衆議院

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第9号 令和6年4月5日(金曜日)

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令和六年四月五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      五十嵐 清君    今村 雅弘君

      上杉謙太郎君    黄川田仁志君

      小寺 裕雄君    高木  啓君

      橘 慶一郎君    谷川 とむ君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 郁子君    橋本  岳君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      堀井  学君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    城井  崇君

      坂本祐之輔君    福田 昭夫君

      早稲田ゆき君    足立 康史君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   財務副大臣        赤澤 亮正君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹林 悟史君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 英正君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石垣 健彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武藤 憲真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     五十嵐 清君

  伊東 信久君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     高木  啓君

  足立 康史君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

四月五日

 現行の健康保険証を残すことに関する請願(伴野豊君紹介)(第八九二号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八九三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九一四号)

 同(笠井亮君紹介)(第九一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九一六号)

 同(志位和夫君紹介)(第九一七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九一八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九二一号)

 同(宮本徹君紹介)(第九二二号)

 同(本村伸子君紹介)(第九二三号)

 子供のための予算を大幅に増やし、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善を求めることに関する請願(吉田統彦君紹介)(第八九四号)

 同(大石あきこ君紹介)(第九二四号)

 同(阿部知子君紹介)(第九五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官竹林悟史君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、法務省大臣官房審議官吉田雅之君、財務省大臣官房審議官小宮敦史君、同じく中村英正君、財務省主計局次長吉野維一郎君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、厚生労働省大臣官房審議官石垣健彦君、同じく宮本悦子君、同じく日原知己君、同じく武藤憲真君及び同じく宮崎敦文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。

牧島委員 おはようございます。自民党の牧島かれんです。

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について、今日は審議を進めていきたいというふうに思っています。

 まず、一問目。これはリバースメンターからの提言を受けての質問なので、加藤大臣に御答弁をいただければと思っています。

 リバースメンターという制度は、若い世代又は後輩が先輩や年長者に対して提言を行ったりする制度のことを意味していまして、デジタル政策では台湾などでも使われてきました。そして、今、自民党にもリバースメンターがいます。二十代が十名、委嘱をされています。まさに子育て世代の二十代の皆さんからの現場の声であります。

 その中には、家族の妊娠、出産のそばに寄り添っていた経験からの提言も含まれていました。つわりで大変な時期に役所に行くことを前提としている、そして、役所に行って何十分も待たされることがある、こうしたものを改善してほしいという声がありました。これは、デジタル庁も含めてしっかりと、それぞれの自治体の窓口DXを進めていくこととか、さらにはオンライン診療を活用していただくこととか、又はベビーテックのようなテクノロジーを活用することもあると思います。

 こうした声を調べていくと感じるのは、やはり、妊娠、出産というライフステージの中で、例えば、会社にどのタイミングでどのように体調が悪いということを伝えればいいのだろうかという不安、孤独感を感じていたり、体調が不安定であるということをどうやって表現したらいいんだろうかと悩んでいる世代の声があるということだと思います。この点はこれからもこども家庭庁さんの方で向き合っていただきたいというふうに思っています。

 この調査の中で、若い世代が何に関心を持っているか、そのうちの一つが、お子さん、幼少期の健診についてでした。今、健診は、一歳六か月それから三歳は義務になっています。しかし、一、二か月目の健診というのは、自治体によってまちまちで、実施されているのは三三%、四歳から六歳になると一五%です。でも、一か月目の健診のときに栄養状態とか健康状態を診てもらいたい、又は相談に乗ってもらいたいというニーズもあると思います。同じようなことが五歳でも言えると思います。

 こうした健診の拡充ということを、どの町に生まれたお子さんであっても行えるようにしていただきたいんですけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 一か月児及び五歳児の健診につきましては、生後一か月頃は身体の異常が発見されやすい時期であるとともに、養育者が不安を感じやすい時期であること、また、五歳頃は発達障害等が認知されやすい時期であること等を踏まえまして、令和五年度補正予算において、全ての乳幼児がこれらの健診を受診できる環境を整えるための国庫補助を創設をいたしました。

 その上で、国において両健診の問診票や健康診査票をお示しするとともに、特に五歳児健診については、発達障害等を早期に発見した場合に子供や家族への必要な支援につなげるため、保健、医療、福祉、教育の関係者が連携し、地域における健診後のフォローアップ体制の整備に向けた取組を支援していくこととしております。

牧島委員 こども家庭庁さんにおいて、しっかりと健診を拡充するべく施策を打ち出されているということを今御報告いただきました。心強く思っています。保護者の皆さんにとっても相談できるきっかけになると思いますし、その後のフォローアップも行われるということを期待していきたいと思っています。

 さらには、五歳ですと、例えば言語の発達の遅れなども相談できるのではないかと思います。同時に、万が一、虐待かもと疑われるようなケースがあったらば、すぐに関係する機関につないでいってほしい、こども家庭センターなどとの連携もお願いをしていきたいと思います。

 そこで、二問目。児童虐待についてお尋ねをしてまいりますが、NPO法人子ども支援センターつなっぐさんの活動を通じて、付添犬というワンちゃんたちの存在を私も知りました。虐待を受けてしまったお子さんが大変つらい思いを誰かに語らなければならない、そのときに付き添ってくれる、寄り添ってくれる、とても穏やかな性格の、訓練をされたワンちゃんたちがこの日本にも存在をしています。このワンちゃんというのは、元々コートハウスドッグというふうにアメリカでは言われていた、つまり、裁判所に行くことができる犬として存在をしてきたものです。

 子供が、自分の身に起きたこと、又は証人として話さなければならないこと、これを裁判所で、法廷で伝える。大人でやろうと思っても大変なことを子供が行おうとしたら、そのバリアはどれだけ大きいものなのかというふうに私たちも想像します。だからこそ、法廷において、被害に遭ったお子さんが自分の思いを、自分が経験したことを語らなければならないときに付き添ってくれる犬、この付添犬をしっかり同伴できるようにしていっていただきたいというのが私からの願いなんです。

 今でも、地方裁判所においてこれを認める異例の許可というものが行われているものがありますが、これは法務省さんの御答弁をお願いしています、異例ではなく、しっかりと認知を広げていただきたい。いかがでしょうか。

吉田政府参考人 犯罪被害者は犯罪によりその心身に重大な被害を受けている場合が多く、捜査、公判においてその負担軽減に十分配慮することが必要であると認識しております。とりわけ児童虐待事案については、心身に重大な被害が及ぶことから、いわゆる二次的被害を防ぎ、被害児童の健全な成長を損なわないよう、児童であるという特性を十分に踏まえた配慮が必要であると認識しております。

 御指摘のコートハウスドッグなど付添犬による法廷への付添いについては、公判出廷に伴う児童の心理的負担を軽減するための取組の一つであると承知しておりまして、検察当局においても、付添犬による付添いを含め、被害者の特性に配慮した取組の必要性は認識しているものと承知しております。

 個々の事案において、実際に付添犬の付添いが認められるかどうかは各裁判所の訴訟指揮によるものと承知しておりますけれども、検察官としては、必要かつ相当な場合には裁判所に対して付添いを許可するように求めるなど、適切に対応していくものと承知しております。

牧島委員 大変前向きな御答弁をいただいたと思っています。付添犬の付添いが必要となるケースがあるということ、そしてそれを受け止めていただける方々がいるということを確認させていただきました。

 この司法手続において、子供の虐待に向き合うというときに、何度も同じことをいろいろな人に聞かれる、これも大きな負担です。児童センターなどで聞かれる、又は児童相談所で聞かれる、さらには、警察でも聞かれる、検察でも聞かれる、何度も何度も同じことを、これは心の負担にもなる、だからこそ一回で、ワンストップで、協同面接という形で聞き取ってほしいということもこれまでお願いを申し上げてきました。多機関、多職種で、専門のチームが組めば、子供の聞き取りというのは一回で済むはずです。そのためには、子供と向き合うことができる専門人材の育成をしていただくということと、ワンストップの機関を全国で広げていっていただきたい、ここまで来れば大丈夫と子供が安心できる場所を広げていただきたいんですが、こども家庭庁さん、いかがでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 刑事事件として立件が想定されるケースにつきましては、聴取による心理的苦痛や聴取が出来事の再体験となる二次被害を回避、緩和する観点等から、検察、警察、児童相談所の三機関が一堂に会した協同面接として聴取を実施することが重要です。

 令和五年の改正刑事訴訟法を踏まえ、令和五年十二月にも改めて、最高検察庁、警察庁、こども家庭庁より、それぞれの全国の地方機関等に対し、あらかじめ三機関の間で必要な協議を行う等により、適切な証拠化に向けた協同面接の実施体制を整備するよう通知したところでございます。

 また、協同面接の実施に際しては、聞き取り結果が司法手続に用いられる重要なものであることや、被害を受けた子供が出来事を再体験することによる二次被害を回避するなど、子供の負担軽減を図る必要があることから、一定の経験や専門性が必要になるものと認識しております。

 このため、例えば、三機関の中で聴取の際の代表者となることが最も多い検察官に関しては法務・検察において面接手法に関する各種研修を実施するとともに、警察庁において都道府県警察の警察官に対し専門的な聴取技法に関する研修を行い、こども家庭庁においては専門プログラムの受講等を含め児童相談所の職員の研修に要する経費を支援するなど、それぞれ専門性の向上に努めているものと承知しております。

 モニターやワンウェーミラー等の協同面接を適切に実施し得る場において、検察、警察、児童相談所の三機関が連携して対応することで、被害に遭った子供の負担ができる限り軽減されるよう、引き続き関係省庁と連携してまいります。

牧島委員 司法の専門家のトレーニングも必要、そして警察も分かっていただく必要がある、そして児相の担当者もスキルアップを必要としている、それぞれの機関がやはり取り組んでいただく必要があると思っていますが、例えば警察署のような、大人が行っても堅苦しいような場所にワンストップセンターをつくってしまうと、子供はなかなか心を開くことができないというふうに思います。なおかつ、医療従事者にも関わっていただく必要があるのは、系統的全身診察もしてもらう必要があるからです、そして心のケアも必要だからです。

 司法面接だけではなく三点セットで進めていただくワンストップセンター、これは元々のアイデアはアメリカから来ていますが、CAC、チルドレン・アドボカシー・センター、子供権利擁護センターが下敷きになっています。全米では九百五十か所あります。ワンストップで聞き取りは、このCACが七割から八割になっています。では日本ではどうなのかといったら、同じレベルの三つの機能を持っているCACは神奈川県一か所しかない。この現実を踏まえて、更に拡充をお願いをしておきたいというふうに思います。

 そして、貧困とか虐待といった困難のSOSをどうやって私たちが聞き取るかという点、文科省さんの御答弁をお願いしたいんですが、学校でもアンケートを行っていたりしますが、多くの場合、これは紙で行われています。紙に書き取っていただいたものを専門家である心理カウンセラーなどが読み取って、そこから、SOSがないかなと、いわゆる目視で点検をするような作業が行われている。場合によっては一か月とか二か月かかることもある。緊急性を要している子供がこの学校のこのクラスにいるのかもしれないのに、すぐに見つけ出せない。

 じゃ、どうしたらいいのかといったら、GIGAスクール構想で皆さんに活用していただいている端末、これを使えば一日で分かるのではないでしょうか。

 具体例を挙げれば、グーグルフォームのようなアンケート調査を使って子供に書いてもらえば、それによってすぐに見つけ出す、又はアラートを出すことも可能になる。それを踏まえて、学年で、クラスでケース会議をするということもできるようになってくるはずです。

 データの利活用というのは注意を要するものではありますが、例えば、小学校から中学校に上がるときに、この生徒さんは保健室を利用することが多かったですというストーリーで伝えられるだけではなく、データも含めて伝えることで、見守りの機能がアップしていくと思うんですけれども、文科省さん、いかがでしょうか。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘いただいたとおり、いじめや不登校など生徒指導上の諸課題が深刻化する中で、児童生徒のメンタルヘルスの悪化や援助要請、学級の変容などを教職員が早期に察知すること、児童生徒がSOSを発信しやすい仕組みを構築することなどにより、課題が表面化する前から積極的に支援につなげ、未然防止、早期発見を図ることが重要と考えております。

 このため、文部科学省におきましては、児童生徒がICTを活用して毎日の体調や自身の心の状態について回答し、教職員が児童生徒の心や体調の変化を把握することにより早期発見、早期支援につなげる心の健康観察の導入を推進するための経費として、令和五年度補正予算におきまして約十億円計上させていただいているところでございます。

 本事業の着実な実施により、引き続きいじめや不登校等の未然防止、早期発見を図ってまいりたいと思います。

牧島委員 心の状態から早期支援につなげるということをお願い申し上げます。

 さて、この法案ですけれども、この支援金制度のところの質問がこれまで多かったなというふうに思うんですが、次、加藤大臣に御答弁をお願いいたしますけれども、そもそも何で法改正をすることが決まったのか、この目的のところから整理をしておく必要があると思っています。

 今、お子さんが生まれる数は七十五万人台と過去最少になって、少子化対策は喫緊の課題である、なぜならばこれは社会や又は経済活動の持続可能性を考える上で重要な課題だからである、この点までは、皆、認識を同じくしていると思います。

 子供を持ちたい、そして、子供を産まない選択も当然あります。持ちたいと思う人の希望をかなえることを社会全体で支えることにしたのではないでしょうか。つまり、国民全体でその希望をかなえるということを決めた、そこが出発点であって、大きなきっかけになっている。目指すべき社会はどこにあるのか、子供と向き合う喜びを最大限感じることのできる社会にするんだ、そこから一つ一つの原則や考え方がスタートしたと思うので、この点を改めて大臣から御答弁いただけますでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年末にまとめたこども未来戦略では、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てができる社会、これを目指し、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供、子育ての世帯を切れ目なく支援するという三つの理念の実現を掲げて、約三・六兆円規模に及ぶ、前例のない規模で子供、子育て支援を抜本的に強化することとしてございます。

 また、委員御指摘のとおり、子供と向き合う喜びを最大限に感じるための四原則として掲げてございます、子供を産み、育てることを経済的な理由で諦めないこと、身近な場所でサポートを受けながら子供を育てられること、どのような状況でも子供が健やかに育つという安心感を持てること、そして、子供を育てながら人生の幅を狭めず、夢を追いかけられること。こういう観点から、子供、子育て政策の適切な見直しを行い、PDCAを推進してまいります。

牧島委員 ありがとうございます。

 子供を育てながら人生の幅を狭めない、夢を追いかけられる、ここもすごく大事なことだな、今、大臣の御答弁を伺いながら感じています。

 このこども未来戦略に基づいて、これから私たち、三年間、集中期間を持って進めていこうとする。ただ、これまでも少子化対策をやらなかったのかといえば、そんなことはないんですよね。待機児童、この数を見ても、ピーク時は二万六千人まで上っていた待機児童数というのが二千六百人まで減っているわけだから、十分の一まで削減するという努力はしてきました。だけれども、今また私たちが次元の異なる少子化対策にギアを上げなければならない。

 どこが次元が異なるポイントなのかというところを解説いただけますでしょうか。

小宮(義)政府参考人 お答えいたします。

 これまでの少子化対策と次元が異なるポイントといたしましては、まず、歳出改革等により安定財源を確保した上で、三年間という集中取組期間でスピード感を持って実施をするということ。そして、先ほど大臣も御答弁申し上げましたけれども、三・六兆という前例のない規模であることが挙げられると思います。さらに、児童手当の抜本的な拡充、出産育児一時金の大幅な引上げ、十万円の出産・子育て応援交付金の制度化、育児休業給付の充実、子供の貧困、児童虐待防止、障害児、医療的ケア児等の多様な支援ニーズへの対応など、長年実現できなかった施策を盛り込み、また、働き方改革関連施策なども含め、パッケージとして打ち出したことも挙げられると考えてございます。

牧島委員 今御説明いただいたとおり、パッケージの政策であるということと、三年間集中的に行うという意思が示されているということと、三・六兆円という今までにない額を設定した、ここが次元が異なると評価されるべきポイントなんだろうというふうに思います。

 少子化対策の加速化プランの柱は三つ立てられています。若い世代の所得を増やしていく、こうしたことも取り組んでいます。つまり、百六万円の壁を超えても手取りが逆転しないようにするということも、若い世代、少子化対策という意味で一つの柱になりますし、今お話があったとおり、シームレスに又はユニバーサルに設計をするという点でいえば、障害のあるお子さんも医療的ケア児も全てカバーをするということも明示をされています。

 そして、もう一つ大事なのは、これから社会全体の構造とか意識を変えるということを明示したことなのではないでしょうか。その象徴的な数字の目標というのが男性の育休だと思っています。

 二〇一七年の時点では五%しかなかった男性の育休が昨年一七%まで上がってきていますが、まだまだ足りない。目標は二〇三〇年に八五%という、かなり大きな目標をこれからの六年間で実現しようとする。一七から八五まで伸ばしていくんだ、これは、企業においても社会全体においても、かなり考え方を構造的に変えないと実現できないような高い目標なのではないかと思います。

 これまでの延長線上ではない、この意識改革のところをもう少し御説明いただけますか。

小宮(義)政府参考人 お答えいたします。

 こども未来戦略が、これまでの延長線上にあるものではなく、発想の転換も含むものだという御指摘だと受け止めてございます。

 まず、今回の少子化対策、未来戦略で特に重要視している点といたしまして、若者それから子育て世帯の所得を伸ばさない限り少子化を反転させることはできないということをまず明確に打ち出しているということにございます。

 政府といたしまして、賃上げや三位一体の労働市場改革など、若者、子育て世代の所得向上にまず全力で取り組むということにしております。

 また、それと併せまして、子供、子育て政策の抜本的な強化として、これまでにない規模で、全ての子供、子育て世帯を対象に、かつ、ライフステージ全体を俯瞰をいたしまして、切れ目ない子育て支援の充実を図る、それから共働き、共育てを推進していくための総合的な対策を推進していくということでございます。

 さらに、御指摘ございました意識改革の部分でございますけれども、まず、こうした制度や施策の充実と併せて、この意義、そして目指す姿を国民一人一人に分かりやすいメッセージで伝えるとともに、施策が、社会、地域社会、職場で大いに活用され、子供、子育て世帯にしっかりと届くように、企業、地域社会、高齢者や独身者も含め、社会全体で子供、子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要と考えてございまして、これも含めて車の両輪として進めてまいりたいと考えてございます。

牧島委員 今、所得を上げることも含めてなのだというお話がありました。

 今まで、少子化対策、これからもだと思いますが、やはり考え方として三つあると思っています。両立支援。仕事をする、子育てをする、両立ができるようにする、又は、介護をする、子育てをする、両立する。もう一つは現金給付。そしてもう一つが現物給付。

 この現物給付のところは、保育所など施設の拡充という意味でこれまでもやってきたことでありますが、やはり、今までやってきたものを、子育て世代の皆さんが向き合ったときに、現金給付というのは即効性もありますし、助かるんだよねという声が多かったのではないか、だから現金給付の部分を拡充する必要があるのではないかという仮説が立てられたのではないかと思うんですが、この点はどのように分析をされているでしょうか。

小宮(義)政府参考人 お答えいたします。

 まず、少子化の背景といたしましては、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因がございますけれども、中でも、例えば、理想の子供の数を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという経済的な理由が五二・六%と最も高くなってございます。特に第三子以降を持ちたいという希望の実現の大きな阻害要因になっているということを承知をしてございます。

 このような中で、我が国の子供、子育て分野への資源投入についてでございますけれども、近年は、そのニーズ、必要性から、特に保育の受皿整備といった現物給付、これを重点的に充実を図ってきたところでございます。この結果、家族関係社会支出で見れば、現物給付は諸外国並みに達しております一方、現金給付はまだ低いという状況になってございます。

 待機児童は、ピークであった平成二十九年の二・六万人から比べますと、足下で〇・三万人まで大いに減少するなど一定の成果が出ているところではございます。その中で政策の優先順位も変わってきているということでございます。これらを踏まえまして、今後三年間、これを集中取組期間として取り組む加速化プランにおきましては、先ほど申し上げました児童手当の抜本的拡充と経済的な支援の部分も十分強化をしたいと考えてございます。

 現金給付には、子育てに伴う様々なニーズに柔軟に対応するということができる、そういったメリットがございまして、現物給付と併せて様々な支援策を重層的に行うことによって、子供、子育て政策全体として必要な支援が届けられるよう取り組んでまいります。

牧島委員 今お話があったことによって、現物の給付、施設の拡充などは諸外国並みまで来ていました、だけれども、現金給付はそのレベルまでまだ達していなかったので、ここを引き上げていきますということだと思います。

 そして、子育て世代の方でお仕事をされている方が育休を取る、そのときに、手取りが減ってしまうということでなかなか育休を取ることを踏み出せない、そういうことがないように一〇〇%の保障に充てていく、これも現金給付の一つの形だと思います。

 今お話を子育て世代の方々としていると、看護休暇に対しての概念の広がりへの期待の声もあります。授業参観とか入学式、これも看護休暇として認められるようになるということに対して、大変それを喜ばしいことと受け止めている方たちもおられる。これも、現金給付と制度の、又は社会的な認知の広がり、併せて行う一つの事例になるんだろうというふうに思います。

 今お話があったとおり、児童手当の拡充のところですけれども、これは、かなり大きな踏み込みが行われていると思いますし、今回の支援の法律の改正の中でも中核を成すものだと思っています。

 これまで中学生までだったのを高校生まで広げていく。一つの事例として、御家庭の中に高校生がお二人、そして中学生がお一人という三人のお子さんがおられる場合、今までは、高校生二人は対象になっていないから中学生一人が対象になって、ここは一万五千円であった。それが、これから高校生二人も対象になるから、高校生、一番上のお子さん一万円、二人目のお子さん一万円、そして三人目のお子さんは三万円に拡充されますから、五万円。一万五千円受け取っていた御家庭が五万円受け取ることになるというのは、大きなジャンプだというふうに私は認識をしています。さらに、大学生のお子さんで、扶養されている場合であれば、三番目のお子さんのカウントの仕方も変化をしていく。これが児童手当の拡充だと思います。

 そして、所得制限を外していくということも大きな決断でありました。子育て世代の実情を反映した形だというふうに思っていますが、どうしてこのような形にすることにしたのか、そして支給回数も増やすことにしたこの狙い、二問続けて御答弁をお願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、児童手当につきましては、次世代を担う全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援として位置づけを行いまして、御紹介いただきましたように、所得制限の撤廃、高校生年代まで支給期間の延長を行う、また、第三子以降の支給額を三万円に増額する、こうした抜本的な拡充を行うことといたしました。まさに、この児童手当の今回の拡充につきましては、全ての子供、子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援をしていく、そういった大きな観点から行うものでございます。

 また、この拡充に合わせまして、今般、支給回数についても見直すこととしてございます。児童手当の支給回数、現行年三回でございました。これを隔月、偶数月、年六回とすることによりまして、子育て世帯にきめ細かく児童手当を支給することができるようになります。拡充後の支給は本年の十二月からを予定してございます。

 特に、低所得の一人親家庭について考えますと、児童扶養手当が奇数月支給と現行なっておりますことから、児童扶養手当と児童手当のいずれかの支給を毎月受けることができるようになります。子育て世帯にとって家計管理がよりしやすくなる、こういった効果も期待できるというふうに考えてございます。

牧島委員 つまり毎月受け取ることができる御家庭がこの制度によって生まれていくんだということが大事なポイントだと思います。

 それでは、お子さん一人当たりの給付がどのように改善されていくのか、この点、何度も議論されているところではありますが、大事なポイントなので改めてお尋ねをしたいと思います。

 この児童手当の拡充分、そしてこども誰でも通園制度というものを併せて、子供一人当たりの給付はどのように上がっていくということになるんでしょうか。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 支援金制度との関係ということがあろうかと思いますので、支援金制度との関係で申し上げます。

 支援金制度を創設する中で、児童手当の拡充ですとか、こども誰でも通園制度の給付化ですとか、それから妊婦のための支援給付十万円といったもの、共働き、共育てを推進するための経済支援、こういったものを拡充させていただきます。

 これらの支援金を活用しました給付の改善、これを高校生年代まで合計いたしますと約百四十六万円となります。なお、現行の平均的な児童手当の額、これを高校生年代まで合計しますと二百六万円となりますので、合わせて合計三百五十二万円でございます。

 なお、そのほか、加速化プランといたしましては全体で三・六兆円ございますので、今申し上げたもの以外に様々なものがございます。

 特に、先生おっしゃられましたとおり、ゼロ歳―二歳の部分の強化が大きくなってございまして、ゼロ歳から二歳までで、拡充分のみで約五十一万円、それから、高校生年代に児童手当を延長するということがございまして、これも拡充が大きくなりまして、高校生、十六歳から十八歳で四十七万円、その他含めまして、拡充分全体で合計百四十六万円ということでございます。

牧島委員 今お話あったとおり、十八歳までの累積給付額でいいますと三百五十二万円ということになります。今まで一人一人の拠出の支援金制度における額のところも議論されてきましたけれども、受け取る額は十八歳まで三百五十二万円。そして、御自身一人一人が出す分というふうに、受け取る側ではなく、同時に出す側でもある本人の立場になって考えてみますと、四百五十円という平均で合算をすれば、十八歳まで約十万円ということになります。なので、十万円の拠出はしていくことになるけれども受け取るのは三百五十二万円なんだ、この比較のところがやはり多くの国民の皆様に正確にお伝えをする必要があることなんだろうというふうに思っています。

 次にお尋ねしてまいりますけれども、今回、この少子化対策の財源について、これまでもどのような構成で来たのかということを少し振り返っておきたいと思います。

 税である公費と、社会保険というものがこれまでも充てられてきたんだと思います。つまり、消費税が一〇%になって、年金、医療、介護、少子化対策に充てるということになった、これによって量的拡充や質の向上に充てられてきました。と同時に、児童手当、保育関連施設に充てられる子ども・子育て拠出金、これは事業主がこれまでも負担してきました。さらに、育児休業給付、これは雇用保険料が充てられていましたから被保険者と事業主が負担してきました。出産育児の一時金であれば医療保険料が財源ですから事業主と被保険者。つまり、これまでも少子化対策の財源は、税である公費と、事業主拠出金、社会保険、これらの枠組みから支給をされてきた。この考え方というのは、今初めて私たちが触れるものではないのだろうというふうに思います。

 現行の医療保険制度においても、現役世代が、前期高齢者納付金や後期高齢者支援金によって高齢者を支えています。さらに、令和六年度からは、高齢者が、出産育児支援金、四十二万円から五十万円に上がるところで支えています。現役世代を高齢者も支えている、そしてもちろん現役世代は高齢者を支えている。このように、今でもしっかりと世代間の支え合え、そして協力をし合うというものが行われてきた。だから、全世代で少子化対策に向けて協力し合うという点は、今までも大事にしてきたし、これからも大切にしていく観点なんだというふうに私は理解をしています。

 だからこそ、この支援金制度を構築することにした理由というのを、改めてもう一度、こども家庭庁さんから御答弁をお願いしたいと思います。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、これまでの子供、子育て支援策は、その沿革ですとか給付の性格によりまして、税であったり、医療保険制度であったり、雇用保険制度であったり、あるいは事業主拠出金といった形で、その性格に応じまして組み合わせて、何とかここまで政策の充実を図ってきたということでございます。

 今般は、少子化という大変大きな喫緊の課題に対しまして前例のない規模で大きな対策を打つということでございます。その対策につきましても、支援の切れ目がない、シームレスな形で広く対象とする、そういった形の給付をたくさん構成してございます。そうした給付の性格あるいは状況に鑑みまして、今般の支援金制度というものは、誰にとっても少子化が大きな課題であるということ等々に鑑みまして、全世代、全経済主体が子育て世帯をいわば支える、応援する、社会連帯の考え方にのっとって支え合う、そういう仕組みとして構成して、検討しているというものでございます。

 なお、それを歳出改革の中でしっかりと行っていくということでございます。

牧島委員 今お話あったとおり、少子化対策を進めるということは、高齢者の保険制度の持続可能性を上げるという意味でも大事、そして、事業主にとっては、雇用を確保するとか、マーケット、市場を維持するという意味でも大事。だから、一人一人が自分事として捉えるべきことなんだ、だからこその支援金制度なんだということを改めて確認をしておきたいというふうに思います。

 最後の質問になります。

 一方で、実質的な負担を生じさせないという意味がまだ分かりにくいというお声、さらに、これは実質的な増税なのではないかといったような御指摘もあるんですけれども、この点、どのように整理をされているのか、お願いいたします。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 支援金制度の導入に当たりましては、やはり、拠出をいただく以上、しっかりと社会保険料の負担軽減も図っていくという考え方でございます。歳出改革を基本といたしまして、社会保険料の負担軽減を図り、その負担軽減の効果の範囲内で支援金を構築する、こういうことによりまして支援金を導入することによって、全体として、実質的な負担、そういったものが生じないようにするということでございます。

 そのために、一兆円規模の支援金でございますので、若しくはそれ以上の軽減を図っていくということではございます。令和五年度、六年度には三千三百億円ほどの社会保険料の負担軽減を行うということでありますので、このペースをしっかりと継続していくということであります。

 支援金の金額で申し上げますと、先生がおっしゃられましたように、令和八年度二百五十円、九年度三百五十円、十年度四百五十円となりますので、その前に歳出改革を先行させ、そして継続し、積み上げることによって、今申し上げました二百五十円、三百五十円、四百円分の軽減というものを、あるいはそれ以上のものを令和十年度まで積み上げる、こういうことによりまして、その範囲内で行う、支援金を構築するということでございます。

牧島委員 負担率は変わらないようにしていくんだというところが、率での御説明だといま一歩分かりづらいんだという受け止めがあったんだと思います。

 ただ、例えばこれを税で考えてみた場合に、所得を上げていくということも当然やっていくわけですが、所得が上がらば、所得税として支払う額、増えていくわけですけれども、分母も分子も同じように上がっていって、そして率が変わらなければ、負担増でも増額でもないというふうに皆さんすんなり受け止められると思うんです。

 これが社会保険の話になると、何だか負担増になってしまったら心配だなという声になってしまう。率が変わらないということは、負担増でも増額でもないんだ、増税でもないんだというところを多くの方に御理解いただけるような説明の工夫というものをこれからも求めまして、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時十九分開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柳本顕君。

柳本委員 自民党、大阪の柳本顕でございます。

 質疑の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 本法案につきましては、予算委員会のときから議論なされてきた内容でありまして、三日の議論も含めて重複することもあろうかと思いますけれども、改めて押さえておきたいということでお許しをいただけたらと思います。

 まずは、子供、子育て支援策と少子化との関係についてお伺いをいたします。

 私は、これまで大阪市会議員として、地方議会でも少子化あるいは子育て支援ということで議論を重ねてまいりました。少子化対策という表題がついたところで、地方自治体における施策というふうになってくれば、あくまでも、少子化対策というよりは子育て支援策に尽きるのではないかというような思いを持っておりましたけれども、一方で、今回のような、まさに次元の異なる、規模感においてもそうですし、様々な視点における諸施策を鑑みると、国におけるドラスチックな施策実行は少子化に対して効果があると期待を寄せるところでもございます。

 単純に比較できるものではありませんけれども、ハンガリーの取組と効果というものは非常に顕著です。

 ハンガリーでは、二〇一一年から二〇二一年の十年間で人口千人当たりの婚姻件数が三・六件から七・四件へと倍増、十年間での出生率も一・二三から約〇・四%近くまで、上昇したということであります。子供を四人産むと母親の所得税免除など所得税免税の施策、児童手当や住宅購入補助など施策は多岐にわたります。もっとも、ハンガリーの施策においては課題があることも指摘されております。また、必ずしも施策と少子化が連動していると言い切れない面もあるのも事実です。ただ、一つの実例としては注目すべきものであるというふうに考えております。

 そこで、お疲れさまでございます、加藤大臣にお伺いをいたします。

 岸田総理は人口減少に歯止めをかけると力強くおっしゃっておられますが、今回の法改正に伴う新たな子供、子育て支援策は少子化対策に資するものと考えておられますでしょうか。そして、少子化対策になっているというのは、出生数の下げ止まりであるとか、あるいは合計特殊出生率が上向きになるといったことを指すのでしょうか。御確認をさせていただきます。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、少子化対策に資するかという御質問でございますが、今回の加速化プランは、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援するという三つの理念の実現を図るものであり、児童手当の抜本的拡充など三・六兆円規模に及ぶ抜本的な政策強化に取り組んでまいります。なお、衆議院予算委員会の公聴会におきましては、こうした加速化プランの施策によって出生率が上がるとの陳述もあったと承知をしてございます。

 政府としましては、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望をかなえることを少子化対策における基本的方向としており、個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させることを目指すこととしてございます。この少子化トレンドを反転させるとは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより希望がかなえられて、その差が小さくなり、結果として出生率が下げ止まり、少子化の流れに歯止めをかけるということでございます。

柳本委員 ありがとうございます。希望というのは非常に大切なワードだというふうに思っています。

 その上で、少子化というものは、いろいろな対策によって実際に出生率は上がるかもしれないけれども、様々な社会的な変化にも左右されるところがあるというのも事実だというふうに思うんですね。

 参考人で、出生率が上がるという言葉もあったということなんですけれども、私も参考人のいろいろな御意見を聞いていると、関係ないよというような厳しい御指摘があったのも事実です。そういったことを考えますと、国民の皆様方が、二〇三〇年度に入ってきたときに出生数が減り続けているとならば、少子化対策の効果が出ていないのではないかという反応になってしまうという現実もあるわけです。

 また、子供、子育て支援策はその施策ごとに効果が発現する時期も異なると考えます。どのような施策が、どの程度、いつ効果として表れるかが分かりにくい、分からないという状況なんですね。総合的に考えると希望が持てる状況になるとしても、一つ一つの施策がどういう形で因果関係として影響しているかというのはなかなか分かりにくい。その一方で、PDCAサイクルであるとか、EBPMに基づく施策推進が必要だとも言われるわけです。

 今回の支援策の効果が少子化にプラスの効果をもたらしているということをどのように確認して国民に示していくのか、考え方をお聞かせください。

小宮(義)政府参考人 お答えいたします。

 まず、昨年末に取りまとめましたこども大綱におきまして、子供施策の全体につきまして多面的に施策を立案、評価、改善していくこととしてございます。その関係で、政策全体に係るKPIとして、様々な数値目標を含めた指標をまず設定をしているというところでございます。

 具体的には、例えば、大きな数値目標といたしまして、結婚、妊娠、子供、子育てに温かい社会の実現に向かっていると思う人の割合を、現状はまだ三〇%弱ぐらいでございますけれども、これを七割まで増やそう、若しくは、自分の将来について明るい希望があると思う子供、若者の割合、これは現状、三分の二ぐらいでございますけれども、これを八〇%にしようなどを掲げてございます。また、状況を把握するための指標として、若年層の平均賃金、正規雇用労働者等の割合、それから、いずれ結婚するつもりと考えている未婚者の割合、若しくは、理想の子供数を持たない理由としてお金がかかり過ぎているからを挙げる夫婦の割合等々を挙げてございます。

 今後でございますけれども、まず、未来戦略におきましては、こども大綱の下でPDCAを回していくということが方針として決まっておりまして、先ほど申し上げました政策全体に係るPDCAと一緒に、未来戦略、加速化プランについても見ていくということになろうかと思います。

 それで、今後につきましては、加速化プランに盛り込まれた施策を含めて、進捗状況を把握するための指標を、本年の六月をめどにまとめる予定でございますこどもまんなか実行計画において設定をします。

 また、経済財政諮問会議の下でまとめられました改革工程表におきましても、少子化対策の推進に係る改革工程表を新設をして、今後、KPIの設定、更なる拡充を図ることとしてございます。

 こうした枠組みを重層的に活用し、PDCAの観点を踏まえながら子供、子育て政策を推進してまいりたいと考えてございますけれども、委員御指摘のとおり、非常に多岐にわたりますので、分かりにくいという部分が出ないように、できる限り体系的に、そして一つ一つの施策がそれぞれどう関連しているのかということも分かるように検証を行っていきたいと考えてございます。

柳本委員 ありがとうございます。

 今、幾つか指標について具体例を挙げていただきました。受け止め方、感じ方という数値ではあるものの、かなり高めを目指していただいているという部分もありますので、それだけ効果が上がれば、一定希望というものが見えてきているということを国民の皆様方にも知らせることができるというふうに思っております。

 そんな中での子ども・子育て支援金制度なんですが、本日も先ほど牧島委員からも質疑があったところでございますので中身には言及しませんが、一点だけ、広く国民の皆様方に対する説明が極めて重要だという観点から、周知、広報について確認をさせていただきます。

 説明については、分かりやすい説明と納得感が得られるような手法で進めていかなければなりません。保険加入者に対しての説明については、先日、厚労委員会におきましても質疑させていただいて、厚生労働副大臣から、こども家庭庁とも連携して丁寧に説明していくとの答弁を私はいただいたところなんですが、意気込みだけではなくて、しっかりとそれぞれの責任において説明をし、また、説明の受け止め状況などについても情報共有をしながら進めていかなければならないと考えます。

 どのような方々、すなわち被保険者であるとか経営者であるとか保険者であるとか、対象を定めて、どのように役割分担をしながら説明をしていくことを予定しているのか、具体の進め方をお聞かせください。

熊木政府参考人 具体的な広報のやり方についての御説明でございます。

 もちろん、その前に、中身が大変重要でございますので、支援金という新しい拠出でございますから、まずは、少子化が喫緊の課題であるということですとか、今回、加速化プランとして、大きな政策の拡充、給付の拡充を図るということですとか、そのために全世代、全経済主体がみんなで子育て世帯を支える、これは助け合いの仕組みなんだといったようなことですとか、そういったことをしっかりと広報してまいりたいと思います。

 広報の宛先といたしましては、全世代、そして企業さんも拠出いただきますので、まさに多岐にわたります。医療保険制度を通じるということになりますので、まず医療保険者、あるいは厚生労働省でいえば保険局、そういったところと連携をさせていただいて、医療保険ルートでの広報ということを考えたいと思います。当然ながら、保険局において、医療保険ルートで様々なやり取りがあると思いますので、そういった中で私どもも乗せていただいて、中身はしっかりと私どもの方でも説明をする、そういったことが必要だと思います。

 事業主の方々も拠出をいたしますので、団体、当然ございますし、それから、一般的な広報とターゲットを絞った広報とをそれぞれ組み合わせる形でやってまいりたいと思います。

 自治体も重要でございます。自治体とは速やかに、法案をお認めいただければということにはなりますけれども、なるべく早く正確な文書をお届けする。それはなるべく分かりやすくさせていただくということ。そして、当然、対面なりオンラインなりの形で、直接的なやり取り、こういった会議体の場もございますので、そういったものを通じて広報してまいりたいと思います。

 当然ながら、その効果というものをちゃんと受け止めもさせていただきながら、広報を積み重ねていくということをさせていただきたいと思います。

柳本委員 非常に重要な要素であるというふうに思います。まずは中身、おっしゃるとおりでございますけれども、我々も、今回のこの質疑を通じてしっかりと、分かったことを分かりやすく伝えていけるような努力に力を注いでいきたいと考えております。

 今回の一連の議論においては、全ての子供を公平に対象とする、あるいは、国を挙げて、連帯というワードが、私、個人的には心に残るわけであります。

 それぞれの施策実行に当たっては、地方公共団体、先ほどの広報もそうなんですけれども、やはり地方公共団体、自治体が窓口になることも数多くありまして、地域の特性を生かしたり、地域ごとで施策のありようが異なるということもあるのは理解できます。ただ、真に公平な支援策としていくためには、また、国全体として少子化対策としての効果を最大限に引き出すためには、所得によって対応が違うとか、自治体間での取組が違うということは基本的にはなくしていって、施策のベースは、ユニバーサルサービスというかナショナルミニマムというか、一定対応すべきことがベースとしてあるというふうに思うわけです。この点について、こども家庭庁の御所見をお伺いいたします。

小宮(義)政府参考人 お答えいたします。

 昨年末に取りまとめましたこども未来戦略におきましては、全国どの地域に暮らす若者そして子育て世代にとっても、経済的な不安がなく、良質な雇用環境の下で、将来展望を持って生活できるようにすることが重要であり、引き続き、地方創生に向けた取組を促進する。また、こうした取組と併せて、加速化プランにおいて、経済的支援の強化、子供、子育て支援の拡充、共働き、共育てを支える環境整備などを一体として進めるとしているところでございます。

 そして、加速化プランにおきましては、児童手当の抜本的拡充や高等教育の負担軽減、育児休業給付の充実といった、従来から全国一律で実施をしてきた施策の強化に加えまして、出産・子育て応援交付金の制度化、こども誰でも通園制度の創設のように、これまで各自治体が行う事業への補助の事業として実施してきた施策についても、全国一律の制度として法律に位置づけるものも盛り込んでございます。

 子供、子育て政策の強化は国と地方がまさに車の両輪となって取り組んでいくべきものであるということを十分踏まえまして、地方財源も含め、加速化プランの財源を確保しながら、まさに地方自治体とともに子供、子育て政策の強化の取組を支援してまいります。

柳本委員 財源問題もありますので、非常に難しいのはよく理解できます。ただ、この間、自治体などからは要望が出続けていること、複数あるんですね。たくさんあるんです。

 例えば、子供医療費助成制度などはもうほぼ全国の各自治体でやっているわけでありまして、昨日も議論がありましたが、ベースとなる部分は、例えば小中学校の医療費については、自治体に委ねるのではなくて国で対応すべきだというふうに私も考えます。また、小中学校の給食の無償化についても、コロナ禍を経て多くの自治体で実施している実情がありまして、一律で無償化という手法でないにしても、負担軽減策を国として対処すべきと考えているということを申し添えさせていただきます。

 その上で、先ほどの答弁の中で補助ではなく全国一律で給付という話もありました、こども誰でも通園制度について一点確認させていただきます。

 初めにちょっと制度概要をお聞かせいただこうと思ったんですけれども、時間の都合もありますし、この間、いろいろこの委員会でも議論は出ていますので概要についてはあえて確認をしませんが、子供を社会全体で子供の視点で育てていく、育ちの環境を整えていくということで、理念は非常にすばらしいというか、新しい時代に即したものであると考えます。子供の育ち、成長だけではなくて、事業を通じて親も保育施設も社会も成長していくような、共育ちの方向性を導いていただきたいと考えます。

 一方で、共育ちということになると、共に過ごす時間が長いからこそ共に育つわけであって、これも議論がありましたけれども、月十時間という上限設定については、試行を重ねながら検証してということではありますけれども、ちょっとやはり共育ちと言うには時間が短いかなというふうに思いますので、改善を図っていただくように求めておきます。

 一方で、当然のごとく乳幼児は一人一人異なるわけでありまして、食べ物のアレルギーや乾燥肌といった体質、よく寝る、よく泣くとか性格的なもの、一定の情報を把握していかなければ受け手となる保育施設は受けづらいであろうと思いますし、親の側も受け体制が万全でなければ心配になるわけですよね。しかし、余り様々な対応が求められるということになれば、受け入れる保育施設は少なくなって、結果として、制度はあるんだけれども預け先、選択肢がないということにもなりかねません。

 定期利用と自由利用という二パターンがあるようですけれども、特に自由利用のケースにおいては、ネットを通じて申し込んだけれども想定した状況と異なってトラブルになるというケースがあることは容易に想像されるわけです。

 試行を通じて令和八年の給付事業につなげていくという答弁は何度も聞いておりますけれども、保育園を始めとしての受入れ施設、また、施設における保育士をしっかり確保していくためには、どのような対策を取ろうとしているのか、お伺いをいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度の実施に当たって、子供の安全の確保、大前提でございます。アレルギーなど、子供の安全を確保するために必要不可欠な情報、これを事前に把握をしていくこと、非常に重要だと考えております。

 このため、国では一元的にシステムを構築することとしておりますけれども、このシステムの中で、保護者が事前にアレルギー等の情報を登録して、受入れ施設が子供のアレルギー等の情報を円滑に把握ができるように、そういった工夫をしていきたいというふうに考えております。

 また、事業実施に当たりまして、初回の面談を行ったり、あるいは親子通園も認めることにしておりますので、そういったことを活用して親子の様子を見たりする中で、初めて利用するお子さんの理解を得られるように、こういうふうな工夫についても考えていきたいと考えております。

 また、こども誰でも通園制度は、障害のあるお子さんも含めて、しっかり提供体制も進めていこうというふうにも考えてございます。

 こうした取組を通じまして、受入れ施設にとっても子供や保護者にとっても安心な制度となるように、引き続き、試行的事業の実施状況も踏まえながら検討を深めていきたいというふうに考えております。

柳本委員 ありがとうございます。

 こども誰でも通園制度だけではなくて、やはり保育園とか保育施設における保育士の人材確保、これはとても重要なんですね。今、処遇改善も含めて取り組んでいただいていますけれども、まだまだ厳しい状況があります。

 そんな中で、よく保育所関係の方々から御要望としてお聞きするのは、これは介護にも言えることなんですけれども、道を挟んで自治体が替わるだけで対応が変わるんだ、給与が変わるんだと。いわゆる地域区分の課題であります。この間、常に保育所などからも要望が出てくる課題ではありますのでこども家庭庁も認識していると思いますけれども、この地域間格差、是正すべく対処すべきと考えますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 子供、子育て支援制度では、公定価格の設定に当たりまして、民間の事業所の給与水準が地域によって差があることを反映するために、市町村ごとの地域区分を設けてございます。地域区分の設定におきましては、国家公務員や地方公務員の地域手当の支給割合の地域区分に準拠してございます。

 これは、全国的な制度である子供、子育て支援制度の性格上、統一的かつ客観的なルールである必要があるということですとか、介護分野などほかの社会保障分野でも導入されているものであることなどを踏まえて採用しているものでございます。

 一方、議員から御指摘いただきましたように、隣接する地域において公定価格の地域区分に差があることで、地域区分が低い地域においては人材確保が困難になるといった御指摘をかねてからいただいてございます。

 このため、これまでも、介護報酬における取扱いを踏まえながら累次の補正ルールの導入を行ってまいりました。さらに、令和六年度予算におきましては、現在の補正ルール適用後の地域区分を前提として、隣接する地域の状況に基づく補正ルールを新たに追加をしたところでございます。

 今後とも、公務員の地域手当の区分の見直しの動向ですとか介護報酬等の仕組みを踏まえて、地域区分の在り方の検討あるいは保育士確保策の総合的な取組を進めていきたいというふうに考えております。

柳本委員 補正を新たに設けていただいたということですけれども、それが実際に保育士確保に向けて実効ある形で機能しているか、その辺りの検証も含めて、その補正の在り方などについても、引き続き、現場の声を聞きながら改善を図っていただくようにお願いをいたします。

 続きまして、子供の居場所という視点で質問を何点かさせていただきます。

 社会全体で子供の生育環境をつくっていくという意味では、学校や家庭以外の第三の居場所というものの存在も非常に重要であります。また、不登校や引きこもり、孤独・孤立対策にもつながるものと考えます。

 国として子供の居場所づくりについてどのように考えているのか。昨年末に閣議決定された指針の概要を簡潔に御説明ください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の居場所づくりに関する基本的な事項や視点などにつきまして、地方自治体、学校、地域住民など、居場所づくりに関わる関係者に対して国としての考え方を示すため、こども大綱と併せまして、昨年末、こどもの居場所づくりに関する指針を閣議決定をいただいたところでございます。

 指針では、子供が過ごす場所や時間、人との関係性全てが子供の居場所になり得ること、その場を居場所と感じるかどうかは子供本人が決めるものであること、そして、子供の視点に立って、子供の意見を聞きながら居場所づくりを進めること。そういった中で、基本的な視点としては四点、多様な子供の居場所がつくられるように増やすこと、子供が居場所につながるようにつなげていくこと、子供にとってよい居場所となるように磨いていくこと、子供の居場所づくりを検証し振り返っていくこと、この四つの視点を基に進めていくということを取りまとめたところでございます。

 今後は、こどもの居場所づくり支援体制強化事業、これは昨年度、五年度の補正予算で確保しておりますが、こういった事業の中で、自治体の居場所の実態調査ですとか、居場所づくりのモデル事業ですとか、あるいはコーディネーターの配置への支援、こういったことを活用しながら、この指針に基づいた居場所づくりをしっかりと推進していきたいと考えております。

柳本委員 増やす、つながる、磨く、振り返るということで、四つの視点でということであります。

 その際には、振り返るというところに出ていますように、しっかりとそれぞれの地域において、現場においてといいますか、どういった子供たちのニーズ、思いがあるのかということをつかみ取っていただきながら事業を進めていただく必要があるかというふうに思います。

 第三の居場所づくりということでいいますと、日本財団の居場所づくり支援の取組として、常設ケアモデル、二〇二四年度においては包括ケアモデルとも言っているようなんですけれども、整理がなされているのかもしれません。

 日本財団の助成の下で居場所を私の地元で立ち上げて、実施している団体があるんです。しかしながら、この日本財団の助成というものが三年間で終わってしまいますので、それが終わってしまうと事業を継続できないというようなお声をいただきました。

 継続できないというような話をしていますと、実は行政サポートを求めておられたんですけれども、まさにこれに応えるものとして、国では令和三年度補正より児童育成支援拠点事業というものを実施しておりまして、令和六年度には事業を拡充をしているわけです。

 当該事業のニーズをどのように把握しているのか、事業の概要と併せてお聞きをいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御紹介いただきました児童育成支援拠点事業でございますけれども、令和四年の児童福祉法改正によりまして創設された事業でございます。家庭養育環境に課題を抱え、支援の必要性が高いお子さんに対して、安心して過ごすための居場所を提供し、学習支援や食事提供を行うほか、保護者への相談支援、あるいは市町村や児童相談所等関係機関との連携を図る、そういった事業でございます。改正法の施行自体はこの四月となってございますけれども、既に先行的に取組を実施するような自治体に対する支援も行ってきたところでございます。

 本事業は、子ども・子育て支援法における地域子ども・子育て支援事業に位置づけることで、市町村において計画的な整備をしていくこととしております。この四月に本格施行された事業であり、現状としてはまだまだ取り組む自治体は少ないものの、この制度化に伴いまして、市町村が策定をする第三期子ども・子育て支援事業計画におきまして、対象となる子供を適切に見積もっていただいた上で、必要な支援量を計画的に位置づけていただいて、計画を策定いただくように周知をしているところでございます。

 市町村が当該計画に基づいて提供体制を整えていけるように、市町村への財政支援やガイドラインの周知を通じて支援をしっかりと進めていきたいと考えております。

柳本委員 ありがとうございます。

 まだまだ件数は上がっていないようなんですけれども、私、ニーズはあるというふうに考えています。

 ただ、その一方で、今御説明いただきましたように、補助事業ということで、国は補助制度があるんだけれども、都道府県であるとか市町村であるとか、各自治体が取組をしないということであれば、結局、その事業の継続がままならないということになりかねないわけでありまして、先ほど御答弁いただきましたように、市町村に対してもしっかりとサポートを図っていくように引き続き求めておきたいというふうに思います。

 その上で、私、地元においては本当に様々な課題を抱えた子供たちがいます、家庭があります。それぞれ対応いただいている団体もあるわけですね。行政のサポートがあるかないかじゃなくて、目の前に困っている子供さんがいれば、困っている親がいれば何かやるんだという、非常に熱い思いを持って取り組んでいただいている方々がいることに対して、心から敬意を表し、感謝をする次第であります。

 例えば子供食堂なんかも、今全国的に認知されていますけれども、子供食堂なんて言葉が出る前からそういう事業を私の地元ではやり始めておりました。そういったことを考えますと、国の施策は少し遅れているというか、それぞれで、これから巻き起こるいろんなニーズを十分に把握し切れていない、ちょっと追いついていないようなところもあるかと思いますので、潜在的なニーズも的確に捉えて施策に反映していただくようにお願いをいたします。

 その上で、そういうこととも関わるヤングケアラー、最後お聞きしますが、ヤングケアラー支援については今回の法改正で明記することとなっておりますが、具体的に明記することで何が変わるんでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーに対する支援につきましては地方自治体間で問題意識や取組の格差が見られますが、その背景には、基礎自治体である市町村において、自らが実態を把握すべき課題と十分認識されていないことや、地方自治体内において支援体制ができていないこと等が見られます。

 これまで、法律上、ヤングケアラーに関する規定は設けられていませんでしたが、今回、子ども・若者育成支援推進法において国及び地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象にヤングケアラーを明記することで、地方自治体における問題意識や取組のばらつき等の解消につなげていきたいというふうに考えております。

柳本委員 今おっしゃった意味で全国的に広めていくということであれば、社会の中においても正しい理解を得るために広報、周知が必要であるというふうに考えます。ヤングケアラーについての情報共有についての考え方をお伺いいたします。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 支援対象となるヤングケアラーにつきましては、子供、若者一人一人の状況や受け止め等も踏まえまして、勉強や遊び等の時間が奪われ、負担が重い状態にあるかどうかを個別に見ていくべきと考えております。

 また、周囲の大人等がヤングケアラーについての理解を深め、子供が担っているケアの負担に気づき、必要な支援につなげることが重要です。このため、令和四年度から三年間をヤングケアラー認知度向上の集中取組期間とし、広く国民に周知しているところです。

 今回の法改正を機に、ヤングケアラーが家庭内の大変デリケートな部分に触れるものであることや本人の受け止めを丁寧に捉える必要があること、その上で、子供、若者として必要な時間が確保されるよう、こども家庭センターのサポートプラン等を通じた支援を行い得ることなどについて、周囲の大人等が適切に御理解いただいた上で、子供、若者本人の気づきを促すことにも留意しながら、本人に寄り添った姿勢の下で支援につなげていくことが可能となるよう、改めて丁寧な広報啓発に努めていきたいというふうに考えております。

柳本委員 よろしくお願いします。

 実際、自身がヤングケアラーでありながらその認識がない子供が少なからずいるというふうに言われています。支援対象とするヤングケアラーを特定するのはなかなか難しい。先ほどデリケートとおっしゃっていましたけれども、まさにそのとおりでありまして、行政の介入でかえって家族を分断するようなことになってもならないというふうに思いますので、そういう視点も踏まえていただきながら、まずもっては正しい理解を広めていただくようにお願いをし、その上で支援策へとつなげていただきたいということを要望させていただきます。

 以上で私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 冒頭、一問だけ、支援金についてお伺いをいたします。

 先般も所信の質疑の方で大臣の方にはお伺いをしておりますけれども、今回政府は、現在各個人が払っておられる医療保険料額の四から五%程度の額になるというイメージを示していただきました。

 この支援金、金額ばかりに焦点が当たっておりますけれども、やはり金額は独り歩きしやすいなと。他方で、このパーセンテージは、私も以前の所信で要望させていただいた角度でありますけれども、当然、国民一人一人が自分に置き換えて捉えやすいものであります。給与明細の法定控除を御覧になっていただいて、まあ、今はスマホにカルキュレーターも、計算機もついていますので。

 そういう意味で、今日は、政府には、今後いろいろ、様々御要望もあって御対応いただくということでありますけれども、平均の金額よりもパーセンテージによる端的な御説明をいただいた方がよろしいのではないかという、これは一点提案を申し上げたいというふうに思います。

 そこで、改めてになりますけれども、この四%から五%、各医療保険制度によって異なるわけでありますけれども、それぞれ何%程度かということを御答弁いただいて、また、この数値でありますけれども、パーセンテージ、あくまでこれは現時点の想定でありまして、今後、今政府が総力を挙げて進める賃上げ、これが更に進めばどう変化し得るのか、御見解をいただきたいと思っております。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 支援金の金額につきましては、加入者一人当たりの平均額ということでお示しをしつつ、医療保険料額との比較というものを挙げさせていただきました。これによってイメージがしやすくなるだろうということでございます。

 今申し上げました割合につきましては、全体では四・七%、医療保険料額が令和三年度の実績、これに対する令和十年度の支援金の四百五十円という金額、この割合が四・七%でございます。制度ごとに見ますと、被用者保険では四・五%程度、国民健康保険では五・三%程度、後期高齢者医療制度では五・三%程度と、おおむね四%から五%の範囲内となってございます。もちろん、現状の医療保険料額というのは現状の投影でありまして、支援金額の方は理論値となりますので、そういった点では多少のぶれというものはあろうかと思います。

 今後これがどうなるのかということにつきましては、今申し上げましたように、医療保険料額は令和三年度の実績でございます。通常、一般的には医療保険というのが上昇基調にございますので、そういう意味で、医療費が増えていきますと医療保険料額が増えていき、それに対する支援金の率、割合というものは減っていくということはあろうかと思います。

 他方、賃金の関係で申し上げますと、これは医療保険料の額に対して支援金の額が幾らかということですので、ダイレクトには、賃上げということによって割合の低下といったものはなかろうかと思います。

 他方、支援金の医療保険料の額に対する割合ではなくて、先生少しおっしゃられましたのは、支援金の率ということでおっしゃった部分があったかと思いますので、支援金の率、すなわち賃金あるいは報酬に対する支援金の額、この割合、比率につきましては、賃上げが進めば当然ながら下がっていく傾向になるだろうというふうに考えてございます。

河西委員 御答弁ありがとうございました。

 成長と再分配の好循環という観点でも今のことは捉まえられるだろうというふうに思いますし、やはり、経済成長をしっかり進めていくことが社会保障の制度の維持にも非常に資するということを理解をさせていただきました。

 ここからは給付の議論に移りたいというふうに思います。

 最初に、こども誰でも通園制度であります。

 私も、こども家庭庁設置法またこども基本法時代に当時の内閣委員会で取り上げさせていただきまして、今回制度化をしていただけるということで、高く評価をさせていただきたいと思っております。

 その上で、現在のモデル事業、これまでも議論があるところでありますが、補助基準上、一人当たりの月十時間の上限があるということで、足りないんじゃないかというような御意見もあるわけでございます。その上で、全自治体で実施する令和八年度から、この利用枠が月十時間以上のどこかでピン留めをされるという方針であると理解をしております。

 今日は、一点、この利用枠の拡大の戦略的前倒しを御提案申し上げたいと思っております。

 例えば、これは私も地元の区議さんと連携して進めてきておりますけれども、東京都の文京区、報道にもなっておりますが、昨年度は二園でモデル事業を実施をしましたが、三十人の枠に約百八十人が殺到されて、今年度からは十一園に拡大をしております。あわせて、行政の目が現場に届くようにということで、自治体側の体制強化も同時に進めておられるということであります。

 つまり、ニーズに対してどこまで提供体制、これは自治体側も含めて、また現場も含めて、確保できるかということが焦点になってくるわけであります。

 こういった状況を見ますと、この月十時間の上限でありますが、全国一律で設けて令和八年度からいわばがらっと変えていくというよりかは、そもそもこの制度はニーズが高い地域に活用してもらう側面が強いというふうに思いますので、こうした自治体には、提供体制の確保、また、今申し上げた行政側の体制の強化、これを自主性と計画性を持って早めに着手してもらえるように、助走期間的なイメージで、当然モデル事業の状況を踏まえるのは前提でありますけれども、でき得る限りこの補助基準上の月十時間の利用枠拡大を、戦略的に、また柔軟性を持って前倒しをしていただいた方が、結果としてより質の高いサービスを早期に提供できるのではないか、こう考えるわけでありますけれども、御見解をいただきたいと思っております。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度、これを制度化した際の上限時間については、今年度から月十時間を上限として実施をしている試行的事業の状況や、全国的な提供体制の確保状況を踏まえながら、都市部を含め、全国の自治体で提供体制を確保できるかといった観点から今後検討していく必要があると思っております。

 また、利用時間の上乗せの実施、あるいは柔軟な制度設計、こういったことの御指摘を今いただきましたけれども、実は、昨年、こども誰でも通園制度に関する検討会を開催してございました。この検討会の中で、自治体によっては定員に空きが生じている地域、様々な実情があるということで、上限を柔軟に増やしてもよいのではないか、こういった意見がございました。また一方で、全国の自治体において、対象となる全ての子供が利用できる制度、こういったことを目指していくということから、全国で実施することが可能な上限設定をするということがあくまでも最優先ではないかというふうな御意見もございました。

 このため、こども誰でも通園制度は、全国の市町村で実施をする給付制度とすることを前提としながら、自治体によって地域差が生じるということについてどのように考えていくのかといった論点も、試行的な事業を進めながら検証を重ねていきたいというふうに考えております。

 また、その際、例えば自治体の判断で利用時間数の上乗せを認めるということも考えられるわけでありますけれども、その場合に、自治体の判断で上乗せをした場合に、国による上乗せの補助ができるのかどうかといった、こういった論点も、全国で実施する給付制度であるということも前提にしながら、本格実施に向けて検討を深めていきたいというふうに考えております。

河西委員 ありがとうございます。全ての子供に提供していくということでありました。

 ただ、月十時間を超えるところのニーズにどう応えていくのか。当然、提供体制の確保が前提になりますけれども、是非そういったことも踏まえながら、様々課題があることは承知をしております、議論を深めていただくということでありましたので、是非これは期待をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、産後ケア事業についてお伺いをいたします。

 これは、母子保健法の改正で、令和三年度から自治体の努力義務になりました。令和四年度時点で約八四%の一千四百六十二の市区町村が実施をされているわけでありますが、その上で、利用率、これは受皿との関係が密接にあるわけでありますけれども、政府として、この産後ケア事業の利用をめぐる課題認識をお伺いいたしたいのと、今回の法改正によって、国が定める基本指針、その下で都道府県や市区町村が事業計画作成を、地元と、あと広域的に、これを義務づけるということでありますけれども、この狙いについて、まずお伺いをしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 産後ケア事業につきましては、令和四年度の時点で、全市町村の約八四%に当たる千四百六十二市町村で実施をされており、令和五年度からは、全ての産婦さんに対して利用料の減免支援を導入するとともに、対象者を産後ケアが必要な者というふうに改めまして、本事業がユニバーサルな支援サービスであるということを明確化したところでございます。

 一方で、全ての産婦の方のうちで本事業を実際に利用した産婦の利用率で見ますと、令和四年度時点で約一割にとどまっているということ、また、取組状況につきまして自治体間でかなり差があるということも事実でございます。必要な方にサービスが提供されるように、提供体制の確保をしっかり進めていく必要があると課題認識をしてございます。

 このため、今回は、まずは、小規模な自治体においても委託先が確保できるように、都道府県における広域的な調整を支援するために、管内の市町村や関係団体が参加をする協議会の開催費用における財政的な支援、補助を行うとともに、改正法案におきましては、本事業を地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、国、都道府県、市町村の役割分担を明確にした上で、計画的な提供体制の整備を進めていくこととしてございます。

 具体的には、委員から御指摘、御紹介いただきましたように、まず国において基本方針を定めた上で、各都道府県において、量の見込み、提供体制の確保の内容、市町村の区域を越えた広域調整、こういった事項を定めた計画を策定することで、産後ケア事業の提供体制の整備をしっかりと進めていくということとしております。国としても、こういった計画的な整備、支援を進めていきたいと考えております。

河西委員 今、局長から、課題認識はやはり提供体制の確保であるという御答弁がありました。

 この提供体制でありますが、特に、我が党も都内でも各自治体で相当頑張って先進的に取り組んできた自負が実はございます。

 そういった、中野とか世田谷なんですけれども、お話を伺いまして、一点、今日は大臣に御答弁をいただきたい点がありまして、こういった精力的に取り組んできた自治体からすると、これはあくまで御懸念というか杞憂だと思うんですが、例えば、産後ケア事業以外の家事支援も含む産後ドゥーラ、これは中野ですね、これは提供体制の確保とか人材育成の、独自に本当にいろいろな工夫をして生み育ててきた、やはり思いがあられます。あと、様々な予算をかき集めて産後ケア事業を育ててきた自治体もおられるということで。

 今回の法改正によって、制度面とか予算面で制約が増えてしまって自治体独自の取組が、そういう実現されてきたサービスの質が損なわれてしまうんではないかという御懸念があるわけでありますけれども、是非これに対する御見解を確認をさせていただきたいというふうに思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 産後ケア事業は、ケアの質の向上を図りつつ、各自治体の創意工夫の下、地域の実情等も踏まえて進めていくことが重要と認識しており、現在、各自治体において産後ケア事業における質の向上等の取組を進めていただいているものと承知をしてございます。

 今回の法案における改正内容は、国、都道府県、市町村の役割を明確化することで、産後ケア事業の計画的な受皿の拡大を図ることとしたものでありまして、産後ケア事業に関して新たな行政上の規制を設けるものではありません。

 その上で、こども家庭庁としましては、昨年度、各事業者における産後ケアの内容や質の向上に関する取組を把握するため、調査研究を実施をしたところでございます。今後は、その結果を基に産後ケア事業ガイドラインの見直しを行い、質の向上等に関する取組の各自治体への横展開などをしっかりと行ってまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 質の方は、あくまで横展開で、むしろ、柔軟性を持っていろいろと好事例を参考に各自治体でその力を発揮をしていただく。私もレクで伺っているのは、この基本方針ですとか事業計画というのは、やはり、先ほど提供体制の課題認識がありましたので、そこの部分にこの重点を置いているということもありますので、これも付言をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、ヤングケアラー支援についてお伺いをさせていただきます。

 これも、我が党の参議院議員でありますが、兵庫県選出の伊藤孝江さんが精力的に取り組んでおられる分野にもなります。

 今回の法改正で、子ども・若者育成支援推進法にこのヤングケアラーの支援が明記をされます。法律案では、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義をされております。

 お伺いしたいのは、過度であると誰がどのような物差しで気づくことを想定をしておられるのか、政府の御見解をいただきたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーの定義における「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」であるかは、一人一人の子供、若者の客観的な状況や主観的な受け止め等も踏まえて、勉強や遊び等、子供、若者としての健やかな成長、発達や自立に向けた準備等に必要な時間が奪われ、負担が重い状態にあるかどうかを個別に見ていくべきものと考えております。

 このため、学校を始めとするヤングケアラーに気づく機会のある周囲の大人の方々には、こうした子供、若者自身の受け止めや、担っているケアによって子供、若者として必要な時間が奪われている状況にあるかどうか等に着眼いただき、心配される場合には、子供、若者の心情に寄り添いながら、市町村のこども家庭センターにつないでいただけるよう、関係者の理解の醸成、周知に努めてまいりたいというふうに考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 過度であると周囲の大人が気づくケースとして、例えば学校の先生なども想定をされるというふうに思っておりますけれども、ヤングケアラーの特徴として、やはりそもそも、当事者に自覚があられないこともあるんだろうというふうに思いますし、また、その自覚がないにもかかわらず、ほかの大人とかからヤングケアラーだよねというふうに言われたり認められたりすることへの抵抗感は、これはやはりあるんだろうというふうに思っております。

 ですので、法律に位置づけるんですが、今回のいろいろな政策の中で、非常に難しい政策だというふうにも思っております。

 大臣にその上でお伺いしたいんですが、そういったことを踏まえて、国や自治体は、ヤングケアラー当事者の方々を支える側の人々に、ヤングケアラーに関する適切な理解、また、何より私、今日、強調したいのは、当事者に接する際の適切な姿勢、これが大事だと思っておりますが、どう周知啓発を行っていくのか、お考えをいただきたいと思っております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ヤングケアラーへの支援を進めていくためには、周囲の大人等が理解を深め、また、家庭において子供が担っている家事や家族のケアの負担に気づき、必要な支援につなげることが重要です。このため、令和四年度から三年間をヤングケアラー認知度向上の集中取組期間として、広く国民に周知をしているところでございます。

 ヤングケアラーの支援に向けた社会の理解醸成のためには、ヤングケアラーと認識されることに対する子供、若者自身の複雑な心情等にも十分配慮することが重要です。これまでも、元ヤングケアラーの方々の声を通して、子供の気持ちに寄り添うことの大切さや、大人の勢いに任せず、子供を焦らせないことなどを紹介するなど、丁寧な発信を心がけてまいりました。

 今回の法改正を機に、ヤングケアラーが家庭内の大変デリケートな面に関わるものであることや本人の受け止めを丁寧に捉える必要があること、その上で、子供、若者として必要な時間が確保されるよう、こども家庭センターのサポートプラン等を通じた支援が行い得ることなどについて、周囲の大人等に適切に御理解をいただいた上で、当事者に寄り添った姿勢の下で支援につなげていくことが可能となるよう、改めて丁寧な広報啓発に取り組んでまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 これはやはり、単に法律に位置づければいいということではなくて、支える側の人格、見識、そしてその上で、信頼関係がどう醸成されるかということが最後は本当に大事になってくると思いますので、是非お取組をお伺いしたいと思います。

 最後、一分程度、一問だけお伺いいたします。ちょっと二問飛ばさせていただいて、妊婦支援給付金について端的にお伺いをいたします。

 これは、公明党の提案で、令和四年度の第二次補正で、出産・子育て応援交付金、これを法定化するもので、これも高く評価をしたいと思います。

 その上で、法定化するに当たって、給付金の支払い方法なんですが、一部自治体でクーポン形式で進めてきた、これが今回、除外をされるものではないんですが、また、この必要性も私、内閣委員会で取り上げてきましたが、政府は今回、現金など確実な支払い方法とする、こういう方針を示したわけでありますけれども、こういうふうになった政府のお考えについて、最後、お伺いをしたいというふうに思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度補正予算から開始をいたしました出産・子育て応援交付金につきまして、継続的な事業の実施を確実なものとするため、今回、この法案において制度化を図ることとしております。

 具体的には、計十万円相当の経済的支援について、確実に給付金を受給できるように、子ども・子育て支援法の新たな個人給付、妊婦のための支援給付として位置づけることとしております。

 このため、市町村は、法律で定められた金額を着実に支給する必要がございますので、紛争の未然防止や事務の確実、効率的な実施の観点から、この支払い方法を法令上、現金その他確実な支払いの方法を定めることとしてございます。

 ただ一方、給付金を確実に子供のために充てていただくということは非常に望ましいことでもございます。したがいまして、市町村において、希望者が、支給された給付金を子育ての関係の費用としてクーポンなどで受け取れるようにするということは今後も可能でございますし、これまで同様、こうした方法は、給付金の趣旨に沿った形での利用を促進する観点から望ましいと考えております。

 国としても、好事例の周知や事務費の支援などにより引き続き後押しをしてまいります。

河西委員 時間が参りました。

 これはデジタルガバメントの今後の強力な推進も必要なんだろうということを最後に付言をいたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 私は、この法律に関する質問は初めてなものですから、基本的な考え方と財源のつくり方について政府の考えをただしてまいりたいと思いますので、加藤大臣始め、答弁は簡潔にお答えいただきたいと思っています。

 まず、子供、子育て政策の基本的な考え方についてであります。

 一つ目は、政府は、少子化が、我が国が直面する最大の危機だと本当に本気で考えているのかというのを加藤大臣からお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化は、我が国が直面する最大の危機であると認識をしてございます。

 二〇二二年には、生まれた子供の数は約七十七万人と、統計を開始した一八九九年以来最低の数字となり、合計特殊出生率は一・二六と過去最低となりました。さらには、最近は少子化のスピードが加速しており、出生数が初めて百万人を割り込んだのは二〇一六年でしたが、二〇一九年に九十万人、二〇二二年に八十万人を割り込んでいます。

 こうした中で、過去の年間の出生者数を見ますと、二〇〇〇年代に入るまでは百二十万人程度で推移していましたが、その後急速に減少しています。減少した世代が三十代を迎える二〇三〇年代に入りますと若年人口は急減することが見込まれていますので、三〇年代に入るまでが少子化傾向を反転させるラストチャンスという認識、この認識を皆さんと共有しつつ、今回、こども未来戦略により、これまでにない規模の対策を進めていくことといたしました。

福田(昭)委員 加藤大臣、短くていいですよ。そんな長い答弁は要りません。

 私から申し上げれば、岸田総理が増税眼鏡とやゆされても、医療保険の目的外使用による支援金制度をつくったり、そんなことをしないで、確かな税財源をちゃんと確保して取り組むというのが、やはり本気度を示すということなんじゃないですか。そうすれば、こんな訳の分からない仕組みで国民の皆さんが不安に思うことなんかないですよ。だから、本気でやるんだったら、きちっと税財源を確保してやる、それが私は、それこそ異次元の子供、子育て政策だと思いますよ、少子化対策だと思いますよ。

 それでは、二つ目と三つ目、まとめて聞きますけれども、政府は少子化を止められなかった原因はどこにあったと認識しているのか、それから三つ目、少子化が止まらない、婚姻率低下の原因はどこにあると認識しているのか、二つ併せて、短く答えてください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 少子化を止められなかった原因ということでございます。

 出生数の減少、これの要因は三つあると考えておりまして、女性人口の減少、それから未婚化、晩婚化、そして夫婦の持つ子供の数の減少、これがあると考えております。

 その背景には様々ございますが、短くお答えいたしますが、経済的な不安定さや出会いの機会の減少、また子育ての両立の難しさやワンオペ育児の実態、また子育てに係る費用の負担、それから年齢や健康上の理由などありまして、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む要因が複雑に絡まって、いまだ多くの方の希望の実現に至っていない、このように認識しております。

福田(昭)委員 大臣が答えた話は、どっちかというと現象的な話なんだ。そうじゃなくて、根本的な原因はどこにあったということなんだけれども。

 この後の質問でも聞きますけれども、一番は、やはり、労働者派遣法を作って非正規雇用者をどんどん増やしていったこと、賃金の安い労働者をどんどんつくっていったこと、これが一つの大きな原因ですよ。さらに、そうした人たちが結局、皆さんの未来戦略にもあるように、経済的な保障がない、身分保障もない、経済的な収入、給料も少ない、こういうことがやはり一番大きな原因だった。

 更に加えて、消費税をつくってから格差がどんどん拡大してしまった。だから、消費税は本当に、税率を上げれば必ず物価が上がって景気を悪化させる、こういう特徴を持っていますから、そういった意味で、実は、なかなか結婚するという人たちが出てこなくなってしまったというような状況だと思います。

 それでは、次、四つ目ですけれども、少子化を止められなかった原因の一つ、非正規雇用の問題をどのように解決しようとしているのか。この未来戦略の中でも触れているようでありますが、どのようにこれを解決しようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 若い世代の所得向上を通じた少子化対策の観点からも、希望する方の正社員への転換や、非正規雇用労働者の処遇改善を進めることが重要だと考えてございます。

 正社員として働くことを希望する方々の正社員への転換を進めるために、正社員への転換に取り組む事業主への助成金による支援、また、在職中の非正規雇用労働者に対するリスキリング支援、さらに、ハローワークにおけます正社員就職に向けた担当者制によるきめ細かな就職支援により、正社員への転換を進めていきたいというふうに考えてございます。

 また、自らのライフスタイルに合わせましてパートタイムや有期雇用などで働く方についても、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金の遵守の徹底などによりまして、非正規雇用労働者の処遇改善を進めてまいりたい、このように考えてございます。

福田(昭)委員 そうしたらば、非正規雇用をなくすような法律改正などはしないんですか。そういうふうに非正規雇用を減らした、正規雇用にしたところに補助金を出す、その程度の政策なんですか。ちゃんと法律できちっと、それは駄目よと決めるような、そういう考えはないんですか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、今ほど申し上げましたように、正社員転換に取り組む事業主への助成金や、それからリスキリング、ハローワークによる支援によりまして、正社員への転換を進めるといったことにまずは取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 抜本的な異次元の少子化対策というんだったら、それじゃ、簡単に三年間で、ちゃんと加速化プランの中で、こんなこと、そんな実現しませんよ。

 それで、五番目の、いわゆる年収の壁、百六万、百三十万円を、なぜ、加速化プランの中で解消して、共働き、共育てを実現しよう、そういうプランになっていないのか。どうしてなんですかね。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる年収の壁に対しては、御指摘の加速化プランにおいて、昨年十月から開始している年収の壁・支援強化パッケージの実行に加えて、制度の見直しに取り組むことをお示ししているところでございます。

 被用者保険の更なる適用拡大などの制度の見直しを行うに当たりましては、保険料を負担する労働者や事業主などの納得感がある仕組みとする必要があると考えておりまして、現在、社会保障審議会年金部会において議論を行っているところでございます。

福田(昭)委員 そうした検討が済んだら、三年間の中で解決する、そういう強い意思がないと駄目なんじゃないの、基本的に。だって、今、それこそ日本のフルタイムで働いている人たちは四五%しかいないというんだよね。それ以外の人はフルタイムで働いていないんですよ。これだけ少子化が進んで働き手がいなくなった中で、それこそ少子化を止めるとしたらば、一番大きなのは経済的な理由だということなんでしょう。しかも、社会保障もしっかり安定させるということを考えれば、やはり今は日本でも、男性も女性も働ける人は働いてもらう、それぐらいの抜本的な改革をしないとなかなか難しいと思いますよ。

 実際、現場では、実は働く人も雇用主も、最低賃金を上げてくれたのはうれしかったけれども、しかし、それでパートタイムで働く人たちが勤務時間を減らしちゃって、人手不足が一層促進された。これは働く人もそうですよ。この壁があるために働く時間を減らさざるを得なかった。雇用主の方は逆に、あれ、困っちゃったと。そういうことを、現場ではそういう話をしています。ですから、こういう問題は一気に、やはり三年間のうちに解決するということが必要だと思いますよ。

 それでは、次へ、時間がありますので、六つ目です。従来とは次元の異なる少子化対策というなら、子育て世代への負担が最も大きい消費税が少子化問題を悪化させた。非正規雇用が少子化問題を引き起こし、そして、この消費税が、実は子育て世代への負担が最も大きいんですよ。これが、これを悪化させた。

 なぜ消費税率を引き下げようとしないのか。財務省ですか、ちょっとお答えください。

小宮(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税につきましては、急速な高齢化等に伴い年々増加する社会保障給付費の財源確保が課題となる中で、全世代型社会保障制度を支える重要な財源として位置づけられていることから、政府としては、その引下げを行うことは適当でないと考えているところでございます。

福田(昭)委員 審議官、消費税が一番経済成長を阻害する。だから、そういう意味では、これを全世代型社会保障の財源に充てるというのは根本的に間違っている。

 基本的に、なぜ子育て世代が負担が大きいかというのは分かるでしょう。子育て世代はみんな扶養家族を持っているんですよ、扶養家族。ということは、自分の分だけじゃない、扶養家族の分も消費税を払っているの。だから、扶養家族が三人いれば自分も含めて四人分、五人いれば五人分を払っているんですよ。

 だから、本当に、それこそ元大蔵官僚の先生が言っているんだけれども、働く世代に偏らない、いい税金だと言っているの、消費税を。これはうそっぱちなの、うそっぱち。だから、こういう考え方で全世代型の社会保障の財源に消費税を充てるというのは大きな財務省の間違い。間違いですよ。そこをよく認識した方がいいと思います。

 次、七つ目へ行きますけれども、従来とは次元の異なる少子化対策というのに、こども未来戦略は、なぜ子供のいる人を対象に政策のスタートラインにしたんですか。子供のいない人についての政策、具体的政策が何もないじゃないですか。ありますか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 昨年末にまとめたこども未来戦略は、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てできる社会を目指し、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援するという三つの理念の実現を掲げております。

 つまり、まだ結婚していない若い世代も対象として策定したものでございまして、子供のいる人のみを対象にしたものではありません。

福田(昭)委員 大臣、だったら、さっき言ったように、非正規雇用をなくすとか、ちゃんと安心して働ける環境をつくって、給料もちゃんともらえる、身分保障もしてもらえる、そういう立場に若者をしなかったら、結婚したくたって結婚できないじゃないですか。例えば、年収二百万の非正規雇用の人が男性だったら、女性に結婚してくださいとなかなか言いにくいよね。女性は、じゃ、嫌ですよ、そういうふうになっちゃうかもしれない。

 だから、これは、こういう問題を抜本的に解決しないと、実は結婚というのはなかなか進まないんですよ。そこが抜けているのが、この少子化対策の駄目なポイントといったら駄目なところだよね。

 では、次に行きます。次は、子供、子育て政策の強化、加速化プラン、三・六兆円の財源の確保についてお伺いをいたします。

 まず一つ目は、子供、子育て予算は、政府が進めている人への投資の一部、一環と位置づけているのかどうか、大臣からお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員の御質問の趣旨は、子供、子育て政策に予算を投入して政策を強化することについてと捉えてございますけれども、子供、子育て政策を強化することは、子供や若者、子育て当事者の幸福追求において非常に重要であるとともに、その結果として、少子化、人口減少の流れを大きく変えるとともに、未来を担う人材を社会全体で育み、社会経済の持続可能性を高めることにつながるものと認識をしてございます。

 そのような意味で、人への投資、未来への投資として、子供、子育て政策を強化していくことが重要であると考えております。

福田(昭)委員 昨日、質問レクで聞いたら、子供、子育て予算は人への投資と位置づけられていないんだという話なんだけれども、答弁が変わったけれども、いいのかな、大臣の言うとおりで。どっちなの。いいの。じゃ、そういうふうに位置づけるんだったら、これから私の話がつながっていくんだけれどもね。

 それでは、二つ目ですけれども、二つ目は、二〇二八年度までに歳出改革の徹底と。具体的には、医療、介護等の社会保障費の節減効果で一・一兆円、医療、介護等の社会保険負担軽減効果で一・五兆円、合わせて二・六兆円の財源を生み出すということでありますけれども、これで、被保険者に実質的に負担をかけずに、医療、介護のサービスを低下させずに実現できるのか、こういう話であります。

 特に、最近の訪問介護制度の改革で、訪問介護の基本報酬の引下げというのが厚労省の方から打ち出されました。これについては、現場から、あるいは施設の経営者から物すごい反発が出ております。これでは、団塊の世代が全て八十五歳になる二〇三五年までには、制度あってサービスなしとなってしまうおそれがあるということで、大変な心配がなされております。

 本当に、こうした医療や介護などの改革で財源を捻出する、これは大丈夫なんですか。小泉・竹中構造改革のときに、医療費を毎年二千二百億ずつ削減して、救急車がたらい回しという事件がありましたけれども、今度は、介護サービスを受ける人たちが、たらい回しどころじゃない、どこへも入れない、どんなサービスも受けられないという時代が来ちゃいますよ、このままだと。いかがですか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年末に閣議決定いたしました改革工程におきましては、この歳出改革に関わるものといたしまして、負担能力に応じた全世代の支え合いの観点から検討する種々の見直し項目ですとか、あるいは医療DXなど医療提供体制の効率化、介護分野におけるICTの活用など、幅広いメニューが列挙されているところでございます。

 これらにつきましては、社会保障の持続可能性を高めて全世代型社会保障を構築する観点から盛り込まれているものでございますけれども、こうして盛り込まれました検討項目の中から、実際に取組を検討、実施をしていくことになります。その際には、必要な保障が欠けることのないように、見直しによって生じる影響を考慮しながら丁寧に検討していくこととなるというふうに考えております。

 先ほど介護報酬改定についての御質問がございました。これにつきましては、例えば厚生労働委員会における議論でも、今回の改定の趣旨等を御説明申し上げているところでございますけれども、こうした個々の項目の与える影響等を今後の見直しのメニューの検討に当たってもよく考慮しながら検討していくということで考えております。

福田(昭)委員 現場の声は届いているんでしょうね。訪問介護の基本報酬を引き下げたことによって、もう大変今大騒ぎをしております。

 それでは、三つ目。少子化対策の財源として、消費税を含めた新たな税負担は考えない、こう明記してあるんですが、どうしてこういうことになったのか、お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の子供、子育て予算の財源確保に当たりましては、現下の経済状況や財政状況を踏まえ、消費税を含め増税という手法は取らずに、歳出改革によることを原則とし、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただくこととしました。

福田(昭)委員 支援金制度について、先日、山井委員も日経新聞の社説を紹介いたしましたけれども、実は、私の地元の下野新聞の社説でも、子育て支援金、負担増を隠し続けるのかということで、本当は負担増でしょうということを、多分これは、共同通信が配信していますから、全国の地方紙に書いていますよ、社説で。ですから、本当に、やはりこういう国民だましはやめた方がいいと思います。

 四つ目ですけれども、消費税法には、消費税は子供、年金、医療、介護の四経費に充てると書いてあるのに、今回は、なぜ消費税率を引き上げて三・六兆円を確保しようとしなかったのか。これは財務省にお答えをいただきたい。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、消費税法におきましては、「消費税の収入については、地方交付税法に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるもの」とされております。ただ、消費税法には、年金、医療、介護、少子化対策の財源を必ず消費税のみに求めることを規定したものではございませんで、その時々の社会経済状況を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべきものと考えております。

 今般の子供、子育て政策の抜本的拡充につきましては、現在の経済状況や財政状況を踏まえまして、増税や国債発行ではなく、歳出改革等により確保することを原則といたしまして、公費節減により財源を捻出するとともに社会保険料負担軽減を図り、その範囲内で支援金制度を構築するとしたものでございます。

福田(昭)委員 岸田総理がやはり、故元安倍総理が消費税を一〇%に上げたときの記者会見で記者たちに問われて、一〇%以上、いつ上げるんですかと言ったら、もうしばらく上げる必要がありません、十年ぐらい上げる必要がありません、そういうふうに宣言したのを岸田総理も引き継いでいるので、とてもとても消費税を充てるというふうにはできなかったんじゃないかと思っていますが。

 ここで、今国債の話が出ましたから国債について、通告していませんけれども、是非、財務省の考えをお聞きしたいと思っております。

 国債、今、この後も数字が出てくるんですが、国と地方で、この三月末で千二百八十五兆円の公的債務を抱えることになったわけですが、決算はどうなっていくかまだ分かりませんけれども、この国債は、これは国民の借金なんですか。財務省が、一人当たり一千万の借金だ、大変だ大変だ、財政赤字だ財政赤字だ、財政健全化が必要だ、こう喧伝をしておりますけれども、これは子供や孫たちへの借金のツケ回しですか。お答えください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 財政赤字につきましては、私どもの認識といたしましては、少なくともどこかでは、六十年をかけて償還をしてまいらなければなりませんので、これは国民経済で必ずや償還しなければなりませんので、国の信用としてもそうでございますので、国民経済全体といたしましては、将来世代への借金、ツケの先送りだという認識でおります。(発言する者あり)

福田(昭)委員 本当だ。違うぞ。国、政府は借金だよ、債務者だよ。でも、国民は債権者だよ。だから、日本の財政が破綻しない限りは、子や孫たちへの財産の実は引継ぎだよ、相続だよ。そういううその答弁も駄目だけれども、そういうことを新聞やマスコミに書かせちゃ駄目。財務省がこういううそをついているから、日本の経済も財政も駄目になったんだから、それは正しなさいよ、ちゃんと。自民党の皆さんからも、本当かいと声が出ているじゃない。今、この後も言いますけれども、しっかりそこはちゃんとしないと駄目ですよ。

 それで、その後、五番目の子ども・子育て特例公債、これについての返済金は支援金を充てるという話なので、これは省略します、時間の関係で。

 その次に行きます。括弧六、国家百年の大計は教育にあり。子供、子育て予算は人への投資と、加藤大臣、そういうふうに答えていただきましたけれども、子供、子育て予算が人への投資だということであれば、子ども・子育て支援特例公債で対応したらいいんじゃないですか。どうですか。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、子ども・子育て支援特例公債でございますが、これは、賃上げなど経済成長の実現に先行して取り組みながら、歳出改革の積み上げ等を待つことなく、前倒しして速やかに少子化対策を実施する、そのためのものでございます。

 二〇二八年度にかけて支援金制度が構築されますが、そうした安定財源を確保するまでのつなぎとして、この特例公債を発行することといたしております。

福田(昭)委員 それはよく分かっていますよ、つなぎで出したというのは。でも、今これから、ちゃんと申し上げますから。日本の国は、いっぱいお金を持っているんです。まだまだ財政破綻もしないから、国債発行をする余裕もある。だから、今それをこれからお知らせしますが、よろしいですか。

 実は、日本が今持っている金融資産、これは何と、この間日銀から答えてもらいましたけれども、九千五百兆円。気の遠くなるような、巨大な、莫大なお金を持っています。個人も、法人企業も、あるいは政府も、いろいろな団体とか合わせると、九千五百兆円を超えるような、大変な、巨額な金融資産を持っています。

 一方、先ほど申し上げたように、国と地方の公的債務残高は千二百八十五兆円になりました。しかし、日本の諸外国との経常収支、これは四十年黒字です、一九八〇年から。そういった意味で、発行している国債は、全て円建てで発行しています。ですから、簡単に財政破綻しないんですよね。だから、いまだに財政赤字で大変だ大変だといっても、国債をちゃんと発行できているじゃないですか。国債は、これは国民の借金じゃないんだから。政府、国の借金なんだ。だから、国債発行はまだできる。

 例えば、子供の予算、これは三・六兆円だけれども、これを、例えば七年間だと二十五・二兆円、三・六兆円を仮に十年間やったとしても、三十六兆円の子ども・子育て支援特例債で済んじゃうんですよ。そうしたら、役人の皆さん、こども家庭庁の皆さんだか厚労省なんだか知らないけれども、この複雑な支援金制度をつくって、しかも、健康保険の目的を逸脱したような支援金制度をつくったりして、国民に分かりにくい。

 国民の人たちが一人一人分かるのは、多分六月頃でしょう。例えば国民健康保険だとすると、その後、一人一人に国民保険料は幾らですよという通知が来るんですよ。そのときに、そこに支援金が上乗せして来るんでしょう。だから、年度が始まって六月ぐらいにならないと、一人一人は自分の保険料と支援金が幾らだかというのは分からないんです。しかも、組合ごとに、保険者ごとに支援金の平均の金額が出ているけれども、今度は、組合の中で、一人一人、所得に応じて全く違うじゃないですか、保険料も支援料も。

 だから、そういう、こんな分かりづらいことをやる必要はない。日本の国は本当に物すごい金融資産を持っているんです。

 そこで、大きな三番目、子供、子育て予算倍増に向けた大枠について。

 一つ目は、二〇三〇年初頭までに国の予算又は子供一人当たりで見た国の予算の倍増を目指すとしておりますけれども、その財源はどうするんですか。まだ決めていないのかな。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供、子育て予算倍増に向けては、加速化プランの効果の検証を行いながら、政策の内容、予算を更に検討し、内容に応じて社会全体でどう支えるか、あらゆる選択肢を視野に入れて更に検討をしてまいります。

福田(昭)委員 それでは、括弧二に行きますけれども、経済成長を阻害する消費税率を引き下げて、莫大な金融資産をため込んだ大企業と富裕層に担税力に応じて負担を求める、そうした税の抜本改革をすることが先決だと私は思っております。

 資料の二を御覧ください。これは「日本の国は簡単に沈まない!!」と書いてありますけれども、我が国の保有資産と国と地方の債務残高から考えてみたいと思います。

 まず、我が国の保有資産。

 一、国全体の金融資産、何と九千五百八十九兆円。内訳は、家計、個人の金融資産が二千百二十一兆円、非金融法人の金融資産が千五百八兆円、一般政府の金融資産が八百十四兆円、民間、非営利団体の金融資産が七十一兆円、そして、(5)にありますけれども、金融機関の金融資産、これは国民の皆さんから預かりしているものも含めまして、何と五千七十六兆円。合わせると九千五百兆円という大変なお金を日本の国は持っています。

 これはどうしてかというと、最初、一生懸命輸出に力を入れてきた、貿易立国でやってきた、しかし、貿易摩擦もあって、だんだん会社や工場を海外につくるようになった、そうすると、まさに金融立国になってきた、その結果として金融大国になって、こんなにお金がたまっちゃったということなんですよ。

 二番目の法人企業の内部留保資金。金融業、保険業を含みますと、六百二十七・五兆円。

 三番目の対外純資産残高も約四百十九兆円、これは国際収支統計。先ほど申し上げた経常収支がずっと黒字だから、こんなにたまっちゃった。

 それから、四番目の外貨準備金、これが百六十九・七兆円もある。このほとんどはアメリカ国債を持っています。だけれども、財務省は言いません、アメリカ国債は幾らだかと。でも、実は、外貨準備金も、為替相場が固定相場のときには必要なお金。今、変動相場ですから、これは必要のないお金なんですよ、実は。ただ、これを取り崩すためにはアメリカと相談が必要でしょう。しかし、これは本来、原則的には持っていなくてもいいお金です。ですから、こういう金融資産をしっかり使うということが、私は、日本をこれから再生するのに大事なことだと思っています。

 その下、国と地方の債務残高の見込額。これが今年の三月末で、財務省の発表だと千二百八十五兆円だと。ですから、この千二百八十五兆円の借金は確かにでかいですよ。これを返すのは容易じゃない。簡単に返せない。しかしながら、今すぐ財政破綻はしないんです。

 そうすると、そのことが下の米印で書いてありますが、我が国は、国と地方を合わせて千二百兆円超の多額の債務を抱えている。一方、我が国は千二百兆円を上回る多額の金融資産を持っています。しかも、国際収支、経常収支も一九八〇年代から黒字で、対外純資産残高は約四百十九兆円と、世界一の金持ちの国。経常収支が黒字で、発行している国債は全て自国の通貨、円建てで発行しておりますから、我が国が簡単に財政破綻することはあり得ません。まあ、確かにね。しかし、経済は何があるか分かりませんから、常に気をつけておく必要がありますけれども。

 また、世界各国の国債の信用度を示すCDS、クレジット・デフォルト・スワップの我が国の保証料率は〇・二で、ドイツに次いで二番目に低い率であり、信用度が高いことを示しています。

 なお、国債は、先ほども申し上げましたが、子や孫たちへのツケ回しではありません。国債の債務者は政府であり、国民は債権者です。我が国が財政破綻しない限り、国債は子や孫たちへの財産、債権の仕送りだということであります。

 そして、下の米印、先ほども申し上げましたが、今行うべき大改革は、年々必要となる子育て、年金、医療、介護、障害福祉、それから食料安全保障などの費用を、消費税を下げて、消費税創設以来優遇され続けてきた大企業と富裕層の法人税、所得税、金融所得課税を含むなど、こうした税目を担税力に応じて負担を求める、税財源の賢い集め方をする改革が必要だ。

 特に、よく言われます、予算を使うときには賢い使い方をしましょう、ワイズスペンディングだ、こう言っている。私は、ワイズスペンディングだけじゃ駄目、それと同時に、ワイズギャザリングというか、賢い集め方をする。それは、それこそ、財務大臣も私に答弁してくれましたけれども、経済成長を阻害しないような税目でやるということです。経済成長を阻害するのは消費税。なぜかというと、税率を上げればそれだけ物価は確実に上がる、下げれば確実に下がる。ですから、経済成長を阻害しないような税目でやる。

 しかも、例えばだけれども、法人税に累進税率を入れる。そうすると、弾性値が高くなる。消費税は弾性値が一なの、単一税率だから。まあ、一〇と八だけれどもね。弾性値が一なの。景気には山あり谷ありじゃないですか。景気がよくなったときに大きく伸びる税目を使わなきゃ駄目。消費税じゃそんなに伸びない。まあ、消費額が増えれば消費税額は増えますよ。

 今や既に、直間比率の見直しで始まった消費税がいつの間にか国の基幹三税の断トツの一位ですから、これは異常なことです。ですから、直間比率の見直しが行き過ぎちゃったんだから、もう一回直間比率の見直しを直しましょう、こういう大改革が必要なんですよ。そうすることによって、財源は軽く十兆円は出てきちゃいます、私は二度ほど試算をしてもらっているけれどもね。

 ですから、そういう意味で、また時間があれば、国光先生からも野党の皆さんからも財源を示してちょうだいという話もありましたから、時間があればきちっと財源も示したいと思っていますが。本当に、ですから、今、日本の国は、大事なことは、これだけの大変な財産を持っていて、宝の持ち腐れにしちゃ駄目だということです。宝の持ち腐れにしたんじゃ日本がどんどんどんどん駄目になるばかりだ、こう考えております。

 どうです、何か感想はありますか、大臣。

小宮(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 税制につきましては、これまでも時々の経済社会の変化や、公平、中立、簡素の租税原則、政策目的の実現などの観点から、累次の見直しを行ってきております。

 引き続き、少子化対策などのような経済社会の構造変化なども踏まえつつ、所得税、法人税、消費税などを適切に組み合わせながら、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を築いていくことは必要であると考えておるところでございます。

 今後とも、中長期的な構造変化に対応した、あるべき税制の構築に取り組んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 だから、さっき言ったでしょう。直間比率の見直しをやり過ぎちゃった。消費税は、五%に上げたときではナンバーツーだからね。これを今はナンバーワンにしちゃった。だから、これを更に見直す、もう一度見直すということが大事。

 昨日の日経新聞は、面白いこと、すごいことを書いていましたよ。今、民間企業が運用できるようなお金が百四十兆円あるんだ、どう使いますかと。「無形の富 社会を変える」、なかなか、日経新聞の考え方、やはり金融資産が幾らあるか知っているからこういうことを書くんじゃないですか。今、そんなわけで、経営者たちが人材投資に意識を変えてきたと。

 だから、そういう意味では、先ほど加藤大臣も、子供、子育て予算は人への投資だと答えたけれども、まさに今、日本がやるべきことは人への投資じゃないですか。リスキリング、これも必要だけれども、これ以上に必要なのが、まさに子供、子育て予算にお金をがばっとかけることじゃないですか。

 それこそ、個々の政策で私も余り反対するものはありませんよ、給付の方は。今までよりは数段よくなるから、これはいいと思っていますよ。でも、例えば、毎年五兆円かけても、三・六兆円じゃなくて五兆円かけても、十分日本の国はやっていけますから。そうすれば、本当に見事な子育て予算ができると思います。

 明治維新政府が、国家百年の大計は教育にありということで、明治五年に学制発布をしました。そうしたら、何と、明治六年に全国津々浦々に尋常小学校ができちゃった。そういう政策が今の日本をつくってきているんですよ。だから、今、明治維新からだと百五十年ぐらいになるかな。終わりにしたいと思いますが、ですから、戦後、太平洋戦争に負けてから七十九年、八十年、ここでやはり日本をちゃんとつくり変える。それはやはり、人への投資、教育、子育てだ、そういう認識に立って、もっと子育ての国債を出したってびくともしないから、まだ。だから、そういうことでやる。一番、そういう意味では財務省が悪いのかな。財務省が考えを変えるということができるので、ここは与野党、力を合わせて頑張りましょう。

 以上です。

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。

 まず冒頭、今回のこの質疑に当たって、同僚議員が、大変多くの時間を私にいただいていることにお礼を申し上げたいと思います。

 私は、政治家を目指した理由として、やはり社会保障、これをどうやって継続的にしていくか、また、若い方々の働き方、そこをどういうふうにしていったらいいかということを、本当に悩んで、政治家を目指して、今ここに、ありがたいことにいさせていただいております。

 私自身も、実は子供が二人います。今、次に小学校に行く六歳の子と、あと、中学二年生の十五歳の娘です。年がすごく離れているんですが、これはなぜかといいますと、妻が産後うつになったからなんですね。そういった経験もあって、大変苦しい時期もあったんですが、私はありがたいことに周りからサポートをいただいて、今に至っているわけなんです。

 ですから、私たちが今回、この子供、子育て支援の改正法案について、税でやるとか、医療の、社会保障の問題であるとか、こういったことばかり重点的に質問をさせていただいておるんですが、決して、産後ケアを問題視していないとか、そんなことはないんです。

 私は、長らく、産前産後ケアのことも調べに行きました。この委員会でもありましたとおり、黒字になっている産前産後ケアを今まで一度も見たことがありません。

 それと、二年前は、訪問に行かせていただいた産前産後ケアに資産表まで見せていただいて、実は、野田聖子議員にも質問をさせていただいて、そして予算がしっかり自治体につきますよというお話もいただいて、実際、自治体の予算が、国からの予算が増えたんですけれども、これは、自治体の市区町村が自由に配分ができるということになっていて、実際、産前産後ケアの事業所が喜んでおられたんですけれども、行ってみると、何と、一人当たりの国からもらえる費用が、上がったのが十円でした。心が折れたという話も聞いて、やはり、この産前産後ケアを本当に黒字にしていくためには、今回のこの法案の改定は非常に重要やというふうに考えております。

 また、伴走型支援についても質問をずっとしてまいりました。周産期メンタルヘルスケアも非常に重要なことだと思っております。

 私は信州大学の医学部附属病院に何度も行かせていただくんですが、そこで周産期の父親の外来というのが今回始まりました。男性の育休を広く取っていくということになれば、やはり男性の方の産後うつも出てくるということになります。この周産期の父親の外来は、あくまで妊産婦さんのメンタルヘルスサポートのためにあるところに男性の方が来てということになりますけれども、こういった取組も、我々、党としてしっかり問題視をしてきております。

 今回の支援金についてはなかなか、やはり政権与党の自民党さんの中でもいろいろな議論があったと思うんですが、我々野党もこういった税の話をするというのは非常に勇気が要りますし、私個人としても勇気が要るんですが、ここは非常に重要なことだと思いますので、本日もそういった視点で質問をしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、少子化対策のエビデンスの話を前回もさせていただいたんですけれども、エビデンスは、まず研究から導かれた数値、そして予測に基づいた数値が必要だというふうに思いますし、この二つに大別されるのではないかというふうに考えます。当然、研究から導き出された数値の方が重要ではありますが、両方とも、一、二共に数値が必要になり、言い換えれば、数値がなければ全て臆測ということになるのではないかというふうに思います。この数値目標と臆測から導かれた数値、これは雲泥の差があるということで、臆測と数値の違いというのは、もうこれは全く違うというふうに思います。

 ここで、加藤国務大臣に改めてお伺いをしたいんですが、少子化対策ほど何が有効な対策なのかというエビデンスがない分野はないというふうに私は考えますが、大臣のお考えをお聞きさせてください。(発言する者あり)

谷委員長 加藤国務大臣、答弁をお願いします。(発言する者あり)

 答弁を、加藤国務大臣、お願いします。

加藤国務大臣 はい。

 お答え申し上げます。

 少子化対策は、個々人の結婚や妊娠、出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っています。このため、これらの障壁を一つ一つ取り除いていくための各種の政策が必要であり、これらの施策が総合的に相まって効果を発揮するものでございます。その効果が表れるまでに一定の時間を要するものでございまして、全体としての検証が難しいという側面はあるものと考えております。

一谷委員 皆さん、委員会がかなり重なっておりますし、重要広範も重なっていますので、かなり疲れながらやっていただいていると思いますし、これは政府のスタッフの方に一番感謝を申し上げて、まずは質問を続けさせていただきたいと思います。

 今大臣から御答弁いただいたんですけれども、やはり、エビデンスを出していくには時間もかかると。ただ、今時点ではしっかりしたエビデンスがないということで、KPIをこれから政府も出していくということであります。

 ですので、今回のこの一兆円の支援金というのが、本当に恒久的な財源をつくっていいのかということは、非常に問題があるのではないかというふうに私は改めてここで申させていただきたいというふうに思います。

 それでは、少し今までの質問と視点を変えて、少子化対策のための雇用保険への影響ということについて質問をさせていただきたいと思います。

 今、厚生労働委員会、私も厚生労働委員会を兼務させていただいておりますが、雇用保険の改正の法案が審議入りをしました。

 今回、この雇用保険の内容は大きな大きな変化を生みます。今まで週二十時間働かないといけなかったのが、何と週十時間で雇用保険の対象になっていくということです。対象者は五百万人に拡大をされます。もちろん、これによってかなりの、事務も大変になってくると思いますが、長年二十時間というのを守ってきた中で、今回、ターニングポイントはコロナだという説明を受けておりますが、十時間になったということは、これは大きな大きな社会的変化の一つだというふうに考えております。

 一つは、やはり、四十時間という、今までの当たり前の労働時間を働いてくださる方々を確保するのが難しいという局面に入ってきているんだと思うんですね。今まで、この少子化、どうしようか、どうしようかという話だったんですけれども、いよいよこれは産業界もまずいということを感じていられるんだと思いますし、私も、自ら事業をしながら、本当に苦労をします。

 ですのでこういった雇用保険の改革が行われてくるんだというふうに思うんですが、一つ問題だなと思うのは、この雇用保険は、育児休暇もありますし、これで男性の産休、これも進めていくということになります。

 そしてもう一つは短時間労働。短時間労働の社会保険の加入が、今まで百名以上の規模の会社だったのが今回五十名以上の会社に変わっていくということになりますので、これは、中小、特に零細企業、中零細企業にとってはかなりの社会保障の負担のインパクトになりますし、短い時間で働いておられる方が社会保険料を納めるとなると、本人自体もかなりの負担が出てくるというふうに思います。そうなると、先ほどの答弁でもありました、小宮長官官房長もおっしゃっていましたけれども、若い方々への希望というところに相反してくるのではないかなというふうに思うんですね。

 ですので、何でもかんでも適用範囲、ウィングを広げて、子育て支援の中でという名目でありとあらゆるものに広げていって負担をしていくというのに対して、問題があるのではないかなと思います。

 つけ加えますけれども、子育てをしている方々を支える、社会で支える、それに対してみんなでお金を出そうということに対しての社会からの不満は私はないと思います。そう思う前提で、この制度設計でいいのかということを、今日は雇用保険への影響という側面から質問をさせていただきますので、厚労省の方、御回答をお願いいたします。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険法上の育児休業給付につきましては、育児休業の取得に伴う賃金収入の喪失に対しまして生活支援を行わない場合には更に深刻な保険事故である失業に結びつくおそれがありますことから、育児休業を失業に準じた職業生活上の保険事故として捉えまして、育児休業給付を支給しているところでございます。

 育児休業給付は、これまで少子化対策の観点も踏まえて拡充を図ってまいりましたが、労働者の育児休業中の収入減少を補い、その雇用と生活の安定を図るという点で、雇用保険制度において実施する意義があると認識しているところでございます。

一谷委員 先ほど五百万人が対象と言ったのは、二十時間から、二十時間の短期の労働が社会保険に入らないといけないということですね。

 雇用保険はセーフティーネットとして日本の労働の方にはすごく重要なんですけれども、これは私、昨日のお話を聞いていますと、財源的にまだ三千億ほど今残っておるけれども、あと九年、十年後ぐらいには枯渇してしまうんではないかというふうに言われています。

 男性の育休をどんどんどんどん拡充していく、これは私は重要だと思います。先ほど申しましたけれども、信州大学の医学部附属病院でも男性のメンタルヘルスケアの外来が始まっていて、そこへやはりお父さん、来られるわけなんですよね。

 ですから、ここは重要で、私、数字を調べると、十三人に一人の方が、男性の育休のメンタルヘルスの問題が出てくるという話になっているんですが、これは、枯渇すると言われている現状も踏まえながら、この状況をどう考えるのかというのを少し、こども家庭庁の方にもお答えをいただけたらと思いますが、答えがあれば。大丈夫でしょうか。

小宮(義)政府参考人 お答えになるかどうか、ちょっと自信はございませんけれども、こども家庭庁といたしましては、やはり男性の家事、育児参加、これは極めて重要だと思っております。

 まさに、子供、子育て支援施策の強化というのは、時間はかかるかもしれませんけれども、企業にとっても地域社会にとっても、次のサステーナビリティーの地盤を強くするという意味で誰しも便益があるものであります。

 その意味で、雇用する側から見ても、その一定の部分について御協力をいただくというのは決して合理性がないものではないと思っておりますので、今後、財源の問題はまたその時々の状況に応じて担当者が担当省庁と協力して検討すると思いますけれども、財源がなくなるからこれはもうなくていいんだとか、若しくは、これが大切だからどんどん誰彼に負担を求めればいいんだというものではなくて、まさに総合的に考えていくべきものであると考えてございます。

一谷委員 総合的に考えて、本当に今の医療に求める支援金制度でいいのか、雇用保険のウィングを広げていくのがいいのかということを今は私は質問をしたつもりであります。

 ここでもう一度厚労省の政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、私は自らが自分で事業もやりながら思いますけれども、社会保険に加入をする、してもらうのかどうかというところは、雇用をさせてもらうときに物すごくやはり気になりますし、面談に来てくださる方も、社会保険に入りたい、入りたくないというのは明確にお答えになられます。

 それぐらい雇用については大きなキーワードにはなっていると思うんですが、私は、やはり、事業所側への負担が多くなり過ぎると、正規雇用でという問題になってくると、一定、正規雇用にしづらいのではないかと思うんですが、その辺りのお考えは厚労省としてはどういう整理ができているのか、お答えいただけたらと思います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、社会保険料負担に関してお尋ねをいただきました。

 社会保険制度でございますけれども、これは相互扶助の考え方を基盤といたしまして、給付と負担の見合いで必要な保険料を負担いただくということを基本としてございますけれども、それと併せて、負担能力に応じた構造となりますように、一定の給与収入がある方が加入しておられる被用者保険、こちらにつきましては、報酬水準に応じて保険料を算定して、それから事業主の方の利益や責任を踏まえて労使折半で御負担をお願いいたしております。

 他方、国民健康保険や後期高齢者医療制度などの地域保険、こちらの制度におきましては、無職の方や自営業者の方など多様な就業状況の方に御加入いただいておりますので、そうしたことに鑑みまして、低所得者について一定の負担軽減措置を講じているところでございます。

一谷委員 様々な取組はお聞きをするんですが、単純に、本当に雇用に対して影響があるかないかというところのお答えが、もしできるのであれば。難しいですよね。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用をされるかどうかというところで事業主の方にとっても大変大きい要素だという御指摘をいただきました。

 ただ、事業主の方、社会保険料を負担していただくということで、やはり働く方が安心して就労できる基盤を整備できる、そういう事業主の責任という点もございますし、それから、事業主の方の利益という点につきましても、働く方々の健康保持、あるいは労働の生産性が上がる、そういう事業主の利益に資するということもございまして、事業主の方にもこういう社会保険料の負担をお願いしているということでございますので、是非御理解を賜りたいというふうに思ってございます。

一谷委員 では、次は、そうしたら、社会保険料の労使折半についての質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほども申しましたけれども、やはり、働いておられる方も、会社としても、社会保険料を納めていくというのは非常に重たいことは変わりがありません。そして、企業側からすると、社会保険料を納めているというよりは、給料の一部だと思って経費を計算をされていくんだというふうに思いますし、私もそのように感じてやっております。

 ここで、労使折半というのは元々労災から始まったということもあって、やはり疾病というものが基礎にあるんではないかというふうに思うんですね。疾病がある、疾病があるから、そこから始まったということで、様々改定も行われて今に至っているわけなんですけれども、社会保険料を労使折半をしているということについて、会社側としても今回の支援金というのは負担になりますし、受け手側の働いておられる方にも負担が一定乗ってくると思うんですが、これについて厚労省の方のお考えをお聞きしたいと思います。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 医療や年金の給付、こちらは社会保険制度によりましてこういう給付をさせていただいているわけでございますけれども、こうした給付が保障されることで、やはり働く方が安心して就労できる基盤ができる。こういう基盤を整備されることが事業主の責任であるということもございます。それから、先ほどの繰り返しになりますけれども、働く方が健康で働かれるということ、それから労働生産性の増進といったようなことで事業主の利益にも資するということから、被保険者御本人だけではなくて事業主に対しても労使折半で保険料の負担を求めているところでございます。

 こうした趣旨は、様々な制度改正、制度ができてからいろいろな改正が行われてまいりましたけれども、現在においてもこれは妥当するというふうに考えてございます。引き続き、事業主に必要な保険料を御負担いただくことが適当であるというふうに考えてございます。

一谷委員 今までは妥当だったと思うんですけれども、やはり、もう一度聞きますけれども、労使折半は疾病ありきで、医療ではないというところが増えてくる中で労使折半をしていくというのはちょっと、かなり無理が出てくるんではないかなというふうに考えるんですが、その疾病との関係についても御意見、厚労省の方、ありましたらお願いいたします。

日原政府参考人 医療保険制度、こちらも社会保険制度によりまして運営をしておりますので、その趣旨につきましては、繰り返しになりますのでもう一度御答弁申し上げることはちょっと控えさせていただきますけれども、ただ、先生がおっしゃっておられますような、医療費が増加していっている、その点の御指摘ということで申し上げますと、やはり、高齢化などで社会保障給付が増加することによりまして現役世代の負担が増加している、これにつきましては重要な課題だというふうに認識をしてございます。

 これは、昨年末に閣議決定されました改革工程、これも踏まえまして、負担能力に応じて全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う全世代型社会保障の構築、こちらにしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

一谷委員 ですから、今答弁ありましたように、医療費の増大というのは負担が来るということですので、改革工程で、医療費の削減、今三千億ですか、できていることで、最終的には一兆円に行くというところなんですが、この果実は全て、本会議でも申しましたけれども、若い方々へ還元していく、返していくというのが最もシンプルな少子化対策、若者を助けることになるんではないかなというふうに考えるんですが、こども家庭庁としては、この労使の折半、疾病がありきで出てきた話でありますけれども、今回のこの改正に対してどう考えておられるのかということを、御意見を求めたいと思います。

熊木政府参考人 まず、社会保険制度につきましては、先生御案内のとおり、医療保険ですとか年金保険、介護保険、労働雇用関係の保険がございまして、疾病から中心にということではなかろうかというふうには考えてございます。

 事業者の皆様につきましては、今回の子育て支援策の充実、拡充によりまして、将来の労働力の確保、あるいは我が国の国内市場の維持発展、これは少子化対策が奏功すればということでございますが、そうしたメリットがあるということ、あるいは、児童手当の充実といったことが子育て中の従業員にとって大きな受益となるもの、こうしたことに鑑みますと、事業主の方に是非御理解を賜りまして、支援金についての拠出をお願いしたいというふうに存じております。

一谷委員 理解をしていただくためには、先ほどの、前回の委員会からも説明がありましたけれども、やはり、どうやって納得をしていただける説明をするかということが大事だと思いますし、これだけ少子化になってくると、どのように働いていってもらうか、この国を支えていくかということは非常に選択肢が、こっちを立てたらこっちが立たないみたいな、バランスを取るのは非常に難しいというふうに思うんですけれども。

 そこを納得をしてこの制度をつくっていかないと、何度も何度も言いますけれども、やはりシニアの方と若者の陰性感情ですね、分断も生まれてきますし。会社としても、事業をやりながら、どんどんどんどん社会保障費が上がっていくんやったら事業をやっている意味がないんじゃないかなというふうに本当に思うときも実は私もあります、これだけ納めないといけないんだったら。でも、若い従業員の方に給料明細を出すときも、これだけ社会保障費を払わなあかんのやというのは心が痛いです。

 ですから、これをやはり改善していかないといけないので、難しい課題ではありますけれども、知恵を絞って、本当にこの社会保障でいいのか、労使折半でいいのかというのは考えていきながら、経済を停滞させないというところを話さないといけないんじゃないかと思いますし、次回の参考人質疑ではそういったところが出てくるのではないかというふうに考えております。

 次は、国保ですね。国民健康保険料なんですけれども、これは賦課方式で均等割がありますので、特に低中間層の方の負担が重くなるのではないかというふうに考えております。これについてどういった解釈があるのか、これも厚生労働の担当の方にお伺いいたします。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 国民健康保険の保険料につきましては、全ての被保険者の方がひとしく給付を受ける権利がありますので、所得水準が低い方も含めて、応益割として一定の御負担をいただいているところでございます。

 その上で、国民健康保険におきましては、給付費の五割、こちらを公費負担とすることに加えまして、所得の低い世帯の応益割保険料を最大で七割軽減する措置を講じてございます。さらに、平成三十年度以降は、こうした低所得者対策を拡充するなど、毎年約三千四百億円の財政支援を行いまして財政基盤を大幅に強化をしているところでございます。さらに、子育て世帯の経済的負担の軽減を図りますために、令和四年四月から未就学児の均等割保険料を半額に軽減いたしまして、軽減分も公費で支援するなどの措置を講じてございます。

 こうした取組を通じまして、中低所得者の方を含む被保険者の負担の軽減を図っているところでございます。

一谷委員 負担軽減を図っていただいたとしても、やはり負担があることには変わりはないと思いますので、特に国民健康保険については重い負担になってくるのではないかなということを少し危惧をしております。

 次の質問をさせていただきます。

 少子化対策の財源を社会保険料に求める利点は、もう何度も何度もここでお話を聞いてまいりました。これを国民の皆さんにも説明をして御理解をいただくということも、何度もここでも聞きましたし、この法案が、議論が始まる前にも、厚生労働でも、厚生労働大臣からもそういった、質問を、何度も何度も聞いておるんですが、私、やはり、説明するときには利点だけではなくて欠点も説明をしておかないと、後で、聞いていないというような話になったりとか、不満が出てくると思いますし、ここに不安があるんだというふうに思いますので、この欠点についても国民の皆様に示すべきだというふうに思いますので、これは加藤大臣に御答弁を求めたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 税にせよ保険料にせよ様々なメリットがあるものと考えますが、今回の枠組みは私どもとしまして最善の方策と考えており、その意義をお伝えしていくことが大切であるとの考えでございます。

 支援金制度は児童手当などの抜本的な給付拡充に充てられるものですので、子育て世帯は拠出を大きく上回る給付を受ける枠組みとなっております。また、危機的状況にある我が国の少子化傾向を反転させることが国民皆保険制度の持続可能性を高めるなど、誰もが社会の一員として受益するものであり、これらについて御理解をいただきたいと考えております。

 労使折半で事業主の皆様に拠出いただくのは事実でございますが、特に事業主の皆様につきましては、先ほどの答弁と重なりますが、将来の労働力の確保や我が国の国内市場の維持発展等を通じたメリットがあり、また、児童手当の充実など、子育て中の従業員の皆さんにとっても大きな受益になるものであり、拠出について御理解を得てまいりたい、このように考えてございます。

 また、低中所得者の方々への影響について申し上げますと、支援金は負担能力に応じた拠出をいただくという考え方の下、国民健康保険、後期高齢者医療制度におきましては医療保険料に準じて低所得者軽減措置を講ずることとしております。こういったことについて御理解をいただけるように、今後も説明を尽くしてまいりたいと考えております。

一谷委員 今の御答弁ですと、やはり、不利益になる点、欠点というのは余り御説明がないのではないかなというふうに思いますし、もしこれで国民の皆さんが納得してくださっているのであれば、私は、私たち維新はこれが本質的だとは思いませんが、五百円だとか千円だとか、そういったことがこれだけうわあっと盛り上がっていくことはないのではないかなというふうに思います。

 ですから、改めて政府参考人の、こども家庭庁の方にお伺いしますけれども、やはり欠点というのは何か把握はされておられると思うんですね。こういったところがデメリットになるのではないかと思うんですが、そのところがもしあれば御回答いただけたらと思いますが。どうぞよろしくお願いします。

熊木政府参考人 この度の委員会での様々な御議論もありますし、それまでのいろいろな過程の中で御意見というものを賜ってございます。そういう中におきましては、医療保険制度を活用するということで、医療保険制度において指摘されていたような課題がいわば相似形のような形で支援金についてもあるのではないか、こういう御指摘をいただいております。

 大臣御答弁ありましたとおり、私どもとしては、それを踏まえた上で、今回のものが最善の策である。加えて、医療保険と異なる点、医療保険と相似形と申しましたが、今回の枠組みについては、提案するに当たって、歳出改革とセットで、歳出改革によって社会保険料の軽減効果をつくっていきながら、その中で行っていくんだ、こういうセットの議論の中で申し上げているということでございます。

 様々な課題、先生御指摘のもの、先生からは労使の問題ですとか国保の低中所得者の課題ですとかを賜りましたし、そのほかにも、賦課上限があるとかいったような課題もこの御議論の中ではあったかと思いますけれども、それぞれ、私どもといたしましては、しっかりと説明すべきところを説明し、尽くしてまいりたいというふうに思っております。

一谷委員 先ほど、歳出改革、これをすることによって医療や介護のサービスを受けにくくなるというふうなことは、これはダイレクトに国民の皆さんは肌で感じると思います。ですから、高齢者の方の窓口負担が一割から二割、二割から三割に増えていったら、もうダイレクトに、同じサービスを受けながら負担だけ増えるわけですよね。そういったところの、やはりこれはかなり欠点だと、欠点ではないですけれどもデメリットではあると思いますので、そういった説明というのはしっかり尽くしていくことが重要なのではないかというふうに思います。あくまで、この法案が通ったときに、国民の皆さんが納得して、社会全体で子供を育てていこう、社会全体で子育てしているお父さん、お母さん方を支えていこうというふうに思ってもらえないといけないので、ここの欠点というかデメリットについてはもう少し説明が必要なんじゃないかなというふうに思います。

 では、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 改めて税の議論をすべきではないかということを、なかなか税の話を出すのは私自身も勇気が要りますけれども、また、これは我々野党だからできる話、維新だからできる話だと思いますが、税の話をしていかなければならないのではないかなというふうに思います。

 今までの様々な答弁の中で、保険料のことについては、応能負担ですね、負担の観点から応能負担の考え方を基礎としているという話をずっとされてきました。

 しかし、保険料の応能負担というのは上限設定がありますので、これは、先日、足立康史議員が厚労委員会で質問したことにつながりますけれども、修正応能負担ではないかなというふうに思うんですね。ですから、本当に公平な負担をしていくというふうには言えないのではないかなというふうに思います。(発言する者あり)そうです、考え方ですね、それは私も思いますけれども。これについて御答弁を参考人の方からお願いをしたいと思います。

 そして、改めて税の議論をどうしていくかということについても御回答を、これは政府参考人……(加藤国務大臣「最後ですか」と呼ぶ)最後ですね、最後に聞きますので、まず政府参考人の方から、応能負担の上限があるという、修正応能負担についての御回答をお願いいたします。

熊木政府参考人 まず、基本的にはやはり、修正ということはおっしゃられましたが、負担能力に応じた支援金の、そういう体系になるということであります。これは医療保険制度に準じた形でいただくということによってそうなると考えます。

 上限設定につきましては、それ自体は、社会保険料そして今回の支援金もすべからくそうでございますが、私どもとしては、これは社会連帯の理念、助け合いの考え方だというふうに申し上げております。助け合いというものが成り立つためには、一定の所得の、かなりの高所得層の方だとしても、やはり助け合いだということで、一定の、納付意欲を阻害しないという観点から上限というものが設けられている。それに準じて支援金が成り立つということになります。

 ただ、この上限設定というのは、私どもといたしましては、例えば健康保険でいいますと年収が二千数百万円とか、そういった方における設定ということになりますので、大きく修正しているというものではないのではないかというふうに考えてございます。

一谷委員 少し言いたいこともあるんですが、最後、税の議論をした方がいいのではないかということについて、加藤国務大臣に最後の御答弁をお願いいたします。

谷委員長 加藤国務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の子供、子育て予算の財源確保に当たりましては、現下の経済状況や財政状況を踏まえ、増税か国債発行かではなく、歳出改革によることを原則とし、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただき、政府として増税という手法は取らないこととしたものであります。

 この点につきましても、今後ともしっかりと説明を尽くしてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十一分開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 先日に続いて、厚労委から出張をさせていただいてきております。このテーマは、財源のことも含めて、この地・こ・デジ特委と厚労委、裏表で、私はもう一体的にやるということで、我が党の一谷理事と連携を取りながら、今質問をさせていただいているということでございます。

 今日は、何か今見たら四十分ぐらいいただいているということで、こんなにあったかなと思ったんですけれども、通告は大きく三問ぐらいしかしていないので、じっくりと一問一問深掘りをしていきたいと思います。

 一つは、先日も申し上げた三党合意の問題、それからもう一つは、支援納付金の対象費用、法案でいうと七十一条の三に列挙されている費用、これについて、それから三つ目が、社会保障改革の果実についてということで質問させていただきたいと思います。

 まず、赤澤副大臣、今日はお忙しい中お越しをいただいておりますが、先日来、私たちが申し上げているのは、よく考えたら、今回は保険料を使うということなんだけれども、三党合意、まだ日本維新の会が誕生する前の自公民、民自公というのかな、三党合意では、少子化対策の財源を消費税に求めるということで、わざわざ消費税法に、少子化対策というのかな、何か明記をして、社会保障四事業ということでやってきた。それを考えると、何か今回の法案、大きな路線変更のように見えますが、副大臣、いかがですか。

赤澤副大臣 あうんの呼吸で、質問の御趣旨をこうと理解した上でお答えをいたします。

 足立先生のことなので、いつもどおりちゃんと読み込んでおられてだと思いますが、ちょっと復習に当たる部分からいくと、三党合意に基づく社会保障制度改革推進法においては、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障給付の主要な財源として消費税を充てることを基本的考え方とし、そして、年金、医療、介護、少子化対策の充実を図りつつ、持続可能な社会保障制度の確立を図るため、消費税率を引き上げることとしたところでございます。

 こうした基本的な考え方に私どもは変わりはないというふうに思っておりまして、今般の子供、子育て政策の抜本的拡充については、あくまで、現下の経済財政状況を踏まえた上で、国民的な理解が重要であるとの認識の下、現下の経済財政状況に応じて、単なる増税や国債発行ではなく、徹底した歳出改革などにより確保することを基本とし、公費節減により財源を捻出するとともに、社会保険料負担軽減を図り、その範囲内で支援金制度を構築することとしたものでございます。

 考え方が、繰り返しになりますが、変わったのではないかという先生の御指摘ですけれども、その時々の社会経済状況を踏まえ、必要な施策と財源が適切に選択されるべきものと考えて、このようにしているところでございます。

足立委員 本会議で総理から御答弁あった内容と軌を一にする、当たり前でありますが。

 そういえば、今、赤澤副大臣にばんと御質問したんですね。何かいつもと違うなと思ったと思うんですけれども。私、いつも大体、マイクを握ると、まずは立憲の話から始めるので、それが確かに今日は抜けていたなということで、改めて気づかされまして。

 私、ちょっと今日、忙しかったので、全部見れていないんですけれども、何か、福田先生ですかね、国債でと言っていた。国債でやれと言っていたのかな。もう何か言っていること、むちゃくちゃですよね。

 いや、いいんですよ。国債でと言う人もいてもいいんだけれども、政党たるもの、やはり一貫してやらないと、それは。多分、国債でやれという修正案を出すんじゃないよね。だから、やはりそこは我が党のように、しっかりと秩序立った、一貫した、私たちは結党以来、一貫した方針でやっていますので、是非維新の会を見習っていただきたい、こう思うわけであります。

 さて、今あったように、事務方でもいいんですが、これ、ちょっと、実は、やはりよく分からないんですね。現下の経済財政状況とか社会経済の状況、総理からの本会議での答弁もそれに尽きたわけですけれども、もうちょっと言ってほしいんですよね。それは何だと。

赤澤副大臣 お尋ねですのでお答えをいたします。

 まず、社会保障給付の主要な財源としては消費税を充てるということは三党合意の中身であるんですが、その時々の、現下の経済財政状況を踏まえた上でということで、少し砕いて申し上げれば、経済状況ということであれば、これは今、国民の皆様が物価上昇でかなり苦労をしておられる中であるので、単なる増税といったようなことはなかなか難しいだろうということもありますし、財政状況ということであれば、我が国の国債の発行残高などを考えると、これも単なる国債発行ではなくて、徹底した歳出改革などにより確保することが国民の理解を得られるだろうと思って、このようなやり方をしているということでございます。

足立委員 まさにそれも再三おっしゃっていることで、増税ではない、それから国債でもない、だから、これだ、歳出改革だということなんですが。

 問題は、私は、今回の岸田内閣の歳出改革で少子化対策の財源を生み出すという大方針、これは大賛成ですよ。だって、我が党もそう言っているんだから。全く大きな方針に異論はないんですね。

 ところが、これはもう余り言っちゃうと通告が全部終わっちゃうんだけれども。まあ、行きましょう、じっくり。

 しかし、歳出改革というのは、保険と税があるわけです。だから、今回は社会保障制度の改革をやります。当然、社会保障制度というのは税と保険料が入っているから、だから、社会保障改革をやると、両方果実が生まれる。だから、税はもちろんその果実は使うけれども、ある程度。でも、保険料の果実についても、これは少子化対策に使わせてもらう。だから、それが支援金だと。

 こういうことなんだけれども、それって、今の税と保険料の構造、これを維持したまま、まさに社会保障改革をしました、だから保険も減ります、税も減ります、だから保険は保険で支援金として使いますと。極めて今の構造を前提に支援金制度というのが生まれているんだけれども、私たちは、そこは、社会保障と税の一体、ちょっと、これ、ここまで言っちゃうと本当に結論まで行っちゃうんですけれども。

 社会保障と税の一体改革は、私、昨年の臨時国会で、まさに今日のために岸田総理にこういう質問をしたんですよ。社会保障と税の一体改革というのは終わったんですかと聞いたんですよ。事前に事務方に終わったんですかと聞いたら、終わっていますと言っていたんです。だって、当面消費増税なんかできないんだから。だけれども、予算委員会の場で岸田総理は私に、いや、社会保障と税の一体改革というのは継続的な取組なんだとおっしゃった。

 私は別に増税してくれと言っているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、歳出改革だっていろいろな歳出改革がある。社会保障改革もあれば、社会保障以外のところの歳出改革もある。この全体を見たときに、なぜ今回のような法案ができるのかが分からないと言っているんですけれども、言っていることは分かりますよね。何か、ちょっとコメントを。

赤澤副大臣 御質問の趣旨を正しく捉えられているかというところでありますけれども、これは基本的な考え方としては、昨年十二月の閣議決定、加速化プランの財源ということで、御案内の三・六兆円を、既定予算の最大限の活用等一・五兆円、それから歳出改革の徹底等ということで、一・一兆円が公費節減の効果だし、また、今先生御指摘の社会保険負担軽減の効果というので一・〇兆円ということで。

 この一・一兆円について言えば、過去の実績などを見ながら、大体一年当たりどれぐらい節減できてきたかということについてステークホルダーの合意が得られたので、その流れで六年分、一・一兆円という考え方を取らせていただいて、私どもは、現在の経済財政状況を踏まえれば、これがベストの国民の理解を得られる考え方ではないかというふうに思っているということであります。

足立委員 これはちょっと厚労みたいな話になっていっちゃうんですけれども、おっしゃったように一・一兆円と一兆円ですね。でも、それは今の税と保険料の按分というか、今の社会保障制度を前提にすればそうですけれども、ちょっと、これはもう答えなくていいんですけれども、例えば、後期高齢者医療というのは税が半分入っています。例えば、税を十分の五じゃなくて十分の六にして税と保険料の按分を変えれば、今の一・一と一・〇の使い方というのが変わって、例えば、保険料は一兆円を支援金にするんじゃなくて、支援金は〇・何兆円にして、税をもうちょっと社会保障全体の中で使うということも私はできると思うし、それから、更に言うと、社会保障以外のところの歳出改革だってある。そういうことを議論しているんだけれども、ちょっと出口に走り過ぎたので、皆さん、議論が分かりにくいかもしれませんが。

 じゃ、ちょっともう一回、三党合意に戻ると、三党合意の、もう細かいことは副大臣、いいですよ。三党合意に戻ると、とにかく、当時はそういうことで、主要な財源として消費税ということで増税をしました。

 二問目に行きますけれども、厚労省に来ていただいているし、当時、財務省、消費税の枠組みで少子化というのをそこにぶち込んだということなんですけれども、そもそも、社会保障という四文字に少子化対策はいつから含められているんですか。元々なんですか、ずっとなんですか、それか最近なんですか、ちょっと教えてください。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化対策の中身自体は随分変わってきているものだとは思いますけれども、社会保障制度というときに、その中には、年金、医療等の社会保険のほか、社会福祉に関する施策など、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティーネットとして対象となる施策が従来より位置づけられております。

 この中で、少子化対策、例えば、児童手当あるいは保育の無償化、雇用保険の育児休業給付など、こうした施策については従来から社会保障制度として位置づけられてきているところだと承知をしております。

足立委員 すると、従来から少子化対策なるものは全て社会保障なんですか。

宮崎政府参考人 少子化対策という範疇の中には、例えば教育に係る部分ですとか、住宅に係る部分ですとか、そういうものも最近の加速化プランなどの中には入っておりますので、そういう部分については、必ずしも、これまでも社会保障費といいますか、狭い意味で社会保障の中に入っているわけではございませんけれども、中核を成す児童手当や保育の無償化などといった施策については、従来から社会保障制度として位置づけをしてきているということでございます。

足立委員 じゃ、並行してこども庁に伺いますけれども、こども庁が支援納付金の対象費用として法七十一条の三に列挙した費用はどういうものなんですか、これは。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいました法案の七十一条の三というものは、支援納付金を充てる、支援金を充てる事業でございます。

 ここに列挙させていただいております事業といたしましては、児童手当、それから妊婦のための支援給付十万円、いわゆる誰でも通園、それから共働き、共育ての推進のための各種施策でございます。

足立委員 個別は分かるんですけれども、それって何なんですか。

 さっき厚労省から御答弁いただいたように、実は厚労省の答弁がよく分からないんだけれども、要は少子化対策という概念と社会保障という概念と支援金の対象という三つがあるわけですよ。そうですよね。社会保障と少子化対策は多分かぶっている、ベン図みたいになっているわけですね。少子化対策じゃない社会保障は当たり前です。医療、介護、高齢者福祉、それは少子化対策ではありません。だから、少子化対策ではない社会保障はたくさんあります。

 今あったように、社会保障である少子化対策もあれば、社会保障じゃない少子化対策もある。だから、ベン図みたいになって、重なりがあるわけですね。そのフレームの中で、熊木さん、今言っていることは分かる。社会保障という円を描いて少子化対策という円を描くとかぶっています、それが歴史なんですということなんだけれども、消費税を八%に上げるときに、社会保障、あえて消費税法の中に少子化の話を入れた、消費税を充てるということを決めた。それは非常に分かりやすいタイミングだったわけです。だから、消費税を八%に上げたときの政策変更、少なくとも財務省の消費税に関する政策変更はよく分かるんですよ。

 今回、支援金の対象として今おっしゃった個別の話って、一体それは何なんですか、何はそこに入れて、何は外したんですか。その政策思想を教えてほしいんですよ。

熊木政府参考人 まず、先生が最初の方におっしゃられていた少子化対策ということと社会保障というものの重なり具合で申し上げれば、今、先ほど申し上げました充当する事業というものは、いずれも少子化対策でもあり、社会保障の中のものであるというふうに考えております。

 今回、今申し上げました、四つほど申し上げましたけれども、事業を支援納付金を充てるというふうに決定させていただき、法案の中に明記をさせていただきました。

 なぜこれらを選んだのかということだと思いますけれども、それは幾つかのメルクマールの下に検討させていただきました。

 まずは、やはり医療保険制度を活用するということに鑑みまして、医療保険制度においてはこれまでも、出産育児一時金あるいは出産手当金といった、出産を起点としたような給付、幅広い給付の中でそういったものが行われていることを踏まえます。

 二つ目に、医療保険制度を活用することになりますので、事業主に拠出をお願いするということにもなります。したがいまして、事業主にどういったものがお願いし得るのか、そう考えますと、これまでの社会保険料あるいは子ども・子育て拠出金、これは事業主拠出金というものですが、そういったものが充当されていた事業、具体的に言うと、例えば児童手当などはそういうものでございますけれども、児童手当ですとか、社会保険料という意味では、今までは育児休業みたいなものがあったということ。

 それから、そういったものを考えまして、今申し上げた四つのものについてはゼロ歳から給付を行うものであり、出産を起点とした、そこからいわば地続きの給付になってございます。事業主にもお願いをするという意味では、事業主の拠出金は特にそうでございますが、これまでゼロ歳から二歳を中心に拠出をいただいてきたと認識をしてございます。そういう意味でも、ゼロ歳から二歳をまずしっかりと充てていこうということで、妊婦のための支援給付ですとか誰でも通園、あるいは共働き、共育てでございます。

 さらに、医療保険制度を活用するという意味において、給付はやはり広いもの、できるだけ対象者の広く切れ目のないものにすべきだというふうに考えまして、そういった点から、児童手当、誰でも通園、妊婦のための支援給付、共働き、共育ての支援、これらは全体として非常に極めて広い給付であろう、こういうことを考えまして、幾つかのメルクマールを立てた上で、それに沿って検討させていただいた結果でございます。

 長くて恐縮です。

足立委員 いやいや、まさにそういう御答弁をいただきたかったので、御丁寧にありがとうございます。

 だから、その事業の中身の政策思想、これは、僕はちょっとなかなか、私がつくったらそうなるかどうか分からないけれども、政府の立場は分かりました。

 問題は、その財源なんですね。問題は、その財源として、ちょっとこれは通告に入っていたかどうか分からないんですけれども、分かればちょっと教えてほしいんですけれども、今あったような事業については、だから、支援金を使うわけですけれども、それらの事業は支援金だけでやるわけじゃないよね、税も入る、そうですね。

 じゃ、それは、どういう事業に。要は、例えば、後期高齢者医療制度という事業には、税が五、支援金が四、それから高齢者の保険料が一というのが決まっているじゃないですか。じゃ、今あったような、今回の少子化対策の様々な事業がありますけれども、それぞれに一体、税と保険料をどうやって交ぜて使うのかというのは決まっているんですか。

熊木政府参考人 完全に厳密ではない可能性がございますが、まず、今回は、今、先ほど申し上げたものでございますが、確実に給付の改善を行う部分にしっかりとこの支援金は基本的には充てるという考え方です。

 児童手当につきましては、今までも、公費もあり、事業主拠出金というものが入っておりました。それに加えまして、今回は、高校生ですとか第三子ですとか所得制限撤廃ですとか、拡充があります。この拡充については基本的には支援金を充てよう。

 その他のものについても、基本的には創設の事業でございますので、これは支援金を基本的に全て充てようという考え方。

 ただ、誰でも通園制度のみは、現金の経済的な支援ではなくて、いわゆる現物の支援になります。これは、地方自治体において供給体制をしっかりと整備していくということがあり、地方自治体における責任ということもございますので、全てを支援金で充てるではなくて、半分は公費にしようというふうにいたしました。

 したがいまして、基本は、拡充につきましては支援金が充たり、現物である誰でも通園については半分公費が入る、そういう形にさせていただきました。

足立委員 大変分かりやすいというか、重要な御答弁だと思うんですけれども、私、勉強不足で、今のことは今知りました。

 すると、まさに、現物だ現金だという議論で、いろいろな議論があって、現物については整理があるということなんだけれども、でも、現金給付については、おおむねこの拡大する部分は支援金でやるわけですね。

 それは、今回、今政府が考えているそこの思想でいくと、じゃ、これからまたこども庁の予算をばんばん増やしていくと、だって、増やしていくんでしょう、三〇年代に向けて。そのときに、そういう現金の部分が拡大したら、またそれは支援金、すなわち社会保険料でやるということになりかねないというか、なる蓋然性がすごく高いと思うんですけれども、そこを議論をそうやって延長するのは間違っていますか。

熊木政府参考人 例えば、いわゆる予算の倍増という局面におきましては、今回のものをしっかりと検証した上で、いろいろな選択肢の中でやっていくということですので、現時点において、何か予断を持ってこういう対策でやる、こういうやり方を充てるということは決まってはございませんが、今申し上げましたように、今回、支援納付金を充てる事業というのは、いろいろな角度から、これが医療保険制度を活用してお願いするということの意味の中で、しっかりと健康保険法の目的にも合致しているし、それから、お願いをするという正当性があるだろうというものを吟味させていただいて、そして、それをこの法案の七十一条の三に限定的に列挙させていただきました。

 それから、児童手当について申し上げますと、三万円ですとか対象者ですとか、全て基本的に法律に書いてございますので、現金を増やすというときに、例えば、単価を上げるのか、新しい給付をつくるのかということだと思いますが、いずれも基本的には法律改正が必要になるんだろうと思います。そういう意味では、予断を持って申し上げることはしないと申し上げましたが、少なくとも立法府の民主的なプロセスの中でお決めいただく、そういう仕掛けにはさせていただいております。

足立委員 同意はしませんが、考え方は分かりました。

 今まで、ここまで議論、最初、財務副大臣に伺ったのは財源の話でしたけれども、その後は、ちょっと時間があるので、せっかくですから、事業の方ですね、今回は支援金ですから、いわゆる給付というか、あるいは、総理が言うところの受益の中身の議論を今させていただきました。じゃ、その財源の部分も、今あったように、一定の、そこは考えてやっているんだということだけれども、新しく拡充する部分については支援金が充たる部分が多い、こういう御説明でした。

 そこで、もう一回ちょっと財務省に戻りたいんですが、これは事務方でも結構ですが、じゃ、その財源として、再三私から申し上げているように、社会保険料、支援金は所得ベース。そして、先ほど副大臣からあった、消費税は消費ベース。例えば固定資産税とか、いろいろな資産ベースの負担も国民は負ってくださっています。

 国民負担というものを所得、消費、資産にあえて大きく三つに分類したときに、少子化対策の財源として、それぞれ私は特質があると思っているんですよ。端的に言うと、保険料は少子化対策に逆行しているんじゃないかとずっと我々は言ってきた、本会議場でも言ってきた。ちょっとそれは粗っぽい議論なので、もう一回財務省の方から、少子化対策の財源として、所得ベースの社会保険料、消費税、資産ベースの負担の三つの特質を整理して御答弁いただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 少子化財源としてと、その前に、財源としてそれぞれ、所得、消費、資産、特質がございます。それについて申し上げます。

 まず、所得でございますけれども、所得に担税力を見出す、例えば個人所得課税について申し上げますと、累進的に負担を求めることができる一方で、保険料を含めた所得ベースの負担は主に勤労世帯が負うということになるような特質がございます。

 消費課税について申し上げますと、これは消費に担税力を見出すわけでございますので、世代や就労の状況にかかわらず、国民が幅広く負担を分かち合うことは可能である一方、相対的に再分配機能が十分に発揮されにくいという特徴もございます。

 資産課税は、こうした所得や消費で捉え切れないものに担税力を見出すわけでございまして、例えば、相続税等で資産格差の是正等に資するものである一方でございますけれども、様々な形の資産を的確に捕捉しにくいといったところの特徴がございます。

 その上で、先ほど来政府の方で御答弁申し上げていますけれども、今回のパッケージの給付と受益等のバランスから、今回においては、既存の歳出の改革や保険料負担の軽減を図って、その範囲内で支援金制度を構築することが最善という判断をして、そういう趣旨で御説明を申し上げているところでございます。

足立委員 今あったように、まさに勤労世帯とおっしゃった。社会保険料というのは、当たり前ですよね、それは現役世代に重くかかるんですよ。だからこそ、消費税を上げたときに、財務省は相当それを言っていたわけです。保険料ばかりだと現役世代に寄り過ぎるから消費税をやるんだと再三財務省はそうやって言って、消費税を上げてきたわけですね。私は、そのロジック自体は賛成ですよ。消費増税をあのときやったのは反対でしたけれども、ロジック自体は賛成ですよ。

 加えて、先ほど再分配という話があったけれども、社会保険料というのは、受益と負担の関係の中でこれまでやってきているので、再分配の力というか、効果というか、メリットも余りないですよね、社会保険料は。だって、上限があって、頭打ちでやるわけだから。

 だから、社会保険料というのは、現役世代に負担が集中するという意味でも、それから、いわゆる所得と資産の観点からいっても、再分配効果は大きく期待できないという、そこは間違っていますか。ちょっと教えてください。

宮崎政府参考人 社会保険制度については、先ほど先生の御指摘の中では上限の話がありましたけれども、それは、先日の厚生労働委員会でも保険局長の方から御答弁させていただいたかと思いますけれども、上限という仕組みそのものはありますけれども、むしろそこに係っている割合というのは極めて割合としては小さくて、負担の部分での基本的には所得に応じた応能負担というものを原則としておりますし、あるいは患者負担等々、給付と負担の両面で応能の形の仕組みを取り入れた上で給付を行っておりますので、そういう意味では、再分配効果というのはむしろ社会保険についてもきちんと図られているというふうには考えております。

 給付と負担の関係がより明確だという社会保険の特徴もございますので、その中で再分配というものはしっかり行っている仕組みだというふうに理解をしております。

足立委員 厚労委でもこの話は細かくやったので、ちょっとここはもう更にやりませんが、大きな議論にもう一回戻りたいと思います。

 すると、社会保険料は、結論はどうなんですか。社会保険料は少子化対策の財源にふさわしいんですか、ふさわしくないんですか。

熊木政府参考人 先ほど申し上げましたように、充当事業というものは、幾つか申し上げましたけれども、これは、社会保険でお願いするものとしてあり得る、ふさわしい、適切である、そういう考えの下に充当事業を決め、それで社会保険を活用するということでございます。

 そして、所得に基本的に応じる、あるいは負担能力に応じるという形、これは先生からは再分配機能が弱いとの御指摘ではありましたが、厚生労働省からの答弁もありましたとおり、再分配機能はかなりしっかりとした仕組みであるというふうに考えてございます。

 そういう意味におきまして、今回の充当事業に充てるものとして考えた場合に、この支援金が医療保険制度あるいは社会保険を活用するということは、我々としては合理的あるいは適切なものというふうに考えております。

足立委員 いや、熊木さん、申し訳ないけれども分からない。なぜかが分からない。今、財務省の方から特徴はおっしゃっていただいた。その特徴を踏まえて、抽象的に捉えませんか。なぜその特徴が少子化対策の財源としてふさわしいのか。

 それはちょっと、熊木さん、かわいそうだけれども、まあ、じゃ、今までの繰り返しはもう要らないですよ。要は、先ほど財務省がおっしゃった三つの特徴を踏まえたときに、なぜその特徴が少子化対策にふさわしいかを、本当に抽象的に、ロジカルに教えてください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私の方から、税制の観点から、それぞれ所得、消費、資産の特徴について御説明を差し上げました。そこから様々なお考えは出てくるものと思います。

 ただ、その特徴から必然的に一つの方策に対する財源が決まるものではなくて、それはそれである一方で、先ほどこども家庭庁の方から御説明申し上げたように、今回の施策のパッケージの財源としては、支援金も含め、歳出改革を充てるというのがベストであるというのが政府としてのお答えになると考えております。

足立委員 私たちは、今年それを決めること、あるいはその決めている支援金の内容に余り賛成ではありませんが、大変、現下の経済情勢の中で苦肉の策として編み出された手法としては理解はします。すなわち、分からないじゃありません。なるほど、突き詰めるとそういう案になったんだなということは理解をします。しかし、私たちが心配しているのは、今回はそんな大した、国民の皆様から怒られるけれども、これからの少子高齢化社会のことを考えたら、今回は入口です。スタートです。だって、こども庁の予算、大臣、これからも増やしていくんだから。

 私は、この最初の発射角度が、このまま、今回、さっき熊木さんに言った、例えば新しい事業を全部支援金でやるんです、大体ね、これからも少子化対策を拡充していくときは、もう財源は、じゃ、保険料なのかということを思っちゃいますよ。だから、発射角度はまあ何かもう百歩譲ってしゃあないとしても、このまま行くんですかということで、昨年来、私は総理に、社会保障と税の一体改革、あのときの議論をやったじゃないですか。財務省、やりましたよね、あのときに。保険料だけでは駄目なんだ、税も大事なんだと議論をやったじゃないですか。それは民主党だって賛成した。

 いや、だから消費増税じゃないんですよ。そうじゃなくて、保険料、税、あるいは、所得、消費、資産も含めた税の在り方、保険料の在り方、保険料の取り方、そういうことをもう一回全部見たときに、もう一回、税と社会保障と、私たちは労働市場と言っているんです。税と社会保障と労働市場を三位一体で全部もう一回見て、一体何が少子高齢化社会、何が少子化対策にふさわしい歳出であり、何が少子化対策にふさわしい歳入なのかということをちゃんと議論できていないんじゃないの、苦し紛れじゃないのと。苦し紛れの今回の案は理解しますよ。でも、それで、これからも、五十年、百年の礎になるんですか、今回の法案は。ちょっと違うんじゃないのということを私はずっと、私たちは言っているんです。

 財務省の皆さんは多分同じ意見でしょう。だから、財務省、誰でもいいですよ、賛成の人、手を挙げてください、ちょっと。というわけにいかぬけれども、誰か、いいよ、別にちゃんとした、何かきっちりした答弁じゃなくていいから、まあ足立委員の言っていることも分かると。

 いや、僕は間違っていたら教えてほしいんですよ。僕はいつも、間違っていたら教えてといろんな人に言っているんです。今日私が申し上げたことは、頭の構造として真っ当ですか、それかおかしいですか。ちょっと、誰でも、その辺の。

赤澤副大臣 済みません、真っ当かと言われまして、先生がお考えとして今おっしゃったことについては、私もおっしゃっていることは理解をいたしますし、我々の立場とすれば、これは二〇二八年までを視野に入れて、いろいろと厳しい要請がある中で、財源も含めて一通りこれはセットをしたものでありまして、先生がされたような議論については今後も続いていくものだというふうに理解をいたします。

足立委員 副大臣、今日お越しいただいていてよかったです。ありがとうございます。やはり政治家の御答弁だと思います。

 私、もう時間が来ますので終わりますが、今まさに私が申し上げたことは別に新しいことじゃないですよ。自民党本部の中でかんかんがくがくやってきた議論ですよね、多分。していないかな。これ、していなかったら、もう自民党を辞めた方がいいですよ。でも、こういう議論をやり尽くしてきたと思うんですよね。

 私、自民党の中にもいろんな意見があるが、今回はこれでやったということだと思うんですよ。そうであれば、その議論の痕跡を、全然条文になっていないんですよ、条文に、議論の痕跡が。だって、国民に分からない。

 要は、法律の意味というのは、いろんな権利義務関係を変えるということもあるけれども、国民の皆様に知っていただくという効果がむちゃくちゃ大きいんですよ。だから、私たちは、今回の法案、既存の法律を改める法案になっていますが、ちょっと一条ぐらい残る条文を作りましょうよと。だって、画期的な法案なんだから。その一条に今日議論したようなこと、これから税と社会保障と労働市場を三位一体で改革をしていく、少子高齢化社会のために、少子化対策のためにやっていくということぐらい理念を書いて、それをどおんと、今年の法案は全部溶け込んで消えるんじゃなくて、加藤大臣の下で今回作ったこの子ども法案というのはずっと残る、その理念が。それぐらいの理念を、加藤大臣と、熊木さんと、財務省、赤澤副大臣とみんなで作って、私もそこに入りますから、ちょっと今日、これから会議をしましょう。

 そういう今回の意味というものを条文に残すことを提案して、時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。加藤大臣、質問できずに失礼しました。

 ありがとうございます。

谷委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 この間の皆さんの質疑を聞いていて思うのは、政府側と、特に私たち立憲民主党が求めているところの視線が、目線が違うというところを指摘をさせていただきます。

 政府側は、再三、非常に丁寧にお答えいただいていますよ。ただ、制度はこういう制度なんですというところに徹底をしていらっしゃるんですね。だから、加入者一人当たりとか、これは、制度設計上は確かにそのとおりです。制度を提供する側の論理でずっと御説明をされているという点があるということを指摘させていただきます。

 やはり、今回は国民に負担をいただく制度です。給付ももちろんありますけれども、そのための財源として国民の御協力が欠かせません。国民一人一人、こういう方にはこういう負担をお願いをする、そして給付というのはこういうものがある、それにはこんな効果がエビデンスとしてある、あるいは期待できる効果として根拠がある、これを言ってほしい、そう思って、この間、私たちはいろいろなことを求めさせていただいております。

 一昨日、山井議員が求めた資料、これも同じでございます。子ども・子育て支援金の財源のうち、一兆円の支援金、健康保険の組合種類ごとの一定の所得、四百万、六百万、八百万、一千万とか山井議員はおっしゃいましたが、一定の所得別の負担金額、これを提出していただきたいと求めさせていただきました。さすがに今日の審議までは間に合いませんですが、少なくとも次の審議で質疑を準備するのに間に合うように出していただきたいと思っております。

 そして、私たちが加入者一人当たりというところにこだわるのではなくて被保険者一人当たりにこだわるのは、先ほども申し上げましたとおり、自分事として、自分のようなケースは実際にどのくらいの負担になるのか、そしてそれは子供や次世代のための負担として納得がいくのか、これが必要だから被保険者一人当たりと言わせていただいております。

 そしてもう一つ、本日、一谷議員がおっしゃったとおり、事業主の負担も私たちはやはり示すように求めています。

 これは、特に小規模零細事業者にとって、社会保険料の負担の重さはもう既に深刻なんです。社員一人当たり一年間、もしかしたら、支援金として一万円負担するのであれば、社員への賃金アップはその分抑えるしかないという判断になったり、あるいは、社会保険料が上がるなら、申し訳ないけれども、社員を本当は一人増やしたいと思ったけれども、ここは抑えておかなきゃ、あるいは負担の軽い非正規に替えざるを得ない、あるいは業務委託に回すなど、こういう経営判断が起きる可能性があるからです。

 改めて、山井議員が求めた資料、提出をいただけませんか。

 参考に、私、実は資料三をつけさせていただきました。御覧ください。これは協会けんぽなんですが、一つの保険種類として。これはもうホームページに公表しております。全国都道府県ごとに公表しています。

 この中で、今は、報酬月額単位で、介護保険第二号被保険者に該当しない場合、要は介護保険を負担しない方が、すぐ隣に欄があります。ちょっと見えにくいですが、等級でいくと十七という方が、実は報酬月額は二十万円。一番分かりやすい例としてちょっと挙げさせていただきます。二十万円の方、健康保険料とすると二万二十円、そして、横に行くと、介護保険もプラスをすると二万三千二百二十円、それ以外に、年金だと三万六千六百円ですか、こういうのが分かるようになっているんです。

 ここまで細かく月額別にとは求めませんけれども、報酬月額ということを根拠にしている健康保険制度ですので、標準月額でも構いません、こういう資料を出していただけますでしょうか。これは大臣にお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 三月二十九日に、医療保険制度別の加入者一人当たり支援金額や、また、これまでお求めのあった被保険者一人当たり額を公表をさせていただきました。

 その際、国民健康保険や後期高齢者医療制度につきましては、低所得者軽減の対象となる層について試算をお示ししたほか、いずれの制度においても、個々人の支援金額は令和三年度の医療保険料額の四から五%と見込まれることを参考までにお示しをさせていただきました。

 これらによって、今般、子供、子育て世帯を全世代、全経済主体で支えるものとして創設する支援金制度、この支援金制度における個々人の拠出額について、国民の皆様に知っていただき、御理解をいただくことが相当程度可能であると考えてございます。

 お尋ねの所得階層別の拠出額、これにつきましては、数年後の賃金水準等によることから、現時点で一概に申し上げることはできませんが、他方で、個々人の現在の医療保険料額に四、五%を掛けていただくことで分かるものと考えてございますが、更に具体的にどのようなお示しの仕方が可能か、引き続き検討をしてまいります。

岡本(あ)委員 一昨日も申し上げましたとおり、四、五%、自分で計算しろという姿勢が問題だということを指摘をさせていただいております。

 あわせて、提出を検討していただけるということで、私たちは、やはり次の審議に間に合う、そして、そのためには私たちも通告もしなければいけませんので、ちゃんと資料を見て、そしてそれを基に質問を構築できる、そういうタイミングで、間に合うようにということは強く申し上げさせていただきます。

 ちょっと今、資料三を使いましたので、歳出抑制の、次の質問に先に入らせていただきます。

 本会議では、給与明細に一人当たりの支援金額が幾らになるのか、これは総理が前向きに御答弁をいただきました。是非お願いしたいと思います。これは事業者の協力が欠かせません。

 一方、今、この資料三のとおり、協会けんぽ、これは一番加入者が多い健康保険ですので、この資料を出させていただきました。あるいは、国民健康保険等は少なくとも公費が入っております。事業者に明細に載せるようにというところ、前向きであれば、当然、協会けんぽとか健康保険等についても明記を率先してもらいたいと思います。

 例えば、今ほど申し上げました十七等級、二十万円の方でいきますと、健康保険料は、今の現行でいきますと二万二十円というのがここの欄に、右に行くとありますよね。そして、ここの横に一枠設けて、支援金は幾らになりますということを表示できるんじゃないかと思います。

 要は、国民の皆さんに、お一人お一人の給与明細に入れていただくのは協会けんぽでも御努力いただければと思いますが、これは事業者に御努力いただくことです。これは条例で率とかも決まってきますので、少なくとも、ここの二万二十円、折半額の隣に、支援金は幾らなんです、こういう欄を設けるということが、ある意味、国民にとって必要な情報提供、理解をいただく上でも大事なことだと思います。これをやっていただけますでしょうか。

加藤国務大臣 国民の皆様お一人お一人に分かりやすく表示をするということについての御質問と受け止めさせていただきました。

 健康保険法上、事業主は保険料の控除額を被保険者に通知しなければならないこととされる一方、その内訳をどこまで示すかまでは義務づけられておらず、ここは事業主の判断に委ねられるもので、委員の御理解いただいているとおりでございます。

 他方で、危機的な状況にある少子化の中、子供、子育て世帯を支援するために支援金を拠出いただくという趣旨を被保険者に知っていただくことは重要だと考えてございます。

 こうした観点から、給与明細書等において支援金額を表示する取組が広がっていくよう、法律の施行に向けて、関係者の御意見も伺いながら、支援金制度の理解促進に向けて必要な取組を進めてまいります。

岡本(あ)委員 私が求めているのは、事業者とかに御協力をいただくのは、それは御努力いただけるということは答弁でもいただいております。これは一覧表で分かるんですよ。健康保険、介護保険、年金、いわゆる社会保険、十七番の方ですと二十万円、自分だったら幾らなんだなというのが分かるんですね。ここに支援金が入っていないと、逆に、あれ、実際引かれているお金とここに載っているお金、違うじゃないかということになるんだと思うんです。

 これは行政に御協力をいただくものなんです、事業者ではなくて。だから、行政には、国と地方自治体は対等だと私たちはずっと求めていますので、対等な関係にあることは重々承知なので、せめてお願いをして、自分の自治体の住民の皆さん、負担いただく皆さんに御理解いただくためには、やはり、これはないとかえって誤解を招くと思います。

 もう一度、行政に、是非この一枠を設けて、支援金は幾らになるのか、この点の御協力をお願いする、それは大臣としてやっていただけますね。お答えください。

加藤国務大臣 行政も含めて関係者の御意見をしっかりと伺いながらとはなりますが、取組が広がっていくように、働きかけも含めて必要な取組を進めてまいります。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 この件は、これはないと、これは今までずっと公表して、全部の都道府県、ホームページで見られる情報ですので、やはり、二十万円の人は二万二十円、介護保険がプラスになって幾らだな、社会保険は幾らだな、これで見返りが、いざとなったときに、病気になっても助けてもらえるんだな、この分、当然だなと納得いただく、これが支援金にも必要なんだと思います。

 そしてもう一つ、総理や加藤大臣がよく使われる、実質的な追加負担ゼロという方針、これがどういうことなのか、この点についても確認です。

 同じように資料三を使わせていただきます。今申し上げました十七番目の等級の二十万円の方、報酬月額が二十万円の方、これは、例えば、こういう意味なんでしょうか。今、健康保険料は二万二十円負担になっています。本来であれば、このまま社会保障経費の伸びがどんどん高まっていく自然増に任せておくと、この先、保険料が二万二十円から二万二千四百円に上がってしまうかもしれない。これはプラス二%、勝手に仮置きをしていますが、二万二千四百円に上がってしまうかもしれない。でも、ここで社会保障の歳出改革を頑張って、二万二千四百円になるところを二万一千円に抑えます。千四百円分を頑張ったので、この千四百円を支援金として子育て支援に使えるようにする。

 私のこの考え方、合っていますでしょうか。大臣、お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度の構築に当たっては、これまでも、社会保険料の負担軽減効果の範囲内で支援金を導入することで、全体として実質的な負担は生じないと申し上げてまいりました。

 具体的には、令和五、六年度の予算編成では、歳出改革により、医療、介護の保険料で合計三千三百億円の軽減効果が生じました。これを令和十年度まで継続いたしますと、保険料負担で約一・〇兆円の軽減、加入者一人当たり月約四百五十円の軽減効果が生じることとなります。

 御指摘の数字のことで具体的にコメントすることは避けますけれども、今、考え方ということでございます。令和十年度において医療保険加入者一人当たり平均で四百五十円の拠出をしていただくならば、加入者一人当たりの平均で見て、支援金制度の導入によって差引きで負担が生じることにはならないことを申し上げております。

 保険料が上昇していく中でも、歳出改革によってこれを抑え、抑制した範囲内で支援金を導入するという考え方であるとすれば、委員御指摘のとおりかと考えます。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。確認が取れました。誤解を招かないようにと思って聞かせていただきました。

 具体的な、二十万円の場合というのを言った方が分かりやすいと思って指摘をしたんですが、今二万二十円御負担いただいている方、これが、二万二十円の中で歳出抑制が行われて一万九千円と千円に分かれるのではなくて、二万二十円、これは率は条例で決まっておりますので、保険料率というところは、医療保険に関しては、宮城県の場合は一〇・〇一で二万二十円。このままでいくと二万二千四百円に上がっちゃう。これは、過去が二%上がっていましたので、単純に二%上げる仮置きをしております。二万二千四百円に上がってしまう。でも、歳出抑制をして二万一千円に抑える。

 これは、二万二十円以下じゃなくて、やはりここは御負担いただく見通しがあるんだ、大幅な見通しで、ここは頑張って伸びを抑えるけれども、やはりこれは新たに健康保険制度でも御負担いただく部分があるんだと。そこを抑えた分は支援金として千四百円を回す。これは事業主折半なので、半分にすると七百円で、協会けんぽの七百円というところとも合致していると思います。なので、実質追加負担ゼロという表現は、私は、事実とは違うということは指摘をさせていただきます。

 二万二十円で済むのではないんです。二万二千四百円まで上がりそうなところを、頑張って二万千円と千四百円。要は、二千四百円は新たに御負担をいただくということになると思います。ここを、本当に二千四百円プラスなのかどうか、私のこの質疑で独り歩きをすることを懸念されるところもあるので、だから、健康保険組合ごとの、所得ごとの、実際の今の令和三年度の実績で、仮置きで、支援金を設計した一兆円を置いてということでお示しいただけるんじゃないかと思っております。この資料の請求は、引き続き早急な提出を求めたいと思います。

 そして、ちょっと質問、前に戻ります。一・〇兆円のほかに、歳出改革によって公費の節減の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用と説明をしています。今具体的な数字で言いましたところ、プラス、二万二千四百円まで伸びそうなところを二万千円に抑えます、頑張ります、千四百円を節減しますという中身です。

 歳出改革とおっしゃいますが、本当に捻出できるのか。前回、田中健議員が質疑でやり取りをされていらっしゃいました。私も同じ懸念を持っています。特に、医療、介護の処遇改善で、もう既にプラスで三千四百億円、支出の追加が決まっています。これはもちろん必要な経費だと私は思っています。ただ、節減だけではない、プラスがあるということも現実です。

 そして、歳出改革ですけれども、社会保障の改革工程の表に載っている取組ですけれども、介護保険の一号保険料、累進強化をして、所得四百二十万以上の所得の方から保険料を追加して負担額を増やすということが決まっています。

 そして一方は、介護保険利用料二割負担対象者を拡大すると言っていましたが、これは見送られました。ケアプラン作成有料化、これも見送りになりました。特養ホーム多床室の全額負担、これも見送りになりました。要介護一、二の市町村事業への移管、これも見送りになっています。

 今回の十二月に公表したのは、もうそれは除かれていますけれども、社会保障の改革工程にこういうものが入っているんです。それから、被用者保険の加入対象者の拡大。フリーランスやギグワーカーに社会保険料を負担を求める。医療、介護の三割負担。

 結局、歳出抑制という名の下に公費は下げられるかもしれないけれども、当事者に負担をつけ替えるだけの改革になってしまうんじゃないか、この点を懸念していますし、本当にこれで一・一兆円生み出す歳出改革、実現できるのでしょうか。これは厚労省にお答えいただきたいと思います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘がございましたように、この加速化プランの財源確保に当たりましては、令和五年度から令和十年度にかけて、歳出改革により公費一・一兆円を確保するということがされてございまして、このうちの五年度、六年度予算編成におきましては、薬価改定等の歳出改革を行いまして、公費で三千七百億円を既に確保したところでございます。六年度の予算編成では、先ほどの介護保険の取扱いなども含めまして種々議論を行った上で、最終的に、今予算にのせておりますような改革をしまして、それを含めて、公費で二年間で三千七百円ということでございます。

 今後の七年度以降につきましては、御紹介ございました改革工程に種々のメニューが載っておりますけれども、これらのメニューを実際に、どのタイミングで、どのような内容でやるのか、どの項目を取り上げていくのかということにつきましては、まさにこの当該取組が与える影響に十分配慮しながら、慎重に議論をした上で決定をして、毎年度の予算編成の中でそれを明らかにしていくということになろうかと思います。

 その中で、御指摘のような懸念などについても十分配慮しながら検討していくということでございます。

岡本(あ)委員 やはり、当事者の方につけ替えることにもなります。これは本当に当事者の方の御理解がなければ進まない歳出改革なんだということは強く指摘をさせていただきますし、私たちも賛同しかねる内容も入っているというところも指摘をさせていただきます。

 さて、今度、資料二を御覧いただきたいと思います。

 今回、百四十六万円給付がありますよという説明がございました。拠出額を上回る確かな支援拡充とおっしゃっております。先日、国光あやの議員が指摘をされました。これはプラスだけじゃなくて、緑の文字で、保険加入者一人当たりの拠出もちゃんと示して、プラスマイナスで示すべきだとおっしゃったと思います。全くそのとおりだと思っています。

 その中で、私、例えば十六歳から十八歳、三年間で四十七万円プラス、拡充となっておりますけれども、負担額のほかに、扶養控除、これは縮小する方向で今検討中ということなんです。だから、単純にプラス四十七万円手にできるよということではないんだと思います。ゼロから二歳の誰でも通園も自己負担があります。共働き、共育ての推進は、雇用保険、社会保険の加入対象になりますので、新たに保険料を負担しなければならない方もいらっしゃるんです。

 こういうプラスマイナスをちゃんと示して御理解をいただく、御納得いただくべきじゃないかと思いますが、こども家庭庁、いかがでしょうか。

熊木政府参考人 資料につきましては、給付と拠出、いろいろな面があるということなので、それをトータルに示すべきではないか、こういう御指摘だと思いますので、基本的に、そういう考え方というのは本来考えるべきだと思いますし、他方で、こういう資料として表すためには、その目的に沿って、どういう整理の上で出すのか、そういう整理もさせていただく必要があろうかと思います。

 少し、扶養控除というふうにおっしゃられたと思うんですが、そういう点で申し上げますと、その扶養控除というのは、まだ今現在、まず決まっているものではなく、令和七年度の税制改正において最終的な結論が得られると承知しておりますので、今ここに載せるということは、バランスとしては難しいかなというふうに感じました。

 その上で、仮に載せるといたしますと、当然、税制の部分を載せるという御指摘なので、実は、子育ての税制はたくさんあると思います。扶養控除と同時に議論したものに、子育て減税、減税の方が結構ありますので、それであれば、それを載せるべきなのかどうかという検討を実はする必要がございます。

 中には、もう既に来年度の税制で決まっているものもあるわけですが、それはここには当然載せておりませんので、そういう意味において、将来あるかないかということで最終結論を今後得るものについて今現時点で載せるということは、整理としては難しいかなと感じました。

 誰でも通園も同様でございます。これも八年度に給付化するものでありますので、その際の利用料というものをどういうふうに考えるのかということがあるかと思いますし、また、基本的には、ここは事業費、予算ベースという形で載せておりますので、そこに対して利用料というものをどういうふうに考えるべきなのか、それは考えなければならないと思います。

岡本(あ)委員 制度設計として御説明をされている資料なんだと思うんですね。冒頭申し上げましたとおり、百四十六万円手にすることができるわけではないんだということ。それから、プラスマイナス含めて、要は、制度設計上はこうですというのは事実ですし、御説明もそのとおりです。私たちが求めているのは、モデルケースを使うのが適切なのかどうかは別として、やはり、自分たちは何がプラスで、でも、どこは負担しなきゃいけない、これを見極めた上で、でも、やはりこれは私たち子育て世帯にとってはありがたいよね、あるいは、独身者の方もいらっしゃるかもしれない、こういう方にとっては、持ち出しだけど理解できるよね、こういう形に持っていくべきなんじゃないかと思うんです。

 そして、残念ながら、岸田総理が、百四十六万円拡充になるんです、これ、皆さんの懐に入るかのような形で使われるということは非常に懸念をしていますし、前にもありました。三人子供を持つと一千百万円手にすることができるかのような印象で発言をなさるということは非常に危ういと思っています。三人子供というのは、三つ子か、双子プラス年子を産まないと千百万にはならないんです。

 こういう印象操作に使われるようなときこそ、具体的に、私は、モデルケースで、プラスもあるしマイナスもあって、現実こういうことですよというのが伝わるべきなんだと思っています。

 もう一つ、制度設計上なので仕方がないという御説明をいただいたんですが、加藤大臣にお答えいただきたいと思います。

 資料二、例えば高校生、三年間で四十七万円、これは児童手当だけなんです。三十六か月で割ると、子供、月額一万三千円手にする計算になるんですね。児童手当は一万円ですよね。何で、こんなにもらえるかのような棒グラフになっているんでしょうか。

 ちょっとこれ、きちんと、私からすると、受け取る側にとって実際どのぐらいなのかなという目安にできる、そういう形で示すべきだと思います。是非、精査をお願いしたいと思います。大臣、お答えください。

熊木政府参考人 数字のことでございますので、お答え申し上げます。

 先生おっしゃられました、十六歳から十八歳で四十七万円、児童手当が高校生につきますので、一万円掛ける十二か月掛ける三年であれば三十六万円のはずだと。一月に四十七万円を直すと一万三千円、本来であれば一万円なのに、なぜ一万三千円なのか、三千円プラスになっているということです。

 これは、この資料にも書いてございますが、給付自体はもちろん条件によって様々でございますが、それを押しなべて平均化したものでございます。すなわち、第三子の方がいれば、その場合は一万円ではなくて三万円というふうになります。三万円もらう方がいるので、そうすると、実は四十七万円ではなくて、その三万円もらう方にとってみれば、この四十七万に当たるのが百八万とか、そういう形になります。なのか、三十六万なのか、大きく言うと、そういう中で、どちらかの方が多いと思いますが、それを平均すると四十七万円だということになります。

岡本(あ)委員 指名を間違えて失礼いたしました。

 ちょっと疑問があるんですよね。これは第三子で、高校生で第三番目でもらえる額なんですね。しかも、今回拡充して上のお子さんが二十二歳までと言っていましたけれども、上が二十二歳の、第三子で高校生って、果たして本当にこんなにいるんだろうかという疑念はあるんです。

 なので、再三申し上げております。私たちは、例えばこういうケースだったらこのぐらいもらえるんだよという意味でこれを見ちゃうんですね。でも、制度設計上だから制度の設計の説明をしただけですということは伝わらないんです。御理解をいただくとすれば、やはり現実に合って、自分の一定のケースごとに示すというところは、御理解をいただく上では絶対必要だと思っております。

 最後に一問だけ、誰でも通園制度。

 医療的ケア児、障害がある子の通園も可能とするという前向きな答弁、本会議でございました。これは、保育園だけでは、現実、限界があるかもしれません。専門性も必要でありますし、安心して通える受皿が必要だと思いますので、この点。それから、スケジュールも含めて見通し。この二問、まとめてお答えいただきたいと思います。見通しに関しては大臣にお答えいただきたいと思いますし、受皿については、こども家庭庁、お願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 誰でも通園につきましては、医療的ケア児や障害のある子供も含めて、全ての子供の育ちを応援するためのものというふうに位置づけております。ですので、令和八年度の給付化を見据えまして、提供体制の整備を進める必要がございます。

 障害のある子供に対する提供体制の整備につきましては、そちらの方もお答えしてよろしいですか。(岡本(あ)委員「はい」と呼ぶ)試行的事業の中で、保育所や認定こども園等で実施する場合でも、障害のあるお子さんを受け入れる場合に補助単価を上げて実施をしております。約一・五倍でございます。

 障害のあるお子さんが利用できるようにするということは非常に重要でございますので、こういった仕組みを使いながら、障害者の受入れもしっかり進めていきたいというふうに考えております。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども誰でも通園制度は、医療的ケア児や障害のある子供も含めて、全ての子供の育ちを応援するためのものでありまして、令和八年度の給付化を見据え、提供体制の整備を進めてまいる必要があります。

 障害のある子供に対する提供体制の整備については、試行的事業の中では、保育所や認定こども園等で実施する場合でも、障害のある子供を受け入れる場合には補助単価を約一・五倍とすることにより、障害のある子供が利用できるようにするとともに、児童発達支援センターや児童発達支援事業所等にも参画いただくことを可能としております。

 これから更に、今後も試行的事業を踏まえまして、制度の本格実施に向けて検討を深めるとともに、自治体における提供体制の整備、この支援をしっかりと進めてまいります。

岡本(あ)委員 以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 質問をさせていただきます。

 二月二十七日に公表された人口動態統計速報によりますと、出生数は過去最少の七十五万八千六百三十一人、八年連続の減少となりました。二〇一五年は確定値で百万五千七百二十一人でしたので、この八年間で約二十五万人減少してしまったとのことになります。婚姻件数につきましても、四十八万九千二百八十一組で、過去最少となりました。

 また、先般、製薬会社のロート製薬が公表した妊活白書二〇二三によりますと、若年未婚男女に行った、将来子供が欲しいかどうかという質問に対し、子供が欲しくないとの回答が五五・二%にもなったとのことで話題になりました。

 我が国の少子化は危機的状況であり、少子化対策は最優先に取り組まなければならないということは共通の認識であると思います。そして、我が国の危機的な少子化の背景には、日本経済の長期にわたる低迷、物価の上昇、上がらない賃金、子育てや子供の将来に対する不安、結婚や出産に対する価値観や考え方の変化など、様々な課題が山積しております。このような状況に対し、岸田総理は、異次元の少子化対策ということで今回の法案を出されたと認識をいたしております。

 また、岸田総理は、二〇三〇年代に入るまでのこれから六、七年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとも発言をされています。しかし、異次元やラストチャンスにしては、中身は従来の少子化対策の延長線程度のものであり、財源については、国民には聞こえのよい方法で国民を欺き、徴収しようとしている有様です。

 加藤大臣に伺います。

 今回の法改正は、異次元の少子化対策やラストチャンスの対策としてふさわしく、少子化傾向を反転できると自信を持って言えるものになっているのでしょうか。そして、若者や子育て世代の皆さんに対し、子育てに対する不安や将来不安を取り除いて、安心して出産、子育てができますと言えるものになっているのでしょうか。答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本法案は、前例のない規模である三・六兆円の加速化プランの中核を成す対策が盛り込まれてございます。

 具体的には、児童手当の抜本的拡充や、妊娠、出産時の十万円給付の制度化などにより、子育て世帯の経済的負担を軽減するほか、また、伴走型相談支援やこども誰でも通園制度の創設等によりまして、切れ目のない支援を実現をするとともに、さらに、両親が育休取得する場合の手取り十割を実現する給付等の経済支援により、共働き、共育てを推進いたします。

 こうした拡充策によって、政府が総力を挙げて取り組む賃上げ等と相まって、若い世代の所得を増やし、結婚、子育てを確実に応援することで、希望する方が安心して子供を産み育てることができる、そういう社会の実現につなげてまいります。

坂本(祐)委員 安倍政権以来、政府は異次元とつく対策を行ってきたことは大臣も御承知のことと思います。異次元の金融緩和と異次元の地方創生であります。共通していることは、どちらも失敗に終わったというのが私の認識であります。

 地方創生について申し上げれば、地方創生の取組が始まってから間もなく十年になりますが、東京一極集中は止まらず、少子化にも歯止めはかかりませんでした。政府は一部の自治体においてその取組の効果があったと言っているものの、ほとんどの自治体では効果がなかったというより、むしろ深刻さが増しているのを感じています。

 大臣の御地元山形県につきましても、昨年十月一日時点の人口は百二万六千二百二十八人と、その前の年からおよそ一万四千七百四十三人減少したとのことであります。

 通告はしておりませんけれども、大臣にお伺いいたします。御地元の山形県は、十年間の異次元の地方創生の取組によって、創生という言葉にふさわしい変化はあったのでしょうか。また、大臣御自身が御地元を回られて、実績として御地元の創生が進んでいるとお感じになっていらっしゃるでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 私の地元の山形県の地方創生が進んでいるかということかと思いますけれども、もちろん今まだ道半ばではございますが、多くの若い方々や、また、工夫を凝らして事業を新しく起こしている方々などもたくさんおられまして、地方創生の観点から進んでいる部分は多々ございます。

 特に、私の地元鶴岡市には、Spiberという企業を中心とした、サイエンスパークといいまして、慶応の先端生命研究所を中心に新しい事業を起こし、世界に向けてシェアを取っていくというチャレンジに向けて、気概を持って挑戦している方々がおられます。その方々は、まさに今、全国の地方創生のモデルとして注目もされておられまして、そういった方々をしっかり支援する施策をこれまで十年間の中で取り組んできたという実績はあるというふうに自負をしております。

 これからもしっかり地方創生が山形県でも進むように、一政治家としても頑張ってまいりたい、このように思っております。

坂本(祐)委員 道半ばということでございますので、地方分権をしっかりと進めていただいて、私も、地方がしっかりと創生される日本をつくっていく、そのためにもこれからもしっかりとただしてまいりたいと存じております。

 先月十九日、日本銀行は、円安、物価高騰を招くなど日本経済に様々な弊害をもたらしてきた異次元の金融緩和の転換を決定いたしました。私は、これが異次元の政策の結果だと思います。

 大臣に伺いますが、少子化は危機的な状況であり、少子化対策は我が国にとって最も重要な課題です。異次元の金融政策や異次元の地方創生の轍を踏まないようにという思いでおりますが、大臣、大丈夫ということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 今般が、今がラストチャンスという危機感の下、この加速化プランをしっかり前に進めるべく、この法案の成立に皆さんの御理解をいただくべくしっかり説明を尽くし、そして実現に向けて取り組んでまいります。

坂本(祐)委員 しっかりと覚悟を持って進んでいただきたいというふうに願っております。

 では、法案の中身について質問させていただきます。

 まず、児童手当について伺います。

 今回の法案の中で、児童手当については抜本的拡充とされています。そして、拡充の内容としては、具体的には、所得制限撤廃や高校までの延長、第三子以降三万円が挙げられています。

 しかし、三歳未満の一万五千円と三歳から中学生までの一万円については据置きです。物価が高騰し、子育てに係る経済的負担も増加し、さらには実質賃金も低迷し続けているにもかかわらず、児童手当は据置きです。

 加藤大臣に伺います。ラストチャンスや異次元と言っていますが、据置きでよろしいのでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 今般の児童手当の抜本的拡充におきましては、子供三人以上の世帯数の割合が特に減少していることや、子供三人以上の世帯はより経済的支援の必要性が高いと考えられていること等を踏まえ、ライフステージを通じた切れ目のない子育てに係る経済的支援の強化策の一環として、子供三人以上の世帯を重点的に支援することとしたものであります。

 また、こども未来戦略におきましては、この児童手当の抜本的拡充を始めとして、三・六兆円に及ぶ、前例のない規模で子供、子育て支援を抜本的に拡充することとしており、児童手当に限らず様々な施策を総合的に推進していくことが重要であると考えております。

坂本(祐)委員 今回の法改正では、ライフステージを通じた経済的支援の強化を掲げています。それも大切ではありますが、子育てをしている方からの話を聞く中で私が必要と考えるのは、ライフステージに応じた経済的支援であると考えています。

 現在の児童手当は、ゼロ、一、二歳児が一万五千円となっており、三歳以上より手厚くなっています。もちろん、子供が小さいうちは親が若く、給料も安いというケースも多くあると思いますし、ゼロ、一、二歳だからこそかかる経済的負担もあると思います。しかしながら、子育てにかかる負担は子供が小学生、中学生、高校生と、年齢そしてステージが上がるにつれて増えていくものだと思います。

 これは大臣に伺いますけれども、例えば食費はどうでしょうか。年齢が上がっても余り変化しないと思いますか。それとも年齢が上がるにつれて増えるとお考えになるでしょうか。

加藤国務大臣 食費ですね、子供によってケース・バイ・ケースではあると思いますが、ごく健康な子供さんであれば、成長につれて召し上がるものも増えていくので食費が増えていくということもあろうかと思います。

坂本(祐)委員 お答えいただきましたけれども、私も子供を育てていて、やはり子供が大きくなればそれだけ食費がかかってきた、特に男の子で中学生や高校生ともなれば、運動部活動をする子供の食べる量はすごい量になるということを経験もさせていただきました。

 食費以外にも塾や習い事もあります。特に高校受験や大学受験を考えれば、中学や高校での塾の負担も多くなると思います。部活動にもお金はかかります。修学旅行費の積立て、これも小学生より中学生、中学生より高校生と行くエリアが拡大し、それに伴って家庭からの負担も大きくなります。高校生になれば電車通学も増えます。電車の定期代も家計の負担となってきます。子供たちの活動範囲も年齢が上がるにつれて広がっていきますし、広がれば現実的にお金もかかります。そして、何よりもその先には大学や短大、専門学校等への進学もあり、大学等への受験費用、入学金、授業料、引っ越し費用など、数百万円に及ぶ負担が待っており、そこへ向けて生活費を切り詰めながら積立てをしている保護者の方も多いと思います。

 ここまでいろいろ申し上げましたが、当然ながら子育てにはこれ以外にも様々な経済的負担が発生をいたします。

 大臣にお伺いいたしますが、子育てにはライフステージを通じた経済的支援はよいと考えますが、それは最低限のベースであって、少子化対策、子育て支援施策として必要なのはライフステージに応じた経済的支援であると考えますが、この点につきまして大臣の見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今般、加速化プランで拡充を盛り込んでおります児童手当では、全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援として、広く一般家庭を対象として、児童の養育に伴う家計の経済的負担の軽減を図る観点から、養育する児童数に応じて支給するものであり、教育費など家計支出の多寡に応じた制度とはしてございません。

 例えば、教育費について見ますと、文部科学省において高等学校等における教育に係る支援など経済的負担の軽減等の施策が推進されているように、児童手当に限らず様々な施策を総合的に推進していくことが重要であると考えてございます。

 いずれにしましても、今般のこども未来戦略におきましては、全ての子供、子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援するという基本理念を掲げており、児童手当に限らず様々な施策を総合的に推進をしていくことで、全体としてこの理念を実現をしてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 そうであるならば、ラストチャンス、異次元という中で、ライフステージに応じた更なる支援のために、やはり子育てに対する支援の次元を上げていかなければなりません。

 大臣、児童手当につきましては、今回の法案のままでよいのでしょうか。お伺いいたします。

加藤国務大臣 現時点で必要とされる改革を、今般、次元の異なる少子化対策として盛り込ませていただいたところで、まずはこの実行をできるべく、皆様にこの法案の意味や意義を御理解をいただき、成立をさせた上で、実施をしていって、また、将来的には子供政策の予算倍増ということをうたってございますので、実施、この様子を見ながら前に進んでいきたい、このように考えております。

坂本(祐)委員 検討、見直しを図りながら、是非前向きに実現をしていただきたいと願っています。

 次に、児童手当の抜本的拡充の、第三子以降の三万円につきまして、多子加算のカウント方法は、二十二歳年度末までの子で、親等に経済的負担がある場合にはカウントするとされています。

 大臣に伺いますが、子供の人数が同じであれば、子育てに係る経済的負担の総額はほとんど変わらないと思います。同じ子供の人数でも、子供が生まれたタイミングによって受けられる支援に差が生じるような仕組みは改めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 同時に児童を三人以上養育する家庭は子の養育に係る経済的負担が重いと考えられることから、現行の多子加算は、同時に三人以上の児童を養育する者の経済的負担の軽減を趣旨として、監護生計要件を満たす、児童が三人以上いる場合に支給額を増額する制度としてございます。

 今般の拡充に当たり、多子加算の子のカウント方法について従前どおりの方法を維持した場合、第三子、高校生として、月三万円が支給されるケース、すなわち、今般の児童手当の拡充の効果が発揮されるケースがかなり限定されることとなるため、これを見直すことといたしました。

 見直しに当たりましては、児童手当の目的や趣旨も踏まえ、子が何歳でもよいとするのではなく、高等教育機関への進学状況等も踏まえ、二十二歳の年度末までの上の子について、親等の経済的負担がある場合をカウント対象としたものでございます。

坂本(祐)委員 御答弁をいただきましたが、私は、第三子以降について、表向き、支援をしようと見せかけて、カウントの仕方を試行錯誤して、どうにか支援の要件から外そうとしているようにしか見えないんですね。

 このことについて、子育てをしている保護者の方から、子供が三人いるけれども、分かりにくくて、自分の子供がどこまで支援が受けられるかよく分からない、せこい、異次元でなくていいから、せこくない、子育てを支援してほしいといった御意見がありました。これは私の意見でなく、実際に子育てをされている方から伺った御意見でございます。

 子育てをしている保護者の方からのこのような御意見について、加藤大臣はどのようにお考えになりますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁と重なるところがありますが、今般の見直しは、多子加算の趣旨を踏まえ、できるだけ広い要件として、二十二歳の年度末までの子を児童に類する者と捉え、当該子について親等の経済的負担がある場合をカウント対象といたしました。

 児童手当の多子加算は、同時に三人以上の子を養育する時期がやはり最も経済的に負担が大きいことを考慮して、これを支援するものでございます。

坂本(祐)委員 全て、子育てをされるお父さん、お母さん、分かりやすい政策の実現であってほしいと私は考えております。

 次に、子ども・子育て支援金制度について質問いたします。

 私からは、地元の方々からの御意見に基づいて質問させていただきます。

 支援金の見込額、いわゆる国民の皆さんに御負担いただく金額については、先月二十九日に示されました。しかしながら、総理や加藤大臣からは、国民の皆さんにかかる負担について、歳出改革と賃上げで社会保障負担率の抑制の効果を生じさせ、その範囲内で制度を構築していくことにより、全体として実質的に負担は生じないという答弁を繰り返していますが、地元の方からは、実際に自分の負担が増えるのか増えないのか分からないといった御意見をいただいています。

 私は、国の政策や制度について、国民の皆さんに対し、国民の誰もが容易に理解できるように丁寧に分かりやすく説明することが政治家の重要な役割であると思っています。特に今回は、子ども・子育て支援金として国民の皆さんに新たな御負担を求めるものであります。大臣は、なおさらきちんと説明し、御理解と御納得をいただかなければならないと思います。

 そこで、今回の子ども・子育て支援金の負担の件ですが、私は、総理や大臣が説明する中で、実質的に負担は生じないという中の実質的という言葉が、この支援金制度の負担について国民の皆さんに対し分かりにくくしている原因であると考えています。

 大臣に伺いますが、支援金制度の負担について、国民の多くの皆さんが知りたいのは、自分の負担が増えるのか増えないのか、そして、増えるのであれば幾ら増えるのかということであると思います。子ども・子育て支援金の国民負担について、実質的という言葉を使わずに、国民の誰でもが理解できるよう平易に分かりやすく御説明をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金の導入により国民の皆様に新しく拠出をいただくことは事実でございますが、これは、それまでの間に歳出改革等を積み上げ、全体としてそれ以上の社会保険負担軽減を図ってまいります。

 具体的には、令和五、六年度予算編成では、歳出改革により、医療、介護の保険料で合計三千三百億円の軽減効果が生じました。これを令和十年度まで継続をいたしますと、保険料負担で約一・〇兆円の軽減、これは、加入者一人当たりの平均で申し上げれば、月約四百五十円の軽減効果が生じることになります。これにより、支援金の導入によって差引きで負担が生じないこととなります。

 こうしたことから、支援金制度の導入により全体として実質的な負担が生じない、このように申し上げております。

坂本(祐)委員 国民の皆さんへの説明では、今の説明では十分御納得はいただけないのではないかと私は考えますが。

 加藤大臣は、例えば、御地元で、給料が上がらない、上がる見込みがないという方から支援金について保険料負担が増えるのかと尋ねられたら、どのようにお答えになりますか。

加藤国務大臣 支援金の導入により増えるのかというふうに聞かれた場合に、私、先ほども申し上げましたが、国民の皆様には新しく拠出をいただくことは事実でございますが、これは、それまでの間に歳出改革等を積み上げて、全体としてそれ以上の社会保険負担軽減を図ってまいります、このように申し上げます。加入者一人当たり月約五百円の軽減効果を生じさせて、その範囲内で、支援金の導入によって差引きでは負担が生じないんだということを御説明をしていきたい、このように申し上げております。

坂本(祐)委員 負担は生じると思いますけれども。

 例えば、御地元で、そうであれば、年金生活の高齢者から支援金について保険料が増えるのかと尋ねられたら、どのようにお答えになられますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど答えたのと同じように説明をさせていただきます。

坂本(祐)委員 それでは、例えば、御地元の中小企業の社長さんから、今回の支援金制度については社会保険の事業主負担は増えるのかと尋ねられたら、どのようにお答えになられますか。

加藤国務大臣 事業主の皆様方にも同じように拠出をいただくことにはなりますが、歳出改革によって負担軽減を図ることによって差引きで負担が生じないようにして、全体としてしてまいります、このように申し上げます。

坂本(祐)委員 その説明では、私は、御地元の方たちが、分かりました、十分に理解いたしましたということにはならないかと思います。

 この支援金で私が特に問題と思っているのは、給料が上がらない方、そして年金以外の収入のない高齢者の方にとっては、支援金がそのまま新たな負担になってしまうということであります。すなわち、経済的に厳しい状況にある方により大きな負担が生じてしまう制度であるということだと考えています。仮に政府いわく月に五百円ほどの負担増加があっても、物価が高騰していく中で、給料が上がらない方、年金生活の高齢者には負担に感じる方も多くいると思います。

 大臣に伺いますが、私は、国民の皆さんには支援金制度のありのままを伝えるべきであると思います。その上で、御負担をいただくものについては素直にお願いをする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金の導入により国民の皆様に新しく拠出をいただくことは事実ですが、繰り返しになりますが、これは、それまでの間に歳出改革等を積み上げて、全体としてそれ以上の負担軽減を図ることによって実質的な負担が生じない、差引きで生じないということでしてございます。

 また、支援金は医療保険料と併せて徴収するものでございまして、その賦課方法は医療保険制度に準じた取扱いとなります。そのため、いずれの医療保険制度加入者におかれましても、所得に応じた拠出となりまして、国民健康保険及び後期高齢者医療制度等では、低所得者への一定の負担軽減措置等を講ずることなどを通じまして、負担能力に応じた仕組みとさせていただいてございます。

 危機的な状況にある少子化傾向を反転させることは、我が国の経済社会システムや地域社会を維持することにつながるほか、世界に冠たる国民皆保険制度の持続可能性を高めることにより、誰もが社会の一員として受益するものであり、これを国民の皆様に拠出をお願いしたい、このように考えてございます。

坂本(祐)委員 今回の支援金制度で新たに国民負担が発生するわけです。それを、負担が発生しないかのごとく、国民をだますような説明を総理や加藤大臣は繰り返しているわけでありますが、私が危惧しているのは、実際に支援金の徴収が始まったときに、負担はないと言っていたのに負担はあるじゃないかと感じる国民が多く出てくるのではないかと考えます。その不満の矛先が政府に向かうならまだしも、子育て世代に向かって、高齢者と子育て世代の間で、又は、子育て世代の中でも、子育てをしている方々とそうでない方々の間で新たな分断を招くことになりはしないかということであります。

 そうならないためにも、今の支援金創設のときに、国民の皆さんに御負担いただくものは丁寧に説明し、御理解、御納得をいただいておくべきと考えますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金制度の収入は児童手当の抜本的拡充など子育て世帯への給付に充てられますが、こうした給付を受けない方にとっても、少子化傾向を反転させるということは、経済社会システムや地域社会の維持ですとか、国民皆保険制度の持続可能性を高めることなどによって、誰もが社会の一員として受益するものでございます。このため、高齢者や子供のおられない方も含めて拠出をお願いしてまいりたいと考えております。

 このように、全世代そして全経済主体の皆で子供や子育て世帯を応援するための拠出である支援金制度の意義について、国民の皆様に御理解をいただけるよう、引き続き説明を尽くしてまいります。

坂本(祐)委員 それでは次に、多様な子育ての推進と支援について質問いたします。

 加藤大臣は、大臣就任の記者会見で、子育てに取り組む方々は十人十色とおっしゃっておられましたが、まさにそのとおりであると私も考えています。

 大臣に伺います。私は以前から、多様な子育てを認め、推進するためにも、会社で働きながらでも、家庭で子育てに専念する形でも、自営業やフリーランスであっても、子育てをする母親にはいずれの状況であっても基本的な公的支援は公平に行われるべきと考え、訴えてまいりました。この点に関してはどのようにお考えになられるでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 こども未来戦略におきましては、子供、子育て政策の強化の基本理念として、様々な子供、子育て支援に関しては、親の就業形態にかかわらず、どのような家庭状況にあっても分け隔てなく、ライフステージに沿って切れ目なく支援を行い、多様なニーズにはよりきめ細かい対応をしていくこととしてございます。

 子供たちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図ってまいります。

坂本(祐)委員 本法律案にあります共働き、共育ての推進と育休取得を促進するための育休支援制度の拡大については賛同するところであります。しかしながら、今回の出生後休業支援給付につきましては、雇用保険に入っている方が支援を受けられるもので、雇用保険に入っていない、家庭で子育てをする母親、もちろん父親もいらっしゃいますけれども、自営業、フリーランスの母親は支援の対象にはなりません。

 また、今国会、本法律案とは別に雇用保険法改正法案が審議されていますが、その中で、育児休業給付に係る国庫負担の割合を八十分の一から本則の八分の一に引き上げるという内容が入っています。金額では、八十分の一の令和五年度では約九十五億円に対し、法改正後の八分の一になる令和六年度では約一千六十九億円となっており、令和五年度より約九百七十四億円の増加になるとのことであります。約一千億円もの国庫負担が育児休業給付に充てられますが、こちらも、雇用保険に入っていない、家庭で子育てをする母親、自営業、フリーランスの母親は支援の対象にはなりません。

 育児休業給付につきましては、働きながら育休を取って家庭で育児をしている母親、専業主婦となって育児をしている母親、自営業やフリーランスで育児をしている母親など、それぞれが家庭の中で育児をしているのは変わりないにもかかわらず、雇用保険に入っているか入っていないかで支援に大きな差が生じてしまうのが実態であります。

 現状、政府の子育て支援は、働きながら子育てをする母親への支援に比重が置かれています。子育てに関しては、働きながら子育てをする母親、家庭で子育てに専念する母親、自営業やフリーランスの母親など、それぞれに考えや主張はあると思いますが、だからこそ、公的支援の偏りは極力小さくして公平に行っていくべきであり、育児休業給付につきましても、雇用保険に入っていない母親に一定の基準を設けて支給するべきではないかと考えています。

 昨年、当委員会で同様の趣旨の質問をいたしましたが、その際、政府参考人からは、雇用保険制度は労使が保険料を負担し、その制度の条件を満たす者に対して給付するもの、雇用保険制度から給付を行うことは困難という趣旨の答弁がありましたが、雇用保険制度の中の育児休業給付の財源が全て労使折半であるならばともかく、それ以外の国庫負担もあるということです。

 さらに、現在審議されている雇用保険法改正案が成立すれば、国庫負担を八十分の一から八分の一の本則に戻し、金額ではおよそ一千億円にもなります。さらに、今回の子ども・子育て支援法改正案が成立すれば、子ども・子育て支援金から出生後休業支援給付の上乗せが行われることになります。保険料以外の収入もあり、労使折半だからという根拠自体に無理が生じているのではないでしょうか。

 したがいまして、本法案にある共働き、共育ての推進と育休取得を促進するための育休支援制度の拡大については維持しつつ、雇用保険の育児休業給付に充てられる国庫負担のおよそ一千億円と、出生後休業支援給付に充てられる支援金相当額については、子供が生まれて育児をする全ての母親に公平に支援が行き渡るようにすべきと私は考えますが、いかがでしょうか。厚生労働省、大臣、お答えをいただきたいと思います。

谷委員長 加藤国務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

加藤国務大臣 はい。

 御指摘の育児休業給付につきましては、雇用保険の被保険者のみが受けられる支援となってございます。

 一方で、加速化プランにおきましては、自営業、フリーランス等の育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置として、国民年金の第一号被保険者について育児期間に係る保険料免除措置を創設するなど、雇用保険の被保険者でない方への支援も盛り込んでございます。

 育児休業給付制度の詳細については、厚生労働省の方から答弁をさせます。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 育児休業給付は、労働者の育児休業中の収入減少を補い、その雇用と生活の安定を図るという観点から、雇用保険制度において実施をしております。

 育児休業の取得に伴う賃金収入の喪失に対し、生活支援を行わない場合、更に深刻な保険事故である失業に結びつくおそれがありますことから、育児休業給付については、失業を保険事故とする求職者給付に準じまして、国庫負担を行うこととしているところでございます。

 このようなことから、雇用保険制度の対象とならない方に対して雇用保険制度から給付を行うことは困難となっております。

 以上でございます。

坂本(祐)委員 最後になりますけれども、冒頭でも申し上げましたが、我が国の出生数はこの八年間で約二十五万人減りました。このペースで減少していった場合、八年後にはおよそ五十万人になるということです。

 政府にはしっかりと危機感を持って少子化対策、子育て施策に取り組んでいただくことを強くお願いを申し上げ、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 まず、本日も、私の地元栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 大臣、今日、朝、一つ、緊急声明というのが発表されております。委員の皆様にも資料をお配りしておりますけれども、「緊急声明 「子育て支援金」制度の撤回を求める」というふうな緊急声明が出されております。今朝というふうに聞いておりますけれども。

 この中で、健康保険から取ることは根本的に間違いである。あるいは、少子化対策は医療保険にとっての受益であるというのはもはやへ理屈であるということまで言われておりますが、これを認めれば、観光振興も環境対策も健康にプラスの効果を与え、医療保険の受益となるなどもはや何でもありとなる、将来の各種施策の財源確保にも禍根を残す大失策になりかねない。あるいは、負担は生ずるとして、政府は実質的な追加負担は生じないと主張するが、この政策で保険料負担が増える以上、詭弁であるということが言われております。

 まあ、下の方の、ちょっと児童手当の話は別としまして、これだけ危機感を訴える声明が出されていて、二ページ目に約三十名の賛同者のお名前が載っております。この中には、西沢先生始め、社会保険庁の元長官でありました堤修三元社会保険庁長官や、あるいは元日本社会保障法学会の代表理事だった加藤智章先生始め約三十名の方が、本当に日本を代表する有識者の方が強い危機感を訴えております。

 これは、本当に、子育て支援金を撤回し、財源の在り方について改めて議論し、制度設計を改めるべきとの指摘がされておりますが、加藤大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の声明文では、支援金制度の具体的内容について御意見を頂戴しているものと認識してございます。

 支援金制度は、今般の加速化プランに基づく、子育て世帯に対する大きな給付拡充を支える財源の一つとして、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える仕組みでございます。

 声明文におきましては、児童手当の所得制限撤廃を例とし、少子化対策の在り方について検証し直すべきとの御指摘をいただいてございますが、政府としましては、二〇三〇年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであるとの認識の下、個々人の結婚や子育ての希望の実現を阻む障壁を取り除いていくための施策を議論し、加速化プランを取りまとめ、その財源確保を図る一つの方策を支援金制度としてございます。

 支援金制度なくして、今年十月から予定する児童手当の拡充を始め、子供、子育て施策の抜本的拡充を実現することはできません。支援金の法的性格や医療保険制度との関係等については既にこの委員会でも御議論をいただいていますので個々に申し上げることはいたしませんが、引き続き、支援金制度の考え方について説明を尽くすとともに、若い世代の結婚、出産を応援するという基本的な政策の方向性について国民の皆様にお伝えしてまいりたいと考えております。

藤岡委員 私も、この児童手当のところ、ここはいいと言っているわけではありません。あくまでも財源の在り方ということで、支援金制度が、あくまで令和八年度からですよね。したがって、まだ時間はある。その中で、財源の在り方についてここまで非常に強い危機感を訴えているというのは、私はすごく、少なくとも重く受け止めていただく必要はあると思うんですね。

 大臣、ここまで有識者の方が名前を連ねて訴えているんですけれども、これはちょっと重く受け止めて、しっかり一回検討した方がいいんじゃないですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 こども家庭庁におきましては、経済団体、労働団体、医療保険者、学識経験者等にお集まりをいただいた大臣懇話会において支援金制度の具体的設計について御意見を頂戴した上で、政府案を取りまとめてございます。

 様々な御意見があると思いますが、引き続き政府案の考え方について説明を尽くしてまいります。

藤岡委員 非常に、これだけの危機感を訴えているというのは、やはり本当に重く受け止めていただく必要があると思うんですね。

 その中で、三月二十六日の本委員会の質疑におきまして、私もちょっと、大臣に整理をしていただいた方がいいという話をさせていただきました。保険料か税かという話の流れの中で、いわゆる特別の給付に対する反対給付性というところについての考え方の整理を是非していただきたいという話をしたところ、大臣の方から、御指摘の点につきまして整理をしてまいりますと答弁をされましたけれども、この整理の結果について教えていただけますでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 現行の医療保険制度においても給付と負担の関係は様々であり、支援金制度の導入により、医療保険の保険料全体としての反対給付性が失われるものではないと考えております。

 現行の医療保険制度においては、保険料が充てられている費用として、子育てを終えた方等は支給の対象とならない出産育児一時金や保険給付に該当しない保健事業があるほか、後期高齢者支援金や出産育児支援金はそれぞれ、それによる直接的な給付のない現役世代、後期高齢者の保険料を充ててございますし、介護納付金は、社会連帯等の観点から、医療保険とは異なる制度への拠出に充てているところでございます。

 保険料の反対給付性につきましては、健康保険法上の保険給付や各事業等と個別の一対一対応で判断されるものではなく、全体として判断されるものでございます。

 その上で、支援金につきましては、児童手当など対象の広い給付に充てられることに加え、少子化対策によって医療保険制度の持続可能性を高めることにより被保険者に受益があるものでございます。

 さらに、支援金が医療保険各法上の保険料の中でも大きな部分を占めるものではないことも併せて考えれば、保険料全体としての反対給付性が失われるものではないと考えております。そのため、支援金は保険料として整理をしてございます。

 なお、平成十八年の最高裁判例においても、保険料が出産育児一時金や後期高齢者支援金の前身である老人保健拠出金にも充てられていた中で、国民健康保険の保険料全体について、憲法第八十四条の直接的な適用はない、つまり全体として反対給付性があると判示されているものと承知をしており、支援金制度は最高裁判決と矛盾するものではございません。

藤岡委員 今、保険料全体としてというふうに御答弁をいただきました。若干、本会議の総理答弁とニュアンスが違うところが今ありました。

 保険料全体と言うときに、総理は、医療保険料全体として反対給付性が失われるものがないというふうにおっしゃいました。(発言する者あり)大事なところです、本当に。

 医療保険料全体ということなんですか。保険料全体としてというのは、これは、保険料全体というのは何の保険料全体かというところ、非常に重要なところです。それはどういうところでしょうか。(発言する者あり)これは重箱じゃないですよ、本当に大事なところですからね。ちょっと止めてもらっていいですか。じゃ、また整理。

谷委員長 じゃ、時間を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 それでは、速記を起こしてください。

 加藤国務大臣。

加藤国務大臣 支援金は医療保険料ではありませんが、保険料全体として反対給付性を失われるものではないと申し上げてございます。

藤岡委員 そうしましたら、総理答弁が、私も違和感あったんです、総理が医療保険料の全体としてと言って本会議で答弁されたので。医療保険料と併せて徴収するから医療保険料自体ではないという話で私は理解したんです。ところが、総理が医療保険の保険料全体としてというふうに答弁されたので、あれ、これはおかしいなと私は思ったんです。

 今大臣が言っている保険料というのは何の保険料全体なのかというのが、私、分からなかったんです。まず、総理の医療保険料全体というのは間違いだったということで、保険料全体というのは何の保険料全体なんでしょうか。これは大事なところなんです。

加藤国務大臣 済みません、総理の発言につきましては今手元で確認をしておりませんけれども、先ほど申し上げたとおりでございます。

藤岡委員 済みません、今、ちょっと御答弁になっていないんですが。

 では、保険料全体というのは何の保険料全体なんですか。これは通告しています。最高裁の判決で保険料全体なんて別に読み取れませんけれども。まず、保険料全体とおっしゃったので。

 総理は医療保険料の全体とおっしゃいました、答弁で。私、これははっきり言って間違いじゃないかと逆に思ったんです。それはそれで、じゃ、総理のは確認してください。

 同時に、これは、保険料全体というのは何の全体なんですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 医療保険各法上の保険料を、医療保険料プラス支援金というふうに理解をしてございます。

藤岡委員 もう一回あれですかね。じゃ、もう一度どうぞ。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 医療保険各法上の保険料でございまして、それは医療保険料と介護保険料と支援金、これを指して全体と申し上げております。

藤岡委員 そうすると、元々、その保険料全体というのは、医療保険料と今回併せて徴収されるので、医療保険料とは、併せて徴収される別物ですよね。それが何で、別物が何で一緒になってこの反対給付性が判断されるのか、私、これはおかしいと思うんですね。拡大解釈をされていると思うんです。

 私、これはきちっと、大事なところなものですから、反対給付性の根本論なので、この保険という性質をちゃんと有しているのかどうか。だって、医療保険料じゃないとおっしゃっているわけです。そうだとおっしゃるんだったらまた別の議論なんですけれども、医療保険料と別だと言っていて、なぜそれを反対給付性を判断するときに一緒になって判断するんですか、このときだけ急に。これは明らかに私はおかしいと思うんですけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 医療保険料と支援金は別だと申し上げているのは、医療保険料ですとか介護保険料、そして支援金と、これを分けて把握するときに使っている言葉として別物です、また別でいただくものですというふうに申し上げておりますが、全体として反対給付性を論ずるときには、医療保険各法上の保険料という意味で医療保険料と申し上げているところでございます。

藤岡委員 そうすると、結局、法的には今回の支援金というのは医療保険料ということなんですか。今まで医療保険料と併せてだったけれども、医療保険料なんですか。(発言する者あり)いや、そんなことないですよ。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 医療保険各法上の保険料の中に、我々がよく使う医療保険料であるとか介護保険料であるとか、それからこれから拠出をいただく支援金というものが含まれます。

 そして、医療保険全体としてと反対給付性を論ずるときに申し上げているのは、医療保険各法上の保険料、このことを申し上げてございます。

藤岡委員 そうすると、ある意味、医療保険料の全体だ、医療保険の保険料全体だというふうにおっしゃっているわけですけれども、じゃ、最高裁の判決の中で、どこでそんな、保険料の一部じゃなくて全体として見るというふうなことが読み取れるのかというのが、私は正直言って読み取れないんですね。どこでそれは読み取れるんですか。(発言する者あり)

谷委員長 静粛に願います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、平成十八年の最高裁判例におきましても、保険料が出産育児一時金や後期高齢者支援金の前身である老人保健拠出金にも充てられているというその状況の中で、国民健康保険の保険料全体につきまして、憲法八十四条、財政法定主義を定めているものですが、この直接的な適用はない、つまり全体として反対給付性があると判示されているものと承知をしており、支援金制度は最高裁判決とは矛盾をしないと申し上げてございます。

藤岡委員 今おっしゃったところで、ある意味、この当時の最高裁の判決は、いわゆる公費が入っていて、そこで保険との牽連性が薄まっているんじゃないかというところでそのときの判示が出ているわけでございます。その中で、この最高裁の中では、被保険者において保険給付を受けることに対する反対給付として徴収されるものであるということを示した上でこの判決が出ているわけなんですけれども。

 今回でいえば、支援金制度で使うものを決めていらっしゃるわけですよね。それに対して徴収されるものでありますよね。だから、何か一部を取り出して判断するのはおかしいんじゃなくて、この支援金制度だけで、当然、受益と負担の関係があるかというのをちゃんと見ていかないといけないのではないかと思うんですね。これは、全体として見るなんということは読み取れないと私は思うんですね。だから、その考え方が私はちょっとおかしいなと思うんですけれども、大臣の見解いかん。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 医療保険制度において給付と負担の関係は具体的には個々人で様々である中で、保険料と保険者が行う給付や事業について、一部分のみを取り出して反対給付性の有無を論ずることは適当ではないと考えてございます。

 したがいまして、子ども・子育て支援納付金の納付に要する費用に充てられる部分も含め、全体として保険料と捉えるべきもので、支援金部分のみを取り出して具体的な反対給付性を論ずるものではないと考えてございます。

藤岡委員 いや、それは拡大解釈になっているんじゃないか。どこでそれが読み取れるのかというのが、はっきり言って読み取れないわけですよね。だから、これは拡大解釈になっているんではないでしょうかということは申し上げたいと思うんですが、最後に、拡大解釈ではないでしょうか。

加藤国務大臣 拡大解釈だとは考えておりません。

 給付、反対給付についての論点は、前回御指摘いただいた最高裁判決で述べられている論点でありまして、最高裁判決が全体として判示したことから、私どもも全体で論じることが適当であると考えているところでございます。

藤岡委員 その全体としてという中でやられているわけでございますが、その中でもちろん、では何でもその全体の中に入っていっていいかどうかというのはまた別な話でございます、仮にそうだったとしても。

 今回、ある意味、受益が児童手当や何とかだ、御高齢者の方にとったらなかなか、給付は受ける可能性は極めて低い、そういうふうな大きな性質を有しているものが入っていて、じゃ、その支援金をいざ徴収をされるというときに、本当に全体としてと、私は全体としてというのは拡大解釈だと思っています。

 その全体としてだけじゃなくて、その全体として見ても、このところに大きなものが入っているということについて、非常に、受益と負担の関係が、牽連性というのが非常に薄いというふうに私は考えております。

 そういう意味で、政府として、やはりもう一度この受益と負担の関係をきちっと整理をして、これを対応するべきだと私は思いますけれども、大臣の見解をお願いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金につきましては、次世代の育成が健康保険制度の持続可能性を確保する観点から重要であることに加え、健康保険制度においてこれまでも出産育児一時金や出産手当金といった給付を行ってきたこと、支援金を充てる児童手当や妊娠、出産の十万円給付などは、こうした出産を起点とする保険給付と連続的なものであること、これらの給付はそれぞれ子供の心身の健康の維持向上にもつながることが期待されるものであることを踏まえれば、支援金の賦課徴収を医療保険の仕組みを通じて行うことは健康保険法の目的の範囲内であると認識をしております。

藤岡委員 その持続可能性を高めるというのは、本当に、まさに風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな受益と負担の関係であります。(発言する者あり)いや、そうです。いや、本当です。

 その中で、今日は私、資料は配付しておりませんけれども、日本経済新聞の……(発言する者あり)いやいや、そんなことないですよ、だって、給付をして、いや、論理的にですよ。その中で、日本経済新聞の編集委員の大林さんが、この風が吹けばおけ屋がもうかるという中で指摘をされております。

 御紹介をさせていただきたいと思いますが、少子化対策費を健康保険料に上乗せして集めるやり方の、制度としての正当性は判然としない、これは大林さんがおっしゃっている。この素朴な疑問に対する政府や一部学者のお答えはこんな具合だと。異次元の少子化対策によってこれが成功すれば子供が増える、そして健康保険料を払う若者や将来世代の増加につながる、そして保険料の出し手が増えれば保険財政にプラスに働く、いわゆる持続可能性が高まる、そういう、今、最終的に最後のところのことをおっしゃったわけですけれども、まさにこれは、この筆者には風が吹けばおけ屋がもうかるの類いに聞こえると。これをうのみにするんだったら、例えば環境対策を強化、ここに書いてありますよね、強化をすれば人々の健康によい効果が表れるので健康保険財政の安定化につながるという、もうへ理屈としか言いようがないというふうな指摘もされております。

 基本的には直接の給付というのを原則に当然考えるわけであって、こんな回り回ってといったら何だってありになってしまうと思いますけれども、こういうふうなところで受益と負担の関係は極めて私は遠いと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 繰り返しにはなりますが、支援金につきましては、次世代の育成が健康保険制度の持続可能性を確保する観点から重要であることに加えまして、健康保険制度においてこれまでも出産育児一時金や出産手当金といった給付を行ってきたこと、また、支援金を充てる児童手当や妊娠、出産の十万円給付などは、こうした出産を起点とする保険給付と連続的なものであること、これらの給付はそれぞれ子供の心身の健康の維持向上にもつながることが期待されるものであること、これを踏まえれば、支援金の賦課徴収を医療保険の仕組みを通じて行うことは健康保険法の目的の範囲内であると認識をしております。

藤岡委員 本当に、健康保険法の目的や性質、また保険としての性質のところを大変拡大解釈しているなということを私は言わざるを得ないなということを思います、指摘をさせていただきたいと思います。この最高裁の判決からもこの考え方は大変逸脱しているのではないかということを指摘させていただきたいということを思います。

 続いて、歳出改革のところですね。いわゆる実質負担ゼロのお話のところでございますけれども、総理は、支援金は、改めて確認しますね、歳出改革による保険料負担の軽減効果の範囲内で構築をするということを基本とするということを何度も、大臣始め答弁をされております。

 これは前回もちょっと申し上げたんですけれども、二〇二三年度、二〇二四年度において、診療報酬の改定や介護報酬改定などによって生ずる追加的な社会保険負担や改革工程に基づく制度改革の結果として生じる追加的な社会保険負担は、追加的な社会保険負担から控除しているというふうなことになっておりますね。

 これが、当該控除額の金額をベースとして、六年間の歳出改革による保険料負担の軽減効果を算出して一兆円としているんですけれども、〇・三三掛ける三というところでやって一兆円ですけれども、ここで控除しているというところからすると、改めて、この総理答弁で示す支援金の財源確保の基本というところはまさに最初から守られていないというふうに思うんですけれども、まず厚労副大臣の見解をお伺いしたいと思います。

浜地副大臣 お答えいたします。

 委員の問題意識は、四月二日の総理答弁におきまして、この支援金の考え方につきまして、総理は、歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果を積み上げ、その範囲内で支援金制度を構築することを基本とすることによりという答弁があることは承知をさせていただいております。

 まず、この支援金制度の構築の基本的考え方は、再三、これは総理もお話をされておりますが、やはり、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険料の負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築していくことにより実質的に負担が生じないということにするものでございまして、ただし、その賃上げの効果を際限なく使うのではなく、支援金見合いの社会保険料負担軽減の効果は、まず徹底した歳出改革により確保していく、その上で、賃上げによる実質的な社会保険料負担軽減効果は一定の範囲内に限り活用していくというのが基本的な考えでございます。

 そのことを総理も答弁をされておりまして、そこが総理が答弁されました基本とするところによりというふうに厚生労働省としては理解をさせていただいております。

藤岡委員 最後にいたしますけれども、賃上げの効果をやはり入れないと説明がつかないわけですね。でも、いわゆる歳出改革で財源捻出という基本は、最初はやはり守られていないと思うんですけれども、加藤大臣の見解を最後にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 厚労省の答弁と同じ認識でございますが、支援金制度の導入によってということでございますので、医療・介護従事者の賃上げは社会保険料を押し上げるものの、これは支援金導入とは別の話で、また必要な措置でございますので、社会保険負担増には加えないものと整理をしてございます。

藤岡委員 その整理がおかしくて、歳出改革の粉飾をやっているということを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二日の本会議、三日の委員会と、子ども・子育て支援法案について審議をされてきたわけでありますが、支援金の各保険ごとの試算額がまず大きな争点になっていたり、財源問題についてなかなか説明が分かりにくいということがあると思います。繰り返すというよりも、もう単純な質問ですけれども、一つずつひもといていきたいなと思っております。

 資料の1なんですが、全世代型社会保障の改革工程を書いたものです。これは二〇二八年度までに具体化していくとなっていて、それが、まだ、一年、単年度ごとに何をやるかというのは精査するという中身になっているわけですよね。それで、充実策だとか、効率化策だとか、様々ある、だけれども、中には国民に負担増となるメニューも含まれている、このことをお認めになるかどうか。

 加速化プランの財源の基本骨格を成す公費削減の効果とは、この社会保障費に対する公費が減る、つまり保険者にとっても支払いが減る、そういう意味だという理解でよろしいでしょうか。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 まず、歳出改革には負担増となるメニューも含まれているのかという点につきまして、昨年末に閣議決定されました改革工程におきましては、これから生まれる将来世代も含む全ての世代にとって安心できる社会保障とするため、将来にわたって社会保障制度を持続させる観点、あるいは、年齢に関わりなく、全ての国民がその能力に応じて負担し、支え合うことによって、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障がバランスよく提供されることを目指す観点、こういったことから、社会保障の制度改革や、これを通じた歳出の見直しに取り組むこととされております。

 こうした考え方の下、改革工程では、今お話のありました医療や介護の窓口負担に係る検討項目に加えまして、質の向上や効率化についての取組も含まれております。医療DXによる効率化や質の向上、あるいは、地域医療構想の実現に向けた更なる取組、こういった幅広い取組を視野に入れておるところでございます。

 先生御指摘のとおり、これらの歳出改革として実施する取組につきましては、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において検討、決定していくこととなりますが、これらの取組を検討、実施するに当たっては、その取組が与える影響にも十分配慮しながら、必要な保障が欠けることがないように進めていかなければならないと考えております。

 また、お尋ねの社会保障分野での歳出改革による効果につきましては、社会保障制度が公費と保険料を財源としているため、歳出改革により給付が抑制される場合には、制度上、公費節減と同時に保険料負担が軽減されることになると考えております。

高橋(千)委員 もう一度確認しますけれども、今いろいろおっしゃった、ですから、分かった上で聞いています、DXとかというのはしょっちゅうおっしゃりますので。それはそうだけれども、単純に、要するに、利用料が増えたりとか、そういうのは負担増と呼ぶ以外にないじゃないですか。それはいいんですよね。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 改革工程の検討項目の中に、先生がおっしゃっているような医療や介護の窓口負担に係る検討項目も含まれているということは事実でございます。

 先ほど申し上げましたように……(高橋(千)委員「そこまででいい」と呼ぶ)はい。失礼いたします。

高橋(千)委員 本当に、最初に言ったように、単純な質問ですので。含まれていると。含まれているときに、例えば、自己負担が一割だったものが二割になれば、保険が九割だったものが八割ということで、公費が減るというのはそういう意味だと思うんですね。

 それで、総理の言う、実質負担増はないというのは、あくまで社会保険に対する負担で見る社会保障負担率での計算であって、個々人の自己負担分を考慮した意味ではない、これでよろしいですね。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の社会保障負担率につきましては、支援金制度の構築に当たって実質的に負担が生じないと申し上げる際に、抽象論に陥らないように、具体的なメルクマールを設けることとしているものでございます。歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果を積み上げ、その範囲で支援金制度を構築することを基本にすることによって、支援金制度の構築によって社会保障負担率が上昇しないこととしたいと考えております。

 この社会保障負担率を計算する際の分子には、先生御指摘の医療や介護の窓口負担は含まれていないところでございます。

高橋(千)委員 問題はやはりそこだと思うんですね。どんどん公費の負担するものを外に出していけば、介護保険なんかがまさにそうだったわけですけれども、そうしていけば、自己負担は数字では見えなく、計算式では見えなくなるわけなんです。だから、負担増じゃないかということをずっと議論してきた。そのことも含めて正直にお話ししてくださって、その上で議論していくというのがやはり大事なんじゃないか。なので、本会議では、それは抽象論に陥らずにという表現でありましたけれども、マクロの数字で、社会保障負担率でというのは極めて不適切ではないか、そういう指摘をさせていただきました。

 次に行きますが、支援金は、つなぎ公債の返還にも充当することになっております。利払いの増加、今般、ゼロ金利ではなくなっていくわけですから増加もあり得ると思いますが、償還計画はどのようになっているのか、加速化プランへの影響はどうか、簡単に伺います。

熊木政府参考人 子ども・子育て支援特例公債は、御案内のとおり、つなぎとして発行するものでございます。これにつきましては、利払い、償還を将来世代に極力先送りしないという観点で、二〇五一年までに償還することとさせていただいております。

 このつなぎである特例公債につきましては、建設公債ですとか一般の特例公債とは異なりまして、財政法上において償還計画の国会提出というものが求められているものではございませんが、しっかりと支援金の料率の中で元利償還分を含めやりくりをさせていただき、計画的に返還していきたいというふうに考えてございます。当然ながら、加速化プランの各施策の実施に影響を及ぼすものではございません。

高橋(千)委員 改めて、償還が二〇五一年とおっしゃいました。ということは、今、二〇三〇年までに少子化を反転できなければ最大のピンチだとおっしゃっていて、ただ、今、当面三年間の集中を、どうやって財源を取るかで大騒ぎしているわけですよね。非常にこれが、大丈夫なのかなと正直言わなければいけないし、皆さん方も大丈夫ですとしか答えとしてはないわけですよね。もう少しイメージできるように議論していきたいな、こう思うんですね。

 それで、加えて、賃上げ効果というふうに繰り返しておっしゃっているわけです。それで、資料の2なんですけれども、年金の改定率についての表です、極めて単純に作りましたけれども。令和五年度は、六十七歳以下の新規裁定者、初めて年金をもらう方は、二・二%増えました。既裁定者は、一・九%増えました。また、令和六年度は、二・七%増えます。しかし、上を見ていただくと分かりますように、昨年は、前年の物価変動率が二・五%ですから、届いていません。また、令和六年度も三・二%なので、届いていないわけです。

 それはなぜかというと、これは、二〇一六年の年金カット法、私たち野党が強い反対をしたわけですが、これが成立をいたしました。このときに決めた、年金額を増やさないためのルールが初めて発動されたのがこの表だと思います。

 というのは、二〇〇四年の年金改正、いわゆる百年安心と言われたときは、マクロ経済スライドを導入して、人口がだんだん減っていくから、ずっと年金は伸びるわけにいかないよね、抑えますよと決めたんだけれども、デフレのときには発動しないと決めたものだから、ずっと発動しなかった。

 これじゃまずいというので、デフレのときでも発動できるように、賃金が下がったら賃金に合わせようということでこうしたことをやったのと、発動できずに、減らさなかったら、ここにあるように、過去の繰越分〇・三%、令和五年度分は〇・三%、合わせて、足し算して〇・六%引けるように、つまり、物価がちょっとでも上がったら、その分ばさっと引けるような仕組みをつくったわけであります。私は、極めて、このときに、合わせ技になって大変なことになるよと指摘をしましたが、まさにこういうときに発動しちゃったなと思うんです。

 物価に追いつかない年金ということになりますよね。この理解でよろしいですか。

武藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の公的年金制度は、年金の原資となる保険料収入が現役世代の賃金に連動することから、賃金の変動が物価の変動より低い場合には賃金を基に改定するルールとなっていること、また、マクロ経済スライドにより長期的な給付と負担のバランスを確保することで、将来にわたって持続可能な仕組みを構築することにより、将来世代の負担が過重なものとなることなく、将来の給付水準を確保する仕組みとしております。

 こうした中で、令和六年度の年金額は、昨年の物価高や賃金上昇も反映し、プラス二・七%の引上げとなり、ここ三十年で最も高い引上げ水準となっております。

 その上で、低所得の高齢者に対しては、公的年金のみならず、社会保障制度全体で総合的に支援していくことが重要であり、年金生活者支援給付金の支給等により経済的な支援を行っております。引き続き、必要な支援をしっかりとしてまいりたいと考えているところです。

高橋(千)委員 ルールになっておりますとおっしゃいましたけれども、ルールを作っちゃったんですよ、二〇一六年のときに。それはずっとそうだったわけではありません。

 ただ、ずっとそうだったのは、ここの物価変動率なんですよ。これは、デフレのときにずっと、二十年も前から、これだけ物価が伸びるという仮定をして、全く見込みのない財政検証をやっていた。それが今に響いてきたんじゃなかったんですか。そこはお認めになりますね。

武藤政府参考人 我が国の公的年金制度につきましては、年金の原資となる保険料収入が現役世代の賃金に連動することがありますので、賃金の変動が物価より低い場合には賃金を基に改定するというのが基本となっております。ここからマクロ経済スライドにより長期的な給付と負担のバランスを確保することで、長期にわたって持続可能な仕組みを構築しているということでございます。

 仮にマクロ経済スライドを行わないこととした場合には、その分、将来世代の年金の給付水準低下につながりますので、マクロ経済スライドは将来世代の年金給付水準を確保するために必要な措置として御理解いただければと思います。

高橋(千)委員 私が今聞いたのは、年金、五年ごとに財政検証をやるじゃないですか。そのときに、〇%台くらいしか伸びない物価変動の中で、二%、三%という希望的観測の数字を出してきたでしょう。その失敗が今に来ているんじゃないですか。そこだけは認めてください。

武藤政府参考人 年金制度につきましては、物価や賃金の変動に応じて年金額を改定するというのが基本でございます。将来世代の負担が過重にならないように、マクロ経済スライドにより長期的な給付と負担のバランスを確保するということで、将来にわたって持続可能な仕組みとしてございます。

 今後とも、この仕組みの下で年金を着実に支給していくことが重要であると考えております。

高橋(千)委員 ですから、今、子供の話をするときだって同じなんですよ。持続可能な社会をつくりたいから議論しているんでしょう。そのときに、前提と置く数字が間違っているんだから。希望的観測でやってきたわけでしょう。そのことはちゃんと認めなければ。現実から出発して、じゃ、どうしたら持続可能になるかということを議論しなきゃ駄目なんですよ。違いますか。

武藤政府参考人 公的年金におきましては、長期的な年金財政の収支を均衡することを確保することが大事だということです。

 五年ぐらいたちますと経済や人口の状況も変わりますし、直近の状況を踏まえて、年金財政の長期収支均衡を確保する財政検証を五年ごとに定期的に行って、それによって年金財政の長期的な収支均衡を確保していくという仕組みになってございます。

高橋(千)委員 やはりお答えできないんだと思うんですよね。そういうことをちゃんと認めて、前提をちゃんと言った上で議論しなければ、これから先だって、やはりみんなが信じてくれないよね、ちゃんと説明しているよと言っても信じてくれない、こういうことになるんだということを言いたいなと思うんですね。足下は賃金も年金も実質減だという中で、社会保険料も支援金を上乗せして値上げされるということになるわけですから、それをやはり深刻に受け止めて議論していかなきゃいけないと思うんですね。

 具体の政策について伺いたいと思います。

 国保が脆弱だということは本会議でも指摘しました。被用者保険と大きく違うのは、国保には均等割があるということです。

 今回は、支援金を徴収する対象からは十八歳未満の子供分は除外されています。子育て支援のために使う支援金だから子供からは取らない、これは正しいと思います。

 私は、この際、子供の均等割はなくせばよいのではないかと思います。全国の市町村で子供の均等割ゼロや減額に取り組んでいると思いますが、どの程度あるか、把握していれば教えてください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、子ども・子育て支援金につきましては、児童手当の拡充など、こども未来戦略の加速化プランに基づく少子化対策のために拠出いただくものであるために、世帯にお子さんがいらっしゃることが負担増とならないようにする観点から、お子さんに係る支援金の均等割を全額軽減することとされているというふうに承知をいたしております。

 他方、国民健康保険の保険料でございますけれども、病気やけがに対する給付など、国民健康保険事業に要する費用に充てるためのものでございまして、全ての被保険者の方がひとしく給付を受ける権利がありますために、子供さんを含めた被保険者の人数に応じて一定の御負担をいただくことが基本となってございます。

 その上で、令和四年度から、未就学児の均等割保険料を一律半額に軽減する等の措置を講じております。また、均等割保険料につきましては、現行制度におきまして、所得の低い世帯の応益分の保険料を最大七割軽減しているなど、既に一定の配慮を行っているところでございます。

 こうした中で、子供の均等割保険料を廃止するということにつきましては、財源の確保などの課題がございまして、これは慎重に検討する必要があるというふうに考えてございます。

 なお、子育て世代の経済的負担軽減を目的として十八歳未満の被保険者の方に対して独自に何らかの保険料減免を行っておられる保険者、これは令和四年八月末時点でございますけれども、全国で百十八市町村あるというふうに承知をいたしております。

高橋(千)委員 少しずつ広がってきているのと、やはり被用者保険の考え方に近づける、被用者保険には均等割という考え方がないですので、そこで差が出てきちゃうというのもありますから、これは是非引き続き検討していただきたいと思います。

 そこで、水曜日の委員会で山井委員が資料配付しておりましたけれども、四月二日、公益財団法人あすのばが、あすのば給付金を受給している全国六千人へのアンケート調査を報告しました。これまでも超党派の議員連盟で私も一緒に活動してまいりましたけれども、特に、今回は小学四年生から六年生の声も紹介されています。「子ども・若者の声」のところでちょっとだけ紹介したいんですが、中学二年の女子です。おなかすいても御飯がないときがある、お母さんはほとんど夜食べていない、家の手伝いをしてお小遣いをもらってためている、いつもは十円だけど、時々三十円や、お使いに行ったらお釣りをくれたりして、ためてお母さんの誕生日にプレゼントを買いたいと。これは、だから、お小遣いがない中で一生懸命ためてお母さんにプレゼントしたいというところに非常に感動してしまったわけですが。

 男の子の場合は、そもそも習い事とかできない、人と関わるのが嫌だ、うちは貧乏なのでばかにされるし、どこかに出かけられたとしても、友達と同じ御飯が食べられないから行きたくても行けないなどなど、たくさんの声があるんですけれども、お金がないためにお昼が食べられないとか友達とつき合えないとか習い事ができない、しかし、子供の目を通して、自分は食べるものも我慢して働きづめのお母さんの姿もちゃんと子供さんは見ているということはすごく大事なことだと思うんですね。

 大臣に伺いますが、全ての子供の育ちを応援する、この理念に照らしても、貧困が子供たちの中に格差を生む、これはあってはならないと思いますが、この認識を共有しますかどうか、大臣として特に課題と思う点は何か、伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 貧困と格差は、子供やその家族の幸せな状態を損ね、人生における選択可能性を制約し、ひいては社会の安定と持続性の低下にもつながるものと認識をしております。

 このため、貧困と格差の解消、これを図ることは、良好な生育環境を確保し、全ての子供、若者が幸せな状態で成長ができるようにするための前提でありまして、全ての子供施策の基盤となるものと考えております。

 こうした考えの下、これは特に課題という点でございますけれども、昨年閣議決定したこども大綱の中におきまして、保護者の所得など家庭の状況が子供の学力や体験の機会に影響を与えるなど、教育における格差があるということ、また、貧困の状況にある子供、若者や子育て当事者が社会的孤立に陥ること、子育て当事者の経済的基盤が安定していないこと、子育て当事者の日々の生活が安定しないこと、子供の貧困は家庭の自己責任ではなく社会全体で受け止めて取り組むべきであることへの社会の理解が十分でないことといった課題を踏まえつつ、貧困と格差の解消を子供施策に関する基本的な方針の一つとして掲げております。

 貧困及び貧困の連鎖によって子供たちの将来が閉ざされることは決してあってはなりません。そのような認識の下で、政府を挙げて子供の貧困対策に取り組んでまいります。

高橋(千)委員 議連の要望も非常に強くあったと思いますし、こども大綱の中に一定盛り込まれたなと思うんです。大臣がそのことを答弁していただきました。

 ただ、今回の加速化プランは、やはりほとんどその他的な扱いなんですよ。それで、集中して取り組む以上は、そうすると、ここに盛り込まれないと、これから先、もっと後になっちゃうのかなということをすごく思うんですね。ですから、加速化プランから具体的に書かれていない施策というのは並行して検討していくのかどうか、伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 加速化プランは、少子化対策として、今後三年間の集中取組期間において実施する施策をまとめたものでございます。子供政策全般については、昨年末に閣議決定したこども大綱の下で着実に進めていくことにしてございます。

 また、こども大綱の下で具体的に取り組む施策につきましては、毎年、こどもまんなか実行計画として取りまとめ、関係府省庁の予算概算要求等に反映することとしてございます。既に、こども家庭審議会の下でこどもまんなか実行計画の策定に向けた議論を始めてございます。

 したがいまして、加速化プランから外れた施策の実現がすごく先になるとは考えておりませんが、今後、こども家庭審議会における検証、評価の結果を踏まえ、こどもまんなか実行計画を通じて継続的に施策の点検と見直しを図ることとしており、これにより子供政策全体をしっかりと前に進めてまいります。

高橋(千)委員 しっかりやるというお答えだったのかなと思っております。

 ちょっと時間の関係で飛ばします。

 児童扶養手当の拡充について質問を本会議でもいたしました。やはりこれは圧倒的に格差が出ているわけです。一人親家庭、特に母子家庭の大変さ、先ほど紹介した声もまさにそうなんですね。

 今回、所得制限の引上げによって、満額、一部支給、それぞれどの程度対象者が増えるのか。仮に、私が提案した三百八十五万円、これは一部支給ではなく満額とした場合、どのくらいの予算増になるのか伺います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当については、給付の重点化を図る観点から所得限度額を設け、一人親世帯の自立を支えるという観点から所得が一定額を超えると減額する仕組みとしております。

 今般、所得限度額の引上げを行いますが、近年の一人親の就労収入の上昇等を踏まえた見直し内容としています。この児童扶養手当の所得制限引上げにより、一部支給から全部支給になる方は約五万人、支給停止から一部支給となる方は約二万人になるものと推計しています。なお、一部支給額が増額される方は約三十七万人と推計しています。

 なお、御提案の見直しを行った場合の予算増についてでございますが、御提案の見直し内容の試算は非常に困難ですので、お答えが困難であることを御理解賜ればというふうに思います。

高橋(千)委員 残念でしたね、最後のところ。

 今回の拡充が三十五億円ですよね、予算としては。子供手当、思い切って三千五百五十八億円でしたかね、それと比較しても余りにもしょぼいんですよ。もう少し頑張ったっていいじゃないかと思うんです。

 先ほど紹介したアンケートの中で、やはり年収制限があるために、さっき就業の収入が上がってきたとおっしゃったけれども、就労所得でいうと二百三十六万円くらいで、一般家庭と比べるとまだ半分なわけですよ。そうすると、そこにひっかかっちゃって、安いんだけれども、正規職員なのでぎりぎりひっかかってしまって、何にも支援が受けられない、そういう声もあるわけです。

 だから、ここはやはり底上げしていかないと、額を増やすのも大事なんだけれども、対象を増やすということをやはりやっていかないといけないというので、これは重ねて指摘をしたいし、検討していただきたいと思います。

 それで、もう一つ。児童扶養手当の支給開始五年をたてば受給を半分にするという法律が随分前に通ったわけです。そのときも超党派で、私は随分質問したんですけれども、議論をして凍結になりました。ただし、凍結したんだけれども、それをずっと継続するために、私はずっと仕事を探していますよなどの現況届を出さなくちゃいけない、その手続が非常に大変なわけですが、これによって今出している届出数と、一部支給停止にそれでもなっちゃっている数がどのくらいあるのか教えてください。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当の一部支給停止につきましては、児童扶養手当の支給開始五年を超える場合等に、障害、疾病等の就業困難な事情がないにもかかわらず就業や求職活動等をしていない方について、支給額の一部を停止する制度でございます。

 具体的な手続としては、一部支給停止とならないことを確認するための書類を毎年八月の現況届の提出の際に提出いただき、確認することとしております。令和四年度の現況届の数は九十四万一千九百二十六件となっております。

 また、児童扶養手当の支給開始五年を超える場合等に児童扶養手当を一部支給停止された人数については、令和四年度末時点において二千七百四十三人となっております。

高橋(千)委員 ここまで支給停止が少なくなってきたと言っていいのかどうか。もうこれ以上わざわざチェックするということをしなくても、さっき言ったように、仕事をして、そして収入が安定して得られるようになれば、自然と、所得制限があるわけですから、対象から抜けていくわけですよね。卒業していくわけです。なので、五年だからということを決めてしまうというのは、これは五年したら自立するという発想だったんですよ。それを決めるのは政府じゃないわけです。三年で自立する人だっているわけですから、ここはもう見直して、やめると言ってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 児童扶養手当は、一人親家庭の生活の安定と自立の促進を目的とするものです。このことから、五年以上の手当を受給している者であって、就業が困難な事情がないにもかかわらず就業や求職活動等をしていない方について、自立を促進する観点から、一部支給停止を引き続き適用すべきと考えております。

 なお、この制度の運用に当たっては、手当を受給される方の手続面での負担が重くならないような配慮をしており、本来手当を受給できる方が確実に受給することができるよう引き続き取り組んでまいります。

高橋(千)委員 何か求職活動しないでサボっているみたいな、そういう言われ方だと思いますよね。実態を見ていただきたいと重ねて指摘をしたいと思います。

 もう一つ課題があって、遺族年金と児童扶養手当は併給が認められません。遺族年金が児童扶養手当より少ない場合に、その差額分が支給されるようになりました。これも、私自身が、たった八千円の遺族年金のために四万二千円の児童扶養手当を受けられないというのは、これはおかしいじゃないかと議論したことがありまして、それが審議会でも議論していただいて、今はその差額が出るようになったわけですが、これも、そこまでしなくても、併給を認めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

武藤政府参考人 まず最初に、児童扶養手当と公的年金は稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有していることから、児童扶養手当の方において併給調整が行われているものと承知しております。

 年金は被保険者の保険料拠出に基づく給付でございますので権利性が強いことから、遺族年金と児童扶養手当の併給調整において遺族年金を優先して支給しているところです。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど厚労省からも答弁がありましたが、児童扶養手当と遺族年金は稼得能力の低下又は喪失に対する所得保障という同一の性格を有しております。このため、親がいた場合と比較した場合の稼得能力の低下はまずは遺族年金により手当てされているという考え方から、児童扶養手当では差額分の支給を行っており、引き続き併給調整を行うことが適当だと考えております。

 なお、例えば祖父母が遺族年金を受給する子供を養育する場合において、親族里親制度を活用すれば食費や被服費等にかかる生活費が児童扶養手当の額以上に支払われることから、この制度の活用も進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 あとは一言要望します。

 異次元とか次元の異なるなどと言って新しいことをやるのも大事なんです。だけれども、述べてきたように、ずっと積み残しになっている課題は積み残しのままなんですよ。これを本当に取り組んでいただきたい。時限的な給付金を単発で重ねるよりも、やはり現物給付の改善を着実に進めるべきだと思います。教育費が一番の悩みだということも大臣が先般おっしゃっていた。この点でも、もっと拡充していく、高校においても公私間格差をなくすとか、こうした形で子供たちの中に格差を持ち込まない、それを貫いて頑張っていただきたいと指摘をして、終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 本日、最後の質問となります。よろしくお願いいたします。

 私からは、まず、妊娠期から育児期までの切れ目のない伴走型支援について伺いたいと思います。

 母子保健の伴走型支援は、子育て支援、応援支援金の給付が主となっておりまして、妊娠届、妊娠健診、さらに、こんにちは赤ちゃんなど、いろいろな事業がありますけれども、既存の制度というのは縦割りとなっている、切れ目だらけで、なかなか、政府が目指す子育ての孤立予防に十分にはつながっていると言い難いというような声があります。

 今回、相談支援を強化するということでありますが、具体的にどのようにして切れ目のない支援というのを実現をしていくのか、まず伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 核家族化の進行や地域のつながりの希薄化などによって、妊産婦や子育て世帯が孤独、孤立や育児不安を抱える中、妊婦のための支援給付を一つの契機に、妊婦やその配偶者等に対して面談等によって相談などを行う事業として、妊婦等包括相談支援事業の創設を本法案に盛り込んでいるところでございます。

 これによって、妊産婦やその配偶者が専門職等との面談を通じて出産、育児等の見通しを立て、悩みを相談したり、必要な情報提供を受けたりするとともに、それぞれの支援ニーズを踏まえて、産後ケアや一時預かり、また家事支援など、サービスにつながっていくことになると考えております。

 妊娠期からの切れ目のない支援を行うためには、本事業も含めて、あらゆる機会を通じて妊産婦や子育て世帯とつながっていくことで、支援の必要性の高い方には専門的な支援につなげていくことが重要と考えており、本事業によってそうした支援体制を構築をしてまいります。

田中(健)委員 相談事業を、今回、その支給のときのタイミングを見て行うというんですが、これはこれまでもやってきています。自治体は、今回は、市町村のこども家庭センター、これができていきますけれども、これに移管をしたり、又は頼むということですけれども、自治体のこども家庭支援センターの設置状況と、また、この相談支援、現在の実施状況、これを伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 妊婦等包括相談支援事業は、令和四年度の補正予算から開始をした出産・子育て応援交付金事業のうち、伴走型相談支援を制度化をすることとしているものでございます。

 伴走型相談支援の実施主体につきましては、こども家庭センターに加えまして、地域子育て支援拠点などへの委託も可能とするなど、地域の実情に応じて、自治体の創意工夫に基づき柔軟に実施をしているところでございます。

 昨年度行いました調査研究によりますと、この伴走型相談支援の実態でございますけれども、約九割の市町村で、子育て世代包括支援センターの保育士や助産師さんの専門職で対応しているところが非常に大部分でございました。

 この子育て世代包括支援センター自体につきましては、令和四年の四月時点では、全国で千六百四十七市区町村に設置をされておりますが、今委員御指摘のように、こども家庭センターでございますけれども、令和四年の児童福祉法改正で、子育て世代包括支援センターの機能を引き継ぐものとして、こども家庭センターが今年度から本格的に整備をされていくこととなってございます。

 今後は、こども家庭センターが多くの市町村において妊婦等包括相談支援事業の担い手となっていくものというふうに想定をしております。

田中(健)委員 九割は相談支援をやってきたということでありますから、あと一割の方も、この法案が通れば、全ての自治体でできることはいいことであると思うんですけれども、実際、九割がやってきた上でも、声としては、やはり切れ目だらけだと。どうしても申請主義になってしまって、妊娠届を出すときにそこで相談する、次の健診のときにまた相談する。窓口の人は違うし、また一から家族状況や状況を説明しなきゃならない。

 さらに、今回の給付ですけれども、十万円やるから会いに来いと言うと大変に語弊があるかもしれないんですけれども、お金をやるから相談というふうなことで、まだまだ多くの不安の声が上がっています。本当に伴走型支援というならば、やはり、これは宮路委員からも挙げましたけれども、子供の小学校の入学まで専門家がワンストップで子育ての相談に応じる、フィンランドのネウボラという仕組みを政府も検討したり、また議題にも上がったということなんですけれども、同じようにして、妊娠の初期から専門家がかかりつけで継続サポートする、子育て版のケアマネジャーのような形ですね。どうしても、申請主義ですと、こちらから言って相談をしなきゃならない。しかし、ケアマネのような人たちがいれば、家族、また子供を一貫して見るようなことができる。

 もちろん、大変な、制度をするには壁もあるし、予算もかかりますけれども、将来的にはそういったことも考えていかないと、伴走型と名前は伴走型なんですけれども、毎回会う人も違うし、相談する人も違うしというのでは、なかなか理想は実現にいかないとは思うんですけれども、これについての見解を伺えますでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 現在実施している伴走型相談支援でいえば、柔軟に対応している自治体もございます。例えばですけれども、妊娠初期の一回目の面談は子育て世代包括支援センターで保健師や助産師が面談を行い、また、妊娠後期の二回目の面談においては、今後支援を利用しやすくするという観点から、子育て講座や一時預かり等を行う施設で子育て支援員による面談を実施する、そういった工夫をされている自治体もございます。

 妊婦等包括相談支援事業におきましても、実効的な支援を提供するという観点から、面談のタイミングに合わせて、より適切な者が相談対応を行うなど、地域の実情に応じて、創意工夫に応じた事業の実施を可能とすることを想定してございます。

 いずれにしましても、各自治体の実施状況ですとか人的資源、この状況も踏まえまして、妊娠期からの切れ目ない支援を実効的に行う観点から、今後、具体的な相談支援の方法などについて、ガイドラインなどで示してまいります。

田中(健)委員 ガイドラインじゃなくて、是非検討していただきたいんですけれども。どうしても、私も子育てしていますけれども、地域担当の保健師さんはいるんですけれども、この人が保健師さんですよと言われるんですけれども、その人になかなか会えないですよね、一人しかいなかったり。また、自治体によっては、小さい自治体では、確かに同じ人が継続してできているようなこともありますので、今大臣からも言ってもらいましたが、活発にやっているところや実現できているところを横展開して、是非、切れ目のない伴走型支援ということを本当の意味で実現できるようにこれからも進めていっていただきたいと思います。まず第一歩だと思っております。

 引き続きまして、今度は、隙間を埋める多様な保育について伺います。

 今回の誰でも通園制度が始まるに当たり、他のいろいろな保育関係の人にお話を聞いてきました。この妊娠、出産、子育ての伴走型支援をより効果的に、本当に使える制度にするためには、保育園や幼稚園の枠から外れてしまう層をしっかり支える必要があるということです。そのために、今回、誰でも通園制度ができるということですが、これはあくまで入口にすぎないと思っています。

 産後ケア事業や家事や育児サポート事業、一時預かり保育、又は、希望の園にどうしても入れなくて、使わざるを得なくて認可外保育園に入っているお母さん、今たくさんいらっしゃいます。これらのメニューをやはり経済的にもしっかり支えることで、足りない保育というのを補完するということができると考えています。

 特に一時預かり保育、今回の誰でも通園と一時預かりはどう違うんだという議論がありましたけれども、大変厳しいです。運営費が低いです。よくある規模では、聞きますと、平日、月二十日間ぐらい開いて、大体一日六人ほど預かると、年千五百人ぐらいの数になるそうです。そうしますと、基本分が三百二十四万円、大きな額に聞こえますが、月にすると二十七万円です。ゼロ歳児加算や処遇改善加算もないんですね。もちろん、認可外保育というのは補助はありませんから、各県や自治体の補助になっています。私の静岡でも、県の監査がしっかり通って優良施設と認定されている認可外保育でも、七十二名以上を預かって、年間十五万の助成しか出ていないんですね。

 いわゆる保育の人件費、また昨今の物価の高騰等を考えますと、一時預かり保育にせよ、認可外保育は難しいにせよ、一日当たりの人件費がしっかり出るくらいの助成がないと、なかなか、保育士の安定的な雇い上げや、また事業の継続とか有資格者の雇用ということで、まさに子供たちをどのような施設で守るという理念にたどり着かないと思いますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 一時預かり事業におきましては、年間で三百人未満の預かりを行う事業所の場合、令和六年度で年二百八十三万三千円の補助基準額を設定してございます。また、利用者からの利用料も徴収を可能としておりまして、補助額と利用料収入を合計して、一日一人強の利用者に対して保育士を一名程度配置できる水準となることから、現状において、一定の人員確保は可能になっているものと考えてございます。

 加えて、一時預かり事業を実施しているほとんどの事業所は保育所等において実施されており、当該職員の支援を受けることが可能となっていることから、一時預かりに従事する保育士が一人であっても、他の事業による運営費等により必要な人員確保が可能になっているものと考えております。

 なお、一時預かり事業につきましては、パートで働いているものの、保育の必要性認定を受けられない方なども対象としており、こども誰でも通園制度の創設以降も引き続き事業を継続してもらう必要があるものと考えてございます。

 こども誰でも通園制度を前提とした上での一時預かり事業の在り方につきましては、試行的事業を実施しながら、今後検討をしてまいります。

田中(健)委員 余り現状が、大臣、分かっていないんですけれども、一時預かり保育は、もちろん他の事業と一緒にやる、それは空いているところで預かるというのがあるんですけれども、単独でやっている人もいます。単独事業をやっている人は少ないということを説明を受けましたけれども、確かに少ないんですね、全体の数からすると。でも、必要だからこそやっているんですね。お母さんたちの声ですね。若しくは、何とか預かってもらえるところはないかということでやっているんです。

 通常保育より通園の機会が少なかったり、確かに時間も短いですが、お話を聞きますと、託児ではないので、通常、一時間で帰すようなことはしません。リフレッシュやレスパイト目的なら、四時間から大体八時間ほど預からざるを得ないんですね。また、慣れない子供を扱いますから、実際に預かる一人としては、保育園の基準よりも、更に手がかかるため、人件費を、十分だと先ほど言ったんですが、かなりかけています。そして、本当に子供たちを守るためにどうしたらいいかということを考えています。

 ですから、今回、誰でも通園制度は、預かり必要経費や指導監督員の雇い上げ経費、賃料補助と出ていますが、是非、この通園制度はいい制度だと思って、始めていただきたいんですけれども、次の段階でそれに近づけるような努力をしていただきたいと思うんですが、これは大臣でなくても、よければお願いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣からも御答弁いただきましたけれども、一時預かり事業は非常に重要な事業でございます。一方で、一時預かり事業については、確かに保育所等で実施をされているところが多いということもございます。また、一時預かり事業は非常に多様な使われ方をしてございます。パートで働いていらっしゃる場合の保育の必要性が必ずしも認定を受けられないような方について、継続的に一時預かりを使っておられる方もケースとしてございます。

 ですので、こども誰でも通園制度ができた場合に、その前提としたときに、一時預かり事業についても引き続き継続をしていただく必要があると思うんですけれども、それを市町村においてどのようにニーズを見込んで維持していただくかということについては、やはり、こども誰でも通園制度を給付化したときの前提とした上で、では、一時預かり事業を市町村事業としてどういうふうに維持をしていただくか、その在り方については、誰でも通園の試行的事業を実施しながら、しっかり検証していく必要があると思っております。

田中(健)委員 是非検証もしていただきたいと思います。現状を聞きますと、確かにパートの人、預けています。子供が一生懸命行って定着してくるのを見ると、パートからもっと働こうかな、正社員になろうかなといって、そういうお母さんたちが多いそうです。ですから、雇用にもつながりますし、そして働き方にもつながるということで、この一時預かり保育も是非、今回の誰でも通園制度と併せて支援をまた考えていただきたいですし、在り方というのを議論をしていただきたいと思います。

 この誰でも通園制度には、こうあります。全ての子供の育ちを応援し、子供の良質な生育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対し、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するためだとあります。まさにこの理念においては、どのような形であっても子供が通える、また子供を預かれる施設というのをしっかり国がサポートしていくんだということを示していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 その上で、経営情報の継続的な見える化の実現について伺います。

 更なる処遇改善を求めていく上で、費用の使途の見える化を進めることが重要であるということで、今回から、幼稚園や保育園、認定こども園等の設置者に経営情報を都道府県に報告することを求める措置が講じられます。これについては、いいことであろうと思っています。

 しかしながら、さらに、今、不適切保育などということが問題になりますが、こういったことをゼロにしていくためには、施設の質の向上につなげていかなくてはなりません。そのためには、経営者だけでなくて、保護者や、またさらに保育している保育者、そういった声を聞く仕組み、例えば、会社でいえば三百六十度評価のような形で、あらゆる人から評価をすることで全体が見えてくるということが取り入れられていますが、そういったことも次のステップとして私は必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今般の保育所等における経営情報の継続的な見える化の制度の主たる目的は、費用の使途の透明性を向上させ、幼児教育、保育に従事する保育士等の処遇改善や配置改善等の検証を行うことにより、公定価格の改善を図ることにございます。

 その上で、近年相次いだ保育所等における不適切事案への対応としましては、昨年五月にガイドラインを策定し、自治体への周知を図ってございます。

 この中では、虐待等の未然防止としまして、第三者評価や市町村の保育士等による巡回支援など、施設外部から多様な視点を得ながら保育士等の気づきを促し、保育の質の向上につなげていくことの重要性について盛り込んでございます。

 こうした対策を進める上で、保護者の立場の皆様の御意見や保育士の立場からの御意見も伺いつつ、これまでも取り組んできたところではございますが、委員御指摘のとおり、今後も、経営者のみならず、保護者、保育者の御意見をしっかりと伺いながら、施設内外への相談等を通じて、早い段階で改善を促され、不適切事案を未然に防止できるような環境や体制づくり、これにつなげて、子供たちの安全、保護者の安心の確保に努めてまいります。

田中(健)委員 是非お願いしたいと思います。

 会社でいえば三百六十度評価を取り上げましたが、こういうのを取り上げますと、公平性が強いということで、これも仕事へのモチベーションにもなりますし、また離職者が低下するということでもありますから、人員をどう確保していくか、また定着させていくか、突然二十人辞めて保育所が危機だというような報道がよくありますけれども、そういったこともないようにつながっていくと思いますので、是非検討もお願いしたいと思います。

 さらに、今大臣が、施設外部からも多様な視点がということでありますと、保育の評価や改善、その効果というのをマネジメントとして回していけるように、これも宮路先生からも指摘がありましたけれども、英国における、外国の評価システム、OFSTED、こういったものを参考にして、是非日本においても、監査や評価をできるような、こういった仕組みというのも今後取り組んでいく必要があるんじゃないかと考えますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、保育所への指導監査につきましては都道府県等が行うことになっており、国においては、保育所の職員による虐待防止など、保育を取り巻く様々な課題を踏まえて、準拠すべき指導監査事項を示すなど、各都道府県等の取組を後押しをしてきたところでございます。

 加えて、保育所が外部の者の視点を通して保育の改善を図るため、第三者評価を推進しておりますが、必ずしも保育の改善に十分踏み込めていないといった御指摘もあることを踏まえまして、保育者の子供への関わり等を具体的に評価できる指標の導入に向けた調査研究を行うなど、改善に努めているところでございます。

 こども家庭庁としましては、御指摘の英国の取組を含め諸外国の取組も参考にしながら、我が国の実情を踏まえて保育の質の改善に資するよう、監査、評価の仕組みの改善充実にしっかりと取り組んでまいります。

田中(健)委員 指導監査は、都道府県、もちろん義務づけていますから、やっていることは分かるんですけれども、それはあくまで形式的なものですから。今言った第三者評価を推進しているとはいえ、なかなかそれを取り入れている園も少ないと思いますから、是非、そこが大事だと思いますし、質をどのように確保して、そしてマネジメントしていくかという点でお願いをしたいと思います。ありがとうございました。

 引き続きまして、出生後の休業支援給付制度、育児時短就業給付制度について質問したいと思います。

 男性が育児に積極的に参加するということは大変重要でありますし、育児しやすい環境をつくっていくというのは、これも大切です。今回、十四日以上の育児休業の取得を要件としましたが、男性が育児を行う期間というのは十四日でいいんでしょうか。伺います。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 出生後休業支援給付は、共働き、共育てを推進する観点から、出産直後の育児休業の取得ニーズが高い時期に両親共に育児休業を取得することを促進するために、子の出生後、一定期間内に被保険者とその配偶者が共に十四日以上の育児休業を取得した場合には、二十八日間を限度に休業開始前賃金の八〇%相当額を給付することとしております。

 厚生労働省として、男性が育児を行う期間は十四日でよいというふうに考えているわけではございませんが、男性の育児休業取得率が一七%にとどまっており、また、取得者の中でも約五割が二週間未満の取得にとどまっている実態を踏まえまして、より多くの男性が育児休業を取得する契機となるよう、十四日以上の育児休業の取得を要件として設定したものでございます。

田中(健)委員 まさに最初の取組だということですが、やはり十四日、更に長くできるように、これを第一歩としてもらいたいと思います。

 最後でありますけれども、今度、十四日から二十八日ということで期間が決められていますが、なかなか、出産してから母親が妊娠前の状態に戻るのはかなり個人差があって、長い期間かかる方もいます、一か月、二か月ですね。そういった場合は、やはり施行後の取得状況の変化に応じて、給付要件というのも弾力的に、これからこの期間というのも考えていただけないかと思っていますが、見解を伺います。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の育児休業給付の給付水準自体は、国際的に見ましても既に高い水準にあります中で、今般、男性の育児休業の取得を促進し、男女共に働きながら育児を担うことができる環境を整備するという観点から、特に子供の世話に手がかかる一定の期間に限り、手取り十割相当の給付を行うこととしたものでございます。

 このため、出生後休業支援給付の給付日数を延ばすことは慎重に検討すべき課題があると考えておりますが、この法案を成立させていただきました暁には、まず、施行後の男性の育児休業の取得状況を適切に把握してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

田中(健)委員 国を挙げて、皆さんで育児休暇を取れますように進めていただくことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次回は、来る九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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