衆議院

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第8号 令和6年4月3日(水曜日)

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令和六年四月三日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      勝目  康君    木村 次郎君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    田畑 裕明君

      高木  啓君    橘 慶一郎君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 貴元君    中川 郁子君

      橋本  岳君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      本田 太郎君    宮路 拓馬君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      山本 左近君    井坂 信彦君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      山井 和則君    早稲田ゆき君

      足立 康史君    赤木 正幸君

      伊東 信久君    伊佐 進一君

      浮島 智子君    平林  晃君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 濱田 厚史君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 英正君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石垣 健彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     国光あやの君

  谷川 とむ君     杉田 水脈君

  橋本  岳君     田畑 裕明君

  藤丸  敏君     宮路 拓馬君

  柳本  顕君     中川 貴元君

  中谷 一馬君     山井 和則君

  赤木 正幸君     足立 康史君

  浮島 智子君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     本田 太郎君

  杉田 水脈君     鈴木 英敬君

  田畑 裕明君     橋本  岳君

  中川 貴元君     勝目  康君

  宮路 拓馬君     藤丸  敏君

  山井 和則君     井坂 信彦君

  足立 康史君     赤木 正幸君

  鰐淵 洋子君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     木村 次郎君

  鈴木 英敬君     谷川 とむ君

  本田 太郎君     高木  啓君

  井坂 信彦君     中谷 一馬君

  平林  晃君     浮島 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     山本 左近君

  高木  啓君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     柳本  顕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、総務省大臣官房審議官濱田厚史君、財務省大臣官房審議官中村英正君、文部科学省大臣官房審議官奥野真君、厚生労働省大臣官房審議官宮本直樹君、同じく石垣健彦君、同じく宮本悦子君、同じく斎須朋之君、同じく日原知己君及び同じく宮崎敦文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。国光あやのさん。

国光委員 国光あやのでございます。ありがとうございます。

 改めて、本日、委員でもございませんけれども、御指定をいただいて質問に立たせていただくことを、大変、理事の皆様方、本当に感謝を申し上げます。

 私も、今日は是非、本当に記念すべきこの法案の審議のトップバッターとして、加藤鮎子大臣始め皆様方、連日お疲れさまでございます、エールを与党の立場からお送りし、早期成立を願う一員として質問させていただきたいと思います。

 加藤大臣、私も、ずっと当選以来、加藤大臣に本当に公私共にお世話になっておりまして。お子さんが二人いらっしゃって、個人情報で恐縮なんですけれども、一応公知なので、今年の春から上のお子さんが中学生で、おめでとうございます。うちも高校生になりました。(発言する者あり)ありがとうございます。それで、下のお子さんも五歳になられて、本当に一番かわいいときだと思いますし、あと、やはり子供さんがいらっしゃる方はお分かりのとおり、一番かわいい時期、逆にママも恋しい時期だと思います。その中で、恐らく、日本で一番今お忙しく、日本で一番今注目されていらっしゃる方々のお一人である中で、こうやって今大変な激務をこなされていること、本当にいろいろな、人には言えない悩みもあると思います、その中で、本当に、加藤鮎子大臣のリーダーシップと御努力に私はまず敬意を表させていただきたいと思います。

 その中で、私は、自分自身も子供を持つ母親として、また、地元のお母さん方、お父さん方の御意見を聞いておりまして、やはり、この法案、いろいろ議論はあるけれども、早く成立をしていただいて、特に児童手当など、後ほどまた質問しますけれども、これは、成立したら十月から給付がスタートするわけですよね。それを待っていますという方はたくさんいらっしゃいます。

 なので、今日は、よく野党の皆さんも指摘する重要な論点を改めて確認させていただくとともに、やはり、国民に対するその分かりやすい説明というのも併せてお願いしたいと思っております。

 まず、ちょっと済みません、フリップがいっぱいあって恐縮なんですけれども、お手元の資料を御覧いただければと思います。

 これはちょっとお願いだけなんですが、私はやはり、地元でいろいろ話して、いろいろな給付が拡充するんだけれども、いまいちちょっと分かりにくいというお話は正直いただいたりいたします。

 例えば、これは御提案なんですけれども、今日、今お手元にお配りしているような資料、私、今までこども家庭庁の作った資料を調べましたけれども、給付といわゆる財源、今これは論点ですよね、それが一緒に説明されている資料というのは余りないです。というか、一つもなかったです。だから、自分で作りました。

 これは、要は、給付が三・六兆あって、児童手当だとか、十万円給付とか、誰でも通園制度とか、共働き、共育ての、育休の給付率を手取り十割とか、給付がちゃんとあって、ここからがポイントなんですが、ちゃんと安定的な財源も確保しているのだということですよね。それをやはり分かりやすくお示しを更にしていただきたい。

 これはこども家庭庁に、今後、できたらチャットボットとかを使って、それぞれの世帯条件や収入条件を入れたらば、あなたはこの制度を使えますよというぐらい、これは、中企庁もやっています、スタートアップ政策でもやっています。さらに、農水省も逆引き事典として使っています。そういうのを参考に、広報室あたりにいい方を入れて、よかったらアドバイザーも紹介しますから、是非改革していただきたいなと思っております。

 その中で、ちょっとこの資料の中の、特に医療保険や所得により個々人でその支援金制度の負担額が違うというところが、今回、先週、この次のフリップのように、お手元の資料のように試算をされたわけでございます。これで一人当たり一体幾らの支援金額になるかということは分かるわけですが、これだけよりは、やはり、ポイントは、私もずっと厚労省にもおりましたし、社会保障も子供政策も、給付と負担の両方をちゃんと確実なものにすることが大事です。

 これは負担の話だけなので、次の資料を御覧いただくと、じゃ、給付と負担の関係は一体どうなっているかということで、ここで加藤大臣にお伺いしたいと思うんです。

 先週試算が出て、それで分かったこととして、この資料を御覧いただければと思いますが、要は、世代別にゼロ歳から十八歳まで見ていただくときに、拡充分、合計給付が百四十六万円。これは児童手当が特に寄与していますけれども、ほかにいろいろな、誰でも通園制度とか、妊婦のための十万円の支援給付とか、合算して十八歳まで百四十六万円給付がありますよね。今、負担の話が議論になりやすいですけれども、支援金ですね、支援金は十八歳までで合計十八万。下の十八万の負担と上の拡充分の百四十六万、計算していただくと、約八倍、拠出分の負担の八倍も給付があるわけであります。だから、子育て世代は負担ばかりじゃないかという指摘は当たらず、給付の方が十分多いんだということの証左だと思います。

 是非、この辺り、改めて加藤大臣に、全世代、そして全主体がしっかり同じ理念を共有しながら、子育て世代にメリットがあるんだということを、改めてその意義を御説明いただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、冒頭のエールをいただきまして、ありがとうございます。精いっぱい努めてまいりたいと思います。

 支援金制度の改めての意義ということでございます。また、給付と負担のところも併せてということでありますが、御指摘のとおり、今般の加速化プランの給付拡充を支える財源の一つとして、支援金制度は、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える仕組みでございます。児童手当やこども誰でも通園制度などに支援金を充てることにより、子供一人当たり、ゼロ歳から十八歳までの間に平均約百四十六万円の給付拡充を受けることになります。政府が総力を挙げて取り組む賃上げ等と相まって、若い世代の所得を増やし、結婚、子育てを確実に応援していくものとなります。

 児童手当等の給付拡充や賃上げ等の取組を先行させつつ、支援金導入は令和八年度から段階的に行い、高齢者も含めた全世代、また企業も含めて、令和十年度において、医療保険加入者一人当たり月平均で約四百五十円の拠出をお願いすることにより、こうした給付拡充を実現してまいります。

 また、その際、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することで、全体として国民に実質的な負担が生じないこととしてございます。

 こうした支援金制度の意義について、また、拠出のみならず、そこにしっかりとした給付があるということをしっかりお伝えをさせていただきながら、国民の皆様に御理解をいただけるよう、引き続き丁寧に説明を尽くしてまいります。

国光委員 ありがとうございます。

 おっしゃったとおり、しっかり給付というメリットがあるわけであります。やはりこれは、いろんな議論がありますけれども、明らかに給付が増える主体がこんなにたくさんいらっしゃって、負担より八倍も多いわけであります。なので、早期成立を目指していくという、私は、本当に必要なことだと思いますので、是非エールを送りたいと思います。

 そしてもう一つ、負担といえば、やはり、どういう施策でもよく出る話が、負担能力のない方にちゃんと配慮できているのかということであります。

 この点、例えば、全世代で支える中で、高齢者の方、年金受給者で、基礎年金だけもらっていて、四月から年金額、受給額がちょっと上がりましたけれども、大体、基礎年金だけだと年収約八十万程度になります。それらの方に、この支援金、ちょっと負担がというふうに懸念される方もやはり高齢者の中にもいらっしゃるわけですが、この辺りの御配慮、かなりされていらっしゃると承知しています。大臣の口から、負担能力の十分でない方に対して今回しっかり支援金制度が配慮されているのだということを、是非、改めて御説明をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度は、歳出改革等によって社会保険負担軽減を生じさせ、その範囲内で構築することにより、全体として実質的な負担が生じないこととしてございます。

 また、実際の拠出額については、医療保険料の取扱いに準じ、負担能力に応じた仕組みとします。具体的には、国民健康保険、後期高齢者医療制度の加入者について低所得者軽減措置を講ずることとし、それぞれ応益分の均等割について、所得に応じて七割、五割、二割の軽減を行います。

 また、国民健康保険では、本来、世帯人数に応じて均等割の保険料がかかりますが、支援金制度は少子化対策のための拠出であり、世帯に子供がいることが負担増とならないようにする観点から、子供に係る支援金の均等割を全額軽減することとしております。

 委員から御紹介をいただきましたように、このような負担軽減策により、基礎年金のみの収入である年収八十万円の方の場合、国民健康保険、後期高齢者医療制度共に支援金の試算額は月額五十円となります。御高齢の方々も、少子化、人口減少に歯止めをかけることができれば、社会の一員として受益を受けますので、こうした支援金制度の意義を御理解いただけるよう説明を尽くしてまいります。

国光委員 ありがとうございます。

 本当に、様々な工夫を凝らしていただいていて、最後おっしゃった、約五十円ですね、地元で私もお話を伺っていても、やはり、高齢者の方、子供政策を応援したい、そういう時代なんだ、だから少しでも自分も負担しなきゃいけない、よく分かっておられます。でも、一体その負担額が自分にとってアフォーダブルかというのを一番気にされるわけです。

 今お話あったとおり、基礎年金のみの方でも月五十円でありますから、これは受け手によってもちろん違うかもしれませんけれども、恐らく多くの方にはそれがアフォーダブルである、許容できる範囲というふうに感じていただけることを私は期待をしております。

 そして、給付の点で、今度はちょっと政府参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、先週改めて、こども家庭庁さんの試算で、資料を入れていただいたもの、これは実際の給付内容のスケジュールでございます。

 冒頭申し上げたとおり、今回の子ども支援金制度などによって明らかに給付が、サービスが増えます。増えるものは五つです。児童手当の抜本的拡充。そして、妊婦のための支援給付、これは十万円ですね。そして、こども誰でも通園制度、ゼロから二歳で、それで誰でも通園制度が始まるということ。そしてまた、出生時の休業支援給付や育児時短の就業給付など。これはそれぞれ、育児休業中手取り十割相当を支援いただいたり、時短勤務中も、ゼロから二歳でしたか、賃金の一〇%をいただけるというのは結構大きいですよね。これは私も周りで是非早くと言われます。こういうものだったり、あとは国民年金の一号被保険者ですね。フリーランスの方とか自営の方、保険料の免除措置、これは月一・七万円ですよね。これも大きいですよね。

 よくよく聞くと、いいことをやっていらっしゃるんですよね。こういうのをやはりもうちょっと分かりやすく示していただけることが大事で、この資料も、これは実際、私、記者からよく言われます、これはよかったと。今まで皆さん、おっしゃっていたつもりなんだと思います、それぞれ、いつから始まりますよと。ただ、一覧にしてこなかった、そしてまたビジュアル化もしてこなかった、フリップもなかったから、記者も余り、記事にしにくかった、だから伝わらないみたいな、そういうことはありましたので、これを出していただいたこと、結構、いろいろな記者さんも記事にしていただいたりしています。

 いつから始まるということを、是非、改めてちょっと御説明いただけないでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 加速化プランに基づく施策は、今後三年間でその大宗を実施することとしており、できるだけ前倒しで実施することとしております。

 その上で、子ども・子育て支援金制度による給付の充実につきましては、まず第一に児童手当の抜本的拡充でございますが、令和六年十月に施行いたします。あわせて、子育て世帯の皆さんにできるだけ早く、かつきめ細かく児童手当を支給することができるように、今般の法案におきまして支払い月を偶数月の年六回とすることとしておりまして、これにより拡充後の初回の支給は本年十二月に行うこととしております。

 このほか、委員から幾つか例示をいただきました。出産・子育て応援給付金の制度化については令和七年四月。こども誰でも通園制度については、令和七年四月からは法律上の制度として位置づけ、令和八年四月から法律に基づく新たな給付制度として全自治体で実施。また、両親共に育児休業を取得した場合の出生後の休業支援給付金ですとか、育児期に時短勤務を行った場合の育児時短就業給付金につきましては令和七年四月。そして、国民年金一号被保険者の育児期間に係る保険料の免除措置につきましては令和八年十月から施行することとしております。

 これら給付の拡充の施行につきましては、自治体の皆様方の意見も丁寧に伺いながら、円滑な実施に向けた準備に万全を期すとともに、スピード感ある実施に努めてまいります。

国光委員 ありがとうございます。

 今御説明いただいたとおり、法案が成立したら、一番初めにこの制度によってメリットを受けることが児童手当ですね。先ほどおっしゃったように、十月から制度はスタートしますけれども、二か月ごとにいただけるということになって、十二月に初回はいただけるということになるんだと思います。

 この中で、児童手当、非常に期待が大きくて、やはり、所得制限の撤廃もいただきましたし、そして、まだ今まで中学生、三年生まででしたけれども、高校生までも支給いただいて、うちも子供が、ごめんなさい、私ごとですけれども、高校一年生になるので、ああ、私ももらえるんだとちょっと期待をしているところでありますけれども。第三子以降も支給額が増額して三万円になる、二倍ですね。何か非常にこれは期待が大きいので、早くお届けするということが重要なのかなと思っているところであります。ありがとうございます。

 では、続きましてのちょっと御質問で、これも政府参考人にお答えをお願いしたいと思うんですけれども、やはり、給付に対して気になるのが財源。負担のところの中でよく議論になる、歳出改革によって、あと賃上げと相まって実質的な負担が生じないようにするということなんですが、歳出改革、何をやるのとか、いつからやるのとか、そこが非常に気になるわけであります。

 ちょっと、私も実際、厚労省にいたときに、今までいろいろな政権にお仕えをしてきて、やはり言うほど歳出改革は簡単じゃないです。それぞれのステークホルダーのいろいろな利害もあるし、そして経緯もあります。ただ、これをやらないと、支援金制度も、そして子供政策の財源も砂上の楼閣になってしまうわけであります。なので、いかにここを胆力を持って進めるかというのが、霞が関も永田町も非常に重要なことだと思います。

 それで、一体、じゃ、歳出改革によって、それぞれどれぐらい財源が、どういう面でどれぐらい財源が出るんでしょうかと非常に気になります。これはよく私も地元で聞かれます。

 厚労省と、全社の、全世代社会保障構築本部事務局の方にお尋ねしたんですけれども、まだありませんということだったんですが、多分いろいろおっしゃりにくいでしょうから、私も外部の方の試算を今日はちょっと持ってまいりました。私が知る限り、社会保障改革などでどれぐらいの財源が出るのかと一覧にされたのは、この資料が一番有意だと思います。

 これは令和臨調ですね。これは与野党の方それぞれ、議員で、私もそうですけれども、入らせていただいて、本当に、今後の未来もしっかり議論をするという令和臨調のものの資料でありますけれども。これを見ていただくと、これは津田塾大学の伊藤先生という方が試算したものでありますが、この推計がどれぐらい精度があるかはちょっとおいておいて、大体、ざっくり事前に厚労省にお伺いしたらば、そんなに外れてもいないものも多いということでありました。

 見ていただくと、やはり、一番上、長期収載品の後発医薬品への置き換え。それから、セルフメディケーションの推進。これは、要は、OTC類似薬の見直しとか、それからリフィル処方箋の普及とかですね。大体、財源が出る順に並べてみたんですけれども、薬の関係が多いですよね。実際今まで、二〇二三年、四年と、合計で〇・三三兆財源が出ましたとよくおっしゃっていると思うんですが、それもほとんど、毎年、薬価改定とか、薬価からの財源ですよね。

 こういう話も、今後、この法案成立以降、やはり、歳出改革をするんだとおっしゃったので、私は、これは回答は要りませんけれども、しっかり議論を役所の中でしていただくことは必要だと思いますし、できなかったといったらしゃれになりませんので、是非、そこは胆力を持ってお願いしたいと思いますし、今日はデジタル通の先生方もいらっしゃいますけれども、一番下です、DXと働き方改革で、今後十年間で大体一・五兆円程度という財源が出るということがありますので、ここもしっかり、そこに近い形になるように、我々永田町の人間もサポートしていきたいと思っているところであります。

 今日は、済みません、その上で、ここに入っていない関係の政策案件で、是非、歳出改革にも資するし、患者さんへのメリットもあるし、非常によろしいんだ、賃上げにも寄与するのではないかというふうな玉を、ちょっと二つ御質問させていただきたいと思います。

 一つは、今日は、お忙しい中、塩崎政務官にも来ていただいて、ありがとうございます。実は、それぞれの永田町や霞が関、そしてまたステークホルダーで、一つ非常によく話題に最近上がり始めたこととして、医療保険の改革あるいは介護保険の改革以外に、やはり、例えばもう少し保険外併用の柔軟化とか。さらに、皆さん国民ほぼ全てが公的保険が持続可能性があると思っていないんです。もう誰一人多分思っていません。その中で、例えばもうちょっと民間保険を安心して活用できるようにする。それは、ひいては患者さんのアクセスのために寄与するという形で、議論が非常に今されることが多くなったように感じております。

 私、一応、こう見えても、今も診療はやっているんですけれども、医師なんです。診療現場でよく言われること、私が実際に診療で言われたことと、それから、周りの医者に、ドクターや患者さんに言われることの例でちょっとお持ちしたんですけれども、これはいずれも真なりです。

 どんなことがあるのかというと、例えば、今、要は混合診療が一切禁止はされています。一部例外で保険外併用があるわけでありますけれども。資料を見ていただくと、例えば高血圧の患者さん。これは、最近、スマホの治療用アプリとかができてきて、保険で六か月はスマホで健康指導、これは、血圧とか体温とかいろいろな食生活を入れたら、あなたはこうした方がいいとか、フィードバックが来て、ちゃんと医者も管理してくれるというアプリが数年前に保険適用になっていて、結構便利なんです。私の患者さんも使ったりしています。

 これは薬事承認ではずっと期間なしで使えるんですけれども、保険適用の範囲は六か月なんです。だから、私も先月、七か月目になった患者が来まして、いや、国光さん、これはすごい便利だった、使いたいんだと言われたので、いや、そうですか、よかった、じゃ、これはちなみに、六か月以降はちょっと保険が利いていないので、悪いんですけれども、今、混合診療は禁止されていますから、全額自己負担なんです、つまり、初再診料、私が診る初再診料とか、何ちゃら生活習慣病の加算とか、そういうのも全部、全額自己負担だと申し上げたら、結構ぶち切れられまして、何か、それは罰ゲームですかみたいな。それはそうなんですよ。

 それで、これは議連をつくって改革しました、今回、診療報酬改定で、こう書いていますように、もう明らかに、このアプリ、やはり、どう考えても安全だし、便利だよねというものに関しては、まだ保険適用を、六か月以降されていなくても、是非、例えば保険外併用、このアプリ代は自己負担をもらっても、その根っこの初再診料とか何ちゃら加算とかまで何で全額自己負担になるんだというふうに、納得できないわけですよ、患者。こんな患者はいっぱいいます。医者もおかしいと思っているんです。これは保険外併用をオーケーにしました。

 こうやってやったり、あと、一番今回の議論に関係するのが、この真ん中のがん患者。これは塩崎先生も、お父様の時代からゲノム医療を本当に頑張っていらっしゃるわけでありますけれども、これは結構切実で、ちょっと本当に涙が出そうな感じなんですけれども、やはり、がん患者さんは、ステージが1でも2でも、本当はターミナルでも、何とか、わらをもすがる思いで治療法を希求されます。そんな患者さんを私もたくさん診てきました。

 今、やはり、例えば、がんのパネル検査とか抗がん剤とかたくさん、いろいろ出てきて、それを使いたいんですよ。でも、皆さん、エビデンスが蓄積するのは、思っていらっしゃる以上にめちゃめちゃ時間がかかります。製薬企業も医者も頑張ってやるんですけれども、なかなか、保険適用に至るまでにすごく時間がかかる。でも、その間に、自己負担でもいいから使いたいんだとか、自分の責任で。例えば、肺がんの患者には使える薬が前立腺がんには使えないとか。あと、パネル検査も、随分おかしいんですけれども、標準治療を、つまり、化学療法、手術療法、放射線療法を受けた後でやっとなぜか使える。それは、データがそこしかなかったからです、製薬企業が出してきた。

 なんですけれども、普通、考えてみていただいたら、がんになったらすぐパネル検査をやって、遺伝子を調べて、いや、あなたはオプジーボですと。あ、ごめんなさい、商品名を言っちゃいけないですね。あなたはこれです、これですとかという薬がありますよというのを、やはり使いたいのは患者で、これが全額自己負担ですとかいうと、パネル検査だけで百万ぐらいはかかりますし、ほかの治療薬もすごい金がかかりますので、患者さんは本当に泣きます。

 私は、御提案が、是非、やはりもうちょっと保険外併用を柔軟化して、せめて、例えば入院料とかそういうところは保険で見るとか、さっきのアプリと一緒ですよね、だとか、もう少し言うと、民間保険ももうちょっと柔軟に活用していただく。がんでは、実は一昨年に民間保険がこういう商品開発をしまして、非常に売れています。みんな待っていたんです。公的保険だけじゃ限界はみんな分かっていますから。

 そういうところを、是非、私は、改革派の塩崎先生として、中から改革をしていっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

塩崎大臣政務官 今、国光先生から御指摘のありました標準治療前のがん遺伝子パネル検査、この問題、これは私が政務官に就任する前から問題意識を持って取り組んできた課題でもありまして、非常に大切な問題提起をいただいたものと考えております。

 御案内のとおり、がん遺伝子のパネル検査、今は、標準治療がない固形がん患者、又は、標準治療の終了又は終了見込みの固形がん患者に対してのみ保険診療として実施することができる、こういう制度になっております。

 御指摘の標準治療前の、実施するがん遺伝子パネル検査、今は先進医療という制度の中で進められておりまして、保険適用については、この先進医療の様々な結果、これに得られる有効性、安全性に係るエビデンスを含めて、関連学会の学術的見解等も聞きながら中医協において議論を進める、こういうことになっております。

 ただ、その上で、今委員からの御指摘もありましたので、やはり、この保険外併用療養の更なる活用を含め、医療技術の進歩への迅速な対応の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。

 私が知る限り、最後、ここまでおっしゃっていただいた答弁は今までなかったので、厚労省の皆さん、済みません、ありがとうございます。

 是非、もう今、時代の要請だと思いますので。麻生政権のときに、混合診療の解禁ですごく炎上した時期がありました。そういう記憶がある方、かなりいると思うんですけれども。でも、混合診療の解禁じゃないです。患者のアクセスのための保険外併用、現行制度の運用の改善なので、それはあくまで患者のためです。それにやはり、泣きつかれる医療者も望んでいますから、これは前向きに進めていただきたい。これはもう切にお願いしたいと思っております。

 そして、もう一つ、済みません、話はちょっと変わって、これは賃上げにも、そして歳出改革にも資するんじゃないかという、特に賃上げの方ですかね、御質問で、これは政府参考人にまたお伺いしたいんです。

 これは病院の先生から最近むちゃくちゃ言われること。皆さん、やはりもう分かっていて、診療報酬や介護、それを上げてほしいと。上げてほしいけれども、今、保険料の話でこれだけの騒ぎになっているんですよ。なので、今後、御自身たちが希望する、例えば、プラス改定で三%、四%、五%が成し遂げられるかというと、やはりなかなか厳しいのは分かってきていらっしゃる。

 その中でよく言われることは、先生方の御地元の病院の先生にも聞いてみてください、もっと、診療報酬以外の世界。例えば、いわゆる収益事業。

 例えば、クニミツ病院がありましたと。スポーツジムをやっています。クニミツ病院の土地を薬局に貸していますとか、あるいは、クニミツ病院の管理栄養士さんが考案したヘルシーメニューを出すコミュニティーカフェをつくりたいですとか。あと、売店、それは義肢装具とかを売っています売店をつくりたいです。そうやって、そこで収益を出したい。でも、それはちゃんと医療的にクオリティーがいいものを提供するという前提で、そういうことをもうちょっと認めていただけないかという話は、そこでやはり収益をもっと出して賃上げに結びつけたいんだという話は、かなり多くの病院の先生方などからいただくようになりました。ただ、これは規制がなかなかしわいんですよね。

 これはちょっとお尋ねなんですけれども、まず、社会医療法人。これは、全国で三百ちょっとあって、非常に、だんだん増えてきていますけれども、救急医療とか周産期医療とか、大事な医療を提供するところは社会医療法人というものになって、その病院本体は非課税なんですけれども、収益事業が一部認められて、全体の収入の二〇%まで認められているんですけれども、二〇パーというのは結構しんどくて、もうちょっと、せめて四〇とか五〇パーぐらいに上げてくれないかという話はすごくいただきます。これは是非前向きに御検討いただきたいと思いますし、隣に中村審議官、主税局、いらっしゃいますけれども、収益事業があったからといって、いきなり課税法人になれと言わないでいただきたいというのをすごく思うんですけれども。そこを是非頑張っていただきたいのが一つ。

 あと、医療法人、これがほとんどですよね。医療法人も、今、収益事業は一切駄目なんですけれども、やはりこれは相当きついです。それができずに、さっき申し上げたコミュニティーカフェとかいろいろな、結構いいことをやっているんですね、町の地域づくりのためにも。一切それが認められないから、わざわざNPO法人とか別法人をつくって、そこで何とかやっていますと。それがすごく面倒くさかったり、あるいは、附帯業務とか付随業務も、結構ローカルルールも激しくて、何か、茨城では駄目と言われたんだけれども、同じような事例で北海道ではオーケーだったとか、よくあるじゃないですか、そういうのは。これもとてもクレームが来ます。

 この辺り、是非、社会医療法人の収益事業の拡大、医療法人の収益的な事業の柔軟な、もう少し運用の改善とか、新しい仕組みとか、そういうことを御検討いただけないか。病院の、皆さんからの切なる要望なので、是非、いかがでしょうか。

宮本(直)政府参考人 お答えいたします。

 医療は、国民の生命、健康を守るという点で重要でありまして、安定的に供給される必要があるということを踏まえれば、医療を提供する主体については、診療報酬により得られる収入により運営されることが基本となるとは考えております。

 その上で、社会医療法人につきましては、地域で不可欠な救急医療や周産期医療等の必ずしも収益性が見込めない医療を一定程度行う法人であることから、公的な運営が担保される範囲で収益事業を行うことが認められているものでございます。こうしたものを踏まえて、議員の御提案については、どのようなことが考えられるかについてしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

 また、議員から御指摘がありました医療法人におけるコミュニティーカフェや売店については、入院又は通院する患者及びその家族を対象として行われるものであって、医療の提供又は療養の向上の一環として行われるものは病院に付随する事業として実施できる場合もあるものと承知しております。こうした点を踏まえまして更に検討してまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、厚生労働省としては、委員からいただいた御提案も踏まえ、社会医療法人や医療法人について、地域において安定的、継続的に医療を提供していくためにどのような措置を講じていくべきなのか等について、継続して検討してまいりたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。大変感謝を申し上げます。

 今まで私は三年ぐらいこの課題をやっているんですけれども、結構、なかなか厳しい塩対応だったので、ここまで前向きにおっしゃっていただいたのは大変感謝を申し上げます。宮本審議官のリーダーシップで医政局の中も是非ほぐしていただきたいと思っております。

 続きまして、給付と財源の、子供政策の部分で、済みません、ちょっと今日、野党の皆さんにお許しいただきたいんですけれども、各党はどうなのか。

 これは、やはり、子供のためには党派を超えて建設的な議論というのは本当に必要だと思います。というのが、私も、社会保障と税の一体改革とか、いろいろなしびれるような政策を担当してきたことが役所時代にありまして、各党の合意形成、政争の具に過度にしないというのは非常に重要だと思います。

 それで、各党が、よく御議論いただくわけですけれども、財源をどう見ていらっしゃって、給付がどうなのかということを一覧にしてみました。済みません、これをちょっとお許しいただきまして。一応これは公表資料からまとめたので、合っているかと思うんですけれども。

 例えば、立憲民主党さん。給付額は、ちょっとごめんなさい、不明でした。その財源としては、既存予算の見直し、基金とか天下り改革。また、二番目、所得税。三番目、金融所得課税等。

 国民民主党さん。ちょっと給付額は分かりませんでした。教育国債等。

 維新の党さんは、給付額は分かりませんでした。でも、高齢者の医療費の窓口負担の三割負担ですね。なかなかこれは思い切ったなという感じはいたしますけれども。

 共産党さん。共産党さんは余りずっと変わっていらっしゃらなくて、給付額はちょっと不明なんですけれども、法人税、内部留保課税、所得税、資産課税などであります。

 これを、それぞれ私は敬意は表します。このように、ちゃんと出されていらっしゃる。これをやはり現実的に、皆様方が目標とされる給付額に十分見合うほどの財源がこれで出るんでしょうかという観点が私は非常に重要であり、だから、我が党、与党、自民、公明は、しっかりここで落とし前をつけたということがあるんだと思います。

 そこで、今回、立憲民主党さんの御提案の中で、あ、ほかの政党もありますね、ごめんなさい。これはよく話が出てきますけれども、これは中村審議官にお尋ねなんですけれども、例えば所得税を仮に累進強化、よく出てきますよね、総論では。必ずどこかの政党が選挙のたびに掲げます。でも、これは一体財源は幾ら出るんでしょう。

 例えば、最高税率を現行の四五%から五〇%、五%引き上げたら、これは財源はどれぐらいになりますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のブラケットでございますけれども、一%当たりの税収が三百億円ございます。先生御指摘のように四五から五〇に引き上げる場合には、機械的な試算を行いますと、その五倍、千五百億円の増収となると見込まれます。

国光委員 ありがとうございます。

 五%で千七百億なんですよね。皆さん、これはどうですかという感想はあえて求めませんけれども、そうか、五%で千七百億か、千七百億で何をしましょうということですね。つまり、財源と給付が、やりたい給付に対してどれぐらいちゃんと財源が出るのかというのは、これほどさように、詰めてみると、こうだったな、意外にあったんだ、いろいろあると思うんですけれども、やはり私は、この表の給付と財源がちゃんと責任を持てることこそ政治の役割だと思いますので、是非、建設的な議論ができればと思います。(発言する者あり)

 これは、ゼロ円じゃないですよ。丸円で、ちょっと額が分からなかったので、済みません、丸と書かせていただいて。岡本先生、そういう趣旨であります。

 では、御質問、最後に妊婦健診のことをお伺いしたいと思います。

 今日は、特に神奈川県選出の議員の方がいらっしゃったら、あっ、いらっしゃいますね、地元の自治体に是非聞いていただきたいんですけれども、妊婦健診、これは子供政策の中でも重要な話です。

 これは実は、出産は、一時金を引き上げたり、そして保険適用を二年後からするということで、ああよかったという一定の評価をいただいているんですが、これは加藤先生とも一緒に議連をつくって、本当に頑張りました。

 ただ、妊婦健診が結構くせ者で、これは結構金がかかっています。大体、私はよく要望を団体からいただくんですけれども、東京とか神奈川とか埼玉とかで、手出しで十万円かかったとか、クーポンとかもあるんだけれども、十万とか二十万とか、結構何かしんどいんですよ。

 問題は、これは、お金は実はついているのに、国庫補助事業から地財措置を十年前にされた途端、あるあるですけれども、地域格差がすごいできて、大変神奈川の先生には悪いですけれども、神奈川はワーストです。

 これは実は、横浜市の自民党市議団から今日聞いてほしいと言われたので、横浜市、非常に低くて、これは今、自民市議団が、何とか横浜市の執行部や市長さんに引上げをしてほしいと。ほかの県では全部、だって石川県が二倍ですからね、これを見ていただいたら。神奈川は七万円、石川県は十三万です。約二倍です、この被災地、大変な中で。だから、もうちょっと上げてくれと自民市議団もおっしゃっていて、非常にイシューになっております。

 ここでお願いなんですが、こども家庭庁さんと総務省さんに。こども家庭庁さん、この公費助成の一覧、これは最近調査していただいて、この状況、有様ですよね、二倍の格差がいまだにあります。これを、四月以降、いろいろな部長会、主管部長会議とかそういうので、あるときにお示しいただきながら、これを見れば、うちの自治体、やばいと普通思いますから、平均以下のところは。是非、示していただいたり、個別に働きかけをしていただきたいと思います。

 あと、これは自治体あるあるですけれども、子供部局や衛生部局が頑張っても、最後は総務部なんですね。お金を持っているところが一番強いんです。総務部を握っていらっしゃる総務省に是非、首長や総務部長、財政課長に、ちょっと、おたくのところはこういう状況になっているけれども、指導できないのは分かっているんですよ、指導はできないんだけれども、この状況だから、どうなんですかという確認ぐらいはしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

藤原政府参考人 まず、こども家庭庁の方からお答え申し上げます。

 令和五年四月時点での妊婦健診の公費負担の状況、先ほど委員からも御紹介いただきましたが、先月二十六日に調査結果を公表いたしております。国が示す検査項目の全てを公費負担している自治体数、前年の八六・三%から九一・一%に増加するなど、全国的に取組が着実に進んでいるというところではあるものの、やはり、御紹介いただきましたように、都道府県別に見ますと公費負担額の状況はばらつきがございます。

 このため、妊婦の方々に自己負担が発生しないように、前回に引き続き、各自治体に公費負担の一層の充実を依頼する事務連絡を発出し、また、総務省と連携をしまして、個別の自治体の、私どもからは妊婦健診担当部局長などに対しまして直接連絡を行って、改善を働きかける取組を進めているところでございます。また、担当レベルでも、今後、自治体ヒアリングを行って、課題とか問題点の把握についてしっかり把握をしていきたいと思っております。

 また、さらに、毎年度の取組といたしまして、自治体ごとの公費負担状況の一覧の公表ですとか、全国会議を活用した公費負担の充実する働きかけについても実施をしていきたいと考えております。

 引き続きまして、妊婦健診に関するよりよい環境整備が進むように、総務省とも連携をしながらしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

谷委員長 続いて、総務省濱田審議官、持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

濱田政府参考人 お答えいたします。

 妊婦健康診査の助成事業に要する経費に係る地方交付税措置につきましては、総務省としても様々な機会を捉えまして周知をさせていただいております。

 具体的には、昨年五月に全国九ブロックで行われました全国市長会支部総会におきまして首長に対し直接周知させていただきましたほか、本年三月には、こども家庭庁の調査、公表に合わせ、自治体の財政担当部局に対し、適切な対応を依頼する事務連絡を発出したところでございます。

 加えまして、こども家庭庁と連携して、総務省からも個別の都道府県の市区町村担当部長に直接連絡を取り、管内市町村の公費助成の状況確認等を依頼する取組を進めているところでございます。

 引き続き、総務省といたしましても、こども家庭庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。総務省に特に期待をしておりますので、是非、地方自治のプロとしての矜持を見せていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、宮路拓馬君。

宮路委員 自由民主党の宮路拓馬でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案ということで、私も、予算委員でもありましたので、予算委員会でこの子育て支援について大変議論になった、その経過を見ておりました。あわせて、先般の本会議場での趣旨説明、質疑においても、やはり議論の的になったのは、その財源の話であったかと思っております。

 まず、お伺いをいたしますが、今回、この子供、子育て政策の財源について、既定予算の最大限の活用一・五兆、そして歳出改革の徹底等によって一・一兆、一兆ということで、とりわけ支援金のことが大変話題になっておりますが、この財源について、税でしっかりと賄うべきであるとか、あるいは、子供への投資なんだから、しっかりそれは将来世代に返ってくる、そういう意味で国債で賄うべきであるとか、そういった議論もあったところでありますが、今回、支援金を含む、社会保障改革の徹底によってその財源を賄うとした理由について、改めてお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の子供、子育て予算の財源確保に当たりましては、現下の経済状況や財政状況を踏まえ、増税か国債発行かではなく、歳出改革によることを原則としております。これは、既存の歳出を削る一方で、その削減した歳出の範囲内で新たな政策の支出に回せば、その意味において国民に新たな御負担を求めないものとなるからでございます。

 支援金につきましては、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただくこととすることで、実質的な負担が生じないこととしてございます。

 その上で、社会保険制度は社会連帯の理念を基盤として共に支え合う仕組みでございます。支援金制度も、こうした連帯によって、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える仕組みであり、保険料と位置づけてございます。

宮路委員 国債については、それは負担の先送りであり、結果として子供の世代、将来世代にその負担のしわ寄せが行くのではないかであったり、あるいは、税においては、今般、賃上げでデフレ脱却の最大のチャンスという中にあって、経済を腰折れさせないために安易な増税は控えるべきである、そういったこともあったんだろうと思います。

 しかし、今大臣の答弁にもありましたとおり、やはり子育てを社会全体で支える連帯ということが今回政府の方から打ち出され、私は、それは、これまでにない、異次元の少子化対策のまさに根幹たる考え方だと思っておりますので、今回、社会保障の改革によって、あるいは支援金制度を導入することによって子育て財源を確保するということについては、改めて、しっかりと国民の皆さんに届くように発信していっていただければと思っております。

 ただ、一方で、やはり社会保険については様々な議論がなされているということで、例えば、本来、社会保険というのは受益と負担の関係が明確でなければならない。ところが、この支援金の制度については、受益と負担の関係が明確ではないのではないか、あるいは、言葉を換えれば、子育てに関係しない人まで、子育てを終えた方、高齢者の方々あるいは子供を産まないという選択をした方、独身の方を含めて、全てに負担を求めるのはいかがなものか、保険の理念にかなっているのかといったような批判もあります。

 予算委員会の参考人質疑でありましたが、一橋大学の高久先生が、この点については、いわば社会保障のジレンマ、つまり、社会保障制度が充実すれば充実するほど人生におけるリスクが軽減されていくと。かつては、やはり家庭内に、人生においてリスクがあり、それを子供によって支えてもらうというような考え方が社会全体にあった。老後のことについては子供にしっかり面倒を見てもらう、そういった世の中だったわけですが、社会保障制度が充実するに当たり、そうした子供に老後の面倒を見てもらうわけではなく、社会によってしっかりとした介護を受けられる、そういったことになり、結果として、子供を産まなくても、そういった人生におけるリスクをしっかりヘッジできるようになった。それが少子化につながった。これは日本だけではなく先進各国に言えることであろうと思います。

 そうした中で、この社会保障のジレンマという中で、しかし一方で、社会保障を持続可能にするためには、賦課方式ですから、やはり現役世代がしっかりと支えなければいけない。その根底には、少子化対策をしっかり講じて、支える側の世代を増やしていかないといけない。その意味において、社会保険、社会保障制度をしっかりと持続可能なものにするために、この社会保険方式を使うのは実は理にかなっているんだという説明もありました。

 なるほどなと思ったところでありますが、先ほど申し上げた、社会保険ではないのではないかという意見について、改めて、いや、社会保険が今回は理にかなっているんだということについて、しっかりと政府の方から説明をお伺いできればというふうに思います。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣からも御答弁、そして先生からも御指摘がございましたように、この支援金制度というものは、子供や子育て世帯を全世代そして企業を含む全経済主体みんなで支える、社会保険の連帯の理念に立って行う、こういうものでございます。

 その上で、この給付につきましては、児童手当ですとか、子育て支援策の中でも幅広く給付されるものに充てるという整理をしてございます。そしてまた、これらを実行することによりまして、少子化、人口減少に歯止めをかけるということができますれば、医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤に重要な受益となるということでございます。

 これらは、ひいては、子供のいない方々を含め、広く被保険者の方々にとっての大きな受益になるということと考えておりまして、この保険制度の枠内で実施するということでございます。

 なお、社会保険制度を活用するメリットの一つといたしましては、少子化に非常に重大な関心のある企業にも拠出を求めるということが可能になり、実際、一兆円の支援金のうち〇・四兆は事業主が拠出いただくということになります。それによりまして、被保険者の個々人の拠出額は大きく抑えられるという構図でございます。

 なお、歳出改革等を行うということによりまして、被保険者にも事業主にも効果を及ぼす社会保険料負担の軽減を図りまして、この中でこの支援金制度を構築するとしてございます。

宮路委員 企業側、事業主側にも利益があると。今、日本の最大の課題は人手不足、働き手不足であることからすれば、少子化対策によってしっかり将来世代が育っていく、働き手が将来的に確保されるということは企業にとっても大変重要な意味を持つということで、その意味でも、社会保険方式で被雇用者そして雇用者がしっかりと負担を分かち合うというのも、大変リーズナブルな話だということで理解をいたしました。

 更にお伺いしますが、先ほどの大臣の答弁の中にもありました、実質的な負担が生じないという点についてであります。

 この点、予算委員会でも非常に、どういう意味なのか、負担は上がるんじゃないかと様々な議論がなされたところであります。ここはやはり、しっかりと分かりやすい説明を国民の皆さんにもしていただく必要がある、理解していただく必要があるというふうに思っておりますので、この実質的な負担が生じないということはどういうことか、簡潔に御説明をお願いします。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生の御指摘ございましたように、まず、三・六兆円につきましては、既定予算の最大限の活用と歳出改革によって二・六兆円、それで支援金の額をまず抑えます。その上で、支援金の導入に当たりましては、歳出改革を基本にいたしまして、歳出改革等により社会保険料の負担軽減を図りまして、その負担軽減の効果の範囲内で支援金を構築するということにより、支援金の導入により全体として実質的な負担が生じない、こういう説明を申し上げております。

 具体的に申し上げますと、支援金制度は、令和八年度に、月額、加入者一人当たりで約二百五十円でスタートし、令和十年度には四百五十円という形で満額となります。その前に歳出改革を先行させまして、これを継続させることによって、令和十年度までかけまして、今申し上げました四百五十円分の軽減効果を図るということ、積み上げるということでございます。その効果の範囲内であれば、この支援金の導入によってこの四百五十円というものが実質的な負担にはならない、こういうことを申し上げているということでございます。

宮路委員 よく、額と率が結構ごっちゃになってというか、予算委員会の議論でも、いや、負担は増えるんでしょう、額は増えるんでしょうという議論であったり、あるいは、いや、率は変わらないんだ、そういう話がありました。

 当然、社会保障費というのは、高齢化に伴って医療費あるいは介護費というのが増えていきます。いわゆる自然増だというふうに思っておりますが、その自然増を社会保障改革によって抑制し、その抑制した範囲内で支援金の財源を確保するという考えで、先ほど、五十円あるいは四百五十円という話をされましたが、やはり額としては増えるんだろうと。

 しかし、率としては、社会保険負担率というんでしょうかね、高齢化に伴って社会保障費が自然に伸びていく、その範囲内に収めるというふうに私は理解をしておりまして、お配りさせていただいた資料は、まさに社会保障改革の徹底ということと、あと賃上げの効果を使うというふうにも聞いております。賃上げがされると、社会保険負担率、社会保険率のその分母が、雇用者報酬の方ですかね、増えますから、そうすると、分母が増えれば分子はそれだけ余裕が出る、そうしたことも含めて、実質的な負担が生じないと。

 やはり、所得のうちどれほどが社会保険料として回るのか、これがやはり、実際生活するに当たってどれぐらいの負担を感じるかというまさに大事なところだと思いますので、そのように理解しているんですが、この点はいかがでしょうか。

熊木政府参考人 まず、歳出改革か賃上げかということがあるかと思います。

 私も申し上げましたように、これは歳出改革を基本に社会保険料の負担軽減を図っていくということでございますので、社会保険料の軽減を図る際の歳出改革、これは、いわば四百五十円の、加入者一人当たりの支援金見合いの改革を行っていくということでございます。

 賃上げにつきましては、それによって国民所得が増えますれば、当然ながら、その負担の軽減ということにつながりますので、これも大変重要なことでございます。したがいまして、これも併せて行うことで、確実に社会保険料の負担軽減を図っていくということであります。

 繰り返しますが、歳出改革が基本でありますので、賃上げをいわば当てにしたものではないということではございますが、その中で、賃上げについてもしっかりと全力をもって取り組んで、社会保険料の負担軽減を図るということでございます。

宮路委員 やはり、王道はしっかりと歳出改革をして国民負担を減らすということでしょうが、今般の賃上げも五%以上の賃上げがなされるということで、この果実というのは非常に大きい。しかし、それはまた新しい投資分野へ振り向ける必要があるわけですから、しっかりと歳出改革等を前提としつつ、バランスのいい形にしていっていただければというふうに思っております。

 続いて、財源を確保して行うこの子ども・子育て支援法の中身について伺ってまいりたいと思います。

 やはり、一番が現金給付の充実。少子化の問題を、国民の声を聞くと、やはり経済的負担が一番大きいと。その経済的負担の軽減を図るということがまず一丁目一番地に来るのであろうと。今般、そうした考え方の下、児童手当の抜本的拡充であるとか、児童扶養手当の拡充がなされるというふうに理解をしております。

 児童手当の抜本的拡充については、所得制限をなくすであるとか、高校生世代まで延長するだとか、そしてまた、第三子以降、いわゆる多子加算ですかね、第三子以降は三万円に増額といったような内容になっております。一方で、児童扶養手当、これはいわば一人親家庭への支援、経済的支援ということであるかと思いますが、第三子以降の児童に係る加算額は第二子に係る加算額と同額に引き上げるという中身になっております。

 児童手当については、第三子以降が相当な増額になる。一方、児童扶養手当については、第三子以降が第二子より今までは低かったところを、せめて第二子レベルまで引き上げるということで、児童手当と児童扶養手当で少し考え方が違うのかなというふうに理解しておりますが、この点について政府の説明を求めたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 児童手当における多子加算は、同時に三人以上の児童を養育する者の経済負担の軽減を図ることを趣旨としております。この制度趣旨も踏まえ、今般の多子加算の増額については、子供三人以上の世帯数の割合が特に減少していることや、子供三人以上の世帯はより経済的支援の必要性が高いと考えられること等から、第三子以降三万円とすることといたしました。

 また、一人親家庭につきましては、子育てと生計の担い手という二重の役割を一人で担うことになり、その生活は、収入、仕事、子供の養育等の面で様々な困難に直面していると承知をしております。児童扶養手当は、こうした一人親家庭の生活を下支えするものでございますが、今般、生活の安定のため、特に支援を必要とする多子家庭への加算額を拡充し、第三子以降の加算額を第二子の加算と同額にまで引き上げることとしたものでございます。

宮路委員 やはり、児童扶養手当対象世帯というのは、今御答弁いただいたとおり、子育てと、あと就労、この二つの負担を一人の親でというのはなかなか厳しい、そこに着目した支援策だというふうに理解しております。とすれば、やはり、そうした困難を抱えている家庭にはより手厚い支援が講じられるべきだというふうに思っております。今般は、財源が確保される範囲内での支援策の充実ということで、第三子以降、第二子の加算と同額程度ということであろうかと思いますが、更なる支援の強化に向けて、引き続き御検討いただきたいというふうに思っております。

 続いて、妊婦等包括相談支援事業についてお伺いをしたいと思います。

 私も、こども家庭庁、準備段階の担当政務官をさせていただきました。その間、チルドレンファーストの勉強会等の中でも、やはりモデルとされたのは北欧、とりわけフィンランドのネウボラという仕組みでありました。母親の妊娠期から子供の小学校入学まで、担当の保健師がずっと伴走型で子育てに関するあらゆる相談にワンストップで応じるという仕組みであります。

 今般、この妊婦等包括相談支援事業というのは、そうしたネウボラという仕組みではないというふうに理解しておりますが、これまで、我が国で妊娠から出産まではしっかりと支援がありました。保健師が、妊婦健診があったり、あるいは出産後の訪問相談等があった。その後、保育園に入園するまで、そこが支援の空白期間が生じていたのではないか。そうしたものを埋めるために、今回、この包括相談支援事業というものを新たに設けることになったのではないかというふうに考えておりますが、政府の見解についてお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 妊婦等包括相談支援事業につきましては、妊婦やその配偶者などの方に対しまして、面談等により情報提供、相談を行う事業でございます。現在、出産・子育て応援交付金として実施している事業のうち、妊娠期から身近な場所で相談に応じる伴走型相談支援を制度化するものでございます。

 具体的には、本事業によりまして、産前産後の育児不安を抱える妊産婦や子育て世帯が給付の申請や支給のタイミングで専門職の方などとの面談を行っていただくことによりまして、出産、育児のその後の見通しを立てて、悩みを相談したり、必要な情報提供を受けたりすることができるようになります。

 こうした取組を通じまして、妊産婦、子育て世帯の抱える悩みですとか不安解消を図るとともに、産後ケアですとか一時預かり、あるいは家事支援などの必要な支援サービスにつながりやすくするというふうなことを期待しておりまして、本事業によりまして、妊娠期からの切れ目ない支援をしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

宮路委員 しっかりと切れ目なく隙間を埋めて、そして他の子育て支援サービスにつなげることを期待しての制度導入だということで理解をいたしました。

 この切れ目ないというのは大変重要なところだということは、先ほど申し上げたとおり、こども家庭庁、準備段階で関わらせていただいた者として常々感じていたところでありました。

 特に、子供のデータ連携、これはちょっと、この包括支援事業よりもっとスコープの長いというか、期間の長い話になると思いますが、子供の生まれる前からの、妊婦健診からの情報であるとか、生まれた後の、産後直後の子供の情報だとか、あるいは保育園に入ってからの子供の育ちの情報、そして、学齢期になって小学校になれば健康診断がありますし、成績もある、あるいは体力測定の結果もある。こうしたものが、順調に育っていれば伸びていく。しかし、どこかで、例えば成績が急落するだとか、あるいは体力が落ちている、これは何か家庭に問題があるんじゃないか、困難を抱えているんじゃないか、その気づきにつながり、そしてそこからプッシュ型の、アウトリーチ型の支援につながっていく。そうした社会を目指すんだという思いで私も当時仕事をさせていただきました。

 いわば、その前提となるデータ連携は非常に重要なことであります。一方で、個人情報そのものでありますから、その扱いについては大変センシティブであり、慎重に考えなければいけない。この相反する要請を、いかにバランスよく解決策を導き出していくか。こども大綱にも、この子供のデータ連携ということについては大変重要な要素として記載されていると思っておりますが、その今の政府における進捗状況についてお伺いしたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁におきましては、地方公共団体において、教育や福祉等のデータを分野を超えて連携させることを通じて、支援が必要な子供や家庭をできる限り早期に把握をし、その後のプッシュ型、アウトリーチ型の支援につなげることを狙いといたしました、こどもデータ連携事業、これに取り組んでおります。

 令和五年度におきましては、先進的な取組を進めております兵庫県尼崎市を始め全国十四自治体に御協力をいただきながら、こどもデータ連携について、利用するデータ項目の選定や個人情報の適正な取扱いの在り方、さらには、支援への接続方法等に関する課題を洗い出すための実証事業を進めておりまして、得られた知見等を基に、こどもデータ連携ガイドラインの素案を作成し、既に公開をしております。

 令和六年度におきましては、このガイドラインを踏まえた実証事業に取り組み、更に精査することにより、全国の地方公共団体が参考にできるようにしてまいりたいと考えております。

 こども家庭庁といたしまして、今後ともしっかり取組を進めてまいります。

宮路委員 質問を多数用意しましたが、済みません、支援金のところで大分時間を食ってしまいましたので、少し産後ケアについてお伺いをしたかったんですが、この点については飛ばさせていただいて、法案の内容である経営情報の報告についてお伺いをしたいと思います。

 昨今、報道において、保育士の給与未払いであるとか保育園の経営破綻といったような情報を耳にすることがあります。子供にしてみれば、いきなり保育士の給与未払いで保育士が大量退職して、もう通えなくなる。子供にとってもあるいは保護者にとっても大変悲惨な結果になってしまいます。そうしたことを未然に防ぐために、改めてこの経営情報の報告を求めているものだと理解しておりますが、この点について御説明をいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法案におきましては、費用の使途の見える化に関する内容を盛り込んでございます。保育所等からの報告内容を分析することによりまして、職種別の賃金改善の状況などを明らかにするなど、透明性の向上を図ることとしております。

 この制度の主な目的でございますが、幼児教育、保育に従事する保育士等の処遇改善や配置改善等の検証を踏まえた公定価格の改善を図るということが主な目的でございます。加えまして、委員からも御指摘いただきましたように、情報の公表の充実を図るということによりまして、保護者ですとか保育者の方が園を選ぶ、そういった意思決定への支援にもなりますし、また、経営情報の分析を踏まえた幼児教育、保育政策の企画立案にも資するものというふうに考えております。

 このように、幅広い関係者への波及的な効果も期待して、このような制度改正を御提案申し上げているところでございます。

宮路委員 しっかり評価されるということも非常に大事なことだというふうに理解しております。

 そうした意味では、経営情報はもちろんなんですが、最も大事なのは、やはり保育の質の点だろうと思います。しっかりと子供にいい保育サービスがなされているのか、子供の健全な育ちにつながっているのか、子供の才能を引き出すような保育が行われているのか。こういった、まさに保育の質については、例えば、イギリスなどではOFSTEDという組織があって、その質をしっかりと見ていくということを導入している国もあります。新たに相当の人数をかけてそうした行政機関をつくるのかという議論もありますが、現状、我が国においてこの保育の質の確保をどのように図ろうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育施設における保育内容や保育環境を適切に確保するということは非常に重要な課題でございます。このため、こども未来戦略に基づきまして、保育の質を確保する観点から、まずは四、五歳児における保育士の配置基準について、令和六年度より三十対一から二十五対一へ七十六年ぶりの改善を行うこと、また、令和五年度人事院の勧告を反映をしまして、五%を上回る公定価格の改定、こういった処遇改善を行うこととするほか、保育士を希望する方への資格取得支援ですとか保育事業者とのマッチングなど、保育人材確保といった総合的な取組を進めているところでございます。

 その上ででございますけれども、具体的な質確保の仕組みといたしまして、保育所への指導監査について、その設備、運営の基準を維持するため、法令上、都道府県等が原則として年度ごとに一回以上の実地検査を行うということを義務づけておりますし、また、保育所が保育の質の改善を図るために行う第三者による評価などについても推進をしているところでございます。

 イギリスのOFSTEDという、準政府の機関というふうな御紹介もございましたけれども、現在の仕組みとしては、都道府県や自治体を中心とした監査、第三者評価、こういったことをしっかり進めることによりまして、また、冒頭に申し上げましたような質確保に伴う処遇改善等も併せ持って、質の確保、しっかり確保していきたいと考えております。

宮路委員 とかく、その監査というのは、施設基準を満たしているか、人員配置が満たされているかということで、確かにそれは質の前提となる条件なのかもしれませんが、どういった保育がなされているのかということが本来大事なはずでありまして、第三者評価の導入を進めていくという点、これは大変重要なことだと思います。その質がそもそもどうなのかという第三者評価になるように、しっかりとマネジメントしていただければというふうに思います。

 本当は、子供の数が減る中で深刻化しているいじめと不登校の現状と課題についてもお伺いをしたかったんですが、ちょっとこちらも飛ばさせていただいて、より深刻な、これは日本だけではないかというふうに言われている子供の自殺の問題についてお伺いをしたいと思っております。

 年間五百人を超える子供が自死をしている。世界の中で子供が自殺をする国はあるのかというふうにまで言われる、この問題であります。子供の自殺について、まず現状、そして自殺対策についてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

 また、文科省の子供の自殺が起きたときの背景調査の指針に基づく子供の自殺に関する調査では、遺族の意見を聞く詳細調査の実施は僅か五%にとどまっており、そもそも遺族の意向の確認がされていなかったり、あるいは調査があることを遺族に知らされていなかったりする現状があるというふうに聞いております。こういう点について、どのように考えるのか。

 そして、あわせて、識者の中には、心理的剖検というものをしっかり自殺した子供の遺族に実施することが有効ではないかという意見も聞かれるところでありますが、こうしたことを含めまして、子供の自殺の調査の在り方について、どのように考えているのか。

 そしてまた、子供の自殺、これは非常に重要な問題ですから、常設の会議体などを設けて、しっかりと有識者の英知を結集して対策を講じていく必要があると思いますが、是非、そうした場に当事者、要は子供に自殺された保護者の方などをメンバーに加えるなど、そうした検討をしていただきたいと思っておりますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 令和五年の小中高生の年間自殺者数が五百十三人と過去二番目の数値となったことは、こども家庭庁としても大変重く受け止めています。

 子供の自殺対策を推進するためには、教育や普及啓発、早期発見、相談体制の整備、自殺予防のための対応等の対策を総合的に進めていくことが重要であり、関係省庁と連携し、昨年六月に取りまとめたこどもの自殺対策緊急強化プランに基づく自殺対策にしっかりと取り組んでまいります。

 また、こども家庭庁では、このプランに基づき、子供の自殺の実態解明に取り組むため、昨年度及び今年度において、警察や消防、学校や教育委員会、地方自治体等が保有する自殺統計や関連資料を集約して要因分析を行う調査研究を実施しているところです。

 今後とも、この調査研究結果等を踏まえ、子供の自殺に関する調査分析に当たっての課題も整理し、子供の自殺の実態解明に向けてどのように取り組んでいくか、関係省庁とも連携し、検討してまいります。

 また、議員御指摘のとおり、子供の自殺対策の推進に当たって、当事者の意見を聞き、制度や政策に反映していくことも大変重要だというふうに考えております。これまでも、こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議などを通じて、有識者や当事者の方々から御意見を伺うとともに、自身が死にたいという気持ちを抱いた経験のある方や子供の自殺対策支援を行う団体等に対するヒアリングを行い、関係省庁の取組等へ反映するよう要請してまいりました。

 今後とも、こうした取組を進めるために、当事者参画のために更にどのような対応ができるか、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

宮路委員 大変深刻な問題であると思っております。我が国、これは恥ずべきことだと思っておりますので、子供の自殺者数が五百名を超える、子供の数が減る中でですから、抜本的にしっかり対策を講じていっていただきたい。その際には、しっかりと当事者の意見が反映されるような仕組みとしていただきたいというふうに思っております。

 最後、お伺いをいたします。こども家庭庁の仕事を、準備段階、させていただいたときに、とりわけ意を用いていた点についてお伺いをいたします。

 それは、昨今、子供、子育て支援というのは、行政では到底全て賄い切れない状況になっているということであります。

 御案内のとおり、国、県、市を含めて、そもそも行政機関の職員が不足し始めている。とりわけ、子供、子育てについては、これまでなかなか行政が取り組めていなかった困難な子供に対する支援、例えば、先ほどお伺いはしませんでしたが、不登校やいじめがやはり過去最高になっているという状況、そして、今御答弁いただいた自殺の状況、その背景には貧困や家庭での様々な問題があると言われております。こうした問題を全て行政組織がカバーするというのは非常に難しい。

 そうした中で、昨今、NPOの存在が非常に重要になってきております。子供の居場所づくりや学習支援、あるいは貧困対策、不登校の子供に対するサポートなど、様々な場面においてNPO活躍の場が広がってきている。そして、そうした分野については、NPOの強みというのがしっかりと発揮できるのではないか。それは、行政のように人事ローテーションで人がすぐ替わるわけではなく、同じ人がずっと伴走して対応できる。それに伴ってノウハウが蓄積され、スキルが上がっていく。信頼関係の構築もしやすい。そういった強みを生かして、子供政策のサポートをしてもらえる。むしろ、メインプレーヤーとして活躍していただけるのではないかと思っております。

 こうした点について、政府として、NPOの存在意義、とりわけ、子供、子育て支援領域におけるNPOの存在意義、評価、あわせて、一方で、NPO特有のやはり問題も抱えている。なかなか経営基盤が安定しない。あるいは、例えば行政からの委託であると、毎年競争入札にかけられてしまうと、年度の初めはなかなか実際にサポートに当たれないとか、あるいは、そうした入札の仕事に追われてしまって肝腎の支援に支障が生じてしまうだとか、そういった問題もあるというふうに伺っております。

 そうした課題をどのように認識して、そして、その課題にどのように解決策を講じようとしているのか、最後、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 いじめや不登校、虐待、貧困などの多様な支援ニーズを有する子供や家庭に対し、きめ細かな支援を行うためには、議員御指摘のとおり、NPOを始めとする様々な民間団体が重要な役割を担っております。

 こども家庭庁では、いじめや不登校、虐待、貧困など多様な支援ニーズを有する子供や家庭に対する支援策として、民間団体等と連携した子供の居場所づくり等の強化、子育てに困難を抱える家庭に対する見守りやアウトリーチによる支援、生活が困窮する世帯の子供に対する食事の提供や宅配などの食事支援を行う民間団体等への支援など、NPOを始めとした民間団体等と連携した取組を強化しているところでございます。

 今後も、これらの支援策がNPOにとって持続可能なものとなるように、NPOを始めとする支援活動を現に担っている方々やまた当事者の方々の意見をよく伺いながら、必要な対応をしっかりと講じてまいりたいと考えております。

宮路委員 とりわけ、この分野においては、本当に、これからNPOが各地域においてどれだけ育っていくかというのは非常に重要な点だと思っておりますので、こども家庭庁としても議論をリードしていただければと思っております。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 本会議の議論を聞いておりまして思ったのは、どの党の皆さんも、子供、子育て支援に対して、その支援自体に対して反対する方はいらっしゃらないのかなと。

 法律の中身は給付と負担があります。給付というのは、どういった支援をするかです。負担の部分は、その支援を、じゃ、どういった形で負担をするのか。本会議でもほぼほぼ議論になっていたのは負担の話だったかなというふうに思っておりまして、給付の部分については、例えばもっとやれというお声はあったと思いますが、だから、方向性もやはり反対ではないというふうに思っています。そうなったときに、これは負担というのは文字どおり負担ですので、どういう負担の仕方をするかとなったときに、当然、いろいろなデメリットもあるし、反対の意見も出てくるというふうに思っています。

 だから、どういう負担の形をつくるかというのは、ある意味、どういう社会を目指すのかというところと一緒かなというふうに思っておりまして、そういう意味では、例えば、今回の本会議でも野党の皆さんの質疑で出てきた、具体的に負担の部分も実は提案がありました。所得税、金融所得課税、法人税を見直したらどうかという提案もありました。ただ、残念なのは具体的な数字がありませんでしたので、これは、建設的な議論をもしするのであれば、ここはやはり具体的な議論というのが必要なんじゃないかというふうに思っております。

 いろいろな前提はあると思いますが、じゃ、例えば、さっき申し上げた、野党の中で提案された、所得税でやるんだと。じゃ、これは本当に三・六兆円を所得税で賄ったらどうなるかというところを少し、ちょっと財務省、一人当たりどれぐらいの負担になるか、お示しいただければと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 所得税の納税者数は五千二百五十万人おります。先生の御指摘に基づきまして、三・六兆円をこれで割りますと、一人当たりの増加額、年間では約六万九千円、月額では五千七百円との試算となります。

伊佐委員 もちろん、税は累進性があります。ただ、この五百円だって、ある意味、単純に平均で割った数字ですので、もちろんそれぞれが比較はできませんが、規模感としては、一人当たり五百円の保険、財政を保険を使っていくか、税で所得税だけに寄せてしまうと五千七百円単純にかかるわけです。

 そうなると、だから、当然、所得税といったら、これは若い世代、働く世代が払っているのが多くだと思いますので、行って来いになるわけです。もらう支給、でも、その負担をするのは働く世代となって。だから、そうじゃなくて、じゃ、法人税にしましょうとなったら何が起こるかというと、当然、法人税というのは、これは賃上げの原資になりますので、そこを削ることになる。

 だから、私が言いたいことは何かというと、子供、子育て支援を充実させようというのは、多分、与野党、皆さん一致するところだというふうに思っておりまして、それであれば、じゃ、どういう負担がよりよいのかというところを是非具体的に各党それぞれ案を提示していただいて議論すれば、委員会でも非常に建設的な議論になるんじゃないかというふうに思っております。

 これは、申し上げたように、負担については、本会議、予算委員会、いろいろなところで議論が重ねられておりますので、私の今日の質疑は給付の部分をメインにして質問させていただきたいというふうに思っております。

 一昨年末に子育て応援トータルプランというものを、これは我々、かなり力を入れて作りました。総理の方からも本会議の方で御答弁いただいたのは、この公明党の子育て応援トータルプランを参考に取り組むと当時言っていただきました。

 今回の法案の中身、我々の提言、具体的にさせていただいたものを取り込んでいただいたものもあるし、そうじゃないものもあります。ちょっとその辺りを確認を今日は様々させていただきたいというふうに思っております。

 まず、経済的支援について、例えば児童手当の拡充、あるいは児扶手の第二子以降の加算、今回は第三子になりましたけれども、あとは出産時の十万円支給と伴走型支援とか、高校、大学の段階的な教育無償化、こういうものはほぼほぼ取り入れていただいたというふうに思っておりますが、その中で、残念ながら進まなかったのは、高校三年生までの医療費助成の拡充と、あとは学校給食の無償化。これは当然、財源との兼ね合いもありますし、一気に進むものではないとは理解をしております。

 まず、大臣に子供医療費の無償化を伺いたいと思うんですが、私は、厚労副大臣をやらせていただいたとき、子供、子育ての担当でしたので、全国からずっと要望をいただいていたのは、この医療費助成を何とかユニバーサルサービスとして国でやってくれないかと、たくさんいただきました。

 今回、我々のトータルプランには高校三年生まで医療費の無償化と書いているんですが、さっき申し上げたように、財源の制約もあります。また、無償化することによる受診行動の変化、より受診が促進されるということもありますので、そこも注視しなきゃいけないというのも分かっています。

 ただ、無償化までいかなくても、せめて医療費助成については、もうそろそろ、ユニバーサルサービス、十八歳までのユニバーサルサービスとして、将来的にいずれ国でやらなきゃいけないと思いますので、検討を進めるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 十八歳までの子供医療費について、医療費助成を含めて検討し、国のユニバーサルサービスとして前に進めるべきではないかという御質問と受け止めておりますが、子供医療費につきましては、医療保険制度において就学前の子供の医療費の自己負担が三割から二割に軽減されており、これに加えて、各自治体独自の助成制度により自己負担の更なる軽減が図られているものと認識をしております。

 一方、国の制度として子供の医療費の助成制度を創設することについては、医療費の無償化による受診行動への影響なども見極める必要があることなど、課題が多いものと考えております。

 子供の医療費の負担軽減については、基盤となる国の制度と各地域における様々な実情を踏まえた地方自治体による支援が相まって行われることが適当と考えております。

伊佐委員 相まってというふうにおっしゃっていただきました。

 これはよくいろいろな政策でもあると思うんですけれども、まずは、国が一律でなかなかできないものを各自治体でいろいろな支援サービスをやっていただいて、それがどんどん広がっていく、それが一定程度地域で、大体どの地域もやっているとなったら、これはもう国一律でやった方がいいよねと。例えば、白内障の手術の支援とか保険適用もそうだったと思うんですけれども。今、全国で、千七百四十一自治体で医療費助成をやっていて、十八歳まで支援を行っている自治体が、通院でも入院でも、千二百を超えていますので、そういった流れを考えると、いずれこれは是非検討していただきたいな、いずれやるべきものだというふうに私は思っております。

 一個だけちょっと、今日は減額調整措置の質問はしない、ちょっと時間の関係で省きますが、これもこの四月一日から、いわゆるペナルティーと言われていた、これもなくなりました。十八歳まで決めていただいたのは非常にありがたいというふうに思っております。

 これは、我々、二〇一八年からずっとお願いをしておりまして、一月から。そのときにも言われたのは、いやいや、まずは小学生までですと。何でかというと、小学生までの医療費助成は大体、各自治体、一〇〇%やっているから、ほぼほぼやっているから、一応、減額調整を廃止してもいいです、でも、中学までは九六%までしかやっていない、まだ四%残っているんです、高校までは九割しかやっていません、まだ一割残っています、だからまだ撤廃できないんですと言ったけれども、今回の理屈は、九割までやっていますから撤廃できますという理屈に急に変わったんですよね。

 というのもあって、だから理屈じゃないなと思っていますので、ここはしっかり、我々、熱意を持って引き続き医療費助成については取り組んでいきたいというふうに思っております。

 次に、保育園の職員配置基準について質問したいと思います。

 子育てサービスの拡充という点について、我々、いわゆる現金給付じゃなくて現物給付ですが、いろいろと今回のトータルプランの中でも採用していただいたもの、非常にありがたいというふうに思っております。専業主婦家庭でも利用できる誰でも通園制度とか、放課後児童クラブ、いろいろ書かせていただきました。

 そこの中で、やっていただくことになって、やったと思ったけれども、えっとなって納得できない、ちょっともやもやが残っているのが保育士の配置基準です。

 保育士、保育園の配置基準は、四歳、五歳児では三十対一、三歳児は二十対一で長らくずっとやられていました。子育て世代の議員の皆さんは多分分かると思いますけれども、自分の子供を二人、三人見るだけで本当に大変で、三十人を一人で見るというのはもうほぼ無理なんじゃないかと私なんかは思ってしまいます。その辺、保育士さんはすごいなと思いますけれども、ここをようやく今回、七十六年ぶりに改定をして、四歳、五歳児は三十対一から二十五対一にする、三歳児は二十対一から十五対一になるということで、これはすごい現場も喜びました。

 ところが、蓋を開けてみると話が違うじゃないかと。四歳、五歳児は、チーム保育加配加算、チーム保育加算を取っているところは対象外ですとなりました。チーム保育加算というのは、幼稚園は八七%、今、現状、取っているんです。認定こども園でも八一%、既に取っています。こういうところは結局、今回、対象外と言われてしまいました。

 チーム保育加算というのは、通常の必要人数に上乗せして、より保育士の負担軽減を図る、また質の向上、こういうのでやっているので、本来、観点が違うはずなんですけれども、元々手厚くしているからいいでしょうとなっているんですけれども、ここはやはりちゃんと、いま一度考え直して、対象にすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、四、五歳児の職員配置の改善のために、三十対一から二十五対一の職員配置を実現するための四歳以上児配置改善加算を設けました。

 御指摘のチーム保育加配加算でございますけれども、小集団のグループ教育を実施する場合に教員を加配するものでございまして、職員の配置を手厚くすることにより職員一人当たりで見る子供の数を少なくできるという趣旨、これは、今般創設しました四歳以上児配置改善加算と同じ軸にあるものと考えております。

 こうした中で、幼稚園や認定こども園は、定員規模に応じまして最大八人までの教員をチーム保育加配加算として加配がされており、また、これにより二十五対一以上の手厚い職員配置が実現可能というふうになっているところでございます。このため、今回、チーム保育加配加算を適用されている施設につきましては、既に二十五対一以上の手厚い配置への支援を行っていることから、併用して取得するということはしておりません。

 こうした趣旨について御理解いただいた上で、チーム保育加配加算を取得していない施設、保育所においては、加算の取得率、二三%にとどまっております。こういった取得をしていない施設を中心に積極的に四歳児以上の配置改善加算を取得していただいて配置基準の改善につなげていきたいと考えておりますし、ただいま申し上げましたような趣旨につきまして、丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。

伊佐委員 丁寧に説明するというだけで終わってしまって、もう少し、検討するぐらい言ってほしかったなと思いますが。

 これは、申し上げたように、既に手厚く加配されています、だから今回はやりませんと言うのは、何かそもそも趣旨が違うじゃないかとすごい現場で言われるんです。だって、そんなことを言えば、ほかの加配だって一緒じゃないですか。ほかだって、何かいろいろな、病児だったりいろいろなもので手厚く加配をしているところがあるはずなんですよね。

 このチーム加配加算というのは、そもそもの基準があって、その基準を超えて、質を上げようと思って一生懸命頑張っているところの加配なわけですよ。だから、今回はそもそもの基準を変えようという話なので、何かそこを、加配を取っていたら駄目だと言うとちょっと筋が通らないと思いますので、ここはせめて、是非、検討を進めるぐらい言っていただければありがたいなと思いますが、今聞いても多分なかなか、進めますと言い出せないと思いますので、引き続き我々、これは言い続けますので、よろしくお願いします。

 では、次に、保育士の処遇改善について申し上げたいというふうに思います。

 これは、配置基準も重要ですけれども、何よりもこれは人材、若い方々が本当に、希望を持って保育の現場で働いていただくということが大事で、この賃上げ、処遇改善、引き続き強力に進めていただきたいんですが、これまでも政府も頑張ってやっていただきまして、加算、いろいろと取り組んでいただきました。例えば、研修を受ければ最大四万円上乗せするとか、コロナ禍での処遇改善加算とか。この十年間、比べたら、よくグラフを見ますと、二〇%以上賃上げされてきました。令和五年度の賃金は、四年度と比べても、直近でもプラス五・二%と。

 ちょっとここで確認をさせていただきたいんですけれども、保育士さんの給料というのは、人勧、人事院勧告に準拠して上がり下がりがあります。これは、国家公務員の給与が人事院勧告で決まるわけですけれども、この人事院勧告は全産業の賃金の動きに連動しているはずです。そうすると、人事院勧告に準拠している限りは全産業との差は縮まらないんじゃないかというふうに思います。

 だから、政府として、これは全産業平均との差を更に縮めるべきと考えていただいているのかどうか、ここを確認したいというふうに思います。

加藤国務大臣 まず、保育士等の処遇改善につきましては、先ほど委員が触れてくださいましたとおり、平成二十五年度以降、累次の処遇改善に取り組んできており、直近では五%を上回る公定価格の人件費の改定を行い、累計プラス二三%の給与改善を進めてございます。

 また、これとは別に、これも触れていただきましたが、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善を平成二十九年度から行っております。

 こうした措置や人事院勧告による若年層の国家公務員に係る給与の引上げの影響により、平成二十四年度と比較して、保育士と全産業の平均賃金との差は縮まってきていますが、引き続き処遇改善を進めていくことは重要と考えており、こども未来戦略に基づき、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善を行ってまいります。

伊佐委員 大臣、今縮まってきているとおっしゃっていただいたので、ちょっと、参考人でも結構ですので、何で縮まったのか、全産業と連動しているはずなのに、そこをちょっと補足いただければというふうに思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁ございましたように、毎年度の人事院勧告に基づく、それを踏まえた改善に加えまして、これまで累次の処遇改善に取り組んでまいったところでございます。

 例えば、技能、経験に応じた最大四万円の改善ですとか、それから、コロナ時代の経済対策といたしましての三%程度の加算ですとか、様々な、人事院勧告ベースの改善に加えまして累次の改善を進めてまいりました。

 また、人事院勧告に基づいた引上げにおきましても、特に保育所、こども園については若年層の職員の方が多いということを踏まえまして、人事院勧告の全体の改定率をそのまま使うのではなく、保育士等の福祉職については若年層についての改定率を見合いで改善するということで、それを超えた改善率ということで、令和五年度であれば五・二%というふうな努力をしているところでございます。

 これまでも様々な形での処遇改善を進めてきたところでございますけれども、今回の法案でも、先ほどからの御議論にもございましたように、処遇改善を実施するためにも、保育所等の経営の改善についての、使途の見える化ですとか公表ですとか、そういったことをしっかり進めながら、処遇改善を進めていくということについてしっかり努力をしていきたいと思っております。

伊佐委員 人勧ベースでも、さっき御答弁いただいたとおり、さらに、若年層、若年者が多い保育園の保育士さんの構造を考えると、そこの部分がより重く出て、確かに全産業の平均よりも縮めていくということだったというふうに思います。ただ、それだけではやはり効果は非常に薄いと思いますし、さっき場内からもありましたけれども、やはり、そうすると若い人しか働けないんじゃないかということもありますので、これは人勧ベースでそのままずっとやればいいんじゃなくて、更なる処遇改善というのも是非、何らかのまた新しい形で議論していただければというふうに思っております。

 次に、誰でも通園制度。

 これは私、本当に画期的だなというふうに思っておりまして、今まで保育園を使えるのは保育に欠く児童だけだった、単純に言えば共働きでした。今回は、専業主婦家庭でも保育園のリソースを利用できるようにしようと。大きな一歩だと思います。これは子育てのまさしく社会化だなと思っておりまして。昔、介護保険制度をつくったときは、介護をいかに社会化するか、つまり、介護というのは、両親の介護は家庭で見ていた、そのために若い世代がそこに張りついてというような状況を、いかに社会でしっかり介護を見ていくかという社会化というのを我々は進めてきたわけですが、同じように子育ても、地域で育てるとか社会で育てるとか、この社会化の一歩かなというふうに思っております。

 まず確認をしたいのは、一時預かりというのが今現状あります。一時預かりをやっている園、これは市町村の事業ですけれども、これも、働いていなくても預けられます。この一時預かりとの違いは何なのかという点について、利用者目線で是非説明していただきたいというふうに思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 誰でも通園制度の利用者目線で見たときの一時預かりとの違いということのお尋ねでございました。

 まず、一時預かり事業につきましては、自治体や事業所によって利用料や利用時間が様々設定をされるということですし、そもそも、目的としては、家庭において保育を受けることが一時的に困難になった場合というふうな目的が規定をされてございます。

 一方、こども誰でも通園制度につきましては、一人一時間当たり、現在の試行的事業では、三百円程度を標準とする利用料ですとか、月一定時間を上限とする利用時間ということで利用いただく。そして、これをより全ての子供が円滑に利用できるように、保護者が空き状況を確認したり簡単に予約ができるような、そういった一元的な仕組みを、システムを国の方で構築をすることとしております。非常に利便性を高めたいというふうに考えてございます。

 いずれにしても、こども誰でも通園制度は、全国どの自治体でも共通で実施をすることになりますので、これまでどこにもお子さんを預けておられなかった保護者の方が利用できるようになり、また、子供の育ちと保護者の不安軽減双方に大きな意義があるものというふうに考えております。

伊佐委員 値段も大体一緒だというふうに伺っていますし、必ず十時間使えるということでもあります。

 さっきおっしゃった一元的なシステムというのは結構大事かなというふうに思っておりまして、今まで、経験がありますけれども、一時預かりしようと思ったら、電話をかけて、いや、ちょっとうちは今日はいっぱいです、じゃ、違うところにまたかけて、いや、ここもいっぱいですと、一個一個バツをつけながら、ああ、ようやく見つかったみたいな。これは、一元的に国がシステムをつくると、今どこが、今日はここが空いているというのが分かるわけで、これは結構大きい、大事なことかなというふうに思っております。

 その上で、これは本会議で我が党の中野議員からも質問させていただきましたけれども、十時間じゃやはり少ないんじゃないかという点です。

 これはニーズも相当ばらつきがあると思うんです。例えば、両親共に柔軟な働き方ができる御家庭もあるかもしれませんし、自分の実家、例えば、親がすぐ近くに住んでいる、いつでも預けられるとかという方のニーズとそうじゃない方々のニーズは多分全然違うかなというふうに思っています。

 十時間というのは、イメージすると、例えば、今日は、じゃ、これを使います、どこでも通園制度。子供を預けに行って、そこから移動して美容院に行って髪をセットしてもらって、その後ちょっと買物だけして帰ると買物に行って、迎えに行って、それだけで多分四、五時間かかるやろなと思いまして、そうすると、使えて月二回とかというもので。

 もちろん、これは給付事業ですので、一律に使える時間を保障するから多分平均で十時間となっているというふうに思います。リソースが一定なのでこれは理解しますが、今まだこれは試行的事業ですので、是非、これを本格実施するときには、この試行的事業を、ちゃんとデータを検証していただいて、もう少し柔軟に、また、時間も増やせるようにすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度の制度化をした際の上限時間につきましては、現在、今年度から月十時間を上限として実施をしている試行的事業の状況や、全国的な提供体制の確保状況を踏まえながら、都市部を含め、全国の自治体で提供体制を確保できるかといった観点から今後検討してまいります。

 ただいま委員から、一律に上限を決めるべきではないというふうな御指摘もございました。

 実際、昨年、こども誰でも通園制度に関する検討会を実施した際にも、自治体によっては定員に空きが生じている地域もあるし、上限を増やしてもよいのではないかというふうな意見もございました。また一方で、全国の自治体において、対象となる全ての子供が利用できる制度とするためには、全国で実施することが可能な上限設定をすることがまずは最優先ではないかというふうな御意見も頂戴したところでございます。

 このため、こども誰でも通園制度は、全国の市町村で実施をする給付制度とすることを前提としながら、自治体によって地域差が生じることについてどう考えるか、どのような対応があり得るか、こういった論点も含めて、試行的事業を実施する中で検証を進めていきたいというふうに考えてございます。

伊佐委員 検証を進めていただけるということでした。

 これは本当に地域によっても全然違うと思いますし、また、個人個人によっても大分ばらつきもあると思いますので、是非丁寧に検証していただきたいというふうに思っております。

 ちょっと順番を変えます。社会福祉士について質問させていただきたいというふうに思います。

 重層的支援というものも言われるとおり、一人が直面する課題が非常に複雑化している、その中で、制度横断的に対応できる社会福祉士という役割はますます重要になっているというふうに思っております。

 当然、子供家庭福祉の政策においても同様だと思っておりまして、社会福祉士の位置づけ、例えば、スクールソーシャルワーカーの六四・五%は社会福祉士、児童相談所でも児童福祉司のニーズは非常に高いというふうに思っておりますし、こども家庭センターでも統括支援員を置くことになっておりますが、そこでも必要になってくる。

 専門家としての社会福祉士の活用、活躍、これは立法府でもそうです、政府でもそうですが、非常に重要性自体は認識を皆さんしていただいているというふうに思っています。例えば、直近の法改正、二〇二〇年ですが、附帯決議でも、社会福祉士が活用されるよう努めるというふうに書いております。また、一昨年末の全世代型社会保障、この報告書でも、ソーシャルワーカーの確保、育成というものがうたわれています。

 必要だというのは多くの皆さんに賛同していただけると思うんですが、ただ、社会福祉士というのは業務独占じゃありません、名称独占ですので、別に社会福祉士じゃないとできないというものじゃない仕事が多いです。そうすると、せっかく専門性を持っていらっしゃる方がいるのに、なかなか活用が進まないという側面もあります。

 ここは是非、いろいろな政策的分野で社会福祉士の配置を促進する、例えば加算をつけるとか、こういう取組を進めていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 社会福祉士は、専門的知識及び技術をもって福祉に関する相談、助言を行うなど、大変重要な役割を担っております。少子高齢化や単身世帯の増加などが進む中で、地域共生社会の実現に向けまして御活躍いただいているものと認識しております。

 例えば、全国の地域包括支援センターに配置されておりまして、地域包括ケアの構築に向けて重要な役割を果たしていただいております。また、能登半島地震では、DWAT、災害派遣福祉チームの一員として、被災者の支援に大変重要な役割を果たしていただいております。

 こうした社会福祉士の活躍を厚生労働省としても後押しをしていきたいと考えておりまして、令和六年度介護報酬改定におきましては、介護老人保健施設における在宅復帰機能等の促進のために、社会福祉士の資格を有する支援相談員の配置を評価するとともに、令和六年度予算におきましては、自立相談支援事業等の国庫補助の基準を見直しまして、相談支援員が社会福祉士等の有資格者である場合に加算を行ったところでございます。

 引き続き、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 こうした介護老健施設のさっきの報酬改定でも、社会福祉士の方がいらっしゃる場合には報酬をしっかり上げるであるとか、自立支援の分野、困窮者対策というところでも、こうやって今進めていただいております。これを是非引き続きお願いしたい。

 じゃ、子供、子育て分野でどうかという点ですが、子供家庭福祉分野でいうと、こども家庭ソーシャルワーカー、ちょうどこの四月から始まりました、おとといから始まりました。児童相談所あるいは市区町村の虐待の相談でありますとか、民間の児童養護施設であるとか、児童家庭支援センター、あるいは保育所とか、いろいろな幅広い職場でこども家庭ソーシャルワーカーの活躍が期待をされているわけですが、こういう場でも、高い専門性を持っていらっしゃる社会福祉士の活躍というのは非常に重要だというふうに思っておりますので、こども家庭ソーシャルワーカー、始まったばかりのこの制度が円滑に実施されるためにも、是非また社会福祉士の活用も後押ししていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭ソーシャルワーカーは、児童相談所等の子供家庭福祉の現場にソーシャルワークの専門性を十分に身につけた人材を配置することを目的として、令和四年の児童福祉法改正において創設し、今年度末に最初の試験が実施される予定となっております。この資格は、社会福祉士を含めた有資格者や現任者が、保有資格や実務経験に応じて、必要とされる研修と試験を受けて取得していただくものでございます。

 御指摘の社会福祉士の場合は、ソーシャルワークの専門性を既に身につけていることから、比較的短い研修時間での受験が可能となっているところであり、多くの社会福祉士に資格を取得していただき、子供家庭福祉の現場で活躍していただきたいというふうに考えております。

伊佐委員 社会福祉士のように専門性を持ってそれぞれの福祉の分野で対応に当たっていただくというのは非常に大事だというふうに思っております。ただ、いろいろなこうした取組を進めていただくわけですが、しっかり、その現状がどうなっているかというところも政府としても把握をしていただきたいというふうに思っております。

 例えば、社会福祉主事というのがあります。これは地方公務員なんですけれども、福祉事務所とかで相談に乗っていただく方です。社会福祉主事になろうと思ったら幾つかのルートがあって、三つ主にあって、一つは、社会福祉士の資格を持つ、これが一つのルート。もう一つは、社会福祉士の資格がなかったとしても、養成機関の課程を修了する、これが二つ目です。三つ目は、三科目主事と俗に言われているものがあって、これは何かというと、厚労大臣が指定する科目を大学なりで三科目修めた人も社会福祉主事になるんです。

 この厚労大臣が指定する科目というのは三十科目ぐらいありまして、社会福祉概論とか児童福祉論とか、それに近いようなのはいいんですけれども、例えばこの三十科目に入っているのが、民法とか行政学とか経済学とかも入っているんですよ。だから、文系の方なら結構取りそうな科目がほぼほぼ入っていまして、ある意味、文系で大学を卒業すると社会福祉主事になれるという現状もありまして、これが、社会福祉士で専門的にずっと一生懸命資格のために勉強された方と同列の扱いになっています。

 もちろん、これは、社会福祉主事のうちどれぐらいが社会福祉士さんかということもはっきり多分把握されていらっしゃらないと思うし、どれぐらいが三科目主事と言われる方か、あるいは、もちろん、三科目主事でもちゃんと専門性を持っていらっしゃる方もいらっしゃると思いますし、この辺の現場の状況といいますか、こうした実態をまず把握することが重要じゃないかと思いますが、把握を是非していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 社会福祉主事は、福祉事務所において現業等の業務を行う職員に求められる任用資格でございまして、生活保護のケースワーカーなど福祉に関する業務を担っているわけでございます。

 社会福祉主事につきましては、国として生活保護担当ケースワーカー全国研修会を開催しておりますほか、社会福祉主事として任用された後も、実際の業務に応じた研修やOJTが行われているところでございます。

 この社会福祉主事の資質向上を図ることは大変重要でございますので、引き続き、今先生がおっしゃいました実態の把握に努めながら、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

伊佐委員 是非実態の把握を進めていただきたい。これは本当に、社会福祉士の方々というのは二十八万人いらっしゃって、毎年二万人合格しているという、すごい専門家集団の固まりですので、是非、大きな力を発揮していただけると思いますので、活躍を後押ししていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと、子供の歯科矯正について質問させていただきたいというふうに思います。

 子供の歯科矯正、これは保険適用されているのは本当に一部に限られております。歯科矯正といっても、審美というか、見た目をよくするだけなら当然保険の適用になりません。健康に影響があるレベルだと適用になるので、そういう意味では相当限られております。

 三年前に、これは厚生労働委員会の理事懇、理事会の場で、いつも我々、請願を採択するかどうかと理事会で議論することになると思いますけれども、そのときに、三年前、理事のメンバーで議論する中で、これは与野党を超えて、この歯科矯正の保険適用の拡大、検討できないか、これは採択できないかというので、みんなで議論したんです。

 歯のかみ合わせ自体がそもそも体全体に影響を与えることって多分やはりあるよねという議論になりまして、最終的には、これは消極的だったのは政府だったんです。政府が消極的だったんですが、与野党を超えて、これは一生懸命何とかやろうとみんなで説得をして、一定の解釈の下で採択することが決まったということがありました。これは一歩、非常に大きな前進だったし、私自身もすごく勉強になったんですが、それ以降、この歯科矯正の保険適用というのは少しずつ拡大をしてきました。

 その中で、一つ課題だと思っていたのは、学校の歯科健診を受けます。受けると、ちょっと歯並びが悪いですね、一回歯医者さんに行ってくださいと、お医者さんに行くことを勧められます。お医者さんに行ったら、保険適用じゃないので、相談すらお金がかかるんですよ、自費で。矯正歯科の御相談は五千円で相談に乗りますとか、そういうところが多いんですね。ここは、せめて相談ぐらいは何とかならないのかと指摘をずっと私もしてきましたけれども、今回そこが変わることになります。

 政府の取組を伺いたいというふうに思います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話ございましたように、学校歯科健診におきまして、不正咬合の疑いを指摘されまして、歯科医療機関の受診が必要とされた患者の方に対する診療につきまして、現在は、疾患が疑われる場合のレントゲン撮影とその診断料のみが保険給付の対象となっているところでございます。

 令和六年度の診療報酬改定におきましては、歯科矯正相談料、これを新たに設けまして、こうした患者の方を対象に歯科矯正治療の保険適用の可否を判断するために必要な検査や診断などを行い、その結果を患者の方や御家族の方に説明することに対して、診療報酬上の評価を行うこととしたところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 これは本当に私はうれしいです。ようやく実現できました。しかも、今回は更にまた保険適用の範囲も少し拡大もしていただきましたので、これも改めて御礼申し上げたいというふうに思います。

 最後の質問になると思いますが、今回の法案でもう一個うれしかったのは何かというと、育児時短就業給付。これは、短時間勤務をしながら育休給付を受給できる仕組みを創設しますということです。

 これは私、二年前の予算委員会でもこれを取り上げたんですが、短時間勤務をすると、当然給料が減ります。ところが、日本の育休給付というのはそこそこ充実しているので六七%、非課税なので実質八割来ます。そうすると、無理して働いて、時短でもいいからと思って働くと、実は、働くと給料は減るけれども、育休で丸々休んだ方がもらえる額が多いというのがあって、本人自身は、本来キャリアのことを考えたら自分も働きたいと思っている。会社も人材不足だから働いてほしい。でも、経済的な理由だけで、やはり育休の方が経済的に楽だからといって育休を取る人が多かった。この声をいただいていたので、これは何とかならないかと予算委員会で質問したんです。

 そのときの大臣の答弁は非常に塩答弁でして、雇用保険の趣旨と合いません、雇用の維持と関係ありませんと言われて、でも、ずっと何とかならないかと思ってきたんですが、今回ありがたいことに、時短で減った給料にちゃんと上乗せをするということになりました。

 ちょっと答弁いただきたいのは、さっき申し上げたように、この趣旨、育休給付と比較した場合にどうかというのが大事だと思っていまして、どの程度までカバーされるか、具体的なイメージを説明していただければというふうに思います。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、共働き、共育てを推進するという観点から、育児期間中の柔軟な働き方として時短勤務を選択しやすくなるよう、育児時短就業給付を創設することとしております。

 二歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の一〇%を給付することとしております。

 一方、育児休業期間中に支給される育児休業給付金につきましては、育児休業開始から百八十日までは休業開始前賃金の六七%相当額、それ以降は五〇%相当額を給付するということとしております。

 委員から具体的なイメージということでございましたが、働く時間に応じて賃金が決まるというふうに仮定をいたしますと、一日八時間就業していた方が、育児・介護休業法に規定する所定労働時間の短縮措置として一日六時間の時短就業をしたときに、賃金は時短開始前の七五%となります。この場合、育児時短就業給付金はこの賃金の一〇%で、時短開始前賃金の七・五%相当額が加えて支給をされることとなります。そのため、賃金と育児時短就業給付金の合計額は、時短開始前賃金の八二・五%相当となりまして、これは育児休業給付金よりも高い水準となってまいります。

 このような給付を行うことによりまして、希望に応じて時短勤務を選択しやすくなり、子の出生、育児休業後も、労働者の育児とキャリア形成の両立支援に資するものと考えております。

伊佐委員 ありがとうございました。時短でも働いた方が増えるということでした。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山井和則君。

山井委員 四十五分間、質問をさせていただきます。

 私も、議員になった一つのきっかけが、六年間、学生時代、児童福祉施設でボランティアをしておりまして、貧困家庭のお子さん、虐待を受けたお子さん、やはりその中で、進学したいけれども家庭の事情で進学できないとか、本当に、子供たちの、あるいはお母さん方の御苦労をお聞きしました。そういうことで、子供たちの声を国会に届けたいという思いもあって、理系だったんですけれどもこの政治の世界に入ってまいりました。

 その後、スウェーデンに二年間行きまして、大学などを含めてスウェーデンの社会保障ということを勉強させていただいて、あそこは、御存じのように、消費税が二五%ぐらいあるとか、非常に高福祉・高負担な国と言われておりますので、ベースとしてはいい社会保障のためには負担はやむを得ないというのを、私も二年間のスウェーデンでの研究で学ばせていただきました。

 ただ、最初に申し上げますが、今回の子ども・子育て支援金に関しては、やはりちょっと、まやかしがあるんじゃないか、うそがあるんじゃないかということが多々ありますので、その辺りも質問をさせていただきたいと思います。

 それで、法案に入る前に、冒頭、昨日、子供の貧困対策の院内集会がございました。今日、配付資料にも、お配りをさせていただいております。配付資料の十四ページ、ラストですね。そして、最初は十二ページからですね。「子どもの貧困 絶望の連鎖が明らかに」、あすのば給付金受給者六千人調査中間報告会。これは、子供貧困対策の議員連盟。超党派の議員も集まっておりました。

 そういう中で、本当に、修学旅行に行きたくても行けなかったとか、食事が三回取れないとか、あるいは、クリスマスのプレゼントがない、うちの家にはサンタさんはいないのと子供に泣かれたとか、様々な声をお聞きしましたし、また、この資料は加藤大臣にも読んでいただければと思いますが、学校をやめたくなるとか、修学旅行に行けなかったとか、絶望だと感じたとか、とにかくやはり、三食御飯が食べられないという声は、本当にこれは責任を感じて、昨日の集会では、党派を超えて、超党派の子ども貧困議連の仲間の議員が、子供の貧困対策は超党派で取り組まねばということを話をさせていただきました。

 そして、詳しくは読んでいただければと思いますが、十四ページ、その要望が、「子どもの貧困解消のため十分な予算と人を確保し大幅な施策拡充とともに実効性の高い「子どもの貧困対策法」改正の早期実現を!」と。これは、二〇一四年に超党派で成立をいたしまして、今年が十年目になります。私も、与野党の議員の方々と一緒にこの法律の成立に奔走させていただきました。

 このような、昨日の集会であった、あすのばの方々のような要望に対しまして、まず最初に加藤大臣から受け止めをお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 昨日の公益財団法人あすのばさんの調査発表会には、こども家庭庁の職員も参加をさせていただきました。

 アンケート結果では、生活が困窮する家庭の子供が、塾や習い事、また進学を諦めたりする実情、親が経済的な困窮のみならず健康にも問題を抱えている実情等が示されていると承知をしてございます。

 こども大綱に盛り込んだとおり、子供の貧困を解消し、子供たちが貧困による困難を強いられることのないような社会をつくらなければならない、この思いを更に強く持ったところでございます。

山井委員 昨日は、おっしゃるように、こども家庭庁から担当の方も来ていただいて、この間、百点とは言いませんが、子供の貧困対策に大変熱心に取り組んでいただいていることに感謝をしたいと思います。

 こういう「子どもの貧困 絶望の連鎖が明らかに」という六千人調査中間報告、非常に厳しい、切実な実態が出ておりますので、このことについても踏まえて、加藤大臣、これからも取り組んでいただきたいと思います。

 今回の支援金制度の中で、例えば我が党は、三年前から岡本あき子筆頭理事を中心に議員立法を提出しまして、その中で、いち早く児童手当を高三までに延長すべきだということをずっと要望してまいりました。そういうことが入っているということはいいと思いますし、また、民主党政権で、私、長妻大臣の下、厚労大臣政務官をしておりましたけれども、そのときには児童手当を、小六までだったのを中三に延ばす、その法案、答弁したのは長妻大臣や私であります。

 当時、中学三年まで延びて、今回、高校三年まで延びるわけでありますが、そのときは元々は所得制限がなかったんですけれども、残念ながら、その後、自民党からの要望によって所得制限も入ってしまった。あのまま所得制限がないままだったら、もっと子育てはしやすい社会だったんじゃないかなとちょっと残念に思ったりもします。

 そういう中で、まずお伺いしたいのはやはりお金のことなんですね。

 それで質問いたしますが、昨日、岡本議員が質問をされました。今日は政府参考人は登録しておりませんで加藤大臣だけなんですけれども、その理由は、私は本当に基本的なことしかもちろん質問しませんので。

 この資料を見ると、健保組合、大企業の場合は、被保険者一人当たり八百五十円ということですよね、八百五十円。今日の配付資料にも一ページ目に出ております、八百五十円。この下に、小さく注一、要はこれは労使折半で払うということが書いてございます。

 これは昨日の岡本議員の質問の続きなんですけれども、被保険者一人当たり八百五十円となっていますが、事業主負担が、折半ですから、同額入るわけです。では、労使合計すると、健保組合の平均的なケースでは被保険者一人当たり幾らになりますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 被用者保険の中の健保組合、これの被保険者一人当たり八百五十円でありますが、お示しした試算においては、これは、元々は被用者保険加入者一人当たりの支援金額、月額約五百円としつつ、被保険者一人当たりの支援金も参考までにお示しをし、制度ごとに、健保協会でいえば八百五十円としてございます。

 お尋ねの労使合計や年額等を含めて個別のケースについてはお答えすることはしませんが、被用者であれば労使折半となります。ここでは労使折半の金額をお示しをしているところでございます。

山井委員 要は、私は別に難解なことを質問しているのではなくて、素朴に、労使折半ですから、労使折半で八百五十円ということは、労使合計すると幾らになりますか。お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども家庭庁としましては、あくまで本人の拠出額をお示しする方針としていますが、被用者保険ですので労使折半の考え方であることは御指摘のとおりでございます。

山井委員 分かりますよ。言いたいことは分かりますし、趣旨も分かるけれども、参考までに、労使合計すると幾らになるかなというのはやはり知りたいじゃないですか、当たり前の話。

 だから、そういう意味では……(発言する者あり)今、自分で言ったらいいと言うけれども、私が言っても意味がないんですよ。やはり、これは加藤大臣の口から言ってもらわないと。私が言ってもしようがないんですよ、これは。

 政府として、八百五十円、被保険者一人当たりだけれども、労使合計すると幾らの負担になりますか。

加藤国務大臣 支援金額を国民の皆様にお示しするに当たって重要なのは、本人分として拠出をいただく額であると考えております。事業主負担額を含めて表示することは本人にとって誤解を招くおそれがあると考えるため、ここでは御本人の拠出いただく額で示させていただいております。

山井委員 いや、やはりこの法案のうさん臭さというのはここなんですよね。私、難しい質問はしていないと思うんです。

 そしたら、加藤大臣、聞き方を変えます。

 被保険者一人当たり八百五十円、健保組合ということは、労使折半だからこれは半額なんですよね。だから、労使合計すると掛ける二で千七百円ですか。

加藤国務大臣 被用者保険につきましては、労使折半の考え方の下、別途、事業主拠出があるというのはそのとおりでございます。

山井委員 いやいや、ですから、その考え方に基づくと、被保険者一人八百五十円ということは、労使合計すると、折半して八百五十円ですから、掛ける二だから千七百円ですか。お答えください。

加藤国務大臣 全てのケースではありませんが、基本的には倍にしていただいても結構でございます。

山井委員 倍にしていただいて結構ですということですよね、それは。

谷委員長 山井君、指名してから発言をお願いいたします。

山井委員 はい。

 労使折半だから半額になっているわけだから、倍にするのは当たり前ですよね。

 ついては、健保組合のこの平均的なモデルの八百五十円の方の場合は、倍にしていただいて結構ですということは、千七百円という理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 被用者保険については、労使折半の考え方の下、別途、事業主拠出があるというのはそのとおりでございます。

 また、他方、健保組合につきましては、事業主が従業員分以上に拠出することが可能であり、その分、従業員の本人拠出は低くなりますので、一概に申し上げることはできません。

山井委員 え、折半じゃないんですか。

加藤国務大臣 基本的には折半で。

山井委員 それで、言ったら悪いけれども、私たちはもっと本質的な議論をしたいんですよ。ただ、入口として、国民的に幾らか知りたいのは当たり前じゃないですか。労使合計したら幾らなのかなと。参考までにですよ。別に、千七百円がメインだとは言いませんよ。

 八百五十円の場合は労使合計すると幾らになりますか。二倍すると千七百円だけれども、千七百円ということでよろしいですか、加藤大臣。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、支援金額を国民の皆様にお示しするに当たって重要なのは本人分として拠出いただく額であると考えており、その額で示させていただいております。

山井委員 いや、ちょっと、始まって十分ですけれども、これはイロハのイですよ。

 ちなみに、八百五十円の健保組合の企業に働いている人は労使合計の負担は幾らになるんですか。別に難しい質問じゃないので、これを答えられなかったら先の質問に進めないんですけれども。

 ちょっと、委員長、相談してもらえませんか。一回止めてください。はっきり言って、私も四十五分しか時間がないので、こんなことすら答弁しないというんだったら審議できないですよ。

加藤国務大臣 基本的には倍の計算になりますけれども、健保組合につきましては、事業主が従業員分以上に拠出することも可能でありますので、一概に申し上げることはできません。

山井委員 だから、そうしたら、基本的には倍とおっしゃったから、基本的には千七百円ということでいいですか。

加藤国務大臣 基本的にはそうなりますので、計算上その額になるところは多いと思います。

山井委員 ちょっとこだわるようですけれども、千七百円になるということで、千七百円と言ってもらえますか。

加藤国務大臣 基本的には千七百円となるところが多いという考え方でございます。

山井委員 いや、これは、昨日、岡本議員が質問されて、岸田総理が答えなくて、私はあえて言いますよ、加藤大臣も被害者じゃないかなと思うんですよ。こんな、千七百円と言うぐらい普通に言えばいいのに、岸田総理が言わないから、結局、何でこんなことで加藤大臣が、え、千七百円と言っていいんですかなんと。二掛けたら千七百円になるに決まっているわけですよね。

 でも、やはり、はっきり言いまして、ということは、健保組合の方が労使合計すると千七百円ということですね。

 ということは、基本が……(発言する者あり)今、医療ということをおっしゃいましたね。ということは、ちょっとこれも基本的な質問に行きますよ。一か月千七百円以上ということは……(発言する者あり)それは分からない。一か月千七百円が基本ということは、十二掛けると、一年間では、加藤大臣、二万四百円ということでよろしいですか。

加藤国務大臣 委員御指摘のとおり、年額であれば月額に十二を乗じることとなります。

山井委員 いや、そこは大事なので、月額千七百円に十二掛けたら幾らになりますか、念のため。

加藤国務大臣 千七百掛ける十二は二万四百でございます。

山井委員 労使合計の年額で二万四百円なんですよ、年間。

 じゃ、一応、同じ企業に同じ所得の奥さん、夫、パートナーが働いていたら、共働きだと年間二万四百円は、全く同じ職場で同じ給料でというところだったら、共働きだと二万四百円が幾らになりますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 個別のケースについて逐一お答えすることはいたしませんが、いずれの制度におきましても、令和三年度の医療保険料額の四から五%相当額が個々人の支援金額と見込まれることを参考までにお示しをしてございます。個々人におきましては、ある程度のイメージはこの四から五%ということでイメージが持てるものと考えております。

山井委員 いや、これは、同じ健保組合に入って、同じ職場で同じ収入という仮のケースは、二万四百円掛ける二で、共働きだったら四万八百円じゃないんですか。四万八百円でしょう、いかがですか。

加藤国務大臣 共働きだったらというお話ですが、同じお給料で、世帯で見れば二倍という考え方は委員御指摘のとおりでありますが、その世帯は平均的な所得も二倍の所得があるということになり、サンプルとして適切かという課題もあることから、こちらから金額として申し上げることは控えます。

山井委員 いや、いい悪い、高い安いを判断するのは国民なんですよね。やはりその参考にお答えいただきたいのは、同じ健保組合で、同じ収入、同じ働き方、同じ給料の共働きがいたとしたら、夫か妻が二万四百円としたら、共働きだったら四万八百円、二倍になる、四万八百円ということでよろしいですね。

加藤国務大臣 個別のケースについて逐一お答えすることはいたしませんけれども、共働きのケースで同じお給料であれば、世帯で見たら二倍というところは、考え方は御指摘のとおりでありますし、また、所得に応じて支援金額が変わってまいりますし、また、再三申し上げております歳出改革による負担軽減の効果も、所得が大きいところ、また拠出の大きいところはその分負担軽減効果も大きくなるというところも留意が必要であると考えております。

山井委員 今、二倍になるということをお認めになりましたから、労使合計すると、年間、共働き、大企業の平均的なケースであると四万八百円。これはかなりの額だと私は思います。

 これね、加藤大臣、なぜこだわるのかというと、事業主負担というのはやはり大きいんですよ。なぜかというと、ある事業主が二千円月給を上げようとしていた、でも、子ども・子育て支援金が入って二千円に事業主負担がなったら、賃上げが無理になる可能性があるんですよ。そういう意味では、事業主負担は関係ないということはないんです。だから私たちは合計額を聞いているんです。

 そこで、今日の日経新聞の社説を見ていただきたいんですが、今日の配付資料の十四ページ、ラストにございます。

 今朝の社説、「この試算で育児支援の議論は深まらない」。私が言っているんじゃありません、日経新聞ですね。真ん中あたり。支援のため誰にどんな負担を求めるのか、その情報が示されなければ制度の実像は見えてこないはずだ。それなのに、こども家庭庁が二十九日に公表した支援金制度による負担額の試算は極めて限定的な内容だと。ちょっと、念のため読み上げます。給付と負担を一体で見たときに子育て世帯にどんな受益がある制度であり、それが世帯所得によってどう変わるのか。支え手となる人たちの負担は単身や夫婦二人などの世帯類型や所得別にどうなるのか。こんな基本的な情報をなぜ示さないのか不思議でならないとなっているんですね。

 ついては、これは質問通告をしておりますので、今の健保組合の場合、平均的な方の場合は被用者一人当たり労使合計で千七百円、折半で八百五十円ということは示されていますが、質問通告しましたが、年収が二百万、四百万、六百万、八百万、一千万のケース、質問通告の質問十ですね。これの月と年の労使を合計した負担額、一人当たり幾らでしょうか。お答えください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 先日お示しした試算におきましては、被用者保険の加入者一人当たりの支援金額は月額約五百円としつつ、被保険者一人当たりの支援金額も参考までにお示しをし、協会けんぽで七百円、健保組合で八百五十円、共済組合で九百五十円としております。

 お尋ねの年収別の拠出額につきましては、数年後の賃金水準等によることから、現時点で一概には申し上げられません。

 他方、被用者保険における支援金額は、所得、いわゆる負担能力に比例するものでございまして、いずれの制度におきましても、拠出額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれることをお示しをしてございまして、個々人が、ある程度、この数字をもって御自身の拠出額のイメージを持つのには必要な情報提供ができているものと考えております。

山井委員 いや、日経新聞の社説で、これでは制度の議論は深まらないと言っているじゃないですか。やはり、年収が二百万か、四百万か、六百万か、八百万か、一千万の場合、八百五十円の被保険者一人当たりの負担額は幾らになるのか。知りたいのは当然だと思いますよね。自民党さんも知りたいですよね、本当に。それによって全然イメージが違うからね。

 そうしたら、ほかの聞き方をしますが、加藤大臣は、さすがに大臣は御存じなんですか。一応八百五十円となっているけれども、二百万、四百万、六百万、八百万、一千万だったら、幾らぐらいに減ったり増えたりするか、加藤大臣本人は御存じだけれども山井には言えないということなのか、御自分も実はそれは知らないということなのか、どっちですか。

加藤国務大臣 拠出していただくそれぞれの額についての考え方は承知をしてございますが、個々の年収額に対し幾らというところを個別一つ一つ計算をしてというよりも、全体の考え方として、私自身、理解と把握をしているつもりでございます。

山井委員 ということは、私に言えないだけじゃなくて、加藤大臣御本人も、二百万、四百万、六百万、八百万、一千万の年収の場合、この平均八百五十円が幾らに増えて幾らに減るのかというのを大臣も分からないということですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 個別の年収額に応じて幾ら幾らと逐一計算をして把握しているといいますよりも、算出の方法ですとか考え方で把握をしておりますということと、それぞれの場合を含めてイメージをしていただくという話であれば、各個人、保険料額、こちらは皆さん御存じだと思いますので、こちらを見て、それに対して掛ける四%から五%、それを計算していただければ、それぞれの皆様がイメージを湧かせていただけるものと承知をしております。

山井委員 ということは、加藤大臣も御存じないわけですよね。でも、これは負担ですから、国民の皆様に負担を強いるときに、平均的なイメージは自分は分かっているけれども、高所得の方、低所得の方が幾らになるかは私は理解していませんというのは、これはやはり当然話にならないわけで、日経の社説でも、これでは何か都合の悪い情報を隠しているとの批判を受けてもおかしくない、実質的な負担は生じないという主張も国民の不信を高めかねないということなんですね。

 委員長、私たちは、建設的に、前向きな子育て支援の財源の議論をしたいと思っているんですけれども、一番国民が不安に思っている、関心を持っている負担が分からないということでは、今後審議していくに当たって、毎回、所得別の負担額を出してくれなんて、こんな議論はできませんから。言っちゃ悪いけれども、私も、もう三十分たっていますけれども、もっと中身の議論をしたいわけですよ、はっきり言って。

 まず、加藤大臣にお伺いします。出してもらえませんか、次の審議までに。やはり、繰り返し言いますよ、山井が言っているんじゃないですよ、日経新聞さんが社説で言っているんですから。これは多くの国民の素朴な感情ですよ、負担、自分の場合、幾ら増えるのと。せめてそれを示さないと審議が深まらない、言っちゃ悪いけれども。

 例えば、ラーメン食べられませんかと言われて、額は幾らですかといって、それは言えませんとか。そうすると、値段によってこの制度はいいか悪いかとやはり思うじゃないですか。それを、平均的なレベルは見せますけれども所得階層別には見せられませんということでは、国民は、喜んでいいのか悲しんでいいのか、反対していいのか賛成していいのかも分からないわけですから。

 加藤大臣、次の審議までに、日経新聞も社説に言っているわけですから、所得階層別の負担額、出していただけませんか。

加藤国務大臣 先ほど、個別の計算、所得が低い方、高い方のことを全く把握していないというような御指摘のように受け止めましたけれども、そういうことではありませんで、計算方法や考え方は私自身把握しておりますし、あと、お尋ねの年収別の拠出額については、具体的な、かっきりとした数値で出すということは、数年後の賃金水準等によることから、現時点で一概に申し上げることはできないということを申し上げてございます。

 他方で、被用者保険に関する支援金額は、先ほども申し上げましたけれども、所得、負担能力に比例するものでございまして、どの制度においても、拠出額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれますので、下手に区切って、それに対して幾らと、自分自身が当てはまらないケースでお示しをするよりも、お一人お一人が御自身の医療保険料額を見た上で、例えば四%から五%を掛けてイメージを湧かせていただく方が、御自身に引き寄せたイメージを湧かせていただけるもの、このように考えてございます。

山井委員 私はこんな法案を聞いたことがないですよ、負担額は御自身で計算してくださいと。そうしたら法案審議が成り立たないじゃないですか。負担を求めるのは政府なわけですよ。

 そうしたら、例えば、健保組合、平均八百五十円ですけれども、高所得者によっては二倍の千七百円より上回ることはあるんですか、ないんですか。お答えください。

加藤国務大臣 通告を受けておりませんこともありますし、個別のケースについてはお答えを控えさせていただきます。

山井委員 ただ、割と基本的なことですよ、これは。高所得者になったら、いや、大体のイメージはつかめているとおっしゃったから、八百五十円のケースで二倍の千七百円を超えるケースがあるのかどうか。これは割と基本的な話ですからね。加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 御指摘のケースは多いと思いますが、様々なケースがあると考えられます。

山井委員 ということは、様々なケースがあるということは、倍以上の、高所得の方に関しては、八百五十円じゃなくて千七百円を超えるケースも、様々なケースということであり得るという理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 所得、つまり負担能力に比例してございまして、様々なケースがあると考えられます。

山井委員 ということは、やはり今の答弁によると、八百五十円と言っているけれども、所得の高い人によっては月に千七百円、月千七百円ということは労使合計すると三千四百円、ということは年間四万八百円。これはかなりですよ。もちろん高所得の人ということですけれどもね。政府は四百五十円、四百五十円とか言っているけれども、今計算していったら、そうしたら、所得が高い人の場合は、四百五十円どころか、年間、労使合計すると四万八百円になるかもしれない。これは百倍ぐらいの話ですからね、もちろん月と年とは違いますけれども。

 何かその辺りが、やはりこれでは審議が深まらないので、是非とも次の審議までに。いや、言っちゃ悪いけれども、給料が変わるというのは当たり前ですよ。今の給料水準でいいですよ、だから。そんな大幅に、一〇%、二〇%も変わらないんですからね。今の給料水準を仮にやって、次の審議までに所得別のデータ、二百、四百、六百、八百、千ぐらいで、五段階ぐらいで出していただけませんか。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、お尋ねの年収別の拠出額につきましては、数年後の賃金水準等によることから、現時点で一概に申し上げることはできないものと考えております。

 また、何度も申し上げますけれども、皆さんの拠出額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれますので、階層別でお示しするよりも、お一人お一人で御自身の医療保険の保険料を御確認の中で、その四から五%分が支援金の拠出額だというふうにイメージをしていただくことが適切だというふうに考えております。

山井委員 これは負担を求めるんですよ、国民に。その負担額は幾らですかと言ったら、御自分で計算してくださいと。それだったら法案審議は成り立たないんですよ。

 ちなみに、じゃ、全員の給与明細に、幾ら支援金分で負担が増えたかというのは書かれるんですか。それは義務になっていない。書かれないんじゃないんですか。

 ということは、加藤大臣、一年後、二年後、三年後、幾ら支援金分で自分が払っているかというのは、これは永遠に分からないんですか。給与明細に書かれなかったら永遠に分からないんですか。

 一回ちょっと止めてください、委員長。

谷委員長 時計を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 じゃ、時計を動かしてください。

 加藤国務大臣。

加藤国務大臣 お尋ねの給与明細への記載につきましては、昨日の本会議で総理からも答弁がありましたように、健康保険法上、事業主は保険料の控除額を被保険者に通知しなければならないこととされる一方、その内訳をどこまで示すかまでは義務づけられておらず、事業主の判断に委ねられているものです。他方で、危機的な状況にある少子化の中、子供、子育て世帯を支援するために支援金を拠出いただくという趣旨を被保険者に知っていただくことは重要であると考えております。

 こうした観点から、給与明細等において支援金額を表示する取組が広がっていくよう、法律の施行に向けて、関係者の御意見も伺いながら、支援金制度の理解促進に向けて必要な取組を進めてまいります。

山井委員 いや、事業主の判断に任せられているということは、書かれないわけでしょう。そうしたら、支援金制度を導入されたけれども、自分が幾ら負担しているかというのは分からないわけですよ。ちょっと言葉はきついかもしれないけれども、一歩間違うと、これはぼったくりみたいな話になっちゃうわけですよ。

 というのが、分からないんだから、言っちゃ悪いけれども。千円なのか、五千円なのか、さっき言ったように、高所得だったら年間二万四百円の可能性があるわけでしょう。二万四百円はでかいですよ、はっきり言って。

 いや、それが、二万四百円引かれているのか、一万円なのか、三万円なのか。さっきも言ったように、二万四百円どころか、夫婦合算で、共働きだったら四万八百円。四万八百円は約五万円ですよね。五万円引かれているかどうか分からない。それが三万なのか、七万なのか分からないと。それは、加藤大臣、やはり、制度を推進されたいという加藤大臣の思いはもちろん分かります。分かりますけれども、ただ、負担する側からしたら、年間の負担が一万なのか、五万なのかさっぱり分からないというのは、これはさすがに問題あるんじゃないんですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 現在、政府としましては、賃上げに総力を挙げて取り組んでおり、賃上げが進んでいけば支援金率は軽減していくこととなります。数年後の報酬の見込みを立てることは現時点で難しいと考えております。

 また、給与明細での記載につきましては、先ほども申し上げましたが、危機的な状況にある少子化の中で、子供、子育て世帯を支援するために支援金を拠出いただくという趣旨を被保険者に知っていただくことは重要である、これは私も考えてございます。その観点から、給与明細等において支援金額を表示する取組が広がっていくよう、法律の施行に向けて、関係者の御意見も伺いながら、支援金制度の理解促進に向けて必要な取組を、これを進めてまいります。

山井委員 冒頭にも言いましたように、必要な負担をすることはもちろん必要かなとは思うけれども、今言ったように、それが幾らなのか分かりませんというのは、これはやはり法案審議として成り立たないんですよ。極端な言い方をしたら、私たちも、賛成、反対が、決めようがないですよ、幾らかが分からないんだから。まだ百歩譲って、三年後に分かりますというんだったらいいけれども、三年後も給与明細に入っていなければ永遠に分からないんでしょう。将来的にそんないいかげんな制度を入れるなということになっちゃいますよ、はっきり言って。

 是非、委員長、きつく言えば、本当、政府による審議拒否だと思いますよ。繰り返し言います。日経新聞の社説で、これでは議論は深まらないと言っているんですから、是非、次の委員会をするときには、こういう議論で三十分時間を使わなくていいように、所得階層別では幾らですという資料を出して、次の、先の議論に行きたいと思うんですけれども、委員長、いかがですか。

谷委員長 後日、理事会で協議いたします。

山井委員 加藤大臣、私は無理なことを言っているとは思っていないんです。

 それで、もう一つお聞きしたいのは、今回、事業主負担は余り関係ないみたいなことを政府はおっしゃっていますけれども、これはでかいんですよ。

 例えば、さっき言った年間二万四百円ですよね。それで、事業主負担が更に同額、年間二万四百円入るんですよ。ということは、加藤大臣、この支援金制度によって賃上げにブレーキがかかるんじゃないですか。

 例えば、年間二万円上げようと思っていた会社がありましたと。ところが、支援金で事業主負担が二万円入りましたと。そうしたら、ああ、無理になったなと思いますよね、普通、社長さんは。自民党の皆さんもうなずいておられますけれども。

 ということは、言いづらいけれども、先ほど、賃上げ賃上げ、頑張るとおっしゃっているけれども、一方では、賃上げに対して事業主負担が入るということは、この支援金制度自体が賃上げにブレーキ、抑制する効果があるということはお認めになりますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 これまでも、支援金制度は、歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築するため、全体として実質的な負担が生じないとしてございます。このことは社会保険料の事業主負担についても同じでありますので、支援金の拠出によって賃金を引き下げる効果があるとは考えておりません。

山井委員 いや、でも、賃上げに対して抑制する効果は普通ありますよ、事業主負担が入るんだから。それは認めるべきじゃないですか。そんなのは、事業主負担が入ったらその分もうけは減るわけですから、そこは認めてください。

加藤国務大臣 今回の支援金制度の構築に当たっては、歳出改革を行って軽減効果を生じさせますので、その範囲内で構築するということで、実質的な負担が生じないとしてございます。これは事業主負担にも同じでありますので、支援金の拠出によって賃上げを抑制するという効果があるとは考えておりません。

山井委員 世の中の事業主の人は全員首をかしげられますよ。事業主負担が入ったら、賃上げに抑制になるに決まっているわけですよ。

 それともう一点。それと一緒で、私は恐ろしいと思っているのは、非正規の方、国保の方は事業主負担がないんですよね。皆さん、胸に手を当てると、非正規だったら事業主負担はない、正規だったらある。それで、そのことが子供支援金で強化されるわけですね。そうしたら、事業主としたら、非正規の、国保の人だったら事業主負担はゼロなんですよ。そうしたら、ああ、正社員を雇おうかなと思ったけれども、今度また負担が増えるから非正規にしようよということで、子ども・子育て支援金によって非正規雇用を促進させる効果があるんじゃないんですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、事業主負担についても、今回の歳出改革によって軽減効果を生じさせて、その範囲内でこの支援金を構築するために実質的な負担は生じない、そのように考えております。支援金の拠出によって非正規雇用を増加させるとは考えておりません。(発言する者あり)

山井委員 今も城井さんから、保険料負担をなめているんじゃないかと。多くの野党の方がおっしゃる、今、保険料負担で事業主はめちゃくちゃ苦しんでいるんですよ。だから、今日の配付資料にもありますけれども、日本総研の西沢先生も、結局、非正規雇用を増やしてしまうんじゃないかということをおっしゃっておられるんですよね。そういうことをおっしゃっておられました。

 それで、加藤大臣に言いたいのは、ということは、加藤大臣は否定されたけれども、その否定は間違っているんですよ。賃上げを抑制する効果はあります。非正規雇用を増やす効果があります。

 そもそも、少子化が進んでいるのは、非正規雇用が多くて賃金が上がらなかったからじゃないですか。ということは、賃金を上げるのにブレーキがかかって非正規雇用を促進するんだったら、少子化を加速化させる面も、この支援金、あるんじゃないですか。いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金制度は、歳出改革によって軽減効果を生じさせて、その範囲内で構築をするというこの考え方は、非正規雇用者の方にも当てはまります。

 まずは、非正規雇用者の方を含めた構造的な賃上げを実現することが重要でありますので、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金の実現などに関係省庁と連携をして取り組んでまいります。

山井委員 時間が来ましたが、切に、次回の委員会までには、こども家庭庁、頑張っていただいて、二百万、四百万、六百万、八百万、一千万という所得別の負担額を是非出してください。これは、はっきり言って自民党の方々も知りたがっていられると思いますよ、そうしないと説明できませんから。

 これは、国会審議は、そういうコアな部分を抜きにして国会審議をしたら与党も野党もみんな後世から批判されますので、是非、次回までに所得階層別の負担額を出してもらいますように強くお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 それでは、私も続きまして、子育て支援金制度について伺ってまいります。

 岸田総理は、実質的な国民負担は生じないと答弁を再三されております。子育て支援金制度で医療保険料に上乗せされることは間違いないので、ここのところは詭弁でありますし、ごまかしで、事実上の子育て増税であると私たちは考えております。

 そして、以下、この新たな政府の支援金の試算が出てまいりましたので質問してまいりますが、私たち立憲民主党も、ほか野党も、みんな大臣と同じ、子供、若者を全力で応援したいと思っているわけです。そして、おっしゃるとおり、二〇三〇年までにどういうふうに少子化対策をめどをつけるかということ、本当に重要だと思っています。

 ですから、内容について応援をしていくということはもちろん論をまたない、賛成をするわけですけれども、その財源について、余りにもごまかしが多い、余りにも隠している部分が多いというのは、先ほどの山井議員の大臣との質疑、答弁を聞いていても、非常に分かりにくいわけですね。そこを少しでも国民の皆さんにもっと分かりやすくしていただきたいという趣旨で私も質問いたします。

 お手元の資料、まず、二ページ、三ページを御覧いただきたいと思います。

 二ページ、当然、出していただいた三ページもそうなんですけれども、この二ページの方は、子ども・子育て支援金に関する試算です。そして、次のページの方は、子ども・子育て支援納付金の按分イメージとなっています。この納付金という言葉がここには加わっておりまして、初めて、この一兆円の支援金に公費、これは〇・三兆円ですけれども、これが加わって、計一・三兆円程度というふうになっています。

 これは、初めてこの数字が出てきているわけですね。私たちは、ずっと支援金、これはもちろん、軽減制度や何かがあるということは御説明されていましたので、その支援金の一兆円の中に内数で入っていると当然考えるわけです、皆様の御説明、政府の説明も含めまして。それなのに、ここで新たに〇・三兆円。これは、国保それから後期高齢者の低所得者の負担を軽減するための対策、それからまた共済組合の事業主負担分の税金投入となっているわけで、これは新たに一兆円を、そして支援金として使うための新たな税の二重負担ではないかと私は思います。

 当然、新たな税金ですから、これは何が何と言っても新たな税金なので、ここのところ、後出しじゃんけんじゃないですか。とにかく一兆円という数字で、みんなで割っているんだということで、低く低く数字を見せたい、その思惑が、ここで初めて〇・三兆円というのを足さないと、支援金、一兆円もできませんから。何でここまで説明をしてこなかったんでしょう。なぜ一・三兆円、そして〇・三兆円は税の二重負担ということですね。伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 医療保険者に納付をお願いする子ども・子育て支援納付金の総額は一・三兆円でございますが、このうち〇・三兆円につきましては、委員からも触れていただきましたとおり、国保や後期高齢者の低所得者軽減措置等としての公費の支出であることから、個人や事業主の皆様の拠出分は、これまで申し上げてきたとおり一兆円となるものでございます。

 この公費の〇・三兆円につきましては、既定予算の最大限の活用と歳出改革による公費節減により賄う二・六兆円の中で確保することとしており、更に新たな税金を投入するというものではございません。なお、このことは昨年末に閣議決定したこども未来戦略においても記載をしてございます。また、二重取りというところ、二重の税ということではありません。

早稲田委員 二・六兆円とおっしゃいますけれども、そこの説明にも一切書かれていないですよね。全然書かれていないんです。〇・三という数字が出ないとしても、そこのところはきちんと書くべきじゃないですか、だったら。だって、一兆円をやるためには〇・三兆円は絶対必要なんだから。税を投入しなかったら、共済組合はできないですよね、半分は事業主負担ですから。そして、ここのところは大きいわけです。それから、軽減負担もそうです。分かっているのに出さない、そういうのはとてもよくないと思います。これが、ごまかしと言われております。

 そして、二重負担ですよ、これは。だから、社会保険料、医療保険の保険料なんですという説明だったけれども、結局そこに税を二重投資しなければできないスキームなんです。そこのところをしっかり認めていただきたい。これは税ですよね、ここの部分は。そして、新たな税です、とにかく今まではやっていなかったものをここにつけるわけですから。

 幾ら歳出改革云々とおっしゃっても、そこのところはお金には色がついていないので、しかも、今までも説明もないし、きちんと認めていただきたい。

加藤国務大臣 繰り返しになりますが、先ほど申し上げた二・六兆円、既定予算の最大限活用と歳出改革による公費節減により賄う二・六兆円の中で確保するということにしておりまして、このことは昨年末に決定しましたこども未来戦略においても記載をしてございました。

 国民、事業主の皆様に新たに拠出いただく金額の方が重要であることから、これまで申し上げてきたのは、支援金の拠出額は一兆円である、このように御説明を申し上げてまいりました。また、低所得者軽減等の公費〇・三兆円につきましては、既に御説明しております総額三・六兆円の財源の中で対応するものでございまして、これまでの説明と不整合であるものとは考えておりません。

 こうした枠組みについて、今後も引き続き丁寧に説明をしてまいります。

早稲田委員 今まで一切書かれていないんですね。三・六兆円は、それは全体のスキームですけれども、そのうちの一兆円の方にも、一・一兆円の方にも、それから既定予算の方の一・五兆円にも、何も書かれていないわけです。それは、やはりおかしいですよ。一兆円をやるためには、また税を新たに、この分だけは、ある程度、〇・三なのか五なのか分からないけれども、投入をしますということをきちんとこういうところに書かないと。三・六兆円の中に一言も触れられていない。もちろん、歳出改革、既定予算、これだけ、二・六兆円活用しますということは書かれているけれども、その中の〇・三兆円、この一兆円の支援金に加わるこの公費というのは書かれていません。

 そういうことを積み重ねているから、国民の皆さんに理解が得られないということなんだろうと思います。これは、私が強く、ここのところ、しっかり最初からこういうことは説明をしていただかなければならないということを申し上げておきたいと思います。

 次に行きます。

 それから、先ほども山井議員から再三議論がございました一人当たりの支援金総額、加入者で出していらっしゃいます。これは見ていただければ分かりますけれども、加入者では、赤ちゃんも含む、それから専業主婦の方も入る、そういう試算ですよね。

 これが分かりやすいとおっしゃいますけれども、それでは、じゃ、四人家族、赤ちゃんと子供とそれから夫婦、そうしたときに、大臣がおっしゃる五百円、被用者でいけば、平均の五百円掛ける四になりますかということなんですよ。ならないじゃないですか。それなのに、そこを強調して言うのは本当に不誠実です。そのことを私たちは申し上げているんです。拠出金として負担をお願いしているんだから、それはやはりお願いをするには、なるべく詳細なものを出していただかないと。

 それから、国民が、ああ、私は働いているからこれぐらいなんだな、働いていないけれども夫はこのくらいなんだなということが分からなくちゃいけないじゃないですか。全然分からない。この五百円に四人家族だから、私は言われました、四を掛ければいいのね、二千円になるのと。そうではないじゃないですか。そこのところを申し上げているんです、私たちは。よくそこを分かっていただきたいと思います。

 それで、一の資料を御覧ください。

 それでは、例えば、被用者でいけば、さっき政府が出された資料の中で一番大きいのが、被保険者一人当たりということで申し上げます。これは働いている人の給与明細から引き落とされる金額ですから、分かりやすいです。九百五十円でいくと、事業主負担は当然九百五十円あるから、千九百円ということでよろしいですよね。それから、年額でいえば、それに十二を掛けた数、それが私のペーパーの一番上のグラフで示させていただきましたが、それでよろしいですか、一万一千四百円。これは個人の部分、一人当たりだけの部分ですけれども、年額で一万一千四百円。これに事業主負担も入れれば、年額で二万二千八百円。

 それから、ほかにも書かせていただいています。協会けんぽ、一番中小企業の加入者が多いわけですけれども、これでいうと年額八千四百円。それから、大企業の場合は年額一万二百円。これは事業主負担は入りません、今の数字は。それから、市町村の国保、これは月額四百円として四千八百円。後期高齢者は三百五十円で四千二百円。

 このグラフで間違いないと、政府のその試算をしていただいたのをただグラフにしただけでございますので、これをお認めいただきたいと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 年額でありますと、月額に十二を乗じるということはそのとおりでございますので、このグラフのとおりかというふうに思います。

 他方で、歳出改革に伴う保険料軽減効果も年額分となることに留意が必要かと思います。

早稲田委員 それでは、よろしいんですね、この八千四百、一万二百円、一万一千四百円等の数字で間違いないですね。そこをもう一度おっしゃってください、これでよろしいと。八千四百、一万二百、一万一千四百、これでよろしいですか。まずは被用者ですけれども、お願いします。

加藤国務大臣 年額であれば月額に十二を乗じますので、このとおりかと存じます。

早稲田委員 それでは、被用者の場合、今の金額、八千四百円、これは事業主負担は入りません、事業主負担が入れば一万六千八百円。それから、健康保険組合の場合は一万二百円、これが二万四百円になります。それから、共済組合は一万一千四百円、そして、これが事業主負担が入れば二万二千八百円。これで間違いないということを加藤大臣から確認をさせていただきました。よろしいですね。

 それで、国保の場合ですけれども、これが四千八百円で、ここは事業主負担がありません。非常に重い負担になろうかともちろん思われます。ここのところを私も取り上げたいのですが、ちょっとその前に、四の資料を御覧ください。

 これも日経新聞の記事でありますけれども、まさにここに書かれているのがそのとおりで、「少子化財源 現役負担重く 「支援金」七十五歳の一・四倍」とあります。もちろん、七十五歳以上の方は働いていらっしゃらない方がほとんどでありますけれども、そこに金融所得とか資産課税とかそういうことが入っていないので、こういう結果になっていると思います。

 そして、ここにも書かれているとおり、政府は歳出改革で社会保険料の伸びを抑えることで実質的に追加負担にならないと言っておられますけれども、改革の実現は見通せないと書いてあるわけですね。本当にそうなんです。

 もうずっといろいろ改革工程を出されていますけれども、それがいつできて、いつにこういうふうになるということは何も書かれておりません。だから、それぐらい、想定、想定の上に成り立っている実質負担なしで、それもごまかしということが言えるのではないかと思います。

 この記事にありますとおりですけれども、これは会社員の年収で出していらっしゃいますね、推計を。年収五百万円の方で月八百三十三円、一千万で千六百六十七円、そして一千五百万円で二千五百円、月額です。こういうことにもなると想定はされますね。加藤大臣、よろしいですか。(発言する者あり)

谷委員長 時間を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 時計を動かしてください。

 加藤国務大臣。

加藤国務大臣 御通告をいただいておりませんので、お答えは控えさせていただきます。

早稲田委員 これは、資料は出しておりますし、それから、先ほどおっしゃったように、所得により五百円が千円となることもあるわけですよね。

 ですから、想定としてこれが正しいかとは私は聞いていません。想定は、こういうことも、どんどん上がっていくということも考えられますねということだけお答えください。所得が上がっても上がらないということではないはずです、先ほども答弁されていましたから。千円以上になることもあり得ますね。

加藤国務大臣 支援金額は所得に応じて変わりますので、所得によって様々であると考えております。

早稲田委員 千円以上もあり得るわけです。こういうふうに、見ていただければ分かるとおりであります。

 それから、先ほども御議論ありましたが、被用者保険の場合は労使折半です。そして、会社負担もきちんと示すべきではないかという質問を昨日も岡本議員がされておりましたけれども、やる必要はないという総理の御答弁でありましたけれども、そんなこと、おかしいじゃないですか。会社の財源、負担は天から降ってくるわけじゃないんです。

 みんなが働いて、あるいは皆さんの努力によって、企業努力もある、そういうことによってこれをやっているわけで、そして、会社も負担増になれば、当然、社員の賃上げに影響が出てくる可能性もあります。正社員採用を避けて非正規の増加、賃金を下げるというような影響も出てくると想定されるのではないでしょうか。大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 被用者保険の支援金額につきましては労使折半で拠出をいたしますが、重要なのは本人拠出額でございますので、先日の試算が適切なお示しの仕方であると考えております。

 支援金制度は、歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築をするため、全体として実質的な負担が生じないとこれまでもお伝えをさせていただいておりました。このことは事業主負担についても同じでございますので、支援金の拠出によって賃上げを抑制したり非正規雇用を増加させるとは考えておりません。

早稲田委員 考えておりませんとおっしゃいますけれども、そういうことが起こったらどうするんですか。経営者としたら、これだけ、二倍も、一万円も一人に対して払わなくちゃならないんだったら、非正規の方を正規にしようかと思っていたけれども、しようがない、非正規のままで我慢していただこうかということも出てきますよ、当然。経営者の立場になってみてください。何でそれが重要じゃないんですか、事業主負担を出すことが。

 やはり、重要じゃないということは言わないでいただきたいんですね。重要ですよね。やはり、それも今後はきちんと考えて、何らかの形で出していただく、所得層別にももちろん出していただく、そういうことも御検討いただきたいんですが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度の施行の前に、まず、賃上げや経済基盤の強化を先行させるという枠組みとしており、法案において、支援金制度は令和八年度施行としてございます。政府が総力を挙げて取り組む賃上げを始めとして、支援金制度の円滑な導入ができるよう環境整備に努めてまいります。

 そこに当たり、まずは、非正規雇用労働者の方を含めた構造的な賃上げを実現することが重要であって、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金の実現などに関係省庁と連携をして取り組んでまいります。

早稲田委員 全部が全部、賃上げ、構造的な賃上げとおっしゃいます。かけ声はいいです。でも、本当に中小企業の皆さん、零細の企業の方まで賃上げができるかどうか分からないんです、これは民間の努力によってやっていることですから。それが、まず、まずとおっしゃっても、それはおかしいでしょう。

 大企業が五%、七%、一〇%といっても、でも、やはり中小企業の方たちは大変だと。そういうふうに満額回答と言われると胸が締めつけられると中小企業の方はおっしゃっていました。うちも賃上げするんですよね社長と言われるのがつらい、したいのはやまやまだけれども、資材は高い、原料も高い、エネルギー高、どうするんだと。それが町の声じゃないですか。大臣、よくお分かりだと思いますよ、そこのところ。だから、賃上げ、賃上げということだけを錦の御旗みたいに言わないでいただきたい、これは企業の努力ですから、これからのことですから。

 それで、やってまいりますが、労使折半についてですけれども、今、そのことはお話をいたしました。そもそも、この支援金について、料率をきちんと示すべきではないですか。

 四ページの方では、西沢先生が〇・四%ぐらいではないかという試算も出されておりますけれども、平均額では、全く負担の上限も分かりません。このことについて、例えば、総報酬額の増減によって支援金の料率も変わることもあるんじゃないんでしょうか。

 そうすると、これは政令事項ですから、知らないうちに変わってしまう、変えてしまうというようなこともあるのではないかと大変心配をしますが、この支援金の料率、出すべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 被用者保険の支援金率やそれを算出するために必要な総報酬は、制度ごとの加入者数の見込みだけではなく、支援金が導入される令和八年度以降のその時点の賃金の動向により異なることから、算出はしてございません。

 被用者保険の支援金の拠出額の上限は、法案が成立すれば施行までに検討をしてまいりますが、標準報酬月額の最高等級及び標準賞与額の上限額に支援金率を乗じた額によって定まり、数年後の賃金水準等により支援金率が変わり得ることから、現時点で一概に申し上げることはできません。

早稲田委員 非常に分からないんですけれども、法案審議をしているわけですよね。上限も分からない、それから総報酬、それは分からないでしょう、二〇二八のものだから。でも、今で言えばこうなんだとか、そういう説明をしなければ、国民の方たち、負担増になることは間違いないのに、やはり理解できないです。なぜそういう、何か肝腎なことは隠してしまうというその繰り返しなんでしょうか。

 それでは、次に行きますが、負担率の高い国民健康保険です。

 これは、幅広い年齢層がある、職業がある、地域によっても異なるわけですね。これこそ、加入者一人当たり四百円の平均では、全然実態が分かりません。そして、軽減を受ける方もいらっしゃるからという説明を政府は繰り返されますが、そこは年金受給者の方が多いはずです。そうすると、軽減される人数の内訳、人数とそれから内訳の見込みというのを当然出していらっしゃると思うんですけれども、その辺はどうなのか。

 それから、国保の加入の一千六百八十六万世帯のうち四百九十九万世帯が働いている被用者の現役世代、この負担はもっと重くなるはずだと当然考えられますが、いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 国民健康保険の拠出額につきましては、医療保険料の賦課方法に準じて、応能分と応益分の組合せにより賦課されます。

 その上で、低所得者の応益分につきましては、所得階層に応じて七割、五割、二割軽減することを想定をしてございます。このため、支援金の拠出額についても、減免を受ける者の割合については、国民健康保険と同様となると考えております。令和三年度の国民健康保険の軽減対象世帯の割合を見ますと、七割軽減が三四%、五割軽減が一五%、二割軽減が一一%を占めており、六割の世帯が軽減の対象となっております。

 国民健康保険には被用者の方が一定数加入されていることは承知しておりますが、そうした方を含め、国民健康保険制度のルールに準じ、所定の負担能力に応じた仕組みとすることは合理的なものと考えております。

早稲田委員 今のは私の質問に答えられていないですよ。

 被用者の方が四百九十九万世帯あって、現役の被用者の方たちに負担がより重くなるのではないかということを申し上げているんです。そういうことを今まで医療保険で調べていらっしゃらないから答えられないんだと思います。それでは、本当に、年金の方たちと実際に働いている被用者の方たち、三百万円未満の所得の方が八〇%というふうな数字も出ております。そういうことを考えると、非常に重い負担になるから私は聞いているんです。

 そして、国保には、非正規の労働者の方、フリーランスの方、そういう方たちが入っています。そして、家族が多ければ比例して、均等割でありますから、保険料が課されるわけなんです。もちろん、子供に対しての均等割、これは免除でありますけれども、夫婦二人掛ければ、四百円で月額八百円、年額四千八百円が九千六百円になるわけなんです。

 非正規の低所得者にとっては、その均等割の国保の逆進性というものがまた更にこの支援金で深刻になるのではないかということを私はお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度は、歳出改革等によって社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築することにより、全体として実質的な負担は生じないこととしております。

 その上で、実際の拠出額については、負担能力に応じた仕組みとしてございます。具体的には、国民健康保険、後期高齢者医療制度において低所得者軽減措置を講ずることとし、繰り返しになりますが、それぞれ応益分の均等割について、所得に応じて七割、五割、二割の軽減を行います。

 このように、負担能力や家庭の状況に応じた仕組みとしており、国保の逆進性がより深刻になるという御指摘は当たらないものと考えております。

 なお、今回お示ししたもの以上に個別のケースについて言及することはいたしませんが、国民健康保険の支援金については、所得割の部分があるため、家族の人数に比例して増えるものではない旨申し添えさせていただきます。

早稲田委員 いいえ、答えていらっしゃいません。

 逆進性が元々強いということは、この国保、それから消費税というものは言われております。そして、その中で、少子化の根本原因の一つ大きなものに、若者の非婚化、それから婚姻率の低下というものがあるわけなんです。その中で、非正規の方たちを直撃するような、軽減措置、軽減措置とおっしゃいますけれども、ここはやはり高齢者の方々になっています。

 その中で、五十歳の男性の生涯未婚率、非正規の方で六割超であります。これは、正社員の方の二割に比べて本当に三倍以上という数字になっていることを見ても、国保の被用者の四百九十九万世帯のうち所得の三百万円未満は八七%、結婚したいと望んでも結婚ができないというその状況を改善することこそが非婚化を改善していくことになり、それは皆様たちも同じ認識ではないでしょうか。それなのに、国保の逆進性が強い中でこれをやりますと、まさに少子化対策に逆行している、そういう制度設計だと言わざるを得ません。

 そして、支援金の最大の問題、これは、医療保険料に上乗せをされる合理的理由がないことです。

 医療保険の保険者は、病気、けが、そうしたリスクへの備えを目的に、一〇〇%そこに対しての負担をしているということなんですね。それにもかかわらず、病気やけがではない、子育てすることが保険事故、リスクには該当しないわけです。

 それなのに、こども家庭庁の懇話、資料でも認めていらっしゃるように、子育て世帯以外にとっては新たな拠出金となるため、子育て世帯への所得再配分として捉えられるとおっしゃっているわけですよ。だったら、給付と負担の関係が明白である社会保険の考え方には到底見合わないと言えます。つまり、国の責任で、租税で賄われるべきものであります。

 それと、この医療保険制度にどんどん高齢者医療費と介護の拠出金が重くのしかかっている上に、更に支援金が乗れば、この持続可能性の問題は、もうずっと前から言われておりますけれども、この医療保険制度の持続可能性が脅かされます。

 ほかにもいろいろ理由はありますけれども、この二点について、支援金制度の最大の問題点、これについて、大臣、お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金は医療保険料と併せて拠出いただくものであるものの、子育てを保険事故、リスクと見て、それに備えるための拠出を行うものではありません。社会連帯の理念に基づき、子供、子育て世帯を支えるために拠出をいただくものでございます。

 社会保険制度においても、所得再配分機能は一般に備わっているものと考えております。例えば、現行の公的医療保険制度は、所得の多寡にかかわらず、必要かつ適切な医療が、いつでも、誰でも、どこでも受けられるようにするという基本原則を有してございます。また、現行の公的医療保険制度においては、病気やけがの治療に限らず、出産や死亡に関する給付など、幅広い給付が設けられており、さらに、後期高齢者支援金など世代を超えた支え合いの仕組みが組み込まれているなど、給付と負担の関係は様々と承知をしてございます。

 また、支援金制度、税によるべきかというところでいえば、支援金制度を社会保険制度として位置づけ、支援金を保険料として拠出いただくこととしておりますのは、社会保険制度は社会連帯の理念を基盤にして共に支え合う仕組みであること、また、支援金制度も、連帯の理念を基盤に、子供や子育て世帯を少子化対策で受益がある全世代、全経済主体、これで支える仕組みであることによるものでございます。

 さらに、支援金は医療保険料と併せて拠出いただくものでございますが、あくまでも医療保険料とは別のものでございますので、医療保険財政を圧迫したり、その持続可能性を脅かすものではありません。また、実効性のある少子化対策を行うことは、医療保険制度の持続可能性を高めるものであると考えております。

早稲田委員 医療保険と違うとおっしゃっても、これは社会保険料ですかと伺ったら、総理は健康保険料ですとおっしゃっています。そして、税ではないとおっしゃっています。これは、企業の健康保険組合や協会けんぽなどが被保険者と事業主から集めた健康保険料の一部を支援金としてこども家庭庁が召し上げるというようなスキームになっているからおかしいんですよ。

 健康保険法に給付と負担ということははっきり書かれています。目的がきちんと決まっているもの。だから、介護保険も本来だったらそういうふうにしてはならないけれども、まだ百歩譲って、そもそも違うんです、そもそも違うけれども。今、様々だとおっしゃいましたが、様々ってやっていくと、連帯の仕組みというのであれば、それは税で賄わなければいけないはずです。どんどん増えてしまう、そうしたら。連帯でやらなければならないものはたくさんありますから。健康保険を維持するためにやらなければならないもの、環境の対策だってそうでしょう。そういうことをやっていけばどんどん増えてしまうから、歯止めをかけなければいけない、こういう無理くりのことをやってはならないということを申し上げております。

 だから、健康保険料の流用ともいうべきこういうやり方は大変よくない、悪手だと私は言っておきます。目的外使用ということも言えますし、流用とも言えます。こうしたことをやってはならないということを強く申し上げておきます。ですから、私たちは、子育て、そして若者を支援してまいります。だけれども、その財源というのはやはり持続可能でなければならないことを踏まえれば、こういうやり方はよくないということを申し上げておきます。

 次に、それでは、保育の無償化についてです。

 今回の中にも入っておりますけれども、認可外の施設についてですけれども、例えば、三―五歳の兄が認可保育施設に通っていて無償、二歳児の弟が同じ認可に入所すれば保育料は半額、もう一人弟が入所すれば無償です。今度、三―五歳の兄が認可外保育施設に通っている場合、これは所得にかかわらず三万七千円を上限に補助、二歳児の弟が同じく認可外保育施設に入所した場合は、非課税世帯だけが、今度、国が四万二千円を上限に補助、そして、認可保育施設に入所した場合は、世帯年収三百六十万円以下の世帯にのみ保育料は半額、さらに、もう一人弟が入所した場合は無償となります。

 非常にここのところ、認可に通っているか、認可外に通っているかは複雑でありまして、多子軽減に差があり、これも不公平ではないかという声がかなり出ております。

 と申しますのは、認可外保育というのは、認可が足りないときに、やはり増やさなければならないということにおいて届出制度を設けて、そして、質のよい保育を担保しながら増やしてきた経過があるわけですよね。その中で、こういう、多子世帯の場合にどういうふうになっていくか、無償なのか半額なのか補助なのかということが違ってくると、ここも、同じ園に通う方たちで非常に困ったことが起きています。

 実際ですけれども、併設されている認可外の保育施設に兄が通っている、そして、〇―二歳の方は、併設されている同じ系列の保育ですけれども、認可保育所、ここに通っている場合に、最初、加点がされていませんでした、私の地元逗子ですけれども。そのときに加点をすること、それから、施設等利用給付等の償還払いについて逗子市が単独で予算化すること、これも検討をしております。また、川崎市では、兄が小学校に上がっても、〇―二歳の弟への多子軽減を単独事業で予算化されることにするというふうに聞いております。

 そもそも、この課題ですけれども、〇―二歳、この子供たちも全て幼児教育それから保育の無償化の対象とすれば、この問題は解決されるという問題であります。

 このことについても、やはり韓国、同じ、まあ日本よりも更にですけれども、出生率が七年連続、〇・七八というような大変深刻な状況になっている韓国では、〇―二歳を含めて、〇―五歳で保育の無償化、それからまた、家庭で養育をされている方にも養育支援というものが出る。これこそが異次元の少子化対策ではないでしょうか。

 やはり、住民非課税世帯だけを無償化にせず、今回、全く〇―二歳児の無償化の拡大はないわけですけれども、是非、所得制限をなくし、〇―二歳の全ての子供の保育、この無償化も検討すべきではないでしょうか。大臣、お考えを伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 幼児教育、保育の無償化につきましては、三歳から五歳児は全世帯を対象としておりますが、ゼロ歳から二歳児については住民税非課税世帯を対象に無償化するとともに、多子世帯の経済的負担の軽減の観点から、第二子の保育料を半額とし、第三子以降は無償化としてございます。

 三歳から五歳児が広く幼稚園や保育所等を利用しているのに対して、ゼロ歳から二歳児の利用は今約四割にとどまっていることなどから、更なる無償化の対象の拡大については慎重に議論をする必要があると考えております。

早稲田委員 四割にとどまっているとおっしゃいましたが、四割に増えているとも言えます。四割という数字は決して低くはないわけですね。そこの意を酌み取っていただきたい。是非これは強く要望をさせていただきます。引き続き議論をしていきたいと思います。

 それから、次に、基準を満たさない、まだ満たしていない認可外保育施設の無償化の延長についてであります。

 このことが今回法案の中に入っておりましたけれども、二一年三月時点で基準を満たさない施設は全国で三千五百か所、全体の二五%を占めております。そして、この三千五百施設のうち、九月までに設備基準などを達成できていなくても、協議の上、必要な場合は、二〇三〇年三月三十一日まで経過措置を延長するということにはなりました。

 しかし、もう今既に新年度が始まっておりまして、十月から有料となる認可外施設というのがあると思いますけれども、どのくらいと想定をされているのでしょうか。そしてまた、その施設に通う全ての子供の保護者がそういう内容を認識していらっしゃるか、また納得をされているのか。やはり周知がまだまだ足りないと思っているわけなんですけれども、その点について大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 全国で約一万三千五百か所ある認可外保育施設のうち、設備基準などを満たせておらず、令和六年九月末の経過措置期限までに基準を満たす見込みのない施設で、かつ、無償化対象児童がいる施設は、令和五年十月末時点で把握しているところでは二百弱となっております。

 このような、本年九月末までに基準を満たす見込みのない施設につきましては、昨年九月に、こども家庭庁から自治体に対して、当該施設を利用する無償化対象児童の保護者に対する認可保育所等の入所案内や転園の意向の有無の確認等をお願いをしているところです。

 なお、基準を満たす見込みのない施設のうち、児童の転園が困難であるケースとして自治体から数十施設が報告されておりますが、これらは新たな経過措置の対象になると考えております。

 基準を満たす見込みのない施設を利用する無償化対象児童、これに関しましては、その保護者等の希望に応じて転園が行われるよう、引き続き自治体と共同して取組を進めてまいります。

早稲田委員 御答弁いただきました。二百弱ということも分かりましたけれども。

 昨年の九月に通知を保護者の方にしていただいたということですけれども、今後も、やはりそこをもう少し重ねてやっていただく、それからまた園の方にも、転園なり、それから施設基準、どういうふうにしたらできるんでしょうかということをきめ細かくやっていただきたいと思うんです。

 非常に、認可外であって設備基準は満たしていなくても、いい、保育の質の高いところがたくさんあります。わざわざそこに入るために、認可外のお金を出しても引っ越してきたという方もいらっしゃいます。そうしたことも含めて、是非そこのところは、認可、認可外、もちろん基準の差はありますけれども、しっかりと進めていただくようによろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、こども政策の委員会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、少子化対策の数値目標について伺います。

 つい最近まで、政府は、アベノミクス新三本の矢として、出生率一・八という数値目標を、いわば国家目標三本柱の一つとして大々的に掲げておりました。ところが、今回の少子化対策は、出生率の目標が見当たりません。

 大臣に伺いますが、異次元の少子化対策に出生率や出生数の目標数値がなくてよいのか、伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものであり、個人の決定に対して特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはなりません。合計特殊出生率や出生数に関連した具体的な数字が当事者にとってどのように受け止められるかを考えれば、政府として出生率や出生数について数値目標を掲げることは適切ではないと考えております。

 政府としましては、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより、個人の幸福追求を支援する結果として出生率が向上していくことを目指してまいります。

井坂委員 もちろん出産は個人の自由であります。しかし、一人一人が自由な選択をした結果、国全体としては出生率が増えるというように、数値目標を掲げて政策を取捨選択するのは、そんなに問題があることなんでしょうか。

 大臣に重ねて伺いますが、今の御答弁ですと、アベノミクス新三本の矢で、国家目標三本柱に出生率一・八を掲げたのは、これは大変な間違いだったということでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 令和二年に閣議決定をされた少子化社会対策大綱では、一人でも多くの若い世代の結婚や出産の希望をかなえることが、少子化対策における基本的な目標として掲げられていると承知をしてございます。その上で、希望がかなえられた結果として達成される姿を示すものとして、希望出生率一・八の実現を表現してきたと承知をしております。

井坂委員 表現したというまた非常に曖昧な御答弁だったんですけれども、一方で、こども未来戦略というのは、私もつぶさに拝見しましたが、冒頭から、二〇三〇年までが少子化傾向を反転させるためのラストチャンスだと再三にわたって危機感をあおっておられます。

 大臣に更問いでまたお伺いしますが、この少子化傾向を反転させるというのは、これは、つまり出生率がどうなることを想定しておられるんでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化トレンドの反転の意味するところは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていく、また希望がかなえられてその差が小さくなる、そして、その結果として出生率が向上するということを意味してございます。

井坂委員 その結果としてやはり出生率が向上することを目指しておられるんですよね。そこをもう一度お願いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 おっしゃるとおり、その結果として出生率が向上することを目指してございます。

井坂委員 何でこういう議論をしているかというと、私も、もちろん出生率とかを数値目標として何か強制をするような、特に個人個人の人生の選択に強制をするようなことは、これは私もあってはならないというふうに考えております。ただ、私、去年の予算委員会からずっとEBPM、いわゆる政府が言うところのEBPMについて議論をしてまいりまして、特に少子化対策というのは、比較的、結果、成果の測定がしやすい政策群であると考えているんです。

 ところが、出生率自体を何か余りにもタブー視をし過ぎると、これは結局、政策、何かやっても、その結果が出たのか、成果が出たのか、あるいは、予算はかけたけれども少子化という目的にはいま一つ役に立たなかったのか、こういうことが分からなくなってくると思うんですね。曖昧になればなるほど、要は、この二、三十年、政府もずっと少子化対策をやってきたわけですが、結局、お金はかけた、いろいろやった、でも、効果は出なかったというのがこの間の反省だというふうに思います。

 そういう意味では、私は、いろいろ問題もある、タブーもあると分かった上で、やはり今回は、異次元の少子化対策、なおかつラストチャンスとまでおっしゃるのであれば、きちんとこのEBPMの文脈から出生率はやはり挙げていかないと、これはさすがに少子化対策と言えないと思うんですが、そこは大臣はどうお考えですか。

加藤国務大臣 改めて、重ねて申し上げますけれども、結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものでありまして、個人の決定に対して特定な価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならないと考えております。合計特殊出生率や出生数に関連した具体的な数字が当事者にとってどのように受け止められるかを考えて、政府として出生率や出生数について数値目標を掲げることは適切ではないと考えてございます。

井坂委員 大臣の御答弁はポリティカリーコレクト、ポリコレ答弁だというふうには思うんですけれども、平時であれば、私はそういう答弁でもここまで言わないんです。ただ、やはりもう本当にラストチャンスと言って、しかも、今回、いろいろこの間野党側からも議論がある中で、かなり財源も集めて、巨額のお金を費やしてやるわけですよ。やった結果が少子化対策として成果に結びついたのか、つかなかったのかということを、この出生率を抜きにして測定することは私はできないのではないかなというふうに考えております。

 通告どおりの、二番目に伺いますけれども、やはり、国全体の出生率について、数値目標を持って、そこを目指して政策を取捨選択するということは、私は個人の出産の自由と相反する話ではないと考えております。むしろ、目標が不明確なために、政策が目標達成に対して利いたのか利かなかったのか、効果測定が曖昧になること、その結果、精度の低い、効果のない政策に巨額の税金と保険料が投じられ続けて、しかも少子化は改善しない、これが一番避けなければいけないことだと思います。

 参考人に伺いますが、出生率の数値目標を持たずに政策の効果をどのように測定し、少子化の改善に結びつけるんでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 少子化対策でございますけれども、出生率を目標として掲げるということは控えているわけでございますけれども、見ないということでは決してございません。

 その上で、少子化対策を進めるに当たりましては、その出生率だけでなく、数々の指標を適切に設定をして、政策の効果等を検証しながら進めていかなければならないことは当然であると思っております。これは、これまでも少子化社会対策大綱等においても、十分ではなかったかもしれませんけれども、指標を掲げつつ政策を推進してきたところでございます。

 今後の子供、子育て政策に関するPDCAの推進に当たっては、既に、こども大綱におきまして、大綱の政策の全体に係るKPIとしての数値目標を含めた数々の指標を設定をしておりまして、その下で、加速化プランに盛り込まれた具体的施策を含め、PDCAを推進していくということとしております。

 具体的には、大綱におきましては、例えば、子供、若者や子育て当事者の視点に立った数値目標として、結婚、妊娠、子供、子育てに温かい社会の実現に向かっていると思う人の割合ですとか、自分の将来について明るい希望があると思う子供、若者の割合ですとか、さらには、子供、若者、子育て当事者の置かれた状況等を把握するための指標として、若年層の平均賃金や、若い世代の正規雇用労働者等の割合、さらには、いずれ結婚するつもりと答えている未婚者の割合、将来の、理想の子供数を持たない理由として子供や教育にお金がかかり過ぎるからを挙げる夫婦の割合等々を設定をしてございます。

 その上で、加速化プランに盛り込まれた施策を含め、具体的に取り組む施策の進捗状況をきっちり把握するための指標についても、本年六月をめどにまとめる予定でございますこどもまんなか実行計画で設定することとしております。

 さらに、加えまして、政府全体として取り組んでおりますEBPMでございますけれども、経済財政諮問会議の下でまとめられました新経済・財政再生計画改革工程表二〇二三におきましても、少子化対策の推進に関する改革工程を新設をいたしまして、今後、KPIの設定の更なる拡充を図ることとしております。

 こうした枠組みを重層的に活用しながら、政府全体として、施策の実施状況、効果等を検証しつつ、必要な見直しも不断に行いながら、政策を推進してまいりたいと考えてございます。

井坂委員 せっかく詳しい参考人の方がお越しなので、ちょっと詳しく議論をしたいと思います。

 昨年十二月に策定されたこども大綱の最後、私も指標を全て見せていただきました。

 これはどういう構造になっているかというと、まず上位にあるのが、数値目標として全部で十二個だったか、あったと思います。その下に、現状把握のための指標ということで、目標数値は掲げないけれども、チェックしますよ、ケアしますよという指標があって、上下二段階で分かれて、この指標の方は六十数種類リストアップされております。

 上位の数値目標の中身を見ますと、今答弁でおっしゃったように、こどもまんなか社会の実現に向かっていると思う人の割合とか、生活に満足していると思う子供の割合とか、要は全て国民や子供の感じ方の指標になっているわけなんです。

 私も、地方議員時代を含めて二十年ぐらい行政評価のことをずっとやって、いろいろな評価指標を見てきていますけれども、確かに、十、二十ある指標の中に一つ、二つはそういうアンケート指標、感じ方指標が入っていることはありますが、目標の全てが、思う、思う、思う、思う、思うというのは、私はちょっと、初めて見たんですね、これでいいのかなと。EBPMのEはエビデンスベーストですけれども、これではエモーションベーストじゃないかという。

 確かに、アウトカム指標の出し方で、感じ方というのは、もちろんやり方はあるんですよ。ただ、やはり私は、数多く見てきましたけれども、全部、思う、思うという、これで政策評価をするというのはちょっと見たことがないんですね。多分、異常なことだというふうに思います。

 一方で、目標ではなくて、現状把握のための指標というところには、実は下の方にこっそり出生率とか出生数が入っておりました、指標の中には。もちろんそれはチェックはするんだろうなというふうに思いましたけれども、ただ、これはあくまで、全部で六十三、四ある細々とした指標の中のワン・オブ・ゼムとして出生率が隅っこの方に入っているという状況であります。

 これはちょっと参考人にまず伺って、その後で大臣に大まかに伺いたいと思いますが、私は、今回は、異次元というからには、出生率、これはやはり最終の目標として挙げる、しかも、ここまで上げるというものを持たないと、政府の巨大な政策群として成り立たないというふうに思っておりますが、どうしてもそれが嫌なんだったら、せめて指標の中でも最上位の指標として明確に位置づけて、出生率が上がらなければやはり政策が何か問題ありと判断して見直すという、まさに文字どおり、エビデンスベースの少子化対策をすべきだと思います。

 この指標の取扱いについてまず参考人に伺って、後で価値判断について私がもう一度大臣にお伺いします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 まず初めに、こども大綱の指標について若干御説明申し上げますと、こども大綱は、少子化に関わる部分も当然ございますけれども、要は、こどもまんなか社会実現を目指すために、少子化という観点だけではなく、まさに、子供、若者が輝ける、大事にされる、みんなで支え合う、誰一人取り残さない、そういう社会を実現するために指標を設けているところでございます。

 その意味で、少子化という観点だけに焦点を絞りますと、若干、こども大綱に取り上げられている他の指標が何か不思議に見えるのもあろうかと思いますが、少子化という観点でいいますと、先ほど申し上げましたとおり、目標として掲げてしまいますと、独り歩きをして、逆にネガティブに捉えられる場合もないわけではないことを考慮して、ちゃんと指標としてはチェックをしていく。

 さらに、出生率という単独の数字だけではなく、その出生率をもたらしている様々な要因についてのそれぞれの指標についてもしっかりチェックをしていく。

 それから、出生率という観点でいいますと、希望出生率というのは、これは計算式で出てくるものがございます。それと現実の出生率、これがまだ乖離があることも、これも事実でございます。その乖離ができる限り小さくなるような環境を整備していくということで政策を展開しておりますので、常に、その乖離の幅がどういう動きをしていくのかということはしっかり検証、チェックをしていくということだと理解をしてございます。

井坂委員 済みません、今の答弁の確認ですけれども、要は、希望出生率と現実の出生率の差が縮まるようにという、そこは明確に政策の成果指標として見ていくという御答弁だったんですか。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 その差については、ちゃんと政策の効果が出ているかを測る上の一つの指標としてしっかり見ていきたいと考えてございます。

 ただ、一つだけ補足を申し上げますと、希望出生率も現実の出生率も毎年ちょっとずつまさに変動するものでございますので、その意味で、固定的に何かを掲げて、それとの乖離を常に見ていくというのではなく、常に、両者、動くものの乖離も見ていくということだと理解をしてございます。

井坂委員 何かやはりいろいろまぶされていて、私は大変心配をしているんですが、大臣にもう少し大ざっぱに伺います。

 出生率をアベノミクス新三本の矢のときのように大々的に掲げることがよろしくないというのは、大臣のお考えとして本日聞かせていただきました。

 ただ、さはさりながら、異次元の少子化対策、しかもラストチャンス、しかも少子化の反転ということを本当にやっていくのであれば、数ある指標を全部見てぐらいの話じゃなくて、やはり最後は出生率が改善をしていかない限りこの一連の政策群はうまくいったとは言えないと思うんです。

 目標に掲げないとしても、指標として、メインの指標としてこれはしっかり見ていく、しかも、それがよくならないのであればやはり政策に問題ありとして改善をしていく、これぐらいは当然すべきだと思うんですが、それすら拒否をされますか。

加藤国務大臣 先ほど、希望出生率を大々的に目標と掲げることは誤りだったかというような御発言がございましたけれども、それをそもそも目標として掲げたのではなく、大事なのは、希望する妊娠、結婚、出産、子育て、これをやはりかなえていくということをしっかり目指していく、それが大事だと考えておりまして、特定の価値観を押しつけたりするということはあるべきではないと考えております。

 その特定の価値観を数値として掲げて、これでみんなで、目標なんだといってそれで動いていくという、そのための目標として出生率を置くのではなくて、やはり、何が大事かといったときには、結婚、妊娠、出産、子育て、これら希望をしっかりとかなえていく、一つ一つの施策がどれだけそれぞれ個別に効果を発揮して、総体的に少子化を反転させていくという我が国の姿に持っていけるかという、そういうことだと考えてございます。

 一つ一つの施策がきちんと前に進むということと、それから、個人の価値観、個人に対して国が価値観を押しつけるということをしないということとをしっかり両立をさせながら、この国で生まれてよかった、この国で子供、子育てをしていきたいと自らが思い、希望し、そしてそれを実現していける、そういう国をつくっていきたいと私は考えております。

井坂委員 施策が前に進むとおっしゃった、その大臣がおっしゃる場合の施策が前に進んだというのは、何をもって進んだと判断されるんですか。

加藤国務大臣 先ほど官房長よりお話をさせていただきました、それぞれの施策の目標や指標でございます。

井坂委員 こちら側からいろいろと声がかかっているわけでありますけれども、特定の価値観の押しつけはよくないというふうに大臣がおっしゃるわけであります。

 これは純粋にお聞きをしたいんですけれども、今の我が国において出生率の数字が増えるということがよいことだという価値観は、これは押しつけるべきではない特定の価値観だというふうにお考えですか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 出生率を目標として掲げてこれを達成するんだと政府が発信をすることが当事者にとってどのような受け止めをされるかということがございますので、目標の数値として掲げることについては適切ではないという考え方に立っておりますが、数値をしっかり見ながら、少なくとも、少子化トレンドの反転をするということは、マイナスの加速度を小さくする若しくは加速度をプラスに転換させるということでございますので、そもそもそのトレンドの数字、それからそれに関連する様々な事象の数字、これはしっかり検証をし、必要があれば既存の施策に生かしていくということだと理解をしております。

井坂委員 大分苦しい答弁ではないかなというふうに思います。

 やはり私、指標でもう一つ気になっているのが、最近政府が持っている少子化対策の指標で一番目立っている子供一人当たり家族関係支出という指標なんですね。総理は繰り返し、加速化プランにより、我が国の子供一人当たりの家族関係支出がOECDトップのスウェーデンに達する水準となるんだと誇らしげに説明をしておられるわけであります。

 私は、この指標には二つ問題があると考えています。一つは、やはり分母が子供の人数なので、子供が減るほどこの指標は増えてしまうということ、これはよく指摘をされています。もう一つは、分子は予算額なので、予算さえ増やせば、政策効果がゼロでも指標は増えてしまうということであります。

 大臣、通告どおり伺いますが、子供一人当たり家族関係支出を成果指標として目指したり宣伝するのは、私は明確に間違いだと思います。極端な話をすれば、予算を物すごい使っていわゆる少子化が全く改善されずに子供が減ったときがこの指標は最大化されるわけなんですよ。むしろ、真逆なんですよ。なるべく少ない予算で少子化が改善して子供が増えたらそれが理想なんですけれども、その場合、この指標は最小化するんですよ。

 百八十度真逆の指標を何か誇らしげに掲げ、何なら目指そうとしたら完全な間違いになると思いますから、撤回すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の子供一人当たりの家族関係支出は、成果指標として掲げているものではございません。加速化プランを実行した後の姿を子供の視点に立って分かりやすく示すためのものでございます。

 昨日、衆院の本会議で総理からも答弁がありましたように、子供、子育て関係予算の国際比較を行う場合には、家族関係支出のGDP比で比較することも重要でございますが、今回の加速化プランでは、子供一人一人に対してしっかりと予算を充てていくことが重要であるとの考えの下、児童手当の抜本的拡充ですとか十万円相当の出産・子育て応援交付金などを盛り込んでおりまして、その評価に当たっても、子供の視点に立って、子供一人当たりでお示しすることが有意義であると考えております。

井坂委員 私、多分もう一回この場で議論をさせていただく機会がありそうなので、予定している質問が大分ありますので、次に行きたいと思います。

 産後ケア事業について伺いたいと思います。

 私の地元の神戸市は、産後ケア事業に熱心に取り組んでおります。市が広報を頑張っているので利用者も非常に多いですし、また、助産院やクリニックなど、産後ケア事業をやってくれているところも多くございます。

 先日、その中でも非常に人気のある助産院に行ってじっくり話を伺ってまいりました。宿泊しておられたお母さん方も、なくてはならない、大変助かる事業だと感謝しておられた一方で、その助産院の産後ケア事業の経営は赤字で非常に苦しいということでありました。院長、代表の方が非常に志ある方なので、産後のお母さんや赤ちゃんのために質の高いケアを事実上のボランティアで続けておられますが、委託費の水準を引き上げてほしいということを強く訴えられました。

 厚生労働省の調査研究では、市町村の六一%がこの産後ケア事業の委託先の確保に課題ありと答えています。お母さん方からのニーズは高いのに委託先が集まらない大きな理由は、やはり事業として採算が合わないからであると考えます。

 大臣に伺いますが、国が施設に支払う単価や補助率を引き上げるべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 産後ケア事業の委託先の確保につきましては、市町村の域内に受け手となる助産院がないなど、地域により様々な事情があるものと思われますが、事業者の経営の安定化、これを図っていくことも重要であると考えております。

 産後ケア事業を担う施設等の運営費につきましては、国から市町村に国庫補助を行い、その後、市町村が産後ケア事業者に委託費を支払う仕組みとなっています。

 国の補助金の基本単価につきましては、事業者が十分な人員配置や必要な物品の購入等ができるよう、宿泊型では一施設当たり月額で上限二百五十万円を設定してございます。

 一方で、市町村においては、実際の事業者への委託額が国の設定上限である月額二百五十万円に満たないケースが多いと承知をしており、国としても、市町村が事業者に対して十分な委託費を支払えるような環境を整えていくことが重要だと考えてございます。

 このため、今般提出した法案におきましては、本事業を法律上の地域子ども・子育て支援事業、これに位置づけて、市町村が都道府県と連携しつつ計画的に事業を行う施設等を整備するとともに、都道府県負担を導入することによって市町村負担の軽減を図ることとしているところでございます。

 このほか、令和六年度予算では、先ほど申し上げた基本単価の月額二百五十万円とは別枠で、産後うつのリスクなど支援の必要性の高い産婦を受け入れた施設に対する日額七千円の加算を創設することとしており、市町村がより積極的に事業者への委託を進めることができるよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。

井坂委員 日本助産師会が行った産後ケア事業に関する調査結果では、もう、この産後ケア事業単体の採算は収支とんとん又は赤字というのが全体の七四%で、経営者は利益どころか赤字、持ち出しでこの事業を今やっている状況であります。

 先ほど大臣がおっしゃった、今年、産後うつアセスメントをやって、メンタルケアが必要な方を受け入れる場合は日額七千円追加、これは私はいいことだと思いますが、同じように、委託費が一律でも、助産師さんや看護師さん、また、管理栄養士さんや保育士さん、お母さんと赤ちゃんの多様なニーズに応えるために専門性の高い人材を、要は、任意ですからね、任意で、そういう、置けば置くほど赤字幅は拡大する構造なんです。

 是非、大臣、今回産後うつで加算を考えてくださったように、こういう専門性の高い人材を配置した施設に対して国が支払う補助を加算すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 産後ケア事業の実施に当たっては、助産師、保健師又は看護師の配置を必須とするとともに、必要に応じて管理栄養士、保育士などの専門職を配置することとしております。そのための人件費は国庫補助の対象となっており、必要な人員配置が行えるよう、宿泊型では月額で最大二百五十万円の十分な国庫補助を設定してございます。

 加えて、令和六年度予算では、専門職によるケアが行えるよう、産後うつリスクなど支援の必要性の高い産婦を受け入れる施設への一人当たり日額七千円の加算を、基本単価の月額二百五十万円とは別額で創設をいたしました。

 市町村に対して、本加算を積極的に活用し、事業所における専門職の配置が進められるように、しっかりと働きかけてまいります。

井坂委員 この産後ケア事業、赤ちゃんが一歳になるまでが受入れの対象なんですけれども、実際は四か月の赤ちゃんまでしか受け入れられないという産後ケア事業所が多い現状があります。

 赤ちゃんの月齢が四か月を超えると、まず離乳食が必要になって、実際たくさん食べる、食べてもらうための人手も必要ということであったり、また、赤ちゃんは動き出しますからお世話の人手も必要、あと、お母さんのケアや相談も非常に多様化してくる時期なので、四か月を過ぎると多職種連携なども必要になって、要はコストがかかって更に採算が合わなくなってくるという現状があるとのことでした。

 参考人に伺いますが、今はまだ足りない四か月から一歳までの赤ちゃんを受け入れてくれる事業所を増やすためにも、受け入れた月齢に応じて、国が施設に支払う単価を増やすべきではないか、お伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、月齢四か月を超える場合には、離乳食への対応や寝返りですとかつかまり立ちなど、発達段階に応じた環境整備も必要になってまいります。

 母子保健法の改正によりまして、出産後四か月以内の母子から出産後一年までに対象期間が延長されているというところでございます。こうした状況に対応するため、必要となる産後ケア施設の、例えば修繕費につきましては妊娠・出産包括支援緊急整備事業により国庫補助を行っていること、そして、先ほど来大臣からも御説明申し上げている、産後ケア事業の運営費につきましては最大二百五十万円月額と申し上げておりますが、この中で栄養士、保育士等を配置した場合の人件費や、発達段階に応じたベッド柵などの備品の購入、こういったものにも充てることができるというふうな形で支援をしているところでございます。

 また、事業者に十分な資金が届くためには、国庫補助を市町村において活用していただくということも重要ですし、また、今般の法改正では、市町村事業というふうに法律上の市町村事業に位置づけ、都道府県の負担も一定いただくというふうな形にしております。

 こういった支援の取組に加えまして、今後、見直しを行う予定の産後ケアガイドラインというものについて、保育士等による月齢に応じた指導の必要性なども示しながら、補助金の積極的な活用を働きかけてまいります。

井坂委員 ちょっと時間がないので二つ飛ばしますが、産後ケア事業については、あと物価高とか光熱費の高騰、これも今かつかつなので、ちょっと上がるだけで赤字に転落あるいは赤字幅が広がるという状況でありますから、やはり一度委託費を決めると、なかなかそういう物価や光熱費の高騰に合わせて委託費や利用料を変えるわけにはいかないので、こういったところも国にはしっかり金銭的な配慮をしていただきたいということを要望しておきます。

 最後、残された時間で、こども誰でも通園制度について伺います。

 令和八年から給付事業になりますけれども、実際、月十時間という利用上限が今年、来年と継続するわけであります。一方、NPOのアンケートでは、預かりは週三日以上、一日三時間以上が望ましいというところが、九割の方が、事業者がそう答えている。

 大臣に最後に伺いますが、せめて来年、令和七年度からでも月十時間の利用枠を撤廃をして本番に備えるべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 誰でも通園制度の利用枠についてでございますが、試行的事業での月十時間の上限時間は、今後、本格実施を見据えて、都市部を含め、全国で提供できる体制を確保できるようにすることに加え、子供が家族以外の人と関わる機会や、家庭とは異なる様々な経験を得られること、なれるのに時間がかかる子供への対応に十分な配慮が必要であるものの、子供にとって十分に効果が期待されるといった考え方も踏まえ、設定をしたものでございます。

 こども誰でも通園制度の上限時間は、試行的事業の状況や、全国的な提供体制の確保状況等も踏まえながら、今後検討をしてまいります。

井坂委員 十時間で十分な効果が期待されるというのが、何をもっておっしゃっているのかがちょっとよく分かりませんでしたが、また引き続き議論させていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 この子ども・子育ての法案なんですけれども、支援金の話や、いろいろ話があるんですが、私は本当に、社会保障費の持続性というか、日本全体の医療をどう考えるかという、すごい大きな課題の一つになると思いますので、そういった思いを持って質問をさせていっていただきたいと思います。

 先日は本会議に立たせていただきました。そこでも質問をしたんですけれども、子ども・子育て支援法の改正案、これまでの少子化対策と比べてどう次元が違うのかということを疑問に思っております。

 総理は、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援するために、三つの理念を掲げ、約三・六兆円に及ぶ、前例のない規模で、これは予算ですね、子供、子育て支援を抜本的に強化するというふうにおっしゃっていただいたんですが。

 これは大臣に通告が行っていますかね、大臣にお答えをいただきたいと思うんですが、少子化対策、今までと比べてどう次元が異なるのかということに改めてお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 昨年末にまとめたこども未来戦略においては、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援するという三つの理念の実現を掲げ、約三・六兆円規模に及ぶ、前例のない規模で、子供、子育て支援を抜本的に強化することとしております。

 その実行に向けて、本法案には、児童手当の抜本的拡充、こども誰でも通園制度の創設、育児休業給付の充実など、長年指摘されながら実現することができなかった施策を盛り込んでおります。

 こうした制度や施策の充実と併せ、社会全体で子供や子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要であり、車の両輪として進めてまいります。

一谷委員 今大臣から、予算の規模が三・六兆円で、今までと全然違うという御答弁だったと思うんですが。

 政府参考人の方でお願いをしています。結局、財源が違うということが今回のこの改定の最大のポイントなのかどうかというところについてお答えをお願いいたします。

熊木政府参考人 今大臣からお答え申し上げましたとおり、次元が異なるの点につきましては、まず改革の規模、それからその内容でございます。

 財源についての議論ではございませんでしたが、財源につきましても、これまでとは異なり、非常に大きな規模での歳出改革をまず行う中でやっていくということですとか、支援金という新しい制度を構築するですとか、そういった点については非常に新規的なものだとは思っております。

一谷委員 これも政府参考人の方に続けてお伺いをしますけれども、今、支援金という話がありました。

 この支援金は、医療の保険を、徴収していくルートを使うということなんですけれども、これは後期高齢医療の中でも使っているシステムと一緒やと思いますけれども、支援金を集めるルート、これを医療の制度で結局使うということに対して、なぜそう決まったのかということについてお伺いをしたいと思います。

熊木政府参考人 まず、社会保険制度かどうかというところは非常に大きなポイントでございました。今回の仕組みにつきましては、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える、まさに社会連帯の理念に立った仕組みということでございますので、社会保険制度がなじむということでございます。

 その上で、医療保険制度につきましては、先生も御案内かとは思いますが、医療保険制度が全世代が加入しているという幅広い加入になっているということ、それから、少子化対策を進めるということによりまして医療保険制度の持続可能性についても大きな受益というものがあるということ、そうしたことに鑑みまして、今回、医療保険制度を活用した支援金制度というものを構築するとしたものでございます。

一谷委員 政府参考人の方に続けてお伺いしていくんですけれども、そうすれば、これは医療のシステムを使うということになると、保険者機能というのがあると思います。できるだけ医療費を使わないように予防したりとか、そういった機能を期待をして医療のシステムを使っているという側面があるのかどうか、追加でお伺いいたします。

熊木政府参考人 保険者機能ということで、私どもが専門として詳しいというわけではございませんが、基本的に観念されるものといたしましては、例えば、予防の、疾病予防ですとかそういったことをして給付を落としていくですとか、そういった努力をするですとか、あるいは、保険料を自らが算定をいたしまして決めていくですとか、保険集団として助け合いを成り立たせる中でみんなで必要なことは何かということを考えていく、こういうことだと思います。

 そういうふうに考えますと、例えば保健事業とかそういったことをする、元々が医療保険制度を活用するということでございますので、医療保険制度において行われているようないわゆる保険者機能というものが期待されてここでも支援金制度が組み込まれるということではございません。

一谷委員 そうしたら、保険者機能がないということは、医療の、私たちは軒先を借りてというような表現をしていますけれども、軒先を借りて支援金を徴収していくということになると思うんですね。

 結局、この支援金の使い方というか、やはり、医療で、受益と負担の中でいきますと、どうしても一般の方は、医療費と使うと、介護費の納付金は違うというふうに言われると思うんですが、それもちょっと医療に一般の方は、国民の方は入っているんじゃないかなというふうに思うんですね。

 今回の支援金のところになってくると少し、誰でも通園制度とか、ちょっと医療とかけ離れているものに使うということに対して納得がなかなか得られないんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺りをお伺いをいたします。

熊木政府参考人 まず、完全に軒先を借りて徴収を代行していただくというものとは若干異なるというふうには考えております。

 やはり、医療保険制度として持続可能性が高まるということがありまして、また、保険料につきまして、例えば国民健康保険を考えていただくと分かりますが、保険料の決め方というのは市町村、都道府県によって変わってきますので、そういった面において、国が一律に行うというものでもございません。

 誰でも通園を含めまして、充当事業が医療との関係でどうかという御質問でございましたが、現状、まず、医療保険制度におきましても、例えば介護保険、先生おっしゃった例なので御存じなのかと思いますが、介護納付金というものを考えますと、これは、特別養護老人ホームですとかヘルパーの事業ですとか、いわゆる福祉の事業に充てるために、介護納付金が、医療保険の体系から保険料を集めまして、それが介護保険の方に納入されまして、介護保険で使われているという例がございます。

 したがいまして、必ずしも医療系のサービスのみではないということがある中で、基本となりますのは、そうしますと、助け合いというものが実際に成り立つのかどうか。この少子化対策を行う、児童手当に投入する、誰でも通園を行う、これら全て、今回改めて新しく大きな給付改善として提案させていただいたものですが、これを行うということが、医療保険を活用する中で、その参加者、被保険者にとって納得感があるかどうかということかと思います。

 出産につきましては、御案内のとおり、これまでも医療保険制度において出産育児一時金という形で行われてまいりました。当然ながら、出産に一つ地続きのといった言い方がいいかどうかというのはございますけれども、そういった意味で、今回の給付の対象というのは、まず〇―二歳の方から優先的に検討させていただきまして、児童手当、それから十万円の応援給付金、こども誰でも通園、そして共働き、共育ての推進のための給付というもの、これを決定をさせていただきました。

 その際に、医療保険制度を活用するとなりますと、事業主の皆さんが払うということが、そもそもの、保険制度を活用するか否かの前に、正当性といいますか、淵源としてございます。

 これまで、事業主の皆さんは、やはり、〇―二歳に対する保育ですとか児童手当ですとか、そういったところに拠出をしておりました。それは新しい労働者となるべき方々を育成するという観点で拠出をいただいておりました。

 こういった経緯と医療保険制度の考え方と今回の少子化対策と、総合的にいろんな面から勘案しまして今回の充当事業を決めさせていただきました。これを医療保険制度で行うということについて納得いただけるように、私どもとしては説明をしていきたいと思います。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

一谷委員 済みません、やはり、なかなかこれが納得ができにくいんじゃないかなというふうに思うんですね。今、できましたか。私は納得ができなくて。

 例えば、子供、子育てに関係のない事業にも使っていけるんじゃないかなというふうに思うんですよ。

 総理が、私、なるほどと思ったのは、社会全体の構造や意識を変えたいとおっしゃったんですね。まさに、我々政治家が立法したときに意識が変わると思います。私はずっと介護分野で働いていますけれども、介護保険ができたときに意識がごろっと変わりましたよね。日本のアイデンティティーが変わって、親を自分だけじゃなくて社会で見てもらったらいいんだというふうに変わったと思うんですよ。

 私は、これを通して、本当に社会全体で子供を見ていくということに変わっていってほしいなと、自分も子育てしながら非常にそれを思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 ただ、やはり、今の話を聞いていると、これは私、厚労でもずっと質問をしてきましたけれども、子供、子育て以外にも使えるんじゃないかというような国民の皆さんの不安があるんじゃないかな。子供、子育てに対してお金を出す、みんなで支えようということに対しては不満はないと思うんですよ。でも、この不安があって、ここを何とかうまく説明していくということが大事だと思うので、子供、子育て以外にはこの支援金は使わないとここで断言していただけたらいいと思います。

熊木政府参考人 済みません、思わず手を挙げてしまいましたが、私がお答えできる範囲を超えているようには思います。

 ただ、もう一回申し上げますと、今回は、医療保険制度の給付との関係、それから事業主が支払うということの意味、そして少子化ということへの対策が医療保険制度に受益があるということ、こうしたことをいろいろな角度から考えさせていただきまして、何に充てるかというのを決めさせていただきました。これは、法律、法案に全て書き込んでございますので、立法府の民主的なプロセスを経ない限りは、これを拡大することはまずできません。

 その上で、その前に、私どもが今言ったようなメルクマールの下に検討させていただいたという中でございますので、かなり厳格なものであろうというふうに考えてございます。何でも使えるというものでは全くないと思いますし、もちろん、社会保障以外のものに充たるということも考えにくいと思います。

 今申し上げた、医療保険制度は、介護には使った、そして今回は少子化だということでありますが、こうした経緯もあると思いますので、今後の話について予断を持って申し上げることはできませんけれども、おのずと限界があるということだと思います。

一谷委員 やはり、介護というのはちょっと医療という側面が、医療と介護で連携というか一体だと思っていますので、そこは納得いけると思うんですけれども、子育てとなるとそこがどうなのかということと……(発言する者あり)今、責任の範囲を超えているとおっしゃっていたので、ここは、加藤大臣、もし、発言ができて、使えませんと言える、できれば言っていただけたらありがたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど政府参考人から申し上げたとおり、充当事業につきましては、法文に書き込んでございますので、政府が勝手にその範囲を広げたりするものではないと考えております。

一谷委員 分かりました。

 それでは、分かってはいないですけれども、もう次の質問に行かせていただきたいと思います。余り言い過ぎると、また反感を買ってもいけないと思いますので、次の質問に行かせていただけたらと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 少子化対策は、何が、有効な根拠があって政策を立てているかということが難しいのではないかなと思うんです。エビデンスのない分野だと思うんですが、今回、予算をしっかり組んで、三・六兆円というのを組んで政策が成り立つわけですけれども、エビデンスがないというところは分かった上で今回の政策を立てていっているのかどうかということに対して、御答弁を求めたいと思います。これは、政府参考人、大臣、どちらですか。参考人、お願いします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、エビデンス、逆に言うと、関連するエビデンスは多々ございます。そういう中で、どうやって検証し、更に次の政策につなげていくかという観点で、こども庁、発足したのは昨年の四月でございますので、まだよちよち歩きではございますけれども、いわゆるEBPM的な視点を十分取り入れつつ、今後の施策をしっかり見ていきたいと思っております。

 先ほど井坂委員の質問に対しての御答弁でも申し上げましたとおり、まず、こどもまんなか社会実現に向けた施策の評価指標として様々なものをこども大綱で設定をしております。

 これに加えまして、こども未来戦略での施策の進捗状況も加味しつつ検証していく必要性から、この六月をめどとして策定を予定をしておりますこどもまんなか実行計画においても、更に指標を設定をして、しっかり施策の効果が発現しているのか、施策によっては非常に時間がかかるものもございます、正直。ただ、短期のもの、中期のもの、長期のものをそれぞれやはりしっかり見ながら、常に不断のチェックをしていくということを考えてございますし、先ほど御答弁申し上げましたとおり、改革工程表の方におきましても、少子化対策についての種々のKPIの設定、これを拡充した形で行うことを予定をしておりまして、こうした枠組みを重層的に活用しながら、我々としても施策がしっかり効果を上げるように取り組んでまいりたいと考えてございます。

一谷委員 まさかの、エビデンスが多々あるという答弁をいただいて、ちょっと私は驚いたんですけれども。

 では、多々あるのであれば、なぜ少子化が止まらないのか。多々あるエビデンスは、国外であればどこをモデルにして今導入しようとしているのかということをお答えいただけたらと思います。

小宮政府参考人 済みません、エビデンスというものを指標という意味で使いましたので、若干誤解が生じたかもしれませんけれども、民間シンクタンクも含め、例えば政府の中でいいますとESRI、内閣府の研究所の方が少子化に関しての様々な論文のサーベイを行っております。

 それで、それぞれの個々のミクロの施策が、例えば少子化対策として、まずはプラスの効果があるのか、効果といいますか影響があるのか、マイナスの影響があるのか、いろいろな専門家による分析を全体としてサーベイをして、どうもこれはプラスの評価があるという結果になっている論文が多い、若しくは両方意見がある等々、サーベイを行っているものもございます。

 それから、民間シンクタンクでいいますと、そういう意味で、例えば、子育てに係る費用を間接的に、児童手当等で、家計の手取り分についてプラスの影響を与えるものは少子化にプラスの影響があるという分析を行っているシンクタンクの報告書ですとか、旦那さんが家庭で、特に第一子について家事、育児を積極的にやっている家庭の方が第二子以降が出生する割合が高いという報告があったりとか、これをエビデンスというのかというと若干議論はございますけれども、様々そういう調査があることは承知をしておりまして、我々といたしましては、それも含め、さらに、子供政策強化に係る関係省庁会議におきまして更に専門家の先生からも御意見も頂戴しながら未来戦略を策定してきたところでございます。

 いずれにしましても、結果が出るのに時間がかかるものもございますので、丁寧に様々な指標をチェックをしながら効果発現の状況を見ていきたいと考えてございます。

一谷委員 エビデンスといえば、メタ分析や無作為比較、回帰分析といろいろあると思うんですけれども、それだけの論文があって、なぜ世界中の先進国が少子化にこれだけ苦しんでいくんでしょうかね、私はないと思いますけれどもね。あればこの問題は解決していっていると思うんですが、御意見ありましたら。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 決定打はないということは、そのとおりだと私も考えております。

 と申しますのも、例えば欧米、特に北欧を見ましても、リーマン・ショックの時期以降は、実は、出生率はどんどん下がってきておりまして、フィンランドに至ってはほぼ日本と同じ水準まで下がってきてしまっております。そういう意味で、子供、子育てにあれだけリソースを投入している国でも非常に悩ましい状態になっているということ、それだけ様々な要素が複雑に絡み合っているということの証左であろうかと思っております。

 ただ、そうはいっても、それぞれ関連するものについてやはり丁寧に一つ一つ見ていくことなしにはこの状況を改善することはできないと思っておりますので、その意味で、決定打はありませんけれども、プラスに効果を発現し得るものは様々考えられますので、我々としてはそれを一つ一つ丁寧に見ていくということだと思ってございます。

一谷委員 決定打がない中で、今、数打っていこうということだと思うんですけれども、そのときに、先ほど質問があったのかも分かりませんが、ロジックモデルでこれからその政策効果が出ているかどうかということを調査していくんだと思うんですが。

 私の理解では、ロジックモデルというのは脳卒中のロジックモデルが一番有名かなというふうに思うんですが、発症後の予後をよくする薬を適切に使う、又は脳卒中になったときに専門医に搬送するかという、エビデンスに基づいた断固たる土台があるからこれは測れるんだと思うんですけれども、今回ロジックモデルを作られていくということですけれども、どんなエビデンスの根拠に対してロジックモデルを立てていくというふうに考えておられるのか、お答えいただけたらと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 今日時点におきましては、精緻な、ロバストなロジックモデルというのは完成している状況にはまだございません。ございませんが、これは政策としてどういう状況を目指すのかというところが起点となります。

 それで、こども大綱の方は、先ほどの答弁で申し上げましたとおり、こどもまんなか社会、つまり、子供が常に真ん中で、周りから、地域から、社会から、家庭から大事に思われ、大切に思われ、そして未来を担ってもらう大人にしっかり育っていただけるような社会をつくっていこうという観点ですので、定性的ではございますけれども、それが政策目標になるわけでございます。

 少子化という観点では、少子化の要因は、これはもう委員よくよく御案内だと思いますけれども、母になる人口の数、そして有配偶率、それから有配偶者の出生率、大きく分けてこの三つが要因と、これはもう単純にロジカルにそういう要素となっておりますけれども、それぞれについてどのような状況、要因が影響しているのかというのをできる限り体系づけて考えていくということは、当然頭の片隅に入れなければいけないと思っております。

 ただ、そこが非常に悩ましいというか難しいところでございまして、特に有配偶率につきましては、先ほどから繰り返し答弁いたしておりますとおり、個々人の自由な選択、これを大前提といたしますので、ある施策を打ったら必ず有配偶率が上がるはずであるというのは、少なくともそれを断言するというのは非常にはばかられるものではございます。

 他方で、有配偶出生率、つまり、夫婦であられる方若しくはパートナーを持たれている方が子供を、第一子を持つ、若しくは第一子を持っている方が第二子、第三子を持つということに関して、ある施策を打った場合にそれがどのような効果をもたらすのか、これは因果関係というよりは相関関係に近いとは思いますけれども、そこは割とそういう意味で検証もしやすい分野であるとも思っております。

 いずれにしましても、できる限り体系的に各施策が、例えば、少子化対策、すなわち少子化のトレンドを反転させる、マイナスの加速度をできる限り縮める若しくはプラスに持っていくのにどういう影響を与えているのかというのを丁寧に見ていけるような、ロジックモデルと言えるかどうか分かりませんけれども、というのはランダム比較試験がなかなかできない分野でございますので、ただ、最低限、体系的に指標をチェックできるようなものにしたいと考えてございます。

一谷委員 今のお話ですと、結婚された方は今でもお子さんを一・九人産まれているわけなので、結婚してもらえるような世の中をつくっていくということが少子化対策には一番大事なんじゃないかなと思うんですね。

 そのときに、やはり、若い方が、私も自分のところにスタッフがいますけれども、奨学金を借りていて、専門学校、大学を出て、四十まで返していかないといけない、それがすごく重荷で、結婚する気も、イメージすら湧かないということもあると思いますし、そもそもなかなか、賃金も上がっていくとはいいながら若い方への負担も多いですし。

 今回、医療の制度で徴収するとなると、先日の本会議場でも述べましたけれども、一番稼いで、子育てそして親の介護が必要な中間所得層の方々に対して、一番負担が多いんじゃないかなと思うんです。何でかというと、医療の徴収というのはアッパーがありますから、ある一定以上上になれば増えないわけですから、公平ではないというふうに思います。

 そうなったときに、じゃ、なぜこの一兆円の支援金をこんなに急いでいくのかなというふうに思うんですね。別に、十年までに一兆円でしたか、まだまだ時間もありますし、税収の上振れもあるでしょうし、恒久的なこの支援金制度を急いでつくってしまわぬでも、エビデンスがあると言うならば、それを一個一個検証しながら、効果が出てきたのを国民の方に分かっていただいて、そして納得していただいて、支援金制度に移行してもいいですし、ほかの財源を考えていってもいいんじゃないかなと思いますが、そのことについて御回答をお願いします。

熊木政府参考人 まずやってみて、順次状況を確認しながら支援金制度を構築するという御提案かと思います。

 他方で、今回、法案として提出させていただきましたのは、先ほど来申し上げました、全て充当事業というのは法案に記載されていると申しておりますが、児童手当の拡充ですとか、こども誰でも通園ですとか、十万円の出産、妊娠の際の給付ですとか、いずれも制度化をいたしまして、法律上に記載をしてございます。

 そういった給付に対して、やはり、安定的な財源、全て恒久的な制度となりますので、これを恒久的に賄うということ、安定的な財源をつくるということが、給付とセットで、同時に財源を考えるということが重要だというのが私どもの立場でございます。

 そうした観点から、それを全て支援金で賄うということではなく、歳出改革をしっかりと行って、既定予算の活用も行った上で支援金制度を構築する、これを、歳出改革の中で軽減した中で行っていくという旨とともに、法案に書き込んだ上で制度化を検討させていただいた、こういう次第でございます。

一谷委員 私たちはそんなに急ぐ必要はないんじゃないかなというふうに考えていますので、ここはしっかり理論武装して、しっかり論戦をこれからも続けていきたいと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 実質的な負担が生じないとする政府の説明は二重の意味でまやかしではないかというふうに、私たちは予算委員会から訴えてまいりました。

 岸田総理が繰り返す、負担がないという答弁になりますが、高齢者の自然増でもっと増えそうであった費用を抑えたから負担がないという自然増のまやかしですね、昨日も言いましたけれども、負担の絶対量は増えるが負担率は増えないという負担率のまやかしで算出されていると。

 これはもう本当に、なかなか理解がちょっと難しいなというふうに思うんですが、改めて、私たちは二重の意味でのまやかしだというふうに捉えていますけれども、いや、そうではないという答弁があると思いますので、お願いいたします。

熊木政府参考人 今回、先ほど最初に申し上げましたように、前例のない規模で大変大きな少子化対策を打つということであります。これほどの規模の少子化対策を打つとなりますと、少子化対策とともに、経済とかそういった影響は当然大きく生じてまいりますので、今回の少子化対策の財源に当たりましては、基本的に、経済政策ということと少子化対策を車の両輪として、調和した形で行っていくというのが最初からの企画でございました。そうした中で実質的な負担が生じないということをしっかりと確保していくということが重要であるということでございます。

 まず、るる申し上げていますけれども、最大限の既定予算の活用、そして歳出改革、これによって三・六兆のうち二・六兆をまず確保しまして、残りの一兆円につきましては歳出改革等の中で行われる社会保険料の負担軽減の範囲内で構築することによって、これによって実質的な負担が生じない、こういうことを申し上げております。

 歳出改革につきましては、一谷先生がおっしゃいましたように、令和十年度までかけまして、支援金の導入に当たって、その構築の間に、それまでの間に積み上げるということでございますので、全体的に実質的な負担が生じないという説明を申し上げてございます。

 具体的には、令和五年度、六年度予算編成におきまして、歳出改革によりまして医療、介護の保険料で合計三千三百億円の軽減効果が生じることになっております。これを令和十年度まで続ければ合計で一兆円の軽減効果が生じますので、支援金制度の導入によって差引きで負担が生じることにはならないということであります。

 そもそも、医療、介護の保険料が高齢化に伴う自然増がある中で上昇基調にあるという中でありますが、これは、まやかしというよりも、そういった上昇基調にある中でも、この支援金の導入が、それによって医療、介護の保険料のそのまま負担にならない、それは、その前に歳出改革をすることによって、それを積み上げることによって、その範囲内で構築するからそうならないようにするんだ、こういうことでございます。

 負担率につきましては、同時に賃上げということが入ってくるということなんだろうと思います、率ということでございますので。ただ、これもるる申し上げていますように、歳出改革によってこの財源を賄っていくというのが基本的な考え方でありまして、今、三千三百億円の軽減効果が生じて、それを十年度まで続ければ一兆円になると申し上げたとおり、基本的には歳出改革の中でこの一兆円というものの軽減効果を生じさせるということを考えてございます。

 その上で、賃上げが行われ、国民所得が増えますれば、当然ながら、社会保険の負担軽減につながりますので、これも大変重要なことでございます。したがって、賃上げによって国民所得を増やしていく、これも同時に行うことによって、社会保険料負担率の、そういう意味では増えないということを確実なものにしていくということ。賃上げを当てにするということではなく、歳出改革を基本としつつ、賃上げによって更にそれを確実に社会保険料負担の軽減につなげていく、こういうことでございます。

一谷委員 言いたいことがあるんですが、次の質問をして、返ってこられたら反論をさせていただきたいと思います。

 我々は教育の無償化を訴えてまいりました。岸田総理は、高等教育については、令和七年度から多子世帯における大学等の授業料の無償化をすることとしていると。これは三人目のお子さんがいるときに一番負担が重たいということなんですが、三人目の方が負担が重たいだけでそこに授業料を出すというのであれば、これはそのまま現金給付をしてしまったらいいんじゃないかなというふうに思うんですね。

 我々が言っている教育の無償化というのは、教育を誰もが受けられるようにということを訴えているわけで、根本的にもう考え方がちょっと違うということで、今回、教育の無償化というようなことをおっしゃっていますけれども、これはちょっと違うんじゃないかなというふうに思うんですね、考え方が。三子だけであればもう現金給付をしてしまって、それを教育費に充てていただいていいんじゃないかなと思うんですが、答弁を求めます。

谷委員長 加藤国務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

加藤国務大臣 はい。

 お答え申し上げます。

 教育費の負担が理想の子供の数を持てない大きな理由の一つとなっているとの声がございます。特に高等教育につきましては、負担軽減が喫緊の課題であると考えております。このため、加速化プランでは、経済的支援の強化として、多子世帯の授業料等の無償化を含め、高等教育費の負担軽減を掲げてございます。

一谷委員 まだまだ議論をしっかり続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 本日はありがとうございました。

谷委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 一谷委員の話を引き継いで質問をしていきたいと思いますが、ちょっとその前に、今日、山井さんが大分、加藤大臣を問い詰めていまして、僕は、やはり加藤さんの側だな。というのは、あの山井さんが言っていた所得別の負担のグラフ、それって医療保険でもないんですよ。出せないんですよ。

 それで、今日午前中、厚生労働委員会で、私は厚生労働委員会から出張してきているので、今日は武見大臣に……(発言する者あり)差し替えで来ています。武見大臣とか伊原医療局長に聞いたんですよ。医療保険の所得別の負担構造、これをグラフで出してくれということは前から言っているんだけれども、これは幾つかの仮定を置いて大胆にやらないと出ないので、基本的には今は作っていないということなんですよ。

 だから、山井さんが政務官をやっていたときも作っていなかったんですよ。でしょう。自分たちが作らずに、そういうグラフも見ずに政策を遂行してきておいて、今度は加藤大臣にそれを作れというのはおかしくないですか。だから、山井さんの今日の四十五分は無駄であったと私は思う、私はですよ、私は個人的にそう思うわけでありますが。

 一方、今、一谷さんから申し上げたエビデンス、これはむちゃくちゃ私は大事だと思っていて、加藤大臣の前任の小倉將信大臣も、EBPM研究会をつくってやっていらっしゃった。それは何でかといったら、やはりエビデンスがなかなか乏しい分野だ、こども庁は、子供政策はということがあったわけですね。

 だから、例えば、昨日、一谷さんの本会議に対して総理がこうおっしゃいました。なぜ今回の支援金があるのかというと、少子化、人口減少に歯止めをかけることは、医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤に重要な受益となる。いわゆる社会保険料ですから、受益と負担だから、だから、受益となる、医療保険にとってプラスになるんだとおっしゃっているんだけれども。

 繰り返しになりますけれども、エビデンスがないんだから、本当に今回の三・六兆で日本の子供たちの数が増えるかどうかなんて分からないわけですよ。だから、玉木さんたちが子供国債とか言うのはばかにされているわけですよ。そうでしょう。違う……(発言する者あり)まあ、いいや。

 だから、要は、本当に、例えば、橋を造る、道路を造るみたいに、リターンがちゃんとあることが確定しているんだったら国債でもいいですよ。でも、分からないから税金でやってきたわけです。それは今も分からないんですよ、一谷さんが今言ったように。だから、分からないのに、総理は受益となるんだと断言をした。何でできるんですか。

熊木政府参考人 まず、実効的な少子化対策、人口減少対策を行って、それが効果を生じれば、当然ながら医療保険制度の持続可能性が高まるということだと思います。

 これは将来のことでございますので、もちろん確定したものではなくて、ただ、支援金制度というものを構築するに当たって、そういう受益というものを考えて、皆様に御納得をいただいた上で構築していくということなんだろうというふうに思います。

足立委員 釈迦に説法ですけれども、社会保険制度というのは、まさに給付と負担、受益と負担の対応関係が明確だからつくってきているわけです。だから、あのような負担構造で上限もある。いろいろな形で、ある程度逆進性が強いと立憲民主党さんはいろいろ批判されている。そのとおりですよ、逆進性が高いわけです。なぜ逆進性が高い負担構造が許容されてきたかというと、受益が明確だからですよ。

 でも、今あったように、少子化対策は受益が明確じゃないんです。受益が明確じゃないのに、なぜ、このような社会保険料という形でその財源を確保することが正当化されるのか。やはりそこは拙速ではないかと私も一谷さんと同じように思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 まさに、我が国は今危機的な状況にあるということだと考えております。その危機的な状況にある少子化に対して、加速化プランを決定し、速やかに実行することこそが必要であり、その際、制度が安定的に維持される枠組みを構築する、そのことが、これから結婚、出産を考える若い世代が将来のライフプランを考える上で重要であると考えております。

 したがって、昨日総理からもお答えしたとおり、拙速であるというふうには考えておりません。

足立委員 昨日、大臣に再三これは本会議場で聞きました。今あったように、とにかく、支援金について、受益と拠出との対応関係が不明確という御指摘は当たらない、拙速ではない、結論は総理は明確におっしゃいます。理由は書いていないんですよ。

 だから、さっきこれも一谷さんがおっしゃっていた、もし少子化対策に社会保険料を使えるというんだったら、熊本の半導体工場にだって使えますよ。それぐらい、受益と負担の関係、受益が本当にあるのかということは分からないと私は思うわけです。

 だから、やはり、大分いろいろなところで議論をしてきましたが、これはないんです。唯一、政府から、政府というか政府関係者から、ああ、なるほどと思う答えがあったのは、いやいや、少子化対策は社会保障に入れたんですと。三党合意で消費税を上げたときに、四つ目の社会保障として、もう少子化対策は社会保障の中なんです、だから、もうそこのエビデンスだ何だというリンクはごめんなさいと。

 でも、産業政策と少子化対策は社会保障の枠内かどうかというと、社会保障の枠内だと橋本岳さんなんかはおっしゃるわけですね。それぐらいの理由しかないわけですよ。だから、半導体工場も社会保障だといえば入っちゃうわけです。それぐらいの議論を政府・与党はしているんですよ。(発言する者あり)だよね。だから、やはりそこは無理があると思いますが。

 それで、余り言っていても仕方がないので、今の、少子化対策を社会保障に入れた。いわゆる三党合意で消費税の議論をやりましたよね。大臣、これは大臣に通告を一応していると思うんだけれども。要は、三党合意をしたとき、僕らはまだいなかったですよ、三党合意をしたときは私たちはまだ党がありませんでした、当時、自民党、公明党、民主党は、少子化対策の財源を消費税に求めたんじゃないんですか。

 求めたのに変節をしたのかと昨日総理に聞いたら、こうおっしゃいました。かつての三党合意から転換したとの御指摘ですが、その時々の社会経済状況を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべきものであると考えています。それしか言えないんですよ、答えになっていないでしょう。適切にやりますと言っているわけですよ。いやいや、適切にやりますが答えですかと。(発言する者あり)ちょっと、答弁に立っていいよ。

 いや、それはちょっとおかしいよなということで、一応、大臣、変節したのではないか、ちょっと御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 政策の枠組みは、その時々の社会経済状況を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべきものであると、総理が答えているように私も考えてございます。

足立委員 だから、これを岸田さんとか加藤大臣だけに背負わせたら、これはみんなで決めたんだから、僕らは決めていないけれども。だから、一回、自由討論をやりましょうよ。小林さんも話をしたいでしょう。橋本岳さんも話をしたい、みんな話をしたいんですよ。だから、一回これは自民党も、共産党、共産党は最近、この間、僕の議員提案に賛成してくれたので、ちょっと悪口はやめるんですけれども、みんなでやりましょうよ。自民党から共産党まで、みんなで自由討論をする。そのときに議論すべきは、今あったように、だって消費税だと言っていたじゃない。

 財務省のホームページに行くと、なぜ消費税を一〇%に引き上げたんですかという質問がホームページにばんばん出ているわけです。財務省は何と言っているか。保険料のみでは働く現役世代に負担が集中するからですと書いてあるわけですよ。すばらしいでしょう。すると、やはりそれは、大臣、現役世代に負担が重い社会保険料に財源を求めるのは少子化対策に反するのではないかと当然みんな言っているわけですよ。

 更に言うと、こうも言っています。消費税は現役世代など特定の世代に負担が集中せず、これはさっきと一緒だね、企業の経済活動にも中立的であるからですと書いてあるんです。社会保険料は中立じゃないんです、当たり前ですよね。さっきどなたかが、早稲田さんかな、がやっていらっしゃいましたけれども、中立であるわけがないじゃないですか、そんなの。だって、事業主も折半で負担するんだから。

 だから、当時、私たちがまだ誕生していないときに、自公民の三党は少子化対策の財源は税だ、それも、今申し上げたような理由で消費税だと言ったじゃないですか。(発言する者あり)まあ、細かいことはいいじゃないですか。何と言ったんだっけ。(発言する者あり)消費税も。

 だから、これは議論したらいいんですよ。だから、今みたいな加藤大臣が御用意されている支援金がいいのか、あるいは消費税がいいのか、あるいは例えば固定資産税等の資産税がいいのか、はたまた金融資産とかも、金融所得税の議論もあった。でも、その税の議論が、例えば改革工程表とか、いろいろな政府の文書にはもう税という言葉は出てこないわけですよ。(発言する者あり)あっ、僕の意見、ちょっと自由討論、これは難しいんだけれどもね。

 難しいんだけれども、社会保険料はやはり最悪だという議論を今日午前中、厚生労働委員会でやってきました。なぜかというと、まさに社会保険料は今、応能負担ということで資産を保険料に跳ねさせようと努力しているんだけれども、小林さんがいたデジタル庁も頑張っているんだけれども、まだそこのマイナンバー付番とかがなかなか義務化ができないので、そもそも、そういう制度インフラ、資産を捕捉するための制度インフラを整備していく入口にも立てていないわけでしょう。今は希望者だけでやっているわけですよ。そんな状況で、保険料率の設定に所得じゃない資産までカウントできるようになるわけがないわけですよ、当面。まだ議論がこれからなわけです。検討って、検討が始まってもいないんですよという話を今日、武見大臣とやってきました。

 もう通告は以上で終わっちゃっているんだけれども、しかし、加藤大臣、今日申し上げた、エビデンスがはっきりしない少子化対策に、これは受益になるんだと。もう加藤大臣、余り細かいことは言わないんだけれども、やはりそれは、税の議論を排除せずに、僕は結構増税だってみんなに怒られているんだけれども、別にそれは、日本全体の歳入の中で構造改革というか、税構造改革したらいいじゃない。歳出改革したらいいじゃない。それも社会保障改革だけじゃなくて、全体……(発言する者あり)歳入改革、だから、政府全体で歳入改革して増税にならないようにしたらいいじゃない、そんなものは。

 それを前提に、すなわち、増税はしない、最低でも税収中立である、歳入全体の、社会保険料も含めた税収、社会保険料も含めた税収中立を前提に、少子化対策のためにはどのような負担構造、政策構造じゃないですよ、児童手当をこうしますという政策の中身じゃなくて、そうじゃなくて、負担構造をどうするのが現役世代、子育て世代、あるいは若い、結婚をこれからされる世代にとってプラスかということを議論したらいいじゃない。それは、所得ベースの社会保険料なのか、消費ベースの消費税なのか、資産ベースの固定資産税や何とかのその三つしかないんだから。それを比べたら、今回の政府の提案の医療保険をベースとする支援金というのは、それは明らかに現役世代の負担が大きいわけですよ。ねえ、小林さん。

 そこで、今日、厚生労働委員会でどういう議論をしたかというと、そのとおりです、だから社会保障改革をやるんですねと。その社会保障改革って、だって、今までもやっていたじゃない。でも、これからもやるんでしょう。

 今までの改革の果実は、これまでの社会保障制度、すなわち、医療保険なら医療保険制度の中でそれを反映させてきたわけですよ。できるだけ社会保険料が上がらないようにしてきたわけですよ。それでも上がっているよ、上がっているけれども、医療制度改革の果実は医療制度で食べてきたわけですよ。当たり前でしょう。医療制度改革の果実は医療制度で食べる。

 ところが、今回の法律で何が変わるかといったら、社会保障制度改革の果実が、今まではそういう、医療保険なら医療保険、介護、そうした少子高齢化の中で明らかに大変になってきている医療・介護給付と負担の関係の中で、それを少しでも改善しようと思ってやってきた。これからも改革するんだけれども、これからの改革の果実は、これまでの改革の果実と違って、これからの改革の果実は、あっちに使ってもらいますから、さようならと言っているわけですよ。それが、さっき言ったように、保険者にとっての受益になるんだったらいいですよ。でも、さっき言ったように、エビデンスがはっきりしていないので、返ってくるかどうか分かりません。

 そんなものに、今までは税でやっていたのに、本当に保険料を使うんですかというのが本当の問題であって、山井さんみたいに、何か所得ごとに、八百五十円に千七百円とか二万幾ら、あんなことで大臣の言質を取ろうとする。嫌らしいよね。嫌らしいし、レベルが低いし、まず何も生み出さない。それを日本のテレビが放映するわけですよ、加藤大臣が今までは八百五十円と言っていたのに千七百円と言った、それを取るために、彼は今日、四十五分やったんでしょう。そんなことをやっているから日本は衰退をしているんですよ。国会の、与党は頑張っているけれども、野党は遊んでいるわけですよ、そうやってテレビの前で遊んでいるわけですよ。

 だから、私たち日本維新の会は……(発言する者あり)まあまあ、いい人もいる、はいはい、いい人もいる。だから、そういう、加藤大臣に幾ら幾らという、それこそ、一谷さんの言葉で言うとバナナのたたき売りみたいな。ちょっと演説会になっていますけれども、もう質問通告は終わっちゃったんですけれども、でも、申し上げたいことはそういうことですよ。

 だから、そういう山井さんの山井劇場をテレビに報道させるぐらいだったら、加藤大臣あるいは室長にももっと準備していただいて、反論してください、反論。例えば、さっきの千七百円という数字が独り歩きすることにほとんど意味はないんですよ。熊木室長がおっしゃったように、あれは四%、五%に収めているんだと。そこがポイントなんでしょう。それは、そうだからあなたが言っていることは意味がないんですよと、もっとばしっと反撃してください、反撃を。そういう国会にしなければ、いつまでも野党第一党がこうやって遊んでいる。

 私たちが、維新の会が今回の法案で議論したいことは、今日申し上げた、受益がはっきりしない中で、それから資産の捕捉ができない中で、所得ベースの、現役世代に負担が集中する、財務省が消費税を上げるときに保険料のみでは働く現役世代に負担が集中してしまうと明記している、財務省ホームページに明記している、そんな財源を本当に充てるんですかということを議論したいわけでありますが、ちょっと大臣、所感は。

谷委員長 足立君にお伝えします。どなたへの質問ですか。

足立委員 まず、熊木さん、お願いします。

熊木政府参考人 ちょっと、どの点についてコメントを申し上げるか……(足立委員「全般について」と呼ぶ)はい。

 まず、受益と負担の関係につきましては、持続可能性を医療保険制度において高めるということが大きな点だ、これはおっしゃるとおりです。

 他方で、やはり直接的な給付というものがつくということでございます。ふわっとした間接的な持続可能性が高まるということ、間接的な受益だけではなくて、被保険者の皆様が例えば児童手当を受ける、これは保険給付という構成は取っておりませんけれども、それは給付であることは間違いございません。受益であることは間違いございません。

 そういったものに使うんだ、児童手当等に使うんだということを明確にしてこの支援金というものをつくっておりますので、そういう意味で、この受益と負担の関係はまさに明確なんだということでございます。(足立委員「一回ちょっと。委員長」と呼ぶ)

谷委員長 大臣の答弁はよろしいんですか。

足立委員 あっ、大臣。もう一言、ちょっと大臣。

 今、熊木さんはそうおっしゃったけれども、じゃ、保険給付じゃないけれども被保険者が受益しているんだと言ったら、例えば、今度十万円配るやつ、あれはこれか、済みません。だから、全部それは、これから、じゃ、被保険者に配る現金とかいうものは全て保険者、だって全世代型社会保障なんでしょう、後期高齢者から幼児まで全て皆保険で被保険者なんだから、個人や世帯に配るお金は全て社会保険料で賄うことが論理的にはできるようになる、いいですか。

熊木政府参考人 先ほど少し一谷先生のところで御説明申し上げた点を繰り返させていただきますが、今回、その充当事業を決めるに当たっては、かなりいろいろな角度から検討させていただきました。

 医療保険制度の給付との関係がまず第一。医療保険制度においては出産育児一時金というものがございます。それに対して地続きな給付であるということ。それから、事業主がそもそも医療保険制度の前に、払うということ、これまでも事業主の方は、事業主拠出金として、労働者の健全な育成という観点で、〇―二歳の保育ですとか児童手当に拠出を行ってまいりました。こういったことも考えさせていただきました。医療保険制度の持続可能性は先生がおっしゃったとおりです。それらに資する、申し上げたような幅広い給付を行うという今回の少子化対策の重要性、こういったものを全て考えさせていただきました。

 したがいまして、何でも現金給付であればいい、何でも少子化対策であればいいということはまずないというふうに考えてございます。その中でもしっかりとメルクマールを立てて、これをやるために支援金制度をつくるんだということを一緒に提案した上で、それが立法府において御議論されて、成案になっていくということだと思っています。

足立委員 そこの使途が限定されているということは理解します。今までよりは拡張していると僕は思いますよ。だって、出産育児支援金というのは、だって出産なんだから、病院で出産したり医療機関で出産したりすることをみんなイメージする、そうじゃないケースもあるけれどもね。それから、介護何とか基金というのも、確かに医療から介護にお金が移っているけれども、でも、それは医療、介護なんだから。医療、介護というのはもちろん別の保険だけれども、医療、介護というのは提供体制のところでは一緒になっているわけだから、それはやはり被保険者からして一定の納得感があるわけです。

 じゃ、今回の少子化対策が納得感があるかということに今尽きるので、それは全否定はしないし、さっきあったように、当然、法律の七十一条の三に納付金を充てる費用は明記をされているから、それを拡大しようと思ったら、大臣が先ほど御答弁されたように、法律改正が必要だと。それは分かる。

 でも、最大の問題は、やはり負担構造なんですよ。最大の問題は、熊木さん、加藤大臣、負担構造なんです。だって、明らかに、さっき財務省の資料を言うまでもなく、現役に負担が大きい負担構造を財源にすると、財源構造としては少子化対策に、比較的ですよ、ほかの手段に比べて少子化対策にネガティブに働くということは私は言えると思うんだけれども、どうですか。

熊木政府参考人 財源のことでございますので、先ほど来、消費税ですとか、いろいろな財源があるということで、それぞれ、やはりメリット、デメリット、あろうかと思います。

 今回は、政府といたしましては、税につきましては、経済の今の現下の状況に鑑みて、税を上げるという選択肢は取るべきではないと判断した。社会保険を使うということによって、先生がおっしゃったような、所得に応じたような形になります。これを医療保険制度で活用することによって全世代で支え合うという形をつくることができますので、現役世代にしわ寄せをしない形で構築している。

 そして、今回の支援金制度は、まさに歳出改革とセットで行うということによって、支援金と歳出改革がセットで行われる。むしろ、歳出改革が先行して先に積み上げるということを行うことによって、社会保険負担軽減の効果を発揮させるという中で負担なしということをつくっている、そういう構造で今回は考えたということであります。

足立委員 もう時間があと三分ほどなので、金曜日もたしか審議があると思いますから、ちょっと予告も兼ねて、もう一テーマいきたいと思うんですが。

 結局、社会保障改革の徹底によって社会保障経費の伸びを抑制する、その範囲内でやるんだと。その抑制するのは、この財源の確保というポンチ絵がありますよね、これで下に下がっているわけです。でも、それは、そこで出てくる財源は、社会保険負担軽減の効果が一兆円、公費節減の効果が一・一兆円ということになっているわけですが、さっき申し上げたように、保険と税では負担構造が違うわけです。だから、ここで二・一兆生まれるのであれば、その一足す一・一の合計の二・一を全て社会保険料負担の軽減に充てたらどうかということを、言っていること、分かる。

 恐らく、これに対して、昨日も総理が、子育て政策の抜本的な強化を図ることができなくなりますと言っているんだけれども、それは、今の保険と税の負担構造を今のまま維持するという前提ですよね。(発言する者あり)やはり自由討論をやった方がいいな。加藤大臣は加藤大臣で頑張っておられるので全然応援するんですけれども、しかし、この議論は、やはり政府・与党を挙げて、あるいは野党と与党で議論すべきことなんですよ。

 繰り返しになりますけれども、例えば、私たちは、後期高齢者医療制度の税負担二分の一というのは、もうちょっと上げてもいいという立場なんですよ。そうやって、今の医療保険、今の社会保険制度、医療保険全体の中での保険と税の按分というのがありますね。特に後期高齢者については十分の五を入れている。それを私たちは、極端な話、十分の十だととりあえず言ったわけですよ。何のために言っているかといったら、さっき申し上げた、負担構造が違うからです。

 だから、今回の改革にあっても、財源が生まれる、改革によって生まれる。それは、社会保障改革ですから両方に跳ねるわけですよ、社会保険料と税と。両方に跳ねるんだけれども、繰り返しになるけれども、そこで生まれた果実は現役世代の負担を減らすことに寄せた方がいいんじゃないのという議論を、実は私たちは今、党の最大のメッセージとして準備をしているし、条文修正の議論もしていきたいと思っています。

 だから、今、小林さんがちょっと、ううんとうなっていらっしゃるので、あしたの夜、ちょっと時間をいただいて議論をしたいと思います。

 委員長、もう時間が来ましたので終わりますが、加藤大臣、非常に今回の法案は、今申し上げたような観点で、五年、十年、二十年の、時代を画するコンセプト転換になっています。したがって、私たちも妥協せず、最後、かといって絶対反対じゃないですよ、今申し上げたような議論が政府・与党と維新の会との間でしっかり議論ができるのであれば、それは私たちはいろいろな意味で前向きに取り組んでいくことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

谷委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今日は、こども誰でも通園制度に絞って質問します。

 資料の1にあるように、現行の保育所や小規模保育所、幼稚園、認定こども園などが対象となる子どものための教育・保育給付とは別に、新たに乳児等のための支援給付を創設するとしています。制度創設の目的と、現行の一時預かりとは違うのはどういう点なのか、大臣に伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度は、月ごとに一定時間までの利用可能枠の中で、保護者の就労要件を問わず利用できる新たな枠組みとして創設するものであり、子供の成長の観点から、全ての子供の育ちを応援し、子供の良質な生育環境を整備することを目的としております。

 こども誰でも通園制度と一時預かり事業につきましては、主に、目的、定義面の違い、また、給付制度と事業といった制度的なたてつけの違いがあるものと考えております。

 まず、目的、定義面の違いで申し上げますと、一時預かり事業が保護者の立場からの必要性に対応するものであることに対して、こども誰でも通園制度は、保護者のために預かるというサービスなのではなく、家庭にいるだけでは得られない様々な経験を通じて子供が成長していくように、子供の育ちを応援することを主な目的としてございます。

 また、制度的なたてつけの違いとしましては、一時預かり事業は事業である一方で、こども誰でも通園制度は給付制度とすることから、一定の権利性が生じること、また、全国どの自治体でも共通で実施することになるといった意義がございます。

 こういった目的、定義面の違いや制度的なたてつけの違いがあることから、こども誰でも通園制度という新たな制度の創設によって、全国どの自治体でも共通で実施することになるため、これまでどこにも子供を預けていなかった保護者が少しでも子供を預けられるようになるという大きな意義があるものと考えております。

高橋(千)委員 保育に欠けるという要件がない子供さんだけれども、例えば専業主婦だったり、それでも保育園に預けたいという要望はとても多かったんです。やはり、そういう集団生活の中で育てていきたいというお母さんたちの願い、保護者の願いに応えるということはとても大事なことだ、私もそう思っています。

 ただ、今、全ての子供の育ちを応援するということでおっしゃいましたけれども、就労要件を課さないのは一時預かりも同じなんですよね。それで、一時預かりは保護者の都合で、今からやるこども誰でも通園は子供のためなんだ、違うんだと言い切らない方がいいですよ。これは言い切らない方がいい。後で証明していきますので、続けたいと思います。

 スケジュールを見ると、資料の一枚目にありますけれども、補正予算によって、試行的事業は前倒しで、昨年度から百八自治体で始まっているようであります。試行的事業はなぜ上限が月十時間なのか。それなのに、令和八年度からの新たな給付は月十時間以上、これは法案に書いてあります。これはなぜでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、試行的事業では、補助基準上、一人当たり月十時間を上限として実施をすることとしております。これは、今後、本格実施を見据えまして、都市部を含め、全国の自治体で提供体制を確保できるようにすることを踏まえて設定をしたものでございます。

 一方、こども誰でも通園制度の制度化においての利用枠につきましては、改正法案におきまして、ただいま御指摘いただきましたように、具体的な条文としては、月十時間以上であって、体制の整備の状況その他の事情を勘案して内閣府令で定める時間というふうに規定をしてございます。

 法案でこのように規定している理由といたしましては、月十時間以上は確保をすることを明確にした上で、具体的な時間の設定については、試行的事業の実施状況や全国的な提供体制の確保状況も踏まえながら、令和八年度の給付制度化に向けて検討し、決定をしていくということとするためでございます。

高橋(千)委員 一つ確認。まず、本格実施をされる前に、この月十時間以上を、何時間以内という上限を明確にするということでよろしいですね。

 それで、今の説明だと、やはり、試行的事業の様子を見て決めていくということなんだけれども、試行的事業は十時間以内と決めてしまって、法案は十時間以上というのは、だったら、最初から十時間以上で、だけれども、やれる範囲が、つまり、自治体の都合とかいろいろな都合によっておのずと決まってくるわけだから、何かそういう決め方というのはおかしいような気がしますが、いかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお答え申し上げたことの繰り返しになりますけれども、まず、試行的事業では月十時間を上限ということで、補助基準上、設定をしておりますので、まずはこの試行的事業を実施をして、具体的にどのような実施状況になるかということをしっかり見極めた上で検討していきたいというふうに考えておりますが。

 制度化をするに当たっては、給付化ということで一定の権利性が付与されますので、給付化をするに当たって、全国的に一定の時間ということを確保するときには、月十時間以上ということでまずは法定をさせていただき、それを、今年度の試行的事業の実施状況を踏まえて、実際、最終的に給付化をするときの上限設定をどうするかということは、よくよく現場の状況を見ながら検討していきたいということでございます。

高橋(千)委員 検討会の中では、現在の一時預かり事業の年間の利用日数、平均すると三日程度なんだ、それに比べれば十時間というのはかなり長いし、同じくらいだということと、一日十時間という、もう事情があって一日十時間取る場合か、二時間取ったとしても週一回で、ちょうど月十時間でいいよねと、そういう議論があったと思うんですね。

 さっきからエビデンスの話が出ているけれども、やはり物事というのは、そういうようにちゃんと理由があって出ているわけですよ。それを何にも示さないで、ちょっと納得ができないというふうになっちゃうと思うんですね。そこは、やはり今後の制度設計の上できちんと説明をしていただきたい、このように思います。

 資料の真ん中のところで、こども誰でも通園制度が、令和八年度から全自治体で本格実施される、その前の年、令和七年度は、市町村の地域子ども・子育て支援事業として行うわけですね。私、これは市町村は結構大変だなと正直思います。

 この間にこの地域支援事業を入れた理由は何かということと、市町村が実施する中身は、給付制度ではないという以外は同じだという理解でよろしいでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度につきましては、委員おっしゃったとおり、まず、令和七年度からは、乳児等通園支援事業として法律上に位置づけまして、これは、子ども・子育て支援法上の地域子ども・子育て支援事業の一つとして位置づけるわけでございますが、これを位置づけることによりまして実施自治体数を拡充をするということを、まずはしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 その上で、八年度からは、乳児等のための支援給付として、法律に基づく新たな給付として全国の自治体で実施をするということを考えてございます。七年度と八年度の違いは、おっしゃるとおり、事業か給付制度かということに起因する違いが一番大きいと思っております。

 具体的には、事業については、自治体の実情に応じて、裁量的な範囲が広いというふうなことで実施される一方で、給付というふうになりますと、まず、全国自治体で実施をいただくこと、それから、六か月から二歳の保育所等に通っていない全ての子供を対象にすること、また、公定価格制度の仕組みの下で給付費が支払われること、こういった仕組みをつくっていくということで、事業とは違いがあるというふうに考えてございます。

 ただ、七年度、八年度とも、上限時間を設けるということには違いがございませんので、上限時間の設定については、先ほど申し上げました、試行的事業の実施状況ですとか全国的な提供体制の確保状況も踏まえながら、それぞれ検討していくことになると考えてございます。

高橋(千)委員 ある程度の裁量があると言いながら、上限が決まるのは七年度からである、しかも、これをもって公定価格になっているわけではないんだけれども、補助事業なんだけれども、こども誰でも通園制度が始まったというふうに言うわけなんですよ。だから、自治体の負担が大きいんじゃないかということで、しっかり説明していかなきゃいけないと思っています。

 それで、こども誰でも通園制度は、定期利用と自由利用があります。予約に当たっては、利用者が施設に直接申し込む、こういうことになると思うんですが、まず伺います。そして、空いていれば、当日など直前でも予約が可能なのか、それから、キャンセルする場合の料金はどうなるのか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度の予約については、全ての子供が円滑に利用できるように、保護者が空き状況を確認をし、簡単に予約することが可能となるような一元的なシステムを国で構築をすることを予定してございます。したがって、利用者が施設に直接申し込むのではなく、このシステムを通じて申し込むことができるようになると考えてございます。

 直前の予約につきましては、例えば、前日までの予約状況で当日の職員配置などの受入れ体制を決めてしまっている場合には、受け入れられないということも想定されます。こうした場合の取扱いについては、今後、システム上の対応も含めて検討していきたいというふうに考えております。

 また、キャンセル料の取扱いについても御指摘ございました。試行的事業においては、当日のキャンセルがあった場合には、市町村から事業者への支払いの対象とすることも可能としつつ、支払いの対象とする場合には、予定していた利用者の利用可能時間についても利用したものとみなすというふうな、そういう取扱いで試行的事業を行うこととしてございます。

 このようなキャンセルの問題、どうしても現場の混乱を生じるというふうな問題でもございますので、いずれにいたしましても、誰でも通園制度の予約ですとかキャンセル料の取扱いについても、試行的事業の実施状況を踏まえながら、よくよく丁寧に検討していきたいと思っております。

高橋(千)委員 システムを通じてとおっしゃいましたけれども、それは直接契約だと思いますよ。それで、当日受け入れられない場合もある、それは当然です。そのときはバツがついていると思うんですよ。だけれども、受け入れる場合もあるということですよね。それから、キャンセル料を払っちゃう、普通に委託料などを払っちゃう、これも可能と説明していますよね。イエスかノーか。

藤原政府参考人 試行的事業におきましては、当日のキャンセルがあった場合には、予定していた利用者の利用可能時間についても利用、消化したものというふうにみなす、そういう取扱いでございます。

高橋(千)委員 そういうことなんです。

 それで、資料の2を見てください。真ん中の総合支援システムと呼ぶ、いわゆるこれはアプリなんですよね。コマーシャルでよくやる、美容室とかの空き情報をアプリで調べて予約が可能だ、これは全国どこでも可能だと。例えば北海道のスキーリゾートであろうと、沖縄のリゾートであろうと、あるいはショッピングセンターでもよい。行った先に施設があって、これでアプリが可能であれば利用できる。それから、同じ保護者が複数の施設を利用していることも想定していますね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度の受入れ施設の種類についてのお尋ねだったかと思います。現在、教育・保育給付の対象となっていない施設におきましても、今回のこども誰でも通園制度につきましては、実施主体である市町村による認可の下で受入れ体制が……(高橋(千)委員「違う違う、アプリでどこでもと聞きました。認可外の話はしていないので」と呼ぶ)アプリで、システムを国の方で統一的に構築をしまして、利用者がタイムリーに予約ができる仕組み、そして、その情報を市町村が把握できるような仕組みを構築していきたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 そうじゃなくて、全国どこでもアプリを使えば空き情報が分かるから、旅行に行った際とかでも使えますよねということと、一つの町で複数の保育施設を使うことも可能ですよねと、二つ聞きました。

藤原政府参考人 申し訳ありませんでした。

 複数の市町村にまたがっていても、空き情報も分かりますし、利用の申込みができるというシステムを考えてございます。(高橋(千)委員「だから、全国と言ったでしょう」と呼ぶ)はい、全国でございます。

高橋(千)委員 ということなんですよ。これが親の都合じゃなくて何なんでしょうか。

藤原政府参考人 今回の誰でも通園制度につきましては、目的といたしましては、子供の成長を、子供の育ちを支えるということで、様々な専門職と関わりながら成長をサポートしていくということを第一の目的と掲げておりますし、結果的には、保護者の方々が非常に育児不安とか孤立をしているところを軽減をしていくということにも資するものというふうに考えております。

 このように、できるだけ利便性を高めたシステムの構築もしていきますけれども、そのことが子供の成長に資するということと両立するような仕組みにしっかり設計をしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 親の都合じゃなくて何なのかと、私、聞きました。様々な専門家、いますか。今の施設の給付の対象になっていないところまで対象にするわけですよね。利便性や、簡単に予約できるねって、コマーシャルと同じですよ。だけれども、それでいいんですかということを聞いています。

 市町村がそうした施設を認定する際の基準は何ですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、こども誰でも通園制度の対象の施設につきましては、現行の教育・保育給付の対象となっている施設に加えまして、対象となっていない施設においても、市町村による認可の下で、受入れ体制が整っている場合において実施することも可能とすることを考えておりまして、例えば、具体的な実施場所といたしましては、地域子育て支援拠点ですとか児童発達支援センター、こういった施設についても念頭に置いてございます。

 また、市町村における施設の認可基準につきましては、現在の試行的事業においては、人員配置基準につきまして一時預かり事業の基準としてございます。保育の質の確保にも十分配慮しながら、今後、今年度からの試行的事業の実施状況を踏まえて検討していきたいと考えております。

高橋(千)委員 一人保育士がいればアルバイトでもよい、そういう基準になるわけですよね。

 昨年、保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業が行われ、その中間評価を見ると、家庭だけではない集団的な環境や保育士という相談相手に出会えるという点では子供にとっても親にとってもメリットがある、このように思いました。

 例えば、自分の時間が持てたとか、用事を済ませることができたというだけではなくて、園の先生から子供の様子を聞くことで新たな気づきを得られた、心身の余裕が生まれることでゆとりを持って子育てができるようになった、あるいは、子供を見ていると、新しいことに取り組む機会が増えたとか、保護者以外に甘えられる場所や人ができた、本当にいいことだと思うんですよ、いいことだと思う。

 だけれども、もしも、こども誰でも通園制度の子供を預かることで、元々通っていた子供たちに支障が出るようなことがあってはならない、こういう意見も出ています。それは本当に心配するところです。通常保育の園児たちが緊張したり、落ち着かない、そういう影響があってはならないと思いますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、こども誰でも通園制度の実施に当たりましては、こども誰でも通園制度の子供を受け入れることで、様々、多数のメリットがあるその一方で、在園児の保育に対して支障があってはならないと考えております。

 こども誰でも通園制度に関する検討会におきましても、事業の実施に当たって、子供ごとに在園時間が異なることを踏まえ、現場の実情に応じた職員体制等のマネジメント、また、リスク管理、従事者間の情報共有が適切になされることが重要となることの指摘がなされております。

 こども誰でも通園を在園児と同じ部屋で行う場合には、こうした点に十分配慮が必要であり、また、こども誰でも通園を在園児とは独立した部屋で実施することも可能でございます。これらを考慮いただき、各事業所で適切な実施方法を御検討いただきたいと考えてございます。

 このような点にも十分留意しつつ、試行的事業の実施状況などを踏まえながら、在園児も含めた子供にとって安全、安心な制度となるよう、制度の本格実施に向けて留意すべき点等について検討を行ってまいります。

高橋(千)委員 それは、支障があってはならないという立場は、大臣も共有していただけると思うんですけれども。

 さっき、済みません、局長、私、結局、今も給付の対象になっていないようなところも対象にするんだぞと、市町村がそれを認可するということになっているんですが、基準は何ですかと聞いたときに、一時預かりと同じですとお答えになっていたけれども、それはあくまでも配置基準の話であって、それ以外の基準というのは何もないんですか。今言ったように、独立していなきゃいけないとか、子供にとって影響がないような、そういう基準というのは何があるんですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の一時預かり事業の基準を、今回の試行的事業におきましては一時預かりと同じような基準をお願いをしておりますので、設備基準については、一時預かり事業と同様に保育所の基準を遵守をすること、また、人員配置基準については、一時預かり事業の基準を遵守することというふうにしておりまして、したがいまして、一般型の場合には、年齢、人数に応じた保育従事者を配置をし、そのうち保育士は二分の一以上、今のは配置の方でございます、設備の方は保育所の基準を当てはめるということでございます。

高橋(千)委員 モデル事業がやられたときは空き定員を利用した事業でありました。そうすると、余裕定員を、空き定員を活用する場合は、保育士も増やさなくてもよいし、何もしなくてもよいということになりますよね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所における定員の範囲内で子供を受け入れる場合には、定員に応じた配置基準上の保育者が配置されていれば、追加の保育者の確保は不要でございます。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。

 だから、今、かつてと違って待機児童が少し減ってきている、そういう中で、空き定員があるからその範囲内でいいですよとなって、結局、保育士も何も増やさなくてもできちゃう、それでいいのかということもまたちゃんと考えていただきたいと思う。

 それで、先ほどのモデル事業の中間評価を見ますと、モデル事業を担当した保育者、経験年数が十一年から十五年が二三・七%でした。十六年以上が三九・二%、合わせると六二・九%なんです。つまり、何が言いたいかというと、最初のモデル事業だし、失敗できないし、全く新しい子供たちを迎え入れるんですから、ベテランの保育士さんが担当したということなんですよ。

 かつて一時預かり事業が始まった頃、保育所に私、視察に行ったときに、そのための専門の保育士さんを配置することはできないから、結局園長さんがやっているということでした。つまり、一番のベテランなんですよ。そういうことが、似たようなことになっちゃ困るよねということなんです。

 それで、やはり自治体の取組を見ますと、ベテランの保育士さんが、モデル事業の中で、事前面接などをやって子供たちのフォローをちゃんとやっているんです。たとえ数時間預かるだけの子供さんであっても、いろいろな、アレルギーとかも含めていろいろな対処をしなきゃいけないわけですよ。そういうことをベテランの保育士さんがやってくれている。だから、それを見て、これから全国に広げても大丈夫って、単純じゃないと思いますよ。

 そういうことをどのように、さっき私、だから直前の予約でも大丈夫ですかと聞きましたけれども、どのようにそういう事前面接のような時間を取ろうとしているのか、その分のいわゆる手当というのかな、加配というのかな、考えているのか伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員のおっしゃるとおり、実際の制度化に向けて、子供の安全を第一に、保育者と誰でも通園でいらっしゃるお子さんとの信頼関係の確保ですとか、それから、やはりアレルギーの問題ですとか、実際にモデル事業に参加をされた自治体の皆さんや園の皆さん、私も何度かお聞きしたことがございますけれども、かなり丁寧にやっていただいているというふうに承知をしております。

 こういった先駆的な事業者の皆さん、そして、今年度からは試行的な事業がより多くの自治体で始まります。そういったところで工夫をしていただいている知見をしっかり集めて、どのような対応をすればこの誰も通園が、在園児にもストレスを与えず、いらっしゃる、新しく来るお子さんについても安全第一でしっかりそのケアができるのか、サポートができるのかというふうな在り方については、この試行的事業の中でしっかり知見を集めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 私が指摘したことを受け止めていただいたと思うんですけれども、市町村の関与というのは、児童福祉法二十四条ですよね、これをなくすことはないですよね。今の、アプリの世界の中で状況は分かるという話でしたけれども、状況が分かるというのと、監督がちゃんとできるというだけじゃなくて、市町村がどう関わっていくかというのはとても大事だと思いますが、いかがですか。

藤原政府参考人 市町村が実施主体となっている現行の長時間の就労家庭への保育の給付についての市町村の責任、これはこのまま維持されるものでございます。

 今回のこども誰でも通園制度は、従来の給付とは別に、新規の給付として設定をするわけでございますが、それをいかに利便性を高めるかということの中としては、保護者の利便性だけではなく、例えば一時預かりであれば、今、自治体の職員の方が必ずしも把握をできないという状況がある中で、こういったシステムを作ることで自治体においても把握ができるというふうな仕組みを設定をしたいと思っておりまして、保護者の利便性だけではなく、自治体の方でしっかり把握ができるような仕組み、そういった観点からも検討を進めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 何度も言うように、全ての子供の育ちを応援という理念はすばらしいんですが、利便性とか簡便でいいですよということが、やはり親の都合が走ってしまうということになってはならないということを重ねて指摘をしたいと思います。

 本会議でも指摘をしたんですが、やはり、通常の保育所が、誰でも通園の影響で、人員配置が手薄になったとか通園児が通いづらくなるとか、そんなことがあっては絶対ならないと思うんですね。だからこそ、全体として保育士をやはり増やしていく、そして処遇改善するということが絶対求められるんだろうと思います。七十五年ぶりに四歳、五歳児の配置基準を見直しました。これで終わりにしないで、もっと増やしていかなければならないと思います。

 それで、ちょっと時間がないので、二つまとめて聞きますが、今回、支援法の五十八条三項の中に、都道府県知事が施設の見える化、決算などの見える化をするわけですが、その中に職員の処遇の情報を入れたと。その趣旨を伺いたいということと、それから、これ以降の、四、五歳児以外の子供たちの最低基準を改正する、そのタイミングはいつか、一刻も早くと思いますが、伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、見える化の点でございますけれども、改正後の子ども・子育て支援法五十八条の第三項におきまして、都道府県知事は、特定教育・保育施設の設置者等から報告された経営情報のうち、職員の処遇等に関する情報であって、保護者が適切かつ円滑に教育、保育を受けさせる機会を確保するために公表されることが必要なものとして内閣府令で定める事項、これを公表しなければならないというふうにしてございます。

 具体的には、施設、事業者ごとに、人件費率やモデル賃金などを公表することを想定をしてございます。この目的でございますけれども、費用の使途の透明性を向上させ、保育士等の処遇改善が行き渡っているかどうかの検証、あるいは、配置改善の検証を行うことによりまして、公定価格の改善を図る、これがまず第一の目的でございます。また、それ以外にも、情報公表の充実を図ることによりまして、保護者の方や保育士が自分で園を選ぶときの意思決定の支援にもなる、こういった効果も期待をされるところでございます。

 このため、五十八条三項におきまして、職員の処遇等に関する情報を規定をいたしまして、人件費率やモデル賃金などを公表していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 最低基準の改正はいつ。

藤原政府参考人 申し訳ありません。

 二点目、答弁漏れで大変恐縮でございます。

 四、五歳児につきましては、委員から御紹介いただいたとおりでございます。それ以外の配置基準をどうするのかというふうなお尋ねでございます。大変申し訳ありませんでした。

 まず、三歳児につきましては、平成二十七年度より公定価格上の加算措置を既に実施をしているわけでございますが、令和六年度、今年度から、経過措置を設けた上で、最低基準の改正を行うことといたしました。

 また、一歳児につきましては、こども未来戦略において、令和七年度以降、保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に六対一から五対一への改善を進めるとされており、具体的には今後の予算編成過程において検討していく必要があるというふうに考えております。

高橋(千)委員 これで終わりますが、これだけ大騒ぎをして加速化プランの財源問題を言われているときに、その加速化プランの中でさえも最低基準の改正も進まないというくらいでは、全然間尺に合わないわけです。そういう意味では、はっきりとこれはやると言っていただきたいし、今後また続きをやりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 本日、最後の質問となりますので、よろしくお願いいたします。

 多々ほかの委員からも質問がありまして、重なる部分がありましたら失礼いたします。

 まず、子ども・子育て支援金について伺いたいと思います。

 昨日、私、本会議に登壇しまして、この件についてお聞きをしました。更に幾つかお聞きをしたいと思っています。

 まず、年収六百万、八百万、一千万の場合に、それぞれの組合健保の被保険者一人当たりの平均負担額を示してほしいということを言いました。これはなかなか、数年後の賃金水準によることや、それぞれの医療保険制度の、所得が違うということで難しいということで、この委員会でも、ちょっと私、ちょうど山井さんのときに抜けてしまっていたんですけれども、厚労で質問していたんですけれども、何度もやり取りがあったようでございます。

 難しいということなんですが、総理からは更に、四・五%から五%で、現行の保険料額の中で、イメージを持っていただけると言いました。確かに四・五から五%に今回収まって、その数字が示されたわけですけれども、イメージといいますと、そういうものじゃないと思っていまして。

 今回、この額が幾らだ、幾らだと言っているのが、本当に自分たちの額がどのくらいなんだというイメージが湧かない働く人たちや、ないしは家族の姿がこの表からは見えてこないのが問題だと思っています。

 ですから、是非、細かいマトリックスのようにして年収ごとの示す額がというのは難しいかもしれませんが、例えば四十代で年収五百万円で家族二人、日本におけるモデル家族やモデル賃金の人たちが幾らぐらいになるのかというような、そういった示し方というのはこども家庭庁としては示せることができるのか。みんなで負担をしていくんだと、今日もいろいろ議論をして、聞いていてそう思って、子供たちのためなんだ、将来のためなんだというときに、単なるこの表一枚で、これでイメージしてくれというよりも、そういった具体的な何かモデルが示せるようなことを検討できないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 先日お示しした試算におきましては、被用者保険加入者一人当たりの支援金額は月額約五百円としつつ、健保組合の被保険者一人当たりの支援金額も参考までにお示しし、八百五十円としてございます。

 お尋ねの年収別の拠出額につきましては、先ほど委員からも触れていただきましたが、数年後の賃金水準等によることから、現時点では一概には申し上げられません。

 他方で、総理からの答弁もありましたように、いずれの制度においても、拠出額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれていることをお示ししておりまして、個々人が、一人一人、モデルケースとしますと自分がどこに当てはまるか、確実にそのモデルそのものにぴったり当てはまる方というのは極めて限られてくると思うわけでございますけれども、四から五%という数字であれば、現在御加入の医療保険料額、これを基に四から五%掛けていただけると、お一人お一人、個々人がある程度拠出額のイメージを持つことができるということで、必要な情報提供ができているものと考えております。

田中(健)委員 これは支援金の歳出改革と賃上げが前提だということも昨日話しまして、それに関連して聞かせていただきますと、今の答弁は総理と同じだったんですけれども、数年後の賃金水準等によることからということで、じゃ、賃金水準はどういうふうに想定しているか。

 今、現時点での賃金がありますけれども、五・二五、今回の連合です、上がりましたけれども、じゃ、来年、再来年、十年までの見込額というのを示した上で議論がされているのか、ないしは、こども家庭庁の中で、何か試算が、賃金上昇におけるものがあるのか、お示しいただければと思います。

熊木政府参考人 今、支援金の被用者保険における率を出すためには、いわゆる率でございますので、分母としての報酬がどれぐらいなのかということが分からなければならない。ただ、それは、賃上げで私どももどんどん増やしていくということを考えておりますので、それを数年後のものの数字としてお出しするのが難しい、こう申し上げたところでございます。

 したがいまして、現時点で、まさに仮定ができないものですから数字がお示しできていないということでございます。

田中(健)委員 しかし、賃金が上がるという前提で今回の支援金の実質負担ゼロというのがありましたから、賃金が、それは幾つかモデルはあると思います、二%上がるのか、五%上がるのか。でも、例えば幾つかの範囲の中で収まれば負担がゼロとなるとか、そういった試算が全くない中で、単に賃金が上がるというその一声だけでやっているとは思えないんですけれども、何かそこは家庭庁で試算をしているんでしょうか。

熊木政府参考人 もちろん、実質的な負担がないというときのものにつきましては、これはまず、賃金上昇を数字としてカウントして当てにするということではなくて、基本的に歳出改革で行うということでございますので、これまでの歳出改革をしっかりと続けて、積み上げていく、それによって社会保険料の負担軽減を図る、これが基本的な実質的な負担がないようにすることの前提となります。

 その上で、賃金上昇がありますと、それを確実に社会保険料負担軽減に資するということでございますので、それも当然ながら併せて行い、その全体の中で確認をさせていただくということであります。

 もちろん、賃金上昇がどうなっていくのかということについての政府自体の短期的な試算自体はございますけれども、それを数字として織り込んで実質負担がないということを計算したというものではないということであります。

田中(健)委員 確かに、いつも、言うときは歳出改革と賃上げと言っていますので、歳出改革がまずありきだと思うんです。

 それでしたら、歳出改革についてお伺いしたいと思います。

 これは厚労省になってしまうので、厚労省の方は、申し訳ないんですけれども、歳出削減は一・一兆円、社会保障は示されていますが、この中身を昨日本会議でも伺いましたが具体的にはお示しがありませんでしたが、示せる中身をお示しいただければと思います。また、この額というのはどういうふうに算出されたのか。各項目が並べられていますが、それを積み上げをして一・一兆円というものにしたのか、お答えいただければと思います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 加速化プランの財源確保に当たりまして、令和五年度から令和十年度にかけて、歳出改革により公費一・一兆円を確保するという枠組みになってございます。

 この具体的な中身という御質問でございました。

 まず一・一兆円について、これまでの歳出改革の努力を踏まえて一・一兆円というものが設定されていると承知しておりますが、その上で、この一・一兆円の中身でございますが、令和五年度、六年度の予算編成におきましては、薬価等改定といった歳出改革を行いまして、公費で三千七百億円の確保をされたところでございます。

 また、令和七年度以降につきまして、今後の話にもなりますけれども、これらにつきましては、歳出改革の具体的な内容、これは毎年度の予算編成過程において積み上げていくこととしておりまして、現時点でそれをお示しすることは難しいということではございますが、検討項目といたしましては、昨年末に閣議決定をいたしました改革工程の中で、能力に応じた全世代の支え合いを目指した改革項目ですとか、医療提供体制の効率化、あるいは介護分野におけるICTの活用など、幅広いメニューを検討項目として列挙をしているところでございます。こうした検討項目を踏まえまして、十分検討した上で実施に移していくということになります。

 今後も、こうした検討項目に対する審議を行いまして、改革努力を継続して、令和十年度までに公費節減の効果をしっかりと積み上げていきたいということで、今しているところでございます。

田中(健)委員 歳出削減について、また、改革は大変重要なことだと思うんですけれども、メニューは確かにたくさん項目が並んでいるんですけれども、本当にそれが実現可能なのかということでありますし、それを財源だと私たちに言われても、はい、そうですかとなかなか言いづらいのが今回の一・一兆円の中身です。

 例えば、昨日、財政諮問会議が開かれましたけれども、ここで社会保障、医療費の伸びの様々な指標が、また想定が示されました。この中で、歳出改革という欄におきまして、二四年度予算案については、先ほどもありました薬価の改定で千三百億削減をし、また、前期高齢者の納付金の報酬調整額で千三百億円、被用者保険の適用拡大で百億円の歳出削減をしたと。しかし、診療報酬トリプル改定で九百億プラスになりましたから、結果、差引き千四百億円削減したと出ています。

 千四百億、大変な、搾り出して歳出削減をしたんですが、この額でいきますと、とても令和十年、残りの中で、この一・一兆円、たどり着くとも思えませんし、さらに、かなりこれまでもいろいろな改革をしてきている中で、更に搾っていくということが、本当に実現性、可能なのかということがあります。

 具体的に言えば、例えば、この中にあります医療、介護を、現役並みの所得がある高齢者についての窓口負担、利用料を三割にするとか、介護のケアプラン有料化、これも掲げられていますが、これを行うとどのくらいの歳出削減になるのかと。何せこれはなかなか、提案はされていますけれども議論が深まっていませんし、私たちもこれをすぐに賛成するという立場にはなりませんので、国会の大きなテーマとなるかと思うんですけれども、これらの具体的な中身についてどのように歳出削減していくのでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、歳出改革の実現可能性についての御質問もございましたけれども、これまでの歳出改革による公費の節減、国費と地方費を合わせたものになります。委員の方から御紹介ありました、先ほどの令和六年度予算における千四百億というのは、これは国費、財務省に出した資料でございます、国費ですので、それに加えて、地方を合わせて、国費と地方を合わせての公費ということで先ほど一・一兆円と申し上げました。

 少しちょっとそのベースが違うことをお伝えした上で、公費での確保ですけれども、先ほど申し上げたように、五年度、六年度の予算編成で、二年間で公費ベースで三千七百億円を確保したところでございます。六年間のうちの二年間で三千七百億円ということでございますので、このペースをきちんと維持していければ一・一兆円に達するペースということではございます。

 また、一・一兆円、そもそも設定する段階で、過去九年間の公費の節減効果が、九年間で公費ベースで一・六兆円ということがございましたので、これを基に六年間で一・一兆円としておりますので。過去のペースを踏まえると一・一兆円という規模が出て、実際に、五年度、六年度の二年間で行った歳出削減が、一・一兆円に見合う二年間分の歳出削減を何とか行うことができたということでございます。

 その上で、検討項目を示しておりますので、この検討項目の中、幅広い項目がございますけれども、具体的に検討した上で、残りの四年間、きちんと達成していきたいというふうに考えております。

 個々の項目の効果額というのは、例えばお話のございました窓口負担の見直しなども、どの範囲をどれぐらいやるのかという一定のその前提を置くことで額が出てきますけれども、その内容自体について、まだこうするということを決めることができる段階ではございませんので、その意味で、個々の項目につきましてこれぐらいの額ということを政府として今お示しすることはできない状況でございます。その点は御容赦いただければと思います。

田中(健)委員 もちろん大変な重要な問題なのですぐには結論は出ないですし、額を今すぐ出せと言っても、出せないんですけれども、あくまでもこれは財源として私たちに示されていますので、財源が一・一兆円できるという前提でこれを、皆さんが子育て支援金を負担していくというものがありますから、やはりその前提が崩れてしまう、ないしは、前提が私たちが分からないのに空手形を切るようなことというのはなかなか難しいなと思っておりますので、是非できる限りの、先ほども示していただきましたが、額を示していただければと思います。さらに、国費だけじゃなくて地方も下がるということで、地方の財源も下がることでサービス低下につながらないかということも懸念を示させていただきたいと思います。

 その中で、社会保障費の伸びを改革で圧縮するとしていますけれども、この毎年の社会保障費の伸びというのは、どのようにこれは算出をしているのか、伺います。

 といいますのは、これは伸びの予測ですから、大きく、高く見積もれば、それだけ使わなければ、歳出削減したと、調整ができてしまいますので。その想定というのはどのように算出をしているのか、伺います。

宮崎政府参考人 これまでの歳出改革の取組は、毎年度の予算編成過程で具体的に決まってまいりますけれども、まず、国の毎年の概算要求基準、夏に示される概算要求基準の中で、いわゆる自然増につきましての額が示されまして、その上で、予算編成過程を通じまして歳出改革の努力を確定をしていきまして、年末の予算編成の段階でその改革効果を出した上で圧縮されるという、そんな構造になっております。

 例えば令和六年度におきましては、令和五年七月の概算要求基準におきまして、いわゆる自然増につきましては年金スライド分を除いてプラス五千二百億円程度ということが示された上で、この社会保障関係の経費の歳出改革の議論を予算編成過程で行いまして、最終的には、実質的な伸びをプラス三千七百億円という形で、いずれも国費ベースでございますけれども定めまして、予算編成としたということでございます。そのような経緯を、今後もしていくということになろうかと思います。

田中(健)委員 社会保険料の伸び又は予算というのをしっかり私たちは見ていかなきゃならないと思いました。

 ちょっと時間がないので、大臣、せっかくいらっしゃいますのでお聞きします。

 改革工程表の改革ができなかった場合にも聞きましたが、実質的負担が増えないのか、それとも、今回の子育ての支援の特例公債、発行を継続するのかということを質問しましたら、財源が賄えない事態はない、想定していないと総理は言っていましたけれども、これもあくまで仮定の上での話ですので、例えば、今回の特例公債は発行が令和十年までという、条文の中にありますけれども、それ以上発行することはないということでよろしいのか。

 さらに、償還は令和三十三年までというふうにありますけれども、令和十年以降発行しないとしても、子ども支援金というのは償還していかなきゃいけませんから、その支援金は一兆円に公費の元利の償還分というのを上乗せしていくという理解でよろしいのか、伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 昨日の衆議院本会議で総理から答弁がありましたとおり、政府としましては、歳出改革が十分にできず、加速化プランの財源が賄えない事態は想定しておらず、徹底した歳出改革に取り組んでまいります。

 その上で、子ども・子育て支援特例公債は、令和十年度にかけて支援金制度を構築して安定財源を確保するまでのつなぎとして発行するものでありまして、法案上も令和十一年度以降発行を行うことにはしておりません。

 また、後段で御質問のありました件でございますが、元利償還分を上乗せかという御質問でありますが、支援金につきましては、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の附則第四十七条におきまして、令和八年度から令和十年度において、全世代型社会保障改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、支援金制度の導入による社会保障負担率の上昇の効果がこれを超えないようにすることとされております。また、附則第四十九条において、この規定の趣旨を考慮して子ども・子育て支援金の料率を設定しなければならないこととされてございます。

 支援金制度の構築が完了した令和十一年度以降におきましてもこれらの規定を踏まえて対応することが基本と考えており、支援金の料率が勝手に上がっていくということは想定しておらず、こうした枠組みの中で、元利償還分を含めやりくりをしていくこととなると考えております。

田中(健)委員 支援金で返す、それはしっかりと決められているということなんですけれども、返済に支援金の原資を充てていくのは今言ったとおりなんですけれども、例えば、日銀が金融緩和をしましたから、今回の利払い費というのは今よりもかなり膨らんでいきますし、もしも金利が上がっていくと、三十三年までというとかなり時間がありますから、この利払い費、今の想定よりもかなり財政を圧迫するんじゃないかという懸念の声もあるんですけれども、財政圧迫の要因とはならないかを最後に聞きまして、質問を終わります。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 当然ながら、公債の発行でございますので、その利率というものは重要な要素となってまいります。

 他方で、大臣御答弁いただきましたように、この枠組みはかなりしっかりとした法律の下に設定をしてございますので、支援金の料率が勝手に上がるということはなく、この枠組みの中で、元利償還分も含めてしっかりとやりくりをしていくということでございます。

田中(健)委員 時間となりました。終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次回は、来る五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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