衆議院

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第8号 令和6年6月5日(水曜日)

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令和六年六月五日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 石田 真敏君

   理事 大野敬太郎君 理事 鳩山 二郎君

   理事 平口  洋君 理事 藤井比早之君

   理事 落合 貴之君 理事 笠  浩史君

   理事 浦野 靖人君 理事 中川 康洋君

      石原 正敬君    泉田 裕彦君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      大串 正樹君    奥野 信亮君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      木原 誠二君    黄川田仁志君

      岸 信千世君    斎藤 洋明君

      鈴木 馨祐君    田中 英之君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      中川 貴元君    中川 郁子君

      中西 健治君    中村 裕之君

      西野 太亮君    古川 直季君

      本田 太郎君    山下 貴司君

      おおつき紅葉君    岡田 克也君

      野田 佳彦君    太  栄志君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      柚木 道義君    吉田はるみ君

      青柳 仁士君    金村 龍那君

      斎藤アレックス君    輿水 恵一君

      中野 洋昌君    塩川 鉄也君

      田中  健君    長友 慎治君

      福島 伸享君

    …………………………………

   議員           小倉 將信君

   議員           勝目  康君

   議員           鈴木 馨祐君

   議員           藤井比早之君

   議員           本田 太郎君

   議員           落合 貴之君

   議員           本庄 知史君

   議員           古川 元久君

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    田原 芳幸君

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     中川 貴元君

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  中川 郁子君     中村 裕之君

  太  栄志君     岡田 克也君

  山岸 一生君     おおつき紅葉君

  長友 慎治君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 貴元君     田中 英之君

  中村 裕之君     泉田 裕彦君

  西野 太亮君     川崎ひでと君

  おおつき紅葉君    山岸 一生君

  岡田 克也君     太  栄志君

  田中  健君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     黄川田仁志君

  田中 英之君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     小田原 潔君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     中川 郁子君

    ―――――――――――――

六月五日

 政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(青柳仁士君外一名提出、衆法第一六号)

は委員会の許可を得て撤回された。

同月四日

 金権腐敗政治を一掃することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八二〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八二一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八二二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八二三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八二四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八二五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八二六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八二七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八二八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八七四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(青柳仁士君外一名提出、衆法第一六号)の撤回許可に関する件

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(鈴木馨祐君外五名提出、衆法第一三号)

 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(落合貴之君外十名提出、衆法第一四号)

 政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(落合貴之君外四名提出、第二百八回国会衆法第四八号)

 政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案(落合貴之君外七名提出、衆法第一五号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 青柳仁士君外一名提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

石田委員長 鈴木馨祐君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案及びこれに対する鈴木馨祐君外四名提出の修正案、落合貴之君外十名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案、第二百八回国会、落合貴之君外四名提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案並びに落合貴之君外七名提出、政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 ただいま議題となっております鈴木馨祐君外四名提出の修正案について、提出者全員から撤回の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、鈴木馨祐君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案に対し、鈴木馨祐君外四名から、自由民主党・無所属の会提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鈴木馨祐君。

    ―――――――――――――

 政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木(馨)委員 ただいま議題となりました政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 先ほど撤回が許可されました我が党提出の修正案については、本委員会における委員各位の御議論、各党会派からの様々な御提案を踏まえて提出したものでありましたが、一昨日の本委員会における審議等におきまして、様々な御指摘を頂戴いたしました。それらについても更に検討を加え、政治資金の透明化を図る観点からより適切な制度となるよう、修正事項を改めて見直した上で、本修正案を提出することとした次第です。

 以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。

 まず、政治資金規正法の改正事項の追加についてです。

 第一に、政治資金パーティーの対価支払い者に係る公開基準について、現行では二十万円超、原案では十万円超としていたものを、五万円超に引き下げることとしております。

 第二に、いわゆる政策活動費の使途公開について、政党から国会議員に係る公職の候補者に対してされた支出のうち、一件当たりの金額が五十万円を超えるものに限るとしていた原案を、経常経費を除く全ての支出に拡大するとともに、記載対象となる政策活動費の使途の範囲を、政治活動に関連してした支出に拡大することとしています。

 また、政策活動費の使途に係る記載事項に、年月を追加することとしております。

 第三に、政党による公職の候補者の政治活動に関する寄附について、これを禁止することとしております。

 次に、改正法の附則に明記する事項についてです。

 第四に、政党に所属する国会議員が政治資金等に関する犯罪に関して起訴された場合に、政党交付金のうち、当該国会議員に係る議員数割相当額の交付を停止する等の制度の創設についての規定を設けております。

 第五に、政策活動費の支出の年間上限額を定めるとともに、政策活動費の支出に係る政治活動に関連してした支出の状況についての領収書、明細書等を、保存、提出の上、十年後に公開するものとし、その制度の具体的な内容については早期に検討が加えられ結論を得るものとする旨の規定を設けております。

 第六に、政治資金に関する独立性が確保された機関については、政治資金の透明性を確保することの重要性に鑑み、これを設置するものとし、政策活動費の支出に係る政治活動のためにした支出に関する監査の在り方を含めその具体的な内容について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする旨の規定を設けております。

 第七に、その他の検討事項として、1外国人等による政治資金パーティーの対価の支払いに係る収受の適正性を図るための実効的な規制の在り方、2個人のする政治活動に関する寄附を促進するための税制優遇措置の在り方、3自らが代表を務める政党選挙区支部に対する寄附への税制優遇措置の適用除外の在り方に関する検討条項を設けるとともに、4改正後の政治資金規正法について、この法律の施行後三年を目途として、政治資金の透明性の一層の向上を図る観点から施行状況等を勘案して行う見直し条項についても設けております。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いを申し上げます。

石田委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、お諮りいたします。

 各案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として国税庁課税部長田原芳幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより各案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 公明党は、今回の政治と金の問題に対しては、終始一貫して、国民の信頼を取り戻す、また、清潔な政治を実現をするという強い信念の下で、本年の一月十八日に提示をいたしました公明党政治改革ビジョンをベースに、政治資金規正法の改正に向けて、自民党の皆さんと議論を進めてまいりました。

 今回の自民党の修正案は、公明党の政治改革ビジョンとともに、国民の声に誠実に耳を傾けて、透明性の向上と適正性の強化に向けて本気で改革を進めるとの決意を示したものと受け止めています。

 本日は、自民党の修正案並びに改正案につきまして質問をさせていただきます。

 まず、修正案の附則第十五条の政治資金に関する独立性が確保された第三者機関の設置について伺います。

 今回の修正案において、ブラックボックスと言われている政策活動費の支出の透明性や適正性の確保に向けて第三者機関を設置する方針が明記されたことは大きな前進である、このように考えております。

 自民党の修正案では、独立性が確保された第三者機関の設置に向けて、政策活動費の支出に係る監査の在り方を検討し、必要な措置が講ぜられるようにするとしていますけれども、その狙いや効果について提案者に伺います。また、実施に向けての具体的な課題とスケジュール感についてどのように考えているのか、併せてお聞かせください。

鈴木(馨)委員 輿水議員にお答え申し上げます。

 御指摘の政治資金に関する独立性が確保された第三者機関、これは御党との協議も含めて、いろいろ議論を進めてまいりまして、我が党の提出した原案においても規定を置いているところでございます。加えて、この委員会においても、委員各位の御議論や、あるいは参考人の方々からも設置を求める意見を多く頂戴したところであります。

 そこで、修正案におきましては、政治資金に関する独立性が確保された機関については、政治資金の透明性を確保することの重要性に鑑み、これを設置をするものとしておりまして、その上で、政策活動費の支出に係る政治活動のためにした支出に関する当該機関による監査の在り方を含めその具体的な内容について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする旨の規定を設けたところであります。

 今後の権限の内容に関する制度設計については、例えば、どこにそれを設置をする、これは立法府あるいは行政府、そういった両論議論があると思いますし、あるいは中立性をどう確保するのか、あるいは秘密保持、これをどうするのか、こういった様々な観点がございますので、そういった課題をしっかりと議論した上で、政治資金の透明性の確保により資するように、そして同時に、政党その他の政治団体の政治活動の自由、この配慮も必要でありますので、御党を始めとする各党会派とも積極的に議論を進めてまいって、なるべく早期に設置をできるように努力してまいる所存でございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 なるべく早い段階でということで、よろしくお願いをいたします。

 次に、修正案の第十二条の政治資金パーティーの対価の支払い者に係る公開基準額について伺います。

 パーティーの購入者の公開基準額を引き下げることにより、購入者における支出に関する記載と政治資金パーティーを開催した政治団体における収入に関する記載が一致しているかどうかをより細かく国民が監視ができるようになる、そのことによる透明性というのは格段に向上するものと考えております。

 今回の修正案により、パーティー券の購入者の公開基準が現行の二十万円超から五万円超に引き下げられます。また、パーティーに係る入金も口座振り込みとすることになります。

 そこで、これらの取組の効果について、また、施行に向けての課題等について、提案者の見解を伺います。

鈴木(馨)委員 今回の政治資金規正法の改正につきましては、可能な限り幅広い合意を得て今国会で確実に実現する、そういったことで申し上げてきております。

 我が党以外の各党の皆様方から五万円の引下げということがある中で、我が党としても、賛同することによって思い切った踏み込んだ案を提示する、そういった決断を今回したところでございます。

 御指摘のパーティー券購入の対価の支払いの口座振り込みの義務についても、これによって、預金通帳の記載等によって記録が残って、収支報告書の記載の正確性が担保され、政治資金の授受の透明性が向上するということから、この規定を設けております。

 これらの規定の今後のスケジュール感ということでありますけれども、まず、パーティー券購入の対価支払いの口座振り込み義務につきましては、原則の施行日である令和八年一月一日の施行であります。そして、パーティー券の購入者の公開基準の引下げにつきましては、施行期日、これは令和九年の一月一日となっております。

輿水委員 ありがとうございます。

 次に、国会議員関係政治団体の代表者の責任の強化等につきまして伺います。

 今回の自民党の改正案には、政治団体の代表者の監督の在り方について、随時又は定期の確認や代表者による確認書の交付などが義務づけられています。そして、これらの義務を怠り、収支報告書の不記載や虚偽記入があった場合において、五十万円以下の罰金に処することとしております。この罰金刑は公民権の停止を伴う大変に厳しいものであると思います。

 そこで、自民党の改正案におけるこのような議員の責任の明確化と罰則の強化により、どのような効果があると考えているのか、また、施行に向けての課題等についてどのようなものがあるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

小倉議員 お答えいたします。

 御質問いただいた点につきましては、御党が各党に先駆けて行われた御提言を取り入れたものでありまして、第一に、代表者の監督責任について規定した上で、代表者が行うべき監督につきまして具体的な義務として規定すると同時に、第二に、収支報告書が政治資金規正法の規定に従って作成されていることについての確認書制度を設けまして、代表者の責任を強化をさせていただきます。

 これによりまして、代表者が知らなかったという言い逃れができなくなり、実効的な再発防止策を講じて、政治資金の透明性をより一層確保するものとなっております。

 この制度につきましては、会計帳簿の記載から収支報告書の記載、提出に至るまで、抜本的な改正を行うものでありまして、政治団体への周知や、政治団体の準備に一定の期間が必要なことから、こういった事情を勘案いたしまして、なるべく早いタイミングということで、令和八年一月一日から施行することといたしております。

輿水委員 それでは、最後に、政治資金の透明性の向上のためのデジタル化の推進につきまして確認をさせていただきます。

 公明党は政治改革ビジョンに、国会議員関係政治団体の収支報告書について、検索や名寄せを可能とする報告内容のデータベース化を図ることを明記いたしました。政治資金の透明性の向上のためのデジタル化とデータベース化はセットであると考えております。

 自民党の改正案では、収支報告書等のオンライン提出の義務化とインターネット利用による公表が明記をされております。

 そこで、政治資金の透明性の向上のためのデジタル化の推進の狙いについて、データベースの構築に対する見解も含めてお聞かせください。

本田議員 お答えいたします。

 国会議員関係政治団体の収支報告書のオンライン提出の義務化とインターネットを利用した公表につきましては、収支報告書のデジタル化につながるものであり、政治資金の透明性の確保にも寄与するものであると考えております。

 国会議員関係政治団体の収支報告書のオンライン提出の義務化やインターネットを利用した公表につきましては、令和八年分の収支報告書の提出、公開が行われる令和九年の一月一日から施行することとしております。

 その上で、誰もが閲覧できるような収支報告書のデータベース化を行うことにつきましては、その前提としてデータベースの対象となる収支報告書がオンラインで提出される必要があるため、国会議員関係政治団体以外の収支報告書のオンライン提出の普及の状況などを踏まえつつ、情報の検索機能をどのようなものにするかにつきましても各党で議論を行う必要がある、そのように考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 本当に今回、様々この委員会の中で議論をし、そして、先ほどの修正案におきまして、ブラックボックスと言われている政策活動費、この支出の透明性や適正性の確保に向けて第三者機関を設置する、そういった方向性が示されたこと。また、パーティー券の購入者の公開基準が、現行二十万円超から五万円超という形で、より引き下げられたこと。さらに、自民党の改正案におきまして、議員の罰則の強化、まずはその責任を明確にしていく、そして罰則をしっかり強化をして、このような不適切なことが起こらないように、こういった改革がなされている。そして、ただいま御説明をいただきましたデータベース化、様々な検討が必要だ、そういった中でも、そういったことの必要性を認識してのこの改革は、大きな前進であると私は考えているところでございます。

 今回の自民党の改正案並びに修正案は、政治改革における大きな前進であると考えます。

 一方で、政治改革には終わりはありません。公明党は、清潔な政治と民主政治の健全な発達を目指して働き、動いていく、このことをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 大変にありがとうございました。

石田委員長 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。

 連日、街頭に立って、地域を歩いて、また地域でタウンミーティングを開いて地域の皆さんの声を聞いておりますが、もう言うまでもないです、国民の皆さんは怒っています。そして、今、政治への不信、政治全体に対する不信が本当に頂点に達している、こういった状態でありますが、だからこそ今日は国民の怒りを代弁して質問いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年末、この裏金事件が明らかになって、岸田総理が記者会見で火の玉になって国民からの信頼回復に向けて取り組むと言ったのが十二月十三日でした。それから、もう六月です、半年です、一向にこの真相は分からない。

 そして、ようやく再発防止に向けた委員会審議が進んでおりますが、昨日、岸田総理が入って委員会質疑をする予定だったのが、突然流れてしまう。こんな本当にどたばた劇が起こっておりますが、まさにこのことというのは、国民がどんどん白けていく、その原因だと思っておりますが。

 それでは、冒頭、自民党の提案者の方に、今回の混乱の原因は何だったのか、ここを教えてください。

鈴木(馨)委員 今回、様々な調整が行われました。私どもとしては、可能な限り、各党各会派の御意見、これを党の提出法案にしっかりと反映をさせていく、そういったことで取り組んだ、そういった結果と思います。

 一方で、委員会の運営ということでございますが、私も提案者の立場として、その全体像、これを把握できる立場にはない状況でありますので、必ずしもお答えできることではありませんが、その上であえて申し上げれば、各党、国会対策委員会の協議の状況、あるいは委員会、理事会の協議の状況などを把握をしつつ、今のこの国会中での成立を期して、限られた時間の中で各党会派の御意見をなるべく反映するべき、そういった中での調整と承知をしております。

太委員 混乱しております。一番問題なのは、まさに法案の中身がころころ変わってしまって、これでは我々も、審議をしたくても、なかなか腰を据えて審議すらできない、こんな状況だと思っておりますので、是非とも、しっかりと腰を据えて審議できる、そういったことに是非取り組んでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、政策活動費に関してお伺いします。

 維新の強い反対で、五十万超という領収書の公開の範囲が、この記載は確かになくなりました。ですけれども、残念ながら、今回の法案を見ても、やはりブラックボックスですね。なぜ十年後なのか、そこもよく分からない。そして、領収書の公開も、一昨日の審議を聞いても、結局、黒塗りで大量に十年後に出てくる可能性もある、そんな状況なんですが。

 ちょっとここでお伺いしたいです。自民党はなぜ、まさにこの期に及んでも政策活動費を廃止しないのか、この点に関して分かりやすく説明してください。

鈴木(馨)委員 私どもの政策活動費、これは、国会議員から、役職者、ここに支出をされ、その役職者の責任の下で、党勢拡大あるいは調査研究、そして政策立案というところに充てる、そういった費用というふうに承知をしております。

 そういった中で、当然、様々な、プライバシーであったり、いろいろ、もろもろ勘案すべきことがある、そういった状況の中で、こうした支出、これは当然しっかりとしたガバナンスの下で、不適切な使用があってはいけません。これは、これまでも我が党の中でもガバナンスを行ってまいりましたが、しかし、今回こういった状況の中で、よりそれを法的にしっかりと担保するということで、今回の法改正をしているところであります。

太委員 やはりよく分からないですね。でも、法的に担保するということなんですが、それをちょっと具体的に聞きたいです。

 自民党案の附則の十四条ですか、十年後に領収書の公開に関して述べられておりますが、それでは、その領収書、十年間、どこで誰がしっかり保存するのか、その保存義務に関して、誰が結局この保存の義務を負うのか、その点に関してお答えください。

鈴木(馨)委員 現行法上も、政治団体の支出に係る領収書等の取扱いについては、収支報告書に支出の明細が記載をされるものについては政治団体において保存するとともに、総務大臣又は都道府県選管が、その写しの提出を受け保存をしているということ、さらには、いわゆる一円領収書制度においては、国会議員関係政治団体が領収書等を保存し、総務大臣、都道府県選管を経由して開示をしていることという状況であります。

 そういった中で、お尋ねの、今回の、政策活動費を受けた国会議員がこれを充てて行った支出、この領収書の保存を誰が行うか。その制度設計については今後各党の協議ということでありますが、こういった、今、現行法上での様々な制度、こういったものを勘案しながら、なるべく早期に具体的な内容を検討してまいりたいと思っております。

太委員 結局、何も決まっていないということですね、これから検討するということなんですが。

 それでは、十年間保存される、本当に保存されるんですか。これはこの法案のどこで担保されているのか、この点に関して教えてください。

鈴木(馨)委員 そこの点、今回の条文自体を御覧をいただければと思いますけれども、保存について、附則の十四条の中で、支出については領収書、明細書の公開、括弧として、そのための保存及び提出も含むということの上で、これをするものとし、そういった規定を置いておりますので、保存そして提出というものがここにおいて法的に担保されているという理解で結構だと思います。

太委員 補足で説明しようということですよね。

 それで、その後、第十五条、次です。先ほど質問でもありましたが、まさに政治資金を監視するための第三者機関ということで、前回の参考人質疑でも、東大の谷口先生、あと駿河台大学の成田先生等、本当に具体的に私どもは質問させていただきまして、大事なポイントだと思っております。

 それでは、今回の領収書に関して、次の十五条でまさに独立性の第三者機関のことが述べられているんですが、この第三者機関に関して。これは具体的に、政策活動費に関してこの第三者機関がどういった役割を果たしていくのか、そこを教えてください。

鈴木(馨)委員 十五条においては、条文上も、いわゆる第三者機関、これを設置をするものとした上で、政策活動費の支出に係る政治活動に関連してした支出に関する当該機関による監査の在り方、それを書かせていただいているところであります。

 すなわち、これは、こうした政策活動費に係る支出の監査についてのそういった役割、具体的な中身はここにありますように今後各党間での検討ということになりますが、そこをしっかりとここは書かせていただいて、担保をした上での検討ということになります。

太委員 十年後ということで、結局、具体的に何をするか全然見えてこないんですよね、検討していくということなんですが。残念ながら、本当にこういった中途半端に出されてしまって、これでは国民の皆さんは納得しないですよ。残念です、これは極めて。

 それでは、次に移ります。

 企業・団体献金。これも、自民党さんはずっとこの件、審議の中で様々答えられておりますが、やはり、今回の裏金問題、私は、一番の、問題の本丸じゃないですか。まさに今回の裏金、個人ではなくて多くの企業、団体が購入したと思われているわけですよね。そういった中で、なぜ、企業・団体献金、結局これは言及もされていない。本当に異常な事態だと思っております。

 この問題、これは参考人の中でも、成田先生がおっしゃっていました。まさに我が国の失われた三十年間、日本の衰退の原因の一つだ、政策決定をゆがめられてしまって、本当にお金が必要なところに予算を投資できなかった、このことが問題だったと明確に言っておりますが。

 なぜ、この期に及んで、自民党、この企業・団体献金。今、世界的な大きな流れもできていますよね。アメリカでも企業・団体献金はできません、直接できない。それで、フランスも三十年前に廃止していますよ。あと、カナダ、スペイン、韓国なども廃止していこうという流れ。イギリスも、様々規制になっていく。

 そういった中で、なぜ日本だけがいつまでも企業・団体献金、これを放置しているのか。その点に関して、ちょっとお願いします。なぜやらないのか。

鈴木(馨)委員 この委員会の答弁でも申し上げてまいりましたが、三十年前の政治改革においても、やはり政治、ここにかかる資金、当然これをなるべく小さくしていく、そういった努力をした上で、どうこれを適切にファイナンスをしていくのか、これが極めて肝要な中で、国民の皆様方の税金による政党助成金、さらには企業、団体、さらには個人と、それぞれのところでのバランスをどう取っていくのか、こういった議論が繰り返し行われてきたところであります。

 そういった中で、当然、個人献金、ここについても重点を置いていくべきということで、今回、様々な税制の優遇措置も規定をしていますけれども、同時に、企業、団体についても、一つは、やはり、国に対しても政党がしっかり自ら立っていく、こういったことを考えれば、なるべく幅広いそういった資金ベースということが必要であります。

 そういった中で、もちろん癒着といったようなことがあればこれは大問題ですから、そういったことがないように。あとは、今先生が御指摘のように、この国のしっかりとした成長力をどう上げていくのか、そのことにおいて、既得権を守るような、そういったことにならないような、当然それは自らそこを律していくことは大前提になると思いますが。

 その上で、こうした政治団体の収入について、これは総理もお話ししておりますが、多様な考え方、多様な出し手、様々な収入を確保するということが、やはり、政策立案における中立公正やバランス、これを確保する上で極めて重要なものと考えておりますし、今回の不記載事案においても、そういった癒着といったようなものがそれによって指摘をされたという事実はありませんので、そうしたことでこういった判断をしております。

太委員 本当に残念ですね。まさに裏金の、私はこの原因のやはり大きな一つだと思っていますし、やはり、三十年前に国民の皆さんとも約束したことですよね。そういった意味で、まさに全く触れていない、これでは残念ながら、令和の政治改革をするということが国民的な理解が得られないと思っていることを、まず述べさせていただきます。

 それでは最後に、パーティー券に関して。

 まさに現行の二十万円超から五万円超に引き下げられましたが、結局、五万円に引き下げても、四回やれば二十万円になるという中で、小分けにすることで不透明にする、あるいはごまかせるようになるのではないかと思うんですが、この点に関して、やはり改める必要があると思うんですが、御返答ください。

藤井委員 お答えいたします。

 パーティーにつきましては対価の支払いという性質を持っておりますので、寄附とはおのずと性質を異にすると考えております。

 政治資金の不記載問題につきましては、この問題の防止のためには、まずは政治家の責任強化、監査の拡大、デジタル化が最も重要であり、そのための政治資金規正法改正を提案させていただいておるというところでございまして、御理解賜りたいと思います。

 パーティー券の購入者の公開基準額の引下げにつきましては、プライバシーを保護しながらの政治参加の自由を保障するという観点も重要でございまして、我が党では十万円が適当と考えておりましたが、他の全ての政党が五万円を公開基準としている中、より多くの政党会派の理解が得られることが望ましいと考え、公開基準の一層の引下げを総理は決断されたものと承知しております。

石田委員長 太栄志君、時間が参っておりますので。

太委員 まだまだ、自民党、これは抜け道だらけだと思っていますし、本気で政治改革を進めていかなきゃいけない、そんな段階でありますので、是非とも政治が一丸となって取り組んでいけるように御尽力をいただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。

 以上です。

石田委員長 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会、衆議院議員の金村龍那でございます。

 今日は、教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、質疑をさせていただきます。

 まさに今、政治が信頼を失っている、それはここにいる委員全てが自覚していると思います。だからこそ、事ここに来て抜け穴と疑われるような法整備があってはならない、こういったところについて中心的に質疑をさせていただきます。

 まず、本則第十三条の二について、幾つか質問をさせていただきます。

 政策活動費は、政党に所属している衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者に対する当該政党からの支出で金銭によるものと定義されているが、括弧書きで、第十二条第一項第二号の人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費の支出を除くとある。これはどのような理由からか、お答えください。

鈴木(馨)委員 今回の再修正案におきましては、御党の御指摘も踏まえまして、収支報告書に政策活動費を含む政党から国会議員に対する支出の使途の記載義務を負う対象について、一件当たりの金額が五十万円を超えるものに限る、その限定を削除をいたしました。

 その上で、今御質問の点でありますけれども、第十二条第一項第二号の人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費、いわゆる経常経費というものを除くということとしております。

 その背景といたしましては、経常経費につきましては、今般課題となっています政策活動費にはおよそ当たらないということ、そして、政党の収支報告書において明細の記載義務がなく、領収書等の写しの添付対象にも含まれていないということから、これは対象としていないということであります。

金村委員 続いて、他党やメディアの多くが定義しているいわゆる政策活動費とは、自民党の定義では、自民党が提出している収支報告書に記載のある政策活動費と遊説及び旅費交通費の二つのことであるという理解をしてよいか。そして、それ以外にはないし、そして今後も新たな項目を設けないという理解でよいのか、お答えください。

鈴木(馨)委員 今御質問にありました、他党やメディア等の多くが定義をしているいわゆる政策活動費、これは委員御指摘の政策活動費ということだと理解しておりますが、今お話がありました遊説及び旅費交通費につきましては、交通費等、出張先における宿泊代やタクシー代等に充てる日当の合算でありまして、これは政党から議員に支出される点では同様でありますけれども、いわゆる我々が言ってきた政策活動費というものとは性格が異なるというものであります。

 これは政党から個人への支出ということで今回規定をしていますけれども、そこにつきましては、それぞれの党において、例えば調査の委託費であったり、あるいは子育て支援金等々との様々な支出がありますが、我が党においては基本的にはこの二つが対象ということであります。

 いずれにいたしましても、再修正案におきましては、御党の御意見を踏まえまして、一件当たりの金額が五十万円を超えるものという限定を削除して、御指摘の政策活動費、そして遊説及び旅費交通費等を含め、政党が国会議員に支出する政策活動費の支出の全てを支出の使途の公開の対象としているところであります。

金村委員 ありがとうございました。

 その上で、問一で除外された第十二条第一項第二号の人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費によって、自民党が提出している収支報告書に記載のある政策活動費と遊説及び旅費交通費を支出することはできないと理解してよいのか、お答えください。

鈴木(馨)委員 今、金村先生御質問の点ですが、そもそも自民党が提出をしている収支報告書に記載のある政策活動費と遊説及び旅費交通費は、政治活動費というくくりであります。

 すなわち、これは経常経費そして政治活動費ということの政治活動費という方のものでありますから、今御指摘の、第十二条第一項第二号の人件費、光熱水費その他の政省令で定める経費、すなわち経常経費として支出するということはできないと考えております。

金村委員 ここがぶれてしまうと、またいろいろな抜け穴と疑われても仕方がないと思いますので、是非徹底していただきたいと思います。

 その上で、仮に今自民党が提出している収支報告書に記載のある政策活動費と遊説及び旅費交通費を、第十二条第一項第二号の人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費として収支報告した場合、収支報告書の虚偽記載となるのか、この点についてお答えください。

鈴木(馨)委員 これまでの御質問でも触れてきた、適切な項目に必要な内容を記載をしなかった場合、これは故意あるいは重過失、そういったケースになると思いますが、そういった故意、重過失により記載をしなかった場合には、まさに御指摘のとおり、それは収支報告書の虚偽記入、この対象となると考えております。

 その上で、例えば当該議員が刑に処せられた、そういった場合には、公民権停止となるという認識であります。

金村委員 ここは割と大切なポイントだと思っていまして、実際、虚偽記載に当たれば実際に議員が失職する可能性を否定しない。やはり、これがあれば抑止力にももちろんつながると思いますし、実際にこれまでの自民党による収支報告の慣例とか、これまでどおりの流れの中で収支報告をしてしまうことがないことにつながると思いますので、ここはもう一度、答弁は必要ありませんので、党内で徹底していただきたいと思います。

 続いて、今回の修正案で、会計責任者に通知が必要な政策活動費について、政治活動のためにした支出という文言が、政治活動に関連した支出という文言に変わっています。

 衆議院法制局によれば、法律用語として、関連したに変えると、全ての政策活動費として想定される支出が含まれるということでありました。

 自民党として同様の理解でいいのか、また、自民党が提出している収支報告書に記載のある遊説及び旅費交通費も、この政治活動に関連する支出に全て含まれると理解していいのか、お答えください。

鈴木(馨)委員 この政治活動のためにした支出というところから、政治活動に関連した支出、今回そういった文言を変更いたしました。

 実は、原案の元々の、政治活動のためにした支出においても、議論となっているいわゆる政策活動費、この全般が当然含まれるということで我々としては考えていましたが、御党からその趣旨をより明確にするべしと、そういった御指摘もいただきました。

 その上で、そのために、政策活動費に関連した支出という形での修正との御提案があったところでありますので、これは特段反対する理由もございませんので、そこはそういった形で我々としては変更したというところであります。

 また、後段の質問でありますけれども、自民党が提出をしている収支報告書に記載のある遊説及び旅費交通費、これについても、政党から政治家に対しての、政治家というか国会ですね、この場合、対しての支出ということであれば、これは含まれるという理解であります。

金村委員 この点、それこそ、この国会の中でも、そしてSNS上でも最も議論されていた点だと思います。

 私、今回、いろいろ議論を見ていて思ったんですけれども、この議論に携わった人、それから、しっかりとそれをチームで議論してきた人たちは、政治活動のためのであれ、関連したであれ、多分法令遵守していくんだと思うんですね。

 ただ、それが数年たったときに、結局、拡大解釈だったり、少し網の目を抜くような行動に出てしまったりということなので、是非、実際にここで議論している内容を政党の文化として定着していくような、そういう党運営を是非、それこそ若手の議員の皆さんで徹底していただくことが自民党には求められるんじゃないかなと思っています。

 続いて、今回の再修正で新たに第十三条の、第三項、第四項がつけ加えられました。これはどういう趣旨からつけ加えられたのか、そこについて少しお答えください。

鈴木(馨)委員 現行法上、政党の収支報告書においては、一件五万円未満の支出についてはその明細を収支報告書に記載する必要はなく、そして、その支出に係る領収書等についても徴収する義務や写しを収支報告書に併せて提出する義務もないという規定があります。これは、現行法上の第十一条、そして第十二条の一項二号そして第二項ということでありますが、そういった現行法上の規定があります。

 このために、今回、一件五万円未満の政策活動費の使途の記載、これを、政党から国会議員に対する支出についての明細を支出報告書に記載するとともに領収書等の写しが提出をされるようにするためには新たな規定が必要ということで、第十三条の二に第三項そして第四項を規定をしたところであります。

金村委員 つまり、五万円以下も公開の対象だという理解でよろしいですか。もう一度お答えください。

鈴木(馨)委員 そのための法改正ということで結構です。

金村委員 これも非常に大切なことだと思います。やはり、聖域なき公開によって徹底して国民の信頼を得る、まずはそこに我々は全力を注ぐべきだと思いますので、この法改正は理解させていただきたいと思います。

 その上で、最後に、附則第十四条について質問させていただきます。

 附則第十四条には、政策活動費の支出の状況に係る領収書、明細書等の公開だけでなく、今回の再修正で、そのための保存及び提出が明記されました。

 この条文は、「するものとし、」までの部分で明確に区切りがあり、「その制度の具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るものとする。」と続く条文の影響は受けずに、政策活動費の支出の状況に係る領収書、明細書等の公開及びそのための保存及び提出は立法措置が講じられている、すなわち法的に実効が担保されているという理解でよいか、お答えください。

鈴木(馨)委員 まさに、法文上でございますけれども、おっしゃったように、公開「するものとし、」というところで区切りがあるという状況であります。

 そういった状況ですので、附則の第十四条において、領収書、明細書等の公開、そして、そのための領収書、明細書等の保存そして提出については立法措置が講じられているという御理解で結構でございます。

金村委員 ありがとうございます。

 確かに、これからまだ検討するポイントもありますので、いろいろな議論が必要だと思いますし、どのように公開していくのかというところは国民は注目していると思います。

 しかし、我が党は、とにかく政治不信を払拭するためには、新たな法整備に基づいて、法令遵守、そして国会議員が一丸となって信頼を得るための覚悟を示していかなければならないと思います。その第一歩が今回の法改正であり、そこに維新もしっかりと提案をさせていただいて、少しでも改革を前に進める、こういう姿勢を示せたのは今後の政治の信頼につながると我々は考えています。是非、第一歩で終わらずに、二歩、三歩と、新たな政治へのスタートにさせていただきたいと思います。

 それでは、質疑を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 質問いたします。

 最初は自民党案の提出者にお尋ねしますけれども、今回、修正案を撤回して再修正案を出されたということですが、昨日の十一時二十分の理事会のときに、その再修正案についてのいわば未定稿のものが出された。それに基づいて質問通告をしたわけですけれども、質問準備をしている中で、夕方に届いた最終版を見ると、大きな変更があるわけですよ。

 昨日の理事会のときには、ハネの部分が若干残りますということを言っていたのが、ハネどころじゃないという点では、この再修正案の未定稿と最終版に幾つもあった変更点、これについて簡単に説明してもらえますか。

鈴木(馨)委員 今回の再修正案につきましては、基本的には五十万円のところを削るということ、そして、そういったことを中心といたしまして、その実質的な機能といたしましては、まさにハネ、あるいは関連する改正というところが未定稿との違いというふうに承知しております。

塩川委員 今日の朝の理事会で法制局から説明がありましたけれども、十三条の二の第三項、第四項は、元々は未定稿段階の準用というものを適用の読替規定に変更するという、いわば手続についての重要な変更が行われているわけですよ。ハネじゃないんですよ。

 それと、附則の第十四条のところには、元々未定稿には同項の報告書とあって、同項がどこなのかが書いていないんですよ。全くの間違いなんです。こういう間違った未定稿で質問をしろということ自身がおかしいんじゃないでしょうか。

 これは法制局の、事務方の責任じゃありません。岸田総理が、やはり今国会で何としても成立させるんだ、こんなことで、採決先にありきの拙速な作業をし、そして拙速な審議を行ってきた。余りにもひどい。これでまともな議論ができるはずはない。だから、今日の採決日程なんかはとんでもないということをまず最初に申し上げておくものであります。

 そこで、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 規正法の九条一項二号においては、会計帳簿の記載の規定が置かれております。全ての支出、当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む、並びに支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日を会計帳簿に記載しなければならないとしております。つまり、渡し切りを含め、会計帳簿に必要事項を記載しなければならないと規定しております。

 自民党案の提出者は、政策活動費については現行の法令上の定義が定められていないと答弁をしております。そうなると、政策活動費の現在の自民党のような支出の在り方というのは、規正法の趣旨にそもそも反しているのではないのか。この点、お答えください。

勝目委員 お答え申し上げます。

 先日来御説明させていただいておりますとおり、我が党におきます政策活動費でありますけれども、党勢拡大、政策立案、そして調査研究という三つの目的で、党に代わって、役職者の職責に応じて支給をされている、党から議員個人に対する支出として行われているということでありまして、また、当該支出をしているということについては、これは収支報告書にも計上、記載をしているところであります。

 そして、今回の政治資金規正法の改正、これは本則の十三条の二の方の改正におきまして、それについて、また項目ごとに、かつ年月を記載するという形で透明性の向上を図っているということであります。

 あわせまして、このような経費が必要だという理由でありますけれども、これも先日来御説明をさせていただいておりますとおり、受け手のプライバシー、営業の秘密、あるいは我が党の方向性が外国勢力に見られたらいけないという、そういったもろもろの観点を鑑みましてこのような経費を必要としているということでありますけれども、透明性の向上、これが必要だということに鑑みて、今回の改正を御提案させていただいているところであります。

塩川委員 規正法に反する脱法的な政策活動費について、これを合法化しようというのが今回の法案だ。若干、備考欄に項目とか金額とか年月を書くとしても、それ以上のものはないわけですよ。これでどうして、規正法の趣旨に立った、国民の前に公開を図っていく、こういったことにかなうのか。全く中身が伴っていないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、第十三条の二第三項に、政党から国会議員及び国政候補者への五万円未満の支出に関する記載事項の追加が規定をされています。

 収支報告書は、全ての支出について、五万円以上のものは支出先の氏名、住所、支出の目的、金額、年月日を記載することになっておりますが、この改正では、適用除外だった五万円未満についても、政党から国会議員等への同様の記載をするというものであります。

 しかしながら、お尋ねしますが、自民党においては、自民党の言う政策活動費について、五万円未満の支出は実際にはこれまでなかったので、五万円未満の支出の記載を求められても、自民党にとっては新たに記載するものというのは何もないということになるんじゃないですか。

鈴木(馨)委員 私どもとしては、これまで様々な支出におきまして適切な対応を、これは党内のガバナンスも含めて、行ってきたところであります。

 五万円以下ということで今言及がありましたが、例えば、これは我々も精査しなきゃ分かりませんが、恐らく、いわゆる遊説旅費等のところではそういった支出もあった可能性がありますので、そういったものについては新たに対象となるという理解であります。

塩川委員 政策活動費についてはどうですか。

鈴木(馨)委員 これはこの委員会でもずっと申し上げておりますが、我が党においては、これまで、政策活動費ということでいえば、その規模の支出はありません。

 そういったことでいうと、我々としては、当初五十万円ということで、なぜそこで切ったかというと、これはあり得ないからということでありましたが、この度、様々な御指摘をいただいて、そこの修正をしたところであります。

 そういったことでいうと、御指摘の五万円以下ということが政策活動費としてこれまであったかということは、なかったと思いますし、今後あり得るかというと、そういったことも想定はされないということであります。

塩川委員 今問題となっている政策活動費について、二〇二二年の自民党の収支報告書を見ても、五万円未満の支出はありません。最も少ない支出は百五十万円ですから、この再修正で五万円未満について新たに収支報告書に記載するようになっても、自民党にとって、政策活動費については何の変更もない、痛くもかゆくもないというのが今回の再修正の中身だと言わなければなりません。

 続いて、附則の第十四条についてお尋ねをいたします。

 政策活動費の支出の上限金額については、上限の目安もないんでしょうか。政党ごとに上限額も変更されるということもあるということなんでしょうか。

鈴木(馨)委員 これもこれまで委員会で御答弁申し上げておりますが、今後、各党の間での協議ということになりますが、当然、それは各党においても、活動の規模であったり、そういったものが異なるということも考えていく必要があるとは思います。その上で、各党の中でそういった議論を進めた結果として、適切な検討がされることを期待しております。

塩川委員 適切な検討ということで、何も決まったものはない。結局、政策活動費を必要としている自民党と維新が二人で相談して決めるということでしかないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、「支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)」とありますが、この公開については、収支報告書とは別の仕組みでの公開ということになるんでしょうか。

勝目委員 お答え申し上げます。

 この附則十四条に記載をされているとおりでございまして、まさに「政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)をする」ということであります。その具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るということになっておりますので、まさにそのとおりだということでございます。

塩川委員 何も決まったものがないということでいうと、政策活動費の使用状況の公開、収支報告書に新たに記載をする、そういうことも明らかではないということになります。どんな別な仕組みができるのか、そういうことにもなるのかということも、現時点では分からないということであります。

 公開については、十年後は誰が公開するんですか。

勝目委員 お答えを申し上げます。

 公開の具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るものとするというのが附則十四条の規定でございます。

 今後、プライバシー等の保護の観点も含めて、早期に検討が加えられまして、その中で結論を得るということになるものと承知しております。

塩川委員 だから、総務省、都道府県選管でないかもしれない。政党の公開だといった場合には、十年後になくなっている政党もたくさんあるわけですよ。まさに闇の中に葬られるというのがこの仕組みということになるんじゃないでしょうか。

 政策活動費の支出の全てについて領収書等の保存、提出、公開を義務づけることになるのか。政策活動費の支出の全てについて義務づけということになるんですか。

鈴木(馨)委員 原則的にはそういった方向になると思います。

 その上で、もちろん、ただ一方で、プライバシーであったり、様々な考慮が必要なこともありますので、そういった点について適切な形をつくれるように、今後、各党間での協議を行っていきたいと思います。

塩川委員 様々な考慮という点でいえば、まさにそこが抜け道になるということも言えるわけであります。墨塗りの話も今回の委員会の質疑でも行われてきているところであります。

 領収書等の公開の担保もありません。制度設計が全く不透明で、領収書の全面公開が行われるという保証はどこにもありません。政策活動費を合法化し、温存するものでしかない。裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかないということを申し上げておきます。

 最後に、自民党案は政治資金監査の強化を掲げておりますが、現行の政治資金監査制度がそもそも有効に機能していると言えるのか、このことが問われております。

 一昨年、政治資金制度を所管する寺田稔総務大臣の政治資金規正法違反の疑惑が大問題となりました。例えば、寺田氏の後援会が亡くなっている方をそのまま会計責任者にしていても、監査では問題なしとなっていた。また、領収書の宛名の追加記載疑惑があっても、法律上は問題はないと強弁をした。さらには、適正化委員会のQアンドAで望ましくないとしている、顧問税理士が関係五団体全ての監査人であることを指摘されても、好ましいかどうかはケース・バイ・ケースと、寺田大臣は開き直りの答弁でありました。

 こんなでたらめな実態で、政治資金監査制度が有効に機能していると言えるんですか。

小倉議員 今回の外部監査の拡充というのは、これまで対象ではなかった収入面での外部監査を導入すること、そして、国会議員関係政治団体とみなされなかった政策研究団体についても、これを対象とすることで、外部監査を拡充いたしております。

 それと同時に、不記載や虚偽記入を防ぐためには、外部監査だけではなくて、そもそも、会計責任者と政治団体の代表者、これのコンプライアンスの向上が重要だと思っております。その点、我が党の案につきましては、代表者がしっかり会計責任者から話を聞いて、そして、その上で確認書を交付するという制度もございますし、それ以前も、定時、随時の確認を政治団体の代表者自身がするということでございますので、そういったことを組み合わせて、より虚偽記入や不記載を防ぐことにつながるもの、そういうふうに認識しております。

塩川委員 現行の政治資金監査制度が有効に機能しているという点でのお話はありませんでした。

 そもそも、裏金問題でも監査制度が役割を果たしていなかった。ほかにも、不明朗支出や白紙領収書問題、河井夫妻が有罪となった巨額選挙買収事件などが相次ぎ、この制度が意味を成さないということを露呈しております。

 問題のある監査で個別に指導助言を受けた監査人は、過去八年間で二百七十六人にも上ります。制度上の逸脱のあった報告書の件数は三百七十件に上ります。政治資金監査制度は実務上も破綻していると言わなければなりません。結局、監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするだけの仕組みでしかない。

 政治資金は、政治団体がその収支を公開し、国民の不断の監視と批判の下に置き、国民の判断に委ねることが基本であります。収支はそのまま速やかに公表すればいいのであって、政治資金監査制度は必要がありません。

 真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルール作りまで丸投げすることは許されない。要旨の削除などはとんでもない。このことを申し上げて、質問を終わります。

石田委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。

 これまでの議論を聞いておりますと、政策活動費、領収書全面公開と思いきや、そうではないようです。

 十三条の二にありますが、人件費、事務所費等、総務省令七条三項に規定されている経費は全て公開の対象から外れています。すなわち、政党から支出する経費は全て公開の対象から外れる。

 よって、政党から支出する際に、それが人件費だと言い切れば、一切公開義務が免除されるということになります。適用除外が残っているということになりますが、これでしっかり透明性が確保できるのか。対象外にした理由をまず伺います。

勝目委員 お答え申し上げます。

 委員が御指摘になった人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費でありますけれども、総務省令において、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費と、これは限定されて規定をされているわけでありまして、こういう経常経費を除くということであります。

 この経常経費というのは、自民党の収支報告書に記載をされております政策活動費にはおおよそ当たらないということでありますし、また、通常の収支報告書においても明細の記載義務がない、領収書等の写しの添付対象にも含まれていないということでありまして、そういう技術的な理由で対象としていないということであります。

 仮にこれを人件費等に紛れ込ませたらということが御懸念なんだろうと思うんですけれども、今回まさに私どもがやろうとしているのは、政治活動費でないものを、経常費の方に振り替えてやるというようなこと、こういうことは一切考えておりませんし、その御懸念は当たらないということでございます。

田中(健)委員 私がやはり懸念するのは、人件費や事務所費の経常経費となるものと、今おっしゃられました政治活動費なるものの区別が不明確な場合があるということです。現時点では経常経費になるという認識の下に、つまりはオープンにしない、計上しない、そしてそれを通告しないということが起こるのではないかということです。

 先ほど議論がありましたけれども、例えば、故意にそれをやった場合は虚偽記載だということですが、あくまでその結果が出るのは十年後ですから、十年後に公開されたときに、その区分が脱法なのかどうかというのは、確認することは困難です。

 さらに言えば、政治資金規正法の時効は五年ですから、十年後にこれは問題だと言われても、それをどのように、先ほど虚偽記載として罰するということを言っておりましたが、できるんでしょうか。

勝目委員 まず、今回の改正案修正案、政党に所属している国会議員がその政党から政策活動費の支出を受けたときには、政策活動費の支出を充てて行う政治活動に関連する支出について、項目別の金額と年月を収支報告書に記載するということになっております。

 なので、政党から受けた支出の金額と、その使途として収支報告書に記載された金額が一致しない場合には、その差額が政治活動に関連する支出として使われなかったということになる。見える化をするわけです。

 一般的に、政治家個人が受領した政治資金については雑所得の収入として取り扱われて、一年間の総収入金額から必要経費として政治活動のために支出した費用の総額を差し引いた残額が課税の対象になるわけですので、政治活動に関連する支出として使われなかった金額というのは、課税の対象になり得るわけであります。このことが、収支報告書上、そういうものの存在が明らかになるということでありますので、収支報告書が公表された後、速やかに国民が知り得る状態になるというふうに認識をしております。

 もちろん、実際に個別に課税されるかどうかというのは課税当局の判断によることになるかと思いますけれども、いずれにしても、納税を逃れる不正行為が十年経過後の公開でしか発覚をしないという御指摘は当たらないんだろうというふうに考えております。

田中(健)委員 それでは、政治活動に関連しない支出ということでありますけれども、政治の世界も法律上も、政治活動、また選挙活動というのは明確に区別をされていますが、今回の再修正法案では、公開義務がかかるのは、あくまで政策活動費のうち政治活動に関連した支出です。

 ですので、例えば陣中見舞いなどは、選挙に関わる名目で渡せば、領収書も要らなければ、十年後の公開対象にもなりません。これでよろしいでしょうか。

勝目委員 これは、政治活動という文言が、公選法と政治資金規正法とで異なるということであります。

 つまり、選挙に関して支出をされる経費につきましても、これは政治活動に関連した支出に政治資金規正法上は扱われますので、仮にそのような支出があれば、その経費については、選挙関係費として政党の収支報告書に記載されることになります。

田中(健)委員 やはり選挙活動に関連した支出が、つながっておりますから、全て公開対象から外れるというのは、私は、大きな抜け穴になる可能性があるということは指摘をさせていただいております。

 いずれにせよ、例外を設けることなく、シンプルに、やはり全面公開ということが一番ではなかったかと思いますが、このように様々な細かいことまで一々説明しなければ分からないようなことでは、私は、とても国民の信頼や、また、透明性を確保することはできないと思っております。

 その上で、領収書のお話に移ります。

 提出、保存義務は、法案にはありません。先ほど、議論の中で、附則十四条に書かれているということが言われました。本当にこれで担保できるのでしょうか。先ほどは担保できるというお話でありましたが、であるならば、しっかりと法案の条文に明記してください。いかがですか。

勝目委員 お答え申し上げます。

 これは十四条に、まさに「政策活動費の支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)」として、これをするという、その旨が規定をされております。なので、ここはまずピン留めといいますか、担保をされている。その上で、制度の具体的な内容について、各党間で早期に検討が加えられるということになるものと承知をしております。

 したがって、この十四条の規定を読んでいただきましたら、まず公開のところ、あるいはその中に保存、提出が含まれているんだということは明確であろうというふうに考えております。

田中(健)委員 それでは、附則十四条の施行日は公布の日となりますので、この法案が施行されますれば、速やかに、現行の政治活動に係る領収書の提出、保存義務がその日からかかるということでよろしいでしょうか。

勝目委員 附則十四条の施行期日というのは、これは検討の施行期日ということになります。そこで各党会派の間で協議が行われて結論を得るという形になって、それで必要に応じた制度改正が行われるんだろうということであるというふうに認識をしております。

 領収書、明細書の保管については、法的義務を課すかどうかということでいいますと、これはそもそも、その先にある公開とセットになるものであろうというふうに考えておりますので、そこは、保管義務については、公開とセットになるんだろうというふうに考えております。

田中(健)委員 それではちょっとおかしくて、先ほど、ピン留めしていますからもうこれは担保されているというお話だったんですけれども、施行されても検討課題だと。

 検討では、では、この新しい制度が始まった後、この結論はいつまでに出るんですか。早期に検討が加えられ、結論を得るものとする、これの結論が出なければ、では、この領収書義務は必要ないということですよね。それが五年でも十年でもということは、これまでも例がありましたので。そういう理解でよろしいでしょうか。

勝目委員 ピン留めしていると申し上げましたのは、十四条の規定の中で、「支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)をするものとし、」ということで、ここで一回言い切っておるわけですね。その上で、具体的な内容について、「早期に検討が加えられ、結論を得るものとする。」というのが十四条の規定でありますから、その意味においてピン留めがされたということであります。

田中(健)委員 それでは、保存も、また、そのための提出も、必要だけれども、いつやるかは分からないということですね。それがよく分かりました。つまり、領収書はいつまでたっても提出、保存義務はかからないということであります。

 さらに、そもそも、政治資金法第十六条に基づいて、領収書は三年の保存とされています。今回は十年後公開ということでありますけれども、これはどのような整理がされたんでしょうか。他の支出は三年間保存で、この政策活動費の領収書だけ十年以上保存しておく。

 そもそも、前提が、今、領収書がいつから保存されるのか、提出義務があるのかも分からないということですから、この質問も成り立たないのかもしれませんが、いかがでしょうか。

勝目委員 その質問が成り立たないということではなくて、十年経過時での公開というものがきっちり制度化されたときには、政策活動費の支出につきましては、収支報告書が公開された日から十年を経過した後に、その公開期間の間保存されることになるというふうに考えております。

田中(健)委員 ごめんなさい、ちょっと今、二つ入れてしまったんですけれども、そもそもの質問で、他の領収書は三年でよくて、政治活動費だけ十年以上保存する、そういう理解でよろしいんでしょうか。

勝目委員 そのような御理解で結構かと思います。

田中(健)委員 十年のそもそもの根拠というのが、この議論を聞いていても分かりません。今も、なぜ、ほかのものは三年でよくて政策活動費だけ十年、この理屈を設けたかであります。

 所得税の時効は、不正があっても時効は五年です。領収書が公開されたとしても、控除対象の政治活動じゃないのか等、第三者機関に例えば指摘をされたとした場合、もはや納税する義務は、十年後ですから、ありません。さらに、十年後に不正であるということが発覚をした場合も、政治資金規正法は、先ほど言いましたように時効が五年ですから、これは誰も罰せられません。つまり、脱税しても何もおとがめもなければ罰則もないということで、単なる焼け太り法案と言われても仕方がないんじゃないかと私は考えます。

 もう一度、なぜ十年なのか、その合理的な理由と、十年でなければなぜ駄目なのかということを国民の皆さんに説明をいただきたいと思います。

勝目委員 まず、そもそも、十年経過後の公開でしか納税を逃れる不正行為が発覚しないじゃないかということについては、先ほど申し上げたとおり、毎年の収支報告書の中でずれが生じるわけですね。これが一体何が起こっているんだという疑問の端緒になるわけでありますから、当然、そういうことが起こらないように、各党のガバナンスにおいてそこはしっかり対応していくべきものであると思っておりますけれども、いずれにしても、十年たたないと分からないというものではないんだということであります。

 その上で、なぜ十年かということでありますけれども、政治資金の透明性の確保、これは今回の法改正の大きなテーマであります。これは極めて重要な点であります。その一方で、個人のプライバシー、企業の営業秘密、党の方針が他の政治勢力、外国勢力にも明らかになってしまうこと、これらのバランスを図る観点から、直ちに公開することに適さない支出といったもの、これが想定をされるということで、これらへの配慮の必要性も踏まえて、十年を経過した後という期間を設けることとさせていただいたところであります。

田中(健)委員 不正が起こらない、また、政党のガバナンスに期待すると。

 今までガバナンスができていなかったからこの法案を今議論しているわけであって、それに頼るなんというのは、そうしたらこの法案は要らないわけですよね、政治家の皆さんの良心と、そして政党のガバナンスに頼ると。

 それができないからこそ、今この議論をして、そういったことが属人的にも、また個人においても起こらないようにどうすればいいのか、その穴を一つでも埋めて、そして国民に理解をしてもらい、透明性を高め、皆さんから信頼を得るということでありますが、とても今の答弁では、人ごとというか、領収書がなくても分かるとか、それは分かることもありますよ。でも、やはりオープンにしていく、透明性を高めるというところからは、とても私は、今の答弁で、国民の皆さんが、私たちもですが、納得ができません。

 もう一度、では、十年で公開ですけれども、五年では駄目なんですか。その合理的な理由を教えてください。

鈴木(馨)委員 先ほど来答弁で申し上げておりますけれども、今回、そういった法律ということでいえば、一番の抑止力というのは、やはり報告書の本体、これは虚偽があれば、当然処罰をされるものです。

 そこに、それぞれの目的、そして年月ということで記載をされます。そこのところで、例えば不正に残した場合、税がかかる場合というのは、そこの残額が当然出てくる。それが出てくるかどうかというのは、それは収支報告書上できちんと担保される話になります。そういった意味でいえば、今回、不正の抑止ということでは、これは法文本体の中でもしっかりと対応がされているということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、十年ということでありますけれども、やはりいろいろなプライバシーであったり、様々な保秘が必要なこと、そういったところで十年というところが一つの、そういった意味では、プライバシーへの配慮ということで私どもは今考えておりますが、当然、そこについても、今後の見直しということも規定されておりますので、その状況に応じて、現状に応じて、それぞれの見直しをしていくということになろうかと思います。

石田委員長 田中健君、時間が参っております。

田中(健)委員 様々な、いろいろなプライバシーといって、中身は何も分からないということがよく分かりましたので、これにて質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日、維新の会の答弁者をお願いしていたんですね。やはり一番正直に申告しておりますし、どういうことに政策活動費を使っているのかというのは、一番維新の方が正直にお話しいただけるので、答弁いただきたかったんですけれども、残念ながら取り下げてしまって、答弁を受けられないのが本当に残念です。私が決して嫌われていないということは信じたいというふうに思います。

 今日は、再修正した条文案について幾つか問いたいと思います。

 この自民党の再修正案、これは、一つの大きな修正点は、再修正案十三条の二の中ですね、「政治活動のために」というのを「政治活動に関連して」と変えております。これはよく私も違いが分からないんですね。政治活動に関連してといったら、より広げているようにも見えます。

 例えば、これは政治活動に関連してですから、ちょっとゴルフに行ってリフレッシュしたい、それは、リフレッシュすることは政治活動のためになるからということで、そうしたものも入り得るんでしょうか。

鈴木(馨)委員 先ほど別途御答弁したところでもありますけれども、いわゆる政策活動費、これは政治活動のためにした支出で、元々、原案でも全てカバーをされる、そういった認識でおりました。

 そこで、今回、そこをより明確にするということで、日本維新の会から、こうした、関連するということへの修文ということが提案されたところであります。

 より明確にするという趣旨、私どもとしてはこれは変わらないという認識でありますけれども、それを、より明確になるのであればということで、今回、この修文、規定を変えたというところであります。

福島委員 だから、ゴルフとかリフレッシュとか福利厚生的なものは全部入り得るわけですね、そうしたら。私は、それを規制を受ける者が勝手に決めることができるというのが問題だと思うんです。

 もう一点問題は、逆に、抜けているものがあるんですね。先ほど田中委員の質疑でも、政治活動の中に選挙活動は含むと書いてありますけれども、私は、それはちょっと違うんじゃないかと思うんですね。

 政治資金規正法上は、選挙活動を含む場合は、「(選挙運動を含む。)」という定義をしているんですよ。要するに、選挙運動を含む資金と含まない資金というのは明確に、政治資金規正法上、書き分けられております。この条文だと、結局、選挙運動は除かれてしまうんじゃないですか。

勝目委員 政治資金規正法における政治活動というのは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを目的として行う直接間接の一切の行為をいうとされているというふうに承知をしております。

 改正後の十三条の二第一項におきましては、同法の第二十一条の二第一項のように「政治活動(選挙運動を除く。)」と規定していないということに照らしますと、むしろ、選挙に関して支出される経費についても、当然、政治活動に関連してした支出に含まれるというふうに考えております。

福島委員 ほかの条文は、「政治活動(選挙運動を含む。)」と書いてあるんですよ。除くじゃなくて、ほかの用例は。だから、これを書かないと選挙運動は外れてしまうんじゃないですか。(発言する者あり)

石田委員長 それでは、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

石田委員長 それでは、速記を起こしてください。

 勝目康君。

勝目委員 委員御指摘の条文は、含むと書いてあるものもあるわけですが、それは確認的な規定となっております。

 先ほど私が申し上げたのは二十一条の二でございまして、ここでは、「何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附をしてはならない。」という規定がございまして、このことからすると、裸で政治活動と規定をしている場合には、選挙運動というものは含まれるというのが政治資金規正法上の解釈であると認識をしております。

福島委員 いや、それはちょっとおかしいですよ。確認的になんて書かないんですよ。含む場合は含むわけですから、私は、これは明確な法律の穴であるということを指摘したいと思います。

 そして、十三条の二では、当該政党からの支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連してした支出、これは訳が分からないんです、読んでいて。要するに、これは渡し切りをやるということですよね。その支出にそのまま出すんじゃなくて、それに相当するものを使うということですから、これは渡し切りと同義と考えてよろしいですね。

鈴木(馨)委員 今御指摘のところ、すなわち、政策活動費の支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連した支出ということでありますけれども、これは、政党から支出を受けた国会議員個人がそれを充てて政治活動に関連して行った支出ということであります。

福島委員 済みません、答えていないんです。

 結局、渡し切りでしょう、これは。要するに、誰も確認できないわけじゃないですか。本当にそれを使ったかどうかというのは確認できませんよね。誰が確認するんですか。だって、一回渡して、それに相当したものを使うんだけれども、それを使ったかどうかは誰も保証できないんですよ。どうですか。

鈴木(馨)委員 まず、本法ということに関係するところで申し上げると、当然、こういった渡し切りというか、役職者に対して振り出されて、その役職者がその責任において支出を、党としての活動を代行するということの性質からいったときに、そこは役職者で判断ができるということでの支出でありまして、同時に、党としては、これまでは党内ガバナンスの、財務委員会の中でのチェックを行ってきたということであります。

 そういった意味において、実質的な意味においてはそういった確認はできると承知をしておりますし、そういった意味では、その先に、役職者がどういう支出をしたのか、そこについてのきちんとした領収書あるいは明細書ということもここで規定しておりますので、そこは担保されると考えております。

福島委員 いろいろおっしゃいましたけれども、結局、法律上は渡し切りですよね。党内ガバナンスに付さなければならないということは、渡し切りですよね。そのものに支出するそのもののお金じゃなくて、がばっと渡して、あとは党内ガバナンスも何でもいいですよ、一回渡す。法律上はですよ、私は自民党の話はしていません、それは法律上ですから。

 だから、それは渡し切りと考えてよろしいですね。改めて答弁ください。

鈴木(馨)委員 その趣旨でいえば、渡し切りということで結構です。

福島委員 ありがとうございます。

 問題は、そうすると、いろいろなずれが出てくるんですね。自民党の再修正案附則第十四条では、政治活動の支出に係る金銭に相当する金銭を充てて、これも条文が読みづらいんですけれども、政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書と書いてあるんですね。一方、十三条の二では、当該政党からの支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連した支出としているんですね。

 でも、十三条の方は項目別の金額と年月に係る規定なんですよ。後ろの方は領収書なんです。実は、これは同じような文言を使っているけれども、別なんですね。

 ここの領収書、附則の領収書と、会計責任者に報告すべき項目別の金額というのは、別のことですよね。

鈴木(馨)委員 まず、会計責任者に対して報告をするもの、これは支出をされた役職者が原則になりますけれども、その役職者が何年何月に何に使ったのか、そういったことを本体に書くという意味でのものであります。

 領収書、明細書という、こちらの附則の方の話というのは、これはまた役職者になりますけれども、政党から支出を受けた国会議員がその支出を充てて政治活動に関連して行った支出の状況に係る領収書、明細書でありますので、そういった意味においては、さらに、元の本則で書かれているものについての、そこの者からのものということになります。

福島委員 よく何を言っているのか分からないので厳密に議論したいんですけれども、本則で書かれていることは、領収書じゃないんですよ。例えば、皆さんがよく言う外交関連費というわけですよ。その中の外交関連費には、領収書としては、例えば飲食費とか会議会場料とか、あるいはお土産代とかが含まれるわけですね。

 でも、ここと、政策活動費、附則のところの領収書は、実は法律上、維新の皆さんもよく聞いた方がいいですよ、リンクしていないんですよ、これは。だから、必ず、裏金が発生する余地があるんですね。

 もしそうしないんだったら、政策活動費の支出に係る領収書と、政策活動費をそのままストレートに書けばいいんですよ。それをそう書いていないから、政策活動費の支出に係る金銭に相当する金銭を充てて政治活動に関連した支出の状況に係る領収書と、物すごく複雑に書いてあるでしょう。これは、つまり、ここの本則における報告事項と領収書は、実は対になっていないんですね。だから、全ての領収書が法律上は公開されない可能性があるわけです。

 だって、さっき渡し切りと言ったでしょう。渡し切りということを認めている以上、渡した先が何に使っているか分からないから、極端な話、事後的に領収書を、関係ない領収書をかき集めて、維新さんとかはいっぱい飲食の領収書があるんですから、それをわっとかき集めてやることだって可能なんですよ。ストレートに政策活動費の領収書と言っていない以上、そういうことが起こると思うんですけれども、どうですか。

鈴木(馨)委員 少なくとも、立案者の立場からすれば、附則の方の領収書、明細書、ここが肝になると思いますけれども、まさにこれは政党から支出を受けた国会議員個人がそれを充てて政治活動に関連して行った支出の状況に係るものですから、そういった意味においては、御懸念には当たらないのかなと思います。

福島委員 それは、懸念する、しないの話じゃなくて、法律の条文上なんですよ。だって、素直に政策活動費に係る領収書と書けばいいじゃないですか。そう書けない理由があるんでしょう。

 つまり、渡し切りだから、渡し切った先には、党の幹部の皆さんが実際に何に使っているのか分からないんですよ。しかも、更に言えば、実際にはそこには剰余分があって、雑所得として申告しなければならない可能性もある。そうしたお金なんですよ。

 先ほど来、五年、十年の話をしていますから、この議論はいたしませんけれども、なおまだ、やはり裏金が生じる余地があるんじゃないですか、これは。法律上あるんですよ。ないとどうやって言えるんですか。

 では、何で素直に政策活動費に係る領収書と規定しなかったんですか。そう直してください。

鈴木(馨)委員 ちょっと繰り返しになりますけれども、まず、先ほど、雑所得になるようなということをおっしゃいました。そこについては罰則もかかる。そういった意味でいえば、収支報告書本体への、そこの年月、さらには目的というところと総額との差が出ればそれは雑所得になりますけれども、そういったことはそこでまず一つ確認ができる話になると思います。

 その上で、領収書、そして明細書ということでいえば、そこの振出しをされた者の、そこがどこに対してというところの領収書、明細書でありますので、そういった意味においては、そこの中での、裏金につながるということはないというふうに思います。

福島委員 いや、ありますよ。

 だって、そのものの領収書じゃないんですよ。これは渡し切った先の人の言い値で出す領収書だから、そこには剰余も生ずることもあるし、場合によったら、不正の温床にもなる可能性があるんですよ。そもそも、素直に政策活動費の支出に係る領収書としていない段階で、これは本当にごまかしであるんですよ。

 私は、この仕組みが決定的に欠陥なのは、これは木に竹を接いでいるんですね。

 まず、維新案は元々、渡し切りを禁止していましたよね。渡し切りを禁止にして、全ての領収書を公開するというのが素直な話なんですよ。でも、渡し切りを禁止しなかった、事実上認めているがゆえに、ブラックボックスなんです。渡し切った先の人が何に使っているのかというのは、誰も確認しようがないんですよ。言い値で領収書をぺらっと出すし、出さないものがあってもこれはしようがないんですよ。認められちゃうんですよ、これは。私は、これは大きな穴だというふうに思います。

 結局、これは、今まで政策活動費というのは何にも定義されていなかったにもかかわらず、新たにこうした仕組みを認めたことによって、表で政策活動費と認めるようになって、なおかつ渡し切りもできて、さらに、剰余が生じたら、いろいろ、課税を逃れることはないとかなんとか言っているけれども、ただ、脱税になる可能性もあるという制度はそのまま温存されているわけですね。むしろ、私は制度の改悪だと思いますよ。維新案と自民案を混ぜちゃったから、こうしたことが残念ながら生じているんです。

 私は、余計悪い制度になったということを強く主張させていただきまして、質問とさせていただきます。

 以上です。

石田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 政治資金規正法の改正につきましては、公明党は、一月に政治改革ビジョンを他党に先駆けて提言をさせていただきました。そして、与党協議では、自民党と全て合意できない点もありましたが、しかし、公明党の訴える方向性で取りまとめを行わせていただきました。そして、与野党協議を経て、この修正案の成案ということを得たわけであります。

 再発防止策としての連座制の導入に加え、政治資金パーティーの公開基準額の五万円超への引下げ、あるいは政策活動費の使途公開、あるいはこれに対する第三者機関の監査、これも訴えてまいりました。我が党が終始一貫して訴えてきた点も総理の御英断で取り入れられ、また、野党の意見も幅広く取り入れる案になったというふうに考えておりますが、私は、ここからの取組がやはり大事なのではないかというふうに思っております。

 自民党の政治資金問題に端を発して、そして、国民の政治への信頼が大きく揺らいでいるという現状にあります。この改正案を第一歩として、総理として、また自民党総裁として、政治の信頼回復に向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。

 今回の政治資金規正法改正案の評価と、政治の信頼回復に向けた総理の決意を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず申し上げなければならないことは、今回のこの一連の政治資金制度改革の議論の発端、これは我が党がつくったということであります。

 その中で、我が党は、今般の一連の事案の真摯な反省の下、御党との協議も行いながら、この原因をつくった立場として、何よりも実効性のある再発防止策、改革案、これを提案しなければならない、そういった思いで取り組んでまいりました。

 政治資金については、政党の成り立ちや支援の広がりによって各党様々な立場があり、具体的な制度の在り方については極めて難しい調整となっていたところでありますが、与党として長年パートナーを組んできた、そして、政治改革のビジョンをいち早く取りまとめた御党から、政治の国民からの信頼回復のための建設的な意見、真摯な御意見をいただきました。

 そして、政治資金規正法の改正を今国会で確実に実現する、こういう国民の皆様との約束を果たさなければ政治への信頼回復はできない、こうした強い思いから、私自身、自民党として、思い切った、踏み込んだ案をお示しする決意をし、そして実行したところであります。

 今後とも、政治資金制度そのものへの信頼を高め、民主主義の基盤をより強固なものにする、こうした強い決意で、今国会での政治資金規正法の確実な改正と、そして政治の信頼回復、全力で取り組んでいきたいと考えております。

中野(洋)委員 総理にもう一つ伺います。

 公明党が提言をさせていただいたものの中で、政策活動費、これを独立性の高い第三者機関にしっかり監視をさせるということを提案させていただきました。前回の委員会でも私はこの点を指摘させていただきましたけれども、この政治資金をめぐる問題、やはり、独立性の高い第三者機関がしっかりそれを監督をするということは、参考人質疑でも全ての参考人の方から言及があり、非常に効果が高い、あるいは非常に有効だ、こういうことも含めて、非常に期待の高い、私はこういうテーマだというふうに思っております。二月の予算委員会でも、私は、総理にも、この第三者機関については質問をさせていただいたこともございます。

 今回、これを条文に盛り込みました。それを、検討するということではなくて、「これを設置するものとし、」という形で、設置すると法律上明記をした。これは非常に大きな意義があるというふうに私は考えております。

 そして、政策活動費の監査の文脈で出てきたこの条文ではありますが、こうした政治資金をめぐる様々な議論全体のことを考えると、やはりこれは、政治資金全体の透明化、これに向けた役割を果たすべきではないかというふうに考えております。

 この第三者機関、非常に論点は数多くあります。どこに設置をするか、秘密保持をどうするか、どういう役割を持たせるか等々も含めて様々ありますが、これを早期に設置をする、そしてこれを活用して適切な政治資金の監督をしっかり図っていくということで、国民の政治資金に対する信頼性というものが非常に大きく向上するのではないかというふうに思っておりますが、これについて総理の見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 政治資金に関する独立性が確保された第三者機関については、提案された各党の法案のいずれにも検討事項に規定されており、また、本委員会における参考人質疑でも、重要性が幾度も指摘をされてきたところだと承知しております。

 その中で、政策活動費については、この国会、当初から、様々な委員会の場等でこの議論が行われてきました。従来から、この政策活動費については、政党の活動に関わりのある個人のプライバシーや企業、団体の営業秘密を侵害したり、政党の戦略的な運営方針が他の政治勢力や諸外国にも明らかになったりするといったおそれにも配慮する必要がある、こういった議論も行われてきたところでありますが、本委員会の議論において、御党からも、国益上明らかにできない使途があるのであれば、第三者機関が審査して認める仕組みも考えられる、こうした有識者の御意見を御紹介いただいたと承知をしております。こうした議論も行われた次第です。

 こういったことから、自民党案では、検討事項を修正し、政策活動費に関し、政治活動の自由やプライバシー等への影響に配慮することができる、専門性を有する第三者機関を活用する方向で、政策活動費の使途の一層の透明化を図る制度について検討を行う、このようにした次第であります。

 この政策活動費の支出に関する監査の在り方など第三者機関の具体的な在り方については、今後、各党各派において真摯な検討が行われるべきものでありますが、御指摘のとおり、なるべく早期に設置できるよう、自民党としてもこの議論に貢献していく所存であります。

中野(洋)委員 総理から、なるべく早期にというお言葉もいただきました。

 総理はやはり政策活動費の監査という文脈で様々おっしゃられていると思いますけれども、これの活用をどこまでやっていくかというところも、次の大きなテーマだと私は思っております。これは、引き続き、大きなこの設置の議論の中でしっかり議論してまいりたいと思います。

 自民党提案者にもお伺いをいたします。

 企業・団体献金、今回テーマになりました。パーティー券の購入の公開基準額を五万円超としたということで、これは、公明党のみならず、国民民主党あるいは維新の会、野党の皆様の提案された数字とも合致をし、私は透明化が大きく進むと思っております。

 この企業・団体献金全体の在り方、前回も議論させていただきました。立憲の提案者の方も、やはり、個人寄附の促進など、いろいろな環境整備もしっかり図っていく中で議論していかないとということもありました。

 維新の会の提案者、今、企業・団体献金の禁止にチャレンジをされているということで、済みません、今日提案者がいらっしゃらないのであれなんですが、前回の議論の中では、企業献金というのが個人の経営者の献金になるだけということではいけないよねというところまで前回議論させていただいて、ちょっと続きをしたかったのですが、今日はこういう状況ですので、ちょっと指摘だけさせていただきます。

 例えば、ちょっと個人名を出して大変申し訳ないんですが、維新の馬場代表の政党支部の収支報告書も、令和四年度で拝見をしましたら、個人寄附が八百八十五万ということだったんですけれども、私の計算では、九割近くの方は会社の役員の方からということでありまして、やはりこれでは個人の経営者の献金と言われてしまうのではないか。せっかくチャレンジされているのに、こういう透明性を下げるということは、私は非常にもったいないというふうに思います。ですから、やはり総合的にしっかり取組をしていく、そういうことが私は必要なのではないかというふうに思います。

 今回、政治資金の支出の在り方、例えば、これは選挙制度、金がかからない選挙は何なのかみたいなこともあると思います。政党交付金の在り方ということもあると思います。あるいは、個人献金をどうやって促進するかということもあると思います。企業・団体献金、その中でどうしていくのか。やはり金のかからない政治、これを目指して、しっかりとした議論を私は行っていくべきではないか、こういうふうに思いますけれども、提案者の御意見を伺いたいと思います。

鈴木(馨)委員 今、中野先生がおっしゃいましたけれども、やはり三十年前の政治改革等から、どう政治を、民主主義をしっかりファイナンスしていくのか、きれいなお金でファイナンスをしていくのかという議論がこれはずっとあると思います。同時に、どのようにしてお金のかからない政治にするのか。そういったことでいうと、恐らく、三十年前と比べれば、相当、政治資金の規模というのは小さくなっている。そういった意味では改善が進んでいますが、更なる改革、当然これは必要だと思っています。

 同時に、当時から、例えば、今おっしゃった政党交付金であったり、あるいは個人の寄附、さらには企業、団体、こういったところをどうバランスよく、しっかりとしていくのか。具体的に言えば、癒着にならないような、そういったファイナンスの仕方は極めて大事でしょうし、同時に、新しい党であったり新しい政治家、そこのチャレンジを妨げない。さらには、党であっても、あるいは政治家個人であっても、しっかりと自分で立てる、そういった状況をどう確保できるのかという観点から様々これは進めていかなくてはいけない問題だと思いますし、まさにそこは、委員の御指摘、共感をするところであります。

中野(洋)委員 もう一問、これは余り今まで議論にならなかった論点ではあると思うんですけれども、少し指摘をさせていただきます。それは、政治資金収支報告書の会計の仕組みであります。

 今回、収支報告書の不記載ということが問題で、これに端を発したという議論だと思っております。では、会計の帳簿の在り方というのは果たして今のままでいいんだろうかという問題意識があります。

 今、いわゆる単式簿記の形の会計の仕組みであります。では、裏金が発生しないのかという問題があったときに、事務所で、例えば、秘書が今現金を幾ら取り出して管理をしていて、今月の出入りがどうなったのか、こういうことは分からないわけであります。ですから、政治団体の財政状況あるいは経営状況、こういうのをしっかり把握をするという意味では、企業については、どんなに小さくても、やはり複式簿記、適時に、正確な会計帳簿というものに基づいて、こういう形で経理を行っているというわけであります。

 ですから、こうしたことの導入も含めて、会計の在り方は果たしてこのままでいいのかということをしっかり検討しないといけないのではないか、こう思いますけれども、提案者はどうお考えですか。

小倉議員 委員御指摘の点、すなわち会計の在り方、なかんずく複式簿記の導入の点につきましては、我が党内におきましても同様の議論がございまして、同様の指摘がなされたところでありまして、政治資金の適正化、透明化を図る上で大変重要な論点だと認識をしております。

 政治資金問題に関する今後の課題といたしまして、政治資金の会計の在り方としていかなる制度が適切であるのか、しっかりと今後検討していく必要があると我々も考えております。

中野(洋)委員 公明党は今回の議論の中で、しっかりと政治を改革する、政治と金のこういう問題を二度と起こさせない、こういう強い決意で様々な提言もしてまいりました。

 改めてでありますが、やはりこの改正案というのはゴールではない、あくまでこれは第一歩だというふうに思っております。この案をまず第一歩として、更なる政治の信頼の回復に向けて不断の努力を続けていく必要がある、最後にこのようにお訴えをさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 立憲民主党幹事長の岡田克也です。

 総理、時間がすごく短いので、お互い端的にやり取りしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず、調査研究広報滞在費について。

 衆参議長の下に議論する形はできましたが、議論はまだこれからです。一点、どうしても確認したいんですが、この立法措置について今国会中に結論を得る、そういうことでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 調査研究広報滞在費、いわゆる文通費については、我が党として、維新の馬場代表と私との間での合意のとおり、衆参議長の下に設置される議論の場で前向きに検討を行い、使途公開と残金返納を義務づける立法措置を講ずる方針、この方針を確認しているところであります。そして、委員御指摘のように、議院運営委員会の現場などで、今、具体的な進め方を調整しているさなかであります。

 そういう段階でありますので、私から一方的にスケジュールについて具体的に申し上げることは控えなければなりませんが、当然のことながら、今申し上げた方針に基づいて、できるだけ早期に結論を出すべく、自民党として貢献をいたします。

岡田委員 維新の馬場さんは、合意文書には書いていないんですけれども、今国会中ということを何度も強調されていました。私も同じ思いですよ。こんなことはいつまでも引きずる話じゃない。だから、この国会でやると約束していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 ただいま申し上げたとおりであります。

 今現在、もう既に、衆参議長の下で議論を行うということで、議院運営委員会の場等で取り運び等を検討しているさなかであると認識をしております。その段階で、私から具体的なスケジュールを一方的に申し上げることは控えなければならないと思っています。

 ただ、先ほど申し上げた、紹介した合意等もあります。この問題につきまして早期に結論を出すべく、自民党として貢献いたします。

岡田委員 是非この国会で結論を出しましょう。

 次に、我が党が様々な主張をいたしましたが、ほとんど無視されてしまいました。ただ、その中には非常に重要な主張がありますので、簡単に申し上げておきたいと思います。

 まず、国民民主党と有志の会との共同提案の法案ですけれども、政治資金監査人による監査対象に、今までは支出だけでした、収入も加える。これはたしか予算委員会で、自民党の議員の質問に対して、前向きな答弁を総理はされたことがあると思うんですね。支出を加えるということについて、イエスかノーかでお答えください。どうして自民党の案にははっきり書いていないんですか。

岸田内閣総理大臣 支出につきましては……(岡田委員「収入」と呼ぶ)失礼。支出と収入、その収入の方につきましては、今回、議論の中で、対象の拡大について、業務量の増加に監査人が対応できるかなど、実務上の検討事項もあることから、まず、国会議員関係政治団体の範囲の政策研究団体への拡大と、そして国会議員関係政治団体の収入に対する政治資金監査の導入、これを行うということを、自民党として対応を用意した次第であります。

岡田委員 収入について具体的に書いてありますか。

小倉議員 収入については、口座残高の繰越額と実際に一致しなかった場合は、差額証明書、これを作成して提出をすることになっています。したがいまして、この差額証明書に基づいて、収入の不記載がないかどうかチェックをする仕組みになっております。

岡田委員 分かりやすく言うと、収支報告書と通帳の比較をする。それは収入のごく一部じゃないですか。今回の裏金、それで防げますか。そもそも通帳に入っていなかったお金でしょう、裏金は。だから全然対策になっていないんですよ、それじゃ。

 だから、収入についてもきちんと全部対象にする、総理、そうしないとこれは意味がないですよ。違うんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 国会での議論を振り返りますときに、御指摘のように、支出のみならず収入もしっかりと把握するべきである、こういった議論がありました。そうした方向性に鑑みて、自民党として、具体的な実務を併せて検討した中で、先ほど申し上げました業務量の増加に監査人が対応できるかなど、こういった諸点を勘案し、まずは国会議員関係政治団体の収入に対する政治資金の監査の導入、先ほどの答弁にありましたような形でこの対策を行っていく、こういった提案をさせていただいた次第であります。

岡田委員 業務量、果たしてできるかどうかなどというのは、それは関係者の意見も聞かなきゃいけないかもしれませんが、基本的には収入を全部監査の対象にするということを約束してもらえませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、支出のみならず収入についても透明性を高めていくことが重要である、こういった議論の中で、現実にまずやるべきこととして、国会議員関係政治団体の収入に対する監査の導入、これを行うことを提案させていただきました。

 こうした大きな方向性に鑑みて、具体的にどういった制度をつくるのか、こういった議論は政治改革全体の中で重要だとは思いますが、まずは一歩を踏み出すことが重要であると認識をしております。

岡田委員 元々、裏金問題を二度と起こさないためにどうするかという議論だったんじゃないんですか。だから、それに対しては、今回決めることはほとんど無意味なんですよ。こういうのを羊頭狗肉と言うんですよ。

 次に、いわゆる茂木方式。

 私たちは、百万円以上のお金を移すときには国会議員関係政治団体とみなすという規定を置きました。自民党さんは一千万です。私は唖然としましたね、一千万と。そうしたら、そういう団体を三つつくれば三千万、五つつくれば五千万。結局、我々国会議員は一万円以上の支出は全て収支報告書に書かなきゃいけませんが、それを全部免れている。恥ずかしくないですか、こんなことをして。脱法行為そのものでしょう。

 だから、そういうことはやらない、せいぜい百万というふうに、ゼロを一つ消しませんか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政治団体間の資金移動についても予算委員会等で度々議論が行われたところでありますが、その中での議論として、一般論として、政治団体間の政治資金の移動については、それぞれの団体の目的ですとか実態に即して行われるものであり、幾ら以上であったならばこれは直ちに脱法的であると判断することは難しいという議論は行われたと記憶をしています。

 要は、その政治団体が後援会なのか、政治資金管理団体なのか、この団体の性格によって必要とするお金は変わってくるわけでありますから、幾ら以上であれば脱法的であるということを一概に論ずることは困難な側面がある、こういったことを議論したと記憶しておりますが、少なくとも国会議員関係政治団体から年間一千万以上の寄附を受けている政治団体については、両者が相当程度密接な関係にあると推認できるとして、党内実務者の間では意見の一致があったと承知をしております。

 こうした規制の対象となる政治団体、これは事務負担についても重たいものがあります。この基準額についてはバランスの取れた案が重要であると考えており、今回の基準額については私も妥当なものであると考えております。

岡田委員 少し常識のある人が見たらとても恥ずかしいことを総理は言っているんですよ。一万円以上と収支報告書で義務づけられているのに、それを事実上脱法する行為を是認しているわけですからね。

 政策活動費について。

 昨日の議論を聞いていると、黒塗りというものがどうも認められるらしいということが分かりました。誰が黒塗りの範囲をどういう基準で決めるんですか。お答えください。

鈴木(馨)委員 その点につきましては、これから、その透明性、大事さ、さらにはプライバシーの問題等との兼ね合いで、今後各党間での協議に委ねられると承知しています。

岡田委員 何も答えていないわけですけれども。

 もし、例えば、自民党の政策活動費を自民党が黒塗りの範囲を決めるとなったら、これは公開したということは全く意味がなくなりますよね。やはりこれは、今回設けようとしている独立機関が、一定の基準に基づいて、黒塗りが妥当かどうか、どの範囲を黒塗りにするかということをチェックする、そういうことしか考えられないわけですね。

 そもそも、この政策活動費そのものが何でもかんでも認められるわけじゃないと思うんです。本来であれば、これはきちんと領収書を全部添付して、一万円以上は公表しなければいけない。その例外をつくるということであれば、百歩譲って、総理の言うことがある程度、私は政治的自由というのは全く認めませんが、例えば、プライバシーの侵害になるとか、あるいは国の安全を損なうような場合とか、そういう場合について政策活動費という形を取るということを認めるとしても、そもそも、そういう基準がまずはっきりあって、その基準に合っているかどうかをこの第三者機関、独立機関が判断をした上でそれが認められるということにしないと、何でもかんでも政策活動費という名前がついたら認められるということじゃ、それは事実上の脱法行為をどんどん認めてしまうということになると思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費について、公開を行うということについては、この方向性、これは確認しているわけでありますが、その公開に向けて具体的なルールをどうしていくのか。委員御指摘のように、政策活動費の配慮すべき様々な点、個人のプライバシーですとか、政党の戦略的な取組が外部に知られることになるですとか、配慮しなければならない点、こういった点も配慮しながら、具体的なルールをこれから作っていくことになると承知をしております。

 そして、あわせて、よりこうした制度の信頼性を高めるために、第三者機関というものについても議論を行っていく、こういった方向性も確認されているわけでありますから、この政策活動費の公開の制度と、そして第三者機関を設置して、第三者機関にどのような権限や、あるいは取組を認めるのか、こういった議論と、これが合わさることによって、この実態を国民が把握していただき、そして理解していただく、こういったことにつながると考えております。

岡田委員 私の言うことを全然理解していただいていないんですが、十年後の出口の話だけじゃなくて、入口、政策活動費として認めるかどうかのところもやはりこの独立機関が一定の基準に基づいてチェックしないと、何でもかんでも政策活動費と、例えば自民党なら自民党の判断でできてしまうということでは駄目だと思うんですよ、これはすごい例外をつくるわけですから。

 だから、入口のところで独立機関が一定の基準に基づいて判断する、その基準は何かということをきちっと法律で決めておく、そういうことだと思います。

 非常に心配するのは、この独立機関の設置、政策活動費の監査の在り方については、検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられる、十五条ですね、非常に、時期の明示がないんですよ。これは、ずるずるずるずるいって、結局できない可能性があるんですね。だから、少なくとも来年度の収支報告からきちんと適用できるように、年内に全部準備を終えるということはお約束いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 政策活動費について、まずは、収支報告書の中において政策活動費をどのように報告するのか、そして、十年後に政策活動費をどのように公表していくのか、そして、あわせて、第三者機関によって政策活動費をしっかりとチェックする、この三つが合わさることによって政策活動費の透明性、信頼性を高めていく、こういった仕組みが今議論をされているところであります。

 ですから、こうした三つが合わさることは重要であると思いますが、それぞれ、この第三者機関についても、どういった権限を与えるのか、政治の自由やその透明性との関係においてどのような機関をつくるかなど、これは簡単な議論ではありません。

 ただ、この三つが重要だということを念頭に置きながら、できるだけ早くこの三つの取組を進めていくことは重要であると考えます。

石田委員長 岡田克也君、時間が参っております。

岡田委員 結局、仕組みはつくったけれども、実際に動き出すのはずっと先だということになりかねない、単なる先送りにすぎないんじゃないか、そういう疑念が国民の中にありますから、その疑念を払うためにも急いでもらいたいと思います。

 最後に一言だけ言っておきます。

 これは、地方議員は対象になっていないですよね、政策活動費。ですから、私がこの場で、予算委員会で指摘をした、県連から地方議員への渡し切りのお金、これは対象になっていないんです。国会議員だけですから。そこは法の私は欠缺だと思いますので、少なくとも、是非参議院において修正してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。

 終わります。

石田委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、質問させていただきます。

 まず、日本維新の会の合意文書に基づき、党首間の合意文書に基づき、我々の修正案を一定程度受け入れてくださったことに関しては、実務を担当する者として改めて御礼を申し上げたいと思います。

 今回、維新の修正が通ったといっても、我が党としては特に、維新の案が通ったのでよかったとか、そういうことを言うつもりは余りありませんで、むしろ、今回の修正が通ったのは、やはり、きちんと筋の通った高い球をきちんと投げ続けていた立憲民主党、国民民主党、そして有志の会始め各党、そしてまた、連立与党でありながら一定程度筋を通そうと粘った公明党の努力というものがあった中で、このままでは成立がおぼつかないのではないかということで焦った自民党が、我々の合意案をのまざるを得なくなったというのが現状であると考えておりますから、そういった観点では、各党各会派にも感謝申し上げたいと思っております。

 それから、一方で、実際にこの法案の修正協議等を行わせていただく中で、自民党は最後の最後まで、抜け穴をつけよう、抜け道をつくろう、こういうことをしてくるわけなんですが、それも実務を担当されている方々の一存でやられているとはとても思えませんで、やはり、自民党内の様々な力のある方々、メディアでは麻生副総理ですとか茂木幹事長であるとかとお名前が出ていますが、そういった方々のいろいろな思惑、ほかの方もいると思いますが、そういった中で、自民党自身が自ら自浄能力を失っているのではないかなと感じるところが多々ありました。

 その中で、総理が今回、合意文書に基づいて、こういった形で一定国民に対する責任を果たそうとされたことについても、我々としては率直に評価をしているというところでございます。

 一方で、本日、我が党案を、これは本当に、理事会での我が党案の法案の扱い等々、様々、各党各会派との調整の下で取下げというのをこのタイミングでさせていただきましたけれども、これに特段意味はございませんで、私も、今日もそこの答弁席に座りたかったんですが、座れなくなってしまったというだけのことにもかかわらず、先ほど公明党の質疑者の方から、もうここで、通告もない、答えることもできない中で、しかも、政党の党首の本当かどうかも分からない情報を基に質疑を行い、また、それを一方的に中傷するというのは、私はあってはならないことであると思いますし、それから、議員として極めて品位を欠く行動であるというふうに思います。これは改めて抗議を申し上げたいと思います。

 その上で申し上げますが、今回、政策活動費、これも、幾つかの会派、公明党と共産党が使っていないとか、有志の会は政党じゃないから使えないというのは、それはそのとおりなんですけれども、ただ、そういう政党とか会派の数でいうと確かにそういうことは言えるんですが、実際、どれぐらいの人たちに関係のある話なのかというと、決して自民党と維新だけの話ではありません。

 これはもう、ちょっといろいろ批判もされているので、はっきり申し上げちゃいますが、立憲民主党は、今、岡田幹事長の下で使われていないという、それは岡田さんの政治家としての矜持には大変感銘を受けるところではありますが、ただ、二〇二二年、例えば、西村智奈美議員が五千万円、それから泉健太党首が五千万円、これは受け取っていますよね。

 それから、国民民主党に関しても、令和四年で榛葉幹事長が三回受け取っていまして、五千百万円、千二百万円、三百万円、政策活動費を確実に、これは収支報告書の写しですけれども、受け取っているわけです。ですから、要するに、今まで各党がやっていた。

 そして、今申し上げた自民党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党というこの三つの会派の人数を足し合わせますと、およそというか、はっきり言うと、衆議院議員で四百名おります。これは、ちょうどぴったりした数字で四百名おります。衆議院の現職の数が四百六十五名ですから、計算すると八六%ということになります。

 つまり、今我々がやっている、今回、修正協議を行って修正した内容というのは、現在、八六%の衆議院議員に対してかかる規制、衆議院議員に関係のあるものなんです。残りの一四%の方々が、何か、あたかも自民と維新の話だけだみたいなふうにするのは、これはやはり、数字を見ない、極めて印象的な話であろうと思っております。ですので、そこははっきりと申し上げておきたいなと思います。

 それから、今回、政策活動費、公明党は何か、いつの間にか自分たちの改革案は取り下げたんですけれども、政策活動費で公明党と自民党が合意していたのは、今までどおり渡し切りのお金を渡して、それを、渡された人が項目ごとに書いたやつを会計責任者に通知するということだけですよ。それだけですよ。それだけだったんです。それだったら、結局……(発言する者あり)いや、合意したじゃないですか。

 それだけだったら、今まで例えば幹事長名で書いてあった名前、そこに五千万円と書いてあったものを、それを選挙関係費五千万円と書き換えて、それをそのまま会計責任者に通知したってこれは制度上認められるような、ざるというか、もう穴そのものなんですよ。

 だから、そういうものでしか議論されていなかったものが、今回の修正協議によって、何か、あそこに穴がある、ここに穴があると言いますけれども、ここまで詰まった形で様々な抜け穴を塞いでいる。だって、これは寄附も禁止されたんですよ、渡し切り。そういうことができてきたというのは、ちょっとこれは前進の次元が違うと思っておりまして、そういったことしかできなかった会派に穴があるとかなんとか言われたくないというのが正直な感想でございます、本当に。

 それから、ちょっと質問にならないんですけれども、もう一つ申し上げますと、維新案と自民党の違いというのは何かといいますと、維新は、元々、今回の渡し切りのお金というのは、寄附と経費の支出と二種類あったわけです。そのうちの、寄附と経費の支出、両方を塞いだ上で、経費の支出のところに蓋つきの穴をつけよう、コントロール可能な出口をつくろうということだったんです。

 ところが、自民党は、寄附の方は塞ぎます、経費の支出の穴は塞ぎません、その代わり、この穴を改造して蓋つきのものにします、こういう案だったものですから、最初、我々が、それでも同じ効果があるんだったらいいでしょうというような議論で入ってしまったがために、ちょっと我々も、もう少し詰められたのかなという思いが残った、こういうことでありますので。その上で、ただ、前進としては、極めて大きな前進であると思っております。

 ということで、質問させてもらいますが、今回、政策活動費なんですけれども、一個だけ、どうしてもちゃんと確認しておかなきゃいけないことが残っております。

 それは、今まで、政策活動費というのは、政党の幹部にお金を渡して、そこから先を公開しなくていいということなので、いろいろなところにばらまかれていたということなんです。

 ところが、今回のものは、受けた者がその先の支出をもちろん公開するんですが、その先の支出が、例えば、一回岸田総理に入って、そしてそこから次の別の議員に渡して、別の議員の個人名で領収書として書いて出すということは、この法案を見る限りできないとは思うんですけれども、そういったことはできないし起きないと、これは通告しているので、明確に自民党総裁からお答えいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 自民党の修正案で、附則に新たに追加した政策活動費の使用状況の公開に関する規定においては、政策活動費の支出に係る記載をした収支報告書が公表された日から十年を経過した後に、当該政策活動費を充てて政策活動に関連して行った支出の状況に係る領収書等を公開するものとしています。

 この領収書等は、党の幹事長などの政治家が政策活動費の支出を受け、これを使用した際の領収書を意味するものであります。

 そして、党の幹事長などが、党から支出を受けた政策活動費に相当する金額を政治活動に関連して更に別の国会議員に支出した場合、自民党案では、幹事長などからの通知に基づき、当該支出の項目や金額、年月など、収支報告書で明らかにされることとなりますが、十年後の公開はこれらの記載内容を確認、検証するために行うものと理解しており、こうした観点から、領収書の徴収のルールなど、制度の詳細が今後詰められるものになると承知をしております。

青柳(仁)委員 制度の詳細がそういうふうに決まるのであれば、これはやはり、自民党として、どう考えてもそれはおかしいじゃないですか。個人に入ったものが個人に渡って、それを支出したらそれでオーケーになってしまうということにはならないですよね。

 まさに、今おっしゃったとおり、領収書の取付けというのは、実際に渡ったものが最終的に支出されたものでなければ意味がないというふうに思いませんか。そのように党として考えませんか。これからつくっていくに当たって、そういった制度をつくっていくべきだと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、十年後の公開については、領収書の徴収のルールなど、制度の詳細を今後詰めていかなければならない課題であると認識をしております。

 委員の御指摘の点等も念頭に置きながら、どういうルールを作っていくのか、こういったことについて制度の詳細を詰めていくものであると考えております。

青柳(仁)委員 今こういう議論をしていて、もし、この後の運用の詰めの中で、いや、個人から取り付けた領収書でもいいんですということになったら、これは、自民党、もう政権を降りるしかないですよ。これは是非、是非というか当たり前だと思いますので、ちゃんと支出を証明する領収書が公開されるということ、これは最後の詰めの段階でしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、もう一つなんですが、先ほど来からいろいろ議論がありました、選挙運動には適用されないんじゃないかという話なんですが、これは実は、法制局も含め、自民党の各実務者の方とも何度も議論した点で、これは含まれるわけなんです。

 その理由は三つありまして、一つは、先ほど来から答弁であるとおり、政治活動に関連した経費というのは、選挙運動を含みます。これが法律的な解釈です。それから、それを除くという括弧を書かなければいけないんだというのは、これはただの言いがかりです、申し訳ないですけれども。それは、法律上しっかり確認をしてから言っていただきたいと思います。

 それから、もう一つあるんですが、元々この文言というのは、我々の交渉の中で、はっきり言えば、あってもなくてもいいという扱いでした。というのはなぜかというと、法制上、こういった限定をしないと、個人のプライバシーに関わるような、個人の自由のようなところを侵害するおそれがあるので通常入れるような文言なんだということで入っていたんです。それが、しかし、政治活動のためにした支出だと、ためにだと限定されるのではないか、こういう懸念がありましたから、政治活動に関連したということにすれば、政治家の行う活動、政党の行う活動で政治活動に関連しないものというのは存在しない。

 ですから、ほとんど意味がないほどに影響範囲を広げたというのがこの文言であって、この文言にいたずらにかみついて何か意味のない議論を展開するのは全く不正確だし、それから時間の無駄だというふうに私は思っております。それはしっかりと確認をしてから言っていただきたいなと思います。

 それから、もう一つ申し上げますが、もし選挙運動のために支出をした場合、これは全て選挙運動の収支報告書に書かれることになります。ですから、それは出し手が、例えば政策活動費であれ、寄附であれ、どんなものであれ、出す側は、これは政策活動費ですと名前をつけようとも、受け取った側にとってみたらそれは選挙運動の寄附です。ですから、その場合は選挙運動の収支報告書で、今回のこの政策活動費のルールよりもはるかに厳しい、かつ、翌年にもっと透明性の高い形で公開しなきゃなりませんから、そもそもこの議論には私は意味がないと思っております。

 そういった観点を踏まえても、そのとおりなんですが、改めて、ちょっと総理の方から、とはいえ、これまで政策活動費は陣中見舞いみたいな形で配られていたことが問題だったわけですよ。ですから、政策活動費が選挙運動に使われることはないと明言していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 選挙に関わる資金については、委員がまさにおっしゃったように、これは選挙の収支報告において受け取った金は全て明らかにしなければならない、これが法律のたてつけだと思います。そういった形で選挙に関わるお金のやり取りは明らかにされる、これが法律のルールであると承知をしています。

 そういった形で、国民の政治資金に対する信頼性、透明性、これは確保されるものであると認識をしております。

青柳(仁)委員 もう少し明確にお答えいただきたかったんですが、選挙運動には使われないということは法律上担保されておりますので、しっかりとした運用を自民党にも求めて、私の質疑を終わります。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 法案提出者の、自民党総裁である岸田総理にお尋ねをいたします。

 まず、企業・団体献金について質問をいたします。

 今回の法案には、企業・団体献金の禁止は全く入っておりません。岸田総理は、特定企業からの寄附が政策決定に影響を与えることはないと述べておられますが、特定の企業、団体からお金を受け取って政治がゆがめられたことがなかったと言い切れるんですか。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金によって政策がゆがめられた例はないと言い切れるかという御質問でありますが、これについては、予算委員会等、国会の様々な委員会において議論を行わさせていただきましたが、そもそも政治団体の収入については、多様な考え方の多くの出し手による様々な収入を確保することが政策立案における中立公正やバランスの確保において重要である、こういった考え方を申し上げております。

 その上で、平成元年の政治改革大綱においても、法人などの寄附を禁止する理由はない、あるいは、よく例に挙げられます昭和四十五年の最高裁判決においても、政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を企業は有する、こういった判決もある、さらには、政策決定のプロセスについても紹介をさせていただく、こういったことにおいて、一部の企業からお金を受けることによって政策がゆがめられる、こういったことはないと説明をさせていただいております。

塩川委員 実際、この間を見ても、例えば自民党の国会議員だった吉川農水大臣の鶏卵汚職事件を始めとして、企業との癒着によって政治がゆがめられた、このことが問題となった事例というのは枚挙にいとまがないわけであります。

 政治資金のバランスの問題という話をいつもされるんですけれども、ということは、三分の二の自民党の収入は政党助成金、バランスが悪いということであれば、その他の企業・団体献金はもっと増やす、こういう議論にバランス論で言えばなるんじゃないでしょうか。全く反省がないと言わざるを得ません。

 民主党政権からの政権交代後、自民党は、二〇一三年の参議院選挙を前にして、ゼネコン業界に企業献金の請求書を出していたことを、当時、しんぶん赤旗日曜版が暴露しております。

 自民党の政治資金団体の国民政治協会が、ゼネコン業界団体、日本建設業連合会、日建連に出した文書であります。自民党の文書には石破幹事長を始め党幹部の名前が並び、「夏には、参議院選挙が行われます。」として、「「強靱な国土」の建設へと全力で立ち向かっております。」と述べて、四億七千百万円の献金を請求をしておりました。総理は承知しておられますか。

岸田内閣総理大臣 お尋ねについては、これは、まず、請求書というような類いのものではありません。これは、自民党の政治資金団体である一般財団法人国民政治協会から、政治活動に対する一般的な支援要請として、日本建設業連合会に対し、会員による自発的な寄附の御協力のお願いを行ったものであると承知をしております。

 当然のことでありますが、当該寄附の要請は特定の選挙に関してなされるものや公共事業などと連動するものではなく、企業、団体から政治資金団体が献金を受け取ることも法的には何ら問題があるものではないと認識をしております。

塩川委員 公共事業受注企業からの献金を迫るといったこと自身が問われているわけで、夏には参議院選挙が行われますということで、国土強靱化、この政策を訴えて、四億七千百万円の献金を請求していた。業界団体に、まさに特定の政策を誘導する形で企業献金を催促してきたのが自民党であります。

 その後、どうなったか。昨年、しんぶん赤旗日曜版が、自民党からゼネコン各社への献金割り振り額が示された日建連の内部文書をスクープしております。

 日建連加盟の大手五十七社で構成される社会貢献活動協議会の例会においてであります。

 二〇一九年例会、事務部会進行シナリオには、国民政治協会への各社の献金割り振り額が記されております。国政協に対する政治寄附の目安金額を第一グループから順に申し上げますので、メモしていただきますようお願いいたしますとして、第一グループ一千八百万円、第二グループ九百万円などとグループ別に金額を読み上げております。そして、例年同様、本日、社会貢献協議会の例会が終わったことを国民政治協会に連絡させていただきますので、後日、国政協の担当者から各社をお訪ねしたい旨のアポイントが入ることになります。

 このような、まさにシナリオを読み上げていたわけであります。

 自民党と一体で献金あっせんをしているのが日建連であります。この十年間で、日建連会員企業から自民党への献金額は二十億円を超えております。その見返りに、日建連会員企業が受注した国の大型公共事業額は、この十年間で二十七兆円を超えています。政策を金で売り買いする賄賂政治そのものではありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の文書については私自身承知しておりませんし、逆に、特定の団体の内部文書について私の立場からコメントすることはいたしません。

 しかし、企業・団体献金について、賄賂性があるのではないか、政策をゆがめているのではないか、こういったことについては、先ほどの説明に加えまして、一般論として、我が国の自由主義経済の重要な構成要素である企業等が、個別の政策云々にかかわらず、我が国の経済の発展に力を尽くそうとしている政党の活動を応援する、これは政治活動の自由の在り方ということにおいて責められるものではないと認識をしております。

塩川委員 選挙権のない企業が金の力を使って政治に口を出すというのは、まさに国民の参政権を侵害するものと言わざるを得ません。断じて認めることができません。

 次に、自民党の政治資金パーティー収入については、形を変えた企業・団体献金ということで、その政治資金パーティー券についてですが、公開基準を二十万円超から五万円超に引き下げるという、党首会談でこの点を合意をし、修正案が出されました。

 総理にお尋ねしますが、この五万円超というのは、パーティー一回に限っての話であって、年間ではありません。四回あれば二十万円を超えるというのと同じことになるんじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーの公開基準の議論につきましても、この国会において、予算委員会等で様々な議論が行われてきました。私も度々答弁をさせていただいたところでありますが、これは、先ほども紹介させていただきました最高裁の判決等においても、政治活動の自由の観点から、企業において政治資金の寄附の自由というものは認められているというような判断等を考えますときに、こうした政治活動の自由と、一方で、国民が民主主義の基本である政治資金についてしっかりと実態を承知する、透明性を高める、この二つのバランスの中でどうあるべきなのか、こういった議論であると考えております。

 それを、今回、従来より引き下げるということで、今申し上げた二つの課題に対するバランスのありようを考えたというのが今回の結論であったと承知をしております。

塩川委員 自民党と日建連の癒着がまさに行政、政治をゆがめるということが問われているときに、こういった、今回の、四回あれば二十万円を超えると同じじゃないかということについてのお答えはなかった、否定をされませんでした。何の規制にもなっていないということも申し上げておきます。

 この仕組みの施行期日は二〇二七年の一月一日で、それまでは先送りであります。それまでは公開基準二十万円超が続くことになります。その間にあるのが総選挙であり、参議院選挙であります。

 今回の裏金問題では、二〇二二年の参議院選挙改選組の議員に対して、安倍派においてノルマなしの全額キックバックが行われていたことが明らかになりました。選挙の裏金だったのではないのかということが問われているわけであります。

 同じく、二〇二二年の参議院選挙前に、岸田派の国交省OBである足立敏之参議院議員が政治資金パーティーを行い、その際に、日建連に対して三千万円分のパー券購入依頼を行い、各社に百万円以上割り振ったと、これもしんぶん赤旗日曜版が報道しているところであります。

 日建連に対して選挙前にパーティー券を割り振ったように、目前に迫った総選挙や参議院選挙で、従来どおり、企業、団体から、二十万円超、公開基準でパーティー収入を受け取れるようにする、施行期日の、実施の先送りというのがまさにそのことを示す、まさに国政選挙を前にして、政治資金パーティーにおいて企業、団体からのお金を受け取る、こういう仕組みを続ける、このことが大本にあるんじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員が今紹介された具体的な事例につきましては、私は、実態を承知しておりませんし、それについて申し上げる材料は持ち合わせておりませんが、今回の法改正の議論の中で、内容によってこの法律の施行期日等を検討した、こういったことについては、それぞれの内容において、それぞれの国会議員が、それぞれの政党が、様々な準備を行わなければいけない、こういった実態に即して、それぞれの施行期日について議論を行い、確定したものであると承知をしております。

塩川委員 総選挙、参議院選挙前は今の仕組みでやれるという点では、従来どおりの企業、団体からのお金集めのパーティーとなっていくということは明らかであります。

 この法案は、企業・団体献金に全く手をつけておりません。企業・団体献金を聖域にする法案であります。企業、団体による政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金は、賄賂性を持ち、政治をゆがめるものであり、国民の参政権を侵害するものです。企業・団体献金は禁止しかありません。

 最後に、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 岸田総理は、法律に基づいて政策活動費というものが認められているということを三月二日の予算委員会で答弁をしておりますが、自民党案の提出者は、政策活動費については現行法令上の定めがないと答えております。食い違っておりますが、これはどういうことなんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今委員がまさに発言されたように、政治資金規正法上認められるということと、規定されている、これは別物であります。

 法律上、これは、そうした政治活動費というものが認められるということを私は申し上げました。そして今回は、この法律の中において、政策活動費について、これを法定化する、規定を設けるということであります。この違いが、まさに今御指摘の発言の違いであると認識をしております。

塩川委員 元々規正法は、国民の前に収支の実態を明らかにするということなんですよ。それが不透明なままというのは、そもそも政策活動費というのは、政治資金規正法上、脱法的なやり方だということを認めるということであります。こういった形でこれを合法化するような今回の法案は認めることができません。

 我が党と立憲、国民、有志の会は、政策活動費廃止の法案を出しております。公明党は政策活動費を使っていないと言っておられます。政策活動費に固執しているのは自民党と維新だけであって、政策活動費の制度設計について、しがみついている自民と維新が相談して決めるのでは、国民は納得はしません。

 政策活動費は廃止すべきだ。こんな法案に公明党も加担をしているということも許されないことであって、抜本的な対策としての企業・団体献金の禁止、政策活動費の廃止、強く求めて質問を終わります。

石田委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 今日の午前中の質疑で、どこまでが政治活動費かという議論がありましたけれども、自民党と野党ではかみ合いませんでした。

 その午前中の質疑の中で、第十三条の二で、修正案、「政治活動のために」より、再修正案で出されました「政治活動に関連して」の方が、おおよそ範囲が広いとの答弁がありました。

 一方、政治資金に関して、課税対象となる雑所得の金額は、年間の政治資金収入から政治活動のために支出した費用を控除した差額となっています。

 今回の改正により、所得税法等の運用は変わらないか、課税関係に影響がないのか、確認をしたいと思います。総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 これは、結論から申し上げますと、法案が成立した暁には、国税当局において、税法等に照らして適切に対応されるものであると認識をしております。

長友委員 ということは、今時点ではどういうことなんでしょうか。今時点での総理の判断を教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 これは税務当局の判断ですので、税務当局の判断について、国会議員やあるいは財務大臣の立場で何か具体的にその判断について申し上げる、これはほかの税務に関わる問題についても同じでありますが、これは控えなければならないものである、こういったことは予算委員会においても度々答弁させていただいたと記憶しております。

長友委員 本来であれば、こういうところも詰めた上で再修正案を出されるべきだと思うんですね。

 ほかにも、こういうことがたくさんあるんです。

 政策活動費についても同じです。一昨日の時点では、政策活動費については、五十万円以下の支出については項目別の公開もしない、そういう案を自民党は出されていましたけれども、それを削除して、全て公開すると変更して、今日、再修正案を審議しておりますけれども、このような変更が行われた理由はなぜでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほども議論の中に出ておりましたが、政策活動費、これは現行法令上、定義が定められてはおりません。各政治団体がその判断で記載しているものであるため、これまでの自民党案においては、条文技術上、まず政策活動費の外延を定めなければならないということで、政党から国会議員に対する支出とその外延を定めた上で、政策活動費として収支報告書に記載する対象となる金額を一件五十万円超の支出としていたものであります。

 党からの支出には、いわゆる政策活動費と呼ばれているもの以外にも様々なものがある中で、これまでの政策活動費の支出の実態を踏まえると、政策活動費として五十万円以下を支出することは想定されなかったことなどから、実務的な観点も踏まえて五十万円超という金額をお示ししていたものでありますが、この点に関し、特別委員会での議論において、五十万円以下の政策活動費の支出が理論上は考えられる、抜け穴になりかねない、こういった指摘をいただいたと承知をしています。

 あくまでも、我が党としては、政策活動費のこれまでの実態を踏まえた案としたものでありますが、もとより抜け穴にしようなどというものは全く考えておりませんでした。しかし、我が党としても、政策活動費に対する国民の信頼性を確保する観点から、委員会での議論を真摯に受け止め、この度、案を修正したというものであります。

長友委員 政策活動費五十万円以下は抜け道となり得ないという常識が自民党の中にはあったと。非常に非常識だなと国民は思うと思うんですね。野党だって、そこはおかしいだろうということで指摘したわけであって、自民党だけですよ、五十万円以下は政策活動費となり得ないと言うのは。非常に感覚がやはりずれているんだなということを痛感します。

 もう一つ、今度は政策活動費の領収書等の十年後の公開ということに関しても、国民の皆さんも気づいていますよ、本当にこれは行われるんですかと。黒塗りで出されるということだって今まで何度も経験しているわけですよね。

 聞きますね、改めて。確認しますよ。

 領収書の徴収、保存、十年後の公開は本当に行われるのでしょうか。領収書の徴収義務と十年以上の保存義務を法律の条文に書かないと、先日、総理と維新の馬場代表が合意したことに私は反するんじゃないかと思いますけれども、見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 私と維新の馬場代表との間では、政策活動費の年間の使用上限を設定した上で、十年後に領収書、明細書等とともにその使用状況を公開すること、こういったことで合意をいたしました。我が党の法案の附則において、十年後に政策活動費の支出状況に係る領収書、明細書等の保存、提出、公開を行う方針を明記している。これは馬場代表との合意に沿ったものであります。

 そして、その上で、先ほども答弁をさせていただいておりますが、その具体的な領収書等の取扱い、ルールについては、これから詳細を詰め、合意をしていくことになると認識をしております。

長友委員 総理から、使用上限については設定した上で合意ということでいただきましたけれども、じゃ、幾らを上限と決められたのかを改めて確認したいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、上限を設定する、こういったことで合意をしたわけでありますが、具体的な数字については確定しているものではありません。この現実をしっかり踏まえた上で、上限についても両者で合意をしていきたい。そして、これは法律ですから、各党で合意をしていきたいと考えております。

長友委員 今時点で決まっていないじゃないですか、設定するという約束、言っておられますけれども。では、何を合意したのかが国民には全然分かりませんし、私たちも理解できません。

 更に確認したいのが、これは十年後に公開するといっても、十年後に不正が発覚したとして、政治資金規正法の時効は五年です。所得税法も時効になります。そうなると、誰も罰せられないというふうになるんじゃないでしょうか。これでは、脱税し放題のお墨つきを与えるだけの焼け太り法案というふうに国民に理解されても私は仕方がないと思いますし、私たちもそういうふうに説明せざるを得ないですよ。理解してくださいねと言われても、理解しようがないと思います。

 この点、総理はどうやって国民の皆様に理解を求めるのか、答弁を求めます。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、保存、提出、公開については、具体的な制度の詳細、これは早期に検討を行い、結論を得るということになっているわけでありますが、領収書の保存、例えば滅失や毀損した場合への対応など、そうした具体的なルールについて、これは法案が成立した暁には、罰則の要否等も含めて、各党各会派で検討が行われるものであると認識をしております。

長友委員 つまり、今時点で何も決まっていないということなので、私が次にする質問にも答えられないんだろうなと思いつつも聞きますけれども、政策活動費として支出した領収書が、十年後にないとか紛失した、さらには、感熱紙タイプの領収書というのがありますよね、こういう領収書やレシートは、十年も印字は残りません、消えますよ。こういう保管状況によっては印字が消えたり用紙全体がぼろぼろになったりする領収書も少なくないというふうなことは常識的には分かるんです、確定申告している人は領収書にふだんから触れていますから。

 そのような理由で公開できないとなっても、罰則も何もないでは、これは許されないと思いますし、国民も納得しないと思いますが、その点の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 先ほども少し答弁させていただきましたが、法案が成立した暁には、領収書を滅失あるいは毀損した場合への対応、そしてさらに、委員おっしゃるように、罰則の要否、これらについて検討が行われるものであると認識をしております。

 そういった点についても、しっかり現実的に対応を考えていく、これが基本的な考え方であります。

長友委員 基本的な考え方は、つまり、まだ何も決まっていないから、これから決めるというだけの話であって、全く答弁になっていません。

 十年の間に政党が離合集散したり会計責任者が交代したりするなどして、結局は、当時の者がいませんということで、説明責任が果たされないということは容易に想像できますよね。国民は、これまでの流れを見て、そのように感じております。

 総理として、こういう国民の疑問にはどう答えるのか、この場でしっかり説明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、政策活動費の支出の状況に係る領収書、明細書等の保存、提出、公開について、我が党の法案の附則において、これを行う方針を明記した上で、その具体的な制度の詳細について、今後、検討事項としているところですが、適切な説明責任が果たされるよう検討が行われなければならないわけですが、いずれにせよ、我が党の法案で言う附則第十四条の規定、すなわち政策活動費の公開の制度、そして本則に指定されている政策活動費等の収支報告書における公表の制度、そして附則第十五条に規定されている第三者機関の監査の制度、この三つを相互に補完し合う形で運用することによって国民の信頼を確保していく、こういった法のたてつけになっていると認識をしております。

 この三点を組み合わせることによって、国民の政治資金に対する信頼、これを確保していく、こうした法律を御審議をお願いしているところであります。

長友委員 総理、政治と金の問題は、今日までそれこそ何度も繰り返してきたということは、総理自身が一番よく御存じだと思いますけれども、平成の政治改革を主導された政治学者の令和臨調共同代表の佐々木毅先生が、なぜ今回のような政治と金の問題が起きたのかを問われた際にこう答えていらっしゃいます。細部までこだわらなかったから細部に悪魔が住んでいたんだ、そういうふうにお答えになっているんですね。まさに、今回の合意もそうですし、条文の食い違いだったり、また、細部を聞いても全く答えられないということがそのものだと思うんですよ。

 総理、細部にこだわっていない……(発言する者あり)細部でもないという声が聞こえていますけれども、このことに関して、総理、本当に本気で政治改革をするおつもりがあるのか、改めて総理の見解を確認させてください。

岸田内閣総理大臣 自民党では、今回の一連の事案を真摯に反省し、再発防止の実効性を重視した改正案を提示してきたところでありますが、あわせて、今回の一連の事案と直接の関連がない課題についても、国民の信頼回復の観点から、各党と真摯に協議を進める、このように申し上げてきました。

 こうした政治資金については、政党の成り立ちや支援の広がりに応じて各党様々な立場があり、改革の方向性は極めて難しい調整になったところでありますが、そういった中で、各党との調整を進めて、そして案を取りまとめ、そして今御審議いただいているわけであります。

 大きな方向性をしっかりと政党として確認をする、その上で、実務者レベルで細部にこだわって制度の詳細を詰める、こういったプロセスは、困難な政治課題に関する政党間の真摯な協議の在り方として、これは当然あるべき形であると考えております。これは、精緻さを欠く、あるいは細部にこだわっていないということではないと考えております。

石田委員長 長友慎治君、時間が参っております。

長友委員 総理、大変残念でございました。数々の質問、答えていただけなかったので、肝腎なところはゼロ回答だったと思います。

 こんな政治と金の抜本改革とはほど遠いざる法にはとても賛成できないということを申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

石田委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。こんにちは。

 これは先週の月曜日の予算委員会でお配りした資料ですけれども、この委員会では配っていないのでもう一回お配りしますが、二〇一〇年、民主党政権のときと二〇二二年のときの自民党の企業・団体献金の違いを見ますと、右のグラフですけれども、例えば、医師会はゼロが二億円とか、石油連盟、ゼロが五千万円とか、ほかも多くが二倍、三倍となっていて、左を見ると、個人献金はむしろ下がっているんですね。与党になったら企業・団体献金は一挙に倍になるということなんですね。

 だから、よくバランスが大事とおっしゃっておりますけれども、少なくとも、企業・団体献金というのは与党に集まる性格がありますし、平成の政治改革で目指したのは政権交代のあり得る政治ですから、それを阻害する要因にもなる。また、腐敗の温床にもなるし、これが私は国民の政治不信の原因になっているというふうに思います。

 今回、政治資金に関する主要なテーマで今回の法案に一文字も出てこないのは、企業・団体献金に関することだけなんです。決して、廃止とは言わないまでも、何らか、やることは幾らでもあるんですね。例えば、総額規制とか、与党と野党で扱いを変えるとか、あるいは、今、政党支部をつくれば幾らでも受けることができますから、政党支部の設置の数を制限するとか、幾らでもやることがあるのに、一切何にもやらないということは、逆にバランスを欠くし、怪しいと思うんですよ。怪しまれると思うんです。

 総理の立場に立ってみても、これを、何もやらない、手をつけない、一文字たりとも法案に入れないということは極めて怪しいと思われると思いますけれども、どうですか、総理。

岸田内閣総理大臣 企業・団体献金については、先ほど来申し上げておりますように……(福島委員「それは大丈夫です。分かっています」と呼ぶ)説明させてください。

 自民党の政治改革大綱においても、そして最高裁の判決においても、こうした企業の寄附の自由というものは認められるということでありますが、その昭和四十五年の最高裁判決においても、具体的な対応については立法に委ねるという判断がされているわけであります。そして、それから今日まで、企業・団体献金の在り方については、様々な議論が行われ、そしてルールが作られ、そして今日に至っているということであります。

 こうした最高裁の判決、あるいは政治改革大綱、こうした基本的な考え方、方向性に基づいて、この取組がずっと続けられ、今日に至っている、こういったことであります。

 そして、今回、一連の事案に向けての、再発防止、具体的な案を用意したわけでありますが、それ以外の部分については、今日までの議論の積み重ねの中で対応されている。

 これを今、その企業・団体献金についても、今のルールを更に改めるということは、この対策の中に盛り込むことはなかった。なぜならば、今回の事案というのは、特定の企業からお金が動いたことによって政策がゆがめられたというものではない、こういった点を勘案した上で、今のルールをしっかり徹底することが重要である、こういった判断になったと認識をしております。

福島委員 そうは思われないですよね。

 残念だと思います。あえてこの議論は長くしません。

 今回、自民党内の意思決定プロセスは本当に不透明で、修正案も誰が判断しているのかが分かりません。本来は細かいことを総理に聞くべきじゃないんでしょうけれども、一点、若干細かいことを聞かせていただきます。

 自民党修正案では、政治資金等に関する犯罪があったときの政党交付金の不交付規定とか、あるいは政策活動費とか、政治資金に関する独立機関の設置などは、やることを前提にした本則の中にある条文に書いております。一方、外国人のパーティー券購入とか、個人の寄附に対する税制優遇とか、政治家が寄附控除を受けることの禁止については、やるかやらないかはまだ未定で、在り方について検討が加えられというふうになっていて、やることを決めていません。何でこんな差を設けたんでしょうか。

 例えば、外国人パーティーなんて、やるべきじゃないですか、今。やると言った上で、詳細な制度を検討するという条文にすればいいんですよ。あるいは、政治家の寄附控除なんて、まさに今起きている問題なんだから、今、穴を塞がなきゃ、またやる人がいるかもしれませんよ、自民党さんに。

 なぜこのような差をつけたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御質問の趣旨は、自民党の、附則の中に書いてあるものについても、内容によって表現が違うではないか……(福島委員「扱いが違う」と呼ぶ)扱いが違うではないか、こういったことでありますが、それはまさに、御指摘のように、外国人等による政治資金パーティーであったり、個人献金であったり、政治活動費であったり、あるいは政党交付金の交付停止の制度の創設であったり、これは内容は様々であります。一律にこれを論ずることはできない。だからこそ、その具体的なテーマに応じて、対応について書き分けた、使い分けた、こういったものであると認識をしております。

福島委員 そこの価値基準が分からないんですよ、すぐやるのと、やらないの。だって、とりわけ、控除を自分で政治家が使うなんというのは、今すぐ、明日にでも変えなきゃいけないと私は思いますよ、本来は。だって、今起きているんだから。だから私も恥ずかしいと。恥ずかしいという話がありましたけれども。

 ちょっと一つ、通告は出していないんですけれども、政策活動費って一体何なのかというのがよく分からないんですね。

 これは、必要だと言っているのは自民党と維新だけなんですけれども、維新は、同じ店に何度も行っているのが分かるのが不都合とかという、よく分からない理由を推しているんですけれども、自民党が一番言っているのは党勢の拡大なんですね。

 みんな党勢の拡大をしたいわけですよ。党勢の拡大といったら、普通は、チラシを配ったりとか、いろいろ機関紙を発行したりとか、そういうことでやるんだと思うんですけれども。

 鈴木議員は、もらう立場じゃないから分からないと、一昨日、答弁されましたので、これは実際、党勢の拡大というのは何をやっているんですか。まさか、地方議員に何か裏金を配ったりとか支援者を飲ませ食わせとかしていることじゃないですよね。だって、党勢の拡大こそが本来の政治活動なんだから、それこそまさに全部公開するのが当たり前で、自民党だけ公開できない党勢の拡大、もしその秘訣があれば私も学びたいんですよ。是非教えてください。

岸田内閣総理大臣 党勢の拡大、これは、自民党であれば、全国で様々な党の活動を続けています。こうした党の活動を維持していく、これはまさに党勢の拡大であると思います。

 そういった中にあって、この政策活動費については、個人のプライバシーですとか企業の企業秘密ですとか、そういった点にも配慮しなければならない。こういったお金については、政策活動費の透明性の議論の中で、どうあるべきなのか、具体的に考えなければいけない、こういった議論が行われてきたと承知をしております。

福島委員 そんな議論は行われていないんですけれども。

 依然、分からないですよ。プライバシーの保護があって、分かっちゃったら、渡されたのが分かったり使い道が分かったら党勢拡大を阻害するという使い道は分かりません。ほかの政党はみんな、党勢の拡大のために我々政治活動を行っているわけですから、それで開示できないなんというのはおよそ理解ができません。

 これだから駄目なんですよ。政治家がルールを作ったら、お手盛りであると思うし、信用されないんですね。だから、私たちの、立憲民主党、国民民主党、有志の会で出している案には、政策活動費の支出に係る政治活動のためにした支出に関する当該機関の監査の在り方を含めとやっていますけれども、実際に政策の提言までが必要なのではないかと訴えているわけでございますが、その趣旨を提出者からお願いいたします。

古川(元)議員 お答えします。

 この間、過去、政治とお金の問題が何度も問題になり、そのたびに規正法の改正が行われた。しかし、やはり我々政治家自身が改正を行ってきたために抜け穴ができて、その抜け穴が利用されて、そのたび問題になる。こういう繰り返しが、国民の皆さんの政治に対する信頼をここまで失墜させた。

 ここは、我々はプレーヤーに徹するということにして、ルールを作ること、そしてルールを守っているかどうかの遵守状況のチェック、そして守っていない場合の制裁、こうしたものは、私たちは、国会の下に、過去に原発事故調査委員会のような形のをつくりました、あのような独立した第三者機関、政治家以外の人たちにそこのところを判断してもらう、そこで決めていただいたルールに我々は従ってプレーする、そういう形にしていかなければいけないというふうに考えております。

福島委員 総理、今お聞きになりましたか。

 自民党の附則の案には、「政策活動費の支出に係る政治活動のためにした支出に関する当該機関による監査の在り方を含めその具体的な内容について検討」すると。「含め」だから、あらゆる分野が含まれるんだと思うんですね。

 やはり重要なのは、ルールメイキングに関する提言も含めてこの第三者機関に担わせるということが非常に大事だと思うんですけれども、総理、その点についてきちんと検討の土俵に乗せるということをお約束いただけませんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 要は、第三者機関の組織の在り方について、どういった具体的な中身、これを詰めるのかということでありますが、これは、政治活動の自由を担保しつつ、立入検査、政策提言など、当該機関にどのような権限を持たせるのが適当と考えるか、また、当該機関の独立性をどのように確保するのか、あるいは、秘密保持をいかに担保するのか、こういったことが議論の対象になっていくものであると考えております。

福島委員 明確に政策提言ということもその機能として含まれると考えてよろしいというふうに捉えました。結構ですね、それでいいですね。はい。

 それで、次にですけれども、平野貞夫参考人は、国民が期待する新しい時代に対応する国会となる、議会政治改革協議会という大きなものを設置して議論すべきというようなことをおっしゃっています。

 私は、この第三者機関の在り方というのは極めて大事だと思うんですね。国会につくるのか、行政府につくるのか、その機能はどうあるべきか、非常に私は、これが一番の今回の法改正の肝だし、私は自民党案には反対ではありますけれども、ただ、ここの制度設計の仕方次第では、この先の政治改革に期待が持てる、そうした中身になると私は確信をするんですね。

 ですから、これが非常に大事で、そのためには、ある程度のハイレベルな、衆参両院の議長の下、衆参全党会派が集う政治改革協議会のようなものをつくったらどうかと平野貞夫参考人はおっしゃっていますけれども、そうしたものをつくるべきだし、これは、是非、総理、岸田内閣のときにやらなきゃ駄目ですよ、夏休み返上でも。僕らは、夏休みは返上でも、議論は幾らでもおつき合いしますから、だらだら時間をかけてやるんじゃなくて、国会閉会中でもこうしたことはできますから、第三者機関の設置のためのハイレベルな機関、全党会派が入るような機関をつくっていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まずは法律をお認めいただくことが第一であると思います。法律が成立した暁に、第三者機関について、先ほど来申し上げておりますように、具体的な権限ですとか組織ですとか、委員御指摘のように、どこに設けるですとか、こういったものを議論していかなければなりません。

 これは各党各会派全てに関わる問題であります。この議論を、法律が成立した暁、進めていくことになります。そういった議論を進めることによって、実効性のある第三者機関において合意したいと考えています。

福島委員 いま一つ熱を感じませんでした。もう一声欲しいんですよ。

 いつから始めますか。これは、私、夏休み返上でもと言っているんですけれども、やはりここが一番の肝ですから、いつまでもだらだらやるんじゃなくて、今すぐにでもこの第三者機関の設置の検討を始めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた、この法律成立後の段取りを進めることになります。そして、早急にその議論を進めるべきであるということ、これについては、たしか他の委員の質問にもお答えしたように、自民党としても、早期にこうした組織をつくるための議論に貢献したいと思います。

 いずれにせよ、各党各会派で議論を進めていくべき課題であると認識をしております。

福島委員 私は、これで政治改革の議論を決して終わりにしてはいけないと思います。これがスタートであるというふうに思っておりますので、今後も引き続き皆さんと議論していくことを期待いたしまして、質問とさせていただきます。

 総理、ありがとうございました。

石田委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 これにて各案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、落合貴之君外十名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案及び第二百八回国会、落合貴之君外四名提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。松本総務大臣。

松本国務大臣 ただいま意見の聴取の求めがありました政治資金規正法等の一部を改正する法律案及び政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、政府としては意見を述べるのは差し控えさせていただきます。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。石原正敬君。

石原(正)委員 自由民主党・無所属の会の石原正敬です。

 私は、会派を代表し、自民提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 まず冒頭、今般の自民党の派閥や所属議員をめぐる政治資金問題について、深くおわびを申し上げます。

 我が党は、今般の問題についての深い反省の下、再び同様の事態が起こることのないよう、実効的な再発防止策を規定いたしました。

 まず、政治家本人の責任強化については、国会議員関係政治団体の代表者による収支報告書の確認書制度を設けるとともに、代表者に対する罰則強化、収支報告書の不記載等があった場合の国庫納付制度を設け、会計責任者任せにして、知らなかったとの言い訳を許さないものとなっております。

 また、外部監査の強化については、政策研究団体を国会議員関係政治団体とするとともに、収入に関し、翌年への繰越しの状況を外部監査の対象として、政治資金監査を強化するものとなっております。

 デジタル化については、収支報告書のオンライン提出、インターネット公表に関する規定を強化して、これを推進するものとなっております。

 加えて、政策活動費の使途を公開する新たな制度や、国会議員関係政治団体から寄附を受けたその他政治団体の政治資金の透明性確保に関する規定を設けるものとなっております。

 さらに、委員会修正では、政治資金パーティーに係る公開基準額の更なる引下げ、政策活動費の使途公開の更なる拡充や、中長期的なロードマップとして、政策活動費の上限額や使途の公開、第三者機関の設置、政党交付金の交付停止など、大幅な修正が行われており、本法律案及び修正案は、再発を防止し、政治資金の透明性確保に資する内容となっております。

 なお、野党各党提出の三法案については、一、企業・団体献金の全面的な禁止は過剰な規制であること、二、収支報告書の記載等につき、代表者が会計責任者と同等の義務を負うことはかえって形骸化するおそれがあることなどから、反対いたします。

 最後に、委員会修正を含めて、我が党提出の法律案に対し、議員各位の幅広い御賛同をお願い申し上げまして、私の討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

石田委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました立憲民主党、国民民主党、有志の会提出の政治資金規正法等の一部を改正する法律案、立憲民主党提出の企業・団体献金禁止法案、パーティー開催禁止法案に賛成、自民党提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案及び修正案に反対の立場で討論を行います。

 立憲民主党案は、今回の自民党派閥の政治資金パーティーの裏金問題に端を発した政治不信を払拭するため、企業・団体献金の禁止、政策活動費の廃止、連座制の導入、政治資金パーティー開催禁止など、政治資金の透明化を進め、抜け道を塞ぐ、自らを厳しく律する本気の政治改革であり、賛成いたします。

 自民党案及び修正案への反対の理由の第一は、維新を含め野党が禁止を主張する企業・団体献金は全くゼロ回答。

 第二は、政策活動費は領収書を公開するとありますが、黒塗りの可能性を否定していません。そして公開は十年後。そもそも不記載や虚偽記載の罪に問われ得る公訴時効が五年であり、十年後に公開されたところで罪に問えません。責任を免れます。その上、この使途不明のブラックボックスである政策活動費には上限額が示されておらず、今後も何十億という使途不明の政策活動費が許されます。十年もの間、国民が見ることはできません。また、第三者機関の設置がうたわれましたが、独立性はどのように担保するのか、チェック事項は何か、一番重要なところが何も決まっていない、なんちゃって第三者機関です。

 第三は、確認書の提出を義務づけても、国会議員は、私は知りませんでした、悪気はありませんでしたという逃げ道が確保されている、なんちゃって連座制です。

 第四は、政治資金パーティーの企業、団体による購入は温存されており、公開基準を一件五万円超に引き下げても、複数回開催し、購入者を分ければ分散でき、現状と変わりません。そのほか、茂木方式や岸田方式の穴は塞がれておらず、今後も継続できます。ざる法案、ざる合意と断ぜざるを得ません。

 最後に、自民党案と修正案は、衆参に裏金議員八十二名が判明した異常事態を引き起こし、国民の信頼を失墜させたにもかかわらず、反省が見られません。抜け穴だらけ、検討ばかりの問題先送り、逃げ切りの自民党案では、到底国民の理解は得られない。そうではない、この自民党修正案こそが国民に胸を張れる内容だというなら、総選挙で主権者たる国民に信を問うべきであるということを強く申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

石田委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、自由民主党提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案の原案に反対、修正案に賛成、立憲民主党、国民民主党、有志の会提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案に賛成、立憲民主党提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に賛成、立憲民主党提出、政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案に反対の立場から討論いたします。

 自民党は、裏金事件が発覚してからこれまで、実態解明と責任者の処分をうやむやにし、何ら反省のないまま、国民の期待とはかけ離れた法案を本委員会に提出してきました。問題の範囲を派閥の政治資金パーティーに限定し、さらに、その中の収支報告書の不記載という点に絞り込み、その再発防止策だけを対象とし、さらに、二重にも三重にも抜け穴を用意した絶望的にお粗末な案でした。

 その一方で、企業・団体献金の禁止、政策活動費の透明化、調査研究広報滞在費の使途公開といった本丸はたなざらしにされました。

 そこで、我が党は、一歩でも二歩でも改革を前に進めるという立場から、自民党に対し、これら本丸三項目のうち、少なくとも二つの改革を今国会で実現することを求めました。具体的な条文化の段階で何度も頓挫しかかりましたが、最終的に一定の納得できる修正が達成されたことから、修正案には賛成の立場を取ることとしました。

 他方で、修正案の全てを是としたわけではなく、また、今の法案は本来変えなければならないことから考えれば極めて小さな変化であり、自民党が今回の裏金事件で失ってしまった国民の信頼を取り戻すには、全く不十分であるとの認識は変わりません。

 以上、申し上げた趣旨及びこれまでの経緯を踏まえ、修正部分を除く原案には反対します。

 なお、自民党にとって受け入れ難かったであろう本修正が実現した背景には、公明党が政治理念を重視し、粘り強く自民党の政治的圧力に屈しなかったこと、そして、立憲民主党、国民民主党、有志の会が踏み込んだ対案を提出し、ほかの野党とともに厳しい態度で正面から自民党と対峙し続けたことも、大きく影響しているものと認識しています。

 特に、我が党も要求した残る一項目である、企業・団体献金廃止には今回一切手がつけられていないことは、身を切る改革を党是に掲げ、実際に結党以来一度も企業・団体献金を受け取らず、今月からは企業、団体へのパーティー券販売も内規で禁じた我が党としては、無念の極みです。

 その観点から、言行一致を求めながらも、立憲、国民、有志の会の趣旨を共にする法案には賛成をするとともに、参議院の審議を経て更なる修正が行われることを求めつつ、討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

石田委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 私は、公明党を代表して、自由民主党提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案並びに修正案に賛成、他の案には反対の立場で討論をいたします。

 公明党は、今回の政治と金の問題に対しては、終始一貫して、国民の信頼を取り戻す、また、清潔な政治を実現するという強い信念の下、本年一月には公明党政治改革ビジョンを発表するとともに、四月には政治資金規正法改正案の要綱を発表をいたしました。

 今回の自民党案及びその修正案は、その政治改革ビジョン及び要綱に示されたほぼ全ての内容が取り入れられ、特に、代表者である政治家の監督責任と罰則の強化及び政治資金の透明性の向上において、実効性ある改革案になったものと受け止めております。

 以下、自由民主党の提出案に対する主な賛成理由を述べさせていただきます。

 第一に、公明党も改革の一丁目一番地と捉える政治家の監督責任と罰則の強化の明記であり、確認書の提出義務であります。この確認書については、我が党がどの党にも先駆けて提案したものであり、内容は公明党案そのものであります。

 第二に、パーティー券の購入者の公開基準を二十万円超から五万円超に引き下げるとともに、政治資金パーティーに係る入金を預貯金口座への振り込みとし、収入の記載漏れの発生を防止すると同時に、その透明性と適正性を強化した点であります。

 第三に、第三者機関の設置については、政策活動費の支出に関する監査機能のみならず、政治資金の収入と支出における適正性を監督する体制を整備する、政治資金に関する独立性が確保された機関の設置が明記された点であります。

 第四に、国会議員関係政治団体の収支報告書について、そのデジタル化とオンライン化を進めることで、多くの国民がインターネット上で個々の議員の政治資金の収支の実態を監視できることを可能にする点であります。

 以上が、自由民主党の提出案及び修正案に賛成する主な理由であります。

 公明党は、これからも、国民の皆様の政治に対する信頼を取り戻せるよう、また、清潔な政治と不正を許さない政治の実現に向け、果敢に挑戦していくことをお約束申し上げ、公明党を代表しての討論といたします。(拍手)

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表し、政治資金規正法に関する四法案と修正案の討論を行います。

 まず、法案及び修正案の条文を吟味する時間も与えず、僅かな審議時間、拙速な審議で採決することに断固抗議をするものです。

 裏金事件の当事者である自民党は、真相究明に背を向けたままであり、自民党提出の法案と修正案は、再発防止にも抜本改革にもなりません。

 第一に、肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止がすっぽり抜け落ちています。

 裏金事件は、自民党派閥のパーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為です。企業・団体献金の禁止、抜け道であるパーティー券購入も禁止することが再発防止に不可欠です。修正案は、パーティー券購入の公開基準を五万円超としていますが、複数回に分ければ、これまで同様に非公開で購入できます。抜け道を温存するものです。

 企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治をゆがめることは、国民一人一人の権利である参政権を侵害するものです。企業・団体献金を聖域とする自民党案は、国民の願いに反するものであり、認められません。

 第二に、現行法に規定がない政策活動費は、政治家を迂回させることで支出の目的を明らかにしないものであり、規正法の趣旨に反する脱法行為であります。

 自民党案は、政策活動費を新たに法定化し、堂々とやれるようにしようというものです。

 さらに、修正案で政策活動費の上限を定め、十年後には領収書等を公開するかのように言っていますが、上限額も内容も、提案者は今後の検討で結論を得ると繰り返すだけで、政策活動費に固執している自民党と維新で都合のいい制度をつくろうというものです。

 政策活動費の合法化、温存は認められません。きっぱり廃止すべきです。

 第三に、自民党案が収支報告書の要旨の作成、公開義務を削除したことは、規正法の柱である収支公開に逆行するものです。収支報告書の根幹部分が記載されている要旨すらなくなれば、収支報告書の公開三年後には、政治資金の流れが全く見えなくなります。過去の不祥事を隠蔽するものと言わざるを得ません。国民の不断の監視と批判の下に置くとした規正法の基本理念を貫き、収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要です。国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきです。

 このほか、お墨つきを与えるだけの政治資金監査制度の拡大や政党助成金を利用した法違反のペナルティー制度の創設の検討、第三者機関へのルール作りの丸投げの検討など、看過できない規定が盛り込まれています。

 立憲、国民、有志案も同様の理由から反対です。立憲のパーティー開催禁止法案も賛同できません。立憲の企業・団体献金禁止法案は賛成をするものです。

 日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案をこの三十年間、国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

石田委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 私は、立憲民主党・無所属、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会共同提出の政治資金規正法等改正案について賛成、自由民主党提出の修正案、修正案を除く原案、また、各野党提出のいずれの案についても反対の立場から討論を行います。

 今回の政治資金規正法改正の議論は、自民党派閥の裏金問題に端を発するものです。今まさに議論が終局を迎えていますが、この問題の真相は、何も明らかにされていません。これでは、再発防止や法整備として十分な内容かどうかの判断がつきません。改めて、自民党には、事実関係について説明を求めます。

 また、これまでの議論の在り方も問題です。

 参考人質疑において、複数の参考人の方から、党利党略にとらわれない、開かれた議論を委員会の場で行ってもらいたいとの御発言がありました。しかし、一部の党会派の役職の間でのみ協議、修正が行われ、そのたびに中身のない理事懇が何度も開かれました。これでは、到底国民の信頼が取り戻せないことを厳しく指摘いたします。

 修正された中身についても、再発防止、信頼回復からはほど遠い内容と言わざるを得ません。検討、検討、検討と、実際にやるのかどうかも担保されない規定が並び、多くの事項が先送りされています。

 政策活動費については、大きなブラックボックスが少し小さくなっただけにすぎません。特に、政党交付金という公金を受ける以上は、厳し過ぎるという政治家側の勝手な道理がまかり通ることはないはずです。十年後の公開も盛り込まれましたが、領収書の提出や保存の義務、公訴時効との関係など、不明確な点が多過ぎます。渡し切りは禁止、非課税、非公開の政策活動費は廃止とする方が簡便で明確です。

 また、施行日が令和八年一月一日ですが、今国会で成立すれば、来年、令和七年一月一日から施行すればよいのではないでしょうか。来年夏には参議院選挙、秋までには衆議院選挙が実施されます。よもや、今までどおり政策活動費を選挙応援に使いたいからではないですよね。あり得ません。

 政治資金パーティーの公開基準額を五万円と下げたのは評価しますが、なぜ、外国人、外国法人購入規制については検討にとどまるのでしょうか。単に下げればいいというのではなく、寄附規制と合わせるという意味で、根拠がある金額のはずです。不十分と言わざるを得ません。

 第三者機関についても、具体的な中身については全く分かりません。総務省の下に置かれている政治資金適正化委員会も、具体的な判断については実効性が乏しいことも指摘されています。我々は、国会の自律権に基づき、国会の中に制度の提案、監視、監督、そして勧告まで行える第三者機関の姿を具体的に提案しています。どこに置くのか、どのような役割を担っていただくのか、しっかりと国民の皆様にお示ししなければ、お手盛りの批判は免れません。

 そのほかにも、我々が提案する、自らが代表を務める政党選挙区支部への寄附金控除の適用除外について、今まさに問題になっているにもかかわらず、なぜ検討にとどまるのでしょうか。速やかに特別控除の対象とならないことを明確にすべきです。

 真面目に政治活動をすれば、確かに資金は必要です。しかし、政治資金が非課税の特例を受けることができるのは、政治活動に使うこと、政治活動に要した費用は国民の皆様にお示しすることが前提であるからです。

 速やかな法整備も必要ですが、大切なのは中身です。このような中途半端な制度改正では、形は変われども、また政治と金の問題が起こり、なぜあのとききちんと改正をしなかったのかと後世の批判にさらされることでしょう。

 我々国民民主党は、次の世代にまで貫くことができる、正直で偏らない現実的な政治の実現に全力で取り組むことをお誓いし、討論といたします。

 以上です。(拍手)

石田委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 私は、立憲民主党、国民民主党、有志の会提出、衆法第一四号及び立憲民主党提出、衆法第四八号に賛成、自民党提出、衆法第一三号及びその修正案並びに立憲民主党提出、衆法第一五号に反対の立場から討論を行います。

 私たち有志の会は、政党要件を満たすときでも政党助成金はいただかず、企業・団体献金は政治資金規正法上受け取れずに活動してきました。それは、特定の組織や団体ではなく、一人一人の有権者と向き合い、党よりまず人物を御覧になっていただき、素の政治家としての評価を受けることこそが政治の原点であると考えるからです。代議制民主主義の下では、私たちは、現在、過去あるいは未来の国民の代理人にすぎず、あくまで主権者は国民であるということは言うまでもないことなのです。

 こうした観点から、この度の政治資金規正法改正法案の議論を見るにつけ、情けなくも政治の劣化極まれりと言わざるを得ません。

 私は、この間何度も、政治改革は単に政治資金規正法をどう変えるかという小手先の矮小化した議論ではなく、自民党を中心とする今の政治システム全体こそが戦後日本の限界であり、閉塞感の最大の要因であるということを訴えてまいりました。

 日本がアジアの二流国にまで転落せんとしているとき、私たち国会議員がどのような役割を果たすべきであり、平成の政治改革で積み残した政治資金に関するルールをどのように見直していき、骨太な令和の政治改革の本質的な議論がほとんどなされなかったことは残念でなりません。

 企業・団体献金とは一体何なのか、政策活動費が自民党と日本維新の会にとってなぜ必要なのか、繰り返される聞くに堪えない情けない答弁は、永遠に国会の歴史の恥となって残るでしょう。

 委員会では、会期末を控えた日程の都合ばかりが優先され、たった五時間五十分の議論を行っただけで水面下での修正案の協議に入ってしまい、修正案が提出される前から採決日程がセットされ、しかも、その修正案もでたらめで、どたばた劇を繰り返す情けなさ。一体何をそんなに急いでいるんでしょうか。

 問題の発端となった自民党は、再発防止と問題を矮小化し、公明党と日本維新の会の賛意を取り付けるゲームをやっているだけのように思います。対する野党の第一党の皆さんも、申し訳ないですけれども、政治資金パーティー禁止法を提出しながら、幹部の皆さんが審議のさなかに政治資金パーティーを企画している、こんな茶番に国民はもううんざりなんだと思います。

 「巧詐は拙誠に如かず」、巧みなうそは拙い誠にしかず。韓非子の言葉で、我が水戸偕楽園の好文亭の入口に第九代藩主徳川斉昭公の書が掲げられております。

 今やちっぽけな国対的な政治ゲームをやっている場合ではありません。たとえ拙くとも、今、本質的な政治改革を成し遂げなければ国の衰退は止まらないという純粋な誠の気持ちを持って立ち上がる同志たちが党派を超えて現れることを期待いたしまして、討論といたします。

 以上です。(拍手)

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 まず、第二百八回国会、落合貴之君外四名提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、落合貴之君外七名提出、政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、落合貴之君外十名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、鈴木馨祐君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、鈴木馨祐君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平口洋君外二名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。平口洋君。

平口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  今回の法改正の趣旨を踏まえ、次の事項について、それぞれ所要の措置を講ずるものとする。

 一 政治資金パーティーを開催する者が同一の者から受けることができる当該政治資金パーティーの対価の支払の上限額の在り方及び政党その他の政治団体に係る政治資金パーティー以外の事業による収入の在り方について、政治活動の公正を確保する観点から、検討を行うこと。

 二 政治団体の代表者が親族間で異動することによる政治資金の移動の制限の在り方について、公職を担う多様な人材を確保する観点から、検討を行うこと。

 三 政党が議会制民主政治において極めて重要な存在であることを踏まえ、政党の望ましいガバナンスの在り方について、政党の自主性及び自律性の確保に配慮しつつ、法整備の要否も含めて、中長期的に検討を行うこと。

 四 政治資金の適正化・透明化を図るため、適時に、正確な会計帳簿の作成や、複式簿記の導入などを含め、会計の在り方について検討を行うこと。

 五 国会議員関係政治団体の収支報告書について、誰もが閲覧できるようなデータベース化を含め、検索可能性を高める情報提供の在り方について検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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