衆議院

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第10号 令和6年4月9日(火曜日)

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令和六年四月九日(火曜日)

    午前九時九分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    金子 俊平君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      田畑 裕明君    谷川 とむ君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 郁子君    橋本  岳君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      堀井  学君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    吉田 真次君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      早稲田ゆき君    赤木 正幸君

      伊東 信久君    伊佐 進一君

      山崎 正恭君    高橋千鶴子君

      田中  健君    長友 慎治君

    …………………………………

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   参考人

   (学習院大学長)     遠藤 久夫君

   参考人

   (株式会社日本総合研究所理事)          西沢 和彦君

   参考人

   (京都大学大学院人間・環境学研究科教授)     柴田  悠君

   参考人

   (学習院大学文学部教授)

   (東京大学名誉教授)   秋田喜代美君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     吉田 真次君

  橘 慶一郎君     田畑 裕明君

  橋本  岳君     金子 俊平君

  浮島 智子君     山崎 正恭君

  田中  健君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     橋本  岳君

  田畑 裕明君     橘 慶一郎君

  吉田 真次君     上杉謙太郎君

  山崎 正恭君     浮島 智子君

  長友 慎治君     田中  健君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、学習院大学長遠藤久夫君、株式会社日本総合研究所理事西沢和彦君、京都大学大学院人間・環境学研究科教授柴田悠君及び学習院大学文学部教授、東京大学名誉教授秋田喜代美さん、以上四名の方々に御出席いただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、少しお待たせをして、大変申し訳なく思っております。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず遠藤参考人、お願いいたします。

遠藤参考人 学習院大学の遠藤でございます。

 本日は、このような発言の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 時間も限られておりますので、文書を読み上げるという形で発言をさせていただきたいと思います。お手元に資料として二種類のものが出されておりますけれども、それらを御覧になりながらお聞きいただければと思います。

 まず初めに、資料の一でございますが、これは日本の人口構造の推移を見たものであります。御案内のとおりだと思いますけれども、二〇二五年と二〇六五年を比較いたしますと、四十年間で、七十五歳以上人口、すなわち後期高齢者の割合は一八%から二六%にと上昇しますし、総人口は一億二千二百五十四万人から八千八百八万人に減少します。三割減少するということであります。

 高齢化を伴いながら人口が減少していくということは、言うまでもなく出生数の減少というのが原因でありますが、資料の二から年間出生数と合計特殊出生率の推移を見てみます。

 大きな戦争の後はベビーブームが起きる傾向がありますけれども、日本は一九四七年から四九年にこのベビーブームが起きまして、そのときの出生率は四・三二と高く、四七年は二百七十万人が生まれました。このとき生まれました人たちが親となる一九七一年から七四年には、第二次ベビーブームが起きました。出生率はそのときは二・〇五と低下していたために、七三年の出生数は二百九万人にとどまったわけであります。二〇〇〇年前後は、この第二次ベビーブームの世代が親となる時期なので、出生者数は増加が期待されましたけれども、出生率がその頃は一・三まで低下していたために、第三次ベビーブームは起きませんでした。

 資料三から分かりますように、出生率は二〇〇五年に過去最低の一・二六まで下がりましたが、その後、十年間は上昇しましたが、二〇一五年の一・四五をピークに低下して、二〇二二年には再び最低水準の一・二六まで低下しております。

 資料四から分かりますように、出生率の低下を反映いたしまして、二〇一八年から二〇二二年の実際の出生数は、二〇一七年に推計した出生数を大きく下回っています。これは、出生率がその間、下がったということでありますけれども。ということで、二〇二二年の出生数は七十七万千人ということで、過去最低水準にあるというのが現下の状況であります。

 出生率の低下の要因というのは、未婚率が上昇していることと、夫婦間の子供の数である完結出生児童数の二つの要因によって分けられます。

 資料六から分かりますように、五十歳時の未婚率、これはかつて生涯未婚率と言われたものですけれども、これは一貫して上昇しております。

 資料七は完結出生児数の推移を示したものでありますが、これは興味深いことに、一九七二年から二〇〇二年までの三十年間は、夫婦の間の子供の数というのは二・二人ぐらいで大体安定していたわけですが、二〇〇五年以降減少傾向が見られて、二〇二一年は一・九人と過去最低の水準であるということであります。

 このように、足下の出生率の低下は未婚率の上昇と夫婦間の子供の数の減少を伴っておりまして、ある意味、非常に深刻な状況であるというふうに考えております。

 そもそも、この少子化対策、政策の目的は、出生数の増加あるいは減少の抑制を図ることでありますけれども、このためには、ただいま説明した出生率のほかにもう一つの大きな要素がございます。それは、子供を産む年齢の女性の人口がどのぐらいいるかということであります。仮にこのことをお母さん人口と勝手に呼ばさせていただきますと、出生率の低下が続きますと将来のお母さん人口は減少しますから、たとえ、ある時期出生率が一定になったとしても、出生数は減少していきます。

 ということで、出生率の低下というのは、そのときの出生数を減少させるだけでなく、将来の出生数も減少させることになりまして、加速度的に出生数を減少させることになってまいります。

 資料の五は、二〇四五年までのお母さん人口の推計を見たものです。推計といいましても、二〇四五年の二十五歳の女性というのは二〇二〇年には既に生まれているわけでありますから、この推計というのは非常に精度が高いものであります。過去の出生率の低下の影響でお母さん人口が減少していくことが読み取れると思いますが、すなわち、少子化対策は、遅れれば遅れるほど出生数の回復が難しくなるという時間との勝負だ、そういう政策であることは肝に銘ずる必要があると思います。

 そのような重要な少子化対策でありますけれども、実は少子化対策は非常に難しい側面があると思います。以下は私の私見でありますけれども、少子化対策の難しさを少しまとめてみました。

 第一に、出生率の低下は複雑な要素が絡んでいるために、高い確率で出生率を上昇させるという対策、政策、いわば政策の特効薬、このようなものはなかなか見つけられないということであります。所得と未婚率はある程度関係があることは知られていますが、それだけで説明がつかず、社会観であるとか家族観とか、そのような様々な要素が絡んでいるので、経済対策だけでは限界があるという側面も否めないというふうに思います。

 また、他の政策が少子化対策の効果を弱める可能性もあります。例えば、女性の社会進出は我が国にとって極めて重要な政策です。しかし、女性の経済的自立は、もしかすると未婚率を上昇させる可能性もないとは言えません。あるいは、女性がキャリアを形成することによって晩婚化、晩産化することによりまして、夫婦間の子供の数が減る可能性も否定できないわけであります。

 しかし、何よりも少子化対策で重要な点は次のものだと思います。

 少子化対策の効果あるいは便益は、結婚を考えている世代であるとか子育ての世代にはある程度実感できますけれども、大多数のそうでない世代には便益が直接的に実感できないということがあるのではないかと思います。少子化対策の重要性は理屈では理解しているものの、我が事としての実感が乏しく、費用を負担してまで推進することに対して消極的な人が多いのではないかというふうに思います。

 少子化対策により、国内市場の縮小が抑制されて経済成長の下支えになるんだとか、生産労働人口の減少が抑制されて高齢者の経済的、肉体的な支え手の減少が抑えられる、これらのことは全くそのとおりです。将来の日本を考えると、極めて重要な政策であります。しかし、そうはいっても、二十年以上先の話でしょうとか、あるいは、これで将来の私の所得が下がらないとか介護の支え手が減らないという保証はあるの、このように思ってしまうかもしれません。つまり、このような直接的な便益が実感できないという人が多いということもこの政策の難しさだと思います。

 これを二〇〇〇年に導入された介護保険と比較いたしますと、当時は、長寿化を反映しまして、親の介護問題や将来の自分の介護問題に不安を持つ人たちが非常に多かったため、介護保険の導入によりその便益は自分に返ってくることを多くの国民が実感できました。そのため、新たな保険料を負担してでも制度の導入を歓迎しました。

 このように、日本の将来を考えると少子化対策は極めて重要であるにもかかわらず、そこから得られる便益の多くが国民に実感できないというのがこの対策の大きな課題だと思います。

 さらに、少子化対策は、デリケートな問題を含むために、進め方にも工夫が必要であります。

 少子化対策は大変重要なのですが、その重要性を余り声高に言いますと、戦前の産めよ増やせよに通じて、国民の反発を招きかねません。子供のいる世帯といない人、あるいは既婚者と未婚者の分断を生み出す可能性もあります。

 高齢社会を幸せに生きるため、介護保険によって介護の社会化を進めましょうという力強いメッセージを介護保険導入時には出されたわけですけれども、そのようなことがなかなかやりづらいという面も一つあるということです。

 このように、特効薬がない、国民へのアピールには工夫が要る、政策効果を実感できる人が限られているというような理由で、将来の日本を考える非常に最重要課題である少子化対策でありますけれども、今のような理由があるので、場合によっては政治的にも先送りしたいテーマなのかもしれません。

 実際先送りされてきた感もありまして、第二次ベビーブームが結婚、出産を行う年齢になってお母さん人口が多かった二〇〇〇年ですが、この前後に大規模な少子化対策が取られていたら今日の状況は変わっていたかもしれません。当時は介護保険導入という高齢者対策が精いっぱいであって、少子化対策までは手が回らなかったのかもしれません。

 しかし、何もしなければ出生数が自律反転するものではなく、対策が遅れれば遅れるほど、これまでの少子化の影響でお母さん人口は減っているので、少子化の回復は更に困難になるというのは事実であります。その意味で、少子化対策は時間との勝負であるというふうに考えます。

 このことも考えまして、加速化プランに示された少子化対策に対して、私は次のように考えます。

 一つ。極めて重要であるが、いわば、言葉は適切かどうか分かりませんが、不人気である政策、後がないという現実的な視点からそのような政策を実施した決断については高く評価したいと思います。

 また、その仕組みについても、分散化していた少子化対策を体系化したり財源の仕組みを明確にしたことは、対策の連携を取りやすくして政策効果を向上させる意味でも、また透明性を高める意味でも有効だと評価をいたします。

 加速化プランに対する幾つかの批判に対する私の意見を述べさせていただくことで、私の加速化プランに対する考え方を示させていただきます。

 一つ目は、少子化対策の最大原因は未婚化であるが、加速化プランは、夫婦の子供の数、これは先ほど言いました完結出生児童数ですが、これを増やすものに偏っているのではないかという御批判ですが、少子化対策はこの法案だけではないと思います。未婚率と所得は一定の関係があることが示されておりますので、賃上げの推進であるとか、同一労働同一賃金など非正規雇用の労働者の雇用安定、待遇改善などの所得政策と補完的に進めていくことのものと認識しております。

 それから二つ目は、現在は完結出生児数も低下しております、これは先ほど御説明したとおりでありますので、したがって、加速化プランも少子化対策としては有効に機能するというふうに考えることができると思います。

 三番目には、その加速化プランによって子育てのコストが低下するということは未婚率の低下につながらないとは言い切れない話でありますので、そういう意味でも少子化対策としては一定の有効性は持っていると考えます。

 二つ目は、もっと厳しいものでありまして、加速化プランはどこまで少子化対策に効果があるのか疑問である、お金の無駄遣いではないか。

 確かに、少子化対策には特効薬はありません。ないと私は思います。加速化プランは、これまでの少子化対策として行われてきた幾つかのもの、具体的に言うと、若い世代の所得の向上、子供、子育て世帯の支援対象の拡大、共働き、共育ての進展、これらを強化したものであって、これらがどの程度出生率を向上させるのかは現時点では明確には分からないというのは事実であります。しかし、このプラン以外に出生率を向上させる、より明確なエビデンスを持つ対策があるとは私は思えません。あれば、それを教えていただきたいし、実施するべきでありましょうが、それは何なんでしょう。

 いたずらにそれを探すより、時間との勝負という制約条件がありますので、加速化プランを迅速に導入して、中長期的に、PDCAを通じて必要に応じて効果を高めるよう改良していくことが最も有効な対策だと思います。特効薬がない以上、この社会実験的な取組により知見を蓄積していくということは必要だというふうに考えます。

 三番目に、支援金の徴収に医療保険制度を利用することへの疑問であります。

 これにつきましては、医療保険制度が幅広い層、全年齢、事業者も含むということで、負担をするということで、多くの国民によって少子化対策がサポートされるということ。それから、医療保険料の算定は低所得者への配慮が一定程度されているという点も一定の合理性を持つだろうというふうに思います。また、もっといい制度はもしかしたらあるかもしれません。しかし、新しい徴収の仕組みをこれから構築するということは、時間や社会的コストがかかるわけでありまして、時間との勝負ということを考えるとなると、既存の最も適した制度を使うということが適切だと思います。

 以上、結論から申し上げますと、現下の出生数の減少は、将来の日本の高齢化と人口減少に深刻な影響を与えることは明白です。少子化対策は時間との勝負ですから、加速化プランに代表される少子化対策をできるだけ早く導入して、PDCAサイクルを通じて必要に応じて改良を加え、有効性を高めていくことが最も適切な方法だと思います。

 以上をもって私の意見とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

谷委員長 ありがとうございました。

 次に、西沢和彦参考人、お願いいたします。

西沢参考人 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。日本総合研究所の西沢和彦です。

 私は、二月の衆議院予算委員会中央公聴会にお招きいただきまして、子ども・子育て支援金に反対の立場からその理由を申し述べさせていただきました。今回は、資料はそのまま同じようなものを使っていますが、少し別の角度からお話をしたいと思います。

 ページをめくっていただきまして、御紹介したいものがあります。これは、自民党の先生方、余りおられないですけれども、野田毅先生の御本、御著書です。聞いていますか。これは、二〇〇四年の「消費税が日本を救う」という本です。ここにある写真は、野田毅先生のわら人形なんですね、八七年三月一日とある。奥にあるのは中曽根さんのわら人形。これは、売上税の導入を中曽根政権で目指して、野田先生の地元の熊本でわら人形を作られたということです。この二年後に、売上税改め消費税として、消費税が導入されたわけですね。その後、竹下政権で消費税が導入されて、九七年には橋本政権で消費税率が上げられ、また、二〇一二年の三党合意を経て消費税が一〇%に上げられたわけです。このように、自民党の先生方の先輩は苦労して消費税を導入されてきた。そして、それが今、基幹税として我が国の税収の礎になっているわけです。

 今回、子ども・子育て拠出金のような理論的に全く正当化されない財源が導入されようとしているのは、ひとえに、消費税を封印しているから、税に触れたくないからだと私は考えています。なので、本当は子ども・子育て支援金というのは税ですよ、税だけれども、社会保険料だと言い繕う、そして、家計と企業に負担が生じるけれども、実質的な負担はないと言う。全てが詭弁になってくるわけです。全く理論的にも正当化できない説明がこの議会で繰り返されているわけです。

 私は、いつもこの野田先生の本、頭に浮かびますよ。わら人形を作られて、くぎを打たれて、自由に。最後にはこれは燃やされたとここに書いてあるわけです。この野田先生のページをめくると、竹下政権で消費税が成立したときには涙が出ました、山中先生も、議場を出て、天を仰いで涙を流されていたんだろうなというふうに回顧しているわけです。

 消費税というのは、いろいろいい性格を持っているわけです、租税論的には。転嫁と帰着のルールが明確である、消費者に。消費税だけでは税制は完結しませんから、そこに所得税や資産税を合わせて家計に配慮を行うことができるわけです。

 他方、社会保険料の事業主負担というのは、賃金に転嫁するか、物に転嫁するかしなければいけません。しかし、転嫁と帰着のルールが不明確です。それは、ひょっとすると、雇用の悪化を招き、非正規雇用を増やしているかもしれない。大企業は転嫁できても、中小零細企業は転嫁できていないかもしれない。だったら、社会保険料の事業主負担や直接税である社会保険料によらず、消費税にしようではないか。

 野田先生も書かれています、社会保険料って悪さするよね、その行方が分からないよねと。それで、国民の理解は得られないけれども、なぜなら新税は全て悪税だから、でも頑張って入れてきたわけです。

 おととい、久しぶりに野田先生にお電話して、これ、載っけます、載っけていいですかと言ったら、載っけてくださいとおっしゃっていて、私、多分、野田先生、余り詳しく伺いませんでしたけれども、今の状況を悔しく思っていると思うんですよね、何だ、俺たちがこんなに一生懸命入れてきた消費税を何てことしてくれるんだと。と思うんですよ。

 四ページ目と六ページ目には、これは、衆議院の中央公聴会で私が申し上げたことと全く、田中耕太郎さんという元々厚生省の官僚の方で、審議官まで務められて、その後学界に転じられたんですけれども、私が思うことと全く同じことが書いてある。

 今、野田毅先生がおっしゃったのは、租税論の立場からおっしゃった。田中耕太郎先生は社会保険論からおっしゃっている。例えば、この五ページ目ですね、左の一番上に、「政府はこの四十年間、健保など取りやすいところから取り、足りないところへ回してきたのです。その場しのぎで予算のつじつま合わせを重ねてきた結果、仕組みが複雑化し分かりにくくなりました。税と保険料の関係がぐちゃぐちゃにされ、国民は理解しようにもできない。これでは痛税感、不信感が募るだけです。」ということですよ。

 そして、ちょっと行きますと、「少子化対策は確かに重要です。」私もそう思いますよ。ですから、皆さんの御審議には本当に心の底から敬意を表します。けれども、「本来は税で対応すべきものです。」と。そうなんですよ。右に行っていただきますと、真ん中あたりですか、「どうすれば社会保障制度を立て直せますか。」「税と社会保険の複雑な現状を整理し、透明化して、国民に分かりやすい形で示すべきです。」。

 今回の少子化対策だって、今、遠藤先生から現状の御説明があったように、我々国民として危機感は共有できるはずです。また、少子化対策と子供、子育て政策が混同されているのも私は気になりますけれども、子供を大事にしよう、育児をもっとサポートしようというのは我々みんな共有できるはずです。そのとき、歳出削減をしてもなお一兆円足りないのであれば、それは、例えば消費税を〇・三%、四%上げて賄おうという説明をしたときに、私は反対する人は多くはないと思うんですよね。どうでしょうか。

 そういえば、私が中央公聴会にお招きいただいてから二か月たって何か生産的な議論の進展があったかといえば、私はとてもそう見えないですね。だと思うんですよね。自民党の先生方も、顔だけ見ても分からないですけれども、私の言っていることがそんなにおかしくないと思っていただけているんじゃないかなと私は思っている。けれども言えない。でも、言えないのは、日頃起こっている企業の不祥事と近くありませんか。企業の中で不祥事の芽が起きている、現場の人は分かっている、でも言えなかった、納期があるから、もうすぐ決算が近いから。それが問題を大きくしているわけです。

 ですので、本当は皆さんは、こうやって野田先生たちが一生懸命つくってきたこういうすばらしい税制がある、これをもっと育てましょうよ、社会保険料というのは国民に説明がつくようにもっと負担と受益の関係を明確化しましょうよと上司に言って、国民に正しい説明をするというのが私は正しい道だと思います。

 少し飛ばしまして、八ページ目にあります、これは一九九七年の橋本内閣の行政改革報告書から抜粋しました。とても重要なことが書いてあるわけです。

 それは、問題意識は、国民の統治客体意識、行政への依存体質、これを橋本内閣では問題視しているんですね。行政に依存するのではない、できることは自分でやろう、でも、できない人はきちんと救おう、国民というのは、統治される客体ではなくて、主権者なんだ。

 ですから、今の子供、子育て政策の議論を見ていても、結果だけ我々に押しつけようとしているように見えるんですね。数字を出してくれと言っても、なかなか出てこない。御理解を求めたいと言っても、元々非論理的なものなので理解しようがないです。だから、あれは誰が大臣をやっても説明できないですよね。

 皆さんは得していますよ、こうやって法案を通してもらったら、後は、もう説明しないで、地元に帰れるわけだから。それは、担当大臣が全部背負っているわけですよね、批判を受けながら。でも、あれを地元で有権者に説明しようと思っても、できないですよね。

 ですから、これは、結果だけ教える、説明するのではなくて、私は、結論に至る過程を国民と共有すべきだと思います。

 最後に、提言です。

 二十三ページ目にありますけれども、子ども・子育て拠出金は、私は撤回すべきであると思います。これは、法案全体を否定するものではありません。そして、今後予定されている歳出改革を、歳出と歳入改革を同じテーブルにのせて議論する。ここはもちろん税も含まれるわけです。そして、ばらまき合戦、減税合戦はやめる。これは我が国全体の地盤沈下を招きます。与党の方も、野党の方も、減税しますとか歳出拡大しますというのではなくて、一定の予算制約の下に、中身こそを競い合うように政策合戦を繰り広げていただけたらと思います。

 そのためには、枠組みが必要です。例えば、二〇〇四年の年金改正の後に、両院合同会議というのがここで議会に設けられました。ああいったような形で、一定の予算制約の下で、政策の中身を競い合うという形をつくらないと、人口減少社会の中での政策決定というのはどんどんどんどん行き詰まっていく、それが我が国の将来に暗い影を落として、国民の将来の希望を減退させる一因になっているんじゃないかなと思います。

 今回の法案に関しましては、提出までのプロセス及びこの国会での議論を通じまして、納得感がないですね。これは、情報の出し方もそうだし、政策の目的も、少子化対策なのか子供、子育て政策なのか分からなくなってきているわけですし、こども家庭庁をつくったのが本当によかったのか。

 今回の子ども・子育て支援金は、医療保険料に上乗せするという形なので、医療保険の知識がないと丁寧に説明できません。ところが、そこと切り離されている。

 また、二〇二八年の総報酬が分からないと言いますけれども、年金局では百年後の総報酬も計算しているので、分からないはずがないんですよね。

 ですので、本当につくってよかったのかというのも私は疑問に思っている。ですから、政策形成プロセスにおいても、私は、今後の議論を進めていく上で検証していくべきだと思います。

 また再び言い過ぎたところもありましたけれども、御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

谷委員長 ありがとうございました。

 次に、柴田悠参考人、お願いいたします。

柴田参考人 柴田でございます。

 この度は、大変貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 お手元に、この縦長の印刷された配付資料がございます。これを基にお話しさせていただきます。

 これからの少子化対策として必要なものを特に数字の面で確認した上で、今回の法案について御意見申し上げます。

 結論から申し上げますと、現在の政府での少子化対策で恐らく最も視点として欠けているのは、この一枚目の真ん中にある男性の働き方改革。男性というのは、子供を持つ男性だけではありません。未婚者の男性も含めて、とりわけ、やはり結婚が減っているのが最大の要因ですので、未婚者の男性も含めた、あるいはその男性を取り巻く上司も含めた全男性の働き方改革が一番欠けているのではないか、そういった視点から今回の法案について御意見申し上げます。

 この資料の右下に、各スライドの右下にページ数を振っておりますので、そのページ数を参照しながらお話しいたします。

 まず、二枚目なんですけれども、昨年、予算委員会の方で、私の方でも意見を申し上げました。

 三枚目に移ります。次のページをめくりまして、三枚目の上の方ですけれども、官邸での子供政策の強化の会議でも御意見申し上げました。

 そこで申し上げた意見が簡単にまとまった図が四枚目、二ページ目の下ですが、スライド四枚目になります。これは、幅広く少子化対策として重要なもの、結婚の未婚率に関する、結婚が減っている、結婚難という点も含めて、あるいは働き方も含めた幅広い視野で少子化対策として重要なものをここに一覧としてまとめた図になっております。

 大筋は、今回の加速化プランや、あるいは、より大きくこども未来戦略でも取り込まれたといいますか、ほぼ一致したものになったかなと思うんですが、やはり理論的に見ますと、一番男性の働き方改革は弱いかなというところです。

 五枚目に参ります。次のページの上ですけれども、五枚目。私が提言してきた内容の中で、とりわけ予算として実際に組まれたのは、児童手当の分が一・二兆円程度組まれたりだとか、あるいは学費軽減、これも〇・二六兆円組まれることになりました。

 ただ、この赤く塗ったところですけれども、そのような児童手当や学費軽減にある程度の予算がつきましたけれども、じゃ、これで出生率はどのぐらい上がるかというのを過去の研究や私の推計から試算をしますと、大体〇・一程度、出生率が〇・一程度上がるぐらいの効果ではないかなと見込まれます。ですので、日本の大きく出生率の減っている状況に関し、それに対して見ると、効果としては、やはりあっても小さいなという規模であります。

 あとは、先ほども申し上げましたが、対策として決定的に大きく欠けているのが、子供のいない男性も含めた男性全体の働き方改革が欠けていると考えられます。

 今回は、男性育休の推進だとか、そういったところは入っているんですが、それは子供がいる男性だけの話です。子供がいる前の未婚の男性、ここも含めた対策、例えば賃上げだとか、賃上げもある程度は文言として入っていますけれども、具体的な取組としては余り含まれておりません。あとは、未婚の男性の働き方をどう改善していくのか。これも、ある程度、勤務間インターバルというような文言は多少入っていますが、具体的な取組は余り言及されていません。

 そういった面で、賃上げや働き方の面、そういう抜本的な、若者を取り巻く経済的な状況、働き方の状況、これへの対策が今後強化されるべきだと考えます。

 このような働き方改革によって、例えば、所得水準、生活水準が変わらずに労働時間だけが仮に減った場合、つまり生産性が上がった場合ということですが、労働生産性が上がれば、生活水準を下げずに労働時間を減らすことができます。そうなると出生率がどうなるかというのを私自身で計算したところ、過去のOECD諸国のデータから、データは限られているんですが、計算したところ、出生率が上がるという計算結果を得ることができました。

 こういったところからも、やはり、いかに賃上げをしていくか、そして、働き方改革によって、とりわけ男性の労働時間を減らして、より家族での時間を取れるようにしていくかというのが大事かと考えられます。

 七ページ目に参ります。ページをめくりまして、上の方になりますけれども、七枚目に参ります。七枚目では、この日本において、男性の働き方改革、とりわけ労働時間や通勤時間の短縮がいかに出生に結びつくかというエビデンスがこれだけたくさんあります。

 つまり、夫の労働時間、通勤時間が減りますと、夫の家事、育児時間が増えるというたくさんの研究がございます。そして、夫の家事、育児時間が増えると、妻の出産確率や出産意欲が上がるというたくさんの研究がございます。あるいは、夫の労働時間が減ると、直接妻の出産確率も上がるという研究もございます。

 こういったところから、日本においてもこの働き方改革は非常に重要であるということが、日本での研究からも示されるということです。

 では、もう少し視野を広げまして、少子化対策全般について、もう少し見てまいります。

 下の八枚目に参りますけれども、昨年、日経新聞でこのような記事を掲載させていただきました。このような記事で書いたことのバージョンアップ版をこれからお話しいたします。

 次の上の九枚目に参ります。少子化の主要因は何か。これは、どの国でも今出生率は下がっています。これは、社会が近代化して、価値観が自由化したり高学歴化していく、そして育児の心理的なコスト、経済的なコストが上がっていくと、当然、どの国でも出生率は下がっていきます。これは北欧もそうです。

 ただ、日本では、これに加えて、三つの更なる少子化の要因があります。一つ目が男性稼ぎ主モデルの長時間労働です。これによって生産性がなかなか上がらない。特定の人にどんどん、仕事がよくできる人、慣れた人にどんどん長時間労働をさせて、その人が無限定に働いてくれる、そして転任もいとわず働いてくれるので、何とか社会が回っていくんですが、しかし、長時間労働をずっと放置しているので、単位時間当たりの生産性が上がらない。その結果、所得が低迷しているということです。その所得の低迷によって結婚が増えないということです。加えて、学費などの育児の負担がいまだに家族に偏っている。この三つの要因によって、少子化が更に悪化しているという状況と考えられます。

 十枚目に参りますけれども、まず、一つ目の要因、男性稼ぎ主モデルの長時間労働、これがいかに問題かということですが、これが生産性の低迷や未婚化につながるということですが、十枚目のこのグラフが非常に一番重要かなと思っております。

 これは社人研の調査結果のグラフですが、今の若い未婚女性の価値観は、過去十年間と比べると急激に変わっています。非常にキャリア志向に傾いている。未婚女性の第一位の価値観は、両立したいということです。結婚、育児と仕事を両立したい、これが今第一位になっています。しかし、実際、あなたのライフコースはどうなると思いますかという現実を尋ねますと、両立は難しいだろうと。なぜなら、夫が長時間労働だからです。あるいは、パートナー、結婚する前の彼氏が長時間労働だからです。そうなると、もし結婚したら、私は家事、育児に縛られる、そんなのは目に見えている。

 かつての女性は、それでも結婚していました。そして、仕事を辞めて、再就職をしていました。しかし、今は逆です。仕事を選んで、そして結婚を選ばないということです。これが、とりわけ女性の未婚化の一つの要因になっている。つまり、男性の長時間労働によって女性が結婚に夢を抱けなくなっているということです。

 めくりまして、次の上の十一枚目に参ります。ここからは社人研が発表したデータを転載しております。

 日本の男性の有償労働時間、つまり労働時間は世界で一番長い傾向にあるということです。ヨーロッパよりも長い、ほかのアジアよりも長いということです。これゆえに、日本の男性はいまだに長時間労働。

 そして、下の十二枚目に参りますと、この三十年間以上、ほとんど減っていない。恐らく、最近の、最新のデータでは少し減っているかと思います。いろいろ対策が進みましたので少し減っているかと思いますが、それでもやはり非常に長い、四百分を超える労働時間があるということです。

 次のページの上の十三枚目に参ります。お父さんのデータで見ても、これも三十年以上減っていないということが分かります。つまり、子育てをしていても、男性は子育てに幾ら参画したくても参画できない状況にある。最近の若い男性は、育休を取りたい率というのは、取得希望率は八割を超えています。しかし、育休が取れない状況は、こういった長時間労働にある。

 このような、長年なかなか変わらない男性の長時間労働を変えるには、やはり先進国並みに労基法を改正する必要があるんじゃないか。例えば、残業時間の割増し率、日本は非常に低いです、一・二五倍ですが、アメリカやフランス、ドイツやイギリスなどでは一・五倍にしています。あとは、勤務間インターバル、十一時間というのもヨーロッパでは義務化しています。フランスに至っては最も進んでいまして、法定労働時間が週三十五時間になっています。このような働き方改革を進めないと、なかなか男性は家事、育児に参画できない。

 そのような状況を見ると、女性にとっては、とてもじゃないけれども結婚できない、私のキャリアを犠牲にしなくちゃいけない、そのような状況が続いてしまっています。これが、女性側から見る未婚化の一つの原因になっています。もちろん、男性側から見れば、雇用の悪化だとか賃金が上がらない、こういった問題がありますが、雇用の悪化、賃金が上がらない一つの要因にも、このような長時間労働を放置しているところがあるかと思います。

 十四枚目に行きますと、先進各国の労働時間に関する法律の一覧があります。

 次の十五枚目、めくりまして、上の十五枚目に行きますと、労働時間、残業の割増し率を一・五倍化したらいいんじゃないかと先ほど申し上げたんですが、いきなり全て一・五倍化するのは難しいですので、例えば、月二十時間以上の残業に関しては一・五倍化というラインを仮に引きますと、既に月二十時間以下の残業になっている企業はこれだけたくさんございます。ですので、ある程度、月二十時間までは一・二五倍でいいけれども、二十時間を超えたら一・五倍に引き上げる、このような現実的な労基法の改正は可能なのではないかと考えられます。

 そして、そのような労働時間の是正などの健康的な経営をすると、果たして経営の利益率、企業の利益率にどういう影響があるのか、これは研究がございます。

 十六枚目ですけれども、利益率が二年後から上がるということです。つまり、経営が非常に健康的になり、社員が健康的になることで経営の生産性が上がり、会社の利益率が二年後から上がるという研究結果でございます。

 十七枚目に参ります。次のページの上のところですが、十七枚目ですが、これは世界各国の、OECD諸国、先進諸国のデータを分析したものですけれども、労働時間が減ると一人当たりGDPがどうなるのかという傾向を表した図になります。右側の図二というのが重要ですけれども、労働時間が減ると、ある程度減らしていくと、一人当たりGDPが上がるという傾向が見られます。

 もちろん、労働時間がゼロ時間になると、当然ながら一人当たりGDPはゼロになりますけれども、労働時間が千三百六十時間までは、少なくとも一人当たりGDPは上がる傾向があるということが明らかになっています。そういったところからも、今、日本は千六百時間台ですから、まだまだ労働時間を減らす余地があると考えられます。

 十八枚目に参ります。働き方の柔軟化というのも非常に重要です。長時間労働を減らすとともに、やはり柔軟化しなくちゃいけない。例えば、転勤は無理強いしてはいけませんし、あるいは休みも取りやすくしなくちゃいけない、育休も取りやすくしなくちゃいけない。そのような働き方柔軟化支援によって国民がどういうふうに変わるかというと、この図が示すのは、幸福感が上がるということです。そして、実はこれは少子化に関連するんですけれども、子供がいても幸福感が下がらないというふうになります。

 十八枚目の左の方では、柔軟化支援が乏しい国ですけれども、このような国では子供がいると幸福感が下がっています。実は日本の女性もそうです。つまり、子供が生まれると不幸せになるわけなんです。これが少子化の一因となっていまして、とりわけ日本では、女性にとっては子供を産みたくない一つの要因になっています。これはやはり、働き方が柔軟ではない、とりわけ男性の働き方、夫の働き方が硬直的である、転勤も強いられる、そんなところでは子供なんか産めないということだと思います。

 次のページに行きますが、十九枚目に参ります。上の十九枚目ですが、日本では、女性だけでそのような幸福感低下が見られるという研究結果がございます。なぜ女性だけで幸福感が低下するのか、子供が生まれると幸福感が下がるのかといいますと、夫婦関係が悪化する、あとは消費生活も悪化する、この二点で説明ができるという研究結果です。

 そういったところから、やはり夫の家事、育児が余りにも少ないと、そこで夫婦関係が悪化するし、自分ばかり時間とお金がなくなる、とりわけ時間がなくなる、それで消費生活が悪化する、こういったところが分かっていますので、やはり男性の長時間労働を減らしていく、あるいは転勤の無理強いを減らしていくなど、様々な男性の働き方改革が重要で、そのためには労基法の改正というてこ入れが、いよいよ、より重要になるのではないかと思います。

 次、あと二分程度ですけれども、二十枚目に参ります。所得低迷という要因ももちろんございます。所得が高い方が、あるいは正規雇用の方が子供が生まれやすいし、結婚も生じやすいということが研究で分かっていますので、やはり、先ほども先生方からもあったように、結婚をやりやすくするような賃金の問題だとか雇用の問題は非常に重要です。

 次、二十一枚目に参ります。これは経済財政諮問会議の有識者委員が出した資料ですけれども、若者に関して年二%の賃上げをしていくと、十年後、出生率は〇・一上がるという推計が出ています。さらに、職務給への転換によって若者により強固に賃上げしていくと、更に〇・一出生率が上がる可能性がある。つまり、合計〇・二上がる可能性があるという推計になっております。

 下の二十二枚目に参ります。非正規雇用に関しては、若い人々では非正規雇用はかなり減ってきまして、北欧よりも低い状況にあります。

 しかしながら、次のところに参ります、二十三枚目ですが、非正規雇用の人たち、つまり有期雇用の人たちの賃金率が非常に低い、正規雇用に対して低いというのが日本の特徴です。ですので、やはり同一労働同一賃金も重要かと思います。

 次、二十四枚目です。最後に、育児の家族負担。育児の責任が余りにも家族に偏っている、これが日本や東アジアの特徴です。

 これは、例えば学費の軽減だとか、いろいろなもので軽減することができますので、今回の加速化プランにも入っていますが、保育も軽減できます。保育のこれまでの定員増によって出生率は〇・一上がったんだ、日本の出生率は〇・一上がった、これまでの保育定員の拡大というのは出生率上昇に寄与してきたという研究結果が最近出ていますので、ここで御紹介しております。

 最後、二十五枚目に参ります。財源案ですけれども、これまで様々な議論がありましたが、財政学の実証的な研究によると、最も経済成長に悪影響が少ない税は何か、それは資産課税であるということが様々な研究で同じように示されていますので、ここで御紹介しております。

 しかしながら、これまでの議論では、資産課税あるいは資産への考慮というのが議論の中でかなり抜けていたのではないか。資産課税も是非選択肢の一つに入れて議論をすべきだということを提案しまして、これで意見陳述を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

谷委員長 ありがとうございました。

 次に、秋田喜代美参考人、お願いいたします。

秋田参考人 秋田喜代美でございます。

 このような機会を頂戴いたしましたこと、誠に御礼、ありがたく思っております。ありがとうございます。

 私の方、スライドの方の順に説明をさせていただきますが、まず冒頭でございますが、私自身は、子供政策につきまして、平成二十四年八月にこの国会において成立いたしました子ども・子育て支援新制度の構想の段階から、委員として検討や参画をしてまいりました。また、厚生労働省の社会保障の児童部会長でありましたり、内閣府の子ども・子育て支援制度の会長、そして、現在、こども家庭審議会の会長などをさせていただいて、現場の方々を始めとした関係者の皆様のいろいろな声を聞きながら議論を進めてまいりました。

 また、今般の子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案の土台になるこども未来戦略の策定に当たりましても、こども未来戦略の会議の一員としまして、検討に加わってまいりました。こうした経緯や、それから経験も踏まえまして、今回のこの基本法につきまして、賛成という立場から本日は意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 この十数年の間で、国の子供政策は、まず待機児童対策、そして、それから幼児教育、保育の無償化というような、本当に大きなことを次々と改革が図られてまいりました。

 そして、今般の法案によりまして、国際的にも最も社会保障が高いと言われるスウェーデン並みの水準にまで至り、子供の未来に投資がなされること、いわゆる現在の投資だけではなくて、この社会を持続可能にするための未来投資というところで、子供政策は今大きな転換点を迎えているというふうに考えております。

 そして、子供政策に携わってきた者としては、この機会を捉え、政策を強力に推進していく必要がある。また、先ほど遠藤委員も言われましたけれども、少子化は待ったなしでございます。そして、今この国を、未来を考えたときに、今この改革を進めるということが極めて重要であるというふうに考えているというところでございます。

 そして、この基本政策について、二ページ目に全体像を、こども家庭庁で出しているものをお示ししておりますけれども、やはり全般的、包括的に切れ目なく支援をしていくということが、社会の中の有用な人材を育成していくことになります。三ページ目に、すごろくのようにマップが描かれておりますが、子供の育ちとともに、こうした形で包括的な支援というものが重要であると考えられます。

 そこで、まず、基本的な私の認識を御紹介をさせていただきたいと思いますけれども、私、大切にしていることは、さっき柴田委員が幸福感という言葉を使われましたが、今、国際的にはウェルビーイングという言葉が重視されているわけですが、何よりも子供の健やかな育ちということに全て政策がつながるということが重要であろうと考えております。

 子供の頃に健やかであるということが、その後のその人の生涯のウェルビーイングに大きな影響を与えるということは、様々な長期縦断研究を始め、実証がなされていることでございますし、そして、子供が幸せに育つことは保護者にとっても幸せですし、それだけではなく、社会のウェルビーイングにつながる基盤になっていきます。

 そうした意味で、全ての世代の人が幸せな社会をつくっていくことができることにつながるというふうに考えております。

 私自身は、二十年以上前に、NPOのブックスタートというものを、最初、一自治体から始めまして、今、八割の自治体に広がっておりますが、そこでは、子供の笑顔が保護者を笑顔にし、そこに、子育て支援に地域の人たちが当事者として支えていくことが本当に町づくりの基盤で、笑顔になっていく、そしてウェルビーイングをつくっていくということを、私自身が実践を通して体験してきたことであります。

 そうしたことから考えて、全ての子供の育ちの環境を切れ目なくつくり上げていく、同時に、子供を育てる保護者や養育者、保育者等がウェルビーイングであるために、そうした人を支えていくということが子供の基本政策になっていくというふうに考えているところでございます。

 そして、三つ目に、今般の法案、具体的な内容でございますけれども、大きく三つの特徴がございます。

 ライフステージを通じた子育てに係る経済的な支援をするということ、そして、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充、この全て、あらゆるということがやはり社会格差を縮め、そして幸せな社会をつくっていく基盤になりますし、そして、そこで共育てという、一緒に育ち合っていく社会、それが支え合いのきずなをつくるというようなことが柱になって、各種の政策を盛り込んでいるわけであります。全ての子供を切れ目なく、そして、保護者や養育者、保育者を支える内容にこれはなっていますので、そうした意味で、先ほどマップも見ていただきましたが、非常に高く評価できるものだと思っています。

 具体的な政策として、多様にございますが、今回、二点だけ、特に重要だと思うものを御紹介をさせていただきます。

 一つは、こども誰でも通園制度でございます。

 こども誰でも通園制度について、私も昨年の開始時期から座長として議論をさせていただいてきておりますけれども、この検討会では、学識経験者や保育所や幼稚園などの関係事業者や団体から構成されておりまして、まず、こども誰でも通園制度がつくられることの意義、それから、一時預かり事業とどう違うのか、そして、利用枠、障害のある子供の受入れといったことについて主に議論をしてきたということになります。

 こども誰でも通園制度の意義につきましては、八ページ、九ページ辺りに資料を入れさせていただいておりますけれども、なぜその創設が求められ、どのような意義があるのかということは、検討の初めからずっと議論をしてきました。こども誰でも通園制度が子供を中心に、親の、現世代の預かりを支援するというだけではなくて、生まれたときからの、六か月からですけれども、子供にとってよりよい生育環境を社会でつくり出していくという意味を持っている、それが委員の皆さんの共通の認識になっています。

 現在、御家庭が、子供が育つための社会文化的資源が十分にある場所になっているとは限らないということが、格差もあり、子育てに困難を抱える親がたくさんいるというところからもあるわけであります。経済的に困難な御家庭も増えておりまして、子供が遊ぶのに十分な絵本であったり、おもちゃだったり、それが自宅にないという御家庭も結構増えているわけでございます。子供が地域の園に通園するということによって、専門家、高度な専門職である保育士の適切な支援の下で、これを受けることができる、利用ができるということは大きなところでございます。

 この利用の枠について、検討会でもいろいろ議論をしてまいりました。月に十時間、本格実施に向けて試行では十時間という。十時間以上ということで、今は十時間というようなことで制度を目指しております。

 利用を希望する者だけが利用するという制度ではなくて、全ての子供に保障する制度であるということを考えて、まずは対象となる全ての子供が利用できる枠組みとするということが最優先ではないかという議論の下で、この十時間というものが設定され、スタートを切ることになりました。私は、この全ての子供に給付として行われるということが重要であると考えているわけでございます。預かりと、子供中心と親の支援の違い。

 それから、多様な形でこの誰でも通園ができるということにつきまして、資料の十二ページ、それから十三ページには、パイロット事業、そして、これが里帰りした先でも利用できるし、戻ってからもできるというようにオンラインのシステムをつくって、このデジタル化を同時に推進していくということが、ここにも示しているところでございます。

 こども誰でも通園制度は、特に大事なのは、障害の有無にかかわらず、全ての子供を対象としているものでございます。検討会でも複数の委員から障害のある子供を置いていかないようにということが繰り返し言われまして、議論を行ってきました。そして、政府においては、令和六年度の試行的事業で、障害のある子供を受け入れる場合の加算というものも設定をして対応されているものと認識しております。

 障害のある子供の受入れに当たって留意すべき点、整理すべき点などが出てくるわけですけれども、障害の有無にかかわらず、全ての子供への支援を行うというこの理念を貫いたものとして、こども誰でも通園制度の意義というものをしっかりと、今回の法が通り、果たしていっていただきたいと願っているというところでございます。

 是非、この辺りについて、政府におきましては、試行的な事業を実施しますので、しっかりそのエビデンスベース、検証を行いながら検討を進めていただきたいと考えております。

 もう一、具体的な案として、これも給付ですけれども、新たな給付としての妊婦等包括相談支援事業について、簡単に御紹介をさせていただきます。

 これはやはり、子供の頃に赤ちゃんや小さな子供のお世話をする経験が今の若い世代にないからこそ、育児時間がとても大変だわということで、両立諦めというようなことも起こってくるというところになります。それで、親になることの不安を取り去っていくという意味でも、産前からの伴走型支援ということが極めて重要になってございます。

 本事業によりまして、産前から専門職等と相談や面談を行うことで、この横の図で十六ページのところに書いておりますけれども、出産、育児というようなことをずっと見通しながら支援をしていくというような切れ目のない支援ということになります。

 この事業では、十万円相当の妊婦のための支援給付の申請の機会を活用して、全ての妊婦に対して、これまでお金などでちゅうちょしていた若い若年妊婦等も含め、より効果的に妊娠初期からアプローチをするということにおきまして、全ての養育者とつながる機会を得て養育を支えていく、社会が養育を支えていくんだという強いメッセージがここに表れているのではないかと考えております。

 本事業の制度化を通じて、切れ目なく、全ての妊婦、子供、子育て世帯に寄り添った支援が全国で広がっていくということに大いに期待したいというふうに考えているというところでございます。

 そして、その安定的な財源ということにつきまして、簡単にでございますけれども、今回の法案に盛り込まれた給付の抜本的拡充が可能となるためには、支援金制度によって安定的な財源というものが確保されることが極めて重要であります。

 社会保障・税一体改革の積み残しであります配置基準の改善につきましても、令和六年度予算で対応されてきました。このように、支援金の財源というものについて、やはり児童手当の拡充に充てられるからこそ、他の給付事業に公費を充てることができ、全体として切れ目のない総合的な支援を実現することになったわけでございます。

 支援金制度は、子供、子育て支援のための目的財源でありまして、企業や高齢者も含めて拠出してもらうものですので、子育ての社会化に向けた財政面の改革であると理解しております。

 給付だけでなく拠出の面においても、社会全体で子育て世帯を応援する、そして、将来は応援された側が今度は応援する側に回るのだというような環境をつくるということが、こどもまんなか社会の実現につながっていくというふうに考えております。支援金は、こうした世代を超えた連帯意識の意義があることを広く全国の皆さんに伝えていくことが重要だと考えております。

 先ほどからもありましたように、なかなか納得感がいかないという話がありますが、私自身、実際に説明を受けながら、当事者としてみんなが理解をしていくことによって、必ずや納得感を得る。特に今、こども家庭庁では、十代、二十代、三十代初めの若者とともに、こうしたものをどういうふうに説明し周知していったらより伝わるのかという議論をしております。こうしたことが、何かあてがいぶちというのではなく、重要なことではないかと考えております。

 五番目は、こどもまんなか社会ということの象徴的なもので、これを全て説明するわけではございませんけれども、こどもまんなか社会というのは、特定の子供だけを真ん中にするというのではなく、これが全ての社会のウェルビーイングにつながるというメッセージをつくっているものでございます。こども基本法の理念に基づきながら、子供の最善の利益を第一に考え、こども家庭庁が政策を包括的に推進していくことを期待しております。

 今回の法案は、こども家庭庁発足後、初めて提出する法案でございます。包括的な給付の拡充を盛り込むとともに、政策を実行する上で、社会全体の連帯というものを得ながら安定的な財源を確保するものです。こども家庭庁発足の趣旨にもかなうものでございまして、是非とも、早期に法案が成立するということをお願いしたいというふうに思います。

 繰り返しになりますけれども、子供の健やかな成長ということが、その後のウェルビーイング、そして、これからの少子化社会の中で持続可能な社会をつくっていくための鍵になる理念がこどもまんなか社会でございます。今回の法案によって、こどもまんなか社会を実現し、その考え方が広く社会に共有されることを切に願いまして、私の意見陳述とさせていただければと思います。

 御清聴どうもありがとうございます。

 少しだけ長くなってしまって済みません。どうもありがとうございました。(拍手)

谷委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑委員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 参考人の皆様方におかれましては、今日は足下も悪い中でございましたが、こうしてお越しをいただき、また、示唆に富んだ専門的御知識からの法案に対する思いですとか、また、重要な御指摘をいただいたこと、感謝申し上げたいというふうに思います。

 また、これまでも、それぞれ、政府の重要な審議会の座長や代表を務めていただいたりですとか、また、予算委員会の公述人をお務めをいただいたり、政府の政策に本当に多大な御指摘をいただいていることにも改めて感謝申し上げたいと思います。

 また、先週、今週と、いわゆる新学期というのがスタートでありまして、多くの教育機関では入学式が挙行されてございます。全ての各年代のお子様方が節目を迎えられて、また、もちろん進級された方々もいらっしゃいます。是非健やかな成長を期待したいというふうに思いますし、また、そういった入学という節目の中で、切れ目ということにもならないような対応を、関係者一同、思いを一つにして取り組まなければいけないのではないかなというふうに感じる次第でございます。

 それでは、何点か御質問をさせてもいただきたいと思いますが、まず、先ほど、最後、秋田参考人がおっしゃっていただいたように、そもそも、この法案は初めての、こども家庭庁発足以来の提出ということでありますが、令和三年度からの構想以来、累次にわたり関係者を含めていろいろな議論をし、令和四年六月にこども家庭庁の設置法が可決をし、令和五年四月からスタートをし、今日に来ているということであります。

 様々、少子化についても、令和五年一月に総理は異次元の政策としての少子化対策を打ち出して、加速化プランや、いわゆるこども未来戦略等を構築をして今日に至っているということになります。

 支援金等々ございますが、まず私、トップバッターでありますから、お四方の先生全てにお聞きをしたいというふうに思いますが、今回の政府の子育て支援全体、給付と財源のセットということに相なっているわけであります。

 一定、私自身は、政策的な介入によって効果が見通せるものを前提に、相当な規模感で盛り込まれた内容だというふうには評価をしているところでございますが、それぞれそれぞれお立場があろうかというふうに思いますが、まず、加速化プランの財源の基本骨格についての御評価をお聞きをしたいというふうに思いますし、いわゆる三・六兆円の規模感についても御言及をいただければありがたいと思いますし、あともう一点、これは、令和六年度から十年度についてはいわゆるつなぎ国債で特例でやっていくということでありますが、当然、将来へのつけ替えというのは厳に慎まなければいけませんし、いろいろな配慮規定が入ってございます。このつなぎ国債の発行についても含めて、お四方の先生方からお聞かせをいただきたいと思います。

遠藤参考人 御質問ありがとうございます。

 それでは、お答えさせていただきます。

 基本的に、ファイナンスの話が御意見の中心だったかというふうに思います。

 私自身は、冒頭申し上げましたように、今現状の人口問題といいましょうか少子高齢問題というのは非常に危機的であるというふうに思っております。過去最低水準の出生率、しかもこれは、未婚率も高まっているし、夫婦が産む子供の数も減少しつつあるということである。しかも、お母さん年齢の人たちが今後減ることも明らかになっている。この中で、ともかくスピードが大切なんだというふうに考えております。そういう中で、完成度の高いものを議論をし尽くすための時間というのは余りないのだというふうに思っておりまして、そういう意味では、既に、走らせて、そして、その中で、費用対効果、PDCAを通じながら、効果のあるもの、ないものを少しずつより分けていくというような形で考えないといけないというふうに思っております。

 そういう視点から、財源の話もございますけれども、先ほど西沢先生からありましたように、税で負担するべきであろう。消費税が一つ、お話しになりました。柴田先生からは資産税の話もあったかと思いますけれども。その点について私がどう思うかということですけれども、今回、社会保険ではないんですね。社会保険の枠組みで取る支援金という、別に保険の保険料ではないわけなんですけれども、その社会保険、医療保険の仕組みで取るということと税で取ることをどう考えるかということなのですけれども、これはいろいろなお考えがあるかと思います。

 ただ、私は、先ほど申し上げましたスピード感、もう一つは、どの政策がどのぐらい効果を持つかということに対しては、不確実なものもありますので、これは実際に動かしてみてからの効果を明らかにしていくというプロセスが必要だ。そういう意味で、社会実験的要素がどうしても入ってしまう話なんですね。

 そう考えてみると、まずは、社会的に合意が形成されるのはどちらの取り組み方かということが一つ重要になると思います。

 それともう一つは、効果と費用負担の関係を明らかにする必要がありますから、そういう意味では、お金の流れがある程度目的と整合性を持つような徴収の仕方の方が適切であろうというふうに思います。そういう意味では、私は、医療保険というのは非常に対象者が広うございますので、医療保険の枠組みの中で支援金の徴収をするということは適切であるというふうに考えております。

 ただ、先ほど、西沢委員からもありましたように、医療保険は大変複雑なんです。私も医療保険部会の部会長を十年ぐらいやっているから分かっているんですけれども、この説明はもう少し丁寧にしないと、何だかよく分からないというところがあるので、そこら辺は政府にお願いしたいというふうに思います。

 つなぎ国債については、基本的に、この制度を進める上で不足する財源を補うということでありますので、スピーディーにこの制度を入れるという意味合いでは、致し方のない制度だろうというふうに私は理解しております。

 以上です。

西沢参考人 今回、三・六兆円を積み増して、スウェーデン並みに対GDP比でなるというのは、私は注意が必要だと思うんですね。

 というのも、例えば、今、保育の無償化というのは、一日十一時間まで無償化されていると思うんですけれども、本来であれば、無償化範囲は例えば五時間ぐらいにして、お父さん、お母さん、どちらかが早く迎えに行けるようにした方が、親にとっても子にとっても心身共にハッピーであり、財政負担も軽くなるわけですね。ですから、延長保育を所与とする無償化というのは、私は、働き方改革と逆行する可能性があると思っているんですね。

 ですから、遠藤先生からも費用対効果というお話がありましたけれども、これは一体どのような効果を及ぼすのかといった観点で見て、支出規模だけではなく、効果を測った、両面の政策が重要かなと思っております。また、例えば児童相談所の費用に関しても、本来であれば、事前に虐待等を防げる仕組みがあって、費用がかからない方が幸せでありますので、そういった観点が重要かなと思います。

 また、つなぎ国債に関しては、どうでしょうか、子ども・子育て拠出金とのセットになっているので、私は、子ども・子育て拠出金自体が反対なので、ここはちょっとよく分からないです。済みません。

柴田参考人 ありがとうございます。

 まず、三・六兆円に関しましてですけれども、この三・六兆円の中には、少子化対策をメインにしたものもあれば、虐待予防をメインにしたもの、様々な目的を合わせて三・六兆円だと思います。もちろん、虐待予防は、回り回って、それが子供を産みやすい社会になりますので、少子化対策の面もあります。ですので、全ていろいろ、濃淡はあれ、交ざり合っているんですが、三・六兆円は、全てが少子化対策が第一目的とは私は理解しておりません。それは正しいことだと思います。秋田委員もおっしゃったように、子供がやはりハッピーに育つような社会をつくっていくことと少子化対策というのを合わせて三・六兆円だと思います。

 そういう意味で、そういったものがこれだけ大規模に増えたことは非常に歓迎すべきことで、もちろん、まだまだ、これ以降もより強化していくべきものや、あるいはPDCAやEBPMによってしっかり検証して、より適切化、効率化していくべきものもありますけれども、それは時間がかかりますので、まずは予算をしっかり確保した上で、そういった検証をこれからやっていくというのは、そのようなやり方は優れたもの、ふさわしいものだと思います。

 つなぎ国債に関しまして、あるいはより広く財源のつくり方に関しましては、私は少し議論が狭いのではなかったかなと思います。

 私の資料の二十五枚目に書いたとおりですけれども、やはり、財源のつくり方、様々にあります。今回の歳出削減だとか子育て支援金やつなぎ国債以外にも、それ以外にも、多様な税が、資産課税も含めた、消費税も含めた多様な税がありますし、あるいは、一部の国会議員の先生方が御提案されているように、外為特会の一部運用というような、政府の資産の一部運用によって財源をつくるというような方法もあるかもしれません。そのような様々な手法があり得るにもかかわらず、議論が少し狭かったのではないかと思います。もちろん、中では議論していたのかもしれませんが、我々国民にはそれが伝わりにくいかと思います。

 ですので、資産課税、つまり相続税や固定資産税も視野に含めた、あるいは選択肢に含めた、より幅広い議論をした上で、より幅広いメニューから適切なものを組み合わせるということが今後は必要になるのではないかな。それは、財政学における実証的な研究が示すように、様々な税の中で、経済成長率に最も悪影響が小さいのは資産課税である、つまり相続税や固定資産税であるというのが様々な実証研究で共通の結果として出ていますので、そういった結果も参考にしながら、今後議論を深めていく必要があるのではないかなと思っております。

 以上でございます。

秋田参考人 御質問、どうもありがとうございます。

 私、全世代型の社会保障の委員会の委員でもございまして、そこでも、この案と同時に、西沢委員ではありませんが、税についても検討すべきであるという意見は出してきております。その中で、やはり待ったなしの中で何が一番国民の納得を得られるのかというところで現在の形ができたと考えております。

 今回のものは、こども金庫で明確に、医療保険の制度は活用しておりますけれども、どういう歳出があり、どういうふうに歳入がなっていくのかというのが明確に見える形に、委員は分かっているんですが、これをもっと、この図や何かを国民の皆さんにもきちっとお伝えをしていくことが必要だということを私は申し上げているところでございます。

 また、つなぎ国債に関しましては、個人的には私も最初納得がいかなくて、前倒しになって本当に大丈夫ですかというのを担当者に何度も聞いて、大丈夫という確証を得ながら、それが今後の、今待ったなしの中で政策を実現していく選択肢の中で、ある中ではベストなんだろうというふうに考えているというようなところでございます。

 ただ、これは少子化対策だけではなくて、この政策全体のエビデンスベースのためのKPIの指標をどういうものを作っていくのか。単に子供の数が増えたら政策が効果があり、増えなければ失敗というものではありません。いろいろな多面的なものをKPIで立て、それにどういう形だったら効果が生まれたのかというような検証とともに今後考えていくということが重要であろうと私は考えております。

 以上です。

田畑委員 各参考人の皆様、ありがとうございます。

 スピード感が必要だよということですとか、社会的な合意をしっかり得るために効果と費用負担の検証をしっかりやれというお話も含まれていたのではないかというふうに感じます。

 そこで、時間が余りございませんので、遠藤参考人にお聞きしたいと思いますが、保険の支援金の徴収のスキームの関係であります。

 大変分かりにくいという話でも御指摘がございました。そして先ほど、被用者の年収別の支援金額の機械的な計算というのも今初めて配られたところでございます。一兆円をしっかり手当てするために、後期高齢者を除いて、いわゆる現役、七十五歳以下においては〇・九四兆円を確保するということなんだというふうには理解をしておりますが、加入者数の比率だったりとか各保険における賃金総額の比率によっても当然差異があるわけでありますから、これはあくまでも機械的という参考の参考なのかなというふうに私は受け止めてございます。

 そもそも、概算支援納付金制度とか、支払基金におけます徴収事務が委託をされるというスキーム自身、これは国民はほとんどなかなか理解しにくいわけでありますが、国民ですとか事業所の方々への理解につきまして、どのように進めていけばいいのかというのを遠藤参考人にお聞きをしたいと思います。

 あと、あわせて、別件で秋田参考人にちょっとお聞きをしたいと思いますが、ちょっと私の問題意識の一つで、様々な事情で生活に困難を抱える特定妊婦さんですとか、産後うつで苦しんでいらっしゃる養育に著しく困難を生じる御家庭の方が大変増えているというふうに思います。

 産後うつによって医療的なケアが必要であり、また、乳幼児にはいわゆる育児、保育、養育の支援をしなければいけない、こういう非常に分断されていて、今こども家庭センターをつくったりしながら、いろいろな業務が定められて、サポートプランを制作しなさいとか等々書いてあるんですけれども、なかなか私、現場の基礎自治体、ワークし切れていないなというふうに感覚がありますし、そんな声をよくお聞きをします。

 産前産後の伴走的な支援も含めて、本当に困難を抱え、いわゆる様々な、そこによって弊害があり、また負のスパイラルというのが回っているのではないかなというふうに問題意識を持ってございますので、その辺についての、今回でも法改正が含まれてございますが、御見解、御認識をお聞きをしたいと思います。

 ちょっとばらばらで恐縮ですが、遠藤参考人と秋田参考人にお聞きいたします。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 この支援金の算出の方法についてどのように社会に理解していただくかという話だと理解いたしましたけれども、保険者さんについては、これはある意味、保険料の算出の仕方というのは御存じなわけでありますので、それをベースに説明をすればいいわけであります。ただ、そもそもがどのようにして各保険者間に支援金が配分されているのかとか、そういうようなところから始めて、丁寧な説明があればよろしいのかなというふうに思います。

 問題は一般の方ですけれども、一般の方は、そもそもが医療保険料の計算の仕方とかいうのもよく分かっておらないという、あるいはどういう課題があるのかも分かっておりませんので、そこは、分かりやすく、余り難しくなく、本質をついた形で説明をするという努力はしていただかなければいけないというふうに思っております。同時にそれで医療保険の問題の理解も進むということになるかと思いますので、そのような保険者と一般の方とは若干違うアプローチが必要なのかなというふうに思っております。

 以上でございます。

秋田参考人 田畑議員、御質問ありがとうございます。

 まず、ちょっと遠藤先生のものにつけ加えて、私は、社会保障の教育というものが、やはり小中高できちっと税がどう使われるのかという教育が併せてなされていくということが必要であろうと考えておりますので、それをつけ加えさせていただきます。

 また、今お話がありました産前産後のことでございますが、やはり自治体等に実際に下りていったときのその担当者やその専門性によっていろいろ違いが出てきている。ただ、伴走型として、あるいは訪問型であったり、様々なことが今対応を計画はされているところでございます。今後充実していくと思いますけれども、御指摘の点は現実にはまだまだいろいろな問題が、特に妊婦、いろいろな妊婦の方が増えてきているので、この辺りについてどう今度は都道府県、市区町村のベースのところで支援を可能にしていくのか、その質がうまく回るような循環をどう考えるのかというようなところの検討は一層必要かと考えております。

 以上です。

田畑委員 ありがとうございます。

 秋田参考人の御回答に私もつけ加えるとすれば、民間資源ですとか地域資源と一体的に支援体制の構築をしようということが、絵が描かれているわけでありますけれども、なかなか、私の地元でも、属人的であったりですとか、一部の福祉専門職の方々の使命感に、担いがすごく集中をして動いているなというふうに感じるところであります。これが続くと、またヤングケアラーの問題が更に深刻化したりですとか、まさに負のスパイラルにつながっていくのではないかなということを常に危惧をしているところでございますので、これからも、一緒に御研究ですとか、御指摘、お願いをしたいというふうに思います。

 もう時間がございませんので、ちょっとコメントで恐縮でありますが、柴田参考人も、働き方改革自身をしっかりやらなければいけないという御指摘がございました。

 これから労働移動が柔軟化されたりですとか、自営業やフリーランスというような働き方の方々への社会保障の厚みをどうするかという課題もございますし、勤務間インターバルについても、私は、もう少し踏み込んで取り組む必要もあるのではないかというふうに感じているところでありますから、私の意見も披露させていただきながら、時間が参りましたので、質問を閉じたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、早稲田ゆきさん。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 本日は、四人の参考人の皆様に、こうして大変専門的な見地からいろいろ御指導いただきますことを心から感謝申し上げる次第です。そしてまた、日頃から政府の審議会などでも御活躍をいただいておりますこと、大変心強いことだと思っております。

 それでは、私の方からは、まず、今政府の方からやっと被用者の年収別の支援金額、機械的な計算ということでありますけれども、所得層別のが出てまいりました。私たち立憲民主党は、もちろん、当然、子供、そして若者を応援する、全力でこの応援をしていく政策を前に進めたいと思っている立場でありまして、もう既に十年前から、児童手当の拡充、高校生までは当然ですということで、その支援を拡充すべきということを始め、様々な政策をこれまで打ち出してまいりました。

 その中で、加速化プランで幾つかそうしたものが前に進むということは大変評価をしているわけですけれども、その一方で、この支援金、子育て支援金、拠出金という財源の在り方については賛同しかねるということで、この間、予算委員会、それから各委員会でも議論を重ねてきたところであります。

 この機械的な計算についてですけれども、西沢先生におかれましては、早くから、この支援金の被保険者、それから国保についても後期高齢者についても詳細な分析を御教示いただいてまいりましたので、是非その立場から、これを今御覧になりましてどのように見解をお持ちで、そして、私たちがいつも申しておることは、とにかく現役世代に負担が重くのしかかっていくのではないか、それからフリーランス、非正規の方ももっとそこが厳しいのではないかということを申し上げておりますので、この二点についてお尋ねしたいと思います。

西沢参考人 政府の試算は、所得階級別に出ています。ちょっと計算すると、料率〇・四%ですね。私が当初、二月の五日か、雑誌に出した論文では、〇・三%ぐらいだと。

 差は、今回の支援金のスキームは、保険者は支援金を集めて、それを公費とともに納付金として社会保険診療報酬支払基金に一・三兆円を納める。この〇・三兆円を私は入れてなかった、一兆円に含めていたんですね。だから、〇・三から〇・四というふうに差が出ているけれども。

 この一・三というのは、元々皆さんも御存じだったのかどうかというのはちょっと私は分からないので、思ったよりも高いし、今手元で見たのは被用者保険だけですけれども、国民健康保険についても明らかにすることが必須であると考えています。

 国民健康保険については、年金受給者と若者では減免の仕方も違う、高齢者の方が減免が厚い、また所得割の計算方法についても、年金受給者の方が軽くなっている。その結果、皆様にお配りした資料にもありますが、高齢者の方が、高齢者というのは主に無職者ですけれども、高齢者の方が減免を受けている割合が多いです。

 また、若い人たちというのは、国保の滞納も非常に多いです。それは、ぎりぎり減免を受けられないぐらいの所得層の人たちの滞納が多いんですね。ですから、この人たちの支援金負担が一体どうなるのか、支援金負担が乗っかることによって国保の滞納は影響を受けないのか。今後どんどんどんどん高齢化が進んでいくわけですから、そういったことも検証しながらやらないといけないと思います。

 ですから、出てきた計算は、計算範囲として不十分だと思います。

早稲田委員 ありがとうございます。

 国保の部分について、入っていないと。特にここについては、そもそも滞納も多い。非正規の方、そうしたところの所得の低い方たちに重い負担だということはもう明々白々でありまして、そこに更に上乗せをされていくということですね。それから、均等割のところも、国保の逆進性ということも更に乗っかっていくのではないかと思うと、大変心配であります。

 そして、そこがこういう試算の中では出ておりませんで、二月六日の予算委員会の私への総理の答弁の中で、この支援金は税ではなく保険料として整理されるということを初めて答弁をされました。そこから二か月たっても、こうしたものがやっと、何度も何度も再三お願いをして政府の方で出していただいたという状況なのは、やはり私は不誠実と言うほかないと思っています。

 さらに、分かりにくいということでもありますし、西沢先生の資料の中で幾つか私の方からも申し上げたいのは、社会保険庁長官もやっておられた堤修三先生の三十四、三十五の資料であります。

 この中に、法案にどう書かれているかということですね、この支援金が。これは、国は医療保険者から子ども・子育て支援金を徴収する、そして被保険者等から徴収する保険料に納付金の納付に要する費用、支援金を含めると書いてあるということです。しかし、含まれる負担金に保険料と同じ負担義務を生じさせることが妥当か否かということが大変問題だということも書かれておりまして、更に進めますと、子ども・子育て支援金によって、被保険者がその負担に基づき何ら個別の合理的期待を持っているということはあり得ない、だから、そういう意味において、これを社会連帯などという美辞麗句でごまかしてはならない、これは立法ミスともいうべき法律案がなぜでき上がってしまったか、政府については、この検討結果もきちんと詳細にすべきであろうということも堤先生はおっしゃっています。その上で、私も、やはりこの支援金ということは非常に問題が拭えない、幾ら議論を重ねても拭えないということだろうということを実感をしております。

 西沢先生にもう一点伺いますが、先ほどもこの撤回ということをおっしゃいましたが、医療保険と併せて徴収する子ども・子育て支援金について、制度・規制改革学会として、根本的な欠陥があるとして、撤回を求める緊急声明を出されました。これは四月五日のこの当委員会で藤岡委員が皆さんにも配付をしておりますが、この趣旨、それからまた、それではそれに代わる財源ということについて、西沢先生のお考え、お聞かせください。

西沢参考人 ありがとうございます。

 先ほど秋田先生から社会保障教育というお話があって、学生の頃から税の使い方について勉強する、私、大賛成です。子供に財源を教えるときに、では、この支援金を合理的に教育できるかということですよね。できないです。

 制度・規制改革学会というのは、仲間たち、学会外も含めて署名を募りまして、いろいろな人が集まりました。エコノミストや社会保障の学者の方や財政学者もいろいろ集まって、やはり筋が通らないということです。筋が通らない。子供たちに社会保障教育をするのであれば、さっきの野田毅先生のように、こうやって理論的に正しいと思うから頑張って入れてきたという理論と経緯を教えないといけないわけであって、では、この二か月の国会を経た子ども・子育て支援金を子供に教えられるかということです。

 ですから、学会もいろいろな考えの方はいますけれども、みんな、筋が通らないよねと。一回通してしまえばこれは拡大していくという懸念であの方々が署名されたものと思っています。

早稲田委員 分かりました。

 そして、先ほど来先生方が皆さんおっしゃっていることは、この少子化の主因がやはり婚姻率の低下という観点からということが、やはり非常に、柴田先生も、もう少しそこの視点を入れるべきだということもおっしゃっていらっしゃいました。

 西沢先生に伺いたいんですけれども、そもそも、現役世代に、働いている世代に、支援金という形でどんどん社会保険料、お給料から天引きという非常に分かりにくい中で乗せていくということですね。これ、〇・四とか言われていますけれども、もし足りなければ、その率は変えるかもしれないわけです。変えられますから、政令事項なので。そういうことも含めて、私は、非常に少子化対策に逆行する、そしてまた、子育て世代の方々に、このモチベーションを上げるということに逆行するのではないかという懸念を持っておりますけれども、そのことについて、西沢先生と、それから柴田先生にもお伺いしたいと思います。

西沢参考人 今回の子ども・子育て支援金で四千億円が企業に課されるということで、政府の議論を見てみますと、四千億円を別枠で見て、計算に含めないことが妥当、正しいというふうな回答だったと思いますけれども、私は違うと思うんですね。

 この四千億円の社会保険料の事業主負担。社会保険料の事業主負担というのは、租税の観点から見ますと、付加価値税の一種に分類されます。賃金を付加価値として、法人が、企業が納税義務者となって納めるわけです。これは、ですから消費税に非常に近い。ただ、消費税と大きく違うのは、消費税は転嫁と帰着のルールが明確で、最終的な担税者、経済的な負担者は消費者であることが明確にされている。であるがゆえに、所得税や資産課税を使ってそれを補完する、又は給付をもって低所得者の方に配慮するということができる。他方、社会保険料の事業主負担は、転嫁と帰着のルールが不透明なので、それは雇用の悪化をもたらしたり、あるいは価格転嫁できない中小企業、零細企業の経営を悪化させたりする可能性がある。であれば、明確な方がよかろうということ。

 また、消費税は輸出免税という仕組みがある。これは、輸出したときには、それまで累積した付加価値税が国から還付される仕組み。ですから、輸出企業にとっては非常にいいんですね。

 我が国は、物やサービスを売って生きていかなければいけない。それが経済成長をもたらすわけですから、であれば、社会保険料の事業主負担よりも消費税の方が、租税論的に経済、雇用には易しいわけです。だからこそ努力して入れてきたし、付加価値税の入っていないアメリカとかは、付加価値税が入っている国を羨むわけですね。

柴田参考人 御質問ありがとうございます。

 支援金に関しまして、その論理的な根拠というのは、確かに様々な面で難しい面があるかと思います。他方で、たしか政府の説明の中では、この支援金によって医療保険、とりわけ医療保険などのような社会保障制度の長期的な持続可能性が高まる面がある、少子化対策に使われるのであれば。そうすると、回り回って社会保障制度の持続可能性に寄与するためという面もあるので、社会保障に関する社会保険料、それに上乗せするというのも、ある程度、一面としては、説明としては成り立ち得るのかなと思います。

 ただ、やはり、いろいろな面での理論的な説明が可能ですので。私は、財源や財政学に、とりわけ理論的な面に関して専門ではございませんので。ただ、財政学の実証的な研究、これは海外で近年たくさんあります。なぜなら、この十年間ぐらいで、OECD諸国の税に関する定量的なデータが蓄積が増えてきた、あるいは、計量的な推計の分析手法も非常に洗練されてきた。その結果として出てきた結論が、この私の二十五枚目に載せたものです。

 もう少し詳しく御紹介いたしますと、税や社会保険料、社会保険料は、今回、支援金もある意味社会保険料の面もあると思います、やあるいは多様な税、それら全てをメニューにした上で、総合的な税収は同じとした上で、どの税あるいはどの社会保険料を増やすと、経済成長率、一人当たりGDP成長率がどのぐらい減るかというのを計量的に、OECD諸国の十年ぐらいの、あるいはもう少し長いかもしれませんが、OECD諸国の経年データで分析したものです。そういった論文がこれまで少なくとも七本以上あります。

 全て共通した結果です。それは何かというと、最も経済成長率に対してデメリットが小さいのは資産課税である。つまり、相続税や固定資産税である。じゃ、よりもう少しデメリットが大きいのは何か。それは消費税と社会保険料、同じぐらいのデメリットなんですね。つまり、消費税や社会保険料の議論がずっとありますけれども、実は、それよりもベストなのは、計量的に見ると資産課税であるということです。最も経済成長を阻害するのは、法人所得税や個人所得税であるということです。やはり、法人は海外に逃げてしまう、個人所得税もやはり高所得者が海外に逃げてしまう。それに対して、消費税や社会保険料は少しベターである。最もベストなのは資産課税ということが多くの研究の共通的な結果になっているので、恐らくこれは、かなり一般性のある法則なのかなと思います。

 そういった面で見ると、この子育て支援金は、基本的には社会保険料、つまり医療保険料に方法は違うとしても上乗せするものですから、計量的には社会保険料に含まれると思います。それよりも、より経済成長にフレンドリーなのは資産課税であるというところですので、やはり資産課税も視野に入れて、様々なメニューを議論の俎上に上げた上でしっかり議論をする必要があるのではないかなと思います。

 これまでの議論では、資産課税の議論が余りにも乏しいのではないか。外野あるいはメディアの報道から見ると、私はそのように見ております。あるいは、ほかの先生方が、国会議員の方々が提唱されている外為特会の一部運用といった、ほかの方法もあるかもしれません。そのような様々な手法を、財政学の専門家を中心としながら議論を深める必要があるのではないかと私は思います。

 ありがとうございます。

早稲田委員 ありがとうございます。お二方の先生からいただきました。

 西沢先生もおっしゃっておりますように、ばらまき合戦それから減税合戦であってはならない、与野党共にそうしたことをしっかりと政策論議をするべきだということ、大変厳しい御指摘でありますけれども、それがやはり重要なのではないかということも思いました。

 資産課税ということについては、私たちも検討を進めたいと思っておりますし、非常に、社会保険料という、取りやすいところから取るということがどんどんどんどん積み重なりますと、そもそもの給付と負担という関係が明白でなくなっている、このバランスが崩れているということは、これはもう否定し難いことだろうと思っておりますので、これが国民の不信感、五公五民じゃないか、結局、総理は増税を言いたくないだけで、社会保険料でどんどん私たちから取っているのではないかということはどうしても拭えませんので、私たちもしっかりと検討してまいりたいと思います。

 その上で、柴田先生にもう一問伺いたいのは、柴田先生の「子育て支援と経済成長」という本も読ませていただきました。保育サービスを中心に、子育て支援策で労働生産性も向上し、そして経済成長もしていくという御持論だと思いますけれども、保育サービスを中心にということをもう少し教えていただきたい。

 それから、最後ですけれども、先ほどおっしゃいました、子供を持つと幸福感が低くなる親ペナルティー、末冨先生は子育て罰という言葉も使っていらっしゃいますが、これが日本では女性だけが経験しているということ、これは本当にワンオペ育児ということに代表されるものでありまして、ここを変えなければ、やはり上辺だけのことではなっていかないんだろう、少子化も、それから子育てへの満足度も上がらないんだろうと思いますので、その二点、時間もございますので、簡潔にお願いいたします。

柴田参考人 ありがとうございます。非常に重要な点かと思います。

 まず、保育がなぜ経済成長に利くかというのは、これは私の本、出たその本は二〇一七年の本ですので少し前ですけれども、やはり保育の定員が増えることで女性がより就業を継続しやすくなる、そうすると、就業をやめずにそのままキャリアを継続することで生産性も高まる、それによって社会全体の生産性が高まるということでございます。

 日本の保育に関しては、三歳以上は、保育、幼稚園を含めて、九割以上のお子さんが保育を利用しておりますので、かなり女性は社会進出しやすくなっていますけれども、ただ、〇―二歳に関しては、まだ四割台です。例えば、北欧等では、大体五、六割の〇―二歳の保育利用率があります。ですので、ここで、ゼロ歳は育休が取れますのでいいとして、一、二歳の保育、ここをしっかり、質をちゃんと確保した上で、より拡大して、ニーズがあるところで拡大していく。これによって、より女性が、気軽にといいますか、これまではハードルが高かったんですが、例えば、就職活動するときも保育を利用しやすくなるだとか、就職活動する前から自由に保育を利用できれば、そこから様々なネットワークが広がって、経済成長につながる面があるかと思います。

 あとは、親ペナルティーに関してです。これは、日本では女性だけ、まさにワンオペ育児、女性の育児負担が大き過ぎるということです。これによって、やはり女性としては、先輩のお母さん方を見ていると、余りにも大変過ぎる、仕事をしながら育児をしているお母さん方は大変過ぎる、それで私としてはやはり結婚したくないというところにつながってしまいますので、やはり女性の幸福、お母さん方の幸福をいかにしっかりと確保していくかという点は重要かと思います。子供の発達の上でも重要と思います。

 ありがとうございます。

早稲田委員 ありがとうございました。

 大変重要な御指摘を皆様からいただきましたが、ごめんなさい、ほかの先生方に御質問できなかったことをおわびを申し上げまして、また、法案の審議に関しまして生かさせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。

 本日は、先生方、ありがとうございます。

 いよいよ、この法案も終盤戦に入ってきているというふうに思います。今日は、どういった判断をするかということを決める非常に重要な質疑だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日、西沢先生のお言葉、私たち、私は野党、日本維新の会ですが、税の話をしないということは、これは私たちも同じだと思いますので、大変背筋が伸びて、重く受け止めました。しっかり、逃げずにこの議論をしていきたいというふうに考えております。

 今、様々質問もありましたので、できるだけ同じ質問をしないように進めていきたいと思います。

 まず、なかなか効果が出るかどうかが乏しい政策の中で少子化、子育て支援をしていきます。そうすると、やはり、私は、ある程度、この日本の人口を将来どのように考えて政策をつくっていくか、これは民間では人口の試算がされていますけれども、政府ではされていない。

 この前の登壇で総理に質問をしても、政策が硬直化するので人口目標を立てないということだったんですが、ある程度、やはり、A、B、C、増える、横ばい、減る、減っていくのはもうこれは致し方ない、増えるということはないですけれども、緩やかに人口が減っていく、こういった目標値を立てて政策の効果というものを見ていかないといけないというふうに考えるんですが、各先生方に、人口について、やはり目標値を立てる、立てないも併せて御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

遠藤参考人 ありがとうございます。遠藤でございます。

 人口の推計というのはされているわけであります。これをしているのは、厚労省の研究機関であります国立社会保障・人口問題研究所というところが、我が国を代表して、我が国の人口推計をしているわけであります。私は、そこの所長を三年ほどやったこともありますので、その辺はよく分かっております。

 先生お尋ねなのは、人口の目標をつくるかどうかということだと思います。

 まず、人口推計は、これはかなり精度が高くて、割と当たるんですね。それは、将来といっても、過去もう生まれてしまっている人たちが非常に多いということと、死亡率などは大体安定しているということなんですね。唯一、出生率は予想よりも下がるということがあって、むしろ少子高齢化、人口減少に新しい推計の方がより厳しい数字を出している、そういう変化があるということなんですね。

 それで、目標を立てるべきかというお話だと思いますけれども、これはなかなか難しいなというところもあります。

 といいますのは、一つは、推計そのものが変わってしまうわけでありますので、そこのところを前提にしながらどう考えていくかという問題が一つあります。だけれども、大ざっぱな考え方というのはあってもいいのかなというふうに思います。

 結局、政策的な変数としては、出生率なんですけれども、これも何度も申し上げているように、なかなか有効な方法がない、どの国もないんですけれども、というところが一つあるということが政策手段として問題ありますね。

 もう一つ出てくるのは、では、移民をどうするのかという、外国人の受入れについての考え方。これは、政策的にはいろいろ、もう少しコントロールができる話でありますけれども、同時に、これは日本が最も苦手とする、異なる国の人たちと同じコミュニティーの中で生活をするということですので、そこにどこまで踏み込むかという問題はあろうかと思います。

 そういうようなこともありまして、推計そのものが変動するということと、政策そのものを、目標を決めても、それに近づけるための、出生率であるならば、政策手段がなかなかはっきりしない、それから、移民であるならば、国民的合意がまだはっきりしていない、こういうことを考えると、なかなかつくるのは難しいというふうに思っております。

 以上でございます。

西沢参考人 私は、人口目標というのは少しちゅうちょしますね。というのも、出生率を政府がコントロールするかのようなことは、人権として考えたときにもう少し慎重な議論が私は必要だと思って、少し前までは、少子化対策ではなくて希望出生率の実現という形で政策目標を立てられていました。それはもちろんあると思うんですけれども、だから、人権も含めながら、ただ、他方で、我が国経済全体が地盤沈下していくことを防がなければいけないという、とてもナイーブな問題かなと思います。

柴田参考人 ありがとうございます。

 まず、人口そのものに関しましては、やはり難しいかなと思うんですけれども、出生率に関しましては、希望出生率を、機械的ではありますけれども、計算することができます。かつてでは一・八というものでした。近年の数字を使うと、大体一・六ぐらいです。今、出生率は一・二六ですから、〇・三人ちょっと、産みたいのに産めていないという計算になります。

 かつては政権は希望出生率の実現を掲げていましたが、近年は掲げなくなりました。これは、考え方は非常に難しいんですけれども、一つだけの目標、例えば、あり得るのは、最近の希望出生率と最近の実際の出生率の差分、これをなるべく減らしていくという目標を立てることは可能かなと思います。

 ただ、やはり、ほかの参考人の先生方もおっしゃっているように、様々に誤解されたり、あるいはそれが独り歩きしてしまう懸念がございます。ですので、たった一つのそういう指標だけを考えるよりは、ほかにも、例えば、結婚したいのにできないという人の割合を減らしていくだとか、あるいは子供を持ちたいのに持てない人の割合を減らしていく。それはアンケート調査で、意識調査等でできるわけでして、これまでも社人研でやっているわけですが、そのようなほかの項目も同時に掲げて総合的に見ていくということで、一つの指標だけに特化しないようにしていく。それによって、独り歩きだとか、あるいはそういう産めよ増やせよ的な誤った方向に行かないようにするという方向があり得るかなと思います。

 いずれにしましても、大事なのは、当事者の希望が実現するということが大事ですし、希望も人それぞれです。ですので、本人の希望が実現するのが大事ですので、平均値でならしてしまうと、そこも不可視化してしまいます。あたかもみんなが一・六人産みたいかのように見えてしまいますが、全くそんなことはございませんので。やはり、個人レベルで見て、本人の希望がちゃんとかなっているかどうかというのを丁寧に見るのが重要で、それでしたら、例えば、アンケート調査で、あなたはどのぐらい結婚したいですか、子供が欲しいですか、それに対して実際はどうなると思いますかというのを見れば、本人ベースのデータを取れます。それの平均値を減らしていくということであればより丁寧かなというように思いますので、様々な指標を検討しながら、慎重に議論する必要があるかと思います。

 ありがとうございます。

秋田参考人 ありがとうございます。

 私も、産めよ増やせよの印象を与えないということが極めて重要であり、また、皆様、記憶に新しいと思いますが、コロナにおいて人口減少が、急激に推定が変わったということを御存じだと思います。こういうことで、何がこれから起こるか分からないので、そういう目標値を設定するということには慎重であるべきだろうというふうには思います。

 今まで三人の先生方がいろいろ言われたアイデアはあり得ると思いますし、個人の選択であると同時に、夫婦であったり世帯が何を今後ウェルビーイングのために期待していくのかというようなところの調査は重要なことではないかと思っております。

 以上です。

一谷委員 ありがとうございました。大変私の理解も深まりましたし、なかなか、やはり、国民の皆さんに間違ったイメージを伝えてしまう危険があるんだということは重々気をつけていきたいと思います。

 私たち日本維新の会は、考え方として、これはもう皆さん同じだと思うんですが、やはり若い方々への負担を減らしていきたいというふうに考えております。若い方々への可処分所得を増やす。

 その中で、今回、歳出削減をしていって一兆円を生み出すということで、二三年、二四年で三千三百億、歳出削減がされております。私たちは、歳出削減ができるのであれば、やはり、若い方々の社会保障の負担というのは非常に重たいものでありますので、そこで生み出された果実は全て一旦その若い方々へ返して、負担を軽減させて、そして、改めてどういった税がいいかということを考えていく方が、非常にシンプルで、国民の皆さん、若い方々にもいいメッセージになるのではないかというふうに考えて、この委員会でずっとこれを訴えてまいりました。

 そのことについてどういったお考えを持っていただけるかというのを、各先生方にこれもお伺いをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

遠藤参考人 お答えいたします。

 御質問の趣旨にそのまま合っているかどうか分かりませんけれども、基本的には、少子高齢化の中で、社会保障費の負担が現役世代にかなり強くあるのではないかということで、全世代型社会保障改革という、名称は少しずつ変わっておりますけれども、そういう視点で今議論がされているということは御案内のとおりであります。

 私は社会保障審議会の医療保険部会の部会長を十年ぐらい務めましたけれども、その過程で後期高齢者の自己負担をどうするかということが議論になりまして、実際に、一定の所得以上の人はそれまで一割だったものを二割にするということをやりました。そういうような努力、また、後期高齢者の保険料の負担を引き上げるというようなことも議論をいたしました。

 ただ、そういうことは当然やっていく必要があろうかというふうに思っております。今回の子育ての話とは、必ずしも限定する話ではありませんけれども、社会保障全体の保障の問題ですね。ただ、そういう意味で、今回の子育ての問題は、社会保障がどちらかというと高齢者にそのウェートを置き過ぎていたものを、若い人たちにその給付の対象を広げるという、そういう意味合いで全世代型社会保障の一環であることは間違いないわけであります。

 それから、社会保障の中でも、医療や介護のように、これから膨らんでいくものが結果的に現役世代の負担を膨らましているということに対して、できるだけ抑えなければいけない。一方で、しかし、高齢者の医療費とか介護需要というのは着実に増えているわけでありまして、そこら辺のバランスをどうするか、丁寧な議論を勘案していかなければいけないというふうに思っております。

 ちなみに、高齢者の医療費の割合はだんだん増えているんですけれども、高齢者一人当たりの医療費の伸び率は現役世代一人当たりの医療費の伸び率を下回っているんです、もう一貫して。ということで、高齢者の医療費の抑制対策ということはそれなりにされているという実態もあるので、それらを踏まえながら議論をしていく必要があろうかというふうに思います。

 以上でございます。

西沢参考人 若い方の可処分所得を増やしていくというのは極めて重要だと思います。

 一次所得、まず、会社からもらう名目の給与収入を増やす。これは政府でできることとできないことがあって、政府でできることは少ないと思うんですね、私は。ですから、むしろ、規制改革とかで政府が手を引いていくことによって経済成長を促して収入を上げていくということ。

 二次所得に関しては、若い人たちの年金、医療、介護保険料、これは、保険料とはいっても、医療に関しては半分近くが後期高齢者支援金と前期高齢者納付金ですから、こういったものをいかに抑制していくかという視点が重要だと思います。それには、自己負担を増やすという御提案もなさって、それもあるでしょうし、他方で、医療提供体制を変えていくとか、そういった地道な提供体制の議論が必要かなと思います。

柴田参考人 御質問ありがとうございます。

 少子化という点でいいますと、若い人の所得が減っているというのが、結婚する人は、所得が高い人が結婚していて、所得が低い人や非正規雇用の方々は結婚率が低いというのはもう歴然とした事実ですから、やはり、若い人たちの未婚者も含めた手取りをしっかり増やしていく、賃上げしていったり、あるいは負担を減らしていくというのが非常に重要だと思います。

 これまで様々に、とりわけ今回の加速化プランにおいても、いろいろな支援が若い人に確かに向いてきたんですが、問題は、それは、結婚している人あるいは子供がいる人にほぼ限定されているということです。問題は、結婚が減っているというのは、結婚していない人たちの手取りがなかなか増えない、あるいは雇用が改善しないだとか、そういったところが問題でして、未婚者の人たちの手取りだとか雇用を改善しないと結婚は増えないわけです。しかし、今回の加速化プランは、主に結婚した人、子供がいる人が対象ですから、やはりそういった点で見ると、しっかり未婚者の賃上げをしていくだとか社会保険料負担を減らせるのであれば減らしていくというのが非常に重要なことだと思います。

 そういった点から見ると、この一兆円の歳出削減ができた部分の全てなのか、あるいは一部なのか分かりませんけれども、そのうちを、若い人たちの手取りの増、つまり社会保険料負担減につなげていくというのは重要な御提案だと思います。それが行く行くはやはり未婚者、今回支援の対象から外れている未婚者への支援という形になりますので、それが行く行くは少子化対策という面もあり得るのかなと思います。

 ありがとうございます。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 やはり全世代型では、応分の負担をそれぞれがしていく、年代だけではなくて、やはり所得が高い方たちがそれだけの負担をしていくというような方向が重要だろうと私は思っております。

 その中で、一般的に見れば、若い方の方が所得が低い傾向があるので、やはりそういう方の可処分所得を増やしていくための政策であったりバックという御意見は重要だろうと考えているところでございますけれども、年齢というより、それぞれの、やはり応分の負担をしながら、連帯し、共生していくというような、所得の問題であったり、住まいの問題であったり、様々なところでやはり経済的なものを埋めていく支援の政策を打っていくということが重要かなと考えております。

 以上です。

一谷委員 今、応能負担の話がありまして、そこは私たちもそのとおりだなというふうに思っております。特に医療ですと、後期高齢の方への七兆円弱の支援金というのは非常にやはり若い方に負担があるので、私たちはここをやはり問題視をして、何か変えていかなければならないというふうに思っております。

 ここで、遠藤さんにお伺いしたいんですけれども、時間がない中で医療システムを使うというのは、今、説明を受けて、少しなるほどなというふうに思ったところもあるんですが、やはり医療制度の中の、恒久財源化するということに対して、私はちょっと違和感がやはりあって、恒久化財源を急ぎ過ぎではないかなというふうに私は少し考えるんですが、この点について御意見をお伺いしたいと思います。

遠藤参考人 恒久財源化するべきかどうかということについては、私は個人的に明確な意見は持っておりません。できるだけ早く必要な資源を確保するような手続であってほしいということが第一義的に考えているわけでありますので、私自身はそれを恒久化するということは余り考えておりませんけれども、しかし、一般的に、ある制度ができれば、それがそのまま固定化していくという傾向はあるかなということは思いますけれども、私自身は、それを恒久化するかどうかということは余り大きな判断基準には入れていないということであります。早く導入できるかどうか、それが私は非常に重視するべきだというふうに思っているということです。

 お答えになっているかどうか分かりませんが、以上です。

一谷委員 加速化プランが、ある程度方向性が見えてからでもいいのではないかというのが私たちの考えであります。

 ここで少し各論に入っていきたいんですけれども、柴田先生から男性の育休のお話がありまして、やはり私は、労働市場の改革、働き方の改革も重要だと思うんです。男性の育休を二〇三〇年までに八五%という大変野心的な目標も掲げているんですが、それを目標にするためには、労働環境をやはりかなり改善、企業側もしないといけないですし、同僚の理解も得ていかないといけないと思うので、そういったところの具体的なお話を少しいただけたらと思いますので、お願いいたします。

柴田参考人 ありがとうございます。

 男性育休をどうしたら増やせるかというのは、北欧で研究があります。それによりますと、上司ですね、男性の上司が、自分が育休を取ると部下に一気に育休が広まる、それが最も効果が高いということです。もちろん同僚も効果はあるんですが、最も効果が高いのは上司の育休取得です。

 ですので、今、若い新入社員、男性新入社員の八割以上は育休を取りたいという回答をしていますけれども、そういった回答、高い育休取得希望の人たちはもう大分、少し上の世代にも行っていまして、三十代ぐらいの人たちもかなり育休希望率は高いと思われます。ですので、その三十代の中堅の人たちあるいは四十代前半ぐらい、実際、子供が生まれるとなると三十代が多いかもしれません、そういった方々の育休取得をしっかり後押しして、とりわけ上司の育休取得がしっかり進むと一気にその会社では育休が進みますので、上司の方々の育休取得をしっかり後押しするというのが重要かと思います。

 あとは、政策的にも、育休取得は出生率を引き上げる効果があるというのが海外でも多少研究が出ています。

 日本でどのぐらい効果があるかは、計算が難しいんですけれども、あるいは因果推論をした研究は余りありませんので、あくまで相関係数、相関に基づく研究ではあるんですが、例えば男性育休取得率が仮に一〇〇%になったとします、そうすると、出生率は大体〇・一ぐらい上がるのではないかという計算結果を単純には出すことができます。

 じゃ、そのためにどのぐらい雇用保険の予算が増えるかといいますと、現在の男性の育休の期間と、あとは月額の給付額、これがもし変わらないと仮定しますと、もし一〇〇パー育休取得率になると、大体〇・二兆円ほど予算が増えるということで、実際には育休取得を促すためのいろいろな補助金とかいろいろなものがかかるので、お金はかかると思いますけれども、費用対効果もそれなりに高い可能性もあると思います。

 以上です。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、育休の先ほどの財源の話もあって、雇用保険にも影響も出てくると思いますので、この働き方の改革とともに、今回、我々維新は、厚生労働委員と地・こ・デジ委員がタッグを組んでずっと質問をさせてきていただきました。今日先生方からいただいた貴重な御意見をしっかり踏まえて、最終的な判断をしてまいりたいと思います。

 本日は、誠にありがとうございました。

谷委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日は、参考人の皆様、御貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 この委員会の審議で私も以前少し申し上げたんですが、子供、子育て支援を充実させようという点については、これは与野党を超えて、恐らく皆さん一致しているというふうに思っております。給付の中身についてはほぼほぼ一致、もっとやれという議論はあったとしても。問題は、じゃ、その給付に見合って、そこを支える負担をどうするかというところで意見が分かれているということだというふうに思っております。負担というのはもう当然負担ですので、恐らくどの負担の形を取ってもいろいろな意見が出てくるんだろうというふうに思っております。

 その中で、例えば今回の支援金についても、例えば賛成の立場からすれば、分かち合いとか連帯とか、あるいは全世代で支えていく、経済界も含めてという趣旨で保険はなじむんだという意見もあれば、いやいや、給付と負担が、そもそも対応が崩れるんじゃないかというような御意見もあるという中で、ちょっと西沢参考人と柴田参考人にお伺いをしたいと思うんですが、両参考人は、本当に今回も、具体的にこれでどうかというような御提案もいただきました。

 西沢参考人の方は、租税も含めて議論するべきだというふうにいただきました。野党の中でも、租税、所得税、法人税、資産課税でやるべきだという意見を持っていらっしゃる、そういうような提案もされていらっしゃいます。それであれば、私は、是非、この国会の審議を充実させるためにも、その対案を具体的に、例えば、じゃ、租税だったら、どういう税をどれぐらい使ったら今回の三・六兆円が出るのかというようなことをやはり審議すべきじゃないかというふうに思っております。

 例えば、所得税でやるんだというのであれば、具体的には、多分、月々五百円よりはるかに一人当たり増えてしまうと思うんですね。西沢参考人も今回、議論の枠組みが大事だというふうにおっしゃっていただきましたし、柴田参考人は、かなり具体的に資産課税についても言及をしていただきましたので、この議論を充実させていくという意味では、議論のやり方、こういうのをしっかり、対案をしっかり出し合って議論するというのが大事じゃないかという点について伺いたいというふうに思います。

西沢参考人 私は、負担の話をしましたけれども、それ以前に、歳出削減をして、三・六兆円の枠組みは、私個人はもっと下げた方がいいと思っているんですね。OECDの社会支出で言う家族関係支出、今十一、二兆円だと思いますけれども、例えば、私は、だから、医療費の無償化をやめたり幼保無償化をやめたらいいと思っているんですよ。その代わり、医療に関しては、今の医療提供体制をもっとお母さん、子供が安心できるものに変えていくことによってそれに応えるとか、費用の積み上げというところをちょっと抑制していけばいいと私は考えています。

 ただ、三・六兆円を所与としますと、当面のスケジュールにおいては、私は、その三・六兆を所与として、赤字国債でいいと思います。一兆円の赤字国債と、その後、歳出削減でいいと思う。それで、まず、先ほど来あるようにスピード感を持たせる。その代わり、今後予定されている歳出改革を、歳出改革ではなくて歳出歳入改革として、その中で、皆さんの中で最適な財源構成を税を含めて議論する、それができた暁には、その赤字国債の発行をストップする。

 財政需要は、子供、子育てだけではなくて、防衛もありますし、あと、来年を予定とする年金もあるわけです。年金も国庫負担増を伴う政策が出てくるはずですし、医療だって、介護だって介護人材の不足がありますから需要が出てくる。それらも含めて議論していくということが私は重要であり、そこはもう一定の予算制約を与野党ではめて中身を競い合うという形にしないと膨らんでいくだけだと思いますので。というのが私の提案です。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

柴田参考人 ありがとうございます。

 私は財政学の専門家ではございませんので、私は財政学者がしっかり議論すべきだと思います。

 ただ、これまでの報道や一部出てくる情報を見ますと、財政学の専門家たちの議論においても、選択肢の視野が、選択肢が少し狭い面があるのではないかという御提案をずっとしております。つまり、税であればどうしても消費税ばかりの議論になってしまう、税じゃなければ社会保険料になってしまう。

 ほかにも、財政学には、そもそも財政学者の中でも真っ二つに分かれていまして、主流派の経済学者の方々もいれば、主流派ではないけれども、現代貨幣理論という、国債に関してもう少し許容するような立場の方々もおられます。ですので、様々な、専門家も割れているわけなんですが、その多様な専門家をしっかり集めて議論をすべきではないかと思います。

 そのときにしっかり、財政学の中でも、理論的な財政学もあれば実証的な財政学もあります。私が今回御紹介したのは実証的な財政学の近年の成果です。これはやはり、この十年間ぐらい、OECDでデータが蓄積され、あるいは計量分析のスキルが、方法が洗練された結果、成果ではあるんですが、その成果が共通しているのが、先ほど申し上げた、経済成長に対してどの税が、あるいはどの社会保険料がベターなのかということで、最もベターなのが資産課税。もちろん、経済成長を減らしちゃうんですけれども、最も小さいということですね、減らす量が。減らす量が少しそれよりも大きいのが消費税と社会保険料。これはもうイーブンです、消費税も社会保険料も対等なんですね。最も経済成長を悪化させるのが法人税と個人所得税だと。これは七本以上の論文で全て共通しているんですね。

 そういったところもちゃんと視野に入れながら、もちろん、それだけ、計量分析だけに基づくのは危険だと思いますので、計量分析も視野に入れ、あるいは、多様な財政学の、つまりMMTの人々の意見もしっかり参加させながら、多様な財政学者がしっかり専門的に議論すべきだと思います。ということを御提案しております。ですので、私自身の結論はございません。

 基本的には、様々な、三・六兆円は大きいですから、一つの税だけあるいは一つの社会保険料や一つの国債だけでは無理だと思いますので、組合せが大事だと思いますが、その組合せを議論するときに、多様な財政学者をしっかり議論に呼んで、多様な視野で、実証研究も視野に入れて議論すべきだということを申し上げております。

 ありがとうございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 遠藤参考人に、もう少し大きな視野で、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 確かに、三・六兆円をまず所与のものとするかどうかというのはもちろん議論があるかと思いますが、今回、我々がなぜ、税という選択肢も確かにあったのかもしれませんが、やはり、物価高騰がこれだけ続いていく中で、今、現下、国民の皆様に税をお願いするということは非常に、それよりは歳出削減をやるべきじゃないかという議論があったのは事実であります。

 その上で、ただ、今後の話ですね。恐らく、子供、子育て予算、これは倍増するというふうに政府は言っておりますので、いずれ、どこかで更にまた財源を求めていかなきゃいけないということになろうかと思いますが、そのときに、これは子供予算だけじゃありません、医療や介護も今後逼迫していくという中で、中長期的にどう財源を考えるかということは大きな議論だと思いますが、遠藤参考人に伺いたいというふうに思います。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 社会保障は、社会保険料と公費の割合が様々な形のものが幾つかあるわけでありますので、そういう中で、財源が不足していく、需要が増えていったときにどうあるべきかという話になるかと思います。

 これは一概に言える話ではなくて、やはり社会保障の目的ごとによって違って、つまり、医療、介護の話と、年金の話と、子供、子育ての話は、やはり、それぞれの目的が違いますし、現在の資金調達のスキームも違っておるわけでありますので、それぞれに考えていかざるを得ないだろうというふうに思います。

 ただ、社会保険料、今のような計算方式でありますと現役世代の負担が高まっていくという、このことは間違いありませんので、それをどのように、例えば保険の仕組みでやるにしても、料率をどう考えるのかとか、様々な考え方ができるかと思いますので、それは個別に考えていかなければならない、非常に重要な課題だと認識しております。

 以上です。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

伊佐委員 もう一つ、遠藤参考人に伺いたいんですが、今回、歳出改革を徹底しますというところでお金を出すと。そうすると、やはり大きな懸念の一つは、そもそもの医療とか介護のサービスの切下げにならないか。ここをならないように頑張らなきゃいけないというふうに思っているわけです。

 三年に一回、社会保障については、財政のフレームワークの見直しが行われます。今までであれば、高齢化の伸びまでに自然増をたたいて落とすということを毎年やってきた。これが今回財源になりますということを政府は言っているということなんですが、そもそも、この枠組みが成立するのは、デフレ経済であれば何とか回せていたかもしれない。賃金もそんなに上がらないし、コストもそこまで上がらないという中であれば、デフレ経済で落としながらも、何とかその浮いた分を賄ってこれた。ところが、インフレ経済であれば、当然コストも増える、賃金も増える。こういう中で、今の財政フレームを続けていくことができるのかどうか。

 これは、子供、子育て、これだけじゃなく、医療、介護を全て含んだ社会保障の予算をどうするかという観点ですが、そういう意味では、私が思っていますのは、このキャップのスキームを、この三年の見直し、ちょうど今年の骨太ですので、ここは変えていかなきゃいけないんじゃないか。せめてインフレ部分、賃金とか物価高騰の部分は別枠にすべきじゃないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 ちょうど今回の診療報酬改定なども、そういう議論が行われたかというふうに思いますけれども、物価等々が上がることによって、相当医療や介護を効率的に運営したとしても、人件費あるいはそのほかの部材のコストが上がっていくという中でどう考えていくかというのは大変難しい課題であります。これは、今のようにスキームを変えていくということも、非常に一つの選択肢として有力な議論はできるだろうというふうに思います。

 今の医療や介護というものが非常にぜいたくで、特に医療については不必要なものが多く使われているかというと、先ほど申し上げましたように、決して私は、そういうものもありますけれども、平均すればそうなっていないというふうに思っております。

 かつては、医療費の自然増は三%でしたけれども、現在は二%なんですね。その二%になっている理由は、高齢者の一人一人の医療費の伸び率が昔と比べてかなり抑制されている。ただし、高齢者の数は増えているから、高齢者の医療費は若者よりも増えていることはしようがないのですけれども。

 したがって、かなりそれなりの努力はされてきているということで、今後、そういうものの自己負担あるいは保険料の負担をどうするかということを考え、なおかつ、西沢委員がおっしゃっておられたように、医療提供体制をどう考えていくかという問題ですね。在宅医療とか、かかりつけ医機能をどうするか、そういうことと総合的に考えながらやっていかざるを得ない。介護はもっと難しい課題を抱えているわけなんですけれども、しかし、医療も介護も、社会が、国民が求めている非常に大きなサービスでありますので、その質やアクセスに大きな制限が出てくるということに対しては、私は適切ではないというふうに理解しております。

 以上です。

伊佐委員 ありがとうございます。

 この給付、負担を考えるときの国民の皆様の意識のところをちょっと質問したいと思うんですが、一昨年末に公明党で子育て応援トータルプランというのを作りました。相当議論を尽くしてやりました。今回の法案にも多く盛り込んでいただいたものもあるし、盛り込まれなかった、今後盛り込んでほしいものもあります。その中で、このトータルプランについては、当時、柴田参考人も相当高い評価をしていただいて、改めて御礼を申し上げたいというふうに思います。

 その中で、ちょっと柴田参考人と秋田参考人に伺いたいと思いますが、そのトータルプランの柱の一つに掲げたのが、男女間の不平等の解消、性別役割分担意識の是正、いわゆるアンコンシャスバイアスです。男は仕事、女は家事というのが、やはりアンコンシャスの世界でどうしてもあるんじゃないか。

 現実、今の女性の働き方を見ても、先ほど柴田参考人が言及していただいたとおりで、家計の補助じゃなくて、今は家計を維持する上で不可欠なものになっているという中で、柔軟な働き方というのをつくっていく上でも、やはり、この意識をどうやって変えるか、アンコンシャスバイアスをどうやって変えるかというのは、非常に大きな大事な点じゃないかというふうに思いますが、お二人の参考人から伺いたいというふうに思います。

柴田参考人 ありがとうございます。

 男女役割分業意識のバイアスをどう取り除いていくかということは、非常に重要な問題かと思います。

 これは、なかなか、意識というのは後で変わってくるものかなというふうに思います。つまり、制度が変わり、働き方が変わり、行動が変わって、最後に意識が変わってくるということかなと思います。

 現状としては、やはり女性の方が賃金が低い。だから、夫婦で見ると、女性が家事、育児を担った方が経済合理性が成り立つわけですね。なので、現状として女性の賃金が低いから、あるいは非正規雇用が多いから、夫婦で話し合うと、どうしても合理的な選択として、男性の方が長時間労働をして、女性が家事、育児というふうになってしまう。やはりそれは、男女の賃金の不平等、あるいは非正規雇用、正規雇用の不均衡があってというところだと思います。

 ですので、やはり女性がより活躍しやすい環境を整えていくこと。女性の正規雇用率は、私の資料で示しましたとおり、若者の正規雇用率はかなり高くなっているわけです。今、十五から二十四歳の女性の正規雇用率は八割を超えています。ですので、まずは正規雇用をしているんですよね。しかし、辞めちゃうわけです。なぜ辞めちゃうかというと、いろいろな、賃金の差だとか、あるいは働きづらいだとか、長時間労働を求められる、そういった現状がありますので、やはり賃金も、賃上げをしっかりしていくだとか、均衡、同一労働同一賃金にしていく。

 あとは働き方ですね。男性の働き方が変わらないと、女性は変われませんから。男性が中心の現場が多いですから、特に男性の上司です、中高年男性です、中高年男性の働き方が変わって、ようやく若者や女性の働き方も変えることができますので、そういったところから、やはり男性全体の働き方改革を進めれば、最終的には、つまり男女共に働きやすくなりますので、アンコンシャスバイアスも変わってくるかなというふうに思います。

 ありがとうございます。

秋田参考人 ありがとうございます。

 男性の働き方が変わる必要があるということは、社会意識が様々なところで大きく変わっていく必要がある。私自身、やはりバイアスを、例えば、夫が単身赴任で出ると、私は子供を抱えながら仕事をしながら、それがどういうふうに大変かというのを肌身で感じてきておりますので、変えていく必要があると思います。

 今回お配りした中に、例えば育ちの百か月ビジョン、あれも、最初、業者に頼んだら、女性が子供を抱えている絵が出てきました。それをノーと言い、もっと男性がちゃんと子育てをしている絵に変えてほしいとか、子供一人を抱くんじゃなくて、子供が複数いる社会を目指す絵を描いて国から出してほしいとか、もう様々なところで、実は、この資料、チェックにチェックを重ねて作って、そして、子供を支えるのは大人だけじゃない、子供でも、小中高生はもっと小さい子を支えるとか、みんなが支え合いのイメージというものを、やはり国から発信していくものでも変えていく必要があるんだというふうにお伝えをしてきました。

 やはり、柴田委員も言われました。一番大きいところは、給料とか、財政的に男女平等である。特に、保育や看護や介護の領域は女性が多く、そこが賃金が平均より低いわけです。こうしたものの見直しをきちっとしていただくということも重要なことかと思っております。

 以上です。

伊佐委員 ありがとうございます。

 最後に、効果の質問をしたいと思うんですが、少子化対策の効果ですね。

 今回のこうした子供、子育て支援によって、OECDトップのスウェーデンに並ぶというふうに言われています。その中で、先日、私も厚生労働委員会の理事を今しておりまして、厚労委員会で、フィンランドの保健委員会のメンバーがいらっしゃって、意見交換しました。

 そのときに、スウェーデンと同じく、フィンランドもあれだけ充実した少子化対策がある、ところが、出生率が近年ずっと低下をしてきている。今、一・三二というふうに言われていますが、日本は一・二六ですので、ほとんど変わらないという状況になっておりまして、先ほど柴田参考人も、北欧とかフランス、幸福感は産んでも産まなくても変わらないぐらい支援がありますということになっている中で、軒並み、フランスも北欧諸国も今出生率が下がっている。

 これをどう我々は理解していいのかという点、最後、遠藤参考人と柴田参考人、それぞれ一言ずついただければというふうに思います。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 柴田先生の方が適切な御発言があるかと思いますけれども、まさしくそうなんですね。私が、だから、そういう意味で、非常に不確実で、導入は急ぐけれども、その効果を見定めながら修正をしていく必要があると言っているのはまさにそこなわけでありまして、非常に深刻ですね。それは、隣の韓国も中国も、やはり出生率は増やしたいんですけれどもなかなか増えないということでありますので、これは非常に難しい課題だというふうに思っております。婚姻率についてはある程度所得が利いているというところがありますので、その辺が重要なんだと思いますけれども、非常に重要だ。

 逆に、もう諦めて移民政策であるとかロボットの導入とかを積極的に考えるべきじゃないかと言う人もいるぐらいでありますけれども、私はそこまで諦めているわけではありませんけれども、非常に難しい課題。しかし、今やらないともっと難しくなる、こういう非常に難しい課題に我々は直面している、そういう認識であります。

 以上でございます。

柴田参考人 ありがとうございます。重要な御指摘です。

 まず、フランスや、フィンランド以外の北欧は出生率は高いです。一・六以上あります。ですので、スウェーデン一・六七、フランス一・八三ですので、日本よりかなり高い。やはりこれは、いろいろな支援や働き方が改善している。

 では、なぜフィンランドは低いのか。私の見るところ、一つ明らかな要因があります。それは保育です。フィンランドは、日本以上に保育が普及していません。〇―二歳の保育利用率は、日本と同じぐらい低い四割台です。三―五歳に関しては日本より低いんです。つまり、実は、ゼロから五歳の女性は、日本よりも専業主婦が多いんですね。

 つまり、自由に使える保育はあるんですが、恐らく価値観的にまだ先ほどのバイアスがあって、女性が五歳までは家で育児をすべきという価値観や、あるいは女性の非正規雇用が非常に多いです。それは結果かもしれません、一旦職場を離れちゃうから、日本と同じように非正規雇用になっちゃうのかもしれませんが、他国と比べて、ほかの北欧と比べて、明らかにフィンランドは女性の非正規雇用は多いです。日本と同じです。

 ですので、やはりそこは、保育がしっかり拡大して、しかも利用してもいいんだというふうに価値観が変わってくると、就業が継続して、女性の非正規雇用率が減って、正規雇用が増えて、それで男女平等になって、女性も子供を産んでもキャリアを諦めずに済むというふうになれば出生率が上がる可能性がありますが、今はそうなっていないということだと思います。

伊佐委員 時間になりました。

 今日いただいた貴重な御意見をしっかり今後の審議に生かしていきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、四人の参考人の皆さん、貴重な御意見、本当にありがとうございます。

 早速質問させていただきます。

 まず、遠藤参考人に伺います。

 先生は、支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会の座長であられました。昨年十二月の第二回の議事録を見ますと、支援金の性格について多くの構成員の方から意見が出されておりました。この間ずっと予算委員会や本委員会で議論をされている社会保険の逆進性なども議論されていると思います。

 それで、例えば、商工会議所の代表からは、支援金とは何か、社会保険料という位置づけとは説明されていない、このような指摘があり、安易に支援金の拡大でなし崩し的な対応がなされることがないようにお願いしたい、つまり、引上げはこれ以上しないようにというくぎを刺しているのかなと思って聞いておりました。

 当時は、社会保険のルートを使うけれども社会保険ではないと説明をしていたと思います。しかし、本日、立憲の早稲田議員からも紹介がありましたように、もう社会保険料として整理されるという答弁があったわけです。

 そうなると、社会保険料というのは給付と負担の状況を鑑みて見直しがされていくわけで、引上げも当然されていくという理解になると思いますが、いかがなんでしょうか。また、当初の議論から見ておかしくないのか、伺います。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 私、その検討会の座長をさせていただいて、そのような御意見もありました。ほかにも様々な御意見がございました。そういう意味では、基本的には支援金を保険の徴収システムの中で徴収するという枠組みの中での議論だったわけでありますけれども、様々な御意見が出ていたわけで、もちろんそれに対する反対の意見もあったわけでありますけれども、多くはその枠組みの中の議論でした。

 そこで、私は、実は今でも、あれは保険ではなく、あくまでも保険の徴収システムを使っている徴収制度だ、こういう理解でいるわけであります。それはなぜかというと、保険ではない、リスクのヘッジという形ではないからだということで、そういう理解をしておるわけであります。

 それから、保険制度であろうがなかろうが、給付額が増えてくれば負担を増やさなければならないということは当然の話になるわけでありますから、それについては、どの財源を使うのかという議論は当然出てくるとは思いますけれども、これは保険でなくてもそういう話は出てくるのかなというふうに思って、私が御質問を正しく理解しているかどうか、申し訳ないんですけれども、取りあえず、そんなようなお返事をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

高橋(千)委員 どの制度であっても、今後もあり得るだろうとおっしゃるのは当然だと思うんですよね。支援金が完全に整うのは二〇二八年度だと説明をされて、一兆円まで積み上げていきますのでね。

 だけれども、支援金が、先日私が質問したんですけれども、つなぎ公債の返還に充当されて、それが、償還が終わるのは二〇五一年と答弁していますから、じゃ、それまでどうなるのかなと素朴に疑問に思いました。その点でもし意見があれば伺いたいと思います。

 それで、続けてもう一言、遠藤参考人に伺うんですが、社保審の会長でもありますし、医療保険部会の会長でもいらっしゃいます。それで、ちょっとスキーム的には似たような、でも医療の世界だからと言えなくもないんですが、後期高齢者の保険料から出産育児一時金の増額分を出すということが医療保険部会でも議論されて、そのとき、後期高齢者から出産育児一時金というのは、ちょっと余りにも露骨というか、私にしてみれば、少子化対策のためには高齢者は我慢せよと国から言われたようなものだなというふうに思ったんです。医療保険部会の中でも、弱いところから取るのかといった意見もあったと思うんです。

 今回の支援金は、それを全世代から取るんだからというふうに説明をしているわけですけれども、こうした拠出を重ねてきたことで、被用者保険では半分あるいはそれ以上が他制度への支援金などに回っているという現状をどう見るのか。これは、社会保険制度そのものがかなり厳しい状況になっているのではないかと思いますが、見解を伺います。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 まず、ちょっと冒頭、つけ加えますと、今回の子ども・子育ての支援金が、今後は給付が増えてくるのであって、負担も増えるだろうという話で、これは当然そのとおりなんですが、ただ一方で、高齢者医療とか介護とは違いまして、そもそもが、そんなに拡大をしていくような、構造的にはなっていないと私は理解しております。その辺は、だから、したがって、医療費や介護費がだんだん増えていったのとはまた違う構造だというふうに理解しております。何しろ少子化のための構造だということですね。

 それからもう一つは、医療保険の枠組みを使って医療保険でないものの徴収をされてきた、その経緯は、それは適切ではないのではなかろうかと。今回は逆に、そういうことも医療保険ではやってきたので、それなりの合理性があるから今回もその枠組みで徴収できるんだ、こういうロジックになっているかと思うんですけれども、やはり広く負担をするような仕組みとして、しかも個別には課題もありましょうけれども、低所得者に配慮をしている仕組みをつくっているとかいうことで、医療保険制度から取るということについて、私は完全に否定するものではありません。

 そのためごとに一々また新しい仕組みを考えていかなきゃいけないのかという形になると、医療保険制度が機能的に複雑になったのとはまた別に、徴収システムが非常にたくさんできてしまうということも考えられますし、それから、今回の場合に関して言うならば、新しいスキームを考えるための時間が、やはり合意形成の時間が非常にかかる、それは惜しいというのが今回の私の考え方であります。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 次に、同じ質問を西沢参考人に伺いたいと思いますが、正直、徴収システムを新しくつくる手間がとおっしゃるんだったら、一体改革をやったのになということを素朴に感じてしまいますよね。だから、租税でいいんじゃないかという西沢参考人の指摘が理があるのかなというふうに正直思います。

 それで、社会保険に乗っかって支援金や拠出金を徴収するやり方は、今議論していたように、これまでもやられてきた。だけれども、今回の支援金制度でもって、いよいよ社会保険本来の役割がそがれてしまって、そのために保険料を上げなければいけないし、これでは雇用者にも雇用主にも負担が重く、保険制度そのものが脆弱になってしまうのではないか。元々あった課題、協会けんぽとか特にあったと思うんですが、それに更に拍車をかけてしまう気がしますけれども、いかがでしょうか。

西沢参考人 全くそのとおりだと思います。それ以上のお答えがないぐらい、そのとおりだと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 予算委員会でも質問させていただきましたので、まさにそうだなと思って伺っておりました。

 次に、柴田参考人に伺います。こども未来戦略の加速化プランをどう見るかについてであります。

 私は、子育て支援のメニューについては、出産後の伴走型支援から高等教育費の負担軽減、児童手当の拡充など、それ自体はわざわざ反対するものはありません。ただ、これほど財源論が争点になっている中での三兆六千億円のメニューとしては、バランスとしてどうなのかなと思うわけであります。

 つまりは、全ての子供の育ちを応援するを強調するが余り、児童手当に大きく予算が取られて、逆に子供の貧困対策などはまだまだ端緒という形で格差を広げることにならないか。高等教育の負担軽減というのは極めて少ないですから、理系の人だけ応援するとか、そうなっておりますので。そして、柴田参考人が陳述で指摘された長時間労働の働き方改革などは、最初にこども未来戦略といったときに三つの柱の中に入っていたんだけれども、加速化プランの中ではほとんど議論されていないと思うんですよね。

 などなど考えているんですが、御意見を伺います。

柴田参考人 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりかと思います。加速化プランについては、これだけ短い期間でかなり幅広なメニューを出されたというのは評価したいと思います。それぞれ少子化対策という面で見ると、給付の規模額がどうしても小さいので、効果は出生率〇・一上がるか上がらないかというところになってしまうかと思いますが、それでもプラスな面はあるのかなというふうに思います。

 あとは、やはり、加速化プランは少子化対策だけが目的ではなくて、児童虐待予防だとか子供の貧困だとか、様々な、子供を取り巻く、発達の支援も含めて広い視野でのものですので、そういった意味で、その広さをしっかり評価すべきだと思います。

 ただ、他方で、委員おっしゃられたように、元々、未来戦略の中では、働き方について結構、勤務間インターバルも含めて文言は言及されていましたが、加速化プランではどうしても、短期間でできること、予算をつければすぐ給付できるものに限られていますので、男性の育休の面だとか、そういったところに絞られてしまいました。

 それは、必要なところなのでやるべきなんですが、やはり、これからは、加速化プランだけが今後の政策ではありませんので、加速化プランの今後も見据えて、しっかり働き方改革、とりわけ長時間労働の是正も含めた未婚の人々への支援、これは賃上げも含めてです。やはり根本的には、結婚難というのが根本的な原因ですので、未婚の男女の経済的な状況と、あと、とりわけ男性全体の働き方、この二点をしっかり根本策として進めていくことが今後の大きな課題だろうというふうに認識しております。

 ありがとうございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 日本の男性が世界でワーストに長時間労働であることですとか、夫婦で男女の賃金格差が大きいがために育休があっても取らないですとか、世界で一番有休が短い国であるとか、正直言って、働き方改革をやらなきゃいけないんだということはみんな分かっているのに、まるっきりこれはスローガン倒れになっていないかという気がするんですね。

 先生がおっしゃったように、いやいや、労働時間をきちっと短縮していくことによってむしろ生産性が高まるんだと。だって、諸外国を見れば明らかなわけですから、何でそれができないのかなと正直思うわけで。なので、スローガンに入れるだけでは進まないだろう。まあ、私たちの力も弱いかもしれませんけれども。

 もしも一言ありましたら、お願いします。

柴田参考人 ありがとうございます。

 とても大事なところで、やはり労基法の改正が、だから必要だ。アメリカも含めて先進諸国、アメリカやヨーロッパに比べて余りにも労基法が貧弱です。ですので、これは変えなくてはいけないと思います。

 ありがとうございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。全くそのつもりでおりました。

 秋田参考人に伺いたいと思います。せっかくなので、こども誰でも通園制度について伺いたいと思います。

 保護者の就労要件を問わないという点では、保育制度の歴史をまた一つ大きく変える改正ではないか、このように思います。

 保育は、それこそ先生がお話しした新システムの制度のときも、私、随分質問しましたけれども、直接契約なのかどうかという問題ですとか、従うべき基準をどうするのかという問題だとか、規制改革会議だとか地方分権改革とのせめぎ合いでもあったのかな、こう思います。

 それで、伺いたいのは、孤立した子育てを応援し、集団の中で保育ができる、これは大変意義あることだと思っています。しかし、元々、現行制度が保育士の処遇改善や配置基準などをもっと改善しなきゃいけないという課題を抱える中で、全国での実施にこだわり、また、今の保育・教育給付の対象にもなっていない地域子育て支援拠点などが対象になるというのは、正直どうなのかなと思うんです。

 質問したときに基準を聞くと、今の一時預かり保育と同じ基準なんですと言うんですね。でも、それが満たせるなら、とっくに保育・教育給付の対象になっていいはずじゃないか。そういう施設になっていていいはずなのに、そういう対象じゃないところを今入れるというわけですよね。それがすごく疑問に思うんです。

 今後、大型店の例えばキッズスペースでもよいとか、更なる規制緩和が進むんじゃないかということと、アプリの気軽さで親の都合が子供の利益に勝ってしまうのではないかということを非常に危惧するわけでありますが、御意見を伺います。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 私も同じような危惧を抱きながら、こども誰でも通園は従来の保育とは違いますけれども、これまでは、逆に言えば、保育園や幼稚園、こども園に通わせているところには公費が入りましたけれども、御家庭でお子さんを、特にゼロから二の部分の子育てをしていた方たちにどうやって支援をしていくかという意味で、これがとても意味を持っている。

 新たな形で、しかも、そのときの保育の質というものを今度はどう考えるのかというのが従来以上に、従来は毎日お子さんが来ていたので、保育士は専門的にチェックができました。今回は新たな形で、親が自由に選ぶ、園を幾つも選んで通う場合もあれば、それから特定のところに通う場合もあり、いろいろなパターンが今設定されていきますので、それを試行事業としてまずは見て、どうやって歯止めをかけながら、やはり親の都合ではなく、これがこども誰でも通園という、こども基本法の理念に沿った形にしていくことができるのか、そのためにどういうガイドラインを作っていくのかということがこの数年のやはり正念場ではないかというふうに考えているところなので、御指摘いただいたようなところを更に議論を丁寧にしていきたいと考えているところになります。

 御回答になっているかどうか分かりませんが、以上で私の答えとしたいと思います。ありがとうございます。

高橋(千)委員 先生も、危惧を抱いていますとおっしゃっていただいたので、少しほっとしました。

 本当に、自分自身も、保育所に入りたいんだよと言っても保育に欠ける状態ではないからということで断られたお母さんたちが、やはり毎日自分だけが子供と向き合っているのではなく集団の中で育てたいという思いをかなえていくというのは、それは本当に大事なことだと思うし、今、保育者の皆さんもそれは分かっていると思うんです。

 ただ、今、やはりすごく慎重でなきゃいけないと思うのは、モデル事業もやった中で、モデル事業を、やはりある程度の、十時間ではなく、少し長いスパンで見ていますよね。それから、専門のベテランの保育士さんが、むしろ経験が十一年以上やっている方が、七割近くの方たちが、預かりを、モデル事業の担当として予備面接、事前の面接をやって、その子の様子をよく知りながらやると、やはり大切にしてきたんだと思うんですよ。

 それが、そうはいっても、来年から始まりますよといったときに、その体制が本当に取れるんだろうか。むしろ人を増やさないと駄目なんじゃないか。だって、説明の中では、定員の中に余裕があれば保育士を一人も増やさなくてもいいことになっちゃうわけですよ。本当にそれでいいのか。むしろ、そういう毎日通っていないお子さんであるからこそ特別な体制を取れなければお互いに大変なんだという意味で、やはり保育士さんを増やすということがすごく必要だと思っているんですが、もう一言、お願いします。

秋田参考人 ありがとうございます。

 保育士を増やすということは極めて重要です。ただし、誰でも通園は、十時間をフルに使う方よりは、毎週二・五時間を四週とか、そういう形になると、午前あるいは午後のある時間だけということで、現在保育士を辞められて御自宅におられるような方の再就職を私たちは更に可能にしていったり、今潜在的に眠っていらっしゃる方ももう一度社会で活躍をしていただけるような、そういう形の機会にもできるのではないかというふうに思っているところではあります。

 ただし、今、そうでなくても保育士が足りない、困難ということが、処遇が余りに低い、これは改善してきているんですけれども、まだ低いという現状がありますので、そこにも向き合っていく必要があるというふうには考えているところですので、重要な御指摘をいただいて、こうしたことをもっと社会に発信していきながら、保育や教育の仕事がいかに重要なことかということを、社会にエッセンシャルワークとしてどれだけ重要かということを皆様にも知っていただきたいなと思っているところでございます。

 大事な御指摘、ありがとうございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 試行的事業は十時間以内なんですが、法案は十時間以上になっておりますので、一気に拡大するのではなく、やはり、せっかくそうやって大切にとおっしゃってくださっているので、本来の理念に合ったものになっていけばいいなということを思っております。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 最後の質問になりますので、最後までよろしくお願いいたします。

 先ほどから少子化対策についての話がございました。日本の出生率、最新のデータでは一・二%前後になるだろうということを言われておりますが、東京が一番その中では低く、一・〇八とかになるわけですね。これは都道府県を見ていきますと、上位、沖縄県が一番高いです、一・八近くあって。二番目に宮崎や島根、鳥取というのが入ってくるんですけれども、上位十県を見ていくと、福岡を除く九州が全て入っていて、大体上位で一・五%あるんですね。

 実は私、宮崎の出身でございまして、出生率が大体いつも二番目ぐらいで高いんですけれども、今日、柴田先生の御資料に、夫の労働時間、それから通勤時間が短くなると、夫の家事参加率、育児参加率が高くなって、出生率、出産の数も増えるという御資料、エビデンスも提示いただきました。実は私も、これはそのとおりだと思っておりまして、なぜ私の地元の出生率がほかの都道府県に比べて高いのかというのを調べたことがあるんですね。

 宮崎は残業時間が少なかったんですね。四十七都道府県の中で、残業時間がない、ないというか少ない都道府県です。通勤時間が日本一短い時間のときもありました。大体、全国で平均四十分、片道であるところが、宮崎は二十六分、八分ということで。今度は、そうすると、余暇に使う、レジャーに使う時間がやはり日本一長い。

 宮崎はサーフィンも盛んなんですけれども、朝、サーフィンに行って、いわゆる職住近接なので、サーフィンに行って出勤する人がいたり、日も長いので、仕事が終わってゴルフをハーフプレーするとか、そういうふうなライフスタイルの中で、男性の家事、育児率も高かった、育児参加率ですね。家事参加率、育児参加率も高い。実は、その最後に、いい子が育つ県ランキングというのが、文科省のデータを取り出してあるんですけれども、それでも宮崎県の子は上になっていくんですけれども。

 私が何が言いたいかというと、都市部と地方のライフスタイルの差に出生率を上げていくヒントがないかなというふうに思っているわけです。四人の参考人の先生方にお聞きしたいと思うんですけれども、少子化対策を考える上で、都市部と地方の生活また生活環境という視点でこの子ども・子育て支援法についても議論をしてしかるべきなのかなとは思っているんですが、ひいては東京一極集中の解消ということも当然視野に入ってこなければいけないというふうに思っております。

 その点につきまして、それぞれの先生方のお立場で御意見、アドバイスをいただきたいと思うんですが、御順番に遠藤学長からお願いできますでしょうか。

遠藤参考人 遠藤でございます。ありがとうございます。

 御指摘の、地域的に少子化対策というのはそれぞれ違ってしかるべきではないかというのは、全くそのとおりだと思います。

 まさに、それぞれの地域の持っている少子高齢化の状況が全く違うわけでありまして、東京などは女性の未婚率が高く、かつ出生率は低い、こういう構造になっているわけでありますね。それとまさに宮崎県とは同じレベルの議論はできない話だと思いますので、非常に重要な御指摘をいただいていると思います。

 東京の一極集中という点については、特に若い人の一極集中ということについては昔から指摘されておりまして、今、東京は、二十三区にある大学は定員を増やしたり学部や学科を増やすことはできなくなっております、それは文科省の行政指導でなっておりますので。そういうこともありまして、地域別の対応ということは非常に重要だ、特に都市の問題は結構重要だなというふうに感じております。

 いいアイデアが私はあるわけではないのですけれども、大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 以上です。

西沢参考人 私は、地域というよりも、出生率に関しては、先ほど来、性別の固定的な役割概念の話がありましたけれども、例えば、今後においては、選択的夫婦別姓問題とか、私が専門としている年金であれば第三号被保険者問題、健康保険における扶養と被扶養の制度、また税制における配偶者控除といった我が国に根差している諸制度を変えていくことで性固定的役割観念を徹底的になくしていく、それが異次元かなと思っています。

 地域ごとに、そういった考え方、古い性固定的役割概念に固執しない地域があったり、あるいはあったりというところもまた差に表れているのかなと思います。

柴田参考人 ありがとうございます。非常に重要な御指摘だと思います。

 やはり、日本全体で見て、とりわけ若い女性が都市部にどんどん移住してしまう。都市部では地価も高いし、いろいろ通勤も長いということで、あるいは長時間労働もあって、出生率が非常に低くなってしまう。これは日本全体で負のスパイラルになってしまっている状況があります。それに対して、宮崎のお示しいただいた状況を非常に羨ましいというふうに思う方は多いと思います。

 どうやったら宮崎のようなゆとりのある働き方だとか、男性の家事、育児参加がしやすいような状況にできるかというのがポイントかと思いますけれども、地域地域でいろいろな課題がありますけれども、一つ、都市部で可能なのは、やはりテレワークなどによって、わざわざ都市部に住まなくても都市部の大企業なりが地方においてもテレワークで就業できるようにしていくというようなやり方で、都市部に一極集中しないようにしていく。そうすると、都市部の地価が下がっていったり、あるいは、人口がある程度分散すれば通勤もしやすく、近くに住めるようになりますので。やはり、人口の一極集中が非常に問題である。それを分散させるには、テレワークなどの技術によってある程度できる部分がある。

 ただ、テレワークを導入するには、テレワークをしてもいいよだとか、しないと会社は回らないねという状況をつくらないといけない。それが労基法の改正ではないかと。労基法をアメリカやヨーロッパのような先進国並みにしていくことによって先進国並みのゆとりのある働き方をしないと、あるいはテレワークを導入したりデジタル化を進めないと働けないような状況になっていけば、ようやく分散が進んでいくのかなと。それによって一極集中が緩和され、日本全体の育児のしやすさ、あるいは家事、育児参加のしやすさがあるのかなと思います。

 ありがとうございます。

秋田参考人 ありがとうございます。とても重要な問題だと思っております。

 ただし、都市集中の問題と同時に、地方でも、過疎で子供の出生がなくなるために滅びていく自治体というのと生き残れる自治体というのが、結局、自治体の、市区町村の政策によって大きく違ってきている。だからこそ、国の政策だけではなくて、子供の、各自治体で計画を立てていただくわけですけれども、それが極めて重要な意味を首長さんの意識が持っていると私自身は思っているところもございます。

 また、働き方ということで、私は東京都のこども未来会議の会長をいたしておりまして、今、こういう中でも、すくわくプロジェクトという、乳児から子育てしやすい町の、いろいろな都市のノウハウなども集めてきて、東京都がいかにして住みやすい町にしていくかと、すぐに出生率につながるわけではございませんが、そういうことも議論をしています。

 やはり政策のいかんによって、かなり出生率等が、ライフスタイル、働き方もそうだと思いますが、実際の政策がかなり違ってきています。例えば上位ランキングの松戸市などは、やはり子供、子育てのための特別の各自治体の政策が見事に打たれていることによって周りの人たちの人口の流入を促していると思いますので、こうしたことのノウハウを共有していくというようなことも今後大事だろうなと思っているところでありますが、やはり格差なくやっていくといっても、その地域ごとのありようを今後も考えていくことが必要かなと思っているところです。

 最後に一言つけ加えれば、こども基本法が子供の権利を主張をしましたけれども、例えば東京都は、それより一年前に作っておりますし、二百幾つかの自治体は、そうしたものを独自の条例として自治体で作っているわけです。今後、やはり自治体それぞれが子供が重要であるというようなことのメッセージを出していっていただくということも極めて重要なことかなと私自身は考えております。

 以上です。

長友委員 ありがとうございます。

 宮崎のゆとりのある暮らしが羨ましいというお言葉もいただきましたけれども、一方では、世帯年収とか所得に関しては実は一番下の方にいるとか、そういう課題もあるものですから、そこをうまく両立しないといけないなと思っているんですが。

 少子化対策に関しては、遠藤学長が、これはずっと本当は早く取り組まないといけないけれども先延ばししてきたテーマだ、ちょっとデリケートな問題も含むからという御指摘をいただきました。

 私も、自分の問題認識として、東京一極集中の解消ということも、非常にすぐ取り組まないといけないというか、既にもうある程度手を打っていないといけないのに、全くそれが止められていないということに対して問題意識を持っていたりします。ですので、少子化と東京一極集中の問題というのは非常にリンクしていくんだろうなということを考えているところなんですけれども。

 次の質問もまた四人の参考人の皆様にお伺いしたいんですが、結婚にメリットを考えられない若い方たちが増えているという話があります。私の地元でも、二十代の年頃の男性、女性に話を聞いても、結婚に魅力を感じない、結婚するつもりはないという方が多いです。

 政府として、少子化対策を考えるのであれば、若い世代にはしっかり結婚にもインセンティブがあるんだよということを政策で明確に示していかなければ、これはもう少子化は止められないというふうに思うんですね。

 それぞれの御専門の立場で、政策として、税制の面でも生活コストの面でも、また財政面等、将来自分が高齢になったときとかを含めて、こういうメリットが結婚にはちゃんとあるというふうに私も説明したいなと思うんですけれども、先生方から、それぞれの立場で、どういうメリットが結婚にはあるよということが言えるのか、お伺いできないでしょうか。

遠藤参考人 難しいテーマ、物すごく難しいテーマですね。結婚した方がいいのか、しない方がいいのか。

 基本は、それは個人の考え方だと思いますし、国がそのことについて余りドライブをかけるということは適切ではないというふうに思いますが、あくまでも、結婚をしたい、子供を産みたいという気持ちを持っている人たちに寄り添って、その望みがかなえられるような形でサポートをするという、この形でしか行政は介入できない話だと思いますので、ニーズを明らかに酌み取って、適切なサポートの仕組みを考えるということが重要なのではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

西沢参考人 逆説的ですけれども、社会保障を後退させることですよね。自分の子供がいなくても年金で払ってくれるから老後は安心なので、社会保障を充実させると、結局、子供を産むインセンティブもなくなるし、夫婦で助け合うインセンティブも減っていくので、逆説的なんだと思うんですよね、ここは。

 ちょっと結婚のメリットは、私はそれも、おっしゃったように個人の価値観に関わることだと思うので。社会保障の観点からいうと、実は逆説的だなというところが日頃感じているところです。

柴田参考人 ありがとうございます。

 両参考人の方々がおっしゃったことと全く私も同意するところでして、まずは、結婚という形態を取らなくても、一緒に同居して支え合うやり方はあって、様々にパートナーシップの在り方はありますので、本来的に結婚だけが重要というわけではないかと思います。

 あと、他者と協力し合いながら生きていくというのは、別に同居しなくてもできることかもしれませんし、様々なパートナーシップの在り方があって、あるいは複数人での友人関係のパートナーシップや、あるいはシェアハウスやコレクティブハウジングとかいろいろなやり方もありますので、結婚に限定するのは、やはり価値観が自由になっていく社会の中で少し逆行してしまうのかなと思います。

 ですので、基本的には、現状としては結婚したい若者が大体八割以上はまだいる、ちょっとずつ減っていますけれども。しかし、実際結婚できる方はその一部ということなので、結婚したいけれどもできない方の希望をかなえるというのが、まずは重要な点かなと思います。

 あとは、結婚以外にも、やはり法律婚でなくても事実婚の形で育児をしていくことも可能ですし、あるいはほかのいろいろな形態もあるかもしれませんので、結婚以外のパートナーシップの在り方もちゃんと認めていく、あるいは法律的にもちゃんと支援していくということも重要かなと。

 人々が支え合いながら子供を産み育てるというのは非常に尊いことだと思いますので、社会の維持という面でも政策的な意義もあるかと思いますので、結婚に限定せず、パートナーシップを支援するというところは重要かなと思います。それが、私の資料でも五枚目のところでパートナーシップ支援と書いたのは、そういったところでして。そのためのいろいろな出会いだとか、一緒に生きていく人たちとどうやって出会うかというものの支援も重要かなと思います。

 あとは、結婚に関して見れば、男性の場合は、やはり賃金、経済的な面で結婚に踏み切れないという面。女性の場合は、先ほど資料で申し上げたとおり、男性の長時間労働があって、自分のキャリアを失ってしまうから結婚できない。男女で恐らくかなりニーズも、ニーズといいますか、壁も違うところもあるかもしれませんので、それぞれの壁をしっかり取り払っていく。賃上げをしていく。あとは男性の長時間労働をなくしていく。これもパートナーシップや結婚の支援としては重要かなと思います。

 ありがとうございます。

秋田参考人 ありがとうございます。

 私も柴田委員と似た意見を持っていますけれども、やはり結婚は個人の選択の自由である。それから、シングルマザーやシングルファーザーも当然ありであり、多様な形で人と人が支え合う社会をつくることは重要だけれども、結婚を、私自身は、例えば官製で、税金を使って婚活のものをやるのはどうかというのも、審議会の中でいろいろ意見が出たところであります。効果があるという話もあるけれども、本当に、婚活のためにお金を使って、それは成功率はどれぐらいなのかの実証データが欲しいとか、そういう話も現実にございました。やはり、そこは個人の選択の自由だろうというふうに思っております。

 ただ一方で、子供を持つということが、次の世代、それが夢や希望をどんな形態であったとしても持つことができるのだ。それは、やはり子供と触れ合う経験というもの、親になる教育というんでしょうか、それを小中高の中で、大学もですけれども、していくことによって、ああ、子供を持ちたいな、じゃ、パートナーと一緒になって子供を育てるということがいいなという、そういう経験やそういう価値観を教育をして、教育と言うと言い方があれですけれども、そういう学習や経験の機会は与えていくことが必要だというふうに思います。

 これは、子供、子育ての基本政策部会や育ちの部会の中でも、親になる教育を小中高からやはりしていく必要があるのではないかという話が出ておりましたので、つけ加えさせていただきたいと思います。

 以上です。

長友委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問になります。

 やはり、柴田先生の資料で十九ページに、女性のみに親ペナルティーがあるという御指摘をいただきまして、女性の結婚、出産回避が少子化につながっている、また、重い育児負担等が妻ばかりにかかることが二人目、三人目にいかないという御指摘があります。

 これはまさに、私、男女共同参画の視点、観点も当然関わってくるんだなというふうに感じたわけなんですけれども、この子ども・子育て支援法を男女共同参画の観点からも捕捉する必要があるんじゃないかと思うんですが、その点について、柴田先生に一言お聞きしたいと思います。

柴田参考人 ありがとうございます。

 まさにそのとおりでして、なぜ、妻の、母親の幸福感が出産後下がってしまうのか。これはやはり、出産後、育児の非常に大変な負担が妻本人だけばかりにのしかかることで、まず夫への不信感が高まる。それで夫婦関係の満足感が下がってしまう。あとは、お母さんは自分の時間もなくなります。お金も自由に使えなくなる。特に時間ですね。体力的にもしんどい。それで消費生活の満足感が下がってしまうということが原因で幸福感が下がるということが日本での調査で既に分かっております。

 それをまず解決する方法は、パートナーである、主に夫ですね、夫の、ちゃんと男女共同参画、夫の家事、育児参画がしっかり進むことで、ある程度改善できる部分があります。

 あとは、やはり夫婦だけで子供を育てるというのはそもそも無理があるんですね。元々、子育てというのは、人類は共同養育でやってきました。つまり、夫婦だけじゃなくて、ほかの親族や地域の人と一緒に育児をして初めて子供は育つ。子供は、脳の発達は二十代半ばまで続くわけですね、非常に手がかかる。だから、夫婦二人だけではそもそも無理ゲーなわけです。

 ですので、やはり地域全体、様々な人の、保育士さんも含めて、支援があって初めて育児が幸せだと感じられるようになると思います。そういった面でも、男女共同参画プラスそれ以外のいろいろな人の関わりというのが、こどもまんなかというのが非常に重要かなと思います。

 ありがとうございます。

長友委員 貴重な御意見ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わります。

谷委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。しっかり今後ともの委員会質疑に反映させていきたいと思います。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、厚生労働委員会から連合審査会開会の申入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び会計検査院当局並びに参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、来る十一日木曜日午前九時から開会いたしますので、御了承願います。

 次回は、来る十一日木曜日午前八時五十分理事会、午後二時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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