衆議院

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第1号 令和5年4月26日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年四月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

  厚生労働委員会

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      畦元 将吾君    石橋林太郎君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小林 鷹之君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      橋本  岳君    平沼正二郎君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    西村智奈美君

      野間  健君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

  国土交通委員会

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      深澤 陽一君    古川  康君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      枝野 幸男君    小熊 慎司君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      馬場 雄基君    一谷勇一郎君

      前川 清成君    中川 康洋君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      大石あきこ君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        朝堀 泰明君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四五号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより厚生労働委員会国土交通委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 今日の連合審査会、トップバッターで質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 今法案は、厚生労働省の平時からの感染症対応能力の強化を図るために、食品衛生基準行政を消費者庁へ、水道整備、管理行政を国土交通省と環境省に移管するもので、それによって生活衛生関係の機能強化を図ることを目的としたものであると承知をしております。

 まず、食品衛生基準行政の移管についてお伺いいたします。

 国民にとって一番重要なことは、消費者庁が食品衛生基準行政を担うようになることで、食品の安全がより科学的に保障されるものになるのかどうかという点だと思います。食品の安全は、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの三つのリスク分析要素で行うという食品安全行政が、国際食品規格の策定を行っておりますコーデックス委員会の提案によって国際的に進められており、我が国もコーデックス委員会に加盟し、現在、内閣府、厚労省、農水省、消費者庁がそれぞれ連携し、リスク分析の三要素の機能を担い、食品の安全を守ってきております。

 平成二十八年からは、消費者庁が食品安全に関する関係府省の総合調整機能を担ってきたということで、今回、食品安全行政と食品衛生行政、その両方を消費者庁が一元的に管理することになるわけでありますけれども、消費者庁は、消費者向けの表示についてはプロでも、食品衛生に関する基準や規格の策定については大丈夫なのかと不安視する声も一部にはあるようです。

 何より、規格基準は科学的な根拠に基づいて策定される必要があるわけですが、国際的な情報収集も重要になりますし、食品の安全に対する調査や研究を行っている国立医薬品食品衛生研究所との連携がもし弱まることになれば問題だと危惧する声も、日本生活協同組合からも上がっております。

 厚労省の負担軽減だけがメリットで、食の安全がおろそかになってはならないと思います。食品は健康に直結するものであり、基準規格策定は極めて重要な業務になります。そのような心配がないのかどうか、食品衛生行政を消費者庁に移管することで生まれる利点を改めてお示しください。

加藤国務大臣 食品の安全は、今委員からもお話がありましたように、国際的に共通のリスク分析の考え方に基づき、国際動向や国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて確保することとしております。その旨は、食品安全基本法に規定されており、その規定は引き続き堅持するところであります。

 こうした考え方に基づき、現在、食品の規格基準等の策定に当たっては、リスク評価機関である食品安全委員会がリスク評価を、そのリスク評価に基づき、リスク管理機関である厚生労働省が、薬事・食品衛生審議会の議論を経て規格基準の策定を行うことで、食品安全の確保を図っております。

 食品衛生基準行政を消費者庁に移管した後もリスク分析の考え方は維持され、食品安全委員会のリスク評価に基づき、消費者庁が科学的知見に基づいた規格基準の策定などを行うという基本的な枠組みを変更するものではありません。

 また、あわせて、本法案では、科学的知見に基づいた規格基準の策定のため、消費者庁に食品衛生基準審議会を設置し、この審議会で食品衛生基準行政に関する調査審議を行うこととしております。

 近年、食へのニーズの多様化により、これまで流通していなかった新たな食品の開発、提供が行われるなど、食品に関わる関係者が多様になりつつあります。こうした中、食品安全行政の総合調整を担っている消費者庁が食品衛生基準行政を担うことで、政府内の関係府省庁がより緊密に連携し、食品衛生に関する規格基準の策定に当たることができると考えております。

 また、関係府省庁による食品に関するリスクコミュニケーションの推進の取りまとめを担うのは消費者庁であります。その消費者庁が食品衛生基準行政を担うことで、科学的知見に裏打ちされた食品安全に関する啓発の強化にも資すると考えているところでございます。

 なお、食品衛生基準行政と食品衛生監視行政が二つに分かれることで連携に問題が生じるという御指摘もいただいておりますが、これまでも、食品の安全確保の取組については、今お話がありました厚労省のほか、消費者庁等々、関係省庁が連携して取組を進めてきたところであります。業務の移管が行われた後も、引き続き、関係省庁、緊密に連携して対応してまいります。

吉田(久)委員 続いて、食品基準審査課というのは消費者庁に移行することになっておりますけれども、食品衛生監視行政、食品監視安全課は厚労省に残る、こういうふうに聞いておりますが、この意味と狙いをお聞かせください。

加藤国務大臣 食品衛生監視行政は、有毒、有害な食品、規格基準に合わない食品の取締り、食品関係の営業者に対する営業規制、監督指導などを通じ、食品による健康被害を未然に防止することや、健康被害が生じた際の被害の拡大を防止することを主な目的としております。

 食中毒は、原因となる微生物や物質によっては、初動の段階で、原因が食品によるものなのか、それ以外によるものか直ちに分からない場合もあります。このため、食品衛生部局は、常に感染症部局等の他の部局と情報共有や連携を図りつつ、迅速に原因の究明や危害の拡大防止対策を行うことが重要であります。実際に、保健所においては、食品衛生部局は、他の部局と連携して原因の究明や、危害の拡大防止に当たっているところであります。

 こうしたことから、食品衛生監視行政については、引き続き、公衆衛生に関する知見を有する厚生労働省において、感染症対策や健康危機管理対策と一体として担うこととしております。

吉田(久)委員 更に、食品の安全、安心のために各省庁の連携を深めていただきたいと思っております。

 現在、薬なのか食品なのか、形だけでは見分けがつかないものもあります。いわゆるタブレットとか錠剤状の、いわゆる健康食品と言われているものです。薬として飲む場合は、症状の改善のためには、ある程度副作用も出ることも承知して服用する場合もあるわけですが、食品として口に入れる場合は、まさか副作用や体に対する悪影響があるとは、基本的には想定はしたりはいたしません。

 先日も、花粉症を緩和するお茶から食品に使用できない医薬品成分であるデキサメタゾンというステロイドが含まれていたことが分かり、およそ四か月飲み続けた女性の、花粉症は改善をされたそうでありますけれども、副腎機能が抑制されていたことが分かり、女性は飲用をやめ、検査値は改善したと聞いております。

 ただ、継続して服用していた場合、急にやめると症状が強く現れるリバウンドが起こることもあり、医師の処方がなくては使えない医薬品が、効果を高めるために食品に使用されていたことは大きな問題であります。国民生活センターは、事業者に販売中止を求め、厚労省や消費者庁に事業者への指導を求めたと報道にございました。

 このお茶に関しては、食品として販売されながら実は医薬品だったということで、薬機法違反案件として厳正に対処されると承知をしておりますけれども、いわゆる様々な効能をにおわす健康食品と言われるものは、ちまたにあふれております。保健機能食品というものもあります。食品の基準をつくるところ、表示について監視するところ、処罰をするところ、どこなのか、正直、大変分かりにくい状態だと思っております。

 このような健康食品による健康被害が起こらないよう、消費者庁そして厚労省としてどのような役割を果たしていくのか、お伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 まず厚生労働省からお答えいたします。

 現在、私どもの取組といたしまして、平成三十年に食品衛生法を改正し、特別の注意を必要とする指定成分等を含む食品について、二点ありますけれども、製品の品質確保のために製造又は加工の基準を設けるとともに、事業者が当該食品との関連が疑われる健康被害情報を得た場合に、事業者から都道府県等への届出を義務づけた上で、当該情報を都道府県等から厚生労働省に報告することといたしました。

 この届出された健康被害情報についてですが、薬事・食品衛生審議会の下に設置されておりますワーキンググループで、食品衛生上の措置の要否について検討を行うとともに、これらの情報を厚生労働省のホームページで公表すること等によって、消費者への情報発信等に取り組んでおります。

 また、指定成分等を含有する食品以外のいわゆる健康食品についても、必要に応じて消費者への情報発信等の対応を行うため、住民からの健康被害相談に関する情報等について、都道府県等を通じて報告を受けております。

 さらに、錠剤、カプセル状等の食品については、製造段階における危害の発生防止のため、ガイドラインを作成しております。これに基づいて、食品等事業者の自主的な取組を推進しております。

 こうした情報提供ですとかリスクコミュニケーションを通じて、消費者に対し、いわゆる健康食品に関する正しい知識の普及啓発を行っております。

 消費者庁へ食品衛生基準行政が移管された後も、厚生労働省は食品監視行政を持っておりますので、この監視行政とリスクコミュニケーションを通じて、関係省庁とともに、健康食品が安全かつ適切に活用されるよう、取組を進めてまいりたいと考えております。

依田政府参考人 続きましては、消費者庁の役割としてお答え申し上げます。

 消費者庁におきましては、消費者安全法等に基づきまして、関係行政機関や地方公共団体等から、いわゆる御指摘の健康食品の健康被害を含む消費者事故等の情報を収集してございます。この収集しました消費者事故等の情報につきましては、消費者被害の再発、拡大防止を図るために、自発的に、定期的に公表しております。また、消費者への情報提供のみならず、必要に応じて消費者安全法に基づいて注意喚起を行っているところでございます。

 また、健康食品QアンドAなどのパンフレットなどを作成いたしまして、一つ、健康食品は薬ではなくて、病気を治したりする効果が期待できるものではないこと、食品表示法や健康増進法に基づく保健機能食品を除きまして、販売前に安全性や有効性がほとんど確認されておらず、どの程度の有害な作用があるかは事前に分からないということ、また、体調不良を覚えたらすぐに使用を中止して医師に相談することなどにつきまして、SNS等の発信も含めまして、消費者との食に関するいわゆるリスクコミュニケーションなどを通じまして、普及啓発を行っているところでございます。

 引き続き、厚生労働省、関係自治体とも連携しながら、いわゆる健康食品による健康被害の防止に取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 続きまして、水道行政の移管についてお伺いしたいと思います。

 命を維持するために最も重要なのは水であり、文明のレベルを測る上で、水インフラの整備は物差しになるものでありますけれども、日本の水道整備も、水系の感染症対策に端を発して急速に進められ、現在、水道普及率は九八%、全管路延長距離七十四万キロに達しております。蛇口をひねれば安全な水が出る、飲むことができる水が出る、これを全国どこでも当たり前にし、長年、国民生活の最重要インフラの役割を果たしてきたわけでありますけれども、水道管の老朽化が進み、法定耐用年数四十年を超えた管路は十五万キロと、総延長の二割を超え、それに対して更新率は令和二年度は僅か〇・六五%と、年々更新率は減少しております。

 昨年は、七月に山梨県甲府市、八月は千葉県美浜区、九月には滋賀県長浜市、十月は佐賀県唐津市等々、毎月どこかで、老朽化した水道管の腐食や破損が原因で断水しております。全国の水道管の漏水、破損事故は年間二万件を超えていると聞いております。これが我が国の水道の実態だと承知をしております。

 人口減少時代に入り、この地球十八・五周分の長さの水道管をどう安全にかつ強靱化し、維持、持続していくのか、これが水行政の課題となり、新たな局面を迎えているわけであります。

 水道施設は国交省所管のインフラよりも耐震化も遅れており、まだ四割にとどまっております。今法案におきまして、令和六年の移管を目指し、水道整備、管理全般は国土交通省に、そして、水道水質基準の策定等は環境省が所管するわけでありますけれども、今まで下水道を所管していた国土交通省が、今後、上下水道両方を所管することになります。これにより生まれるメリットについて、お伺いいたします。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 水道整備、管理行政におきましては、現在、先生御指摘のとおり、老朽化、耐震化への対応が課題となっているものと認識しております。

 こうした課題に対しまして、国土交通省がこれまで取り組んでまいりました下水道などのインフラ整備、管理に関する知見を生かすこと、それから、地方整備局などの現場力、技術力を活用して対応すること、こういったことを通じまして、災害対応の円滑化なども含めて、水道整備、管理行政のパフォーマンスの一層の向上が図られるように、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

吉田(久)委員 今御答弁いただきましたメリットの一つに、災害対応が一体的に可能になるということですけれども、公共土木施設に水道が加わることになり、財政支援も二分の一から三分の二まで増額されることになり、復旧もより早く進むものと思われます。七年前の熊本地震では、水道復旧までに数か月かかったと聞いております。水道の復旧が早ければ早いほど生活再建が可能になり、歓迎したいと思います。

 続いて、多くの水道事業者が小規模で経営基盤が脆弱であり、また、職員の数も、ピーク時に比べて三九%減少しているという現実もあります。つまり、水道インフラの更新が進まない背景には、財政難と人材難があるわけです。

 しかしながら、水、水道は生活になくてはならないものであり、管路の更新、耐震化等の必要性を考えると、水道事業の基盤強化は必須だと思います。ただ、現在、電気代、ガス代含めて物価高騰が続く中で、単に上下水道代を上げることも厳しい、難しい現状もあるとは思います。

 先ほど申し上げましたように、水道は最重要なインフラであり、国が乗り出して事業を支えるべきだと考えますが、この厳しい状況を打破してどう進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、小規模で経営基盤が脆弱な事業者に対してですが、これまで、厚生労働省としては、基盤強化のため大きく三つ、一つは広域連携の推進、二つ目は適切な資産管理の推進、三つ目が官民連携の推進等に取り組んできました。加えて、生活基盤施設耐震化等交付金等による財政支援等も行っております。

 これまでこうした取組を進めてきたところですが、今般、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省に水道整備、管理行政を移管することで、こうした社会資本と一体的に水道施設の整備等を進めることが可能になると考えております。こうしたことによって、経営基盤の強化を更に政府として進められるものと考えております。

吉田(久)委員 平成二十六年、水循環基本法が成立し、施行されました。目的は、水循環に関する施策を総合的、一体的に推進し、もって健全な水循環を維持し、又は回復させ、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上に寄与することとしております。この法律には、水循環には地表水又は地下水も含まれるとあり、基本理念では、水が国民共有の貴重な財産であると明記されました。

 全くそのとおりだと思います。世界中で今後最も貴重になる資源は水であるとも言われております。水に関する行政は、国が地方自治体とともに、地下水も含めて一体的に管理をし、水という国民の財産を守り抜く覚悟で進めるべきだと思います。

 現在、工業用水が経産省、農業用水は農水省、水質、環境保全は環境省と、所管はまたがっております。一元化又は連携機能を更に強化し、水循環基本法の理念に基づいて施策を進めるべきだと考えますが、これについてのお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 水は、人の生活に潤いを与え、産業や文化の発展に重要な役割を果たす、まさに国民共有の貴重な財産です。

 このため、内閣官房の水循環政策本部の下、関係省庁が一体となって、水循環に関する施策を推進しております。

 こうした取組の中で、例えば委員御指摘の地下水については、地方自治体が抱える課題解決を支援するため、本年三月に、地下水マネジメント推進プラットフォームの活動を開始するなど、関係省庁や大学、研究機関、NPO等との連携を強化しているところでございます。

 水循環政策を担当する大臣として、今後も、関係省庁や関係者との連携を強化しながら、水循環に関する施策を総合的に、かつ一体的に運営してまいりたい、このように決意しております。

吉田(久)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

    〔三ッ林委員長退席、木原委員長着席〕

木原委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案に関しまして質問させていただきます。

 この法律が通ることによって、更にまた国交省の方は業務が増えるわけでありますし、当然、人員等も拡充するしかないのかなと思っております。そのことを踏まえまして、午前中も私、国交委員会で一般質疑をさせていただきましたが、そのときに本来聞くべきだったかもしれませんが、やはり大きくなっていくと、それだけ権限が増えるということでもありますので、まず最初に、国土交通省OBの再就職先要請問題について伺わせていただきたいと思います。

 やはり大きくなれば、それだけ関係団体が増えるということにもつながってまいります。先般も、元事務次官による東証プライム市場の上場企業の役員人事への介入疑惑問題だとかありまして、その後もまた、今回は別の報道として、一般財団法人土地情報センターについて、国交省OBによる役員人事への介入をしようとした音声データが報道されたりしております。

 国土交通省の意向だとか……(発言する者あり)今、どなたか分かりません、与党側の方なのか、どこか分かりませんけれども、水に流せと言いましたけれども、本当に、そんなことはするべきではないはずです。特に、現役の方々がOBになることを考えれば、今こうやって、汚いことをするとか、ごり押ししてくるというような、そんな悪評を引きずらせてはいけないんだと思います。

 そのためにも、国土交通省の意向だとか、有力OBの意向だとかという言い回しをしながら、企業や団体の役員へのOB人材の就任を求めるということが広く行われているのではないかという多くの国民の皆様の疑念にしっかりと答え、また、しっかりと断ち切るということも必要ではないでしょうか。

 やはり、OBを含めて調査を行うこと、そして、今までの大臣の発言からすると、調査をしないみたいな、ある意味極めて消極的な発言が続いております。ここはしっかりと、大臣の考え、そしてこれを終わらせるために、御発言をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 国家公務員OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた予算や権限を有していない民間人としての活動であり、再就職のあっせん規制の対象外です。このため、OBが行う再就職のあっせんについては、国土交通省として調査する立場になく、また、権限も有しておらず、こうした民間人の活動に対する調査については極めて慎重であるべきと考えております。

 一方、国家公務員法に基づく再就職規制では、職員がOBから働きかけを受けた場合、第三者機関である再就職等監視委員会に届け出なければならないこととされており、これによりOBからの働きかけを抑止する仕組みとなっているところです。

 国土交通省においては、先日、OBから働きかけを受けた場合の届出義務など、再就職規制全般について、地方支分部局を含む全ての国土交通省職員に周知をし、改めてその遵守の徹底を図ったところでございます。

 また、委員御指摘のように、例えば事業の実施に当たっては、関係する自治体や学識経験者等の第三者の意見を聞きながら、事業の各段階で事業評価を実施することにより、透明性を確保し、公平性、公正性に努めております。OBの関与などあってはならないと思います。

 このような仕組みと、再就職規制の遵守徹底等により、OBによる影響のない公平公正な国土交通行政を推進してまいります。

小宮山委員 是非、クリアに、そして公明正大なしっかりとした運営をしていただきたいと思いますし、これまでも赤羽当時の国交大臣の方からいただいていますけれども、結構地方選の中でも、口利きのような、議員さんとか首長さんとかも、国交省につてがあるからみたいなこととか、パイプがあるからということを売りにする場合が多いです。OBの方たちもこれと同じようなことを言うというのも、さっき水に流せという議員の男性の声がしましたけれども、流せる問題ではないです。

 しっかりとそこをやること、繰り返し周知をしていただくこと。そういったことで、きちんとした提案があり、そしてきちんと第三者機関なりでチェックをしているということをもっと前面に出すことを言わせていただきまして、法案の内容の方に入らせていただきます。

 さて、水道行政の移管についてですけれども、本法案に関しては、食品衛生基準行政の機能強化、水道整備、管理行政の機能強化、所掌事務等の見直しなどが盛り込まれておりますが、私からは、水道行政の、厚生労働省から国土交通省への、一部は環境省でありますが、移管について、主に質問をさせていただきます。

 水を国民共有の貴重な財産と位置づけた水循環基本法が、超党派の有志による議員連盟を中心にして、議員立法により成立してから九年が経過いたします。私自身も検討段階から参画させていただいた一人でもあります。成立後、九年の間に、当初法案に盛り込まれなかった地下水に関しての取扱いの明記のある改正も成立させることができました。

 また、この間には、SDGsの視点が政策推進に強く求められる時代にも入ってまいりました。温暖化の進行、少子高齢化、人口減少社会の中で、市民生活にはなくてはならない水道、下水道を始め、また、道路、橋梁、トンネルや鉄路といった交通インフラ、教育機関や医療機関、公共施設、通信網などの老朽化が進み、メンテナンスや改修、改築が必要となるのがインフラでもあります。いかに必要な規模で維持し続けられるかは、行政上の大きな課題であります。

 昨年から、立憲民主党有志議員において、水の政治・政策オープンフォーラムの勉強会を立ち上げ、私も幹事長として参画をしております。同フォーラム立ち上げの段階におきまして、元厚生省の水環境部長を務められ、退官後も日本水道工業団体連合会、水団連の専務理事を務められました、水及び下水道では第一人者と言われる坂本弘道さんより御講演をいただきました。

 坂本さんからは、江戸時代の神田上水を始めとした、日本国内での水道の歴史の概要を紹介いただくところから始まり、岩倉具視の欧米使節団、コレラの蔓延と衛生という言葉の採用、水道条例、水道法制定、水道の普及、そして旧内務省時代に衛生局と土木局で所管していたものが、厚生省の設置により所管が分かれていき、戦後には、工業用水道の所管をした通産省を含めて、厚生省、建設省の三分割の行政となって、橋本内閣での省庁再編後、現在の状態になったという経緯を熱心に語っていただきました。

 超党派の水制度改革議員連盟の設立から、水循環基本法成立にも言及していただき、将来の水循環規制庁といったような専門官庁の設立への期待も述べられておりました。

 最後には、今回の法改正の内容となる水道行政の国交省及び環境省への移管については全く心配がないと述べられておりまして、一元化の方向性を肯定的に捉えているということがこの点で分かったかと思っております。

 これまで、中央省庁においては、水道は厚生労働省、下水道は国土交通省と所管が分かれており、実際に事業に携わる地方自治体においては、水道も下水道も、さらには浄化槽も含めて、同じ部署で担当している場合が多く見受けられます。近年、地方自治体においては人員削減を求める動きが強く、そうした人員削減の機会などにも、水道と下水道を同一部署で対応するというところが増えていったと認識をしております。

 その一方で、所管が一元化されていくことで、これまでの水道事業、下水道事業と別々に計上されていた予算の総額と比べて、削減への圧力が高まってくるのではないかという懸念もございます。経済性ばかりが優先される整備にはならないのか、大変危惧しているところでもあります。

 事務経費など効率化、合理化などが想定される部分もあれば好ましいことと考えますけれども、実際の水道事業、下水道事業の維持管理に必要な予算は確実に確保されていかなければなりません。水道、下水道に関わる予算確保について今後どのように取り組んでいくのか、国土交通大臣の決意を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 水道、下水道は、経営基盤の強化、また老朽化、耐震化など、多くの課題を抱えております。これらの課題に適切に対応していくためには、予算の確保が重要です。

 国土交通省といたしましては、移管を受ける水道整備、管理行政も含め、必要な予算確保に向けしっかりと取り組んでまいりたいと決意しております。

小宮山委員 水道事業は、多くの自治体において運営を行うか、あるいは近隣自治体で事務組合などを構成して共同運営を行うなどしてサービスの提供が行われております。効率化、コスト削減のため、PPP、PFIなどによる外部委託の導入事例も進んできております。さらには、一部自治体では、上下水道を二十年間にわたって一括委託するコンセッション方式の導入も見受けられるようになりました。

 外部民間営利企業への委託の拡大は、災害時や、ポンプや配管などの老朽化に伴う故障、破損による断水が生じた際、末端の利用者までの復旧のための作業に従来に比べて時間がかかったり、コストや契約内容によっては復旧工事が実行されないなど、公共インフラを支える仕組みとして懸念や疑問が広がっております。

 そこで伺いますけれども、コスト削減、効率化を求めて進展してきた外部委託において、官民連携の事例増加に伴い得られてきた問題点、課題、失敗した点などの知見をしっかりと検証し修正する、そして今後に役立てていくことが必要不可欠かと考えます。これまで所管し取り組んできた厚生労働大臣より、御所見を伺います。

加藤国務大臣 今、水道事業の現状は、施設の老朽化、また人口減少による料金収入の減少など、水道の事業基盤の急速な悪化が懸念される中、それに対して、民間企業の技術や経営ノウハウ等を活用することができる官民連携は、水道事業の基盤強化を図る上での有効な対応策の一つと考えております。

 官民連携の手法としては、一般的な業務委託や、設計、施工を一括発注する方式、民間資金を活用する方式など、様々な手法があります。各水道事業者において、地域の実情や必要性に応じ、適切な手法が選択されているものと承知をしております。

 厚労省では、水道事業者のこれまでの経験を通じて得られた官民連携の課題や留意点など、可能な限り把握をした上で、全国水道関係担当者会議や官民連携推進協議会の場で水道事業者等に周知をしているところであります。

 例えば、官民連携については、人材不足を補うことができる、民間のノウハウを活用できる、コストを低減できるといったメリットがある一方で、官側の技術継承が途絶える、将来における業務の継続性への不安といった課題に対応していく必要があること、また、住民や議会への丁寧な説明が必要となるといった留意事項があること、こういったことについて周知を図っているところであります。

 今後とも、水道事業者においては、地域の実情等に加え、こうした課題や留意点等を十分に踏まえながら、官民連携を適切に活用していただきたいと考えております。

小宮山委員 日本国内においては水道事業の外部委託、民間活用への動きが見られますけれども、諸外国では、逆に公営化へと戻している事例が出てきております。

 本法改正に伴い、厚生労働省から国交省、環境省に水道事業がそれぞれ移管されますけれども、移管を控えて、現状に関して、厚生労働省に改めて伺わせていただきます。

 現在の上下水道の長寿命化、メンテナンスの進捗状況及び漏水量、人口減少や過疎化など、現場となる地方自治体では小規模集落などへの接続の限界など、国土交通省への移管に向けて何か申し送りすべきこと、問題点がございましたら教えてください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 水道整備、管理行政につきましては、近年、我が国の水道は約九八%という高い普及率を達成し、国民生活や経済活動に欠かすことのできないインフラとして社会に定着しております。さらには、飲用に適さない水が摂取されるリスクも減少しております。一方で、人口減少社会の到来に伴う水道事業者の経営環境の悪化、水道施設の老朽化の進行や耐震化の遅れといった課題に対応する必要性が増すとともに、災害発生時の断水といった災害対応に迅速に取り組むことが求められております。

 水道施設の老朽化につきましては、法定耐用年数を超えた管路の割合が年々上昇しております。令和二年度時点で二〇・六%に達している一方で、管路の更新率は一年当たり〇・六五%にとどまっております。

 人口減少が進む中、経営基盤が脆弱な水道事業においても、引き続き、先ほども言いました広域連携や官民連携の推進等を通じて経営の効率化を図りつつ、水道施設の計画的な整備を進めることが重要であると考えております。

 さらに、過疎地などの小規模な水道事業においては、地域の実情に応じた対応を行っていくことが重要と認識しております。例えばですけれども、比較的規模の大きな浄水場から管路でつないで水を供給する方法ではなくて、小規模な水源、浄水施設を設けて水を供給する方法が有効な場合等もございます。こういったことを、水道事業者において持続可能な給水方法を検討することが重要であると考えております。

 こうしたことを、私ども厚生労働省としては、円滑な業務移管の実現に向けて国土交通省に引き継ぐとともに、更に様々な形での連携を進めて、必要な準備を進めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 人口減少によって、公営企業が大半かと思いますけれども、水道事業での収入というのが得られなくなる。また、人口減少というものも影響してくるかと思います。

 今後の人口減少による水道水の需要見込みと現状の傾向、変化の傾向について御説明ください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状でございます。

 我が国の給水人口は、平成二十二年度、二〇一〇年度に約一億二千四百万人でピークを迎えました。その後、減少傾向で、約十年後の令和二年度、二〇二〇年度には約一億二千三百四十万人となっております。

 水道料金の徴収の対象となる一日当たりの水道水の供給量を示す有収水量は、平成十年度、一九九八年度に約四千百万立方メートルでピークを迎え、二十年余り後の令和二年度、二〇二〇年度には約三千六百八十万立方メートルとなっております。

 続いて、将来見込みについてです。

 国立社会保障・人口問題研究所が平成二十九年推計として、日本の将来推計人口のデータを出しております。こうしたものを基に厚生労働省で試算を行いました。二十数年後になります二〇五〇年の推計になりますけれども、給水人口については、ピーク時の八〇%に当たる約一億人、有収水量につきましては、ピーク時の六七%に当たる約二千七百六十万立方メートルまで減少するものと見込んでおります。

小宮山委員 人口の推移から様々な課題というのも見えてくるかと思います。

 厚生労働省の発表によりますと、二〇二二年の出生率、速報値では七十九・九万人と、七年連続で過去最少を記録しています。また、速報値には日本における外国人、外国における日本人などを含むため、日本における日本人だけを数えると七十七万人ほどとなると見られています。総人口は一億二千四百九十七万七千人で、前年に比べ五十五万六千人ほど減少となっております。これも十二年連続で減少しているという数値です。

 私が初当選をした頃は、人口減少の実態を表現するときに、毎年二十万人の都市がなくなっていくとされておりましたが、今や五十五万人規模の、政令指定都市に準ずる、中核市としても大規模な都市、例えば八王子や姫路市のような都市がなくなるという規模で人口が減ってきております。当然、需要見込みというものも変わってくる。そうすると、接続することが、布設が、巨大なお金がかかるとできなくなる、そういったエリアが生じてくるのではないでしょうか。

 そこで、今回の法案の関係ですけれども、そもそも、新型コロナ感染症による厚生労働省所管業務の増加も水道行政移管の背景にあると聞いておりますが、仮に新型コロナ禍がなかったら、この移管も行われなかったのかと考えられますが、この点、厚生労働大臣、いかがなのでしょうか。教えてください。

加藤国務大臣 今回の移管の背景には、新型コロナに関するこれまでの取組を振り返り、次の感染症危機に備えるため、昨年六月、内閣官房に設置された有識者会議で、政府の対応に対する客観的な評価とともに、次の感染症危機に対してどう対応すべきかといった整理をしていただきました。その上で、政府対策本部で、政府の司令塔機能を強化するとともに、厚生労働省における平時からの感染症対応能力を強化するに当たり、生活衛生関係の組織について、一部業務の他府省庁への移管を含めた所要の見直しを行うとの対応の方向性が決定され、更に関係省庁間で議論を重ねた結果として、今回の法律を出させていただいたところでございます。

 その上で、今委員、仮にということでありますが、仮に立って申し上げるというのはなかなか難しいことは御理解いただきたいと思いますが、ただ、今回の感染症の例の対応も含めて、時代に応じて要請される行政課題への対応、これに政府全体として、また、厚生労働省においても組織の見直し等で取り組んでいく必要があり、また、今後ともそうした方針で取り組んでいきたいというふうに考えております。

 あわせて、今回のこうした見直しの中で、感染症危機への対応はもとより、生活衛生等関係行政の機能強化も図っていきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 結構、この法案、急に浮上してきたなという思いもしますし、もしそうでなくて、厚生労働省のままであったらこの先どうなっていたのかなと。ある意味、一元管理をしていくというのは好ましい方向で、新たな展開、上下水道の課題というのを進められるような国土交通省の対応を期待をしたいところであります。

 現在の日本は、子供の貧困、経済格差など、多くの社会問題があります。水はライフラインの中でも最後のとりで、命をつなぐ重要な公共財です。以前、私の地元川越市でも、高齢者夫婦がアパートで餓死した事件が起こっています。この時代で餓死がある、水も飲まず止まっているということも、実際には、幾つかこの十年ぐらいの中でも報道がされています。

 水道料金徴収の未納による水道の給水停止は、年間どのぐらい起きているのか、まずその点をお聞かせください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず数でございますけれども、水道料金の滞納による個々の利用者に対する給水の停止は、それぞれの水道事業者の判断によって行われるものでございます。よって、厚生労働省としては、給水停止の件数を網羅的に、全ての把握、集計等は行ってはおりません。

小宮山委員 諸外国において、公共サービスを一旦は民営化へと進めていった後に、メリット、デメリットを評価するなどして、再度公営化へ戻すことが、水道事業だけでなく行われております。

 日本国内で、民営化、民間開放などが海外の好事例として紹介され検討、実際に導入される頃には、実はその好事例と言っていた海外では、もう実行し、住民コストの増大など反対運動が起こり、自治体が検証や契約の見直しをして公営に戻されている事例ということになり、日本の対応は周回遅れということが見受けられております。

 安定的に、持続的に、安全、安心して誰もが利用できる水道をどのような方式、規格、範囲で提供していくかは、人口の増減や居住可能地域、商業、工業などの立地、地域の在り方、町の在り方にも大きく影響します。

 この再公営化の経緯というものがドキュメンタリー映画、これですね、「最後の一滴まで ヨーロッパの隠された水戦争」というのになっております。是非御覧いただければと思いますし、この中では、水道事業について、海外事例と注目されたフランス、パリ市が挙げられていたり、また、その後、再公営化したのは、フランス第二、第三の都市でもありますボルドー市やリヨンでも、今年一月、公的管理へ移行し、また、貧困層への料金免除なども計画されているそうです。

 時間の関係で先に進みますけれども、今後、水道、下水道事業について、公共サービスであることの意味を再確認し、水道事業に寄与していくことが必要と考えます。また、今回の移管が、将来、水行政の統一、一元化の端緒となることを期待しておりますが、この点に関しまして、国土交通大臣の御所見をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 水道及び下水道は、共に日常生活に不可欠な重要インフラであります。国土交通省といたしましては、下水道事業はもとより、水道事業についてもしっかりと取り組んでまいります。

 また、水は循環している中で様々に利用されていることから、水に関わる行政については、各施策を相互に連携、調整しながら進めることが重要だと認識しておりまして、引き続き関係省庁との連携に努めていきたい、このように思っております。

小宮山委員 今回は上下水道の整備及び管理の一元化と言えますけれども、今後ですけれども、自治体の方ではもういろいろなものが一元化されています。生活排水の適正処理の一翼を担っている浄化槽も含めて一元化をするということも、合理的、経済的には必要かと思います。

 この点に関しまして、国土交通、三省は、水に関して今後は牽引役となります。この点に関しての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

木原委員長 小宮山君、時間が経過しておりますので、終了してください。

小宮山委員 はい。

 今質問したとおりです。

木原委員長 じゃ、答弁、簡潔に。

斉藤(鉄)国務大臣 簡潔に。

 下水道は国交省、農村集落排水は農水、また浄化槽は環境ということでございます。

 よく三省連携して、この汚水処理、しっかりと汚水処理、一〇〇%になるように頑張っていきたいと思っております。

小宮山委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 福島二区、立憲民主党の馬場雄基です。

 国交委員会そして並びに厚労委員会では初めての質疑になります。斉藤大臣、加藤大臣、そして委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 メインは厚労省さんと環境省さんになりたいというふうに思っておりますので、もし斉藤大臣、このお時間をお使いになってお手洗いの方をお済ましになられても大丈夫です。どうぞよろしくお願いいたします。

 なぜ私がこの質問に立たせていただいたかということでございますけれども、この水道法案は、今まで厚労省さんが管理していた水道というものを、上水道ですね、こちらを国交省そして環境省にも大きく分けていくというところの内容でして、現在私は環境委員会で活動しているものでもありますので、その見方から御質問させていただければというふうに思っております。

 まず初めに、こちらは簡単に確認させていただきたいと思うんですけれども、業務を移管するに当たって、今年度の厚労省さんとしての水道行政の予算そして組織体制、そのうち国交省として今後担い得るであろうもの、そして環境省として今後担い得るものであろうという予算をどういうふうに内訳を管理されているのか、厚労省さんにお伺いさせてください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、組織体制でございます。厚生労働省で本業務に従事しておる職員は定員ベースで三十五名、このうち課長、さらには水道計画指導室長、水道水質管理官、こういう管理職を置いております。

 続いて、予算でございます。水道の場合、令和四年度の補正予算と今年度、令和五年度の予算を合わせて、数字を申し上げたいと思います。水道安全対策費というのがございます。これは、水道事業に関する各種調査や水質基準等の見直しの検討などを行うためのものでございまして、これが約一億円。今度、水道施設の耐震化や水道事業の広域化等の着実な推進のための施設整備費といった形のものの予算が約七百六十八億円を計上しているところでございます。

馬場(雄)委員 前半は分かったんですけれども、後半、私の質問にちょっと答えていただけていないんですが、国交省さんと環境省さんが今後担い得る内訳というのは、現状は把握できないということでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの約一億円と申したのが、水質を中心とした予算でございます。七百六十八億円と申し上げたのが、インフラを中心とした予算でございます。

 ですので、これらが基本的にはそれぞれの省庁に分けていくものと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 レクのときにはいただけていなかった数字でしたので、大変ありがたいというふうに思います。

 改めまして、今度は国交省さんと、そして環境省さんにお伺いしたいと思うんですが、今厚労省さんが言われていた数字というものを、それをどういうふうに今受け止めていらっしゃるのかということと、来年度の予算であったり、組織体制であったりというものをどのように考えているのかということを、国交省さん、そして環境省さん、それぞれにお伺いさせてください。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省といたしましても、今御説明のございました予算を含めまして、移管を受ける水道整備、管理行政について、しっかりと取り組んでいく必要がある、このように認識しております。

 体制につきましては、本法案に基づきまして、国土交通本省に加えまして、地方整備局等においても、新たに水道整備、管理行政を担うということになりますので、現場力、技術力を活用して、的確に行うための必要な組織体制が確保できますように、次の概算要求に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 また、必要な予算の確保も重要でございます。これらにつきましても、耐震化ですとか広域連携の推進など様々な課題に対応できるように、こちらも概算要求に向けまして、関係省庁と連携をしてしっかりと対応してまいりたい、このように考えております。

針田政府参考人 お答えいたします。

 環境省は、これまで一般環境中の水質の保全を所管しており、水道の水質、衛生に関わる業務の移管後は、水道水源から蛇口の水までを一体的にリスク管理することができるようになります。

 こうした一体的なリスク管理を推進する観点から、環境省が所管することとなります水道水質基準の検討等につきましても、詳細は今後検討していくということになるんですけれども、必要な予算、定員の確保については努めてまいりたいというふうに思っております。

馬場(雄)委員 お答えいただき、ありがとうございます。

 それぞれ検討も入るというふうに思いますけれども、しっかりと厚労省さんが今まで確保されていた体制、そして予算というものをしっかりと鑑みながら、効率ということも大切ではありながら、しかしながら、この法案は機能強化を図っていくということが最大の目的であるというふうに思っています。

 現場の方々のお話を複数伺ってきたんですけれども、現場に行けば行くほど、よくどうなっているか分からないというふうに言われてしまったのが正直な感想でございました。だからこそ、現場の話と恐らく省庁間の話がやや違うフェーズで動いてしまっている部分はありますけれども、最終的には現場の方々がしっかり業務に取り組める体制確保というものが何にも増して重要であるということを先に述べさせていただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ここからは、環境委員会的な質問になってしまうかもしれないんですけれども、機能強化の中でも、水質管理に絞って質問させていただければというふうに思っております。題材に関しては、ここ最近、よく報道にも上がりますが、がんや発育障害との関連が疑われる化学物質、PFASについてでございます。

 環境省さんに伺いますけれども、多摩地域の住民の血液からPFASが高濃度で検出されたという報道もございますけれども、そちらは事実でしょうか。確認お願いします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 多摩地域の住民の中でPFASの血液検査を受けた方がいらっしゃるということについては、承知をしております。しかしながら、現時点では、PFASの血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分ではないということでございまして、血液検査の結果の解釈、つまり高濃度と言えるかどうかという判断につきましては、困難であると認識をしております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 原因を分析中であるということは私も重々承知をしておりますけれども、要因として考えられる一つのうちに、地下水から取った、くみ入れた水道水というものもあると言われてはおります。現に、多摩地域の多くの浄水場の井戸とかからはPFASが実際に高濃度で検出されているということは、実際取られているデータとして持っていらっしゃるとは思いますが、水が一つの要因になっていた可能性が拭えないということであるならば、気を引き締めてかかっていかなくてはならない問題だと思っております。

 今回、業務が移管されるということを伺いまして、なおのこと、この問題を迅速かつ適切に解決に導かなくてはならないというふうに思っております。実際、今、環境省さんを主体にしながら専門家会議も開いていることは重々承知しておりますけれども、住民の不安を解消していくために、どのような取組を政府はなさるのでしょうか。お願いします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 多摩地域の住民のPFASに対する不安の声は真摯に受け止める必要があると認識をしております。

 環境省では、こうした状況などを踏まえまして、本年一月に専門家会議を設置し、科学的見地から御議論をいただいているところでありまして、その結果を基に、国民の安全、安心のための取組を進めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 これは何度か環境委員会でも取り上げてきたんですけれども、なかなかスピード感を感じられない部分が正直あるかなというふうに指摘せざるを得ないというふうに思いまして、住民の不安を解消していくために行政の責任を果たさなくてはならないというふうに、改めて私は思うわけです。

 これは、例えば正しい情報の発信という言葉もあるわけですけれども、じゃ、何をもって正しいと言えるか、情報発信といったものが国民一人一人に本当に伝わっていくのか、こういったこともまた考えていかなくてはならないのだと思っています。

 つまるところですけれども、PFASというものが有害性が確認されているのであれば、使わないというふうにされることが手っ取り早いと言えば手っ取り早いのではないかなというふうに思うわけですけれども、その点は御検討はされるんでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 使わないというのは輸入とか製造ということで受け止めましたけれども、既に、PFOSにつきましては、二〇〇九年五月にストックホルム条約におきまして、これは規制していこうというようなことが決定されまして、二〇一〇年四月から一部の用途を除き製造、輸入を原則禁止をしております。また、二〇一八年二月より全ての用途の製造、輸入を原則禁止という措置を取っております。

 また、PFOAにつきましては、二〇一九年五月にストックホルム条約において廃絶していくという決定がなされ、二〇二一年十月より製造、輸入を原則禁止という措置を取ってございます。

馬場(雄)委員 私も、事実として確認したいんですけれども、たしか、令和二年のときに、PFOS、PFOAに関しては、管理の目標値が多分設定されていたというふうに思います、水のことですね。PFOS、PFOAに関する水質管理においての管理目標値というのが定められたというふうに思っておりますが、これは、水質管理の目標値であって、結局、その部分を徹底的に図っていくという、一段上の水質基準項目には該当されていないというのが今の実態だというふうに把握をしております。

 この委員会においても、しっかりと住民への説明を図るという意味において、今までは水質管理目標値というものだったかもしれませんが、一段上にある水質基準項目にしっかりと引き上げていくということは、これは具体的に検討を進めていかなくてはならないと思いますが、その点、お答えいただけないでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、水道における、これはPFASの中で、PFOS、ペルフルオロオクタンスルホン酸、そして、PFOA、ペルフルオロオクタン酸について、委員御指摘の、令和二年、二〇二〇年の四月から、水質管理目標設定項目に位置づけた上で、PFOS及びPFOAの合算値で五十ナノグラム・パー・リッター以下という目標値を設定しております。

 昨今の動きでございますが、先月、米国の環境保護庁、EPAから、PFOS及びPFOAについて、それぞれ四ナノグラム・パー・リッター以下とする規制値案が公表されたところでございます。

 ほかの国の状況に目を転じますと、英国では、イギリスではそれぞれ百ナノグラム・パー・リッター以下という目標値が設定されております。WHOにおきましても、それぞれ百ナノグラム・パー・リッター以下とするガイドライン値案が提案されているなど、国際的に見て、PFOS及びPFOAに対する評価が必ずしも数字の面でそろっているというものではございません。

 一方で、先ほど委員御指摘のとおり、PFOS及びPFOAについては、免疫系や肝臓等への有害な影響の原因となり得ることが指摘もされております。

 こうした中で、厚生労働省としては、本年一月に、私ども水質基準逐次改正検討会というものを持っております、ここの場で、PFOS及びPFOAの取扱いについて検討を行ったところでございます。

 今後も、引き続き、毒性評価等に関する国内外の科学的知見の収集や、我が国における検出状況等の把握に努めつつ、専門家の御意見も伺いながら、まず数字だとか、またこの水質基準等体系の中での位置づけだとか、こういうことに関する検討を進めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 御努力には感謝申し上げたいんですけれども、そろそろ検討から実践に変わるときではないかなというふうに思っています。諸外国の方では、そういうふうな、もう、検証そして実践というところまで移ってきておりますので、今回行われているものに関する調査、そして検討、実践というところの検討段階が余りにも少し長いのではないかなというふうに思いますので、よりギアを上げて、住民の不安に対する、その解消をする面で、行政の責任を果たしていただければというふうに改めて思います。よろしくお願いいたします。

 前回、実は質問させていただいたこともあるんですけれども、消火剤、PFASが含められている消火剤について、前回私が質問したときには、適切な保管を検討するというふうにも言われておりましたけれども、在庫がずっと残ってしまう、そういうふうな課題もあるのではないかな、消火剤が残ってしまうのではないかなというふうに。保管を検討するだと適切な保管になってしまいますので、利用の規制というものにはならないというふうに思うわけですが、早急の物の切替え、あるいは使用の停止、そういったものを、具体的に動くことが機能強化になるのではないかなとも思うんですが、この点は、環境省さん、いかがでしょうか。

針田政府参考人 お答えします。

 先ほどのお水の件もございますが、専門家会議で、今、二つの専門家会議をさせていただいておりまして、水の方の、厚生労働省さんの水道水の検討会とともにさせてもらっているものと、専門家、まさに総合戦略をやっているところがありまして、それぞれ検討を進めております。

 アメリカまたヨーロッパにおいて様々な検討があるというのは、実際に一つの方向性に向かって収れんしてきているわけでもなく、いろいろディスカッションが出ておりますので、そこら辺もしっかり日本としても取り組んでいきたいというふうに思っております。

 いろいろ専門家によるディスカッションをしてもらっているんですけれども、検討してもらっているんですけれども、なかなか一つにまとまるところには至っておらないのが事実でして、できるだけ早急にまとめられるようにというふうに考えてはおります。

 今御質問ございました、泡消火剤に関しての御質問ですけれども、PFOS及びPFOAに関する対応の手引きについて、泡消火剤を出しておりまして、泡消火剤の適正管理とか環境汚染の防止についての技術上の基準の策定、また科学的知見に基づく水質の目標値等の検討など、関係省庁といろいろやっておりまして、保管の話を含めまして、関係省庁連携して取り組んでまいりたいというところになります。

馬場(雄)委員 御答弁ありがとうございます。

 御努力には感謝申し上げたいというのは先ほどから申し上げていますけれども、やはり、検討で終わる、検討、検討ということではなく、住民の不安もかなり高まってきているのは皆様も御承知のとおりだと思っていますので、世界がどうのこうのというよりも、日本でしっかりどういう議論がされていて、それをオープンにしていき、それをどういうふうに実践に変えていくのかというフェーズにおいて、行政の責任を、繰り返しですけれども、果たしていただきたいというふうに思っております。

 移管ということにおいては、やはり、水質管理を徹底する、環境省においてはそういうことになるんだろうなというふうに思いますし、PFASという懸念が今見られている中で、今後、このような課題に関して、未然に防ぎ、そして、こういう問題が起きたときにどのように迅速に課題解決に向き合っていけるかというところが非常に大事になるんだろうなというふうに思っております。その点について、改めてですけれども、よろしくお願いしたいというふうに思っています。

 続きまして、加藤大臣に、これまで水道行政を担われてこられた厚労省としての御所見をいただきたいというふうに思うわけですけれども。

 水道行政、ちょっと大きく伺いたいんですが、都市ではいろいろと経営が成り立つというふうに思っています、利用者数も多いということですから。ですが、地域においてはかなり厳しい状況が起きているのではないかなというふうに思います。民間委託というお言葉もありますけれども、都市においてはそれがビジネスで成り立つのでいいのかもしれませんが、町村の方においてはなかなかそれが成り立たず、なり手も見つかりにくいというのが現状だと思います。

 だとするならば、国の形において、稼げるところのポテンシャルがある地域と、そうじゃない地域をしっかりと資金で循環させる仕組みをつくることの方が私は適切じゃないかなというふうに思うんですが、これまで担われてきた加藤大臣としての御所見をお願いします。

加藤国務大臣 御指摘のように、人口が少ない地域、なかなか、水道事業の経営、大変苦労されておられます。

 そういう中においても、水道事業の持続性を確保していく観点から、水道事業の基盤強化が大事であります。これまでも厚労省においては、広域連携の推進、適切な資産管理の推進、官民連携の推進、これらに取り組んでまいりました。また、定期的に水道事業の運営に関する調査を行うなどにより、各水道事業の経営状況のフォローアップなども行ってまいりました。

 具体的には、広域連携の推進に関しては、平成三十年の水道法改正で、都道府県が水道事業者の広域的な連携を推進することについて努力義務規定を設けるとともに、都道府県による広域連携の推進のための協議会の設置などについて法律上の位置づけを行いました。

 また、適切な資産管理の推進においては、同じく、水道事業者が水道施設を良好な状態に保つため、施設の維持、修繕を行うことや施設の計画的な更新に努めることなど、適切な資産管理を推進するための規定の創設。

 さらに、官民連携の推進に関しては、民間企業が有する技術や経営ノウハウなどを活用するため、経産省と厚労省が連携して開催する官民連携推進協議会などにより、水道事業者等と民間事業者との連携を促進するための取組を図ってまいりました。

 このように、これまで厚労省としても水道事業の基盤強化に向けた取組を進めてまいりましたが、今般、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省に水道整備、管理行政を移管することで、層の厚い地方支分部局を活用しつつ、下水道等の他の社会資本と一体的に水道施設の整備等を進めることが可能と考えております。

 厚労省としては、定期的な水道事業の経営状況のフォローアップ、また、今申し上げました水道事業の基盤強化、広域連携等でありますが、に向けた各種の取組、これらも含めて、今般の業務移管においては、国交省に適切に移管し、引き続き移管後においても国交省において適切に進めていただけるよう、必要な知見をしっかり引き継いでいきたいと考えております。

馬場(雄)委員 これまでと今と言われるものと、今とこれからというのはまるで多分違う状況になるんだろうなというふうに思うわけでして、地域の過疎化がやはりこれからどんどんどんどん加速していく、今までは右肩上がりだった人口規模もどんどんどんどん右下下がりになっていく中で、大きなパラダイムシフト、そして国の形と言われるものが相当問われなければいけない時代にかかっているというふうに思っています。

 そうなったときの、この水というのはやはり命の水でもあります。絶対守り抜かなくてはならないその水を考えていく上で、しっかりとそれを守り抜く体制というのを、国の形として、稼げるところは稼げる、そうじゃないところはそうじゃないというふうに分けるのではなくて、そこをしっかりと結んでいく社会のシステム構築の方が私は重要じゃないかなというところは改めて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 もう一点だけお伺いさせていただきたいのが、私がもう一つ不安なのは、稼げるところにはもちろん民間のチャンスがあるわけですから、市場が構築されていくわけです。その市場の構築の中に入ってきているのが、海外メーカーも含めて入られています。ヴェオリアさんとかも含めてそうだと思うんですが、ここで、もちろん国内メーカーの企業も頑張っていらっしゃいますけれども、これをどういうふうに管理していくのか。管理という表現がよくないかもしれないですが、ビジョンテイクするのか。海外のメーカーが入り込む、その部分をどういうふうに、ある意味でいうと守り、そして国内を維持し、発展させ、ちゃんとした水行政を適切に実行していくのかということが極めて大事だと思いますけれども、海外メーカーさんが進出してきているその今というものをどのように感じておられるのか、大臣の御所見をお願いします。

加藤国務大臣 その前に、先ほど委員おっしゃった、まさに広域化をどう進めていくのかということに関しては、令和五年四月二十五日時点で四十五の都道府県で水道広域化推進プランを作成していただいております。その中で、水道事業者ごとの経営状況に係る現状と将来の見通し、広域化のパターンごとの将来見通しをシミュレーション、こういったことも行っていただいて、足下だけじゃなくて、今後も見通しながら、事業基盤、この強化をしっかり図ってもらうよう取組を進めてもらっているところでございます。

 それから、海外の水道関連の大手事業が諸外国で水ビジネスに積極的に参入していることは承知をしております。

 厚労省では、水道事業の持続可能性を確保するため、先ほど申し上げました官民連携等を推進をさせていただいているところでありますが、水道事業を運営する地方公共団体が民間企業に業務の委託等を行う際は、業務の仕様や必要な技術力などを示した上で、事業の安定的な運営、これが大事でありますから、その観点も踏まえて入札等により業務を請け負う企業等を選定していると承知をしております。

 現状でありますけれども、受託している企業は国内企業がかなりの部分を占めており、現時点ではですね、となっております。また、海外の企業だからということだけをもって入札から排除されるものではないのは御承知のとおりであります。

 水道事業の持続的かつ安定的な事業運営が先ほど申し上げたように重要でありますので、その点に対しては、移管後においても、国内の水道事業者の経営状況等のフォローアップを行いながら、各事業者において民間企業の経営や技術力、経営ノウハウの効果的な活用が進むよう、国交省とも緊密に連携し、またこれまでの知見をしっかりと引き継いでいきたいと考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。きちんと市場を見守りながら、しっかりと持続可能な水道行政を発展できるように私としても頑張らせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

    〔木原委員長退席、三ッ林委員長着席〕

三ッ林委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 私は、厚労と国土、両方兼務させていただいておりまして、今日は二つの立場から、委員長が三ッ林先生ですので、厚労の立場で質問させていただけたらと思います。

 水道事業が厚生労働省から国土に移るということで、私は、これは、厚労省の今までの水道の中の水の安心というところから、やはり、インフラをどうやってしっかり守っていくかというところに問題意識が変わってきて、国土に替わっていかれるんだろうというふうに感じております。これは非常に、水道事業に関しては私も専門ではないので、いろいろな専門家や水のジャーナリストの方からお話を伺いますと、移管することによって水道事業は前向きに発展していくだろうというふうなお答えをいただいております。

 ただ、そもそも、いろいろな委員からも質問がありましたが、やはり、人口が減少していく中で、水道事業が持続できるのかというところは大きな問題だというふうに思います。水道法の改定があって、先ほど加藤厚労大臣もおっしゃっていたんですが、二つ以上の自治体が協議して事業を行う広域化、これは四十五か所、今やられているということをお聞きをしました。また、公共施設の運営権を設定することによって官民連携ができるということも打ち出しています。

 こういったことも踏まえながら、今まで加藤厚労大臣が水道事業に関わってきて、人口減少の中で持続できるのかというところを、少しまた、今までの委員のお答えと違う視点からお答えいただけたらなと思いますので、よろしくお願いをいたします。

加藤国務大臣 なかなか、違う視点といっても難しいところでありますけれども。

 私ども先ほどから御説明していますように、特に地方の小規模で経営基盤が脆弱な事業者、そうした中で、今後の人口減少もあって、なかなか経営の見通しも立ちにくい、こういったことがある中で、経営の効率化を図り、水道事業の基盤強化を図っていくことが必要であり、そのためには、今委員お話があったように広域連携や官民連携、こういったことを進めさせていただき、そのために、平成三十年、あのときも私は厚労大臣だったんですけれども、水道法の改正もさせていただいたところでございます。

 その結果において、先ほどちょっと御説明しましたけれども、水道広域化推進プランを各都道府県に策定いただき、また様々なシミュレーションも行い、それにのっとって経営基盤の充実を今進めていただいているところでございます。そうした中で、例えば平成二十三年度から令和三年度の間で、上水道事業でいえば千四百二十九が千三百四、簡易水道については六千四百五十五から二千四百十五事業という形で統合が進んできているということがあります。

 さらに、現在、さはさりながら、老朽化が進み、耐震化もなかなか進まないという先ほど事務局の方から答弁をさせていただきました。そうした中で、社会資本整備や災害対応に対する知見、能力を有する国交省に今回、水道整備、管理行政の部分を移管するということ、このことは、下水道等の他の社会資本と一体的に水道施設の整備を進めるという意味においては大変資するものではないかというふうに考えておりますので、今後、この業務移管を円滑に行い、また、そうした今回の法律の改正に伴うメリットといいますか、それがしっかり発揮できるよう、よく国交省とも連携を図っていきたいと考えています。

一谷委員 数が増えていっているということで、広域化が進んでいるというふうに認識をしました。

 私は、政府の方と、国土交通に移って、国土強靱化というような予算も使って水道管の工事ができるんじゃないですかというふうにお聞きしたときは、まだ移管もされていないのでこれから決定していきますというお答えでしたので、なかなか国土大臣からは御答弁しにくいかも分からないんですが、もう皆さん、意気込みをというふうに何度も質問しているんですが、是非、斉藤大臣から、国土に移った場合にこういったことを国土としてやっていくというようなことがあると思いますので、御答弁いただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、これまで厚生労働省が努力してこられた広域連携、官民連携、まあ水道事業者はいろいろな形態や大きさがございます、そういう中でこの広域連携、官民連携は非常に有効であった。これはしっかりこれから引き継いでやっていって、水道事業の経営基盤の強化を図っていきたいと思っております。

 そのほかのいろいろな施策、耐震化でありますとか老朽化対策とか、国土交通省として何ができるか、移管がありましたらこれはしっかり考えて、いろいろな予算や制度を使ってこれまで厚生労働省が努力されてきたことを引き継いでいきたいと思っております。

一谷委員 是非よろしくお願いいたします。地方自治体はほとんど上下水が一緒だというふうにお聞きしていますので、地方自治体から国への要望も上げやすくなるのではないかというふうに思います。

 それでは、水道料金について二つ、質問を政府の参考人の方にさせていただきたいんですが、水道事業というのは設備産業であると思います。一定、材料費や施工費、維持管理費がかかります。この維持というものに関して、ハード面の維持というのは料金に直結していくんですが、ハード面の維持をどのようにしていくか。水道を供給するのに面積が広いほど広大な面積を管理していかなければならないということも含めて、対策をお聞きします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、水道事業の原則は独立採算となっております。ですからこそ、将来にわたり安定的かつ持続的に健全な経営が確保されることが重要になってまいります。

 水道事業の維持管理費をどう抑えるのかということですけれども、先ほど来御答弁申し上げている広域連携の推進によって事務の共同化等による経営の効率化を図ることができるほか、水道施設の規模や配置の最適化等によっても維持管理費を削減することが可能であると考えております。加えて、ICT等の先端技術の活用によっても維持管理費を抑えることが可能と考えています。

 厚生労働省としても、新たな技術に関する情報を収集し、技術的支援等にこれまで努めてまいりました。こうした知見につきましては当然ながら国土交通省に引き継いで、更に進むように取り組みたいと考えております。

一谷委員 二〇二一年の三月の民間の調査するレポートですけれども、二〇四三年度までに水道料金の値上げが必要と推計される事業所は千百六十二事業所、末端給水事業体の九四%が値上げをしないといけない、全体で四三%というふうに書かれております。小規模事業所ほど料金の値上げ率が高い、これもすごい理解ができるところだと思うんですが。特に北海道、東北、北陸地方に多く、そのうちの三割以上の事業体が、何と料金を五〇%ほど上げないといけないというような民間の調査のレポートを読みました。

 そこで、二〇一九年度施行の水道法改正のときに、資産管理及び水道料金の見直しについて、アセットマネジメント計画というのを計画して維持管理をしていく、そして、おおむね三年から五年で料金を見直していかなければならないというふうに書かれているんですが、このアセットマネジメント計画は進んでいるのかどうか、計画どおりに。それを厚生労働省の政府参考人の方にお聞きします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、水道事業の経営に要する経費については水道料金収入により賄うことが原則であるため、計画的に水道施設を更新していくことが必要となっています。

 このため、平成三十年の水道法改正において、水道事業者が水道施設を良好な状態に保つため、施設の維持、修繕を行うことや、施設の計画的な更新に努めることなど、適切な資産管理、これが委員御指摘のいわゆるアセットマネジメントでございますが、これを推進するための規定を法律上に創設したところでございます。

 水道事業者における資産管理の実施状況についてですが、厚生労働省が令和三年度に実施した調査によりますと、千三百九十三事業者のうち、約九割の千二百四十一事業者において、更新需要や財政収支の試算を行っており、このうち千六十七事業者において、おおむね三年から五年で収支の見直しを行っていたところでございます。

 私ども厚生労働省としては、引き続き、水道事業者に対し、適切な資産管理が行われるよう指導助言を行っていくとともに、水道事業の経営の効率化、これを図りつつも、必要な経費を水道料金収入により賄うことができるよう、適切な料金設定を要請してまいりたいと考えております。

 加えて、水道法に基づく水道基盤を強化するための基本的な方針、これも定めております。この中では、水道事業者は、住民のニーズに合った積極的な情報発信を行うこと、住民の意見を聞きつつ、事業に反映させる体制を構築すること、水道は地域における共有財産であるという意識を醸成することが重要である旨もお示ししているところでございます。

 こうしたことによって、水道事業が住民の理解を得ながら運営されるよう、水道事業者に対して必要な助言を行ってまいりたいと考えています。

一谷委員 水道料金は自治体が料金を決めるんですけれども、今の御回答で、今の料金というのは適切であるというふうに思われているかどうかというところ、もし答弁ありましたら、できましたら政府参考人の方。もしなければ、これは質問しますと言うてないので、なければないで大丈夫です。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 総論で申し上げますと、当然ながら、各事業者は、それぞれの状況また将来見通しを踏まえての現在の料金設定になっているものと考えておりますので、その意味では、現在の設定というものは、その状況においては適切なものと考えております。

一谷委員 この水道料金については、もちろん地域間格差も問題だと思うんですが、やはり世代間格差を生まないということが大事ではないかなと思うんですね。今、適切な料金でなくて、将来、非常に急に水道料金が上がるというようなことがないようにしなければならないのでないかというふうに思います。

 それでは、少し視点を変えて質問をさせていただきたいんですが、なかなか、上下水管、今回は上水ですが、国内隅々まで行き渡らせ、そしてこれを更新していくというのに、人口の減少もあり、税収がなかなか上がっていかない中、無理があるのではないかなというふうに私は考えます。そこで、コンパクトシティーということについてどうお考えか、国土、厚労大臣のお考えをお聞きします。

斉藤(鉄)国務大臣 人口減少、少子高齢化が進む中で、地域の活力を維持し、生活に必要なサービスを確保するためには、地域の実情に応じて居住や都市機能の適切な立地を図ることが大切でございます。

 そうした観点から、地方公共団体による立地適正化計画の策定を通じて、居住や医療、福祉などの都市機能を拠点に誘導し、公共交通ネットワークで結ぶことで持続可能なまちづくりを進める、いわゆるコンパクト・プラス・ネットワークを国土交通省として推進しております。

 国土交通省としては、本年夏に策定予定の新たな国土形成計画の内容も踏まえつつ、立地適正化計画の策定や、計画に位置づけられた施設整備への支援等を通じまして、人口減少社会に対応したまちづくりを推進してまいりたいと考えております。

一谷委員 そういったコンパクトシティーの成功事例の自治体も拝見をしまして、どんどん進んでいけばいいなというふうに思うんですが、とはいえ、限界集落に住まわれている方や、これから観光を誘致したときに、やはり日本の自然でというふうなことで、なかなか水道が行き渡らないところで生活というふうになったときに、私は、昨年の九月に日本橋のWOTAという会社へ視察に行かせていただきました。これは、災害とか後進国の医療のときの水の循環を、九割ぐらいでしたかね、九割五分でしたかね、使った水をまたきれいにできるというふうなシステムで、見学に行ったんですが、実は、ここの会社、住宅規模の全排水にも対応しているというふうにお聞きをして、少し驚いたんですが。

 こういった小規模分散型水循環システムをインフラの一部だというふうに認め、導入していくということについてどう考えておられるのか、政府参考人の方にお伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本当にどうやってここから先、安定的な供給をしていくのか、これを考えますと、まず経営基盤、これの安定化のために、広域連携ですとか官民連携の推進も必要ですし、また、水道施設の計画的な整備、これも必要になります。こういったことの組合せで水道事業の基盤強化を図っていくということが重要になります。

 この観点に立ちますと、過疎地などの小規模な水道事業において地域の実情に応じた対応を行っていく、このことは当然重要でございます。よって、委員御指摘の点を踏まえますと、比較的規模の大きな浄水場から管路でつないで水を供給する方法だけではなくて、小規模な水源、浄水施設を設けて水を供給する方法が有効な場合等もあります。水道事業者において持続可能な給水方法を検討することが重要であると考えております。この場合の水道というのは、当然、飲用、飲み水を前提にしたものでございます。

 一方で、先ほどの委員の御指摘、また前回の委員会、厚生労働委員会での御指摘のとおり、様々な水の用途ということを考えたときに、またそれぞれの適切な方法、もちろん水質の管理が大前提でございますが、こうしたものを研究しながら必要に応じて組み合わせていく。こういった形で、平時における水道水の供給、また、災害時等にも対応できる水インフラの整備、こういったことを進めてまいりたいと考えております。

一谷委員 せっかくこういったイノベーションの芽が育ってきていますので、規制でこれを摘み取らないようにしていただきたいなというふうに思いますし、確かに飲料まではいかないと思うんですが、技術は日々進歩していくと思います。水道事業に関しては、やはり、自治体も国も行財政改革を進めて財源をしっかり確保して、これは高額にならないということが大事だと思いますので、是非協力をみんなでしていかなければならないと思います。

 それでは、最後の質問なんですが、水道事業の海外展開についてお聞きしたいと思います。

 いろいろな企業も政府も海外へ出ておられます。日本は先進国としての役割としてこういった後進国の水道事業をよくしていかなければならないというふうにありますし、これは先ほど質問を聞いていて私が思ったんですが、なかなか先進国も、水道事業がうまくいっている、民間に任せたからうまくいっているという国も少ないように思うので、こういった先進国にも日本の技術を輸出して、これで税収を上げていくとかお金を稼ぐというようなこともできるのではないかなと思うんですが、これを最後の質問として、これは厚労大臣の方にお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、蛇口をひねったら安全な水が出る、日本では当たり前といった状況、これが世界の当たり前かというと、必ずしもそうではないわけでありまして、我が国の水道事業は、水道施設の整備、維持管理においても大変高い技術や豊富な知識経験を有しておりまして、従前から途上国を中心に積極的な支援を行っておりますが、中でもカンボジアに対する支援は大変有名であります。

 JICAの技術協力や無償、有償資金協力事業として、北九州市が核となって、一九九三年から、首都プノンペンの水道の整備に対する支援を開始し、二〇〇四年には、プノンペン水道公社が蛇口から直接飲むことができる水質を実現し、今では、二十四時間で約二百万人の方が飲用可能な水の供給を受けているということであります。我が国が主体的に支援したこの取組は、プノンペンの奇跡と呼ばれているようでありまして、現在では、JICAにおいて、主にアジア諸国の水道事業者を集めたフォーラムを開催し、プノンペンでの知見、経験を共有することにより、他の途上国への横展開を図っているところであります。

 こうした展開、引き続き、今度は国交省に移管するわけでありますけれども、これまで培ってきたノウハウ等々をしっかり国交省にも承継し、こうした分野における日本のプレゼンス、これもしっかりと高めていけるように努力をしていきたいと考えています。

一谷委員 今、加藤厚労大臣からすごい勇気の湧く回答をいただきました。

 実は、私もミャンマーで水道のことも現地の人に聞いてみたら、やはり日本が造ってくれるそういったインフラは潰れないというふうな、すごい高い評価をいただいていましたし、私がこの質問をさせていただくときに政府の方とお話ししていると、一人の女性の方、今日ちょっといらっしゃらないので残念なんですが、トンガへ行きました、そして噴火が起きて、もうポンプも詰まってしまっているところを、体調を崩しながら何とかしてきましたというふうにお聞きをしました。まさにこの日本の高い技術を世界へ向けて、日本を勇気づけて、日本の水道事業も乗り越えていって、次の世代にいい上下水を残していきたいと思います。

 本日はこれで質問を終わらせていただきます。誠にありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 私は厚労委員会でございますので、今日は、斉藤国交大臣を始め国交省の皆さんに質問させてもらいます。

 まず、上下水道の一元化の影響について伺います。

 今回の法律案では、上水道は厚労省、下水道は国交省に分かれていた体制の実質的な一元化でありまして、六十年ぶりの機構改革とも言われます。

 水道法の第一条では、清潔にして豊富な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することと定められておりまして、また、直近の二〇二二年の厚労白書でも、水道行政というのは、健康で安全な生活の確保とあります。

 今回の法改正でこの水道行政が国交省に移るわけですが、水道行政をどのような位置づけで考えていくのか、国交大臣にまず伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省といたしましては、水道法第一条の「水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することによつて、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する」という法律の目的の趣旨にのっとって頑張っていきたい、このように思っております。

 今後、水道整備、管理行政を所管するに当たっては、国土交通省がこれまで取り組んできた下水道などのインフラ整備、管理に関する知見や地方整備局などの現場力、技術力を活用して、経営基盤の強化や災害発生時の早期復旧など、水道整備、管理行政に関するパフォーマンスがより一層向上できるようにしっかりと取り組んでまいりたい、頑張ってまいりたいと思っております。

田中(健)委員 そもそも、水道行政は、コレラなどが蔓延しまして、感染症を予防するということも大きな目的でありました。一方、水道普及率九八%に達する中で、上下水道の行政の必要性というのが、水道の普及による公衆衛生の改善、その実現による感染症の防止から、都市の健全な発展や公共用水の水質の保持などに重点が置かれることも考えられると思っています。一方、私も委員会で質問し、先ほども指摘がありました有機フッ素化合物、PFASの汚染など、今新しい問題も発生しておりますので、是非、水道行政が、公衆衛生から国交省における社会資本整備に、このように変わるようなイメージがありますけれども、公衆衛生が後退することがないように大臣にはお願いをしたいと思っています。

 その中で、高度成長期に急ピッチで整備されたインフラが更新期を迎えており、上下水道に関しても老朽化対策の必要性が指摘をされています。その中で、効率的な維持管理に向けた方策として、PPPやPFIといった拡大も期待をされています。

 社会資本整備の老朽化対策で、道路や橋やトンネル、さらには河川や港湾と、数多くの案件を手がけてきた国交省として、今回の上下水道の一体化を通じて、これらの制度の活用というのをどのように進めていくのか、考えていらっしゃるのか、参考人に伺います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、効率的な事業運営や老朽化対策、これを進める上で、水道事業における官民連携の取組というものは大変有効であるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましても、厚生労働省からこれまでの取組をしっかりと引き継ぐとともに、下水道事業などでも官民連携の知見もございます、これらを活用しながら、水道事業におけるPPP、PFIを適切に推進してまいります。

田中(健)委員 適切に推進するということなんですが、これまでも水道事業においても官民連携は進められてきましたが、一般的な業務委託、これは数多く進んできたものの、まだPFIは十二件、コンセッションは一件という実績であります。特に宮城県においては、この上下水道や、さらに工業用水も運営を民間企業に委託をされて、ちょうど一年がたっています。大変に経営環境が厳しい中で、民間の力をかりるということは大切なことである一方、もう一度民営化を戻したらという声もあり、これも先ほど委員の中から議論がありましたが、まだまだ、やり方、また方法が本当にこのままでいいのかといった議論もあります。是非、今回の上下水道の一体化で、国交省が中心となってこれらの課題についても取り組むということでありますので、議論を深めていただいて、その知見というものを私たちにも示していただき、前に進めていただければと思っています。

 さらに、今回、上下水道一元化とはなりましたけれども、水行政に関する縦割り問題というのは、上下水道の問題だけではありません。河川管理が国交省、農業用水が農林水産省、工業用水が経産省、水質対策や水質管理は環境省に分かれています。

 その中でも汚水処理について伺いたいと思いますが、国交省が下水道を担当する一方、小規模な集落を主な対象とした合併浄化槽は環境省、また農村や漁村の汚水処理を行う集落排水は農林水産省がそれぞれ所管をしています。水の一元化ということで水環境基本法が議員立法で設立をされて、内閣官房には水環境政策本部が置かれておりますが、どうしてもこれは理念法との性格が強いと言われています。

 斉藤大臣は、国交大臣とともに、水環境にも担当大臣として取り組まれています。上下水道が一元化された中、まず、具体的に、汚水処理等に関しても一元化の取組が必要ではないかという声がありますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今委員御指摘のとおり、国交省、農水省、環境省、分かれております。

 今、汚水処理は大体九二%まで進んだと言われております。残り八%、これをしっかり、汚水処理のサービスに浴していない国民の方がいらっしゃるわけですけれども、そこを進めるに当たって、下水道のところはもう大体整備すべきところは済んだのかなと、あとは地方部が残っている、そういう今、状況の中で、それぞれ、農水省、環境省が得意とする分野についてはそういうところに頑張っていただく、そして、三省連携してしっかりやっていくということの方が一番いいのではないかなと、私自身考えております。

田中(健)委員 汚水は、環境に悪影響を与える廃棄物の側面と、資源という側面も持っているかと思っています。環境資源としての汚水の特性を生かして、処理水や、熱や、またバイオマスといった循環型利用等を行い、循環型社会の構築にも、是非、国交省、先頭に立って寄与していただきたいと思っています。

 さらに、この議論を進めさせてもらいますと、今回、国交省が、インフラ整備、災害対策において能力と知見、層の厚い地方組織を有している、そして、水道の整備、管理を一元化に行うことで行政効率の向上につなげるというふうに法案には明記されていますが、インフラ整備が必要なのは、上下水道にとどまらず、明治用水の取水堰が崩壊をして、農業生産、工業生産に影響が出たといった事案も発生しています。上下水道の一体化を進める中、社会整備資本として更なる水行政の一元化についても必要性が問われていますが、その現状の課題と認識について大臣に伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 人々の生活や農業、工業等の経済活動に不可欠なものであることから、複数の省庁がそれぞれの施策目的に応じて水に関わる行政を所管していることには一定の合理性がある、このように考えております。

 一方、近年、気候変動の影響により激甚化、頻発化する水害に対応するための流域治水の推進や、昨年の明治用水の事故のような非常時における迅速かつ適切な応急対応の実施などが求められております。

 これらの課題に対応するため、国土交通省としては、水に関わる関係省庁を始めとする関係者とのより一層の連携強化に努めてまいりたい、このように思っております。

田中(健)委員 激甚化する災害、確かに本当に多発しておりますので、是非、水行政一元化ということも踏まえて、国交省がしっかり対応していただきたいと思っています。

 さらに、水道行政、料金のことでお伺いしますが、水道は原則として建設費を料金で賄っている前提でありまして、下水道は汚水処理を使用料で、また、雨水処理というのは税金でカバーをされています。基本的に会計区分とは別になっておりますけれども、国レベルで今回、上下水道一元化されることで、両者の連携が自治体レベルでも進むことが考えられます。

 既に、上下水道の一元化、組織統合というのは地方公共団体でも進んでいるということでありますが、どれだけこれが進んでいて、今回のこの一体化によって、上下水道局のような形で地方の自治体で誕生した場合、そのような利点と留意点というものを伺いたいと思います。

三ッ林委員長 岡村水管理・国土保全局長、答弁は簡潔にお願いします。

岡村政府参考人 はい。

 お答え申し上げます。

 国土交通省で調べましたところ、令和四年七月現在で、約七割の地方自治体において水道事業及び下水道事業を一つの組織で運営しているということを確認しております。

 一つの組織で運営しますと、水道、下水道共通の業務でありますとか、あるいは企業会計の事務など、一つの組織で取り組むことで、効率的、効果的な業務の遂行が可能になるものというふうに考えておりますが、一方で、人が飲用する水を供給するという事業と、汚水や雨水の排除、処理をするという性格の異なる事業を行っているという点にも留意した上で、両事業を適切に運営していくことが重要というふうに考えております。

田中(健)委員 時間となりました。質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二〇一八年の水道法のときは厚労委員として質問しましたが、あのときも加藤大臣でした。私は翌年から国交委員会に移ったんですが、まさかこんな形で戻ってくるとは。本当に驚いております。

 昨年九月の新型コロナウイルス感染症対策本部決定により、水道事業が国交省と環境省に移管することとされました。連休明けにも審議される予定の日本版CDCに集中するためといいますが、なぜそれで水道が移る必要があるのか。水道と感染症は歴史的にも深いつながりがあるはずです。

 そこで、現在、厚労省で水道事業を担当している職員は何人で、そのうち感染症対策部に移る方がどのくらいか。当然、厚労省から国交省と環境省に出向する職員も出ると思いますが、どうなるのか。お願いします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在の職員数ですが、今月一日現在の定員で申し上げますと、医薬・生活衛生局水道課に所属している三十五名、これが現在の数字になります。

 令和六年四月一日時点にどうなるかという点でございますけれども、国土交通省、また環境省に移管されるに当たっては、令和六年度組織・定員要求の過程で具体的に検討、決定されていくことになると考えており、現時点でその見込みをお答えすることは困難ではございますが、必要な体制を確保できるよう関係省庁と取り組んでまいりたいと考えておりますし、また、業務移管が円滑に行われるよう、移管当初から移管先省庁における事務が適切に行われるため、例えば、職員の実配置において、二省から求めがあれば、厚生労働省の職員を出向させることも含めて、必要な方策を二省とともに検討したいと考えております。

 なお、感染症対策、感染症対策部についてですが、これは本年度中の発足を予定しております。来年度の定員等につきましても、同様に、来年度の要求過程において具体的に検討、決定されていくものと考えております。

高橋(千)委員 いずれにしても、三十五名しかいないのを、二つの省庁と、また感染症の方にも振り分けることになるかと思うんです。これは、議論をずっとされてきたスリム化とはやはり違うと思うんですね。

 これまでも、部をどこかに移管しても、結局出向しているという状態がございます。やはり、厚労省のスリム化が目的ならば、前から議論されていた厚生と労働を分けるべきであって、感染症対策に集中するならば、きちんと増員要求をするのが筋ではないかと思いますが、厚労大臣に伺います。

加藤国務大臣 前の厚生労働委員会に戻ってきたような気持ちで、大変うれしく思っております。

 その上で、単純にスリム化という、お言葉をどう使っているかあれですけれども、今回は、まずは、生活衛生等関係行政の機能強化、充実を図り、また、それによって厚生労働省また厚労大臣の業務が軽減されることによって、感染症対応により注力することが可能となり、感染症対応能力の強化に資するというふうに考えているところでございます。

 委員御指摘のように、厚生部分と労働分野の分割、いろいろなところで御指摘をいただきますが、一緒になったのが平成十三年度でありますから、もう二十年以上の中において、介護、福祉のサービス基盤強化と人材の確保、あるいは障害における福祉サービスと雇用の連携、こういった様々な施策が進んできたところでありますし、また、省内の若手において厚労省改革を御議論していただく中においても、やはり、ここまで積み上げてきた成熟した一体的な連携が分割によって後退し、政策の推進スピードが遅くなってしまう、国民に十分な価値を届けることができない、こういった認識もお示しをしていただいているところでありますので、引き続き、一緒になって、更に付加価値を高くしていく必要があると思います。

 一方で、感染症対応能力の強化の観点からは、業務改革を進めながら増員要求を行い、必要な人員の確保を図っておりまして、令和三年度から五年度の中において、厚生労働省本省内部部局においては二百五十一人の増員を図ったところでございます。

 引き続き、時代に応じて要請される行政課題に対応するためには厚労省の組織そのものも不断に見直しをしていき、国民生活に密着した行政分野を担っておりますから、それに必要な人員確保にも努力をしていきたいと考えております。

高橋(千)委員 必要な人員確保というお話がありました。増員は当然であります。そして、それがほかの部署にしわ寄せが来るというだけではやはり駄目ですので、職員の、業務改善という形で増員をしていただきたいとお願いしたいと思います。

 それで、先ほど田中委員も触れましたけれども、水道法の第一条には、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することが目的とあります。私は、本当は、この第一条こそが水道法を厚労省が所管する意味そのものだと思っております。

 この第一条の意義は変わらないのか、また、どの省がこの条文に責任を持つのか、伺います。

加藤国務大臣 まず、本法案において水道法第一条を改正するものにはなっておらず、したがって、同条文の意義も変わるものではないと考えております。

 その上で、国土交通省と環境省が、それぞれの分担に基づき、協力して水道整備、管理行政を遂行し、清浄にして豊富低廉な水の供給を図るということで、公衆衛生の向上また生活環境の改善に寄与していくものと考えております。

高橋(千)委員 昨日聞いたときは、一元的には国交省だと聞いたんですが、違うんですかね。

加藤国務大臣 今回の役割分担は、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力を有する国交省に水道整備、管理行政は移管する。また、水質基準の策定等の水質、衛生に関する業務については、環境中の水質、衛生に関して専門的な能力、知見を有する環境省にそれぞれ移管する。そして、それぞれ移管された省庁においては、今申し上げた水道法第一条を含めた、こうした条文あるいは目的を達成するために、それぞれその分野において担う事業をしっかり行っていただく。こういうことであります。

高橋(千)委員 やはり第一条というのは物すごく大事なものですので、共管だというのは分かるんですよ、だけれども、その一条の前半はどっちで後半はどっちみたいな、そういうのでは駄目なんだということが言いたかったわけなんです。ですから、やはり、本来、この条文が厚労省にあったゆえんではないかということをあえて指摘をさせていただきました。

 そこで、実は、国交省が議論をしてきた水循環基本法の前文には、水は生命の源との規定があります。まさにその精神でこれから頑張っていく必要があるかなと思っておりますが、耐震化とか災害対応とか公共事業という位置づけだけではなくて、命の水としての水質を維持すること、また低廉であることも要求されると思います。

 今、各地の地方自治体で、人口減少や管路の経年劣化などにより四割も水道料金を値上げせざるを得なかったなどの自治体もあるようです。現在把握している状況を伺います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 公益社団法人日本水道協会が発行している水道料金表というのがございます。これに基づきますと、令和四年四月一日までの一年間に値上げを行った水道事業者は五十九事業者、うち、最大の値上げ幅は三五%であったと承知しております。

高橋(千)委員 国交省が水道事業を所管することで、こうした値上げをやらなきゃいけない、要するに、経年劣化しているということに対して効果があるんでしょうか。公共土木に位置づけられて、補助の仕組みが変わるということも聞いておりますが、どうでしょうか。大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 本法案には、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象事業に水道を加える改正を盛り込んでおり、これにより、災害復旧事業に要する費用については、国庫負担の割合が増えることとなります。

 国土交通省としては、水道事業の経営基盤の強化は重要な課題だと認識しておりまして、厚生労働省から水道整備、管理行政の課題を引き継ぎ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

高橋(千)委員 とはいえ、更新のペースでいいますとあと百年かかって、この間の高速道路の議論と同じくらいになるわけでありますので、しっかりとここは、計画を持ちながら、自治体を励ましながらやっていただきたい、このように思っております。

 本当は、この後、先ほどちょっと話題に出たコンセッションの話をしたかったわけでありますが、時間が来ましたので、残念ながら終わりたいと思います。

 やはり、さっき、加藤大臣ともお話しした、コンセッションの議論をここでしたことが一定の縛りにはなっていたのかなと。ただ、逆に言うと、水メジャーにとっては余りうまみがない、宮城のやり方は。つまり、県がほとんど維持には責任を持っておりますので。そういう声も聞かれるわけなんです。だから、どちらのもくろみも実は成功していないというのが今の宮城のコンセッションの状態ではないかというふうに思っているんです。だから、これから先の自治体がしきりにそこに入っていくという必要は全くないんだということを指摘をして、今後また議論させていただきたいと思います。

 終わります。

三ッ林委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、事実関係をちょっとお聞きしたいんですけれども、これまでの厚生労働省でやっていた水道整備とか管理行政はどういうキャリア、専門性を持っていた人がやっていたのか。例えば、水質基準の策定とか技術的基準の策定、あるいは水道事業経営の認可といった業務があると思うんですけれども、どういう人材が行っていたか、お答えいただけませんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在この業務を行っている水道課でございますけれども、今までどういうキャリア、専門性かということでございますけれども、まず、厚生労働省の、当然、事務官、工学等を専門とする技官のほか、今の段階でも実は、環境省や国土交通省等の工学、テクノロジーですね、衛生工学等を専門とする技官の出向もいただいております。さらには、地方公共団体ですとか民間企業からの出向者等によって、今の三十五名、定員ベースですけれども、構成されています。

 それぞれの役割についてですけれども……(福島委員「もういいです」と呼ぶ)

福島委員 済みません、時間がないので。ありがとうございます。

 つまり、何が聞きたかったかというと、恐らく、一般的に日本の行政官というのは、私もそうでしたけれども、PhDを持っている専門家じゃないんですよね。技術系であっても事務系であっても、卒業が文系か理系かの違いで、ジェネラリストなんですね。その人がやっている以上は、私は国土交通省に移しても問題はないというふうに思うんです。厚生労働省の専門性のある役人でなければできないということではないということを今確認させていただきました。

 それを前提にして、今、厚生労働省設置法四条の一項の中で二十九号に、水道に関することとありますが、これは設置法の規定ですから、その前の三条の任務に基づいて定められております。どの任務に基づいているか、端的にお答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省設置法四条一項二十九号では、厚生労働省の所掌事務として、水道に関することが定められております。これは、同法第三条第一項で定める厚生労働省の任務のうち、公衆衛生の向上及び増進に当たるものと認識しております。

福島委員 ありがとうございます。

 そうですね。まさに公衆衛生の向上及び増進なんですね。

 その一方、今回、改正後の環境省設置法第四条第一項二十二号ヲに新しく規定されるんですけれども、それは環境省の第三条第一項に定めるどのような任務に基づくものなのか、端的にお答えください。

針田政府参考人 お答えいたします。

 環境省は、公害の防止を始めとする環境の保全を任務とし、この任務の遂行のため、環境の劣化により生ずる人の健康又は生活環境への被害を防ぐための規制等の措置を講じております。

 御指摘の、水道水その他人の飲用に供する水に関する水質保全及び衛生上の措置は、水道水質基準の策定等を指す……(福島委員「そんなのは聞いていない。そこで結構ですから」と呼ぶ)済みません。

 じゃ、最後に。環境省設置法第三条第一項では、環境保全として、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全と規定しており、水道水質基準の策定等の事務につきましては、分野横断的な環境の保全に含まれているというふうに考えております。

福島委員 結構です、それ以上は。時間が短いので。

 さっき、人の健康の保持とか、うそを言っていますけれども、任務規定に人の健康の保持なんてないでしょう。うそをついちゃ駄目ですよ。環境の保全しかないんです。公衆衛生の向上とか維持とか人の健康に関することは、設置法上、ないですよね。うそをついちゃ駄目ですよ、そうやって答弁で、と思います。

 何でこのことを言うかというと、今回、資料一というのをつけておりますけれども、今回、所管が国交省と環境省にばらばら分かれております。非常にこれは煩雑ですね。規制を受ける側にとってみたら、あるものの書類は国交省に出さなきゃならない、あるものは国交省と環境省で出さなければならない。措置命令とか報告徴収は国交大臣の専管であったりとか、でも、一方で、水質検査の登録を受ける者の登録の取消しは国交省と環境省でやったりとか。

 何で国交省一本にしなかったんですか。規制と振興の分離とかいろいろあれば分かります。国交省も、例えば、海洋汚濁の防止とか、そうした環境維持的なものもありますし、人の人体に関する、排ガス規制とか、いろいろな人に関する規制もやっているわけですね。必ずしも規制と振興を分離しているわけではないのに、なぜ、今回、国交省と環境省で分けて、こんな面倒くさいことを行ったのか、その理由をお答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、役割分担については、今まで御説明申し上げた水質と、今、インフラ的なものですが、今御指摘の申請等をする人にとって煩雑ではないかという点につきましては……(福島委員「それは聞いていないです。何で分けたのかを聞いている。それについて答えてください」と呼ぶ)それは、まず、水質につきましてはこれまでの専門性のある環境省、インフラについては国交省という切り分けでございます。

福島委員 いかにもお役所的なんですよ、それが。やはり一つのところで責任を持たせなければならないと思うんですね。

 例えば、水道法第四条に水質基準を定める規定がありますけれども、それは本当に環境省でできるんですかね。水質基準を定めるのは、病原生物に汚染されとか、そうした医学的な観点があるわけですよ。それを環境省に担わせるというけれども、環境省にその専門性はないわけですね。ないですよね。むしろ、これから審議しようとしている日本版CDCなる、何かよく分からない、組織を統合したところには知見があるけれども、それは環境省に知見はあるんですか。

針田政府参考人 お答えいたします。

 環境省は、人の健康の部分、先ほど、健康又は生活環境の被害を防ぐための環境の保全ということをやっておりまして、その専門的な知識は今まで蓄積してきたと思っております。

福島委員 自信を持って答えてもらわないと、人の健康に関わることだから、何か怪しく見えますよ。

 資料二というのがあるんですけれども、これは、橋本行革で今の省庁はできておりますけれども、そのときに作られた資料なんです。

 これで言っているのは、ちょっと線を引くところを間違えちゃったんですけれども、まず言っているのは、人に直接摂取される飲料水は絶対安全が必要だということで、供給から廃棄まで一貫した、一連の体系が必要で、組織を分けるべきじゃないと、このとき厚生省は言っているんですね、厚生省は。そのときから何の事情が変わったかというのも、私は余り理解できません。

 それとともに、もっと問題なのは、この新しい法律上、厚生労働省が関与する条文がどこにも出てきません。本当にそれでいいのかと思うんですね。

 行革会議で厚生省が説明していたのは、まさにここで、絶対安全が必要とか、病原菌や有害物質を含む種々雑多な物質の終局的な集合体である廃棄物については常時、衛生的な観点から管理が必要と、まさに国民の公衆衛生の観点のことからも言っておりますし、次の、裏のページを見ますと、水道供給体系全体を常に適正に維持管理するとともに、緊急時の対応が確実に行える体制が重要と。国民の生命、健康の安全を確保する観点から、施設の整備も含め、水道供給体系全体を責任を持って一元的に管理できる厚生行政が所管することが必要と。

 ただ、コアな業務に集中するために、こうした規制行政とか業行政を国土交通省に移管するというのは理解できるんですよ。理解できるけれども、しかし、その後に何にも厚生労働省が管理しない、関与しないということはいいんでしょうか。

 例えば、水道の水に毒物が混ぜられるテロだってあり得るわけですね。そういうときこそ、まさにこの国会で成立させた健康危機管理庁の出番のはずですよね。それに対するものも規定も何もないということで、そうした感染症対策の観点から、法律上の権限を厚生労働省が全く持ち得ないという点に対する見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 移管後においても、公衆衛生向上の観点からは厚労省は当然関与してくるわけでありますし、それは、先ほど委員御紹介いただきました、厚生労働省設置法の所掌事務、第四条の中にも、例えば、「原因の明らかでない公衆衛生上重大な危害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処に関すること。」等、具体的に掲出されているわけでございます。

 そうした規定を踏まえて、移管後においても、公衆衛生の向上の観点から、環境省と緊密に連携をしていきたいと考えています。

福島委員 ただ、法律上の規定が全くないんですね。この法律も、四十五条の四というところで、例えば、国土交通大臣は、次に掲げる行為をしようとするときは環境大臣の衛生の見地からの意見を聞かなければならない。衛生の見地なんだから、本来、これは厚生労働大臣の意見を聞かなければならない項目であったり、あるいは、四十五条の五で国土交通大臣と環境大臣の連携とあるのに、厚生労働大臣との連携の規定がないんですよ。

 私はこれは非常に大きな問題であると思っておりまして、本当にやる気があるんだったら、厚生労働省は、法律的な権限として、この法律上、権限を残すべきであるということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 以上です。

三ッ林委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後三時三分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案は厚生労働委員会議録第九号に掲載


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