衆議院

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第11号 令和6年4月11日(木曜日)

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令和六年四月十一日(木曜日)

    午後二時十六分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      橘 慶一郎君    谷川 とむ君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 郁子君    橋本  岳君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      堀井  学君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    山口  晋君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      階   猛君    中谷 一馬君

      福田 昭夫君    赤木 正幸君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 辻  貴博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石垣 健彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           須田 俊孝君

   参考人

   (日本銀行理事)     清水 誠一君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  保岡 宏武君     山口  晋君

  中谷 一馬君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     保岡 宏武君

  階   猛君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人としてこども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、財務省大臣官房審議官辻貴博君、財務省主計局次長吉野維一郎君、厚生労働省大臣官房審議官石垣健彦君、同じく宮本悦子君、同じく日原知己君及び厚生労働省大臣官房審議官須田俊孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 今日は、この地・こ・デジの委員会で、去年は委員長をさせていただいておりましたので、質問をするのは初めてということになるのでありますが、しっかりさせていただきたいと思います。

 これまでいろいろな方のお話を伺ってまいりまして、大変有意義な議論があって、いいことだなと思いながら、勉強になったと思っておりまして、感謝を申し上げたいと思います。特に支援金についていろいろなお話があるわけでございまして、勉強になるなと思って伺っておりましたが、いろいろ聞いていると思うことがありまして、ちょっと思っていることがだだ漏れなところがあることはお許しをいただきたいと思うんですが、今日はお許しをいただいて申し上げていきたいということであります。

 ちょっと、そこに入る前に一点、CDRについてお尋ねをしたいと思っておりますので、まずそちらに行きます。

 CDRと申しますのはチャイルド・デス・レビューの略でございまして、私、かねてから、死因究明の体制の充実でありますとか制度の整備とか、そうしたことに取り組んでまいりましたが、やはり特に子供については、何で亡くなったのか、事故だったのか、事件だったのか、あるいはもしかしたら虐待という場合もその中に紛れ込んでいるかもしれない、そうしたことについてちゃんと検証していくというのが大事なんだろうと思っております。

 既に、いろいろな法律で、政府においても検討すべしということにはなっておりまして、モデル事業に取り組んでいただいておりますが、例えば、二百件の死亡件数のうち、親に説明できた件数は百二十七件、そのうち同意が得られたのは六十一件。それについて取り組んでいくというような形で、親の同意というのがハードルになっているというのが一つの課題であります。

 また、別途、刑事訴訟法がありますので、警察が調べた情報についても、これが出てきにくいという壁もある。もちろん、現場ではいろいろな運用がされているようでありますが、ただ、やはりそこについてはクリアしていかなきゃいけない壁なんだと思っております。

 そういう意味で、今後、実効性あるものにしていくためには、新規に立法を行いまして、CDRを法律に基づく事業として行う必要があるのではないか、もうそういうことを考える時期に来ていると思っております。その点につきまして、加藤大臣にお尋ねいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供の死亡事例につきまして、医療、警察、行政等の関係者で死因等の検証を行い、効果的な予防策を導き出すCDRは重要な取組です。

 その体制整備に向けた検討を進めるため、令和二年度から、複数の都道府県においてモデル事業を実施してきたところでございます。これまでのモデル事業を通じて、御指摘のとおり、CDRを実施する際に必要となる情報の取得方法について、個人情報保護法や刑事訴訟法との関係などが課題として挙げられています。

 今後、これらの課題等を検証し、関係省庁とも連携しながら、立法の必要性の有無も含め、CDRの体制整備に向けて、丁寧に、かつ着実に検討を進めてまいります。

橋本委員 立法の必要性の有無というところに触れていただいたことに感謝を申し上げたいと思いますが、あえて一点もうちょっとお尋ねすると、実は前にあった答弁とそう変わっていないんですね、今の答弁というのは。もう一歩前に進めていきたいというお気持ちがあるのかどうかということについて、ちょっとお尋ねさせていただいていいですか。

加藤国務大臣 立法の必要性につきましては、これまでのモデル事業等を通じて把握された課題等を検証し、現行の法体系等について精査を行い、CDRに携わる様々な関係者と丁寧な議論を重ねて理解を得ながら、その有無を判断する必要があると考えておりますが、着実に進めて、検討をしっかりと進めてまいります。

橋本委員 検討をしっかり進めてまいりますということでございますので、是非。

 これは、間違えてはいけないのは、遺族のためにやる制度ではないんですね。亡くなったお子さんと、その後に生まれてくる、育つお子さんたちが同じ目に遭わないためにはどうすればいいのかということのためにやる、こども基本法における子供の最善の利益を優先して考慮するということが当てはまるものだと思っていますから、是非そういう観点に立って、立法を含めというか、僕は立法は要ると思うけれども、御検討いただきたいと思います。大臣のリーダーシップを期待しております。

 ということで、支援金について、ちょっといろいろと議論してまいりたいと思います。

 資料を用意しておりましたので、お手元で眺めていただきながら聞いていただければと思います。資料、二枚を一枚にしていますので、右下のページ番号でこれから言っていきますが、御覧いただければと思います。

 まず最初、今回の法案につきまして、野党各会派の皆様方からもそれぞれ一定の御評価をいただいていることは率直にありがたいことでありまして、感謝を申し上げたいと思っております。本会議で各派を代表されている方々の御発言をちょっと資料でまとめておりますが、評価しますとか、私たちが求めてきたことでありますとかおっしゃっていただいている、大変ありがたいことだと思っております。

 ただ、支援金制度についてはいろいろなお話がありますねということでございますが、やはり、年寄りの繰り言みたいで嫌だなと思いながら、でも、いろいろな経緯があってここに至っておりますので、ちょっとそれを整理しようと思って年表を作り始めたら三枚になってしまいましたという話でございます。

 一九九〇年、一・五七ショックとか、一九九四年、エンゼルプランとか、そういうものはありましたねということがありますが、私、実は初当選、二〇〇五年の郵政解散でございました。その頃の空気というのは、はっきり言って、まだ高齢者の話ばかりしていました、ぶっちゃけ。二〇〇四年に年金制度の改正、改革があった。それから、その翌年、二〇〇六年に高齢者医療保険制度の法案ができた。だから、私が初当選してきまして、自民党の厚労部会とかに座りますと、高齢者医療の議論ばかりして、入った途端とかは全くちんぷんかんぷんで、何の議論をしているんだと思ったのはよく覚えておりますが、何かいつの間にか厚生労働の専門家みたいになっちゃって、どうしちゃったんだろうと思っているんですけれども、それはおいておいて。

 そんな空気で、当時から少子化対策大臣というのはおられたんですが、保育の拡充だとか、基金をつくるとか、そんなことはしておられましたけれども、この頃、やはり主な議論というのは本当に高齢者の話ばかりしていたよなと思います。

 ちょっと眺めていた面白いものがありまして、一枚めくっていただいて、スライドの五番、五ページ。

 少子化社会対策基本法という、これは平成十五年ですから二〇〇三年に成立した法律の前文で、もうこのときに、少子化は、有史以来の未曽有の事態に直面している、こう書いてあるんですね。ところが、我らはともすれば高齢社会に対する対応にのみ目を奪われと書いてあって、ああ、本当にそうだなと思って。これが二〇〇三年に作られているんですが、なお二〇〇五年とか、当時でもそうだったなと思っておりまして、ちょっと、そういう時代だったなと思い出しておりました。

 消費税の増税、二〇一九年に一〇%になったわけですが、そのそもそものきっかけというのも実はその二〇〇四年の年金制度改革で、マクロ経済スライドの導入とかと並んで、基礎年金の国庫負担割合の引上げというのがありまして、これで二兆五千億円ほどの財源が要る、どうしようという話になったんですが、当時の小泉政権はそこに目鼻をつけないで終わっちゃいまして。

 どうしようどうしようと言っているうちに何年かたってしまいまして、ようやく、二〇〇九年三月のところに所得税法一部改正案成立というのが年表に出ていますが、ここで消費増税などの抜本改革について、ようやくこの頃、やりましょうみたいなのが決まった。このときに少子化対策ということも書いてあるので、ようやく少子化に対する財源の話がここで出てきたなということかと思っております。これは麻生内閣のときですが。

 ようやくそこまでたどり着いたところで、政権交代の選挙ということになります。これは、子供政策史上、エポックメイキングな選挙だったと思っています。といいますのは、さっき言ったような、高齢者の話が一生懸命という、その頃、年金記録問題とかもあったしみたいなことの中で、当時の民主党さんは子ども手当ということを強く訴えて、それを有権者の皆様方が、がっちりハートをつかんで後押しをつくって、選挙の結果が出た。私は落選したんですけれども。

 とはいえ、客観的に言えば、子供政策というものがきちんと選挙にも影響して政策を動かしていく力になるんだというところを示した最初の選挙だったと思っていて、これは、僕はすごく、民主党さんの功績だとたたえておきたいというのは是非申し上げておきたいと思います。本当にそうだなと思っています。

 だから、自民党的に言うと、本当に高齢者のことを一生懸命考えていたんだけれども、これからは子供のことも考えないと選挙に負けるという体験をしちゃったわけですね。だから、シルバー民主主義という話はあるんですが、実は、この選挙の前と後で大分空気が変わったという感じはします。

 そうはいいましても、やはりまだいろいろなことは引きずっていたというのもあるし、一方で、民主党さんは政権を取って、落選していたからよく分かりませんが、御苦労もあったのかなと思います。

 そうした中で、先ほどの所得税法の条文もあったこともあり、野田内閣のときに三党合意ということになります。これで消費税率を引き上げるということと、これを財源にして子供、子育て分野に〇・七兆円充てましょう、これだって、本当は保育の充実、量の、質の充実に一兆円要ると言われていたのを、三千億円足りないという話だったりするので、今回それがようやく解決をするのでよかったなと思っておりますが、そういうのを引きずっていますが、一応そういうことになりました。これはよかったなという話です。

 二〇一二年に再び自民党政権ということになります。これも、本会議のときに、これは一谷先生が、岸田政権以前はかけ声ばかりで何もしていなかったみたいなことをおっしゃっておられたんですが、一応、例えば、地方創生というのは人口減少というのを真正面から捉えていこうとしたところがあって、出産、育児をちゃんと支援していこうというのは入っているし、当時の、例の山尾志桜里先生が保育園落ちたというのを取り上げて、あれも話題になって、じゃ、それに応じて保育を拡充していこうということになったりとか。あと、二〇一七年の選挙のときに、消費税の使い道を変えて教育無償化をやります、あれは突然言われたので、中にいる我々もびっくりしたんですけれども、そういうことが起こって、そういうところにお金を出そうとかいうようなことはあったので、取り組んでいたとは思います。ただ、やはりまだアドホック感はあるなと。その時々にテーマになったのを手当てしていくみたいな感じはあったなという気はします。

 その辺の風向きが変わってきたのが、三ページ目というか四ページ目に入ったところの辺りですね。

 まず一つは、二〇一九年、成育基本法というのが議員立法で成立をしていまして、これは、妊娠から出産、子供、子育て、思春期、大人になる前までの諸施策を一体として取り組むべきだという話で、よくこんな法律通ったなと今では思うんですけれども、でも、やはりそれは多くの方の理解を得たんだと思います。

 そして、二〇二一年に自民党の中でチルドレンファーストの子供政策のという勉強会ができまして、それを受けて自民党に本部が設置をされ、それで提言を出して政府も受け止めていただいて、こども家庭庁をつくろうとか、こども基本法を作ろうとかいうことができて、そうこうしておりますと、岸田総理が昨年一月に異次元の少子化対策をやるんだと言って、こども未来戦略ができて、それに基づいて法律が出て、今ここ、こういう一連の経過がありまして。振り返ってみますと、やはりここ三年ぐらいの勢いというのは大変に速いし、二〇〇五年とかの当時の自民党の空気を知っている人からすると、めちゃくちゃ異次元なんです。もちろん、もっと次元の高い方からすると、ようやくここぐらいかと言われるというお叱りはあるんだと思いますが、済みません、低次元の者からすると超異次元なんですよ、これ、という話でございます。

 あと、消費税、財源について話をしますと、消費税、さっき申しましたように、二〇〇四年の年金制度改革がスタートなので、実際に一〇%になったのは二〇一九年ですから、十五年かかっているんですね、五%上げるのに。だから、もちろん、これはいろいろな識者の方、この間の参考人の方とか予算委員会の公聴人の方とかで、消費税とか、そのほかの税のベストミックスみたいな話があったし、アカデミズム的にはそうなんだと思うんですが、消費税を上げるのはめちゃくそ大変だったというのをどうするのかということはクリアしないといけない課題だということは押さえておきたいと思います。

 ということで、こういうような経緯で、今日のような話というか、今回の法案の質疑を聞いていて、僕はすごいうれしいんですよ。ようやく子供支援の財源はできるし、それに対して真面目にいろいろな方々が議論していただいている。とてもありがたいことだなとまず思っていまして、そのことは感謝を申し上げたいと思いますし、喜びとしております。

 ただ、見解の相違というのはありまして、いろいろ思うところはありますので、ちょっとここから各論に行きたいなということであります。

 そうだ、触れ忘れました。足立先生、今日いないんですよね。

 資料の六ページ目に、三党合意の結果できた社会保障制度改革推進法というものの基本的な考え方のところが出ています。

 四項のところで、社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとすることということが書いてありますので、ここを御覧になると、何で今回消費税じゃないのだという議論はなし得るんだろうとは思っています。

 ただ、実は二項というところがありまして、社会保障の機能充実と給付の重点化、制度の運営の効率化を同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現することということもありますので、今回は、先ほどの本会議でも加藤大臣が御説明をされましたが、社会保障制度の改革をして歳出削減をして、それを充てるんだという話になっていますから、この二項の趣旨には沿うんだろうと思っています。

 だから、これはもう考え方ですが、消費税の話に入る前に、まず制度改革、社会保障制度の改革に踏み出す、そこから財源を取るのだということそのものは三党合意には反しないと思っておりますので、ちょっとそれは触れておきたいと思います。

 さて、じゃ、費用負担についてという話でございまして、スライドでいうと七ページ目ということになろうかと思います。

 もちろん、逆進性があるとか、先ほどの宮本先生のお話のように、国保の中でも市町村ごとによっていろいろな差があるよねとか、それはもう御指摘は当たると思っております。

 ただ、ある意味で、今回の支援金制度をよく言えば、いろいろな方々に広く薄く負担をお願いをする、できるだけ社会みんなで子育てを支えていこうという、その考え方に沿ったものだという言い方もできるんだろうと思っていますし、むしろ、逆進性が言われるぐらい、取りにくい方からもお願いをすることになるので、もちろんそのことをきちんと政府は説明をしないといけないというのはそのとおりだと思いますが、その上で、取りやすいから、お金を徴収しやすいから取るというお叱りをいただいたんですけれども、いや、そうじゃないと思うんですということは申し上げさせていただきたいなと思います。

 一方で、これも岡本先生、本会議のときに、総合課税、所得税と金融所得課税の総合化とか累進強化という話をされたり、法人税率の引上げという話をされました。実は、それは、高額所得者の方により負担をしていただこうとか、黒字の法人にもっと負担をしていただこうということになるから、僕、どんな税収でも、取ってきて、それで給付が増えればいいと思っているので、否定はしません、否定はしませんが、考え方として、より今の政府の提案の方がいろいろな人に幅広くお願いをしているという面があるということは申し上げておきたいと思います。

 また、広くいろいろな人に負担という意味では、消費税は本当にそうなりますが、これはやや自民党の内部的話になるかもしれません、消費税を上げようという話をすると、絶対に、財政再建が必要だといって財務省に持っていくんです。

 だから、今回のような保険料に乗せるという格好を取っているからこそ、全額が給付に入るということがきれいになっているということが、もちろん、うちの政権は消費税を上げてそれを全部給付に充てますという政党があれば、頑張ってという話ですけれども、多分、今の財務省さんはそんなに優しくないので、こういう話になるんだろうなというのは現実問題として念頭に置かないといけないんだろうと思っております。(発言する者あり)頑張ります。

 それから、最高裁の大法廷の判決につきまして、これは正直言って苦しいなと自分でも思っていますが。そもそも、この判決そのものは、国民健康保険料が、全員強制加入だし、税も入っているし、ほとんど税金じゃないのということが問われて、いやいや、憲法八十四条の規定が直接に適用されるものではない、こういう判断だというふうに理解をしています。その理由は、税金が入っているからといって給付に対する反対給付との牽連性は断ち切られないということと、強制加入、強制徴収は国保の目的及び性質に由来するものだからということだというふうに理解をしております。

 なので、今回の子ども・子育て支援金が創設をされたというときに、でも、給付のための反対給付という牽連性、一対一の対応ではないし、いろいろなお金の流れというのはいろいろなところに出ている、それはそうです、そうですけれども、牽連性が切られるものではないということは言えるんだろうと思っているし、社会連帯だとか、あるいは子供、少子化対策というものが社会保障制度全体に対して持続可能性を高めるという、これは政府の御説明だし、私もそう思いますけれども、そういうつながりがあるんだから、関係がないとは言えないんじゃないのと。

 あと、支え合いという意味では、当時も、出産育児一時金とか保険給付ではない保健事業とかがあったよねということがあるので、それは最高裁は分かっていただろうという話であります。だから、そういう意味では、そもそも、要するに、税ではないという言い方は適用し得るんだろうというふうには思っています。

 ただ、更に言うと、介護納付金とか、被用者保険の前期調整額、後期負担分とか、要するに、ほかのところにお金をどんどん拠出しているという構造は、その後はどんどん広がっていっていて……(発言する者あり)はい。だから、今、岡本先生がお話しになったりとか、西沢参考人がよくおっしゃる、要するに、保険としての給付と負担とのまさにつながりというのがどんどん薄くなっていっているよねと言われれば、それはもうそうですよねという、そこは別に否定するつもりはありません。

 次のページ、九ページに、これは医療保険の中ですけれども、やはりこれだけやりくりしているよねという、それは現実問題としてそうなので、その御指摘はそうだなと思っていますが。だから、西沢さんのおっしゃるのは、要するにこういう、制度の自治ということを考えれば一円でも外に出すのはおかしいという、それは全くそうなんです、言い詰めれば。だから、すごい原理原則的にはそうなんですけれども、済みません、現実既にもうこうなっちゃっているんですという話を、まあ問題視されれば問題なんですけれども、それはちょっと支援金の話じゃなくなっちゃうという話なので、というようなことなんだと思います。

 介護保険についても、介護保険は当然だけれども、子育てはおかしいと。いや、介護保険も別に医療と一緒じゃないよねという話は、要するに、訪問介護というのは掃除とか買物支援とかもあって、全然医療とは言えない部分はあるよねと。もちろん、最近、医療と介護が連携して一緒にやろうねというのをもっとやらなきゃという話が出ているというのは理解しますが、それは、でもそうだよねという話です。

 十二ページ目に行っていただいて。高久公述人の発言はちょっと飛ばしますが。

 個人的には、税か保険料かという話が出る一つの理由は、給付の方が保険っぽくないということになっているからかなというふうにも思うんですね。だから、これは今後、将来の話として、今回まず第一発目としてやらなきゃいかぬことをやらなきゃいけない、それに対しての財源も手当てしないといけないから、こんな形という御提案をすることになるわけですが。

 今後について言えば、それこそ、岡本先生が子育てケアマネジャーというお話をされました。例えば、こういうものをちゃんと生かしていって、保険者みたいなのをちゃんとつくって、保険給付みたいな形をつくることは、恐らく発展させていけばできるんだろうと思っていますし、もちろんそのときにはより一層の、財源をどうするんだということも含めて議論していかないといけませんが、ある意味で、そのためのスタート点に立つというのが今回の法案の意味なんだろうというふうに思っております。

 そこで、ちょっと加藤大臣にお尋ねをしたいと思っているんですが、要は、このプランができたらという仮定の下ですが、やはり今申し上げたような、子供真ん中保険とか僕は勝手に言ったりしていますけれども、そういうものとかに発展をさせていくような議論というのは続けていくべきだと思っておりますが、ここの点、加藤大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 昨年末に閣議決定したこども未来戦略では、子供、子育て政策の充実は決して加速化プランで終わるものではないとしてございます。また、今後三年間の集中取組期間における加速化プランの実施状況や各種施策の効果等を検証しつつ、子供、子育て政策の適切な見直しを行い、PDCAを推進していくこととしております。

 その際、給付と負担の関係を含めて、全体像が国民にとって分かりやすい制度となるように取り組んでいくことも重要であると考えております。

橋本委員 ということで、まずはもちろんこの法案の成立のために御努力をいただくべきではあると思いますが、その後につきましてもひとつ、これは我々もですけれども、議論していこうということは申し上げていきたいと思います。

 続きまして、実質的に負担増になることはないという御説明が今日もございましたし、ずっとされております。あっ、残り時間五分になっちゃいました。これにつきまして、十三ページに、これは井坂先生が作られた資料です。縦書きのものを横書きにしたんですけれども、よく分かりやすい資料、すごい分かりやすい資料。

 もうちょっと分かりやすく加筆をしたのが十四ページ目でございまして。要は、多分、保険料を出す財布を持っている人からすると、比較Aのような感じの比較をされる。要は、支援金がないときは保険料を払っていました、でも支援金ができましたといったら、保険料の上に支援金が乗るという格好にはなるので、それは増えるよねと、そういうふうに受け止めをされるというのは当然だと思うし、そういうふうに受け止めがされ得るということは政府も理解をされた上で、今後の御説明等当たっていただきたいとは思っています。

 一方で、政府が言う実質的に負担増になることはないというのは、比較Bのような、要は、支援金というのはある中で、一旦歳出削減をして、その分を支援金とかに充てるんだということにしているので、それ以上にはなりませんという説明をしている。それはそれで、支援金というのはどんどん大きくなっていくんじゃなくて、ちゃんと歳出削減の範囲でしかなりませんということを言っているという意味はあるんだろうとは思うし、逆に言うと、要するに、子供、子育ての給付をちゃんと続けようと思ったら歳出削減頑張れという話だったりはするということなので、むしろそっちの方に意味があるんだろうというふうに思っているところでございます。

 歳出削減、具体的にはよく分からないというのは、ちょっと後で行きます、はい。そういう説明。だから、それはそれぞれ、要するに、どういう比較をしているのかというのを明らかにしてお話しいただいた方が、それぞれにです、分かりやすいのではないかという話です。

 事業主負担についてです。

 事業主負担をなくすについていろいろな議論があるんですけれども、では、事業主負担がなくなったらどうなるかというと、それは被用者の方にその分がかかってくるので、可処分所得、減ると思います。一方で、事業主は、事業主負担がなくなるということは自由に使えるお金が増えるから、賃金は増えるかもしれないけれども、それ以外にも使われるかもしれない。そこは事業主の自由度が増えるという話なのであって。

 逆に言うと、公的保険において事業主の負担というのは、本来被用者が払わないといけないものを、半分事業者に払ってもらっている話だと思うんですよね。(発言する者あり)だと私は思いますという話です。だから、被用者にとっては、私は、メリットなんじゃないかなと思っているんです。そこは、では、ううんと言われているから議論があるかもしれませんが。

 それと、支援金制度、子育て世帯に負担があるんじゃないか。当然ながら、負担は一定あるのは、それは間違いないです、保険料に乗せるんだから。

 ただし、被用者保険の場合は、特に、給料が高い人が多くなるので、四十代、五十代が実は給料が高いという、現状でいうとそっちの方が重たいということになるのと、あと、さっき言った歳出改革、中身がどうかという話はちょっともう時間がないので割愛しますけれども、実態として今の、要するに社会保障の歳出改革というのは、結局、すごく煎じ詰めると、本人負担が増えるか、サービスが減るか、どっちかなんです。

 今、それを使っている人の多くの割合が、高齢者の人がやはり医療費についても使われているわけで、では、それを今のようなことをすると、高齢者の方に負担が増えるか、高齢者の人のサービスが減るか、どっちかということになることが多いです、ざっくり言ってしまえばです、マクロで。具体的に何をするかによって、そこは変わってきますけれども。

 だから、そういう意味でいうと、高齢者の方にも御負担をいただいて、それを子供の給付に回しているんだということは、そういう構造、政府はそこをつなげて言わないので、そういうふうにならないんですけれども、でも、実態、予算としてはつながっているので、そうなるはずでありますから。

 そういう意味でも、やはり今回の制度で、歳出改革をしたその果実というのは、子供、子育て世帯に渡るべきだという御主張があって、いや、今回の制度はまさにそうなんですよという話に結果的にはなるんだと思っています。(発言する者あり)なので、私がしているんです、済みません。

 あと最後に、ちょっともう公述人のスライドは外しますけれども、これは西沢公述人が衆議院予算委員会でおっしゃっていた話で、多分、ここの参考人でも同じようなことをおっしゃっていたと思うんですが、結局、与野党でちゃんと歳入についても議論して、いい結論を出して、それこそ、三党合意というのは僕はよかったんだと思っています。ああいう形のことができるだけ早く実現をして、みんなお互いに必要な負担をお願いしなきゃいけないのはお願いしなきゃいけないので、ちゃんとそういうことは議論ができていくといいなと思っておりますし、残念ながら、そういう環境にない中で今回の提案をしているから、私は、急いでまず今回の法律を是非通していただいて、その上で、みんなで胸を開いて議論しませんかというふうに思っていることでありますので、是非、そういう中で、引き続き御審議をいただいて、速やかに賛成していただければありがたいんですが。

 そういうことをお願いをいたしまして、済みません、私の質疑とさせていただきます。どうもありがとうございました。

谷委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私の方からは、支援金で賄う予定になっている一兆円、これの代替財源のお話をさせていただこうと思うんですが、まずその前に前提の確認です。

 資料の一ページ目、御覧になってください。一から五とありまして、五の一つ目のポツです。「全世代型社会保障改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、支援金制度の導入による社会保障負担率の上昇の効果がこれを超えないようにする」というくだりがあります。同じような文言が法案の附則四十七条というところにもあります。

 私が伺いたいのは、社会保障負担率の現状がどうなっているのか、そして、今読み上げた支援金制度の導入による社会保障負担率の上昇の効果というのはいかほどのものか、これについて、大臣、お答えいただけますか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、社会保障負担率は、令和六年度の見通しとしまして一八・四%であると承知をしてございます。

 支援金制度は、歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築をするため、全体として実質的な負担が生じないこととしており、法案附則第四十七条第一項の規定においても、委員御指摘のとおり、こうした方針を定めてございます。その際、社会保障負担率という具体的なメルクマールを設け、支援金制度の導入によって社会保障負担率は上がらないということを申し上げてございます。

 社会保険料全般について申し上げれば、高齢化等による社会保障給付の増加に伴って増加する可能性はありますが、国民所得の増加により足下でも社会保障負担率は低下する見込みと承知をしてございます。

階委員 昨日のレクでも言っているんですが、私が聞きたいのは、「社会保障負担率の上昇の効果」と書いてありますよね。それだけ単体で見た場合、どうなっているかということを聞いているわけですよ。

 一方で、歳出削減によって削る分もありますよ。ただ、私が聞いているのは、そっちは度外視して、この文言のとおり、支援金制度の導入による社会保障負担率の上昇の効果というのはいかほどなのかと聞いています。お答えください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりますけれども……(階委員「繰り返しじゃなくて、聞いていることに答えてください」と呼ぶ)はい。歳出改革等により保険料負担の軽減効果を生じさせ、支援金制度の導入によって社会保障負担率が上がらないと申し上げてございます。

 社会保険料全般については、高齢化による社会保障給付の増加に伴い増加する可能性はあるものの、国民所得の増加により足下の社会保障負担率は低下する見込みであると承知をしております。

階委員 もう一回聞きますよ。私、昨日ちゃんと通告したんですよ。加藤大臣、書面を見て答えるのを分かっているから、そごがないようにちゃんと通告していますからね。

 社会保障負担率の上昇の効果というのが支援金制度の導入によって生じることが前提となって、法律の文言が書かれているわけですよ。だから、私は、支援金制度の導入による社会保障負担率の上昇の効果、それだけ単体で見ればどれぐらいになるのかということを聞いているんですよ。通告していますよ。答えられなきゃ質問を続けられませんよ。(発言する者あり)

谷委員長 じゃ、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 速記を起こしてください。

 加藤国務大臣。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金の導入によって、まず、額の方では、一兆円の方を二八年までに積み上げていきますので、一兆円の規模になります。

 そして、率の方で申し上げれば、分母の方は国民所得を加味した数字になってきますので、この国民所得というのは現時点では正確にはお示しすることができないので、率として今申し上げることはできませんが、いずれにしても、分子の方は一兆円いただくことに対して……(階委員「そんなこと聞いていませんから。社会保障負担率の上昇の効果を聞いているんでしょう。何を聞いているんですか」と呼ぶ)率の方、そして、歳出改革を一兆円やりますので、分子の方が、差引き、負担が増になりませんので、分母が仮に、分母の方ははっきりは今のところ分かりませんが、先ほど申し上げたように、足下では国民所得が増加するという見込みがある中で、そのことを参考に、分子は増えないということは申し上げたいというふうに思います。(発言する者あり)

谷委員長 ちょっと時計を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 速記を起こしてください。

 加藤国務大臣。

加藤国務大臣 もう一度お答えを申し上げますと、まず、支援金の規模自体は最終的に一兆円にまで積み上げます。それは歳出改革で削減します。先ほど委員が引用された文章のところは、その一兆円によって生じる効果というところではありますが、率でいうところは、そこは、分母の国民所得が幾らになるかによって率は変わってまいります。

 ですので、その国民所得というものが二〇二八年の分がどうなるかは今現在ははっきり申し上げられないので、率としては申し上げられませんけれども、しかし、分子の点で上がるのが一兆円、いただくのが一兆円、そして歳出削減が一兆円、これで差引きでゼロになりますので、分母がいかなる場合であっても、そこの効果に、超えるものにはならないというその文言を踏まえて支援金制度をつくっている、そういうことで理解をしてございます。

階委員 さっき前段で、社会保障負担率の現状ということで一八・四%と言いましたよね。それが出ているんだったら、その一兆円が、一八・四%というのは多分前年度から幾らか増えているんだと思うんですよ。そういう一八・四%の発射台が一八・何%か知らないですけれども、それに対して一兆円の割合というのはどの程度かというのは、計算すればすぐ出てくるんじゃないですか。

 上昇率を聞いているんですよ。上昇率がどうかということを聞いているんですよ。だから、それは昨日すごいレクしたんですよ、私。大臣、聞いていますか、ちゃんと。

加藤国務大臣 先ほどは、二八年、実際に支援金が満年度化しますといいますか、積み上がったタイミングのことでは正確に申し上げるのは今の時点で難しいと申し上げましたが、今先生がおっしゃったように、例えば、現時点のものから参考になる数字としてということでよろしければ、〇・二二%となります。

階委員 〇・二二%上がるわけですよ、負担率は。負担率は上がりますよ。

 それを押さえた上で、次の質問。

 一兆円が出そろう、積み上がるのが令和十年度ということなんですが、令和十年度以降の社会保障負担率の見通しについて、令和十年度から十年ごとでいいです、令和十年度、二十年度、三十年度、大体どれぐらいになるか、教えてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度の導入に当たりましては、歳出改革等による社会保険負担軽減の範囲内で行うこととしてございます。

 これとは別に、社会保険料全般につきましては、高齢化等により社会保障関係費が年々増加していることに伴いまして、保険料負担が上昇することはあり得ます。

 社会保障関係費そのものは私の所管外ですので、御質問の社会保障負担率の見通しについて私からお示しすることは困難です。

階委員 これも昨日レクしているんですよ。関係省庁が必要だったら呼んでくださいと言ってレクしているんですよ。何やっているんですか。こんな前提のことすら答えられない。これで審議できますか。

 令和十年度、二十年度、三十年度、十年ごとに社会保障負担率の見通しがどうなるか答えてくれと、ちゃんとレクで言っているんですよ。答えてくださいよ、言っているんだから。(発言する者あり)

谷委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 速記を起こしてください。

 加藤国務大臣。

加藤国務大臣 将来の社会保障負担率につきましては、社会保障制度や経済の動向などに影響されるため、将来にわたる見込みを作ることは容易ではないのではないかと考えていますが、所管外でございますので、御理解をいただければと思います。(発言する者あり)

谷委員長 時計を、時間を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 時計を動かしてください。

 階猛君。

階委員 だったら、所管外だから答えられないじゃなくて、数字をお示しするのは困難であると一言言ってくれればいいんですよ。時間がもったいないじゃないですか。

 それで、言っておきたいのは、前段の方で、数字は分からないけれども、いずれ高齢化などで社会保障負担率は上がってくるとおっしゃいましたよね。それはいいですよね。それはいいですよね。(加藤国務大臣「あり得ます」と呼ぶ)ですよね。

加藤国務大臣 先ほどの答弁の中で、高齢化等により社会保障関係費が年々増加していることに伴って、保険料負担が上昇することはあり得ますと申し上げました。

階委員 結局、ここで〇・二二%、さっき負担率の上昇要因になるというお話をしましたけれども、これからどんどん社会保障負担率は上がってくるわけですよ。国民負担は今回の件とは関係なく上がってくるわけですよ。そういう中で〇・二二%の上昇要因を加えるということは、やはり国民にとって負担なんですよ。それを言いたいわけです。長々と大臣のおかげで時間が潰されましたけれども。

 そこで、こういう負担を増やすようなやり方ではなくて、これからますます社会保障負担率が増えていくんだったら、更に負担を増やす要因をつくるのではなくて、新たな負担を求めずに一兆円の財源を確保する方策をもっと考えるべきではないかと思うんですが、なぜそれを考えないんですか。お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の加速化プラン、総額三・六兆円程度の財源確保に当たりましては、現下の経済状況や財政状況を踏まえ、増税か国債発行かではなく、歳出改革によることを原則としてございます。

 具体的には、令和十年度まで、まずは歳出改革による公費節減で一・一兆円程度、既定予算の最大限の活用により一・五兆円程度、合わせて二・六兆円程度を確保いたします。これらを最大限調整することで、支援金は残りの一兆円程度の規模となりますが、それは歳出改革によって保険料の軽減効果を生じさせ、その範囲内で実質的な負担が生じないと申し上げております。

 危機的な状況にある少子化に対し、加速化プランを速やかに実行することが必要でありまして、その際、支援金という財源をも得て制度が安定的に維持される枠組み、これを構築することが、これから結婚、出産を考える若い世代が将来のライフプランを考える上でも、安定的に維持される枠組みということが重要であると考えております。

階委員 だから、その安定的に財源を調達する方法を、国民に負担を求めないでやる、そこを考えるべきではないかということを言っているわけですよ。なぜそれをやらないのかということですよ。

 私、本当に、今日質問に立って、同僚議員に、加藤大臣に質問するのは大変だという話をよく聞いていたんですけれども、その点よく分かりました。昨日もレクのときに、質問取りに来ていた若手の官僚の人も全然寝ていないとおっしゃっていて、もう本当に苦しそうでしたよ。やはり、大臣の答弁を書くのがどれだけ大変か、大臣がなるべく失敗しないようにということで、物すごい神経を使い、労力を使っているんですよ。

 大臣、本当にこれで、若い官僚、辞めた人もいると昨日どこかで聞きましたよ。厚労省の関係の方で、余りにもこの仕事、大変なので、将来を嘱望されていた女性の方が子育てできなくなって辞める、辞めたという話も聞きましたよ。

 大臣は少子化対策担当なんですよね。少子化を助長していませんか。あなたの存在自体が少子化の問題を進めていませんか。(発言する者あり)本当のことを言っていますよ。本当のことを言っていますよ。これだけ質問をしてもちゃんと答えられない大臣って、本当に必要なんですか。もっとこちらにも優秀な方はいるでしょう。失礼じゃないですよ。答えていないんだもの。答えてくださいよ、ちゃんと。(発言する者あり)昨日の昼にしています。それは申合せどおりです。昼にしていますから、何も問題ないです。

 大臣、大臣、答えてください。その任にあらずだと思いますけれども、どうですか。

加藤国務大臣 御期待に沿える答えではないかもしれませんが、政府のスタンスとしてこういうお答えになりますが、まずは、増税か国債発行かではなく、我々がこの法案を考えているのは、なるべく若い世代にも、また、拠出いただく方にも負担が増えないことを考える、その策として、まずは歳出改革、これによって公費節減で一・一兆円、そして既定予算の最大限の活用により一・五兆円、合わせて二・六兆円程度を確保します。これらを最大限調整することによって、支援金制度を構築していくということにしてございます。

階委員 もういいです。先に進みます。

 私どもの提案を申し上げます。二ページ目の資料を御覧になってください。

 ETFを日本銀行が簿価で三十七兆、時価で七十兆円以上保有しているわけです。これの扱いに困っている、どう処理するかは大きな問題だというふうに日銀総裁も国会でおっしゃっていました。

 そこで、一兆円の財源の捻出、国民の負担を求めずにやる方法を我々で今検討中です。もちろん税制改正も、子供の財源はこれからもっと必要になると思いますから、それはそれでやるべきなんですけれども、さっき大臣もおっしゃった迅速に安定的な財源を確保する方策として、こういうことが考えられるのではないかということを今から申し上げます。

 まず、子ども・子育て支援金は廃止した上で、現在、日本銀行が保有しているETFから得られる分配金収入を代替財源として活用するための措置を講ずるということで、どういう措置かというと、日本銀行がETFを政府に売ります、簿価三十七兆円、簿価で売ります、対価は現金ではなくて交付国債、これは小切手のようなものです、こうした形で売る。そして、政府が買い取ったものは特別会計に入れて、分配金や、あるいは市場に影響を与えない範囲で徐々に売却をしていって、それで得た収入。

 こうしたものが、我々の試算だと、分配金だけで現在の株価水準だと一兆四千億円程度入ってくる。これが、仮に上下三〇%ずつ動いたということを仮定しましても、マイナス三〇%でも一兆一千億円ぐらい入ってくるという試算をしております。そういう安定財源でもあるし、また、今日銀が持っているものを速やかに移せば、すぐ一兆円使えます。そういうものを私はやるべきだと考えています。

 そこで、財務省に伺います。

 まず、財政法五条という条文があって、日銀が国債を直接引き受けることは原則として禁止されています。その趣旨は、いわゆる財政ファイナンスで、国債発行による資金調達に歯止めがかからなくなるということを防ぐ、そこにあると思います。交付国債というのは、資金の調達のための手段ではなくて、政府の支払い手段ですので、これは財政ファイナンスという批判を招くことなく、したがって、財政法五条で禁止されている日銀の国債直接引受けに当たらないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 いわゆる交付国債というものは、一般に、債券の発行に伴う発行収入金を伴わない形で、国が金銭の給付に代えて交付する国債とされております。

 また、財政法第五条は、全ての公債の日銀引受けを禁止し、市中消化の原則を規定しておりますが、これは、戦前戦中に大量の公債を日銀に引き受けさせ、無軌道な財政出動を行った結果、急激なインフレを引き起こした反省に基づいて規定されたものです。

 その上で、仮に何らかの対価を前提として交付国債を日銀に直接引き受けさせる場合は、金銭給付を将来に繰り延べるという点において、政府の財源調達を目的としていると考えられるため、財政法第五条が禁止する公債の日銀引受けに当たると解しております。

階委員 それでは、五条ただし書の特別の理由があるということで、国会の議決を経た上で発行するとか、あるいは、そもそも赤字国債だって特例公債法を作ってやっているわけだから、法改正をして行えばいいと思うんですね。そういう理解でよろしいですか。(発言する者あり)

谷委員長 時計を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 速記を起こしてください。

 吉野財務省主計局次長。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど政務官より御答弁がありましたとおり、御提案にあったようなスキームにつきましては、公債の日銀引受けとして、財政法第五条で禁止されているものとは考えております。

 その上で、日銀が保有するETFにつきまして、日銀が物価安定目標を実現するための金融政策の一環として保有しているものであると認識しておりますことから、ETFの売却を含め、その取扱いにつきましては、金融政策の一環として日銀において検討されるべき事項でございまして、政府として、まず、その是非についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、条文を先ほど御指摘いただきましたとおり、五条のただし書にはそのように規定がございますので、それが仮に行われた場合に五条の本来の趣旨を潜脱するものになるのかどうか、そこは検討の余地が必要だと思います。

階委員 検討の余地はあるということでした。

 次に、日銀に伺います。

 私、昨年六月の財務金融委員会で、ETFを日銀が簿価で売却することも可能だということを植田総裁に確認しています。

 その上で、この三十七兆円という対価を交付国債で受け取るということ、今申し上げたんですが、これが日銀として可能なのかどうか、お答えください。

清水参考人 お答え申し上げます。

 御提案いただいた案も含め、保有するETFの活用について様々な議論があることは承知してございますけれども、個別の提案に対して具体的にコメントすることは差し控えさせていただければと思います。

階委員 否定はされていないので、次に進みます。

 ETFを仮に日本銀行が政府に売却すると、今入ってきている年間一兆円を超える分配金収入が途絶えるわけですね。このことについて、これから日銀が利上げすると、当然、今入ってくる超低金利の国債の利息収入を、当座預金で日銀が払う支払い利息が上回って逆ざやになるわけですね。逆ざやになって多額の赤字が出るかもしれない。それを埋め合わせる原資が、分配金収入がなくなることによって薄くなってしまうという問題があるかと思います。

 このことを捉まえて、ETFは日銀は持ち続けるべきだという議論もあるんですが、日本銀行はそもそもそんな分配金収入を当てにしていなかったはずです。リスクプレミアムに働きかけるという異次元緩和の目的のためにETFは購入しているわけだから、私は、ETFは分配金収入がなくなったとしても売却は可能だというふうに考えていますが、いかがでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 ETFの分配金が仮にゼロとなりますと、その分、日本銀行の収益は下振れることになります。その上で、日本銀行では、これまでの大規模な金融緩和の実施に当たりまして、準備金の積立てや債券取引損失引当金の拡充など、必要な財務面の手当てを行ってきたところでございます。

 もとより、中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策をめぐる無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがあるため、引き続き、財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

階委員 要は、ETFを保有し続けなければ財務内容が損なわれるとか、そういうことではないということでいいですか。ちゃんと引当金とかを積んであるから、そこは問題ないということでいいですか。外部からの評価がどうかは別として、日銀自体としては、財務内容は問題ないというふうに承っていいですか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、日本銀行としましては、準備金の積立てや債券取引損失引当金の拡充など、必要な財務面の手当てを行ってきているというふうに考えてございます。

階委員 必要な手当ては行っているということなので、今の点を考えると、売却は可能であると。

 問題は、さっき交付国債の話をしました。財務省もややちょっと悩むところだったと思うんですが、仮に日銀が代金として交付国債を受け取ったというときに、交付国債を換金、正確に言えば償還ということになるんでしょうか、要は現金に換えなくちゃいけないわけですね。それがどういうタイミングでどういうペースでやるか、これもすごく悩ましいところなんですね。早過ぎてもいけないし、遅過ぎてもいけない。ただ、これは政府も資金繰りが大変ですから、ここは政府と日銀でまさにアコードを結ぶなりして、柔軟に交付国債の償還を進めていくのがいいのではないかと思いますが、この点について日銀の見解をお願いします。

清水参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点、立法措置の要否等につきますので、この点は国会において御判断されるものでございますので、日本銀行として具体的にコメントすることは差し控えさせていただければと思います。

階委員 立法を手当てした上で償還時期について柔軟に考えるということは、日銀として支障はありますか。

清水参考人 お答えいたします。

 立法の関係でございますので、具体的にコメントすることは差し控えさせていただければというふうに思います。

階委員 答えづらいところもあるかもしれませんけれども、否定はされていないわけですね。

 そういうふうにしてETFを特別会計に入れて、毎年毎年一兆円を優に上回るお金が入ってくる。これを、問題となっている、分配金で調達する資金、一兆円の代わりに使ったらどうかなと思うんですけれども、加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 日銀が保有するETFは、日銀が物価安定目標を実現するための金融政策の一環として保有しているものであると認識をしております。

 したがって、ETFの取扱いにつきましては、金融政策の一環として日銀において検討されるべき事柄であり、日銀の独立を尊重する観点から、政府としてコメントすることは差し控えるべきと考えております。

 子供、子育て支援策の強化のための財源につきましては、歳出改革を基本とし、それによって生じた社会保険負担の軽減効果の範囲内で支援金を構築することで、実質の負担が生じないこととしつつ、支援金は、少子化対策に受益を有する全世代、全経済主体が、社会連帯の理念を基盤として、子供、子育て世帯を支える仕組みとすることとしており、この方針に従って取り組んでまいります。

階委員 まず、もうもはや日銀はETFの購入をやめました。異次元の金融緩和は役割を終えた、これを三月の終わりに日銀総裁が発表されました。そして、持っていること自体は、これは異次元金融緩和とは全く関係ないことです、金融政策とは関係ないことです。どう処分するかは植田総裁も考えるということでした。

 考えるに当たって悩ましいのは、市場で売却したらかなりインパクトが大きいわけですよ。市場を通さないで交付国債という形でそのまま政府に移すということは、日銀にとってはむしろいい話ですよ。

 さらに、支援金、支援金と言われますけれども、さっき最初におっしゃったじゃないですか、〇・二二%、国民負担率の上昇要因になると言っているんですよ。国民負担率を上昇させなくても、ほかに原資があるならそっちを使えばいいじゃないですか。なぜそういう発想にいかないのか、不思議でしようがない。

 大臣、どうですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 ETFの取扱いにつきましては、金融政策の一環として日銀において検討されるべき事柄であり、日銀の独立を尊重する観点から、政府としてコメントすることは差し控えるべきと考えております。

階委員 政府が考えられないんだったら、我々が提案させていただきますので、是非国会で議論しましょう。

 質問の時間が終わりましたので、あと最後にコメントだけさせていただきたいと思います。

 資料の四ページ目につけておりますけれども、我々は、これは少子化対策にも資すると思うんですが、いわゆる百三十万円の壁対策として、百三十万円を超えても社会保険料の負担によって所得ががくっと下がらないようにしようということで、就労促進支援給付を行うということに併せて、今回の子育ての政策の中では私は欠けているのではないかと思うのが、百三十万円前後の低所得者で一号被保険者そして未婚者、こういった方々は所得が低くてなかなか結婚できないというのがあるわけですね。

 少しでも所得を底上げしていくために、百三十万円の壁とパラレルに年収のゆがみを改善するための特定就労者支援給付、これをセットでやるのがいいというふうに思っております。

 またこの点は時間があるときに説明したいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 私からも、子ども・子育て支援法改正案、特に子ども・子育て支援金制度について、主にこども政策担当大臣の認識を伺います。よろしくお願いいたします。

 まず、子ども・子育て支援金における負担についてであります。実際に負担する被保険者、そして事業主、それぞれがどのくらい負担をするのか、また、それらの負担が公平かどうか、この観点から、こども担当大臣に伺います。

 まず、四月九日、被用者の年収別の支援金額(機械的な計算)が示されました。大臣、これは聞いてほしいんですが、一昨日、この質問通告を申し上げました後に、このいただいた資料について様々な意見や受け止めが国民の皆さんから届いております。どこが支援だ、五百円弱どころか、年収六百万円だと月千円、年一万二千円、共働きだと年二万四千円。現役世代、子育て世代に重い負担だ。ミルクも値上げ、おむつも値上げに加えて支援金という追加負担に、悲鳴と怒りの声が多く上がっています。

 大臣、こうした悲痛な声、届いていらっしゃるでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 様々なお声があるということは仄聞してございます。

城井委員 これまでの政府の言いぶりが、やはり、加入者一人当たり、そして被保険者一人当たりというところをあえてずらしてきたことがこの結果につながっているということは、十分重く受け止めてほしいというふうに思います。

 そこで伺います。

 政府から出されたのは、被用者保険に関する部分、年収別の支援金額でした。ただ、この内容を見たときに、様々な方から御指摘がある。何だったか。それは、国民健康保険についても明らかにするべきだ、計算が不十分だ。これは、四月九日の当委員会参考人質疑において西沢和彦参考人も指摘をされたところであります。

 さて、細かく通告をさせていただきましたが、この国民健康保険、市町村国保における年収別の支援金額は、年収二百万円、四百万円、六百万円、八百万円、一千万円のそれぞれで幾らになるか、大臣の認識を教えてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 これまで、こども家庭庁としましては、加入者一人当たりの金額に加えまして、三月の二十九日には医療保険制度ごとの支援金額の幅広い試算について公表し、その中で国保については、給与所得のケースで軽減措置の対象となる年収八十万から三百万円の場合の年収別支援金額をお示しをし、さらに、国保の令和十年度の支援金額につきましては、令和三年度の医療保険料額の五%程度であることの比較、こちらの方もお示しをしてきたところでございます。

 こうした中で、先日の質疑において、被用者の年収別支援金額のお求めがございましたので、それに対して対応し、今週、それを補足的にお示しをいたしました。この試算において、御指摘のうち年収二百万円の場合は、応益分の二割軽減により、加入者一人当たり月二百五十円であるとしています。

 これ以上、様々なケースにつきまして一つ一つに回答するのは難しいところではございますが、国保の被用者の世帯で見ますと、年収四百万円未満が約九割を占めるため、御指摘のうち年収四百万円以上については上位一割を更に細かく区切って見ていくこととなり、留意は必要であります。

 その上で、あえて同様の方法で支援金額を計算させていただくとすれば、その上位一割に該当する年収四百万円の場合は、加入者一人当たり月五百五十円、年収六百万円の場合は、上位約五%に該当し、更にサンプルが少ないため、本当に御参考までにはなりますけれども、月八百円となります。

 なお、こうした方々は、支援金の拠出だけでなく医療保険料の拠出も多く、それに見合う社会保険負担軽減効果も大きいものだと考えてございます。

城井委員 今、少し収入の低いところについて新たにお触れいただけたかというふうに思いますが、この市町村国保での年収別の支援金額の負担も政府からきちんとまとめて示すべきだというふうに考えます。支援金負担額を確定する基となるのが、市町村、一千七百十六か所ありますが、このそれぞれでの被保険者の平均保険料負担が異なる実態があるから、それぞれやはり出すべきだというふうに思っています。厚生労働省が昨年十月に保険料水準統一加速化プランというのをわざわざ策定して、今年度から令和十一年度にかけて都道府県内での保険料水準の統一を加速するように促しているくらい、ばらばらです。

 加えて、お手元、資料を御覧ください。国民健康保険の被用者の保険料負担は、被用者保険の本人負担に比べても、そして年金受給者に比べても、顕著に重い現実があります。加えて、国民健康保険の被用者は五百万世帯にも上ることも踏まえなければなりません。この中には、非正規雇用の方、フリーランスの方、ギグワーカーも多く含まれます。この五百万世帯の被用者も含めた市町村国保の被保険者に対して、同様に支援金負担額をきちんと示すべきであります。

 この国民健康保険の年収別の支援金負担額、先ほど口頭でおっしゃっていただきましたが、きちんと年収別の一覧表にして、被用者保険と同様に私どもに示していただけますか。

加藤国務大臣 国保の年収別ということでの、収入、先ほど六百万円の方までお示しをしましたが、更に年収八百万円や一千万円もお求めということでございましたら、年収八百万円の場合は、機械的に計算したらということになりますが、加入者一人当たり月一千百円となりますが、国保の被用者としてこうした方はごく少数という状況であります。上位二%になります。そういう状況であります。

 なお、年収一千万円の場合は賦課上限に該当する可能性もございまして、支援金の賦課上限について、被用者保険におけるルールとのバランス等を考慮して、そこは、上限につきましては徴収の前年度に定めますことから、現時点で申し上げることはできません。

 なお、一千万以上の国保の方というと、上位約一%になります。

城井委員 ということを踏まえて、一覧表で私どもにお示しいただきたいと思いますが、お願いできますか。

加藤国務大臣 お求めの、年収ごとの国保の機械的な計算としましては、今申し上げたとおりでございます。(発言する者あり)

谷委員長 不規則発言はやめてください。

城井委員 今ほど御答弁いただいた内容も含めて、国民健康保険の年収別の支援金負担額について、資料でいただけますか。

加藤国務大臣 金額そのものは、機械的な計算そのものは先ほど申し上げたとおりでございますが、資料としての御提出については、国会での御議論の材料ということでございますので、国会の御判断に従いたいと思います。

城井委員 今の大臣の御答弁を踏まえてですが、今ほどは国民健康保険について申し上げましたが、同様の議論が後期高齢者医療制度についても必要だというふうに考えます。

 この国民健康保険と後期高齢者医療制度についての年収別の支援金負担額について、政府から明確にお示しいただくようにお願いいたします。

 お取り計らいを、委員長、お願いします。

谷委員長 後日、理事会において協議をさせていただきます。

城井委員 通告二番目を後に回して、三番目に飛ばせていただきますが、そもそも、市町村国保における子ども・子育て支援金に伴う負担でも、各市町村間において不公平が生まれます。一千七百十六の市町村国保ごとに年額平均保険料は異なり、そのことで、同じ国民健康保険の仕組みの下であっても支援金負担額がばらばらになるのではないかということを懸念します。

 資料を御覧ください。例えば、令和四年十二月十二日開催の京都府の国民健康保険運営協議会で報告された令和三年度決算報告によりますと、年間の平均保険料が最も高額なのは、全二十六市町村の中で唯一、十万円台となる、久御山町の十万二千百七十八円でした。最低は、府北部にある伊根町の五万七千七百九十六円で、同じ国保であるにもかかわらず、京都府内の最大格差は一・七六倍と顕著な差です。

 この久御山町と伊根町では、国民健康保険における子ども・子育て支援金の平均負担額は、大臣、年額でそれぞれ幾らとなりますか。その差は幾らか。この自治体格差が支援金の不公平につながるとの指摘であります。大臣の事実認識と見解を教えてください。

加藤国務大臣 まず、事実認識と見解ということではございますが、市町村国保における実際の支援金の拠出に当たりましては、市町村が条例において賦課方法を定め、それに基づき決定されることとなりますため、現時点で個別の市町村における支援金額についてお答えすることは困難でございます。

 ただ、一般的に申し上げれば、市町村間における国民健康保険料の差は、市町村間の医療費水準や所得水準の差を反映していると考えられますが、他方で、支援金につきましては、医療保険料と異なりまして、市町村間の医療費水準の差は考慮しませんので、支援金額も医療費によって異なるといったことにはなりません。

 一方で、市町村間の所得水準の差につきましては考慮することから、所得水準の高い市町村の平均的な支援金額は、低い市町村と比べて高くなる、このような差が出てくると考えてございます。

 市町村間の所得水準の違いに応じて市町村が納付すべき額が決まり、それを基に保険料や支援金が賦課されるという枠組みにつきましては、これは負担能力に応じた拠出ということでありますので、適切なものと考えてございます。

城井委員 これまで大臣から、是非所得に掛け算をしてください、四%から五%だ、支援金については保険料の四、五%だ、掛け算してくださいということでした。その説明によりますと、市町村国保での掛け算の数字は五・三%ということでした。これを掛け合わせますと、久御山町の場合は五千四百十円、これは約ですが、伊根町では約三千六十三円ということで、ここだけでも二千三百五十円の、かなりの差が、大きな差が生じる計算というふうになります。

 同じ国民健康保険の下にあってこの支援金負担の不公平が生ずることはいかがかと、先ほど所得水準のことについてお触れになりましたが、ばらけてしまうのではないかということを懸念しますが、この点いかがですか。

加藤国務大臣 支援金については、医療保険料と異なりまして、市町村間の医療費水準の差は反映されませんので、そこでの違いは出ないと考えております。

城井委員 大臣、これまで、お支払いになる健康保険料について、四%、五%、掛け算をしてください、こういう説明でした。保険料に掛け算してくださいということでしたが、今の話とずれるんじゃないですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 三月二十九日に出させていただいた資料の中で、おおむね四から五%といった中で、国民健康保険について五・三%というのは、これはその制度の中における平均的な数字ということでございます。

城井委員 その平均的というところにわながあるのではないかということで思うわけであります。市町村でそれぞれ、平均の年額の保険料はばらけている。もう一つ申しますと、全国ではもっと大きな市町村の格差がこの保険料にはあるわけです。

 資料を御覧ください。例えば、平成二十九年度決算ベースで、最高は、北海道の天塩町というところの年間平均保険料が十九万八百七十円にも上ります。最低は、東京都の御蔵島村というところで五万六千二百三十四円。格差は三・四倍です。

 この天塩町と御蔵島村で、国民健康保険における子ども・子育て支援金の平均負担額、年額でそれぞれ幾らになるのか、その差は幾らか。先ほどの五・三の掛け算ですとどうなるかというと、天塩町では一万百十六円、御蔵島村では約二千九百八十円で、この差は年間で約七千百三十六円もの負担金額の差が生じてしまうというのが計算になります。ですので、いわゆる平均で、概算ですということでは済まない差が生まれてくるのではないかというのが私からの指摘なんですが、この点どうお答えになりますか、大臣。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 市町村国保における実際の支援金の拠出に当たりましては、市町村が条例において賦課方法等を定め、それに基づき決定をされることとなります。このため、この条例が定められていない現時点で個別の市町村における支援金額についてお答えすることは困難となります。

 また、先ほども御説明をいたしましたけれども、支援金においては、医療費の差は考慮をしない一方、市町村間の所得水準の違いに応じた差は生じますが、これは負担能力に応じた拠出として適切なものであると考えております。

城井委員 そうすると、今の御説明と、元々おっしゃってきた五・三%の掛け算をしてくださいというのは、かなり説明としてはずれているし、はっきり言って、うそを言ってきたというふうにも指さされても仕方ない部分があるんじゃないでしょうか。もう一回お答えください。

加藤国務大臣 いずれにしましても、国保の五・三%は平均でありまして、目安のイメージでございます。

 また、支援金を拠出はいただくことをお願いしてまいりますけれども、負担の大きい方ほど、裏で行われる歳出改革による負担軽減、これの方も大きくなる傾向があるということを御考慮いただければと思います。

城井委員 減免やあるいは滞納の件は後ほどお伺いしたいというふうに思いますが、それにしても、元々同一の所得であるのに、被用者保険とそして市町村国保といった、保険者が異なることで、最終的に同一所得でも支援金の負担金が異なるケースが出てくる、これは国民にとっては不公平ではないかというふうに考えます。

 本日午前中の連合審査で宮本徹委員が示した試算でも、支援金負担額が、年収四百万の場合、被用者保険では六百五十円に対し、国民健康保険は一千四百円、年収六百万円の場合は、被用者保険一千円に対し、国民健康保険二千百円、これはそれぞれ二倍以上と、不公平な状況が示されたところであります。少なくともこれは公平な負担にすべきだ。

 先ほど、条例で、条例でと言いますが、最終的には国がある程度基準を示すべきではないか。少なくとも、被用者保険での年収別の支援金負担額に国民健康保険での年収別の支援金負担額を合わせるべきではないでしょうか、大臣。いかがですか。

加藤国務大臣 国保と被用者保険の支援金額の比較につきましては、国保について、お住まいの自治体、収入、世帯などの置き方によって結果が異なることもございまして、一概に比較することは困難であると考えております。

 また、被用者保険と国民健康保険では賦課の方法が異なりますが、これはそれぞれの制度ごとの特性に応じたもので、一定の合理性があるものと考えております。

 こうした中で、支援金の賦課方法は基本的に医療保険制度に準じた取扱いとなり、どの制度においても、令和三年度の医療保険料の四から、先ほどは国保は五・三%という額でお示しをさせていただきましたが、その拠出をいただくものでありまして、不公平なものではないと考えております。

城井委員 医療保険に準じたり、それから離れたり、忙しいわけでありますが、被用者保険と異なりまして、国民健康保険の負担金の料率は、先ほど条例という話もありましたが、これから決めるはずであります。地域や保険者が違っても公平な負担であるということが国民の理解につながるというふうに考えます。その点が、これまでの御説明では少なくとも腹に落ちる説明にはなっていませんし、公平な負担でなければやはり国民の理解を得られないということは強く指摘しておきたいというふうに思います。

 次に参ります。子ども・子育て支援金制度に伴う導入コスト、徴収コストについて伺います。

 大臣、この子ども・子育て支援金の導入コストと徴収コスト、それぞれ幾らになると認識していらっしゃいますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度は令和八年度から導入されるものであり、御指摘の導入コスト、徴収コストに当たる必要な経費につきましては、その施行に向け、国による財政支援を含め、適切に検討を進めてまいります。なお、支援金につきましては、既存の医療保険制度の仕組みを活用して医療保険料と併せて賦課徴収するものであることから、コストについて効率化されるものと考えてございます。

 いずれにしましても、事務費について、どのような経費がどの程度必要であるのか、支援金と医療保険料の徴収業務が一体的に行われることを踏まえまして、医療保険者等の関係者の皆さんの御意見も伺いながら検討を進めてまいります。

城井委員 仕組みを議論する法案審議の場でコストも示していただけないというのは、極めて問題だ、不誠実だというふうに考えます。

 実際に保険者は何団体あられるか。三千四百もあるわけであります。関わる企業は四百万を超えます。そして、社会保険診療報酬支払基金にも負担がかかってきます。一体どれぐらいコストがかかるのか、その財源は誰が持つのか。実際に事前にこども家庭庁から聞いたときも、施行に向けて検討という答えではありました。でも、これはこの法案の審議時に答えるべきであります。

 この導入、徴収コスト、そしてその財源をどうするか、大臣、きちんと国民に向かって、国会に向かって説明してください。お願いします。

加藤国務大臣 支援金は医療保険料と併せて賦課徴収することから、コストについては効率化されるものと考えております。その上で、保険者、企業、社会保険診療報酬支払基金等においてどのようなコストが生じるかにつきましては、令和八年度の施行に向けて検討をしてまいります。

 法案審議時に説明すべきとの委員の御指摘でございますけれども、導入コスト、徴収コスト、いずれも、法案の成立を受けて、施行に向けて実務を具体化していく過程で本格的に検討、精査していくものと考えてございます。そのため、国による財政支援の在り方を含め、施行に向けて医療保険者等の関係者の御意見を伺っていく必要がございまして、今後しっかりと検討を進めてまいります。

城井委員 閣法の法案提出前に関係者の意見を聞いて、かかるコストの目安を持った上で、私どもに、数年後始める仕組みはこれぐらいのコストで始めますよということをきちんと説明するというのが本来の政府の仕事だというふうに思います。我々が保険者の皆さんから、これを徴収するときに幾らかかりますかねと聞かれたときに、政府の見立てはこうですよというのを今は説明できない状況です。これ、説得できるんでしょうか。

 次に聞きます。支援金における保険者の役割と負担についても確認をさせてください。

 保険者はそもそも徴収のみを担うんでしょうか。保険者が支援金を納付できない場合、実際には保険者が納付義務者になるのではないでしょうか。

 資料を御覧ください。例えば市町村国保ですと、高齢者の減免が多かったり若年層の滞納が多かったりするという状況です。各市町村でも状況が違います。

 徴収された医療保険料とそれに加えての支援金の総額が賦課額に満たず、保険者の選択にもよるとは思いますが、全て医療保険料を優先して充当されたら、支援金不足となって制度が機能しなくなるということが想定されるんじゃないでしょうか、大臣。つまり、被保険者によって納付されなかった支援金の不足分の負担を保険者が強いられる仕組みということになるのか。こういう理解でよいか、大臣、明確に示してください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金制度におきましては、医療保険者に対して支援納付金の納付義務が課され、医療保険者がその納付に要する費用を支援金として医療保険料と併せて被保険者から徴収をいただくこととしてございます。したがいまして、仮に被保険者等が滞納したとしても、医療保険者において支援納付金の納付義務が免除されるという性質のものではなく、賦課された金額を拠出いただくことになります。

 医療保険者には、支援金を活用して被保険者に広く児童手当等の給付が行われることや、実効性のある少子化対策によって医療保険制度の持続可能性が高まるものであることを踏まえ、支援金の適切な賦課徴収をお願いしてまいりたいと考えてございます。保険者の皆様にもしっかりと支援金の必要性について説明してまいります。

城井委員 今、なかなか、とてつもない答弁をいただいたと受け止めていますが、今大臣おっしゃったのは、保険者が、事実上、支援金は強制的に徴収される、足りない部分は徴収される、こういうことをおっしゃったんですね。お願いします。

加藤国務大臣 当初から御説明をしていることでございますが、支援金制度においては、医療保険者に対して支援納付金の納付義務が課され、医療保険者がその納付に要する費用を支援金として医療保険料と併せて被保険者等から徴収をいただくこととしておりまして、また、仮に被保険者等が滞納したとしても、医療保険者において支援納付金の納付義務が免除されるという性質のものではなく、賦課された金額を拠出いただくこととなっております。

城井委員 保険者が支援金の全部又は一部を納付しない、あるいはできない場合は十分あり得るし、想定すべきだと考えるんです。

 保険財政が厳しく、つまり、被保険者の収入レベルが厳しい場合、低い場合、支援金はおろか本来の役割である医療保険料も必要な全額を徴収できない保険者の場合に、これはどちらを優先して充当するのかということを考えるわけでありますが、今ほどの説明でありますと、事実上の支援金強制徴収、保険者に義務的に負担させるのは、それはもう説明済みだ、こういう話でありますね。

加藤国務大臣 繰り返しにはなりますけれども、医療保険者に支援納付金の納付をお願いし、医療保険者において、その納付に充てるために被保険者等から医療保険料と併せて支援金を徴収していただく仕組みでございまして、滞納のケースにつきましても、この仕組みの中で御対応いただくことになります。

 支援金は医療保険料と併せて拠出いただくことから、支援金のみが滞納となることは基本的に想定をしておらず、また、介護納付金についても同様の仕組みとなっており、支援金についてのみほかと異なる仕組みを設けることは現実的ではないと考えております。

城井委員 元々保険財政が厳しい保険者はたくさんあると思いますし、それに伴って納付いただく支援金ということになりますと、不足してくる部分は想定すべきだというふうに思います。

 では、大臣、今の御答弁に絡んでお聞きしますが、仮に、支援金を納めるべき全額に届かない、不足分が出た保険者は、どのような手段でその保険者が不足分を賄うという想定ですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度におきましては、医療保険者に支援納付金の納付義務が課された上で、繰り返しになりますけれども、医療保険料と併せて支援金を徴収いただく仕組みとしていますが、仮に、徴収されたそれらの総額が納付すべき額に満たない場合であっても、各健保組合等が積み立てている準備金等を活用することで適切に納付が確保されることとなるものと承知をしてございます。

 この取扱いは現在の医療保険料と介護納付金においても同様と承知をしており、支援金でも同様の取扱いとする予定でございます。

城井委員 準備金を取り崩せという驚きの答弁でありました。

 企業の健保組合などの保険者は支援金納付の集金は求められますが、その資金の規模や使い方についてはこども家庭庁が決めるということになります。でも、この上乗せ分については保険者機能は発揮できないということです。これは保険者自治の侵害だというふうに私は考えます。

 現場の保険者の皆さんから一つ疑問がありましたので確認をいたしますが、今回の支援金の資金規模につながる、被用者保険の支援金の料率でありますが、これは政府が決める、そして料率は被用者保険の中で同じ、この二点を確認したいんですが、この理解でいいですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金率につきましては、実務上、国が一律にお示しをしてございます。

城井委員 時間も迫ってまいりましたが、最後に一問だけ。

 大臣はこれまでに歳出改革ということをおっしゃってこられました。ただ、通告でいうと二つ目になりますが、改革工程では検討メニューにとどまっています。これまでも、政府から、幾度となく、歳出改革はどの項目でやりますかと聞いてきたんですが、医療や介護での歳出改革は相当厳しい道のりだと思います。これまでの三千七百億円をたたき出してきたところでも相当に苦労してきたのに、あと、どこから搾り出すつもりなのか。歳出改革に大きく貢献する具体的な取組を幾つか教えてほしいと思いますが、お答えいただけますか。これは厚生労働省からお願いします。

塩崎大臣政務官 城井委員からの御質問にお答えします。

 歳出改革に伴う加速化プラン、こちらを閣議決定しておりますが、この財源確保に当たっては、令和五年度から令和十年度にかけて、公費一・一兆円を確保することとされております。具体的に、例えば令和五、六年の予算編成では、薬価等改定といった歳出改革を行いまして、公費で三千七百億円、これを確保したところでございます。

 また、令和七年度以降における歳出改革の具体的な内容を今御質問いただきましたけれども、こちらにつきましては、毎年度の予算編成過程において積み上げていくものでございますので、現時点で一概にお答えすることは難しいということは御理解いただければと思います。

 ただ、昨年閣議決定した改革工程において、例えば、窓口負担の見直し、医療提供体制の効率化、そして介護分野におけるICTの活用など、かなり幅広いメニューを具体的に列挙しているところでございまして、これらを、今後の改革努力を継続して、令和十年度までにしっかりと公費削減の効果を積み上げてまいりたいと思います。

城井委員 メニューだけでは不十分。それがどれぐらい歳出改革に貢献するかというのを示していただかないと、説得力はありません。しかも、この歳出改革の内容次第でサービスの悪化や窓口負担の増加、受診控えにつながるということがあっては、国民に対して納得のいく中身にはならないということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 ありがとうございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。

 今、歳出改革の話が出ましたので、質疑の順番を変えさせていただいて、まず、最後の、七番目の加速化プランのところから質疑をさせていただきたいと思います。七番の、最後からになりますので、よろしいでしょうか。

 加速化プラン、三年間集中的にされるということなんですが、この加速化プランが終わってからどうなるかということは皆さん非常に気になるところだというふうに思いますので、まず冒頭、この加速化プランの三年が終わってから、どういった次のステップに進んでいくのかということを加藤担当大臣にお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 子供、子育て政策の充実は、決して加速化プランで終わるものではございません。加速化プランの効果の検証を行いながら、政策の内容、予算を更に検討し、加速化プランの完了以降も施策の継続的な点検と見直しを図りつつ、こども家庭庁予算で見て、二〇三〇年代初頭までに国の予算の倍増、これを目指してまいります。

一谷委員 今、国の予算の倍増ということがあったんですが、これは非常に難しいのではないかなというふうに私は思います。

 先ほど歳出改革という話もありましたけれども、介護分野が、私の専門ではありますが、ICT化をするという話がありましたけれども、この話は私は十五年ぐらい聞いているような気がするんですね。民間でもかなり、私は関西ですから関西の行政と一緒に取り組んできましたけれども、ほぼ十五年前と今と何もICT化の分野は変わっていないように、基本的なところですよ。ICTのアプリやサービスは増えています。それが増えるのと、現場でそれを使って何か効率化しているというのは、これはまた別の問題だというふうに思うんですね。実際にこのICT化がもし進んでいるのであれば介護職員はもっと少なくても済んだはずであるんですけれども、そうはなっていないというふうに思いますね。

 ですから、まず、今までの歳出改革とこれからの歳出改革の違い、現時点でも、歳出改革で今、先ほど説明がありましたけれども、二〇二三年と二〇二四年で三千七百億という話がありました。私、三千三百億と思っていましたけれども、三千七百億という話がありましたけれども、これはほとんど薬価の改定だけで、一体どこを歳出改革を、医療の分野、介護の分野、されているのかなというふうに思います。

 そして、令和になってから、介護、高齢者の方の伸びと、自然に増えていきますから、その伸びを抑えられたのは令和二年度だけだというふうに私は今までの表をいろいろ見てきて思っています。それも、コロナ禍の中で、呼吸器疾患ですね、手洗いやマスクをしますからそういった予防ができて、かなりそこで呼吸器疾患の医療費が抑えられたというだけで、ほかの年度は令和に入ってから上回っているというふうに思うんですね、医療費と介護費が高齢者の方の伸びを。

 こういった現実を踏まえて、歳出改革を行いますから大丈夫ですと言われても、なかなか信じられないんじゃないかな。現場にいて私はそれはすごく信じることができないんですね。

 ですから、今からの歳出改革と、三年後の加速化プランが終わってから更に倍増させるというところの予算について、政府参考人の方に、具体的な計画というか、現実可能なのかということをお聞きしたいと思います。お願いします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 加速化プランが完了した後のことについてお尋ねがございました。

 年末に閣議決定をいたしましたこども未来戦略におきましては、三・六兆円規模の加速化プランとそれを安定的に支える財源、これを確保したところでございます。方針でございますけれども。

 それで、加速化プランが完了した後の更なる充実については、これは未来戦略にも明記をされておりますけれども、今後更に政策の内容を検討し、内容に応じて、社会全体でどう支えるか、あらゆる選択肢を視野に入れて更に検討するということが現時点で決定をしているところでございます。

一谷委員 今、これからの三年間の取組を見てロジックモデルやKPIや様々な指標で答えを出していくというのは分かるんですが、先ほど、改革工程の中で、窓口負担を増やすという、一割を二割にする、二割を三割にする、これは、サービスの内容が、結果がどうのこうの言わずにできることではあると思うんですね。そして、再三私はこの国会でずっと申し上げてきましたけれども、介護のところでいきますと、要介護一、二の方の、総合事業に移行させるというのを二〇一九年からずっと言うていますけれども、今回の改定でも、二〇二七年以降に先送りするということになりました。

 私は、地域支援事業は非常にいい事業だと思います。上限が決まりますから、その上限の中でどれだけいいサービスを出すかというのは、各自治体がかなり頭を使わないといけないですし、事業所にとっても、私は自分が事業をやりながらこんなことを言ったら怒られますけれども、無駄なサービスを出さないようにするということが、一定そういった力が働いてくると思うんですね。その中で、さんざんこれだけ先送りしてきているのに、検討しますでは、なかなか答えにならないと思いますので、まず、その一割、二割というところは本当にやっていくのか。

 これは病院や介護施設にとってはもう死活問題なんですよね。サービスが同じで、窓口負担だけただ倍になってしまうということになるので。これを本当にいつやるかということは、ばしっと決めないと、事業所にとっては、また延ばさはるわというふうな感じになっても困りますし、この辺りの本当に検討というのは、どこまでの検討をされているのかということをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 現時点で具体的に、加速化プラン完了後の財源、それから給付を含めて、具体的な設計というものがあるという状態ではございませんが、先ほど申し上げましたとおり、まずは加速化プランに全力で取り組んで、その効果の検証をしっかりPDCAを回しながらやっていく。その中で、将来的には予算倍増を目指す中で、給付と負担のバランスも含めて、それから、国とそれから自治体の現場の観点も含めて、しっかり、あらゆる選択肢を視野に入れつつ、議論をして決めていくということだと理解をしております。

一谷委員 今日午前中の連合審査では足立議員が新しい視点の質疑をされたんじゃないかなというふうに思っています。サービスを積み上げて三・六兆円になったのではなくて、元々、歳出削減、生み出せるお金が三・六兆円だったので、その中で収まるサービスが今並んでいるサービスであったということ。これは私は非常に納得をしましたし、今日は大臣からはそうではないというお答えをいただきましたが、現実、私はそうなんじゃないかなというふうに思うんですね。

 その中で、例えば、これは全世代、特に、橋本岳先生も先ほどおっしゃいましたが、この支援金をつくっていくに当たって、やはり高齢者の方には負担が必ず及びます。医療のサービスを低下させるか、窓口負担を増やすかしか方法はないわけですから、負担が行くわけなんですよね。そうなると、高齢者の方にもやはり理解をしてもらわないといけないとなると、歳出改革に協力をしてもらわないといけないというふうに思うんですよ。

 じゃ、歳出改革ができた分だけを子育て支援に回すんですというふうに説明した方が納得しやすいんじゃないかなというふうに思いますし、社会で本当に支えていくのであれば、私は、介護保険という、保険という名前がついたのがよかったなと思っているんですよ。だから、子供保険という、保険という名前をつけてしまって、アイデンティティーを変えたらいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これは朝の連合審査の意見を聞いて私、今ここで話していますので、回答できなかったらできなかったでいいので、もし回答できましたらお願いいたします。朝の連合審査の答弁も受けてですね。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 社会全体で子供、若者をどうやって支えていくかということについては、皆で支えていくということを第一義に、大事に考えつつ、そのやり方、方策については今後議論がされるべきであろうと思っております。

 なお、私の理解では、過去の御議論の中で、保険という言葉、特に子供保険という言葉を言葉として使うと、いわゆる保険事故若しくは保険リスク、つまり、子供を持つということが、ともするとよくないことだととらわれないかという御議論があったようなことも承知しております。

 いずれにしても、具体的なことについては、今後、まさに我々も含めて御議論いただければと思っております。

一谷委員 これは質問しませんけれども、今のを聞いていると、じゃ、介護保険は、介護を受けるということはよくないことなんじゃないかという理論になってしまうというふうに思いますし、今回、社会保障費でこれからの保険を、国民皆保険を継続させる、未曽有の少子化を乗り越えて日本を安定させていくということであれば、別に保険という名前の意味合いも変えてしまったらいいんじゃないかなというふうに私は思いますので、これは意見として述べさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)そう、いろいろな発想が要ると思うんですね。本当に少子化という大変な事業を乗り越えていくためにはいろいろな発想が要るので、是非政府の方には柔軟な考えを持っていただきたいなと思います。

 もう一つ意見を申させていただきますと、介護保険というのは、非常にうわっと急速にサービスが伸びたのは、一つは、やはり、株式会社が参入できてサービスがいろいろ柔軟に構築することができたということが最もいいんじゃないかなというふうに思うんですね。これは、高齢者の方というのは増えていくので、事業所にとっても、いいマーケットと言うと怒られますけれども、いい市場ではあるんですよね。

 ただ、少子化というのは、これからどれだけ少子化を食い止めていくかということになると、少し参入される方も少ないかも分からないですが、こういった民間事業所が入っていくような余地、そうすると、いろいろな、政府や我々では目にしないような子育て、少子化に対する新しいサービスというのがまた生まれてくるというふうに思うんですよ。

 実際問題、私も、子育てしながら、今、小学校に次上がって、遠くの小学校に電車に乗って今日も行っていますけれども、やはり帰ってきても共働きで家に誰もいないので、英語を習いながらといいながら、そこに預かっていただいているんですけれども、目的は。そういったサービスもなかなかやっていただけるところはないので、物すごい遠いところまでまた電車に乗って行かないといけないというような、そういった問題もありますので。

 是非、民間事業所が参入しやすいような、この三年のPDCAを回した後に、少し考えていただけたらいいのではないかなというふうに意見を申させていただきたいと思います。

 それでは、一番目の問題に戻させていただきまして、少子化対策の加速化プラン、これはこども未来戦略からきていると思います。こども未来戦略は元々こども大綱だと思うんですが、こども大綱が少子化対策になっているのかというところの質問を加藤担当大臣にさせていただきます。

加藤国務大臣 こども大綱は少子化対策になっているのかというところの御質問かと思いますが、こども基本法におきまして、こども大綱は、少子化社会対策基本法第七条の一項に規定する総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策を含むものとされています。したがいまして、こども大綱は、少子化対策を含む子供政策全体の基本的な方針や重要事項等を一元的に定めたものであり、少子化対策になっていると考えます。

一谷委員 では、これは政策的にはやはり少子化対策になっているというふうな話なんですけれども、これは、大臣からありましたとおり、一部は少子化対策のことも入っていますけれども、ほとんどがやはり、こどもまんなか社会というような、子供のウェルビーイング、子供の幸せを求めていくということだと思うんですね。

 ですから、政策面では、先ほどずっと答弁がありますように、若い方々の希望をかなえて、そして、できるならば少子化を反転させていきたいというふうなことだというふうに思うんですが、これを財源面から見ると、社会保障費を使って財源面から見ると、その答えというのは、合計特殊出生率がやはり二に行くことではないのかなというふうに思うんですね。ロジックモデルでいえば、ロジックモデルの右側の出口というのは本当に少子化の反転でありまして、結婚から十五から十九年が経過し、子供を産み終えたと見られる夫婦の平均出生子供数、これを増やしていくということになるのではないかなと思うんですよ。

 ですから、財源面から考えた答えと政策面からきた答えがねじれているので、すごく違和感があるのではないかなというふうに思うんですね。財源から考えたら、もう本当に合計特殊出生率を二以上に上げるということになるのではないかなと思うんですね。それが答えであれば、教育の無償化を三人目の方からするというような政策はちょっとちぐはぐになってくるのではないかなと思うんですが、二人目から無償化にすれば一番いいんじゃないかなというふうに思います。教育費というのは、私も実感していましたけれども、非常に重たいと思います。でも、親はやはり子供にいい教育を受けさせてあげたい、望むならばというふうな思いは必ずあると思いますので。

 この財源について、政府参考人の方にお伺いをいたします。

小宮政府参考人 お答えをいたします。

 委員から、財源の観点から考えた場合に、出生率というものがアウトカムとしてしっかり捉えられるべきではないかという御質問だと思います。

 それで、度々当委員会で御答弁申し上げましたとおり、出生率を目標の数値として掲げることは、これは政府といたしまして、個人の自由な意思決定に対してプレッシャーを過度に与えかねないという観点から、適切ではないと考えております。一昨日の参考人質疑におきましても、ほとんどの方々が、目標値として掲げることについては慎重な御意見を述べられていたと承知をしています。

 その上で、政府といたしましては、度々御答弁申し上げましたとおり、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差をできる限り縮めていくということが一つの政策の目標になってございます。

 もちろん、希望と現実、希望については、具体的に言いますと、希望出生率、ございますけれども、これを分解をいたしますと、未婚割合ですとか、未婚者の将来持つ予定の子供の数ですとか、夫婦の将来持つ子供の予定の数ですとか、もろもろの数値から成っておりますので、単に一つの出生率のみではなくて、多面的に様々な数値の動きも見て、そして、結果として、個人の幸福の追求の支援の結果が出生率の向上につながっていくということを目指してございます。

一谷委員 この委員会でも度々この質問をさせていただいて、やはり同じ答弁だというふうに思うんですが、実際、二〇二一年の社会保障・人口問題基本調査において、前回調査は一・九四でしたけれども、今回の調査では一・九〇という、やはり若い方々の希望も下がってくると、それを加速化プランで希望を上げていくんだ、周りの夫婦の方やカップルの方やパートナーの方が子育てしていることに対して楽しんでいる様子があれば、また希望も増えていくんじゃないかということだと思うんですが、先ほど、加速化プラン三年が終わってからPDCAを回してまだ再度考えるというのであれば、ある一定、物すごく公表する必要はないと思いますけれども、出生率が上がったかどうかということは判断基準にはした方がいいのではないかなというふうに思いますので、これも意見を述べて、この質問は終わらせていただきたいと思います。

 それでは、次の問題を、産後ケアについて質問をさせていただきたいと思います。

 産前産後ケアは、私は自分が政治家になる前から取り組んできていました。産前産後ケアは非常に成果も、政府の方も出していただいているというふうに私は認識をしています。

 私がずっと産前産後ケアでこの委員会で申してきたことは、誰もが利用できるという説明をされていながら、実際、市区町村の窓口に行けば、市区町村の担当が利用できるかどうかを決めてきたわけなんですよね。だから、本当にメンタル的に問題があるかどうかというのが、市区町村の担当の人の方では難しいですよという話をしてきたわけなんですよ。

 そうしたら、令和四年に調査研究していただいて、市区町村の悪口を言うわけじゃないですよ、市区町村が利用者を絞っていることが分かったという結果が出たわけなんですね。出たと聞いています。ですので、市区町村に通達を出して、希望すれば受けられるようにしてくださいというふうに改善がされたと聞いています。

 これは何度も何度も答弁をしながら、調査しますと言っていただいていて、調査をしていただいた結果、窓口が広がったということは非常に私はうれしく思いますし、自治体の職員さんの負担も減ったと思うんですよ、本当に自分で判断していいのかなという。判断して、入れません、無理ですよと言うた方が、何日後に自殺してしまったり。そうしたら、それは市区町村の方は寝られへんなりますよね。だから、これはよかったと思います。

 また、令和五年度の調査では、私、令和四年度の調査が終わったときに、事業所にも調査してください、自治体だけの調査じゃなくて事業所にも調査してくださいと言い続けて、私の意見が通ったとは言いませんけれども、令和五年度に調査研究を事業所にしていただいた。そうしたら、利用者が少ないことが問題だということが分かったわけなんですよね。一人当たりの点数が少ないというのではなく、利用者がそもそも少ないのが問題だったということになったんですね。でも、これは令和四年度の、窓口を広げることによって、ある一定、問題は解決していくのではないかなというふうに思います。

 この質問をさせていただくために政府の方といろいろ話をしていくときに、やはりユニバーサル化していきたいというふうなこともおっしゃっていました。ユニバーサル化していくと、ここに、私、一つ問題が出てくるというふうに思っています。

 元々、産前産後ケアは、メンタル的に問題があって、又は、これは表向きの理由ではないですけれども、例えば、夫から何かDVを受けていたりとか、精神的に負担を受けて、子供ができたときにやはりそれは耐え切れないから、産前産後ケアのところで宿泊させてほしいという理由もあると思うんですよね。そういったハイリスク妊産婦の方、ハイリスクで子供を産まれた方の発見が私は遅れていくのではないかなというところも一つ危惧をしています。

 ですから、そういった視点も次は持っていただきたいなと思うんですが、まず、質問として、市区町村が担っていた産前産後ケアを、ある一定、二〇二四年には、政府は全ての自治体に産前産後ケアがある状態にしたいという。しかし、自治体の能力、力もありますし、過疎地では担っていただく方も少ないということで、今回、県がサポートをしなさいというふうに、制度になると思うんですが、これは本当に県がサポートしていくことが、県が協力してくださるのかどうかというのが私は非常に不安なんですが、その辺り、政府はどう考えておられるのかを御答弁いただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 産後ケア事業でございますけれども、議員立法により改正をされた母子保健法に基づきまして、令和三年度から市町村の努力義務となり、現在では八割強の自治体で実施をされるなど、着実に取組が進められてきたところでございます。

 ただ一方で、課題も出てきております。市町村個々に委託先を確保することが非常に難しい、地域偏在があるといった指摘がございます。

 今回の法案では、本事業を地域子ども・子育て支援事業に位置づけまして、国、都道府県、市町村の役割分担を明確にした上で、計画的に整備を進めていく、そして都道府県による広域的な調整を支援をしていくということが重要になってまいります。

 令和五年度から、管内市町村、関係団体が参加をする協議会を設置をいたしまして委託先の確保の検討などを行う都道府県に対する国庫補助を行っております。その中で、協議会の設置、運営に必要な人件費などについても補助を行っているところでございます。

 また、加えまして、令和四年度の調査研究事業では、産後ケア事業において都道府県が広域的な支援を行っている具体の事例についても把握をして、事例集も作っております。こういった事例についても自治体に周知を行っていきたいというふうに考えております。

 全ての都道府県で産後ケア事業の取組を進めていただけるように、今後もしっかり支援を行ってまいります。

一谷委員 ここで、県が取り組んでいただいて、そのアウトカムというのはやはり利用率ということになってくるんだと思うんですが、ここで気をつけていただきたいのは、分母が分娩件数で分子が出産ということになると、これは分娩率が減っているので、ほっておいても数字は上がっていきますので、そこはちょっと気をつけていただきたいなと思うのと、あと、産前産後ケアのサービスはデイサービスと訪問と宿泊があると思います。この三つですね。この中で最も赤字なのがやはり宿泊なんですよ。私、全国を見回してみて、宿泊で黒字になっているところを見たことないです。

 ですので、この産前産後ケアの中でやはり宿泊というのが非常に重要なサービスだと思いますので、今度はサービス別にも収支がどうなのかというのは見ていっていただきたいなというふうに思いますので、これは要望として、また今日ここでお話をさせていただけたらと思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。母子への訪問看護の保険点数について質問をさせていただきます。

 質問というより、半分これは要望になるんですけれども、産後の母子への訪問看護については、これは助産の知識が非常に重要だと言われております。助産師さんが訪問する場合には、是非ここに加算をちょっとつけていただきたいなというふうに要望をさせていただけたらと思います。

 周産期メンタルヘルスのサポート体制というのは、これからメンタルヘルスネットワークというのもつくって構築していくというふうに聞いているんですが、産後うつが顕在化する中、問題を解決できるやはり助産師さんというところにもうちょっと、助産師さんが働きやすいような環境というのをつくっていただくために、加算というのは非常に有効で、サービス事業所も増えるのではないかなというふうに思うんですが、この検討がされているかどうかについて、政府の方に答弁を求めます。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 健康保険法における訪問看護は、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、これら訪問看護について報酬を支給する制度となっております。

 御質問にありました、母子への訪問看護の対応強化につきましては、令和六年度の診療報酬改定におきまして、ハイリスクの妊産婦に係る医療につきカンファレンスを行った場合の指導料におきまして、訪問看護ステーションの看護師等の参加を要件に加えるといった改正を行ったところでございます。また、難病や医療的ケアの必要な乳幼児に係る訪問看護の加算額を引き上げるといった見直しも行っております。

 御指摘にありました点も含めまして、引き続き、ニーズに合わせた診療報酬の在り方につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。

一谷委員 是非これは検討していただいて、助産という、そういった知識が必要だというところも認めていっていただけたらというふうに思います。

 それでは、時間も残り少ないので、伴走型支援の質問をさせていただきたいというふうに思います。六番目の質問ですかね。

 伴走型支援なんですけれども、これは三回面談をするということになっているんですが、二回目の面談がほぼアンケート状態になっているというふうなことを聞いております。

 伴走型支援は非常に重要なんですけれども、ちょっと文書を読ませていただきます。

 もう一つ問題があって、時間軸の切れ目というものがあります。三回しかありませんので。しかも、二回目がアンケートだけという。三回目は、もしそれが、ほかにお子さんがいたら、もう三回目は受けなくていいような感じになっている自治体もあると聞いていますので。

 問題は、この伴走型支援というのは、やはりハイリスクの妊婦さんをどうやって見つけるかということが大事であって、死産される方であったり、先ほども連合審査でもありましたけれども、自殺されるお母さんも多いということで、そういったところをどうやって見つけるかということやと思うんですね。

 一つ事例を挙げさせていただきますと、令和四年度、死産数というのは、何と一万五千人前後だと言われています。単純計算で、妊産婦の五十人に一人の方が死産を経験されているということなんですね。かなりの数ですよね。

 死産後に、特に、ペリネイタルロスを経験された妊産婦及びパートナーの関係は不安定になり、精神症状として抑うつやPTSDになり得る、死産やペリネイタルロス直後には集中的な伴走が必要であるというふうに言われているんですね。しかし、伴走型支援が三回しかないというところと、あと、二回目はアンケートでいい、三回目はしてもせぬでもいいというようなことであれば、こういう方が見つけられないんじゃないかなというふうに思います。

 ですので、もう質疑の時間が来ましたので言いっ放しで終わりますけれども、是非ここもDX化をするような形で、十万円の給付ということだけに終わるのではなくて、やはり、今回の子供、子育て支援というのは、これから生まれてくる子供たちも大丈夫なんですけれども、今いる子供たちを亡くさないという視点も非常に重要なんだというふうに思うんですね。その視点も考えて、この三年が過ぎた次の改定、又はこの三年の間も、その視点を持っていただいて、加藤担当大臣、是非取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。誠にありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 九日に公表された被用者の年収別の支援金額の試算については、午前から随分議論がされてきました。ですから、ダブりを避けたいと思います。

 私が今日聞きたいのは、今後の上昇についてであります。示されたのは、例えば年収八百万円であれば、支援金が一兆円になる令和十年度で千三百五十円だと。それは、支援金が六千億、八千億、一兆円というふうに積み上がっていくので、それに合わせた額をここでは書いているだけだと思うわけです。

 それで、問題はその先なんですね。被用者保険における支援金の料率は国が示すことにしています。毎年改定をするんでしょうか。それとも、医療保険の保険料率改定に合わせるんでしょうか。

熊木政府参考人 お答えいたします。

 健康保険、被用者保険につきましては、支援金率は保険者が概念上は定めるものでございますが、実務上は国が一律の率をお示しする、こういうふうに申し上げております。

 これは、基本的には、支援納付金の額から算定していくということと、報酬がどうなのかということで成るわけですから、そういう意味では、理論上は変動するものではございますけれども、ただ、支援金を充当する事業というものが法定化され、そして、その割合というものも法定化されておりますので、これは、繰り返し申し上げているように、政府が勝手に上げられるものではない、上がっていくものではないというものでございます。

 それで、毎年改定するかどうかということにつきましては、予断を持って申し上げるものではございませんけれども、もう一つ申し上げますなら、かなり子供の数に規定されますので、そういう意味におきまして、これは、今の出生動向からいたしますと、毎年改定するようなものではなく、安定的に推移するものというふうには考えてございます。

高橋(千)委員 これは通告したときに説明を聞いているんですけれども、そのときは毎年と聞いております。私は毎年値上げするのかと聞いているわけじゃないんですから、据置きも含めて、毎年、支援金の率については見直すということなんじゃないんですか。

熊木政府参考人 先生の御理解は適切なものかのように聞こえましたが、基本的に、総額から、雇用者報酬で、それで率は幾らかということをお示しをするということです。ただ、改定をするかといいますと、分子である費用の方が基本的に高齢化に伴って増えていくというものではないものですから、そういう意味では、毎年改定する必要はないのではないかということを申し上げておるわけです。

高橋(千)委員 ちょっと、そうしたら、昨日の説明がおかしいなと思うんですね。結局、第七十一条の三十に、支援納付金の率ですとか、額ですとか、その他支援納付金に関する重要事項を定めようとするときは、こども家庭審議会の意見を聞かなければならない、こうあるわけです。だから、私は、勝手に決めると聞いていることもないし、そういうことも含めてこども家庭審議会に毎年諮るのかなと思ったから聞いています。

 それから、そのほかの重要事項というのは何かなと。

 これを二つ。

熊木政府参考人 これも繰り返しですが、先生おっしゃるとおりではございまして、毎年お示しはします。ただ、その数字は変わらないのではないか、こういうふうに申し上げております。

 それから、こども家庭審議会には意見聴取をするという規定がございまして、これは、その支援納付金に関する重要事項ということになります。これが何かということになりますと、まず一つは、法案上は様々な内閣府令が定まってございます。

 それから、恐らく御質問は、その他重要事項とは何かということかと思いますが、これは、支援納付金を決定するに当たって必要な事項につきまして、それは支援納付金の総額そのものも当然お聞きすると思いますし、それから、ちょっと話は変わってしまうかもしれませんが、重要事項ということですので、制度の在り方ですとか、そういったことは基本的にはアジェンダの中に入ってくる、必要な付議事項かどうかは別にして、御議論をいただくというふうには考えてございます。

高橋(千)委員 つなぎ公債の償却が二〇五一年までだという答弁が前回あったわけですよね。それを、支援金を充当すると。ということは、少なくとも二〇五一年まではこの支援金のスキームが続くということになるわけですよ。だけれども、四半世紀も歳出改革を毎年毎年やって、報酬も上がって、その範囲でというスキームはかなり苦しいよねという気がします。

 そういうのも含めて、きちっと議論していくということでよろしいんですね。

熊木政府参考人 支援金制度自体は恒久制度でございますので、毎年しっかりと御議論していくというふうに考えてございます。特例の公債というものにつきましては、おっしゃったとおり二〇五一年ということの償還でございますが、支援金制度については恒久制度である。

 歳出改革につきましては、毎年毎年というのは、当然ながら継続的に改革は進めていくものというふうには考えますけれども、一応枠組みとしては、二〇二八年までに一・一兆円の改革をした中で公費を出して、さらに、その一兆円の支援金に見合った歳出改革をする中で支援金をつくる、これは二〇二八年度までの枠組みだということでございます。

高橋(千)委員 枠組みをつくったら維持しなくちゃいけないじゃないですか。だって、児童手当、二八年になったらもう払わないというわけにはいかないわけですから、支出は続くわけですよ。それに併せて、子育て支援は加速化プランだけじゃございませんと大臣が何度も答えているわけですから。それを、本当に何かちょっと、パズルのような組立てになっていて心配だなと思うから確認をしているわけなんです。だから、在り方も含めて、こども家庭審議会で議論していくということがさっきの確認だったと思うんですね。

 私、何でこういうふうに聞いたかというと、九日の参考人質疑で、東大名誉教授の秋田喜代美先生がいらっしゃいました。まさに、こども家庭審議会の会長なわけです。二〇一二年の子ども・子育て支援制度をつくったときからの、様々な子供関連の審議会などの座長や委員を務めていらっしゃいます。

 本当に御苦労されているなと思いまして、そこで、じゃ、こども家庭審議会は何をやっているのかなと思って、第四回、これは今年一月二十九日なんですけれども、開催された議事録を読んだんですね。そうすると、そこで最初に政府側から報告があります。昨年十二月二十二日にこども大綱を閣議決定しました、幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョンを閣議決定しました、こどもの居場所づくりに関する指針が閣議決定いたしました、こども未来戦略会議においてこども未来戦略が閣議決定されたと。ああ、これ一遍にかと思いました、率直に。

 こども大綱には、「こども・若者を権利の主体として」云々と書いてあって、とても大事なことなんですよね。そうしたら、今度は、こどもまんなか計画も作らなければいけない。すごい忙しいし、理念はすばらしいんだけれども、本当に、今、じゃ、私たちが議論しているこども未来戦略の加速化プランは本当にその中の一部でしかないのかなと、訳が分からない感じになってきたんです。

 そこで、これらの決定文書、会議体はどのような関係性になっているのか。しかも、いずれも加藤大臣の所管ということでよろしいですか。

小宮政府参考人 まず、事実関係をお答え申し上げます。

 委員御指摘の、まず、こども大綱でございますけれども……(高橋(千)委員「簡潔にね」と呼ぶ)はい。これは、こども基本法に基づいて作っている文書でございます。それから、その大綱の大きな傘の下で、育ちのビジョン、居場所づくりに関する指針、それから、これは後ほど申し上げますけれども、こども未来戦略などがあるという構造になっております。

 また、会議体でございますけれども、これも基本法に書かれておりますが、こども政策推進会議というのが法律上設置することになっておりまして、これがこども大綱の案を作るというのが法律で決められているものでございます。この政策推進会議は、大綱の案を作成するほかにも、重要事項の審議、それから、関係行政機関相互の調整をするということが、これは法律でお仕事として決められているところでございまして、総理大臣が長でございまして、全閣僚から構成されている。

 それから、未来戦略会議、御指摘ございましたこれは、全世代型社会保障構築本部の下に設置されました一部の関係閣僚と有識者から成る会議体でございまして、その成果として、年末に閣議決定をいたしました未来戦略があるというものでございます。

 今後、法定会議でございますこども政策推進会議におきまして、加速化プランを含む具体的な取組をまんなか実行計画として取りまとめて、政策を推進していくこととなってございます。(高橋(千)委員「所管、大臣の。全部、大臣の」と呼ぶ)

 所管は、未来戦略会議につきましては、全世代型社会保障構築本部の下に置かれているものですから、そういう意味では、関係大臣としては新藤大臣もおられるとは思いますが、こども大綱につきましての所管は、少なくとも主管はこども政策担当大臣になると。総理大臣が長でございますので、そういう意味で、こども庁は内閣府の外局でございますので、総理大臣と加藤大臣ということになろうかと思います。

高橋(千)委員 実は、こども大綱の傘の中にと大変分かりやすい説明をされたと思うし、最初にお話ししたこども家庭審議会が、まさにこのこども大綱の中の政策を議論するという説明から始まっているんです、第一回が。

 だけれども、決定するというか、この案を作るのは推進会議なんですよ。つまり、今おっしゃったように閣僚の集まりなわけ、総理が本部長で。ああ、学生さんとかいろいろな人に参加してもらっているけれども、そっちなのかと正直ちょっとがっかりしたというのがあるわけですね。つまり、そういう力関係の中でばあっと言っちゃったからって、足立さんじゃないですけれども、言っちゃったからいろいろなところで矛盾が起きているというのがあるわけであります。

 それで、大臣、一言。こども大綱の下で着実に進めていく、加速化プランにないものも、そうおっしゃいました。たくさん会議体や計画がある中だけれども、大臣の中ではちゃんと整理ができていて、優先度みたいなのがあるんでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 様々な会議体や計画のうち、法定されているのはこども大綱とこども政策推進会議だけでございまして、幅広い子供政策の推進の中核を成すのは、こども大綱とこども政策推進会議でございます。

 全ての子供政策の基盤となるこども大綱という大きな傘のもとで、総理をヘッドとするこども政策推進会議が司令塔となり、加速化プランやそれ以外の施策を含めて、幅広い子供政策を一元的に推進してまいります。

高橋(千)委員 中身のことも今度この中で次に話していきますが、ちょっと時間が心配になったので、せっかく副大臣がいらっしゃっているので、ちょっと順番を変えて副大臣に伺いたいと思います。

 今回の、社会保険から何で取るんでしょうねという議論がずっとされてきて、だけれども、それは、巡り巡って、担い手が増えて少子化対策が進んでいけば、社会保険の担い手も増えて、持続可能な社会になるんだよという説明だったと思うんです。でも、私はその逆も言えるんじゃないかなと。つまり、社会保険の担い手を政策的に崩してきたという問題があるんじゃないかと。

 今、多様な働き方とかリスキリングなどよく言うんですが、雇用の流動化に重点がかかって、これはやはり不安定雇用になりますので、社会保険の脆弱性を生んだのではないか、こう思うんですね。例えば、被用者保険だった方が国保に入りなさいとか、つまり、企業がとても抱え切れなくて、そういうことがずっと起きてきたわけです。

 それで、最低賃金とか、労働時間規制とか、同一労働同一賃金など、労働法制の見直しを含む雇用の安定の上に自らが選べる仕事というふうに環境づくりを進めるのがやはり基本じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

宮崎副大臣 今先生から御指摘をいただきました社会保険の担い手という切り口で、労働政策に対する評価ということに尽きるお話かと思って聞いておりましたけれども、やはり、御指摘のような、例えば不安定な雇用を生み出す、雇用の流動化を目指す労働政策という御批判よりも、私どもが目指しているのは、三位一体の労働市場改革を目指しているものという言い方をよくしますが、やはり個人が希望に応じて自らキャリアや働き方を選択できるように支援をしていきたいと考えています。

 御指摘いただいた例えばリスキリングというもの一つ取ってみても、例えば、転職のためのものというよりも、個々人の働いていらっしゃる方の能力向上を支援することで、例えばですけれども、現在の勤務先での生産性向上に貢献する働き方を応援する、こういったことで内部労働市場の活性化があって、その先にあるのが、例えば成長分野への外部労働市場の、成長分野へ移動できるということでの外部労働市場の活性化というところにつながるわけでありまして、これが労働移動の円滑化ということをもたらして、全体として労働市場が活性化していくというふうに考えております。

 労働法制についても御指摘をいただいたところですが、最低賃金の着実な引上げ、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金の履行の確保などで、働いている方の保護を図っていかないといけないというのは御指摘のとおりであると思います。

 厚生労働省として、引き続き、安心して自らのキャリアや働き方を選べる環境整備に努めてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 リスキリングについて、ちょっと意見が違うよというお話をされたんですが、これは何年か前に私はこの場で質問したことがありますが、やはり竹中平蔵氏が、雇用調整助成金と労働移動支援金を逆転させなさい、そう言って失業なき労働移動を旗を振ってきた、そういう歴史があるわけですよ。だから、どの文脈でこのことが出てきたのか、自らの力でスキルを磨きたいという話だったら分かるんですよ、そういう文脈ではないんだということを御指摘をさせていただきたいと思います。

 質問を戻りますが、副大臣にも是非聞いていただきたいと思います。

 やはり担い手を減らしてきたのは、雇用の問題だけではなくて、例えば毎年介護離職が十万人もいるとか、そうしたこと自体が本当に社会の損失だ、私はこのように思っております。その中で、今回法案の中身で強調されているんですが、ヤングケアラーに対する支援の強化、これは具体的にどのようなことを考えているのか、簡潔にお願いします。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーの実態を把握するため、令和二年度及び三年度に全国の小学生から大学生を対象に国による実態調査を実施したほか、地方自治体による実態調査や研修、ヤングケアラーコーディネーターの配置等の体制整備の支援を強化しており、ヤングケアラー支援体制強化事業の令和六年度当初予算額は、児童虐待防止対策等総合支援事業補助金の百七十七億円の内数となります。

 一方、地方自治体間で問題意識や取組の格差が見られることから、今回、子ども・若者育成支援推進法において国及び地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象にヤングケアラーを明記したとすることで、地方自治体における問題意識や取組のばらつき等の解消につなげていきたいと考えております。

 また、地方自治体におけるヤングケアラーの支援においては、学校等において気になる子供、家庭を把握した場合に、関係機関と密接な連携体制を構築し、こども家庭センターに随時情報共有が図られるよう、必要な人件費の補助等を行っているほか、こども家庭センターにおいて、個々の家庭の状況等に応じたサポートプランを作成し、介護等のサービスをも含めた外部支援につなげることをこども家庭センターガイドラインにおいてお示ししたところです。

 こうした取組を通じ、こども家庭センターを含め、関係機関、団体等がしっかりと連携することでヤングケアラー支援が充実するよう取り組んでまいります。

高橋(千)委員 先ほどの紹介があった調査、文科省と日本総研の調査では、小学六年生の十五人に一人、大学三年生の十六人に一人がケアを行っている家族がいると答えております。

 それで、子ども・若者育成支援推進法に明記する際のヤングケアラーの定義が何かというと、家族の介護その他日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子供、若者とあります。

 もう時間が来たので、まとめます。こども家庭審議会の中で、当事者として参加している大学生の原田さんが、過度なケアを担うという表現が線引きになってしまうのではないかと。つまり、線引きというのは、自分は過度とまでは言えないということで、当てはまらないということを感じて声を上げないことになっちゃうんじゃないかという発言をされていたのが、私はとても、なるほどと思いました。

 実際、この場で紹介したあすのばの子供たちの報告などを見ても、実はその中に、要するに、一人親のお母さんが心を病んで、結局、お母さんのお世話をしていると。そういう形で、ヤングケアラーがたくさん実はその中にいるんですよね。そういうときに、まだ自分がそういう立場だということを自覚しないうちに線引きするようなことがあってはならないと思いますので、そのことを一言述べて、残念ながら時間が来たので、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 今日は、朝から合同審査、そして午後の委員会と、本当にお疲れさまです。最後の質問となりますので、よろしくお願いいたします。

 また、午前中そして本会議でも質問させてもらいました子ども・子育て支援法の支援金について、先ほども多くの委員からありましたけれども、再度、私からも、国保における年収ごとの支援額、そしてモデル家庭世帯、やはり多くの人が心配している、そしてやはりイメージしづらいということで、自分がどれだけ負担しなきゃならないのか、やはりそれを正々堂々と私は示してほしい。負担がかかるというのは私たちも分かっていますし、それをどのように大臣を先頭に国が示していくか、そして説明をしていくかということだと思いますので、改めてその要望をしたいと思いますので、よろしくお願いします。これは要望です。

 その中で、この子ども・子育て支援法の中に、今ちょうど高橋先生が最後やっていただいたんですけれども、ヤングケアラーの件があります。私たち国民民主党は、このヤングケアラーについては当初から、必要性、また社会問題だと訴えて、今回法に定められたということで、一歩前進ということです。

 先ほど、橋本委員の質疑の中にも私の発言が取り上げられていました。これについては、恐らくどの党も皆さん前進させてもらいたいということかと思いますが、今回の法改正では、国、地方公共団体等が支援に努めるべき対象として子ども・若者育成推進法に明記された、これだけが書かれています。

 まず、このヤングケアラーについて、どのように明記がされたのか。そして、先ほども少しありましたが、自治体で行っている実態調査の実施状況、去年はやられたということですが、一年以上たちまして、その後の具体的な状況も分かれば教えてください。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案においては、国及び地方公共団体等による支援の対象として、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子供、若者としてヤングケアラーを明記しております。

 ヤングケアラーについては、子供期、十八歳未満に加え、進学や就職の選択など自立に向けた重要な移行期である若者期を切れ目なく支えていくことが重要であることから、三十歳未満の者を中心におおむね四十歳までを支援対象として想定しており、これらの規定により、自治体間の取組格差の是正や、十八歳前後での切れ目のない支援につなげていくこととしております。

 また、令和五年二月の時点で、全国二百五十八自治体にヤングケアラーに関する実態調査を実施していただいている状況ですが、必要な支援を着実に進めていくためには、地方自治体、とりわけ基礎自治体である市町村において、具体的な支援対象であるヤングケアラーの実態を把握していただくことが重要と考えており、引き続き、実態調査を行う自治体に対する財政支援等に取り組んでまいります。

田中(健)委員 ヤングケアラーの定義というか位置づけを御説明いただきました。

 ほかの、ヤングケアラーで引いてみると、十八歳未満で日常的に家族の介護や世話をしているというような記載もあり、今、正確には、国としては四十歳までを目安ということでありまして、切れ目なく、十八歳で切れるわけではなく、長く若者を対象とするということでありますから、それを是非実際の政策に生かしてもらいたいと思っています。

 その中で、この四月から家事支援が全国で実施されることになりました。児童福祉法の改正です。これにヤングケアラーを位置づけたということですが、この事業詳細を伺いたいと思いますし、これは家事支援ですから利用料もかかりますし、さらに、これは申請主義ですから申込みも必要かと思うんですけれども、ヤングケアラーの当事者がこれを使う場合、どのようにして使えるような形になるのか、具体的に伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年の児童福祉法改正によりまして、子育て家庭を訪問して家事や育児の支援を行う子育て世帯訪問支援事業が創設をされ、この四月から施行されております。

 本事業の対象者は、先ほど委員から御紹介いただきましたけれども、まず、要支援、要保護児童の保護者あるいはそのおそれのある保護者、それから若年妊婦あるいは支援を必要とする妊婦、そしてヤングケアラーなど市町村が支援の必要があると認める者というふうにしてございまして、こうした対象者の方々に対しては、食事準備、洗濯などの家事支援、あるいは、育児のサポート、宿題の見守りなどの育児、養育支援、そして、子育ての不安や悩みの相談、子育ての情報提供などを行う事業というふうになっております。

 また、利用料でございますけれども、市町村が設定をすることになりますけれども、国としては、一時間当たり千五百円、一件当たり九百三十円をいただくという前提で補助金を交付してございます。ただし、所得が低い方については、市町村が利用料の減免を行った場合には、その費用の一部を国としても補助をするということとしてございます。

 本事業は、こども家庭センターを始めとした関係機関から、ヤングケアラーを含めた支援が必要な御家庭に事業の案内や利用勧奨を行いまして、事業を開始することとしております。その際には、保護者から利用の申請を行っていただくということが原則ではございますけれども、例えば、保護者に障害があるなどの理由で、支援が必要であるにもかかわらずサービス利用になかなかつながらないといったケースにおいては、市町村の判断で支援を提供していくことができることとしております。

 適切な事業の実施に努めてまいります。

田中(健)委員 家事支援、多くの人の対象なんですが、ヤングケアラーに至っては、やはりもう少し配慮しなきゃいけないと思っています。今聞いただけでも、千五百円、大変にハードルが高いです。そして、あくまで行政がその状況を見る、さらに、基本的には保護者だということで、ヤングケアラーの家庭は、お母さん自体が、ないしはお父さん自体が病気や障害がある、ないしは金銭的な問題を抱えている、様々な問題を抱えているからこそ、子供さんたちが、また若者が面倒を見ているわけですから、ほかの家事支援の必要な人とはちょっと違うんだと思っていますので、やはりそこをどのようにしていくかということがなければ、ヤングケアラーを位置づけただけではなかなか家事支援につながらないかと思っています。

 複雑な要素が様々ある中で、どのように子供たちが、ないしは支援を受けられるような環境を整えていくのか、再度伺えますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般創設をいたしました子育て世帯訪問支援事業、これは非常に重要な事業だと思っております。

 先ほど委員から御指摘いただいたように、いわゆる一般的な要支援家庭だけではなく、ヤングケアラーの御家庭についても対象となることをまず明示をいたします。その上で、そういった御家庭について、恐らく複合的な困難を抱えていらっしゃるというふうに思いますので、先ほど支援局長からも答弁がありましたけれども、しっかりと把握をしていくことということを併せて行っていくことが重要でございます。

 同じく四月から、こども家庭センターが出発をいたしました。こども家庭センターでも、ヤングケアラーに関する情報をしっかり共有して支援につなげていくという機能も期待をしているところでございますので、こういった関係機関としっかり連携をしながら、この新しい事業をしっかり定着できるように、我々もしっかり支援をしていきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 四月から始まったということと、こども家庭センターも四月から全国でスタートしていますので、是非、この状況を見ていただいて、適切に子供たちに支援が届くようにしていただきたいと思います。

 同時に、この法制化は、支援の地域格差解消につなげることが期待されています。今回の家事支援も全国で行われる支援ですので、ここにヤングケアラーが位置づけられたんですが、各自治体の努力義務となっています。これは、努力義務でなければ、全国で一斉にこのような支援が受けられるということで大きな進展かと思いましたが、なぜこれは努力義務だったかなと。何とかヤングケアラーを、全国で同じように、どこの自治体に行っても使えるようにしてもらいたいと思うのが一点で、それに併せて、そもそも自治体によって大きく取組が違うというのが課題かと思います。港区などを見ると、極端な例ですけれども、ヤングケアラー家庭へ定期的にお弁当の配食が行われたり、訪問介護事業者が一日三回で三時間、週三回、掃除や家庭の介助の代行を受けるということがもう進んでいるんですね。

 ヤングケアラーの支援の地域格差というのを、大臣、どう認識されて、その解消をしていこうとしていくのかを伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の子育て世帯訪問支援事業につきましては、実施主体が市町村となっており、事業の実施の有無も含めて、地域の実情を踏まえた支援を行う等の観点から、他の子育て支援事業と同様に努力義務としているところでございます。

 政府としましては、より多くの市町村で事業を実施されるよう、これまで、安心こども基金を活用した先駆的事業の実施やガイドラインの作成などを行ってまいりました。

 引き続き、地方自治体とも連携しながら、事業の円滑な実施に努めてまいります。

 また、地域格差への認識について御質問をいただきました。

 ヤングケアラーに対する支援につきましては、これまで、地方自治体によるヤングケアラー支援に関する法制上の位置づけがないことに加え、地方自治体内において誰が支援の実施主体としてどのような支援を行うかが明確でないといったことから、地方自治体ごとに取組の進捗状況や支援内容に大きな差がある状況、このように認識をしてございます。

 こうしたことから、今回の法案におきましては、地方自治体間の取組の差を解消し、より充実した支援が提供されるよう、ヤングケアラーを国や地方自治体の支援対象として明記をすることといたしました。

 また、こども家庭センターにおきまして、学校等において把握されたヤングケアラーに関する情報が随時共有をされるよう連携体制を構築をした上で、個々の家庭の状況等に応じたサポートプラン、これを作成し、家事支援等のサービスも含めた外部支援につなげていくということをこども家庭センターガイドラインにおいて改めて示すことによって、支援の実施主体ですとか支援内容の明確化等を行ってきたところでございます。

 引き続き、こども家庭センターを中心とした関係機関、団体等の連携によってヤングケアラーへの支援が着実に行われるよう取り組んでまいります。

田中(健)委員 何かすごく理想的な話をしているんですけれども、やはりヤングケアラーは見えないということ、そしてなかなか把握できないということが一番だと思います。

 今のように、家庭の中が全部分かっていれば、プランを作って、その人たちに対する支援ができるんですけれども、それは、高齢者におけるケアマネジャーのような、先ほどもお話がありましたが、そのような形で子供版のケアマネジャーがあればいいんですけれども、それは今ないですし、さらに、ヤングケアラーというのはもっと深い問題を抱えていますので、是非、これは始まったばかりですから、力を入れていただきたいと思いますし、そして、今回の家事支援、本来は、義務化すれば、全国で一斉にできて、どこの自治体に行っても子供たちが安心して受けられるということだったんですけれども、それも前進していただきたいんですけれども、児童福祉法ということで、これは十八歳までとなっています。

 と同時に、今回の法制化は子ども・若者成育支援法で想定をしましたので、この成育法に指定をすることで、十八歳以上もこの支援を継続的に、冒頭定義がありましたけれども、四十歳までがヤングケアラーと、四十歳前後までですね、ということでありますから、そこまで支援が受けられる体制というのが整えられるのか、そこについて伺います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーへの支援については、ヤングケアラーである子供や若者の年齢や発達によって必要な支援内容が変化するものと考えております。

 子育て世帯訪問支援事業は、ヤングケアラー等の家庭に訪問し、ヤングケアラーのきょうだい児の育児や子供の食事準備等の家事支援等の支援を行うことにより、ヤングケアラーである子供の健全な育成につなげるものです。

 きょうだい児がまだ児童である場合で保護者による養育に困難がある場合は、ヤングケアラーが十八歳を超えた場合であっても引き続き家庭支援事業の対象となるものですが、一方で、ヤングケアラーである子供が成長し成人となった場合には、ヤングケアラー自身の自立に向けた移行期として、進学や就職などの準備に対する支援や、ヤングケアラー自身が担う家族の介護等のケアの外部サービスへの代替の支援等がより必要になってくるものと考えております。

 このため、今回の法案では、子ども・若者育成支援推進法においてヤングケアラーの支援を規定することで、ヤングケアラー自身の就学、就業や、介護等のケアの外部サービスへの代替等の相談支援等を行うこととしているところであり、一人一人のヤングケアラーの年齢や発達に応じた必要な支援を行ってまいります。

田中(健)委員 最後に、自治体への調査が昨年の二月のままだということであったんですけれども、今、二三年度、こども家庭庁としては、各地、今それぞれ自治体ごとに支援が違うんですけれども、その効果測定のために当事者や自治体や支援団体のヒアリングも進めているということもお聞きをしておりますが、ちょっとこれは最後となりますが、結果は二四年春ぐらいに公表する見込みということですが、今どのような調査が進んで、また、結果、お示しができるようなことがいつぐらいになるのか、もしも分かればお願いいたします。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーに関する実態調査の実施自治体数については、直近の状況として、令和六年二月末時点の状況を調査し、現在、集計の取りまとめ等を行っているところであり、できる限り速やかに公表できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 一日も早い公表をまた見させていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。

谷委員長 次回は、来る十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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