この六をよく読んでいただきたい。これだけではないですけれども、自治体職員が現場で、加害者の方から子供の転校や住民票の異動を阻んだ例を挙げて、学校にとっても親権は重いというふうに言っていらっしゃいます。大変、運用だけではそうしたことが阻止できるとは到底思えないわけです。

 ですから、法務省ともしっかりと連携をしていただくように、強く、こどもまんなか社会を実現できるように、大臣には期待をさせていただきます。よろしくお願いします。

谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫です。

 本日は、大臣所信ですので、政府の基本的な考え方をお伺いいたしますので、大臣始め、答弁者は簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、地方創生政策についてであります。

 一つ目は、首都直下地震の可能性と被害想定についてであります。

 現在、都内には、皆さんも御存じのとおり、超高層ビルがどんどんどんどん建設されておりますけれども、いざというときに、超高層ビルの地下に免震構造が入っているといっても、どんなことになってしまうのか大変心配でありますので、政府の被害想定などについてお答えをいただきたいと思います。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査研究推進本部によりますと、首都圏で発生する可能性のある地震のうち、南関東地域直下における相模トラフ沿いのプレートの沈み込みに伴うマグニチュード七程度の地震について、今後三十年以内に七〇%程度の確率で発生すると評価されております。

 首都直下地震には様々なタイプが考えられまして、どこで発生するか分からないところがございますが、被害が大きく首都中枢機能への影響が大きいと考えられる都心南部直下地震が発生した場合、最悪のケースでは、死者数は約二万三千人、建物の全壊、焼失棟数は約六十一万棟に及ぶと推計されております。

福田(昭)委員 現在は能登半島地震で多くの人が亡くなったり苦しんでいるわけでありますが、この首都東京で起きた場合には、本当にとんでもない被害が心配されております。そんなことを考えれば、後で申し上げることですが、やはり地方分権というのをしっかり進めていく必要があると思っております。

 そんな中で、二つ目は、人口減少下における東京への人口移動について。

 第一点は、人口減少の根本的な原因はどこにあるのか。それこそ、人口が本当に何で減るのか、その根本的な原因、それをしっかり確認をしなきゃならないんじゃないかなと思っていますが、地方創生担当大臣として、率直にお答えをいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 政府のこども未来戦略によりますと、少子化が人口減少を加速化していると言われております。また、その少子化の背景でありますが、未婚率の増加、若い世代の経済力、そして子育てや教育にお金がかかるといったことも挙げられているところであります。

 現状、我が国の人口は、二〇二二年に八十万人の自然減となっておりまして、今後も百万人の大都市が毎年一つずつ消滅するようなスピードで人口減少が進むと予想されておりまして、我が国は急激な少子高齢化や人口減少局面に直面していると認識しているところでございまして、こうした急激な、あるいは急速な少子化、人口減少に歯止めをかけなければ、地方を始め、我が国の経済社会システムの維持に様々な困難が生じる可能性があると考えてございます。

福田(昭)委員 大臣の答弁は、それは要するに人口減少の現象を話しているだけであって、原因がどこにあるのかということが大事だと思っています。

 その原因は、大きく言うと二つ、大きく言うとですよ。一つは、不公平な雇用です。特に、派遣労働法を作って、非正規雇用を四割弱にもしてしまった。そのうち、年収二百万以下の人たちがたくさん出てきている、これが一つ。もう一つは、不公平な税制。消費税をつくったときに、大企業、富裕層の優遇税制をつくって、それこそ、なかなか経済的な余裕ができなくなってしまった人ができて、消費税をつくってから、実は格差社会という言葉も出てきた。そういうことが一番大きな理由だと思っています。

 ですから、そういった根本的な原因をやはりやめないと、改めないと、なかなか少子化は止まらないと思っております。ですから、それこそ政府も、人口が減るというような提言があったときに、地方創生担当大臣をつくって、地方創生戦略と併せて人口プランも作ったんですね。でも、全く効果はなく、御案内のとおり、どんどんどんどん少子化が止まらない。一昨年は一・二六まで下がった。また、昨年は、やはりそれよりも五万人も下がって、七十五万人ぐらいしか生まれなかった。こういうことでありますので、やはり根本的な原因に対する対策ができていないということだと思います。

 第二点。第二点は、人口が減っているのに東京圏に人口が集まるのはどうしてかということであります。地方創生担当大臣として、率直にお答えください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 東京圏への人の流れを分析いたしますと、特に、就職や進学を契機といたしまして、十代後半から二十代の若年層の転入超過が継続していることが原因となってございます。

 その背景といたしまして、地方には、仕事、交通、教育、医療、福祉などの様々な社会課題が残っていることも考えられております。このため、若年層を中心とした東京圏への過度な一極集中の流れを食い止め、地方に対してしっかりと人口を戻していくことが大変重要だと考えてございます。

 地方創生は、四つの柱を掲げております。一つは、委員も言及されておりましたが、所得の向上は非常に重要であります、一番目は地方に仕事をつくるということ。また、人の流れをつくるということ。そして、結婚、出産、子育ての希望をかなえるということ。また、四つ目といたしまして、魅力的な地域づくり。ここに従って施策を推進しているところでございます。

福田(昭)委員 大臣の答えは三つ目の方の答えになっちゃっているんですけれども、まず、東京圏に人口が集まるのはどうしてかということでありますが、東京は、やはり中央政府があって権力が集中している。したがって、大企業の本社がみんな東京へ東京へと移ってきちゃった。したがって、稼ぐ場所としても最高、住む場所としても今や最高だし、それから余暇を楽しむ場所もたくさんあって、これ以上楽しい場所は実はないんですよね。

 ですから、東京は人を集めるダムのような存在であって、ますます東京一極集中を是正して地方分権を進めなければ、まさに地方の過疎化というのは止まらないというふうに思っていますが、それは後でもまた申し上げます。

 三つ目でありますが、人口戦略会議の提言をどう受け止めているのかということであります。

 第一点は、人口減少がいかに重大事態、果てしない縮小と撤退、社会構造の変化を招くという認識は、地方創生担当大臣も同じ認識なのかどうか、お伺いをいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 今年の一月に民間有志である人口戦略会議が取りまとめた人口ビジョン二一〇〇によれば、急激な人口減少により社会経済システムを維持できなくなり、果てしない縮小と撤退を強いられる、また、住民を支えるインフラや社会サービスの維持コストが増大をし、維持が困難となり、地方消滅というべき事態が加速度的に進むということが想定をされているところなどが指摘をされておりまして、深刻な危機感を示されていると承知をしておりまして、我々も同じ認識でございます。

 人口減少問題は日本社会の最大の戦略課題であると考えてございまして、少子化や人口減少の流れに歯止めをかけるべく、政府一丸となって取り組んでいく必要があると考えてございます。

福田(昭)委員 大臣、認識は同じだということですから、そのとおりにお受けをいたしますけれども、しかし、この人口戦略会議の提言で、一つ、実は認識が間違っていると思うことを指摘しておきたいと思います。

 それは、社会構造の変化で、巨額の公的債務で財政が極端に悪化するというようなことが言われておりますけれども、これは、残念ながら、政府の経済財政運営が実は大変失敗しているという話であって、これをもっと上手に運営すればこれを改めることができるというふうに私は思っておりまして、それは後で、その次の次のところでお話を申し上げたいと思っています。

 次に、第二点ですけれども、今後の目指すべき方向は、この戦略会議の言うとおり、人口八千万人を水準として、東京一極集中是正、官民が連携する組織の新設も求めておりますけれども、そのような考えはあるでしょうか、お伺いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 民間有志による人口戦略会議が取りまとめました人口ビジョン二一〇〇によれば、二つのことをおっしゃっていると思っております。一つ目が地方の取組で、二つ目が東京圏の取組、分けて書いてございます。

 一点目の地方の取組について、ビジョンによりますと、若者、特に女性の東京圏への一極集中の是正に向けて、魅力的な地域での職場づくり等に取り組むということが大事だということが書いてございます。

 また、並立いたしまして、東京圏についてでありますが、生まれてくる子供、出生数で見れば、今や三人に一人が東京圏で生まれてきたことになり、日本全体の人口動態への影響度が非常に高まっているということも併せて指摘をされております。

 その中で、東京圏についてということで、住宅費の高騰、そして、長時間労働、教育費の負担など、東京圏特有の課題も指摘されているため、東京圏の人口戦略会議という新しい組織が必要ではないかという記述があるところでございます。

 いずれにいたしましても、地方と東京圏の両方の取組について、日本全体の少子化の流れを大きく転換させていくことが必要だという認識は、我々も同じでございます。

 同会議の提言も参考にしつつ、地方の御意見もしっかりと伺い、地方の悩みや課題に寄り添って対応してまいりたいと思ってございます。

福田(昭)委員 特に、官民の連携組織の新設というのは非常に重要だと思っています。是非、私は、官民の方の、特に経団連を中心とする人たち、この人たちは、もっとあなたたちが持っているお金を出せと言いたいと思っています。あなたたちがちゃんと税金を納めなさい、納めないから、とんでもないことになっているんだよと。働く人をもっと大事にしなさい、こういうふうに私は経団連の皆さんに申し上げたいと思っています。

 次に、第三点ですけれども、東京一極集中是正策はたくさんあると思うけれども、特に、これは多分、国土交通省も言いにくいでしょうけれども、建築基準法を改正して、東京二十三区内の建蔽率、容積率を縮小するなど、そうした大胆な国土の大改造をしないと私は一極集中は止められないと思っておりますが、感想を述べてください。

鎌原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の建蔽率や容積率につきましては、都市計画の中で適切に定めることが必要なものでございます。そして、この都市計画に関する事務につきましては、国と地方の役割分担の考え方に基づき、自治事務として、町づくりの現場に最も近い地方公共団体が中心的な主体となって行うこととされております。

 御指摘の東京圏につきましても、引き続き、我が国の成長エンジンとしての役割を果たすとともに、世界をリードする国際都市として発展していくことが求められており、東京都におきまして、国際競争力強化に資する取組などを促進するため、容積率等の緩和を活用しているものと認識をしてございます。

 国土交通省といたしましては、国と地方の役割分担の趣旨にのっとりまして、引き続き、町づくりの現場に最も近い地方公共団体が、建蔽率や容積率を含め、個別の都市計画の中心的な主体であるべきと考えてございます。

福田(昭)委員 国交省も、地方分権の流れの中で権限移譲しているんだから、それは直しますとは言えないでしょうけれども、いわゆるそういう姿勢をずっと続けてきたから東京都がどんどんどんどん巨大になっている。中国の教えにもありますよ、過ぎたるは及ばざるがごとし。だから、余りにも東京二十三区が大きくなるような形になっちゃった、この建蔽率、容積率を拡大する中で。

 徳川家康公の御遺訓にはすごい言葉がありますよ。最後、何と言っているかというと、及ばざるは過ぎたるより勝れりと言っている。これが人間の知恵ですよ。日本人の知恵ですよ。及ばない方が過ぎたるより勝っているんだ、こういう考えに基づいてやらないと駄目だと思います。

 ですから、地方創生担当大臣の所信にもありますように、例えば、企業の地方移転なんてあるでしょう。これも、みんな本社が東京へ集まっちゃったんだから。例えば、コマツが石川県の小松市に本社を移したら、小松が元気になっていますよ、今。そういう意味では、まさにそういう大胆な政策、だから、企業も発祥の地に本社を戻す。日立は東京じゃなくて茨城の日立へ移す、古河は東京じゃなくて私の地元日光へ移すとか、そういう発祥の地に移すという、そういう大胆な改造。

 さらに、大学も、地方大学の活性化だけじゃなくて、東京の二十三区内にある大学、特に国立大学はまず地方へみんな分散させる。やはり、学生が集まれば、そこに企業も立地するようになりますよ。

 それぐらいの大胆な改造をしないととても東京一極集中はできないし、さらに、日本の国土を本当に守るとなったら、北海道から沖縄まで人が住んでなくちゃなりません。しかし、どんどんどんどん地方が過疎化して人が住まなくなっちゃったら、簡単に国土は、それこそ敵に、あっ、敵と言ったら怒られちゃうかもしれないけれども、奪われることだってありますよ。不法侵入が、海を通って、日本海側なんか特に今まで入ってきているわけでありますが。

 そういったことを考えれば、やはり、それは日本の成長のエンジンの中心が東京だというのは分かるけれども、しかし、余りにも東京だけにしたら、じゃ、あとほかに住むところがなくなっちゃうじゃないですか。ですから、それが、じゃ、日本の国を守ることにつながるのかということをやはり考える必要があるんじゃないかなと思っております。

 そんな中で、じゃ、一体、日本にはそんな金がどこにあるんだよという話ですが、資料の一を見てください。私の質問の時間がなくなっておりますので、資料の一を御覧ください。

 これは、日銀と財務省に答えてもらった、我が国の保有資金、お金です、それと地方の債務残高です。この二つから考えると、日本の国は簡単に沈みません。財政破綻はいたしません、しばらく。

 我が国の保有資金、これを御覧ください。

 一、国全体の金融資産。日銀に答えてもらいましたけれども、全部で九千五百八十九兆円、多額の資金です。

 その次、二番目、法人企業の内部留保資金が六百二十七・五兆円、金融業、保険業を含みます。

 それから三番目が、対外純資産残高、これが約四百十九兆円、世界一の金持ちの国です。

 四番目が、外貨準備金、これが約百六十九・七兆円。これも、ほとんどがアメリカの国債を買っておりますが、実際、今為替も、変動相場制になったらば外貨準備金は本当は必要ないんですよね。固定相場制のときは必要でありました。しかし、本来は必要ない。だから、こういうお金も使う気なら使える。ただし、アメリカと十分話をする必要があると思いますが。

 これだけの金融資産を持っているのが、いつの間にか日本の国は貿易立国から投資立国になって、いつの間にか金融大国になっているわけです、こういうのを財務省は黙っている。その下に書いてありますように、国と地方の債務残高の見込額、今年の三月末でありますが、国、地方合わせて千二百八十五兆円。この千二百八十五兆円という公的債務をはるかに超える金融資産を日本の国は持っているということであります。ですから、こういうことを考えれば、その下の米印で、簡単に言いますけれども、簡単に日本の国は実は財政破綻しません。

 しかも、経常収支が黒字なんです。これはもう四十年ぐらい黒字なんです、一九八〇年から。国債は全て自国の通貨建て、円建てで発行していますから、簡単に破綻いたしません。返してくれと言われたときには円を印刷して返せばいいわけでありまして、アルゼンチンやギリシャとは全く違うという話であります。その証拠として、世界各国の国債の信用度を示すCDSの保証率は、ドイツに次いで二番目に低い〇・二となっています。

 なお、よく政府が宣伝する、国債は子や孫たちへのツケ回しと言っておりますが、ツケ回しではありません。国債の債務者は政府、国であり、国民は債権者であります。ですから、我が国が財政破綻しない限り、国債は子や孫たちへの財産、債権の仕送りだということであります。

 そんなことを考えれば、今行うべき大改革は、年々必要となる子育て、年金、医療、介護、障害者福祉等の費用を、消費税を引き下げて、景気をよくして、経済を成長させて、創設以来優遇され続けてきた大企業と富裕層の法人税、所得税、金融所得課税を含むなどを、それぞれ担税力に応じて負担を求める税財源の賢い集め方、これが今我が国が行うべきことであります。(発言する者あり)ありがとうございます。自民党の中にも賛同人がいる。

 これはやはり、これだけの大金を持っていて日本人がどんどん貧乏になっていくというのはおかしいじゃないですか。一人当たりのGDPは三十五番目だそうです。韓国にも負けちゃったと。それはやはり、政府といっても財務省だろうね、財務省の緊縮財政がまずい。プライマリーバランスを黒字化にしなきゃ駄目だ、そういう財政運営がまずいので、国土を大胆に構造改革することも、あるいは社会保障のお金も、しっかり日本の国は出せるということをやはりみんなが認識をして、政府を変えていく。これは、もしかすると与野党一緒にやることかもしれません。(発言する者あり)みんな、賛同人が多いね。

 本当に、私は野党だけれども、これは国のことだ、国民のことだから、やはりこういうことを直していかなきゃ駄目だというふうに思っています。

 そこを申し上げて、次にデジタル政策について、残念ながらデジタル庁などにちょっとお話しできませんが、先ほど早稲田議員も質問しましたので、政府参考人の皆さんにはずっと省かせていただいて、最後に、あと少し時間があると思いますので、河野大臣に一言だけ聞きたいと思っております。

 一番括弧四の四つ目ですね。デジタル行財政改革の実施について、国の予算、決算の見える化についてであります。

 私は、デジタル行財政改革をやるとしたら、いろいろなやることがのっております、教育を始め、のっておりますけれども、真っ先にやるのはやはり国の予算、決算の見える化に取り組むことだと思っておりますが、デジタル行財政改革担当大臣として河野大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

河野国務大臣 おっしゃるとおりで、国のやっている事業一つ一つの見える化というのが非常に大事になってくると思います。

 これまで政府は、国の事業を、事業シートというのを作って、レビューシートというのを作っておりましたけれども、これは紙ベースでございましたので、新年度、四月から、これをデータベース化して、国の予算に通し番号を振って、一つ一つのデータの分析がきちんとデジタルデータでできるような取組をやってまいりたいというふうに思っております。

 四月から、入力ができるようなフォームを作っていって、来年度の予算は、レビューシートの通し番号を作って、今までは、一つの事業をやめて何か似たようなものが別の番号、別の事業で出てきて、追えなくなるということがございましたけれども、そういうことがないように、通し番号を年度を越えてしっかりつけて把握できるようにしてまいりたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 是非、そういった意味では、歳入も歳出も、単価が分かるものは単価掛ける数量を明示して予算も作る、決算も作る、地方自治体ではこういうことをやっていますので、そうした形をすれば相当の無駄が省ける。やはり、使い方も賢い使い方をする、集める方も賢い集め方をする、これが大事だと思っていますので、是非よろしくお願いしたいと思っています。

 以上です。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。本日、最後の質問となります。

 まず、世界のデジタル競争の取組について伺いたいと思います。

 EUのデジタル市場法がいよいよ施行されるということであります。グローバルなデジタルプラットフォームに対して厳しい規制を課すということになると考えられますが、一方で、アップルのように、骨抜きとなる対策も発表する動きもあります。このEUの動きとそれに対するプラットフォーム側の動きを政府はどのように今見ているのかから伺いたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 デジタル分野は我が国経済の成長に不可欠でありまして、公正な競争環境の確保というのは重要な政策課題であるというふうに認識しております。

 先生御指摘のとおり、欧州におきましては、三月の七日からでございますが、競争的で公正なデジタル市場を確保することを目的とした新たな規制でありますデジタル市場法の本格的な運用が開始されたところでございます。

 欧州の規制に対するそれぞれ規制対象企業の側の対応、それから、これに関するEU当局の対応につきまして、引き続き、その動向を注視しながら、我が国におけるスマートフォンのアプリストア等の市場に関する競争環境を確保するために必要な法制度についての検討を進めていきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 具体的にお話を進めますが、ちょうどこの施行のタイミングに合わせて、EUがアップルに対して三千億円の制裁金を科すという報道がありました。音楽配信サービスで競合他社に制限をかけたということでありますけれども、これは同じことが日本でも言えることではないかと思っています。これは日本でも同様に課徴金を課すことができないのか、また、どんな対応が取り得るのかということについて伺いたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、音楽配信サービスなどのアプリが提供されるスマートフォンは、国民生活それから経済活動の基盤となっているというところかと思います。

 そうした中で、スマートフォンの利用に必要なOSであるとかアプリストアなどの特定のソフトウェアが少数の有力な事業者による寡占状態にあるということで、様々な競争上の弊害が生じているところと考えております。

 このような課題に対処し、デジタル市場におけるイノベーションの促進あるいは消費者の選択肢を広げていくということのために、スマートフォンのアプリストア等の市場に関する競争環境の確保のための法制度について、現在、公正取引委員会において、内閣官房とも連携しながら検討作業を進めているところでございます。

 具体的には、一定規模以上の特定のソフトウェアを提供する事業者を指定しまして、競争を制限するおそれのある行為の禁止等を定めるということ、それから、規制の実効性を確保する観点から、課徴金制度を含め、違反行為に対する公正取引委員会による命令等の規定を整備するということを検討しているところでございます。

 引き続き、規制の整備が先行的に進められている欧州を始めとした諸外国における状況も見極めながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 大臣に最後にお伺いします。

 昨年のG7のデジタル大臣会合でも、デジタル市場の競争力、イノベーションに関しての議論が行われました。閣僚宣言の中では、デジタル競争については、「迅速かつ効果的に、固定化した市場支配力に起因する問題に対処し、競争を促進し、イノベーションを活性化させる」とあります。この文言は、大臣がまとめられました責任者でありました。

 まさに、その宣言時からも更にこの世の中、社会が固定化して、市場支配力の進んだデジタル市場というのが今でき上がりつつありますが、この現状をどう考えていらっしゃるのか、また、どのような動き、また対応を考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。

河野国務大臣 デジタル分野の競争力に関しましては、我が国では公正取引委員会が今法案の取りまとめをしているところでございますので、どうぞ、公正取引委員会にお尋ねいただきたいと思います。

田中(健)委員 残念です。私、この同じ質問を実は消費者庁の委員会のときに大臣にしましたら、それはデジタル相の所管ですからと言われたので、デジタル相のときに満を持して今回質問させてもらったんですが、公正取引委員会と。

 実際に公正取引委員会が今法整備を進めているということもお聞きをしましたので、大臣においては、是非、今回のガバメントクラウドの取組においても、なかなか日本のベンダーが入れない中、大臣またデジタル庁が事業選定要件を改良する中で、やっと国内企業の参入にめどがつきました。

 そういうことで、是非、今デジタル小作人と日本がやゆされているような状況を何とか改善するためにも、大臣が、経産省とも、また公取とも、いろいろな分野と協力をする先導となっていただきたいと思います。

河野国務大臣 それは私が所管でございまして。

 これまでガバクラは、残念ながら、海外の企業四社と契約をしているところでございます。国内にデータセンターを置いて、そこでデータをきちんと管理をする、あるいは様々法的な問題の場合には日本の裁判所へ行く、様々ルールは決めておりますが、やはり、外交、防衛といった機微なデータであったり、あるいは日本の産業の育成みたいな観点から、両方から日本のクラウドというものをガバメントクラウドとして使うということがあってもいいんだろうと思います。

 残念ながら、今、デジタル庁が求めているレベルに合っているものはないのでございますけれども、これは多少時間的な猶予を与えるということと、一社だけでなく、ほかのベンダーとのサービスを活用しながらでもいいというルールにして、おかげさまで一社手を挙げてくれておりますので、定期的に進捗状況を確認しながら、日本のクラウドベンダーもガバメントクラウドに参入できる可能性というのがありますので、そこはしっかり見てまいりたいというふうに思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 今ありました外交、防衛等、また経済安全保障の議論も進んでおりますので、是非これを進めていっていただければと思っています。ありがとうございます。

 引き続きまして、加藤大臣にお伺いをいたします。

 ベビーシッターの利用支援事業について伺います。

 まず、この支援事業ですが、これは少子化対策でありましょうか、伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業は、福利厚生として従業員のベビーシッター利用援助に取り組む企業を支援するものでございます。

 本事業は、厚生年金適用事業主が負担する事業主拠出金のみを財源とし、各企業は、割引券を管理する団体に申込みを行った上で、子育て中の従業員に割引券を交付する仕組みとしています。

 本事業を活用することによりまして、働く子育て世帯の皆さんが仕事と家庭を両立できるようになることは、子育てしやすい環境の整備にもつながることから、本事業は少子化対策に資するものであると考えております。

田中(健)委員 結果的には資するんですけれども、大臣自身が今冒頭に言ってもらったように、福利厚生なんですね。やはりそこをしっかり言わないと、このベビーシッター事業、大臣が昨月、数が足りないから増やすということを発表した途端に様々な声が上がっています。順番が違うんじゃないか、そこじゃない、保育所に入れるようにしてくれとか、保育士の待遇をよくしてくれ、個人事業主、フリーランスはどうなんだと。でも、それは違うんですよね、議論が。そもそも働いている人に対する福利厚生ですからということをやはりしっかりと言っていただいた方が、国民の皆さんが納得もしてもらえるとは思っています。

 ですから、もちろん、少子高齢化にどのように寄与するかというのは、測るのは難しいですけれども、まず、福利厚生だ、働く人たちのためだということをしっかり言っていただきたいと思います。

 その前提で、今回のベビーシッターの件でありますけれども、制度を利用しているのは全体の一割にも満たないと言われていまして、初めて今回、利用の県別の中で東京都だけが出ましたが、これは五六%が東京都、ほぼ、ほかも首都圏が中心だということであります。

 まず、大臣の地元、山形県では、利用率はどのくらいになっているか御存じでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 現時点で、令和五年度は、山形県においては利用されていない状況でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 私も静岡なんですけれども、静岡で使っている人はほとんどいないということであります。

 これは、福利厚生といえども、しかしながら、こども家庭庁がやり、仕事と家庭の両立のために応援をしていくということでありますから、やはり公平性をどのように担保していくかということでありますし、地方は置き去りかという声にどういうふうに対応をしていくかというのが大変重要かと思っていますが、それらの取組、今後もこれからこの事業を進めていくに当たって、どのように解消していくおつもりでしょうか。

加藤国務大臣 本事業が首都圏を中心に大都市での利用が多くなっているということは御指摘のとおりと承知をしてございます。これは、対象である厚生年金適用事業主が大都市に多いことなどを反映しているものと考えられますが、他方、年々、中小企業を含めた利用企業数や利用される地域も拡大しており、今裾野が広がってきているということも認識をしてございます。

 多様な働き方をしている従業員の方々のニーズに応じて、できるだけ多くの企業や地域で幅広く活用をいただけるよう、運用の工夫を図っていきたいと考えております。

 今後の課題としてしっかり認識をし、今後、都市部と地方の企業の負担感の均衡を図る工夫や、地方を含めたニーズのある企業に幅広く活用いただく方策について、更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

田中(健)委員 今の答弁ですと、厚生年金を払っている事業者は東京が多いからということですが、それは余り適切じゃないと思うんです。山形もたくさんいらっしゃいますし、静岡もいらっしゃいますので。そうではなく、やはり、誰もが、どのようにして使いやすくなるかということであるかと思っていますので。今も、工夫をすると。どうやって工夫をするかと聞きたいわけですけれども、今なかなかその具体策はないと思うので。

 是非これが公平性が担保されて、そして全国の人も使えるような制度に発展をしていただきたいと思いますが、同時に、現在は東京都しか利用のパーセントが出ていませんので、全国の県別の利用率の一覧というのも出していただくことは可能でしょうか。

加藤国務大臣 御指摘の点を踏まえまして、状況を今後お示ししていくことは可能だと考えてございます。

 また、持続可能な事業とするために、利用実態の分析や利用企業等の声を踏まえて、企業への割引券の配分方法や手数料等の設定等の運用の在り方、利用の地域の偏在に対する対応策などについて検討してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 是非出していただきたいと思います。これは今年去年始まった事業でなくて、かなり長い間やっているんですけれども、なかなかデータが出なかったのは全部紙でやっていたということをお聞きをしました。全国でやっている、ないしは企業から紙で申し込んで、紙で集めてこの集計をしていて、初めて今回東京都の数字が出たということでありますので。同時に、やはり地域、山形はゼロということですけれども、全国的にどういう人たちが使っているのかということも分析をしていただいて、次の事業の展開に進んでいただければと思います。

 次に移ります。

 今回は、生殖補助医療について、またがらっと変わりますが、お聞きをします。

 東京都の助成に大きな反響が出ています。説明会に今月の四日時点で九千百六人、申請者の数は今月上旬時点で三百人の見込みの九倍の二千八百五十五人と。これは説明を受けてから申請という手続になるんですけれども、かなり多くの人が今申し込んでいます。さらに、条件を満たす申請者全員に最大三十万の助成を支給すると先日発表があったばかりであります。

 大臣はこの卵子凍結の意義や必要についてどのようにお考えかをお聞きしたいと思います。また、この事業は、山梨、そして今回神奈川もですね、他の自治体にも広がりを見せています。これは地域格差につながるのではないかという心配をしていますが、制度導入の検討を含めて、国としての姿勢も併せて伺いたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 健康な女性が将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存をしておく、いわゆるノンメディカルな卵子凍結につきましては、現在、自費診療として提供している医療機関があり、東京都を始め、御指摘のとおり、一部の自治体においてこの技術に対する費用の補助を実施していると承知をしております。

 一方で、ノンメディカルな卵子凍結につきましては、関係学会において医学的な諸問題が指摘されていると承知をしております。このため、各個人が卵子凍結に係る正しい知識を持った上で慎重に判断することが重要と考えており、国としてこういった取組を一律に推進することについては慎重に検討する必要があると考えてございます。

田中(健)委員 団体からも、また国も慎重と言っているんですけれども、慎重と言っている間に実は現状はどんどんと進んでしまっておりまして、今言った卵子凍結から進みまして、今度は凍結卵子や受精卵の他者への譲渡や売買について進みたいと思いますが、これは禁止をされています。しかし一方で、罰則は今ありません。そして、これまでも二十年以上、この問題は出ては消え、出ては消えでルール整備が進まずに、どうするかというと、多くの人は海外に行ってこの行為をしてまいりました。

 しかし、NHKの報道、昨月ですけれども、コロナ以降、身近なクリニック、国内のクリニックで実はこれがもう数多く行われている実態が明らかになっています。少なくとも、NHKの調べだけでも三百四十人が移植を受け、さらに妊娠までしているということが確認をされています。

 そもそも、こども家庭庁はこの現状というのを把握しているのかどうか。そして、これは無償譲渡ならいいのかという点も含めて、原則的なルールというのを定めないといけない。ルールの前にもうどんどんと進んでしまっていますので、ルールが必要だと考えていますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 第三者から卵子提供を受けた生殖補助医療につきまして、国内、国外で実施されていることは報道等で承知をしてございますが、実施件数は把握はしてございません。一方で、生殖補助医療の規制や情報の保存、管理等の在り方について、現在、超党派の議連において、卵子の売買など利益の授受の禁止も含めて議論をされていると承知をしてございます。

 政府といたしましては、その議論の結果を踏まえ、国において求められる対応について検討してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに超党派でも議論をされているというのも、私もメンバーで入っておりますが、しかしながら、やはり政府がどうするかという意思が大事だと思っています。

 そもそも、日本には生殖補助医療を担う公的な機関がありません。国が責任を持ってどうしていくのかというルールが整備が進んできませんでした。これはどうしてなのかということと、今言ったように、ルールや法を超えてもう行われてしまっているという現実があります。さらに、こども家庭庁もそれを認識していないということで、問題が起きてからでは遅いということでありますが、早急に法システムの整備について政府としても検討すべきじゃないかと思いますが、大臣の決意を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の生殖補助医療につきましては、個人の生命倫理、家族観等に関わる難しい問題でございます。

 第三者の精子又は卵子を用いた生殖補助医療につきましては、平成十二年から厚生科学審議会で検討され、平成十九年からの議論をまとめた日本学術会議による報告書では、代理懐胎を規制するなら国民の代表機関である国会が作る法律によるべきと報告をされました。

 これを踏まえて、平成二十五年以降は与党において立法化の議論が行われ、令和二年には、生殖補助医療の提供等に関する基本理念や生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例を規定した、いわゆる生殖補助医療法が議員立法として提出をされ、成立したところと承知してございます。

 今現在では、生殖補助医療法の附則に基づき、生殖補助医療の規制や情報の保存、管理等の在り方について、超党派の議連において、先生も含めて議論がなされておられるということを承知しております。

 今後としましては、関連した議論や立法化の状況を踏まえて、国として必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非政府としても取り組んでいただきたいと思いますし、何よりも実際に子供が生まれてくるということで、望む私たち親や大人ではなく、生まれてきた子供に関わることでもありますから、子供の福祉また人権ということも踏まえて今後検討を進めていっていただければと思います。

 以上で質問を終わります。

谷委員長 河野大臣及び加藤大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 この際、委員長から、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 今般、政府は、妊娠時から出産、子育てまで一貫した伴走型相談支援の実効性をより高めるため、妊娠から出産及び子育てまでの支援の観点から、令和六年度出産・子育て応援給付金を支給することとしたところであります。

 本起草案は、この令和六年度出産・子育て応援給付金について、支給の趣旨に鑑み、支給を受けることとなった者が自ら使用することができるようにするため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、令和六年度出産・子育て応援給付金の支給を受ける権利の差押え等を禁止するとともに、給付金として支給を受けた金銭等の差押えを禁止することとしております。

 第二に、租税その他の公課は、令和六年度出産・子育て応援給付金として支給を受けた金品を標準として課することができないこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 この際、委員長から、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 本起草案は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律に基づく一時金の支給の請求の状況に鑑み、一時金の支給の請求期限を五年延長するものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。加藤国務大臣。

加藤国務大臣 本法律案につきましては、政府としては異議はありません。

 この法律案が御可決された暁には、この御趣旨を踏まえて、引き続き速やかな一時金の支給に努めてまいる所存でございます。

谷委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、両法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、田中英之君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、日本共産党及び国民民主党・無所属クラブの六派共同提案による旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。岡本あき子君。

岡本(あ)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する件(案)

 一 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者(以下「優生手術等を受けた者」という。)が御高齢となっており、一刻の猶予もないことを踏まえ、一時金の支給について効果的な広報を早急に行うこと。また、広報の実施に際しては、障害種別に応じて、分かりやすい文章、点字、手話など、情報提供の在り方を工夫し、優生手術等を受けた者、家族及び関係者に情報が行き渡るようにすること。

 二 国及び地方公共団体の一時金支給制度の相談窓口において、優生手術等を受けた者等が身近で安心して相談できる体制を充実させること。また、その相談が一時金の「請求受付」につながるよう、優生手術等を受けた者等の話を丁寧に把握し、関連する行政機関、地方公共団体、医療機関・福祉施設等と緊密な連携をすること。

 三 一時金の水準等を含む今後の対応の在り方について、当事者からの要望があることを踏まえ、不断の検討及び見直しを行うこと。

 四 旧優生保護法に基づく優生手術等に係る資料が優生手術等を受けた者の被害状況を証明するために重要であることに鑑み、国は、資料の破棄などを行わずその保管・保全を徹底するよう地方公共団体、医療機関・福祉施設等に改めて通知すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。

 この際、本決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。加藤国務大臣。

加藤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、政府としても努力してまいる所存でございます。

谷委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係政府当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十九日火曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十七分散会


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