衆議院

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第1号 令和5年4月19日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年四月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  経済産業委員会

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      石橋林太郎君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    加藤 竜祥君

      勝目  康君    上川 陽子君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      杉田 水脈君    鈴木 淳司君

      鈴木 貴子君    武部  新君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    西野 太亮君

      福田 達夫君    本田 太郎君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山下 貴司君    大島  敦君

      菅  直人君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

  環境委員会

   委員長 古賀  篤君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 務台 俊介君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 漆間 譲司君 理事 輿水 恵一君

      五十嵐 清君    石川 昭政君

      石原 宏高君    石原 正敬君

      今枝宗一郎君    国定 勇人君

      武村 展英君    中西 健治君

      穂坂  泰君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    柳本  顕君

      山口  壯君    近藤 昭一君

      坂本祐之輔君    堤 かなめ君

      馬場 雄基君   松木けんこう君

      空本 誠喜君    日下 正喜君

  原子力問題調査特別委員会

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 石川 昭政君 理事 石原 宏高君

   理事 細田 健一君 理事 宮澤 博行君

   理事 野間  健君 理事 山岸 一生君

   理事 一谷勇一郎君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      井林 辰憲君    泉田 裕彦君

      今村 雅弘君    江渡 聡徳君

      大岡 敏孝君    神田 憲次君

      神田 潤一君    津島  淳君

      土井  亨君    長坂 康正君

      平沼正二郎君    穂坂  泰君

      松本  尚君    宗清 皇一君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      田嶋  要君    足立 康史君

      空本 誠喜君    中川 康洋君

      平林  晃君    福重 隆浩君

      浅野  哲君    笠井  亮君

    …………………………………

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   環境大臣         西村 明宏君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   荒木 真一君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            覺道 崇文君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     岡本 裕豪君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        前佛 和秀君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          森下  泰君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           山口 裕之君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  上坂  充君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

   環境委員会専門員

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      吉田はるみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより経済産業委員会環境委員会原子力問題調査特別委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 自由民主党の務台俊介です。

 連合審査会の質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 先週末、G7気候・エネルギー・環境大臣会合が札幌市で開催され、西村康稔経産大臣、西村明宏環境大臣が共同議長として大きな職責を果たされたことに対しましては、心から敬意を表したいと思います。我々は昨日、自民党の会合で政府から共同声明の内容について説明を受けましたが、G7で共同の目標を設定し、それに向けた各国の政策のタイミングそしてアプローチを調整した努力の跡が見て取れまして、大変感銘を受けました。そして、この共同声明に盛り込まれた内容を着実に実施していくためにも、今回のGX脱炭素電源法案は現時点で適切な内容だと改めて認識させていただいたことを、まず申し上げたいと思います。

 私は、近年、日本の成長力が伸び悩んできた背景の一つに、日本のエネルギー制約があったものと考えております。

 まず、政府に伺いたいと思います。

 三・一一の事故で原発が止まり、原発事故対応に国力を注がざるを得なくなり、日本の電力構成が化石燃料依存に大きくシフトする中で、エネルギー自給率が極めて低い状態に置かれていきました。その分、日本の国富が海外に流出してしまっています。二〇二二年には、三十三・五兆円の化石燃料輸入で海外に国富を支払っています。

 日本が世界に誇る自動車産業の海外輸出外貨獲得は、二〇二二年、十六・八兆円でした。世界に冠たる自動車産業の輸出額の倍の外貨を外国に支払っている現状があります。そこで、三・一一以降でその額の累積はどのくらいになったのか、自動車産業の輸出による外貨獲得との比較で示していただけますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの数字につきましては、財務省貿易統計によりますと、三・一一の後の直近の統計、二〇一一年四月から二二年の十二月までの間について、化石燃料の輸入額の合計は約二百四十兆円、一方で、自動車産業の、これは自動車の車体と部品の両方を含みますが、輸出額の合計は約百七十兆円となってございます。

務台委員 今の御答弁の資料を皆様のお手元にも御配付申し上げておりますが、輸入がこの十一年で二百四十兆、自動車産業の輸出額は百七十兆、差引き七十兆円の赤字だということでございます。

 仮にその七十兆円分を成長分野に積極投資していたら日本はどうなっていたのかと思うときに、日本の成長力をそいできてしまった理由の一つに日本のエネルギー制約があるように思えて仕方がありません。その制約を取っ払い、日本のエネルギー制約を大きく開放するための前提となる法案がGX脱炭素電源法案だと私は捉えたいと思います。

 しかし、これまで運営してきた仕組みから脱却することはなかなか容易ではありません。脱炭素という大目標、安全性を大前提とした成長志向、国民負担の軽減、財源確保、地域社会との共生、自然保護といった、様々な観点の絶妙な組合せが今回は求められているんじゃないかというふうに思います。今回の法案はその取組に向けての転換の第一歩だというふうに思います。

 私は環境委員会に属しておりますので、その立場からの幾つかの質問をさせていただきます。

 まず、揚水発電の重要性についてでございます。

 我が国の揚水発電は、全国に四十二か所、約二千七百万キロワットの設備能力を持ち、最近中国に抜かれるまでは世界最大、現在においても世界第二位の規模を有していると認識しております。そのうち、私の地元、長野県梓川水系、高瀬川水系には、六十万キロワットの安曇発電所、二十五万キロワットの水殿発電所、百三十万キロワットの新高瀬川発電所があり、我が国の揚水発電能力の約一割に相当する、二百十五万キロワットの設備能力を有しております。この世界に誇る日本の揚水発電とその技術をしっかり活用していくことが、今日の観点からも重要ではないかと思います。

 揚水発電は、水を引き上げて、その位置エネルギーを用いていわば蓄電池の役割を果たすと認識しております。昨年三月と六月の二度にわたり電力逼迫が起きましたが、あのときに揚水発電がどのように機能したのか、どのように動いたのか、具体的に御説明いただけないかと思います。

 今後、再生可能エネルギーを用いた発電が飛躍的に増えますが、その発電量は天候に左右され、大きく変動することが課題とされています。揚水発電の蓄電池機能でその変動を制御していくことが必要ですが、その大宗をリチウムイオン電池などで賄おうとすると膨大な経費が必要となります。蓄電池の原材料が中国に集中しているという安全保障上の懸念もあります。

 こうした中、最近、英国で水力、バイオマス発電を行うドラックスグループという電力会社がスコットランドにおいて約六十万キロワットの新たな揚水発電所を計画するというお話を伺う機会がありました。我が国でも、世界第二位の規模を築いたこれまでの揚水発電の知見を生かし、これまで以上に新規の揚水発電を検討していくべきではないでしょうか。

 以上、東電と政府に伺いたいと思います。

山口参考人 東京電力ホールディングスの山口でございます。

 まず、揚水発電の稼働実績についてお答えいたします。

 昨年三月十六日の福島県沖地震の影響によりまして、複数の大型の火力電源が停止してございます。その後、寒波が入りまして、震災六日後の二十二日には需給逼迫警報も発令されてございます。揚水発電は、同月の平均的な日の発電量の約四倍となる五千九百六十六万キロワットアワーを発電してございます。これは約六百六十万世帯の発電電力量に相当いたします。

 また、昨年六月には、夏前の猛暑による高需要で需給逼迫注意報が発令されております。揚水発電は、太陽光の発電力が減少することによりまして最も需給が厳しくなる日没前後の時間帯において多く発電してございまして、同月の平均的な日の発電量の約三倍となる四千六百九十二万キロワットアワーを発電してございます。これは約五百四十万世帯の電力使用量に相当してございます。

 三月、六月共に、ピークの供給力を担う揚水発電を高稼働で運用することによりまして、厳しい需給状況においても安定供給を確保しているということでございます。

 それから、新増設についての御質問でございますけれども、東京電力リニューアブルパワーにおきましての検討状況を御説明したいと思います。

 昨今では、需給逼迫時の電力供給に加えまして、天候により出力が変動する太陽光発電等の再生可能エネルギーの余剰吸収それから変動抑制を行う電源といたしまして、揚水発電所の価値が改めて見直されているというふうに考えてございます。

 当社といたしましては、今後の電力需要あるいは再生可能エネルギーの普及を始めとする電源構成の見通し並びに各種電力市場の動向を注視しながら、経済性を見極めた上で判断してまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今の東京電力の方の御説明に加えまして、政府としての見方と今後の支援策等について御説明申し上げます。

 先ほど御説明がございましたように、昨年の三月、六月、需給逼迫の際に揚水発電というのは非常に大きな機能を果たしました。日中のうちに、下部の貯水池からのくみ上げによりまして上部の貯水池にためておいた水を放流して発電し、最後のとりでとして電力の供給に貢献したところでございます。

 また、委員御指摘のように、再エネの大量導入が進む中で、これは電気をため、必要なときに発電するという機能を持っており、そういう意味で、今後の発電システム、電力システムとしては非常に重要な面があると考えてございます。

 揚水発電所の新規開発の検討が進めていけるよう、予算面では開発可能性調査への支援を新たに導入したところでございますし、また、制度面では、投資回収の予見性を高める入札制度の整備を進めているところでございます。

 こうした取組を通じ、電力の安定供給そして再エネの導入拡大に向けて、揚水発電の強化に取り組んでまいりたいと考えてございます。

務台委員 ありがとうございました。

 今回の法案では、系統整備に向けての制度が整備されようとしています。それ自体は本当に必要なことだと思うんですが、一方で、系統負荷を高めない手法の導入というのも重要な視点だと思います。

 私の地元の中山間地に生坂村という小さな村がありますが、そこが、最近、村民の個人住宅に屋根置きパネルと蓄電池を設置し、マイクログリッドで村の集落をつなぎ、電力の地産地消を図ろうとする意欲的な取組を開始しようとしています。犀川に設置された生坂ダムには新たな発電機を設置し、その安定電力をマイクログリッドに流す構想もあります。こうした地域ごとの取組の積み重ねが系統負荷を減らすというふうに考えておりまして、こういう取組を大いに推奨したいとも思っておりますが、政府の支援についての考え方を伺いたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の自営線マイクログリッドでございますけれども、系統負荷の軽減と再エネの最大限の導入にも当然資するわけでございますけれども、それ以外に、災害等で系統が使えない場合にも接続する需要家に電気の供給が可能であるということで、レジリエンス向上の観点からも優れた取組だと思っております。

 例えば、脱炭素先行地域に選定されました北海道の上士幌町、それから新潟県の関川村、こういったところにおきましては、太陽光発電と蓄電池、自営線を設置いたしまして防災拠点を中心としたマイクログリッドを構築する計画でございまして、環境省としても地域脱炭素の推進のための交付金により支援を行っております。

 これらに加えまして、令和五年度の予算におきましては、脱炭素先行地域のうち、自営線マイクログリッドに接続する民間事業者の収益性向上に資する再エネ設備等の支援に特化した交付金を新たに創設してございます。

 今後とも、こうした脱炭素と地方創生の同時実現に向けた地域の意欲的な取組を支援してまいります。

務台委員 再エネも、最近は、よい再エネと悪い再エネが明らかになってきているように思います。再エネは、地球環境に資するために推進するべきもので、単に金もうけの手段として考えてはいけないというふうに思っております。

 その観点から、今回の再エネ特措法の改正案では一定の制約を課す仕組みが導入されています。従来は、どちらかというと地域社会との共生といった観点が不十分であったように思っております。CO2吸収源である森林を伐採して太陽光パネルを設置するとか大規模風力発電を導入するなどは、私から見ると論外のように思えます。

 森林破壊が行われようとしている地帯は日本の脊梁部で、保安林、水源涵養機能があり、土砂災害防止の役割も果たしております。国有林を大規模伐採するような再エネ計画は私は控えるべきだというふうに思います。生物多様性の観点も重要です。山の尾根伝いに大規模な風力、太陽光パネルを設置することで、熊が里に追い出されています。毎年四千頭を超える熊が里に出て捕獲、殺処分されているという状況があります。熊は、生態系の頂点に立っている、生物多様性の象徴たる存在です。

 よい再エネを推進するために何をすべきか考えるべきではないでしょうか。例えば、FIT権利の転売は原則認めないとか、あるいは転売利益には一〇〇%課税するといったような対応も場合によっては必要ではないかというふうに思います。この点についてお考えを伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきましても、FITの事業譲渡の変更認定の際には、条例を含む関係法令違反がないかなどを確認しておりました。

 これに加えまして、今般、先生を始めとする地域共生議連からの御提言も踏まえまして策定しております本法案におきましては、FITの事業譲渡の際に住民説明会の開催などの事前周知を認定要件化するということを盛り込んでおりまして、これにより事業者の責任を明確化するとともに、住民説明会等の事前周知が行われない場合には、変更を認めないといった厳格な対応をしていきたいと考えてございます。

 こうした措置によりまして、事業譲渡に対する規律をしっかり強化し、地域に根差した再エネ発電事業の実施を促していきたい、かように考えてございます。

務台委員 よろしくお願いします。

 私は、例えば太陽光発電については、屋根置き太陽光発電を中心に全面展開すべきだというふうに思っております。我が国は国土の七割が森林で、再エネを推進するドイツ、スペインの倍です。既に国土面積に占める太陽光発電容量は先進諸国の中では最大であり、平地の面積で見るとドイツの倍になっています。大規模な太陽光発電設備を設置する適地は減少しております。

 こうした中、地域と共生した導入を進めるためには、今後のフロンティアは屋根にあるというふうに思います。FIT、FIPによるインセンティブなどで配慮しつつ、PPAなどの手法を駆使して各家庭の導入コストを抑えつつ再エネ振興を図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のFIT、FIP制度における屋根設置の太陽光発電の取扱いにつきましては、調達価格等算定委員会の意見を尊重しながら、二〇二三年度下半期から、FIT、FIP制度におきまして事業用太陽光発電に初めて屋根設置区分を新設する方向でございます。その価格は一キロワットアワー当たり十二円と、地上設置より二割ほど高い価格となっております。

 これに加えまして、先生御指摘のオンサイトPPAなどに様々な支援措置を、関係省庁としっかり連携しながら取組を強化していきたい、かように考えてございます。

務台委員 木質バイオマス発電についても、よく中身を吟味していかなくてはならないというふうに思います。最近、輸入木質バイオマスに関して、品質認証を偽って輸入したものが流通したという問題が出ています。途上国の違法森林伐採、先進国でも不適切な森林伐採の事例が報告されています。FITの制度を大きく損なうようなものについてはやはり考えていかなきゃいけないというふうに思います。

 今回の再エネ特措法改正で、関係法令等の違反事業者に対して交付金による支援相当額の積立命令を行い、違反が解消されない場合は返却命令の導入という仕組みが導入されようとしていますが、我々が古屋圭司先生の下の議連でも問題意識を提示してきた中身でございます。私は、その際、違反行為があったものは遡ってFIT支援金を返還させるべきではないかというようなことも申し上げた記憶がありますが、今回の制度改正ではこの点はどのようにそしゃくされたのでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、今御指摘の議連の御提言なども踏まえまして、一つには、関係法令違反があった場合のFIT、FIP交付金による支援を一時停止する措置、それから二つには、違反が解消されず認定取消しに至った事業者に対して違反期間中のFIT、FIP交付金による支援額の返還を命じる措置を盛り込んでいるところでございます。

 委員御指摘の本法案で措置される支援金の返還措置は、個別ケースではなくて一般論として申し上げれば、関係法令違反などにより認定取消しを行う際に、その違反期間の支援額を返還させることができる仕組みとなってございます。

 今回の法案により事業規律の強化を行うことで、御指摘のとおり、地域と共生した再エネにしっかり取り組んでいきたいと考えてございます。

務台委員 この仕組みをよく事業者の皆様にも周知して、適切な再エネが行われるようにお願いしたいと思います。

 ところで、GXといっても、現状はCO2の排出抑制の観点が前面に出ているように思います。そういう意味では、グリーンという観点がどうも不足しているんじゃないか。グリーントランスフォーメーションではなくて、CX、クリーントランスフォーメーション推進法のように思えて仕方がありません。そういう意味では、第二弾のGX推進法というのを考えていくということがこれからの課題であるというふうに思います。吸収源グリーン充実の観点、これがとても重要だというふうに思います。

 そういう意味では、環境省もサーティー・バイ・サーティーという生物多様性の観点の仕組みを導入しておりますが、CO2吸収という観点からこうした点をもっともっと深掘りしていただきたい。昨年十二月の昆明・モントリオール生物多様性枠組採択を受け、政府は生物多様性国家戦略の閣議決定を行っています。国内の取組に加えて、国際的なルール作りに率先して取り組んでいただきたいと思いますが、お考えを伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 務台委員御指摘の点でございますけれども、自然関連財務情報開示タスクフォース、TNFD、ここにおきましては、民間主導で生物多様性を含む情報開示の在り方が今検討されているところでございます。

 この国際的なタスクフォースには環境省も参画しておりますし、また、我が国の自然環境の特徴等も踏まえて、日本企業による取組が適切に評価される枠組みとなるように、提案や事例の発信等をしてまいります。

 地球温暖化対策の観点からは、生物多様性の保全が着実に進むことで、森林やブルーカーボン生態系などによる温室効果ガスの吸収、固定量の確保も期待できると考えています。

 これらの吸収、固定量の確保に必要なデータの整備を着実に行っていくとともに、我が国のブルーカーボン生態系が吸収源として適切にカウントされるように、ルール作りにも率先して取り組んでまいりたいと考えています。

務台委員 終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、井林辰憲君。

    〔竹内委員長退席、古賀委員長着席〕

井林委員 おはようございます。自民党の井林でございます。

 今日は、三委員会という大変大きな連合審査の場で質問させていただく機会をいただきましたこと、まずもって御礼を申し上げたいと思います。

 特に、私は原子力問題の調査特別委員会に所属をしておりますし、また、党では原子力規制について、今日もおいでですけれども、鈴木淳司委員長の下で勉強させていただいている時間が長かったものですから、規制の面から中心にお伺いをしたいと思います。

 今回、炉規法を併せて改正されますが、原子力発電所の運転期間に関する今般の議論は、原子力規制委員会が令和二年七月二十九日に決定した運転期間延長の見解や、それを踏まえた、令和二年十二月三日に衆議院の原子力問題調査特別委員会で前任の更田委員長が、期間そのものは私たちの知ったことではない、安全は安全でしっかりやるんだという御発言がありますし、そういうところからスタートしております。

 ただ、今回の法律を規制委員会で合意していただく、最終決定していただく段階で、一部の委員から突然、安全側への変更ではないと反対がなされた。本当にそう考えるならば、それまでの議論過程で、少なくともパブリックコメント案をまとめる前には意見すべきだと思います。その委員は、令和二年七月の見解文書についても、よく議論して決めたものではない、確固として決定されたものではないと主張しましたが、見解文書を決める際には賛成し、昨年十月五日にも見解を変える必要はないと明確に発言しているにもかかわらず、なぜ最終決定の段階に至って突然、根本的な点でのそごが表面化したのか、議論過程でのコミュニケーションや議論の姿勢に問題はなかったのか、疑念があります。

 また、改正案に賛成した委員の中でも、せかされて議論してきたと、あたかも時間不足かのような発言がありましたが、この課題は、山中委員長もコメントされていますが、まさに五年以上前から議論されてきて、事前の準備期間は十分あったはずであります。それでも足りないというなら、一体どれだけの時間をかけて議論すれば答えというのが出るのか。その委員は任命されて日が浅いとも聞きますが、そうであれば事務方が着任前から過去の経緯をしっかり説明しておくべきだ、そうした準備不足はなかったのかというふうに思っております。

 ここで、確認をしておきたいことが二点ございます。

 まず、今回の法改正の趣旨でございますが、利用政策と高経年化炉の安全規制とを明確に切り分けるものであり、原子力発電所の安全規制に一切影響を与えるものではなく、むしろ世界最高水準の規制基準に基づき、より厳格に安全確認を行っていくための安全側への変更であるということを確認したいと思います。

 もう一つは、今回の議論過程を振り返り、検討の事前準備やコミュニケーションについての反省点、また、こうしたことに象徴されるように、効率的な検討の下、結論を出していくという、行政機関としての基本姿勢への認識不足が規制委員会における審査を長期化させてきた一つの要因になっているのではないかと思いますけれども、委員長の見解をお願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 二つ御質問があったかと思いますが、少し長くなりますが、お答えをさせていただきます。

 まず、今回国会に提出をさせていただいた原子炉等規制法の一部改正案は、これまで運転開始後四十年目に一回に限り行ってきた発電用原子炉施設の基準適合性審査を、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、また、その十年を超えない期間ごとに行うなど、現行制度に比べてより高い頻度で厳格に審査を行う予定にしております。

 さらに、新たに認可対象として作成を義務づけます長期施設管理計画には、これまでは認可する保安規定の中で定めていた長期の施設管理方針の内容に加えまして、施設の劣化状況、劣化予測に関する詳細な記載を求めることで、より厳格な審査になると考えております。

 その結果、運転期間がどうあれ、基準への適合性を確認できない発電用原子炉の運転は認めないという、より厳格な制度になっていると考えています。

 二つ目の質問に対するお答えでございます。

 今回の新制度案は、令和二年七月の見解を前提として議論を進めることについて規制委員会で二度確認の上、四か月以上の期間をかけて九回にわたる議論を規制委員会で丁寧に進めてまいりました。そうした中で、制度の大枠を決める段階になって反対の意見があったことは非常に残念に思います。

 一方で、各委員がその専門的な立場から、反対を含めて独立した議論を行い、意思表明を行うことは、原子力規制委員会の独立性あるいは信頼性の観点から重要であるとも考えております。今回、各委員が率直な意見を公開の場で述べ、様々な意見が出たことは、まさに私ども原子力規制委員会の独立性、透明性を示したものであると考えております。

 また、御質問の審査期間の長期化につきましては、原子力の安全の追求に妥協は許されないという認識の下、規制側と事業者側の双方が納得のいくまで議論をすることが不可欠だと考えています。

 現在審査に時間を要しているプラントにつきましては、地震や津波の規模の想定、敷地内断層の選定などの審査過程において申請者の追加調査、追加検討が必要になり、それら調査、検討に時間を要しているものであり、これらについては事業者の対応によるところが大きいものであると考えております。

 その上で、審査プロセスの改善は、もとより原子力規制委員会としても強く望むところでございます、様々な工夫を現在行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、審査を着実に進めていくため、事業者、規制側、双方の努力が必要であると認識しております。

井林委員 ありがとうございます。ちょっと思っている答弁と違いますが、冒頭で委員長から、残念だったという言葉が一番最初に出てきたということで、その思いが一番強いんだろうというふうに受け止めたいと思っております。

 そこで、今回の法改正ですが、審査の長期化がやはり大きなところなんだろうと思っています。標準処理期間でいくと二年というふうに定められていますけれども、大幅に上回っている原子炉もあるということです。

 この中で、今回の新しい高経年化炉の規制について、運転開始から三十年目、十年以内ごとに認可を行っておりますが、この標準処理期間をどれぐらい置くつもりなのかということと、あと、いろいろ皆さんが心配されていますが、新規制基準の審査がふくそうしてしまうということで、法律の成立、公布後二年を予定していますが、規制委員会においては、新制度の施行準備期間においても審査リソースを十分に確保して、双方の審査をしっかり行うということが安全のために何よりも重要だと思っておりますが、現在の審査体制で十分だと考えるのか、不足するならばどのような体制を拡充するのかについて、見解をお伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 現行の高経年化技術評価制度の標準処理期間は六か月でございます。一方、運転期間の延長認可制度の標準処理期間は一年としております。今回の新制度は現行の二制度を統合するものでございますため、新制度案に基づく長期施設管理計画の認可に関する標準処理期間につきましては、これらを参考にしながら今後検討してまいる予定でございます。

 また、長期施設管理計画の審査につきましては、規制委員会として、高経年化対策に関する現行制度に基づき既に確認している審査内容を活用するといった、合理的な審査を考えているところでございます。

 一方、今回の改正案では、新制度が施行するまでの期間においてあらかじめ新制度における長期施設管理計画の申請、認可ができるように定めておりますために、その期間は現行制度と並行して審査を行う必要がございます。

 審査リソースが十分か否かにつきましては、事業者において申請期間等の検討がなされた上で対応すべき審査が定まってくるものと考えております。現時点で具体的にお示しすることは難しいところではございますけれども、いずれにいたしましても、審査体制の強化も含めて、審査を着実に進めていくために規制委員会で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 今回の法改正が安全側に配慮したというものであれば、安全のためにも円滑な施行を心からお願い申し上げたいと思います。

 ちょっと順番を変えさせていただきまして、今回の新制度で運転期間のカウントの除外になります、震災後、他律的な要素により運転を停止していた期間について、新規制基準への対応期間が念頭にあるというふうに私もいろいろなところで説明を受けておりますが、私の地元にあります浜岡原子力発電所は、それ以前に、当時の菅総理から平成二十三年五月六日に停止要請がなされまして、五月十三日、十四日にそれぞれ運転を停止しています。ですので、それから新規制基準が施行されるまでの期間がどうなるんだということが、一つ、地元の皆さんの関心事でもあります。

 浜岡原発が停止要請されたときは、本当に政治に翻弄されたというふうに地元の人たちは混迷をしました。ですので、今回、この期間が新しい制度において運転期間のカウントの除外の対象になるのかならないのかということをお示しいただければと思います。

西村(康)国務大臣 今般の法案におきましては、運転期間のカウント除外の対象となり得る他律的な要素による停止期間というものを具体的に列挙しております。その中で、第二十七条の二十九の二第四項第五号のハにおきまして、東日本大震災以降の行政指導による運転停止期間についても規定をしております。

 このため、御指摘の二〇一一年五月に行われた浜岡原子力発電所に対する運転停止要請による停止期間についても、カウント除外の対象に該当し得るものというふうに考えております。

井林委員 ありがとうございます。どちらにせよ、この期間の扱いが法律上明確になったということは、地元として大変ありがたいことだというふうに思っております。

 もう一つ、今回の法律の議論の中で、報道にもありましたけれども、原子力規制庁職員と経済産業省職員が規制委員会での方針決定前から面談を行っていたということが問題として報道されました。私は、この意見交換は令和二年七月の見解を踏まえれば当然に行われるべきものでありまして、規制と利用は分離されるべきではありますが、縦割りであってはいけないと思っておりますし、コミュニケーションは必要以上に分断されてはいけないというふうに思っております。よりよい制度の在り方を規制、利用側それぞれが常に追求していくということは重要であり、そのために必要な意見交換を双方の事務方が行うことは、私は行政として極めて望ましい姿であると考えています。

 今後の双方の職員間での意見交換や事務方による意見交換、その在り方について、見解を規制庁からお伺いします。

金子政府参考人 原子力規制庁といたしましては、関係行政機関と情報の交換を行ったり、規制庁職員間で事前にアイデアを出し合って論点の整理等の検討を行うことは、規制委員会の議論を支える事務局として当然に行うべきものであると考えております。

 一方で、そのような情報交換や内部の検討について、規制委員会の独立性に疑念が持たれることのないよう、透明性を高める観点から、原子力推進当局との面談の議事要旨を公開するという対応とともに、政策方針などの実質的な議論は公開の場である規制委員会あるいは検討チームなどで行うようにしておりまして、今後もそのような取組を継続してまいる所存でございます。

井林委員 ありがとうございます。規制と利用は分離すべきですが、縦割りであってはいけないと思いますので、しっかりとした意見交換を行ってもらいたいというふうに思っております。

 もう一つ、最後になりますが、原子力規制委員会設置法の附則第六条第三項には、原子力規制庁の職員の再就職を規制する規定がございます。独立性の確保と職務執行の公正さに対する国民の疑念や不信を招かないようにするという意味ではその考え方がある一方で、これを厳しく運用し過ぎると、原子力規制に関する知識や技術、経験を持っているのは、今、事実上、原子力規制庁の職員の皆様だけというのも現実でございます、そういった人材が、あっせんとか押しつけということは決してあってはならないことですが、そうした方々が必要とされる場所でその能力を発揮できないという状況は、日本の大切な人的資源を活用するという意味で、ひいては原子力の安全性を維持向上していく上で、私は避けるべきものだと思っております。

 電力会社の発電部門にそのままというわけにはいかないと思いますが、しっかりと安全規制を見る会社ですとか、プラント運営を行っている会社、そうしたところでは技術を生かせる場所は私はあるのではないかというふうに思っておりますが、原子力規制庁の職員が退職した後の活躍の場の拡大について、再就職規制の運用の在り方も含めて所見をお伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故によりまして地に落ちた原子力規制への信頼を回復するために、確かな規制を行い、また、再就職への規制などとも相まって、独立した規制機関として行動して、その実績を示していくことが極めて重要であると考えております。

 国家公務員としての再就職に係る一般的な規則も含めまして、原子力規制委員会設置法の規定の趣旨を踏まえて、独立性の確保と退職する職員の能力の有効な活用の双方が満たされるよう、再就職規制の運用を行ってまいります。

井林委員 ありがとうございます。しっかりと能力を活用していただいて、大事なのは原子力の安全性が向上することだというふうに思っております、しっかりとした御対応をいただければと思います。

 今回の法律を経て国民の皆様の原子力に対する安全と安心が高まることを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、経産委、また環境委員会、そして原子力問題調査特別委員会、三委員会の連合審査ということでありまして、私も経済産業委員会とそしてまた原子力問題調査特別委員会と両方所属をさせていただいております。そうした観点から、今日、通告に従いまして質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 本法案で、幾つか法律の改正があります。電気事業法、再エネ特措法もあり、そして原子力の基本法についても今回改正があるということであります。この法案の改正についても経済産業委員会でも様々な議論をしてきたところでありますけれども、私は、原子力の基本法について、福島の事故の反省と教訓を踏まえて安全を最優先をしていくということが記載をされたというのは非常に大事なことであるというふうに思っております。現下のエネルギー情勢の中では、一定、今ある原子力発電をどう活用するのかということがどうしても議論をしていかないといけないという中において、原子力行政をやっていく中で福島の事故の反省と教訓というのはやはり避けては通れない、そして最も重要なことであるというふうに思います。

 この点について、まず冒頭、GX担当大臣に今回の原子力基本法の改正のここの部分について、どういう意義と、またどういう決意を込めてこういう改正をしているのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、東京電力福島第一原発事故への真摯な反省、それは、その後の原子力政策のいわば原点であります。原子力の利活用に当たっては、安全神話に陥った事故の反省と教訓、これをいっときたりとも忘れることなく、いかなる事情よりも安全性、安全確保を最優先に取り組んでいくということでございます。

 事故を受けまして、安全神話に二度と陥らないとの教訓を肝に銘じ、エネルギー政策と安全規制の分離が行われたわけであります。具体的には、規制行政を一元的に担うために独立した原子力規制委員会を設置したこと、そして、世界で最も厳しいと言われる水準の新規制基準の策定といった措置を講じてきたものというふうに承知をしております。

 今回の法案でも、この反省を踏まえ、憲政史上初めて安全神話という言葉を用いて、安全神話に陥り、事故を防止することができなかったことを真摯に反省という表現を盛り込んでおります。事故の防止に最善かつ最大の努力をしていく方針を原子力基本法に明記しているところであります。

 今後とも、一切妥協することなく、安全確保、安全性を全てに優先させて、国民の信頼回復に努めながら、理解を得ながら、全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 先ほどまさに大臣が述べられた規制と推進の分離ということについてもう少しお伺いをしたいと思うんです。

 今回の福島の事故の一つの反省、いわゆる利用側の政策そして規制側の政策、これが経産省の中でどちらもやっていたというところをやはり変えないといけないという中で、原子力規制委員会、規制と推進の立場を明確に分けるということでこれをつくってきたというのがこの歴史であるというふうに思います。ですから、原子力規制委員会というのは、あくまで中立公平な立場、そして、非常に独立をして安全行政というのを行っていかないといけないということでございます。

 今回の法改正案においては、特に運転期間の定めのところ、六十年の運転期間というところ、四十プラス二十というところについては、利用政策の観点から電気事業法という形になる。他方で、高経年化した原子炉に対する規制、これは、先ほど大臣も言っていただいた、あくまで安全最優先の考えということで原子炉等規制法の枠組みという形になっております。

 問題は、一連の議論の中で、規制側と推進側、いわゆる利用側、経産省の方からやはり規制庁の方に対して、安全規制の在り方について利用というところから働きかけを行っていったのではないかというふうな、今回の経産委の議論の中でも様々そういう議論がなされてまいりました。

 今回、いろいろな、そういう意味ではかなり資料も委員会の方に提出もしていただいております。そういう意味では、通常であれば、恐らく、ここまでオープンにしてしっかり議論をする、どういうふうなやり取りがあったのかというところをかなり説明していただいているというふうには思うんですけれども、やはりまだ一部、こうした疑念をどうしても指摘されてしまうというところがあります。私も資料も拝見しておりますけれども、本当にこれが大丈夫だったのかというふうなところを、こうした指摘についてやはり経産大臣としてどう考えておられるのか。

 そして、やはりこういう誤解を招くことがないような在り方というのが大事だというふうに思います。今後、そうした誤解を招くことのないような取組を是非対応していただきたいというふうにも思いますけれども、これについても大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 今般の運転期間に係る条文に関する法改正については、令和二年七月に原子力規制委員会が、原発の利用をどのくらいの期間認めることとするかは原子力の利用政策の判断という見解をまとめられ、示されたことを踏まえて、あくまでも条文上の整理として、利用と規制、この観点から峻別して、電事法と炉規法の二つに再整理をするということが大きな目的の一つであります。したがって、今回のこの運転期間に係る改正については、何か安全規制の在り方について影響を与えるものとか、経産省から何か申入れを行ったとかということでは全くございません。

 事務方同士のやり取りも、具体的な意見の申入れを行ったものではありませんけれども、御指摘のように、一部に、メモに不用意な表現がございました、何か安全規制の在り方に影響を与えるかのような、そうした印象、誤解を与える、生じさせる内容となっております。このことは本当に遺憾でございまして、担当者に私からも厳しく指導したところでございます。

 なお、原子力規制庁は、昨年十二月二十七日の記者会見において、経産省から原子炉等規制法に関するメモが示されたことについて、それ自体が問題とは思わないと述べているものと承知をしております。

 また、山中委員長も、おられますけれども、今回の原子炉等規制法の改正は規制の厳格化を行うものである旨述べられており、実際に安全規制の緩和とはなっていないということでございます。

 現に仕上がったこの法案を見ていただいたらお分かりのとおり、原子炉等規制法の改正案は、経産省から規制庁に示したメモの、それに従って何かやっているとかということではありませんので、是非この点は御理解いただきたいと思いますけれども、ただ、不用意な表現があったことは事実でありますので、私から厳しく指導したところでございます。

中野(洋)委員 こうした福島の反省を踏まえた規制と推進の分離をしっかりしていくという意味では、利用側と安全側でどういうやり取りをしているのかというところもやはり厳しく見られていくというふうに思いますので、これは是非疑念を招かないような、そういうことをお願いをしたいと思います。

 また、山中委員長の方にも御質問させていただきますけれども、私も本会議の方でも質問させていただきましたが、今回、あくまで利用は利用、電気事業法ということであります。しかし、安全規制は、それとは関係なく、やはりしっかり炉規法の方で対応していくということであります。山中委員長から、あくまで安全最優先なんだということを本会議でも総理の方から答弁をいただいて、やはり運転期間、利用期間というものがどういう形であろうと、安全基準を満たさないものは運転ができないということは当然でございますので、それは確認もさせていただいたんですけれども。

 もう少しこの点についてお伺いをしたいのが、今回新たに、高経年化した原子炉の運転が増えていくということでありますので、長期施設管理計画というものを、三十年を超えて運転をする場合、これは十年ごとに審査をしていくというのが新しい今回の制度でございます。ですから、三十年目も審査をするし、四十年、そして五十年、十年ごとの審査だというふうに思っております。

 規制をしっかり厳格化をしているというふうな御説明もいただいたんですけれども、他方で、今までもこうした三十年を超えたものは十年ごとにチェックをしていくという仕組みもあったではないか、これは別に、単に今あるものを二つ一緒にしただけではないか、特に規制が厳格化したわけではないんじゃないか、こういうふうな指摘も一部いただいているところでございます。

 ですので、分かりやすく、ちょっと委員長の方から、具体的にどういう点で規制を厳格化あるいは強化をしたのかというところについて是非御説明をいただきたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回国会に提出させていただきました原子炉等規制法の一部改正案によりまして、これまで運転開始後四十年目に一回に限り行ってきました原子力発電所の基準適合性審査を、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、また、十年を超えない期間ごとに行うなど、現行制度に比べてより高い頻度で厳正に審査を行うことになっております。

 また、新しい認可対象として作成を義務づけます長期施設管理計画には、これまで認可する保安規定の中で定めておりました長期の施設管理方針の内容に加えまして、施設の劣化状態や劣化予測に関する詳細な記載を求めることで、より厳格な審査を行うことになると考えております。

 さらに、このような、計画に詳細な記載を求めることを通じて、最新の知見により、劣化評価の方法等に変更が必要になった場合には、劣化評価のやり直しや計画の変更などをより柔軟に機動的に求めることにより、最新の知見を反映しやすい仕組みとなっています。

 このように、運転期間がどうあれ、基準への適合性を確認できない原子力発電所の運転は認めないという、より厳格な規制になっております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 長期施設管理計画、今までも法律に基づいた形ではたしかなかったと思うんですけれども、十年ごとにチェックをしていたものが、内容についても詳細な記載を求めていくということでもございますし、また、最新の知見をより反映しやすくと、バックフィットをしていくということかと思いますけれども、そういうこともしっかりと行っていくというふうにも委員長からも答弁をしていただきまして、やはり炉が高経年化しているということでありますので、規制についてはより厳格に、しっかり今回やっていただくということであろうかと思います。

 先ほど委員長から答弁もありました、高経年の炉に対する最新の技術的な知見をどうバックフィットさせるかというのが非常に今回また大事になってくるんだろうというふうに思っております。

 今回、参考人の質疑等でも、経産委の方でも議論もありましたけれども、日本の原子炉の平均の年齢でいいますと、三十一年ぐらいだというふうな平均の数字もいただきました。より外国の炉の方が、やはりできたのが古いというのもありまして、例えば、EUであれば恐らく三十七年ぐらいで、アメリカであれば四十三年ぐらいなのではないかというふうに資料も見させていただきました。

 そういう意味では、日本の炉以上に高経年の炉というのはやはり外国の、アメリカであるとかそういったところの運転状況がどうなのか、実際の劣化状況やトラブルの状況ですとか、そうしたところの知見をどのように日本の今回の新しい技術的な評価というところに盛り込んでいけるのかというところがないと、やはり制度としては、そして十年ごとの厳格な制度ということにしても、技術的な評価のところが具体的にどう固まってくるかというところがないと、やはり安全性という意味では、高経年の炉を運転をするには非常に不安であるというふうに思います。

 ですので、山中委員長にもう一問お伺いをしたいのは、こうした諸外国の状況もよく見ながら、より高経年化しているところの知見というのをしっかり蓄積をしていかないと、やはりしっかりした安全規制はできないのではないか、こういう強い問題意識を持っておりますけれども、どのように今回対応されるのか、どういうおつもりなのかということを委員長からお伺いをしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 現行の運転延長認可制度につきましては、最大六十年目までの運転延長を行う、中性子照射脆化ですとかコンクリート構造物の強度低下等の劣化を考慮して、基準に適合することが求められております。既に四件の審査実績がございます。

 こうした実績を踏まえまして、原子力規制委員会としては、現行制度に基づく劣化評価の技術内容は新制度においても有効であるということを委員の間では確認をしております。

 その上で、六十年目以降における劣化評価につきましては、これまでの現行制度に基づく審査あるいは検査の実績を土台としつつ、今般設置をいたしました検討チームにおいて、国際機関が定めております基準類、あるいは欧米、例えばアメリカ、スイス等の規制制度など、諸外国の例も参考にしながら、現在、技術的な詳細の議論を進めているところでございます。

 新制度の運用を開始した後にも、諸外国の規制動向を始め国内外の新しい知見を収集し、継続して改善を行ってまいります。必要に応じて規制基準に反映するなど、不断の制度改革にも努めてまいる所存でございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 諸外国の事例も、チームも今つくられて検討されているということも確認をさせていただきました。しっかりとこうした最新の知見が反映されるように、是非、これは不断の取組だと思いますので、お願いをしたいと思います。

 また、長期間運転を停止をしている炉を再開をするということも出てこようかというふうにも思います。こうした長期運転停止というところも、なかなか、諸外国では余り例がないというふうなことも少しお伺いもしましたので、こうした点も含めて、やはり最新の安全の知見というものを原子力規制委員会の方で是非検討していただければというふうにも改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 法律には直接は記載はしていないんですけれども、GXの基本方針の中でリプレースについての記述がありますので、これについても確認をさせていただきたいというふうに思います。

 GXの基本方針では、地域の理解の確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象として、バックエンド問題の進展も踏まえながら具体化を進めていくというふうな記述もございました。これをもって、あたかも廃炉としたものは全てリプレースをしていくというふうな、そういうことなのかというふうな御指摘もあるところであります。

 他方で、今まで廃炉決定をしたのは二十四基ということでありますけれども、実際に廃炉決定をしたところの、しかも敷地内で建て替えるということであります。ですから、今既に敷地内にそうした場所があるところじゃないと建て替えられない。そしてまた、次世代革新炉への建て替えということでありますので、今、技術的には恐らく革新軽水炉などを想定をしているのかというふうにも思いますけれども、これは、当然、地盤の関係等々を含めて、更に条件が限られてくるということで、かつ、地元の理解があるということは、やはり地元からそういう強い要請がなければ、恐らくこうしたリプレースというのはなされないのであろうというふうに思っております。

 そうしたことを考えると、そういう場所というのは現実的には私はかなり少ないのではないかというふうにも感じております。ですから、今回のGXの基本方針において、リプレースによってどんどん全部建て替わってしまうんだというよりは、やはりかなり限定的なものになっていく、原発依存度は低減をしていくんだという方針は変わらないというふうに私は考えております。

 こうした理解でよいのかということについて、経済産業省、最後に答弁をいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございましたように、GX基本方針の中では、今回法案としております運転期間の話とともに、建て替えの話、具体的に言えば、廃炉を決定した原子力発電所の敷地内での次世代革新炉への建て替えということを方針としてお示ししているところでございます。

 ただ、これを具体的に進めていくに当たりましては、委員からの御指摘にもございましたが、三つほどの要素、この条件をクリアしなければならないわけでございます。一つには、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉であるということ、そして、地域の理解を得るということが大前提であるということ、そして、何より、原子力規制委員会が厳格な安全審査を行い、認可を得られているものであるということというものでございます。

 そうなりますと、委員から御指摘がございましたように、今現在、二十四基、廃炉としたところがあるわけでございますが、現実的に考えていきますと、数を申し上げるわけにはなかなかまいりませんが、この条件を満たしたところということになってくるものでございますので、全ての炉が建て替えるということではございません。

 このため、政府の方針といたしましては、エネルギーの安定供給と地球温暖化両立のため、これまで同様、再エネの主力電源化、最大限の導入ということを進めてまいる、そういう中で、原子力については震災前の約三割から依存度を低減する方針、このことについては変わりがないというふうに認識してございます。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日は、連合審査ということで、質問の時間をいただいたこと、感謝申し上げたいと思います。今、私は環境委員会に所属をしているところであります。

 早速質問に入らせていただきます。原子炉の脆化についてまず質問させていただきたいと思います。

 政府は、今回の束ね法案によって、原子力発電所の運転期間を原則四十年、例外的に二十年延長を可能とする現行制度を変更し、原発が運転を停止した期間の延長を可能とすることで、実質的に六十年を超えてでも運転できるようにするとしているわけであります。まず、確認したいわけでありますが、原発が運転を停止していた期間であっても原子炉の脆化、劣化はあると私は考えるのでありますが、それでよろしいでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉施設の経年劣化につきましては、例えば、原子炉の中性子脆化などは運転に伴って生じる劣化であり、運転停止中には考慮しなくていいとされております。一方で、コンクリート構造物の中性化などの運転のいかんにかかわらず進展する劣化もあると認識しております。

近藤(昭)委員 コンクリート等の劣化はあるけれども、炉の劣化はないという認識でいらっしゃいますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 運転停止中は、原子炉圧力容器の中性子脆化による劣化はございません。

近藤(昭)委員 続きまして、経年による原子力事故についてということで御質問させていただきたいと思います。

 今年一月に、福井県の高浜原発四号機で、運転中に原子炉内の核分裂の状態を示す中性子の量が急激に減少したという異常を知らせる警報が出ました。そして、原子炉が自動停止するという事故が起きたわけであります。山中委員長は、原子炉を止めるという非常に重要な部位のトラブルなので原因究明をするとともに緊張感を持って取り組んでほしいと指摘されました。

 高浜原発四号機は一九八五年に運転開始で、既に三十八年たっており、経年による劣化が見逃された例だと私は思うわけでありますが、このように経年による劣化が見逃されてトラブルが発生した、こういう例はほかにはありますでしょうか。

森下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の高浜発電所四号機のトラブルでございますけれども、施工時に引き回したケーブルが覆いかぶさった状態が継続し、そのため、過大な荷重がかかって生じた不具合でございます。施工に問題のない状態で起きる劣化とは異なるものではございますが、委員御質問の経年による劣化が見逃されたトラブルの事例といたしましては、平成十六年八月に発生した美浜発電所三号機の二次系、放射性物質が含まれていない冷却系の配管が破損した事故がございます。この事故の原因につきましては、関西電力が本来点検すべき配管を点検しなかったため、当該配管が腐食や浸食を受けて、徐々に配管の厚さが減少した結果、強度が低下して破損したものでございます。

 以上です。

近藤(昭)委員 もちろん、現場で頑張っていただいている方、また関係の皆さんは、緊張感を持って現にやっているということであります。しかしながら、よく指摘されるわけでありますが、原子力発電所の原子炉に関わるところは非常に複雑な構造であって、配管の距離数等々を、足すとといいましょうか、数えると大変に大きな距離になるわけであります。そういう中で、どうしても見逃しというようなことが起きてくるんだということもあると思います。そのことがあった、こういう事実を確認させていただきました。

 この間も、東電福島第一原発事故が起きた、残念ながら万が一の事故があった、そうしたことが全く想定されていなかったわけではないけれども安全神話のとりこになっていた、そういう中で、あの事故を反省に法案が様々作られてきた、こういうことであるわけであります。政権が替わった後も、私は野党の議員として、この問題について環境委員会あるいはその他の委員会で質問させていただきました。それで、お聞きをしたいんです。以前お聞きしたことの確認でありますけれども。

 東電の福島第一原発事故では、使用済核燃料プールへの放水活動、これは、東京消防庁を始めとする大阪市、横浜市、川崎市といった大都市の消防本部に属する、当時は二百六十名だったと思いますが、総員二百六十名の消防隊員の献身的な活動によって成し遂げられた。二〇二一年二月二十六日に予算委員会の第二分科会で私は質問させていただきました。当時の消防庁次長は、東日本大震災で東京消防庁等が行っていただいた放水作業あるいは冷却作業、そういったことは基本的には想定されていないと答弁されております。つまり、消防の業務の中には入っていないと。

 消防業務というのはあくまで自治でありますから、もちろん、全国から連合で消防組織をつくる、こういう特別な仕組みもあるわけでありますが、基本的にはオンサイトについては事業者が行うということであり、消防庁としては今申し上げたように想定していないという答弁だったわけでありますが、これは今も変わらないでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の教訓を踏まえまして、原子力規制委員会では、原子炉等規制法に基づきまして、重大事故が発生した場合に必要な施設、設備、人員等を原子力事業者において確保することを前提に原子力発電所設置の許可が行われているというふうに承知しております。

 したがいまして、東日本大震災で東京消防庁などが行いましたような放水作業あるいは冷却作業を消防機関が行うこと、これは基本的には想定されていないと考えております。

 なお、万が一原子力事業者だけでは十分な措置を講じることができない場合には、それまでに得られた情報あるいは通報内容などを踏まえまして、原子力災害対策本部による調整の下、消防機関などの実動機関が、十分な安全を確保した上で、対応可能であると認めた活動の範囲内で事故収束活動の支援を行うというふうにされておるところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今、状況を見ながら支援をすると。支援というのはどういう意味だか、ちょっと御説明いただきたいんですけれども、基本的にはオンサイトは事業者だ、こういう認識でよろしいでしょうか。そして、支援というのはどういうふうな支援のことを想定しておられるのか。

 私が懸念するのは、法律的にはオンサイトは事業者だというふうに規定しているんだと思うんです。消防庁は基本的にはやらないということなんだと思うんです。そして、いろいろと状況によってはやるとおっしゃっても、そうした装備等々がどのように整備をされているのかとか、言葉で言うほど簡単なことではないですし、仕組みとしてちゃんとやられているのかということが非常に重要だと思うんですが、いかがでしょう。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 オンサイト対策につきましては、事業者の責任において実施すべきものでございますけれども、万が一事業者だけで十分な措置を講じることができない場合には、先ほど御説明申し上げましたように、原子力災害対策本部による調整の下で消防機関などの実動機関も事故収束活動の支援を行うとされておりますので、この枠組みの中で対応してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 余り時間を取ってもあれなんですが、そうすると、状況次第でオンサイトにも行く、こういう理解でいいのかということであります。そのことを確認したいのと、当時、放水作業等を行った隊員の皆さんのその後の健康状態はどうであるのか、がんや重い症状を発症したり亡くなったりされている方はいらっしゃらないのかということを確認したいと思います。

 当時は、ある種の特別な状況の中で当時の政権が東京消防庁に依頼をしてやった、例外的な対応だったと思います。例外的な対応であった、だから対応された方で病気になられた方にはきっちりとフォローを、フォローというか、後をきちっとケアしていくように、こういうことも、当時はある種の依頼のような形で行われたと思うんですね、法的な仕組みとしてはできていないのではないかと思うんですが、よろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。健康管理の関係でございます。

 消防庁といたしましては、緊急消防援助隊として福島第一原子力発電所で核燃料プールへの放水活動に従事した職員の安心あるいは長期的な影響の確認に資するため、平成二十四年度から、医療、消防関係者から成る、福島原発事故において活動した消防職員の長期的な健康管理審査委員会を設置いたしますとともに、血液検査などの追加検査の機会確保を図るなど、健康管理の支援を行ってきております。

 放水活動に従事されました緊急消防援助隊員の方で、消防庁の健康管理支援を利用されている方につきましては、福島第一原発事故の影響で亡くなったり、あるいは重篤な症状となったと判断された方はいらっしゃらないというふうに承知をしております。

 また、職員の派遣につきましては、消防組織法に基づく緊急消防援助隊の派遣の仕組みの中で活動されたというふうに承知しております。

近藤(昭)委員 最後にもう一つだけお聞きしたいんですけれども、当時、双葉町の消防団がオンサイトの作業に行くかどうかということで、非常に現場での葛藤が起こるわけですよね。本来の法的なことでいうと、地元の消防隊はオンサイトの作業には当たらない。しかし、大変な緊急事態で、それぞれの隊員の皆さんの非常な使命感ということで、行く行かないということの現場での大変なやり取りがあるわけであります。

 これは法的な確認です。緊急で広域の消防組織がつくられることはある、そこで対応されるということでしたが、いわゆるそもそもの元々の自治体の消防隊というのはオンサイトに行くのか行かないのか、法的にどういうふうになっているのか確認をしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時の活動は、都道府県内の消防力では対処が困難な場合に、被災地の都道府県知事からの要請などに基づきまして、消防庁長官が、被災地以外の都道府県知事等に対して、緊急消防援助隊を被災地に出動させ、消防の応援を行うよう求めや指示ができるとなっております。この消防組織法の枠組みに基づきまして今回活動がなされたということでございます。

 また、どのような活動をするかにつきましては、基本的には、緊急消防援助隊の活動内容は、消防庁長官は指揮監督権を持っておりませんで、現地の実情を把握している被災地の市町村長の指揮の下で適切に調整し、行動がなされるというふうに承知しております。

近藤(昭)委員 この問題だけに余り時間を取っていると次の質問ができませんけれども、消防の本来的なことでいうと、本来的というか、仕組みの中でいうと、オンサイトについては地元の消防隊は入らないということだと思うんです。

 さて、次の質問に行きたいと思います。避難計画の実効性、福島からの避難者についてということであります。

 二〇二一年三月の水戸地裁判決は、避難計画の実効性不備などを理由に、茨城県の東海第二原発の運転差止めを命じました。原電が再稼働の事前同意を県や立地周辺六市村に求める大前提となる広域避難計画策定が進んでいないということであります。策定義務がある県と三十キロ圏内の十四市町村のうち、策定済みは県と五市町のみで、昨年一年間で新たに作成した市町村はないと報道されています。

 この避難計画の策定義務のある県と十四市町村の避難対象者の数は何人であって、避難する場合、バスで移動するとすると何台のバスが必要になるのか、お尋ねをしたいと思います。

荒木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のあった東海第二地域の原子力災害対策重点区域につきましては、平成三十一年三月改定の原子力災害に備えた茨城県広域避難計画によれば、人口が約九十四万人とあり、非常に多いことが特徴の一つでございます。

 茨城県によれば、原子力施設からおおむね五キロ圏内ではバスが四百台から五百台、同じくおおむね五キロから三十キロ圏内では、仮に一斉に避難や一時移転をすることとした場合の単純合計では約三千台が必要と推定していると聞いております。なお、これは自家用車で避難できない方々のためのものであり、アンケートに基づいて必要人数を計算したものと聞いてございます。

 なお、今申し上げましたおおむね五キロから三十キロ圏内では、まず屋内退避をしていただき、放射線量が高くなった場合に、その地区の住民が避難や一週間程度内での一時移転を行うこととなります。したがって、必ずしもおおむね五キロから三十キロ圏内の全住民が一斉に避難や一時移転を行うわけではございません。

 いずれにしましても、避難手段としての自家用車での避難をすることができない方々のために相当数の車両を確保することは重要でございます。現在、バス協会などと協力体制の構築に向けた調整を進めております。

 内閣府としましては、引き続き、東海第二地域原子力防災協議会の枠組みの下、これら課題に的確に対応できる地域防災計画、避難計画の策定に向けて、関係自治体と一体となってしっかりと検討を進めてまいります。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 状況によっては避難、退避もということでありますが、ただ、避難計画は、最悪というか、とにかく厳しいときにどういうふうに対応するかということを策定しておかなければいけないわけであります。

 バスを三千台とするわけです、三千台のバスが必要だ、そうすると、私の計算ですが、五十人乗りだとすると十五万人の移動であります。十五万人しか移動できない、対象人数に対して残りの八十万人近い方が、逃げるとすればですが自家用車で移動する、四人乗りだとしても二十万台の自動車が移動することになるということであります。大渋滞どころか、想像するだに、何ですかね、驚くようなことでありますし、もう一つ、今おっしゃるようなことで、三千台、地元のバス協会と調整中とおっしゃりますが、三千人もの大型免許を持った運転手さんが確保できるのかと私は思うわけです。

 非常に放射線のことで危険な状況だから避難をする、東日本大震災、東電福島第一原発の事故のときもそうだったと記憶していますが、そういう危険な状況の中で、放射線がある下で例えば一定のレベルを超えていないとしても、やはりそこに行く方に、先ほどの消防隊のこともそうでありますけれども、そうしたところに入る入らないというのは非常に葛藤を生むわけであります。葛藤を生む、それでも公的な機関の場合は、場合はと言うと失礼でありますが、まだ一定程度の法律があるわけであります。しかしながら、民間のバス会社の中でそうした運転手さんが確保できるのかというのは、私は非常に疑問を持つわけであります。

 さて、そういう中で、事故が起きてから万が一を想定しつつ原子力事業また原子力事故に対する対策は行っていかなくてはならないということでありますけれども、現在の避難者の方の人数についてお伺いをしたいと思います。

 私は二年前の環境委員会でも指摘をさせていただいたんですが、福島県が公表する避難者の方の数と市町村が公表する避難者の数字には大きな違いがあるわけであります。特に、県内避難者の数字については、例えば、県が公表している双葉町の数字は三百九十四人であります。県が公表しているものが双葉町に関しては三百九十四人、町が公表している数字は三千九百六人であります。県が公表している県内避難者の数は約十分の一に近いわけでありました。十倍違うわけであります。

 きちんとした実態の把握調査を行い、正確な数字を公表すべきではないかと思います。避難者の方が、公表されている数が県と町で違う、見捨てられたといいましょうか、なきものにされているというようなことで非常に気持ちとしてつらいものがあるということもあるんですが、いかがでありましょう。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の避難者数についてのお尋ねでございます。

 復興庁におきましては、全国の避難先自治体の協力を得まして、各都道府県に所在する避難者数を把握、公表してございます。福島県内の避難者数につきましては、福島県から報告を受けた数値を公表しているところでございます。

 一方で、お尋ねがありました福島県の一部の市町村におきましては、それぞれ市町村独自の基準で避難者数を把握、公表してございまして、例えば御指摘のありました双葉町でございますが、これは、東日本発災当初、平成二十三年三月十一日時点の人口を基本としまして、その後の死亡者あるいは転入者等の調整を行うものの、他の市町村へ転出し避難元に戻られる意思のない方についても引き続き避難者数に含める扱いとしていると承知しております。

 このように、各市町村におきましてはそれぞれの考え方で避難者の数を公表しておりまして、福島県それから復興庁が公表する数字と差が生じているものと承知しております。

 いずれにしましても、復興庁としましては、引き続き福島県と連携をいたしまして、避難者数の適切な把握に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 これも余り深追いはしませんけれども、避難をしていらっしゃる皆さんから聞いているお話で、私の感じていることだけ申し上げます。

 それは、多くの方が避難をした、復興住宅等々ができて戻った、確かにそういう意味では当初の避難者の数からは数えられなくなった、しかしながら、自分の生まれ育ったところに帰れない方は本当にたくさんいらっしゃる。こんなことを言うと大変に恐縮ですが、高齢の方は戻れないかもしれないわけであります。そして、家族の中でも、高齢者の方は戻れる場合があるけれども、若い方々は子供さんがいらっしゃったりすると戻らない決定をしたりする。つまり、家族が分断をされているわけですね。

 私が申し上げたいのは、原子力事故は万が一が残念ながらあったときの影響がいかに大きいか、そうしたことがあるにもかかわらず、なぜ今回このGX推進基本法の中で原子力政策をまた進めていくのか、以前に回帰していくのか、これを大変に危惧しているということであります。そういう中で申し上げました。

 さて、運転期間規制の在り方について質問させていただきたいと思います。

 今回の法改正によって原発は実質的に六十年を超える運転ができるようになるわけでありますが、電気事業法改正案第二十七条の二十九の二第一項は、原子力発電事業者が、ちょっと略しますけれども、発電用原子炉を運転することができる期間を原子炉等規制法第四十九条第一項の検査に合格してから起算して四十年とするとしていますが、四十年を一つの区切りにしている理由は何でありましょうか。

西村(康)国務大臣 今回この措置を検討するに当たりまして、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会におきまして、有識者に参画をいただき、この期間について複数の政策措置を比較検討を行ったところであります。

 具体的には、様々な意見がございました、一つには、アメリカやフランス、イギリスなど、運転期間について特段の期限を設けていない、こうした国々がありますのでそうする案、二つ目として、現行制度を変更せず、そのまま維持する案、三番目の案として、今回の私どもの案でありますが、現行の枠組みは維持した上で運転期間のカウントから震災後の他律的な要因によって停止していた期間を除外するという、三つの案を検討したところであります。

 様々議論がございましたけれども、御指摘のように、福島第一原発の事故を踏まえ、制限を設けた現行規定の趣旨も考慮すべきということなども総合的に勘案して、最終的に私どもとして、運転期間は四十年、延長を認める期間は二十年とした現行制度の枠組みは維持した上で、先ほど申し上げたように、運転期間のカウントから他律的な要因によって止まっていた一定の停止期間を除外することを認めるという、利用の立場からいわば自己抑制的に政策判断をさせていただいたというところであります。

 いずれにしても、利用政策の観点からそれだけの延長をしたいと思っても、規制委員会の安全基準に適合しないと運転できないわけでありますので、安全基準については規制委員会がしっかり審査をされるということでありますので、是非この点も御理解いただければと思います。

近藤(昭)委員 それで、お伺いをしたいんですけれども、二〇二〇年七月の、経年劣化管理に係るATENA、原子力エネルギー協議会との実務レベルの技術的意見交換会の結果を踏まえた原子力規制委員会の見解案についてであります。

 四で、運転期間延長認可の審査においては、原子炉等の劣化の進展、とりわけ取替え困難な機器等の劣化の進展に関する知見の収集整理が重要であり、今回のATENAとの意見交換は、発電用原子炉施設を構成する機器及び構造物のうち取替え困難なものについて、経年劣化の要因となり得る事象ごとに、長期停止期間中に劣化が進展するか否かについての知見を整理したものである、そしてその結果として次のことが確認されたとして、先ほどもありましたけれども、コンクリート構造物の中性化、塩分浸透、アルカリ骨材反応、機械振動、凍結融解による強度低下、原子炉圧力容器のスタビライザー等の摩耗といった事象について、長期停止期間中もそうでない期間と同様に劣化が進展をしたとあるわけであります。

 これら長期停止期間中もそうでない期間と同様に劣化が進展するものについて、四十年という安全規制をなくしてもよいという要望をATENAと事業者との意見交換で聞いた事実はありますでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 当時、事業者側から、運転期間延長認可の審査に関して、運転停止期間における安全上重要な設備の劣化については技術的に問題ないと考えられることから、安全規制の枠組みの中で、劣化事象の区別なく四十年という運転期間から運転停止期間を除外してほしいとの要望がございました。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。そういう要望が事業者側からあったということを確認させていただいたんですけれども。

 さて、これら長期停止期間中もそうでない期間と同様に劣化が進展するものについて、これは見解案の中に入っているわけですが、四十年という区切りをなくしてもよいかどうかという議論を、昨年十月に資源エネルギー庁の話を原子力規制委員会で聞いて以降、原子力規制委員会で審議した事実はありますでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 科学的、技術的に一定の期間を除外することは困難であるから、現行の運転期間延長認可制度に基づく劣化評価は、長期停止期間中を除くことなく、暦年ベースの四十年目に行うこととしております。この暦年ベースで評価を行うという考え方につきましては、今般の規制制度案においても維持することを昨年十一月二日の規制委員会で確認いたしました。

近藤(昭)委員 そうした要望があった中で、劣化はあるという中で、しかしながら四十年という年限でそのことを審査するということを原子力規制委員会で審議したということでよろしいでしょうか、確認ですが。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 運転停止期間中にも劣化する材料がございますので、暦年で我々は審査をしていくという、これに変わりはございません。

近藤(昭)委員 劣化していくものがあるということであります。

 さて、今回、原子炉規制法第四十三条の三の三十二で、運転期間の代わりに、運転開始から三十年以後、十年ごとに老朽化原発の長期施設管理計画を認可する枠組みを設けたわけであります。これに対して、石渡委員は、運転期間を落とすのは安全側への改変とは言えないとして反対されましたが、その反対があったにもかかわらず法改正を了承したわけであります。実際、二〇二〇年見解で書かれた長期停止期間中もそうでない期間と同様に劣化が進展するものについて、先ほどもちょっとお話がありましたが、どのようにしていくのか、具体的にお尋ねをしたいと思うんですね。

 まず、長期施設管理計画制度の中身は、原子力規制委員会の高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チームが、今、現在進行形で長期施設管理計画の許可基準を議論していると聞いております。二〇二〇年見解で書かれたコンクリート構造物の中性化、塩分浸透、アルカリ骨材反応を起こす箇所はどう規制をかけていくのか、具体的にどのような許可基準となるか、教えていただきたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の、コンクリート構造物の中性化、塩分浸透、アルカリ骨材反応についての認可基準でございますけれども、まず、現行の運転延長認可制度で用いてございます、実用発電用原子炉の運転の期間の延長の審査基準というものを定めてございます。

 この審査基準の中で、具体的には、中性化につきましては、評価対象部位の中性化の深さが鉄筋が腐食し始める深さまで進行しているか又は進行する可能性が認められる場合には、その部位を構成する部材又は構成材が耐えられる力、耐力と申しますけれども、これが設計荷重を上回ることを評価して確認するということでございます。同じように、塩分浸透についても、評価対象部位に塩分浸透による鉄筋腐食により有意なひび割れが発生しているか又は発生する可能性が認められる場合に評価を行い、その耐力が設計荷重を上回っていること、また、同じように、アルカリ骨材反応につきましても、評価対象部位にアルカリ骨材反応による有意なひび割れが発生している場合は、評価を行った上で、構造材等の耐力が設計荷重を上回ることとしてございます。

 これらの審査基準につきましては、新たな規制制度においても基準とすることができるというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 さて、こうした規制について一律に期限を設けているのが現在の原子炉等規制法、しかしながらこれは一律に期限を設けている、これが現在の規制法ではないかと思うわけです。石渡委員が言った、運転期間を落とすのは安全側への改変とは言えないとの指摘は、先ほどから申し上げましたように、経年劣化をどういうふうに審査していくか、あるいは見落としがある等々、大変に大きな施設であって見られない部分がある、そういう意味では石渡委員の指摘は正しいと私は思うんですが、いかがでありましょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 これまでの運転開始後四十年時点での六十年を見据えた劣化評価におきましては、六十年時点で基準への適合性が確認されており、運転開始後六十年の時点で運転を制限しなければならないという科学的、技術的な知見はございません。

 そのため、運転開始後六十年で運転を制限することは科学的、技術的な判断ではないと考えております。そのような対応は原子力規制委員会が行うべき安全規制であるとは考えておりません。

近藤(昭)委員 委員長のおっしゃっていることは、福島第一事故が起きて、規制のとりこになっていた、その反省から原子炉等規制法が改正されたりとかですね、前も指摘させていただいたように、規制委員長は三条委員会の委員長で天皇陛下の認証官であって独立性が高いにもかかわらず、私はやはり結果的に規制を緩めていくことになると思うんですね。規制を緩めていくことになる、あの反省が生かされているとはとても思えないわけです。

 それで、最後に、もう時間もなくなってまいりましたのでお聞きしたいんですけれども、電気事業法改正であります。原子炉規制法から電気事業法に変えるということが、ますます推進の側に、あの規制と推進を分けることは何だったのかと思うわけであります。

 さて、延長しようとする運転期間が二十年を超える場合にあっては、その二十年を超える期間が次に掲げる期間、二〇一一年三月十一日以降の期間に限る、を合算した期間以下であることとして、イ、ロ、ハ、ニ、ホの五項目が掲げられたわけですね。しかし、原子力規制委員会の二〇二〇年見解で書かれた、先ほどから言及しておりますが、コンクリート構造物等の劣化の問題でありますけれども、こうしたことが起こるわけでありまして、こうしたことに対してどのように規制をしていくかということは非常に重要だと思うんです。

 そういう中で、指摘をさせていただきたいと思うんですが、原発の所管大臣として、長期停止期間中もそうでない期間と同様に劣化が進展する、つまり老朽化する部分がある、そして残念ながら見逃すこともあるにもかかわらず、先ほど挙げたイ、ロ、ハ、ニ、ホのいずれかの理由であっても延長することは許されることだと大臣はお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 今回の改正は、まさに利用と規制を明確に法律上分けるものでありますので、いわば震災で、福島第一原発の事故の後、残されていた宿題、特にこれは、規制委員会が令和二年七月に見解を出されて、運転期間は規制委員会が言うべき話ではない、利用政策だという見解を出されて以降の我々にとっての大きな課題であったわけであります。それを、まさに利用と規制を分けるための法改正だということをまず理解していただければと思いますけれども。

 いずれにしても、この見解を踏まえて我々は分けたわけですが、原子炉規制法においては、運転期間の規定を削除した上で、先ほど来御説明がありますように、三十年を超えて運転しようとする場合は十年ごとに、安全規制の厳格化がありますので、それを受けないとできないということでありますから、高経年化を踏まえた技術的観点については高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格な安全審査を行って、その認可を受けなければ運転は一切認められないということであります。

 今回、私どもは、四十年、二十年という基本を維持しながら、他律的な要因で止まっていた期間についてはそれを除外して利用期間として申請できるというふうな趣旨で規定を変えたわけであります。しかし、そうだとしても、そういうふうに認めたとしても規制委員会の厳しい基準を満たさないと運転できないということでありますので、是非この点を御理解いただきたいと思います。

近藤(昭)委員 質問時間が終了いたしますので、最後に指摘とお願いをさせていただいて、質問を締めくくりたいと思うんです。

 先ほども委員の指摘にもありましたが、エネ庁と規制庁が事前に意見交換をしていたわけであります。これはやはり私は問題だと思うんです。そして、そのやり取りを、当初は、文書はない、していないというようなことでありましたが、途中からそれを認めた。でも、認めたけれども中身については決して問題がないというような御答弁であるわけであります。しかし、そのことに問題がないかということをきちっと検証したいにもかかわらず、資料請求をしても黒塗りで出てきたんです、黒塗りで出てきました。環境委員会で、理事会での公開を求めました。審議をしていただいたわけでありますが、出てこなかったわけであります。

 そういうことが出てこなかった中でこの委員会の審議が行われておるわけでありますが、私は、もう一度、黒塗りの資料を公開していただきたい、是非委員長に理事会にお諮りをいただきたい。やはり、どんなにおっしゃっても、それは問題がないことだと言っても、見せてもらわないと分からないわけです、チェックをしないと。そういうことをもう一度要望したいと思いますが、お取り計らいをお願いしたい。

 もう一つ、先ほどもありました、原子力委員会の高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チームがつくられた、そして長期施設管理計画を検討しているわけであります。この許可基準、つまり、延ばすことに対する、どういう許可の内容で行われているのかということが分からないうちに延長を認めるということになると、白紙委任することになると思うんですね。ですから、きちっと、議論中の許可基準について公開で、委員会として、公開の場で説明をしてもらいたい、このこともお取り計らいをいただきたいと思うんです。

 当時、吉田所長は、亡くなられましたけれども、事故が起きた直後にも、まさしく大変な事故だった、あれは関東圏が壊滅状態になるような危機的な状況だった、しかし、そういうのを免れたというのは奇跡的だったと。奇跡的だったと、あの吉田所長がおっしゃっているわけですよね。まさしく私もそう思います。

 そうしたことを考えた上で非常に厳しい基準を作ったわけでありますけれども、その最大の基準は、やはり六十年で止めるということが一つの大切な基準だったんです。それは、いろいろなことが、検査も漏れることがあるし、何が起こっているか分からない、人間のやることだからと。こういうことですし、そういう状況で起こった、そして、そのことには今は規制があるのに、それを緩めるようなことにしか、私は今の法改正がそうとしか見えない、思われない、このことを改めて指摘させていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古賀委員長 ただいまの件は、理事会にて協議させていただきます。

 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党の堤かなめです。

 立憲民主党は、二〇五〇年までに再生エネルギー一〇〇%の実現を掲げています。皆さん御案内のとおり、近年では、太陽光、風力、地熱、地中熱など再エネのコストは急速に低下してきています。革新的な蓄電池の開発、再エネの余剰分を水素に変換して貯蔵する技術の開発、電気自動車、EVを利用した自家消費など、再エネ関連技術も変革期にあり、世界的に再エネ一〇〇%の実現可能性は着実に高まっています。

 先週金曜日、四月十四日の衆議院経済産業委員会においても、大島堅一参考人より、再エネ一〇〇%は絵空事ではなく現実的な課題、二〇五〇年を目標にして、できるだけ早く再エネ一〇〇%にするというのは、何か困難な、達成不可能な目標ではなく、現実的な、しかも最も安いものだと思うという発言や、今の産業界を見渡す中で、再エネほど成長性が高いものはない、再エネ一〇〇%を目指していくことが大事という発言がありました。

 ところが、今回提出されている、原子力発電の新設、増設や原発の六十年を超える運転を可能とする原子炉等規制法など五つの法案の束ね法案は、まさに原発回帰そのものであります。日本の未来を大きく左右するエネルギー政策を大きく転換するのであれば、少なくとも、その前に、国会での議論や国民への説明をもっと丁寧に、もっと徹底的に、もっと時間をかけてすべきだと考えます。

 次世代のエネルギー政策、日本が進むべき方向性について国民全体で議論するには、そのたたき台として、正確で分かりやすい情報が必要だと思います。試論的ではございますが、次世代の太陽光発電であるペロブスカイトと次世代の原子力発電として開発中の革新軽水炉についての比較表を、経産省から御提供いただきました情報を基に作成させていただきました。資料一を御覧ください。

 一点目に、実用化の目途についてです。

 次世代太陽光発電、ペロブスカイトは、軽量、柔軟、曇っていても室内で発電が可能です。さらには、原料がヨウ素で、日本は世界第二位の産出国、国内でサプライチェーンを構築でき、脱炭素とエネルギー安全保障の両立が可能であり、政府も取組を進めておられると承知しています。

 この再エネのホープとも期待されているペロブスカイトの実用化のめどについては、この表にありますように、二〇三〇年を待たずに早期の社会実装を目指すと具体的で明確です。ペロブスカイトがビルや工場など様々な建物の屋根や壁に張られ、町じゅう太陽光発電となり、国内で、地域でエネルギーの地産地消が実現される日もそう遠くはないと楽しみにしているところです。

 一方、革新軽水炉は二〇三〇年代以降となっておりますけれども、以降では、実用化が二十年先なのか三十年先なのか、皆目見当がつきません。一体いつ頃をめどとしているのか、改めてお聞かせください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光、再エネにおけるペロブスカイトということと同じような形で、原子力の中でも、次世代を担う革新炉というものの開発というのを今進めているところでございます。まずは、同時に、政府としてもこれを積極的に応援していかなければならないと考えているところでございます。

 現在、革新軽水炉について言いますと、今までにない新たな安全メカニズムを導入した取組というのを進めておるところでございます。現時点において、一定程度開発が進んだ部分も、世界を見渡してあるわけでございますが、これを更に商用化という形での、商用炉に進めていく上での技術開発を現在進めているところというふうに認識しているところでございます。

 実用化のめどについてのお尋ねでございますが、実際に実用化となりますと、商用炉の建設における立地地域の方の御理解をいただくことが大前提となりますので、具体的な時点を申し上げることはできないわけでございますが、一般論で、研究開発という面から申し上げますと、資源エネルギー庁の審議会で産学官の関係者が整理しました研究開発を進めていく上での目標時期としては、二〇三〇年代後半の運転開始が見込まれるとされているところでございます。

堤委員 それでは、二点目に、安全性についてです。

 ペロブスカイトでは、現時点では、一般的な太陽光発電設備同様の安全対策が必要だと考えられるとのことです。一方、革新軽水炉では、日本特有の自然災害への対応、半地下構造による大規模航空機衝突、テロ対策、外部電源なく炉心を冷却できる受動的安全性、新規制基準に対応したシビアアクシデント、過酷事故ですね、その対策を導入予定とのことです。

 しかしながら、この対策、安全性を高める技術はいまだ開発の途上なのではないでしょうか。といいますのも、この表の一番下の欄の交付金、補助金の欄の、下線部をつけておりますけれども、ここにありますように、原子炉の安全性向上に資する技術開発事業として十五億円が計上されています。革新軽水炉の安全性向上は、これから技術の開発に取りかかるということでよろしいんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力の革新炉の開発ということにつきましては、今委員から御指摘いただきました予算による支援措置に伴う技術開発も含めまして、様々、民間の中でされているのがベースでございますが、政府も踏まえて、より先のものを応援するものも含めて、複数のものに対して取組が進んでいるものでございます。

 さきに御指摘いただきました革新軽水炉、これは、具体の、民間の企業の中で開発が進められておりまして、立地がいつになるかというのは、商用化がいつになるか、これはなかなか申し上げにくいところではございますが、技術開発そのものは、先ほど御指摘を頂戴しましたような半地下構造の話、若しくは、溶融炉心を自然冷却するコアキャッチャー、若しくは、パッシブと呼んでいますけれども、燃料冷却が人、電力を介さずにできるような仕組み、いざというときのための対応策というものの技術開発、その実装に向けた準備というのは進められているところでございます。

 ただ、今ある軽水炉における次世代のみならず、例えば、スモールモジュールの、SMRと呼ばれるリアクターでございますとか高温ガス炉といった、これまた違う形式の原子炉、様々なものについての研究開発は進めているところでございまして、むしろ、先のところについての予算支援ということを行っているわけでございまして、様々な形で、将来を見据えた技術開発、その支援を進めているところでございます。

堤委員 先のところですとか様々にということで、結局、やはりこれから開発する、つまり、革新軽水炉の安全性は現時点では確立されていない、将来的に安全性が本当に確立できるのかどうか分からないということではないかと思います。

 福島第一原発事故当時の原子力委員会委員長の近藤駿介氏が行ったシミュレーションでは、最悪の場合、先ほど近藤委員からもございましたが、東日本全体がチェルノブイリ原発事故に匹敵するような大量の放射性物質に汚染され、原発から二百五十キロメートル半径の住民、およそ三千万人、日本の人口の四分の一が避難を強いられる、いわゆる東日本壊滅シナリオを予測していたと聞いています。

 事故や災害、テロやミサイル攻撃などが起きたとき、万々が一のとき、国民の命と健康が損なわれるのではないか、環境にも大きな取り返しのつかない被害を与えるのではないかという強い懸念を払拭できていないと考えますが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力の安全の確保ということにつきましては、私どもは、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓ということをしっかりと踏まえていかなければならないと考えてございます。

 この委員会での、さきの大臣からの答弁もございましたように、この教訓を決して忘れてはならない、事故は決して起こらないということではなく、しっかりと、もし起こったときの対応ということを、備えをしていくということは大変重要なことかと思ってございます。

 ですので、先ほどの安全性のところについて申し上げましても、原子炉自体について、起こらないということでは、もし炉心の溶融が起こったときにどう対応していくのか、そのときに、放射性ガスというものをどう収集して外に出さないようにしていくか、様々な積み重ねをしていくことは大変重要なことだと思いますし、いざというときのための避難の計画、対応体制ということもしっかり取らなければならないと考えてございます。

 そういう意味で申し上げますと、福島の事故の反省をしっかりと踏まえた上で、私どもは、原子力についての御理解を賜りながら、導入が進めていかれるよう、様々な面での対応を進めていっているところでございます。

堤委員 様々では本当に分からないと思いますし、もし炉心溶融のようなことが起こったらということですけれども、例えば、ペロブスカイトなど、原発以外の発電施設ではそういったことを心配することもないわけです。そういうシビアアクシデントは起き得ないわけです。

 一方、原発関連では事故や不祥事が相次いでいるという点も非常に心配なんです。

 資料二を御覧ください。最近五年間の原発関連の事故、不祥事などについて一覧を作成していただきましたので、御覧ください。

 最近五年間だけで、事故、故障などが十九件となっています。また、不正、不祥事などは三十四件。

 例えば、二ページ目の一番下、ナンバー十三を御覧ください。二〇二〇年五月、中部電力浜岡一、二号機でございます。誤った図面に基づき、トリチウム測定装置の配管を不適切に施工ということです。こういったヒューマンエラー、人為的なミスは重大な事故や多大な損失につながる危険性があります。

 あわせて、過酷事故、シビアアクシデントの危険性、底知れない危険性をはらむ原発を運転する事業者には、経営の透明性、高い信頼性が求められると思います。

 十四番を御覧ください。三ページの一番上でございます。日本原子力発電敦賀二号機。新規制基準の審査資料における地質データの無断書換えが計八十か所に上ることが判明とあります。新聞記事にもなっていましたけれども、過去の提出資料の誤りが次々とこの敦賀二号機では見つかり、累計約千三百件に上っています。

 通告しておりませんが、担当大臣のこの件に関する御認識を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 原子力発電をめぐっては、常に緊張感を持って安全確保、これを最優先に取り組まなければならないことであります。

 私も様々な機会で、電力事業者と視察に行ったりする機会も含めまして、緊張感を持って対応するように、そして、こうした規制委員会の審査に関わることについて、丁寧に真摯に対応するようにということを常に申し上げているところであります。

 ちょっとした不注意が大きな事故につながるわけでありますので、常に緊張感を持って安全確保を最優先に取り組んでもらいたい、このように考えているところであります。

堤委員 緊張感を持ってということですけれども、先ほど近藤委員の質問の最中、四十分間、そのほとんど、こちら、後ろにおられました、自民党さんだと思いますけれども、委員の方はずっとお休みになっておられました。その後ろの後ろの方もずっと私語をされておられました。こんな大切な法案を審議するのに、欠席の方も多いですし、自民党の方は本当に緊張感があるのかなと思っております。

 次に、三点目に、発電コストについてお伺いしたいと思います。

 まず、ペロブスカイトの発電コストについてお聞かせください。

 二〇三〇年度までに、一定条件下の発電コスト、十四円キロワットアワー以下を達成する、そういうふうにこちらの表ではなっておりますけれども、もう少し具体的に教えていただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の発電コストは、ペロブスカイト太陽電池でございますけれども、研究開発中でございますために、現時点で正確に評価することは困難でございますが、グリーンイノベーション基金のプロジェクトでは、中間目標として、二〇二五年までに一キロワットアワー当たり二十円以下の水準を目指す、最終的には、二〇三〇年までに、御指摘のとおり、一キロワットアワー当たり十四円以下の水準を目指すということとしております。

 社会実装に向けましては、こうしたコストを更に下げていくということのほか、耐久性などの課題をしっかり克服していく必要がございますので、引き続き取組を進めてまいりたいと考えてございます。

堤委員 先ほども述べましたように、再エネの発電コストは大きく下がっております。例えば、国立国会図書館の調査によりますと、英国、ドイツ、オランダにおいて、洋上風力発電のコストは、二〇一〇年から二〇二一年までの十年間で六割も低下したとのことです。

 一方、既に設置されている原子力発電、既設炉については、二〇三〇年の発電コストが十一・七円以上となっています。

 この以上というのは一体何なんでしょうか。キロワットアワー当たり少なくとも十一・七円はかかるということは分かっているけれども、幾らになるか実際のところは分からない、三十円なのか五十円なのか、はたまたもっと高い発電コストになるのか分からないということでよろしいでしょうか。また、革新軽水炉についてはいかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二一年に行われました発電コストの検証の中におきまして、二〇三〇年に新たな発電設備を更地に建設、運転した際のコストというものを一定の前提の下で試算したものが、委員御指摘の発電コストでございます。

 その中で、原子力の発電コストにつきましては、一キロワットアワー当たり十一・七円以上と、御指摘のとおり、試算しているわけでございますが、これは、建設費、運転維持費に加えまして、追加安全対策費用、事故リスク対応費用、核燃料サイクル費用、政策経費などを全て織り込んだものでございます。

 そうなりますと、事故リスクの対応費用という部分が、今、現時点におきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故における見積り可能な廃炉、賠償等の費用二十一・五兆円というのを前提といたしまして、〇・六円・パー・キロワットアワーということで試算しているわけでございますが、これが、例えば一兆円増加しますと、大体一キロワットアワー当たり〇・〇一円から〇・〇三円増加することになります。

 ですので、この増加分が、増加することになりますとその分だけ上昇するという趣旨で、十一・七円以上という形で試算をお示ししているものでございます。

堤委員 建設費が上がればどんどん上がるということだと思います。

 四点目に、革新軽水炉の工期と建設コストについてお聞きします。

 革新軽水炉は、計画時よりも工期が何年も延びたり、コストが何倍もかかってしまったというケースが多いと聞いています。例えばフィンランド・オルキルオトの革新軽水炉の場合、工期について、計画時には三・九年とされていましたが、実際には十六・五年、四・二倍になっています。また、初期投資の額については、計画時には三十五億五千万ドル、日本円でおよそ四千七百億円と見積もられていましたが、実際には九十五億ドル、およそ一兆二千六百億円、二・七倍に膨らんだと聞いています。

 そこで、フランス・フラマンビルの革新軽水炉について、計画時から工期とコストがどう変わったのか、教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねのフランスで計画中のフラマンビルの革新軽水炉の件でございます、原子炉の開発の件でございますが、世界原子力協会のウェブサイトの中身について御説明を申し上げますと、フランス電力公社、EDFが二〇〇七年に建設を開始しておるわけでございますが、このフラマンビル原子力発電所三号機につきまして、時期でいいますと、当初、二〇一二年の運転開始、費用では総費用三十三億ユーロを見込んでいたというところだと承知しております。

 一方で、現時点のお話として申し上げて、直近で申し上げますと、二〇二二年十二月に掲載されました記事によりますと、同じくフラマンビル三号機については、二〇二四年第一・四半期に燃料の初装荷を予定しており、総費用については百三十二億ユーロを見込んでいるというふうに記載されているものと承知しております。

堤委員 つまり、五年で完成するはずだったのに、十六年たった現在でもまだ完成していない。すなわち、工期は確実に三倍を超えるということです。総費用の見込みは三十三億から百三十二億に、何と当初見込みの四倍にまで膨れ上がるということが分かりました。

 五点目に、原子力発電所のランニングコストについてです。

 既設の原発一基を運転維持するには年間どのくらいの費用、ランニングコストが必要なのか、教えてください。平均的原発についての機械的計算で結構です。稼働中の原発一基の部品数は、およそ一千万点、火力発電の数倍と聞いております。この保守点検、テロ対策など警備に係る費用、放射性廃棄物の保管や処理の費用など、その内訳も教えてください。

 あわせて、革新軽水炉についても、部品数、保守点検、警備、放射性廃棄物の保管、処理の費用についてどう見積もっているのか、教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点におきます現存します原子炉自体のランニングコストというものは、各社が算定、公表しているものではございませんものですから、政府としては承知、把握しておりません。

 また、ランニングコストも含めまして、革新軽水炉については、まだ研究開発段階であるため、試算としてお示しすることもなかなか難しいところでございます。

 一方で、御質問を頂戴しました発電コストの検証というのを我々もやっているところでございまして、その中での私どもの想定、試算というもので御説明を申し上げますと、この検証の中では、百二十万キロワットの原子力発電所を一基新設した場合の運転維持費としてということで御答弁を申し上げますけれども、一キロワットアワー当たり三・三円と試算しています。

 算定の方式の根拠でございますが、人件費について年二十二・二億円、修繕費について言いますと建設費における総額の一・九%、諸経費として九十四・一億円、これは全体として、また、業務分担費としましては直接費における比率として一二・八%という、一定のサンプルプラントの下で試算しているわけでございますが、こういうものとして試算し、お示ししているところでございます。

堤委員 私があらかじめ経産省から聞いたときには、ここの表にありますように、承知していないとか困難だとかいうお答えしか返ってきませんでした。

 今るる御説明ございましたことはきちんと書類にして提出していただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

古賀委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議させていただきます。

堤委員 では、資料一に示しましたように、既存の原発、そして革新軽水炉には、今年度予算だけで一千億を超える補助金や助成金、交付金などの費用がかかっています。さらに、原子力発電の場合、万一、万々が一事故が起きてしまった場合には、被災者への賠償、除染や廃炉などのための膨大な費用が必要になるかと思います。

 そこで、六点目に、福島第一原発事故によってこれまで十二年間に政府が負担したこれらの費用の総額について教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねを頂戴しました令和三年度まででお答え申し上げます。令和三年度までに支払われた福島第一原発事故に伴う廃炉、賠償等の費用は、全体で約十二兆円でございます。

 内訳で申し上げます。廃炉費用として一兆七千十九億円、被災者賠償として七兆一千四百七十二億円、除染費用として二兆九千九百五十四億円、中間貯蔵施設費用として二千六百八十二億円であると承知してございます。

堤委員 およそ十二年で十二兆円、単純計算すれば毎年一兆円という恐ろしくなるような費用だということでございます。

 ランニングコスト、廃棄物の保管、処理、さらには万一の事故の際に必要となる費用まで含めますと、次世代革新炉は、ペロブスカイトなどの再エネに比べ、はるかに収益性が低い、経済性に劣るというのは明らかだと思いますが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電のコストにつきましては、先ほど御答弁で申し上げました発電コストについて言いますと、確かに事故時対応リスクのところについての上昇分というのがこれからまだ見込まれるところ、この可能性があるかと認識してございます。一兆円増加しますと、キロワットアワー当たり〇・〇一円から〇・〇三円の増加ということが見込んでございます。また、今後、建設費の増大ですとか、様々な面もあると認識しております。

 いずれにいたしましても、原子力というベースロードとして安定供給ができるという電源と、再エネのような変動性の電源と、それぞれのよしあしがあろうかと考えております。日本の国内における安定供給と地球温暖化を考えた脱炭素化を両立できるようなベストミックスを進めてまいりたいと考えております。

堤委員 建設コスト、ランニングコスト、そして事故が起きたときの対応などを考えると、原発はとても高いということだと思います。

 六点目に、環境への負荷についてです。

 ペロブスカイトでは、研究開発段階にあるため現時点では不明とのことですが、人間の命と危険に何百年も悪影響を与え続けてしまうような有害な物質を排出することはないと思いますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 ペロブスカイト太陽電池でございますけれども、おっしゃるとおり、研究開発段階にありますから、現時点で環境への負荷を正確に評価する、ここはちょっと困難でございますが、現在、研究開発中の技術では、環境への負荷が懸念される物質として鉛を含む場合があるというところはございます。

 他方、鉛の代替となる物質を使用すること、あるいは鉛の含有量を減らすような研究開発も進めてございます。また、鉛を包含する場合にも、含まれる鉛の量は、ペロブスカイトの場合は少量であり、適切な回収や処理を行う仕組みの中で対応していきたい。

 引き続き、グリーンイノベーション基金のプロジェクトの中で対応をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。

堤委員 鉛があるけれども、きちんと代替もあれば回収もできる、リサイクルもできるというようなことだと思います。

 ところが、原子力発電は、先ほど何百年と言いましたが、何万年も悪影響を与え続けてしまうということもあります。確かに、火力発電とは異なり、発電時にはCO2、二酸化炭素を排出しません。しかし、原発のライフサイクル全体で見ると、ウラン鉱石の採掘から製錬、燃料加工、運搬、原発の建設、廃炉といった工程で大量のCO2を排出してしまいます。

 また、福島第一原子力発電所の事故からも明らかなように、一たび事故が起こればその影響は広範囲に及びます。人々の生活や人権、かけがえのない命や健康まで奪ってしまいます。環境への悪影響、生物多様性への悪影響も看過できません。

 原発は本当にグリーンなのか、クリーンなのか、環境によいのか、国民や国土に悪影響を与えないのでしょうか。環境大臣の御所見をお伺いします。

西村(明)国務大臣 二〇三〇年度四六%の削減目標の達成、また二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、電力の脱炭素化、これが必要不可欠であるというふうに考えております。そのためにあらゆる選択肢を追求していくのが政府としての方針であります。

 原子力発電につきましては、二〇一一年の東京電力福島第一原子力発電所のように、一たび重大な事故が起これば、放射性物質による環境汚染を引き起こしてしまう可能性がございます。

 政府といたしましては、このような事故を二度と起こすことのないように、原子力については安全性を最優先として、原子力規制委員会の判断を尊重してまいりたい。そして、環境省といたしましては、原子力規制委員会の独立性を尊重するとともに、予算また体制においてサポートしてまいりたいというふうに考えております。

 また、脱炭素化の鍵となります再エネの最大限の導入に向けましては、既存の技術の活用に加えて、今、堤委員が御指摘をされておりましたペロブスカイト太陽電池、私も個人的に大変注目しておりますけれども、こういったものなど、新技術の社会実装に向けた取組、これをしっかりと促進してまいりたいというふうに考えております。

堤委員 資料三を御覧ください。ここに赤線を引いておりますけれども、このペロブスカイト、今大臣からも期待しているということでございましたが、またしても、ここにありますように、日本人研究者が二〇〇九年に発明した技術だが、中国メーカーが量産で先行しているとされるという状況にあります。がっかりです。

 またしても、従来型、シリコン型の太陽光発電、そして風力発電と同じように、せっかく開発や実用化で日本が先行していたのに、量産段階になると追い抜かれてしまうのではないでしょうか。GX担当大臣の御所見をお聞かせください。

西村(康)国務大臣 ペロブスカイト太陽電池は、御指摘のように、日本発の技術であり、また、主な原料であるヨウ素も日本はたくさん産出しておりますので、日本にとって非常に重要な技術であるというふうに認識をしております。

 ただ、御指摘のように、欧州、中国など、国際的にも研究開発競争が非常に激しくなってきております。今後、国内外の市場を獲得していくためには、投資の規模とスピード、開発を進めるという面でもしっかりと競争していくことが求められているところであります。

 その上で、ペロブスカイト太陽電池の製品化には、エネルギー変換効率に加えて、大型化それから耐久性の向上が鍵でありまして、特にこうした分野において、現時点では日本企業はリードしているというふうに認識をしております。

 経産省では、グリーンイノベーション基金を活用して、研究開発から社会実装まで切れ目なく支援をしていくこととしております。本年四月からは、建物の壁面での設置実証を開始予定であります。引き続き、国産のサプライチェーン構築も見据え、早期の実用化に取り組んでいきたいと考えております。

 その社会実装に向けては、量産技術の確立、そして需要の創出、生産体制の構築、整備、これを三位一体で進めることが重要であります。今月開催をいたしました再エネ・水素等関係閣僚会議のアクションプランでも、こうした方針を打ち出しております。

 御指摘のように、諸外国に先駆けて社会実装ができるよう、技術開発に加えて、普及拡大に向けた量産化についても、GX経済移行債の活用も含め、更なる支援策を検討してまいりたいというふうに考えております。

堤委員 よろしくお願いします。

 昨日、国会で開催されました営農型太陽光発電、ソーラーシェアリングの勉強会に参加させていただきました。このソーラーシェアリング技術もまた、日本の技術が先行していたにもかかわらず、ドイツ、フランス、アメリカなどに追い抜かれてしまうのではないかと大変心配になりました。二度も三度も同じ轍を踏まないよう、お願いしておきます。

 世界では、再エネの拡大が経済成長の原動力、経済成長のエンジンとなっています。

 立憲民主党は、基本政策として、原子力発電所の新設、増設は行わないと明言しています。ペロブスカイトを始め、あらゆる再エネの開発、普及に全力を注ぐ、そこにこそ資源と投資を集中させるべきです。

 同時に、我が党は、脱原発化を進めるに当たっては、地域振興、新産業育成、雇用の公正な移行を強力に支援する、特に雇用については、新しい成長分野における雇用創出を進めるとともに、雇用環境の激変緩和、失業対策として、企業の雇用維持支援、職業教育施策の充実、雇用転換に伴う所得補償制度などを法制化してまいるということを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 東京都練馬区から参りました、立憲民主党、山岸一生です。よろしくお願いをいたします。

 この間、先輩議員の皆さんの議論を聞かせていただいて、本法案は、とにかく原発を少しでも長く使うんだということの中で、非常に不透明な省庁間のやり取りの中で作られてきたという経緯が明らかになってまいりました。その上で、プロセスの議論をしますと必ず後ろの方から、中身の話をせい、こういうお声が飛んでまいります。それも一理ある話でございまして、なので、今日は、プロセスがゆがめられていることによってこの法案の中身にも深刻な影響を及ぼしているのではないか、端的に申し上げれば、とにかく少しでも運転期間を延ばすために非常に出来の悪いルールになってしまっているのではないかということを議論させていただきたいと思っております。主に西村大臣と質疑したいと思っていますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、運転期間の延長に関してなんですけれども、今回、すごくシンプルに申し上げれば、四十年、プラス二十年、プラスアルファという三段階の仕組みを導入するということでございます。役所の方はカウント除外ということをしきりに用語として使っていらっしゃるんですけれども、ちょっと分かりにくくて、カウント除外というと、運転が延びるのか縮むのか、ぱっと分かりにくいものですから、私はシンプルに、二十年プラスアルファという表現で議論をさせていただきます。

 このプラスアルファの部分に関してなんですけれども、今回の改正案によりますと、電事法の二十七条の二十九の二第四項五号にこういうふうに記載をされております。

 延長しようとする運転期間が二十年を超える場合にあっては、その二十年を超える期間が次に掲げる期間を合算した期間以下であることと書いてあって、その下にイ、ロ、ハ、ニ、ホと五個、項目があるわけでございますが、まず、大臣、教えてほしいんですけれども、合算した期間の合算というのは単純に足し算と理解していいんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと技術的な面でございますので私の方から御説明申し上げますと、委員から御指摘がございましたように、改正後の電事法第二十七条の二十九の二第四項第五号というところで、認可の基準といたしまして、延長しようとする運転期間が二十年を超える場合にあっては、その二十年を超える期間が次に掲げる期間、「(平成二十三年三月十一日以降の期間に限る。)」を合算した期間以下と規定してございます。ただ、合算した期間の詳細についてはこれ以上規定をしてございません。

 ただ、基本的な認識からしますと、期間というのは何日から何日までということになるものでございますので、理由はともあれ、何月何日から何月何日までということになる、単純な期間の足し算になるものではないというふうに認識してございます。

山岸委員 期間の足し算にはならない、何月何日から何月何日までの期間だけれども足し算ではない、ちょっとよく分からないのでございますけれども。

 詳しくお伺いしてまいりますけれども、つまり、イ、ロ、ハ、ニ、ホと五個ございますね、対象が。法令によるもの、行政処分によるもの、行政指導によるもの、仮処分によるもの、その他予見し難い理由によるものということが書いてあって、当然、全く別の時期のこともあれば、重なることもあると思います。例えば、ある時期に仮処分が出て止まりました、でも同じ時期に特重の期限が来ちゃって法令による制限に入ってしまいましたということというのが当然あると思うんですけれども。この場合、重複部分というのは、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、それぞれ、イは一年何か月、ロが三か月、ハが何か月だったら足し算でその期間が合算される、こういう計算になるんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から非常に分かりやすい例として、イの掲げる事項による期間とロによる期間、その期間がある長さとしてあったときに、その期間を足すことによって除外するということを考えているわけではございません。そういう意味では足し算ではございません。

 他方で、何月何日から何月何日という期間があるとして、その中には、委員から御指摘いただいたように、イの要件から止まる期間であるときと同時にロの要素で止まっている期間、同じ日なんだけれども根拠が違うというケースもございます。これについてダブルカウントするということは考えてございません。

 あくまでも、それぞれの要素で止まっている期間がございますと、その期間を抜いて、カウントと言ってよいかどうかはございますが、委員のお言葉で言うとプラスアルファということをするということを考えているものでございます。

山岸委員 答弁の御趣旨は分かります、僕もそうだと思います。ダブルカウントができたら、そんな荒唐無稽な話はないわけでございまして。でも、それは条文のどこに書いてあるんですか。条文にはイ、ロ、ハ、ニ、ホを合算すると書いてあるわけですが、事業者からすれば、法律に合算と書いてあるじゃないですか、だから、うちは足して申請しましたよと言われたときに、国としてはそれを否定する根拠はあるんですか。教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 かなり法技術的なお話かと存じますが、内閣法制局と法制的な審査を頂戴している中での期間というものをどう考えていくかということになってまいります。どれだけの長さかということで考えておるわけでございますが、合算の仕方というものをどう表現すると分かりやすいかということと、よりシンプルに分かりやすく表記する、これは私どもというよりはむしろ内閣法制局と法技術的、用語的な整理をした結果、先ほど申し上げたような趣旨を表現しているものでございます。

 具体的には、これから先、法案が成立いたしましたら、その暁には具体的なルールをより詳細に決めていくことになりますので、それが明らかになるように定め、かつ一般的に示していきたいと考えてございます。

山岸委員 政令でこれから定めるということなんだけれども、やはりそういったことは法律で明確に分かりやすく書くということが規制の基本的な姿勢じゃないかなと思います。

 多分、ある意味事業者の性善説といいましょうか、おかしな申請は来ないだろうという前提で作っていらっしゃるとは思うんです。もちろん、事業者を全てにおいて敵視したり信頼しないということも決して望ましくはないと思いますけれども、事原発の規制に関しては極力分かりやすく厳しめに書いておくということが必要だと思います。

 事業者任せになりますと、ついついやすきに流れるといいましょうか、その果てに起こったのがあの東日本大震災における福島第一原発の事故だったわけであって、その反省に立って我々は議論をしているわけですから、法律が曖昧になっている、後は政令でうまくやりますから、こういう御説明というのは私は非常に不安が拭えないということは、まず指摘をさせていただきたいと思います。

 大臣、私は、シンプルに、合算した期間であるの後に、ただし重複する場合はカウントしないと書いておけば済んだ話だと思うんですけれども、なぜこういうふうな雑な規定になってしまっているのか。今からでも修文する考えはありませんか、いかがですか。

西村(康)国務大臣 今も答弁がございましたけれども、期間というものをどう見るかなんですが、何年何月何日から何年何月何日ということが期間だと思うんですね。そうすると、その期間が何か月か、何年何か月かということは計算するんだと思いますが、しかし、期間というのはその日からその日までですので、仮にその期間が二つ三つ重なったとしても日数は変わらないわけですから、もうお分かりのとおりでありますけれども、法制局との議論の結果、このような規定になったものというふうに理解をしております。

 今も答弁がありましたけれども、今後、法の施行に向けては行政手続法に基づく審査基準というものをしっかりお示ししていきたいと思いますので、その中でしっかり示していくことになるというふうに思います。

山岸委員 続いて、もう一個の論点に移っていきたいと思います。このプラスアルファに関してもう一つ私が気になっていますのは、事業者側に責めがある場合は認めないよというふうなことをこの間答弁いただいているんですけれども、なかなか、実際に当てはめていくと難しいんじゃないかなと思うのでございます。

 一例として、伊方の三号機がちょっと分かりやすい例かなと思いましたので、御紹介して議論したいと思うんですが、お手元に資料一をお配りしています。ネットで御覧の国民の皆様には、ツイッターに上げていますので、御覧いただきたいと思います。朝日新聞の記事で分かりやすい年表があったので、まとめてまいりましたけれども。

 伊方は、一九年の定検に入った後、運転再開まで二年間かかりました。この間に仮処分があって、その後、仮処分が覆され、その後、特重の設置期限があって特重が完成をしという、今回の法案の関連でいえばこういう二回の出来事があったわけでして。単純に考えれば、仮処分で止まったのが二〇二〇年の一月から翌二一年の三月までですから一年二か月、その後、特重で二一年の三月から二一年の十月までですから七か月ぐらいで、足したら二年。

 結構、大部分が今回のプラスアルファにかかってくると見えるんですが、実際には、四国電力が自らちょっとミスをいろいろ犯してしまって、どのみち運転できなかった期間というのがかなりこの中に出てくるわけなのでございます。差止めの直後に、一月二十五日、上から三番目になりますけれども、トラブル続発で定期検査が中断した。定検の中断で、半年間以上、そもそも作業自体が動いていなかったということがあります。

 こういう場合に、仮処分で止まっていた一年二か月を丸々プラスアルファするのはおかしいんじゃないか。当然、事業者のミスによる作業の中断期間というものはプラスアルファから除外をしていくべきだと思いますけれども、この算定方法を教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、自らの責めによるところによって停止というのを招いている場合というものについて、今回のカウント除外といいますか、追加のところに認めるというのは適切ではないと考えてございます。

 今後、これが実際に成立した後のことでございますけれども、執行していく際には具体的な基準を定め、どういう場合が責めによるということで判断がされるのかということを定めていくことになるかと存じます。

 先ほど幾つか例示としてお示しいただきましたけれども、現時点で個別に判断し御答弁申し上げることはちょっと差し控えたいと思うところでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほど大臣の答弁がございましたけれども、行政手続法に基づく審査基準というのはしっかりと作って公にして、その上で、我々としてもしっかりした審査体制をつくった上で、申請に基づきながらこれを厳格に審査していくということになろうかと考えてございます。

山岸委員 私は仮定の話をしているわけじゃなくて、過去の実際の事例に基づいて、しかも二日前に通告して、具体的にどうですかということをお聞きしているわけですから、それに対して差し控えるというのは、全くルールがざるだということを当局が自らおっしゃっているということだと思います。非常にこれも懸念があるところですが、時間がなくなってまいりましたので、次のテーマへ移ります。

 もう一点、同じプラスアルファの考え方の中で、仮処分の問題でございます。仮処分が出て、後に覆った場合には、その期間、止まった分に関してはプラスアルファで乗っけてあげますよという仕組みになっているんですけれども。

 基本的に、一般的に、仮処分、つまり司法の判断で何らかの損害を受けたという場合には、事後的に、損害賠償を求めたりするという形で救済していくというのが基本であろうかと思います。やった事例はないと思いますけれども、事業者は、仮処分を申請した国民、市民の方に対して損害賠償を求めることは法律上できるわけでございます。そうしますと、今回、運転延長プラスアルファを導入することによって、事業者から見れば民事での損害賠償と運転期間の延長という二重取りができるという仕組みになるわけですか、よろしいですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、発電事業者が、差止めの仮処分を受けて覆った場合に、それについて損害賠償を求めるということは制限されているわけではございませんので、その上で、実際に請求を行うかどうかというのは発電事業者の判断となるものと承知しています。

 同時に、委員からも御指摘がございましたが、現時点でそういった事例はないものと承知はしています。

 一方で、制度と民事損害賠償との関係をどう考えるのかというお話でございます。

 今回の措置というのは、運転停止期間についてどう考えるか、原子力発電所を、原子力規制委員会の審査を受け、通過したものについて、どこまで長期にわたり使っていくかということの期間をどう考えるかという問題。これは、事業者の損失の補填等を目的としたわけではなくて、あくまでも原子力発電所の利用政策として、脱炭素電源の利用促進、電気の安定供給の確保に向けた選択肢の確保のために行う政策上の措置でございます。ですので、事業者に二重の便益を与えているというものではなく、民事訴訟というものとエネルギー政策としての措置というものは別物だというふうに考えてございます。

山岸委員 損失補償ではない、別物だと。非常に特殊な制度だということですよね。

 例えばですけれども、経産省が所管していらっしゃる事業の中にこういう救済方法というのはほかにあるのかな。例えばメガソーラー、今、各地で環境問題があったりして差止めの仮処分申請が出ています、認められたケースはまだないと思いますけれども。メガソーラーが、仮処分が出てしまってFITの期限が切れて損が出ましたねというときに、おたくは仮処分があったから、かわいそうだからFITの期限を延長してあげましょうという仕組みはないですよね。ないときに、原発に関してだけ、このような非常に特殊な救済方法を設けるということは少し筋が通らないというふうに私はやはり思わざるを得ません。

 大臣、仮処分というものは司法の判断でございますので、決定当時に当然、当時、相応の法的な、あるいは社会的な理由があったわけであって、あくまで民事で法的に救済をするべきで、もちろん訴えるか訴えないかは事業者の判断ですけれども、あくまでそれは法的に救済すべきであって、このような非常にイレギュラーな措置によって損失補填を、補填じゃないとおっしゃったけれども、こういう形で事実上の補填を行うというのは私は法体系上問題が大きいんじゃないかと思いますけれども、大臣の御見解を求めます。

西村(康)国務大臣 先ほど来答弁も、私もさせていただいていますし、ありましたけれども、あくまでも自らが生じさせたものではない他律的な期間の算定に当たって客観的な外形基準の一つとして活用する、これは、後に上級審で是正された仮処分命令によって過去に停止していた期間ということで規定をさせていただいております。

 今も答弁がありましたけれども、あくまでも脱炭素電源としての原子力を活用すること又は電気の安定供給を行うための対応であって、事業者の救済などを目的としたものではないということでありますし、この期間を仮に、おっしゃるようにプラスアルファで申請があったとしても、規制委員会の安全基準に適合しないとできないわけですので、何か救済を目的としたことでもないということも、その面からも是非御理解をいただければというふうに思います。

山岸委員 例え話として正しいかどうかはちょっと別ですけれども、例えば、公務員の方が訴えられて起訴休職になったりすることがございます。その後、無罪になれば当然その間のお給料とかいうのは賠償を求めるということはできるわけですけれども、その部分は、定年が延びるかといったら、私は二年間休んでいましたから、その分まだ働けますから定年を延ばしてくださいという理屈はやはり通らないわけでありまして。

 今回も、様々な法制度の中において極めて特殊な方法によって運転期間の延長を導入しようとしているということは非常に問題が大きいと思いますし、冒頭申し上げたように、とにかく運転期間を最大限延ばすんだということありきで制度をつくってきた結果、いろいろなところに綻びがある、無理の大きい、そして気をつけないとまたリスクが増えていく、そういう法案になっているという強い危惧を表明して、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、逢坂誠二君。

    〔古賀委員長退席、竹内委員長着席〕

逢坂委員 逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、規制庁にお伺いしたいんですけれども、二〇一三年の四月三日の原子力規制委員会、ここで田中委員長から安全基準に関して提案があったと承知をしておりますが、どのような提案があったのかを御紹介いただきたいということと、その田中委員長の提案について異論があったのかどうか、お伺いします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の二〇一三年、平成二十五年四月三日の第一回原子力規制委員会におきまして、田中元委員長から、今まで安全基準という言葉を使ってきたんだけれども規制基準の方が適当かもしれない、また、今後これをどういうふうにするかということなんですが、皆さんの御意見を伺って、用語を統一したいという提案がございました。

 その結果、今後は規制基準に統一したいということで、委員会の場では異論はございませんでした。

逢坂委員 ということは、改めて規制庁にお伺いしますが、原子力規制委員会の基準は、安全基準ではない、規制基準だということを確認して、今後その言葉を使っていくんだという、その方向が明確になったということでよろしいですね。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが策定をいたします基準につきましては、規制基準という用語で統一をしていくということでございます。

逢坂委員 じゃ、規制庁に重ねてお伺いしますけれども、なぜ規制基準と呼ぶことにしたんでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答えをいたしました二〇一三年四月三日の第一回原子力規制委員会におきまして、田中元委員長から、安全基準というと、基準さえ満たせば安全であるという誤解を呼ぶという発言があったとおりでございます。

逢坂委員 了解いたしました。

 それでは、加えて、規制委員会の審査というのは、安全審査ではなくて、何を行うということになるんでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力施設の審査におきましては、東京電力福島原子力発電所事故を踏まえて策定いたしました新規制基準への適合性を確認をしているものでございます。このため、原子力規制委員会としては、安全審査ではなく適合性審査という言葉を使ってございます。

逢坂委員 ということで、用語の整理をさせていただきましたけれども。

 規制委員長にお伺いしますけれども、規制委員会では、安全基準ではないんだ、規制基準なんだ、それから、安全審査ではないんだ、これは規制基準に対する適合性を審査しているものなんだということが第一回の規制委員会で確認されているんですが、改めてそのことを、これからも規制委員長としてもしっかり守っていただけますでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 先ほど部長から説明がありましたように、安全基準という名称は、基準さえ満たせば安全であるという誤解を招くおそれがあるため、原子力規制委員会は、規制基準という用語を用いることとしております。

 また、原子力規制委員会による審査については、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省から、その審査により規制基準への適合性が確認されたとしても、一〇〇%の安全を保証するものではないと考えております。そのため、規制基準への適合性を審査するという意味で、適合性審査という用語を用いることとしております。

逢坂委員 同様の質問を経産大臣にもお伺いしたいんです。

 経産大臣は原発を推進する立場でありますけれども、経産大臣の答弁を聞いていますと、安全基準とか安全審査という言葉が頻発されるんですね。これは確かに規制委員会で決めたことですから、経産省はそれに縛られることはないのかもしれないんですが、規制委員会でそういう確認をしていますので、今後は、規制基準、あるいは安全審査ではなくて基準への適合審査、こういうふうに改めるべきだと思いますけれども、経産大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 これまで私の国会審議において、これまでの国会審議において、原子力規制庁から、まさに適合性審査という言葉を使っているということ、それから、一部、分かりやすさという観点から、ホームページなどで一般的な用語として安全審査という言葉を使っている場合もあるという答弁もあったものと承知をしております。また、原子力規制委員会のホームページなどで、一般的な用語として安全審査という言葉が使われておるというふうに承知をしておりまして、私自身、何か意識的に安全審査という言葉を意図的に使っているわけではなく、分かりやすい一般的な用語として使っているということでありますが、御指摘も踏まえまして、今後、正確な答弁を期していきたいというふうに考えております。

逢坂委員 この問題は、細かいことのように聞こえるかもしれませんけれども、やはり神は細部に宿るといいましょうか、こういうところから私は緩みが出てくるんだと思うんですよ。

 第一回目の委員会できちんと確認をして、安全審査と言えば、これをクリアすれば安全であるかのような誤解を与えるから規制基準と言いましょう、それから、安全審査ではなくて規制基準への適合審査、こういうことでいきましょうということを確認されているわけですから、原点を忘れてもらっては私は困ると思いますので、是非このことはしっかり今日この場で確認をした上で、今後は適切な対応をしていただきたい、そう思います。

 それから、次に、経産大臣にお伺いをしますが、政府は、原子力発電所を今後何年まで使うつもりでいらっしゃるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、二〇二一年に閣議決定いたしました第六次エネルギー基本計画におきまして、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指していく、実現していくために、再エネの最大限導入に取り組むと同時に、原子力については安全性の確保を、安全確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくということにしております。

 その上で、二〇三〇年に向けては原子力比率二〇から二二%を目指して、震災前よりも、東日本大震災の前よりも依存度を低減するという方針を示しております。その先については、今の時点で何か方針を決めているわけではございませんが、依存度を低減していくということはございます。さらに、技術的な開発の動向や国際的なエネルギー情勢を見ながら検討していきたいというふうに考えております。

逢坂委員 現時点でいつまで使うかということは決めているわけではないということだというふうに思いますが。

 それでは、政府参考人にお伺いしますけれども、新しい原発の建設というのは、計画をしてから実際に稼働するまで、一般論で構わないんですが、大体どの程度の年数を要しているか、教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論になってしまいますけれども、今ある原子力発電所について、事業者が原子炉等規制法に基づく設置許可申請を行ってから運転開始に至るまでの期間、これは、発電所でばらつきはありますけれども、これまでの運転開始に至った国内の原子力発電所における実績に基づきますと、平均約八年であったと認識してございます。

逢坂委員 それは、今の話だと、審査が終わってから八年ということですね。そういう前提がついていましたね。

松山政府参考人 これまでのものではございません。設置許可申請を行ってから運転開始までの期間で御答弁を申し上げました。

逢坂委員 設置許可申請を行うということは、それ以前に電力会社としては設置をするんだという意思決定をしているはずですので、だから、電力会社が意思決定をしてから実際に発電所が稼働するまでというのはもう少し長い時間がかかるんだと思っています。

 私が調べたところ、例えば、最近で最速のもの、泊の三号機が、会社が計画を発表してから、泊の三号機は同じ敷地内で造っていますので、あの場合のケースだと十三年、これでも結構早い方ですけれども、十三年かかっているということだというふうに思います。

 そういうことを考えてみると、政府は、今回、廃炉の原子力発電所についてリプレース、また新たに造るということを考えているわけなんですが、申請を行ってから発電まで八年とか十年とか十数年とかかかる。さらに、今回の法案によれば、六十年、あるいは、場合によってはもっと長く使うということになりますから、経産大臣、これは、今後、七十年以上は原発を使うということが想定されているというふうに理解してよろしいでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、本年二月に閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針では、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代の革新炉への建て替えを対象とする旨を盛り込んだところでありますが、現時点で建設の具体的な計画が策定されたものが何かあるわけではございません。地元の理解も必要になってきますので、今後出てきたとしても、そんなに数多く出てくるとは今の時点では想定しておりません。

 御指摘のように、仮に今後建設が行われる場合には、従来の事例による、今、平均八年という審査、建設期間、それから、事前の準備を含めれば更に必要な期間があるのではないかという御指摘であります。運転期間延長まで考慮した、仮に六十年という運転期間を合計した場合、あくまでも仮に計算したものでありますけれども、設置許可申請から発電終了まで六十八年、約七十年程度ということになるわけであります。

 ただし、今後、そのような建て替えのものが出てくるかどうか、それから将来の原子力の利用に関しましては、まさに技術開発の動向それから国際的なエネルギーの情勢、こうしたものから判断をしていきたい、検討していきたいというふうに考えております。

逢坂委員 ということは、経産大臣、政府の心積もりとしては、今、いつまで原発を使うというお尻を区切っているわけではありませんので、ケースによっては相当長い間原発を使っていくということもあり得るということですね。

西村(康)国務大臣 まだ廃炉になった敷地内で何か具体的な案件があるわけではございませんので、現時点で何か明確なお答えはできませんけれども、今後、仮にそうしたものが地元の理解も得て申請が出、そして、先ほど来御指摘のある適合性審査に合格をした、許可を受けたものについては可能性があるということでございます。

逢坂委員 了解いたしました。

 私の考えとは違いますけれども、政府は、この後も原発を長く使っていくというところに道を開いたんだというふうに受け止めさせていただきました。

 それでは、次に、政府参考人にお伺いします。今、日本が保有する使用済核燃料の量はどれぐらいでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二二年十二月末時点におきまして、国内の原子力発電所から発生している使用済燃料の量は、約一・九万トンと承知してございます。

逢坂委員 経産大臣、使用済核燃料の処理は、現時点ではどのように考えておられるでしょうか。

西村(康)国務大臣 私どもは、第六次基本計画で閣議決定しておりますけれども、高レベル放射性廃棄物の減容化、それから有害度の低減、そして資源の有効利用などの観点から、核燃料サイクルを推進していくということが我が国の基本方針であります。

 具体的には、御存じのとおり、使用済燃料を再処理して、そして回収したプルトニウムなどを原子力発電所において再利用するということと同時に、再処理に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分を目指していくということでございます。

 こうした方針を踏まえて、核燃料サイクル実現に向けて、引き続き、関係自治体、国際社会の理解を得ながら、再処理、プルサーマルなどを推進していきたいというふうに考えております。

逢坂委員 そこで、政府参考人にお伺いしますが、六ケ所再処理工場の建設の開始の時期、当初の完成予定年、それから現時点での完成予定年、この三点を教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 核燃料サイクルを実施する再処理工場でございますけれども、青森県六ケ所村に日本原燃が六ケ所再処理工場として工事、建設に向けて取組を進めているわけでございますが、開始の時期として申し上げますと、一九九三年四月に使用済燃料の受入れ貯蔵建屋の基礎掘削工事に着手し、建設を開始したというものと承知してございます。

 当初の段階では、当時、日本原燃サービス株式会社というところで実施していたわけでございますが、一九八九年三月に事業指定申請を提出した際の竣工予定時期といたしましては、一九九七年十二月の竣工予定としていたところでございます。

 現在、工事を進め、新規制基準への対応のための審査を今鋭意進めているところでございますが、現時点では、日本原燃として六ケ所再処理工場の竣工目標時期を二〇二四年度上期のできるだけ早期としていると承知してございます。

逢坂委員 それでは、規制庁の事務方にお伺いをしますけれども、日本原燃が現在申請中の書類に関して不備があったということが報道されておりますが、その概要を教えてください。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年十二月二十六日に、日本原燃再処理施設に関しまして設計及び工事計画の認可に関する第二回目の申請がなされております。この申請の内容につきましては、約二万五千の建物、設備を対象とする詳細な設計や工事の内容について申請がなされたものでございます。

 不備の具体的な内容でございますけれども、約六万ページの申請書のうち、現時点におきまして約三千百ページにわたりまして不備がございます。具体的な不備といたしましては、誤記や落丁だけではなくて、古い設計情報を記載するといったものが確認をされているというところでございます。

逢坂委員 これは規制庁に聞けばいいのかエネ庁に聞けばいいのかあれですけれども、六ケ所再処理工場の完成の延期というのはこれまで何回あったんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 六ケ所再処理工場の竣工予定時期でございますけれども、その時々に様々なトラブルへの対応、審査対応等々がございまして、これまでの竣工は二十六回延期されてきたというものと承知しております。

逢坂委員 一九九三年に建設に着工してからいまだに完成していない、二十六回も工期を延長しているということでありますけれども。

 経産大臣にお伺いをしますが、現時点で完成予定年と言われている二〇二四年、達成できる見込みはないというふうに思われますけれども、客観的にどう思われますか。

西村(康)国務大臣 まさに今答弁をさせていただきましたけれども、私も、十一月だったと思いますが、視察をさせていただきまして、その状況を確認をさせていただきましたけれども、昨年末に第一回の設計及び工事計画の認可を取得し、昨年内に主要な安全対策工事もおおむね完了するなど、竣工に向けたプロセスが着実に進捗しているものというふうに思います。

 ただ、今ございましたように、多くの誤記、落丁があったということでありますので、四月十四日には規制委員会から日本原燃の社長に対してヒアリングをし、適切に審査資料を作成するための情報共有やチェックの体制を整備するとともに、経営層によるマネジメントの在り方を検討するように要請されたものというふうに聞いております。

 経産省としてもしっかりと安全審査に対応してもらいたいというふうに考え……(逢坂委員「安全審査」と呼ぶ)適合性審査に対応してもらいたいと考えており、経産省としても厳しく指導していきたいと思っております。

 今後も、二四年度上期のできるだけ早期の竣工に向けて適合審査の対応を着実に進めるように、その取組を随時確認しながら指導し、円滑な竣工の実現を目指していきたいというふうに考えております。

逢坂委員 今回の日本原燃の問題というのは、なぜこんなことが起きたのか。二〇二四年の上期に間に合わせるんだということで、多分、日本原燃の上層部と現場で作業している人の意思合わせ、これが全くできていなかったことが一つの理由だと思われるんですね。期限だけを明示して、あとはそれに合わせてやれ。そうなれば、現場では、書類のチェックも十分せずに、まあ、仕方がない、期限に合わせるから十分チェックもできないな、人員にも限りがあるな、古い設計図面でも仕方ない、使おうかみたいなことになったんじゃないかと私は想定しているんですが、規制庁では、二〇二四年上期、間に合うと思っていますか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、先ほど申しましたとおり、第二回目の設計及び工事計画の認可の申請の審査中でございますので、今後の見通しについては現時点で申し上げる立場にはございません。

逢坂委員 それでは、規制委員長にお伺いしますけれども、再処理というのは国内だけの問題ではなくて、国際的にも十分な信頼を得てやらなきゃいけません。相当これは慎重に対応しなきゃいけないと思うんですが。日本原燃が、この間、二十六回も工期を延長するとか、しかも、この期に及んで三千百ページもの問題のある申請を行っているということでありますので、私は事業者としての適性は十分だとは思われないんですけれども、これは、規制委員長、どうお考えでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回の日本原燃再処理施設の設工認に係る申請書の不備につきましては、経営層の申請作成上のマネジメントの問題であり、技術的な適性が現時点で不十分であるとは考えておりません。

 その上でこの点について、原子力規制委員会では、本年四月の十四日に増田日本原燃社長との間で、CEOの会議を公開で実施を行いました。その上で、この点については確認をさせていただいたところでございます。

 日本原燃に対しては、適切なマネジメントの下で審査に足る審査資料を提出して、基準適合性審査ができるように社長が責任を持って対応すべきであるというふうに伝えさせていただきました。

逢坂委員 正直言って驚きの答弁なんですが、技術的能力はあるという判断をしているということでありますけれども、本当にそうなんでしょうかね。今日はこの問題はこれ以上やりませんが、先日も、IAEAが監視対象にしているところで停電が続いていた。国内で分からずに、IAEAの指摘でそれが分かった。これは恥ずかしいことですよ。恥ずかしい以前の問題ですよ。技術能力以前の問題なんじゃないかというふうに思うんですが、それでも規制委員長は適性があると思っていますか。

 それから、これは炉規制法ですか、炉規制法の五十七条の八、再処理事業者に課されている責務がありますけれども、保安教育の充実その他必要な措置を講ずる責務を有するという規定があります。保安教育なんかをちゃんとやられているというふうに思われますか、規制委員長。適格性、改めてこれはあると思っていますか。いかがですか。

山中政府特別補佐人 御指摘いただきました保障措置の問題につきましては、これは日本原燃一社の問題にかかわらず、日本全体の信用に関わる問題でございます。この点については、厳重に日本原燃社長に対して注意をしたところでございます。

 先ほどお答えをさせていただきました、全体として、社としての技術的能力、適性が不十分であるとは現時点では考えておりません。

逢坂委員 極めて認識が甘いということを改めて指摘をさせていただきます。

 そこで、六ケ所の工場そのものについてお伺いします。

 六ケ所再処理工場の年間処理能力は何トンか。それから、六ケ所で、先ほど一万九千トンの使用済核燃料があるというふうに言いましたが、これを全量、仮にフル操業で処理をした場合、何年かかるのか。あるいは、一万九千トンの使用済核燃料を全て処分した場合、分離されるプルトニウムは何トンか。事務方の方からお答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つかお尋ねを頂戴しましたけれども、まず、日本原燃の六ケ所再処理工場における使用済燃料の処理能力でございますが、フル操業を想定した場合、最大で年間八百トンと承知しているところでございます。

 その上で、これを六ケ所の再処理工場で全量処理した場合に、今ある使用済燃料をどれぐらいの期間で処理ができるかというお話でございますが、仮定の話になってしまいます、すなわち、再処理に関して申し上げますと、再処理工場で処理し、MOX加工工場、プルサーマルの稼働状況、様々なことを考えた上で、毎年、使用済燃料再処理機構が策定する実施中期計画、大臣認可の下でやっていくということになります。これが前提となるので、一概に申し上げにくいところでございます。

 計算で申し上げますと、年間八百トンという使用済燃料を再処理するという前提で仮定し、機械的に計算すれば、現在存在する約一・九万トンの使用済燃料の再処理には約二十四年かかるというふうに認識してございます。

 あと、最後にお尋ねがございました、一・九万トンの使用済燃料、ここについて、電気事業連合会の見立てでは、八百トン再処理時に回収されるプルトニウムは約六・六トンと承知しているところでございます。これを踏まえた機械的な計算でございますが、使用済燃料約一・九万トンを再処理した場合に回収されるプルトニウムの量は約百五十七トンとなると承知してございます。

逢坂委員 一万九千トンの使用済核燃料を処理すると、六ケ所の再処理工場をフル稼働しても、実際にはフル稼働というのはあり得ませんので、単純計算で二十四年かかる。そこからプルトニウムが分離される量が百五十トンを超えるということなんですね。

 事務方にもう一回お伺いしますが、日本が保有するプルトニウム量は現時点でどれぐらいでしょうか。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和三年末時点で国内外において管理されている我が国の分離プルトニウムの総量は、約四十五・八トンでございます。

逢坂委員 それで、また改めて事務方にお伺いをしますが、現在、再処理後のMOX燃料を使用している発電所というのはどこがございますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 プルサーマルを行う計画を有している原子力発電所のうち、高浜原子力発電所三号機、四号機、玄海三号機、伊方三号機の計四基がプルサーマルで再稼働済みの発電所になります。

逢坂委員 今、高浜の三、四号機、それから伊方、玄海という話がありましたが、伊方と玄海についてはMOX燃料がもう既に手持ちがないということで、プルサーマル発電は今のところは中止しているところです。

 それで、高浜三、四号機で年間に使用するプルトニウムというのは一・一トン程度です。仮に、大間原発、フルMOXでやったとしても、年間に二トンも消費しません。ですから、そういうことで考えてみると、今後日本で消費できるプルトニウムというのは極めて少ないというふうに思わざるを得ないんですね。

 そこで、私は、仮に年間二トン、プルトニウムを使うにしても、二百トン近いプルトニウムを既に保有できる可能性があるわけですから、再処理するというのはやめるべきではないかというふうに思うんですけれども、経産大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、高レベル放射性廃棄物の減容化、そして有害度の低減、資源の有効利用などの観点から、使用済燃料を再処理して回収したプルトニウムを原子力発電所において有効利用するという核燃料サイクル、これを推進していくのが基本的な方針であります。

 御指摘のように、既にプルトニウムも四十六トンあり、また一・九万トンの使用済燃料から発生するものも生じるということでありますが、再処理工場を稼働していけば年に八百トン処理することができるわけでありまして、そして、御指摘のように、大間は二トンぐらい消費する、利用できるわけでありますが、他のプルサーマル、今十二基を目指しているところでありますが、現在四基動いておりますが、十二基、これが動き出すと、バランスを取りながら動かすことができるというふうに認識をしております。

 実際の使用済燃料の再処理については、再処理拠出金法の枠組みに基づいてプルトニウムの回収量を経産大臣がコントロールできる仕組みを活用することなどによって、プルトニウムを適切に管理、利用を行っていきたいというふうに考えております。

逢坂委員 経産大臣、私は再処理をすべきではないという立場でありますけれども、どうしても再処理をやりたいんだというのであれば、現有のプルトニウム、これを使い切るめどが出てから再処理工場を動かすということの方が合理的なんじゃないですか。

 再処理工場を慌てて動かして、現有のプルトニウムも四十五トンある、再処理工場を動かすとまたプルトニウムが出てくるわけですから、あえて再処理工場を動かす必要は今の時点ではないんじゃないですか、私はそれも反対ですけれども。いかがですか。

西村(康)国務大臣 再処理工場の竣工については何かスケジュールありきで進んでいるわけではなく、まさに規制委員会の適合性審査をしっかり受けて、工事を行い、そして確認をいただいて稼働するということでありますので、二四年上期を目指しているということであります。

 他方、今申し上げたように、一定のプルトニウム量そして一定の使用済燃料がございますけれども、再処理工場が竣工していけばきちんと管理しながら回していくことが、プルトニウムの量を管理しながら利用していくことができますので、私は、再処理工場の竣工を、まず、しっかりと工事を行って、安全性を最優先に、適合性審査をしっかりと受けて、そして稼働していく、このことが、私は長い目で見て、有害度の低減、資源の有効利用の観点からは、私どもとしては必要な政策だというふうに考えております。

逢坂委員 今日は議論は深入りしませんが、アメリカで再処理をやめた理由は、経済的合理性がないというのが最大の理由なんですよ。科学技術的にやれるかやれないかという問題ではなくて、経済性が合わないというのが最大の理由なんですね。日本ではこのことは余り議論されておりませんけれども、議論をしないというよりは、政府はこの議論を避けているんですけれども、核燃料サイクルは私は破綻しているというふうに思っています。

 経産大臣、使用済みMOX燃料も再処理するんですよね。でも、再処理のめどは立っているんですか。プルサーマルをやればやるほど、使用済みMOX燃料は今度増えていくんですよ。今度、新たな再処理工場が必要になるというふうに理解するんですけれども、使用済みMOX燃料についてどうですか、経産大臣。

西村(康)国務大臣 使用済みMOX燃料の処理処分の方法については、その発生状況、保管の状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き、二〇三〇年代後半の技術確立を目途に研究開発に取り組みつつ検討を進めていく方針であります。

 御案内のとおり、既に東海それからフランスでは実証的に再処理が行われているところでありますけれども、いずれにしても、現時点で、再処理をする使用済みMOX燃料の量や回収されるプルトニウムについて具体的にお示しすることは困難でありますが、いずれにしても、先ほど申し上げた再処理拠出金法の枠組みに基づいてプルトニウムの回収量を経産大臣がコントロールできる仕組みがありますので、これを活用してプルトニウムの適切な管理と利用を行っていきたいというふうに考えております。

逢坂委員 私は、再処理を行って今以上にプルトニウムを増やすというのは、国際的にもやめるべきだと思います。再処理は中止すべきだということを指摘させていただきます。

 それでは、西村大臣に、直接の担当ではないんですけれども、原発を推進する立場の大臣として、避難計画についての認識をちょっとお伺いします。

 三・一一以前の原発に関する避難計画はなぜ十キロ圏内だったのか。あるいは、三・一一以前の避難計画は過酷事故を想定していたのか、いないのか。いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 二〇一一年三月以前は、御指摘のように、原子力安全委員会が取りまとめた「原子力施設等の防災対策について」、いわゆる防災指針におきまして、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲であるいわゆるEPZを原子力発電所から半径八キロから十キロ圏内ということにしていたわけであります。

 そして、避難計画を策定する範囲についても、このEPZを踏まえ定める必要があるとされておりました。

 その上で、EPZを八から十キロ圏内とした理由については、同指針において、当時の原子力安全委員会が、施設の安全審査において現実には起こり得ないとされる仮想事故等の際の放出量を相当程度上回る放射性物質の量が放出されても、この範囲の外側では屋内退避や避難等の防護措置は必要がないということを確認し、過去の重大な事故、我が国のジェー・シー・オーの事故、あるいはアメリカのスリーマイル事故との関係も検討を行った、その結果としてこのようにされたというふうに承知をしております。

 過酷事故を想定したものであるのかどうかということでありますけれども、避難計画は、まさに東電福島第一原発の事故発生時に実施した住民の避難等の範囲が、事前に防災対策を重点的に充実すべきとされた範囲を大幅に超えていたというこの事故の教訓、そしてIAEAで定められている国際基準、これを踏まえて、原子力規制委員会が専門的、技術的な知見に基づき定めた原子力災害対策指針に沿って避難計画は策定されるものだというふうに認識をしております。

 これは、いろいろな新たな知見に基づいて見直されるものでありまして、累次にわたり見直しがされてきたものというふうに思います。

 経産省としては、この指針に沿って避難計画が策定されるよう、しっかりと支援をしているところでありますが、策定後も、様々な状況を想定した訓練などを通じて、計画について不断の改善、充実に取り組み、実効性を高めていくことが重要だというふうに認識をしております。

逢坂委員 経産大臣、私は、泊原子力発電所から十数キロのところに住んでいました。当時、ニセコという町の町長をやっていて、議会から、原子力防災、避難計画を作るべきだ、こういう指摘を受けました。私は、原発の事故というのは起きないことが前提だから、避難計画は必要ないのではないかという答弁を繰り返していたんですが、何度も何度も議会で言われて、分かりました、避難計画をそれでは作りましょう、そういう方向になったんですね。

 ところが、当時、内々ですが、北海道庁から電話が来て、原発事故が起きないことが前提だ、それなのに避難計画ということになると、住民の皆さんの不安をいたずらにあおる、だから、それは慎重にやってほしい、こういうことだったんですね。上級官庁から電話が来て、慎重にやってほしいということは、それはやるなということなんですよね。結果的に、当時のニセコでは避難計画は作りませんでした。

 ところが、三・一一以降、これは、三十キロ圏内にニセコも入っていますので、避難計画を作るということで、泊地区の防災計画の中に今入っています。

 ただ、日本の原子力発電所というのは過酷事故が起こることを前提にして立地しておりませんので、後になって事情が変わったからといって、それでは避難計画、有効なものが作れるかどうかというのは分からないんですよね。ここがすごく大事なポイントだと私は思うんですが、西村大臣、この点はどう思いますか。全ての原発立地地域で有効な避難計画を作れるというふうにお考えですか。

西村(康)国務大臣 まさに福島第一原発の事故の当時は十キロ圏内ということでありましたけれども、IAEAは安全指針で、二〇〇七年で既に三十キロ圏内、こうした提案もなされているところでありますので、福島の事故、そしてIAEAのこうした国際基準も踏まえて、今三十キロ圏内ということで対応しているところであります。

 今回の原子力基本法にも書かせていただきましたけれども、まさに安全神話に陥ることなく、もちろん、事故が起こらないように最善の努力を尽くしていくわけでありますが、いざ起こった場合にきちんと対応できるこうした避難計画、これを実効性のある形で作っていくことが重要だというふうに認識をしております。

 経産省としても、その避難計画を作っていくことにしっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。

逢坂委員 極めて認識が甘いですね。実効性ある避難計画を作れるように、避難訓練なども繰り返してレベルを上げていくかのような答弁をこれまで繰り返していますけれども、例えば、地域に住んでいる住民の皆さんに対する避難なんかはいろいろ考えられている側面はあるんですが、そこに滞在している観光客、こういう方々に対してどうするかなんということはほとんど議論されておりません。これで十分に国民や地域の皆さんの安全が守れる避難計画になるか、私は相当疑問です。この点、もっと西村経産大臣は強い認識を持つべきだと思います。

 そこで、規制委員長にちょっとお伺いします。

 今回の法改正によって、規制基準、これは強化されるんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉の運転期間が延びれば延びるほど、劣化は進んでまいります。安全上のリスクは増大してまいります。

 我々の務めとしては、基準を策定し、その基準に適合しているか否かを判断することが私どもの務めであるというふうに考えております。

 現在、四十年で一回行う運転延長の認可制度を、三十年より以上運転しようとする原子力発電所について、十年を超えない範囲で認可制度を設けることによって、高経年化した原子炉の安全規制は強化されるというふうに考えております。

逢坂委員 また安全規制と言っていますけれども。

 最初、運転開始したときの原発と、六十年たったときの原発に対する規制基準というのは変わるんですか。変わらないでしょう。一緒でしょう、規制基準は。でも、長年時間が経過すると、規制基準からの乖離が大きくなる。なかなか、乖離が大きくなるので、審査は厳格化するけれども、基準は今回も変わらないんじゃないんですか。その点、最後、いかがですか。

山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、私どもの務めといたしましては、高経年化した原子力発電所についての基準適合性を審査すること、基準に適合していれば運転延長は認めますけれども、基準に適合していなければ運転延長は認めません。

逢坂委員 全く答弁になっていないんですが、時間が来ましたのでこれでやめたいと思いますが、原子力についてはまだまだ議論すべき論点が多いと思います。

 ありがとうございます。

竹内委員長 午後一時二十分から連合審査会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前川清成君。

前川委員 日本維新の会の前川清成です。どうぞよろしくお願いいたします。

 午前中の質疑を聞いておりまして感じたんですが、経産大臣は、しばしば、原子力発電所に言及する際に、枕言葉として、安価な電気を安定的に供給する、これが大切だというふうにおっしゃいます。午前中の質疑を聞いていて、恐らく各政党も、さらには経産省も環境省も規制庁も、安価な電気を安定的に供給する、このことについて異存のある方は一人もいないんじゃないのかなと私は思いました。

 さらに、私は、もう一つ、安価と安定のほかに安全もつけ加える必要があるんじゃないのかな、このことについても恐らく異存のある方は一人もいないんじゃないのか、そうであれば、この原子力の議論はこれからも、この法案の質疑が終わったとしても続いていくとは思うんですが、かつての五五年体制のイデオロギーの対決のようなことではなくて、各政党が、あるいはそれぞれの役所が、安い電気をどうやったら安定的に安全に供給できるのか、お互いに知恵を出し合う、そういう議論ができたらいいな、こういうふうに思っておったんですが、この点、通告していないんですが、両大臣のお考えはいかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、何よりも国民の生活、経済の活動を維持していくためにはエネルギーが必要ですので、このエネルギーを安定的に、できる限り安価に供給していくということ、あわせて、御指摘のように、安全は当然の大前提だと思います。こうした考えの下で、私どもは今申し上げたような政策にのっとってエネルギー政策を進めてきているわけであります。

 安価な部分についても、例えば、今、原子力発電所が動いております関西電力、九州電力、今回は値上げの申請をしておりません。海外に燃料費として高く払う必要がないからという面があるんだというふうに思います。さらには、海外に依存していることに対してのエネルギーの自立といいますか、自給率といいますか、こういったことも観点に入れながら考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 いずれにしましても、御指摘のような考え方を頭に置きながらエネルギー政策を進めていきたいというふうに考えております。

西村(明)国務大臣 今経産大臣からお話があったように、エネルギーの安定供給、これは経済にとっても国民の暮らしにとっても必要なものだというふうに思っております。

 あわせて、つい先日閉幕しましたG7の気候変動・エネルギー・環境大臣会合、ここでも議論されたように、地球の将来、未来を考えたときには、気候変動に対応するために再生可能エネルギーの最大限の導入が必要だというふうに考えております。

前川委員 両大臣と思いが同じで、安心をいたしました。ついては、お互いにですけれども、一旦決めた結論は何が何でも動かさないではなくて、その時々の知見、経験、あるいは様々な国民の世論、こういったものも盛り込んで最善の結論を得ていかなければならないように思っています。

 その上で、第六次エネルギー基本計画、これを読ませていただきました。その七ページには、可能な限り原発依存度を低減すると書いてあります。午前中にも様々な議論があって、たしか松山部長から、事故が起こらないようなことはないんだというふうな答弁もありました。ですから、安全ということを考えれば原発依存度を引き下げていくということは大事だと思うんですが、御案内のとおり、二〇一九年度の原発依存度は六%です、二〇二〇年度は四%です。私なんかは素直な性格ですから、この六%あるいは四%を引き下げていくのかな、こう思って読みましたら、第六次エネルギー基本計画の百六ページには、二〇三〇年度の電源構成で原子力発電の占める割合を二〇ないし二二%程度見込むと書かれてあるんです。

 六ないし四%を二〇ないし二二%にすることは低減とは言いません。第六次エネルギー基本計画というのは、二〇三〇年度の原発依存度を二〇ないし二二%に引き上げていく、こういう結論で読めばいいんでしょうか。

西村(康)国務大臣 第六次エネルギー基本計画でありますけれども、その計画の中では、原子力につきましては、安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していくということ、そして、今御指摘がありましたように、再生可能エネルギーの拡大を図る中で可能な限り原発依存度を低減する、このことを共に明記しているところであります。

 そして、御指摘の依存度低減の意味でありますけれども、震災前の原子力比率は約三割でございました、その状態から依存度を低減するという趣旨で書かせていただいております。もちろん、方法としては、今申し上げた再エネを最大限導入すると同時に省エネも進めるということで、先ほど来御議論のありますいわゆるSプラススリーEという、安全を大前提としながらエネルギー効率性なども考えていくという、この原則の下で安定供給を確保しながら原子力への依存度を引き下げていく考えであります。

 御指摘のように、三〇年度の電源構成は原子力比率を二〇から二二%としております、震災前よりも低減をさせているところであります。そこから先は、技術の動向とか国際的なエネルギー情勢を見据えながら原子力の電源構成の比率については検討してまいりたいというふうに考えております。

前川委員 経産大臣、例えば民間の会社で、売上げを伸ばしましょう、こういう方針を立てたときに、十二年前の売上高に比べて増やしましょうにはならないですよね。今の売上げが幾らだからそれより増やしましょう、これが普通の考え方だと思うんですけれども。今現在、原発依存度が二〇二〇年で四%、二〇一九年で六%、やっていけているにもかかわらず、どうして更に二〇ないし二二まで引き上げなければならないんでしょうか。

西村(康)国務大臣 最初に御指摘いただいた安定供給、安価なというところもございます。電気料金が、海外に燃料代を、主として石炭、LNGが多いですけれども、石油も含めて価格高騰の中で支払っていかなきゃいけない、これは国民生活、産業全体、経済全体に大きな影響を与えておりますし、マクロ的にも富が海外に出ていっているということであります。

 こうしたことを考え合わせますと、私どもは、震災前の三〇%から広い意味で下げていく、しかし、足下の安定供給、できるだけ安価な供給をしていくには、原子力は必要な規模を活用していくことが重要だというふうに認識しております。そうした考えからこのような政策を取っているということであります。

前川委員 ドイツが、御存じのとおり、四月十五日に原子力発電所を全て停止しました。ドイツの原発依存度というのは昨年は六%でした。ですから、日本と同程度です。どうしてドイツは原子力発電から卒業できて、日本は卒業できないのかということです。

 大臣は、しばしば震災当時のことをお話しになります。当時、衆議院の経済産業委員会の理事をしていて固定価格買取り制度のためにも尽力したんだというお話をなさいますけれども、東日本大震災当時、私は参議院の経済産業委員長をさせていただいていました。その折に、経産省から、日本の電気の三分の一は原子力が作っています、委員長の御地元の関西電力は電気の半分が原子力発電所です、ですから原子力発電所というのはすぐには止められないんです、こういうふうに説明を受けて、私も、その当時、そのとおりだと思いました。

 ところが、その後、定期検査もあって、日本の原子力発電所は全部止まります。全部止まりましたけれども、大規模な停電等は起こりませんでした。もちろん、そのためには、老朽化した火力発電所を再稼働したり、様々な御努力があったと思います。でも、懸命な努力をする結果、何とかなったんです。

 私が初めて国会に来たときに、総理大臣は小泉純一郎さんでした。小泉さんが所信かどこかの演説で、やればできるは魔法の合い言葉、こんなふうにおっしゃいました。今すぐとは言わないんですけれども、午前中にも質疑がありましたように、原子力発電所というのは万が一の事故が起こったときにあの福島のような惨禍を招いてしまう、安い電気を安定的に供給するというのは極めて大事だと私も理解するんですが、もうちょっと原子力発電所から卒業するための努力ができないのかということを改めてお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 エネルギー政策は、各国の置かれている地理的な状況とか、様々な資源があるかどうかなどを含めて、それぞれの国で様々な事情があって、それに基づいて政策が行われております。

 ドイツもドイツで政策判断で原子力を止めるという判断をされましたけれども、ヨーロッパは御案内のとおり連系線で結ばれておりますので、ヨーロッパはいわば一つのように送配電網が巡らされている、グリッドがつながっているということであります。

 仮に再生可能エネルギーが、ヨーロッパで実際に二〇一七年に起こりましたけれども、風も吹かない、曇天が続いて太陽光も発電しないという状況であっても、フランスが約七割、原子力を動かしている、それによって供給を受けられるということがあるわけであります。そうした状況も違いますし、平地面積は、ドイツは森林が三割、平地が七割、日本は逆であります、森林が七割ということでありますので、なかなか太陽光に適した場所も少ないということもあります、そうした事情。それから、ドイツの電気料金は日本よりも高い状況が続いております。そうした状況を含めて、それぞれの国が判断をしていく。

 ちなみに、今回のG7の中で、原子力を続けていく、活用するという国は、日本のほかにアメリカ、フランス、イギリス、そしてカナダ。ドイツとイタリアが原子力は使わないということでありますので、必ずしも全ての国が原子力を廃止するということではなく、それぞれの国の事情に応じて政策を立案しているということでございます。

前川委員 今、経産大臣が太陽光発電について言及されました。前回も質疑させていただきましたけれども、太陽光発電一本足打法だったらそういうこともあると思いますが、再生エネルギーに限らず多様な電源を考えていくということで、そこは克服できるのではないかと思っています。

 それと、原子力発電所が本当に安いのかということに関して少し質疑をさせていただきたいんです。

 前回、再処理ができなくて、高速炉ができない場合は使用済燃料を直接地層処分する、その場合、十万年間保管しておかなければならないと言われておりますが、その十万年間の保管費用について経産大臣は五千億円というふうに答弁をなさいました。この五千億円の根拠、計算式について御説明いただけたらと思います。

西村(康)国務大臣 前回の質疑で申し上げた経費でありますけれども、直接処分を採用しておりますフィンランドの処分費用で約五千億円ということを例として申し上げたものであります。

 この数字は、フィンランドの処分実施主体でありますポシヴァ社が見積もり、対外的に公開されております。

 私ども政府としては直接処分は考えていないところでありますけれども、先般お尋ねでございましたので、この数字をお答えしたところでございます。

前川委員 高レベルの放射性廃棄物ですから、単に土の中に埋めておくというだけでは足らぬと思うんです。悪い人がやってきて盗み出して悪いことに使うかもしれないから、当然厳重に封入しておかないといけないし、あるいは監視も必要だろうと思います。さらには、六十年に一回なのか何十年に一回なのか知りませんけれども、保管する容器についてもやはりメンテナンスが必要なんだろうと思うんです。

 すると、私は原子力の技術について全く知見はありませんが、一年で一億円、足りるとは到底思わないんです。もっとお金がかかるだろうと思うんです。仮に一年に一億円だとしても、十万年だったら十兆円、こんな金食い虫の発電方法が本当に経済にとって国民生活にとっていいんだろうかというふうに思うんですが。

 大臣、五千億円と今おっしゃいましたけれども、計算式は考えておられないわけですか。

西村(康)国務大臣 五千億円については、ウラン換算で五千五百トンを直接処分する費用ということで承知しております。何か研究開発などを行ってきたものは含まれていないというふうに承知しておりますが、もし具体的な計算方法を御所望であれば、事務方からお答えさせていただきます、あるいはお届けさせていただきたいと思います。

前川委員 次に、今日午前中も質疑が出ましたけれども、万が一事故が起こってしまった場合の経費のことです。

 福島第一原発の事故で、大勢の皆さん方が塗炭の苦しみをなさいました。これは、お金の問題だけではないと思います。むしろお金の問題を取り上げて質疑することは被害者の皆さん方に失礼かもしれませんが、あえてお金のことだけを取り上げさせていただくと、午前中もありましたけれども、この十二年間で十二兆円を要しました。一年間に一兆円です。

 政府の計画によると、廃炉は二〇五一年までに終了することを目標にしています。目標ですから、まだ延びるかもしれません。でも、目標どおり終わったとしても四十年です。毎年一兆円、四十年かかったら四十兆円。

 これは、消費税が五%のときの国の税収にほぼ匹敵します。これだけの大きなお金を、万が一福島のような事故が起こってしまうと費やしてしまうことになります。ですから、もう一度経産大臣にお尋ねしますけれども、原子力発電所というのはもう経済的に割が合わないのではないでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、第一原発の廃炉につきましては、政府が策定しておりますロードマップに基づきまして、御指摘のように二〇四一年から五一年までの廃止措置完了を目指し、まさに世界の技術、英知を結集しながら安全かつ着実に進めていくことにしております。

 廃炉に必要な費用は、おっしゃったように全体として十二兆の数字がありますけれども、廃炉には八兆円、原子力損害賠償・廃炉等支援機構による有識者へのヒアリングなどに基づいて、一定の蓋然性を持った金額として八兆円ということをお示ししているところであります。もちろん、万が一の事故への対応なども考えていかなきゃいけないわけですが。

 原子力賠償のスキームについては、東電の株式の売却益、そして電力各社の負担金などを用いて対応するということになっておりますので、当然こうした費用も頭に置きながら考えていかなきゃいけないということは私も認識をしているところでございます。

前川委員 大臣、今ちょっとおっしゃいましたけれども、原子力発電所の過酷事故なので世界の英知を結集しなければならない、もし例えば水力発電所の事故だったらそんな世界の英知を集めることもない、あるいは廃炉の費用については東京電力が出すんだみたいなことを今おっしゃいましたけれども、それも結局は電気代に上乗せされて国民の皆さん方に御負担をおかけするわけなので、やはり原子力発電所の経済的な合理性というのは見直していかなければならないように思います。

 まだまだ質疑したかったんですが、時間が参りましたので、この後を足立議員にお譲りしたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

    〔竹内委員長退席、鈴木委員長着席〕

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 同僚である前川委員の後にちょっとやりにくいんですが、論調としては同じ党とは思えない感じであります。ただ、前川さんは弁護士でもいらっしゃるし、極めて正義感が強いわけですね。だから、原発の大規模性、複雑性、そうしたことを誰よりも理解されてですね。原発政策の重要性、これは私も全く同じ立場であります。

 我が党は、前川さんと足立ぐらいに幅のある意見が党内にありますが、ただ、それを封印するのじゃなくて、しっかり党内で議論をして、党で方針はしっかりと決めていくということを、これまでもやってきたし、これからもやってまいります。

 一部に誤解があるんですが、維新の会は、結党から十年たちましたが、原発フェードアウトということを言っていました。だから、日本維新の会は原発についてちょっとネガティブなんじゃないかという印象がこの十年あったかもしれませんが、よく見ていただいたら、結党当初からフェードアウトさせるとは書いていないんです。

 東京電力福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえて責任ある推進体制を築かない限りは原発はフェードアウトするよ、してしまうよというウォーニング、警告を政府・与党に対してしていたし、直近の維新八策、国政選挙での公約においても同じように、既設原発で老朽化したものはフェードアウトさせると。逆に言うと、次世代原発はやっていくんだ、これが我が党の正式なポジションですから、これは国民の皆様に誤解なきようにお願いしたいと思います。

 それから、印象操作がもう二つあるのが、緊縮財政だと。これも間違いです。我々は、あくまでも財政運営よりも経済成長が大事なんだ、まさにアベノミクスの考え方は私たちの考え方そのものであって、これは世界標準だと。それから、もう一つあるのが親中だというね。選挙になるとネットで、維新の会は親中だ親中だと。どこが親中なんだ。私たちは、外国人土地法だって背中を押したし、経済安全保障だって背中を押した。公明党が向こうに引っ張るのを我々がこっちへ引っ張った。これがずっと安全保障については私たちのポジションです。憲法改正もそうです、九条もそうです。それはこの機会に申し上げておきたいと思います。

 尊敬する前川委員がドイツの例を出されました。これはまさに、日本も脱原発したらどうかという方々が必ず、ドイツは脱原発ができたじゃないかと言う。残る時間を全部使っていただいても結構ですから、これはそうじゃないんだということを、模範解答を大臣からお願いします。

西村(康)国務大臣 まさにエネルギー政策は、世界共通のというか同じ政策をみんなが取っているわけではなくて、それぞれの国の経済事情、エネルギー事情、資源の産出がどうかなどの状況、こうしたことによってそれぞれの国がまさに安定供給を目指して取り組んでいるわけであります。

 そして、今回のG7でも合意がなされたのが、SプラススリーEという日本が主張してきた、安全性、エネルギーの経済効率性、安定供給、環境への適合性、まさにこれを基に、それぞれ多様な道筋を歩みながらも、共通のゴールでカーボンニュートラルを目指していこうということで合意がなされたところであります。

 先ほど申し上げましたとおり、原子力を使わないと言っている国はG7の中でドイツとイタリア、日本を含めてアメリカ、フランス、イギリス、カナダは原子力を活用していくということであります。

 これはまさに、安定供給、できるだけ安価なものを提供していくという中で、繰り返しになりますけれども、原子力発電所が動いております関西電力と九州電力は値上げの申請を今回はしておりません。対外的に燃料費を高く払う必要はないということだと思います。そうした判断だと思いますが、私どもとしても、原発の再稼働、これは、適合性審査にしっかり合格し、地元の理解を得られたものは再稼働していくという方針でございますし、今回、原子力についても五か国を中心に、次世代革新炉の開発、建設、サプライチェーンの維持、あるいは人材育成なども合意したところであります。

 ドイツについて言えば、先ほども申し上げましたけれども、まず、平地が七割、森林が三割ということで、太陽光に適した適地も多いということであります。これは日本は全く反対で、森林が七割であります。そして、いざ曇天が続いたりして太陽光が発電できないときであっても、連系線がヨーロッパは結ばれておりますので、原子力で七割発電しておりますフランスから電力を買える、そういった点もあります。更に言えば、現在の電気料金を比べてみましても、ドイツの方がかなり高いものというふうに認識をしております。

 こうした点を全て総合して、日本としては、安定的に、できるだけ安価に供給していくという観点から原子力を活用していく、もちろん再生可能エネルギーも最大限導入ということで、この法律の中にも、地域との共生を図りながら太陽光も進めていく、あるいは洋上風力もこれから更に進めていく、こういった方針で臨んでいるところであります。

足立委員 ありがとうございます。まさに私も全く同じ考えです。だから、ドイツがどうとか、全く違うものを比べて何か印象操作が広がるのは本当に国民を惑わすわけでありまして、今大臣が御答弁されたような、きっちりと必要な要素要素を包括的に整理すれば今の政策判断になるということは、我々もよく理解しているところであります。今、いろいろ何か、ぐちぐちぐちぐち、横で不規則発言が飛ぶわけですけれども。

 今日、国民民主党の玉木雄一郎代表がすばらしいことを朝のラジオでおっしゃっていました。立民は政権を取れないと。どうおっしゃっていたかというと、こんなことを続けていたら、こんなことですよ、こんなことを続けていたら野党第一党は日本維新の会になると思う、自分たちはもう立憲と一緒に連携するなんということは難しそうだ、維新の方が憲法も一緒にやっているんだから政策的には近い、これはまさにそのとおりで。

 今、日本政治は三グループに分かれつつあります。自公。維新、国民、有志、今憲法を一緒にやっています。そして立憲、共産。

 今、立憲が野党第一党なわけでありますが、私たちは今、玉木さんがラジオで電波に乗せておっしゃったように、私たちが野党第一党を取りたい、これは結党時からそう思っています。何のために野党第一党を取るか、それは決勝戦で自民党と戦うためです。

 さっきも、何だっけ、堤かなめさんの、後ろで寝ているとかね。だって、それは、質問がつまらないから寝るわけでしょう。何か、緊張感がないとかね。緊張感がないのは野党第一党だ。

 戦後、自民党が結党されてから六十八年たちました。その間、国会に緊張感がないとすれば、責任があるのは野党第一党ですよ。だから、今回のGX電源法案についても、立憲民主党は結局何にも言っていないじゃないですか。今日も何人も長時間質問しているけれども、一体何が言いたいんだ。結局、修正案も出さない、反対するだけ。

 その中で、私たちは今、修正案をお出しして、政府・与党と、まさに福島第一原発事故の教訓を踏まえた原子力政策の在り方について修正協議をさせていただいているということを申し上げておきたいと思います。

 そのときに、この法案は、まさに二〇一二年の民主党政権の負の遺産。だって、最初のセッティングが悪いから今直しているわけでしょう。だから、私は、二〇一二年、民主党政権のときに作った法律が、当時は自公も賛成したんだけれども、これを今修正しているということで、当時の負の遺産はまだ幾つかあると思うんです。

 例えば、今日は合同審査ですから環境大臣もいらっしゃるということでありがとうございます、一番私が、民主党政権のときにかけたボタンにボタンのかけ違いがあるんじゃないかと言って、ずっと国会で取り上げたテーマが、処理水は一応方針が決まりましたが、汚染土ですよ。

 三十年、すなわち二〇四五年までに県外で最終処分する。当時、私、改めて勉強したら、さすが自民党ですよね、高市早苗議員が、ちょうど一年もたたない平成二十四年一月三十一日に質問主意書で同じことを聞いているんですよ、民主党野田政権に対して。県外って、何を言っているんだ、県外って、どういう理屈でそんなことを決めたんだということをおっしゃっています。

 大臣も今お手元にあると思いますが、それの繰り返しになるかもしれませんが、野田政権の当時の質問主意書と同じであればそういうふうに言っていただいていいと思いますが、今の岸田内閣は県外最終処分についてどうお考えか、お願いします。

西村(明)国務大臣 足立委員御指摘の平成二十六年のJESCO法改正、これで、県外最終処分の方針を法律に規定する際には、各党の皆さんが福島の皆様方が過重な負担を負っているという状況を理解して、当時の与党会派である民主党・無所属クラブを始めとして、自由民主党、維新の党、公明党、次世代の党、生活の党といった皆さんの賛成によって法律が成立したというふうに承知しております。

 法律に規定された国の責務として、県外最終処分に向けて、引き続き地元の皆様の思いを受け止めながら進めてまいりたいというふうに考えております。

足立委員 まさに今大臣から御答弁があったように、過重な負担ということが当時の答弁にも書いてありますが、今あったように、維新の党の時代は賛成したかもしれませんが、当時は江田憲司さんとかがいましたのでね、今、私たちは、これは本当にいいのかと実は思っています。今回の修正協議でもそういうことも含めてやっているんですが、私は難しいと思っているんです。これは、党としてよりは個人的にね。

 だって、見てください、私は実は地元で、豊能町というところで一時問題になったダイオキシンを抱えているんです。これを最終処分するのを二十五年たってもできていないんです。既存の政党ができないからということで、大阪維新の会公認町長が、それも二人目です、大阪維新の会公認町長をバトンタッチしながら、何とか次の四年で、今年の二月に新町長になったんですが、次の四年で各党会派、様々な地域の皆様の御理解を得て二十五年を経て解決しようとしているんだけれども、それも結局、大阪湾に持っていくとかいろいろな議論があったんだけれども、やはり地元で最終解決しようということで、私たちは政治家としてそれをやっているんです。

 今日は余りそれを言っていても仕方ないんだけれども、私は、これは民主党政権で決めたことを引きずっているだけなので、もう一回ボタンをかけ直さなあかん時期が来ますよ、あるいはそれをしなければ復興しないですよ、これは申し上げておきたいと思います。

 今日、規制委員長もお越しいただいています。

 ちょっと気になったのは、処理水を海洋放出する設備も、高レベル放射性廃棄物の最終処分の施設も、全て規制委員会が認可を通しますね。なぜ除染土の最終処分は規制委員会は関係ないんですか。そこだけ腑に落ちないんですよ。いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故により汚染された土壌であって、除染する際に発生する除染土については原子炉等規制法の規制の対象にはなっておりません。

 除染土の最終処分については、放射性物質汚染対処特措法に基づき、環境省により適切に対処されるものと認識しております。

足立委員 ありがとうございます。

 そうなっているんだけれども、繰り返しになりますけれども、大体民主党が決めたことは適当ですから。民主党政権で決まっていますという答弁ですね、今のは。民主党政権、まあそれ以降もありますよ、でも、民主党政権でかけたボタンをずっと自民党も引きずっているんですよ。でも、ロジックが知りたいんですよ、なぜ除染土は別なんですか。

 ロジック、分かりますか。事務方でもいいですよ、ロジック、なぜなのか。難しいならまたにしますけれども、それは私は問いとしては正しい問いだと思うんですけれども、あ、更問いされたくないと。

 いい問いでしょう。様々な施設は全部規制委員会がカバーしているのに、除染土の最終処分場については規制委員会はカバーしていないんですよ。だから、もうやめておきますけれども、規制委員長を僕は信頼しているので、また御検討を。まあ、規制委員会が検討すべきことか。これは国会で議論すべきだと思うんですけれども。

 私が申し上げたいのは、今回のGX電源法案は民主党政権の負の遺産を解消するための第一歩ではあるけれども、私たちは、あの三年三か月の間違った施政に対する修正はまだ途上なんですね。それをこれからも日本維新の会がしっかりと野党第一党をいただきながら実現していきたい、こう思います。

 今、除染土の話をしましたが、ちょっと時間がないな、高レベル放射性廃棄物の最終処分の話ですね、もう一問あるんだ、済みません、最終処分を割愛しますが、これもしっかりお願いします。

 申し上げたかったことは、北海道の二か所で大丈夫ですかということに対して、経産大臣から、二月の閣僚会議を受けて頑張っているんだということですね。三十秒ぐらいで答弁できますか、そこの部分だけ。

西村(康)国務大臣 まさに最終処分は必ず解決しなきゃいけない問題ということで、今、北海道の二自治体において文献調査を進めているところでありますが、それ以外に出てきていないというのが実情であります。

 御指摘の二月の閣僚会議において基本方針改定案を示して、政府一丸となって、関係省庁がみんなで知恵を出し合ってもらって支援なども講じていく中で、政府の責任で最終処分に向けて取り組んでまいりたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 最後になりますが、今修正協議をしています、修正協議の中身は与党とやっていますから御答弁いただく必要は全くないんですが、私たちの問題意識は、さっき除染土の話をしました、それは別に福島に押しつけるということじゃないんです、冷徹に現実を見た上で、どうやって日本中でこの福島の過重な負担をみんなで背負っていくのか。だから、私たちは処理水を大阪湾でと言い続けたわけです。

 最後に経産大臣に御答弁いただきたいのは、エネルギー基本計画を見ても、今回の法案を見ても、とにかく、原発の立地自治体は理解してね、協力してねとなっているんだけれども、実は立地自治体は理解しているんですよ。理解していないのは国民、特に電力大消費地の都市住民ですよ。その点もしっかり踏まえた政策推進がこれからは必要だと思いますが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 まずは、原子力立地地域の皆さんも防災対応を含めて様々な課題がありますので、これについては住民の方々に寄り添った対応をしっかりしていきたいというふうに考えております。

 一方で、御指摘のように、立地地域のみならず電力の大消費地にお住まいの方々も含めて、広く国民の皆さんに原子力の重要性や課題についても御認識いただく、これが大事だというふうに思っております。

 今後とも、丁寧に説明をしながら、より多くの国民の皆様に御理解いただけるように、国が責任を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、都市住民も人ごとではありません、電促税だって払っているんだし。様々な形で、私は、理解するだけじゃなくて協力できることもいっぱいあると。そういう意味で、国の未来は国民全体でつくっていく、福島であれ、沖縄の米軍基地であれ何であれ、特定の地域に過重な負担があってはならない、そういう立場で私たち日本維新の会はこれからも頑張ってまいります。

 ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。今日は、しっかり質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 早速、日本維新の会の原子力に対する政策については足立議員の方から先ほどスタンスを述べていただきましたので、私もそれに追随して、原子力の在り方といいますか、今回の法についてのたてつけ、私は原子力の専門家でございますので、すごく違和感を最初感じていました。事務方の方とすごくしっかり話し、そして、今回の法律の作り方、そういったこともいろいろ教えていただきましたが、やはり将来を見据えて、もう少しこの法案も改正しなきゃいけないかなといいますか、改正していただけるならば是非改正していただきたい、修正をかけていただきたいと思っております。

 そこで、まず、原子力の発電事業としての届出、許認可の考え方についてお伺いをしたいと思います。

 運転延長については、日本の場合は、やはり原子力発電所は米国から輸入してきたものでございますので、米国に追随しながら様々な規制を決めてきていることは間違いないです。アメリカのDOE、NRC、推進側若しくは規制側の立場、これをしっかり見据えながら、規制若しくは推進を行ってきたというものでございます。今回の運転延長も、元々、プラントが高経年化するよということが一九八〇年代半ばに言われまして、九〇年代に、高経年化といいますか、その当時は寿命延長と言っていました、寿命延長と言っておりましたこの考え方、アメリカの考え方を持ってきながら、様々なトラブル、こういったものを経験しながらそのノウハウを蓄積して、国内でも様々な研究開発を進めてきたものでございます。

 お配りしている資料がございます。まず、A3判一枚、こちらについては、私の方のSNS、ツイッター、フェイスブックで先ほどアップをさせていただきました。こちらをちょっと見ていただければと思うんですが、アメリカの原子力発電所のライセンスリニューアル、運転延長、運転の許可の更新制度でございますが、なぜ四十年と決めてきたのかという議論もこれまで原子力の特別委員会や環境委員会で私はいろいろお聞きしてきましたけれども、ここに書いております。

 実際的に言いますと、四十年を決めてきたのは、アメリカの場合は、やはり経済的な側面、減価償却、それと独禁法の絡みもあり、さらには、一九五〇年頃、四十年たてば新しい技術に変わってきて、新しいプラントになるであろうということを見据えて四十年。しかし、この四十年というのは耐用年数ではございません。したがって、四十年以上使えるんだけれども、余裕を見て四十年にしたというのが現状でございます。日本もそれに追随して、四十年という数字を念頭に置きながら運転をしてきたというものでございます。

 そして、今回、四十年から六十年にしよう。私自身は、六十年という、プラス二十年という壁をつくらなくてもいいだろうと思っています。逆に、高経年化プラントの検査、またメンテナンス、補修、こういったものをしっかり行いながら、厳しい規制をかければ、六十年、八十年、使えるものは使っていいだろうと。ただし、古いプラントについては、維新の政策にありますが、古いものについてはフェードアウトさせていく、そして新しい形のフェーズに変えていく、フェーズアウトさせていく、こういったことも考えております。

 そういった中で、アメリカの考え方に基づきますと、今回、経産省は認可をする、そしてダブルスタンダードで、規制委員会が認可をする、すごく違和感を感じたんです。私は、経産省に対しては届出でいいんじゃないか、新設、新増設と同じように届出をする、そして規制委員会がしっかりと認可を行う、こういう仕組みがいいのではないかと思うんですが、経済産業大臣、また規制委員会、どうお考えか、お願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘を頂戴しましたように、日本の制度は、もちろん、海外の事例も念頭に、そして、これまでの歴史ということがございます、委員も御尽力を頂戴してきました様々な技術に関する評価、こういうことを踏まえて、これまでの規制ですとか運用というのは積み重ねられてきているものだと認識してございます。

 その上で現在、今回提案しております措置というものは、震災後、新たな形で、新規制基準の導入とともに、運転期間について四十年という上限が設けられた、この上限に、その上で、二十年を一回延長とするという規定があるわけでございますが、今の現行の制度について、長期運転ということを考えていったときに、どういう仕組みが本来あるべきであろうかという総理からの検討の御指示を踏まえた上で検討を進めてきたものでございます。

 そのときの背景、念頭に置いておりましたのは、令和二年七月の原子力規制委員会の見解を踏まえたところでございまして、現行の原子炉等規制法における運転期間に係る規定を、利用と規制、この観点から改めて峻別し、電気事業法と原子炉等規制法の二つに再整理することとしたものでございます。

 委員が御指摘いただきましたように、安全をめぐる基準の適合性審査ということでございますけれども、こちらにつきましては、あくまでも、独立した原子力規制委員会がこれまでも、そしてこれからも行っていくことになるかと考えてございます。

 その上で、運転期間、どこまで既設の原子力発電所を使っていくかという観点、そういう意味での運転期間の在り方に関して、いろいろと審議会で議論をいただいてまいりました。

 そのときには、イギリス、アメリカ、フランスと同様に、どこまで使っていくかという運転期間については制限を設けないという案もございましたし、委員の多くの方々からは、こういう厳格な規制というのを前提として、諸外国の例と同様に、運転期間には制限を設けないこととすべきという御議論もございました。一方で、立地地域などからは、高経年化した炉の運転期間に制限を設けないことへの不安の声、同時に、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて制限を設けてきた現行規定の趣旨というものは考慮すべきだという意見もございまして、実質的な運転期間というものについて六十年とするという上限については維持しつつ、震災後の法制度の変更など、事業者から見て他律的な要素について停止した期間に限ってこのカウントから除外するという形に案を作っているものでございます。

 委員から御提案を頂戴しております、これを届出制にするか認可制にするか、これは法テクニカルな、技術的な面はあるわけでございますが、ある事象の通知、伝達というようなものについては届出という形を取るものが一般的でございます。

 現在の発電事業の届出というものも、そこ自体に大きな、規制権者若しくは行政側についての判断の要素がそれほど深くないものについては届出制というものを取るわけでございますが、今回取ろうとしております制度案というものは、先ほど来御指摘をいただいている除外する期間をどうするか、若しくは事業の、運用をしっかりできていくかどうかというような利用政策の観点からの、行政側の判断というのが入るものですから、内閣法制局と議論をした結果、審査の上で認可制ということを取っているものでございます。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘のとおり、米国のNRCの認可制度では、原子力発電所に対しまして、最長四十年の運転ライセンス、コマーシャルライセンスでございますけれども、これを発行することが認められております。その後、運転ライセンスを更新する場合には、この発電所において、施設ごとに定められておりますカレントライセンシングベーシス、いわば許認可のベースとなるものでございますけれども、これを更新期間においても維持されるなどが確認できた場合に限り、最長二十年の運転ライセンスの更新が認められる制度となっているというふうに承知をしてございます。

 一方、今回、原子炉等規制法の改正案というものを提案させていただいておりますけれども、この新しい規制制度の案でも、事業者は、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、また、十年を超えない期間ごとに、その十年を超えない期間内での長期施設管理計画が基準に適合することを、米国と同じように、規制機関であります規制委員会によって確認されない限りにおいては原子力発電所は運転できない仕組みという形になってございます。

 このように、個々の原子力施設ごとにその将来の運転期間を考慮して基準に適合していることを規制機関によって確認されない限りはその原子力発電所が運転できない仕組みという意味では、日本も米国も同じであるというふうに考えてございます。

空本委員 届出、認可の在り方、規制庁とそして経産省でダブルで行う。しかしながら、今、適用除外とか、また運用の在り方とか、そういったものを見ながら法令を遵守しているかどうか確認するというところでの確認レベルにすぎないと思うので、実は、私は届出がいいんじゃないかなと思うんですが、次の質問は飛ばさせていただきます。

 そして、大事なのは、先ほど来もありますが、エネ庁が管轄する電事法から規制庁の炉規法に一元化されてきた原子力行政、規制が、逆に、今回の電事法に書き込むことによって、規制を緩める方向になるんじゃないかなと。

 確かに、先ほど逢坂委員の方から、規制基準が、新設、新増設と今回の運転延長についてはどうなんだ、同じなのかという話があったんですが、私は、一点ここで、規制庁がどうお考えか分かりませんが、これまでの新増設の基準にプラス、高経年化した、経年劣化を踏まえての基準をプラスオンするから、更に厳しくしているんじゃないかなというふうには考えるんですけれども、この点を踏まえて、今回、規制が緩められたのかどうか、規制庁の方からお答えください。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会、原子力規制庁の立場から見れば、今般の電気事業法の改正により経済産業大臣が認可することになる原子力発電所の運転期間につきましては、あくまで電力の安定供給等の観点から、原子力発電所を運転する可能性がある期間について定められるものと考えてございます。

 一方で、実際に高経年化した原子力発電所が運転できるかどうかという点で申し上げれば、規制委員会が科学的、技術的観点から規制基準への適合性審査を行い、認可をしなければ運転することができないというところでございます。

 この基準でございますけれども、現在、検討チームの方で公開の場で検討させていただいてございますけれども、基準の適合という観点で申しますと、通常の炉と同じ形になります。

 一方で、高経年化になる場合には、劣化評価でありますとか、その評価を踏まえてどういう点検をするのか、そういう点では、当然、審査の方も厳しく確認をしていくということでございます。

空本委員 ありがとうございます。

 私は、厳しくなっていっているというのは確かに感じるんですが、ここがやはり推進側の立場と規制側の立場がしっかり分かれた形での認可がよかったのかな、届出、認可の在り方が分かりやすかったのかなと思うんですが、次の質問に行かせていただきます。

 次に、二十年の延長の話というのを、一応質問を入れることにしていたんですが、これも飛ばさせていただきまして、もう一度このA3の紙を見ていただきますと、米国の更新プロセス、これについて、もう少し説明を加えながらお聞きしたいと思っております。

 アメリカの場合の更新プロセスについて言うと、ここにあります10CFRパート54の技術上の審査、そして環境保護規則と言われているパート51の環境影響審査、これをNRCがしっかり行って、それに併せて、具体的手順の中の星が三つありますが、一番下の星三つ目のところ、パート54・21というところで、様々な、評価した結果、解析書、こういったものを提出して、しっかりと規制局が確認するというものであります。

 こういったものを、許認可、経産省側で、実際、本当はやるべきだったんじゃないかなと思っているんですが、いかがですかね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの御答弁の繰り返しの面もございますけれども、今回は、利用と規制の峻別、それに応じた法制度の再整理ということが主眼でございます。

 その中において、原子力発電所の安全性をめぐる基準適合審査というのは、これは規制庁の方で、規制委員会の方で一元的にやっていただくということになろうかと思います。

 その上で、今度は事業のサイド、利用のサイドで、どこまでその発電所を使っていくか、その際の事業の体制としてどういうものが必要かということについては、これから、この法案が通った暁の、後の議論になってくるかと思います。その際に、考慮すべき要素としてどういうものがあるかということについては、諸外国の例等を倣いながら、私どもなりに検討していくということになるものかと認識してございます。

空本委員 ありがとうございます。

 その中で、アメリカのやり方をちょっと御説明させていただくと、DOEとEPRI、研究所、そしてNRCが、ある程度オープンな形で、こういう運転延長について議論を進めます。

 今回、この部分がなかったことが不信を生んだことだと思っています。やはり、今後、こういう運転延長若しくは新しくまたリプレースするとか、そうなるときには、規制側と運用、立地側の立場の両観点からもしっかり議論が必要となってくると思います。そういった意味で、オープンな場で原子力政策というのは進めていただきたいと思っております。

 次に、原子力基本法の方に入らせていただきたいと思っております。

 原子力基本法の改正案について読んでおりますと、今回、安全神話という言葉が入りました。また、原子力事故の発生を常に想定しという文言も入っております。実際、原子力事故が発生することを想定している、前提としているという書きぶりになっていまして、私自身、ここも少し違和感を感じるところであります。

 実際、原子力の安全神話とは何だったんだろうかということを、もう一度皆さんに考えていただきたいんですよ。

 実は、原子力の安全神話というのは、政治と行政がつくり出したものであると私は考えています。事業者は、仕方なく、政治と行政が、安全だよ、そしてこれを推進しなければいけないということで、追随せざるを得なかったというのが原子力の安全神話がつくられた経緯、そして今までの経緯だと思っております。

 なぜかといいますと、一九九五年十二月十九日に原子力基本法が作られました、制定されました。そして、その中で、原子力行政は安全だよ、事故は起きないということを行政側が言った。先ほど逢坂委員の方からありましたが、北海道庁から避難計画を作らなくていい、事故は起こらないと、これは行政が言ったことです。行政の立場からこの原子力の安全神話というものをつくってきた。それは、間違いなく、与党、野党にかかわらず、政治も関わり、政治もそれを進めてきたということであります。事業者は、それについていくしかない、政治に、また行政に従うしかない。

 私自身、原子力の技術者でありますので、原子力開発をする。私も、東芝で発電所の設計もやりましたし、現場の補修工事、定期検査もやってきました。全てを見てきた。その中で、高経年化プラントの対策、リニューアルをやってきました。私の方は、BWRというプラントで炉内構造物が、七〇年代からSCC、応力腐食割れが出てきて、そこから割れたものがシュラウドとか炉内構造物に多く発生して、じゃ、全部取替えをした方がいいんじゃないか、そういった流れでやってきました。危険なものは取り除くというのは、技術者の立場から。トラブルもしばしば発生します。事故に至らないけれども、トラブルはこれまでたくさん発生しています。一〇〇%安全なものはないというふうに考えています。

 そういった中で、やはり安全神話、こういったものをこの文面でもまた書いたというのは違和感を感じるんですけれども、実際のところ、書きぶりもちょっと変えていただいた方がよかったのかなと。

 やはり、もし事故を起こさない、起きても最小限にするということならば、事故の未然防止、原子力事故の被害の最小限の抑制を常に念頭にする、そういった起きることを前提とするのではなくて、起きないようにしたい、起きた場合、じゃ、どう対応するかというふうな基本法の書きぶりにするべきではなかったのかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 考えていることは全く同じでありまして、事故は絶対に起こらない、リスクはゼロだという立場はまず取らない、これが安全神話に陥っていたということだと思いますが、他方、事故の未然防止も断念して、そして、その発生をあらかじめ前提として対応する、これもまた違う立場であります。

 この規定は、まず何よりも、御案内のとおり、第一原発の事故の最大の教訓である政府や事業者が安全神話に陥って悲惨な事故を招いてしまったという事実、これをいっときたりとも忘れることなく真摯に反省をし、そのことを常に頭に置きながら取り組むということであります。そして、その反省に立って、事故が発生するリスクを常に想定しながら、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないということを明記したものであります。

 したがって、御指摘の事故の未然の防止という趣旨については、第二条第三項の、原子力事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないとの規定によって、条文上も明確にされているものというふうに考えております。

 また、事故時の被害の最小限の抑制を念頭に置きという御提案でありますけれども、政府としても、あらゆるリスクを想定して、それによる被害の最小化に向けて最善の措置を講じる必要があるとの認識はまさに共有しているところであります。第二条の二第二項において、国の責務として、原子力事故による災害の防止に関し万全の措置を講じること、第二条の四第一項において、原子力事業者の責務として、原子力事故に対処するための防災の態勢を充実強化するために必要な措置を講ずるということも、それぞれ規定をしております。

 いずれにしましても、考えは共有をしていると思いますので、御指摘の趣旨も踏まえて、安全性向上に向けて、事業者に対する指導、そして国としても防災対策の強化にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 そして、原子力の事故の問題というのは、実は、危機管理体制の欠如であったというふうに考えます。

 今日、二枚目の資料、ちょっと大きい資料でございます。東京新聞の、原発事故が起きた後、五月二十五日の新聞でございます。

 そのとき、私も民主党におりまして、官邸に入らせていただいたり、また東京電力に入らせていただいたり、原子力を知っているということで入らせていただきまして、緊急対応をやらせていただきました。

 そのときに感じたことは、危機管理体制というものができていなかった。しかしながら、行政としてどうだったんだろうと思ったときに、やはり「むつ」の事故、昔の、規制委員長はよく御存じだと思いますが、「むつ」の事故からして、監督官庁がそういう事故に対する危機管理能力がなかった。逆に、危機管理体制がなかったというのが実は問題であります。

 この事故においても危機管理体制がしっかりしていなかった。ジェー・シー・オー事故がありましたが、原子力安全委員会の住田先生が先頭を切ってやった、対応をしましたが、それは大きい事故ではありますが、福島ほどの大きな事故ではなかった。しかし、今回の場合は国を挙げての危機管理体制が必要であって、危機管理を担当する省庁がなかったというのが一番大きい。

 今回、こういう安全行政、原子力の安全神話、こういったものをしっかり反省しようということは分かるんですけれども、その危機管理、もし今度起きたときに誰がどう対応するか、その責任の明確化というのがまだできていないと思っています。それは総理大臣が、トップがやるのは当たり前だと思いますが、すぐに指示、指導する。「むつ」の事故のときも、科学技術庁の長官が指示するはずだったんだけれども、情報のやり方、そういったものをしっかりできていませんでした。

 そういった過去において原子力安全神話というものがあって、原子力は事故はないよ、安全だよということから始まって、行政が危機管理体制をつくってこなかった。だから、今回は危機管理体制をしっかり整えていただきたい。これは質問通告をしておりませんので、是非大臣にお願いしたいと思います。また、私たちも、そういう行政機関をつくっていくということを、皆さんと一緒の意識でつくっていただきたいと思っております。

 その中で、今回の事故を防止できなかったこと、この基本法にもいろいろ書いていますが、真摯に反省するとありますけれども、国務大臣と原子力委員長の立場から、なぜこれを阻止できなかったのか、それについてお答えください。

西村(康)国務大臣 事故の根源的な原因につきましては、事故後に国会に置かれましたいわゆる国会事故調が公表した報告書もございます。これは私自身も思っているところでありますが、経済産業省におきまして利用と規制が一体的に行われていたということ、これによって原子力安全についての監視、監督機能が十分でなかったという、この旨が指摘をされておりますし、私自身もそのように考えているところであります。

 まさにこの反省に立って、安全神話に二度と陥らないという教訓を肝に銘じ、エネルギー政策、利用の政策と安全規制の分離が行われたわけであります。

 その後、原子力規制委員会が設置され、世界で最も厳しい基準と言われる新規制基準の策定といった措置も講じてきたものであります。

 今般提出している法案におきましても、改めて利用と規制の観点から峻別、法制上の整理をしっかりとするものであります。この事故の反省、教訓を生かしながら、これからも取り組んでいきたいというふうに考えております。

上坂参考人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の直接的要因につきましては、国会事故調や政府事故調、IAEA事務局長報告書などにおいて、津波を起因として電源を喪失し、原子炉を冷却する機能が失われたことであるとされていることを認識しており、原子力委員会で取りまとめている原子力白書にもその旨記載しております。

 国会事故調報告書において未解決問題として指摘されている事項については、原子力規制委員会において継続的に調査、分析が行われていると承知しております。

 また、今般改定いたしました原子力利用に関する基本的考え方で触れているように、どこまで安全対策を講じてもリスクが残存するとの認識を持ち、安全を常に追い求める姿勢である安全文化が確立していなかったことも事故を阻止できなかった背景にあると認識しております。

 加えて、従来の日本的組織文化や国民性が原子力の安全確保を含む原子力利用全体にも影響を及ぼしたとの認識の下、それぞれの組織が継続的に改善策を検討、対応し、あわせて、原子力利用に求められる高い透明性や説明責任について真摯に対応し続けていくことが必須であると考えております。

 以上でございます。

空本委員 事故調の報告書を基にお話しいただいたと思うんですが、実は、事故が起きる一、二年前かな、平成二十二年五月二十六日、衆議院の経済産業委員会で共産党の吉井議員が質問されていらっしゃいます。メルトダウンが起きる場合があるんじゃないか、外部電源喪失で起きるんじゃないか。その際に、保安院長の寺坂さんがお答えをされておりますが、こちらの回答がやはり逃げているんですよね、起きないと。そういったものが起きないように頑張る、それは当たり前なんですけれども、もし起きたときにどう対応するかという危機管理体制がなっていなかったということが第一なんです。

 ですから、今回、これまでの原子力の安全神話、「むつ」の事故から始まりまして、原子力は安全だ、そして事故は起きない、危機管理体制をつくっていかなくても大丈夫だよというような心といいますか、精神が行政側にあった。私たち政治家が、そういったことに対してしっかりノーと言わず、そして、改革を進めていかなきゃいけないんじゃないかということを言ってこなかった。私たちは、ここで、もう一度事故を起こしてはいけませんので、起こさないためにも、行政側が、改革をする、そういう危機管理体制だけではなくて、危機管理の意識の欠如を早くなくすこと、これが一番だと思います。そうしない限り、起きると思います。

 過去に、事故が起きる前にしっかり聞いていますから。電柱が倒れて外部電源が切れたときに、内部の非常用DGも駄目になったときにどうなるんですかと聞いていて、それに対する回答を行政側はしっかり答えていなかった。これが今回の事故を起こした原因だと私は考えます。

 ですから、危機管理体制を、私がお願いしたいのは、官僚の皆さんに、行政の皆さんに、この危機管理意識の欠如についてもう一度考え直していただき、今からそれをしっかり立て直す、そうして事故を起こさない、これが一番大事であろうというふうに考えます。運転延長は私は大賛成でありますが、その中でも事故を起こさないでいただきたいので、やはり危機管理体制を整えるということに注力をいただきたいんですが、経産大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、まずは、事業者の方々も、小さなミスが大きな事故につながる、そうした緊張感を常に持って対応してほしいと私も常々お会いするたびに申し上げているところでありますし、私どもも常に緊張感を持って法律の運用そして政策の立案、常に福島の事故の教訓、反省、いっときたりとも忘れることなく頭に置きながら取り組んでいきたい、その緊張感を持って進めていきたいというふうに考えております。

空本委員 よろしくお願いします。

 また、原子力委員会の第五十回、資料三の三に、これは資料はないんですが、その二ページ目に、安全神話から決別し、東京電力第一原子力発電、反省と教訓を真摯に学ぶという、原子力利用に関する基本的考え方をまとめる際の概要案に、原子力委員会で、原子力発電事業者は安全神話から決別しとなっていまして、行政が抜けているんですね、ここでは。

 原子力委員会での考え方についての取りまとめも、やはり事業者ではなくて国、行政、この危機管理能力が欠如したこと、これを真摯に反省していただく。それは政治家である私たちがチェックしなきゃいけなかった、チェックがなかった、これが理由であろうと思いますので、その点をしっかり考えていただきたいと思いますが、上坂委員長、これからしっかりそういった点も踏まえて改革をお願いいたします。

 次に、環境大臣にお聞きしたいと思います。

 今回、環境サミットが札幌で行われました。その際に、非化石エネルギー源利用促進について様々な議論が行われまして、非効率な、そして二酸化炭素排出抑制を行っていない石炭火力、こういったものを廃止しようということでございます。

 グラスゴー合意におきましては、高効率で低炭素な石炭はいいよ、石炭火力はまだまだできますと。日本の立場からすると、アンモニア、そういった発電も進めていこうというところでございますが。我が国の立場として、例えば、資源エネルギー庁が今推進しているIGCC、石炭ガス化複合発電、IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電、また超超臨界圧、USC、先進超超臨界圧、A―USC、こういったものは、日本としてはすばらしい技術で、CO2削減を果たしてきたものであります。

 そういったものをこれからどのように取り扱っていくのか、まず、環境大臣の方からお答えをお願いします。

西村(明)国務大臣 先般のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合、ここにおいて採択されましたコミュニケにおいては、昨年と同様に、一・五度目標に整合した形で、国内の排出削減対策の講じられていない石炭火力発電のフェーズアウトを加速するという目標に向けた、具体的かつ適時の取組を重点的に行う方針に変わりがないということを確認いたしました。

 空本委員御指摘の石炭ガス化複合発電、IGCCや、石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFCについて、発電効率の向上に加えてCO2排出量の削減に寄与する技術というふうに評価しています。また、CCUSと組み合わせれば、石炭火力発電の脱炭素化も可能となります。

 引き続き、政府一丸となって、電力部門の脱炭素化に取り組んでまいりたいと考えています。

空本委員 経済産業省の立場から、大臣にお答えをお願いいたします。

西村(康)国務大臣 今環境大臣からございましたけれども、G7の大臣会合では、昨年合意した、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電のフェーズアウトに向けた具体的かつ適時の取組を進めていくということを再確認したところであります。

 経産省として、石炭火力については、非効率な石炭火力のフェードアウト、これを着実に進めつつ、次世代、高効率化を進めていく方針に変わりはございません。

 御指摘のIGCC、IGFC、これらは高い発電効率と環境性能を誇る次世代型の火力発電システムであります。こうした技術の研究開発を引き続き推進していくほか、二〇五〇年に向けては、カーボンニュートラルを目指していかなければなりませんので、水素、アンモニア、そしてCCUSなどを活用することで、いわゆる脱炭素型の火力に置き換えていく、この取組を引き続き推進していきたいと考えております。

空本委員 日本の技術は高いので、そういったものを海外にも展開する、例えばインドとか、今、CO2をたくさん排出する新興国、こういったところにも展開をすることが大事だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 時間が余りありませんので、質問を飛ばさせていただきまして、次に、運転年限の話。

 先ほど、利用の立場から二十年延長するということで、認可を与えるということでございましたが、様々な技術的な研究が、A3の紙に、米国で、NRCが、DOEが、ASME、私は、ASMEセクション11、この会合にも何度も私も出させていただきまして、高経年化の対策も実際にやってまいりました。また、日本では、発電技検、また原研、電中研、様々な電力会社が研究を、長寿命化をやっています。

 二十年というのは、これは耐用年数ではない、逆に、ある程度安心できるものである、そういったものをエネ庁さんの方から、ある程度、後出しでも結構なので、出していただいた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは先ほどの御答弁の繰り返しになってしまうところではございますけれども、今回の提案しております制度というのは、安全に関する基準適合審査という原子力規制委員会の話があった上で、利用政策として行うものかと思います。これは、諸外国の例を様々と勉強しながら、利用政策としての検討を進めていくということになろうかと考えております。

空本委員 是非、利用政策の立場からも、安全性の向上といいますか長寿命化、長寿命化というか高経年化ですかね、そういったものをしっかり役所の方皆さんが、技術系の方が多くいらっしゃいますので、若い方にもしっかり取り組んでいただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 いわゆる適合性基準、原子力発電所の運転のための基準については、原子力規制委員会が厳しい基準で審査をされますので、これは、私どもがその基準について何か申し上げることはないんですが、ただ、我々としても、そして事業者としても、常に安全性を向上させていく、この努力は、不断の努力は積み重ねていかなきゃいけないというふうに認識しております。

 特に、高経年化につれて、当然、コンクリートなどの劣化も想定される部分もあると思いますので、規制委員会が言われているとおりでありますので、そうしたことも含めて、常に安全性を向上させていく、その不断の努力を重ねていきたいというふうに考えております。

空本委員 そして、電力会社の方も高経年化に対する取組をプラスされていまして、例えば、安全性向上評価届出書提出義務があったりします。確率論的なリスク評価というんですけれども、こういったものを今しっかりやっていらっしゃいまして、こういったものの評価したものも有効に活用するということも必要ではないかと思うんですが、規制委員会、いかがでしょうか。

大島政府参考人 リスク情報の活用につきましては、具体的には、新規制基準適合性審査では、重大事故対策の有効性確認のための事故シナリオを抽出する際に行ってございます。また、原子力規制検査では、検査対象の選定や検査指摘事項の重要度を評価する際に、PRA、確率論的安全評価を活用している例もございます。

 また、御指摘の安全性向上評価届出制度においては、新規制基準に適合してもなお残るリスクを見逃さず、事業者が安全性を更に向上させるために、PRAを活用した安全対策の検討にも取り組んでもらっているところでございます。

 なお、この安全性向上評価届出制度につきましては、昨年十一月の原子力規制委員会におきまして、原子炉安全専門審査委員会及び核燃料安全専門審査委員会に対しまして、制度の在り方や運用の見直しについて助言すること、まず現行制度の枠組みを前提とした運用の改善について報告することとの指示があったところでございまして、現在、この審査委員会におきまして、提案を踏まえて対応していただいているというところでございます。

空本委員 ありがとうございました。

 是非しっかり危機管理体制を整えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、経済産業、環境、原子力問題調査特別委員会の連合審査会ということで質疑の時間をいただきました。ありがとうございます。

 これから約四十分間となりますが、今回議題となっておりますGX脱炭素電源法について質問させていただきたいと思っております。

 その前に、関連する話ではあるんですが、先日行われましたG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合について、大臣にお伺いをしたいと思っております。

 今回のGX脱炭素電源法の目的には、現下の国内における系統の安定化と、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的な資源獲得競争の渦中において我が国のエネルギー安全保障を確保することや、あるいは、これからカーボンニュートラル社会の実現に向けて脱炭素電源を主体としながらもSプラススリーEのバランスを満足するベストミックスの実現を果たすこと、そして、これが大事だと思うんですけれども、それらを支える原子力サプライチェーンの強靱化というものが意図されているというふうに認識してございます。

 この観点から、先日行われました会合の中で大臣に是非触れていただきたいこととして、先日、三月三十一日に行われました衆議院本会議の中で、私から、日本のエネルギー関連技術の強み、サプライチェーンの強みですね、産業の強みをアピールし、国際協力や事業の海外展開につなげていただきたいというふうに申し上げさせていただき、その場でも大臣から前向きな答弁があったというふうに記憶をしてございます。

 先日の会合の中でこれらに関するやり取りがあったのか、また、私がお願いした、強みをアピールして国際協力や事業の海外展開につながるという目的を果たすことはできたのか、大臣の御所感を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まさに、かつてないエネルギー危機の中で、気候変動問題への対策、エネルギー安全保障、安定供給の確保、経済成長を同時に進めなければならないという、非常に難しいかじ取りが求められている局面であります。こうした中、今回の大臣会合におきましては、各国の事情に応じた多様な道筋の下で共通のゴールを目指すということについて合意ができたものというふうに思います。

 また、御提案もありました、今回、関係閣僚が一堂に会するまさにこの機を捉えて、再エネ、省エネ、原子力、水素、アンモニア、CCUSなど、脱炭素化に資する技術の活用について議論を深め、日本のエネルギー関連技術の強みもアピールすることができたものというふうに認識をしております。

 具体的には、実は、ホテルで会議があったんですけれども、大きな部屋を借りて日本の技術の展示も行いました。その中には、水素、アンモニアに関する製造、運搬、利用の技術など、あるいはカーボンリサイクルについて、こうしたことについて何人かの閣僚と、フランス、イタリア、インドネシア、UAEなどの閣僚と一緒にそれを視察し、私自身も説明を行い、各国から非常に日本の技術を高く評価していただきました。

 また、国際原子力フォーラムも開催いたしまして、日本、アメリカ、イギリス、フランス、カナダの閣僚とそれぞれ関連する事業者の皆さん方も集まって、まさに原子力サプライチェーンの強化に向けた各国の産業団体による共同署名にも立ち会いましたし、私自身も同席した各国の閣僚と、高い技術を有する日本と同志国との間で原子力協力をより強化、拡大するため議論も行い、共同声明も発出をさせていただきました。

 さらには、日本の液化水素運搬船に小樽港まで来てもらっていまして、そこに英国、EUの閣僚と一緒に搭乗して、私から水素の重要性や日本の技術の高さなども紹介したところであります。まさに、御提案いただいたように、こうしたいい機会、この機会を捉えて日本の技術のPRを行わせていただきました。

 まさに、各国との議論を通じてイノベーションこそがネットゼロを達成するために重要な鍵の一つだということを改めて認識いたしましたし、この技術をできるだけ広く普及させていく、グローバルサウスと呼ばれる国々にも広げていくこと、この重要性を感じているところであります。また、各国共に非常に意欲的な取組を表明されましたので、日本としてもGXをやはり加速していかなきゃいけない、これまで以上に加速して取り組まなきゃいけないということも思いを新たにしているところであります。

 いずれにしましても、御提案いただいたように、いろいろな機会を使って日本のエネルギー技術のPRそして普及拡大にも努力していきたいというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。大臣同士、そして官民の間、また民民の間で様々な情報交流あるいは意見交換が交わされたということで、今回の会合を大変前向きに私も受け止めております。

 今日の資料にも準備させていただいたんですが、今回の会合のコミュニケを読ませていただきますと、参加国で合意した事項については様々触れられておりまして、その中にも、我が国が得意とする技術分野というものが記載をされておりますので、その部分はこれからどんどん、G7各国に向けても我が国の産業界が貢献できる環境整備を大臣主導で進めていきたいというふうに思うんです。

 次の質問に移ります。

 特に、今回は原子力も関わるということで、資料一の黄色く色をつけている部分が原子力の言及箇所になります。これをちょっと読み上げさせていただきます。原子力利用国は、既設炉の最大限活用、革新炉の開発・建設、強固な原子力サプライチェーンの構築、技術・人材の維持・強化などにコミット。そこまで黄色く印をつけておりますが、このような記載がございました。

 気になったのは、頭についている、原子力利用国はという主語なんですね。ですので、今回、いろいろなそれぞれの国の主張があってこの文言が追記されたというふうには聞き及んでおるんですが、事サプライチェーンの維持あるいは強靱化に関しては、原子力利用国であってもなくても、それぞれの国が得意とする技術であったり、お互いに貢献できる技術分野というのがあると思います。

 ここで念のため確認したいのは、原子力利用国でない国とも我が国としてはサプライチェーンや技術、人材の維持強化については連携協力を図っていくのかどうか、そういう意思があるかどうか、その点について大臣の見解を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 我が国がGX実現に向けた原子力政策を進めるに当たっては、御指摘のように、米国やフランス、イギリス、カナダといった原子力利用国のみならず、現在原子力を利用していない国も含め、協力を進めていくことが重要というふうに考えております。

 コミュニケの黄色のところの後に実は第三国の話が出てくるんですけれども、要点には書かれていないんですが。このコミュニケにおいても、価値観を共有する同志国の協力の下、原子力を利用している各国及び現在原子力を利用していない第三国において強固で強靱な原子力サプライチェーンを構築すること、技術及び人材の維持強化に取り組んでいくことなどが盛り込まれております。

 こうした取組の一環として、経済産業省として、先般立ち上げました原子力サプライチェーンプラットフォームの枠組みを活用した日本企業の第三国における事業展開や、日本企業が参画する小型原子炉の建設を対象とした、アフリカのガーナにおける現地のサプライチェーン構築の可能性に関する調査、それから、IAEAとの協力による、インドネシア、フィリピンなどにおける新たな技術導入に向けた制度整備や人材育成に向けた支援などを行っているところであります。

 今後とも、アメリカなどの同志国、IAEAとも連携しながら、将来的な原子力の導入を検討している国との連携をより拡大強化すべく、積極的な取組を進めていきたいというふうに考えております。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 では、本法案の内容に入っていきたいと思いますが、まず初めに、原子炉の運転期間の上限について質問してまいりたいと思っております。

 まずは、原子力規制委員長に伺いたいと思います。

 運転期間を四十年、延長できる期間を二十年とこれまでしてきた理由について、先日の本会議やこれまでの原子力問題調査特別委員会の中でも取り上げさせていただいたんですが、私なりに過去の経緯を遡ってみたんですけれども、科学的根拠に基づいて決められた数値というふうには認められなかったんですね。例えば、運転期間を四十年とした理由をひもといていきますと、当初、原子炉の設計許可の審査を申請する際、四十年運転を仮定して評価を行い、それで審査を行っていたという経緯から来ていたのではないかという情報に触れることがございましたし、また、延長できる期間を二十年とした理由も、諸説あるんですが、最もよく聞くのは、当時のアメリカの規制が延長期間を二十年としていたからというものに由来しているというふうに伺っております。

 これらを見ると、科学的な検証結果に基づいて四十年そして二十年というふうに決まったものではなく、いわゆる政治的意図の強い意思決定だったのかなというふうに推察をするんですが、改めて、運転期間や延長できる期間について、これらは科学的根拠に基づくものだったのかどうかについて、委員長の答弁を求めたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 四十年という年限は、その経緯をひもときますと、米国の事例を参考にしております。その米国での議論も、この年限は、機器、設備の科学的寿命や安全性ではなく、原子力発電の競争政策上の継続的使用期間の観点から定められたものとされております。

 また、更に二十年を経過した六十年という期間につきましても、米国の原子力発電所の運転に係るライセンスの更新期間が二十年であることを参考にしていると承知しております。

 国会での議論におきましても、設計上の評価として四十年の使用を想定していることを挙げておりますけれども、それが科学的、技術的に見ても運転期間の限界であるということではありませんし、また、四十年を経過すると急に危険になるものでもございません。

 そのため、原子力規制委員会としては、四十年や六十年に運転期間を限ることは科学的、技術的な根拠があるわけではないと考えております。

浅野委員 明確な御答弁をありがとうございました。

 続いて、経済産業大臣に伺いたいと思うんです。

 過去、炉規制法の中でこうした規制を設けていたときには、今委員長から御答弁いただいたような経緯で四十年、二十年というものが定まったということでありましたが、今回の法改正によりまして、炉規法で運転期間の上限を定めていたものを利用法である電事法で、定め直すという言葉が適切かどうか分かりません、厳密に言えば、炉規制法から削除して電事法に新たに設けるということになるわけです。そうなりますと、私の感覚では、炉規法と電事法というのは法目的がそもそも違いますので、その中で運転期間を定める行為自体は同じであっても目的が違うのではないか、意図するものが違うのではないか、そう感じるのが自然な感覚ではないかなというふうに思っております。

 今回、電事法で運転期間の上限を定めることの趣旨や目的について、改めて大臣に伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、大前提としまして、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立に向けて原子力を含むあらゆる選択肢を追求するという方針で臨んでおります。

 こうした中で、今も御説明がありましたし、私どもは、令和二年の七月の原子力規制委員会の見解、運転期間の在り方は安全規制ではなく利用政策であるというこの見解を踏まえまして、改めて利用と規制の観点から法整理を行うということを課題として認識してきたわけであります。まさに、利用政策の立場からGXの実現と将来の安定供給の選択肢の確保を行う目的で行うものであります。そして、現行の炉規法の規定を改めて利用と規制から峻別して電事法に移すという、おっしゃったような、つまり二つの法律を再整理するということを行ったわけであります。

 具体的には、様々な議論を行いましたけれども、ある意味で自己抑制的な政策判断として、六十年という基本は維持しながら、他律的な要因によって止まっていた期間のみ、カウントから除外するというか、プラスアルファというかは別として、そのようなことを認めるという政策判断を行ったわけであります。

 ただ、いずれにしても、利用政策がどういう立場を取ろうとも、高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格な適合性審査を行うわけでありますので、その認可を得られなければ運転は一切認められないということであります。

 繰り返しますけれども、GXの実現、そして安定供給の選択肢を確保するという目的で今回の法改正を行い、二つの法律で整理を行ったということでございます。

浅野委員 ありがとうございました。利用政策として、また自己抑制的な政策判断として今回の内容になったということですけれども。

 先ほど委員長にもお伺いしたんですが、これまでは規制法の中で定められておりましたので、安全を最優先に、万が一のことがないように抑制的に運転期間を定める、規制をする、これは合理的だと思います。今後は電気事業法の中で定めるということですから、規制委員会がしっかり厳格な審査をするから大丈夫ですという、規制委員会頼みのと言うと語弊がありますが、規制委員会が審査をするから大丈夫だではなく、経済産業省としてもしっかり科学的な検証を行って、利用政策として、より深みのある基準にしていかないといけないのではないかと思います。

 なぜかというと、今、技術は日々進歩しておりまして、材料に関する技術ですとか、あるいは品質を維持するための管理技術ですとか、様々な技術が日々進歩している中で今後は原子力の利用期間についても様々な議論が行われることがあり得ると思うんですけれども、そのときにいわゆる政策判断、政治判断だけを根拠としていては後世の議論も深まらないというふうに思いますので、是非、科学的根拠というものを重視していただきたいと思うんです。

 大きく二つ、伺いたいと思います。

 今回の法改正に当たって、経済産業省が科学的根拠に基づいて上限規定を定めたのかどうか、そういった議論が行われたのかどうかというのを確認したいのが一点、また、今、政策判断ということでしたけれども、後世のために原子力発電所に係るリスクの定量的な分析手法などの確立や普及を進めていくべきではないかと思うんですが、この二点について大臣の答弁を求めたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 原子力発電所の運転期間については、各国の例を見ましても、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、こういった主要な原子力利用国では、その上限を定めた例は確認できておりません。

 ただ、運転期間の延長に関する安全審査、各国がどう呼んでいるかはあれですけれども、適合性審査の時期については、四十年、二十年、あるいは十年という、各国における原子力発電所の活用状況等を踏まえたいわば一つの審査のタイミングということで規定されているものというふうに理解しております。したがって、令和二年七月の原子力規制委員会の見解も踏まえて我々は検討を行ってまいりましたが、何か、これしかないという科学的根拠があるわけではございません。各国とも審査の一つのタイミングとして捉えているのであろうというふうに認識をしております。

 その上で、今回の運転期間に係る延長認可は安全上の技術的観点ではなく利用政策の観点から措置するものであり、安全上の技術的観点については規制委員会の方で厳格な確認を行うということでありますが、一方、御指摘のように、規制委員会の制度的措置とは別に、経産省としても、安全性を確保した長期運転を進める上で、継続的に技術的知見の拡充を進めること、これは極めて重要だというふうに認識をしております。

 各国とも今回も、サプライチェーンあるいは人材の育成、こうしたことについて情報を共有していこうということで確認しておりますが、まさに御指摘のような様々な知見が、世界で新しいものが出てくる可能性もあると思いますので、そういったことも共有していきたいと思いますし、必要な政策支援も行っていきたい。

 具体的には、産業界が自ら安全性を向上させていくために、産業界における規格基準の策定などに必要となる御指摘のデータの蓄積、あるいは効果的、効率的な保守管理を実現するための定量的なリスク分析手法の整備、こういったことを進めているところでありますし、引き続き、各国ともこういったことを共有しながら技術的知見を継続的に拡充していく、そのために必要な政策支援、あるいは経産省としての取組を進めたいというふうに考えております。

浅野委員 よろしくお願いします。

 私も、産業の現場で働いている方々から意見を伺うことがありますけれども、リスク分析といったときに、これまで国会での議論の中で少し注目が集まったのが、いわゆる素材、金属部材に対する中性子放射による脆化が起きるのかどうか、それによってどれほど品質が低下するのか、こういった部分に焦点が当たりがちだったわけですけれども、製造する当事者からすれば、あれだけ巨大な、堅牢な、原子炉のような部材がそう簡単に脆化をしてもろくなるというのはやはり考えにくい。どちらかといいますと、制御ですね、機器の故障であったり、あるいはケーブルが劣化する頻度であったり、交換を見落とす確率であったり、そういった部分に本当のリスクが潜んでいるんじゃないか、そういうふうに聞いております。

 だからこそ、科学的性質の分析のみならず、そういう確率論的なリスクマネジメント、こういった部分でしっかり国も調査研究を行っていただいて、より科学的な政策判断ができるように、是非知見を蓄積していただくことを望みたいというふうに思っております。

 次のテーマに移りたいと思いますが、次は、原子力規制委員会に対して幾つか質問していきたいと思います。

 本日お配りした資料の二を御覧いただきたいと思うんですが、まず、原子力規制委員会の情報管理、セキュリティー対策についてのテーマでございます。

 原子力発電所の運転期間延長については、昨年七月時点から経済産業省と事前調整を行っていたことが、これまで様々な報道や民間の情報発信によって認識をされてきました。これが本当かどうかはこの後で聞きたいと思いますが。また、資源エネルギー庁と原子力規制庁の職員が駅で文書の受渡しを行ったとの報道も確認してございます。

 これらの一連の報道は、原子力行政に関する利用と規制の分離に対して国民の不信感を生み出してしまったというふうに感じております。重要広範議案でもあるGX脱炭素電源法案の審議に当たっては、行政機関の情報セキュリティー管理体制、管理状況、これをやはりまずしっかりさせなければいけないというふうに思っております。

 まず、規制庁に伺いたいと思います。本日の資料二にあります、これは四月十四日にNPO法人原子力資料情報室が公表した資料なんですが、左側に原子力規制庁作成資料というふうに書かれたパワーポイントのスライドが一枚ございますが、これは本当に原子力規制庁が作成した資料なのかどうか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

金子政府参考人 委員から御配付いただきました資料の左にあります原子力規制庁作成資料とされている部分は、確かに私どもの職員が作成したものであることを確認しております。

浅野委員 実際に作成されたものということで、そうなると、この問題についてはいろいろな議論がございましたし、論点がございますが、今日、私がフォーカスを当てたいのが、この資料をなぜ民間NPO団体の人たちが入手しているのかということなんですね。

 いろいろ調べていきますと、右側のオレンジの表の中段にも書いてございますように、十二月二十一日に団体がこの資料を公表したということなんですが、事実確認を次にさせていただきたいのは、十二月二十一日以前にこの資料はもう公になっていた資料なのかどうかという点であります。

 公になっていたのであれば、誰もが入手できる資料ですからいいんですけれども、公になっていなかったんだとすると、何でこの資料が表に出ているのか、なぜ関係ない団体に渡ったのかという部分について伺いたいと思います。

金子政府参考人 経緯を御説明させていただきたいと思いますが、御指摘のあった資料は、私どもの職員が、この資料にありますように、八月末の時点で環境省本省の方から法案の作成作業のようなものがあるのだろうかというような照会を受けまして、私どもの職員が作成をして、あるとすればこういうものかもしれないというようなことを情報共有したというような資料でございます。

 したがいまして、担当の私ども規制庁の関係者、それから環境省の法令の担当の部署しか実質的には扱っていない文書ということは聞いております。

 私どもの情報システムで作成した資料ですので、情報システムへのアクセスの記録やプリントの記録なども確認して、関係者以外の者がアクセスをしていないこと、あるいは関係者がプリントしたものを環境省以外の者に渡していないということは職員に対して聞き取りをして確認してございますので、なぜ外に出てしまったというところについてはまだ明らかにはなってございません。

浅野委員 経緯がはっきりしていないということで、それ自体が問題なんですけれども。

 この資料が表に出て以降、国会でも取り上げられた問題は大きく二つあると思っていまして、一つは、なぜ内部資料が漏えいしたのかという根本的な問題と、それによって疑念が持たれたのは、経産省と規制庁が事前にこの法改正に関して様々接触をして、規制との分離がしっかりなされない環境で法律が作られたのではないか、こういう疑念が生じた点でございます。私は、いずれも大変問題だと思っているんですけれども。

 ただ、後者の方は、規制と推進が完全に分離されていなかったという断言も現時点ではできませんし、ただ、そういったことを疑わせるような事象があったという事実関係しか私は今認識していないんですけれども、そもそも何でこういうことになったかといえば、この資料が公表前に漏えいしたことが全ての発端なんです。つまりは、規制庁が情報管理が徹底されていないから国民の間に疑念が生じ、法案審議の中でも様々な議論が起こり、そして国民の信頼が少しずつ低下しているかもしれない、そういう状況になっているわけで、これは非常に深刻に受け止めていただきたいと思うんですが。

 一つだけ、これだけは確認しなければいけないのは、七月以降に経産省と規制庁の様々な面談であったり、やり取りがあった、それが適正だったか適正でなかったかはちょっと今日はおいておきまして、少なくとも規制庁が主体的に決めなければならない炉規法の改正内容について、経済産業省と意見を交わした事実があるのかどうかです。これが本当に大事だと思います、それこそ利用と規制の分離がされているかどうかの核心的な問題だと思うんです。炉規法については経産省と意見を交わさずに規制庁として主体的に決めたのかどうか、ここについて確認をしたいと思います。

金子政府参考人 経済産業省とのやり取りの経緯でも御説明をさせていただいておりますように、夏以降、秋までの間に経済産業省資源エネルギー庁とは面談を行っておりますが、その際に、資源エネルギー庁の方から、法案の改正についての検討の状況、あるいは法案の改正のイメージといったものが示されました。その中には私どもの原子炉等規制法の改正のイメージでありますとか我々が検討すべき内容が含まれておりましたので、その際には、そういった事項は私ども規制委員会の方で検討するべき事項であるということを指摘して、そのようなことは資源エネルギー庁の方では行われないようにというようなコメントをしてございます。

 そういった状況を踏まえまして、規制庁としても事務方で準備をしておく必要があると思いましたので、私ども独自で、昨年九月の段階で、運転期間の定め方にかかわらず安全性を確認できる仕組みを検討しなければいけないだろうという考え方の下で検討を開始し、したがって、経産省の運転期間の議論に影響を受けたということもありませんし、内容について意見交換を行ったこともございません。

浅野委員 今の答弁の中でもありましたけれども、規制庁としては、これは自分たちの法案なんだから口を出すなというふうに、簡単に言えば、そういうことを言ったということなんですが。

 経産省側から規制庁が本来考えるべき法案の中身について何らかの形で意見表明があったというのは、これは本当に遺憾でありますし、こういうことが起こるから、規制と推進の分離が本当にされているのか、ここの国民的な疑念というのが生じるわけでありますので、ここは厳しく是正を求めたいというふうに思いますし、これは規制庁にだけ求める話ではなくて、今回は経産省からそういう情報提供があったということですから、大臣としてもこれは深刻に受け止めていただいて、何らかの手当てをしていただきたいということをお伝えさせていただきたいと思います。

 これはちょっと通告にはありませんけれども、経産大臣から何か御所感、御所見をいただけましたらと思います。

西村(康)国務大臣 すごく初期の段階から、先ほどから議論になっていますとおり、炉規法と電事法を整理するということですので、電事法を変えるとすれば影響が炉規法にある、お互いに影響があるということを確認しながら条文の整理などを行っていく、そのためのアイデアを初期の段階で情報提供をしたというふうに承知しております。何か安全規制などについて申入れをした事実はないということで聞いておりますし、規制委員会、規制庁の方でもその認識だというふうに思いますが、何か疑義が生じることのないよう、今後、特に走り書きとかメモ書きで渡したりすることも、不用意な表現などもありましたので、そういったことについては私からも厳しく指導したところであります。

 今後も、そうした疑義を生じることのないよう、緊張感を持って取り組むようにしていきたいというふうに思います。

浅野委員 この話もそうなんですけれども、先ほどの運転期間の上限を決める際の判断基準の議論もそうなんですが、産業の現場があって原子力ですとかエネルギー行政が成り立っているということを考えると、科学的根拠に基づかない政策判断もそうですし、今回のような、行政同士の情報のやり取りでその産業分野に対する国民の信頼を損なわせてしまっている事象がある、こういうことを考えたときに、これほど産業界から見たときに事業の予見可能性に脇から大きな支障を来されていることはないと思うんですね。

 産業現場で例えばセキュリティー的な問題があって、それをしっかり是正する、これは産業界が自分たちの責任でやらなければいけないと思うんですが、行政側が、科学的根拠が薄い、極めて政治的な根拠に基づく判断をしたりだとか、あるいは、今回のような、役人同士の情報のやり取りの中で、それが国民的不安をあおって産業界全体に迷惑をかけることというのは、これまでもそうですけれども、今後も厳に慎んでいただきたいですし、是非、これらのことから、行政の皆様には改善をしていただきたいというふうに思います。

 少し質問を戻りますけれども、公表前の資料が表に出てしまったということに対して規制委員長に伺いたいんですが、公表される前の資料が外部に漏えいしたとなると、公務員の守秘義務にも違反する行為という可能性が出てまいります。極めてゆゆしき事態だと思っておるんですが。規制委員長として厳正な情報セキュリティー管理を徹底するためにも、まあ、聞き取り調査はしたというふうに伺ったんですが、聞き取り調査で、もう調査はおしまいというわけにはいかないと私は思うんですね、現に原因が分かっていないわけですから。しっかり内部調査を行っていただいて情報管理を再徹底すべきではないかと思うんですが、委員長、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の、資料を公表するという組織の意思決定を経ていないにもかかわらず、外部の者に渡り、公表されたことにつきましては、情報管理の上で適切ではなかったものと考えております。

 御指摘の資料の公表後、規制庁では、次長の指揮の下、当該資料にアクセスした職員を特定して聞き取り調査をし、環境省以外には渡していないことを確認したという報告を受けております。

 行政機関にとって情報の管理が重要であることは御指摘のとおりでございます。原子力規制委員会としては、職員に対し、情報管理の重要性を日頃から周知するとともに、定期的な研修を実施しているところでございます。

浅野委員 これは、規制委員会のみならず、全ての行政、あるいは社会を支えている私たちの義務でもありますので、しっかりそこの情報管理はしていただきたいと思います。

 もう一問準備しておったんですが、同様な質問でしたし、これまでのやり取りの中で委員長のお考えはよく分かりましたので、今日は、少し時間も余っておりますが、これで質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

    〔鈴木委員長退席、竹内委員長着席〕

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 原子力基本法改正案について質問いたします。

 西村経済産業大臣は、原子力基本法を所管する大臣でしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、経産大臣としては所管をしておりませんが、GX担当大臣として、今回の束ね法案の提出の責任者として、そういう意味で全体として見ているということであります。

笠井委員 原子力基本法の所管大臣というのはどなたになりますか。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府特命担当大臣、科学技術政策担当の高市大臣になります。

笠井委員 原子力基本法が所管でなくても、束ね法案になったらGX担当大臣として所管できる、あるいは提出できると。

 西村大臣は、前回、四月十二日に答弁をされたように、本来所管の高市大臣には大まかな改正の方向をお伝えした、こう繰り返し答弁をされたわけですが、それで済むということなんでしょうか。

西村(康)国務大臣 今回、幾つかの法律を改正するという案になっておりまして、互いに影響を与える中で、最終的には法制局とも確認をいたしましてこのような形で提出をさせていただいているところでありますが、その途中途中で高市大臣とは、いろいろな機会でお会いをしますので、そのときに大きな方向性などはお話をしております。

 他方、それぞれの法律がどう関係し合うかということについては、これは法技術的な話でありますので、それぞれの事務方が法制局と相談しながら整理をして今の形になっているということでございます。

笠井委員 それぞれの法律は、所管大臣がどう扱うかについて判断して決めていく、必要な提起をする、これは当然ですね。

西村(康)国務大臣 当然のことでございますので、この原子力基本法につきましては、高市大臣の下で事務方が法制局とも整理をし、そして高市大臣の下で成案を得たものというふうに理解をしております。

笠井委員 高市大臣の下で成案を得たと。ということになりますと、国会との関係が出てまいります。

 国会答弁というのは、言うまでもなく、政策形成において重要な意味を持っている。原子力基本法の規定とこの間の国会答弁等が、長年にわたって、例えば非核三原則の国是としての政策を形成してまいりました。安保法制をめぐって、二〇一四年七月一日の集団的自衛権行使容認の閣議決定と、それから、それとの関係で一九七二年の政府見解、また、敵基地攻撃能力をめぐっても、一九五六年二月二十九日の鳩山総理答弁、船田防衛大臣が代読したということだと思うんですけれども、それとの整合性が大きな議論になってきましたし、なっているということだと思うんですね。

 西村経済産業大臣に伺いたいんですが、GX担当大臣だからというふうにおっしゃるんですけれども、原子力基本法改正は、長きにわたって原子力政策の基本に関わるものであります。所管大臣でもないのに、そのことについて国会との関係でも責任を負えるのか、それとも、この法改正、原子力基本法を改正した後は、西村大臣が原子力基本法を所管するということになるんでしょうか。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 引き続き、原子力基本法につきましては内閣府特命担当大臣、科学技術政策担当大臣の所管になります。

西村(康)国務大臣 今回、GX担当大臣を昨年拝命をしまして、全体の取りまとめ、そして政策を調整をしていくという役割をいただいておりますので、その中で、そうした立場で、束ねられたこの法案について私の下で整理をして、全体はですね、それぞれの法律はそれぞれの所管大臣がおられますが、全体整理をして提出をさせていただいております。

 したがって、答弁も私の方でさせていただいておりますが、もちろん、委員会でもそうであります、高市大臣の下の担当副大臣も出席をして質疑をしていただいているところでありますので、当然、責任を持って今回質疑をさせていただきたいというふうに思っておりますが、成立した暁には、それぞれの法律はそれぞれの所管の大臣がおられますので、その下で執行されていくというところでございます。

笠井委員 おかしいと思うんですね。改正されたら、今、覺道政府参考人からもありましたが、所管大臣は高市大臣ということで、この委員会においては副大臣が対応して答弁するからいいんだと。これは成り立たないと思うので。

 やはり大臣がそうであれば、改正するということでやった暁にはまた担当するのであれば、改正に当たっての議論に直接やり取りで答弁されなきゃいけない。今後も長期にわたって政策の指針となる原子力基本法に責任を負う所管大臣の国会答弁が必要だと思います。

 そこで、委員長、この機会に、改めて高市大臣の国会での質疑、答弁の機会を強く求めたいと思いますので、理事会で協議していただきたいと思います。

竹内委員長 理事会で協議します。

笠井委員 そこで、西村経済産業大臣に伺いますが、GX実現に向けた基本方針には、原子力基本法改正については、よく読んでみましたが、全く言及がありません。なぜ基本方針にないのに法改正なのかということなんですけれども、今回の基本法改正案は、原発の依存度低減から最大限活用、運転期間を原則四十年から六十年超に延長、さらに、新増設は想定をしていないということから次世代炉に建て替えるということで、原発政策の大転換に必要だから原子力基本法の改正案を提出したということなんでしょうか。

西村(康)国務大臣 今回の改正の大きな一つは、もう御議論されておりますとおり、利用と規制を法律上しっかりと再整理をするということでありますので、炉規法と電事法の改正がまず大きな一つになっております。

 あわせて、原子力につきましては、脱炭素化の電源として、そして安定供給を図る観点から利用していく、活用していくということを改めて方針として出させていただいておりますので、そのことも含めて、今回、原子力基本法の改正を行わせていただいている。

 目的のところにも、地球温暖化の防止を図ること、それから、改めて、安全性確保を最優先するということで、安全神話に陥ったその教訓、福島の教訓、これを基本方針の中に明記をさせていただいておりますし、その上で、国の責務として、まさに脱炭素社会とエネルギーの安定供給に努めるということ、さらには、安全性の向上に不断に取り組むといったようなことを含めて今回書かせていただいたところであります。

笠井委員 この間、やり取りの中で、原子力利用に当たっての基本原則というのは法令等で明確化することが望ましいというので原子力利用に関する基本的考え方があるんだということもやり取りで言われてきたと思うんですけれども、その原子力利用に関する基本的考え方というものでいいますと、二〇二二年の十一月五日時点の素案には、法令等で明確化することが望ましいという文言は入っておりません。十二月六日時点版にもないんですね。ところが、十二月二十一日の案に突然入ったということになっております。

 この間に何があったのか。十二月八日に、経産省の審議会、原子力小委員会で、今後の原子力政策の方向性と実現に向けた行動指針を取りまとめていますが、その中に、原子力小委員会が提示した基本原則に示した考え方は、法令等において明確化することが望ましいというふうに書いてあるんですね。

 この原子力基本法の改正をめぐっては、原子力委員会でということでいくんだけれども、結局、この経過を見ると、当初、基本的考え方の議論の中で全くなかったものが、経産省の審議会の原子力小委員会でそういう話になったらそっちに突然入ってきたということでいうと、結局、これは経産省が持ち込んだという話なんじゃないですか。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 原子力委員会におきましては、原子力利用に関する基本的考え方の改定に向けまして、昨年来、五十名以上の関係の方々からヒアリングを行ってきてございまして、その中でも、原子力基本法の改正の必要性に触れるような、そういう必要性を指摘するようなヒアリングの御説明等もございました。

 そうしたことも、全体を踏まえまして、令和四年、昨年の十二月十三日の原子力委員会におきまして、原子力委員長の方から、原子力利用の基本原則は法令等で明確化することが望ましい、このように発言をいたしまして、そうしたことも受けまして盛り込まれたものでございます。

笠井委員 委員の中から、法令レベルで改正が望ましいという話が出たのは九月二十日ですからね。その後ずっと基本的考え方の案の中には、十一月五日にもなくて、十二月六日にもなくて、十二月二十一日にある。その前に原子力委員長が言われたというけれども、結局、十二月八日に経産省の審議会がそういうことを言ってから入っているということなんですよ。

 電気事業法と炉規法という推進と規制の法案に、再処理法とか再エネ特措法まで束ねて改正をするから、所管が違う原子力基本法まで変えるということになってくる。これは順番が逆であって、行政をゆがめるものだと言わなければならないと思います。

 そこで、原子力基本法の改正案の第二条の二で、原子力利用の国の責務を新設しております。この間も議論になってまいりました。第一項で、国は、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、原子力発電を電源の選択肢の一つとして活用するとありますけれども、これは将来にわたって原発を活用するという意味でしょうか。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇二一年秋からの資源価格の高騰や、二〇二二年二月からのロシアによるウクライナ侵略等により、我が国を取り巻くエネルギー情勢が一変し、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向けて、原子力を含むあらゆる選択肢を追求することがますます重要になっている。

 こうした状況の下で、将来を見据えた中長期的な視点に立って原子力を活用していくべく、既設発電所の最大限の活用や、廃止措置の円滑化に向けた法的措置が講じられることとなったということと理解してございます。その際、予見性の確保の観点からも、これらの法制度の運用を含めた政策判断のベースとなる基本原則について、法律のレベルで明確化しておくことが適当である、これは内閣府としての考えでございますし、先ほど来申し上げております原子力委員会の基本的考え方にも盛り込まれたものでございまして、基本法におきましては、あくまで、原子力を利用していくに当たって、国の責務ですとか国の基本的施策を今回盛り込ませていただいているものでございます。

笠井委員 どうですか、経産大臣。国の責務として、こういうことで選択肢の一つとして活用するということは、将来にわたって原発を活用するという意味かどうか。

西村(康)国務大臣 今も説明がありましたけれども、エネルギーの安定供給と脱炭素化を進めていく上で、原子力は重要なエネルギーとして位置づけております。

 他方、私どものエネルギー基本計画におきましては、持続的に必要な規模を活用するということと同時に、原子力の依存度は低減させていくということも明記をしておりますので、二〇三〇年には原子力は二〇から二二%ということで、震災前の三〇%より低い水準で目標値を置いている、数値を置いているということでございます。

 それから先については、これは国際状況、エネルギーの状況、技術革新の動向など、まだまだ不確定な要素がありますので、現時点では三〇年までのエネルギー見通しを持っているということでございます。

笠井委員 国の責務として、選択肢の一つとして活用するというふうに明記するというのは、これは重大なことなんですね。

 原子力についても脱炭素、安定供給という観点からということでやるとなると、国民の中にも様々な、安定供給、脱炭素ということでは意見があります、そのためにどうするかと。ただ、こういうことで書き込むことによって、多くの国民が望んできた原発ゼロというのは選択できないということになるのかどうか、その点はどうですか。

西村(康)国務大臣 ここの書きぶりは、第一条では、これは民主党政権時代に改正されたときと変わっていない書きぶり、原子力の開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保しということ、これはそのように目的が書かれているわけであります。

 その下で、第二条の二、国の責務は、原子力利用に当たってはですので、ずっと永遠に、限りなく大量に使っていくということを明記しているわけではなくて、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、脱炭素社会の実現であるとか、それからエネルギーの安定供給、そして自律性の向上、こういったことに資することができるよう、必要な措置を講ずる責務というふうに書いてありますので、この読み方は、開発、利用によって安定供給、エネルギー資源を確保するということで目的が書いてある一方で、原子力利用に当たってはということで国の責務が書かれているということでございます。

笠井委員 今の説明によっても、将来にわたって電源の選択肢に原発を入れ込んでいるわけですね、その前段も含めて、今大臣は言われた。つまり、原発を未来永劫活用する法的枠組みをつくるということになりませんか、国の責任で。

西村(康)国務大臣 まさにこの一条の目的、これは以前からある、民主党政権で改正されたときからあるものでありますが、原子力の開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、そして地球温暖化の防止を図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与するということを目的とした法律であるということであります。

 その上で、原子力の利用に当たっては、安定供給確保とか脱炭素社会の実現、こういったことに資するということができるようにすべきだということが国の責務として書かれているわけでありますので、何も大量に永遠に原子力をやり続けるということではなくて、この目的そして責任の範囲内で私どもは安定供給と脱炭素化をしていく上で、少なくとも現時点では、三〇年に向けては二〇%から二二%、原子力の活用によって安定供給と脱炭素化を図っていく、そうした方針で臨んでいるということでございます。

笠井委員 今言われたことによっても、あらゆる選択肢の中に原発というのがあって、利用に当たってはということで国の責務を入れたら、それはこれからずっと活用する法的枠組みをつくることになるんだ、極めて重大だと思います。

 法案の第二条の基本方針の第三項に、安全神話に陥り、福島第一原発事故を防止できなかったことを真摯に反省と追加をしております。

 西村大臣は、前回、四月五日の委員会で、事故の反省を踏まえて、憲政史上初めて安全神話という言葉も法案に盛り込んだと答弁をされております。そう口にされながら、国の責務として、将来にわたって原発を利用する、活用するということは矛盾しないのか。

 西村大臣は、原発のリスクはない、絶対に事故は起きないとの前提に立っているのかどうか、その点、改めて確認をしたいと思います。

西村(康)国務大臣 この規定は、まさに憲政史上初めて安全神話という用語を使ったというふうに理解をしておりますけれども、まさに福島第一原発の事故で、安全神話に陥って事故を防止できなかったことを真摯に反省し、原子力事故の防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識、これを行う旨を記載をしているものであります。

 事故は絶対に起こらないということをここに書いているわけではなくて、むしろ、事故は起こり得るという、そのリスクを常に頭に置いて、事故の防止に最善、最大の努力をしなければならないという記載があるわけでございます。

笠井委員 今言われたことで、去る四月十二日にも、ゼロリスクはないことを頭に置きながらも、事故が起こらないようにするために具体的な対策をしっかりと取り組んでいきたいというふうに答弁をされた、同じことを今言われましたが。独立性を持って厳格に規制すれば、絶対に事故は起きないということですか。

西村(康)国務大臣 原子力規制委員会の厳しい基準の下で、それに適合するという審査をしっかり受けること、これは何より重要だというふうに思っておりますが、原子力規制委員長も答弁をされておられますとおり、まさにそれを満たしたからといって事故は絶対に起こらない、ゼロリスクということはないわけでありますので、規制の適合性をしっかり満たした上で、さらに、緊張感を持って、不断の努力をしながら、事故が起こらないように最善の努力をしていくということでございます。

笠井委員 最善の努力ということなんですよ。そういう中で、文言上は反省を口にしながら、こうした法案の規定自体が新たな安全神話ではないかと言わざるを得ないということであります。

 東京電力福島第一原発事故から十二年余り、今も収束が見通せないという状況であります。

 直近の東京電力による調査報告がありますが、福島第一原発一号機の原子炉真下にデブリと見られる堆積物が確認をされている、そして、核燃料があった圧力容器を支える土台が全周にわたって損傷して、コンクリートがなくなって、内部の鉄筋が露出していることまで明らかにされました。こんなことで、耐震性に問題がないと言えるんでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先月、東京電力におきまして、福島第一原発一号機の原子炉格納容器の内部調査を行いました結果、圧力容器を支える土台、いわゆるペデスタルと呼んでいますけれども、その内側の壁が損傷している様子が確認できたところでございます。

 過去に、国際廃炉研究開発機構が、IRIDでございますけれども、実施した耐震性の評価におきましては、ペデスタル内壁の全周にわたりまして表面のコンクリートそれから配筋が損傷しても重大なリスクはないということを確認しておりますけれども、東京電力におきましては、今回の調査結果を踏まえまして、耐震性の評価を行うと聞いてございます。

 引き続き、安全確保と情報提供に万全を期すよう、東京電力を指導してまいりたい、このように考えてございます。

笠井委員 耐震性の評価を東電自身がやらなきゃいけないほど、そういう事態にあるということであります。

 福島第一原発から取り出す使用済燃料から溶け落ちたデブリの処分先というのは決まっているのか、いつまでに廃炉の見通しがあるのか、その点はどうですか。

片岡政府参考人 取り出しました燃料デブリの処理あるいは処分の方法につきましては、燃料デブリの取り出しの開始後に、デブリの性状の分析などを進めた上で決定することとしております。

 このために、燃料デブリの取扱いにつきましては、まずは技術的検討を進めることとしておりまして、その上で適切に処理処分されるよう、国としても最後まで責任を持って対応してまいりたい、このように考えてございます。(笠井委員「廃炉の見通し」と呼ぶ)

 中長期ロードマップにおきまして、廃止措置につきましては、冷温停止から三十年から四十年後、すなわち、二〇四一年から五一年というふうに明記してございます。

 しかしながら、廃止措置の最終的な形につきましては、先ほど申し上げましたとおり、燃料デブリの性状等の分析等を進めた上で決定することとしておりまして、最終的な処分の形につきましては、現時点ではまだ決まっていないということでございます。

笠井委員 今ありましたように、デブリの処分先についてもまずは技術的検討で、廃炉についてもまだ決まっていない、見通しもないということであります。

 一たび事故が起きれば、長い年月がかかって、事故収束は極めて困難ということが改めて示されておりますが、こんな状況で原発活用を国の責務とするほど、異質で、とにかく無責任なことはないと断ぜざるを得ないと思います。

 そこで、西村環境大臣に伺います。

 四月十四日の経済産業委員会の参考人質疑で、国際環境NGOのFoE Japan事務局長の満田夏花参考人は、国際NGOの立場を問われて、原発というものは新たな不公正、不正義を生むという点で、クライメートジャスティスと若者たちが言っている、こう紹介されて、原発は、ウラン採掘から運転から廃止に至るまで放射性物質を出し続け、かつ、社会的にも、核のごみが弱いところに押しつけられたりという、社会的な不平等を生むというふうに答えておられます。

 まさにそのとおりだと私は思うんですけれども、環境大臣はこの指摘をどう受け止めていらっしゃいますか。

西村(明)国務大臣 今、笠井委員が御指摘の満田参考人の発言は、原発の立地や高レベル放射性廃棄物の最終処分が過疎地などの立場の弱い地域に押しつけられ、社会的な不平等を生むことになるのではないかといった趣旨だというふうに承知しております。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定に当たりましては、自治体からの応募、又は国からの申入れを自治体が受諾することによって調査が開始されることとなっておりまして、段階ごとに知事や市町村長の意見をお聞きし、これを十分に尊重することとされているというふうに認識しておりまして、過疎地など立場の弱い地域に押しつける仕組み、こういったものにはなっていないものと認識しております。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題については、原子力を推進する、しないにかかわらず、重要な問題でありまして、私としても、最終処分関係閣僚会議の一人として、バックエンドの問題にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えています。

笠井委員 バックエンドの問題だけじゃないんですね、指摘されたのは。とにかく原発というのは、そういうものを含めて新たな不公正、不正義と不平等を生むんだ、まさに国際的なNGOの立場からそのことを言われているので、私は、本当に環境大臣としては、正面から受け止めながら、どうするんだという話をされなきゃいけないんだと思います。

 その参考人質疑で大島堅一参考人が紹介した、IPCCの第六次統合報告書にも採用されたソバクール氏らの論文は、原発が増えても国レベルでCO2は減らず、再エネを増やせばCO2は減るというふうにしております。

 新たな不公正、不正義、不平等を生む原発からは撤退すべきだ、このことは強く求めておきたいと思います。

 しかも、今回の原子力基本法の二条の三では、国の責務として行う原子力利用に関する基本的施策、五項目ありますけれども、それは、技術の維持開発、人材の育成確保等、それから研究開発推進、安定的な事業環境の整備を始めとして、GX実行会議での十倉経団連会長や勝野中部電力会長の要求丸のみということになっております。

 西村経済産業大臣に伺いますが、こんな国の基本的施策を掲げるなど、原子力産業への優遇策ということになるんじゃありませんか。

西村(康)国務大臣 原子力を、まさにこの目的、国の責務で書かせていただいているとおり、脱炭素化とエネルギーの安定供給を共に進めていくために必要なエネルギー源として位置づけております。

 したがって、原子力を進めるに当たって、当然、必要な人材あるいは基盤、こうしたものは必要となってまいりますので、基本的施策として、私どもとして必要な施策は講じていくということで、ここに書かせていただいているわけであります。

笠井委員 そうおっしゃいますけれども、日本原子力産業協会は、昨年七月の原子力サプライチェーンの維持・強化に向けた提言というところで、原子力事業者が人材、技術を維持し、原子力発電を持続的に活用できるよう、原子力発電所の新増設、リプレースに投資ができる事業環境の在り方について検討を開始することを提言というふうに言っております。

 今回の原子力基本法改正案では、第二条の三の一号に、原子力発電に係る高度な技術の維持及び開発を促進し、人材の育成及び確保、必要な産業基盤を維持し、強化するための施策とありまして、第二条の三の三号に、原子力事業者が必要な投資を行うことその他の安定的にその事業を行うことができる事業環境を整備するための施策というふうにありまして、結局、原産協会の提言と、そっくりそれを取り入れた基本法の条文になっているということじゃありませんか、これは。

西村(康)国務大臣 まず、私どもは、原子力については、廃炉を行ったところの敷地内で、次世代革新炉と言われる、より安全装置を盛り込んだものについて建設を、今開発を進めているところですが、建設をするということで、当然、地元の理解も得ながらということであります。したがって、廃炉をしたところ全部では当然考えておりませんし、幾つかだと思いますが、それ以上の新設、増設については、今回何か方針を出しているわけではありませんので、引き続き検討するということになっております。

 したがって、原子力の産業界が求めている新設、増設については、私どもは、それについては現時点で答えを出しているわけではありません。

 ただ、繰り返しになりますが、安定供給をしていく上で必要な高度な人材、技術、こうしたものは極めて重要な課題であるということで、引き続き国として必要な施策を講じる旨を規定をさせていただいたところであります。

笠井委員 私は読み上げて紹介しましたが、新増設の話だけじゃないんですよ、原産協会が言っているのは。この五項目に対する核心的なところは大体そのまま入っているじゃないかということなんですね。

 脱炭素、安定供給だからと先ほど一回目の答弁で言われたけれども、だから原発は駄目だという、逆に、パブコメではたくさんの意見が出されてきた。政府の側は、大臣も、いや、その量の多寡じゃないと言われたけれども、結局、たくさん出された意見については一顧だにせず、片や原産協会とか原子力産業界の要求は大体そのまま入っているということになっているじゃないか。

 さきの参考人質疑でも、満田参考人、龍谷大学教授の大島堅一参考人、先ほど紹介しました。お二人とも、原子力産業救済法だと厳しく指摘をされていました。

 四月十七日に発表された「GX脱炭素電源法案(“原子力産業救済法案”)の成立を許さない」研究者・専門家緊急アピールは、原子力基本法改正案について、原子力産業に対して政策的な保護を与え、原子力利用を永続化する内容になったということを批判をされています。このアピールの中には、鈴木達治郎元原子力委員会の委員長代理も名前を連ねていらっしゃる、こういうことになっているんですね。まさにそういう重大な問題になっているということを強く指摘をしておきたいと思います。

 次に、原子力基本法の改正案の第二条の四で、原子力施設の安全性の向上を図るための態勢を充実強化する責務を有するというふうに定めております。

 そこで、西村経産大臣、法案の解説図やイメージ図には、自主的安全性向上というふうにこのことについて書いてあるんですけれども、具体的にはどういう対応を事業者に求めているんでしょうか。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の自主的安全性の向上についてというところですけれども、政府及び原子力事業者が安全神話に陥り、悲惨な事態を招いた東電福島第一原発事故の経験、反省と教訓を肝に銘じてエネルギー政策を進めることは、一貫した政府の方針でございます。

 原子力を含め、いかなる技術にもゼロリスクはないということで、事業者は、規制基準の充足にとどまらず、自ら継続的に安全性向上に向けた不断の努力を進める体制を整備することが極めて重要でございます。

 この点は、第六次エネルギー基本計画においても、原子力事業者を含む産業界は、自主的に不断に安全を追求する事業体制を確立し、安全性を最優先させるという組織文化の醸成に取り組む必要がある、このように明記をしてございます。

 また、私ども原子力委員会での議論を経て二月二十日に決定をされ、また二月二十八日に閣議で尊重決定をされました原子力に関する基本的考え方におきましても、産業界全体で一丸となって安全性を追求していくことが不可欠であり、不断に安全性を追求する業務体制を確立し、安全マネジメント体制の改革に取り組む必要がある、このように盛り込んでございます。

 こうした考え方に基づいて、今回の原子力基本法改正案において、原子力事業者の責務として、安全性の向上を図るための態勢を充実強化するということを規定をしたものでございます。

笠井委員 要するに、今長々と言われましたけれども、規制をかけて邪魔しないから、自主的にやってくれという話なんですよ。

 今政府参考人がそうやって答弁されたんだけれども、本来ならば、これは高市大臣が、だって、原子力基本法の所管大臣なんだから、国会できちっと答弁しなきゃいけないはずなんですよ。結局、それを政府参考人が答弁をする。それで、西村経産大臣は、GX担当大臣だから法案提出に責任がありますと言われながら、答弁に立たないわけですから。こういう問題を私は冒頭に指摘をしたわけです。

 福島第一原発事故の背景には、シビアアクシデント対策、SA対策を法律による規制にせず、事業者の自主規制にしたことがありました。

 そこで、国会事故調報告書は、日本ではSA対策は、シビアアクシデント対策は検討開始当初より自主対策とされてきた、自主対策では規制要件上の工学的安全設備のように高い信頼性がSA対策設備に求められない、事業者の自主的な対応であることは、事業者が電事連を通じて規制当局に積極的に働きかけを行う余地を生じさせた、破滅的な事象を引き起こす事故シナリオへの対応がなされていなかった、このように厳しく指摘をしたわけです。

 そこで、西村経産大臣に伺いますが、自主的安全性向上の名で原発の運用を事業者任せにする、実際そういう形で。それは本当に福島事故の反省と教訓への逆行じゃないか、そう思われませんか。

西村(康)国務大臣 かつては、経済産業省におきまして利用も規制も行っておりました。ですから、全体として緊張感を持つことができずにあったという、このことが私は事故の背景の大きな一つだというふうに認識しておりますし、国会事故調でもそのようなことが書かれているわけであります。

 したがって、利用と規制を明確に当時分けようということで、規制委員会が設置され、また厳しい基準が制定されていったわけでありますが、引き続き運転期間について炉規法に規定されているというのが、規制委員会の見解によって、これはおかしい、本来言うべき話ではないということで今回整理をされたものでありますので、ある意味で、今回の法改正は、改めて事故の教訓を頭に置きながら、利用と規制を明確に法律上整理をするものであります。

 したがって、私どもから何か安全基準、規制基準について申し上げることはいたしませんし、ただ、事業者に対しては、しっかりと、安全性を向上させていく不断の努力をするということは常に指導していきたいと思いますし、組織文化醸成、緊張感を持って取り組んでいく、そうした姿勢は、しっかりと指導していきたいと思いますし、私どもも、利用する側だといって安穏としているのではなく、常に不断の努力をしていく、安全性確保、向上に向けて不断の努力をしていく、そういう姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。

笠井委員 自主的安全性の向上の名で、事業者に結局そういう形で原発の運用を任せることは重大な問題だというところが問題なんですよ。問題をすり替えちゃいけません。

 原子力規制委員会事務局に伺いますが、一九五五年十二月九日に議員立法として成立した原子力基本法というのは、原子力の研究、開発と利用に関する根拠法とされて、原子力の平和利用を願い、民主、自主、公開の三原則が掲げられました。その後、何回改正されたか、回数のみ言ってください。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 原子力基本法は、昭和三十年の制定以来、過去七回の改正が行われてございます。

笠井委員 元々、基本法とは、政策の大綱、方向性を定める理念的、訓示的な規定から構成されております。原子力基本法もしかりで、従前の改正は、組織の名称変更とか組織の改編などにとどまっていた。今回のように、原子力利用の国の責務あるいは事業者の責務などを書き込むという形で大きく改変するということはなかったんじゃないですか。

覺道政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、原子力基本法に新たな条項を加えるような改正というのは、二〇一二年の改正においては、東電福島第一原子力発電所の事故を受けて、改正前から基本方針として規定をされていた安全の確保の趣旨を明確化するために第二条第二項が新設をされ、また、当時の原子力安全委員会を廃止し、高い独立性を有する原子力規制委員会を設置するために第三条の二を新設、さらに、内閣に原子力防災会議を置き、その所掌事務や組織、事務局等を規定するために第三条の三から第三条の七までが新設をされてございます。

 また、それ以前では、現在の基本法では削除をされておりますが、一九七八年の改正において、原子力安全委員会の設置に伴い、同委員会の任務について規定をする項が加えられましたけれども、これは、先ほど申しました二〇一二年の改正において、その項は削除をされてございます。

笠井委員 福島の事故に伴ったものが中心で、とにかく、国の責務とか事業者の責務で大きく変えるというのは初めてなんですよ。原発活用というのを国の責務として、運用は自主的安全性向上で事業者に任せる。改正案は、原子力基本法の姿を大きく変質させるものです。老朽原発も六十年超の運転期間ルールに従えと、その上、義務づけまでしている。

 脱炭素やエネルギー危機を口実にして原発回帰に大転換など、国民の生命と財産、日本の経済と社会を危険にさらすものであります。福島事故を忘れてはならないと、原発の最大限の活用にも、開発とか建設、推進にも六割超の国民が反対をしております。

 世界の流れである省エネ、再エネにとにかく思い切って注力をして、原発ゼロに踏み出すことこそ国の責務だということを強く強調して、徹底審議を求めて、今日は終わります。

竹内委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後四時一分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案は経済産業委員会議録第八号に掲載


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