衆議院

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第1号 令和6年4月11日(木曜日)

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令和六年四月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      橘 慶一郎君    谷川 とむ君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 郁子君    橋本  岳君

      堀井  学君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      早稲田ゆき君    赤木 正幸君

      伊東 信久君    伊佐 進一君

      浮島 智子君    高橋千鶴子君

      田中  健君

  厚生労働委員会

   委員長 新谷 正義君

   理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      畦元 将吾君    上田 英俊君

      勝目  康君    金子 容三君

      川崎ひでと君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高階恵美子君    中谷 真一君

      仁木 博文君    古川 直季君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      三ッ林裕巳君    柳本  顕君

      山本 左近君    吉田 真次君

      阿部 知子君    大西 健介君

      堤 かなめ君    西村智奈美君

      山井 和則君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    岬  麻紀君

      福重 隆浩君    吉田久美子君

      宮本  徹君    田中  健君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   文部科学大臣政務官    安江 伸夫君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鹿沼  均君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会厚生労働委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳君。

田所委員 自由民主党の田所嘉徳でございます。

 貴重な時間をいただきまして、感謝を申し上げます。

 それでは、早速、こども未来戦略と少子化対策の関係につきましてお尋ねをしていきたいと思っております。

 異次元の少子化対策として、こども未来戦略を策定し、そしてこども・子育て加速化プラン、さらにはこれを実現するための子ども・子育て支援法の改正が提案されているわけであります。この背景として、総理も加藤大臣も、少子化は我が国が直面する最大の危機であり、二〇三〇年代に入るまでがこの少子化傾向を反転させるラストチャンス、こう言っているわけであります。

 それでは、この一連の政策によりましてどれだけ子供が増え、そして合計特殊出生率が上昇すると考えているのか、その点について加藤大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものであり、個人の決定に対し特定の価値観を押しつけたりまたプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならないと考えております。合計特殊出生率や出生数に関連した具体的な数字が当事者にとってどのように受け止められるかを考えれば、政府としては、加速化プランによりどれだけ合計特殊出生率や出生数が上がるかを数値目標のように述べることは適切ではないと考えてございます。

田所委員 若干意外な感じがいたしまして、ここで、個人の価値観を尊重するということは当然のことでありますが、そこから入りまして目標は掲げないということは、若干、少子化対策と言いながら、流れがなかなか違うのかなという印象を受けまして、そういう中で、私は、少子化対策といえば、これは人口が減らない二・〇七の人口置換水準まで上げるとか、そこまでいかなくても、一時は希望出生率一・八なんということも言いました。今幾つなんでしょうか、一・二六という数字もありましたが、私は少なくともそれをどう変えていくのかみたいなことがあってしかるべきかなというふうに思ったのでありますが、私は、少子化対策の目指すものがなかなかこれでよく分かりにくいという感じがしなくはないのであります。

 そういう中で、文理解釈どおりすれば、これは、出生率が増加して、どう出生者が増えるかということになるんだろうと思いますけれども、この一連の法案によって間接的にそれを実現するものであってもらいたいという思いは持っております。

 私は、言葉だけでその意味を導けないということは、これはあり得るんだろうというふうに思っております。新しい資本主義というのもありましたが、これだって、文理解釈では何か分かりませんが、いろいろと説明していただいて理解をするということだろうというふうに思います。であるならば、少子化対策、これは具体的な説明あるいは定義というものが必要だろうと思っておりますけれども、その少子化対策の本質についてどんなに考えているのか、大臣にお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 政府では、若い世代が、自らの主体的な選択により、結婚をし、子供を産み育てたいと望んだ場合に、それぞれの希望に応じて社会全体で若い世代を支えていくことを少子化対策の基本としてございます。個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させること、これを目指してまいります。

田所委員 分かりました。

 ただ、私は、理解する中で、少子化対策が、単に出生者数を増やす、あるいは出生率を上げるというだけではないんだろうということを言いたいのかなと思うんですけれども、そういう中で少子化対策として考えるべきことがあるだろうというふうに私は思っておりまして、それは、人口は増えませんけれども、現役世代一人一人がよりその大きな力を発揮できるようにする、子育ての負担やそういうようなことを含めて様々な施策をしていく。さらには、子供たち、次の世代を担う者がたくましく、そして優れた能力を持つことによって、多くの人口に代わるような、そういう力を発揮するということもあるんだろうというふうに思っております。

 さらには、AIとか情報通信技術、こういったものを使う、ロボットの活用、そういったことによって代替的な力が出せるような社会ということもあるんだろうと思いますし、外国人材が活躍する、そういう共生社会というものも含まれるんだろうというふうに思っております。定住人口は増えなくても交流人口が増えるような、そういう施策、インバウンド、様々含めて、私は、少子化対策として、出生者数の増加だけではなくて国力をしっかりと上げていくということを進めてもらいたいというふうに思っているわけであります。

 そういう中にあって、私、これまでの説明の中で、婚姻を望む人がその希望をかなえられる社会を実現する、これは常套句、テクニカルタームであります。そして、そういう中にあって、少子化の要因として挙げられている未婚化、晩婚化についても、今般のこの加速化プランの中ではその視点からの取組も若干弱いというふうに思っているわけであります。

 この背景には、結婚や家庭についても特定の価値観を押しつけないということが流れているわけでありまして、それはそれでというようなことだろうというふうに思っております。しかし、やはり間接的な政策だけで少子化傾向の反転になるかどうか、これは非常に難しいんだと思っておりますので、多様な価値観を認める中で、出生数あるいは合計特殊出生率を上げるということについてはどのように考えているのか、お聞きしたいというふうに思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 もとより、繰り返しにはなりますけれども、結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の自由な意思決定に基づくものでございます。家族の在り方や家族を取り巻く環境も多様化をしてございます。そのため、個人の決定に対し特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならないことと考えております。

 こども未来戦略におきましては、若い世代が希望どおり結婚し、子供を産み、安心して子育てができる社会を目指し、若い世代の所得を増やすことを基本理念の一つとして掲げてございます。これを踏まえて、政府では、最重要課題である賃上げに加え、三位一体の労働市場改革、また同一労働同一賃金の徹底、そして非正規雇用労働者の正社員への転換などを進めてまいります。

 あわせて、出会いの機会や場の提供のほか、結婚を希望する方々の悩みに寄り添う、切れ目のない伴走型の結婚支援の取組など、地方自治体が行う結婚支援の取組を地域少子化対策重点推進交付金等により支援をしてございます。

田所委員 分かりました。

 私は、歴史に学ぶとすれば、ベビーブームの頃の合計特殊出生率四・五以上の時代には、私は大変貧しかったと思いますよ。さらには、農業が非常に大きな割合があって、労働も非常に厳しかった。働き方改革なんて夢のようなところだろうというふうに思っております。また、社会保障も整っておりませんでした。ですから、必ずしも、そういったことを積み重ねて全部が、子供たちが増えていく、そういう世界に向かっていくとはなかなか思えない。これを見ますと考えるわけであります。

 もちろん、かつてのように人口増加を国是とするようなことはできないのでありますが、それを理解した上でも、私は、初めての人生でどんなものがいいのかということの正解を持っている人はいないと思うんですね。そういう中にあって、やはり、せめて若者たちに、こんなライフスタイルがあるよというようなことを、押しつけるのではなくて、やはりいろいろなスタイルを、選択肢を見せるとか、そういった、それぞれの自主性を重んじながらもリードするというような、そういう在り方があってしかるべきかなというふうに思っております。

 それでは、次の質問に入りたいと思います。

 費用対効果を最大化するための見える化についてであります。

 少子化対策の指標における見える化はなかなか、今、難しかった、難しいということ、合計特殊出生率の数等を示せないということでありますが、今般の法改正において、KPI等を重視する、そして、教育、保育施設の経営情報とか、あるいはいろいろな特別会計によって見える化をするということであります。

 しかし、私は、広い分野の異なる政策をたくさん積み重ねてまいりますので、これは、お金の出し入れだけが見える化というんじゃなくて、それを指標化したりして政策をする、比較をする、そういった見える化ということが非常に重要だろうと思っておりますけれども、その視点についての、どのようにしっかりとした見える化が進められるのか、その点についてお聞きしておきたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘のとおり、子ども・子育て支援特別会計についてでございますけれども、子供、子育て政策が関わる既存の特別会計の事業を統合し、子供、子育て支援のための新たな特別会計を創設するものでございまして、これにより費用負担の見える化を進めることとしております。

 また、財政的な部分以外につきましても、少子化対策を進めるに当たって、KPIを適切に設定をし、政策の効果等を検証しながら進めていくことは不可欠でございまして、既に、こども大綱におきまして、子供政策全体に係るKPIとして様々な指標を設定しているところでございます。

 その上で、加速化プランに盛り込まれた個別の施策を含め、具体的に取り組む施策の進捗状況を把握するための指標を、本年六月をめどに取りまとめる予定でございますこどもまんなか実行計画においても設定をすることとしております。

 こうした枠組みを重層的に活用することで、PDCAの観点を踏まえながら子供、子育て政策を推進してまいります。

田所委員 しっかりと実績が分かるようにして、この三・六兆円、有効に使ってもらいたいというふうに思っております。

 児童虐待についてお伺いをしたいと思います。希望にとどめたいというふうに思いますが。

 私は、刑法犯認知件数が、平成十四年に二百八十五万件、恐るべき数になりましたが、今や七十万ぐらいになりまして、大変よかったと思っておりますが、心配しているのは、虐待の相談件数等が右肩上がりに上昇しているということであります。

 そういう中で、やはり時代背景に大きな問題があるのではないかということを非常に懸念をしております。やはり、人格形成に非常に重要な時代に虐待を受けるということ、これは大きな社会的問題でありますし、その連鎖ということも非常に恐ろしいのでありまして、まさにそういう環境が出生を抑える、そういう要因でもあると思いますので、しっかりと、児童虐待が起きないような環境、社会づくりというものを進めてもらいたいというふうに思っております。

 続きまして、保育環境の整備と保育人材の確保について一言言っておきたいというふうに思います。

 こども誰でも通園制度の創設、これはなかなか、私は、ユニークな、特異な政策だというふうに思っております。十時間という限定などがあって、どんな効果が表れるのか期待をしているところであります。さらに、そのほかの幼児政策等を含めて、保育の受皿の体制というものは非常に重要だというふうに思っておりますし、この充実が必要だと思っております。

 そういう中にあって、職員の配置基準の改正が行われるわけでありまして、これも、七十数年ぶりということで、非常に歓迎もされているわけであります。

 ただし、一方で、この人材不足の中で、非常に懸念もされております。どんどん保育士が必要になってくるということであれば、今日、賃上げの中で、各産業において人材獲得競争が行われている中にあって、やはり処遇が非常に低いということもありますので、私は、その処遇改善とともに受入れ体制をしっかりと整備してもらいたいということを申し上げておきたいというふうに思っております。

 次に、インボイス導入について、この増収分をどうするのかということで、今回の加速化プランの中でも、既定予算の最大の活用ということで、インボイス導入に伴う増収分を見込むとしております。これを、これはなかなか、税調などで決めたものではありませんので、その内容についてやはりしっかりと社会的に理解される必要があると思いますし、その機会としてここでお聞きしておきたいと思います。その仕組みと見込額、使途が妥当であるのかということについてお伺いをいたします。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 こども未来戦略に基づく加速化プランの実施を支える財源確保につきましては、徹底した歳出改革を行うほか、既定予算の最大限の活用等に取り組むこととしております。

 御指摘のインボイス制度につきましては、複数税率の下で適正な課税を確保するために導入したものでございますけれども、免税事業者の課税転換が進むことで結果として一定の消費税の増収が生じることは、これまでも様々な場で御説明してきたところでございます。

 今般、実際にインボイス制度が導入されたことによりまして、制度改正に伴う新たな増収が発現することになりましたため、消費税収は社会保障四経費に充てるという消費税法の規定を踏まえまして、増収相当額を足下の喫緊の課題である子供、子育て政策強化の財源に充てることといたしました。

 なお、インボイス制度導入による増収額につきましては、平年度において、国、地方を合わせまして約〇・二兆円程度を見込んでおります。

田所委員 免税事業者がおります。これはやはり消費税の導入に伴う非常に煩雑な事務等の負担を配慮して設けられたものでありますけれども、しかしながら、そういうものを変えて、課税事業者になってまで、しっかりと経営を継続しよう、そういう努力があるわけでありまして、それが普通の課税事業者の登録の約半分ぐらいの百四十数万の事業者が登録をしている。そういう人たちが更に複雑な事務負担というものを受忍しなければならないということでありますので、そのことを踏まえて、しっかりと子育て、社会保障等に使うということが妥当だということでありますので、有効に使うものとしなければならないというふうに思っております。

 それでは、子ども・子育て支援金制度の創設についてお伺いをしたいと思います。

 岸田総理はこれまで、支援金の導入に当たって実質的な負担は生じないと答弁してきました。しかしながら、医療保険の保険料に併せてお金をもらうわけでありますから、負担を生じないということはないはずなので、私は、この実質的にというところに何らかの意味を込めているんだと思います。先ほどと同じように、やはり新しい資本主義と同じで、よく聞いてみないと分からないということだろうと思いますので、その内容について説明をしてもらいたいと思います。実質的な負担はないの意味、考え方、それらについて御説明をいただきたいと思います。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 実質的な負担がないとの点でございます。

 支援金制度を構築するに当たりまして、徹底した歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金を導入するということ、そのことをもって申し上げておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、令和五年、六年度の予算編成におきまして、歳出改革により医療、介護の保険料で合計約三千三百億円の軽減効果が生じてございます。これは加入者一人当たりに換算いたしますと約百五十円、月額となります。これを令和十年度まで継続することによりまして、保険料負担でいいますと約一兆円の軽減効果、加入者一人当たり平均月額で申し上げますと四百五十円の軽減効果が生じるということになります。

 確かに、少子化対策のために拠出をいただくということではございますが、この範囲内で支援金を拠出していただくとすれば、支援金制度の導入によって、差引きで負担が生じることはない、これをもって、実質的な負担がない、こういうふうに申し上げております。

 こうした拠出を全世代、全経済主体の皆様方からいただく中で、子育て世帯にとっては、ゼロ歳から十八歳までの平均で約百四十六万円の給付拡充を行うことができます。

 もちろん、少子化対策といいますのは、地域、社会、経済全て、あるいは医療保険制度の持続可能性、そういったものにも関わる重要なことでございますので、そうした中で、子育て世帯の方も含めまして拠出をお願いするということ、これについてしっかりと説明してまいりたいと思います。

田所委員 やはり、しっかりと分かるように説明をする、そして、少子化対策についても、広範な分野であるということを進めながら、出生数を増やす、あるいは国力を上げる、そういう面で大きな力が発揮できるように、どうぞ皆さんに努めてもらいたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 自民党の鈴木英敬です。おはようございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣も、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 私、全般的には、現場とか地方の目線を中心に質問をしていきたいと思います。

 その前に、この法案の、今回の法改正の、法整備のそもそも論とか、法案の大義とか手順、これを、こども基本法との関係でお聞きしたいと思います。

 私、こども基本法の提案者の一人もさせていただきました。先輩、同僚諸氏のかんかんがくがくの議論の末に出たこども基本法でありましたけれども、思い入れを持って臨みました。

 やはり、新たな政策立案においては、原点とか基本というのをしっかり確認しながら前に進んでいくということが重要だと思います。

 そこで、大臣に二点確認したいと思います。

 まず一つは、こども基本法第三条第六号、家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備することという基本理念の達成に、今回の法改正が資するものになっているかどうか。つまり、子育ては、大変なときもある、でも、守られている、寄り添ってもらっている、そういうような安心感とともに、その喜び、子供の成長を含めた喜びを感じる、そういうことが大事だと思うし、そういうことだと思います。ですので、そういう基本理念の達成に資するものになっているかどうか。

 それからもう一つ、第十一条、国や地方公共団体は、施策をやるときに、子供や子供を養育する者の意見を聞かなければならない、聞くということになって、必要な措置を講ずるとなっていますけれども、今回の法改正において、特に子供たちとかからどういう意見を聞いてきたのか。

 この二点について、こども基本法との関係でお聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本法案には、前例のない規模である三・六兆円の加速化プランの中核を成す対策が盛り込まれてございます。具体的に申し上げますと、児童手当の抜本的拡充などにより、子育て世帯の経済的負担を軽減するほか、こども誰でも通園制度の創設等によりまして、切れ目のない支援を実現するとともに、さらに、両親が育児休業を取得する場合の手取り十割を実現する給付等の経済支援により、共働き、共育てを推進します。

 こうした拡充策によって、政府が総力を挙げて取り組む賃上げ等とも相まって、若い世代の所得を増やし、結婚、子育てを確実に応援していくことで、希望する方々が安心して子供を産み育てることができる、そうした社会の実現につなげていくものでございます。

 こうしたことから、本法案は、御指摘のこども基本法第三条第六号の理念に合致するものと考えております。

 また、こうした拡充策につきましては、御指摘のこども基本法の第十一条にものっとって、子供、若者、子育て当事者から意見を伺いながら検討を重ねてまいりました。

 具体的には、総理出席の下で、中学校の生徒さんですとか、また子育て当事者の皆様方とも意見交換を行うこども政策対話、これを実施したほか、誰でも通園制度に関しましては、モデル事業の現場を訪問して保育士さんや保護者の皆様から御意見を伺ったほか、こども若者パブリックコメントや、こども若者★いけんぷらすを活用して、子供、若者の皆さんの意見を伺い、今後の対応に反映する、こういった様々な形で御意見を伺ってきたところでございます。

 今後も、子供、若者、子育て当事者から御意見を伺いながら、しっかりと施策に反映してまいりたいと考えます。

鈴木(英)委員 ありがとうございました。

 時代は変わるし、それに合わせて家族の在り方、子育ての状況、子供の状況、これはどんどん変わっていきますので、それに合わせて、しっかり当事者の声を聞く、それから基本に戻って原点に返る、これを大臣始め政府の皆さんにはこれからも是非徹底していただきたいと思います。

 それでは、こども誰でも通園制度についてお聞きします。

 これは、本当に保護者の方々始め、期待の声も大きく、私としてもしっかり応援をしていきたいというふうに考えております。また、今回、全体、加速化プランとかを始め、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の充実という観点からすれば、間違いなく必要な施策であります。

 一方で、保育所や認定こども園など現場サイドからは、保育士不足が恒常化する中で、事業を実施するだけの保育士確保が極めて難しい、そういう戸惑いや不安の声もいまだにあるのも事実です。保育士不足、あるいはぎりぎりの人数で運営しているケースの中で、こども誰でも通園制度が実施されることとなった場合、現在の人員のやりくりで対応できる保育所はいいですけれども、本制度の対応に備えて新たに人員を雇わなければならないケースもあると想定されます。

 そのような場合においても、保育士本人の報酬に対する財政支援を確実に手当てしなければ保育所の持ち出しになってしまいますので、結果として、保育士の処遇や勤務環境の改善、あるいは子供たちのための新たな投資などに取り組むことができず、負のスパイラルになってしまう可能性があります。

 そこで、まず全般的なことを問います。

 保育士確保に向けた処遇改善、労働環境の整備について、政府の取組の現状と今後の展開について、潜在保育士の活用のことも含めて答弁願います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、保育士の確保を図るためには、処遇改善、非常に重要と考えております。このため、平成二十五年度以降、累次の取組を行ってきておりまして、直近では五%を上回る公定価格の人件費の改定を行い、これまで累計二三%の給与改善を進めてまいりました。また、これとは別に、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善を平成二十九年度から行っているところでございます。

 また、保育士の労働環境、これも重要でございます。保育士の保育業務の補助を行う保育補助者の配置ですとか、スポット的な支援を行う保育支援者の配置、あるいは保育園の登降園管理システムの導入などICT化の推進、こういったことを取り組んでまいりました。

 また、御指摘いただきました潜在保育士でございますけれども、いわゆる潜在保育士について、保育士としての就労を促すための取組も重要でございます。このため、令和六年度当初予算では、潜在保育士が段階的に復帰をいただくということを支援するために、保育補助者の雇用の経費の支援対象を保育士資格を持っておられる方にまで拡充をするですとか、潜在保育士と保育所のマッチング、あるいは相談支援を実施をする保育士・保育所支援センターにおきまして、保育士に対して、地域の保育所に関する情報提供ですとか、施設への見学同行、復職に向けた伴走支援、こういったことを行う保育士キャリアアドバイザーの配置に係る経費も盛り込んだところでございます。

 引き続き、こども未来戦略を踏まえまして、民間給与動向を踏まえた更なる処遇改善の対応ですとか、保育士確保の取組を進めてまいります。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 潜在保育士の人、このマッチング、そのセンターのマッチングは、実はそう簡単ではないです。私、知事をやっていた経験から言うと、なかなか難しい。さらに、潜在保育士の方々は、勤務時間とか勤務場所とか、かなり丁寧に聞いてあげないとなかなか就労に結びつかないということがありますので、丁寧な事業の執行を是非お願いをしたいと思います。

 じゃ、ちょっと問い三と問い四、まとめてお願いします。

 まずは、今の報酬とかも関係しますけれども、こども誰でも通園制度に関して、人員の報酬、そのための財政支援方法について現在の検討状況をお伺いしたいと思いますし、また、こども誰でも通園制度の利用時間について、様々議論がありますけれども、私の仲間の首長とかの中でも、月十時間というものについては、これでちょうどええんちゃうと言う人もいれば、レスパイトとかの観点でもっと長い方がいいんじゃないと言う人も、いろいろいらっしゃって、両方いますが、私としては、自治体の提供体制などを踏まえますと、まずは対象となる全ての子供が利用できる仕組みで開始していくというのが大事だというふうに思っておりますので、それも併せて見解をお伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、こども誰でも通園制度に関する財政支援についてでございますけれども、こども誰でも通園制度は、令和八年度からは法律に基づく新たな給付制度とすることを予定をしておりますので、基本的には、公定価格の考え方を前提に、実績に応じた支払いとすることを想定をしております。

 こうした前提の下で、現在、試行的事業におきましては、安定的な運営が可能となるように、国庫補助基準上、子供一人一時間当たり八百五十円という単価設定をしておりまして、加えまして、事業所においては、保護者から一時間当たり三百円程度を標準に徴収をして事業を運営していただくこととしております。

 その上で、令和八年度からの給付化以降の具体的な単価につきましては、試行的事業の状況などを踏まえまして、こども誰でも通園制度を実施する事業者の皆さんが必要な保育人材を確保し、しっかり運営できるものになるように検討を進めてまいります。

 次に、利用時間でございます。

 こども誰でも通園制度を制度化した際の上限時間でございますが、今年度から実施をしている試行的事業では月十時間を上限としております。また、全国的な提供体制の確保状況も踏まえながら、都市部を含め全国の自治体で提供体制を確保できるかといった観点から、今後検討をしっかり進めていくこととしております。

 昨年九月から十二月まで実施をいたしましたこども誰でも通園制度に関する検討会におきましても、委員からの御指摘もございましたように、全国の自治体で、対象となる全ての子供が利用できる制度とするために、全国で実施することが可能な上限設定とすることがあくまでも最優先ではないかといった御意見もいただいており、こうした考え方も踏まえながら、試行的事業を実施する中で検証を重ねてまいります。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 特に報酬の部分ですね、令和八年度の給付化以降、これから検討するということですけれども、保育所でしっかりと人材を確保できる、そして人員の手当てができる財源レベルにしていただきたいと思います。負のスパイラルに陥らないように、是非お願いしたいと思います。

 では、ちょっと順番を入れ替えさせていただいて、育休、時短のところから行きたいと思います。

 実は、私も知事時代、第一子、第二子のいずれもで育休っぽいものを取得しました。ぽいというのは、特別職公務員には勤務時間がありませんので、休暇制度がありませんから、育休っぽいものであります。妻と十分話し合った末、第一子のときは、妻の仕事の復帰時に育休っぽいものを取って、第二子のときは、ちょうど第一子が幼稚園に入るときでしたので、一学期の三か月の間、出勤を三十分ずらしてやる、そういう形になりました。

 やはり休暇とか勤務形態の形は多様さが認められることが大事でありまして、今回、時短に給付が創設されたことは、多様な働き方や休み方が選べるということで、大変意義があると思います。また、今回の法律においてもそれぞれ給付ができまして、これは経済的支援という観点で非常に重要だと思います。

 他方で、こういう育休とか時短を取るときには様々な課題もあって、制度は整っても風土がなければ意味がない、制度と風土の両立が大事でありまして、特に中小企業でその両立、制度と風土の両立を図ることが大事です。

 実は、私が育休っぽいやつを取ったときも、報道を見た中小企業の社長さんからうちの秘書課に電話がかかってきて、中小企業の社長はそんなん取れへんねんぞ、ガッみたいな、そんなのもあったりしましたが、やはり制度と風土の両方をつくることが必要であると思います。

 そういう意味で、特に中小企業における体制整備、職場の意識改革、こういう風土を変えていく後押し、これも大事だと思いますが、政府の取組をお伺いします。

堀井政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、本法案によりまして、共働き、共育てを推進する観点から、育児休業や育児期間中の時短勤務に対する支援といたしまして、出生後休業支援給付と育児時短就業給付を創設をするということとしております。

 あわせて、鈴木委員お尋ねの中小企業の体制整備や職場の意識改革につきましては、事業主が円滑に改正法へ対応できるように、分かりやすいリーフレットの作成や、専用サイト、SNSの活用なども含めまして、様々な手段を通じて周知に努めるほか、両立支援等助成金による柔軟な働き方の導入等の支援や、労務管理の専門家による個別支援、これらの支援策も中小企業事業主の方に活用いただけるように、丁寧な周知や支援にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

鈴木(英)委員 制度と風土の両立、是非お願いしたいと思います。

 それでは、その次の、未婚化、晩婚化対策について大臣にお伺いしたいと思います。

 令和五年人口動態統計速報では、婚姻数は戦後最少の四十八万九千二百八十一組。未婚化、晩婚化が加速度的に進行しています。他方、いわゆる社人研によれば、少子化の要因の約九〇%は初婚行動の変化、いわゆる未婚化、晩婚化ですね、残りが夫婦の出生行動の変化、夫婦当たりの子供の数の減少で説明できるとの分析もあります。

 少子化傾向反転のためには、若者の所得や雇用への不安を払拭するとともに、未婚化、晩婚化対策が重要だと思います。大前提として、先ほど来大臣も御答弁されていますけれども、結婚は個人の自由な意思決定であって、価値観の押しつけは決してあってはならないということを明確に押さえた上で、地域少子化対策重点交付金で対応している自治体による結婚支援など、そういうのを更に強化していく必要があると思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 結婚の希望がかなえられない大きな理由として、経済的事情や仕事の問題などのほか、適当な相手に巡り合わないからが挙げられています。

 結婚は、個人の自由な意思決定に基づくものであり、多様な価値観や考え方を尊重することを委員御指摘のとおり大前提とした上で、若い世代が自ら主体的な選択により結婚することを望んだ場合は、それぞれの希望に応じて支えていくことは大変重要であると考えております。

 私自身、今年一月に、きめ細やかな伴走型の結婚支援を行っている京都府の結婚支援センター、こちらの方を視察させていただき、職員の皆さんや、そのセンターがきっかけで御成婚された方々の声を直接伺い、結婚支援の重要性と更なる強化の必要性、これを実感いたしました。

 こども家庭庁では、多くの地方公共団体において行われている出会いの機会、場の創出につきまして、先ほど御指摘のありました地域少子化対策重点推進交付金を活用して、特に、伴走型の支援や、より広域での展開などへの支援を充実させることとしております。令和五年度補正予算と令和六年度当初予算を合わせて百億円を計上しており、まずは着実な執行に力を注ぎつつ、効果の高い取組を更に推進をしてまいりたいと考えております。

 こうした取組に加えて、結婚を希望される方への支援を強化するため、どのような方策が考えられるか、若い世代を始めとする様々な方の声に耳を傾けながら検討してまいりたいと考えております。

 また、併せて申し上げれば、未婚化、晩婚化の要因の大きなものの一つである雇用や所得の問題、こちらも、こども未来戦略に基づきまして、賃上げや三位一体労働市場改革、また同一労働同一賃金の徹底、そして非正規雇用者の正規への転換、こういったことをしっかり進めてまいります。

鈴木(英)委員 予算の確保と着実な執行、そして成果の高い、効果の高い横展開、是非お願いしたいと思います。

 最後に、ヤングケアラーについてお伺いしたいと思います。

 今回、国、自治体の支援の対象にヤングケアラーが入ったというのは大きな一歩だというふうに思っています。政府の実態調査では、世話をしている家族がいると答えた小学校六年生が六・五%いますし、通信制高校では一一%います。こういう子供たちの支援という観点からは、とりわけ学校との連携が不可欠だというふうに思っております。

 そこで、学校との連携を促進し、学校での取組の中で、ヤングケアラーの状態にある児童生徒を認知し、しっかり支援を行うことが重要であると考えますが、政府の具体的な取組などを教えてください。

谷委員長 こども家庭庁でよろしいですか、鈴木君。

鈴木(英)委員 こども家庭庁と文科省にお伺いします。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、子供自身や家庭において自覚しづらく、支援ニーズが顕在化しにくいヤングケアラーの特徴を踏まえると、子供に身近な学校等と連携して支援を行うことは大変重要であるというふうに考えています。

 このため、こども家庭庁においては、学校等においてヤングケアラーである子供の状況を的確に把握することができるよう、実態調査の実施を支援するとともに、学校等において気になる子供、家庭を把握した場合に、関係機関と密接な連携体制を構築し、こども家庭センターに随時情報共有が図られるよう、職員の人件費の補助等を行っているほか、こども家庭センターにおいて個々の家庭の状況等に応じたサポートプランを作成し、介護等のサービスを含めた外部支援につなげることを、こども家庭センターガイドラインにおいて示したところでございます。

 引き続き、学校等の関係機関と連携しながら、ヤングケアラーの支援につなげるよう取り組んでまいります。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーについては、福祉、介護、医療、教育などの関係機関が連携して適切に把握し、必要な支援につなげることが重要であると認識しております。

 委員御指摘のとおり、文部科学省におきましては、主にいじめ、不登校対策として、一人一台端末等を活用した心の健康観察の導入促進や、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの配置拡充の予算の確保をいたし、様々な課題を抱える児童生徒への支援を進めております。

 こうした取組についてはヤングケアラーの支援に対しても活用が可能ですので、文部科学省としては、学校や教育委員会等がヤングケアラーへの理解を深め、その支援方策について具体的に検討いただけるよう、ヤングケアラーの概念や学校における支援事例等について、全国の教育委員会の担当者や教職員を対象とした研修会等で積極的に周知し、理解増進に努めてまいります。

鈴木(英)委員 終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、吉田久美子さん。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案、この連合審査で質問をする機会をいただき、ありがとうございます。

 政府は、二〇三〇年までが少子化対策のラストチャンスとの認識で、岸田総理が宣言をされました、次元の異なる少子化対策の位置づけで、昨年十二月にこども未来戦略を策定をいたしました。

 公明党も、一昨年、子育て応援トータルプランを発表し、そのほとんどが反映をされたもので、こども家庭庁を中心にきめ細かく制度設計をしていただいたことには大変評価をしております。

 総額で三・六兆円。子供一人当たりで比較をしても、世界トップクラスのスウェーデンに並ぶものになると承知をしております。三年間の加速化プランも評価をしております。ただ、一方で、従来の政策と比較してどこが異次元なのかというお声もお聞きいたします。

 改めて、政府としての意気込み、政府としてどこが異次元であると言えるのか、また二〇三〇年時点の目指す到達点があれば、お示しいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年末に取りまとめましたこども未来戦略では、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てができる社会を目指し、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援する、こういった三つの理念の実現を掲げてございます。

 何がこれまでと違うのか、次元が異なるポイントは何かという御指摘、御質問でございますが、こども未来戦略を打ち出した中で、これまでの少子化対策と比べて、加速化プランにおいては、以下の三点で次元が異なると考えてございます。

 まず一点目として、三・六兆円という前例のない規模で、子供、子育て支援を抜本的に強化するということとしてございます。

 二点目として、その内容につきましてもたくさんございまして、児童手当の抜本的拡充、十万円の出産、子育て応援交付金の制度化、高等教育費の負担軽減、保育所の七十六年ぶりの配置改善、それから、こども誰でも通園制度の創設、児童扶養手当の拡充、両親が一定期間育児休業を取得する場合の手取り十割相当の給付の創設など、長年指摘されながら実現できなかった施策を多数盛り込んでございます。

 さらに、三つ目として、歳出改革等により安定財源を確保した上で、三年間という集中取組期間でスピード感を持って実施することとしてございます。

 その上で、目指す到達点というお話もございました。

 子供、子育て政策の充実は、決して加速化プランで終わるものではありません。加速化プランの効果の検証を行いながら、施策の内容、予算を更に検討をして、こども家庭庁予算で見て、二〇三〇年初頭までに国の予算の倍増、これを目指してまいります。

吉田(久)委員 一人親の経済的支援、いわゆる児童扶養手当の拡充についてお伺いをいたします。

 一人親世帯の貧困率、いまだに四割と高く、特に母子家庭、母子世帯についての困窮世帯、この大変多いことが大きな課題であると思っております。

 以前から、我が党の地元の女性議員さんからも、困窮されている母子家庭の本当にぎりぎりの生活の実態をお聞きして、働いて所得が増えると児童扶養手当が減らされてしまうので、自分たちはこの所得内に閉じ込められているような気がするとのお声もありました。何とか、所得制限、撤廃できないのかというお声もあります。

 まずは、今法案で、児童手当本体、この所得制限がなくなったこと、大きな前進であり、歓迎をしておりますけれども、児童扶養手当の全額支給、年収百九十万円までと、三十万円アップをいたしました。また、支給がゼロになるのが、二十万円アップして三百八十五万円までと、一定の拡充も進み、また第三子以降の加算が、謎に減っていたものが、第二子の一万七百五十円、同額になるというのも当然だと考えます。

 ただ、一人親で子育てをするというのは、仕事と家事と育児、この全てを一人で毎日、日々こなさなければならず、本当に大変な日常を一人で引き受けていただいていらっしゃるわけですから、満額でも四万五千五百円でありますし、その頑張りを表彰するというような意味を持つ手当にしてもいいのではという思いもいたします。

 今後も、児童扶養手当の所得制限の緩和、また手当額の拡充を進めていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、一人親家庭については、子育てと生計の担い手という二重の役割を一人で担うこととなり、その生活は、収入、仕事、子供の養育等の面で様々な困難に直面しているというふうに承知しております。

 このため、今般の加速化プランでは、就業支援、生活支援や養育費確保支援などに併せて、一人親家庭の生活を下支えする児童扶養手当につきましても、一部支給の対象となる所得限度額を一人親の就労収入の上昇等を踏まえて引き上げるとともに、生活の安定のため、特に支援を必要とする多子家庭への加算額を拡充するといった改正を行うこととしております。

 加速化プランに盛り込んだ多面的な支援を確実に実施していくことにより、一人親家庭の生活をしっかりと支援してまいります。

吉田(久)委員 続いて、こども誰でも通園制度について、正式名称、乳児等通園支援事業についてお伺いいたします。

 二歳未満の子供さんを、こども誰でも、つまり、働いていない専業主婦でも利用できる制度が創設されることには、大変期待が大きいものであります。我が党も提案をしてきました経緯からも、この事業の実施については、しっかりと見守って、適切に関与してまいりたいと思います。

 試行的モデル事業では十時間ということでありますけれども、福岡市においては、四十時間、これもやるということでございました。是非、いろいろな自治体、切磋琢磨して、いいものになっていくようなことも含めて、我が党としても、しっかりと見守って、関与していきたいと思っております。

 一時預かり事業とはこの事業は異なっておりまして、子供の育ちを応援し、子供の良質な生育環境を整備する事業であるという観点は、この事業を行っていく上で決して見失ってはならないものと考えます。

 未就園児の問題は、特に子供がゼロ歳―二歳児の時期は、自分の経験からいっても、本当に孤独で、虐待を決して人ごととは思えないときもありました。自己嫌悪にさいなまれ、それがいよいよ、外からの目を遮断する、そういうことにもつながりかねないということも感じます。海外では、就学前のプレスクールだとか、幼児とともに親子で参加する場に参加しないことから、虐待を懸念をされ、早い時期に家庭への関与や支援が行われるとも聞いております。

 この制度が、子供の育ちを応援し、子供の良質な生育環境を整える、整備する事業である点からいえば、基本は、希望者だけではなく、全ての子供に利用していただく、もう当たり前に使うものという、このことが、そうやってこの制度が育っていくことが重要と考えます。

 令和八年度の全国展開、そしてその後のまたよりよき制度にしていく上で、政府が目指していく方向性を確認をしたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 こども誰でも通園制度につきましては、委員御指摘のとおり、子供の育ちを応援をし、子育て家庭に対する支援を強化するため、ゼロ歳六か月から二歳の保育所等に通っていない全ての子供を対象とすることとしております。また、令和八年度からは、法に基づく給付制度となり、利用者側に一定の権利性が生じることとなるため、全自治体でより利用しやすいサービスとして整備していくこととしてございます。

 対象となる全ての子供が利用できるよう、制度の本格実施を見据え、実施主体となる市町村への働きかけ、提供体制の整備の支援を行ってまいります。

 また、制度を知らない保護者に対して広く御利用をいただいていくということの観点からですが、関係機関と連携しながら、その利用を促進していくことが重要であると考えております。

 こうしたことから、例えば、伴走型相談支援事業や乳児家庭全戸訪問事業の中で、全ての保護者に対して制度の周知、これを行っていくことですとか、こども誰でも通園制度に関する利用申請が行われていない家庭の保護者に対して親子の集いの場を提供する事業などの案内、こういったものを行うことで、家庭との関わりを深め、こども誰でも通園制度の利用につなげていくなど、保護者の方々へのアプローチ、これが重要であると考えております。

 こうした対応を含めまして、試行的事業を実施する中で検討を更に深めつつ、本格実施以降も、全ての子供の育ちを応援をし、子供の良質な生育環境を整備するというこども誰でも通園制度の意義が果たされていくように、制度の在り方について不断に検討してまいります。

吉田(久)委員 育休中等代替支援コースについてお伺いをしたいと思います。

 今年三月に厚労省から発出をされました両立支援等助成金の制度変更のお知らせの中で、既に一月から開始をしている制度として、育児休業取得者を応援してくれる周囲の労働者に手当を支給した場合、また代替要員を新規に雇用した場合に加えて、短時間勤務中の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合の、育休中等業務代替支援コースについて詳細が示されております。

 これは、職場に負担をかけるので育児休業や時短勤務を取りづらいとちゅうちょをする当事者にとっては、業務を代替してくれる方にも恩恵が届くというありがたい制度であります。是非活用が進むように期待しているところであります。

 先月、地元福岡で、就職氷河期世代の女性との懇談をさせていただく機会がありました。単身女性の生の声を赤裸々に語っていただく、お聞きする貴重な機会となりました。

 実は、開口一番要望が出たのは、育休を取得された方の分の仕事のフォローが相当な負担であるということでありました。おめでたいことなので応援したい気持ちはあっても、育休中の負担そして育休明けの短時間労働のしわ寄せは、その方は女性三人で事務職をされていらっしゃいますけれども、御自身以外、育休を順繰り順繰りに取得をされるので、常に仕事の負担が減らない状況とのことでありました。派遣社員を入れてもらっても、やはりなかなか全てはカバーはできず、何か応援手当のようなものは、少し報われる制度はないのでしょうかという御要望でした。会社側がこの制度を、整備されていることを御存じないこともあるので、この制度について御紹介をいたしましたけれども、実情、まだまだ周知されていないと実感をいたしました。

 具体的にこの制度、改めて、どういうような制度なのか、また、今後の更なる周知が必要だと思いますけれども、これについてお伺いしたいと思います。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 両立支援等助成金の育休中等業務代替支援コースは、育児休業や育児のための短時間勤務を利用する労働者の業務を代替する周囲の労働者に対して事業主が手当を支給した場合や、育児休業取得者の代替要員を新規に雇用した場合、こういったことを対象として、中小企業事業主に対して支給をするものでございまして、令和五年度補正予算において従来の制度を拡充したものでございます。

 具体的なこの拡充の内容といたしましては、代替期間や手当の額に応じて支給額が増加していく仕組みを導入をし、また、育児休業を長期間取得した場合に対する支援を手厚くするとともに、従来の制度では対象としていなかった育児のための短時間勤務を利用した労働者の業務代替の場合も新たに対象としたところでございます。

 そして、支給額についてでございますが、労働者が育児休業を取得した際に業務を代替する周囲の労働者へ手当支給を行った場合に、育休取得者一人につき最大百二十五万円、労働者が育児のための短時間勤務を行う際に業務を代替する周囲の労働者へ手当支給を行った場合に、制度利用者一人につき最大百十万円、労働者が育児休業を取得した際に代替要員の新規雇用を行った場合に、育休取得者一人につき最大六十七・五万円となっております。

 委員お尋ねの利用状況に関してでございますが、このコースは、令和六年一月一日以降に利用を開始した育児休業等を対象としておりまして、原則、助成金の対象となる育児休業や短時間勤務制度の利用終了後に支給申請をしていただく仕組みでございますので、現時点ではほとんどの対象事案が支給申請をするタイミングに至っていないと考えられ、実際に支給をした、支給に至った事案というのはまだ把握をしていないという状況でございます。

 ただ、先ほど、吉田委員自らこの制度について周知をしていただいた、大変ありがたいことだと感謝申し上げたいと思うんですが、まさに御指摘がございましたように、この助成金の活用によりまして、職場へ気兼ねなく育児休業を取得することができ、男女共に希望に応じて仕事と育児を両立することができるようにするために、関係団体等にも御協力をいただきながら、事業主に向けた助成金制度の周知にしっかりと努めてまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 続いて、放課後児童クラブについてお伺いしたいと思います。

 我が党の伊佐議員からも、新・放課後子ども総合プランを着実に実施をすること、また、放課後児童支援員を始めとする指導員の処遇改善、常勤化をしていくこと、これらを我が党としても政府にお願いをしておりましたけれども、残念ながら、新放課後プランは達成はできませんでした。二〇二三年度末までということでありました。百五十二万人分の受皿が目標だったんですけれども、百四十六万人、また待機児童は一万六千人、引き続きしっかりと受皿の整備も進めていただきたいと思います。

 もう一つの、指導員の処遇改善、常勤化についてですけれども、この放課後児童クラブの職員は、会計年度任用職員の方々もいらっしゃって、単年度契約であります。私も、私より随分年若い後輩が、教師にはなれなかったけれども子供に関わりたいということで、この仕事を見つけられたということで喜んで働いて、始められましたけれども、長期雇用が難しいということ、実態が分かりまして、途中で辞められてしまいました。本当に非常勤という不安定な働き方であります。翌年に採用されるとは限らない。この指導員さんでは非常勤の方が半分ぐらいいらっしゃるということであります。

 常勤職員に転換をできるような制度、この処遇改善も含めてしっかりとやっていく必要があるのではないかと思いますけれども、これについての推進をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブの職員の処遇改善事業でございますが、三種類ございまして、十八時半を超えて開所する事業所に対するもの、あるいは勤続年数や研修実績等に応じたもの、そして、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を三%程度引き上げるためのもの、この三種類の事業を継続して実施をしてきているところでございます。

 加えまして、安定的な人材確保や支援の質の向上を図る観点から、昨年十二月に閣議決定いたしましたこども未来戦略を踏まえて、令和六年度予算において、常勤職員を二名以上配置した場合に運営費の補助基準額の引上げを導入をしたところでございます。

 こうした取組によりまして、引き続き、処遇改善を進め、職員の安定的な確保に努めるとともに、昨年末に文部科学省と連携をして策定をいたしました放課後児童対策パッケージ、これによりまして、待機児童の解消を目指し、必要な受皿の確保にしっかり努めてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 若い世代が、希望どおり結婚して、子供を持ち、安心して子育てができる社会を目指していく上で、若者の経済的な基盤の強化、所得のアップ、大事だと思います。

 その上で、貸与型奨学金の返還額を柔軟に変えられる制度の拡充、また求職者支援制度の充実、低廉な家賃の住宅確保等々、今国会での困窮者自立支援法改正、住宅セーフティーネット法なども受皿になって、改正をしていただくわけでありますけれども、我が党がかねてからずっと主張しているのが既卒者の奨学金返済支援についてですけれども、この肩代わり支援の制度と、今の普及状況、利用状況がどうなっているのか、自治体そして事業者の支援金制度、どうなっているか、現状の利用状況を教えていただきたいと思います。

谷委員長 奥野文部科学省審議官、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

奥野政府参考人 はい。

 お答え申し上げます。

 企業等による貸与型奨学金の代理返還につきましては、日本学生支援機構において各企業等から送金を直接受け付けているところです。令和三年四月の制度開始直後は六十五社から登録いただいておりましたところでしたが、令和六年三月末時点で千七百九十八社から登録をいただくに至ってございます。

 また、地方公共団体におきましては、地域への定着等を推進するため、奨学金の返還支援を行っておるところでございます。内閣官房におきまして令和六年三月に公表した調査結果によりますと、調査を開始した平成二十七年時点で五県九十七市町村の実施であったところ、令和五年六月時点におきましては四十二都道府県七百十七市区町村において自治体による奨学金返還支援が実施されております。

 引き続き、制度の周知に努め、利用拡大を進めてまいります。

吉田(久)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

    〔谷委員長退席、新谷委員長着席〕

新谷委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 本日は、連合審査で質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、我々がずっと、予算委員会のときから、後ろに座っておられる早稲田さん始め我々仲間がずっと求めてきた、年収別の支援金の試算というのがやっと出てまいりました。これは、今回、年収六百万で月千円、年収一千万円だと千六百五十円ということで、総理が当初言っていたワンコイン、四百五十円とは全く違う、まさにまやかしだったことが明らかになったというふうに思います。

 ただ、まだ、国保とか、あと後期高齢者の医療制度については試算というのが示されておりません。特に国保については保険料率が市町村によって異なりますから、例えば一番低いところと一番高いところみたいなケースに分けて示していただかないと。まさに皆さん、自分が一体どれだけ負担が増えるのか、これを知りたいんですよ。これが分からないとこの法案の採決なんかできないと思いますけれども、これを是非示していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 これまで、こども家庭庁としましては、加入者一人当たりの金額に加えまして、三月二十九日には、医療保険制度ごとの支援金額等の幅広い試算について公表をさせていただきました。

 その中で、国保につきましては、夫婦子一人の三人世帯、夫の給与所得のみという前提でのケース、こちらの加入者一人当たりの支援金額につきまして、年収八十万では月五十円、年収百六十万円では月二百円、年収二百万では月二百五十円、年収三百万では月四百円と年収別にお示しをしておりまして、また、後期高齢者につきましても、年金収入のみの単身世帯として、年収八十万円では月五十円、年収百六十万円では月百円、年収百八十万円では月二百円、年収二百万円では月三百五十円と年収別にお示しをさせていただきました。

 その上で、国保の拠出額の上限額につきましては、支援金の賦課上限について、被用者保険におけるルールとのバランス等を考慮して徴収の前年度に定めることですので、現時点で一概に申し上げることはできません。

 また、国保の拠出額の最低額、こちらにつきましては、全国平均的なものとして五十円、先ほど申し上げましたが、五十円と三月二十九日の試算の公表の際にお示しをしてございます。その上で、市町村が条例において賦課方法を定め、それに基づき決定されることとなりますため、現時点でその最低額を正確にお答えするということは困難であります。

 いずれにしましても、令和十年度の支援金額は令和三年度の医療保険料額の四から五%程度と見込まれることから、ある程度のイメージをどの方にも持っていただけるものと考えてございます。

大西(健)委員 今、大臣の答弁でも、医療保険料の四%から五%という話がありましたけれども、まさに市町村国保の保険料というのはかなりばらつきがあるんじゃないんですか、一番高いところと低いところだと。

 しかも、国保の中には、いわゆる無職の方だけじゃなくて、雇用されている労働者で被用者保険に入れていない方というのもたくさんいらっしゃるわけですから、ここは本当にいろいろなパターンを想定して示していただかないと、全く具体的なイメージが持てないし、議論にならない。そういう意味では、これが出てこないとまさに採決なんてできないということは申し上げておきたいと思います。

 この件については、午後また、地・こ・デジの委員会で同僚の城井委員から詳しく質疑をさせていただきたいと思います。

 さて、こども未来戦略方針の正式決定に際して、総理からは、若年人口が急減する二〇三〇年代に入るまでに少子化傾向を反転できるかどうかがラストチャンスだ、こういうお言葉がありました。ラストチャンスというのは、文字どおり、そこで失敗したら後がないということです。

 この点、不安になるニュースがありました。二月の末に、お隣の韓国で、昨年の合計特殊出生率が〇・七二となって、八年連続で前年を下回ったとの発表がありました。我が国が一・二六なので、〇・七二というこの数字自体、非常にショッキングなんですけれども、深刻なのは、韓国も何もしてこなかったかというとそうではなくて、いろいろな対策をやってきたけれども、歯止めがかかってこなかったということなんです。

 例えばですけれども、韓国では、二〇〇五年に少子化対策の法律が制定されて、二〇〇六年からこれまでに約二百八十兆ウォン、日本円でいうと三十兆円余りを子育て支援に投じてきた。そして、韓国では、十年前に既に子供を対象にした無償保育は実現していますし、児童手当については、月額十万ウォン、日本円でおよそ一万一千五百円で、所得制限は既に四年前に撤廃しています。また、育休制度についても、韓国では、両親共に取れば、上限はあるものの、基本給などの金額の十割をもらえる。しかも、これは、日本では今回二十八日間ということになっていますけれども、三か月もらえるそうです。ほかにも、新婚夫婦向けの住宅供給など、ある意味、日本を先取りしている部分もあります。

 もちろん、背景にある社会とか文化の違いはあるものの、先ほども言いましたけれども、ラストチャンスですから、今回、多額の予算をつぎ込んで結果が出なかったということは許されないと思います。

 この点、韓国の失敗をよく分析して教訓にすべきだと思いますが、加藤大臣、この韓国をどう教訓として受け止められているか、御所見を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 韓国の二〇二三年の出生率、これは速報値で〇・七二であったと、御指摘の数字、承知してございます。他国の状況につきまして、成功、失敗等を論じることはしませんけれども、韓国の出生率の低下の背景としましては、例えば、雇用、住居、教育費の問題といった様々な要因が複合的に影響していることが指摘されていると承知をしてございます。

 社会、文化的な背景の違いなどもあり、我が国と単純に比較することはできませんけれども、少子化の課題を同様に抱える韓国の状況も参考にし、少子化対策を進めてまいります。

大西(健)委員 何か薄い御評価だったんですけれども。後ほどちょっとまた議論しますけれども。

 やはり少子化の大きな要因というのは、再三言われているように晩婚化、未婚化というのが大きいと思うんですね。ですから、既に子供のいる方への支援、これは必要ですけれども、そこに過度に軸足を置き過ぎた、給付に軸足を置き過ぎた対策というのは場合によっては的外れになる、こういうおそれがあるというふうに思います。

 次に、新たな支援金が、一体、これは税金なのか、それとも社会保険料なのかという問題です。

 この点については三月二十六日に藤岡委員が非常に的確な質問をされておりますけれども、会議録を資料としてお配りしています。藤岡さんは、国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてではなく、一定の要件に該当する全ての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法八十四条に規定する租税に当たる、こういう最高裁判決を引いて、高齢者は支援金を負担しても児童手当を始めとする特別の給付を受けることができないので、支援金は租税に当たるんじゃないか、こういう質問をしました。

 これに対して、会議録をまた見ていただきたいんですが、加藤大臣は、介護保険の地域支援事業のように保険給付以外に保険料を充てている例がほかにもある、また、子育て世帯を支えて少子化対策を図ることで社会保険全体を持続可能なものにしていくことが、ひいては高齢者の方々を含め社会全体の利益にかなう、こういう関係性があるという理由で、支援金を保険料として拠出することには問題がないんだ、こういうふうに答弁をしておられます。

 ただ、確かに、介護保険の地域支援事業は、保険料が在宅医療であったりとか介護連携のための普及事業などに充てられています。ただ、これは、充てられていて、保険料が給付に直接反映しているわけじゃないんですけれども、それでも、介護保険制度の円滑な実施とか、要介護状態になっても地域で自立した日常生活を営むことができるように支援するという一定の関係性というのは、これはぎりぎり私は説明できると思うんです。

 しかし、社会保険制度の持続可能性を高めるためとか、子育て世帯を支えることがひいては高齢者を含む社会全体の利益になるなんて言い出したら、それこそ何でもありですよ。これでは風が吹けばおけ屋がもうかると同じです。

 例えば、住宅政策だって、防衛政策だって、何でも子育て支援にひっかければ、ひいては社会全体のためになるんだ、だから保険料で出してもいいんだ、こういうことになっちゃうんじゃないですか。加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 現行の医療保険制度におきましては、保険料が充てられている費用として、子育てを終えた方は支給の対象とならない出産育児一時金や保険給付に該当しない保健事業があるほか、後期高齢者支援金や出産育児支援金はそれぞれ、それによる直接的な給付のない現役世代、後期高齢者の保険料を充ててございますし、また、介護納付金は、社会連帯等の観点から、医療保険とは異なる制度への拠出に充てているところでありまして、給付と負担の関係は様々、今、現時点でも様々あります。

 御指摘の平成十八年の最高裁判決におきましては、保険料が出産育児一時金や後期高齢者支援金の前身である老人保健拠出金にも充てられていた中で、国民健康保険の保険料全体について反対給付性があるとして、憲法第八十四条の直接的な適用はない、つまり、税ではないと判示されているものと承知をしてございます。

 したがいまして、保険料の反対給付性につきましては、健康保険上の保険給付や各事業等との個別の一対一対応で判断されるものではなく、全体として判断されるものでございます。

大西(健)委員 さっきも言いましたけれども、ひいては社会全体の利益になるなんて言ったら、何でもありになっちゃうんですよ。

 だから、我々も、絶対広げちゃいけないとは言っていないんですけれども、一対一まで求めていないけれども、やはりぎりぎりの関係性というのは説明できないと、これは余りにも遠過ぎるでしょうと藤岡さんもこの間繰り返し言ったんですけれども、全く、今の答弁、私は納得できないと思うんですけれども、武見大臣、今の加藤大臣の答弁を聞いていただいて、納得できますか。

 私は、安易な保険料の流用には、本来、医療保険を所管する武見大臣が体を張って反対しなきゃいけないんじゃないかと。厚労省内には、支援金を保険料として拠出することに反対がなかったのかどうか、武見大臣、御答弁をお願いします。

武見国務大臣 社会保険方式の仕組みの中で、医療保険から発足をして、そして高齢化対策として介護保険が導入をされて、そして二〇〇八年には、国民健康保険に余りにも高齢者が集中して持続可能性がなくなると、今度は後期高齢者医療制度が導入をされる。そして、新たに、少子化対策が高齢化対策とともにより重要な位置を占めるようになると、出産一時金に関わる給付が行われる。

 これに加えて、改めて、少子化対策という、まさに高齢化対策と少子化対策というのは表裏一体のものとして考えられ、そして、その少子化対策の中で支援金という方式が加えられることになりました。この枠組み自体に対しては、私は、妥当性の極めて高いものであり、御指摘の反対給付性に関する観点からいっても、給付と負担との関係で、一体として、その整合性はあるものとして考えます。

大西(健)委員 医療保険を所管している大臣からの答弁としては非常に残念だと思いますね。風が吹けばおけ屋がもうかるですよ、これは。

 今るる大臣が言っていただいた歴史を見ると、結局、国民のアレルギーが強い増税を避けるために、安易に社会保険料の使途の拡大を少しずつ図ってきた、これがこれまでの歴史なんじゃないんですか。それを更に進めるのが今回の支援金で、本来は、税として国民に正面から負担をお願いするのが私は筋だと思います。

 今までも社会保険料の流用はなかったかといえば、今大臣も言われたように、ありました。でも、私、そこには一定の後ろめたさみたいなものがあったと思うんです。ところが、支援金によって、そのたがが外れてしまうんじゃないかということを私は懸念しているんですね。

 例えば、その一つに、次の資料のページを見ていただきたいんですが、子ども・子育て拠出金というのがあります。資料として配っているこの会議録を見ていただきたいんですけれども、国会で、これが税なのか保険なのかというのを問われて、当時の大臣は、税、保険、また手数料のいずれとも性格が異なるものと答弁しているんです。だから、この答弁にはまだ遠慮があったと思うんですよ。

 ところが、加藤大臣は支援金を保険料として拠出すると明言しているので、これは私、一線を越えたんじゃないかと。だから、これからは何でもかんでも保険料からやって、増税するのは嫌だから保険料を使っちゃえ、こういうふうになる、こういう一線を越えたんじゃないかと思うんですけれども、加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 子ども・子育て拠出金は、仕事と子育ての両立を支援し、将来の労働力の確保に資するため、被用者を対象に、厚生年金の徴収システムを活用して、事業主の皆様から拠出をいただいているものでございます。その性格は、特定の事業目的のために、事業主という特定の者のみが費用を拠出する仕組みであり、これは税でも保険料でもございません。

 一方、社会保険制度は、社会連帯の理念を基盤として共に支え合う仕組みでありまして、支援金制度も、こうした連帯によって全世代、全経済主体が子育て世帯を支える仕組みであり、支援金は保険料と整理されるものでございます。

大西(健)委員 私は、まだ子ども・子育て拠出金の方が関連性が説明できると思うんですよ。それでも保険でも税でも手数料でもないと言っていたのを、今回は堂々と保険料から流用しちゃうというのが、これがちょっと怖いなと思うんですね。

 これをずっとやってきた結果、社会保険への依存を強めてきた結果、国民負担に占める社会保険料負担比が四割を超えている、これは主要先進国で一番高くなっています。そして、我が国では、原則、企業が雇用者と社会保険料を折半して負担しているために、社会保険料負担の増加は、給与と合わせた企業の人件費を増大させ、それが賃上げ余力や企業の国際競争力をそぐ一因となっているとの指摘があります。

 一方で、労働者派遣法の改正を受けて、企業は人件費を抑制するために、社会保険料負担のない非正規雇用を拡大させてきました。先日の雇用保険法の本会議質問でも指摘しましたけれども、同年代の正規雇用者と非正規雇用者の有配偶者率を比べた場合に倍以上の開きがある。つまり、安定的な経済基盤が築けなければ、結婚も出産にも踏み切ることができない。不本意非正規をなくすことこそが最も重要な少子化対策だと思います。

 ところが、保険料負担を増やしていく、さらには支援金を乗せていくということになると、企業の賃上げ意欲を奪って、非正規雇用を促進する。そういう意味では、これは少子化対策に私は逆行するものだというふうに思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度は、歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築をするため、全体として実質的な負担が生じないとしてございます。このことは社会保険料の事業主負担についても同じでございますので、支援金の拠出によって、賃上げを抑制したり、非正規雇用を増加させるといった効果があるとは考えておらず、少子化を促進することもないと考えております。

 また、特に事業主の皆様につきましては、将来の労働力の確保や我が国の国内市場の維持発展等を通じたメリットがありまして、児童手当の充実など、子育て中の従業員の皆さんにとっても大きな受益となるものでございまして、拠出について御理解を得てまいりたいと考えております。

 なお、望まない非正規雇用を正規雇用に転換していくことについては厚生労働省において推進をされており、こども家庭庁としても、若者の所得向上の観点から連携して取り組んでまいります。

大西(健)委員 歳出改革というのは、これは捕らぬタヌキの皮算用ですよ。それから、実質賃金、二十三か月連続マイナス、過去最長ですよ。そこにまた保険料負担が増えれば労働者の手取りも減るわけですから、これは本当に深刻だと思います。

 与党の議員の中にも、こういう過ちに気づいて反省している政治家はいます。配付資料を御覧いただきたいんですけれども、これは加藤大臣のお父様、加藤紘一元官房長官の著書「強いリベラル」というものからの抜粋ですけれども、労働者の格差がなぜ生じたかといえば、これははっきりしています、九〇年代半ばから労働者派遣法を規制緩和して、どんな職業でも派遣労働を認めるようにしたためです、正社員を減らし、派遣労働の割合を増やして、実質的な労働者の賃金を引下げを図れるようにしたわけです、そのことが社会に及ぼす影響がこれほどまでに破壊的なものであるということに私は無自覚でした、当時の自民党議員もそうだったと思いますと、まさにお父様は認めておられるんですよ、反省されているんですよ。

 政府・与党は、派遣労働による雇用の不安定化こそが結婚や出産の最大の障害となっていることを認めるべきだと思いますけれども、娘として、お父様のお言葉、どう受け止められますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、未婚者が結婚しない理由として、適当な相手に巡り合わない、必要性をまだ感じない、そして、結婚資金が足りないなど挙げられておりまして、経済的な負担の面が指摘されていると承知をしてございます。

 また、特に男性については、正規雇用の方々の方が非正規雇用の方々に比べて有配偶率が高い傾向にあるほか、所得が高いほど有配偶率が高い、その傾向も見られまして、若い世代の所得の問題が未婚率の上昇の大きな要因の一つであると認識をしてございます。

 労働者派遣法の改正につきましては、厚生労働省の所管であり、御答弁は控えますけれども、政府としては、若い世代が結婚や子供を産み育てることへの希望を持ちながらも所得や雇用への不安等から将来展望を描けない状況に陥っている、このことを強く認識しておりまして、雇用の安定と質の向上、これを通じた雇用不安の払拭等に向けて、若い世代の所得の持続的な向上につながる幅広い施策、これをしっかり展開してまいります。

大西(健)委員 加藤紘一元官房長官は、このことが社会に及ぼす影響はこれほどの破壊的なものであるということに、まさに社会を壊してきたんじゃないかと私は思っています。ここにまず反省がなければ、この少子化対策はうまくいかないんじゃないかと思っています。

 児童手当について、今回、所得制限をなくして、支給期間を中学校修了から高校卒業年代まで延長することになりました。これは私たちがずっと求めてきたことなので、実現してよかったと思いますけれども、しかし、民主党政権で、子ども手当をばらまきと批判して所得制限をつけたのは自民党です。そのとき何と言ったかというと、所得制限を設けない現金給付は社会主義思想だ、ここまで言ったんです。また、二年前には、我々の反対を押し切って、待機児童対策に回すために、所得制限を強化して約四割の人から特例給付を取り上げました。その舌の根も乾かぬうちに児童手当の所得制限撤廃って、これ、おま言う、おまえが言うかという話ですよ。

 子ども手当をそのまま続けていれば、少子化もここまでひどいことになっていなかったんじゃないですか。この十数年のうちに団塊ジュニア世代が五十歳を超えてしまったんです。

 加藤大臣は、この間の自民党の失敗をどう総括されていますか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 児童手当の経緯、これを振り返りますと、現在の所得制限は、平成二十三年の民主党、自民党、公明党の三党合意に基づき、限られた財源の中で支援を重点化するなどの観点から、所得制限を設けられたものと承知をしてございます。

 また、令和三年の児童手当法の改正による年収一千二百万円以上の方に対する特例給付の廃止につきましては、長年課題である待機児童問題の解決促進と併せて、子育て支援全体のバランスとニーズを踏まえた上での対応であったと承知をしてございます。

 三党合意から十年以上が経過をし、この間、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化など、様々な少子化対策を実施してまいりました。これによって待機児童が大きく減少するなど、一定の成果はございましたが、昨年は出生数が約七十五万人となるなど、少子化傾向にはまだ歯止めがかかっておりません。

 こうした危機的状況がある我が国のこの少子化傾向を反転させるため、今般、所得制限の撤廃など、児童手当の拡充を始めとする抜本的な政策強化を三・六兆円に及ぶ規模で行うことといたしたところでございます。これらの取組を通じて、引き続き少子化対策の前進を図ってまいります。

大西(健)委員 さっきも言いましたが、韓国は四年前にもう所得制限を撤廃していますからね。

 団塊ジュニアがこの十年で五十歳を超えちゃったんですよ。この団塊ジュニアでピークをつくれなかった、これは本当に深刻だと思います。

 親が就労していなくても子供を保育所などに預けることができる、こども誰でも通園制度、これは孤立の孤の孤育てをなくして、全ての子供が保育所につながる機会を保障するという点では私も画期的だとは思いますけれども、ただし、制度導入に当たっては、利用者の視点と同時に、現場を担う保育士さんの意見、これも重要だと思います。

 この点、保育士に行ったアンケートというのがあります。資料を御覧ください。否定的な意見が七五%を占めています。具体的な意見としては、現場の負担が増える、丁寧な保育ができない、人手が足りないといった意見がありました。

 保育士の皆さんはプロですから、空きがあるから受け入れる、ただ預かればいいというふうには思っていません。ただでさえ余裕がない中で新たな負担が増えると、安全や保育の質を保てるのか、こういう不安を持っておられると思うんですけれども、その懸念は、私、当然だと思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 こども誰でも通園制度の実施に当たりましては、子供の安全の確保が大前提であり、アレルギーなど、子供の安全を確保するために必要不可欠な情報を事前にしっかりと把握しておくことが非常に重要であると考えております。

 試行的事業の在り方に関する検討会におきましても、安全確保に不可欠な情報の事前把握の必要性に加えまして、慣れるまでに時間がかかる子供への対応として親子通園が考えられることですとか、また、年齢ごとに異なる関わり方の特徴や留意点などについてお示しをいただいております。今後、試行的事業において実例を収集をしまして、更に検討、整理を深め、安全の確保が図られるように取り組んでまいります。

 また、こども誰でも通園制度における保育の質の方ですね、質を確保するためには、事業者が必要な保育人材を確保し、しっかりと運営できることが必要となります。試行的事業の状況などを踏まえながら、運営費の単価設定等についても検討をしてまいります。

 さらに、保育現場における職員の方々の負担を軽減し、子供たちと向き合う時間を確保するため、利用者情報の利用実績の管理、自治体への給付費の請求などに対応できるシステムを国が一元的に構築することとしておりまして、令和七年度からの運用を目指して準備を進めてまいります。

 しっかり安全と質の確保、努めてまいります。

大西(健)委員 安全と質の確保をするためには、今回、四歳児、五歳児の配置基準、七十六年ぶりに見直しましたけれども、やはり保育士、足りないんですよ。それから、そのための処遇改善、これをやるべきだと思います。

 ちょっと時間がないので、今日、文科政務官に来ていただいているので。

 次の資料のページですけれども、高校授業料の無償化の所得制限撤廃、これは東京、大阪が独自に先行して乗り出していますけれども、私立も含めて保護者負担ゼロの無償化を目指している大阪では、私立学校への進学のハードルが下がる一方で、公立への影響というのが懸念されていました。そうした中で、先日、府立高校の半数近い七十校が定員割れになると、大阪の教育界にショックが広がっています。一方で、大阪では、三年連続定員割れになるとこれは整理の対象になるという条例があるそうで、既に二三年度までに十九校が募集停止、二七年度までには更に七校が追加になるという見込みということで、公立高校の淘汰が進むおそれがあります。

 こうした状況を文科省はどう思われているか、ちょっと時間がないので、簡潔に御答弁お願いします。

安江大臣政務官 お答え申し上げます。

 大阪府の高校授業料無償化による府内の公立高校への影響は定かではなく、コメントは差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、この取組は大阪府が独自で行うものでございまして、その制度設計も大阪府知事の責任の下で行われているものと認識をしております。

 その上で、端的に申し上げれば、公立高校につきましては、大阪府を含めて地域で重要な役割を果たしていただいているものと考えておりまして、例えば、多様な背景を有する生徒に対して手厚い支援を提供したり、地域産業の担い手を育成する専門高校等がそれに当たるかと思います。国公私立にかかわらず、多様な学習ニーズに対応した、特色、魅力ある教育を行い、生徒に選ばれる学校となっていくことが重要でありまして、その観点からも、文部科学省としても各種の取組を進め、各高校の特色化、魅力化に取り組んでまいります。

大西(健)委員 公立高校がなくなっちゃっていいんですかね。これは、国が無償化の所得制限を撤廃すればいいことじゃないかと私は思いますけれども。

 時間がないので最後の質問になってしまいますけれども、こども家庭庁ができるときに、家庭という言葉を入れるかどうかについて様々な議論がありました。その際、最近では家庭の在り方も大きく変わって、一人親家庭、家庭のない子供たちも増えてきている、それどころか、親による虐待を受けて、家庭という地獄で苦しむ子供たちもいるという話がありました。

 こども未来戦略方針の中には余り社会的養護の話は出てこないんですけれども、私はこれは大切だと思っています。

 都道府県の社会的養護推進計画の策定要領案について、次の資料につけてありますけれども、自民党の議連が、乳児院については従来の入所措置機関としての役割は終わった、乳児院の新設禁止や既存の乳児院の定数削減計画を盛り込むように求めている、それから、これでは惰性で乳児院が残るとか、里親委託率の目標が一〇〇%でないのはおかしいとか言っているというのを聞いて、ちょっと私は驚きました。

 私も、施設養護から里親委託等の家庭的養護にできるだけシフトさせていこうというのには大賛成です。しかし、乳児院、施設養護イコール悪と決めつけて、乳児院をなくせというのは余りにも乱暴じゃないか。

 そもそも、我が国では、里親、施設を問わず、本来、社会的養護を必要とする子供たちを保護できていないこと自体に問題があるんじゃないかと思います。それから、虐待によるトラウマを抱えているような難しい子供たちもいます。

 ですから、こんな極端な施設養護悪玉論とか、非現実的な目標を地方に押しつけることに対しては、私はこども家庭庁は毅然とした態度で臨むべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

新谷委員長 加藤国務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁お願いします。

加藤国務大臣 はい。

 お答え申し上げます。

 社会的養護に関して、まずは家庭養育優先原則、これを徹底することとしておりますが、子供の最善の利益を実現する取組を各都道府県において策定していただく社会的養育推進計画、これを策定していただきますが、その際に活用いただく策定要領は、先ほどお話もありましたが、これを本年三月に自治体宛てに通知を発出したところでございます。こども家庭庁としましては、自民党の議連ですとか超党派の議連、また関係審議会における複数回の議論の内容を十分に踏まえた上で、策定要領をお示しをさせていただきました。

 その中においては、里親等委託率については、乳幼児について七五%などとする目標を設定し、更に目標の達成見込みのある都道府県には一〇〇%を目指した目標を設定していただくこととしております。

 乳児院につきましては、入所児童が減少していくことを見据え、子供にとって不利益にならない範囲において、安易に定員増を伴う創設を行わないこととしました。あわせて、培ってきたアセスメントの専門性を生かし、妊産婦ほか在宅で不適切な養育をされている乳幼児や実親、里親、里子に対しても総合的に支援を実施できる社会資源として、一層の機能転換を図ることなどを策定要領の中でお示しをしたところです。

 その内容を、こども家庭庁としましては、各自治体において実現していただくことが肝要と考えておりまして、里親委託の推進に向けて、都道府県を伴走的に支援するなど、引き続き子供たちの育ちをしっかりと支えられるように取り組んでまいります。

大西(健)委員 終わります。ありがとうございます。

新谷委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 ただいまの大西委員の御質疑に引き続いて、少し質疑の順番を変えさせていただきまして、冒頭、武見厚生労働大臣にお伺いいたします。

 私は、子供、子育て支援の財源を医療保険に求めることには三つの大きな問題があると思いますし、そのことは、実は武見大臣は十分御認識ではないのかなと思っておりましたので、先ほどの答弁を聞きながら、おや、これはどうしたことかと思いますので、まず冒頭、武見大臣にお願いいたします。

 この間、子ども・子育て支援金に充当するために、それを医療保険に上乗せすることは、様々な改正を用いてやってございますが、大臣にお伺いしたいのは、そもそも、国民健康保険法の法律の第二条には、国民健康保険は例えばです、一つ保険を取るのが国保がいいと思いましたので、「国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする。」と。これを対価性と呼びますが、ここも改正なさるんでしょうか。国民健康保険法の第二条を改正なさるんでしょうか。お伺いいたします。

武見国務大臣 改正することは考えておりません。

阿部(知)委員 そうすると、法に合わなくなっちゃうと思うんですね。そんな何でもかんでも給付しちゃいけないから、わざわざ、国民健康保険は、保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとすると。生まれて育てなければ死ねないからといったら、もう切りがありません。

 私は、ここを大きく逸脱したのが今回の支援金問題であろうと思います。そして、それをやってしまうと何でもありになるという指摘を、先ほど来、大西委員はしているんだと思います。藤岡さんとの質疑を読み返してみても、ひいては高齢者の方々もと。ひいてはというと、何でもです。ひいてはよくなるんです、でも、保険給付というものの対価性はそうではない。

 大臣は明確にここを改正しないとおっしゃったんですから、日本は法治国家でありますから、私はそうやって使途拡大をしていくことはもう既に一線を越えていると思いますが、大臣、いかがですか。

武見国務大臣 この社会保険という方式そのものは、社会連帯という理念を基盤として組み立てられておりまして、医療保険制度の仕組みを活用して各保険者の保険料として賦課徴収した上で、給付については、個々の保険者が行うのではなくて、児童手当など、支援金が充てられるそれぞれの制度に基づき給付される仕組みとなっております。

 同様の仕組みはこれまでも、例えば後期高齢者支援金だとか介護納付金など、当該保険者以外のものが行う業に充てることも目的として、保険者が保険料を徴収しているものもございます。

 給付額の見積りとそれに見合った保険料の設定が保険者において行われる仕組みとなっていないということをもってして、保険者機能、自治といったような、先生よくおっしゃっていることに侵害しているということにはならないというのが私の考え方です。

阿部(知)委員 先んじてお答えいただきましたが、そうです、私がいつも指摘させていただいておるのは、この資料の最終ページ、資料十一を見ていただきますと、公的医療保険制度における保険者機能のイメージというところに、サービス利用の自己負担の支払いで医療提供者、医療機関にお金が行く、そして被保険者からは保険者に保険料が行く、こういう構図を取っていて、ここでどうやって保険者機能を高めるかというので、加入者の管理とか保険料徴収とか、情報提供とか適切な受診勧奨とか、予防とか保健、これをやることが保険者機能の強化なわけです。

 しかしながら、一枚戻っていただきますと、資料十の右の下の方にございますが、健康保険法において、保険料の規定に、一般保険料と区分して子ども・子育て支援金率を規定、上乗せしたわけですが、これは保険者が定めるといっても保険者では定められないので、総報酬割であることを踏まえて、実務上、国が一律の率を示すと。要するに、保険者機能を侵害、逸脱したことを今やろうとしているわけです。

 子供の数、どれくらい生まれるかを保険者はどうやったって手を出せませんし、出すべきでもありません。そうやってつかさつかさで定めてきている法治国家であり、そして、国民健康保険法は、最高裁判決まで出る、八十四条の問題、これも藤岡さんが御質疑をされていますけれども、私は、そうやってこれからは保険者機能を強化していこうと。

 だって、大臣、ずっとやってきたでしょう。厚生労働省は、保険者機能を強化させて、なるべく給付の、要するに適正化を図ろうと。そうやってみんな努力してきたんですよ、保険者は。そこに急に上乗せして、支援金だからこの率は国が定めて乗せますよと。これは大きな保険者機能の侵害だと私は思いますが、いかがでしょう。

武見国務大臣 先ほどから何度も申し上げておりますように、社会保険方式の中における社会的な連帯の理念というものを踏まえた上で、医療保険制度の仕組みを活用して、既に様々な給付が個々に行われているわけであります。

 これらの給付が行われている上で、実際には高齢化対策それから少子化対策というものがしっかりと組み合わされて、そして今回の異次元の少子化対策のための骨格を形成する、こういう形になっております。そして、その役割を社会保険の方式の中でもきちんと保とうということで、実際に今回の組立てができたものと理解をしております。

 しかも、その中における保険給付の見積りとそれに見合った保険料の設定というのが保険者において行われる仕組みとなっていないことをもってして、保険者機能であるとか保険者の自治を侵害しているということにはならないという理解になっております。

 したがって、その点において、基本的に、残念ながら、先生との認識を異にするということになるのであります。

阿部(知)委員 大臣、その御答弁は無理があると思います。だって、保険料率を保険者が決めていくんですよ。そのために一生懸命いろいろな取組をして、疾病の早期予防から給付に至るまで、ずっと苦労してきたんですよ。急に上乗せが連帯だと言われたって、それは自治機能の侵害です、民主主義に反します。

 そして、併せて言わせていただくと、実は、大臣は、私、先ほど冒頭の御答弁を聞いて、少子高齢社会というけれども、これは別にカップリングしたものじゃないんですね。高齢社会は、もしかして平和の配当かもしれません。戦争があった時代、平均年齢、みんな寿命は短かった。少子化社会は、むしろ、不安がそれを私は増強しているんだと思います。子供を持つことをこの社会が豊かに受け止めていないことが大きな原因で、それは、高齢者の老いを豊かに受け止めていない構造ともちょうど相似形なんです。

 別に、少子化と高齢化が対立するものでもなく、だから、ここに連帯という言葉を使うべきではなく、国がやるべきは安心の提供なんです、高齢者についても、子育て世代についても、子供を持とうとする人についても。何か、子供が増えたらひいては高齢者が幸せになる、この論法は本当に、私は、風が吹けばおけ屋がもうかるなんだと思います。

 子供はその増える増えないにかかわらず、子供が安心して、また、親が安心して産める社会が必要なんです。子供が言いました、少子化じゃなければ対策はないんですかと。私、子供はよく見ていると思うんです。少子化だから対策が必要じゃないんです。子供たちが子供の権利を全うしてもらえるように支えていくのが、小児における子供への対策、政策なんです。今の全体の流れがそこを見誤っていると思います。

 加藤大臣に伺います。

 お子さんを持っておられます。一番何が御自身にとって子育てしやすい、産むことを選ぶことができる社会になると思いますか。いかがでしょう。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 私個人ということではお答えは差し控えさせていただきますが、先ほど来の議論の中でもございますように、若い世代の方々は、経済的な見通しの不安ですとか、子育てをするに当たって教育費を含め様々な経済的な負担があることから、将来への希望を描けなかったり、展望を描けなかったり、そのことが、本来希望している子供を産み育てたいという思いを描けなかったり、あるいはそれを阻んでいたりということがあるものと考えております。

 委員が先ほどおっしゃられたように、子供たちを支える施策をしっかり充実する、そして子供を育てる世帯をしっかり支えていく、その仕組みを社会みんなでつくっていって、給付をしていって、それによって、ああ、この社会で自分たちは子供を産み育てることができるんだ、若い人たちがそういうふうに思い描ける、そういうふうにしていくことが重要だという点において、先ほどの委員のお話と私は通ずるところがあるというふうに受け止めました。

阿部(知)委員 そうであれば、加藤大臣に次の御質問がございます。

 資料の八番目になりますでしょうか、見ていただければと思いますが、ここには、若い人の社会保険料がいかに高いか、逆進性を持っているかが書いてございます。

 若い人ほど社会保険料負担が多い、図表の六。そして、図表の九は、これも世帯主の年齢階層別再分配所得となっておりますが、保険料を納めた後の若い人の所得であります。最初の所得よりも減っている。他方、当初所得と保険料を納めた後の再分配所得を比べると、高齢期の方がこれは少し状態がよい。この国の社会保険制度は、今や、若い人に高負担になっているんです。だから、医療保険料を上乗せして、そこから取って子育て財源にしてはいけないということがこのグラフなんです。いわゆる租税と社会保険料で負担している率を比べても、若い人ほど社会保険負担が多い、率が高いんです。

 子育て支援しようとしているのに、若い世代に更に保険料率を上乗せしていく。だって、みんなに料率を掛けるんですから。四から五%と言っていましたよ。逆行しているじゃないですか。

 今大臣がお答えになったようなら、若い人への経済支援というのは、はっきり言って、可処分所得を増やすことですよ。保険料を上げたらそうならない。そして、いろいろな給付がありますよ、しかし、その給付をばらばらと行うことによっては構造が変わらない。

 私は、先ほど大西委員が韓国の例を引かれました。随分、現金給付してきました。でも、やはり若い世代にとっては子育てしづらいと思うわけですよ。

 社会保険、社会保障というのは憲法二十五条の体現です、誰もが尊厳ある暮らしをできるように。でも、今の社会保険制度が既にそうなっていない。若い人ほど重くなる、逆進性が高いんだということを大臣はどう認識して、なぜそこから取ろうとするんですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 社会保険制度の所得再分配機能は、給付と負担を併せて見るべきものでございまして、厚生労働省の所得再分配調査によれば、社会保障を中心とした所得再分配機能により、格差の拡大が一定抑えられていると承知をしてございます。

 また、社会保険料の負担について見ましても、例えば医療保険料につきましては、所得に応じた拠出としつつ、低所得者への一定の負担軽減措置を講ずることにより、負担能力に応じた仕組みになっていると認識をしてございます。

 支援金は、医療保険料と併せて徴収するものでありまして、賦課方法も基本的に医療保険制度に準じた取扱いになります。支援金は、負担能力に応じた拠出をお願いしつつ、子育て世帯への経済的支援の充実等に充てているものでありまして、逆進性が強まるとの御指摘が当たるものではなく、適切に所得を再分配する仕組みだと考えております。

 また、支援金制度は、企業や高齢者も含め全世代、全経済主体が連帯して拠出し、現役世代である子育て世帯を支える枠組みでありまして、これにより、若い世代の拠出を抑えることとしてございます。

阿部(知)委員 大臣、私の資料を御覧になってそれを答弁しているんですか。失礼な指摘ですが、ちゃんと見てくださいな。やはり、ここにあるグラフ、二十九歳以下と、順次、二〇一九年のもので、負担率が高いということをお示しした上で私はこれをお尋ねしています。

 じゃ、若い人にこのほか現金をたくさん給付しているから、実際の負担率が低いんですか。私はそうじゃないと思うんです。大臣と私はいい討議をしたいから、まず、事実についての確認をさせていただきたい。いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金制度は加速化プランの実行を安定的に支えるものでありまして、その収入は児童手当の抜本的拡充など子育て世帯への給付に充てられます。

 また、支援金制度は、全世代、全経済主体で子育て世帯を支える仕組みでございまして、後期高齢者の方々をも含め、誰もが社会の一員として受益することから、後期高齢者の方々にも負担能力に配慮した上で拠出をお願いすることとしてございます。

 その上で、医療保険制度における保険料負担は基本的に所得に応じることから、年齢別に見ますと、五十代では年平均が三十五万円強であるのに対して、若い世代では、二十代、三十代でいえば十五万から三十万円程度になっていると承知をしてございます。

 支援金につきましては、全世代が支える中で、令和三年度の医療保険料に比べ、四、五%の水準で、医療保険料に準じまして同様の構図になりますので、子育て中や、これから結婚して子供を持とうとする若い世代を支える仕組みと評価できるものと考えております。

阿部(知)委員 子供手当は子供がいるところにしか行かないんですね。負担は子供のいない若者もするわけですよ。その人たちが今度親になるわけですから、今の論は成り立たないんですよ。ベースをしっかりと支えるために、これは既に逆進性の高い社会保険料で、若者に負担の率の高い社会保険料でやらない方がいいという指摘をしているんです。

 私はまだまだ質疑したいですが、ほかにも準備した質問がありますので、これも重要なことですので次に移らせていただきますが、是非、担当大臣にあってはこのことをよく考えていただきたい。私は、逆行してしまうと思います。そして、ますます負担が増えたら、子供を持つこと、すなわち暮らしていく負担が強いわけですよ、若い世代に。子供を持つことを遠ざけますよ。本当にそういうことをされるのは残念だと思います。

 そして、大臣、お答えにならなかったけれども、一体、日本はなぜ子供を持つことを、あるいは結婚なさることを若い人たちがためらうんだろうと。私は長年小児科医をやっておりますので、母子、お母さんと子供たちをたくさん見てきました。

 加藤大臣に伺いますが、今、幸いに赤ちゃんを授かって、ゼロから一歳までの産婦さんの一番多い死亡原因は何だと思われますか。(加藤国務大臣「ゼロ歳から三歳ですか」と呼ぶ)ゼロから一歳。人に答えを聞くようじゃ、この大事な任はできないです、大臣。(発言する者あり)あ、ごめんなさい。でも、私は……

新谷委員長 ちょっとお待ちください。

 もう一回、では、質問してください。

 阿部知子君。

阿部(知)委員 後ろから答えを聞くような形で答えてほしくない質問です。ゼロから一歳のお母さんの亡くなられる原因は何でしょう。

加藤国務大臣 済みません、赤ちゃんの方だと思って認識をしておりました。

 ゼロから一歳のお子さんのお母さんの亡くなる原因の一番の大きいものは自殺だと認識しております。

阿部(知)委員 また、子供の虐待を取れば、一か月までが一番多いわけです。慣れない育児、今、孤立した育児、従来の社会と違うわけです。それは大臣もよく御存じと思います。

 そして、私は、皆さんの御協力で二〇一九年に母子保健法を改正して、産後ケアセンター、生まれてからお母さんが不安や疲労の中に追い詰められて育児するのではない産後ケアセンターをつくってほしいと思って、これは、超党派の御協力で母子保健法改正ができて、二〇二一年から事業も法定化されたものとして始まっております。その前は、法定化はされていないけれども、取組としてはありました。

 さて、この産後ケア事業の現状、一枚目の資料に置いてありますが、これは事務方で結構ですが、どのようになっておりますでしょう。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 産後ケア事業の現状でございますけれども、令和四年度時点で、全市町村の約八四%に当たります千四百六十二市町村で実施をされております。

 産後ケア事業の執行額で見ますと、増加傾向にございますものの、約四十四億円の予算に対しまして二十二億円にとどまっていることや、産後ケア事業の利用率、産婦さんの利用率でございますけれども、これも、令和三年度の六・一%から令和四年度一〇・九%まで上がってはいるものの、約一割にとどまっているという現状でございます。

 この原因でございますけれども、自治体によって状況は様々でありますので、一概に、一律にお答えすることは難しいのですが、例えば令和四年度までは、実施要綱上、対象者を心身の不調のある者、育児不安のある者と定めておりました。このため、利用者の制限を行っている自治体もあったこと、あるいは、産後ケア事業は市町村事業でございますけれども、委託先について地域偏在がございます。特に、小規模の自治体では、委託先の確保に非常に御苦労いただいているという状況もございます。また、補助金の補助率で見ますと二分の一となっておりまして、市町村の負担も少なくないといった点も考えられるように認識をしております。

阿部(知)委員 令和四年の総務省調査で、実は二〇二四年までにこれを全国均てん化すると少子化大綱で書いたんですけれども、なかなか進まないので、総務省から助言がありました。県の責任というものも、この事業に関与してもらうようにしようと。医療資源がないところもありますから広域連携にしていこうということで、今後、今までの費用負担も、市町村と国だけじゃなくて県も行うことになると思いますが、この点を確認させていただきたいです。イエス・オア・ノーでお願いします。事務方でもいいです。大臣は、ちょっと探しているので。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般提出した子ども・子育て支援法の改正法におきまして、子ども・子育て支援法上の地域子ども・子育て支援事業に位置づけた上で、市町村が都道府県と連携しながら計画的に整備を行う、これに伴い、都道府県負担を導入することといたしております。イエスでございます。

阿部(知)委員 法律を作るときにどうしてもそこはできなかったので、前向きな改正と思っております。

 だが、しかしなんです、都道府県が補助したとしても、やはり運営していくのには膨大な自己負担、市町村負担があるんです。

 今日、時間がないので、お手元の五枚目、これは世田谷区の例であります。一番熱心に早くから産後ケアに取り組んでいただいて、実は、ここは国も東京都も補助を出しております。大体年間一億五千万ほどの支出総額があるうち、一番下の黄色いところと青いところを見ていただくと……(発言する者あり)あっ、ごめんなさい。じゃ、負担額、資料の五枚目の下であります。この一億五千万の支出のうち、国からは三千万、これは都からも三千万来ています。でも、残るは自治体が出していくことになって、結局、全体の事業、産後ケアにはショートステイ、宿泊とデイケアとそしてアウトリーチ、訪問があります、この事業全体をやると一億八千万なのですが、そのうち一億二千万は市が持ち出しております。なかなか大変だと思います。でも、産後ケアを利用されたお母さんたちは非常にそのことによって支えられる、心身共に支えられる、いい制度であります。

 加藤大臣に二つお願いがあります。

 もしまだ行っていらしていなければ、私は、子供、子育て支援というのは、給付、お金をこれだけ上げますよという以上に、親御さんたちに本当に安心して子育てしてもらうための仕組みを充実することだと思いますので、大臣には是非、世田谷、遠くありませんから視察に行っていただきたい。

 やっている各自治体はどれくらいこのために支出をしているか。国からも補助があるんです。山梨県も県が補助してくれています。それでも大変です。各自治体の負担を調べていただきたい。そこを取らないと、その負担を軽減しないと広がりません。自治体数、多く書いてあるけれども、すごく少ない利用人数では意味がありません。いつでも誰でもどこでも、つらいとき、苦しいとき、赤ちゃんとお母さんが利用できる、そういうものにしていただきたいので。

 二点、視察に行っていただきたい、自治体負担をきちんと調べていただきたい、いかがですか。

新谷委員長 加藤国務大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、視察につきましては、私自身、世田谷ではないところではございますが、産後ケア事業をされているところにじかに足を運び、本当にすばらしい、お母さんたちのサポートされている現場を拝見をいたしまして、感銘を受けました。大変大切な事業だと思います。

 都道府県の負担軽減につきましては、先ほど局長からのお話もございましたが、引き続き、市町村の御意見も伺いながら、支援の在り方について検討をしてまいりたいと考えてございます。

阿部(知)委員 済みません、意見だけじゃなくて、実態を把握していただきたい。どうすれば進むのか……

新谷委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力を願います。

阿部(知)委員 はい。

 終わります。ありがとうございます。

新谷委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 この少子化対策法案、視聴者の皆様というか、視聴者はいないのかな、今日は。御承知のとおり、御承知じゃないか、来週にも質疑が終局になる可能性が出てきていると仄聞をしております。そうした意味では、この審議は最終盤を迎えているという認識をしています。

 国会における政策等をめぐる論戦は戦いでありますから、政府・与党と野党の戦いということで、すごくこの法案については関心が高い、注視をされている方も多いと思いますので、一言申し上げると、戦況は大変不利、野党に。このままいくと、このまま自公多数で可決、成立をして、まあ衆議院では可決をしていく、こういう流れにあります。だから、戦況ということでいうと、野党はほぼ壊滅状態ということだと思います。

 理由は、やはり、今回の法案、加藤大臣率いるチームが優秀ですね、優秀。熊木さんを始めとして、どんな問いを投げても全部返ってきます。ただ、やはり官邸が、岸田総理が、内閣が霞が関に投げた課題、それは、例えば、実質的な追加負担を生じさせないとか、あるいは、消費税など子供、子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わないとかいう、最初に条件があるわけですね。その条件の中でチーム加藤がつくり込んだ今回の政策は、私は完璧だと思いますね。すばらしい。この間、ずっといろいろな問いを投げてきましたが、ほぼ全部返ってきました。

 ただ、何かでもおかしい。何かやはりおかしいんですね。

 武見大臣、もう紙を見なくていいので。普通に考えたら、なぜ今回こんなに問題になっているかといったら、社会保険料を少子化対策に使うからです。でも、大臣、まず武見大臣、社会保険料というのは社会保険給付に使う、これは原則ですよね。原則だということだけ。

武見国務大臣 社会保険の保険料に基づいて、さらに、社会保険の仕組みの中で行われる給付、これはもう委員御承知のとおり、医療保険だとか介護保険だとか、それから後期高齢者医療制度、それから出産一時支援金、給付金とか、ありますよね。こういう形で、高齢化対策、さらには少子化対策と組み合わせて、実際に、この方式の中で、国民の皆様方に、全世代型の社会保障という観点で、応能負担という考え方で給付と負担というものを組み立てて実施する、しかもその基本理念に社会の連帯がある、こういうふうに御理解をいただけるとありがたいと思います。

足立委員 急に、一応通告の、大きな通告の枠内なので、立憲民主党のようにクイズみたいなことはいたしませんが、でも、これは大原則です、社会保険料は社会保険給付に使う。これは、そうですねと言えないですか。

武見国務大臣 今申し上げたようなそうした枠組みの中で、社会保険の保険料に基づいてこうした支援金というものを行うという考え方は、全世代型社会保障の考え方、さらには社会保険という方式の中で位置づけられている社会の連帯という理念の中で私は理解されるものと考えます。

足立委員 いやいや、支援金の説明をしてくださいと言っているのではなくて、それは加藤大臣の仕事だから。武見大臣には、社会保険の原則について問うています。

 社会保険制度において、社会保険料は社会保険給付に使う。それはやはり厚生労働大臣として、それは原則はそうだと。いや、例外はあっていいですよ。例外はいろいろある、それはいろいろな理屈で、ロジックで、ある。でも、柱の部分は、社会保険料は社会保険給付に使う。それはやはり、大臣、原則についてここで御答弁いただけないと、論戦にならない。さっき私は、戦況は不利だ、負けつつあると言っておりますけれども、大逆転しますよ、これ。ちゃんと、社会保険の原則について聞いているんです、社会保険料は社会保険給付に使う。

武見国務大臣 何度もさっきから申し上げているとおりでありますけれども、社会保険の保険料と給付との関係、これはまさに負担と給付を考える上での考え方の中で整理されるべきものということについては、私も十分に理解しております。

 しかし、給付の内容というものについては、私が先ほどから何度も指摘されているように、高齢化対策、さらには少子化対策と、様々に、全世代型の社会保障の考え方の中で、その給付の在り方も時代に即して変わってきているということについての御理解を是非していただければと思います。

足立委員 いや、もう全然、申し訳ないですけれども、答弁になっていないですね。五分上げるから、ちょっと議論して。五分上げるから。いやいや、それはおかしいでしょう。(武見国務大臣「あっちから答えさせる」と呼ぶ)誰でもいいですよ。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 社会保険につきましては、これまでは、基本的には社会保障給付に充てられることがほとんどだったというふうに思っております。

 ただ、社会保険自体については、民間保険と比べまして、強制加入にし、それはまさに社会連帯で支えるということでございますので、そういったことになじむものが出てきたときに、今後それは一切社会保障給付以外に充てないということではないのではないかというふうに思っているところであります。

 ただ、現状は、いずれにしても、社会保障給付が中心だと思っております。

足立委員 鹿沼さんがおっしゃったとおりですよ。当たり前ですよね。社会保険料は社会保険給付のために集めているんですよ。

 かつ、社会保険とは何か。これは教科書に書いてあるじゃないですか、給付と負担、受益と負担の関係が明確なんだと。だから、ああいう負担構造が認められているんですよ、逆進性の高い。なぜ逆進性の高い負担構造が認められているかといえば、それは受益と負担が明確だから。だから、今、鹿沼さんがおっしゃった、ほとんどは、それは例外はありますよ、でも、ほとんどは社会保険料は社会保険給付に使われているんです。だから、それを私は原則と言った。

 大臣、そこは認めてください。認めていただいた上で論戦が始まるんだから。それはそうだと。

武見国務大臣 ただいま実務の方からも答えたとおりであります。

 その上で、是非委員に御理解をいただきたいことは、社会保障全体の中で考えるという、各世代全体の中で考えること、それから、給付の対象というのが、そうした、医療保険から始まって、高齢化対策、さらには少子化対策と、時代に即して給付の内容についても整備が進んでいくということについての御理解は是非いただきたいと思います。

足立委員 いや、だから、今回、社会保険制度の原則の例外をつくっているんだということが確認できればいいんだけれども、大臣の御答弁を聞いていると、何か、社会保険というものの在り方が変わってきているんだと聞こえるんです。

 いやいや、社会保険制度の原則は変わらないでしょう。でも、例外的に、今回、いろいろ理由があって、例えば、さっき申し上げた、総理がしようもないことを言うからですよ、実質的な追加負担を生じさせないとか、何かいろいろ。そういうしようもないことを言うから。大体、トップがしようもないことを言うと、チームは無理をするんですよ。その無理をした結果、原則がゆがめられる。

 だから、私は、今日は、この支援金というのは例外なんだと、社会保険の在り方からすれば、原則にのっとったものではなくて例外なんだということをやはり認めてほしいんですよ。そこからその在り方について議論したらいいんだけれども、いやいや、そもそも社会保険というのは連帯だから、足立さんが言っている、教科書に書いてあるやつは古いんだと。

 古いんですか、大臣。

加藤国務大臣 現行の医療保険制度におきまして、保険料が充てられている費用として、子育てを終えた方々は支給の対象とならない出産育児一時金や保険給付に該当しない保健事業、これがあるほか、後期高齢者支援金や出産育児支援金はそれぞれ、それによる直接的な給付のない現役世代、後期高齢者の保険料を既に充てておりますし、介護納付金は、社会連帯等の観点から、医療保険とは異なる制度への拠出に充てているところでありまして、給付と負担の関係も、これまでも様々であると考えております。

 したがいまして、保険料の反対給付性につきましては、健康保険法上の保険給付や各事業等と個別の一対一対応で判断されるものではなく、全体として判断をされるものであります。

 その上で、支援金につきましては、児童手当など対象者の広い給付に充てられることに加え、少子化対策によって医療保険制度の持続可能性を高めることにより被保険者に受益があるものでございます。

 支援金が医療保険各法上の保険料の中でも大きな部分を占めるものではないことも併せて考えますれば、保険料全体としての反対給付性が失われるものではないと考えております。

足立委員 加藤大臣はこども担当だけれども、今までの厚生行政、今までの社会保険制度改革は、基本的に、先ほど申し上げた、受益と負担、給付と負担の関係の明確性、この社会保険としての原則を守るために税を入れてきたんです。今までは、社会保険料は社会保険給付に使う、でも、少子高齢化の中でそれがきしんできたので、税を入れてきたんです。それが今までの流れじゃないですか。

 今回の法律は、そうじゃなくて、その宝の医療保険制度を守るために、大変大切な医療保険の社会保険料、医療保険料を、医療保険と違うところに使うんです。だから、逆噴射しているんですよ。

 今までは、保険制度を維持するために税を投入してきた。今度は、今まで税でやってきたところに保険料を使う。逆噴射していませんか、大臣。端的に。

武見国務大臣 端的に言えば、先ほど申し上げたとおりの、御納得はされておられないようでありますけれども、私の今までの答弁と同内容になります。

足立委員 もう完全にこの論戦は僕の勝ちですね。誰が聞いても私が正しい。

 おかしいんですよ。だって、今まで日本政府がやってきたことと違うことをやっているんだから。それも真反対のことをやっているんだから。

 ちなみに、今回の少子化対策三・六兆円というのは、加藤大臣、これは二・六兆でも僕はいいと思うんですよ、今回は。いや、確かにラストチャンスだから、できることは何でもやったらいいんだけれども、でも、それを言うんだったら、十兆でもいいんですよ。

 じゃ、なぜ三・六兆かというと、これは、少子化対策は三・六兆円必要だから三・六兆になったんじゃないんですよ。過去の社会保障改革の軌道、これを延長して、そこに空いた空間を、空間というか財源をごっそりいただく、税だけじゃなくて、社会保険料までいただきたい。それは官邸がしようもないことを言うからこうなっているんですよ。

 加藤大臣、これはもう一旦、別に、一兆円分は、社会保険……(武見国務大臣「一兆円分だけですね」と呼ぶ)一兆円分。だから、一兆円分は、ちょっと支援金は逆噴射しているからもうやめて、それで一旦削除して、そして、二・六兆でもいいですよ。どうしてもあと一兆やりたいんだったら、当面は国債でもいいですよ、当面ですよ、当面。足下は国債でもいいじゃん、どうせ国債を発行するんでしょう、たしか、つなぎで。だから、つないだらいいじゃない。三・六兆必要なら、国債発行、プラス一兆円したらいいですよ。それは我々賛成しますよ。

 でも、大事なことは、私が加藤大臣に申し上げたいことは、三・六兆というのは、加藤大臣が子供に必要だから三・六と言ったんじゃないんですよ。社会保障改革という武見大臣の所管事項の中で、過去の改革の軌道を延ばしただけなんですよ。中身から生まれているんじゃないですよ、財源論から生まれている額なんです。違いますか、大臣。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 少子化の進行は危機的な状況にございまして、若年人口が急激に減少する二〇三〇年代に入るまでの六年間がまさに少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであると言われてございます。

 こうした危機的な状況に鑑みまして、個々人の結婚や子育ての希望の実現を阻む障壁を取り除いていくための総合的な対策として、必要な施策、検討を積み上げた結果、三・六兆円の加速化プランをまとめたものでございます。御指摘のように経済運営や歳出改革の観点から導かれたものではありません。

 その際、制度が安定的に維持されることが、これから結婚、出産を考える若い世代が将来ライフプランを考える上で重要でありまして、三・六兆円の給付の抜本的な拡充に必要な三・六兆円の安定財源を確保する枠組みをしっかり決めることが必要であると考えております。

 その上で、財源確保に当たりましては、現下の経済財政状況を踏まえまして、増税であるとか国債発行ではなくて、徹底した歳出改革等により確保することを基本とし、社会保険料の負担軽減効果の範囲内で支援金を構築することにいたしました。

 支援金を創設しないとすれば、児童手当の充実を図ることは困難となります。その必要性や意義について国民の皆様に御理解をいただけるように、引き続き説明を尽くしてまいります。

足立委員 今、支援金がなければ、社会保険料を流用しなければ児童手当ができませんとおっしゃった。今日、財務省主計局に来ていただいています。できませんか。

 要は、これから、この法律にも書いてある、予算編成過程で今のフレームを実現しますね。さっき私が申し上げた、社会保障改革、歳出抑制の改革をやっていきますよね。今考えている軌道よりももうちょっと深掘りして、今考えている改革をもうちょっと深掘りできませんか、財務省、予算編成過程で。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御指摘のありました実績ベースの社会保障改革のお話でありますけれども、社会保障については、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という従来の社会保障の構造を転換し、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合う全世代型社会保障の構築に取り組んでいく必要がございます。

 その上で、今般の加速化プランの財源確保のための歳出改革につきましては、昨年末に閣議決定されました全世代型社会保障の構築に向けた改革工程に沿って取り組みまして、二〇二八年度までに公費節減効果について一・一兆円程度の確保を図ることとされておりますけれども、具体的に実施すべき施策の検討、決定に当たりましては、各年度の予算編成過程において決定していくこととなっております。

 このため、財務省といたしましては、まずは改革工程の着実な実現を図ることが重要と考えておりまして、これにより、加速化プランの実施に必要な財源を進めつつ、全世代型社会保障の構築を図ってまいりたいと思います。

 先生御指摘の、今までどおり、いわゆる公費の目安の中で歳出改革をしてまいりましたけれども、それを引き続き、ないしはそれ以上にということにつきましては、ひとまず、私どもとしては、閣議決定に決めていただきました、これまでどおり、毎年の中で歳出の目安を達成する中で、二〇一三年度から二〇二二年度までの九年間におきまして、子供、子育て関連予算を年平均〇・一八兆円程度確保することを続けておりましたけれども、閣議決定に、それを引き続きせよというふうにうたっていただきましたので、私どもの立場といたしましては、それを確実に達成していく立場にございます。

足立委員 まあ立場はそうですね。

 今おっしゃった改革工程、吉野次長、今閣議決定した内容は、過去の改革を踏まえた軌道ですよね。これまでこういうペースで改革してきた。だから、それを延長させていくのが基本ですよね、基本はそうだと。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、子供予算におきましては、消費税率引上げや子ども・子育て拠出金の増額により財源を確保してきたことに加えまして、社会保障等の歳出の目安の下で、繰り返しになりますが、歳出改革により、二〇一三年から二二年までの九年間、目安を達成する中で、かつ子供に予算を振り向けることによりまして、子供、子育て関連予算を〇・一八兆円程度増加してまいりました。これまでの、少なくとも九年間の実績どおりであることは確かでございます。

足立委員 加藤大臣、ちょっともう一回確認すると、今、財務省主計局は、吉野次長は何とおっしゃったか。過去の改革、それを延長していくということを端的に言うとおっしゃったんですよ。そうですとおっしゃったわけですよ。うなずいていらっしゃいます。だから言っているんですよ。この三・六兆というのは、財務省の財源の考え方から出ているんですよ。

 さっき加藤大臣は、いや、積み上げたと言うんだけれども、積み上げた額が、たまたま財務省が引いた補助線に乗ったんですか。ぴたっとたまたま合ったんですか、それは。おかしくないですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、加速化プランの予算規模は、各年度の予算編成を通じて決定されていくことにはなりますが、現時点の見込みでは、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組に一・七兆、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充に一・三兆、共働き、共育ての推進に〇・六兆、こういったそれぞれの施策を積み上げながら、全体として三・六兆の規模となります。

 また、加速化プラン完了時点の三・六兆というものは、歳出改革の徹底によって生み出される公費の節減の一・一兆、また社会保険負担の軽減効果による一兆円、この二・一兆円のほかに、既定予算の最大限活用の一・五兆円というものもありますので、歳出改革のみ、そこからということではないものと受け止めてございます。

足立委員 全部それは分かっております。ありがとうございます。

 最後、もう時間がなくなってきたので、武見大臣、大臣も御苦労されているので、今日の御答弁、ちょっとよう分かりませんが、仕方ないと思うんですが、一つだけ最後にもう一回確認したいことは、長い目で見れば医療保険財政の基盤強化にもなるかもしれぬ。それは私は、エビデンスがないから、なるかどうかよく分からないから税でやったらと言っているんですが、なるかもしれない。でも、短期的に見れば、今、先ほどからあった社会保障改革の果実、医療制度改革の果実を、本来であれば、医療制度改革の果実は医療制度改革を持続可能なものにするために短期的にも使うべきものなんですよ。それを、長期的な観点から今回は別のところに使う。

 でも、短期的に見れば、今回の法律は医療保険財政にマイナスのインパクトを与える、これは確実だと思うんですけれども、いかがですか。

武見国務大臣 それは、短期的に今回の少子化対策がどこまで大きな効果を持ち得るかによっても変わってきます。

 それで、実際にこうした新たな次元の異なる少子化対策の中で、私は、なるべく早く、実際に多くの希望する若者たちがお子様を持とうとされるように仕向けることは極めて重要な政策であって、それは短期的にも効果を持ち得る、また経済状況、それからその中で賃上げ、そして賃上げの中での可処分所得の在り方、これらを通じて、実際に短期的でさえも効果があり得るものだろうというふうに私は考えますので、ただ単なる長期策という観点ではございません。

足立委員 逆ですよね。可処分所得にマイナスのインパクトを与えるんです。当たり前ですよ。それを今大臣は、いや、短期的にもプラスの効果があるんだとおっしゃった。そんなのはあり得ないですよ。これは虚偽答弁ですよ。

 いや、悪いのは武見さんじゃないんです。岸田総理なんですよ。だから、今回はやはり、やはり何でもそうです、戦いは司令官が変な方針を出すともう大変なことになる。だから、私はこれは本当に大問題だと思っています。ただ、このままいくと負けそうなので、今日もやりましたが、あしたの厚生労働委員会、全く同じ問いで大臣にやりますので、またよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

    〔新谷委員長退席、谷委員長着席〕

谷委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 ちょっと委員会の雰囲気の流れもありますので、質疑順序を入れ替えまして、子育て支援金からお伺いをしたいと思います。

 今回、医療保険制度を使うということによって、保険の違いによる格差が大変大きいわけですね、資料の一番後ろにつけましたけれども。この間に政府が示した資料を基にすると、夫婦子一人の三人世帯、夫の給与収入のみ、年収二百万円の場合では、被用者保険では月三百五十円、国民健康保険世帯では月七百円から八百円ということになるわけですね。

 子育て支援金は、こういう医療保険を使うことによって、同じ収入なのに国保加入者が大変重い負担を払うことになります。どう考えても正当化し得ない制度設計だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 一定の給与収入がある方が加入されている被用者保険に対しまして、国民健康保険では無職や自営業など様々な就業状況の方が加入しておられることを踏まえまして、異なる制度設計がされているというふうに承知してございます。これは支援金制度に固有のものではありませんが、それぞれ、賦課方法については一定の合理性があるものと考えております。

 その上で、国保と被用者保険の支援金額の比較につきましては、国保については、お住まいの自治体や収入、世帯などの置き方によって結果が異なることもありまして、一概に比較することは困難でありますが、支援金の賦課方法は基本的に医療保険制度に準じた取扱いとなり、どの制度でも医療保険料の四、五%の水準となります。こうした仕組みには一定の合理性があると考えております。

 なお、支援金額が大きい場合は医療保険料の額も大きいということでもありまして、その分、歳出改革による保険料の軽減効果も大きくなること、また、歳出改革により、全体としては実質的な負担がない中で支援金の拠出をいただくことに留意が必要であると考えております。

宮本(徹)委員 聞いたことに答えていないじゃないですか。同じ収入なのに倍以上になるわけですよ、国民健康保険だと。そんな制度設計がなぜ正当化されるのかということを聞いているわけですよ。

 合理化できるという話を言っているけれども、合理化できる根拠を何一つ今示していないですよ。ちゃんと論理立てて説明してください。同じ答弁だったら駄目ですよ。(発言する者あり)同じ答弁は駄目でしょう。何を言っているんだ。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 一定の給与収入がある方が加入されている被用者保険に対しまして、国民健康保険では、これは先ほども申し上げましたが、無職や自営業など様々な方が加入されています。そのことを踏まえ、国保においては、所得に応じて賦課される応能割と、世帯の被保険者数等に応じて定額が賦課される応益割から構成されて、低所得者の保険料軽減措置も設けられている一方で、被用者保険におきましては、標準報酬月額、標準賞与額に保険者ごとが定める定率の保険料率を掛けて保険料が計算されるなど、異なる制度設計がされているところでございまして、それぞれの賦課方法について一定の合理性があるものと考えております。

宮本(徹)委員 全く答えていないですよね。委員長、答えさせてください。

谷委員長 時計を止めてください。

    〔速記中止〕

谷委員長 時計を動かしてください。

 加藤国務大臣。

加藤国務大臣 支援金は、医療保険に準じて徴収をさせていただいているものでございます。今、国保と被用者保険の支援金額の比較につきましては、国保について、お住まいの自治体や収入、世帯などの置き方によって結果が異なることもありますので、一概に比較することは困難ですが、先ほど申し上げたとおり、支援金の賦課方法は現在ございます医療保険制度に準じた取扱いとなります。

 また、そのどの制度でも医療保険料の四、五%の水準になるということがありますので、現行の医療保険制度、それに対して、そこで支払っておられる保険料に対して、それはどの制度においても四から五%というふうな水準になりますので、今、現行の医療保険制度に一定の合理性があるという前提でいえば、この支援金も一定の合理性があるというふうに考えております。

 また、さらに、支援金額が大きい場合には歳出改革による軽減効果も同様に大きくなることは、御留意をいただきたいと思います。

宮本(徹)委員 結局、なぜ国保と被用者保険で負担の格差が二倍以上に広がってもそれが正当化できるのかという理由について、何一つ説明できていないじゃないですか。先ほど来、医療保険の仕組みを説明しているだけですよ。

 なぜ子育て支援の負担の額が、国保に入っている人と……(発言する者あり)元々そういう仕組みというのは、それは医療保険はそういう仕組みになっていると説明しているだけで、子育て支援金が、なぜ子育て支援に当たって、入っている保険によって負担が倍以上になってしまうのかという、これは本当に国保に入っている人は怒りますよ。怒るから、皆さん、国保のちゃんとした金額を示さないんじゃないですか。

 なぜ国保の方は負担額をちゃんと示していないんですか。私、皆さんが示さないから、ちょっと自信がないけれども、粗々の試算をしましたよ。倍以上の負担になりますよ、三人世帯でも。一人世帯で比べたとしても一・五倍前後の負担になりますよ。

 こんな負担の差が、子育て支援において、入っている医療保険の違いによって起きるなんておかしいじゃないですか。誰がどう考えてもおかしいですよ。おかしくないと言える人はいないんじゃないですか、この委員会の中で。いたら手を挙げてくださいよ。いないじゃないですか、委員会室に誰一人。

 ですから、はっきり言って、今日、立憲の大西さんからも質疑がありましたけれども、国保のそれぞれの年収ごと、世帯ごとの負担額を示してその下で議論しない限り、この法案の審議、終わることはないですよ。それを出した上で、国民にこれでいいんですかということを問うて議論しましょうよ。いかがですか、大臣。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 国保ということですけれども、これまでこども家庭庁としましては、加入者一人当たりの金額に加えまして、三月の二十九日には医療保険制度ごとの支援金額の幅広い試算について公表をさせていただきまして、その中で、国保につきましては、夫婦子一人の三人世帯、夫の方が給与所得のみという前提を置いてですが、のケースの加入者一人当たりの支援金額、これにつきましては、その三月二十九日の公表の時点で、年収八十万円では月五十円、年収百六十万円では月二百円と年収別にお示しをしてまいりました。後期高齢者についても、年金収入のみの単身世帯で、それぞれ八十、百六十、百八十、二百で年収別にお示しをしました。

宮本(徹)委員 だから、四百万、六百万、八百万、一千万、どうなるのかというのはちゃんと示してくださいよ。世帯ごと、そして収入ごと。当然これは示して当たり前の話ですよ。(加藤国務大臣「はい」と呼ぶ)はいと言って答えない。

加藤国務大臣 あ、質問されていない……。

宮本(徹)委員 質問、いや、私は示してくださいと言っただけですよ。

 それで、ちょっと時間がないからもう一問行きますけれども、自治体ごとの格差というのも、先ほど大臣おっしゃったとおり、物すごいあるわけですよね。結局、市区町村国保では、所得が少ない加入者が多い国保ほど、この子育て支援金も保険料率や均等割が高くなっていくんじゃないですか。同じ世帯構成、同じ収入で比べて、最大どれぐらいの自治体格差が出ると見ているのか。一・五倍以上あるいは約二倍という自治体格差もあり得るんじゃないですか。いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 市町村国保における実際の支援金の拠出に当たりましては、市町村が条例において賦課方法等を定め、それに基づき決定されることとなるため、その条例が定まっていない現時点で個別の市町村における支援金額についてお答えすることは困難です。

 ただし、一般に、市町村間における国民健康保険料の差は、市町村間の医療費水準ですとか、また所得水準の差を反映していると考えられますが、支援金につきましては、医療保険料とは異なりまして、市町村間の医療水準の差は考慮しませんので、支援金額も医療費によって異なるといったことにまではなりません。

 一方で、市町村間の所得水準の差については、これは支援金についても影響は受けますので、そこは考慮することから、所得水準の高い市町村の平均的な支援金額は、低い市町村と比べて高くなると考えてございます。

 市町村間の所得水準の違いに応じて市町村が納付すべき額が決まり、それを基に保険料や支援金が賦課されるという枠組みについて、負担能力に応じた拠出として適切なものであると考えております。

宮本(徹)委員 最後の結論がおかしいんですよ。所得水準が低い国保だと、結局、所得が低い人がみんなで応益負担を分け合わなきゃいけないですから、保険料率が高くなってしまう。こういうことをやらないと、同じ金額を割り振られたら、そうなっちゃうわけでしょう。(発言する者あり)いや、違いますよ、それは全く間違いですね。支援金は医療費と同じ枠組みで、医療費と同じ枠組みでいくわけですよ。違うんじゃないですか。

 やじを止めてくださいよ。委員長、何をやっているんですか。

谷委員長 宮本君、質問を続けてください。

宮本(徹)委員 私に注意するんじゃなくて、やじ席に注意しなさいよ。あなた、委員長失格だよ、はっきり言って。

 いいですか、所得水準の差によって、所得水準が低い方が多い自治体は保険料率が高くなるんじゃないですか。

加藤国務大臣 繰り返しになりますが、支援金につきましては、医療保険料とは異なり、市町村間の医療費の水準は考慮しませんので、支援金額も医療費によって異なるといったことにはまずなりません。

 一方で、所得水準、こちらについては影響を受けます。市町村間の所得水準の差については考慮するので、所得水準の高い市町村の平均的な支援金額は、低い市町村と比べて高くなると考えております。

 市町村の……(宮本(徹)委員「違う、それを聞いているんじゃない。保険料率を聞いているわけですよ。保険料率を聞いているんですよ」と呼ぶ)

谷委員長 宮本君。

宮本(徹)委員 いや、私の認識は、被用者保険は保険料率は一律だというふうに聞いていますけれども、均等割、市区町村については違うという説明を聞いていますけれども、違いますか。

加藤国務大臣 繰り返しになりますが、市町村国保における実際の拠出に当たっては、市町村が条例において賦課方法を定め、それに基づき決定をされることになりますため、条例が定まっていない現時点では、個別の市町村における支援金額にお答えすることは現時点で困難でございます。

 また、所得水準の差について申し上げれば、所得水準の高い市町村の平均的な支援金額は、低い市町村と比べて高くなると考えております。

宮本(徹)委員 私の聞いたことに全然答えていないじゃないですか。

 一般論を聞いているわけですよ。当然、所得水準が、自治体で均等割と保険料率をそれぞれ決めていくというのが今の大臣の説明でしたよね。均等割と保険料率は、それぞれ賦課方法は自治体が決めていくというのが答弁で、与党のやじの声とは全然違ったわけですよ、大臣の今の説明は。その上で、保険料率はどうなっていくのかということを考えた場合に、当然、所得が少ない人がたくさん入っている保険者の方が保険料率を高くしないと賄えなくなるじゃないですか。私はその一般論を聞いているわけですよね。

谷委員長 宮本君、既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了願います。

宮本(徹)委員 結局、私の聞いていることに全然大臣は答えられないまま、時間が終わってしまった。

 こんなことで、連合審査一回というわけにはいかないんじゃないですか、委員長。連合審査は三回ぐらいやっていただきたい。

 そして、国保についてはしっかり資料を出していただきたい。

 是非、理事会で御協議お願いします。

谷委員長 持ち時間が経過しておりますので、終了願います。

 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。ありがとうございます。

 まず、武見大臣、いらっしゃいますので、今回、こども家庭庁の政策なんですけれども、財源が雇用保険ということで、育児時短就業給付金制度についてお伺いしたいと思います。

 こちらの時短勤務としている場合、時短勤務中に支払われた賃金の一〇%を支給されるというものでありますけれども、育児を行っている者の中には、時短勤務制度を活用して就労を継続している方というのもいらっしゃるかと思うんですけれども、元の職場を退職して、出産を機に、別の職場で、時短というよりも短時間勤務として働いている方も多くいらっしゃるかと思います。そうした場合に、退職して別の職場で短時間で労働している場合というのは、今回の給付の対象になるのかならないのかというのは大きなポイントかと私は思うんですけれども、これは同じ育児に取り組む者についての公平性についての考えとともに、考えをお聞かせください。

武見国務大臣 今般、共働き、共育てを推進する観点から、育児期間中の柔軟な働き方として時短勤務を選択しやすくするように、育児時短就業給付を創設することとし、二歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、時短勤務中の各月に支払われる賃金額の一〇%を給付することとしております。

 この育児時短就業給付の対象者は、時短勤務開始日前の一定の期間内にみなし被保険者期間が十二か月以上ある場合としておりますけれども、御指摘のような事例の取扱い、勤務対象が変わった場合について、大変大切な指摘だと私も思いました。御指摘のような事例の取扱いについては、労働政策審議会での議論も踏まえて、運用上の課題もちゃんと整理をした上で、これはもう実行する方向で設計をさせていただきます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに女性のキャリアの問題にも関わりますし、また給付の公平性の観点からも、労働者自体を働き方によって分断するようなことがないように、今、検討をまた前向きにしていただけるということなので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、加藤大臣に伺います。

 子ども・子育て支援金です。

 こども家庭庁は、九日に支援金制度の年収別の徴収額試算を公表しました。私も、委員会でも、また本会議でも、この試算を出してくれと言ったんですけれども、出せないと言い張ってきましたので、何だったのかなというふうに思っています。

 印象は、ワンコインよりもかなり負担感が強まったなというイメージです。当初、医療保険料四、五%でイメージしてくださいと。それはなかなかイメージしづらいですよと言ってきましたが、今回の額で相当イメージが湧いてきました。例えば、四人家族、夫婦共働き、それぞれ六百万円稼ぐ場合、それぞれの夫婦が一万二千円ですから、家庭では年間二万四千円の負担となります。医療保険四、五%よりも、ずしっとこの負担感というのが分かってまいります。

 この試算表を見て、大臣自身はどのような印象をまず持たれたか、また、今、負担額を具体的に出しましたが、これでも負担はないと大臣は言い切れるのか、伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員の御指摘の高く見えるというところでございますけれども、これまで申し上げてきた、被用者保険の加入者一人当たり平均月五百円弱というこの試算が変わったわけではありません。これまでも所得に応じて拠出いただくということを御説明申し上げてきており、収入の高い方にはその分多く拠出をいただき、その結果、収入の低い方の拠出が抑えられるという結果になっているというふうに思っております。

 また、負担はないと言い切れるのかというところにございましては、これまでも、歳出改革によって社会保障負担率の軽減効果を生じさせて、その範囲内で支援金制度を構築していくことで実質的な負担が生じないものでありまして、これも、これまで申し上げてきたことと引き続き変わりはございません。支援金の拠出が大きい方は、その分、歳出改革による保険料の軽減効果も大きくなるものと考えております。

田中(健)委員 私が高く見えたと言われてしまうと残念なんですけれども、やはりこれを聞いたら、普通の考えだったら、負担はやはり増えるんだなというふうに思うのが当然かと思います。

 そして、今、歳出改革の範囲内と言ったんですけれども、もちろん歳出改革と賃上げの前提がありますけれども、厚生労働省が発表した実質賃金、また一・三%減です、二十三か月連続の減少です。物価が賃金の上昇を上回る状況がまだ続いておりまして、実質賃金は増えていないんです。ですから、賃上げは、もちろん労使の努力で今この一年、二年と上がってきましたけれども、実質賃金が増えていない中で、やはり大きな私は負担になると思っています。ですから、そこはしっかりと大臣も認識を持っていただきたいと思うんです。

 その上で、負担を正面からやはり話して国民に説明をすることが必要だし、理解を求めることです。ワンコイン、五百円と言ったのと変わらないんじゃないかと言うのでは、何のためにこの試算表を出して、そして今議論しているのか分からないですが、大臣の国民の理解を得る努力というのは、これからどうしていかれるんでしょうか。

加藤国務大臣 国民の理解を得るということは本当に大事なことだと考えておりまして、まず、支援金制度の意義として、しっかり給付があるということを説明をしていきたい。

 加速化プランの実行を安定的に支えるものでありまして、この収入は、児童手当の抜本的拡充など、子供、子育て世帯への給付に充てられます。支援金制度を通じた給付の充実は、賃上げ等と相まって、若い世代の所得を増やし、結婚、子育てを確実に応援をしていくものでございます。

 また、こうした給付を受けない方にとっても、少子化傾向を反転させることは、我が国の経済社会システムや地域社会を維持することですとか、国民皆保険制度の持続可能性、これを高めることにより、社会の一員として受益をするものであります。このため、高齢者や子供のいない方も含め、将来的な給付拡充のために拠出をお願いすることとしてございますが、支援金の拠出に際しては、総力を挙げて取り組む賃上げや歳出改革、これを先行させつつ、令和八年度から段階的に拠出をお願いをしていくこととしてございます。

 こうした支援金制度の意義について、国民の皆様に御理解いただけるように、引き続き丁寧に説明を尽くしてまいります。

田中(健)委員 総力を挙げるとか意気込みとか決意じゃなくて、この試算表を出したので、具体的にやはり皆さんに議論を求めていただきたいと思うんです。大臣も九日の記者会見でこう言っています、試算表の意義は議論のお役にいただけていればと。人ごとのようにも聞こえたんですけれども、是非議論をするために使ってもらいたいんです。

 今回、保険別が出て、収入別が出ました。いろいろな議論ができるかと思います。例えば国税庁の民間給与実態統計調査によれば、給与所得者五千七十八万人のうち、年収六百万円以下が実に七七%です。男性の平均給与が五百六十三万円ということでありますので、これで人数を単純に計算しますと、二〇二八年の徴収額を基に、年収二百万から六百万の所得層が負担するのは月当たり総額二百三十四億円です。一方、六百万から一千万の層は百四十六億円ですよ。

 つまり、支出金額は、若い世代の子育てを助ける目的なんですけれども、今回の試算を基にすると、年収二百万から四百万、この人たち若者が一番、払う額が、一人ずつは少ないかもしれません、しかし、数としては多いですから、その人たちの犠牲と言ってしまうとあれですけれども、負担の上に成り立つとも言えるような分析ができるんです。

 例えばこれについては、大臣はどのように分析され、また考えられますでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員がお示しをされた計算の詳細までは分かりかねますが、仮に所得階層別の人数にこども家庭庁が示させていただいた一人当たりの支援金額を掛けたものだとすれば、年収二百万から六百万円の方の人数が多いことが表れたということかと考えております。

 医療保険制度における保険料負担で見ますと、基本的に所得に応じることから、年齢別では、五十代で年額平均が三十五万円強であるのに対し、若い層では十五万から三十万円と低くなっていると承知をしてございます。支援金は医療保険料に準じた仕組みでありますことから、若い世代の方で拠出額が低くなると考えられます。こうした中で、全世代が子育て世帯を支える仕組みとしてございます。

 この支援金制度によって、子育て世帯につきましては、先ほども申し上げていたとおり、児童手当やこども誰でも通園制度などの支援金が充てられる、充当される給付の充実によりまして、子供一人当たり、ゼロ歳から十八歳までの間に平均約百四十六万円の給付の充実を受けることになります。

 こうした給付と拠出の関係を踏まえますと、支援金制度は、子育て中やこれから結婚して子供を持とうとする若い世代を支える仕組みとして評価できるものと考えております。

田中(健)委員 せっかく保険別また年収別を出しましたので、先ほど来ほかの委員もありましたけれども、それぞれのモデルケース、どういう家庭だったらどのくらいかというものをしっかりともう一度詳細に出していただいて、更に議論を、もちろん国保も含めて、健康保険も含めて出していただけることを要望して、終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後十分、よろしくお願いをいたします。

 加藤大臣にまずお伺いしたいと思います。

 これまでの少子化対策が成功しなかったのは、なぜだと思いますか、加藤大臣。

加藤国務大臣 これまでの議論でも様々申し上げておりましたけれども、我々は、子供、子育ては、若い方々が自ら希望した子供、出産ですとか結婚ですとか子育て、これを実現していける環境を整えることによって、少子化、子供たちが生まれてくる、そういう社会がつくっていけるというふうに考えておるわけでございますが、現時点では、その希望をかなえてあげる前に、様々断念をしてしまうハードルが多数存在をしているものと考えております。そのハードルというのは、経済的なものも含めて様々な要因が複雑に絡み合ってございまして、これが一つ原因だというふうに申し上げることはなかなか難しいと考えております。

緒方委員 子育て支援と少子化対策の違いは何だと思いますか、加藤大臣。

加藤国務大臣 二月の予算委員会でも同じ御質問をいただいたと思います。子育て支援だけが少子化対策ではないというふうに考えておりますが、こども未来戦略におきましては、少子化対策で特に重視しているのは、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできないとしてございます。構造的な賃上げですとか、男女共に働きやすい環境の整備、希望する非正規雇用の方々の正規化などに取り組むこと、また、併せて加速化プランを実行することによって、若い世代の所得の向上と切れ目のない子育て支援の充実、これをすることによって、いわば車の両輪として進めてまいりたいと考えております。

緒方委員 読む答弁書が間違えています。

 子育て支援と少子化対策の違いについて述べてください、大臣。

加藤国務大臣 子育て支援は、子供の育ちですとか、子供、それから子育て世帯の方々に向けた支援でありますが、少子化対策、これはもっと幅広いものがあろうかと思います。賃上げに向けた経済的な施策も含めて、少子化対策に資するものもございます。

 なので、先ほど申し上げたとおり、子育て支援だけが少子化対策ではないという関係性であると認識をしてございます。

緒方委員 子育て支援と少子化対策は関係が薄いんじゃないかと思いますね。金銭給付で子供が増えるという経済学上の実証は余りないというふうに承知をいたしております。

 給付増と出生率には強い正の相関関係があるというふうに思われますか、大臣。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 衆議院予算委員会の中央公聴会におきましては、加速化プランの取組により出生率が上がるのではないかという御意見もいただいているところでございます。

緒方委員 いや、人の話を引用するんじゃなくて。私、ちゃんと質問したじゃないですか、金銭給付で子供が増えるという経済学の実証は余りないというふうに承知をしていますと。

 給付増と出生率の向上には強い正の相関関係があるというふうに思いますかというふうに聞いているんです、大臣。

加藤国務大臣 通告はいただいてございませんけれども、子供、子育て支援策を行うことによって、若い世代の方々、これから子供を産みたいと希望を持っている方々にとって、ああ、この社会でしっかり育てていけるんだ、そういう、これまで給付や支援がなかったときには諦めていたものが、これならできるというふうに考える方々は一定程度おられると思いますので、相関関係とかいうことまでは申し上げられるか分かりませんが、正の、プラスの影響はあるものという前提で加速化プランを組み立てているところでございます。

緒方委員 これまでの給付増で増えなかったわけですよね。つまり、私、別に嫌がらせをして言っているわけじゃなくて、給付増をすることによる少子化の解消という、それは実は大きな誤解なのではないかというふうに私自身が思っているということがあるので聞いているんです。

 給付増による出生率の増というのは、本当にこれは、例えば今、公聴会の話をされましたが、アンケートで聞けば、お金がないからだと言うと思いますけれども、それを一〇〇%信じるのは、エビデンスとしてもちょっと違うのではないかというふうに思いますと、学習院大学の鈴木公述人は言っておられるわけですね。私もそう思うんです。

 なので、本当に、大臣、今言われたこと、ちゃんと、統計学上、そして正の相関関係があるというふうに思われますかというふうに聞いているんです、大臣。

加藤国務大臣 統計学上ということで申し上げるといいますよりも、出生率が向上しなかったことのみをもって、子供たち、少子化対策に子育て支援の給付を強化していくことが全く影響していないということは、言い切れないと思います。

 実際、待機児童の解消など、これまでやってきたことがございます。待機児童がそのまま問題が残っておりましたら、一人目は産んだけれども、二人目は無理だなと諦めている、諦める方もいたでしょうし、実際、私自身に当てはめて考えても、子供、一人目の子を保育園に預けられていなければ、二人目の子供を産めたとは、私、現実的に考えられませんので。

 子育て支援の給付をすることによって、子供を産もうと思う方々がおられて、それがプラスの効果を、出生率の向上という数値にまでは表れなくても、プラスの効果を与えるということは十分あり得ると考えてございます。

緒方委員 この法律は少子化対策に貢献するものだというふうに大臣は考えておられますか、大臣。

加藤国務大臣 はい。少子化対策に貢献するものとして考えてございます。

緒方委員 全国に、子育て支援を強化することで合計特殊出生率を上昇させたとされる自治体があります、あえて名前は出しませんが。しかし、私は思うんですけれども、あれは元々、子供を持とうと思う人が、そういう女性が、得られるのであればということで移住してくるという効果があるのと、それと併せて、大臣が今言われたように、安心感を持つことで増えていくという、二つの効果があると思うんですね。

 なので、私、同じ政策を全国でやれば同じ出生率の向上が達成できるわけではないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょう。

加藤国務大臣 こども未来戦略では子育て支援だけを掲げているわけではありませんが、全国どの地域に暮らす若者、子育て世代にとっても、経済的な不安なく、良質な雇用環境の下で、将来展望を持って生活できるようにすることが重要でございます。引き続き、地方創生に向けた取組を促進することとしています。

 また、こうした取組と併せて、加速化プランにおきまして、経済的支援の強化、子供、子育て支援の拡充、共働き、共育てを支える環境整備などを一体として進めることとしております。

 その上で、加速化プランには、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減といった、育児休業給付の充実した、全国一律で実施してきた施策の強化に加えて、出産・子育て応援交付金の制度化、こども誰でも通園制度の創設のように、これまで地方自治体への補助事業として実施してきた施策について、全国一律の制度として法律に位置づけるものも盛り込んでございます。

 これらによって、我が国全体として、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子供を持ち、安心して子育てができる社会となるように取り組んでまいります。

緒方委員 最後に、ある年齢で第一子をもうける女性が生涯でもうける子供の数の比率というのは、歴史的に、最近減っていますけれども、劇的には減っていないんですね。つまり、少子化というのは、私は、女性が第一子をもうける年齢が後ろに倒れたことや未婚化、それが原因じゃないかと思うんですね。なので、少子化対策というのは、そこにターゲットを当てるべきではないかというふうに思うんですが、この法律の中でそういうターゲットは実現できているというふうに思いますか、大臣。

加藤国務大臣 もとより妊娠、出産は個人の自由な意思決定に基づくものでございまして、政府としてインセンティブを付与するといったことは控えるべきであると考えておりまして、その上で、希望する時期に子供を産み育てたいという希望をかなえることができるようにすることが重要でございます。

 そのため、賃上げなど若い世代の所得を増やす取組や、仕事と子育てを両立できる仕組みを整備するとともに、出産育児一時金の大幅な引上げ、また、妊娠時、出産時の十万円相当の出産・子育て応援交付金の制度化と、それと組み合わせた伴走型相談支援の実施の推進、正常分娩の出産費用の保険適用の導入を含めた出産に関する支援等の強化、これらを進めてまいります。

緒方委員 政務官がやじるとはどういうことですか。反省を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時十分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案は地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会議録第七号に掲載


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