衆議院

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第2号 令和6年10月7日(月曜日)

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令和六年十月七日(月曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高橋 祐介君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      土井  亨君    中川 郁子君

      橋本  岳君    藤丸  敏君

      森 由起子君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    坂本祐之輔君

      酒井なつみ君    中谷 一馬君

      福田 昭夫君    山岸 一生君

      早稲田ゆき君    赤木 正幸君

      伊東 信久君    浮島 智子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)         三原じゅん子君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月七日

 辞任         補欠選任

  若林 健太君     杉田 水脈君

  城井  崇君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     若林 健太君

  山岸 一生君     城井  崇君

    ―――――――――――――

十月七日

 現行の健康保険証を残すことに関する請願(早稲田ゆき君紹介)(第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告申し上げます。

 去る七月三日、最高裁判所から国会に、損害賠償請求事件及び国家賠償請求事件についての判決正本が送付され、同月十六日、議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告いたします。

     ――――◇―――――

谷委員長 この際、申し上げます。

 去る七月三日、最高裁判所において、旧優生保護法の規定を憲法違反とした上で、本規定に係る国会議員の立法行為は国家賠償法一条一項の適用上、違法であったと認める判決が言い渡されました。

 旧優生保護法の下、多くの方々が、特定の疾病や障害を有することを理由に、生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、長年にわたり、心身に多大な苦痛を受けてこられました。

 旧優生保護法を制定した立法府に身を置く一員として真摯に反省し、心から深くおわび申し上げます。

 また、このような事態を二度と繰り返さないよう、全ての国民が、疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現に向けて、立法府として、最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えております。

     ――――◇―――――

谷委員長 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 この際、委員長から、本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。

 本起草案は、旧優生保護法に基づく優生手術等や人工妊娠中絶等を受けることを強いられて被害を受けた方々に対する補償金等の支給に関し必要な事項等を定めるもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、前文を設け、日本国憲法に違反する立法行為を行い及びこれを執行し、優生上の見地からの誤った目的に係る施策を推進してきたことについて、国会及び政府の責任を認めて深く謝罪することを明記しております。

 第二に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人及びその特定配偶者の損害を賠償するための補償金を支給する制度を新設し、本人に千五百万円、特定配偶者に五百万円を支給することとしております。また、これらの者が死亡したときは、その遺族が補償金を請求することができることとしております。

 第三に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人の被った苦痛を慰謝するための一時金を優生手術等一時金とし、当該優生手術等を受けた本人であって、この法律の施行の日に生存しているものに、三百二十万円を支給することとしております。

 第四に、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた本人が被った苦痛を慰謝するための人工妊娠中絶一時金を支給する制度を新設し、当該人工妊娠中絶等を受けた本人であって、この法律の施行の日に生存しているものに、二百万円を支給することとしております。

 第五に、これらの補償金等の請求期限をこの法律の施行の日から起算して五年を経過する日とした上で、請求の状況を勘案して期限の延長に係る検討を行う規定を設けております。

 第六に、これらの補償金等の支給の請求がなされた場合は、こども家庭庁に設置される旧優生保護法補償金等認定審査会の審査を経て、内閣総理大臣が支給の認定をすることとしております。

 第七に、国は旧優生保護法に基づく優生手術等及び人工妊娠中絶等に関する調査を行い、これらが行われた原因及びこれらを受けることを強いられる事態の再発防止措置の検証及び検討を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子です。

 本法律案について、速やかな成立と迅速な施行を求めます。

 我が会派としても、議員立法で旧優生保護法を制定したこと自体、立法府の一員として、真摯におわび申し上げます。

 旧優生保護法は、優生思想に基づく、国による明らかな障害者差別であり、戦後最大級の深刻な人権侵害です。多くの方が長年にわたり心身に耐え難い苦痛と苦難を受けてこられました。心から深く謝罪申し上げます。

 今回、短期間の臨時国会開催となり、本法案を扱えるかどうか分からずでしたが、与野党関係各位の御尽力、当委員会の皆様の御協力でここまで来られたことに感謝申し上げます。

 私自身、国会議員として初めての仕事が、優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟の事務局次長です。

 そもそも、最初に声を上げた、仮称、飯塚淳子さんは、私の地元宮城県の出身という縁もあります。仙台市の障害者施設におり、十六歳のときに、何も聞かされずに不妊手術を受けさせられました。結婚後も子供ができないことを理由に離婚させられています。

 国は過ちを認めて謝罪してほしい。最初はたった一人の声でしたが、彼女を一人にせず、支えた弁護団の皆様、寄り添い輪を広げた支援団体、NPO、個人の皆様がいたからこそ、全国に広がり、今年の七月の最高裁判決をかち取ることになりました。改めて全ての関係者に敬意を表し、感謝申し上げます。

 本補償法を成立させ、一刻も早く対象者におわびと補償等を届けることが、今私たちにできる最大の誠意です。

 政府においては、障害者施設や医療機関等にも更なる協力を求め、個別通知など、周知徹底を工夫すること。その際、都道府県と市町村間の連携が必須です。情報の共有方法など、国からの助言による改善も求めます。

 最後に、私たち立法府も責任を自覚し、本法律での補償等を完遂すること、一切の差別をなくす努力を重ねることをお約束申し上げ、発言といたします。

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案について、これまでの経緯に反省を込め、賛成の立場から討論申し上げます。

 私たち日本維新の会は、旧優生保護法によって多くの悲劇が生まれたことを、原告団の方々から直接お話を伺い、深く学んでまいりました。特に、不妊手術を受けた方の体験が心に強く残っています。御自身と御主人は子供が大好きで、結婚後に子供を育てたいと強く願っていました。しかし、母親からの強要で不妊手術を受けざるを得ず、結果として夫婦関係が悪化し、離婚を考えるまでに至りました。この方は長く母親を恨みましたが、優生保護法の存在を知り、母親ではなく法律が原因だったと気づき、母親とのわだかまりが解けたのです。

 旧優生保護法は、不妊手術や中絶手術の被害だけではなく、障害者に対する誤った差別意識を社会全体に広めました。私たち立法府の一員として、過ちを認め、再発を防ぐ責任があります。また、障害者差別を根絶するための断固たる決意が求められます。

 政治の世界では、一度決めたことを改めるのはメンツを傷つけると言われることがあります。しかし、重責を担う国会議員だからこそ、常に進化する知識を学び、考えを更新する必要があります。過ちがあれば改める勇気を持たなければなりません。今回の補償法は、これまでの価値観を見直すための象徴的な法案となるでしょう。

 現在、学校現場では、多様な価値観や生き方を尊重する共生社会の実現を目指し、インクルーシブ教育が始まっています。しかし、まだまだ発展の余地があります。

 全ての人が公正で公平なルールの下で自立する社会を目指し、この法案を通じて、二度と同じ過ちを繰り返さないよう、改革の精神であしきを見直すために真摯に議論し、差別のない社会を築いていくことを、日本維新の会を代表してお誓い申し上げます。

 御清聴ありがとうございます。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、旧優生保護法補償金支給法案について発言をします。

 七月三日、最高裁大法廷は、旧優生保護法は憲法違反との歴史的な判決を下しました。判決では、特定の障害等を有する者が不良であり、そのような者の出生を防止する必要があるという立法目的は、当時の社会状況をいかに勘案したとしても正当とは言えないとして、憲法十三条、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反すると断じました。争点となった除斥期間については、優生手術が憲法違反なのだから、除斥期間をもって国の損害賠償責任を免れることは、著しく正義、公平の理念に反し、到底容認することはできないと断じたのです。

 最高裁は、政府と国会の責任を厳しく指摘しました。我が日本共産党も、一九四八年の立法時や改正時も賛成し、そしてその後、廃止までの間も異議を唱えなかったことは重大な誤りです。改めて心から謝罪するとともに、本法案成立を見る前にお亡くなりになった原告六名を始めとする被害者の皆様に深い哀悼の意を表します。

 子供を持ちたいという当たり前の希望がかなえられず、人生を狂わされたと訴える原告、中絶手術をした際、不妊手術までもされていたことを知らされず、子供はまた授かると信じていた女性、口の利ける人に従えとずっと差別されて生きてきた中、説明もないまま不妊若しくは中絶手術をされた聾唖の被害者など、優生思想がもたらす被害の大きさは計り知れません。

 ハンセン病元患者に対しては、政府の誤った隔離政策の下、法律に基づかない不妊手術等が行われていました。そもそも遺伝病ではないにもかかわらず、旧優生保護法の対象とされました。治る病気となり、らい予防法が廃止されてもなお故郷に帰れず、家族とのきずなを取り戻すことはできなかったのです。

 あるハンセン病療養所で中絶手術を受けた入所者は、同意書に丸をつけることを迫られ、ハンセン病患者でも子供を産める時代が来るかもしれないと思って不妊手術は拒否したそうです。同意といってもそれは事実上強制であり、中絶も優生思想の下で実施されたという点では同じなのです。

 本法案に中絶が盛り込まれたことは歓迎しますが、補償ではなく二百万円の一時金にとどまっており、今後、ハンセン病療養所を含め、中絶手術の調査に取り組むべきと思います。

 旧優生保護法が成立してから本法案まで七十六年間を要しており、一刻も早く、一人でも多くの被害者に補償金、一時金を届けなければなりません。政府は、周知広報をあらゆるツールを通して行うこと、自治体や関係施設などへの財政支援を行うことを強く求めます。また、第三者機関による徹底した検証と、今も残る優生思想の根絶へ力を尽くすことです。そのために日本共産党も全力で取り組む決意を述べ、発言とします。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。会派を代表しまして、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案について、速やかに議決をし、全ての被害者を救うことを求め、討論といたします。

 昭和二十三年制定の旧優生保護法に基づき、多くの方々が、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するという誤った目的の下、特定の疾病や障害を有することを理由に、生殖を不能にする手術、人工妊娠中絶を受けることを強いられて、子を産み育てるか否かについて自ら意思決定をする機会を奪われ、長年にわたり耐え難い苦難と苦痛を受けてまいりました。

 そんな中、今年七月三日の最高裁判所の大法廷判決において、旧優生保護法の規定は日本国憲法に違反するものであり、当該規定に係る国会議員の立法行為は違法であると判断され、国の損害賠償責任が認められました。

 優生思想に基づく誤った施策を推進させたことについては、立法府に身を置く一員として深く反省とともに、責任を認め、心から深く謝罪をしたいと思います。また、これらの方々が特定疾病等を理由に人工妊娠中絶を受けることを強いられたことについても、心から深く謝罪をいたします。

 このような事態を二度と繰り返すことのないように、優生思想に基づく偏見と差別を含めて、およそ疾病や障害を有する方々に対するあらゆる偏見と差別を根絶し、全ての個人が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく尊厳が尊重される共生社会を実現すべく、全力を尽くすことを決意して、意見とさせていただきます。

谷委員長 これにて発言は終わりました。

 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。三原国務大臣。

三原国務大臣 本法律案につきましては、政府としては異議はありません。

谷委員長 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十分散会


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